JP2018000312A - 肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】背景ノイズを低減してより明瞭な肺結節明瞭化画像を得る。【解決手段】背景ノイズを抑制するために、肺結節明瞭化画像を取得する第1の段階と、前記肺結節明瞭化画像の持つ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める第2の段階と、前記平均輝度値tを閾値として前記肺結節明瞭化画像の2値画像を作成し、前記肺結節明瞭化画像を、輝度の高い可変領域と輝度の低い固定領域とに分離する第3の段階と、前記肺結節明瞭化画像に基づいて2次元ヒストグラムを作成し、前記可変領域のヒストグラムを回転操作することにより出力画像のヒストグラム圧縮に基づく階調補正を行う第4の段階と、前記第2の段階から前記第4の段階を予め決定した回数繰り返す第5の段階と、を備え、前記第5の段階で前記繰り返し回数が予め決定した回数を超えた場合、前記第4の段階で階調補正された出力画像を背景ノイズ抑制画像として出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法に関する。
肺がんによる死亡率は今なお上昇傾向にあり、stageと5年生存率の結果から、早期発見・治療が重大な課題である(非特許文献1参照)。しかしながら、日常臨床や検診の胸部X線読影で少なからず肺がんが見落とされており(非特許文献2、3参照)、胸部単純X線写真(以下、胸部X線像)から肺結節を検出するために、これまでにさまざまなComputer−aided detection(or diagnosis)(以下、CAD)手法が提案され、期待が高まっている(非特許文献4参照)。胸部X線像は、鎖骨や肋骨、肺動静脈との重なりなどが多いことから、結節を見つけるためには、そのままではノイズが多い。
そのため、これまでに提案されている手法には、胸部X線像から、差分を用いて肺結節を強調するもの(非特許文献5−8参照)、特徴量を用いて結節候補の中から偽陽性を除去するもの(非特許文献9、10参照)や、胸部X線像に直接フィルタを用いて結節候補を検出し、最尤法による判別分析から偽陽性を除去する手法(非特許文献11参照)などがある。また、肺結節強調フィルタと閾値を用いて初期結節候補を検出し、ニューラルネットワークなどの識別器を用いて、初期候補の中から偽陽性を削減するもの(非特許文献12参照)や、ニューラルネットワークによる機械学習を用いて、胸部X線像から骨部をうまく除去し結節を描出するもの(非特許文献13参照)(以下、肋骨抑制画像と呼ぶ)などがある。
しかし、非特許文献13に記載の方法では、システムの学習に時間が掛かり、市販化されているが非常に高価である。その他にも、非特許文献14では医師の経験的知識を利用して、偽陽性を除去している。これらの理由は、肺結節と似た輝度や形を示す陰影が肺の中に複数存在するためであり、検出した陰影の中から、種々の手法を用いて、真の結節と偽陽性を分類している。これは、胸部CT画像におけるCADでも同様で、特に肺血管陰影が偽陽性になりやすいと考えられる(非特許文献15参照)。
これらのように、胸部X線像上、特に肺門近傍で肺血管同士の重なりや肺血管の正接像が、輝度や形の点で肺結節陰影と似ており結節状に見える。そのため、胸部X線像から肺結節を検出しようとする場合、どうしても偽陽性を多く含んでしまう(非特許文献16参照)。
そこで、発明者らは、1枚の胸部X線像から、2次元ヒストグラムを用いて、肺門部肺血管陰影を連続する線状陰影として抽出し、さらに肺血管の正接像などの偽陽性を抑制した肺結節明瞭化法を提案している(特願2015−138808号)。しかし、この方法で得た肺結節明瞭化画像では、明瞭化に伴う背景ノイズ(結節検出の障害となる骨同士の重なりや肺血管陰影などの細かい濃度変動)も明瞭化され、これらの陰影が結節検出の障害となり得たため、本発明では、新しいノイズ抑制法を提案する。
厚生労働省 平成25年人口動態統計 Soda H, Tomita H, Kohno S et al: Limitation of annual screen-ing chest radiography for the diagnosis of lung cancer: a retro-spective study. Cancer 72: 2341-2346, 1993 Shah PK, Austin JHM, White CS et al: Missed non-small cell lung cancer: radio- graphic findings of potentially resectable lesions evident only in retrospect. Radiology 226: 235-241, 2003 van Ginneken, B. et al: Computer-aided diagnosis in chest radiography: a survey. IEEE TMI 20(12): 1228-1241, 2001 Ishida T, Ashizawa K, Engelmann R et al: Application of temporal subtraction for detection of interval changes on chest radio- graphs: Improvement of subtraction images using automated initial image matching. Journal of Digital Imaging 12(2): 77-86, 1999 Nakagawa K, Oosawa A, Tanaka H et al: Clinical effectiveness of improved temporal subtraction for digital chest radiographys. Proc SPIE 4686: 319-330, 2002 島田哲雄,児玉直樹,佐藤英哉,他: 胸部一般X線写真における腫瘤除去フィルタを用いた腫瘤性陰影強調法の提案. Med Imag Tech 21(1): 59-67, 2003 川口剛,原田義富,永田亮一,他: 胸部X 線画像の対側差分のための位置合わせ法. Med Imag Tech 28(5): 351-361, 2010 小田敍弘,木戸尚治,庄野逸,他: 胸部単純X線写真における経時的差分画像を用いた結節状陰影の自動検出システムの開発. 電子情報通信学会論文誌D-ll J87-D-ll (1): 208-218, 2004 杜下淳次,桂川茂彦,土井邦雄: 胸部X線写真における肺結節状陰影の形状特徴量分析による偽陽性陰影の除去. 日本放射線技術学会論文誌57(7): 829-835, 2001 魏軍,萩原義裕,小畑秀文: 胸部X線像処理による腫瘤影検出システムの開発. Med Imag Tech 19(6): 468-476, 2001 Shiraishi J, Li Q, Suzuki K et al: Computer-aided diagnostic scheme for the detection of lung nodules on chest radiographs: Localized search method based on anatomical classification. Med Phys 33(7): 2642-2653, 2006 Suzuki K, Abe H, MacMahon H et al: Image-processing technique for suppressing ribs in chest radiographs by means of massive training artificial neural network (MTANN). IEEE Trans Medical Imaging 25(4): 406-416, 2006 日浦美香子,木戸尚治,庄野逸: 胸部単純X線画像における結節性陰影抽出法の開発. Med Imag Tech 23(4): 250-258, 2005 深野元太朗,滝沢穂高,山本眞司,他: 胸部X線CT画像における肺がん偽陽性陰影の削減−血管領域抽出による可変N-Quoit候補点の真偽判定−. Med Imag Tech 21(1): 49-58, 2003 Schalekamp S, Ginneken B, Koedam E et al: Computer-aided detection improves detection of pulmonary nodules in chest radiographs beyond the support by bone-suppressed images. Radiology 272: 252-261, 2014
本発明は、肺結節明瞭化画像における背景ノイズを低減することにより、結節を指摘しやすいより明瞭な肺結節画像を得ることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法は、肺結節明瞭化画像を取得する第1の段階と、前記肺結節明瞭化画像の持つ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める第2の段階と、前記平均輝度値tを閾値として前記肺結節明瞭化画像の2値画像を作成し、前記肺結節明瞭化画像を、輝度の高い可変領域と輝度の低い固定領域とに分離する第3の段階と、前記肺結節明瞭化画像に基づいて2次元ヒストグラムを作成し、前記可変領域のヒストグラムを回転操作することにより、出力画像のヒストグラム圧縮に基づく階調補正を行う第4の段階と、前記第2の段階から前記第4の段階を予め決定した回数、繰り返す第5の段階と、を備え、前記第5の段階で前記繰り返し回数が予め決定した回数を超えた場合、前記第4の段階で階調補正された出力画像を背景ノイズ抑制画像として出力するように構成されている。
上記の方法において、前記可変領域は前記肺結節明瞭化画像における肺野領域を含み、前記固定領域は前記肺結節明瞭化画像における縦隔・横隔膜領域を含んでいても良い。
上記の方法において、前記可変領域のヒストグラムの回転操作における回転量θは、cを定数とするとき、θ=σ/cによって決定しても良い。
上記の方法において、前記肺結節明瞭化画像は、胸部X線画像から肺結節強調画像を作成する第6の段階と、前記胸部X線画像から線状陰影強調画像を作成する第7の段階と、p軸に前記肺結節強調画像とq軸に前記線状陰影強調画像を取る2次元ヒストグラムと第1の抽出曲線を用いて前記肺結節強調画像から肺門部肺血管陰影を線状陰影として抽出する第8の段階と、前記肺結節強調画像と前記肺結節強調画像に最大値フィルタを適用した画像とに基づいて、肺門部肺血管陰影の輝度値を抑制することにより、線状陰影抑制画像を作成する第9の段階と、前記2次元ヒストグラムと第2の抽出曲線を用いて、偽陽性陰影を抽出する第10の段階と、前記偽陽性陰影の総画素数が予め決定された閾値を上回るまで、前記偽陽性陰影を抽出する段階を繰り返す第11の段階と、を実行することによって求めても良い。
本発明に係る方法では、肺結節明瞭化画像の各画素の輝度の2次元ヒストグラム上でヒストグラムを回転させ、階調補正曲線を作成し、背景ノイズを抑制した肺結節明瞭化画像を作成することができる。これによって、肺結節明瞭化法にてあらかじめ結節陰影を強調した画像において、コントラストをある程度保存したまま周囲の輝度値を抑制することができ、均一な背景の中に結節陰影を浮き出すことができる。その結果、医師による結節の指摘が容易となる。
本発明の一実施形態に係る肺結節明瞭化画像の背景ノイズ抑制手順を示すフローチャート。 肺結節明瞭化画像と座標系を示す図。 2値画像を示す図。 回転前の2次元ヒストグラムを示す図。 回転後の2次元ヒストグラムを示す図。 提案画像 明瞭化画像のヒストグラム 濃度変動成分の抽出を示す図。 肺野領域ヒストグラムの回転量θの変化によるコントラストの比較 肺結節明瞭化画像(a)と提案画像(b)の一例を示す図。 肺結節明瞭化画像(a)と提案画像(b)の他の例を示す図。 肺結節明瞭化画像(a)と提案画像(b)のさらに他の例を示す図。 結節の指摘が困難な例を示す画像。 肺結節明瞭化画像を得るための実施手順を示すフローチャート。 胸部X線画像の一例と座標系を示す図。 特徴抽出フィルタの一例を示す図。 肺結節強調画像を示す図。 Kasvandフィルタを示す図。 線状陰影強調画像を示す図。 p軸に肺結節強調画像、q軸に線状陰影強調画像を取る2次元ヒストグラムを示す図。 曲線を境界とする抽出曲線を示す図(γ=2.0)。 肺門部肺血管画像を示す図。 線状陰影抑制画像を示す図。 偽陽性抽出(ε=0.45)を示す図。 偽陽性(黒点)を抽出した画像を示す図。 肺結節明瞭化画像を示す図。
図1は、本発明の一実施形態に係る肺結節明瞭化画像における背景ノイズ抑制方法の操作手順を示すフローチャートである。本方法の概要は、肺結節明瞭化画像に対し、2次元ヒストグラム上にてヒストグラムを回転させ、出力画像のヒストグラムを圧縮することで、ノイズとなる背景の濃度変動を抑制することである。
[ステップS1:肺結節明瞭化画像の取得]
まず、図1のステップS1において、解析対象である肺結節明瞭化画像を取得する。肺結節明瞭化画像は、特願2015−138808号「胸部X線画像における肺結節明瞭化法」に示す方法により求められるが、その詳細については後述する「肺結節明瞭化画像の取得方法」の項で述べる。図2は、求められた肺結節明瞭化画像とその座標系を示す図であり、肺結節を○で示している。
[ステップS2:ヒストグラム解析]
ステップS2では、画像のもつ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める。圧縮を繰り返す度、更新画像のtとσを求める。
[ステップS3:2値化処理]
次のステップS3では、肺野領域と縦隔・横隔膜領域をおおまかに分離するために、肺結節明瞭化画像(以下、明瞭化画像)から得られる平均輝度値tを閾値とする2値画像を作成する。具体的には、明瞭化画像にて輝度の低い縦隔・横隔膜が含まれる領域の輝度値は0、輝度の高い肺野やその他の領域の輝度値を255とする。また、2値画像における輝度値0の黒い領域を固定領域と呼び、輝度値255の白い領域を可変領域と呼ぶ。図3は、ヒストグラムの平均輝度値を閾値とした2値画像を示す。図において、黒い領域は固定領域を、白い領域は可変領域を示す。
[ステップS4:2次元ヒストグラム上でのヒストグラム圧縮処理]
次のステップS4では、2次元ヒストグラム上において、抽出した可変領域のヒストグラムを回転し、明瞭化画像のコントラスト制御を行う。図4に示す、2次元ヒストグラムの左上隅を原点とした座標系において、x軸、y軸に、それぞれ肺結節明瞭化画像、提案画像(背景ノイズを抑制した肺結節明瞭化画像)をとる。ただし、回転前の2次元ヒストグラムは、x軸、y軸ともに明瞭化画像とする。このため、回転前の2次元ヒストグラムは図4のように対角線上に分布している。
提案手法では、図3に示す2値画像から得られた固定領域と可変領域のそれぞれに対し、2次元ヒストグラム上でヒストグラムの回転処理を行う。具体的には、図3に示す2値画像上で、可変領域として選ばれた画素のヒストグラム(以下、可変領域ヒストグラム)は、図5に示すように、2次元ヒストグラム上の対角線から負の方向にθ度(θ>0)回転させた線分となる。ここで、2次元ヒストグラム上の回転中心座標(x、y)は、x軸、y軸ともに肺結節明瞭化画像の平均輝度値tを用い、回転量θには、明瞭化画像の平均輝度値tからの片側の標準偏差σ(σ>0)を変化率cで割ったものを用いる(式(1))。ただし、変化率cとは可変領域ヒストグラムの回転量を決める定数である。
θ=σ/ c (1)
式(1)は、平均輝度値tからの片側の標準偏差σ(σ>0)をもとに、2次元ヒストグラム上で可変領域ヒストグラムをθ度回転することで、出力画像のヒストグラムを圧縮する。以下の式(2)にて得られる回転操作により座標変換されたy座標の値y’を、出力される明瞭化画像の新しい輝度値として採用する。
一方、縦隔・横隔膜などの固定領域に存在する画素のヒストグラム(以下、固定領域ヒストグラム)は、明瞭化画像の輝度値をそのまま採用するため、2次元ヒストグラムの対角線上に残る。図5のように、明瞭化画像の固定領域に存在する画素の輝度値は変化させず、可変領域に存在する画素の輝度値を回転操作することで、出力画像のヒストグラム圧縮による階調補正にて、明瞭化画像の細かな濃度変動を抑制する。2次元ヒストグラム上にて、可変領域のヒストグラムを標準偏差σと変化率cを用いてθ度回転させ、出力画像のヒストグラムを圧縮する。
ステップS2−ステップS4の処理を数回繰り返すことで(ステップS5)、背景ノイズは抑制され、図6に示すように、肺結節が明瞭化された画像が作成される(ステップS6)。ステップS5では、繰り返し回数iをi<Loop回数としているが、Loop回数は予め決定された値であり、例えば、経験的に2が選択され得る。
[実験]
実験には、日本放射線技術学会の標準ディジタル画像データベース中の154例の胸部腫瘤画像を用いた。これらの画像は、結節の位置があらかじめ示されており、結節検出の難易度によって、1(極めて困難)、2(非常に困難)、3(困難)、4(比較的容易)、5(容易)の5つのレベルに分類されている。また、各レベルはそれぞれ、25、29、50、38、12枚あり、これらすべての画像154例に対し、以下の実験を行った。
<実験1>
結節検出の障害となる陰影を調べ、それらの陰影の可変領域ヒストグラムをθ度回転することで階調補正を行った。可変領域ヒストグラムの回転量θを0度、10度、20度、30度と変化させることで、どのくらい障害陰影の抑制効果があるかを調べた。結節検出の障害となる背景ノイズは、明瞭化画像のヒストグラム(図7において楕円で囲む部分)に見られる平均輝度値tよりも大きく、かつ、頻度の少ない画素であり、孤立した点や数ピクセルの小さい島として肋骨などのエッジ部分や肋間に分布する。そこで、平均輝度値tより大きい輝度値をもち、かつ、頻度が1000よりも小さい画素を黒(輝度値:0)とした背景ノイズ(濃度変動)を図8に示す。図8では、頻度の少ない輝度を持つ画素を黒点で表している。
図8の黒点分布の輝度値が周辺との輝度との間に差が無くなれば、濃度変動が減らせると考えられる。そこで、2次元ヒストグラム上での可変領域ヒストグラムの回転量θを0度、10度、20度、30度と変化させ、階調補正した結果を図9(a)−(d)に示す。図9(a)での明瞭化画像における回転量θは、θ=0度であり、図(b)はθ=10度、(c)はθ=20度、(d)はθ=30度としている。
回転量θを0度から30度まで変化させた結果、10度程度では濃淡変化の抑制が小さく、30度程度であれば、肋骨、肋間などの輝度差がほとんどなくなり、濃度変動の抑制効果は大きいが、淡い陰影が必ずしも目立つとは限らない。ところが、2次元ヒストグラム上の対角線から、回転量θがおよそ負の方向へ20度程度あれば、結節コントラストをある程度保存したまま、濃度変動は適度に抑制され、鎖骨や肋骨、肋間の輝度が均一に近づいた。
この結果から、本方法では、明瞭化画像のヒストグラムの標準偏差が、およそσ=±50〜60程度であることをヒストグラム圧縮処理に利用する。片側分布の標準偏差σ(>0)の値を半径とする円周を考えた場合、角度(回転量)は1ラジアン(約57度)に近い値となる。そのため、式(1)にて、回転量θを画像のもつ輝度値の標準偏差σを変化率c=3.0にて割ることで、およそ1/3ラジアン=19.1度となり、20度に近い。そのため、式(1)を用いると、明瞭化画像のもつ輝度分布の標準偏差σに応じて回転量θが決定することになる。実験には、ヒストグラム圧縮処理を2回繰り返すことにより背景ノイズ抑制した画像を用いた(図10A−10C)。
なお、図10A−10Cにおいて、(a)は図1に示すフローチャートのステップS1に相当する肺結節明瞭化画像に相当し、ノイズ抑制処理前の画像である。(b)は(a)の画像に図1のフローチャートに沿ってヒストグラム圧縮処理を2回繰り返して、背景ノイズを抑制した画像を示す。図10A−10Cでは、(a)に示す肺結節明瞭化画像として、異なる部位に肺結節が見える画像を選択している。
<実験2>
JSRT154例に対する特願2015−138808号に記載の方法で得た肺結節明瞭化画像(ノイズ抑制処理前画像)と、提案手法によって得た画像(ノイズ抑制処理後画像)に対して、技師が真の結節を当てるまで、いくつ結節候補を挙げるかを評価し、比較を行った(表1)。
<実験3>
ノイズ抑制処理前の画像と比べ、提案手法による画像では、骨・肺野血管などの陰影がどの程度除去されているか(肋骨除去の観点)、また、結節がどの程度明確に描出されているか(結節描出の観点)を、容易なレベル5と極めて困難なレベル1を除く、臨床的に問題となりやすいレベル2〜4の117例にて、専門医と放射線技師の2名が判定することによって行った。
まず、骨・肺野血管陰影などの除去効果を肋骨除去の観点から評価し、3(adequate or better)、2(no change)、1(poor)の評点を与えた(表2)。
次に、結節描出の観点から、ノイズ抑制処理前画像と比べ、結節がどの程度明確であるかを評価し、3(better)、2(no change)、1(worse)の3段階の評点を与えた(表3)。また、ここではこれら評点の値をそれぞれiとして定義する。
本手法での実行時間は、1画像当たり2.2GHzのPCで平均472[ms]であり、明瞭化法と合わせても平均3550[ms]であった。
[考察]
1) 濃度変動の原因と抑制効果について
提案手法では、輝度分布の広がりを回転量に利用し、可変領域ヒストグラムの回転中心からの距離に応じて、出力画像の輝度値を低下させることにより濃度変動を抑制した。そのため、明瞭化画像のもつコントラスト(分散)が回転量に反映されたものとなり、明瞭化画像のコントラストの違いが出力に反映される。
濃度変動の主な原因は、明瞭化法による細い血管や骨陰影の局所強調であり、そのような陰影は輝度が高く、低頻度の画素として肺内に分布している。これらの画素の周辺にある画素の輝度値をヒストグラム圧縮することで、ある程度コントラストを保存したままで濃度変動(差)を抑制した。実験から、回転量が20度程度となるように、ヒストグラムの標準偏差を回転に用いた。この操作を繰り返すことで。濃度変動は徐々に抑制され、画像全体のコントラストは低下するが、3回程度の繰り返しまでは、結節の明瞭化が保たれ指摘可能であった。
2) ヒストグラムの回転について
2次元ヒストグラム上における、領域ヒストグラムの回転中心座標を、明瞭化画像の平均輝度値tにとると、画像内の多くの画素が輝度変換され、肺門陰影から外側胸郭の陰影までのコントラストが均一に近づくことと、明瞭化画像の多くの結節が画像のもつ平均輝度値よりも低いため、平均輝度値を回転中心として用いた。
ただ、縦隔・横隔膜や明瞭化された結節陰影などの固定領域に存在する結節のコントラストは明瞭化法にて十分であったため、可変領域と分離してコントラスト制御を行った。明瞭化画像のヒストグラム(輝度値x)を回転したことにより得られる出力画像の輝度値yは、回転中心の輝度値tからの差を用いて、以下の式(3)
y=tan(45°−θ)・(x−t)+ t (3)
(ただし、x>t、0≦θ<45°)
で表され、回転量θが20度のとき、回転中心から輝度値が50離れた(標準偏差σ=50)点の輝度値は、回転中心からおよそ23.3離れた点の輝度値に変換される。そのため、可変領域ヒストグラムの回転操作により、元画像に存在する可変領域の高い輝度値は、およそ元の47%まで低下し出力されることになる。
このように、2次元ヒストグラム上での回転操作により、出力画像の階調補正曲線の傾きを制御する。明瞭化画像の結節コントラストは、明るくとも結節周囲と比べ、画像の平均輝度値(回転中心)に近い値を示す。そこで、回転中心に近い輝度値の圧縮率(変化量)は小さく、回転中心よりも離れた輝度値の圧縮率(変化量)は大きくなる。つまり、回転中心に近い、必要とする結節やその周囲のコントラストはなるべく保存しつつ、回転中心より離れたノイズ成分と考えられる高信号は大きく圧縮することで、細かい濃度変動を抑制する。これは、1次元のヒストグラム上でも考えることができるが、今後、拡張する予定である。
3) 実験について
実験2では、明瞭化法と比べ、真の結節を指摘するまでの回数が減少したものは23例(内、1回目で指摘可能となったものは12例)、逆に、指摘回数が増加したものは29例であった。明瞭化法と比べ、指摘回数が減少した理由は、背景濃度が均一化されることで、結節陰影を見つけやすくなったためである。一方、指摘回数が増加した理由は、背景ノイズの抑制に伴い、結節陰影の信号が低下したことによる。このため、結節の局所コントラストが発見率の向上に寄与すると考えられる。
実験3では、専門医と技師による画質の評価を行った。肋骨除去の観点からの評価では評点3が多かったが、結節描出の観点からの評価では、明瞭化法の方が良い結果を与えるものが技師で5例あった(図11)。これは、結節コントラストが低下したことと肋骨等の抑制が不十分であったことによる。しかし、明瞭化法よりも結節が指摘しやすくなったケースが技師では19例あり、専門医と比べ圧倒的に多かった。結節周囲が抑制され、注視されやすい結節以外のその他の陰影が抑制されたことで、読影を見慣れていなくとも、指摘しやすくなったと考えられる。また、提案画像を拡大表示した場合、従来の明瞭化画像では粗さが目立ったが、今回の手法では粗さは目立ちにくく、病変を探しやすかった。
これらのことから、肺結節自身のコントラストがある程度保存され、かつ、肺内に存在するその他の陰影が目立たない(真の結節ほど輝度差が大きくない)画像であれば、注視する陰影が少なく、真の結節を指摘しやすいと考えられる。
階調補正として、ダイナミックレンジ圧縮(以下、DR)処理があるが、これは低コントラスト部分に階調をもたせ、陰影を見やすいものとする(参考文献3参照)。このDR圧縮処理では、見たい領域に階調をもたせ変化をつけるため、ヒストグラムは伸張されたものとなるが、提案手法は、ヒストグラム圧縮することで、部分的に階調を落とし、濃度変動をわずかな誤差とし、背景ノイズを抑制する。明瞭化画像の背景ノイズを抑制することで、結節陰影の見やすい画像を作成することが可能であった。
[肺結節明瞭化画像の取得方法]
以下に、図1にステップS1として示す肺結節明瞭化画像の取得方法について、説明する。この取得方法は、既に、本出願人により、特願2015−138808号「胸部X線画像における肺結節明瞭化法」として出願されている。
図12のフローチャートに、胸部X線画像における肺結節明瞭化法の操作手順を示す。本方法の概要は、2次元ヒストグラムを用いて、線状陰影を示す肺門部肺血管陰影と偽陽性を抽出し、偽陽性として抽出した画素の総数が、閾値を上回るまで、線状陰影抑制画像内の偽陽性陰影の輝度値を更新することである。偽陽性陰影の輝度値を更新することにより、相対的に肺結節陰影が明瞭化される。
[ステップS11:胸部X線画像の取得]
まず、ステップS11において、解析対象である胸部X線画像を取得する。解析の対象としてJSRTの標準ディジタル画像データベース(日本放射線技術学会作成)(参考文献1参照)中の胸部腫瘤画像中の1例を抽出し、これを、マトリックス寸法2048×2048(ピクセル寸法0.175mm)に対して、ImageJ1.4r(参考文献2参照)を用いて、マトリックス寸法を512×512(ピクセル寸法0.7mm)、階調を8bitとなるように画像を変換して用いた。
図13は、このようにして抽出された胸部X線画像例とその座標系を示す図である。図13に示すように、左上隅を原点とし、p軸、q軸をそれぞれx、yとする座標系を用いる。ここでは、輝度値0を黒、255を白とし、輝度値255を高いとする。図2において、矢印は肺結節を示している。さらに、肺結節の強調処理に用いる局所テンプレートTのサイズを、T=20×20画素とし、肺結節の大きさは、肺血管の正接像よりも大きいものを対象とする。
[ステップS12:肺結節強調画像の作成]
次のステップS12では、胸部X線画像から肺結節強調画像を作成する。肺結節強調画像を作成するために、胸部X線像における淡い肺結節陰影の輝度値と、その周囲の僅かな輝度差を局所的なテンプレートTを用いて強調する。テンプレートTの大きさは、胸部X線像において、およそ肋骨に納まる程度の大きさである20×20の画素数とした。また、淡い肺結節陰影は、肋骨や鎖骨、横隔膜などの構造物がもつ輝度値の中に埋もれており、結節が存在する背景やその周囲の輝度から影響を受ける。このため、背景や周囲の輝度からの影響を抑え、僅かな差を強調するために、テンプレートT内にガウス関数による重みを用いる。
具体的には、テンプレートTの中心における重みが1.0、標準偏差が20.0のガウス関数を用いて、テンプレート中心における注目画素の輝度値と、近傍の重み付き平均との差を強調した重み付き強調画像を作成する。次に、重み付き強調画像に、図14に示す3×3の特徴抽出フィルタを適用し、特徴抽出画像を作成する。最後に、特徴抽出画像のヒストグラムの値を平方根し、得られた値から、ヒストグラム平坦化処理にて、コントラスト強調処理を行った画像を、肺結節強調画像とする。図15は、このようにして作成された、肺結節強調画像を示す。
[ステップS13:線状陰影強調画像の作成]
ステップS13では、胸部X線画像から線状陰影強調画像を作成する。具体的には、胸部X線画像から、線検出フィルタを用いて、線状陰影を抽出し強調する。線検出フィルタには、図16に示すような4方向のKasvandフィルタを用いる。このフィルタは、反復型として用いられるが、ここでは反復回数を1回とした。
線検出フィルタを用いる目的は、偽陽性となりやすい肺門部肺血管とその正接像を抽出するためである。Kasvandフィルタを用いて検出される線状陰影は、肺門部肺血管の正接像と比べ小さく、肺血管の先端部の細さとなる。そのため、先端部の細い肺血管を、線として検出し、ヒストグラム平坦化処理にて、線状陰影の輝度値を強調する。図17に、線状陰影を強調した線状陰影強調画像を示す。
なお、ステップS12及びステップS13の実行に時間上の前後関係はなく、例えば並行して行われても良い。
[ステップS14:肺門部肺血管陰影の抽出]
ステップS14では、ステップS12及びS13で作成された肺結節強調画像と線状陰影強調画像に基づいて、肺門部肺血管陰影を抽出する。この抽出には、図18に示す2次元ヒストグラムを用いる。具体的には、左上隅を原点とした座標系において、p軸、q軸に、それぞれ256階調の肺結節強調画像、線状陰影強調画像をとる2次元ヒストグラムを用いて、肺結節強調画像から肺門部肺血管陰影を線状陰影として抽出する。臨床において、肺門部における腫瘍として線状陰影は考えにくい。そこで、線状陰影を利用して、肺結節強調画像から、偽陽性となりやすい肺血管や、その正接像が、抽出されるような曲線を求める。ここでは、これを抽出曲線と呼び、2次元ヒストグラムにおける曲線をとる。図19に、曲線を境界とする抽出曲線を示す。この抽出曲線には、以下の式(4)を用いた。
抽出したい肺門部肺血管陰影は、図18に示すように、2次元ヒストグラムの左上隅の原点から、曲線より下側に存在する座標である。ここで、2次元ヒストグラムを用いて、元画像からどの程度線状陰影を抽出するかを決定する、抽出曲線(4)の線状陰影抽出パラメータγは、実験からγ=2.0とした。図19において、灰色の部分(曲線より左下側部分)に、抽出した線状陰影が含まれる。
図20は、図19の灰色の部分に存在する座標を黒(輝度値:0)で表示したものである。この線状陰影を抽出した画像を、肺門部肺血管画像と呼ぶ。
[ステップS15:線状陰影抑制画像の作成]
次のステップS15では、ステップS14で抽出された肺門部肺血管陰影とステップS12で作成された肺結節強調画像とに基づいて、線状陰影抑制画像を作成する。図19に示す2次元ヒストグラム上の抽出曲線により、線状陰影を抽出しただけでは、胸郭の外側部分に存在する肺結節陰影や、肋骨エッジなどの線状陰影も抽出されてしまう。そこで、画像中心からある一定の範囲以外では、抽出した線状陰影の影響を抑える。そのために、画像全体に、ガウス関数による重み付けを行い、抽出された肺門部肺血管陰影を抑制した、線状陰影抑制画像を作成する。
具体的には、まず、ステップS12で作成された肺結節強調画像Aと、Aに最大値フィルタ(5×5)を適用させた画像Bを作成する。次に、最大値1.0を画像中心とする、標準偏差が150.0のガウス関数を、画像全体に対する重みαとして、画像AとBとの間に次の式(5)にて重み付けを行う。
C=(1−α)A+αB (5)
ただし、出力される輝度値Cは、肺門部肺血管抽出画像において、輝度値が0となる座標、つまり、肺結節強調画像にて、線状陰影として抽出した座標は、輝度値Cを採用し、その他の座標では、画像Aの輝度値を採用する。その結果、式(5)にて得られる画像は、肺門部肺血管陰影の輝度値が抑制され、肺結節が明瞭化されたものとなる。ただし、この段階では、肺門部肺血管陰影の境界にてリング状の偽像が表れるため、3×3の中間値フィルタを用いて、画像全体に平滑化処理を行う。最後に、画像全体の平均輝度値を、肺結節強調画像の平均輝度値と同じ値になるように、明るさを調整する。このようにして、図21に示す線状陰影抑制画像が得られる。
[ステップS16:偽陽性の抽出と抑制]
次のステップS16では、ステップS5で求めた線状陰影抑制画像とステップS12で求めた肺結節強調画像に基づいて、偽陽性の抽出と抑制を行う。まず、2次元ヒストグラムと式(4)に示した抽出曲線を用いて、偽陽性陰影を抽出する。具体的には、横軸、縦軸をそれぞれ、肺結節強調画像、線状陰影抑制画像とする2次元ヒストグラムと、抽出曲線を用いて肺血管の正接像を抽出する(図21の→)。肺結節強調画像において、肺血管やその正接像は、輝度値が極めて低い。しかし、線状陰影抑制画像においては、それらの輝度値は比較的高い。そのため、抑制したい肺血管の正接像は、2次元ヒストグラムにおいて、左下の部分に存在する可能性が高い。そこで肺血管陰影と肺結節を抽出曲線を用いて、真の結節を含まないように分離し、偽陽性陰影を抽出する。
ここで、偽陽性抽出のための抽出曲線を以下の式(6)で表す。
εは、偽陽性陰影抽出パラメータであり、実験から、抽出曲線のパラメータεを=0.45と固定して用いた(図22)。図22の2次元ヒストグラムにおいて、左下の灰色の部分に分布する画素を偽陽性と判別する(図22の円内部は、2次元ヒストグラムにおける、真の結節がもつ輝度分布の大まかな位置を表す)。
本方法では、2次元ヒストグラムにおいて、抽出曲線よりも下側に存在する画素を偽陽性とする。図21のように、画像中心に近く、輝度値が抑制された線状陰影の画素の中で、特に輝度が低いものを偽陽性として選ぶと、その中に、肺血管の正接像が含まれる。このとき、肺結節以外の心臓エッジなどの陰影も含まれるため、肺血管の正接像を偽陽性として抽出した。図22の2次元ヒストグラムから得られた偽陽性陰影を、黒点として図23に示す。
2次元ヒストグラムを用いて得られた、偽陽性陰影の総画素数(図23に示す黒点の集合)が、閾値(=1800)を上回るまで、ステップS5と同様の操作を繰り返す。ただし、ここで取り扱う画像は、線状陰影抑制画像Aと、Aに最大値フィルタ(5×5)を適用させた画像Bを用いる。その結果、式(6)にて得られる画像は、肺血管の正接像を含む偽陽性陰影の輝度値が抑制されたものとなる。最後に、ステップS6と同様、3×3の中間値フィルタを用いて、画像全体に平滑化処理を行う。
[ステップS17:輝度値の更新]
ステップ17において、ステップ16で偽陽性陰影として選ばれた画素の総数が、閾値よりも少ない場合、その画素の輝度値を更新し、新たな線状陰影抑制画像とする。条件を満たすまで、この操作を繰り返し、抽出曲線により抽出した偽陽性陰影の輝度値を、その周囲の輝度と置き換えることで、偽陽性は目立たなくなる。偽陽性陰影をその周囲の輝度値と均一化することで、肺結節を相対的に明瞭化する。
[ステップS18:肺結節明瞭化画像の取得]
ステップS17における条件が満たされた場合、肺結節明瞭化画像が得られる。図24は、このようにして得られた肺結節明瞭化画像を示す。
図1に示す本発明の一実施形態に係る肺結節明瞭化方法のフローチャートでは、以上の様にして得られた、例えば図24に示す、肺結節明瞭化画像を処理のスタート画像としている。この画像では、明瞭化に伴う変動ノイズが結節検出の障害となり得るので、図1に示すフローチャートに従って、ノイズ抑制処理を行うことにより、さらに明瞭な肺結節画像が得られる。
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(参考文献3)Monobe Y, Yamashita H, Kurosawa T et al: "Dynamic range compression preserving local image contrast for digital video camera," IEEE Trans. Consumer Electronics, 51(1), 1-11, 2005
ステップS1 肺結節明瞭化画像の取得
ステップS2 ヒストグラム解析
ステップS3 2値化処理
ステップS4 ヒストグラム圧縮
ステップS5 圧縮回数の設定
ステップS6 背景ノイズ抑制画像の取得

Claims (4)

  1. 肺結節明瞭化画像を取得する第1の段階と、
    前記肺結節明瞭化画像の持つ輝度値のヒストグラムから、平均輝度値tとその標準偏差σを求める第2の段階と、
    前記平均輝度値tを閾値として前記肺結節明瞭化画像の2値画像を作成し、前記肺結節明瞭化画像を、輝度の高い可変領域と輝度の低い固定領域とに分離する第3の段階と、
    前記肺結節明瞭化画像に基づいて2次元ヒストグラムを作成し、前記可変領域のヒストグラムを回転操作することにより、出力画像のヒストグラム圧縮に基づく階調補正を行う第4の段階と、
    前記第2の段階から前記第4の段階を予め決定した回数、繰り返す第5の段階と、を備え、
    前記第5の段階で前記繰り返し回数が予め決定した回数を超えた場合、前記第4の段階で階調補正された出力画像を背景ノイズ抑制画像として出力する、肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記可変領域は前記肺結節明瞭化画像における肺野領域を含み、前記固定領域は前記肺結節明瞭化画像における縦隔・横隔膜領域を含む、肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法において、前記可変領域のヒストグラムの回転操作における回転量θは、cを定数とするとき、θ=σ/cによって決定される、肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の方法において、前記肺結節明瞭化画像は、
    胸部X線画像から肺結節強調画像を作成する第6の段階と、
    前記胸部X線画像から線状陰影強調画像を作成する第7の段階と、
    p軸に前記肺結節強調画像とq軸に前記線状陰影強調画像を取る2次元ヒストグラムと第1の抽出曲線を用いて前記肺結節強調画像から肺門部肺血管陰影を線状陰影として抽出する第8の段階と、
    前記肺結節強調画像と前記肺結節強調画像に最大値フィルタを適用した画像とに基づいて、肺門部肺血管陰影の輝度値を抑制することにより、線状陰影抑制画像を作成する第9の段階と、
    前記2次元ヒストグラムと第2の抽出曲線を用いて、偽陽性陰影を抽出する第10の段階と、
    前記偽陽性陰影の総画素数が予め決定された閾値を上回るまで、前記偽陽性陰影を抽出する段階を繰り返す第11の段階と、を実行することによって求められる、肺結節明瞭化画像における背景ノイズの抑制方法。
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