JP2017512074A - 多層クッション・サポート - Google Patents

Abstract

多層クッション・サポートであって：体の一部分に接触する第１接触表面と、第１接触表面に対向する第２表面とを有し、中央チャンバと、中央チャンバを囲む周辺チャンバとを画定し、第１気体、または、第１液体が充填される、第１サポート；および、第１サポートに、第１接触表面に沿って取り付けられた第２サポートと、を一般に含む多層クッション・サポート。第２サポートは、第１気体、または、第１液体よりも、粘性の高い、第２気体、または、第２液体が充填されてもよい。特に、第１サポートは、多量の空気が、第２サポートは、空気よりも少ない容量のオイルが充填されていてもよい。【選択図】図３Ａ

Description

本発明は、床擦れ等を予防、および／または、治療するため、患者の体の一部分を支えるデバイス、および、方法に関する。より具体的には、本発明は、床擦れ等を予防および治療をするため、複数の層を有するクッション・サポートによって、患者の体の一部分を支えるデバイスと方法に関する。

長時間に渡って、座る、あるいは、横たわることが強いられるヒトの体に、典型的に、褥瘡性潰瘍、または、床擦れと知られる、局部的な組織の壊死が発症する。床擦れは、一般的に、体の骨の隆起が高い部位に発症し、下位の皮膚に向けて圧力が常に掛かることによって、皮膚が破壊する。これらの局所的部位では、血液循環が止められる、または、妨げられるが、患者が、クッション・デバイスを体の下に敷いていても、これらの症状は起こり得る。床ずれが発症する典型的な、部位の例として、仙骨、大転子、坐骨結節、くるぶし、かかと等が挙げられる。床擦れが形成されると、長期入院や、部位の切断にまで至ることがある。

従来のクッション・デバイスには、一般的に、発泡体やスプリング等の可撓性素材が使用され、それによって、クッションは、変形し、患者の体に適合する。クッション・デバイスは、患者の体の局所的部位の負荷を、それ以外の部位に、広範囲に再分散しようとするが、それでもなお、そのようなクッション・デバイスは典型的に底打ちするので、患者の体が下の基礎部に接触し、体への圧力が局所化する。

他に、大きな単体の袋の群、または、気体、あるいは、液体が充填され仕切られた袋の群を使用したクッション・デバイスがあり、それらの袋に充填された流体は横方向に流れることはない。体に合わせて形成されたシートに配設された、流体が充填された袋は、典型的に、患者の体重を支える際に、１箇所以上に底打ちする。袋が底打ちする部位は、局所的に高い圧力が掛かり易くなる。したがって、そのような組立体は、袋が接触する体の一部分に掛かる圧力を、体全体に均一に分散することはない。そのような袋に使用される水の量は、底打ちしないように、増やすことができる。しかし、このような構造は、安定性を損なう。さらに、このようなクッションは、典型的に様々な患者に幅広く対応することを意図されるが、クッションの使用が意図される患者がそれほど重篤でなくても、所望の安定性は得られない。

底打ちを防ぐために、流体の量を単純に増やすことの別の問題として、患者の下部に大量の流体、および／または、特別仕様のベッドが必要になることである。さらに、流体が充填される膜の多くは厚すぎて、高い突出部のある領域でハンモッキングが発生するため、十分に圧力の緩和ができない。したがって、袋の素材の患者の体に対する適合性が低いため、患者の体を支えることは、典型的に、相当に不均一な圧力が、患者の体の突起部に強く掛かる。

したがって、より、コスト効率が高く、便利で、効果的な方法で、患者の体形に適合し、
臥床姿勢潰瘍が体に発症することを予防するような、クッション・デバイスが求められている。

米国特許出願第１３／１８９、３２０号明細書（米国特許出願公開第２０１３／００１９８７３号明細書 米国特許出願第１３／４０７、６２８号明細書（米国特許出願公開第２０１３／００１９８８１号明細書） 米国特許出願第１３／６８３、１９８号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０１１２２１３号明細書） 米国特許出願第１３／６９３、６９１号明細書（米国特許出願公開第２０１３／００９２１７５号明細書） 米国特許出願第１３／７６０、４８２号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０１８０５３０号明細書） 米国特許出願第１３／７８４、０３５号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０１８０５３１号明細書） 米国特許出願第１３／７８４、１３３号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０１７４８５５号明細書） 米国特許出願第１３／７８４、２１５号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０１７４８５６号明細書） 米国特許出願第１３／７８４、２６０号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０１７４８５９号明細書） 米国特許出願第１３／９４５、６８４号明細書（米国特許出願公開第２０１３／０２９８９１８号明細書） 米国特許出願第１３／０６５、８７７号明細書（米国特許出願公開第２０１１／０２３９３７２号明細書） 米国特許出願第１３／９７３、８４０号明細書

快適なサポート組立体は、仙骨、転子、坐骨、頭部、肘、かかと等、床擦れが発症し易く、サポートが必要な体の部位に、適合するよう構成してもよい。そのようなサポートは、車いすに座る等、患者が長時間に渡って、座る、横たわる、または、立つ姿勢を取る場合に特に所望される。

一実施形態において、多層クッション・サポートは、第１サポートと第２サポートを有し：第１サポートは、体の一部分に接触する第１接触表面と、第１接触表面に対向する第２表面とを有し、中央チャンバと、中央チャンバを囲む周辺チャンバを画定し、第１気体、または、第１液体が充填され；第２サポートは、第１接触表面に沿って、第１サポートに連結され、第１気体、または、第１液体よりも、粘性の高い、第２気体、または、第２液体が充填される。特に、第１サポートは、多量の空気が、第２サポートは、第１サポートの空気よりも少ない容量のオイルが充填されていてもよい。

一般的に使用に際し、多層クッション・サポートは、第１接触表面と、第１接触表面に対向して配設された第２表面とを有する第１サポートから構成される多層クッション・サポートを提供することにより、患者の体の一部分をサポートするのに使用してもよく、第１サポートは、中央チャンバと、中央チャンバを囲む周辺チャンバを画定し、第２サポートは、第１接触表面に沿って、第１サポートに連結され、第１サポートは、第１気体、または、第１液体が充填され、第２サポートは、第１気体、または、第１液体よりも、粘性が高い、第２気体、または、第２液体が充填され、第２サポートを体の一部分に隣接した所に位置設定する。

本明細書に記載のサポート組立体は、さまざまな機能が組み込まれ、あるいは、含まれていてもよく、それらの詳細は、特許文献１〜特許文献１２を参照されたい。これらは、それぞれ、特許の全体および本明細書に記載のすべての目的を参照することによって、ここに引用するものとする。

クッション・サポートは、カバーに包まれた多層クッション・サポートを有してもよい。多層クッション・サポートは、一般的に、互いに流体連通された、中央サポート領域と、周囲サポート領域とを有するよう構成された、いくつかの相互連結されたチャンバを有していてもよい。多層サポートに、任意に、気体（空気等）または液体（水、鉱油等）、あるいはこれらの組み合わせを充填してもよい。多層サポートは、車椅子に載せるクッションとしても使用できるよう、例えば、サイズを１８ ｘ ２０インチにして、患者の体の下に配設できるよう、さまざまなサイズに調整してもよい。多層サポートは、中央サポート領域の表面に取り付けられた（溶接等）追加の層によって形成された比較的小型の第２チャンバを、中央サポート領域に囲まれるように組み込んでもよい。第２チャンバは、鉱油等の多量の液体が充填されてもよく、これの粘性は、中央サポート領域、または、周囲サポート領域内に充填された気体、または、液体よりも、高くてよい。さらに、この第２チャンバは、中央サポート領域、および、周囲サポート領域から、流体的に非連結のままでよい。

クッション発泡体層を、多層サポートの底部表面に沿って配設可能であれば（つまり、第２チャンバに対向する多層サポートの表面に沿って）クッション発泡体層を多層サポートに隣接して配設してもよい。これは、他の物質の干渉なしに（カバーを除く）、多層サポートと第２チャンバが患者の体に直接的に接触することを考慮したものである。クッション発泡体層は、所望する用途に応じて、様々なサイズと厚さ（例えば、１７ ｘ １９ ｘ ０.５インチ）に作製できるよう、例えば、様々な密度のウレタンフォームから構成されてもよい。発泡体層は、ゲル状の素材や、バイアス・スプリング等を用いた、他のクッション構造に転換してもてもよい。

カバーは、多層サポート、および、発泡体層の両方を包んでいてもよく、さらに、通気性と防水性を備えるよう、様々な素材から作製してもよい。カバーの表面は、その表面全体か、選択した面（基礎部に接触する底部表面等）が、滑ることのないように、作製してもよい。カバーのサイズは、多層サポート、および、発泡体層と同様のサイズにしてもよく（例：１８ ｘ ２０ ｘ １.５インチ）、両者は、カバーの一端部に画定された開口部から、カバーに挿入してもよい。さらに、個々の層の相対的位置は、ストラップ、ファスナー、接着等の様々な方法を用いることによって維持できるが、カバーにより維持してもよい。さらに、カバーは、患者の体に直接接触するよう、第２チャンバの上に配設してもよく、その場合、カバーは、層が提供するクッション・サポートに干渉しないように、十分に薄くする必要がある。

クッション発泡体層は、サポートの底部表面に沿って（つまり、第２チャンバに対向するサポートの表面に沿って）配設され、第２チャンバと多層サポートは、カバーが備えられていると、カバーを介して、患者の体に直接的に接触可能な位置に配設される。多層サポートの第２チャンバを患者の体に接触する位置に配設することにより、圧力が多層サポート全体に効果的に分散し、多層サポートの下に配設された発泡体は（つまり、第２チャンバに対向し、患者の体から離れている、サポートの表面に沿って）、患者の体に対し、さらなるクッション・サポートを提供する。

しかし、クッション・サポートの他の実施形態では、発泡体層が多層サポートの上に配設されている例がある。この実施形態では、発泡体層がカバーを介して患者の体に接触するよう、発泡体層を第２チャンバと同じ表面に沿って配設してもよい。

多層サポートでは、第２チャンバを、溶接や接着等の方法により、その縁部に沿って取り付けるようにして、サポートの上に形成してもよい。第２チャンバは、１つのチャンバを形成し、１つ以上の障壁／境界が、第２チャンバに沿って形成され、それによって、少なくとも部分的に、第２チャンバを、互いに流体連通された、１つ以上のサブ・チャンバに分割する。障壁／境界を含むことにより、患者がサポートの上で体の位置を整える時等に、
第２チャンバ内に含まれた流体の流動の方向が急に変わることを効果的に減速させるか、止めることができる。

さらに、第２チャンバは、例えば０.６リットルの全体容量を有するように形成してもよいが、この容量は、所望する結果と、チャンバに充填する液体の種類に応じて増減してもよい。この実施形態では、例えば、０.６リットルの鉱油を充填してもよく、この鉱油により、サポートの残りのチャンバ内に含まれる下位の空気層と組み合わせて、圧力を下げてもよい。使用時に、チャンバ内のオイル層は、下位の空気チャンバ上に載置され、流体の境界部に関連する「エッジ効果」を防止する。さらに、オイルを、いくつかの受動的、または、能動的な方法を用いて、冷却、または、加熱することができるので、チャンバ内にオイル層を有することにより、患者の体に対して、冷却、または、加熱療法を容易に施術することもできる。

本明細書に記載の多層サポートの様々な実施形態は、体の他の部位をサポートすることに使用してもよい。例えば、一実施形態として、患者のかかとのサポートに同様の方法を活用してもよい。このような実施形態では、かかとをサポートするために、寸法を設定（例えば、幅は１０〜１３インチ、長さは、２８〜３５インチ、高さは２〜８インチ）にしてもよく、患者がベッドに横たわっている場合は、かかとをベッドの表面から持ち上げるようにするため、サポートをふくらはぎの下に配設してもよい。ヒール・プロテクタによって、傾斜を緩やかにしてもよい。

カバーに包まれた発泡体層および多層サポートを有するクッション・サポート組立体の斜視図である。 発泡体層は、多層サポートの底部表面に沿った、あるいは、接触表面に対向する多層サポートの表面に沿った位置に配設される、各発泡体層および多層サポートの分解組立図である。 発泡体層が、多層サポートの上部表面または接触表面上に配設されている、別の形態の分解組立図である。 第１発泡体層が多層サポートの上部表面、または、接触表面、および底部表面の上に配設された、さらに別の形態の分解組立図である。 多層サポートの斜視図である。 形成する層を個別に示した多層サポートの分解組立図である。 多層サポートの上面図である。 多層サポートの底面図である。 様々な多層サポートの、実験によって得られた圧力測定値を比較する図である。

一般的に、健康なヒトであれば、筋肉および、軟繊維が通常、下位の皮膚表面に接触する体の骨質の突起からの圧力を分散し、軽減する。しかし、患者が仙骨や転子等（または、かかと、肘、頭部などの部分）、体の一部分を長期間、横たえる必要があると、下位表面に対して形成される突起と接触領域の間の、皮膚及び組織の領域を圧迫することがある。

サポート組立体は、長時間、動きが固定されるヒト（車椅子の使用等）が装着、または、使用して、床擦れの形成を防止する。このようなサポート組立体は、床擦れが発症し易い、仙骨、転子、坐骨、頭部、肘、かかと等、サポートが所望される体の部位に面して、および／または、下部に配設してよい。本明細書に記載のサポート組立体は、さまざまな機能が組み込まれ、あるいは、含まれていてもよく、それらの詳細は、
〜 を参照されたい。これらの、それぞれは、特許の全体および本明細書に記載のすべての目的を参照することによって、ここに引用するものとする。

サポート・クッションの一実施形態として、カバー１２に包まれた多層クッション・サポート１４を有するクッション・サポート１０を図１Ａの斜視図に示す。図１Ｂは、多層クッション・サポート１４の分解組立図であって（詳細は下記に記載）、多層クッション・サポート１４は、一般的に、互いに流体連結された中央サポート領域と周囲サポート領域２０を有するよう構成された、いくつかの相互連結されたチャンバを有する。多層サポート１４に、任意に、気体（空気等）または液体（水、鉱油等）、あるいはこれらの組み合わせを充填してもよい。多層サポート１４は、車椅子に載せられたクッションとしても使用できるよう、例えばサイズを１８ ｘ ２０インチにして、患者の体の下に配設できるよう、さまざまなサイズに使用してもよい。多層サポート１４は、中央サポート領域２０の表面に取り付けられた（溶接等）追加の層によって形成された比較的小型の第２チャンバ１８を、中央サポート領域２０に囲まれるように組み込んでもよい。第２チャンバ１８は、鉱油等の多量の液体が充填されてもよく、これの粘性は、中央サポート領域、または、周囲サポート領域２０内に充填された気体、または、液体よりも、高くてもよい。さらに、この第２チャンバ１８は、中央サポート領域、および、周囲サポート領域２０から、流体的に非連結のままでよい。

多層サポート１４とは別に、クッション発泡体層１６が多層サポート１４の底部表面に沿って配設可能であれば（つまり、第２チャンバ１８に対面する多層サポート１４の表面に沿って）追加の、クッション発泡体層１６を、多層サポート１４に隣接して配設してもよい。これは、他の物質の干渉なしに（カバー１２を除く）、多層サポート１４と第２チャンバ１８が患者の体に直接的に接触することを考慮したものである。クッション発泡体層１６は、用途に応じて、様々なサイズ、および、厚さ（例えば、１７ ｘ １９ ｘ ０.５インチ）に作製できるよう、様々な密度のウレタンフォームから構成されてもよい。発泡体層１６は、ゲル状の素材や、バイアス・スプリング等を用いた、他のクッション構造に転換してもよい。

カバー１２は、多層サポート１４、および、発泡体層１６の両方を包んでいてもよく、それらはさらに、通気性と防水性を備えるよう、様々な素材から作製してもよい。カバー１２の表面は、その表面全体か、選択した面（基礎部に接触する底部表面等）が、滑ることのないように、作製してもよい。カバー１２のサイズは、多層サポート１４、および、発泡体層１６と同様のサイズにしてもよく（例：１８ ｘ ２０ ｘ １.５インチ）、両者は、カバー１２の一端部に画定された開口部から、カバー１２に挿入してもよい。さらに、多層サポート１４、および、発泡体層１６の相対的位置は、ストラップ、ファスナー、接着等の様々な方法を用いて維持できるが、カバー１２により維持してもよい。さらに、カバー１２は、患者の体に直接接触するよう、第２チャンバ１８の上に配設してもよく、その場合、多層サポート１４、および、発泡体層１６が提供するクッション・サポートを干渉しないように、カバー１２は、十分に薄くする必要がある。

前述の通り、クッション発泡体層１６は、多層サポート１４の底部表面に沿って、つまり、第２チャンバ１８に対向する多層サポート１４の表面に沿って配設される（図１Ｂ参照）ので、第２チャンバ１８と多層サポート１４は、カバー１２が備えられていると、カバー１２を介して、患者の体に直接的に接触可能な位置に配設してもよい。多層サポート１４の第２チャンバ１８を患者の体に接触する位置に配設することにより、圧力が多層サポート１４全体に効果的に分散し、多層サポート１４の下に配設されたクッション発泡体層１６は（つまり、第２チャンバ１８に対向し、患者の体から離れている、多層サポート１４の表面に沿って）、患者の体に対し、さらなるクッション・サポートを提供する。

しかし、クッション・サポートの他の一実施形態として、図２Ａの分解組立図に示す通り、発泡体層１６は、多層サポート１４の上に配設してもよい。この形態では、発泡体層１６がカバー１２を介して患者の体に接触するよう、発泡体層１６を第２チャンバ１８と同じ表面に沿って配設してもよい。図２Ｂの分解組立図に、図２Ａに類似した他の実施形態を示すが、多層サポート１４の下部に第２発泡体層１６'を追加して、配設している。この場合、発泡体層１６、および、第２発泡体層１６'は、所望する結果に応じて、同じ、または、異なる素材から作製してもよく、同じ、または、異なる寸法に作製してもよい。

多層サポート１４の一実施形態を図３Ａの斜視図に示し、多層サポート１４を形成する個々の層の分解組立図を図３Ｂに示す。第２チャンバ１８は、その端部３０に沿って、多層サポート１４の上に取り付けてもよく、その取り付けは、溶接、接着、および／または、その他の方法でもよい。第２チャンバ１８は、１つのチャンバを形成し、１つ以上の障壁／境界３２が、第２チャンバ１８に沿って形成され、それによって、第２チャンバ１８が少なくとも部分的に、互いに流体連通された、１つ以上のサブチャネルに分割される。障壁／境界３２を含むことにより、患者が多層サポート１４の上で体の位置を整える時等に、第２チャンバ１８内に含まれた流体の流動の方向が急に変わることを効果的に減速させるか、止めることができる。図３Ａに示す一実施形態では、２つの障壁／境界３２が第２チャンバ１８に沿って並列に形成されているが、他の実施形態では、２つ以上または以下の障壁／境界３２が並列、または、その他の形態で形成されてもよい。

さらに、第２チャンバ１８は、全体の容積が、例えば、０.６リットルになるように形成してもよいが、この容積は、所望する結果、および、チャンバ１８に充填する液体の種類に応じて、増減してもよい。第２チャンバ１８内に保持されるこの容積は、下位の多層サポート１４の容積よりも小さい。この実施形態では、例えば、０.６リットルの鉱油を含んでいてもよく、この鉱油によって、多層サポート１４の残りのチャンバ内に含まれる下位の空気層との組み合わせによって、圧力を低減してもよい。使用時に、チャンバ１８内のオイル層は、下位の空気チャンバ上に載置され、流体の境界部に関連する「エッジ効果」を防止する。さらに、オイルを、いくつかの受動的、または、能動的な方法を用いて、冷却、または、加熱することができるので、チャンバ１８内にオイル層を有することにより、患者の体に対して、冷却、または、加熱療法を容易に施術することもできる。追加として、および／または、代わりに、いくつかの方法によって、残りのチャンバ内の空気を冷却、または、加熱することもできる。しかし、オイルは、空気よりも比熱が高いので、チャンバ１８内のオイル層は、より長い時間、熱を保持する。

図３Ｂの分解組立図では、多層サポート１４を形成する各層が示されている。第２チャンバ１８の最上層を形成する第１層５０は、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）等のポリマー材料で作製された、厚みが、例えば、０.０２０インチであるシート状に形成してもよい。第１層５０の寸法は、第２層５２よりも短くなるよう（例えば、１３ ｘ １２インチ）、様々な寸法に形成し、第２層５２の上に取り付けてもよい。第２層５０および第３層５４は、同様に、ＰＶＣ等のポリマー材料で作製された厚みが例えば、０.０１０インチであるシート状に形成してもよい。第２層５２および第３層５４のそれぞれは、同様の寸法（例えば、２０ ｘ １８インチ）であってよく、第２層５２および第３層５４の周囲に形成されたシームに沿って、および、両シート間の様々な位置で、互いに連結されていてもよい。しかし、第２層５２および第３層５４は互いに連結されているので、第１層５０を、下位の第２層５２のみに連結されたままにしてもよい。

多層サポート１４の、詳細な上面図を図４Ａに、底面図を４Ｂに示す。図４Ａに示す通り、第１層５０は、第１層５０の周囲において、アタッチメント３０に沿って、第２層５２に溶接、または、他の方法で連結してもよく、障壁／境界３２は、第１層５０および第２層５２の間でも形成されていることが視認できるようにしてもよい。前述の通り、流体が第２チャンバ１８の全体に行き渡るよう、流体通路３４を、サブ・チャンバ間に形成するため、障壁／境界３２は、第１層５０および第２層５２の間に、少なくとも部分的に形成してもよい。流体通路３４は、幅が、例えば、１.５インチ以上になるように形成してもよい。

図４Ｂの底面図は、第２層５２と第３層５４との間の詳細を示す。第２層５２および第３層５４は、溶接等の方法によって互いに連結し、サポートを、流体連結したまま、サブ・チャンバに分割してもよい。この実施形態では、中央チャンバ４０をサポート１４の中央部分に沿って画定し、周辺チャンバ４２を、中央チャンバ４０を囲むように形成してもよい。第２層５２と第３層５４を部分的に、溶接などの方法で、互いに連結して、１つ以上の障壁／境界３６を、中央チャンバ４０および周辺チャンバ４２の間に形成してもよい。障壁／境界３６は、サポート１４の外部周囲に従うように形成（例えば、幅を２〜３インチにする）してもよく、中央チャンバ４０と周辺チャンバ４２の間に、１つ以上の流体通路４４（例えば、幅を２インチ以上にする）を画定してもよい。流体通路４４を、障壁／境界３６の各側に沿って形成し、中央チャンバ４０と周辺チャンバ４２の間の空気の通路としてもよい。

複数のサポート用の層、および、複数のサブ・チャンバを用いて、患者の体の一部分がサポート１４の上に位置すると、サポート１４内の気体、および、液体が移動（各層内において）する。少なくとも中央チャンバ４０内の一定量の空気は、１つ以上の流体通路４４を介して、周辺チャンバ４２に侵入し、体の一部分に隣接する一つ以上の領域に移動し、サポート１４の側部を、体の一部分に接触するサポート１４の一部分から少し引き上げる（例えば、囲んでいる周辺チャンバ４２、および、体の部位に隣接する中央チャンバ４０の一部分）。第２チャンバ１８内のオイル等の液体も、一部が、体の一部分から離れるように、流体通路３４を通して移動するが一部は、第２チャンバに残る。

周辺チャンバ４２は、体の一部分と接触する、サポート１４の一部分に対して引き上げられるので、移動した液体、または、気体は、体の一部分に接触して支持するサポート１４の表面面積を広げ、体の一部分に対して、揺らしの効果を提供する。例えば、患者の臀部がサポート１４の上に置かれると、中央チャンバ４０（および／または、第２チャンバ１８内のオイル）の空気は、接触する臀部の下に直ちに移動する。中央チャンバ４０から移動する液体、または、空気は、隣接する周辺チャンバ４２に流入し、サポート１４によって臀部が揺らされるように、周辺チャンバ４２は、中央チャンバ４０に対して少し引き上げられる。さらに、臀部に接触するサポート１４の表面面積全体が広がり、サポート１４は、患者の臀部だけでなく、臀部に隣接する部位も引き上げる。

中央チャンバ４０は、中央チャンバ４０に沿って画定された１つ以上の障壁／境界３８を有してもよい。互いに平行に配設される、３つの障壁／境界３８が示されているが、これらは、３つ以上でも、３つ以下でもよい。障壁／境界３６、および、３８、ならびに、流体通路４４は、制御下に置きながら、中央チャンバ４０、および、周辺チャンバ４２の全体を、流体連通にしてもよい。さらに、第３層５４にバルブ４６を組み込んで、空気をサポート１４に流入させてもよい。第２チャンバ１８は、鉱油が、例えば０.６リットル充填されているので、第２チャンバ１８は、サポート１４の残存空気の流体移動が不可能なままでよい。

本明細書に記載の実施形態の効率性を判断するため、従来の車椅子に設置された様々なクッション・サポートの上に座った患者（２４歳、男性、１５５ポンド）の、皮膚表面ピーク圧力値（ｍｍＨｇ）を測定するために、いくつかの実験を行った。表１の通り、患者の圧力の測定結果を示し、比較した。

測定圧力値

図５は、これらに対応する患者の体から得られた圧力マップと、表１に示す、実施形態に対して実施したテスト結果を示す。

上記の表の通り、テストは、サポートを様々な形態に変えて行われ、それぞれのサポートの形態に対して、複数の読み取り値を編集し、平均値を算出した。テスト２に示す、本発明の実施形態による、多層サポート１４の下に配設された発泡体層１６（厚みは１.５インチ）を有する多層サポート１４の基本圧力測定値は０％である。クッションが全くないサポートのピーク圧力は、テスト１に２００ ｍｍＨＧと示されており、テスト２の実施形態と比較して、平均ピーク圧力が５９％増加していることに関連付けられる。測定したピーク圧力が高ければ高い程、それに対応して、提供されるクッション・サポートが下がることが示唆される。

テスト３は、比較対象として、車椅子に典型的に使用されている従来の尾骨ゲル／発泡クッション（Ｎｏｖａ Ｏｒｔｈｏ-Ｍｅｄ、 Ｉｎｃ.）を使用して実行した。平均ピーク圧力は、相対的に２８パーセント増加し、テスト２における実施形態のクッション・サポートの下落に相応する。これらの結果から、テスト２に示された実施形態によるクッション・サポートは、全くサポートがないとき、さらには、従来のクッション・サポートと比較して、著しい圧力低下とクッション・サポートの増加を提供する。

残りのテストは、サポート１４に基づいて配設された、比較的薄い（０.５インチ、１.５インチと比較）発泡体層１６を有する多層サポート１４に対して行った。テスト４は、同様にサポート１４の底部表面に沿って配設された、比較的薄い発泡体層１６を用いて実行したが、平均ピーク圧力が相対的に５％増加したが、これは、テスト２の実施形態に基づく、クッション・サポートがもたらした下落に相当する。

テスト５は、サポート１４の上部表面に沿って配設された、比較的薄い発泡体層１６を用いて実行したが、平均ピーク圧力が相対的に２２％増加したが、これも、テスト２の実施形態に基づく、クッション・サポートがもたらした下落に相当する。テスト６は、サポート１４の上部表面、および、底部表面の両方に沿って配設された、比較的薄い発泡体層１６を用いて実行し、平均ピーク圧力が相対的に２１％増加したが、これも、テスト２の実施形態に基づく、クッション・サポートがもたらした下落に相当する。これらのテスト結果は、第２チャンバ１８、および、サポート１４全体のサポート効果を低下させないよう、発泡体層１６を、患者の体から離れたサポート１４の底部表面に沿って配設することが好ましいことを特に示唆している。さらに、発泡体層１６の厚さが増すことによっても、クッション・サポートが増大する。

本明細書に記載の多層サポートの様々な実施形態は、体の他の部位をサポートすることに使用してもよい。例えば、一実施形態として、体のかかとのサポートに同様の方法を活用してもよい。このような実施形態では、かかとをサポートするために、寸法を設定（例えば、幅は１０〜１３インチ、長さは、２８〜３５インチ、高さは２〜８インチ）にしてもよく、患者がベッドに横たわっている場合は、かかとをベッドの表面から持ち上げるようにするため、サポートをふくらはぎの下に配設してもよい。ヒール・プロテクタによって、傾斜を緩やかにしてもよい。

本明細書の上記に記載されたデバイス、および、方法の用途は、仙骨、転子、坐骨、頭部、肘、かかと等の体の特定の部位に限定されることはなく、さらなる応用が、限定されることなく含まれる。本発明を実施する上で、本明細書の上記に記載されたデバイス、および、方法の変更、ならびに、当業者にとって明らかである本発明の改変は、本発明の請求項の範囲に含まれる。

Claims (34)

1. 多層クッション・サポートであって：
   体の一部分に接触する第１接触表面と、第１接触表面に対向する第２表面を有し、中央チャンバと、中央チャンバを囲む周辺チャンバとを画定し、第１気体、または、第１液体が充填される、第１サポート、；および、
   第１サポートに、第１接触表面に沿って取り付けられ、第１気体、または、第１液体よりも、粘性の高い、第２気体、または、第２液体が充填された、第２サポート、を有する、多層クッション・サポート。
2. 第２サポートの容積は、第１サポートの容積よりも小さい、請求項１に記載のサポート。
3. 第１気体、または、第１液体は、多量の空気を含む、請求項１に記載のサポート。
4. 第２気体、または、第２液体は、多量のオイルを含む、請求項１に記載のサポート。
5. 第１サポートは、周囲に沿って互いに連結された第１層と第２層とを有する、請求項１に記載のサポート。
6. 第１サポートは、第１層と第２層の間に形成された、１つ以上の障壁／境界、を介して連結された、請求項５に記載のサポート。
7. 第２サポートは、第２層に連結された第３層を有する、請求項５に記載のサポート。
8. 第２サポートは、第２層と第３層の間に形成された、１つ以上の障壁／境界を介してさらに連結された、請求項７に記載のサポート。
9. 中央チャンバと、周辺チャンバは、１つ以上の通路を介して、互いに流体連通している、請求項１に記載のサポート。
10. 第２サポートに対向した第２表面に隣接して配設された発泡体層を、さらに有する、請求項１に記載のサポート。
11. 第１サポート、第２サポート、および、発泡体層を包むように構成されたカバーをさらに含む、請求項１０に記載のサポート。
12. 多層クッション・サポートであって：
    体の一部分に接触する第１接触表面と、第１接触表面に対向する第２表面を有し、
    中央チャンバと、中央チャンバを囲む周辺チャンバとを画定し、多量の空気が充填される、第１サポート； および、
    第１サポートに、第１接触表面に沿って取り付けられ、気体の体積よりも小さい体積のオイルが充填されている、第２サポートを有する、
    多層クッション・サポート。
13. 第１サポートは、周囲に沿って互いに連結された第１層と第２層を有する、請求項１２に記載のサポート。
14. 第１サポートは、第１層と第２層の間に形成された、１つ以上の障壁／境界を介して連結された、請求項１３に記載のサポート。
15. 第２サポートは、第２層に連結された第３層を有する、請求項１３に記載のサポート。
16. 第２サポートは、第２層と第３層の間に形成された、１つ以上の障壁／境界を介してさらに連結された、請求項１５に記載のサポート。
17. 中央チャンバと、周辺チャンバは、１つ以上の通路を介して、互いに流体連通している、請求項１２に記載のサポート。
18. 第２サポートに対向した第２表面に隣接して配設された発泡体層を、さらに有する、請求項１２に記載のサポート。
19. 第１サポート、第２サポート、および、発泡体層を包むように構成されたカバーをさらに含む、請求項１８に記載のサポート。
20. 多層クッション・サポートの提供と、第２サポートの位置設定を含む、体の一部分をサポートする方法であって：
    多層クッション・サポートの提供には、第１サポートと第２サポートを含み、第１サポートは、第１接触表面と第１接触表面に対向する第２表面とを有し、中央チャンバと、中央チャンバを囲む周辺チャンバを画定し、第２サポートは、第１接触表面に沿って、第１サポートに連結され、第１サポートは、第１気体、または、第１液体が充填され、第２サポートは、第１気体、または、第１液体よりも、粘性が高い、第２気体、または、第２液体が充填されている、多層クッション・サポートの提供；および
    体の一部分に隣接した第２サポートの位置設定を含む、
    体の一部分をサポートする方法。
21. 第２サポートに対向した第２表面に隣接して配設された発泡体層を、さらに提供する、請求項２０に記載の方法。
22. 第２サポートの容積は、第１サポートの容積よりも小さい、請求項２０に記載の方法。
23. 第１気体、または、第１液体は、多量の空気を含む、請求項２０に記載の方法。
24. 第２気体、または、第２液体は、多量のオイルを含む、請求項２０に記載の方法。
25. 第１サポートは、周囲に沿って互いに連結された第１層と第２層を有する、請求項２０に記載の方法。
26. 第１サポートは、第１層と第２層の間に形成された、１つ以上の障壁／境界を介して連結された、請求項２５に記載の方法。
27. 第２サポートは、第２層に連結された第３層を有する、請求項２５に記載の方法。
28. 第２サポートは、第２層と第３層の間に形成された、１つ以上の障壁／境界を介してさらに連結された、請求項２７に記載の方法。
29. 中央チャンバと、周辺チャンバは、１つ以上の通路を介して、互いに流体連通している、請求項２０に記載の方法。
30. 第２サポートに対向する第２表面に隣接した位置に、患者の体の一部分から離れるように配設される、発泡体層をさらに提供する、請求項２０に記載の方法。
31. 第１サポート、第２サポート、および、発泡体層を包むように構成されたカバーをさらに提供する、請求項３０に記載の方法。
32. 第２気体、または、第２液体を介して、患者の体の一部分を加熱、または、冷却することをさらに含む、請求項２０に記載の方法。
33. 位置設定には、第１気体、または、第１液体を、体の一部分に隣接した領域に移動させることを含む、請求項２０に記載の方法。
34. 第２気体、または、第２液体を、隣接した領域にさらに移動させる、請求項３３に記載の方法。