JP2017514876A - 治療用胎盤組成物、その製造法及び使用法 - Google Patents

治療用胎盤組成物、その製造法及び使用法 Download PDF

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Abstract

本発明は、胎盤組織由来の胎盤細胞及びその他の胎盤成分を含む、治療用の胎盤組成物を提供する。冷凍保存された胎盤組成物をまた、提供する。当該胎盤組成物は、特に、血管新生を刺激し及び促進し、炎症を抑え、ならびに瘢痕形成を減らすために使用できる。当該胎盤組織は、任意で、羊膜、絨毛膜、栄養膜枯渇の絨毛膜、臍帯、ホウォートンゼリー、胎盤葉、及び/または母体脱落膜であり得る。本発明の胎盤組成物は、組織傷害(例えば、創傷または火傷)を持つ患者の治療において、当該胎盤組成物を、その傷害またはその近隣部分に適用することによる治療に有用である。胎盤組成物はまた、組織の再生を促進しまたは増加させるために使用しても良い。同様の適用は、靭帯及び腱の修復、ならびに骨生着などの生着手術に対して有用である。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年、5月7日に、出願名「Immunocompatible Chorionic Membrane Products」及び「Immunocompatible Amniotic Membrane Products」と共出願されており、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明技術は、一般に、胎盤組成物、胎盤組成物を使用する医学的治療法、及び胎盤組成物の製造法に関する。本発明技術は、例えば、血管新生、炎症の低減、瘢痕形成の抑制、プロテアーゼ活性の低減、細胞移行の促進、組織再生の促進、及び遊離活性酸素による酸化の阻害の1つ以上を促進する、組成物、冷凍保存組成物、方法を含む、創傷治癒を促進または改善する方法及び産物に関する。
組織の構造的な整合性は、各部分での、生理活性分子、細胞外基質、及び細胞の種類による宿主を伴う組織の動的相互作用によって達成される。そのような相互作用はまた、組織の老化、損傷、及び/または修復ならびに再生治療の間において、極めて重要である。例えば、火傷は、局所組織の損傷を生み出すだけでなく、全身に及ぶ重大な結果をもたらす。現在、例えば、火傷の治療は、傷の治癒を促進すること及び感染症のリスクを低減することに焦点を当てる。臨床分野においては、火傷は、依然として気遣いが必要で深刻な問題であり、及びこれらの傷はしばしば高い疾病率ならびに死亡率を伴う。火傷の標準的な治療には、例えば、消毒薬及びガーゼの創傷包帯の使用が含まれる。しかしながら、重度で大面積の火傷においては、この治療法では十分ではない。重症な火傷治療のための従来の標準的な処置は、依然として自己の生体皮膚移植である。しかしながら、皮膚移植に利用可能な量は、しばしば非常に限られ、そしてこの処置は常にドナー側に傷を残す結果となる。
火傷の治療を改善する試みには、生物学的な皮膚交換と同様に、単一の増殖因子または混合した増殖因子の使用が含まれてきた。上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、及びその他の単一要因などの増殖因子が、火傷治癒に試験されてきたが、しかしながらその結果は、一様ではない。
火傷及びその他の傷への胎盤膜の利用は、100年以上前に起源がある(Kestingらの報告、2008年)。胎盤膜は、例えば、創傷治癒プロセスの調整を担うMSC(間充織幹細胞)を含む、細胞外基質、増殖因子、及び細胞などの、皮膚に含まれ、そして創傷の治癒に必要な成分を含む。火傷に対する羊膜など胎盤膜の有効性は、多数の報文に記録されたが、しかしながら、大面積の火傷に対する胎盤膜の使用は、大面積を覆うのに十分な胎盤膜を提供することが難しく、制約されている。
治療が困難な他のタイプの創傷には、トンネル状の傷がある。トンネル状の傷は、筋肉または皮下組織の中に若しくは貫通している傷の繋がりで、そして多様な長さまたは深さをもった複数のトンネルになった、「トンネル状態」により特徴づけられる。トンネル傷が発達する理由は、感染症、慢性傷の炎症、不適切な傷の保護による不十分な水分の排出吸収、及び過剰な創傷保護による新しい粒状組織の分解が起こり、組織層が集まる場所に集中する圧力及びせん断力を含んでいる。シート状の包帯は、その包帯が、傷表面を覆っていない場合があり、そして、もしそのトンネルが内部にあれば、高い圧力をかけ、新しい粒状組織を分解する場合があるので、トンネル傷には、不適切である。
本分野で必要なものは、胎盤膜ではあるが、液体状で適用可能な、その利点を提供する治療用組成物、治療法及び/または産物である。さらに、創傷修復段階、すなわち、炎症、増殖、及び再生段階の1つ以上の、好ましくは全ての段階において、動的治療を提供する産物が必要である。
本発明技術は、胎盤細胞、例えば、胎盤全体またはその一部に由来する胎盤細胞及びその他の胎盤成分を含む1つ以上の胎盤組成物を提供する。当該その他胎盤成分は、1つ以上の治療因子、細胞外基質成分などを含んでも良い。当該組成物は、機械的な操作(例えば、解体またはミンチ化若しくは均質化)、酵素による消化、またはそれらの組み合わせにより取得できる。胎盤組織は、任意で、羊膜、絨毛膜、羊膜と絨毛膜の混合物、または、例えば、臍帯の組織及びホウォートンゼリーを含む、本明細書に記載のその他の組織であり得る。本発明技術はまた、1つ以上の胎盤組成物の製造法を提供する。
さらに、本発明技術はまた、本発明技術の1つ以上の胎盤組成物を必要に応じて患者(ヒトまたは動物)へ投与することを含む、細胞全体または部分的な組織損傷若しくは欠損(例えば、創傷または火傷)を治療する、1つ以上の方法を提供する。いくつかの態様において、本発明技術はまた、本発明技術の1つ以上の胎盤組成物を必要に応じて患者(ヒトまたは動物)へ投与することを含む、細胞再生の1つ以上の方法を提供する。
任意で、本発明技術の胎盤組成物は、例えば、とりわけ表1、表2、または表5において明記される、1つ以上の治療因子を含む。
任意で、本発明技術の実践で活用される胎盤細胞は、MSC(間充織幹細胞)などの間質細胞を含む。
少なくとも1つの実施形態において、本発明技術の組成物は、
i)第一胎盤(例えば、羊膜または絨毛膜)組織を取得すること、
ii)その第一胎盤組織から、胎盤細胞を取得すること、
iii)第二胎盤(例えば、羊膜または絨毛膜)組織を取得すること、
iv)第二胎盤組織を破壊して、細胞外基質、治療因子、胎盤細胞及び組織断片を含む分散液を形成すること、及び
v)前記の胎盤細胞と分散液を組み合わせて、1つ以上の胎盤組成物及び/または産物を形成すること、
を含む平行プロセス法により生産される。
任意で、その第一胎盤組織及び第二胎盤組織は、例えば、同じドナー由来の、互いに自己性である。
他の実施形態において、本発明技術の組成物は、当該第二胎盤組織が、当該第一胎盤組織から胎盤細胞を取得した後の、第一胎盤組織由来である連続プロセス法により生産される。例えば、第一絨毛膜組織は、それらの細胞集団が単離され、そして次に分散液を形成するために破壊された後に、保持されても良い。この分散液は、次に当該胎盤細胞と組み合わされても良い。
任意で、その胎盤細胞を単離するステップは、当該第一胎盤組織(例えば、羊膜または絨毛膜若しくは栄養膜の無い絨毛膜)を、とりわけII型コラゲナーゼなどの、消化酵素と接触するステップを含むことができる。任意で、当該第一胎盤組織は、II型コラゲナーゼなどの消化酵素に限定的に曝露される(例えば、1時間を下回る曝露;あるいは約20分、または約10分)。
任意で、いくつかの実施形態において、当該胎盤組織(本発明技術の胎盤組成物が生産される胎盤である)は、ディスパーゼなどの消化酵素による処理、それに次ぐその栄養膜の物理的除去により、栄養膜が枯渇した絨毛膜組織である。
そのうえ他の実施形態において、本発明技術の1つ以上の胎盤組成物の製造法は、
(i)胎盤(例えば、羊膜または絨毛膜)組織を取得すること、
(ii)その胎盤組織をコラゲナーゼに曝露すること、
(iii)その胎盤組織を、第一部分と第二部分に分けること、
(iv)第一胎盤部から胎盤細胞を単離すること、
(v)第二胎盤部を破壊して、治療因子、細胞外基質、胎盤細胞、及び組織断片部を含む分散液を形成すること、及び
(vi)前記の胎盤細胞と胎盤分散液を組み合わせて、当該胎盤組成物を形成すること、
のステップを含む。
さらに1つの実施形態において、本発明技術の1つ以上の胎盤組成物の製造法は、
(i)少なくとも1つの胎盤(例えば、羊膜または絨毛膜)組織を取得すること、
(ii)その胎盤組織を、胎盤細胞を放出するのに十分な時間で、少なくとも1つのコラゲナーゼに曝露すること、
(iii)そのコラゲナーゼに曝露された胎盤組織から、放出された胎盤細胞を単離すること、
(iv)そのコラゲナーゼに曝露された胎盤組織を破壊して、1つ以上の治療因子、細胞外基質、胎盤細胞、及び組織断片部を含む分散液を形成すること、及び
(v)前記の胎盤細胞と胎盤分散液を組み合わせて、少なくとも1つの胎盤組成物を形成すること、
のステップを含む。
1つの態様において、当該破壊ステップは、そのコラゲナーゼに曝露された胎盤組織の均質化を含む。他の態様において、当該破壊ステップは、そのコラゲナーゼに曝露された胎盤組織のミンチ化を含む。破壊のその他の形態はまた、本発明技術の実践及び施行とみなされる。
いくつかの態様において、本発明技術の1つ以上の方法はさらに、解凍後に、当該胎盤組成物における胎盤細胞の少なくとも40%が生存している、当該胎盤組成物の冷凍保存法を含む。
本発明技術のいくつかの態様において、1つ以上の冷凍保存された胎盤組織は、
(i)1つ以上の胎盤細胞、
(ii)1つ以上の治療因子、
(iii)1つ以上の細胞外基質成分、及び
(iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせを含む組織断片部、
を有する、少なくとも1つの破壊された胎盤組織を含んで提供され、ここで、その冷凍保存された胎盤組織組成物のそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、及びその組成物は、機能的免疫原性細胞(例えば、冷凍保存及びそれに続く解凍の前の、当該胎盤組織組成物と比較して)が枯渇している。
さらに他の態様において、1つ以上の冷凍保存された胎盤組織組成物は、
a.少なくとも1つの破壊された胎盤組織で、
(i)1つ以上の胎盤細胞、
(ii)1つ以上の治療因子、
(iii)1つ以上の細胞外基質成分、及び
(iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせを含む組織断片部、
を含み、
b.1つ以上の冷凍保存剤、
を含んで提供され、ここで、その冷凍保存された胎盤組織組成物のそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、そして、その組成物は、機能的免疫原性細胞が枯渇しており、そしてここで、1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分、またはそれらの組み合わせが、少なくとも1つの治療的な利点を与えるのに効果的な量で存在する。
さらにそのうえ1つの態様において、本発明技術は、(a)胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤組織を提供し、(b)その胎盤組織の少なくとも一部を破壊して、胎盤組織断片部、胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤分散液を形成し、及び(c)その胎盤分散液を凍結保存して、凍結保存された胎盤組織組成物を形成するステップを含む1つ以上の胎盤細胞の調合に対する、少なくとも1つのプロセスを提供し、ここで、それに続くその凍結保存された胎盤組織組成物の解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、そしてここで、その組成物は、機能的免疫原性細胞が枯渇している。
さらに他の実施形態において、本発明技術は、
a.胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を有する胎盤組織を提供すること、
b.少なくとも1つの酵素でその胎盤組織を消化して、胎盤細胞及び胎盤組織断片部の懸濁液を形成すること、
c.その胎盤細胞及び胎盤組織断片部を単離すること、
d.その胎盤組織を破壊して、胎盤分散液を形成すること、
e.前記の胎盤細胞と胎盤分散液を組み合わせて、胎盤組織組成物を形成すること、及び
f.その胎盤組織組成物を冷凍保存すること、
のステップを含む胎盤組織組成物の調合に対する、少なくとも1つのプロセスを提供し、ここで、それに続くその凍結保存された胎盤組織組成物の解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、そしてここで、その組成物は、機能的免疫原性細胞が枯渇している。
その他の態様において、本発明技術は、本明細書に開示するプロセスの1つ以上により作られる組成物を提供する。
そのうえさらなる態様において、冷凍保存された胎盤組織組成物を提供する。当該胎盤組織組成物は、
a.破壊された胎盤組織で、
(i)1つ以上の胎盤細胞、
(ii)1つ以上の治療因子、
(iii)1つ以上の細胞外基質成分、及び
(iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の組織断片部、
を含み、及び
b.1つ以上の冷凍保存剤、
を含み、ここで、冷凍保存及びそれに続くその胎盤組織組成物の解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、そしてその組成物は、機能的免疫原性細胞が枯渇しており、そしてここで、1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分またはそれらの組み合わせが、
(i)炎症性サイトカインの量及び/または活性を低下させる、
(ii)抗炎症サイトカインの量及び/または活性を増加させる、
(iii)活性酸素種の量及び/または活性を低下させる、
(iv)抗酸化物質の量及び/または活性を増加させる、
(v)プロテアーゼの量及び/または活性を低下させる、
(vi)細胞増殖を増加させる、
(vii)血管新生を増加させる、及び/または
(viii)細胞移行を増加させる、
ことの1つ以上を実施するのに効果的な量で提供される。
さらに追加の態様において、本発明技術は、
a.ミンチ化された胎盤組織分散液で、
(i).1つ以上の胎盤細胞、
(ii).1つ以上の治療因子、及び
(iii).1つ以上の細胞外基質成分、
(iv).(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせを含む1つ以上の組織断片部を含み、及び
b.少なくとも1つの冷凍保存剤、
を含む、1つ以上の冷凍保存された胎盤組織組成物を提供し、ここで、続くその凍結保存された胎盤組織組成物の解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、そしてここで、その組成物は、機能的免疫原性細胞が大幅に枯渇している。
上記態様の多様な実施形態において、当該組成物は、後に続く解凍の前に、長時間にわたり貯蔵されても良い。上記態様のいくつかの実施形態において、当該長期間とは、本明細書に記載の多様な期間に対応したその他の月数及び日数を含み、約6ヶ月から約36ヶ月またはそれ以上、あるいは約6ヶ月から少なくとも約24ヶ月またはそれ以上、あるいは約6ヶ月から少なくとも約12ヶ月またはそれ以上、あるいは約6ヶ月から約10ヶ月、あるいは約6ヶ月から、あるいは約3ヶ月から約6ヶ月、あるいは約1ヶ月から約3ヶ月であり得る。これらの実施形態において、当該組織細胞の生存率は、続く解凍において大幅に保持される。さらなる実施形態において、当該組織細胞の生存率は、冷凍貯蔵から少なくとも24ヶ月の間、大幅に保持される。
さらにいくつかの態様において、本発明技術は、必要に応じて、本明細書に記載の1つ以上の胎盤組成物を、そのトンネル傷の部位に投与することを含む、少なくとも1つの、対象者(ヒトまたは動物)のトンネル傷の治療法を提供する。
さらに他の態様において、本発明技術は、必要に応じて、本明細書に記載の少なくとも1つの胎盤組成物の投与のステップを含む、少なくとも1つの、対象者(ヒトまたは動物)の傷または組織欠損の治療法を提供する。特定の非限定的な態様及び実施形態において、当該組成物の量は、投与により炎症を低減するのに効果的である。その他の態様において、当該組成物の量は、投与により血管新生を増加するのに効果的である。そのうえさらなる態様において、当該組成物の量は、投与により抗酸化状態を与えるのに効果的である。
さらなる態様において、本発明技術は、血管新生を促進するのに効果的な量で、本明細書に記載の胎盤組成物を投与するステップを含んで、傷の全体または一部分若しくは組織欠損において、血管新生を促進する方法を提供する。
そのうえさらなる態様において、本発明技術は、瘢痕の形成を防ぎまたは減らすのに効果的な量で、本明細書に記載の1つ以上の胎盤組成物を投与するステップを含んで、瘢痕の形成を防ぎまたは低減する方法を提供する。
さらにその他の態様において、本発明技術は、必要に応じ、対象者(ヒトまたは動物)への、本明細書に記載の1つ以上の胎盤組成物の投与を含み、そしてここで、その胎盤組成物が、1つ以上の治療因子の発現増加を促進するのに効果的な量で与えられる、創傷治癒の促進法を提供する。
さらなる態様において、本発明技術は、必要に応じて、対象者(ヒトまたは動物)への、本明細書に記載の1つ以上の胎盤組成物の投与を含み、そしてここで、その胎盤組成物が、1つ以上の治療因子の発現増加を促進するのに効果的な量で与えられる、組織再生を直接及び間接的に刺激する方法を提供する。
そのうえさらなる態様において、本発明技術は、部位への投与によりプロテアーゼ活性を低減するのに効果的な1つ以上の胎盤組成物の量を、その部位へ投与することを含む、必要に応じた部位のプロテアーゼ活性を低減する方法を提供する。
そのうえさらなる態様において、本発明技術は、a)解凍された冷凍保存の胎盤組成物、及びb)キャリアを含む、少なくとも1つの組成物を提供する。
他の態様において、本発明技術は、a)少なくとも1つの、薬学的に許容される容器の中に、またはその容器と組み合わされた、少なくとも1つの冷凍保存された胎盤組織組成物、b)傷の全体または一部分若しくは組織欠損の治療に対応した、当該胎盤組織組成物の投与説明書を含む、傷の全体または一部分若しくは組織欠損の治療のための、少なくとも1つのキットを提供する。
消化により単離された、絨毛膜組織のグラム当たりの生存細胞の回収状況を描写している。 消化により単離された、生存及び非生存細胞の量を描写している。 胎盤産物の冷凍−解凍サイクルの前後での、細胞生存率を描写している。 均質化前の、本発明技術の消化ステップの有無により作られた胎盤産物における、生存細胞のレベルを描写している。 アイソタイプのコントロール(図5A)と比較した、細胞表面マーカーCD166(図5B)、CD105(図5C)、及びCD45(図5D)での染色による、本発明技術の胎盤組成物における細胞の細胞表現型を描写している。 様々な冷凍保存剤を使用した、細胞生存率を描写している。 異なる冷凍保存溶液中及び貯蔵後の異なる冷凍期間での、本発明技術の胎盤組成物の細胞生存率を描写している。 様々な培養時間でのコラゲナーゼ処理の後、回収した胎盤組織重量及び生存細胞の量を描写している。 羊膜の消化及び均質化により単離された、生存細胞の回収量を描写している。 14日間培養に対する、本発明技術の胎盤組成物におけるbFGF(図10A)及びVEGF(図10B)の発現を描写している。 本発明技術の胎盤組成物が、低酸素状況に曝露された場合の、VEGF産生の増加を描写している。 冷凍前及び冷凍/解凍後の、本発明技術の胎盤組成物におけるVEGF(図12A)及びbFGF(図12B)の含有量を描写している 本発明技術の胎盤組成物における、IFN−2α(図13A)及びTGF−β3(図13B)の発現を描写している。 本発明技術の胎盤組成物の複数ロットにおける、TGF−β3を描写している。 絨毛膜由来の本発明技術の胎盤組成物における、BMP−2、BMP−4、BMP−7、PLAB、及びPLGFの検出を描写している(図15A)。また、IGF−1の検出を描写している(図15B)。 骨誘導後に、絨毛膜由来の胎盤組成物から単離及び増殖した細胞(図16C)との比較における、骨髄(図16A)または絨毛膜由来の胎盤組成物(図16B)から単離及び増殖した二継代細胞を描写している。 ミンチ化した本発明技術の胎盤組成物の複数ロットにおける、生存細胞量(図17A)及び細胞生存率%(図17B)を描写している。 ミンチ化及び消化された本発明技術の胎盤組成物の、TNF−α阻害による炎症性環境への応答を描写している。 ミンチ化された本発明技術の胎盤組成物による、エラスターゼの阻害を描写している。 ミンチ化及び消化された本発明技術の胎盤組成物における、VEGF含有量を描写している。 グアニジン塩酸に溶解後の、ミンチ化及び消化された本発明技術の胎盤組成物における、VEGF含有量を描写している。 組織抽出緩衝液に溶解後の、ミンチ化及び消化された本発明技術の胎盤組成物における、bFGF含有量を描写している。 ミンチ化及び消化された本発明技術の胎盤組成物の、保持された増殖因子の放出を描写している。 培養14日後での、Serva社のコラゲナーゼ(図24A)またはWorthington社のコラゲナーゼ(図24B)での消化による、単離後の本発明技術の胎盤組成物の増殖能力を描写している。 ミンチ化された胎盤組成物の、様々な骨誘導足場との相溶性を描写している。HA−TCP−コラーゲンフォーム上の胎盤組成物を示す(図25A及び図25B)。また、TransZ移植上の胎盤組成物を示している(図25C)。 メッザルーナでミンチにされた絨毛膜由来の、組織断片部のサイズを描写している。図上部の左右の大きな四角は、0.25mm角である(注記)。 様々な膜調合物−羊膜+絨毛膜+栄養膜(ACT)、絨毛膜+栄養膜(CT)、栄養膜(T)、羊膜(AM)、及び絨毛膜(CM)から放出された、リポ多糖類(LPS)刺激のTNF−αを描写している。 高いレベルのTNF−αを分泌した絨毛膜+栄養膜(CT)により刺激された、T細胞由来のIL−2Rαの発現を示している。
本明細書での使用に際して、以下の定義及び略語を適用する。
「絨毛膜組織」または「絨毛膜」は、胎盤組織、例えば、栄養膜、体細胞の中胚葉、またはそれらの組み合わせ由来の絨毛部分またはそれらの一部分を意味する。
「羊膜組織」または「羊膜」は、胎盤組織、例えば、上皮層、基底膜、緻密層、線維芽細胞層、及び中間(海綿)層由来の羊膜またはそれらの一部分を意味する。
「例示的な(exemplary)」(または「例えば(e.g.,)」若しくは「例示により(by example)」)は、非限定的な事例を意味する。
用語「胎盤産物」及び「胎盤組成物」は、互換的に使用され、そして本明細書に記載され、そして請求される組成物である。「胎盤組成物」または「胎盤産物」は、非限定的に、胎盤細胞、細胞外基質成分及び/または治療因子、及び/またはそれらの組み合わせを含む、細胞、細胞外基質成分、治療因子、及び組織断片部/成分を含む。当該胎盤組成物はまた、1つ以上の冷凍保存剤を含んでも良い。本発明技術の当該胎盤産物または胎盤組成物はまた、例えば、同種移植または異種移植などの移植に対応したものであり得る。
「胎盤分散液」は、物理的/機械的な胎盤組織の分散液を形成している成分または産物を意味する。この胎盤分散液は、胎盤細胞の一部分を単離し及び除去した胎盤組織から形成され得る。あるいは、この胎盤分散液は、胎盤細胞の単離及び除去をしない胎盤組織から形成され得る。例えば、分散液は、特に、均質状、ブレンド状、懸濁状、コロイド状、または溶液の形態であっても良い。
「細胞断片部」は、酵素での消化後及びその組織断片部の除去後に残る、消化された胎盤組織の一部を指す。この細胞断片部は、胎盤細胞、細胞外基質成分、治療因子、フラグメント及びそれらの組み合わせを含むことができる。
「組織断片部」は、酵素での消化後、その細胞断片部からの除去後に残った、消化された胎盤組織の一部を指す。この組織断片部は、細胞、細胞外基質成分、治療因子及びそれらの組み合わせを含む、組織フラグメントを含むことができる。
「組織断片部」または「組織フラグメント」は、胎盤組織の一部分を意味し、及びその組織断片部の一部であるかまたはその中に組み込まれている、胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分、またはそれらの組み合わせを含む。
「胎盤組織」または「胎盤膜」は、広い意味での胎盤由来の組織を意味する。胎盤組織は、胎盤の全体またはその任意の部分であり得る。「胎盤部分」は、絨毛膜、羊膜、絨毛膜と羊膜由来の膜(例えば、羊−絨毛膜)、ホウォートンゼリー、臍帯、胎盤葉、母体の脱落膜、及び/またはそれらの組み合わせを含むことを意図している。当該胎盤組織は、部分、膜、または構造を取り除くために、解体または消化(若しくはそれらの組み合わせ)されても良い。
「胎盤細胞」は、遺伝的起源(例えば、胎児と母体)、発達的起源(例えば、内胚葉、外胚葉、または中胚葉性)、または分化とは無関係に、胎盤から取得できる任意の細胞を意味する。胎盤細胞は、当分野で公知の任意の胎盤細胞、例えば、間充織幹細胞(MSCs)、子宮内膜間質細胞(ESCs)、胎盤由来間葉系前駆細胞、線維芽細胞、上皮細胞、マクロファージなどを含んでも良い。
「胎盤細胞」は、1つ以上の代謝活性、構造健全性(例えば、トリパンブルーなどの生存判別染色を除外)、細胞分裂の活動、シグナル伝達などの、生存細胞のいくつかの特徴を持っていることを意図している。
「組織損傷」は、任意の組織の損傷を意味する。組織損傷は、例えば、結合組織(例えば、特に、皮膚、軟骨、腱、及び/または靭帯)、骨、またはその他の組織、若しくは任意の臓器などの、組織に対する損傷を含むことができる。損傷により、機械的損傷、代謝障害、病気や障害、炎症やその他の損傷、欠損から引き起こされまたはもたらされる病理を意味する。そのような組織損傷の例示は、火傷に限らず、特に、創傷(トンネル傷を含む)、潰瘍、及び裂傷、切除(レーザー、凍結、低温電子顕微鏡手術、熱および電気の切除を含む)、及び/または外科的切開などを含む。
「免疫原性が枯渇している」、若しくは「免疫原性細胞が枯渇している」、若しくは「免疫原性因子が枯渇している」状態の胎盤組成物、または「機能性免疫原性細胞の枯渇した量」、若しくは「機能性免疫原性細胞の1つ以上の種類の枯渇した量」である組成物は、または「機能性免疫原性の量が枯渇している」状態の組成物は、損傷が未だに無い、実質的に無い、または免疫原性細胞の種類(例えば、CD14+マクロファージ、栄養膜、及び/または母体血液細胞)及び/または、さもなければ天然の胎盤、羊膜または絨毛膜には存在している免疫原性因子の少なくとも1つが枯渇している組織(または欠損)の治療に対して、生存している治療細胞を保持している及び/または治療効果を保持している、本発明技術の1つ以上の胎盤組成物を意味する。免疫原性細胞の種類及び/または免疫原性因子が、無い、実質的に無い、または枯渇している組成物(本明細書に記載の技術によるものなど)は、免疫原性細胞/因子のいくらかの量を保持するが、しかし、その保持された量が、機能的応答(例えば、検出限界を下回る量、無視できるほどわずかな量、機能的免疫応答を産生するには不十分な量)を産生するには不十分なレベルである組成物を含む。
「MSC」は、間充織幹細胞を意味し、そして胎児、新生児、大人、または出生後を含む。「MSCs」は、羊膜MSCs(AMSCs)及び絨毛膜MSCs(CMSCs)を含む。MSCsは一般に、CD73、CD70、CD90、CD105、及びCD166の1つ以上を発現し、そして一般に、CD45ならびにCD34を発現しない。MSCsは、中胚葉性の系統(骨、軟骨細胞、及び脂肪細胞)に分化する。
本明細書で使用する「細胞外基質」または「ECM」は、例えば、羊膜、絨毛膜、及び/または絨毛羊膜を含む胎盤組織などの組織と関連する、細胞外基質の任意の1つ以上の成分を指す。当該用語は、そのECM(例えば、タンパク質及びそれらのフラグメント)に存在する水溶性/機能性治療因子と同様に、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デコリン、及びスチンなどの、ECMの構造成分を含むことができる。
「天然細胞」または「組織細胞」は、その胎盤膜に本来生じ、居住する、または内因性の細胞、すなわちその胎盤膜に細胞外から加えられていない細胞を意味する。
「天然因子」は、その胎盤膜に本来生じ、居住する、または内因性の胎盤膜因子、すなわちその胎盤膜に細胞外から加えられていない因子を意味する。
「治療細胞」または「有益細胞」は、その胎盤の間質細胞層、及び/または上皮層に存在する細胞及び成分を含み、ならびに、例えば、MSCs、線維芽細胞、及び上皮細胞を含む。
「治療因子」は、傷の治癒を促進する、胎盤、絨毛膜、または羊膜に由来する因子を意味する。治療因子はまた、細胞増殖因子ならびにタンパク質、組織修復因子ならびにタンパク質、それらと同様に一般に傷の治癒を促進するその他の因子及びタンパク質として分類される分子を含む。治療因子の非限定的な例示は、抗菌因子、化学誘引物質、プロテアーゼ及びプロテアーゼ阻害因子、免疫制御因子、ケモカイン、サイトカイン、増殖因子、及びその他因子などの再形成タンパク質を含む。治療因子は、また、血管新生、細胞増殖、及び上皮形成を促進する因子を含む。そのような因子の非限定的例示は、TGFα、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、EGF、HB−EGF、VEGF、VEGF−C、VEGF−D、HGF、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PIGF、PEDF、Ang−2、IGF、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、アディポネクチン、α2−マクログロブリン、FGFs(例えば、FGF−2/bFGF、KGF、KDG/FGF−7)、マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−13)、メタロプロテアーゼの組織阻害タンパク質(例えば、TIMP1、TIMP2)、トロンボスポンジン(例えば、TSP1、TSP2)、フィブロネクチン、IL−1RA、NGAL、ディフェンシン、G−CSF、LIF、IFN2、PLAB、及びSDF1bを含む。用語「治療因子」は、用語「胎盤因子」と互換的に使用しても良い。例示的な治療因子を、表1、表2、または表5に網羅する。
「間質細胞」は、新生児の間充織幹細胞及び新生児線維芽細胞から成って存在する(任意で、自然な割合で)細胞の混合集団を指す。新生児の間充織幹細胞及び線維芽細胞の両細胞は、免疫特権を備わっており、どちらも、免疫反応を誘発する免疫細胞型に存在する表面タンパク質を発現する。
「間質層」は、上皮層を含まない、胎盤膜内の層を指す。
「インビトロ」は、非限定的に、細胞の培養増殖を含み、生きた有機体の外部で行われる実験及び/または処置(例えば、人工的な培養培地を使用する組織培養条件下において)を示す。
「インビボ」は、有機体、例えば動物またはヒトの内部で行われる実験及び/または処置を示す。
「冷凍保存試薬」または「冷凍保存料」若しくは「冷凍保存剤」は、本明細書では互換的に使用し、そしてその冷凍過程において損傷(例えば、細胞損傷)を防ぐ手助けする物質である。適切な冷凍保存試薬は、非限定的に、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール(PEG)、1,2−プロパンジオール(PROH)またはそれらの組み合わせを含む。その他の冷凍保存試薬は、例えば、ポリピロリドン、ヒドロキシエチル澱粉、多糖類、単糖類、アルギン酸塩、トレハロース、ラフィノース、デキストラン、ヒト血清アルブミン、フィコール、リポタンパク質、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルストラーチ(hydroxyethyl strarch)、自己血漿、またはそれらの組み合わせから選ばれる、例えば1つ以上の非細胞浸透性の冷凍保存料を含む。有用な冷凍保存料のその他の例示は、Cryopreservation(BioFiles、5巻、4号、Sigma−Aldrich(登録商標)社、データシート)に記載される。
「冷凍保存液」または「冷凍保存媒体」は、少なくとも1つの冷凍保存試薬を含む組成物を指す。冷凍保存液または媒体は、さらに、例えば、血清アルブミン、薬学的に許容されるキャリア、緩衝液、電解質溶液、または生理食塩水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)などの成分を含んでも良い。この冷凍保存液または媒体は、溶液、スラリー、懸濁液などであっても良い。
ヒトの羊膜(AM)は、羊膜嚢に由来し、そして羊膜腔の粘膜を構成する胎児膜の最深部である。その厚さは、約0.02から0.5mmである。当該AMは、5層から成り、上皮細胞の単一層が、基底膜の上にあり、そして羊水に接触する。結合組織の下層が、この基底膜に付着している。これらの結合組織は、緻密層、線維芽細胞層(時々、間葉層とも呼ばれる)、及び海綿層の、3つの構造層から成る。この海綿層は、絨毛の細胞層に隣接する。羊膜は、本質的に血管を持たない。
ヒトの絨毛膜(CM)は、妊娠期間中に、成長胎児と母親の間に存在する膜の1つである。それは、胚の中胚葉と栄養膜の2つの層で形成され、そして胚ならびにその他の膜を囲んでいる。その絨毛は、絨毛膜から出現し、子宮内膜に侵入し、そして母体血から胎児血へ栄養素の移送を可能にする。
胎盤組成物または産物
概要
本発明技術の1つ以上の胎盤組成物が、機械的/物理的破壊または酵素による消化若しくは両者の組み合わせにより生産でき、全体または部分的な組織損傷若しくは組織欠損に対する投与に際し、実質的かつ優れた治療価値を持つ医薬品を生産できることが、意外にも発見されている。本発明技術の胎盤組成物はまた、予期せぬ複数の有利な性質を示した。
繰り返すが、一般的な意味において、本明細書に記載の技術は、操作を加えた胎盤組織を含む胎盤組成物に対応して、提供される。例えば、当該胎盤組成物は、凍結保存した羊膜組成物、凍結保存した絨毛膜組成物、及び/または凍結保存した絨毛羊膜組成物を含むことができる。特定の態様において、当該冷凍保存法は、生存する胎盤組織を多量に保持し(すなわち、その胎盤細胞に自然に生じた細胞)、そして免疫原性細胞ならびに免疫原性細胞に関連する因子が枯渇した状態を提供する。そのため、本開示は、胎盤組成物に関し、そして様々な有益な治療法における活用を見出された、生存細胞、治療因子、細胞外基質、ならびに低減された免疫原性の組み合わせを含む、冷凍保存され、破壊された羊膜、絨毛膜、及び/または絨毛羊膜を含む特定の組成物に関する。特定の態様において、以下に詳述するように、当該組成物は、創傷または組織欠損に適用でき、及び当該膜が適用される(例えば、適応薬)領域において、直接または間接的に変化を起こすことができる、生存細胞、治療因子、細胞外基質の必要量を提供する。例えば、組成物は、創傷治癒の正常段階を提供しそして促進できる量で、生存細胞、治療因子、及び細胞外基質を与えることにより、(i)炎症性サイトカインの量及び/または活性の低減、(ii)炎症性サイトカインの量及び/または活性の増加、(iii)活性酸素種の量及び/または活性の低減、(iv)抗酸化物質の量及び/または活性の増加、(v)プロテアーゼの量及び/または活性の低減、(vi)細胞増殖の増加、(vii)血管新生の増加、及び/または(viii)傷への細胞移行の増加のいずれかを促進し、慢性創傷やトンネル傷などの傷が改善した治癒を提供できる。慢性の創傷環境には、1)高レベルの炎症性サイトカイン、2)低レベルの抗炎症性サイトカイン、3)高レベルのプロテアーゼ及び低レベルのそれらの阻害タンパク質、同時に4)高レベルの酸化物質及び低レベルの抗酸化物質の対抗バランスの、任意の1つ以上を含むことができ、本明細書に開示の冷凍保存された組成物の性質及び機能性は、そのような用途に非常に適している。
流動性
本発明技術の胎盤組成物は、作用圧力下で変形する能力などの流体の特定の特徴を共有し、そして粘度の尺度で定量化できる。したがって、そのような本発明の胎盤組成物は、適用されるものの表面上に広げることができる。例えば、胎盤組成物の1mLを、皮膚の約1cmを超えて、約10cmを超えて、約25cmを超えて、約50cmを超えて、または約100cmを超えて、局所的に覆うように広げることができる。この流体(すなわち、流動性である)の性質は、シート状の産物(例えば、皮膚移植)では、治療が必要な様々な部分(例えば、トンネル傷、穿刺傷、大きな圧力傷、曲面など)への用途が限定されるという問題を解決する。それはまた、迅速な応用手段を提供する。拡散適用に加えて、当該胎盤組成物は、例えば、注射でまたは移植としての適用が可能である。本発明技術の本胎盤組成物の流動性は、トンネル傷、関節の咬合及び曲面への適用などの、新しい利用に対応した実践を可能にする。
動的応答
理論に捉われずに記述すれば、本発明者らは、生存する胎盤細胞の存在が、それらが存在する場所で、内因性の細胞と多少類似した方法で、当該胎盤組成物に、生理学的刺激に応答する能力を与えていると考える。動的応答の証拠は、投与後の様々な時点での、刺激を受けた治療因子の放出またはその治療因子プロファイルにおける変化を含むことができる。
胎盤細胞
胎盤細胞は、任意の胎盤組織(例えば、絨毛膜または羊膜)から取得しても良い。胎盤細胞は、少なくとも1つの細胞型(例えば、MSCs)の細胞の生存を維持する任意の方法で、胎盤組織を加工することにより取得しても良い。例えば、胎盤細胞は、胎盤組織から単離または精製(例えば、絨毛膜のコラゲナーゼによる消化により)しても良く、または1つ以上の胎盤成分(例えば、細胞外基質)から、単離なしで取得しても良い。
胎盤細胞は、当技術分野で公知の任意の方法で取得しても良い。胎盤細胞を取得する有用な方法は、例えば、Portmann−Lanzらにより記述されている。(“Placental mesenchymal stem cells as potential autologous graft for pre−and perinatal neuroregeneration”;American Journal of Obstetrics and Gynecology(2006)194,664−73)(“Isolation and characterization of mesenchymal cells from human fetal membranes”;Journal Of Tissue Engineering And Regenerative Medicine 2007;1:296−305.)及び(Concise Review:Isolation and Characterization of Cells from Human Term Placenta:Outcome of the First International Workshop on Placenta Derived Stem Cells)。
本発明技術の1つの実施形態において、胎盤細胞は、胎盤組織を1つ以上の消化酵素と接触させることにより、例えば、胎盤組織(例えば、絨毛膜、または栄養膜の無い胎盤組織)をその消化酵素を含む溶液中に浸漬することにより取得する。当該消化酵素は、当技術分野で公知の任意の消化酵素であっても良い。当該消化酵素はまた、酵素の組み合わせであっても良い。例示的な消化酵素は、コラゲナーゼ(例えば、I型、II型、III型、及びIV型コラゲナーゼ)、マトリックスメタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、パパイン、デオキシリボヌクレアーゼ、セリンプロテアーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ)、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上を含む。
本発明技術の他の実施形態において、胎盤細胞は、絨毛膜(例えば、栄養膜の無い絨毛膜)をコラゲナーゼ(例えば、II型コラゲナーゼ)と接触させることにより、絨毛膜から取得する。当該コラゲナーゼは、例えば、約10U/mLから約1000U/mLの任意の適切な濃度で、そしてDMEMなどの任意の適切なコラゲナーゼ溶液で、そして例えば37℃などの任意の適切な温度で存在しても良い。当該絨毛膜は、任意の適切な時間の間、その消化酵素と接触させても良い。任意で、当該絨毛膜は、約16時間、約12時間、約8時間、約3時間、約2時間、または約1時間のいずれかより少ない時間で、コラゲナーゼ(例えば、II型コラゲナーゼ)と接触させる。任意で、当該絨毛膜は、約1時間より少ない時間で、例えば、約60分、約50分、約40分、約30分、約20分、約15分、約10分、または約5分のいずれかより少ない時間で、コラゲナーゼ(例えば、II型コラゲナーゼ)と接触させる。任意で、当該絨毛膜は、その胎盤組織のかなりの部分が、100ミクロンフィルター上に残るような限定した時間で、コラゲナーゼと接触させる。任意で、当該胎盤細胞を取得後に、その絨毛膜を、分散液を形成するように破壊し、そしてその細胞集団を、その分散液(例えば、加えて)と組み合わせる。
本発明技術のその他の実施形態において、当該胎盤組織を、その胎盤組織とコラゲナーゼまたは類似の消化酵素との接触無しで、例えば、ミンチ化して破壊する。消化ステップの無い当該胎盤組織の破壊は、消化ステップを含むプロセスより短い時間で行い、そして冷凍保存とそれに続く解凍後に、細胞の高い生存率を伴った、最短時間の操作で胎盤組成物を提供する。
本発明技術に従って調合した当該胎盤組成物は、その胎盤細胞の生体外での増殖の必要が無く、生存細胞の治療に効果的な量を提供する。生体外の増殖は、集団中の生存細胞の数を増加させる公知の方法であって、そのようなステップは、しばしば、その集団構成または細胞表現型の分布に変化をもたらす。例えば、集団中の多様な細胞は、異なる割合で拡大するかもしれず、そして増殖はまた、分化を含む可能性がある。したがって、本発明技術の少なくとも1つの実施形態は、胎盤組織由来の胎盤細胞を含む胎盤組成物を提供し、ここでその胎盤細胞が、その胎盤組織の細胞の本来の姿と実質的に類似した細胞の表現型分布を示す。
胎盤分散液
胎盤分散液は、胎盤(例えば、絨毛膜)を破壊することにより、提供されても良い。この胎盤組織の破壊は、組織を破壊する任意の物理的/機械的方法(すなわち、「組織破壊体」または「破壊手段」の使用)により達成されても良い。例えば、破壊は、特に、均質化、浸軟、ブレンダーの使用、粉砕、またはミンチ化などを含んでも良い。破壊は、加えてまたは互換的に、せん断破壊、さいの目カット、またはみじん切りを含んでも良い。破壊は、加えてまたは互換的に、超音波処理を含んでも良い。
当該胎盤組織は、その胎盤から分散液を生産する任意の適切な時間で破壊しても良い。例えば、当該胎盤は、約1分、約30秒、約20秒、約15秒、約10秒、または約5秒を下回る時間で、破壊(例えば、均質化)しても良い。いくつかの態様において、例えば、当該胎盤は、少なくとも約1分間、少なくとも約5分間、少なくとも約15分間で、ミンチ化により破壊しても良い。
さらなる実施形態において、本発明技術の胎盤組織は、その胎盤分散液を形成するために、その胎盤組織をミンチ化によって、大まかに均質なサイズの断片部に破壊することができる。当該ミンチ化のステップは、その胎盤組織を、その胎盤分散液を形成するために、適切な小さなサイズの断片部に刻むのに効果的な1つ以上のブレードを備えた道具を使用して、簡便に達成できる。例えば、当該胎盤組織をミンチ化するのに適切な道具は、非限定的に、ナイフ、メス、ハーブミンチ器、またはメッザルーナを含む。1つの実施形態において、当該ミンチ化された組織断片部は、その胎盤片を、胎盤分散液中で均質に分散させるために、粉砕する(ピペットを介して、ピペットで吸引し、排出したりして)。
そのうえさらなる態様において、本発明技術は、ミンチにされた胎盤組織を含み、ここでその組織断片部の平均サイズが、約0.42mmから約1.137mmである、1つ以上の胎盤組成物を提供する。いくつかの態様において、その平均サイズは、少なくとも約0.42mmである。その他の態様において、その平均サイズは、約100μmから約25mmである。当該組織断片部の平均サイズは、依然としてシリンジを通り抜けることができる。いくつかの態様において、当該組織断片部の平均サイズは、18ゲージの注射針またはそれ以上の太さを通り抜けることができる。その他のシリンジゲージもまた、想定内である。
当該胎盤組織は、流体の特徴を有し、そして依然として生存細胞を保持する胎盤組成物を形成するために、適切に破壊できる。したがって、本発明技術の胎盤組成物中の生存細胞は、その胎盤分散液由来の胎盤細胞をさらに含むことができる。
治療因子
本発明技術の胎盤組成物は、その治療因子が、その胎盤分散液の成分またはその胎盤細胞またはそれらの組み合わせによりその胎盤組成物に放出された成分である、1つ以上の治療因子を含んでも良い。
本発明技術において作られた胎盤組成物中の治療因子の含有量が、予期しない治療価値を有することが、驚くことに発見されている。本明細書に教示される治療因子のそのような含有量は、適切に「治療プロファイル」と呼び、そしてその細胞、治療因子及び細胞外基質成分またはそれらの組み合わせによって、提供できる。
本発明技術の少なくとも1つの実施形態において、治療プロファイルは、表1、表2、及び表5に掲載れた、2つ以上の、または3つ以上の、または4つ以上の、またはそれ以上の治療因子を与えるものの1つである。任意で、当該治療因子は、表1、表2、及び表5に明記された平均濃度の、約20%から約500%の量で存在する。任意で、当該治療因子は、表1、表2、及び表5に明記された最小及び最大(各々)値の、約20%から約500%の量で存在する。本発明技術において、治療因子は、特に、血管新生因子、ケモカイン、サイトカイン、増殖因子、マトリックスメタロプロテアーゼ、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害タンパク質、そしてそれらの組み合わせなどの、胎盤由来の因子であり得ることは理解されよう。本発明の胎盤組成物は、これら治療因子のいずれかを含むことができる。したがって、本発明技術の有用な胎盤組成物は、表1、表2、または表5に明記された治療プロファイルを有することができ、そして例えば、少なくとも2つ以上の治療因子、少なくとも3つ以上の治療因子、または少なくとも4つ以上の治療因子、若しくは前述のようにそれ以上を含んだ治療プロファイルを有することができる。いくつかの実施形態において、当該組成物はさらに、少なくとも1つの細胞外基質成分または細胞外基質成分の組み合わせを含むことができる。
本発明の胎盤組成物は任意で、PDGF(例えば、PDGF−BB)、EGF、FGF、TGF−β1、TGF−β3、及びVEGFの1つ以上、及び/またはIL−8、IL−6、及びMCP−1の1つ以上の治療プロファイルを含むことができる。
本発明技術の胎盤組成物は、例えば、任意でTGF−β1などの増殖因子と組み合わせて、創傷部(例えば、HGF及びKGF)への細胞の移行を促進する、1つ以上の治療因子の治療プロファイルを含むことができる。その創傷部に移行する適切な細胞は、非限定的に、上皮細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞、MSC、またはそれらの組み合わせを含む。任意で、そのような治療因子の濃度は、表1に明示される最小値の約25%である。
いくつかの実施形態において、本発明技術の胎盤組成物は、例えば、治癒過程で、例えば、IL−10及びPGE−2を再始動させ、刺激し、または高める抗炎症性サイトカインを与える、1つ以上の治療因子の治療プロファイルを含むことができる。
本発明技術の胎盤組成物は、同様に、細胞分裂または増殖を促進させる治療因子の治療プロファイルを含むことができる。本発明技術の胎盤組成物は、HGF及びKGFを含むことができる。
本発明技術の胎盤組成物はまた、1つ以上の血管新生因子(例えば、VEGF及び/またはbFGF)を含む治療因子の治療プロファイルを含むことができ、そして任意で、追加的に1つ以上の増殖因子(例えば、TGF−β1及び/またはTGF−β2)を含むことができる。
例示的な本発明技術の胎盤組成物は、約10pg/mLを上回り、または約50pg/mLを上回り、若しくは約100pg/mLを上回るVEGFレベルの治療プロファイルを含む。例えば、1つの例示的な胎盤産物は、詳細を実施例9に示すように、約200pg/mLを上回るVEGFを含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明技術の胎盤産物は、約1000pg/mLを上回り、または約2000pg/mLを上回り、例えば、約2000pg/mLから約3000pg/mLのVEGFレベルの治療プロファイルを含む。例示的な本発明技術の胎盤組成物は、約10または100若しくは1,000または10,000pg/mLのいずれかを上回るbFGFレベルの治療プロファイルを含む。1つの例示的な胎盤産物は、約11,000pg/mLを上回るbFGFを含むことができる。VEGF及び/またはbFGFの適切な量は、実施例9、26、27及び28に例示される。任意で、bFGFを含む本発明技術の胎盤組成物は、火傷の治癒に有益である。
本発明技術の胎盤組成物は、TGF−β1、TGF−β2、及び/またはTGF−β3の治療プロファイルを含むことができる。1つの例示的な胎盤組成物は、bFGF、TGF−β1、TGF−β2、及びTGF−β3を含む。任意で、そのような本発明技術の胎盤組成物は、治療中の皮膚病変が、炎症性または瘢痕性病変を引き起こした場合に有用である。いくつかの例示的な実施形態において、当該胎盤産物は、瘢痕組織の形成を減らしまたは防ぐために効果的な割合で、TGF−β1、及びTGF−β3を産生する。本発明技術の胎盤組成物は、組織阻害タンパク質のマトリックスメタロプロテアーゼ、アルファ−2マクログロブリン、及び/またはトロンボスポンジンなどの、1つ以上のプロテアーゼ阻害タンパク質の治療プロファイルを含んでも良い。
少なくとも1つの実施形態において、胎盤組成物(例えば、絨毛膜由来の)は、1つ以上のプロテアーゼ阻害タンパク質を含む。
他の1つの実施形態において、胎盤組成物(例えば、絨毛膜由来の)は、1つ以上のプロテアーゼ阻害タンパク質及び細胞外基質タンパク質を含む。
少なくとも1つのさらなる実施形態において、胎盤組成物(例えば、絨毛膜由来の)は、1つ以上のプロテアーゼ阻害タンパク質及び生存細胞を含む。
そのうえさらなる実施形態において、胎盤組成物(例えば、絨毛膜由来の)は、1つ以上のプロテアーゼ阻害タンパク質、細胞外基質タンパク質、及び生存細胞を含む。
理論に捉われずに記述すれば、本発明者らは、本発明技術の胎盤組成物は、その胎盤細胞及び治療因子が、その受入れ環境と相互作用しまたは適応するので、非生存性の創傷治癒産物に比べて、その効果を高めたと考える。そのような相互作用または適応性は、治療因子の放出を刺激し、または投与後の長期にわたり当該胎盤因子プロファイルにおいて変化を起こし、従来の創傷及び/または非動的な創傷の治療とは異なり、創傷修復の全ての段階において効果的である、動的な治療をもたらす。
したがって、本発明技術のそのような胎盤組成物は、任意で、例えば特に、火傷及び創傷などの組織損傷(または欠損)への、頻度の低い適用で優れた治療を必要とする胎盤組成物をもたらして、長期間にわたり驚くほどの完全性を維持できる。意外にも、そのような胎盤組成物中の増殖因子は、羊膜由来細胞サイトカイン溶液(ACCS)などのその他の増殖因子治療と比較して、より長い半減期を示すことができる。
処方
本発明技術の胎盤組成物は、皮膚科学的に許容される医薬品として投与できる。任意で、医薬品有効成分または賦形剤若しくはそれらの組み合わせは、胎盤組成物との併用または添加若しくはそれらとの組み合わせで、加えることができる。
粘度
粘度は、治療が進行している兆候の関数として変動する、本発明技術において有用で望ましい値である。例えば、胎盤組成物の広い対象範囲(すなわち、皮膚の広い部分)またはより低い濃度が望ましい場合、低い粘度の処方物が有利である。低い粘度の処方物の例示としては、約1,000cPから約50,000cP、または約2,000cPから約25,000cP、若しくは約2,000cPから約10,000cP、または約5,000cPから約15,000cPのものである。そのような低い粘度の処方物は、適用される本発明技術の胎盤組成物の拡散を容易にすることができる。
胎盤組成物のより制限された適用範囲またはより高いレベルが望ましい場合、より粘性の高い処方物が有利である。より粘性の高い処方物の例示は、約20,000cPから約200,000cPまたは約50,000cPから約100,000cPである。
当業者は、本発明技術における、その望ましい粘度は、その分散法の調整により(本明細書の他の場所で詳述する)、または生理食塩水、または皮膚科学的に許容される増粘剤などのキャリアの選択、及び望ましい粘度または流動特性を達成するのに必要な濃度を経験的に決定することにより得られることを、容易に認識するであろう。当該組成物は、特に、液体、溶液、ゲル、スラリー、または懸濁液に処方化できる。
本発明技術の胎盤組成物は、任意で、1つ以上の抗生物質、皮膚軟化剤、角質溶解剤、保湿剤、抗酸化物質、防腐剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。その他の添加剤もまた、想定内である。
少なくとも1つの実施形態において、胎盤組成物は、ヒト血清アルブミン(HSA)またはウシ血清アルブミン(BSA)などのアルブミンを含む。任意で、当該胎盤組成物は、例えば、生理浸透圧及びpHを与えるために、電解質溶液を含む(例えば、Plasma−LyteA)。任意で、当該胎盤組成物は、DMSO、グリセロール、グリセリン、糖、またはそれらの混合物などの冷凍保存剤を含む。
他の実施形態において、胎盤組成物は、その最終組成物中に、少なくとも1つの冷凍保存剤の容積として約3%から約100%、好ましくは約3%から約90%、あるいは約5%から約50%、あるいは約5%から約20%、あるいは、少なくとも1つの冷凍保存剤、例えばDMSOの容積として約3%から約10%を含む。いくつかの態様において、当該胎盤組成物は、冷凍保存剤の容積として約5%から約20%、及びアルブミンの容積として約0%から約15%を含む。さらに、当該胎盤組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリア、例えば、生理食塩水または電解質溶液を含む。
さらなる実施形態において、胎盤組成物は、アルブミン、電解質溶液、及び冷凍保存剤を含む。任意で、当該胎盤組成物は、その最終組成物における容積で、約1%から約15%のアルブミン、及び約5%から約20%(例えば、約10%)の冷凍保存剤を含む。任意で、当該アルブミンは、HSAであり、当該電解質溶液は、Plasma−LyteAであり、及び冷凍保存剤は、DMSOである。いくつかの実施形態において、当該胎盤組成物は、その最終組成物における容積で約3%から約100%の、より好ましくはその最終組成物における容積で約3%から約20%の冷凍保存剤を含む。
製造
概要
本発明技術の胎盤組成物は、本明細書に教示される技術的特徴を与える任意の適切な方法で、胎盤から製造されても良い。本発明技術に従う任意の胎盤組織は、有用である。本明細書に説明される、本発明技術のいくつかの実施形態は、その胎盤分散液が、栄養膜成分を枯渇しているかまたは欠いている絨毛膜の分散液である胎盤組成物を、特に受け入れることを意図している。別の選択肢もまた、想定内である。
例えば、本発明技術の1つの実施形態において、当該胎盤分散液及びその胎盤細胞は、異なる胎盤または異なる胎盤部分から誘導される。当該分散液は、治療要素(例えば、薬剤または生物学的な)を含むことができることは理解されよう。他のケースにおいて、当該胎盤分散液及びその胎盤細胞は、同じ胎盤または同じ胎盤部分から誘導される(例えば、逐次処理)。
1つの実施形態において、当該胎盤組成物は、
(i)胎盤(例えば、絨毛膜または羊膜)組織を取得すること、
(ii)その胎盤組織を、1つ以上の基質分解酵素(例えば、コラゲナーゼ、任意でII型コラゲナーゼ)で消化すること、
(iii)その消化された胎盤組織から胎盤細胞を取得すること、
(iv)その消化された胎盤組織を、組織破壊体で破壊して、治療因子、細胞外基質、胎盤細胞、及び組織断片部を含む胎盤分散液を形成すること、及び
(v)前記の胎盤細胞と胎盤分散液を組み合わせて、当該胎盤組成物を形成すること、
を含むステップにより製造される。
1つの態様において、当該破壊ステップは、この消化された胎盤組織を均質化することを含む。その他の態様において、当該破壊ステップは、この消化された胎盤組織をミンチ化することを含む。
他の実施形態において、胎盤組成物は、
(i)第一胎盤(例えば、絨毛膜または羊膜)組織を取得すること、
(ii)その第一胎盤組織を、1つ以上の基質分解酵素(例えば、コラゲナーゼ、任意でコラゲナーゼタイプII)で消化すること、
(iii)その消化された第一胎盤組織から胎盤細胞を取得すること、
(iv)第二胎盤組織を取得すること、
(v)その第二胎盤組織を、組織破壊体で破壊して、治療因子、細胞外基質、胎盤細胞、及び組織断片部を含む胎盤分散液を形成すること、及び
(vi)前記の胎盤細胞と胎盤分散液を組み合わせて、当該胎盤組成物を形成すること、
を含むステップにより製造される。
そのうえさらなる実施形態において、胎盤組成物は、
(i)胎盤組織を取得すること、
(ii)その組織を、おおまかに均一なサイズの断片部にミンチ化して、胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤分散液を形成すること、
を含むステップにより製造される。
いくつかの実施形態において、本発明技術における胎盤組織組成物を調合するプロセスは、
a.胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤組織を与えること、
b.少なくともその胎盤組織の一部分を破壊して、胎盤組織断片部、胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤分散液を形成すること、及び
c.その胎盤分散液を冷凍保存して、胎盤組織組成物を形成し、ここで、その胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍の後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、そしてここで、その組成物が、機能的な免疫原性細胞を枯渇していること、
のステップを含む。
さらにその他の実施形態において、本発明技術における胎盤組織組成物を調合するプロセスは、
a.胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤組織を与えること、
b.少なくともその胎盤組織を、少なくとも1つの酵素で消化して、胎盤細胞及び胎盤組織断片部の懸濁液を形成すること、及び
c.その胎盤細胞と胎盤組織断片部を分離すること、ならびに
d.その胎盤組織断片部を破壊して、分散液を形成すること、及び
e.その胎盤細胞とその分散液を組み合わせて、胎盤組織組成物を形成すること、ならびに
f.その胎盤組織組成物を冷凍保存し、ここで、その胎盤組織組成物の冷凍保存そしてそれに続く解凍の後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、そしてここでその組成物が、機能的免疫原性細胞を枯渇していること、
のステップを含む。
いくつかの態様において、冷凍保存そしてそれに続く解凍の後に、当該胎盤細胞の少なくとも70%が生存しており、あるいは少なくとも約75%、あるいは少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%が生存している。そのような生存率パーセントは、非網羅的であり、そして与えられたパーセントの間に存在することと、それらを超えて大きい増分を含んでいることは、当業者には理解されるはずである。
その他の実施形態において、本発明技術の方法はさらに、当該胎盤組成物を冷凍保存するステップを含む。当該冷凍保存の方法は、少なくとも1つの冷凍保存剤を当該組成物に加え、その組成物を約2℃から約8℃の温度範囲に、約3分から約240分、例えば、10分から約60分間置き、そして次にそれに続き、その組成物を約−20℃から約−196℃(あるいは約−45℃から約−80℃)の温度範囲で冷凍することを、含むことができる。
当該製造法のいずれに対しても、当該胎盤組織は、栄養膜細胞の数を減らすように加工された絨毛膜組織などの、絨毛膜組織であり得る。
さらに、本発明技術の例示的な胎盤組成物は、絆創膏または創傷包帯を使用して、製造されまたは与えられることができる。
免疫互換性及び選択的枯渇
1つの実施形態において、当該胎盤組成物は、免疫的に互換性である。免疫互換性は、胎盤または胎盤由来組織(若しくはそれらの羊膜)からの免疫原性細胞または因子若しくは免疫原性を排除する、任意の選択的枯渇ステップにより達成できる。
1つの実施形態において、当該胎盤組成物は、機能的免疫原性細胞の選択的枯渇により、免疫互換性で製造される。胎盤は、免疫原性細胞を、治療細胞に関連する胎盤(またはそれらの羊水膜)から選択的に減らすまたは除去することにより、免疫互換的に製造できる。例えば、免疫原性細胞は、その免疫原性細胞を死滅させるかまたはその胎盤の精製により、除去できる。
他の実施形態において、当該胎盤組成物は、栄養膜を選択的に枯渇させることにより、例えば、その栄養膜層の除去により、免疫互換的に製造される。
さらなる実施形態において、当該胎盤組成物は、機能性CD14+マクロファージの選択的枯渇により、任意でTNFα放出のリポ多糖類(LPS)刺激の実質的な低減により示されるように、または混合リンパ球反応(MLR)アッセイにより、免疫互換的に製造される。
そのうえさらなる実施形態において、当該胎盤組成物は、母体血液細胞の選択的枯渇により、免疫互換的に製造される。
そのうえさらなる実施形態において、当該胎盤組成物は、機能性CD14+マクロファージ、栄養膜、及び/または母体血液細胞の選択的枯渇により、免疫互換的に製造される。
さらなる実施形態において、当該胎盤組成物は、栄養膜及び/またはCD14+マクロファージの選択的枯渇により、任意でTNFα放出のリポ多糖類(LPS)刺激の実質的な低減により示されるように、またはMLRアッセイにより、免疫互換的に製造される。
上記態様のいくつかの実施形態において、機能的免疫原性細胞の枯渇量は、免疫反応を産生するのに十分低いレベルの量において、免疫原性因子を産生する。いくつかの実施形態において、機能的免疫原性細胞の枯渇量は、検出限界を下回る量において、免疫原性因子を産生する。
栄養膜の除去
少なくとも1つの実施形態において、栄養膜は、枯渇または実質的に除去されて、当該胎盤細胞または胎盤分散液若しくはその両方を誘導する当該胎盤組織が生産される。驚くことに、そのような胎盤組成物は、
a.実質的に非免疫原性であり、
b.顕著な治癒効果を提供し、及び
c.高められた治療効果を提供する、
ことの(特に)優れた性質の1つ以上を有する。
栄養膜は、その胎盤組成物の栄養膜含有量を大幅に減らす、任意の適切な方法で除去しても良い。1つの実施形態において、当該栄養膜は、選択的に除去する。任意で、当該栄養膜は、選択的に除去または、その絨毛膜由来の1つ以上の治療成分(例えば、MSCs、治療因子、細胞外基質など)の大部分を排除すること無しに除去する。任意で、当該栄養膜は、細胞集団を単離する及び/またはその胎盤組織を破壊する前に、除去する。
栄養膜を除去する1つの方法は、当該胎盤を、ディスパーゼなどの消化酵素で、約30分から45分間処理し、そしてその胎盤から栄養膜を分離することを含む。任意で、その分離ステップは、スクレーピングなどの機械的分離を含む。スクレーピングの適切な方法は、指のような柔らかな道具によるそぎ落としを含む。
胎盤(例えば、絨毛膜)からの栄養膜除去の有用な方法は、Portmann−Lanzらによって記述されている(“Placental mesenchymal stem cells as potential autologous graft for pre− and perinatal neuroregeneration”;American Journal of Obstetrics and Gynecology(2006)194,664−73)、(“Isolation and characterization of mesenchymal cells from human fetal membranes”;Journal Of Tissue Engineering And Regenerative Medicine 2007;1:296−305.)、及び(Concise Review:Isolation and Characterization of Cells from Human Term Placenta:Outcome of the First International Workshop on Placenta Derived Stem Cells)。
1つの実施形態において、栄養膜は、当該羊膜の基底層、網状層、及び/または間質細胞層を維持しながら、除去する。
1つの実施形態において、栄養膜は、冷凍保存の前に除去する。
マクロファージの除去
1つの実施形態において、機能性マクロファージは、当該胎盤組成物から枯渇させまたは除去する。意外なことに、そうような胎盤組成物は、
実質的に非免疫原性であり、
顕著な治癒効果を提供し、及び
高められた治療効果を提供する、
ことの優れた特徴の1つ以上を有する。
機能性マクロファージは、当該胎盤組成物のマクロファージ含有量を大幅に減らす、任意の適切な方法で、除去できる。任意で、当該マクロファージは、選択的に除去または、その胎盤由来の1つ以上の治療成分(例えば、MSCs、治療因子、細胞外基質成分など)の大部分を排除すること無しに除去する。任意で、当該マクロファージの大部分(例えば、実質的にすべて)を除去する。マクロファージは、非限定的に、CD14+、CD11b+、CD18+、CD40+及びCD86+を含む。
マクロファージなどの免疫細胞を除去する1つの方法は、60−100℃/分などの急速冷凍で、その免疫細胞を死滅させることを含む。免疫細胞を除去する他の方法は、当該免疫細胞を、ある温度(例えば、約2℃から約8℃、例えば、「冷蔵庫」温度)に一定時間保持し、そして次に約1℃/分の速度で、その免疫細胞を冷凍することにより死滅させることを含む。
免疫細胞は、急速冷凍により排除できるが、そのような方法はまた、間質細胞(例えば、MSCs)などの治療細胞に対して有害でもあり得る。本発明者らは、当該胎盤を一定時間(例えば、少なくとも約3分から約240分、例えば、約10分から約60分)、冷凍以上の温度(例えば、約2℃から約8℃を含む)に置き、そして次にその胎盤を冷凍する(例えば、約―20℃から約―196℃、例えば、約―80℃±5℃を含む)ことで、CD14+マクロファージを選択的に死滅させることが可能である方法を発見した。任意で、この冷凍ステップは、10℃/分を下回る速度の冷凍(例えば、約1℃/分などの5℃/分を下回る速度)を含む。
1つの実施形態において、その冷蔵のステップは、少なくとも1つの冷凍保存剤(例えば、DMSO)を含む当該組成物を、その胎盤組織にその冷凍保存剤が浸透する(例えば、平衡になる)ことが可能な適切な期間で、培養することを含む。いくつかの実施形態において、当該組成物はさらにアルブミン、そして任意で、薬学的に許容されるキャリア、例えば、生理食塩水または電解質溶液を含む。任意で、その冷凍ステップは、約1℃/分の速度で温度を下げることを含む。任意で、その冷凍ステップは、約10℃/分を下回る速度(例えば、約1℃/分などの約5℃/分を下回る速度)で冷凍することを含む。
1つの実施形態において、少なくとも1つの冷凍保存剤(例えば、DMSO)を含む当該組成物を培養するステップは、約−10℃から約15℃(例えば、約2℃から約8℃)の温度で、少なくとも約3分から約240分、例えば、約10分、約20分、約30分、約40分、約50分、約60分、約109分、約120分、約180分、約240分のいずれかの間、その組成物を静置することを含む。他の実施形態において、少なくとも1つの冷凍保存剤(例えば、DMSO)を含む当該組成物を培養するステップは、約−10℃から約15℃(例えば、約2℃から約8℃)の温度で、約10−120分、約20−90分、または約30−60分、約10−240分のいずれかの間、その組成物を静置することを含む。任意で、その冷凍ステップは、10℃/分を下回る速度(例えば、約1℃/分などの約5℃/分を下回る速度)で冷凍することを含む。
母体血液細胞の除去
1つの実施形態において、母体血液細胞は、当該胎盤組成物から枯渇させまたは除去する。意外なことに、そのような胎盤組成物は、
実質的に非免疫原性であり、
顕著な治癒効果を提供し、及び
高められた治療効果を提供する、
ことの優れた特徴の1つ以上を有する。
母体血液細胞は、当該胎盤組成物のそのような細胞含有量を大幅に減らす、任意の適切な方法で、除去できる。任意で、当該母体血液細胞は、選択的に除去または、その胎盤由来の1つ以上の治療成分(例えば、治療細胞(例えば、MSCs)、治療因子、抗酸化物質、抗炎症性物質など)の大部分を排除すること無しに除去する。
1つの実施形態において、母体血液細胞の除去は、総血栓及びいずれの過剰な血液細胞をも取り除くための羊膜の洗い流し(例えば、PBSなどの緩衝液で)を含む。
1つの実施形態において、母体血液細胞の除去は、羊膜の抗凝固剤(例えば、クエン酸デキストロース溶液)での処理を含む。
1つの実施形態において、母体血液細胞の除去は、総血栓及びいずれの過剰な血液細胞をも取り除く羊膜の洗い流し(例えば、PBSまたはD−PBSなどの緩衝液で)、ならびに羊膜の抗凝固剤(例えば、クエン酸デキストロース溶液)での処理を含む。
1つの実施形態において、当該絨毛膜は残し、そして母体血液細胞の除去は、臍帯の反対側にある胎盤の周縁を切り取ることによる、当該胎盤からの絨毛膜の分離を含む。当該胎盤の臍帯側にある絨毛膜は、その側の血管新生のために、除去しない。
1つの実施形態において、当該絨毛膜は残し、そして母体血液細胞の除去は、臍帯の反対側にある胎盤の周縁を切り取ることによって、当該胎盤から絨毛膜を分離し、そして総血栓及びいずれの過剰な血液細胞をも取り除くために、その羊膜及び絨毛膜を洗い流すこと(例えば、PBSまたはD−PBSなどの緩衝液で)を含む。
1つの実施形態において、当該絨毛膜は残し、そして母体血液細胞の除去は、臍帯の反対側にある胎盤の周縁を切り取ることによって、当該胎盤から絨毛膜を分離し、そしてその羊膜及び絨毛膜を抗凝固剤(例えば、クエン酸デキストロース溶液)で処理することを含む。
1つの実施形態において、当該絨毛膜は残し、そして母体血液細胞の除去は、臍帯の反対側にある胎盤の周縁を切り取り、総血栓及びいずれの過剰な血液細胞をも取り除くために、その羊膜及び絨毛膜を(例えば、PBS緩衝液で)洗い流し、そしてその羊膜を抗凝固剤(例えば、クエン酸デキストロース溶液)で処理することを含む。
1つの実施形態において、当該胎盤組成物は、LPSに刺激されたTNF−α放出の低減で示される免疫原性を、選択的に枯渇させる。1つの実施形態において、当該胎盤組成物は、マクロファージを選択的に枯渇させる。
1つの実施形態において、TNF−αは、マクロファージの死滅または除去により枯渇させる。
いくつかの実施形態において、TNF−αのレベルは、約350pg/cmを下回るか、あるいは約225pg/cmを下回るか、あるいは約100pg/cmを下回るか、または約70pg/cmを下回る。
いくつかの実施形態において、TNF−αは、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%阻害される。
免疫互換性は、当業者にはよく知られている任意の手段で証明でき、そのような証明は、混合リンパ球反応(MLR)、及びリポ多糖(LPS)誘発の腫瘍壊死因子(TNF)−α分泌により実施できる。
保存料
本発明技術の胎盤組成物は、新鮮な状態で使用されても良く、または一定期間保存されても良い。
1つの実施形態において、当該胎盤組成物は、冷凍保存される。当該胎盤組成物は、少なくとも1つの冷凍保存剤及び冷凍による保存で(例えば、約−80℃などの、約−20℃から約−196℃で)、冷凍保存温度に耐えられる薬学的に許容される容器に収められる。当該胎盤組成物の冷凍保存に適切な容器は、生物適合性、非免疫原性であり、そして約−196℃から約205℃の温度に耐えることができ、バイアル瓶、パウチ袋、瓶、及び袋を含む。当該胎盤組成物(その容器中の)は、その冷凍速度を調節するために、発泡スチロール箱の中で冷凍されても良い。冷凍は、非限定的に、例えば、DMSO、グリセロール、糖、またはそれらの混合物などを含み、少なくとも1つの冷凍保存剤を含み、冷凍保存媒体中での貯蔵を含んでも良い。冷凍は、例えば、約2℃から約8℃の温度で、例えば、約4℃で、約3分から約240分、例えば、10分から60分または30−60分間、当該胎盤組成物を培養すること、そして次に約−45℃から約−196℃、例えば、−80℃で使用時まで培養することを含んでも良い。当該胎盤組成物は次に、使用に際して解凍しても良い。
本発明技術の胎盤組成物は、冷凍保存及びそれに続く解凍後に、多量の生存細胞を維持している。いくつかの実施形態において、解凍後、その胎盤細胞の少なくとも40%は生存している。いくつかのその他の実施形態において、当該胎盤組成物は、約70%生存率、あるいは約75%生存率、あるいは約80%生存率、あるいは約85%生存率、あるいは約90%生存率、あるいは約100%生存率を保持している。
胎盤組成物は、冷凍保存の前に、少なくとも1つの冷凍保存剤を含むように処方されても良い。例示的な冷凍保存剤は、DMSO、グリセロールなどを含む。当該組成物はさらに、アルブミン(例えば、HSAまたはBSA)、電解質溶液(例えば、Plasma−LyteA)、またはそれらの組み合わせなどの追加の成分を伴い、処方されても良い。任意で、当該胎盤組成物は、容積で0%から15%のアルブミン及び容積で約3%から約100%、より適切には3%から約50%の少なくとも1つの冷凍保存剤、例えば、容積で約1%から15%のアルブミン及び容積で約5%から約100%(例えば、約5%から約10%)の冷凍保存剤を含む。
任意で、胎盤組成物は、新鮮な胎盤分散液へのまたは冷凍された胎盤分散液への若しくは冷凍乾燥された胎盤分散液への、本発明技術の冷凍保存された胎盤細胞の添加により形成できる。
任意で、胎盤組成物は、冷凍された胎盤分散液へのまたは冷凍乾燥された胎盤分散液への、本発明技術の新鮮な胎盤細胞の添加により形成できる。
冷凍保存された胎盤組成物を、使用前に解凍しても良い。適切な解凍法は、関連分野の業者には理解されよう。当該冷凍保存された胎盤組成物は、室温または約37℃で解凍しても良い。適切には、当該冷凍保存された胎盤組成物は、細胞の生存率を高く保持する(例えば、少なくとも40%の生存細胞、より好ましくは少なくとも70%の生存細胞)のに十分な速い速度で解凍する。例えば、0.3mLの冷凍保存胎盤組成物は、室温で1分を下回る間に解凍する一方で、1mLの冷凍保存胎盤組成物は、室温で約3分の間に解凍する。当該胎盤産物の容積を増加するには、解凍時間を増やすことは、当業者には理解されよう。さらに、より高い温度で(例えば、約37℃で)当該組成物を解凍することにより、その解凍時間を減らしてよいことは、当業者には理解されよう。
当該冷凍保存組成物は、長期間冷凍された場合、生存細胞を保持するのに驚くほど長い貯蔵寿命または安定性を有する。当該冷凍保存産物は、解凍に際して高い生存率(少なくとも生存細胞を70%保持)を維持しながら、約−20℃から約−196℃(例えば、約−45℃から約−80℃)で2年間またはそれ以上の期間、貯蔵しても良い。いくつかの態様において、当該冷凍保存された組成物は、解凍前に高い生存率(少なくとも40%の生存細胞、あるいは少なくとも50%の生存細胞、あるいは少なくとも約70%の生存細胞、あるいは少なくとも約80%の、約85%の、90%の、または95%の生存細胞)を維持しながら、約−20℃から約−196℃(例えば、約−45℃から約−80℃)で少なくとも約3か月、少なくとも約6か月、少なくとも約9か月、少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約24か月、少なくとも約36か月貯蔵できる。
使用法
前述で考察のように、本明細書に記載の当該胎盤組成物及び特に冷凍保存された組成物(例えば、羊膜、絨毛膜、及び/または絨毛羊膜組成物)は、多数の有益な治療活性及び効果を促進するのに効果的な、一定量の生存細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を提供する。本明細書に記載の方法において、当該組成物を適用しても良く、及び一定量の治療因子、生存細胞、及び細胞外基質成分を提供し、ならびに同様のまたは類似の治療有益性を提供する任意の数の治療因子を産生するために、内因性細胞を成長させる環境を提供する。
本発明技術の胎盤組成物は、任意の組織損傷の治療に使用しても良い。例えば、本発明技術の胎盤組成物を、必要に応じて、対象者へ投与することによる、治療法を提供する。本発明技術の胎盤組成物はまた、直接または間接的に、組織を再生するために使用しても良い。
本発明技術の投与法は、局所投与である。本発明技術の投与は、また、外科手術により捕捉が可能な場所における、内部組織への投与を含むことができる。あるいは、当該胎盤組成物を、シリンジまたは注射針を通して注入できる。胎盤組成物は、自己性、同種性、または異種性である。
1つの実施形態において、胎盤組成物は、創傷または組織欠損の治療を行う対象者へ投与する。任意で、その創傷は、裂傷、こすり傷、熱や化学火傷、切開、穿刺、または投射物によって引き起こされる傷である。任意で、その創傷は、表皮の傷、皮膚の傷、慢性の傷、急性創傷、外部の傷、内部の傷、眼の傷、先天性の傷、潰瘍や褥瘡である。いくつの態様において、当該創傷は、トンネル傷である。トンネル傷は、例えば、感染に限定されずに、慢性傷の長期化した炎症、組織層が集まる場所に集中した圧力とせん断力、不適切な傷の包装による不十分な排水吸収、及び過剰な傷の包装による新しい粒状組織の分解などにより起こされる。そのような傷は、事故や故意によるものであっても良く、例えば、外科手術の間にまたは付随して起こされた傷であっても良い。任意で、当該創傷は、投与の前に手術で縫合される。
1つの実施形態において、当該損傷は、I度熱傷、II度熱傷(部分的な深さのやけど)、III度熱傷(完全な深さの熱傷)、熱傷の感染、切除及び非切除の火傷の熱傷の感染、以前に移植した、または治癒後の上皮の損失、熱傷の膿痂疹などの火傷である。
1つの実施形態において、この損傷は、潰瘍、例えば、圧力潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈の潰瘍、または足若しくは下肢の潰瘍である。
1つの実施形態において、胎盤組成物は、その胎盤組成物を、直接その対象者の皮膚を覆うように、例えば、傷を覆うように、その傷部分の角質層の上に適用し、投与する。いくつかの実施形態において、当該胎盤組織は、非接着性の包帯で覆われる。さらに、あるいは当該胎盤組織を、例えば、皮下移植などの移植として投与しても良い。
1つの実施形態において、胎盤組成物は、老化肌のしわまたはその他の特徴を減らすために、その表皮に投与する。そのような治療はまた、いわゆる美容整形(例えば、鼻形成術、しわ取り、育毛など)と組み合わせても有用である。
1つの実施形態において、胎盤組成物は、皮膚切除術または皮膚削り術(例えば、レーザー切除、熱剥離、電気焼灼、深い皮膚切除、皮下組織切除、小部分切除、及び微小部分切除)に関連する治癒を促進するために、表皮に投与する。
本発明技術の胎盤組成物で治療しても良いその他の疾患は、外傷性の傷(例えば、民間で発生した及び軍事的な創傷)、手術の瘢痕及び傷、脊髄の傷害、無血管性壊死、切除及び局所貧血を含む。
1つの実施形態において、本発明技術の胎盤組成物は、組織移植の処置に使用する。任意で、当該胎盤組成物は、生物基質に付着した(例えば、その基質の治癒及び/または付着を促進するために)移植部分に適用する。非限定的な例示として、皮膚、軟骨、靭帯、腱、骨膜、軟骨膜、心膜、滑膜、筋膜、腸間膜及び筋などの組織は、移植組織(例えば、生体適合性である任意の天然または合成移植)として使用できる。
1つの実施形態において、胎盤組成物は、腱または靭帯の手術で、腱または靭帯の治癒を促進するために使用する。任意で、当該胎盤組成物は、骨に付着した腱または靭帯部分に適用する。当該手術は、例えば、膝の手術、肩、下肢の手術、腕の手術、肘の手術、指の手術、手の外科、手首の手術、つま先の手術、足の手術、足首の手術などを含む、任意の腱または靭帯の手術であり得る。例えば、当該胎盤組成物は、腱または靭帯の骨への固定を促進するために、移植または再生の処置における腱または靭帯に適用できる。
本発明者らの考察を通して、本発明技術の胎盤組成物が、任意の組織、軟骨及び骨の損傷及び欠損に対して、優れた治療(例えば、治癒、治癒時間及び/または治癒強度において)を与えることが、意外にも発見されている。いくつかの実施形態において、その組織は、結合組織または神経組織である。いくつかの実施形態において、当該胎盤組成物は、腱及び靭帯などの結合組織の治癒に使用する。腱及び靭帯の手術は、腱または靭帯の骨への固定を不可欠に含むことができる。理論に縛られずに記述すれば、本発明者らは、本発明の胎盤組成物において、MSCsの骨形成及び/または軟骨形成の潜在力が、骨または軟骨の治癒過程及び治癒強度を促進する、と考える。いくつかの実施形態において、当該胎盤組成物は、任意のタイプの組織(例えば、骨、靭帯、腱、軟骨または軟部組織)の損傷及び障害または任意のタイプの欠損を治療しても良い。本発明者らは、当該胎盤組成物が、骨膜に基づく治療に対する代替のまたは補助的な治療を提供すると考える。例えば、有用な骨膜を基にした治療は、Chenら(“Enveloping the tendon graft with periosteum to enhance tendon−bone healing in a bone tunnel: A biomechanical and histologic study in rabbits”;Arthroscopy.2003 Mar;19(3):290−6)、Chenら(“Enveloping of periosteum on the hamstring tendon graft in anterior cruciate ligament reconstruction”;Arthroscopy.2002 May−Jun;18(5):27E)、 Changら(“Rotator cuff repair with periosteum for enhancing tendon−bone healing:a biomechanical and histological study in rabbits”;Knee Surgery,Sports Traumatology,Arthroscopy Volume 17,Number 12,1447−1453)により記述され、その各々を参照として組み入れる。
腱または靭帯手術の方法の非限定的な例示として、当該胎盤組成物を、その腱または靭帯の周辺部に注入する。任意で、当該腱を、それを骨に付着させる前に、骨の管孔内に配置する。
1つの実施形態において、腱または靭帯手術は、移植の処置であり、ここで、当該胎盤組成物を、その移植に適用する。任意で、その移植は、同種移植、異種移植、または、自家移植である。
1つの実施形態において、腱または靭帯手術は、靭帯または腱損傷の修復であり、ここで、当該胎盤組成物を、その靭帯または腱損傷に適用する。
胎盤組成物が適用できる腱の非限定的な例示は、総指伸筋腱、ハムストリング腱、二頭筋腱、アキレス腱、伸筋腱、及び腱板腱を含む。
1つの実施形態において、本発明技術の胎盤組成物は、その胎盤組成物を創傷部に適用することにより、線維化を抑えるために使用する。
他の態様において、本開示は、その対象者に本明細書に開示の組成物を投与することを含む、対象者における組織の修復及び/または組織再生を促進する方法を提供し、ここでその投与が、組織修復及び/または組織再生を促進するのに効果的な量で、生存する治療細胞、細胞外基質、及び1つ以上の治療因子を含む。いくつかの本態様の実施形態において、当該方法は、組織移植処置、腱手術、靭帯手術、骨手術、及び脊髄手術から成る群から選ばれる外科手術との組み合わせで使用する。いくつかの実施形態において、当該組織は、ヒトの組織である。さらなる実施形態において、当該ヒト組織は、軟骨、皮膚、靭帯、腱、または骨である。この態様及び前述の実施形態において、当該組成物は、直接または間接的に組織再生を刺激しても良い。
1つの実施形態において、本発明技術の胎盤組成物は、傷口癒着バリアとして使用し、ここで当該胎盤組成物を、創傷部分へ、例えば、繊維化(例えば、手術後の繊維化)を減らすために適用する。
当該胎盤組成物を適用できる創傷部の非限定的な例示は、脊椎(脊髄融合など)、形成手術、椎弓切除術、膝、肩、または出産、外傷関連の傷や傷害、心臓血管の処置、血管新生刺激、脳/神経学的な処置、ヘルニア修復、腱の修復、膀胱の修復、及び眼の処置に関わる手術で誘導されまたは関連するものを含んで適用できる。当該胎盤組成物をまた、非限定的に、変形性関節症、炎症性状態(テニス肘など)、骨の欠損、骨の修復、及び結合組織の修復を含む、その他の兆候に関連する創傷または傷害の治療のために、適用または投与しても良い。例えば、任意で、その創傷部が、脊椎の手術に関連しており、及び当該胎盤組成物の間質部分を、その硬膜(例えば、その硬膜に面している間質部分)に適用する。創傷部位の選択及び/または方法論を含む、そのような処置の説明は、例えば、WO2009/132186及び米国特許第2010/0098743号に見出すことができ、それらを参照として、本明細書に組み込む。本発明技術の胎盤組成物は任意で、創傷の癒着または繊維化を減らすために使用できる。手術後の繊維化は、全ての外科創傷の治癒の自然な帰結である。例示として、術後硬膜外癒着は、包膜嚢及び神経根の連結、摩擦、及び圧縮をもたらし、通常、椎弓切除術の手術後数か月で現れる知覚過敏を再発させる。瘢痕組織の除去のための度重なる手術は、瘢痕組織に囲まれた神経構造を識別するのが困難なために、予後不良及び損傷リスクの増加に関連する。したがって、実験的及び臨床的研究では、瘢痕組織の、硬膜と神経根への癒着を防ぐことに主として焦点を当てた。脊髄癒着は、脊椎手術の障害における主要な要因として関与していた。線維化した瘢痕組織は、神経根の圧縮及び連結を引き起こすことが可能で、再発痛及び物理的な障害に関与する可能性がある。
本明細書に開示の胎盤組成物は、腱の修復、軟骨修復(例えば、大腿骨外側顆、脛骨プラトー)、トンネル/骨界面でのACLの交換、PCL腱修復、歯牙組織増強、瘻孔(例えば、クローン病、G袋、気管食道)、癒着バリアで不足している組織(例えば、鼻中隔修理、膣壁の修復、腹壁修復、腫瘍切除)、真皮の傷(例えば、部分的深さの火傷、中毒性表皮壊死症、先天性表皮水疱症、壊疽性膿皮症、糖尿病性潰瘍などの潰瘍(足など)、静脈性下腿潰瘍)、手術の傷、骨膜の交換、ケロイド、臓器裂傷、上皮欠損、鼓膜の修復または交換を含む、多数の創傷の治療に有効である。
当該組成物は、目の傷または傷害の治療に使用しても良い。目の傷は、炎症、傷害または手術の結果であっても良い。他の態様において、本開示は、その対象者に本明細書に開示の組成物を投与すること含む、対象者における炎症性眼疾患の治療法を提供し、ここで、その投与は、生存する治療細胞、細胞外基質、及び1つ以上の治療因子を、その炎症性眼疾患を治療するのに効果的な量で与える。この態様の実施形態において、当該方法は、上皮形成を促進し、痛みを軽減し、及び/または一般に眼組織の炎症を軽減するために指示されても良い任意の技術を使用した、膜の投与を含むことができる。一般に、当該方法は、炎症または眼組織においてある程度の炎症をもたらすかもしれない治療により特徴づけられる、目の手術(例えば、レーザー屈折矯正角膜切除術角膜(PRK))、目の外傷(例えば、裂傷、火傷、または擦り傷)、または眼疾患に関与しても良い。当該方法に含まれる「炎症性眼疾患」を含む兆候の非限定的な例示は、角膜または結膜表面の一般的な修復/再生、例えば、永続的な上皮の欠損、角膜潰瘍、角膜移植、デスメ膜瘤、角膜穿孔、上皮または上皮病変若しくは腫瘍の切除後の欠損(結膜腫瘍、結膜上皮内腫瘍、上皮病変、帯状角膜変性、傷跡、まぶたの縁に沿った結膜ひだ)、急性の化学火傷、急性角膜炎、痛みを伴う水疱性角膜症、部分的または完全な輪部幹細胞欠損症(幹細胞移植に伴う)、急性スティーブンス−ジョンソン症候群、瞼球癒着、脳弓の再生、無眼球、濾過胞修復、強膜薄化、及び翼状片などを含む(例えば、Meller,D.,ら、Dtsch.Arztebl.Int.,(2011);108(14):243−248を参照のこと。これらを参照として本明細書に組み込む)。
本開示の組成物は、生体内または生体外で、
(i)炎症性サイトカインの量及び/または活性の低減、
(ii)抗炎症性サイトカインの量及び/または活性の増加、
(iii)活性酸素種の量及び/または活性の低減、
(iv)抗酸化物質の量及び/または活性の増加、
(v)プロアテーゼ量及び/または活性の低減、
(vi)細胞増殖の増加、
(vii)血管新生の増加、及び/または
(viii)細胞移行の増加、
を促進するのに効果的な、組織成分(例えば、細胞、治療因子、細胞外基質成分及びそれらの組み合わせ)の治療に必要な量を提供する。
インビトロは、非限定的に、細胞の培養増殖を含む、生きた有機体の外側で実施される実験及び/または処置を示す(例えば、人工的な培養培地を使用した組織培養条件下で)。インビボは、有機体、例えば、動物またはヒトの体内で実施される実験及び/または処置を示す。
当該組成物の記述はまた、治療の利点を提供し、ここで、その組成物は、
(i)炎症性サイトカインの量及び/または活性を減らし、
(ii)抗炎症性サイトカインの量及び/または活性を増やし、
(iii)プロアテーゼ量及び/または活性を減らし、
(iv)血管新生を増やし、及び/または
(vi)細胞移行を増やす、
ことに効果的な量で、1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分またはそれらの組み合わせを提供する。
いくつかの態様において、当該組成物は、組織再生を刺激するのに効果的である。組織再生は、本明細書に記載の組成物の適用により、直接または間接的に現れても良い。組織再生は、傷、傷害または欠損で損傷した組織の、直接的な再生であっても良い。理論に束縛されずに記述すれば、組織再生はまた、治療因子の発現を刺激し、次に新組織の産生を刺激することによる、組織の間接的な再生を含む。組織再生は、創傷または組織損傷部分の周辺で出現しても良い。
当該組成物はまた、例えば、創傷または組織損傷部の近傍で、周辺で、その中でまたはその部分で、必要に応じて、対象者における血管新生を促進するために、使用しても良い。組成物は、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)及び塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)などの血管新生により成長させる増殖因子の、上方調節または分泌を促進しても良い。
当該組成物は、炎症を抑えるために使用しても良い。炎症の低減は、1つ以上の抗炎症性サイトカインの発現を増加させることにより、示されても良い。さらに、炎症の低減は、炎症性サイトカインの減少により、示されても良い。
当該組成物はまた、活性酸素種の量及び/または活性の低減、または抗酸化物質の量及び/または活性の増加を提供する。
創傷の治癒法に関連する前述の態様の実施形態において、当該組成物は、(i)炎症性サイトカインの量及び/または活性の低減、(ii)抗炎症性サイトカインの量及び/または活性の増加、(iii)活性酸素種の量及び/または活性の低減、(iv)抗酸化物質の量及び/または活性の増加、(v)プロアテーゼ量及び/または活性の低減、(vi)細胞増殖の増加、(vii)血管新生の増加、及び/または(viii)当該創傷への細胞移行の増加、の1つ以上を、直接または間接的に促進しても良い。
本明細書に開示の胎盤組成物はまた、組成物、例えば、生体適合性足場を形成するためにキャリアと共に使用できる。いくつかの態様において、本明細書に開示の胎盤組成物は、キャリアに応用できる。任意の適切な生体適合性足場、キャリアまたは骨移植物質を使用しても良いことは、当業者には理解されよう。適切な生体適合性足場及び/または適切なキャリアは、非限定的に、例えば、同種移植、自家移植、異種移植、セラミックス、バイオガラス、カルシウム硫酸塩、脱灰骨マトリックス、サンゴ、コラーゲン、移植複合材、軟骨の足場、すべてのタイプの合成足場、すべてのタイプの天然/生物足場など(例えば、リン酸カルシウム、水酸アパタイト及びリン酸三カルシウム、コラーゲン/セラミック複合材、PCL、PLLA、PLGA、PEG、PGA、アルギン酸塩、シルク、コラーゲン、デキストランゼラチン、エラスチン、アガロース、キトサン、ヒアルロン酸、HA−TCP−コラーゲン、GraftJacket(登録商標)、Alloderm(登録商標)、PriMatrix(登録商標)及びその他)を含む。それらのタイプは、非限定的に、スポンジ、フォーム、フィルム、シート、ゲルなどのその他の構成を含む。
適切なキャリアは、非限定的に、骨形成タンパク質(例えば、Infuse(rhBMP−2)、Infuse(登録商標)Bone Graft)などの遺伝子組換え分子を含む。
適切な自家移植は、非限定的に、骨(局所の骨またはその他)、多血小板血漿(PRP)、骨髄穿刺液(BMA)、脂肪組織などを含む。
キャリアを含む当該組成物は、適切に、組織の外科的修復、例えば、骨修復(例えば、骨髄融合)、腱の修復、軟骨修復などに使用しても良い。
本発明技術はまた、組織の傷または欠損の治療用キットを提供する。このキットには、薬学的に許容される容器に収められた、本発明技術の胎盤組成物の少なくとも1回の投与量を含む。適切な容器は、バイアル瓶、パウチ袋、袋、瓶、試験管及びシリンジを含む。当該キットはさらに、例えば、抗生物質、皮膚軟化剤、保湿剤、抗酸化物質、防腐剤、治療薬、またはそれらの組み合わせなどの、添加物を含むことができる。当該キットはさらに、このキットの使用説明書を含む。当該キットのその他の構成品は、例えば、洗面具、救急絆創膏、包帯、接着剤、医療用具、ハサミ、メス、カテーテル、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
本明細書に記載の技術及びその利点は、以下の例示を参照することで、よりよく理解されるであろう。これらの例示を、本発明技術の特定の実施形態を記述するために提供する。これら特定の例示により、本発明技術の範囲及び主旨を限定することを意図してはいない。本明細書に記載の技術は、この明細書に付属する請求項により定義される主題、及び任意の変更、修正、またはそれら請求項と同等の事項を含む。
本明細書に与えられる引用は、その引用の主題を、参照として本明細書に組み入れる。
本明細書において、単数形の使用は、特に指示されたところを除き、複数形を含む。
実施例1 胎盤組織の取得
無傷胎盤を、インフォームドコンセントの後に、登録された組織バンクから取得した。この胎盤を、その母体表面(ザラザラの面)を下向きにして、滅菌トレイに乗せた。その羊−絨毛膜を切り取り、その胎盤から取り出した。次に、その絨毛膜を羊膜から分離し、そしてD−PBSで2回洗浄した。
次に、この絨毛膜を、血栓を取り除くため、抗凝固剤(ACD−A)溶液に浸漬し、次にD−PBSで再洗浄した。
次に、この絨毛膜を、37℃で30分間、ディスパーゼと共に培養し、消化した。栄養膜を、指でそぎ取るようにして、機械的に取り除き、そしてその絨毛膜を、D−PBSで再び洗浄した。
次に、その絨毛膜の重量を計り、そして抗生物質カクテル中で24時間培養し、そしてD−PBSで再び洗浄した。
実施例2 消化及び均質化による胎盤組成物の取得
絨毛膜(実施例1で取得した)を、II型コラゲナーゼ溶液(DMEM中に300U/mL)の200mLで、37℃で10分間の培養により、消化した。次に、残った未消化の絨毛膜を除去し(その組織断片部)、コラゲナーゼ及び胎盤細胞(その細胞断片部)を含む消化懸濁液を残した。
振とう器に一旦配置した当該組織に、適切な消化環境を与えるために必要な、消化のための容積及び容器を決定した。37℃の細胞培養器中で、中速度の標準的なプレートシェーカーに乗せ、その消化を実施した。
当該胎盤細胞から消化酵素(II型コラゲナーゼ)を分離するために、胎盤細胞を含むその細胞断片部を、913rcfの速度で5分間遠心分離した。この遠心分離ステップは、過消化を防ぎ、そしてその酵素を、当該組織の均質化の前に洗い流すことを確認することにより、細胞生存率を高めるであろう。この遠心分離ステップは、細胞の損傷無しに細胞をペレット化し、II型コラゲナーゼを上清として除去することを可能にする。
次に、その細胞断片部からの細胞を、D−PBS中で再懸濁し、そして再度遠心分離し、上清を注き出し、そして胎盤細胞を、小容積(2mL)の冷凍保存剤(生理食塩水中に、5%DMSO)中に再懸濁した。2mLは、その均質化された組織断片部を過剰希釈しない一方で、その断片部からの細胞を添加し、再懸濁するのに適切な容積を与える。
残った消化酵素を除去するために、その組織断片部を、D−PBS中で二度洗浄し、そして絨毛膜の1グラム当たり1mLの冷凍保存剤(生理食塩水中に、5%DMSO)と共に、均質化用の容器に静置した。この容積は、臨床的に著しいレベルのタンパク質濃度を維持しながら、理想的に調和した分散液を生産するのに十分な状態に、その絨毛膜を希釈するには適切であるとして、決定した。10分を超えてさらに長く、その容器を氷上に置き、当該絨毛膜の温度を下げた。次に、組織ホモジナイザーを使用して、高速で5秒間、当該絨毛膜を2回均質化し、絨毛膜ホモジネートを得た。
このホモジネート(当該組織断片部からの)を、生存している単離胎盤細胞(当該細胞断片部からの)と組み合わせ、そして胎盤組成物を提供するために、十分に攪拌混合した。この胎盤組成物は、新鮮な状態で(例えば、治療に)使用されても良く、または、最初に一定期間保存(例えば、冷凍保存で)されても良い。
当該胎盤組成物を、バイアル瓶に分取し、そして4℃で30−60分間培養した。次に、このバイアル瓶を、−80℃で、使用するまで冷凍した。
実施例3 消化及びミンチ化による胎盤組成物の取得
絨毛膜(18−84時間の抗生物質処理後、実施例1から取得した)を、37℃で10±2分間、200mLのII型コラゲナーゼ溶液(DMEM中に300U/mL)中で培養することにより、消化した。次に、未消化で残った絨毛膜を除去し(その組織断片部)、コラゲナーゼ及び胎盤細胞(その細胞断片部)を含む消化懸濁液を残した。
振とう器に一旦配置した当該組織に対して、適切な消化環境を与えるために必要な、消化のための容積及び容器を決定した。37℃の細胞培養器中で、中速度の標準的なプレートシェーカーに乗せ、その消化を実行した。
胎盤細胞を含む細胞断片部を、冷蔵したD−PBSと組み合わせ、そして913rcfの速度で5分間遠心分離し、その消化酵素(II型コラゲナーゼ)をその胎盤細胞から分離した。この遠心分離ステップは、過消化を防ぎ、そしてその酵素を、洗い流すことを確認することにより、細胞生存率を高めるであろう。この遠心分離ステップは、細胞の損傷無しに細胞をペレット化し、II型コラゲナーゼを上清として除去することを可能にする。
次に、その細胞断片部からの細胞を、冷蔵したD−PBS中で再懸濁し、そして再度遠心分離し、上清を注き出し、そして当該胎盤細胞を、2mLの冷蔵したD−PBS中で再懸濁し、そしてアイスパック上の遠心分離袋に移した。
この組織断片部を、残った消化酵素を除去するために、冷蔵したD−PBSで2回洗浄し、そして冷蔵したガラス皿に移した。この絨毛膜を、組織バサミで小さく切り、次に2つの手術用メスで、みじん切りで小片にし、ミンチ化した。
冷蔵した生理食塩水(実施例1で計測したg量と等量のmL量で)を、ミンチ化した組織断片部に加え、そしてピペットで吸引し、排出して、十分に混合した。
そのミンチ化した組織断片部を、大きなシリンジに詰め、18ケージの注射針をそのシリンジに取り付け、そしてそのミンチ化した組織断片部を皿に戻した。そのミンチ化した組織断片部を、大きなシリンジに詰め戻し、そのシリンジに18ゲージの注射針を取り付け、そしてそのミンチ化した組織断片部を、その細胞断片部と共に袋の中に出した。そのミンチ化した組織断片部及び細胞断片部を、十分に攪拌混合し、胎盤組成物を提供した。
冷凍保存のために、穏やかに旋回している当該胎盤組成物に、5%DMSOを滴下することで添加し、次に、穏やかに旋回しているその胎盤組成物に、5%HSAを滴下することで添加した。
その胎盤組成物を混合し、そしてバイアル瓶に分取し、そして4℃で30−60分間培養した。そのバイアル瓶を、−80℃で、使用するまで冷凍した。
実施例4 ハーブミンチ器でのミンチ化による、胎盤組成物の取得
絨毛膜(抗生物質で18−84時間処置後、実施例1から取得した)を、冷蔵したガラス皿に移し、残った抗生物質溶液を除去するために洗浄し、そしてハーブミンチ器で6分間ミンチ化し、小さく、均等なサイズの断片部を得た。
そのミンチ化した組織に、実施例1からの絨毛膜(CM)の重量を用いて、以下の計算式に沿って、冷蔵した生理食塩水を加えた。このミンチ化した組織を、生理食塩水と十分に混合するように、ピペットで吸引し排出した。
[CM重量(g)×1.8(ml/g)−懸濁液の容積(mL)=添加する生理食塩水の容積(mL)]
そのミンチ化した組織を、大きなシリンジに詰め込み、そのシリンジに18ゲージの注射針を取り付け、そしてそのミンチ化した組織断片部を、その皿に出し戻した。そのミンチ化した組織断片部を、大きなシリンジに詰め戻し、そのシリンジに18ゲージの注射針を取り付け、そしてそのミンチ化した組織断片部を、アイスパックを伴った袋の中に出した。
冷凍保存のために、穏やかに旋回している当該胎盤組成物に、5%DMSOを滴下することで添加し、次に、穏やかに旋回しているその胎盤組成物に、5%HSAを滴下することで添加した。
その胎盤組成物を混合し、そしてバイアル瓶に分取し、そして4℃で30−60分間培養した。そのバイアル瓶を、−80℃で、使用するまで冷凍した。
実施例5 メッザルーナでのミンチ化による、胎盤組成物の取得
絨毛膜(抗生物質で18−84時間処置後、実施例1から取得した)を、冷蔵したガラス皿に移し、そして6分間ミンチ化し、小さく、均等なサイズの断片部を得た。
そのミンチ化した組織を、大きなシリンジに詰め込み、そのシリンジに16ゲージの注射針を取り付け、そしてそのミンチ化した組織断片部を、その皿に出し戻した。そのミンチ化した組織断片部を、大きなシリンジに詰め戻し、そのシリンジに18ゲージの注射針を取り付け、そしてそのミンチ化した組織断片部を、アイスパックを伴った袋の中に出した。
冷凍保存のために、穏やかに旋回している当該胎盤組成物に、5%DMSOを滴下することで添加し、次に、穏やかに旋回しているその胎盤組成物に、5%HSAを滴下することで添加した。
その胎盤組成物を混合し、そしてバイアル瓶に分取し、そして4℃で30−60分間培養した。そのバイアル瓶を、使用するまで、−80℃で冷凍した。
実施例6 完全消化していない胎盤組織の細胞の単離
限定的なII型コラゲナーゼによる消化が、生存細胞を含んだ懸濁液を得るために機能しているか、そして当該胎盤細胞の完全性を未だ保っている(例えば、治療因子を保持しそして生存細胞を残している)かどうかを、本発明において試験した。II型コラゲナーゼによる10分間の短い消化は、部分的に無傷組織を残し、そしてさらなる処理を可能にした。加えて、10分間のコラゲナーゼによる消化は、多数の生存細胞を生産できた。
胎盤(D136、D137)を取得し、244U/mLのII型コラゲナーゼ濃度の場合以外は、前述の実施例1及び実施例2に詳細に説明された手順に従い加工した。各細胞断片部の細胞計数を、トリパンブルー染色及び血球計数器を使用した計数により、消化後直ちに実施し、各組織のグラム当たりの生存細胞数を決定した。そのデータを表1に提供する。
意外にも、相当量の細胞が、1時間を下回る(例えば、10分)消化により、単離された。わずか10分間の当該組織の消化が、その組織を完全に分解することなく、その組織状態を緩めそして組織から細胞を除去することを可能にした。この方法において、消化により膜全体を損なうことなく、当該絨毛膜からII型コラゲナーゼ/細胞の混合物(細胞断片部)を分離することが可能となった。本発明者らは、10分が、消化に適切な時間であり、そしてドナー変動の結果として導入される偏差を可能にする、ことを発見した。この消化プロセスは、その組織の完全性を全体的に破壊せずに、多数の生存細胞の単離を可能にする。次に、未消化の絨毛膜を、治療因子が豊富なホモジネートを生産するために破壊でき、その一方で、当該細胞を、その消化酵素から分離し、そして次にそのホモジネートと組み合わせることで、当該胎盤組成物を形成することができる。
実施例7 消化後の生存及び非生存細胞の分析
複数の胎盤を加工し(D153、D154、D155、D156)、そして実施例6のように胎盤組成物を調合した。消化直後に、生存及び非生存細胞の細胞計数を実施した(図2)。冷凍及び解凍前後で、生存細胞の細胞計数を実施した(図3)。細胞を、血球計数器を使用して計数し、そして生存細胞を区別するために、トリパンブルー染色を利用した。細胞数のデータを集計し、そして平均値を求めた。
図2に描写するように、本明細書に教示する無傷膜の消化は、意外なほどの細胞数を生産し、そしてその膜の機械的な破壊をせずに、その数を生産する。また図2に描写するように、本明細書に教示する膜の消化は、非生存細胞に対して驚くほど高率で、生存細胞を生産する。
図3に描写するように、本発明技術の新鮮な胎盤組成物は、驚くほど高い細胞生存率を含む。また図3に描写するように、冷凍−解凍のサイクルを被る、本発明技術の胎盤組成物は、驚くほど高い細胞生存率を含む。また図3に描写するように、本発明技術の胎盤組成物において、生存細胞は、冷凍−解凍のサイクル後に驚くほど良好に保持される。
実施例8 均質化前の、消化の有無での胎盤細胞の単離
当該胎盤分散液中の生存細胞の優れた回収を行うための、製造法を検討した。特に、均質化前に、消化による細胞単離のステップの有無で製造される、胎盤組成物における生存細胞のレベルを決定する実験を行った。簡単に言えば、実施例1に記載の手順に従い、胎盤を準備した。次に、得られた絨毛膜を、半分に分割した。その半分の組織を、実施例2に記載のように加工した。その他の半分を、その均質化ステップに先立ち、II型コラゲナーゼでの消化により、細胞単離なしで、実施例2における組織断片部と同じ方法で加工した。細胞を、血球計数器を使用して数え、そして生存細胞を区別するために、トリパンブルー染色を利用した。そのデータを、図4に提供する。
その結果は、当該消化組織中に、細胞をより容易に検出することを示している。
実施例9 胎盤組成物プロファイル
異なるドナーからの胎盤で、実施例1及び実施例2に詳細に記された手順に従い、複数の胎盤組成物を調合し、そして治療因子を分析した。簡単に記述すると、各胎盤組成物からの1mLのホモジネートを、16,000rcfの速度のマイクロ遠心分離機で、10分間遠心分離した。
各サンプルから得られた上清を集め、試験サンプルとした。ネガティブコントロールサンプルを、生理食塩水中の5%DMSO(冷凍保存溶液)で構成し、そしてポジティブコントロールサンプルを、スパイク組換えタンパク質(bFGF、EGF、及びVEGF)の公知濃度での冷凍保存溶液で構成した。治療因子の一覧は、表3に示される。表1に網羅した、治療因子を含むタンパク質プロファイルは、SearchLightタンパク質アレイアッセイ(Aushon Biosystems社)を利用して取得した。その結果を、4ドナーで1グループからの最小及び最大発現レベル(pg/mL)として、表1に示した。完全な胎盤組成物ではなく、上清の分析なので、タンパク質レベルの予測値は、実際濃度を下回っているであろう。各サンプルにおけるVEGF及びbFGFのレベルは、ELISAにて確認した。
意外にも、多数の治療因子が、その他の症状の治療と同様に、火傷及び創傷治癒に対して効果的であるとされる公知のレベルで検出された。
表1のデータに見られるように、本発明技術の胎盤組成物は、治療因子の治療プロファイルを含む。
ここに至り、本明細書に教示のように、当業者は、当該治療因子を実験でき、表2に明示されるようにその機能的役割を考慮でき、そして創傷修復における治療因子の価値を評価できる。
Figure 2017514876
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Figure 2017514876
実施例10 細胞表現型
本発明技術の複数の胎盤組成物における、細胞表現型を決定するために、蛍光活性化細胞ソーティング法(FACS)を実施した。胎盤組成物を、実施例1及び実施例2に詳細に記される手順に従い調合した。当該組成物を解凍し、そしてそれに続いて細胞破片を取り除くために、100μmのフィルターを通してろ過した。次に、単一細胞懸濁液を、Beckman TJ−6を使用して、2000rpmの速度で10分間遠心分離し、そしてD−PBSで2回洗浄した。各洗浄の後、上清を捨て、そして細胞を、2mLのFACS染色緩衝液(D−PBS+0.09%NaN+1%FBS)中に再懸濁した。
一旦単一細胞懸濁液を調合し、100μLのFACS染色緩衝液中で、最小で1×10の細胞を、蛍光染料で標識化された抗体で処理した。表4に、その抗体及び使用量の記述を提供する。細胞表面マーカーに対応して、細胞を、抗体と共に室温暗所で30分間培養し、続いてFACS染色緩衝液で2回洗浄し、Beckman TJ−6遠心分離機を使用して、1300rpmの速度で5分間の遠心分離を行った。次に、細胞を、400μLのFACS染色緩衝液に再懸濁し、そしてBD FACSCaliburフローサイトメーターを使用して分析した。結果は、絨毛膜由来の胎盤組成物は、MSC様細胞の存在を暗示する、MSCマーカーに対してポジティブに染色された(図5)生存細胞を含むことを示した。
Figure 2017514876
実施例11 冷凍保存剤の最適化
実施例1に詳細に記載の手順に従い、3つの胎盤(D138、D139、及びD140)を加工し、そして各絨毛膜を、半分に分割した。絨毛組織の各断片部を、実施例2に詳細に記載の手順に従い、
Plasma−LyteA(CTR溶液)中に、10%DMSO及び5%HSA、
Plasma−LyteA中に、5%DMSO及び5%HSA、
生理食塩水中に、5%DMSO、
生理食塩水中に、10%のグリセロール、
の冷凍保存剤の1つと共に加工した。
冷凍前に、各新鮮な胎盤組成物を、血球計数器を使用し、そして死滅細胞を生存細胞と区別するために、トリパンブルー染色で生存細胞を数えた。冷凍とそれに次ぐ解凍後に、各胎盤組成物の生存細胞を数えた。その結果を、図6に描写した。
図6に描写するように、新鮮及び冷凍/解凍の胎盤組成物の両方に対して、DMSOは、グリセロールに比べて優れた冷凍保存剤であった。Plasma−LyteA中に、5%のHSAと共に、10%対5%DMSOの使用比較では、より多くの細胞数をもたらさなかった。5%DMSOは、冷凍及び解凍後に生存細胞を保存するのに適切で、そして患者の安全にとってより良好な濃度を表わしている。
実施例12 冷凍後、3日から最長3か月までの細胞生存率
最終組成物の細胞生存率を、異なる冷凍保存溶液及び異なる絨毛組織の加工ステップ(ミンチ化対均質化)を使用して比較した。
3つの胎盤を、実施例1に詳細に記載の手順に従い加工し、そして各絨毛膜を、抗体処理に先立ち、おおよそ等量(±1g)の4分割にした。4分割の1つを使用し、実施例2に従い(コントロール)、そして生理食塩水中の5%DMSOでの冷凍で、当該組成物を製造した。残りの3つを、その組織断片部をハサミで小片に刻み、そして次に流動性のある濃度になるようにメスでミンチ化したこと以外は、実施例2に従って加工した。生理食塩水を加え、そしてそのサンプルを、生理食塩水中の5%DMSO、生理食塩水中の5%DMSO及び1%HSA、または生理食塩水中の10%DMSO及び5%HSAで冷凍した。
・グループ1=コントロールグループ(均質化した組織断片部)、生理食塩水中の5%DMSO
・グループ2=試験グループ(ミンチ化した組織断片部)、生理食塩水中の5%DMSO
・グループ3=試験グループ(ミンチ化した組織断片部)、生理食塩水中の5%DMSO及び1%HSA
・グループ4=試験グループ(ミンチ化した組織断片部)、生理食塩水中の10%DMSO及び5%HSA
各グループの胎盤組成物を、冷凍後3日、1ヶ月、2ヶ月、及び3ヶ月で解凍し、そして血球計数器ならびにトリパンブルー染色を使用して、生存及び死滅細胞を数えた。細胞生存率を計算し、そしてその3つの胎盤の結果を平均化した(図7)。
図7に描写するように、当該細胞断片部のミンチ化は、その組織断片部の均質化と比べて、より高い細胞生存率をもたらした。さらに、HSAを含む冷凍保存溶液(1%から5%のHSAを伴うグループ3及び4)で冷凍された胎盤組成物に、より高い生存率が観察された。
実施例13 絨毛膜組織のコラゲナーゼ消化の経過時間の最適化
II型コラゲナーゼにおける絨毛膜などの、胎盤組織を消化するのに最適な時間を決定するために、3つの異なるドナーからの絨毛膜を分析した。実施例1の手順に従い、当該絨毛膜を加工した。次に、抗生物質溶液を除去するために、各絨毛膜組織を2回洗浄し、そして3分割した。初期重量を得るために(0分)、各組織片を計量し、次にII型コラゲナーゼ溶液(300U/mL)中で10分、20分、または30分間消化した。
各消化時間の終点で、残っている組織を、100μm細孔の細胞フィルターを通してろ過し、その単離細胞を含むII型コラゲナーゼ溶液から分離した。次に、その分離した組織を計量し、一方で消化された細胞を含むII型コラゲナーゼ溶液を、遠心分離した。その結果得られた細胞ペレットを、D−PBSで再懸濁し、そしてトリパンブルーを排除して、血球計数器を使用して計数した。
その細胞フィルター上に残った組織重量を含む、各残分組織断片部の重量を、II型コラゲナーゼによる消化により失った重量%を計算するために使用した。
図8に示すように、消化の10分後には、元の組織重量の約10%が、減少した。さらなる培養で、より劇的で重要な減少がもたらされた。30分までには、元重量のほぼ半分が、失われた。10分以上長く消化された組織は、そのII型コラゲナーゼ溶液型からの分離が、非常に困難になることを、さらに留意した。
図8はまた、コラゲナーゼ消化により放出された細胞数を示す。培養の10分後には、少なくともいくらかの細胞が、放出された。
実施例14 羊膜のコラゲナーゼによる消化
実施例3の限定的な消化法を、当該胎盤組織が羊膜の場合に適用して、試験した。以下の手順を実施した。
1.胎盤の加工。
a.羊膜を取り出し、そしてD−PBSで2回洗浄する。
b.羊膜を、ほぐれた赤血球に浸す。
i.必要ならば、指で、組織から無い赤血球を取り除く。
c.羊膜組織を、抗生物質カクテル中で24時間培養する。
2.抗生物質カクテルから羊膜組織を取り出し、そしてD−PBSで2回洗浄する。
3.羊膜組織を、37℃で200mLのトリプシン溶液(0.25%)中で、30分間培養する。
4.トリプシン溶液から羊膜組織を取り出し、そしてD−PBSで2回洗浄する。
5.羊膜組織を、37℃で200mLのII型コラゲナーゼ溶液(DMEM中に300U/mL)中で、10分間培養する。
6.II型コラゲナーゼ溶液から羊膜組織を取り出し、そしてD−PBSで2回洗浄する。
7.II型コラゲナーゼ及びトリプシンでの生存細胞懸濁液の加工。
a.各懸濁液を、913rcfの速度で5分間、遠心分離する。
b.各上清を注ぎ出し、そして10mLのD−PBSに交換する。
i.細胞を、洗浄のためD−PBSに再懸濁する。
c.細胞懸濁液を、913rcfの速度で5分間、遠心分離する。
d.上清を注ぎ出し、そして細胞を、2mLの冷凍保存剤(生理食塩水中に5%DMSO)中で再懸濁する。
e.ペレットを組み合わせる。
8.羊膜組織の加工。
a.羊膜組織を、その羊膜重量(g)と等量の容積の冷凍保存剤(mL)と共に、均質化容器に収める。例えば、その羊膜の重量が、25gであれば、冷凍保存剤の25mLと共に、均質化容器に収める。
b.その羊膜組織及び冷凍保存剤を、氷上に少なくとも10分置く。
c.組織ホモジナイザーを使用して、5秒間の高速で2回均質化する。
9.単離した生存細胞をホモジネートと組み合わせ、そして十分に混合する(当該「胎盤組成物」)。
10.バイアル瓶に等分し、そして4℃で30−60分間静置する。
11.使用するまで、−80℃で冷凍する。
その羊膜ホモジネート中の生存細胞の平均数を決定するために、複数の胎盤を調合した。各羊膜を、1つの断片部に加工し、そして冷凍保存(4℃での培養そしてそれに続く−80℃の冷凍)後の解凍の後、細胞数を得た。全ての細胞数を集計し、そして平均値を求めた。
各ドナーからのサンプルをまた、タンパク質アレイ分析用に調合した。簡単に記述すると、各ドナーからの1mLのホモジネートを、16,000rcfの速度のマイクロ遠心分離機で10分間、遠心分離した。その結果得られた各サンプルからの上清を集めた。上清を、ポジティブ及びネガティブコントロールと共に、SearchLightタンパク質アレイアッセイを使用した分析のために、Aushon Biosystems社に送った。このアッセイは、各サンプルの対象となる37タンパク質のレベルを測定する。この実験のために、ネガティブコントロールサンプルを、生理食塩水中の5%DMSO(冷凍保存溶液)で構成し、そしてポジティブコントロールサンプルを、スパイク組換えタンパク質(bFGF、EGF、及びVEGF)の公知濃度での冷凍保存溶液で構成した。
図9に示すように、羊膜組織の限定されたコラゲナーゼによる消化は、相当な数の生存胎盤細胞の放出をもたらした。
表5に示すように、羊膜組織の限定されたコラゲナーゼによる消化は、その組織から作られた胎盤分散液中に、治療因子を保存していた。
実施例14及び7を共に考慮した場合、胎盤組織の限定されたコラゲナーゼ消化は、たとえそれが絨毛膜、羊膜、または胎盤に元来あるその他の組織であったとしても、
放出される相当数の生存胎盤細胞、
保存された内因性の治療因子、
保存された内因性の胎盤タンパク質(例えば、基質タンパク質)、及び
治療に効果的な成分、
という予期せぬ結果をもたらす、と結論づけられる。
Figure 2017514876
実施例15 胎盤組成物の細胞断片部及び組織断片部由来の生存細胞
本明細書に教示される製造ステップ(例えば、限定されたコラゲナーゼによる消化、胎盤組織の破壊前の胎盤細胞の取り出し、そして限定された破壊の方法)は、非常に効果的な治療組成物をもたらす。当該細胞断片部及び均質化された組織断片部由来の、最終胎盤組成物中の生存細胞数を評価した。
9の対象者の胎盤組織から、絨毛膜組織を取得し、そしてその細胞断片部(例えば、コラゲナーゼによる放出)及び均質化された組織断片部に対して、血球計数器及びトリパンブルー排除を利用して生存細胞数を評価した。
Figure 2017514876
表6に示すように、当該胎盤組成物における細胞の21%から98%は、その均質化組織断片部由来であった。したがって、本発明の方法は、予期せずに、その均質化組織断片部中に、重要な治療因子及び生存細胞を保存し、そしてまた、その細胞断片部由来の相当数の生存細胞を提供する。
実施例16 最短14日間で、血管新生増殖因子を発現する
本発明技術の胎盤組成物は、創傷の治癒治療に対して望ましい、耐久性のある効果を発揮する。本技術に記載の当該絨毛膜由来の胎盤組成物内の、細胞外基質及び生存細胞の存在は、少なくとも14日間存在する、創傷治癒及び血管新生にとり、重要であるとして知られるタンパク質カクテルを可能にする。
当該絨毛膜由来でありそして実施例1ならびに実施例2の手順に従い加工した胎盤組成物を、解凍しそして組織培養ウェルに配置し、そして37℃±2℃で、3、7、及び14日間培養した。各時間で、当該組成物のサンプルを集め、そして16,000rcfの速度で10分間、遠心分離し、その上清を集めた。次に、その上清を、bFGF及びVEGFに対して、ELISAで評価した。図10は、3、7、及び14日での、2つの主要な創傷治癒タンパク質、bFGF及びVEGFの持続性を描写している。bFGFの発現は、時間と共に低下しているが、14日間でさえ、著しいレベルのbFGFが存在したことは、留意されるべきである。興味深いことに、VEGFの発現は、時間と共に増加したが、当該絨毛膜由来の胎盤組成物内の生存細胞からの、VEGF発現が継続的に活性化したため可能となったのであろう。
実施例17 低酸素症に対する胎盤組成物の応答
実施例1及び実施例3に詳細に記載の手順に従って加工した胎盤組成物を、慢性創傷に見られる低酸素症状を模倣した、低酸素環境への応答に対して試験した。
冷凍保存した胎盤組成物を解凍し、そしてDMEMを伴った2つの48ウェルプレートのウェルに配置した。一つ目のプレートを、酸素正常状態下(37℃、5%CO、約20%O)に置き、そして2つ目のプレートを、低酸素状態下(37℃、5%CO、1%O)に置いた。これらの条件下で48時間培養後、そのプレートを集め、そしてサンプルを収集した。そのサンプルを、マイクロ遠心分離機において、16,000rcfの速度で10分間遠心分離した。その上清のVEGF含有量を、ELISAで測定した。結果を、図11に示した。
図11に示すように、当該胎盤組成物は、200%まで血管新生増殖因子VEGFの産生を増加させたことによって、低酸素環境に応答した。
実施例18 新鮮対冷凍保存の胎盤組成物における、血管新生増殖因子含有量
実施例1及び実施例2に記載の手順に従って加工した、3ロットの胎盤組成物(D144、D145、D146)に対して、冷凍保存前後に、その血管新生増殖因子VEGF及びbFGFの含有量を測定した。
加工の間に、当該消化した胎盤組成物の各ロットに1つのバイアル瓶を、−80℃での冷凍保存前に確保し、そして、新鮮サンプルとしてラベル付けした。この新鮮サンプルを、マイクロ遠心分離機において、16,000rcfの速度で10分間遠心分離した。そのVEGF及びbFGF濃度を、ELISAで測定した。その同じロットから、冷凍保存した胎盤組成物の1つのバイアル瓶を、少なくとも−80℃で12時間後に解凍した(冷凍保存サンプル)。その冷凍保存サンプルを、前述の新鮮サンプルで記述したように処置した。そのELISAの結果を、図12に示し、そして試験した全ロットに対して、VEGF及びbFGFの両含有量が、冷凍保存により変化がなかったことを示す。
実施例19 胎盤組成物における、インターフェロン−2α及び形質転換増殖因子−β3含有量
インターフェロン−2α(IFN−2α)及び形質転換増殖因子−β3(TGF−β3)は、瘢痕と拘縮形成の防止に重要な役割を果たすと文献に記述されている(Kwanら、Hand Clin,2009,25:511、Tredgetら、Surg Clin North Am 1997,77:701)。IFN−2αは、コラーゲン及びフィブロネクチン合成ならびに線維芽細胞を介した傷の拘縮を減らすとして知られている。臨床的には、IFN−2αが皮下投与され、そして瘢痕の質を改善したことが示されている(Nedelecら、Lab Clin Med 1995,126:474)。TGF−β3は、細胞外基質の沈着を調節し、そして齧歯動物の皮膚創傷モデルにおいて注射をした場合、瘢痕形成を減少させることが示されている。臨床的には、TGF−β3を創傷部に注射した場合、瘢痕の外観の改善が示されている(Occleston etら、J Biomater Sci Polym Ed 2008,19:1047)。
実施例1及び実施例2で記載のように調合した胎盤組成物を、IFN−2α及びTGF−β3の存在に対して、分析した。簡単に記述すると、当該絨毛膜由来の胎盤組成物を解凍し、そして上清を集めるために、16,000rcfの速度で遠心分離した。上清を、MabTech社(IFN−2α)及びR&D Systems社(TGF−β3)から市販されているELISAキットで分析した。図13は、当該絨毛膜由来の胎盤組成物における、IFN−2α及びTGF−β3の著しい発現を示す。
実施例20 複数ロットの胎盤組成物における、TGF−β3含有量
実施例1及び実施例2で記載のように調合した、複数ロットの胎盤組成物のTGF−β3含有量を測定した。4ロットの冷凍保存した胎盤組成物を解凍し、そしてマイクロ遠心分離機において、16,000rcfの速度で10分間遠心分離した。上清中のTGF−β3濃度を、ELISAで測定した。胎盤組成物におけるTGF−β3発現を示している結果を、図14に表す。
実施例21 絨毛膜胎盤組成物における組織修復タンパク質
当該絨毛膜由来でそして実施例1及び実施例2で記載のように加工した胎盤組成物を、組織修復に重要であるタンパク質(例えば、治療因子または組織修復タンパク質)の存在に対して、分析した。
本発明に記載の絨毛膜由来の胎盤組成物を、これら組織の修復タンパク質に対して分析した。簡単に記述すると、当該絨毛膜由来の胎盤組成物を、37℃±2℃で72時間培養した。その組成物を遠心分離し、そしてその上清を、R&D Systems社から市販されているELISAキットで分析した。
図16は、複数ドナーの絨毛膜由来の胎盤組成物において、BMP−2、BMP−4、BMP−7、PLAB、PLGF、及びIGF−1の著しい発現を示している。
理論に捉われずに記述すれば、本発明者らは、創傷修復に対する本発明の胎盤組成物の有効性は、重要な細胞プロセスを調整することによって、多様な組織の発達及び恒常性において、部分的に、BMPs、IGF−1、及びPLGFが果たす役割のためである、と考える。BMP−2及びBMP−4は、細胞成長を促進させることに加えて、MSCsの骨芽細胞への分化を刺激し、胎盤のBMPまたはPLABは、萌芽期の発達を仲介すると示唆されるBMPファミリーの新規メンバーである。インスリン様増殖因子1(IGF−1)は、骨原性細胞の増殖及び分化を促進させるであろう。胎盤由来の増殖因子(PLGF)は、骨芽細胞に対する分裂促進因子として作用するであろう。
実施例22 絨毛膜由来細胞の分化能力
本発明の任意の実施形態において、胎盤細胞は、接着性であり、特にCD105などの細胞マーカーを発現し、そしてCD45などのその他のマーカーの発現を欠き、そして脂肪細胞、骨芽細胞、及び軟骨細胞への分化能力を示す。
特定細胞マーカーの発現は、実施例9にすでに記載した。当該絨毛膜由来の胎盤組成物内の細胞が、プラスチックに接着しそして血統の1つに分化できるかどうかを決定するために、細胞を、本発明で記述する絨毛膜由来の胎盤組成物から単離し、そして37℃±2℃で培養し、そして増殖した。
図16Aは、二継代骨髄MSCsの代表的なイメージを示し、組織培養プラスチックに接着する細胞の能力を証明している。比較として、ヒト絨毛膜から単離し、そして増殖した細胞の代表的なイメージを、図16Bに示す。
培養細胞を、製造者の助言に従い(BCIP/NBTアルカリホスファターゼキットIV、 Vector Laboratories社、Cat. No. SK−5400)、アルカリホスファターゼ標識で染色することにより、骨分化能力を示した。アルカリホスファターゼは、骨石灰化に関与する酵素であり(Alloriら、Tissue Engineering:Part B,2008,8:275)、そして細胞内のその発現は、骨前駆細胞の兆候である(Majorsら、J Orthopaedic Res,1997,15:546)。アルカリホスファターゼに対する染色は、ブロモ−4−クロロ−3’−インドリホスファタp−トルイジン塩(BCIP)とニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)との酵素反応を介して実施される。BCIPは、アルカリホスファターゼにより加水分解され、インジゴ染料を生成する二量体化を受けた中間体を形成する。このNBTは、二量体化により生成した2つの還元等量体によりNBT−ホルマザンに還元される。これら反応が一緒になり、アルカリホスファターゼと反応して、強烈に不溶性の黒紫色沈殿物を生成する。
図16Cは、骨誘導後に、アルカリホスファターゼに対してポジティブに染色された当該絨毛膜由来の胎盤組成物から単離及び増殖された、二継代細胞の代表的イメージを示す。
実施例23 複数ロットのミンチ化された胎盤組成物における、生存細胞含有量
実施例1及び実施例4で記載のように加工した、29ロットの胎盤組成物中の、生存細胞量を測定した。実施例4に記載のように作った胎盤組成物は、ミンチ化により生成した小組織片内に、当該胎盤細胞を含んでいる。これらの胎盤細胞を、血球計数器及びトリパンブルー排除を利用して定量化するためには、その細胞を最初に、コラゲナーゼ消化により、その組織断片部から分離せねばならない。
各ロットに1つのバイアル瓶を解凍し、そしてDMEM中に250U/mLのII型コラゲナーゼ(Worthington社)で、37℃で40分間振とうし、消化した。次に、この消化懸濁液を、100μmの細胞ろ過器に通してろ過し、そしてそのろ過器を、DMEMで洗浄した。そのろ過物を、411rcfの速度で8−10分間、遠心分離した。その上清を除去し、そしてそのペレットを、DMEM中に再懸濁した。その上清を、トリパンブルー排除により血球計数器を使用して、計数した(図17に示す結果)。
図17の結果は、当該絨毛膜を、コラゲナーゼによる消化をせずに、ミンチ化だけで加工した胎盤組成物における、高い胎盤細胞量及び生存率%を示している。
実施例24 ミンチ化及び消化の胎盤組成物による、炎症性TNF−αの阻害
慢性創傷に見られる炎症状態を模倣した、炎症への応答に対して、胎盤組成物を試験した。当該胎盤組成物の免疫調節能力を決定するために、PBMCs(末梢血単核細胞)によるTNF−α産生の阻害を測定した。
実施例1に記載のように加工した2つの胎盤を、抗生物質処理の前に、各々を半分に分割した。各々の1/2を、実施例3に記載のような胎盤組成物に加工し(消化した胎盤組成物)、そして半分を、実施例4に記載のような胎盤組成物に加工した(ミンチ化した胎盤組成物)。異なる構成を持つそのミンチ化及び消化の胎盤組成物を、炎症を調節するそれら各々の能力に対して比較した。
CD3及びDF28は、PBMCsに加えられ、TNF−αなどの炎症性サイトカインの産出を刺激した。次に、そのPBMCsを、ミンチ化または消化の胎盤組成物のどちらかと培養した。ポジティブコントロールとして、刺激されたPBMCsを、DMEM中で培養した。ネガティブコントロールとして、刺激因子CD3及びCD28の無いPBMCsを、DMEM中で培養した。そのポジティブコントロール培養が、PMBS凝集体を現すまで、その培養を60−84時間養生した。その培養サンプルを集め、そして16,000rcfの速度で10分間遠心分離した。その上清を集め、そしてELISAでTNF−α含有量を試験した(図18に示す結果)。
図18に示す結果は、ミンチ化及び消化の胎盤組成物の両ロットが、そのポジティブコントロールとの関係において、TNF−α産生を著しく阻害したことを示した。ミンチ化した胎盤組成物中の胎盤細胞が、消化した胎盤組成物中の胎盤細胞のほとんどとは異なり、それらの天然組織に組み込まれて残っているという事実により、ミンチ化した胎盤組成物は、消化した胎盤組成物に比べて、潜在的に炎症性サイトカインをより確実に阻害した。
実施例25 ミンチ化した胎盤組成物によるエラスターゼ阻害
慢性創傷はしばしば、再生段階への進展に際して、傷を防ぐMMPs(マトリックスメタロプロテアーゼ)及びエラスターゼなどのタンパク質分解酵素を、不釣り合いなほど高いレベルで有する。実施例1及び実施例4により加工した、ミンチ化した胎盤産物を、プロテアーゼ活性を媒介するその能力に対して、エラスターゼ阻害アッセイを試験した。
ミンチ化した胎盤組成物の1つのバイアル瓶を解凍し、そして、最終濃度が0.01mMになるHEPES緩衝液中のヒト好中球エラスターゼと、最終濃度が5.7mMになるエラスターゼ基質(N−メトキシサクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−P−ニトロアニリド、Sigma#M4765)を組み合わせた。ポジティブコントロールに対して、冷凍保存剤(生理食塩水中に5%DMSO、5%HSA)を、胎盤組成物の代わりに使用した。そのサンプルを、37℃の培養器で一晩振とうし、培養した。
基質の分解を、405nmでのODの測定によって評価した。その結果を、図19に示した。酵素による基質の加水分解は、吸光度における増加をもたらした。酵素による基質の加水分解は、そのポジティブコントロールと比べて、ミンチ化した胎盤組成物においてより低く、プロテアーゼの阻害を介した慢性創傷環境を調整するための、ミンチ化した胎盤組成物の能力を確認した。
実施例26 ミンチ化及び消化の胎盤組成物のVEGF含有量
ミンチ化及び消化の胎盤組成物中の、血管新生増殖因子VEGFの量を、2ロットに対して決定した。
実施例1に記載のように加工した2つの胎盤を、抗生物質処理の前に、各々半分に分割した。各々の1/2を、実施例3に記載のような胎盤組成物に加工し(消化した胎盤組成物)、そして半分を実施例4に記載のような胎盤組成物に加工した(ミンチ化した胎盤組成物)。
ミンチ化及び消化した胎盤組成物を解凍し、そして16,000rcfの速度で10分間遠心分離した。その上清を、VEGF ELISAキットを使用して、VEGF発現に対して試験した(図20に示す)。
その結果を図20に示し、そしてミンチ化した組成物が、両試験ロットに対して、より多くの量を含むが、ミンチ化及び消化の両胎盤組成物が、VEGFを含むことを表している。ミンチ化した胎盤組成物は、実施例2または実施例3に記載のように調合した胎盤組成物のように、コラゲナーゼにより部分的に消化はされていないので、ミンチ化した胎盤組成物は、天然の増殖因子及び細胞外基質タンパク質のより多くの量を残していると考えられる。
実施例27 グアニジン塩酸に溶解後の、ミンチ化及び消化の胎盤組成物のVEGF含有量
当該ミンチ化された組織断片部に埋め込まれている、ミンチ化及び消化の胎盤組成物のVEGFを捉えるために、胎盤組成物を、グアニジン塩酸中での溶解に供した。
実施例1に記載のように加工した2つの胎盤を、抗生物質処理の前に、各々を半分に分割した。各々の1/2を、実施例3に記載のような胎盤組成物に加工し(消化した胎盤組成物)、そして半分を、実施例4に記載のような胎盤組成物に加工した(ミンチ化した胎盤組成物)。
プロテアーゼ阻害錠剤(完全なプロテアーゼ阻害カクテル錠、Roche社、#04693124001)を、10mLの冷蔵した8Mのグアニジン塩酸(以降ここでは、GuHClとする)に添加した。ミンチ化及び消化の胎盤組成物を解凍し、そして16,000rcfの速度で、12分間遠心分離した。上清を取り除き、そして新鮮な試験管に移し、そして氷上に静置した。その細胞/組織ペレットを含む試験管を、液体窒素中に5分間並べて、簡単に冷凍した。4Mの最終濃度になった冷蔵溶解ビーズ及びGuHClを、各ペレットに添加した。このペレットを、Tissue Lyser冷蔵チャンバー内に置き、そしてそのサンプルを、50Hzで6分間溶解した。それに対応する冷蔵上清を、その溶解ペレットに添加して戻し、そして回転させながら、4℃で一晩培養した。プロテアーゼ阻害錠剤を、10mLの冷蔵D−PBSに加えて、交換緩衝液を調合した。この溶解胎盤組成物を、マイクロ遠心分離機において、16,000rcfの速度で、4℃で12分間遠心分離し、そしてその上清を集めた。各サンプルに対して、製造者の指示に従い、交換緩衝液を使用して、脱塩カラム(Zeba脱塩カラム、Thermo Scientific社、#89892)を調合し、貯蔵緩衝液をそのカラムから洗い流した。各上清を、カラムに適用し、そして913rcfの速度で、12分間遠心分離した。その脱塩された上清中のVEGF濃度を、ELISAで測定した(図21に示す)。
図21の結果は、そのサンプルがGuHCl溶解を行なわない場合に通常試験するより高いVEGF含有量を示し、その胎盤組成物の組織断片部に埋め込まれたまま残されたVEGFが存在することを示している。図20に表された結果のように、両試験ロットに対して、ミンチ化の胎盤組成物は、消化の胎盤組成物に比べて、より多くのVEGFを含んでいた。
実施例28 組織抽出緩衝液中での溶解後の、ミンチ化胎盤組成物のbFGF含有量
当該ミンチ化の組織断片部に埋め込まれている、ミンチ化胎盤組成物のbFGFを捉えるために、胎盤組成物を、組織抽出緩衝液中で溶解に供した。前述の実験では、ELISAによるbFGFは、グアニジンHCl処理との互換性がないことを示したので、互換的な溶解緩衝液を検討した。
1つのプロテアーゼ阻害錠剤を、10mLの冷蔵組織抽出緩衝液(Thermo Scientific社、#78510)に添加し、抽出溶液を調合した。実施例1及び実施例4に記載のように調合した、ミンチ化胎盤組成物を解凍し、そして16,000rcfの速度で、12分間遠心分離した。その上清を、新しい試験管に移し、氷上に保存した。その細胞/組織ペレットを、液体窒素中に5分間並べて、簡単に冷蔵した。胎盤組成物及び冷蔵溶解ビーズと等量の抽出緩衝液の量を、各試験管に添加した。試験管を、冷蔵組織溶解チャンバーに静置し、そしてそのサンプルを、50Hzで6分間溶解した。対応する溶解組織に対して、その上清を加えて、そして16,000rcfの速度で、12分間遠心分離した。その上清を集め、そしてDuoSet ELISAキット(R&D Systems社、Minneapolis MN)でbFGFに対して試験した。図22に、その結果を示す。
ミンチ化胎盤組成物の両ロットにおいて、高レベルのbFGFが見出された。
実施例29 ミンチ化及び消化の胎盤組成物からの、持続的な増殖因子の放出
ミンチ化及び消化の胎盤組成物が、増殖因子の放出を、経時的に持続することを証明するために、その組成物を2週間培養し、そしてVEGF含有量を測定した。
実施例1に記載のように調合した2つの胎盤を、抗生物質処理の前に、各々を半分に分割した。各々の1/2を、実施例3に記載のような胎盤組成物に加工し(消化した胎盤組成物)、そして半分を、実施例4に記載のような胎盤組成物に加工した(ミンチ化した胎盤組成物)。
ミンチ化及び消化の胎盤組成物を解凍し、そしてDMEM、1%FBSと共に、6ウェルの培養プレートに加えた。そのプレートを、37℃で、5%COの培養器に静置した。0日、8日、11日、及び14日後に、そのプレートを培養器から取り出し、そしてサンプルを集めた。その集めたサンプルを、マイクロ遠心分離機において、16,000rcfの速度で、12分間遠心分離した。上清を、新鮮な試験管に移し、そしてそのペレットと各サンプルの上清の両方を、次の加工まで−80℃で貯蔵した。各サンプルを、実施例28に記載のように、グアニジンHCl処理で加工した。脱塩サンプル中のVEGF濃度を、ELISAにより測定し、そしてその結果を、図23に描写した。
ミンチ化及び消化の両胎盤組成物は、2週間経過後も、持続的なVEGF放出を維持していた。ミンチ化胎盤組成物は、消化盤組成物に比べて、より多量のVEGFを放出した。
実施例30 ミンチ化胎盤組成物の細胞増殖
ミンチ化胎盤組成物の細胞増殖能力を試験した。胎盤細胞を播種し、そして14日間培養した。
実施例1及び実施例4に記載のように調合した、胎盤組成物のバイアル瓶を解凍し、そして20分間37℃で揺動し、消化した。各サンプルを、250U/mLのServa社のII型コラゲナーゼまたは250U/mLのWorthington社のII型コラゲナーゼのどちらかで消化した。その消化組成物を、100μmの細胞ろ過器に投入し、そしてそのろ過器をDMEMで洗浄した。その消化組成物を、411rcfの速度で、10±分間遠心分離した。その上清を取り出し、そしてDMEMで再懸濁した。各細胞懸濁液を、トリパンブルー排除により、血球計数器で計数した。
加工細胞の各グループを、T25フラスコに播種し、そして培養器中で14日間培養した。結果を、図24A及びBにみることができる。当該ミンチ化した胎盤組成物由来の細胞は、細胞培養において、14日後に細胞コロニーを確立した。
実施例31 ミンチ化胎盤組成物のキャリア付着
骨再生における、ミンチ化胎盤組成物の使用に対応する、異なるキャリアの互換性を試験した。
キャリア材料を、24ウェルNunclonマルチ皿の個別のウェルに配置した。そのキャリア材料は、HA−TCP−コラーゲンフォーム(1cm×1cm片)及びTranZgraftの海綿状顆粒を含んでいた。実施例1及び実施例4に記載のように調合した、ミンチ化胎盤組成物を解凍し、そして異なるキャリア材料の各々に添加した。D−PBSを、そのサンプルに加え、そしてキャリアと混合した胎盤組成物を静置するのに、外科医が推奨する最大時間を模倣して、そのサンプルを室温で1時間静置した。液体を、ウェルから除去した。LIVE/DEAD(商標)アッセイ(Life Technologies社、Grand Island、NY)を使用して、生存及び非生存細胞に対して、その物質を染色した。10μLのエチジウムホモダイマー−1溶液(成分B、2mMのEthD−1原液)及び5μLのカルセインAM溶液(成分A、4mMのカルセインAM原液)を、10mLのD−PBS に添加した。この染色溶液を、サンプルが完全に覆われるまで、そのサンプルに添加した。サンプルを光から保護し、そして室温で30分間静置した。この染色溶液を、そのウェルから取り出し、そしてD−PBSで洗浄し、そしてそのサンプルを、蛍光顕微鏡で観察した。生存細胞を緑で蛍光させ、そして死滅細胞を赤で蛍光させた。図25A及びBは、HA−TCP−コラーゲンフォーム上の胎盤組成物を示し、そして図25Cは、TranZgraft上の胎盤組成物を示している。生存及び死滅細胞の写真を、同じ場所の各々の時間で撮影した。
ミンチ化の胎盤組成物は、多様な一般的に使用される骨誘導足場と高い互換性があり、そして1時間後に、これらのキャリアとの組み合わせにおいて生存細胞を残していることを、結果が示している。
実施例32 最終絨毛膜胎盤組成物の安定性試験
−80℃で24ヶ月の長期間における、産物劣化の可能性を評価するために、当該最終組成物の安定性を試験した。産物劣化の指標は、生存細胞数の減少及び細胞生存率の低下である。生存細胞及び細胞生存率の数値を、3ロットの胎盤組成物に対して、初期の冷凍温度の完全低下後及び冷凍24か月後で決定した。さらに、冷凍後12ヶ月及び24か月の無菌試験を実施した。
実施例1及び2に記載の手順に従い、3つの胎盤を別々に加工し、次に、ホウケイ酸ガラス瓶に封入し、そして−80℃で、生理食塩水中に5%のDMSO中で冷凍した。3ロットの各々の胎盤組成物を、初期の冷凍温度の完全低下後及び冷凍24か月後に解凍し、そして血球計数器とトリパンブルー排除を利用して、生存及び死滅細胞を数えた。各サンプルについて、細胞生存率を計算した。表7の結果は、初期の冷凍温度の完全低下後及び冷凍24か月後の、最終組成物の生存細胞数及びその細胞生存率を示す。
当該最終組成物は、−80℃で24ヶ月貯蔵後に、劣化無しに対して最小の値を示した。初期冷凍保存後2年で、試験した最終組成物の全ロットは、依然として、mL当たり100,000を上回る生存細胞を含み、少なくとも70%の細胞生存率を有していた。
Figure 2017514876
各ロットのサンプルをまた、冷凍後の2回の異なる時点(12ヶ月及び24ヶ月)での無菌状態に対する試験を行った。試験は、認証された試験機関で実施した。全てのサンプルは、陰性であった(表8)。
Figure 2017514876
実施例33 ミンチ化した胎盤組成物の組織断片部サイズ
実施例1及び実施例4に記載の手順(ハーブミンチ器でのミンチ化)に従い調合した胎盤組成物の組織断片部のサイズを、実施例1及び実施例5に記載の手順(メッザルーナでのミンチ化)で調合した胎盤組成物と比較した。最終組成物を解凍し、及び10μLを血球計数器に移した。5μLのトリパンブルーを加え、そして丸いカバーガラスを、その細胞懸濁液の表面に置いた。ハーブミンチ器またはメッザルーナを使用して調合した最終組成物の組織断片部のサイズを比較した。ハーブミンチ器でミンチ化した絨毛膜の組織断片部の平均サイズは、0.421mm(n=14)であり、そしてメッザルーナでミンチ化した絨毛膜に対しては、1.137mm(n=14)であった。メッザルーナでミンチ化した絨毛膜の組織断片部は、ハーブミンチ器でミンチ化した絨毛膜の組織断片部に比べて、著しく大きかった(図26を参照)。
実施例34 脊椎固定手術における胎盤組織組成物の使用
背景
34才の女性は、傷害の後、7.5ヶ月間も解消せずに残る、日常的な腰痛、臀部痛、及び彼女の右下肢の後方から両足側面に広がる知覚障害を持っていた。
評価
身体検査で、1+の両側アキレス腱反射を伴う、2+の両側膝蓋反射、少ない右足背屈及びポジティブな真っ直ぐな右側の足上げが、明らかになった。X線及びCTで、右椎間孔の狭小化及び崩壊があること、ならびに脊椎症の証拠はないことが、明らかになった。
診断
L5−S1 ヘルニア右椎間孔の狭小化と崩壊。
L5−S1の機械的不安定を伴う右L5及びS1の神経根障害。右の足首の弱さは、椎間板ヘルニア及び右下肢の脊髄神経根障害に一致。
外科手術
傷害の約12か月後、右側のL5−S1の脚間窩を、マイクロ手術により解剖し、そして不具合物質を、脊椎関節突起切除術、椎間孔拡大術、及びマイクロ椎間板切除術により除去した。1mLの胎盤組成物と共に、15ccの脱灰骨基質(DBM)から成る、骨移植の準備を完了した。両移植物質は、移植において放射線透過性である。一旦減圧が完了したら、その端板を皮膚から剥がし、そして斜めの8mmのT−PALのPEEKスペーサーを、DBM+胎盤組成物の5ccと共に封入し、そして脊椎用に配置した。L5−S1の左背外側塊に沿って広範な剥皮術を、マイクロ手術の解剖を介して、完了した。DBM+胎盤組成物の残りの10ccを、アンレー融合のために、左背瘤に適用した。ロッド及びキャップアセンブリを完了した。
フォローアップ
手術後6ヶ月での、冠状断面及び矢状断面CTは、左面関節を介した早期融合及び早期の椎体間骨梁形成の証拠を示している。椎体間骨移植およびハードウェアは、最適な位置にある。早期時点での、CTの薄層断面像は、非一体化を特定はできるが、しかし融合の特定に十分な感度ではない。早期の骨融合は、通常は、最短で6−12ヶ月で、CTで可視化できる(Williams A,Gornet M,Burkus K.CT Evaluation of Lumbar Interbody Fusion:Current Concepts.AJNR Am J Neuroradiol 2005;26:2057−2066)。
実施例35 トンネル傷の治療に使用する組成物
トンネル傷を伴っている患者を、少なくとも4から6週間の間、1mLの冷凍保存の胎盤組成物を週1回投与し、治療する。その傷の再上皮化及び閉鎖がある場合、治療を停止する。
実施例36 胎盤膜細胞による、LPS誘発のTNF−α分泌
本明細書に記載のように、当該羊膜及び絨毛膜に存在する胎生マクロファージは、組織免疫原性の主要な供給源である。理論に捉われずに記述すれば、本発明者らは、胎盤膜及び組成物からのCD14+胎生マクロファージの除去は、リンパ球の活性化を防止し、そして炎症性サイトカインのレベル及び組織の免疫原性を低下させる、と考える。胎生胎盤膜中のマクロファージは、TNF−αなどの炎症性の分泌により、細菌由来のLPSに対応する。したがって、各々の重要な生産段階で、胎盤膜の組織免疫原性を特徴づけるために、LPS応答に対するTNF−αの分泌を本明細書で使用する。各生産段階からのサンプルは、栄養膜(T)、絨毛栄養膜を伴う羊膜(ACT)、絨毛栄養膜(CT)、絨毛膜(CM)、及び羊膜(AM)を含んでいた。
中間体及び最終産物を代表する、胎盤膜の断片部(2cm×2cm)を、組織培養培地に置き、そして細菌由来のLPS(1μg/mL)に20〜24時間、曝露した。次に、組織培養による上清を集め、そして製造者の手順に従って、TNF−αELISAキット(R&D Systems社)を使用し、TNF−αの存在を試験した。高レベルのTNF−αの分泌により、LPSに応答する単球を含むことで知られるヒトhPBMCs(SeraCare社)を、ポジティブコントロールとして使用した。hPBMCs及びLPSを含まない胎盤組織をまた、この分析のコントロールとして含めた。このアッセイにおいて、自然なそしてLPS−誘発の両TNF−α分泌に対して、70pg/cm(280pg/mLに相当)を上回る量で、その培養培地中に検出されたTNF−αは、免疫原性であると考えられた(Fortunatoら、1996)。
図27A及び27Bに描写するように、その製造プロセスは、当該胎盤産物の免疫原性を連続的に減らす。AM及びCMは、ACT及びCTの各々1397.1及び917.2pg/mlと比較して、わずかに23.5及び40pg/mlのTNF−α分泌量であった。LPS無しの培地で培養した組織は、TNF−α分泌の基底レベルを示す。高レベルのTNFを分泌することで知られるPBMCsを、ポジティブコントロールとして使用した。
絨毛栄養膜(CT)は、完全なままの栄養層を伴った絨毛膜を含んでいる。高レベルのTNF−αを分泌するCT膜を、2つの異なるPBMCドナーに対するMLR中で試験した(図28)。CT細胞を、PBMCsと共に4日間培養した。T細胞活性化のマーカーとして、細胞溶解物中のIL−2Rαを測定した。ポジティブコントロール:2つの異なるドナーから誘導したPBMCsの混合物。図28に見られるように、このアッセイの結果は、MLRデータとの相関を示した。すなわち、LPSに応答して高レベルのTNF−αを産生する組織は、このMLRアッセイにおいて免疫原性である。
結論として、AM及びCMによる、低いレベルのTNF−α及びLPSへの応答の欠如は、本技術で記載した例示的な冷凍保存法が、生存している機能性マクロファージを、羊膜及び絨毛膜から排除しており、そのような同種産物の安全性を保証していることを示している。

Claims (110)

  1. 冷凍保存された胎盤組織組成物であって、
    (i)1つ以上の胎盤細胞、
    (ii)1つ以上の治療因子、
    (iii)1つ以上の細胞外基質成分、及び
    (iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせ、
    を含む破壊された胎盤組織を含み、ここで、前記冷凍保存された胎盤組織組成物の、それに続く解凍後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、且つその組成物が、機能性免疫原性細胞を枯渇している、前記冷凍保存された胎盤組織組成物。
  2. 前記胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍後に、その生存細胞が、少なくとも1,000細胞/mLである、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  3. 前記胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍後に、その生存細胞が、少なくとも10,000細胞/mLである、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  4. 前記胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍後に、その生存細胞が、少なくとも20,000細胞/mLである、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  5. 前記胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の70%を上回る細胞が生存している、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  6. 前記胎盤組織が、大幅に減らされた量の栄養膜細胞を有する絨毛膜胎盤組織である、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  7. 前記胎盤組織が、羊膜組織である、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  8. 前記胎盤組織組成物が、創傷治癒を促進する、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  9. 前記胎盤組織組成物が、組織再生を促進する、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  10. 前記組織組成物が、大幅に減らされた量の機能性CD14+マクロファージを有する、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  11. 前記胎盤組織組成物が、冷凍保存剤をさらに含む、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  12. 前記冷凍保存剤が、DMSO、グリセリン、グリセロール、糖、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール(PEG)、1,2−プロパンジオール(PROH)ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチル澱粉、多糖類、単糖類、アルギン酸、トレハロース、ラフィノース、デキストラン、ヒト血清アルブミン、フィコール、リポタンパク質、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルストラーチ(hydroxyethyl strarch)、自己血漿、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項11に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  13. 前記冷凍保存剤が、前記組成物の最終容積の約3%から約100%から成る、請求項11に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  14. 前記冷凍保存剤が、前記組成物の最終容積の約3%から約50%から成る、請求項11に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  15. 前記冷凍保存剤が、前記組成物の最終容積の約3%から約10%から成る、請求項14に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  16. 前記組成物が、アルブミンをさらに含む、請求項11に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  17. 前記組成物が、薬学的に許容されるキャリアをさらに含む、請求項11に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  18. 前記組成物が、薬学的に許容される容器中に包装された、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  19. 前記容器が、バイアル瓶、パウチ袋、袋、瓶、試験管、及びシリンジから選ばれる、請求項18に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  20. 前記枯渇した機能性免疫原性細胞が、母体血液細胞、新生児血液細胞、組織マクロファージ、栄養膜である、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  21. 前記免疫原性細胞の枯渇した量が、免疫応答を産生するのに十分なレベル以下の量で、少なくとも1つの免疫原性因子を産生する、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  22. 前記免疫原性細胞の枯渇した量が、検出限界を下回る量で、少なくとも1つの免疫原性因子を産生する、請求項21に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  23. 前記免疫原性細胞の枯渇した量が、350pg/cm以下の量のTNF−αを産生する、請求項21に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  24. 前記免疫原性細胞の枯渇が、前記組成物を、約2℃から約8℃の温度に、約2分から約240分間静置することからもたらされる、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  25. 前記組成物を、約2℃から約8℃の温度に、約10分から約60分間静置する、請求項24に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  26. 前記1つ以上の胎盤細胞が、上皮細胞、間充織幹細胞、線維芽細胞、またはそれらの組み合わせの1つ以上を含む、請求項1に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  27. 冷凍保存された胎盤組織組成物であって、
    a.破壊された胎盤組織組成物で、
    (i)1つ以上の胎盤細胞、
    (ii)1つ以上の治療因子、
    (iii)1つ以上の細胞外基質成分、及び
    (iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせ、
    を含み、且つ
    b.1つ以上の冷凍保存剤、
    を含み、ここで、前記冷凍保存された胎盤組織組成物の、それに続く解凍後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、且つ、前記組成物が、機能性免疫原性細胞を枯渇しており、ここで、前記1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分、またはそれらの組み合わせが、治療の有効性を提供するのに効果的な量で存在する、前記冷凍保存された胎盤組織組成物。
  28. 冷凍保存された胎盤組織組成物であって、
    a.破壊された胎盤組織組成物で、
    (i)1つ以上の胎盤細胞、
    (ii)1つ以上の治療因子、
    (iii)1つ以上の細胞外基質成分、及び
    (iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせ、
    を含み、且つ
    b.1つ以上の冷凍保存剤、
    を含み、ここで、前記胎盤組織組成物の、冷凍及びそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、及び前記組成物が、機能性免疫原性細胞を枯渇しており、ならびに前記1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分またはそれらの組み合わせが、
    (i)炎症性サイトカインの量及び/または活性を低下させる、
    (ii)抗炎症サイトカインの量及び/または活性を増加させる、
    (iii)活性酸素種の量及び/または活性を低下させる、
    (iv)抗酸化物質の量及び/または活性を増加させる、
    (v)プロテアーゼの量及び/または活性を低下させる、
    (vi)細胞増殖を増加させる、
    (vii)血管新生を増加させる、及び/または
    (viii)細胞移行を増加させる、
    ことに有効な量で提供される、前記冷凍保存された胎盤組織組成物。
  29. 前記1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分またはそれらの組み合わせが、生体外の細胞において、
    (i)炎症性サイトカインの量及び/または活性の低下、
    (ii)抗炎症サイトカインの量及び/または活性の増加、
    (iii)活性酸素種の量及び/または活性の低下、
    (iv)抗酸化物質の量及び/または活性の増加、
    (v)プロテアーゼの量の低下、
    (vi)細胞増殖の増加、
    (vii)血管新生の増加、及び/または
    (viii)細胞移行の増加、
    を促進するのに効果的な量で存在する、請求項28に記載の組成物。
  30. 前記1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分またはそれらの組み合わせが、生体内において、
    (i)炎症性サイトカインの量及び/または活性の低下、
    (ii)抗炎症サイトカインの量及び/または活性の増加、
    (iii)活性酸素種の量及び/または活性の低下、
    (iv)抗酸化物質の量及び/または活性の増加、
    (v)プロテアーゼの量及び/または活性の低下、
    (vi)細胞増殖の増加、
    (vii)血管新生の増加、及び/または
    (viii)細胞移行の増加、
    を促進するのに効果的な量で存在する、請求項28に記載の組成物。
  31. 前記組成物が、治療の有効性が必要な対象者に適用され、ここで、前記1つ以上の胎盤細胞、治療因子、細胞外基質成分またはそれらの組み合わせが、
    (i)炎症性サイトカインの量及び/または活性の低下、
    (ii)抗炎症サイトカインの量及び/または活性の増加、
    (iii)活性酸素種の量及び/または活性の低下、
    (iv)抗酸化物質の量及び/または活性の増加、
    (v)プロテアーゼの量及び/または活性の低下、
    (vi)細胞増殖の増加、
    (vii)血管新生の増加、及び/または
    (viii)細胞移行の増加、
    をすることに効果的な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  32. 前記組成物が、創傷または組織欠損の治療に使用される、請求項31に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  33. 前記創傷が、裂傷、擦り傷、火傷、切開、穿刺、発射に起因する傷、表皮の傷、皮膚の傷、慢性の傷、急性の傷、外部の傷、内部の傷、先天性の傷、潰瘍、褥瘡、糖尿病性潰瘍、トンネル傷、外科手術中またはそれに付随して生じた傷、静脈の潰瘍、脊髄損傷、眼の外傷または炎症、耳鼻科の傷害、及び虚血壊死から成る群から選ばれる、請求項32に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  34. 前記組成物が、組織移植手術、腱手術、靭帯手術、骨手術、脳神経外科、及び脊髄外科から成る群から選ばれる外科手術に使用される、請求項32に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  35. 前記組成物が、直接または間接的に組織再生を刺激する、請求項32に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  36. 前記組織が、ヒト組織である、請求項35に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  37. 前記ヒト組織が、軟骨、皮膚、靭帯、腱、または骨である、請求項36に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  38. 冷凍保存された胎盤組織組成物であって、
    a.ミンチ化された胎盤組織分散液で、
    (i)1つ以上の胎盤細胞、
    (ii)1つ以上の治療因子、及び
    (iii)1つ以上の細胞外基質成分、
    (iv)(i)、(ii)、(iii)またはそれらの組み合わせ、
    を含み、且つ
    b.冷凍保存剤、
    を含み、ここで、前記冷凍保存された胎盤組織組成物の、それに続く解凍後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、ここで、前記組成物が、機能性免疫原性細胞を大幅に枯渇している、前記冷凍保存された胎盤組織組成物。
  39. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、室温で10分を下回る時間で解凍できる、請求項1から38のいずれか1項に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  40. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、室温で3分を下回る時間で解凍できる、請求項39に記載の冷凍保存された胎盤組成物。
  41. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、室温で1分を下回る時間で解凍できる、請求項40に記載の冷凍保存された胎盤組成物。
  42. 前記1つ以上の組織断片が、約0.01mmから約5mmのサイズである、請求項38に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  43. 前記組織断片が、約0.2mmから約2mmのサイズである、請求項42に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  44. 前記組織断片が、約100μmから約5μmの長さである、請求項38に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  45. 前記細胞の生存率が、冷凍貯蔵された際に、少なくとも24ヶ月間維持される、請求項1から44のいずれか1項に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  46. 前記冷凍保存された胎盤組織組成物が、解凍前に長期間貯蔵される、請求項1から44のいずれか1項に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  47. 前記長期間が、約6ヶ月から約36ヶ月である、請求項1から44のいずれか1項に記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  48. 前記細胞の生存率が、解凍されても実質的に維持されている、請求項46または47のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組織組成物。
  49. 対象者のトンネル状態の傷の治療方法であって、請求項1または38のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組成物を、そのトンネル傷の部位に必要に応じて投与することを含む、前記治療方法。
  50. 対象者の創傷または組織欠損の治療方法であって、請求項1または38のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組成物を必要に応じて投与することを含む、前記治療方法。
  51. 前記投与が、その投与で炎症性サイトカインの量または活性を減らすのに効果的な量である、請求項50に記載の方法。
  52. 前記投与が、その投与で抗炎症性サイトカインの量または活性を増やすのに効果的な量である、請求項50に記載の方法。
  53. 前記投与が、その投与で炎症を抑えるのに効果的な量である、請求項50に記載の方法。
  54. 前記投与が、その投与で血管新生を促進するのに効果的な量である、請求項50に記載の方法。
  55. 前記量が、投与でVEGF発現または活性を増加させるのに効果的である、請求項54に記載の方法。
  56. 前記量が、投与でbFGF発現または活性を増加させるのに効果的である、請求項54に記載の方法。
  57. 前記量が、投与で抗酸化症状を提供するのに効果的である、請求項50に記載の方法。
  58. 前記創傷が、裂傷、擦り傷、火傷、切開、穿刺、発射に起因する傷、表皮の傷、皮膚の傷、慢性の傷、急性の傷、外部の傷、内部の傷、先天性の傷、潰瘍、褥瘡、糖尿病性潰瘍、トンネル傷、外科手術中またはそれに付随して生じた傷、静脈の潰瘍、脊髄損傷、眼の外傷、及び虚血壊死から成る群から選ばれる、請求項50から57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記創傷または組織欠損が、トンネル傷である、請求項50から57のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記創傷または組織欠損が、外科手術によりまたはその間にできた、請求項50から57のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記外科手術が、骨修復手術である、請求項60に記載の前記方法。
  62. 創傷または組織欠損における、血管新生の促進方法であって、請求項1または38のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組成物を、血管新生を促進するのに効果的な量で投与するステップを含む、前記方法。
  63. 前記創傷または組織欠損が、トンネル傷である、請求項62に記載の前記方法。
  64. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、VEGFの発現増加を促進するのに効果的な量で投与される、請求項62に記載の方法。
  65. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、少なくとも投与後14日間でVEGFの発現増加を促進するのに効果的な量で投与される、請求項64に記載の方法。
  66. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、bFGFの発現増加を促進するのに効果的な量で投与される、請求項64に記載の方法。
  67. 瘢痕形成の予防または低減方法であって、請求項1または38のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組成物を、瘢痕形成を予防または低減するのに効果的な量で、必要に応じてその部位に投与することを含む、前記瘢痕形成の予防または低減方法。
  68. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、IFN−2αの発現を増加させるのに効果的な量で、瘢痕形成を低減するのに効果的な量で投与される、請求項67に記載の方法。
  69. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、TGF−β3の発現を増加させるのに効果的な量で投与される、請求項67に記載の方法。
  70. 前記TGF−β3の発現を増加させる量が、瘢痕形成を低減するのに効果的である、請求項67に記載の方法。
  71. 創傷治癒の改善方法であった、請求項1または38のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組成物を必要に応じて投与することを含み、ここで前記冷凍保存された胎盤組成物が、1つ以上の治療因子の発現増加を促進させるのに効果的な量で与えられる、前記創傷治癒の改善方法。
  72. 組織再生の直接または間接的な刺激方法であって、請求項1または38のいずれかに記載の冷凍保存された胎盤組成物を必要に応じて投与することを含み、ここで前記冷凍保存された胎盤組成物が、1つ以上の治療因子の発現増加を促進させるのに効果的な量で与えられる、前記組織再生の直接または間接的な刺激方法。
  73. 創傷における炎症の抑制方法であって、請求項1または38のいずれかに記載の前記冷凍保存された胎盤組成物の、その創傷に効果的な量を投与することを含む、前記創傷における炎症の抑制方法。
  74. 前記冷凍保存された胎盤組成物が、投与でTNF−αの発現または活性を低下させるのに効果的な量で投与される、請求項73に記載の方法。
  75. 必要に応じた、部位でのプロテアーゼ活性の低減方法であって、その部位への投与で前記プロテアーゼ活性を減らすのに効果的な、請求項1または38のいずれかに記載の前記冷凍保存された胎盤組成物の量を投与することを含む、前記部位でのプロテアーゼ活性の低減方法。
  76. 前記部位が、創傷または組織欠損である、請求項75に記載の方法。
  77. 前記量が、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼの活性または放出を阻害若しくは減らす、請求項75に記載の方法。
  78. 皮膚潰瘍の治療法であって、請求項1から48のいずれか1項に記載の前記組成物を、その皮膚潰瘍の治療に効果的な量で投与することを含む、前記皮膚潰瘍の治療法。
  79. 組成物であって、a)請求項1から44のいずれか1項に記載の、解凍された冷凍保存胎盤組織組成物、及びb)キャリアを含む、前記組成物。
  80. 前記キャリアが、生体適合性足場である、請求項79に記載の組成物。
  81. 前記生体適合性足場が、海綿、コラーゲン、自家移植、同種移植、異種移植、セラミック、サンゴ、複合材料、または脱灰骨基質である、請求項80に記載の組成物。
  82. 前記組成物が、外科手術に使用される、請求項79に記載の組成物。
  83. 創傷治療のキットであって、
    a.薬学的に許容される容器に収められた、請求項1から48のいずれか1項における胎盤組織組成物、及び
    b.前記創傷治療のための、前記胎盤組織組成物の投与説明書、
    を含む、前記キット。
  84. 前記胎盤組織組成物がさらに添加物を含む、請求項83に記載のキット。
  85. 前記添加物が、抗生物質、皮膚軟化剤、角質溶解剤、保湿剤、抗酸化物質、防腐剤、治療薬、救急絆創膏、注射器、カテーテル、医療用具、ハサミ、メス、洗面器、接着剤、及びそれらの組み合わせから選ばれる、請求項84に記載のキット。
  86. 前記薬学的に許容される容器が、バイアル瓶、パウチ袋、瓶、袋、試験管及びシリンジである、請求項84に記載のキット。
  87. 胎盤組織組成物の調合プロセスであって、
    a.胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤組織を提供すること、
    b.前記胎盤組織の少なくとも一部分を破壊して、胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤懸濁液を形成すること、
    c.前記胎盤懸濁液を冷凍保存して、冷凍保存された胎盤組織組成物を形成すること、
    のステップを含み、ここで、前記冷凍保存された胎盤組織組成物の冷凍及びそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の約40%を上回る細胞が生存しており、ここで、前記組成物は、機能的免疫原性細胞が枯渇している、前記プロセス。
  88. 前記破壊ステップに先立ち、さらに
    a1.前記胎盤組織を少なくとも1つの酵素で消化して、胎盤細胞及び胎盤組織断片の懸濁液を形成すること、及び
    a2.前記胎盤細胞及び胎盤組織断片を分離すること、
    のステップをさらに含み、ここでステップ(b)において、その破壊ステップが、ステップ(a2)において分離された前記胎盤組織断片を破壊することを含み、次に、ステップ(b)の後のステップ(c)において、ステップ(a2)で分離された前記胎盤細胞と破壊された組織断片を組み合わせて、前記胎盤分散液を形成して成る、請求項87に記載のプロセス。
  89. 胎盤組織組成物の調合プロセスであって、
    a.胎盤細胞、治療因子、及び細胞外基質成分を含む胎盤組織を提供すること、
    b.前記胎盤組織を少なくとも1つの酵素で消化して、胎盤細胞及び細胎盤組織断片の懸濁液を形成すること、
    c.前記胎盤細胞及び前記胎盤組織断片を分離すること、
    d.前記胎盤組織断片を破壊して、胎盤分散液を形成すること、
    e.前記胎盤細胞と前記胎盤分散液を組み合わせて、胎盤組織組成物を形成すること、及び
    f.その胎盤組織組成物を冷凍保存すること、
    のステップを含み、ここで前記冷凍保存された胎盤組織組成物のそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の40%を上回る細胞が生存しており、ここで、前記組成物が、機能的免疫原性細胞を枯渇している、前記プロセス。
  90. 前記冷凍保存のステップが、冷凍保存剤の添加を含む、請求項87から89のいずれか1項に記載のプロセス。
  91. 前記冷凍保存剤が、当該最終組成物の容積に対して、約3%から約100%の量である、請求項90に記載のプロセス。
  92. 前記冷凍保存剤が、当該最終組成物の容積に対して、約3%から約50%の量である、請求項90に記載のプロセス。
  93. 前記冷凍保存剤が、当該最終組成物の容積に対して、約5%から約10%の量である、請求項90に記載のプロセス。
  94. 前記組成物が、a.冷凍保存剤の容積で約5%から約20%、b.血清アルブミンの容積で約5%から約15%、及びc.任意で、薬学的に許容されるキャリアを含む、請求項90に記載のプロセス。
  95. 前記冷凍保存のステップが、a.前記胎盤組成物に、冷凍保存剤を添加し、b.前記胎盤組成物を、約2℃から約8℃の温度で、約2分から約240分間静置し、及びc.前記胎盤組成物を、約−20℃から約−196℃の温度で冷凍することを含む、請求項87から94のいずれか1項に記載のプロセス。
  96. ステップが、前記胎盤組成物に血清アルブミンを添加することをさらに含む、請求項90に記載のプロセス。
  97. 前記機能性免疫原性細胞が、母体血液細胞、新生児血液細胞、マクロファージ、栄養膜から選択される、請求項87から96のいずれか1項に記載のプロセス。
  98. 前記免疫原性細胞の枯渇量が、免疫応答を産生するのに十分な量を下回って、少なくとも1つの免疫原性因子を産生する、請求項87から96のいずれか1項に記載のプロセス。
  99. 前記少なくとも1つの免疫原性因子が、検出限界を下回った量で産生される、請求項98に記載のプロセス。
  100. 前記少なくとも1つの免疫原性因子が、350pg/cm以下の量のTNF−αである、請求項98に記載のプロセス。
  101. 前記胎盤組織が、ミンチ化により破壊される、請求項87に記載のプロセス。
  102. ミンチ化が、ハーブミンチ器またはメッザルーナによる、請求項100に記載のプロセス。
  103. 前記胎盤組織が、均質化により破壊される、請求項87に記載のプロセス。
  104. 前記胎盤組織が、栄養膜が枯渇した絨毛膜である、請求項87に記載のプロセス。
  105. 前記胎盤組織が、シリンジを通り抜けるのに十分に小さい組織断片部にミンチ化される、請求項101に記載のプロセス。
  106. 前記組成物中の生存細胞量が、少なくとも1,000/mLである、請求項87から105のいずれか1項に記載のプロセス。
  107. 前記組成物中の生存細胞量が、少なくとも10,000/mLである、請求項87から106のいずれか1項に記載のプロセス。
  108. 前記胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の50%を上回る細胞が生存している、請求項87から107のいずれか1項に記載のプロセス。
  109. 前記胎盤組織組成物の冷凍保存及びそれに続く解凍後に、その胎盤細胞の70%を上回る細胞が生存している、請求項87から107のいずれか1項に記載のプロセス。
  110. 先行請求項87から109のいずれか1項に記載の前記プロセスによりつくられる産物。
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