JP2017508768A - サルビノリン組成物およびその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
サルビノリンAは一酸化窒素シンターゼ、κ受容体およびアデノシン三リン酸感受性カリウムチャネルの活性化により、脳血管拡張を生成させる
この実施例では、我々は、サルビノリンAは、低炭酸症またはエンドセリンにより誘導した安静緊張および亢進緊張状態下で、一酸化窒素シンターゼ、アデノシン三リン酸感受性カリウム(KATP)チャネルおよびκ受容体の活性化により軟膜動脈を拡張させることを証明した。
サルビノリンA(純度≧98%)、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、N(G)−ニトロ−L−アルギニン(L−NNA)、グリベンクラミド、イベリオトキシン、クロマカリム、カルシトニン遺伝子関連ポリペプチド(CGRP)、NS1619、ナロキソン、メチオニンエンケファリン、ノルビナルトルフィミン、7−ニトロインダゾール(7−NINA)、スルピリドおよびイソプロテレノールをSigma−Aldrich(セントルイス、MO、USA)から入手する。他の化学薬品も全て、Sigmaから入手し、これらは試薬グレードであった。
両方の性別の新生ブタ(1〜6日齢、体重1.3〜1.8kg)をこの研究のために使用した。プロトコルはペンシルバニア大学の施設内実験動物委員会により認可された。動物を、イソフルラン(1〜2最小肺胞気濃度)で誘導し、その後、α−クロラロース(80〜100mg/kg、5mg/kg/hで補充、IV)で維持した。両方の大腿動脈をカテーテル処置し、血圧および血液ガスをモニタした。カテーテルを薬物療法投与のために右大腿静脈に挿入した。動物を気管カニューレ挿入後室内空気で換気させた。直腸温度を37〜39℃で、加熱パッドにより維持した。閉鎖頭蓋窓を直接軟膜動脈可視化および直径測定のために配置した。閉鎖頭蓋窓は3つの部分から構成された:ステンレス鋼リング、円形ガラス製カバーガラス、およびステンレス鋼リング内の3つのプレカット穴に取り付けられた17ゲージ皮下針から構成される3つのポート。皮質周囲くも膜脳脊髄液(CSF)を環状グアノシン一リン酸(cGMP)決定のために、頭蓋窓ポートを介して収集した。窓を配置する前に、頭皮を反映させ、開口を頭蓋内頭頂葉皮質上方に作製した。その後、硬膜を切断し、骨縁上で退縮させた。頭蓋窓を頭蓋開口上に配置し、定位置に歯科用アクリルで固定した。窓下の空間を、下記組成を有する(mMで表される)人工CSFで充填した:1リットルあたり、3.0KCl、1.5MgCl2、1.5CaCl2、132NaCl、6.6尿素、3.7デキストロース、および24.6NaHCO3、pH7.33、PCO246mmHgおよびPO243mmHg。人工CSFを37〜38℃まで温め、その後、脳皮質表面に適用した。軟膜動脈を、解剖顕微鏡上に載置されたテレビカメラを用いて観察した。血管直径を、ビデオマイクロスケーラを備えるビデオモニタが接続されたカメラから測定した(モデルVPA550、For−A−Corp.、ロサンゼルス、CA)。
軟膜動脈直径(小動脈直径120〜160マイクロメートル;細動脈直径50〜70マイクロメートル)を30秒毎に、調査薬物ありまたはなしでの人工CSFの注射後10分間モニタし、記録した。一般に、窓を30秒にわたり1〜2mlのCSFを用いて、窓の側面中に接続されたポートを介してフラッシングした。CSF試料をcGMP分析のために、薬物療法投与前および後10分に収集した。我々は脳皮質周囲くも膜CSFを、CSFを窓の1つのポートに徐々に注入し、CSFを反対のポート上の採集管中に自由に滴下させることにより収集した。
サルビノリンの脳脈管構造に関する効果に対する一酸化窒素経路の役割を決定するために、CSF試料をL−NNAおよびノルビナルトルフィミン前処置ありおよびなしでの、サルビノリンA投与前後に、cGMP決定のために回収した。市販のELISAキット(Enzo Life Sciences International、Inc.プリマスミーティング、PA)を使用してcGMP濃度を定量した。
脳血管緊張が上昇している間でのサルビノリンの脳血管効果を試験するために、我々は低炭酸症(PaCO2を10分間20〜30%だけ低減させた)およびエンドセリン(0.1pM)により血管収縮を誘導した。軟膜動脈直径をベースラインで、低炭酸症またはエンドセリンの投与後、およびサルビノリンA(10nM、1μΜ)投与後にモニタした(低炭酸症ではn=4、エンドセリンではn=5)。
全てのデータ(直径およびcGMP)を、反復測定を有するANOVA、続いて、10.0のStatistical Package for the Social Sciences(SPSS)を用いたボンフェローニポストホックテスト(両側)を使用して解析した。p<0.05のレベルを統計的に有意と考えた。値は絶対値の平均±SEM;またはベースライン値からのパーセンテージ変化として表される。全ての値の分布をヒストグラムにより評価した。
拡張効果および一酸化窒素経路の役割
サルビノリンA投与は、図1Aに示されるように、依存的に(10nM、1μΜ)子ブタの軟膜動脈を拡張させた。拡張効果はサルビノリン投与直後に観察され、拡張期間は両方の用量に対し5分未満続いた。サルビノリンAが2分毎に投与された場合、図1Bに示されるように、持続性の拡張効果が観察された。拡張応答は、L−NNA、NOS阻害剤により消失したが、7−ニトロインダゾール(100nM)、神経型NOS(nNOS)のアンタゴニストでは消失しなかった(図1A、C)。SNPに対する拡張応答はL−NNAにより影響されなかった(図1A)。SNP(100pM)は、軟膜動脈に対し効果を有さなかったが、これはL−NNAに誘導された狭窄を回復させた。しかしながら、これはL−NNAによりブロックされたサルビノリンAの拡張応答を回復させなかった(図1D)。サルビノリンAに応答する拡張はCSF中の上昇したcGMPと関連し、L−NNAはcGMPの上昇をブロックした(図2)。サルビノリン投与中、有意の血圧変化は起こらなかった。
イベリオトキシン(100nM)、Ca2+活性化K+(KCa)チャネル阻害剤ではなく、グリベンクラミド(100nM)、KATPチャネル阻害剤がサルビノリンAの拡張効果をブロックした。任意の順序のグリベンクラミドとイベリオトキシンもまた、サルビノリンAにより誘導された拡張をブロックした(図3)。イベリオトキシン(100nM)ではなく、グリベンクラミド(100nM)がクロマカリム(KATPチャネルのアゴニスト、10nMおよび1μΜ)およびカルシトニン遺伝子関連ポリペプチド(別のKATPチャネルアゴニスト、10nMおよび1μΜ)に応答する拡張をブロックし;グリベンクラミド(100nM)ではなくイベリオトキシン(100nM)が、NS1619(KCaチャネルアゴニスト、10nMおよび1μΜ)の拡張効果をブロックした(図4)。
ノルビナルトルフィミン、κオピオイド受容体選択的アンタゴニスト、およびナロキソンは、サルビノリンAおよびメチオニンエンケファリンに対する効果拡張をブロックした。イソプロテレノールに対する応答は影響されなかった(図5A、B)。スルピリド、ドパミン受容体(D2)アンタゴニストは、サルビノリンAに対する拡張応答に対し効果を有さなかった(図5C)。ノルビナルトルフィミンは、サルビノリンA投与からのCSF中のcGMPの上昇をブロックした。ノルビナルトルフィミン前処置ありでのサルビノリンA(10nMおよび1μΜ)投与前後のcGMPのレベル間では差はなかった(p=1)。
低炭酸症およびエンドセリンは、軟膜動脈の直径を著しく減少させた(図6)。サルビノリンは、炭酸正常(安静緊張)状態で観察されるものと同様の亢進緊張状態下で軟膜動脈を拡張させた(図6)。上記実験のいずれにおいても、小動脈と細動脈の応答間で有意の差は観察されず、よって、小動脈の差のみを提示した。
この実施例では、サルビノリンAは、子ブタにおける正常状態およびエンドセリンおよび低炭酸症により誘導される血管狭窄状態において強力な軟膜動脈拡張薬であることが証明される。拡大効果が両方の試験用量に対して、サルビノリン投与直後に観察され、5分未満続き、用量依存的であった。サルビノリンAの持続性の拡張効果が連続投与により観察された。オピオイド受容体、NOSおよびKATPチャネルの活性化がそのような拡張効果のシグナル経路に関与した。
全脳低酸素/虚血後のサルビノリンA投与は、子ブタにおいてκオピオイド受容体を介する脳血管自己調節を保存する
低酸素/虚血(HI)により誘導された脳傷害により引き起こされる神経細胞死および行動機能障害は周産期中ではまれではない。世界中で、全ての新生児死亡の23%は、仮死と関連し、その出生に中等度低酸素−虚血性脳症(HIE)が関与した子供の30%は、精神遅滞、学習障害、および他の能力障害を発症し得る。不運なことに、この壊滅的な状況を管理するために使用可能な薬物療法はない。
サルビノリンA(純度≧98%)を、ChromaDex, Inc.(Irvine、CA、USA)から取得した。イソプロテレノール(ISO)、ノルビナルトルフィミン(Nor−BIN)を、Sigma−Aldrich(MO、セントルイス、MO、USA)から取得した。全ての他の化学薬品(試薬グレード)を、同様に、Sigmaから取得した。
両方の性別の新生ブタ(1〜5日齢、1.2〜1.5kg)をこの研究で使用した。動物実験プロトコルは、ペンシルバニア大学の施設内実験動物委員会により認可された。前に記載されるように、イソフルラン(1〜2最小肺胞気濃度)を麻酔導入のために最初に使用し、続いて、麻酔の維持のために、α−クロラロース(30〜50mg/kg、5mg/kg/hrで補充、静脈内)を使用した。気管切開後、動物を最初に室内空気で換気させ、直腸温度を37〜39℃で維持するように加熱パッドで温め続けた。両側大腿動脈をカテーテル処置し、血圧、血液ガス圧力およびpHをモニタした。大腿静脈を薬物療法投与のためにカテーテル処置した。ガラス製カバーガラスを有する鋼リングから構成され、3つのポートに接続する閉鎖頭蓋窓を、直接軟膜動脈可視化および直径測定のために配置した。小軟膜動脈(120〜160μm)および細動脈(50〜70μm)を顕微鏡下で同定し、顕微鏡に接続されたモニタ上で可視化し、ビデオマイクロスケーラ(モデルVPA550、For−A−Corp.、ロサンゼルス、CA)により測定した。頭蓋窓リングに取り付けられたポートは、CSFサンプリング、洗い流し、および薬物投与のための17ゲージ皮下針に適合する。皮質周囲くも膜CSFをベースラインおよびHI後60分でERK活性分析のために収集した。
低酸素を10分間、換気のための室内空気をN2に切り換えることにより誘導し、続いて換気を室内空気に回復させた。全脳虚血をその後、中空ボルトを介して頭蓋内に生理食塩水を注入し、頭蓋内圧を平均血圧より高く20分間維持することにより誘導した。全脳虚血を、軟膜動脈中の血流が、頭蓋窓上方の顕微鏡に接続されたモニタ上で、止まったことが見えた時に確認した。クッシング応答(高い頭蓋内圧のために、動脈圧が劇的に上昇する)を回避するために、必要とあれば、平均動脈圧を100mmHg未満に維持するために、血液を取り除いた。血液を虚血の終わりに大腿静脈を介して戻した。
4つの群のi.v.薬物投与をHI(各群n=5)後に実施した:(1)DMSO群:DMSO(サルビノリンAのビヒクル)1μl/kgをHI直後に投与;(2)SA0分群:サルビノリンA(1μg/μlを含むDMSO)10μg/kgをHI直後;(3)SA30分群:サルビノリンA(1μg/μlを含むDMSO)10μg/kgをHI後30分;(4)SA+Norbin群:サルビノリンA(10μg/kg)およびnor−BIN(1μΜ、頭蓋窓の1つのポートを通して局所的に注射)をHI直後。
高炭酸ガス血症、低血圧およびイソプロテレノール(10nM、1μΜ)に対する軟膜動脈応答を、HI前およびHI後60分に、前に記載されるように取得した。イソプロテレノールを陽性対照として使用した。というのも、これは短時間作用物質であり、そのようなモデルにおけるその血管拡大効果は我々の研究室でよく確立されているからである。2つのレベルの高炭酸ガス血症(低レベルでは50〜60mmHgのPaCO2、高レベルでは70〜80mmHg)を高濃度CO2混合ガス(10%CO2;21%02;69%N2)の吸入により生成させた。2つのレベルの低血圧を、5〜8または10〜15ml/Kgのいずれかの血液の大腿動脈からの迅速引き出しにより生成させ、中等度および重度低血圧を誘導した(中等度として平均血圧の25%減少および重度として45%減少)。そのような血圧の減少を一定に10分間、追加の血液の引き出しまたは再注入により維持した。
ERK活性をその後、以上で記載される凍結CSF試料から決定した。pERKおよびERKのレベルをELISAキットにより測定した(Enzo Life Sciences International, Inc.,プリマスミーティング,PA)。
軟膜動脈直径のデータを反復測定ANOVA、続いてポストホックテストとしてのボンフェローニ方法により分析した。一元配置ANOVAを使用して、各群においてHI前およびHI後60分に、ならびに、サルビノリンA投与ありまたはなしの群においてERK活性変化(ERKに対するpERKの比として定量)を比較した。ベースラインデータを反復測定分析(Graph Pad Prismバージョン5.02)において排除した。P<0.05のαレベルを全ての統計検定において有意と考えた。値は平均±標準誤差として表される。
サルビノリンAは全脳HI後高炭酸ガス血症に対する軟膜動脈自己調節を保存する
図13に示されるように、小軟膜動脈は、HI前2つのレベルの高炭酸ガス血症に応じて拡張した(ベースラインとして示される)。高炭酸ガス血症に対する拡大応答は、HI後、DMSOをHIの終わりに直ちに投与した場合鈍くなった(ps<0.01、HI前のベースラインと比べて)。HI後直ちにまたは30分でのサルビノリンAの投与(10μg/kg)は、高炭酸ガス血症に対する軟膜動脈の拡張応答を保存した。そのような応答は、サルビノリンAおよびノルビナルトルフィミン(nor−BIN)をHI後30分に共投与した場合、完全に消失した(ps<0.01、HI前のベースラインと比べて)。同様の観察が軟膜細動脈において得られた(データ示さず)。
低血圧の結果と同様に、小軟膜動脈は、HI前、HI高炭酸ガス血症前(ベースラインとして示される、図14)、2つのレベルの低血圧に応じて拡張した。拡大応答は、HI後、DMSOをHIの終わりに直ちに投与した場合鈍くなった(ps<0.01、HI前のベースラインと比べて)。HI後直ちに、または30分に投与したサルビノリンA(10μg/kg)は低血圧に対する軟膜動脈の拡張応答を保存した。低血圧に対するそのような応答は、サルビノリンAおよびnor−BINをHI後30分に共投与した場合、消失した(ps<0.01、ベースラインと比べて)。同様の観察が軟膜細動脈において得られた。
陽性対照として、イソプロテレノールに対する軟膜動脈応答(図15)を測定し、全ての群の間で、HI前後に変化が観察されなかった。
ERK活性は、CSF中のpERK/ERKレベルの比として定量される。サルビノリン効果なしの群内のERK活性データ(DMSO群およびSA+Norbin群;DMSO+Nornin群と改名)を合わせる。図16に示されるように、サルビノリンなしの群内のERK活性はHI後60分に著しく増加した(p<0.05、HI前ベースラインと比べて)。サルビノリンA投与群のERK活性は、ベースラインレベルまで低減した。
この実施例から3つの新しい所見がある。第1に、HI後直ちにまたは30分でのサルビノリンAの投与は、高炭酸ガス血症および低血圧に対する軟膜動脈拡張応答を保存する。第2に、サルビノリンAの保存効果はKORアンタゴニスト、nor−BINにより鈍くなった。第3に、サルビノリンAはHI後のCSF ERK活性の増加をブロックした。
出生仮死および小児虚血性脳卒中のどちらも出生の一般的な合併症である。周産期HIは、これらの合併症の両方で起こり、重度および永久的神経心理学的欠損、例えば認知的および行動的発達の遅延、精神遅滞、脳性麻痺、およびてんかんを誘導する可能性があり、それは患者、家族および社会にとって壊滅的である。不運なことに、有効な周産期HI管理に対し使用することができる薬物療法はない。低体温が負の合併症を低減させるためのHIEに対する唯一の治療である。しかし、それは臨床診療において広く認められおらず、または、薬理学的作用物質と組み合わせることが推奨される。組換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、急性虚血性脳卒中に対しFDAにより認可された治療は、誘導脳卒中および障害脳血行動態に供せられたマウスにおいて脳卒中梗塞体積の増加を含む有害作用を示した。
KORアゴニストはおびただしい治療価値を示すが、ほとんどのKORアゴニストは、オピオイドとしてのそれらの内因特性のために、臨床設定で使用されていない(低い選択性および/または許容される安全性プロファイルの欠如)。他のオピオイドKORアゴニストとは異なり、サルビノリンAは、自然源に由来することが知られている、最も強力で、高選択的な、唯一の非オピオイド性KORアゴニストである。サルビノリンAはサルビア・ディビノラム、数世紀の間、娯楽および宗教的な目的のためにヒトによって消費されてきた自然に豊富な多年生草本の活性成分である。この化合物の多くの内因特性のために、様々な神経病状のための可能性のある治療的薬物療法となっている。それらの特性としては、豊富な植物から抽出および精製される、または合成により生成されるその能力、迅速な作用発現、脂質溶解度、血液脳関門を容易に通過すること、鎮静および抗侵害受容性効果(重病患者に特に適切な特徴)、高い用量または長期曝露での重要臓器における陰性病理学的所見(無毒性)、呼吸抑制なしおよび露骨な幻覚または不快効果なしが挙げられる。サルビノリンAはうつ病に対する可能性のある薬物療法として評価されてきた。HI発作前でのサルビノリンA投与の保護効果を証明する我々の所見に加えて、我々は今や、HI発作後のサルビノリンA投与(30分まで)は、軟膜動脈の自己調節を保存したことを証明した。この保護効果は、KORアンタゴニスト、nor−BINの添加により消失し、これにより、サルビノリンAの保護効果はKORにより媒介されることが示される。様々な研究が、自己調節、脳の重要保護メカニズムは、脳HI後に悪化する傾向があることを証明している。脳血管緊張の自己調節は、脳の重要保護メカニズムである。そして、低血圧中の代償性脳血管拡張の障害は、虚血性脳卒中の設定における悪化した転帰に寄与する。
脳虚血/再灌流により刺激されたERKシグナル伝達は、HI傷害に対する重大な経路である。我々は、ERK活性はHI後に増加し、増加はHIの神経細胞障害と関連し、そのような増加の阻害は虚血に対する神経保護応答と関連し、これはアポトーシスの低減と関連し得ることを証明した。この実施例では、HIにより誘導されたCSF ERK活性における増加はサルビノリンAによりブロックされ、これは発作後の脳自己調節の保護を促進した。HIにおけるERKシグナル伝達の役割は、HI発作前後で異なり得ることは注目に値する。ERKシグナル伝達の活性化は、プレコンディショニングの保護効果と関連し得る。プレコンディショニングにより誘導されるERKシグナル伝達の上方制御は、脳卒中における神経細胞アポトーシスを低減させ、致死下の虚血後の海馬におけるERKシグナル伝達の活性化は、プレコンディショニングにより誘導された神経保護と相関する。これらの結果は、サルビノリンAの傷害前投与は、発作後の脳自己調節の障害を保護することを証明する我々の研究と一致する。結論として、HI後0および30分でのサルビノリンA投与は、子ブタモデルにおいてKORおよびERK経路を介する高炭酸ガス血症および低血圧に対する軟膜動脈の自己調節を保存する。
サルビノリンA前処置は、子ブタにおいてERK/MAPKを介する脳低酸素/虚血傷害後の脳血管自己調節を保存する
先天性心臓手術のための超低体温循環停止(DHCA)外科手術による心肺バイパス術中の脳血流の中断のための脳低酸素/虚血は重大な臨床的問題である。DHCAによる心肺バイパス術を受けた複合先天性心疾患を有する子供の50パーセントは、発達欠損、例えば学童期の言語障害および注意欠陥障害を有する。DHCA中に起きる脳低酸素/虚血は予想可能であり、よって、虚血により誘導される脳傷害を、薬理アプローチを用いて最小に抑えることが可能である。不運なことに、証明された臨床的有益性を有する薬理作用物質はまだ、同定されていない。
サルビノリンA(純度≧98)は、ChromaDex,Inc.(Irvine、CA、USA)製である。イソプロテレノール、U0126、sp600125およびsb203580を、Sigma−Aldrich(MO、セントルイス、MO、USA)から入手する。他の化学薬品も全て、Sigmaから入手し、これらは試薬グレードであった。
1〜5日齢子ブタを使用した。プロトコルはペンシルバニア大学(フィラデルフィア)の施設内実験動物委員会により認可された。イソフルラン(1〜2最小肺胞気濃度)を最初に誘導のために使用し、続いてα−クロラロースを麻酔の維持のために使用した(30〜100mg/kg、20〜30分毎に5〜30mg/kgで補充、IV)。気管切開後、子ブタを機械的に室内空気で換気させ、加熱パッドで温め続け、直腸温度を37〜39℃で維持した。大腿動脈を、連続血圧モニタリングまたは間欠的血液ガスモニタリングのためにカニューレ処置し、大腿静脈を薬物療法投与のためにカテーテル処置した。前に記載されるように(21)、閉鎖頭蓋窓を直接軟膜動脈可視化および直径測定のために配置した(21)。小軟膜動脈(120〜160μm)および細動脈(50〜70μm)を顕微鏡下で同定し、顕微鏡に接続されたモニタ上で可視化し、ビデオマイクロスケーラ(モデルVPA550、For−A−Corp.、ロサンゼルス、CA)により測定した。頭蓋窓は、ガラス製カバーガラスを有する鋼リングであり、脳脊髄液(CSF)サンプリング、洗い流しおよび医薬投与のための3つのポートに接続されている。皮質周囲くも膜CSFを、上記ポートの1つを通して、ベースラインおよびサルビノリンAまたはU0126+サルビノリンAの投与後30分に、ERK/MAPK分析のために収集した。
低酸素を10分間、換気のための室内空気をN2に切り換えることにより誘導し、続いて換気を室内空気に回復させ;その後、全脳虚血を中空ボルトを介して頭蓋内に生理食塩水を注入し、頭蓋内圧を平均血圧より高く20分間維持することにより誘導した。全虚血を、軟膜動脈中の血流が、頭蓋窓上方の顕微鏡に接続されたモニタ上で、止まったことが見えた時に確認する。クッシング応答(高い頭蓋内圧のために、動脈圧が劇的に上昇する)を回避するために、必要とあれば、平均動脈圧を100mmHg以下に維持するために、血液を取り除いた。血液を虚血の終わりに大腿静脈を介して戻した。
脳低酸素/虚血に関するサルビノリンAの観察された効果に対するERKの役割を試験するために、CSF試料をMAPKのために回収した。MAPKアイソフォームを、市販のELISAキットにより測定した(Enzo Life Sciences International、Inc.、プリマスミーティング、PA)。
軟膜動脈直径に関する高炭酸ガス血症、低血圧、およびイソプロテレノールに対する軟膜動脈応答への脳低酸素/虚血の効果の調査のために取得したデータを、Greenhouse Geisser補正を有する反復測定ANOVAにより解析した。ボンフェローニ補正を、全てのポストホック解析のために使用した(各刺激に対して10の比較)。5つの異なる処置(DMSO、SA、SB203580、U0126、およびSP600125)を群間の比較のための因子とし、低酸素/虚血前後の3つの刺激に対する4回の測定を反復測定因子として使用した(5×4×3×2)。ベースラインは反復測定解析に含めなかった。同じ統計学的方法をpERK/ERKデータに対して使用し、サルビノリンAの投与前後の比変化、群間因子として3つの異なる処置(DMSO、SAおよびSA+U0126)、反復測定因子として時間(SA前、および後30分)を比較した。P<0.05のαレベルを全ての統計検定において有意と考えた。全ての値は平均±標準誤差として表される。この実施例で報告された全てのP値は、多重比較の効果に対して補正された。サンプルサイズはこの実施例ではかなり小さいが、相互作用の欠如、分散の均質性、および正規分布の仮定の見かけの侵害はなかった。
サルビノリンAは低酸素/虚血後の低血圧に対する軟膜動脈自己調節を保存した
図17に示されるように、小軟膜動脈は、低酸素/虚血前のベースラインで、2つのレベルの低血圧に対し拡張したが、拡大応答は低酸素/虚血後著しく減少した(p<0.001、低酸素/虚血前に比べて)。サルビノリンAによる前処置(10μg/kg、iv.)は、低血圧に対する軟膜動脈の拡張応答を保存した。これはU0126、ERKのアンタゴニストにより消失する(p<0.001、SA群と比較して)。しかしながら、SP600125(JNKのアンタゴニスト、p>0.05、SA群と比較して)およびSB203580(P38のアンタゴニスト、p>0.05、SA群と比較して)の処置後(サルビノリンAの投与前30分に投与された)、有意の変化はなかった。同様の観察が軟膜細動脈において得られた(データ示さず)。
低血圧に対する応答と同様に、小軟膜動脈は、低酸素/虚血前のベースラインで、2つのレベルの高炭酸ガス血症に対し拡張した(図18)。拡大応答は低酸素/虚血後鈍くなった。サルビノリンAによる前処置(10μg/kg、iv.)は、高炭酸ガス血症に対する軟膜動脈の拡張応答を保存した。これは、U0126、ERKのアンタゴニストにより消失する。サルビノリンAの投与前30分に投与されたSP600125およびSB203580からは保存効果において有意の変化は観察されなかった(P>0.05)。同様の観察が軟膜細動脈において得られた(データ示さず)。
陽性対照として、図19に示されるように、イソプロテレノールに対する軟膜動脈応答は全ての群において、低酸素/虚血前後で、上記介入ありまたはなしで、不変であった。
CSF中のpERK/ERKの比はサルビノリンA前処置後30分に著しく増加した(図20)。しかしながら、U0126、ERKのアンタゴニストがサルビノリン投与前30分に投与された場合、pERK/ERKの比はサルビノリンA前処置後30分に不変であった(図20)。
この実施例では、2つの主要な新しい所見がある。第1に、サルビノリンAの前処置は低酸素/虚血後に脳血管自己調節能力を保存した。第2に、ERK/MAPKは、サルビノリンAの自己調節を保存する能力に関与する。この実施例はまた、新生子ブタにおける全低酸素/虚血は、低血圧および高炭酸ガス血症に対する脳血管応答の自己調節能力を鈍らせるという初期の所見を確認した。
困難な気道管理のための補助的薬物療法としてのサルビノリン
困難な気道が問題となっているが、部分鎮静が患者の快適性および手順の実施を促進する場合、我々はしばしば覚醒(無麻酔)状態で患者の気道を管理しなければならない。理想的な鎮静は下記基準を満たさなければならない:(1)鎮静である;(2)迅速な作用発現を有する;(3)短時間作用である;(4)咳嗽を阻害する;(5)最小呼吸阻害を有する;(6)最小血行動態効果を有する、ならびに(7)静脈内送達が容易である。サルビノリンAは、少なくとも文献で入手可能なデータに基づき、これらの基準を満たす。それは、鎮静および解離効果を有し、咳を阻害し、少なくとも従来のμ受容体アゴニスト(モルヒネ)と比べて最小呼吸抑制効果を有する、κオピオイド受容体アゴニストである。それは迅速な作用発現および消失を有し、最小血行動態変化を伴う。よって、サルビノリンは覚醒時挿管中有用なものとなり得る。しかしながら、サルビノリンは水に溶解しにくい。1つの選択肢は、水溶性を増加させるためにその塩形態を使用するものであり、他の選択肢は、脂質エマルジョンを使用するものである。どちらの技術も、容易に使用可能であり、周術期設定において、他の麻酔薬物のためにうまく使用されてきた。ククルビツリル(図11)は担体として使用することができた。図12〜13に示されるように、サルビノリンおよびククルビツリルの複合体が使用され得る。
サルビノリンAは新生仔マウス低酸素モデルにおいて、死亡率を減少させ、神経学的転帰を改善する
新生仔低酸素−虚血(HI)傷害は高い死亡率および生涯の破局的神経学的および神経発達欠損(てんかん、学習障害、および行動障害を含む)を誘導する可能性がある。不運なことに、HI関連神経障害を管理するために使用可能な有効な薬物はない。支持的治療と一緒の低体温療法が唯一の有効なアプローチであると考えられる。しかしながら、よく制御された低体温は確立された施設における厳選された患者集団に適用可能であるにすぎず、仮死乳幼児においてたった約30%の転帰改善しか生成され得ない。大規模な訓練および集学的協力が要求される。資源不足の施設では、低体温療法は危険となる可能性があり、死亡率、多臓器不全、心突然死、肺高血圧、および失血の発生率の増加に至る。よって、周産期における脳HIからの神経細胞傷害を低減させるための新規薬物療法および/または容易に管理可能な治療戦略を開発することが著しく医学的に要求される。
サルビノリンA(純度≧98%)を、Apple Pharms(Asheville NC、USA)から取得した。全ての他の化学薬品(試薬グレード)を、Sigma−Aldrich(MO、セントルイス、MO、USA)から取得した。
プロトコルはペンシルバニア大学の施設内実験動物委員会(IACUC)により認可され、動物の使用のための国立衛生研究所ガイドラインにしたがい実施した。C57BL/6Jマウスを、The Jackson Laboratory(バーハーバー、ME)から購入し、同系交配子をその後の実験のために使用した。子を、研究を通して、出生後12時間明/暗サイクル下で、食物および水を自由に与えて収容した。異なる同腹仔からの子を3つの群に無作為に分けた。対照群中の子(n=11)は、低酸素発作なしで、17%ジメチルスルホキシド(DMSO)のi.p.注射を受けた;低酸素群(n=46)は17%DMSOのi.p.注射および低酸素発作を受けた;SA群(n=26)は0.5mg/kg SAを含む17%DMSOのi.p.注射および低酸素発作を受けた。低体重(<1.2g)の子を研究から排除した。
低酸素発作を出生後第1日に誘導した。i.p.注射後、子を水浴中のガラスチャンバに入れ、そこでは、温度は、37℃で維持された。チャンバを密閉し、8%酸素および残り窒素で充填した。120分の低酸素ガス曝露後、チャンバを開き、子を空気に曝露させた。胸部圧迫および四肢ストレッチを20分までの間実施し、自発呼吸を回復させた。自発呼吸をうまく回復した子をその後、30分間の回復の後、それらの母親に戻した。
新生仔マウスは、無酸素性発作の直後20分蘇生の間自発呼吸を回復させることができない場合、生存していないと考えられる。死亡率は、下記として計算されるであろう:生存率=(群内のマウスの数−非生存の数)/群内のマウスの数。
出生後第2日から出生後第21日まで、子を体重測定し、運動行動観察を毎日実施した。子を個々にプラスチック試験箱内で観察した。下記行動の各々を3分間記録した:腹這い、歩行、走ること、頭を向けることおよび嗅ぐこと、座ること、立ち上がりならびに開眼。観察後、踏み直り反射、断崖回避、負の走地性、正向反射および前肢掴みテストを実施した。2日連続で続いた行動または反射の最初の出現を記録した。
マウスが若齢と考えられる出生後第21日での自発運動活性を計測するために、オープンフィールドテストを実施した。マウスを個々に、41cm(L)×41cm(W)×30cm(H)プラスチック箱に入れた。「中心エリア」を、箱の中心の20.5cm×20.5cmの正方形として規定した。残りのエリアを、「周辺エリア」として規定した(図25Aを参照されたい)。各マウスが中心および周辺部分を探索するのに費やした時間および各個々のエリアでの立ち上がり行動の数を最初の5分および30分間記録した。
異なる群における子の死亡率を2×2分割表を使用して比較した。P値をフィッシャー直接検定を用いて計算した。運動行動観察では、各パラメータに対する最初の出現日を一元配置ANOVA、続いてテューキーの検定を用いて比較した。統計解析をGraph−Pad Prism(バージョン5.0)を用いて実施した。データを平均±SEMとして示した。p<0.05の値は、統計的に有意であると考えた。
SAは死亡率を著しく減少させた
低酸素群における46の子のうちの14およびSA群における26の子のうちの16が、HI傷害後生存した。SAは、死亡率を70%から38.5%まで著しく減少させた(p=0.014)(図21)。
SA投与は、低酸素群に比べて、出生後第2日(P2)(p=0.0318)および3日(P3)(p=0.0221)に体重を増加させた。しかしながら、P7、P14およびP21では、群間で有意の差は観察されなかった(図22)。
低酸素群の子は、前肢掴み、断崖回避、正向反射および開眼の出現の遅れを示した。SA投与は、これらの遅延を防止した(図23)。
SAマウスは、オープンフィールドテスト中、P21に、中心エリアでより多くの時間を費やしたが、この差は、統計的に有意ではなかった(図25)。一方、P21での、最初の5分および30分における立ち上がりテストは、低酸素後害された。この障害は、SA投与では観察されず、対照群と同様であり、SAは低酸素により誘導される神経学的転帰を改善することができることが示唆される(それぞれ、p=0.0167およびp=0.0203)(図26)。
この実施例では、我々は、低酸素前のSA投与は死亡率を低減させ、いくつかの神経発達パラメータを改善することを見出した。しかしながら、21日を超えると神経学的転帰に対して有意の差は群間で観察されなかった。この実施例における所見は、SAはHIにより誘導される傷害を低減させることができることを明らかにした、子ブタにおける研究と一致する。
死亡率の低減はこの研究において最も印象的な所見の1つである。これは、SAの神経保護効果によるものであるが、SAは心臓のような他の重要臓器において、低酸素発作中に保護効果を提供できることが可能である。KORアゴニストは心臓を虚血から保護することが証明されている。さらに、SAを可能性のある治療薬として使用する明確な標的研究が将来の研究のために必要とされる。このモデルに対する対照群における死亡率は非常に高く(70%)、これは改変Rice−Vannucciモデルを用いて報告されたものよりも高い。可能性のある説明は、Rice−Vannucciモデルにおいて使用された出生後第10日の代わりに、我々の研究では出生後第1日の子を使用したことと関連し得る。高い死亡率のために、我々は研究の設計を、用量応答研究および治療時間窓調査またはメカニズム研究なしで、神経転帰観察のために比較的簡単なままとした。
神経発達行動および反射(正向、踏み直り、負の走地性および断崖回避)の欠損により示されるように、神経発達は低酸素発作により害された。SAは発達行動(前肢掴み、開眼および補助なしでの立ち上がり)のいくつかおよび反射(正向および断崖回避)のいくつかを改善した。いくつかの著しい改善が観察されたが、我々は、SAは脳の様々な領域に関連する発達パラメータの全ての観点に対しては神経保護を提供しなかったことを見出した。全ての観察が行動のわずかな変化を検出するには十分高感度であるわけではない可能性があり、その場合は、かなり大きなサンプルサイズが必要とされ得る。
10〜11週(成体年齢)での長期の、脳機能およびSAの情動性行動への影響を計測するために、我々は不安レベルを測定するためにゼロ迷路、空間および視覚学習を測定するためにバーンズ迷路、および連合記憶を測定するために恐怖条件づけを選択した。不運なことに、群間で有意の差はなかった。最も重要なことには、対照と低酸素群間で長期神経転帰の差は見出されず、このモデルは長期神経転帰研究には好適ではない可能性があることが示される。他の報告により、SAは、短期記憶に影響を与えずに、長期記憶を害することが示されているが、この研究ではSA投与後に、記憶または学習障害は観察されていない。
この実施例では、SAの投与は低酸素傷害後の、いくつかの態様における神経学的転帰の改善および低減した死亡率と関連し、SAは、新生児低酸素のための治療戦略として機能することができることが示唆される。
鼻腔内サルビノリンAは、マウス脳卒中モデルにおいて、梗塞サイズを低減させ、神経学的転帰を改善する
サルビノリンA(SA)は、ヒトにより何世紀にもわたって消費されてきた、公知の安全性プロファイルを有する、唯一の公知の天然起源の非オピオイド性KORアゴニストである。これは、粘膜または吸入のいずれかにより送達されると、迅速な作用発現(数分以内)を有する。SA鼻腔内は、静脈内(IV)アクセスが使用できない(病院外心停止イベントに対して非常に一般的である)急性状況で迅速に実施することができる。虚血性脳卒中のための有効な療法に対する主な障壁はどれだけ迅速に薬物療法を患者に送達させることができるかである。IV投与は迅速な作用発現を確保するが、病院外状況では、IVアクセスは一般に使用できない。経口投与は一般に、薬理学的効果が達成されるのに30分超を必要とする。よって、迅速鼻腔内治療薬送達により、SAは、脳低酸素/虚血性イベントを治療するための非常に実用的で好都合な薬物療法となるであろう。
へルキノリンは子ブタモデルにおいてκオピオイド受容体および環状アデノシン一リン酸(cAMP)を介して脳血管を拡張する
へルキノリンは、構造的に関連する化合物サルビノリンAから誘導された、第1の非オピオイド性μアゴニストである。κオピオイド受容体活性化は軟膜動脈拡張を誘発し、サルビノリンAは一酸化窒素シンターゼ、κ受容体、およびアデノシン三リン酸−感受性カリウムチャネルを活性化する強力な脳脈管構造拡張薬であるので、へルキノリンもまた、脳血管拡張を誘発する可能性がある。へルキノリンは、競合結合アッセイにおいて、κ受容体よりもμに対しおよそ8倍の選択性およびδ受容体よりもμに対しおよそ98倍の選択性を有する。よって、そのμアゴニズムが、非オピオイド性受容体アゴニストとしてのそれらの可能性のある臨床的意味のために、このカテゴリ由来の化合物の脳脈管構造効果において何らかの役割を果たすかどうかを解明することが重要である。
へルキノリン(純度≧99%)を、Ascent Scientific LLC(ケンブリッジ、MA、USA)から取得した。イソプロテレノール、NTP、β−FNA、Rp−cAMPSおよびSp−8−Br−2’−O−Me−cAMPS(Sp−cAMPS)を、Sigma−Aldrich(セントルイス、MO、USA)から購入した。全ての他の化学薬品は試薬グレードであり、同様に、Sigmaから取得した。
クローン化ラットκ受容体およびクローン化ヒトμ受容体でトランスフェクトされた細胞株を前に記載されるように、親和性決定のために使用した。[3H]U69593、強力なκ受容体アゴニスト、および[3H]DAMGO、μ受容体アゴニストを試験化合物の競合者として使用した。へルキノリンを、DMSO中の1mg/mlストックとして調製した。サルビノリンAの同様のストック(陽性対照)もまた、調製した。Ki決定を、国立精神保健研究所の向精神薬スクリーニングプログラムで実施した(契約番号HHSN−271−2008−00025−C、NIMH PDSP;http://pdsp.med.unc.edu/)。
ドッキング計算を、前に記載されるようにDockingServerを使用して実施し(http://www.dockingserver.com)、リガンド結合部位を位置決めした。へルキノリン座標をPubChemサーバからダウンロードした(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/)。マウスμオピオイド受容体(PDBコード:4DKLおよびκオピオイド受容体(PDBコード:4DJH)の高分解能構造の座標を、タンパク質データバンク(PDB)サーバからダウンロードした。我々はGasteiger部分電荷を、へルキノリン原子にサーバを介して付加した。30×30×30Åグリッド点および0.375Å空間の親和性(グリッド)マップをこの研究で使用した。ドッキング結果のトップタンクのポーズ(top tanked pose)を使用して、各受容体に対するリガンドの重なりを比較した。我々はPyMOL(http://www.pymol.org/, Version 1.3, Schrodinger, LLC)を使用し、グラフィカルレンダリングを作製した。
両方の性別の新生ブタ(6日までの齢、1.1〜2.0kg)をこの研究のために使用した。プロトコルはペンシルバニア大学(フィラデルフィア)の施設内実験動物委員会により認可された。新生子ブタモデルを使用した。というのも、その脳は皺脳であり、灰白質よりも多くの白質を含み、これはヒトと同様であるからである。さらに、頭部は、頭蓋窓の挿入および血管可視化のために十分大きい。動物を、イソフルラン(1〜2最小肺胞気濃度)で誘導し、α−クロラロースで維持した(80〜100mg/kg、5mg/kg・hで補充、IV)。どちらの大腿動脈もカテーテル処置し、血圧および血液ガスをモニタし、一定の二酸化炭素およびpHを維持した。カテーテルを、薬物療法投与のために右大腿静脈中に挿入した。動物を気管挿管後室内空気で換気させた。加熱パッドを使用して、動物の直腸温度を37〜39℃で維持した。子ブタの頭部の上部の閉鎖頭蓋窓を直接軟膜動脈可視化および直径測定のために配置した。閉鎖頭蓋窓は3つの部分から構成された:ステンレス鋼リング、円形ガラス製カバーガラス、およびステンレス鋼リング内の3つのプレカット穴に取り付けられた17ゲージ皮下針から構成される3つのポート。CSFを、いくつかの動物におけるcAMP測定のために、頭蓋窓ポートを通して収集した。窓下の空間を下記組成を有する(mMで表される)人工CSFで充填した:3.0KCl;1.5MgCl2;1.5塩化カルシウム;132NaCl;6.6尿素;3.7デキストロース;24.6NaHCO3;pH7.33;PaCO2、46mmHg;およびPO243mmHg。人工CSFを37〜38℃まで温め、その後、脳皮質表面に適用した。軟膜動脈を、解剖顕微鏡上に載置されたビデオカメラを用いて観察した。血管直径をビデオマイクロスケーラを有するカメラに接続されたビデオモニタから(VPA550;For−A−Corp.、ロサンゼルス、CA)、薬物療法を投与した研究者によって測定した。
2つの型の軟膜血管、小動脈(安静直径120〜160μm)および細動脈(安静直径50〜70μm)を、調査薬物ありまたはなしの人工CSFの注射後、30秒毎にモニタし記録した。典型的には、窓を1〜2mlのCSFでポートを通して30秒にフラッシングした。へルキノリン(0.1nMおよび10nΜ、DMSOで溶解)およびイソプロテレノール(10nMおよび1μΜ)に対する応答を、β−FNA、NTP、Sp−cAMPSおよびRp−cAMPSありまたはなしで取得した。試験した薬物溶液は全て使用日に新たに作製した。
脳皮質周囲くも膜CSF試料をへルキノリンおよびNTPの投与前および後10分に収集し、cAMPレベルを測定した。人工CSFを徐々に、窓の1つのポートに注入し、CSFを反対のポート上の採集管中に自由に滴下させた。市販のELISAキット(Assay Designs、アナーバー、MI)を使用してcAMP濃度を定量した。
全てのデータを一元配置ANOVA(両側)、続いてボンフェローニポストホックテストまたはダネット多重比較検定を用いて解析した(Windows(登録商標)に対してSPSS11.0)。P<0.05のαレベルを全ての統計検定において有意と考えた。全ての値は平均±標準誤差として表される。論文で報告される全てのP値は多重比較の効果に対して補正した。この研究におけるサンプルサイズはかなり小さかったが、相互作用の欠如、分散の均質性、および正規分布の仮定の見かけの侵害はなかった。
μおよびκ受容体とのへルキノリン結合
図36Aに示されるように、へルキノリンは、DAMGO(Ki=2.5nM)に比べると、μ受容体と比較的弱い結合親和性を有する(Ki=45nM)。へルキノリンの結合部位は、β−FNA、図36Bに示される結晶構造の選択的μオピオイド受容体リガンドのそれと重なる。同様に、へルキノリンは、U69593(Ki=0.8nM、図37A)と比べると、κ受容体と比較的弱い親和性を有し(Ki=184nM)、結合部位はJDTic、図37Bで示される結晶構造の選択的κ受容体リガンドと重なる。μ受容体に対するへルキノリンの結合親和性は、κ受容体に対してよりも、およそ4倍強い。
軟膜動脈直径はへルキノリン投与後、著しい全身血圧変動なしで増加した。0.1nMへルキノリンの適用は、10.6%直径拡張を誘導し、一方、10nMへルキノリンは平均して17.8%直径拡張を誘導した。拡張効果は全体として、ノルビナルトルフィミン(NTP)、κ受容体アンタゴニストにより消失した(図38A、Ps<0.05、へルキノリン投与群と比較して)が、β−FNAにより影響されなかった(図38B)。イソプロテレノールに誘導された軟膜動脈拡張はNTPまたはβ−FNAによって不変であった。β−FNAはそれ自体、最小軟膜動脈拡張を誘発した(P<0.05、ダネット多重比較検定)。これらの結果により、へルキノリンに誘導された血管拡張は、μオピオイド受容体ではなく、κオピオイド受容体により媒介されることが示される。
へルキノリンの投与はCSF中のcAMPレベルを著しく増加させた。上昇したcAMPレベルはNTPによりブロックされたが、β−FNA投与後では影響されなかった(図39A)。さらに、PKAアンタゴニストRp−cAMPSはへルキノリン媒介軟膜動脈拡張を鈍くした。10μΜRp−cAMPSの0.1nMまたは10nMへルキノリンとの共投与は軟膜動脈直径の変化を減弱させた(図39B)。cAMP類似体Sp−cAMPSにより誘導された動脈拡張は、イソプロテレノールと同様である(Ps>0.05)。これらのデータにより、cAMP/PKA経路はへルキノリン媒介脳血管拡張を調節することが示唆される。
非窒素性オピオイド受容体アゴニストとしてのへルキノリン
へルキノリンはオピオイド受容体アゴニストであるが、窒素、伝統的な窒素性オピオイドリガンドのための必須元素を含まない。よって、へルキノリンは第1の非オピオイド性μオピオイド受容体リガンドである。へルキノリンは2005年、天然産物サルビノリンAの様々な類似体が、ネオクレロダンジテルペンの構造および機能を研究するために合成された時に発見された。サルビノリンAは有意のμオピオイド受容体親和性を有さない、選択的κオピオイドアゴニストであるが、へルキノリンはμおよびκ受容体の両方に作用する。μ受容体に対するその親和性は、ここでおよび他の研究において証明されるように、κ受容体に対してよりもずっと強い。よって、サルビノリンAとは異なり、へルキノリンはμオピオイド受容体リガンドとして分類される。その結合部位は、ドッキング実験で証明されるように、他の受容体リガンドのための部位とよく重なる。
この実施例では、へルキノリンは、我々が前に証明したように、脳脈管構のために、サルビノリンAと同様の薬理学的特徴を示す。へルキノリンは、サルビノリンAよりも強力な動脈拡張薬であると考えられる。というのも、軟膜動脈を効果的に拡張する(ベースラインと比較して10%〜16%の変化)のに必要とされる濃度は、サルビノリンA(10nM)に比べ、へルキノリン(0.1nM)ではずっと低いからである。へルキノリンの脳血管拡張効果は、β−FNAではなく、NTPによりブロックされた。我々の前の研究と同様に、NTPもβ−FNAもどちらも軟膜直径に対し、それだけでは効果を示さない。よって、へルキノリンの脳血管拡大効果はμ受容体ではなく、むしろκオピオイド受容体を介して媒介される。
脳血管拡張は、cGMP、cAMP、およびK+チャネルを含むいくつかのメカニズムを介して媒介される。イソプロテレノールおよびcAMPは、脳血管筋肉においてカルシウム依存性カリウムチャネルの活性を増加させ、これは血管拡張を誘導すると考えられる。この研究では、我々は、脳血管拡張は、へルキノリンの投与後の、CSF中のcAMPレベルの上昇と関連することを観察した。その上、へルキノリン投与により誘導された脳血管拡張はcAMPアンタゴニストRp−cAMPにより消失する。この観察は、cAMP類似体Sp−cAMPSの投与は血管拡張を誘発し、これはRp−cAMPSにより鈍くされ得るという報告と一致する。まとめると、これらの所見により、cAMPは、へルキノリンに誘導される脳血管拡大において重要な役割を果たすことが示される。以前に、サルビノリンA媒介血管拡大におけるcGMPの関与が証明されている。cGMPもまた、へルキノリンの拡大効果に関与する可能性が高い。
サルビノリンAは、子ブタモデルにおいて、脳脈管構造を拡張し、脳低酸素/虚血傷害からの脳自己調節を保存することができるので、その脳血管拡張効果がサルビノリンAと同様に調節されるとすると、へルキノリンは同様の特性を有する可能性が高い。よって、脳血管攣縮または虚血のリスクがある患者に対する周術期中に使用される代わりの非オピオイド性薬物療法となり得る。
サルビノリンAはくも膜下出血を治療する
この実施例では、3つの群、すなわち、シャム(対照)、くも膜下出血(SAH)およびサルビノリン(Salvanorin)A(SA)処置群を使用した。全脳画像(腹側)を、図40に示されるように、SAH後24時間に、3つの群に対して取得した。各群において直径および血管壁の厚さを決定するために、脳底動脈を有する脳幹切片をH&Eで各群において、SAH後24時間に染色した(図41)。顕微鏡下で画像を取得した後、血管の直径および血管壁の厚さを、Image Jを使用して測定した。神経テストを、SAH後24時間に、盲検様式で実施し、評価した。図42に示されるように、SAH後24時間に与えられたサルビノリンAは著しく(A)直径を増加させ、(B)SAH後24時間に、脳底動脈の壁の厚さを著しく減少させたが、一方、(C)与えられたサルビノリンAは神経スコアに対し有意の効果を有さなかった。
サルビノリンAの溶解度
サルビノリンAは非常に疎水性の分子であり、水に不溶である。サルビノリンAは、エタノール、DMSO、およびアセトンのような有機溶媒には可溶であることが知られている。しかしながら、これらの溶媒は、日常的な臨床使用、とりわけ静脈内(IV)送達には好適ではない。サルビノリンAは神経障害に対しては臨床的に有用であるので、臨床送達のためにサルビノリンAを製剤化するために使用することができる材料、好ましくはFDAにより認可された材料を同定する必要がある。サルビノリンの物理的および化学的特性は下記表1において提示される。
異なる型のシクロデキストリンを含む様々な溶液中でのサルビノリンAの溶解度を試験した。シクロデキストリン(Ashland)および水(陰性対照として)の下記変形を使用した。
1.100% 水;
2.20% 2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD);
3.20% 2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(HPGCD);
4.20% α−シクロデキストリン硫酸化ナトリウム塩;および
5.20% β−シクロデキストリン硫酸化ナトリウム塩。
サルビノリンAはごくわずかにしか、水およびα−シクロデキストリン硫酸化ナトリウム塩またはβ−シクロデキストリン硫酸化ナトリウム塩のいずれかに溶解しない。試験したシクロデキストリンのうち(表2)、HPBCDは、100μg/mL超の最大濃度を有するサルビノリンAの溶解度を証明した。よって、HPBCDは、50μg/mLのサルビノリンAを製剤化するために使用することができ、それは、フェンタニルのための臨床用量に等しい。興味深いことに、表2に示されるように、HPBCDとHPGCDの間には著しい溶解度差が存在し、すなわち、20%HPBCD中では122.5±0.6μg/mL対20%HPGCD中では52.6±0.9μg/mL。他の溶媒中でのサルビノリンA溶解度を表3に提示する。
臨床用途のために認可されたいくつかのFDA材料を含む、サルビノリンAのための複数の許容される溶媒を発見した。20%HPBCDは臨床診療におけるIV薬物送達のためのFDAにより認可された材料である。例えば、ボリコナゾール(VFEND(登録商標)、Pfizer)はスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンをIV送達のために使用する。
Claims (40)
- 心停止を患っている、または患っていた被験体において心停止と関連する神経傷害を治療する、または生存の可能性を増加させる方法であって、前記被験体に治療的有効量のサルビノリンまたはその医薬組成物を投与することを含む、方法。
- 前記サルビノリンはサルビノリンAである、請求項1に記載の方法。
- 前記サルビノリンはサルビノリンのエステル、サルビノリンベンゾエート、または還元型サルビノリンである、請求項1に記載の方法。
- 前記投与は鼻腔内投与である、請求項1に記載の方法。
- 前記サルビノリンは前記心停止中に投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記サルビノリンは心肺蘇生(CPR)が実施されている間に投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記サルビノリンは心肺蘇生(CPR)が実施された後に投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記サルビノリンは冠動脈バイパス手術を受ける被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
- 前記被験体は新生児被験体である、請求項1に記載の方法。
- 前記被験体はヒトである、請求項1に記載の方法。
- 脳卒中を患っている、または患っていた被験体において脳卒中を治療する方法であって、前記被験体に治療的有効量のサルビノリンまたはその医薬組成物を鼻腔内投与することを含む、方法。
- 前記サルビノリンはサルビノリンAである、請求項11に記載の方法。
- 前記サルビノリンはサルビノリンのエステル、サルビノリンベンゾエート、還元型サルビノリン、またはサルビノリンの類似体である、請求項11に記載の方法。
- 前記サルビノリンは前記脳卒中中または後に投与される、請求項11に記載の方法。
- 前記被験体は新生児被験体である、請求項11に記載の方法。
- 前記被験体はヒトである、請求項11に記載の方法。
- 大脳動脈閉塞または脳低酸素/虚血を患っている、または患っていた被験体において大脳動脈閉塞を治療する方法であって、前記被験体に治療的有効量のサルビノリンまたはその医薬組成物を投与することを含む、方法。
- 前記サルビノリンはサルビノリンAである、請求項17に記載の方法。
- 前記投与は鼻腔内投与である、請求項18に記載の方法。
- 前記サルビノリンは前記被験体が、脳低酸素/虚血または大脳動脈閉塞を患っている間、または前記被験体が脳低酸素/虚血または大脳動脈閉塞を患っていた後に投与される、請求項18に記載の方法。
- 前記被験体は新生児被験体である、請求項18に記載の方法。
- 前記被験体はヒトである、請求項18に記載の方法。
- くも膜下出血を有する被験体において脳血管攣縮を治療する方法であって、前記被験体に治療的有効量のサルビノリンまたはその医薬組成物を投与することを含む、方法。
- 前記サルビノリンはサルビノリンAである、請求項23に記載の方法。
- 前記投与は静脈内投与である、請求項24に記載の方法。
- 前記投与は鼻腔内投与である、請求項24に記載の方法。
- 前記被験体は新生児被験体である、請求項24に記載の方法。
- 前記被験体はヒトである、請求項24に記載の方法。
- サルビノリンAおよびシクロデキストリンの水溶液を含む、サルビノリンAの医薬組成物。
- 前記シクロデキストリンは2−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリンである、請求項29に記載の組成物。
- 前記シクロデキストリンは2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBCD)である、請求項30に記載の組成物。
- 前記シクロデキストリン濃度は1%(w/v)〜50%(w/v)の間である、請求項29に記載の組成物。
- 前記シクロデキストリン濃度は約20%である、請求項32に記載の組成物。
- 前記サルビノリンA濃度は少なくとも50μg/mLである、請求項29に記載の組成物。
- 被験体において脳血管拡張と関連する疾患を治療するための方法であって、前記被験体に、治療的有効量の、請求項29〜34のいずれか一項に記載のサルビノリンA組成物を投与することを含む、方法。
- 被験体において脳血管拡張を生成させるための方法であって、前記被験体に、治療的有効量の、請求項29〜34のいずれか一項に記載のサルビノリンA組成物を投与することを含む、方法。
- 心停止を患っている、または患っていた被験体において心停止と関連する神経傷害を治療する、または生存の可能性を増加させる方法であって、前記被験体に、治療的有効量の、請求項29〜34のいずれか一項に記載のサルビノリンA組成物を投与することを含む、方法。
- 脳卒中を患っている、または患っていた被験体において脳卒中を治療する方法であって、前記被験体に、治療的有効量の、請求項29〜34のいずれか一項に記載のサルビノリンA組成物を鼻腔内投与することを含む、方法。
- 大脳動脈閉塞または脳低酸素/虚血を患っている、または患っていた被験体において大脳動脈閉塞を治療する方法であって、前記被験体に、治療的有効量の、請求項29〜34のいずれか一項に記載のサルビノリンA組成物を投与することを含む、方法。
- くも膜下出血を有する被験体において脳血管攣縮を治療する方法であって、前記被験体に、治療的有効量の、請求項29〜34のいずれか一項に記載のサルビノリンA組成物を投与することを含む、方法。
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