JP2017530766A - 末梢静脈波形解析(piva)を使用した血液量減少/血液量増加の検出、およびその応用 - Google Patents

末梢静脈波形解析(piva)を使用した血液量減少/血液量増加の検出、およびその応用 Download PDF

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Abstract

本発明の態様は、末梢静脈波形解析を使用する生体の血液量減少および/または血液量増加の検出のためのシステムおよび方法に関する。一実施形態では、この方法は、生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程と、獲得された末梢静脈信号に対してスペクトル解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対して統計解析を行って、リアルタイムで生体の血液量状態を決定する工程とを含む。具体的には、第1の周波数および第2の周波数にそれぞれ対応する2つ以上のピークが、末梢静脈圧周波数スペクトル上で取得される。第2のピークの振幅変化が、生体の血液量状態を決定するために使用される。有意な振幅減少が第2のベースライン・ピークから第2のピークで検出されたとき、出血が検出され得る。

Description

本発明は、一般に、血液量減少および/または血液量増加の検出に関し、より詳細には、本発明は、生体の血液量状態を評価するために末梢IV波形解析(PIVA)を使用して血液量減少および/または血液量増加を検出するシステムおよび方法、ならびにその応用に関する。
出血性ショックは、依然として負傷者治療現場における主要な回避可能な死因である[42、43](非特許文献1、非特許文献2)。外傷は、40歳未満の患者の主要な死因であり、世界中で大きな経済的負担をもたらしている。生存は、出血の早期認識、適切なトリアージ、および目標指向型の輸血療法を条件とする[43、44](非特許文献2、非特許文献3)。
適時の介入を行って人間および他の生存動物の末端器官生存率を維持するには、出血の早期認識およびガイド付き液体投与が重要である[1](非特許文献4)。たとえば、負傷した兵士に対する適時のダメージコントロール手術(DCS)および限定的輸液蘇生法(RFR:restrictive fluid resuscitation)が死亡率を有意に改善することが示されている[45](非特許文献5)。血液量減少性ショックの患者には早期の蘇生が妥当であるが、過剰蘇生は末端臓器灌流の減少、肺水腫、死亡率の増大のような有害な効果を有する可能性もある[2][3][4](非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。しかしながら、特に臨床現場において、早期の出血および蘇生効果の検出について重要な技術的空白が依然として存在している。具体的には、無症候性の出血および適切な輸液蘇生の認識は依然として難しく、負傷した兵士のトリアージの遅延および不十分な管理をもたらしている[46](非特許文献9)。しばしば、持続的な潜在出血は、特に良好な代償機構を有する若い健康な兵士の場合、出血性ショックおよび循環虚脱の発症まで認識されない[47、48](非特許文献10、非特許文献11)。認識されない出血はトリアージおよびDCRの遅延につながり、予防可能な末端器官損傷をもたらす[49、50、35](非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14)。
出血の早期認識は、末端器官損傷を予防し生存率を向上させるための療法の中核である[34](非特許文献15)。血液量減少性ショックおよび末端器官損傷の診断は、正常な心拍数および血圧を有する患者、特に良好な代償機構を有する患者では困難である[35](非特許文献14)。具体的には、進行した出血性ショックが、しばしば、特に若い健常人で、標準的なバイタル・サイン監視の有意な変化に先行することがある[5][1](非特許文献16、非特許文献4)。実際、有意なバイタル・サインの変化は、ステージII出血の特徴である血液量の15〜30%を患者が失うまで発生しない[5](非特許文献16)。中心静脈圧および肺動脈圧などの侵襲的監視様式でさえ、体液量の状態(ボリューム・ステータス)の決定要因として不十分である[6](非特許文献17)。肺動脈閉塞圧および中心静脈圧では、健常者における心室充満量、心機能、または輸液に対する応答を予測することができない[6](非特許文献17)。さらに、集中監視は、主要な血管合併症および中心ライン関連血流感染と関連している[7](非特許文献18)。さらに重要なことに、中心静脈監視は重症患者では生存利益をもたらさない[8][9](非特許文献19、非特許文献20)。
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したがって、当技術分野において従来対処されていない、上述の欠点および不足点を解決する必要性がある。
一態様では、本発明は、生体の血管内液量状態に基づいて、生体の血液量減少、血液量増加、および血管緊張を決定するための方法に関する。いくつかの実施形態では、この方法は、TからTまでの期間において連続的に、生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程であって、その期間は、TからTまでの第1の期間とTからTまでの第2の期間とに分割される、工程と、第1の期間に獲得された末梢静脈信号を処理して、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程であって、Nは正の整数であり、複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい、工程と、第2の期間に獲得された末梢静脈信号を処理して、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のピーク{PN−1}を取得する工程であって、複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応する、工程と、ピーク{PN−1}の振幅をベースライン・ピーク{BN−1}の振幅とそれぞれ比較することによって、第2の期間における生体の血管内液量状態を決定する工程とを含む。ピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から閾値を超える振幅変化が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は血液量減少または血液量増加を示す。
いくつかの実施形態では、ベースライン・ピーク{BN−1}からピーク{PN−1}までにおいて第1の閾値を超える振幅減少が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は血液量減少を示す。いくつかの実施形態では、ピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は血液量増加を示す。
いくつかの実施形態では、この方法は、生体の蘇生中に生体に対して実施される。一実施形態では、生体が第1の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は血液量減少状態からの正常血液量の回復を示す。一実施形態では、生体が第1の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は過剰蘇生(over−resuscitation)を示す。
いくつかの実施形態では、末梢静脈信号は、生体に麻酔を導入する工程と、末梢静脈(IV)カテーテルを生体の静脈に挿入する工程であって、静脈は上肢静脈である、工程と、約1kHzのサンプリング・レートで末梢IVカテーテルから末梢静脈信号を捕捉し記録する工程とによって獲得される。一実施形態では、末梢IVカテーテルは末梢静脈挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally−inserted central catheter)である。いくつかの実施形態では、圧力トランスデューサが末梢IVカテーテルに直接接続されるように使用されており、末梢静脈信号は圧力トランスデューサによって捕捉され記録される。
いくつかの実施形態では、末梢静脈信号は、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル
および末梢静脈圧周波数スペクトルをそれぞれ取得するために、スペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析によって処理される。
いくつかの実施形態では、複数のピーク{PN−1}は、第1の周波数Fに対応する第1のピークと、第2の周波数Fに対応する第2のピークとを含む。一実施形態では、第1の周波数Fに対応する第1のピークは、生体の呼吸数に関連付けられ、第2の周波数Fに対応する第2のピークは、生体の心拍数に関連付けられる。
本発明の別の態様は、生体の血液量状態を決定するための方法に関し、この方法は、生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程と、獲得された末梢静脈信号に対するスペクトル解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対する統計解析を行って、リアルタイムで生体の血液量状態を決定する工程とを含む。
いくつかの実施形態では、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第1の閾値を超える振幅減少が検出されたとき、生体の血管内液量状態は血液量減少を示し、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、生体の血管内液量状態は血液量増加を示す。いくつかの実施形態では、この方法は、生体の限外濾過/透析または利尿の最中に生体に対して実施される。一実施形態では、この方法は、生体の血管内液量状態が血液量減少を示すときに警告メッセージを生成する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、生体の蘇生中に生体に対して実施される。一実施形態では、生体がより前の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつ末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、生体の血管内液量状態は血液量減少状態からの正常血液量の回復を示す。一実施形態では、生体がより前の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつ末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、生体の血管内液量状態は過剰蘇生を示す。
いくつかの実施形態では、この方法は、生体の血管内液量状態に基づいて、生体における処置の有効性および正常血液量への回復を検出する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、末梢静脈信号は、末梢静脈(IV)カテーテルを生体の静脈に挿入する工程と、あるサンプリング・レートで末梢IVカテーテルから末梢静脈信号を捕捉し記録する工程とによって獲得される。一実施形態では、末梢IVカテーテルは末梢静脈挿入型中心静脈カテーテル(PICC)である。一実施形態では、圧力トランスデューサが末梢IVカテーテルに直接接続されており、末梢静脈信号は圧力トランスデューサによって捕捉され記録される。
いくつかの実施形態では、スペクトル解析は、スペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析である。いくつかの実施形態では、統計解析は、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程であって、Nは正の整数であり、複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい、工程と、末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のピーク{PN−1}を取得する工程であって、複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応する、工程と、ピーク{PN−1}の振幅をベースライン・ピーク{BN−1}の振幅とそれぞれ比較することによって、リアルタイムで生体の血管内液量状態を決定する工程とを含むことができる。
いくつかの実施形態では、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルは、より前の期間において生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程と、より前の期間において獲得された末梢静脈信号を、スペクトルFFT解析によって処理して、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程とによって取得される。
いくつかの実施形態では、この方法は、生体の6%以上の失血または5.9%以上の血液量過剰を検出する能力があり得る。
いくつかの実施形態では、複数のピーク{PN−1}は、第1の周波数Fに対応する第1のピークPと、第2の周波数Fに対応する第2のピークPとを含む。いくつかの実施形態では、第1の周波数Fに対応する第1のピークPは、生体の呼吸数に関連付けられ、第2の周波数Fに対応する第2のピークPは、生体の心拍数に関連付けられる。
本発明のさらなる態様では、末梢静脈(IV)波形解析(PIVA)システムが、生体の静脈から末梢静脈信号を獲得するように構成されている末梢IVデバイスと、末梢IVデバイスに対し通信可能に接続された処理デバイスとを備え、処理デバイスは、末梢IVデバイスから末梢静脈信号を受信する工程と、末梢静脈信号に対するスペクトル処理および解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対する統計解析を行って、リアルタイムで生体の血液量状態を決定する工程とを行うように構成されている。
いくつかの実施形態では、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第1の閾値を超える振幅減少が検出されたとき、生体の血管内液量状態は血液量減少を示し、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、生体の血管内液量状態は血液量増加を示す。いくつかの実施形態では、システムは、生体の限外濾過/透析または利尿の最中に生体に対して適用される。一実施形態では、処理デバイスは、生体の血管内液量状態が血液量減少を示すときに警告メッセージを生成するように、さらに構成されている。
いくつかの実施形態では、システムは、生体の蘇生中に生体に対して適用される。一実施形態では、生体がより前の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつ末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、生体の血管内液量状態は血液量減少状態からの正常血液量の回復を示す。一実施形態では、生体がより前の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつ末梢静脈圧周波数スペクトルのピークから第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、生体の血管内液量状態は、過剰蘇生を示す。
いくつかの実施形態では、処理デバイスは、生体の血管内液量状態に基づいて、生体における処置の有効性および正常血液量への回復を検出するようにさらに構成されている。
いくつかの実施形態では、処理デバイスは、無線接続を介して末梢IVデバイスに対し通信可能に接続される。
いくつかの実施形態では、末梢IVデバイスは、生体の静脈に挿入される末梢IVカテーテルと、末梢IVカテーテルに接続され、あるサンプリング・レートで末梢IVカテーテルから末梢静脈信号を捕捉し記録するように構成されている監視デバイスとを含む。一実施形態では、末梢IVカテーテルは、末梢静脈挿入型中心静脈カテーテル(PICC)である。いくつかの実施形態では、監視デバイスは、末梢IVカテーテルに直接接続された圧力トランスデューサを備え、末梢静脈信号は、圧力トランスデューサによって捕捉され記録される。
いくつかの実施形態では、処理デバイスは、コンピューティング・デバイスであり、コンピューティング・デバイスは、処理機能を実施するためのプロセッサを有するデスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、スマートフォン、タブレット・デバイス、または任意の他のコンピューティング・デバイスであり得る。
いくつかの実施形態では、スペクトル解析は、スペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析である。いくつかの実施形態では、統計解析は、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程であって、Nは正の整数であり、複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい、取得する工程と、末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のピーク{PN−1}を取得する工程であって、複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応する、取得する工程と、ピーク{PN−1}の振幅をベースライン・ピーク{BN−1}の振幅とそれぞれ比較することによって、リアルタイムで生体の血管内液量状態を決定する工程とを含むことができる。
いくつかの実施形態では、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルは、より前の期間において生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程と、より前の期間において獲得された末梢静脈信号を、スペクトルFFT解析によって処理して、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程とによって取得される。
いくつかの実施形態では、複数のピーク{PN−1}は、第1の周波数Fに対応する第1のピークPと、第2の周波数Fに対応する第2のピークPとを含む。いくつかの実施形態では、第1の周波数Fに対応する第1のピークPは、生体の呼吸数に関連付けられ、第2の周波数Fに対応する第2のピークPは、生体の心拍数に関連付けられる。
いくつかの実施形態では、PIVAシステムは、生体に接続され生体に対する液交換を行うポンプと、処理デバイスに対し通信可能に接続されたポンプ制御機構であって、末梢IVデバイスが末梢静脈信号を獲得するときにポンプを間欠的に休止させるかまたはポンプの信号を減少させることによって、および末梢IVデバイスが末梢静脈信号を獲得しないときにポンプを再始動することによってポンプを制御するように構成されているポンプ制御機構と、をさらに含む。処理デバイスは、ポンプ制御機構に対して信号を送信して、ポンプを制御するようにポンプ制御機構に通知するようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、ポンプは、透析ポンプ、心肺バイパス・ポンプ、体外式膜型人工肺(ECMO:extracorporeal membrane oxygenation)、または輸液ポンプであり得る。
さらなる態様では、本発明は、上述されたようなPIVAシステムを使用して、生体の血管内液量状態に基づいて生体の血液量減少、血液量増加、および血管緊張を決定するための方法に関する。
いくつかの実施形態では、上述されたようなシステムおよび方法は、下記のために使用され得る:
(1)敗血症または他の低全身血管抵抗状態のポイントオブケア検出、
(2)肺塞栓、特発性肺高血圧、静脈空気塞栓、または羊水塞栓による右心室圧/後負荷の増大または右心不全のポイントオブケア検出、
(3)子癇前症/子癇などの高全身血管抵抗状態のポイントオブケア検出、
(4)陽圧換気による胸腔内変化に信号が依存しない、自発呼吸ならびに機械的換気下の個体における体液量の状態の検出、
(5)血管内体液量管理のための自動化アルゴリズムおよび閉ループ・システム(これは、自動化透析限外濾過速度を含み得るが、それに限定されない)、ならびに
(6)自動化アルゴリズムは、時間領域内のピーク検出、フーリエ変換におけるピーク検出、信号のニューラル・ネットワーク解析、ウェーブレット解析、時間領域信号のデコンボリューション、または追加の信号処理ツールを使用してもよい。
いくつかの実施形態では、上述されたようなシステムおよび方法を用いた血液量減少の検出は、Fのようなより高い周波数を有するピークにおける振幅増加、ならびにFにおける振幅変化の解析によって行われてよい。
本発明の上記および他の態様は、以下の図面と併せて行われる好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるが、本開示の新規の概念の趣旨および範囲から逸脱することなく、それらの変形および変更が行われ得る。
添付の図面は、本発明の1つまたは複数の実施形態を示し、明細書と共に本発明の原理を説明する役割をする。可能な限り、同じ参照番号は、図面全体を通して、一実施形態の同じまたは類似の要素を指すために使用される。
本発明のいくつかの実施形態によるPIVAシステムを示す図。 本発明のいくつかの実施形態による、生体の血液量減少/血液量増加を検出するための方法の流れ図。 本発明のいくつかの実施形態による、ブタ・モデルにおける血液量減少(A)、正常血液量(B)、および血液量増加(C)の状態の信号の末梢静脈波形およびフーリエ変換の図表。 本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける出血および輸血のF振幅の図表。 本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける出血および輸血の血液量に対する平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)、およびショック指数(SI)の図表。 本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける軽度の血液量増加を生じる液体投与のF振幅の図表。 本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける軽度の血液量増加を生じる液体投与の血液量に対するMAP、HR、およびSIの図表。 本発明のいくつかの実施形態による、抹消静脈信号、HR、MAP、およびSIについての(A)血液量減少(>200mL出血、5.9%)および(B)血液量増加(>200mL液体投与、5.9%)の検出の受信者動作曲線(ROC)を示す図。 本発明のいくつかの実施形態による、制御されたヒト出血モデルにおける患者人口統計の表。 本発明のいくつかの実施形態による、制御されたヒト出血モデルでのベースラインおよび自己血除去後における信号の末梢静脈波形およびフーリエ変換の図表。 本発明のいくつかの実施形態による、ベースラインならびに250mLおよび500mLの出血後における制御されたヒト出血モデルでの(A)F振幅、(B)HR、(C)拡張期肺動脈圧(dPAP)、および(D)MAPについての血行動態測定の図表。 本発明のいくつかの実施形態による、F振幅、dPAP、HR、およびSIの検出のROC曲線を示す図。 本発明のいくつかの実施形態による、図8Aに示されたデータに関する曲線下面積(AUC)、標準誤差(SE)、および95%信頼区間の表。 本発明のいくつかの実施形態による、陽圧換気有り(+PPV)および無し(−PPV)のF振幅を示す図。 本発明のいくつかの実施形態による、陽圧換気有り(+PPV)および無し(−PPV)のF振幅を示す図。 本発明のいくつかの実施形態による、ブタ動物モデル(n=8)における出血を検出するための(A)PIVA信号および(B)ショック指数を示す図。 本発明のいくつかの実施形態による、ブタ動物モデル(n=8)における出血を検出するための(A)PIVA信号および(B)ショック指数を示す図。
本発明の例示的な実施形態が示された添付の図面を参照して、本発明が以下でより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は本開示が徹底され完全であるように提供され、本発明の範囲を当業者に十分に伝える。同様の参照符号は全体にわたって同様の要素を指す。
本明細書で使用される用語は、一般に、本発明の文脈において、また各用語が使用される具体的文脈で、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。本発明を説明するために使用される特定の用語は、本発明の説明に関して実務者に追加的な案内を提供するために、以下または本明細書の他の箇所に論じられる。便宜上、たとえば斜体および/または引用符を使用して特定の用語が強調表示されることがある。強調表示の使用は、用語の範囲および意味に影響を与えず、強調表示されているか否かにかかわらず、同じ文脈において用語の範囲および意味は同じである。同じことが2つ以上の方法で説明され得ることは理解されよう。結果として、代替的な言語および同義語が、本明細書で論じられる用語の任意の1つまたは複数に使用されてよく、用語が本明細書で詳述または論議されるか否かに何ら特別な意味は与えられない。特定の用語について同義語が与えられる。1つまたは複数の同義語の記載は、他の同義語の使用を排除しない。本明細書に論じられる任意の用語の例を含む本明細書の任意の箇所の例の使用は、例示に過ぎず、本発明または例示された用語の範囲および意味を何ら限定しない。同様に、本発明は、本明細書で与えられる種々の実施形態に限定されない。
ある要素が別の要素の「上」にあると言及されるとき、それは別の要素の上に直接存在する、または間に介在要素が存在する可能性があることは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上」にあると言及される場合、介在要素は存在しない。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連して列挙された要素の1つまたは複数の任意およびすべての組み合わせを含む。
第1、第2、第3などの用語が、種々の要素、構成要素、領域、層、および/または部分を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではないことは理解されよう。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、または部分を別の要素、構成要素、領域、層、または部分と区別するためにのみ使用される。したがって、以下に論じられる第1の要素、構成要素、領域、層、または部分は、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、構成要素、領域、層、または部分と称されてよい。
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを目的としており、本発明を限定するように意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で別段に明示しない限り、複数形も含むことが意図
される。用語「備える」および/もしくは「備えている」または「含む」および/もしくは「含んでいる」または「有する」および/もしくは「有している」は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、領域、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するものであり、1つまたは複数の他の特徴、領域、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素、ならびに/あるいはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
さらに、本明細書では「下方」または「下」および「上方」または「上」などの相対的用語が、図に示されるように、1つの要素の別の要素との関係を説明するために使用され得る。相対的用語は、図に示される向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含するように意図されることは理解されよう。たとえば、図の1つにおいてデバイスがひっくり返された場合、他の要素の「下方」側であると説明されていた要素が他の要素の「上方」側に向けられることになる。したがって、例示的な用語「下方」は、図の特定の向きに応じて「下方」と「上方」の両方の向きを包含することができる。同様に、図の1つにおいてデバイスがひっくり返された場合、他の要素の「下」または「真下」として説明されていた要素は、他の要素の「上」に向けられることになる。したがって、例示的な用語「下」または「真下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。
特に定義されない限り、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されるような用語は、関連技術および本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解されよう。
本明細書で使用される場合、「およそ」、「約」、「実質的に」、または「近似的に」は、一般に所与の値または範囲の20%の範囲内、好ましくは10%の範囲内、より好ましくは5%の範囲内を意味する。本明細書で与えられる数量は概算であり、明示的に記載されない限り、用語「およそ」、「約」、「実質的に」、または「近似的に」が推定され得ることを意味する。
本明細書で使用される場合、「備える」または「備えている」、「含む」または「含んでいる」、「持つ」または「持っている」、「有する」または「有している」、「含む」、「含んでいる」、「伴う」または「伴っている」などの用語は非限定的であり、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されたい。
本明細書で使用される場合、用語「血行動態」は、一般に血液移動を指し、「血行動態蘇生」は、一般に、代償性ショックの症状を経験している患者における増大する血液移動(または血圧)を指す(たとえば「血行動態スコア」または「蘇生スコア」に基づく)。
本明細書で使用される場合、用語「末梢静脈波形解析」またはその略語「PIVA」は、標準的末梢静脈(IV)カテーテルを介して生体の静脈から測定された末梢静脈波形の解析を指す。
本明細書で使用される場合、用語「血液量減少」は、血液量の減少、より具体的には血漿量の減少の医学的状態を指す。いくつかの実施形態では、血液量減少は、出血、脱水、または血管内水分損失による血液量の損失に由来する。
本明細書で使用される場合、用語「血液量増加」は、血液中の液体過剰(すなわち有する液体が多すぎる)の医学的状態を指す。いくつかの実施形態では、血液量増加は、鬱血
性心不全(CHF)や腎不全などのナトリウム処理のための調節機構の損傷、または医原性の液体投与に由来する。
発明の概観
輸液療法をガイドするための理想的な血行動態監視システムは、最小のリスクで正確に患者の体液量の状態を予測する[36]。不都合なことに、脈圧変動(PPV)、一回拍出量変動(SVV)、およびプレチスモグラフ波呼吸変動(plethysmo graphic wave respiratory variation)などの体液量の状態を評価するための既存の動的システムおよび方法は、液体応答性を予測することができるが、体液量の状態を直接測定することがなく、それらは蘇生中に医原性体液量過剰を検出することが証明されていない[37、38]。SVVおよびPPVなどのこれらの既存の非侵襲的な動的監視システムは、機械的換気中の左室拍出量に対する胸腔内効果に依拠している[10、11]。さらに、これらの技法は、血液量減少の検出のために機械的換気中の心肺相互作用に依存している[37、51]。この重大な制限のため、これらの技法は、自発呼吸している患者では無効になる[52]。
既存の中心静脈監視様式に関連した陥穽に対処しようと試みて、血管内液量状態を決定するための代替手段として、末梢静脈圧(PVP)監視がますます研究されている。重症患者の絶対PVP測定値と中心静脈圧(CVP)測定値との傾向間には有効な相関がある[13][14]。しかしながら、CVPひいてはPVPの傾向でさえ体液量の状態の信頼できる指標ではないため、この手法を修正する必要がある。1つのそうした方法であるPVPの上昇のカフ閉塞率(CORRP:cuff−occlusion rate of rise of PVP)では、重症患者の体液量の状態と相関することが示されているものの、体液量の状態を評価するための測定がオペレータに依存し、非連続的なものであることによって制限される[15]。別の方法では、血管内液量状態の連続的な拍動間(beat−to−beat)監視を行って自発呼吸している被験者の下半身陰圧に関連付けられた変化、すなわち出血のシミュレーションを定量化するために、末梢静脈波形スペクトル解析が用いられた[16]。しかしながら、下半身陰圧は血管拡張を生じ、出血に対する生理学的応答を真に表さないことがある。言い換えれば、換気導入されることなく、すなわち、負の圧力無しに胸腔内圧変化における患者の血液量状態を正確に評価する、既存の非侵襲的方法は存在しない。現在の至適基準測定は、心エコー検査法または肺動脈カテーテルを必要とし、これらの測定の両方がそれらの精度に広い変動を有する。
最近、シレシ(Sileshi)らは、心臓手術中の患者の周術期自己献血中に末梢静脈波形解析(PIVA)で早期ステージ1の出血を検出できることを報告した[17]。さらに、この研究は、標準的バイタル・サインおよび侵襲的肺動脈監視よりもPIVAが循環血液量の急激な変化に対して感度が高いことを実証した。
さらに、すべての負傷した兵士が気管内挿管および陽圧換気を必要とするわけではなく、負傷した自発呼吸している兵士について正確かつ感度が高い体液量の状態監視が特に必要とされている。体液量の状態の小さな直接的変化を検出し、戦闘負傷者治療現場における切迫した循環虚脱を警告するポイントオブケア・モニタが必要とされている。
したがって、本発明の態様は、ヒトおよび/または他の動物を含み得る生体の血液量状態を評価するためにPIVAを使用して早期段階の出血を検出するシステムおよび方法、ならびにその応用に関する。
図1は、本発明のいくつかの実施形態によるPIVAシステムを示す。図1に示されるように、PIVAシステム100は、末梢IVデバイス110および処理デバイス120を含む。処理デバイス120は、末梢IVデバイス110に対し通信可能に接続される。
いくつかの実施形態では、末梢IVデバイス110と処理デバイス120との間の通信は、有線接続または無線接続によって実装され得るネットワークを介してよい。ネットワークの例は、以下に限定されないが、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、または任意の他のタイプのネットワークを含み得る。
末梢IVデバイス110は、生体130の静脈から末梢静脈信号を獲得するように構成されている。いくつかの実施形態では、生体はヒトであってよく、または他の動物であってもよい。一実施形態では、生体は、ヒトの患者であってよく、患者は、覚醒しており、自発呼吸する/動くことができ、または患者が自発的に動かないように麻酔を導入されてもよい。いくつかの実施形態では、末梢IVデバイス110は、生体の静脈130に挿入されている末梢IVカテーテルと、末梢IVカテーテルに接続された監視デバイスとを含むことができる。監視デバイスは、あるサンプリング・レートで末梢IVカテーテルから末梢静脈信号を捕捉し記録するように構成されている。いくつかの実施形態では、監視デバイスは、末梢静脈信号が圧力トランスデューサによって捕捉され記録されるように、末梢IVカテーテルに直接接続された圧力トランスデューサを含むことができる。
処理デバイス120は、末梢IV監視デバイスから末梢静脈信号を受信する工程と、末梢静脈信号に対するスペクトル処理および解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対する統計解析を行って、リアルタイムで生体の血液量状態を決定する工程とを行うように構成されている。いくつかの実施形態では、処理デバイス120は、コンピューティング・デバイスであってよく、コンピューティング・デバイスは、処理機能を実施するためのプロセッサを有するデスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、スマートフォン、タブレット・デバイス、または任意の他のコンピューティング・デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、スペクトル解析はスペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析であってよい。
いくつかの実施形態では、PIVAシステム100は、生体に接続され生体に対する液交換を行うポンプ(図示せず)と、処理デバイスに対し通信可能に接続されたポンプ制御機構(図示せず)であって、末梢IVデバイスが末梢静脈信号を獲得するときにポンプを間欠的に休止させるかまたはポンプの信号を減少させることによって、および末梢IVデバイスが末梢静脈信号を獲得しないときにポンプを再始動することによってポンプを制御するように構成されているポンプ制御機構とをさらに含む。いくつかの実施形態では、ポンプは、透析ポンプ、心肺バイパス・ポンプ、体外式膜型人工肺(ECMO)、または輸液ポンプであってよい。この場合、処理デバイス120は、ポンプ制御機構に対して信号を送信して、ポンプを制御するようにポンプ制御機構に通知するようにさらに構成されている。
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、生体の血液量減少/血液量増加を検出するための方法の流れ図を示す。図2に示されるように、工程S210で、末梢IVデバイス110は、生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する。工程S220で、末梢IVデバイス110から末梢静脈信号を受信すると、処理デバイス120は、末梢静脈信号に対するスペクトルFFT解析などのスペクトル処理および解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する。工程S230で、処理デバイス120は、末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対する統計解析を行って、リアルタイムで生体の血液量状態を決定する。工程S240で、処理デバイス120は、ピークの有意な振幅変化が検出されたかどうかを決定する。検出された場合、工程S250で、処理デバイス120は、振幅変化に応じて、生体が血液量減少または血液量増加を有すると決定する。検出されない場合、工程S260で、処理デバイス120は、生体が血液量減少も血液量増加も有しないと決定
する。
具体的には、工程S210およびS220は、2つの異なる期間で2つのセットの末梢静脈圧周波数スペクトルが取得されることが可能なように連続的に行われてもよい。たとえば、TからTまでの期間について、期間はTからTまでの第1の期間とTからTまでの第2の期間とに分割されてよく、第1の期間および第2の期間のそれぞれは、別々のセットの末梢静脈圧周波数スペクトルを取得するために使用されてよい。いくつかの実施形態では、期間は、3つ以上の期間に分割されてよく、複数のセットの末梢静脈圧周波数スペクトルが取得されてよい。いくつかの実施形態では、より前の時間に取得された末梢静脈圧周波数スペクトルが、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルとして使用されてよい。したがって、工程S230の統計解析は、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルにおける低周波数側から複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程によって行われよく、ここで、Nは正の整数であり、複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい。言い換えれば、それらのベースライン・ピークは、第1の周波数Fに対応する第1のベースライン・ピークB、第2の周波数Fに対応する第2のベースライン・ピークB、第3の周波数Fに対応する第3のベースライン・ピークB、…を含んでよく、第2の周波数Fは第1の周波数Fよりも大きい。次いで、複数のピーク{PN−1}が現在取得された末梢静脈圧周波数スペクトル上で取得されてよく、ここで、複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応する。たとえば、それらのピークは、第1の周波数Fに対応する第1のピークP、第2の周波数Fに対応する第2のピークP、第3の周波数Fに対応する第3のピークP、…を含んでよい。いくつかの実施形態では、末梢静脈圧周波数スペクトル上のピークの数は、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上のベースライン・ピークの数と等しい。このようにして、ピークの振幅をベースライン・ピークの振幅とそれぞれ比較することによって、生体の血管内液量状態がリアルタイムで決定され得る。
いくつかの実施形態では、第2の期間における生体の血管内液量状態は、振幅減少がベースライン・ピーク{BN−1}からピーク{PN−1}までにおいて第1の閾値を超えて検出されたとき、血液量減少を示す。いくつかの実施形態では、ピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は血液量増加を示す。たとえば、第1の閾値に達する末梢静脈圧周波数スペクトルの第2のピークのF振幅の有意の減少がある場合、処理デバイス120は、血液量減少(たとえば、出血または血管内水分損失など)が生体内で発生していると決定する。他方で、第2の閾値に達する末梢静脈圧周波数スペクトルの第2のピークのF振幅の有意の増加がある場合、処理デバイス120は、血液量増加(たとえば、鬱血性心不全、腎不全、医原性の液体投与など)が生体内で発生していると決定することになる。第2のピークPのF振幅に加えて、第1のピークP、第3のピークP、および任意の後続のピークのような他のピークの振幅が、生体の血液量減少または血液量増加を決定するために使用されてもよいことに留意されたい。
いくつかの実施形態では、この方法は、生体の蘇生中に生体に対して実施される。一実施形態では、生体が第1の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液量状態は血液量減少状態からの正常血液量の回復を示す。一実施形態では、生体が第1の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつピーク{PN−1}に対するベースライン・ピーク{BN−1}から第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、第2の期間における生体の血管内液
量状態は過剰蘇生を示す。
いくつかの実施形態では、実際の体液量の計算は、集団研究に基づいて生成される補間を伴う大きな論理表に基づいて行われることがあり、常に使用するデバイスでの特定の患者にさらに適合させられる可能性がある。論理表の例が以下に示される。
さらに、いくつかの実施形態では、回帰モデルがボリューム・ステータスの比を計算するために提供され得る。たとえば、
ボリューム・ステータスの比=b+b・p+b・p+…+b・p
であり、ここで、b,b,b,…,bは、各独立パラメータpについて多変量回帰モデルにより決定される線形回帰係数である。いくつかの実施形態では、パラメータは以下を含むことができる。
1.周波数領域における各高調波の振幅(またはパワー)
2.ノイズ・フロア振幅
3.HR
4.末梢静脈圧の時間領域振幅
いくつかの実施形態では、この方法は、生体の6%以上の失血を検出する能力があり得る。
いくつかの実施形態では、システム100は、負傷者治療現場における生存率を改善するために、早期出血検出およびガイド付き輸液療法のためのスマートフォン・デバイスにインターフェースされた計装IVカテーテルによって実施され得る。このデバイスは、(1)IVカテーテルに組み込まれた耐久性のある小型圧力トランスデューサ、(2)早期出血検出およびガイド付き目標指向型の液体蘇生のためのリアルタイム・アルゴリズム、(3)遠隔または集中監視および介入のための無線即時データ転送を使用する。いくつかの実施形態では、このデバイスは、スマートフォン・デバイスに対する送信のためにBluetooth(登録商標)無線にインターフェースされた標準的末梢IVカテーテルに直接取り付けられる携帯型の軽量(<50グラム)のセンサを含むことができる。デバイスのフォーム・ファクタはUSBスティックに匹敵する。デバイスのコストは25米ドル未満とすることができるので、このデバイスを負傷者治療および外傷現場で使用されるすべてのIVカテーテルに組み込むことが可能である。さらに、このデバイスは、遠隔ダメージコントロール蘇生および緊急遠隔医療のためにセキュアなデータベースおよびモバイルアプリケーションに対する即時のデータ転送および記憶を利用することができる。現場医療従事者のための即時のグラフィック表示に加えて、スマートIVは、スマートフォン・モバイル・アプリケーションに対するデータ転送を可能にするBluetooth(登録商標)技術を有する。遠隔の臨床実務者からの双方向データ転送およびフィードバック
が、戦場の現場医療従事者に対して緊急遠隔医療支援を提供する。さらに、生理学的データがサーバにアップロードされて、蘇生期間を通してすべての医療提供者に電子カルテを提供することが可能である。そのようなデバイスは、軍隊には負傷した兵士の早期出血検出のための頑強なポイントオブケア方法が必要であることから、軍事利用に関連する可能性がある。このデバイスは、頑丈、ワイヤレス、軽量、かつポータブルであり、厳しい環境に資する最小限の自己完結型のエネルギー要件を有する。
上述されたように、PIVAシステム100は処理デバイス120を含み、処理デバイス120は、末梢IVデバイス110の監視デバイスから末梢静脈信号を受信するように構成されたコントローラ・デバイスとして働く。そして、処理デバイス120は、時間領域データの末梢静脈信号に対するフーリエ変換を行って、この信号を処理しスペクトルを取得することができる。フーリエ・スペクトルが生成されると、心拍数または別の血行動態パラメータの振幅またはパワーに対応する周波数Fにおける第2のピークが測定され、さらに、その血行動態パラメータの振幅またはパワーの各共振周波数が測定される。振幅および/またはパワーは、各共振周波数を重み付けして血行動態パラメータの測定値を出力するアルゴリズムに入力される。年齢、体重、性別、および身長を含むがこれらに限定されない追加の入力が要求されることもあり、これらの変数は、患者の血行動態状態のより正確な表現を決定するためにアルゴリズムに入力され得る。圧電信号のフーリエ変換に基づいて、プロセッサは、血行動態パラメータに基づく蘇生スコアを生成するために使用される。
本発明は、血管内液量状態を推定するためにスペクトル解析を使用する末梢静脈圧力解析アルゴリズムのための方法、およびその応用に関する。いくつかの態様において、本発明はとりわけ以下を列挙する。
1)高調波末梢静脈圧波形解析アルゴリズム、
2)リアルタイムの体液量の状態の決定のための末梢静脈圧周波数スペクトルを測定する方法、
3)正常血液量と血液量増加を区別することができる静脈圧監視アルゴリズム(すべての現行技術は正常血液量で止まる)、
4)自発呼吸している患者の体液量の状態を評価するための方法、
5)末梢IVを使用する体液量の状態のモニタ、
6)末梢静脈圧モニタおよび静脈内液体ポンプにより体液量の状態を制御するための閉ループ・システム。
以下の実施例では、本発明者らは、ブタ出血−蘇生モデルおよび制御されたヒト出血モデルを含む様々なモデルでPIVAを利用して、末梢静脈波形において動的な体液量変化およびシフトを解析および研究した。実施例における試験は、急性出血と正常血液量への蘇生および医原性体液過剰とを検出し定量化するための標準的および侵襲的モニタに比べ、PIVAがより高感度で特異的であるという仮説を試験する目的で、標準化された設定で行われる。さらに、血液量のPIVA推定の精度および線形性が、絶対的液量の除去および投与と比較して評価されている。
実施例1
ブタ出血−蘇生モデルの試験
この実施例では、標準化された設定における動的な体液量変化を調べるために、ブタ出血−蘇生モデルにおいてPIVAを使用して試験が行われた。承認された動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)のプロトコールの下で、それぞれ体重45±0.8kgの8匹の成体ヨークシャー・ブタが、非侵襲的血圧カフ、5リード心電図、およびパルス・オキシメータ(サー
ジベット(SurgiVet)、マサチューセッツ州ボストン、ノーウェル(Norwell)所在)を用いて非侵襲的に監視された。各動物には、全身麻酔テラゾール(Telazol)2mg、ケタミン50mg、およびキシラジン2mgが耳静脈を介して与えられ導入された。カフ付きID5.0の気管内チューブの挿管の後、ボリューム・コントロール・ベンチレータ(ハロウェルEMC(Hallowell EMC)、米国マサチューセッツ州)を用いて、一回換気量8mL/kgのボリューム・コントロール・モードにおいて、5cmHOの呼気終末陽圧、I:E比が1:2、FiOが1.0でこれらのブタが換気された。呼吸数(16〜22呼吸/分)が設定されて35〜40mmHgの呼気終末COが維持された。
麻酔は1%イソフルラン(プライマル・ヘルスケア(Primal Healthcare)、米国マサチューセッツ州ボストン所在)で維持された。大腿動脈および静脈を外科的に露出した。6Frカテーテル(ミラ・インターナショナル(Mila International)、米国ケンタッキー州アーランガー(Erlanger)所在)が大腿静脈に直接挿入され、所定位置に縫合された。20gの血管カテーテル(ミラ・インターナショナル(Mila International)、米国ケンタッキー州アーランガー(Erlanger)所在)が、連続的な血圧測定のために大腿動脈に配置された。20gの末梢IV(スミス・メディカル(Smiths Medical)、米国オハイオ州ダブリン(Dublin)所在)が各動物の前肢に挿入された。試験の詳細が以下に示される。
末梢静脈波形の獲得
麻酔の導入後、20ゲージ末梢静脈(IV)カテーテルが上肢静脈に挿入され、標準的高圧チューブを介して圧力トランスデューサ(ADインスツルメンツ(ADInstruments)、米国コロラド州コロラドスプリングス(Colorado Springs)所在)に直接接続された。IVカテーテルは、静脈波形を取得する専用とされ、試験中に輸液または薬物送達には使用されなかった。末梢静脈波形トレースは、手順を通して連続的に記録され、ラボチャート(LabChart)(ADインスツルメンツ(ADInstruments)、米国コロラド州コロラドスプリングス(Colorado Springs)所在)で解析された。末梢静脈波形データが適切なサンプリングを可能にするために1kHzで捕捉され、波形データのスペクトル解析が行われた。
出血プロトコール
麻酔の導入後、末梢静脈信号のベースライン測定値が取得された。標準的IVチューブは基端を大腿静脈ラインに、先端を滅菌収集バッグに取り付けられて、閉鎖系を形成した。静脈内ヘパリン10単位/kgが出血の直前に投与された。静脈血が、10分の期間にわたって50mL/分の段階的様式で重力によって除去された。心拍数、動脈圧、および末梢静脈波形を含むバイタル・サインが、手順を通して連続的に記録された。手順は、400mLの血液除去、または平均動脈圧(MAP)<40mmHgで終了された。
体液量蘇生
出血プロトコールの直後に、全自己血が大腿静脈カテーテルを通して10分間にわたって50mL/分の一定速度でブタに戻された。このプロセスを通してバイタル・サインが連続的に記録された。自己血の戻った後に、各ブタは血液量が正常な状態にあるとみなされた。
医原性体液量過剰
血液量が正常な状態への体液量蘇生の後、温かい(40℃)500mLのプラズマライト(Plasmalyte)(バクスター・インターナショナル(Baxter International)、米国イリノイ州ディアフィールド(Deerfield)所在
)平衡晶質溶液が、大腿静脈カテーテルを通して10分間にわたって投与された。先に説明されたように連続的な血行動態監視が行われた。
スペクトル解析
末梢静脈圧のスペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析が、重なり合っていない8Kサンプリング・ウィンドウを使用して行われた。データが1kHzのサンプリング・レートで記録されて、8K−FFTスペクトル解析を行うために8秒の連続的時間領域信号を必要とした。フーリエ変換の後、各周波数ピークの振幅がラボチャート(LabChart)で計算された。心拍数に関連付けられたピーク振幅が、信号のF(基本周波数)振幅を獲得するために使用された。解析に使用された点ごとにデータが3重に捕捉された。
結果
8匹すべてのブタに、合併症無しに出血、蘇生、および体液量過剰を経験させることに成功した。時間領域信号の周波数領域への変換が行われて、実験中に記録された基本周波数のそれぞれの振幅が決定された。
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、ブタ・モデルにおける血液量減少(A)、正常血液量(B)、および血液量増加(C)の状態の信号の末梢静脈波形およびフーリエ変換の図表を示す。図3に示されるように、各部分(A)、(B)および(C)の上図は、時間領域でラボチャート(LabChart)から記録された抹消波形を示し、各部分の下図はフーリエ変換を示す。具体的には、フーリエ変換図において、周波数FおよびFに明らかなピークがあり、Fはブタの呼吸数およびその信号に対する寄与を表し、Fはブタの心拍数を表す。信号の振幅は、体液量の状態に直接相関付けられた。
出血および自己血輸血
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける出血および輸血のF振幅の図表を示す。図4Aに示されるように、晶質の200、300、および400mLの失血がF振幅で有意差をもたらした(P<0.05)。F振幅のみを測定したとき、出血および自己血輸血は、共に有意に非ゼロの傾き−0.000223および−0.000242を生じ、0.0049および0.0008のP値をそれぞれ有した。200mL(P<0.01)、300mL(P<0.001)、および400mL(P<0.001)の失血に続いて、F振幅に有意な変化があった。また、100mLの失血と400mLの失血との間でFに有意な漸増変化があった。
図4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける出血および輸血の血液量に対する平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)、およびショック指数(SI)の図表を示す。具体的には、図4Bは、0から400mLの出血を通じたブタの動脈圧、心拍数、およびショック指数を示す。図4Bに示されるように、400mLの失血(11.8%推定血液量)の後でも心拍数や血圧に有意差はなく、ショック指数は、300mLの失血(8.85%推定血液量)まで有意に変化しなかった(p<0.05)。
まとめると、これらの結果は、F振幅の変化が出血および輸血についてHR、MAP、またはSIよりも高感度な尺度であることを示している。
医原性体液量過剰
図5Aは、本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける軽度の血液量増加を生じる液体投与のF振幅の図表を示す。具体的には、図5Aは、F振幅、および追加のIV液体を与えられることでF振幅がどのように影響されるかを示す。図5Aに示されるように、正常血液量の状態を超える晶質の液体投与が信号のF振幅の有意な増加をもたらした。具体的には、F振幅が液体投与によって変化し
て有意な非ゼロの傾き(p=0.0017)を生じた。200、300、および400mLの晶質の追加は、晶質の0mLの増分と200mLの増分との間(P<0.05)、0mLの増分と300mL(P<0.05)の増分との間、および0mLの増分と400mLの増分との間(P<0.01)で、F振幅の有意差(P<0.05)をもたらした。
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による、体液量の状態に関するブタ・モデルにおける軽度の血液量増加を生じる液体投与の血液量に対するMAP、HR、およびSIの図表を示す。具体的には、図5Bは、0〜+400mLの範囲の体液量の状態にわたるブタのHR、MAP、およびSIを示す。図5Bに示されるように、体液量過剰による心拍数およびMAPの有意な変化はなかった。ショック指数は、0から300mLの液体投与の間(P<0.05)および0から400mLの液体投与の間(P<0.05)で有意に変化した。
まとめると、これらの結果は、F振幅の変化が血液量増加についてHR、MAP、またはSIよりも高感度な尺度であることを示している。
さらに、HR、MAP、SI、およびF振幅は、ブタの体液量の状態モデルに対する出血および液体投与中に測定された。図6は、本発明のいくつかの実施形態による、抹消静脈信号、HR、MAP、およびSIについての(A)血液量減少(>200mL出血、5.9%)および(B)血液量増加(>200mL液体投与、5.9%)の検出の受信者動作曲線(ROC)を示す。図6に示されるように、F振幅の測定は、ブタ・モデルにおける血液量減少および血液量増加の検出に対する改善された感度および特異度を示した。図6(A)に示される血液量減少の検出の場合、F振幅は、0.93の曲線下面積(AUC)を有するROC曲線を生成し、HRは、0.61のAUCを有するROC曲線を生成し、MAPは、0.48のAUCを有するROC曲線を生成し、SIは、0.72のAUCを有するROC曲線を生成した。図6(B)に示される血液量増加の検出の場合、F振幅は、0.85の曲線下面積(AUC)を有するROC曲線を生成し、HRは、0.62のAUCを有するROC曲線を生成し、MAPは、0.63のAUCを有するROC曲線を生成し、SIは、0.65のAUCを有するROC曲線を生成した。要約すれば、MAPは血液量減少に対して最も弱いROC曲線を示し、HRはブタ・モデルにおける血液量増加の検出で感度が最も低かった。すべての局面で、PIVAによって取得されたF振幅は、体液量の状態の検出について最高の感度および特異度を有していた。
試験結果は、心臓手術集団における約−6%の推定失血の後の出血検出を示したシレシ(Sileshi)らの所見と一致する[31]。ROCは、図2Bに示されるように、HR、MAP、およびSIと比較して、PIVAが、出血を検出するための有意により高い感度および特異度を有したことを示す。さらに、PIVAは、機械的換気によって生成された胸腔内圧変化とは独立して測定され、動的監視における空白を埋めることが可能であり得る[16、17]。
さらに、F振幅の有意な変化は、図4Aおよび図4Bに示されるように、出血中だけでなく、蘇生中の自己血液のマッチした量の輸血を伴うベースラインに対するF振幅の回復も示している。正常血液量への回復を検出することは、出血患者の体液過剰を防止するために、正確な目標指向型の体液量蘇生を強化する大きな可能性を有する。
加えて、試験は、急性の蘇生中の不用意であるが一般的な事象である平衡晶質を用いた医原性体液量過剰をシミュレートした。PIVAは、図5Aおよび図5Bに示されるように、血液量が正常な状態を超えるわずか200mL(推定総血液量の5.9%)の晶質投与の後に医原性体液量過剰を検出した。ROCは、図6に示されるように、SI、HR、およびMAPと比較して、PIVAが、血液量増加を検出する際の有意により高い感度および特異度があったことを示した。血液量が正常な状態を超える液体投与では、F振幅
が有意に増加し、したがって、体液過剰を検出および定量化する新規な方法が与えられる。これはおそらく、追加の液体投与が静脈における壁張力を増大させ、それにより基本周波数振幅を増大させるからである。
実施例2
制御されたヒト出血モデルにおける試験
この実施例では、末梢静脈波形の動的変化を解析して体液量の状態を評価するために、制御されたヒト出血モデルにおいてPIVAを使用して試験が行われた。この試験は、ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)施設内審査委員会(IRB)によって承認され、待機的心臓手術を予定された選択患者から術前に同意書が得られた。待機的心臓手術を受けるすべての患者が選択基準を満たした。中等度もしくは重度の右室機能不全の病歴を有する患者、重度の貧血(ヘモグロビン<8g/dl)、または不整脈もしくは血行動態不安定がみられた患者は除外された。合計12人の患者が研究対象となった。
麻酔および機械的換気
すべての患者がオピエートおよびプロポフォールを導入され、非脱分極神経筋遮断を受け、その結果、自発呼吸のエビデンスは無かった。すべての患者が気管内チューブを挿管され、7から9mL/kgの一回換気量、4mmHgの呼気終末陽圧、1.0の吸入酸素濃度で機械的換気を受けた。患者は0.8から1MACのイソフルランで維持された。5人の患者について、外科医の要求など、このプロトコールと関係ない理由により、機械的換気が短時間(<10秒)で中止された。この機会が、末梢静脈信号に対する機械的換気の影響を評価するために使用された。呼吸停止中と機械的換気が再開された直後との末梢静脈波形トレースの間で、比較が行われた。換気装置回路は、この期間を通して気管内チューブに接続されたままであった。
血行動態
すべての患者が、5リード心電図、非侵襲的血圧カフ、およびパルス・オキシメトリを含む標準的な非侵襲的モニタを用いて監視された。麻酔の導入前に、20gの動脈カテーテル(アロー・インターナショナル、(Arrow International)、米国ペンシルベニア州レディング(Reading)所在)が橈骨動脈に挿入された。麻酔の導入後、すべての患者が、右9Fr中心静脈カテーテル(クック・クリティカル・ケア(Cook Critical Care)、米国インディアナ州ブルーミントン(Bloomington)所在)、および肺動脈カテーテル(エドワーズ・ライフサイエンス(Edwards Lifesciences)、米国カリフォルニア州アーバイン(Irvine)所在)を受け入れた。合併症を最小限にするために、肺動脈カテーテルはウェッジ位置に配置されなかった。肺動脈拡張期血圧が肺動脈閉塞圧の代わりとして使用された。すべての圧力トランスデューサが右心房のレベルに配置され、大気圧に対してゼロにされた。
末梢静脈波形の獲得:
麻酔の導入後、18または16ゲージ末梢静脈カテーテル(IV)が上肢静脈に挿入され、標準的高圧チューブを介して圧力トランスデューサ(ADインスツルメンツ(ADInstruments)、米国コロラド州コロラドスプリングス(Colorado Springs)所在)に直接接続された。IVカテーテルは、静脈波形を取得する専用とされ、研究中の輸液または薬物送達には使用されなかった。末梢静脈波形トレースは、手順を通して連続的に記録され、ラボチャート(LabChart)(ADインスツルメンツ(ADInstruments)、米国コロラド州コロラドスプリングス(Colorado Springs)所在)で解析された。末梢静脈波形データが適切なサンプリングのために1kHzで捕捉され、データに対するスペクトル解析が行われた。
出血プロトコール
麻酔導入および中心ライン配置の後、出血プロトコールが開始された。標準的IVチューブは基端を中心静脈カテーテルに、先端をクエン酸バッグに取り付けられて、閉鎖系を形成した。静脈血が、10分の期間にわたって重力によって中心静脈カテーテルから除去された。各患者から血液量の最大500mlまたは10%が除去された。すべてを10分以内にプロトコールの中断無しに完了させることに成功した。心拍数、動脈圧、中心静脈圧、肺動脈圧、およびPVAを含むバイタル・サインが、手順を通して連続的に記録された。
スペクトル解析
末梢静脈圧のスペクトルFFT解析が、重なり合っていない8Kサンプリング・ウィンドウを使用して行われた。データが1kHzのサンプリング・レートで記録されたので、8K−FFTスペクトル解析を行うために8秒の連続的時間領域信号が必要とされた。データが周波数領域に変換されると、各周波数の振幅がラボチャート(LabChart)で計算される。最も低い周波数ピークが患者の呼吸数(F)に関連付けられ、次に患者の心拍数(F)が続く。解析に使用された点ごとにデータが3重に捕捉された。末梢波形は、患者の動きおよび電気焼灼信号に対して感度が高い。信号ノイズを最小限にするために、患者の動きが最小限であり電気焼灼が使用されない期間に、データが捕捉された。
統計解析:
生理学的測定およびそれらに関連する失血に関するデータは、ペア分析を用いるテューキー(Tukey)の多重比較の事後試験を伴う一元配置ANOVA分析を使用して解析された。さらに、ROC曲線のペア比較を決定するために、データがベースライン測定値および患者の500mLの失血としてメッドカルク(MedCalc)に入力された。各データ・セットについて曲線下面積、標準誤差、および95%信頼区間が獲得された。複数の生理学的パラメータについて感度と特異度との間の相違を容易に識別するために、同じグラフにROC曲線がプロットされた。陽圧換気の効果を決定するために、対応のあるスチューデントのt検定を使用して、P<0.05の値が統計的に有意であるとみなし、FおよびF値が比較された。統計解析は、グラフパッドプリズム(GraphPad
Prism)およびメッドカルク(MedCalc)を使用して行われた。
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、制御されたヒト出血モデルにおける患者人口統計の表を示す。図7に示されるように、待機的心臓手術を受けた12人の患者がこの試験に登録された。患者の平均年齢は65.5歳であり、9名(75%)は男性であった。患者は、種々の心臓外科手術を受け、12人のうち6人(50%)が僧帽弁逆流に関する僧帽弁の修復/置換を示した。1人を除くすべての患者が正常な右室機能を有していた。7人の患者(58%)が正常な左室駆出率(LVEF)を示され、2人の患者(16%)が軽度のLVEF低下を有し、2人の患者(16%)が中等度のLVEF低下を有し、1人(8%)の患者が15〜20%の重度に低下したLVEFを有していた。1人の患者が慢性肺塞栓による重度の肺高血圧を有していた。10人の患者において胸骨切開の前に自己献血が完了された。4人の患者において、最小侵襲僧帽弁手術のための右開胸の後に自己血液が除去された。これらの患者はプロトコールを通して両肺換気が維持された。
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、制御されたヒト出血モデルでのベースラインおよび自己血除去後における信号の末梢静脈波形およびフーリエ変換の図表を示す。図8に示されるように、上図は末梢波形を示し、下図はベースラインおよび血液除去後におけるデータの対応するフーリエ変換を示す。出血後のF、F、およびより高い周波数において顕著な振幅減少があった。
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、ベースラインならびに250mLおよび500mLの出血後における制御されたヒト出血モデルでの(A)F振幅、(B)HR、(C)拡張期肺動脈圧(dPAP)、および(D)MAPについての血行動態測定の図表を示す。具体的には、図9は、失血中の体液量の状態の異なる指数の比較のために提供されている。図9に示されるように、ベースライン(0mL)と250mLの血液除去との間(p=0.0019)、ベースラインと500mLの血液除去との間(p=0.0042)、および250mLの血液除去と500mLの血液除去との間(p=0.0382)においてF振幅に統計的に有意な変化があった。MAP、HR、およびdPAPは、ベースラインと250mLまたは500mLの血液量除去との間で有意に変化しなかった。
図10Aは、本発明のいくつかの実施形態による、F振幅、dPAP、HR、およびSIの検出のROC曲線を示し、図10Bは、本発明のいくつかの実施形態による、図10Aに示されたデータに関する曲線下面積(AUC)、標準誤差(SE)、および95%信頼区間の表を示す。図8Aに示されるように、6%推定失血において、dPAP(AUC=0.62)、心拍数(AUC=0.54)およびMAP(AUC=0.512)と比較して、Fは、最も大きいROC曲線下面積(AUC=0.90,95%CI[0.67、0.99])を有していた。
陽圧換気の影響からのF信号の独立を実証するために、FおよびF振幅は機械的換気を伴う状態および伴わない状態で記録される。図11Aは、本発明のいくつかの実施形態による、陽圧換気有り(+PPV)および無し(−PPV)のF振幅を示し、図11Bは、本発明のいくつかの実施形態による、陽圧換気有り(+PPV)および無し(−PPV)のF振幅を示す。図11Aに示されるように、機械的換気の有り無しにかかわらずF振幅に有意な変化がなかった(n=5、P=0.21)。対照的に、末梢静脈波形の変化によって反映されるような呼吸頻度を表すF振幅は、図11Bに示されるように、換気されない患者と比較して換気された患者で有意に大きかった(n=5、P=0.0059)。
試験結果に基づいて、PIVAはわずか6%程度の血液量損失を検出することができ、信号は機械的換気とは独立していた。この失血の量は、十分にステージ1または無症候性の出血の定義の範囲内である。対照的に、心拍数、MAP、CVP、およびdPAPは早期出血の不十分な予測因子であり、これは以前に公表されている研究[39][6][40]と一致した所見である。
実施例3
追加の試験
上記の実施例に示されるように、本発明者らは、動脈ベースの監視に関連付けられた多くの重大な障壁を静脈波形解析が乗り越えることを見出した。本発明者らは、標準的な静脈内カテーテルにおける圧力トランスデューサを介して取得された末梢静脈波形解析(PIVA)がヒトおよびブタ・モデルにおける出血を検出することを、試験によって発見し確認した。
本発明者らは、ブタにおける失血のPIVA検出に対する追加試験を行った。この試験では、PIVAデバイスが、挿管され鎮静化されたブタ(n=4)に適用される。すべてのブタが、動脈内血圧、心拍数、パルス・オキシメータ、および5リード心電図を用いてリアルタイムに監視された。PIVAデバイスが、連続的なリアルタイムのデータ収集のために、ラボチャート(LabChart)(ADインスツルメンツ(ADInstruments)、米国コロラド州コロラドスプリングス(Colorado Springs)所在)ソフトウェアとインターフェースされた。血液量の15%までが20分の期間
に徐々に除去された。
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、ブタ動物モデル(n=8)における出血を検出するための(A)PIVA信号および(B)ショック指数を示す。図12に示されるように、フーリエ変換技術を用いて解析されたPIVA波形データは、出血を検出し液体状況を決定する目的では、侵襲的動脈圧、心拍数、さらにショック指数よりも感度が高いことが見出された。
体液過剰は、負傷した患者の死亡率を高める原因となる。しかしながら、標準的バイタル・サインの監視は、正常血液量および血液量増加の閾値を検出することができず、不必要な潜在的に有害な過剰蘇生の一因となる。本発明らは、液体投与中の血管内液量状態を決定するためにブタ動物蘇生モデルを研究した。動物は、重さおよび血行動態安定性に基づいて、提示の際に血液量が正常とみなされた。ブタ(n=8)は出血ステージの完了後に液体蘇生を受けた。自己血液が再投与され、続いて20分間にわたって再投与され、追加の10mL/kgの平衡晶質溶液が追加された。
図13は、本発明のいくつかの実施形態による、ブタ動物モデル(n=8)における出血を検出するための(A)PIVA信号および(B)ショック指数を示す。図13に示されるように、PIVAは、ブタ・モデルn=8のブタにおける液体投与中に、血液量が正常な状態を超える血管内変化の検出を続けている。注目すべきことに、心拍数および血圧は、血液量が正常な状態を超える10mL/kgの晶質投与の後でも変化しないままであった(データは図示せず)。これらのデータから、PIVAを用いた血液量増加の検出は、蘇生をガイドするための標準的で侵襲的な監視よりも優れていることが示される。体液過剰を検出するためのアルゴリズムの開発は、この方法の延長である。これらの方法は、蘇生に加えて、鬱血性心不全を有する患者を管理するために有用であり得る。
要約すると、無症候性の出血および目標指向型の輸液療法を検出するPIVAの能力は、標準的な監視様式、さらに場合によっては、動的な監視様式よりも大きな利点を提供する。さらに、PIVAは最小侵襲的であり、必要とされる訓練が最小限であり、中心静脈カテーテルおよび肺動脈カテーテルに関連する感染性および主要な血管の合併症を回避する。PIVA信号は、機械的換気の影響から独立しており、肺保護換気戦略を受けている患者、および場合によっては、自発呼吸している個人に有用であり得る。PIVAは、無症候性の出血を検出および定量化するための低コストで最小侵襲的な方法を提供する可能性を有する。複数の実施例に示されたように、PIVAは、無症候性の出血を検出するための標準的および侵襲的な監視よりも感度が高く、中心静脈カテーテル法に対する強力な代替手段を提供することができる。さらに、この方法は、機械的換気の影響とは独立している。このことは、自発呼吸している患者を監視するための潜在的な進歩である。
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、単に例示および説明のために提示されており、網羅的であること、または開示された厳密な形態に本発明を限定することは意図されていない。多くの修正および変形が、上記の教示に照らして可能である。
実施形態は、本発明および様々な実施形態ならびに企図される特定の用途に適合される様々な修正形態を当業者が利用できるように、本発明の原理およびその実際の適用を説明するために選択され説明された。代替的実施形態は、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明が関連する当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明および本明細書に説明された例示的な実施形態ではなく添付の特許請求の範囲によって規定される。
参照文献

Claims (33)

  1. 生体の血管内液量状態に基づいて、前記生体の血液量減少、血液量増加、および血管緊張を決定するための方法において、
    からTまでの期間において連続的に、前記生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程であって、前記期間は、TからTまでの第1の期間とTからTまでの第2の期間とに分割される、工程と、
    前記第1の期間に獲得された前記末梢静脈信号を処理して、ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、
    前記ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程であって、Nは正の整数であり、前記複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい、工程と、
    前記第2の期間に獲得された前記末梢静脈信号を処理して、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のピーク{PN−1}を取得する工程であって、前記複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように前記複数の周波数{F,F,…,F}に対応する、工程と、
    前記ピーク{PN−1}の振幅を前記ベースライン・ピーク{BN−1}の振幅とそれぞれ比較することによって、前記第2の期間における前記生体の前記血管内液量状態を決定する工程と
    を備え、
    前記ピーク{PN−1}に対する前記ベースライン・ピーク{BN−1}から閾値を超える振幅変化が検出されたとき、前記第2の期間における前記生体の前記血管内液量状態は血液量減少または血液量増加を示す、方法。
  2. 前記ベースライン・ピーク{BN−1}から前記ピーク{PN−1}までにおいて第1の閾値を超える振幅減少が検出されたとき、前記第2の期間における前記生体の前記血管内液量状態は血液量減少を示し、
    前記ピーク{PN−1}に対する前記ベースライン・ピーク{BN−1}から第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記第2の期間における前記生体の前記血管内液量状態は血液量増加を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生体の蘇生中に前記生体に対して実施され、
    前記生体が前記第1の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつ前記ピーク{PN−1}に対する前記ベースライン・ピーク{BN−1}から第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記第2の期間における前記生体の前記血管内液量状態は前記血液量減少状態からの正常血液量の回復を示し、
    前記生体が前記第1の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつ前記ピーク{PN−1}に対する前記ベースライン・ピーク{BN−1}から第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記第2の期間における前記生体の前記血管内液量状態は過剰蘇生を示す、請求項1に記載の方法。
  4. 前記末梢静脈信号は、
    末梢静脈(IV)カテーテルを前記生体の前記静脈に挿入する工程であって、前記静脈は上肢静脈である、工程と、
    約1kHzのサンプリング・レートで前記末梢IVカテーテルから前記末梢静脈信号を捕捉し記録する工程と
    によって獲得される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記末梢IVカテーテルは末梢静脈挿入型中心静脈カテーテル(PICC)である、請求項4に記載の方法。
  6. 圧力トランスデューサが前記末梢IVカテーテルに直接接続されており、前記末梢静脈信号は前記圧力トランスデューサによって捕捉され記録される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記末梢静脈信号は、前記ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルおよび前記末梢静脈圧周波数スペクトルをそれぞれ取得するために、スペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析によって処理される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記複数のピーク{PN−1}は、第1の周波数Fに対応する第1のピークPと、第2の周波数Fに対応する第2のピークPとを含み、
    前記第1の周波数Fに対応する前記第1のピークPは、前記生体の呼吸数に関連付けられ、
    前記第2の周波数Fに対応する前記第2のピークPは、前記生体の心拍数に関連付けられる、請求項7に記載の方法。
  9. 生体の血管内液量状態を決定するための方法であって、
    前記生体の静脈から末梢静脈信号を獲得する工程と、
    獲得された前記末梢静脈信号に対するスペクトル解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対する統計解析を行って、リアルタイムで前記生体の前記血管内液量状態を決定する工程と、を備える方法。
  10. 前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第1の閾値を超える振幅減少が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は血液量減少を示し、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は血液量増加を示す、請求項9に記載の方法。
  11. 前記生体の限外濾過/透析または利尿の最中に前記生体に対して実施され、
    前記生体の前記血管内液量状態が血液量減少を示すときに警告メッセージを生成する工程をさらに備える、請求項10に記載の方法。
  12. 前記生体の蘇生中に前記生体に対して実施され、
    前記生体がより前の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつ前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は前記血液量減少状態からの正常血液量の回復を示し、
    前記生体が前記より前の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつ前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は過剰蘇生を示す、請求項9に記載の方法。
  13. 前記生体の前記血管内液量状態に基づいて、前記生体における処置の有効性および前記正常血液量への回復を検出する工程をさらに備える、請求項12に記載の方法。
  14. 前記末梢静脈信号は、
    末梢静脈(IV)カテーテルを前記生体の前記静脈に挿入する工程と、
    あるサンプリング・レートで前記末梢IVカテーテルから前記末梢静脈信号を捕捉し記
    録する工程と
    によって獲得され、
    前記末梢IVカテーテルは末梢静脈挿入型中心静脈カテーテル(PICC)である、請求項9に記載の方法。
  15. 圧力トランスデューサが前記末梢IVカテーテルに直接接続されており、前記末梢静脈信号は前記圧力トランスデューサによって捕捉され記録される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記スペクトル解析は、スペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析であり、前記統計解析は、
    ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程であって、Nは正の整数であり、前記複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい、工程と、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のピーク{PN−1}を取得する工程であって、前記複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように前記複数の周波数{F,F,…,F}に対応する、工程と、
    前記ピーク{PN−1}の振幅を前記ベースライン・ピーク{BN−1}の振幅とそれぞれ比較することによって、リアルタイムで前記生体の前記血管内液量状態を決定する工程と
    を備える、請求項9に記載の方法。
  17. 前記ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルは、
    より前の期間において前記生体の前記静脈から前記末梢静脈信号を獲得する工程と、
    前記より前の期間において獲得された前記末梢静脈信号を、前記スペクトルFFT解析によって処理して、前記ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と
    によって取得される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記複数のピーク{PN−1}は、第1の周波数Fに対応する第1のピークPと、第2の周波数Fに対応する第2のピークPとを含み、
    前記第1の周波数Fに対応する前記第1のピークPは、前記生体の呼吸数に関連付けられ、
    前記第2の周波数Fに対応する前記第2のピークPは、前記生体の心拍数に関連付けられる、請求項16に記載の方法。
  19. 末梢静脈(IV)波形解析(PIVA)システムであって、
    生体の静脈から末梢静脈信号を獲得するように構成されている末梢IVデバイスと、
    前記末梢IVデバイスに対し通信可能に接続された処理デバイスと
    を備え、前記処理デバイスは、
    前記末梢IVデバイスから前記末梢静脈信号を受信する工程と、
    前記末梢静脈信号に対するスペクトル解析を行って、末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトルのピークの振幅に対する統計解析を行って、リアルタイムで前記生体の血管内液量状態を決定する工程とを行う
    ように構成されている、PIVAシステム。
  20. 前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第1の閾値を超える振幅減少が検出
    されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は血液量減少を示し、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第2の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は血液量増加を示す、請求項19に記載のPIVAシステム。
  21. 前記生体の限外濾過/透析または利尿の最中に前記生体に対して適用され、前記処理デバイスは、
    前記生体の前記血管内液量状態が血液量減少を示すときに警告メッセージを生成するように、さらに構成されている、請求項19に記載のPIVAシステム。
  22. 前記生体の蘇生中に前記生体に対して適用され、
    前記生体がより前の期間において血液量減少状態にあると決定され、かつ前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第3の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は前記血液量減少状態からの正常血液量の回復を示し、
    前記生体が前記より前の期間において血液量が正常な状態にあると決定され、かつ前記末梢静脈圧周波数スペクトルの前記ピークから第4の閾値を超える振幅増加が検出されたとき、前記生体の前記血管内液量状態は過剰蘇生を示す、請求項19に記載のPIVAシステム。
  23. 前記処理デバイスは、
    前記生体の前記血管内液量状態に基づいて、前記生体における処置の有効性および前記正常血液量への回復を検出するようにさらに構成されている、請求項22に記載のPIVAシステム。
  24. 前記処理デバイスは、無線接続を介して前記末梢IVデバイスに対し通信可能に接続される、請求項19に記載のPIVAシステム。
  25. 前記末梢IVデバイスは、
    前記生体の前記静脈に挿入される末梢IVカテーテルと、
    前記末梢IVカテーテルに接続され、あるサンプリング・レートで前記末梢IVカテーテルから前記末梢静脈信号を捕捉し記録するように構成されている監視デバイスと
    を備える、請求項19に記載のPIVAシステム。
  26. 前記監視デバイスは、前記末梢IVカテーテルに直接接続された圧力トランスデューサを備え、前記末梢静脈信号は、前記圧力トランスデューサによって捕捉され記録される、請求項25に記載のPIVAシステム。
  27. 前記処理デバイスはコンピューティング・デバイスである、請求項19に記載のPIVAシステム。
  28. 前記スペクトル解析は、スペクトル高速フーリエ変換(FFT)解析であり、前記統計解析は、
    ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のベースライン・ピーク{BN−1}を取得する工程であって、Nは正の整数であり、前記複数のベースライン・ピーク{BN−1}はそれぞれ、BN−1がBN−1=BN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように複数の周波数{F,F,…,F}に対応し、FはFN−1よりも大きい、取得する工程と、
    前記末梢静脈圧周波数スペクトル上で複数のピーク{PN−1}を取得する工程であって、前記複数のピーク{PN−1}は、PN−1がPN−1=PN−1(FN−1)を満たすFN−1の関数であるように前記複数の周波数{F,F,…,F}に対応する
    、取得する工程と、
    前記ピーク{PN−1}の振幅を前記ベースライン・ピーク{BN−1}の振幅とそれぞれ比較することによって、リアルタイムで前記生体の前記血管内液量状態を決定する工程と
    を備える、請求項19に記載のPIVAシステム。
  29. 前記ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルは、
    前記末梢IV監視デバイスによって、より前の期間において前記生体の前記静脈から前記末梢静脈信号を獲得する工程と、
    前記より前の期間において獲得された前記末梢静脈信号を、前記スペクトルFFT解析によって処理して、前記ベースライン末梢静脈圧周波数スペクトルを取得する工程と
    によって取得される、請求項28に記載のPIVAシステム。
  30. 前記複数のピーク{PN−1}は、第1の周波数Fに対応する第1のピークPと、第2の周波数Fに対応する第2のピークPとを含み、
    前記第1の周波数Fに対応する前記第1のピークPは、前記生体の呼吸数に関連付けられ、
    前記第2の周波数Fに対応する前記第2のピークPは、前記生体の心拍数に関連付けられる、請求項28に記載のPIVAシステム。
  31. 前記生体に接続され前記生体に対する液交換を行うポンプと、
    前記処理デバイスに対し通信可能に接続されたポンプ制御機構であって、前記末梢IVデバイスが前記末梢静脈信号を獲得するときに前記ポンプを間欠的に休止させるかまたは前記ポンプの信号を減少させることによって、および前記末梢IVデバイスが前記末梢静脈信号を獲得しないときに前記ポンプを再始動することによって前記ポンプを制御するように構成されているポンプ制御機構と、をさらに備え、
    前記処理デバイスは、前記ポンプ制御機構に対して信号を送信して、前記ポンプを制御するように前記ポンプ制御機構に通知するようにさらに構成されている、請求項19に記載のPIVAシステム。
  32. 前記ポンプは、透析ポンプ、心肺バイパス・ポンプ、体外式膜型人工肺(ECMO)、または輸液ポンプである、請求項31に記載のPIVAシステム。
  33. 請求項19に記載のPIVAシステムを使用して、生体の血管内液量状態に基づいて前記生体の血液量減少、血液量増加、および血管緊張を決定するための方法。
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