JP2017512669A - 多層ポリオレフィンフィルム、それらの製造の方法、及びそれらを含む物品 - Google Patents

多層ポリオレフィンフィルム、それらの製造の方法、及びそれらを含む物品 Download PDF

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Abstract

本明細書において、各外層がポリエチレンを含む、2つの外層と、各接合層が、結晶性ブロック複合体を含み、各接合層が、互いに対向する第1の面及び第2の面を有し、各接合層の第1の面が、少なくとも1つの外層と接触する、2つの接合層と、ポリプロピレンを含むコア層であって、各接合層の第2の面が、コア層と接触し、多層フィルムの総厚の50%超である厚さを有する、コア層と、を備える多層フィルムが開示される。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる、2014年2月19日出願の米国非仮出願第14/183,949号に対する優先権を主張する。
本開示は、多層ポリオレフィンフィルム、それらの製造の方法、及びそれらを含む物品に関する。
チューブ積層体(「ラミチューブ」としても知られている)は、歯磨き粉チューブ、化粧品、及び粘性の食品製品等の包装のために広く使用されている。典型的なラミチューブ構造12が、図1に示され、外フィルム2、接着フィルム4、アルミニウムフィルム6、接着フィルム8、及び内フィルム10からなる。多層ポリオレフィンフィルムは、多くの場合、外フィルム及び内フィルムとして使用される。内フィルムが気密封止、良好な剛性/靭性のバランス、ならびに最小限の異味及び悪臭をもたらすことが望ましいのに対し、外フィルムは高い剛性及び光学特性を示すことが望ましい。
そのような積層体において使用されるフィルムの厚さを低減することによって、包装費用を削減することに対する絶え間ない欲求が存在する。しかしながら、これは、ラミチューブの不十分な剛性及びラミチューブが跳ね返る能力の喪失をもたらし、これは、消費者に受け入れられない。剛性の喪失を補うために、より高い密度のポリエチレン等級を組み込むことは、不十分な環境応力亀裂抵抗及びヘイズの望ましくない増加をもたらす。
したがって、ラミチューブが跳ね返ることを可能にする有効な剛性を有すると同時に、不可欠な環境応力亀裂抵抗及び透明性を有するラミチューブを使用することが望ましい。
本明細書において、各外層がポリエチレンを含む、2つの外層と、各接合層が、結晶性ブロック複合体を含み、各接合層が、互いに対向する第1の面及び第2の面を有し、各接合層の第1の面が、少なくとも1つの外層と接触する、2つの接合層と、ポリプロピレンを含むコア層であって、各接合層の第2の面が、コア層と接触し、多層フィルムの総厚の50%超である厚さを有する、コア層と、を備える多層フィルムが開示される。
本明細書において、各外層がポリエチレンを含む、2つの外層と、各接合層が、結晶性ブロック複合体を含み、各接合層が、互いに対向する第1の面及び第2の面を有し、各接合層の第1の面が、少なくとも1つの外層と接触する、2つの接合層と、ポリプロピレンを含むコア層であって、各接合層の第2の面が、コア層と接触し、多層フィルムの総厚の50%超である厚さを有する、コア層と、を備える多層フィルムを共押出しすることと、多層フィルムをブロー成形することと、を含む、方法も開示される。
従来技術のチューブの描写である。 多層フィルムの例となる実施形態を描写している。 共押出しされたか、または一緒に積層された図2の2つの多層フィルムを含む、多層フィルムの例となる実施形態を描写している。
「組成物」及び類似の用語は、他のポリマーとブレンドされているか、または添加剤、充填剤等を含有するポリマー等の2つ以上の材料の混合物を意味する。組成物には、予備反応、反応、及び反応後の混合物が含まれ、これらの後者には、反応生成物及び副生成物、ならびに予備反応または反応混合物の1つ以上の構成成分から形成される、反応混合物及び存在する場合は分解生成物の未反応構成成分が含まれる。
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、及び類似の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和し得るか、またはし得ない。そのようなブレンドは、相分離し得るか、またはし得ない。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当分野で既知の任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有し得るか、し得ない。ブレンドは、積層体ではないが、積層体の1つ以上の層が、ブレンドを含有し得る。
「ポリマー」は、同じ種類か、または異なる種類かに関わらず、モノマーを重合することによって調製された化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すのに通常使用される、ホモポリマーという用語、及び以下で定義されるインターポリマーという用語を包含する。これは、例えば、ランダム、ブロック等のすべての形態のインターポリマーも包含する。「エチレン/α−オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α−オレフィンポリマー」という用語は、以下に記載されるインターポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、モノマー「から作製」されている、特定のモノマーまたはモノマーの種類「に基づいている」、特定のモノマー含有量を「含有する」等として示されるが、これは、特定のモノマーの重合残余を指すものであって、未重合種を指すものではないことが明確に理解されることが留意される。
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーを重合することにより調製されるポリマーを意味する。この総称には、2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマーが含まれ、例えば、ターポリマー、テトラポリマー等の3つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーが含まれる。
「ポリオレフィン」、「ポリオレフィンポリマー」、「ポリオレフィン樹脂」及び類似の用語は、モノマーとしての単純オレフィン(一般式、C2nを有するアルケンと呼ばれる)から生成されるポリマーを意味する。ポリエチレンは、1つ以上のコモノマーでか、またはそれなしでエチレンを重合することにより生成され、ポリプロピレンは、1つ以上のコモノマーでか、またはそれなしでプロピレンを重合することにより生成される。したがって、ポリオレフィンには、エチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー等のインターポリマーが含まれる。
本明細書で使用される場合、「溶融点」(プロットされたDSC曲線の形状に関して溶融ピークとも称される)は、米国特許第5,783,638号に記載されるように、「溶融点」(プロットされたDSC曲線の形に関して溶融ピークとも言及される)は典型的に、ポリオレフィンの溶融点またはピークを測定するためのDSC(示差走査熱量測定)技法により測定される。2つ以上のポリオレフィンを含む多くのブレンドが、2つ以上の溶融点またはピークを有し、多くの個別のポリオレフィンが、たった1つの溶融点またはピークを含むことに留意されたい。
「及び/または」という用語には、「及び」及び「または」の両方が含まれる。例えば、A及び/またはBという用語は、A、B、またはA及びBを意味すると解釈される。
複数の層を含み、歯磨き粉チューブ、化粧品を含むチューブ、及び粘性の食品製品を含むチューブに使用されるもの等の積層チューブに使用することができる多層フィルムが本明細書において開示される。多層フィルムは、少なくとも5つの層、すなわち、ポリエチレンを含む第1の層または外層、結晶性ブロック複合体を含む接合層である第2の層、ポリプロピレンを含む第3の層(コア層とも呼ばれる)、第4の層(これもまた、結晶性ブロック複合体を含む接合層である)、及びポリエチレンを含む第5の層(これもまた第1の層と対向して設置される外層)を含む。ある実施形態において、プロピレンのコア層をポリエチレン外層に接着する接合層の使用と併せたポリプロピレンを含むコア層の存在は、チューブが跳ね返ることを可能にする有効な剛性を有すると同時に、不可欠な環境応力亀裂抵抗及び透明性を有するラミチューブを生成する。別の実施形態において、コア層は、多層フィルムの総厚の50〜70%である厚さを有し、これが、ラミチューブが使用中に変形された際、ラミチューブが跳ね返るのを可能にする不可欠な厚さを有する多層フィルムを提供する。
図2は、ラミチューブを製造するために使用され得る多層フィルム100を描写している。多層フィルム100は、第1の層または外層102、第2の層または接合層104、第3の層またはコア層106、接合層108、及び第5の層110を備える。一実施形態において、多層フィルム100は、フィルムの長さを通って引かれた中心線を中心として対称的な構造を有する。図2が単一の5層多層フィルムを描写する一方で、フィルムの商業的実施形態には、複数の5層多層フィルムが含まれ得る。例えば、単一の多層フィルムは、互いが接触する2個以上の5層多層フィルムを含み得る。一実施形態において、単一の多層フィルムは、互いが接触する2〜10個の5層多層フィルム、具体的には2〜8個の多層フィルム、より具体的には2〜5個の多層フィルムを有し得る。ある例となる実施形態において、複数の多層フィルムは、共押出しされる。別の例となる実施形態において、複数の多層フィルムは、接着層を使用して一緒に接着される。
図2に見ることができるように、第1の層102及び第5の層110は、多層フィルムの対向する端に設置され、ポリエチレンを含む外層または表皮層である。以下の説明は、第1の層102及び総じて外層としての第5の層110に言及する。ポリエチレンは、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、高溶融強度高密度ポリエチレン(HMS−HDPE)、超高密度ポリエチレン(UHDPE)、及びそれらの組み合わせから選択される。さらなる実施形態において、ポリエチレンは、0.950g/cc超の密度を有する(すなわち、HDPE)。組み合わせには、ブレンド、コポリマー、及びコポリマーのブレンドが含まれ得る。ある例となる実施形態において、外層に使用されるポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、またはそれらの組み合わせである。外層が、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む場合、これらは、任意選択的にLDPE及び/またはHDPEも含有し得る。
ある例となる実施形態において、外層102及び110は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。LLDPEは、コポリマーの密度をLDPEの密度に低減させるのに十分なα−オレフィン含有量を有するエチレンと、3〜12個の炭素原子、具体的には4〜8個炭素原子(例えば、プロペン、1ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1オクテン、1−デセン等)を有するα−オレフィンとのコポリマー(インターポリマーとも称される)である。「LLDPE」という用語には、従来のチーグラーナッタ触媒系及びメタロセン(時折、「m−LLDPE」と称される)等のシングルサイト触媒を使用して製造される樹脂の両方を含む。LLDPEは、LDPEよりも短い分岐鎖を含有し、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第5,582,923号、及び同第5,733,155号にさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、同第3,645,992号のもの等の均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、同第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたもの等の不均質に分岐したエチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(例えば、同第3,914,342号または同第5,854,045号に開示されるもの)が含まれる。LLDPEは、気相重合、溶液相重合、スラリー重合、またはそれらの組み合わせ等の、任意のプロセスによって作製することができる。
一実施形態において、外層102及び100に使用されるLLDPEは、190℃及び2.16kgでASTM D1238に従って測定して、0.25〜2.5g/10分のメルトインデックスIを有する直鎖状低密度ポリエチレンを含む。外層102及び110での使用のための例となるLLDPEは、ELITE(商標)5100であり、これは、(190℃及び2.16kgでASTM D1238に従って測定して)0.85g/10分のメルトインデックス、(ASTM D792に従って測定して)0.920g/ccの密度、Mw/Mn=3.45及び1モル当たりMw=130,300グラムの多分散性指数(PDI)を有するエチレン−オクテンコポリマーであり、The Dow Chemical Companyから市販されている。外層102及び110に使用され得る他の例となるLLDPEは、DOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂、ELITE(商標)及びELITE AT(商標)品質改良ポリエチレン樹脂(すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能)、ならびにExceed(商標)メタロセンポリエチレン(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能)等の、直鎖状エチレン系ポリマーである。
外層における使用のための別の例となるポリエチレンは、均質に分岐したエチレン−α−オレフィンコポリマーである。これらのコポリマーは、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒または拘束幾何触媒で作製することができ、一般に105未満、具体的には90未満、より具体的には85未満、さらにより具体的には80未満、さらに一層より具体的には75℃未満の溶融点を有する。溶融点は、例えば、米国特許第5,783,638号に記載される示差走査熱量測定(DSC)により測定される。α−オレフィンは、好ましくは、C3−20直鎖状、分岐鎖状、または環状α−オレフィンである。C3−20α−オレフィンの例には、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンは、シクロヘキサンまたはシクロペンタン等の環状構造も含有し得、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサン等のα−オレフィンをもたらす。
例示的な均質に分岐したエチレン−α−オレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン等が挙げられる。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、及びエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。コポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。
外層102及び110において有用な市販されている均質に分岐したエチレン−α−オレフィンインターポリマーの例には、均質に分岐した直鎖状エチレン−α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company Limited製のTAFMER(登録商標)及びExxon Chemical Company製のEXACT(登録商標))、ならびに均質に分岐した実質的に直鎖状のエチレン−α−オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)ポリエチレン)が挙げられる。これらのインターポリマーの任意のブレンドは、外層102及び110にも使用することができる。例となるブレンドは、The Dow Chemical Companyから市販されているAFFINITY PL1880Gである。
低密度ポリエチレン(LDPE)は、外層102及び110にも使用され得る。「LDPE」という用語は、「高圧エチレンポリマー」または「高度分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーがオートクレーブまたは管状反応器で過酸化物等のフリーラジカル開始剤の使用を用いて14,500psi(100MPa)超の圧力で、部分的にか、または完全に単独重合または共重合されていることを意味すると定義される。LDPE及びLDPEの製造の方法は、米国特許第4,599,392号に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
外層102及び110における使用のための好適なLDPEは、0.915〜0.930g/cmの範囲の密度、及び0.0.1〜2.5g/10分、好ましくは1g/10分以下のメルトインデックスを有する。
高密度ポリエチレン(HDPE)は、外層102及び110にも使用することができる。「HDPE」という用語は、約0.940g/cm超の密度を有するポリエチレンを指し、これは、一般的にチーグラーナッタ触媒、クロム触媒、またはさらにはメタロセン触媒で調製される。HDPEは、0.4〜2.5g/10分のメルトインデックスを有する。
一実施形態において、外層102及び110は、LLDPE及びLDPE、LLDPE及びHDPE、またはLLDPEとLDPE及びHDPEとの組み合わせのブレンドを含み得る。外層がLLDPEとLDPE及び/またはHDPEとを含む場合、LLDPEは、外層の総重量に基づいて25〜95重量%、具体的には40〜90重量%の量で使用される。LDPE及び/またはHDPEは、外層の総重量に基づいて5〜75重量%、具体的には10〜60重量%の量で使用され得る。
外層102及び110の各々は、多層フィルム100の総厚の5〜29%、具体的には10〜25%、より具体的には15〜25%の厚さを有する。
接合層104及び108は、第3の層106の対向する側上に設置される。図2に関して、各接合層104及び108は、接合層の対向する側上にある第1の面及び第2の面を有する。接合層104は、外層102と接触する第1の面103及びコア層106と接触する(第1の面103と対向して設置される)第2の面105を有する。接合層108は、外層110と接触する第1の面109及びコア層106と接触する(第1の面109と対向して設置される)第2の面107を有する。接合層104及び108は、コア層106に外層102及び110それぞれを接着するように作用する。
接合層104及び108は、各々、結晶性ブロック複合体を含む。結晶性ブロック複合体に加えて、接合層104及び108は、エチレン−α−オレフィンコポリマーまたはポリプロピレン及びポリエチレンを含むポリオレフィンのいずれかを任意選択的に含み得る。
接合層の各々は、結晶性ブロック複合体(CBC)を含み、本明細書において結晶性ブロック複合体とも称される。「結晶性ブロック複合体」(CBC)という用語は、次の3つの構成成分:結晶性エチレン系ポリマー(CEP)(本明細書において軟質ポリマーとも称される)、結晶性アルファ−オレフィン系ポリマー(CAOP)(本明細書において硬質ポリマーとも称される)、ならびに結晶性エチレンブロック(CEB)及び結晶性アルファ−オレフィンブロック(CAOB)を含むブロックコポリマーを有するポリマーを指し、ブロックコポリマーのCEBは、ブロック複合体中のCEPと同じ複合体であり、ブロックコポリマーのCAOBは、ブロック複合体のCAOPと同じ複合体である。さらに、CEPの量とCAOPの量との間の組成分割は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分割と本質的に同じになる。連続プロセスで生成される場合、結晶性ブロック複合体は、望ましくは1.7〜15、具体的には1.8〜10、具体的には1.8〜5、より具体的には1.8〜3.5の多分散性指数(PDI)を有する。そのような結晶性ブロック複合体は、例えば、米国特許申請公開第2011/0313106号、同第2011/0313108号、及び同第2011/0313108号(すべて2011年12月22日公開)に、結晶性ブロック複合体、これらを作製するためのプロセス、及びこれらを分析する方法の説明に関して記載され、本明細書に参照により組み込まれる。
CAOBは、モノマーが重合アルファオレフィン単位の高結晶性ブロック中に、90mol%超、具体的には93mol%超、より具体的には95mol%超、具体的には96mol%超の量で存在する、重合したアルファオレフィン単位の高結晶性ブロックを指す。換言すると、CAOB中のコモノマー含有量は、10mol%未満、具体的には7mol%未満、より具体的には5mol%未満、最も具体的には4mol%未満である。プロピレン結晶性を有するCAOBは、80℃以上、具体的には100℃以上、より具体的には115℃以上、最も具体的には120℃以上である対応する溶融点を有する。いくつかの実施形態において、CAOBは、すべてのまたは実質的にすべてのプロピレン単位を含む。一方で、CEBは、コモノマー含有量が重合したエチレン単位のブロック中に、10mol%以下、具体的には0〜10mol%、より具体的には0〜7mol%、最も具体的には0〜5mol%である重合したエチレン単位のブロックを指す。そのようなCEBは、具体的には75℃以上、より具体的には90℃、及び100℃以上である対応する溶融点を有する。
一実施形態において、結晶性ブロック複合体ポリマーは、プロピレン、1−ブテン、または4−メチル−1−ペンテン、及び1つ以上のコモノマーを含む。具体的には、ブロック複合体は、重合した形態でプロピレン及びエチレン及び/もしくは1つ以上のC4−20α−オレフィンコモノマー、ならびに/または1つ以上の追加の共重合性コモノマーを含むか、あるいはこれらは、4−メチル−1−ペンテン及びエチレン及び/または1つ以上のC4−20α−オレフィンコモノマーを含むか、あるいはこれらは、1−ブテン及びエチレン、プロピレン及び/または1つ以上のC−C20α−オレフィンコモノマー及び/または1つ以上の追加の共重合性コモノマーを含む。追加の好適なコモノマーは、ジオレフィン、環状オレフィン及び環状ジオレフィン、ハロゲン化ビニル化合物、ならびにビニリデン芳香族化合物から選択される。好ましくは、モノマーはプロピレンであり、コモノマーはエチレンである。
結晶性ブロック複合体ポリマー中のコモノマー含有量は、好適な技法を使用して測定され得、核磁気共鳴(NMR)分光法に基づく技法が望ましい。
ブロック複合体及び結晶性ブロック複合体は、100℃超、具体的には120℃超、より具体的には125℃超の溶融点Tmを有する。ある実施形態において、Tmは、100℃〜250℃、より具体的には120℃〜220℃の範囲であり、具体的には125℃〜220℃の範囲でもある。具体的には、ブロック複合体及び結晶性ブロック複合体のメルトフロー比(MFR)は、0.1〜1000dg/分、より具体的には0.1〜50dg/分、より具体的には0.1〜30dg/分である。
ある実施形態において、ブロック複合体及び結晶性ブロック複合体は、1モル当たり10,000〜約2,500,000グラム(g/モル)、具体的には35,000〜約1,000,000、より具体的には50,000〜約300,000、具体的には50,000〜約200,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
結晶性ブロック複合体ポリマーは、0.5〜95重量%の軟質コポリマー、0.5〜95重量%の硬質ポリマー、及び5〜99重量%のブロックコポリマーを含む。より具体的には、結晶性ブロック複合体ポリマーは、0.5〜79重量%の軟質コポリマー、0.5〜79重量%の硬質ポリマー、及び20〜99重量%のブロックコポリマー、より具体的には0.5〜49重量%の軟質コポリマー、0.5〜49重量%の硬質ポリマー、及び50〜99重量%のブロックコポリマーを含む。重量パーセントは、結晶性ブロック複合体の総重量に基づく。軟質コポリマー、硬質ポリマー、及びブロックコポリマーの重量パーセントの合計は、100%に等しい。
ある実施形態において、結晶性ブロック複合体ポリマーは、0.5〜95重量%のCEP、0.5〜95重量%のCAOP、及び5〜99重量%のブロックコポリマーを含む。より具体的には、結晶性ブロック複合体ポリマーは、0.5〜79重量%のCEP、0.5〜79重量%のCAOP、及び20〜99重量%のブロックコポリマー、より具体的には0.5〜49重量%のCEP、0.5〜49重量%のCAOP、及び50〜99重量%のブロックコポリマーを含む。重量パーセントは、結晶性ブロック複合体の総重量に基づく。CEP、CAOP、及びブロックコポリマーの重量パーセントの合計は、100%に等しい。
ある実施形態において、結晶性ブロック複合体のブロックコポリマーは、5〜95重量%の結晶性エチレンブロック(CEB)及び95〜5重量%の結晶性アルファ−オレフィンブロック(CAOB)を含む。それらは、10〜90重量%のCEB及び90〜10重量%のCAOBを含み得る。より具体的には、ブロックコポリマーは、25〜75重量%のCEB及び75〜25重量%のCAOBを含み、さらにより具体的には30〜70重量%のCEB及び70〜30重量%のCAOBを含む。
いくつかの実施形態において、結晶性ブロック複合体は、0超〜約0.4未満、または0.1〜0.3である結晶性ブロック複合体指数(CBCI)を有する。他の実施形態において、CBCIは、0.4超〜最大1.0である。いくつかの実施形態において、CBCIは、0.1〜0.9、約0.1〜約0.8、約0.1〜約0.7、または約0.1〜約0.6である。さらに、CBCIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、または約0.6〜約0.9の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、CBCIは、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、または約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、または約0.3〜約0.4の範囲である。他の実施形態において、CBCIは、約0.4〜最大約1.0、約0.5〜最大約1.0、または約0.6〜最大約1.0、約0.7〜最大約1.0、約0.8〜最大約1.0、または約0.9〜最大約1.0の範囲である。
接合層104及び108は、結晶性ブロック複合体(CBC)に加えて、任意のエラストマー及び/または任意のポリプロピレンもしくはポリエチレンも含み得る。任意のエラストマーは、(既に上で詳述の)エチレン−α−オレフィンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー(例えば、プロピレン系エラストマー)、ビニル芳香族ブロックコポリマー等、または前述のエラストマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせでもよい。
ポリオレフィンエラストマーは、ランダムまたはブロックプロピレンポリマー(すなわち、ポリプロピレン)も含み得る。ランダムポリプロピレンエラストマーは、典型的にプロピレンに由来する90モルパーセント以上の単位を含む。プロピレンコポリマー中の単位の残部は、少なくとも1つのα−オレフィンの単位から由来する。
プロピレンコポリマーのα−オレフィン構成成分は、好ましくは(本発明の目的上、α−オレフィンとみなされる)エチレンまたはC4−20直鎖状、分岐状、もしくは環状α−オレフィンである。C4−20α−オレフィンの例には、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンは、シクロヘキサンまたはシクロペンタン等の環状構造も含有し得、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサン等のα−オレフィンを生じる。用語の典型的な意味におけるα−オレフィンではないが、ノルボルネン及び関連オレフィン、特に5−エチリデン−2−ノルボルネン等の特定の環状オレフィンは、α−オレフィンであり、上述のα−オレフィンのうちのいくつかまたはすべての代わりに使用され得る。同様に、スチレン及びその関連オレフィン(例えば、α−メチルスチレン等)は、本発明の目的上α−オレフィンである。例示的なランダムプロピレンコポリマーには、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/1−オクテン等が含まれるが、これらに限定されない。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/1−ブテン、及びエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)が含まれる。
一実施形態において、ランダムポリプロピレンコポリマーは、120℃超のT及び/または70J/g超の融解熱を有し(共にDSCにより測定される)、好ましくは、必須ではないがチーグラーナッタ触媒作用を介して作製される。
別の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン−α−オレフィンインターポリマーであり、実質的にアイソタクチックプロピレン配列を有することを特徴とする。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーには、プロピレン系エラストマー(PBE)が含まれる。「実質的にアイソタクチックプロピレン配列」は、配列が、13C NMRにより測定される0.85超、代替例において0.90超、別の代替例において0.92超、別の代替例において0.93超のアイソタクチックトライアッド(mm)を有することを意味する。例えば、米国特許第5,504,172号及び国際公開第WO00/01745号に記載され、これは、13C NMRスペクトルにより決定されるコポリマー分子鎖でのトライアッド単位の観点からアイソタクチック配列を指す。
プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、プロピレン由来の単位及び1つ以上のα−オレフィンコモノマー由来のポリマー単位を含む。プロピレン−α−オレフィンコポリマーを製造するために利用される例となるコモノマーは、C及びC〜C10α−オレフィン、例えば、C、C、C、及びCα−オレフィンである。
プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、1〜40重量%の1つ以上のアルファ−オレフィンコモノマーを含む。1〜40重量%の全ての個々の値及び部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示される。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、(230℃/2.16Kgで)ASTM D−1238に従って測定される10分当たり0.1〜500グラム(g/10分)の範囲のメルトフローレートを有し得る。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1重量%(少なくとも2ジュール/グラム(J/g)の融解熱(H))〜30重量%(50J/g未満のH)の範囲の結晶化度を有する。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは典型的に、0.895g/cm未満の密度を有する。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、米国特許第7,199,203号に記載されるように、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、120℃未満の融解温度(T)及び1グラム当たり70ジュール(J/g)未満の融解熱(H)を有する。プロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、3.5以下、または3.0以下、または1.8〜3.0の数平均分子量(Mw/Mn)で除した重量平均分子量として定義される分子重量分布(MWD)を有する。
そのようなプロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号にさらに記載され、その全内容が、本明細書に参照により組み込まれる。そのようなプロピレン−α−オレフィンインターポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商品名、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商品名で市販されている
ビニル芳香族ブロックコポリマーという用語は、少なくとも1つの飽和または不飽和エラストマーモノマーセグメントと組み合わせてビニル芳香族モノマーの少なくとも1つのブロックセグメントを有し、より好ましくはエラストマー芳香族またはビニル芳香族のいずれでもないポリマーのブロックを有さないポリマーを意味する。ビニル芳香族ブロックコポリマーの例は、「スチレンブロックコポリマーまたはスチレン系ブロックコポリマー」である。「スチレンブロックコポリマー」または「スチレン系ブロックコポリマー」という用語は、少なくとも1つの飽和または不飽和エラストマー(ゴム)モノマーセグメントと組み合わせてスチレン系モノマーの少なくとも1つのブロックセグメントを有し、より好ましくはゴムまたはスチレン系のいずれでもないポリマーのブロックを有さないポリマーを意味する。不飽和ゴムモノマー単位を有する好適なスチレンブロックコポリマーには、スチレン−ブタジエン(SB)、スチレン−イソプレン(SI)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、α−メチルスチレン−ブタジエン−α−メチルスチレン、α−メチルスチレン−イソプレン−α−メチルスチレン等が含まれる。
「スチレンブタジエンブロックコポリマー」という用語は、本明細書で、SB、SBS、ならびにスチレン(S)及びブタジエン(B)のより大きな数のブロックを含めて使用される。同様に、「スチレンイソプレンブロックコポリマー」という用語は、スチレン及びイソプレン(I)のうちの1つの少なくとも1つのブロックを有するポリマーを含めて使用される。スチレンブロックコポリマーの構造は、直鎖状または放射状型、及びジブロック、トリブロック以上のブロック型であり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも4つの異なるブロックまたは一対の2つの繰り返しブロック、例えば、繰り返しスチレン/ブタジエンまたはスチレン/エチレンプロピレンブロックを有するスチレン系ブロックコポリマーが、望ましい。スチレンブロックコポリマーは、Dexco PolymersからVECTOR(登録商標)の商標で、KRATON PolymersからKRATON(商標)の商標で、Chevron Phillips Chemical Co.からSOLPRENE(商標)及びK−Resinの商標で、及びBASF Corp.からSTYROLUX(商標)の販売名で市販されているスチレンブロックコポリマーは、単独でか、または2つ以上の組み合わせで任意選択的に使用される。
ブロックコポリマーのスチレン部分は好ましくは、α−メチルスチレン及び環置換されたスチレン、特に環メチル化スチレンを含む、スチレンまたはその類似物またはその相同体のポリマーまたはインターポリマーである。好ましいスチレン系は、スチレン及びα−メチルスチレンであり、スチレンが特に望ましい。
スチレン系ブロックコポリマーのエラストマー部分は、任意選択的に不飽和または飽和のいずれかである。不飽和エラストマーモノマー単位を有するブロックコポリマーは、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー及び少量のスチレン系モノマーを有するこれら2つのジエンのうちの1つのまたはそれらの両方のコポリマーを含み得る。使用されるモノマーがブタジエンの場合、ブタジエンポリマーブロック中の約35〜約55モルパーセントの凝縮ブタジエン単位が、1,2−構成を有することが、好ましい。そのようなブロックが水素化されるとき、得られる生成物は、エチレン及び1−ブテン(EB)の規則性コポリマーブロックであるか、またはそれに類似する。使用される共役ジエンが、イソプレンの場合、得られる水素化生成物は、エチレン及びプロピレン(EP)の規則性コポリマーブロックであるか、またはそれに類似する。好ましいブロックコポリマーは、不飽和エラストマーモノマー単位を有し、より好ましくは、スチレン系単位の少なくとも1つのセグメント及びブタジエンまたはイソプレンの少なくとも1つのセグメントを含み、SBS及びSISが最も望ましい。これらの中でもとりわけ、SISは、組成物中でポリプロピレンを他のポリマーと相溶させるのに特に有効であることが見出されたため、好ましい。さらにSISは、SBSと比較して、製造中にゲルを形成する架橋の傾向が低いため、好ましい。スチレンブタジエンブロックコポリマーのより高い透明度及びより低いヘイズが有益であるときにフィルムの製造に流延テンタラインが使用される場合、スチレンブタジエンブロックコポリマーが、代替的に好ましい。
エラストマースチレンブロックコポリマーは、靱性、及びブロックコポリマーの不在下で得られるよりも低い剛性を提供する。エラストマーの挙動は、ASTM D412及び/またはASTM D882の手順によって測定して、有利に少なくとも約200、具体的には少なくとも約220、より具体的には少なくとも約240、最も具体的には少なくとも約260、具体的には最高約2000、より具体的には最高約1700、最も具体的には最高約1500パーセントの引張破断伸長率の特性により示される。産業的に、この種類の大部分のポリマーは10〜80重量%のスチレンを含有する。ポリマーの特定の種類及びポリマーの形態の範囲内において、スチレン含有量が増加するにつれ、ブロックコポリマーのエラストマー的性質が低下する。
ブロックコポリマーは望ましくは、10分当たり少なくとも約2、具体的には少なくとも約4グラム(g/10分)、具体的には20g/10分、より具体的には30g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。ASTM法D1238の条件Gに従った測定MFR。
好適なスチレン系ブロックコポリマーには、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(「SIS」)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(「SBS」)、スチレン−エチレン−プロピレンブロックコポリマー(「SEP」)、及びスチレン−(エチレンブチレン)−スチレンブロックコポリマー(「SEBS」)等の水素化スチレン系ブロックコポリマー(例えば、Kraton Polymers LLCからKRATON(商標)1657の販売名で市販されているSEBS)が挙げられる。好ましくは、接合層で使用されるスチレン系ブロックコポリマーはSBSである。
一実施形態において、スチレンブタジエンブロックコポリマーは、コアにポリブタジエン及びアームの先端にポリスチレンを有する放射状または星型のブロック構成を有する。そのようなポリマーは、本明細書において星型スチレンブタジエンブロックコポリマーと称され、当業者が備えている技能の範囲内であり、Chevron Phillips Chemical Co.からK−Resinの販売名で市販されている。これらのポリマーは、星型ブロックの形態で約27%以上のブタジエンを含有し、多くの場合ポリスチレンの双峰分子重量分布を特徴付ける。内部ポリブタジエンセグメントが、ほぼ同じ分子量のものである一方で、外部ポリスチレンセグメントは異なる分子量のものである。この特徴は、改善された透明度を得るためのポリブタジエンセグメントの厚さの制御を容易にする。高透明度のために、ポリブタジエンセグメントの厚さは、好ましくは可視スペクトルの波長の約1/10以下である。
エチレン−α−オレフィンコポリマーは、ポリエチレンを有すると上述されており、再度詳述されることはない。ポリプロピレンは、コア層106に関連して以下に詳述される。
CBCは、接合層に100重量%の量で使用され得る。接合層104及び108が結晶性ブロック複合体(CBC)ならびに任意のエラストマー及び/または任意のポリプロピレンもしくはポリエチレンを含むとき、CBCは、接合層104及び108の総重量に基づいて10〜90重量%、具体的には20〜80重量%、より具体的には30〜70重量%の量で使用され得る。エラストマーが使用される場合、エラストマーは、接合層104及び108の総重量に基づいて最大50重量%、具体的には5〜45重量%の量で存在する。ポリプロピレン及び/またはポリエチレンが接合層に使用される場合、これらは、接合層104及び108の総重量に基づいて最大50重量%、具体的には5〜45重量%の量で、単独、または組み合わせてのいずれかで使用され得る。
接合層104及び108は各々、多層フィルムの総厚の1〜20%、具体的には2〜10%、具体的には3〜8%、より具体的には4〜6%の厚さを有する。
コア層106は、ポリプロピレンを含む。コア層106は、プロピレンに加えて任意選択的にエラストマー及びポリエチレンも含み得る。ポリプロピレンは、ランダムコポリマーポリプロピレン(rcPP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(hPP+少なくとも1つのエラストマー耐衝撃性改良剤)(ICPP)もしくは高インパクトポリプロピレン(HIPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、または前述のポリプロピレンのうちの少なくとも1つを含む組み合わせから選択される。
ポリプロピレンは概して、ホモポリマーポリプロピレンのアイソタクチック形態であるが、ポリプロピレンの他の形態(例えば、シンジオタクチックまたはアタクチック)も使用され得る。ポリプロピレンインパクトコポリマー(例えば、エチレンをプロピレンと反応させる二次共重合ステップが使用されるもの)及びランダムコポリマー(やはり反応器改質であり、プロピレンと共重合した1.5〜7%のエチレンを通常含有する)が、本明細書で開示されるTPO配合物中に使用され得る。種々のポリプロピレンポリマーの完全な考察は、Modern Plastics Encyclopedia/89,mid October 1988 Issue,Volume 65,Number 11,pp.86−92に含まれ、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる。本発明において使用するためのポリプロピレンの分子量、したがってメルトフローレートは、用途によって異なる。本明細書において有用なポリプロピレンのメルトフローレートは、一般に約0.1グラム/10分(g/10分、230℃及び2.16kgでASTM D1238に従って測定して)〜約100g/10分、具体的には0.5g/10分〜約80g/10分、具体的には4g/10分〜約70g/10分である。プロピレンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーでもよいか、またはプロピレンポリマーは、ランダムコポリマーまたはさらには(ゴム相をすでに含有している)インパクトコポリマーでもよい。そのようなプロピレンポリマーには、VISTAMAX(Exxon Mobil製)、VERSIFY(The Dow Chemical Co.製)、INSPIRE(Braskem製)、及びPROFAX(Lyondell製)が挙げられる。
コア層106は、コア層106の総重量に基づいて40〜100重量%、具体的には50〜90重量%の量のポリプロピレンを含有し得る。
コア層106は、コアの総重量に基づいて最大40重量%、具体的には10〜35重量%の量のエラストマーを任意選択的に含有し得る。エラストマーは、上で詳述されるとおり、(既に上で詳述の)エチレン−α−オレフィンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー(例えば、プロピレン系エラストマー)、ビニル芳香族ブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせでもよい。コア層は、コアの総重量に基づいて最大40重量%、具体的には10〜35重量%の量のポリエチレンを含有し得る。ポリエチレンは、上述されており、再度ここで詳述されることはない。
コア層106は、多層フィルム100の総厚に基づいて、30〜80%、具体的には40〜70%、より具体的には50〜70%の厚さを有する。ある例となる実施形態において、コア層は、多層フィルムの総厚の少なくとも50%である厚さを有する。
多層フィルム100の各層は、ワックス、抗酸化剤、オゾン化防止剤、離型剤、殺生物剤、熱安定剤、顔料、色素剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤等、または前述の添加物のうちの少なくとも1つを含む組み合わせ等の他の添加物を含有し得る。
本多層のより多くの層のうちの1つは、費用を低減することに加えて溶融粘度を低減し得るワックスを任意選択的に含み得る。好適なワックスの非限定的な例には、石油ワックス、低分子量ポリエチレン、もしくはポリプロピレン等のポリオレフィンワックス、合成ワックス、約55〜約110℃の溶融点を有するパラフィン及びマイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、または前述のワックスのうちの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、ワックスは、約400〜約6,000g/モルの数平均分子量を有する低分子量ポリエチレンホモポリマーまたはインターポリマーである。
さらなる実施形態において、本多層フィルムの層の各々は、抗酸化剤または安定剤を任意選択的に含み得る。好適な抗酸化剤の非限定的な例には、アミン系抗酸化剤、例えばアルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルまたはアラルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化p−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミン等;及びヒンダードフェノール化合物、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン(例えば、Ciba Geigy(New York)製のIRGANOX(商標)1010);オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート(例えば、Ciba Geigyから市販されているIRGANOX(商標)1076)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。使用されるとき、本組成物中の抗酸化剤の量は、任意の特定の層の総重量に基づいて、最大約1重量%、具体的には0.05〜0.75重量%、具体的には0.1〜0.5重量%であり得る。
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、紫外線照射による本組成物の劣化を防ぐか、または低減し得る紫外線安定剤を任意選択的に含み得る。好適な紫外線安定剤の非限定的な例には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジンカーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケル失活剤、ヒンダードアミン、フェノール系抗酸化剤、金属塩、亜鉛化合物等、または前述の紫外線安定剤のうちの少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。使用されるとき、任意の特定の層中の紫外線安定剤の量は、特定の層の総重量に基づいて、約0超〜約1重量%、具体的には0.05〜0.75重量%、具体的には0.1〜0.5重量%であり得る。
さらなる実施形態において、本明細書で開示される組成物は、着色料または顔料を任意選択的に含み得る。当業者に既知の任意の着色料または顔料は、本明細書で開示される接着組成物に使用され得る。好適な着色料または顔料の非限定的な例には、無機顔料、例えば、二酸化チタン及びカーボンブラック、フタロシアニン顔料、ならびに他の有機顔料、例えば、IRGAZIN(登録商標)、CROMOPHTAL(登録商標)、MONASTRAL(登録商標)、CINQUASIA(登録商標)、IRGALITE(登録商標)、ORASOL(登録商標)(これらすべてCiba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から入手可能である)が挙げられる。使用されるとき、任意の特定の層中の着色料または顔料の量は、本多層フィルムの任意の特定の層の総重量に基づいて、最大10重量%、具体的には0.1〜5重量%、及びより具体的には0.5〜2重量%の量で存在し得る。
一実施形態において、フィルム100を製造する一方法では、多層フィルム100の層102、104、106、108、及び110の各々のそれぞれの組成物が、別個のデバイスに供給され、そこで剪断力、拡張力、及び伸張力に供される。本組成物に前述の力を加えるデバイスは、押出機(一軸式または二軸式)、ヘンシェルミキサー、ワーリングブレンダー、バスニーダー、バンバリー、圧延ミル(2つ以上のロール)、高剪断インペラー分散機、混ねつ機等で行われ得る。本多層フィルムの任意の層の成分が、ヘンシェルミキサー、ワーリングブレンダー、高剪断インペラー分散機等のいずれかで乾式混合または溶液ブレンドされ得、その後押出される。
ある例となる実施形態において、それぞれの層の各々のための組成物が、別個の押出機に供給される。外層102のための組成物は、第1の押出機に供給され、接合層104のための組成物は、第2の押出機に供給され、コア層106のための組成物は、第3の押出機に供給され、接合層108のための組成物は、第4の押出機に供給され、外層110のための組成物は、第5の押出機に供給される。それぞれの押出機からの組成物は、単一のダイに供給され、共押出しされて、多層フィルムが形成される。次いで、共押出しされたフィルムは、ブロー成形されて、所望の厚さの多層フィルムが形成される。ある実施形態において、共押出しされた後の多層フィルムは、2つ以上のロールを有する圧延ミルで積層される。
上で詳述のとおり、複数の多層フィルムは、一緒に積層されて、単一の多層フィルムを形成し得る。2つ以上の多層フィルムが一緒に積層されるとき、共通層のうちの少なくとも1つが、所望により除外され得る。例えば、図3に示されるように2つの多層フィルムが一緒に積層される場合には、外層102または110のうちの少なくとも1つが除外され得る。したがって、単一の多層フィルムが5つの層を含む一方で、一緒に積層された2つの多層フィルムは9つの層、3つの多層フィルムは13の層を含むことになる。
本明細書で開示される多層フィルムは、多層フィルム中にポリプロピレンを含むコア層の存在が、改善された剛性、層間剥離しない高いヒートシール強度、高耐クリープ性、高温性能及び耐油性/防皺性、ならびに良好な光学的透明度を有する多層フィルムをもたらすという点で有益であり、これは、多層フィルムが、限定されないが、歯磨き粉、化粧品製品、及び粘性の食品製品を包装するための積層チューブ構造体に使用されることを可能にする。
本明細書で開示される多層フィルム及び本フィルムの製造方法は、以下の実施例で例示される。
実施例1
本実施例は、開示される多層フィルム及びそれらの製造方法を示す。これらの実施例は、比較多層フィルムを上回る多層フィルムの特性を示すためにも行われた。本フィルムで行われた試験は、以下に詳述される。
ダート落下衝撃:この試験は、試験される試験片の50%の破損をもたらすのに必要な質量及び落下の高さの関数としてのエネルギーを測定する。結果はグラムで示される。A型ダートは、直径1.5インチのヘッドを有し、26インチの高さから落とす。B型ダートは、直径2インチのヘッドを有し、60インチの高さから落とす。試験片破損は、触感によってか、または逆光条件下で眺めることによって容易に観察することができる、フィルムを貫通するあらゆる破断と定義される。A型及びB型ダート衝撃は、直接相関しない。この試験は、ASTM STM D1709に基づく。
エルメンドルフ引裂き試験:この試験は、ASTM D1922に基づく。引裂き強度を、既存の切り込みを、試験試料の端までの所定の距離を伝搬させるのに必要な力を測定するために、振子衝撃試験機を使用して測定する。15個の試料を、特定のダイ切断器を使用して調製する。これらの試料を試験機内に位置付け、定位置に固定した。試験機内の切断刃を使用して、試料に切り込みをつくり、切れ込みは試料の遠端から43mmで終了する。振子を解放して、切り込みを残りの43mmを通して伝搬させる。振子によるエネルギー損失を使用して、平均引裂き力を算出する。この試験は、一定半径試験である。
割線弾性率試験:この試験(これもまたASTM D882に基づく)は、厚さが1mm(0.04in)未満であるフィルムを含む薄いシートの形態のプラスチックの引張、または拡張、特性の決定を含む。フィルムは、0.25mm(0.010in)以下の公称厚さを有すると定義される。この試験において、プラスチック材料を、伸長、弾性、引張降伏強度、及び引張破断強度を測定するために、破断するまで引っ張る。すべての試験片を、全く同じ方法で調製して試験する。この試験に関して、試料は長方形であり、ダイ切断器を使用して、試料を調製する。引張強度を試験するために、引張試験機の分離速度を2in/分に設定する。すべての試験を、インストロン型装置で行う。割線弾性率測定は、この試験の副測定である。弾性を、引張応力を曲線の線形部分、または線形ラインの延長の対応する歪みで除することにより算出する。線形挙動が存在しない場合は、接線を変曲点で描き、接線と、ゼロ歪みとしての歪軸との交差軸を使用することにより、先端補正(toe compensation)を提供する。次いで、割線弾性率を、曲線上の任意の点の応力対補正歪みの比率として算出することができる。割線弾性率の値を、1及び2%の歪みで報告する。
引張強度:この試験(これもまたASTM D882に基づく)は、厚さが1mm(0.04in)未満であるフィルムを含む薄いシートの形態のプラスチックの引張、または拡張、特性の決定を含む。フィルムは、0.25mm(0.010in)以下の公称厚さを有すると定義される。この試験において、プラスチック材料を、伸長、弾性、引張降伏強度、及び引張破断強度を測定するために、破断するまで引っ張る。すべての試験片を、全く同じ方法で調製して試験する。この試験に関して、試料は長方形であり、ダイ切断器を使用して、試料を調製する。引張強度を試験するために、引張試験機の分離速度を20in/分に設定する。すべての試験を、インストロン型装置で行う。
ヘイズ試験:フィルムの全ヘイズを、ASTM D−1003を通じて測定する。Hazeguard Plus(BYK−Gardner米国、Columbia,MD)計器を使用して、ヘイズを測定する。8インチ×8インチの大きさの試験片を使用し、フィルムに皺がないことを確かめ、平均少なくとも5つの測定値を報告する。
ヒートシール試験:この作業要領は、ASTM標準試験法F88、可撓性防御材料のシール強度に関するSTMに基づく。この試験は、シールを含む材料の試験片を分離するのに必要な力を測定する。この試験はまた、試験片破損の状態も特定する。試験片は、幅が1インチであるダイ切断片である。試験結果は、ヒートシールを引き離すのに必要な力、またはヒートシールが分かれる前にフィルムが破断する事例においては、フィルムを破断するのに必要な力の尺度である。
(この実施例及び続く実施例の)多層フィルムの種々の層で使用される材料は、以下の表1に詳述される。実施例において多層フィルムに採用された命名法(すなわち、層の番号付与)は、図2のものと同じである。
Figure 2017512669
表1を参照して、CBC1を、直列に接続された2つの連続撹拌タンク型反応器(CSTR)を使用して調製する。第1の反応器は、おおよそ12ガロンの容積である一方で、第2の反応器は、おおよそ26ガロンである。各反応器は、水力学的に満杯であり、定常状態の条件で作動するように設定する。モノマー、溶媒、触媒、水素、共触媒1、共触媒2、及びCSA1を、表1に概説されるプロセス条件に従って、第1の反応器に流す。次いで、以下の表1Aに記載される第1の反応器の内容物を、連続して第2の反応器に流す。追加の触媒、共触媒1、及び共触媒2を、第2の反応器に添加する。以下の表1Bは、CBC1及びCBC2の分析的特徴を示す。
実質的に米国特許第5,919,983号の実施例2に開示される、触媒1([[rel−2’,2’’’−[(1R,2R)−1,2−シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ−κO)]ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)−5−メチル[1,1’−ビフェニル]−2−オラト−κO]](2−)]ジメチル−ハフニウム)及び共触媒1(長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)の反応によって調製された、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩のメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩と、HClと、Li[B(C]との混合物)を、Boulder Scientificから購入し、さらなる精製をせずに使用する。
CSA1(ジエチル亜鉛またはDEZ)及び共触媒2(改質メチルアルモキサン(MMAO))を、Akzo Nobelから購入し、さらなる精製をせずに使用する。重合反応の溶媒は、ExxonMobil Chemical Companyから入手した炭化水素混合物(ISOPAR(登録商標)E)であり、使用前に、13−X分子篩床を通して精製する。
CBC1を生成するためのプロセス条件は、表1Aに示される。
Figure 2017512669
CBC1の特性は、表1Bに示される。
Figure 2017512669
ポリマー特徴付けの方法、使用される方法の考察は、例えば、米国特許公開第2011/0313106号、同第2011/0313107号、及び同第2011/0313108号にも見出すことができる。
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238(230℃、2.16kg)に従って測定される。結果は、グラム/10分で報告される。
高温液体クロマトグラフィー(HTLC)を、米国特許第8,076,147号及び米国特許出願公開第2011/152499号に開示される方法に従って実施し、これらの両方は、本明細書に参照により組み込まれる。試料を、以下に記載される方法によって分析する。
Waters GPCV2000高温SECクロマトグラフを再構成して、HT−2DLC器具類を作る。2つのShimadzu LC−20ADポンプを、二次ミキサーを通してGPCV2000の注入器弁に接続する。第1の寸法(D1)のHPLCカラムを、注入器と10ポート切り替え弁(Valco Inc)との間に接続する。第2の寸法(D2)のSECカラムを、10ポート弁とLS(Varian Inc.)、IR(濃度及び組成)、RI(屈折率)、及びIV(固有粘度)検出器との間に接続する。RI及びIVは、GPCV2000内の内蔵式検出器である。IR5検出器は、PolymerChar(Valencia,Spain)により提供されている。
カラム:D1カラムは、Thermo Scientificから購入した高温Hypercarbグラファイトカラム(2.1×100mm)である。D2カラムは、Varianから購入したPLRapid−Hカラム(10×100mm)である。
試薬:HPLC等級トリクロロベンゼン(TCB)を、Fisher Scientificから購入する。1デカノール及びデカンは、Aldrichからである。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(イオノール)もまた、Aldrichから購入する。
試料調製:0.01〜0.15gのポリオレフィン試料を10mLのWaters自動回収装置バイアルに配置する。その後で7mLの1−デカノールまたはデカンのいずれかを200ppmのイオノールと一緒にバイアルに添加する。ヘリウムを試料バイアルに約1分スパージした後、試料バイアルを、温度を160℃に設定した加熱した加振機上に載せる。溶解を、この温度で2時間バイアル振り動かすことにより行う。次いで、バイアルを注入のために自動回収装置に移す。
HT−2DLC:D1の流量は0.01mL/分である。移動相の組成は、運転の最初の10分間は、100%の弱溶離剤(1−デカノールまたはデカン)である。次いで、組成を489分後に60%の強溶離剤(TCB)に増加させる。生のクロマトグラムの持続時間として489分間データを収集する。10ポート弁を、3分毎に切り替え、489/3=163個のSECクロマトグラムを得る。運転後勾配を489分のデータ取得時間後に使用して、次の運転のためにカラムを洗浄して平衡化する。
洗浄ステップ:
1. 490分:流れ=0.01分;//0〜490分まで、0.01mL/分の一定流量を維持する
2. 491分:流れ=0.20分;//流量を0.20mL/分に上昇させる
3. 492分:B%=100;//移動相の組成を100%のTCBに上昇させる
4. 502分:B%=100;//2mLのTCBを使用して、カラムを洗浄する
平衡ステップ:
5. 503分:B%=0;//移動相の組成を100%の1−デカノールまたはデカンに変更する
6. 513分:B%=0;//カラムを2mLの弱溶離剤を使用して平衡化する
7. 514分:流れ=0.2mL/分;//491〜514分まで0.2mL/分の一定流れを維持する
8. 515分:流れ=0.01mL/分;//流量を0.01mL/分に下げる
ステップ8の後、流量及び移動相の組成は、運転勾配の最初の条件と同じである。
D2流量は、2.51mL/分である。2つの60μLのループを10ポート切り替え弁上に取り付ける。D1カラムからの30μLの溶離剤を、弁のすべての切り替えを使用してSECカラム上に充填する。
IR、LS15(15°での光散乱信号)、LS90(90°での光散乱信号)、及びIV(固有粘度)信号を、SS420Xアナログからデジタルへの変換ボックスを通してEZChromによって収集する。クロマトグラムを、ASCII形式で書き出し、データ整理のために、自社制作MATLABソフトウェアに読み込む。ポリマー組成物の適切な較正曲線及びブロック複合体に含有される硬質ブロック及び軟質ブロックの類似の性質のものであるポリマーの保持容量を使用して、分析される。較正ポリマーは組成(分子量及び化学組成の両方)において狭いはずであり、分析中に目的の組成を含めるように、適度な分子量範囲にわたる。生データの分析を、次のとおり計算した。第1の寸法HPLCクロマトグラムを、溶出体積の関数として(そのカットの全IR SECクロマトグラムから)すべてのカットのIR信号をプロットすることにより再構成した。IR対D1溶出体積を、全IR信号により正規化して、重量分率対D1溶出体積プロットを得た。IRメチル/測定値の比率を、再構成したIR測定及びIRメチルクロマトグラムから得た。この比率を、PP重量%(NMRによる)対SEC実験から得られたメチル/測定値の較正曲線を使用して組成物に変換した。MWを再構成したIR測定及びLSクロマトグラムから得た。この比率を、PE標準物を使用して、IR及びLS検出器の両方の較正後にMWに変換した。
分子量分布(MWD)を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定する。具体的には、従来のGPC測定を使用して、ポリマーの重量平均(Mw)及び数平均(Mn)分子量を決定して、(Mw/Mnとして算出される)MWDを決定する。試料を、高温GPC計器(Polymer Laboratories,Inc.モデルPL220)を用いて分析した。この方法は、流体力学的容積の概念に基づいた周知の万能較正法を使用し、較正を、140℃のシステム温度で作動している4つの混合A20μmカラム(Agilent(元Polymer Laboratory Inc.)製のPLgel Mixed A)と併せて挟ポリスチレン(PS)標準物を使用して実施する。試料を、1,2,4−トリクロロベンゼン溶媒中の「2mg/mL」の濃度で調製する。流量は、1.0mL/分であり、注入量は100マイクロリットルである。
論じられたように、分子量決定を、挟分子量分布ポリスチレン標準物(Polymer Laboratories製)をこれらの溶出体積と組み合わせて使用することにより、推定する。等価ポリエチレン分子量を、(Williams and Ward in Journal of Polymer Science,Polymer Letters,Vol.6,(621)1968によって記載されるように)ポリエチレン及びポリスチレンの適切なMark−Houwink係数を使用することにより決定して、次の等式を導く:
Mポリエチレン=a*(Mポリスチレン)
この等式において、(Williams and Ward,J.Polym.Sc.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されるように)a=0.4316であり、b=1.0である。ポリエチレン等価分子量の計算を、VISCOTEK TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して実施した。
13C核磁気共鳴(NMR)を、おおよそ2.7gのクロムアセチルアセトネート(緩和剤)中に0.025Mであるテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を、10mmのNMR管中の0.21gの試料に添加することにより調製した試料を使用して実施する。試料を、管及びその内容物を150℃にを加熱することにより溶解し、均質化する。データを、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを装備したBrukerの400MHz分光計を使用して、収集する。データを、125℃の試料温度で、1データファイル当たり320の一時、7.3秒のパルス反復遅延(6秒の遅延+1.3秒の取得時間)、90度のフリップ角、及び逆ゲート付デカップリングを使用して、取得する。すべての測定を、固定された状態の回転していない試料に対して行う。試料を、加熱した(130℃)NMR試料交換器への挿入の直前に均質化し、プローブ内で15分間熱的に平衡化させた後にデータを取得する。結晶性ブロック複合体ポリマー中のコモノマー含有量を、技法を使用して測定する。
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、ポリマー中の結晶化度を測定する。約5〜8mgのポリマー試料を計量し、DSCパン内に配置する。蓋をパンの上に圧着して、密閉雰囲気を確実にする。試料パンを、DSCセル内に配置し、次いでおおよそ10℃/分の変化量で、PEについては180℃(ポリプロピレンまたは「PP」については230℃)の温度に加熱する。試料をこの温度で3分間維持する。次いで、試料を、10℃/分の変化量でPEについては−60℃(PPについては−40℃)に冷却し、この温度で3分間等温的に維持する。次に、試料を10℃/分の変化量で、完全に溶融するまで加熱する(第2の熱)。結晶化度の割合を、第2の熱曲線から決定された融解熱(H)を、PEについては292J/g(PPについては165J/g)の理論融解熱で除し、この数を100で掛けることにより決定する(例えば、結晶化度%=(PEの場合)(H/292J/g)×100)。特に指定のない限り、各ポリマーの溶融点(複数可)(T)を、第2の熱曲線(ピークTm)から決定し、結晶化温度(T)を、第1の冷却曲線(ピークTc)から決定する。
結晶性ブロック複合体の組成の計算は、(ポリマー全体の)プロピレン及び/またはエチレンの総重量%をもたらす等式1に従った、ポリマー中の各構成成分からのプロピレン重量%の合計である。この質量平衡等式は、ブロックコポリマー中に存在するPP及びPEの量を定量化するのに使用することができ、以下の等式1を参照のこと。この質量平衡等式は、二成分ブレンドもしくは三成分ブレンドまで拡大されるか、またはn成分ブレンド中のPP及びPEの量を定量化するのにも使用することができる。結晶性ブロック複合体について、PPまたはPEの総量は、ブロックならびに非結合PP及びPEポリマー中に存在するブロック以内で含有される。
プロピレン(C)の総重量%は、好ましくはC13NMRまたはポリマー全体中に存在するCの総量を表すいくつかの他の組成物測定から測定されることに留意されたい。PPブロック中のプロピレン重量%(wt%C3PP)を、100に設定するか、またはそのDSC溶融点、NMR測定、または他の組成物の推定から分かっている場合は、その値を導入してもよい。同様に、PEブロック中のプロピレン重量%(wt%C3PE)を、100に設定するか、またはそのDSC溶融点、NMR測定、または他の組成物の推定から分かっている場合は、その値を導入してもよい。
表1Bを参照して、結晶性ブロック複合体指標(CBCI)を、以下の表1Cに示される方法に基づいて測定する。具体的には、CBCIは、ジブロックコポリマー内のCEB対CAOBの比率は、結晶性ブロック複合体全体中の結晶性エチレン対結晶性アルファ−オレフィンの比率と同じであるという仮定の下、結晶性ブロック複合体内のブロックコポリマーの量の推定をもたらす。この仮定は、本明細書に記載される個々の触媒反応速度論及び鎖シャトリング触媒作用を介したジブロックの形成のための重合機構の理解に基づく、これらの統計上のオレフィンブロックコポリマーに有効である。このCBCI分析は、ポリマーがプロピレンホモポリマー(この実施例においてはCAOP)とポリエチレン(この実施例においてはCEP)との単純ブレンドである場合、単離されたPPの量が未満であることを示す。したがって、ポリエチレン画分は、ポリマーが単純にポリプロピレンとポリエチレンとのブレンドであった場合には存在しなかったであろうかなりの量のプロピレンを含有する。「余分なプロピレン」を説明するために、ポリプロピレン及びポリエチレン画分の量ならびに高温液体クロマトグラフィー(HTLC)によって分離された画分の各々中に存在するプロピレン重量パーセントから、質量平衡の計算を行い、CBCIを推定することができる。
Figure 2017512669
表1Cを参照して、結晶性ブロック複合体指標(CBCI)を、まずは以下の等式1に従って、ポリマー中の各構成成分からのプロピレン重量パーセントの合計を決定することにより測定し、これは、結晶性ブロック複合体の組成の計算のための方法に関して上で論じられたように、総重量パーセントをもたらす。具体的には、質量平衡等式は、次のとおりである:
Figure 2017512669
式中、
pp=ポリマー中のPPの重量分率であり、
PE=ポリマー中のPEの重量分率であり、
wt%C3PP=PP構成成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセントであり、
wt%C3PE=PE構成成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセントである。
結晶性ブロック複合体中のPP対PEの比率の算出について:
等式1に基づいて、ポリマー中に存在するPPの総重量分率は、ポリマー中に測定された全C3の質量平衡から等式2を使用して算出することができる。あるいは、ポリマー中に存在するPPの総重量分率は、モノマーの質量平衡及び重合中のコモノマー消費からも推定することができる。全体的に見て、これは、PP及びPEが非結合構成成分中に存在するか、またはジブロックコポリマー中に存在するかに関わらず、ポリマー中に存在するPP及びPEの量を表す。従来のブレンドについて、PPの重量分率及びPEの重量分率は、存在するPP及びPEポリマーの個々の量に対応する。結晶性ブロック複合体について、PP対PEの重量分率の比率も、この統計上のブロックコポリマー中に存在するPPとPEとの間の平均ブロック比に対応することが推定される。
Figure 2017512669
式中、
PP=ポリマー全体中に存在するPPの重量分率であり、
wt%C3PP=PP構成成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセントであり、
wt%C3PE=PE構成成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセントである。
結晶性ブロック複合体中のブロックの量を推定するために、等式3〜5を適用し、HTLC分析によって測定される単離されたPPの量を使用して、ジブロックコポリマー中に存在するポリプロピレンの量を決定する。HTLC分析で最初に単離または分離された量は、「非結合PP」を表し、その組成は、ジブロックコポリマー中に存在するPP硬質ブロックを表している。等式3の左側のポリマー全体のC3の総重量パーセントならびに(HTLCから単離された)PPの重量分率及び(HTLCによって分離された)PEの重量分率を等式3の右側に代入することにより、PE画分中のC3の重量パーセントを等式4及び5を使用して算出することができる。PE画分は非結合PPから分離し、ジブロック及び非結合PEを含有する画分と説明される。単離PPの組成は、先に記載されたように、iPPブロック中のプロピレン重量パーセントと同じであると推測される。
Figure 2017512669
式中、
PPisolated=HTLCからの単離PPの重量分率であり、
PE−fraction=HTLCから分離され、ジブロック及び非結合PEを含有するPEの重量分率であり、
wt%C3PP=PP中のプロピレンの重量パーセントであり、これも、PPブロック中及び非結合PP中に存在するプロピレンの量と同じ量であり、
wt%C3PE−fraction=HTLCによって分離されたPE画分中のプロピレンの重量パーセントであり、
wt%C3Overall=ポリマー全体中の総プロピレン重量パーセントである。
HTLCからのポリエチレン画分中のC3重量%の量は、「非結合ポリエチレン」中に存在する量よりも多いブロックコポリマー画分中に存在するプロピレンの量を表す。ポリエチレン画分中に存在する「追加の」プロピレンを説明するために、この画分中に存在するPPを有する唯一の方法は、PPポリマー鎖がPEポリマー鎖に結合することである(さもなければ、HTLCによって分離されたPP画分で単離されている)。したがって、PPブロックは、PE画分が分離されるまで、PEブロックを吸着したままになる。
ジブロック中に存在するPPの量は、等式6を使用して算出される。
Figure 2017512669
式中、
wt%C3PE−fraction=HTLC(等式4)によって分離されたPE画分中のプロピレンの重量パーセントであり、
wt%C3PP=(先に定義される)PP構成成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセントであり、
wt%C3PE=(先に定義される)PE構成成分またはブロック中のプロピレンの重量パーセントであり、
PP−diblock=HTLCによってPE画分で分離されたジブロック中のPPの重量分率である。
このPE画分中に存在するジブロックの量を、PPブロック対PEブロックの比率がポリマー全体中に存在するPP対PEの全体比率と同じであると仮定することによって、推定することができる。例えば、PP対PEの全体比率が、ポリマー全体で1:1である場合には、ジブロック中のPP対PEの比率もまた1:1であると推定される。従って、PE画分中に存在するジブロックの重量分率は、ジブロック中のPPの重量分率(wPP−diblock)に2を掛けたものである。これを算出する別の方法は、ジブロック中のPPの重量分率(wPP−diblock)をポリマー全体中のPPの重量分率(等式2)で除すことによってである。
ポリマー全体中に存在するジブロックの量を推定するためには、PE画分中のジブロックの推定量をHTLCから測定されたPE画分の重量分率で掛ける。結晶性ブロック複合体指標を推定するためには、ジブロックコポリマーの量を等式7によって決定する。CBCIを推定するためには、等式6を使用して算出されたPE画分中のジブロックの重量分率を、(等式2で計算されるように)総PPの重量分率で除し、次いでPE画分の重量分率を掛ける。CBCIの値は、0〜1の範囲であり得、1は、100%のジブロックと等しく、0は、従来のブレンドまたはランダムコポリマー等の材料である。
Figure 2017512669
式中、
PP−diblock=HTLCによるPE画分で分離されたジブロック中のPPの重量分率(等式6)であり、
PP=ポリマー中のPPの重量分率であり、
PE−fraction=HTLCから分離し、ジブロック及び非結合PEを含有するPEの重量分率(等式5)である。
例えば、iPP−PE(すなわち、アイソタクチックポリプロピレンブロック及びプロピレン−エチレンブロック)ポリマーが、合計53.3重量%のC3を含有し、10重量%のC3及び99重量%のC3を含有するiPPポリマーでPEポリマーを生成するための条件下で作成された場合、PP及びPEの重量分率は、(等式2を使用して算出されるとおり)それぞれ0.487〜0.514である。
フィルムの調製
下記の表2は、一連の多層フィルムを示し、そのうちのいくつかが本発明を例示するフィルムである一方で、他のフィルムは比較フィルムである。比較フィルム試料が、文字で識別される一方で(実施例A〜Bを参照のこと)、本発明を例示する試料は、数字で識別される(実施例1〜2を参照のこと)。比較実施例A〜B及び本発明の実施例1〜2の層構造は、表2に示される。押出機の条件は、表2Aに示され、比較実施例及び本発明の実施例の特性は、表3に示される。
Figure 2017512669
実施例1〜2及び実施例A〜BをAlpineの7層ブロー成形フィルムライン上で調製する。押出ダイの直径は、250ミリメートルであり、ダイ隙間は、2ミリメートルである。ダイ作業量は、1インチのダイ外周当たり、11.29ポンドである。総処理量は、1時間当たり350ポンド(lb)である。ブローアップ比(BUR)は2.00であり、ブローダウン比は、8.73であった。110ミクロンの総フィルム厚が作製される。ラインは、7つの押出機を有する。押出機1及び7を、外層102及び110のために使用し(図2を参照のこと)、押出機2及び6を、接合層104及び108のために使用し、押出機3〜5は、コア層106のためである。一般的な押出機温度プロファイルは、表2Aに示される。
Figure 2017512669
表2に見ることができるように、実施例Aは、コア(層106)にポリプロピレンを有する比較3層フィルムである。下記の表3から、実施例A全体をとおして良好な弾性及び低ヘイズを有し、そのヒートシール強度は、20%のVERSIFY(商標)3000がPP層に添加されているが、中間層剥離の結果により不十分であることが理解され得る。実施例Bはすべてポリエチレンの3層フィルムであり、フィルム厚の60%である厚さを有するコア層としてHDPE ELITE(商標)5960を含有する。実施例B全体をとおして、卓越した弾性及びシール性能を有し、HDPEに関連するヘイズは望ましくない。反対に、5層の本発明の実施例1及び2は、卓越した弾性と、低ヘイズと、強いシール特性との組み合わせを示している。実施例1及び2の縦方向(MD)引裂きは、実施例A及びBよりも僅かに低かったが、実施例のダートは同等である。コア層106は、総多層フィルム厚の少なくとも70%である厚さを有し、これは110ミクロンである。
要約すれば、表3から、接合層を有さない比較試料が、ヒートシール試験において剥離が起きるか(実施例A)、または比較的高いヘイズを有するか(実施例B)のいずれかである一方で、本発明の試料(実施例1及び2)は、いずれの剥離も示さず、比較的低ヘイズ(すなわち、19%未満のヘイズ)を有することが、理解され得る。
Figure 2017512669
実施例2
この実施例は、本発明の多層フィルムのみを特徴付ける。実施例3〜7の多層構造は、表4に列挙される。これらの実施例の表皮層(層102及び110、図2を参照のこと)は、80%のELITE(商標)5230G及び20%のAGILITY(商標)1001Performance LDPE(The Dow Chemical Companyから市販されている)を含有する。接合層(層104及び108)は、100重量%の結晶性ブロックコポリマー(CBC1)または80〜100重量%のCBC1含有量を有するように、20重量%のポリオレフィンエラストマーとブレンドした80重量%のCBC1からなる。コア層(層106)は、ポリオレフィンエラストマーで改質された100重量%のポリプロピレンまたはポリプロピレンとは異なる。実施例3〜6の層厚比(102/104/106/108/110)が、20/5/50/5/20(値はパーセント)である一方で、実施例7の層厚は、15/5/60/5/15である。これらの実施例から、コア層106が、総多層フィルム厚の少なくとも50%である厚さを有することが、理解され得る。特性は、表5に示される。
Figure 2017512669
Figure 2017512669
表5は、本発明の多層試料が、すべての実施例について剥離が観察されずに、高弾性、比較的低いヘイズ、及び卓越したシール強度を示すことを示す。実施例5及び6の縦方向(MD)引裂き抵抗は、実施例Bと同等か、またはそれ以上のレベルにまで改善される(表3を参照のこと)。実施例7は、ポリプロピレンコアの厚さが(総多層フィルム厚に基づいて)50%から60%に増加するときに、最も高い弾性を示す。
要約すれば、本発明の試料は、ヒートシール不良試験で剥離を示さず、ASTM D882に従って試験したとき、75000psi超、具体的には80000psi超の2%の縦方向弾性を示し、ASTM D−1003を通じて測定したとき、30%未満の全ヘイズを有する。本多層フィルムは、物品を製造するために使用され得る。物品には、歯磨き粉、化粧品製品、及び粘性の食品製品等を包装するためのチューブ積層体が挙げられるが、これらに限定されない。

Claims (17)

  1. 多層フィルムであって、
    各外層がポリエチレンを含む、2つの外層と、
    各接合層が、結晶性ブロック複合体を含み、各接合層が、互いに対向する第1の面及び第2の面を有し、各接合層の前記第1の面が、少なくとも1つの外層と接触する、2つの接合層と、
    コア層であって、前記コア層が、ポリプロピレンを含み、各接合層の前記第2の面が、前記コア層と接触し、前記コア層が、前記多層フィルムの総厚の50%超である厚さを有する、コア層と、を備える、多層フィルム。
  2. 前記ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィンコポリマーを含む、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  3. 各外層中の前記直鎖状低密度ポリエチレンは、190℃及び2.16kgでASTM D1238に従って測定されるとき、0.25〜2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項2に記載の前記多層フィルム。
  4. 前記エチレン−α−オレフィンコポリマーは、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/ブテン/スチレン、または前述のエチレン−α−オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項2に記載の前記多層フィルム。
  5. 前記外層は、低密度ポリエチレン及び/または高密度ポリエチレンをさらに含む、請求項3に記載の前記多層フィルム。
  6. 前記外層は、低密度ポリエチレン及び/または高密度ポリエチレンをさらに含む、請求項4に記載の前記多層フィルム。
  7. 前記結晶性ブロック複合体は、結晶性エチレン系ポリマー、結晶性アルファ−オレフィン系ポリマー、ならびに結晶性エチレンブロック及び結晶性アルファ−オレフィンブロックを含むブロックコポリマーを含み、前記ブロックコポリマーの前記結晶性エチレンブロックは、前記ブロック複合体中の前記結晶性エチレン系ポリマーと同じ組成であり、前記ブロックコポリマーの前記結晶性アルファ−オレフィンブロックは、前記ブロック複合体の前記結晶性アルファ−オレフィン系ポリマーと同じ組成である、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  8. 各接合層は、エラストマーをさらに含み、前記エラストマーは、均質に分岐したエチレン−α−オレフィンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、ビニル芳香族ブロックコポリマー、または前述のエラストマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  9. 各接合層は、ポリプロピレン及び/またはポリエチレンをさらに含む、請求項8に記載の前記多層フィルム。
  10. 前記ポリプロピレンは、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、高インパクトポリプロピレン、高溶融強度ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、または前述のポリプロピレンのうちの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  11. 前記コア層は、ポリエチレンまたはエラストマーをさらに含み、前記エラストマーは、均質に分岐したエチレン−α−オレフィンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、ビニル芳香族ブロックコポリマー、または前述のエラストマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項10に記載の前記多層フィルム。
  12. 前記結晶性ブロック複合体は、230℃及び2.16キログラムでASTM D1238に従って測定されるとき、0.1〜30dg/分のメルトフロー比を有する、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  13. 前記結晶性ブロック複合体は、5〜95重量%の結晶性エチレンブロック及び95〜5重量%の結晶性アルファ−オレフィンブロックを含む、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  14. 前記結晶性ブロック複合体は、0.3〜最大1.0の結晶性ブロック複合体指標を有する、請求項1に記載の前記多層フィルム。
  15. 請求項1に記載の前記多層フィルムを含む、物品。
  16. 多層フィルムであって、
    各外層がポリエチレンを含む、2つの外層と、
    各接合層が、結晶性ブロック複合体を含み、各接合層が、互いに対向する第1の面及び第2の面を有し、各接合層の前記第1の面が、少なくとも1つの外層と接触する、2つの接合層と、
    コア層であって、前記コア層が、ポリプロピレンを含み、各接合層の前記第2の面が、前記コア層と接触し、前記コア層が、前記多層フィルムの総厚の50%超である厚さを有する、コア層と、を備える、多層フィルムを共押出しすることと、
    前記多層フィルムをブロー成形することと、を含む、方法。
  17. 圧延ミルで前記フィルムを積層することをさらに含む、請求項16に記載の前記方法。
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