JP2017511694A - マイクロrna阻害剤を使用するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、マイクロRNA阻害剤を作製して使用するための組成物および方法を提供する。特定の態様において、本発明は、新生物(例えば、乳がん)を含む疾患の治療に有用な組成物および方法を特徴とする。
Description
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)に基づき2014年2月12日出願の米国仮出願第61/938,776号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)に基づき2014年2月12日出願の米国仮出願第61/938,776号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
連邦政府支援の研究の下でなされた発明に対する権利の陳述
本発明は、米国立衛生研究所によって授与された助成金番号CA148565の下で政府の支援によりなされたものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
本発明は、米国立衛生研究所によって授与された助成金番号CA148565の下で政府の支援によりなされたものである。政府は本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
マイクロRNA(microRNA;miRNA;miR)は、細胞分裂、分化および増殖を調節する上で重要な役割を果たしている。研究からは、miRNAがヒトの全遺伝子の1%超においてコードされており(Lim et al., 2003, Science 299(5612):1540)、また、それらはヒト遺伝子の30%超を標的としている(Lewis et al., 2005, Cell 120(1):15-20)ことが示唆される。miRNAは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞におけるPTENおよびPDCD4などの腫瘍抑制タンパク質のレベルの低減を含めて、いくつかの生物学的プロセスに関与している。
マイクロRNA(microRNA;miRNA;miR)は、細胞分裂、分化および増殖を調節する上で重要な役割を果たしている。研究からは、miRNAがヒトの全遺伝子の1%超においてコードされており(Lim et al., 2003, Science 299(5612):1540)、また、それらはヒト遺伝子の30%超を標的としている(Lewis et al., 2005, Cell 120(1):15-20)ことが示唆される。miRNAは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞におけるPTENおよびPDCD4などの腫瘍抑制タンパク質のレベルの低減を含めて、いくつかの生物学的プロセスに関与している。
miRNAは、標的mRNAの翻訳を中断させることによって、またはmRNAの分解を標的にすることによって、mRNAの翻訳を阻害する非コードRNAである(Bartel, 2004, Cell 116(2):281-97)。miRNAの生合成は核内で開始し、そこでは一次miRNA(primary miRNA)がRNAポリメラーゼIIによって転写される。次に、一次miRNAはDroshaとその補因子DGCR8によりプロセッシングされて、より短いヘアピン構造の前駆体miRNA(precursor miRNA;pre-miRNA)を生成する(Lee et al., 2003, Nature 425(6956):415-9)。pre-miRNAはエキスポーチン(exportin)5によって細胞質に輸送され、Dicerにより切断され、ループを除去して、成熟した二本鎖miRNAを生じる。二本鎖miRNAの一方の鎖は、その5'末端に不安定な水素結合を含み、ガイド鎖としてRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)に優先的に取り込まれる(Khvorova et al., 2003, Cell 115(2):209-16)。パッセンジャー鎖と呼ばれる他方の鎖は、RISCから解離して分解されると推定される。しかし、パッセンジャー鎖の多少の活性が述べられている(Mah et al., 2010, Crit Rev Eukaryot Gene Expr 20(2):141-8)。本明細書に記載した結果は、従来の見解に反して、miR-17-3pパッセンジャー鎖がPTENおよびPDCD4のmRNAを標的にすることを示している。
miRNAのいくつかの調節メカニズムが提案されている。miRNAによる翻訳抑制は、ガイド鎖miRNAが、RISCによって媒介される不完全な相補性を介して、mRNAの3'UTR内の標的に結合することによって、達成され得る(Bartel, 2004, Cell 116(2):281-97)。RISCはまた、完璧なまたはほぼ完璧な相補性でもって標的mRNAのオープンリーディングフレームに結合し、Ago2のエンドヌクレアーゼ活性部位によるmRNAの切断をもたらす。Ago2はまた、mRNAのm7Gキャップに結合して、翻訳開始因子eIF4Eに対する結合部位を遮蔽することができる(Khoshnaw et al., 2009, J Clin Pathol 62(5):422-8)。miRNA結合型mRNAおよび関連するRISCタンパク質は、ポリソームに再び入るためにストレス下で放出されない限り、翻訳抑制を防止するためにPボディ(P-body)に貯蔵されることもある(Lynam-Lennon et al., 2009, Biol Rev Camb Philos Soc 84(1):55-71)。
所定のmiRNAは複数の異なるmRNA標的を持つことができ、また同様に、所定の標的は複数のmiRNAによって標的化される可能性がある。miRNAは、正常な細胞または病気の細胞において細胞分裂、分化および増殖を調節する上で重要な役割を果たしている。研究からは、miRNAがヒトの全遺伝子の1%超においてコードされており(Lim et al., 2003, Science 299(5612):1540)、また、それらはヒト遺伝子の30%超を標的としている(Lewis et al., 2005, Cell 120(1):15-20)ことが示唆される。アデノシンが両側に位置することの多い、保存されたシードペアリング(seed pairing)は、何千ものヒト遺伝子がマイクロRNA標的であることを示している。がんに関しては、発がん性miRNAおよび腫瘍抑制miRNAが存在している(Cimmino et al., 2005, Proc Natl Acad Sci U S A 102(39):13944-9. PMID: 16166262; O'Donnell et al., 2005, Nature 435(7043):839-43. PMID: 15944709; Johnson et al., 2005, Cell 120(5):635-47. PMID: 15766527)。発がん性miRNAは腫瘍抑制遺伝子を標的にする一方で、腫瘍抑制miRNAはがん遺伝子を標的にする。発がん性miRNAの過剰発現は腫瘍抑制因子のタンパク質レベルを低下させて、腫瘍形成を可能にする。腫瘍抑制miRNAの枯渇はがん遺伝子の過剰発現をもたらし、絶え間ない細胞増殖および分裂につながる(Caldas et al., 2005, Nat Med 11(7):712-4)。
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、またはヒト上皮成長因子2(Her2)の分子標的を欠いており、治療の選択肢がほとんどない予後不良をもたらす。TNBCは通常、化学療法に最初は応答するが、再発までの時間が短く、治療の選択肢がない(Bosch et al., 2010, Cancer Treat Rev 36(3):206-15)。ER/PRの欠如は、抗エストロゲン剤の使用を妨げる。Her2の欠如は、Her2阻害剤による治療を否定する。腫瘍抑制タンパク質、例えば、PTEN (Depowski et al., 2001, Mod Pathol 14(7):672-676)およびPDCD4 (Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33)などは、TNBC細胞において減少している。抑制タンパク質活性の低下は、増大したTNBC細胞の増殖、生存、マイクロフィラメントの不安定化、転移性形質転換、ならびに周囲組織および血管への浸潤を可能にする。
多くのがんにおける恒常性の調節異常は、miRNAの発現の変化に関係している(Iorio et al., 2005, Cancer Res 65(16):7065-7070)。miRNAの発現レベルは、mRNAの発現レベルと比較して、該遺伝子の機能的活性をより正確に表している(Rosenfeld et al., 2008, Nat Biotechnol 26(4):462-9)。miRNAの発現プロファイリングは、がんを正常組織と区別するのに役立ち、低分化がん組織でさえも効果的に分類することができる(Lu et al., 2005, Nature 435(7043):834-8)。miRNAの発現は、ヒト乳房腫瘍を分類し、予後を予測し、隣接する正常組織からがん組織を区別するために使用され得る(Iorio et al., 2005, Cancer Res 65(16):7065-7070)。乳がんの細胞増殖および転移の多数の制御性miRNAは、研究が進行中である(Pencheva et al., 2013, Nat Cell Biol 15(6):546-554)。
発がん性miRNA(oncomiR)は、腫瘍抑制遺伝子の翻訳を抑制することにより、がんと関連付けられるマイクロRNAである。このようなマイクロRNA(oncomiR)の調節異常は、発がん、悪性形質転換、および転移を含めた、特定のがん形成(発がん)事象と関連付けられている。多くの異なるoncomiRが多くの種類のヒトがんにおいて同定されている。oncomiRは、がん組織内では増加したレベルまたは減少したレベルであり得る。いくつかのoncomiRは、該遺伝子の過剰発現が新生物細胞の生存率の増加および/または細胞死の減少につながるという点で、がん遺伝子から派生する。このようなoncomiRは、翻訳抑制とmRNA不安定化の両メカニズムによって遺伝子(例えば、細胞のライフサイクルを調節する腫瘍抑制遺伝子および/または腫瘍抑制タンパク質)をダウンレギュレートすることにより、がんを引き起こす可能性がある。他のoncomiRは正常細胞において腫瘍抑制活性を調節しており、したがって、このタイプのoncomiRの過少発現は新生物細胞の成長および/または増殖につながる。
oncomiRは腫瘍抑制遺伝子を標的にする一方で、腫瘍抑制miRNAはがん遺伝子を標的にする。oncomiRの過剰発現は腫瘍抑制因子のタンパク質レベルを低下させて、腫瘍発生を可能にする。腫瘍抑制miRNAの枯渇はがん遺伝子の過剰発現をもたらして、絶え間ない細胞増殖および分裂につながる(Caldas et al., 2005, Nat Med 11(7):712-4)。oncomiRのmiR-17-5p (Yu et al., 2008, J. Cell Biol. 182(3):509-517)およびmiR-21-5p (Lu et al., 2008, Oncogene 27(31):4373-9. PMID: 1837292)は、典型的には、特にmiR-17-92クラスター全体の活性化を示すTNBC細胞において過剰発現されている(Farazi et al., 2011, Cancer Research 71(13):4443-4453)。miR-17-5p (Shan et al., 2013, J Cell Sci 126(Pt 6):1517-30)。miR-21-5p (Meng et al., 2007, Gastroenterology 133(2):647-58)は、PTEN mRNAの翻訳を阻害する。miR-21-5pは、PDCD4 mRNAの翻訳を阻害する(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33)。miR-17-5pおよびmiR-21-5pはまた、循環エキソソーム中にも見出されるが(Valadi et al., 2007, Nat Cell Biol 9(6):654-9)、その因果関係は不明である。
がんの多くの種類はmiR-17-5pを過剰発現しており、miR-17-5pは、X、13番および7番染色体上にゲノム位置を有する相同miRNAのファミリーであるmiR-17-92クラスターのメンバーである(He et al., 2005, Nature 435(7043):828-33)。13番染色体に位置する該クラスターは、多くの場合、B細胞リンパ腫において増幅されており(Ota et al., 2004, Cancer Res 64(9):3087-95)、また、13番染色体クラスターからのmiRNAは、一般的に、乳房、肺、結腸、膵臓、前立腺、および胃がんを含めた、各種のがんにおいてアップレギュレートされている(Volinia et al., 2006, Proc Natl Acad Sci USA 103(7):2257-61; Petrocca et al., 2008, Cancer Cell 13(3):272-86)。この遺伝子クラスターは単一の一次miRNAとして転写され、その後プロセッシングされて6つの単一の成熟miRNA分子:miR-17-5p、miR-18、miR-19a、miR-20、miR-19b-1およびmiR-92-1を生成し(Tanzer et al., 2004, J Mol Biol 339(2):327-35)、そのうちの5つは、この増幅された遺伝子クラスターを有する細胞株で過剰発現されている(He et al., 2005, Nature 435(7043):828-33)。カロリー制限(CR)および電離放射線(IR)は、トリプルネガティブ乳がんのマウス4T1腫瘍モデルにおいてmiR-17〜92クラスターのメンバーをダウンレギュレートし、miR-17-5p結合部位を示す細胞外マトリックス(ECM)mRNAを抑制することによってその転移活性を低下させる(Jin et al., 2014, Breast Cancer Res Treat 146(1):41-50)。miR-17〜92クラスターの7メンバーのうち、ガイド鎖miR-17-5pは主に、PDCD4およびPTENなどの腫瘍抑制遺伝子のmRNAを標的にして、転移性細胞の移動および浸潤の促進に関与している(Xiao et al., 2008, Nat Immunol 9(4):405-14)。miR-17-5pは、非浸潤性の管腔(luminal)MCF7細胞と比較して、間葉系MDA-MB-231細胞で大幅にアップレギュレートされており、浸潤および移動行動に寄与している(Li et al., 2011, Breast Cancer Res Treat 126(3):565-75)。パッセンジャー鎖としては、miR-17-3pが肝細胞癌においてビメンチンmRNAを標的にすることが報告されている(Shan et al., 2013, J Cell Sci 126(Pt6):1517-30)。
miR-21-5pガイド鎖の発現は、膵臓がんにおいてアップレギュレートされており、増殖および転移の増加と相関している(Roldo et al., 2006, J Clin Oncol 24(29):4677-84)。慢性膵炎と膵臓がんを区別するためのmiR-21-5pの能力は、発がんにおけるその役割をさらに確かなものとした(Bloomston et al., 2007, Jama 297(17):1901-8)。miR-21-5pはTNBCで過剰発現されており、腫瘍形成への関与が示唆される(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33; Lu et al., 2008, Oncogene 27(31):4373-9; Iorio et al., 2005, Cancer Res 65(16):7065-7070)。miR-21-3pは、シスプラチン抵抗性卵巣がん細胞においてNAV3 mRNAを標的にすることが報告されている(Pink et al., 2015, Gynecol Oncol.)。ガイド鎖であるmiR-21-5pの発がん特性は、膵臓がんでのそのアップレギュレートされた発現を通して反映され、増殖および転移の増加と相関している(Roldo et al., 2006, J Clin Oncol 24(29):4677-84)。慢性膵炎と膵臓がんを区別するためのmiR-21-5pの能力は、発がんにおけるその役割をさらに確かなものとした(Bloomston et al., 2007, JAMA 297(17):1901-8)。miR-21-5pは乳がんで過剰発現されており、腫瘍形成への関与が示唆される(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33; Lu et al., 2008, Oncogene 27(31):4373-9; Iorio et al., 2005, Cancer Res 65(16):7065-7070)。がん以外では、miR-21-5pは、エタノール傷害後の肝再生のように、失われた細胞または死滅した細胞を置き換えるために、細胞増殖を促す(Dippold, R. P. et al., 2012, Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 303(6):G733-743)。
PTENタンパク質は腫瘍抑制タンパク質であって、細胞増殖および生存を負に調節する。PTEN調節の障害は、発がん性の形質転換において何らかの役割を果たすと考えられる(Maehama, 2007, Biol Pharm Bull 30(9):1624-7)。miR-17-5pは、栄養を奪われたまたは化学療法剤で処置された神経膠芽腫細胞において過剰発現され、該細胞内のPTENの3'-UTRを標的にすることが見出された(Li et al., 2012, Oncotarget 3(12):1653-68)。乳がんにおけるmiR-17-5pの重要性は、まだ議論の余地がある。miR-21-5pは、肝細胞癌(HCC)においてPTEN遺伝子の潜在的な調節因子として同定されている(Meng et al., 2007, Gastroenterology 133(2):647-58)。PTEN mRNA上の調節領域は、推定上のmiR-21-5p結合配列に対応するPTEN mRNAの3'-UTRの断片を含むルシフェラーゼレポーター構築物を用いて、3'-UTRに存在することが実証された(Meng et al., 2007, Gastroenterology 133(2):647-58)。乳がんでは、miR-21-5pの導入および阻害は、PTENタンパク質発現のわずかな変化を引き起こしたにすぎず、miR-21の機能的な標的は、種々の細胞/組織のタイプで異なる可能性があることを示唆する(Lynam-Lennon et al., 2009, Biol Rev Camb Philos Soc 84(1):55-71)。
腫瘍抑制タンパク質PDCD4は、アポトーシスの間に過剰発現される(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33)。肺がんおよび結腸直腸がんにおけるそのダウンレギュレーションは、低い生存率の予後と関連していた(Chen et al., 2003, J Pathol 200(5):640-6; Mudduluru et al., 2007, Cancer 110(8):1697-707)。miR-21-5p結合のためのPDCD4 mRNA上のシード領域は、その3'-UTR内に存在する(Asangani, I.A., Rasheed, S.A., Nikolova, D.A., Leupold, J.H., Colburn, N.H., Post, S., and Allgayer, H. (2008) MicroRNA-21 (miR-21) post-transcriptionally downregulates tumor suppressor PDCD4 and stimulates invasion, intravasation and metastasis in colorectal cancer. Oncogene 27(15):2128-36)。MCF-7乳がん細胞では、PDCD4タンパク質は、PDCD4 mRNAの3'-UTRのシード領域と相互作用するmiR-21-5pによって特異的に調節される(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33)。miR-21-5pの過剰発現は、MCF-7乳がん細胞の浸潤を増加させたことから、転移性形質転換における何らかの役割を示す(Lu et al., 2008, Oncogene 27(31):4373-9)。
さまざまなmiRNAプロファイリング研究により、広範囲の病的状態において異なって発現されるmiRNAパッセンジャー鎖、例えば、miR-9-3p、miR-18-3p、miR-29c-3p、miR-126-3p、miR-146-3p、miR-199-3p、miR-223-3p、およびmiR-363-3pなどが報告されている(Mah et al., 2010, Crit Rev Eukaryot Gene Expr 20(2):141-8)。さらなる可能性は、miRBase (www.mirbase.org)で見られる。
したがって、miRNAは、miRNA調節が侵されるがんおよび他の疾患を治療するための比較的新しいクラスの治療標的に相当する。miRNAの機能は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによって、またはmiRNAの機能を模倣するオリゴヌクレオチドによって、治療的に標的化され得る。しかし、オリゴヌクレオチドベースの剤で治療的にmiRNAを標的化することは、RNA結合親和性および特異性を含めて、いくつかの課題を提起する。オフターゲット(off-target)作用を最小限に抑えながら、miRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療効果を与える可能性がある。
現時点では、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対して有効な治療法は存在しない。miR調節が侵されるTNBC、他の腫瘍および疾患の新しい治療方法が緊急に求められている。本発明は、これらの満たされていないニーズに予期せざる方法で対処するものである。
本発明は、オフターゲット作用を低減させながら、マイクロRNAに特異的に結合しかつ/またはその活性を阻害するための組成物および方法を特徴とする。miRNAのこのような阻害剤は、新生物(例えば、トリプルネガティブ乳がん)をはじめとする、疾患の治療のために使用することができる。
一局面では、本発明は、マイクロRNA(miRNA)鎖の5'領域から始まり、miRNA鎖の少なくとも50%以上で、該miRNA鎖の75%以下(例えば、70%、65%、60%、55%以下)に対して完全に相補的である、単離された阻害性核酸を提供する。
別の局面では、本発明は、対象における新生物を治療する方法を提供し、この方法は、該対象に、有効量の、miR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する本発明のいずれかの局面の阻害性核酸を投与することを含んでなる。
別の局面では、本発明は、細胞中のmRNAへのmiRNAの結合を減少させる方法を提供し、この方法は、該細胞に、マイクロRNA(miRNA)鎖の5'領域から始まり、miRNA鎖の少なくとも50%以上で、該miRNA鎖の75%以下(例えば、70%、65%、60%、55%以下)に対して完全に相補的である阻害性核酸を投与することを含んでなる。
本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、miRNA鎖はガイド鎖またはパッセンジャー鎖である。さまざまな態様では、阻害性核酸はガイド鎖またはパッセンジャー鎖に結合する(例えば、ガイド鎖またはパッセンジャー鎖を標的にする)。いくつかの態様では、阻害性核酸は、miRNA鎖の3'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上で、該miRNA鎖の75%以下(例えば、70%、65%、60%、55%以下)と完全に同一である。いくつかの態様では、阻害性核酸は、miRNAをその標的とするmRNAに結合させないか、該mRNAへの結合を最小限にとどめる。特定の態様では、阻害性核酸の配列は、miRNAが標的とするmRNAへの結合を排除するかまたは最小限にとどめるように選択される。ある態様では、阻害性核酸は、標的miRNA鎖(例えば、ガイド鎖またはパッセンジャー鎖)のシード領域に特異的に結合する。特定の態様では、阻害性核酸は、標的とされないmiRNAの逆鎖のシード領域の3塩基までを含む。いくつかの態様では、阻害性核酸は、標的とされないmiRNAの逆鎖のシード領域の配列を含まない。
本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、阻害性核酸はDNAまたはRNAである。さまざまな態様では、阻害性核酸は、ホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む。
本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、miRNAはmiR-17またはmiR-21である。さまざまな態様では、mRNAはPTENまたはPDCD4のmRNAである。ある態様では、阻害性核酸はmiR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する。特定の態様では、阻害性核酸は核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する。特定の態様では、阻害性核酸は核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する。いくつかの態様では、阻害性核酸は、PTENまたはPDCD4のmRNAに結合させないか、PTENまたはPDCD4のmRNAへの結合を最小限にとどめる。
を含み、かつmiR-17-5pに結合する。特定の態様では、阻害性核酸は核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する。いくつかの態様では、阻害性核酸は、PTENまたはPDCD4のmRNAに結合させないか、PTENまたはPDCD4のmRNAへの結合を最小限にとどめる。
本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、前記新生物は、トリプルネガティブ乳がんを含めた、乳がんである。本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、前記細胞は、乳がんまたはトリプルネガティブ乳がんの細胞である。
本発明の好ましい態様の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して読むとき、より良く理解されるであろう。本発明を説明する目的のために、現在好ましい態様が図面に示されている。しかし、本発明は図面に示された態様の正確な配置および手段に限定されないことを理解すべきである。
図1は、50nMのLNAで処理したMDA-MB-231細胞におけるmiR-17-5p(左)およびmiR-21-5p(右)の>95%ノックダウンを示すqPCRの結果を示すグラフである。LNAは、Opti-MEM中でリポフェクタミン2000によりトランスフェクトされた。
図2は、PDCD4の3'-UTRに見出されたmiR-17-5p、miR-17-3p、およびmiR-21-5p標的を示す。
図3は、予測プログラム(rna22)を用いたPDCD4およびPTEN中のmiR-17-5p、miR-17-3p、およびmiR-21-5p標的の同定を示す。
図4は、図4A〜4Cを含み、PTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。図4Aには、PTEN(左)およびPDCD4(右)のタンパク質レベルの代表的なウェスタンブロットを示す。図4Bでは、いくつかの実験からのPDCD4タンパク質レベルが定量された。図4Cでは、いくつかの実験からのPTENタンパク質レベルが定量された。タンパク質レベルは、MDA-MB-231細胞においてmiR-17-5pを50nM LNAで6時間ノックダウンした後に、ウェスタンブロット分析により測定した。LNAはOpti-MEM中でリポフェクタミン2000を介してトランスフェクトされた。
図5は、図5A〜5Cを含み、PTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。図5Aには、PTEN(左)およびPDCD4(右)のタンパク質レベルの代表的なウェスタンブロットを示す。図5Bでは、いくつかの実験からのPDCD4タンパク質レベルが定量された。図5Cでは、いくつかの実験からのPTENタンパク質レベルが定量された。タンパク質レベルは、MDA-MB-231細胞においてmiR-17-5pを1μMのPNA-ペプチドで6時間ノックダウンした後に、ウェスタンブロット分析により測定した。PNA-ペプチドはOpti-MEM中でIGF1Rを介してエンドサイトーシスされた。
図6は、A型らせんで、PTEN mRNAの3'UTR中のヌクレオチド3768-3789に安定的に結合するmiR-17-3pパッセンジャー鎖の分子動的予測を示す。余分の塩基およびミスマッチの塩基は、バックボーンの歪みにより収容されて、該らせん内に積み重なったままでいる。
図7は、miR-17-5pおよびmiR-17-3pのmiRBase検索の結果を示す。miR-17-5pおよびmiR-17-3p間の相同配列は黄色で強調表示される。
図8は、PDCD4 mRNAの3'UTR中のヌクレオチド228-249に結合するmiR-21-3pパッセンジャー鎖のMfold計算を示す。算出されたΔGo=-10.5kcal/mol(0.1M NaCl中)。
図9は、4つの異なる条件:不断給餌(AL)、放射線(IR)、カロリー制限(CR)、およびCR+IR、の下で測定して、カロリー制限が4T1腫瘍モデルにおけるmiR-17およびmiR-20aの発現を低下させたことを示すグラフである。
図10は、MDA-MB-231細胞に抗miR-17-5pをトランスフェクトしてから12時間後のmiR-17-5pのqPCRを示すグラフである。結果は、モック(mock)トランスフェクト型に対して正規化したmiRNA/内部対照U6の絶対値を表す。値は、n=3の測定値の平均±s.d.である。
図11は、抗miR-17-5pをトランスフェクトしてから48時間後のPTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
図12は、抗miR-17-3pをトランスフェクトしてから48時間後のPTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
図13は、抗miR-21-5pをトランスフェクトしてから48時間後のPTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
図14は、近赤外CN-1016-AEEA-PNA-AEEA-シクロ-D(Cys-Ser-Lys-Cys)を含む本発明のPNAの構造を示す。
図15は、抗miR-17および抗miR-21 PNAによりブロックされたPTENおよびPDCD4タンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。1μMの抗miR-17 PNA-d(CSKC)、抗miR-21 PNA-d(CSKC)、またはスクランブルPNA-d(CSKC)をMDA-MB-231細胞と48時間インキュベートした。ライセートのタンパク質をウェスタンブロットで分析した。
図16は、本発明に従って設計された例示的なmiRNA阻害剤を示す。各miRNAのステム-ループ構造は、ガイド鎖(ピンクの上の配列)とパッセンジャー鎖(ピンクの下の配列)間の相補性を示す。各miRNA(そのための阻害剤が設計される)は上の配列として示され、一方、緑色の配列は他方の鎖のシード領域に相補的なヌクレオチドを表す。阻害剤配列は下の配列として示されるが、該配列の赤い部分は、他方の鎖のシード配列に数個のヌクレオチドを含めるための阻害剤配列の可能な延長を表す。ガイド鎖とパッセンジャー鎖間で共有される標的は、最小限の6シードペアリングを用いて、miRWalk、DIANA-mT、miRanda、miRDB、PICTAR、PITA、rna22、およびTargetScanにより予測される。選択されたmiRNAのがん関連性は、miRCancerデータベースから概括される。
図17は、本発明に関連するmiRNAおよびmiRNA阻害剤(SEQ ID NO: 3〜39)を示す表である。
発明の詳細な説明
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料はどれも、本発明の試験を実施するに際して使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。本発明の説明および特許請求の範囲では、以下の用語が使用される。
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料はどれも、本発明の試験を実施するに際して使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。本発明の説明および特許請求の範囲では、以下の用語が使用される。
また、本明細書で使用する用語は、特定の態様のみを説明する目的のためであり、限定することを意図したものではないことを理解すべきである。
本明細書で使用する冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の対象物の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「an element」は1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
量、持続時間などの測定可能な値に言及する場合に本明細書で使用する用語「約」は、指定された値の±20%の変動、または10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、もしくは0.01%以内の変動を含むことを意味する;このような変動は開示された方法を実施するのに適切であるからである。特に文脈から明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、約という用語により修飾される。
「マイクロRNA」または「miRNA」または「miR」とは、遺伝子発現の転写および/または転写後調節において機能を果たす、小さな非コードRNAを意味する。さまざまな態様では、miRNAは、ガイド鎖とパッセンジャー鎖にプロセッシングされる二重鎖を含むヘアピン構造を有する。
「pre-miRNA」または「pre-miR」は、ヘアピン構造を有する非コードRNAを意味し、これは、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼによるpri-miRの切断産物である。
「pri-miRNA」または「pri-miR」は、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼの基質である、ヘアピン構造を有する非コードRNAを意味する。
語句「miRNA前駆体」とは、ゲノムDNAに由来し、かつ1つ以上のmiRNA配列を含む非コード構造化RNAからなる、転写産物を意味する。例えば、ある態様では、miRNA前駆体はpre-miRNAである。ある態様では、miRNA前駆体はpri-miRNAである。
「miR-17」とは、ヒトmiR-17を意味し、GenBankアクセッション番号NR_029487の核酸配列またはその断片(SEQ ID NO: 40; および図17のSEQ ID NO: 3)と実質的に同一である。一態様では、miR-17は、下記の配列に対して少なくとも約85%の核酸配列同一性を有する:
「miR-21」とは、ヒトmiR-21を意味し、GenBankアクセッション番号NR_029493の核酸配列またはその断片(SEQ ID NO: 41; および図17のSEQ ID NO: 19)と実質的に同一である。一態様では、miR-424は、下記の配列に対して少なくとも約85%の核酸配列同一性を有する:
「ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_000305に対して少なくとも約85%のアミノ酸同一性を有し、かつホスファターゼおよび/または腫瘍抑制活性を有するポリペプチドまたはその断片を意味する。典型的なPTENポリペプチド配列を以下に示す(SEQ ID NO: 42):
「PTEN核酸分子」とは、PTENポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。典型的なPTEN核酸配列は、NCBIアクセッション番号NM_000314で提供される。典型的なPTEN mRNA転写産物を以下に示す(SEQ ID NO: 43):
「プログラム細胞死タンパク質4(PDCD4)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_001186421に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有し、かつ腫瘍抑制活性を有する(例えば、アポトーシスを増加させる)ポリペプチドまたはその断片を意味する。典型的なPDCD4ポリペプチド配列を以下に示す(SEQ ID NO: 44):
「プログラム細胞死タンパク質4(PDCD4)核酸分子」とは、PDCD4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。典型的なPDCD4核酸分子は、NCBIアクセッション番号NM_001199492で提供される。典型的なPDCD4 mRNA転写産物を以下に示す(SEQ ID NO: 45):
「新生物」とは、過剰な増殖またはアポトーシスの減少を特徴とする疾患または障害を意味する。本発明を使用することができる例示的な新生物としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:乳がん、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、ナイル管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫)。
本明細書で使用する用語「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、または修飾ヌクレオチド、および一本鎖もしくは二本鎖形態のそれらのポリマーを指す。この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有する、合成の、天然の、および非天然の既知のヌクレオチド類似体または修飾された骨格残基もしくは骨格結合を含む核酸を包含する。このような類似体の例には、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、ボラノホスフェート、メチルホスホネート、2-O-アルキルリボヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」は、当技術分野で認識されるように、天然の塩基(標準)および当技術分野で周知の修飾塩基を含むものを包含するために使用される。このような塩基は一般に、ヌクレオチド糖部分の1'位に位置する。ヌクレオチドは一般に、塩基、糖およびリン酸基を含む。ヌクレオチドは未修飾のもの、あるいは糖、リン酸および/または塩基部分で修飾されたもの(ヌクレオチド類似体、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチドなどとも交換可能に呼ばれる;例えば、Usman and McSwiggen, 前掲; Ecksteinらの国際PCT公開番号WO 92/07065; Usmanらの国際PCT公開番号WO 93/15187; Uhlman & Peyman, 前掲を参照されたい;全てが参照により本明細書に組み入れられる)であり得る。当技術分野で知られた修飾核酸塩基の例は、Limbach, et al., Nucleic Acids Res. 22:2183, 1994に要約されるように、数種が存在している。核酸分子に導入することができる塩基修飾の非限定的な例の一部として、以下が挙げられる:ヒポキサンチン、プリン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル(pseudouracil)、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例:5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例:リボチミジン)、5-ハロウリジン(例:5-ブロモウリジン)または6-アザピリミジンまたは6-アルキルピリミジン(例:6-メチルウリジン)、プロピンなど(Burgin, et al., Biochemistry 35:14090, 1996; Uhlman & Peyman, 前掲)。この面での「修飾塩基」とは、1'位のアデニン、グアニン、シトシンおよびウラシル以外のヌクレオチド塩基またはそれらの同等物を意味する。
本明細書で使用する「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシド、核酸塩基、ペントース環、またはリン酸基への1つ以上の修飾を有するヌクレオチドを意味する。例えば、修飾ヌクレオチドは、アデノシン一リン酸、グアノシン一リン酸、ウリジン一リン酸、およびシチジン一リン酸を含むリボヌクレオチド、ならびにデオキシアデノシン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸、およびデオキシシチジン一リン酸を含むデオキシリボヌクレオチドを含まない。修飾には、メチルトランスフェラーゼなどの、ヌクレオチドを修飾する酵素による修飾から生じる自然発生のものが含まれる。また、修飾ヌクレオチドには合成または非天然ヌクレオチドが含まれる。ヌクレオチドの合成または非天然の修飾としては、2'修飾、例えば、2'-メトキシエトキシ、2'-フルオロ、2'-チオ、2'-アリル、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4'-チオ、4'-CH2-O-2'-架橋、4'-(CH2)2-O-2'-架橋、2'-LNA、および2'-O-(N-メチルカルバメート)を含むもの、または塩基類似体を含むものが挙げられる。本開示に記載される2'-修飾ヌクレオチドに関連して、「アミノ」とは、2'-NH2または2'-O-NH2を意味し、これは修飾されても、未修飾であってもよい。このような修飾された基は、例えば、Ecksteinらの米国特許第5,672,695号およびMatulic-Adamicらの米国特許第6,248,878号に記載されている。
「疾患」とは、細胞、組織または器官の正常な機能を損傷するまたは妨げる任意の病態または障害を意味する。疾患の例としては、がん、肺動脈高血圧症、関節炎、肝硬変、糖尿病、または心臓病が挙げられる。
「変更」とは、本明細書に記載するような当技術分野で公知の標準的な方法によって検出される、遺伝子またはポリペプチドの発現レベルもしくは活性の変化(増加または減少)を意味する。本明細書で使用する場合、変更は、発現レベルの10%変化、好ましくは25%変化、より好ましくは40%変化、最も好ましくは発現レベルの50%またはそれ以上の変化を含む。
「相補的配列」または「相補体」とは、別のポリヌクレオチド配列に塩基対をマッチさせることによって二本鎖構造を形成することができる核酸塩基配列を意味する。塩基対の形成は、相補的な核酸塩基間の水素結合の形成を介して起こり、その水素結合はワトソン・クリック(Watson-Crick)型、フーグスティーン(Hoogsteen)型または逆フーグスティーン型の水素結合であり得る。例えば、アデニンとチミンは、水素結合の形成によって対合する相補的核酸塩基である。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン・クリック型塩基対合)を形成することができる核酸分子中の連続する残基の割合を示す(例えば、第1のオリゴヌクレオチド中の合計10個のヌクレオチドのうち5、6、7、8、9または10個のヌクレオチドが10個のヌクレオチドを有する第2の核酸配列に塩基対合されることは、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補に相当する)。相補性パーセントが少なくとも一定の割合であることを確定するためには、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン・クリック型塩基対合)を形成することができる核酸分子中の連続する残基の割合を計算して、最も近い整数に四捨五入する(例えば、第1のオリゴヌクレオチド中の合計23個のヌクレオチドのうち12、13、14、15、16または17個のヌクレオチドが23個のヌクレオチドを有する第2の核酸配列に塩基対合されることは、それぞれ、52%、57%、61%、65%、70%、および74%に相当する;そして、それぞれ、少なくとも50%、50%、60%、60%、70%、および70%の相補性を有する)。本明細書で使用する「実質的に相補的」とは、鎖同士が生物学的条件下でハイブリダイズすることができるような鎖間の相補性を指す。実質的に相補的な配列は、60%、70%、80%、90%、95%、さらには100%の相補性を有する。また、2本の鎖が生物学的条件下でハイブリダイズすることができるかを、それらのヌクレオチド配列を調べることによって判断する技術は、当技術分野で周知である。
本明細書で使用する「アンチセンス」オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドまたはその一部に実質的に相補的である核酸配列を有する核酸分子であり、標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする能力を有する。
本明細書で使用する「ガイド鎖」は、miRNAの一本鎖核酸分子を指し、該核酸分子は、(例えば、5' UTR、コード領域、または3' UTR中の)標的mRNAにハイブリダイズしかつその翻訳を低下させるまたは阻害するために、標的mRNAの配列に十分に相補的な配列を有する。ガイド鎖は「アンチセンス鎖」とも呼ばれている。
本明細書で使用する「標的RNA」は、阻害性核酸またはその一部(例えば、アンチセンスポリヌクレオチドまたはmiRNAの鎖)により導かれるモジュレーション、例えば標的化された切断または立体障害など、の対象となるRNAを指す。標的RNAは、例えば、ゲノムウイルスRNA、mRNA、プレmRNA、または非コードRNAとすることができる。さまざまな態様では、好ましい標的はmiRNAであり、例えば、miR-17またはmiR-21のような、がんに関与するmiRNAである。特定の態様では、阻害性核酸分子はmiRNAを標的にするが、該miRNAが標的とするmRNAを実質的に標的にすることはない。
本明細書で使用する「シード領域」は、標的RNA(例えば、miRNA)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド鎖の部分を指し、標的RNAに相補的または実質的に相補的な配列を含んでいる。シード領域は6、7または8ヌクレオチドの長さであり得る。
本明細書で使用する「パッセンジャー鎖」は、ガイド鎖の配列に相補的または実質的に相補的な配列を有する、miRNAのオリゴヌクレオチド鎖を指す。いくつかの態様では、パッセンジャー鎖は、(例えば、5'UTR、コード領域、または3'UTR中の)標的mRNAにハイブリダイズしかつその翻訳を低下させるまたは阻害することによって、mRNAを標的にすることができる。パッセンジャー鎖は「センス鎖」とも呼ばれている。
本明細書で使用する「相同」は、2つのポリマー分子間、例えば、2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子などの2つの核酸分子間、または2つのポリペプチド分子間の、サブユニット配列の同一性を指す。これら2つの分子の両方におけるあるサブユニット位置が同じモノマーサブユニットで占められる場合、例えば、2つのDNA分子の各々におけるある位置がアデニンにより占有される場合、それらはその位置で相同である。2つの配列間の相同性は、マッチする位置または相同な位置の数の一次関数である;例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、長さが10サブユニットのポリマー中の5つの位置)が相同である場合、これら2つの配列は50%相同である;該位置の90%(例えば、10のうち9)がマッチするか、または相同である場合、これら2つの配列は90%相同である。
語句「選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする」とは、特定のヌクレオチド配列が複雑な混合物(例えば、細胞内またはライブラリーの全DNAもしくはRNA)中に存在する場合、ある分子がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で該特定のヌクレオチド配列にのみ結合する、二重鎖形成する、またはハイブリダイズすることを指す。
「実質的に同一」とは、ポリペプチドまたは核酸分子が参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のいずれか1つ)または核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のいずれか1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すことを意味する。好ましくは、このような配列は、比較のために使用した配列に対して、アミノ酸または核酸レベルで、少なくとも60%、より好ましくは80%または85%、最も好ましくは90%、95%、さらには99%も同一である。
配列同一性は、一般的に、配列解析ソフトウェア(例えば、1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705所在のウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター、ジェネティクスコンピュータグループ(Genetics Computer Group)の配列解析ソフトウェアパッケージ、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を用いて測定される。このようなソフトウェアは、種々の置換、欠失、および/または他の修飾に相同性の程度を割り当てることによって、同一または類似の配列をマッチさせる。保存的アミノ酸置換は、典型的には、以下のグループ内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための典型的なアプローチでは、BLASTプログラムを使用することができ、e"3とe"100の間の確率スコアが密接に関連する配列を指し示す。
本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチドまたはその断片を調節するまたはコードする任意の核酸分子が含まれる。このような核酸分子は、内因性の核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には、実質的な同一性を示すであろう。内因性配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることが可能である。「ハイブリダイズする」とは、さまざまなストリンジェンシーの条件下で相補的なポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の遺伝子)またはその部分の間で対合して二本鎖分子を形成することを意味する。(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A. R. (1987) Methods Enzymol. 152:507を参照されたい。)一態様では、治療用オリゴヌクレオチドは、患者において、37℃の生理的緩衝液中でハイブリダイズする。
例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mM NaClおよび75mMクエン酸三ナトリウムより低く、好ましくは約500mM NaClおよび50mMクエン酸三ナトリウムより低く、さらに好ましくは約250mM NaClおよび25mMクエン酸三ナトリウムより低い。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミド、の非存在下で得ることができる一方で、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度を含む。さらなるパラメータ、例えば、ハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤の濃度、およびキャリアDNAの添加または除外など、を変化させることは、当業者に周知である。ストリンジェンシーのさまざまなレベルは、必要に応じてこれらの種々の条件を組み合わせることにより達成される。好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム、および1%SDS中において30℃で起こる。より好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、500mM NaCl、50mMクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド、および100μg/ml変性サケ精子DNA(ssDNA)中において37℃で起こる。最も好ましい態様では、ハイブリダイゼーションは、250mM NaCl、25mMクエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド、および200μg/ml ssDNA中において42℃で起こる。これらの条件への有用な変更は、当業者には容易に明らかであろう。
ほとんどの応用事例では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄工程もまた、ストリンジェンシーについて変わるであろう。洗浄のストリンジェンシー条件は、塩濃度により、および温度により定義することができる。上記のように、洗浄のストリンジェンシーは、塩濃度を減少させることによって、または温度を上昇させることによって高めることができる。例えば、洗浄工程のストリンジェントな塩濃度は、好ましくは約30mM NaClおよび3mMクエン酸三ナトリウムより低く、最も好ましくは約15mM NaClおよび1.5mMクエン酸三ナトリウムより低い。洗浄工程のストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約25℃、より好ましくは少なくとも約42℃、さらに好ましくは少なくとも約68℃の温度を含む。好ましい態様では、洗浄工程は、30mM NaCl、3mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中において25℃で起こる。より好ましい態様では、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中において42℃で起こる。より好ましい態様では、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中において68℃で起こる。
これらの条件のさらなる変更は、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は当業者によく知られており、例えば、以下の文献に記載されている:Benton and Davis (Science 196:180, 1977); Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad. Sci., USA 72:3961, 1975); Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York); およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York。
本開示では、「含む (comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する (containing)」、「有する (having)」などは、米国特許法においてそれらに与えられた意味を有し、「包含する」(includes, including)などを意味し得る;同様に、「実質的になる (consisting essentially of)」、「実質的になる (consists essentially)」は、米国特許法において与えられた意味を有し、この用語はオープンエンドであり、列挙されたものの基本的な特徴または新規な特徴が列挙されたものだけではない他の存在によって変化しない限り、列挙されたものの他の存在を可能にするが、従来技術の態様を除外する。
「検出する」は、検出されるバイオマーカーの存在、非存在または量を同定することを指す。
語句「差次的に存在する (differentially present)」は、対照者と比較したときの、疾患を有する対象から採取したサンプル中に存在するバイオマーカーの量および/または頻度の違いを指す。バイオマーカーは、量、頻度または両方の点で差次的に存在し得る。一方のサンプル中のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量が、対照などの他方のサンプル中の該ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの量と統計的に有意に異なる場合、該ポリペプチドまたはポリヌクレオチドはこれら2つのサンプル間で差次的に存在する。代替的にまたは追加的に、罹患対象のサンプル中のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを検出する頻度が、対照サンプル中よりも統計的に有意に高いまたは低い場合、該ポリペプチドまたはポリヌクレオチドはこれら2組のサンプル間で差次的に存在する。あるサンプル中に存在するが、別のサンプル中には検出できないバイオマーカーは、差次的に存在する。
「有効量」とは、未処置の患者と比べて、疾患の少なくとも1つの症状を軽減または改善するのに必要な剤または化合物の量を意味する。疾患を治療するための本発明を実施するために使用される活性化合物の有効量は、投与様式、対象の年齢、体重および全体的な健康状態に応じて変化する。
本明細書で使用する用語「発現」は、プロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳と定義される。
「断片」とは、ポリヌクレオチドまたは核酸分子の一部分を意味する。この部分は、好ましくは、基準核酸の全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を含む。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000または2500(および中間の任意の整数値)のヌクレオチドを含むことができる。核酸分子に適用されるときの断片は、より大きな核酸の部分配列を指す。核酸分子の「断片」は、長さが少なくとも約10ヌクレオチド;例えば、少なくとも約50ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド;少なくとも約100ヌクレオチド〜約500ヌクレオチド;少なくとも約500ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチド;少なくとも約1000ヌクレオチド〜約1500ヌクレオチド;または約1500ヌクレオチド〜約2500ヌクレオチド;または約2500ヌクレオチド(および中間の任意の整数値)であり得る。
本明細書で使用する用語「阻害する」は、生物学的状態の低減を意味する。例えば、用語「阻害する」は、タンパク質mRNAの転写、タンパク質mRNAの安定性、タンパク質mRNAの翻訳、タンパク質ポリペプチドの安定性、タンパク質翻訳後修飾、タンパク質活性、タンパク質シグナル伝達経路またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、タンパク質の発現、安定性または活性を負に調節する能力を指すと解釈することができる。
さらに、用語「阻害する」は、miRNAの発現、安定性または活性を負に調節する能力を指すと解釈することができ、このようなmiRNAの阻害は、遺伝子、タンパク質mRNAの調節、タンパク質mRNAの安定性、タンパク質mRNAの翻訳、タンパク質の安定性、タンパク質翻訳後修飾、および/またはタンパク質活性に影響を及ぼし得る。
「説明資料」(instructional material)は、この用語を本明細書で使用する場合、本発明の化合物の有用性を伝えるために使用され得る出版物、記録、図表、または他の表現手段を含む。ある場合には、説明資料は、本明細書に記載の種々の疾患もしくは障害の軽減または治療をもたらすのに有用なキットの一部であり得る。任意で、または代替的に、説明資料は、哺乳動物の細胞または組織における疾患または障害を軽減する1つ以上の方法を記述してもよい。キットの説明資料は、例えば、本発明の化合物を含有する容器に貼付されてもよいし、該化合物を含有する容器と一緒に出荷されてもよい。あるいは、レシピエントが説明資料と化合物を協調的に使用することを意図して、説明資料を容器とは別個に出荷してもよい。例えば、説明資料は、キットの使用のためのもの;化合物の使用説明書;または化合物の製剤の使用説明書である。
用語「単離された」、「精製された」、または「生物学的に純粋な」は、天然の状態で存在するとき、通常は付随している成分をさまざまな程度に除かれている物質を指す。「単離する」は、もとの供給源または環境からの分離の程度を表す。「精製する」は、単離よりも高い分離の程度を表す。「精製された」または「生物学的に純粋な」タンパク質は、何らかの不純物が該タンパク質の生物学的特性に物質的に影響を与えたり、他の有害な結果を引き起こしたりしないように、他の物質を十分に除かれている。すなわち、本発明の核酸またはペプチドが細胞性物質、ウイルス性物質、または組換えDNA技術により産生されたときには培養培地、または化学的に合成されたときには化学的前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まない場合に、該核酸またはペプチドは精製されている。純度および均質性は、典型的には、分析化学技術、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを用いて確定される。用語「精製された」は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1本のバンドを生じることを示すことができる。修飾、例えばリン酸化またはグリコシル化、を受けることがあるタンパク質では、異なる修飾は、異なる単離されたタンパク質を生じさせる可能性があり、こうしたタンパク質は別々に精製され得る。
「薬学的に許容される」とは、薬理学的/毒物学的観点から患者に受け入れられ、かつ組成、製剤、安定性、患者の承諾およびバイオアベイラビリティに関する物理的/化学的観点から製造薬理学者に受け入れられる特性および/または物質を指す。「薬学的に許容される担体」とは、活性成分の生物活性の有効性を妨害せず、かつそれが投与される宿主に対して毒性でない媒体を指す。
本明細書で使用する用語「薬学的組成物」または「薬学的に許容される組成物」とは、本発明の範囲内で有用な少なくとも1種の化合物または分子と薬学的に許容される担体との混合物を指す。薬学的組成物は患者への該化合物または分子の投与を容易にする。当技術分野には化合物または分子の多数の投与技術が存在し、例えば、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼、肺および局所投与が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される担体」とは、本発明の範囲内で有用な化合物または分子を、その意図した機能を果たすことができるように患者への運搬または輸送に関与する、薬学的に許容される材料、組成物または担体、例えば、液体もしくは固体の充填剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒または封入材料など、を意味する。典型的には、このような構築物は、ある器官もしくは身体の一部から、別の器官もしくは身体の一部へと運搬または輸送される。各担体は、本発明の範囲内で有用な化合物を含めて、製剤の他の成分と適合し、かつ患者に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、以下が挙げられる:糖類、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースとその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐薬用ワックス;油類、例えば、落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;グリコール類、例えば、プロピレングリコール;ポリオール類、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル類、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;界面活性剤;アルギン酸;発熱物質除去水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;および薬学的製剤中で用いられる他の無毒性の適合性物質。本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」はまた、本発明の範囲内で有用な化合物の活性と適合性であり、かつ患者に生理学的に許容される、ありとあらゆるコーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、吸収遅延剤などを包含する。補助的な活性化合物を該組成物中に組み込んでもよい。「薬学的に許容される担体」はさらに、本発明の範囲内で有用な化合物または分子の薬学的に許容される塩を含むことができる。本発明の実施において使用される薬学的組成物中に含めることができる他の追加の成分は、当技術分野で知られており、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書で使用する用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドの鎖として定義される。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、核酸とポリヌクレオチドは、本明細書で使用する場合、相互に交換可能である。当業者には、核酸が単量体「ヌクレオチド」へと加水分解され得るポリヌクレオチドである、という一般知識がある。単量体のヌクレオチドは、ヌクレオシドへと加水分解され得る。本明細書で使用するポリヌクレオチドは、限定するものではないが、当技術分野で利用可能な任意の手段により取得される全ての核酸配列を含み、こうした手段には、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術とPCR(商標)を用いた、組換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングなど、および合成手段が含まれるが、これらに限定されない。普通に存在する核酸塩基の以下の略語が使用される。「A」はアデニンを指し、「C」はシトシンを指し、「G」はグアニンを指し、「T」はチミンを指し、そして「U」はウラシルを指す。本明細書で使用する用語「RNA」はリボ核酸として定義される。本明細書で使用する用語「組換えDNA」は、異なる供給源からのDNAの断片同士を接合することによって生成されたDNAと定義される。
「単離されたポリヌクレオチド」とは、本発明の核酸分子が由来する生物の天然に存在するゲノムにおいて、該遺伝子に隣接している遺伝子類を含まない核酸(例えば、DNA)を意味する。したがって、この用語は、例えば、ベクターに;自律的に複製するプラスミドもしくはウイルスに;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに、組み込まれた組換えDNA;あるいは他の配列から独立した別個の分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ消化により産生されたcDNAまたはゲノムもしくはcDNA断片)として存在する組換えDNAを包含する。また、この用語は、DNA分子から転写されるRNA分子、ならびに追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを包含する。
本明細書で使用する用語「予防する (prevent)」、「予防する (preventing)」、「予防 (prevention)」などは、障害または疾患を有しないが、それを発症するリスクがあるかまたは発症しやすい対象において、障害または疾患の発症確率を低下させることを意味する。
「低下する」または「減少する」とは、少なくとも10%、25%、50%、75%、または100%の負の変化を意味する。
「基準」とは、標準または対照を意味する。「基準」はまた、比較のための基礎として使用される、定義された標準または対照である。
本明細書で使用する「サンプル」または「生物学的サンプル」は、バイオマーカーアッセイが望まれるバイオマーカー(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはその断片)を含む可能性がある、あらゆるものを指す。サンプルは、生体液または生体組織などの生物学的サンプルであり得る。一態様では、生物学的サンプルは、肺動脈内皮細胞を含めた、組織サンプルである。このようなサンプルは多様な細胞、タンパク質、および遺伝物質を含みうる。生体組織の例としてはまた、器官、腫瘍、リンパ節、動脈および個々の細胞が挙げられる。生体液の例としては、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、便、痰、脳脊髄液、涙、粘液、羊水などが挙げられる。
本明細書で使用する用語「感受性」は、バイオマーカーが検出された、特定の疾患を有する対象の割合である。
「実質的に同一」とは、ポリペプチドまたは核酸分子が参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のいずれか1つ)または核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のいずれか1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すことを意味する。好ましくは、このような配列は、比較のために使用した配列に対して、アミノ酸または核酸レベルで、少なくとも60%、より好ましくは80%または85%、最も好ましくは90%、95%、さらには99%も同一である。
本明細書で使用する「対象」または「患者」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。非ヒト哺乳動物としては、例えば、家畜およびペット、例えばヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコおよびネズミ科の哺乳動物などが挙げられる。好ましくは、対象はヒトである。
本明細書で使用する用語「治療する (treat)」、「治療する (treating)」、「治療 (treatment)」などは、疾患および/もしくはそれに関連する症状を軽減または改善することを指す。除外はしないが、疾患または病態を治療することは、その疾患、病態、またはそれに関連する症状が完全に改善されるまたは取り除かれることを必要としない、ことが理解されるであろう。
「ベクター」は、単離された核酸を含み、その単離された核酸を細胞の内部に送達するために使用され得る組成物である。多数のベクターが当技術分野で知られており、限定するものではないが、線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物を伴うポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスなどが含まれる。したがって、用語「ベクター」は自律複製プラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、細胞への核酸の導入を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物、例えば、ポリリシン化合物、リポソームなどを含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例としては、限定するものではないが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられる。
「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に機能的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含んでなるベクターを指す。発現ベクターは、十分な発現のためのシス作用エレメントを含む;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によってまたはインビトロ発現系において供給され得る。発現ベクターには、当技術分野で知られている全てのものが含まれ、例えば、コスミド、プラスミド(例えば、裸のまたはリポソームに含まれる)、および組換えポリヌクレオチドを組み込むウイルス(例えば、レンチウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などがある。
本明細書に提供される範囲は、その範囲内のすべての値の省略表現であることが理解される。範囲形式での記載は便宜と簡潔さのためだけであり、本発明の範囲への柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、その範囲内の全ての可能な部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示している、と見なされるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、ならびにこの範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。このことは、範囲の広さにかかわらず当てはまる。
本明細書中の変形または局面のための実施態様の記述は、その実施態様を、単一の実施態様として、または他の実施態様もしくはその部分との組み合わせで、包含する。
本明細書に提供される組成物または方法は、本明細書に提供される他の組成物および方法のいずれか1つ以上と組み合わせることができる。
miRNA阻害剤
本発明は、細胞に導入したとき、内因性miRNAを阻害する核酸を提供する。特定の局面では、核酸は合成または非合成miRNAである。配列特異的なmiRNA阻害剤は、細胞内の1つ以上の内因性miRNAの活性、ならびに該内因性miRNAによりモジュレートされる遺伝子および関連する経路を、逐次的にまたは組み合わせて阻害するために使用され得る。
本発明は、細胞に導入したとき、内因性miRNAを阻害する核酸を提供する。特定の局面では、核酸は合成または非合成miRNAである。配列特異的なmiRNA阻害剤は、細胞内の1つ以上の内因性miRNAの活性、ならびに該内因性miRNAによりモジュレートされる遺伝子および関連する経路を、逐次的にまたは組み合わせて阻害するために使用され得る。
現在の見解(Tijsterman and Plasterk, 2004, Cell 117(1)1-3)によれば、Dicerによる切断後、ガイド鎖は、その標的mRNAに対する阻害機能を果たすために、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)に保持されるが、パッセンジャー鎖は解離して分解される。しかし、本出願人らは、パッセンジャー鎖もまた、時々、機能的なmiRNAとして行動することがあることを観察した。その場合、ガイド鎖とパッセンジャー鎖の両方が同じmRNAを標的にするとき、これらの間に競合が存在する。意図しない結果として、機能的なパッセンジャー鎖を有するmiRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、miRNAパッセンジャー鎖の模倣体としてそれ自体が行動することができる。この状況は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがmiRNAパッセンジャー鎖配列の大半を含むことを必要とする。
本明細書中の結果に記載されるように、パッセンジャー鎖がガイド鎖よりも多くの結合部位を標的mRNA内に有する場合、パッセンジャー鎖は元のmiRNAとの競合に勝つことができる。したがって、元のmiRNAのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害は、意図しない結果として、標的mRNAの翻訳を、増加させるのではなく、低下させる可能性がある。本出願人らは、miRNAの阻害機能に必要とされる、成熟ガイドmiRNAの約半分にのみハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド(パッセンジャー鎖の3'領域に相同であるが5'シード領域には相同でない)を設計することが、パッセンジャー鎖模倣体の阻害機能を克服することを発見した。
これらの配列制限により、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、パッセンジャー鎖模倣体として行動することなく、ガイド鎖を成功裏に阻害することができる。これは、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてオフターゲット特異性を低減させるための以前の努力とは対照的である。実際、現在の標準的な技術は、パッセンジャー鎖の模倣体を作成する可能性を考慮せずに、miRNA阻害剤を提供している。このような製品は、そのパッセンジャー鎖の機能性を促進することによって研究対象のmiRNAに非特異的作用を導入する可能性があり、特に、それらの両方が同じmRNAを標的にして、パッセンジャー鎖に利用可能な結合部位がより多い場合にはそうである。したがって、結果として生じる生物学的観察は、関心対象のmiRNAが特異的に阻害されるときに予想されるものと矛盾する可能性がある。
本発明は、細胞内でmiRNA阻害剤として機能する短い核酸分子を特徴とする。用語「短い」とは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、50、100、または150ヌクレオチド以下であって、それらの間に導き出せる全ての整数または範囲を含む、単一のポリヌクレオチドの長さを指す。さまざまな態様では、miRNA阻害剤は、長さが約10〜25ヌクレオチドであり、成熟miRNAの5'-3'配列に対して少なくとも90%相補的である5'-3'配列(例えば、シード領域)を含んでなる。特定の態様では、miRNA阻害剤分子は、長さが10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25ヌクレオチド、またはそこに導き出せる任意の範囲である。また、miRNA阻害剤は、成熟miRNA、特に成熟した天然のmiRNAの5'-3'配列に対して、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的である、またはそこに導き出せる任意の範囲である配列(5'から3')を有してもよい。当業者は、miRNA阻害剤のための配列として、成熟miRNAの配列に相補的なmiRNA配列の一部分を使用することができる。また、該核酸配列のその部分は、それが成熟miRNAの配列に対して適切な割合の相補性をまだ含むように変更することができる。特定の態様では、miR-17阻害性核酸は、核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する。他の態様では、miR-21阻害性核酸は、核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する。
を含み、かつmiR-17-5pに結合する。他の態様では、miR-21阻害性核酸は、核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する。
本発明の核酸分子の有効性に関する重要な考察事項は、ヌクレアーゼによる分解である。リン酸骨格のために意図される修飾の例としては、ボラノホスフェート、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、およびホスホトリエステル修飾、例えばアルキルホスホトリエステル、などが挙げられる。本発明の核酸分子において、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、またはボラノホスフェート修飾は、ヌクレオシド間リン酸エステル結合を直接安定化させる。ボラノホスフェート修飾型RNAは高度にヌクレアーゼ耐性であり、サイレンシング剤として効力があり、比較的非毒性である。ボラノホスフェートDNAはH-ホスホネート経路により合成される(米国特許第5,859,231号)。ボラノホスフェート修飾型RNAは、標準的な化学合成法を用いて製造することができず、代わりにインビトロ転写(IVT)により作製される(Hall et al., 2004およびHall et al., 2006)。ホスホロチオエートおよびメチルホスホネート修飾は、本発明の核酸分子のどのような位置にも容易に配置することができ、標準的な化学合成法を用いて作製することができる。
種々の置換は、リボースの2'位に配置され得る。このような2'修飾は、一般的に、二重鎖の安定性(Tm)を増加させ、かつヌクレアーゼ耐性を大幅に向上させることができる。糖部分のために意図される修飾の例としては、2'-O-アルキル、例えば2'-O-メチル、2'-フルオロ、2'-アミノ修飾などが挙げられる(例えば、Amarzguioui et al., 2003を参照されたい)。塩基グループのために意図される修飾の例には、塩基脱落糖(abasic sugar)、修飾ピリミジン、修飾プリンなどが含まれる。
ロックド核酸(LNA)は、本発明の核酸分子を安定化するために組み込むことができる2'-修飾の特別なクラスである。多くの他の修飾が知られており、上記の基準が満たされる限り使用することができる。修飾の例は、米国特許第5,684,143号、第5,858,988号および第6,291,438号、ならびに米国公開特許出願番号2004/0203145 A1にも開示される。その他の修飾は、Herdewijn (2000)、Eckstein (2000)、Rusckowski et al. (2000)、Stein et al. (2001); Vorobjev et al. (2001)に開示される。
ペプチド核酸(PNA)は、グリシンのαアミンに結合した核酸塩基を含むN-アミノエチルグリシンの化学合成されたオリゴアミドである(Nielsen, P.E., et al., 1991, Science 254(5037) 1497-1500、米国特許第5,539,082号)。
トリプルネガティブ乳がん
腫瘍抑制因子PTENおよびPDCD4の翻訳を阻害するoncomiRのmiR-17-5pと、やはりPTENの翻訳を阻害するmiR-21-5pは、一般的に、TNBC細胞において過剰発現されている(Farazi et al., 2011, Cancer Research 71(13):4443-4453)。特定の理論に拘束されるものではないが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞を特異的に標的とする全身的な抗miRNA剤による上昇miR-17-5pまたはmiR-21-5pのノックダウンまたは遮断は、TNBC細胞を正常な表現型に再分化させることによってTNBC細胞における恒常性のバランスを回復して、播種された薬物耐性TNBCのための新規な治療法を提供すると仮定される。しかし、パッセンジャー鎖の若干の活性が強く主張されてきている(Mah et al., 2010, Crit Rev Eukaryot Gene Expr 20(2):141-8)。特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載の結果からは、miR-17-3pパッセンジャー鎖はPTENとPDCD4のmRNAを標的にすることが示される。
腫瘍抑制因子PTENおよびPDCD4の翻訳を阻害するoncomiRのmiR-17-5pと、やはりPTENの翻訳を阻害するmiR-21-5pは、一般的に、TNBC細胞において過剰発現されている(Farazi et al., 2011, Cancer Research 71(13):4443-4453)。特定の理論に拘束されるものではないが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞を特異的に標的とする全身的な抗miRNA剤による上昇miR-17-5pまたはmiR-21-5pのノックダウンまたは遮断は、TNBC細胞を正常な表現型に再分化させることによってTNBC細胞における恒常性のバランスを回復して、播種された薬物耐性TNBCのための新規な治療法を提供すると仮定される。しかし、パッセンジャー鎖の若干の活性が強く主張されてきている(Mah et al., 2010, Crit Rev Eukaryot Gene Expr 20(2):141-8)。特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載の結果からは、miR-17-3pパッセンジャー鎖はPTENとPDCD4のmRNAを標的にすることが示される。
治療方法
一態様において、本発明は、新生物(例えば、乳がん)を含めた、疾患の治療方法を提供する。有利なことに、本発明は、従来の治療法にあまり反応しない、新生物(例えば、乳がん)を含めた、疾患の治療方法を提供する。この方法は、新生物を有する対象に、有効量の、miR-17および/またはmiR-21の1種以上のポリヌクレオチド阻害剤を投与することを含んでなる。好ましくは、このような剤は、薬学的に許容される担体をさらに含む組成物の一部として投与される。好ましくは、この方法は、新生物を発症しているまたは発症しやすい対象の治療に用いられる。他の態様は、対象が指示された治療を必要とすると認定される場合の本明細書に記載の方法のいずれかを包含する。本発明の別の局面は、対象における新生物(例えば、乳がん)を治療するための薬剤の製造である。好ましくは、この薬剤は、本明細書に記載した疾患、障害または症状の対象における治療または予防のために使用される。
一態様において、本発明は、新生物(例えば、乳がん)を含めた、疾患の治療方法を提供する。有利なことに、本発明は、従来の治療法にあまり反応しない、新生物(例えば、乳がん)を含めた、疾患の治療方法を提供する。この方法は、新生物を有する対象に、有効量の、miR-17および/またはmiR-21の1種以上のポリヌクレオチド阻害剤を投与することを含んでなる。好ましくは、このような剤は、薬学的に許容される担体をさらに含む組成物の一部として投与される。好ましくは、この方法は、新生物を発症しているまたは発症しやすい対象の治療に用いられる。他の態様は、対象が指示された治療を必要とすると認定される場合の本明細書に記載の方法のいずれかを包含する。本発明の別の局面は、対象における新生物(例えば、乳がん)を治療するための薬剤の製造である。好ましくは、この薬剤は、本明細書に記載した疾患、障害または症状の対象における治療または予防のために使用される。
本発明の方法により治療することができるがんの例としては、限定するものではないが、癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。このようながんのより具体的な例としては、以下が挙げられる:腎臓がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、肺がん、例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌、扁平上皮がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、子宮頸がん、卵巣がん、前立腺がん、肝臓がん、膀胱がん、腹膜のがん、肝細胞がん、胃がん、例えば、消化管がん、消化管間質腫瘍(GIST)、膵臓がん、頭頸部がん、神経膠芽腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、卵胞膜細胞腫、男性胚細胞腫、肝癌、血液悪性腫瘍、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫および急性血液悪性腫瘍、子宮内膜癌または子宮癌、子宮内膜症、線維肉腫、絨毛癌、唾液腺癌、外陰がん、甲状腺がん、食道癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、カポジ肉腫、メラノーマ、皮膚癌、神経鞘腫、乏突起膠腫、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、尿路癌、甲状腺癌、ウィルムス腫瘍、ならびにB細胞リンパ腫(例えば、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変(bulky disease)NHL;マントル細胞リンパ腫; AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症(phakomatoses)、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連したもの)、およびMeigs症候群に関連した異常な血管増殖。本明細書で使用する「腫瘍」は、悪性または良性を問わず、全ての新生細胞の成長・増殖、ならびに全ての前がん性とがん性の細胞および組織を指す。
がん治療の状況下では、本発明のポリヌクレオチド阻害剤は、任意に、他の化学療法剤と組み合わせて患者に投与することができる。適切な化学療法剤としては、例えば、以下が挙げられる:アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド;スルホン酸アルキルエステル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa);エチレンイミン類およびメチラメラミン類(methylamelamines)、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン(cactinomycin)、カリケアマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン類、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;副腎皮質ホルモン合成阻害剤(anti-adrenals)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充液、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミド・グリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン(diaziquone);エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2"-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン類、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標), Bristol-Myers Squibb Oncology社, Princeton, N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(商標), Rhone-Poulenc Rorer社, Antony, フランス);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン類;カペシタビン;および上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体。がんの治療方法に関するさらなる情報は、米国特許第7,285,522号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
薬学的組成物および製剤
本発明はまた、本発明の方法を実施するための本発明の薬学的組成物の使用を包含する。このような薬学的組成物は、対象への投与に適した形態で提供することができ、1種以上の薬学的に許容される担体、1種以上の追加の成分、またはこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。本発明の少なくとも1つの組成物は、生理学的に許容される塩、例えば、当技術分野でよく知られているようなも生理学的に許容されるカチオンまたはアニオンと組み合わせた本発明内で意図される化合物を含むことができる。
本発明はまた、本発明の方法を実施するための本発明の薬学的組成物の使用を包含する。このような薬学的組成物は、対象への投与に適した形態で提供することができ、1種以上の薬学的に許容される担体、1種以上の追加の成分、またはこれらの何らかの組み合わせを含むことができる。本発明の少なくとも1つの組成物は、生理学的に許容される塩、例えば、当技術分野でよく知られているようなも生理学的に許容されるカチオンまたはアニオンと組み合わせた本発明内で意図される化合物を含むことができる。
本発明の方法において有用な薬学的組成物は、吸入、経口、直腸、膣内、非経口、局所、経皮、肺、鼻腔内、口腔、眼、髄腔内、静脈内、または別の投与経路に向けて適切に開発され得る。その他の意図される製剤には、投射型ナノ粒子、リポソーム製剤、活性成分を含有する再封鎖赤血球、および免疫学ベースの製剤が含まれる。投与経路は、当業者には明らかであり、治療される疾患の種類および重症度、治療される動物またはヒト患者のタイプおよび年齢などを含めて、いくつかの要因に依存する。
本明細書に記載の薬学的組成物の製剤は、薬理学の分野で知られた方法または今後開発される方法によって調製することができる。一般的に、このような調製方法は、活性成分を担体または1種以上の他の補助成分と合わせる工程、およびその後、必要な場合または望ましい場合、その製品を所望の単回もしくは複数回投与単位に成形または包装する工程を含んでなる。
一態様では、本発明の組成物は、1種以上の薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて製剤化される。一態様では、本発明の薬学的組成物は、治療に有効な量の本発明の少なくとも1種の化合物および薬学的に許容される担体を含有する。有用な薬学的に許容される担体としては、限定するものではないが、グリセロール、水、生理食塩水、エタノール、および他の薬学的に許容される塩溶液、例えばリン酸塩および有機酸の塩、が挙げられる。これらおよび他の薬学的に許容される担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1991, Mack Publication社, ニュージャージー)に記載されている。
ポリヌクレオチド送達
本発明のポリヌクレオチドをコードする核酸分子は、細胞(例えば、新生物細胞、腫瘍細胞)に送達することができる。該核酸分子は、本発明のポリヌクレオチドの治療に有効なレベルが生成され得るように、それらを取り込むことができる形態で、対象の細胞に送達されねばならない。形質導入用ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)ベクターは、特にそれらの高い感染効率ならびに安定した組込みおよび発現のために、使用され得る(例えば、Cayouette et al., 1997, Human Gene Therapy 8:423-430; Kido et al., 1996, Current Eye Research 15:833-844; Bloomer et al., 1997, Journal of Virology 71:6641-6649; Naldini et al., 1996, Science 272:263-267; およびMiyoshi et al., 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319を参照されたい)。例えば、ポリヌクレオチドをレトロウイルスベクターにクローニングして、その内因性プロモーターから、レトロウイルスのロングターミナルリピート(long terminal repeat)から、または対象となる標的細胞タイプに特異的なプロモーターから発現を駆動することができる。使用できる他のウイルスベクターとしては、例えば、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、またはエプスタイン・バーウイルスなどのヘルペスウイルスが挙げられる(例えば、Miller, Human Gene Therapy 15-14, 1990; Friedman, Science 244:1275-1281, 1989; Eglitis et al., BioTechniques 6:608-614, 1988; Tolstoshev et al., Current Opinion in Biotechnology 1:55-61, 1990; Sharp, The Lancet 337:1277-1278, 1991; Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322, 1987; Anderson, Science 226:401-409, 1984; Moen, Blood Cells 17:407-416, 1991; Miller et al., Biotechnology 7:980-990, 1989; Le Gal La Salle et al., Science 259:988-990, 1993; およびJohnson, Chest 107:77S-83S, 1995に記載のベクターをも参照されたい)。特に、レトロウイルスベクターは十分に開発されており、臨床の場で使用されてきた(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med 323:370, 1990; Anderson et al., 米国特許第5,399,346号)。最も好ましくは、本発明の発現ベクターを標的細胞、腫瘍組織に、または全身的に投与するためにウイルスベクターが使用される。核酸分子はまた、核酸分子をリポフェクチン(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, 1987; Ono et al., Neuroscience Letters 17:259, 1990; Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, 1989; Staubinger et al., Methods in Enzymology 101:512, 1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリシン(asialoorosomucoid-polylysine)コンジュゲーション(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263:14621, 1988; Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264: 16985, 1989)の存在下で、または外科的条件下でのマイクロインジェクション(Wolff et al., Science 247:1465, 1990)によって投与することにより、細胞に導入することができる。好ましくは、核酸はリポソームおよびプロタミンと組み合わせて投与される。
本発明のポリヌクレオチドをコードする核酸分子は、細胞(例えば、新生物細胞、腫瘍細胞)に送達することができる。該核酸分子は、本発明のポリヌクレオチドの治療に有効なレベルが生成され得るように、それらを取り込むことができる形態で、対象の細胞に送達されねばならない。形質導入用ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)ベクターは、特にそれらの高い感染効率ならびに安定した組込みおよび発現のために、使用され得る(例えば、Cayouette et al., 1997, Human Gene Therapy 8:423-430; Kido et al., 1996, Current Eye Research 15:833-844; Bloomer et al., 1997, Journal of Virology 71:6641-6649; Naldini et al., 1996, Science 272:263-267; およびMiyoshi et al., 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319を参照されたい)。例えば、ポリヌクレオチドをレトロウイルスベクターにクローニングして、その内因性プロモーターから、レトロウイルスのロングターミナルリピート(long terminal repeat)から、または対象となる標的細胞タイプに特異的なプロモーターから発現を駆動することができる。使用できる他のウイルスベクターとしては、例えば、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、またはエプスタイン・バーウイルスなどのヘルペスウイルスが挙げられる(例えば、Miller, Human Gene Therapy 15-14, 1990; Friedman, Science 244:1275-1281, 1989; Eglitis et al., BioTechniques 6:608-614, 1988; Tolstoshev et al., Current Opinion in Biotechnology 1:55-61, 1990; Sharp, The Lancet 337:1277-1278, 1991; Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322, 1987; Anderson, Science 226:401-409, 1984; Moen, Blood Cells 17:407-416, 1991; Miller et al., Biotechnology 7:980-990, 1989; Le Gal La Salle et al., Science 259:988-990, 1993; およびJohnson, Chest 107:77S-83S, 1995に記載のベクターをも参照されたい)。特に、レトロウイルスベクターは十分に開発されており、臨床の場で使用されてきた(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med 323:370, 1990; Anderson et al., 米国特許第5,399,346号)。最も好ましくは、本発明の発現ベクターを標的細胞、腫瘍組織に、または全身的に投与するためにウイルスベクターが使用される。核酸分子はまた、核酸分子をリポフェクチン(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, 1987; Ono et al., Neuroscience Letters 17:259, 1990; Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, 1989; Staubinger et al., Methods in Enzymology 101:512, 1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリシン(asialoorosomucoid-polylysine)コンジュゲーション(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263:14621, 1988; Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264: 16985, 1989)の存在下で、または外科的条件下でのマイクロインジェクション(Wolff et al., Science 247:1465, 1990)によって投与することにより、細胞に導入することができる。好ましくは、核酸はリポソームおよびプロタミンと組み合わせて投与される。
遺伝子導入はまた、インビトロでのトランスフェクションを含む非ウイルス手段を用いて達成することができる。こうした方法には、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、およびプロトプラスト融合の使用が含まれる。リポソームもまた、細胞へのDNAの送達のために潜在的に有益であり得る。他の態様では、本発明の阻害性核酸はトランスフェクションまたはエレクトロポレーションをすることなく送達することができる。例えば、IGF1Rを過剰発現する細胞へのエンドサイトーシスを指令するために、阻害性miRNAは、PNAのC末端でインスリン様成長因子1(IGF1)のD(CSKC)テトラペプチド類似体に共有結合で連結され得る(Basu and Wickstrom, 1997, Bioconjugate Chemistry 8(4):481-488)。
本発明のレポーター構築物の発現は、任意の適切なプロモーターから指令されて、任意の適切な哺乳動物調節エレメントによって調節され得る。あるいは、調節は、コグネイト調節配列により、または必要に応じて、異種供給源に由来する調節配列、例えば、上記のプロモーターもしくは調節エレメントのいずれかにより、媒介され得る。
望ましくは、本明細書に開示される細胞および細胞株は、本明細書に記載の発現ベクターを発現するように操作される。典型的には、発現ベクターは、細胞をトランスフェクトするために使用される。本明細書で使用する用語「トランスフェクション」は、機械的接種、エレクトロポレーション、感染、微粒子銃、マイクロインジェクションによって、または他の公知の方法によって、外来DNAまたはRNAを細胞内に導入することを意味する。あるいは、発現ベクターの1つまたは組み合わせを用いて、細胞および細胞株を形質転換することができる。本明細書で使用する用語「形質転換」は、細胞の永久的な遺伝性の変化をもたらす、細胞への外来DNAまたはRNAの安定した組み込みを意味する。さまざまな適切な方法が当分野で知られており、かつ記載されている。例えば、Ausubel et al., 前掲; Sambrook, 前掲; およびPromega社のTechnical Manualを参照されたい。
特定の本発明の態様では、選択された細胞または細胞株は、本発明の発現ベクターによって安定的に形質転換されるように操作される。しかし、いくつかの本発明の態様では、ベクターの一過性発現(例えば、約1週間以下、例えば1または2日間)がより役立つであろう。本明細書に開示された1つ以上の発現ベクターによって一過性にトランスフェクトされたまたは安定的に形質転換された細胞および細胞株は、時に「組換え型」とも呼ばれる。用語「組換え型」とは、細胞または細胞株の作出に使用される技術が、組換え核酸の作製および使用と一般的に関連するもの(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、制限酵素、リガーゼなどの使用)を含むことを意味する。
簡単に要約すると、本発明の天然または合成核酸の発現は、典型的には、所望の配列またはその部分をコードする核酸をプロモーターに機能的に連結し、その構築物を発現ベクター中に組み込むことによって達成される。ベクターは真核生物における複製および組込みに適するものであり得る。典型的なクローニングベクターは、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、ならびに所望の核酸配列の発現の調節に有用なプロモーターを含む。
核酸は、多くの種類のベクターにクローニングすることができる。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、およびコスミドを含むがこれらに限定されないベクターにクローニングされ得る。特に関心のあるベクターとしては、発現ベクター、複製ベクター、プローブ作成ベクター、および配列決定ベクターが挙げられる。
さらに、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に供給されてもよい。ウイルスベクター技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 第1-3巻 (第3版, Cold Spring Harbor Press, NY 2001)、ならびに他のウイルス学および分子生物学のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスには、限定するものではないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが含まれる。一般的に、適切なベクターは、少なくとも1種の生物内で機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択マーカーを含む(例えば、WO 01/96584; WO 01/29058; および米国特許第6,326,193号)。
さらなるプロモーターエレメント、例えばエンハンサーは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが、多くのプロモーターは開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが最近示されている。プロモーターエレメント間の間隔はしばしば柔軟性があり、そのため、エレメントが互いに対して反転したり動いたりする場合に、プロモーター機能は保たれる。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、活性が低下し始める前に、プロモーターエレメント間の間隔を50bp離れるまで増加させることができる。プロモーター次第で、個々のエレメントは、転写を活性化するように協力してまたは独立して機能することができるようである。
プロモーターの一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに機能的に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成的プロモーター配列である。しかし、他の構成的プロモーター配列を使用してもよく、例えば、限定するものではないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳がんウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ロングターミナルリピート(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにヒト遺伝子プロモーター、例えば、限定するものではないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターが挙げられる。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきでない。誘導性プロモーターもまた、本発明の一部として意図される。誘導性プロモーターの使用は、ポリヌクレオチド配列の発現が望まれる場合には、それに機能的に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにしたり、そのような発現が望まれない場合には該発現をオフにしたりすることのできる分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、限定するものではないが、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられる。
ポリヌクレオチドまたはその部分の発現を評価するために、細胞に導入される発現ベクターはまた、ウイルスベクターを介してトランスフェクトまたは感染させようとした細胞の集団からの発現細胞の同定および選択を容易にするための選択マーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子のいずれかまたは両方を含むことができる。他の局面では、選択マーカーを別個のDNA上に担持させて、同時トランスフェクションの手順で使用してもよい。選択マーカーとレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞における発現を可能にするための適切な調節配列に隣接して位置づけることができる。有用な選択マーカーとしては、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
レポーター遺伝子は、潜在的にトランスフェクトされた細胞を同定するため、および調節配列の機能性を評価するために使用される。一般的に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物もしくは組織に存在しないかまたは該生物もしくは組織により発現されない遺伝子であり、かつ何らかの容易に検出可能な特性、例えば酵素活性、によって発現が明らかにされるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後に適切な時点でアッセイされる。適切なレポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子が含まれる(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479:79-82)。適切な発現系は周知であって、公知の技術を用いて調製されるか、商業的に入手することが可能である。一般的に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小5'フランキング領域を有する構築物は、プロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結されて、プロモーター駆動転写を調節する能力について剤を評価するために使用され得る。
遺伝子を細胞に導入して発現させる方法は、当技術分野で公知である。発現ベクターに関して、該ベクターは、当技術分野の任意の方法によって宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、または昆虫細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは物理的、化学的、または生物学的手段によって宿主細胞に導入され得る。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどがある。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を作製するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 第1-3巻 (第3版, Cold Spring Harbor Press, NY 2001)を参照されたい。
宿主細胞に関心対象のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法は、DNAおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するための最も広く利用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどから誘導することができる。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照されたい。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための化学的手段には、コロイド分散系、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質ベースの系、例えば、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームなどがある。インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして使用するための典型的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
非ウイルス送達系を利用する場合、典型的な送達ビヒクルはリポソームである。脂質配合物の使用は、(インビトロ、エクスビボまたはインビボで)宿主細胞に核酸を導入するために意図される。別の局面では、核酸を脂質と合わせることができる。脂質と合わされる核酸は、リポソームの水性内部に封入されるか、リポソームの脂質二重層内に散在されるか、リポソームとオリゴヌクレオチドの両方に結合する連結分子を介してリポソームに付着されるか、リポソーム内に捕捉されるか、リポソームと複合体化されるか、脂質を含有する溶液中に分散されるか、脂質と混合されるか、脂質と組み合わされるか、脂質中の懸濁液として含まれるか、ミセルと一緒に含まれるか、またはミセルと複合体化されるか、あるいは他の方法で脂質と合わされ得る。脂質、脂質/DNA、または脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中のどのような特定の構造にも限定されない。例えば、それらは二重層構造で存在しても、ミセルとして存在しても、または「崩壊した」構造で存在してもよい。それらはまた、おそらくサイズまたは形状が均一でない凝集体を形成して、溶液中に単に散在してもよい。脂質は脂肪性の物質であり、天然に存在する脂質または合成の脂質であってよい。例えば、脂質には、天然で細胞質に存在する脂肪小滴、ならびに長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体、例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒドなど、を含むクラスの化合物が含まれる。
使用に適した脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma社(St. Louis, MO)から入手可能である;リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories社(Plainview, NY)から入手可能である;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behring社から入手可能である;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids社(Birmingham, AL.)から入手可能である。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保存することができる。クロロホルムはメタノールよりも蒸発しやすいので、クロロホルムが唯一の溶媒として使用される。「リポソーム」は、閉鎖した脂質二重層または凝集体の生成によって形成された、さまざまな単層および多層の脂質小胞を含む総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜と内部の水性媒体を含む小胞構造を有するものとして特徴付けることができる。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質を過剰の水性溶液中に懸濁させたときに、自然に形成される。脂質成分は、閉鎖構造を形成する前に自己再配列を受けて、脂質二重層の間に水と溶解した溶質を閉じ込める(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかし、通常の小胞構造とは異なる構造を溶液中に有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造をとってもよいし、単に脂質分子の不均一な凝集体として存在してもよい。また、リポフェクタミン-核酸複合体も意図される。
投与/投薬
臨床現場では、治療用組成物の送達システムは多くの方法のどれかによって患者に導入することができ、こうした方法のそれぞれは当技術分野でよく知られている。例えば、薬学的組成物は、全身的に、例えば静脈内注射によって導入することができ、また、標的細胞中のタンパク質の特異的形質導入は、遺伝子送達ビヒクルによって提供されるトランスフェクションの特異性から、受容体遺伝子の発現を制御する転写調節配列による細胞型もしくは組織型発現から、またはこれらの組み合わせから主に生じる。他の態様では、組換え遺伝子の初期送達は、かなり局在化されている動物への導入のため、より制限される。例えば、遺伝子送達ビヒクルは、カテーテルによって(米国特許第5,328,470号参照)、または定位注射によって(例えば、Chen, et al. PNAS 91:3054-3057 (1994))、導入することができる。調製物はまた、エクスビボで細胞に提供されてもよい。その後、miRNA(例えば、miR-424および/またはmiR-503)を含む細胞が患者に投与される。
臨床現場では、治療用組成物の送達システムは多くの方法のどれかによって患者に導入することができ、こうした方法のそれぞれは当技術分野でよく知られている。例えば、薬学的組成物は、全身的に、例えば静脈内注射によって導入することができ、また、標的細胞中のタンパク質の特異的形質導入は、遺伝子送達ビヒクルによって提供されるトランスフェクションの特異性から、受容体遺伝子の発現を制御する転写調節配列による細胞型もしくは組織型発現から、またはこれらの組み合わせから主に生じる。他の態様では、組換え遺伝子の初期送達は、かなり局在化されている動物への導入のため、より制限される。例えば、遺伝子送達ビヒクルは、カテーテルによって(米国特許第5,328,470号参照)、または定位注射によって(例えば、Chen, et al. PNAS 91:3054-3057 (1994))、導入することができる。調製物はまた、エクスビボで細胞に提供されてもよい。その後、miRNA(例えば、miR-424および/またはmiR-503)を含む細胞が患者に投与される。
投与レジメンは、有効量を構成するものに影響を及ぼし得る。治療用製剤は、疾患または病態に関連する症状が現れる前に患者に投与してもよいし、現れた後に投与してもよい。さらに、いくつかの分割用量ならびに時差用量(staggered dosages)を毎日または逐次的に投与したり、該用量を連続的に注入したり、ボーラス注入にしたりすることが可能である。さらに、治療または予防状況の緊急性によって示されるように、治療用製剤の投与量を比例的に増減することができる。
患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトへの、本発明の組成物の投与は、公知の手順を用いて、患者の疾患または病態を治療するのに有効な用量で、かつ有効な期間にわたり行うことができる。治療効果を達成するのに必要な治療用化合物の有効量は、以下のような要因に応じて変化し得る:使用される特定の化合物の活性;投与の時間;該化合物の排出速度;治療期間;該化合物と併用される他の薬物、化合物または物質;疾患または障害の状態;治療される患者の年齢、性別、体重、コンディション、全体的な健康および病歴;ならびに医療分野でよく知られている同様の要因。投与量レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与したり、治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減らしたりしてもよい。本発明の治療用化合物の有効用量範囲の非限定的な例は、約0.01〜50mg/kg体重/日である。当業者は、関連する要因を検討して、過度の実験を行うことなく治療用化合物の有効量に関する決定を下すことができる。
ヒトへの投与量は、最初に、マウスで使用された化合物の量から推定することによって決定され得るが、当業者であれば、動物モデルと比較してヒトの投与量を変更することは当技術分野で日常的であると認識している。特定の態様では、投与量は、約1μg化合物/kg体重から約5000mg化合物/kg体重まで;または約5mg/kg体重から約4000mg/kg体重まで;または約10mg/kg体重から約3000mg/kg体重まで;または約50mg/kg体重から約2000mg/kg体重まで;または約100mg/kg体重から約1000mg/kg体重まで;または約150mg/kg体重から約500mg/kg体重まで変化し得ることが想定される。他の態様では、この用量は約1、5、10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、3500、4000、4500、または5000mg/kg体重であり得る。他の態様では、用量は約5mg化合物/kg体重から約20mg化合物/kg体重の範囲であり得ることが想定される。他の態様では、用量は約8、10、12、14、16または18mg/kg体重であり得る。もちろん、この投与量は、このような治療プロトコルで日常的に行われているように、初期臨床試験の結果および特定の患者のニーズに応じて、上方または下方に調整することができる。
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性を示すことなく、特定の患者、組成物、および投与様式に対する所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得るように、変更することができる。
一態様では、本発明は、治療に有効な量の本発明の化合物を単独でまたは第2の薬剤と組み合わせて保持する容器;および患者の疾患または障害の1つ以上の症状を治療、予防または軽減するために該化合物を使用するための説明書を含む、包装した薬学的組成物に向けられる。
投与経路
本発明の組成物の投与経路としては、吸入、経口、経鼻、直腸、非経口、舌下、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)頬、(経)尿道、膣(例えば、経膣および膣周囲)、鼻腔(内)および(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、および局所投与が挙げられる。
本発明の組成物の投与経路としては、吸入、経口、経鼻、直腸、非経口、舌下、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)頬、(経)尿道、膣(例えば、経膣および膣周囲)、鼻腔(内)および(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、胃内、髄腔内、皮下、筋肉内、皮内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、および局所投与が挙げられる。
適切な組成物および剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、ゲルキャップ剤、トローチ剤、分散液剤、懸濁液剤、溶液剤、シロップ剤、顆粒剤、ビーズ、経皮パッチ剤、ゲル剤、粉末剤、ペレット剤、マグマ剤、ロゼンジ剤、クリーム剤、ペースト剤、硬膏剤、ローション剤、ディスク、坐剤、経鼻および経口投与用の液体スプレー剤、吸入用の乾燥粉末またはエアロゾル製剤、膀胱内投与用の組成物および製剤などが挙げられる。なお、本発明において有用である製剤および組成物は、本明細書に記載される特定の製剤および組成物に限定されるものではないことを理解すべきである。
キットおよび医薬システム
本発明の組成物を、新生物(例えば、乳がん)の改善に使用するためのキットまたは医薬システムに組み込むことができる。本発明のこの局面に従うキットまたは医薬システムは、1つ以上の容器手段、例えばバイアル、チューブ、アンプル、ボトルなどを厳重に閉じ込めた状態で有する、キャリア手段、例えば箱、カートン、チューブなどを含む。本発明のキットまたは医薬システムはまた、本発明の剤を使用するための付随する説明書を含むことができる。本発明のキットは、miRNAとその標的核酸分子の結合(例えば、PTENまたはPDCD4 mRNAへのmiR-17-5pまたはmiR-17-3pの結合)を妨げるまたは低減させるオリゴヌクレオチド阻害剤を含む。キットは、新生物(例えば、トリプルネガティブ乳がん)治療用の、miRNAに結合する1種以上の阻害性核酸を投与するための説明書を含むことができる。剤の有効性を測定するための方法は、当技術分野で知られている(例えば、IC50を測定する)。
本発明の組成物を、新生物(例えば、乳がん)の改善に使用するためのキットまたは医薬システムに組み込むことができる。本発明のこの局面に従うキットまたは医薬システムは、1つ以上の容器手段、例えばバイアル、チューブ、アンプル、ボトルなどを厳重に閉じ込めた状態で有する、キャリア手段、例えば箱、カートン、チューブなどを含む。本発明のキットまたは医薬システムはまた、本発明の剤を使用するための付随する説明書を含むことができる。本発明のキットは、miRNAとその標的核酸分子の結合(例えば、PTENまたはPDCD4 mRNAへのmiR-17-5pまたはmiR-17-3pの結合)を妨げるまたは低減させるオリゴヌクレオチド阻害剤を含む。キットは、新生物(例えば、トリプルネガティブ乳がん)治療用の、miRNAに結合する1種以上の阻害性核酸を投与するための説明書を含むことができる。剤の有効性を測定するための方法は、当技術分野で知られている(例えば、IC50を測定する)。
キットの容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、または他の容器手段を含み、その中に成分が配置され、好ましくは適切に等分される。キットに複数の成分が存在する場合、キットはまた、一般的に、追加の成分を別々に入れることができる追加の容器を含むであろう。しかし、種々の成分の組み合わせを1つの容器に収容することもできる。本発明のキットはまた、一般的に、商業上の販売のために成分の容器を厳重に包装するための手段を含むであろう。このような包装は、所望の成分容器が保持される射出成型またはブロー成型プラスチック容器を含むことができる。
本発明の実施では、特段の指示がない限り、十分に当業者の専門内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術が採用される。このような技術は、次のような文献に詳しく説明されている:"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 第2版 (Sambrook, 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); "Animal Cell Culture" (Freshney, 1987); "Methods in Enzymology" "Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1996); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (Ausubel, 1987); "PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis, 1994); "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 1991)。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生産に適用可能であり、そのようなものとして、本発明を実施する際に検討することができる。特定の態様のために特に有用な技術を以下のセクションで説明することにする。
本明細書に記載のこれらの方法は、決して包括的ではなく、特定の応用事例に適合するさらなる方法は当業者には明らかであろう。また、本発明の組成物の有効量は、所望の効果を発揮することが知られている化合物から類推してさらに近似させることができる。
本発明の実施では、特段の指示がない限り、十分に当業者の専門内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術が採用される。このような技術は、次のような文献に詳しく説明されている:"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 第2版 (Sambrook, 1989); "Oligonucleotide Synthesis" (Gait, 1984); "Animal Cell Culture" (Freshney, 1987); "Methods in Enzymology" "Handbook of Experimental Immunology" (Weir, 1996); "Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells" (Miller and Calos, 1987); "Current Protocols in Molecular Biology" (Ausubel, 1987); "PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis, 1994); "Current Protocols in Immunology" (Coligan, 1991)。これらの技術は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの生産に適用可能であり、そのようなものとして、本発明を実施する際に検討することができる。特定の態様のために特に有用な技術を以下のセクションで説明することにする。
値および範囲が本明細書のどこに提供されようとも、これらの値および範囲に包含される全ての値および範囲は、本発明の範囲内に含まれることを理解すべきである。また、これらの範囲内に入る全ての値、ならびに値の範囲の上限または下限も本出願により意図されている。
以下の実施例は、本発明の局面をさらに説明するものである。しかし、それらは本明細書に記載される本発明の教示または開示を決して限定するものではない。
本発明は、以下の実験例を参照することでさらに詳細に説明される。これらの実験例は、例示のみを目的として提供され、特記しない限り、限定することを意図したものではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる、ありとあらゆる変更を包含すると解釈されるべきである。
これ以上の説明がなくとも、当業者は、前述の説明および以下の例示的な実施例を使用して、本発明の化合物を作製して利用し、かつ本発明の方法を実施することができる、と考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい態様を具体的に指摘するものであり、本開示の残部をいかなる形でも限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1. miRNAのLNAノックダウン
精製した20-merの抗miR-17-5pおよび抗miR-21-5p LNA-DNA-LNA gapmerは、Exiqon社(コペンハーゲン, デンマーク)から購入した。qPCRは、50nMのLNAで処理したMDA-MB-231細胞におけるmiR-17-5pおよびmiR-21-5pの98%ノックダウンを示した(図1)。
精製した20-merの抗miR-17-5pおよび抗miR-21-5p LNA-DNA-LNA gapmerは、Exiqon社(コペンハーゲン, デンマーク)から購入した。qPCRは、50nMのLNAで処理したMDA-MB-231細胞におけるmiR-17-5pおよびmiR-21-5pの98%ノックダウンを示した(図1)。
実施例2. miR-17-5pおよびmiR-21-5p標的部位のバイオインフォマティクス検索
PDCD4 mRNAの3'UTRにおける潜在的miR-17-5pおよびmiR-21-5p標的部位のコンピュータによる検索は、PTENおよびPDCD4 mRNA中の隠れたmiR-17-3pパッセンジャー鎖標的を明らかにした(図2、3Aおよび3B)。したがって、抗miR-17-5p LNAは、PTENおよびPDCD4 mRNA中の新規な部位を攻撃することが可能な、miR-17-3pを模倣する可能性がある。一方、miR-21-3pパッセンジャー鎖標的は、PTENまたはPDCD4 mRNA中に見出されなかった。
PDCD4 mRNAの3'UTRにおける潜在的miR-17-5pおよびmiR-21-5p標的部位のコンピュータによる検索は、PTENおよびPDCD4 mRNA中の隠れたmiR-17-3pパッセンジャー鎖標的を明らかにした(図2、3Aおよび3B)。したがって、抗miR-17-5p LNAは、PTENおよびPDCD4 mRNA中の新規な部位を攻撃することが可能な、miR-17-3pを模倣する可能性がある。一方、miR-21-3pパッセンジャー鎖標的は、PTENまたはPDCD4 mRNA中に見出されなかった。
実施例3. PTENおよびPDCD4タンパク質に対するmiRNAノックダウンの効果
MDA-MB-231 TNBC細胞においてトランスフェクトされたアンチセンスロックド核酸(LNA)によりmiR-17-5pをノックダウンすると、PTENおよびPDCD4タンパク質レベルが逆説的に低下した(図4A〜4C)。MDA-MB-231細胞を、トランスフェクションの前日に、抗生物質を含まないL-15培地+10%FBS中に6ウェルプレートで播種した。LNA(最終濃度50nM)をOpti-MEM中でリポフェクタミン2000により6時間トランスフェクトした。トランスフェクションの終了時に、培地を、抗生物質を含まないL-15培地+10%FBSと置き換えた。トランスフェクションの48時間後に総タンパク質を抽出した。Kodak Imaging Station 2000Rを用いてウェスタンブロットを定量した。
MDA-MB-231 TNBC細胞においてトランスフェクトされたアンチセンスロックド核酸(LNA)によりmiR-17-5pをノックダウンすると、PTENおよびPDCD4タンパク質レベルが逆説的に低下した(図4A〜4C)。MDA-MB-231細胞を、トランスフェクションの前日に、抗生物質を含まないL-15培地+10%FBS中に6ウェルプレートで播種した。LNA(最終濃度50nM)をOpti-MEM中でリポフェクタミン2000により6時間トランスフェクトした。トランスフェクションの終了時に、培地を、抗生物質を含まないL-15培地+10%FBSと置き換えた。トランスフェクションの48時間後に総タンパク質を抽出した。Kodak Imaging Station 2000Rを用いてウェスタンブロットを定量した。
MDA-MB-231 TNBC細胞においてトランスフェクトされたアンチセンスロックド核酸(LNA)によりmiR-17-5pをノックダウンすると、PTENおよびPDCD4タンパク質レベルが逆説的に低下した(図4A〜4C)。特定の理論に拘束されるものではないが、抗miR-17-5p LNAは、配列検索と一致して、PTENおよびPDCD4 mRNA中のmiR-17-3pパッセンジャー鎖標的を偶然に攻撃したと仮定される。しかし、抗miR-21-5p LNAは、MDA-MB-231 TNBC細胞におけるPDCD4 mRNAの翻訳を変化させなかった。
PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTRには、miR-17-5pガイド鎖と比較してmiR-17-3pパッセンジャー鎖のためのより多くの予測された結合部位があった(図2)。特定の理論に拘束されるものではないが、どちらの鎖が、他方と比べて、より多くの結合部位を特定の標的mRNAの3'UTR中に有するかは、そのmRNAの翻訳を調節する上でより重要な役割を果たす。したがって、抗miR-17 LNA 20-merはmiR-17-3pパッセンジャー鎖を模倣し、さらにまた、PDCD4およびPTEN mRNAの翻訳を阻害することができる。
miR-21-3pパッセンジャー鎖は、予測された結合部位がPDCD4またはPTEN mRNAの3'UTR上になかった。そのため、miR-21-3pパッセンジャー鎖を模倣する抗miR-21 LNA 20-merは、PDCD4およびPTENのmRNAに対して阻害作用を有していない。
関連する実験では、MDA-MB-231細胞をmiR-17およびmiR-21の阻害性12-mer PNA-ペプチド(表1参照)で処理した後にPDCD4およびPTENのタンパク質発現レベルを測定した。
MDA-MB-231細胞を、トランスフェクションの前日に、抗生物質を含まないL-15培地+10%FBS中に6ウェルプレートで播種した。細胞を、抗生物質を含まないL-15培地+10%FBS中で最終濃度1μMのPNA-ペプチドと48時間インキュベートした。48時間のインキュベーションの終了時に総タンパク質を抽出した。Kodak Imaging Station 2000Rを用いてウェスタンブロットを定量した。
LNAを用いた上記の結果と一致して、PDCD4のタンパク質発現レベルは、MDA-MB-231細胞をmiR-17およびmiR-21の阻害性12-mer PNA-ペプチドで処理した後に、ミスマッチ対照と比較して増加した。PTENのタンパク質発現レベルは、ミスマッチ対照と比較して変化しなかったが、これは、PTEN mRNAの3'UTR上にガイドmiR-17およびmiR-21のためのどのような潜在的結合部位をも予測しなかった予測プログラム(rna22)と一致する(図5A〜5C)。
実施例4. マイクロRNA:3'UTR構造体
特定の理論に拘束されるものではないが、miRNAパッセンジャー鎖の活性は予測可能であるという仮説を立てた。各マイクロRNA(miRNA)は、多くの異なる遺伝子をそれらのメッセンジャーRNA(mRNA)を介して標的にすることができる(Bartel, 2004, Cell 116(2):281-97)。miRNAのアンチセンスブロッキングは、一貫性のない結果をもたらした(Hausser and Zavolan, 2014, Nat Rev Genet 15(9):599-612)。pre-miRNA二重鎖の2本の鎖のうちの1本のみが、重要なシード配列を含む成熟miRNAガイド鎖としてAgo酵素によって選択されるといわれており、一方で、相補的なパッセンジャー鎖は捨てられるといわれている(Ha and Kim, 2014, Nat Rev Mol Cell Biol 15(8):509-24)。
特定の理論に拘束されるものではないが、miRNAパッセンジャー鎖の活性は予測可能であるという仮説を立てた。各マイクロRNA(miRNA)は、多くの異なる遺伝子をそれらのメッセンジャーRNA(mRNA)を介して標的にすることができる(Bartel, 2004, Cell 116(2):281-97)。miRNAのアンチセンスブロッキングは、一貫性のない結果をもたらした(Hausser and Zavolan, 2014, Nat Rev Genet 15(9):599-612)。pre-miRNA二重鎖の2本の鎖のうちの1本のみが、重要なシード配列を含む成熟miRNAガイド鎖としてAgo酵素によって選択されるといわれており、一方で、相補的なパッセンジャー鎖は捨てられるといわれている(Ha and Kim, 2014, Nat Rev Mol Cell Biol 15(8):509-24)。
腫瘍抑制タンパク質、例えば、ホスファターゼ・テンシンホモログ(PTEN)(Depowski et al., 2001, Mod Pathol 14(7):672-676)およびプログラム細胞死4(PDCD4)(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33)などは、形質転換細胞では減少している。miR-17-5p (Yu et al., 2008, J. Cell Biol. 182(3):509-517)およびmiR-21-5p (Lu et al., 2008, Oncogene 27(31):4373-9)は、一般的に、形質転換細胞において過剰発現されている(Farazi et al., 2011, Cancer Research 71(13):4443-4453)。miR-17-5p (Shan et al., J Cell Sci 126(Pt 6):1517-30)およびmiR-21-5p (Meng et al., 2007, Gastroenterology 133(2):647-58)は、PTEN mRNAの翻訳を阻害する。miR-21-5pはPDCD4 mRNAの翻訳を阻害する(Frankel et al., 2008, J Biol Chem 283(2):1026-33)。しかし、miR-17-3pおよびmiR-21-3pなどのパッセンジャー鎖は、最近まで、分解される非機能的なジャンクRNAとして片付けられていた(Jin et al., 2015, PLoS One 10; Mah et al., 2010, Crit Rev Eukaryot Gene Expr 20(2):141-8)。
従来の知識に照らして、トランスフェクトされたDNA-LNAキメラによりヒトMDA-MB-231細胞におけるmiR-17-5pをノックダウンすることが、PTENおよびPDCD4 mRNAの翻訳を逆説的に低減させることを見つけたことは、予想外の驚くべきことであった(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。潜在的miR-17-5pおよびmiR-21-5p標的部位のコンピュータによる検索は、ヒトPTEN mRNAの3'UTRにおける5つの隠れたmiR-17-3pパッセンジャー鎖標的およびPDCD4 mRNAの3'UTRにおける6つのパッセンジャー鎖標的を明らかにした(Jin et al., 2015, PLoS One 10)(図2)。したがって、抗miR-17-5pがPTENおよびPDCD4 mRNA中のmiR-17-3pパッセンジャー鎖標的を攻撃したことは明白である。従来の知識に合致して、miR-21-3pパッセンジャー鎖標的はPTENまたはPDCD4 mRNA中に見出されず、抗miR-21-5p LNAはMDA-MB-231細胞においてPDCD4 mRNAの翻訳を変化させなかった(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。少数の他のパッセンジャー鎖は、特例として、活性であることが判明している(Mah et al., 2010, Crit Rev Eukaryot Gene Expr 20(2):141-8)。分子動力学計算は、miR-17-3pパッセンジャー鎖が3'UTR標的に安定的にハイブリダイズして、外部バルジ(bulge)なしに、動的なA型らせんを形成することができることを示した(図6)(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。
パッセンジャー鎖とハイブリダイズしたmiRNAガイド鎖(図7)、または3'UTR標的とハイブリダイズしたmiRNAガイド鎖(図8)は、ミスマッチがはみ出した状態で表示されており、また、余分な塩基がはじき出されている。これらの図は、ひどく弱い塩基対形成を暗示しており、miRNAの結合はほとんど調節効果がないことを示唆している。miR-122および相補的RNA 11merを含むヒトAgo2の結晶構造では、Ago2は、最初に、RNAハイブリダイゼーションに最適なスタッキングのためにmiRNAシード領域を下支えし、その後、平坦なRNA二重鎖にロックされる(Schirle et al., 2014, Science 346(6209):608-613)。PTEN mRNAの3'UTR部位に結合したmiR-17-3p(図6)の分子動力学計算は、Mfold表示で非常に歪んで見えるミスマッチとバルジにもかかわらず、ガイド鎖と同様に、全てのパッセンジャー鎖:mRNA標的に対して安定なA型二重鎖を予測した。したがって、miRNA:mRNA二重鎖は、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)Agoに結合された11mer二重鎖の以前のシミュレーションに一致して(Xia et al., 2012, Sci Rep 2:569)、Ago2の基板の溝に収容され得ることが理解される。
実施例5. カロリー制限と電離放射線はmiR-17〜92クラスター内のmiRをダウンレギュレートした。
カロリー制限および電離放射線は、トリプルネガティブ乳がんのモデルであるマウス4T1腫瘍においてmiR-17〜92クラスターのメンバーをダウンレギュレートした(Jin et al., 2014, Breast Cancer Res Treat 146(1):41-50)(図9)。介入により、主にmiR-17-5p結合部位を示す細胞外マトリックス(ECM)mRNAを抑制し、かつc-Mycの発現を抑制することによって、4T1転移活性が低減された(Jin et al., 2014, Breast Cancer Res Treat 146(1):41-50)。この結果は、細胞表現型におけるmiR-17-5pの重要性を浮き彫りにした。
カロリー制限および電離放射線は、トリプルネガティブ乳がんのモデルであるマウス4T1腫瘍においてmiR-17〜92クラスターのメンバーをダウンレギュレートした(Jin et al., 2014, Breast Cancer Res Treat 146(1):41-50)(図9)。介入により、主にmiR-17-5p結合部位を示す細胞外マトリックス(ECM)mRNAを抑制し、かつc-Mycの発現を抑制することによって、4T1転移活性が低減された(Jin et al., 2014, Breast Cancer Res Treat 146(1):41-50)。この結果は、細胞表現型におけるmiR-17-5pの重要性を浮き彫りにした。
実施例6. DNA-LNAキメラは標的miRをノックダウンした。
抗miR-17-5p DNA-LNAキメラをヒトMDA-MB-231細胞にトランスフェクトした場合、三つ組(triplicate)のqPCRは、12時間後にmiR-17-5pの99±0.01%のノックダウンを明らかにした。同様に、抗miR-21-5pは、12時間後にmiR-17-5pを99±0.04%ノックダウンした(Jin et al., 2015, PLoS One 10)(図10)。
抗miR-17-5p DNA-LNAキメラをヒトMDA-MB-231細胞にトランスフェクトした場合、三つ組(triplicate)のqPCRは、12時間後にmiR-17-5pの99±0.01%のノックダウンを明らかにした。同様に、抗miR-21-5pは、12時間後にmiR-17-5pを99±0.04%ノックダウンした(Jin et al., 2015, PLoS One 10)(図10)。
実施例7. miR-17-5pの抗miR-17-5pによるノックダウンは予期せざることにPTENおよびPDCD4タンパク質を減少させた。
PTEN mRNAは、miR-17-5pの直接的な標的であることが知られている(Xiao et al., 2008, Nat Immunol 9(4):405-14)。PTEN mRNAは、抗miR-17-5pトランスフェクション後12時間で15±4%、48時間で22±6%有意に減少した(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。しかし、miR-17-5pノックダウンは、対照と比較して、PDCD4 mRNAの変化を誘導しなかった。抗miR-17-5pによるトランスフェクションの48時間後にタンパク質レベルを分析したところ、三つ組のウェスタンブロットは、miRが典型的には翻訳をブロックするので、miR-17-5pのノックダウン後にはアップレギュレートされることが予想されたにもかかわらず(Jin et al., 2015, PLoS One 10)、PTENおよびPDCD4タンパク質が1.8±0.3倍ダウンレギュレートされたことを示した(図10)。
PTEN mRNAは、miR-17-5pの直接的な標的であることが知られている(Xiao et al., 2008, Nat Immunol 9(4):405-14)。PTEN mRNAは、抗miR-17-5pトランスフェクション後12時間で15±4%、48時間で22±6%有意に減少した(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。しかし、miR-17-5pノックダウンは、対照と比較して、PDCD4 mRNAの変化を誘導しなかった。抗miR-17-5pによるトランスフェクションの48時間後にタンパク質レベルを分析したところ、三つ組のウェスタンブロットは、miRが典型的には翻訳をブロックするので、miR-17-5pのノックダウン後にはアップレギュレートされることが予想されたにもかかわらず(Jin et al., 2015, PLoS One 10)、PTENおよびPDCD4タンパク質が1.8±0.3倍ダウンレギュレートされたことを示した(図10)。
実施例8. miR-17-3pパッセンジャー鎖は、miR-17-5pと同様に、PTENおよびPDCD4 mRNAの潜在的阻害剤である。
rna22 (Loher and Rigoutsos, 2012, Bioinformatics 28(24):3322-3)を用いて、miR-17-5pは、3'UTR中の単一部位との相互作用を介しての潜在的なPDCD4 mRNA調節因子として同定された(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。rna22は、PDCD4 mRNAの3'UTR中にmiR-17-5pの結合部位を予測した唯一のアルゴリズムであるが、予測された23bpのmiRNA:mRNA二重鎖は、17の相補的塩基対および37℃で-24.5kcal/molのMfold予測フォールディングエネルギーΔGoを含み、安定である。図11におけるPTENおよびPDCD4の予想外の減少を理解するために、miR-17をmiRBaseで調べた。miR-17-5pは、pre-miRNAヘアピン構造において、そのパッセンジャー鎖miR-17-3pとの二重鎖として存在することが予測された(図7)。miR-17-3pの大部分は、特にmiR-17-3pのシード配列(nt2〜8)において、そのガイド鎖miR-17-5pと完全に相補的である。抗miR-17-5pはmiR-17-5pと完全に相補的であるので、その配列はそれゆえ、miR-17-3pに対して高度の相同性を示す(図7)。したがって、抗miR-17-5pがmiR-17-3p模倣体として行動して、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中のmiR-17-3p標的部位に結合しうることは、予測されたことである。
rna22 (Loher and Rigoutsos, 2012, Bioinformatics 28(24):3322-3)を用いて、miR-17-5pは、3'UTR中の単一部位との相互作用を介しての潜在的なPDCD4 mRNA調節因子として同定された(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。rna22は、PDCD4 mRNAの3'UTR中にmiR-17-5pの結合部位を予測した唯一のアルゴリズムであるが、予測された23bpのmiRNA:mRNA二重鎖は、17の相補的塩基対および37℃で-24.5kcal/molのMfold予測フォールディングエネルギーΔGoを含み、安定である。図11におけるPTENおよびPDCD4の予想外の減少を理解するために、miR-17をmiRBaseで調べた。miR-17-5pは、pre-miRNAヘアピン構造において、そのパッセンジャー鎖miR-17-3pとの二重鎖として存在することが予測された(図7)。miR-17-3pの大部分は、特にmiR-17-3pのシード配列(nt2〜8)において、そのガイド鎖miR-17-5pと完全に相補的である。抗miR-17-5pはmiR-17-5pと完全に相補的であるので、その配列はそれゆえ、miR-17-3pに対して高度の相同性を示す(図7)。したがって、抗miR-17-5pがmiR-17-3p模倣体として行動して、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中のmiR-17-3p標的部位に結合しうることは、予測されたことである。
実施例9. miR-17-3pパッセンジャー鎖をサイレンシングすることは、PDCD4およびPTENタンパク質レベルを維持した。
前記パッセンジャー鎖が上記の矛盾する結果を引き起こしたかどうかを調べるために、本発明者らは、内因性miR-17-3pを抗miR-17-3pでノックダウンし、その後PDCD4およびPTENタンパク質レベルを分析した。miR-17-5pのノックダウン(図11)とは対照的に、miR-17-3pノックダウン後の三つ組のウェスタンブロットは、PDCD4またはPTENタンパク質レベルの有意な変化を示さなかった(図12)(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。維持されたPDCD4およびPTENのタンパク質レベルは、PDCD4およびPTEN 3'UTRへのmiR-17-5pとmiR-17-3pの両方の結合の総合的な結果であり得る(図2)。この静的結果は妥当である。なぜならば、抗miR-17-3pはmiR-17-5p模倣体として作用し得るが(図7)、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTRには、miR-17-5pのための1つの結合部位と比較して、miR-17-3pのためのより多くの潜在的結合部位が存在するからである。
前記パッセンジャー鎖が上記の矛盾する結果を引き起こしたかどうかを調べるために、本発明者らは、内因性miR-17-3pを抗miR-17-3pでノックダウンし、その後PDCD4およびPTENタンパク質レベルを分析した。miR-17-5pのノックダウン(図11)とは対照的に、miR-17-3pノックダウン後の三つ組のウェスタンブロットは、PDCD4またはPTENタンパク質レベルの有意な変化を示さなかった(図12)(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。維持されたPDCD4およびPTENのタンパク質レベルは、PDCD4およびPTEN 3'UTRへのmiR-17-5pとmiR-17-3pの両方の結合の総合的な結果であり得る(図2)。この静的結果は妥当である。なぜならば、抗miR-17-3pはmiR-17-5p模倣体として作用し得るが(図7)、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTRには、miR-17-5pのための1つの結合部位と比較して、miR-17-3pのためのより多くの潜在的結合部位が存在するからである。
実施例10. miR-21-5pガイド鎖のノックダウンは、PDCD4 mRNAレベルを増加し、PDCD4タンパク質レベルを高めた。
その仮説をさらに試験するため、抗miR-21-5pをMDA-MB-231細胞にトランスフェクトした。rna22、Targetscan (Lewis et al., 2005, Cell 120(1):15-20)、およびmiRandaは、miR-21-5pがPDCD4 mRNAの3'UTRに2つの結合部位を有するが、そのパッセンジャー鎖miR-21-3pは、miR-17-3pと違って、推定上の結合部位を持たない、ことを予測した。抗miR-21-5pはmiR-21-5pを96±0.15%ノックダウンして、PDCD4 mRNAを12時間で33±9.6%、48時間で17±3.3%増加させた。重要なことには、miR-21-5pのノックダウンは、PDCD4タンパク質の発現を1.4±0.3倍増加させた(図13)(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。PDCD4 mRNA上にmiR-21-3p部位が存在しないことに合致して、抗miR-21-5pはPDCD4タンパク質をダウンレギュレートしなかった。
その仮説をさらに試験するため、抗miR-21-5pをMDA-MB-231細胞にトランスフェクトした。rna22、Targetscan (Lewis et al., 2005, Cell 120(1):15-20)、およびmiRandaは、miR-21-5pがPDCD4 mRNAの3'UTRに2つの結合部位を有するが、そのパッセンジャー鎖miR-21-3pは、miR-17-3pと違って、推定上の結合部位を持たない、ことを予測した。抗miR-21-5pはmiR-21-5pを96±0.15%ノックダウンして、PDCD4 mRNAを12時間で33±9.6%、48時間で17±3.3%増加させた。重要なことには、miR-21-5pのノックダウンは、PDCD4タンパク質の発現を1.4±0.3倍増加させた(図13)(Jin et al., 2015, PLoS One 10)。PDCD4 mRNA上にmiR-21-3p部位が存在しないことに合致して、抗miR-21-5pはPDCD4タンパク質をダウンレギュレートしなかった。
こうして、抗miR-17-5pはmiR-17-3pを模倣し、抗miR-17-3pはmiR-17-5pを模倣した。これらの結果は、治療用のサイレンシング配列は、マイナー鎖に対する親和性を最小限に抑えながら、標的mRNAの3'UTR中に最大数の推定上の結合部位を有するmiRNA鎖を標的にするように設計されるべきである、ことを示している。
実施例11. ルシフェラーゼベクターの構築
PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中のパッセンジャー鎖標的の可能性を考えて、ルシフェラーゼベクターは、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中の個々の部位への影響を報告するように構築されている。pMir-Report-Luciferaseがベースである。予測された3'UTR標的の各々のためのベクターに合成DNA 60merを挿入した:
アニーリングした二重鎖を、線形化したpMir-Report-LuciferaseのHind III-Spe Iにライゲートし、その後大腸菌(E. coli)DH5αを形質転換するために使用した。個々のコロニーをTerrific Broth中で一晩増殖させた。プラスミドを単離し、その後、挿入ゾーン全体にわたって配列決定した。
PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中のパッセンジャー鎖標的の可能性を考えて、ルシフェラーゼベクターは、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中の個々の部位への影響を報告するように構築されている。pMir-Report-Luciferaseがベースである。予測された3'UTR標的の各々のためのベクターに合成DNA 60merを挿入した:
アニーリングした二重鎖を、線形化したpMir-Report-LuciferaseのHind III-Spe Iにライゲートし、その後大腸菌(E. coli)DH5αを形質転換するために使用した。個々のコロニーをTerrific Broth中で一晩増殖させた。プラスミドを単離し、その後、挿入ゾーン全体にわたって配列決定した。
実施例12. RNAへのペプチド核酸(PNA)のハイブリダイゼーション
ペプチド核酸(PNA)は、単一のミスマッチ特異性でRNA標的に強固に結合するヌクレアーゼ耐性ポリアミド誘導体であるが(Chakrabarti et al., 2007, Cancer Biology & Therapy 6(6):948-956)、これもまた、細胞内でのmRNA結合のために利用された(図14)。
ペプチド核酸(PNA)は、単一のミスマッチ特異性でRNA標的に強固に結合するヌクレアーゼ耐性ポリアミド誘導体であるが(Chakrabarti et al., 2007, Cancer Biology & Therapy 6(6):948-956)、これもまた、細胞内でのmRNA結合のために利用された(図14)。
RISCおよびRNase HはPNAを認識することができず、そのためPNAは細胞内でRNAに結合するが、それらを取り除くことができない(Good and Nielsen, 1997, Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7(4):431-7; Tian et al., 2003, Annals of the New York Academy of Sciences 1002:165-188)。その非荷電バックボーンのため、PNAは、LNAに匹敵して、ほとんどのオリゴヌクレオチド誘導体よりも強くかつ特異的にRNAにハイブリダイズする(Good and Nielsen, 1997, Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7(4):431-7)。PNAを用いたこれまでの経験は、開始コドン領域がプローブするのに最も効果的な領域であることを暗示する(Good and Nielsen, 1997, Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7(4):431-7)。
非コンジュゲート化PNAは、細胞による顕著な取り込みが見られない(Gray et al., 1997, Biochemical Pharmacology 53(10):1465-1476)。アンチセンスPNAによる培養細胞内でのRNAブロッキングを、トランスフェクションまたはエレクトロポレーションなしに、可能にするために、PNAオリゴマーは、IGF1Rを過剰発現する細胞へのエンドサイトーシスを指令するインスリン様成長因子1(IGF1)のD(CSKC)テトラペプチド類似体をPNAのC末端に含むように設計された(Basu and Wickstrom, 1997, Bioconjugate Chemistry 8(4):481-488)。
転写される配列の中で理論的にユニークな、12merのPNA-D(CSKC)配列(Helene and Toulme, 1990, Biochim Biophys Acta 1049(2):99-125)は、単一のミスマッチ特異性でもって腫瘍細胞内の1〜10nMのmRNAとハイブリダイズするのに十分な、生理食塩水中1μMの鎖で、相補的RNAとの約80℃の融解温度を示すことがわかった(Tian and Wickstrom, 2002, Organic Letters 4(23):4013-4016)。
実施例13. トランスフェクションなしでの細胞内のmiR-17-5pのPNA-ペプチドによるブロッキング
抗miR-17-5p PNA-D(CSKC)は、PDCD4およびPTENタンパク質の発現を増加させた(図15)。抗miR-21-5p PNA-D(CSKC)は、PDCD4タンパク質の発現をわずかに増加させた。したがって、これらのPNAは、RISCの外側で行動して、miRNAの逆鎖を模倣する機会なしに、miRNA挙動をブロッキングした。
抗miR-17-5p PNA-D(CSKC)は、PDCD4およびPTENタンパク質の発現を増加させた(図15)。抗miR-21-5p PNA-D(CSKC)は、PDCD4タンパク質の発現をわずかに増加させた。したがって、これらのPNAは、RISCの外側で行動して、miRNAの逆鎖を模倣する機会なしに、miRNA挙動をブロッキングした。
実施例14. 確実なノックダウン剤を設計するためにパッセンジャー鎖活性の知識を利用する。
特定のmRNA 3'UTRに対するパッセンジャー鎖活性の推論に基づいて、ガイド鎖またはパッセンジャー鎖のいずれかを標的にする抗miR配列は、miRシード配列および隣接ヌクレオチド(逆鎖とは異なるヌクレオチド)に相補的であるだろう;その場合、干渉PNAの短さゆえに、オフターゲット作用は最小限となる。BLAST分析を使用して、非標的RNAとの相互作用の可能性を明らかにすることができる(Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res 25(17):3389-402)。パッセンジャー鎖の標的および活性の可能性を知らせる鎖選択規則(strand selection rules)を使用して、交絡(confounding)活性(例えば、特定のmRNA 3'UTRに対するパッセンジャー鎖活性)のない、病原性状態を逆行させるパッセンジャー鎖およびガイド鎖の機能的模倣体を設計することができる。治療用サイレンシング配列は、マイナー鎖に対する親和性を最小限に抑えながら、標的mRNAの3'UTR中の推定上の結合部位の数が最も多いmiRNA鎖を標的にするように設計されるべきである。
特定のmRNA 3'UTRに対するパッセンジャー鎖活性の推論に基づいて、ガイド鎖またはパッセンジャー鎖のいずれかを標的にする抗miR配列は、miRシード配列および隣接ヌクレオチド(逆鎖とは異なるヌクレオチド)に相補的であるだろう;その場合、干渉PNAの短さゆえに、オフターゲット作用は最小限となる。BLAST分析を使用して、非標的RNAとの相互作用の可能性を明らかにすることができる(Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res 25(17):3389-402)。パッセンジャー鎖の標的および活性の可能性を知らせる鎖選択規則(strand selection rules)を使用して、交絡(confounding)活性(例えば、特定のmRNA 3'UTRに対するパッセンジャー鎖活性)のない、病原性状態を逆行させるパッセンジャー鎖およびガイド鎖の機能的模倣体を設計することができる。治療用サイレンシング配列は、マイナー鎖に対する親和性を最小限に抑えながら、標的mRNAの3'UTR中の推定上の結合部位の数が最も多いmiRNA鎖を標的にするように設計されるべきである。
例えば、本発明によるmiRNA阻害剤は、さまざまなmiRNAのために設計された(図16)。図示されるように、各miRNAのステム-ループ構造は、ガイド鎖(ピンクの上の配列)とパッセンジャー鎖(ピンクの下の配列)の間の相補性を示している。各miRNA(そのための阻害剤が設計される)は上の配列として示され、一方、緑色の配列は他方の鎖のシード領域に相補的なヌクレオチドを表す。阻害剤配列は下の配列として示されるが、該配列の赤い部分は、他方の鎖のシード配列に数個のヌクレオチドを含めるための阻害剤配列の可能な延長を表す。ガイド鎖とパッセンジャー鎖間で共有される標的は、最小限の6シードペアリングを用いて、miRWalk、DIANA-mT、miRanda、miRDB、PICTAR、PITA、rna22、およびTargetScanにより予測される。選択されたmiRNAのがん関連性は、miRCancerデータベースから概括される。
Mfold予測を用いたmiRNA阻害剤の解析は、ガイド鎖の阻害剤およびパッセンジャー鎖の阻害剤が、それぞれ、パッセンジャー鎖およびガイド鎖を模倣する可能性があることを示す。Mfold予測は、抗miR-17-5p DNA-LNAがmiR-17-3pを模倣して、PDCD4 mRNA(表2)およびPTEN mRNA(表3)の3'UTR中のmiR-17-3p標的部位に結合することを示す。Mfold予測はまた、抗miR-17-3p DNA-LNAがmiR-17-5pを模倣して、PDCD4およびPTEN mRNAの3'UTR中のmiR-17-5p標的部位に結合することを示す。表2〜4では、DNA-LNA阻害剤配列は各二重鎖の下の配列として示され、各二重鎖の上の配列はmRNAの3'UTR中の予測された標的配列である。
予備段階の結果は、形質転換細胞におけるmiRNAのLNAノックダウンのための仮説を支持する。これらの結果はまた、PNA-D(CSKC)の受容体媒介型エンドサイトーシスによる活性を暗示する。DNA-LNA-ペプチドもまた、所定のペプチドリガンドに結合する受容体を過剰発現する細胞内に優先的に蓄積することが想定される。
IGF1を運ぶ血漿結合タンパク質(Ellis et al., 1998, Breast Cancer Res Treat 52(1-3):175-84)は、PNA自体が不十分な血漿タンパク質結合ゆえに迅速に排除される(Gray and Wickstrom, 1997, Antisense and Nucleic Acid Drug Development 7(3):133-140)にもかかわらず、受容体-PNA-D(CSKC)のための有益な全身性の薬物動態を提供する(Opitz et al., 2010, Oligonucleotides 20(3):117-125)。マウスにおいて2.5mg/kgのPNA-ペプチドは、毒性(Boffa et al., 2005, Oligonucleotides 15(2):85-93)、免疫原性(Cutrona et al., 2007, Oligonucleotides 17(1):146-50)、変異原性、または染色体異常誘発能(Boffa et al., 2007, Cancer Gene Ther 14(2):220-6)を全く示さなかった。
他の態様
本明細書中の可変要素(variable)の定義における要素のリストの記載には、任意の単一の要素またはリストに記載された要素の組み合わせ(または部分的組み合わせ)としてのその可変要素の定義が含まれる。本明細書中の実施態様の記載には、任意の単一の実施態様としての、またはその他の実施態様もしくはその部分との組み合わせとしての、その実施態様が含まれる。
本明細書中の可変要素(variable)の定義における要素のリストの記載には、任意の単一の要素またはリストに記載された要素の組み合わせ(または部分的組み合わせ)としてのその可変要素の定義が含まれる。本明細書中の実施態様の記載には、任意の単一の実施態様としての、またはその他の実施態様もしくはその部分との組み合わせとしての、その実施態様が含まれる。
本明細書に引用されたありとあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本発明は特定の態様に関連して開示されているが、当業者であれば、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の他の態様および変形を考え出すことができることは、明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような態様および等価的変形を包含すると解釈されるものとする。
本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、前記新生物は、トリプルネガティブ乳がんを含めた、乳がんである。本明細書に記載した局面のさまざまな態様では、前記細胞は、乳がんまたはトリプルネガティブ乳がんの細胞である。
[本発明1001]
マイクロRNA(miRNA)鎖の5'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上、75%以下に対して完全に相補的である、単離された阻害性核酸。
[本発明1002]
miRNA鎖がガイド鎖またはパッセンジャー鎖である、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1003]
DNAまたはRNAである、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1004]
ホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1005]
miRNAガイド鎖のシード領域に特異的に結合する、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1006]
miRNAパッセンジャー鎖のシード領域の配列を含まない、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1007]
miRNAがmiR-17またはmiR-21である、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1008]
核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する、本発明1007の単離された阻害性核酸。
[本発明1009]
核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する、本発明1007の単離された阻害性核酸。
[本発明1010]
PTENまたはPDCD4のmRNAに結合しない、本発明1007の単離された阻害性核酸。
[本発明1011]
対象における新生物を治療する方法であって、該対象に、有効量の、miR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する本発明1001の阻害性核酸を投与することを含む、方法。
[本発明1012]
阻害性核酸がPTENまたはPDCD4のmRNAに結合しない、本発明1011の方法。
[本発明1013]
阻害性核酸がDNAまたはRNAである、本発明1011の方法。
[本発明1014]
阻害性核酸がホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、本発明1011の方法。
[本発明1015]
阻害性核酸が標的miRNA鎖のシード領域に特異的に結合する、本発明1011の方法。
[本発明1016]
阻害性核酸がmiRNAの逆鎖のシード領域の3塩基までを含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する、本発明1011の方法。
[本発明1018]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する、本発明1011の方法。
[本発明1019]
新生物が、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がんである、本発明1011の方法。
[本発明1020]
細胞内のmRNAへのマイクロRNA(miRNA)の結合を減少させる方法であって、該細胞に、miRNA鎖の5'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上、75%以下に対して完全に相補的である阻害性核酸を投与することを含む、方法。
[本発明1021]
miRNA鎖がガイド鎖またはパッセンジャー鎖である、本発明1020の方法。
[本発明1022]
阻害性核酸が、前記mRNAに結合させないか、または前記mRNAへの結合を最小限にする、本発明1020の方法。
[本発明1023]
前記mRNAがPTENまたはPDCD4のmRNAである、本発明1020の方法。
[本発明1024]
阻害性核酸がmiR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する、本発明1023の方法。
[本発明1025]
阻害性核酸がDNAまたはRNAである、本発明1020の方法。
[本発明1026]
阻害性核酸がホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、本発明1020の方法。
[本発明1027]
阻害性核酸が標的miRNA鎖のシード領域に特異的に結合する、本発明1020の方法。
[本発明1028]
阻害性核酸がmiRNAの逆鎖のシード領域の配列を含まない、本発明1027の方法。
[本発明1029]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する、本発明1020の方法。
[本発明1030]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する、本発明1020の方法。
[本発明1031]
前記細胞が乳がんまたはトリプルネガティブ乳がん細胞である、本発明1020の方法。
[本発明1001]
マイクロRNA(miRNA)鎖の5'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上、75%以下に対して完全に相補的である、単離された阻害性核酸。
[本発明1002]
miRNA鎖がガイド鎖またはパッセンジャー鎖である、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1003]
DNAまたはRNAである、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1004]
ホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1005]
miRNAガイド鎖のシード領域に特異的に結合する、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1006]
miRNAパッセンジャー鎖のシード領域の配列を含まない、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1007]
miRNAがmiR-17またはmiR-21である、本発明1001の単離された阻害性核酸。
[本発明1008]
核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する、本発明1007の単離された阻害性核酸。
[本発明1009]
核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する、本発明1007の単離された阻害性核酸。
[本発明1010]
PTENまたはPDCD4のmRNAに結合しない、本発明1007の単離された阻害性核酸。
[本発明1011]
対象における新生物を治療する方法であって、該対象に、有効量の、miR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する本発明1001の阻害性核酸を投与することを含む、方法。
[本発明1012]
阻害性核酸がPTENまたはPDCD4のmRNAに結合しない、本発明1011の方法。
[本発明1013]
阻害性核酸がDNAまたはRNAである、本発明1011の方法。
[本発明1014]
阻害性核酸がホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、本発明1011の方法。
[本発明1015]
阻害性核酸が標的miRNA鎖のシード領域に特異的に結合する、本発明1011の方法。
[本発明1016]
阻害性核酸がmiRNAの逆鎖のシード領域の3塩基までを含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する、本発明1011の方法。
[本発明1018]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する、本発明1011の方法。
[本発明1019]
新生物が、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がんである、本発明1011の方法。
[本発明1020]
細胞内のmRNAへのマイクロRNA(miRNA)の結合を減少させる方法であって、該細胞に、miRNA鎖の5'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上、75%以下に対して完全に相補的である阻害性核酸を投与することを含む、方法。
[本発明1021]
miRNA鎖がガイド鎖またはパッセンジャー鎖である、本発明1020の方法。
[本発明1022]
阻害性核酸が、前記mRNAに結合させないか、または前記mRNAへの結合を最小限にする、本発明1020の方法。
[本発明1023]
前記mRNAがPTENまたはPDCD4のmRNAである、本発明1020の方法。
[本発明1024]
阻害性核酸がmiR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する、本発明1023の方法。
[本発明1025]
阻害性核酸がDNAまたはRNAである、本発明1020の方法。
[本発明1026]
阻害性核酸がホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、本発明1020の方法。
[本発明1027]
阻害性核酸が標的miRNA鎖のシード領域に特異的に結合する、本発明1020の方法。
[本発明1028]
阻害性核酸がmiRNAの逆鎖のシード領域の配列を含まない、本発明1027の方法。
[本発明1029]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-17-5pに結合する、本発明1020の方法。
[本発明1030]
阻害性核酸が核酸配列:
を含み、かつmiR-21-5pに結合する、本発明1020の方法。
[本発明1031]
前記細胞が乳がんまたはトリプルネガティブ乳がん細胞である、本発明1020の方法。
本発明の好ましい態様の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照して読むとき、より良く理解されるであろう。本発明を説明する目的のために、現在好ましい態様が図面に示されている。しかし、本発明は図面に示された態様の正確な配置および手段に限定されないことを理解すべきである。
図1は、50nMのLNAで処理したMDA-MB-231細胞におけるmiR-17-5p(左)およびmiR-21-5p(右)の>95%ノックダウンを示すqPCRの結果を示すグラフである。LNAは、Opti-MEM中でリポフェクタミン2000によりトランスフェクトされた。
図2は、PDCD4の3'-UTRに見出されたmiR-17-5p、miR-17-3p、およびmiR-21-5p標的を示す。
図3は、予測プログラム(rna22)を用いたPDCD4およびPTEN中のmiR-17-5p、miR-17-3p、およびmiR-21-5p標的の同定を示す。
図4は、図4A〜4Cを含み、PTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。図4Aには、PTEN(左)およびPDCD4(右)のタンパク質レベルの代表的なウェスタンブロットを示す。図4Bでは、いくつかの実験からのPDCD4タンパク質レベルが定量された。図4Cでは、いくつかの実験からのPTENタンパク質レベルが定量された。タンパク質レベルは、MDA-MB-231細胞においてmiR-17-5pを50nM LNAで6時間ノックダウンした後に、ウェスタンブロット分析により測定した。LNAはOpti-MEM中でリポフェクタミン2000を介してトランスフェクトされた。
図5は、図5A〜5Cを含み、PTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。図5Aには、PTEN(左)およびPDCD4(右)のタンパク質レベルの代表的なウェスタンブロットを示す。図5Bでは、いくつかの実験からのPDCD4タンパク質レベルが定量された。図5Cでは、いくつかの実験からのPTENタンパク質レベルが定量された。タンパク質レベルは、MDA-MB-231細胞においてmiR-17-5pを1μMのPNA-ペプチドで6時間ノックダウンした後に、ウェスタンブロット分析により測定した。PNA-ペプチドはOpti-MEM中でIGF1Rを介してエンドサイトーシスされた。
図6は、A型らせんで、PTEN mRNAの3'UTR中のヌクレオチド3768-3789に安定的に結合するmiR-17-3pパッセンジャー鎖の分子動的予測を示す。余分の塩基およびミスマッチの塩基は、バックボーンの歪みにより収容されて、該らせん内に積み重なったままでいる。
図7は、miR-17-5pおよびmiR-17-3pのmiRBase検索の結果を示す。miR-17-5pおよびmiR-17-3p間の相同配列は灰色で強調表示される。
図8は、PDCD4 mRNAの3'UTR中のヌクレオチド228-249に結合するmiR-21-3pパッセンジャー鎖のMfold計算を示す。算出されたΔGo=-10.5kcal/mol(0.1M NaCl中)。
図9は、4つの異なる条件:不断給餌(AL)、放射線(IR)、カロリー制限(CR)、およびCR+IR、の下で測定して、カロリー制限が4T1腫瘍モデルにおけるmiR-17およびmiR-20aの発現を低下させたことを示すグラフである。
図10は、MDA-MB-231細胞に抗miR-17-5pをトランスフェクトしてから12時間後のmiR-17-5pのqPCRを示すグラフである。結果は、モック(mock)トランスフェクト型に対して正規化したmiRNA/内部対照U6の絶対値を表す。値は、n=3の測定値の平均±s.d.である。
図11は、抗miR-17-5pをトランスフェクトしてから48時間後のPTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
図12は、抗miR-17-3pをトランスフェクトしてから48時間後のPTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
図13は、抗miR-21-5pをトランスフェクトしてから48時間後のPTENおよびPDCD4のタンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。
図14は、近赤外CN-1016-AEEA-PNA-AEEA-シクロ-D(Cys-Ser-Lys-Cys)を含む本発明のPNAの構造を示す。
図15は、抗miR-17および抗miR-21 PNAによりブロックされたPTENおよびPDCD4タンパク質レベルのウェスタンブロット分析を示す。1μMの抗miR-17 PNA-d(CSKC)、抗miR-21 PNA-d(CSKC)、またはスクランブルPNA-d(CSKC)をMDA-MB-231細胞と48時間インキュベートした。ライセートのタンパク質をウェスタンブロットで分析した。
図16は、本発明に従って設計された例示的なmiRNA阻害剤を示す。各miRNAのステム-ループ構造は、ガイド鎖(灰色で強調表示されている上の配列)とパッセンジャー鎖(灰色で強調表示されている下の配列)間の相補性を示す。各miRNA(そのための阻害剤が設計される)は上の配列として示され、一方、破線でマークされている配列は他方の鎖のシード領域に相補的なヌクレオチドを表す。阻害剤配列は下の配列として示されるが、該配列の下線部分は、他方の鎖のシード配列に数個のヌクレオチドを含めるための阻害剤配列の可能な延長を表す。ガイド鎖とパッセンジャー鎖間で共有される標的は、最小限の6シードペアリングを用いて、miRWalk、DIANA-mT、miRanda、miRDB、PICTAR、PITA、rna22、およびTargetScanにより予測される。選択されたmiRNAのがん関連性は、miRCancerデータベースから概括される。
図17は、本発明に関連するmiRNAおよびmiRNA阻害剤(SEQ ID NO: 3〜39)を示す表である。
例えば、本発明によるmiRNA阻害剤は、さまざまなmiRNAのために設計された(図16)。図示されるように、各miRNAのステム-ループ構造は、ガイド鎖(灰色で強調表示されている上の配列)とパッセンジャー鎖(灰色で強調表示されている下の配列)の間の相補性を示している。各miRNA(そのための阻害剤が設計される)は上の配列として示され、一方、破線でマークされている配列は他方の鎖のシード領域に相補的なヌクレオチドを表す。阻害剤配列は下の配列として示されるが、該配列の下線部分は、他方の鎖のシード配列に数個のヌクレオチドを含めるための阻害剤配列の可能な延長を表す。ガイド鎖とパッセンジャー鎖間で共有される標的は、最小限の6シードペアリングを用いて、miRWalk、DIANA-mT、miRanda、miRDB、PICTAR、PITA、rna22、およびTargetScanにより予測される。選択されたmiRNAのがん関連性は、miRCancerデータベースから概括される。
Claims (31)
- マイクロRNA(miRNA)鎖の5'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上、75%以下に対して完全に相補的である、単離された阻害性核酸。
- miRNA鎖がガイド鎖またはパッセンジャー鎖である、請求項1記載の単離された阻害性核酸。
- DNAまたはRNAである、請求項1記載の単離された阻害性核酸。
- ホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、請求項1記載の単離された阻害性核酸。
- miRNAガイド鎖のシード領域に特異的に結合する、請求項1記載の単離された阻害性核酸。
- miRNAパッセンジャー鎖のシード領域の配列を含まない、請求項1記載の単離された阻害性核酸。
- miRNAがmiR-17またはmiR-21である、請求項1記載の単離された阻害性核酸。
- PTENまたはPDCD4のmRNAに結合しない、請求項7記載の単離された阻害性核酸。
- 対象における新生物を治療する方法であって、該対象に、有効量の、miR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する請求項1記載の阻害性核酸を投与することを含む、方法。
- 阻害性核酸がPTENまたはPDCD4のmRNAに結合しない、請求項11記載の方法。
- 阻害性核酸がDNAまたはRNAである、請求項11記載の方法。
- 阻害性核酸がホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、請求項11記載の方法。
- 阻害性核酸が標的miRNA鎖のシード領域に特異的に結合する、請求項11記載の方法。
- 阻害性核酸がmiRNAの逆鎖のシード領域の3塩基までを含む、請求項15記載の方法。
- 新生物が、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がんである、請求項11記載の方法。
- 細胞内のmRNAへのマイクロRNA(miRNA)の結合を減少させる方法であって、該細胞に、miRNA鎖の5'領域から始まり、該miRNA鎖の少なくとも50%以上、75%以下に対して完全に相補的である阻害性核酸を投与することを含む、方法。
- miRNA鎖がガイド鎖またはパッセンジャー鎖である、請求項20記載の方法。
- 阻害性核酸が、前記mRNAに結合させないか、または前記mRNAへの結合を最小限にする、請求項20記載の方法。
- 前記mRNAがPTENまたはPDCD4のmRNAである、請求項20記載の方法。
- 阻害性核酸がmiR-17-5pまたはmiR-21-5pに結合する、請求項23記載の方法。
- 阻害性核酸がDNAまたはRNAである、請求項20記載の方法。
- 阻害性核酸がホスホロチオエート、モルホリノホスホルアミデート、メチルホスホネート、ボラノホスフェート、ロックド核酸、ペプチド核酸、2'-フルオロ、2'-アミノ、2'-チオ、または2'-O-アルキルから選択される1つまたは複数の修飾を含む、請求項20記載の方法。
- 阻害性核酸が標的miRNA鎖のシード領域に特異的に結合する、請求項20記載の方法。
- 阻害性核酸がmiRNAの逆鎖のシード領域の配列を含まない、請求項27記載の方法。
- 前記細胞が乳がんまたはトリプルネガティブ乳がん細胞である、請求項20記載の方法。
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