本発明は、データ伝送窓を有するグレージングに関する。
導電性コーティングを含むグレージングが既知である。例えば、フロントガラスの導電性コーティングは、赤外線放射を反射して、態様による車両の内部の急速加熱を防止することができるか、またはフロントガラスを加熱するための電流を搬送し、曇り取りまたは霜取りをもたらすことができる。
そのような導電性コーティングの既知の問題は、通信信号の伝送が少なくとも部分的に遮断されることである。導電性コーティングを有するフロントガラスは、ナビゲーション装置(GPS)、携帯電話、または料金収受装置のためのデータの伝送を少なくとも部分的に遮断し、そのため、これらの装置は、フロントガラスが取り付けられた車両内で機能しない。したがって、導電性コーティングを有するフロントガラスを通した所定の周波数の電磁放射線の透過を可能にする手段を提供することが望ましい。
欧州特許第0531734B1号(Central/Nakashima)は、電波に対する反射率が比較的高い層を含む、積層パネルを開示し、該層は、一連のスリットによって複数の区分に分割される。好ましい実施形態では、各区分の幅は、伝送のために選択された波長の1/30であり、それによって、該電波に対する該層の反射率は低減される。例えば、周波数200MHz(波長1,500mm)の信号の伝送を可能にするために、各区分の幅は50mmである。
ドイツ国特許第19508042A1号(NSG/Tsuno)もまた、一連のスリットによって複数の区分に分割され、各区分の幅が伝送のために選択された波長の1/10未満になるようにする、電気信号の伝送及び熱の反射のための導電性コーティングを開示する。例えば、周波数2GHzの信号の伝送に対して、各区分の幅は、好ましくは1cm未満である。
欧州特許第0531734B1号及びドイツ国特許第19508042A1号の両方が、区分に分割されるために電気加熱可能ではない、導電性コーティングを提供する。
欧州特許第1559167B1号(AGC/Roquiny)は、放射線反射性コーティング層と、電磁放射線に透過性のコーティング層中の窓とを含む、車両グレージングパネルを提供する。典型的な電磁波周波数は、例えば、無線信号に対して88〜108MHz、540〜1650kHz、150〜280kHz、携帯電話通信に対して890〜960MHz、1710〜1880MHz、1900〜2170MHz、GPSに対して1575.42+/−10MHz、及び料金収受などの狭域通信(DSRC)に対して5.8GHzである。窓は、コーティング層がドットのパターンにない領域である。ドットは、コーティング層中のコーティングされていない開口部を形成し、直線的に、または交互の行で配置される。各ドットは、5〜7mmの直径を有する。ドットのパターンは、信号に焦点を合わせることによって伝送指向性を増加させることができ、すなわち、ドットのパターンを通した伝送は、コーティング層なしの基準フロントガラスを通るよりも大きくなり得る。車両グレージングパネルはまた、加熱され得る。コーティングなしのドットのパターンは、グレージングパネルが実質的に均一に加熱されることを可能にする。コーティング層を損傷する可能性があるホットスポットは回避される。不利点は、コーティング層の有意な領域がないため、太陽光の性能が犠牲にされることである。それぞれ6mmの直径のコーティング層なしの64個のドットを含む、幅6cm及び高さ6cmの正方形は、残っているコーティングされた領域が50%のみであるため、太陽光の性能が犠牲にされる。
米国特許第7190326B2号(PPG/Voeltzel)は、通信窓、すなわち、周波数選択面(FSS)を含む、自動車用の加熱可能なフロントガラスの導電性コーティングを提供する。FSSは、電磁スペクトルのそれぞれの所定の波長を通過及び遮断するために、通過領域(コーティングされていない領域)及び遮断領域(コーティングされた領域)を含む。通過領域及び遮断領域は、連続的な細長い遮断領域によって互いから離間した、アブレーションによって画定される多くの列で配置されてもよい。導電性コーティングに加熱電流を供給するための母線は、電流が隣接する列の間を流動して、ホットスポットの形成を回避するように、列の上及び下に配向されてもよい。隣接する列の間の距離が小さいほど、ホットスポットの強度の低減は大きくなる。
ドイツ国特許第102011115967A1号(Daimler/Frosch)は、所定の周波数における改善された透過領域をもたらす、フロントガラス中の導電性コーティング中のアブレーションの有利なパターンを開示する。アブレーションは、電気的連続性が維持され、したがって、電気加熱が不利にはならないように、交差点で中断される。
従来のデータ伝送窓と比較して、維持または改善されたデータ伝送、及び改善された加熱の均一性、及び維持または改善された太陽光の性能を有する領域を含む、代替の加熱可能なグレージングを提供することが、本発明の目的である。
本発明の第1の態様によると、それに添付された請求項1に記載される特徴を含む、加熱可能なグレージングが提供される。
本発明は、加熱用の電流のための経路を提供し、同時に、選択された周波数範囲内の電磁放射線の改善された透過を提供する領域を有する、代替の加熱可能なグレージングを提供する。
データ伝送窓を画定するように協働する、グリッド、すなわち、行及び列で区分を形成するように配置されるアブレーション、及び少なくとも1つの区切り線、すなわち、隣接するグリッド間に配置されるアブレーションを提供することによって、利益が得られる。本発明に従ったデータ伝送窓を通した垂直偏波電磁放射線の透過は、フルグリッドを有する従来のデータ伝送窓を通るよりも大きい。
驚くべきことに、本発明者は、本発明に従った区切り線の提供が、選択された周波数の透過を増加させることを発見した。当該技術分野において既知のソフトウェアを使用したコンピュータシミュレーションからのデータは、この利点の証拠である。
区切り線を含む、本発明に従ったグレージングは、データ伝送窓を通した透過がコーティングなしの基準グレージングを通るよりも大きくなるように、所定の周波数での電磁放射線の透過を最大限にすることが可能である。本発明に従ったコーティングアブレーションの量は、ドットのパターンを有するデータ伝送窓中のコーティングアブレーションの量よりも小さい。幅0.05mmのアブレーションを有する幅1mmの区分は、残っているコーティング領域が90%であり、したがって、太陽光の性能はほぼ維持される。
好ましくは、グリッドの幅「a」は、4〜10mmの範囲内である。
好ましくは、グリッドの幅「a」は、4〜6mmの範囲内である。
好ましくは、グリッドの幅「a」は、5〜6mmの範囲内である。
好ましくは、隣接するグリッド間の距離「b」は、1〜4mmの範囲内である。
好ましくは、隣接するグリッド間の距離「b」は、2〜4mmの範囲内である。
好ましくは、隣接するグリッド間の距離「b」は、3〜4mmの範囲内である。
好ましくは、グリッドの高さ「c」は、グリッドの幅「a」よりも大きい。
好ましくは、グリッドの高さ「c」は、50〜100mmの範囲内である。
好ましくは、グリッドの高さ「c」は、65〜75mmの範囲内である。
好ましくは、データ伝送窓の幅「d」は、グリッドの幅「a」と隣接するグリッド間の距離「b」の合計の3倍を超える、すなわち、「d>3(a+b)」である。
好ましくは、データ伝送窓の幅「d」は、50〜200mmの範囲内である。
好ましくは、データ伝送窓の幅「d」は、130〜140mmの範囲内である。
好ましくは、グリッドの各区分の幅「e」は、0.5〜5mmの範囲内である。
好ましくは、加熱可能なグレージングは、区切り線に対して実質的に直角に配置される頂部母線及び底部母線をさらに含む。
好ましくは、電磁放射線の所定の周波数は、3〜10GHzの範囲内である。
好ましくは、電磁放射線の所定の周波数は、5〜6GHzの範囲内である。より好ましくは、電磁放射線の所定の周波数は、5.8GHzである。
好ましくは、自由空間中の所定の周波数での電磁放射線の透過に対する、データ伝送窓を通した所定の周波数での電磁放射線の透過は、−3dB以上である。より好ましくは、該透過は、−0.5dB以上である。
好ましくは、データ伝送窓の導電幅百分率は、25%以上である。より好ましくは、データ伝送窓の導電幅百分率は、35%以上である。
好ましくは、グリッドの幅「a」及び隣接するグリッド間の距離「b」は、グリッドの各区分の幅「e」の整数倍「A」及び「B」になるように選択される。
好ましくは、グリッドの高さ「c」は、グリッドの各区分の幅「e」の整数倍「C」になるように選択される。
好ましくは、加熱可能なグレージングは、第1のグレージング材料プライと第2のグレージング材料プライとの間に、第1及び第2の中間層材料プライを含み、導電性コーティングは、第1の中間層材料プライと第2の中間層材料プライとの間のキャリアフィルム上にある。
あるいは、加熱可能なグレージングは、第1のグレージング材料プライと第2のグレージング材料プライとの間に、中間層材料プライを含み、導電性コーティングは、第1及び第2のグレージング材料プライの表面上にあり、中間層材料プライ(41)と接触している。
本発明の利点は、ホットスポットの形成が、データ伝送窓中に提供される複数の電流路によって回避されることである。電流路は、隣接するグリッド間で垂直に整合される区切り線によって、頂部母線及び底部母線に対して実質的に垂直に整合され得る。
本発明はここで、添付の図面を参照して限定されない例を用いて記載される。
平面図で本発明に従ったグレージングを示す。
それぞれ、区切り線によって分離される、4つのグリッドを有する、本発明に従ったデータ伝送窓を示す。
パラメータ「a」〜「e」を有する、図2のデータ伝送窓を示す。
「b」=2になり、各グリッドが、「a」=6及び「c」=14を有するように、それぞれ、区切り線によって分離される、4つのグリッドを有する、本発明に従ったデータ伝送窓を示す。
「a」=6及び「b」=3になるように、2つの区切り線によって分離される、4つのグリッドを有する、本発明に従ったデータ伝送窓を示す。
キャリアフィルム上に導電性コーティングを含む、本発明に従ったグレージングの断面図である。
「a」=6及び「b」=4、ならびに最大温度83℃を有する、本発明に従ったグレージングの温度分布を示す。
「a」=6及び「b」=2、ならびに最大温度89℃を有する、本発明に従ったグレージングの温度分布を示す。
「a」=6及び「b」=2、ならびに丸角及び最大温度93℃を有するデータ伝送窓を有する、本発明に従ったグレージングの温度分布を示す。
最大温度114℃を有する、フルグリッドデータ伝送窓を含む、従来技術に従ったグレージングの温度分布を示す。
最大温度81℃及び50%のみ残っているコーティング領域を有する、ドットのパターンを含む、従来技術に従ったグレージングの温度分布を示す。
本発明に従った4つのグレージング及びコーティングなしの基準グレージングに関する、透過対0.1〜6GHzの範囲の周波数の図を示す。
本発明に従った4つのグレージング及びコーティングなしの基準グレージングに関する、透過対5〜6GHzの範囲の周波数の図を示す。
「a」=6mmにおいて最大値を示す、本発明に従った4つのグレージングに関する、5.7GHzでの透過対グリッドの幅の図を示す。
本発明に従った7つのグレージングに関する、5.8GHzでの透過対導電幅の百分率の図を示す。
−0.5dBの透過閾値及び35%の導電幅百分率閾値を示す、隣接するグリッド間の距離「b」によってグループ化された、図15と同じデータの図を示す。
単位幅「e」に基づく、無次元の変数「A」、「B」、「C」、及び「D」を示す。
図1は、車両フロントガラスに好適な、本発明に従ったグレージング1を示す。全ての図面及び記載において、「垂直に」は、例えば、車両内に取り付けられる場合の、グレージング1の垂直配向を指す。グレージング1は、太陽光制御に好適な導電性コーティング2を含む。そのようなコーティングは、当該技術分野において既知である。導電性コーティング2は、所定の周波数での電磁放射線の透過を可能にするのに好適なデータ伝送窓3を含む。
導電性コーティング2は、無線周波数での透過を防止する。透過の減衰は、−25〜−35dBの範囲内である。
データ伝送窓3は、高さ70mm及び幅120mmのEuropean Intelligent Transport Systems Organisation(ERTICO)の基準で画定されるような、標準的なサイズであってもよい。
データ伝送窓3内の導電性コーティング2のアブレーションは、当該技術分野において既知のレーザ処理によって行われてもよい。アブレーションは、行及び列の区分を含むグリッドを形成するように行われる。各区分の幅はまた、グリッドピッチとして既知であり、約1mmである。アブレーションは、約50〜100マイクロメートルの幅を有して形成される。
グリッドは、無線周波数透過を提供するが、DC加熱電流を妨げ、したがって加熱可能なグレージング中の従来のデータ伝送窓は、非加熱領域であり、ホットスポットがデータ伝送窓の縁部に形成される。したがって、加熱均一性と、無線周波数透過と、太陽光の性能との間の最良の妥協を見つけるという長年の要求が存在する。
本発明は、複数のグリッドを提供することによって、すなわち、隣接するグリッド間の間隙中に電流路を提供することによって、DC電流がデータ伝送窓3の一部で垂直に流動することを可能にする。
さらに、本発明は、隣接するグリッド間の1つ以上の区切り線を用いて、グリッドパターンを垂直方向で維持し、水平偏波に対する無線周波数性能を維持する。隣接するグリッド間の間隙中の水平電流は、垂直に整合された区切り線によって遮断される。
図2は、4つのグリッド31を含むデータ伝送窓3をより詳細に示す。各グリッド31間には、区切り線32がある。
図3は、5つのパラメータ「a」〜「e」によって画定されるデータ伝送窓3を示す。グリッド31の幅は、「a」である。隣接するグリッド31間の距離は、「b」である。グリッドの高さは、「c」である。データ伝送窓3の幅は、「d」である。グリッド31の各区分の幅は、「e」である。
図4は、それぞれ、水平に6つの区分を含む、4つのグリッド31を含む、データ伝送窓3を示す。各グリッド31間には、区切り線32がある。本実施形態では、区分の幅は、1mmであり、グリッド31と隣接する区切り線32との間の距離は、1mmである。したがって、グリッド31の幅「a」及び隣接するグリッド31間の距離「b」は、アブレーション間の間隙の数を数えることによって、ミリメートルで容易に測定される。この場合、「a」は6mmであり、「b」は2mmであり、「a6、b2」と便利に書かれ得る。この図面中、右端の1つのアブレーションは、パターンが必要な幅「d」を満たすために繰り返すことを示すために省略されている。ERTICO窓に関する好ましい実施形態は、寸法「a6、b2」の15個のグリッドからなる。
図5は、データ伝送窓3が、それぞれ、水平に6つの区分を含む、複数のグリッド31を含み、隣接するグリッド間の2つの区切り線32が隣接するグリッド間に配置される、すなわち、「e」=1mmである場合、「a6、b3」である、好ましい実施形態を示す。ERTICO窓を満たすために、「e」が1mm未満である場合、グリッド31の数は、15を超える。幅「d」135mmに対する大体の要件は、「e」=1mmである場合、17個のグリッドを必要とする。12個の垂直の区分が便宜上示されるが、「e」=1mmである場合、70個の垂直の区分がERTICO窓を満たすために必要とされる。
図6は、グレージング1が、第1のグレージング材料プライ11と第2のグレージング材料プライ12との間に、第1及び第2の中間層材料プライ21、22を含む、好ましい実施形態の断面図を示す。導電性コーティング2は、第1の中間層材料プライ21と第2の中間層プライ22との間のキャリアフィルム23上にある。データ伝送窓3は、導電性コーティング2中に提供される。
代替の実施形態(図示せず)では、グレージング1は、第1のグレージング材料プライ11と第2のグレージング材料プライ12との間に、中間層材料プライ21を含む。導電性コーティング3は、第1または第2のグレージング材料プライ11、12の表面上にあり、中間層材料プライ21と接触している。これは、より単純な製造プロセスの利点を有する。
本発明の実施例をコンピュータシミュレーションによって解析した。電磁場問題の数値微分モデリングの既知の伝送線路行列(TLM)法を使用して、無線周波数透過をシミュレーションした。各実施例におけるデータ伝送窓3は、幅135mm及び高さ70mmを有し、グレージングは、厚さ0.7mmの中間層のプライによって一緒に接着される、厚さ2.1mmのフロートガラス2枚の板である。区分の幅「e」は、1mmである。
各実施例における最大温度を識別するために、42Vに基づき、温度分布もまたモデリングした。ホットスポットは、人によって触れられる場合に危険であり得、かつコーティング、中間層材料、またはグレージングを損傷し得る。80〜90℃の範囲の最大温度が好ましい。
図7は、「a」=6及び「b」=4、ならびに最大温度83℃を有する、本発明に従ったグレージングの温度分布を示す。隣接するグリッド31間の距離「b」、すなわち、DC経路は、ホットスポットを最小限に抑えるために幅広い。
図8は、「a」=6及び「b」=2、ならびに最大温度89℃を有する、本発明に従ったグレージングの温度分布を示す。DC経路は、グリッド31の繰り返す距離「a+b」が8mmになるように、図7よりも狭い。したがって、データ伝送窓3は、図7よりも多いグリッドを含む。
図9は、「a」=6及び「b」=2を有する、本発明に従ったグレージングの温度分布を示し、データ伝送窓3は、丸角及び最大温度93℃を有する。
図10は、最大温度114℃を有する、フルグリッドデータ伝送窓を含む、従来技術に従ったグレージングの温度分布を示す。この比較例において、単一のグリッドが、従来のERTICO窓3を満たす。ホットスポット温度は、許容できない。
図11は、最大温度81℃及び50%のみ残っているコーティング領域を有する、ドットのパターンを含む、従来技術の欧州特許第1559167号(AGC/Roquiny)に従ったグレージングの温度分布を示す。ホットスポットは回避されるが、太陽光の性能は、データ伝送窓3中で犠牲にされる。
図12は、本発明に従った4つのグレージング及びコーティングなしの基準グレージングに関する、透過対0.1〜6GHzの範囲の周波数の図を示す。グリッド31の繰り返す距離「a+b」は、4つの全てのグレージング中で8mmである。グリッドの幅「a」が増加するにつれて、垂直偏波高周波に対してより大きい窓が提供され、したがって透過が増加する。
図13は、本発明に従った4つのグレージング及びコーティングなしの基準グレージングに関する、透過対5〜6GHzの範囲の周波数の図を示す。図13は、図12の高分解能区分である。透過が電磁放射線の所定の周波数で最大化されるように、周波数依存性が観察される。最大値は、4〜6mmの範囲のグリッド31の幅「a」、すなわち、3〜5mmの範囲のグリッド31間の距離「b」に対して、5.7GHzで生じる。異なる効果が、7mm以上の「a」、すなわち、2mm未満の「b」に対して生じる。透過性能は、「a6、b3」に対して、コーティングなしのグレージングの比較例と同様であった。本実施例では、「a」及び「b」の組み合わせは、a+b=9になるように選択される。
図14は、「a」=6mmにおいて最大値を示す、本発明に従った図13の4つのグレージングに関する、5.7GHzでの透過対グリッドの幅の図を示す。図14は、隣接するグリッド31間の距離「b」と協働したグリッド31の幅「a」に関する、最適化解析を示す。図13及び図14は合わせて、所与の周波数及び繰り返す距離「a+b」に関して、最適値、すなわち、最大値があることを示す。
驚くべきことに、本発明者らは、直線偏波垂直波に対して、所与の周波数に対する最適な透過をもたらす電界分布が得られることを発見した。本発明に従ったアブレーションの後、典型的に、データ伝送窓3中の導電性コーティング2の90%が残り、したがって、太陽光の性能が犠牲にされない。最大温度は、80〜90℃の範囲内であり、したがって、ホットスポットは回避される。
直線偏波に関する実験結果は、重要な場合に対してであり、それは垂直である。水平電流は、隣接するグリッド間の間隙中の垂直電流路による有意な影響を受けないため、水平偏波は、「a」または「b」に対して異なる値を選択することによる影響は受けない。例えば、料金収受のためのいくつかの通信システムは、円偏波を有する。本発明は、上記に示される効果があまり顕著ではないが、円偏波に適用できる。
本発明に従ったさらなる実施形態では、無線周波数透過及び加熱均一性の両方が最適化される。加熱均一性は、隣接するグリッド間の距離「b」が増加するにつれて改善すると予期される。一方で、無線周波数透過は、特定の組み合わせでグリッドの幅「a」及び隣接するグリッド間の距離「b」を選択することによって最適化される。従来技術は、無線周波数透過及び加熱均一性の両方を最適化するように、グリッドの幅「a」及び隣接するグリッド間の距離「b」が合わせて選択される、グレージングを開示していない。
本発明によると、加熱均一性の指標は、b/(a+b)として計算される導電幅百分率である。導電幅百分率は、レーザアブレーションなしのコーティングと比較して、提案された複数のグリッドのDC加熱に対する平均伝導率を定量化する。
図15は、円偏波を使用した実験結果からの、本発明に従った7つのグレージングに関する、5.8GHzでの透過対導電幅の百分率の図を示す。独立変数として導電幅百分率を使用する利点は、加熱均一性に関して最良である本発明の実施形態が右に示されることである。
図16は、隣接するグリッド間の距離「b」によってグループ化された、図15と同じ実験結果の図を示す。概して、「b」が増加するにつれて、加熱均一性は改善される。無線周波数透過及び導電幅百分率に対する閾値が適用される。例えば、−0.5dBの透過閾値及び35%の導電幅百分率閾値が適用される。両方の閾値が、a5、b3によって超えられる。本実施形態は、−0.3dBの無線周波数透過(自由空間にほぼ等しい)の最適値を示し、加熱に対して3/(5+3)=37.5%の導電幅を可能にする。
図17は、変数「a」、「b」、「c」、及び「d」が、各区分の幅「e」の整数倍である、本発明に従ったグレージングを示す。したがって、無次元の変数「A」、「B」、「C」、及び「D」は、「e」の単位で数えて画定される。本実施形態の利点は、グリッドが整数の区分を有し、寸法の選択をより容易にすることである。