JP2018000454A - 医用画像診断装置、その制御方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】管状構造物の分岐先同士が重ならない位置になるよう、当該管状構造物を回転させて表示することの可能な仕組みを提供すること【解決手段】医用画像から抽出される管状構造物の任意の箇所を選択し、選択された箇所の分岐元を特定する。特定された分岐元から、選択された箇所を含む分岐先とは異なる分岐先を特定する。そして、選択された箇所の奥行き方向の位置と、特定された分岐元の奥行き方向の位置と、特定された分岐先の奥行き方向の位置とが、略同一な位置となるように、管状構造物を回転する。【選択図】図8
Description
本発明は、管状構造物の分岐先同士が重ならない位置になるよう、当該管状構造物を回転させて表示することの可能な医用画像診断装置、その制御方法、及びプログラムに関する。
肝臓の血管にできる肝血管腫は腫瘍ではあるものの良性腫瘍であるため、これを切除せずに経過観察する場合が多い。しかしながら、肝血管腫が肥大化してしまうと、それに応じて肝臓も肥大化してしまい他の臓器を圧迫してしまう可能性や、肝血管腫が破裂してしまう可能性がある。
そのため、肥大化した肝血管腫は切除しなければならない。肝切除を行う場合には、あらかじめどの部分を切除するべきかを医用画像を用いて決めておく必要がある。従来、CT装置やMRI装置などで患者を断層撮像し、これにより得られた二次元医用画像を積層してボリュームレンダリングを行うことにより、患者の臓器等を示す三次元データを三次元医用画像として表示する仕組みが存在する。医師はこの仕組みを用いて、肝臓の三次元データを回転させながら、肝臓の三次元医用画像を生成し、切除する領域を検討する。
一般的に切除する領域は、血管が酸素や栄養分を供給する支配領域を考慮した領域となる。すなわち、肝血管腫の存在する血管の支配領域が肝実質のどの領域なのかを、肝臓の三次元医用画像を閲覧しながら特定しなければならない。
そこで特許文献1では、支配領域と部分領域のいずれかを切除領域として適切に決定し、これを医師が適切であるか否かを判断する作業を支援する仕組みが開示されている。
上記特許文献1では、肝血管腫等の異常領域を含む血管の支配領域を自動的に抽出しているが、血管のどの部分から切除するのかについては、医師が判断しなければならない。切除する位置については前述した三次元医用画像を閲覧しながら決定するが、血管同士が前後に重なり合ってしまうと、切除対象の血管を見分けにくいという問題がある。
そこで血管等の三次元データを医師が手動で回転させることで、切除位置を識別しやすいように調整しているが、最適な回転角度に近づけられるか否かは医師がこのような操作に慣れているか否かに因る。
特に、前後に重なりやすい血管というのは、分岐点から分岐する2つの血管である。血管のような管状構造物は、末梢部に向かっていくつもの分岐した構造となっている。この分岐した血管は隣り合っているため、一方の血管に切除する断面を設定し、そこから末梢部に向かって伸びる血管を切除対象として選択したくても、他方の血管が重なってしまい、選択しにくいという問題が発生しやすい。そのため、選択したい血管と、この血管と同じ分岐元の血管とが重ならないような角度で血管の三次元データを回転させることが求められている。
本発明の目的は、管状構造物の分岐先同士が重ならない位置になるよう、当該管状構造物を回転させて表示することの可能な仕組みを提供することである。
上記の目的を達成するために本発明の医用画像診断装置は、医用画像から抽出される、分岐する管状構造物を表示する表示手段と、前記表示手段で表示された管状構造物の任意の箇所を選択する第1の選択手段と、前記第1の選択手段で選択された箇所の分岐元を特定する分岐元特定手段と、前記分岐元特定手段で特定された分岐元から、前記第1の選択手段で選択された箇所を含む分岐先とは異なる分岐先を特定する分岐先特定手段と、前記第1の選択手段で選択された箇所の奥行き方向の位置と、前記分岐元特定手段で特定された分岐元の奥行き方向の位置と、前記分岐先特定手段で特定された分岐先の奥行き方向の位置とが、略同一な位置となるように、前記管状構造物を回転する回転手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、管状構造物の分岐先同士が重ならない位置になるよう、当該管状構造物を回転させて表示することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、医用画像診断装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。尚、図1に示す医用画像診断装置100のハードウェア構成はこれに限らない。
医用画像診断装置100は、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータである。医用画像診断装置100は、CT装置やMRI等で断層撮像することで得られた二次元の医用画像(以下、二次元医用画像という。)を積層してボリュームデータ(三次元データ)を生成する。尚、この二次元医用画像はDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)画像である。そして、ボリュームデータに対してボリュームレンダリングを行うことで生成された三次元の医用画像(以下、三次元医用画像という。)を表示することができる。医用画像診断装置100は、いわゆるパーソナルコンピュータであってもよいしサーバであってもよいが、ワークステーションのような医用画像を処理するために特化したコンピュータであることが望ましい。また、医用画像診断装置100はタッチパネルを備えるタブレット端末や携帯端末であってもよい。
CPU101は、システムバス104に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
また、ROM102あるいは外部メモリ111には、CPU101の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / OutputSystem)やオペレーティングシステムプログラムが記憶されている。また外部メモリ111には、各機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。RAM103は、CPU101の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
CPU101は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM103にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
また、入力コントローラ105は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスといった入力デバイス109からの入力を制御する。
ビデオコントローラ106は、ディスプレイ110等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTや液晶ディスプレイでも構わない。
メモリコントローラ107は、ハードディスクやフレキシブルディスク或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるカード型メモリ等の外部メモリ111へのアクセスを制御する。外部メモリ111(記憶手段)は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶する。
通信I/Fコントローラ108は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
尚、CPU101は、例えばRAM103内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ110上での表示を可能としている。また、CPU101は、ディスプレイ110上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
本発明の医用画像診断装置100が後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等は外部メモリ111に記録されており、必要に応じてRAM103にロードされることによりCPU101によって実行されるものである。さらに、本発明に係わるプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルは外部メモリ111に格納されている。
図2は、医用画像診断装置100の機能構成の一例を示す図である。尚、図2に示す各機能は、図1に示す各ハードウェアや各種プログラム等により実現される構成要素である。また、医用画像診断装置100の機能構成は、これに限らない。
医用画像診断装置100は機能部として以下の構成を備える。二次元医用画像管理部201、ボリュームデータ生成部202、ボリュームレンダリング部203、表示制御部204、部位抽出部205、選択部206、細線化処理部207、構造解析部208、座標管理部209、回転制御部210である。
二次元医用画像管理部201は、外部メモリ111にあらかじめ記憶された二次元医用画像を管理するための機能部である。医用画像診断装置100のユーザからの指示に応じて、指定された二次元医用画像を外部メモリ111から取得する。
ボリュームデータ生成部202は、二次元医用画像管理部201が取得した二次元医用画像を積層して、ボリュームデータを生成するための機能部である。本実施形態において、二次元医用画像は1回の撮像で得られる複数の画像から構成されている(1シリーズ分の画像である)ため、これらを積層して立体的なデータを生成する。必要に応じて、積層した画像間を補間してもよい。
ボリュームレンダリング部203は、ボリュームデータ生成部202で生成されたボリュームデータに対してボリュームレンダリングを行い、三次元医用画像を生成するための機能部である。二次元医用画像は、例えばCT装置で撮像された断層画像であれば、ボクセルごとに、水が0、空気が−1000の値となるCT値を有している。このCT値に応じた色やオパシティ(不透明度)を設定することで、ボリュームデータを可視化し、三次元医用画像を生成する。
表示制御部204は、ボリュームレンダリング部203で生成された三次元医用画像をディスプレイ110に表示するための機能部である(表示手段)。ボリュームレンダリング部203で三次元医用画像が生成される度に表示を更新する。
部位抽出部205は、ボリュームデータから解剖学的な部位を抽出するための機能部である。ここでいう抽出とは、ボリュームデータに含まれる当該部位の領域を抽出することをいう。本実施形態で抽出する部位は、肝臓や肝臓の血管(肝動脈、門脈、肝静脈)であるが、特にこれらに限らない。ボリュームレンダリング部203は、部位抽出部205が抽出した部位の領域に対して色付け及びオパシティの設定を行い、抽出された部位だけが視認可能な三次元医用画像を生成する。
選択部206は、入力デバイス109等がユーザからの選択操作を受け付けることにより、三次元医用画像が示す解剖学的部位の任意の位置を選択するための機能部である。
細線化処理部207は、部位抽出部205で抽出された管状構造物に対して細線化処理を行い、管状構造物の芯線を抽出するための機能部である。これにより、管状構造物の木構造を抽出することができる。
構造解析部208は、細線化処理部207により抽出された管状構造物の木構造を解析するための機能部である。具体的には、選択部206で選択された位置から、血管の末梢部(本実施形態では、肝臓を流れる血管のうち類洞側の末端をいう。)とは逆側の方向を探索することで、選択部206で選択された位置にある第一の血管の分岐元を特定する。また、特定した分岐元から分岐する血管のうち、第一の血管とは異なる分岐先の第二の血管を特定する。
座標管理部209は、ボリュームデータ内で選択または特定された位置の座標を特定するための機能部である。ボリュームデータを表示するための仮想空間として、X軸・Y軸・Z軸の三軸からなる直交座標系で表される三次元空間が医用画像診断装置100に生成される。座標管理部209は、この三次元空間における座標を管理するための機能部である。尚、この三次元空間の座標系は、ワールド座標系(グローバル座標系ともいう。)である。ボリュームデータ自体のローカル座標系についても、同様の直交座標系で座標管理部209が管理している。そのため、座標管理部209は、選択部206で選択された位置の座標や、第一の血管の分岐元の座標、更には第二の血管の座標を特定することができる。
回転制御部210は、ボリュームデータを回転するための機能部である。座標管理部209で特定された、選択部206で選択された第一の血管の座標と、第一の血管の分岐元の座標と、第二の血管の座標とを用いて、これらのグローバル座標系における奥行き方向の座標が一致するような回転角度を算出する。そして、この回転角度でボリュームデータを回転させる。本実施形態においては、三次元空間の右方向がX軸、奥行き方向がY軸、高さ方向がZ軸であるので、ボリュームデータを回転させた結果、これら3つの座標のY座標が略同一となるような回転角度を算出して、回転制御する。これら3つの座標の奥行き方向の位置を合わせることで、ディスプレイ110の面に対して平行な面に3つの座標が位置することになるので、分岐先の血管同士が重ならず、ユーザにとって閲覧しやすくなる効果がある
尚、奥行き方向の座標を一致させることが望ましいが、完全に一致させる必要はない。略同一であればよい。また、回転制御部210はユーザからの回転操作に応じて、ボリュームデータを自由に回転させることも可能である。例えば、入力デバイス109を用いてボリュームデータ上でドラッグ操作をすることにより、そのドラッグ操作によって特定されるパラメータ(マウスの移動量等)の値に応じて、ボリュームデータを回転させることができる。
このようにして回転制御されたボリュームデータが示す血管(管状構造物)を医師であるユーザが閲覧する。そして、ユーザから指定された切除対象の血管と切除する断面(以下、切除断面という。)の選択を選択部206が行う。部位抽出部205は、選択された血管を含む、切除断面から末梢部までの血管の領域を抽出すると共に、この血管の支配領域を更に抽出する。支配領域の抽出方法は、従来技術であるので詳細な説明は省略するが、例えば、特開2007−54147号公報や特開2012−165910号公報等に記載された仕組みを用いることで自動的に抽出することが可能である。
こうして抽出された支配領域を構成するボクセルに対して色づけ及びオパシティの設定を行い、ボリュームレンダリング部203がボリュームレンダリングすることで、支配領域が識別可能な三次元医用画像を生成する。表示制御部204はこれをディスプレイ110に表示させることで切除すべき肝実質をユーザに認識させることができる。
以上が、本実施形態における医用画像診断装置100の機能構成とその処理概要である。
次に、図3A及び図3Bに示すフローチャートを参照して、本発明の一連の処理の流れについて説明する。
図3A及び図3Bは、本発明の処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS301からステップS325の各ステップは、医用画像診断装置100のCPU101によって実行される。尚、図3A及び図3Bに示す処理内容や処理順はあくまで一例であり、これに限られない。また、本実施形態では各ステップの処理を医用画像診断装置100が実行するが、他の装置と協働し、システムとして実行してもよい。
ステップS301では、医用画像診断装置100の二次元医用画像管理部201は、外部メモリ111等にあらかじめ記憶されている、処理対象の二次元医用画像を取得する。ユーザから指定された二次元医用画像であってもよいし、医用画像診断装置100のCPU101によって自動的に決定された二次元医用画像であってもよい。
ステップS302では、医用画像診断装置100のボリュームデータ生成部202は、ステップS301で取得した二次元医用画像を積層し、ボリュームデータを生成する。二次元医用画像のDICOMタグを参照し、断層撮像した距離の間隔が広い場合には、適宜、画像間の補間を行ってもよい。
ステップS303では、医用画像診断装置100のボリュームレンダリング部203は、ステップS302で生成されたボリュームデータに対してボリュームレンダリングを行い、三次元医用画像を生成する。このとき、ボクセルの値(CT値等)に応じた色付けとオパシティの設定を行った上で、ボリュームレンダリングを行う。ステップS303では、撮像対象物である被検体の腹部等が認識可能なように設定する。どういうボクセルの値にどういう色でどういうオパシティを設定するのかは、あらかじめ決められた設定を用いてもよいし、ユーザからの指示に応じて設定してもよい。以下、ボリュームレンダリングを行う場合についても同様である。
ステップS304では、医用画像診断装置100の表示制御部204は、ステップS303で生成された三次元医用画像をディスプレイ110に表示する。ここで表示されるのは、被検体の内部構造ではなく、外部の様子が表示される。例えば、腹部を撮像したのであれば、腹部の外観を示す三次元医用画像が表示される。
ステップS305では、医用画像診断装置100の部位抽出部205は、ステップS302で生成されたボリュームデータから、ユーザから指定された解剖学的な部位の領域を抽出する。本実施形態では肝臓の領域を抽出するものとする。ここでいう領域とは、ボリュームデータを構成するボクセルのうち、肝臓に相当するボクセルの範囲を示す。対象の部位を抽出する方法は従来技術を用いるものとし、自動的に抽出しても手動または半自動で抽出してもよい。抽出方法に関する詳細な説明は省略する。
ステップS306では、医用画像診断装置100のボリュームレンダリング部203は、ステップS305で抽出された肝臓の領域に対して色付けとオパシティの設定を行い、それ以外の領域は不可視にする。そして、ボリュームレンダリングを行って、三次元医用画像を生成する。
ステップS307では、医用画像診断装置100の表示制御部204は、ステップS306で生成された三次元医用画像をディスプレイ110に表示する。ここで表示されるのは、ステップS305で抽出された解剖学的な部位、すなわち本実施形態では肝臓の外観が表示されることになる。
ステップS308では、医用画像診断装置100の選択部206は、ユーザからの指示を受け付けて、指示された血管(管状構造物)の種別を選択する。本実施形態は、肝臓が抽出対象であるので、この肝臓の血管である肝動脈、門脈、肝静脈のいずれかに対する選択を受け付ける。医師は、肝血管腫が存在する血管の種別を選択し、この血管を後述する処理で抽出する。血管種別の選択は、ステップS305で抽出された解剖学的な部位に応じた血管の選択肢をGUI等で受け付ける。
ステップS309では、医用画像診断装置100の部位抽出部205は、ステップS302で生成されたボリュームデータから、ユーザから指定された種別の血管の領域を抽出する。以下、本実施形態ではステップS308で肝静脈が選択された場合を一例にして説明する。ここでいう領域とは、ボリュームデータを構成するボクセルのうち、選択された種別の血管に相当するボクセルの範囲を示す。対象の血管種別を抽出する方法は従来技術を用いるものとし、自動的に抽出しても手動または半自動で抽出してもよい。抽出方法に関する詳細な説明は省略する。
ステップS310では、医用画像診断装置100のボリュームレンダリング部203は、ステップS309で抽出された血管の領域に対して色付けとオパシティの設定を行い、それ以外の領域は不可視にする。そして、ボリュームレンダリングを行って、三次元医用画像を生成する。
ステップS311では、医用画像診断装置100の表示制御部204は、ステップS310で生成された三次元医用画像をディスプレイ110に表示する。ここで表示されるのは、ステップS309で抽出された血管、すなわち本実施形態では肝静脈の外観が表示されることになる。
図4は、抽出された肝静脈401の三次元医用画像400の一例を示す。肝静脈401はボリュームデータのうち肝静脈に相当する領域だけが可視化されている。このボリュームデータが表示されるグローバル座標系は、座標系402に示す通り、画面に対して右方向がX軸、上方向がZ軸である。また、明示はしていないが、奥行き方向がY軸である。座標系はこれに限らない。例えば、画面に対して右方向がX軸、上方向がY軸、奥行き方向がZ軸であってもよい。
ステップS312では、医用画像診断装置100の細線化処理部207は、ステップS309で抽出された血管の芯線を細線化処理によって抽出する。血管の芯線は、血管の軸方向に対する垂直な断面の中心点の集まりである。細線化処理によって血管を細線化すると、この芯線が抽出できる。図5は、細線化処理によって抽出された芯線501の一例を示す。血管の領域すべてに対して細線化処理を行うことで、芯線501に示すような芯線が抽出できる。
ステップS313では、医用画像診断装置100の選択部206は、ユーザから切除対象の第一の血管に対する選択を受け付ける(第1の選択手段)。換言すれば、血管を示す管状構造物の任意の箇所を選択するということである。ここでいう第一の血管や後述する第二の血管とは、分岐点から分岐点までの幹や枝に相当する部分のことをいう。例えば、図6の選択点601がユーザから選択を受け付けた箇所であるとすると、この箇所を含む血管(幹や枝)が第一の血管となる。図6のままだと、第一の血管の手前に、第一の血管と分岐元が同じ第二の血管が存在しており、切除断面の指定がしにくい。そのため、後述する処理によってこのボリュームデータを回転させる。
また、この選択点601のグローバル座標系における座標を座標管理部209が特定し、図11に示す座標情報1100の選択点座標1101に格納する。図11に示す座標情報1100は、本実施形態における座標の管理を行うためのデータ群である。座標情報1100は、選択点座標1101、分岐点座標1102、中間点座標1103、中心点座標1104を備えている。選択点座標1101は、ステップS313で選択された選択点601の座標が格納される。分岐点座標1102は、後述する処理において特定される第一の血管の分岐元を示す分岐点の座標が格納される。中間点座標1103は、第一の血管と同じ分岐元を有する第二の血管における中間点を示す座標が格納される。第二の血管や中間点についても後述する。中心点座標1104は、ボリュームデータを回転させる中心点を示す座標が格納される。デフォルトの中心点は、ボリュームデータ全体の中心点の座標が格納されている。いずれの座標もグローバル座標系における座標である。
図3Aに説明を戻す。ステップS314では、医用画像診断装置100の構造解析部208は、ステップS313で選択された第一の血管の選択点601から、末梢部である毛細血管(本実施形態では、類洞)とは逆方向に遡って、第一の血管の分岐元である分岐点を特定する。換言すれば、選択された第一の血管の箇所から血管の末梢部とは逆方向に向かって探索することにより、第一の血管の分岐元を特定するということである(分岐元特定手段)。
より具体的に説明すると、第一の血管の選択点601が芯線上のどの位置に該当するのかを特定し、その位置から末梢部とは逆方向に向かって芯線上を探索する。そして、最初に見つかった分岐点を第一の血管の分岐点として特定する。図7に示すように、選択点601から末梢部である類洞とは逆方向(肝静脈でいえば下大静脈側702)に探索すると、分岐点701が特定される。ここが第一の血管の分岐元である。この分岐点701のグローバル座標系における座標を特定し、この座標を分岐点座標1102に格納する。
ステップS315では、医用画像診断装置100の座標管理部209は、ステップS314で特定した分岐点701の分岐点座標1102を中心点座標1104に格納する。つまり、特定された分岐元の位置を中心にボリュームデータを回転可能なように設定する。こうすることにより、ボリュームデータを回転させたとしても、比較対象の血管をユーザが見失う可能性が低くなる。
図3Bに説明を移す。ステップS316では、医用画像診断装置100の構造解析部208は、ステップS314で特定された分岐元から伸びる分岐先の血管のうち、選択されていない第二の血管を芯線上で特定する。換言すれば、選択点601を含む分岐先である第一の血管とは異なる分岐先である第二の血管を特定するということである(分岐先特定手段)。図7に示すように、ステップS314で特定した分岐点701からは2つの血管に分岐している。1つは、選択点601を含む第一の血管である。もう1つはステップS316で特定される第二の血管である。この第二の血管が第一の血管に対して重なっているために、第一の血管が視認しにくい状態となっている。
ステップS317では、医用画像診断装置100の座標管理部209は、ステップS314で特定された分岐点701から、ステップS316で特定された第二の血管における次の分岐点までの間の中間点を特定し、この座標を取得する。まず、分岐点701から第二の血管の末梢部側に向かって探索する。そして、最初に発見された分岐点(図7でいう分岐点703)と、分岐点701との芯線上の中間の点を中間点704として特定する。分岐点701から中間点704までの距離と、中間点704から分岐点703までの距離とは同一である必要はない。中間点704は、分岐点701から分岐点703までの間のいずれかの点であればよい。こうして特定された中間点704のグローバル座標系における座標を、中間点座標1103に格納する。
ステップS318では、医用画像診断装置100の回転制御部210は、第一の血管の選択点601と第二の血管の中間点704と分岐元の分岐点701とが同じ奥行き方向の座標になるような回転角度を算出し、この回転角度でボリュームデータを回転させる。換言すれば、選択点601の奥行き方向の位置と、中間点704の奥行き方向の位置と、分岐点701の奥行き方向の位置とが、略同一な位置となるように血管を示す管状構造物を回転させるということである(回転手段)。奥行き方向の位置が略同一になるようにするというのは、本実施形態においては、各点のY座標を一致させるということである。すなわち、ディスプレイ110の面と平行な面に各点が配置されることになる。特に、ステップS315で設定した通り、回転の中心は分岐点701であるので、選択点601の奥行き方向の座標と中間点704の奥行き方向の座標とを、分岐点701の奥行き方向の座標と略同一になるように回転させる。このようにすることで、同じ分岐元を有する第一の血管と第二の血管とが重畳しないので、ユーザはこれらの分岐先が閲覧しやすくなる効果がある。
更に、回転させる際には選択点601を含む第一の血管と、ボリュームデータに対して設定される視点との間に、他の血管が重ならないように回転させることが望ましい。すなわち、当該視点から第一の血管が閲覧可能なように回転させることが望ましい。ボリュームデータの中心点座標1104を通るZ軸方向に対して180度反転したほうが、視点と第一の血管との間に他の血管が存在しないので閲覧しやすい場合がある。こういった場合には、ボリュームデータの中心点座標1104を通るZ軸方向に対して180度反転させて表示する。また、第一の血管に限らず、第二の血管や分岐元も当該視点から閲覧可能であるほうがより望ましい。
こうして回転させた結果が、図8である。第一の血管の選択点601や分岐元の分岐点701、第二の血管の中間点704が同じ奥行き方向の位置に存在するので、図6や図7と比較して分岐先の血管が閲覧しやすくなっているのがわかる。
ステップS319では、医用画像診断装置100のボリュームレンダリング部203は、ステップS318で回転されたボリュームデータ対してボリュームレンダリングを行って、三次元医用画像を生成する。
ステップS320では、医用画像診断装置100の表示制御部204は、ステップS319で生成された三次元医用画像をディスプレイ110に表示する。ここで表示されるのは、回転した結果の血管、すなわち本実施形態では肝静脈の回転結果が表示されることになる。
こうして表示された肝静脈を閲覧し、医師であるユーザは肝血管腫が存在する第一の血管の切除断面を選択していく。ステップS321では、医用画像診断装置100の選択部206は、ステップS320で表示された血管に対して切除断面(切除箇所)の選択を受け付ける(第2の選択手段)。切除断面は、図9の切除断面902に相当する。このようにディスプレイ110上で切除する血管を横断するように切除断面の指定を受け付ける。
この切除断面を選択する操作を行う際に、ステップS318に示すような処理でボリュームデータを回転させておくと、ユーザが選択操作を行いやすいというメリットがある。すなわち、図6に示す状態で第一の血管の切除断面を選択しようとしたとしても、手前に表示されている第二の血管によって選択操作が行いにくい問題がある。しかし、本発明によれば図8に示すような状態に自動的にボリュームデータが回転されるので、図9に示すような切除断面の指定がしやすいという効果がある。
そして、ステップS322では、医用画像診断装置100の選択部206は、切除対象の血管、すなわち本実施形態では第一の血管に対する選択を受け付ける。図9でいうと、901の箇所に対する選択を受け付ける。すでにステップS313で第一の血管に対する選択を受け付けているため、ステップS322は省略してもよいが、ボリュームデータを回転した後にあらためて切除対象の血管を選択する場合には、ステップS322の処理を実行する。
ステップS323では、医用画像診断装置100の部位抽出部205は、ステップS322で選択された第一の血管における、ステップS321で選択された切除断面から末梢部(本実施形態では、類洞)までの各血管を抽出する。そして、抽出した血管の支配領域を特定する。支配領域の特定は、前述した通り、例えば、特開2007−54147号公報や特開2012−165910号公報等に記載された仕組みを用いることで自動的に抽出することが可能である。そのため、詳細な説明は省略する。これらの技術を用いることで、支配領域に相当するボクセルが特定できる。
ステップS324では、医用画像診断装置100のボリュームレンダリング部203は、ステップS319でボリュームレンダリングしたボリュームデータのうち、ステップS323で特定した支配領域のボクセルに対して色付けやオパシティの設定を行う。そして、設定されたボリュームデータに対してボリュームレンダリングを行い、三次元医用画像を生成する。これにより、ステップS323で抽出した支配領域が識別可能な三次元医用画像が生成される。
ステップS325では、医用画像診断装置100の表示制御部204は、ステップS324で生成された三次元医用画像をディスプレイ110に表示する。こうして表示された結果が図10である。図10に示すように、図9と比較して支配領域1000が識別表示されているのがわかる。ステップS321とステップS322の処理によって指定された血管を切除する場合には、この支配領域1000が示す肝臓の範囲を切除する必要があることを示している。
このように、支配領域1000を抽出するためには切除断面の指定をする必要があるが、切除断面の指定は血管が重複表示されていると指定しにくい。そのため、切除対象の第一の血管とその分岐元と、第一の血管と同じ分岐元を有する第二の血管とをユーザが閲覧しやすい角度でボリュームデータを回転表示させることにより、切除断面の指定が容易になる。
以上説明したように、管状構造物の分岐先同士が重ならない位置になるよう、当該管状構造物を回転させて表示することが可能となる。
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100 医用画像診断装置
Claims (9)
- 医用画像から抽出される、分岐する管状構造物を表示する表示手段と、
前記表示手段で表示された管状構造物の任意の箇所を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段で選択された箇所の分岐元を特定する分岐元特定手段と、
前記分岐元特定手段で特定された分岐元から、前記第1の選択手段で選択された箇所を含む分岐先とは異なる分岐先を特定する分岐先特定手段と、
前記第1の選択手段で選択された箇所の奥行き方向の位置と、前記分岐元特定手段で特定された分岐元の奥行き方向の位置と、前記分岐先特定手段で特定された分岐先の奥行き方向の位置とが、略同一な位置となるように、前記管状構造物を回転する回転手段と
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。 - 前記回転手段は、前記分岐元特定手段で特定された分岐元の位置を中心に、前記管状構造物を回転することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
- 前記回転手段は、前記管状構造物に対して設定される視点から、前記第1の選択手段で選択された箇所が閲覧可能な状態となるように、前記管状構造物を回転することを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像診断装置。
- 前記分岐元特定手段は、前記第1の選択手段で選択された箇所から前記管状構造物の末梢部とは逆方向に向かって探索することにより、前記分岐元を特定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
- 前記医用画像診断装置は、
前記回転手段で回転された管状構造物の切除箇所を選択する第2の選択手段
を更に備え、
前記表示手段は、前記第2の選択手段で選択された切除箇所から前記管状構造物の末梢部までを含む領域を抽出し、当該領域を識別表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。 - 前記表示手段は、前記管状構造物をボリュームレンダリングにより三次元データとして表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
- 前記管状構造物は、血管であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
- 医用画像診断装置の表示手段が、医用画像から抽出される、分岐する管状構造物を表示する表示ステップと、
前記医用画像診断装置の第1の選択手段が、前記表示ステップで表示された管状構造物の任意の箇所を選択する第1の選択ステップと、
前記医用画像診断装置の分岐元特定手段が、前記第1の選択ステップで選択された箇所の分岐元を特定する分岐元特定ステップと、
前記医用画像診断装置の分岐先特定手段が、前記分岐元特定ステップで特定された分岐元から、前記第1の選択ステップで選択された箇所を含む分岐先とは異なる分岐先を特定する分岐先特定ステップと、
前記医用画像診断装置の回転手段が、前記第1の選択ステップで選択された箇所の奥行き方向の位置と、前記分岐元特定ステップで特定された分岐元の奥行き方向の位置と、前記分岐先特定ステップで特定された分岐先の奥行き方向の位置とが、略同一な位置となるように、前記管状構造物を回転する回転ステップと
を備えることを特徴とする医用画像診断装置の制御方法。 - 医用画像診断装置を、
医用画像から抽出される、分岐する管状構造物を表示する表示手段と、
前記表示手段で表示された管状構造物の任意の箇所を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段で選択された箇所の分岐元を特定する分岐元特定手段と、
前記分岐元特定手段で特定された分岐元から、前記第1の選択手段で選択された箇所を含む分岐先とは異なる分岐先を特定する分岐先特定手段と、
前記第1の選択手段で選択された箇所の奥行き方向の位置と、前記分岐元特定手段で特定された分岐元の奥行き方向の位置と、前記分岐先特定手段で特定された分岐先の奥行き方向の位置とが、略同一な位置となるように、前記管状構造物を回転する回転手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
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JP2016130501A JP2018000454A (ja) | 2016-06-30 | 2016-06-30 | 医用画像診断装置、その制御方法、及びプログラム |
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WO2021117466A1 (ja) * | 2019-12-10 | 2021-06-17 | Phcホールディングス株式会社 | 病理診断サポートシステムおよび病理診断サポート装置 |
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- 2016-06-30 JP JP2016130501A patent/JP2018000454A/ja active Pending
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