JP2017506252A - 吸入用の乾燥粉末製剤 - Google Patents

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Abstract

約0.5μm〜約10μmの範囲内の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子の形態の、アセチルサリチル酸を含む吸入可能な乾燥粉末。その吸入可能な乾燥粉末は、リン脂質などの薬学的に許容され得る賦形剤を、その粒子の約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)の範囲の量で含み得る。【選択図】図1

Description

関連出願
本願は、参照により全体が本明細書中に援用される、2014年2月20日に出願された「DRY POWDER FORMULATIONS FOR INHALATION」と題された米国特許仮出願第61/942,545号および2014年7月31日に出願された「DRY POWDER FORMULATIONS FOR INHALATION」と題された米国特許仮出願第62/031,811号に対する優先権を主張するものである。
主題技術は、概して、アスピリンなどのNSAIDの肺送達に関する。主題技術は、概して、疾患を処置するために吸入によって物質、例えば、薬剤を肺に送達するための装置および方法にも関する。
治療薬の肺送達は、他の送達様式にまさるいくつかの利点を提供できる。これらの利点としては、速やかな開始、患者自身による投与の便利さ、薬物の副作用を少なくできる可能性、吸入による送達の容易さ、針が無いことなどが挙げられる。吸入治療は、入院患者または外来患者の状況でも使用しやすく、非常に速い薬物の作用開始をもたらし、最小の副作用をもたらす、薬物送達系を提供することができる。
定量吸入器(MDI)は、治療薬を気道に送達するために使用される。MDIは、一般に、圧力下における揮発性液体中の固形の吸入可能な(respirable)乾燥粒子として製剤化され得る治療薬の投与に適している。バルブを開くと、その懸濁液が比較的高速で放出される。次いで、液体が揮発して、治療薬を含む動きの速い乾燥粒子のエアロゾルが残される。
液体エアロゾルの送達は、薬物肺送達の最も古い形態の1つである。典型的には、液体エアロゾルは、小さな穴から高速で圧縮空気を放出する空気ジェット噴霧器によって生成され、ベルヌーイ効果により、出口領域で低圧をもたらす。例えば、米国特許第5,511,726号を参照のこと。その低圧は、エアロゾル化される流体を第2の管から引き出すために用いられる。この流体は、気流中を加速すると、小さい液滴に分かれる。この標準的な噴霧器のデザインの欠点としては、最初の液体エアロゾルの液滴サイズが比較的大きく、吸入可能なサイズの二次スプラッシュ液滴を生成するために、しばしばバッフル上に一次液滴を衝突させることが必要であること、液体エアロゾルの液滴サイズが均一でないこと、バルク薬物溶液の再循環が著しいこと、および吸入空気における吸入可能な小さい液体エアロゾル液滴の密度が低いことが挙げられる。さらに、目的の特定の化合物が、噴霧器の送達系において一般に使用される溶媒と適合性でない可能性がある。
超音波噴霧器は、液体レザバーに沈んだ平らなまたはくぼんだ圧電円板を使用して、液体レザバーの表面を共振させ、その表面からエアロゾル粒子を噴出させる液体円錐体を形成する(米国特許出願公開第2006/0249144号および米国特許第5,551,416号)。このエアロゾル化プロセスでは気流を必要としないので、高いエアロゾル濃度が達成され得るが、しかしながら、圧電部品は、製造するのに比較的高価であり、懸濁液をエアロゾル化するのに非効率的であり、活性薬物が水または食塩水溶液に低濃度で溶解される必要がある。より新しい液体エアロゾル技術は、エアロゾル化される液体をミクロンサイズの穴に通すことによって、より小さくより均一な液体の吸入可能な乾燥粒子を生成することを含む。例えば、米国特許第6,131,570号;米国特許第5,724,957号;および米国特許第6,098,620号を参照のこと。この手法の欠点としては、圧電部品および微細なメッシュ部品が比較的高価であること、ならびに残留塩および固体懸濁液が穴に付着することが挙げられる。
乾燥粉末吸入は、吸入されるのに十分小さいが、そのまま分散するには十分小さくない粒子の投与を可能にするために、歴史上、ラクトースの混合に依存してきた。このプロセスは、非効率的であり、一部の薬物には都合が悪いことが知られている。いくつかのグループが、吸入可能かつ分散可能であるがゆえにラクトースの混合が不要な乾燥粉末吸入器(DPI)製剤を開発することによって、これらの短所の改善を試みた。吸入治療用の乾燥粉末製剤は、Suttonらに対する米国特許第5,993,805号;Platzらに対する米国特許第6,9216527号;Robinsonらに対する国際公開第0000176号;Tararaらに対する国際公開第9916419号;Botらに対する国際公開第0000215号;Hanesらに対する米国特許第5,855,913号;ならびにEdwardsらに対する米国特許第6,136,295号および同第5,874,064号に記載されている。
適切な粒径、粒子密度および分散性の乾燥粉末を作製すること、その乾燥粉末を乾燥した状態で保管し続けること、ならびに吸入されるべき吸入可能な乾燥粒子を効果的に空気中に分散させる便利な手持ち型のデバイスを開発することが困難であることによって、乾燥粉末吸入送達の広範な臨床適用は、限られている。さらに、より小さな吸入可能な乾燥粒子は、より空気中に分散させにくいという事実によって、吸入送達用の乾燥粉末の粒径は、本質的に限定される。乾燥粉末製剤は、扱いにくい液体剤形および噴射剤駆動型製剤にまさる利点を提供するが、凝集および低流動性の傾向があり、これらは、乾燥粉末に基づく吸入治療の分散性および効率を大幅に低下させる。例えば、粒子間(interparticular)ファンデルワールス相互作用および毛管凝縮効果が、乾燥粒子の凝集に寄与することが知られている。Hickey,A.et al,「Factors Influencing the Dispersion of Dry Powders as Aerosols」,Pharmaceutical Technology,August,1994.
粒子間の接着力に打ち勝つために、Batyckyらは、米国特許第7,182,961号において、HELOS(Sympatee,Princeton,N.J.が製造)などのレーザー回折装置を用いて測定されたとき5ミクロン(μm)より大きい幾何学的体積中央径(volume median geometric diameter)(VMGD)を有する、いわゆる「空気力学的に軽い吸入可能な粒子」の生成を教示している。Batyckyら、第7欄、42〜65行目を参照のこと。10μm未満の平均粒径の吸入可能な粒子の分散性を改善する別のアプローチは、組成物全体の50重量%〜99.9重量%の量での、水溶性ポリペプチドの添加または好適な賦形剤(ロイシンなどのアミノ酸賦形剤を含む)の添加を含む。Eljamalら、米国特許第6,582,729号、第4欄、12〜19行目および第5欄、55行目〜第6欄、31行目。しかしながら、このアプローチは、一定量の粉末を用いたとき送達され得る活性な作用物質の量を減少させる。ゆえに、意図される治療結果を達成するために、乾燥粉末の量を増加させる必要があり、例えば、複数回の吸入および/または頻繁な投与が必要とされ得る。なおも他のアプローチは、圧縮ガスによる圧力などの機械的な力を小さい粒子に印加することにより投与中または投与直前の粒子間接着を妨害するデバイスの使用を含む。例えば、Lewisらに対する米国特許第7,601,336号、Dickinsonらに対する同第6,737,044号、Ashurstらに対する同第6,546,928号またはJohnstonらに対する米国特許出願第20090208582号を参照のこと。
上記方法の各々が共有するさらなる限界は、生成されるエアロゾルが、一般に、実質的な量の不活性なキャリア、溶媒、乳化剤、噴射剤および他の非薬物材料を含むという点である。通常、肺胞送達にとって十分小さい吸入可能な乾燥粒子(例えば、5μm未満、好ましくは3μm未満)の効果的な形成には、大量の非薬物材料が必要である。しかしながら、これらの量の非薬物材料は、送達され得る活性な原薬の純度および量を減少させる働きもする。したがって、これらの方法は、大量の活性薬物を患者に全身送達で正確に導入することが実質的にできないままである。
血栓塞栓事象、例えば、心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓、脳血栓などは、患者または臨床医にその事象に対する最初の治療または処置を提供させるある特定の症状を伴って現れ得る。いくつかの場合では、その患者に対して最初の処置を提供するために、81mgという低用量もしくは乳児用のアスピリンまたは通例のアスピリン(330mg)が、経口的に投与され得る。場合によっては、冠状動脈の事象に起因すると疑われる症状を最初に経験した際に、患者は、低用量アスピリン錠剤を2錠、合計約162mgの用量のアスピリンを咀嚼して嚥下するべきであると推奨されてきた。
肺送達に適した、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)の新規製剤を提供する必要性が残っている。
米国特許第5,511,726号 米国特許出願公開第2006/0249144号 米国特許第5,551,416号 米国特許第6,131,570号 米国特許第5,724,957号 米国特許第6,098,620号 米国特許第5,993,805号 米国特許第6,9216527号 国際公開第0000176号 国際公開第9916419号 国際公開第0000215号 米国特許第5,855,913号 米国特許第6,136,295号 米国特許第5,874,064号 米国特許第7,182,961号 米国特許第6,582,729号 米国特許第7,601,336号 米国特許第6,737,044号 米国特許第6,546,928号 米国特許出願第20090208582号
Hickey,A.et al,「Factors Influencing the Dispersion of Dry Powders as Aerosols」,Pharmaceutical Technology,August,1994.
主題技術は、概して、アセチルサリチル酸などのNSAIDを活性成分として含む乾燥粒子を含む吸入可能な乾燥粉末に関する。その吸入可能な乾燥粒子は、大きくても小さくてもよく、例えば、0.5μm〜30μmの幾何学的直径(VMGD)であり得る。あるいはまたはさらに、その吸入可能な乾燥粉末は、約20μm以下の空気力学的質量中央径(MMAD)を有し得る。それらの粒子のMMADは、0.5〜10μm、より好ましくは、1〜10μmであってもよく、なおもより好ましくは、その製剤の90%が約6μm以下のMMADを有する粒子を含むサイズ分布、その製剤の50%が約3μm以下のMMADを有する粒子を含むサイズ分布、およびその製剤の10%が約1μm以下のMMADを有する粒子を含むサイズ分布を有してもよい。
上記乾燥粉末は、大きなサイズ(例えば、20〜30μm)の粒子と小さなサイズ(例えば、5μm以下)の粒子との混合物も含み得る。このように、より小さい粒子は、下気道に達することができるだろうし、より大きな粒子は、上気道において捕捉されるだろう。
上記吸入可能な乾燥粉末組成物は、約5重量%〜約90重量%の量で存在し得る、薬学的に許容され得る賦形剤、例えば、ロイシン、クエン酸ナトリウム、マルトデキストリンまたはマンニトールを含み得る。賦形剤を含めることは、任意選択である。
特定の実施形態において、アセチルサリチル酸などのNSAIDは、様々なサイズの粒子の混合物、例えば、(i)約5μm以下の平均幾何学的直径(VMGD)および/または空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子と、(ii)15μm以上の平均幾何学的直径(VMGD)および/または空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子との混合物を含む乾燥粉末製剤の形態で提供される。特定の実施形態において、その組成物は、薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含み得る。他の実施形態において、その組成物は、賦形剤を含まないかまたは実質的に含まない。ある特定の実施形態において、その組成物は、抗凝集賦形剤を含まないかまたは実質的に含まない。
主題技術は、治療(例えば、処置、予防または診断)において使用するための、本明細書中に記載されるような吸入可能な乾燥粉末または乾燥粒子にも関する。主題技術は、本明細書中に記載されるような循環器疾患(例えば、血栓症)の処置(予防またはリスクの低減などの予防的処置を含む)において使用するため、および本明細書中に記載されるような循環器疾患(例えば、血栓症)を処置、予防または診断するための薬の製造において使用するための、本明細書中に記載されるような吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末の使用にも関する。
主題技術は、循環器疾患(例えば、血栓症)の処置(予防的処置またはリスクの低減を含む)のための薬物送達系も提供し、その系は、治療的に有効な用量の乾燥粉末形態のNSAID(例えば、アセチルサリチル酸);乾燥粉末吸入器を備え、その乾燥粉末吸入器は、マウスピース、その用量のNSAID(例えば、アセチルサリチル酸)を収納するためのレザバー、およびそのマウスピースを通じてその用量のアセチルサリチル酸を患者が吸入できるようにするための駆動部材を備える。好ましくは、そのNSAID(例えば、アセチルサリチル酸)の1回の吸入量は、約40mg以下、より好ましくは、30mg以下である。特に、吸入可能なアスピリンを用いる投薬レジメンは、経口投与によって可能な場合よりも迅速に、薬学的に等価なレベルのアスピリンを患者に送達することができることが予想される。
本明細書中に開示される少なくとも1つの実施形態の別の態様は、患者の血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効であって従来の投与量よりも少ない投与量を使用し、全身の血流へのより直接的な送達機序を用いて投与される、疾患を処置するために薬物を送達するための改善された装置および方法の必要性の認識を含む。
主題技術のさらなる特徴および利点は、下記の説明に示され、その説明から部分的に明らかになるか、または主題技術の実施によって習得され得る。主題技術の利点は、本明細書およびその特許請求の範囲ならびに添付の図面において特に指摘される構造によって理解され、達成される。
前述の全般的な説明と以下の詳細な説明の両方が、例示的かつ説明的であって、特許請求される主題技術のさらなる説明を提供することが意図されていると理解されるべきである。
添付の図面は、主題技術のさらなる理解を提供するために含められ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、主題技術の態様を例証し、その説明とともに、主題技術の原理を説明するのに役立つ。
図1は、本明細書中に開示される方法および系の特定の実施態様に従って、乾燥粉末吸入器を使用している患者の概略図である。 図2Aは、特定の実施形態に係る乾燥粉末吸入器の使用法および構成を図示している。 図2Bは、特定の実施形態に係る乾燥粉末吸入器の使用法および構成を図示している。 図2Cは、特定の実施形態に係る乾燥粉末吸入器の使用法および構成を図示している。 図2Dは、特定の実施形態に係る乾燥粉末吸入器の使用法および構成を図示している。 図2Eは、特定の実施形態に係る乾燥粉末吸入器の使用法および構成を図示している。 図2Fは、特定の実施形態に係る乾燥粉末吸入器の使用法および構成を図示している。 図3は、製剤3727のレーザー回折データを示している。 図4は、製剤3734のレーザー回折データを示している。 図5は、微粒子化されたコーティングされていない未加工の噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子のDSCサーモグラムを示している。 図6は、微粒子化されたコーティングされていない噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子のTGAを示している。 図7Aは、NGI解析に基づく、噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子の粒径分布を示している。2つのカプセルをNGIに送達した。 図7Bは、NGI解析に基づく、噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子の粒径分布を示している。1つのカプセルをNGIに送達した。 図8Aは、NGI解析に基づく、噴霧乾燥されたダイズレシチン/アスピリン粒子の粒径分布を示している。2つのカプセルをNGIに送達した。 図8Bは、NGI解析に基づく、噴霧乾燥されたダイズレシチン/アスピリン粒子の粒径分布を示している。1つのカプセルをNGIに送達した。
以下の詳細な説明では、主題技術の十分な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細を示す。しかしながら、これらの具体的な詳細のいくつかが無くても主題技術が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。その他の場合において、主題技術を不明瞭にしないために、周知の構造および手法は、詳細に示されていない。
1.諸言
血栓塞栓症状および血栓塞栓事象
血栓塞栓事象、例えば、心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓、脳血栓などは、患者または臨床医にその事象に対する最初の治療または処置を提供させるある特定の症状とともに現れ得る。いくつかの場合では、その患者に対して最初の処置を提供するために、81mgという低用量もしくは乳児用のアスピリンまたは通例のアスピリン(330mg)が、経口的に投与され得る。
本明細書中に開示される特定の実施形態によると、この処置は、十分な治療効果をもたらすために必要とされるほど速く作用しない可能性があり、ゆえに、それほど好ましくない結果に至る可能性があるという認識である。したがって、特定の実施形態において、血栓塞栓事象のリスクを低減するためおよび/または血栓塞栓事象に対する処置を提供するために、加速されたおよびより効率的な経路および処置を提供する、薬物送達系および関連する方法が開示される。例えば、特定の実施形態は、乾燥粉末吸入器(「DPI」)または定量吸入器(「MDI」)などによる吸入によって非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)を投与する系および方法を提供する。
薬物の送達機序
薬物は、種々の方法、例えば、液体、カプセル剤、錠剤またはチュアブル錠剤で、経口的に投与され得る。経口経路は、最も便利であり、安全であり、高価でないので、最も頻繁に使用される。しかしながら、経口薬物送達では、通常、薬物が消化管を通って移動するので、限界がある。
例えば、薬物が経口的に投与されるとき、その薬物は、口、胃、および小腸において吸収される。薬物が血流に入る前に、その薬物は、腸壁を通過しなければならず、そして肝臓に到達する。その薬物は、腸壁および肝臓を通過している間に代謝され、その代謝によって、実際に血流に達する薬物の量は減少し得る。薬物の代謝は、その薬物のバイオアベイラビリティを下げ、「初回通過効果」と呼ばれることが多い。初回通過効果のせいで失われる薬物の割合は、一般に、肝臓および腸壁における吸収、ならびに胃腸管腔の酵素、腸壁の酵素、細菌の酵素および肝臓(肝)の酵素によって決定される。
一般に、アスピリンに対する初回通過効果は、投与された投与量のバイオアベイラビリティを有意に低下させる。例えば、胃の酸性条件に起因して、アスピリンは、胃および上部小腸において吸収される。アスピリンは、吸収された後、酢酸およびサリチレートに代謝される。アスピリンは、経口的に摂取されたとき、初回通過効果に起因して、一般にその用量の約3分の1から3分の2しか生物学的に利用可能でない。
本出願人は、吸入によって投与された薬物でさえも初回通過効果を受けることを明らかにした。吸入による薬物投与の場合、より小さい粒子は、経鼻経路を介して、気管(windpipe)(気管(trachea))を降って肺内に進む。それらの粒子のサイズは、その処置の全体的な有効性を決定づけ得る。これらの粒子は、いったん肺の中に入ると、血流中に吸収される。しかしながら、肺の肺胞腔に達した薬物の一部分の中の医薬品有効成分(例えば、アスピリン)が、毛細血管内に吸収され、肺循環に送達され得る。この材料は、まず、肺静脈を介して循環して、酸素を含んだ血液とともに心臓に戻り、次いで、左心室からの拍出によって全身に分配される。したがって、その医薬が吸入されるとき、実質的な部分が、肝臓での処理に起因する初回通過効果を回避し、心臓領域におけるアスピリンレベルは、従来技術の経口投与方法の後に可能であり得るレベルよりも高くなるという結果がもたらされる。
吸入薬物の投与量ならびに送達タイミングは、判断することが難しいことが多いので、わずかな薬物しか吸入によって投与されていない。通常、この方法は、肺に対して特異的に作用する薬物、例えば、エアロゾル化された抗喘息薬を定量容器において投与するため、および全身麻酔のために使用されるガスを投与するために使用される。この場合、本発明者らは、予測可能な用量のアスピリンを、乾燥粉末デバイスを介して再現性よく送達することが可能であることを明らかにした。例えば、乾燥粉末吸入器に充填されたアスピリンの約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%が、その吸入器デバイスから患者に再現性よく送達され得る。
界面活性剤、特に、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)またはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)などの界面活性剤による薬物粒子のコーティングが、乾燥粉末吸入器デバイスからの薬物の送達を再現性よく改善することも見出された。アスピリンを約1.25%(w/w)の界面活性剤でコーティングしても、吸入器からの送達量はほとんど変化しなかった(87%)が、驚いたことに、5%(w/w)の界面活性剤でのコーティングは、そのようにコーティングされたアスピリン粒子の98%が、その乾燥粉末吸入器から送達されたという予想外の改善をもたらす。したがって、乾燥粉末吸入器に充填された、界面活性剤でコーティングされたアスピリン粒子の約98%、約99%、約99.1%、約99.2%、約99.3%、約99.4%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%または約99.9%が、その吸入器デバイスから患者に再現性よく送達され得る。
アスピリンの薬物動態
アスピリンは、サリチル酸のアセチル化された形態であり、アスピリンにおける活性な活性化学物質は、アセチルサリチル酸(ASA)と呼ばれる。アスピリンは、数百万人に使用されて望ましい効果を達成しており、多くの人々は、しばしば乳児用のアスピリンを毎日使用している。アスピリンの主な効果は、シクロオキシゲナーゼ酵素(具体的には、COX1およびCOX2酵素)の機能を損なうことである。
COX1を阻害することによって、アスピリンは、血小板凝集を不可逆的に阻害し得、血餅のリスクを低減する。さらに、COX2酵素が損なわれると、プロスタグランジンおよびトロンボキサンが阻害されることによって、身体の炎症、硬直および疼痛が減少し得る。したがって、心臓発作、脳卒中のリスクが高い個体または炎症を有する個体は、これらの状態の症状および影響に対処するために、アスピリンを摂取することが多い。述べたように、アスピリンは、乳児用のアスピリンと同程度に低用量で、そのような心筋事象の可能性を効果的に低減することができ、疼痛および炎症を減少させることができる。しかしながら、COX1の阻害に少なくとも部分的に起因して、アスピリンは、出血のリスクを上昇させ得、胃および腸などの器官に有痛性であり得る損傷を引き起こし得る。
アスピリンの経口投与は、通常、標準的なミカエリスメンテン(Michaelis−Menton)速度式に従う。経口用量の投与の後、アスピリンの一次代謝産物であるサリチル酸のピーク血漿レベルは、通常、約1〜2時間後に達成され、アスピリンは一般に、投与後1〜2時間以内は検出不可能である。消化管からの吸収速度は、いくつかの因子に依存し、その因子としては、剤形、食物の有無、胃のpHならびに他の因子が挙げられる。
乾燥粉末吸入器の技術
上で述べたように、アスピリンの経口送達は、疼痛、消化障害および出血の高リスクに至る、胃壁に対する損傷のリスクをもたらすことがある。さらに、本明細書中に開示される実施形態の態様の少なくとも1つによると、血栓塞栓事象に関係し得るかまたは血栓塞栓事象をもたらし得る緊急の状況では、薬物を経口的に投与することが困難であることが多いという認識である。例えば、患者は、嘔吐しているかもしれないし、薬物を経口的に摂取することができないかもしれない。さらに、薬物の経口投与は、その薬物が直ちに全身の血流に到達せず、ゆえに、その薬物の重要な効果が遅延するので、望ましくない場合がある。たとえそうであっても、肝臓および腸における初回通過効果に起因して、体循環に到達する薬物の量は、投与された量よりもかなり少ない。ゆえに、本明細書中に開示される様々な実施形態の態様によると、別の投与経路がこれらの望まれない副作用を回避し得るという認識である。
本明細書中に開示される様々な実施形態は、緊急の状況の初期段階における吸入による薬物の送達が、ある特定の病状の、速効性で有効な形態の予備的な処置を提供し得るという新しい認識を反映するものである。例えば、特定の実施形態において、重篤な血栓塞栓事象の症状の愁訴を受けた際、患者は、治療量のNSAIDをDPIによって投与され得る。そのNSAIDは、その病状に関連する問題に対処し得るか、またはその病状に対する最初の処置を提供し得る。
しかしながら、薬物の乾燥粉末吸入は、一般に、咳によって、ミリグラム未満の投与量に制限される。最近の粒子エンジニアリングの発展、特にPulmoSphere(登録商標)技術の開発によって、1回の操作でより多くの量の乾燥粉末を肺に送達することが可能になった。David E.Geller,M.D.,et al,DEVELOPMENT OF AN INHALED DRY−POWDER FORMULATION OF TOBRAMYCIN USING PULMOSPHERETM TECHNOLOGY,J Aerosol Med Pulm Drug Deliv.2011 August;24(4),pp.175−82を参照のこと。この刊行物では、112mgという用量のトブラマイシン(4つのカプセルで)が、PulmoSpheres(登録商標)を介して効果的に送達された。
特定の実施形態によると、身体は、吸入薬物の有効性を限定する様々な粒子フィルターを備えるという認識である。例えば、中咽頭は、5μmを超える直径を有する粒子の通過を妨げる傾向がある。しかしながら、肺胞に到達するために、粒子は、約1μm〜約5μmのサイズを有しなければならない。したがって、本明細書中のいくつかの実施形態は、約1μm〜約5μm、いくつかの実施形態では、約1.7μm〜約2.7μmの幾何学的中央径(median geometric diameter)を有する粒子を作製するためにPulmoSpheres(登録商標)と類似の技術を用いた、吸入可能なアスピリンの調製および使用を開示する。一般に、約1μm〜約3μmのサイズの粒子は、吸入後に、肺胞腔における沈着物に効果的に到達する。このサイズの範囲内に入る薬物製剤の一部は、通常、細粒分(fine particle fraction)(FPF)と呼ばれ、吸入可能な薬物製剤を作製するとき、より多いFPFが最も望ましい。いくつかの場合において、本発明におけるFPFは、アスピリンならびにその製剤に含めてもよい空力性能を調節する任意選択の賦形剤を微粒子化するために用いられる方法をはじめとしたいくつかの因子に応じて、約20%〜約90%の範囲であり得るか、またはそれよりなおも多い。
同様の結果が、他の薬物、例えば、薬学的に活性なタンパク質、例えば、インスリンについても観察される。インスリンの場合、吸入による送達は、注射による送達と比べて有意に高いピーク血漿レベル(ほぼ2倍)を提供するだけでなく、循環中にその分子を実質的により迅速に出現させる(注射のときの約90分に対して、吸入のときの30分未満)(Technosphere(登録商標)Technology:A Platform for Inhaled Protein Therapeutics,in Pulmonary Delivery:Innovative Technologies Breathing New Life into Inhalable Therapeutics,http://www.ondrugdelivery.com,pp.8−11においてオンラインにて入手可能)。
NSAID(例えば、乳児用のアスピリン)の従来の毎日の使用または血栓塞栓事象の症状に対する予防的ケアとしてのNSAIDの緊急の使用に取って代わる、乾燥粉末吸入器によるアスピリンの単回投与の使用はこれまで無かった。したがって、本明細書中に開示される特定の実施形態は、NSAIDを、乳児用のアスピリンの投与量よりも少ない量(例えば、81mg未満)で乾燥粉末吸入によって投与するための方法を提供する。
ゆえに、特定の実施形態において、例えば血栓塞栓事象のリスクを低減することによって疾患を処置するための方法が提供され得、その方法は、サリチレートなどのNSAIDをDPIまたはMDIによって投与する工程を含む。例えば、その方法は、アセチルサリチル酸をDPIまたはMDIによって投与する工程を含み得る。投与される投与量は、25mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。さらに、投与される投与量は、20mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、15mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。また、投与される投与量は、12mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、10mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。さらに、投与される投与量は、8mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、5mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。特定の実施形態において、投与される投与量は、2mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。
例えば、特定の実施形態によると、投与量は、約2mg〜約30mgのアセチルサリチル酸であり得る。特定の実施形態において、投与量は、約4mg〜約25mgのアセチルサリチル酸であり得る。投与量は、約6mg〜約20mgのアセチルサリチル酸であり得る。さらに、特定の実施形態において、投与量は、約8mg〜約15mgのアセチルサリチル酸であり得る。さらに、特定の実施形態において、投与量は、約10mg〜約13mgのアセチルサリチル酸であり得る。例えば、特定の実施形態において、投与量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mgまたは約20mgのアセチルサリチル酸であり得る。
さらに、アセチルサリチル酸の用量は、約80mg未満であり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約1mg〜約75mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約2mg〜約60mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約5mg〜約40mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約10mg〜約30mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約12mg〜約25mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約15mg〜約20mgであり得る。
特定の実施形態によると、そのような投与量は、約81mg〜約325mgという典型的な投与量と比べたとき、負の副作用をほとんど示さずに、生物学的に同等な投与量を提供し得る。
したがって、特定の実施形態において、アスピリンなどのNSAIDは、アスピリンの従来の経口量よりもかなり少ない単回用量でDPIまたはMDIによって投与され得、それは、アスピリンなどのいくつかのNSAIDに関連する負の副作用を回避する傾向がありつつ、生物学的に同等な等価な処置を提供し得る。さらに、そのような処置を行う系もまた提供される。
特定の実施形態において、アスピリンなどのNSAIDは、DPIまたはMDIによって、複数回の吸入で投与され得る。例えば、アスピリンは、1〜6、2〜6、3〜6、4〜6、2〜3、2、3、4、5または6回の吸入で吸入され得る。吸入の回数は、DPIの各チャンバーに存在するASAの量および/または送達されるASAの総量に依存し得る。例えば、25mg、30mg、35mg、40mg、50mg、25〜40mg、25〜50mgのASAが、DPIによる2〜3回の吸入で被験体に送達され得る。
特定の実施形態において、NSAID、特にアスピリンは、従来技術の投与方法と比べて、空力性能、バイオアベイラビリティおよび/または薬物動態を改善するのに有効な薬学的に許容され得る賦形剤を含むように製剤化され得る。
DPIまたはMDIは、マウスピース、および血栓塞栓事象のリスクを低減するために患者がNSAIDを吸入できるようにするための駆動部材を有し得る。
例えば、特定の実施形態によると、血栓塞栓事象のリスクを低減する方法が提供され、その方法は、ある用量の非ステロイド性抗炎症薬を乾燥粉末吸入器によって投与する工程を含み得る。その用量は、患者の血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効であり得る。その乾燥粉末吸入器は、マウスピース、および血栓塞栓事象のリスクを低減するためにその患者がその用量の非ステロイド性抗炎症薬を吸入できるようにするための駆動部材を有し得る。
特定の実施形態によると、例えば血栓塞栓事象のリスクを低減することによって疾患を処置するための薬物送達系もまた提供され得る。その系は、ある用量の非ステロイド性抗炎症薬を粉末の形態で備え得る。その用量は、患者の血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効であり得る。その系は、乾燥粉末吸入器も備え得る。その乾燥粉末吸入器は、マウスピース、その用量の非ステロイド性抗炎症薬を収納するためのレザバー、およびそのマウスピースを通じてその用量の非ステロイド性抗炎症薬を患者が吸入できるようにするための駆動部材を有し得る。
特定の実施形態において、血栓塞栓事象は、心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓または脳血栓のうちの少なくとも1つを含む。上記用量の非ステロイド性抗炎症薬は、血栓塞栓事象の症状に応じて、予備的な処置として投与され得る。その非ステロイド性抗炎症薬は、アスピリンを含み得る。さらに、上記用量の非ステロイド性抗炎症薬は、単回で投与され得る。
2.定義
用語「約」は、本明細書中で使用されるとき、ある値の+/−5%のことを指す。
用語「乾燥粉末」は、本明細書中で使用されるとき、吸入デバイスにおいて分散されることが可能であり、それに続いて被験体によって吸入されることが可能である、微細に分散された吸入可能な乾燥粒子を含む組成物のことを指す。そのような乾燥粉末または乾燥粒子は、最大約15%の水もしくは他の溶媒を含み得るか、または水もしくは他の溶媒を実質的に含まないか、または無水であり得る。
用語「乾燥粒子」は、本明細書中で使用されるとき、最大約15%の水もしくは他の溶媒を含み得るか、または水もしくは他の溶媒を実質的に含まないか、または無水であり得る、吸入可能な粒子のことを指す。
用語「吸入可能な」は、本明細書中で使用されるとき、吸入によって被験体の気道への送達(例えば、肺送達)に適した乾燥粒子または乾燥粉末のことを指す。吸入可能な乾燥粉末または乾燥粒子は、約10μm未満、好ましくは、約5μm以下の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する。
本明細書中で使用されるとき、吸入可能な乾燥粒子の「投与」または吸入可能な乾燥粒子を「投与する」という用語は、吸入可能な乾燥粒子を被験体の気道に投入することを指す。
用語「分散性」は、吸入可能なエアロゾル中に散らされる乾燥粉末または乾燥粒子の特徴を説明する専門用語である。乾燥粉末または乾燥粒子の分散性は、1バールの分散(すなわち、レギュレータ)圧において測定された幾何学的体積中央径(VMGD)を4バールの分散(すなわち、レギュレータ)圧において測定されたVMGDで除算したときの商、またはHELOS/RODOSによって測定したときの0.5バールにおけるVMGDを4バールにおけるVMGDで除算したときの商として本明細書中で表現される。これらの商は、本明細書中でそれぞれ「1/4バール」および「0.5/4バール」と呼ばれ、分散性は、小さい商と相関する。例えば、1/4バールは、RODOS乾燥粉末分散機(または等価な手法)の穴から約1バールで放出された吸入可能な乾燥粒子または粉末の、HELOSまたは他のレーザー回折システムによって測定されたVMGDを、同じ吸入可能な乾燥粒子または粉末の、HELOS/RODOSによって4バールにおいて測定されたVMGDで除算した値のことを指す。したがって、高度に分散性の乾燥粉末または乾燥粒子は、1.0に近い1/4バールまたは0.5/4バール比を有し得る。高度に分散性の粉末は、集塊する傾向、凝集する傾向もしくは凝集塊形成する傾向が低く、および/またはたとえ集塊するか、凝集するかもしくは凝集塊形成したとしても、吸入器から排出され、被験体によって吸い込まれるとき、容易に分散されるかまたは脱集塊される(de−agglomerated)。分散性は、吸入器から排出されたサイズを流速の関数として測定することによっても評価され得る。
本明細書中で使用されるとき、用語「排出量(emitted dose)」または「ED」とは、発射事象または分散事象の後に、好適な吸入器デバイスから薬物製剤を送達する指示のことを指す。より詳細には、乾燥粉末製剤の場合、EDは、単位用量の包装から引き出されて、吸入器デバイスのマウスピースを出る粉末のパーセンテージの基準である。EDは、吸入器デバイスによって送達される用量と、名目上の用量(すなわち、発射前に好適な吸入器デバイスに入れられた単位用量あたりの粉末の質量)との比として定義される。EDは、実験的に測定されるパラメータであり、USP Section 601 Aerosols,Metered−Dose Inhalers and Dry Powder Inhalers,Delivered−Dose Uniformity,Sampling the Delivered Dose from Dry Powder Inhalers,United States Pharmacopeia Convention,Rockville,MD,13th Revision,222−225,2007の方法を用いて測定され得る。この方法では、患者への投与を模倣するように設定されたインビトロのデバイスが使用される。
用語「FPF(<5.6)」、「FPF(<5.6μm)」および「5.6μm未満の細粒分」は、本明細書中で使用されるとき、5.6μm未満の空気力学的直径を有する乾燥粒子のサンプルの割合のことを指す。例えば、FPF(<5.6)は、2ステージ崩壊アンダーセンカスケードインパクタ(Andersen Cascade Impactor)(ACI)のステージ1および捕集フィルター上に沈着した吸入可能な乾燥粒子の質量を、その装置への送達のためにカプセルに量り入れられた吸入可能な乾燥粒子の質量で除算することによって決定され得る。このパラメータは、「FPF_TD(<5.6)」としても特定されることがあり、ここで、TDは総量を意味する。同様の測定が、8ステージのACIを用いて行われ得る。その8ステージACIのカットオフは、標準的な60L/分の流速において異なるが、FPF_TD(<5.6)は、8ステージの完全なデータセットから外挿され得る。8ステージACIの結果は、カプセルに入っていた用量の代わりにACIにおいて捕集された用量を用いるUSP法によっても計算され、それにより、FPFが決定され得る。
用語「FPF(<3.4)」、「FPF(<3.4μm)」および「3.4μm未満の細粒分」は、本明細書中で使用されるとき、3.4μm未満の空気力学的直径を有する吸入可能な乾燥粒子の質量の割合のことを指す。例えば、FPF(<3.4)は、2ステージ崩壊ACIの捕集フィルター上に沈着した吸入可能な乾燥粒子の質量を、その装置への送達のためにカプセルに量り入れられた吸入可能な乾燥粒子の総質量で除算することによって決定され得る。このパラメータは、「FPF_TD(<3.4)」としても特定されることがあり、ここで、TDは総量を意味する。同様の測定が、8ステージのACIを用いて行われ得る。8ステージACIの結果は、カプセルに入っていた用量の代わりにACIにおいて捕集された用量を用いるUSP法によっても計算され、それにより、FPFが決定され得る。
用語「FPF(<5.0)」、「FPF(<5.0μm)」および「5.0μm未満の細粒分」は、本明細書中で使用されるとき、5.0μm未満の空気力学的直径を有する吸入可能な乾燥粒子の質量の割合のことを指す。例えば、FPF(<5.0)は、8ステージの完全なデータセットから外挿することによって、8ステージACIを標準的な60L/分の流速で使用することによって、測定され得る。このパラメータは、「FPF_TD(<5.0)」としても特定されることがあり、ここで、TDは総量を意味する。
用語「ナノ粒子」とは、約1nm〜約900nm、好ましくは、約5nm〜約500nmの単結晶子粒(single crystallite grain)を有する粒子のことを指す。個々の粒は、クラスター/集塊物に集塊し得る。
用語「賦形剤」とは、薬剤の活性成分(「API」)とともに製剤化される薬理学的に不活性な物質のことを指す。
「一態様」などの句は、そのような態様が、主題技術にとって必須であること、またはそのような態様が、主題技術のすべての構成に適用されることを含意しない。一態様に関する開示は、すべての構成または1つ以上の構成に適用され得る。一態様は、本開示の1つ以上の例を提供し得る。「一態様」などの句は、1つ以上の態様のことを指すことがあり、その逆もまた同じである。「一実施形態」などの句は、そのような実施形態が、主題技術にとって必須であること、またはそのような実施形態が、主題技術のすべての構成に適用されることを含意しない。一実施形態に関する開示は、すべての実施形態または1つ以上の実施形態に適用され得る。一実施形態は、本開示の1つ以上の例を提供し得る。「一実施形態」などの句は、1つ以上の実施形態のことを指すことがあり、その逆もまた同じである。「一構成」などの句は、そのような構成が、主題技術にとって必須であること、またはそのような構成が、主題技術のすべての構成に適用されることを含意しない。一構成に関する開示は、すべての構成または1つ以上の構成に適用され得る。一構成は、本開示の1つ以上の例を提供し得る。「一構成」などの句は、1つ以上の構成のことを指すことがあり、その逆もまた同じである。
3.非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
アスピリンなどのNSAIDは、様々な有益な効果を提供することができ、循環器疾患(例えば、血栓症)のリスクの低減に寄与し得る。しかしながら、臨床の環境におけるアスピリンなどのNSAIDの使用は、従来、経口投与に限定されてきた。アスピリンの経口投与は、例えば、腸および肝臓における初回通過効果に起因して、経口投与量のおよそ2/3を損失させ得るかまたは不活性化させ得る。投与量の3分の1が、全身の血流に到達し、所望の効果を提供するが、その全量によってもたらされる負の副作用は、患者がアスピリンを定期的にまたは毎日使用することを阻むことが多い。
さらに、緊急時などの多くの状況において、アスピリンなどのNSAIDの経口投与は、有効になるのに時間がかかりすぎる場合があるので、不適当であることがある。本明細書中に開示される特定の実施形態の少なくとも1つの態様によると、より低い投与量を使用し、全身の血流へのより直接的な送達機序を提供する別の投与方法および系が実行され得るという認識である。したがって、本明細書中に開示される特定の実施形態は、アスピリンなどのNSAIDの使用に関連する以前の弱点を最小限に抑えつつ、NSAIDの有益な効果が、定期的に、および緊急の状況において、達成されることを可能にする。
様々な研究によって、アスピリンが、心筋梗塞のリスクの低減に対して有意な効果を有することが明らかになった。しかしながら、これらの研究は、脳卒中、肺塞栓または深部静脈血栓症に対しては決定的でないデータを提示した。これらの研究では、325mgというアスピリンの投与量を使用した。しかしながら、これらの研究は、その知見をアスピリンの経口投与に基づかせたものであり、本明細書中に開示される特定の実施形態において提供されるDPIまたはMDI経路を提唱していなかった。さらに、アスピリンの投与は、主な胃腸の出血および頭蓋外の出血を50%超、有意に高めるなどの負の副作用を有する。これは、一部の人々に、予防的処置に対してアスピリンの正味の価値が不確かであると主張させていた。
さらなる研究は、乳児用のアスピリン(すなわち、81mg)の投与量のような低投与量においてアスピリンの利点を得ることができるかを試験した。スウェーデンの低用量アスピリン試験(Swedish Aspirin Low−dose Trial)(SALT)は、低用量(75mg/日)のアスピリンが、脳血管虚血事象を有する患者の脳卒中または死亡のリスクを有意に低減することを見出した。しかしながら、その研究は、著しく過度の出血エピソードを含む胃腸の副作用も報告した。デンマークの研究は、抗血栓剤としてアスピリンを投与された患者が、50mg/日で、十分な血小板阻害を達成したが、残りの患者は、50mg/日超を必要としたことを見出した。さらに、オランダのTIA研究は、毎日30mgを超える任意の用量のアスピリンが血管事象の13%を予防し、より効果的な薬物が必要であると結論付けた。しかしながら、DPIまたはMDIによる非常に低用量のアスピリンの投与に関する研究または教示は提供されたことがない。
低用量のASA投与の有効性は、多くの因子に依存し、その因子としては、投与経路、体重、年齢などを含む患者の人口統計学データ、および特定の時間におけるASAのバイオアベイラビリティが挙げられる。心臓血管事象の二次予防のために、腸溶コーティングされた低用量のアスピリンを処方されている多くの患者は、持続的な無抑制の血小板COX活性を有する。低年齢および高体重の患者ならびに以前にMIを有した者は、不十分にしか処置に応答しない可能性が最も高い(J.Am.Coll.Cardiol.2005;47:1258−1263)。Bode−Bogerらによって示されたように、100mgのASAの単純な製剤と腸溶コーティングされた製剤とは、血小板凝集、血小板トロンボキサン産生および2,3−ジノル−TXB2の尿中排泄速度の阻害において等しく有効である。対照的に、非常に低用量の40mgのASAは、健康なヒト被験体のこれらの血小板活性化の指標の阻害において、有意に有効でなかった。40mgのASA(p)は、血小板活性が上昇している循環器疾患における血小板活性を十分に阻害するには少なすぎる可能性があることが示唆された(European Journal of Clinical Pharmacology,1998,Vol.54,Issue 9−10,pp 707−714)。驚いたことに、本発明は、低用量のASAを用いて有効な処置方法を送達するアプローチを提供する。
アスピリンの吸入乾燥粉末製剤は開発されてこなかったが、アスピリンの高投与量の要求(冠状動脈事象および脳卒中の低用量予防の場合、約80mg/日、ならびに疼痛または発熱緩和の場合、少なくとも300mg/日)を、乾燥粉末の肺送達を介して満たすことは難しいので、その製剤が臨床的に実現可能でなかったことは報告されている。
さらに、これらの報告は、その用量が1回の呼吸において0.数ミリグラム未満でない限り、咳嗽などの肺に対する乾燥粉末の有害作用は回避できないことを認めている。したがって、以前の教示は、より高投与量のアスピリンの要求が、DPIを用いて満たすことが不可能であり得ることを示唆している。最後に、一部の人々は、アスピリンが経口よりも吸入によって送達されるとき、喘息患者におけるアスピリン不耐の発生率が高くなることを教示した。
さらに別の研究では、その著者らは、乾燥粉末吸入器(DPI)送達のためにナノ粒子薬物を使用することは、容易なことではないことを述べた。ナノ粒子薬物の直接の吸入は、その小さなサイズに起因して、実行不可能であった。ナノメートルのサイズのせいで、ナノ粒子薬物の大部分が肺に沈着せずに肺から吐き出されてしまう。さらに、小さなサイズが原因の重大な凝集問題のせいで、それらをDPI送達のために物理的に取り扱うことが困難になる。したがって、ナノ粒子薬物の「大きなくぼんだキャリア粒子」が、いくつかの薬物の肺送達のために開発された。Hadinoto et al.,Drug Release Study Of Large Hollow Nanoparticulate Aggregates Carrier Particles For Pulmonary Delivery,International Journal of Pharmaceutics 341(2007)195−20を参照のこと。
Hadinotoの研究では、その著者らは、「低水溶性」薬物に対するモデルとしてアスピリンを使用した。その著者らは、「アスピリンに関しては、高投与量(約300mg/日)のアスピリンが要求されることに起因して、ナノ粒子ポリマー送達方法が最も適した送達方法ではない」ことを認め、全体的に見て、その研究の目的は、その大きなくぼんだナノ粒子の凝集体の製剤化における重要な因子を特定することであった。同書を参照のこと。
本明細書中に開示される本発明の特定の実施形態において、非常に少量のNSAID、例えば、低用量のアスピリンをDPIによって投与することによる、疾患の処置(予防的処置またはリスクの低減を含む)、例えば、循環器疾患(例えば、血栓症)の処置のための方法および系が提供される。その用量は、乳児用のアスピリンの用量(例えば、81mg未満)よりもかなり少ない場合がある。投与される投与量は、約40mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、25mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。さらに、投与される投与量は、20mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、15mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。また、投与される投与量は、12mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、10mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。さらに、投与される投与量は、8mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。投与される投与量は、5mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。特定の実施形態において、投与される投与量は、2mg未満のアセチルサリチル酸であり得る。
例えば、特定の実施形態によると、投与量は、約1mg〜約40mgであり得る。特定の実施形態において、投与量は、約4mg〜約25mgのアセチルサリチル酸であり得る。投与量は、約6mg〜約20mgのアセチルサリチル酸であり得る。さらに、特定の実施形態において、投与量は、約8mg〜約15mgのアセチルサリチル酸であり得る。さらに、特定の実施形態において、投与量は、約10mg〜約13mgのアセチルサリチル酸であり得る。例えば、特定の実施形態において、投与量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mgまたは約20mgのアセチルサリチルであり得る。
さらに、アセチルサリチル酸の用量は、約80mg未満であり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約1mg〜約75mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約2mg〜約60mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約5mg〜約40mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約10mg〜約30mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約12mg〜約25mgであり得る。特定の実施形態において、アセチルサリチル酸の用量は、約15mg〜約20mgであり得る。
そのような投与量は、81mg〜約325mgという典型的な投与量と比べたとき、負の副作用をほとんど示さずに、生物学的に同等な投与量を提供し得る。
特定の実施形態において、NSAIDは、様々な方法および系において使用され得る。特定の実施形態において、NSAIDは、抗血小板作用を有するサリチレート、すなわち、サリチル酸の塩およびエステルを含み得る。さらに、NSAIDは、表1における以下のうちの1つ以上も含み得る:
表1:NSAIDの例
Figure 2017506252
Figure 2017506252
他の活性成分もまた、本明細書中に開示される方法および系においてNSAIDの代わりにまたはNSAIDとともに使用され得る。そのような活性成分としては、Plavix(クロピドグレル)、COX−2阻害剤、他の治療薬、例えば、ナットウキナーゼ(納豆と呼ばれる日本の食品から抽出され精製された酵素(EC3.4.21.62))、抗血栓薬、抗血小板抗体および抗凝固薬(例えば、Coumadin(ワルファリン))が挙げられる。さらに、患者の循環器疾患(例えば、血栓症)のリスクを低減するのに有効な効果などの種々の有益な効果を提供する他の薬物もまた、特定の実施形態において使用され得る。例えば、NSAID(例えば、アスピリン)は、血小板凝集阻害剤(例えば、アスピリン+オメプラゾール、カングレロール(cangrelor)、ボラパクサール(vorapaxer));抗凝固薬(例えば、アルテパーゼ(altepase)、アルデパリン、ダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、フォンダパリヌクス、レピルジン、ウロキナーゼ、ワルファリン、アドミパリン(adomiparin)、テカファリン(tecafarin)、AZD0837、エドキサバン(edoxaban)、プラルエント(preluent)、ベトリキサバン(betrixaban));および/またはフィブリン溶解薬(fibronolytics)(例えば、デスモレプラーゼ(desmoleplase)、THR−100、リコモジュリン、EP217609、ISIS−Fx Rx)のうちの1つ以上と併用され得る。
場合によっては、NSAIDではない2つ以上の活性成分が、本明細書中に開示される方法および系において併用される。例えば、Plavix(クロピドグレル)、COX−2阻害剤、他の治療薬、例えば、ナットウキナーゼ(納豆と呼ばれる日本の食品から抽出され精製された酵素(EC3.4.21.62))、抗血栓薬、抗血小板抗体および抗凝固薬(例えば、Coumadin(ワルファリン))を含む2つ以上の活性成分の任意の組み合わせが、本明細書中に開示される方法および系において併用され得る。
NSAIDではない活性成分の用量は、患者の全般的な健康状態および福祉、体重、年齢ならびに病歴などの関連する因子に基づいて、当業者によって決定される。各活性成分の用量は、個々に決定されてもよいし、併用され得る他の任意の活性成分の用量に基づいて調整されてもよい。下に提供されるように、1日あたりに投与される用量は、緊急の投与における1回の吸入あたりに送達される量、または予防的処置のために毎日送達される量のことを指し得る。したがって、1日あたりの投与とは、その緊急事象が解決した後の反復投与なしに、1日における緊急処置において投与される用量のことを指し得る。
NSAIDではない活性成分の用量は、少なくとも約5mg/日、少なくとも約10mg/日、少なくとも約20mg/日、少なくとも約30mg/日、少なくとも約40mg/日、少なくとも約50mg/日、少なくとも約60mg/日、少なくとも約70mg/日、少なくとも約80mg/日、少なくとも約90mg/日、少なくとも約100mg/日、少なくとも約110mg/日、少なくとも約120mg/日、少なくとも約130mg/日、少なくとも約140mg/日、少なくとも約150mg/日、少なくとも約175mg/日、少なくとも約200mg/日、少なくとも約250mg/日、少なくとも約300mg/日であり得る。
1つ以上の活性成分(例えば、NSAIDではない活性成分と併用されるNSAID)の総量は、約10〜300mg/日、約10〜200mg/日、約10〜150mg/日、約10〜100mg/日、約10〜75mg/日、約10〜50mg/日、約10〜40mg/日であり得る。
1つ以上の活性成分の総量は、約1mg〜約40mgであり得る。特定の実施形態において、投与量は、約4mg〜約25mgの活性成分であり得る。投与量は、約6mg〜約20mgの活性成分であり得る。さらに、特定の実施形態において、投与量は、約8mg〜約15mgの活性成分であり得る。さらに、特定の実施形態において、投与量は、約10mg〜約13mgの活性成分であり得る。例えば、特定の実施形態において、投与量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mgまたは約20mgの活性成分であり得る。
クロピドグレルを活性成分として含む特定の実施形態において、クロピドグレルの用量は、1日あたり少なくとも約40mg、1日あたり50mg、1日あたり少なくとも約60mg、1日あたり少なくとも約70mg、1日あたり少なくとも約75mg、1日あたり少なくとも約80mg、1日あたり少なくとも約90mg、1日あたり少なくとも約100mg、1日あたり少なくとも約110mg、1日あたり少なくとも約120mg、1日あたり少なくとも約130mg、1日あたり少なくとも約140mg、1日あたり少なくとも約150mgまたは1日あたり少なくとも約300mgであり得る。
クロピドグレルがアスピリンとともに投与されるとき、その用量は、約75mgのクロピドグレルおよび約75〜325mgのアスピリン、約75mgのクロピドグレルおよび約75〜162mgのアスピリンまたは約75mgのクロピドグレルおよび約81〜162mgのアスピリンであり得る。
したがって、方法および系の議論は、これらの様々な選択肢に広く適用されるものとするが、議論の目的で、本開示は、アスピリンについて言及することが多い。アスピリンに関する方法、効果、薬物動態学的データおよび他の考慮すべき点は、特定の実施形態に係る他のNSAIDにも等しく適用され得ることが企図される。
4.乾燥粉末および乾燥粒子
主題技術は、アセチルサリチル酸などのNSAIDを活性成分として含み、かつ1つ以上のさらなる活性成分を含んでもよい、吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子に関する。例えば、そのNSAIDは、血小板凝集阻害剤、抗凝固薬、フィブリン溶解薬および/または抗血栓薬のうちの1つ以上と併用され得る。
1つの態様において、吸入可能な乾燥粉末は、アスピリン、ならびに血小板凝集阻害剤、抗凝固薬、抗血栓薬および/またはフィブリン溶解薬のうちの少なくとも1つを含む。
1つの態様において、吸入可能な乾燥粉末は、アスピリンおよび抗血栓薬を含む。その抗血栓薬は、当業者に公知の任意の抗血栓薬、例えば、Plavix(クロピドグレル)、Lovenox(エノキサパリンナトリウム)、Pradaxa(ダビガトランエテキシレートメシレート)、Pletal(シロスタゾール)、Aggrenox(アスピリン/持続放出ジピリダモール)、Activase(アルテプラーゼ)、Angiomax(ビバリルジン)、Arixtra(フォンダパリヌクスナトリウム)、Effient(プラスグレル)、Brilinta(チカグレロル(ticagrelor))、Xarelto(Rivaroxaban)、Eliquis(アピキサバン)およびそれらの組み合わせであり得る。
別の態様において、吸入可能な乾燥粉末は、アスピリンおよび抗凝固薬を含む。その抗凝固薬は、例えば、ヘパリン、ビタミンKアンタゴニスト、直接トロンビン阻害剤、直接Xa因子阻害剤およびそれらの組み合わせであり得る。
吸入可能な乾燥粉末は、アスピリンおよびCoumadin(ワルファリン)を含み得る。
吸入可能な乾燥粉末は、アスピリンおよびPlavix(クロピドグレル)を含み得る。
主題技術は、1つ以上の活性成分を含む吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子にも関し、ここで、その活性成分は、NSAIDではない。例えば、吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子は、血小板凝集阻害剤、抗凝固薬、フィブリン溶解薬および/または抗血栓薬の任意の組み合わせを含み得る。
1つの態様において、主題技術の乾燥粒子は、小さく、好ましくは、分散性である。その乾燥粒子のサイズは、当該分野において慣習的な種々の方法、例えば、細粒分(FPF)、幾何学的体積中央径(VMGD)または空気力学的質量中央径(MMAD)で表現され得る。
ある特定の実施形態において、主題技術の乾燥粒子は、小さく、好ましくは、分散性である。例えば、主題技術の乾燥粒子は、1.0バールにおいてHELOS/RODOSによって測定されたとき、約10μm以下(例えば、約0.1μm〜約10μm)のVMGDを有し得る。好ましくは、主題技術の乾燥粒子は、1.0バールにおいてHELOS/RODOSによって測定されたとき、約9μm以下(例えば、約0.1μm〜約9μm)、約8μm以下(例えば、約0.1μm〜約8μm)、約7μm以下(例えば、約0.1μm〜約7μm)、約6μm以下(例えば、約0.1μm〜約6μm)、約5μm以下(例えば、5μm未満、約0.1μm〜約5μm)、約4μm以下(例えば、0.1μm〜約4μm)、約3μm以下(例えば、0.1μm〜約3μm)、約2μm以下(例えば、0.1μm〜約2μm)、約1μm以下(例えば、0.1μm〜約1μm)、約0.5μm〜約6μm、約0.5μm〜約5μm、約0.5μm〜約4μm、約0.5μm〜約3μmまたは約0.5μm〜約2μmのVMGDを有する。例示的な実施形態において、主題技術の乾燥粒子は、1.0バールにおいてHELOS/RODOSによって測定されたとき、約1.3〜約1.7μmのVMGDを有する。別の例示的な実施形態において、主題技術の乾燥粒子は、1.0バールにおいてHELOS/RODOSによって測定されたとき、約0.5μm〜約2μmのVMGDを有する。
ある特定の実施形態において、主題技術の乾燥粒子は、大きく、好ましくは、分散性である。例えば、主題技術の乾燥粒子は、1.0バールにおいてHELOS/RODOSによって測定されたとき、約30μm以下(例えば、約5μm〜約30μm)のVMGDを有し得る。好ましくは、主題技術の乾燥粒子は、1.0バールにおいてHELOS/RODOSによって測定されたとき、約25μm以下(例えば、約5μm〜約25μm)、約20μm以下(例えば、約5μm〜約20μm)、約15μm以下(例えば、約5μm〜約15μm)、約12μm以下(例えば、約5μm〜約12μm)、約10μm以下(例えば、約5μm〜約10μm)または約8μm以下(例えば、6μm〜約8μm)のVMGDを有する。
本明細書中に記載される乾燥粉末は、大きな粒子と小さな粒子との混合物を含み得る。
好ましくは、粒子が小さいか大きいかに関係なく、主題技術の乾燥粒子は、分散性であり、約2.2以下(例えば、約1.0〜約2.2)または約2.0以下(例えば、約1.0〜約2.0)の1/4バールおよび/または0.5/4バールを有する。好ましくは、主題技術の乾燥粒子は、約1.9以下(例えば、約1.0〜約1.9)、約1.8以下(例えば、約1.0〜約1.8)、約1.7以下(例えば、約1.0〜約1.7)、約1.6以下(例えば、約1.0〜約1.6)、約1.5以下(例えば、約1.0〜約1.5)、約1.4以下(例えば、約1.0〜約1.4)、約1.3以下(例えば、1.3未満、約1.0〜約1.3)、約1.2以下(例えば、1.0〜約1.2)、約1.1以下(例えば、1.0〜約1.1μm)の1/4バールおよび/または0.5/4バールを有するか、または主題技術の乾燥粒子は、約1.0の1/4バールを有する。
あるいはまたはさらに、主題技術の吸入可能な乾燥粒子は、約10μm以下のMMAD、例えば、約0.5μm〜約10μmのMMADを有し得る。好ましくは、主題技術の乾燥粒子は、約5μm以下(例えば、約0.5μm〜約5μm、好ましくは、約1μm〜約5μm)、約4μm以下(例えば、約1μm〜約4μm)、約3.8μm以下(例えば、約1μm〜約3.8μm)、約3.5μm以下(例えば、約1μm〜約3.5μm)、約3.2μm以下(例えば、約1μm〜約3.2μm)、約3μm以下(例えば、約1μm〜約3.0μm)、約2.8μm以下(例えば、約1μm〜約2.8μm)、約2.2μm以下(例えば、約1μm〜約2.2μm)、約2.0μm以下(例えば、約1μm〜約2.0μm)または約1.8μm以下(例えば、約1ミクロン〜約1.8μm)のMMADを有する。
あるいはまたはさらに、主題技術の乾燥粉末および乾燥粒子は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約45%、好ましくは、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%または少なくとも約70%の、5.0μm未満のFPF(FPF_TD<5.0μm)を有する。あるいはまたはさらに、主題技術の乾燥粉末および乾燥粒子は、少なくとも約45%、好ましくは、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%または少なくとも約85%の、排出量の5.0μm未満のFPF(FPF_ED<5.0μm)を有する。
あるいはまたはさらに、本発明の吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、好ましくは、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%または少なくとも約70%の、約5.6μm未満のFPF(FPF<5.6μm)を有し得る。
あるいはまたはさらに、本発明の乾燥粉末および乾燥粒子は、少なくとも約20%、好ましくは、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%または少なくとも約55%の、約3.4μm未満のFPF(FPF<3.4μm)を有し得る。
あるいはまたはさらに、主題技術の吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子は、約0.1g/cm〜約1.0g/cmのタップ密度を有する。例えば、小さい分散性の乾燥粒子は、約0.1g/cm〜約0.9g/cm、約0.2g/cm〜約0.9g/cm、約0.2g/cm〜約0.9g/cm、約0.3g/cm〜約0.9g/cm、約0.4g/cm〜約0.9g/cm、約0.5g/cm〜約0.9g/cmまたは約0.5g/cm〜約0.8g/cmのタップ密度、約0.4g/cc超、約0.5g/cc超、約0.6g/cc超、約0.7g/cc超のタップ密度、約0.1g/cm〜約0.8g/cm、約0.1g/cm〜約0.7g/cm、約0.1g/cm〜約0.6g/cm、約0.1g/cm〜約0.5g/cm、約0.1g/cm〜約0.4g/cm、約0.1g/cm〜約0.3g/cmのタップ密度、0.3g/cm未満のタップ密度を有する。好ましい実施形態において、タップ密度は、約0.4g/cm超である。別の好ましい実施形態において、タップ密度は、約0.5g/cm超である。あるいは、タップ密度は、約0.4g/cm未満である。
あるいはまたはさらに、主題技術の吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子は、吸入可能な乾燥粒子の約15重量%未満の含水量または溶媒含有量を有し得る。例えば、主題技術の吸入可能な乾燥粒子は、約15重量%未満、約13重量%未満、約11.5重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満の含水量もしくは溶媒含有量を有し得るか、または無水であり得る。主題技術の吸入可能な乾燥粒子は、約6%未満かつ約1%超、約5.5%未満かつ約1.5%超、約5%未満かつ約2%超、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%の含水量または溶媒含有量を有し得る。
本明細書中に記載される乾燥粉末の具体的な用途に応じて、乾燥粉末および粒子は、組成物中に低または高パーセンテージの活性成分を含み得る。例えば、乾燥粒子は、3%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上(重量パーセント)の活性成分(例えば、アセチルサリチル酸)を含み得る。
5.乾燥粉末の送達
本明細書中に開示される実施形態のいくつかを通じて、本出願人らは、以前の教示が認めていた難題を克服した。特に、本出願人らは、薬物が肺に吸入されると、その薬物は、肺胞に向かって分散され得ることを認識した。肺胞は、主に、二酸化炭素を酸素と交換するように機能するが、肺胞は、酵素も産生する。したがって、吸入された物質、例えば、病原体、薬物または他の化学物質は、肺胞において処理され得る。
肺胞は、弾性線維および毛細血管のネットワークを含み、そのネットワークは、肺胞の外表面上に織り込まれた球に似ている。毛細血管は、肺動脈および肺静脈を介して、酸素が欠乏した血液を肺に運び、酸素が豊富な血液を肺から運び出すように機能する。各肺胞の内部は、肺胞の裏打ちまたは上皮として知られる薄い組織を含む。肺胞上皮は、扁平のI型およびII型として知られる2つの異なるタイプの細胞からできている。扁平のI型細胞は、上皮の表面積の大部分を覆い、密接して配置されており、酸素および二酸化炭素などの小分子しかそれらの間を通過させない。II型肺胞細胞は、ガス交換において用いられる肺サーファクタントの産生を助ける。さらに、肺胞上皮は、マクロファージも含み、それにより、微粒子状の異物、例えば、粉塵、タールおよび病原体の処分が補助される。肺胞は、サイズが小さい(たったおよそ250μm)にもかかわらず、成人は、2億〜4億個の肺胞を有し得るので、呼吸のための肺胞の表面積は、およそ1,400〜約1,600平方フィートであり得る。
本明細書中に開示される特定の実施形態によると、DPIまたはMDIによって投与されるNSAIDの肺毛細管および肺上皮を通じた吸収は、血栓塞栓事象の症状に対処する直ちに有効な処置を提供し得る。特定の実施形態の新しい認識のうちの1つは、アスピリンなどのNSAIDの経口投与によってもたらされる実質的な初回通過効果が、乾燥粉末吸入器による投与を介して回避され得るというものである。さらに、アスピリンなどのNSAIDの乾燥粉末送達の薬物動態、およびその薬物が肺毛細管の内皮組織に直面したときのその薬物の代謝または不活性化の可能性に関する教示または示唆はこれまでになかった。
DPIまたはMDIによるNSAIDの送達は、単純な結果または予想される結果が当業者に提供されてこなかった複雑かつ予測不可能な技術的範囲である。したがって、当業者が、以前の系または処置方法の組み合わせが、本明細書中に開示される実施形態を生み出し得ると確信する理由がなかった。例えば、本明細書中の特定の実施形態は、ある薬物が肺動脈および肺胞の内皮を通過するとき、初回通過効果は最小になり、他の薬物送達経路よりもその薬物の活性化の速度がかなり遅くなるという予想外の結果を認める。
肺毛細管の内皮は、物質が血流を出るまたは血流に入ることを選択的に可能にすることによって、バリアとして働く。アスピリンは、内皮細胞によって裏打ちされている肺毛細管では不活性化され得ると予想され得る。それらの内皮細胞は、極度に代謝的に活性である。したがって、当業者は、アスピリンが、肺毛細管の内皮によって不活性化され得ると予想するだろう。しかしながら、本明細書中に開示される特定の実施形態によると、粉末状の薬物が内皮に直面すると、その内皮は、腸および肝臓によって提供される代謝と比べて、その粉末状の薬物のかなり少ない一部分しか代謝され得ないかまたは活性化され得ないことが企図される。例えば、胃においてサリチル酸に変換された後、そのサリチル酸の80%もが、肝臓において代謝される。したがって、そのサリチル酸のごく少量しか、全身の血流にとって生物学的に利用可能でない。
しかしながら、吸入されたアスピリン粉末から代謝されたサリチル酸の圧倒的大部分は、全身の血流にとって生物学的に利用可能であることが企図される。したがって、乳児用のアスピリンの用量(例えば、81mg未満)よりかなり少ない用量が、乾燥粉末吸入によって提供され得る。このことは、生物学的に同等な投与量を提供しつつ、かなり低い投与量を提供し得る。
さらに、特定の実施形態の一態様によると、類似の初回通過効果が肺毛細管の内皮において生じ得ることが企図される。したがって、経口的に投与される乳児用のアスピリンと生物学的に同等な吸入投与量の提供に関して、吸入投与量は、肺毛細管の内皮を介したいくらかの初回通過効果の経験を説明するはずである。
特定の実施形態によると、肺毛細管の内皮を介した初回通過効果は、最小であり得、それによって、吸入投与量に対して全体的な影響がほとんどもたされない。
しかしながら、特定の実施形態において、肺毛細管の内皮を介した初回通過効果は、全く無視できるほどであり得ることも企図される。したがって、吸入投与量の量は、肺毛細管を介した初回通過効果を相殺するように調整される必要が無い。
ゆえに、特定の実施形態は、極端に低用量のアスピリン(およびおそらく他のNSAID)であっても、些細なまたは取るに足らない副作用をもたらしつつ、有意な治療効果をもたらし得るという予想外の結果を認める。例えば、1mg、2mg、3mg、4mgまたは5mgと同程度に低い用量のアセチルサリチル酸が、血栓塞栓事象のリスクの低減において有効であり得る。したがって、特定の実施形態によると、正味の利益が、有意に低い用量で劇的に増大した。身体における薬物相互作用の複雑かつ予測不可能な性質、薬物送達経路および微視的な薬物の構造を考えれば、これらの結果および成果は、予想外のことである。最後に、微視的なNSAIDを用いるDPIまたはMDI薬物送達機序を用いていずれの負の副作用も実質的に回避しつつ、治療的に有益な結果を達成するための系またはプロセスを開示している教示または他の以前の参考文献は無い。
特定の実施形態によると、アセチルサリチル酸のようなサリチレートなどのNSAIDの乾燥粉末の投与は、上で論じられたような約1μm〜約5μmの空気力学的中央径を有する粒子を含み得る。それらの粒子は、高度に多孔性であり得、スポンジ様の形態を示し得るかまたはキャリア粒子の構成要素であり得る。それらの粒子は、回転楕円体の形状も示すことがあり、このことによって、その形状および多孔性の表面が、粒子間の接触面積を減少させる働きをすることができ、それによって、粒子の集塊形成がより少なくなり、より効果的に肺全体に分布される。PulmoSphere(登録商標)などの乾燥粉末技術は、本明細書中に開示される方法および系の実施形態において実行され得る。
図1を参照すると、乾燥粉末吸入の手法において、患者は、乾燥粉末吸入器10を使用して、NSAIDなどの薬物の粉末製剤を吸入し得る。その用量は、その患者の血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効である。特定の実施形態の一態様は、肺は効率的なフィルターであるので、肺は、一般に、5μm未満のサイズを有する粒子だけを許容するという認識である。例えば、薬物が主気管支20に入った後、その薬物は、肺22、24の各々に入る。次いで、下記で論じられるように、その薬物は、肺22、24における極めて多数の個々の肺胞30に到達するまで気管支樹26、28を通過し得る。したがって、乾燥粉末吸入器10は、患者が、ある投与量の約1μm〜約5μmのサイズを有する粒子を自己投与することを可能にし得る。特定の実施形態において、粒径は、約2μm〜約4μmであり得る。
特定の実施形態によると、様々なタイプの吸入器が、DPIまたはMDI送達系を用いて薬物を提供するために使用され得る。投与される用量は、患者の血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効であり得る。
例えば、乾燥粉末吸入器10は、マウスピース、NSAIDを収納するためのレザバー、およびそのマウスピースを通じてそのNSAIDを患者が吸入できるようにするための駆動部材を備え得る。
例えば、図2A〜2Fは、マウスピース102および薬物コンパートメント104を有するDPI送達デバイス100を図示している。薬物コンパートメント104は、吸入器本体の空隙110に挿入され得る。
例えば、図2Bに示されているように、薬物コンパートメント104は、貯蔵目的の場合、本体の空隙110の、しまいこまれた位置120に挿入され得る。しかしながら、薬物コンパートメント104は、図2Cに示される第1の位置122に移動され得、薬物コンパートメント104の第1の容器140は、マウスピース通気路142と一直線に並ぶ。この第1の位置122では、図2Dに図示されているように、第1の容器140に入った薬物が、マウスピース通気路142を通じて送達されることにより、患者が吸入できる。
さらに、図2Eに示されているように、薬物コンパートメント104は、第2の位置124に移動され得、その位置において、第2の容器144は、マウスピース通気路142と一直線に並ぶ。図2Fに図示されているように、この位置において、第2の容器144に入った薬物は患者によって吸入され得る。
呼吸のプロセスにおいて、肺は、通常、その環境に存在する種々のサイズの材料に曝露され続ける。これには、花粉(20〜90μm)、細菌(0.2〜200μm)および煙微粒子(0.01〜1μm)が含まれ得る。特定の粒子の沈着は、いくつかの因子に依存し、その因子としては、粒子のサイズおよび密度、ならびに肺に出入りする空気の流れの速度および呼吸器系におけるその粒子の滞在時間が挙げられる。さらに、ヒトの身体は、ファゴサイトーシスのようなプロセスをはじめとした、これらの吸入物質の一部の有害作用から保護するシステムを発達させてきている。したがって、薬学的化合物を吸入によって送達するための系および方法をデザインする際に考慮すべき因子の1つは、吸入後に薬物粒子が沈着する可能性がある気道の位置に対して粒径が及ぼす影響である。
肺に入った粒子は、衝突、沈降および拡散によって、気道の進路に沿って沈着する。しばしば、気流の流れの中の粒子の挙動は、本明細書中に詳細に記載されるように、空気力学的直径によって説明され得る。空気力学におけるレイノルズ数の概念と同様に、同じ空気力学的直径を有する2つの粒子は、それらの実際の幾何学的(すなわち、物理的)サイズに関係なく、ある気流において基本的に同じように振る舞う。
粒径またはより正確には空気力学的直径は、息を吸い込んだ後に粒子が沈着する可能性が最も高い呼吸器系における位置に有意に影響することが以前に示されていた。例えば、Heyderら(J.Aerosol.Sci.17,811−825,1986)は、5nm〜15μmの範囲のサイズの粒子の気道における沈着を調べた。その研究は、5μm超の空気力学的直径を有する粒子が、主に慣性衝突によって口および上気道に沈着することを示唆した。それより小さい粒子(1〜5μmの範囲の空気力学的直径)は、衝突および沈降によって肺のより深部に沈着する一方で、非常に小さい粒子(<1μmの空気力学的直径)は、主に気流に懸濁されたままであり、吐き出される。
その他の研究者も同様の結果を得たことから、肺に薬物を送達する場合、約2μmの空気力学的中央径を有する粒子が、肺胞腔に効率的に沈着する可能性があり、沈着率は、送達された粒子用量の90%に迫ることが示唆された(Byron,1986,J.Phann.Sci.75(5),433−438)。対照的に、粒子が、5〜10μmの範囲の空気力学的中央径を有する場合、送達用量のたった約10%しか肺胞に沈着せず、約40%が気道に沈着し、残りは、口腔および咽頭に沈着する。空気力学的中央径が、15μm以上である場合、粒子は、主に口腔および咽頭に沈着する。肺胞上皮が体循環に近接していること、および腸における加水分解または肝臓における処理に起因する初回通過効果による医薬品の損失を回避するために薬物を肺に送達する公知の利点を考えれば、気道、特に肺胞腔に最も効果的に送達され、沈着する粉末状の薬物組成物をデザインすることによって得られる利点がある。
薬物を肺胞腔に沈着させることによって、さらなる利点が得られる。例えば、有効な表面積の空間が大きく、肺胞上皮の厚さが薄いことによって、薬物がほぼ即時に循環器系に届く。同様に、肺胞の毛細血管を離れた血液は、まず肺静脈を介して心臓に戻るので、かなりのレベルの治療的分子が、ほぼ即時に心臓の近傍に達し得る。これは、本症例におけるような心臓血管の状態に対する処置をデザインする際に特に有益なことである。
したがって、NSAIDなどの抗血栓塞栓剤は、等価な量の経口的に投与される用量のその薬剤を用いて可能になり得る血漿濃度よりも高い血漿濃度で送達され得、これらのレベルは、肺に送達することによって、経口投与と比べてより迅速に達成され得る。したがって、当業者は、NSAIDが医師の現在の推奨に従って経口的に摂取される場合に必要とされる投与量よりも低い投与量で、血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効なNSAIDの循環血漿レベルを冠循環において達成することが可能であることを認識するだろう。
本明細書中に記載されるように、主題技術の1つの態様は、血栓塞栓事象のリスクを低減するために、治療的に有効な用量のNSAIDを提供するための装置および方法を提供する。上で論じられたように、一般的なアプローチは、吸入器を用いて、薬学的に許容され得る粉末状の形態でNSAID(例えば、アセチルサリチル酸および/またはその誘導体「ASA」;「アスピリン」)を送達することである。しかしながら、治療有効量のNSAIDを乾燥粉末吸入システムによって送達するには、いくつかの難題がある。
そのような処置システムをデザインする際の難題の1つは、患者が楽に耐えられる用量の大きさに関する限界である。例えば、いくつかの場合では、約40〜約50mgの粉末状の化合物が、1回の吸入で楽に送達され得ることが示された。同時に、1回の送達あたり約50mg超の粉末を送達することができる吸入器装置は、現在入手可能でない。しかしながら、差し迫った心筋梗塞と一致する疑われる症状を処置するためのASAに対する推奨投与量は、ASAの81mgの錠剤を2錠噛み砕くことである。したがって、そのような処置に対する推奨用量は、約160mgである。このことは、経口投与によって推奨されるASAの同一量を提供するために、患者は、同じ時間内に4回も吸入しなければならない可能性があることを示唆する。研究から、患者は、現実的に、現在利用可能な吸入器の技術を用いて、1分以内に5回吸入できることが示された。
上で論じられたように、肺胞腔における粒子の沈着は、粒径が小さくなるにつれて増加するという一般的な傾向がある。ナノ粒子の分布に関する研究から、<100nmのサイズを有する吸入されたナノ粒子は、肺胞の沈着にとって望ましく、ならびに肺のファゴサイトーシスを最小限に抑えるために望ましいことが示された(Hoet et al.,2004,J.Nanbiotechnol.2,doi:10.1186/1477−3155−2−12)。ナノ粒子は、より粗い調製物と比べて、活性な化合物の分散および最終的には取り込み速度に関してさらなる利点を提供し、その利点の最も明白なものは、より小さい粒子が、より大きな粒子よりも速く分散し、可溶化する傾向があるという点である。しかしながら、ナノメートルサイズの粒子は、効率的に沈着しない傾向があり、気流に懸濁されたままであり、息を吐くと排出されるので、粉末状の医薬の送達において使用するためには最適ではない。
この問題を克服する1つの方法は、効率的な肺胞の沈着にとって最適な空気力学的平均サイズを有するナノ粒子の凝集体を含む粒子を生成する方法を用いることである。例えば、Hadinotoら(2004,Int.J.Pharma.,doi:10.1016/j.ijpharm.2007.03.035)は、ナノ粒子を含む大きなくぼんだシェルが、噴霧乾燥方法によって作製され得ることを示した。これらの粒子は、大きな幾何学的直径(10〜15μm)を有するが、肺のより深い領域への化合物の送達にとって望ましい小さな空気力学的直径(1〜3μm)を有する。さらに、これらの大きなくぼんだシェルは、迅速に、構成要素のナノ粒子に脱凝集して、その医薬品の迅速な放出がもたらされる。さらに、Hadinotoらは、この方法が、粉末吸入器デバイスにおいて使用されるASAの調製物の作製に適応可能であることを示した。したがって、主題技術と組み合わせてこれらの方法を用いると、肺胞腔への沈着のための空気力学的サイズのASA粒子を達成することができ、その薬物の90%超が、30分以内にそれらの粒子から放出される。
しかしながら、最適なサイズの粒子を作製することができるにもかかわらず、吸入によって使用するための薬学的組成物の調製においてさらなる問題がある。典型的には、均一なサイズの粉末は、架橋として公知の現象を介して、凝集塊形成する傾向およびより大きな凝集体を形成する傾向があることが観察された。粒子は、架橋されると、それよりかなり大きな粒子として空気力学的に振る舞い、上で論じたように、目的の薬物の最適かつ迅速な送達にとって望ましい肺胞腔への到達が達成されない傾向がある。薬学的に活性な作用物質の凝集を低減するために、凝集を阻害するために、薬物を例えばラクトースなどの賦形剤粒子と混和することが多い。賦形剤の添加は、凝集を阻害するのに有効な方法であるが、それらの添加は、測定された吸入用量あたりの薬学的に活性な化合物の量を減少させる。その結果は、その薬学的に活性な化合物の同じ摂取量を達成するためには、患者がより多くの回数で摂取しなければならないだろうということになるだろう。これは、緊急の状況では非現実的であり得る。例えば、50%のASA成分および50%の賦形剤である調製物が作製される場合、1回あたり40mgの粉末という限界があると、差し迫った梗塞を示す症状を処置するために推奨される162mgのASAを摂取するためには、約8回吸入しなければならない。このような状況のせいで、乾燥粉末吸入器は、より実用的でなくなり得る。
しかしながら、本症例では、本発明者らは、異なるサイズ分布を有する粒子のバッチを用いて同じ活性成分(例えば、ASA)の粒子を混合することにより、架橋が減少し得ることを発見した。例えば、比較的均一な粒径を有する組成物は凝集するが、約1μm〜約5μmの範囲内の空気力学的中央径を有するいくつかの粒子、約5μm〜約15μmの範囲内の空気力学的中央径を有する他の粒子、および約15μm超の空気力学的中央径を有するなおも他の粒子を含む混和された組成物を提供すると、凝集が阻害され、その調製物の沈着特性が維持される。実際には、薬学的に活性な化合物が、その薬の貯蔵中の凝集の予防に関して、賦形剤(例えば、ラクトース)の機能を置き換えるために使用される。本発明者らの知る限りでは、凝集を阻害する目的で、薬学的に活性な成分をそれ自体の賦形剤として使用することを検討した人はいない。
さらに、他の多くの薬物とは異なって、NSAID、特にASAは、肺胞の上皮以外の経路によって効果的に循環器系に入ることができる。とりわけ、ASAは、口腔の粘膜層、ならびに咽頭、および確実に気道の上皮を介した吸収によって体内に入ることができる。したがって、粒径に関係なく、吸入可能な形態のASAを提供することによって、吸入投与量が、体循環に実質的に取り込まれ得ること、および血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効であり得ることが認識されるだろう。
さらに、様々な粒径の比率を選択することによって、薬物が最終的に沈着する位置に基づいて、より速効性またはより遅効性の製剤を提供することができる。例えば、特定の実施形態において、約1μm〜約5μmの空気力学的中央径を有する80%のASA粒子および少なくとも15μmの空気力学的中央径を有する約20%の粒子を含む調製物を提供することが望ましい場合がある。他の組み合わせも同様に可能であり、当業者は、より速効性の調製物が、比例してより小さい粒子をより多く含む一方で、より遅効性の調製物が、比例してより大きい粒子をより多く含むことを容易に認識するだろう。したがって、本明細書中に記載される装置および方法を用いると、経口投与によって達成され得るのと少なくとも同程度に迅速に、気道を介して、治療的に有効な用量のNSAID、例えば、ASAを提供することが可能である。
より遅効性の剤形が望まれる場合、その製剤は、約5μm〜約10μmの範囲または15μm以上の空気力学的中央径を有する粒子をますます多く含み得る。これらの調製物は、気道または口腔および咽頭に沈着をもたらし得るので、ASAおよびその代謝誘導体の循環レベルがより緩やかに上昇し得る。
いずれの場合においても、主題技術は、経口投与を介して達成され得るよりも速いとはいかないまでも少なくともそれと同程度に速く、ASAおよびその薬理学的に活性な代謝副産物(例えば、サリチレート)を体循環に送達し得る製剤を提供する。さらに、本製剤は、等価な用量のASAを経口投与した後に観察されるレベルに少なくとも等しいレベルで、ASAおよびその薬理学的に活性な代謝副産物を体循環に送達するのに有効である。
例えば、薬物動態学的研究は、ASAの経口投与後、ピーク血漿レベルは約20分後に達成され、その後、比較的短い排出半減期(15〜20分)に起因して急速に低下することを示している。比較すると、薬理学的に活性な一次代謝産物のサリチレートの血漿レベルは、ASAの投与の後、約45分にわたって上昇し、その著しく長い排出半減期(2〜3時間)に起因してかなり長時間にわたって高いままである(Dressman et al.,2012,Biowaiver Monograph for Immediate−Release Solid Oral Dosage Forms:Acetylsalicylic Acid,doi10.1002/jps.2312)。
意義深いことに、ASAの薬物動態学的挙動は、30〜400mgの投与量の範囲に対して線形であると見出された。ゆえに、これらのデータから外挿すると、ASAおよびSAのピーク循環血漿レベルは、それぞれおよそ4mcg/mLおよび10mcg/mLであり得、上で論じられたのと同じ時間的動態であり得ることが予想され得る。
したがって、主題技術の1つの態様は、様々なサイズの粒子の混合物を含む乾燥粉末を提供する。
例えば、その乾燥粉末は、VMGDによって測定されたときの大きなサイズ(例えば、≧15μm、例えば、≧20μmまたは20〜30μmのVMGD)の粒子と、VMGDによって測定されたときの小さなサイズ(例えば、≦5μm、例えば、1〜3μmのVMGD)の粒子とを、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約1:40、約1:50、約1:100、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、約50:1または約100:1などの比(w:w)で含み得る。
あるいはまたはさらに、その乾燥粉末は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%(重量パーセント)の、約10μm以下、好ましくは、約5μm以下のVMGDを有する粒子を含み得る。10μm以下の粒子は、一般に、肺に到達することができ、5μm以下(例えば、1〜3μm)の粒子は、一般に、肺胞に到達することができる。
あるいはまたはさらに、その乾燥粉末は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%(重量パーセント)の、約5μm〜約20μm、好ましくは、約5μm〜約15μmまたは約5μm〜約10μmのVMGDを有する粒子を含み得る。
あるいはまたはさらに、その乾燥粉末は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%(重量パーセント)の、約15μm以上、好ましくは、20μm以上のVMGDを有する粒子を含み得る。
上記特徴は、組み合わせることができる。例えば、その乾燥力(dry power)は、約50%の約5μm以下(VMGD)の粒子、約25%の約5〜約15μm(VMGD)の粒子および約25%の約15μm以上(VMGD)の粒子を含み得る。
その乾燥粉末は、様々な空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子の混合物も含み得る。例えば、その乾燥粉末は、大きなサイズ(例えば、≧15μm、例えば、≧20μmまたは20〜30μmのMMAD)の粒子と小さなサイズ(例えば、≦5μm、例えば、1〜3μmのMMAD)の粒子とを、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約1:40、約1:50、約1:100、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、約50:1または約100:1などの比(w:w)で含み得る。
あるいはまたはさらに、その乾燥粉末は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%(重量パーセント)の、約10μm以下、好ましくは、約5μm以下のMMADを有する粒子を含み得る。10μm以下の粒子は、一般に、肺に到達することができ、5μm以下(例えば、1〜3μm)の粒子は、一般に、肺胞に到達することができる。
あるいはまたはさらに、その乾燥粉末は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%(重量パーセント)の、約5μm〜約20μm、好ましくは、約5μm〜約15μmまたは約5μm〜約10μmのMMADを有する粒子を含み得る。
あるいはまたはさらに、その乾燥粉末は、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約99%(重量パーセント)の、約15μm以上、好ましくは、20μm以上のMMADを有する粒子を含み得る。
上記特徴は、組み合わせることができる。例えば、その乾燥力は、約50%の約5μm以下(MMAD)の粒子、約25%の約5〜約15μm(MMAD)の粒子および約25%の約15μm以上(MMAD)の粒子を含み得る。
特定の実施形態において、その乾燥粉末は、賦形剤を含まないかまたは実質的に含まない。特定の実施形態において、その乾燥粉末は、抗凝集(または抗架橋)賦形剤を含まないかまたは実質的に含まない。
ある特定の実施形態において、その乾燥粉末は、様々なサイズの粒子の混合物を含み、粒子の架橋を実質的に防ぐかまたは減少させるのに有効である。ある特定の実施形態において、その乾燥粉末中の少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも80%、少なくとも約85%または少なくとも約90%のNSAID(例えば、アセチルサリチル酸)が、肺の肺胞腔に送達される。
6.乾燥粉末および乾燥粒子を調製するための方法
吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、任意の好適な方法を用いて調製され得る。吸入可能な乾燥粉末および粒子を調製するための多くの好適な方法は、当該分野における慣習的な方法であり、それらとしては、一重および二重エマルション溶媒蒸発、噴霧乾燥、ミリング(例えば、ジェットミリング)、ブレンディング、溶媒抽出、溶媒蒸発、相分離、単純および複合コアセルベーション、界面重合、超臨界二酸化炭素(CO)の使用を含む好適な方法、ならびに他の好適な方法が挙げられる。吸入可能な乾燥粒子は、当該分野で公知のミクロスフェアまたはマイクロカプセルを作製するための方法を用いて作製され得る。これらの方法は、所望の空気力学的特性(例えば、空気力学的直径および幾何学的直径)を有する吸入可能な乾燥粒子の形成をもたらす条件下で用いられ得る。所望であれば、所望の特性、例えば、サイズおよび密度を有する吸入可能な乾燥粒子が、ふるい分けなどの好適な方法を用いて選択され得る。
噴霧乾燥
吸入可能な乾燥粒子は、噴霧乾燥によって作製され得る。好適な噴霧乾燥の手法は、例えば、K.Mastersによって「Spray Drying Handbook」,John Wiley & Sons,New York(1984)に記載されており;噴霧乾燥の手法は、BUCHI Laboratory EquipmentまたはGEA Niroが開発した乾燥技術である。一般に、噴霧乾燥中、加熱された空気または窒素などの高温ガスからの熱は、連続的な液体供給物を霧化することによって形成される液滴から溶媒を蒸発させるために用いられる。所望であれば、噴霧乾燥装置、または乾燥粒子を調製するために使用される他の装置、例えば、ジェットミリング装置は、吸入可能な乾燥粒子が作製されているときにそれらの粒子の幾何学的直径を測定するインラインの幾何学的粒径測定器および/または吸入可能な乾燥粒子が作製されているときにそれらの粒子の空気力学的直径を測定するインラインの空気力学的粒径測定器を備えることができる。
噴霧乾燥の場合、好適な溶媒(例えば、水性溶媒、有機溶媒、水性有機混合物またはエマルション)中に作製される乾燥粒子の構成要素を含む溶液、エマルションまたは懸濁液は、霧化デバイスを介して乾燥容器に分配される。例えば、その溶液または懸濁液を乾燥容器に分配するために、ノズルまたはロータリーアトマイザを用いてよい。例えば、4または24枚の羽根車を有するロータリーアトマイザを用いてよい。ロータリーアトマイザまたはノズルが装備され得る好適な噴霧乾燥機の例としては、Mobile Minor Spray DryerまたはModel PSD−1が挙げられ、この両方ともがNiro,Inc.(Denmark)によって製造されたものである。実際の噴霧乾燥条件は、噴霧乾燥する溶液または懸濁液の組成および材料の流速に部分的に応じて変動し得る。当業者は、噴霧乾燥される溶液、エマルションまたは懸濁液の組成、所望の粒子特性および他の因子に基づいて、適切な条件を決定することができる。通常、噴霧乾燥機への入口温度は、約100℃〜約300℃、好ましくは、約220℃〜約285℃である。噴霧乾燥機の出口温度は、乾燥される材料の供給温度および特性のような因子に応じて変動し得る。通常、出口温度は、約50℃〜約150℃、好ましくは、約90℃〜約120℃または約98℃〜約108℃である。所望であれば、作製される吸入可能な乾燥粒子は、例えば篩を用いて体積サイズによって分画され得るか、もしくは例えばサイクロンを用いて空気力学的サイズによって細分され、かつ/または当業者に公知の手法を用いて密度に従ってさらに分離され得る。
主題技術の吸入可能な乾燥粒子を調製するために、通常、乾燥粉末の所望の構成要素を含む溶液、エマルションまたは懸濁液(すなわち、供給原料)が調製され、好適な条件下で噴霧乾燥される。好ましくは、供給原料中の溶解されたまたは懸濁された固体の濃度は、少なくとも約1g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、少なくとも約80g/L、少なくとも約90g/Lまたは少なくとも約100g/Lである。その供給原料は、好適な構成要素(例えば、塩、賦形剤、他の活性成分)を好適な溶媒に溶解するかまたは懸濁することによって単一の溶液または懸濁液を調製することによって提供され得る。その溶媒、エマルションまたは懸濁液は、任意の好適な方法、例えば、乾燥した構成要素および/もしくは液体の構成要素のバルク混合または液体の構成要素の静的混合を用いて調製され、それにより、組み合わせ物が形成され得る。例えば、親水性の構成要素(例えば、水溶液)および疎水性の構成要素(例えば、有機溶液)は、スタティックミキサーを用いて混和されることにより、組み合わせ物が形成され得る。次いで、その組み合わせ物は、霧化されることにより、液滴が生成され、その液滴を乾燥することにより、吸入可能な乾燥粒子が形成される。好ましくは、霧化工程は、構成要素がスタティックミキサーにおいて混和された直後に行われる。
1つの例において、アセチルサリチル酸を含む吸入可能な乾燥粒子は、噴霧乾燥によって調製され得る。噴霧乾燥は、液体供給物を高温ガスに通して乾燥する一般に使用される方法である。この方法は、加熱されたチャンバー内で液体を霧化することによって、溶液またはスラリーを粒状の形態に迅速に乾燥することができる方法である。典型的には、その高温ガスは、空気であり得るが、化学感受性の材料、例えば、医薬を調製する際、ならびにエタノールなどの溶媒が使用される場合および酸素非含有雰囲気が要求される場合、窒素タンク(task)が通常使用される。噴霧乾燥は、食品製造業において頻繁に使用され、流動性の食品、例えば、乳、コーヒーおよび卵粉を脱水するための重要な方法になっている。このプロセスは、薬学的製剤および化学的製剤の調製にも適用可能である。
液体供給物は、乾燥される材料に応じて様々であり、食品または医薬品に限定されず、溶液、コロイドまたは懸濁液であってもよい。上記プロセスは、通常さらなる処理の必要が無い1工程の迅速な方法である。処理条件を制御することによって、所望のサイズの粒子が、再現性よく形成され得る。場合によっては、APIおよび賦形剤の複合の粒子が、1工程のプロセスで生成され得るように、賦形剤が医薬品有効成分とともに含められ得る。他の場合では、粒状の活性な薬学的調製物が、第1の噴霧乾燥プロセスにおいて生成され得、次いで、その後に1つ以上の薬学的に許容され得る賦形剤を加えることによって、その生成物が改変され得る。場合によっては、その後の噴霧乾燥プロセスによって賦形剤を加えることが可能である。
特定の噴霧乾燥方法では、液体供給物は、アトマイザノズルまたは一連のノズルを通って汲み出され、微細な液滴が生成され、主要な乾燥チャンバーに投入される。アトマイザは様々であり得、回転式、1流体式、2流体式および超音波式のデザインがある。これらの種々のデザインは、要求される特定の噴霧乾燥プロセスに応じて、種々の利点、適用性および不利益を提供する。高温の乾燥ガスは、アトマイザ方向に対する並流または向流として通され得る。並流は、粒子がそのシステム内および粒子分離器内により短い時間にわたって滞留することを可能にするので、より効率的に機能する。特定のシステムでは、粒子分離器は、サイクロンデバイスである。向流方法は、粒子がチャンバー内により長い時間にわたって滞留することを可能にする。ゆえに、一般に、噴霧乾燥方法は、液体の予備濃縮、霧化、高温ガス雰囲気における乾燥、湿ったガスからの乾燥した粉末の分離、冷却、次いで、完成した生成物の包装の工程からなり得る。
本発明の1つの実施形態において、適切な溶媒にアスピリンを加えた後、均一な溶液が得られるまで撹拌することによって、2%w/wまたは5%w/wのアスピリン濃度を有する供給溶液を調製した。BUCHI噴霧乾燥機モデルB−290 Advancedをすべての実験において使用した。その装置には、2流体ノズルが備え付けられており、そのノズルおよび直径は、それぞれ1.4mmおよび0.7mmであった。高性能サイクロンを用いて、乾燥した生成物を収集した。その噴霧乾燥装置は、開放サイクルで作動し、アスピレータは、およそ40kg/時という乾燥窒素の流速に対応する100%の能力で窒素を吹き出す。霧化窒素の流速は、特定の試験に応じて、ロータメーターにおいて40mmまたは50mmに調整された。原液を供給する前に、噴霧乾燥機を溶媒によって安定させた。その安定化の期間の間、目標の出口温度を得るために溶媒流速を調整した。出口温度の安定化の後、噴霧乾燥機の供給を、溶媒から生成溶液に取り替えた(次いで、出口温度を目標値で維持するように入口温度を再調整した)。原液の供給が終わったら、供給ラインをすすぎ、制御された停止を行うために、その供給をもう一度溶媒に切り替えた。
これらの実験の最初の目的は、非晶形のアスピリンを十分に特徴づけるために非晶形のアスピリンを単離することであった。しかしながら、文献のレビューから見出されたように、アスピリンは、負のTg(−30℃)を示すので、この手法を用いて結晶サイズが小さい活性な医薬を生成する選択を試みた。そのために、アスピリンのエタノール溶液(その高い溶解度および吸入使用が承認されていることを考えると、アスピリンを溶解するのに最もふさわしい溶媒)を調製し、以下のとおり噴霧乾燥した。入口温度は、約80℃〜約160℃の範囲であった。出口温度は、はじめに65℃に設定した。1つの実験において、その材料の一過性のガラス状態に特有の損失を減少させることを期待して、非晶質−結晶質の変換を加速しようとして、出口温度を100℃に上げた。しかしながら、出口温度の上昇によって、生成物の全収率がかなり上昇することは全く無かった。ロータメーターは、約40mm〜約50mmで変動した。供給速度は、通常、約5mL/分であった。噴霧乾燥の後、特定の分析方法を用いて、得られた生成物を評価した。
粉末X線回折(XRPD)は、4つの異なるバッチの各々において、調製されたアスピリンが、結晶の形態で存在するとみられること、およびディフラクトグラムが、出発物質のそれと似ていることを示した。さらに、噴霧乾燥された生成物は、投入した材料と同一の熱記録(thermal gram)を示した。
特定の場合において、全収率は、約55%〜約65%の範囲であった。特定の理論に拘束されるものではないが、これは、おそらく噴霧乾燥プロセス中の結晶化の発生に関係すると予想される。なぜなら、生成物は、通常、密着性が高まるがゆえに噴霧乾燥装置自体の壁への生成物の付着を無くすガラス状態を起こしているはずであると予想されるからである。
得られた噴霧乾燥された生成物の融解温度は、約133℃〜約137℃の範囲であり、これは、アスピリンについて公開されている融点(136℃)によく匹敵している。吸湿特性の尺度は、生成物が、95%相対湿度を有する雰囲気に曝露されたとき、−.4%〜約1.2%の範囲の重量変化を示した。これらの結果は、吸湿挙動に関して問題がないこと、およびこの特性に関して、噴霧乾燥されたアスピリンは、未加工のアスピリンと同様に振る舞うことを示唆している。
粒径分布解析は、DV10が、約0.9μm〜約1.2μmの範囲であり、DV50が、約3μm〜約6μmの範囲であり、DV90が、約8μm〜約24μmの範囲であることを示した。アスピリンの供給濃度を2%w/wに低下させることによって、通常の吸入範囲内である、より小さい平均粒径を得ることができることが見出された。
HPLC解析は、約92%〜約98%の範囲のアスピリン純度を示し、ここで、主要な「不純物」は、サリチル酸であり、それは約.3%〜約.5%の範囲であった。残留溶媒は、約90ppm〜約150ppmの範囲であり、ICH Q3Aガイドラインにおいて規定された限界よりも十分低かった。
供給原料または供給原料の構成要素は、任意の好適な溶媒、例えば、有機溶媒、水性溶媒またはそれらの混合物を用いて調製され得る。使用され得る好適な有機溶媒としては、アルコール、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが挙げられるがこれらに限定されない。他の有機溶媒としては、パーフルオロカーボン、ジクロロメタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテルなどが挙げられるがこれらに限定されない。使用され得る共溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒が挙げられ、その有機溶媒は、例えば、上に記載されたような有機溶媒であるがそれらに限定されない。水性溶媒としては、水および緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)が挙げられる。
供給原料または供給原料の構成要素は、任意の所望のpH、粘度または他の特性を有し得る。所望であれば、pH緩衝液が、溶媒もしくは共溶媒または形成された混合物に加えられ得る。通常、その混合物のpHは、約3〜約8の範囲である。
ジェットミリング
吸入可能な粒子は、ジェットミリングによっても作製され得る。例えば、Apex Process TechnologyまたはJetpharma SAが開発した手法を参照のこと。ジェットミリングは、通常、渦運動の状態の、高度に圧縮された空気または他のガスを使用して、チャンバー内で細粒を互いに衝突させるプロセスである。ジェットミルは、固体を低ミクロンからサブミクロンの範囲の粒径に粉砕することができる。その粉砕エネルギーは、水平な粉砕空気ノズルからのガス流によって生じる。そのガス流によって生じた流動層における粒子は、ミルの中心に向かって加速し、より遅く移動している粒子と衝突する。ガス流およびその中で運ばれている粒子は、激しい乱流を起こし、それらの粒子が互いに衝突すると、微粉状になる。
特定の実施形態において、ジェットミリングは、肺の最深レベルでの沈着が最大となるように所望の吸入可能な範囲内のFPFを有するアスピリン粒子を作製することができた。特定の場合において、DV90は、約9μm未満であり、場合によっては、約5μm未満であり、場合によっては、約3μm未満であった。ジェットミリングによって作製される粒子は、乾燥粉末吸入器デバイスから効率的かつ予想通りに送達され得、それらの粒子の少なくとも25%が、肺の肺胞腔内に沈着すると予想され得るサイズである。場合によっては、それらの粒子の少なくとも50%が、肺の肺胞腔内に沈着すると予想され得るサイズである。場合によっては、それらの粒子の少なくとも75%が、肺の肺胞腔内に沈着すると予想され得るサイズである。場合によっては、それらの粒子の少なくとも90%が、肺の肺胞腔内に沈着すると予想され得るサイズである。
ウェットポリッシング
ウェットポリッシングは、小さい粒径を得る技術(ボトムアップ法、例えば、制御された結晶化もしくはナノ結晶化、またはトップダウン法、例えば、高剪断混合もしくは高圧均質化)と好適な単離技術(例えば、噴霧乾燥、または乾燥プロセスを伴う濾過)とを組み合わせたプロセスである。例えば、Hovioneが開発した手法を参照のこと。これらの組み合わせを用いることにより、特定の薬物送達のニーズを満たす粒径および形態を調整することができる。その方法は、厳格な範囲を有する粒径分布の制御および工程中のサンプリングを可能にし、結晶状態(非晶質の内容物をほとんどまたは全く含まない)を維持する。
ウェットポリッシング法は、約500ナノメートル以下の特定のサイズを達成するために複数回繰り返すことができる。ウェットポリッシングが、吸入可能なサイズのアスピリン粒子を作製するための適切な方法を提供し得るか否か、およびどれが乾燥粉末吸入器デバイスから送達可能であるかを調べるために、研究が試みられた。最初に、ウェットポリッシング法によるアスピリンの粒径の減少において使用するための最善の貧溶媒(anti−solvent)候補を決定するために、文献レビューを行った。アスピリンの最低溶解度に関して予測される能力によって、溶媒を評価した。このレビューから、以下の溶媒候補が特定された:水、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、n−ヘプタン、ジブチルエーテルおよびジ−イソプロピル−エーテル。
最後に特定の因子を考慮した後、n−ヘプタンおよびトルエンだけが、すべての要件を満たすと判定されたので、これらをさらなる評価のために選択した。様々な貧溶媒を用いて、必要とされる量の貧溶媒を投入し、必要とされる量のアスピリンを投入し、次いで、均一な懸濁液が得られるまで撹拌することによって、アスピリンの5%w/wの懸濁液を調製した。その懸濁液を室温において定性的に評価し、次いで、0.45μmの膜を用いて濾過し、次いで、その濾過したものをオーブンの中に入れ、溶媒が完全に蒸発するまで60℃で乾燥させた。試験の前後の膜の重量を計量することによって、その膜に残った残渣に対して定量的解析を行った。この解析から、アスピリンが、トルエンに部分的に可溶性であり、n−ヘプタンに対して親和性の欠けた挙動を示すことが明らかになった。
トルエンまたはn−ヘプタンを用いて、5%w/wのアスピリン濃度の懸濁液を調製した。次いで、個々の懸濁液をそれぞれ、マイクロフルイディクスモデルM−110EH−30装置を用いて、ミリング操作に供した。ミリングは、200μmチャンバーを用いて、50バールの圧力において20〜70サイクル行った。投入温度は、約80℃〜約140℃の範囲であった。生成温度は、約65℃〜約90℃の範囲であった。そのプロセスの収率は、約5%〜約25%の範囲であった。
得られた生成物の解析から、約1.5μm〜約3.3μmの範囲のDV10、約3.3μm〜約6.7μmの範囲のDV50および約6.3μm〜約12.0μmの範囲のDV90が明らかになった。最終生成物のHPLCアッセイから、約1.4%〜約12%の範囲の不純物を含む、90%〜約98%の範囲のアスピリンの組成が明らかになった。主な不純物は、サリチル酸であった。ウェットポリッシングによって得られた生成物のすべてが原材料よりも吸湿性であることも観察されたことから、95%相対湿度の存在下では、約5%の水分増加を示す。
さらに、ウェットポリッシングによって処理されたアスピリンは、空力性能について試験したとき、2つの異なる乾燥粉末送達デバイスにおいて、成績が良くなかった。15mgまたは40mgを充填したデバイスを調べたとき、かなりの量の材料(約25〜30%)が、吸入デバイス自体の中に保持された。全体的に見て、それらの結果から、ウェットポリッシングだけで、アスピリンの物理的特性および化学的特性にかなり影響することが示唆され、ゆえに、吸入用の医薬品を作製するためには、あまり望ましくないことが判明した。それにもかかわらず、ウェットポリッシングは、他の目的でアスピリンを微粒子化するための好適な方法であり得る。
制御された結晶化
特定の場合では、制御された結晶化として知られるプロセスを用いて、所望のサイズのアスピリン粒子を作製することが可能である。ほとんどの化合物の結晶状態が、非晶質状態よりも熱力学的に安定であることが当該分野で周知である。結果として、アスピリンを結晶型で作製することは、活性成分の安定性を改善すると予想される。さらに、アスピリンを結晶型で作製することは、薬物動態学的性能を改善するために、様々な生化学的特性、例えば、溶解度、溶解速度およびpH溶解度プロファイル(とりわけ)を最適化するために活性成分を改変する可能性も提供する。場合によっては、連続した結晶化工程を用いることにより、活性成分の純度を改善することおよび望ましくない不純物を選択的に除去することができる。
同様に、様々な溶媒および貧溶媒を適切に選択することによって、結晶形などの物理的特性を操作することが可能である。ある特定の結晶形が、製品開発段階と製造段階の両方において取り扱いにくいことは、周知である。例えば、針状および薄片状は、あまり望ましくない粒子形状と広く考えられている。しかしながら、最終生成物がより好適な結晶形になるように結晶の形成を操作することが可能である。場合によっては、ヘキサンまたはヘプタンなどの無極性の炭化水素溶媒を用いて、高いアスペクト比を有する結晶を育てることが可能である。対照的に、低いアスペクト比を有する結晶は、メタノールまたはエタノールなどの極性溶媒を用いて作製され得る。表面活性「不純物」を加えることによってもまた、ある特定の平面形態で結晶が育つのを阻害することができる。
好適な貧溶媒を加えることによって制御された結晶化を開始する前に、まず、特定の溶媒におけるアスピリンの溶解度を評価した。その結果を以下の表2に示す。
表2−アスピリンの溶解度
Figure 2017506252
次に、特定の小規模な結晶化実験を行うことにより、種々の系におけるアセチルサリチル酸の挙動を評価した。各実験は、2gmのアスピリンを溶媒(T=20〜25℃)に溶解すること、次いで、この溶液を貧溶媒(約5℃において100vol.の貧溶媒)に加えることからなった。得られた懸濁液を15分間撹拌し、固体材料を濾過によって回収し、次いで、乾燥させた。表3には、各実験の条件がまとめられている。
表3−結晶化実験の要旨
Figure 2017506252
Figure 2017506252
賦形剤
本明細書中に記載される粒子は、例えば、薬学的賦形剤、例えば、ラクトース、糖またはポリマーによって、カプセル化され得る。
さらに、本明細書中に記載される粒子は、様々な薬学的に許容され得る賦形剤と混合され得るおよび/またはそれらでコーティングされ得る。活性な薬物の空力性能を改善するため、バイオアベイラビリティを改善するため、安定性を高めるため、pHを調節するため、徐放特性を提供するため、刺激性の薬物の味をマスクするため、および/または薬物動態学的性能を改善するために、賦形剤が含められ得る。1つの実施形態において、乾燥粉末は、刺激性の薬物の味をマスクするのに有効な量の賦形剤を含む。吸入に適した製剤に関して、呼吸器系の所望の領域に到達するために粒径が重要であるだけでなく、その製剤が、患者に許容され得るものでなければならない。本発明に含められる研究の初期の態様において、純粋なアスピリンは、呼吸器系にとってかなり刺激性であり、ゆえに、ユーザーに許容され得る見込みがないことが見出された。その結果として、このアスピリンの特性をマスクするために、好適な賦形剤を見つけることが必要になった。
乾燥粉末製剤の場合、賦形剤は、医薬品有効成分が凝集塊形成するのを減少させるため、および医薬品が吸入される際の気流における製剤の懸濁を改善するためのキャリア機能も提供し得る。そのようなキャリアとしては、糖/糖アルコール、例えば、グルコース、サッカロース、ラクトースおよびフルクトース、デンプンまたはデンプン誘導体、オリゴ糖、例えば、デキストリン、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体、ポリビニルピロリジン、アルギン酸、チロース、ケイ酸、セルロース、セルロース誘導体、糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、ラクチトール、デキストレート(dextrates)、デキストロース、マルトデキストリン、単糖類、二糖類、多糖類を含むサッカライド;糖アルコール、例えば、アラビノース、リボース、マンノース、スクロース、トレハロース(trehelose)、マルトースおよびデキストランなどの物質が挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、賦形剤は、医薬品有効成分をコーティングするため、ゆえに、それを「マスキングする」ために、提供され得る。未修飾の活性な医薬が、レシピエントにとって刺激性であるかまたはそれとは別に不快なものであるとき、マスキングは特に有用である。例えば、場合によっては、苦い分子を硬化油と界面活性剤との組み合わせでコーティングすることは、その活性成分の別の不快な味をカバーするのに有効であることが示されている。例えば、賦形剤、例えば、DPPCおよびDSPCは、苦い味または不快な味がするAPIの味をマスクするのに有効な量で使用され得る。本研究の一部として、吸入の際のアスピリンの刺激作用の低減において有用であることが発見された、そのような賦形剤の1つは、界面活性剤化合物を含む双性イオン性リン脂質である。好適なリン脂質賦形剤の例としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリンまたは他のセラミド、ならびにレシチンオイルなどの油を含むリン脂質が挙げられるがこれらに限定されない。リン脂質の組み合わせまたは(1または複数の)リン脂質と(1または複数の)他の物質との混合物を使用してもよい。1つの実施形態において、賦形剤として使用されるリン脂質は、ダイズレシチンである。別の実施形態において、そのリン脂質は、肺にとって内在性のものである。その賦形剤は、アスピリンの吸入の際に生じる咳嗽または気管支痙攣を抑制するのに有効であり得る。
本組成物において使用され得るリン脂質の非限定的な例としては、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジラウロイルホスファチジルコリン(dilaurylolyphosphatidylcholine)(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(dilaurylolylphosphatidylglycerol)(DLPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)およびジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSP)が挙げられる。
1つの実施形態において、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)またはそれらの混合物が、賦形剤として使用される。例えば、DPPCおよびDSPCは、肺サーファクタントの天然の構成物である。肺サーファクタントは、II型肺胞細胞によって産生される表面活性リポタンパク質複合体である。そのサーファクタントを構成するタンパク質および脂質は、親水性領域および疎水性領域を有する。サーファクタントは、水における親水性頭部基および気腔に向かっている疎水性テイルを用いて肺胞の気液界面に吸着することによって、表面張力をほぼゼロのレベルにまで低下させるのに有効であり、別途供給され得る力よりも小さい力で肺が拡大するのを可能にする。その結果として、肺サーファクタントは、表面張力を低下させることによって、肺が、かなりより容易に膨張するのを可能にし、ゆえに、肺を膨張させるために必要とされる力が減少する。
(1または複数の)賦形剤(例えば、リン脂質)は、味をマスクするため、刺激作用をマスクするため、および/または本発明の粒子の空力性能を改善するために使用され得る。賦形剤は、本明細書中に記載されるような任意の物質であり得る。賦形剤(例えば、リン脂質)は、上記粒子の約0%〜約99%(w/w)、約0.01%〜約80%(w/w)、約0.05%〜約70%(w/w)、約0.1%〜約60%(w/w)、約0.1%〜約50%(w/w)、約0.1%〜約40%(w/w)、約0.1%〜約30%(w/w)、約0.1%〜約20%(w/w)、約0.1%〜約10%(w/w)、約0.05%〜約8%(w/w)、約0.1%〜約6%(w/w)、約5%〜約10%(w/w)、約3%〜約8%(w/w)、約2%〜約6%(w/w)、約0.1%〜約5%(w/w)、約0.1%〜約4%(w/w)、約0.1%〜約3%(w/w)、約0.1%〜約2%(w/w)、約0.1%〜約1%(w/w)、約1%〜約6%(w/w)、約1%〜約5%(w/w)、約1%〜約4%(w/w)または約1%〜約3%(w/w)の範囲のレベルで存在し得る。ある特定の実施形態において、1つ以上の賦形剤(例えば、1種以上のリン脂質)が、上記粒子の約0.1%〜約10%(w/w)、約1%〜約5%(w/w)の範囲、約0.1%、約5%(w/w)、約3%または約10%(w/w)のレベルで存在する。
アスピリンだけでは、あまりに刺激性であることがあり、吸入したときに窒息反応(例えば、咳嗽、気管支痙攣)を誘発し得る。1つの実施形態において、アスピリンを界面活性剤でコーティングした後、その修飾された製剤は、経口的または経鼻的に吸入によって投与されたとき、耐容性がよい(すなわち、窒息反応を誘発しない)。界面活性剤でコーティングされた経鼻的に送達されるアスピリンが、投与の数秒以内に頭痛および鼻閉の症状を軽減することができるという知見もまた、驚くべきことであった。例えば、頭痛および鼻閉の症状は、約10秒、約15秒、約20秒、約30秒または約45秒以内に軽減され得る。本発明者らの知る限りでは、これは、アスピリンおよびリン脂質を含む調製物が、この様式で送達されたとき、頭痛および/または鼻閉からの迅速な緩和を提供し得るという初めての実証である。
さらに、特定の実施形態において、界面活性剤は、吸収剤、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、抗菌剤、酸化防止剤、結合剤、可溶化剤、溶剤、粘度改変剤、湿潤剤およびそれらの組み合わせを含む1つ以上のさらなる賦形剤と組み合わせて提供され得る。特定の実施形態において、その製剤は、溶解された製剤を肺と等張にするのに有効な量で塩を含む。
吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、製造され、次いで、例えば、濾過、またはサイクロンを用いる遠心分離によって分離されることにより、事前に選択されたサイズ分布を有する粒子サンプルが提供され得る。例えば、サンプル中の吸入可能な乾燥粒子の約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超または約90%超が、選択された範囲内の直径を有し得る。吸入可能な乾燥粒子のある特定のパーセンテージが入る選択された範囲は、例えば、本明細書中に記載されるサイズ範囲のいずれか、例えば、約0.1〜約3μm VMGDであり得る。
吸入可能な乾燥粒子の直径、例えば、それらの粒子のVMGDは、電気ゾーンセンシング装置(electrical zone sensing instrument)、例えば、Multisizer IIe(Coulter Electronic,Luton,Beds,England)またはレーザー回折装置、例えば、HELOSシステム(Sympatec,Princeton,NJ)を用いて測定され得る。粒子の幾何学的直径を測定するための他の装置も当該分野で周知である。サンプル中の吸入可能な乾燥粒子の直径は、粒子の組成および合成方法などの因子に応じて変化する。サンプル中の吸入可能な乾燥粒子のサイズの分布は、呼吸器系内の標的化された部位における最適な沈着を可能にするように選択され得る。
実験によって、空気力学的直径は、飛行時間(TOF)測定を用いて測定され得る。例えば、Model 3225 Aerosizer DSP Particle Size Analyzer(Amherst Process Instrument Inc.,Amherst,MA)などの装置を用いて、空気力学的直径が測定され得る。そのAerosizerは、個々の吸入可能な乾燥粒子が、2つの固定されたレーザービームの間を通過するのに要した時間を測定する。
空気力学的直径はまた、従来の重力沈降法を用いて実験的に直接測定され得、その重力沈降法では、吸入可能な乾燥粒子のサンプルがある特定の距離を沈殿するのに必要な時間が測定される。空気力学的質量中央径を測定するための間接的な方法としては、アンダーセンカスケードインパクタ(ACI)および多段階液体インピンジャー(MSLI)法が挙げられる。空気力学的直径を測定する別の方法は、次世代インパクタ(NGI)を用いる方法である。NGIは、ACIと同様の慣性衝突原理で作動する。NGIは、7つのステージからなり、30、60および100LPMという流速で較正され得る。インパクタのステージが積み重ねられているACIとは対照的に、NGIのステージは、すべてが1つの平面上にある。NGIの各ステージの下で、収集カップを用いて粒子が回収される。米国特許第8,614,255号。粒子の空気力学的直径を測定するための方法および装置は、当該分野で周知である。
タップ密度は、粒子を特徴づけるエンベロープ質量密度(envelope mass density)の尺度である。統計的に等方性の形状の粒子のエンベロープ質量密度は、粒子の質量を、その粒子を囲み得る最小の球状のエンベロープの体積によって除算したものとして定義される。低タップ密度に寄与し得る特徴としては、不規則な表面の質感および多孔性の構造が挙げられる。タップ密度は、当業者に公知の装置、例えば、Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester(Vankel,NC)、GeoPycTM装置(Micrometrics Instrument Corp.,Norcross,GA)またはSOTAX Tap Density TesterモデルTD2(SOTAX Corp.,Horsham,PA)を用いることによって測定され得る。タップ密度は、米国薬局方の慣習法であるUSP Bulk Density and Tapped Densityの方法、Rockville,MD,10th Supplement,4950−4951,1999を用いて測定され得る。
細粒分(FPF)は、分散した粉末のエアロゾル性能を特徴づける方法の1つとして用いられ得る。細粒分は、浮遊している吸入可能な乾燥粒子のサイズ分布を記述するものである。カスケードインパクタを用いた重量分析は、浮遊している吸入可能な乾燥粒子のサイズ分布すなわち細粒分を測定する1つの方法である。アンダーセンカスケードインパクタ(ACI)は、エアロゾルを空気力学的サイズに基づいて9つの異なる画分に分離できる8ステージのインパクタである。各ステージのサイズカットオフは、ACIが作動する流速に依存する。ACIは、一連のノズル(すなわち、ジェットプレート)および衝突面(すなわち、衝突円板)からなる複数のステージから構成される。各ステージにおいて、エアロゾル流は、ノズルを通過し、その衝突面に衝突する。十分に大きい慣性を有するエアロゾル流中の吸入可能な乾燥粒子は、プレートに衝突する。プレートに衝突するほど十分でない慣性を有するより小さい吸入可能な乾燥粒子は、エアロゾル流中に残り、次のステージに運ばれる。ACIの連続した各ステージが、ノズルにおいてより速いエアロゾル速度を有し、より小さい吸入可能な乾燥粒子が、連続した各ステージにおいて回収され得る。
所望であれば、2ステージ崩壊ACIもまた、細粒分を測定するために使用され得る。その2ステージ崩壊ACIは、8ステージACIの上部2ステージのみからなり、2つの別個の粉末画分の収集を可能にする。具体的には、2ステージ崩壊ACIは、ステージ1において収集される粉末画分が、5.6μm未満かつ3.4μm超の空気力学的直径を有する吸入可能な乾燥粒子から構成されるように較正される。ゆえに、ステージ1を通過し、捕集フィルター上に沈着した粉末画分は、3.4μm未満の空気力学的直径を有する吸入可能な乾燥粒子から構成される。そのような較正における気流は、およそ60L/分である。本明細書中に記載される方法によって作製される製剤は、約20L/分〜約60L/分の範囲の気流速度で効果的に送達され得る。
FPF(<5.6)は、患者の肺まで進むことができる粉末画分と相関すると実証された一方で、FPF(<3.4)は、患者の肺深部まで到達する粉末画分と相関すると実証された。これらの相関関係は、粒子の最適化のために用いることができる定量的指標を提供する。
ACIは、排出量を概算見積もりするために使用することができ、排出量は、本明細書中で重量回収用量(gravimetric recovered dose)および分析回収用量(analytical recovered dose)と呼ばれる。「重量回収用量」は、ACIのすべてのステージのフィルター上の計量された粉末と名目上の用量との比として定義される。「分析回収用量」は、ACIのすべてのステージ、すべてのステージフィルターおよび吸込み口をすすぐことによって回収された粉末と名目上の用量との比として定義される。FPF_TD(<5.0)は、ACIに沈着している5.0μm未満の粉末の内挿量と名目上の用量との比である。FPF_RD(<5.0)は、ACIに沈着している5.0μm未満の粉末の内挿量と重量回収用量または分析回収用量との比である。
排出量を概算見積もりする別の方法は、乾燥粉末吸入器(DPI)を作動させた際に、どれだけの粉末がその容器、例えば、キャプチャーまたはブリスターから出るかを測定することである。これは、そのカプセルを出るパーセンテージを考慮に入れるが、DPIへのいかなる粉末の沈着も考慮に入れない。排出量は、吸入器を作動させる前の用量を含むカプセルの重量と、吸入器を作動させた後のカプセルの重量との比である。この測定値は、カプセル放出粉末質量(capsule emmited powder mass)(CEPM)とも呼ばれ得る。
マルチステージ液体インピンジャー(MSLI)は、粒径分布または細粒分を測定するために使用され得る別のデバイスである。そのマルチステージ液体インピンジャーは、ACIと同じ原理で作動するが、8ステージの代わりに、MSLIは5ステージを有する。さらに、各MSLIステージは、固体プレートの代わりに、エタノールで湿らせたガラスフリットからなる。その湿らせたステージは、ACIを用いるときに生じ得る粒子の跳ね上がりおよび再飛散を防ぐために用いられる。米国特許第8,614,255号。
主題技術は、本明細書中に記載されるいずれかの方法を用いて作製される吸入可能な乾燥粉末または吸入可能な乾燥粒子にも関する。
主題技術の吸入可能な乾燥粒子は、その塩の化学安定性、または吸入可能な乾燥粒子が含む賦形剤も特徴とし得る。構成している塩の化学安定性は、吸入可能な粒子の重要な特徴に影響し得、その特徴としては、その塩の貯蔵寿命、適切な貯蔵条件、投与に対して許容され得る環境、生物学的適合性および有効性が挙げられる。化学安定性は、当該分野で周知の手法を用いて評価され得る。化学安定性を評価するために使用され得る手法の1つの例は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)である。主題技術の吸入可能な乾燥粒子は、長時間にわたって通常安定な塩を含む。
所望であれば、本明細書中に記載される吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、安定性を高めるためにさらに処理され得る。薬学的乾燥粉末の重要な特徴は、それらが種々の温度条件および湿度条件において安定であるか否かである。不安定な粉末は、環境からの水分を吸収し、集塊するので、その粉末の粒径分布が変化する。
より安定した粒子および粉末を作製するために、マルトデキストリンなどの賦形剤が使用され得る。マルトデキストリンは、非晶質相(amporphous phase)安定化剤として作用し得、構成要素が非晶質状態から結晶質状態に変換するのを阻害し得る。あるいは、制御された方法で(例えば、高湿でのバグハウス上に)粒子が結晶化プロセスを通るのを助ける後処理工程が使用され得、得られた粉末は、潜在的に、集塊物が結晶化プロセス中に形成される場合、その集塊物を粉々にするために粒子をサイクロンに通過させることなどによって、それらの分散性を回復するようにさらに処理される。別の可能性のあるアプローチは、より結晶性であるがゆえにより安定な粒子の製造をもたらす処理前後の条件を最適化することである。別のアプローチは、異なる賦形剤または異なるレベルの現行の賦形剤を使用して、それらの塩のより安定な形態を製造しようと試みることである。
本明細書中に記載される吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、吸入治療に適している。吸入可能な乾燥粒子は、呼吸器系の選択された領域、例えば、肺深部または上気道もしくは中気道への局所送達にとって適切な材料、表面粗さ、直径およびタップ密度を用いて作製され得る。例えば、より高い密度またはより大きな吸入可能な乾燥粒子が、上気道への送達のために使用されてもよいし、同じまたは異なる製剤を用いて提供される、サンプル中の様々なサイズの吸入可能な乾燥粒子の混合物が、1回の投与で肺の異なる標的領域に投与されてもよい。
種々の吸入流速における粉末の分散、種々の吸入体積における粉末の分散、および種々の抵抗の吸入器からの粉末の分散を関係づけるために、吸入操作を実施するために必要なエネルギーを算出することができる。吸入エネルギーは、方程式E=RVから算出され得、式中、Eは、ジュールを単位とする吸入エネルギーであり、Rは、kPa1/2/LPMを単位とする吸入器の抵抗であり、Qは、L/分を単位とする一定の流速であり、Vは、Lを単位とする吸入空気体積である。
健康成人集団は、0.02および0.055kPa1/2/LPMという2つの吸入器の抵抗からの流速Qに対して、Clarkeらが測定したピーク吸気流速(PIFR)の値(Journal of Aerosol Med,6(2),p.99−110,1993)を用いることによって、2.9〜22ジュールの範囲の吸入エネルギーを達成することができると予測され、ここで、吸入体積は、乾燥粉末吸入器についてのFDA指針文書と、種々のDPIによって成人の吸入体積が平均2.2Lであることを見出したTiddensらの研究(Journal of Aerosol Med,19,(4),p.456−465,2006)との両方に基づいて、2Lとした。
乾燥粉末粒子は、Li et al.,Chemical Engineering Science 61(2006)3091−3097に記載されているような電気流体力学的霧化のコーンジェットモードを用いても調製され得る。例えば、針を通って流れるアスピリン溶液が電場に供されることにより、液滴が作製され得る。その方法は、液滴残存物のほぼ単分散の分布をもたらすと考えられており、アスピリンの粒状の結晶が形成される。
7.処置方法
他の態様において、主題技術は、循環器疾患(例えば、血栓症)を処置するための方法(予防的処置またはリスクの低減を含む)であり、その方法は、それを必要とする被験体の気道に、有効量の本明細書中に記載されるような吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末を投与する工程を含む。
循環器疾患としては、例えば、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患(CAD)、狭心症(通常「アンギナ」として知られる)、血栓症、虚血性心疾患、冠状動脈不全、末梢血管疾患、心筋梗塞、脳血管疾患(例えば、脳卒中)、一過性脳虚血発作、細動脈硬化、小血管疾患、高コレステロール、間欠性跛行または高血圧症が挙げられる。
吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、任意の好適な方法、例えば、点滴注入法、および/または吸入デバイス、例えば、乾燥粉末吸入器(DPI)もしくは定量吸入器(MDI)を用いて、それを必要とする被験体の気道に投与され得る。いくつかのDPIが、利用可能であり、例えば、米国特許第4,995,385号および同第4,069,819号に開示されている吸入器、Spinhaler(登録商標)(Fisons,Loughborough,U.K.)、Rotahalers(登録商標)、Diskhaler(登録商標)およびDiskus(登録商標)(GlaxoSmithKline,Research Triangle Technology Park,North Carolina)、FlowCapss(登録商標)、TwinCaps(登録商標)、XCaps(Hovione,Loures,Portugal)、Inhalators(登録商標)(Boehringer−Ingelheim,Germany)、Aerolizer(登録商標)(Novartis,Switzerland)ならびに当業者に公知のその他のものである。
一般に、吸入デバイス(例えば、DPI)は、1回の吸入で最大量の乾燥粉末または乾燥粒子を送達することができ、その最大量は、ブリスター、カプセル(例えば、それぞれ1.37ml、950μl、770μl、680μl、480μl、360μl、270μlおよび200μlという容積容量を有する、サイズ000、00、0E、0、1、2、3および4)または吸入器内に乾燥粒子もしくは乾燥粉末を含む他の手段の容量に関係する。したがって、所望の用量または有効量の送達には、2回以上の吸入が必要であり得る。好ましくは、それを必要とする被験体に投与される各用量は、有効量の吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末を含み、約6回以下の吸入によって投与される。好ましくは、それを必要とする被験体に投与される各用量は、有効量の吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末を含み、約4回以下の吸入によって投与される。例えば、吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末の各用量は、1回の吸入または2、3、4、5もしくは6回の吸入で投与され得る。吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、好ましくは、呼吸活性化式DPIを用いて、1回の呼吸活性化工程において投与される。このタイプのデバイスが使用されるとき、被験体の吸入のエネルギーは、吸入可能な乾燥粒子を散乱させ、かつそれらを気道に引き込む。
複数回の吸入の間の時間は、約15秒、約30秒、約45秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約15秒〜5分、約30秒〜4分または約15秒〜4分であり得る。複数回の吸入の間の時間は、最大約15秒、最大約30秒、最大約45秒、最大約1分、最大約2分、最大約3分、最大約4分、最大約5分、最大約15秒〜5分、最大約30秒〜4分または最大約15秒〜4分であり得る。
吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末は、吸入によって気道内の所望の領域に要望通り送達され得る。約1μm〜約3μmのMMADを有する粒子が、肺胞腔などの肺深部領域に効果的に送達され得ることは周知である。より大きな空気力学的直径、例えば、約3μm〜約5μmは、中気道および上気道に送達され得る。
乾燥粉末吸入器の場合、口腔への沈着が、慣性衝突によって優位を占め、ゆえに、エアロゾルのストークス数を特徴とする(DeHaan et al.Journal of Aerosol Science,35(3),309−331,2003)。等価な吸入器の形状の場合、呼吸パターンおよび口腔の形状、ストークス数ならびに口腔沈着が、吸入粉末の空気力学的サイズに主に影響される。ゆえに、粉末の口腔沈着に寄与する因子としては、個々の粒子のサイズ分布および粉末の分散性が挙げられる。個々の粒子のMMADが大きすぎる場合、例えば、5μmを超える場合、高いパーセンテージの粉末が口腔に沈着する。同様に、粉末の分散性が低い場合、それらの粒子は、集塊物として乾燥粉末吸入器を出て口腔に入るという示唆がある。集塊した粉末は、その集塊物と同程度の大きさの個々の粒子と空気力学的に類似したように振る舞い、ゆえに、個々の粒子が小さかったとしても(例えば、約5μm以下のMMAD)、吸入粉末のサイズ分布は、約5μmを超えるMMADを有することがあり、口腔沈着が増加する。
ゆえに、粒子が小さく(例えば、5μm以下、例えば、約1μm〜5μmのMMAD)、高度に分散性である(例えば、2.0、好ましくは、1.5未満の1/4バールあるいは0.5/4バール)粉末を有することが望ましい。より好ましくは、吸入可能な乾燥粉末は、1〜4μm、1〜3μm、約3μm、約2.9μm、約2.8μm、約2.7μm、約2.6μm、約2.5μm、約2.4μm、約2.3μm、約2.2μm、約2.1μmまたは約2.0μmのMMADを有し、1.4未満または1.3未満、より好ましくは1.2未満の1/4バールを有する、吸入可能な乾燥粒子を含む。
HELOSシステムを用いて1バールにおいて測定された粒子の絶対幾何学的直径は、その粒子のエンベロープ密度が、MMADが上に列挙された1つの範囲内であるように十分であるならば、重要でなく、ここで、MMADは、VMGDにエンベロープ密度の平方根を乗算したものである(MMAD=VMGD平方根(エンベロープ密度))。固定された体積を投与する容器を用いて高単位用量の塩を送達することが望まれる場合、より高いエンベロープ密度の粒子が望まれる。高エンベロープ密度は、より多い質量の粉末を、固定された体積を投与する容器内に含めることを可能にする。好ましいエンベロープ密度は、0.1g/cm超、0.25g/cm超、0.4g/cm超、0.5g/cm超および0.6g/cm超である。
主題技術の吸入可能な乾燥粉末および粒子は、呼吸器系を介する薬物送達に適した組成物において使用され得る。例えば、そのような組成物は、主題技術の吸入可能な乾燥粒子と、1つ以上の他の乾燥粒子または粉末、例えば、別の活性な作用物質を含むかまたは1つ以上の薬学的に許容され得る賦形剤からなるかもしくは本質的になる、乾燥粒子または粉末との混合物を含み得る。
主題技術の方法において使用するために適した吸入可能な乾燥粉末および乾燥粒子は、上気道(すなわち、中咽頭および喉頭)、気管に続く気管支および細気管支への分岐を含む下気道、ならびに呼吸細気管支に分かれる終末細気管支を通って移動し、最終的な呼吸ゾーンである肺胞または肺深部に至る。主題技術の1つの実施形態において、吸入可能な乾燥粉末または粒子の質量のほとんどが、肺深部に沈着する。主題技術の別の実施形態において、送達は、主に中気道への送達である。別の実施形態において、送達は、上気道への送達である。
主題技術の吸入可能な乾燥粒子または乾燥粉末は、呼吸サイクルの様々な部分における吸入(例えば、呼吸の中間の層流)によって送達され得る。主題技術の乾燥粉末および乾燥粒子の高分散性の利点は、気道における沈着を標的化できることである。例えば、噴霧された溶液の制御された呼吸送達は、液体エアロゾル送達において最近開発されたものである(Dalby et al.Inhalation Aerosols,Hickey編 2007,p.437)。この場合、噴霧された液滴は、呼吸サイクルのある特定の部分の間だけ放出される。肺深部への送達の場合、液滴は、吸入サイクルの最初に放出される一方で、中気道への沈着の場合、吸入の後半に放出される。
本主題技術の乾燥粉末は、呼吸サイクルにおける薬物送達のタイミングおよびヒトの肺における位置も標的化するための利点を提供する。主題技術の吸入可能な乾燥粉末は、迅速に、例えば、典型的な吸入操作のわずかの間に分散され得るので、粉末分散のタイミングを制御することにより、吸入している間の特定の時間にエアロゾルを送達することができる。
高度に分散性の粉末の場合、エアロゾルの全量が、吸入の始めの部分において分散され得る。患者の吸入流速が、ピーク吸気流速まで上昇する間に、高度に分散性の粉末は、その上昇の始めにすでに分散し始めており、吸入の最初の部分において用量を完全に分散し得る。吸入の始めに吸入される空気は、肺の最も深部を換気し得るので、ほとんどのエアロゾルを吸入の最初の部分に分散させることが、肺深部への沈着にとって好ましい。同様に、中気道への沈着の場合、高濃度のエアロゾルを、中気道を換気し得る空気中に分散させることは、吸入の中間付近から終わりにその用量を迅速に分散させることによって達成され得る。これは、いくつかの機械的手段および他の手段、例えば、スイッチ条件が満たされた後にだけ、患者の吸入空気を粉末に向けて分散させる、時間、圧力または流速によって作動されるスイッチによって達成され得る。
エアロゾルの投与量、製剤および送達系は、例えば、Gonda,I.「Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract」,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,6:273−313(1990);およびMoren,「Aerosol Dosage Forms and Formulations」Aerosols in Medicine,Principles,Diagnosis and Therapy,Moren,et al,Eds.,Esevier,Amsterdam(1985)に記載されているように、特定の治療用途に対して選択され得る。
所望の治療効果を提供する投与間の好適な間隔は、状態の重症度、被験体の全体的な福祉、および吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末に対する被験体の耐性ならびに他の考慮すべき点に基づいて決定され得る。これらのおよび他の考慮すべき点に基づいて、臨床医は、投与間の適切な間隔を決定することができる。通常、吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、必要に応じて、1日に1回、2回または3回投与される。
特定の実施形態において、気道(例えば、肺、呼吸気道)に送達されるNSAIDの量は、約0.001mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.002mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.005mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.01mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.02mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.05mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.075mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.1mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.2mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量、約0.5mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量または約0.75mg/kg体重/用量〜約2mg/kg体重/用量である。
ある特定の実施形態において、投与されたアセチルサリチル酸の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%が、投与の約60分以内または投与の約40分以内または投与の約30分以内または投与の約20分以内または投与の約15分以内または投与の約5分以内に、被験体の体循環に到達する。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、約30mgのアセチルサリチル酸の経口投与によって送達されるレベルと実質的に同じかまたはそれより高いレベルで、アセチルサリチル酸およびそのアセチルサリチル酸の薬理学的に活性な代謝副産物を体循環に送達し得る。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、約40mgのアセチルサリチル酸の経口投与によって送達されるレベルと実質的に同じかまたはそれより高いレベルで、アセチルサリチル酸およびそのアセチルサリチル酸の薬理学的に活性な代謝副産物を体循環に送達し得る。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、約50mgのアセチルサリチル酸の経口投与によって送達されるレベルと実質的に同じかまたはそれより高いレベルで、アセチルサリチル酸およびそのアセチルサリチル酸の薬理学的に活性な代謝副産物を体循環に送達し得る。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、約80mgのアセチルサリチル酸の経口投与によって送達されるレベルと実質的に同じかまたはそれより高いレベルで、アセチルサリチル酸およびそのアセチルサリチル酸の薬理学的に活性な代謝副産物を体循環に送達し得る。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、約160mgのアセチルサリチル酸の経口投与によって送達されるレベルと実質的に同じかまたはそれより高いレベルで、アセチルサリチル酸およびそのアセチルサリチル酸の薬理学的に活性な代謝副産物を体循環に送達し得る。
約30mg、約40mg、約50mg、約80mgまたは約160mgのアセチルサリチル酸の経口投与によって送達されるレベルと実質的に同じかまたはそれより高いレベル(または患者集団間の平均レベル)を達成するために投与されるアセチルサリチル酸の用量は、従来の方法によって決定され得る。投薬の手法、投与の手法およびスケジュールは、当該分野で公知であり、熟練の臨床医の能力の範囲内である。例えば、被験体におけるアセチルサリチル酸またはその代謝産物の血清レベル(または被験体集団間の平均血清レベル)は、従来の薬物動態学的研究または薬力学的研究によって決定され得る。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、アセチルサリチル酸の循環血漿レベルが、投与の約60分以内または投与の約40分以内または投与の約30分以内または投与の約20分以内または投与の約15分以内または投与の約5分以内に、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約2μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約4μg/mL、少なくとも約5μg/mLまたは少なくとも約6μg/mLとなるように、体循環にアセチルサリチル酸を送達し得る。
ある特定の実施形態において、本明細書中に記載される方法および送達デバイスは、サリチレートの循環血漿レベルが、投与の約60分以内または投与の約40分以内または投与の約30分以内または投与の約20分以内または投与の約15分以内または投与の約5分以内に、約8μg/mL、約9μg/mL、約10μg/mL、約11μg/mL、約12μg/mL、約15μg/mLとなるように、体循環にアセチルサリチル酸を送達し得る。
所望であるかまたは示される場合、本明細書中に記載される吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、1つ以上の他の治療薬とともに投与され得る。その他の治療薬は、任意の好適な経路、例えば、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内または皮下注射)、局所的に、吸入によって(例えば、気管支内、鼻腔内または経口吸入、鼻腔内滴剤)、直腸に、膣に、などによって、投与され得る。吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末は、他の治療薬の投与の前、その投与と実質的に同時、またはその投与の後に、投与され得る。好ましくは、吸入可能な乾燥粒子および乾燥粉末ならびに他の治療薬は、それらの薬理学的活性が実質的に重複するように投与される。
本発明を実施するための具体的な態様の以下の例は、単に例証目的で提供されるものであって、決して本発明の範囲を限定すると意図されていない。
[実施例1]
吸入用のアスピリン粒子の開発
この研究は、肺深部組織への送達のために2.0μm未満の粒径を有する、リン脂質でコーティングされたアスピリン粒子を開発するものであった。この開発研究は、以下の目標粒径:0.5nm〜2.0μmのDv50;1.5〜2.0μmのDv90を達成するために行われた。
目標粒径を達成するためにアスピリン粒子を微粒子化するための方法として、ジェットミリングを選択した。ジェットミリング操作は、製造された2つのバッチに対して、0.4μmのDv50ならびに1.3μmおよび1.6μmのDv90を首尾よく再現した。次いで、微粒子化された粒子を、粒子の集塊形成および吸入時の刺激作用を減少させるためにDSPC(1,2−ジステアロイル−(sn)−グリセロ−3−ホスホコリン)またはダイズレシチンを用いて噴霧乾燥した。DSPC/アスピリンに対して79%の収率およびダイズレシチン/アスピリンに対して54%の収率が得られた。
各工程において粒径解析を行った。噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子は、1.8〜3.6μmの範囲であり、レシチン/ASA粒子は、1.7〜3.3μmの範囲であった。
DSC研究は、DSPCを用いた噴霧乾燥の前後のアスピリンの結晶構造に変化がないことを示した。TGAは、噴霧乾燥前の粒子と噴霧乾燥後の粒子の両方に対して0.6%の水分含有量を示したことから、噴霧乾燥後にいかなる残留溶媒も存在しないことが示唆された。
製剤の開発
1.アセチルサリチル酸
Rhodia Inc.から入手したRhodine 3040 USをすべての実験に対して用いた。粒子を0.1%w/wドキュセートナトリウム水溶液に分散させ、光学顕微鏡下で観察することにより、粒径を確認した。66〜280μmの範囲の粒子が観察されたことから、解析証明書のデータが確認されたが、それらの粒子の観察された「丸さ」は、その水性分散剤における部分的な溶解を示している。
2.粒径解析
レーザー回折および光学顕微鏡法を用いて、粒径解析を行った。
2.1.レーザー回折
フラクションセルを備えたHoriba LA−950 V2を、以下のパラメータを使用するレーザー回折研究に使用した;分散媒:n−ヘキサンに溶解された0.05%w/wダイズレシチン;媒質の屈折率:1.334;ASA粒子の屈折率:1.5623;i値:0.01。i値は、それらの粒子による光の吸収を説明するためにレーザー回折アルゴリズムが使用する虚数成分である。同じ媒質における粒子の分散原液を調製し、青色レーザーが70%〜90%でありつつ、強度メータが80%〜90%の赤色レーザーを示すまで、マグネチックスターラーバーを含むフラクションセルに滴下した。安定したら、体積平均径Dv10、Dv50およびDv90を測定した。噴霧乾燥されたリン脂質/アスピリン粒子が、選択された媒質に十分分散しなかったので、コーティングされていない粒子に対して開発されたこのレーザー回折法は、噴霧乾燥されたリン脂質/アスピリン粒子に対しては使用されなかった。
2.2 光学顕微鏡法
微粒子化される前および微粒子化された後のコーティングされていない粒子を精製水USPにおける0.1%w/wドキュセートナトリウムの溶液に分散させ、デジタルイメージング光学顕微鏡(Clemex ST−2000コントローラを備えたOlympus BX51)を400倍または1000倍の倍率で使用することによって、それらの粒子の顕微鏡写真を撮影した。噴霧乾燥されたリン脂質/アスピリン粒子は、選択された媒質に十分分散しないことが見出されたので、それらの粒子を乾燥した状態でスライドガラス上に広げた後に、顕微鏡写真を撮影した。
3.Sturtevant認定ミルを用いたジェットミリング試験
最初の研究は、キャリアガスとして窒素を使用し、ベンチュリ(venturi)#1を備えたSturtevant認定ミルを用いて行った。材料を、制御された速度ならびに所定の供給圧力および粉砕圧力において、振動フィーダーを通じて供給した。粒径減少に対する粉砕圧力、供給速度および2回目の通過の影響を調べ、それらの条件を表4に報告する。
表4:Sturtevant認定ミルを用いたジェットミリング試験
Figure 2017506252
3.1 粉砕圧力の影響
PSD(粒径分布)に対する粉砕圧力の影響を調べるために、製剤3694および3695を比較した。得られたレーザー回折および顕微鏡法の結果を表5に示す。顕微鏡法のデータとレーザー回折のデータは、非常に良く相関していることが見出された。粉砕圧力が3.5バールから5バールに上昇したとき、予想されたとおりに、測定できるほどの粒径減少が観察された。
表5:アスピリン粒径に対する粉砕圧力の影響
Figure 2017506252
3.2 供給速度の影響
粒径に対する材料の供給速度の影響を、顕微鏡法を用いて調べるために、製剤3694および3701を比較した(表6)。明らかに、流速が17g/時から54g/時に上昇したとき、有意により大きな粒子が得られた。これはおそらく、粒子が十分な摩損を起こす前に、新たな材料がミリングチャンバーに入り、粒子を捕集バッグに押し出した結果である。
表6:粒径に対する供給速度の影響
Figure 2017506252
3.3 2回目のミル通過の影響
1.5μmのDv50および2μmのDv90という目標粒径を達成するために、製剤3695を、2回目の通過のためにミルに通した。レーザー回折および顕微鏡法を用いて粒径解析を行った(表7)。ジェットミルへの2回目の通過によって、有意な粒径減少が達成されたことから、アスピリン粒子が、まず1桁のサイズ減少を起こし、最終的に得られる粒径は、用いられる最初の粒径に依存することが示唆される。
表7:粒径に対する2回目のミル通過の影響
Figure 2017506252
4.Sturtevant衛生的設計ミルを用いたジェットミリング
よりうまく制御しながらより速い供給速度を達成するため、ならびにバッチサイズを大きくするために、より大きな2”の衛生的な設計のミルを、表8に列挙されるパラメータに従って使用した。2回目の通過においても同様に材料を処理することにより、粒径を目標にまで減少させた。製剤3727および3734を、それぞれ上記認定ミルを用いて処理された3705および3725と比較することにより、PSDの再現性を調べた。1回目の通過の間に与えられた静電気の影響を最小限に抑えるために、2回目の通過に向けて粉末を供給するために帯電防止デバイスが必要であった。
表8:Sturtevant衛生的設計ミルを使用したジェットミリング
Figure 2017506252
すべての場合において、高い静電荷を有する凝集した粒子が得られた。
4.1 粒径解析
上記製剤の粒径解析を、レーザー回折および顕微鏡法を用いて行った(表9、図3および図4)。再現性のある粒径減少の結果が得られ、Dv10、Dv50およびDv90の値は、2つのミルサイズの間で同程度であり、バッチサイズは、1回目の通過については80gから200gに増加し、2回目の通過については50gから120gに増加した。1回目の通過に対しては、一峰性(Monomodal)のPSDが得られたのに対して、2回目の通過に対しては、二峰性の分布が観察された。
表9:衛生的設計ミルを用いて調製された、ジェットミルされたアスピリン製剤の粒径解析
Figure 2017506252
5.コーティング
噴霧乾燥をコーティングのために使用した。2”の衛生的なミルにおいて2回通過させて処理された、ジェットミルされた製剤3734を用いて、DSPCまたはダイズレシチンのいずれかでコーティングした。粒子を、脂質を含むn−ヘキサンに分散させ、溶媒を除去する方法として噴霧乾燥を選択した。個々のすべての粒子の周りのコーティングを達成するために、ジェットミルされた粒子を、沈殿なしに完全に分散させる必要があったので、噴霧乾燥操作の間ずっと、連続して撹拌を行った。
以前の研究から、DSPCが、吸入した際の刺激作用を緩和すると見出されていたので、5%w/wDSPCを使用した。さらに、ダイズレシチンもまた、0.1%w/wの濃度で使用した。アスピリンは、n−ヘキサンに不溶性であるので、n−ヘキサンを、微粒子化された粒子に対する分散媒として選択した。また、n−ヘキサンは、70℃の沸点を有し、これは、アスピリンの融点(約135℃)よりもかなり低いので、85℃という入口温度は、アスピリン粒子に影響することなく、溶媒を除去するはずである。
直径0.7mmのノズルが備え付けられたBuchi−290噴霧乾燥機をこの研究のために使用した。キャリアガスとして窒素を使用し、アスピレータを100%の能力に設定して、噴霧乾燥を行った。窒素の流速を1052L/時(ロータメーターにおける50mm)に調整した。分散原液を供給する前に、目標の出口温度およびシステムの安定化を達成するために、分散媒だけを使用して供給速度を調整した。
5.1 DSPCを用いた噴霧乾燥
DSPC(Lipoid PC 18:0/18:0)は、55℃の相転移温度を有する内在性の肺リン脂質である。この温度で加熱すると、DSPCは、ゲル相から液晶相に転移し、リン脂質層は、ランダムな非剛性構造を有する単層としてn−ヘキサンに分散する。ジェットミルされたアスピリン粒子が、DSPC/ヘキサン溶液に分散すると、十分に分散されたコロイド懸濁液が、顕著な沈殿なしに形成された。このことから、噴霧乾燥が、溶媒除去において、個々のアスピリン粒子をコーティングすることができるはずであると仮定された。この処理の詳細を表10に報告する。
表10:DSPC/アスピリン製剤に対する噴霧乾燥パラメータ
Figure 2017506252
処理中に噴霧乾燥チャンバーへの過剰な付着は観察されず、79%の収率が得られた。また、得られたコーティングされた粒子は、コーティングされていない粒子よりも高密度であり、静電気がより少ないと観察された。
5.1.1 粒径解析
噴霧乾燥されたDSPCコーティングされた粒子は、コーティングされていないアスピリン粒子の粒径解析のために使用された0.05%w/wダイズレシチン/n−ヘキサン溶液にも同様に分散しないと見出された。コーティングされていない場合と比べて、いくらかの集塊形成が顕微鏡法によって観察されたが、主要な粒子のPSDの範囲が、顕微鏡像から照合された(表11)。
表11:微粒子化されたコーティングされていないおよび噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子の粒径
Figure 2017506252
5.1.2 示差走査熱量測定(DSC)
処理によって誘導されるアスピリンの結晶化度の任意の変化を調べるために、未加工のアスピリン、製剤3734のコーティングされていないミリングされた粒子、および製剤3739の噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子に対してDSC研究を行った。
サンプルを、40μLのアルミニウムパンの中に入れて、穴のあいた蓋で密閉し、示差走査熱量計(STAR(登録商標)ソフトウェアV10.00を備えたMettler−Toledo DSC)を用いて解析した。それらのサンプルを、10℃/分の速度で25℃から160℃に加熱した。空のパンを参照とした。
すべてのサンプルにおいて、アスピリンの融解に対応する急な吸熱ピークが観察された。他の多形変換は観察されなかった。また、有意なピークのシフトも観察されなかったことから、処理の際のアスピリンの結晶化度の変化がなかったことが確かめられた(図5、表12)。
表12:未加工の微粒子化されたコーティングされていないアスピリン粒子および噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子のDSC解析
Figure 2017506252
5.1.3 熱重量分析(TGA)
製剤3734の微粒子化されたコーティングされていないアスピリン粒子および製剤3739の噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子に対してTGAを行うことにより、残留溶媒、および噴霧乾燥における粒子の水分含有量の変化についてそれらの粒子を評価した。
噴霧乾燥された粉末のTGAは、STAR(登録商標)ソフトウェアV10.00を備えたMettler−Toledo TGA/DSC 1を用いて、40μLのアルミニウムオープンパンを10℃/分の速度で25℃から160℃に加熱することによって、それらのパンにおいて行われた。%重量減少を25℃から120℃まで測定し、噴霧乾燥前と噴霧乾燥後との間で比較した。
TGAデータは、噴霧乾燥前および噴霧乾燥後の%重量減少が同様の値を示したので、噴霧乾燥された粒子に残留ヘキサンが存在しないことを示唆している。0.57%の重量減少は、噴霧乾燥前および噴霧乾燥後のアスピリン粒子の水分含有量をおそらく示している(図6、表13)。
表13:微粒子化されたコーティングされていないアスピリン粒子および噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子に対する%重量減少
Figure 2017506252
5.2 ダイズレシチンを用いたアスピリン粒子の噴霧乾燥
ダイズレシチンもまた、吸入薬物送達に対して承認されており、ジェットミルされたアスピリン粒子を十分分散させることができたので、ダイズレシチンを賦形剤として選択した。ゆえに、溶媒の除去において、個々のアスピリン粒子をコーティングすることができると予想された。
ダイズレシチンをn−ヘキサンに溶解し、ジェットミルされたアスピリン粒子を、撹拌しながらそれに分散させた。しかしながら、DSPCにおけるアスピリンの分散とは異なり、0.1%w/w濃度のダイズレシチンは、コロイド分散液を形成することができず、いくらかの沈殿が観察された。ゆえに、アスピリン粒子の分散を維持するために、噴霧乾燥中に供給懸濁液の連続的な撹拌を行った。表14におけるパラメータを用いて噴霧乾燥を行うことにより、n−ヘキサンを除去し、アスピリン粒子をコーティングした。54%の収率が得られた。
表14:ダイズレシチン/アスピリン製剤に対する噴霧乾燥パラメータ
Figure 2017506252
5.2.1 粒径解析
粒径解析を、粉末の顕微鏡法を用いて行い、微粒子化されたコーティングされていないアスピリンおよび噴霧乾燥されたDSPC/アスピリンと比較した。噴霧乾燥された両方の製剤の粒径が、良好な結果を示している(表15)。
表15:噴霧乾燥されたダイズレシチン/アスピリン粒子の粒径解析
Figure 2017506252
結論
アスピリンの微粒子化によって、開始時の粒径のおよそ70倍の減少がもたらされた。DSPCまたはダイズレシチンを用いた噴霧乾燥によって、肺深部組織への薬物送達にとって良好な粒径がもたらされ、最大サイズは3.6μmであった。噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子は、ダイズレシチン/アスピリン粒子よりも静電気が少ないこと、さらには、微粒子化されたコーティングされていないアスピリン粒子よりも静電気が少ないことが見出された。アスピリンの結晶構造は、DSC研究によって観察されたとき、ミリング中または噴霧乾燥中に変化しなかった。DSC研究は、処理中の多形変換などの他の任意の事象も存在しないことを示唆した。TGA解析において、微量の残留溶媒も、噴霧乾燥されたDSPC/アスピリンには見られなかった。
[実施例2]
DSPC/アスピリン粒子およびダイズレシチン/アスピリン粒子の排出量解析
次世代インパクタ(NGI)を用いた2つのDPIデバイス、TwinCapsおよびRS01によって排出量を重量測定法で評価することによって、ASA粉末の空気力学的粒径分布(APSD)を測定した。USP<601>,Inhalation and Nasal Drug Products:Aerosol,Sprays,and Powders−Performance Quality Testsが規定しているように、およそ40および100L/分の流速は、それぞれTwinCapsおよびRS01デバイスによって4kPaの圧力降下をもたらした。
様々な充填量を用いて、TwinCaps DPIを試験した(2回の操作)。そのデバイスからの近似排出量を重量に基づいて測定するために、試験を行った。準備されたばかりのNGIを用いて、各試験を行った。
TwinCapsデバイスを用いたとき、低排出量が観察されたので、ラクトース粉末(60mg)を充填したTwinCapsを用いて、NGI装置を備えたそのDPIの適切な設定を実証した。そのラクトース粉末は、40L/分の流速において94.5%の排出量をもたらした。
近似排出量を重量に基づいて測定するために、Plastiape RS01単回DPI吸入器もまた、Size 3 HPMCカプセルにおいて様々な充填量を用いて試験した。表16に、重量測定試験の結果をまとめる。
RS01は、TwinCapsよりも多い排出量をもたらしたので、その後の捕集方法の開発のためにRS01を使用した。
表16:デバイスの実行可能性についての重力測定試験
Figure 2017506252
[実施例3]
乾燥分散およびレーザー回折による吸入アスピリンの粒径分布(PSD)解析
製剤3739の乾燥している分散された噴霧乾燥されたDSPC/アスピリン粒子(表17)および噴霧乾燥されたダイズレシチン/アスピリン粒子製剤3740(表18)のレーザー回折解析を用いて、粒径解析を行った(DSPC/アスピリン粒子およびダイズレシチン/アスピリン粒子の調製については実施例1を参照のこと)。
表17
Figure 2017506252
表18
Figure 2017506252
RSD:相対標準偏差
[実施例4]
噴霧乾燥されたアスピリン/DSPC粒子のNGI(次世代インパクタ)解析
実施例1の乾燥粉末を空力性能について評価した。37±1mgの粉末で満たされた#3HPMCカプセルを用いて、ASA−5%DSPCに対して、NGIによるAPSDを測定した(n=5)。それらの複製物のうちの2つを、2つの粉末カプセルをカスケードインパクタに送達することによって、実施した。それらの複製物のうちの3つを、1つの粉末カプセルを送達することによって、実施した。使用したDPIデバイスは、単回吸入器であった。このNGI試験の条件は、20℃〜25℃および40%〜50%RH(相対湿度)の範囲であった(表19)。
表19
Figure 2017506252
表20は、DSPC/アスピリン粒子の空気力学的特性を示している。
表20
Figure 2017506252
Figure 2017506252
[実施例5]
噴霧乾燥されたアスピリン/ダイズレシチン粒子のNGI解析
実施例1の乾燥粉末を空力性能について評価した。使用したDPIデバイスは、単回吸入器であった。37±1mgの粉末で満たされた#3HPMCカプセルを用いて、ASA−0.1%ダイズレシチンに対して、NGIによるAPSDを測定した(n=5)。2カプセルを送達するための粉末充填量(およそ74mg)はそのNGIに過負荷をかけ得る懸念があるので、1カプセルと2カプセルの両方の送達レジメンで試験を行った。それらの複製物のうちの2つを、2つの粉末カプセルをカスケードインパクタに送達することによって、実施した。それらの複製物のうちの3つを、1つの粉末カプセルを送達することによって、実施した。このNGI試験の条件は、20℃〜25℃および40%〜50%RH(相対湿度)の範囲であった(表21)。
表21
Figure 2017506252
表22は、ダイズレシチン/アスピリン粒子の空気力学的特性を示している。
表22
Figure 2017506252
[実施例6]
アスピリンのHPLC解析
USPの方法の一般的なパラメータを用いて、以下の方法によって、送達された用量およびNGIサンプルを解析した。その方法は、NGIの回収に適した範囲にわたって所与のサンプル中のアスピリンの量を正確にアッセイするようにデザインされた。2つの噴霧乾燥された薬物生成物−95:5アスピリン:DSPCおよび99.9:0.1アスピリン:ダイズレシチンに対して方法を特に調整した。
装置
HPLCカラムは、Phenomenex Luna C18(2)5μm,4.6×100mmであった。Shimadzu HPLC Equipmentを使用し、それは、Shimadzu SIL−HTCオートサンプラー、Shimadzu CTO−10ASVPカラムオーブン、Shimadzu LC−10ADVPバイナリーHPLCポンプ、Shimadzu DGU−14Aインライン脱気装置、Shimadzu UV検出器、およびShimadzu Class VPソフトウェアを備えたコンピュータを備えていた。
材料
移動相Aは、69:28:3の水:メタノール:氷酢酸であった。移動相Bは、97:3のメタノール:氷酢酸であった。希釈剤は、95:5のメタノール:氷酢酸であった。針洗浄液は、50:50の水:メタノールであった。標準試薬は、750μg/mLのアスピリンであった(標準試薬A「WSA」および標準試薬B「WSB」)。
HPLCの条件および解析
流速は、2.0mL/分であった。サンプル注入量は、10μLであった。表23におけるタイミングスキームに従って、グラジエントをかけた。
表23 HPLCグラジエントプログラム
Figure 2017506252
サンプルの解析は、以下の順序であった:
A.ブランク(2回注入)
B.標準試薬A(6回注入)
C.標準試薬B(2回注入)
D.ブランク(1回注入)
E.サンプル(各1回注入)
F.WSB(QC標準)(1回注入)
必要に応じて、工程E〜Fを繰り返して、1つの順序の最後の注入を確実にQC標準とする。
WSAとWSBとの間の標準の一致は、97.0〜103.0%以内でなければならない。WSBに対する進行中の標準の解析と最初の解析(n=2)とのQC標準の一致は、97.0〜103.0%の間でなければならない。
WSAとWSBとの間の標準の一致を、下記の方程式に従って算出した。
Figure 2017506252
式中:
SA=標準一致(%)
WSA=WSA平均面積(n=6)
WSB=WSB平均面積(n=2)
WSA=WSAの理論的濃度(μg/mL)
WSB=WSBの理論的濃度(μg/mL)
100=%への変換
(1または複数の)QC標準の%回収率を、下記の方程式に従って算出した。
Figure 2017506252
式中:
QC=QC%回収率
Qc=QC面積
WSB=最初のWSB平均面積(n=2)
100=%への変換
サンプルの濃度を、下記の方程式に従って算出した。
Figure 2017506252
式中:
SX=サンプル濃度(μg/mL)
SX=サンプル面積
WSA=WSA平均面積(n=6)面積
WSA=理論的なWSA濃度(μg/mL)
前述の説明は、当業者が本明細書中に記載された様々な構成を実施することを可能にするために提供される。主題技術が、様々な図面および構成を参照して特に説明されてきたが、これらは、単に例証目的であって、主題技術の範囲を限定すると見なされるべきでないことが理解されるべきである。
主題技術を実行する他の多くの方法が存在し得る。本明細書中に記載された様々な機能およびエレメントは、主題技術の範囲から逸脱しなければ、示されたものと異なって分割されてもよい。これらの構成に対する様々な改変が、当業者には容易に明らかになり、本明細書中に定義された一般原理が、他の構成にも適用され得る。したがって、主題技術の範囲から逸脱しなければ、当業者は、主題技術に対して多くの変更および改変を行ってもよい。
開示されたプロセスにおける工程の具体的な順序または序列は、例示的なアプローチの例証であると理解される。デザインの優先度に基づいて、それらのプロセスにおける工程の具体的な順序または序列は、再編成されてもよいと理解される。それらの工程のいくつかは、同時に行われ得る。添付の方法の請求項は、様々な工程のエレメントをサンプル順序で提示しており、提示された具体的な順序または序列に限定されると意味されていない。
本明細書中で使用されるとき、一連の項目のいずれかを分断する用語「および」または「または」を伴って、それらの項目の前に置かれた「少なくとも1つ」という句は、そのリストの各メンバー(すなわち、各項目)ではなく、そのリストを全体として修飾している。句「少なくとも1つ」は、列挙された各項目の少なくとも1つの選択を要求しているのではなく;むしろ、その句は、それらの項目のうちのいずれか1つの少なくとも1つおよび/またはそれらの項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つおよび/またはそれらの項目の各々のうちの少なくとも1つを含むことを意味することを許容している。例として、句「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」または「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」は各々、Aだけ、BだけもしくはCだけ;A、BおよびCの任意の組み合わせ;ならびに/またはA、BおよびCの各々のうちの少なくとも1つのことを指す。
さらに、用語「含む(include)」、「有する」などは、上記説明または請求項で使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprise)」が、請求項において移行句として使用されるときに解釈されるように、用語「含む(comprise)」と同様に包括的であると意図されている。
単語「例示的な」は、「例、実例または例証として働く」ことを意味するために本明細書中で使用される。「例示的な」として本明細書中に記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有益であると解釈されない。
単数形でのエレメントの言及は、具体的に述べられていない限り、「1つおよびただ1つ」を意味すると意図されず、むしろ「1つ以上の」を意味すると意図される。男性の代名詞(例えば、彼の)は、女性および中性の性別(例えば、彼女のおよびそれの)を含み、その逆もまた同じである。用語「いくつか」は、1つ以上のことを指す。下線が付されたおよび/またはイタリック体の見出しおよび小見出しは、単に便宜上使用されるものであって、主題技術を限定しておらず、主題技術の説明の解釈に関連して言及されていない。当業者に公知であるかまたは後に当業者に公知になる、本開示全体に記載された様々な構成のエレメントの構造的および機能的等価物のすべてが、明白に、参照により本明細書中に援用され、主題技術によって包含されると意図される。さらに、そのような開示が、上記の説明において明示的に列挙されたか否かに関係なく、公に対して捧げられると意図された、本明細書中に開示されるものは何もない。
主題技術は、その詳細な説明とともに説明されてきたが、前述の説明は、主題技術の例証が意図されており、主題技術の範囲の限定が意図されているわけではないことが理解されるべきである。主題技術の他の態様、利点および改変も、下記に示される請求項の範囲内である。本明細書は、本明細書内で引用された参考文献の教示に照らして、徹底的に理解される。本明細書内の実施形態は、本発明の実施形態の例証を提供するものであって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。当業者は、他の多くの実施形態が本発明によって包含されると容易に認識する。本開示において引用されたすべての刊行物および特許が、そのまま参照により援用される。参照により援用される資料が、本明細書と矛盾するかまたは相反する限りにおいては、本明細書がそのようないずれの資料にも取って代わる。本明細書中のいずれの参考文献の引用も、そのような参考文献が本発明に対する従来技術であると自認するものではない。
当業者は、単なる日常的な実験を用いて、本明細書中に記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するかまたは確認できるだろう。そのような等価物は、以下の実施形態によって包含されると意図されている。

Claims (15)

  1. アセチルサリチル酸またはその薬学的に許容され得る塩を含む吸入可能な乾燥粒子を含む吸入可能な乾燥粉末であって、前記乾燥粉末は、約0.5μm〜約10μmの範囲内の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する実質的に乾燥した粒子を含み、前記乾燥粉末はさらに、1種以上のリン脂質を前記乾燥粒子の約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)の範囲の量で含む、該吸入可能な乾燥粉末。
  2. 前記組成物が、約20μm未満のDV90、約7μm未満のDV50および約2μm未満のDV10を示すMMADサイズ分布を有する粒子を含む、請求項1に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  3. 前記組成物が、約10μm未満のDV90、約4μm未満のDV50および約1μm未満のDV10を示すMMADサイズ分布を有する粒子を含む、請求項1に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  4. 前記組成物が、約6μm未満のDV90、約3μm未満のDV50および約1μm未満のDV10を示すMMADサイズ分布を有する粒子を含む、請求項1に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  5. 前記乾燥粉末がさらに、薬学的に許容され得る賦形剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  6. 前記薬学的に許容され得る賦形剤が、前記賦形剤を含まない乾燥粉末と比べて、前記乾燥粉末の流動性、バイオアベイラビリティおよび耐容性を高めるのに有効である、請求項5に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  7. 前記薬学的に許容され得る賦形剤が、界面活性剤特性を有するリン脂質を含む、請求項6に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  8. 前記薬学的に許容され得る賦形剤が、ジパルミトイルホスホチジルコリン(DPPC)またはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)のうちの少なくとも1つを約0.1%〜約10%w/wの範囲の量で含む、請求項7に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  9. 前記薬学的に許容され得る賦形剤が、ジパルミトイルホスホチジルコリンまたはジステアロイルホスホチジルコリンのうちの少なくとも1つを約1%〜約5%w/wの範囲の量で含む、請求項8に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  10. クロピドグレルをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸入可能な乾燥粉末。
  11. 血栓塞栓事象のリスクを低減するのに有効かまたは血栓症を処置するのに有効な薬物送達系であって、前記系は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸入可能な乾燥粉末を含み、前記アセチルサリチル酸が、約40mg以下の用量で存在する、該薬物送達系。
  12. 血栓症を処置するかまたは血栓塞栓事象のリスクを低減する方法であって、前記方法は、それを必要とする被験体に、治療的に有効な用量のアセチルサリチル酸を投与する工程を含み、前記アセチルサリチル酸は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸入可能な乾燥粉末を含む乾燥粉末吸入器によって送達され、前記被験体に投与されるアセチルサリチル酸の用量は、約40mg以下である、方法。
  13. 前記吸入可能な乾燥粉末が、アセチルサリチル酸およびクロピドグレルを含み、前記被験体に投与されるクロピドグレルの用量が、約75mg以下である、請求項12に記載の方法。
  14. アセチルサリチル酸またはその薬学的に許容され得る塩を含む吸入可能な乾燥粒子を含む吸入可能な乾燥粉末であって、前記乾燥粉末は、約0.5μm〜約10μmの範囲内の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する実質的に乾燥した粒子を含み、前記乾燥粉末はさらに、1種以上のリン脂質を、前記アセチルサリチル酸の味をマスクするのに有効な量で含む、吸入可能な乾燥粉末。
  15. 前記リン脂質が、ジパルミトイルホスホチジルコリン(DPPC)またはジステアロイルホスホチジルコリン(DSPC)のうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の吸入可能な乾燥粉末。
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