以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
(脳磁計)
図1は、脳磁計の概要について説明する図である。脳磁計100は、デューワ110と、SQUIDセンサアレイ120と、計測部130とを有している。
デューワ110は、SQUIDセンサアレイ120の極低温動作に必要な液体ヘリウムを保持している。デューワ110には、被験者の頭部300の一部が挿入される凹部110xが設けられている。
SQUIDセンサアレイ120は、デューワ110内に配置された複数のSQUIDセンサ121(例えば、160個程度)を備えている。各SQUIDセンサ121は、脳の神経活動にともなって発生する微弱磁場を頭皮上から計測できる向きに配置されている。
計測部130は、各SQUIDセンサ121が検出した磁場の強度を計測して、脳から発生する磁場の強度分布を示す磁場分布データを生成する。磁場分布データは、例えば、等磁力線図として図形化することができる。
前述のように、脳磁計100は、磁場分布データを生成することはできるが、脳の画像を取得することはできないため、脳磁計100によって検出される磁場が、脳のどの部位から発生した磁場であるかを特定することができない。
そこで、脳磁計100で頭部から発生する磁場を計測する前に、被験者の頭部にマーカコイルユニット10を貼りつけ、頭部300を固定した状態で、マーカコイルユニット10に微弱な交流電流を流し、その位置を計測部130で計測する。
複数のSQUIDセンサ121が配置された座標は予めわかっているので、マーカコイルユニット10に電流を流したときにどの位置のSQUIDセンサ121から磁場が検出されるかを計測部130で計測することで、マーカコイルユニット10の位置を特定できる。
マーカコイルユニット10の位置を特定した後、被験者に視覚刺激、聴覚刺激、電気刺激等を与えながら脳磁計100で被験者の頭部から発生する磁場分布データを生成する。この際、マーカコイルユニット10には電流は流さない。
脳磁計100による磁場分布データの生成とは別に、被験者の頭部のマーカコイルユニット10と同じ位置にMRIマーカを貼りつけてMRIにより脳の3次元断層画像を撮像する。MRIで撮影した3次元断層画像上にはMRIマーカの実体が写るので、マーカコイルユニット10の位置とMRIマーカの位置とを合わせることで、脳磁計100の座標系とMRIの座標系とを一致させることができる。すなわち、MRIで計測した脳の3次元断層画像に対して、脳磁計100で推定した活動位置の座標を重ね合わせて利用することができる。
(マーカコイルユニット)
図2は、第1の実施の形態に係るマーカコイルユニットを例示する図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿う断面図、図2(c)はコイル12近傍の部分拡大平面図である。但し、図2(a)において補強板18の図示は省略されており、図2(b)においてコイル12の断面は簡略化して描かれている。
図2に示すように、マーカコイルユニット10は、基板11と、コイル12と、配線13と、コイル14と、配線15と、コイル16と、配線17と、補強板18と、滑り止めシート19と、コネクタ20とを有している。
マーカコイルユニット10において、基板11、コイル12、コイル14、コイル16、補強板18、及び滑り止めシート19はマーカコイルを構成している。言い換えれば、マーカコイルに、電流入力部となる配線13、配線15、配線17、及びコネクタ20を加えた部分がマーカコイルユニット10である。
マーカコイルユニット10の重さは、例えば、30g以下程度とすることができる。マーカコイルユニット10は、乳児に容易に装着できることを考慮したものであるが、幼児に装着してもよいし、中学生や高校生、成人等に装着してもよい。
基板11としては、可撓性を有するポリイミド等からなる細長状のフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)を用いることができる。基板11の大きさは、例えば、長手方向が450mm程度、短手方向が30mm程度とすることができる。基板11の厚さは、例えば、10〜100μm程度とすることができる。
コイル12は、配線により形成された所謂プリントコイルであり、基板11の一方の面11aに形成された渦巻き状のパターンと、他方の面11bに形成された渦巻き状のパターンとが、基板11を貫通する貫通配線11tにより直列に接続された構造とされている。
コイル12において、基板11の一方の面11aに形成された渦巻き状のパターンと、他方の面11bに形成された渦巻き状のパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。ここで、平面視とは、対象物を基板11の一方の面11a又は他方の面11bの法線方向から視ることを指す。
配線13は、基板11の一方の面11aに形成されたパターンと、他方の面11bに形成されたパターンとから形成されている。配線13において、基板11の一方の面11aに形成されたパターンと、他方の面11bに形成されたパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。
配線13において、基板11の一方の面11aに形成されたパターンは、コネクタ20の端子の1つとコイル12の基板11の一方の面11aに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。又、基板11の他方の面11bに形成されたパターンは、コネクタ20の端子の1つとコイル12の基板11の他方の面11bに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。
コネクタ20の端子から配線13を介してコイル12に電流を流すと、コイル12の基板11の一方の面11aに形成された渦巻き状のパターンと、他方の面11bに形成された渦巻き状のパターンには、同位相の電流が流れる。これに対して、配線13の基板11の一方の面11aに形成されたパターンと、他方の面11bに形成されたパターンには、逆位相の電流が流れる。
この構造により、配線13及びコイル12に電流を流したときに、コイル12のみに磁場を発生させ、配線13には磁場を発生させないようにすることができる。なお、コイル14及び16はコイル12と同様の構造であり、配線15及び17は配線13と同様の構造である。
コイル12、14、及び16のそれぞれの一方の側には、補強板18が設けられている。補強板18は、マーカコイルユニット10を被験者の頭部に装着したときに、各コイルが歪んで位置推定時の誤差が大きくなることを防止するために設けたものである。補強板18は、コイル12、14、及び16の両方の側に設けてもよい。
補強板18は、例えば、アクリル等の樹脂により形成することができる。補強板18の平面形状は、例えば円形とすることができるが、これには限定されない。ここで、平面形状とは、対象物を基板11の一方の面11a又は他方の面11bの法線方向から視た形状を指すものとする。
基板11の他方の面11bには、各配線の一部及び各コイルを被覆する滑り止めシート19が設けられている。滑り止めシート19は、マーカコイルユニット10が被験者に装着された際、被験者との間の摩擦力を高め、位置ずれが起きないようにするものである。滑り止めシート19としては、例えば、ウレタン樹脂等を用いることができる。
コネクタ20は、基板11の一端側に設けられている。コネクタ20は、マーカコイルユニット10の各コイルに電流を流すための電流供給装置(発振器等)と接続される部分である。電流供給装置は、脳磁計100の計測部130内に設けてもよいし、計測部130とは別に設けてもよい。
コネクタ20としては、例えば、モジュラージャック等を用いることができる。コネクタ20を設けることで、マーカコイルユニット10を一括で電流供給装置に接続できるため、電流供給装置との接続が容易になる。この場合、コネクタ20と、コネクタ20の端子とコイル12、14、及び16とを接続する配線13、15、及び17とが、コイル12、14、及び16に電流を流すための電流入力部となる。
但し、コネクタ20を用いない構成としてもよい。例えば、基板11の一端側に配線13等と接続される端子を露出させておき、露出した端子を電流供給装置と接続されたクリップで摘まむようにしてもよい。この場合、基板11の一端側に露出する端子と配線13、15、及び17とが、コイル12、14、及び16に電流を流すための電流入力部となる。
図3は、第1の実施の形態に係るマーカコイルユニットを被験者の頭部に装着した様子を例示する図であり、ここでは被験者として乳児を想定したマネキンを用いている。図3に示すように、マーカコイルユニット10は、滑り止めシート19を頭部300側に向けて鉢巻状に頭部300に装着する。マーカコイルユニット10が頭部300を一周して重なる部分は、例えば、両面テープにより固定することができる。
なお、脳磁計100のx、y、z方向の座標系を求めるためには、マーカコイルユニット10に3つ以上のコイルを設ける必要がある。図1等ではマーカコイルユニット10に3つのコイルを設ける例を示しているが、4つ以上のコイルを設けても構わない。
このように、マーカコイルユニット10では、可撓性を有する基板11に配線によりコイル12、14、及び16を形成することにより軽量化している。又、基板11を細長状とし、被験者の頭に鉢巻状に装着可能とすることで、ワンタッチで被験者に装着できる。これらにより、被験者に与える嫌悪感を緩和することが可能となり、乳児や幼児に対しても容易にマーカコイルユニット10を取り付けることができる。
又、マーカコイルユニット10では、基板11を細長状とし、被験者の頭に鉢巻状に装着可能とすることで、髪の毛のある場所にも容易に装着することができる。
又、マーカコイルユニット10では、被験者の肌に両面テープが触れないため、被験者の肌にかゆみ等が生じることを防止できる。特にかゆみ等に敏感な乳児に装着する際に好適である。
〈第2の実施の形態〉
図4は、第2の実施の形態に係るマーカコイルユニットを例示する図である。図4(a)はマーカコイルユニットの基板保持部を除く部分を例示する平面図、図4(b)及び図4(c)はマーカコイルユニットの基板保持部を例示する断面図である。
図5は、第2の実施の形態に係るマーカコイルユニットのコイル近傍を例示する部分拡大図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のB−B線に沿う断面図である。但し、図5(b)においてコイル32の断面は簡略化して描かれている。図6は、第2の実施の形態に係るマーカコイルユニットの基板保持部を例示する図であり、図6(a)は斜視図、図6(b)は基板保持部を基板に装着した様子を示す断面図である。
図4〜図6に示すように、マーカコイルユニット30は、基板31と、コイル32と、配線33と、コイル34と、配線35と、コイル36と、配線37と、コイル38と、配線39と、コネクタ40と、補強板41と、基板保持部50とを有している。なお、マーカコイルユニット30において、基板保持部50とそれ以外の部分とは別体になっており、被験者の頭部に装着される際に一体化される。
基板保持部50は、コイル32、34、36、及び38のそれぞれの中心側の孔31xに1つずつ挿入される。そのため、図4(b)に示すように、マーカコイルユニット30は、基板保持部50をコイルと同数(本実施の形態では4つ)備えている。但し、基板保持部50の紛失や破損等を考慮し、図4(c)に示すように、基板保持部50をコイルと同数以上備えてもよい。
マーカコイルユニット30において、基板31、コイル32、コイル34、コイル36、コイル38、補強板41、及び基板保持部50はマーカコイルを構成している。言い換えれば、マーカコイルに、電流入力部となる配線33、配線35、配線37、配線39、及びコネクタ40を加えた部分がマーカコイルユニット30である。
マーカコイルユニット30の重さ(基板保持部50も含む)は、例えば、20g以下程度とすることができる。マーカコイルユニット30は、幼児に容易に装着できることを考慮したものであるが、乳児に装着してもよいし、中学生や高校生、成人等に装着してもよい。
基板31としては、可撓性を有するポリイミド等からなるフレキシブルプリント基板を用いることができる。基板31の厚さは、例えば、10〜100μm程度とすることができる。基板31は、コネクタ40に接続された共通部310と、共通部310から分岐するコイル形成部311、312、313、及び314とを備えている。
コイル形成部311には、コイル32が形成されている。コイル32は、基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンと、他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンとが、基板31を貫通する貫通配線31tにより直列に接続された構造とされている。コイル32において、基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンと、他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。基板31のコイル32の中心側には、略円形の孔31xが設けられている。
配線33は、コイル形成部311及び共通部310において基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとから形成されている。配線33において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。
配線33において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル32の基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。又、基板31の他方の面31bに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル32の基板31の他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。
コイル形成部312には、コイル34が形成されている。コイル34は、コイル32と同様の構造である。基板31のコイル34の中心側には、略円形の孔31xが設けられている。
配線35は、コイル形成部312及び共通部310において基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとから形成されている。配線35において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。
配線35において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル34の基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。又、基板31の他方の面31bに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル34の基板31の他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。
コイル形成部313には、コイル36が形成されている。コイル36は、コイル32と同様の構造である。基板31のコイル36の中心側には、略円形の孔31xが設けられている。
配線37は、コイル形成部313及び共通部310において基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとから形成されている。配線37において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。
配線37において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル36の基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。又、基板31の他方の面31bに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル36の基板31の他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。
コイル形成部314には、コイル38が形成されている。コイル38は、コイル32と同様の構造である。基板31のコイル38の中心側には、略円形の孔31xが設けられている。
配線39は、コイル形成部314及び共通部310において基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとから形成されている。配線39において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンとは、平面視で略重複する位置に形成されている。
配線39において、基板31の一方の面31aに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル38の基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。又、基板31の他方の面31bに形成されたパターンは、コネクタ40の端子の1つとコイル38の基板31の他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンの一端とを接続している。
コネクタ40の端子から配線33を介してコイル32に電流を流すと、コイル32の基板31の一方の面31aに形成された渦巻き状のパターンと、他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンには、同位相の電流が流れる。これに対して、配線33の基板31の一方の面31aに形成されたパターンと、他方の面31bに形成されたパターンには、逆位相の電流が流れる。
この構造により、配線33及びコイル32に電流を流したときに、コイル32のみに磁場を発生させ、配線33には磁場を発生させないようにできる。なお、コイル34、36、及び38、並びに配線35、37、及び39についても同様である。
コイル32、34、36、及び38の基板31の他方の面31b側には、補強板41が設けられている。補強板41は、マーカコイルユニット30を被験者の頭部に装着したときに、各コイルが歪んで位置推定時の誤差が大きくなることを防止するために設けたものである。補強板41は、コイル32、34、36、及び38の両方の側に設けてもよい。
補強板41は、例えば、アクリル等の樹脂により形成することができる。補強板41の平面形状は、例えば円形とすることができるが、これには限定されない。補強板41の中央部には略円形の孔41xが設けられている。補強板41の孔41xは、基板31の孔31xと略同心的に設けられるが、孔41xの径は孔31xの径よりも大きく形成されている。又、補強板41の孔41xは、後述の突起部52で一番横幅が広いところの径と、ほぼ同径か、それより大きいことが好ましい。
基板保持部50は、基部51と、突起部52とを有している。基板保持部50において、基部51の一方の側に突起部52が設けられている。基部51の他方の側には、例えば、両面テープが貼り付けられており、基板保持部50を被験者の頭部に貼り付け可能とされている。なお、本実施の形態では、基部51は略円盤状であるが、これには限定されず、基部51は、基板保持部50を貼り付ける部位に適した任意の形状とすることができる。
基板保持部50は、例えば、アクリル等の樹脂により形成されているため極めて軽量(1g未満程度)である。そのため、基板保持部50を被験者の頭部に貼り付けても、被験者は嫌悪感を感じ難い。
又、従来のマーカコイルは重かったため、自重により測定位置が当初の位置からずれたり、自重により髪の毛がひっぱられたりしていた。しかし、基板保持部50を含むマーカコイルユニット30は従来のマーカコイルより軽量であるため、基板保持部50を髪の毛の上に付けてその上に基板31を付けても、自重で測定位置が当初の位置からずれたり、自重で髪の毛がひっぱられたりすることがない。その結果、当初固定した位置での測定が可能となる。
基板保持部50の基部51の他方の側を被験者の頭部に貼り付けた後、基板31の孔31xに突起部52を嵌めこむ(係合させる)ことで、基板保持部50が基板31を保持し、各コイルを被験者の頭部の所定位置に配置することができる。
基板保持部50の突起部52は、基板31の孔31xに脱挿入可能な任意の形状及び任意の寸法とすることができる。但し、突起部52は、基部51に近い側に括れ部52xを有していることが好ましい。括れ部52xは、基部51に近い側が基部51から遠い側よりも小径化した部分である。括れ部52xの径は、基板31の孔31xの径よりも若干小さめに形成される。突起部52の括れ部52xが基板31の孔31xに嵌め込まれることで、突起部52の括れ部52xよりも上側の部分がストッパとなり、突起部52を基板31の孔31xから抜け難くすることができる。
補強板41、基板31、及び基板31の他方の面31bに形成された渦巻き状のパターンの合計の厚さが、括れ部52xの軸方向の長さと一致していることが好ましいが、多少大小しても問題はない。前記合計の厚さと括れ部52xの軸方向の長さとが一致していると、がたが少ない状態で基板31が基板保持部50に保持される。
又、突起部52には、突起部52を軸方向(突起方向)に略2分するスリット52yが設けられていることが好ましい。基板31を基板保持部50から外す際に、突起部52のスリット52yの両側が内側に動くため、突起部52を基板31の孔31xから取り外しやすくすることができる。
又、基板31の孔31xの周囲に、孔31xの外縁から外側(コイルの方向)に向かう切れ込み31zが設けられていることが好ましい。図5(a)の例では、基板31の孔31xの周囲に4つの切れ込み31zを設けているが、これには限定されず、適宜必要な個数の切れ込み31zを設けることができる。
切れ込み31zを設けることで、万一、被験者があばれて基板31を引っ張ったような場合に、基板31が基板保持部50から外れ、基板保持部50を被験者側に残すことができる。これにより、基板31を再度同じ位置に取り付けることが可能となる。
図7は、基板保持部を配置する位置の一例について説明する図であり、図7(a)は右側面図、図7(b)は正面図、図7(c)は左側面図である。
図7の例では、コイル36を保持する基板保持部50は、脳波10−20法によるCzに貼付する。コイル34を保持する基板保持部50は、鼻根点A−Cz−外後頭隆起Bを通る直線上に貼付する。コイル32を保持する基板保持部50及びコイル38を保持する基板保持部50は、右耳介前点C−Cz−左耳介前点Dを通る直線上に各々貼付する。
なお、脳波10−20法は、脳波の測定において、頭皮を10%若しくは20%の等間隔で区切り、計21個の電極配置位置を決定する方法である。脳波10−20法においては、鼻根点、外後頭隆起、及び左右耳介前点のそれぞれの中点がCzとなる。
基板保持部50を図7に示す各位置に貼り付けた後、各コイルの中心側の孔31xを図7で説明した所定の基板保持部50の突起部52に挿入することで、例えば、図8に示すように、各コイルを所定位置に保持できる。なお、図8は、第2の実施の形態に係るマーカコイルユニットを被験者の頭部に装着した様子を例示する図であり、図8(a)は左側面図、図8(b)は平面図である。
なお、コイル34とコイル36とを結ぶ線と、共通部310の長手方向の中心線(図4の一点鎖線)とをずらすことにより、図1に示すように、被験者が検査時に寝転んだときに共通部310に頭部の荷重がかることを回避できる。図7に示したコイル34及び36の取り付け位置を考えると、コイル34とコイル36とを結ぶ線の延長線上に共通部310の長手方向の中心線が位置すると、共通部310が後頭部の下敷きになる。この場合、被験者が頭を動かしたときに共通部310に頭部の荷重がかかり、基板保持部から基板が外れるおそれがある。
又、図9に示すように、マーカコイルユニット30を被験者の頭部に装着する際に、コイル形成部311、312、313、及び314を、被験者の頭の形状に対応して予め湾曲させておく(くせを付けておく)と装着が容易である。
コイル形成部311、312、313、及び314を、被験者の頭の形状に対応して予め湾曲させておくには、基板31の両面に薄いテープを貼りつければよいが、その際に、湾曲したときに内側となる面に貼り付けるテープの長さを外側となる面に貼り付けるテープの長さよりも若干短くすればよい。
又、図4の例では、マーカコイルユニット30を1枚の基板31から作製する例を示したが、マーカコイルユニット30は、複数の基板を組み合わせて作製してもよい。例えば、図10に示すように、3枚の基板301、302、及び303を別々に作製し、各基板の直線部300を重ねるように互いに両面テープ等で貼り付けて図4の形状としてもよい。もちろん、2枚の基板や4枚の基板を組み合わせて図4の形状を作製してもよい。
なお、脳磁計100のx、y、z方向の座標系を求めるためには、マーカコイルユニット30に3つ以上のコイルを設ける必要がある。図4等ではマーカコイルユニット30に4つのコイルを設ける例を示しているが、3つ又は5つ以上のコイルを設けても構わない。マーカコイルユニット30に4つのコイルを設けることで、被験者の発汗等により仮に1つのコイルが外れたとしても、残りの3つのコイルによりx、y、z方向の座標系を求めることができる。
このように、マーカコイルユニット30では、可撓性を有する基板31に配線によりコイル32、34、36、及び38を形成することにより軽量化している。又、基板31と基板保持部50とを別体にして脱着可能とし、軽量な基板保持部50を先に被験者の頭の所定部に貼り付けた後、基板保持部50の突起部52を基板31の孔31xに嵌め込み可能としている。これにより、基板保持部50を先に被験者の頭の所定部に貼り付けてしまえば、4タッチで被験者の頭部に基板31を装着できるため、被験者に与える嫌悪感を緩和することが可能となり、乳児や幼児に対しても容易にマーカコイルユニット30を取り付けることができる。
又、孔31xに突起部52がはめ込まれた力と、基板保持部50が頭部に貼り付けられた力を比べると、前者の方が力が弱い。そのため、検査時に仰向けになった際や、マーカコイルユニット30をひっぱった際や、マーカコイルユニット30が衝撃を受けた際に、基板保持部50と基板31とがはずれて、頭部に貼り付けられた基板保持部50は残る。例えば、被験者があばれて基板保持部50から基板31を外してしまっても、基板保持部50が被験者の頭に残るため、再度同じ位置に基板31を容易に取り付けることができ、再現性の良い測定が可能となる。
又、基板保持部50は軽量であるため髪の毛のある所にも貼り付け可能である。そのため、基板保持部50の取り付け位置の自由度を向上できる。
又、従来のマーカコイル(例えば、特許文献1のマーカコイル)は取り外し時に大きな力が必要であるため、取り外し時のコイル曲がりを防止するために比較的重いハウジングを設けていた。これに対して、マーカコイルユニット30では、基板31に切れ込み31zを設けたこと等により、従来と比べて弱い力で基板31を基板保持部50から取り外すことができる。そのため、従来のようなハウジングを設けることが不要となり、簡易な構造の補強板41を設けるだけでコイルの曲りや歪みを防止可能となり、マーカコイルユニット30全体の軽量化を実現できる。
〈第2の実施の形態の変形例1〉
第2の実施の形態では、マーカコイルユニット30において、基板31に設けられた孔に基板保持部50の突起部52を脱着(係合)する例を示した。しかし、マーカコイルユニットにおいて、基板及び基板保持部の何れか一方に凸形状を設け、この凸形状に係合する係合部を何れか他方に設ければ足りる。第2の実施の形態の変形例1では、基板側に凸形状を設け、基板保持部側に係合部を設ける例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図11は、第2の実施の形態の変形例1に係るマーカコイルユニットを例示する図である。図11(a)はマーカコイルユニットの基板保持部を除く部分を例示する断面図、図11(b)はマーカコイルユニットの基板保持部を例示する断面図、図11(c)は基板保持部を基板に装着した様子を例示する断面図である。
図11に示すように、第2の実施の形態の変形例1に係るマーカコイルユニット30Aは、基板31に凸部60が固定され、基板保持部50が基板保持部70に置換された点がマーカコイルユニット30(図4〜図6参照)と相違する。なお、マーカコイルユニット30Aにおいて、基板保持部70とそれ以外の部分とは別体になっており、被験者の頭部に装着される際に一体化される。
凸部60及び基板保持部70は、脱挿入可能な任意の形状及び任意の寸法として構わないが、一例として図11に示す形状とすることができる。
図11において、凸部60は、基部61と、基部61の一方の側に突起する突起部62とを有している。凸部60の突起部62は、基板31の一方の面31a側から基板31の孔31xに挿通され、基板31の他方の面31bから突出している。基部61の基板31の一方の面31aと対向する面の突起部62の周辺部は、接着剤や粘着テープ等により、基板31の一方の面31aに固定されている。
凸部60は、例えば、アクリル等の樹脂により形成されている。基部61は例えば略円盤状であるが、これには限定されず、任意の形状とすることができる。
基板保持部70は、略円盤状であり、中央に凸部60の突起部62との係合部となる凹部70xが形成されている。基板保持部70は、例えば、アクリル等の樹脂により形成されている。
突起部62は、基部61に近い側に括れ部62xを有している。括れ部62xは、基部61に近い側が基部61から遠い側よりも小径化した部分である。又、突起部62には、突起部62を軸方向(突起方向)に略2分するスリット62yが設けられている。又、凹部70xは、入り口側よりも底面側の方が拡幅した形状とされている。
突起部62の先端部及び括れ部62xの径は、凹部70xの入り口の径よりも若干小さめに形成され、突起部62のスリット62yが形成されている部分の最太部の径は、凹部70xの入り口よりも若干大きく凹部70xの底面側の拡幅した部分よりも若干小さめに形成されている。
凸部60の突起部62の先端部を基板保持部70の凹部70xの入り口側に接触させ、更に凸部60を凹部70x側に押し込むと、スリット62yの両側が内側に動いてスリット62yが狭くなりながら突起部62が凹部70xに嵌めこまれる。凹部70xの拡幅した側でスリット62yが広がることで、突起部62の括れ部62xよりも上側の部分がストッパとなり、突起部62を凹部70xから抜け難くすることができる。
基板31を基板保持部70から外す際には、基板31を凹部70xから遠ざかる方向に引っ張ることで、突起部62のスリット62yの両側が内側に動いてスリット62yが狭くなり、突起部62を凹部70xから容易に取り外すことができる。
なお、基板保持部70において凹部70xに代えて、凹部70xの底部が貫通した貫通孔を設けてもよい。この場合も、凸部60の突起部62と基板保持部70の貫通孔とが係合可能な関係であれば、凹部70xの場合と同様に基板31を保持できる。
〈第2の実施の形態の変形例2〉
第2の実施の形態の変形例2では、基板と基板保持部との取り付け部において、凸形状と凸形状に係合する係合部が面ファスナーの一部である例を示す。
なお、第2の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図12は、第2の実施の形態の変形例2に係るマーカコイルユニットのコイル近傍を例示する部分拡大図である。図13は、第2の実施の形態の変形例2に係るマーカコイルユニットの基板保持部を例示する図である。図14は、第2の実施の形態の変形例2に係るマーカコイルユニットの基板保持部を基板に装着した様子を例示する図である。図12〜図14において、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。但し、図12(b)及び図14(b)においてコイル32の断面は簡略化して描かれている。なお、図12〜図14ではコイル32近傍を図示しているが、他のコイル近傍も同様の構造である。
図12〜図14に示すように、マーカコイルユニット30Bは、マーカコイルユニット30における基板保持部50及び基板保持部50の突起部52と係合する孔31xに代えて、雄型面ファスナー80及び雌型面ファスナー90を有している。
図12に示すように、本実施の形態では、基板31がコイル32及び配線33に対応した形状とされており、基板31の一方の面31aに配置されたコイル32の一方の側には略円形の補強板41が固定されている。なお、図12の例では、取り外しの際のコイルの湾曲を防止するため、コイル32の一方の側に補強板41が固定されているが、コイル32の他方の側に補強板41が固定されてもよく、この場合も同様の効果を奏する。
又、基板31の他方の面31bに配置されたコイル32の他方の側には雄型面ファスナー80が設けられている。雄型面ファスナー80は、コイル32の他方の側に固定された略円形の基材81と、基材81の他方の側に突起する多数のフック状係合素子82とを備えている。基材81は、例えば、繊維や樹脂により形成することができる。フック状係合素子82は、例えば、繊維により形成することができる。
図13に示すように、本実施の形態では、略円形の基材91と、基材91の一方の側に突起する多数のループ状係合素子92とを備えた雌型面ファスナー90が、基板保持部として機能する。基材91は、例えば、繊維や樹脂により形成することができる。ループ状係合素子92は、例えば、繊維により形成することができる。
なお、フック状係合素子82は、本発明に係る凸形状の代表的な一例であり、ループ状係合素子92は、本発明に係ると凸形状に係合する係合部の代表的な一例である。但し、図12及び図13に図示したフック状係合素子82及びループ状係合素子92の形状は一例であり、凸形状と凸形状に係合する係合部であれば、他の形状であっても構わない。
基材91の他方の側には、例えば、両面テープが貼り付けられており、雌型面ファスナー90を被験者の頭部に貼り付け可能とされている。雌型面ファスナー90の基材91は、基板31のコイル形成領域、補強板41、及び雄型面ファスナー80の基材81よりも大径であることが好ましい。
基材91の一方の面には、基材81を貼り付ける際の目印となるガイド99が、基材81と同心的に描かれている。ガイド99の径は、基材81の径と略同一である。ガイド99は、例えば、ループ状係合素子92と異なる色の塗料を塗布して示してもよいし、ループ状係合素子92を形成しない円周状の空間を形成して示してもよいし、他の任意の方法で示してもよい。ガイド99を設けることで、コイルを所定位置に精度よく配置することができる。
雌型面ファスナー90の基材91の他方の側を被験者の頭部に貼り付けた後、図14に示すように、雌型面ファスナー90の基材91のガイド99と重複するように、雄型面ファスナー80の基材81を配置する。これにより、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合し、基板保持部である雌型面ファスナー90が基板31を保持し、各コイルを被験者の頭部の所定位置に配置することができる。
又、雌型面ファスナー90の基材91を、基板31のコイル形成領域、補強板41、及び雄型面ファスナー80の基材81よりも大径とすることにより、基板31を被験者の頭部から取り外す際は、基材91の外周部を押さえることで容易に取り外し可能である。
第2の実施の形態で示したマーカコイルユニット30では、基板31の孔31xに基板保持部50の突起部52を嵌めこむことで係合させる。マーカコイルは耳の近くに取り付けるので、係合する際に例えば'パチッ'等の耳障りな音が発生する場合があり、この音を乳児や幼児が嫌がるおそれがある。
マーカコイルユニット30Bでは、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合するが、係合する際に耳障りな音が発生しないので、上記の問題は解消される。
又、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合する構造では、第2の実施の形態で示したマーカコイルユニット30のようにコイルの中央に位置する基板31に孔31xを設ける必要がない。コイルの中心を同定するためには、なるべく中央までコイルが巻かれていることが好ましく、マーカコイルユニット30Bでは孔31xが設けられていた領域にもコイルを巻くことができるため、同定の精度を向上することができる。
又、フック状係合素子82よりもループ状係合素子92の方が柔軟である(ふわふわしている)。マーカコイルユニット30Bでは柔軟であるループ状係合素子92を被験者の頭部側に配置しているため、ループ状係合素子92を被験者の頭部に貼り付ける際に、髪の毛に引っかかって被験者に痛みを感じさせるようなことはない。
なお、図15に示す雌型面ファスナー90Cのように、雄型面ファスナー80を取り付ける領域のみにおいて、基材91の一方の側にループ状係合素子92を設けてもよい。この場合は、ループ状係合素子92自体がガイドとして機能するため、ガイド99を設ける必要はない。
雌型面ファスナー90Cの基材91の他方の側を被験者の頭部に貼り付けた後、図16に示すように、雌型面ファスナー90Cのループ状係合素子92と重複するように、雄型面ファスナー80の基材81を配置する。これにより、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合し、基板保持部である雌型面ファスナー90Cが基板31を保持し、各コイルを被験者の頭部の所定位置に配置することができる。
〈第2の実施の形態の変形例3〉
第2の実施の形態の変形例3では、基板と基板保持部との取り付け部において、凸形状と凸形状に係合する係合部が面ファスナーの一部である他の例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図17は、第2の実施の形態の変形例3に係るマーカコイルユニットについて説明する図であり、図17(a)はマーカコイルユニットのコイル近傍を例示する平面図、図17(b)はマーカコイルユニットの基板保持部を例示する平面図、図17(c)はマーカコイルユニットの基板保持部を基板に装着した様子を例示する平面図である。
図17に示すように、マーカコイルユニット30Dは、マーカコイルユニット30における基板保持部50及び基板保持部50の突起部52と係合する孔31xに代えて、雄型面ファスナー80D及び雌型面ファスナー90Dを有している。
図17(a)に示すように、本実施の形態に係る雄型面ファスナー80Dは、略円形の基材81の外縁の一部から外側に延伸する延伸部83が設けられた点が、雄型面ファスナー80(図12参照)と相違する。コイル近傍の断面構造は、図12(b)と同様である。なお、延伸部83にはフック状係合素子82を設けない。
図17(b)に示すように、本実施の形態に係る雌型面ファスナー90Dは、略円形の基材91が基材81と略同一径とされた点、基材91の外縁の一部から外側に延伸する延伸部93が設けられた点、ガイド99が設けられていない点が雌型面ファスナー90(図13参照)と相違する。雌型面ファスナー90Dの断面構造は、図13(b)と同様である。なお、延伸部93にループ状係合素子92を設けてもよい。
雌型面ファスナー90Dの基材91の他方の側を被験者の頭部に貼り付けた後、図17(c)に示すように、雌型面ファスナー90Dの基材91と重複するように、雄型面ファスナー80の基材81を配置する。これにより、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合し、基板保持部である雌型面ファスナー90Dが基板31を保持し、各コイルを被験者の頭部の所定位置に配置することができる。
図17(c)に示すように、マーカコイルユニット30Dにおいて、延伸部83と延伸部93とが平面視で重複しないように形成しておくことで、基板31を被験者の頭部から取り外す際は、延伸部93を押さえて延伸部83を引っ張ることにより容易に取り外し可能である。
フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合する構造により生じる効果については、マーカコイルユニット30Bの場合と同様である。
〈第2の実施の形態の変形例4〉
第2の実施の形態の変形例4では、基板と基板保持部との取り付け部において、凸形状と凸形状に係合する係合部が面ファスナーの一部である更に他の例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図18は、第2の実施の形態の変形例4に係るマーカコイルユニットについて説明する図(その1)であり、図18(a)はマーカコイルユニットのコイル近傍を例示する平面図、図18(b)はマーカコイルユニットの基板保持部を例示する平面図である。図19は、第2の実施の形態の変形例4に係るマーカコイルユニットについて説明する図(その2)であり、図19(a)は平面図、図19(b)は図19(a)のD−D線に沿う断面図である。
図18及び図19に示すように、マーカコイルユニット30Eは、マーカコイルユニット30における基板保持部50及び基板保持部50の突起部52と係合する孔31xに代えて、雄型面ファスナー80E及び雌型面ファスナー90Eを有している。
図18(a)に示すように、本実施の形態に係る雄型面ファスナー80Eは、略円形の基材81の外縁の一部から外側に延伸する3つの略三日月状の延伸部84が設けられている。又、図19(b)に示すように、雄型面ファスナー80Eでは、基材81の他方の側に補強板41が固定され、補強板41の他方の側に基板31に形成されたコイル32が固定されている。延伸部84の他方の側にはフック状係合素子82が設けられている。
図18(b)に示すように、本実施の形態に係る雌型面ファスナー90Eは、基材81と略同一径の略円形の基材91の外縁の一部から外側に延伸する3つの略三日月状の延伸部94が設けられている。基材91及び延伸部94の一方の側にはループ状係合素子92が設けられている。雌型面ファスナー90Eの断面構造は、図19(b)に示す通りである。
雌型面ファスナー90Eの基材91の他方の側を被験者の頭部に貼り付けた後、図19(a)及び図19(b)に示すように、各々の延伸部84の基材81側と各々の延伸部94の基材91側とが平面視で重複するように、雄型面ファスナー80Eの基材81を配置する。
これにより、延伸部84と延伸部94とが平面視で重複する部分において、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合し、基板保持部である雌型面ファスナー90Eが基板31を保持し、各コイルを被験者の頭部の所定位置に配置することができる。
又、延伸部84の先端側と延伸部94の先端側とはずれており、平面視で重複していないため、基板31を被験者の頭部から取り外す際は、延伸部94を押さえて延伸部84を引っ張ることにより容易に取り外し可能である。
フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合する構造により生じる効果については、マーカコイルユニット30Bの場合と同様である。
なお、延伸部84と延伸部94は、最低2組あれば、基板保持部である雌型面ファスナー90Eが基板31を保持することができるが、延伸部84と延伸部94が3組以上あれば、基板保持部である雌型面ファスナー90Eが基板31をより安定して保持することができる。
〈第2の実施の形態の変形例5〉
第2の実施の形態の変形例5では、基板と基板保持部との取り付け部において、凸形状と凸形状に係合する係合部が面ファスナーの一部である更に他の例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例5において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図20は、第2の実施の形態の変形例5に係るマーカコイルユニットについて説明する図(その1)であり、図20(a)はマーカコイルユニットの雄型面ファスナーを例示する平面図、図20(b)はマーカコイルユニットの基板保持部を例示する平面図である。図21は、第2の実施の形態の変形例5に係るマーカコイルユニットについて説明する図(その2)であり、図21(a)は平面図、図21(b)は図21(a)のE−E線に沿う断面図である。
図20及び図21に示すように、マーカコイルユニット30Fは、マーカコイルユニット30における基板保持部50及び基板保持部50の突起部52と係合する孔31xに代えて、雄型面ファスナー80F及び雌型面ファスナー90Fを有している。雄型面ファスナー80F及び雌型面ファスナー90Fは、基板31やコイル32等と別体とされた分離型である。
図20(a)に示すように、本実施の形態に係る雄型面ファスナー80Fは、略円形の基材81と、基材81の外縁の一部から外側に延伸する3つの延伸部85とを備えている。3つの延伸部85は略均等に配置されている。すなわち、隣接する延伸部85が形成する中心角は約120度である。
延伸部85は長手方向の一辺が略直線状であり、長手方向の他辺が湾曲した略ナイフ状に形成されている。又、図21(b)に示すように、雄型面ファスナー80Fでは、基材81及び延伸部85の他方の側にはフック状係合素子82が設けられている。
図20(b)に示すように、本実施の形態に係る雌型面ファスナー90Fは、基材81と略同一径の略円形の基材91と、基材91の外縁の一部から外側に延伸する3つの延伸部95とを備えている。3つの延伸部95は略均等に配置されている。すなわち、隣接する延伸部95が形成する中心角は約120度である。
延伸部95は長手方向の一辺が略直線状であり、長手方向の他辺が湾曲した略ナイフ状に形成されている。但し、延伸部85と延伸部95とは、長手方向の中心線に対して略線対称な形状とされている。又、図21(b)に示すように、雌型面ファスナー90Fでは、基材91及び延伸部95の一方の側にはループ状係合素子92が設けられている。
雌型面ファスナー90Fの基材91の他方の側を被験者の頭部に貼り付けた後、図21(a)及び図21(b)に示すように、コイル32等が形成された基板31を配置し、更に各々の延伸部85の基材81側と各々の延伸部95の基材91側とが平面視で重複するように、雄型面ファスナー80Fの基材81を配置する。
これにより、延伸部85と延伸部95とが平面視で重複する部分において、フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合し、基板保持部である雌型面ファスナー90Fが基板31を保持し、各コイルを被験者の頭部の所定位置に配置することができる。
又、延伸部85の先端側と延伸部95の先端側とはずれており、平面視で重複していないため、基板31を被験者の頭部から取り外す際は、延伸部95を押さえて延伸部85を引っ張ることにより容易に取り外し可能である。
フック状係合素子82がループ状係合素子92に引っ掛かることにより係合する構造により生じる効果については、マーカコイルユニット30Bの場合と同様である。
なお、延伸部85と延伸部95が3組以上あれば、基板保持部である雌型面ファスナー90Fが基板31を安定して保持することができる。
〈第2の実施の形態の変形例6、7〉
第2の実施の形態の変形例6及び7では、基板と基板保持部との取り付け部において、凸形状と凸形状に係合する係合部が面ファスナーの一部である更に他の例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例6及び7において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図22は、第2の実施の形態の変形例6に係るマーカコイルユニットの基板保持部を基板に装着した様子を例示する図である。
図22に示すように、マーカコイルユニット30Gは、雌型面ファスナー90が雌型面ファスナー90Gに置換された点が、マーカコイルユニット30B(図12〜図14参照)と相違する。雄型面ファスナー80の構造や、雄型面ファスナー80を雌型面ファスナー90Gに取り付けた際の断面構造は、図12や図14と同様である。
図22に示すように、雌型面ファスナーの形状は、コイルの形状や雄型面ファスナーの形状と必ずしも同じとする必要はない。図22に示す雌型面ファスナー90Gにおいて、基材91Gはリボン状(細長い長方形)とされている。基材91Gがリボン状(細長い長方形)である場合、髪の毛の分け目に沿って貼り付けることで、頭皮への接着面積を大きくできるという効果がある。
なお、基材91Gは十字状としてもよい。十字状の場合、雄型面ファスナー80の取付位置(十字の中心位置)がわかりやすいという効果がある。
図23は、第2の実施の形態の変形例7に係るマーカコイルユニットの基板保持部を基板に装着した様子を例示する図である。
図23に示すように、マーカコイルユニット30Hは、雄型面ファスナー80が雄型面ファスナー80Hに置換された点が、マーカコイルユニット30G(図22参照)と相違する。雄型面ファスナー80Hの断面構造や、雄型面ファスナー80Hを雌型面ファスナー90Gに取り付けた際の断面構造は、図19(b)と同様である。
図23に示す雄型面ファスナー80Hにおいて、基材81Hはリボン状(細長い長方形)とされている。このように、雄型面ファスナーの形状は、コイルの形状と必ずしも同じとする必要はない。
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
又、上記の実施の形態では、マーカコイルユニット30において、基板31のコイルの中心に、基板保持部50の突起部52を脱着する孔を設ける例を示した。基板31のコイルの中心に孔を設けることは、被験者が動いてもコイルがずれ難く、曲がり難い点で好適である。又、MRI画像との位置合わせ精度向上のために、3Dデジタイザを使用してマーカコイルユニット30の3次元座標を取得する場合があるが、この場合、基板31のコイルの中心に孔を設けることにより、3次元座標を取得する際の計算を簡略化することができる。但し、基板保持部50は基板31を保持することを目的としているため、必ずしも基板31のコイルの中心に孔を設ける必要はなく、基板31の任意の位置に孔を設けることができる。
又、上記の実施の形態では、本発明に係るマーカコイルユニットを脳磁計に用いる例を示したが、本発明に係るマーカコイルユニットは脳磁計以外の生体磁気計測計(脊磁計等)に用いてもよい。この際、第1及び第2の実施の形態に係るマーカコイルユニットは、頭以外の被験者の体の一部(胴体や腕等)にも容易に装着可能である。