JP2017514893A - 治療用ナノ粒子でがんを処置する方法 - Google Patents

治療用ナノ粒子でがんを処置する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、それを必要とする患者においてRas遺伝子に変異を有するがんを処置する方法であって、患者に、治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含む方法に部分的に関し、ナノ粒子組成物は、ナノ粒子を含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、それぞれが参照により本明細書にその全体が組み込まれている、2014年11月19日に出願された米国特許仮出願第62/081,836号、2014年11月14日に出願された米国特許仮出願第62/080、124号、2014年5月5日に出願された米国特許仮出願第61/988,474号、および2014年4月18日に出願された米国特許仮出願第61/981,327号の利益および優先権を主張するものである。
患者へのある種の薬物を送達する(例えば、特定の組織もしくは細胞型を標的とするか、または正常組織ではなく特定の患部組織を標的とする)か、または薬物の放出を制御する系は、有益であると長い間認識されてきた。
例えば、活性薬物を含み、かつ例えば、特定の組織もしくは細胞型を標的とするか、または正常組織ではなく特定の患部組織を標的とする治療法は、標的とされていない体の組織における薬物の量を低減し得る。周囲の非がん組織を死滅させることなしに細胞毒性用量の薬物ががん細胞に送達されることが望ましい状態、例えば、がんを処置するときに、これは特に重要である。有効な薬物標的化は、抗がん療法においては一般的である、望ましくなく、時には生命を危うくする副作用を低減し得る。さらに、このような治療法は、薬物がその他の治療法では到達することができないある種の組織に到達することを可能にし得る。
制御放出および/または標的療法を実現する治療法はまた、有効量の薬物を送達できなければならないが、これは他のナノ粒子送達系において公知の制限である。例えば、ナノ粒子のサイズを、有利な送達特性を有するのに十分に小さく保つ一方で、適当な量の薬物が会合する各ナノ粒子を有するナノ粒子系を調製することは挑戦であり得る。しかし、多量の治療剤を有するナノ粒子を添加することは望ましい一方、高すぎる薬物添加量を使用するナノ粒子調製物は、実用的な治療上の使用のためには大きすぎるナノ粒子をもたらす。
したがって、患者の副作用をまた低減させる一方で、治療レベルの薬物を送達し、疾患、例えば、がんを処置することができるナノ粒子治療法、およびこのようなナノ粒子を作製する方法が必要とされている。
それを必要とする患者においてRas遺伝子に変異を有するがんを処置する方法であって、患者に、治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含み、ナノ粒子組成物が、ナノ粒子を含む、方法が本明細書に記載される。
一態様では、それを必要とする患者においてRas変異を有するがんを処置する方法を提供する。この方法は、患者に、抗がんナノ粒子を含む治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含む。
ある特定の実施形態では、Ras変異は、H−Ras、K−Ras、およびN−Rasからなる群から選択されるRas遺伝子における変異である。例えば、ある特定の実施形態では、Ras遺伝子は、K−Rasである。
ある特定の実施形態では、治療有効量のナノ粒子組成物は、約50〜約75mg/mの治療剤、または約60〜約75mg/mの治療剤、または約60mg/mの治療剤である。
ある特定の実施形態では、治療剤は、ドセタキセルである。
ある特定の実施形態では、企図される方法は、企図されるナノ粒子組成物を約3週間毎に前記患者に投与することをさらに含む。ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子組成物は、静脈内注入によって約1時間にわたり投与される。
ある特定の実施形態では、企図される方法によって処置されるがんは、患者への遊離治療剤の投与によって安定化されていなかった。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子の流体力学的直径は、約60〜約150nm、または約90〜約140nm、または約90〜約120nmである。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、治療剤を少なくとも1分間実質的に保持する。ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、治療剤の約30%未満を実質的に直ちに放出する。ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、約1時間にわたり治療剤の約10〜約45%を放出する。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、ジブロックポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはジブロックポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーを含む。例えば、ある特定の実施形態では、ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーは、約0.6〜約0.95、または約0.6〜約0.8、または約0.75〜約0.85、または約0.7〜約0.9の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有する。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、約10〜約25重量パーセントのポリ(エチレン)グリコール、または約10〜約20重量パーセントのポリ(エチレン)グリコール、または約15〜約25重量パーセントのポリ(エチレン)グリコール、または約20〜約30重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含む。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、標的化リガンドで官能化された約0.2〜約30重量パーセントのポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーをさらに含む。ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子は、標的化リガンドで官能化された約0.2〜約30重量パーセントのポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーをさらに含む。ある特定の実施形態では、標的化リガンドは、ポリ(エチレン)グリコールに共有結合している。
ある特定の実施形態では、企図される方法によって処置されるがんは、肺がんである。例えば、ある特定の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。
別の態様では、それを必要とする患者において治療抵抗性がんを処置する方法であって、患者に、抗がんナノ粒子を含む治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含み、治療抵抗性がんが、化学療法および/または放射線療法単独に対して治療抵抗性である、方法。
ある特定の実施形態では、治療抵抗性がんは、肺がんである。
ある特定の実施形態では、治療抵抗性がんは、肺、結腸、および膵臓がんから選択される腺癌;濾胞性甲状腺がん;未分化甲状腺がん;骨髄異形成症候群;ならびに急性骨髄性白血病である。
ある特定の実施形態では、治療剤は、タキサン、ビンカアルカロイド、またはmTor阻害剤である。例えば、ある特定の実施形態では、治療剤は、ドセタキセルである。ある特定の実施形態では、企図するナノ粒子は、約10〜約20重量パーセントのドセタキセルを含む。
ある特定の実施形態では、企図される方法によって処置された患者は、別の化学療法剤および/または放射線を従前に投与されていた。
ある特定の実施形態では、治療有効量の企図されるナノ粒子組成物は、約50〜約75mg/mのドセタキセル、または約60〜約75mg/mのドセタキセル、または約60mg/mのドセタキセルである。
さらに別の態様では、それを必要とする患者においてRas変異を有するがんを処置する方法を提供する。この方法は、患者がRas遺伝子に変異を有することに基づいて患者を同定することと、患者に、抗がんナノ粒子を含む治療有効量のナノ粒子組成物を投与することとを含む。
ある特定の実施形態では、患者を同定することは、患者から試料を得ることと、試料を診断アッセイに供し、それによって、Ras変異の存在または非存在を決定することとを含む。
ある特定の実施形態では、診断アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応およびDNA配列決定を含む。
ある特定の実施形態では、Ras変異は、K−Ras変異である。
ある特定の実施形態では、治療剤は、ドセタキセルである。
ある特定の実施形態では、ポリマーは、ジブロックポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーである。
ある特定の実施形態では、企図される抗がんナノ粒子は、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ナノ結晶、リポソーム、ミセル、およびデンドリマーからなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、企図される抗がんナノ粒子は、ポリマーを含む。
ある特定の実施形態では、企図される抗がんナノ粒子は、治療剤を含む。
ある特定の実施形態では、企図される抗がんナノ粒子は、治療剤から形成される。
ある特定の実施形態では、企図される抗がんナノ粒子は、シクロデキストリンを含む。
また別の態様では、それを必要とする患者においてRas変異を有するがんを処置する方法を提供する。この方法は、患者に、治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含み、ナノ粒子組成物は、ポリマーおよび治療剤を含むナノ粒子を含む。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子組成物は、処置サイクルによって投与される。ある特定の実施形態では、処置サイクルは、長さが1〜30日、長さが15〜25日、または長さが21日である。
ある特定の実施形態では、処置サイクルを繰り返す。
ある特定の実施形態では、企図される方法は、1〜15処置サイクル、2〜8処置サイクル、または4処置サイクルを含む。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子組成物を、処置サイクル毎に1回投与する。
さらに別の態様では、それを必要とする患者においてRas変異を有するがんの処置で使用するための組成物を提供し、組成物は、抗がんナノ粒子を含む。
また別の態様では、それを必要とする患者において治療抵抗性がんの処置で使用するための組成物を提供し、治療抵抗性がんは、化学療法および/または放射線療法単独に対して治療抵抗性であり、組成物は、抗がんナノ粒子を含む。
さらに別の態様では、それを必要とする患者においてRas変異を有するがんの処置で使用するための組成物を提供し、患者がRas遺伝子に変異を有することに基づいて患者が同定され、組成物は、抗がんナノ粒子を含む。
また別の態様では、それを必要とする患者においてRas変異を有するがんの処置で使用するための組成物を提供し、組成物は、ポリマーおよび治療剤を含むナノ粒子を含む。
実施形態による、開示されているナノ粒子を形成するためのエマルジョンプロセスについてのフローチャートである。 実施形態による、開示されているエマルジョンプロセスについてのフロー図である。 実施形態による、開示されているエマルジョンプロセスについてのフロー図である。 実施形態による、企図されるナノ粒子組成物で処置された全ての患者についての腫瘍応答を示す棒グラフである。 実施形態による、企図されるナノ粒子組成物で処置されたK−Ras変異患者についての腫瘍応答を示す棒グラフである。 実施形態による、時間の関数としての腫瘍サイズにおける相対的変化を示すプロットである。 実施形態による、K−Ras変異患者と比較した、全ての患者についての時間の関数としての無進行生存期間を示すプロットである。 実施形態による、K−Ras変異患者と比較した、全ての患者についての時間の関数としての無病全生存期間を示すプロットである。
それを必要とする患者においてRas遺伝子に変異を有するがんを処置する方法であって、患者に、治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含み、ナノ粒子組成物が、ナノ粒子を含む、方法が本明細書に記載される。
理論に束縛されるものではないが、Ras−変異腫瘍は、Ras−正常腫瘍と比較してより血管を形成し得、その結果として、治療用ナノ粒子はRas−変異腫瘍においてより容易に蓄積され、治療剤を送達することができると考えられる。代わりにまたはさらに、再び理論に束縛されるものではないが、Ras−変異腫瘍は、Ras−正常腫瘍と比較してナノ粒子をより容易にエンドサイトーシスし得、それによって、Ras−変異腫瘍への増進された治療剤送達をもたらすと考えられる。
Ras遺伝子は、ヒトがんの20%超において結び付けられてきた頻繁に変異している遺伝子である。Ras遺伝子のタンパク質産物(Rasタンパク質)は、細胞シグナル伝達に関与している小さな21kDaのグアノシントリホスファターゼ(GTPアーゼ)であり、GTPに結合したときに活性であり、GDPに結合したときに不活性である。理論に束縛されるものではないが、Rasタンパク質は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)およびシグナル伝達性転写因子(STAT)カスケードを含めた複数のエフェクターと相互作用することによって、細胞成長、分化、およびアポトーシスをレギュレートすると考えられる。
やはり理論に束縛されるものではないが、少なくともいくつかの場合では、RAS遺伝子における点変異が、12位、13位、または61位におけるアミノ酸を置き換えるとき、Rasタンパク質は、形質転換の可能性を獲得すると考えられる。これらの変異は、損なわれたGTPアーゼ活性を有するRASの形態をもたらし、RASシグナル伝達経路の恒常的活性化を起こす。Rasの変異は、GTPアーゼ活性の減少をもたらし、それによって活性化したRasの活性を延長し、細胞成長、細胞分裂、およびがん細胞の生存を促進することができる。
Rasは、少なくとも3つのアイソフォーム、K、N、およびHを有し、K−Rasは、最も頻繁に変異している。結果的に、K−Rasは、がん処置についての潜在的な標的として調査されてきた。K−RAS遺伝子における変異は非小細胞肺がん(SCLC)において頻繁に起こり、腺癌においてより高頻度であり(20〜30%)、扁平上皮細胞癌腫においてより低頻度である(約7%)。
場合によって、K−Ras形質転換は、増加した腫瘍血管形成を伴う増加したサイトカイン、メタロプロテイナーゼ、および/または炎症促進性腫瘍微小環境をもたらすことができる。理論に束縛されるものではないが、漏出性血管系の増加は、ナノ粒子の透過性および保持の増進を促進し得ると考えられる。
場合によって、K−Ras形質転換は、タンパク質のマクロピノサイトーシスの増加をもたらすことができる。理論に束縛されるものではないが、Ras−変異細胞が示すアルブミンのマクロピノサイトーシスの増加は、細胞が栄養素を必要とすることの増加の一因となり得、アミノ酸のさらなる供給を提供し得ると考えられる。この同じ機序は、ナノ粒子取込みの増加および/またはタンパク質が結合している放出されたドセタキセルの取込みの増加をもたらすことができる。ナノ粒子の取込みに対するマクロピノサイトーシスの影響を調査するために、一連の連続した研究を行うことができる。例えば、(1)開示されているナノ粒子についてのRas野性型および変異細胞における取込み条件を確立し、可視化のためのナノ粒子の濃度を最適化し;(2)可視化のためのインキュベーション時間を確立し;(3)約5種の野性型および変異細胞株における取込みを比較し;(4)差異が観察される場合、マクロピノサイトーシスのマーカーと共存させ;(5)マクロピノサイトーシスの阻害剤であるエチルイソプロピルアミロライド(EIPA)が、取込みを阻害するかを決定し;(6)取込みと、開示されているナノ粒子の活性および用量応答とを相関させる。例えば、in vivoでの研究は、野性型および変異Ras腫瘍異種移植の様々なモデルを使用して行うことができ、かつ/または、例えば、実験を行い、in vitroで観察される取込みの増加がin vivoで可視化することができるか、および取込みが増進された抗腫瘍活性に翻訳されるかを決定することができる。
場合によって、K−Ras形質転換は、有糸分裂ストレスに対する感受性の増加をもたらし得る。Ras−変異細胞は、タキサンを含めた様々な形態の有糸分裂ストレスに対して高感受性であり得る。理論に束縛されるものではないが、ナノ粒子取込みの増加が、肺がん細胞へのより高いレベルのドセタキセルを提供する場合、肺がん細胞はドセタキセルに対してさらに感作し得ると考えられる。
一部の実施形態では、K−Ras変異は、開示されているナノ粒子への反応性を促進することができた。
一部の実施形態では、治療用ナノ粒子は、Ras変異を有するがん(すなわち、Ras−変異がん)を処置し、緩和し、回復させ、軽減させ、その発生を遅延させ、その進行を阻害し、その重症度を低減させ、かつ/またはその1つもしくは複数の症状またはフィーチャの発生率を低減させるために使用し得る。一部の実施形態では、治療用ナノ粒子を使用して、Ras−変異固形腫瘍、例えば、Ras−変異がんおよび/またはRas−変異がん細胞を処置し得る。例えば、Ras変異は、H−Ras、K−Ras、およびN−Rasからなる群から選択されるRas遺伝子における変異であり得る。一部の実施形態では、ナノ粒子製剤中に製剤化される治療剤は、遊離治療剤と比較して、例えば、少なくとも約5%より有効な、約10%より有効な、約15%より有効な、約20%より有効な、約25%より有効な、約30%より有効な、約40%より有効な、約50%より有効な、約60%より有効な、または約75%より有効な、Ras−変異がんを処置するのに増加した有効性を有し得る。ある特定の実施形態では、ナノ粒子製剤中で製剤化した治療剤は、遊離治療剤と比較して、Ras−変異がんを処置するのに5%〜約50%より有効であり得る。
一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、非Ras−変異がんと比較して、例えば、少なくとも約5%より有効な、約10%より有効な、約15%より有効な、約20%より有効な、約25%より有効な、約30%より有効な、約40%より有効な、約50%より有効な、約60%より有効な、または約75%より有効な、Ras−変異がんを処置するのに増加した有効性を有し得る。ある特定の実施形態では、ナノ粒子組成物は、非Ras−変異がんと比較して、Ras−変異がんを処置するのに5%〜約50%より有効であり得る。
ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の応答率は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、非Ras−変異がんを有する患者の応答率超であり得る。例えば、一部の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の客観的応答率は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、少なくとも約15%、一部の実施形態では、少なくとも約18%、一部の実施形態では、少なくとも約20%、一部の実施形態では、少なくとも約22%、および一部の実施形態では、少なくとも約25%であり得る。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の客観的応答率は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、約15%〜約25%、一部の実施形態では、約15%〜約20%、一部の実施形態では、約18%〜約25%、および一部の実施形態では、約20%〜約25%であり得る。
当業者が知っているように、応答率は、企図されるナノ粒子製剤に対して完全反応(CR)または部分応答(PR)を示す患者の百分率によって定義し得る。本明細書において使用する場合、CRは、全ての標的病変(例えば、腫瘍)の消失を指す。また本明細書において使用する場合、PRは、ベースラインにおける標的病変の最も長い直径の合計と比較した、標的病変の最も長い直径の合計における少なくとも30%の減少を指す。標的病変の最も長い直径は、任意の適切な技術によって決定し得る。ある特定の実施形態では、標的病変の最も長い直径は、コンピューター断層撮影法(すなわち、CT)によって測定し得る。
ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者における疾患制御(DC)の期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、非Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値超であり得る。例えば、一部の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、少なくとも約5カ月、一部の実施形態では、少なくとも約5.5カ月、一部の実施形態では、少なくとも約6カ月、一部の実施形態では、少なくとも約6.5カ月、および一部の実施形態では、少なくとも約7カ月であり得る。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、約5カ月〜約9カ月、一部の実施形態では、約5カ月〜約8カ月、および一部の実施形態では、約6カ月〜約8カ月であり得る。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、非Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値より少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、または少なくとも約3カ月長くてもよい。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、非Ras−変異がんを有する患者における疾患制御の期間中央値より約1カ月〜約3カ月長く、または約2カ月〜約3カ月長くてもよい。
ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値は、非Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値超であり得る。例えば、一部の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、少なくとも約6.5カ月、一部の実施形態では、少なくとも約7カ月、一部の実施形態では、少なくとも約7.5カ月、一部の実施形態では、少なくとも約8カ月、一部の実施形態では、少なくとも約9カ月、および一部の実施形態では、少なくとも約10カ月であり得る。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、約6.5カ月〜約11カ月、一部の実施形態では、約6.5カ月〜約10カ月、一部の実施形態では、約7カ月〜約10カ月、一部の実施形態では、約8カ月〜約11カ月、および一部の実施形態では、約9カ月〜約10カ月であり得る。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、非Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値より少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、または少なくとも約4カ月長くてもよい。ある特定の実施形態では、Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値は、企図されるナノ粒子組成物で処置されたとき、非Ras−変異がんを有する患者の生存期間中央値より約1カ月〜約4カ月長く、約2カ月〜約4カ月長く、または約3カ月〜約4カ月長くてもよい。
ある特定の実施形態では、治療用ナノ粒子を使用して、任意のがんを処置してもよく、PSMAは、がん細胞の表面上に、またはそれを必要とする対象における前立腺もしくは非前立腺固形腫瘍の血管新生を含めた腫瘍血管新生において発現している。PSMAが関連する徴候の例には、これらに限定されないが、前立腺がん、乳がん、非小細胞肺がん、結腸直腸癌、および神経膠芽腫が含まれる。
用語「がん」は、前悪性および悪性のがんを含む。開示されている方法を使用して処置し得るがんには、これらに限定されないが、血液がん(例えば、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病、マントル細胞リンパ腫)、中咽頭がん、前立腺がん、子宮頸がん、胃がん、肛門がん、結腸直腸がん、胆嚢がん、胆管がん、腸のがん、皮膚がん、例えば、黒色腫または基底細胞癌、肺がん(例えば、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がん(例えば、腺癌、扁平上皮細胞癌))、乳がん、頭頸部のがん、扁桃腺がん、気管支がん、膵臓がん、膀胱がん、脳または中枢神経系がん、末梢神経系がん、咽喉がん、食道がん、口腔または咽頭のがん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、睾丸がん、胆道がん、小腸または虫垂がん、胃腸間質腫瘍、唾液腺がん、甲状腺がん(例えば、濾胞性甲状腺がんおよび未分化甲状腺がん)、副腎がん、骨肉腫、軟骨肉腫、血液系組織のがんなどが含まれる。「がん細胞」は、腫瘍(すなわち、固形腫瘍)の形態であるか、対象内で単独で存在する(例えば、白血病細胞)か、またはがんに由来する細胞株であり得る。
がんは、種々の身体症状と関連し得る。がんの症状は一般に、腫瘍のタイプおよび場所によって決まる。例えば、肺がんは、咳嗽、息切れ、および胸痛をもたらすことが多く、一方、結腸がんは、下痢、便秘、および血便をもたらす。しかし、数例のみを挙げると、下記の症状は一般に、多くのがんと関連することが多い。発熱、悪寒、寝汗、咳、呼吸困難、体重減少、食欲不振、食欲不振症、悪心、嘔吐、下痢、貧血、黄疸、肝腫大、喀血、疲労、倦怠感、認知機能障害、うつ、ホルモンの障害、好中球減少、疼痛、非治癒性の痛み、腫大したリンパ節、末梢性ニューロパシー、および性的機能障害。
治療剤を含む本明細書において開示されているナノ粒子を患者に投与する方法も本明細書において提供され、患者への投与によって、このようなナノ粒子は、薬剤単独の投与(すなわち、開示されているナノ粒子としてではない)と比較して、分布容積を実質的に低減させ、かつ/または遊離Cmaxを実質的に低減させる。
開示されている方法は、開示されているナノ粒子組成物の投与を含んでいてもよく、組成物は、3週間、1カ月、または2カ月またはそれ超の期間にわたり投与される。例えば、がんを処置する方法であって、開示されているナノ粒子組成物を少なくとも2週間、3週間、1カ月の期間にわたり投与すること、または約2週間〜約6カ月もしくはそれ超の期間にわたり投与することを含む方法が本明細書において開示され、各投与の間の間隔は、約1日1回以下、週1回以下、2週間毎に1回以下、3週間毎に1回以下、または月1回以下であり、各投与における活性剤(例えば、ドセタキセル)の用量は、約30mg/m〜約75mg/m、または約50mg/m〜約75mg/m、または約60mg/m〜約70mg/mまたは約55mg/mまたは約60mg/mである。
それを必要とする患者においてがん(例えば、治療抵抗性がん)を処置する方法であって、患者に、治療有効量の開示されているナノ粒子組成物を投与することを含む方法も本明細書において提供される。このような治療抵抗性がんは、Ras遺伝子における(例えば、H−Ras、K−Ras、および/またはN−Ras遺伝子における)変異を有する任意のがんであり得る。治療抵抗性がんは、患者において1種または複数の化学療法剤および/または放射線で従前に処置されていたが、これらの一次治療に対して応答性でないがんであり得る。治療抵抗性がんの非限定的例には、肺、結腸、および膵臓がんから選択される腺癌;濾胞性甲状腺がん;未分化甲状腺がん;骨髄異形成症候群;ならびに急性骨髄性白血病が含まれる。
患者においてがん、例えば、治療抵抗性がんを処置する方法であって、a)治療剤(例えば、ドセタキセル)を含む有効量の開示されているナノ粒子組成物、および場合により、b)有効量の少なくとも1種の他の化学療法剤を投与することを含む方法が本明細書において企図される。一部の実施形態では、他の化学療法剤は、シスプラチン、カペシタビン、オキサリプラチン、ゲムシタビン、5−フルオロウラシル(5FU)、マイトマイシン、ゲムシタビン、または他の化学療法剤の組合せであり得る。このような併用療法において、ナノ粒子および他の化学療法剤を含む組成物は、同じ組成物中または別々の組成物中で同時に投与し、逐次的に投与することができ、すなわち、ナノ粒子組成物は、他の化学療法剤の投与の前または後に投与することができる。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物および化学療法剤の投与は、併行的でよく、すなわち、ナノ粒子組成物の投与期間および化学療法剤の投与期間は互いに重複する。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物および化学療法剤の投与は、併行的でない。例えば、一部の実施形態では、ナノ粒子組成物の投与は、化学療法剤を投与する前に終了する。一部の実施形態では、他の化学療法剤の投与は、ナノ粒子組成物する前に終了する。治療抵抗性がんを処置する方法において、患者は他の薬剤に対して応答性でなくてもよい。
Ras−変異がんを処置する方法であって、有効量の開示されているナノ粒子組成物を投与することと、ナノ粒子組成物を活性化する治療を投与することとを含む方法も企図される。例えば、患者は、例えば、投与されたナノ粒子組成物を熱する赤外線、高周波、または磁場を使用したサーマル抗がん療法で処置し得る。例えば、高周波を使用して、例えば、金または酸化鉄ナノ粒子を熱してもよく、磁場を使用して、例えば、酸化鉄ナノ粒子を熱してもよい。
やはり企図される、がんを処置する方法は、a)開示されているナノ粒子組成物を患者に投与することを含む第1の治療、およびb)放射線療法、手術、またはこれらの組合せを含む第2の治療を含む。
ある特定の実施形態では、企図される方法は、処置サイクルを使用して、Ras−変異がんを有する患者に企図されるナノ粒子組成物を投与することを含み得る。ある特定の実施形態では、企図されるナノ粒子組成物は、処置サイクル毎に1回投与し得る。一部の実施形態では、処置サイクルは、長さが1〜3日、一部の実施形態では、3〜5日、一部の実施形態では、3〜7日、一部の実施形態では、3〜10日、一部の実施形態では、5〜15日、一部の実施形態では、10〜20日、一部の実施形態では、15〜25日、一部の実施形態では、20〜30日、または一部の実施形態では、1〜30日でよい。例えば、一実施形態では、企図される処置サイクルは、長さが21日であり得る。
ある特定の実施形態では、処置サイクルを繰り返し得る。例えば、処置サイクルの数は、少なくとも2、一部の実施形態では、少なくとも3、一部の実施形態では、少なくとも4、一部の実施形態では、少なくとも5、一部の実施形態では、少なくとも6、一部の実施形態では、少なくとも7、一部の実施形態では、少なくとも8、一部の実施形態では、少なくとも9、または一部の実施形態では、少なくとも10であり得る。ある特定の実施形態では、処置サイクルの数は、1〜15、一部の実施形態では、1〜10、一部の実施形態では、5〜15、一部の実施形態では、10〜15、一部の実施形態では、1〜5、一部の実施形態では、2〜10、一部の実施形態では、2〜8、または一部の実施形態では、2〜6であり得る。ある特定の実施形態では、処置サイクルの数は、4であり得る。
ある特定の実施形態では、企図される方法は、患者のRas変異状態を決定することを含み得る。例えば、一部の実施形態では、患者は、Ras変異(例えば、K−Ras変異)の存在または非存在について試験を受け、Ras変異を有するかの診断によって、企図されるナノ粒子組成物を投与されてもよい。例えば、候補患者を、Ras変異について試験し、次いで、患者がRas変異を有すると決定された場合、治療用ナノ粒子を含むナノ粒子組成物を投与し得る。一部の実施形態では、試料を、患者から採取して、診断アッセイに供し、Ras変異(例えば、K−Ras変異)の存在または非存在を決定し得る。例えば、場合によって、試料は、血液、血清、血漿、唾液、尿、精液、または大便試料でよい。他の実施形態では、試料は、組織試料、例えば、腫瘍の生検であり得る。
Ras変異状態についての試験は当技術分野において公知であり、例えば、Rasタンパク質のアミノ酸配列における変異と対応するヌクレオチド変異を検出する、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および核酸(例えば、DNA)配列決定を含む。K−Rasヌクレオチド変異の非限定的例には、c.35G>A、c.34G>T、c.34G>A、c.34G>C、c.35G>C、c.35G>T、c.38G>A、c.183A>C、c.183A>T、c.182A>T、c.182A>G、c.351A>C、c.351A>T、c.350A>G、c.349A>G、c.436G>A、c.436G>C、およびc.437C>Tが含まれる。K−Rasタンパク質変異の非限定的例には、G12D、G12C、G12S、G12R、G12A、G12V、G13D、Q61H、Q61L、Q61R、K117N、K117R、K117E、A146T、A146P、およびA146Vが含まれる。
ナノ粒子
本明細書において開示されているナノ粒子は、抗がん効果を示すことができる任意の粒子であり得る。ナノ粒子の非限定的例には、コア−シェルナノ粒子、リポソーム、ミセル、ナノ結晶、および固体粒子が含まれる。ナノ粒子は、これらに限定されないが、ポリマーナノ粒子、分解性ナノ粒子、非分解性ナノ粒子、シクロデキストリンをベースとするナノ粒子、セラミックナノ粒子(例えば、酸化物、例えば、シリカおよび酸化鉄、および窒化物)、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子(例えば、金)、脂質をベースとするナノ粒子(例えば、リポソーム)、磁性ナノ粒子、量子ドット、およびデンドリマーでよい。例えば、一部の実施形態では、企図されるナノ粒子は、ポリマー、無機化合物、金属もしくは金属合金、脂質、常磁性材料、セラミック、半導体材料、またはデンドリマーを含み得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、治療剤を含み得る。例えば、治療剤は、ナノ粒子を取り囲むコーティング中に組み込まれてもよく、または治療剤は、ナノ粒子によってカプセル化されるか、ナノ粒子と会合するか、ナノ粒子内に分散するか、かつ/もしくはナノ粒子に共有結合していてもよい。一部の実施形態では、ナノ粒子は、治療用抗がん剤から形成してもよく、例えば、ナノ粒子は、純粋な薬物ナノ粒子、例えば、アモルファスまたは結晶性薬物粒子であり得る。
一部の実施形態では、本明細書において開示されているナノ粒子は、1種、2種、3種またはそれ超の生体適合性および/または生分解性ポリマーを含み得る。例えば、企図されるナノ粒子は、約35〜約99.75重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約99.75重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約99.5重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約99重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約98重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約97重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約96重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約95重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約94重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約93重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約92重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約91重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約90重量パーセント、一部の実施形態では、約50〜約85重量パーセント、一部の実施形態では、約60〜約85重量パーセント、一部の実施形態では、約65〜約85重量パーセント、および一部の実施形態では、約50〜約80重量パーセントの生分解性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール)(PEG)を含む1種または複数のブロックコポリマー、ならびに約0〜約50重量パーセントの生分解性ホモポリマーを含み得る。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、約0.2〜約35重量パーセント、約0.2〜約20重量パーセント、約0.2〜約10重量パーセント、約0.2〜約5重量パーセント、約0.5〜約5重量パーセント、約0.75〜約5重量パーセント、約1〜約5重量パーセント、約2〜約5重量パーセント、約3〜約5重量パーセント、約1〜約20重量パーセント、約2〜約20重量パーセント、約4〜約20重量パーセント、約5〜約20重量パーセント、約10〜約20重量パーセント、約1〜約15重量パーセント、約2〜約15重量パーセント、約3〜約15重量パーセント、約4〜約15重量パーセント、約5〜約15重量パーセント、約1〜約10重量パーセント、約2〜約10重量パーセント、約3〜約10重量パーセント、約4〜約10重量パーセント、約5〜約10重量パーセント、約10〜約30重量パーセント、または約15〜約25重量パーセントの治療剤を含み得る。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、例えば、リン酸緩衝溶液中に室温(例えば、25℃)にて、および/または37℃にて置かれたときに、治療剤の約2%未満、約5%未満、約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、約30%未満、または40%未満を実質的に直ちに(例えば、約1分〜約30分、約1分〜約25分、約5分〜約30分、約5分〜約1時間、約1時間、または約24時間にわたり)放出する。ある特定の実施形態では、治療剤を含むナノ粒子は、水溶液(例えば、リン酸緩衝溶液)中に、例えば、25℃にて、および/または37℃にて置かれたとき、治療剤の約0.01〜約50%、一部の実施形態では、約0.01〜約25%、一部の実施形態では、約0.01〜約15%、一部の実施形態では、約0.01〜約10%、一部の実施形態では、約1〜約40%、一部の実施形態では、約5〜約40%、および一部の実施形態では、約10〜約40%が約1時間にわたり放出されることに実質的に対応する速度で、治療剤を放出し得る。一部の実施形態では、治療剤を含むナノ粒子は、水溶液(例えば、リン酸緩衝溶液)中に、例えば、25℃にて、および/または37℃にて置かれたとき、治療剤の約10〜約70%、一部の実施形態では、約10〜約45%、一部の実施形態では、約10〜約35%、または一部の実施形態では、約10〜約25%が約4時間にわたり放出されることに実質的に対応する速度で、治療剤を放出し得る。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、治療剤を、例えば、少なくとも約1分間、少なくとも約1時間、またはそれ超の間実質的に保持し得る。
一部の実施形態では、企図されるナノ粒子は、シクロデキストリンを含み得る。適切なシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、またはこれらの混合物を含み得る。本明細書において開示されているナノ粒子における使用のために企図される例示的なシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPbCD)、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチルエチル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−アルキル−β−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、およびマルトシル−β−シクロデキストリンを含む。一部の実施形態では、シクロデキストリンは、ポリマーに共有結合させ得る。例えば、一部の実施形態では、シクロデキストリンは、キトサンに共有結合させ得る。
一実施形態では、開示されている治療用ナノ粒子は、標的化リガンド、例えば、低分子量リガンドを含み得る。ある特定の実施形態では、低分子量リガンドはポリマーにコンジュゲートしており、ナノ粒子は、特定の比のリガンドがコンジュゲートしたポリマー(例えば、PLA−PEG−リガンド)と非官能化ポリマー(例えば、PLA−PEGまたはPLGA−PEG)とを含む。有効量のリガンドが、疾患または障害、例えば、がんの処置のためのナノ粒子と会合するように、ナノ粒子は、最適化された比のこれらの2種のポリマーを有することができる。例えば、リガンド密度の増加は、標的結合(細胞結合/標的取込み)を増加させ、ナノ粒子を「標的特異的」とし得る。代わりに、ナノ粒子における非官能化ポリマー(例えば、非官能化PLGA−PEGコポリマー)のある特定の濃度は、炎症および/または免疫原性(すなわち、免疫応答を誘発する能力)を制御し、かつナノ粒子が、疾患または障害の処置のために適した循環半減期を有することを可能とする。さらに、非官能化ポリマーは、一部の実施形態では、細網内皮系(RES)を介した循環器系からのクリアランスの速度を低下し得る。このように、非官能化ポリマーは、投与によって粒子が体内を移動することを可能とし得る特徴を有するナノ粒子を提供し得る。一部の実施形態では、非官能化ポリマーは、それ以外の場合では高濃度になってしまうリガンドを相殺することができる。リガンドが高濃度であったなら、対象によるクリアランスが加速され、標的細胞への送達が低下してしまっていた可能性がある。
一部の実施形態では、本明細書において開示されているナノ粒子は、ナノ粒子の全ポリマー組成物(すなわち、官能化+非官能化ポリマー)の概ね0.1〜50モルパーセント、例えば、0.1〜30モルパーセント、例えば、0.1〜20モルパーセント、例えば、0.1〜10モルパーセントを構成する、リガンドにコンジュゲートした官能化ポリマーを含み得る。別の実施形態では、1種または複数の低分子量リガンドとコンジュゲート(例えば、共有結合(すなわち、リンカー(例えば、アルキレンリンカー)を介した)または結合)したポリマーを含むナノ粒子が本明細書においてまた開示され、総ポリマーに対する低分子量リガンドの重量パーセントは、約0.001〜5、例えば、約0.001〜2、例えば、約0.001〜1である。
一部の実施形態では、開示されているナノ粒子は、生物学的実体、例えば、特定の膜成分もしくは細胞表面受容体と効率的に結合するか、そうでなければ会合することができる場合がある。(例えば、特定の組織もしくは細胞型への、正常組織ではなく特定の患部組織などへの)治療剤の標的化は、組織特異的疾患、例えば、固形腫瘍がん(例えば、前立腺がん)の処置のために望ましい。例えば、細胞毒性抗がん剤の全身的送達と対照的に、本明細書において開示されているナノ粒子は、この薬剤が健康な細胞を死滅させることを実質的に防止し得る。さらに、開示されているナノ粒子は、(開示されているナノ粒子または製剤を伴わずに投与された有効量の薬剤と比較して)薬剤のより低い用量の投与を可能としてもよく、これは伝統的な化学療法と一般に関連する望ましくない副作用を低減し得る。
一般に、「ナノ粒子」は、1000nm未満、例えば、約10nm〜約200nmの直径を有する任意の粒子を指す。開示されている治療用ナノ粒子は、約60〜約120nm、または約70〜約120nm、または約80〜約120nm、または約90〜約120nm、または約100〜約120nm、または約60〜約130nm、または約70〜約130nm、または約80〜約130nm、または約90〜約130nm、または約100〜約130nm、または約110〜約130nm、または約60〜約140nm、または約70〜約140nm、または約80〜約140nm、または約90〜約140nm、または約100〜約140nm、または約110〜約140nm、または約60〜約150nm、または約70〜約150nm、または約80〜約150nm、または約90〜約150nm、または約100〜約150nm、または約110〜約150nm、または約120〜約150nmの直径を有するナノ粒子を含み得る。
ポリマー
一部の実施形態では、ナノ粒子は、ポリマーおよび治療剤のマトリックスを含み得る。一部の実施形態では、治療剤および/または標的化部分(すなわち、低分子量リガンド)は、ポリマーマトリックスの少なくとも一部と会合させることができる。例えば、一部の実施形態では、標的化部分(例えば、リガンド)は、ポリマーマトリックスの表面と共有結合的に会合させることができる。一部の実施形態では、共有結合的会合は、リンカーによって媒介される。治療剤は、ポリマーマトリックスの表面と会合するか、ポリマーマトリックス内にカプセル化されるか、ポリマーマトリックスによって囲まれるか、かつ/またはポリマーマトリックスにわたって分散し得る。
多種多様のポリマーおよびそこから粒子を形成する方法は、薬物送達の当技術分野において公知である。一部の実施形態では、本開示は、少なくとも2つの巨大分子を有するナノ粒子を対象とし、第1の巨大分子は、低分子量リガンド(例えば、標的化部分)に結合した第1のポリマーを含み、第2の巨大分子は、標的化部分に結合していない第2のポリマーを含む。ナノ粒子は、1種または複数のさらなる非官能化ポリマーを場合により含むことができる。
任意の適切なポリマーを、開示されているナノ粒子において使用することができる。ポリマーは、天然または非天然(合成)のポリマーでよい。ポリマーは、2種またはそれ超のモノマーを含むホモポリマーまたはコポリマーでよい。配列に関して、コポリマーは、ランダム、ブロックでよいか、またはランダムおよびブロック配列の組合せを含むことができる。典型的には、ポリマーは、有機ポリマーである。
用語「ポリマー」は、本明細書において使用する場合、当技術分野で使用されるようなその通常の意味を与えられ、すなわち、分子構造は、共有結合によって連結した1つまたは複数の繰り返し単位(モノマー)を含む。繰り返し単位は、全て同一であり得るか、または場合によって、ポリマー内に存在する2種以上のタイプの繰り返し単位があり得る。場合によって、ポリマーは、生物学的に由来するもの、すなわち、生体ポリマーでよい。非限定的例には、ペプチドまたはタンパク質が含まれる。場合によって、さらなる部分、例えば、生物学的部分、例えば、下記に記載したものがまた、ポリマー中に存在し得る。2種以上のタイプの繰り返し単位がポリマー内に存在する場合、ポリマーは、「コポリマー」と言われる。ポリマーを用いる任意の実施形態では、用いられるポリマーは、場合によって、コポリマーであり得ることを理解すべきである。コポリマーを形成する繰り返し単位は、任意の様式で配置し得る。例えば、繰り返し単位は、ランダムな順序で、交互の順序で、またはブロックコポリマーとして配置してもよく、すなわち、それぞれが第1の繰り返し単位(例えば、第1のブロック)を含む1つまたは複数の領域、およびそれぞれが第2の繰り返し単位(例えば、第2のブロック)を含む1つまたは複数の領域などを含む。ブロックコポリマーは、2つ(ジブロックコポリマー)、3つ(トリブロックコポリマー)、またはそれ超の数の別個のブロックを有し得る。
開示されている粒子は、コポリマーを含むことができ、これは一部の実施形態では、通常、2種またはそれ超のポリマーが一緒の共有結合によって互いに会合している、2種またはそれ超のポリマー(例えば、本明細書に記載されているもの)を説明する。このように、コポリマーは、第1のポリマーおよび第2のポリマーを含んでいてもよく、これらは一緒にコンジュゲートされて、ブロックコポリマーを形成し、第1のポリマーは、ブロックコポリマーの第1のブロックでよく、第2のポリマーは、ブロックコポリマーの第2のブロックでよい。当然ながら、ブロックコポリマーは、場合によって、ポリマーの複数のブロックを含有してもよく、「ブロックコポリマー」は、本明細書において使用する場合、単一の第1のブロックおよび単一の第2のブロックのみを有するブロックコポリマーのみに限定されないことを当業者は理解する。例えば、ブロックコポリマーは、第1のポリマーを含む第1のブロック、第2のポリマーを含む第2のブロック、および第3のポリマーまたは第1のポリマーなどを含む第3のブロックを含み得る。場合によって、ブロックコポリマーは、任意の数の第1のポリマーの第1のブロック、および第2のポリマーの第2のブロック(およびある特定の場合では、第3のブロック、第4のブロックなど)を含有することができる。さらに、ブロックコポリマーはまた、場合によって、他のブロックコポリマーから形成することができることに留意すべきである。例えば、第1のブロックコポリマーは、別のポリマー(ホモポリマー、生体ポリマー、別のブロックコポリマーなどでよい)にコンジュゲートして複数のタイプのブロックを含有する新規なブロックコポリマーを形成し、かつ/または他の部分(例えば、非ポリマー部分)にコンジュゲートし得る。
一部の実施形態では、ポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、両親媒性でよく、すなわち、親水性部分および疎水性部分、または相対的に親水性部分および相対的に疎水性部分を有する。親水性ポリマーは、一般に水を引きつけるものでよく、疎水性ポリマーは、一般に水をはねかえすものでよい。親水性または疎水性ポリマーは、例えば、ポリマーの試料を調製し、水とのその接触角を測定する(典型的には、ポリマーは、60°未満の接触角を有し、一方、疎水性ポリマーは、約60°超の接触角を有する)ことによって同定することができる。場合によって、2種またはそれ超のポリマーの親水性は、互いに対して測定してもよく、すなわち、第1のポリマーは、第2のポリマーより親水性であり得る。例えば、第1のポリマーは、第2のポリマーより小さな接触角を有し得る。
一組の実施形態では、本明細書において企図されるポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、生体適合性ポリマー、すなわち、典型的には、生きている対象中に挿入または注射されたとき、例えば、T細胞応答によるかなりの炎症および/または免疫系によるポリマーの急性拒絶を伴わずに有害な応答を惹起しないポリマーを含む。したがって、本明細書において企図される治療用粒子は、非免疫原性であり得る。非免疫原性という用語は、本明細書において使用する場合、循環抗体、T細胞、もしくは反応性免疫細胞を通常引き起こさないか、または最小レベルのみを引き起こし、個体においてそれ自体に対する免疫応答を通常引き起こさない、その天然状態における内在性成長因子を指す。
生体適合性は典型的には、免疫系の少なくとも一部による材料の急性拒絶を指し、すなわち、対象中に植え込んだ非生体適合性材料が、対象において十分に重大であり得る免疫応答を誘発し、免疫系による材料の拒絶は、適当に制御することができず、材料を対象から除去しなくてはならないような程度であることが多い。生体適合性を決定するための1つの単純な試験は、ポリマーを細胞へとin vitroで曝露させることでよい。生体適合性ポリマーは、典型的には中程度の濃度で、例えば、50マイクログラム/10個の細胞の濃度でかなりの細胞死をもたらさないポリマーである。例えば、生体適合性ポリマーは、細胞、例えば、線維芽細胞または上皮細胞に曝露したとき、たとえこのような細胞によって貪食されるか、そうでなければ取り込まれるかしても、約20%未満の細胞死をもたらし得る。様々な実施形態において有用であり得る生体適合性ポリマーの非限定的例には、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(グリセロールセバシン酸)、ポリグリコリド(すなわち、ポリ(グリコール)酸)(PGA)、ポリラクチド(すなわち、ポリ(乳)酸)(PLA)、ポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸(PLGA)、ポリカプロラクトン、またはこれらおよび/もしくは他のポリマーを含めたコポリマーまたは誘導体が含まれる。
ある特定の実施形態では、企図される生体適合性ポリマーは、生分解性でよく、すなわち、ポリマーは、生理学的環境内、例えば、体内で、化学的および/または生物学的に分解することができる。本明細書において使用する場合、「生分解性」ポリマーは、細胞中に導入されるとき、細胞の機構によって(生物学的に分解可能)、および/または化学プロセス、例えば、加水分解によって(化学的に分解可能)、細胞に対してかなりの毒性効果を伴わずに細胞が再使用または処分することができる成分へと分解されるものである。一実施形態では、生分解性ポリマーおよびこれらの分解副生成物は、生体適合性であり得る。
本明細書において開示されている粒子は、PEGを含有してもよいか、またはしなくてもよい。さらに、ある特定の実施形態は、ポリ(エステル−エーテル)を含有するコポリマー、例えば、エステル結合(例えば、R−C(O)−O−R’結合)およびエーテル結合(例えば、R−O−R’結合)によって結合した繰り返し単位を有するポリマーを対象とすることができる。一部の実施形態では、生分解性ポリマー、例えば、カルボン酸基を含有する加水分解性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)繰り返し単位とコンジュゲートして、ポリ(エステル−エーテル)を形成し得る。ポリ(エチレングリコール)繰り返し単位を含有するポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)はまた、「ペグ化」ポリマーと称することができる。
例えば、企図されるポリマーは、(例えば、対象内で)水への曝露によって自発的に加水分解するものでよいか、またはポリマーは、(例えば、約37℃の温度での)熱への曝露によって分解し得る。ポリマーの分解は、使用するポリマーまたはコポリマーによって様々な速度で起こり得る。例えば、ポリマーの半減期(ポリマーの50%がモノマーおよび/または他の非ポリマー部分に分解することができる時間)は、ポリマーによって数日、数週間、数カ月、または数年程度であり得る。ポリマーは、例えば、酵素活性または細胞の機構によって、場合によって、例えば、リゾチーム(例えば、相対的に低pHを有する)への曝露によって、生物学的に分解し得る。場合によって、ポリマーは、細胞に対して有意な毒性効果を伴わずに、細胞が再使用するか、または処分することができる、モノマーおよび/または他の非ポリマー部分に分解し得る(例えば、ポリラクチドは加水分解して、乳酸を形成し得、ポリグリコリドは加水分解して、グリコール酸などを形成し得る)。
一部の実施形態では、ポリマーは、本明細書において「PLGA」と集団的に称される、乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマー、例えば、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)およびポリ(ラクチド−co−グリコリド);ならびに本明細書において「PGA」と称される、グリコール酸単位、ならびに本明細書において「PLA」と集団的に称される、乳酸単位、例えば、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、およびポリ−D,L−ラクチドを含むホモポリマーを含めた、ポリエステルであり得る。一部の実施形態では、例示的なポリエステルには、例えば、ポリヒドロキシ酸;ラクチドおよびグリコリドのペグ化ポリマーおよびコポリマー(例えば、ペグ化PLA、ペグ化PGA、ペグ化PLGA、およびその誘導体)が含まれる。一部の実施形態では、ポリエステルは、例えば、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)ペグ化ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ペグ化ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、ペグ化ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ペグ化ポリ(エチレンイミン)、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]、およびその誘導体を含む。
一部の実施形態では、ポリマーは、PLGAであり得る。PLGAは、乳酸およびグリコール酸の生体適合性および生分解性コポリマーであり、様々な形態のPLGAは、乳酸:グリコール酸の比によって特性決定することができる。乳酸は、L−乳酸、D−乳酸、またはD,L−乳酸でよい。PLGAの分解速度は、乳酸−グリコール酸の比を変化させることによって調節することができる。一部の実施形態では、PLGAは、概ね85:15、概ね75:25、概ね60:40、概ね50:50、概ね40:60、概ね25:75、または概ね15:85の乳酸:グリコール酸比によって特性決定することができる。一部の実施形態では、粒子のポリマー(例えば、PLGAブロックコポリマーまたはPLGA−PEGブロックコポリマー)中の乳酸のグリコール酸モノマーに対する比を選択して、様々なパラメータ、例えば、水の取込み、治療剤の放出および/またはポリマー分解の反応速度について最適化し得る。
一部の実施形態では、ポリマーは、1種または複数のアクリルポリマーであり得る。ある特定の実施形態では、アクリルポリマーは、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、ポリシアノアクリレート、および上記のポリマーの1つまたは複数を含む組合せを含む。アクリルポリマーは、低含量の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルの完全に重合されたコポリマーを含み得る。
一部の実施形態では、ポリマーは、カチオン性ポリマーでよい。一般に、カチオン性ポリマーは、負に帯電している核酸鎖(例えば、DNA、RNA、またはその誘導体)を凝縮および/または保護することができる。アミン含有ポリマー、例えば、ポリ(リシン)、ポリエチレンイミン(PEI)、およびポリ(アミドアミン)デンドリマーは、一部の実施形態では、開示されている粒子における使用のために企図される。
一部の実施形態では、ポリマーは、カチオン性側鎖を担持する分解性ポリエステルでよい。これらのポリエステルの例には、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)が含まれる。
例えば、PEGがリガンドにコンジュゲートしていないとき、PEGは、終端しており、末端基を含んでいてもよいことが企図されている。例えば、PEGは、ヒドロキシル、メトキシもしくは他のアルコキシル基、メチルもしくは他のアルキル基、アリール基、カルボン酸、アミン、アミド、アセチル基、グアニジノ基、またはイミダゾールで終端し得る。他の企図される末端基には、アジド、アルキン、マレイミド、アルデヒド、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、またはチオール部分が含まれる。
当業者は、例えば、開環重合技術(ROMP)などによって、ポリマーをアミンで終端しているPEG基に反応させるEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)およびNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)を使用することによって、ポリマーをペグ化するための方法および技術について知っている。
一実施形態では、ポリマーの分子量(または、例えば、コポリマーの異なるブロックの分子量の比)は、本明細書に開示されている有効な処置のために最適化することができる。例えば、ポリマーの分子量は、粒子分解速度(例えば、生分解性ポリマーの分子量を調節することができるとき)、溶解度、水の取込み、および薬物放出動態に影響を与えてもよい。例えば、ポリマーの分子量(または、例えば、コポリマーの異なるブロックの分子量の比)は、粒子が合理的な期間(数時間から1〜2週間、3〜4週間、5〜6週間、7〜8週間などの範囲)内で、処置される対象において生分解するように調節することができる。
開示されている粒子は、例えば、PEGおよびPL(G)Aのジブロックコポリマーを含むことができ、例えば、PEG部分は、約1,000〜20,000、例えば、約2,000〜20,000、例えば、約2〜約10,000の数平均分子量を有してもよく、PL(G)A部分は、約5,000〜約20,000、または約5,000〜100,000、例えば、約20,000〜70,000、例えば、約15,000〜50,000の数平均分子量を有してもよい。
例えば、約10〜約99重量パーセントのポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマー、または約20〜約80重量パーセント、約40〜約80重量パーセント、もしくは約30〜約50重量パーセント、もしくは約70〜約90重量パーセントのポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーを含む例示的な治療用ナノ粒子が本明細書において開示される。例示的なポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーは、約15〜約20kDa、または約10〜約25kDaの数平均分子量のポリ(乳)酸および約4〜約6kDa、または約2kDa〜約10kDaの数平均分子量のポリ(エチレン)グリコールを含むことができる。
一部の実施形態では、ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーは、約0.6〜約0.95、一部の実施形態では、約0.7〜約0.9、一部の実施形態では、約0.6〜約0.8、一部の実施形態では、約0.7〜約0.8、一部の実施形態では、約0.75〜約0.85、一部の実施形態では、約0.8〜約0.9、および一部の実施形態では、約0.85〜約0.95の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有し得る。ポリ(乳)酸の数平均分子量比率は、コポリマーのポリ(乳)酸成分の数平均分子量を、ポリ(乳)酸成分の数平均分子量およびポリ(エチレン)グリコール成分の数平均分子量の合計で除することによって計算し得ることを理解すべきである。
開示されているナノ粒子は、約1〜約50重量パーセントのポリ(乳)酸またはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸(PEGを含まない)を場合により含んでいてもよいか、または約1〜約50重量パーセント、もしくは約10〜約50重量パーセントもしくは約30〜約50重量パーセントのポリ(乳)酸もしくはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸を場合により含んでいてもよい。例えば、ポリ(乳)酸またはポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸は、約5〜約15kDa、または約5〜約12kDaの数平均分子量を有し得る。例示的なPLAは、約5〜約10kDaの数平均分子量を有し得る。例示的なPLGAは、約8〜約12kDaの数平均分子量を有し得る。
治療用ナノ粒子は、一部の実施形態では、約10〜約30重量パーセント、一部の実施形態では、約10〜約25重量パーセント、一部の実施形態では、約10〜約20重量パーセント、一部の実施形態では、約10〜約15重量パーセント、一部の実施形態では、約15〜約20重量パーセント、一部の実施形態では、約15〜約25重量パーセント、一部の実施形態では、約20〜約25重量パーセント、一部の実施形態では、約20〜約30重量パーセント、または一部の実施形態では、約25〜約30重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含有してもよく、ポリ(エチレン)グリコールは、ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマー、ポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマー、またはポリ(エチレン)グリコールホモポリマーとして存在し得る。ある特定の実施形態では、ナノ粒子のポリマーは、脂質にコンジュゲートすることができる。ポリマーは、例えば、脂質末端PEGでよい。
標的化部分
一部の実施形態では、任意選択の標的化部分、すなわち、生物学的実体、例えば、膜成分、細胞表面受容体、抗原などに結合するか、そうでなければ会合することができる部分を含み得るナノ粒子が本明細書において提供される。粒子の表面上に存在する標的化部分は、粒子が特定の標的化部位、例えば、腫瘍、疾患部位、組織、器官、細胞のタイプなどにおいて局在化することを可能とし得る。したがって、ナノ粒子は、「標的特異的」であり得る。次いで、薬物または他の負荷物は、場合によって、粒子から放出され、特定の標的化部位と局所的に相互作用することを可能とし得る。
一実施形態では、開示されているナノ粒子は、低分子量リガンドである標的化部分を含む。用語「結合」または「結合すること」は、本明細書において使用する場合、典型的には、これらに限定されないが、生化学的、生理的、および/または化学的相互作用を含めた特異的または非特異的な結合または相互作用による、相互親和性または結合能力を示す、対応する分子の対またはその部分の間の相互作用を指す。「生物学的結合」は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモンなどを含めた分子の対の間に起こる相互作用のタイプを定義する。用語「結合パートナー」は、特定の分子と結合することができる分子を指す。「特異的結合」は、他の同様の生物学的実体に対してより実質的により高い程度まで結合パートナー(または限定された数の結合パートナー)に結合するか、認識することができる分子、例えば、ポリヌクレオチドを指す。一組の実施形態では、標的化部分は、約1マイクロモル未満、少なくとも約10マイクロモル、または少なくとも約100マイクロモルの親和性(解離定数によって測定すると)を有する。
例えば、標的化部は、粒子が、使用する標的化部分によって、対象の体内の腫瘍(例えば、固形腫瘍)、疾患の部位、組織、器官、あるタイプの細胞などへと局在化することをもたらし得る。例えば、低分子量リガンドは、固形腫瘍、例えば、乳房腫瘍もしくは前立腺腫瘍またはがん細胞に局在化し得る。対象は、ヒトまたはヒトではない動物であり得る。対象の例には、これらに限定されないが、哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ロバ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、モルモット、ハムスター、霊長類、ヒトなどが含まれる。
企図される標的化部分は、低分子を含み得る。ある特定の実施形態では、用語「低分子」は、天然に生じたか、または人工的に創出した(例えば、化学合成による)、相対的に低分子量を有し、かつタンパク質、ポリペプチド、または核酸でない有機化合物を指す。低分子は典型的には、複数の炭素−炭素結合を有する。ある特定の実施形態では、低分子は、サイズが約2000g/mol未満である。一部の実施形態では、低分子は、約1500g/mol未満または約1000g/mol未満である。一部の実施形態では、低分子は、約800g/mol未満または約500g/mol未満、例えば、約100g/mol〜約600g/mol、または約200g/mol〜約500g/molである。
一部の実施形態では、低分子量リガンドは、式I、II、IIIまたはIVのもの:
Figure 2017514893
およびエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはそのラセミ化合物であり、
式中、mおよびnは、それぞれ独立に、0、1、2または3であり、pは、0または1であり、
、R、R、およびRは、それぞれ独立に、置換もしくは非置換アルキル(例えば、C1〜10−アルキル、C1〜6−アルキル、またはC1〜4−アルキル)、置換もしくは非置換アリール(例えば、フェニルまたはピリジニル)、および任意のこれらの組合せからなる群から選択され、Rは、HまたはC1〜6−アルキル(例えば、CH)である。
式I、II、IIIおよびIVの化合物について、R、R、RまたはRは、ナノ粒子への結合点、例えば、開示されているナノ粒子の一部を形成するポリマー、例えば、PEGへの結合点を含む。結合点は、共有結合、イオン結合、水素結合、化学的吸着および物理的吸着を含めた吸着によって形成される結合、ファンデルワールス結合によって形成される結合、または分散力によって形成し得る。例えば、R、R、R、またはRが、アニリンまたはC1〜6−アルキル−NH基と定義されている場合、これらの官能基の任意の水素(例えば、アミノ水素)は、除去することができ、低分子量リガンドが、ナノ粒子のポリマーマトリックス(例えば、ポリマーマトリックスのPEG−ブロック)に共有結合している。本明細書において使用する場合、用語「共有結合」は、少なくとも一対の電子を共有することによって形成される2個の原子の間の結合を指す。
式I、II、IIIまたはIVの特定の実施形態では、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、C1〜6−アルキルもしくはフェニル、またはC1〜6−アルキルもしくはフェニルの任意の組合せであり、これらはOH、SH、NH、またはCOHで1回または複数回独立に置換されており、アルキル基は、N(H)、S、またはOによって中断し得る。別の実施形態では、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、CH−Ph、(CH−SH、CH−SH、(CHC(H)(NH)COH、CHC(H)(NH)COH、CH(NH)CHCOH、(CHC(H)(SH)COH、CH−N(H)−Ph、O−CH−Ph、またはO−(CH−Phであり、各Phは、独立に、OH、NH、COH、またはSHで1回または複数回置換し得る。これらの式について、NH、OHまたはSH基は、ナノ粒子(例えば、−N(H)−PEG、−O−PEG、または−S−PEG)への共有結合点としての役割を果たす。
例示的なリガンドは、
Figure 2017514893
およびエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはそのラセミ化合物を含み、式中、NH、OH、またはSH基は、ナノ粒子(例えば、−N(H)−PEG、−O−PEG、もしくは−S−PEG)への共有結合点としての役割を果たすか、または
Figure 2017514893
は、ナノ粒子への結合点を示し、式中、nは、1、2、3、4、5、または6であり、Rは、NH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているNH、SH、OH、COH、C1〜6−アルキル、およびNH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているフェニルからなる群から独立に選択され、Rは、ナノ粒子(例えば、−N(H)−PEG、−S−PEG、−O−PEG、またはCO−PEG)への共有結合点としての役割を果たす。これらの化合物は、NH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているNH、SH、OH、COH、C1〜6−アルキル、またはNH、SH、OH、もしくはCOHで置換されているフェニルでさらに置換されていてもよく、これらの官能基はまた、ナノ粒子への共有結合点としての役割を果たすことができる。
一部の実施形態では、固形腫瘍、例えば、前立腺または乳がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、PSMAペプチダーゼ阻害剤、例えば、2−PMPA、GPI5232、VA−033、フェニルアルキルホスホンアミデートならびに/またはその類似体および誘導体を含む。一部の実施形態では、前立腺がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、チオールおよびインドールチオール誘導体、例えば、2−MPPAおよび3−(2−メルカプトエチル)−1H−インドール−2−カルボン酸誘導体を含む。一部の実施形態では、前立腺がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、ヒドロキサメート誘導体を含む。一部の実施形態では、前立腺がん腫瘍と関連する細胞を標的とするために使用し得る低分子標的化部分は、PBDAおよび尿素をベースとする阻害剤、例えば、ZJ43、ZJ11、ZJ17、ZJ38ならびに/またはその類似体および誘導体、アンドロゲン受容体標的化剤(ARTA)、ポリアミン、例えば、プトレシン、スペルミン、およびスペルミジン、NAAGペプチダーゼまたはNAALADアーゼとしてもまた公知である酵素グルタミン酸カルボキシラーゼII(GCPII)の阻害剤を含む。
別の実施形態では、標的化部分は、Her2、EGFR、葉酸受容体またはtoll受容体を標的とするリガンドでよい。別の実施形態では、標的化部分は、ホレート、葉酸、またはEGFR結合分子である。
例えば、企図される標的化部分は、核酸、ポリペプチド、糖タンパク質、炭水化物、または脂質を含み得る。例えば、標的化部分は、細胞型特異的マーカーに結合する核酸標的化部分(例えば、アプタマー、例えば、A10アプタマー)でよい。一般に、アプタマーは、特定の標的、例えば、ポリペプチドに結合するオリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、またはその類似体もしくは誘導体)である。一部の実施形態では、標的化部分は、細胞表面受容体のための天然または合成リガンド、例えば、成長因子、ホルモン、LDL、トランスフェリンなどでよい。標的化部分は抗体でよく、この用語は抗体フラグメントを含むものとする。抗体の特徴的部分、単鎖標的化部分は、例えば、手順、例えば、ファージディスプレイを使用して同定することができる。
標的化部分は、約50残基までの長さを有する標的化ペプチドまたは標的化ペプチド模倣物であり得る。例えば、標的化部分は、アミノ酸配列AKERC、CREKA、ARYLQKLN、またはAXYLZZLNを有してもよく、XおよびZは、可変のアミノ酸、またはその保存的バリアントもしくはペプチド模倣物である。特定の実施形態では、標的化部分は、アミノ酸配列AKERC、CREKA、ARYLQKLN、またはAXYLZZLNを含むペプチドであり、XおよびZは、可変のアミノ酸であり、20個未満、50個未満または100個未満の残基の長さを有する。CREKA(Cys Arg Glu Lys Ala)ペプチドもしくはそのペプチド模倣物、またはオクタペプチドAXYLZZLNはまた、コラーゲンIVに結合するか、もしくはコラーゲンIVと複合体を形成するか、または組織基底膜(例えば、血管の基底膜)を標的とする、標的化部分、およびペプチド、またはその保存的バリアントもしくはペプチド模倣物として企図される。例示的な標的化部分は、ICAM(細胞間接着分子、例えば、ICAM−1)を標的とするペプチドを含む。
本明細書において開示されている標的化部分は、一部の実施形態では、開示されているポリマーまたはコポリマー(例えば、PLA−PEG)にコンジュゲートすることができ、このようなポリマーコンジュゲートは、開示されているナノ粒子の一部を形成し得る。
一部の実施形態では、治療用ナノ粒子は、ポリマー−薬物コンジュゲートを含み得る。例えば、薬物は、開示されているポリマーまたはコポリマー(例えば、PLA−PEG)にコンジュゲートしていてもよく、このようなポリマー−薬物コンジュゲートは、開示されているナノ粒子の一部を形成し得る。例えば、開示されている治療用ナノ粒子は、約0.2〜約30重量パーセントのPLA−PEGまたはPLGA−PEGを場合により含んでいてもよく、PEGは、薬物(例えば、PLA−PEG−薬物)で官能化されている。
開示されているポリマーコンジュゲート(例えば、ポリマー−リガンドコンジュゲート)は、任意の適切なコンジュゲーション技術を使用して形成し得る。例えば、2種の化合物、例えば、標的化部分または薬物および生体適合性ポリマー(例えば、生体適合性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール))は、EDC−NHS化学反応(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩およびN−ヒドロキシスクシンイミド)などの技術、またはチオール、アミン、または同様に官能化されたポリエーテルの1つの末端にコンジュゲートすることができるマレイミドもしくはカルボン酸が関与する反応を使用して一緒にコンジュゲートし得る。ポリマー−標的化部分コンジュゲートまたはポリマー−薬物コンジュゲートを形成させる標的化部分または薬物およびポリマーのコンジュゲーションは、これらに限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトンなどなどの有機溶媒中で行うことができる。特定の反応条件は、単に通例の実験法を使用して当業者が決定することができる。
別の組の実施形態では、コンジュゲーション反応は、カルボン酸官能基(例えば、ポリ(エステル−エーテル)化合物)を含むポリマーと、アミンを含むポリマーまたは他の部分(例えば、標的化部分または薬物)とを反応させることによって行い得る。例えば、標的化部分、例えば、低分子量リガンド、または薬物、例えば、ダサチニブは、アミンと反応して、アミン含有部分を形成してもよく、これは次いで、ポリマーのカルボン酸にコンジュゲートすることができる。このような反応は、単一ステップの反応として起こり得、すなわち、コンジュゲーションは、中間体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドまたはマレイミドを使用することなく行われる。一部の実施形態では、薬物は、アミン含有リンカーと反応して、アミン含有薬物を形成してもよく、次いで、これは上記のようなポリマーのカルボン酸にコンジュゲートすることができる。アミン含有部分およびカルボン酸末端ポリマー(例えば、ポリ(エステル−エーテル)化合物)の間のコンジュゲーション反応は、一組の実施形態では、(これらに限定されないが)ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジオキサン、またはジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に可溶化したアミン含有部分を、カルボン酸末端ポリマーを含有する溶液に加えることによって達成し得る。カルボン酸末端ポリマーは、これらに限定されないが、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、またはアセトンなどの有機溶媒中に含有し得る。アミン含有部分およびカルボン酸末端ポリマーの間の反応は、場合によって、自発的に起こり得る。コンジュゲートしていない反応物は、このような反応の後に洗い流してもよく、ポリマーは、溶媒、例えば、エチルエーテル、ヘキサン、メタノール、またはエタノール中で沈殿し得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲートは、ポリマーのアルコール含有部分およびカルボン酸官能基の間に形成してもよく、これはアミンおよびカルボン酸のコンジュゲートについて上で記載したのと同様に達成することができる。
ナノ粒子の調製
本開示の別の態様は、開示されているナノ粒子を作製する系および方法を対象とする。異なる比の2種またはそれ超の異なるポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)を使用し、かつポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)から粒子を生成する一部の実施形態では、粒子の特性は制御される。例えば、1種のポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、低分子量リガンドを含んでいてもよく、一方、別のポリマー(例えば、コポリマー、例えば、ブロックコポリマー)は、その生体適合性および/または生成した粒子の免疫原性を制御するその能力のために選択し得る。
一部の実施形態では、ナノ粒子調製プロセス(例えば、下記に考察するようなナノ沈殿プロセスまたはナノエマルジョンプロセス)において使用される溶媒は、疎水性酸または疎水性塩基を含んでいてもよく、これはプロセスを使用して調製したナノ粒子に有利な特性を与え得る。例えば、場合によって、疎水性酸または疎水性塩基は、開示されているナノ粒子の薬物添加量を改善し得る。さらに、場合によって、開示されているナノ粒子の制御放出特性は、疎水性酸または疎水性塩基の使用によって改善し得る。場合によって、疎水性酸または疎水性塩基は、例えば、プロセスにおいて使用される有機溶液または水溶液中に含まれていてもよい。一実施形態では、薬物を、有機溶液および疎水性酸または疎水性塩基、ならびに場合により1種または複数のポリマーと合わせる。薬物を溶解するのに使用される溶液中の疎水性酸または疎水性塩基の濃度は、例えば、約1重量パーセント〜約30重量パーセントなどであり得る。
一組の実施形態では、1種または複数のポリマーを含む溶液を提供し、この溶液をポリマー非溶媒と接触させ、粒子を生成させることによって、粒子が形成される。溶液は、ポリマー非溶媒と混和性または不混和性であり得る。例えば、水混和性液体、例えば、アセトニトリルは、ポリマーを含有してもよく、例えば、アセトニトリルを水中に制御された速度で注ぐことによって、アセトニトリルが水、ポリマー非溶媒と接触すると、粒子が形成される。溶液内に含有されるポリマーは、ポリマー非溶媒との接触によって、沈殿し、粒子、例えば、ナノ粒子を形成し得る。2種の液体は、周囲温度および周囲圧力で、一方が他方中で少なくとも10重量%のレベルまで可溶性でないとき、互いに「不混和性」または混和性でないと言われる。典型的には、有機溶液(例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジオキサン、ジメチルスルホキシドなど)および水性液体(例えば、水、または溶解した塩もしくは他の種を含有する水、細胞もしくは生体媒体、エタノールなど)は、互いに関して不混和性である。例えば、第1の溶液を、第2の溶液中に注いでもよい(適切な速度またはスピードで)。場合によって、例えば、第1の溶液が、不混和性の第2の液体に接触するにつれ、粒子、例えば、ナノ粒子が形成し得、例えば、接触によるポリマーの沈殿は、第1の溶液が第2の液体中に注がれる間、ポリマーがナノ粒子の形成をもたらし、場合によって、例えば、導入の速度が相対的に遅い速度で注意深く制御および維持されるとき、ナノ粒子を形成し得る。このような粒子形成の制御は、通例の実験法のみを使用して当業者が容易に最適化することができる。
表面機能性、表面電荷、サイズ、ゼータ(ζ)電位、疎水性、免疫原性を制御する能力などの特性は、開示されているプロセスを使用して高度に制御し得る。例えば、粒子のライブラリーを合成、およびスクリーニングして、粒子が、粒子の表面上に存在する特定の密度の部分(例えば、低分子量リガンド)を有することを可能とする、特定の比のポリマーを有する粒子を同定し得る。これによって、過度の程度の労力を伴わずに、1つまたは複数の特定の特性、例えば、特定のサイズおよび特定の表面密度の部分を有する粒子を調製することを可能とする。したがって、ある特定の実施形態は、このようなライブラリーを使用したスクリーニング技術、およびこのようなライブラリーを使用して同定された任意の粒子を対象とする。さらに、同定は、任意の適切な方法によって行い得る。例えば、同定は直接的もしくは間接的でよいか、または定量的にもしくは定性的に進行し得る。
一部の実施形態では、既に形成されたナノ粒子は、リガンド−官能化ポリマーコンジュゲートを生成するために記載されたものと類似の手順を使用して、標的化部分で官能化される。例えば、第1のコポリマー(PLGA−PEG、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)およびポリ(エチレングリコール))を治療剤と混合して、粒子を形成させる。次いで、粒子を低分子量リガンドと会合させて、がんの処置のために使用することができるナノ粒子を形成させる。粒子は、ナノ粒子のリガンド表面密度を制御し、それによってナノ粒子の治療の特徴を変化させるために、様々な量の低分子量リガンドと会合させることができる。さらに、例えば、パラメータ、例えば、分子量、PEGの分子量、およびナノ粒子の表面電荷を制御することによって、非常に正確に制御された粒子を得てもよい。
別の実施形態では、ナノエマルジョンプロセス、例えば、図1、2A、および2Bにおいて表すプロセスを提供する。例えば、治療剤(例えば、ドセタキセル)、疎水性酸、第1のポリマー(例えば、ジブロックコポリマー、例えば、PLA−PEGまたはPLGA−PEG、これらのいずれかは、場合により、リガンドに結合し得る)および任意選択の第2のポリマー(例えば、PL(G)A−PEGまたはPLA)を、有機溶液と合わせて、第1の有機相を形成し得る。このような第1の相は、約1〜約50重量%の固体、約5〜約50重量%の固体、約5〜約40重量%の固体、約1〜約15重量%の固体、または約10〜約30重量%の固体を含み得る。第1の有機相は、第1の水溶液と合わせて、第2の相を形成し得る。有機溶液は、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、ベンジルアルコール、Tween80、Span80など、およびこれらの組合せを含むことができる。ある実施形態では、有機相は、ベンジルアルコール、酢酸エチル、およびこれらの組合せを含み得る。第2の相は、約0.1〜50重量%、約1〜50重量%、約5〜40重量%、または約1〜15重量%の固体でよい。水溶液は、コール酸ナトリウム、酢酸エチル、ポリ酢酸ビニルおよびベンジルアルコールの1つまたは複数と組み合わせてもよい水であり得る。一部の実施形態では、水相のpHは、治療剤のpKおよび/または疎水性酸もしくはプロトン化した疎水性塩基のpKに基づいて選択し得る。例えば、ある特定の実施形態では、治療剤は、第1のpKを有してもよく、疎水性酸またはプロトン化した疎水性塩基は、第2のpKを有してもよく、水相は、第1のpKおよび第2のpKの間のpK単位と等しいpHを有し得る。特定の実施形態では、水相のpHは、第1のpKおよび第2のpKの間の約等距離であるpK単位と等しくてもよい。
例えば、油または有機相は、非溶媒(水)と部分的にのみ混和性である溶媒を使用し得る。したがって、十分に低い比で混合したとき、および/または有機溶媒で事前飽和された水を使用するとき、油相は液体のままである。例えば、高エネルギー分散システム、例えば、ホモジナイザーまたはソニケーターを使用して、油相を、水溶液に乳化し、液滴として、ナノ粒子に剪断し得る。エマルジョンの水性部分は、場合によっては「水相」としても公知であるが、これはコール酸ナトリウムからなり、酢酸エチルおよびベンジルアルコールで事前飽和されている界面活性剤溶液でよい。場合によって、有機相(例えば、第1の有機相)は、基礎的治療剤を含み得る。さらに、ある特定の実施形態では、水溶液(例えば、第1の水溶液)は、実質的に疎水性の酸を含み得る。他の実施形態では、基礎的治療剤および実質的に疎水性の酸の両方は、有機相に溶解し得る。
第2の相を乳化して、例えば、1つまたは2つの乳化ステップにおいてエマルジョン相を形成することを行い得る。例えば、一次エマルジョンを調製し、次いで、乳化して、微細エマルジョンを形成し得る。例えば、単純な混合、高圧ホモジナイザー、プローブソニケーター、撹拌棒、またはローターステーターホモジナイザーを使用して、一次エマルジョンを形成することができる。例えば、プローブソニケーターまたは高圧ホモジナイザーの使用によって、例えば、ホモジナイザーを通す1、2、3、またはそれ超のパスを使用することによって、一次エマルジョンを微細エマルジョンに形成し得る。例えば、高圧ホモジナイザーが使用されるとき、使用される圧力は、約30〜約60psi、約40〜約50psi、約1000〜約8000psi、約2000〜約4000psi、約4000〜約8000psi、または約4000〜約5000psi、例えば、約2000、2500、4000または5000psiであり得る。
溶媒の抽出を完了し、粒子を凝固するために、溶媒蒸発または希釈を必要とし得る。抽出の反応速度およびよりスケーラブルなプロセスのより良好な制御のために、水性クエンチによる溶媒希釈を使用し得る。例えば、エマルジョンは、有機溶媒の全てを溶解するのに十分な濃度まで冷水に希釈して、クエンチされた相を形成することができる。一部の実施形態では、クエンチを約5℃またはそれ未満の温度で少なくとも部分的に行い得る。例えば、クエンチにおいて使用される水は、室温未満(例えば、約0〜約10℃、または約0〜約5℃)である温度であり得る。
ある特定の実施形態では、エマルジョン相をクエンチするのに有利なpHを有するクエンチは、例えば、ナノ粒子の特性、例えば、放出プロファイルを改善するか、またはナノ粒子のパラメータ、例えば、薬物添加量を改善することによって選択し得る。クエンチのpHは、例えば、酸もしくは塩基滴定によって、または緩衝液の適当な選択によって調節し得る。
一部の実施形態では、クエンチのpHは、治療剤のpKおよび/または疎水性酸もしくはプロトン化した疎水性塩基のpKに基づいて選択し得る。例えば、ある特定の実施形態では、治療剤は、第1のpKを有し得、疎水性酸またはプロトン化した疎水性塩基は、第2のpKを有し得、エマルジョン相は、第1のpKおよび第2のpKの間のpK単位と等しいpHを有する水溶液でクエンチし得る。一部の実施形態では、生成したクエンチされた相はまた、第1のpKおよび第2のpKの間のpK単位と等しいpHを有し得る。特定の実施形態では、pHは、第1のpKおよび第2のpKの間の約等距離であるpK単位と等しくてもよい。
一部の実施形態では、クエンチは、約2〜約12、一部の実施形態では、約3〜約10、一部の実施形態では、約3〜約9、一部の実施形態では、約3〜約8、一部の実施形態では、約3〜約7、一部の実施形態では、約4〜約8、一部の実施形態では、約4〜約7、一部の実施形態では、約4〜約6、一部の実施形態では、約4〜約5、一部の実施形態では、約4.2〜約4.8、一部の実施形態では、約6〜約10、一部の実施形態では、約6〜約9、一部の実施形態では、約6〜約8、一部の実施形態では、約6〜約7のpHを有し得る。ある特定の実施形態では、クエンチは、約4.5のpHを有し得る。緩衝溶液のpHは、温度に応じて変わり得ることを理解すべきである。他に特定しない限り、本明細書において言及される緩衝溶液のpHは、23℃でのpHである。
一部の実施形態では、この段階において治療剤の全ては粒子中にカプセル化されておらず、薬物可溶化剤をクエンチされた相に加え、可溶化した相を形成させる。薬物可溶化剤は、例えば、Tween80、Tween20、ポリビニルピロリドン、シクロデキストラン、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ジエチルニトロサミン、酢酸ナトリウム、尿素、グリセリン、プロピレングリコール、グリコフロール、ポリ(エチレン)グリコール、ビス(ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、またはこれらの組合せであり得る。例えば、Tween−80をクエンチしたナノ粒子懸濁液に加えて、遊離薬物を可溶化し、薬物結晶の形成を防止し得る。一部の実施形態では、薬物可溶化剤の治療剤に対する比は、約200:1〜約10:1であり、または一部の実施形態では、約100:1〜約10:1である。
可溶化した相を濾過して、ナノ粒子を回収し得る。例えば、限外濾過膜を使用して、ナノ粒子懸濁液を濃縮し、有機溶媒、遊離薬物(すなわち、カプセル化されていない治療剤)、薬物可溶化剤、および他の処理助剤(界面活性剤)を実質的に排除し得る。例示的な濾過は、タンジェンシャルフロー濾過系を使用して行い得る。例えば、溶質、ミセル、および有機溶媒が通過することを可能とする一方で、ナノ粒子を保持するのに適切な孔径を有する膜を使用することによって、ナノ粒子は、選択的に分離することができる。約300〜500kDa(約5〜25nm)の分画分子量を有する例示的な膜を使用し得る。
一定容量アプローチを使用してダイアフィルトレーションを行ってもよく、これは濾液が懸濁液から除去されるのと同じ速度で、ダイア濾液(冷たい脱イオン水、例えば、約0〜約5℃、または0〜約10℃)を、供給懸濁液に加えてもよいことを意味する。一部の実施形態では、フィルタリングは、約0〜約5℃、または0〜約10℃の第1の温度、および約20〜約30℃、または15〜約35℃の第2の温度を使用した第1のフィルタリングを含み得る。一部の実施形態では、フィルタリングは、約1〜約30、場合によって、約1〜約15、または場合によって、1〜約6ダイア容量を処理することを含み得る。例えば、フィルタリングは、約0〜約5℃にて、約1〜約30、または場合によって、約1〜約6ダイア容量を処理し、約20〜約30℃にて、少なくとも1ダイア容量(例えば、約1〜約15、約1〜約3、または約1〜約2ダイア容量)を処理することを含み得る。一部の実施形態では、フィルタリングは、異なる別個の温度にて異なるダイア容量を処理することを含む。
ナノ粒子懸濁液を精製および濃縮した後、粒子は、例えば、約0.2μmのデプスプレフィルターを使用した、1つ、2つまたはそれ超の無菌化および/またはデプスフィルターを通して通過させ得る。例えば、除菌濾過ステップは、制御された速度で濾過トレインを使用して治療用ナノ粒子をフィルタリングすることを含み得る。一部の実施形態では、濾過トレインは、デプスフィルターおよび無菌フィルターを含み得る。
治療剤
開示されているナノ粒子は、治療剤、例えば、抗新生物剤、例えば、mTor阻害剤(例えば、シロリムス、テムシロリムス、またはエベロリムス)、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ジテルペン誘導体またはタキサン、例えば、パクリタキセル(またはその誘導体、例えば、DHA−パクリタキセルもしくはPG−パクリタキセル)またはドセタキセルを含み得る。
一組の実施形態では、開示されているナノ粒子は、薬物または2種以上の薬物の組合せを含み得る。このような粒子は、例えば、標的化部分を使用して、薬物を含有する粒子を対象内の特定の局在化した場所に向け、例えば、薬物の局在化した送達が起こることを可能とし得る実施形態において有用であり得る。例示的な治療剤には、化学療法剤、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ゲムシタビン(Gemzar)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、ビノレルビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチンまたはビンクリスチン;ブレオマイシン、パクリタキセル(taxol)、ドセタキセル(taxotere)、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(SN38)、ダカルバジン、S−Iカペシタビン、5’デオキシフルオロウリジン、エニルウラシル、デオキシシチジン、5−アザシトシン、5−アザデオキシシトシン、アロプリノール、2−クロロアデノシン、トリメトレキセート、アミノプテリン、メチレン−10−デアザアミノプテリン(MDAM)、オキサプラチン、ピコプラチン、オルマプラチン、エピルビシン、リン酸エトポシド、9−アミノカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、カレニテシン、9−ニトロカンプトテシン、ビンデシン、L−フェニルアラニンマスタード、イホスファミドメホスファミド、ペルホスファミド、トロホスファミドカルムスチン、セムスチン、エポチロンA、B、C、D、およびE、トムデックス、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アムサクリン、リン酸エトポシド、カレニテシン、アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン、ラミブジン、ジドブジン、ベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、ならびにこれらの組合せが含まれる。潜在的に適切な薬物の非限定的例には、例えば、ドセタキセル、ミトキサントロン、およびミトキサントロン塩酸塩を含めた抗がん剤が含まれる。
医薬製剤
本明細書において開示されているナノ粒子は、別の態様によって、薬学的に許容できる担体と合わさり、医薬組成物を形成し得る。当業者が理解するように、担体は、下記のような投与経路、標的組織の場所、送達される薬物、薬物の送達の時間経過などに基づいて選択し得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されているナノ粒子は、治療方法における使用、例えば、がん(例えば、化学療法および/または放射線療法単独に対して治療抵抗性であるRas変異を有するがんまたは治療抵抗性がん)を処置するための、医薬組成物中に製剤化し得る。
医薬組成物は、経口および非経口経路を含めた当技術分野において公知の任意の手段によって患者に投与することができる。用語「患者」は、本明細書において使用する場合、ヒト、ならびに例えば、哺乳動物、鳥、爬虫類、両生類、および魚を含めた非ヒトを指す。例えば、非ヒトは、哺乳動物(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類、またはブタ)であり得る。ある特定の実施形態では、非経口経路が、消化管において見出される消化酵素との接触を回避するために望ましい。このような実施形態によると、本組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下または筋内、腹腔内注射)、直腸、経膣的、局所的(散剤、クリーム剤、軟膏剤、もしくは点眼剤によるなど)によって、または吸入(スプレーによるなど)によって投与し得る。
特定の実施形態では、ナノ粒子は、それを必要とする対象に全身的に、例えば、IV注入または注射によって投与される。
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液は、適切な分散化剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知技術によって製剤化し得る。無菌の注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液、懸濁液、またはエマルジョン、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液でよい。用いることができる許容できるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.、および等張食塩液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として従来用いられる。この目的のために、合成のモノまたはジグリセリドを含めた任意の刺激の少ない不揮発性油を用いることができる。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸は、注射剤の調製において使用される。一実施形態では、本発明のコンジュゲートを、1%(w/v)のカルボキシメチルセルロースナトリウムおよび0.1%(v/v)のTWEEN(商標)80を含む担体液に懸濁させる。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の無菌の注射可能な媒体に溶解もしくは分散させることができる無菌の固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、無菌化することができる。
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含む。このような固体剤形において、カプセル化されたか、またはカプセル化されていないコンジュゲートを、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容できる添加剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウム、ならびに/または(a)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケート、および炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ、ならびに(i)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物と混合する。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含む。
治療剤を含有するナノ粒子の正確な投与量は、処置される患者を考慮して個々の医師によって選択され、一般に、投与量および投与は、有効量の治療剤ナノ粒子を処置される患者に提供するように調節されることを認識されたい。本明細書において使用する場合、治療剤を含有するナノ粒子の「有効量」は、所望の生物学的応答を引き出すのに必要な量を指す。当業者が理解するように、治療剤を含有するナノ粒子の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される薬物、標的組織、投与経路などの要因によって変わり得る。例えば、治療剤を含有するナノ粒子の有効量は、所望の期間にわたり所望の量の腫瘍サイズの低減をもたらす量であり得る。考慮し得るさらなる要因は、病態の重症度;処置される患者の年齢、体重および性別;食事、投与の時間および頻度;薬物の組合せ;反応感受性;ならびに治療に対する耐性/応答を含む。
ナノ粒子は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために投与量単位形態で製剤化し得る。「投与量単位形態」という表現は、本明細書において使用する場合、処置される患者に適当なナノ粒子の物理的個別単位を指す。しかし、組成物の一日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決められることが理解される。任意のナノ粒子について、治療有効用量は、細胞培養アッセイにおいて、または動物モデル、通常、マウス、ウサギ、イヌ、もしくはブタにおいて最初に推定することができる。動物モデルをまた使用して、望ましい濃度範囲および投与経路を達成する。次いで、このような情報を使用して、ヒトにおける投与のための有用な用量および経路を決定することができる。ナノ粒子の治療有効性および毒性、例えば、ED50(用量は集団の50%において治療的に有効である)およびLD50(用量は集団の50%まで致死的である)は、細胞培養物または実験動物において標準的な医薬手順によって決定することができる。毒性効果の治療効果に対する用量比は治療指数であり、これは、LD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物は、一部の実施形態では有用であり得る。細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、ヒト使用のための投与量範囲の配合において使用することができる。
ある実施形態では、本明細書において開示されている組成物は、約10ppm未満のパラジウム、または約8ppm未満、または約6ppm未満のパラジウムを含み得る。例えば、ポリマーコンジュゲートを有するナノ粒子を含む組成物が本明細書において提供され、組成物は、約10ppm未満のパラジウムを有する。
一部の実施形態では、本明細書において開示されているナノ粒子を含む冷凍に適した組成物が企図され、冷凍に適した溶液、例えば、糖、例えば、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、例えば、スクロースおよび/もしくはトレハロース、ならびに/または塩および/もしくはシクロデキストリン溶液を、ナノ粒子懸濁液に加える。糖(例えば、スクロースまたはトレハロース)は、例えば、粒子が冷凍によって凝集することを防止する凍結防止剤として作用し得る。例えば、複数の開示されているナノ粒子、スクロース、イオン性ハロゲン化物、および水を含むナノ粒子製剤であり、ナノ粒子/スクロース/水/イオン性ハロゲン化物は、約3〜40%/10〜40%/20〜95%/0.1〜10%(w/w/w/w)または約5〜10%/10〜15%/80〜90%/1〜10%(w/w/w/w)が本明細書において提供される。例えば、このような溶液は、本明細書に開示されているナノ粒子、約5重量%〜約20重量%のスクロースおよび約10〜100mMの濃度のイオン性ハロゲン化物、例えば、塩化ナトリウムを含み得る。別の例では、複数の開示されているナノ粒子、トレハロース、シクロデキストリン、および水を含むナノ粒子製剤が本明細書において提供され、ナノ粒子/トレハロース/水/シクロデキストリンは、約3〜40%/1〜25%/20〜95%/1〜25%(w/w/w/w)または約5〜10%/1〜25%/80〜90%/10〜15%(w/w/w/w)である。
例えば、企図される溶液は、本明細書に開示されているナノ粒子、約1重量%〜約25重量%の二糖類、例えば、トレハロースもしくはスクロース(例えば、約5重量%〜約25重量%のトレハロースもしくはスクロース、例えば、約10重量%のトレハロースもしくはスクロース、または約15重量%のトレハロースもしくはスクロース、例えば、約5重量%のスクロース)、および約1重量%〜約25重量%の濃度のシクロデキストリン、例えば、β−シクロデキストリン(例えば、約5重量%〜約20重量%、例えば、10重量%もしくは約20重量%、または約15重量%〜約20重量%のシクロデキストリン)を含み得る。企図される製剤は、複数の開示されているナノ粒子(例えば、PLA−PEGおよび活性剤を有するナノ粒子)、および約2重量%〜約15重量%(または約4重量%〜約6重量%、例えば、約5重量%)のスクロースおよび約5重量%〜約20重量%(例えば、約7重量パーセント〜約12重量%、例えば、約10重量%)のシクロデキストリン、例えば、HPbCDを含み得る。
本開示は、復元されたとき、最小量の大きな凝集体を有する凍結乾燥した医薬組成物に部分的に関する。このような大きな凝集体は、約0.5μm超、約1μm超、または約10μm超のサイズを有してもよく、復元された溶液中で望ましくないことがあり得る。凝集体サイズは、参照により本明細書に組み込まれている米国薬局方の32<788>において示されるものを含めた種々の技術を使用して測定することができる。USP32<788>において概略が述べられている試験は、光遮蔽粒子計数試験、顕微鏡粒子計数試験、レーザー回折、および単一粒子光学検知を含む。一実施形態では、所与の試料中の粒径は、レーザー回折および/または単一粒子光学検知を使用して測定される。
光遮蔽粒子計数試験によるUSP32<788>は、懸濁液中の粒径のサンプリングのためのガイドラインを規定する。100mLと等しい、またはこれ未満を有する溶液について、存在する粒子の平均数が、容器毎に≧10μmである6000個および容器毎に≧25μmである600個を超えない場合、調製は試験に準拠する。
USP32<788>において概略が述べられているように、顕微鏡粒子計数試験は、接眼マイクロメーターを有する100±10×の拡大率に調節した双眼顕微鏡を使用して粒子量を決定するためのガイドラインを規定する。接眼マイクロメーターは、100×の拡大率で見たとき、10μmおよび25μmを表す黒の基準円を有する象限に分割された円からなる円形直径グラティキュールである。直線状スケールは、グラティキュールの下に提供される。10μmおよび25μmに関する粒子の数を視覚的に符合させる。100mLと等しい、またはこれ未満を有する溶液について、存在する粒子の平均数が、容器毎に≧10μmである3000個、および容器毎に≧25μmである300個を超えない場合、調製は試験に準拠する。
一部の実施形態では、開示されている組成物の復元による10mLの水性試料は、1ml毎に600個未満の10ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子;および/または1ml毎に60個未満の25ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子を含む。
動的光散乱(DLS)を使用して、粒径を測定し得るが、これはブラウン運動に依存し、そのためこの技術は、いくつかのより大きな粒子を検出し得ない。レーザー回折は、粒子および懸濁培地の間の屈折率における差異に依存する。この技術は、サブミクロンからミリメートル範囲にて粒子を検出することができる。相対的に少(例えば、約1〜5重量%)量のより大きな粒子を、ナノ粒子懸濁液中で決定することができる。単一粒子光学検知(SPOS)は、約0.5μmの個々の粒子を計数する希薄な懸濁液の光遮蔽を使用する。測定した試料の粒子濃度を知ることによって、凝集体の重量パーセントまたは凝集体濃度(粒子/mL)を計算することができる。
凝集体の形成は、粒子の表面の脱水によって凍結乾燥の間に起こり得る。この脱水は、凍結乾燥の前に懸濁液中で凍結保護剤、例えば、二糖類を使用することによって回避することができる。適切な二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、またはセロビオース、および/またはこれらの混合物を含む。他の企図される二糖類は、コウジビオース、ニゲロース、イソマルトース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノーゼ、ゲンチオビオース、マンノビオース、メリビオース、メリビウオース(melibiulose)、ルチノース、ルチヌノース(rutinulose)、およびキシロビオースを含む。復元は、開始懸濁液と比較したときの等しいDLSサイズ分布を示す。しかし、レーザー回折は、いくらかの復元された溶液中でサイズが>10μmの粒子を検出することができる。さらに、SPOSはまた、FDAガイドラインの濃度超の濃度(>10μmの粒子について10〜10個の粒子/mL)で>10μmサイズの粒子を検出し得る。
一部の実施形態では、1種または複数のイオン性ハロゲン化塩は、糖、例えば、スクロース、トレハロースまたはこれらの混合物に対するさらなる凍結保護剤として使用し得る。糖は、二糖類、単糖類、三糖類、および/または多糖類を含んでいてもよく、かつ他の添加剤、例えば、グリセロールおよび/または界面活性剤を含んでいてもよい。場合により、シクロデキストリンを、さらなる凍結保護剤として含んでいてもよい。シクロデキストリンは、イオン性ハロゲン化塩の代わりに加え得る。代わりに、シクロデキストリンを、イオン性ハロゲン化塩に加え得る。
適切なイオン性ハロゲン化塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、またはこれらの混合物を含み得る。さらなる適切なイオン性ハロゲン化塩は、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、またはヨウ化アンモニウム、および/またはこれらの混合物を含む。一実施形態では、約1〜約15重量パーセントのスクロースを、イオン性ハロゲン化塩と共に使用し得る。一実施形態では、凍結乾燥した医薬組成物は、約10〜約100mMの塩化ナトリウムを含み得る。別の実施形態では、凍結乾燥した医薬組成物は、約100〜約500mMの二価のイオン性塩化物塩、例えば、塩化カルシウムまたは塩化亜鉛を含み得る。さらに別の実施形態では、凍結乾燥される懸濁液は、シクロデキストリンをさらに含み得、例えば、約1〜約25重量パーセントのシクロデキストリンを使用し得る。
適切なシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、またはこれらの混合物を含み得る。本明細書において開示されている組成物における使用のために企図される例示的なシクロデキストリンには、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPbCD)、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチルエチル−β−シクロデキストリン、ジエチル−β−シクロデキストリン、トリ−O−アルキル−β−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、およびマルトシル−β−シクロデキストリンが含まれる。一実施形態では、約1〜約25重量パーセントのトレハロース(例えば、約10重量%〜約15重量%、例えば、5〜約20重量%)を、シクロデキストリンと共に使用し得る。一実施形態では、凍結乾燥した医薬組成物は、約1〜約25重量パーセントのβ−シクロデキストリンを含み得る。例示的な組成物は、PLA−PEG、活性/治療剤、約4%〜約6%(例えば、約5重量パーセント)のスクロース、および約8〜約12重量パーセント(例えば、約10重量%)のHPbCDを含むナノ粒子を含み得る。
一態様では、開示されているナノ粒子を含む凍結乾燥した医薬組成物を提供し、100mL未満または約100mLの水性媒体中で約50mg/mLのナノ粒子濃度での凍結乾燥した医薬組成物の復元によって、非経口投与に適した復元された組成物は、6000個未満、例えば、3000個未満の10ミクロンと等しい、もしくはこれ超の微粒子;および/または600個未満、例えば、300個未満の25ミクロンと等しい、もしくはこれ超の微粒子を含む。
微粒子の数は、例えば、光遮蔽粒子計数試験によるUSP32<788>、顕微鏡粒子計数試験によるUSP32<788>、レーザー回折、および単一粒子光学検知などの手段によって決定することができる。
ある態様では、それぞれが疎水性ポリマーセグメントおよび親水性ポリマーセグメント;活性剤;糖;ならびにシクロデキストリンを有するコポリマーを含む複数種の治療用粒子を含む、復元による非経口使用に適した医薬組成物を提供する。
例えば、コポリマーは、ポリ(乳)酸−ブロック−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーであり得る。復元によって、100mLの水性試料は、6000個未満の10ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子;および600個未満の25ミクロンと等しい、もしくはこれ超のサイズを有する粒子を含み得る。
二糖類およびイオン性ハロゲン化塩を加えるステップは、約5〜約15重量パーセントのスクロースまたは約5〜約20重量パーセントのトレハロース(例えば、約10〜約20重量パーセントのトレハロース)、および約10〜約500mMのイオン性ハロゲン化塩を加えることを含み得る。イオン性ハロゲン化塩は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化亜鉛、またはこれらの混合物から選択し得る。ある実施形態では、約1〜約25重量パーセントのシクロデキストリンをまた加える。
別の実施形態では、二糖類およびシクロデキストリンを加えるステップは、約5〜約15重量パーセントのスクロースまたは約5〜約20重量パーセントのトレハロース(例えば、約10〜約20重量パーセントのトレハロース)、および約1〜約25重量パーセントのシクロデキストリンを加えることを含み得る。ある実施形態では、約10〜約15重量パーセントのシクロデキストリンを加える。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、またはこれらの混合物から選択し得る。
別の態様では、糖および塩を凍結乾燥した製剤に加え、復元によるナノ粒子の凝集を防止することを含む、医薬ナノ粒子組成物中で粒子の実質的な凝集を防止する方法を提供する。ある実施形態では、シクロデキストリンをまた、凍結乾燥した製剤に加える。さらに別の態様では、糖およびシクロデキストリンを凍結乾燥した製剤に加えて、復元によるナノ粒子の凝集を防止することを含む、医薬ナノ粒子組成物中の粒子の実質的な凝集を防止する方法を提供する。
企図される凍結乾燥した組成物は、約40mg/mL超の治療用粒子濃度を有し得る。非経口投与に適した製剤は、10mLの用量中に10ミクロン超のサイズを有する約600個未満の粒子を有し得る。凍結乾燥は、組成物を約−40℃超、または例えば、約−30℃未満の温度で冷凍し、冷凍した組成物を形成させ、冷凍した組成物を乾燥させ、凍結乾燥した組成物を形成することを含み得る。乾燥のステップは、約50mTorrで約−25〜約−34℃、または約−30〜約−34℃の温度にて起こり得る。
本発明をこれまで全体的に記載してきたが、単に本発明のある特定の態様および実施形態の単に例示の目的のために含まれ、かつ本発明を決して限定しようとするものではない下記の実施例を参照することにより、本発明はより容易に理解される。
(実施例1)
ナノ粒子調製−エマルジョンプロセス
ドセタキセル(DTXL)ならびにポリマー(コポリマー、および/またはリガンドを有するコポリマー)の混合物からなる有機相を形成する。有機相を、概ね1:5比(油相:水相)で水相と混合し、水相は、界面活性剤およびいくらかの溶解した溶媒からなる。高い薬物添加量を達成するために、有機相中の約30%の固体を使用する。
一次粗エマルジョンは、単純な混合をしながら、またはローターステーターホモジナイザーの使用によって、2つの相の組合せによって形成される。ローター/ステーターは、均質な乳濁した溶液を生じさせ、一方、撹拌棒は、目に見えてより大きな粗エマルジョンを生じさせた。撹拌棒方法は、供給槽のサイドに接着した相当な油相液滴をもたらしたことが観察されたが、粗エマルジョンサイズは質にとって欠かせないプロセスパラメータではない一方、収率の損失または相分離を防止するために適切に微細に作製しなくてはならないことがこれによって示唆される。したがって、ローターステーターは粗エマルジョン形成の標準的な方法として使用されるが、高速ミキサーがより大きなスケールに適切であり得る。
次いで、一次エマルジョンを、高圧ホモジナイザーの使用によって微細エマルジョンに形成する。粗エマルジョンのサイズは、ホモジナイザーM−110−EHによる連続的パス(103)の後に、粒径に有意に影響を与えない。
ホモジナイザー供給圧力は、生成した粒径に対してかなりの影響を有することが見出された。空気圧式および電気的M−110−EHホモジナイザーの両方の上で、供給圧力を低減させることによって、また粒径を低減させたことが見出された。したがって、M−110−EHについて使用される標準的な作動圧力は、相互作用チャンバー毎に4000〜5000psiであり、これは単位の最小の処理圧力である。M−110−EHはまた、1つまたは2つの相互作用チャンバーのオプションを有する。これはより制限的はない200μmのZ−チャンバーと直列の制限的なY−チャンバーを標準装備している。Y−チャンバーが除去され、ブランクのチャンバーで置き換えられたとき、粒径が実際に低減したことが見出された。さらに、Y−チャンバーを除去することは、処理の間のエマルジョンの流量を有意に増加させる。
2〜3のパスの後、粒径は有意に低減せず、連続的パスはそれどころか粒径の増加をもたらすことができる。表Aは、乳化プロセスパラメータを要約する。
Figure 2017514893
次いで、微細エマルジョンを、所与の温度にて混合しながら脱イオン水に加えることによってクエンチする。クエンチユニットの操作において、エマルジョンを、撹拌下の冷たい水性クエンチに加える。これは油相溶媒の大部分を抽出し、下流の濾過のためにナノ粒子を効果的に硬化させる役割を果たす。クエンチを冷却することは、薬物カプセル化を有意に改善した。クエンチ:エマルジョン比は、概ね5:1である。
35%(重量%)のTween80の溶液をクエンチに加え、全体的に概ね2%のTween80を達成する。エマルジョンをクエンチした後、薬物可溶化剤として作用するTween−80の溶液を加え、濾過の間のカプセル化されていない薬物の有効な除去を可能とする。表Bは、クエンチプロセスパラメータのそれぞれを示す。
Figure 2017514893
粒子をT未満に維持するために、十分に希薄な懸濁液(十分に低い濃度の溶媒)と共に温度は十分に冷たく保たなければならない。Q:E比が十分に高くない場合、より高い濃度の溶媒は粒子を可塑化し、薬物の漏出を可能とする。逆に、より冷たい温度は、低いQ:E比(約3:1まで)での高い薬物カプセル化を可能とし、これはプロセスをより効率的に行うことを可能にする。
次いで、ナノ粒子をタンジェンシャルフロー濾過プロセスによって単離し、ナノ粒子懸濁液を濃縮し、水中へのクエンチ溶液からの、溶媒、遊離薬物、および薬物可溶化剤の緩衝液交換を行う。再生セルロース膜は、300の分画分子量(MWCO)で使用される。
一定容量ダイアフィルトレーション(DF)を行って、クエンチ溶媒、遊離薬物およびTween−80を除去する。一定容量DFを行うために、濾液を除去するのと同じ速度で緩衝液を保持液槽に加える。TFF操作のためのプロセスパラメータを、表Cに要約する。クロス流速度は、供給チャネルおよび膜を通る溶液流の速度を指す。この流れは、膜を汚して濾液流を制限し得る分子を押し流す力を提供する。膜貫通圧力は、透過性分子を、膜を通して前進させる力である。
Figure 2017514893
次いで、濾過したナノ粒子スラリーを、事前処理の間に高温へと熱サイクルにかける。ごく一部(典型的には5〜10%)のカプセル化された薬物は、25℃への最初の曝露の後にナノ粒子から非常に急速に放出される。この事象によって、全事前処理の間に冷たく保持されているバッチは、送達中、または冷凍されない貯蔵中の任意の間に遊離薬物または薬物結晶を生じやすい。事前処理の間にナノ粒子スラリーを高温に曝露させることによって、薬物添加のわずかな低下を代償に、この「緩くカプセル化された」薬物は除去されて、生成物の安定性を改善することができる。表Dは、25℃での処理の2つの例を要約する。他の実験は、生成物が、カプセル化された薬物の大部分を失うことなく、25℃へ曝露させる約2〜4ダイア容量の後で十分に安定的であることを示してきた。5ダイア容量を、25℃での処理の前の冷たい処理のための量として使用する。
Figure 2017514893
濾過プロセスの後、ナノ粒子懸濁液を、無菌化グレードフィルター(0.2μmアブソリュート)を通して通過させる。プロセスのための合理的な濾過面積/時間を使用するために、プレフィルターを使用して、無菌化グレードフィルターを保護する。値は表Eにおいて要約する。
Figure 2017514893
濾過トレインは、Ertel Alsop Micromedia XLデプスフィルターM953P膜(名目上0.2μm);Seitz EKSPデプスフィルター媒体(名目上0.1〜0.3μm)を有するPall SUPRAcap;Pall Life Sciences Supor EKV0.65/0.2ミクロンの無菌化グレードPESフィルターである。
デプスフィルターについて1kgのナノ粒子毎に0.2mの濾過表面積、および無菌化グレードフィルターについて1kgのナノ粒子毎に1.3m2の濾過表面積を使用することができる。
(実施例2)
ヒト非小細胞肺がんの処置
ナノ粒子組成物
BIND−014:静脈内注射のために実施例1におけるように調製したナノ粒子中に製剤化されたドセタキセル(10重量%のドセタキセル、90重量%のポリマー(約2.5重量%のPLA−PEG−GL2;および約97.5重量%のPLA−PEG、Mn PLA=16kDa;Mn PEG=5kDa)。
研究集団
進行性または転移性疾患のための1つの従前の白金含有化学療法レジメンが失敗した、ステージIII/IVの非小細胞肺がん(NSCLC)を有する概ね20人の患者を、米国およびロシアから登録した。20人の患者の内、6人は、公知のK−Ras変異を有していた。K−Ras変異肺がんは、標準的な非小細胞肺がんより悪い予後と関連する。これらの6人の患者の内、2人は疾患が進行し、2人の患者は安定した疾患を有し、2人の患者はBIND−014製剤に対して部分応答した。
研究薬物、用量、および投与のモード
アームA:BIND−014、3週間毎。患者は、3週間毎に1回(21日サイクルの1日目)に投与される、60mg/mのBIND−014(0.9%塩化ナトリウム溶液または5%デキストロース溶液中)の60(±10)分の静脈への注入を受けた。患者はまた、プロトコルまたは施設の標準によって前投薬レジメンを受けた。
アームB:BIND−014を毎週。患者は、毎週のスケジュール(28日サイクルの1日目、8日目および15日目)で投与される、40mg/mのBIND−014(0.9%塩化ナトリウム溶液または5%デキストロース溶液中の)の60(±10)分の静脈への注入を受けた。患者はまた、プロトコルまたは施設の標準によって前投薬レジメンを受けた。
処置の期間
スクリーニング(ベースライン)期間。患者には、最初の処置の前に28日のスクリーニング期間を設けた。
処置期間。患者は、プロトコルにおいて定義するような疾患の進行までか、またはプロトコルにおいて定義するような中断の他の理由について処置を受けた。
処置後の経過観察。患者が処置期間を完了すると、研究後の生存データ、および疾患の進行までの時間を得るために、全生存期間経過観察を3カ月毎に60カ月(5年)まで行う。経過観察は電話、クリニックへの訪問、または施設の標準的実施による他の文書化された接触によって行い、症例報告の形態で報告する。
(実施例3)
ヒト非小細胞肺がんの処置
ナノ粒子組成物
BID−014:静脈内注射のために実施例1におけるように調製したナノ粒子中に製剤化されたドセタキセル(10重量%のドセタキセル、90重量%のポリマー(約2.5重量%のPLA−PEG−GL2;および約97.5重量%のPLA−PEG、Mn PLA=16kDa;Mn PEG=5kDa)。
研究デザイン
第1の段階:20人の患者;20人のうち≧1人のレスポンダー(CRまたはPR)。第2の段階:さらなる20人の患者。
腫瘍データ:ローカルリードを、腫瘍活性が関与するデータ分析のために使用した。客観的な応答の決定は、調査者が検討するコンピューター断層撮影法(CT)に基づいた。
進行性または転移性疾患のための1つの従前の白金含有化学療法レジメンが失敗したステージIII/IV非小細胞肺がん(NSCLC)を有する患者において、BIND−014を21日サイクルの1日目に(すなわち、21日毎に1用量)60mg/mで投与し、調査者が評価する客観的応答率(ORR)によって測定した。
研究集団
進行性または転移性疾患のための1つの従前の白金化学療法レジメンが失敗したステージIII/IVのNSCLCを有する40人の患者を登録した。
参加基準:
・局所進行性または転移性疾患を有するNSCLCの診断
・研究エントリー時の疾患のゲノム状態(EGFR変異、ALK遺伝子再編成、およびK−Ras変異)が既知である
・1つの白金をベースとする化学療法で従前に処置されている
・疾患状態は、固形腫瘍における応答判定基準(RECIST v.1.1)によって定義するような測定可能および/または評価可能な疾患のものでなくてはならない
・ECOGスケールで0〜1の全身状態
・研究への登録の少なくとも3週間前に従前の化学療法/放射線が完了している
・骨髄の<25%まで許容する従前の放射線療法
・適当な臓器機能
除外基準:
・妊娠を計画している、妊娠している、または授乳している
・重症の合併全身障害
・脳転移からの症状を示す患者
・(身体検査によって)検出可能な第3腔での貯留体液の存在
・進行性疾患のための1つ超の従前の細胞毒性を有する化学療法レジメン
・スイッチ維持化学療法(すなわち、早期二次治療)を含む
・ドセタキセルによる従前の処置
・ポリソルベート80に対する重症の過敏症反応の病歴
・研究エントリー時の末梢性ニューロパシー
・先天性QT延長症候群、うっ血性心不全、または徐脈性不整脈
ベースラインの患者統計特性を、下記の表1において提供する。
Figure 2017514893
40人の患者のうち、9人は、公知のK−Ras変異を有していた。K−Ras変異肺がんは、標準的な非小細胞肺がんより悪い予後と関連する。
研究の結果
全ての患者(N=40)についての腫瘍応答を、図3において示す。40人の患者のうち、15人は疾患が進行し、19人の患者は安定した疾患を有し、5人の患者はBIND−014製剤に対して部分応答し、1人の患者は未確定の部分応答した。
K−Ras変異患者(N=9)についての腫瘍応答を、図4において示す。9人の患者の内、3人は疾患が進行し、4人の患者は安定した疾患を有し、2人の患者はBIND−014製剤に対して部分応答した。
全ての患者についての時間の関数としての腫瘍サイズの相対的変化を、図5において示す。
K−Ras変異患者(Pt)と比較した全ての患者(Pt)についての無進行生存期間(PFS)を、図6において示す。
K−Ras変異患者(Pt)と比較した全ての患者(Pt)についての無病全生存期間(OS)を、図7において示す。
処置および応答データを、下記の表2において提供する。
Figure 2017514893
全ての患者(N=40)についての処置が関連する有害事象データを、下記の表3において提供する。
Figure 2017514893
データは、BIND−014が臨床的に活性であり、ステージIII/IVのNSCLC患者における二次治療として21日毎の60mg/mの用量で耐容性良好であることを示す。BIND−014は、5.2カ月の応答期間中央値(DOR)、および48%のDCRと共に13%のORRを示した。公知の抗がん剤(例えば、Taxotere(登録商標)およびTKI)に一般に応答しないK−Ras変異腫瘍を有する患者において、BIND−014は、5.8カ月の応答期間中央値、および44%のDCRと共に22%のORRを示した。
Taxotere(登録商標)において一般に観察される好中球減少、貧血、およびニューロパシーは、BIND−014で有意に低減した。
処置された全ての患者についての暫定全生存期間中央値は、6.2カ月であった(95%CI:3.3〜10.9)(17人の患者を検討した)。K−Ras変異腫瘍を有する患者について、暫定生存期間中央値は、9.6カ月であった(95%CI:0.8〜10.9)(3人の患者を検討した)。
BIND−014の臨床活性および忍容性は、従来のドセタキセル(Taxotere(登録商標))からの実質的な区別を示す。BIND−014は、K−Ras変異腫瘍を有する患者について新規なオプションを提示する。
均等物
当業者は、単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載されている本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、確認することができる。このような均等物は、下記の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
参照による組込み
本明細書において引用した全ての特許、公開された特許出願、ウェブサイト、および他の参照文献の全内容は、参照によりその全体が明確に本明細書において組み込まれている。

Claims (74)

  1. それを必要とする患者においてRas変異を有するがんを処置する方法であって、前記患者に、抗がんナノ粒子を含む治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含む方法。
  2. 前記抗がんナノ粒子が、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ナノ結晶、リポソーム、ミセル、およびデンドリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記抗がんナノ粒子が、治療剤から形成される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記抗がんナノ粒子が、治療剤を含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記抗がんナノ粒子が、シクロデキストリンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記Ras変異が、H−Ras、K−Ras、およびN−Rasからなる群から選択されるRas遺伝子における変異である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記Ras遺伝子が、K−Rasである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記治療有効量の前記ナノ粒子組成物が、約50〜約75mg/mの前記治療剤である、請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記治療有効量の前記ナノ粒子組成物が、約60〜約75mg/mの前記治療剤である、請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記治療有効量の前記ナノ粒子組成物が、約60mg/mの前記治療剤である、請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記治療剤が、ドセタキセルである、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記組成物を約3週間毎に前記患者に投与することをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記組成物を、約1時間にわたり静脈内注入によって投与する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記がんが、前記患者への遊離治療剤の投与によって安定化されていなかった、請求項3から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記ナノ粒子の流体力学的直径が、約60〜約150nmである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ナノ粒子の流体力学的直径が、約90〜約140nmである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記ナノ粒子の流体力学的直径が、約90〜約120nmである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記ナノ粒子が、ジブロックポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーまたはジブロックポリ(乳酸−co−グリコール酸)−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記ナノ粒子が、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、前記治療剤を少なくとも1分間実質的に保持する、請求項3から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記ナノ粒子が、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、前記治療剤の約30%未満を実質的に直ちに放出する、請求項3から18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ナノ粒子が、リン酸緩衝溶液中に37℃にて置かれたとき、前記治療剤の約10〜約45%を約1時間にわたり放出する、請求項3から18のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーが、約0.6〜約0.95の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーが、約0.6〜約0.8の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーが、約0.75〜約0.85の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーが、約0.7〜約0.9の数平均分子量比率のポリ(乳)酸を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記ナノ粒子が、約10〜約25重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記ナノ粒子が、約10〜約20重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記ナノ粒子が、約15〜約25重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記ナノ粒子が、約20〜約30重量パーセントのポリ(エチレン)グリコールを含む、請求項18から26のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記ポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーが、約15kDa〜約20kDaの数平均分子量のポリ(乳酸)および約4kDa〜約6kDaの数平均分子量のポリ(エチレン)グリコールを有する、請求項18から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記ナノ粒子が、標的化リガンドで官能化された約0.2〜約30重量パーセントのポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーをさらに含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記ナノ粒子が、標的化リガンドで官能化された約0.2〜約30重量パーセントのポリ(乳)酸−co−ポリ(グリコール)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーをさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記標的化リガンドが、前記ポリ(エチレン)グリコールに共有結合している、請求項31または32に記載の方法。
  34. 前記がんが、肺がんである、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記肺がんが、小細胞肺がんである、請求項34に記載の方法。
  36. それを必要とする患者において治療抵抗性がんを処置する方法であって、前記患者に、抗がんナノ粒子を含む治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含み、前記治療抵抗性がんが、化学療法および/または放射線療法単独に対して治療抵抗性である、方法。
  37. 前記治療抵抗性がんが、肺がんである、請求項36に記載の方法。
  38. 前記治療抵抗性がんが、肺、結腸、および膵臓がんから選択される腺癌;濾胞性甲状腺がん;未分化甲状腺がん;骨髄異形成症候群;ならびに急性骨髄性白血病である、請求項36に記載の方法。
  39. 前記患者が、化学療法剤および/または放射線を従前に投与されていた、請求項36から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記抗がんナノ粒子が、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ナノ結晶、リポソーム、ミセル、およびデンドリマーからなる群から選択される、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記抗がんナノ粒子が、治療剤を含む、請求項36から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記抗がんナノ粒子が、治療剤から形成される、請求項36から39のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記抗がんナノ粒子が、シクロデキストリンを含む、請求項36から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記治療剤が、タキサン、ビンカアルカロイド、またはmTor阻害剤である、請求項41から43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記治療剤が、ドセタキセルである、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記ナノ粒子が、約10〜約20重量パーセントのドセタキセルを含む、請求項36から45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記治療有効量の前記ナノ粒子組成物が、約50〜約75mg/mのドセタキセルである、請求項45または46に記載の方法。
  48. 前記治療有効量の前記ナノ粒子組成物が、約60〜約75mg/mのドセタキセルである、請求項45または46に記載の方法。
  49. 前記治療有効量の前記ナノ粒子組成物が、約60mg/mのドセタキセルである、請求項48に記載の方法。
  50. それを必要とする患者においてRas変異を有するがんを処置する方法であって、
    前記患者がRas遺伝子に変異を有することに基づいて前記患者を同定することと、
    前記患者に、抗がんナノ粒子を含む治療有効量のナノ粒子組成物を投与することと
    を含む方法。
  51. 前記抗がんナノ粒子が、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、金属ナノ粒子、セラミックナノ粒子、ナノ結晶、リポソーム、ミセル、およびデンドリマーからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
  52. 前記抗がんナノ粒子が、治療剤を含む、請求項50または51に記載の方法。
  53. 前記抗がんナノ粒子が、治療剤から形成される、請求項50に記載の方法。
  54. 前記抗がんナノ粒子が、シクロデキストリンを含む、請求項50から53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記患者を同定することが、
    前記患者から試料を得ることと、
    前記試料を診断アッセイに供し、それによってRas変異の存在または非存在を決定することと
    を含む、請求項50から54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記診断アッセイが、ポリメラーゼ連鎖反応およびDNA配列決定を含む、請求項55に記載の方法。
  57. 前記Ras変異が、K−Ras変異である、請求項50から56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記治療剤が、ドセタキセルである、請求項52から57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記ナノ粒子が、ポリマーを含む、請求項50から58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記ポリマーが、ジブロックポリ(乳)酸−ポリ(エチレン)グリコールコポリマーである、請求項59に記載の方法。
  61. それを必要とする患者においてRas変異を有するがんを処置する方法であって、前記患者に、治療有効量のナノ粒子組成物を投与することを含み、前記ナノ粒子組成物が、ポリマーおよび治療剤を含むナノ粒子を含む、方法。
  62. 前記ナノ粒子組成物が、処置サイクルによって投与される、請求項1から61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 前記処置サイクルが、長さが1〜30日である、請求項62に記載の方法。
  64. 前記処置サイクルが、長さが15〜25日である、請求項63に記載の方法。
  65. 前記処置サイクルが、長さが21日である、請求項64に記載の方法。
  66. 前記処置サイクルが繰り返される、請求項62から65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 1〜15処置サイクルを含む、請求項62から65のいずれか一項に記載の方法。
  68. 2〜8処置サイクルを含む、請求項67に記載の方法。
  69. 4処置サイクルを含む、請求項68に記載の方法。
  70. 前記ナノ粒子組成物が、処置サイクル毎に1回投与される、請求項62から69のいずれか一項に記載の方法。
  71. それを必要とする患者においてRas変異を有するがんの処置で使用するための組成物であって、抗がんナノ粒子を含む組成物。
  72. それを必要とする患者において治療抵抗性がんの処置で使用するための組成物であって、前記治療抵抗性がんが、化学療法および/または放射線療法単独に対して治療抵抗性であり、抗がんナノ粒子を含む組成物。
  73. それを必要とする患者においてRas変異を有するがんの処置で使用するための組成物であって、前記患者がRas遺伝子に変異を有することに基づいて前記患者が同定され、抗がんナノ粒子を含む組成物。
  74. それを必要とする患者においてRas変異を有するがんの処置で使用するための組成物であって、ポリマーおよび治療剤を含むナノ粒子を含む組成物。
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