JP2017225770A - ロックバー - Google Patents

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Abstract

【課題】固定具とカウチの位置再現性を確保するために使用される製品には、金属製のロックバーは肺がんや食道がんに対して照射を行う際に、照射野に入り、投与される線量への影響が無視できない。放射線の吸収の少ないロックバーを提供する。【解決手段】板状の本体10と、前記本体の一方の端に備えられた固定脚12と、前記本体の他方の端に備えられた偏心クランプ脚14と、前記本体の前記固定脚と前記偏心クランプ脚の間に設けられた複数の規制孔16を有し、前記本体と、前記固定脚と、前記偏心クランプ脚はすべて放射線低吸収材で構成されていることを特徴とするロックバー1。【選択図】図1

Description

本発明は、高精度放射線治療を行う際に、カウチ上の患者体位の再現性を確保するために用いられるロックバーに関するものである。
近年、放射線治療装置の発展に伴い、体幹部定位放射線治療や強度変調回転照射(Volumetric Modulated radiation Arc Therapy(VMAT))などの高精度放射線治療が多くの施設で用いられるようになってきた。これら高精度放射線治療では、一般的に小照射野や複雑な照射方法が利用されるめ、従来の治療方法と比較して、照射位置の正確さ、患者体位の再現性、また照射中の患者の動きを抑制するための患者固定精度などが要求される。
そのため、画像誘導放射線治療(Image Guided Radiation Therapy(IGRT))や吸引式固定具などが同時に用いられることが多い。米国医学物理学会(American Association of Physicists in Medicine(AAPM))のtask group report 176(TG−176)では、IGRTを行うのに最適とされるカーボン製のカウチや各種固定具を使用することによる高精度放射線治療時の線量の減弱などを危惧している。
この問題に対する対応策として、カウチトップモデリングや各種固定具を計算領域に含めるなどの方法が提示され、処方される線量への影響を正確に計算することを推奨している。しかし、カウチトップモデリングを使用して治療計画を行った場合、治療計画装置上の線量分布を忠実に再現するためには、患者の位置再現性のみならず、各種固定具とカウチの位置再現性も必要とされる。
特許文献1では、患者を高精度に固定する装置が開示されている。図8を参照すると、特許文献1では、側面に沿って凹部132を有するテーブル天板(カウチ)130と、対向する凹部132に嵌合され、両端に設けられたディスクを有し、カウチ130を横断するロックバー101が開示されている。ロックバー101の両端のディスクは、一方が偏心カムになっており、両端のディスク112間の距離が、わずかに変化する。
ロックバー101は、カウチ130の対向する凹部132に係合したのち、偏心カムでディスク間の距離を短くすることで、カウチ130を両側から締め付けるようにして固定される。
このロックバー101は患者の固定具150をカウチ130に固定するために使用される。図9には、患者の固定具150の使用例を示す。図9の固定具150は、網目状のネット152と固定木154で形成されている。網目状のネット152で患者を覆い、そのネット152に連結された固定木154をロックバー101に固定することで、患者をカウチ130に固定する。
なお、この固定具150は、予めカウチ130上に患者を寝かせて位置を決め、固定具150を温めてネット152を柔らかくしてから、ロックバー101に押し付けることで患者固有の型を取る。2度目の使用からは、この固定具150で患者をカウチ130に固定することで、前回と同じ位置に再現よく固定することができる。
特開2004−249090号公報
現在、固定具とカウチの位置再現性を確保するために使用される製品には、金属製のロックバー(Additional Exact(登録商標)Lok−Bar(varian lok−bar:Varian Medical Systems、 Palo Alto、 CA):以後「従来ロックバー」と呼ぶ。)がある。しかし、この従来ロックバーは肺がんや食道がんに対して照射を行う際に、照射野に入る場合があり、投与される線量への影響が無視できない。また、従来ロックバーがあることにより、治療用の放射線入射角度が制限を受けるケースがある。
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたもので、放射線の吸収の少ないロックバーを提供する。
より具体的に本発明に係るロックバーは、
板状の本体と、
前記本体の一方の端に備えられた固定脚と、
前記本体の他方の端に備えられた偏心クランプ脚と、
前記本体の前記固定脚と前記偏心クランプ脚の間に設けられた複数の規制孔を有し、
前記本体と、前記固定脚と、前記偏心クランプ脚はすべて放射線吸収材で構成されていることを特徴とする。
本発明に係るロックバー(以後「本発明ロックバー」と呼ぶ。)は、ビームがロックバーを透過する際に生じる線量減弱率は、従来ロックバーを使用した場合と比較して6MV X線では最大17%、10MV X線では最大15%改善した。また臨床のVMAT planにおいても、本発明ロックバーによる線量減弱率は、従来ロックバーよりも低い。
本発明に係るロックバーの構成を示す図である。 本発明に係るロックバーをカウチに取り付ける様子を示す図である。 CT撮影のモデル従来ロックバー、本発明ロックバー、ロックバーなしの断面を示す図である。 ロックバーを装着して撮影されたCT画像と、各CT画像からロックバーを装着していない状態で撮影されたCT画像のCT値を差分した画像と、それぞれの差分画像のX軸方向におけるCT値のプロファイル曲線を示す図である。 測定によって得られた各ロックバーの角度ごとの線量減弱率を示すグラフである。 治療計画装置の線量計算結果(AAAおよびAcurosXB)から算出された線量減弱率と、実測(measurement)によって得られた線量減弱率の比較を示すグラフである。 治療計画装置の線量計算結果(AAAおよびAcurosXB)から算出された線量減弱率と、実測(measurement)によって得られた線量減弱率の比較を示すグラフである。 患者の固定装置の外観を示す図である。 固定具の具体例を示す図である。
以下に本発明に係るロックバー(本発明ロックバー)について図面を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
図1に本発明ロックバー1を示す。本発明ロックバー1は、板状の本体10と、本体10の一方の端に備えられた固定脚12と、本体10の他方の端に備えられた偏心クランプ脚14と、本体10の固定脚12と偏心クランプ脚14の間に設けられた複数の規制孔16を有する。また、これらの本体10と、固定脚12と、偏心クランプ脚14はすべて放射線低吸収材で構成されている。
板状の本体10はカーボンファイバーで構成されている。上面10aおよび下面10bは平行で平坦に形成されている。長さ10Lは、使用するカウチの幅よりわずかに長い。厚み10tは、本発明ロックバー1として使用される際に、与えられるひねり、たわみに耐えられる程度の厚みがある。これは、使用するカーボンファイバー他の物質の組成によって変わる値であって、設計事項となる。本体10の両端には、脚固定用貫通孔10hが設けられている。なお、図1では、すでに脚固定用貫通孔10hには、すでにネジ13、15が締結されている。
脚は、固定脚12と偏心クランプ脚14の2種類の脚がある。図1(b)に固定脚12の拡大図を示す。図1(b)を参照して、固定脚12は、上部12aと下部12bの径の異なる円筒形が融合した形状をしている。上部12aの径は下部12bの径より小さい。なお、上部12aおよび下部12bの径は同じであってもよい。また下部12bには、さらに径の大きなリング部12cが形成されている。固定脚12も放射線低吸収材で形成されている。
固定脚12の中心軸には、ネジ溝が形成されたネジ穴12hが形成されている。ネジ穴12hは固定脚12を貫通する貫通孔であってもよい。本体10と固定脚12とは脚固定用貫通孔10hとネジ13で締結固定される。ここで使用されるネジ13も放射線低吸収材で形成されている。
図1(c)を参照して、偏心クランプ脚14は、固定脚12と同様の構造体であるが、上部14aと下部14bは同一径である。リング部14cは、上部14aおよび下部14bの径よりわずかに大きい。また、偏心クランプ脚14は、上部14aに腕14dとハンドル14fが一体形成されている。なお、ここで一体形成とは、1つの金型から一体的に射出成型される場合を含み、別々の部材を組み合わせたものであってもよい。偏心クランプ脚14は他方の脚固定用貫通孔10hにネジ15で回転自在に固定される。偏心クランプ脚14および偏心クランプ脚14を本体10に回転自在に固定するネジ15(図1(a)参照)も放射線低吸収材である。
また、偏心クランプ脚14にもネジ穴14hが形成されている。しかし偏心クランプ脚14のネジ穴14hは、上部14aおよび下部14bの円筒中心軸からはずれた位置に形成されている。
なお、後述する実施例において金属製の従来ロックバー101はハンドル14fの下方に点線で示した突起物14xが設けてある。
図2には、カウチ30に本発明ロックバー1が固定される様子を示す。カウチ30の両側面には、一対の凹部32が複数個所に設けられている。各一対の凹部32は、カウチ30の側面に対して直角方向の横断線30L上に設けられている。
本発明ロックバー1は、この横断線30L上に固定脚12および偏心クランプ脚14が係合するように載置される。その後ハンドル14fを符号A方向に回転させると、リング部14cのネジ穴14hから遠い箇所14ca(図1(c)参照)がカウチ30の凹部32と当接し、本発明ロックバー1がカウチ30に固定される。
再び図1を参照して、本体10には、両端の脚固定用貫通孔10hの間に複数の規制孔16が設けられる。規制孔16は、患者を固定するための固定具150(図9参照)をカウチ30に固定する際に用いる。この規制孔16には、内面にネジ溝が形成されている。固定具150をカウチ30に固定する際には、固定具150に設けられた固定用孔に端部にネジが切られたピン18を通して、規制孔16にねじ込むだけで固定具150はカウチ30に固定される。
なお、これらのピン18もすべて放射性低吸収材である。また、放射線低吸収材は、カーボンファイバーと樹脂の混合材ばかりでなく、単一の樹脂製品であってもよい。
従来ロックバー101と本発明ロックバー1で、CT撮影時のアーチファクトについて調べた。従来ロックバー101は金属製であり、形状は図1(c)の突起物14xを有する以外は、本発明ロックバー1と同じ形状である。
両ロックバーをCT撮影装置のカウチ30に取り付け、CT撮影を行った。従来ロックバー101に使用されている金属によるアーチファクトの発生の有無とそのアーチファクトの発生源について検証するために撮影されたCT画像の比較を行った。
CT装置は、16列マルチスライスCT装置(Optima CT 580W; GE Healthcare、 Milwaukee、 WI、 USA)を使用した。撮影条件は、管電圧120kV、管電流600mAとし、視野(FOV:Field of View)はロックバーが全て入るように60cmとした。ファントムにはIm’RT phantom(IBA Dosimetry GmbH社製、 Schwarzenbruck、 Germany)を使用した。
ロックバーの上にIm’RT phantom(以後単に「ファントム」という。)を配置するために、アクリル製の板をロックバーの上に敷き、その上に疑似体を配置した。この状態を図3に示す。図3を参照して、符号30はカウチであり、符号1は本発明ロックバーであり、符号101は従来ロックバーであり、符号40はアクリル板である。また符号45はファントムである。図3(a)は従来ロックバー101、図3(b)は本発明ロックバー1、図3(c)はロックバーなしである。
CT撮影は、ロックバーなしの状態、従来ロックバー101を配置した状態、そして本発明ロックバー1を配置した状態でそれぞれ同一範囲を撮影した。撮影終了後、Advantage WS(ワークステーション)(GE Healthcare社製、 Milwaukee、 WI、 USA)上で、従来ロックバー101を装着して撮影された画像(図3(a)で撮影された画像)とロックバーを装着せずに撮影された画像(図3(c)で撮影された画像)の各ピクセルのCT値を差分し、差分画像を作成した。
同様に、本発明ロックバー1を装着して撮影された画像(図3(b)で撮影された画像)とロックバーを装着せずに撮影された画像(図3(c)で撮影された画像)の各ピクセルのCT値を差分し、差分画像を作成した。
それぞれ作成された差分画像を用いて、アーチファクトの分布を目視にて比較した。また、アーチファクトによるCT値の変動を調査するためにCT画像のX軸方向についてCT値のプロファイル曲線を取得した。
<治療計画装置での線量計算>
米国医学物理学会(AAPM)のTG−176では、各種固定具を線量計算領域に含めて線量計算することが提案されている。そこで、撮影されたロックバーのCT画像を治療計画装置に取り込み、ロックバーを考慮することによって線量計算結果がどのように変化するか調査した。治療計画用CT画像は、CT撮影時のアーチファクトを調査するために撮影された画像を用いた。各ロックバーが線量計算領域に含まれるように輪郭抽出した。CT値のオーバーライド機能は使用しなかった。
線量計算アルゴリズムの違いによる線量計算結果の変化を調査するために、Anisotropic Analytical Algorithm(AAA)とAcurosXB ver.10を用いた。計算に使用するX線エネルギーは、6MVと10MVとした。これらは共にそれぞれのアルゴリズムを有するプログラムである。以後「AAA」および、「AcurosXB」という。
線量計算は、照射野サイズ10×10cmの照射野をgantry角度100°から180°まで10°間隔に作成し、100MU照射したときのIsocenterでのポイント線量をそれぞれ計算した。
また、ビーム中心軸がロックバーをカウチに固定するための部分を通る角度(gantry(ガントリ)角度112°)での線量計算も追加で行った。
線量計算によって得られた吸収線量は、ロックバーを装着していない状態のCT画像において計算された各角度の吸収線量値を基準として、各角度での線量減弱率に変換した。
<線量計による実測>
各ロックバーの線量減弱率を調査するために、ファントムの中央にFarmer(ファーマ)形電離箱を挿入し、角度ごとに100MUの照射を行い、吸収線量をそれぞれ測定した。ロックバーとファントムの配置はCT撮影時と同一とした。
また、吸収線量を計測したガントリ角度は、線量計算で調査したガントリ角度と同一とした。測定は、各角度につき3回行い、その平均値を得た。治療装置は、NovalisTx(Brainlab AG社製、 Munich、 Germany)を用い、X線エネルギーは6MVと10MVを使用した。
測定された吸収線量は、ロックバーを装着していない状態で角度ごとに測定された吸収線量値を基準とし、線量減弱率に変換した。各ロックバーの各角度で得られた線量減弱率を比較した。また、治療計画装置で計算された線量減弱率と実測によって得られた線量減弱率についても比較した。
さらに、ロックバーが照射野内に存在した場合、(Volumetric Modulated radiation Arc Therapy)(以下VMAT) planではどの程度線量に影響及ぼすか、それぞれのロックバーを装着した状態で、VMAT planの線量測定を行った。測定を行ったplanには、肺がんに対してVMATを用いた定位放射線治療plan(VMAT SBRT(stereotactic body radiotherapy)plan)10症例を用いた。各planは、6MVのX線が使用され、処方線量は70Gy/10fr、arc数は2arc(partial arc:gantry 0 to 180 degree)であった。
<測定結果>
<CT撮影時のアーチファクト>
図4に各ロックバーを装着して撮影されたCT画像と、各CT画像からロックバーを装着していない状態で撮影されたCT画像のCT値を差分した画像を示した。また、それぞれの差分画像のX軸方向におけるCT値のプロファイル曲線を示した。
より具体的には、図4(a)は従来ロックバー101、図4(b)は本発明ロックバー1を装着して撮影したCT画像である。
また、図4(c)は従来ロックバー101とロックバーを装着しなかった場合のCT画像の差分画像であり、図4(d)は本発明ロックバー1とロックバーを装着しなかった場合のCT画像の差分画像である。
また、図4(e)は、差分画像図4(c)のラインBの位置におけるCT値プロファイル曲線であり、図4(f)は、差分画像図4(d)のラインBの位置におけるCT値プロファイル曲線である。横軸は図4(a)、(b)の幅方向の位置(0〜600mm)を表し、縦軸は差分CT値(−200〜600HU:ハンスフィールドユニット)である。
従来ロックバー101を装着した場合(図4(a))、主にカウチに固定するための部分と、2つのpinの部分から金属によるシャワー状のアーチファクトが観察された。また、このシャワー状アーチファクトは金属部分周辺だけでなく、視野(FOV)内全体に広がっていた。
差分画像(図4(c))のある位置(点線B)でCT値のプロファイル曲線を取得した結果(図4(e))では、ロックバーを装着していない場合のCT画像のCT値と比較して、金属アーチファクトの影響により最大で670HUの差がみられた。同様にシャワー状アーチファクトの発生がみられた金属周辺ではCT値に100HU以上の差がみられた。
本発明ロックバー1を装着した場合(図4(b))では、ロックバーに起因したアーチファクトは観察されなかった。差分画像(図4(d)のある位置(点線B)でCT値のプロファイル曲線を取得した結果(図4(f))においては、CT値に100HU以上の差がみられた点が一点だけ観察された。
しかし、これはファントムの設置誤差によるものであり、アーチファクトに起因する差ではなかった。プロファイル曲線の結果(図4(f))において、本発明ロックバー1を装着して撮影されたCT画像では、ロックバーを装着せずに撮影されたCT画像のCT値と比較して、100HU以上の差を示した点はなかった。
<治療計画装置での線量計算>
治療計画装置で線量計算した結果から算出された各角度の線量減弱率(%)を表1に示す。線量減弱率は、全ての角度において10MV X線よりも6MV X線で高い値を示した。ビーム中心軸がロックバーの本体部分を通過する場合の線量減弱率は、概ね1〜2%程度であり、両者のロックバーに差はほとんどみられなかった。
なお、表中で「varian lok−bar」は従来ロックバー101であり、「carbon lok−bar」は、本発明ロックバー1である。
従来ロックバー(Varian lok−bar)101の場合、ビーム中心軸がpinの部分とロックバーをカウチに固定するための部分を通るとき(ガントリ角度:112°、130°)の線量減弱率は、他の角度での線量減弱率と比較して顕著に高い値を示した。また、従来ロックバー101における最大の線量減弱率は、ガントリ角度110°において示され、6MVでは16.3%(AAA)、10MVでは13.0%(AAA)であった。
同様に、AcurosXBにおいても6MVで23.7%、10MVで19.2%であった。ガントリ角度が110°のとき、ビーム中心軸はロックバーをカウチに固定するための部分にある突起物14x(図1(c)参照)を通る。本発明ロックバー1による線量減弱率は、ビーム中心軸がpinを通るガントリ角度130°において最も高い値を示し、6MVで3.9%(AAA)、10MVで3.1%(AAA)であった。
本発明ロックバー1における線量減弱率は、ロックバーのどの部分を通過しても5%以下であった。本発明ロックバー1による線量減弱率は、従来ロックバー101による線量減弱率よりも6MVで最大15%程度(AAA)、10MVで最大12%程度(AAA)低下した。これはガントリ角度110°における結果である。
同様に、AcurosXBによる線量計算結果から算出された各ロックバーの線量減弱率では、本発明ロックバー1の線量減弱率のほうが6MVで最大22%程度、10MVで最大18%程度低下し、両者のロックバーによる線量減弱率の差異はさらに大きいことが示された。
<線量計による実測>
図5は、測定によって得られた各ロックバーの角度ごとの線量減弱率を示す。図5(a)は、6MVの場合であり、図5(b)は10MVの場合である。測定によって得られた各角度の線量減弱率は、10MVでの結果と比較して6MVのほうが高い値を示した。従来ロックバー(図中で符号「101」において最も高い線量減弱率は、ガントリ角度112°のときに観察され、6MVでは22.4%、10MVでは19.3%であった。
本発明ロックバー1における最大の線量減弱率も同様にガントリ角度112°のときに観察され、6MV(図5(a))では12.2%、10MV(図5(b))では10.1%であった。最大の線量減弱率は、両エネルギーともに本発明ロックバー1のほうが10%程度低い値を示した。その他の角度においても本発明ロックバー1による線量減弱率のほうが低い値を示した。
ガントリ角度が110°のとき、ロックバーの違いによる線量減弱率の差は最も大きくなり、6MVでは17%、10MVでは15%の差が観察された。これはロックバーをカウチに固定するための部分にある突起物14x(図1(c)参照)の有無によって生じた差である。
図6および図7は、治療計画装置の線量計算結果(AAAおよびAcurosXB)から算出された線量減弱率と、実測(measurement)によって得られた線量減弱率の比較を示す。より具体的には、図6(a)は、6MV X線、従来ロックバー101における比較結果であり、図6(b)は、10MV X線、従来ロックバー101における比較結果であり、図7(a)は、6MV X線、本発明ロックバー1における比較結果であり、図7(b)は、10MV X線、本発明ロックバー1における比較結果である。
従来ロックバー101を使用した場合、治療計画装置で算出された6MV X線に対する線量減弱率(図6(a))は、ビーム中心軸がロックバー本体10を通過する角度では、実測と比較して約2%程度の過小評価であった。
ビーム中心軸がpin部分やロックバーを固定するための部分を通る場合には、AAAでは約4%程度の過小評価を示し、AcurosXBの線量計算結果から算出した線量減弱率のほうが実測の結果と良い一致を示した。
しかし、実測がガントリ角度112°で最大の線量減弱率を示したのに対し、治療計画装置で算出された線量減弱率はガントリ角度110°で最大値を示した。10MV X線においても同様の傾向を示しており(図6(b))、ビーム中心軸がロックバー本体10を通る場合には、実測の結果に対して治療計画装置での線量減弱率は約1%程度の過小評価であった。ビーム中心軸がpin部分やロックバーをカウチに固定するための部分を通る場合には、Acuros XBと実測は良い一致を示した。
本発明ロックバー1を使用した場合(図7)では、線量計算アルゴリズム間の差はほぼ観察されず、実測の結果との差も約1%の範囲内で一致した。しかし、実測ではガントリ角度112°において最大の線量減弱率を示したが、治療計画装置で算出されたガントリ角度112°の線量減弱率は、その他のガントリ角度のときと同程度の線量減弱率しか示さなかった。
表2、肺がんに対するVMAT SBRT planにおいて、各ロックバーが照射範囲内に存在することによって投与線量にどの程度影響(減衰率(%))を及ぼすのかを調査した結果である。表2中で「Plan number」は、サンプル番号を表す。
従来ロックバー(Varian lok−bar)101を使用した場合、中心線量は最大で2.6%低下した。それに対して本発明ロックバー1(carbon lok−bar)を使用した場合、中心線量の低下は最大で1.4%であった。また、従来ロックバー(varian lok−bar)101と本発明ロックバー1(carbon lok−bar)の線量減弱率の差は、平均で1%程度であった。
従来ロックバー101を配置した状態でのCT撮影では、各部からの金属アーチファクトが観察された。本研究においては、このアーチファクトの有無が線量計算の結果にどのような影響を与えるかまでは検討していないが、誤った線量計算が行われる可能性は十分にあるだろう。つまり、従来ロックバー101を使用することによって、線量計算の不確かさが増加するといえる。
また、このアーチファクトは、ターゲットの輪郭抽出の正確さにも影響を与える。この問題は、治療時に撮影されたCBCT画像を基にしてコンツールを行う場合により顕著になるだろう。例えば、適応放射線治療(adaptive radiationtherapy)では一般的にCBCT画像を用いてコンツールや線量計算が行われるが、CBCT画像は通常のCT画像と比較して低コントラスト分解能が劣るため、わずかなアーチファクトでもコンツールの正確さにより大きな影響を及ぼすことが考えられる。
また、低コントラスト分解能の悪化は、IGRTの画像照合にも影響すると考えられる。したがって、可能な限りアーチファクトを生じる要因は排除し、アーチファクト低減に注力すべきである。本発明ロックバー1では、従来ロックバー101使用時のようなアーチファクトの発生はみられなかった。つまり、本発明ロックバー1を使用することは、これらの問題を解決し、線量計算の不確かさ、ターゲット描画の正確さ、または画像照合の精度への悪影響を最小限にできる。
ロックバーによる線量減弱率は、治療計画装置上で正確に計算することが可能かどうか検討した。治療計画装置によって計算された線量減弱率は、従来ロックバー101の場合、高い線量減弱率を示した角度ではAcurosXBを用いることによって実測の結果とほぼ一致した。しかし、その他の角度では実測結果と4%程度の誤差があり一致しなかった。AAAでは、高い線量減弱率を示した角度においても過小評価であった。
この実測との違いは、ロックバーの輪郭抽出を最適なCT値で上書きすることによって解決できるかもしれない。しかし、ロックバーを治療計画の度に輪郭抽出することは、治療計画にかかる時間の延長につながり、また非常に煩雑な作業である。
上記の実施例において、実測で最大の線量減弱率を示した角度と治療計画装置から算出された最大の線量減弱率を示す角度が異なっていたことや、本発明ロックバー1において一部実測の結果と一致しなかった原因は、アーチファクトの影響により正確にロックバーを輪郭抽出できていなかったためだと考える。
これはロックバーをコンツールする作業は煩雑であると考える根拠であり、不確かさを増加させる要因である。また、最適なCT値を決定するための不確かさのレベルを最小限にする行為(コミッショニング)も容易ではない。さらに、使用する治療計画装置によっては、このような対処方法を行うことができない場合もある。
以上のことより、ロックバーは治療計画装置上で考慮すべきではないと判断することができる。これらの問題に対する解決法は、現実的、かつ全ての施設において導入可能である点を考慮すると、線量への影響が少ない材質を使用することが最も適切な解決法である。
しかし、今回開発された本発明ロックバー1を使用しても線量の減弱を完全に排除することはできなかった。これに関しては、コンベンショナル(古典的)な治療法では線量減弱率の高い部分を通るビームの使用を避け、複数の方向から照射することで、その影響は臨床的に無視できると考えられる。臨床においてロックバーの影響が最もあると考えられる肺がんに対するVMAT planの実測結果でも、線量減弱率は従来ロックバー101を本発明ロックバー1に変更することによって2%から1%程度まで改善することができた。
過去の文献には、理論的な放射線生物学の観点から、放射線治療の成績を最大限にするためには線量誤差を処方線量の3〜5%未満にすることが求められるとの報告がある。したがって、本発明ロックバー1の使用によって線量誤差が1%改善することの意義は大きい。残り1%の線量誤差は依然としてあるが、臨床的に十分許容されるだろう。
以上のように本発明に係るロックバーは、多くの施設で簡便に導入することができ、かつ線量減弱率を最小限に低減できるツールである。
1 本発明ロックバー
10 本体
10a 上面
10b 下面
10L 長さ
10t 厚み
10h 脚固定用貫通孔
12 固定脚
12a 上部
12b 下部
12c リング部
12h ネジ穴
14 偏心クランプ脚
14a 上部
14b 下部
14c リング部
14d 腕
14f ハンドル
14h ネジ穴
16 規制孔
13、15 ネジ
14x 突起物
14ca ネジ穴14hから遠い箇所
18 ピン
30 カウチ
32 凹部
30L 横断線
101 従来ロックバー
130 テーブル天板(カウチ)
132 凹部
150 固定具
152 網目状のネット
154 固定木

Claims (3)

  1. 板状の本体と、
    前記本体の一方の端に備えられた固定脚と、
    前記本体の他方の端に備えられた偏心クランプ脚と、
    前記本体の前記固定脚と前記偏心クランプ脚の間に設けられた複数の規制孔を有し、
    前記本体と、前記固定脚と、前記偏心クランプ脚はすべて放射線低吸収材で構成されていることを特徴とするロックバー。
  2. 前記規制孔には、内面にネジ溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたロックバー。
  3. 前記規制孔に螺合するネジが切られたピンをさらに有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載されたロックバー。
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