JP2018006049A - 加熱調理器 - Google Patents

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佐知 田中
Sachi Tanaka
佐知 田中
立川 晃之
Teruyuki Tachikawa
晃之 立川
二宮 隆典
Takanori Ninomiya
隆典 二宮
林 正二
Shoji Hayashi
正二 林
大西 正己
Masami Onishi
正己 大西
徹 増田
Toru Masuda
徹 増田
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Abstract

【課題】高効率加熱と高信頼性を両立する加熱調理器を提供する。【解決手段】加熱室と、加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、加熱室とマイクロ波発振器の間にマイクロ波を伝送する伝送路と、を備え、伝送路の壁面に第一の結合孔83Aと第二の結合孔83Bとが形成されており、第一の結合孔83Aと第二の結合孔83Bとに接続されて、かつ第一の結合孔83Aと第二の結合孔83Bとの間隔よりも長い分岐路と、伝送路と分岐路を含む方向性結合器8と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、加熱調理器に関するものである。
特許文献1の請求項1には、「食品の状態を検出し加熱室の中へ入射されるエネルギーを制御するセンサを用いて、閉鎖された加熱室の内部でマイクロ波エネルギーを供給することにより加熱調理しようとする食品を加熱又は解凍及び/又は調理するための制御装置において、マイクロ波エネルギーの充満した室(GR)の中にマイクロ波発生器(MG)とマイクロ波エネルギーを供給される食品(GG)との間に、マイクロ波エネルギーポテンシャルを検出するセンサが配置され、このセンサを介してマイクロ波発生器(MG)のための出力制御装置(LS)が制御されることを特徴とするマイクロ波エネルギーによる食品の加熱調理のための制御装置。」と記載されている。
特許文献2の請求項6には、「マグネトロンが出力する高周波電力をアプリケータに送る伝送路に少なくとも方向性結合器とアイソレータとを設け、前記方向性結合器の反射波結合側に高周波電力が現れたとき、異常発振の高周波電力を検出し、寿命を検出することを特徴とするマグネトロンの寿命検出装置。」と記載されている。
特許文献3の要約欄には、「加熱室と、マグネトロンと、マグネトロンと加熱室とを結合する導波管と、加熱時間設定手段と、導波管に取り付けられ駆動装置により駆動される整合アンテナと、導波管内に伝送されるマイクロ波電力を検出する方向性結合器と、加熱開始時に整合アンテナを回転させ、予め定めた複数の位置での方向性結合器の検出信号を記憶し、この記憶に基づいて、複数の駆動位置を設定し、それぞれの駆動位置に整合アンテナを停止させ、それぞれの駆動位置で前記検出信号に基づいて得られるマイクロ波電力の反射/入射の値に応じて整合アンテナの各駆動位置での加熱時間を配分する制御装置とで構成したので、加熱むらがなく高効率で自動調理を行える。」と記載されている。
特開平1−195690号公報 特開2008−218362号公報 特開平7−78681号公報
しかしながら、これらの先行技術文献の例では、反射波を検出するためのセンサの具体的な構造や検知方法の記載はなく、条件によっては反射波を検知するのが困難な場合がある。
例えば、加熱室内に供給されるマイクロ波の位相が変わると安定した検出ができない場合や、加熱室内の定在波の立ち方によっては反射波を検出できないことがあった。
また、センサとして先行技術文献に記載のある方向性結合器は、一般的に金属製の導波管を組み合わせて構成されているため、2.45GHzなどの加熱調理器に使用される周波数のマイクロ波用途ではセンサの小型化が困難で、電子レンジなどの機器への取り付けが困難な場合があった。
特許文献1に記載の制御装置は、マイクロ波エネルギーポテンシャルを検出するセンサについては方向性結合器が使用できるとの記載はあるが、その詳細構造については記載がない。一般的な方向性結合器と仮定すると、方向性結合器を内蔵することによって装置のサイズが大きくなり、また導波管内部で電界強度分布が乱れた場合に測定できない可能性があるため、業務用の食品加熱機器に比べて小型の家庭用の電子レンジには適用できなかった。
特許文献2に記載の寿命検出装置は、金属の導波管を組み合わせた構造の方向性結合器を、大型の規格導波管に取り付けることで、マグネトロンの異常発振を検知する構造である。方向性結合器及び導波管が大型であるため、電子レンジに内蔵することは困難であった。また、ストレート型で比較的長い規格導波管において反射波を測定する構造であり、電子レンジに採用されることの多い、波長に対して短く途中で電界の方向が変わるL字形の導波管では、反射波を正確に測定できないことがあった。
特許文献3に記載の高周波加熱装置では、導波管内を伝送されるマイクロ波の位相が変化した場合などに、反射波を正確に測定することが困難な場合があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高効率加熱と高信頼性を両立する加熱調理器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱室と、該加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、前記加熱室と該マイクロ波発振器の間に前記マイクロ波を伝送する伝送路と、を備え、前記伝送路の壁面に第一の結合孔と第二の結合孔とが形成されており、前記第一の結合孔と前記第二の結合孔とに接続されて、かつ前記第一の結合孔と前記第二の結合孔との間隔よりも長い分岐路と、前記伝送路と前記分岐路を含む方向性結合器と、を備える。
本発明によれば、高効率加熱と高信頼性を両立する加熱調理器を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る加熱調理器本体を前面側から見た前面断面図である。 上記図1の加熱調理器本体を前面上方側から見た分解斜視図である。 上記図1の加熱調理器の導波管周囲を拡大した前面断面図である。 上記図1の加熱調理器の方向性結合器周辺を拡大した部分斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る加熱調理器の導波管周囲を拡大した前面断面図である。 上記図5の加熱調理器の方向性結合器周辺を拡大した部分斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る加熱調理器本体を前面側から見た前面断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る加熱調理器本体を前面側から見た前面断面図である。
従来この種の代表的な加熱調理器である電子レンジでは、マイクロ波発振器により発生させたマイクロ波を加熱室に供給し、加熱室内の食品にマイクロ波エネルギーを吸収させることによって食品を加熱している。多種多様な食品を効率良く加熱できるよう、マイクロ波発振器から加熱室に通じる導波管などの伝送路の形状や整合状態を調整している。
負荷にマイクロ波を集中させて高効率で加熱する構造では、加熱室内に負荷がない(無負荷)か、あるいは負荷の量が極めて少量か、冷凍食品のようにマイクロ波を吸収しにくい負荷(低負荷)の場合にマイクロ波を加熱室に供給すると、マイクロ波エネルギーは加熱室内で吸収されることなく反射し、マイクロ波発振器に戻ってくる。そのため、加熱室の壁面や導波管内部において、マイクロ波の局所集中による異常加熱や放電(スパーク)の発生や、マイクロ波発振器に戻ってきたマイクロ波エネルギー(反射波)によりマイクロ波発振器が加熱されることにより、機器損傷が発生する要因になり、機器の信頼性を損なうことがあった。そのため、無負荷や低負荷で異常加熱や放電などが発生しないように、負荷に高出力のマイクロ波を集中させないよう、あえて加熱効率を下げた調整を行うことで、高信頼性を確保することがあった。
トレードオフの関係にある高効率加熱と製品の高信頼性を両立させるためには、加熱室内の負荷の状態に応じて出力あるいは加熱効率を制御することが有効である。つまり、加熱室内の負荷の状態を検知し、加熱室内の負荷が無負荷や低負荷の場合には、マイクロ波の出力を下げるか停止することによって、異常加熱や放電、発振器の加熱を防止することが可能である。
以下、本発明の実施形態例について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態例の構造について、図1から図4を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態例に係る加熱調理器を前面側から見た前面断面図である。図2は、加熱調理器本体を前面上方から見た分解斜視図である。図3は、加熱調理器の導波管周辺を拡大した前面断面図である。図4は、加熱調理器の方向性結合器周辺を拡大した部分斜視図である。
本実施形態例の加熱調理器は、マイクロ波を利用して食品を加熱するレンジ加熱機能を備え、食品が回転する載置台を備えていない、ターンテーブルレス式電子レンジ(以下「電子レンジ」と称する場合がある)である。
[全体構成]
まず、電子レンジ(加熱調理器)の本体1の構造について説明する。
図1及び図2に示すように、電子レンジの本体1は、前方が開口した加熱室2と、加熱室2の開口に開閉可能なドア20と、加熱室2の下方に機械室3とを備えている。ドア20は上下方向に回動することで開閉が可能である。また、加熱室2及び機械室3をキャビネット10で覆うことで電子レンジの本体1が構成されている。
加熱室2内には食品などの負荷を配置するテーブルプレート21が配置されている。テーブルプレート21下方の加熱室2底面には、回転アンテナ6が配置され、回転アンテナ6はアンテナモータ7により回転駆動が可能である。また、機械室3にはマイクロ波発振器であるマグネトロン4とマイクロ波の伝送路である導波管5が加熱室2に接続されており、マグネトロン4において発生したマイクロ波は、導波管5を介して回転アンテナ6から加熱室2の方向に照射される構造である。
テーブルプレート21はセラミックやガラスなどのマイクロ波の吸収量が小さくかつマイクロ波が透過しやすい材料で構成されており、テーブルプレート21上に食品などの負荷を載置した場合には、回転アンテナ6から照射されてテーブルプレート21を透過したマイクロ波、及び加熱室2の壁面で反射されたマイクロ波によって負荷を加熱することができる。
食品を加熱調理する際には、まず、テーブルプレート21の上に食品を載置してドア20を閉じ、操作パネル(図示せず)上で加熱調理を指示する。設定した加熱方法に応じてマイクロ波発生器であるマグネトロン4で出力されたマイクロ波を、伝送路である導波管5を介して回転アンテナ6に伝送する。回転アンテナ6に伝送されたマイクロ波はテーブルプレート21を通過して加熱室2内に放射され、テーブルプレート21上に載置された負荷に吸収され、負荷内部で熱エネルギーに変換されることで負荷の温度が上昇する。以上のようにマイクロ波を利用した加熱調理(レンジ加熱)を行う。
[マイクロ波伝送経路構成]
次に、マイクロ波が伝送される経路の詳細構造を説明する。
図3に示すように、加熱室2底面に備えたテーブルプレート21の下方には回転アンテナ6が配置されている。回転アンテナ6は、導波管5を介してマグネトロン4に接続されている。また、導波管5と回転アンテナ6の間には、開口部である導波管開口部62を設け、導波管開口部62に貫通してアンテナ軸61を、導波管5の下壁面の外側にアンテナモータ7を、導波管5内部にモータ軸71を備えている。モータ軸71とアンテナ軸61は連動可能に接続されており、アンテナモータ7を回転駆動することで、モータ軸71とそれに接続されたアンテナ軸61及び回転アンテナ6が回転する。
回転アンテナ6とアンテナ軸61はそれぞれ金属材料で構成され、電気的に導通して接続されている。モータ軸71は樹脂等の非金属材料で構成されており、回転アンテナ6及びアンテナ軸61は導波管5の壁面とは電気的に接続されていない。そのため、アンテナ軸61と導波管開口部62は同軸伝送線路を構成しており、導波管5内部のマイクロ波をアンテナ軸61及び回転アンテナ6に直接伝送する構造である。回転アンテナ6に伝送されたマイクロ波は、回転アンテナ6から上方に放射され、テーブルプレート21を透過して加熱室2内に供給される。
[反射波検出センサ(方向性結合器)構造]
本発実施形態では、導波管5の下壁面に2か所の結合孔である結合孔A(第一の結合孔)83Aと結合孔B(第二の結合孔)83Bを設け、導波管5の下壁面外部に2箇所の結合孔83A及び83Bで結合する方向性結合器8を備えていることを特徴とする。
方向性結合器8の詳細を図3と図4により説明する。本実施形態例では、図3と図4に示すように、方向性結合器8は導体A81と導体B82による回路を備えた基板80で構成されている。導体A81は基板80の下面に一定幅の薄膜形状の線路として形成されており、導体B82とは直接接続されていない。導体B82は金属薄膜形状で結合孔83A及び83B付近を除く基板80の上面全体に形成されており、導波管5と接触して接続、つまり電気的には接地している。基板80は誘電体であり、導体A81と導体B82は誘電体である基板80を挟んで両面に形成されている。つまり基板80と導体A81及び導体B82によりマイクロストリップラインが構成されており、マイクロ波の伝送が可能である。
ここで、結合孔A83Aと結合孔B83B付近では導体B82は形成されておらず、基板80が露出しており、各結合孔83A及び83Bの直下に導体A81が配置されていることから、マイクロストリップラインと導波管5は2箇所の結合孔83A及び83Bで結合しており、導波管5内部を伝送されるマイクロ波の一部が、マイクロストリップラインに分岐して伝送される構成である。よって、基板80と導体A81、導体B82から構成されるマイクロストリップラインにより、マイクロ波を伝送路と分岐路に分離できる方向性結合器8を構成している。
図4に、方向性結合器8周辺の斜視図を示す。前述したように、導体B82は基板80の上面のうち、2か所の結合孔83A及び83B付近を除く全体に形成されており、導体A81は結合孔83A及び83B付近を通過して線路を形成しており、マイクロストリップラインは2か所の結合孔83A及び83Bで導波管5と結合されている。
ここで、導波管5上での結合孔A83Aと結合孔B83Bの間隔である伝送路結合孔間隔83Lよりも、マイクロストリップライン上の結合孔間隔である分岐路結合孔間隔81Lの長さの方が長い(単に「分岐路81L」と称する場合がある)。よって、結合孔A83Aと結合孔B83Bの間では、伝送路である導波管5の内部を通過して伝送されるマイクロ波に比べて、分岐路である導体A81により構成されるマイクロストリップラインを通過して伝送されるマイクロ波は伝送される距離が長い。そのため、伝送路を通過するマイクロ波と分岐路を流れるマイクロ波では、分岐後に再度合流する際に位相差が生じ、位相が合う場合には強め合い、位相が逆転する場合には打ち消し合う。よって、伝送路結合孔間隔83Lと分岐路結合孔間隔81Lにより位相差を調整することにより、伝送路内部を結合孔A83Aから結合孔B83Bに伝送されるマイクロ波は、結合孔A83Aから結合孔B83Bに向かって伝送される進行波と、進行波と逆方向に結合孔B83Bから結合孔A83Aに向かって伝送される反射波に分離されて、分岐路に伝送される。よって、分岐路の片側には進行波に応じた強度のマイクロ波が、分岐路のもう一方の片側には反射波に応じた強度のマイクロ波が、それぞれ伝送される。
ここで、2か所の結合孔の間隔である伝送路結合孔間隔83Lの間隔は検出精度に影響する。電界強度が高くなり、位相差がちょうど強め合うまたは打ち消し合う2か所で検出できれば精度の高い検出が可能となるため、2か所の結合孔の間隔である伝送路結合孔間隔83Lは、導波管5内部を伝送されるマイクロ波の波長である管内波長λgに対して、λg/4またはλg/8であることが望ましい。また、分岐路結合孔間隔81Lは伝送路結合孔間隔83Lよりも長い。
具体的には、2.45GHzのマイクロ波では、自由空間波長λ=122mmであり、幅85mmの導波管5内部での管内波長λg=176mmである。よって、伝送路結合孔間隔83Aは44mmまたは22mmが良い。
以上のように、本実施形態例の方向性結合器8によって、伝送路である導波管5内部を伝送されるマイクロ波のうち一部は分岐路に伝送され、分岐路においてマグネトロン4から加熱室2に向かう進行波と、加熱室2からマグネトロン4に向かう反射波に分離することが可能である。
本実施形態例では、分岐路よりも伝送路が短く、伝送路結合孔間隔83Aを短くすることができるため、本実施形態例のように伝送途中に曲がり部のあるL字形導波管や、短い導波管でも方向性結合器8を構成することができる。また、上記のL字形導波管や短い導波管では導波管内部の電界強度に乱れが生じやすく、電界強度を測定できる電界強度センサなどでは導波管内部の電界強度や反射波の強度を検出しにくいことがあるが、本実施形態例の方向性結合器8では電界強度の変動に影響を受けにくい。
[負荷検知方法]
進行波と反射波を分離することができれば、マイクロストリップラインの両端に検出回路を配置することで、進行波と反射波の強度を測定することができるため、その比から、加熱室2におけるマイクロ波エネルギーの反射を検知することが可能である。つまり、加熱室2内部にマイクロ波エネルギーを吸収する負荷が存在するか否か、また負荷の量が多いか少ないか、を検知することができる。
例えば加熱室2の内部にマイクロ波を吸収する負荷が存在する場合、加熱室2内部でマイクロ波エネルギーは吸収されるため、導波管5から加熱室2に供給されるマイクロ波(進行波)に対して、加熱室2から導波管5に戻ってくるマイクロ波(反射波)は小さい。よって、反射波/進行波は0に近く、マイクロ波エネルギーの反射は非常に小さいことから、加熱室2内部に負荷があることを検知できる。一方、加熱室2の内部が無負荷か低負荷の場合、加熱室2内部でマイクロ波エネルギーはあまり吸収されないため、進行波に対して、反射波が大きくなる。よって、反射波/進行波は1に近く、マイクロ波エネルギーの反射が大きいことから、加熱室2内部は無負荷か低負荷であることを検知できる。
理論的にはマグネトロン7から放射されたマイクロ波エネルギーが全て吸収される場合には反射波が0になるため、反射波/進行波は0になり、全くマイクロ波エネルギーが吸収されない場合は反射波=進行波になるため反射波/進行波は1になる。よって、反射波/進行波は0以上1以下になり、0に近ければ負荷が多く、1に近ければ負荷が少ないことを検出できる。実際には伝送途中で損失が発生し、テーブルプレート21等によって吸収されるため、反射波/進行波が1になることはほとんど無く、無負荷時の反射波/進行波は0.6〜0.8程度であることが多い。例えば、無負荷時の反射波/進行波が0.8程度、有負荷時の反射波/進行波がその半分の0.4程度である場合には、しきい値を0.6に設定することで、無負荷と有負荷を識別することが可能である。また、無負荷時の損失の程度は構造によっても異なるが、例えば無負荷時の値の1/2〜2/3をしきい値とするなど、無負荷と有負荷を区別するためのしきい値を構造に対して適切に設定することで、負荷の有無を検出することが可能である。
また、加熱室2内部に負荷がある場合でもマイクロ波を吸収しにくい負荷の場合、例えば冷凍食品の場合には、反射が大きく検出される。冷凍から解凍が進んだ部分では誘電率が高くなりマイクロ波を吸収しやすくなるため、反射が小さくなる。つまり、ある瞬間の反射を検出して瞬時の負荷状態を検出するだけではなく、時間経過による反射の変化を検出することにより、冷凍食品が解凍されている状態を検知することも可能である。
以上のように、本実施形態例の方向性結合器8を用いることで、加熱室2内部の負荷の量や状況を検知することが可能である。またこの検知結果を反映して、加熱室2内に供給するマイクロ波を制御することにより、高効率加熱と高信頼性を両立する加熱調理器1の提供が可能である。例えば、加熱室2内部に負荷がある場合には負荷にマイクロ波を集中させて加熱効率を高めた加熱を行い、無負荷あるいは低負荷を検出した場合にはマイクロ波発振器から出力されるマイクロ波の出力を下げることにより、機器破損を防止した信頼性の高い加熱が可能である。
[配置、その他構成]
本実施形態例では、方向性結合器8を導体A81と導体B82を備えた基板80で構成し、伝送路である導波管5の上壁面が加熱室2の底面、すなわち筺体壁面と共用化されており、導波管5の下壁面に方向性結合器8を設置した構造である。つまり、導波管5は加熱室2の底面に接して設置されている。この構造では、最低限の寸法で反射波を検知できる伝送路を構成できるため、加熱調理器1のサイズを大型化することなく、反射波の検知が可能である。
また、導波管5の壁面のうち、加熱室3側とは逆の壁面に方向性結合器8を配置していることから、本体1の組み立て時には導波管5の外側から方向性結合器8を取り付けるため、製品を製造し易い。万が一方向性結合器8を交換する必要がある場合でも、メンテナンスが容易である。
また、本実施形態例では、伝送路を導波管5、分岐路をマイクロストリップラインとした構造を示したが、伝送路、分岐路ともに、マイクロ波を伝送できる線路であればどのような構造でも良く、例えば角型断面形状の方型導波管などでも良い。伝送路よりも分岐路が長いため、伝送路の壁面は湾曲または屈曲させる必要がないことから、壁面を略平板で構成でき、実現し易い構造である。
また、本実施形態例では、マイクロ波発振器としてマグネトロン4を用いた構造を示したが、マイクロ波発振器はマイクロ波を発振できる装置であれば何でも良く、例えばマイクロ波を発振できる半導体素子でも良い。
また、本実施形態例では、ターンテーブルレス式単機能電子レンジを対象としたが、ヒータによるオーブン加熱機能を備えたオーブンレンジでも、レンジ加熱使用時に適用可能である。
また、本実施形態例では、マグネトロン4や導波管5、回転アンテナ6などを加熱室2の下方に備えた下方給電構造を示したが、加熱室2の側面からマイクロ波を供給する側方給電や、上面から供給する上面給電など、どのような構造でも構成可能である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態例の構造について、図5と図6を用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る加熱調理器の導波管周囲を拡大した前面断面図である。図6は、加熱調理器の方向性結合器周辺を拡大した分解斜視図である。
本実施例の加熱調理器は、方向性結合器8を同軸ケーブル85で構成した構造である。
図5に示すように、同軸ケーブル85は、内部に内導体として導体A81を、その周囲に誘電体84を、外周に外導体として導体B82を備えた構造である。導体A81と導体B82は誘電体84を挟んで同軸線路を形成しており、マイクロ波を伝送することが可能である。
導体B82は導波管5の壁面に導通することで接地しており、結合孔83A及び83B付近では外導体である導体B82には孔が空いており誘電体84が露出し、導体A81が結合孔83A及び83Bに結合するよう配置されている。よって、同軸ケーブル85を2か所の結合孔83A及び83Bで導波管5に結合させることによって、方向性結合器8を構成している。
本構成においても、図6に示すように、伝送路結合孔間隔83Lよりも分岐路結合孔間隔81Lの方が長いため、伝送路である導波管5に伝送されるマイクロ波を、分岐路である同軸ケーブル85に進行波と反射波に分けて伝送することが可能である。
つまり、マイクロ波発振器であるマグネトロン4から発生したマイクロ波が伝送路である導波管5を伝送される際に、方向性結合器8において、マグネトロン4から加熱室2に向かう進行波と、加熱室2からマグネトロン4に向かう反射波を分離する。よって、分岐路である同軸ケーブル85の片側には進行波に応じた強度のマイクロ波が、もう片側には反射波に応じた強度のマイクロ波が、それぞれ伝送される。同軸ケーブル85の両端に検出回路を配置、またはパワーメータ等の機器を接続することによって、同軸ケーブル85に伝送される進行波と反射波の出力比を検出し、それにより加熱室2内部の負荷の状況を検出することが可能である。
また、伝送路よりも分岐路が長いことから、伝送路である導波管5の壁面を略平板で構成でき、その外側に分岐路である同軸ケーブル85を屈曲して配置することが可能で、組み立てが容易な構造で本発明を実現できる。
よって、本実施例のように同軸ケーブル85を用いた方向性結合器でも、第1の実施形態例と同様に、加熱室内部の負荷の状況を検知し、それによって加熱効率の向上と信頼性の向上を両立する加熱調理器1を提供することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態例の構造について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第3の実施形態に係る加熱調理器本体を前面側から見た前面断面図である。
本実施例の加熱調理器は、加熱室2の右側面に導波管5及びマグネトロン4を設け、加熱室2内部のテーブルプレート21をテーブルモータ71で回転駆動するターンテーブル式電子レンジである。
導波管5と加熱室2の間には、仕切り板22を配置している。仕切り板22はマイカのようなマイクロ波を透過する材質であるため、マグネトロン4で発生したマイクロ波は導波管5を介して仕切り板22を通過し、加熱室2内部に供給される。
ここで本実施形態例の方向性結合器8を導波管5の外側に配置しているため、第1及び第2の実施形態例と同様に、入射波と反射波を分離し、加熱室2内部の負荷の状況を検知することが可能である。
また、導波管5の片側(左側)の壁面を加熱室2の壁面と共用化し、つまり導波管5を加熱室2に接して配置し、加熱室2に対向する片側(右側)に方向性結合器8を設置することにより、導波管5の大きさに比べて機械室3の大きさをあまり大きくすることなく、高精度な反射波検知が可能となる。また、方向性結合器8をマイクロストリップラインや同軸ケーブルで構成することで、薄型化・小型化することが可能であるため、加熱調理器1の外観寸法が必要以上に大きくなりすぎることなく、本発明の加熱調理器を実現できる。
よって、本実施形態例のように導波管5を加熱室2の側面に配置した場合でも、第1及び第2の実施形態例と同様に、加熱室内部の負荷の状況を検知し、それによって高効率加熱と高信頼性を両立する加熱調理器を提供できる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態例の構造について、図8を用いて説明する。図8は、本発明の第4の実施形態に係る加熱調理器本体を前面側から見た前面断面図である。
本実施形態例の加熱調理器は、マイクロ波発振器として、マイクロ波発振素子)40を用いた構造である。マイクロ波発振素子40はマイクロ波を発振できる半導体素子等で構成されており、その出力端子は、同軸ケーブルのような高周波伝送ケーブルの伝送路50を介して、加熱室2底面のアレイアンテナ60に接続されている。よって、マイクロ波発振素子40で発生したマイクロ波は、伝送路50を通過してアレイアンテナ60に伝送され、アレイアンテナ60から加熱室2にマイクロ波が照射される構造である。
ここで本実施形態例では、伝送路50の外側に本発明の方向性結合器8が設置されており、入射波と反射波を分離し、加熱室2内の負荷の状況を検知することが可能である。
よって、本実施例のようにマイクロ波発振器とマイクロ波発振素子40で構成した場合でも、また、伝送路50が導波管ではなく同軸ケーブルのような高周波伝送ケーブルである場合でも、第1の実施形態例と同様に、加熱室内部の負荷の状況を検知し、それによって加熱効率を向上することができる。
ここで、伝送路50が高周波伝送ケーブルである場合を示したが、伝送路50は基板上に配置されたパターン回路や導体線でも、マイクロ波を伝送できる構造であれば何でも良い。そのため、方向性結合器8は回路上に構成することも可能であり、方向性結合器8を回路上に構成すれば更に小型の構造で本実施形態例の構造を実現できる。
以上の各実施形態のように、本発明は本体のサイズを大型化することなく、途中で曲がりや変形を伴う伝送路においても、マイクロ波の周波数や位相の変化に影響を受けずに確実に反射波を検知し、加熱室内の負荷状態を検出できる反射波検出センサと、またそれにより高効率加熱と高信頼性を両立できる加熱調理器を提供することができる。
また、伝送路内部のマイクロ波分布が乱れていて不安定な場合でも負荷状態を正確に検知する小型の反射波検出センサを構成できるため、高効率加熱と高信頼性を両立する加熱調理器を提供できる。
1:本体
2:加熱室
3:機械室
4:マグネトロン
5:導波管
6:回転アンテナ
7:アンテナモータ
8:方向性結合器
10:キャビネット
20:ドア
21:テーブルプレート
22:仕切り板
40:マイクロ波発振素子(マイクロ波発振器)
50:伝送路
60:アレイアンテナ
61:アンテナ軸
62:導波管開口部
71:テーブルモータ
80:基板
81:導体A
82:導体B
81L:分岐路結合孔間隔(分岐路)
83A:結合孔A(第一の結合孔)
83B:結合孔B(第二の結合孔)
83L:伝送路結合孔間隔
84:誘電体
85:同軸ケーブル

Claims (4)

  1. 加熱室と、
    該加熱室に供給するマイクロ波を発生するマイクロ波発振器と、
    前記加熱室と該マイクロ波発振器の間に前記マイクロ波を伝送する伝送路と、を備え、
    前記伝送路の壁面に第一の結合孔と第二の結合孔とが形成されており、
    前記第一の結合孔と前記第二の結合孔とに接続されて、かつ前記第一の結合孔と前記第二の結合孔との間隔よりも長い分岐路と、
    前記伝送路と前記分岐路を含む方向性結合器と、を備えたことを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記伝送路は導波管であり、該導波管の前記加熱室と対向する側に前記方向性結合器を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記マイクロ波発振器の出力を制御する制御手段を備え、
    前記方向性結合器により前記加熱室内のマイクロ波エネルギーの反射を検出し、検出した反射により前記制御手段が制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の加熱調理器。
  4. 前記分岐路がマイクロストリップライン又は同軸ケーブルで構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の加熱調理器。
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