JP2018004327A - 前処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】セプタム付き容器が容器設置部から浮き上がるのを防止することができる前処理装置を提供する。【解決手段】試薬設置部8に、試薬容器10が設置される。容器ホルダ81は、試薬設置部8に対して着脱可能であり、開口部811から挿入される試薬容器10を収容する。爪部831は、試薬容器10が容器ホルダ81から浮き上がるのを防止する。爪部831は、容器ホルダ81の開口部811に対向する位置に設けられており、開口部811から挿入される試薬容器10の外面に接触して弾性変形することにより、開口部811に対向する位置から退避するとともに、試薬容器10が容器ホルダ81に収容されたときには、試薬容器10に接触又は近接した状態で、試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを防止する。【選択図】 図8

Description

本発明は、セプタム付き容器内からプローブで吸引した液体を用いて前処理を行うための前処理装置に関するものである。
例えば全血、血清、濾紙血、尿などの生体由来の試料に含まれる成分の分析を行う際、試料に対して前処理装置により前処理を行った後、分析を行う場合がある。前処理としては、分析に不要な特定成分を試料から除去して必要成分を抽出する処理や、抽出された試料を濃縮又は乾固させる処理などを例示することができる。このような前処理を自動的に実行する前処理装置として、従来から種々の構成が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
前処理に使用する試薬や内部標準液などの液体は、蒸発による濃縮を防止するためにセプタム付き容器に収容される場合がある。セプタム付き容器は、前処理装置の容器設置部に設置される。このようなセプタム付き容器内の液体を使用する際には、プローブを移動させてセプタムに貫通させ、プローブの先端を密閉された容器内に挿入する。この状態で、プローブの先端から容器内の液体を吸引した後、プローブを再度移動させることにより、プローブがセプタムから引き抜かれて分注位置へと移動する。
特開2010−60474号公報
しかしながら、上記のようにプローブがセプタムから引き抜かれる際には、プローブとセプタムとの間の摩擦抵抗により、セプタム付き容器がプローブとともに容器設置部から浮き上がる場合があった。このような場合には、プローブの移動中(上昇時や回転時など)に、容器がプローブとともに移動してしまうことによりエラーが生じ、分析が停止してしまうおそれがある。また、プローブが移動の途中でセプタムから抜けた場合であっても、プローブの先端に容器内の液体が付着したり、プローブが受ける外力によってプローブ内に吸引された液体が漏れたりすることにより、プローブによる分注量が不安定となり、分析結果にばらつきが生じるおそれもある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、セプタム付き容器が容器設置部から浮き上がるのを防止することができる前処理装置を提供することを目的とする。また、本発明は、容器設置部に対するセプタム付き容器の着脱が容易な前処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る前処理装置は、セプタム付き容器内からプローブで吸引した液体を用いて前処理を行うための前処理装置であって、容器設置部と、容器ホルダと、爪部とを備える。前記容器設置部には、セプタム付き容器が設置される。前記容器ホルダは、前記容器設置部に対して着脱可能であり、開口部から挿入されるセプタム付き容器を収容する。前記爪部は、セプタム付き容器が前記容器ホルダから浮き上がるのを防止する。前記爪部は、前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置に設けられており、前記開口部から挿入されるセプタム付き容器の外面に接触して弾性変形することにより、前記開口部に対向する位置から退避するとともに、セプタム付き容器が前記容器ホルダに収容されたときには、セプタム付き容器に接触又は近接した状態で、セプタム付き容器が前記容器設置部から浮き上がるのを防止する。
このような構成によれば、セプタム付き容器を開口部から容器ホルダに挿入する際に、爪部がセプタム付き容器の外面に接触して弾性変形し、開口部に対向する位置から退避することにより、セプタム付き容器を開口部に挿入することが可能となる。そして、セプタム付き容器が容器ホルダに収容されたときには、爪部がセプタム付き容器に接触又は近接した状態で、当該爪部によりセプタム付き容器が容器設置部から浮き上がるのを防止することができる。このように、セプタム付き容器を開口部から挿入するだけで容器ホルダに収容して固定することができるため、容器設置部に対するセプタム付き容器の設置が容易である。
前記爪部は、前記容器ホルダに設けられていてもよい。
このような構成によれば、容器ホルダとともに爪部を容器設置部に対して着脱することができる。これにより、容器ホルダに収容されるセプタム付き容器の外形に合わせた爪部を容器ホルダに設けることができるため、セプタム付き容器が容器設置部から浮き上がるのを効果的に防止することができる。
前記爪部には、前記開口部に対するセプタム付き容器の挿入方向に対して傾斜するテーパ面が形成されており、当該テーパ面が、前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置に設けられていてもよい。
このような構成によれば、セプタム付き容器を開口部から容器ホルダに挿入する際に、セプタム付き容器の外面がテーパ面に沿って摺接するため、爪部が円滑に弾性変形する。これにより、セプタム付き容器を容器ホルダに円滑に収容して固定することができるため、容器設置部に対するセプタム付き容器の設置がさらに容易となる。
前記爪部は、前記開口部の中心線を挟んで対向するように1対設けられていてもよい。
このような構成によれば、1対の爪部に対して、例えば一方の爪部に親指を接触させ、他方の爪部に人差し指を接触させることにより、1対の爪部を離間させてセプタム付き容器に接触又は近接する位置から退避させながら、セプタム付き容器を摘まんで容器ホルダから引き抜くことができる。このように、片手でセプタム付き容器を取り外すことができるため、容器設置部に対するセプタム付き容器の着脱がさらに容易となる。
前記前処理装置は、前記容器ホルダ及び前記容器設置部を係合させて、前記容器ホルダを前記容器設置部に固定するための係合部をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、係合部を介して容器ホルダを容器設置部に容易に着脱することができる。使用するセプタム付き容器のサイズによっては、容器ホルダを着脱する必要があるが、容器ホルダを容易に着脱することができるため、作業を円滑に行うことができる。
前記爪部及び前記係合部が、板バネにより一体的に構成されていてもよい。
このような構成によれば、板バネを用いた簡単な構成により、爪部及び係合部を一体的に構成することができる。したがって、簡単な構成で、容器設置部に対するセプタム付き容器の着脱、及び、容器設置部に対する容器ホルダの着脱を容易に行うことができる。
前記容器ホルダが前記容器設置部に取り付けられることにより、前記係合部が弾性変形し、それに伴って前記爪部が前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置まで移動してもよい。
このような構成によれば、容器ホルダが容器設置部に取り付けられるのに伴って、爪部を適切な位置に移動させることができる。したがって、容器ホルダを容器設置部に取り付ける作業とは別に、爪部の位置を調整する作業が不要となるため、作業をさらに円滑に行うことができる。
前記容器ホルダの外周面には、前記板バネの一部を収容する凹部が形成されていてもよい。この場合、前記係合部が弾性変形するのに伴って、前記板バネの一部が前記凹部内に収容されるとともに、前記爪部が前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置まで移動してもよい。
このような構成によれば、容器ホルダが容器設置部に取り付けられるのに伴って、板バネの一部が容器ホルダの外周面に形成された凹部内に収容される。これにより、板バネの一部が余分にスペースを取るのを防止することができるため、無駄なスペースが生じにくく、容器ホルダと容器設置部との間にがたつきが生じにくい。
本発明によれば、爪部によりセプタム付き容器が容器設置部から浮き上がるのを防止することができる。また、本発明によれば、セプタム付き容器を開口部から挿入するだけで容器ホルダに収容して固定することができるため、容器設置部に対するセプタム付き容器の取付が容易である。
本発明の一実施形態に係る前処理装置を備えた分析システムの構成例を示す概略正面図である。 前処理装置の構成例を示す平面図である。 分離容器の構成例を示す側面図である。 図3Aの分離容器の平面図である。 図3BのA−A断面を示す断面図である。 回収容器の構成例を示す側面図である。 図4Aの回収容器の平面図である。 図4BのB−B断面を示す断面図である。 分離容器及び回収容器が重ね合せられた状態の前処理キットを示す断面図である。 濾過ポートの構成例を示す平面図である。 図6AのX−X断面を示す断面図である。 図6AのY−Y断面を示す断面図である。 濾過ポートに前処理キットを設置した状態を示す断面図である。 負圧負荷機構の構成例を示す概略図である。 試薬設置部の構成例を示す断面図である。 容器ホルダを試薬設置部に取り付ける際の態様について説明するための断面図であり、容器ホルダが試薬設置部に取り付けられる前の状態を示している。 容器ホルダを試薬設置部に取り付ける際の態様について説明するための断面図であり、容器ホルダが試薬設置部に取り付けられた後の状態を示している。 試薬設置部の第1変形例を示す断面図である。 試薬設置部の第2変形例を示す断面図である。 1対の爪部の変形例を示す断面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る前処理装置1を備えた分析システムの構成例を示す概略正面図である。この分析システムは、前処理装置1、LC(液体クロマトグラフ)100及びMS(質量分析装置)200を備えており、前処理装置1により前処理を実行した試料が、LC100及びMS200に順次導入されて分析が行われる。
すなわち、本実施形態に係る分析システムは、前処理装置1に液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)が接続された構成となっている。ただし、このような構成に限らず、LC100又はMS200のいずれか一方が省略されることにより、前処理装置1により前処理を実行した試料が、LC100又はMS200のいずれか一方にのみに導入されるような構成であってもよい。
前処理装置1は、例えば血漿、血清、カフェイン水溶液などの試料や、試料に混合する試薬を分注位置に分注する分注装置として機能するものであり、分注位置に分注された試料及び試薬に対して、濾過、攪拌、温調といった各種の前処理を行う。これらの前処理が行われた後の試料は、LC100に備えられたオートサンプラ101を介してLC100に導入される。
LC100には、カラム(図示せず)が備えられており、当該カラム内を試料が通過する過程で分離された試料成分が、MS200に順次導入される。MS200は、LC100から導入された試料をイオン化するイオン化部201と、イオン化された試料を分析する質量分析部202とを備えている。
前処理装置1には、例えばタッチパネルを含む操作表示部1aが備えられている。分析者は、操作表示部1aの表示画面に対する操作により、前処理装置1の動作に関する入力を行うことができるとともに、操作表示部1aの表示画面に表示された前処理装置1の動作に関する情報を確認することができる。ただし、タッチパネル式の操作表示部1aが設けられた構成に限らず、例えば液晶表示器により構成される表示部と、操作キーなどにより構成される操作部とが、別々に設けられた構成であってもよい。
図2は、前処理装置1の構成例を示す平面図である。この前処理装置1では、分離容器50と回収容器54の組からなる前処理キットを試料ごとに1組用いて、各前処理キットに対して設定された前処理(濾過、攪拌、温調など)が実行される。
前処理装置1には、分注位置としての分注ポート32の他、分注ポート32に分注された試料に対して前処理を実行するための複数の処理ポートが設けられている。これにより、試料が収容された前処理キットをいずれかの処理ポートに設置することで、その前処理キットに収容されている試料に対して、各処理ポートに対応する前処理が実行されるようになっている。
処理ポートとしては、各前処理に対応付けて、濾過ポート30、廃棄ポート34、攪拌ポート36a、温調ポート38,40、転送ポート43及び洗浄ポート45などが設けられている。これらの各処理ポートは、複数種類の前処理をそれぞれ実行する複数の前処理部を構成している。
前処理キットを構成する分離容器50及び回収容器54は、搬送部としての搬送アーム24によって各処理ポート間で搬送される。搬送アーム24の先端側には、分離容器50及び回収容器54を保持するための保持部25が形成されている。搬送アーム24の基端部側は、鉛直軸29を中心に回転可能に保持されている。搬送アーム24は水平方向に延びており、鉛直軸29を中心に回転することにより、保持部25が水平面内で円弧状の軌道を描くように移動する。分離容器50及び回収容器54の搬送先である各処理ポートや、その他のポートは、全て保持部25が描く円弧状の軌道上に設けられている。
前処理キットには、試料容器6から試料が分注される。試料が収容された試料容器6は、試料設置部2に複数設置することができ、試料分注アーム20を用いて各試料容器6から試料が順次採取される。試料設置部2には、複数の試料容器6を保持する試料ラック4が、円環状に並べて複数設置される。試料設置部2は、水平面内で回転することにより、各試料ラック4を周方向に移動させる。これにより、所定の試料採取位置に各試料容器6を順次移動させることができる。
ここで、試料採取位置は、試料分注アーム20の先端部に設けられた試料分注プローブ20aの軌道上に位置しており、当該試料採取位置において試料分注プローブ20aにより試料容器6から試料が吸引される。試料容器6内の試料は、試料分注プローブ20aにより吸引された後、分注ポート32に設置された分離容器50に対して吐出されることにより分注される。
試料分注アーム20は、基端部側に設けられた鉛直軸22を中心に水平面内で回転可能であるとともに、鉛直軸22に沿って鉛直方向に上下動可能である。試料分注プローブ20aは、試料分注アーム20の先端部において鉛直下方に向かって延びるように保持されており、試料分注アーム20の動作に応じて、水平面内で円弧状の軌道を描く移動又は鉛直方向への上下動が行われる。
分注ポート32は、試料分注プローブ20aの軌道上で、かつ搬送アーム24の保持部25の軌道上となる位置に設けられている。分注ポート32は、未使用の分離容器50に対して試料分注プローブ20aから試料を分注するためのポートである。未使用の分離容器50は、搬送アーム24によって分注ポート32に搬送される。
試料ラック4が円環状に並べて配置された試料設置部2の中央部には、試薬容器10を設置するための試薬設置部8が設けられている。試薬設置部8に設置された試薬容器10内の試薬は、試薬分注アーム26を用いて採取される。試薬分注アーム26は、その基端部が搬送アーム24と共通の鉛直軸29によって支持されており、当該鉛直軸29を中心に水平面内で回転可能であるとともに、鉛直軸29に沿って鉛直方向に上下動可能である。
試薬分注アーム26の先端部には、試薬分注プローブ26aが鉛直下方に向かって延びるように保持されている。当該試薬分注プローブ26aは、試薬分注アーム26の動作に応じて、水平面内で搬送アーム24の保持部25と同一の円弧状の軌道を描く移動又は鉛直方向への上下動が行われる。
試薬設置部8は、試料設置部2とは独立して水平面内で回転可能となっている。試薬設置部8には、複数の試薬容器10が円環状に並べて配置され、試薬設置部8が回転することによって各試薬容器10が周方向に移動する。これにより、所定の試薬採取位置に所望の試薬容器10を移動させることができる。
ここで、試薬採取位置は、試薬分注アーム26の先端部に設けられた試薬分注プローブ26aの軌道上に位置しており、当該試薬採取位置において試薬分注プローブ26aにより試薬容器10から試薬が吸引される。試薬容器10内の試薬は、試薬分注プローブ26aにより吸引された後、分注ポート32に設置された分離容器50に対して吐出されることにより分注され、当該分離容器50内の試料に添加される。
分離容器50及び回収容器54は、試料設置部2や試薬設置部8とは異なる位置に設けられた容器保持部12により保持されている。容器保持部12には、未使用の分離容器50及び回収容器54が重ねられた状態の複数組の前処理キットが、円環状に並べて配置される。容器保持部12には、水平面内で回転する回転部14と、当該回転部14に対して着脱可能な複数の容器ラック16とが備えられている。
各容器ラック16には、複数の前処理キットを保持することができる。複数の容器ラック16は、回転部14上に円環状に並べて設置される。円環状に並べて配置された複数の容器ラック16により、複数の前処理キットを保持する円環状の保持領域が形成される。回転部14は、水平面内で回転することにより、各容器ラック16を保持領域の周方向に変位させる。これにより、複数の前処理キットを所定の搬送位置に順次移動させることができる。ここで、搬送位置は、搬送アーム24の先端部に設けられた保持部25の軌道上に位置しており、当該搬送位置において保持部25により分離容器50又は回収容器54が保持され、搬送先のポートへと搬送される。
このように、複数の容器ラック16に分割して前処理キットを保持することにより、各容器ラック16を回転部14に対して個別に着脱することが可能になる。これにより、いずれかの容器ラック16に保持された分離容器50又は回収容器54に対する処理が行われている場合であっても、他の容器ラック16を着脱して別の作業を行うことができるため、前処理効率を向上させることができる。
ただし、分離容器50及び回収容器54は、容器ラック16を介して容器保持部12により保持されるような構成に限らず、例えば容器保持部12に直接保持されるような構成であってもよい。また、分離容器50及び回収容器54は、互いに重ね合せられた状態で容器保持部12により保持されるような構成に限らず、分離容器50及び回収容器54が個別に保持されるような構成であってもよい。さらに、複数の容器ラック16は、円環状に並べて配置されるような構成に限らず、例えば円弧状に並べて配置されるような構成であってもよい。この場合は、円環状ではなく、円弧状の保持領域に複数の分離容器50及び回収容器54が保持される。
容器保持部12には、異なる分離性能を有する分離層が設けられた複数種類(例えば2種類)の分離容器50を分析者が設置しておくことができる。これらの分離容器50は、試料の分析項目に応じて使い分けられ、分析者によって指定された分析項目に応じた分離容器50が容器保持部12から選択されて搬送される。ここで、分析項目とは、前処理装置1で前処理が施された試料を用いて引き続き行われる分析の種類であり、例えばLC100又はMS200により実行される分析の種類である。
図3Aは、分離容器50の構成例を示す側面図である。図3Bは、図3Aの分離容器50の平面図である。図3Cは、図3BのA−A断面を示す断面図である。図4Aは、回収容器54の構成例を示す側面図である。図4Bは、図4Aの回収容器54の平面図である。図4Cは、図4BのB−B断面を示す断面図である。図5は、分離容器50及び回収容器54が重ね合せられた状態の前処理キットを示す断面図である。
分離容器50は、図3A〜図3Cに示すように、試料や試薬を収容する内部空間50aを有する円筒状の容器である。内部空間50aの底部には、分離層52が設けられている。分離層52とは、例えば試料を通過させて特定成分と物理的又は化学的に反応することで、試料中の特定成分を選択的に分離させる機能を有する分離剤又は分離膜である。
分離層52を構成する分離剤としては、例えばイオン交換樹脂、シリカゲル、セルロース、活性炭などを用いることができる。また、分離膜としては、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜、ナイロン膜、ポリプロピレン膜、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜、アクリル共重合体膜、混合セルロース膜、ニトロセルロース膜、ポリエーテルスルホン膜、イオン交換膜、グラスファイバー膜などを用いることができる。
試料中の蛋白質を濾過によって取り除くための除蛋白フィルタ(分離膜)としては、PTFE、アクリル共重合体膜などを用いることができる。この場合、除蛋白フィルタの目詰まりを防止するために、分離層52の上側にプレフィルタ(図示せず)を設けてもよい。このようなプレフィルタとしては、例えばナイロン膜、ポリプロピレン膜、グラスファイバー膜などを用いることができる。プレフィルタは、試料中から粒径の比較的大きい不溶物質や異物を取り除くためのものである。このプレフィルタにより、除蛋白フィルタが粒径の比較的大きい不溶物質や異物によって目詰まりするのを防止することができる。
分離容器50の上面には、試料や試薬を注入するための開口50bが形成されている。また、分離容器50の下面には、分離層52を通過した試料を抽出するための抽出口50dが形成されている。分離容器50の外周面の上部には、搬送アーム24の保持部25を係合させるための鍔部50cが周方向に突出するように形成されている。
分離容器50の外周面の中央部には、当該分離容器50が回収容器54とともに濾過ポート30に収容されたときに濾過ポート30の縁に接触するスカート部51が設けられている。スカート部51は、分離容器50の外周面から周方向に突出し、そこから下方に延びるように断面L字状に形成されることにより、分離容器50の外周面との間に一定の空間を形成している。
回収容器54は、図4A〜図4C及び図5に示すように、分離容器50の下部を収容し、分離容器50の抽出口50dから抽出された試料を回収する有底円筒状の容器である。回収容器54の上面には、分離容器50の下部を挿入させる開口54bが形成されている。回収容器54の内部には、分離容器50におけるスカート部51よりも下側の部分を収容する内部空間54aが形成されている。回収容器54の外周面の上部には、分離容器50と同様に、搬送アーム24の保持部25を係合させるための鍔部54cが周方向に突出するように形成されている。
図5のように分離容器50及び回収容器54が重ね合せられた状態では、回収容器54の上部がスカート部51の内側に入り込む。分離容器50の外径は、回収容器54の内径よりも小さく形成されている。これにより、回収容器54の内部空間54aに収容された分離容器50の外周面と、回収容器54の内周面との間に、僅かな隙間が形成される。容器保持部12には、分離容器50の下部が回収容器54内に収容された状態(図5の状態)で、分離容器50及び回収容器54が設置される。
回収容器54の上面の縁には、3つの切欠き54dが形成されている。したがって、図5のように分離容器50及び回収容器54が重ね合せられることにより、回収容器54の上面がスカート部51の内面に当接した状態であっても、切欠き54を介して、回収容器54の内側と外側とを連通させることができる。ただし、切欠き54dの数は、3つに限らず、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。また、切欠き54dに限らず、例えば小穴が形成された構成などであってもよい。
再び図2を参照すると、濾過ポート30は、容器保持部12の内側に設けられている。すなわち、濾過ポート30の外周に並べて配置された複数の容器ラック16により、円環状又は円弧状の保持領域が形成されており、当該保持領域に複数の分離容器50及び回収容器54が保持されている。このように、分離容器50及び回収容器54の保持領域が円環状又は円弧状に形成され、その中央部の空きスペースに濾過ポート30の設置スペースを確保することによって、よりコンパクトな構成とすることができる。
特に、本実施形態では、分離容器50及び回収容器54が重ねられた状態で保持領域に保持されるため、分離容器50及び回収容器54の保持領域を別々に設ける必要がない。したがって、より多くの分離容器50及び回収容器54を小さい保持領域で保持することができる。これにより、分離容器50及び回収容器54の保持領域を小さくすることができ、さらにコンパクトな構成とすることができる。
また、円環状又は円弧状に形成された保持領域の中央部に濾過ポート30を設けることにより、保持領域に保持されている複数の分離容器50及び回収容器54と濾過ポート30の距離を比較的短くすることができる。これにより、分離容器50及び回収容器54を濾過ポート30に搬送する時間を短縮することができるため、前処理効率を向上させることができる。
濾過ポート30は、分離容器50内の試料に圧力を付与することにより分離層52で試料を分離させる濾過部を構成している。本実施形態では、例えば2つの濾過ポート30が搬送アーム24の保持部25の軌道上に並べて設けられている。分離容器50及び回収容器54は、図5のように重ね合せられた状態で各濾過ポート30に設置され、負圧によって分離容器50内の分離層52で分離された試料が、回収容器54内に回収されるようになっている。ただし、分離容器50及び回収容器54は、互いに重ね合せられた状態で各濾過ポート30に設置されるような構成に限らず、分離容器50及び回収容器54が個別に設置されるような構成であってもよい。また、濾過ポート30の数は、2つに限らず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
攪拌ポート36aは、容器保持部12の近傍に設けられた攪拌部36に、例えば搬送アーム24の保持部25の軌道上に並べて3つ設けられている。攪拌部36は、各攪拌ポート36aを個別に水平面内で周期的に動作させる機構を有している。このような機構により、各攪拌ポート36aに配置された分離容器50内の試料を攪拌することができる。ただし、攪拌ポート36aの数は、3つに限らず、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
温調ポート38,40は、例えばヒータとペルチェ素子により温度制御された熱伝導性のブロックに設けられており、温調ポート38,40に収容された分離容器50又は回収容器54の温度が一定温度に調節される。温調ポート38は、分離容器50用であり、例えば搬送アーム24の保持部25の軌道上に並べて4つ配置されている。温調ポート40は、回収容器54用であり、分離容器50用の温調ポート38と同様、例えば搬送アーム24の保持部25の軌道上に並べて4つ配置されている。ただし、温調ポート38,40の数は、それぞれ4つに限らず、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
図6Aは、濾過ポート30の構成例を示す平面図である。図6Bは、図6AのX−X断面を示す断面図である。図6Cは、図6AのY−Y断面を示す断面図である。図6Dは、濾過ポート30に前処理キットを設置した状態を示す断面図である。
濾過ポート30は、例えば凹部からなり、当該凹部が前処理キットを設置するための設置空間30aを構成している。すなわち、搬送アーム24により容器保持部12から搬送された分離容器50及び回収容器54が、図6Dに示すように、互いに重ねられた状態で設置空間30a内に設置される。このとき、設置空間30aには、まず回収容器54が収容され、その後に回収容器54の内部空間54aに分離容器50の下部が収容される。
濾過ポート30内には、回収容器54を挟み込むように保持する保持部材31が設けられている。保持部材31は、例えば上方が開放されたU字状の金属部材であり、上方に延びた2本の腕部が濾過ポート30の内径方向へ弾性的に変位可能な2本の板ばねを構成している。保持部材31の2本の板ばね部分は、例えば上端部と下端部の間の部分において、互いの間隔が最も狭くなるように内側に窪んだ湾曲形状又は屈曲形状となっている。2本の板ばね部分の間隔は、上端部及び下端部では回収容器54の外径よりも大きく、最も間隔が狭い部分では回収容器54の外径よりも小さくなっている。
上記のような保持部材31の形状により、濾過ポート30の設置空間30a内に回収容器54が差し込まれた場合には、回収容器54が下降するのに応じて保持部材31の2本の板ばね部分が開き、その弾性力によって回収容器54が設置空間30aに保持される。回収容器54は、保持部材31の2本の板ばね部分により、互いに対向する2方向から均等に押圧され、設置空間30aの中央部に保持される。保持部材31は、設置空間30a内に固定されており、回収容器54が取り出される際に回収容器54とともに浮き上がらないようになっている。
濾過ポート30の上面開口部の縁には、弾性力を有するリング状の封止部材60が設けられている。封止部材60は、例えば濾過ポート30の上面開口部の縁に設けられた窪みに嵌め込まれている。封止部材60の材質は、例えばシリコーンゴムやEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などの弾性材料である。濾過ポート30の設置空間30a内に回収容器54及び分離容器50が設置された場合には、分離容器50のスカート部51の下端が封止部材60に当接し、スカート部51によって設置空間30aが密閉された状態となる。ただし、分離容器50における封止部材60との接触部分は、スカート部51のような形状の部材により構成されるものに限らず、例えばフランジ部などの他の各種形状の接触部により構成することができる。
設置空間30aには、濾過ポート30の底面から減圧用の流路56が連通している。流路56には、負圧負荷機構55の流路57が接続されている。負圧負荷機構55は、例えば真空ポンプを含み、設置空間30a内に負圧を負荷する負圧負荷部を構成している。濾過ポート30に分離容器50及び回収容器54が収容された状態で、負圧負荷機構55により設置空間30a内を減圧すれば、設置空間30a内が負圧になる。
負圧になった設置空間30aには、回収容器54の切欠き54d、及び、回収容器54の内周面と分離容器50の外周面との隙間を介して、回収容器54の内部空間54aが連通している。分離容器50の上面は大気開放されているため、分離容器50の内部空間50aと回収容器54の内部空間54aとの間に分離層52を介して圧力差が生じる。したがって、分離容器50の内部空間50aに収容されている試料のうち分離層52を通過することができる成分のみが、その圧力差によって分離層52で分離され、回収容器54の内部空間54a側に抽出される。
図7は、負圧負荷機構55の構成例を示す概略図である。2つの濾過ポート30は、共通の真空タンク66に接続されている。各濾過ポート30と真空タンク66との間は、それぞれ流路57により接続されており、各流路57には圧力センサ62及び3方バルブ64が設けられている。各濾過ポート30の設置空間30a内の圧力は、各圧力センサ62により検知される。各3方バルブ64は、濾過ポート30と真空タンク66との間を接続した状態、流路57のうち濾過ポート30側を大気開放した状態(図7の状態)、又は、流路57のうち濾過ポート30側の端部を密閉した状態のいずれかに切り替えることができる。
真空タンク66には、圧力センサ68が接続されるとともに、3方バルブ69を介して真空ポンプ58が接続されている。したがって、3方バルブ69を切り替えることにより、必要に応じて真空タンク66に真空ポンプ58を接続し、真空タンク66内の圧力を調節することができる。
いずれかの濾過ポート30において試料の抽出処理を実行する際には、その濾過ポート30と真空タンク66との間を接続し、当該濾過ポート30の設置空間30a内の圧力を検知する圧力センサ62の値が所定値となるように調節する。その後、流路57のうち当該濾過ポート30側の端部を密閉した状態にする。これにより、濾過ポート30の設置空間30aが密閉系となり、設置空間30a内の減圧状態が維持されることによって、試料の抽出が行われる。
再び図2を参照すると、この前処理装置1には、回収容器54に抽出された試料をオートサンプラ101側に転送するための試料転送部42が備えられている。試料転送部42は、水平面内で一方向(図2の矢印方向)に移動する移動部44を備えており、当該移動部44の上面に、回収容器54を設置するための転送ポート43が設けられている。移動部44は、例えばラックピニオン機構を有する駆動機構の動作により移動する。
オートサンプラ101側への試料の転送を行っていないときには、搬送アーム24の保持部25の軌道上(図2に実線で示されている位置)に転送ポート43が配置される。この状態で、搬送アーム24による転送ポート43への回収容器54の設置や、転送ポート43からの回収容器54の回収が行われる。
オートサンプラ101側への試料の転送を行う際には、抽出された試料を収容している回収容器54が転送ポート43に設置された後、移動部44が前処理装置1の外側方向へ移動し、転送ポート43がオートサンプラ101に隣接する位置(図2に破線で示されている位置)に配置される。この状態で、オートサンプラ101に設けられたサンプリング用のプローブにより、回収容器54内の試料が吸引される。
オートサンプラ101による試料吸引が終了すると、移動部44は元の位置(図2に実線で示されている位置)に戻され、搬送アーム24によって回収容器54が回収される。使用済みの回収容器54は、搬送アーム24によって廃棄ポート34に搬送され、廃棄される。廃棄ポート34は、搬送アーム24の保持部25の軌道上における分注ポート32の近傍に配置されており、使用済みの分離容器50及び回収容器54が廃棄される。
図8は、試薬設置部8の構成例を示す断面図である。容器設置部としての試薬設置部8には、例えばセプタム付き容器が試薬容器10として設置される場合がある。この種の試薬容器10は、容器本体110、セプタム120及びキャップ130を備えている。
試薬容器10の容器本体110は、上面に開口(図示せず)が形成されており、当該開口部を閉塞するようにセプタム120が配置される。そして、セプタム120の上方からキャップ130が被せられ、容器本体110に対して締め付けて固定されることにより、容器本体110の内部がセプタム120によって密閉される。これにより、容器本体110内に収容される試薬が、蒸発により濃縮されるのを防止することができる。
キャップ130におけるセプタム120に対向する位置には、貫通孔131が形成されている。セプタム120は、例えばゴムなどの弾性部材により形成されており、容器本体110内の試薬を分注する際には、試薬分注プローブ26aの先端が貫通孔131を通ってセプタム120を貫通し、容器本体110内に進入する。そして、容器本体110内の試薬が試薬分注プローブ26a内に吸引された後、試薬分注プローブ26aが容器本体110内から退避することによりセプタム120から引き抜かれ、分注位置へと移動する。
試薬設置部8には、試薬容器10を収容する容器ホルダ81が設けられている。容器ホルダ81は、例えば円柱状に形成されており、上面に形成された断面円形状の開口部811から試薬容器10を挿入して収容することができる。この容器ホルダ81は、試薬設置部8に対して着脱可能となっている。具体的には、容器ホルダ81の外径に対応する内径を有する凹部82が試薬設置部8に形成されており、この凹部82内に上方から容器ホルダ81が挿入されて取り付けられる。
容器ホルダ81には、板バネ83が設けられている。板バネ83は、細長い板状の金属板が屈曲及び湾曲されることにより、その形状が中央部に対して対称となるように形成されている。板バネ83は、その中央部がネジなどの固定具84を用いて容器ホルダ81の底部に固定されている。これにより、板バネ83は、容器ホルダ81の底部を通って、容器ホルダ81の外周面を両側から挟み込むようにして取り付けられる。
板バネ83の両端部は、U字状に湾曲、又は、V字状に屈曲されることにより、爪部831として構成されている。各爪部831の先端は、容器ホルダ81に試薬容器10が収容された状態で、試薬容器10の外面に接触又は近接している。この例では、1対の爪部831の先端が試薬容器10のキャップ130の外周面に接触し、両側からキャップ130を挟み込んでいる。
本実施形態では、試薬容器10のキャップ130の下端縁が、径方向に張り出したフランジ部132となっている。したがって、上記のように1対の爪部831の先端がキャップ130の外周面に接触した状態では、試薬容器10が上方に移動したときに、キャップ130のフランジ部132が1対の爪部831に引っ掛かることとなる。したがって、例えば試薬分注プローブ26aがセプタム120から引き抜かれる際に、試薬分注プローブ26aとセプタム120との間の摩擦抵抗により、試薬容器10が試薬分注プローブ26aとともに容器ホルダ81から浮き上がろうとした場合でも、1対の爪部831により、試薬容器10が浮き上がるのを防止することができる。
また、板バネ83の中央部と両端部との間の部分(中間部)には、U字状に湾曲、又は、V字状に屈曲されることにより、容器ホルダ81を試薬設置部8に固定するための1対の係合部832が構成されている。1対の係合部832は、それぞれ外側(容器ホルダ81側とは反対側)に突出しており、それぞれ弾性変形した状態で試薬設置部8の凹部82の内面に接触する。
これにより、容器ホルダ81に取り付けられた板バネ83の1対の係合部832を介して、容器ホルダ81を試薬設置部8に係合させることができる。また、容器ホルダ81を取り外す際には、1対の係合部832の弾性力に抗して試薬設置部8から引き抜くことにより、容易に取り外すことができる。このように、本実施形態では、1対の係合部832を介して容器ホルダ81を試薬設置部8に容易に着脱することができる。
使用する試薬容器10のサイズによっては、容器ホルダ81を着脱する必要がある。例えば、使用する試薬容器10のサイズが比較的大きい場合には、容器ホルダ81を取り外すことにより、試薬設置部8の凹部82に試薬容器10を直接設置したり、異なるサイズの試薬容器10に対応する容器ホルダ81に付け替えたりする場合がある。このような場合でも、容器ホルダ81を容易に着脱することができるため、作業を円滑に行うことができる。
容器ホルダ81の外周面には、板バネ83に対向する位置に、上下方向に延びる1対の凹部812が形成されている。1対の凹部812は、板バネ83と略同一の幅で形成されており、板バネ83の一部(中間部)は、1対の凹部812内に収容された状態で上下方向に延びている。1対の係合部832は、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられていない状態では1対の凹部812内からそれぞれ突出しているが、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられることにより弾性変形し、図8のように1対の凹部812内に収容された状態となる。
図9A及び図9Bは、容器ホルダ81を試薬設置部8に取り付ける際の態様について説明するための断面図である。図9Aは、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられる前の状態を示しており、図9Bは、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられた後の状態を示している。なお、図9A及び図9Bでは、容器ホルダ81に試薬容器10が収容されていない状態について説明する。
図9Aに示すように、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられていないときには、板バネ83の両端部が拡がった状態となっており、1対の爪部831が、それぞれ容器ホルダ81の開口部811に対向しない位置にある。この状態から、容器ホルダ81が試薬設置部8の凹部82内に挿入されると、1対の係合部832が試薬設置部8の凹部82の内面に摺接して弾性変形し、図9Bに示すように、板バネ83の両端部が窄まった状態となる。
このように、1対の係合部832が弾性変形するのに伴って、容器ホルダ81の外周面に形成された1対の凹部812内に板バネ83の一部(中間部)が収容されるとともに、1対の爪部831が、それぞれ容器ホルダ81の開口部811に対向する位置まで移動する。すなわち、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられるのに伴って、1対の爪部831を適切な位置に移動させることができる。したがって、容器ホルダ81を試薬設置部8に取り付ける作業とは別に、1対の爪部831の位置を調整する作業が不要となるため、作業をさらに円滑に行うことができる。
また、容器ホルダ81が試薬設置部8に取り付けられるのに伴って、板バネ83の一部が容器ホルダ81の外周面に形成された1対の凹部812内に収容されるため、板バネ83の一部が余分にスペースを取るのを防止することができる。したがって、無駄なスペースが生じにくく、容器ホルダ81と試薬設置部8との間にがたつきが生じにくい。
図9Bに示す状態で、容器ホルダ81の開口部811に上方から試薬容器10を挿入しようとした場合には、図9Bに二点鎖線で示すように、1対の爪部831が試薬容器10の外面に接触する。そして、挿入方向(下方向)Dに沿って試薬容器10がさらに押し込まれると、板バネ83の両端部が弾性変形することにより拡げられ、開口部811に対向する位置から退避する。
その結果、試薬容器10を開口部811に挿入することが可能となり、試薬容器10が開口部811から容器ホルダ81内に収容されたときには、図8に示すように、1対の爪部831が試薬容器10に接触又は近接した状態で、試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを防止することができる。このように、試薬容器10を開口部811から挿入するだけで容器ホルダ81に収容して固定することができるため、試薬設置部8に対する試薬容器10の設置が容易である。
本実施形態では、1対の爪部831が、容器ホルダ81に設けられた板バネ83により形成されている。したがって、容器ホルダ81とともに1対の爪部831を試薬設置部8に対して着脱することができる。これにより、容器ホルダ81に収容される試薬容器10の外形に合わせた爪部831を容器ホルダ81に設けることができるため、試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを効果的に防止することができる。
特に、本実施形態では、爪部831及び係合部832が、板バネ83により一体的に構成されている。そのため、板バネ83を用いた簡単な構成により、爪部831及び係合部832を一体的に構成することができる。したがって、簡単な構成で、試薬設置部8に対する試薬容器10の着脱、及び、試薬設置部8に対する容器ホルダ81の着脱を容易に行うことができる。
各爪部831の先端部近傍には、図9Bに示すように、上下方向に延びる開口部811の中心線Lに対して傾斜したテーパ面833が形成されている。各テーパ面833は、中心線L側に向かって徐々に開口部811に近づくように傾斜している。各テーパ面833は、平坦面であってもよいし、凸湾曲面又は凹湾曲面であってもよい。
このように、本実施形態では、開口部811に対する試薬容器10の挿入方向Dに対して傾斜するテーパ面833が各爪部831に形成されている。これらのテーパ面833は、容器ホルダ81の開口部811に対向する位置(上方)に設けられている。そのため、試薬容器10を開口部811から容器ホルダ81に挿入する際には、試薬容器10の外面がテーパ面833に沿って摺接し、各爪部831が円滑に弾性変形する。これにより、試薬容器10を容器ホルダ81に円滑に収容して固定することができるため、試薬設置部8に対する試薬容器10の設置がさらに容易となる。
また、1対の爪部831は、開口部811の中心線Lを挟んで対向するように設けられている。したがって、1対の爪部831に対して、例えば図8に二点鎖線で示すように、一方の爪部831に親指F1を接触させ、他方の爪部831に人差し指F2を接触させることにより、1対の爪部831を離間させて試薬容器10に接触又は近接する位置から退避させながら、試薬容器10(キャップ130)を摘まんで容器ホルダ81から引き抜くことができる。このように、片手で試薬容器10を取り外すことができるため、試薬設置部8に対する試薬容器10の着脱がさらに容易となる。
図10は、試薬設置部8の第1変形例を示す断面図である。この第1変形例では、1対の爪部831の先端が、試薬容器10のキャップ130の外周面ではなく、キャップ130の上面に接触又は近接している。その点を除けば、試薬設置部8の構成は上記実施形態と同様であるため、同様の構成については図に同一符号を付して説明を省略する。
この図10の例に示すように、1対の爪部831の先端がキャップ130の上面に接触又は近接した状態では、試薬容器10が上方に移動したときに、キャップ130の上面が1対の爪部831に引っ掛かることとなる。したがって、1対の爪部831により試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを防止することができる。
図11は、試薬設置部8の第2変形例を示す断面図である。この第2変形例では、1対の爪部831の先端が、試薬容器10のキャップ130ではなく、容器本体110の外周面に接触又は近接している。その点を除けば、試薬設置部8の構成は上記実施形態と同様であるため、同様の構成については図に同一符号を付して説明を省略する。
具体的には、試薬容器10の容器本体110の外周面には、円環状の段差部111が形成されている。段差部111は、例えばキャップ130の下端縁との間に空間を形成しており、この空間内に1対の爪部831の先端が入り込んで段差部111に接触又は近接する。
この図11の例に示すように、1対の爪部831の先端が容器本体110の段差部111に接触又は近接した状態では、試薬容器10が上方に移動したときに、段差部111が1対の爪部831に引っ掛かることとなる。したがって、1対の爪部831により試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを防止することができる。
図12は、1対の爪部831の変形例を示す断面図である。上記実施形態では、1対の爪部831が、板バネ83により構成される場合について説明したが、板バネ83以外の部材により構成することも可能である。この図12の例では、1対の爪部831が、例えば樹脂製の部材により構成されている。
具体的には、1対の爪部831が、それぞれ下方から上方に向かって延びるように設けられており、それらの先端部(上端部)に段差部834が形成されている。試薬容器10が容器ホルダ81に収容された状態では、試薬容器10のキャップ130のフランジ部132に段差部834が接触又は近接する。この状態で試薬容器10が上方に移動したときには、キャップ130のフランジ部132が1対の爪部831の段差部834に引っ掛かることとなる。したがって、1対の爪部831により試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを防止することができる。
また、1対の爪部831の先端面(上端面)には、上下方向に延びる開口部811の中心線Lに対して傾斜したテーパ面835が形成されている。各テーパ面835は、中心線L側に向かって徐々に開口部811に近づくように傾斜している。試薬容器10を開口部811から容器ホルダ81に挿入する際には、試薬容器10の外面がテーパ面835に沿って摺接し、各爪部831が円滑に弾性変形するため、試薬容器10を容器ホルダ81に円滑に収容して固定することができ、試薬設置部8に対する試薬容器10の設置が容易となる。この例では、各テーパ面835が平坦面となっているが、これに限らず、凸湾曲面又は凹湾曲面であってもよい。
以上の実施形態では、爪部831及び係合部832が、それぞれ1対設けられた構成について説明した。しかし、このような構成に限らず、爪部831及び係合部832の少なくとも一方が、1つ又は3つ以上設けられた構成であってもよい。また、爪部831及び係合部832は、板バネ83により一体的に構成されたものに限らず、分離して構成されていてもよい。
爪部831は、試薬容器10に接触又は近接した状態で、試薬容器10が試薬設置部8から浮き上がるのを防止することができるような構成であれば、試薬容器10の容器本体110やキャップ130に接触又は近接するような構成に限らず、試薬容器10の他の部分に接触又は近接するような構成であってもよい。
係合部832は、板バネ83により構成されるものに限らず、例えば板バネ83以外の別の弾性体により構成されていてもよいし、弾性体以外の部材により構成されていてもよい。また、係合部832は、容器ホルダ81に設けられた構成に限らず、例えば試薬設置部8側に設けられて、容器ホルダ81に係合するような構成であってもよい。同様に、爪部831も容器ホルダ81に設けられた構成に限られるものではなく、試薬設置部8や他の部材に設けられていてもよい。
以上の実施形態では、容器本体110内に試薬が収容されている場合について説明した。しかし、容器本体110内に収容される液体は、試薬に限らず、内部標準液や試料などの他の液体であってもよい。この場合、セプタム付き容器は試薬容器10に限られるものではなく、試薬設置部8とは異なる容器設置部(例えば試料設置部2など)に設置されてもよい。
1 前処理装置
2 試料設置部
4 試料ラック
6 試料容器
8 試薬設置部
10 試薬容器
12 容器保持部
81 容器ホルダ
82 凹部
83 板バネ
84 固定具
110 容器本体
111 段差部
120 セプタム
130 キャップ
131 貫通孔
132 フランジ部
811 開口部
812 凹部
831 爪部
832 係合部
833 テーパ面
834 段差部
835 テーパ面

Claims (8)

  1. セプタム付き容器内からプローブで吸引した液体を用いて前処理を行うための前処理装置であって、
    セプタム付き容器が設置される容器設置部と、
    前記容器設置部に対して着脱可能であり、開口部から挿入されるセプタム付き容器を収容する容器ホルダと、
    セプタム付き容器が前記容器ホルダから浮き上がるのを防止する爪部とを備え、
    前記爪部は、前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置に設けられており、前記開口部から挿入されるセプタム付き容器の外面に接触して弾性変形することにより、前記開口部に対向する位置から退避するとともに、セプタム付き容器が前記容器ホルダに収容されたときには、セプタム付き容器に接触又は近接した状態で、セプタム付き容器が前記容器設置部から浮き上がるのを防止することを特徴とする前処理装置。
  2. 前記爪部は、前記容器ホルダに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の前処理装置。
  3. 前記爪部には、前記開口部に対するセプタム付き容器の挿入方向に対して傾斜するテーパ面が形成されており、当該テーパ面が、前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の前処理装置。
  4. 前記爪部は、前記開口部の中心線を挟んで対向するように1対設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の前処理装置。
  5. 前記容器ホルダ及び前記容器設置部を係合させて、前記容器ホルダを前記容器設置部に固定するための係合部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の前処理装置。
  6. 前記爪部及び前記係合部が、板バネにより一体的に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の前処理装置。
  7. 前記容器ホルダが前記容器設置部に取り付けられることにより、前記係合部が弾性変形し、それに伴って前記爪部が前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置まで移動することを特徴とする請求項6に記載の前処理装置。
  8. 前記容器ホルダの外周面には、前記板バネの一部を収容する凹部が形成されており、
    前記係合部が弾性変形するのに伴って、前記板バネの一部が前記凹部内に収容されるとともに、前記爪部が前記容器ホルダの前記開口部に対向する位置まで移動することを特徴とする請求項7に記載の前処理装置。
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