JP2018006434A - パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池 - Google Patents

パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】パッシベーション効果に優れるパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板、並びにパッシベーション効果に優れるパッシベーション層を有し、且つ、発電性能に優れる太陽電池素子及び太陽電池を提供する。【解決手段】半導体基板1と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含み、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層5と、を有するパッシベーション層付半導体基板。【選択図】図1

Description

本発明は、パッシベーション層付半導体基板、太陽電池素子、及び太陽電池に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程の一例について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素、及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分間の処理を行って、p型シリコン基板の表面に一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面のみならず、受光面とは反対側の面(裏面)及び側面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行っている。また、裏面に形成されたn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要がある。このため、裏面の全体又は一部にアルミニウム粉末及びバインダーを含むアルミニウムペーストを付与し、これを熱処理(焼成)することで、n型拡散層をp型拡散層に変換し、且つ、アルミニウム電極を形成することでオーミックコンタクトを得ている。
しかし、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低い。そのため、アルミニウム電極のシート抵抗を下げるために、通常、裏面全面に形成したアルミニウム電極は熱処理(焼成)後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、アルミニウムと基板を構成するシリコンとでは熱膨張率が大きく異なることから、シリコン基板上にアルミニウム電極を形成するための熱処理(焼成)及び冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力が発生する。この大きな内部応力は、結晶粒界へのダメージ、結晶欠陥の増長、及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの塗布量を減らし、アルミニウム電極の厚みを薄くする方法がある。しかし、アルミニウムペーストの塗布量を減らすと、p型シリコン基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不充分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる場合がある。
上記に関連して、アルミニウムペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp型拡散層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタクトの手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。裏面側にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極を形成していないシリコン基板の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面側用のパッシベーション層(以下、単に「パッシベーション層」ともいう。)として、SiO膜等を設けることが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。このようなSiO膜を設けることによるパッシベーション効果は、シリコン基板の裏面表層部におけるケイ素原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる作用により奏される。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション層内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷を持つ材料として酸化アルミニウム(Al)膜等が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このようなパッシベーション層は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、非特許文献1参照)。
特許第3107287号公報 特開2004−6565号公報 特許第4767110号公報
Journal of Applied Physics, 104 (2008), 113703-1〜113703-7
しかし、非特許文献1に記載の手法は、蒸着等の複雑な製造工程を含むため、生産性を向上させることが困難な場合がある。
そこで、発明者等は、半導体基板上に酸化アルミニウム層を形成する簡便な手法として、特定のアルミニウム化合物を含有するパッシベーション層形成用組成物を検討している。パッシベーション層形成用組成物を用いる方法では、印刷法等の簡便な手法により、半導体基板上にパッシベーション層を形成することが可能である。
しかし、パッシベーション層形成用組成物を用いると、熱処理(焼成)後に形成されるパッシベーション層中にボイドが発生したり、パッシベーション層が不均一に形成されたりする場合があり、その結果、ライフタイムが低下し、電界効果によるパッシベーション効果が不充分になることがある。特に、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成した半導体基板でライフタイムが低下することが明らかとなっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パッシベーション効果に優れるパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板を提供することを課題とする。また、本発明は、パッシベーション効果に優れるパッシベーション層を有し、且つ、発電性能に優れる太陽電池素子及び太陽電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 半導体基板と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含み、前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層と、を有するパッシベーション層付半導体基板。
<2> 前記パッシベーション層中におけるAlの含有率が1質量%〜80質量%である、<1>に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<3> 前記パッシベーション層中におけるTiの含有率が1質量%〜80質量%である、<1>又は<2>に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<4> 前記パッシベーション層中におけるSiの含有率が0.01質量%〜40質量%である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<5> 前記パッシベーション層中におけるNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素の合計の含有率が1質量%〜60質量%である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<6> 前記パッシベーション層上に設けられる窒化ケイ素膜を更に有する、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
<7> p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含み、前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層と、前記半導体基板の前記p型層及び前記n型層の少なくとも一方の層上に配置される電極と、を有する太陽電池素子。
<8> 前記パッシベーション層上に設けられる窒化ケイ素膜を更に有する、<7>に記載の太陽電池素子。
<9> <7>又は<8>に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
本発明によれば、パッシベーション効果に優れるパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板を提供することができる。また、本発明によれば、パッシベーション効果に優れるパッシベーション層を有し、且つ、発電性能に優れる太陽電池素子及び太陽電池を提供することができる。
パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。 パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。 パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す断面図である。 太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。 裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの一例を示す概略平面図である。 裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの他の一例を示す概略平面図である。 図5のA部を拡大した概略平面図である。 図5のB部を拡大した概略平面図である。 図5のA部を拡大した概略平面図である。 図5のB部を拡大した概略平面図である。 図5のA部を拡大した概略平面図である。 図5のB部を拡大した概略平面図である。 太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
<パッシベーション層付半導体基板>
本実施形態のパッシベーション層付半導体基板は、半導体基板と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素(以下、「元素M1」ともいう。)を含み、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層と、を有する。元素M1としては、パッシベーション効果、後述する特定パッシベーション層形成用組成物を調製する際の作業性、及び特定パッシベーション層形成用組成物のパターン形成性の観点から、Nb、Ta、及びYからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、パッシベーション効果の観点からNbであることがより好ましい。
本実施形態のパッシベーション層付半導体基板は、パッシベーション層がAl、Ti、Si、及び元素M1を含むことで、優れたパッシベーション効果を示す。この理由は、以下のように考えることができる。Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層は、負の固定電荷を有することができる。これにより、半導体基板との界面近辺で電界が発生し、少数キャリアの濃度を低下させることができる。結果的として、半導体基板との界面でのキャリア再結合が抑制され、優れたパッシベーション効果が得られると考えられる。
また、パッシベーション層がSiを含むことで、パッシベーション効果の低減が抑えられる。その理由は明らかではないが、以下のように考えることができる。
パッシベーション層中において、Al、Ti等の元素は、通常、酸化物の形態で存在する。このとき、結晶度、生成方向等の違いに起因し、酸化物は複数の相として存在し、隣り合う相の間に界面が生じる。例えば、Al及びTiを含むパッシベーション層では、Al相とAl及びTiの複合酸化物相との間に界面が生じることが考えられる。
なお、パッシベーション層中の相は、透過型電子顕微鏡の画像から観察できる場合がある。
このように、パッシベーション層には複数の相が存在し、相と相との界面が存在している場合がある。この界面では、外部に存在するパッシベーション効果を阻害する物質(水素原子等)の物質の侵入速度が、相内よりも速いことが想定される。この現象は、物質の拡散速度が、移動媒体中の緻密性に依存するため生じる。相の内部はその物質で満たされていることから外部からの水素原子等の侵入速度が遅い。一方、相の界面では、材質の変化に伴って原子サイズでの空隙、欠陥等が存在することから、水素原子等が侵入しやすいといえる。そのため、外部に存在する水素原子等は界面を伝って基板まで達して拡散され、結果、パッシベーション効果が低減することが考えられる。
ここで、Siを含むパッシベーション層においては、Siが相間の界面に偏在しやすいと推察される。これは、ケイ素原子の原子半径が、相内を移動しやすい大きさであること、また、界面に存在するのに適した大きさであること、によるものと考えられる。界面に存在するケイ素原子は、界面の空隙、欠陥等を埋めると考えられ、外部からの水素原子等の侵入速度を低下させ、結果、充分なパッシベーション効果が得られると推察される。
一般に、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成した場合、熱処理(焼成)によって窒化ケイ素膜に含まれる水素原子がパッシベーション層中に侵入しやすくなり、充分なパッシベーション効果が得られにくい。これは、侵入した水素原子によって、電荷が消失したり、界面準位が増加したりするためであると推測される。しかし、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成した場合であっても、パッシベーション層がSiを含むと、上記効果により、充分なパッシベーション効果が得られる。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、パッシベーション層が形成された半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムを、WT−2000PVN(日本セミラボ株式会社)等の装置を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτと、半導体基板表面の表面ライフタイムτとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτが長くなる結果、実効ライフタイムτが長くなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτが長くなって実効ライフタイムτが長くなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によって、パッシベーション層と半導体基板との界面特性、及び、ダングリングボンド等の半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τ+1/τ (A)
実効ライフタイムがより長いことは、少数キャリアの再結合速度がより遅いことを示す。また、実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、発電性能が向上する傾向にある。
パッシベーション層中におけるAl、Ti、Si、及び元素M1の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。
パッシベーション効果の観点から、パッシベーション層中におけるAlの含有率は、例えば、1質量%〜80質量%であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、15質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
また、パッシベーション効果の観点から、パッシベーション層中におけるTiの含有率は、例えば、1質量%〜80質量%であることが好ましく、5質量%〜70質量%であることがより好ましく、10質量%〜65質量%であることが更に好ましい。
また、パッシベーション効果の観点から、パッシベーション層中におけるSiの含有率は、例えば、0.01質量%〜40質量%であることが好ましく、0.1質量%〜35質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
また、パッシベーション効果の観点から、パッシベーション層中における元素M1の合計の含有率は、例えば、1質量%〜60質量%であることが好ましく、3質量%〜50質量%であることがより好ましく、5質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
パッシベーション層は、Al、Ti、及び元素M1以外のその他の金属元素を更に含んでいてもよい。その他の金属元素を更に含むことにより、パッシベーション効果が更に向上する傾向にある。
その他の金属元素としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、B、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pb、及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の元素(以下、「元素M2」ともいう。)が挙げられる。元素M2としては、太陽電池素子を構成した場合の発電効率の観点から、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、B、Zr、Mo、Co、Zn、Pb、及びBiからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、Zr及びBiからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
パッシベーション層が元素M2を含む場合、元素M2の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。パッシベーション効果の観点から、パッシベーション層中における元素M2の含有率は、例えば、1質量%〜60質量%であることが好ましく、3質量%〜50質量%であることがより好ましく、5質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
なお、パッシベーション層中におけるAl、Ti、Si、元素M1、及び必要に応じて含まれる元素M2の含有率は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、二次イオン質量分析法(SIMS)、又は高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)によって測定することができる。例えば、以下の測定方法により、各元素の含有率を測定することができる。まず、パッシベーション層を酸又はアルカリ水溶液に溶解し、この溶液を霧状にしてArプラズマに導入する。次いで、励起された元素が基底状態に戻る際に放出される光を分光して波長及び強度を測定する。そして、得られた波長から元素の定性を行い、得られた強度から定量を行う。
パッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。パッシベーション層の平均厚みは、例えば、200nm以下であることが好ましく、5nm〜200nmであることがより好ましく、10nm〜190nmであることが更に好ましく、15nm〜180nmであることが特に好ましい。
なお、パッシベーション層の平均厚みは、自動エリプソメータ(例えば、ファイブラボ社、MARY−102)を用いて常法により、9点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の基板にp型不純物又はn型不純物をドープしたものが挙げられる。中でも、シリコン基板であることが好ましい。半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でも、パッシベーション効果の観点から、パッシベーション層が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。半導体基板の厚みは、例えば、50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
パッシベーション層付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで、発電性能に優れた太陽電池素子を得ることができる。
パッシベーション層付半導体基板を太陽電池素子に適用する場合、パッシベーション層は、太陽電池素子の受光面側及び裏面側のいずれに設けてもよい。
また、Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層は、p型層である、p型半導体基板の裏面側及びn型半導体基板の受光面側におけるパッシベーション層に好適である。これは、Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層が負の固定電荷を持つためである。つまり、Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層は、電界効果型パッシベーション層と言い換えることもできる。
本実施形態のパッシベーション層付半導体基板は、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を有していてもよい。パッシベーション層付半導体基板のパッシベーション層はSiを含むため、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成した場合であっても、充分なパッシベーション効果が得られる。
窒化ケイ素膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。窒化ケイ素膜の平均厚みは、例えば、20nm〜400nmであることが好ましく、40nm〜300nmであることがより好ましく、60nm〜250nmであることが更に好ましい。窒化ケイ素膜の平均厚みは、パッシベーション層と同様にして算出される。
なお、本実施形態のパッシベーション層付半導体基板は、例えば、後述のように、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成した後、組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成することにより、製造することができる。パッシベーション層付半導体基板が窒化ケイ素膜を有する場合には、パッシベーション層を形成した後、プラズマCVD(PECVD)等によりパッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成することができる。
<パッシベーション層形成用組成物>
パッシベーション層形成用組成物としては、熱処理により、Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層を形成可能なものであれば特に制限されない。中でも、付与性、並びに形成されるパッシベーション層の緻密性及びパッシベーション効果の観点から、下記一般式(I)で表されるアルミニウム化合物(以下、「特定アルミニウム化合物」ともいう。)と、下記一般式(II)で表される化合物(以下、「式(II)化合物」ともいう。)と、下記一般式(III)で表される化合物(以下、「式(III)化合物」ともいう。)と、ケイ素化合物と、を含有するパッシベーション層形成用組成物(以下、「特定パッシベーション層形成用組成物」ともいう。)が好ましい。特定パッシベーション層形成用組成物は、必要に応じてその他の成分を更に含有していてもよい。
一般式(I)中、Rはそれぞれ独立してアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。ここで、R〜R、X、及びXのいずれかの基が複数存在する場合、複数存在する同一の記号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
(OR) (II)
一般式(II)中、MはNb、Ta、VO、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種を表す。Rはそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、又はアシル基を表す。pはMの価数を表す。
Ti(OR)4−q (III)
一般式(III)中、Rはそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表す。Rはそれぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はキレート基を表す。qは0〜3の整数を表す。
以下、特定パッシベーション層形成用組成物について詳細に説明する。
(特定アルミニウム化合物)
特定パッシベーション層形成用組成物は、上記一般式(I)で表される特定アルミニウム化合物の少なくとも1種を含有する。特定アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。なお、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujutsu Ronbunshi, 97 (1989), pp.369-399にも記載されているように、特定アルミニウム化合物は熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al)となる。特定パッシベーション層形成用組成物は、特定アルミニウム化合物の加水分解物を含有していてもよい。
特定パッシベーション層形成用組成物が特定アルミニウム化合物を含有することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。この理由は、以下のように考えることができる。
特定アルミニウム化合物を含有する特定パッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することにより形成される酸化アルミニウムは、アモルファス状態となりやすいため、4配位酸化アルミニウムを含む層が半導体基板との界面付近に形成されやすく、4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷を有することができると考えられる。これにより、半導体基板との界面近辺で電界が発生し、少数キャリアの濃度を低下させることができる。結果的として、半導体基板との界面でのキャリア再結合が抑制され、優れたパッシベーション効果が得られると考えられる。
ここで、半導体基板表面上での負の固定電荷の原因種である4配位酸化アルミニウムを含む層の状態は、半導体基板の断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM;Scanning Transmission electron Microscope)による電子エネルギー損失分光法(EELS;Electron Energy Loss Spectroscopy)の分析で結合様式を調べることにより確認できる。4配位酸化アルミニウムは、二酸化ケイ素(SiO)の中心がケイ素からアルミニウムに同形置換した構造と考えられ、ゼオライト及び粘土のように二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの界面で負の電荷源として形成される。
なお、形成された酸化アルミニウムの状態は、X線回折スペクトル(XRD;X-ray diffraction)を測定することにより確認できる。例えば、XRDが特定の反射パターンを示さないことでアモルファス構造であることが確認できる。また、酸化アルミニウムが有する負の固定電荷は、CV(Capacitance Voltage measurement)法で評価することが可能である。特定パッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層について、CV法から得られるその表面準位密度は、ALD法又はCVD法で形成される酸化アルミニウムを含む層の場合と比べ、大きな値となる場合がある。しかし、特定パッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層は、電界効果が大きいため、少数キャリアの濃度が低下して表面ライフタイムτsが大きくなる。そのため、表面準位密度は相対的に問題にはならない。
上記一般式(I)において、Rはそれぞれ独立してアルキル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。Rで表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、及び3−エチルヘキシル基が挙げられる。
で表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。置換基としては、フェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基等が挙げられる。なお、Rで表されるアルキル基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
中でも、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(I)において、nは0〜3の整数を表す。ゲル化等の不具合の発生を抑制し、経時的な保存安定性を確保する観点からは、nは1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましく、溶解度の観点からは、1であることが更に好ましい。
上記一般式(I)において、X及びXはそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X及びXの少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
上記一般式(I)において、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す。R、R、及びRで表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、R、及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。R、R、及びRで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、及び3−エチルヘキシル基が挙げられる。
、R、及びRで表されるアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。置換基としては、フェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基等が挙げられる。なお、R、R、及びRで表されるアルキル基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
中でも、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
特定アルミニウム化合物は、キレート化による反応性の抑制の観点からは、上記一般式(I)におけるnが1〜3の整数であり、Rがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物であることが好ましい。
特定アルミニウム化合物は、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、上記一般式(I)におけるnが0であって、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、並びに、上記一般式(I)におけるnが1〜3の整数であって、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であって、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であって、R、R、及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、特定アルミニウム化合物は、上記一般式(I)におけるnが0であって、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びに、上記一般式(I)におけるnが1〜3の整数であって、Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であって、X及びXの少なくとも一方が酸素原子であって、酸素原子に結合するR又はRが炭素数1〜4のアルキル基であって、X又はXがメチレン基の場合、メチレン基に結合するR又はRが水素原子であって、Rが水素原子である化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記一般式(I)においてnが0である特定アルミニウム化合物(アルミニウムトリアルコキシド)としては、例えば、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec−ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウム、及びトリn−ブトキシアルミニウムが挙げられる。
また、上記一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムメチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が挙げられる。
上記一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定アルミニウム化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−50F、ALCH−75、ALCH-TR、ALCH−TR−20、アルミキレートM、アルミキレートD、及びアルミキレートA(W)が挙げられる。
上記一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定アルミニウム化合物は、アルミニウムトリアルコキシドと2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。
アルミニウムトリアルコキシドと2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシ基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、液状媒体が存在してもよく、加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、特定アルミニウム化合物の加水分解反応及び重合反応に対する安定性が向上し、特定パッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。また、後述する式(II)化合物、式(III)化合物、及びケイ素化合物との反応性が近いものほど、緻密な複合酸化物を生成しやすい傾向にある。
2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、反応性及び保存安定性の観点から、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物、及びマロン酸ジエステルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、例えば、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等のβ−ジケトン化合物;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸n−ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸n−ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸n−ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、2−メチルアセト酢酸エチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等のβ−ケトエステル化合物;及びマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジ−n−プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジ−n−ヘキシル、マロン酸t−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、n−ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステルが挙げられる。
特定アルミニウム化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、アルミニウムキレート構造の数は1又は3であることが好ましく、溶解度の観点から、1であることがより好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば、アルミニウムトリアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成し得る化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また、市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
特定アルミニウム化合物におけるアルミニウムキレート構造の存在及びアルコキシド構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
特定アルミニウム化合物は、パッシベーション効果及び必要に応じて添加される液状媒体との相溶性の観点から、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート及びトリイソプロポキシアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを含むことがより好ましい。
特定アルミニウム化合物は、常温(25℃)で液状であっても固体であってもよく、特に制限されない。パッシベーション効果及び保存安定性の観点から、常温(25℃)での安定性、及び液状媒体を用いる場合には液状媒体への溶解性又は分散性が良好な特定アルミニウム化合物を用いることが好ましい。このような特定アルミニウム化合物を用いることで、形成されるパッシベーション層の均質性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる傾向にある。
特定アルミニウム化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、特定アルミニウム化合物の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、0.5質量%〜55質量%であることがより好ましく、1質量%〜50質量%であることが更に好ましく、1質量%〜45質量%であることが特に好ましい。
(式(II)化合物)
特定パッシベーション層形成用組成物は、上記一般式(II)で表される式(II)化合物の少なくとも1種を含有する。特定パッシベーション層形成用組成物は、式(II)化合物の加水分解物を含有していてもよい。特定パッシベーション層形成用組成物が式(II)化合物を含有することで、特定パッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層のパッシベーション効果をより向上させることができる。この理由は、以下のように考えることができる。
式(II)化合物を含有する特定パッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することにより形成される金属酸化物は、金属原子又は酸素原子の欠陥を有し、固定電荷を生じやすくなると考えられる。この固定電荷が半導体基板の界面付近で電荷を発生させることで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合が抑制されるため、パッシベーション層のパッシベーション効果がより向上すると考えられる。
上記一般式(II)において、Mは、Nb、Ta、VO、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種であり、パッシベーション効果、特定パッシベーション層形成用組成物のパターン形成性、及び特定パッシベーション層形成用組成物を調製する際の作業性の観点から、Mとしては、Nb、Ta、及びYからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、パッシベーション効果の観点からNbであることがより好ましい。
上記一般式(II)において、Rはそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、又はアシル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は炭素数1〜10のアシル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、及び3−エチルヘキシル基が挙げられる。
で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
で表されるアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、及び2−エチルヘキサノイル基が挙げられる。
で表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していても無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。アルキル基の置換基としては、例えば、フェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、及びニトロ基が挙げられる。アリール基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、及びニトロ基が挙げられる。
で表されるアシル基は、カルボニル基部分と、アルキル基部分、アリール基部分、又はカルボニル基部分の炭素原子に直接結合する水素原子と、を含む。Rで表されるアシル基におけるアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアシル基におけるアルキル基部分及びアリール基部分は、置換基を有していても無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。Rで表されるアシル基におけるアルキル基部分の置換基としては、フェニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基等が挙げられ、Rで表されるアシル基におけるアリール基部分の置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基等が挙げられる。
なお、Rで表されるアルキル基、アリール基、及びアシル基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
中でも、パッシベーション効果の観点から、Rは炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(II)において、pはMの価数を表す。MがNbである場合にはpは5であることが好ましく、MがTaである場合にはpは5であることが好ましく、MがVOである場合にはpは3であることが好ましく、MがYである場合にはpは3であることが好ましく、MがHfである場合にはpは4であることが好ましい。
式(II)化合物の中でも、MがNb、Ta、及びYからなる群より選択される少なくとも1種であり、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物が好ましく、MがNbであり、Rが炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物がより好ましい。
がアルキル基である式(II)化合物としては、例えば、ニオブメトキシド、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブt−ブトキシド、ニオブイソブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルイソプロポキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルt−ブトキシド、タンタルイソブトキシド、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムn−プロポキシド、イットリウムn−ブトキシド、イットリウムt−ブトキシド、イットリウムイソブトキシド、バナジウムオキシメトキシド、バナジウムオキシエトキシド、バナジウムオキシイソプロポキシド、バナジウムオキシn−プロポキシド、バナジウムオキシn−ブトキシド、バナジウムオキシt−ブトキシド、バナジウムオキシイソブトキシド、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムイソプロポキシド、ハフニウムn−プロポキシド、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムt−ブトキシド、及びハフニウムイソブトキシドが挙げられ、中でも、ニオブエトキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−プロポキシド、タンタルn−ブトキシド、イットリウムイソプロポキシド、及びイットリウムn−ブトキシドが好ましい。
がアリール基である式(II)化合物としては、例えば、ニオブフェノキシド、タンタルフェノキシド、イットリウムフェノキシド、及びハフニウムフェノキシドが挙げられる。
がアシル基である式(II)化合物としては、例えば、ギ酸ニオブ、酢酸ニオブ、2−エチルヘキサン酸ニオブ、酢酸タンタル、2−エチルヘキサン酸タンタル、ギ酸イットリウム、酢酸イットリウム、2−エチルヘキサン酸イットリウム、ギ酸ハフニウム、酢酸ハフニウム、及び2−エチルヘキサン酸ハフニウムが挙げられる。
式(II)化合物は、調製したものを用いても市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、高純度化学研究所株式会社のペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペンタ−i−プロポキシニオブ、ペンタ−n−プロポキシニオブ、ペンタ−i−ブトキシニオブ、ペンタ−n−ブトキシニオブ、ペンタ−sec−ブトキシニオブ、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタ−i−プロポキシタンタル、ペンタ−n−プロポキシタンタル、ペンタ−i−ブトキシタンタル、ペンタ−n−ブトキシタンタル、ペンタ−sec−ブトキシタンタル、ペンタ−t−ブトキシタンタル、バナジウム(V)トリメトキシドオキシド、バナジウム(V)トリエトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−i−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−sec−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−t−ブトキシドオキシド、トリ−i−プロポキシイットリウム、トリ−n−ブトキシイットリウム、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テトラ−t−ブトキシハフニウム、北興化学工業株式会社のペンタエトキシニオブ、ペンタエトキシタンタル、ペンタブトキシタンタル、イットリウム−n−ブトキシド、ハフニウム−tert−ブトキシド、日亜化学工業株式会社のバナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリノルマルプロポキシド、バナジウムオキシトリノルマルブトキシド、バナジウムオキシトリイソブトキシド、バナジウムオキシトリセカンダリーブトキシド等が挙げられる。
式(II)化合物の調製には、特定の金属(M)のハロゲン化物とアルコールとを不活性有機溶媒の存在下で反応させ、更にハロゲンを引き抜くためにアンモニア又はアミン類を添加する方法(特開昭63−227593号公報及び特開平3−291247号公報)等の既知の製法を用いることができる。
式(II)化合物の一部は、特定アルミニウム化合物と同様に、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物と混合することでキレート構造を形成した化合物として特定パッシベーション層形成用組成物に含まれていてもよい。
式(II)化合物におけるアルコキシド構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
式(II)化合物は、常温(25℃)で固体であっても液体であってもよく、特に制限されない。特定パッシベーション層形成用組成物の保存安定性、及び特定アルミニウム化合物等の他の成分との混合性の観点から、式(II)化合物は、常温(25℃)で液体であることが好ましい。
式(II)化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、式(II)化合物の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、0.5質量%〜50質量%であることがより好ましく、1質量%〜40質量%であることが更に好ましく、1質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
(式(III)化合物)
特定パッシベーション層形成用組成物は、上記一般式(III)で表される式(III)化合物の少なくとも1種を含有する。特定パッシベーション層形成用組成物は、式(III)化合物の加水分解物を含有していてもよい。特定パッシベーション層形成用組成物が特定アルミニウム化合物に加えて式(III)化合物を含有することで、特定パッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層のパッシベーション効果をより向上させることができる。この理由は、以下のように考えることができる。
式(II)化合物と同様に、式(III)化合物を含有する特定パッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することにより形成される金属酸化物は、金属原子又は酸素原子の欠陥を有し、固定電荷を生じやすくなると考えられる。この固定電荷が半導体基板の界面付近で電荷を発生させることで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合が抑制されるため、パッシベーション層のパッシベーション効果がより向上すると考えられる。
なお、式(III)化合物を含有する特定パッシベーション層形成用組成物を太陽電池素子に適用することで、太陽電池特性、特に開放電圧(Voc)を向上させることができる。この理由は定かではないが、太陽電池素子のパッシベーション層が形成される面の光学特性が向上することが要因と考えられる。
上記一般式(III)において、Rはそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表す。
Rで表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよい。Rで表されるアルキル基としては、炭素数が1〜8のアルキル基であることが好ましい。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基(アミル基)、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシロキシ基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、及び3−エチルヘキシル基が挙げられる。
Rで表されるアリール基としては、炭素数が6〜14のアルキル基であることが好ましい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
Rで表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していても無置換であってもよい。なお、Rで表されるアルキル基及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
上記一般式(III)において、Rはそれぞれ独立してアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はキレート基を表す。
で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても環状であってもよい。Rで表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基(アミル基)、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシロキシ基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、及び3−エチルヘキシル基が挙げられる。
で表されるアルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。Rで表されるアルケニル基としては、炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルケニル基であることがより好ましい。Rで表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
で表されるアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基であることが好ましい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
で表されるアルキル基、アルケニル基、及びアリール基は、置換基を有していても無置換であってもよい。アルキル基及びアルケニル基の置換基としては、例えば、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、及びテトラヒドロフルフリル基が挙げられる。アリールオキシ基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、及びニトロ基が挙げられる。なお、Rで表されるアルキル基、アルケニル基、及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれないものとする。
で表されるキレート基としては、特に制限されず、チタンキレート構造を形成可能なキレート化合物に由来する基が挙げられる。キレート化合物としては、例えば、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物、マロン酸ジエステル等の前述した2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物;ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコール;トリエタノールアミン等のアミノアルコール;4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトアルコール;乳酸、サリチル酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸;及び乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸エチル、リンゴ酸エチル等のヒドロキシカルボン酸エステルが挙げられる。
中でも、パッシベーション効果の観点から、Rは炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(III)において、qは0〜3の整数を表す。組成物を調製する際の混合性及び得られるパッシベーション層の均質性の観点から、qは0であることが好ましい。
式(III)化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタン2−エチル−1,3−ヘキサンジオレート、チタン2−エチルヘキソキシド、チタンテトラヒドロフルフリルオキシド、チタンビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、及びチタンジブトキシビス2,4−ペンタンジオネートが挙げられ、中でもチタンイソプロポキシドが好ましい。
式(III)化合物の調製には、チタンのハロゲン化物とアルコールとを不活性有機溶媒の存在下で反応させ、更にハロゲンを引き抜くためにアンモニア又はアミン類を添加する方法(特開昭63−227593号公報及び特開平3−291247号公報)等の既知の製法を用いることができる。
式(III)化合物は、常温(25℃)で固体であっても液体であってもよく、特に制限されない。特定パッシベーション層形成用組成物の保存安定性、及び特定アルミニウム化合物等の他の成分との混合性の観点から、式(III)化合物は、常温(25℃)で液体であることが好ましい。
式(III)化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、式(III)化合物の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.1質量%〜60質量%であることが好ましく、0.5質量%〜50質量%であることがより好ましく、1質量%〜40質量%であることが更に好ましく、1質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
(ケイ素化合物)
特定パッシベーション層形成用組成物は、ケイ素化合物の少なくとも1種を含有する。ケイ素化合物は、特定パッシベーション層形成用組成物中の特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、及び必要に応じて含有される樹脂、液状媒体等との物理的若しくは化学的な相互作用又は化学結合により、特定パッシベーション層形成用組成物の表面張力を制御することができる。これにより、組成物層の厚みムラが抑えられ、形成されるパッシベーション層の厚みのバラつきが抑えられる。また、特定パッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層中のボイドの発生が抑えられ、パッシベーション層の緻密性が向上し、均質なパッシベーション層が形成されることから、充分なパッシベーション効果が得られる。
ケイ素化合物は、分子内にケイ素原子が含まれていれば特に限定されない。ケイ素化合物としては、特定パッシベーション層形成用組成物の調製の容易性の観点から、ケイ素原子に酸素原子が結合する化合物であることが好ましい。ケイ素原子に酸素原子が結合する化合物は、有機化合物及び無機化合物からなる群より選択される少なくとも1種との複合体を形成していてもよい。
ケイ素化合物として、具体的には、シリコンアルコキシド、シリケート化合物、シロキサン結合を有する化合物である、シリコーンオイル、シロキサン樹脂等を挙げることができ、中でも、シリコンアルコキシド、シリケート化合物、及びシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルは、シロキサン化合物と他の化合物との共重合体であってもよい。シリコンアルコキシド及びシリケート化合物は、オリゴマーであってもよい。
オリゴマーであるシリケート化合物としては、例えば、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Sir−1(RO)2(r+1) (IV)
上記一般式(IV)において、Rはアルキル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。rは1〜10の整数を表す。シリケート化合物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、及びアセチルシリケートが挙げられる。
シリケート化合物の市販品としては、扶桑化学株式会社、多摩化学工業株式会社、コルコート株式会社等から市販されているものが挙げられる。
メチルシリケート及びそのオリゴマーの具体例としては、扶桑化学工業株式会社又はコルコート株式会社のメチルシリケート51、及びコルコート株式会社のメチルシリケート53Aが挙げられる。エチルシリケート及びそのオリゴマーの具体例としては、多摩化学工業株式会社又はコルコート株式会社のエチルシリケート40、多摩化学工業株式会社のエチルシリケート45、コルコート株式会社のエチルシリケート28、及びエチルシリケート48が挙げられる。その他のシリケート及びそのオリゴマーの具体例としては、コルコート株式会社のN−プロピルシリケート、N−ブチルシリケート等が挙げられる。
パッシベーション層中のボイドの発生を抑え、緻密性をより向上させる観点からは、ケイ素化合物は、上記一般式(IV)で表されるシリケート化合物を含むことが好ましい。上記一般式(IV)で表されるシリケート化合物は、シリコンアルコキシドに比べて、熱処理(焼成)における特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、及び式(III)化合物との反応が緩やかであり、特定の温度状態まで反応が抑えられることが考えられる。これにより、反応が均一的に起こり、パッシベーション層中のボイドの発生が抑えられて、緻密性がより向上するものと推察される。
パッシベーション層形成用組成物の表面張力を低下させ、付与性を向上させる観点からは、シリケート化合物としては、エチルシリケート化合物及びエチルシリケートオリゴマーが好ましい。
シリケート化合物が有する複数のRO基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。RO基は、メトキシ基及びエトキシ基を含むことが好ましい。シリケート化合物がメトキシ基とエトキシ基とを有する場合、メトキシ基の当量数とエトキシ基の当量数の比(メトキシ基/エトキシ基)は、例えば、30/70〜70/30であることが好ましく、40/60〜60/40であることがより好ましく、45/55〜55/45であることが更に好ましく、メトキシ基の当量数とエトキシ基の当量数は、等量に近いことが特に好ましい。メトキシ基とエトキシ基とを約等量で有するシリケート化合物としては、例えば、コルコート株式会社のEMS−485が挙げられる。
シリケート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、シリケート化合物は、必要に応じて、水、触媒、液状媒体等と併用してもよい。
シリコンアルコキシドは、ケイ素原子とケイ素原子に結合しているアルコキシ基とを有していれば特に制限されない。シリコンアルコキシドとしては、例えば、下記一般式(V)で表される化合物及びシランカップリング剤が挙げられる。
Si(OR)4−s (V)
上記一般式(V)において、Rは、アルキル基又はアリール基を表し、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。sは1〜3の整数を表し、1又は2が好ましい。
上記一般式(V)においてRで表されるアルキル基は、炭素数が1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。上記一般式(V)においてRで表されるアリール基は、炭素数が6〜14であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
上記一般式(V)において、Rで表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、及びアミノ基が挙げられる。アミノ基は更に置換基を有していてもよく、置換基を有するアミノ基としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノ基及びN−フェニル−3−アミノ基が挙げられる。
上記一般式(V)において、Rは炭素数1〜6の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。
上記一般式(V)においてRで表される炭素数1〜6の飽和若しくは不飽和の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基(アミル基)、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
上記一般式(V)においてRで表される、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、及びプロポキシプロピル基が挙げられる。
付与性及びパッシベーション層の緻密性の向上の観点からは、シリコンアルコキシドは、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤は、一分子中に、ケイ素原子と、アルコキシ基と、アルコキシ基以外の有機官能基とを有する化合物であれば、特に制限されない。シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シリコンアルコキシドとしては、例えば、シランカップリング剤を含む以下の(a)〜(g)の化合物が挙げられる。
(a)3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基を有するシリコンアルコキシド
(b)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基又はグリシドキシ基を有するシリコンアルコキシド
(c)N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシリコンアルコキシド
(d)3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシリコンアルコキシド
(e)メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のアルキル基を有するシリコンアルコキシド
(f)フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のフェニル基を有するシリコンアルコキシド
(g)トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のトリフルオロアルキル基を有するシリコンアルコキシド
シリコンアルコキシドは、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、エポキシ基、アルキル基、又はトリフルオロアルキル基を有するシリコンアルコキシドを含むことが好ましい。シリコンアルコキシドは、必要に応じて、水、触媒、液状媒体等と併用してもよい。
シリコーンオイルとしては特に制限されない。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、カルナバ変性シリコーンオイル、アミド変性シリコーンオイル、ラジカル反応性基含有シリコーンオイル、末端反応性シリコーンオイル、及びイオン性基含有シリコーンオイルが挙げられる。
ケイ素化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。ケイ素化合物の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.01質量%〜35質量%であることが好ましく、0.05質量%〜30質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。ケイ素化合物の含有率が0.01質量%以上であると、特定パッシベーション層形成用組成物の表面張力が低下し、付与性が向上する傾向にあり、ケイ素化合物の含有率が35質量%以下であると、パッシベーション効果がより充分に得られる傾向にある。
また、特定パッシベーション層形成用組成物中のケイ素原子の含有率は、0.001質量%〜15質量%であることが好ましく、0.01質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.05質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
(その他の金属化合物)
特定パッシベーション層形成用組成物は、特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、及びケイ素化合物に加えて、Al、Nb、Ta、V、Y、Hf、及びTi以外の金属元素を含むその他の金属化合物を更に含有していてもよい。その他の金属化合物としては、例えば、Al、Nb、Ta、V、Y、Hf、及びTi以外の金属元素を含む金属アルコキシド、キレート錯体等の金属錯体、及び有機金属化合物が挙げられる。その他の金属化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その他の金属化合物を含有する特定パッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)すると、アルミニウムとその他の金属とにより、屈折率の大きな複合酸化物を生成することが可能な場合がある。屈折率の大きな複合酸化物を含有するパッシベーション層は、半導体基板との界面で太陽光が屈折し、太陽光が裏面側に抜けるのを抑えて太陽電池セルに再入射するため、発電性能が向上する傾向がある。
その他の金属化合物としては、特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、及びケイ素化合物との反応性の観点から、金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属アルコキシドは、金属の原子とアルコールとが反応して得られた化合物であれば特に制限されない。金属アルコキシドとしては、例えば、下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
(OR10) (VI)
上記一般式(VI)において、Mは1〜7の価数を有する金属元素(但し、Al、Nb、Ta、V、Y、Hf、及びTiを除く)を表す。具体的に、Mとしては、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、B、Zr、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pb、及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素が挙げられる。このうち、太陽電池素子を構成した場合の発電効率の観点から、Mは、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、La、B、Zr、Mo、Co、Zn、Pb、及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素であることが好ましく、Zr及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素であることがより好ましい。
上記一般式(VI)において、R10は炭素数1〜6の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6の炭化水素基を表す。tはMの価数を表す。
上記一般式(VI)においてR10で表される基としては、上記一般式(V)においてRで表される基と同様の基が挙げられる。
特定パッシベーション層形成用組成物がその他の金属化合物を含有する場合、その他の金属化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、式(VI)化合物の含有率は、パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%であることがより好ましく、1質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
特定パッシベーション層形成用組成物は、特定アルミニウム化合物と、式(II)化合物と、式(III)化合物と、ケイ素化合物と、必要に応じて含有されるその他の金属化合物との反応物を含有していてもよい。このような反応物を得るために、特定パッシベーション層形成用組成物に、水を添加してもよい。例えば、特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、ケイ素化合物、及び金属化合物がそれぞれアルコキシドの場合、水を添加することで加水分解が進行し、チキソ性が高まり、特定パッシベーション層形成用組成物の付与性をより向上させることができる。
(樹脂)
特定パッシベーション層形成用組成物は、樹脂を更に含有していてもよい。樹脂を含有することで、特定パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、組成物層が形成された領域に所望の形状で選択的にパッシベーション層を形成することができる。
樹脂の種類は特に制限されない。樹脂は、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能なものが好ましい。樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、セルロースエーテル類、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等)、ゼラチン、ゼラチン誘導体、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、及びこれらの共重合体が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を表し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を表す。
これらの樹脂の中でも、保存安定性及びパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、セルロース誘導体を用いることがより好ましい。
樹脂の分子量は特に制限されず、特定パッシベーション層形成用組成物としての所望の粘度に鑑みて適宜調整することが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、保存安定性及びパターン形成性の観点から、例えば、1000〜10000000であることが好ましく、3000〜5000000であることがより好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
特定パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。樹脂の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.1質量%〜50質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、樹脂の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.2質量%〜25質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
なお、特定パッシベーション層形成用組成物が水を含有する場合、チキソ性が向上することから、樹脂を含有させなくてもよい。そこで、特定パッシベーション層形成用組成物が水を含有する場合、樹脂の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、実質的に樹脂を含有しないことが特に好ましい。
(高沸点材料)
特定パッシベーション層形成用組成物は、樹脂とともに又は樹脂に代わる材料として、高沸点材料を更に含有していてもよい。高沸点材料は、加熱したときに容易に気化して脱脂処理する必要のない化合物であることが好ましい。また、高沸点材料は特に、特定パッシベーション層形成用組成物の付与後に組成物層の形状が維持できる高粘度の高沸点材料であることが好ましい。これらを満たす材料としては、例えば、イソボルニルシクロヘキサノールが挙げられる。
イソボルニルシクロヘキサノールは、例えば、「テルソルブ MTPH」(日本テルペン化学株式会社、商品名)として商業的に入手可能である。イソボルニルシクロヘキサノールは沸点が308℃〜318℃と高く、また、組成物層から除去する際には、樹脂のように熱処理(焼成)による脱脂処理を行う必要がなく、加熱により気化させることによって消失させることができる。このため、半導体基板上に付与した後の乾燥工程で、特定パッシベーション層形成用組成物中に必要に応じて含有される液状媒体及びイソボルニルシクロヘキサノールの大部分を取り除くことができる。
特定パッシベーション層形成用組成物が高沸点材料を含有する場合、高沸点材料の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、0.5質量%〜95質量%であることが好ましく、1質量%〜90質量%であることがより好ましく、2質量%〜80質量%であることが更に好ましく、5質量%〜80質量%であることが特に好ましい。
(液状媒体)
特定パッシベーション層形成用組成物は、液状媒体(溶媒又は分散媒)を更に含有していてもよい。液状媒体とは、室温(25℃)において液体の状態の媒体をいう。特定パッシベーション層形成用組成物が液状媒体を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上するとともに、より均一なパッシベーション層を形成することができる。液状媒体としては特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。中でも、特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、ケイ素化合物、及び必要に応じて含有される樹脂を溶解して均一な溶液を与えることができる液状媒体が好ましく、有機溶媒の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
なお、特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、及びケイ素化合物の中には、そのままの状態では加水分解反応、重合反応等の反応を容易に起こして固化するものがある。しかし、液状媒体中に存在させることによって反応が抑制され、液状媒体中に存在させない場合に比べて、保存安定性が向上する傾向にある。
液状媒体として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−n−プロピルピロリジノン、N−n−ブチルピロリジノン、N−n−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン、エチルベンゼン、2−エチルヘキサン酸等の疎水性有機溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;クレゾール等のフェノール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水などが挙げられる。これらの液状媒体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、液状媒体としては、テルペン系溶剤、エステル系溶剤、及びアルコール系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン系溶剤より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
特定パッシベーション層形成用組成物が液状媒体を含有する場合、液状媒体の含有率は、付与性、パターン形成性、及び保存安定性を考慮して決定される。液状媒体の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物の付与性及びパターン形成性の観点から、特定パッシベーション層形成用組成物の総質量に対して、例えば、5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
特定パッシベーション層形成用組成物は、酸性化合物又は塩基性化合物を更に含有していてもよい。酸性化合物又は塩基性化合物を含有する場合、保存安定性の観点から、酸性化合物又は塩基性化合物の含有率は、特定パッシベーション層形成用組成物中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができ、具体的には、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;などが挙げられる。塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができ、具体的には、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基;トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基;などが挙げられる。
また、特定パッシベーション層形成用組成物は、必要に応じて、その他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、チキソ剤、濡れ性向上剤、レベリング剤、界面活性剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、安定剤、酸化防止剤、及び香料が挙げられる。これらのその他の成分の含有量は特に制限されず、例えば、特定パッシベーション層形成用組成物の総量100質量部に対して、各成分をそれぞれ0.01質量部〜20質量部程度の量で用いることができる。その他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
チキソ剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール化合物、脂肪酸アミド、有機フィラー、及び無機フィラーが挙げられる。
ポリアルキレングリコール化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
11−(O−R13)−O−R12 (1)
上記一般式(1)において、R11及びR12はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表し、R13はアルキレン基を表す。uは3以上の整数を表す。uが2以上の場合、複数存在する(O−R13)におけるR13は同一であっても異なっていてもよい。
脂肪酸アミドとしては、例えば、下記一般式(2)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
14CONH (2)
14CONH−R15−NHCOR14 (3)
14NHCO−R15−CONHR14 (4)
14CONH−R15−N(R16) (5)
上記一般式(2)〜(5)において、R14及びR16はそれぞれ独立して炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を表し、R15は炭素数1〜10のアルキレン基を表す。R14及びR16は同一であっても異なっていてもよい。
有機フィラーとしては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、及びポリスチレン樹脂の粒子が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、二酸化珪素、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化珪素、及びガラスの粒子が挙げられる。
有機フィラー又は無機フィラーの体積平均粒子径は、例えば、0.01μm〜50μmであることが好ましい。フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定することができる。
(物性値)
特定パッシベーション層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択するこができる。例えば、特定パッシベーション層形成用組成物の粘度は、0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でも、パターン形成性の観点から、特定パッシベーション層形成用組成物の粘度は、0.1Pa・s〜1000Pa・sとすることが好ましい。
なお、特定パッシベーション層形成用組成物の粘度は、回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1の条件で測定される。
特定パッシベーション層形成用組成物のせん断粘度は特に制限されず、特定パッシベーション層形成用組成物がチキソ性を有していることが好ましい。中でも、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηを、せん断速度10s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が、例えば、1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。
また、特定パッシベーション層形成用組成物が樹脂の代わりに高沸点材料を含有する場合、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度ηを、せん断速度1000s−1におけるせん断粘度ηで除して算出されるチキソ比(η/η)が、例えば、1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。
なお、特定パッシベーション層形成用組成物のせん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
(特定パッシベーション層形成用組成物の調製方法)
特定パッシベーション層形成用組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、特定アルミニウム化合物と、式(II)化合物と、式(III)化合物と、ケイ素化合物と、必要に応じて樹脂、液状媒体等の他の成分とを、通常用いられる混合方法で混合することで調製することができる。また、樹脂を液状媒体に溶解した後、これと特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、及びケイ素化合物とを混合することで、特定パッシベーション層形成用組成物を調製してもよい。
更に、特定アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成可能な化合物とを混合して調製してもよい。その際、適宜、液状媒体を用いてもよく、加熱処理を行ってもよい。このようにして調製した特定アルミニウム化合物と、式(II)化合物、式(III)化合物、及びケイ素化合物と、樹脂又は樹脂を含む溶液とを混合して、特定パッシベーション層形成用組成物を調製してもよい。
なお、特定パッシベーション層形成用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量は、示差熱−熱重量同時測定装置(TG/DTA)等の熱分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)等のスペクトル分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<パッシベーション層付半導体基板の製造方法>
本実施形態のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成する工程と、を有する。パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
パッシベーション層形成用組成物としては、前述の特定パッシベーション層形成用組成物が好ましい。特定パッシベーション層形成用組成物を用いることで、緻密性が高く、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を、所望の形状に簡便な方法で形成することができる。
パッシベーション層形成用組成物を付与する半導体基板としては、前述のパッシベーション層付半導体基板で説明したものを用いることができる。
パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、組成物層を形成する工程の前に、半導体基板上にアルカリ水溶液を付与する工程を更に有することが好ましい。すなわち、半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物を付与する前に、半導体基板の表面をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板の表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する傾向にある。
アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄等を例示することができる。例えば、アンモニア水と過酸化水素水との混合溶液に半導体基板を浸漬し、60℃〜80℃で処理することで、有機物及びパーティクルを除去し、半導体基板を洗浄することできる。洗浄時間は、例えば、10秒間〜10分間であることが好ましく、30秒間〜5分間であることがより好ましい。
半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する方法は特に制限されない。例えば、公知の付与方法を用いて、半導体基板上にパッシベーション層形成用組成物を付与する方法を挙げることができる。具体的には、例えば、浸漬法、印刷法、スピンコート法、ディスペンサー法、刷毛塗り法、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコート法、及びインクジェット法を挙げることができる。これらの中でも、パターン形成性の観点から、スクリーン印刷法等の印刷法及びインクジェット法が好ましく、スクリーン印刷法がより好ましい。
パッシベーション層形成用組成物の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形成されるパッシベーション層の厚みが、後述する所望の厚みとなるように適宜調整することができる。
パッシベーション層形成用組成物によって形成された組成物層を熱処理(焼成)して、組成物層に由来する熱処理物(焼成物)を形成することで、半導体基板上にパッシベーション層を形成することができる。
パッシベーション層形成用組成物として前述の特定パッシベーション層形成用組成物を用いる場合、組成物層の熱処理(焼成)条件としては、例えば、組成物層に含まれる特定アルミニウム化合物、式(II)化合物、式(III)化合物、ケイ素化合物等をその熱処理物(焼成物)である酸化アルミニウム(Al)等に変換可能な条件が挙げられる。中でも、特定の結晶構造を持たないアモルファス状のAlを含む層を形成可能な熱処理(焼成)条件であることが好ましい。パッシベーション層がアモルファス状のAlを含む層で構成されることで、パッシベーション層により効果的に負電荷を持たせることができ、より優れたパッシベーション効果を得ることができる。熱処理(焼成)温度は、例えば、400℃〜900℃であることが好ましく、450℃〜800℃であることがより好ましい。熱処理(焼成)時間は、熱処理(焼成)温度等に応じて適宜選択できる。熱処理(焼成)時間は、例えば、30秒間〜10時間とすることができ、1分間〜5時間であることが好ましい。
パッシベーション層付半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。パッシベーション層の平均厚みは、例えば、200nm以下であることが好ましく、5nm〜200nmであることがより好ましく、10nm〜190nmであることが更に好ましく、15nm〜180nmであることが特に好ましい。
なお、パッシベーション層の平均厚みは、自動エリプソメータ(例えば、ファイブラボ社、MARY−102)を用いて常法により、9点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前に、パッシベーション層形成用組成物から形成される組成物層を乾燥処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を乾燥処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。
組成物層を乾燥処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含有され得る液状媒体の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。乾燥処理は、例えば、30℃〜600℃で5秒間〜60分間の熱処理とすることができ、40℃〜450℃で30秒間〜40分間の熱処理であることが好ましい。乾燥処理は、常圧下で行っても減圧下で行ってもよい。
パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含有する場合、パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前に、パッシベーション層形成用組成物から形成される組成物層を脱脂処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を脱脂処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。
組成物層を脱脂処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含有され得る樹脂の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。脱脂処理は、例えば、30℃〜600℃で5秒間〜60分間の熱処理とすることができ、40℃〜450℃で30秒間〜40分間の熱処理であることが好ましい。脱脂処理は、酸素存在下で行うことが好ましく、大気中で行うことがより好ましい。
また、パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の後に、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成する工程を更に有していてもよい。
窒化ケイ素膜を形成する方法は特に制限されず、プラズマCVD(PECVD)等の公知の方法を用いることができる。
窒化ケイ素膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。窒化ケイ素膜の平均厚みは、例えば、20nm〜400nmであることが好ましく、40nm〜300nmであることがより好ましく、60nm〜250nmであることが更に好ましい。窒化ケイ素膜の平均厚みは、パッシベーション層と同様にして算出される。
<太陽電池素子>
本実施形態の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素(元素M1)を含み、半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層と、半導体基板のp型層及びn型層の少なくとも一方の層上に配置される電極と、を有する。太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
本実施形態の太陽電池素子は、Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層を有することで、発電性能に優れる。この理由は定かではないが、太陽電池素子のパッシベーション層が形成される面の光学特性が向上することが要因と考えられる。
半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。半導体基板としては、前述のパッシベーション層付半導体基板で説明したものを使用することができ、好適に使用できるものも同様である。パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも、変換効率の観点からp型層であることが好ましい。半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、太陽電池素子における受光面であることが好ましい。
半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。半導体基板の厚みは、例えば、50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
また、半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。パッシベーション層の平均厚みは、例えば、200nm以下であることが好ましく、5nm〜200nmであることがより好ましく、10nm〜190nmであることが更に好ましく、15nm〜180nmであることが特に好ましい。
本実施形態の太陽電池素子は、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を有していてもよい。 窒化ケイ素膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。窒化ケイ素膜の平均厚みは、例えば、20nm〜400nmであることが好ましく、40nm〜300nmであることがより好ましく、60nm〜250nmであることが更に好ましい。窒化ケイ素膜の平均厚みは、パッシベーション層と同様にして算出される。
太陽電池素子の形状及び大きさは特に制限されない。太陽電池素子の形状及び大きさは、例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有する半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に、パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、組成物層を熱処理してパッシベーション層を形成する工程と、p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を配置する工程と、を有する。太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
パッシベーション層形成用組成物としては、前述の特定パッシベーション層形成用組成物が好ましい。特定パッシベーション層形成用組成物を用いることで、緻密性が高く、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を備え、発電性能に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。また、電極が形成された半導体基板上に所望の形状となるようにパッシベーション層を形成することができ、太陽電池素子の生産性に優れる。
パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも、変換効率の観点からp型層であることが好ましい。
パッシベーション層形成用組成物を付与してパッシベーション層を形成する方法の詳細は、前述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
半導体基板上に形成されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。パッシベーション層の平均厚みは、例えば、200nm以下であることが好ましく、5nm〜200nmであることがより好ましく、10nm〜190nmであることが更に好ましく、15nm〜180nmであることが特に好ましい。
p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を配置する方法としては、通常用いられる方法を採用することができる。例えば、半導体基板の所望の領域に、銀ペースト、アルミニウムペースト等の電極形成用ペーストを付与し、必要に応じて熱処理(焼成)することで電極を製造することができる。
p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極を配置する工程は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前であってもよく、後であってもよい。或いは、パッシベーション層を形成する工程と電極を配置する工程とを並行して行ってもよい。具体的には、パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成した後、パッシベーション層を形成するための熱処理を行う前に、半導体基板の所望の領域に電極形成用ペーストを付与し、この段階で、熱処理を行ってもよい。この方法によれば、1回の熱処理により、パッシベーション層及び電極を形成することができ、工程が簡略化される。
本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、パッシベーション層上に窒化ケイ素膜を形成する工程を更に有していてもよい。窒化ケイ素膜を形成する方法は特に制限されず、プラズマCVD(PECVD)等の公知の方法を用いることができる。
窒化ケイ素膜の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。窒化ケイ素膜の平均厚みは、例えば、20nm〜400nmであることが好ましく、40nm〜300nmであることがより好ましく、60nm〜250nmであることが更に好ましい。窒化ケイ素膜の平均厚みは、パッシベーション層と同様にして算出される。
以下、図面を参照しながら、本実施形態の太陽電池素子の製造方法について説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通じて同じ符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
図1は、パッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。
図1(1)では、p型半導体基板1をアルカリ水溶液で洗浄し、p型半導体基板1の表面の有機物、パーティクル等を除去する。これにより、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄方法としては、一般的に知られるRCA洗浄等を用いる方法が挙げられる。
その後、図1(2)に示すように、p型半導体基板1の表面にアルカリエッチング等を施し、表面に凹凸(テクスチャー構造ともいう)を形成する。これにより、受光面側では太陽光の反射を抑制することができる。なお、アルカリエッチングには、NaOHとIPA(イソプロピルアルコール)とからなるエッチング溶液を使用することができる。
次いで、図1(3)に示すように、p型半導体基板1の表面にリン等を熱的に拡散させることにより、n型拡散層2がサブミクロンオーダーの厚みで形成されるとともに、p型バルク部分との境界にpn接合部が形成される。
リンを拡散させるための手法としては、例えば、オキシ塩化リン(POCl)、窒素、及び酸素の混合ガス雰囲気において、800℃〜1000℃で数十分間の処理を行う方法が挙げられる。この方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、図1(3)に示すように、受光面(おもて面)以外に、裏面及び側面(図示せず)にもn型拡散層2が形成される。またn型拡散層2の上には、PSG(リンシリケートガラス)層3が形成される。そこで、サイドエッチングを行い、側面のPSG層3及びn型拡散層2を除去する。
その後、図1(4)に示すように、受光面及び裏面のPSG層3をフッ酸等のエッチング溶液を用いて除去する。更に裏面については、図1(5)に示すように、別途エッチング処理を行い、裏面のn型拡散層2を除去する。
そして、図1(6)に示すように、受光面のn型拡散層2上に、プラズマCVD(PECVD)法等によって、窒化ケイ素等の反射防止膜4を厚み90nm前後で設ける。
また、裏面については、NaOH等のアルカリ水溶液を用いて裏面表面の凸凹を平坦化してもよい。
次いで、図1(7)に示すように、裏面の一部にパッシベーション層形成用組成物をスクリーン印刷法等にて付与した後、乾燥後に300℃〜900℃で熱処理(焼成)を行い、パッシベーション層5を形成する。
図5に、裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの一例を概略平面図として示す。図7は、図5のA部を拡大した概略平面図である。図8は、図5のB部を拡大した概略平面図である。図5に示すパッシベーション層の形成パターンの場合、図7及び図8からも分かるように、裏面のパッシベーション層5は後の工程で裏面出力取出し電極7が形成される部分を除き、ドット状のパターンで形成される。このドット状開口部のパターンは、ドット径(La)及びドット間隔(Lb)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ドット径(La)及びドット間隔(Lb)は任意に設定でき、パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合を抑制する観点から、Laが5μm〜2mmでLbが10μm〜3mmであることが好ましく、Laが10μm〜1.5mmでLbが20μm〜2.5mmであることがより好ましく、Laが20μm〜1.3mmでLbが30μm〜2mmであることが更に好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が優れたパターン形成性を有している場合、このドット状開口部のパターンは、ドット径(La)及びドット間隔(Lb)が、より規則正しく配列する。このことから、少数キャリア再結合抑制により好ましいドット状開口部のパターンが形成でき、太陽電池素子の発電性能が向上する。
また、裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの別の一例を概略平面図として示す。図9は、図5のA部を拡大した概略平面図である。図10は、図5のB部を拡大した概略平面図である。図5に示すパッシベーション層の形成パターンの場合、図9及び図10に示すように、裏面のパッシベーション層5は後の工程で裏面出力取出し電極7が形成される部分を除き、ライン状にp型半導体基板1が露出したパターンで形成される。このライン状開口部のパターンは、ライン幅(Lc)及びライン間隔(Ld)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ライン幅(Lc)及びライン間隔(Ld)は任意に設定できるが、パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合を抑制する観点から、例えば、Lcが1μm〜300μmでLdが500μm〜5000μmであることが好ましく、Lcが10μm〜200μmでLdが600μm〜3000μmであることがより好ましく、Lcが30μm〜150μmでLdが700μm〜1500μmであることが更に好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が優れたパターン形成性を有している場合、このライン状開口部のパターンは、ライン幅(Lc)及びライン間隔(Ld)が、より規則正しく配列する。このことから、少数キャリアの再結合が効果的に抑制され、太陽電池素子の発電効率が向上する。
また、裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの別の一例を概略平面図として示す。図11は、図5のA部を拡大した概略平面図である。図12は、図5のB部を拡大した概略平面図である。図5に示すパッシベーション層の形成パターンの場合、図11及び図12からも分かるように、裏面のパッシベーション層5は後の工程で裏面出力取出し電極7が形成される部分を除き、ライン状のパターンで形成される。このライン状開口部のパターンは、ライン幅(Lc)及びライン間隔(Ld)で規定され、規則正しく配列していることが好ましい。ライン幅(Lc)及びライン間隔(Ld)は任意に設定でき、パッシベーション効果及び少数キャリアの再結合を抑制する観点から、Lcが5μm〜2000μmでLdが10μm〜3000μmであることが好ましく、Laが10μm〜1500μmでLbが20μm〜2500μmであることがより好ましく、Laが20μm〜1300μmでLbが30μm〜2000μmであることが更に好ましい。
ここで、上記ではパッシベーション層を形成したい部位(開口部以外の部分)にパッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)することで、所望の形状のパッシベーション層を形成している。これに対し、全面にパッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)した後に、レーザー、フォトリソグラフィ等により、開口部のパッシベーション層を選択的に除去し、開口部を形成することもできる。また、開口部のようにパッシベーション層形成用組成物を付与したくない部分に予めマスク材によりマスクすることで、パッシベーション層形成用組成物を選択的に付与することもできる。
次いで、図1(8)に示すように、受光面に、ガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて付与する。図4は、太陽電池素子の受光面の一例を示す概略平面図である。図4に示すように、受光面電極は、受光面集電用電極8と受光面出力取出し電極9からなる。受光面積を確保するため、これら受光面電極の形成面積は少なく抑える必要がある。その他、受光面電極の抵抗率及び生産性の観点から、受光面集電用電極8の幅は10μm〜250μmで、受光面出力取出し電極9の幅は100μm〜2mmであることが好ましい。また、図4では受光面出力取出し電極9を2本設けているが、少数キャリアの取出し効率(発電効率)の観点から、受光面出力取出し電極9の本数を3本以上とすることもできる。
一方、図1(8)に示すように、裏面には、ガラス粒子を含むアルミニウム電極ペースト及びガラス粒子を含む銀電極ペーストを、スクリーン印刷等にて付与する。図13は、太陽電池素子の裏面の一例を示す概略平面図である。裏面出力取出し電極7の幅は特に制限されないが、後の太陽電池の製造工程での配線部材の接続性等の観点から、裏面出力取出し電極7の幅は、100μm〜10mmであることが好ましい。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後は、乾燥後に大気中において450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、受光面に受光面集電用電極8及び受光面出力取出し電極9を、裏面に裏面集電用アルミニウム電極6及び裏面出力取出し電極7を、それぞれ形成する。
熱処理(焼成)後、図1(9)に示すように、受光面では、受光面電極を形成する銀電極ペーストに含まれるガラス粒子と、反射防止膜4とが反応(ファイアースルー)して、受光面電極(受光面集電用電極8、受光面出力取出し電極9)とn型拡散層2とが電気的に接続(オーミックコンタクト)される。一方、裏面では、ドット状又はライン状のパッシベーション層5が形成されなかった部分から、熱処理(焼成)により、アルミニウム電極ペースト中のアルミニウムがp型半導体基板1中に拡散することで、p型拡散層10が形成される。特に、前述の特定パッシベーション層形成用組成物を用いることで、パッシベーション効果に優れたパッシベーション層を簡便な手法で形成でき、発電性能に優れた太陽電池素子を製造することができる。
図2は、太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものであり、裏面のn型拡散層2がエッチング処理によって除去された後に、更に裏面が平坦化されること以外は、図1と同様にして太陽電池素子を製造することができる。平坦化する際は、硝酸、フッ酸、及び酢酸の混合溶液又は水酸化カリウム溶液に、半導体基板の裏面を浸す等の手法を用いることができる。
図3は、太陽電池素子の製造方法の他の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。この方法では、p型半導体基板1にテクスチャー構造、n型拡散層2、及び反射防止膜4を形成する工程(図3(19)〜(24))までは、図1の方法と同様である。
反射防止膜4を形成した後、図3(25)に示すように、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、乾燥後に300℃〜900℃で熱処理(焼成)を行い、パッシベーション層5を形成する。
図6に、裏面におけるパッシベーション層の形成パターンの他の一例を概略平面図として示す。図6に示すパッシベーション層の形成パターンでは、裏面の全面に、開口部が配列し、後の工程で裏面出力取出し電極が形成される部分にも開口部が配列されている。
その後、図3(26)に示すように、裏面においてドット状又はライン状のパッシベーション層5が形成されなかった部分から、ホウ素又はアルミニウムを拡散させ、p型拡散層10を形成する。p型拡散層10を形成する際に、ホウ素を拡散させる場合は、三塩化ホウ素(BCl)を含むガス中で、1000℃付近の温度で処理する方法を用いることができる。但し、オキシ塩化リンを用いる場合と同様にガス拡散の手法であることから、p型半導体基板1の受光面、裏面、及び側面にp型拡散層10が形成されてしまうため、これを抑制するために開口部以外の部分をマスキング処理して、ホウ素がp型半導体基板1の不要な部分に拡散するのを防止する等の措置が必要である。
また、p型拡散層10を形成する際にアルミニウムを拡散させる場合は、アルミニウムペーストを裏面全面又は開口部に付与し、これを450℃〜900℃で熱処理(焼成)し、開口部からアルミニウムを拡散させてp型拡散層10を形成し、その後p型拡散層10上のアルミニウムペーストからなる熱処理物層(焼成物層)を塩酸等によりエッチングする手法を用いることができる。
次いで、図3(27)に示すように、裏面の全面にアルミニウムを物理的に蒸着することで、裏面集電用アルミニウム電極11を形成する。
その後、図3(28)に示すように、受光面にはガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷等にて付与し、裏面にはガラス粒子を含む銀電極ペーストをスクリーン印刷法等にて付与する。受光面の銀電極ペーストは図4に示す受光面電極の形状に合わせて、裏面の銀電極ペーストは図13に示す裏面電極の形状に合わせて、パターン状に付与する。
受光面及び裏面にそれぞれ電極ペーストを付与した後は、乾燥後に大気中450℃〜900℃程度の温度で、受光面及び裏面ともに熱処理(焼成)して、図3(29)に示すように、受光面に受光面集電用電極8及び受光面出力取出し電極9を、裏面に裏面出力取出し電極7を、それぞれ形成する。このとき、受光面では受光面電極とn型拡散層2とが電気的に接続され、裏面では、蒸着により形成された裏面集電用アルミニウム電極11と裏面出力取出し電極7とが電気的に接続される。
なお、図1〜図3では、裏面にパッシベーション層5を形成した後に、裏面集電用アルミニウム電極6又は11を形成する方法を示したが、裏面集電用アルミニウム電極6又は11の形成後にパッシベーション層5を形成してもよい。
また、図1〜図3では、裏面にパッシベーション層5を形成する方法を示したが、p型半導体基板1の裏面に加えて、側面にも前述の特定パッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理(焼成)することで、p型半導体基板1の側面(エッジ)にもパッシベーション層5を更に形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率により優れる太陽電池素子を製造することができる。
また、裏面にパッシベーション層5を形成せず、側面のみに前述の特定パッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)してパッシベーション層5を形成してもよい。特定パッシベーション層形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い場所に使用すると、その効果が特に大きい。
図1〜図3では、半導体基板としてp型半導体基板1を用いた例を示したが、n型半導体基板を用いた場合も、上記に準じて発電性能に優れる太陽電池素子を製造することができる。
<太陽電池>
本実施形態の太陽電池は、本実施形態の太陽電池素子と、太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する。太陽電池は、必要に応じて、配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結されていてもよく、また、封止材で封止されて構成されていてもよい。配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。太陽電池の大きさは特に制限されない。太陽電池の大きさは、例えば、0.5m〜3mであることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(パッシベーション層形成用組成物の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製;以下、「ALCH」と略記することがある)を4.6g、ペンタエトキシニオブ(北興化学工業株式会社、構造式:Nb(OEt))を2.7g、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社、構造式:Ti(OPr))を4.8g、エチルシリケート及びそのオリゴマー(多摩化学工業株式会社、シリケート40)を0.3g、イソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社;以下、「テルソルブ」と略記することがある)を61.5g、テルピネオール(ターピネオールLW、日本テルペン化学株式会社)を23.5g、純水を2.6g秤量し、混合して5分間混練し、パッシベーション層形成用組成物1を調製した。
(太陽電池素子の作製)
単結晶p型半導体基板(156mm角、厚み200μm)の両面(受光面及び裏面)に、アルカリエッチングによりテクスチャー構造を形成した。次いで、オキシ塩化リン(POCl)、窒素、及び酸素の混合ガス雰囲気において、900℃で20分間処理し、受光面、裏面、及び側面にn型拡散層を形成した。その後、サイドエッチングを行い、側面のリンシリケートガラス(PSG)層及びn型拡散層を除去し、フッ酸を含むエッチング溶液を用いて受光面及び裏面のPSG層を除去した。更に、裏面については別途エッチング処理を行い、裏面のn型拡散層を除去した。その後、受光面のn型拡散層上に窒化ケイ素からなる反射防止膜をプラズマCVD(PECVD)により約90nmの厚みとなるように形成した。更に、裏面を80℃のNaOH水溶液に4分間浸漬させ、平坦化した。
調製したパッシベーション層形成用組成物1を、印刷機(LZ−0913、ニューロング精密工業株式会社)を用いて印刷した。その後、パッシベーション層形成用組成物1を付与したp型半導体基板を150℃で5分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理した。次いで、p型半導体基板を800℃で10分間熱処理(焼成)した後、室温(25℃)で放冷した。熱処理(焼成)は、拡散炉(横型システム206A−M100型、光洋サーモシステム株式会社)を用いて、大気雰囲気下、最高温度800℃、保持時間10分間の条件で行った。
次いで、裏面保護膜として窒化ケイ素からなる反射防止膜をプラズマCVD(PECVD)により約130nmの厚みとなるように形成した。
開口部のパターン形成は、図5、図9、及び図10に示すパターン状となるように行った。具体的には、裏面出力取出し電極(図13の符号7)が形成される部分の領域に、ライン状開口部ではp型半導体基板が露出するようレーザーで開口した。ライン状開口部のパターンは、ライン幅(Lc)を100μm、ライン間隔(Ld)を2000μmとした。
次いで、p型半導体基板の受光面に市販の銀電極ペースト(PV−17F、デュポン社)をスクリーン印刷法にて図4に示す電極パターンとなるように付与した。電極パターンは、120μm幅の受光面集電用電極と、1.5mm幅の受光面出力取出し電極とから構成されており、熱処理(焼成)後の厚さが20μmとなるように印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、及び印圧)を適宜調整した。これを150℃で1分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理を行った。
一方、裏面には、市販のアルミニウム電極ペースト(PVG−AD−02、PVG Solutions株式会社)及び市販の銀電極ペースト(PV−505、デュポン社)をスクリーン印刷法にて図13に示す電極パターンとなるように付与した。銀電極ペーストからなる裏面出力取出し電極のパターンは、123mm×4mmで構成した。
なお、銀電極ペースト及びアルミニウム電極ペーストの印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、及び印圧)は、熱処理(焼成)後の裏面出力取出し電極(銀電極、図13の符号7)及び裏面集電用電極(アルミニウム電極、図13の符号6)の厚みがそれぞれ20μmとなるように、適宜調整した。各電極ペーストの付与後、150℃で1分間加熱し、液状媒体を蒸散させることで乾燥処理を行った。
続いて、トンネル炉(1列搬送W/Bトンネル炉、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)を用いて大気雰囲気下、最高温度820℃、保持時間10秒間の条件で熱処理(焼成)を行って、所望の電極が形成された太陽電池素子1を作製した。
(発電性能の評価)
作製した太陽電池素子1の発電性能の評価は、擬似太陽光(WXS−155S−10、株式会社ワコム電創)と、電圧−電流(I−V)評価測定器(I−VCURVE TRACER MP−180、英弘精機株式会社)との測定装置を組み合わせて行った。太陽電池素子としての発電性能を示すJsc(短絡電流)、Voc(開放電圧)、F.F.(形状因子)、及びη(変換効率)は、それぞれJIS−C−8913(2005年度)及びJIS−C−8914(2005年度)に準拠して測定を行って得られたものである。得られた測定値を、後述の比較例1で作製した太陽電池素子C1の測定値を100.0とした相対値に換算した。結果を表1に示す。
<実施例2>
ALCHを4.0g、ペンタエトキシニオブを4.0g、チタンテトライソプロポキシドを4.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業株式会社)を6.0g、エチルセルロース(STD200、ダウ・ケミカル社)を5.6g、テルピネオールを76.4g秤量し、混合して5分間混練し、パッシベーション層形成用組成物2を調製した。
そして、パッシベーション層形成用組成物1の代わりにパッシベーション層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子2を作製し、発電性能を評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
ALCHを3.8g、ペンタエトキシニオブを1.7g、チタンテトライソプロポキシドを4.5g、エチルシリケート及びそのオリゴマー(多摩化学工業株式会社、シリケート40)を10.0g、テルソルブを56.0g、テルピネオールを21.4g、純水を2.6g秤量し、混合して5分間混錬し、パッシベーション層形成用組成物3を調製した。
そして、パッシベーション層形成用組成物1の代わりにパッシベーション層形成用組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子3を作製し、発電性能を評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
ALCHを4.2g、ペンタエトキシニオブを3.3g、チタンテトライソプロポキシドを12.5g、エチルシリケート及びそのオリゴマー(多摩化学工業株式会社、シリケート40)を0.5g、テルソルブを54.4g、テルピネオールを20.8g、純水を4.3g秤量し、混合して5分間混錬し、パッシベーション層形成用組成物4を調製した。
そして、パッシベーション層形成用組成物1の代わりにパッシベーション層形成用組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子4を作製し、発電性能を評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において、パッシベーション層及び保護層を形成せずに太陽電池素子を作製し、発電性能を評価した。具体的には、受光面のn型拡散層上に窒化ケイ素からなる反射防止膜を形成した後に、パッシベーション層及び保護層の形成並びにレーザーによるライン状開口部の形成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子C1を作製し、発電性能を評価した。結果を表1に示す。
なお、比較例1では、パッシベーション層形成用組成物の組成の欄には「−」を付している。
<比較例2>
ALCHを12.4g、テルソルブを61.5g、テルピネオールを23.5g、純水を2.6g秤量し、混合して5分間混練し、パッシベーション層形成用組成物C2を調製した。
そして、パッシベーション層形成用組成物1の代わりにパッシベーション層形成用組成物C2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池素子C2を作製し、発電性能を評価した。結果を表1に示す。
表1に示すとおり、Al、Ti、Si、及び元素M1を含むパッシベーション層を有する実施例1〜4の太陽電池素子は、パッシベーション層を有しない比較例1の太陽電池素子に比べて、短絡電流、開放電圧、及び変換効率の値が大きく、発電性能に優れていた。
一方、Alを含み、Ti、Si、及び元素M1を含まないパッシベーション層を有する比較例2の太陽電池素子は、パッシベーション層を有しない比較例1の太陽電池素子に比べて、発電性能が劣っていた。
1:p型半導体基板、2:n型拡散層、3:PSG(リンシリケートガラス)層、4:反射防止膜、5:パッシベーション層、6:アルミニウム電極ペースト、又はこれを熱処理(焼成)した裏面集電用アルミニウム電極、7:裏面出力取出し電極ペースト、又はこれを熱処理(焼成)した裏面出力取出し電極、8:受光面集電用電極ペースト、又はこれを熱処理(焼成)した受光面集電用電極、9:受光面出力取出し電極ペースト、又はこれを熱処理(焼成)した受光面出力取出し電極、10:p型拡散層、11:裏面集電用アルミニウム電極

Claims (9)

  1. 半導体基板と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含み、前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層と、を有するパッシベーション層付半導体基板。
  2. 前記パッシベーション層中におけるAlの含有率が1質量%〜80質量%である、請求項1に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  3. 前記パッシベーション層中におけるTiの含有率が1質量%〜80質量%である、請求項1又は請求項2に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  4. 前記パッシベーション層中におけるSiの含有率が0.01質量%〜40質量%である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  5. 前記パッシベーション層中におけるNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素の合計の含有率が1質量%〜60質量%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  6. 前記パッシベーション層上に設けられる窒化ケイ素膜を更に有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパッシベーション層付半導体基板。
  7. p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、Al、Ti、Si、並びにNb、Ta、V、Y、及びHfからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含み、前記半導体基板の少なくとも一方の面の少なくとも一部に設けられるパッシベーション層と、前記半導体基板の前記p型層及び前記n型層の少なくとも一方の層上に配置される電極と、を有する太陽電池素子。
  8. 前記パッシベーション層上に設けられる窒化ケイ素膜を更に有する、請求項7に記載の太陽電池素子。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、を有する太陽電池。
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