JP2017532015A - 現場におけるdnaの抽出、検出及び認証の方法並びにそのためのシステム - Google Patents

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Abstract

本発明は、特徴的マーカーの現場検出のための方法を提供する。この方法は、目的の品目から試料を用意する工程と、試料を分析して、特徴的マーカーの存在を検出する工程とを含む。分析は、現場検出装置を使用して実施する。現場検出装置は、試料入力-回答出力型の分析を実施し、試料中の特徴的マーカーの存在を検出するように構成されているマイクロシステムを含む。

Description

本発明は、目的の品目を追跡し、認証するための特徴的マーカーの使用及び検出に関する。特徴的マーカーは、棚卸し又は安全保障の目的で追跡しようとする物件又は商品に特有であり得る。本発明はまた、そのような特徴的マーカーの検出方法、並びに試料採取及び検出のためのデバイス、並びにそのようなデバイスによって得られた識別データの管理、保存及び処理にも関する。
本発明は、特徴的マーカーの現場検出(in-field detection)のための装置、システム及び方法を提供する。
例示的な実施形態によれば、特徴的マーカーの現場検出のための方法は、目的の品目から試料を用意する工程と、試料を分析して、特徴的マーカーの存在を検出する工程とを含む。分析は、現場検出装置(in-field detection instrument)を使用して実施する。現場検出装置は、試料入力-回答出力型(sample in-answer out)の分析を実施し、試料中の特徴的マーカーの存在を検出するように構成されているマイクロシステムを含む。
試料は、試料の識別子を含むことができ、そうした識別子は、光学的レポーター、デジタルコード、QRコード(登録商標)又はバーコードを含むことができる。光学的レポーターは、アップコンバート性リン光体、フルオロフォア、(蛍光を明らかにすることが現像者に求められる)暗号化フルオロフォア、色素、染色剤、リン光体又はマイクロドットを含むことができる。
特徴的マーカーは、生体分子又は非生物学的有機分子を含むことができる。生体分子は、例えば、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、イソプレン、単糖、多糖、脂肪酸、ビタミン、核酸、タンパク質-DNAの複合体、ペプチド核酸(PNA)、微量元素又は同位体であり得る。
特徴的マーカーは、DNAを含むことができる。特徴的マーカーは、1つ又は複数の特有のDNA配列を含むことができ、これらの配列は、コピーされて、特有のアンプリコンプロファイルを生成することが可能である。特有のアンプリコンプロファイルは、種々の長さの、1つ又は複数のアンプリコンを含むことができる。
現場検出装置は、目的の品目についての認証データを含むサーバと通信することができる。
試料は、PCR、等温増幅又は核酸ハイブリダイゼーションを使用して分析することができる。試料は、次世代シークエンシングを使用して分析することができる。
現場検出装置は、携帯式であり得る。
特徴的マーカーの存在を、迅速に検出することができる。例えば、特徴的マーカーの存在を、実質的に瞬時に検出することができる。
例示的な実施形態によれば、この方法は、目的の品目から試料を用意する工程と、試料を分析して、特徴的マーカーの存在を検出する工程とを含む。現場検出装置を使用して、分析を実施する。現場検出装置は、試料入力-回答出力型の分析を実施するように構成されているマイクロシステムを含む。目的の品目の認証は、試料中の特徴的マーカーの存在を検出することによって確認する。
例示的な実施形態によれば、目的の品目から試料を収集するためのキットは、現場検出装置中で分析を行うのに適した特徴的マーカーを含む試料を収集するように構成されている試料収集ユニットを含む。
キットは、目的の品目から特徴的マーカーを抽出するのに適した緩衝液又は溶媒を含むことができる。
例示的な実施形態によれば、特徴的マーカーの現場検出のためのデバイスは、試料入力-回答出力型の分析を実施するように構成されているマイクロシステムを含む現場検出装置を含む。現場検出装置は、試料を分析して、試料中の特徴的マーカーの存在を決定するように構成されている。
本発明の方法の一実施形態を示すフローチャートである。 リアルタイムPCRの結果のグラフ表示である。これは、本発明の方法の一実施形態に従って、固定剤から得られたDNAタガントの検出を例証する。 リアルタイムPCRの結果のグラフ表示である。これは、本発明の方法の例示的な実施形態に従う、DNAタガントの検出を例証する。 本発明に従う方法の実施形態を示す図である。 本発明の例示的な実施形態に従う現場検出装置の例を示す図である。
本発明は、特徴的マーカーの現場検出のための装置、システム及び方法を提供する。
例示的な実施形態によれば、特徴的マーカーの現場検出のための方法は、目的の品目から試料を用意する工程と、試料を分析して、特徴的マーカーの存在を検出する工程とを含む。分析は、現場検出装置を使用して実施する。現場検出装置は、試料入力-回答出力型の分析を実施し、試料中の特徴的マーカーの存在を検出するように構成されているマイクロシステムを含む。目的の品目の認証は、試料中の特徴的マーカーの存在を検出することによって確認することができる。
特徴的マーカー
本発明の方法は、特徴的マーカー、例えば、直鎖状又は環状の、一本鎖又は二本鎖DNA等の核酸マーカー、タンパク質又はペプチドのマーカー、並びに光学的レポーター及びその他の化学的マーカーの現場検出ための方法であり、これらのマーカーは、安全保障、トレーシング及び偽造対策の目的で、マーカーを付けたアイテム又は品目の認証及び妥当性確認並びに追跡を行うのに使用する。核酸を用いて材料のタグ付け及びトレーシングを行うための方法が、Dollinger(WO90/14441)に記載されている。核酸マーカーは、任意の適切な直鎖状又は環状の、一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAであり得る。ペプチド又はタンパク質は、任意の適切な天然又は合成のペプチド又はタンパク質であり得る。光学的レポーターは、例えば、アップコンバート性リン光体、又はフルオロフォアであり得る。化学的マーカーは、任意の適切な化学的マーカー、例えば、色素又はフェロモン等であり、こうしたマーカーは、アイテムの光学的又は化学的なフィンガープリンティングのために使用することができる。
アイテム又は品目に対して、検出可能なフィンガープリントを形成する方法が、Hatfield (WO00/55609)に記載されている。DNAのフィンガープリントによる分類が、Schulz, M. M及びW. Reichert 「Archived or directly swabbed latent fingerprints as a DNA source for STR typing」Forensic science international127.1 (2002): 128〜130に記載されている。
特徴的マーカーは、特有の品目とその他の品目とを区別するのに適した、任意の検出可能なマーカーであり得る。特徴的マーカーは、核酸(例えば、DNA)、タンパク質、ペプチド、光学的レポーター、又はマーカーの化学物質であり得る。例えば、特徴的マーカーは、1つ又は複数の特有の核酸配列を有する、1つ又は複数の核酸を含むことができる。特徴的マーカーは、2つ以上の核酸配列の特有の組合せを含むことができる。特徴的マーカーは、核酸配列の組合せを含むことができ、この組合せは、コピーされると、特定の長さを有するアンプリコンの特有の組合せを生成する。すなわち、アンプリコンの組合せから、アンプリコンの多様な長さの特有のプロファイルが生じる。特徴的マーカーの核酸は、DNAを含むことができる。
特徴的マーカーは、生体分子又は非生物学的有機分子を含むことができる。生体分子は、生きている生物が産生する分子である。生体分子は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、イソプレン、単糖、多糖、脂肪酸、ビタミン、核酸、タンパク質-DNA複合体又はペプチド核酸(PNA)であり得る。
特徴的マーカーは、DNAを含むことができる。特徴的マーカーは、1つ又は複数の特有のDNA配列を含むことができ、これらの配列は、コピーされて、特有のアンプリコンプロファイルを生成することが可能である。例えば、特有のアンプリコンプロファイルは、1つ又は複数の核酸配列の特定の組合せを含むことができ、この組合せは、特定の品目に特有である。1つ又は複数のDNA配列自体が品目に特有である場合、又はDNA配列の組合せが品目に特有である場合がある。特有のアンプリコンプロファイルは、1つ又は複数の種々の長さのアンプリコンを含むことができる。例えば、特徴的マーカーは、核酸配列の組合せを含むことができ、この組合せは、コピーされると、長さの特定の組合せを有するアンプリコンの特有の組合せを生成する。すなわち、アンプリコンの組合せから、アンプリコンの多様な長さの特有のプロファイルが生じる。例示的な実施形態によれば、特徴的マーカーは、コピーされて、特徴的な核酸配列とアンプリコンの特徴的な長さの両方を含む、アンプリコンの特有の組合せを生成することが可能なDNA配列の特有の組合せを含むことができる。
核酸マーカーは、核酸合成機を使用して合成により、又は酵母、ヒト細胞株、細菌、動物、植物等から核酸材料を単離することによって生成することができる。例示的な実施形態では、核酸材料を、制限酵素を用いて処置し、次いで、精製して、許容される核酸マーカーを生成することができる。核酸コード分析の方法が、Guo(WO98/06084)に記載されている。核酸タガントは、1つの特異的な核酸配列を含むことができ、又は代わって、複数の種々の核酸配列を含むこともできる。一実施形態では、断片長多型及び/又は一塩基多型(SNP)として明らかにされている短いタンデムリピート(STR)を含む多型性DNA断片が、偽造対策のための核酸タグとして利用される。核酸マーカーとして単一の配列を使用することによって、マーカーをより容易に且つより素早く検出することができるが、一般に、STR及びSNPを含む複数の核酸配列の使用により、偽造者に対する安全保障の程度をより高いものにすることができる。
本発明の方法の例示的な実施形態では、核酸マーカーを、特異的な植物供給源から抽出したDNAから得、特異的な消化及びライゲーションを行って、世界で特有である、人工的な核酸配列を生成する。抽出したDNAの消化及びライゲーションは、分子生物学の分野の当業者に既知の標準的な制限消化及びライゲーションの技法によって完了させる。改変DNAタガントを生成したら、このタガントを、UV光及び/又は分解に対する保護のための材料内に封入することができる。DNA封入材料は、植物起源であり得る。DNAマーカーの配列は、任意の適切な長さであり得、例えば、DNAマーカーの配列は、約20〜約1000個の塩基の配列であり得る。
この方法は、既知の核酸配列を有する核酸断片を製造又は単離した後に、選択された核酸断片を含むDNAマーカー化合物を生成する工程を更に含む。マーカー化合物は、固体、又は水若しくは油を基剤とする液体、懸濁液、凝集物等として生成することができる。マーカー化合物の特徴は、核酸が、特定の製品のための認証タグとして作用している間、核酸タガントを経時的に分解する恐れがあるUV光及び/又はその他の分解因子から、核酸断片を保護することであり得る。例示的な実施形態では、タガントがDNAである場合には、核酸タグを、溶媒溶液(例えば、水性又は有機溶媒の溶液)中に封入し、懸濁させて、特定の濃度のDNAタガントの「ストック」溶液を生成することができる。DNAのストック溶液を、マーカー化合物の混合物に、認証しようとする製品のタイプに適切な濃度で添加することができる。例示的な実施形態では、DNAタガントを、事前に封入を全く行うことなく、マーカー化合物のその他の構成成分と混合することができる。下記に、ヌクレオチド、特に、DNAを分解から保護するために利用する、核酸断片の封入及びその他の技法等の方法をより十分に記載する。
マーカー化合物の混合物の別の特徴は、特異的な核酸タグを、異質の且つ非特異的な核酸オリゴマー/断片を用いて偽装する又は「隠す(hide)」ことを可能することであり、したがって、権限のない個人、例として、偽造者が、核酸タグの配列を識別するのが困難になる。例示的な実施形態では、マーカー化合物は、既知の供給源(すなわち、哺乳動物、無脊椎動物、植物等)から得られた特定のdsDNAタガントを、対応する又は類似のDNA供給源から得られたゲノムDNAと併せて含む。認証しようとする特定の製品、タガントが実効性を示す必要がある、認証を行うまでの期間(例えば、1日、1ヵ月、1年、数年)、予想される環境への暴露、利用しようとする検出方法等に応じて、マーカー化合物中に存在するDNAタガントの量は変化する。
例示的な実施形態によれば、タガントは、dsDNAであり、PCRが、タガントを検出するための技法である。認証のために使用する所定の試料サイズのマーカー化合物中にあるDNAタガントのコピー数は、約3コピー〜約100,000コピー、例えば、約10コピー〜約50,000コピー、又は約100コピー〜約10,000コピーのDNAタガントである。
官能基の組込み
例示的な実施形態では、核酸タグを、特定の製品内に組み込む前に、少なくとも1つの化合物又は「検出分子」を用いて標識して、サプライチェーンへの供給後の製品から得られる核酸マーカーの抽出及び/又は検出を援助する。検出分子は、少なくとも1つの検出可能な部分を有する分子又は化合物である。例えば、下記に詳細に記載する特定の検出方法のために、核酸マーカーと組み合わせた蛍光分子を構成することができる。
本発明の例示的な実施形態では、適切な色素として、これらに限定されないが、クマリン色素、キサンテン色素、レゾルフィン、シアニン色素、ジフルオロボラジアザインダセン色素(BODIPY)、ALEXA色素、インドール、ビマン、イソインドール、ダンシル色素、ナフタルイミド、フタルイミド、キサンテン、ランタニド色素、ローダミン及びフルオレセインが挙げられる。特定の可視色素及び近IR色素が、単一分子として検出するのに十分に蛍光性且つ光安定性であることは既知である。この態様では、可視色素、BODIPY R6G(525/545)、及びより大きな色素であるLI-COR社の近赤外色素、IRD-38(780/810)を、単一分子感度で検出することができ、これらを使用して、本明細書に記載する認証の方法を実行することができる。本発明の例示的な実施形態では、適切な色素として、これらに限定されないが、フルオレセイン、5-カルボキシフルオセイン(FAM)、ローダミン、5-(2'-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、アントラニルアミド、クマリン、テルビウムのキレート化誘導体、Reactive Red4、BODIPY色素及びシアニン色素が挙げられる。
フルオロフォア又は可視色素部分をヌクレオチドに結合させるための多くの連結部分及び方法があり、例えば、以下の参考文献が例示される: Eckstein編、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach (IRL Press、Oxford、1991); Zuckermanら、Nucleic Acids Research、15:5305〜5321(1987) (オリゴヌクレオチド上の3'チオール基); Sharmaら、Nucleic Acids Research、19: 3019(1991)(3'スルフヒドリル); Giustiら、PCR Methods and Applications、2:223〜227 (1993)、及びFungら、米国特許第4,757,141号(Applied Biosystems社、Foster City、Calif.から入手可能なAminolink(商標) IIを介する5'ホスホアミノ基); Stabinsky、米国特許第4,739,044号(3'アミノアルキルホスホリル基); AP3標識技術(E. I. DuPont de Nemours & Co社に譲渡された米国特許第5,047,519号及び同第5,151,507号); Agrawalら、Tetrahedron Letters、31: 1543〜1546(1990) (ホスホロアミデート連結を介して結合させる方法); Sproatら、Nucleic Acids Research、15: 4837(1987) (5'メルカプト基); Nelsonら、Nucleic Acids Research、17: 7187〜7194(1989) (3'アミノ基)等。
例示的な実施形態では、相補性を示す核酸プローブを、核酸タグ/マーカーの検出を援助するための官能基を有する少なくとも1つの化合物又は分子を用いて標識する。核酸タグ又は相補性を示すプローブを標識する際に利用する技法及び色素が、プローブと組み合わされる核酸によっては、同じである場合がある。
プローブのモチーフ、例として、Taqmanプローブ(Heldら、Genome Res. 6: 986〜994(1996)、Hollandら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 88: 7276〜7280(1991)、Leeら、Nucleic Acids Res. 21: 3761〜3766(1993))、分子ビーコン(Tyagiら、Nature Biotechnol.、16:49〜53(1998)、1999年11月23日発行の米国特許第5,989,823号)、scorpionプローブ(Whitcombら、Nature Biotechnology 17:804〜807(1999))、sunriseプローブ(Nazarenkoら、Nucleic Acids Res. 25: 2516〜2521(1997))、立体構造的に支援されるプローブ(Cook, R.、同時係属中であり同一出願人による、1999年6月9日出願の米国仮特許出願第60/138,376号)、ペプチド核酸(PNA)に基づく、光を発するプローブ(Kubistaら、WO97/45539、1997年12月)、二重鎖特異的DNA色素(Higuchiら、Bio/Technology 10: 413〜417(1992)、Wittwerら、Bio/Techniques 22: 130〜138(1997))等内に、本発明の検出分子を組み込むことができる。これら及びその他のプローブモチーフと共に本発明の検出分子を使用することができ、こうしたプローブのモチーフは、Nonisotopic DNA Probe Techniques、Academic Press, Inc.、1992年に総説されている。
例示的な実施形態では、分子ビーコンの系を利用して、目的の製品から核酸タグを検出し、定量化する。「分子ビーコン」は、ヘアピン形状の核酸の検出用プローブであり、それらの標的に結合すると、立体構造の変化が生じ、このことにより、分子ビーコンの検出が可能になる。一般に、分子ビーコンのループ部分が、核酸マーカーに対して相補性を示す、プローブの核酸配列である。分子ビーコンのステム部分が、プローブ配列の両側に存在する分子ビーコンのアーム配列のアニーリングにより形成される。官能基、例として、フルオロフォア(例えば、クマリン、EDNAS、フルオレセイン、ルシファーイエロー、テトラメチルローダミン、texas red等)を、一方のアームの末端に共有結合させ、クエンチャー分子、例として、非蛍光性クエンチャー(例えば、DABCYL)を、他方のアームの末端に共有結合させる。標的(核酸タグ)が存在しないと、分子ビーコンのステムは、クエンチャー分子に密接に近接していることに起因して、官能基を消光状態に保つ。しかし、分子ビーコンがその特定の標的に結合すると、立体構造変化が分子ビーコンに生じ、その結果、ステム及びループの構造が形成され得ず、したがって、官能基とクエンチャーとの間の距離が増加し、このことにより、標的の存在の検出が可能になる。官能基がフルオロフォアである場合、分子ビーコンが核酸タグに結合するのを、蛍光分光法により検出する。
例示的な実施形態では、特定の製品を標識する際に、種々の配列を有する複数の核酸タグを使用する。異なる核酸タグを、複数の分子ビーコンにより定量的に検出することができ、各分子ビーコンが、異なる色のフルオロフォアを有し、複数の核酸タグのうちの少なくとも1つに対して相補性を示す特有のプローブ配列を有する。種々のフルオロフォア(すなわち、種々の核酸タグ)の定量化が可能であることにより、より高いレベルの認証及び安全保障がもたらされる。また、核酸プローブを標識するのに有用な、上記に記載したその他の官能基を、本発明のための分子ビーコン中でも利用することができることに注目すべきである。
特徴的マーカーの品目への適用
例示的な実施形態によれば、マーカーを付けようとするアイテムは、任意の適切なアイテム、例えば、マイクロチップ、ラベル、バッジ、ロゴ、印刷された資料、書類、織物又は売買品等であり得る。生化学的マーカーを用いて標識した紙が、Wiggins (WO02/057548)に記載されている。一実施形態では、本発明は、特徴的マーカー、例えば、DNA、タンパク質、ペプチド、光学的レポーター、及びマーカーの化学物質等の現場検出及び認証のための方法を提供する。例示的な実施形態によれば、この方法は、目的のアイテムから試料を用意する工程と、試料を分析して、前記アイテムに特有の情報をコードする特徴的マーカーの存在を、特徴的マーカー適合させた特定の検出方法を使用して検出する工程であって、検出方法が、携帯式デバイスを使用して実施される工程と、アイテムの認証を、特徴的マーカーが分析試料中に存在することを決定することによって確認する工程とを含む。
例示的な実施形態では、本発明の方法により認証することができるDNAマーカーを付けるアイテムは、任意の適切なアイテム、例として、高価なアイテム若しくは特有のアイテム、又は決定的に重要な機能を有するアイテムであり得る。マーカーを付けるアイテムは、電子機器に属するアイテム、例えば、マイクロチップ等であり得、代わって、そうしたアイテムは、世帯道具に属するアイテム、布、織物、ラベル、バッジ、ロゴ、又は衣類若しくは装身具に属するアイテムであり得る。例示的な実施形態では、マーカーを付けるアイテムは、インク、書類若しくは印刷された資料、又は売買品であり得る。例示的な実施形態では、マーカーを付けるアイテムは、医薬品、例えば、非限定的に、錠剤、カプレット剤、散剤又はドロップ剤等であり得る。一実施形態では、こうしたアイテムは、現金、法定紙幣、コイン、宝石、宝飾品に属するアイテム、楽器、パスポート、骨董品、家具に属するアイテム、芸術品、不動産譲渡証書、株券又は債券からなる群から選択される。マーカーを付けるアイテムは、輸送中の在庫アイテム又は非在庫アイテムであり得る。
一実施形態では、本発明の方法により認証することができるDNAマーカーを付けるアイテムは、マイクロチップ、ラベル、バッジ、ロゴ、印刷された資料、織物又は売買品である。例示的な実施形態では、こうしたアイテムは、現金、法定紙幣、コイン、宝石、宝飾品に属するアイテム、楽器、パスポート、骨董品、家具に属するアイテム、芸術品、不動産譲渡証書、株券又は債券からなる群から選択される。
特徴的マーカーが、一連の商業活動を通して移動する間に、又は意図的な改ざんにより、容易に除去されることがないように、特徴的マーカーを目的の品目に確実に固定するのに適した任意の利用可能な手段により、特徴的マーカーを目的の品目に適用することができ、したがって、特徴的マーカーの試料は、一連の商業活動中の任意の点において、目的の品目から獲得され得る。用語「品目」、「アイテム」及び「目的の品目」は、明細書及び図面を通して交換可能に使用することができる。用語「マーカー」、「特徴的マーカー」、「安全保障マーカー」、「タグ」及び「タガント」は、明細書及び図面を通して交換可能に使用することができる。目的の品目が、それにカップリングさせた特徴的マーカーを有しており、試料は、目的の品目から特徴的マーカーの部分の任意の部分又は全体を捕捉したものを含むことができる。例えば、特徴的マーカーの試料を、任意の適切な機械的又は化学的手段を使用して捕捉することができる。品目が一連の商業活動を通して移動する場合には、一連の商業活動の間の複数の点及び/又は異なる時期における複数の点において、同じ、目的の品目に対する同じ特徴的マーカーの複数の試料を採取することができる。同じ特徴的マーカーを複数反復させて、目的の品目上の複数の位置に供給することができ、又は異なる特徴的マーカーを複数反復させて、目的の品目上に供給することができる。例えば、特徴的マーカーを、目的の品目上の1つの位置に供給することができるが、また、特徴的マーカー以外のマーカー(例えば、偽装マーカー又はデコイマーカー)も、同じ、目的の品目上に供給することができる。
目的の品目は、任意のアイテム、製品、物件、液体又はガス、例えば、マイクロチップ、ラベル、バッジ、ロゴ、印刷された資料、織物、売買品、インク又は溶液等であり得る。
比較的少量の特徴的マーカーを用いて、目的の品目にマーカーを付けることができ、したがって、目的の品目上の特徴的マーカーの位置が、肉眼で容易には見えず、且つ/又は品目の触覚検査によって容易には検出可能でない。しかし、特徴的マーカーの量は、そうした少量に限定されず、任意の所望の量の特徴的マーカーを使用して、品目にマーカーを付けることができる。例えば、比較的多量の特徴的マーカーを、品目に適用することができ、特徴的マーカーを隠さないのが望ましい場合がある。アイテムに核酸マーカーを付けるためのマーカーを付ける機器が、Sleat (WO03/080931)に記載されている。DNA試料をアイテムに適用する方法が、Mackay (GB2434570A)に記載されている。固体の品目にマーカーを付ける方法が、Slater (WO95/02702)に記載されている。製品にマーカーを付けて、識別する方法が、Garnerら(WO95/06249)に記載されている。アイテム又は物質を標識する手段が、Le Pageら(WO87/06383)に記載されている。品目及び/又は書類を標識するための方法が、Reganら(WO03/030129)に記載されている。
上記に記載したように、核酸タグを製品内に組み込む方法は、認証しようとする製品のタイプによって異なり得る。核酸タグを、「裸」の又は封入された形態のマーカー化合物に、所定の濃度で添加することができ、こうすることによって、核酸タガントの正確な検出が可能になる。マーカー化合物は、液体であり得るが、例示的な実施形態では、固体であってよい。マーカー化合物は、液体であり得、核酸タガントを添加したら、乾燥させてから、特定の製品(例えば、薬物の錠剤又は織物)にマーカーを導入することができる。核酸タガントを含むマーカー化合物が液体の形態をとる場合には、マーカー化合物を、ラッカー、ペンキ又は液体エアロゾルの形態の製品に適用することができる。
一実施形態では、本発明のマイクロ流体デバイスは、酵素的な方法を利用して、試料、例として、唾液試料、又は頬スメアから得られたスワブ中の生物学的分子、例として、タンパク質及び脂質を分解したり、下流の分析及び検出のためにDNA内容物を放出させたりする。次いで、放出されたDNAはマイクロ流体チャネル中を流動して、PCRサーモサイクラーモジュールに至り、増幅、及び別のモジュール、例として、キャピラリー電気泳動用モジュールによる検出が行われる。検出は、任意の数の方法による検出であり得、それらには、例として、光学的、放射活性による検出、ISFET、又はオリゴヌクレオチドの配列決定及び検出の方法の、当業者に既知の任意の方法がある。得られたデータを、モジュール中で分析する、又は安全なサーバを介してネットワークサーバ若しくはクラウド中のサーバへ送って、その他の保存されているデータとの比較若しくはさらなる分析を行うことができる。そのようなシステムをプログラムして、データの読出しを90分以内で得ることができる。そのような方法の1つの適用例が、系図についてのバイオメトリクス、又は関係者若しくは旅行者の身元確認等である。
試料の識別子
一実施形態では、DNAマーカーを、試料の識別子(例えば、検出可能なレポーター)に関連付け、この方法は、DNAマーカーに関連付けられた光学的レポーターを位置づけ、それにより、現場検出及び認証手順のためのDNAマーカーの試料採取を促進する工程を含む。試料の識別子は、光学的レポーター、デジタルコード、QRコード(登録商標)又はバーコードであり得る。光学的レポーターは、アップコンバート性リン光体、フルオロフォア、色素、染色剤又はリン光体を含むことができる。例示的な実施形態では、検出可能なレポーターは、化学的レポーター、デジタルレポーター及び/又はペプチドレポーターから選択される。例示的な実施形態では、デジタルレポーターは、任意の適切なデジタルレポーター、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、量子ドット又はRFID等であり得る。別の実施形態では、QRコード(登録商標)、量子ドット、バーコード又はRFIDは、DNAマーカーの暗号化された配列を含むことができる、例えば、Tranら 「Verification or physical encryption taggants using digital representatives and authentications thereof」、WO2013/170009を参照されたい。
試料の識別子を、特徴的マーカーと組み合わせることができる。試料の識別子は、特徴的マーカーを位置づけるのを支援するための、試料の任意の適切な識別子であり得る。例えば、試料の識別子を使用して、目的の品目にカップリングさせてある特徴的マーカーの位置を識別することができる。特徴的マーカーに類似して、試料の識別子は、目的の品目の目視又は触覚による検査によっては容易に検出可能でない場合がある。例えば、試料の識別子は、光学的レポーター、例として、UV光へ曝露した場合にのみ活性化される蛍光色素であり得る。したがって、光学的レポーターと組み合わせた、特徴的マーカーを有する目的の品目を曝露させると、目的の品目上の特徴的マーカーの位置を視覚的に明らかにすることができる。品目にマーカーを付けるための方法及びインクのセットが、Degott(EP1403333A1)に記載されている。
試料の識別子は、触覚的な識別子、例として、コースパターンであり得、目的の品目の表面上に、特徴的マーカーが位置づけられた位置において配置することができる。触覚的な識別子は、目的の品目の表面上に形成された異例に平滑なパターンであり得る。しかし、特徴的マーカーは、試料の識別子なしで、品目に適用することができる。
DNAマーカー自体が、検出可能なDNAマーカーであり得る。検出可能なDNAマーカーは、例えば、蛍光標識又はプローブを用いて標識することができる。
マーカーの試料採取
DNAマーカーの現場検出及び認証のための試料は、任意の適切な試料、例えば、表面から得られた固体試料、はく離物、切削物、粉末、液体、霧状の物又はスワブ等であり得る。収集槽、例として、プラスチック製若しくはガラス製の試験管、スクリューキャップ付きチューブ、マイクロキャップチューブ、アッセイプレートのウエル、又はマイクロ流体のチャンバー、リザーバ、或いはその他の適切な容器中に、試料を収集することができる。
特徴的マーカーの一部又は全部を含む試料を、目的の品目から収集し、分析して、特徴的マーカーの存在を検出することができる。試料は、特徴的マーカーの存在を検出するための任意の適切な手段により分析することができる。例えば、分析は、現場検出装置を使用して実施することができる。現場検出装置は、分析を完了することができる装置であり、試料を実験室に輸送する必要はない。例えば、特徴的マーカーの試料を、マーカーを付けた製品から、この製品を工場から消費者に発送する前に採取することができ、工場において、試料を現場検出装置により分析することができ、試料を実験室に輸送して、試験を行う必要はない。したがって、分析を、実質的に瞬時又は試料を収集してから数分以内に迅速に実施することができる。例えば、特徴的マーカーの存在を、実質的に瞬時(例えば、10〜20秒以内)に、リアルタイムで、又は試料を現場検出装置に移してから数分以内に検出することができる。例えば、特徴的マーカーの分析及び/又は検出を、約5分〜約2時間で完了することができる。より特定すると、特徴的マーカーの分析及び/又は検出を、約10分〜約30分で完了することができる。目的の品目の認証は、試料中の特徴的マーカーの存在を検出することによって確認することができる。
例示的な実施形態によれば、目的の品目から得られた試料を収集するためのキットは、現場検出装置中で分析を行うのに適した特徴的マーカーを含む試料を収集するように構成されている試料収集ユニットを含む。多様な核酸抽出溶液(例えば、溶媒又は緩衝液)が、目的の試料から核酸配列を抽出するために開発されている。例えば、核酸抽出の手順が、Green, Michael R.及びJoseph Sambrook. Molecular cloning: a laboratory manual. New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press、2012に記載されている。ある実施形態では、試料収集キットは、目的の品目から特徴的マーカーを抽出するのに適した緩衝液又は溶媒を含むことができ、こうした緩衝液又は溶媒は、現場検出装置により実施される分析方法に適合する。
核酸タグを抽出及び捕捉する方法
目的の試料から核酸配列を抽出するために、多様な核酸抽出溶液が長年開発されてきた。例えば、Green, Michael R.及びJoseph Sambrook. Molecular cloning: a laboratory manual. New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press、2012を参照されたい。多くのそのような方法は典型的には、例えば、洗剤が媒介する工程、プロテイナーゼにより処理する工程、フェノール及び/若しくはクロロホルムにより抽出する工程、並びに/又はアルコールにより沈殿させる工程のうちの1つ又は複数の工程を必要とする。いくつかの核酸抽出溶液は、エチレングリコール系の試薬又はエチレングリコール誘導体を含んで、核酸抽出の効率を増加させることができ、一方、その他の方法は、水中での試料の粉砕及び/又は沸騰のみを使用する。溶媒に基づく系及び超音波処理を含めた、その他の方法もまた、その他の抽出方法と併せて利用することができる。
例示的な実施形態では、認証の方法は、固体支持体に結合させた、相補性を示すハイブリダイゼーションプローブを用いて、核酸タグを直接捕捉する工程を含む。一般に、核酸タグを捕捉するための方法には、固相中の材料と液相中の試薬との相互作用が関与する。例示的な実施形態では、核酸プローブを、固相に結合する。核酸プローブは、固相にあり、例として、多様な周知の共有結合性の連結又は非共有結合性の相互作用のいずれか1つにより、固体支持体上に固定化され得る。例示的な実施形態では、支持体は、不溶性の材料、例として、制御多孔性ガラス、ガラス製のプレート又はスライド、ポリスチレン、アクリルアミドゲル及び活性化デキストランから構成される。例示的な実施形態では、支持体は、硬質又は半硬質の特性を有し、任意の形状、例えば、ビーズの形としての球形、長方形、不規則な粒子、ゲル、マイクロスフェア又は実質的に平らな支持体であり得る。例示的な実施形態では、支持体上に多数の物理的に離れた配列決定領域を、例えば、ウエル、盛り上がった領域、くぼみ、ピン、溝、棒、ピン、円柱の内壁又は外壁等を用いて作り出すのが望ましい場合がある。その他の適切な支持体の材料として、これらに限定されないが、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシ、又はそれらのコポリマー及びグラフトが挙げられる。例示的な固体支持体として、小粒子、非多孔性の表面、アドレス可能なアレイ、ベクター、プラスミド、又はポリヌクレオチド固定化媒体が挙げられる。
核酸プローブを、核酸タグを捕捉する方法において使用する場合、固体支持体上の化学的反応性の官能基に対する共有結合又はその他の親和性相互作用により、固体支持体に結合させることができる。核酸を、固体支持体に、支持体の3'、5'、糖又は核酸塩基の部位において結合することができる。例示的な実施形態では、安定又は選択的に切断可能なリンカーに多くの選択肢が利用可能であることに起因して、3'部位においてリンカーを介して支持体に結合させることが好ましい。固定化は、好ましくは、支持体と核酸との間の共有結合性の連結により達成する。連結単位又はリンカーは、安定であり、固定化された核酸がその配列相補体へ接近するのを可能にすることを促進するように設計する。代わって、非共有結合性の連結、例として、ビオチンと、アビジン又はストレプトアビジンとの間の連結も有用である。その他の官能基リンカーの例として、エステル、アミド、カルバメート、尿素、スルホネート、エーテル及びチオエステルが挙げられる。5'又は3'ビオチン化ヌクレオチドを、支持体、例として、ガラスに結合させたアビジン又はストレプトアビジン上に固定化することができる。
目的の製品に添加した核酸タグの最初の濃度によっては、タグを、PCRにより増幅することなく、定量的に検出することができる。例示的な実施形態では、検出分子(すなわち、フルオロフォア、ビオチン等)を用いて標識した一本鎖DNAのタグを、固体支持体に結合させた、相補性を示すプローブにハイブリダイズさせて、タグに対して構成されている「検出分子」の、特異的な検出を可能にすることができる。また、核酸DNAのタグは二本鎖であってもよく、少なくとも一方の鎖を、検出分子を用いて標識する。dsDNAのタグを用いる場合には、核酸タグを、十分に加熱し、次いで、素早く冷却して、一本鎖DNAを生成させなければならず、この場合、検出分子を有するように構成した、これらの鎖のうちの少なくとも一方により、適切なハイブリダイゼーション条件下で、相補性を示すDNAプローブにハイブリダイズさせることが可能になる。
本発明の例示的な実施形態では、相補性を示すプローブを、検出分子を用いて標識し、核酸タグの鎖にハイブリダイズさせる。製品が、例えば、織物である場合には、プローブのハイブリダイゼーションを、製品の内部で完了させることができ、又は製品が液体(例えば、油、ガソリン、香水等)である等の場合には、プローブのハイブリダイゼーションを、製品から核酸タグ/マーカーを抽出してから完了させることができる。本明細書に記載する直接的な検出方法は、製品中に包埋している核酸標識の大きな最初の濃度があること、又は大きな体積若しくは質量の特定の製品から抽出した核酸タグを濃縮する綿密な抽出/捕捉に依存し得る。
(例えば、全ゲノムを増幅して)人の全ゲノムの配列決定を行って、個体間の遺伝暗号の差を識別することが、技術的に可能になっている。我々はそれぞれ、1000個の塩基当たり約1つが、個体間で相互に異なることが発見された。これらの差は、遺伝子変異又は一塩基多型(SNP)と呼ばれている。これらの変異は、医学分野において、個人化医療のためにも、個体に、疾患、例として、糖尿病の素因があるかどうかを決定するためにも、広く探索されている。
試料の分析及びマーカーの検出
試料を、例えば、PCR、等温増幅又は核酸ハイブリダイゼーションを使用して分析することができる。試料は、次世代シークエンシングを使用して分析することができる。下記に、試料の分析の方法を、より詳細に記載する。
DNAの増幅
例示的な実施形態では、認証の方法は、核酸マーカーを、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する工程を含む。増幅の間に、プライマーの二量体及びその他の異質の核酸を、分析物に対応する核酸と一緒に増幅する恐れがある。これらの不純物は、増幅された生成物から、例えば、ゲル分離の技法により分離することができる。後の分析に十分な量のPCR生成物を形成させるために、定量的、競合的PCRによる増幅は、内部対照の競合物質を使用し、対数期の生成物の形成が完了してから停止させる。
例示的な実施形態では、PCR増幅を、プライマーではない、検出可能なプローブの存在下で実施し、このプローブは、PCR増幅生成物、すなわち、増幅された検出体DNA部分に特異的に結合する。PCRプライマーは、既知の判断基準に従って設計することができ、PCRは、市販されている装置中で実施することができる。プローブは、増幅された検出体分子に結合するように特別に設計したDNAオリゴヌクレオチドであり得る。プローブは、好ましくは、5'レポーター色素と、プローブに共有結合させた下流の3'クエンチャー色素とを有し、これらにより、蛍光の共鳴エネルギー移動が可能になる。適切な蛍光レポーター色素は、6-カルボキシ-フルオレセイン(FAM)、テトラクロロ-6-カルボキシ-フルオレセイン(TET)、2,7-ジメトキシ-4,5-ジクロロ-6-カルボキシ-フルオレセイン(JOE)、及びヘキサクロロ-6-カルボキシ-フルオレセイン(HEX)を含む。適切なレポーター色素は、6-カルボキシ-テトラメチル-ローダミン(TAMRA)である。これらの色素は、Perkin-Elmer社、Philadelphia、Paから市販されている。PCR増幅生成物の検出を、PCR増幅サイクル毎に行うことができる。PCR増幅の間のいずれの所与のサイクルにおいても、PCR生成物の量は、鋳型の最初のコピー数に比例する。鋳型のコピー数は、レポーター色素の蛍光により検出可能である。プローブがインタクトである場合は、レポーター色素は、クエンチャー色素に近接しており、このことにより、レポーターの蛍光が抑制される。PCRの間、DNAポリメラーゼが、プローブを5'-3'方向に切断し、レポーター色素とクエンチャー色素とを分離して、クエンチャー色素に最早近接していないレポーター色素の蛍光を増加させる。蛍光の増加を測定し、この増加は、PCRの間の増幅に直接比例する。この検出系は現在、Perkin-Elmer社からTaqMan (登録商標)PCR系として市販されており、これにより、リアルタイムPCRによる検出が可能になる。核酸のプローブによる分析が、Kubista, Mikaelら(WO97/45539)に記載されている。自己プローブ型(self-probing)のアンプリコンを使用するPCR生成物の検出が、Whitcombe, Davidら 「Detection of PCR products using self-probing amplicons and fluorescence」Nature biotechnology 17.8 (1999): 804〜807に記載されている。制御多孔性ガラス(CPG)を使用して合成したオリゴヌクレオチドプローブが、Nelson, Paul S.、Roy A. Frye、及びEdison Liu.「Bifunctional oligonucleotide probes synthesized using a novel CPG support are able to detect single base pair mutations」Nucleic acids research 17.18 (1989): 7187〜7194に記載されている。ニックトランスレーションPCRにおいて使用する蛍光発光性のプローブが、Lee, Linda G.、Charles R. Connell、及びWill Bloch.「Allelic discrimination by nick-translation PCR with fluorgenic probes」Nucleic acids research 21.16 (1993): 3761〜3766に記載されている。
例示的な実施形態では、レポーター色素とクエンチャー色素とを、2つの別個のプローブ上に位置づけることができ、これらのプローブは、増幅されたPCR検出体分子にハイブリダイズし、ハイブリダイゼーションが生じる位置は、隣接しており、十分に近いので、クエンチャー色素によるレポーター色素の蛍光シグナルの消光が可能である。上記に記載した検出系と同様に、ポリメラーゼの5'-3'ヌクレアーゼ活性が、一方の色素を、それを含有するプローブから切断し、レポーター色素と、隣接するプローブ上に位置するクエンチャー色素とを分離して、レポーター色素の消光を阻止する。上記に記載した実施形態の場合のように、PCR生成物の検出は、レポーター色素の蛍光の増加の測定による。
リアルタイム定量的PCRが、核酸の分析物又は鋳型に適用されている。この方法では、PCRを使用して、非伸長性の、二重標識された蛍光発光性ハイブリダイゼーションプローブの存在下で、試料中のDNAを増幅する。一方の蛍光色素が、レポーターとして働き、その発光スペクトルは、第2の蛍光色素により消光されている。この方法は、Taqポリメラーゼの5'ヌクレアーゼ活性を使用して、PCRの伸長相の間に、ハイブリダイゼーションプローブを切断する。ハイブリダイゼーションプローブのヌクレアーゼ分解により、レポーター色素の消光が解除され、その結果、レポーターからのピーク発光の増加が生じる。反応をリアルタイムでモニターする。また、逆転写酵素PCR(RT-PCR)及びリアルタイムPCRは、Heid, Christian A.ら 「Real time quantitative PCR」Genome research 6.10 (1996): 986〜994;並びにGibson, U. E.、Christian A. Held、及びP. Mickey Williams. 「A novel method for real time quantitative RT-PCR」Genome research 6.10 (1996): 995〜1001にも記載されている。PCR反応中に、複数の試料の蛍光スペクトルを連続的にモニターすることができる、多数の市販のサーマルサイクラーが入手可能であり、したがって、PCR生成物の蓄積を、「リアルタイム」でモニターすることができ、実験室でアンプリコンが汚染されるリスクはない。Heid, C. A.; Stevens, J.; Livak, K. L.; Williams, P. W. (1996). Real time quantitative PCR. Gen. Meth. 6: 986〜994。
例示的な実施形態では、リアルタイムPCRによる検出の戦略を使用することができ、これらは、既知の技法、例として、インターカレート色素(例えば、臭化エチジウム)及び検出のために使用する、その他の二本鎖DNA結合性色素(例えば、SYBR green、極めて感度の高い蛍光染色剤、FMC Bioproducts社)、二重蛍光プローブ(Wittwerら(1997) BioTechniques 22: 176〜181に記載されている)、並びにパンハンドル型(panhandle)の蛍光プローブ(すなわち、分子ビーコン; Tyagi、及びKramer (1996) Nature Biotechnology 14: 303〜308に記載)を用いる可視化を含む。インターカレート色素及び二本鎖DNA結合性色素により、リアルタイムの適用例において、PCR生成物の蓄積の定量化が可能になるが、これらは、特異性を欠き、プライマーの二量体及びあらゆる非特異的な増幅生成物が検出され得る。既知の技法を使用して、試料の調製及び取扱いを慎重に行い、プライマーを慎重に設計することによって、基質及び汚染物質のDNAの存在を最小限に留め、プライマーの二量体の形成を阻止することができる。適切なPCR装置分析ソフトウエア及び融解温度の分析は、特異性を抽出するための手段を提供し、これらの実施形態と共に使用することができる。
分子ビーコンの系を、リアルタイムPCRと共に使用して、試料中の核酸の鋳型を特異的、定量的に検出することができる。例えば、市販されているRoche社のLight Cycler(商標) (Roche Diagnostics Corporation社、Indianapolis、Indiana)又はその他のそのような装置を、この目的で使用することができる。分子ビーコンプローブに対して構成されている検出分子は、日光若しくは従来の照明の下で見えても、且つ/又は蛍光であってもよい。また、検出分子は、放射線の放射体、例として、特性的な同位体であってもよいことに注目すべきである。多色分子ビーコンが、Tyagi, Sanjay、Diana P. Bratu、及びFred Russell Kramer. 「Multicolor molecular beacons for allele discrimination」Nature biotechnology 16.1 (1998): 49〜53に記載されている。蛍光分子ビーコンが、Tyagi, Sanjay, 及びFred Russell Kramer.「Molecular beacons: probes that fluoresce upon hybridization」Nature biotechnology 14.3 (1996): 303〜308に記載されている。
一実施形態では、DNAを、ナノポア配列決定により増幅することができる。ナノポア配列決定は、導電性の液体中に浸した小さな開口(例えば、直径およそ1ナノメートルのナノポア)を使用し、ナノポアにわたって電圧を印加することを含む。個々のヌクレオチドがナノポア中又は付近を通過する場合に、電圧の測定可能な変化を発生させることができ、こうした変化を使用して、DNA鎖の個々のヌクレオチドを識別することができる。例えば、ナノポア配列決定は、Branton, Danielら 「The potential and challenges of nanopore sequencing」Nature biotechnology 26.10 (2008): 1146〜1153;並びにDeamer, David W.及びMark Akeson. 「Nanopores and nucleic acids: prospects for ultrarapid sequencing」Trends in biotechnology 18. 4 (2000): 147〜151に記載されている。
一実施形態では、DNAを、多重アニーリング及びループ化による増幅サイクル法(MALBAC)により増幅することができる。MALBACを使用して、全ゲノムを実質的に増幅することができる。MALBACは、ゲノムを準線形に増幅することができ、単一細胞の全ゲノムの増幅のために使用することができる。MALBACでは、アンプリコンが、相補性を示す末端を有し得る。相補性を示す末端は、ループを形成することができ、このことにより、アンプリコンが指数関数的にコピーされるのを阻止することができ、したがって、増幅の偏りが阻止される。例えば、MALBACは、Zong, Chenghangら「Genome-wide detection of single-nucleotide and copy-number variations of a single human cell」Science 338.6114 (2012): 1622〜1626に記載されている。
生物学的に適切な分子の高い感度での迅速且つ正確な検出及び定量化を可能にすることは、医学技術、国家の安全保障、一般市民の安全及び軍民の医学診断法とっての中心的な課題である。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及びPCRを含めた、現時点で使用されているアプローチの多くは、感度が極めて高い。しかし、PCR増幅が必要であることが、検出方法を、より複雑且つ高価で、より時間のかかるものにする恐れがある。例示的な実施形態では、偽造対策のための核酸タグを、Grahamら(6,127,120)の記載に従う表面増強ラマン散乱(SERS)により検出する。SERSは、比較的低い標的(核酸)濃度に対する感度が高い検出方法であり、これを、好ましくは、増幅されていない試料に対して直接実施することができる。プローブが核酸タグにハイブリダイズすると、核酸タグのSERSに変化をもたらすように、核酸タグ及び/又は核酸プローブを標識又は改変することができる。核酸を定量的に検出するためのSERSの使用は、特定の製品を分析し、認証する比較的迅速な方法を提供する。
本発明において有用な別の検出方法が、Whittenら(6,743,640)に記載されている蛍光バイオセンサーのためのクエンチャー-係留要素-リガンド(Quencher-Tether-Ligand) (QTL)系である。QTL系は、構造的特異性を有する生物学的分子の簡便且つ迅速で、極めて感度の高い検出を提供する。QTL系は、クエンチャー(Q)、係留要素(T)及びリガンド(L)から形成される化学的部分をもたらす。この系は、試料中の標的の生物学的物質を、蛍光変化を観察することによって検出することが可能である。
QTL系は、試料中の標的の生物学的分子を迅速且つ正確に検出し、定量化することができる。高分子-QTLのアプローチにおいて使用することができるリガンドの適切な例として、化学的な配位子、ホルモン、抗体、抗体断片、オリゴヌクレオチド、抗原、ポリペプチド、糖脂質、タンパク質、タンパク質断片、酵素、ペプチド核酸及び多糖が挙げられる。QTL分子として使用するためのクエンチャーの例として、メチルビオローゲン、キノン、金属錯体、蛍光色素、並びに電子求引性、電子供与性及びエネルギー受容性部分が挙げられる。係留要素は、例えば、一重結合、単一の二価の原子、二価の化学的部分及び多価の化学的部分であり得る。しかし、QTL分子を形成するリガンド、係留要素及びクエンチャーのこれらの例は、その他の適切な例が使用することができることから、限定的であると解釈してはならない。
従来からのPCRは反復温度サイクリングを利用して、DNAを増幅する。しかし、本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、温度サイクリングを用いることなく(例えば、等温増幅により)増幅することができる。例えば、ループ介在等温増幅(LAMP)、鎖置換増幅(SDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)又は好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(tHDA)により、DNAを等温増幅することができる。例えば、等温増幅は、Oriero, E. Cら 「Comparison of two isothermal amplification methods: Thermophilic helicase dependent amplification (tHDA) and loop mediated isothermal amplification (LAMP) for detection of Plasmodium falciparum」International Journal of Infectious Diseases 21 (2014): 381;及びLi, Yingら 「Detection and Species Identification of Malaria Parasites by Isothermal tHDA Amplification Directly from Human Blood without Sample Preparation」The Journal of Molecular Diagnostics 15.5 (2013): 634〜641に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、ループ介在等温増幅(LAMP)により増幅することができる。LAMPはまた、単一チューブ内でDNAを増幅する技法(single tube technique for amplifying DNA)とも呼ばれており、全ての試薬を、単一の試料チューブ中でインキュベートする。LAMPは、鎖置換特性を有するDNAポリメラーゼを利用し、サーモサイクラーを使用する必要はない。LAMPは、比較的小さな、標的のDNA配列内部の領域のセット(例えば、6〜8つの領域)を標的にするプライマーのセット(例えば、4〜6つのプライマー)を利用することができる。LAMPは、2つの内側プライマー及び2つの外側プライマー、更に、2つの追加のループ-プライマーを利用することができ、ループ-プライマーは、LAMPアンプリコン中のループ構造にアニールすることができる。このアッセイの設計は、増幅感度を増強し、且つ反応時間を加速させる。例えば、LAMPは、Oriero, E. Cら 「Comparison of two isothermal amplification methods: Thermophilic helicase dependent amplification (tHDA) and loop mediated isothermal amplification (LAMP) for detection of Plasmodium falciparum」International Journal of Infectious Diseases 21 (2014): 381;及びNotomi, Tsugunoriら 「Loop-mediated isothermal amplification of DNA」Nucleic acids research 28.12 (2000): e63-e63に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、鎖置換増幅(SDA)により増幅することができる。SDAは、DNAの増幅のための、配列特異的でない方法である。SDAでは、ランダムな六量体プライマーを、DNA鋳型鎖にアニールさせ、DNA合成を、高い忠実度のDNAポリメラーゼにより実施する。例えば、SDSは、米国特許第5,455,166号;米国特許第5,712,124号; Asiello、Peter J、及びAntje J. Baeumner. 「Miniaturized isothermal nucleic acid amplification, a review」Lab on a Chip 11.8 (2011): 1420〜1430;並びにWalker, G. Terranceら 「Strand displacement amplification-an isothermal, in vitro DNA amplification technique」Nucleic Acids Research 20.7 (1992): 1691〜1696に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)による増幅によって増幅することができる。NEAR増幅は、鎖置換DNAポリメラーゼを使用して、ニッキング酵素により作り出された切れ目からDNAを合成することを含む。NEARは、標的配列から多くの短い核酸を比較的急速に生成することができる。ニッキングとDNA伸長とを交互に行うサイクルから、約5〜10分で数10億倍の増幅をもたらすことができる。例えば、NEARは、Menovaら 「Scope and Limitations of the Nicking Enzyme Amplification Reaction for the Synthesis of Base-Modified Oligonucleotides and Primers for PGR」Bioconjugate Chemistry 24.6 (2013): 1081〜1093に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)により増幅することができる。RPAはまた、単一チューブ内でDNAを増幅する技法とも呼ばれている。RPAは、3つの酵素、すなわち、リコンビナーゼ、一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)及び鎖置換ポリメラーゼを含むことができる。リコンビナーゼは、オリゴヌクレオチドプライマーと、二重鎖DNA中の相同性を示す配列との間で対を形成させることができる。SSBは、置換されたDNA鎖に結合することができ、プライマーの置換を阻止することができる。鎖置換ポリメラーゼは、DNA合成をプライマーが標的DNAに結合している点から開始することができる。逆転写酵素をRPA反応に添加して、cDNAは生成させずに、RNA及びDNAを検出することができる。例えば、RPAは、Lutzら 「Microfluidic lab-on-a-foil for nucleic acid analysis based on isothermal recombinase polymerase amplification (RPA)」Lab on a Chip 10.7 (2010): 887〜893に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、好熱性ヘリカーゼ依存性増幅(tHDA)により増幅することができる。tHDAは、2つのプライマーが定義する標的のDNA配列(例えば、約70bp〜120bpの比較的短いDNA配列)を選択的に増幅することができる。tHDAは、DNAを分離するために、加熱する代わりにヘリカーゼを利用し、一本鎖DNA鋳型を生成して、プライマーの結合及びDNAポリメラーゼによる伸長を行う。単一コピーのDNAを、tHDAにより増幅して、検出を行うことができる。例えば、tHDAは、Oriero, E. Cら 「Comparison of two isothermal amplification methods: Thermophilic helicase dependent amplification (tHDA) and loop mediated isothermal amplification (LAMP) for detection of Plasmodium falciparum」International Journal of Infectious Diseases 21 (2014): 381;及びLi, Yingら 「Detection and Species Identification of Malaria Parasites by Isothermal tHDA Amplification Directly from Human Blood without Sample Preparation」The Journal of Molecular Diagnostics 15.5 (2013): 634〜641に記載されている。
次世代シークエンシング
本発明の例示的な実施形態によれば、DNAを、次世代シークエンシング(NGS)技術により配列決定及び/又は検出することができる。NGSは、一群の高スループット配列決定技術(例えば、大規模並行配列決定)を指す。NGSは、核酸配列の比較的に大きなストレッチ、又は全ゲノムを配列決定することができる。NGSでは、DNA試料から、多くの比較的小さな核酸配列を同時に配列決定することができ、小さなセグメント(すなわち、リード)のライブラリーを形成することができる。次いで、リードを再度組み立て、大きな核酸配列又は完全な核酸配列を識別することができる。並行して、例えば、500,000回もの配列決定の操作を行うことができる。NGS技術では、例えば、MALBAC、それに続く、従来からのPCRを使用することができる。例えば、NGSは、Mardis「The impact of next-generation sequencing technology on genetics」Trends in genetics 24.3 (2008): 133〜141;及びMetzker「Sequencing technologies-the next generation」Nature Reviews Genetics 11.1 (2009): 31〜46に記載されている。
大規模並行シグネチャー配列決定(MPSS)は、例示的なNGS技術である。MPSSは、mRNA転写物を、17〜20個の塩基対のシグネチャー配列を生成することによって識別する。MPSSを利用して、試料中のmRNA転写物の識別及び定量化の両方を行うことができる。例えば、MPSS法は、Brenner, Sydneyら 「Gene expression analysis by massively parallel signature sequencing (MPSS) on microbead arrays」Nature biotechnology 18.6 (2000): 630〜634に記載されている。
ポロニー配列決定が、例示的なNGS技術であり、この場合、数百万個の固定化されたDNAの配列を、並行して読み取ることができる。ポロニー配列決定は、極めて正確であり、誤り率は低いことが見出されている。ポロニー配列決定は、多重化配列決定の技法であり、この場合、複数の分析物を、単一のラン/サイクル又は単一のアッセイで測定することができる。例えば、ポロニー配列決定法は、Shendureら 「Advanced sequencing technologies: methods and goals」Nature Reviews Genetics 5.5 (2004): 335〜344;及びShendureら 「Next-generation DNA sequencing」Nature biotechnol 26.10 (2008): 1135〜1145に記載されている。
パイロシークエンシングが、例示的なNGS技術であり、この場合、ルシフェラーゼを利用して、新生のDNAに添加した個々のヌクレオチドを検出する。パイロシークエンシングは、油性溶液中の水の小滴中に含有させたDNAを増幅することができる。1滴の水が、例えば、プライマー被覆ビーズに結合する1つのDNA鋳型を含むことができる。例えば、パイロシークエンシング法は、Vera, J. Cristobalら 「Rapid transcriptome characterization for a nonmodel organism using 454 pyrosequencing」Molecular ecology 17.7 (2008): 1636〜1647;及びRonaghi 「Pyrosequencing sheds light on DNA sequencing」Genome research 11.1 (2001): 3〜11に記載されている。
Illumina社の配列決定が、例示的なNGS技術であり、この場合、DNA分子及びプライマーをスライドに結合する。DNA分子を、ポリメラーゼにより増幅することができ、DNAのコロニー(すなわち、DNAのクラスター)を形成することができる。例えば、Illumina社の配列決定法は、Hanlee 「Next-generation DNA sequencing」Nature biotechnology 26.10 (2008): 1135〜1145;並びにMeyer及びKircher 「Illumina sequencing library preparation for highly multiplexed target capture and sequencing」Cold Spring Harbor Protocols 2010.6 (2010): pdb-prot5448に記載されている。
オリゴヌクレオチドのライゲーション及び検出による配列決定(Sequencing by Oligonucleotide Ligation and Detection)(SOLiD配列決定)が、例示的なNGS技術であり、この場合、数千個の小さな配列のリード(すなわち、DNA断片)を同時に生成する。配列決定のために、配列のリードを、固体支持体上に固定化することができる。SOLiD配列決定は一般に、ライゲーションの方法による配列決定と呼ぶことができる。例えば、SOLiD配列決定法は、Hanlee Ji 「Next-generation DNA sequencing」Nature biotechnology 26.10 (2008): 1135〜1145;並びにMeyer, Matthias及びAnsorge, Wilhelm J 「Next-generation DNA sequencing techniques」New biotechnology 25.4 (2009): 195〜203に記載されている。
Ion Torrent半導体配列決定が、例示的なNGS技術であり、この場合、DNAが重合される間に、放出される水素イオンを検出する。Ion Torrent半導体配列決定は、合成による配列決定の方法である。デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)を、鋳型のDNA鎖を含有するマイクロウエル内に導入することができる。dNTPが、先頭の鋳型ヌクレオチドに対して相補性を示す場合、このdNTPは、相補性を示すDNA鎖内に組み込まれ得、水素イオンが放出され得る。例えば、Ion Torrent半導体配列決定法は、Quail, Michael A.ら 「A tale of three next generation sequencing platforms: comparison of Ion Torrent, Pacific Biosciences and Illumma MiSeq sequencers」BMC genomics 13.1 (2012): 341に記載されている。
DNAナノボール配列決定が、例示的なNGS技術であり、この場合、ローリングサークル型複製を使用し、DNAナノボールを形成して、ゲノムDNAの小さな断片を増幅する。次いで、増幅したDNA配列を、蛍光プローブをガイドとして使用することによってライゲーションすることができる。例えば、DNAナノボール配列決定法は、Ansorge, Wilhelm J 「Next-generation DNA sequencing techniques」New biotechnology 25.4 (2009): 195〜203、及びDrmanacら 「Human genome sequencing using unchained base reads on self-assembling DNA nanoarrays」Science 327.5961 (2010): 78〜81に記載されている。
Heliscope単一分子配列決定が、例示的なNGS技術であり、これは、ライゲーションもPCR増幅も必要としない。Heliscope単一分子配列決定は、直接的な配列決定法であり、この場合、DNAをせん断し、これにポリA尾部を付け、次いで、これをフローセルの表面にハイブリダイズさせることができる。次いで、多数の分子(例えば、数10億個の分子)を、並行して配列決定することができる。例えば、Heliscope単一分子配列決定法は、Pushkarevら 「Single-molecule sequencing of an individual human genome」Nature biotechnology 27.9 (2009): 847〜850に記載されている。
単一分子リアルタイム(SMRT)配列決定が、例示的なNGS技術であり、この場合、ゼロモード導波路(ZMW)と呼ばれている比較的小さな、ウエル様の容器中で、DNAを合成することができる。未改変のポリメラーゼを、ZMWの底部に結合することができる。未改変のポリメラーゼを使用して、蛍光標識したヌクレオチドを溶液中で自由に流動させながら、DNAを配列決定することができる。ヌクレオチドがDNA鎖内に組み込まれると、ヌクレオチドから、蛍光標識が放出され得る。SMRT配列決定は、合成による配列決定の方法の例である。例えば、SMRT配列決定法は、Flusbergら 「Direct detection of DNA methylation during single-molecule, real-time sequencing」Nature methods 7.6 (2010): 461〜465に記載されている。
例示的な実施形態では、本発明は、DNA分子、タンパク質、ペプチド、光学的レポーター、マーカーの化学物質及びデジタルコードからなる群から選択される1つ又は複数のマーカーを用いてマーカーを付けたアイテムの現場検出及び認証を行うためのシステムを提供する。このシステムは、マーカーを付けた目的のアイテムから試料を受け取るようになされた容器;分析装置の1つ又は複数のモジュールであって、それぞれが、マーカーのうちの少なくとも1つの存在を、マーカーに合わせて適合させた特定の検出方法を使用して検出して、検出データを提供するようになされたモジュール;及び分析装置の1つ又は複数のモジュールから検出データを受け取り、試料中の1つ又は複数のマーカーの有無を決定するための分析装置を含むことができ、分析装置は、マーカーを付けたアイテムの認証を、試料中の1つ又は複数のマーカーの存在を確認することによって決定するように構成されている。
マーカーの検出
本発明の例示的な実施形態に従う有用な検出システムの例として、PCRスタイルのDNA検出(デジタルPCR、パイロシークエンシング、DNAe)のシステム、電気泳動(キャピラリー又はゲル電気泳動マイクロ流体技術)のシステム、タンパク質の細孔を使用してDNAを配列決定するナノデバイスのシステム、及びマイクロアレイのシステムが挙げられる。本発明の例示的な実施形態は、ハンドヘルドデバイス、多回試験型デバイス又は装置を含有しないUSBデバイスを使用するDNA及びRNAの検出を含む。試料収集、チップサイズ、アッセイ及び読出しのスタイルは、製品及び使用者の要件に適合させることができる。ラップトップコンピュータ及びスマートフォン等のデバイスに出力する標準的なCMOSプロセスを使用する、世界で最大の半導体製造工場のチップ上のシステムによって、本発明の例示的な実施形態を実施することができる。このCMOS技術により、数十から数百万個のセンサーのアレイを有するチップを、減少し続けるコストで作り出すことが可能になり、その結果、これらのチップは本質的には、小さな、単一のチップ上の実験室を提供することになり、こうしたチップは、拡大し続ける一連の適用例に対するソリューションとして適用することができる。
Ermantrautら(US2008/0207461A1)は、マイクロアレイ検出を実施し、分析するためのデバイスを開示しており、マイクロタイタープレート中のプローブと標的分子との間の特異的な相互作用を定量的又は定性的に検出するために、マイクロアレイ上での実験を同時に実施するためのデバイス、及びそのようなデバイスを製造するための方法も開示している。Ehrichtら(US7,888,074B2)に開示されているように、そのようなデバイスは、核酸を同時にデュプリケートし、特徴付けることができる。蛍光シグナルを検出するためのデバイスが築かれており(Ermantrautら、US2004/0196455A1)、併せて、分析物を検出するためのアッセイを行うデバイス及び方法も築かれており(Ermantrautら、US2011/0071038A1)、次いで、それらを、そのような物質のライブラリーを保持及び検出するためのデバイスに組み込むことができる(Ulrichら、US2006/0147996A1)。そのようなマイクロアレイの方法及びデバイスは、核酸及びその他の化学的マーカーの検出及び認証を行うための本発明の方法及びシステムにおいて使用するのに適切である。
例示的な実施形態では、マイクロアレイデバイスを、用意された試料を受け取るように構成されている反応バイアル中に配置することができる。マイクロアレイデバイスは、用意された試料中の1つ又は複数の標的の核酸配列の存在を自動的に検出するように構成されている特別注文のプローブのマイクロアレイを含むことができる。目的の特定の品目に特有である特徴的マーカーを構成する1つ又は複数の核酸配列の特有の組合せの存在を検出するように、特別注文のプローブのマイクロアレイを設計することができる。特別注文のプローブのマイクロアレイは、マイクロアレイ上のいくつかの位置にスポットしたオリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。オリゴヌクレオチドプローブはそれぞれ、特定の特徴的マーカーの標的オリゴヌクレオチド配列に対して相補性を示すことができる。オリゴヌクレオチドプローブは、相補性を示す標的オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズして、用意された試料中の標的核酸配列の存在を検出することができる。特別注文のプローブのマイクロアレイは、任意の適切なマイクロアレイを含むことができるが、これに限定されない。所望により、特別注文のプローブのマイクロアレイは、任意の適切な寸法であってよく、1つ又は複数の対照スポット又は基準スポットを含んでよい。
特徴的マーカー検出レポートを生成するために、検出データを、組み入れられている又は外部のデバイスに記録及び/又は伝送するように、マイクロアレイデバイスを含む反応バイアルを構成することができる。例えば、反応バイアルは、特定の特徴的マーカーのそれぞれの核酸配列が存在するかどうかを自動的に決定し、そうしたデータを、組み入れられているデバイス又は外部デバイスに伝送して、用意された試料が特徴的マーカーを含むかどうかを示すレポートを生成することができる。特徴的マーカーの存在が検出された場合には、用意された試料が真正の品目から得られたものであることを示すレポートを作成することができる。特徴的マーカーの存在が検出されなかった場合には、用意された試料が真正の品目から得られたものではない(例えば、偽造された品目である)ことを示すレポートを作成することができる。また、ペプチド又はタンパク質を検出するためのマイクロアレイも設計及び実行することができるが、これに限定されない。
一実施形態では、所望のDNAが検出される、アレイ又はマトリックスの各ウエル中のシグナルを提供するように、マイクロアレイデバイスを構成することができる。陽性の検出シグナルをもたらすウエルを、特定のDNAマーカーに特有の、特定の構成に配置することができる。この構成は、ランダムであってもよく、或いは並べて、特定のデザイン、例として、ロゴ若しくは商標として示してもよく、又はメッセージを書き出してもよい。例示的な実施形態では、この構成は、光学的に認識することができ、データを、サーバに伝送するか又はローカルに保存することができる。核酸マイクロアレイのためのアップコンバート性リン光体のレポーターが、van de Rijkeら 「Up-converting phosphor reporters for nucleic acid microarrays」Nature biotechnology 19.3 (2001): 273〜276に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、そもそも目的の品目にマーカーが付けられているのか否かの決定を、品目上の核酸タガントの存在を検出することができる定性的な等温系により実施することができる。例えば、品目にマーカーが付けられているのか否かは、市販されているAlere-i(商標)(i-NAT)機器(Alere Technologies社、Jena、ドイツ)により決定することができる。
本発明の例示的な実施形態によれば、目的の品目に、特徴的マーカーを用いてマーカーが付けられているのか否かの決定は、試料入力-回答出力型の分析機能を有し、RT-PCRを利用する現場検出装置を使用して実施することができる。例えば、Alere(商標)q臨床現場即時診断テストのプラットフォームが、試料中の特徴的マーカーの存在を検出するようになされ得る。Alere(商標)q臨床現場即時診断テストのプラットフォームは市販されている(Alere Technologies社、Jena、ドイツ)。Alere(商標)q臨床現場即時診断テストのプラットフォームは、完全に自動化された核酸テストのプラットフォームであり、核酸の抽出、単離、増幅及び検出を自動的に実施することができる。データの分析、データの報告及びデータの保存が、完全に自動化され得る。
例示的な実施形態によれば、ラテラルフローストリップテストを利用して、マーカーの存在を決定することができる。ラテラルフローストリップテストを、試料中の標的の分析物(例えば、核酸)の有無を検出するように設計する。ラテラルフローテストはまた、ラテラルフロー免疫クロマトグラフィーアッセイとも呼ばれている。例えば、ラテラルフローテストは、Corstjensら 「Use of up-converting phosphor reporters in lateral-flow assays to detect specific nucleic acid sequences: a rapid,sensitive DNA test to identify human papillomavirus type 16 infection」Clinical chemistry 47.10 (2001): 1885〜1893;及びPosthuma-Trumpieら 「Lateral flow (immuno) assay: its strengths, weaknesses, opportunities and threats. A literature survey」Analytical and bioanalytical chemistry 393.2 (2009): 569〜582に記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、サザンドットブロットを利用して、マーカーの存在を決定することができる。サザンドットブロットを使用して、生体分子(例えば、タンパク質又はDNA)の存在を検出することができる。目的の生体分子を含む混合物を、混合物から生体分子を分離せずに、メンブランに適用することができ、生体分子を、点としてメンブランに結合することができる。次いで、ヌクレオチドプローブを目的の生体分子に適用して、生体分子の有無を決定することができる。例えば、サザンドットブロットは、Dubeauら 「Southern blot analysis of DNA extracted from formalin-fixed pathology specimens」Cancer research 46.6 (1986): 2964〜2969;及びEnglerblumら 「Reduction of Background Problems in Nonradioactive Northern and Southern Blot Analyses Enables Higher Sensitivity Than 32P-Based Hybridizations」Analytical biochemistry 210.2 (1993): 235〜244に記載されている。
本発明の検出方法の例示的な実施形態では、pH媒介型半導体ISFET技術を、DNAの検出において使用し、これにより、一塩基多型(SNP)から全ゲノム配列決定に至るジェノタイピングに関する複数の適用例において、非光学的な、拡張性のあるソリューション、例えば、迅速な試料から回答型の(sample-to-answer)ソリューション等が可能になる。生物学的なプロセスにおいて放出されるイオンの放出を、リアルタイムで追跡することができる。
本発明の方法及びシステムの一実施形態では、シリコントランジスタを使用して、DNA及びRNAを検出する。例えば、DNA合成の間に、相補性を示すヌクレオチドが、増殖中の鎖内に組み込まれると、水素イオンが放出される。これらを、電気信号として検出することができる。一方、マッチしない場合には、水素イオンは放出されず、信号は検出されない。この原理を、全ての種類のDNA及びRNAの分析のために使用することができ、蛍光色素も標識も、精密光学部品も必要でない。pH媒介型半導体(ISFET)技術は、試薬もマイクロチップ技術(CMOS)も、改変せずに使用する。このことにより、これらのシステムが、用途の広い、使い捨ての、チップに基づくプラットフォームになり、こうしたプラットフォームは、迅速で、簡便で、拡張性があるという利点が提供される。一実施形態ではセンサー、電気回路及び能動素子を、例えば、単一のCMOS(相補型金属酸化物半導体、又は不揮発性BIOS:ベーシックインプット/アウトプットシステムメモリ)チップ上に組み入れることができ、それにより、多機能性のチップが得られる。
例示的な実施形態では、収集した試料内の核酸タガントの分量又は濃度を決定し、製品中に供給した核酸タガントの最初の量と比較して、偽造者がこの製品を劣る製品で希釈することによって引き起こした不正行為を検出するのを可能にし得る。一般に、定量的な検出方法は、内部又は外部対照を用意して、検出及び分析の効率を試料毎に評価する工程を含む。多くのパラメータ、例として、プローブハイブリダイゼーションの条件、検出を妨げる恐れがある、製品中の分子若しくは物質、及び/又はプライマーの完全性、酵素の品質、PCRを利用する検出方法の場合の温度の変動により、検出の効率が影響を受ける場合がある。検出方法に対照を用意することによって、変動する条件を標準化して、製品中の核酸タグの正確な最終濃度を求めることができる。
例示的な実施形態では、本発明は、DNAマーカーの現場検出及び認証を行うための方法を提供し、この方法は、目的のアイテムから試料を用意する工程と、DNAが塩基を1つずつ通過させることができる細孔を形成することが可能なポアタンパク質を使用して、試料を分析して、前記アイテムに特有の情報をコードするDNAマーカーの存在を検出する工程であって、DNA配列を、細孔を通過するDNAが引き起こす、細孔に印加した電場の特性的な変化により検出し;配列データを、データ保存デバイスに記録及び/エクスポートすることができる工程と、それにより、アイテムの真正性を、DNAマーカーが分析試料中に存在することを決定することによって確認する工程とを含む。一度に細孔を通過することができるのは、DNAの単一の塩基であり、したがって、細孔に印加した電場に対する特性的な変化を、それぞれの個々の塩基について検出することができる。
例示的な実施形態では、本発明は、DNAマーカーの現場検出及び認証を行うための方法であって、目的のアイテムから試料を用意する工程と、配列特異的DNA結合部分を使用して、試料を分析して、前記アイテムに特有の情報をコードするDNAマーカーの存在を検出する工程と、アイテムの真正性を、DNAマーカーが分析試料中に存在することを決定することによって確認する工程とを含む方法を提供する。配列特異的DNA結合部分は、任意の適切な配列特異的DNA結合部分、例として、配列特異的DNA結合性タンパク質、ポアタンパク質又は抗体であり得る。
上記の方法を使用するそのようなシステムにより得られた結果のデータを暗号化及び/又はパスワード保護することができる。そのようなシステムから得られた結果のデータを、コンピュータネットワークシステム、例として、Grinkemeyer及びDailey (US2011/001833A1)が開示しているシステム中で分析することができる。
例示的な実施形態では、本発明は、DNAマーカーの現場検出及び認証を行うための方法を提供し、この方法は、目的のアイテムから試料を用意する工程と、DNA配列決定法を使用して、試料を分析して、前記アイテムに特有の情報をコードするDNAマーカーの存在を検出する工程であって、DNA配列決定法を、携帯式DNA配列決定用デバイスを使用して実施する工程と、アイテムの真正性を、DNAマーカーが分析試料中に存在することを決定することによって確認する工程とを含む。DNA配列決定は、任意の適切な方法によってなされ得、それらには、例えば、Maxam & Gilbertの化学的配列決定、ジデオキシ配列決定、サンガー配列決定、核酸ハイブリダイゼーション、ナノポア配列決定、パイロシークエンシング又は次世代シークエンシングから選択される方法等があり、イオン依存性の検出又はpHの検知も含まれる。例示的な実施形態では、DNA配列決定は、マイクロアレイハイブリダイゼーションを使用して実施する。例示的な実施形態では、DNA配列決定は、ドットブロットハイブリダイゼーションを使用して実施する。
PCR配列検出システムは、権限のない使用に対して暗号化及び/又はパスワード保護されている分析デバイスを含むことができる。分析デバイスを、無線接続又は有線接続によりサーバに連結することができる。サーバは、単独型サーバ又はネットワークサーバであり得、ネットワークサーバは、任意の適切なネットワークサーバ、例えば、有線サーバ又はクラウドに基づくサーバ等であり得る。一実施形態では、真正性を確認するデータを、単独サーバ又はネットワークサーバ上で処理及び保存する。例示的な実施形態では、真正性を確認する工程から得られたデータを、独立型の分析デバイス上で処理及び保存する。例示的な実施形態では、分析デバイスは、モジュール化されている。
Tomazouら(US7,888,015B2)は、ソリッドステート検知、すなわち、イオン選択電界効果トランジスタ(ISFET)を含むpHセンサーを使用して、核酸増幅のリアルタイムの検出/定量化を、プライマー伸長相の間に放出されるプロトンの検出に基づいて実施するQPCRを利用している。Tomazouら(US7,686,929B2)は、トランジスタの表面における又はそれに隣接するイオン電荷の局部的な揺らぎに応答して出力電気信号を生成させるための、こうしたISFET型の検知機器、及びISFETから得られた出力電気信号を検出するための手段を利用しており、この手段においては、イオン電荷の局部的な揺らぎは、化学反応の間に事象が発生していることを意味する。これらの組合せが、Tomazouら(US2010/0159461A1)に要約されており、ここでは、標識を含有しない核酸の検出及び解釈を利用して、化学反応、核酸配列のハイブリダイゼーション及び遺伝子バリアントを検出するためのデバイスが開示されている。ハイブリダイゼーション、及び核酸マーカー配列に由来する核酸配列又はPCRアンプリコンの配列決定ための、これらの方法及びシステムを、核酸及びその他の化学的マーカーの検出及び認証を行うための本発明の方法及びシステムにおいて使用するように構成することができる。PCRにより増幅したDNAの直接的な検出方法が、Nazarenkoら 「A closed tube format for amplification and detection of DNA based on energy transfer」Nucleic Acids Research 25.12 (1997): 2516〜2521に記載されている。
一実施形態では、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)により、DNAを蛍光プローブに結合させることができる。FISHでは、蛍光プローブを、固定した核酸配列の、蛍光プローブの配列に対して相補性を示す部分に結合させることができる。標的の核酸配列は、所望の場所で結合させることができ、蛍光プローブは、蛍光顕微鏡法を使用して観察することができる。例えば、FISH法は、Bianchessiら 「Point-of-care systems for rapid DNA quantification in oncology」Tumori 94(2) (2008年3月〜4月): 216〜25に記載されている。オリゴヌクレオチドの部位特異的官能基化が、Agrawalら 「Site -specific functionalization of oligodeoxy-nucleotides for non-radioactive labelling」米国特許第5,321,131号に記載されている。
一実施形態では、DNAの検出を、BESt(商標)カセット(Biohelix Corporation社、Beverly、M.A.)を使用して実施することができる。BESt(商標)カセットによる検出は、例えば、Tangら 「Nucleic acid assay system for tier II laboratories and moderately complex clinics to detect HIV in low-resource settings」Journal of Infectious Diseases 201. Supplement 1 (2010): S46〜S51に記載されている。
一実施形態では、本発明は、現場検出のための方法を提供し、この場合、特徴的マーカーと特徴的マーカーに適合させた特定の検出方法との対が、以下のマーカーと検出系との対、すなわち、核酸マーカーと、PCR検出系又はハイブリダイゼーション検出系又は核酸配列決定系;タンパク質マーカーと、HPLCクロマトグラフィー検出系又はELISA検出系;光学的レポーターと光検出系;及び化学的マーカーとクロマトグラフィー検出系から選択される。一実施形態では、検出用デバイス及び分析デバイスの一方がモジュール化されている。例示的な実施形態では、検出用デバイスと分析デバイスとが、それぞれがモジュール化されている。
例示的な実施形態では、本発明は、DNAの検出及び認証を行うための検出システムを提供し、この方法は、アイテムの試料から、目的のアイテムに特有の情報をコードするDNAマーカーの存在を検出するように構成されている携帯式検出器;及び携帯式検出器に作動可能に接続されており、携帯式検出器が分析した試料中にDNAマーカーが存在するかどうかを決定することにより、アイテムの真正性を確認するように構成されている分析デバイスを含む。DNAの検出のための本発明の携帯式のシステムは、例えば、偽造対策、商標保護、窃盗/犯罪の予防、出所の決定、認証、追跡及びトレーシング、並びにジェノタイピングに有用である。
一実施形態では、本発明は、DNAマーカーの現場検出及び認証を行うための方法を提供し、この方法は、目的のアイテムから試料を用意する工程と、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による方法を使用して、試料を分析して、前記アイテムに特有の情報をコードするDNAマーカーの存在について検出する工程であって、PCR法が、携帯式サーモサイクラーデバイスを使用して実施することができる工程と、DNAマーカーが分析試料中に存在することを決定することにより、アイテムの真正性を確認する工程であって、PCRデバイスに作動可能に接続されている分析デバイスを使用して実施される工程とを含む。アイテムの真正性を確認する工程は、任意の適切な方法を使用して実施することができる。一実施形態では、携帯式検出器中で分析した試料中にDNAマーカーが存在するかどうかを、PCR法により増幅されたアンプリコン、すなわち、DNAマーカー配列部分の増幅されたDNAコピーの存在を検出することによって決定することにより、DNAマーカーの検出及び認証を実施する。PCR法は、任意の適切なPCR法、例えば、リアルタイムPCR、デジタルPCR又はqPCR等であり得る。アンプリコンは、電気泳動、例として、ゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動を含めた、標準的な周知の多様な方法のいずれかにより、展開し検出することができる。
タンパク質、抗体及び炭水化物の検出
本発明の例示的な実施形態によれば、核酸マーカーに加えて、1つ若しくは複数のタンパク質及び/又は1つ若しくは複数の炭水化物を含むタガントも検出することができる。
1つ又は複数の炭水化物を含むタガントを、炭水化物のマイクロアレイにより検出することができる。炭水化物のマイクロアレイが、Feiziら 「Carbohydrate microarrays--a new set of technologies at the frontiers of glycomics」Current opinion in structural biology 13.5 (2003): 637〜645に、より詳細に記載されている。
1つ又は複数のタンパク質を含むタガントを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により検出することができる。ELISAは、標的の抗原を選択的に検出するための、比較的迅速な、高スループットの定量的なイムノアッセイである。ELISAの背後にある基礎をなす原理は、測定可能な基質を用いる、抗原の抗体媒介型の捕捉及び検出を含む。例えば、タンパク質のELISAによる検出が、Jiaら 「Nano-ELISA for highly sensitive protein detection」Biosensors and Bioelectronics 24.9 (2009): 2836〜2841に、より詳細に記載されている。
例示的な実施形態によれば、抗体又はタンパク質を含めた、特徴的マーカーを用いてマーカーが目的の品目に付けられているのか否かの決定を、試料入力-回答出力型の分析機能を有する現場検出装置を使用することによって実施することができる。例えば、Alere Determine(商標)デバイス、例として、Alere Determine(商標) HIV-1/2 Ag/Ab Comboは、試料中の、抗体又はタンパク質を含めた、特徴的マーカーの存在を検出するようになされ得る。Alere Determine(商標)デバイスは、市販されている。Alere Determine(商標) HIV-1/2 Ag/Ab Comboは、抗HIV抗体及びHIVタンパク質の両方を検出する(Alere Technologies社、Jena、ドイツ)。
Alere Determine(商標) HIV-1/2 Ag/Ab Comboは、特異的な抗体を検出するようになされている迅速な臨床現場即時テストのシステムである。Alere Determine(商標)プラットフォームにより、HIV、結核、B型肝炎及び梅毒をスクリーニングし、それらの検出を支援するのが数分で可能になる。
真正性の確認
例示的な実施形態では、本発明は、DNAの検出及び認証を行うための検出システムであって、目的のアイテムの試料から、アイテムに特有の情報をコードするDNAマーカーの存在を検出するように構成されている携帯式検出器;及び携帯式検出器に作動可能に接続されており、携帯式検出器が分析した試料中にDNAマーカーが存在するかどうかを決定することにより、アイテムの真正性を確認するように構成されている分析デバイスであって、任意の適切な分析デバイス、例として、単独型のデバイス、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン又はタブレットであり得る分析デバイスを含むシステムを提供する。
一実施形態では、携帯式検出器が分析した試料中にDNAマーカーが存在するかどうかを、分析試料を、分析デバイス中のアクセス可能なデータベース中に保存されているDNAマーカーについての既知の配列と比較することによって決定することにより、アイテムの真正性を確認するように、分析デバイスを構成する。例示的な実施形態では、本発明の方法の、真正性を確認する工程は、試料中で分析されたDNAマーカー配列を、分析デバイスにアクセス可能な、又はそれを介してアクセス可能なデータベース中に保存されているDNAマーカーの配列と比較することを含むことができる。
例示的な実施形態では、携帯式検出器が分析した試料中にDNAマーカーが存在するかどうかを、マイクロアレイのパターンを認識して、DNAマーカーが存在することを判定することによって決定することにより、アイテムの真正性を確認するように、分析デバイスを構成する。代わって、携帯式検出器が分析した試料中にDNAマーカーが存在するかどうかを、相補性を示す核酸配列により検出され、増幅又はハイブリダイズされたDNAの存在を検出することによって決定することにより、アイテムの真正性を確認するように、分析デバイスを構成する。
一実施形態では、目的の品目の真正性を確認する工程を、携帯式DNA配列決定用デバイスに作動可能に接続されている分析デバイスを使用して実施する。分析デバイスは、任意の適切な分析デバイス、具体的には、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット等であり得る。例示的な実施形態では、分析デバイスを、権限のない使用に対して、暗号化及びパスワードにより保護する。
一実施形態では、真正性を確認する工程は、試料中で分析されたDNAマーカー配列を、分析デバイスを介してアクセス可能なデータベース中に保存されているDNAマーカーの既知の配列と比較することを含む。DNA配列を、単独型サーバ中でローカルに、又はネットワークサーバ中に保存することができ、サーバは、分析デバイスに、有線接続又は無線接続により作動可能に接続されている。例示的な実施形態では、分析デバイスを、モジュール化することができる。真正性を確認した結果を、ローカルサーバ又はネットワークサーバ上で処理及び保存することができる。DNAマーカーの配列は、任意の適切な、特有な配列であり得る。一実施形態では、DNAマーカーの配列は、約20〜約1000個の塩基の配列である。
前記DNAマーカーの既知の配列は、アイテムを一意的に識別するための任意の特有な配列、例えば、約20〜約1000個の塩基の配列等であり得る。DNAマーカーを用いてマーカーを付けるアイテムはまた、検出可能なレポーターを用いてマーカーを付けることもできる。一実施形態では、検出可能なレポーターとDNAマーカーとが、アイテム上の同じ位置にあり、したがって、検出可能なレポーターは、DNAマーカーの位置についての、試料の識別子として使用することができる。代わって、検出可能なレポーターとDNAマーカーとを相互に関連付けることもでき、したがって、検出可能なレポーターの試料を入手し、DNAマーカーの試料を入手するためのガイドとして使用して、認証及び妥当性確認を行うことができる。例示的な実施形態では、この方法の検出可能なレポーターは、化学的レポーター、デジタルレポーター又はペプチドレポーターから選択される。例示的な実施形態では、検出可能なレポーターは、バーコードであるデジタルレポーターである。
配列を検出するシステムは、権限のない使用に対して暗号化及び/又はパスワード保護されている分析デバイスを含むことができる。分析デバイスを、無線接続又は有線接続によりサーバに連結することができる。サーバは、単独型サーバ又はネットワークサーバであり得る。一実施形態では、分析デバイスを、モジュール化することができる。一実施形態では、真正性を確認するデータを、単独型サーバ又はネットワークサーバ上で処理及び保存する。
一実施形態では、本発明のシステムにより認証しようとして、マーカーを付けるアイテムは、マイクロチップ、ラベル、バッジ、ロゴ、印刷された資料、織物又は売買品から選択される。例示的な実施形態では、このシステムにより認証しようとするアイテムは、現金、法定紙幣、コイン、宝石、宝飾品に属するアイテム、楽器、パスポート、骨董品、家具に属するアイテム、芸術品、不動産譲渡証書、株券又は債券からなる群から選択される。認証データを、ディスプレイを介して使用者に直接提供するように、或いは認証データを、安全な位置又は本社に供給して、顧客に連絡するため又はデータベース中に保存する若しくはレポートを印刷するためのデータを提供するように、本発明の検出システムを構成することができる。認証データを、表示若しくは信号、又は警告として読み取ることができる。
DNAの現場検出及び認証のための方法を行う分析デバイスは、任意の適切な分析デバイス、具体的には、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン又はタブレット等であり得る。これらのデバイスを、ネットワーク中のシステムとして通信するように作動可能に構成することができる。ネットワークは、任意の適切なネットワーク、例えば、非限定的に、RF、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)又は有線接続による、1つ又は複数の接続を有するネットワーク等であり得る。
現場検出装置
現場検出装置は、試料入力-回答出力型の分析機能を有するマイクロシステムを含むことができる。マイクロシステムは、全ての必要な分析プロセスを実施する自己完結型ユニットであり得、追加の実験室装備は必要でない。マイクロシステムを自動化することができ、分析を実施するためには、試料をマイクロシステムに添加し、マイクロシステムを起動しさえすればよい。現場検出装置は、携帯式であっても、又は単一の位置に固定してもよい。試料入力-回答出力型の分析は、試料をマイクロシステムに移すと、マイクロシステムが、全ての分析の工程を実施して、結果を自動的に提供することが可能であることを指す。オペレーターによるモニタリング又は調整は最低限しか必要とせずに検出を行うように、マイクロシステムを構成することができる。例示的な実施形態では、直接試料を充填するか、又はマイクロシステムの試料用ポートに嵌まるように構成されている試料収集デバイスから試料を充填する。次いで、マイクロシステムを起動し、現場検出装置が、オペレーターと相互作用して、検出データを提供する。検出データを、保存及び/又はエクスポートすることができる。特徴的マーカーの存在を検出する場合には、特徴的マーカーを含むことが疑われる試料を、入手し、現場検出装置のマイクロシステムに移すことができ、マイクロシステムは、特徴的マーカーが試料中に存在するか否かを自動的に決定することができる。下記に、現場検出のための例示的なマイクロシステムを、より詳細に記載する。
現場検出装置は、目的の品目についての真正性データを含むサーバと通信することができる。サーバは、真正性データのデータベースを含むことができ、このデータベースには、目的のいくつかの品目と関連があるいくつかの特徴的マーカーについてのプロファイル情報が保存されている。真正性データは、特徴的マーカーに対応する特有のプロファイルであり得る。例えば、特徴的マーカーは、1つ又は複数の特有の核酸配列を含むことができ、真正性データは、特有の核酸配列のデジタルコピーであり得る。認証データベースを含む適切な遠隔の認証のためのサーバの例が、Zorab(WO01/99063)に記載されている。
試料調製用マイクロ流体デバイス
本発明の方法の例示的な実施形態において使用するのに適切である、マイクロ流体技術を利用するシステムが、Jovanovichら(US7,745,207B2)に開示されている。更に、Janovichら(US2012/0115189A1)の開示に従うナノ流体技術、及びGreen (US8,110,397B2)の開示に従う試料の取扱いも、発明の追加の実施形態において有用である。また、Green (US7,170,594B2)の記載に従うPCR用デバイスも、本発明の例示的な実施形態において使用することができる。量子ドット中で多型を識別するために、マイクロ流体システムを使用して、DNAの溶液を、1滴当たり約1つのDNA分子まで分画又は分配する分析方法が開発されている(Loら、US2009/0263580A1)。「油中液滴」技術の使用を含む、デジタルPCRのための方法及びデバイスが、本発明の実施形態を実行するのに有用であり、Daviesら(US2010/0092973A1)により開示されている。オリゴヌクレオチド配列が、リシン遺伝子及びリシン毒素の検出のために使用されており(Czajka、US2006/0240447)、試料中のこの特異的DNAを検出するためのキットが作り出された。
本発明の例示的な実施形態によれば、マイクロ流体デバイスを、DNA試料の抽出、精製及び引き伸ばしのために使用することができる。例えば、単一細胞からのヒトDNAの抽出、精製及び引き伸ばしのためのマイクロ流体デバイスが、Benitezら 「Microfluidic extraction, stretching and analysis of human chromosomal DNA from single cells」Lab on a Chip 12.22 (2012): 4848〜4854に記載されている。DNAのためのマイクロ流体チップが、Zhaoら 「Electrochemical DNA detection using Hoechst dyes in microfluidic chips」Current Applied Physics 12.6 (2012): 1493〜1496に記載されている。法医学的ジェノタイピングのための直接的な超高速PCRが、Aboud 「The development of direct ultra-fast PCR for forensic genotyping using short channel microfluidic systems with enhanced sieving matrices」(2012年1月1日)、ProQuest ETD Collection for FIU. Paper AAI3541755に記載されている。
例えば、一般的にはマイクロ流体デバイスが、特に、キャピラリー電気泳動のためのマイクロ流体デバイスが、Wu, Jinboら 「Extraction, amplification and detection of DNA in microfluidic chip-based assays」Microchimica Acta (2013): 1〜21; Liuら 「Integrated DNA purification, PCR, sample cleanup, and capillary electrophoresis microchip for forensic human identification」Lab on a Chip 11.6 (2011): 1041〜1048;米国特許第7,745,207B2号、Jovanovichら;及び公開米国特許出願第2012/0115189A1号、Jovanovichらに記載されている。
本発明の例示的な実施形態によれば、1つ又は複数の標的オリゴヌクレオチド配列、及び1つ又は複数の非標的オリゴヌクレオチド配列(例えば、偽装配列又はデコイ配列)を含む、1つ又は複数の試料を用意することができる。標的オリゴヌクレオチドを、標的オリゴヌクレオチドと偽装オリゴヌクレオチドとを分離することによって精製することができる。試料を、一連のマイクロチャネル中に固定化した基材の床に押し流すことができる。基材は、1つ又は複数のオリゴヌクレオチドプローブを含むことができ、これらのプローブは、標的オリゴヌクレオチドに対して相補性を示し、したがって、標的オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションにより捕捉するように構成されている。基材は、任意の適切な基材であり得る。例えば、基材は、電磁ビーズであり得、それに、オリゴヌクレオチドのプローブが結合している。標的オリゴヌクレオチドはオリゴヌクレオチドプローブに結合して、オリゴヌクレオチド-プローブのコンジュゲートを形成することができる。標的オリゴヌクレオチドに結合させた基材(例えば、電磁ビーズ)を、検出用モジュールに移して、それぞれの標的オリゴヌクレオチドが存在するかどうかを決定することができる。標的オリゴヌクレオチドに結合している基材(例えば、電磁ビーズ)を、増幅用デバイス又は増幅用チャンバーに移すことができる。増幅された生成物を、例えば、キャピラリー電気泳動カラムに移すことができる。オリゴヌクレオチドの分離を、当技術分野で公知の標準的なキャピラリー電気泳動の技法に従って電場を印加することによって実施することができる。光学的検出器のシステムを用いて、レーザーを利用して、標的のオリゴヌクレオチドの存在を検出することができる。キャピラリー電気泳動及びDNA検出の技法は、Schwartz、Guttman、Separation of DNA by capillary electrophoresis、Beckman、1995年に記載されている。
統合マイクロシステム
本発明の例示的な実施形態によれば、核酸マーカーを、統合マイクロシステムにより検出することができる。統合マイクロシステムは、例えば、マイクロ流体チップ、完全に統合された微小デバイス、又はチップ構成上の実験室を含むことができる。統合マイクロシステムは、単一のデバイス上で、試料を調製し、(必要であれば)標的の核酸配列を増幅し、1つ又は複数の標的の核酸配列の存在を検出することができる。全ての工程を、自己完結型の、自動化されたマイクロシステム上で実施することができ、実験室で手作業による試験を行う必要は全くない。例えば、統合マイクロシステムは、Wuら 「Extraction, amplification and detection of DNA in microfluidic chip-based assays」Microchimica Acta (2013): 1〜21; Liuら 「Integrated DNA purification, PCR, sample cleanup, and capillary electrophoresis microchip for forensic human identification」Lab on a Chip 11.6 (2011): 1041〜1048;及びUllrich, Thomasら 「Competitive Reporter Monitored Amplification (CMA)-Quantification of Molecular Targets by Real Time Monitoring of Competitive Reporter Hybridization」PloS one 7.4 (2012): e35438に記載されている。
その他の例示的な実施形態では、核酸タガントを含有する試料を、試料のその他の構成成分から、例として、無動力マイクロチップのマイクロ流体チャネルシステム中の毛細管作用により分離し、核酸タガントの配列の少なくとも一部に対して相補性を示す、標識した固定化ハイブリダイゼーションプローブに結合させることによって検出することができる。核酸タガントは、直接検出することができ、又は(例えば、等温増幅又はPCRにより)増幅し、層流樹状増幅(LFDA)により、固定化ハイブリダイゼーションプローブに結合させた標識に特異的で、検出可能な抗体を使用して検出し、樹状カスケード反応(dendritic cascade reaction)において、第2の抗体を用いて検出することができ、これは、イムノアッセイ技術において周知である。例えば、Hosokawaら DNA Detection on a Power-free Microchip with Laminar Flow-assisted Dendritic Amplification、Anal. Sci. (2010) 26: 1053〜1057を参照されたい。
本発明の例示的な実施形態によれば、統合マイクロシステムは、マイクロアレイのカプセル化されたシステムを、蛍光標識及び検出を自動化せずに利用することができる。統合マイクロアレイのシステムは、用意された試料から、PCRの使用又は等温増幅により、1つ又は複数の標的配列を増幅し、増幅された生成物の1つ又は複数を蛍光標識し、蛍光標識された生成物の存在を検出することができる。例えば、チューブ内マイクロアレイ(microarray-in-a-tube)検出システムが、Liuら 「Microarray-in-a-tube for detection of multiple viruses」Clinical chemistry 53.2 (2007): 188〜194に、より詳細に記載されている。
例示的な実施形態によれば、特徴的マーカーの現場検出のためのデバイスは、試料入力-回答出力型の分析を実施するように構成されているマイクロシステムを含む現場検出装置を含む。現場検出装置は、試料を分析して、試料中の特徴的マーカーの存在を決定するように構成されている。例示的な実施形態によれば、現場検出装置を、任意の適切な化学的又は物理的な特徴付けの方法を実施するように構成することができ、この方法により、特徴的マーカーの1つ又は複数の特徴的な特性を決定することが可能になる。
例示的な実施形態によれば、試料収集ユニットは、現場検出デバイスに直接カップリングされるように構成することができる。
例示的な実施形態によれば、統合マイクロシステムは、蛍光バックグランド除去 (fluorescence background displacement)の技法を利用することができる。固定化されたオリゴヌクレオチド捕捉プローブのアレイを、反応混合物を有する反応チャンバー中に配置することができる。固定化されたオリゴヌクレオチド捕捉プローブに対して相補性を示す、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドレポータープローブを含む溶液もまた、反応チャンバー中に提供することができる。オリゴヌクレオチドレポータープローブに対して相補性を示すアンプリコンが、反応チャンバー中で生成すると、オリゴヌクレオチドレポータープローブとの結合について、捕捉プローブと競合し得る。すなわち、レポータープローブのそれぞれもまた、特異的な標的オリゴヌクレオチド配列に対して相補性を示し得る。したがって、特定のアンプリコン(すなわち、標的オリゴヌクレオチド配列)のコピー数が増加するにつれて、対応する固定化オリゴヌクレオチド捕捉プローブから検出される蛍光シグナルが減少する;というのは、より少ないオリゴヌクレオチドレポータープローブが、対応する捕捉プローブに結合するからである。このことにより、試料のオリゴヌクレオチド配列中に含まれている標的の核酸配列の定性的検出と定量的検出とを同時に行うことを可能にし得る。捕捉プローブの光学像を、試料を反応混合物に添加する前のベースラインを含めた、任意の所望の時点で得ることができる。試料中の非標的核酸配列(例えば、偽装配列)の、レポータープローブへの結合は、レポータープローブと標的の核酸配列との間のハイブリダイゼーションの特異性により回避することができる。また、捕捉プローブも、標的の核酸配列と捕捉プローブとの間で直接結合が生じるように構成することができる。(捕捉プローブに)結合しているレポータープローブのみが検出されるように、未結合のレポータープローブを保持する反応混合物を押しのけることができる。反応混合物は、任意の適切な押しのけ(displacement)の機構により押しのけることができる。例えば、機械的な蛍光バックグランド除去の技法が、Ullrichら 「Competitive Reporter Monitored Amplification (CMA)-Quantlfication of Molecular Targets by Real Time Monitoring of Competitive Reporter Hybridization」PloS one 7.4 (2012): e35438に記載されている。
下記に、例示的な統合マイクロシステムをより詳細に記載する。
情報提供のためのDNAコード
核酸配列のコードする能力が計り知れないことは、当技術分野で周知である。本発明の例示的な実施形態では、アイテムを識別するために使用する核酸マーカー、及びタグを付けたアイテムの情報内容をコードするために使用する核酸タガントを、アレイ中で検出することができる。アレイは、任意の適切なアレイ、例として、捕捉DNAのスポットを含むマイクロアレイであってよく、それぞれのスポットが、結合させたDNA分子を含み、こうしたDNA分子は、アイテムに、ラベル、タグ若しくは包装の中又は上において添付又は添加した核酸マーカー又は多くの可能な核酸タガントのうちの1つに対して相補性を示す特有な配列を含む。アレイは、核酸マーカー、核酸タガント、又はそれらに由来するアンプリコンのハイブリダイゼーションに適切である。ハイブリダイゼーションのアレイは、任意の適切なフォーマット、例えば、プレート、マイクロタイターウエルのアレイ、スポットのマトリックス、コロニー、又はマイクロアレイ等であり得る。
ハイブリダイゼーションのアレイは、適切なサイズ及び/又は任意の配置の、核酸マーカー又は核酸タガントに対して相補性を示すDNAの個々のスポットを有し得る。例えば、アレイは、スポットの1,000×1,000のグリッドを含むことができる。別の例では、アレイを、30,000×30,000以上のグリッドとして配置することができ、したがって、10億個以上のスポットを、単一のアレイ中に含めることができる。例示的な実施形態によれば、下記に、より詳細に記載するように、試料のスポットの配置を利用して、目的の品目についての真正性データを提供することができる。
例示的な実施形態では、オリゴヌクレオチドの複数の「モノクローナルコロニー」を固体表面に結合させて、特別注文のプローブのアレイを形成することができ、すなわち、それぞれのスポット又は「モノクローナルコロニー」が、核酸マーカー又は核酸タガントに対して相補性を示すDNA配列の複数のコピーを含む。モノクローナルコロニーは、固体表面、例えば、次世代シークエンシングのマイクロ流体フローチップの表面上の、PCR又は等温増幅により生成されたサブミクロンのサイズのコロニーとなり得る。固体表面は、任意の所望のサイズを有してよく、表面上のモノクローナルコロニーの位置は、任意の所望の配置であってよい。例えば、モノクローナルコロニーを、1,000×1,000のコロニーのグリッドに配置することができる。固体表面は、任意の適切な表面、例えば、ポリアクリルアミドゲルのコーティングを有する顕微鏡スライドの表面等であり得る。固定化された、DNA鋳型のモノクローナルコロニーを生成する1つの例が、Maら 「Isothermal amplification method for next-generation sequencing」Proc. Natl Acad Sci 110.35 (2013): 14320〜14323に記載されている。
さらなる例示的な実施形態によれば、特別注文のプローブのアレイは、一群のランダムに配置されているオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブを含むことができ、これらのプローブは、1つ若しくは複数の核酸マーカー配列に対して又は核酸タガントのオリゴヌクレオチド配列に対して相補性を示す。非特異的な結合を提供して、バックグランドのノイズがあればそれを低下させるために、複数の偽装オリゴヌクレオチドのプローブ(例えば、デコイのプローブ)を、特別注文のプローブのアレイ全体に、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブにより占有されない、アレイの1つ又は複数の場所において配置することができる。偽装オリゴヌクレオチドは、好ましくは、標的の核酸配列のいずれに対しても相補性を示さない。特別注文のプローブのアレイは、核酸マーカー配列に対しても核酸タガントのオリゴヌクレオチド配列に対しても相補性を示さない、任意の所望の数のオリゴヌクレオチド配列を含むことができる。例えば、標的の核酸マーカー配列又は核酸タガントのオリゴヌクレオチド配列のいずれにもハイブリダイズしない、異なる核酸配列を1,000〜1,000,000個以上、偽装プローブは含むことができる。核酸マーカーは、オリゴヌクレオチドの固定化されたハイブリダイゼーションプローブの相補配列のスポットにハイブリダイズすることができ、特有の「フィンガープリント」を生成することができる。特有のフィンガープリントは、特定のアレイ又はチップ上のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブの特定の物理的配置に対応する。したがって、特別注文のプローブのアレイは、少なくとも2つの形で、すなわち、第1に、核酸マーカーのオリゴヌクレオチド配列又は核酸タガントの存在に関して正の識別をすること、及び第2に、特有のフィンガープリントの存在に関して正の識別をすることによって、目的の品目に関する正の識別を提供することができ、後者の場合、核酸マーカー又は核酸タガント中のオリゴヌクレオチド配列の存在に関して正の識別をするのに、特有のフィンガープリントに対応する特別注文のプローブのアレイの物理的配置を知る必要はない。
例示的な実施形態によれば、オリゴヌクレオチドの結合されたハイブリダイゼーションプローブは、ランダムに配置されるのではなく、むしろ、認識可能な記号又はパターンを形成する。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブをアレイ上の所望の位置に位置させて、特別注文のフィンガープリントを形成することができる。特別注文のフィンガープリントは、任意の所望の数の、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブを含むことができ、これらのプローブは、特別注文のプローブのアレイ上に、任意の組合せの場所において配置される(disposed)。例えば、特別注文のプローブのアレイのプローブをグリッドとして配置することができ、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブの場所を、アレイ又はグリッド内の特定の位置に位置する「+」の記号又は星形の形状として配置することができる。目的の品目に特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブによって占有されない、特別注文のプローブのアレイ上のプローブの場所を、その他のオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブにより占有させて、アレイが、いくつかの異なる核酸マーカー又は核酸タガントを検出するのに有用になり得るようにしてもよい。代わって、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブにより占有されない、特別注文のプローブのアレイ上のプローブの場所を、偽装プローブ又はその他のDNA配列が占有する場合もある。偽装プローブは、任意の所望の数のオリゴヌクレオチド配列を含むことができる。例えば、偽装プローブは、1,000個の異なる核酸配列を含む場合があり、これらの配列は、ランダムに配置されており、好ましくは、標的のオリゴヌクレオチド配列のいずれにもハイブリダイズしない。例示的な実施形態では、特別注文のプローブのアレイは、文字、単語若しくは文字と記号との両方、又はバイナリコードを形成する配置の、目的のアイテムに特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブを含むことができる。
特定のアイテムのために、2つ以上のオリゴヌクレオチドを、核酸マーカー中で利用することができる。特別注文のプローブのアレイはまた、目的の品目又はその包装に添付した核酸マーカーオリゴヌクレオチド又は核酸タガントに対応する2つ以上のオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブを含んで、冗長性及び別途の安全保障を提供し、検出、認証、追跡及び妥当性確認を立証することもできる。
また、目的の品目について、その真正性以外の追加の情報をコードするためにも、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブの配置を使用することができる。追加の核酸タガントを、目的の品目に、製造又は包装及び流通の種々の段階において添加又は添付することができ、それぞれの核酸タガントが、アイテムの検出、妥当性確認又は追跡のために使用する、アレイ中の異なるオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブに対応し、追加の核酸タガントを、目的の品目についての任意の所望の情報を示す又はコードするために使用することができる。例えば、アレイ中のスポットの特定の位置における特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブへのハイブリダイゼーションの有無、又は特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブの複数のコピーの配置を使用して、品目についての特定の情報をコードすることができる。コード情報は、任意の所望の情報、例えば、非限定的に、型式番号、製造番号、地理的起源、使用構成部品及び製造日、目的の品目の卸業者及び最終販売者又は購入者等であり得る。
物件又は製品を、特異的な核酸タグを用いて標識し、次いで、物件又は製品中の核酸タグを有効な様式で検出するための方法を記載する。
図1は、核酸タグを製品内又は上に導入し、製品中に組み込まれている核酸のタグ又はマーカーを検出するのを可能する方法100のフローチャートを示す。図1を参照すると、この方法は、事象110において、少なくとも1つの特異的な核酸断片を、認証タグ又はマーカーとして製品に提供することを含む。事象120において、既知の核酸断片を含む核酸マーカー化合物を生成する。核酸マーカーは、DNA、cDNA、又は核酸若しくは核酸誘導体を含む任意のその他の核酸断片であり得る。マーカーは、一本鎖又は二本鎖の核酸断片であり得、マーカーの長さは、標識しようとする製品及び核酸マーカーを検出する方法において利用される検出の技法に依存して変化し得る。
既知の核酸配列を有する核酸断片を製造又は単離し、マーカー化合物の混合物に添加した後に、事象130において、核酸タグを検出することによって、特定の製品を認証するための方法は、所定の量の核酸マーカーを特定の製品に適用する工程を更に含む。特定の製品に、製品全体を通して、又は製品の所定の領域に限って、核酸マーカーを用いてタグを付けることができる。認証しようとする製品が固体である場合、特定の量の核酸マーカーを、製品の体積全体を通して、若しくは製品の表面上のみに組み込むことができ、又はいくつかの例示的な実施形態では、製品のあらかじめ指定されたセクション上に限って供給することができる。製品が処方薬である場合、固体の形態であっても又は液体の形態であっても、薬物(例えば、丸剤、ジェルカプセル剤等)は、製品全体を通してくまなく組み込まれた核酸タグを有することができるであろう。製品が錠剤の形態の処方薬である場合には、核酸マーカー化合物は、固体の形態であり得、製品(薬物)内に、薬物を錠剤に圧縮する間に導入することができる。製品が織物の衣服である場合には、マーカーは、固体であっても又は液体であってもよく、衣服の所定のエリアに適用することができるであろう。織物に、ラベルを付し、その上に製造者名を記すことができ、また、織物を、核酸マーカーを供給する製品の領域として使用することもできる。上記の例は、明確にするために提示したのであって、上記の例により、範囲を限定する意図はない。
図1に示す、製品を認証する方法の実施形態は、事象140において、マーカーを付けた製品をサプライチェーンに導入する工程又は製品を使い始める工程を更に含む。しばしば、製品が、製造者/生産者から、小売販売店又はそれがある位置に発送されているときに、偽造者が製品に接近する最も都合のよい機会がある。また、特定の製品、例として、航空機の整備又は補修の間であって、目的の製品の検査又は(例えば、固定剤の)交換が行われる間にも、偽造者が目的の製品に接近する機会がある。生産者が生産した製品を追跡し、認証することができる方法があれば、生産者は、製品が偽造物で置き換えられる又は偽造物を用いて改ざんされる時期及び位置をより良好にモニタリングすることが可能になる。
事象150において、製品がサプライチェーンに入ってから又は使われている間に、試料を、ヌクレオチドのタグを含む特定の製品から収集する。製造者又は権限を与えられている個人が、サプライチェーンに沿う又はアイテムの補修若しくは定期的な整備の間の任意の所望の点において、製品からマーカーの試料を収集することができ、この場合、製品は、認証目的で利用される。例示的な実施形態では、これには、分析を行うために、マーカーを視覚的に検査すること、及び/又はマーカー化合物を解体する、切削する、若しくはその一部を溶媒中に溶解させることを含むことができる。
図1に示す実施形態は、事象160において、収集した試料を核酸タガントの存在について分析する工程を更に含む。製品から収集した試料の分析は、さらなる精製を行うことなく実施することがきるが、場合によっては、試料中に得た核酸タグの抽出、単離又は精製が必要になり得る。本発明の方法に有用な抽出、濃縮及び精製の技法についての詳細を、下記に、より十分に記載し、また、本明細書に提供する実施例においても記載する。
試料を分析する工程は、核酸タグに結合するように構成した「検出分子」を提供することを含むことができる。検出分子として、これらに限定されないが、核酸タガントの配列に対して相補性を示す、核酸のプローブ及び/又はプライマーのセット、又は核酸タガントに結合し、付着するように構成されている色素標識若しくは色を生成する分子が挙げられる。核酸タガントの検出が、核酸タガントの(例えば、PCRの使用による)増幅を含む場合には、検出分子は、核酸タガントの特定の配列に特異的に結合するプライマーであり得る。試料の分析においてリアルタイムPCRを利用する場合にはまた、識別可能なヌクレオチドプローブを提供して、核酸タガントの検出を増強したり、認証の半定量的又は定量的結果を提供したりすることもできる。リアルタイムPCRを使用する場合、例えば、収集した試料から核酸タガントを抽出又は精製するのを含めて、試料の分析から結果を得るのを30分〜2時間以内で完了することがきる。例示的な実施形態では、PCR及びリアルタイムPCRに加えて、広い範囲の検出方法、例として、蛍光プローブ;ラマン分光法、赤外分光法又は核酸の検出の分野の当業者が使用するその他の分光学的技法により、プローブに結合した場合に核酸タグの検出を可能にする分子に対して構成されているプローブが利用される。
事象170において、収集した試料を分析した結果を検討して、特異的な核酸タガントが試料中に検出されたかどうかを決定する。核酸タガントが、目的の製品の収集した試料中に見出されることも検出されることもない場合には、図1の事象180において、製品は真正でないか又は改ざんされているという結論が分析から得られる。核酸タガントが試料中に検出される、事象190の場合には、製品は真正であることが確認される。
図2は、リアルタイムPCRの結果のグラフ表示であり、ここでは、本発明の方法の一実施形態に従って、固定剤から得られたDNAタガントの検出を例証する。図2は、以下の抽出方法に付した、トルクシールの試料のリアルタイムPCRの結果を示す。試料A、B、D及びEの全てを、20日間乾燥し、次いで、粉砕に付した。試料D及びEを、粉砕した試料を水中で沸騰させることによって更に処理した。DNAマーカーについての陽性対照300及び反復陰性対照310もまた、トルクシールの試料と同様に、リアルタイムPCRの条件に付した。陽性対照300は、29のCp値を示し、一方、陰性対照310は、バックグランドのシグナルのみを示した。粉砕のみに付したトルクシールの2つの試料である試料A 320及び試料B 330はそれぞれ、37及び33のCp値を示した。粉砕し、沸騰させた試料である試料D 340及び試料E 350は共に、34のCp値を示した。これらの結果は、DNAマーカーを、トルクシール材料の試料から、20日間の曝露の後に検出することができることを示している。両方の方法から、定性的な結果を得、粉砕し、それに続き、沸騰させた方法からは、半定量的な結果を得た。
図3は、以下の抽出方法に付した、トルクシールの試料のリアルタイムPCRの結果を示す。全ての試料を、20日間乾燥し、粉砕に付し、水中に溶解させ、QIAgen社のPCR精製キットを使用して更に精製して、PCR装置の光学測定を妨げる恐れがある粒子状の材料を除去した。精製の工程では、遠心分離して、トルクシールの試料中に存在するDNAをフィルターに結合させ、次いで、不純物をいずれも洗浄して除き、それに続いて、水を用いて、DNAを溶出する。この手順は、迅速且つ容易であり、実施には15分間しかかからない。浄化の後に、リアルタイムPCRを、試料A及びBに対して、2μL又は4μLの精製した抽出トルクシールDNAを使用して実施した。また、プールした試料A及びBを、2μLの陽性対照のDNA(9543-2)をスパイクとして添加し、PCR反応における阻害物質について試験した。
PCRのための浄化の後の試料A及びBの増幅曲線を、図3に示す。A及びBの2μLの試料はそれぞれ、曲線360及び370であり、32の類似するCp値を示した。A及びBの4μLの試料の曲線380及び390は、約30のCpを示し、再現性もまたかなり高かった。陽性対照400は予想通り、29のCp値で増幅し、一方、反復陰性対照410は、バックグランドを上回るシグナルを示さなかった。トルクの試料A及びBを、陽性対照をスパイクとして添加し、それぞれ420及び430を得て、精製キットが標的DNAの増幅に影響を及ぼさないことを保証した。スパイクを添加したA及びBの試料はそれぞれ、27及び29のCp値を示した。精製キットに付した試料から発生した蛍光シグナルは、滑らかであり、リアルタイムPCRに典型的な形状の曲線を示す。この実験は、乾燥トルクシール材料から特異的DNAマーカーを検出するのが可能であることを示している。これらの結果はまた、この検出方法が半定量的であり得ることも示している。
図4は、本発明に従う方法の実施形態を示す。DNAマーカーを保有するアイテムを試料採取し、試料を試料採取容器に移し、この容器を、分析デバイスに作動可能に接続する。特定の試料の場合には、適切であれば、試料を、DNAを抽出する方法の工程に付すことができ、検出及び認証の工程を実施する。生データを、データ処理用ユニットに通信する。次いで、処理用ユニットから、データを、ローカル又は遠隔のプロセッサ又はデータベースに中継し、さらなる分析、表示、保存、又はレポート、例えば、「合格/不合格」の読出し等への組込みを行うことができる。三角形の領域並びに分析及び読出しの長方形の領域内のプロセスは、隠れた、安全なプロセスである。
図5は、本発明の例示的な実施形態に従う現場検出装置を示す。試料110を、目的の品目から収集する。試料110を、現場検出装置に移す。現場検出装置は、特徴的マーカーの存在を検出するための試料入力-回答出力型の分析機能を有する統合マイクロシステムを含む。現場検出装置は、直接的な回答出力(answer-out)を、例えば、スクリーン上の読出し又はプリントアウトとして行うことができる。代わって又は加えて、現場検出装置は、サーバと通信して、現場検出装置が得たデータを、サーバ中に保存されているデータと比較することもできる。サーバは、独立しているサーバであっても又はクラウド中のサーバであってもよく、また、クラウド中のサーバは、独立しているサーバに連結されていてもよい。
特徴的マーカーの迅速な現場検出を行うための統合マイクロシステム及び方法
本発明の例示的な実施形態によれば、1つ又は複数の核酸配列を含む特徴的マーカーの位置を、目的の品目に関して識別する。核酸配列を含む、特徴的マーカーの試料を入手し、試料を、特別注文のアレイのチップを含むアレイチューブに移す。試料を、選択的に蛍光標識し、1つ又は複数の核酸配列の存在を、マイクロアレイを分析することによって決定する。
マイクロ反応バイアル(microreaction vial)中に特別注文のプローブのマイクロアレイを有するアレイチューブ(AT)を利用することができる。アレイチューブは、例えば、特別注文のプローブのマイクロアレイ(すなわち、バイオチップ)がマイクロ反応バイアル内に組み入れられているAlere Technologies GmbH社のArrayTubeであってよく、これは、市販されている(Alere Technologies社、Jena、ドイツ)。特別注文のアレイは、目的の品目に特有な特徴的マーカーを構成する核酸配列に対して相補性を示すオリゴヌクレオチドを含む。特別注文のアレイのチップは、特別注文の、選択された、相補性を示すオリゴヌクレオチドのプローブを含み、これらのプローブは、アレイのチップ上にスポットされている。オリゴヌクレオチドプローブは、相補性を示す標的核酸配列とハイブリダイズして、試料中の標的核酸配列を検出する。
プローブのマイクロアレイは、個々の適用例のために、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はタンパク質/ペプチドのプローブ分子を用いて特別に作られる。それぞれのATチップが、3mm×3mmの寸法を有し、反応対照及び基準のマーカーのスポットを含めて、最高14×14個のフィーチャを備えることができる。
個々のアッセイに応じて、核酸並びにタンパク質及びペプチドに基づくアレイを製造することがきる。それぞれのATを、特有のデータマトリックスコード(二次元のバーコード)を用いて標識し、これにより、アレイ及び関連のアッセイを識別する。ATによる試験を、血清学的分析及び核酸に基づく分析の両方に適切である、沈殿を染色する方法と組み合わせて実施する。触媒により誘発した沈殿が、アレイに結合している標的分子の量と直接相関する。得られた沈殿のパターンの分析は、簡便な透過測定により行われるので、光学装備中へのインプットが有効に低減される。透過測定は、ATR03装置又はARRAYMATE装置を用いて行うことができ、前者は、市販されており(Alere Technologies社、Jena、ドイツ)、また後者も市販されている(Alere Technologies社、Jena、ドイツ)。
特別注文のアレイのチップを含むアレイチューブから得られたデータに対して直接、記録及び分析が自動的に行われ、結果は、所望のコンピュータサーバに電子通信されるか、又はローカルディスクに保存される。自動化されたマイクロアレイから獲得されたデータは、自動的に処理され、既知の核酸配列の組合せのデータベースと比較して、認証を行うことができる。
特徴的マーカーの迅速な現場検出を行うための統合マイクロシステム及び方法
目的のDNAマーカーの試料を用意し、統合マイクロシステムデバイスに移して、分析を行う。試料は、1つ又は複数のオリゴヌクレオチド配列を含む。オリゴヌクレオチド配列は、特徴的マーカーの、1つ又は複数の標的オリゴヌクレオチド配列、及び偽装配列又は担体のデコイ配列としての、1つ又は複数の非標的オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
試料は、いくつかのオリゴヌクレオチド配列を含む。試料を、一連のマイクロチャネル中の固定化電磁ビーズの床上で洗浄することによって、(例えば、異質又は偽装のオリゴヌクレオチド配列を除去するために)標的オリゴヌクレオチドを試料から精製する。各電磁ビーズが、それに結合する1つ又は複数のオリゴヌクレオチドプローブを有し、これらのプローブは、標的オリゴヌクレオチドのうちの1つに対して相補性を示し、そうした標的オリゴヌクレオチドは、目的の品目に特徴的である。標的オリゴヌクレオチドは、電磁ビーズのオリゴヌクレオチドプローブに結合して、DNA-プローブのコンジュゲートを形成する。こうして配列特異的DNAを精製すると、バックグランドのオリゴヌクレオチド配列が除去されることによって、下流の増幅の効率が改善される(すなわち、標的オリゴヌクレオチドが精製される)。マイクロポンプを使用して、試料を、捕捉チャネルを越え移動させる。
電磁ビーズは、媒体として働いて、標的オリゴヌクレオチドを等温増幅用ユニットに運び、増幅が行われる。DNA-プローブのコンジュゲートを含む電磁ビーズを、ポンプで等温増幅用ユニット内に送り、標的オリゴヌクレオチドを、等温増幅により増幅する。
増幅された生成物をポンプで送り、増幅後にキャピラリー電気泳動カラム内へ注入するのに適切した捕捉ゲルに通す。増幅された生成物が捕捉ゲル中に蓄積して、試料プラグを形成し、これを、ポンプでキャピラリー電気泳動カラム内に送って、分離及び検出を行うことができる。試料プラグを(例えば、熱により)放出させ、キャピラリー電気泳動カラム内に注入して、存在する標的オリゴヌクレオチド配列のそれぞれについて、標的オリゴヌクレオチドの分離及び検出を行う。当技術分野で公知の標準的なキャピラリー電気泳動の技法に従って電場を印加することによって、オリゴヌクレオチドの分離を実施する。光学的検出器のシステムを用いてレーザーを利用して、試料プラグ中に含まれている標的オリゴヌクレオチドの存在を検出する。キャピラリー電気泳動及びDNA検出の技法は、Schwartz及びGuttman、Separation of DNA by capillary electrophoresis、Beckman、1995年に記載されている。
標的配列のプロファイルを、試料から検出した標的オリゴヌクレオチドに従って生成する。標的配列のプロファイルは、検出した標的オリゴヌクレオチド配列のみを含み、非標的(偽装)オリゴヌクレオチド配列は排除されている。プロファイルデータを遠隔サーバに伝送するか又はローカルディスク上に保存し、既知の配列プロファイルのライブラリーとの比較を行って、試料が真正の品目から用意されていたか否かを決定する。
特徴的マーカーの迅速な現場検出を行うための統合マイクロシステム及び方法
目的のDNAマーカーの試料を用意し、統合マイクロシステムデバイスに移して、分析を行う。試料は、1つ又は複数のオリゴヌクレオチド配列を含む。オリゴヌクレオチド配列は、特徴的マーカーの、1つ又は複数の標的オリゴヌクレオチド配列、及び偽装配列又は担体のデコイ配列としての、1つ又は複数の非標的オリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
統合マイクロシステムデバイスは、反応チャンバー、軽減チャンバー、反応チャンバープランジャー、温度制御用モジュール、光学検出用モジュール、及びデータ分析用モジュールを含む。統合マイクロシステムデバイスは、機械的な蛍光バックグランド除去の技法を利用し、この技法は、以下の原理を活用する。固定化されたオリゴヌクレオチド捕捉プローブのアレイを、反応チャンバー中に配置する。固定化されたオリゴヌクレオチド捕捉プローブに対して相補性を示す、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドレポータープローブを含む溶液もまた、反応チャンバー中に提供する。オリゴヌクレオチドレポータープローブに対して相補性を示すアンプリコンが、反応チャンバー中で生成すると、オリゴヌクレオチドレポータープローブとの結合について、捕捉プローブと競合する。すなわち、レポータープローブのそれぞれもまた、特異的な標的オリゴヌクレオチド配列に対して相補性を示す。したがって、特定のアンプリコン(すなわち、標的オリゴヌクレオチド配列)の数が増加するにつれて、対応する固定化オリゴヌクレオチド捕捉プローブから検出される蛍光シグナルが減少する;というのは、より少ないオリゴヌクレオチドレポータープローブが、対応する捕捉プローブに結合するからである。このことにより、試料のオリゴヌクレオチド配列中に含まれている標的の核酸配列の定性的検出と定量的検出とを同時に行うことが可能になる。
本実施例に従って、試料を反応チャンバーに導入する前に、レポータープローブを、捕捉プローブに自由に合結させることができ、ベースラインの蛍光シグナルを獲得することができる。反応チャンバープランジャーを駆動して、捕捉プローブのアレイを反応チャンバーの側壁に押し付けることによって、蛍光シグナルを獲得する;捕捉プローブのアレイが反応チャンバーの側壁に押し付けられた時点において、光学検出用モジュールが、蛍光シグナルを獲得することができる。反応チャンバープランジャーを駆動しないと、捕捉プローブのアレイは、反応チャンバーの壁に押し付けられず、したがって、光学検出用モジュールは、蛍光シグナルを検出しない。また、反応チャンバープランジャーを駆動することにより、未結合のレポータープローブを保持する反応混合物を押しのけることにもなり、したがって、(捕捉プローブに)結合しているレポータープローブのみが検出される。
用意された試料を、反応チャンバー内に導入し、標的オリゴヌクレオチド配列を、PCRにより増幅する。蛍光シグナルのパターンを経時的に検出するために、各PCR増幅サイクルの後に蛍光シグナルの画像を連続的に捕捉するように、システムを構成する。温度制御用モジュールを、反応チャンバーを自動的に加熱し、冷却するように構成して、PCR増幅を行い、各PCR増幅サイクルが完了すると、反応チャンバープランジャーを駆動して、蛍光シグナルを捕捉する。しかし、反応混合物が、バックグランドの蛍光シグナルを発光する場合があり、このことにより、捕捉プローブのアレイからの蛍光シグナルの捕捉が混乱する恐れがあろう。したがって、反応チャンバープランジャーを駆動すると、反応チャンバープランジャーが、反応チャンバーを圧縮し、それにより、反応混合物が軽減チャンバー内へと押しのけ、したがって、反応チャンバーから反応混合物が除去され、こうして、バックグランドの蛍光シグナルが実質的に排除される。捕捉プローブのアレイから蛍光シグナルを捕捉したら、反応チャンバープランジャーを後退させ、反応チャンバーを拡張させ、軽減チャンバーから反応混合物を流動させて、反応チャンバー内に戻す。このプロセスを、各PCR増幅サイクルにおいて反復する。
データ分析用モジュールを、光学検出用モジュールから光学データを集めるように構成して、アンプル中の1つ若しくは複数の標的オリゴヌクレオチド配列の存在の定性的決定及び/又は1つ若しくは複数の標的オリゴヌクレオチド配列についてのPCR増幅率(すなわち、生成したアンプリコンの数)の定量的決定の両方又はいずれかを行う。標的配列のプロファイルをデータ分析用モジュールにより作成し、データを、遠隔サーバに伝送するか又はローカルディスク上に保存し、既知の配列プロファイルのライブラリーとの比較を行って、試料が真正の品目から用意されていたか否かを決定する。
特徴的マーカーの迅速な現場検出を行うための統合マイクロシステム及び方法
実施例3に記載した統合マイクロシステムを改変して、温度サイクリングを、等温増幅を利用することによって排除することができる。したがって、温度制御用モジュールを省略することができ、画像捕捉のペースを速めて、等温増幅のためのより速いサイクリング時間に対応することができる。
また、本発明の方法及びシステムを使用して、偽造又は窃盗に曝される任意のアイテムに適用する安全保障マーカーのDNAの真正性を確認することもできる。例を挙げると、これらのアイテムとして、例えば、非限定的に、印刷された資料、紙幣、金融商品、コイン、ラベル、ロゴ、バッジ、布、織物並びにその他の売買品;マイクロチップ並びにその他の電子アイテム、例として、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォンが挙げられる。
本出願に開示する参考文献、特許及び公開特許出願のそれぞれの開示は、それらの全体のそれぞれが本明細書での参照により本明細書に組み込まれている。
本発明の例示的な実施形態を記載してきたが、添付の特許請求の範囲による配分及び限定によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の改変形態を作成することができることが当業者に容易に明らかになることに更に注目されたい。
110 試料

Claims (15)

  1. 目的の品目から試料を用意する工程と、
    特徴的マーカーの存在を検出するために試料を分析する工程であって、分析が、現場検出装置を使用して実施され、現場検出装置が、試料入力-回答出力型の分析を実施するように構成されているマイクロシステムを含む、工程と、
    試料中の特徴的マーカーの存在を検出する工程と
    を含む、特徴的マーカーの現場検出の方法。
  2. 目的の品目から得られた試料が、特徴的マーカーに加えて、1つ又は複数のDNAタガントを含み、DNAタガントが、目的の品目に関する情報をコードし、
    前記方法が、試料中の特徴的マーカーの存在を検出する工程に加えて、試料中のDNAタガントのうちの少なくとも1つの存在を検出する工程を含む、請求項1に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  3. 試料が、試料の識別子を更に含む、請求項1に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  4. 試料の識別子が、光学的レポーター、デジタルコード、QRコード(登録商標)又はバーコードを含む、請求項3に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  5. 光学的レポーターが、アップコンバート性リン光体、フルオロフォア、色素、染色剤又はリン光体を含む、請求項4に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  6. 特徴的マーカーが、生体分子又は非生物学的有機分子を含む、請求項1に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  7. 生体分子が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、イソプレン、単糖、多糖、脂肪酸、ビタミン、核酸、タンパク質-DNAの複合体及びペプチド核酸(PNA)からなる群から選択される、請求項6に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  8. 特徴的マーカーが、特有のアンプリコンプロファイルを生成するためにコピー可能な、1つ又は複数の核酸配列を含む、請求項7に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  9. 現場検出装置が、目的の品目についての真正性データを含むサーバと通信する、請求項1に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  10. 現場検出装置が、目的の品目についての真正性データを保存及び処理するように構成されている単独型のデバイスである、請求項1に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  11. 試料が、PCR、等温増幅、核酸ハイブリダイゼーション又は核酸配列決定を使用して分析される、請求項10に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  12. 目的の品目から試料を用意する工程と、
    特徴的マーカーの存在を検出するために試料を分析する工程であって、分析が、現場検出装置を使用して実施され、現場検出装置が、試料入力-回答出力型の分析を実施するように構成されているマイクロシステムを含む、工程と、
    目的の品目の真正性を、試料中の特徴的マーカーの存在を検出することによって確認する工程と
    を含む、特徴的マーカーの現場検出の方法。
  13. 試料が、試料の識別子を更に含む、請求項12に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  14. 生体分子がDNAを含む、請求項13に記載の特徴的マーカーの現場検出の方法。
  15. 目的の品目から得られた試料を収集するためのキットであって、現場検出装置における分析に適した特徴的マーカーを含む試料を収集するように構成されている試料収集ユニットを含む現場検出装置を含み、目的の品目から特徴的マーカーを抽出するのに適した緩衝液を含み、現場検出装置が、試料を分析して、試料中の特徴的マーカーの存在を決定するように構成されている、キット。
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