JP2017522387A - ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−l−アラニニル)]ホスフェートの製造方法リン酸誘導体を製造する方法 - Google Patents

ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−l−アラニニル)]ホスフェートの製造方法リン酸誘導体を製造する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの高い収率および純度での製造方法を提供する。式I

Description

本発明は、全体として、ゲムシタビンホスホルアミデート誘導体と、その製造方法と、それを含有する医薬組成物とに関する。
シタラビン、フルダラビン、クラドリビン、カペシタビン、ゲムシタビンおよびペントスタチンなどの多くのヌクレオシド類似体が、非常に有効な抗腫瘍剤として臨床的に使用されている。これらの中でも、ゲムシタビン(2',2'-ジフルオロ-2'-デオキシシチジン、ジェムザール(商標)は、固形腫瘍に対するその特有の活性のために特に注目されており、現在、膀胱がん、乳がん、肺がん、卵巣がんおよび膵臓がんを治療するために治療的に使用される。
このヌクレオシド類似体に特有のいくつかの自己増強機構は、固形腫瘍に対するゲムシタビンの活性に関与すると考えられている。ゲムシタビンの二リン酸代謝産物は、リボヌクレオチド還元酵素を阻害し、細胞内デオキシシチジン三リン酸(dCTP)の濃度の低下をもたらし、結果として、三リン酸ゲムシタビン代謝産物のDNAへの取り込みを増加させ、DNA合成の阻害をもたらし、細胞分裂周期の完了を妨げる。加えて、dCTP濃度の減少は、酵素シチジンキナーゼを上方制御し、これは薬剤によるDNA合成の阻害に必要な工程であるゲムシタビンの最初のリン酸化に関与する。最後に、ゲムシタビンの三リン酸代謝産物は、シチジンデアミナーゼの阻害剤であり、これはウリジン代謝産物への変換により、ゲムシタビンの不活性化に関与する。したがって、上記因子の付加的性質は、固形腫瘍の治療におけるゲムシタビンの有効性を説明し得る。
プロチドの親油性の性質のために、これらの分子は、ヌクレオシド一リン酸を無傷の腫瘍細胞に直接送達させることができる。これまでの研究は、ヌクレオシド類似体薬およびそれらの誘導体の複数の細胞輸送機構を明らかにしてきた(総説については、非特許文献1を参照)。比較的親水性の化合物であるゲムシタビンは、受動拡散によりプラズマ膜を透過する能力に限りがあり、いくつかの研究により、ゲムシタビンは、拡散型および濃縮型ヌクレオシドトランスポーター(それぞれENTおよびCNT)の基質であることが実証された。具体的に言うと、ゲムシタビンは、ヒトENT1、ENT2、CNT1およびCNT3により輸送されるが、プリン選択的濃縮型トランスポーターCNT2では輸送されない(非特許文献2;非特許文献3;および非特許文献4を参照)。
特許文献1は、抗ウイルス剤および抗腫瘍剤として知られている2,2'-ジフルオロヌクレオシド、特に1-(2-オキソ-4-アミノ-1H-ピリミジン-1-イル)-2-デスオキシ-2,2'-ジフルオロリボース(ゲムシタビンとして一般に知られている)を開示している。
非特許文献5は、ゲムシタビンの4-NH2、3'-OHおよび5'OH位の選択的保護の方法を、モノ保護またはジ保護のいずれかとして開示し、一般的に使用されるジ-tert-ブチルジカーボネートを用いることにより、良好な収率で合成された。しかし、この公報は、ゲムシタビンのホスホルアミデート誘導体の製造を提供しておらず、イソキノリン部分を有するものとしてのゲムシタビンのPBRリガンドを本質的に対象とする。
特許文献2は、2'-デオキシ-2',2'-ジフルオロ-D-シチジン-5'-O-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート(式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートとも呼ばれる)などのヌクレオチドのホスホルアミデート誘導体を開示している。化学的にこれらの誘導体を合成する方法であって、ゲムシタビンまたはその構造変異体と適切なホスホクロリデートとをN-メチルイミダゾールの存在下で反応させ、それに続くジクロロメタン/メタノール95:5で溶出するカラムクロマトグラフィーでの生成物の精製により、純粋な生成物を白色泡状固体として16%の非常に低い収率で得る方法が、この特許に開示されている。

式I
この反応に使用される出発ヌクレオチドは2つの極性官能基(3'-ヒドロキシおよび4-アミノ)を有し、それはまた、5'-ヒドロキシ基とともにホスホルアミデートプロチドエステルを形成することができ、式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの形成に必要とされるため、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート誘導体の純度および収率は、特許文献2の通り、満足のいくものではない。また、前記方法は、所望の化合物を単離するためのカラムクロマトグラフィー精製を伴い;そのような方法は、面倒であり、労働集約的で、時間がかかり、そのため商業規模の操作にとって実行可能なものではない。上記の方法は、概略的に次のように表される:
特許文献2に伴う困難を克服するために、本発明者らは、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートなどのゲムシタビンホスホルアミデートプロチドの製造方法の改善を試み、そこで3'-ヒドロキシ保護されたゲムシタビンのみを、N-メチルイミダゾール(NMI)またはt-ブチルマグネシウムハライド(BrまたはCl)のいずれかを使用したプロチド中間体とのカップリングの出発物質として使用し、その後脱保護およびカラムクロマトグラフィー精製が続き、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを全収率35〜65%で生じさせた。この方法は、95%を超える化学的純度をジアステレオマーの混合物としてもたらし、両ジアステレオマーの混合物は約2:1の比率で、約1%のメトキシ不純物を有していた。同様の方法が、非特許文献6に記載されている。
したがって、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)を高い収率および純度で製造する方法を提供することが本発明の目的である。改善には、ゲムシタビンの両方の極性官能基(3'-ヒドロキシおよび4-アミノ)の保護と、それに続くプロチド中間体とのカップリングおよび最終脱保護とが挙げられ、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートをより高い全収率および80〜90%の純度で得る;新しい方法が、モノ保護ゲムシタビンの プロチドとの直接カップリングにとって有益な代替手段を表すことは明らかである(35〜65%収率)。
米国特許第4,808,614号明細書 米国特許第7,951,787号明細書
Balimane et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 183-209 Mackey et al., Cancer Res. 1998, 58, 4349-4357 Mackey et al., J. Natl. Cancer Inst. 1999, 91, 1876-1881 Fang et al., Biochem. J. 1996, 317, 457465 J. Org. Chem. Vol. 64, No. 22, 1999 Slusarczyk et al; J. Med. Chem.; 2014, 57, 1531?1542 "Protective Groups in Organic Chemistry," edited by J W F McOmie (1973) "Protective Groups in Organic Synthesis," 2nd edition, T W Greene (1991) "Protecting Groups", 3rdaddition P. J Koscienski (1995)
本発明は、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート誘導体の高い収率および純度での製造方法を包含する。
本発明の第一の態様では、式I:

式I
のゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造方法であって、
a)式IV:

式IV
の保護されたゲムシタビン誘導体[式中、P1はヒドロキシ保護基であり;P2はアミン保護基を表し;P3は水素またはアミン保護基を表す]を、式III:
式III
のプロチド中間体[式中、”X”は脱離基である]と反応させ、式II:

式II
の保護されたホスホルアミデートを得る工程と;
b)式IIの保護されたホスホルアミデートを脱保護し、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを得る工程と、
を含む方法が提供される。
脱離基は、Cl、Br、I、トシレート、メシレート、トリフルオロ酢酸、トリフルロスルホン酸からなる群より選択されてもよい。
ヒドロキシ保護基は、独立して、任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリールおよび-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選択されてもよい。
アミノ保護基は、各存在ごとに、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリールおよび任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択されてもよい。
本発明の第二の態様では、式IIの化合物が提供される。これらの化合物は、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの合成に有用な中間体である。
本発明の第三の態様では、式I:

式I
のゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造方法であって、
a)式II:

式II
の保護されたホスホルアミデートを脱保護し、式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを得る工程を含む方法が提供される。
本発明の第四の態様では、本発明の方法に従って作られたゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートが提供される。同様に、本発明は、本発明の方法により製造されたゲムシタビンホスホルアミデート誘導体を使用して、がんなどの疾患もしくは障害を治療または予防するための医薬組成物と方法とを提供する。
本発明は、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造方法を提供する。
第一の実施形態によれば、本発明は、式I:

式I
のゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造方法であって、
a)式IV:

式IV
の保護されたゲムシタビン誘導体[式中、P1はヒドロキシ保護基であり;P2はアミン保護基を表し;P3は水素またはアミン保護基を表す]を、式III:

式III
のプロチド中間体[式中、”X”は脱離基である]と反応させ、式II:
式II
の保護されたホスホルアミデートを得る工程と;
b)式IIの保護されたホスホルアミデートを脱保護し、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを得る工程と、
を含む方法を提供する。
式IVのビス保護された出発化合物の多くは、当技術分野で知られており、任意の既知方法により製造することができる。例えば、式IVの出発化合物は、ゲムシタビンから、3'-ヒドロキシ基と4-アミノ基とを適当な保護基で保護することにより合成され得る。保護基は、典型的には、例えば非特許文献7;非特許文献8;および非特許文献9に記載されているように、従来の保護基方法論を使用して導入および除去することができる。
典型的には、最初にゲムシタビンの5'-ヒドロキシ基を、3'-ヒドロキシと4-アミノ基とを保護するのに使用される予定のものに対してオルソゴナルである保護基(すなわち、所望の3'-ヒドロキシ基と4-アミノ基とを除去することなく、除去することができる基)で保護することにより、3'-ヒドロキシ基と4-アミノ基とが保護された化合物を製造することが必要となる。同時にまたはその後に、3'-ヒドロキシ基と4-アミノ基とを所望の保護基(複数可)で保護し、5'-ヒドロキシル保護基を除去し、式IIの化合物を生成することができる。特定の保護基を、3'-ヒドロキシ基と5'-ヒドロキシ基に、および任意に4-アミノ基に同時に導入し、その後、3'-ヒドロキシ基と、存在する場合には4-アミノ基とから除去することなく、5'ヒドロキシル基から選択的に除去することができる。
式IIIのプロチド中間体は当技術分野で知られており、例えば式IIIのプロチド中間体は、特許文献2に従って得ることができる。
いくつかの実施形態によれば、脱離基”X”は、Cl、Br、I、トシレート、メシレート、トリフルオロ酢酸、トリフルロスルホン酸からなる群より選択される。好ましくは、XはClである。
いくつかの実施形態によれば、P1は、独立して、任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリールおよび-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選択される。
P1は、独立して、任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキルおよび任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリルから選択されてもよい。好ましくは、P1は、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジルおよび-C(O)OCH2-アリルから選択される。したがって、P1は、-C(O)OCH2-アリールであってもよい。
あるいは、P1は、独立して、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキルおよび任意に置換された-C(O)-アリールから選択されてもよく、例えば、P1は、独立して、ベンゾイルおよびアセチルから選択されてもよい。
P2は、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリールおよび任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択されてもよい。
P2は、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、任意に置換された-CH(アリール)3および任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択されてもよい。好ましくは、P2は、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジルおよび-C(O)OCH2-アリルから選択される。したがって、P2は、-C(O)OCH2-アリールであってもよい。
あるいは、P2は、独立して、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキルおよび任意に置換された-C(O)-アリールから選択されてもよく、例えば、P2は、独立して、ベンゾイルおよびアセチルから選択されてもよい。
同様に、P3は、独立して、H、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリールおよび任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択されてもよい。
好ましくは、P3はHである。
任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3基は、-Si(C1-4アルキル)3基であってもよい。基は(すなわちアルキル基は)、好ましくは非置換である。具体例としては、トリエチルシリルおよびt-ブチル-ジメチルシリルが挙げられる。
任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル基は、-C(O)-C1-C6-アルキル基であってもよい。基(すなわちアルキル基)は、好ましくは非置換である。具体例としては、アセチルおよびプロピオニルが挙げられる。
任意に置換された-C(O)-アリール基は、-C(O)-フェニル基であってもよい。基(すなわちフェニル基)は、好ましくは非置換である。具体例としては、ベンゾイルが挙げられる。
任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル基は、-C(O)-OC1-C4-アルキル基であってもよい。基(すなわちアルキル基)は、好ましくは非置換である。具体例としては、-C(O)-O-メチルおよび-C(O)-O-エチルが挙げられる。特に好ましい例は、C(O)OtBuである。
任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール基は、好ましくは任意に置換されたベンジル基である。具体例としては、ベンジル、フェネチル、4-メトキシベンジル、4-ニトロベンジル、4-ブロモベンジル、2,3-ジメトキシベンジルおよび2,4-ジメトキシベンジルが挙げられる。
任意に置換された-C(O)OCH2-アリール基は、好ましくは任意に置換された-C(O)Oベンジル基である。具体例としては、-C(O)Oベンジルおよび-C(O)O-(4-メトキシベンジル)が挙げられる。
任意に置換された-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキル基は、-C1-C2-アルキル-O-C1-C2アルキル基であってもよい。基は(すなわちアルキル基は)、好ましくは非置換である。具体例としては、メトキシ-メチル(MOM)および2-メトキシ-エトキシ-メチル(MEM)が挙げられる。
任意に置換された-S(O)2-C1-C6-アルキル基は、-S(O)2-C1-C4-アルキル基であってもよい。基(すなわちアルキル基)は、好ましくは非置換である。具体例としては、メタンスルホン酸が挙げられる。
任意に置換された-S(O)2-アリール基は、-S(O)2-フェニル基であってもよい。具体例としては、フェニルスルホン酸、4-メチルフェニルスルホン酸および4-ニトロフェニルスルホン酸が挙げられる。
任意に置換された-CH(アリール)3基は、-CH(フェニル)3 基であってもよい。具体例としては、トリチルが挙げられる。
脱保護工程は、2つの個別の脱保護反応を含んでいてもよい。これは、2つの異なる保護基が使用され、これら2つの保護基を、同じ条件下で除去することができない場合である。
しかしながら、好ましくは、脱保護工程は、両方の保護基が除去される単一の脱保護反応を含む。したがって、好ましくは、P1およびP2は、同じ条件下で除去できる保護基である。好ましくは、P1およびP2は同一である。
P1およびP2の両方が、任意に置換された-C(O)OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリルおよび任意に置換された-C(O)OCH2-アリールから選択される基であり得る。したがって、P1およびP2の両方が、C(O)OtBu、-C(O)-O-アリルおよびC(O)O-ベンジルから選択される基であってもよい。好ましい実施形態では、P1およびP2は、両方ともC(O)OtBu基である。
好ましくは、P3は水素である。したがって、好ましい実施形態では、P1およびP2は同一の基であり、P3は水素である。したがって、特に好ましい実施形態では、P1およびP2は両方ともC(O)OtBu基であり、P3は水素である。
上記のアルキル基およびアリール基(例えばフェニル、ベンジル基中のフェニル基を含む)のいずれも、化学的に可能ならば、それぞれ独立して、各存在ごとに、オキソ、=NRa、=NORa、ハロ、ニトロ、シアノ、NRaRa、NRaS(O)2Ra、NRaCONRaRa、NRaCO2Ra、ORa、SRa、SORa、SO3Ra、SO2Ra、SO2NRaRa、CO2RaC(O)Ra、CONRaRa、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルケニル、およびC1-C4ハロアルキルからなる群より選択される1〜3個の置換基により任意に置換されており;式中、Raは、独立して、各存在ごとに、H、C1-C4アルキルおよびC1-C4ハロアルキルから選択される。前述のアルキル基のいずれも、置換されていなくてもよい。
上記のアリール基(例えばフェニル、ベンジル基中のフェニル基を含む)のいずれも、化学的に可能ならば、それぞれ独立して、各存在ごとに、ハロ、ニトロ、シアノ、NRaRa、NRaS(O)2Ra、NRaCONRaRa、NRaCO2Ra、ORa、SRa、SORa、SO3Ra、SO2Ra、SO2NRaRa、CO2RaC(O)Ra、CONRaRa、C1-C4-アルキル、C2- C4-アルケニル、C2-C4-アルケニル、およびC1-C4ハロアルキルからなる群より選択される1〜3個の置換基により任意に置換されており;式中、Raは、独立して、各存在ごとに、H、C1-C4アルキルおよびC1-C4ハロアルキルから選択される。
上記のアリール基(例えばフェニル、ベンジル基中のフェニル基を含む)のいずれも、それぞれ独立して、各存在ごとに、ハロ、ニトロ、ORa;C1-C4-アルキル、C1-C4ハロアルキルからなる群より選択される1〜3個の置換基により任意に置換されており;式中、Raは、独立して、各存在ごとに、H、C1-C4アルキルおよびC1-C4ハロアルキルから選択される。
アリール基は、原子価要求を満たすのに適切な6〜20個の炭素原子を有する。アリール基は、ヒュッケル則を満たす炭素環式基である(すなわち、それらは、2(2n+1)個のπ電子を含有する炭素環系を含む)。アリール基は、任意に置換されたフェニル基、任意に置換されたビフェニル基、任意に置換されたナフタレニル基または任意に置換されたアントラセニル基であってもよい。同様に、アリール基は、非芳香族炭素環式部分を含んでいてもよい。好ましくは、アリール基は、任意に置換されたフェニル基である。
アルキル基は、直鎖状または分枝状であってもよい。したがって、例えば、C4アルキル基は、n-ブチル、i-ブチルまたはt-ブチルとすることができる。
一実施形態では、本発明は、式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの、式IVの3'-ヒドロキシおよび4-アミノ保護されたゲムシタビン誘導体からの製造方法を提供し、そこで3'-ヒドロキシ基および4-アミノ基は、式IIIのプロチド中間体との反応の前に、t-ブトキシカルボニル基で事前に保護されている。
第一の態様の方法の工程a)を、塩基の存在下で行ってもよい。塩基は、窒素塩基であってもよい。窒素塩基には、N-アルキルイミダゾール(例えば、N-メチルイミダゾール(NMI)、イミダゾール、任意に置換されたピリジン(例えば、コリジン、ピリジン、2,6-ルチジン)およびトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミン)が挙げられる。あるいは、塩基は、グリニャール試薬(すなわち、アルキルマグネシウムハライド)であってもよい。例示的なグリニャール試薬には、tBuMgCl、tBuMgBrなどのt-ブチルマグネシウムハライドが挙げられる。好ましくは、塩基はtBuMgClである。
本発明の方法の利点の一つは、ゲムシタビンの5'位へのプロチド基の導入を、広範囲の条件(例えば、より広範な塩基)で行うことができることであり、結果として、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの合成におけるこの重要な工程の変形を可能にすることである。反応条件をより広範に変化させる能力は、方法全体を最適化することを可能にし、特に、経済的に有利なスケールアップ方法を開発することができる可能性を増加させる。
次の塩基は、第一の態様の工程a)の反応で働くが、あまり好ましくはない:トリエチルアミン 、Na2CO3、NaH。
第一の態様の工程a)は、有機溶媒中で行うことができる。有機溶媒としては、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル);ケトン(例えば、アセトンおよびメチルイソブチルケトン);ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2-ジクロロエタン);ならびにアミド(例えば、DMF、NMP);またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。工程a)がグリニャール試薬の存在下で実施される場合、有機溶媒は、好ましくはエーテルである。最も好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランである。
第一の態様の工程a)が窒素塩基の存在下で行われる場合、有機溶媒は、最も好ましくは、ハロゲン化溶媒またはアミドである。
反応は、典型的には適切な温度で、例えば約-5℃〜約40℃で行われる。好ましくは、反応温度は約25℃〜約30℃である。反応を、約15分〜約16時間、好ましくは約30分〜約-60分間撹拌させてもよい。
式IIの保護されたホスホルアミデートを含有する得られた有機層を、同じ反応容器中で直接処理し、式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを形成することができる。あるいは、反応の終わりに、例えば蒸留、蒸発、回転乾燥(Buchiロータリーエバポレーターなどで)、凍結乾燥、流動床乾燥、フラッシュ乾燥、スピンフラッシュ乾燥などの当技術分野で知られている任意の方法により、有機層からの溶媒を濃縮し、粗生成物残渣を得ることができる。好ましくは、溶媒を真空下での蒸留により除去する。
本発明の方法はまた、ヒドロキシおよびアミノ保護基の脱保護も伴う。
保護基が酸感受性、例えばトリチル、C(O)OtBu、MOM、MEM、2,4-ジメトキシベンジル、2,3-ジメトキシベンジルである場合、脱保護工程を、適当な酸を用いて行うことができる。酸は、ブレンステッド酸(例えば、TFA、リン酸、HCl、もしくはギ酸)またはルイス酸(例えば、ZnBr2、CeCl3)であってもよい。ルイス酸(例えばZnBr2)は、あまり好ましくない。HClも同様に、あまり好ましくない。好ましくは、酸はTFAである。
保護基が塩基感受性、例えばアセチル、ベンゾイルである場合、脱保護工程を、適当な塩基、例えばNH3水またはNaOH水溶液を用いて行うことができる。塩基感受性基は、あまり好ましくない場合がある。
保護基がシリル基(例えばトリエチルシリルまたはt-ブチルジメチルシリルである場合、脱保護工程を、適当な酸(例えばTFA)を用いて、または適当なフッ素源(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロケイ酸、HF)を用いて行うことができる。
保護基がベンジル基またはC(O)Oベンジル基である場合、脱保護工程を、H2および適当な触媒(例えばPd/C)を用いて行うことができる。そのような保護基は、あまり好ましくない場合がある。
保護基が4-メトキシベンジル、2,3-ジメトキシベンジル、2,4-ジメトキシベンジル、またはC(O)O-(4-メトキシベンジル)である場合、脱保護工程を、適当な酸化剤(例えば、メタ-クロロ過安息香酸)を用いて行うことができる。
保護基が-C(O)-O-アリルである場合、脱保護工程を、(PPh3)4Pdを用いて行うことができる。
保護基が-C(O)-O-CH2-フルオレニルである場合、脱保護工程を、ピペリジンを用いて行うことができる。
脱保護工程を、有機溶媒またはそれらの混合物中で行ってもよい。例示的な有機溶媒には、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン);アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
脱保護工程が、酸(例えばTFAの存在下で行われる場合、有機溶媒は、好ましくはハロゲン化溶媒、例えばジクロロメタンである。
脱保護反応を、例えば、-10℃〜約30℃の範囲の温度で、例えば約10℃で行ってもよい。反応を行うのに都合のいい温度は、-5℃〜5℃である。反応を、約15分〜約16時間、好ましくは約1時間〜約4時間、より好ましくは約2時間〜約3時間撹拌させてもよい。
脱保護が、酸(例えばTFA)の存在下で行われる場合、脱保護後に得られた生成物の単離は、典型的には、脱保護工程で使用される過剰の酸をクエンチし、水と混和しない有機溶媒で生成物を抽出し、有機溶媒を蒸発させて生成物を回収することにより行われる。
抽出に有用な水不混和性有機溶媒の例としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等のエステル;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられ;好ましくは酢酸エチルである。
好ましくは、P1およびP2は、両方ともC(O)OtBu基であり、P3は水素であり、工程a)はtBuMgClの存在下で(例えばTHF中で)行われ、工程b)はTFAを用いて(例えばDCM中で)行われる。この反応順序が、アッセイされたものの最も高い収率およびHPLC純度を与えるように思われる。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法により得られる式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを、約90%の収率のジアステレオマーの混合物として、HPLCによる測定で少なくとも約98%の化学純度で、好ましくはHPLCによる測定で少なくとも約99%の、約1:1の比率のジアステレオマーの混合物として;メトキシ不純物を実質的に含まずに提供する。
本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない」は、HPLCによる測定で検出可能なレベル未満のそのメトキシ不純物を有する、好ましくは、HPLCによる測定で0.01%未満のそのメトキシ不純物を有する式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを指す。
式IIIのプロチド中間体の導入前のゲムシタビンの両方の極性官能基(3'-ヒドロキシおよび4-アミノ)の保護に起因して、得られるゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの収率と純度が、実質的に高められることが観察されている。対照的に、報告された文献に記載の方法のように、保護なし、またはそのような保護基の部分的な保護のいずれかで同じ反応を行った場合、実質的により低い収率と低純度が得られた。
特定の実施形態では、それでも本発明の方法から得られるゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを精製することが望ましい場合がある。精製の方法は、当業者によく知られており、クロマトグラフィー(例えばカラムクロマトグラフィー)、再結晶および蒸留が挙げられる。他の実施形態では、精製は必要ない。
以下の略語が、本明細書を通じて使用されている:
DCM - ジクロロメタン DIPE - ジイソプロピルエーテル
DMF - N,N-ジメチルホルムアミデド DMSO -ジメチルスルホキシド
IPA - イソプロピルアルコール MTBE - メチル-t-ブチルエーテル
NMP - N-メチルピロルジノン TBDMS - tert-ブチルジメチルシリル
TEA - トリエチルアミン TFA - トリフルオロ酢酸
THF - テトラヒドロフラン
本発明を以下の実施例によりさらに例示するが、これらは例示のためにのみ提供されており、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1)
(3'位の保護- 3'-O-(tert-ブチルブトキシカルボニル)ゲムシタビンの製造)
塩酸ゲムシタビン(50グラム)のDM水(200mL)とジオキサン(800ml)との撹拌混合液に、K2CO3(115.3グラム、0.835mol)、続いてBoc無水物(58.3グラム、0.267mol)を25〜30℃で添加し、得られた混合液を同温度で48時間撹拌した。反応終了後、DM水(600ml)を添加し、反応混合液をEtOAc(750ml)で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮乾固した。残渣を25〜30℃に冷却し、アセトン(150ml)で処理し、減圧下で蒸留した。さらに得られた残渣をアセトンとヘプタンとの混合液、続いてDCMからスラリー化し、表題化合物を得た(51.5グラム;85%)。
HPLCによる純度:93%。
(実施例2)
(3'位の保護- 4-N-3'-O-ビス(tert-ブチルブトキシカルボニル)ゲムシタビンの製造)
3'-O-(tert-ブチルブトキシカルボニル)ゲムシタビン(25グラム)のジオキサン(375mL)撹拌溶液に、Boc無水物(75グラム、0.344mol)を25〜30℃で添加した。反応混合液を40〜45℃で90時間維持した。反応終了後、DM水(300mL)を添加し;混合液をEtOAc(375 ml)で抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮乾固した。得られた残渣を25〜30℃に冷却し、EtOAc:ヘプタン混合液中でスラリー化し、表題化合物を得た(21.7グラム、68%)。
HPLCによる純度:97.09%。
(実施例3)
(4-N-3'-O-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ゲムシタビンを経てのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)] ホスフェートの製造):
L-アラニンベンジルエステル塩酸塩(19.7グラム、0.0914mol)のDCM(200ml)懸濁液に、ジクロロフェニルホスフェート(19.6グラム、0.0928mol)を25〜30℃で充填し、-70℃〜約-75℃に冷却した。TEA(18.5グラム、0.1825mol)を、反応混合液に約-75℃〜-70℃で添加し、同温度で1時間、および25〜30℃で2時間撹拌し、反応塊を減圧下で濃縮した。得られた残渣をDIPE(200ml)で処理し、減圧下で濾過および濃縮し、窒素下で0〜7℃で保存した。
4-N-3'-O-ビスブチル(tert-ブトキシカルボニル)ゲムシタビン(20グラム)のTHF(200ml)撹拌混合液に、上記で製造し、200mlのTHF中に取ったプロチド中間体を窒素雰囲気下で添加し、得られた溶液を-5〜5℃に冷却した。1Mのt-BuMgCl(10グラム、0.0863mol)を充填し、温度を25〜30℃に上げ、30分間撹拌した。反応完了後、反応塊を水中(200ml)でクエンチし、EtOAc(300ml)で抽出した。有機層を、8%NaHCO3、水、最後に20%塩水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、残渣を得た。
得られた残渣をDCM(160 ml)中に取り、TFA(160 ml)を-2〜2℃で添加した。反応塊を5〜10℃で2〜3時間維持し、10%の炭酸ナトリウム溶液中(2リットル)で15℃未満でクエンチした。EtOAc(800ml)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残渣をDCM:ヘプタン混合液中でスラリー化し、表題化合物を得た(21.6グラム;85%)。
HPLCによる純度:99.68%(両ジアステレオマーの約1:1の比率の混合物)。
(比較例)
(3'-モノ保護ゲムシタビンを経てのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造):
L-アラニンベンジルエステル塩酸塩(12.54グラム、0.0583mol)のDCM(125 ml)懸濁液に、ジクロロフェニルホスフェート(13.47グラム、0.0638mol)を25〜35℃で充填し、-70℃〜約-78℃に冷却した。TEA(11.76グラム、0.1164mol)を、反応混合液に-70℃〜約-75℃で添加し、同温度で1時間、および25〜35℃で2時間撹拌し、反応塊を濃縮した。得られた残渣をMTBE(200ml)で処理し、減圧下で濾過および濃縮し、窒素下で2〜8℃で保存した。
3'-O-(tert-ブトキシカルボニル)ゲムシタビン(10グラム)のTHF(250ml)撹拌混合液に、1Mのt-BuMgCl(6.43グラム、0.0550mol)を0-5℃で添加し、続いて200mlのTHFに取ったプロチド中間体を窒素雰囲気下で添加した。温度を25〜35℃に上げ、1時間撹拌した。反応終了後、反応塊を0.5NのHCl中でクエンチし、EtOAc(250ml)で抽出した。有機層を分離し、10%NaHCO3溶液、続いて20%NaCl溶液で洗浄し、減圧下で濃縮し、残渣を得た。
得られた残渣をDCM(93 ml)中に取り、TFA(42ml)を0〜5℃で添加した。反応塊を25〜35℃で2時間維持し、10%NaHCO3溶液中でクエンチした。EtOAc(800ml)で抽出し、有機層を10%NaHCO3溶液、続いて20%NaCl溶液で洗浄し、有機層を減圧下で蒸発させた。粗化合物を、DCM中2.5%、5%および7%メタノールで溶出するシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた純粋な化合物を酢酸エチルとヘプタンとの混合液から精製し、表題化合物(10.3グラム;64%)を得た。
HPLCによる純度:98.24%(両ジアステレオマーの約2:1の比率の混合物)。
したがって、本発明の方法は、モノ保護ゲムシタビン誘導体を経て進行する対応経路と比較して、実質的に改善されたHPLC純度をもたらすことがわかる。これは、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの合成をスケールアップするのに大きな利点を表している。
様々な修正が、本明細書に開示された実施形態になされ得ることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定的なものとしてではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。例えば、本発明を操作するための最良の形態として上述および実施された機能は、例示のみを目的としている。他の構成および方法は、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく、当業者により実施され得る。さらに、当業者は、添付の明細書の範囲および要旨内で、他の修正を想定するであろう。

Claims (18)

  1. 式I:

    式I
    のゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造方法であって、
    a)式IV:

    式IV
    の保護されたゲムシタビン誘導体[式中、P1はヒドロキシ保護基であり;P2はアミン保護基を表し;P3は水素またはアミン保護基を表す]を、式III:

    式III
    のプロチド中間体[式中、”X”は脱離基である]と反応させ、式II:

    式II
    の保護されたホスホルアミデートを得る工程と、
    b)前記式IIの保護されたホスホルアミデートを脱保護し、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを得る工程と、
    を含む、方法。
  2. Xが、Cl、Br、I、トシレート、メシレート、トリフルオロ酢酸、トリフルロスルホン酸からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 工程a)が、塩基の存在下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記塩基がtBuMgClである、請求項3に記載の方法。
  5. 式I:

    式I
    のゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートの製造方法であって、
    a)式II:

    式II
    の保護されたホスホルアミデート[式中、P1はヒドロキシ保護基であり;P2はアミン保護基を表し;P3は水素またはアミン保護基を表す]を脱保護し、式Iのゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを得る工程を含む、方法。
  6. P1が、独立して、任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリールおよび-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. P1が、独立して、任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキルおよび任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリルから選択される、請求項6に記載の方法。
  8. P1がC(O)-O-tBuである、請求項6に記載の方法。
  9. P2が、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、 任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリールおよび任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. P2が、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、任意に置換された-CH(アリール)3、および任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. P2がC(O)-O-tBuである、請求項9に記載の方法。
  12. P3が、独立して、H、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-CH(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリールおよび任意に置換された-Si(C1-6アルキル)3から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. P3がHである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記脱保護する工程が、酸を用いて行われる、請求項8または11に記載の方法。
  15. 前記酸がTFAである、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法に従って作られたゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート。
  17. 式II:

    式II
    [式中、P1はヒドロキシ保護基であり;P2はアミン保護基を表し;P3は水素またはアミン保護基を表す]の化合物。
  18. 請求項6〜13のいずれか一項で規定されたP1、P2およびP3の定義を組み込んだ、請求項17に記載の化合物。




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