JP2017527261A - 蛍光団を活性化し、シフトするタグ(fast) - Google Patents

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Abstract

本発明は、式(I)の蛍光発生発色団を可逆的に結合でき、それに複合体形成した後に上記蛍光発生発色団の輝度を上げることができ、かつその助色団基のイオン化を介した蛍光発生発色団のスペクトルシフトを誘導することができる、粒子、たとえばタンパク質または表面を蛍光的に標識するための光活性黄色タンパク質(PYP)の機能的な誘導体またはその機能的なフラグメントに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、タンパク質の蛍光標識の分野に関する。特に本発明は、粒子、たとえばタンパク質または表面を蛍光的に標識するための、光活性黄色タンパク質(PYP)の機能的な誘導体またはそのフラグメントに関する。これらの蛍光は、非毒性蛍光発生リガンドの付加または除去により、自由にオンおよびオフにすることができる。一部の実施形態では、本発明の機能的な誘導体は、式(I)の蛍光発生発色団を可逆的に結合でき、複合化形成すると上記蛍光発生発色団の輝度を上げることができ、その助色団基のイオン化を介して上記蛍光発生発色団のスペクトルシフトを誘導することができ、明らかな光安定性を呈するのに適した更新時間で上記蛍光発生発色団を結合する。
生命体を理解するには、空間および時間の両方において非常に高い解像度で、リアルタイムの細胞タンパク質の動態を観察できることが必要である。この観点で、蛍光は、生存細胞または生物におけるタンパク質を観察または検出するための選択肢から外されている。
蛍光顕微鏡による関心対象のタンパク質の選択的な検出は、造影剤として作用する蛍光プローブの存在を必要とする。このプローブは、内因性、すなわち天然のタンパク質の一部とすることができ、または外因性、すなわちタンパク質に特異的に結合することができる。ほとんどの場合、関心対象のタンパク質は、蛍光イメージングに固有の光学的なサインを得ることができる特異的な内因性プローブを有さない。よって、試験下の生物学系に存在しない光物理的特性を表す蛍光プローブでのタンパク質の機能付与は、特定の光学的な特徴を確実にする。生細胞における特異的な標識を入手するための選択方法は、緑色蛍光タンパク質(GFP)におけるようなフルオロフォアを生ずる自己触媒プロセスにより蛍光性となることができる、またはフルオロフォアの特異的かつ密接(共有的または非共有的)な結合のアンカーとして作用できる追加的なポリペプチド、いわゆるタグに、関心対象のタンパク質を融合することである。
この文脈では、理想的な蛍光性タンパク質ベースのプローブは、(i)天然のタンパク質のフォールディング全体と干渉しないこと、タンパク質の局在化と干渉しないこと、パートナーとの相互作用を変化しないことを含む、結合しているタンパク質の機能を乱してはならなく、(ii)たとえpHまたは酸化還元条件が何であってもタンパク質が作用する細胞区画において、および試験下での細胞または生物の生存条件で、機能的でなければならず、(iii)生物学的なプロセスの中で見いだされる時間尺度と適合性のある時間分解能でタンパク質のイメージングを可能にしなければならない。この後者の点は、理想的には、タンパク質ベースの蛍光性プローブが、(i)融合タンパク質がタンパク質の寿命の初期に関してレポートするように折りたたまれるとすぐに蛍光性でなければならず、(ii)ゆっくりとした動的細胞プロセスに関与したタンパク質の定量的な観察を可能にするように長期間光安定性でなければならないことを意味する。この後者の点は、蛍光顕微鏡による蛍光標識したタンパク質の定量的な観察が多くの場合フルオロフォアの光退色により限定されているため、特に重要である。実際に、有機フルオロフォアは、光化学的に破壊される前の限定された数のみの光子の生成をもたらす限定した数の励起−発光光周期のみを経ることができるため、数秒または数分よりも長い連続した観察が、蛍光顕微鏡では一般的に不可能であり、特に長期間の追跡または単分子のイメージングに問題がある。
生細胞における関心対象のタンパク質の特異的な蛍光標識は、一般に、関心対象のタンパク質に融合した追加的なポリペプチド、いわゆるタグの使用を介して達成される。これは、現在入手可能なDNA組み換え技術を用いて容易に行われている。追加的なポリペプチドをコードするDNA配列は、関心対象のタンパク質をコードするDNA配列を含むフレームにクローン化されている。得られたDNA配列は、2つのポリペプチドの融合からもたらされるキメラタンパク質をコードする。
既知の技術の中で、追加的なペプチドタグは、自己触媒プロセスを介してそれ自体が蛍光性となることがある。これは、オワンクラゲ(Aequorea Victoria)で同定された緑色蛍光タンパク質(GFP)の場合である。GFPの共有結合性発色団、パラヒドロキシベンジリデン−5−イミダゾリノン(p−HBI)は、タンパク質骨格における三連構造のGly/Tyr/Serの環化/脱水/酸化からもたらされる。この手法は、発色団がGFPのペプチド配列から形成するため、フルオロフォアの完全に遺伝的なコード化から利益を得る。よって、蛍光性プローブとしてGFPを使用する場合、蛍光標識の絶対的な特異性が存在する。いくつかのGFP様タンパク質が、可視スペクトル全体の光物理的な特性を含むGFP様タンパク質の集団を得るために見出され、または人工操作されている。しかしながら、この手法には、いくつかの制限がある。まず、タンパク質のβバレル内のフルオロフォアの自己触媒の成熟は、ほとんどの蛍光性タンパク質で40分〜2時間の半減時間を含むゆっくりとした複数のステップのプロセスである(Chudakov et al., 2010):よってタンパク質のフォールディングの終了と蛍光性の外観との間に時間のずれが存在しており、これはタンパク質寿命の初期の試験を妨げている。第2の制限は、分子Oがフルオロフォアの形成に関与した酸化ステップの間に必要であることであることであり、これは、Oを含む(>3μM)環境で、このようなGFP様蛍光性タンパク質を利用することを制限し(Hansen et al., 2001)、無酸素性または低酸素性の生物学的な系においてはレポーターとしてのこれらの使用が妨げられている。第3の制限は、GFP様蛍光性タンパク質の光安定性である。一般的なGFP様蛍光性タンパク質の光退色の半減期(蛍光性タンパク質あたり1,000光子/sの最初の発光比率から50%への発光比率の減少を必要とする)は、概して5〜200sである(Shaner et al., 2005)。最後に、25〜30kDaを含むGFP様蛍光性タンパク質の大きさは、場合によっては、これに融合するタンパク質の機能を変えることが示されている。
内因性蛍光発生補助因子を強力に共有結合または非共有結合する小さなアポタンパク質に応じた代替的な蛍光性タンパク質もまた、使用されている。この結合は、補助因子の輝度の上昇をもたらす。蛍光性の上昇は、特定の立体構造、好ましい放射性脱励起の中に蛍光発生補助因子を限定することからもたらされる。内因性補助因子の結合への依存は、酸素分子への必要性を克服することができ、無酸素性条件下での作用を可能にする。さらに、ほとんどの既知の補助代替的な因子ベースの蛍光性タンパク質はGFPよりもずっと小さく、試験タンパク質の機能を妨害するリスクを最小限にする利点がある。
代替的な蛍光性タンパク質のうち、ビリベルジンを共有結合するバクテリオフィトクロムが、IFP1.4(Shu et al., 2009)、iRFP(Filonov et al., 2011)、およびWi−Phy(Auldridge et al., 2012)などの近赤外線蛍光性タンパク質に人工操作された。しかしながらこれらのタンパク質は、ビリベルジン補助因子の共有結合を必要とするため、長い成熟期間(半減期2時間)を有する。さらにこれらは多量体であり、試験タンパク質の機能および位置を変える可能性がある。最後に、これらは、50〜450sの光安定性半減時間を示し、これは、GFP様蛍光性タンパク質と同一の桁の大きさである。
フラビンモノヌクレオチド(FMN)結合性緑色蛍光タンパク質は、LOV(Light−oxygen−voltage−sensing)ドメインから人工操作された(Chapman et al., 2008; Drepper et al., 2007; Shu et al., 2011)。これらのタンパク質は、ナノモル濃度以下の親和性でFMNと非共有結合する。これらは、嫌気的な条件の試験における良好なGFPの代替物であることが示されている。
近年、UnaGと呼ばれる緑色蛍光性タンパク質がunagi(ウナギ)から同定された(Kumagai et al., 2013)。この蛍光性は、ナノモル濃度以下の親和性でビリルビンの密接な非共有結合からもたらされる。この蛍光性タンパク質の形成は迅速であり、酸素を必要としない。
これらの開発と並行して、ハイブリッドの概念が、蛍光団活性化タンパク質(FAP)として作用する人工操作した単一鎖抗体に基づき提案されており、このFAPは、よく知られた合成蛍光団(ほとんどが分子ローターおよびシアニン)を非共有的に結合する(Ozhalici- Unal et al., 2008; Shank et al., 2009; Szent−Gyorgyi et al., 2008)。しかしながら弱い蛍光性のチアゾールオレンジおよびマラカイトグリーンからの蛍光を生じる単一鎖抗体(scFv)レポーターは、蛍光活性化セルソーティング(FACS)によりscFvライブラリーをスクリーニングすることにより、単離されている(Szent−Gyorgyi et al., 2008)。しかしながら、ScFvベースのFAPは、ジスルフィド結合を含み、よって、細胞表面および分泌器官などの非還元環境での使用にのみ適合する。
しかしながら、生細胞および多細胞生物における、蛍光性タグに融合した関心対象のタンパク質を含む融合タンパク質のイメージングのための調節可能なタンパク質ベースのレポート系であって、上記レポート系は、蛍光団に高い動的な結合を課すことにより、蛍光団を付加または除去することにより蛍光をオンおよびオフに迅速に切り替えることができ、マルチプレックスのイメージングに新規の機会を切り開く、レポート系が未だに当該分野で必要とされている。
よって本発明は、機能的光活性黄色タンパク質(PYP)誘導体を含むポリペプチドまたはその機能的なフラグメントであって、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う蛍光発生発色団を可逆的に結合する、
ポリペプチドまたはそのフラグメントに関する。
一実施形態では、このポリペプチドは、式(I)の蛍光発生発色団
Figure 2017527261
であって、式中、
R1、R2、R5、およびR6が同一または異なるものであってもよく、それぞれが、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を表し、
R3が、非結合二重項(すなわち遊離電子対)または、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、またはハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を表し、
R4が、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、S、O、またはN原子により中断または終結された単結合または二重結合であり、
Xが、OH、SH、NHR7、またはN(R7)であり、R7が、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択されている少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基であり、
YがO、NH、またはSであり、
上記ポリペプチドが、これに複合体形成した後、上記蛍光発生発色団の輝度を高め、
上記ポリペプチドが、その助色団基のイオン化を介して蛍光発生発色団のスペクトルシフトを誘導し、
上記ポリペプチドが、明らかな光安定性を表すのに適している更新時間で上記蛍光発生発色団を結合する、
式(I)の蛍光発生発色団を、可逆的に結合する。
特定の実施形態では、蛍光発生発色団は、式(II)
Figure 2017527261
を有する。
特定の実施形態では、上記蛍光発生発色団と上記ポリペプチドの解離定数(KD)は、約0.1μM〜約10μM、好ましくは約0.5μM〜約5μM、好ましくは1μM〜約2μMの範囲にある。
一実施形態では、蛍光発生発色団は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、または(VIII):
Figure 2017527261
Figure 2017527261
を有し、好ましくは上記蛍光発生発色団は、式(II)(HBR)または式(VIII)(HMBR)を有する。
特定の実施形態では、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:78、SEQ ID NO:79、SEQ ID NO:80またはSEQ ID NO:81を含む群から選択される配列を有するPYPの機能的な誘導体またはそれらの機能的なフラグメントを含む、または当該機能的な誘導体またはそれらの機能的なフラグメントであり、好ましくは、上記ポリペプチドはSEQ ID NO:48の誘導体である。
特定の実施形態では、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:48を参照して、アミノ酸領域52〜53、65〜69、および/または94〜101のうちの少なくとも1つにおいて、少なくとも1つのアミノ酸の置換、付加、または欠失を含む、機能的なPYP誘導体またはその機能的なフラグメントを含む。
特定の実施形態では、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:48を参照して、アミノ酸領域94〜101における少なくとも1つのアミノ酸の置換、付加、または欠失を含む、機能的なPYP誘導体またはその機能的なフラグメントを含む。
特定の実施形態では、上記ポリペプチドは、機能的なPYP誘導体またはその機能的なフラグメントであって、SEQ ID NO:48を参照して、
97位のプロリン、
94位のトリプトファン、
96位の、分枝脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはイソロイシン、バリン、もしくはロイシン、および/または
98位のスレオニン
のうちの少なくとも1つを含む機能的なPYP誘導体またはその機能的なフラグメントを含む。
特定の実施形態では、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:48を参照して、SEQ ID NO:82、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:88、SEQ ID NO:89、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:94、SEQ ID NO:95、SEQ ID NO:96、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:98、SEQ ID NO:99、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:101、SEQ ID NO:102、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:104、SEQ ID NO:105、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:107、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:109、SEQ ID NO:110、SEQ ID NO:111、SEQ ID NO:112、SEQ ID NO:113、SEQ ID NO:114、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:117、SEQ ID NO:118、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:121、SEQ ID NO:122、SEQ ID NO:123、SEQ ID NO:124、SEQ ID NO:125、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、またはSEQ ID NO:128のアミノ酸領域94〜101、好ましくはSEQ ID NO:48を参照して、SEQ ID NO:83のアミノ酸領域94〜101を含む、機能的なPYP誘導体を含む。
特定の実施形態では、上記ポリペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、またはSEQ ID NO:47を含む群から選択されるアミノ酸配列、またはそれらの機能的なフラグメント、好ましくはSEQ ID NO:3またはその機能的なフラグメントを含む、またはからなる。
さらに本発明は、本発明のポリペプチドを含む蛍光性レポーターに関する。
さらに本発明は、関心対象のタンパク質に融合した上述のポリペプチドを含む融合タンパク質に関する。
さらに本発明は、関心対象のいずれかの固体または液体の試料、細胞、または組織、または生物における、タンパク質の活性、タンパク質の局在化、タンパク質−タンパク質の相互作用、および/またはタンパク質の再配置を定量化かつ/または検出するための、本発明のポリペプチドまたは本発明の融合タンパク質の使用に関する。
さらに本発明は、式(I)
Figure 2017527261
であって、式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、X、およびYが上述に定義されており、粒子、好ましくはタンパク質または表面を可逆的に着色するための、
式(I)を有する蛍光発生発色団の使用に関する。
特定の実施形態では、本発明の使用のための蛍光発生発色団は、式(II)
Figure 2017527261
を有する。
さらに本発明は、本発明に係るポリペプチドおよび蛍光発生発色団により形成される複合体に関する。
さらに本発明は、本発明に係るポリペプチドまたは本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。
さらに本発明は、本発明に係るポリヌクレオチドを含むベクターに関する。
さらに本発明は、表面または粒子、好ましくは関心対象のタンパク質を蛍光的に標識または着色する方法であって、(i)上記表面または粒子に本発明のポリペプチドを結合させるステップと、(ii)蛍光発生発色団、好ましくは本発明の蛍光発生発色団を提供するステップとを含む、方法に関する。
本発明の別の目的は、タンパク質(好ましくは細胞中のタンパク質)を順次標識する方法であって、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う少なくとも2つの蛍光発生発色団に結合した少なくとも2つのポリペプチド(好ましくは2つの本発明のPYP誘導体、または2つの本発明の融合タンパク質)の使用を含み、
本発明の方法が、
第1の蛍光発生発色団と上記試料を接触させることと、
蛍光を測定することと、
上記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
第2の蛍光発生発色団と上記試料を接触させることと、
蛍光を測定することと、
上記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
各蛍光発生発色団を用いて前のステップを反復することと
を含む、方法である。
本発明の別の目的は、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う蛍光発生発色団に結合できるPYP誘導体を同定する方法であって、
上記方法が、
PYP配列(PYP配列は、SEQ ID NO:48〜81、好ましくはSEQ ID NO:48から選択される)を無作為に変異させる(たとえば飽和変異によるなど)ことと、
上記蛍光発生発色団と変異したPYPの結合の速度定数を測定することと、
特定のK、kon、および/またはkoffを有する変異したPYPを選択することと
を含む、方法である。
さらに本発明は、式(III)または(V)
Figure 2017527261
を有する蛍光発生発色団に関する。
定義
本明細書中で使用されるように、タンパク質の「誘導体」という用語は、当該タンパク質のフラグメントまたは変異体を表し得る。
本明細書中で使用されるように、用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。好ましいハロ基はフルオロおよびクロロである。
本明細書中で使用されるように、用語「ヒドロキシル」は、−OH官能基を表す。
本明細書中で使用されるように、用語「アリール」は、概して5〜12個の原子、好ましくは6〜10個の原子を含み、少なくとも1つの環が芳香族である、単環(すなわちフェニル)、またはともに融合(たとえばナフチル)または共有結合した複数の芳香環を有するポリ不飽和芳香族ヒドロカルビル基を表す。芳香環は、任意に1〜2個の、芳香環に融合した追加的な環(シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール)を含んでもよい。アリールはまた、本明細書中に記載の炭素環系の部分的に水素付加した誘導体を含むように意図されている。アリールの非限定的な例として、フェニル、ビフェニリル、ビフェニレニル、5−または6−テトラリニル、ナフタレン−1−または−2−イル、4−、5−、6または7−インデニル、1−2−、3−、4−または5−アセナフチレニル、3−、4−または5−アセナフテニル、1−または2−ペンタレニル、4−または5−インダニル、5−、6−、7−または8−テトラヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、1,4−ジヒドロナフチル、1−、2−、3−、4−または5−ピレニルが挙げられる。
本明細書中使用されるように、用語「アルキル」は、式中nが1以上の数である式C2n+1のヒドロカルビルラジカルを表す。一般的に、本発明のアルキル基は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、本明細書中に記載されるように置換されていてもよい。適切なアルキル基として、メチル、エチル、プロピル(n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル)、ブチル(i−ブチル、s−ブチルおよびt−ブチル)、ペンチルおよびそのアイソマー(たとえばn−ペンチル、イソ−ペンチル)、ならびにヘキシルおよびそのアイソマー(たとえばn−ヘキシル、イソ−ヘキシル)が挙げられる。
本明細書中使用されるように、用語「シクロアルキル」は、環状のアルキル基、すなわち、1〜2個の環状構造を有する一価、飽和または不飽和のヒドロカルビル基を表す。シクロアルキルは、単環または二環のヒドロカルビル基を含む。シクロアルキル基は、その環に3個以上の炭素原子を含んでもよく、一般的に、本発明では、3〜10個、より好ましくは3〜8個の炭素原子、さらにより好ましくは3〜6個の炭素原子を含む。シクロアルキル基の例として、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。
本明細書中使用されるように、用語「ヘテロアルキル」は、炭素または水素ではなく、好ましくはN、S、P、またはOから選択される少なくとも1つの原子を有するアルキル基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「ヘテロシクロアルキル」は、炭素または水素ではなく、好ましくはN、S、P、またはOから選択される少なくとも1つの原子を有するシクロアルキルを表す。
本明細書中使用されるように、用語「オキソ」は、−C=O官能基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「ニトロ」は、−NO官能基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「アミド」は、式中のRが−Hまたはアルキル基であり得る−NR−CO−官能基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「カルボキシ」は、−COOH官能基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「アミノ」は、脂肪族または芳香族の有機基と1つまたは2つの水素原子の置換による、−NH基またはそれに由来するいずれかの基を表す。好ましくは−NHに由来する基は、アルキルアミノ基、すなわちモノアルキルアミノおよびジアルキルアミノを含むN−アルキル基である。特定の実施形態では、用語「アミノ」は、NH、NHMe、またはNMeを表す。
本明細書中使用されるように、用語「シアノ」は、−C≡N官能基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「ハロアルコキシ」は、1つまたは複数のハロ基により置換されたいずれかのアルコキシ基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「アルコキシ」は、いずれかのO−アルキル基を表す。
本明細書中使用されるように、用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハロ基により置換されたいずれかのアルキル基を表す。好ましいハロアルキル基の例として、CF、CHF、およびCHFがある。
本明細書中使用されるように、用語「ペプチド」は、ペプチド結合によりともに結合した50個未満のアミノ酸である、アミノ酸の直鎖ポリマーを表す。さらに、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、他に明記されていない限り互換可能に使用してもよい。一実施形態では、「ポリペプチド」は、ペプチド結合によりともに結合した少なくとも50個のアミノ酸の直鎖ポリマーを表し、タンパク質は、具体的には、1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチド、および任意に非ポリペプチド補助因子から形成された機能的な実体を表す。
本明細書中使用されるように、ある数字の前にある用語「約」は、当該数値の±10%を意味する。
本発明の文脈の中では、「蛍光発生発色団」は、環境上の変化により有意に輝度を高めることができる発色団を意味する。本発明の蛍光発生発色団は、遊離形態下では溶液中で実質的に非蛍光性であるが、その立体構造を制限し、その励起状態の非蛍光性脱励起を排除する環境に置くと明るくなる。本発明の特定の実施形態では、遊離色素(すなわち蛍光発生発色団)は、溶液中でほぼ不可視であり、タンパク質のキャビティに蛍光発生化合物を入れるタンパク質スキャフォールドの結合が行われると蛍光性となる。
「蛍光量子収率」は、蛍光発生発色団により吸収される光子の数に対する、発光した光子の数の比率を意味する。
「フルオロフォア」は、光の励起後に再度光を発することができる蛍光性化学化合物を意味する。
詳細な説明
よって本発明は、機能的光活性黄色タンパク質(PYP)誘導体またはその機能的なフラグメントを含むポリペプチドであって、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う蛍光発生発色団を可逆的に結合する、ポリペプチドに関する。
、kon、およびkoff定数を測定する方法は、当該分野でよく知られており、たとえばScatchard et al.(Ann. N.Y. Acad. Sci. USA 51:660 (1949))によって記載された方法が挙げられる。一実施形態では、K、kon、およびkoff定数は、たとえば実施例に記載されるものなどの一連のストップトフロー型の実験を使用して決定する。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、蛍光発生発色団を可逆的、すなわち非共有性相互作用を介して結合する。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドが関心対象のタンパク質に融合し得ることにより関心対象のタンパク質の検出を可能にすることを意味するタグである。
さらに本発明は、本発明のポリペプチドに融合した関心対象のタンパク質を含む人工的に操作した融合タンパク質に関する。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、関心対象のタンパク質のN末端に融合されている。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、関心対象のタンパク質のC末端に融合されている。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、リンカーを介して関心対象のタンパク質に融合されている。使用し得るリンカーの例は、当業者によく知られており、限定するものではないが、(GGS)、(GGGS)、またはいずれかのX配列が挙げられ、ここではXはいずれかのアミノ酸であり、nは好ましくは1〜25の範囲である。
一実施形態では、上記ポリペプチドは、蛍光発生発色団と複合体形成すると蛍光発生発色団の輝度を高める。本発明の範囲内では、「輝度を高める」は、本発明の蛍光発生発色団が本発明のポリペプチドまたは他のいずれかの適切なポリペプチドと複合体形成すると、高い蛍光性を示すことを意味する。特定の実施形態では、高い蛍光性は、蛍光発生発色団を、励起状態からの非蛍光性脱励起を防止する特定のタンパク質スキャフォールドに入れることからもたらされる。特定の実施形態では、輝度の上昇は、蛍光発生発色団のフェノラート形態の安定化からもたらされる。
特定の実施形態では、本発明のタンパク質キャビティに入れられた蛍光発生発色団の蛍光量子収率は、1%〜100%、好ましくは約1〜約50%、より好ましくは約6〜約33%の範囲である。
別の実施形態では、蛍光発生発色団の存在下での本発明のポリペプチドの輝度は、約2000〜約20000M−1cm−1、好ましくは約2500〜約15000M−1cm−1の範囲である。
好ましくは、遊離蛍光発生発色団が溶液中ほぼ不可視であるとの事実は、洗浄の必要性を回避しており、よって本発明の蛍光発生発色団の存在下で本発明のポリペプチドでタグ化された物体(好ましくは関心対象のタンパク質)の即時的な標識を可能にする。
別の実施形態では、上記ポリペプチドは、その助色団基のイオン化を介して上記蛍光発生発色団のスペクトルシフトを誘導する。本発明の範囲内で、「スペクトルシフトを誘導すること」は、上記ポリペプチドが、蛍光発生発色団の特定のイオン化を維持するのに適した電荷分布または水素結合のネットワークを含むことを意味する。結果として、上記蛍光発生発色団の天然の色のパターンが、イオン化状態の変化により変化し、よって蛍光発生発色団の助色団基のイオン化が、深色性のシフト(「赤いシフト」とも呼ばれる)に対応する正のスペクトルシフトをもたらす。イオン化状態が変化すると、本発明に使用するための蛍光発生発色団の吸収および/または発光は、赤色の方にシフトする。本発明の特定の実施形態では、誘導された蛍光発生発色団のスペクトルシフトをもたらすイオン化状態の変化は、タンパク質スキャフォールドのキャビティ、より好ましくは本発明の人工操作されたPYP誘導体またはそのフラグメントのキャビティにおける、発色団の特異的な結合からもたらされる。
好ましくは、本発明の誘導されたスペクトルシフトは、細胞成分を妨げることによる蛍光団の非特異的な固定化からの、本発明の人工操作したタンパク質に結合した蛍光発生発色団由来のシグナル間を区別することを可能にする。人工操作したタンパク質スキャフォールドに結合した蛍光発生発色団は、ある波長範囲を吸収し、結合していないまたは非特異的に結合した蛍光団は、これを吸収しないため、蛍光発生発色団は、適切な励起波長を選択することにより特異的に励起され得る(図1参照)。よって本発明のタンパク質タグは、蛍光団を活性化し、シフトするタグ(FAST)、特にY−FAST(黄色の、蛍光団を活性化し、シフトするタグ:Yellow Fluorogen Activating and Shifting Tag)と呼ばれる。
一実施形態では、本発明のポリペプチドにより誘導される蛍光発生発色団のスペクトルシフトは、少なくとも50nmのレッドシフト、好ましくは少なくとも60nmのレッドシフト、より好ましくは約70nmのレッドシフトである。
別の実施形態では、上記ポリペプチドは、明らかな光安定性を呈するのに適した更新時間を伴う蛍光発生発色団を結合する。本発明の範囲内で、「明らかな光安定性を呈するのに適した更新時間を伴う結合」は、本発明のポリペプチドが、良好な特異性を有するが、本発明のポリペプチドのキャビティ内に結合した蛍光発生発色団の連続した更新を可能にする親和性を有する蛍光発生発色団を結合することを意味する。本発明の特定の実施形態では、本発明のポリペプチドと複合体形成した蛍光発生発色団の更新時間は、約1ms〜約10s、好ましくは約10ms〜約1000ms、より好ましくは約50ms〜約200msである。
よって、非共有結合した蛍光発生発色団が局所的な照射により光破壊される場合、溶液を構成する外部のリザーバーからの新鮮な発色団の交換により、明確な光安定性のある、本発明のポリペプチドのおよび蛍光発生発色団の組み合わせがもたらされることとなる。
特定の実施形態では、本発明の蛍光発生発色団と本発明のポリペプチドの解離定数(K)は、10nM〜25μMの範囲であり、好ましくは約0.1μM〜約10μM、好ましくは約0.1μM〜約5μM、好ましくは約0.1μM〜約1μMの範囲である。一実施形態では、本発明の蛍光発生発色団と本発明のポリペプチドの解離定数(K)は、約1μM〜約2μMの範囲である。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドと複合体形成した蛍光発生発色団の更新時間は、溶液中の蛍光発生発色団の濃度が本発明のポリペプチドのKと実質的に同一である場合に、1ms〜10sである。結果として、本発明のポリペプチドおよび蛍光発生発色団は、好ましくは、表面および対象、より具体的にはタンパク質を、通常のフルオロフォアの光損傷からもたらされる光退色を回避する際に蛍光的に標識することができるため、当該分野で長い間必要と思われている解決策を提供する。
好ましくは、上記蛍光発生発色団は、式(I)
Figure 2017527261
であって、式中、
R1、R2、R5、およびR6が同一または異なるものであってもよく、それぞれが、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を表し、
R3が、非結合二重項(すなわち遊離電子対)または、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を表し、
R4が、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、S、O、またはN原子により中断または終結された単結合または二重結合であり、
Xが、OH、SH、NHR7、またはN(R7)であり、R7が、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択されている少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基であり、
YがO、NH、またはSである、
式(I)を有する。
特定の実施形態では、溶液中の蛍光発生発色団の酸性および/または塩基性の形態の蛍光量子収率は、0.5%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満である。蛍光量子収率を測定する方法は当該分野でよく知られている。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドにより結合されている蛍光発生発色団は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、または(VIII):
Figure 2017527261
Figure 2017527261
の蛍光団を含む群から選択されている。
さらに本発明は、式(III)または(V):
Figure 2017527261
の蛍光団に関する。
一実施形態では、蛍光発生発色団は式(II)を有し、4−ヒドロキシベンジリデン−ロダニンまたは(Z)−5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(またはHBR)に対応している。
Figure 2017527261
特定の実施形態では、HBRは、以下の方法
Figure 2017527261
により調製されている。
別の実施形態では、蛍光発生発色団は、式(IV)を有し、(Z)−5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−3−メチル−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(またはHBMR)に対応する。
Figure 2017527261
別の実施形態では、蛍光発生発色団は、式(VII)を有し、(Z)−2−(5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4−オキソ−2−チオキソチアゾリジン−3−イル)酢酸(またはHBAAR)に対応する。
Figure 2017527261
別の実施形態では、蛍光発生発色団は、式(VI)を有し、(Z)−5−(2,4−ジヒドロキシベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(またはDHBR)に対応する。
Figure 2017527261
別の実施形態では、蛍光発生発色団は、式(V)を有し、(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(またはHMOBR)に対応する。
Figure 2017527261
別の実施形態では、蛍光発生発色団は、式(VIII)を有し、(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−メチルベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(またはHMBR)に対応する。
Figure 2017527261
一実施形態では、HBMR、HBAAR、DHBR、HMOBR、およびHMBRは、HBRを調製するために記載された上述の方法と等価の方法により、調製されている。
好ましくは、本発明の蛍光発生発色団は、HBRまたはHMBRである。
一実施形態では、蛍光発生発色団はHBRであり、本発明のポリペプチドは、
約25℃の温度で測定した場合に約0.1〜約10μMの範囲、好ましくは約0.5〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.59〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約8〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10−1−1の範囲のkon
を伴うHBRを可逆的に結合する。
別の実施形態では、蛍光発生発色団はHMBRであり、本発明のポリペプチドは、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約1μMの範囲、より好ましくは約0.13μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約10s−1、より好ましくは約6.3s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約5×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴うHMBRを可逆的に結合する。
本発明の範囲内では、「光活性黄色タンパク質」または「PYP」は、たとえば紫色の光合成細菌エクトチオロドスピラ・ハロフィラ(Ectothiorhodospira halophila)(ハロロドスピラ・ハロフィラ(Halorhodospira halophila))から単離された光受容体タンパク質を意味する。PYPは比較的小さなタンパク質(14kDa)であり、よって他のタンパク質を標識するためのタンパク質タグとして好ましく使用することができる。野生型のPYPでは、p−クマル酸により形成される発色団は、チオエステル結合を介してその69番目のシステイン残基にPYPを結合する。
本発明の範囲内で、「機能的なPYP誘導体」は、本発明の蛍光発生発色団の上記に開示されたファミリーを受け入れるために調製されているPYP変異体を意味する。本発明のPYP誘導体は、特に、上述のK、kon、および/またはkoffを有する上記に定義された蛍光発生発色団を特異的かつ可逆的に結合する能力を有する人工操作したタンパク質スキャフォールドから構成されている。
これらの変異体は、たとえば、上述のポリペプチドと同一の活性を有し、上述のポリペプチドのアミノ酸配列において1つまたは複数の欠失、置換、挿入、および/または付加したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドを含む。欠失、置換、挿入、および付加から選択される2またはそれ以上の種類の修飾は、同時に行われてもよい。
また本発明のPYP変異体は、PYPの「部分的なペプチドまたはポリペプチドを含む。PYPの部分的なペプチドまたはポリペプチドは、PYPのアミノ酸配列の一部が途切れていないアミノ酸配列を含む部分的なペプチドまたはポリペプチドにより例証でき、ここで部分的なペプチドまたはポリペプチドは、好ましくは上記PYPと同一の活性を有する。このような部分的なペプチドまたはポリペプチドは、PYPのアミノ酸配列における少なくとも20、好ましくは少なくとも50個のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列により例証することができる。このペプチドまたはポリペプチドは、好ましくは、PYPの活性に関与する領域に対応するアミノ酸配列を含む。さらに、本発明で使用される部分的なペプチドまたはポリペプチドは、このペプチドの修飾により得られる部分的なペプチドまたはポリペプチドであってもよく、ここでは、1つまたは複数のアミノ酸残基(たとえば約1〜20個、より好ましくは約1〜10個、さらにより好ましくは約1〜5個)が、このアミノ酸配列から欠失、このアミノ酸配列において置換、このアミノ酸配列に挿入、かつ/またはこのアミノ酸配列に付加されている。また、本発明に使用される部分的なペプチドまたはポリペプチドは、抗体産生のための抗原としても使用することができる。
一実施形態では、PYPの変異体は、PYPのうち、少なくとも8個の連続したアミノ酸、好ましくは少なくとも10、20、または少なくとも50、または少なくとも100、または少なくとも125個の連続したアミノ酸を含むアミノ酸配列である。
別の実施形態では、PYPの変異体は、PYPのアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、90%、95%、または少なくとも96%、97%、98%、99%の同一性を有するポリペプチドである。
2つ以上のポリペプチドの配列間の関係に使用する場合の用語「同一性」または「同一の」は、2つ以上のアミノ酸残基の鎖間の一致数により決定される、ポリペプチド間の配列の関連性の度合いを表す。「同一性」は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により提示されるギャップアライメント(任意)を有する2つ以上の配列のうちより小さな配列に合わせた配列間の同一性の一致のパーセントを測定する。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算することができる。このような方法として、限定するものではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991; and Carillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載される方法が挙げられる。同一性を決定する好ましい方法は、試験する配列間で最大の一致を提供するように設計されている。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定する好ましいコンピュータプログラム方法として、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res. \2, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul et al., J. MoI. Biol. 215, 403−410 (1990))を含むGCCプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、国立生物工学情報センター(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., supra)から公開されている。よく知られているSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために使用してもよい。
本発明の範囲内では、「機能的なフラグメント」は、上記に定義したK、kon、および/またはkoffを有する上記に開示した蛍光発生発色団を特異的かつ可逆的に結合する能力を保持した不完全なPYPまたは不完全なPYP誘導体を意味する。一実施形態では、上記機能的なフラグメントは、上述の機構により、その輝度およびスペクトルシフトを上げることができる。
本発明の一実施形態では、フラグメントは、少なくとも8個のアミノ酸(好ましくは連続したアミノ酸)、好ましくは少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120個のアミノ酸(好ましくは連続したアミノ酸)のアミノ酸配列である。
本発明の一実施形態では、PYPのフラグメントまたはその変異体は、アミノ酸70〜125、80〜120、90〜110、または94〜101を含む(アミノ酸配列のナンバリングは、SEQ ID NO:48の配列を参照して作製されている)。
別の実施形態では、PYPのフラグメントまたはその変異体は、アミノ酸1〜101、10〜101、20〜101、30〜101、40〜101、50〜101、60〜101、70〜101、80〜101、90〜101、90〜110、90〜120、または90〜125を含む(アミノ酸配列のナンバリングは、SEQ ID NO:48の配列を参照して作製されている)。
本発明の特定の実施形態では、本発明に係るポリペプチドは、ハロロドスピラ・ハロフィラ(Halorhodospira halophila)、Halomonas boliviensis LC1、Halomonas sp. FAJ−1、Rheinheimera sp. A13L、Iodomarina loihiensis、Thiorhodospira sibirica ATCC 700588、Rhodothalassium salexigens、Roseomonas cervicalis ATCC 49957、Rhodobacter sphaeroides、Leptospira wolbachii、Rhodobacter capsulatus、Rhodospirillum centenum、Leptospira vanthielii、Leptospira terpstrae、Leptospira biflexa serovar Patoc strain‘Patoc 1(Paris)’、Leptospira meyeri、Leptospira yanagawae、Salinibacter ruber DSM 13855、Burkholderia phytofirmans PsJN、Phaeospirillum fulvum、Acidithiobacillus thiooxidans、Acidithiobacillus caldus SM−1、Gammaproteobacterium NOR5−3、Methylotenera versatilis 301、Leptothrix cholodnii SP−6、Caenispirillum salinarum、Stigmatella aurantiaca DW4/3−1、Massilia timonae、Methyloversatilis universalis FAM 5、Spirosoma linguale DSM 74、Rhodopseudomonas palstris BisB5、Sorangium cellulosum ‘So ce 56’、またはRhodomicrobium vannielii ATCC 17100からなる群から選択される種由来のPYPの機能的な誘導体を含む。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:78、SEQ ID NO:79、SEQ ID NO:80、およびSEQ ID NO:81からなる群から選択される配列を有するPYPの機能的な誘導体または機能的なフラグメントを含む。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、ハロロドスピラ・ハロフィラ(Halorhodospira halophila)のPYPのC69G配列に対応するSEQ ID NO:48の配列を有するPYP由来の機能的な誘導体を含む。
本発明の特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:48〜81からなる群から選択されるPYP由来の機能的な誘導体、またはその機能的なフラグメントを含み、ここで少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは少なくとも6つ、好ましくは少なくとも7つ、好ましくはすべてのアミノ酸が、アミノ酸配列52〜53、65〜69および/または94〜101のうちの少なくとも1つ、2つ、またはすべてにおいて、欠失、置換、または付加されている(アミノ酸配列のナンバリングは、SEQ ID NO:48の配列を参照して作製されている)。
SEQ ID NO:48のアミノ酸52〜53は、SEQ ID NO:49〜55、68、70、72および79のアミノ酸52〜53、SEQ ID NO:56、57、59、および77のアミノ酸51〜52、SEQ ID NO:60のアミノ酸45〜46、SEQ ID NO:66、73、74、76、78および81のアミノ酸49〜50、SEQ ID NO:75のアミノ酸53〜54、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸41〜42、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸47〜48、SEQ ID NO:67のアミノ酸38〜39、SEQ ID NO:71のアミノ酸39〜40、ならびにSEQ ID NO:80のアミノ酸35〜36に、対応する。
SEQ ID NO:48のアミノ酸65〜69は、SEQ ID NO:49、50〜55、68、70、72および79のアミノ酸65〜69、SEQ ID NO:56、57、59、および 77のアミノ酸64〜68、SEQ ID NO:60のアミノ酸58〜62、SEQ ID NO:66、73、74、76、78および81のアミノ酸62〜66、SEQ ID NO:75のアミノ酸66〜70、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸54〜58、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸60〜64、SEQ ID NO:67のアミノ酸51〜55、SEQ ID NO:71のアミノ酸52〜56、ならびにSEQ ID NO:80のアミノ酸48〜52に、対応する。
SEQ ID NO:48のアミノ酸94〜101は、SEQ ID NO:49、50〜55、70、77および79のアミノ酸94〜101、SEQ ID NO:68のアミノ酸94〜99、SEQ ID NO:56、57、および59のアミノ酸93〜100、SEQ ID NO:73および76のアミノ酸92〜99、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸89〜96、SEQ ID NO:72および75のアミノ酸95〜102、SEQ ID NO:74のアミノ酸90〜97、SEQ ID NO:66および81のアミノ酸91〜98、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸83〜90、SEQ ID NO:60および78のアミノ酸87〜94、SEQ ID NO:67および80のアミノ酸77〜84、ならびにSEQ ID NO:71のアミノ酸78〜85に、対応する。
さらなる特定の実施形態では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:48〜81からなる群で選択されるPYP由来の機能的な誘導体、またはそのフラグメントであって、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、好ましくは少なくとも6つ、好ましくは少なくとも7つ、好ましくはすべてのアミノ酸が、SEQ ID NO:48の配列を参照して、アミノ酸配列94〜101で欠失、置換、または付加されている、PYP由来の機能的な誘導体またはそのフラグメントを含む。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:48〜81からなる群で選択されるPYP由来の機能的な誘導体、またはその機能的なフラグメントであって、
97位のプロリンによるアミノ酸置換、
94位のトリプトファンによるアミノ酸置換、
96位の、分枝脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはイソロイシン、バリン、もしくはロイシンによるアミノ酸置換、および/または
98位のスレオニンによるアミノ酸置換
からなる群から選択される修飾のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、好ましくはすべてを含み、
アミノ酸配列のナンバリングが、SEQ ID NO:48の配列を参照して作製されている、
PYP由来の機能的な誘導体、またはその機能的なフラグメントを含む。
SEQ ID NO:48のアミノ酸94は、SEQ ID NO:49、50〜55、68、70、77および79のアミノ酸94、SEQ ID NO:56、57、および59のアミノ酸93、SEQ ID NO:73および76のアミノ酸92、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸89、SEQ ID NO:72および75のアミノ酸95、SEQ ID NO:74のアミノ酸90、SEQ ID NO:66および81のアミノ酸91、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸83、SEQ ID NO:60および78のアミノ酸87、SEQ ID NO:67および80のアミノ酸77、ならびにSEQ ID NO:71のアミノ酸78に、対応する。
SEQ ID NO:48のアミノ酸96は、SEQ ID NO:49、50〜55、68、70、77および79のアミノ酸96、SEQ ID NO:56、57、および59のアミノ酸95、SEQ ID NO:73および76のアミノ酸94、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸91、SEQ ID NO:72および75のアミノ酸97、SEQ ID NO:74のアミノ酸92、SEQ ID NO:66および81のアミノ酸93、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸85、SEQ ID NO:60および78のアミノ酸89、SEQ ID NO:67および80のアミノ酸79、ならびにSEQ ID NO:71のアミノ酸80に、対応する。
SEQ ID NO:48のアミノ酸97は、SEQ ID NO:49、50〜55、68、70、77および79のアミノ酸97、SEQ ID NO:56、57、および59のアミノ酸96、SEQ ID NO:73および76のアミノ酸95、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸92、SEQ ID NO:72および75のアミノ酸98、SEQ ID NO:74のアミノ酸93、SEQ ID NO:66および81のアミノ酸94、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸86、SEQ ID NO:60および78のアミノ酸90、SEQ ID NO:67および80のアミノ酸80、ならびにSEQ ID NO:71のアミノ酸91に、対応する。
SEQ ID NO:48のアミノ酸98は、SEQ ID NO:49、50〜55、68、70、77および79のアミノ酸98、SEQ ID NO:56、57、および59のアミノ酸97、SEQ ID NO:73および76のアミノ酸96、SEQ ID NO:62〜65および69のアミノ酸93、SEQ ID NO:72および75のアミノ酸99、SEQ ID NO:74のアミノ酸94、SEQ ID NO:66および81のアミノ酸95、SEQ ID NO:58および61のアミノ酸のアミノ酸87、SEQ ID NO:60および78のアミノ酸91、SEQ ID NO:67および80のアミノ酸81、ならびにSEQ ID NO:71のアミノ酸82に、対応する。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:48の配列を参照した、アミノ酸配列94〜101を有し、以下の配列:WXIPTX(SEQ ID NO:129)であって、X、X、X、およびXが、それぞれ独立していずれかのアミノ酸である、配列を有する、PYPの機能的な誘導体を含む。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:82、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:88、SEQ ID NO:89、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:94、SEQ ID NO:95、SEQ ID NO:96、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:98、SEQ ID NO:99、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:101、SEQ ID NO:102、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:104、SEQ ID NO:105、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:107、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:109、SEQ ID NO:110、SEQ ID NO:111、SEQ ID NO:112、SEQ ID NO:113、SEQ ID NO:114、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:117、SEQ ID NO:118、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:121、SEQ ID NO:122、SEQ ID NO:123、SEQ ID NO:124、SEQ ID NO:125、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、またはSEQ ID NO:128からなる群で選択された、SEQ ID NO:48の配列を参照した、アミノ酸配列94〜101を有するPYPの機能的な誘導体またはフラグメントを含む。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、またはSEQ ID NO:47からなる群で選択される配列、またはその機能的なフラグメントを含む、またはからなる。好ましくは、本発明のポリペプチドは、SEQ ID NO:3を含む、またはからなる。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、上述の配列、特にSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:47から選択される配列であって、環状(または環式)の順序の並べ替えが行われており、すなわちアミノ酸の順序が、本発明のポリペプチドの3次元構造に影響を与えることなく、アミノ酸配列において変化している、配列を含む。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、以下の領域:SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:47から選択される配列のC末端−任意のリンカー−SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:47から選択される配列のN末端を含む。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、(N末端からC末端までの):第1のメチオニン−SEQ ID NO:1のアミノ酸115〜125(またはSEQ ID NO:2〜47のいずれかの等価領域)−任意のリンカー−SEQ ID NO:1のアミノ酸2〜114(またはSEQ ID NO:2〜47のいずれかの等価領域)を含む。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは単量体であり、すなわち本発明のポリペプチドは、固有のアミノ酸配列としてコードされている。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは多量体、特にはヘテロ多量体(たとえば2つの単量体を含むものなど)であり、ここでは単量体のそれぞれが、独立して発現され、単量体は、本発明のポリペプチドを形成するように相互作用する。言い換えると、一実施形態では、本発明のポリペプチドの3次元構造は、単一のアミノ酸鎖のフォールディングからもたらされ、対して別の実施形態では、本発明のポリペプチドの3次元構造は、少なくとも2つのアミノ酸鎖の独立したフォールディングおよびその相互作用からもたらされる。
さらに本発明は、上記に定義される本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明の別の目的は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターである。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、さらに関心対象のタンパク質に融合されることにより、本発明の人工操作したタンパク質を構築する。本発明のPYP誘導体に融合する関心対象のタンパク質は、タンパク質または酵素の活性、分析物の濃度、タンパク質−タンパク質の相互作用、および膜電位のうちのいずれか1つのモニタリングを可能にする関心対象のいずれかのポリペプチドを含む。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、読み取りとして蛍光を使用した、関心対象のいずれかの固体または液体の試料、およびいずれかの細胞または組織または生物におけるタンパク質の活性、タンパク質の局在性、タンパク質−タンパク質の相互作用、および/またはタンパク質の再配置を定量化および/または検出するために、特に使用されてもよい。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、(i)タンパク質の局在性、タンパク質の運動性、およびタンパク質の代謝回転を試験するためのタンパク質の標識、(ii)オルガネラの構造、オルガネラの融合、オルガネラの分裂、またはオルガネラの代謝回転を試験するためのオルガネラの標識、(iii)細胞の形態を試験し、細胞の移動を追跡するための細胞の標識、(iv)身体全体のイメージングおよびトランスジェニクスの検出のための生物の標識に基づく構造上の試験に、使用することができる。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、(i)標的プロモーターの活性化、阻害、またはコアクチベーションを試験するためのアッセイ、(ii)プロモーターの活性化、タンパク質の代謝回転、または光学的なバイオセンサーに基づく薬剤設計のアッセイを含む、機能的なアッセイの設計に、使用することができる。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、分子生物学、細胞生物学、発生生物学、神経生物学、免疫学、および生理学を含む生物学的な研究に、in vitroおよび/またはin vivoで使用してもよい。関心対象のタグ化したタンパク質の検出は、落射蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、超解像顕微鏡、分光蛍光分析、蛍光相関分光法、およびフローサイトメトリーを含む、当該分野で知られている蛍光性定量化を可能にするいずれかの方法により行われてもよい。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、本発明の人工操作したキメラポリペプチドをコードする本発明に係るポリヌクレオチドを挿入(トランスフォーメーション、トランスフェクションなどを介して)することにより、目的の細胞または宿主生物内の関心対象のいずれかのタンパク質と融合して発現することができる。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、粒子、油滴、ポリマーのスキャフォールド、ビーズ、チップ、プレート、スライド、シート、フィルム、繊維、医療機器、外科器具、インプラント、生物学的な組織、または他の構造を含む表面に、固定することができる。このような機能付加した表面を使用して、ナノテクノロジー(たとえばナノ粒子の検出)、生物医科学(たとえば外科的なインプラント)に応用するための、追跡可能な物体を設計することができる。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、粒子、油滴、ポリマーのスキャフォールド、ビーズ、チップ、プレート、スライド、シート、フィルム、紙、髪、皮膚、織物繊維、医療機器、外科器具、インプラント、生物学的な組織、または他の構造を含む様々な種類の表面の可逆的な着色および蛍光の発光に、使用してもよい。特定の実施形態では、入れ墨を元に戻せるという観点で、確実ではあるが一時的に表面を標識または装飾するために、このような機能付加した表面を使用することができる。
特定の実施形態では、本発明のポリペプチドは、粒子、油滴、ポリマーのスキャフォールド、ビーズ、チップ、プレート、スライド、シート、フィルム、紙、織物繊維、医療機器、外科器具、インプラント、生物学的な組織、または他の構造を含む様々な種類の表面上の潜在印刷(latent printing)に使用してもよい。特定の実施形態では、偽造防止印刷の観点で、このような機能付化した表面は、適切なインクで明らかになる情報を潜在的に暗号化するために使用することができる。
さらに本発明は、FRETの実験に使用するための本発明のポリペプチドの使用に関する。一実施形態では、本発明のポリペプチドは、たとえばCFPなどのドナーと対をなすアクセプターの役割を果たす。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、たとえばmCherryなどのアクセプターと対をなすドナーの役割を果たす。
さらに本発明は、粒子または表面を可逆的に着色するために上述の式(I)の蛍光発生発色団の使用に関する。
特定の実施形態では、本発明は、粒子または表面を可逆的に着色するための、上述の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、または(VIII)の蛍光発生発色団の使用に関する。
特定の実施形態では、本発明は、粒子または表面を可逆的に着色するための式(II)の蛍光発生発色団(HBR)の使用に関する。
特定の実施形態では、本発明は、粒子または表面を可逆的に着色するための式(VIII)の蛍光発生発色団(HMBR)の使用に関する。
本発明の特定の実施形態では、上記蛍光発生発色団は、関心対象のタンパク質を可逆的に着色するために使用されている。
本発明の特定の実施形態では、記載される蛍光発生発色団の使用は、蛍光発生発色団を可逆的に結合でき、さらにその移動の制限を介して上記蛍光発生発色団の輝度を上げることができ、その助色団基のイオン化を介して上記蛍光発生発色団のスペクトルシフトを誘導することができる、ポリペプチドの使用をさらに含む。
特定の実施形態では、記載される使用は、本発明のポリペプチドの存在をさらに含む。
さらに本発明は、本発明に係る蛍光発生発色団と本発明に係るポリヌクレオチドにより形成される複合体に関する。
最終的に本発明は、表面または粒子、好ましくはタンパク質を蛍光的に標識または着色する方法であって、表面または粒子に本発明のポリペプチドを結合するステップと、本発明の蛍光発生発色団を提供するステップとを含む、方法に関する。
さらに本発明は、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う蛍光発生発色団を結合することができるPYP誘導体を同定する方法であって、
PYP配列(上記PYP配列は、SEQ ID NO:48〜81、好ましくはSEQ ID NO:48から選択される)を無作為に変異(たとえば飽和変異により変異)させることと、
蛍光発生発色団と変異したPYPの結合の速度定数を測定することと、
上述のK、kon、および/またはkoffを有する変異したPYPを選択することと
を含む、方法に関する。
さらに本発明は、タンパク質(好ましくは細胞中のタンパク質)を順次標識する方法であって、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う少なくとも2つの蛍光発生発色団に結合した少なくとも2つのポリペプチド(好ましくは上述の2つのPYP誘導体)の使用を含み、
本発明の方法が、
第1の蛍光発生発色団と上記試料を接触させることと、
蛍光を測定することと、
上記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
第2の蛍光発生発色団と上記試料を接触させることと、
蛍光を測定することと、
上記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
各蛍光発生発色団を用いて前のステップを反復することと
を含む、方法に関する。
さらに本発明は、タンパク質(好ましくは細胞中のタンパク質)を順次標識する方法であって、
約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
を伴う少なくとも2つの蛍光発生発色団に結合した少なくとも1つのポリペプチド(好ましくは2つの、上述のPYP誘導体)、ならびに
少なくとも1つの光により切り替え可能なポリペプチド(たとえばDronpaなど)
の使用を含み、
本発明の方法が、
光により切り替え可能なポリペプチドを視覚化することと、
蛍光を測定することと、
光により切り替え可能なポリペプチドをオフに切り替えることと、
蛍光発生発色団と上記試料を接触させることと、
蛍光を測定することと、
上記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
各蛍光発生発色団および/または各光により切り替え可能なポリペプチドを用いて前のステップを反復することと
を含む、方法に関する。
一実施形態では、試料は、人工操作したタンパク質を含み、上記人工操作したタンパク質は、標識する関心対象のタンパク質と上述の蛍光発生発色団に結合したポリペプチドとの間の融合タンパク質である。
一実施形態では、洗浄ステップは、たとえば約10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、または60秒などの持続期間の、1分以下の洗浄ステップである。
よって本発明のタンパク質タグは、以下の利点を提示する:
蛍光発生リガンドの付加または除去により自在に、黄色の蛍光をオンおよびオフにすることができる;
吸収レッドシフトは、励起波長の選択を介して遊離した蛍光団および結合した蛍光団を区別することにより特異性を上げることができる;
微生物から、哺乳類の細胞およびゼブラフィッシュの胚に至る様々な宿主のタンパク質の効率的な標識を可能にする;
ほぼリアルタイムで迅速なプロセス(たとえばタンパク質の合成など)をモニタリングすることができる;
マルチプレックスの実験に使用し得る。
光退色の標準的な問題を避ける際に関心対象のタンパク質を蛍光標識するための、FAST(蛍光団を活性化し、シフトするタグ)およびその使用の一般的な機構を示す図である。開示される蛍光団は、本発明の蛍光発生発色団に対応し、開示されている、関心対象のタンパク質に融合した、蛍光団を活性化し、シフトするタンパク質タグは、本発明のポリペプチドに対応する。 HBRのプロトン化状態および非プロトン化状態の構造(上)、pH6.9および10.1の溶液中のHBRの吸収スペクトル(左下)、pHに対して397nmおよび449nmの吸光度のプロット(右下)を表す図およびグラフの組み合わせである。 pH6.8および9.5の溶液中のHBRの蛍光スペクトルを表すグラフ(励起波長417nm、等吸収点)である。 酵母ディスプレイライブラリー作製のための方針を表す図である。 蛍光活性化セルソーティング(FACS)による酵母ディスプレイライブラリーをスクリーニングするために使用したプロトコルを表す図である。 20μMのHBRを含む(+)または含まない(−)いずれかのPYP−C69G(SEQ ID NO:48)を細胞表面で発現する(+)または発現しない(−)酵母細胞のフローサイトメトリー解析を表すグラフである。このプロットは、HBRの結合および活性化による530nmでの集団の蛍光を示す(励起488nm)。 20μMのHBRを含む(+)または含まない(−)いずれかの本発明のHBRに結合するPYP誘導体(SEQ ID NO:4のクローン4)を細胞表面で発現する(+)または発現しない(−)酵母細胞のフローサイトメトリー解析を表すグラフである。このプロットは、HBRの結合および活性化による530nmでの集団の蛍光を示す(励起488nm)。 同定した47個の蛍光性HBR結合性PYP変異体(それぞれSEQ ID NO:1〜47)のうち変異した残基94〜101を表す図である。またこの図は、フローサイトメトリーにより対応するモノクローナル酵母の集団を解析する場合に観察される相対的な蛍光の増加をも示す。 5つの蛍光性HBR結合性PYP変異体(それぞれSEQ ID NOs:2、3、4、5、および6のクローン2、3、4、5、および6)の解離定数を決定するために使用した滴定曲線を表すグラフを表す。データ=3回の実験の平均値±SD。 溶液(pH7.4のPBS)中のHBRおよびY−FAST(HBR+SEQ ID NO:3のクローン3)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表すグラフを表す。[HBR]=2μM、[apo−Y−FAST]=40μM。 20μMのHBRの存在下でSEQ ID NO:3のapo−Y−FASTまたはSEQ ID NO:48のPYP−C69G(陰性対照)のいずれかを発現する酵母細胞の共焦点顕微鏡画像を表す写真を表す。Apo−Y−FASTおよびPYP−C69Gは、Alex633結合抗体で免疫標識するためのmycタグを有する。緑色のチャネル(Ex 488nm–Em 500〜600nm)は、488nmのレーザーを用いたY−FASTの励起からもたらされた特定の蛍光を示す。赤色のチャネル(Ex 633nm–Em 650〜750nm)は、633nmのレーザーを用いたAlexa633の励起からもたらされた蛍光を示す。 Y−FASTの存在下でのHBR類似体(b)の蛍光スペクトル(a)を表す。HBR類似体(2μM)を、pH7.4のPBS中Y−FAST(40μM)と共にインキュベートした。直接比較するために正確に同一の状況で、25℃(Ex 470nm)でスペクトルを記録した。 HMBRに関するY−FASTの親和性を示すグラフである。このグラフは、HMBRの濃度に対する、平衡での結合分率の発展を示す。滴定実験を、pH7.4のPBS中25℃で行った。データは、4回の反復の平均値±semを表す。最少二乗適合(線)から、解離定数KDを得た。 Y−FASTが、光活性黄色タンパク質から人口操作した、黄色の蛍光活性化および吸収シフトタグであることを示す一連のグラフおよび画像である(a〜c)。HMBR±Y−FAST(a−b)ならびにHBRおよびHMBRを含むY−FASTの吸収スペクトル(a)および蛍光スペクトル(b〜c)。HBR、HMBRおよびY−FASTは、それぞれ、25℃、pH7.4のPBS中で、2μM、2μM、および40μMであった。(d)20μMのHBRまたは5μMのHMBR(H(M)BR:Ex/Em 488/493〜575nm;mCherry:Ex/Em 543/578〜797nm;スケールバー10μm)で標識したmCherry−Y−FASTまたはmCherry−PYPを発現するヒーラ生細胞の共焦点顕微鏡画像。蛍光強度を直接比較するための正確に同一の状況を使用して、画像を記録した。プロットは、n=15〜30個の細胞の蛍光定量化を示す。 フローサイトメトリー(a、b)および共焦点顕微鏡(c〜f)による、HBRおよびHMBRでの、酵母(a、c、d)および細菌(b、e、f)におけるY−FASTの標識の特異性の解析を示す一連のグラフおよび画像である。 20μMのHBR(HBR:Ex/Em 488/493〜575nm;mCherry:Ex/Em 543/578〜797nm;スケールバー 10μm)で標識したmCherry−Y−FASTまたはmCherry−PYPを発現するHEK293生細胞の一連の共焦点顕微鏡画像である。蛍光強度を直接比較するための正確に同一の状況を使用して、画像を記録した。 5、10、および20μMのHBRおよびHMBRの溶液で5時間インキュベートしたヒーラ細胞の生存率アッセイの結果を示す一連の画像である。細胞生存率を、カルセインAMおよびEthD1(LIVE/DEAD(登録商標)生存率/細胞毒性アッセイキット)を使用することにより試験した。カルセインAMは、生細胞に緑色の蛍光性ポリアニオン性カルセインを放出する細胞内エステラーゼにより切断された細胞浸透性の前蛍光団である。EthD1(エチジウムホモダイマー1)は、損傷した膜を有する細胞のみに入り、核酸に結合すると蛍光が高まることにより、死細胞に明赤色の蛍光を生成する、非細胞浸透性核酸赤色蛍光性染色である。色素と共にインキュベートしていない(左上、生存対照)または1%の過酸化水素とともに1時間インキュベートした(右上、死亡対照)ヒーラ細胞を用いた対照実験が示されている。細胞の蛍光を、共焦点顕微鏡により評価した。この実験は、HBRおよびHMBRが、イメージングに使用した濃度ではヒーラ細胞に非毒性であることを示す。 哺乳類の細胞のY−FASTの輝度および光抵抗性を示す一連のグラフおよび画像である。(a、b)488nmで励起した後のヒーラ細胞で発現したEGFP、UnaG、Y−FAST(5μMのHMBRで標識)およびVenusの蛍光輝度の比較。(a)代表的な細胞の共焦点顕微鏡画像(Ex/Em 488/493〜797nm;スケールバー10μm)。スライドごとの画像を、蛍光強度を直接比較するために同一の状況を使用して、記録した。(b)異なるタンパク質の蛍光輝度の定量化(n=15〜30個の細胞)。(c)高出力の488nmのレーザー励起(光パワー90kW×cm−2、pixel dwell 1.58μs)を用いた長期間の観察におけるEGFP、Y−FAST(5μMのHMBRでの標識)を発現するヒーラ細胞の蛍光レベル。プロットは、共焦点顕微鏡の数の関数として蛍光強度的を示す。 Y−FASTが様々な細胞内位置における融合タンパク質の特異的な標識を可能にすることを示す、一連の画像である(a〜c)。(a)核移行シグナル(NLS)、(b)膜標的化配列(Lyn11)、および(c)微小管結合タンパク質Ensconsinに融合したY−FAST(5μMのHMBRで標識)を発現するヒーラ生細胞の共焦点顕微鏡画像。Dronpaベースの構築物を発現する細胞の画像が、比較として示されている(Ex/Em 488/493〜797nm)。(d)抑制性シナプスで集積するmCerulean−ゲフィリン(Ex/Em 427/472±15nm;左のパネル)およびY−FASTタグ化ゲフィリン構築物(Ex/Em 504/542±14nm;中心)で同時にトランスフェクトした脊髄ニューロンの樹状部分の落射蛍光顕微鏡画像。10μMのHMBRと共に10秒間インキュベートした後、Y−FASTの蛍光を、黄色の発光範囲で検出した(Ex/Em 504/542±14nm;右のパネル)。スケールバーは10μmである。 Y−FASTがほぼリアルタイムでタンパク質の合成の追跡を可能にすることを示す図およびグラフの組み合わせである。(a)Y−FASTに融合したmCherryは、25℃の20μMのHBRの存在下で無細胞PUREシステムにおいてin vitroで発現した。(b)それぞれY−FASTおよびmCherryの発光に対応する540nm(Ex 470nm)および610nm(Ex 587nm)の蛍光発光の経時的な発展。(c)mCherryに融合したY−FAST(mCherry−Y−FAST)をコードする遺伝子は、37℃の5μMのHMBRの存在下で、無細胞PUREシステムにおいてin vitroで発現した。このライン1は、Y−FASTの発光の経時的な発展を示し、ライン2は、mCherryの発光の経時的な発展を示す。経時的なY−FASTの発光の低下が、主にmCherryを成熟するためのエネルギーの移動を反映していることに留意されたい。またこのプロットは、EGFP(緑色の破線)、5μMのビリルビンの存在下でのUnaG(シアン色の破線)、Venus(黄色の破線)、およびルシフェリンの存在下でのホタルルシフェラーゼ(黒色の破線)のin vitroでの合成の間の経時的な発光の発展をも示す。すべての実験では、遺伝子は、同一のT7プロモーターの制御下にあった。データは、3つの反復物の平均値を表す。 蛍光発生リガンドの付加および除去によりY−FASTの蛍光をオンおよびオフに切り替えることができることを示す一連のグラフおよび画像である。(a、b)mCherry−Y−FASTを発現するヒーラ細胞を、マイクロ流体チャネルで増殖させ、HMBR含有培養培地を用いて20秒間、およびHMBRフリー培養培地を用いて40秒間繰り返しインキュベートした。多機能的な流体制御機は、数サイクルの標識/非標識を可能にした。HMBRの濃度は5μMであった。(a)2サイクルの標識/非標識を示す共焦点のタイムラプス(Ex/Em 488/493−575nm)。(b)HMBRの付加(+)および除去(−)の後の細胞の蛍光の経時的な発展。(c)Dronpaのオン/オフの光切り替えで挿入したY−FASTの経時的なオン/オフの標識のため、核のDronpaおよび膜に固定されたY−FASTの経時的なイメージングを示す、Dronpa−NLS(核)およびlyn11−Y−FAST(膜)を発現するヒーラ生細胞の共焦点顕微鏡画像(Ex/Em 488/493−797nm)。HMBRの濃度は50μMであり、スケールバーは10μmであった。 Y−FASTが、発現レベルとは無関係に標識した蛍光性の密度の制御を可能にすることを示す一連のグラフおよび画像である。様々な濃度のHMBRと共にインキュベートしたY−FASTに融合したmCherryを発現するヒーラ生細胞の共焦点顕微鏡画像(HMBRチャネル:Ex/Em 488/493〜575nm、mCherryチャネル:Ex/Em 543/578〜797nm;スケールバー 10μm)。プロットは、濃度に対して標識のパーセンテージを示す。データは平均値±SDを表す(n=15)。
実施例
本発明を、さらに以下の実施例により例証する。
材料および方法
蛍光団/タンパク質の複合体の熱動力学的な特性の測定
モデル
蛍光団およびポリペプチドが蛍光性複合体を提供するように相互作用することを考慮して、本出願人は、相互作用の熱力学および動力学を解析するために、2状態モデルを採用した。蛍光団、ポリペプチド、および複合体は、それぞれA、B、およびABを意味し、相互作用
Figure 2017527261
は、正反応および逆反応にそれぞれ関連した速度定数konおよびkoff、ならびに比率kon/koffに相当する結合熱力学定数K(=1/K)を特徴とする。
平衡状態の計算
totおよびBtotは、AおよびBの総濃度を意味し、平衡時の3種のA、B、およびBの濃度Afin、Bfin、およびABfinは、
Figure 2017527261
であって、本発明の一連の実験でAtot≫Btotである場合、式(2〜4)は、
Figure 2017527261
となる。
結合定数Kの測定
観察可能な実験は蛍光性の発光である。空のポリペプチドBの輝度を無視すると、蛍光強度Iは、それぞれQおよびQABの輝度を有する蛍光団Aおよびその複合体ABの寄与からもたらされ、これにより、
Figure 2017527261
となる。
熱力学定数Kを、一定のタンパク質濃度Btotで、蛍光団の総濃度Atotへの蛍光強度Iの依存性を解析することにより決定した。まず本出願人は、ABfin=Btotとなるように、(i)遊離蛍光団の寄与(Qtot)からI(Atot)を補正すること、および(ii)十分に大きなAtotの濃度で上限値
Figure 2017527261
により、得られた補正した蛍光強度IF,corr(Atot)を除算することにより、ABfin/Btotに相当する結合分率を推定した。その後、本出願人は、式(8)から派生した式(9)を用いて結合分率のAtotへの依存性を適合して、Kを得た。
Figure 2017527261
結合定数Kの温度への依存性
HBRおよびHMBRの結合定数Kを、25〜45℃の範囲の異なる温度で決定して、反応(1)に関連したエンタルピーΔHおよびエントロピーΔSを得た。本出願人は、二状態モデルがその後の解析に有効であったことを確認するために考慮した温度範囲でY−FASTが安定であったことを、円二色性により検証したことに留意されたい。
本出願人は、式(10)で得た1/Tにおける1nKの線形の依存性から、反応(1)に関連したエンタルピーΔHおよびエントロピーΔSを推定した。これは、考慮した温度範囲内の温度でΔHおよびΔSが温度に依存しないことを仮定してもたらされた。
Figure 2017527261
濃度の時間的発展の計算
次に本出願人は、ストップトフロー実験を使用して、3種のA、B、およびABの濃度A、B、およびABの時間的発展から、速度定数konおよびkoffを推定した。
迅速に混合した後のキュベット中のそれぞれの最初の濃度がAtotおよびBtotであるように、2つの供給シリンジがそれぞれAおよびBを含むことを考慮すると、キュベットにおけるA、B、およびABの瞬間的な濃度A、B、およびABは、式(2〜4)で得られる平衡濃度Afin、Bfin、およびABfinに向けて単調に発展する。
濃度A、B、およびABの時間的発展を決める微分方程式は、
Figure 2017527261
以前に報告されている発展(Bourdoncle et al, J Am Chem Soc 128, 11094−11105, 2006)に続き、本出願人は、
Figure 2017527261
を得た。ここでは、
Figure 2017527261
である。
速度定数konおよびkoffの測定
所定の温度での速度定数konおよびkoffの推定を、一連のストップトフロー実験における蛍光強度の時間的依存性を解析することにより行った。まず本出願人は、式(8、12、13)から式(16)を得た。
Figure 2017527261
予備的な適合およびシミュレーションの後に
Figure 2017527261
であることに留意して、本出願人は、適合式をさらに単純化し、式(17)を最終的に採用して、緩和時間τを抽出することができた。
Figure 2017527261
25℃超では、緩和時間τは、この一連の実験を行うための初期の濃度AtotおよびBtotの関連する条件下で、本出願人のストップトフロー器具の時間的な分解能を下回ることが見いだされた。よって本出願人は、より低い温度で緩和時間および速度定数konおよびkoffを測定し、その後速度定数kon(T)およびkoff(T)の時間依存性を説明するためにアレニウスの式
Figure 2017527261
(式中、AonおよびAoff、ならびにEa,onおよびEa,offは、それぞれ、頻度因子、ならびに正反応および逆反応(1)に関連した活性化エネルギーを意味する)を採用してより高い温度でのこれらの値を推定することを考慮した。
本出願人は、緩和時間τから速度定数konおよびkoffを推定するため、2つの異なる手法を使用した:
最初に、本出願人は、本出願人が様々な初期の濃度AtotおよびBtotを使用した一連の実験において、15℃でτを測定した。この一連の実験は、15℃で独立してkonおよびkoffを推定することを可能にした。本出願人は、HBRおよびHMBRで、それぞれ(2.5±0.4)×10–1–1および4.1±0.7s–1、および(2.0±0.5)×10–1–1および2.1±0.5s–1を見出した。
次に、本出願人は、本出願人が様々な初期の濃度AtotおよびBtotを使用した一連の実験で、10〜25℃の範囲の様々な温度範囲でτを測定した。後者のばらつきは、上述のようにkonおよびkoffを独立して推定するには狭すぎるため、本出願人は、考慮した温度範囲における緩和時間τから式K=kon/koff、ならびに結合定数Kの温度依存性によってkonおよびkoffの値を推定した。特に、15℃で推定したkonおよびkoffの値は、先に決定した値とほぼ一致していた。
化学的な合成
市販のロダニン(Alfa Aesar)、3−メチルロダニン(Aldrich)、ロダニン−3−酢酸(Aldrich)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(Acros)、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(Aldrich)、4−ヒドロキシ−2−メトキシベンズアルデヒド(Fluka)、4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド(Acros)を、さらなる精製を行うことなく出発物質として使用した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC):Merckのシリカゲル60 F−254でプレコーティングしたプレート:UV(254nm)による検出。NMRスペクトルを、Hで300MHzおよび13Cで75.5MHzのAC Bruker分光計で記録した;化学シフトを、内部参照としてプロトン化溶媒を用いてppmで報告し(H、CDSOCD中のCHDSOCD 2.52ppm、CDCOD中のCHDOD 3.34ppm;13C、CDSOCD中の13CDSOCD 40.4ppm)、結合定数JをHzで報告する。質量スペクトル(化学イオン化およびNHを用いた電子衝撃)を、ParisTech化学質量分析サービス(Service de Spectrometrie de Masse de Chimie ParisTech)により行った。微量分析を、ジフシュルイヴェット微量分析(Service de Microanalyses de Gif sur Yvette)により行った。
(Z)−5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(HBR)−水110mL中のロダニン(202mg;1.52mmol)および4−ヒドロキシベンズアルデヒド(195mg;1.60mmol)を含む溶液を、10日間65〜80℃で攪拌した。室温に冷却し、一晩静置した後、沈殿物を、ガラスフィルターを介してろ過した。Pで乾燥させた後、HBRを、暗黄色の粉末として得た(235mg;65%)。H−NMR (300 MHz, CD3OD) δ(ppm) 7.57 (s, 1 H), 7.45 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 6.94 (d, J = 8.7 Hz, 2 H)。
(Z)−5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−3−メチル2−チオキソチアゾリジン−4−オン(HBMR)−HBRと同一。3−メチルロダニン(200mg;1.36mmol)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(174mg;1.42mmol)、水(110mL):8日間65℃で攪拌。黄色の粉末としてのHBMR(286mg;84 %)。H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 7.76 (s, 1 H), 7.54 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 6.95 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 3.41 (s, 3 H)。
(Z)−2−(5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−4−オキソ−2−チオキソチアゾリジン−3−イル)酢酸(HBAAR)–HBRと同一。ロダニン−3−酢酸(202mg;1.06mmol)、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(136mg;1.11mmol)、水(110mL);8日間65℃で攪拌。黄色の粉末としてのHBAAR(127mg;41%)。H−NMR(300 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 10.57 (s, 1 H), 7.83 (s, 1 H), 7.58 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 6.97 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 4.75 (s, 2 H)。
(Z)−5−(2,4−ジヒドロキシベンジリデン)−2−チオキソ1,3−チアゾリジン−4−オン(DHBR)3,5,6−HBRと同一。ロダニン(200mg;1.50mmol)、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(216mg;1.56mmol)、水(110mL);8日間65℃で攪拌。褐色の粉末としてのDHBR(138mg;36%)。H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 10.66 (s, 1 H), 10.34 (s, 1 H), 7.82 (s, 1 H), 7.17 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 6.44 (d, J = 9.0 Hz, 1 H), 6.43 (s, 1 H); 13C−NMR (75.5 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 196.2, 170.1, 162.9, 160.3, 131.6, 128.5, 119.2, 112.3, 109.3, 103.0; Mass spec (CI/NH) [M+H]: 254.0;C10NOのAnal calc., 0.29 HO (MW: 253+5;水は、H−NMRスペクトルに存在した) C: 46.69 % , H: 2.95%, N: 5.42 % , S 24.81 %; 実測値 C: 46.72 % , H: 2.80 % , N: 5.45 % , S 26.25 %。
(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(HMOBR)−HBRと同一。ロダニン(200mg;1.50mmol)、4−ヒドロキシ−2−メトキシベンズアルデヒド(237mg;1.56mmol)、水(140mL);8日間65℃で攪拌。暗黄色の粉末としてのHMOBR(239mg;60%)。H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 10.57 (s, 1 H), 7.77 (s, 1 H), 7.26 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 6.57 (dd, J = 8.4 Hzおよび3.6Hz, 1 H), 6.54 (d, J = 3.6 Hz, 1 H), 3.87 (s, 3 H); 13C−NMR (75.5 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 196.3, 170.1, 163.2, 160.9, 132.2, 128.0, 120.8, 113.3, 109.5, 99.9, 56.2; Mass spec (CI/NH) [M+H] : 268.0;C11NOのAnal calc.(MW: 267) C: 49.42 % , H: 3.39 % , N: 5.24 % , S 23.99 %; 実測値 C: 49.15 % , H: 3.47 % , N: 5.30 % , S 24.21 %。
(Z)−5−(4−ヒドロキシ−3−メチルベンジリデン)−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン(HMBR)−HBRと同一。ロダニン(200mg;1.50mmol)、4−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド(213mg;1.56mmol)、水(130mL)、8日間65℃で攪拌。黄色の粉末としてのHMBR(198mg;53%)。H−NMR (300 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 10.39 (s, 1 H), 7.54 (s, 1 H), 7.35 (d, J = 2.7 Hz, 1 H), 7.33 (dd, J = 7.8 Hzおよび2.7Hz, 1 H), 6.96 (d, J = 7.8 Hz, 1 H), 2.19 (s, 3 H); 13C−NMR (75.5 MHz, DMSO−d6) δ(ppm) 196.1, 170.0, 159.2, 134.1, 133.2, 131.1, 126.0, 124.3, 121.2, 116.1, 16.4; Mass spec (CI/NH) [M+H] : 252.0;C11NOのAnal calc.(MW: 251) C: 52.57 %, H: 3.61 %, N: 5.57 %, S 25.52 %; 実測値 C: 52.68 %, H: 3.64 %, N: 5.58 %, S 25.58 %。
クローニング
コドンを酵母での発現に最適化したハロロドスピラ・ハロフィラ(Halorhodospira halophila)PYP−C69Gの遺伝子(SEQ ID NO:139)、コドンを酵母での発現に最適化したY−FASTの遺伝子(SEQ ID NO:140)、およびコドンをヒトの細胞での発現に最適化したY−FASTの遺伝子(SEQ ID NO:141)は、Eurofins Genomicsによって合成された。酵母の細胞表面での発現のためAga2pに融合したPYP−C69Gの発現を可能にするプラスミドpAG14を、pCTCON2ベクターのNhe IおよびBamH Iの制限部位の間にPYP−C69Gの遺伝子(コドンを酵母での発現に最適化した配列)を挿入することにより、得た。クローン2(SEQ ID NO:2)、クローン3(=Y−FAST、SEQ ID NO:3)、クローン4(SEQ ID NO:4)、クローン5(SEQ ID NO:5)、クローン6(SEQ ID NO:6)、およびN末端Hisタグを含むPYP−C69G(SEQ ID NO:48)のそれぞれの細菌での発現を可能にするプラスミドpAG86、pAG87、pAG88、pAG89、pAG90、pAG91およびpAG95を、pET28aベクターのNhe IおよびXho Iの制限部位の間にENLYFQG–クローンXをコードする遺伝子(酵母ディスプレイにより選択された配列)(X=2〜6)(またはPYP−C69G)を挿入することにより、得た(この配列ENLYFQG(SEQ ID NO:148)は、TEVプロテアーゼにより認識される配列に対応し、TEV消化によるHisタグの除去を可能にする)。Y−FASTまたはPYP−C69Gに融合したmCherry(SEQ ID NO:149)の哺乳類での発現を可能にするプラスミドpAG96およびpAG97を、pIRESベクター(Clontech)のBgl IIおよびNot Iの制限部位の間にmCherry–GGGS–Y−FASTをコードする配列(SEQ ID NO:150)(またはPYP−C69G、SEQ ID NO:151)をクローニングすることにより、得た。EGFP、Y−FAST、Y−FAST−NLS、Lyn11–Y−FAST、Ensconsin–Y−FAST、Dronpa−NLS、Lyn11−Dronpaのそれぞれの哺乳類での発現を可能にするプラスミドpAG29、pAG104、pAG105、pAG106、pAG55およびpAG59を、pIRESベクターのBgl IIおよびNot Iの制限部位の間にEGFP−GGGSGGGSPG(SEQ ID NO:130)、Y−FAST–GSEQKLISEEDL(SEQ ID NO:131)、Y−FAST–GSEQKLISEEDLGAGA PKKKRKVPKKKRK(SEQ ID NO:132)、MGCIKSKGKDSAGGGS–Y−FAST−GSEQKLISEEDL(SEQ ID NO:133)、Ensconsin−SAGG GS–Y−FAST–GSEQKLISEEDL(SEQ ID NO:134)、Dronpa–GSEQKLISEEDLGAGAPKKKRKVPKK KRK(SEQ ID NO:135)、およびMGCIKSKGKDSAGGGS–Dronpa−GSEQKLISEEDL(SEQ ID NO:136)をコードする配列を挿入することにより、得た。ゼブラフィッシュの注入のためのmCherry−P2A−Y−FASTおよびmCherry–P2A–PYP−C69GをコードするmRNAの合成を可能にするプラスミドpAG113およびpAG114を、pCS2の改変版のBamH IおよびSnaB Iの間にmCherry−GSGATNFSLLKQAGDVEENPGPSRGGGS−Y−FASTをコードする配列(SEQ ID NO:137)(またはPYP−C69G、SEQ ID NO:138)を挿入することにより、得た。In vitroでのタンパク質合成のためのT7プロモーターの制御下でのmCherry–Y FASTの発現を可能にするプラスミドpAG101を、pET28aベクターのNhe IおよびXho Iの制限部位の間のmCherry−GSSSENLYFQG−Y−FASTをコードする配列(SEQ ID NO:152)を挿入することにより、得た。
物理化学的な実験
pHの測定を、Crison 5208電極(Barcelona, Spain)を備える標準的なpHメーター PHM210(Radiometer Analytical)(pH4および7または10の水性バッファーで較正)で行った。UV/Vis吸収スペクトルを、ダイオードアレイUV/Vis分光光度計(Evolution array, Thermo Scientific)上の1cm×1cmの石英のキュベット(Hellma)中で記録した。1光子励起において較正した蛍光スペクトルを、ペルチェセルホルダー(TLC50, Quantum Northwest, Shoreline, WA)を備えたPhoton Technology InternationalのQuantaMaster QM−1分光蛍光光度計(PTI, Monmouth Junction, NJ)で記録した。1光子励起後の全発光量子収率φを、1つの光子励起φを、関係式
Figure 2017527261
であって、式中、下付きのrefは標準試料を意味する、関係式から計算された。A(λexc)は、励起波長λexcでの吸光度であり、Dは、積分した発光スペクトルであり、nは、溶媒の屈折率である。φの実験値の不確実性は、±20%と推定された。量子収率の測定のための標準フルオロフォアは、φref=0.92である、0.1Mの水酸化ナトリウム中のフルオレセインであった。熱力学定数の決定に使用した滴定実験を、SpectraMax(登録商標)M5e(Molecular Devices)プレートリーダー上で行った。オンおよびオフの速度定数を、RX2000 rapid kinetic stopped flow accessory(Applied Photophysics, Leatherhead, UK)を使用したストップトフロー実験により決定した。円二色性スペクトルを、J−815円二色性分光偏光計(Jasco)で記録した。フォトブリーチング実験を、ペルチェセルホルダー(TLC50, Quantum Northwest, Shoreline, WA)を備えたPhoton Technology InternationalのQuantaMaster QM−1分光蛍光光度計(PTI, Monmouth Junction, NJ)で行った。
酵母ディスプレイ
ライブラリーの構築
酵母ディスプレイライブラリーを、NNK縮重プライマーを使用した飽和変異によりPYP−C69Gの遺伝子から構築した。52、53、65、66、67、68、69位で無作為化したライブラリー1を、以下のように構築した。2つのPCRフラグメントを、プライマー対AG42/AG43およびAG44/AG46を使用して作製し、次に、AG42/AG46を使用したPCRによりまとめた(プライマーは以下に列挙されている)。PCR産物を、Nhe IおよびBamH Iで消化し、次にNhe I/BamH I制限部位を使用してpCTCON2に連結した。DH10B E. coliの細胞のエレクトロポレーションにより行った大規模な形質転換は、7×10個の形質転換体をもたらした。次にDNAをミニプレップし、大規模な高効率の形質転換プロトコルを使用してEBY100酵母株に再度形質転換し、8×10個の形質転換体を得た。94、95、96、97、98、99、100、101位で無作為化したライブラリー2を、以下のように構築した。PCR産物を、プライマー対AG42/AG45を使用して作製した。PCR産物を、Nhe IおよびSty Iで消化し、次にNhe I/Sty I制限部位を使用してpAG14において連結した。DH10B E. coli細胞におけるエレクトロポレーションにより行われた大規模な形質転換は、3×10個の形質転換体をもたらした。次にDNAをミニプレップし、大規模な高効率の形質転換プロトコルを使用してEBY100酵母株において再度形質転換して、8×10個の形質転換体を得た。52、53、65、66、67、68、69、94、95、96、97、98、99、100、101位で無作為化したライブラリー3を、以下のように構築した。2つのPCRフラグメントを、プライマー対AG42/AG43およびAG44/AG45を使用して作製し、次にAG42/AG45を使用してPCRによりまとめた。PCR産物をNhe IおよびSty Iで消化し、次にNhe I/Sty I制限部位を使用してpAG14において連結した。DH10B E. coli細胞におけるエレクトロポレーションにより行われた大規模な形質転換は、1.5×10個の形質転換体をもたらした。次にDNAをミニプレップし、大規模な高効率の形質転換プロトコルを使用してEBY100酵母株において再度形質転換し、8×10個の形質転換体を得た。
Figure 2017527261
選択
ライブラリー(概して1×1010個の細胞)を、SD(20g/Lのデキストロース、6.7g/Lの酵母窒素ベース、トリプトファンを含まない1.92g/Lの酵母合成ドロップアウト、7.44g/LのNaHPOおよび10.2g/LのNaHPO−7HO、1%のペニシリン−ストレプトマイシン10,000U/mL)1l中で一晩(30℃、280rpm)増殖させた。次に、1×1010細胞の酵母細胞を回収し、1LのSG(20g/Lのガラクトース、2g/Lのデキストロース、6.7g/Lの酵母窒素ベース、トリプトファンを含まない1.92g/Lの酵母合成ドロップアウト、7.44g/LのNaHPO、10.2g/LのNaHPO−7HO、1%のペニシリン−ストレプトマイシン 10,000U/mL)中で、36時間(23℃、280rpm)で増殖させた。次に、6×10個の誘導した細胞を、遠心(25℃、3分、2,500g)によりペレット状にし、10mLのDPBS−BSA(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、4.3mMのNaHPO、1.4mMのKHPO、1g/Lのウシ血清アルブミン、pH7.4)で洗浄し、DPBS−BSA中の1/250の一次抗体のニワトリ抗−c−Myc IgY(Life Technologies)溶液200μL中で、室温で30分間インキュベートした。次に細胞を10mLのDPBS−BSAで洗浄し、氷上で、DPBS−BSA中1/100の二次抗体Alexa Fluor(登録商標)647−ヤギ抗ウサギIgG(Life Technologies)溶液200μL中で30分間インキュベートした。DPBS−BSAで洗浄した後、20μMのHBRを補充したDPBS−BSA10mL中で細胞をインキュベートし、488nmおよび633nmのレーザーを備えたMoFlo(商標)XDP高速セルソーターで選別した。選別した細胞をSDに回収し、一晩増殖させ(30℃、240rpm)、SDプレート(182g/Lのソルビトール、15g/Lの寒天を補充したSD)に広げた。プレートを30℃で60時間インキュベートした。細胞の菌叢を、30%のグリセロールを補充したSDに回収し、アリコートし、凍結または次のラウンドに直接使用した。
タンパク質の発現および精製
発現ベクターをRosetta(DE3)pLysS E. coli(New England Biolabs)に形質転換した。細胞を、50μg/mlのカナマイシンおよび34μg/mlのクロラムフェニコールを補充した溶原ブロス(LB)培地中で、0.6のOD600nmとなるまで37℃で増殖させた。1mMの最終濃度となるまでイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することにより、発現を4時間誘導した。細胞を、遠心(4℃で15分間、6,000g)することにより回収し、凍結した。細胞のペレットを溶解バッファー(リン酸緩衝液50mM,NaCl 150mM、MgCl 2.5mM、プロテアーゼ阻害剤、DNase、pH7.4)に再度懸濁し、超音波処理した(20%の振幅、5分)。ライセートを4℃で2時間インキュベートし、DNaseによるDNAの消化を可能にした。細胞フラグメントを、遠心(15,000g、1時間、4℃)により除去した。10mMのイミダゾールを補充したリン酸緩衝食塩水(PBS)(リン酸ナトリウム50mM、NaCl 150mM、pH7.4)中のNi−NTAアガロースビーズとのゆっくりとした攪拌下で、上清を4℃で一晩インキュベートした。20mMのイミダゾールを補充した20容量のPBS、および40mMのイミダゾールを補充した5容量のPBSを用いて、ビーズを洗浄した。Hisタグ化タンパク質を、0.5Mのイミダゾールを補充した5容量のPBSで溶出した。大規模な透析により、PBSとバッファーを交換することを可能にした。Hisタグを、His−タグ化TEV(TEVプロテアーゼ;Tobacco Etch Virus protease)とタンパク質試料の、18℃、18時間のインキュベーションにより、切断した。Ni−NTAビーズを使用したTEVプロテアーゼの除去の後、タンパク質の試料を、その後の凍結乾燥のための2.5mMのリン酸ナトリウムに対して最終的に大規模に透析した。凍結乾燥したタンパク質を4℃で保存した。
分析用サイズ排除クロマトグラフィーを、superdex 200 5/150 GLカラムを備え、ブルーデキストラン、フェリチン、コンアルブミン、炭酸脱水素酵素、アルドラーゼ、オボアルブミン、およびリボヌクレアーゼで較正したAekta Purifierシステム(GE Healthcare)上で、16℃で行った。カラムの前平衡を、pH7.4のPBS(リン酸ナトリウム50mM、NaCl150mM)で行った。溶出の速度を、0.2ml/分に設定した。
無細胞タンパク質合成
無細胞タンパク質合成を、製造社のプロトコルにしたがってPURExpressのin vitroでのタンパク質の合成キット(New England Biolabs)を使用して行った。発光を、SpectraMax(登録商標)M5eプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して経時的に追跡した。
哺乳類の細胞培養
HEK293細胞およびヒーラ細胞を、フェノールレッド、Glutamax I、10%のウシ胎仔血清、および1%のペニシリン−ストレプトマイシンを補充したDMEMにおいて、5%のCO雰囲気内、37℃で培養した。顕微鏡のイメージングのために、細胞を、ポリ−L−リジンでコーティングしたμDish IBIDI(Biovalley)に接種した。製造社のプロトコルにしたがいGenejuice(Merck)を使用して、細胞を一時的にトランスフェクトした。イメージングの前に、細胞をPBSで洗浄し、意図した濃度(最終的なDMSO含有量0.033%)のHBRまたはHMBRを補充したフェノールレッドを含まないDMEMでインキュベートした。
ニューロンの培養
分離した脊髄ニューロンの培養物を、先に記載されたようにスプラーグドーリーラット(胎生期14日目)から調製した。ニューロンを、B27、2mMのglutamax、5U/mlのペニシリンおよび5μg/mlのストレプトマイシンを含むneurobasal培地中、36℃および5%のCOで維持し、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用してY−FAST−ゲフィリンおよびmCerulean−ゲフィリンプラスミドDNAでin vitroでのDIV15の日に同時にトランスフェクトし、DIV17に実験に使用した。ニューロンを、フェノールレッドを用いず、33mMのグルコース、20mMのHEPES、2mMのglutamax、1mMのピルビン酸ナトリウム、およびB27を含むMEM培地中で、35℃でイメージングした。HMBRを、イメージングバッファー中で10μMの最終濃度で、バス適用により添加した。
ゼブラフィッシュの実験
ゼブラフィッシュを、Westerfieldにしたがい維持し、ステージ分類した。実験を、標準的なAb野生型株を使用して行った。胚を28℃でインキュベートした。行われるすべての実験に関して、動物施設は、フランスの農水省から同意を得たものであった(同意番号C 75−05−12)。mRNAの合成を、mMESSAGE mMACHINE転写キット(Ambion Inc)を使用して行った。当量の100ng/mlのmRNAを、1細胞期胚に注入した。胚を、イメージングまでボルビックのミネラルウォーターで増殖させた。
蛍光解析
フローサイトメトリー解析を、Accuri C6(BD Biosciences)で行った。共焦点顕微鏡画像を、Plan Apochromat 63x/1.4 NA油浸対物レンズを備えたZeiss LSM 710 レーザー走査型顕微鏡で得た。Zenソフトウェアを使用して、データを収集した。画像を、Image Jで解析した。スピニングディスク共焦点顕微鏡画像を、4x/0.15 N.A対物レンズおよびcoolSnap HQ2/CDDカメラ(Princeton Instrument)を備えたNikon Eclipse Ti顕微鏡で得た。Metamorph premier 7.6ソフトウェア(Molecular Devices)を使用して、データを収集した。
マイクロ流体制御オン/オフ標識
迅速な試作技術を、装置の製作に使用した。デジタル切断機(Graphtec, CE6000)を使用して、厚さ50μmのプラスチックフィルムにより担持されている、厚さ0.5mmのシリコーン層に0.5mmの広いマイクロ流体チャネルを生成した。プラスチックフィルムを除去し、酸素プラズマ処置を行った後、シリコーン層を、平坦なシリコンウエハ上に10:1w/wの比率でRTV615(GE, France)のAおよびBの成分の混合物を成形し、これを80℃で2時間硬化させることにより調製した厚さ5mmのポリジメチルシロキサン(PDMS)の層に結合させた。次に、入口および出口の孔を、接続のため金属のチューブで穿孔した。その後、シリコーン−PDMS複合体を、酸素プラズマ処置の後に、厚さ160μmのカバースライドに結合した。最終的に、装置全体を、80℃のオーブンに10分間入れた。細胞の接種の前に、装置を30分間超のUV曝露下で滅菌した。0.1MのNaHCO(pH8)中50μg/mlの濃度のフィブロネクチンの溶液を、チャネルに注入し、37℃で30分間インキュベートした。チャネルをPBS溶液で3回洗浄し、次に細胞密度100,000個の細胞/mlの細胞懸濁液200μLを装置に導入し、システム全体を37℃で1時間インキュベートした。細胞染色―イメージングプロセスの動的制御を、多機能流体制御機(FC−PVL−II,MesoBioSystem)を使用して達成した。通常の培養培地、HMBR含有培養培地のどちらかのマイクロ流体チャネルへの注入を、制御機にダウンロードしたホームメイドのプロジェクト(home−made project)を用いて制御することにより、細胞染色−イメージングプロセスの全体を自動的に行うことができる。
蛍光共鳴エネルギー移動実験
Y−FASTを、mCherryとのFRET対にドナーとして、そのスペクトルの特性を考慮して理論に基づいて使用することができる。これを例証するために、本出願人は、吸収および発光スペクトルの両方を記録するための条件を一定に保持した一連のキュベットの実験を行うことにより、融合タンパク質Y−FAST−mCherryにおける電子励起の蛍光共鳴エネルギー移動の収率を決定した。
本出願人は、250nMのHMBRの不存在下および存在下で、1.5μMのY−FAST−mCherryの吸収および発光(λexc=470nm)スペクトルを記録した。第2のステップで、本出願人は、250nMのHMBRの存在下で、1.5μMのY−FASTの吸収および発光スペクトル(λexc=470nm)を記録した。
1、2、および3が、種Y−FAST−mCherry、HMBR:Y−FAST−mCherry、およびHMBR:Y−FASTを意味し、ε(λexc)およびI(λexc,λem)が、λexcでのモル吸収係数を意味し、種のλemでの蛍光発光の強度がiを意味すると、電子励起の蛍光共鳴エネルギー移動の収率φETは、記載される一連の実験の結果からの2つの異なる方法により、推定された。
最初に、本出願人は、ドナーHMBR:Y−FASTの蛍光発光の変分からφETを推定した。よって、本出願人は、
Figure 2017527261
を書き出し、φET=0.5±0.1と見出した。
あるいは、本出願人は、アクセプターmCherryの蛍光発光の変分からφETを推定した。よって、本出願人は、
Figure 2017527261
を書き出し、φET=0.25±0.15と見出した。この第2の導出は、多数の実験からの誤差を伝搬するため、明らかに信頼性が低い。
いったんφETが決定されると、次に本出願人は、蛍光共鳴エネルギー移動がFoerster機構により支配されると考え、HMBRおよびmChrry発色団の間の平均距離Rの大きさの桁を推定した。よって本出願人は、
Figure 2017527261
であって、式中、R(in nm)が、
Figure 2017527261
(式中、κは配向因子(次に、ドナーおよびアクセプターがすべての配向をとると考え、2/3に相当するとみなす)であり、Φは、HMBR:Y−FASTの蛍光量子収率であり(Φ=0.33)、nは、スペクトルの重複が有意である波長範囲における培地の平均屈折率であり(n=1.33)、I(λ)は、
Figure 2017527261
となるように正規化したHMBR:Y−FASTの蛍光スペクトルであり、ε(λ)は、Y−FAST−mCherryのモル吸収係数(M−1cm−1)であり、λは波長(nm)である)として定義されるFoerster距離を意味する、式(4)を書き出した。本出願人は、Y−FAST(直径〜2nmの球としてモデル化)、長さ〜3nmのGSSSENLYFQGリンカー(残基あたり〜0.3nmを考慮)、およびmCherry(直径〜2nmおよび高さ〜4nmのシリンダーとしてモデル化)を含む本出願人の構築物において、2つの発色団の距離と良好に一致する、R=5±1nmを見出した。
実施例1:新規蛍光発生発色団の設計−HBRの同定
タンパク質のキャビティなどの動かない環境で固定化した場合に高い蛍光の増大を示すことができ、助色団基のイオン化後に吸収のシフトを呈する蛍光発生発色団を設計した。
GFP、すなわちパラヒドロキシベンジリデン―5−イミダゾリノン(p−HBI)の発色団が、タンパク質がフォールディングされていない場合に非常に低い蛍光量子収率を呈するが、上記蛍光量子収率が、樽状のタンパク質の三次構造において10倍増大することは、当業者に知られている(Heim et al., 1995; Tsien, 1998)。さらに、p―HBIのプロトン化形態は、397nmで吸収し、その脱プロトン化形態は、475nmで吸収する。これらのp−HBIの光物理的特性は、その典型的なドナー−アクセプター結合構造からもたらされ、ここでフェノール/フェノラートは、電子供与性基として作用し、イミダゾリジノン環は電子求引性基として作用する。
新規の蛍光発生発色団を、GFP発色団のヒドロキシベンジリデン部位を保持した後に、幅広い範囲の電子吸引性を呈する他の頭部基によりチオエステル基を置換する際に、設計した。イオン化可能な電子供与性基として作用するフェノール環は、二重結合を介して様々な電子吸引性基と結合した。さらに新規の蛍光発生発色団を、立体障害が、PYPのキャビティと包括的に適合性があるままであるように設計した。選択した頭部基に応じて、得られた蛍光発生発色団を、異なる吸収波長を有すると予測し、フェノラート状態を、人工操作したタンパク質(好ましくはPYP)のタンパク質キャビティ内でのみ生ずることができるが、外部の媒体では生ずることができないように、フェノール基のpK値を調節した。
p−HBIの誘導体を、他の電子吸引性部位と、電子吸引性イミダゾリジノンを置換することにより、調製した。新規の蛍光発生発色団を、1つまたはいくつかのベンゼン環(benzenic)の位置におそらくは置換されるp−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド上での、活性化メチレン基を含む頭部基の縮合により、良好な収率で合成した。
合成した化合物の安定性を、pHが中性の水溶液中で評価した。不安定および/または不溶性の化合物は、さらには試験しなかった。よって、残りの化合物の光化学的な特性および酸−塩基性の特性を解析した。酸―塩基性の滴定を、pHに対して吸収スペクトルおよび発光スペクトルを記録することにより、水溶液中で行った。すべての試験した化合物は、330〜450nmの範囲のフェノラート状態でより高い吸収波長を有する、おおよそ中性のpKを呈した。
次に、解析で、フェノールおよびフェノラート状態の光物理的特性を、運動の制限の効果をアッセイするために低い温度で非常に粘性の高いグリセロール溶液中で解析した、最も高い波長で吸収する候補化合物に、焦点を当てた。
同定した化合物は、4−ヒドロキシベンジリデン−ロダニン(HBR)とも呼ばれる5−(4−ヒドロキシベンジリデン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オンに対応することが示された。HBRは、特に、ロダニンとも呼ばれる電子吸引性の2−チオキソチアゾリジン−4−オン部位に、二重結合を介して結合した電子供与性フェノールを特徴とする。HBRは、その酸性および塩基性形態の励起状態の寿命の間、蛍光団の運動を限定すると、有意に輝度が高まることを示した。
HBRのプロトン化フェノール状態は、紫色の光(最大吸収波長397nm)を強力に吸収し、フェラート状態は、青色の光(最大吸収波長449nm)を強力に吸収することを確かに示した(図2)。イオン化の後の吸収のレッドシフトは、陰性に帯電したフェノラートのより強力な電子供与により、説明することができる。潜在的なHBRの蛍光の増加を、HBRの蛍光発光に関する培地の粘度の影響をモニタリングする際にその動きを制限することにより、評価した。8.4±0.1のpKAを有するHBRは、主に、生理的なpHでプロトン化されており、改変タンパク質のキャビティ内で結合誘導性の脱プロトン化の後の特定のレッドシフトを経ると予測することができた。水溶液では、HBRの酸性および塩基性状態の両方で、蛍光性が弱く(図3)、それぞれ0.02%および0.3%の蛍光量子収率で470nmおよび545nmを発光する。蛍光量子収率の6倍および3倍の増加を、それぞれ、グリセロール含有量が0%から40%(v/v)に増加した際にHBRの酸性状態および塩基性状態で観察し、動きの制限がHBRの蛍光性を高め得ることを例証した。
これらの結果から、生理的なpHで青色の光により励起される場合、遊離HBRは、ほぼ非蛍光性(プロトン化されており、よってこの波長領域の光をほとんど吸収しないため)であるが、その塩基性形態に相補的なタンパク質キャビティに結合したHBRは、イオン化(レッドシフトした光の吸収をもたらす)および運動の制限(蛍光量子収率の増加)の両方により強力に蛍光性となると、結論付けることができる。
さらなる実験により、HBRが、水中で4−ヒドロキシベンズアルデヒドと、ロダニンまたは2−チオキソチアゾリジン−4−オンの縮合により、1つのステップで合成できることが示された。
実施例2:PYP誘導体の設計
蛍光性HBR結合性タンパク質を、SEQ ID NO:48のハロロドスピラ・ハロフィラ(Halorhodospira halophila)由来のC69G光活性黄色タンパク質(PYP)の活性部位をリモデリングすることにより、設計した。
PYPは、14kDaの単量体ジスルフィドフリーの青色光受容体であり、この光検知の挙動は、Cys69に共有結合したパラ−ヒドロキシシンナモイル(HC)発色団の光異性化に依存する。PYPの単量体状態および小さな大きさは、新規のタンパク質タグを設計するためには非常に魅力的である。
その塩基性の青色吸収状態および蛍光性を高める際にHBRを結合することができるキャビティを得るために、SEQ ID NO:48のapo−PYP−C69Gの発色団ポケットをリモデリングするため、酵母ディスプレイに基づき、PYPの指向性進化の方針を計画した。出発スキャフォールドとしてのapo−PYPの選択は、HBRの構造およびPYPの天然のHC発色団の類似性によりなされる。さらに、apo−PYPの結合ポケットが、その脱プロトン化形態のHC発色団を収容する際、本出願人は、脱プロトン化青色吸収形態の結合したHBRを安定化するこの好ましいキャビティから利益を得ることを望むものであった。
入手可能なPYP結晶構造(Borgstahl et al., 1995)を使用して、HC発色団と近接したループおよび残基を同定し、次に飽和変異により無作為化した(Airaksinen and Hovi, 1998; Derbyshire et al., 1986; Miyazaki and Arnold, 1999; Steffens and Williams, 2007; Wang et al., 2007; Zheng, 2004)。3つの異なるライブラリーを、apo−PYP−C69Gをコードする配列から構築した。ライブラリー1は、apo−PYP−C69Gのループ52〜53および65〜69の無作為化で入手し、ライブラリー2は、apo−PYP−C69Gのループ94〜101の無作為化で入手し、ライブラリー3は、3つのループ52〜53、65〜69、および94〜101の無作為化で入手した(図4)。
3つのライブラリーを、酵母ディスプレイpCTCON2ベクター(Chao et al., 2006)にクローン化し、Aga1pに対するジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母凝集素タンパク質Aga2pの接着サブユニットに融合するように、PYP変異体を発現させた(図4)。EBY100酵母株における高効率の形質転換(Gietz and Schiestl, 2007)から、10〜10の多様性を伴う大きな酵母ディスプレイライブラリーを得た。
蛍光性HBR結合性PYP変異体を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)(Shapiro, 2003)により、構築した酵母ディスプレイライブラリーを選別することにより同定した(図5)。この酵母の集団を、pH7.4のPBS中のHBRの存在下で選別した(FACSは、流体力学的な流れの絞り込み(hydrodynamic flow focusing)に基づくものであるため、細胞は、検出ステップまで、HBRの存在下で保持することができる)。
励起のための488nmのレーザー線および蛍光発光を選択するための540±30nmフィルターを、蛍光性細胞を選択するために使用した。3回の濃縮を、別々のライブラリーで行い、次に、濃縮して得た細胞の集団をまとめて集め、さらに3回の濃縮を混合物で実現させた。
この濃縮ステップの後、144の個別のクローンをHBRに特異的な蛍光性に関して試験した。
対応するモノクローナル酵母の集団の蛍光性を、フローライトメトリーによりHBRの存在下または非存在下で解析し、HBRに特異的な蛍光性を示す80個のクローンを同定した(図6および7)。DNAのシークエンスに加え、これらの80個のクローンは、47の別々の変異体に対応することが示された(図8+SEQ ID NO:1〜47)。同定した蛍光性HBR結合性PYP変異体のすべてが、ループ94〜101(結合ポケットの入口を開閉する)を無作為化することにより得たライブラリー2に属することが示された。コンセンサス配列WxIPTxxx(SEQ ID NO:129)の発生により、選択プロセスの集束を確認した。
変異D97Pは、すべての変異体に存在するように思われる。
さらに、変異Y94Wは、1つ以外のすべての変異体で同定された。
96位では、apo−PYPに存在する芳香族フェニルアラニンは、常に、分枝脂肪族側鎖を有する残基により置換されることが示された。イソロイシン、バリン、およびロイシンは、それぞれ36、9、および2倍現れる。
98位では、変異Y98Tは、13倍観察された。
より具体的には、この変異体は、最も高い蛍光上昇を誘導する10個のクローンのうち9個で確認された。
同定された変異体の一部を、さらにin vitroで特徴づけた。変異タンパク質は、Rosetta−DE3 E. coli株のHisタグ融合物として発現し、Ni−NTA親和性クロマトグラフィーにより精製した。Hisタグを、最終的に、タンパク質分解性の切断により除去した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、異なる変異体の単量体状態を検証することができた。
次に、HBRに関して選択した変異体の親和性を、複合体形成をアッセイするために、蛍光上昇を使用した滴定実験により、評価した(図9)。1〜2μMの範囲の解離定数(K)を、異なる蛍光性タンパク質(以下の表1参照)で入手し、特異的なHBRの結合を確認した。

Figure 2017527261
表1は、5つの蛍光性HBR結合PYP変異体(クローン2、3、4、5、および6)の解離定数を表す。
人工操作した蛍光性タンパク質の光物理的な特性を、より正確に特徴づけた。pH7.4のPBS中で紫色の光(最大吸収波長397nm)を強力に吸収したHBRとは異なり、5つの蛍光性HBR結合性PYP変異体は、青色光(最大吸収波長470nm)を強力に吸収することが示された(図10および以下の表2)。この吸収の70nmのレッドシフトは、HBRが、脱プロトン化状態のPYP変異体キャビティ内に結合していることによるものであった。この結合後の吸収のレッドシフトはまた、540nmでの大きな蛍光性の増大に付随するものであった(図10および以下の表2)。5つの蛍光性HBR結合性PYP変異体は、6〜9%の蛍光量子収率を呈し、2500M−1cm−1〜4000M−1cm−1の輝度が得られ、この値は、単量体DsRedおよびmPlumなどのいくつかのGFP様蛍光性タンパク質の値と比較可能であった(以下の表2参照)。
最も良好な蛍光性HBR結合性PYP変異体(この結果ではクローン3とも表される)は、FAST540またはY−FASTと名付けられており、ここでFASTは、蛍光団を活性化し、シフトするタグを意味し、540は、得られた蛍光性タンパク質の発光波長を表す。
Figure 2017527261
参照: NC Shaner, PA Steinbach, RY Tsien Nat. Meth. 12, 905 (2005)
表2:5つの蛍光性HBR結合性PYP変異体(クローン2、3、4、5、および6)の吸収および発光の特性を表す。
Y−FASTへのHBRの付加の直後に(眼による)、蛍光性複合体が形成された。オンおよびオフの速度定数の決定は、この迅速な複合体の形成を定量化することを可能にし(結合の緩和時間は、[HBR]=Kである場合に25℃で30msである)、結合状態のHBRの短い滞留時間を示し(オフの速度定数の逆数は、25℃で60msである)、結合が迅速なだけでなく、非常に力強いことを例証した(表3)。
Figure 2017527261
25℃での速度定数は、動的パラメータから推定した。§速度定数は、実験的に20℃で決定した。
表3:25℃でのY−FASTおよびHBRまたはHMBRの間の複合体の熱動力学的特性および光物理的特性(K:解離定数;kon:オンの速度定数;koff:オフの速度定数;λabs:最大吸収波長;λem:最大発光波長;ε:λabsでのモル吸収係数;φ:蛍光量子収率;εφ:輝度)。バッファー:pH7.4のPBS。
システムの蛍光特性を改善するために、次に本出願人は、蛍光団に関する小さな改変を導入した(図12)。芳香環に追加的なメチル基を有するHMBRは、5倍高い親和性でY−FASTを結合する(表3および図13)。得られた複合体は、未だレッドシフトした吸収を呈し、33%の改善した蛍光量子収率を呈し(図14、表3)、よって、一般的な蛍光性タンパク質の蛍光特性に達することとなった。オンおよびオフの速度定数の決定(表3)は、親和性が増加したにも関わらず、結合は未だ迅速であり(緩和時間は[HMBR]=Kである場合に25℃で70msである)、遊離状態および結合状態の間での迅速なHMBR交換を伴う(滞留時間は25℃で160msである)ことを示した。
Y−FASTが、蛍光顕微鏡による融合タンパク質のイメージングに使用できることを示すために、Aga2pに融合したY−FASTを、酵母細胞の細胞表面に発現させた。
この酵母細胞を、共焦点顕微鏡を用いてHBRの存在下でイメージングし、細胞表面タンパク質の特異的な標識が示され(図11)、生細胞におけるタンパク質検出のための蛍光性タグとして作用するY−FASTの能力を例証した。
次に、細胞においてHBRおよびHMBRでのY―FASTの標識を、3つの異なる発現系:酵母、大腸菌、および哺乳類細胞(ヒーラ細胞)におけるフローサイトメトリーにより解析した。蛍光性を、野生型の細胞または野生型PYPを発現する細胞と比較した。この解析は、HBRおよびHMBRが、(i)野生型の細菌、酵母、および哺乳類細胞において、蛍光性のバックグラウンドを作製しない、またはごくわずか生じ(図15a、bおよび図16)、かつ(ii)野生型PYPを結合しないことを示し、これにより、生細胞におけるY−FASTの標識の高い選択性を例証した(図15a、bおよび図16)。またこの解析は、in vitroでの試験から予測されるように、HMBRが、生細胞におけるY−FASTの蛍光標識に関してHBRよりも優れていることを示した。哺乳類細胞、酵母、および細菌におけるY−FAST標識の特性および選択性を、さらに共焦点顕微鏡により確認した(図14dおよび図15c〜fおよび図16)。またHBRおよびHMBRは、イメージングに必要とされる濃度で非毒性であることが示され(図17)、これにより、Y−FASTが、哺乳類細胞での長期間のイメージングを可能にすることが示唆された。
488nmでの青色の励起後の哺乳類細胞におけるY−FASTの蛍光が、緑色蛍光タンパク質EGFPおよびUnaGの蛍光と比較可能であり、最も明るい蛍光性タンパク質のうちの1つである黄色蛍光性タンパク質Venusの蛍光性より2倍低いことが示された(図18a)。514nmでの緑色の励起の後、Y−FASTは、Venusよりも5倍少ないにもかかわらず未だ有意に蛍光している(図18a)。またY−FASTは、細胞において良好な光安定性を呈することが示された。488nmの励起下で、Y−FASTは、UnaGおよびVenusよりも安定であるが、EGFPよりも安定しなかった(図18b)、しかしながら、514nmで励起すると、Y−FASTは、488nmでの励起後よりも同様の退色を示すVenusと異なりほとんど光退色しなかった(図18b)、この挙動は、キュベット内の実験により確認された(データ不図示)。
次に、Y―FASTが、様々な細胞の局在においてタンパク質を標識するのに良好に適していることが示された。核移行シグナル(NLS)、内部膜標的化配列(Lyn11)、および微小管結合タンパク質Ensconsinに融合した、Y−FASTを発現する細胞の標識は、蛍光性タンパク質Dronpaと類似の融合と比較することにより示されるように、様々な融合の正確な位置を明らかにした(図19a〜c)。より限局した細胞区画においてタンパク質を標識するのに使用できることをさらに示すために、Y−FASTを、分離した脊髄ニューロンの抑制性シナプスを視覚化するためのシナプススキャフォールドタンパク質ゲフィリンに融合させた。Y−FAST−ゲフィリンの落射蛍光イメージングは、ゲフィリンのmCeruleanタグ化版との同時局在化により確認されるように、抑制性シナプスでのゲフィリンの後シナプスクラスターに対応するHMBR付加の後の点状の標識を示した。(図19d)。
次に、Y−FASTの標識を、多細胞生物のモデルとしてのゼブラフィッシュの胚で検証した。ゼブラフィッシュの胚に、mCherry–P2A–Y−FASTをコードするmRNAをマイクロ注入した。ここでのP2Aペプチドは、mCherryおよびY−FASTの1:1の同時発現を可能にする同時翻訳リボソームのスキッピングを媒介する。胚を、原腸形成の間または受精後24時間にHMBRと共にインキュベートし、スピニングディスク顕微鏡によりイメージングした。Y−FASTの標識は、mCherryの標識と同一の発現パターンを明らかにし(データ不図示)、Y−FAST標識がin vivoで特異的であったことを示した。さらに、50%の被包から24hpfまでの発生の間HMBRと共にインキュベートした胚の適合性の評価は、HMBRが、発生において死亡率またはかく乱を全く誘導しなかったことを示し(データ不図示)、HMBRが、ゼブラフィッシュの胚に非毒性であることを示し、Y−FASTがゼブラフィッシュでの長期間のイメージングを可能にすることを示唆している。
Y−FASTは、HMBRがすでに存在する場合にはほぼ瞬間的に蛍光性であるため、本出願人は、Y−FASTが、リアルタイムでのタンパク質合成などの迅速なプロセスをモニタリングするために、GFP様蛍光性タンパク質よりも優れているとすることができると予測した。一部のGFP様蛍光性タンパク質では、その蛍光性の見かけの比率がタンパク質合成自体に依存するだけでなく、発色団の翻訳後の形成にも依存するため、リアルタイムでのタンパク質合成に関してレポートすることができない。この文脈でのY−FASTの利点を示すために、本出願人は、その蛍光性を同時にモニタリングすることにより、mCherryおよびY−FASTの融合構築物の無細胞発現を観察した(図20)。単一タンパク質が合成されたにも関わらず、本出願人は、Y−FASTおよびmCherryの蛍光性に関する見かけの2つの異なる比率を観察した。Y−FASTは、90分以内に飽和に達するタンパク質合成の開始から10分後になるやいなやすでに検出することができるが、mCherryシグナルは、50分後にのみ現れ始め、その発色団のゆっくりとした成熟の結果として飽和に達するのに4時間かかった。次に本出願人は、in vitroでそれぞれ10分および40分以内に成熟すると報告されているEGFPおよびVenus、ビリルビン誘導可能なUnaG、ならびに多くの場合、タンパク質合成のレポーターとして使用されるホタルルシフェラーゼの発現とmCherry−Y−FASTの発現とを比較した。異なるタンパク質の発現を同一のT7プロモーターにより制御し、よって、同一の比率で発生するはずだが、本出願人は、様々な比率の蛍光性の見かけを観察した(図20)。本出願人の実験は、Y−FASTが、ほぼリアルタイムでのタンパク質の合成に関してレポートすることに、VenusおよびmCherryよりも明らかに優れており、ホタルルシフェラーゼ、EGFP、およびUnaGとほぼ同一の動的情報を提供することを示した。
Y−FASTのスペクトル特性は、CFPと対をなしたアクセプターまたはmCherryと対をなしたドナーの役割を果たすことができるため、Y−FASTはFRETの実験に良好に適している。FRET実験のY−FASTの可能性を示すために、本出願人は、Y−FASTとmCherryとの間の融合におけるFRETの有効性を特徴づけた。本出願人は、FRETの有効性が、5nmのドナーアクセプターの距離と一致して、〜50%であったことを示した。
最終的に、本出願人は、Y−FASTの蛍光が非常に調節可能であったことを示した。エミッタの密度は、蛍光団の濃度を調節することによりタンパク質の発現レベルとは無関係に制御することができる(図22)。細胞における滴定は、in vitroでの結果と良好に一致し、まず、環境内のHMBRの濃度が細胞内レベルを反映したことを示し、第2に、1μMのHMBRが、細胞における完全な標識に十分であったことを示す。さらに、本出願人は、HMBRの迅速な付加または除去により、哺乳類細胞におけるY−FASTのオンおよびオフの迅速な切り替えを可能にすることを示した。これを示すために、本出願人は、多機能流体制御機に結合したマイクロ流体デバイスを使用した。HMBRでの標識は、HMBRの良好な細胞の透過性および複合体の即時形成と一致して、約10秒以内に起こる(図21a、b)。HMBRフリー培地とHMBR含有培地を迅速に交換することは、HMBRの短い滞留期間と一致して、同様の時間尺度でタンパク質を標識しなかった(図21a、b)。多機能流体制御機により、Y−FASTの標識および未標識は、溶液の標識および溶液の洗浄の間を迅速に切り替えることにより、10回超反復することができた(図21a、b)。
蛍光発生リガンドの付加および除去による蛍光のオンおよびオフを切り替える能力は、連続した蛍光発生標識、イメージング、および蛍光団の除去により、スペクトルに基づき区別がつかない標的をイメージングすることを可能にする。この戦略を例証するために、本出願人は、哺乳類細胞におけるY−FAST(膜の固定のためのLyn−11に融合)および光により切り替え可能な蛍光性タンパク質Dronpa(核移行シグナルに融合)を発現させた(図21c)。まず、本出願人は、HMBRの非存在下で細胞をイメージングし、核のDronpaを可視化し、次に、488nmの励起によりDronpaをオフに切り替え、Y−FASTを標識するためにHMBRを添加した。次に、本出願人は、Y−FASTの膜の局在を選択的に観察することができた。HMBRを未標識のY−FASTから洗い流し、Y−FASTからのどんな汚染も伴うことなくDronpa(405nmで励起することにより光活性)を選択的に可視化することが再度可能となる。このプロセスは、Dronpaをオフに切り替え、HMBRでY−FASTを標識することにより、反復することができた(図21c)。
文献
Figure 2017527261
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Figure 2017527261



Claims (15)

  1. 機能的光活性黄色タンパク質(PYP)誘導体を含むポリペプチドまたはその機能的なフラグメントであって、前記ポリペプチドまたはそのフラグメントが、
    約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
    約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
    約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
    を伴う蛍光発生発色団を可逆的に結合する、ポリペプチドまたはそのフラグメント。
  2. SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:78、SEQ ID NO:79、SEQ ID NO:80、およびSEQ ID NO:81を含む群から選択される配列を有するPYPの誘導体、好ましくはSEQ ID NO:48の誘導体である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. SEQ ID NO:48を参照して、
    97位のプロリン、
    94位のトリプトファン、
    96位の、分枝脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基、好ましくはイソロイシン、バリン、もしくはロイシン、および/または
    98位のスレオニン
    のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のポリペプチド。
  4. SEQ ID NO:48を参照した、SEQ ID NO:82、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:88、SEQ ID NO:89、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:94、SEQ ID NO:95、SEQ ID NO:96、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:98、SEQ ID NO:99、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:101、SEQ ID NO:102、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:104、SEQ ID NO:105、SEQ ID NO:106、SEQ ID NO:107、SEQ ID NO:108、SEQ ID NO:109、SEQ ID NO:110、SEQ ID NO:111、SEQ ID NO:112、SEQ ID NO:113、SEQ ID NO:114、SEQ ID NO:115、SEQ ID NO:116、SEQ ID NO:117、SEQ ID NO:118、SEQ ID NO:119、SEQ ID NO:120、SEQ ID NO:121、SEQ ID NO:122、SEQ ID NO:123、SEQ ID NO:124、SEQ ID NO:125、SEQ ID NO:126、SEQ ID NO:127、またはSEQ ID NO:128のアミノ酸領域94〜101、好ましくはSEQ ID NO:48を参照した、SEQ ID NO:83のアミノ酸領域94〜101を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  5. SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、またはSEQ ID NO:47、またはそれらのフラグメント、好ましくはSEQ ID NO:3またはそれらのフラグメントを含む群から選択された配列を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. 前記蛍光発生発色団が、式(I)
    Figure 2017527261
    を有し、式中、
    R1、R2、R5、およびR6が同一または異なるものであってもよく、それぞれが、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を表し、
    R3が、非結合二重項(すなわち遊離電子対)または、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を表し、
    R4が、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基から選択される少なくとも1つの基により任意に置換されている、S、O、またはN原子により中断または終結された単結合または二重結合であり、
    Xが、OH、SH、NHR7、またはN(R7)であり、R7が、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノ、ハロアルコキシ、ハロアルキルから選択されている少なくとも1つの基により任意に置換されている、飽和型または不飽和型、直鎖または分枝鎖の、H、ハロ、ヒドロキシル、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基であり、
    YがO、NH、またはSである、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  7. 前記蛍光発生発色団が、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、または(VIII):
    Figure 2017527261
    Figure 2017527261
    を有し、
    好ましくは前記蛍光発生発色団が、式(II)(HBR)または式(VIII)(HMBR)を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  8. 関心対象のタンパク質に融合した、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む融合タンパク質。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項7に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  10. 請求項8に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  11. 関心対象のいずれかの固体または液体の試料、細胞、または組織、または生物におけるタンパク質の活性、タンパク質の局在性、タンパク質−タンパク質相互作用、および/またはタンパク質の再配置を定量化および/または検出するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項7に記載の融合タンパク質の使用。
  12. 表面または粒子、好ましくは関心対象のタンパク質を蛍光的に標識または着色する方法であって、
    前記表面または粒子に請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドを結合するステップと、
    蛍光発生発色団を提供するステップと
    を含む、方法。
  13. タンパク質(好ましくは細胞中のタンパク質)を順次標識する方法であって、
    約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
    約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
    約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
    を伴う少なくとも2つの蛍光発生発色団に結合する少なくとも2つのポリペプチド(好ましくは請求項1〜6のいずれか1項に記載の2つのPYP誘導体または請求項7に記載の2つの融合タンパク質)の使用を含み、
    本発明の方法が、
    第1の蛍光発生発色団と前記試料を接触させることと、
    蛍光を測定することと、
    前記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
    第2の蛍光発生発色団と前記試料を接触させることと、
    蛍光を測定することと、
    前記試料を洗浄して蛍光をオフにすることと、
    各蛍光発生発色団を用いて前のステップを反復することと
    を含む、方法。
  14. 約25℃の温度で測定した場合に約0.05〜約10μMの範囲、好ましくは約0.1〜約2μMの範囲、より好ましくは約0.13〜約1.02μMの範囲のK、および/または
    約25℃の温度で測定した場合に約1〜約50s−1、好ましくは約5〜約20s−1、より好ましくは約6.3〜約17s−1の範囲のkoff、および/または
    約25℃の温度で測定した場合に約0.1×10〜約50×10−1−1、好ましくは約1×10〜約10×10−1−1、より好ましくは約3×10〜約6.3×10−1−1の範囲のkon
    を伴う蛍光発生発色団に結合できるPYP誘導体を同定する方法であって、
    PYP配列(前記PYP配列は、SEQ ID NO:48〜81、好ましくはSEQ ID NO:48から選択される)を無作為に変異させる(たとえば飽和変異によるなど)ことと、
    前記蛍光発生発色団と変異したPYPの結合の速度定数を測定することと、
    特定のK、kon、および/またはkoffを伴う変異したPYPを選択することと
    を含む、方法。
  15. 式(III)または(V):
    Figure 2017527261
    を有する蛍光発生発色団。
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