JP2018001351A - 研削装置及び研削方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工時間を延ばすことなく、精度の高い研削を実現できる研削装置及び研削方法を提供すること。【解決手段】研削装置1は、工作物Wの軸方向の所定位置にて工作物Wの径方向の寸法を計測する計測装置17と、計測装置17からの計測値に基づいて切込方向の残り取り代を算出し、残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には砥石車の次の切込量として規定の切込量を選択する一方、残り取り代が規定の切込量より少ない場合には次の切込量として残り取り代を選択することで次の切込量を決定する残り取り代から砥石車15の次の切込量を決定する制御装置20とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、研削装置及び研削方法に関するものである。
工作物の仕上がり精度を向上する構成として、特許文献1には、研削負担が大きい粗研削工程で、切込量を工作物の撓み量に比例して変化させる研削方法が開示されている。また特許文献2には、第1被研削部を直接定寸にて研削せしめ、砥石の研削面の性状に応じて第2被研削部を間接定寸にて研削せしめる研削装置が開示されている。
また、特許文献3には、円筒状の長尺の工作物と砥石車とを、工作物の軸方向に相対移動させてトラバース研削を行う研削装置が開示されている。一般に、トラバース研削においては、定寸装置などの計測装置により工作物の径方向の寸法を実測しながら研削し、工作物の径方向の寸法が予め設定された仕上がり寸法に達すると研削完了とされる。
特開平8−39404号公報 特開平6−304863号公報 特開2008−200816号公報
しかし、トラバース研削では、砥石車を切込方向へ相対移動させる位置と計測装置により計測する位置が異なる場合がある。このような場合には、規定の仕上がり寸法に達した時点で砥石車の切込みを停止させることができず、規定の仕上がり寸法に達するまで所定の切込量分の切込みと、軸方向移動するトラバース研削が繰り返し実施されるので工作物を仕上がり寸法より小径に削るおそれがある。従って、工作物ごとに仕上がり寸法にばらつきが発生するおそれがある。ばらつきを小さくするために、トラバース研削1回当たりの切込量を小さくすることも考えられるが、これではトラバース回数が増加して加工時間が延びる。
本発明は、加工時間を延ばすことなく、精度の高い研削を実現できる研削装置及びトラバース研削方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る研削装置は、工作物と砥石車とを前記工作物の軸線と交差する方向に切込量だけ切込み、前記工作物と前記砥石車とを前記工作物の軸方向に相対移動することによりトラバース研削を行い、前記切込み、前記トラバース研削を繰り返す研削装置であって、前記工作物の軸方向の所定位置にて前記工作物の径方向の寸法を計測する計測装置と、前記計測装置からの計測値に基づいて切込方向の残り取り代を算出し、前記残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には砥石車の次の切込量として前記規定の切込量を選択する一方、前記残り取り代が前記規定の切込量より少ない場合には前記次の切込量として前記残り取り代を選択することで前記次の切込量を決定する制御装置とを備える。
また、本発明に係る研削方法は、工作物と砥石車とを前記工作物の軸線と交差する方向に切込量だけ切込み、前記工作物と前記砥石車とを前記工作物の軸方向に相対移動することによりトラバース研削を行い、前記切込み、前記トラバース研削を繰り返す研削方法であって、前記工作物の軸方向の所定位置にて前記工作物の径方向の寸法に基づいて切込方向の残り取り代を算出する工程と、前記残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には、砥石車の次の切込量として前記規定の切込量を選択する一方、前記残り取り代が前記の切込量より少ない場合には、前記次の切込量として前記残り取り代を選択ことで前記次の切込量を決定する工程と、前記次の切込量に基づいて前記トラバース研削を行う工程と、を備える。
本発明によれば、制御装置は、計測装置で計測された実際の工作物の径方向の寸法と、予め設定された研削完了の径方向の寸法(仕上がり寸法)とにより残り取り代を算出している。そして、残り取り代に基づいて次の切込量が規定の切込量又は残り取り代のいずれかに決定される。従って、最後にトラバース研削を行う際に、最後の切込量は、残り取り代を考慮した量となる。その結果、工作物の削り過ぎを確実に防ぐことができ、精度の高い工作物を得ることができる。
本発明の実施形態における研削装置の概略平面図である。 研削装置の制御装置によるメイン処理を示すフローチャートである。 第一例の研削加工の工程を説明する説明図である。 研削装置によりトラバース研削を行う際において研削装置の制御装置によるトラバース研削処理を示すフローチャートである。 第二例の研削加工の工程を説明する説明図である。 第三例の研削加工の工程を説明する説明図である。 研削装置の制御装置によるコンタリング研削処理を示すフローチャートである。
(1.研削装置1の構成)
研削装置1の構成について、図1を参照して説明する。研削装置1として、図1に示すように、例えば、テーブルトラバース型の円筒研削装置を例に挙げる。ただし、研削装置1は、砥石台を工作物の軸方向にトラバースさせる砥石台トラバース型の研削装置を適用することもできる。また、本実施形態においては、工作物Wの外周面を研削する場合を例に挙げるが、工作物Wの内周面を研削する場合にも適用できる。
図1に示すように、研削装置1は、床上に固定されたベッド10を備え、ベッド10上には、Z軸方向に沿って往復移動可能に設けられたテーブル11と、Z軸に交差するX軸方向に沿って往復移動可能に設けられた砥石台14とを備えている。ここで、本実施形態においては、Z軸方向は、工作物Wの軸方向とし、X軸方向は、工作物Wの軸方向に直交する方向とする。
テーブル11は、駆動モータ110及び図略のボールネジ機構を備えたZ軸駆動装置によりZ軸方向に移動可能とされている。
テーブル11上には、軸状の工作物Wの一端を支持して回転駆動する主軸台12と、工作物Wの他端を回転自在に支持する心押台13が設置されている。そして、主軸台12と心押台13とで工作物Wの中心軸線CLがZ軸方向に一致するように支持し、研削加工時には工作物Wを回転駆動する。主軸台12は工作物Wを回転駆動する主軸モータを備えている。
砥石台14は、駆動モータ140及び図略のボールネジ機構を備えたX軸駆動装置によりX軸方向に移動可能とされている。
砥石台14には、砥石車15が回転可能に設けられている。また、砥石台14には、砥石軸回転モータ16が設けられ、該砥石軸回転モータ16は砥石車15を回転駆動する。
研削装置1は、トラバース研削中の工作物Wの径方向の寸法を計測する計測装置17を備える。計測装置17は、テーブル11上に設置され、工作物Wの特定の軸方向の位置の径方向の寸法を計測する。本実施形態においては、計測装置17は、工作物Wの主軸台12寄りの一端における工作物Wの径方向の寸法を計測する。そして、計測装置17は、計測値が予め設定された仕上げ寸法に達した場合に、後述する制御装置20へ到達信号を送信する。
ここで、計測装置17は、公知の定寸装置を適用することもできるし、定寸装置とは異なる構成の装置を適用することもできる。例えば、定寸装置は、工作物Wを挟むように対向する一対の測定子を有し、一対の測定子を工作物Wに接触させることで工作物Wの径方向の寸法に応じた電気信号を取得する。
また、計測装置17は、正確な計測を行うため、計測時において工作物Wに対して工作物Wの軸方向に相対移動しないように設けられ、工作物Wの特定の1箇所の軸方向位置の径方向の寸法を計測する。そのため、前記のとおり、研削装置1が、テーブルトラバース型の場合には、計測装置17は、テーブル11上に設置される。一方、研削装置1が、砥石台トラバース型の場合には、テーブル11は砥石台14の下に配置されるので、主軸台12、心押台13及び計測装置17は、ベッド10上に設置される。
さらに、研削装置1は、図2のメイン処理、図4のトラバース研削処理を行う制御装置20を備えている。駆動モータ110に駆動電流を与えるテーブル駆動回路21が制御装置20と駆動モータ110に接続され、駆動モータ140に駆動電流を与える砥石台駆動回路22が制御装置20と駆動モータ140に接続されている。制御装置20は、テーブル駆動回路21、砥石台駆動回路22に制御信号を与え、工作物Wと砥石車15の相対位置を制御すると共に、工作物Wの回転、及び、砥石車15の回転を制御する。そして、制御装置20は、予め設定された数値制御データに基づいて、テーブル11や砥石台14を制御することで切込み、トラバース研削を行う。
ここで、トラバース研削方法とは、砥石車15を工作物Wの軸方向に相対移動させながら、工作物Wを研削する方法である。本実施形態においては、工作物Wの径方向の寸法が予め設定された仕上がり寸法に達するまで、トラバース研削を複数回行う。つまり、砥石車15による切込方向(X軸方向)の位置を変えて、トラバース研削を行う。
そこで、制御装置20は、砥石車15による切込量に基づいて、砥石車15による切込方向の位置を決定している。本実施形態においては、制御装置20は、計測装置17による計測値(工作物Wの径方向の寸法)に基づいて次の切込量を決定して、決定された次の切込量に基づいて次のトラバース研削を行う。
(2.制御装置20のメイン処理)
次に制御装置20のメイン処理による研削加工の手順を、図2を参照して説明する。図2に示すように、先ず、砥石車15を工作物W側へ早送り前進せしめる(S1)。続いて、粗研(S2)、精研(S3)、微研(S4)を行う。その後、砥石車15を工作物Wから早送り後退(S5)させて、加工を終了する。尚、粗研(S2)、精研(S3)、微研(S4)の各工程ではそれぞれ、工作物Wが工程毎の所定の仕上がり寸法に至まで複数回にわたり切込み、トラバース研削が行われる。つまり、粗研、精研、微研の各工程で、図4のトラバース処理が行われる。粗研時には粗研時仕上がり寸法があり、精研時には精研時仕上がり寸法があり、微研時には微研時仕上がり寸法があり、それぞれの仕上がり寸法が計測装置17に設定され、それぞれの仕上がり寸法になると、それぞれの到達信号を計測装置17は出力するようになっている。
(3.第一例の研削加工の基本動作の説明)
研削装置1の第一例の研削加工の基本動作について、図3を参照して説明する。図3には、工作物Wに対する砥石車15の移動経路を示す。第一例の研削加工は、円筒状の工作物Wを対象とする。
研削加工の基本動作は、砥石車15を工作物Wの切込方向(X軸方向)へ相対移動させることによる切込み(間欠切込みと称する)と、砥石車15を工作物Wの軸方向(Z軸方向)に相対移動させることによるトラバース研削とを交互に繰り返す。ここで、図3に示す動作において、間欠切込みは、a,c,eで示す動作に対応し、トラバース研削は、b,dで示す動作に対応する。
また、計測装置17が工作物Wの径方向の寸法を計測する位置(所定位置)と、砥石車15を工作物Wに対して相対的に切込方向へ移動する位置(図2のa,cの位置)とは、異なる。つまり、計測装置17は、砥石車15により間欠切込みを行う位置とは異なる位置にて、工作物Wの径方向の寸法を計測している。
そして、図3には、工作物Wに対して砥石車15を研削しながら往復移動させる研削、すなわち、両方向トラバース研削を行う場合を示す。ただし、一方向に研削しながら移動させる研削、他方向に研削なしで移動、すなわち、片方方向トラバース研削を行うようにしてもよい。
(4.制御装置20のトラバース研削処理)
次に、図3及び図4に基づいて研削装置1の制御装置20により粗研(S2)、精研(S3)、微研(S4)でそれぞれ実行されるトラバース研削処理について説明する。研削加工を開始すると、先ず、制御装置20は、計測装置17から到達信号を取得したか否かを判定する(S1)。
計測装置17による計測値が仕上がり寸法に達していなければ、制御装置20は、到達信号を取得しない。そこで、制御装置20が到達信号を取得していなければ(S10:N)、計測装置17で計測された工作物Wの径方向の寸法と仕上がり寸法との差から、仕上がり寸法にするまでに研削する必要のある残り取り代を算出する(S11:算出工程)。続いて、制御装置20は、残り取り代が予め設定された規定の間欠切込量以上であるか否かを判定する(S12:判定工程)。
残り取り代が規定の間欠切込量以上の場合には(S12:Y)、制御装置20は、次の切込量として規定の切込量を選択する。そして、制御装置20は、工作物Wの一端(図3の左側、主軸台12側)において、選択された規定の切込量分の間欠切込みを行うように、砥石車15の切込方向の位置を制御する(S13)。つまり、砥石車15により、規定の切込量分の間欠切込みが行われる(図3のa動作)。
一方、残り取り代が規定の間欠切込量よりも少ない場合には(S12:N)、制御装置20は、次の切込量として、規定の切込量ではなく、残り取り代を選択する。そして、制御装置20は、工作物Wの一端において、選択された残り取り代分の間欠切込みを行うように、砥石車15の切込方向の位置を制御する(S14)。つまり、砥石車15により、残り取り代分の間欠切込みが行われる。
これらS13又はS14の処理の後、制御装置20は、工作物Wの一端から他端に至る第1のトラバース研削を行うように、テーブル11のZ軸方向の位置を制御する(S15)。つまり、砥石車15により、工作物Wに対して第1のトラバース研削が行われる(トラバース研削工程、図3のb動作)。
続いて、砥石車15が工作物Wの他端に至って、第1のトラバース研削が終了すると、制御装置20は、計測装置17から到達信号を取得したか否かを判定する(S16)。制御装置20が到達信号を取得していなければ(S16:Y)、計測装置17で計測された工作物Wの径方向の寸法と仕上がり寸法との差から残り取り代を算出する(S17:算出工程)。続いて、制御装置20は、残り取り代が規定の間欠切込量以上であるか否かを判定する(S18:判定工程)。
残り取り代が規定の間欠切込量以上の場合には(S18:Y)、制御装置20は、次の切込量として規定の切込量を選択する。そして、制御装置20は、工作物Wの他端(図2の右側、心押台13側)において、選択された規定の切込量分の間欠切込みを行うように、砥石車15の切込方向の位置を制御する(S19)。つまり、砥石車15により、規定の切込量分の間欠切込みが行われる(図3のc動作)。
一方、残り取り代が規定の間欠切込量よりも少ない場合には(S18:N)、制御装置20は、次の切込量として、規定の切込量ではなく、残り取り代を選択する。そして、制御装置20は、工作物Wの他端において、選択された残り取り代分の間欠切込みを行うように、砥石車15の切込方向の位置を制御する(S20)。つまり、砥石車15により、残り取り代分の間欠切込みが行われる(図3のe動作)。
これらS19又はS20の処理の後、制御装置20は、工作物Wの他端から一端に至る第2のトラバース研削を行うように、テーブル11のZ軸方向の位置を制御する(S21)。つまり、砥石車15により、工作物Wに対して、第1のトラバース研削とは反対方向への研削である第2のトラバース研削が行われる(トラバース研削工程、図3のd動作)。
続いて、砥石車15が工作物Wの一端に至って、第2のトラバース研削が終了すると、制御装置20は、再びS10の処理を実行する。このように、制御装置20は、S10乃至S21の処理を繰り返し行い、S10又はS16の処理で到達信号を取得すれば加工完了とされる。
尚、図3に示す第一例の研削加工では、S20の処理で残り取り代分の間欠切込み(e動作)を行い、S21の処理による第2のトラバース研削(d動作)が終了すると、S10の処理において到達信号を取得するので加工終了となる。一方で、S14の処理において工作物Wの一端で残り取り代分の間欠切込みを行い、S15の処理による第2のトラバース研削(b動作)が終了すると、S16の処理において到達信号を取得するので加工終了となる。
(5.第二例の研削加工)
図2に示す前記の第一例の研削加工は、円筒状の工作物Wを対象としたが、この他に第二例の研削加工にも適用できる。第二例の研削加工は、図5に示すように、スプール弁などの長手方向に複数箇所の被研削部を有し、2つの被研削部間に砥石車15の幅より小さい幅を持つ溝部を有する工作物W1を対象とする。この場合、図5のb,dの動作に示すように、断続的なトラバース研削となる。そして、計測装置17は、例えば、一端から2番目の被研削部の径方向の寸法を計測し、制御装置20は、これに基づいて残り取り代を算出して次の切込量を決定する。
(6.第三例の研削加工)
次にトラバース研削の一種であるコンタリング研削に本発明を適用した第三例を説明する。第三例の研削加工は、図6に示すように、大径部と、小径部と、両者間に大径側から漸次縮径するテーパー部とを備えた工作物W2を対象とする。この場合、図6の動作b,dに示すように、各トラバース研削の途中において、砥石車15の切込方向(X軸方向)の位置が変化する。そして、計測装置17は、例えば、小径部の径方向の寸法を計測し、制御装置20は、これに基づいて残り取り代を算出して次の切込量を決定するようにしている。これに限らず、計測装置17は、大径部又はテーパー部の径方向の寸法を計測し、制御装置20は、計測した寸法に基づいて次の切込量を決めるようにしてもよい。
(7.制御装置20のコンタリング研削処理)
次に、図6及び図7に基づいて研削装置1の制御装置20により粗研(S2)、精研(S3)、微研(S4)でそれぞれ実行されるコンタリング研削処理について説明する。研削加工を開始すると、先ず、制御装置20は、計測装置17から到達信号を取得したか否かを判定する(S30)。
制御装置20が到達信号を取得していなければ(S30:N)、計測装置17で計測された工作物W2の小径部の径方向の寸法と仕上がり寸法との差から、仕上がり寸法にするまでに研削する必要のある残り取り代を算出する(S31:算出工程)。続いて、制御装置20は、残り取り代が予め設定された規定の間欠切込量以上であるか否かを判定する(S32:判定工程)。
残り取り代が規定の間欠切込量以上の場合には(S32:Y)、制御装置20は、次の切込量として規定の切込量を選択する。そして、制御装置20は、工作物W2の一端(図6の左側、主軸台12側)において、選択された規定の切込量分の間欠切込みを行うように、砥石車15の切込方向の位置を制御する(S33)。つまり、砥石車15により、規定の切込量分の間欠切込みが行われる(図6のa動作)。
一方、残り取り代が規定の間欠切込量よりも少ない場合には(S32:N)、制御装置20は、次の切込量として、規定の切込量ではなく、残り取り代を選択する。そして、制御装置20は、工作物Wの一端において、選択された残り取り代分の間欠切込みを行うように、砥石車15の切込方向の位置を制御する(S34)。つまり、砥石車15により、残り取り代分の間欠切込みが行われる(図6のe動作)。
これらS33又はS34の処理の後、制御装置20は、工作物W2の一端から他端に至るトラバース研削(コンタリング研削)を行うように、テーブル11のZ軸方向の位置を制御する(S35)。つまり、砥石車15により、工作物W2に対して第1のトラバース研削(第1のコンタリング研削)が行われる(トラバース研削工程(コンタリング研削工程)、図6のb動作)。
続いて、砥石車15が工作物2の他端に至って、トラバース研削(コンタリング研削)が終了すると、制御装置20は、工作物W2の他端において、早送り後退を行うように、砥石車15のX軸方向の位置を制御する(S36)。つまり、砥石車15を工作物W2から離間させることが行われる(図6のf動作)。
次に、制御装置20は、工作物W2の他端から一端に至るトラバース移動を行うように、テーブル11のZ軸方向の位置を制御する(S37)。つまり、砥石車15の工作物W2の一端側へのトラバース移動が行われる(図6のh動作)。その後、制御装置20は、工作物W2の一端において、早送り戻しを行うように、砥石車15のX軸方向の位置を制御する(S36)。つまり、砥石車15を工作物W2の一端側へ前進させることが行われる。砥石車15を前進させた後、制御装置20は、再びS30の処理を実行する。このように、制御装置20は、S30乃至S38の処理を繰り返し行い、S30の処理で到達信号を取得すれば加工完了とされる。尚、図6に示すコンタリング研削では、図7のコンタリング処理の2順目のS32の処理において否定判定がなされ、S34の処理にて残り取り代分の間欠切込みが行われ、S35乃至S38の処理の後に、S30の処理において到達信号を取得して加工終了する。
(8.実施形態の効果)
研削装置1は、上述したように、工作物W,W1,W2と砥石車15とを工作物W,W1,W2の軸方向に相対移動することによりトラバース研削を行う。そして、研削装置1は、工作物W,W1,W2の軸方向の所定位置にて工作物W,W1,W2の径方向の寸法を計測する計測装置17と、計測装置17からの計測値に基づいて切込方向の残り取り代を算出し、残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には砥石車15の次の切込量として規定の切込量を選択する一方、残り取り代が規定の切込量より少ない場合には次の切込量として残り取り代を選択することで次の切込量を決定する制御装置20とを備える。
そして、前記の研削装置1を用いた研削方法は、工作物W,W1,W2の軸方向の所定位置にて工作物W,W1,W2の径方向の寸法に基づいて切込方向の残り取り代を算出する工程(図4のS11,S17、図7のS31)と、残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には、砥石車15の次の切込量として規定の切込量を選択する一方、残り取り代が規定の切込量より少ない場合には、次の切込量として残り取り代を選択ことで次の切込量を決定する工程(図4のS12,S13,S14,S18,S19,S20、図7のS32,S33,S34)と、次の切込量に基づいてトラバース研削を行う工程(図4のS15,S21、図7のS35)と、を備える。
つまり、制御装置20は、計測装置17で計測された実際の工作物W,W1,W2の径方向の寸法と、予め設定された仕上がり寸法とにより残り取り代を算出している。そして、残り取り代に基づいて次の切込量が決定される。従って、最後にトラバース研削を行う際に、最後の切込量は、残り取り代を考慮した量となる。その結果、工作物W,W1,W2の削り過ぎを確実に防ぐことができ、精度の高い工作物W,W1,W2を得ることができる。
また、制御装置20は、残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には、次の切込量として規定の切込量を選択する一方、制御装置20は、残り取り代が規定の切込量より少ない場合には、次の切込量として残り取り代を選択するので、間欠切込みとトラバース研削とを交互に繰り返す加工に好適であり、必要以上にトラバース回数を増やすことなく加工時間を延ばさずに済む。
計測装置17は、これを取付ける取付台をテーブル11に設置したので、取付台の位置が工作物W,W1,W2近傍となり、取付台の構造が簡素化でき低コストで済む。また計測装置17は、工作物W,W1,W2の軸方向に移動することなく一定の位置で計測するので精度の良い計測が可能である。更に計測装置17が計測する所定位置は、砥石車15を工作物W,W1,W2に対して相対的に切込方向へ移動する位置とは異なる位置であり、計測装置17は、トラバース研削時における工作物W,W1,W2の径方向の寸法を計測している。特に、このような場合に、工作物W,W1,W2の削り過ぎを確実に防ぐことができ、精度の高い工作物W,W1,W2を得ることができる。
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、例えば工作物の軸線に対して斜め方向に砥石台を移動させるアンギュラ研削装置に適用してもよい。
1:研削装置、 15:砥石車、 17:計測装置、 18:制御装置、 W,W1,W2:工作物、 CL:工作物の中心軸線

Claims (3)

  1. 工作物と砥石車とを前記工作物の軸線と交差する方向に切込量だけ切込み、前記工作物と前記砥石車とを前記工作物の軸方向に相対移動することによりトラバース研削を行い、前記切込み、前記トラバース研削を繰り返す研削装置であって、
    前記工作物の軸方向の所定位置にて前記工作物の径方向の寸法を計測する計測装置と、
    前記計測装置からの計測値に基づいて切込方向の残り取り代を算出し、前記残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には砥石車の次の切込量として前記規定の切込量を選択する一方、前記残り取り代が前記規定の切込量より少ない場合には前記次の切込量として前記残り取り代を選択することで前記次の切込量を決定する制御装置と、
    を備える、研削装置。
  2. 前記所定位置は、前記砥石車を前記工作物に対して相対的に切込方向へ移動する位置とは異なる位置であり、
    前記計測装置は、トラバース研削しても、工作物の軸方向に変化しないで、前記軸方向の一定の位置で前記工作物の径方向の寸法を計測する、請求項1に記載の研削装置。
  3. 工作物と砥石車とを前記工作物の軸線と交差する方向に切込量だけ切込み、前記工作物と前記砥石車とを前記工作物の軸方向に相対移動することによりトラバース研削を行い、前記切込み、前記トラバース研削を繰り返す研削方法であって、
    前記工作物の軸方向の所定位置にて前記工作物の径方向の寸法に基づいて切込方向の残り取り代を算出する工程と、
    前記残り取り代が予め設定された規定の切込量以上の場合には、砥石車の次の切込量として前記規定の切込量を選択する一方、前記残り取り代が前記規定の切込量より少ない場合には、前記次の切込量として前記残り取り代を選択ことで前記次の切込量を決定する工程と、
    前記次の切込量に基づいて前記トラバース研削を行う工程と、
    を備える、研削方法。
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