JP2018000844A - 低抵抗な医療用針 - Google Patents

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高弘 新里
Takahiro Niisato
高弘 新里
文孝 重信
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文孝 重信
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Abstract

【課題】 穿刺抵抗を低減し、また患者の痛みを低減する。
【解決手段】 医療用針は、軸方向に延びた筒または柱形状の針本体と、前記針本体から軸方向に前方に向かって先細りする針先部と、前記針先部からさらに軸方向に前方に延びた平板形状の先導部であって、刃付けられた縁により全体的に縁取られた先導部と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、注射、輸液、採血あるいはカテーテル挿入等の用に供する医療用針に関し、特に、穿刺の際の抵抗を減じて患者への負担を軽減する医療用針に関する。
医療用針は、典型的には細長い中空管であって、その先端が斜めに切断ないし研削されて針先を成している。針先をより鋭利にするべく、一の面のみならず複数の面に沿って多面的に研削することもある。
誰しも経験するように、医療用針を穿刺する際の痛みは、患者にとって相応のストレスである。ストレスを軽減するべく、極端に細い針が実用化されている。
特許文献1ないし3は、関連技術を開示する。
特開2000−262615号 特開2005−52446号 特開2013−141488号
本発明者らが検討したところによれば、針を穿刺する際の抵抗や、患者の痛みには、針の太さよりもむしろ針先形状の方が支配的であることが明らかとなった。すなわち、医療用針を穿刺するとき、針の尖端が皮膚を貫いた後、尖端の直後の斜面部分が皮膚を押し開き、その後に管部分が皮膚に侵入する。尖端の直後の斜面部分は、その相当部分において刃として機能できず、専ら皮膚を切断せずに押し広げるように作用する。かかる部分および後続の管部分は、皮膚組織との間に摩擦を生じてこれを牽引しながら体内に侵入する。摩擦は穿刺抵抗の要因であり、皮膚組織の牽引は患者に与える痛みを増大する要因であると推定される。
本発明の一局面による医療用針は、軸方向に延びた筒または柱形状の針本体と、前記針本体から軸方向に前方に向かって先細りする針先部と、前記針先部からさらに軸方向に前方に延びた平板形状の先導部であって、刃付けられた縁により全体的に縁取られた先導部と、を備える。
好ましくは、前記先導部は少なくとも先端において軸方向に前方に向かって先細りしている。また好ましくは、前記先導部は前記針先部に向かって連続的に幅広になっている、または、前記先導部は少なくとも部分的に前記針先部より幅広になっている。より好ましくは、前記針先部は前記針本体が斜めに切断された斜面形状を有する。
全体的に刃付けられた先導部が最初に皮膚を切り開き、次いで針先部が皮膚に侵入するので、針先部が皮膚に侵入する際の抵抗を減じ、患者への負担を軽減する。
図1は、医療用針の主に針先部の平面および立面図である。 図2は、針先部と針本体との関係の一例を示す平面図である。 図3は、針先部と針本体との関係の他の例を示す平面図である。 図4は、先導部の他の例を示す医療用針の立面図である。 図5は、先導部のさらに他の例を示す医療用針の立面図である。
添付の図面を参照して以下に本発明の幾つかの例示的な実施形態を説明する。
主に図1を参照するに、本実施形態による医療用針1の針本体3は、従来の医療用針と同様に、ステンレス鋼のごとき金属あるいは適宜の可撓性の素材よりなり、その全体が軸方向に延びた円筒状の中空の管である。針本体3は、通常には円筒形状だが、あるいは楕円や多角形等の他の形状の筒であってもよい。またカテーテル挿入等の用に供するものであって、輸液等の必要がなければ、針本体3の内部に空洞は必須ではなく、従って中空に代えて中実であってもよい。その場合に針本体3は円柱、楕円柱、多角柱等でありうる。
針本体3の先端近傍である針先部5は、針本体3から軸方向に前方に向かって先細りしており、その先端からは平板形状の先導部9がさらに前方に延びている。針本体3内部の空洞は、開口7として針先部5において開口している。
針先部5は、先導部9が皮膚に穿刺された後に針本体3が皮膚に侵入するのを誘導するべく、軸方向に前方に向かって先細りしており、その限りにおいて何れの形状であってもよい。針先部5の形状の一例は、従来の医療用針の針先と類似して、斜めに切断ないし研削された斜面11である。かかる斜面11は、単一の面であってもよいし、あるいは互いに僅かに傾いた複数の面よりなっていてもよい。もちろん平面に限らず、曲面であってもよい。
先導部9は、針先部5よりさらに前方に突出しており、図1(b)に示されている通り、概して軸方向に平行な平面である。先導部9の縁15は、皮膚を切り開くべく、刃付けられている。かかる刃付けられた縁15は先導部9の全体に亘り、すなわち先導部9は両刃の刃物に類似した形態である。
先導部9は、その先端17が皮膚を穿刺した後、縁15が皮膚を切り開き易いよう、少なくとも先端17の近傍において、先端17に向かって先細りしている。先端17は尖っていてもよい。あるいは先端17は尖らせずに、平面図で見たときに先端17の近傍が半円、楕円あるいはその他の形状を描いてもよい。
全体的に刃付けられた先導部9は、基部に向かって次第に幅広になり、基部において滑らかに針先部5に連続する。好ましくは図2に示すごとく先導部9の基部の幅は針本体3の幅Wと一致する。かかる形状は、皮膚組織の損傷を防止し、あるいは最小化する点で有利である。また先導部9は、図3に示すごとく部分的に幅Wより広い幅Wを有してもよい。針先部5が皮膚に侵入するのに先立ち、皮膚が十分な幅で切り開かれるので、針先部5の侵入に伴う皮膚組織の損傷はさらに低減される。
また図1ないし3に示す例においては、先導部9はその縁15のみが斜めに研削されているが、全体的に研削されていてもよい。すなわち図4に示すごとく、先導部9の全体が滑らかな曲面を成していてもよい。また上面と下面の両方が研削されていてもよいが、図5に示すごとく上面のみが研削されていてもよく、あるいは下面のみであってもよい。
上述のごとき針先形状は、次のようにして作成することができる。例えばステンレスのごとき金属製の管を、その軸方向に直交するように、あるいはある程度の角度をもって、切断する。次いで切断して得られた端部近傍のみを平坦に押し潰し、先導部9の外形にあわせて切断ないし研削する。さらにこの縁に沿って刃付けすることにより、先導部9が得られる。これとは別に、先導部9よりも後方を、斜めに切断ないし研削することにより、針先部5を得る。切断ないし研削することにより、内部の空洞が自然に開口して開口7が得られる。先導部9を形成する工程と、針先部5を形成する工程とは、これとは逆の順番であってもよいし、あるいは同時であってもよい。
もちろん医療用針1は、上述に代わる適宜の方法により製造することができる。
本実施形態による医療用針1を皮膚に穿刺するとき、最初に先端17が表皮に穴を開け、表皮、真皮および皮下組織からなる皮膚組織内に侵入し、引き続いて先導部9の縁15が表皮および皮膚組織を幅方向に切り開き、その後に針先部5が皮膚組織に侵入する。針先部5が皮膚組織に侵入するときには、既に十分な幅をもって切り開かれているので、針先部5および針本体3が過大な摩擦を生ずることはなく、皮膚組織を強く牽引することもない。
従来技術と異なり、本実施形態においては、皮膚は一点のみにおいて穿刺されるのではなく、一定の幅をもって切り開かれるので、一見すると患者の痛みは増すかのようである。ところがかかる予想に反して、本実施形態は患者の感じる痛みを低減する。これは、皮膚組織内に散在する痛覚受容体は、専ら牽引により強く刺激されるのであって、鋭利な刃物で切り開いてもそれほどには刺激されないからである。痛覚の主要部分は、痛覚受容体が牽引されて刺激されることに基づくのであり、皮膚組織の牽引を抑制した本実施形態は患者の痛みを低減している。
すなわち本実施形態は、穿刺抵抗を低減し、また患者の痛みを低減しうる医療用針を提供している。 好適な実施形態により本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記開示内容に基づき、当該技術分野の通常の技術を有する者が、実施形態の修正ないし変形により本発明を実施することが可能である。
穿刺抵抗を低減し、また患者の痛みを低減しうる医療用針が提供される。
1 医療用針
3 針本体
5 針先部
7 開口
9 先導部
11 斜面
15 刃
17 先端
W,WL 幅

Claims (4)

  1. 軸方向に延びた筒または柱形状の針本体と、
    前記針本体から軸方向に前方に向かって先細りする針先部と、
    前記針先部からさらに軸方向に前方に延びた平板形状の先導部であって、刃付けられた縁により全体的に縁取られた先導部と、
    を備えた医療用針。
  2. 前記先導部は少なくとも先端において軸方向に前方に向かって先細りしている、請求項1の医療用針。
  3. 前記先導部は前記針先部に向かって連続的に幅広になっている、または、前記先導部は少なくとも部分的に前記針先部より幅広になっている、請求項1または2の医療用針。
  4. 前記針先部は前記針本体が斜めに切断された斜面形状を有する、請求項1ないし3の何れか1項の医療用針。
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