JP2018006470A - インプリント材吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インプリント材を撹拌するポンプと、インプリント材の吐出部材からの吐出を制御する制御基板とを有していても、インプリントを良好に行うことが可能なインプリント材吐出装置を提供すること。【解決手段】 基板上でモールドを接触させてパターンを形成するインプリント材を内部に収容する収容部を有する収容部材と、前記収容部の内部のインプリント材を撹拌するポンプと、前記インプリント材を前記基板上に吐出する吐出部材と、前記吐出部材からのインプリント材の吐出を制御する制御基板と、を有するインプリント材吐出装置であって、前記ポンプ及び前記制御基板はカバーによって覆われてカバーの内部に配置されており、前記カバーには前記カバーの内部と外部とを連通させる複数の開口が開口している。【選択図】 図4
Description
本発明は、インプリント材吐出装置に関するものである。
半導体デバイス等の製造プロセスにおいて、基板上のインプリント材に対してパターンが形成されたモールドを接触させ、インプリント材にモールドの形状を転写してパターンを形成する、所謂インプリント技術が知られている。このようなインプリント技術においては、基板上等のインプリント領域になるべく塵を付着させないことが求められる。
特許文献1には、インプリント材を吐出する吐出ヘッドを走査する際に、基板を退避させ、吐出ヘッドの走査によって発生する塵を基板上に付着させないことが記載されている。
インプリント材は、インプリント装置のインプリント材収容部に収容されている。インプリント材を収容した状態でインプリント材収容部を長期間放置すると、インプリント材収容部内において、インプリント材の一部が経時変化によってゲル化する可能性がある。そこで、インプリント材収容部内のインプリント材をポンプによって撹拌することが考えられる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、ポンプを作動させることによって、ポンプから塵が発生し、基板上に付着する可能性があることが分かった。特許文献1に記載の方法では、ポンプを作動させた際に基板が退避していない場合もあり、基板上に塵が付着する可能性がある。
また、インプリント材吐出装置は、インプリント材の吐出部材からの吐出を制御する制御基板を有しているが、制御基板は発熱しやすいものである。本発明者らの検討によれば、制御基板の発熱によって、基板上のインプリント材や、インプリント材吐出装置自体が変形する可能性があることが分かった。インプリントは非常に高精度に行う必要があり、インプリント材吐出装置やインプリント材が僅かに変形しただけであっても、良好なインプリントを行うことが困難となる。
従って本発明は、インプリント材を撹拌するポンプと、インプリント材の吐出部材からの吐出を制御する制御基板とを有していても、インプリントを良好に行うことが可能なインプリント材吐出装置を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。即ち本発明は、基板上でモールドを接触させてパターンを形成するインプリント材を内部に収容する収容部を有する収容部材と、前記収容部の内部のインプリント材を撹拌するポンプと、前記インプリント材を前記基板上に吐出する吐出部材と、前記吐出部材からのインプリント材の吐出を制御する制御基板と、を有するインプリント材吐出装置であって、前記ポンプ及び前記制御基板はカバーによって覆われてカバーの内部に配置されており、前記カバーには前記カバーの内部と外部とを連通させる複数の開口が開口していることを特徴とするインプリント材吐出装置である。
本発明によれば、インプリント材を撹拌するポンプと、インプリント材の吐出部材からの吐出を制御する制御基板とを有していても、インプリントを良好に行うことが可能なインプリント材吐出装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いながら説明する。
図1に、インプリント装置の構成の一例を示す。ここでは、インプリント材として紫外線硬化型樹脂を用い、紫外線硬化型樹脂を紫外線の照射によって硬化させる装置の例で説明するが、インプリント材の材料や硬化の方法はこれに限られない。例えば、光照射装置によって紫外線以外の波長の光を照射して光硬化型樹脂を硬化させてもよいし、熱硬化型の樹脂を用いて熱で硬化させてもよい。
図1に示すインプリント装置100は、インプリント材吐出装置10と、モールド1とを有する。モールド1を有するインプリント装置100とインプリント材吐出装置10とは別体であってもよい。即ち、インプリント材吐出装置10によってインプリント材を吐出し、インプリント材吐出装置10とは別のインプリント装置100が有するモールドによってインプリントを行ってもよい。
インプリント材吐出装置10は、インプリント材の吐出部材11と、インプリント材を収容する収容部を有する収容部材12と、圧力制御部材13とを有する。ステージ6上には基板4が設置されており、吐出部材11から基板4上にインプリント材8が吐出される。基板上に吐出されたインプリント材8には、モールド1を接触させ、この状態でインプリント材8に紫外線照射装置7から紫外線を照射し、インプリント材8を硬化させる。モールド1には微細な凹凸状のパターン等が形成されており、モールド1を上方に移動させると、インプリント材にはモールドのパターンが転写された状態となっている。このようにして、インプリント材にパターンを形成する。
ステージ6は、基板4を保持しながらベースフレーム5上を移動可能である。モールド1を上下駆動させるモールド駆動機構2は、構造体3に保持され、モールド1を基板4に近接させ、モールド1をインプリント材8に接触させることが可能である。モールド1の上方には紫外線照射装置7があり、モールド1を介してインプリント材8に紫外線9を照射する。紫外線9は、例えばi線やg線を発生するハロゲンランプ等の光源であってもよい。また、紫外線照射装置7は光源が発生した光を集光成形する機能を有していてもよい。
インプリント装置100を用いたインプリント動作をより詳細に説明する。まず、基板4をステージ6に搭載する。基板4は、ステージ6によってインプリント材吐出装置10の吐出部材11の下方に移動させられる。そしてステージ6を移動させながら吐出部材11からインプリント材8を基板4上に吐出する。
次に、ステージ6によって、基板4のインプリント材8を吐出した部分を、モールド1の下方に移動させる。さらに、モールド1をモールド駆動機構2により降下させて、モールド1と基板4とが近接した状態とする。その状態で、アライメントスコープ等によりモールド1上のアライメントマークと基板上のアライメントマークとを重ね合わせ、両者の相対位置調整をおこなう。
相対位置の調整後、モールド駆動機構2によりモールド1を下方(基板4の方向)にさらに降下させ、インプリント材8にモールド1を接触させる。その後、紫外線照射装置7から紫外線9を照射し、モールド1を透過した紫外線9をインプリント材8に照射する。この結果、インプリント材8の光硬化反応が発生し、インプリント材8が硬化する。
最後に、硬化したインプリント材8から、モールド駆動機構2によってモールド1を剥離させる。以上のような工程で、基板4上にパターン(パターニングされたインプリント材)を形成することができる。半導体の製造に用いるインプリント装置は、基板4上の全ての領域にパターンを形成する場合があるが、この場合には基板に対して領域を変えながら一連のインプリント動作を繰り返す。
次に、インプリント材吐出装置の説明を行う。図2(a)は、インプリント材吐出装置10の模式図であり、図2(b)は図2(a)に示すインプリント材吐出装置の収容部15が分かるように示す断面図である。尚、図2(b)のインプリント材吐出装置は、さらにフィルタ23を設けた構成としている。
インプリント材吐出装置10は、吐出部材11、収容部材12、及び圧力制御部材13を有する。収容部材12の内部には、収容部内部の空間を分離する分離膜14が設けられている。分離膜14は、インプリント材と後述する充填液とを分離する膜であり、可撓性であることが好ましい。分離膜14の厚みは10μm以上200μm以下であることが好ましい。分離膜14は、液体及び気体の透過性が低い材料で形成することが好ましく、例えばアルミニウムの多層フィルムで形成することができる。分離膜14で形成された空間のうち、吐出部材11と連通している側の空間には、インプリント材が充填されている。
また、インプリント材吐出装置10は、吐出部材11を制御するための制御基板30を有している。吐出部材11は、インプリント材を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子を有する。エネルギー発生素子としては圧電素子や発熱抵抗体が挙げられる。インプリント材として樹脂を多く含むものがよく用いられることから、エネルギー発生素子として圧電素子を用いることが好ましい。吐出部材11のエネルギー発生素子を制御基板30で制御することで、インプリント材8が、吐出口から基板上に吐出される。吐出部材11はインクジェット記録装置で用いられるような吐出ヘッドであることが好ましい。他にも、制御弁等を用いてインプリント材の供給と停止を制御する吐出部材を用いることもできる。この場合、制御弁を制御基板30で制御することによって、インプリント材の吐出を行う。
収容部材12は、インプリント材が収容されている収容部15と、収容部15と分離膜14を挟んで反対側の空間であり、かつ吐出部材11と連通していない空間である充填液部16とで構成されている。充填液部16は充填液で充填されており、連通部17を介して圧力制御部材13と連通している。圧力制御部材13は、充填液タンク、配管、圧力センサー、ポンプ、バルブ等から構成されている。圧力センサー、ポンプ、バルブは、充填液部内の充填液の圧力を制御している。圧力制御部材13で充填液の圧力を制御することで、分離膜14を介して収容部15内のインプリント材の圧力を制御することができる。これにより、吐出部材11における気液界面(メニスカス)の形状を安定化させ、再現性のよいインプリント材の吐出を行うことができる。
吐出部材11からインプリント材8の吐出を繰り返すと、収容部15内部のインプリント材が消費されて減少し、分離膜14が変形する。分離膜14の変形に伴い、圧力制御部材13によって充填液タンクから充填液部16に充填液が補充され、充填液部16が充填液で充填される。
インプリント装置に用いるインプリント材は、異物(微小パーティクル)や金属イオンをなるべく含まず、基板に塗布されるまでその性質を保つことが求められる。ここで説明した構成によれば、インプリント材の吐出を繰り返して収容部15の容積が減少していき、最終的にインプリント材が全て消費されるまでの期間において、インプリント材を収容部15の外部から隔離した状態で貯留することができる。よって、外気との接触や圧力センサー等の機器類との接触がない為、初期に管理して封入したインプリント材に異物や金属イオンが増加することを抑制できる。
尚、収容部15は点滴袋のように分離膜として可撓性の膜を袋状にしたものでもよい。また、収容部15の内部に気液界面を設ける構成としてもよい。他にも、収容部15に大気連通口を連通させて大気解放型としてもよい。大気解放型とする場合、負圧制御を良好に行う為に、開閉を切り替える弁や、圧力を制御する機器を接続することが好ましい。
液体(インク)を吐出して記録を行う一般的なインクジェット記録装置では、吐出部材の吐出口におけるメニスカス形状安定のために、吐出部材の内部を一定範囲の負圧に維持する工夫がなされている。例えば、収容部内部に多孔質体を構成して液体を保持し、多孔質体内部の毛管力を利用して負圧を形成する方法が知られている。他にも、バネのような機械要素と風船形状の膜との組み合わせで収容部内に負圧を形成する方法や、制御弁と空気圧を用いて負圧を制御する方法がある。本発明においても、これらの方法によって収容部の負圧を制御してもよい。
本発明のインプリント材吐出装置は、収容部15の内部のインプリント材を撹拌するポンプ22を有する。インプリント材吐出装置の収容部材の収容部15には、通路を形成する通路形成部材によって通路が接続されている。通路形成部材はインプリント材の通路を形成している部材であり、収容部15に開口する第1の開口20と第2の開口21とで収容部15と連通している。第1の開口20は収容部15の内部のインプリント材を通路の内部に供給する開口であり、第2の開口21は第1の開口20から供給したインプリント材を収容部15に供給する開口である。そして、第1の開口20と第2の開口21を結ぶ通路に、ポンプ22が配置されている。さらに図2(b)ではインプリント材をろ過するフィルタ23が配置されている。後述するポンプ22からの発塵によるインプリント材への異物発生の可能性を考慮すると、ポンプ22に対して、第1の開口20から第2の開口21へとインプリント材を流す際に下流側となる位置にフィルタ23を配置することが好ましい。ポンプ22は通路形成部材の通路の内部に設けることが好ましいが、この通路の外部に設けてもよい。
ポンプ22を駆動させると、収容部15内に収容されたインプリント材が第1の開口20から供給(吸引)される。第1の開口20から供給されたインプリント材は、通路の内部のフィルタ23を通過してろ過された後に、第2の開口21を経由して収容部15内に戻る。そして再び第1の開口20から供給される。即ち、収容部15内のインプリント材は撹拌され、かつフィルタ23でろ過される。フィルタ23は、収容部材の収容部に連通する通路の内部に配置することが好ましい。通路の第1の開口20から供給されたインプリント材は、吐出部材11のエネルギー発生素子と吐出口との間の領域を介さずに、第2の開口21から供給される。或いは、通路形成部材の通路は、エネルギー発生素子と吐出口との間の領域とは異なる部分に設けられている。このような構成とすることにより、インプリント材の吐出部材11への供給が良好となり、インプリント材の吐出部材11の吐出口からの吐出も良好になる。
ポンプ22としては、例えばダイアフラムポンプ、シリンジポンプ、チューブポンプ、ギアポンプ等を用いることができる。ポンプ22の送液流量は、100mL/min以下とすることが好ましい。流量を大きくするとフィルタを通過させるための流路抵抗(圧力損失)が大きくなるため、高出力のポンプが必要となる。この為、送液流量が20mL/min以下のポンプを用いることで、ポンプを小型にすることができる。
ポンプの駆動に伴うインプリント材の圧力変動(脈動)が大きいと、吐出部材からインプリント材が漏れやすくなる。その為、吐出口のメニスカスを破壊しない程度の圧力変動に抑えることが好ましい。例えば、圧力変動が±300Pa以内となるようにポンプを駆動させることが好ましい。
インプリント材吐出装置は、ポンプ22を動作させるために、コントローラーを備えている。一定の流量を維持して送液するように制御する為、フィルタ23が目詰まりして流路抵抗が大きくなると、駆動電圧が大きくなる。従って、コントローラーにおけるポンプの駆動電圧を常時監視し、駆動電圧が一定の値を超えた場合には、インプリント装置に対してフィルタ交換を促す警告を発することができる。フィルタ23をカートリッジ形態のインプリント材吐出装置として一体化すると、ユーザーはインプリント材吐出装置を交換することで、すぐにインプリント装置を利用することができる。ポンプ22やフィルタ23の異常検知には、それらの状態を監視するセンサーを設けていてもよいし、圧力センサーや流量センサー等を配管中に構成しておいてもよい。
インプリント材吐出装置には、基板上に吐出するインプリント材の量及び着弾位置が非常に高精度に制御されていることが求められる。その為、吐出部材の吐出口におけるメニスカス形状を安定に保つ必要がある。インプリント材吐出装置は、ポンプ22の駆動によってインプリント材の圧力が変動する場合がある。そこで、インプリント材吐出装置からインプリント材を吐出している間はポンプ22の駆動を停止させることが好ましい。
図2に示すように、収容部15と吐出部材11を一体化した形態をカートリッジと呼ぶ。カートリッジには、上述のようなポンプ22と、フィルタ23と、それらと収容部15を連通させる流路とを含めることができる。また、圧力制御部材13を隣接させてカートリッジの構成に含めることもできる。即ち、図2に示した構成すべてを一体化して取り扱うこともできる。例えば、インプリント装置は、カートリッジ形態のインプリント材吐出装置を搭載し、収容部15内のインプリント材を消費しきったら、カートリッジを交換することで即座にインプリント可能な状態に復帰させてもよい。ポンプ22やフィルタ23はカートリッジとして一体化されており、カートリッジと同時に交換される。他にも、吐出部材11近傍の通路中にフィルタを構成し、ポンプを収容部15と吐出部材11とを接続する通路の間に構成し、収容部15内のインプリント材を、フィルタを介して吐出部材11に供給する構成としてもよい。フィルタは必ず設ける必要はなく、図2(a)のようにフィルタを設けない構成として、ポンプ22によってインプリント材を撹拌するだけであってもよい。
ところで、インプリント技術においては、インプリント装置内の発塵を極力抑える必要がある。インプリントの際には、100nm以下の大きさの塵(パーティクル)でも、パターンやモールドを破損する可能性がある。この大きさの塵がインプリント装置内に放出されると、空間を浮遊して基板やモールドに付着してしまう懸念がある。特に、インプリント材を基板に吐出するインプリント材吐出装置では、インプリント動作を行うインプリント領域の近傍で動作をするため、塵がインプリント装置内に放出されることを抑制することが重要である。ポンプ22は、インプリント材に対して外部から力を加えて輸送し、収容部の内部のインプリント材を撹拌する機構である。本発明者らの検討によれば、このようなポンプを用いると、ポンプの駆動部や摺動部から発塵したり、またポンプ自身からも振動等によって発塵したりし、塵が基板上に付着する可能性があることが分かった。そこで本発明では、ポンプをカバーで覆い、ポンプをカバーの内部に配置する。そして、カバーに開口させたカバーの内部と外部とを連通させる複数の開口を用いて、カバーの内部の空間に気流を生じさせ、インプリント領域に塵を極力付着させないようにする。
また、インプリント装置100の内部に発熱源があると、基板4、モールド1、ステージ6、モールド駆動機構2、構造体3といったインプリント装置を構成する部材が熱変形し、アライメント精度が低下する可能性がある。さらに、基板上のインプリント材が変形してしまうこともある。本発明者らの検討によれば、特に制御基板30が発熱源となり、このような変形が発生しやすいことが分かった。そこで本発明では、ポンプだけでなく制御基板30もカバーで覆い、制御基板30もカバーの内部に配置する。そして、カバーに開口させたカバーの内部と外部とを連通させる複数の開口を用いて、カバーの内部の空間に気流を生じさせ、インプリント領域に熱の影響が及ぶことを抑制する。
図3に、制御基板30をカバー31で覆い、ポンプ22をカバー32で覆ったインプリント装置を示す。カバー32は、吐出部材11の一部及び収容部材12も覆っている。吐出部材11が有する吐出口はカバー32で覆われておらず、インプリント材を吐出できるようになっている。カバー31とカバー32とは、内部で気流が通過できるように連結されている。カバー31とカバー32は図3に示すように別部材であってもよいし、1つのカバーでポンプ22と制御基板30とを覆う構成であってもよい。ポンプ22及び制御基板30を覆うカバーは、軽量化がしやすく、熱伝導率が大きくカバー内部での温度ムラが発生しにくいという点で、アルミニウムで形成することが好ましい。また、カバーを着脱する際に金属部品の擦れによる発塵を抑えるという点では、ステンレスや鉄、無電解ニッケルメッキで形成することが好ましい。また、露光装置で用いる露光光や、アライメント光、位置センサーやファイバーセンサーの計測光といった光の乱反射による精度劣化を抑制する点では、遮光性を有するカバー(例えば黒色のカバー)を用いることが好ましい。
図3では、カバー31の開口にダクト33が接続されており、カバー31の内部はダクト33を通して排気源34と接続している。排気源34としては、送風ファンによって気流を発生させる装置や、真空発生装置(真空ポンプ、エジェクター等)が挙げられる。排気源34はインプリント装置100内に構成される必要はなく、例えばインプリント装置が設置されるクリーンルームの設備の排気源を用いてもよい。カバー31とカバー32の内部の空間が排気源34と接続され、排気が行われることで、カバーの内部のポンプから塵が発生しても、インプリント領域に塵が流出することを抑制できる。ここで、カバーの内部は必ずしも密閉する必要はなく、例えば排気によって周囲より圧力が低くなるような排気流量と開口の面積とすればよい。さらに、制御基板30もカバー31で覆われており、カバー31の内部の空間が吸引によって減圧されるので、制御基板30から発生した熱がインプリント領域から離れた場所に放出される。よって、インプリント領域に熱の影響が及ぶことが抑制される。
ポンプ22だけでなく、圧力制御部材13に含まれる配管機器、例えばレギュレータ、エアオペレーションバルブ、サーボバルブ、エジェクター等といった機器も、排気に塵が含まれる可能性がある。他にも、電磁弁のように駆動部や摺動部をもつ機器等、発塵の可能性のある機器が含まれている場合がある。さらに、インプリント材吐出装置に構成されうるものからの発塵、例えば送風手段(送風ファン)からの発塵や、配管接続継ぎ手の抜き差しや、ねじを締めることで生じる塵、部品の振動や擦れによって発生する塵がある。また、金属の酸化物(さび)、レジストの固化物(ミストの付着)等、使用する状況や環境によっても、様々な発塵の要因が考えられる。そこで、これら塵の発生源もカバーの内部に配置しておくことが好ましい。例えば、カバーの内部に、ポンプ、圧力制御機器、駆動部や摺動部をもつ機器、送風ファン、継ぎ手、ねじ締結部等を配置することが好ましい。
図4(a)に、インプリント材吐出装置10の拡大図を示す。カバーは、カバー31及びカバー32で構成されており、その内部に、吐出部材11、収容部材12、ポンプ22、及び制御基板30が配置されている。圧力制御部材13は、カバーの外部に配置されている。カバー31には、カバー31の内部と外部とを連通させる開口42が開口している。カバー31とカバー32とで1つのカバーとして見れば、開口42はカバーの内部とカバーの外部とを連通させる開口である。開口42は、ダクト33に接続されており、その先に排気源がある。排気源と接続されるダクト33は、断熱材を構成したり2重ダクト構造としたりすると、インプリント装置への伝熱を抑制することができるため好ましい。また、カバー32には、開口35が開口している。開口35も、カバーの内部と外部とを連通させる開口である。即ち、本発明のインプリント材吐出装置では、カバーの内部と外部とを連通させる複数の開口(開口35と開口42)が開口している。図4(a)に示す構成では、開口35からカバーの外部の空気が吸引され、吸引された空気が開口42から排出されることで、カバー32の内部に開口35を起点とする気流が形成される。この気流によって、カバー内の塵や熱が排気源の方へと流れていく。カバー内の空気の流れにおいて上流側となる開口35は、カバー内の空気の流れにおいて下流側となる開口42よりも、ポンプ22に近い位置に配置することが好ましい。ポンプ22は発塵源であるだけでなく、発熱源でもある。カバー32の内部の空間において、開口35の近傍は外部から流入する空気が一方向に流れ、流速が比較的大きい場所である。従って、ポンプ22を開口42よりも開口35にカバーの内部の最短距離が短い位置に配置し、温度管理されたインプリント領域の空気が流速の大きい状態でポンプ22の周囲を通過させることで、塵及び発熱を効果的に回収することができる。開口35からポンプ22までのカバーの内部の最短距離をA、開口42からポンプ22までのカバーの内部の最短距離をBとする。このとき、B/Aを2以上とすることが好ましく、3以上とすることがより好ましく、4以上とすることがさらに好ましい。カバーの内部の最短距離とは、カバーの内部の空間を通る線分のうち、その長さが最短となる線分の長さである。
図4(a)に示すインプリント材吐出装置10では、インプリント領域、開口35、カバー32の内部、カバー31の内部、開口42、排気源の順で空気が流れる。即ち、カバーの内部には、一方の開口(開口35)から他方の開口(開口42)に向かって空気が流れる。インプリント材吐出装置10が有する構成のうち、制御基板30の発熱量が一番大きく、排気の温度を最も上昇させる要因となる。ポンプ22も発熱するが、制御基板30と比べれば発熱量は小さい。そこで、ポンプ22のように比較的発熱量が小さいものは、効果的に冷却できるように空気の流れ(気流)の上流側に配置し、制御基板30のような発熱量が大きいものを下流側に配置することが好ましい。即ち、制御基板30は、ポンプ22よりも、開口42までのカバーの内部の最短距離が短い位置に配置されていることが好ましい。
また、吐出するインプリント材の温度をなるべく上昇をさせないために、吐出部材11や収容部材12は気流の上流側の空間に配置することが好ましい。即ち、吐出部材11や収容部材12は、カバーの内部の最短距離を考えたときに、開口42よりも開口35に近い位置に配置することが好ましい。
図4(b)に示すインプリント装置では、カバーを構成する面のうち、開口35が開口する面と対向する面に、開口36を設けている。開口36は、カバーを構成する面のうち、開口42から最も遠い面(カバーの内部を流れる空気の最も上流側に位置する面)に開口している。カバーの内部の空間を空気の流路と捉えたとき、カバー内部で淀みにくい気流を形成するには、カバーの内部に空気が流入してくる開口は、排気源からなるべく遠い位置に開口させることが好ましい。即ち、図4(b)に示すように、カバー内部を流れる空気の流路が最長となるように、カバーを構成する面のうち、開口42から最も遠い面に、複数の開口のうち少なくとも1つを開口させることが好ましい。このようにすることで、排気によるカバーの内部の空気の置換率が向上し、カバー内部で発生した塵や熱をより良好に回収することができる。
図4(b)において、カバー31とカバー32とが接続される領域37は、カバー内部の幅(流路幅)が絞られている。領域37のように幅が絞られていて一方向の流れの流速が大きい領域の近傍に発塵源を配置すると、絞られた領域37の上流の空間には塵が拡散しにくく、効果的に塵を回収できる。従って、ポンプ22を、幅の絞られた領域の近傍であって、この領域の空気の流れの上流側に配置することが好ましい。また、発熱量の大きい制御基板30を幅の絞られた領域の近傍に配置することで、制御基板30から発生した熱を効率よく回収することができる。具体的には、ポンプ22及び制御基板30は、最も上流側の開口である開口36よりも、幅の絞られた領域(領域37)に近い位置に配置することが好ましい。
カバー内部で発生した塵が数ミクロン以上の大きなものであった場合、塵は重力方向下方へ落下しやすい。従って、図4(b)に示すように、カバーに設けた開口35、36は重力方向下方に向けて開口させないことが好ましい。より好ましくは、カバーに設ける開口は重力方向と垂直に交わる方向に開口させる。
カバー内部で発生した塵は、数ミクロン以下の小さなものである場合もある。この場合、塵は落下せずに気流に乗って浮遊しやすくなる。インプリント領域内に拡散された塵は回収することが困難なため、開口から塵を含む空気が流出しにくいようにすることが好ましい。特に、カバーの内部に空気が入る開口(図4(b)では開口35及び開口36)は、このような開口であることが求められる。よって、開口が形成された領域である開口部では、一方向の気流を保ち、風量が少なくても外乱の影響を受けにくく、逆流が起きにくい構造とすることが好ましい。例えば、図5(a)に示すように、開口を複数のスリット38として開口部を形成することが挙げられる。スリット38は、長方形形状であってもよいし、長丸穴形状であってもよい。他には、図5(b)に示すように、開口として複数の穴39を設けた多孔板としてもよい。開口部をこのような構成とすることで、開口部で気流の渦が発生しにくく、逆流によるインプリント領域への塵の放出を抑制することができる。
図4(c)、(d)に、制御基板30を拡大して示す。制御基板30には、吐出部材11を制御するためのドライバー回路が構成されている。ドライバー回路は発熱量が大きいため、放熱用のフィン(ヒートシンク)51を構成し、フィンを通過する気流によって過剰な温度上昇を防ぐことが好ましい。従って、ヒートシンク51に低温で十分な流量の空気を効率よく通過させることが好ましい。制御基板30の放熱を積極的に行うためには、ヒートシンク51を気流が効果的に通過する必要がある。そこで、ヒートシンク51の周囲を導風板50で囲ってトンネル状にし、空気を選択的にトンネル状の導風板50の中に流す構成としている。また、排気源34と接続されたダクト33からの吸引力を利用して選択的に導風板50の中に気流を形成するために、開口53と導風板50との間に遮風板52を設けている。遮風板52は、カバー31の内部の幅を狭くする板であり、導風板50に空気が選択的に流れる位置に開口部が設けられている。
ここまで、カバーの内部は排気源と接続することでインプリント領域より負圧とし、空気を引き込んで排出する構成を説明した。但し、カバーの内部は必ずしも負圧とする必要はない。例えば開口部に送風ファンを構成することで、開口部からインプリント領域の空気をカバーの内部に流入させ、これを排出する構成としてもよい。図4(b)でいうと、開口35、36から送風し、カバー内部を流れた空気を開口42から排出させる構成としてもよい。また、カバーの内部の流路において、例えばカバー31とカバー32との連結部に送風ファンを設け、気流を形成してもよい。このような構成とすることで、カバーの内部で発生した塵を排出したり、カバーの内部で発生した熱を逃がしたりすることができる。
さらには、カバーに複数の開口が開口していれば、送風装置(送風ファン)や排気装置(排気源)を用いてカバーの内部に積極的に空気を流さなくてもよい。カバーに複数の開口が開口していることで、カバー内部に自然の空気の流れができ、発塵や発熱の影響を抑制できる。但し、送風装置や排気装置を用いてカバーの内部に空気を流す方が、より良好に発塵や発熱の影響を抑制できる。
図6に示すインプリント材吐出装置10は、非インプリント動作時に、メンテナンスのためインプリント領域から移動する駆動機構40に搭載されている。メンテナンス位置では、受け皿41にインプリント材を吐出して吐出部材11の不吐出を回復したり、吐出状態の検査をしたりすることができる。このように、インプリント材吐出装置が移動するため、カバー31と接続するダクト33は屈曲伸展可能なフレキダクトとすることが好ましい。但し、ダクト33の屈曲伸展によってインプリント装置内に塵を発生させてしまう可能性がある。そこでダクト33は固定ダクトとしてインプリント装置に固定し、図4に示すようにカバーの開口42が開口した面とダクト33の開口が開口した面との間に隙間を設けることが好ましい。即ち、これらの接続部に微小な隙間を設け、互いの開口を近接させて非接触で接続する。このような構成とすることで、インプリント材吐出装置10が吐出位置とメンテナンス位置とを移動するときに、ダクト33からの塵の発生を抑制し、さらにダクト33とカバーとが接触することによる塵の発生も抑制することができる。
図7(a)に、開口42とダクト33との接続部を拡大した様子を示す。排気流路の排気能力の損失を最小とするために、移動するカバー31の開口42が開口した面と、固定されたダクト33の開口が開口した面との間の隙間の幅を1mm以下とすることが好ましい。さらに流抵抗を高めるために、図7(b)のように隙間(流路)が長くなるよう、カバー31の開口42が開口した面とダクト33の開口が開口した面との間に折り返し構造(迷路状)の流路を形成することが好ましい。
Claims (16)
- 基板上でモールドを接触させてパターンを形成するインプリント材を内部に収容する収容部を有する収容部材と、前記収容部の内部のインプリント材を撹拌するポンプと、前記インプリント材を前記基板上に吐出する吐出部材と、前記吐出部材からのインプリント材の吐出を制御する制御基板と、を有するインプリント材吐出装置であって、
前記ポンプ及び前記制御基板はカバーによって覆われてカバーの内部に配置されており、前記カバーには前記カバーの内部と外部とを連通させる複数の開口が開口している、ことを特徴とするインプリント材吐出装置。 - 前記複数の開口のうち一方の開口から他方の開口に向かって前記カバーの内部に空気が流れる請求項1に記載のインプリント材吐出装置。
- 送風装置または排気装置によって前記カバーの内部に空気が流れる請求項2に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記複数の開口のうち、前記一方の開口は、前記他方の開口よりも、前記ポンプまでの前記カバーの内部の最短距離が短い位置に配置されている請求項2または3に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記一方の開口から前記ポンプまでのカバーの内部の最短距離をA、前記他方の開口から前記ポンプまでのカバーの内部の最短距離をBとしたとき、B/Aは2以上である請求項4に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記制御基板は、前記ポンプよりも、前記他方の開口までの前記カバーの内部の最短距離が短い位置に配置されている請求項2乃至5のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記吐出部材及び前記収容部材は、前記カバーの内部の最短距離が、前記他方の開口よりも前記一方の開口に近い位置に配置されている請求項2乃至6のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記カバーを構成する面のうち、前記他方の開口から最も遠い面に、前記複数の開口の少なくとも1つを開口させる請求項2乃至7のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記他方の開口はダクトと接続されており、前記カバーの前記他方の開口が開口した面と前記ダクトの開口が開口した面との間に隙間がある請求項2乃至8のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記隙間の幅は1mm以下である請求項9に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記カバーの前記他方の開口が開口した面と前記ダクトの開口が開口した面の間に、折り返し構造の隙間が形成されている請求項9または10に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記ポンプを覆うカバーと前記制御基板を覆うカバーとは別のカバーであり、前記ポンプを覆うカバーと前記制御基板を覆うカバーとの間で内部の幅が絞られている請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置。
- 前記一方の開口は、複数のスリットまたは複数の穴である請求項2乃至12のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置。
- 基板上のインプリント材にモールドを接触させて前記インプリント材にパターンを形成するインプリント装置であって、前記基板に前記インプリント材を吐出するインプリント材吐出装置として請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプリント材吐出装置を有することを特徴とするインプリント装置。
- 前記インプリント材は光硬化型樹脂であり、前記インプリント材に光を照射して前記インプリント材を硬化させる光照射装置を有する請求項14に記載のインプリント装置。
- 前記インプリント材吐出装置は前記インプリント装置から取り外し可能なカートリッジ形態である請求項14または15に記載のインプリント装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016129042A JP2018006470A (ja) | 2016-06-29 | 2016-06-29 | インプリント材吐出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016129042A JP2018006470A (ja) | 2016-06-29 | 2016-06-29 | インプリント材吐出装置 |
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JP (1) | JP2018006470A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019125619A (ja) * | 2018-01-12 | 2019-07-25 | キヤノン株式会社 | 吐出装置およびインプリント装置 |
-
2016
- 2016-06-29 JP JP2016129042A patent/JP2018006470A/ja active Pending
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