以下の記述は、単に例示の性質のものであり、本発明または本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。さらに、上述の背景技術または以下の記述に提示されるいかなる理論にも束縛されることを意図するものでもない。
本明細書で考慮される様々な実施形態は、防水膜の作製のためのアスファルトコーティング、さらにはそのようなコーティングを用いて作製される防水膜、およびそれらを作製するための方法に関する。アスファルトコーティングは、向上された通常膜温度感受性および長期的老化性能、さらには低下された粘度およびさらに向上された耐熱性を有する防水膜を提供する性質を有する。より詳細には、アスファルトコーティングは、すべてアスファルトコーティングの総重量に対して、約30から約88重量パーセント(重量%)のアスファルト、約0.1から約15重量%の低分子量(MW)ポリエチレン、約1から約20重量%の熱可塑性エラストマー、約5から約48重量%の無機充填剤、および約1から約20重量%の軟化剤を含む。
アスファルトコーティングの様々な性質は、コーティングおよびそのコーティングを用いて作製された防水膜の上記で考察した性能特性に対するそれらの効果を理解ならびに制御するために重要である。例えば、本明細書で考慮されるアスファルトコーティングにとって重要であるいくつかのそのような性質としては、限定されないが、ある温度での耐熱性、低温可撓性、および汚れ指標(stain index)が挙げられる。
耐熱性は、高温におけるアスファルトコーティングの寸法安定性の尺度である。耐熱性は、アスファルトコーティングを含有する最終製品に基づいて測定される。寸法安定性は、高温にさらされた場合に膜がその寸法サイズおよび形状を維持する能力である。耐熱性の試験は、アスファルトコーティングのサンプルを、異なる温度の対流オーブン中に垂直に吊り下げ、アスファルトコーティングに何らかの液滴落下が発生する温度を観察することによって行われる。耐熱性は、GB/T 328.11‐2007に従う試験方法によって特定される。本明細書で考慮されるアスファルトコーティング組成物の必要とされる耐熱性(特定の温度における)が、約2ミリメートル(mm)以下であることが有利であり、例えば約1mm未満などである。
低温可撓性は、アスファルトコーティングが低温でのクラッキングに対抗する能力の尺度である。この特性は、ルーフィング膜がいかに良好に、およびいかに長く機能するかの尺度であることから、重要である。防水膜は、特に低温の気象条件下において、良好な低温可撓性を有するべきである。低温可撓性を特定するための試験方法は、GB/T 328.14‐2007に従う。アスファルトコーティングのサンプルは、一定温度の冷凍庫中で1時間(±5分間)コンディショニングされ、次に、特定の直径のマンドレル上に、通常は10秒間未満の時間にわたって屈曲される。次に、サンプルは、クラッキングの徴候について視覚的に観察される。サンプルが何らのクラッキングの徴候も示さない場合、クラッキングの徴候が視認可能となるまで、より低い温度で試験が継続される。クラッキングが発生する温度が、低温可撓性温度である。本明細書で考慮されるアスファルトコーティングに対する代表的な低温可撓性温度は、約−25℃以下などの約−20℃以下である。
汚れ指標は、アスファルトコーティングの熱安定性についての別の尺度である。汚れ指標試験は、アスファルトコーティングのサンプルを、様々な選択された温度のオーブン中の5層のろ紙上に、それぞれ1時間置き、次に、試験した各温度にて、サンプルからの油が透過した層の数を観察することによって行われる。汚れ指標は、GB 18242‐2008に従う試験方法によって特定される。本明細書で考慮されるアスファルトコーティング組成物に対する代表的な汚れ指標は、約2以下、好ましくは、ゼロである。
上述のように、本明細書で考慮されるアスファルトコーティングは、アスファルトを含有する。天然、合成製造、および改質のあらゆる種類のアスファルトが、本明細書で考慮されるアスファルトコーティングにおいて用いられてよい。天然のアスファルトには、自然のロックアスファルト、レイクアスファルトなどが含まれる。合成製造アスファルトは、多くの場合、石油精製作業の副生物であり、エアブローン(酸化)アスファルト、ブレンドアスファルト、分解、残渣、または再利用アスファルト、石油アスファルト、プロパンアスファルト、ストレートアスファルト、熱アスファルトなどが挙げられる。改質アスファルトとしては、エラストマー、プラストマー、またはこれらの様々な組み合わせで改質されたベースアスファルト(例:天然または合成製造であってよい純粋または未改質のアスファルト)が挙げられる。
「アスファルト」は、この用語が本明細書で用いられる場合、ビチューメンとしても知られ、ASTMにより、主たる構成成分が、天然に存在する、または石油処理で得られるビチューメンである暗褐色から黒色のセメント様材料として定義される。アスファルトは、典型的には、飽和成分、芳香族化合物、樹脂、およびアスファルテンを含有する。
代表的実施形態では、アスファルトは、アスファルトコーティングの総重量に対して、約30から約88重量パーセント(重量%)の量でアスファルトコーティング中に存在する。アスファルトは、アスファルトコーティングの総重量に対して、少なくとも約32、35、38、40、45、50、55、60、65、70、75、80、および85重量%の量でアスファルトコーティング中に存在し、独立して、例えば、約86、85、82、80、78、75、72、70、68、65、62、60、および55重量%以下であることが好ましい。代表的実施形態では、アスファルトコーティング中のアスファルトの含有量は、アスファルトコーティングの総重量に対して、約30から約80重量%、または約30から約70重量%、または約35から約65重量%、またはさらには、約35から約60重量%である。
別の代表的実施形態では、本明細書で考慮されるアスファルトコーティングは、低MWポリエチレンを含む。「低MWポリエチレン」は、この用語が本明細書で用いられる場合、各々が約500から約15000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するポリエチレン含有ポリマー、または2つ以上のポリエチレン含有ポリマーのブレンドを意味する。1つの実施形態では、アスファルトコーティングは、低MWポリエチレンの総重量に対して、約50から約100重量%の1つ以上のエチレンモノマー、それらの誘導体、またはその両方を含む。低MWポリエチレンは、エチレンモノマー、それらの誘導体、もしくはその両方のみを含むホモポリマー、またはエチレンモノマー、それらの誘導体、もしくはその両方、およびその他の種類のモノマーを含むコポリマーであってよい。さらに、低MWポリエチレンは、この用語が本明細書で用いられる場合、これらに限定されないが、ポリエチレンワックスを含み、すなわち、ここで、ワックスは、室温もしくは室温近辺で固体であり、その融点を超えると低い粘度を有する物質である。さらに、適切な低MWポリエチレンは、約10から約40の酸価、150℃で約3000から約20000センチポアズ(cp)の粘度を有する。加えて、低MWポリエチレンは、酸化されていてもよい。
さらに、低MWポリエチレンは、官能化されていてもよい。官能化低MWポリエチレンは、例えば、限定されないが、酸、エステル、アミン、アミド、エーテル、およびヒドロキシドを含む1つ以上の官能基を含む。官能化低MWポリエチレンは、ホモポリマーであっても、またはコポリマーであってもよい。適切な官能化低MWポリエチレンの例としては、限定されないが、マレイン酸変性ポリエチレン、エチレンアクリル酸コポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
代表的実施形態では、低MWポリエチレンは、低MWポリエチレンの総重量に対して、約50から約100重量%のエチレン含有量を有する。例えば、低MWポリエチレンは、低MWポリエチレンの総重量に対して、少なくとも約55、60、65、70、75、80、85、90、および95重量%のエチレン含有量を有し、独立して、約98、95、92、90、85、80、および75重量%以下である。
既に述べたように、低MWポリエチレンは、約500から約15000ダルトンのMnを有する。代表的実施形態では、低MWポリエチレンは、少なくとも約500、1000、1100、1500、2000、3000、4000、5000、6000、および7000ダルトンのMnを有し、独立して、約15000、12000、10000、9000、および8000ダルトン以下である。低MWポリエチレンが、2種類以上のポリエチレンの組み合わせを含む場合、組み合わせ中の各種類のポリエチレンのMnは、個別に、上記で述べた約500から約15000ダルトンの範囲内にあるものとする。
一般的に、適切な低MWポリエチレンとしては、限定されないが、ポリエチレンホモポリマー、エチレンもしくはその誘導体および別のモノマーのコポリマー、ホモポリマーの官能化誘導体、コポリマーの官能化誘導体、または非官能化および官能化低MWポリエチレンの組み合わせが挙げられる。いくつかのポリエチレンフィッシャートロップシュワックス、すなわち、低MWポリエチレンの上記で定める特性を満足するものも、本明細書で考慮され、記載されるアスファルト組成物に用いられてよい。
適切な低MWポリエチレンの1つのカテゴリーは、特定のHoneywell TITAN(登録商標)ポリオレフィンを含み、これは、ポリエチレンのホモポリマーを含み、米国ニュージャージー州モーリスタウンに位置するハネウェルインターナショナル社(Honeywell International Inc.)から市販されている。より詳細には、TITAN(登録商標)8594、7437、8570、および8903のうちの1つ以上が、低MWポリエチレンとしての使用に適している。低MWポリエチレンとして用いるための好ましいHoneywell TITAN(登録商標)ポリエチレンとしては、TITAN(登録商標)7437、8570、8903、および8594が挙げられる。
代表的実施形態では、低MWポリエチレンは、アスファルトコーティングに対して約0.1から約15重量パーセント(重量%)の量で、アスファルトコーティング中に存在する。例えば、低MWポリエチレンは、アスファルトコーティング配合物の総重量に対して、少なくとも約0.1、0.2、0.5、0.8、1.0、1.2、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5、および3.0重量%の量でアスファルトコーティング中に存在し、独立して、約15、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2、および1.5重量%以下である。実施形態では、アスファルトコーティング中の低MWポリエチレンの総含有量は、アスファルトコーティングの総重量に対して、約0.5から約10重量%、または約1から約10重量%、または約1から約7重量%、または約2から約7重量%、または約1から3重量%である。
別の実施形態では、アスファルトコーティングは、アスファルトコーティングの総重量に対して、約1から約30重量%の量で熱可塑性エラストマーを含む。例えば、ある実施形態では、エラストマーは、アスファルトコーティングの総重量に対して、少なくとも約2、4、6、8、9、10、12、および15重量%の量でアスファルトコーティング中に存在し、独立して、約28、25、22、20、18、16、15、14、13、12、11、10、および9重量%以下である。ある実施形態では、熱可塑性エラストマーは、2つ以上のそのようなエラストマーを含んでよく、そのような実施形態では、アスファルトコーティングの総熱可塑性エラストマー含有量は、アスファルトコーティングの総重量に対して約10から約30重量%である。例えば、2つ以上のエラストマーを含む実施形態では、エラストマーは、アスファルトコーティングの総重量に対して、少なくとも約12、14、15、18、および20重量%の総量でアスファルトコーティング中に存在し、独立して、約28、25、22、20、18、および15重量%以下である。
アスファルトコーティングでの使用に適する熱可塑性エラストマーの限定されない例としては、粉砕タイヤゴム(GTR)、脱硫GTR、ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンターポリマー(SEBS)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ターポリマー、エチレン/n‐ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー、ならびに例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)を含むスチレン/ブタジエン、スチレン/イソプレン、およびスチレン/イソプレン‐ブタジエンブロックコポリマーなどのスチレン/共役ジエンブロックもしくはランダムコポリマーを含む天然ゴムまたは合成ゴムが挙げられる。ブロックコポリマーは、分岐鎖状であってもまたは直鎖状であってよく、ジブロック、トリブロック、テトラブロック、またはマルチブロックであってもよい。
代表的実施形態では、熱可塑性エラストマーは、SBSコポリマー、SBR、CR、GTR、脱硫GTR、およびこれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、熱可塑性エラストマーは、SBSコポリマー、GTR、脱硫GTR、およびこれらの組み合わせから選択される。1つの実施形態では、例えば、熱可塑性エラストマーは、アスファルトコーティングの総重量に対して、SBSまたはSBRなどの合成ゴムを、約8重量%未満の量で、GTRまたは脱硫GTRを、約10から約22重量%の量で含む。
代表的実施形態では、アスファルトコーティングは、アスファルトコーティングの総重量に対して約5から約48重量%の量で存在する無機充填剤を含む。例えば、ある実施形態では、無機充填剤は、アスファルトコーティングの総重量に対して、少なくとも約12、15、20、25、30、35、40、42、45、および47重量%の量でアスファルトコーティング中に存在し、独立して、約47、45、40、35、30、25、20、15、および12重量%以下である。例えば、1つの実施形態では、アスファルトコーティングは、アスファルトコーティングの総重量に対して約15から約45重量%の量で存在する無機充填剤を含む。さらに、無機充填剤は、2種類以上の無機充填剤を含んでもよい。
本明細書で述べるものなどのアスファルトコーティング中に含めるのに適する無機充填剤は、ルーフィング製品に含めることが適切であるとして当業者に現時点で、または将来的に知られるいかなる無機充填剤であってもよい。一般的に、無機充填剤は、鉱物充填剤であってよい。鉱物充填剤は、典型的には、石または鉱物を粉砕したものであり、例えば、中でも、石粉、バウディッセライト粉末(baudisseritepowder)、ドロマイト粉、およびタルクなどである。実施形態では、石および/または鉱物は、約180μ以下の粒子サイズまで粉砕される。
本明細書で考慮され、記載されるアスファルトコーティングに用いるのに適する軟化剤としては、例えば、限定されないが、ナフテン系炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。アスファルトコーティングは、アスファルトコーティングの総重量に対して約1から約20重量%の総量で軟化剤を含む。ある実施形態では、例えば、軟化剤は、アスファルトコーティングの総重量に対して、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、および10重量%の総量でアスファルトコーティング中に存在し、独立して、約18、15、13、12、11、10、9、8、および7重量%以下である。例えば、1つの実施形態では、アスファルトコーティングは、アスファルトコーティングの総重量に対して約3から約8重量%の量で存在する軟化剤を含む。
アスファルトコーティングはまた、難燃剤、およびテルペン樹脂などの粘着付与剤など、アスファルトコーティングの総重量に対して約1から約15重量%の量で存在するその他の添加剤も、所望に応じて含んでよい。用いられる典型的な難燃剤としては、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、三酸化アンチモンおよびデカブロモジフェニルオキシドの混合物などが挙げられる。
別の実施形態は、基材、およびアスファルトコーティング基材を形成するために基材上にコーティングされたアスファルトコーティングを含む、ルーフィング用途に用いるための防水膜を提供する。さらに、アスファルトコーティングは、上記で述べた通りであり、すべてアスファルトコーティングの総重量に対して、約30から約88重量パーセント(重量%)のアスファルト、約0.1から約15重量%の低MWポリエチレン、約1から約30重量%の熱可塑性エラストマー、約5から約48重量%の無機充填剤、および約1から約20重量%の軟化剤を含む。基材は、アスファルトコーティングと一緒になって防水膜を作製するのに適するとして当業者に現時点で、または将来的に知られるいかなる材料であってもよい。適切な基材としては、限定されないが、例えば、繊維ガラス、ポリエステル不織布、ガラス繊維強化ポリエステルなどが挙げられる。
代表的実施形態では、防水膜は、さらに、アスファルトコーティング基材上を覆う分離材をさらに含む。分離材は、製造の過程で巻かれた場合、続いてその巻かれた状態で保存および輸送される間にアスファルトコーティング膜がそれ自体に接着することを防ぐために必要とされる。分離材は、作製の最中および作製の後に、アスファルトコーティング基材がそれ自体に接着することを防ぐのに適するとして当業者に現時点で、または将来的に知られるいかなる材料であってもよい。適切な分離材としては、限定されないが、例えば、微砂、ポリエチレンフィルム、鉱物粒子、アルミニウム箔などが挙げられる。
なお別の代表的実施形態では、アスファルトコーティングを作製するための方法が提供される。アスファルトコーティングは、当業者に現時点で、または将来的に知られるいかなる方法で作製されてもよいが、様々な成分が、均一な混合物を形成するのに充分である温度でアスファルトと混合される。ある実施形態では、例えば、この方法は、アスファルトを少なくとも約180℃に加熱すること、および熱可塑性エラストマーを加熱されたアスファルトと混合して均一な混合物を得ることを含む。例えば、熱可塑性エラストマーおよび加熱されたアスファルトは、少なくとも約1800rpmの速度で、少なくとも約45分間にわたって一緒に混合されて、均一な混合物が得られてよい。低MWポリエチレンが、アスファルト‐エラストマー混合物に添加され、この混合物がブレンドされる。ブレンドは、例えば、少なくとも約0.5時間にわたって、少なくとも約1800rpmの速度で実施されてよい。無機充填剤が、このアスファルト‐エラストマー‐ポリエチレン混合物に添加され、ブレンドが継続され、それによって、均一な混合物が得られる。ブレンドは、例えば、さらに少なくとも約0.5時間にわたって、少なくとも約1800rpmの速度で継続されてよい。実施形態では、熱可塑性エラストマーは、SBSコポリマーである。1つの実施形態では、低MWポリエチレンは、ポリエチレンホモポリマーであり、例えば、官能化高密度ポリエチレンである。別の実施形態では、無機充填剤は、タルクまたはドロマイト粉を含む。
別の代表的実施形態では、アスファルトコーティングを作製するための方法は、さらに、熱可塑性エラストマーを添加し、混合して加熱されたアスファルト‐エラストマー混合物を作製した後、および低MWポリエチレンを添加する前に、第二の熱可塑性エラストマーを、加熱されたアスファルト‐エラストマー材料に添加し、これらを一緒に混合することを含む。例えば、第二の熱可塑性エラストマーは、加熱されたアスファルト‐エラストマー混合物と、約1.5から約2時間にわたって、少なくとも約1800rpmの速度でブレンドされてよい。次に、低MWポリエチレンが、加熱されたアスファルト‐エラストマー混合物に添加される。実施形態では、第二の熱可塑性エラストマーは、粉砕タイヤゴム(GTR)である。
実施例
以下は、低分子量ポリエチレンで改質され、向上された耐油汚れ性および耐熱性を有するアスファルト組成物の例であり、各成分は重量パーセントで示される。これらの例は、単に例示の目的で提供されるものであり、いかなる形であっても、アスファルト組成物の様々な実施形態を限定することを意図するものではない。
数平均分子量、Mn:これらの例で報告される分子量はすべて、本技術分野にて一般的に知られる技術であるゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される数平均分子量である。GPCの目的のために、測定されるべきサンプルは、140℃の1,2,4‐トリクロロベンゼン中に、2.0mg/mlの濃度で溶解される。この溶液(200μL)は、140℃に保持された2つのPLgel 5μm Mixed‐D(300×7.5mm)カラムを含有するGPCへ、1.0mL/分の流速で注入される。分子量(Mw)は、狭いMnの直鎖状ポリエチレン標準一式から作成された検量線を用いて特定される。
本発明の時点で中国国内で適用される標準試験方法は、中華人民共和国国家標準化管理委員会によって公開されているGuoBiao/Tui(「推奨国家規格」)に従い、以降では、「GB/T」として略され、その後に標準番号および年が続く(例:GB/T ####‐YYYY)。
実施例1〜4
サンプルアスファルトコーティングの各々を、すべての原料成分を以下の順番で容器中に投入することによって作製し、第一に、アスファルトを190℃に加熱し、第二に、加熱されたアスファルトにSBSを添加して、2000rpmの速度で1時間にわたって一緒にせん断混合し、第三に、加熱されたアスファルト‐SBS材料にGTRを添加して、約1.5時間から2時間にわたって2000rpmの速度で一緒にせん断混合し、第四に、アスファルト‐SBS‐GTR混合物にHoneywell TITAN(登録商標)8903ポリエチレンを添加して、0.5時間にわたって2000rpmで混合し、第五に、アスファルト‐SBS‐GTR‐TITAN(登録商標)8903混合物にタルクを添加して、さらに0.5時間にわたって2000rpmでせん断混合を継続する。
これらの例で用いたアスファルトの特性を、以下の表1に示す。
SBSエラストマーは、中国フンナンに位置するユエヤンベイリンペトロケミカル社(Yueyang Baling Petrochemical)製のブランドYH‐792であり、それは、以下の表2に列挙される特性を有していた。
Honeywell TITAN(登録商標)8903は、以下の表3に挙げる特性を有する官能化ポリエチレンである。
以下の表4は、サンプルアスファルトコーティング1〜4の各々の特定の組成、さらには耐熱性、低温可撓性、汚れ指標、外観、および人工老化プロセス後の低温可撓性の特性に対する値を示す。
用いた試験方法
アスファルト系防水膜の人工風化老化のための試験方法は、GB/T 18244‐2000に従う。アスファルトコーティングのサンプルを、約(70±1)℃の一定温度に維持した熱風老化試験ボックス内に配置し、老化時間のカウントを開始して、168時間もしくはそれ以上などの規定の老化時間まで行った。老化サンプルを取り出し、(23±2)℃の標準温度に24時間置き、次に、低温可撓性の試験を再度行い、その外観を記録した。
耐熱性は、以下のように、GB/T 328.11‐2007に従って特定した。長方形の形状であり、(100±1)mm×(50±1)mmのサイズである3つのサンプルを、所望される試験温度(本発明では90℃)のオーブン中に、(120±2)分間配置した。それらを取り出した後、コーティング層の流動または液滴落下を観察し、コーティング層と基材層との間のずれを測定する。
低温可撓性は、以下のように、GB/T 328.14‐2007に従って特定した。(150±1)mm×(25±1)mmの長方形であるアスファルトコーティングのサンプルを、冷凍庫中でコンディショニングし、冷却流体中に浸漬した。サンプルが所望される温度に到達すると、その温度を1時間±5分間維持し、その後、サンプルを、特定の直径のマンドレル上に、通常は10秒間未満の時間にわたって屈曲させた。次に、サンプルを、クラッキングの徴候について視覚的に観察した。サンプルにクラッキングが観察されるまで、さらにより低い温度で試験を繰り返した。各サンプルにおいて、クラッキングの徴候が視覚的に観察された最も低い温度を、低温可撓性温度として記録した。
汚れ指標は、以下のように、GB 18242‐2008に従って特定した。アスファルトコーティング膜(50×50mmサイズ)のサンプルを、オーブン中、1kgのおもりと5層のろ紙との間に配置し、所望される温度まで加熱し、次に、約5時間水平に置き、標準試験条件(23±2)℃に1時間置き、その後、各サンプルについて、透過したろ紙の層の数を観察し、報告する。
サンプルアスファルトコーティング1〜4の各々ついて測定された各特性に対する実際の値を比較すると明らかであるように、アスファルトコーティング2および4は、耐熱性および低温可撓性の特性に関して、規格の必要条件を満たしているが、アスファルトコーティング1および3(すなわち、TITAN(登録商標)8903ポリエチレンなしのサンプル)の耐熱性は、規格の必要条件を満たすことができなかった。加えて、アスファルトコーティング1および3の汚れ指標値は、アスファルトコーティング2および4の汚れ指標値よりも劣っている。
少なくとも1つの代表的実施形態を、上記の詳細な記述において提示したが、非常に数多くの変型例が存在することは理解されるべきである。また、1もしくは複数の代表的実施形態は、単なる例であり、いかなる形であっても、本発明の範囲、適用性、または構成を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。そうではなく、上記の詳細な記述は、本発明の代表的実施形態を実行するために都合の良いロードマップを当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物に示される通りの本発明の範囲から逸脱することなく、代表的実施形態で述べた要素の機能および配列に様々な変更を行ってよいことは理解される。