JP2017524815A - 狭い間隙の非分割電解槽 - Google Patents

狭い間隙の非分割電解槽 Download PDF

Info

Publication number
JP2017524815A
JP2017524815A JP2016574216A JP2016574216A JP2017524815A JP 2017524815 A JP2017524815 A JP 2017524815A JP 2016574216 A JP2016574216 A JP 2016574216A JP 2016574216 A JP2016574216 A JP 2016574216A JP 2017524815 A JP2017524815 A JP 2017524815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anode
cathode
solution
compartment
electrolytic cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016574216A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6543277B2 (ja
Inventor
デイビッド サマーズ,
デイビッド サマーズ,
イアン ベイリー,
イアン ベイリー,
Original Assignee
ケメティックス インコーポレイテッド
ケメティックス インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ケメティックス インコーポレイテッド, ケメティックス インコーポレイテッド filed Critical ケメティックス インコーポレイテッド
Publication of JP2017524815A publication Critical patent/JP2017524815A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6543277B2 publication Critical patent/JP6543277B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B1/00Electrolytic production of inorganic compounds or non-metals
    • C25B1/01Products
    • C25B1/24Halogens or compounds thereof
    • C25B1/26Chlorine; Compounds thereof
    • C25B1/265Chlorates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B9/00Cells or assemblies of cells; Constructional parts of cells; Assemblies of constructional parts, e.g. electrode-diaphragm assemblies; Process-related cell features
    • C25B9/60Constructional parts of cells
    • C25B9/63Holders for electrodes; Positioning of the electrodes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B11/00Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for
    • C25B11/02Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for characterised by shape or form
    • C25B11/036Bipolar electrodes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B9/00Cells or assemblies of cells; Constructional parts of cells; Assemblies of constructional parts, e.g. electrode-diaphragm assemblies; Process-related cell features
    • C25B9/70Assemblies comprising two or more cells
    • C25B9/73Assemblies comprising two or more cells of the filter-press type
    • C25B9/75Assemblies comprising two or more cells of the filter-press type having bipolar electrodes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/36Hydrogen production from non-carbon containing sources, e.g. by water electrolysis

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)

Abstract

電極間の狭い間隙および改善されたエネルギー効率を有する、溶液を電気分解するための非分割電解槽が開示される。本発明の電解槽は、いずれも溶液に対して透過性である、多孔質アノード、多孔質カソード、およびそれらの間の電気絶縁性セパレータを含む。電気分解は、溶液が多孔質アノード、電気絶縁性セパレータ、および多孔質カソードを通過するように誘導されながら行われる。電気分解中に生成した気体生成物は、溶液とともに運び出され、電極間には残存せず、それによって「ガスブラインディング」が軽減される。本発明の電解槽は塩素酸塩電気分解に特に適している。

Description

本発明は、エネルギー効率のよい電気分解のための非分割槽に関し、特に、非分割塩素酸塩電解槽に関する。
好適な反応物を含有する溶液を電気分解し、それによって電気分解の種々の生成物を生成するための電解槽を用いて、多数の化学物質が工業規模で製造される。これに関して、2つの基本的な種類の電解槽、すなわち分割槽および非分割槽が存在する。両方の種類の槽で、ある種のイオンが電極間を移動することができる。しかし、分割槽では、ある方法では、槽のそれぞれの側で反応物および生成物の大部分またはすべてが分離して維持されるように、槽のカソード側およびアノード側が分離(分割)される。他方、非分割槽では、槽のカソード側およびアノード側は分離されず(非分割であり)、槽のそれぞれの側の反応物および生成物は混合しうる。
たとえば、クロルアルカリ電気分解によって、典型的には水酸化ナトリウムが、水素および塩素とともに生成する。クロルアルカリ電気分解法では、塩化ナトリウム溶液の電気分解に分割電解槽が使用される。さまざまな種類の分割槽が商業的に使用されており、そのようなものとしては水銀式、隔膜式、および膜式の槽の種類が挙げられる。水銀槽では、液体水銀によって槽中の分離が行われる。電気分解中、アノードで塩素ガスが生成する。水銀カソードでナトリウムが形成され、液体水銀中に溶解してアマルガムを形成し、次にそれが別のチャンバーまで送られて、そこでナトリウムは水と反応して水酸化ナトリウムおよび水素を生成する。隔膜槽では、部分的に水力学的透過性の隔膜(典型的には石綿繊維でできている)によって、槽中の分離が行われる。塩化ナトリウム溶液がアノード区画に連続的に供給され、隔膜を通過してカソード区画まで流れる。電気分解中、この場合もアノードで塩素が生成し、一方、カソードでは水酸化ナトリウムおよび水素が生成する。生成物の水酸化ナトリウム溶液はカソード区画から連続的に取り出される。隔膜は塩素ガスがカソード区画まで到達するのを防止し、隔膜を透過する溶液の連続流は、水酸化ナトリウムがアノード区画に逆流するのを防止し、それによって塩素および水酸化ナトリウムの反応が防止される。膜槽では、イオン選択透過性膜によって槽中の分離が行われる。電気分解中、この場合もアノードで塩素が生成し、ナトリウム陽イオンは膜を透過してカソード側まで移動し、そこで水酸化ナトリウムおよび水素が生成する。
数十年にわたって、多数の改良および改善がクロルアルカリ電解槽に対して行われている。たとえば、米国特許第3,242,059号明細書には、隔膜自体の厚さおよび薄いアノード支持部材の厚さを除けば、アノード−カソードの間隙をなくすことができる隔膜式電解槽が開示されている。また、たとえば米国特許第4,279,731号明細書には、隔膜式または膜式の一連の分割電解槽を含む双極電解装置が開示されている。これらの槽は、分割する隔膜または膜に接近することができる、または押し付けることができるスクリーンまたはエキスパンドメタルの電極を含んでいる。この設計によって、電解質の内部再循環、および電極表面上への均一な分布が得られている。そしてさらに、双極セパレータを介して各双極要素中の電極の電気的接続が改善されている。
別の一例では、典型的には、塩化ナトリウムの溶液の電気分解も含むが非分割電解槽が使用される塩素酸塩電気分解プロセスによって、塩素酸ナトリウムが生成される(塩素酸ナトリウムは、主として、後に二酸化塩素を生成するための前駆体として生成される。二酸化塩素は比較的不安定であり、輸送および保管が困難であるので、通常は必要に応じて現場でのみ生成される)。しかし塩素酸塩プロセスは、電気化学反応および化学反応の両方の複雑な組を含み、電解質のpH、温度、組成、および濃度などの種々の操作パラメータの厳格な制御が必要である。クロルアルカリプロセスのように、電気分解中、アノードで塩素ガスが生成し、カソードで水素およびヒドロキシルイオンが生成する。しかし、塩素酸塩プロセス中、生成した塩素は、槽の溶液中に存在するヒドロキシルイオンと直ちに化学反応して主として次亜塩素酸塩を生成し、これが溶液中に存在するナトリウムイオンとともに次亜塩素酸ナトリウムを生成する。次亜塩素酸塩はこのプロセスの中間体であり、次に、電解質溶液中の他の化学種との化学反応によって塩素酸塩に変換される。通常、この変換は、高温で操作され塩素酸塩電解装置の下流に配置される化学反応器中で行われる。塩素酸ナトリウム電気分解の全体的なレビューは、たとえば、“Electrolytic Sodium Chlorate Technology:Current Status”,B.V.Tilak,ECS Proceedings Vol.99−21,Page 8,Chlor−alkali and Chlorate Technology:R.B.Macmullin Memorial Symposiumに見ることができる。
塩素酸塩電気分解プロセスでは、槽溶液中の様々な種が互いに容易に化学反応することが意図され、したがってこの場合は非分割電解槽が使用される。長年にわたってこのような非分割電解槽に対する多数の改良および改善も行われている。特に、塩素酸塩電解装置のエネルギー効率を改善し、それによって製造に必要な電力消費および運転費を削減することが非常に望ましくなっている。これまで導入された設計および複雑な制御のあらゆる向上にもかかわらず、エネルギー効率に望ましくない影響を与える、現在の塩素酸塩電解装置の抵抗損失のいくつかの原因が依然として存在する。
抵抗損失は、電解装置中の種々の金属部品の間に見られる多数の電気的接続で発生する。したがって、可能であれば、電流が移動するために必要な経路長を減少させることが望ましい。したがって、双極電解装置構造が好ましくなりうる。さらに、電解質の抵抗によって損失が生じ、この抵抗は、一般に、アノード電極およびカソード電極の間の経路長または間隙とともに増加する。したがって、アノードおよびカソードの間で可能な最小限の間隙が好ましいと思われる。しかし、操作中、電気分解電流の関数となる速度で、水素ガスがカソードで連続的に生成する。この生成した水素によって、槽電極間の電解質が置換され、電極間に残存する電解質の実効抵抗が増加する(「水素ブラインディング」(hydrogen blinding)として知られている)。生成する水素の体積、したがって置換される電解質の体積は、アノードおよびカソードの間の間隙とは実質的に独立している。したがって、狭い間隙の槽の場合、アノードおよびカソードの間の間隙の減少により生じる抵抗損失のあらゆる改善は、水素ブラインディングの悪影響によって少なくとも部分的に相殺される。ある時点で、間隙の任意のさらなる減少によって、実際に操作中の電極間の抵抗が増加する。したがってあるトレードオフが必要となり、従来の塩素酸塩電解槽は、典型的にはアノードとカソードとの間に有効なゼロではない間隙を有し、その場合に、間隙と水素置換との複合効果による損失が最小限となっている。
米国特許第3,242,059号明細書 米国特許第4,279,731号明細書
一般に化学物質の工業的製造のための電解装置のエネルギー効率の改善が希望され続けている。さらに特に、塩素酸ナトリウムおよびその他の関連する化学物質を製造するための非分割電解槽を含む電解装置のエネルギー効率の改善が希望されている。本発明は、その希望に対処し、以下に議論するような別の利点を提供する。
本発明は、溶液の電気分解のエネルギー効率を改善するための非分割電解槽の新規設計および操作方法を提供する。本発明の槽は、電極間の狭い間隙を特徴とし、使用される多孔質設計(両方の電極およびそれらの間の絶縁性セパレータの場合)によって、生成したガスを電極の「ブラインディング」なしに除去することができる。
特に、非分割電解槽は、多孔質アノード、多孔質カソード、およびそれらの間の電気絶縁性セパレータを含み、これらすべては溶液が透過性である。さらに、電解槽は、表面が多孔質アノード、および多孔質アノードに電気的に接続されたアノード電流担体を含むアノード区画と、表面が多孔質カソード、および多孔質カソードに電気的に接続されたカソード電流担体を含むカソード区画とを含む。さらに、槽の底部に溶液の入口が存在し、槽の上部に溶液およびあらゆる気体生成物の出口が存在する。溶液入口は、アノード区画またはカソード区画にいずれかに設けることができ、次に、溶液出口はこれら2つの区画の他方に設けられる。ここで、入口区画は、これら2つの区画のいずれかであって入口を含む区画を意味し、出口区画は、2つの区画のいずれかであって出口を含む区画を意味する。好ましい一実施形態では、入口区画はアノード区画であり、出口区画はカソード区画である。
本発明の電解槽は、電気分解される溶液中の主成分がNaClおよび水である塩素酸塩電気分解に特に好適である。しかし、典型的には溶液は再循環され、したがって電気分解の生成物、さらには後の化学反応の生成物(たとえば次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、溶存する塩素ガスおよび水素ガス)をある量で含む場合もある。さらに、当技術分野において周知のように、塩素酸塩の形成を促進するために溶液中に添加剤を含めることもできる(たとえば二クロム酸ナトリウム)。
電解槽中の多孔質アノードは、有利には、適切なコーティングを有するエキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできていてよい。さらに、従来の好ましい金属をアノードに使用することができ、たとえばチタンを使用することができる。同様に、多孔質カソードも、エキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできていてよい。さらにこの場合も、従来の好ましい金属をカソードに使用することができ、たとえばニッケルフリーステンレス鋼または軟鋼を使用することができる。
電解槽中の電気絶縁性セパレータは、溶液に対して適切に多孔質であり、電極間の十分な電気絶縁性が得られるのであれば、種々の構成であってよい。たとえば、電気絶縁性セパレータは、多孔質ポリマーシート、一連のポリマーボタン、または単なる適切な間隙であってよい。特に、非常に狭い間隙を実現するために好適な電気絶縁性セパレータの1つは多孔質フルオロポリマーシートである。あるいは、セラミックでできた類似の実施形態を電気絶縁性セパレータとして使用することができる。
前述したように、このような電解槽のエネルギー効率を改善することができる。部分的には、これは、従来の非分割電解槽中に使用される間隙よりも狭い間隙を電極間に使用できるためである。たとえば、アノードとカソードとの間の距離は約2mm未満であってよい。
代表的な一実施形態では、槽の構成要素は、セパレータおよびカソードの少なくとも1つの流動抵抗がアノードの流動抵抗よりも大きくなるように選択することができる。これによって電極間の圧力差が増加し、これは、カソード区画から槽の電気化学的に活性な領域への水素の逆流を防止するために有効となり得る。
ある実施形態では、アノード電流担体および/またはカソード電流担体の両方は皿(pan)形であってよく、一連の成形された特徴を含むことができる。また、ある実施形態では、多孔質アノードおよび多孔質カソードは、適切な組の導電性フィンガーによって、それぞれアノード電流担体およびカソード電流担体に電気的に接続することができる。
本発明は、双極配列で複数の前述の電解槽を含む電解装置をも含む。アノード電流担体およびカソード電流担体の両方が皿形であり、一連の成形された特徴を含む実施形態では、アノード電流担体中の一連の特徴が、双極配列で隣接するカソード電流担体中の一連の特徴と入れ子状になるように、これらの特徴を構成することができる。有利には、電解槽はモジュールとして製造することができる。したがって電解装置はモジュール方式であってよく、したがって個別の槽は、希望通りに容易に取り外して交換することができる。
このような電解装置では、槽中のアノードおよびカソードが鉛直方向に対してゼロより大きい角度(たとえば鉛直方向に対して垂直)に向くように、電解槽を積層することが(たとえばガスを除去する目的で)有利となりうる。
本発明の電解槽は、溶液の非分割電気分解のためのものである。そのような槽の操作方法は、溶液を入口区画中の溶液入口、および入口区画中に誘導するステップを含む。次にこの溶液は、多孔質アノードを通過し、電気絶縁性セパレータを通過し、多孔質カソードを通過する方向に向けられる。溶液入口および溶液出口の位置によるが、この方向はアノードからカソードまで、またはカソードからアノードまでであってよい。溶液の誘導中に電気分解電圧および電流がアノード電流担体およびカソード電流担体に印加され、それによって溶液が電気分解され、次に、溶液および気体生成物は出口区画中の溶液出口から排出される。好ましい一実施形態では、溶液入口および溶液出口はそれぞれアノード区画およびカソード区画に位置し、したがって溶液は、槽の内部でアノードからカソードへ向かう。溶液を適切に槽全体に誘導するために、電解槽は、アノード区画またはカソード区画のいずれにも他の入口を含まなくてよく、アノード区画中に出口を含まなくてよい。しかし、別の場合では、電解槽は、カソード区画中に好適な排液口、および/またはアノード区画中に通気口を含むことができる。さらに、カソード区画は、有利には、気体生成物出口に向けて上方に気体生成物を誘導するための特徴を含むことができる。
塩素酸塩の電気分解のための典型的な一実施形態では、本操作方法は、溶液をカソード区画中の溶液出口から、アノード区画中の溶液入口に再循環させるステップも含む。
(図1a)従来技術の双極塩素酸塩電解装置の槽ユニットの概略図を示している。この槽ユニットは、多数の非分割単極塩素酸塩電解槽を含む。(図1b)図1aの電解槽中で発生する主な反応および水素ガス生成物を示している。 (図2a)本発明の塩素酸塩電解槽の概略図を示している。(図2b)図2aの電解槽中で発生する主な反応および水素ガス生成物を示している。 図2aの本発明の塩素酸塩電解槽の一連のスタックを含む双極電解装置の概略図を示しており、槽中のアノードおよびカソードは鉛直方向に向けられている。 図3の双極電解装置の概略図を示しており、槽中のアノードおよびカソードは鉛直方向に対して垂直に向けられている。 本発明の塩素酸塩電解装置を含む塩素酸塩製造システムの概略図を示している。 実施例の本発明および比較用の電解槽で得られた分極結果をプロットしている。
文脈上で別のことが必要となるのでなければ、本明細書および請求項の全体にわたって、単語「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、および同様のものは、制限のない包括的な意味で解釈されるべきである。単語「a」、「an」、および同様のものは、少なくとも1つを意味し、ちょうど1つに限定されるものでないと見なすべきである。
さらに、以下の定義が意図される。数値に関する状況で、単語「約」は±10%を意味すると解釈すべきである。
前述したように、電解槽は、分割式または非分割式のいずれかの槽であってよい。両方の場合で、ある種のイオンは電極間を移動することができる。しかし、分割槽は、ある方法では、槽のそれぞれの側で反応物および生成物の大部分またはすべてが分離して維持されるように、槽のカソード側およびアノード側が分離(分割)される槽である。非分割槽は、槽のカソード側およびアノード側が分離されず(非分割であり)、槽のそれぞれの側の反応物および生成物が混合されうる槽である。
本明細書において、用語「電気絶縁性セパレータ」は、非分割電解槽の場合に使用され、アノード電極およびカソード電極の間を電気的に分離するための種々の材料、構成要素、または手段のいずれかを意味する。したがってこれは、多孔質シート材料、ボタンなどのスペーサー、または単純に電極間の間隙(すなわち空間)を含むことができる。
用語「ルーバー付き」が多孔質槽電極の状況で使用され、これは、典型的には規則的に間隔があけられた(たとえば窓のブラインドを連想させる)、一連の角度の付いた開口部(それによって電極が多孔質となる)を含む電極を意味する。
本発明は、より良いエネルギー効率を得るための非分割電解槽の改善された設計および操作方法に関する。本発明は、塩素酸塩の電気分解への使用に特に好適である。
従来技術の代表的な双極塩素酸塩電解装置の槽ユニットの概略図を図1aに示す。槽ユニット1は、アノード保持板2およびカソード保持板3を含む。複数の中実アノード板4がアノード保持板2の側面に対して垂直に取り付けられる。同様の方法で、複数の中実カソード板5がカソード保持板3の側面に対して垂直に取り付けられる。これらの組立体は次に、アノード板4がカソード板5と交互に配置されるように、図のように構成される。隣接するアノード板4およびカソード板5の組のそれぞれが電解槽を形成する。それぞれの保持板2、3に適切な間隔で板4、5を取り付けることによって、各アノード板およびカソード板の間で所望の間隔が得られる。
次に、2つ以上の槽ユニット1を連続スタックで組み合わせることによって双極電解装置が作製され、すなわち1つの槽ユニットのアノード保持板2の平坦面が、第2の槽ユニットのカソード保持板3の平坦面に取り付けられる。(通常は、たとえばそれぞれの極性で異なる金属が使用されるので、爆着によって、保持板が互いに溶接される)。この種類の双極配列は、多単極構成として当技術分野において知られている。
塩素酸塩電気分解用の溶液は、主として水溶液中の塩化ナトリウムを含有する。しかし、この溶液は、通常は再循環され、したがって電気分解の生成物、さらには後の化学反応の生成物(たとえば次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、塩素、および水素ガス)をある量で含む。さらに、塩素酸塩の形成を向上させるために、通常はある種の添加剤(たとえば二クロム酸ナトリウム)も含まれる。操作中、この溶液は、多数の電解槽の底部(図1a中に矢印6で示される)に供給され、アノード板およびカソード板4、5の間を上方に流れる。アノード板およびカソード板4、5の間を溶液が移動するときに、ある種の化学反応を伴って電気分解が起こる。電気分解およびこれらの化学反応の生成物を含む収集された溶液は、電解槽の上部(図1b中の矢印7で示される)で除去される。
図1bは、塩素酸塩電気分解プロセスで生じる主要な電気化学反応および化学反応を示している。アノード板4では、電気化学反応1):
1)2NaCl→Cl+2e+2Na
が起こる。
カソード板5では、電気化学反応2):
2)2HO+2e→H↑+2OH
が起こる。
電気分解生成物および溶液は個別に、すなわち分割されて維持されず、一方、溶液は槽電極間を移動するので、電気分解によって生成した塩素は、化学反応3)により溶液中の成分と迅速に反応する。
3)2Na+2OH+Cl→NaCl+NaOCl+H
図1bに示されるように、反応2)により生成した水素ガスは気泡8を形成し、アノード板4およびカソード板5の間の溶液電解質と置換する。次に、水素8および収集された溶液は、電解槽の上部(矢印7)から除去される。反応3)により生成したNaOClは、製造プロセスの後の段階で高温の化学反応器中で塩素酸ナトリウムに変換される。したがって塩素酸塩製造システム中の全体の反応4)は:
4)NaCl+3HO→NaClO+3H
となる。
電極間の溶液電解質の実効抵抗の増加によって、および/または「ガスブラインディング」(gas blinding)(この場合、カソード表面への到達が妨害される)によって、ある程度は水素気泡8が電気分解プロセスを妨害する。したがって、アノード板4およびカソード板5の間の間隙は、これらの影響による実質的な悪影響を受けることなく小さくしすぎることはできない。
しかし、本発明の塩素酸塩電解槽では、生成した水素ガスは、アノード電極およびカソード電極の間から、電気分解領域の外に迅速に除去される。電解質の抵抗のあらゆる増加およびガスブラインディングは大幅に減少し、電極を互いにはるかに近づけることができ、それによって電極間の溶液の電解質の抵抗を低下させ、エネルギー効率を増加させることができる。電極間の水素気泡の存在により生じるあらゆる悪影響をさらに減少させるために、電解槽での圧力低下を増加させることが有益な場合があり、それによって電極間の空間中に水素が逆移動するのを有利に防止することができる。このような大きな圧力低下は、一般に、セパレータおよびカソードの少なくとも1つの流動抵抗がアノード流動抵抗よりも大きくなるように槽の構成要素を選択することによって、電解槽中に設計することができる。当業者には容易に明らかとなるように、これはたとえばこれらの種々の構成要素の相対的な細孔特性を適切に修正することによって実現できる。
本発明の改善された塩素酸塩電解槽を図2aの概略図に示す。電解槽10は、多孔質で電気絶縁性のセパレータ11によって分離された多孔質アノード14および多孔質カソード15を含む。多孔質アノード14は、導電性フィンガーのいくつかの組18によってアノードパン12に電気的に接続される。アノードパン12は、槽のアノード電流担体として機能する。同様の方法で、多孔質カソード15は、導電性フィンガーのいくつかの組19および支柱20によってカソードパン13に電気的に接続される。カソードパン13は、槽のカソード電流担体として機能する。
さらに、電解槽10は、アノードパン12、アノード14、カソード15、およびカソードパン13を封止するためのシール21を上部および底部の両方に含む。このように封止されたアノード14およびアノードパン12は、塩素酸塩溶液のアノード区画の表面を形成する。同様の方法で、封止されたカソード15およびカソードパン13は、塩素酸塩溶液のカソード区画の表面を形成する。図2aに示される実施形態では、アノード区画は溶液の入口22を含み、一方、カソード区画は溶液および水素ガスの出口23を含む。(実際の実施形態では、入口で溶液を分配するために分配器を使用することもできるが、図2aには示していない。さらに、その代わりに、原則としては、溶液入口および溶液出口は互いに反対側の区画、すなわちカソード区画およびアノード区画にそれぞれ配置できることに留意されたい。このような配置は、ほとんどの用途で最適ではない場合があるが、それでもこれが機能的となると予想され、これを考慮することができる)。カソード区画は、水素ガス出口23に向かって上方への水素ガス生成物の誘導を支援する特徴(図2aには図示せず)を場合により含むことができる。このような特徴としては、成形されたバッフル、およびこの目的のための同様のものを挙げることができる。
電解槽10中、溶液は、図1bの従来技術の槽のようにアノード板4およびカソード板5の間を上方に移動するのではなく、強制的に多孔質アノード14、そして次に多孔質カソード15に流される。ここで、溶液は溶液入口22に供給され(矢印16で示される)、アノード区画に入り、強制的に多孔質アノード14に通され、多孔質セパレータ11を通過し、多孔質カソード15を通過して、カソード区画中に入る。収集された溶液および水素ガスは次に出口23から出るように誘導される(矢印17で示される)。溶液が完全に多孔質アノード14および多孔質カソード15を通過するように確実に誘導するために、電解槽10は、アノード区画中に実質的な出口を含まなくてよく、アノード区画またはカソード区画のいずれかにも別の入口を含まなくてよい(ただし、アノード区画の上部で収集される水素を排出するために、小さなブリード出口を典型的には設けることができる)。
アノード14およびカソード15の両方は、溶液に対して高い透過性であることが望ましい。しかし、前述したように、槽中の望ましい圧力低下を誘導するために、前者が後者よりも高い透過性であることが有利となりうる。種々の設計の選択肢を利用できるが、これらの電極のいずれかまたは両方にエキスパンドメタルを使用することが有利な選択となる。あるいは、図2b中のアノード14およびカソード15の両方により明確に示されるように、ルーバー付き金属電極を使用することができる。ルーバー付き金属は、溶液および生成した水素ガスを上方に誘導し電気分解領域から出すことを支援するために、角度の付いた複数の開口部またはスロットを有することができる。しかし、多数の孔が開けられた板、焼結金属繊維でできたシートなどの多くの別の設計の選択肢が、いずれかまたは両方の電極で可能である。塩素酸塩電気分解では、アノードおよびその他のアノード装置は典型的には被覆されたチタンでできており、カソードおよびその他のカソード装置は典型的にはニッケルフリーステンレス鋼またはある種の軟鋼でできている。
多孔質の電気絶縁性セパレータ11も、溶液に対して高い透過性であることが望ましい。さらに、化学反応物および生成物と適合性となるべきである。さらに、信頼性のある絶縁性分離を実現するためのあらゆる手段を使用することができる。たとえば、セパレータ11は、単に電極間の間隙であってよい。しかし、狭い間隙を得ながら、電極間で信頼性のある電気的分離を依然として維持するために、一部の多孔質で電気絶縁性の間隙材料を使用することが一般に望ましい。たとえば、アノード14とカソード15とを間隔をあけて配置するために多数のポリマーボタンを使用することができる。または望ましい一実施形態では、多孔質ポリマーシートが使用されるが、その理由は、このようなシートは非常に薄いが堅牢に製造することができ、アノードおよびカソードの間の距離を約2mm未満(間隙に依拠する従来の塩素酸塩電解槽の典型的な最小値)にすることができるからである。電解装置中の腐食性で要求の厳しい環境に耐えることができるので、種々のフルオロポリマーをセパレータ11に好適な材料として使用できる。あるいは、ある種のセラミックをセパレータ11に好適な材料として使用することができる。材料は疎水性の表面特性を有することができる。あるいは、親水性材料は、水素の遊離を減少させることで性能をさらに改善することができる。
図2a中、電気分解電流の主要な電流担体は、アノードパン12およびカソードパン13である。電流は、導電性フィンガーの組18によってアノード14からアノードパン12に分配される。さらに電流は、導電性フィンガーの組19および接続用支柱20によってカソード15からカソードパン13まで誘導される。この場合も、このアノード装置およびカソード装置は典型的には、被覆されたチタン、およびニッケルフリーステンレス鋼または軟鋼でそれぞれできている。
構造強度を得るため、および多槽双極電解装置の組立中に槽を配置し槽を電気的に接続するために、アノードパン12およびカソードパン13は、内部に形成された相補的な特徴の組を含むことができる。図2a中、アノードパン12およびカソードパン13は、円錐形の特徴、すなわち12aおよび13aの相補的な組をそれぞれ含み、これらはこの目的のために内部に形成されている(このような槽を用いて作製された代表的な双極電解装置は後の図3および4中に見られる)。
図2bは、図2aの電解槽中で発生する主な反応および水素ガス生成物を示している。図1aと同じ電気化学反応および化学反応がこの場合も発生する。しかし、この場合は、供給された溶液(矢印16で示される)は、多孔質アノード14、セパレータ11、および多孔質カソード15を通過して流れる。この通過中に電気分解が起こり、収集された溶液および水素ガス生成物24は矢印17で示されるように除去される。図1b槽とは異なり、発生した水素気泡24は、溶液とともにアノード14およびカソード15の間の領域から、カソード区画中に迅速に送られる。このようにしてガスブラインディングが実質的に減少する。発生した塩素と溶液中の成分との化学反応が、セパレータ11中、多孔質カソード15、および/またはカソード区画内で生じうることに留意されたい。
図2aおよび2bの塩素酸塩電解槽の操作は、一般に従来の塩素酸塩電解槽と同様である。たとえば、反応物、濃度、温度、および圧力はすべて同じまたは同様であってよい。しかしこの場合も、前述のように、カソード区画から槽の電気化学的に活性な領域への水素の逆流を防止するために、槽の圧力低下を増加させることが有利となりうる。
図2aに示される種類の電解槽は、双極構成の電解装置を作製するために容易に使用できる。図3は、直列で図2aの4つの塩素酸塩電解槽10のスタックを含むそのような双極電解装置の概略図を示している。
双極電解装置30中、その中の槽中のアノード14およびカソード15が鉛直方向に向くように4つの塩素酸塩電解槽10が積層される。さらに、アノードパン12中の相補的な特徴12aが、隣接するカソードパン13中の特徴13aと入れ子状になり、それによって確実に槽が互いに十分に配置され、十分に電気的に接続されるように、電解槽10が積層される。本発明の利点の1つは、電解槽をモジュールとして作製することができ、そのため希望通りに容易に取り外して交換できることである。
図3に示す実施形態では、双極電解装置30は、個別の電解槽10中の溶液入口23に溶液を分配する一連の溶液供給ヘッダー31(各電解槽10に1つ)を含む。供給ヘッダー31には、一連の溶液供給管32によって液体が供給される。双極電解装置30は、個別の電解槽10の出口23から溶液および水素ガスを収集するヘッダーとして機能する一連のコレクター/脱気ヘッダー33(この場合も各電解槽10に1つ)をも含む。次亜塩素酸塩および電気分解の他の溶存生成物を含む収集された溶液は、出口管34によって電解装置30から除去される。収集された水素ガスは次に分岐管35によって出口管34から分離される。希望するなら、電解装置30は、カソード区画中の好適な排液口、および/またはアノード区画中の通気口も含むことができる。
本発明の双極電解装置中の槽の異なる代表的な方向を図4に示している。この場合、双極電解装置40は、槽中のアノード14およびカソード15が鉛直方向に対して垂直の方向となるように向けられる。特に、電解装置40は、個別の電解槽中でアノード14の上にカソード15が存在するように向けられる。槽および構造のその他の詳細に使用される構成要素に依存して、この向きによって水素ガス副生成物の除去を改善することができる。
次に、図3および4に示される種類の電解装置は、他の従来の塩素酸塩製造システムの効率を改善するために使用することができる。それに関して、図5は、本発明の塩素酸塩電解装置を含む商業用塩素酸塩製造システムの概略図を示している。
商業用塩素酸塩製造システム50は、比較的複雑であり、順に、塩および水供給装置51、ブライン飽和器52、ガードフィルター53、イオン交換サブシステム54、ブラインライン55、塩素酸塩反応器56、溶液入口ライン57、本発明の塩素酸塩電解装置58、収集溶液出口ライン59、塩素酸塩結晶化サブシステム61、およびライン62を含み、これらは図示されるように相互接続されている。電気分解用のブラインはブライン飽和器52中で調製される。塩(たとえば蒸発塩)の好適な供給源および脱塩水の供給装置が塩および水供給装置51に設けられる。そこから、ブラインはブラインライン55からガードフィルター53まで、次にイオン交換サブシステム54まで、最後に塩素酸塩反応器56まで誘導され、そこで塩素酸塩電解装置58からの生成物と混合されることで、電解装置供給材料中の塩含有量が維持される。溶液入口ライン57を介して、塩素酸塩反応器56により、塩素酸塩およびブラインの両方を含む電気分解用電解質溶液が塩素酸塩電解装置58まで誘導される。そして、収集溶液出口ライン59を介して、電気分解された塩素酸塩溶液は塩素酸塩電解装置58から塩素酸塩反応器56に戻される。生成した水素ガスはライン60から除去される。
濃縮生成物の塩素酸塩溶液は、塩素酸塩反応器56から塩素酸塩結晶化サブシステム61に誘導され、そこで塩素酸塩生成物は、より濃縮された塩素酸塩溶液から結晶化して、62で除去される。結晶化後の残留溶液は、再循環ライン63を介して塩素酸塩反応器56に再循環される。時間が経つと、不純物が再循環ライン56中に蓄積することがある。これらの不純物は種々の方法で除去することができる。たとえば、図5中の塩素酸塩電気分解システム50は、再循環ライン63と並列で接続される副流サブシステム64を含む。副流サブシステム64中の構成要素の構成およびそれらの操作は、国際公開第2014/029021号パンフレットに十分に記載されている。
本発明の電解装置は、図5に示されるような商業用塩素酸塩製造システム以外の塩素酸塩製造システムまたはサブシステムに使用することもできる。たとえば、本発明の塩素酸塩電解装置は望ましくは、一体化された二酸化塩素製造システムの一部を形成する塩素酸塩製造サブシステム中に使用することができる。代表的なそのようなシステムの1つは、2つの中間生成物の塩素酸ナトリウム(NaClO3)および塩酸(HCl)、ならびに最終生成物の二酸化塩素(ClO2)を生成するための3つのプラント領域からなるChemeticsの一体型二酸化塩素システムである。このようなシステムでは、塩素酸ナトリウムは、望ましくは、強い塩素酸ナトリウム溶液を製造するために本発明の電解装置を使用する塩化ナトリウム溶液の電気分解によって製造することができる。この反応のための塩は、二酸化塩素製造領域からの再循環された副生成物である。水素ガスは、塩素酸ナトリウムとともに生成され、塩酸製造のための原材料として使用される。塩酸は、塩素ガスおよび水素ガスを燃焼させることによって生成される。水素ガスは塩素酸ナトリウム電気分解領域から得られる。補給塩素ガスは、プラントの電池の限界に由来する。二酸化塩素生成領域の再循環副生成物である弱い塩素ガスは、水素ガスとともに燃焼させる前に、この塩素補給流と混合される。二酸化塩素発生装置中で強い塩素酸塩溶液および塩酸を混合することによって、二酸化塩素ガスが塩素ガスおよび塩化ナトリウム(塩)とともに生成する。二酸化塩素ガスは冷水中に吸収され、次に空気を用いてストリッピングして残留塩素を除去することで、典型的にはECFパルプ工場漂白プラントにおける商業用途の高純度二酸化塩素溶液が生成される。発生装置から出た溶液は、未反応の塩素酸ナトリウムおよび副生成物塩を含有する。弱い塩素酸塩溶液と呼ばれるこの溶液は、再濃縮のために塩素酸ナトリウム電気分解領域に戻されて再循環される。吸収されていない塩素副生成物(弱い塩素)は、塩酸製造のために再循環される。現在のChemeticsの一体型二酸化塩素システムは、たとえば、“Adopting the Integrated Chlorine Dioxide Process for Pulp Bleaching to Comply with CREP Regulations”;A.Barr et al.,IPPTA,J.Vol.21,No.1,Jan−March,2009 121−127により詳細に記載されている。
本発明の方法は、塩素酸塩電気分解への使用に特に好適である。しかし、非分割電気分解を伴うあらゆるプロセス、たとえば次亜塩素酸塩の製造、過塩素酸塩の製造、過マンガン酸カリウムの製造が、本発明の設計および方法の恩恵を受けることができる。さらに、本発明の使用によって、使用される電解装置の設計および/または構成のより高い自由度を得ることができる。たとえば、従来の塩素酸塩電解装置は、生成する水素ガスの量に起因する槽の高さの実際的な限界を有する。しかし、このような制限を本発明の電解装置に適用しなくてもよく、したがってより高い槽を実際の実施形態で考慮することができる。
以下の実施例は、本発明のある態様を説明するために含まれるが、これらは決して限定であると解釈すべきではない。
(実施例)
本発明の槽の特性を従来の槽の特性と比較するために、実験室型の塩素酸塩電解槽を作製して操作した。
皿形アノード区画および皿形カソード区画を含む本発明の電解槽を作製した。両方の区画はグレード2チタンでてきており、幅約38cm、高さ23cm、および深さ2.2cmの寸法を有した。多孔質アノード、多孔質カソード、およびそれらの間の電気絶縁性セパレータを含む槽組立体を、皿形のアノード区画およびカソード区画の縁の間に互いに挟んだ。アノード区画およびカソード区画の縁は、アノードおよびカソードの端部にそれぞれ直接接触し、したがってそれらに電気的に接続されて、アノード電流担体およびカソード電流担体としてそれぞれが機能した。セパレータは、アノードおよびカソードの端部をわずかに越えて延在した。電解槽は、延在するセパレータの端部と、アノード区画およびカソード区画の縁との間を適切な形状のガスケットで互いにボルト締めすることによって封止した。
アノードおよびカソードの両方には、エキスパンドチタンメッシュ(厚さ約1mmである、菱形の寸法が約3mm×1.5mmであり開放領域が約50%である菱形開口部を有する)でできた基材を使用し、したがってアノードおよびカソードの両方が槽溶液に対して透過性となった。組立前に、両方の基材は、サンドブラストおよび酸エッチングプロセスによって処理し、次に混合金属酸化物(主としてRuO、IrO、およびTiO)を含む触媒をコーティングした。
発泡PTFEメッシュを槽セパレータとして使用し、それによって槽の溶液に対してセパレータが透過性となった。このPTFEメッシュは厚さが約0.95mmであり、アノード基材およびカソード基材の開口部の約1/2の大きさの寸法の菱形開口部を有した。しかし、これに加えて、流動性および性能を改善するために、さらなるより長い開口部をセパレータから切り取った。特に、9つの均等な間隔の長方形の開口部(約32mm×83mmの寸法)をセパレータ表面から切り取った。
槽組立体の有効表面(すなわち電解槽のシール中の表面)は約10cm×25cmの寸法であった。電解槽は鉛直方向に向けられ、アノード区画の底部の3つの溶液入口と、カソード区画の上部の3つの溶液および気体生成物出口とを有した。これらの溶液入口および出口は、均等に間隔が開けられ、直径約13mmであった。電解槽を出入りする槽溶液の流れをより均一にするために、アノード区画およびカソード区画のそれぞれの中に溶液分配器を使用した。アノードおよびカソードの分配器は、溶液の入口および出口のすぐ近くの区画中に配置した。両方の分配器は、寸法が約16mm×22mm×25cmであり、それぞれが均等な間隔で分布する直径約6mmの8つの孔を含んだ。
従来の塩素酸塩電解槽と類似の方法で(たとえば図1bで示されるように運転するため)、商業的使用に最適化された比較用の電解槽を作製した。この場合、アノードには、前述の本発明の槽と同様の方法で作製され混合酸化物触媒がコーティングされた中実のチタン板(厚さ約2mm)を含む基材を使用した。カソードは、触媒コーティングを有さない中実の鋼板(厚さ約3mm)であった。アノードおよびカソードの間で約2mmの間隙で周囲にガスケットを使用することによってアノードおよびカソードを分離した。この比較用の電解槽は、アノードおよびカソードの間の間隙の底部に到達する溶液入口と、間隙の上部の溶液出口とを有した。
試験の目的で使用した電解質は、450/110/5gplの濃度のNaClO/NaCl/NaCrの組成を有する慣習の塩素酸塩溶液であった。本発明の電解槽では、電解質は、アノード区画の底部の溶液入口中に流入し、その中の溶液分配器を通り、多孔質アノード、多孔質セパレータ、および多孔質カソードを通過し、次にカソード区画中の溶液分配器を通過して、最後にカソード区画の上部から流れ出た。比較用の槽では、電解質は、槽底部の溶液入口から、アノードおよびカソードの間の間隙を通過し、次に槽上部の溶液出口から流出した。これらの槽は最初に、電流密度3kA/m(電極の活性領域を基準とする)、pH6、および温度80℃で操作することによって4.5日間コンディショニングした。その後、電解質の温度を90℃まで上昇させ、0.5〜5kA/mの電流密度範囲にわたって各槽の分極結果(すなわち電圧対電流密度)を求めた。使用した電解質流量は約100l/hであった。
図6は、本発明および比較用の電解槽で得られた分極結果をプロットしている。本発明の電解槽の槽電圧は、試験した電流密度の全範囲にわたって従来の電解槽よりも顕著に良好であり、たとえば、4kA/mにおいて約620mV低い。
本明細書において参照される上記の米国特許、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、それら全体が参照により本明細書に援用される。
本発明の特定の要素、実施形態、および用途を示し説明してきたが、当然ながら、本発明がそれらに限定されるものではないことを理解されるであろうが、その理由は、特に上記の教示を考慮すれば、本開示の意図および範囲から逸脱せずに当業者による修正が可能であるからである。このような修正は、本明細書に添付の請求項の意図および範囲の中にあると見なすべきである。
本発明は、エネルギー効率のよい電気分解のための非分割槽に関し、特に、非分割塩素酸塩電解槽に関する。
好適な反応物を含有する溶液を電気分解し、それによって電気分解の種々の生成物を生成するための電解槽を用いて、多数の化学物質が工業規模で製造される。これに関して、2つの基本的な種類の電解槽、すなわち分割槽および非分割槽が存在する。両方の種類の槽で、ある種のイオンが電極間を移動することができる。しかし、分割槽では、ある方法では、槽のそれぞれの側で反応物および生成物の大部分またはすべてが分離して維持されるように、槽のカソード側およびアノード側が分離(分割)される。他方、非分割槽では、槽のカソード側およびアノード側は分離されず(非分割であり)、槽のそれぞれの側の反応物および生成物は混合しうる。
たとえば、クロルアルカリ電気分解によって、典型的には水酸化ナトリウムが、水素および塩素とともに生成する。クロルアルカリ電気分解法では、塩化ナトリウム溶液の電気分解に分割電解槽が使用される。さまざまな種類の分割槽が商業的に使用されており、そのようなものとしては水銀式、隔膜式、および膜式の槽の種類が挙げられる。水銀槽では、液体水銀によって槽中の分離が行われる。電気分解中、アノードで塩素ガスが生成する。水銀カソードでナトリウムが形成され、液体水銀中に溶解してアマルガムを形成し、次にそれが別のチャンバーまで送られて、そこでナトリウムは水と反応して水酸化ナトリウムおよび水素を生成する。隔膜槽では、部分的に水力学的透過性の隔膜(典型的には石綿繊維でできている)によって、槽中の分離が行われる。塩化ナトリウム溶液がアノード区画に連続的に供給され、隔膜を通過してカソード区画まで流れる。電気分解中、この場合もアノードで塩素が生成し、一方、カソードでは水酸化ナトリウムおよび水素が生成する。生成物の水酸化ナトリウム溶液はカソード区画から連続的に取り出される。隔膜は塩素ガスがカソード区画まで到達するのを防止し、隔膜を透過する溶液の連続流は、水酸化ナトリウムがアノード区画に逆流するのを防止し、それによって塩素および水酸化ナトリウムの反応が防止される。膜槽では、イオン選択透過性膜によって槽中の分離が行われる。電気分解中、この場合もアノードで塩素が生成し、ナトリウム陽イオンは膜を透過してカソード側まで移動し、そこで水酸化ナトリウムおよび水素が生成する。
数十年にわたって、多数の改良および改善がクロルアルカリ電解槽に対して行われている。たとえば、米国特許第3,242,059号明細書には、隔膜自体の厚さおよび薄いアノード支持部材の厚さを除けば、アノード−カソードの間隙をなくすことができる隔膜式電解槽が開示されている。また、たとえば米国特許第4,279,731号明細書には、隔膜式または膜式の一連の分割電解槽を含む双極電解装置が開示されている。これらの槽は、分割する隔膜または膜に接近することができる、または押し付けることができるスクリーンまたはエキスパンドメタルの電極を含んでいる。この設計によって、電解質の内部再循環、および電極表面上への均一な分布が得られている。そしてさらに、双極セパレータを介して各双極要素中の電極の電気的接続が改善されている。
別の一例では、典型的には、塩化ナトリウムの溶液の電気分解も含むが非分割電解槽が使用される塩素酸塩電気分解プロセスによって、塩素酸ナトリウムが生成される(塩素酸ナトリウムは、主として、後に二酸化塩素を生成するための前駆体として生成される。二酸化塩素は比較的不安定であり、輸送および保管が困難であるので、通常は必要に応じて現場でのみ生成される)。しかし塩素酸塩プロセスは、電気化学反応および化学反応の両方の複雑な組を含み、電解質のpH、温度、組成、および濃度などの種々の操作パラメータの厳格な制御が必要である。クロルアルカリプロセスのように、電気分解中、アノードで塩素ガスが生成し、カソードで水素およびヒドロキシルイオンが生成する。しかし、塩素酸塩プロセス中、生成した塩素は、槽の溶液中に存在するヒドロキシルイオンと直ちに化学反応して主として次亜塩素酸塩を生成し、これが溶液中に存在するナトリウムイオンとともに次亜塩素酸ナトリウムを生成する。次亜塩素酸塩はこのプロセスの中間体であり、次に、電解質溶液中の他の化学種との化学反応によって塩素酸塩に変換される。通常、この変換は、高温で操作され塩素酸塩電解装置の下流に配置される化学反応器中で行われる。塩素酸ナトリウム電気分解の全体的なレビューは、たとえば、“Electrolytic Sodium Chlorate Technology:Current Status”,B.V.Tilak,ECS Proceedings Vol.99−21,Page 8,Chlor−alkali and Chlorate Technology:R.B.Macmullin Memorial Symposiumに見ることができる。
塩素酸塩電気分解プロセスでは、槽溶液中の様々な種が互いに容易に化学反応することが意図され、したがってこの場合は非分割電解槽が使用される。長年にわたってこのような非分割電解槽に対する多数の改良および改善も行われている。特に、塩素酸塩電解装置のエネルギー効率を改善し、それによって製造に必要な電力消費および運転費を削減することが非常に望ましくなっている。これまで導入された設計および複雑な制御のあらゆる向上にもかかわらず、エネルギー効率に望ましくない影響を与える、現在の塩素酸塩電解装置の抵抗損失のいくつかの原因が依然として存在する。
抵抗損失は、電解装置中の種々の金属部品の間に見られる多数の電気的接続で発生する。したがって、可能であれば、電流が移動するために必要な経路長を減少させることが望ましい。したがって、双極電解装置構造が好ましくなりうる。さらに、電解質の抵抗によって損失が生じ、この抵抗は、一般に、アノード電極およびカソード電極の間の経路長または間隙とともに増加する。したがって、アノードおよびカソードの間で可能な最小限の間隙が好ましいと思われる。しかし、操作中、電気分解電流の関数となる速度で、水素ガスがカソードで連続的に生成する。この生成した水素によって、槽電極間の電解質が置換され、電極間に残存する電解質の実効抵抗が増加する(「水素ブラインディング」(hydrogen blinding)として知られている)。生成する水素の体積、したがって置換される電解質の体積は、アノードおよびカソードの間の間隙とは実質的に独立している。したがって、狭い間隙の槽の場合、アノードおよびカソードの間の間隙の減少により生じる抵抗損失のあらゆる改善は、水素ブラインディングの悪影響によって少なくとも部分的に相殺される。ある時点で、間隙の任意のさらなる減少によって、実際に操作中の電極間の抵抗が増加する。したがってあるトレードオフが必要となり、従来の塩素酸塩電解槽は、典型的にはアノードとカソードとの間に有効なゼロではない間隙を有し、その場合に、間隙と水素置換との複合効果による損失が最小限となっている。
米国特許第3,242,059号明細書 米国特許第4,279,731号明細書
一般に化学物質の工業的製造のための電解装置のエネルギー効率の改善が希望され続けている。さらに特に、塩素酸ナトリウムおよびその他の関連する化学物質を製造するための非分割電解槽を含む電解装置のエネルギー効率の改善が希望されている。本発明は、その希望に対処し、以下に議論するような別の利点を提供する。
本発明は、溶液の電気分解のエネルギー効率を改善するための非分割電解槽の新規設計および操作方法を提供する。本発明の槽は、電極間の狭い間隙を特徴とし、使用される多孔質設計(両方の電極およびそれらの間の絶縁性セパレータの場合)によって、生成したガスを電極の「ブラインディング」なしに除去することができる。
特に、非分割電解槽は、多孔質アノード、多孔質カソード、およびそれらの間の電気絶縁性セパレータを含み、これらすべては溶液が透過性である。さらに、電解槽は、表面が多孔質アノード、および多孔質アノードに電気的に接続されたアノード電流担体を含むアノード区画と、表面が多孔質カソード、および多孔質カソードに電気的に接続されたカソード電流担体を含むカソード区画とを含む。さらに、槽の底部に溶液の入口が存在し、槽の上部に溶液およびあらゆる気体生成物の出口が存在する。溶液入口は、アノード区画またはカソード区画にいずれかに設けることができ、次に、溶液出口はこれら2つの区画の他方に設けられる。ここで、入口区画は、これら2つの区画のいずれかであって入口を含む区画を意味し、出口区画は、2つの区画のいずれかであって出口を含む区画を意味する。好ましい一実施形態では、入口区画はアノード区画であり、出口区画はカソード区画である。
本発明の電解槽は、電気分解される溶液中の主成分がNaClおよび水である塩素酸塩電気分解に特に好適である。しかし、典型的には溶液は再循環され、したがって電気分解の生成物、さらには後の化学反応の生成物(たとえば次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、溶存する塩素ガスおよび水素ガス)をある量で含む場合もある。さらに、当技術分野において周知のように、塩素酸塩の形成を促進するために溶液中に添加剤を含めることもできる(たとえば二クロム酸ナトリウム)。
電解槽中の多孔質アノードは、有利には、適切なコーティングを有するエキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできていてよい。さらに、従来の好ましい金属をアノードに使用することができ、たとえばチタンを使用することができる。同様に、多孔質カソードも、エキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできていてよい。さらにこの場合も、従来の好ましい金属をカソードに使用することができ、たとえばニッケルフリーステンレス鋼または軟鋼を使用することができる。
電解槽中の電気絶縁性セパレータは、溶液に対して適切に多孔質であり、電極間の十分な電気絶縁性が得られるのであれば、種々の構成であってよい。たとえば、電気絶縁性セパレータは、多孔質ポリマーシート、一連のポリマーボタン、または単なる適切な間隙であってよい。特に、非常に狭い間隙を実現するために好適な電気絶縁性セパレータの1つは多孔質フルオロポリマーシートである。あるいは、セラミックでできた類似の実施形態を電気絶縁性セパレータとして使用することができる。
前述したように、このような電解槽のエネルギー効率を改善することができる。部分的には、これは、従来の非分割電解槽中に使用される間隙よりも狭い間隙を電極間に使用できるためである。たとえば、アノードとカソードとの間の距離は約2mm未満であってよい。
代表的な一実施形態では、槽の構成要素は、セパレータおよびカソードの少なくとも1つの流動抵抗がアノードの流動抵抗よりも大きくなるように選択することができる。これによって電極間の圧力差が増加し、これは、カソード区画から槽の電気化学的に活性な領域への水素の逆流を防止するために有効となり得る。
ある実施形態では、アノード電流担体および/またはカソード電流担体の両方は皿(pan)形であってよく、一連の成形された特徴を含むことができる。また、ある実施形態では、多孔質アノードおよび多孔質カソードは、適切な組の導電性フィンガーによって、それぞれアノード電流担体およびカソード電流担体に電気的に接続することができる。
本発明は、双極配列で複数の前述の電解槽を含む電解装置をも含む。アノード電流担体およびカソード電流担体の両方が皿形であり、一連の成形された特徴を含む実施形態では、アノード電流担体中の一連の特徴が、双極配列で隣接するカソード電流担体中の一連の特徴と入れ子状になるように、これらの特徴を構成することができる。有利には、電解槽はモジュールとして製造することができる。したがって電解装置はモジュール方式であってよく、したがって個別の槽は、希望通りに容易に取り外して交換することができる。
このような電解装置では、槽中のアノードおよびカソードが鉛直方向に対してゼロより大きい角度(たとえば鉛直方向に対して垂直)に向くように、電解槽を積層することが(たとえばガスを除去する目的で)有利となりうる。
本発明の電解槽は、溶液の非分割電気分解のためのものである。そのような槽の操作方法は、溶液を入口区画中の溶液入口、および入口区画中に誘導するステップを含む。次にこの溶液は、多孔質アノードを通過し、電気絶縁性セパレータを通過し、多孔質カソードを通過する方向に向けられる。溶液入口および溶液出口の位置によるが、この方向はアノードからカソードまで、またはカソードからアノードまでであってよい。溶液の誘導中に電気分解電圧および電流がアノード電流担体およびカソード電流担体に印加され、それによって溶液が電気分解され、次に、溶液および気体生成物は出口区画中の溶液出口から排出される。好ましい一実施形態では、溶液入口および溶液出口はそれぞれアノード区画およびカソード区画に位置し、したがって溶液は、槽の内部でアノードからカソードへ向かう。溶液を適切に槽全体に誘導するために、電解槽は、アノード区画またはカソード区画のいずれにも他の入口を含まなくてよく、アノード区画中に出口を含まなくてよい。しかし、別の場合では、電解槽は、カソード区画中に好適な排液口、および/またはアノード区画中に通気口を含むことができる。さらに、カソード区画は、有利には、気体生成物出口に向けて上方に気体生成物を誘導するための特徴を含むことができる。
塩素酸塩の電気分解のための典型的な一実施形態では、本操作方法は、溶液をカソード区画中の溶液出口から、アノード区画中の溶液入口に再循環させるステップも含む。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
溶液を電気分解するための非分割電解槽であって、
前記溶液に対して透過性の多孔質アノードと、
前記溶液に対して透過性の多孔質カソードと、
前記アノードおよびカソードの間にあり前記溶液に対して透過性の電気絶縁性セパレータと、
表面が前記多孔質アノード、および前記多孔質アノードに電気的に接続されたアノード電流担体を含むアノード区画と、
表面が前記多孔質カソード、および前記多孔質カソードに電気的に接続されたカソード電流担体を含むカソード区画と、
入口区画の底部の溶液入口であって、前記入口区画が前記アノード区画および前記カソード区画の一方である溶液入口と、
出口区画の上部の溶液および気体生成物出口であって、前記出口区画が、前記入口区画とは異なる前記アノード区画および前記カソード区画の一方である溶液および気体生成物出口と、
を含む、電解槽。
(項目2)
前記入口区画が前記アノード区画であり、前記出口区画が前記カソード区画である、項目1に記載の電解槽。
(項目3)
前記電解槽が塩素酸塩電解槽であり、前記溶液がNaClおよび水を含む、項目1に記載の電解槽。
(項目4)
前記多孔質アノードがエキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできている、項目1に記載の電解槽。
(項目5)
前記アノードの金属がチタンである、項目4に記載の電解槽。
(項目6)
前記多孔質カソードがエキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできている、項目1に記載の電解槽。
(項目7)
前記カソードの金属がニッケルフリーステンレスまたは軟鋼である、項目6に記載の電解槽。
(項目8)
前記電気絶縁性セパレータが、多孔質ポリマーシート、ポリマーボタン、および間隙からなる群から選択される、項目1に記載の電解槽。
(項目9)
前記電気絶縁性セパレータが多孔質のフルオロポリマーシートである、項目8に記載の電解槽。
(項目10)
前記アノードおよび前記カソードの間の距離が約2mm未満である、項目1に記載の電解槽。
(項目11)
前記セパレータおよび前記カソードの少なくとも1つの流動抵抗が前記アノードの流動抵抗よりも大きい、項目1に記載の電解槽。
(項目12)
前記アノード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含む、項目1に記載の電解槽。
(項目13)
前記多孔質アノードが、一連の導電性フィンガーによって前記アノード電流担体に電気的に接続される、項目1に記載の電解槽。
(項目14)
前記カソード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含む、項目1に記載の電解槽。
(項目15)
前記多孔質カソードが、一連の導電性フィンガーによって前記カソード電流担体に電気的に接続される、項目1に記載の電解槽。
(項目16)
前記カソード区画が、前記気体生成物出口に向かって上方に気体生成物を誘導するための特徴を含む、項目1に記載の電解槽。
(項目17)
前記アノード区画または前記カソード区画のいずれの中にも他の入口を含まず、前記アノード区画中に出口を含まない、項目1に記載の電解槽。
(項目18)
前記アノード区画中に通気口を含む、項目1に記載の電解槽。
(項目19)
前記カソード区画中に排液口を含む、項目1に記載の電解槽。
(項目20)
双極配列で積層された、複数の項目1に記載の電解槽を含む、電解装置。
(項目21)
前記電解槽中の前記アノード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含み、前記電解槽中の前記カソード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含み、前記アノード電流担体中の前記一連の特徴が、前記双極配列中で隣接するカソード電流担体の前記一連の特徴と入れ子状になる、項目20に記載の電解装置。
(項目22)
前記槽中の前記アノードおよびカソードが鉛直方向に対してゼロよりも大きい角度に向くように前記電解槽が積層される、項目20に記載の電解装置。
(項目23)
前記槽中の前記アノードおよびカソードが鉛直方向に対して垂直に向くように前記電解槽が積層される、項目22に記載の電解装置。
(項目24)
前記電解槽がモジュールであり、前記電解装置がモジュール方式である、項目20に記載の電解装置。
(項目25)
溶液の非分割電気分解方法であって、
項目1に記載の電解槽を提供するステップと、
前記溶液を前記入口区画中の前記溶液入口および前記入口区画中に誘導するステップと、
前記多孔質アノードを通過し、前記電気絶縁性セパレータを通過し、前記多孔質カソードを通過する方向に前記溶液を誘導するステップと、
前記溶液を前記出口区画中に誘導するステップと、
前記溶液の誘導中に、前記アノード電流担体およびカソード電流担体に電気分解電圧および電流を印加するステップと、
前記出口区画中の前記溶液出口から出るように、前記溶液および気体生成物を誘導するステップと、
を含む方法。
(項目26)
前記溶液を前記出口区画中の前記溶液出口から、前記入口区画中の前記溶液入口まで再循環させるステップを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記溶液がNaClおよび水を含み、前記気体生成物が水素である、塩素酸ナトリウムを生成するための項目25に記載の方法。
(図1a)従来技術の双極塩素酸塩電解装置の槽ユニットの概略図を示している。この槽ユニットは、多数の非分割単極塩素酸塩電解槽を含む。(図1b)図1aの電解槽中で発生する主な反応および水素ガス生成物を示している。 (図2a)本発明の塩素酸塩電解槽の概略図を示している。(図2b)図2aの電解槽中で発生する主な反応および水素ガス生成物を示している。 図2aの本発明の塩素酸塩電解槽の一連のスタックを含む双極電解装置の概略図を示しており、槽中のアノードおよびカソードは鉛直方向に向けられている。 図3の双極電解装置の概略図を示しており、槽中のアノードおよびカソードは鉛直方向に対して垂直に向けられている。 本発明の塩素酸塩電解装置を含む塩素酸塩製造システムの概略図を示している。 実施例の本発明および比較用の電解槽で得られた分極結果をプロットしている。
文脈上で別のことが必要となるのでなければ、本明細書および請求項の全体にわたって、単語「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、および同様のものは、制限のない包括的な意味で解釈されるべきである。単語「a」、「an」、および同様のものは、少なくとも1つを意味し、ちょうど1つに限定されるものでないと見なすべきである。
さらに、以下の定義が意図される。数値に関する状況で、単語「約」は±10%を意味すると解釈すべきである。
前述したように、電解槽は、分割式または非分割式のいずれかの槽であってよい。両方の場合で、ある種のイオンは電極間を移動することができる。しかし、分割槽は、ある方法では、槽のそれぞれの側で反応物および生成物の大部分またはすべてが分離して維持されるように、槽のカソード側およびアノード側が分離(分割)される槽である。非分割槽は、槽のカソード側およびアノード側が分離されず(非分割であり)、槽のそれぞれの側の反応物および生成物が混合されうる槽である。
本明細書において、用語「電気絶縁性セパレータ」は、非分割電解槽の場合に使用され、アノード電極およびカソード電極の間を電気的に分離するための種々の材料、構成要素、または手段のいずれかを意味する。したがってこれは、多孔質シート材料、ボタンなどのスペーサー、または単純に電極間の間隙(すなわち空間)を含むことができる。
用語「ルーバー付き」が多孔質槽電極の状況で使用され、これは、典型的には規則的に間隔があけられた(たとえば窓のブラインドを連想させる)、一連の角度の付いた開口部(それによって電極が多孔質となる)を含む電極を意味する。
本発明は、より良いエネルギー効率を得るための非分割電解槽の改善された設計および操作方法に関する。本発明は、塩素酸塩の電気分解への使用に特に好適である。
従来技術の代表的な双極塩素酸塩電解装置の槽ユニットの概略図を図1aに示す。槽ユニット1は、アノード保持板2およびカソード保持板3を含む。複数の中実アノード板4がアノード保持板2の側面に対して垂直に取り付けられる。同様の方法で、複数の中実カソード板5がカソード保持板3の側面に対して垂直に取り付けられる。これらの組立体は次に、アノード板4がカソード板5と交互に配置されるように、図のように構成される。隣接するアノード板4およびカソード板5の組のそれぞれが電解槽を形成する。それぞれの保持板2、3に適切な間隔で板4、5を取り付けることによって、各アノード板およびカソード板の間で所望の間隔が得られる。
次に、2つ以上の槽ユニット1を連続スタックで組み合わせることによって双極電解装置が作製され、すなわち1つの槽ユニットのアノード保持板2の平坦面が、第2の槽ユニットのカソード保持板3の平坦面に取り付けられる。(通常は、たとえばそれぞれの極性で異なる金属が使用されるので、爆着によって、保持板が互いに溶接される)。この種類の双極配列は、多単極構成として当技術分野において知られている。
塩素酸塩電気分解用の溶液は、主として水溶液中の塩化ナトリウムを含有する。しかし、この溶液は、通常は再循環され、したがって電気分解の生成物、さらには後の化学反応の生成物(たとえば次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、塩素、および水素ガス)をある量で含む。さらに、塩素酸塩の形成を向上させるために、通常はある種の添加剤(たとえば二クロム酸ナトリウム)も含まれる。操作中、この溶液は、多数の電解槽の底部(図1a中に矢印6で示される)に供給され、アノード板およびカソード板4、5の間を上方に流れる。アノード板およびカソード板4、5の間を溶液が移動するときに、ある種の化学反応を伴って電気分解が起こる。電気分解およびこれらの化学反応の生成物を含む収集された溶液は、電解槽の上部(図1b中の矢印7で示される)で除去される。
図1bは、塩素酸塩電気分解プロセスで生じる主要な電気化学反応および化学反応を示している。アノード板4では、電気化学反応1):
1)2NaCl→Cl+2e+2Na
が起こる。
カソード板5では、電気化学反応2):
2)2HO+2e→H↑+2OH
が起こる。
電気分解生成物および溶液は個別に、すなわち分割されて維持されず、一方、溶液は槽電極間を移動するので、電気分解によって生成した塩素は、化学反応3)により溶液中の成分と迅速に反応する。
3)2Na+2OH+Cl→NaCl+NaOCl+H
図1bに示されるように、反応2)により生成した水素ガスは気泡8を形成し、アノード板4およびカソード板5の間の溶液電解質と置換する。次に、水素8および収集された溶液は、電解槽の上部(矢印7)から除去される。反応3)により生成したNaOClは、製造プロセスの後の段階で高温の化学反応器中で塩素酸ナトリウムに変換される。したがって塩素酸塩製造システム中の全体の反応4)は:
4)NaCl+3HO→NaClO+3H
となる。
電極間の溶液電解質の実効抵抗の増加によって、および/または「ガスブラインディング」(gas blinding)(この場合、カソード表面への到達が妨害される)によって、ある程度は水素気泡8が電気分解プロセスを妨害する。したがって、アノード板4およびカソード板5の間の間隙は、これらの影響による実質的な悪影響を受けることなく小さくしすぎることはできない。
しかし、本発明の塩素酸塩電解槽では、生成した水素ガスは、アノード電極およびカソード電極の間から、電気分解領域の外に迅速に除去される。電解質の抵抗のあらゆる増加およびガスブラインディングは大幅に減少し、電極を互いにはるかに近づけることができ、それによって電極間の溶液の電解質の抵抗を低下させ、エネルギー効率を増加させることができる。電極間の水素気泡の存在により生じるあらゆる悪影響をさらに減少させるために、電解槽での圧力低下を増加させることが有益な場合があり、それによって電極間の空間中に水素が逆移動するのを有利に防止することができる。このような大きな圧力低下は、一般に、セパレータおよびカソードの少なくとも1つの流動抵抗がアノード流動抵抗よりも大きくなるように槽の構成要素を選択することによって、電解槽中に設計することができる。当業者には容易に明らかとなるように、これはたとえばこれらの種々の構成要素の相対的な細孔特性を適切に修正することによって実現できる。
本発明の改善された塩素酸塩電解槽を図2aの概略図に示す。電解槽10は、多孔質で電気絶縁性のセパレータ11によって分離された多孔質アノード14および多孔質カソード15を含む。多孔質アノード14は、導電性フィンガーのいくつかの組18によってアノードパン12に電気的に接続される。アノードパン12は、槽のアノード電流担体として機能する。同様の方法で、多孔質カソード15は、導電性フィンガーのいくつかの組19および支柱20によってカソードパン13に電気的に接続される。カソードパン13は、槽のカソード電流担体として機能する。
さらに、電解槽10は、アノードパン12、アノード14、カソード15、およびカソードパン13を封止するためのシール21を上部および底部の両方に含む。このように封止されたアノード14およびアノードパン12は、塩素酸塩溶液のアノード区画の表面を形成する。同様の方法で、封止されたカソード15およびカソードパン13は、塩素酸塩溶液のカソード区画の表面を形成する。図2aに示される実施形態では、アノード区画は溶液の入口22を含み、一方、カソード区画は溶液および水素ガスの出口23を含む。(実際の実施形態では、入口で溶液を分配するために分配器を使用することもできるが、図2aには示していない。さらに、その代わりに、原則としては、溶液入口および溶液出口は互いに反対側の区画、すなわちカソード区画およびアノード区画にそれぞれ配置できることに留意されたい。このような配置は、ほとんどの用途で最適ではない場合があるが、それでもこれが機能的となると予想され、これを考慮することができる)。カソード区画は、水素ガス出口23に向かって上方への水素ガス生成物の誘導を支援する特徴(図2aには図示せず)を場合により含むことができる。このような特徴としては、成形されたバッフル、およびこの目的のための同様のものを挙げることができる。
電解槽10中、溶液は、図1bの従来技術の槽のようにアノード板4およびカソード板5の間を上方に移動するのではなく、強制的に多孔質アノード14、そして次に多孔質カソード15に流される。ここで、溶液は溶液入口22に供給され(矢印16で示される)、アノード区画に入り、強制的に多孔質アノード14に通され、多孔質セパレータ11を通過し、多孔質カソード15を通過して、カソード区画中に入る。収集された溶液および水素ガスは次に出口23から出るように誘導される(矢印17で示される)。溶液が完全に多孔質アノード14および多孔質カソード15を通過するように確実に誘導するために、電解槽10は、アノード区画中に実質的な出口を含まなくてよく、アノード区画またはカソード区画のいずれかにも別の入口を含まなくてよい(ただし、アノード区画の上部で収集される水素を排出するために、小さなブリード出口を典型的には設けることができる)。
アノード14およびカソード15の両方は、溶液に対して高い透過性であることが望ましい。しかし、前述したように、槽中の望ましい圧力低下を誘導するために、前者が後者よりも高い透過性であることが有利となりうる。種々の設計の選択肢を利用できるが、これらの電極のいずれかまたは両方にエキスパンドメタルを使用することが有利な選択となる。あるいは、図2b中のアノード14およびカソード15の両方により明確に示されるように、ルーバー付き金属電極を使用することができる。ルーバー付き金属は、溶液および生成した水素ガスを上方に誘導し電気分解領域から出すことを支援するために、角度の付いた複数の開口部またはスロットを有することができる。しかし、多数の孔が開けられた板、焼結金属繊維でできたシートなどの多くの別の設計の選択肢が、いずれかまたは両方の電極で可能である。塩素酸塩電気分解では、アノードおよびその他のアノード装置は典型的には被覆されたチタンでできており、カソードおよびその他のカソード装置は典型的にはニッケルフリーステンレス鋼またはある種の軟鋼でできている。
多孔質の電気絶縁性セパレータ11も、溶液に対して高い透過性であることが望ましい。さらに、化学反応物および生成物と適合性となるべきである。さらに、信頼性のある絶縁性分離を実現するためのあらゆる手段を使用することができる。たとえば、セパレータ11は、単に電極間の間隙であってよい。しかし、狭い間隙を得ながら、電極間で信頼性のある電気的分離を依然として維持するために、一部の多孔質で電気絶縁性の間隙材料を使用することが一般に望ましい。たとえば、アノード14とカソード15とを間隔をあけて配置するために多数のポリマーボタンを使用することができる。または望ましい一実施形態では、多孔質ポリマーシートが使用されるが、その理由は、このようなシートは非常に薄いが堅牢に製造することができ、アノードおよびカソードの間の距離を約2mm未満(間隙に依拠する従来の塩素酸塩電解槽の典型的な最小値)にすることができるからである。電解装置中の腐食性で要求の厳しい環境に耐えることができるので、種々のフルオロポリマーをセパレータ11に好適な材料として使用できる。あるいは、ある種のセラミックをセパレータ11に好適な材料として使用することができる。材料は疎水性の表面特性を有することができる。あるいは、親水性材料は、水素の遊離を減少させることで性能をさらに改善することができる。
図2a中、電気分解電流の主要な電流担体は、アノードパン12およびカソードパン13である。電流は、導電性フィンガーの組18によってアノード14からアノードパン12に分配される。さらに電流は、導電性フィンガーの組19および接続用支柱20によってカソード15からカソードパン13まで誘導される。この場合も、このアノード装置およびカソード装置は典型的には、被覆されたチタン、およびニッケルフリーステンレス鋼または軟鋼でそれぞれできている。
構造強度を得るため、および多槽双極電解装置の組立中に槽を配置し槽を電気的に接続するために、アノードパン12およびカソードパン13は、内部に形成された相補的な特徴の組を含むことができる。図2a中、アノードパン12およびカソードパン13は、円錐形の特徴、すなわち12aおよび13aの相補的な組をそれぞれ含み、これらはこの目的のために内部に形成されている(このような槽を用いて作製された代表的な双極電解装置は後の図3および4中に見られる)。
図2bは、図2aの電解槽中で発生する主な反応および水素ガス生成物を示している。図1aと同じ電気化学反応および化学反応がこの場合も発生する。しかし、この場合は、供給された溶液(矢印16で示される)は、多孔質アノード14、セパレータ11、および多孔質カソード15を通過して流れる。この通過中に電気分解が起こり、収集された溶液および水素ガス生成物24は矢印17で示されるように除去される。図1b槽とは異なり、発生した水素気泡24は、溶液とともにアノード14およびカソード15の間の領域から、カソード区画中に迅速に送られる。このようにしてガスブラインディングが実質的に減少する。発生した塩素と溶液中の成分との化学反応が、セパレータ11中、多孔質カソード15、および/またはカソード区画内で生じうることに留意されたい。
図2aおよび2bの塩素酸塩電解槽の操作は、一般に従来の塩素酸塩電解槽と同様である。たとえば、反応物、濃度、温度、および圧力はすべて同じまたは同様であってよい。しかしこの場合も、前述のように、カソード区画から槽の電気化学的に活性な領域への水素の逆流を防止するために、槽の圧力低下を増加させることが有利となりうる。
図2aに示される種類の電解槽は、双極構成の電解装置を作製するために容易に使用できる。図3は、直列で図2aの4つの塩素酸塩電解槽10のスタックを含むそのような双極電解装置の概略図を示している。
双極電解装置30中、その中の槽中のアノード14およびカソード15が鉛直方向に向くように4つの塩素酸塩電解槽10が積層される。さらに、アノードパン12中の相補的な特徴12aが、隣接するカソードパン13中の特徴13aと入れ子状になり、それによって確実に槽が互いに十分に配置され、十分に電気的に接続されるように、電解槽10が積層される。本発明の利点の1つは、電解槽をモジュールとして作製することができ、そのため希望通りに容易に取り外して交換できることである。
図3に示す実施形態では、双極電解装置30は、個別の電解槽10中の溶液入口22に溶液を分配する一連の溶液供給ヘッダー31(各電解槽10に1つ)を含む。供給ヘッダー31には、一連の溶液供給管32によって液体が供給される。双極電解装置30は、個別の電解槽10の出口23から溶液および水素ガスを収集するヘッダーとして機能する一連のコレクター/脱気ヘッダー33(この場合も各電解槽10に1つ)をも含む。次亜塩素酸塩および電気分解の他の溶存生成物を含む収集された溶液は、出口管34によって電解装置30から除去される。収集された水素ガスは次に分岐管35によって出口管34から分離される。希望するなら、電解装置30は、カソード区画中の好適な排液口、および/またはアノード区画中の通気口も含むことができる。
本発明の双極電解装置中の槽の異なる代表的な方向を図4に示している。この場合、双極電解装置40は、槽中のアノード14およびカソード15が鉛直方向に対して垂直の方向となるように向けられる。特に、電解装置40は、個別の電解槽中でアノード14の上にカソード15が存在するように向けられる。槽および構造のその他の詳細に使用される構成要素に依存して、この向きによって水素ガス副生成物の除去を改善することができる。
次に、図3および4に示される種類の電解装置は、他の従来の塩素酸塩製造システムの効率を改善するために使用することができる。それに関して、図5は、本発明の塩素酸塩電解装置を含む商業用塩素酸塩製造システムの概略図を示している。
商業用塩素酸塩製造システム50は、比較的複雑であり、順に、塩および水供給装置51、ブライン飽和器52、ガードフィルター53、イオン交換サブシステム54、ブラインライン55、塩素酸塩反応器56、溶液入口ライン57、本発明の塩素酸塩電解装置58、収集溶液出口ライン59、塩素酸塩結晶化サブシステム61、およびライン62を含み、これらは図示されるように相互接続されている。電気分解用のブラインはブライン飽和器52中で調製される。塩(たとえば蒸発塩)の好適な供給源および脱塩水の供給装置が塩および水供給装置51に設けられる。そこから、ブラインはブラインライン55からガードフィルター53まで、次にイオン交換サブシステム54まで、最後に塩素酸塩反応器56まで誘導され、そこで塩素酸塩電解装置58からの生成物と混合されることで、電解装置供給材料中の塩含有量が維持される。溶液入口ライン57を介して、塩素酸塩反応器56により、塩素酸塩およびブラインの両方を含む電気分解用電解質溶液が塩素酸塩電解装置58まで誘導される。そして、収集溶液出口ライン59を介して、電気分解された塩素酸塩溶液は塩素酸塩電解装置58から塩素酸塩反応器56に戻される。生成した水素ガスはライン60から除去される。
濃縮生成物の塩素酸塩溶液は、塩素酸塩反応器56から塩素酸塩結晶化サブシステム61に誘導され、そこで塩素酸塩生成物は、より濃縮された塩素酸塩溶液から結晶化して、62で除去される。結晶化後の残留溶液は、再循環ライン63を介して塩素酸塩反応器56に再循環される。時間が経つと、不純物が再循環ライン56中に蓄積することがある。これらの不純物は種々の方法で除去することができる。たとえば、図5中の塩素酸塩電気分解システム50は、再循環ライン63と並列で接続される副流サブシステム64を含む。副流サブシステム64中の構成要素の構成およびそれらの操作は、国際公開第2014/029021号パンフレットに十分に記載されている。
本発明の電解装置は、図5に示されるような商業用塩素酸塩製造システム以外の塩素酸塩製造システムまたはサブシステムに使用することもできる。たとえば、本発明の塩素酸塩電解装置は望ましくは、一体化された二酸化塩素製造システムの一部を形成する塩素酸塩製造サブシステム中に使用することができる。代表的なそのようなシステムの1つは、2つの中間生成物の塩素酸ナトリウム(NaClO3)および塩酸(HCl)、ならびに最終生成物の二酸化塩素(ClO2)を生成するための3つのプラント領域からなるChemeticsの一体型二酸化塩素システムである。このようなシステムでは、塩素酸ナトリウムは、望ましくは、強い塩素酸ナトリウム溶液を製造するために本発明の電解装置を使用する塩化ナトリウム溶液の電気分解によって製造することができる。この反応のための塩は、二酸化塩素製造領域からの再循環された副生成物である。水素ガスは、塩素酸ナトリウムとともに生成され、塩酸製造のための原材料として使用される。塩酸は、塩素ガスおよび水素ガスを燃焼させることによって生成される。水素ガスは塩素酸ナトリウム電気分解領域から得られる。補給塩素ガスは、プラントの電池の限界に由来する。二酸化塩素生成領域の再循環副生成物である弱い塩素ガスは、水素ガスとともに燃焼させる前に、この塩素補給流と混合される。二酸化塩素発生装置中で強い塩素酸塩溶液および塩酸を混合することによって、二酸化塩素ガスが塩素ガスおよび塩化ナトリウム(塩)とともに生成する。二酸化塩素ガスは冷水中に吸収され、次に空気を用いてストリッピングして残留塩素を除去することで、典型的にはECFパルプ工場漂白プラントにおける商業用途の高純度二酸化塩素溶液が生成される。発生装置から出た溶液は、未反応の塩素酸ナトリウムおよび副生成物塩を含有する。弱い塩素酸塩溶液と呼ばれるこの溶液は、再濃縮のために塩素酸ナトリウム電気分解領域に戻されて再循環される。吸収されていない塩素副生成物(弱い塩素)は、塩酸製造のために再循環される。現在のChemeticsの一体型二酸化塩素システムは、たとえば、“Adopting the Integrated Chlorine Dioxide Process for Pulp Bleaching to Comply with CREP Regulations”;A.Barr et al.,IPPTA,J.Vol.21,No.1,Jan−March,2009 121−127により詳細に記載されている。
本発明の方法は、塩素酸塩電気分解への使用に特に好適である。しかし、非分割電気分解を伴うあらゆるプロセス、たとえば次亜塩素酸塩の製造、過塩素酸塩の製造、過マンガン酸カリウムの製造が、本発明の設計および方法の恩恵を受けることができる。さらに、本発明の使用によって、使用される電解装置の設計および/または構成のより高い自由度を得ることができる。たとえば、従来の塩素酸塩電解装置は、生成する水素ガスの量に起因する槽の高さの実際的な限界を有する。しかし、このような制限を本発明の電解装置に適用しなくてもよく、したがってより高い槽を実際の実施形態で考慮することができる。
以下の実施例は、本発明のある態様を説明するために含まれるが、これらは決して限定であると解釈すべきではない。
(実施例)
本発明の槽の特性を従来の槽の特性と比較するために、実験室型の塩素酸塩電解槽を作製して操作した。
皿形アノード区画および皿形カソード区画を含む本発明の電解槽を作製した。両方の区画はグレード2チタンでてきており、幅約38cm、高さ23cm、および深さ2.2cmの寸法を有した。多孔質アノード、多孔質カソード、およびそれらの間の電気絶縁性セパレータを含む槽組立体を、皿形のアノード区画およびカソード区画の縁の間に互いに挟んだ。アノード区画およびカソード区画の縁は、アノードおよびカソードの端部にそれぞれ直接接触し、したがってそれらに電気的に接続されて、アノード電流担体およびカソード電流担体としてそれぞれが機能した。セパレータは、アノードおよびカソードの端部をわずかに越えて延在した。電解槽は、延在するセパレータの端部と、アノード区画およびカソード区画の縁との間を適切な形状のガスケットで互いにボルト締めすることによって封止した。
アノードおよびカソードの両方には、エキスパンドチタンメッシュ(厚さ約1mmである、菱形の寸法が約3mm×1.5mmであり開放領域が約50%である菱形開口部を有する)でできた基材を使用し、したがってアノードおよびカソードの両方が槽溶液に対して透過性となった。組立前に、両方の基材は、サンドブラストおよび酸エッチングプロセスによって処理し、次に混合金属酸化物(主としてRuO、IrO、およびTiO)を含む触媒をコーティングした。
発泡PTFEメッシュを槽セパレータとして使用し、それによって槽の溶液に対してセパレータが透過性となった。このPTFEメッシュは厚さが約0.95mmであり、アノード基材およびカソード基材の開口部の約1/2の大きさの寸法の菱形開口部を有した。しかし、これに加えて、流動性および性能を改善するために、さらなるより長い開口部をセパレータから切り取った。特に、9つの均等な間隔の長方形の開口部(約32mm×83mmの寸法)をセパレータ表面から切り取った。
槽組立体の有効表面(すなわち電解槽のシール中の表面)は約10cm×25cmの寸法であった。電解槽は鉛直方向に向けられ、アノード区画の底部の3つの溶液入口と、カソード区画の上部の3つの溶液および気体生成物出口とを有した。これらの溶液入口および出口は、均等に間隔が開けられ、直径約13mmであった。電解槽を出入りする槽溶液の流れをより均一にするために、アノード区画およびカソード区画のそれぞれの中に溶液分配器を使用した。アノードおよびカソードの分配器は、溶液の入口および出口のすぐ近くの区画中に配置した。両方の分配器は、寸法が約16mm×22mm×25cmであり、それぞれが均等な間隔で分布する直径約6mmの8つの孔を含んだ。
従来の塩素酸塩電解槽と類似の方法で(たとえば図1bで示されるように運転するため)、商業的使用に最適化された比較用の電解槽を作製した。この場合、アノードには、前述の本発明の槽と同様の方法で作製され混合酸化物触媒がコーティングされた中実のチタン板(厚さ約2mm)を含む基材を使用した。カソードは、触媒コーティングを有さない中実の鋼板(厚さ約3mm)であった。アノードおよびカソードの間で約2mmの間隙で周囲にガスケットを使用することによってアノードおよびカソードを分離した。この比較用の電解槽は、アノードおよびカソードの間の間隙の底部に到達する溶液入口と、間隙の上部の溶液出口とを有した。
試験の目的で使用した電解質は、450/110/5gplの濃度のNaClO/NaCl/NaCrの組成を有する慣習の塩素酸塩溶液であった。本発明の電解槽では、電解質は、アノード区画の底部の溶液入口中に流入し、その中の溶液分配器を通り、多孔質アノード、多孔質セパレータ、および多孔質カソードを通過し、次にカソード区画中の溶液分配器を通過して、最後にカソード区画の上部から流れ出た。比較用の槽では、電解質は、槽底部の溶液入口から、アノードおよびカソードの間の間隙を通過し、次に槽上部の溶液出口から流出した。これらの槽は最初に、電流密度3kA/m(電極の活性領域を基準とする)、pH6、および温度80℃で操作することによって4.5日間コンディショニングした。その後、電解質の温度を90℃まで上昇させ、0.5〜5kA/mの電流密度範囲にわたって各槽の分極結果(すなわち電圧対電流密度)を求めた。使用した電解質流量は約100l/hであった。
図6は、本発明および比較用の電解槽で得られた分極結果をプロットしている。本発明の電解槽の槽電圧は、試験した電流密度の全範囲にわたって従来の電解槽よりも顕著に良好であり、たとえば、4kA/mにおいて約620mV低い。
本明細書において参照される上記の米国特許、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、それら全体が参照により本明細書に援用される。
本発明の特定の要素、実施形態、および用途を示し説明してきたが、当然ながら、本発明がそれらに限定されるものではないことを理解されるであろうが、その理由は、特に上記の教示を考慮すれば、本開示の意図および範囲から逸脱せずに当業者による修正が可能であるからである。このような修正は、本明細書に添付の請求項の意図および範囲の中にあると見なすべきである。

Claims (27)

  1. 溶液を電気分解するための非分割電解槽であって、
    前記溶液に対して透過性の多孔質アノードと、
    前記溶液に対して透過性の多孔質カソードと、
    前記アノードおよびカソードの間にあり前記溶液に対して透過性の電気絶縁性セパレータと、
    表面が前記多孔質アノード、および前記多孔質アノードに電気的に接続されたアノード電流担体を含むアノード区画と、
    表面が前記多孔質カソード、および前記多孔質カソードに電気的に接続されたカソード電流担体を含むカソード区画と、
    入口区画の底部の溶液入口であって、前記入口区画が前記アノード区画および前記カソード区画の一方である溶液入口と、
    出口区画の上部の溶液および気体生成物出口であって、前記出口区画が、前記入口区画とは異なる前記アノード区画および前記カソード区画の一方である溶液および気体生成物出口と、
    を含む、電解槽。
  2. 前記入口区画が前記アノード区画であり、前記出口区画が前記カソード区画である、請求項1に記載の電解槽。
  3. 前記電解槽が塩素酸塩電解槽であり、前記溶液がNaClおよび水を含む、請求項1に記載の電解槽。
  4. 前記多孔質アノードがエキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできている、請求項1に記載の電解槽。
  5. 前記アノードの金属がチタンである、請求項4に記載の電解槽。
  6. 前記多孔質カソードがエキスパンドメタルまたはルーバー付き金属でできている、請求項1に記載の電解槽。
  7. 前記カソードの金属がニッケルフリーステンレスまたは軟鋼である、請求項6に記載の電解槽。
  8. 前記電気絶縁性セパレータが、多孔質ポリマーシート、ポリマーボタン、および間隙からなる群から選択される、請求項1に記載の電解槽。
  9. 前記電気絶縁性セパレータが多孔質のフルオロポリマーシートである、請求項8に記載の電解槽。
  10. 前記アノードおよび前記カソードの間の距離が約2mm未満である、請求項1に記載の電解槽。
  11. 前記セパレータおよび前記カソードの少なくとも1つの流動抵抗が前記アノードの流動抵抗よりも大きい、請求項1に記載の電解槽。
  12. 前記アノード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含む、請求項1に記載の電解槽。
  13. 前記多孔質アノードが、一連の導電性フィンガーによって前記アノード電流担体に電気的に接続される、請求項1に記載の電解槽。
  14. 前記カソード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含む、請求項1に記載の電解槽。
  15. 前記多孔質カソードが、一連の導電性フィンガーによって前記カソード電流担体に電気的に接続される、請求項1に記載の電解槽。
  16. 前記カソード区画が、前記気体生成物出口に向かって上方に気体生成物を誘導するための特徴を含む、請求項1に記載の電解槽。
  17. 前記アノード区画または前記カソード区画のいずれの中にも他の入口を含まず、前記アノード区画中に出口を含まない、請求項1に記載の電解槽。
  18. 前記アノード区画中に通気口を含む、請求項1に記載の電解槽。
  19. 前記カソード区画中に排液口を含む、請求項1に記載の電解槽。
  20. 双極配列で積層された、複数の請求項1に記載の電解槽を含む、電解装置。
  21. 前記電解槽中の前記アノード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含み、前記電解槽中の前記カソード電流担体が皿形であり、一連の成形された特徴を含み、前記アノード電流担体中の前記一連の特徴が、前記双極配列中で隣接するカソード電流担体の前記一連の特徴と入れ子状になる、請求項20に記載の電解装置。
  22. 前記槽中の前記アノードおよびカソードが鉛直方向に対してゼロよりも大きい角度に向くように前記電解槽が積層される、請求項20に記載の電解装置。
  23. 前記槽中の前記アノードおよびカソードが鉛直方向に対して垂直に向くように前記電解槽が積層される、請求項22に記載の電解装置。
  24. 前記電解槽がモジュールであり、前記電解装置がモジュール方式である、請求項20に記載の電解装置。
  25. 溶液の非分割電気分解方法であって、
    請求項1に記載の電解槽を提供するステップと、
    前記溶液を前記入口区画中の前記溶液入口および前記入口区画中に誘導するステップと、
    前記多孔質アノードを通過し、前記電気絶縁性セパレータを通過し、前記多孔質カソードを通過する方向に前記溶液を誘導するステップと、
    前記溶液を前記出口区画中に誘導するステップと、
    前記溶液の誘導中に、前記アノード電流担体およびカソード電流担体に電気分解電圧および電流を印加するステップと、
    前記出口区画中の前記溶液出口から出るように、前記溶液および気体生成物を誘導するステップと、
    を含む方法。
  26. 前記溶液を前記出口区画中の前記溶液出口から、前記入口区画中の前記溶液入口まで再循環させるステップを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記溶液がNaClおよび水を含み、前記気体生成物が水素である、塩素酸ナトリウムを生成するための請求項25に記載の方法。
JP2016574216A 2014-06-24 2015-06-20 狭い間隙の非分割電解槽 Expired - Fee Related JP6543277B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462016647P 2014-06-24 2014-06-24
US62/016,647 2014-06-24
PCT/US2015/036845 WO2015200147A1 (en) 2014-06-24 2015-06-20 Narrow gap, undivided electrolysis cell

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017524815A true JP2017524815A (ja) 2017-08-31
JP6543277B2 JP6543277B2 (ja) 2019-07-10

Family

ID=53525276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016574216A Expired - Fee Related JP6543277B2 (ja) 2014-06-24 2015-06-20 狭い間隙の非分割電解槽

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20180187316A1 (ja)
EP (1) EP3161185B1 (ja)
JP (1) JP6543277B2 (ja)
CN (1) CN106460203A (ja)
AU (1) AU2015280334A1 (ja)
CA (1) CA2951389A1 (ja)
RU (1) RU2017101726A (ja)
WO (1) WO2015200147A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11505481B2 (en) 2017-04-20 2022-11-22 Michael Siegert Multi-purpose bio-electrical modules and procedures
CN108588747A (zh) * 2018-06-29 2018-09-28 山东新日电气设备有限公司 一种等梯度间距电极电解装置
CN110026300A (zh) * 2019-04-29 2019-07-19 武汉工程大学 一种基于电化学技术的旋流器

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60159182A (ja) * 1984-01-19 1985-08-20 ヘキスト・アクチエンゲゼルシヤフト 液状電解質及び多孔性電極による電解法
JP2002544383A (ja) * 1999-05-10 2002-12-24 イネオス・クロール・リミテッド 電極構造体

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL128257C (ja) 1960-07-11
US3475313A (en) * 1964-04-24 1969-10-28 Chemech Eng Ltd Electrolytic cell for chlorate manufacture
FR1502793A (fr) * 1966-09-14 1967-11-24 Krebs & Cie Paris Procédé de fabrication électrolytique des chlorates alcalins et notamment du chlorate de sodium
US4036714A (en) * 1972-10-19 1977-07-19 E. I. Du Pont De Nemours And Company, Inc. Electrolytic cells and processes
US4032427A (en) * 1975-11-03 1977-06-28 Olin Corporation Porous anode separator
IT1163737B (it) 1979-11-29 1987-04-08 Oronzio De Nora Impianti Elettrolizzatore bipolare comprendente mezzi per generare la ricircolazione interna dell'elettrolita e procedimento di elettrolisi
DE3214297A1 (de) * 1982-04-19 1983-10-20 Hydrotechnik GmbH, 7500 Karlsruhe Verfahren zur herstellung einer platte mit poroeser metall-bzw. metalloxydoberflaeche
US4581114A (en) * 1983-03-07 1986-04-08 The Dow Chemical Company Method of making a unitary central cell structural element for both monopolar and bipolar filter press type electrolysis cell structural units
US4927509A (en) * 1986-06-04 1990-05-22 H-D Tech Inc. Bipolar electrolyzer
US5158658A (en) * 1990-10-31 1992-10-27 Olin Corporation Electrochemical chlorine dioxide generator
CN1045797C (zh) * 1993-12-16 1999-10-20 中国科学院大连化学物理研究所 电极水平放置式氯酸盐电解槽
WO2002066382A1 (en) * 2001-02-15 2002-08-29 The Procter & Gamble Company High efficiency electrolysis cell for generating oxidants in solutions
US7048842B2 (en) * 2001-06-22 2006-05-23 The Procter & Gamble Company Electrolysis cell for generating chlorine dioxide
CA2400775C (en) * 2002-08-28 2010-12-07 Fatpower Inc. Electrolyzer
ITMI20060054A1 (it) * 2006-01-16 2007-07-17 Uhdenora Spa Distributore di corrente elastico per celle a percolatore
NZ700607A (en) * 2012-04-23 2016-08-26 Chemetics Inc Surface modified stainless steel cathode for electrolyser
CN202865351U (zh) * 2012-08-06 2013-04-10 蓝星(北京)化工机械有限公司 氧阴极电解槽的导电单元
EP2888388B1 (en) 2012-08-22 2018-10-10 Chemetics Inc. Side stream removal of impurities in electrolysis systems

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60159182A (ja) * 1984-01-19 1985-08-20 ヘキスト・アクチエンゲゼルシヤフト 液状電解質及び多孔性電極による電解法
JP2002544383A (ja) * 1999-05-10 2002-12-24 イネオス・クロール・リミテッド 電極構造体

Also Published As

Publication number Publication date
EP3161185A1 (en) 2017-05-03
EP3161185B1 (en) 2018-05-09
WO2015200147A1 (en) 2015-12-30
CN106460203A (zh) 2017-02-22
JP6543277B2 (ja) 2019-07-10
AU2015280334A1 (en) 2017-01-05
US20180187316A1 (en) 2018-07-05
CA2951389A1 (en) 2015-12-30
RU2017101726A (ru) 2018-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5082543A (en) Filter press electrolysis cell
KR100797062B1 (ko) 전해조 및 전기분해 방법
US4057474A (en) Electrolytic production of alkali metal hydroxide
US9556527B2 (en) Undivided electrolytic cell and use of the same
JP5869440B2 (ja) 電解セル及び電解槽
JPS5949318B2 (ja) 次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩の電解製造法
US4584080A (en) Bipolar electrolysis apparatus with gas diffusion cathode
JP6543277B2 (ja) 狭い間隙の非分割電解槽
JPH0474879A (ja) 次亜塩素酸塩製造用電解装置
US3948750A (en) Hollow bipolar electrode
US3930980A (en) Electrolysis cell
US4059495A (en) Method of electrolyte feeding and recirculation in an electrolysis cell
US9540740B2 (en) Undivided electrolytic cell and use thereof
CA1073846A (en) Electrolysis method and apparatus
US4444631A (en) Electrochemical purification of chlor-alkali cell liquor
WO2015108115A1 (ja) イオン交換膜電解槽用陽極およびこれを用いたイオン交換膜電解槽
US5296121A (en) Target electrode for preventing corrosion in electrochemical cells
US4236989A (en) Electrolytic cell
RU2317351C2 (ru) Способ получения хлората щелочного металла
US4161438A (en) Electrolysis cell
US4088551A (en) Electrolytic cell and method of electrolysis
US3809629A (en) Process and apparatus for the production of alkali metal chlorates
US3948748A (en) Apparatus for the production of alkali metal chlorates
US4271004A (en) Synthetic separator electrolytic cell
US20150014153A1 (en) Apparatus for Chlorine Dioxide Generation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181225

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190610

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190614

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6543277

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees