JP2017212395A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】漏れ電流不良の発生を抑制し、電気的特性が安定した固体電解コンデンサの提供。【解決手段】固体電解コンデンサ10は、誘電体酸化皮膜層22を有する弁作用金属からなる陽極基体18の一方の端部側を陽極部24とし、陽極部24に接して陽極基体18上に所定幅の絶縁層26を設けて絶縁部26とし、他方の端部側の誘電体酸化皮膜層22上に、固体電解質層28と導電体層30を積層して陰極部36としたコンデンサ素子16を含み、陰極部36をリードフレーム38に接合し、陽極部24をリードフレーム40に接合し、リードフレーム38と40の一部が露出するように、全体が外装樹脂46で封止され、外装樹脂46は、コンデンサ素子16と外部とを連通させる穴部68を有し、穴部68は、リードフレーム38が外装樹脂46の外部に引き出され、穴部68の開口面の法線方向に見て、穴部68をカバーしている。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサに関するものである。
従来、各種電子機器に使用されるチップ形の固体電解コンデンサとして、たとえばモールド成形の寸法精度を高めて小型大容量化を図ることを目的としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この固体電解コンデンサは、特許文献1のたとえば図1および図2に示すように、表面に誘電体酸化皮膜層が形成された弁作用金属箔からなる陽極体の所定の位置に絶縁部を設けて陽極電極部2と陰極形成部3に分離し、この陰極形成部3に導電性高分子からなる固体電解質層、カーボン層と銀ペースト層からなる陰極層を順次積層形成することにより陰極電極部3が形成されたコンデンサ素子1と、このコンデンサ素子1を同方向に複数枚積層した素子積層体4と、この素子積層体4の陽極電極部2を上面に接合した陽極コム端子5と、同じく素子積層体4の陰極電極部3を上面に接合した陰極コム端子6と、上記陽極コム端子5ならびに陰極コム端子6の一部が夫々実装面となる下面の一部に表出する状態で上記素子積層体4を被覆した絶縁性の外装樹脂12からなるチップ形の固体電解コンデンサである。
特開2008−135427号公報
しかしながら、この従来のチップ形の固体電解コンデンサでは、リフローの際に、外装樹脂12で封止されているコンデンサ素子1内から、水分等の蒸気が発生する虞があり、この場合、当該コンデンサ素子1に蒸気による圧力が掛かるものとなる。それによって、コンデンサ素子1の固体電解質層を構成する導電性高分子、あるいは、コンデンサ素子1の陰極層の表面に構成されるカーボン等の樹脂に剥がれや亀裂が入る不具合が生じる。そのため、漏れ電流の値が不良範囲となり、また、短絡する可能性もある。漏れ電流については、特に、当該漏れ電流の値が規定の値を超える、所謂、LC(Leakage Current)不良が発生するという問題が発生していた。その結果、漏れ電流による充電時の電力損、放電時の自己放電となり、固体電解コンデンサの電気的特性が安定したものとはならず、当該固体電解コンデンサが使用される各種電子機器に要求される精度を満たすことができない問題が発生する虞があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、漏れ電流不良の発生を抑制し、電気的特性が安定した固体電解コンデンサを提供することをその主たる目的とするものである。
請求項1に係る本発明は、 誘電体酸化皮膜層を有する弁作用金属からなる陽極基体の一方の端部側を陽極部とし、陽極部に接して陽極基体上に所定幅の絶縁層を設けて絶縁部とし、他方の端部側の誘電体酸化皮膜層上に、固体電解質層と導電体層を順次積層して陰極部としたコンデンサ素子を含み、コンデンサ素子の陰極部を第1のリードフレームに接合し、コンデンサ素子の陽極部を第2のリードフレームに接合し、第1のリードフレームおよび第2のリードフレームの一部が露出するように、コンデンサ素子全体を外装樹脂で封止してなる固体電解コンデンサであって、外装樹脂は、コンデンサ素子と外部とを連通させる穴部を具備し、穴部は、第1のリードフレームおよび第2のリードフレームの両方またはいずれか一方が外装樹脂の外部に引き出され、穴部の開口面の法線方向に見て、穴部をカバーする態様となっていることを特徴とする、固体電解コンデンサである。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、穴部の開口部は、撥水材料で形成された閉塞部材により閉塞されていることを特徴とする、固体電解コンデンサである。
請求項3に係る本発明は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、穴部には、撥水材料で形成された充填部材が充填されていることを特徴とする、固体電解コンデンサである。
請求項4に係る本発明は、請求項2または請求項3に係る発明に従属する発明であって、コンデンサ素子と外装樹脂との間に配設され、撥水材料で形成される撥水剤層を含み、撥水剤層は、穴部に露出されていることを特徴とする、固体電解コンデンサである。
請求項5に係る本発明は、請求項2〜請求項4のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、撥水材料は、シリコンを含むことを特徴とする、固体電解コンデンサである。
請求項6に係る本発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、外装樹脂は、外装樹脂の表面に凸部と凹部とが隣接して形成される凹凸部を含み、穴部は、凹部に露出していることを特徴とする、固体電解コンデンサである。
本発明によれば、漏れ電流不良の発生を抑制し、電気的特性が安定した固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの一例を示す断面図解図である。 図1に示す固体電解コンデンサに用いられる単体のコンデンサ素子の構造の一例を示す断面図解図である。 図1に示す固体電解コンデンサを用いて実施したリフロープロフイルの一例を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの他の例を示す断面図解図である。 本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサのさらに他の例を示す断面図解図である。 本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサのさらに他の例を示す断面図解図である。
図1は、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの一例を示す断面図解図であり、図2は、図1に示す固体電解コンデンサに用いられる単体のコンデンサ素子の構造の一例を示す断面図解図である。
この固体電解コンデンサ10Aは、たとえば図1に示すように、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14を含む。第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、複数のコンデンサ素子16が積層されることによって形成される。単一のコンデンサ素子16は、図2に示すように、弁作用金属からなるたとえば平板状の陽極基体18を含む。陽極基体18は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、珪素などの金属単体、あるいはこれらの合金等の酸化皮膜を形成できる弁作用金属で形成される。
陽極基体18の態様は、圧延箔のエッチング物、微粉焼結体などの多孔質成形体の形態が適宜採用され得るものとなり、この場合、陽極基体18は、その表面に多孔質層20を有するものとなる。なお、上記金属の多孔質焼結体、エッチング等で表面処理された板状体が用いられ、板状体には、リボン、箔等も含まれ得るが、平板状、箔状のものを用いることが好ましい。陽極基体18の厚さは、使用目的によって異なるが、例えば、厚みが約40μm以上、300μm以下の箔が使用され得る。金属箔の大きさおよび形状も用途により異なるが、平板状素子単位として、幅が約0.3mm以上、50mm以下、長さが約1mm以上、50mm以下の矩形のものが好ましく、幅が約0.3mm以上、15mm以下、長さが約2mm以上、25mm以下の矩形のものがより好ましい。
また、陽極基体18は、多孔質層20の表面に誘電体酸化被膜層22を有している。この陽極基体18の多孔質層20の表面に誘電体酸化被膜層22を形成する方法としては、例えば、アルミニウム箔が用いられる場合には、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、またはそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩などを含む水溶液中で陽極酸化して酸化皮膜を形成することができる。また、陽極基体18として、タンタル粉末の焼結体を使用する場合には、リン酸水溶液中で陽極酸化して、焼結体に酸化皮膜を形成することができる。
なお、陽極基体18に用いられる上記金属は、一般に空気酸化によって表面に誘電体酸化皮膜を有しているが、化成処理を施すことにより確実に誘電体皮膜を形成しておくことが好ましい。
陽極基体18の片側端部には、陽極部24が形成され、当該陽極部24に接して陽極基体18の上には、絶縁部として、所定幅の絶縁層26が周設されている。絶縁層26は、例えば、絶縁樹脂、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などを塗布して形成するか、あるいは、絶縁テープを張付けて形成するようにしてもよい。絶縁性の材料には制限されないが、具体例としては、例えば、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など)、低分子量ポリイミドおよびそれらの誘導体、さらにその前駆体、可溶性ポリイミドシロキサンとエポキシ樹脂からなる組成物などが列挙される。特に、低分子量ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂およびそれらの前駆体がより好ましい。また、絶縁性の材料を所定の幅で陽極基体18上に形成できればその方法は限定されるものではない。
上記した陽極部24と絶縁層26を除いた部分の誘電体酸化皮膜層22上には、固体電解質層28が形成されている。固体電解質層28としては、例えば、導電性重合体、導電性有機物および導電性無機酸化物等の何れによっても形成され得る。このコンデンサ素子16では、固体電解質層28として、たとえば導電性高分子膜が用いられている。
また、固体電解質層28としては、複数の材料を順次形成することも可能であり、複合材料を形成するようにしてもよい。好ましくは、公知の導電性重合体、例えば、ピロール、チオフェン、あるいはアニリン構造のいずれか1つの二価基、またはそれら置換誘導体の少なくとも1つを繰り返し単位として含む導電性重合体が用いられ得る。例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化皮膜層に塗布して形成する方法なども用いられ得る。
一般に、導電性重合体にはドーパントが使用され、ドーパントとしてはドーピング能がある化合物なら如何なるものでもよく、例えば、有機スルホン酸、無機スルホン酸、有機カルボン酸及びこれらの塩を使用できる。一般的にはアリールスルホン酸塩系ドーパントが使用される。例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸またはそれらの置換誘導体などの塩を用いることができる。また、特に優れたコンデンサ性能を引き出すことができる化合物として、分子内に1つ以上のスルホン酸基とキノン構造を有する化合物、複素環式スルホン酸、アントラセンモノスルホン酸及びこれらの塩を用いてもよい。
さらに、固体電解質層28の上には、導電体層30が形成されている。導電体層30は、一般的にはカーボンペースト層32を下地とし、その上に銀ペースト層34を塗布して形成されるが、銀ペーストを塗布したのみでもよく、また塗布以外の方法で導電体層30を形成するようにしてもよい。この導電体層30によって、陰極部36が形成されている。
第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、図1に示すように、複数枚のコンデンサ素子16が積層され、コンデンサ素子16同士の陰極部36間に、銀ペースト等の導電性ペースト(図示せず)によって一体的に接合されて形成される。図1に示す固体電解コンデンサ10Aにおいて、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、たとえば3枚のコンデンサ素子16が積層されることによって形成されている。
なお、コンデンサ素子としては、単一のコンデンサ素子16でも、また、コンデンサ素子積層体12および14の場合でも、同様の効果が得られる。
図1に示す固体電解コンデンサ10Aでは、当該固体電解コンデンサ10Aの中央部、言い換えると、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14の境界部に、金属材料からなる第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40が接合されている。第1のリードフレーム38は、陰極部側リードフレームとして形成され、第2のリードフレーム40は、陽極部側リードフレームとして形成されている。
第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の一方主面上に、それぞれ、たとえば導電性接着剤層(図示せず)が形成され、当該導電性接着剤層を介して、第1のコンデンサ素子積層体12の一方主面側が、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の一方主面上に積層固着されている。また、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の他方主面上に、それぞれ、たとえば導電性接着剤層(図示せず)が形成され、当該導電性接着剤層を介して、第2のコンデンサ素子積層体14の一方主面側が、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の他方主面上に積層固着されている。
この場合、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、それぞれ、その陰極部36側が、陽極部24側から陰極部36の先端側に向って末広がり形状の態様となるように、導電性接着剤層を介して、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の一方主面と、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の他方主面とに、固着される。それによって第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14の各陰極部36は、それぞれ、異なる方向に向いて配設される態様となっている。
一方、第2のリードフレーム40をコンデンサ素子16の陽極部24に接合する場合、導電性接着剤層を介して、第2のコンデンサ素子積層体14を積層固着する以外にも、特に、第2のリードフレーム40の接合部分に、低融点金属メッキを施したものが用いられ得る。この場合、メッキ部分にコンデンサ素子16の誘電体酸化皮膜層22が露出している陽極部24を重ね合わせ、当該重ね合わせ部位に、たとえば抵抗溶接を施すようにしてもよい。抵抗溶接を施すことで、陽極部24の端部の誘電体酸化皮膜層22の固有抵抗によって接合部分が発熱し、第2のリードフレーム40のメッキ金属が溶融して、第2のリードフレーム40と陽極部24の端部とが一体に接合される。また、アルミニウム化成箔等を陽極基体18に用いた場合には、この誘電体酸化皮膜層22の抵抗発熱によってアルミニウム化成箔の表面が溶融し、陽極部24に積層したアルミニウム化成箔の表面が相互に溶け込んで一体に接合される。
なお、図1に示す固体電解コンデンサ10Aにおいて、積層されるコンデンサ素子16の数は任意であり、また、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の上側と下側に重ねられる第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14の数は、同じ積層数である必異なく、異なる積層数であってもよい。さらに、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の材料としては、例えば、鉄およびニッケルを主体とした鉄ニッケル系合金、亜鉛材料、銅材料、または、銅にスズ、ニッケル、鉄等を加えた銅合金などが各種の電子機材において一般に用いられているが、上記した接合方法は、これら一般のリードフレーム材料によって形成されたものについても広く適用され得る。これらのリードフレーム材料の中でも、特に、銅または銅合金等からなる良導電性材料によって形成されたリードフレームに対して有用である。
図1に示す固体電解コンデンサ10Aでは、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の一部が外部に露出されるように、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14は、その全体が外装樹脂46によって封止されている。外装樹脂46は、第1の封止部48および第2の封止部50を含む。第1の封止部48によって、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の一方主面側で、第1のコンデンサ素子積層体12の略全体が封止されている。また、第2の封止部50によって、第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40の他方主面側で、第2のコンデンサ素子積層体14の略全体が封止されている。
第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40は、図1に示すように、固体電解コンデンサ10の中央部に接合され、第1のリードフレーム38と第2のリードフレーム40とを上下に区画する境界部52を構成している。第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40は、固体電解コンデンサ10の中央部に沿って、同一軸線上に配置されている。第1のリードフレーム38および第2のリードフレーム40は、それぞれ、その一部が外装樹脂46の側面から引き出され、且つ、第2の封止部50と間隔を有するように、当該第2の封止部50の側面から底面側に、たとえばL字状に引き回されるように折り曲げられている。この場合、外装樹脂46内に封止されている第1のリードフレーム38の一端部44および第2のリードフレーム40の一端部45同士は、所定の間隔を隔てて、外装樹脂46内に封止されている。また、外装樹脂46から露出している第1のリードフレーム38の他端部54および第2のリードフレーム40の他端部56同士も、所定の間隔を隔てて配設されている。
第2の封止部50の底面と対向する側に折り曲げられた第1のリードフレーム38の折り曲げ部58Aおよび第2のリードフレーム40の折り曲げ部60Aは、それぞれ、陰極端子部58および陽極端子部60として形成される。陰極端子部58および陽極端子部60は、それぞれ、本件固体電解コンデンサ10の実装面となる、たとえば実装基板(図示せず)と対向する第2の封止部50の底面と対向するように配設されている。
外装樹脂46の第2の封止部50は、図1に示すように、底面の中央部に凸部62を有し、凸部62の両側には、当該凸部62と隣接して、それぞれ、当該底面とは反対側に凹んだ凹部64および66を有している。凸部62の接線方向から見たときの凸部62の長さL1は、外装樹脂46から露出している第1のリードフレーム38の他端部54および第2のリードフレーム40の他端部56間の間隔L2よりも僅かに短く形成されている。また、凸部62の法線方向から見たときの凸部62の高さhは、凹部64と陰極端子部58との間の間隔t2、および、凹部66と陽極端子部60との間の間隔t2と、略同じに形成され、たとえば0.10mm以上、0.15mm以下に形成されている。さらに、凸部62の接線方向から見たときの第1のリードフレーム38の他端部54と凸部62の一方の角部62Aとの間隔t3、および、凸部62の接線方向から見たときの第2のリードフレーム40の他端部56と凸部62の他方の角部62Bとの間隔t3は、それぞれ、同じに形成され、たとえば0.3mm以上、0.7mm以下に形成されている。
第2の封止部50の一方の凹部66には、コンデンサ素子積層体14と外部とが連通する連通部として、たとえば直径が3mmの円形の穴部68が具備されている。この穴部68は、陰極端子部58を当該穴部68の開口面の法線方向から見た場合、陰極端子部58と穴部68の開口部70とが当該法線方向に重なっている態様を有するものである。すなわち、陰極端子部58は、当該法線方向から見て、穴部68をカバーする態様となっている。この穴部68には、空気以外は充填されていない。
この穴部68は、固体電解コンデンサ10のリフローの際に、コンデンサ素子積層体12および14のコンデンサ素子16内で発生した水分等の水蒸気を外部に放出させる機能を有するものである。なお、穴部68の形状は、円形に限定されるものではなく、例えば、長方形、正方形、楕円形に形成されてもよい。
したがって、この固体電界コンデンサ10Aでは、リフロー時に、固体電界コンデンサ10のコンデンサ素子積層体12および14内の水分等の水蒸気によってパッケージ内の気圧が上昇すると、上記した第2の封止部50の凹部66に配設された穴部68を通じて、水分等の水蒸気が外部へ放出させることができる。その結果、コンデンサ素子16を構成する導電性高分子膜等の固体電解質層28や導電体層30のカーボンペースト層34に剥がれおよび亀裂、それ以外にも、短絡等の不具合の発生を防止することができる。
そのため、この固体電界コンデンサ10Aでは、漏れ電流の値が規格値の範囲内となり、当該漏れ電流の値が規定の値を超える、所謂、漏れ電流不良が発生するという問題を解消することができる。したがって、漏れ電流による充電時の電力損、放電時の自己放電を抑制するものとなり、固体電解コンデンサ10Aの電気的特性が安定したものとなる。その結果、当該固体電解コンデンサ10Aが使用される各種電子機器に要求される精度を安定して満たすことができる。
さらに、陰極端子部58が、陰極端子部58を穴部58の開口面の法線方向に見て、穴部68をカバーするように配設されているので、リフローの際に、第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14の内部応力を開放させるときに発生する飛散物、例えば、陰極部36側の分散体やAg、Cの溶媒等の飛散物が穴部68から飛散して、この固体電解コンデンサ10Aが実装される実装基板および隣接する各種電子部品の汚染することを防止することも可能となっている。
しかも、第2の封止部50が凸部62を有し、且つ、当該凸部62は、図1に示すように、陰極端子部58との間に、間隔t2を有するものの、凸部62および陰極端子部58が接近して配置されているため、上記した飛散物は、当該凸部62の側壁面63でも遮られる。つまり、凸部62は、固体電解コンデンサ10Aが実装される実装基板および隣接する各種電子部品が飛散物によって汚染されることをより一層抑止する機能を有するものとなっている。
一方、平常時には、パッケージ内の内圧と外部の外圧との間に大きな圧力差がなく、外部からパッケージ内への水分等の水蒸気や湿気がコンデンサ素子積層体12および14内に入り込んで不具合が発生するということはない。この場合、水分等の水蒸気や湿気がコンデンサ素子積層体12および14内に入り込んだとしても、その量は微量なものであり、不具合が発生するところまでは至らない。
この穴部68は、第2の封止部50においてコンデンサ素子積層体12および14の陰極部36側寄りの位置に配設されることが好ましい。なぜならば、コンデンサ素子積層体12および14の陰極部36側に、分散体、および、Ag、Cの溶媒等が多いため、穴部68は陰極部36側寄りの位置に配設されることが効果的である。
図3は、図1に示す固体電解コンデンサ10Aを用いて実施したリフロープロフイルの一例を示すグラフである。
図1および図2に示す構造を有す固体電解コンデンサ10Aについて、たとえばリフロー温度250℃(ピーク温度260℃)、リフロー回数2回以下の実装条件でLC(Leakage Current)測定を実施し、漏れ電流の不良率を算出した。この場合、サンプル数は1000個とし、その内、何個に漏れ電流不良が発生しているかを測定した。不良品の判定基準としては、LC=0.3CV[LC:漏れ電流(μA)、C:静電容量(μF)、V:定格電圧(Vdc)]以上のものを不良品と判定した。なお、上記した穴部68が設けられていない固体電解コンデンサ(従来品)についても、同じサンプル数および同じリフロー条件で、LC測定を実施し、漏れ電流の不良率を算出した。
その結果、従来品の不良率が、
5〜26/1000(サンプル数1000個当たり、不良品が5〜26個)に対して、 図1に示す本発明の実施形態に係る固定電解コンデンサ10Aの不良率は、
0/1000(サンプル数1000個当たり、不良品が0個)であった。
図4は、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサの他の例を示す断面図解図である。この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Bは、図1に示す実施形態に係る固体電界コンデンサ10Aと比べて、特に、第2の封止部50に設けられた穴部68が閉塞部材74によって閉塞されている構造を有している点で相違している。すなわち、この固体電界コンデンサ10Bでは、穴部68の開口部70を閉塞するように、閉塞部材74が穴部68に配設されている。閉塞部材74は、たとえばシリコンからなる撥水材料で形成されている。閉塞部材74は、穴部68の開口面の法線方向から見て、穴部68の開口部70と略同じか僅かに大きい直径を有する、たとえば円形板状に形成されている。閉塞部材74は、たとえば接着剤により穴部68の開口部70を塞ぐようにして、当該開口部70の周縁端に固着されている。
この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Bでは、穴部68を閉塞するように、閉塞部材74が配設されているので、リフローの際に、外装樹脂46内に封止された第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14のコンデンサ素子16内への水分等の水蒸気や湿気の浸入を効果的に抑制することができる。
図5は、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサのさらに他の例を示す断面図解図である。この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Cは、図4に示す実施形態に係る固体電界コンデンサ10Bと比べて、特に、第2の封止部50に設けられた穴部68に充填部材76が充填されている構造を有している点で相違している。すなわち、この固体電解コンデンサ10Cでは、穴部68の内部に、たとえばシリコンからなる撥水材料で形成された円柱状の充填部材76が充填されている。充填部材76は、たとえば撥水材料を穴部68内に注入して充填することによって、結果的に、充填部材76を形成するようにしてもよいし、また、撥水材料をたとえば穴部68の形状に対応させて円柱状に成形加工して得られた充填部材76を当該穴部68の中に挿入して詰め込むようにしてもよい。この場合、充填部材76は、接着剤等の固着手段により、穴部68内に固着される。
この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Cでは、穴部68の内部に充填部材76が配設されているので、リフローの際に、外部から、外装樹脂46内に封止された第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14のコンデンサ素子16内への水分等の水蒸気や湿気の浸入を、図4に示す実施形態に係る固体電界コンデンサ10Bと比べて、さらに効果的に抑制することができる。この場合、穴部68に充填部材76が充填されているため、外部からの水分に対する耐性をより一層向上させることが可能となっている。
図6は、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサのさらに他の例を示す断面図解図である。この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Dは、図5に示す実施形態に係る固体電界コンデンサ10Cと比べて、特に、撥水剤層78が、第2のコンデンサ素子積層体14と、外装樹脂46の第2の封止部50との間に配設されている点で相違している。すなわち、この固体電解コンデンサ10Dでは、第2のコンデンサ素子積層体14の下面に所定の長さを有するように、撥水材料として、たとえばシリコンが印刷等の方法により塗布されることによって、当該第2の封止部50と第2の封止部50との間に、撥水剤層78が配設されている。撥水剤層78は、たとえばシート状の態様を有している。この場合、撥水剤層78は、穴部68を跨るように配設されているので、当該撥水剤層78には、穴部68に露出する露出部80を有する態様となっている。そのため、撥水剤層78は、穴部68を介して、外部から露出部80が目視され得るものとなっている。
したがって、この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Dでは、リフローの際に、外装樹脂46内の第1のコンデンサ素子積層体12および第2のコンデンサ素子積層体14に水分等の蒸気による圧力が掛かって応力が発生したとしても、撥水剤層78が、第2のコンデンサ素子積層体14および外装樹脂46の第2の封止部50間での当該応力を緩和することができる。さらに、この撥水剤層78は、外部から穴部68の開口部70を介して、水分および湿気が侵入することも抑制され得るものとなっている。
なお、この実施形態に係る固体電界コンデンサ10Dにおいて、撥水剤層78に加えて、図4に示す固体電解コンデンサ10Bと同様に、たとえば穴部68の開口部70を閉塞するように、たとえばシリコンからなる撥水材料で形成された円板状の閉塞部材74を穴部68に配設するようにしてもよい。また、穴部68の内部に、図5に示す固体電解コンデンサ10Cと同様に、たとえばシリコンからなる撥水材料で形成された円柱状の充填部材76を充填するようにしてもよい。
10A、10B、10C、10D 固体電解コンデンサ
12 第1のコンデンサ素子積層体
14 第2のコンデンサ素子積層体
16 単体のコンデンサ素子
18 陽極基体
20 多孔質層
22 誘電体酸化被膜層
24 陽極部
26 絶縁層
28 固体電解質層
30 導電体層
32 カーボンペースト層
34 銀ペースト層
36 陰極部
38 第1のリードフレーム
40 第2のリードフレーム
42 絶縁層の陰極部側の端部
44 第1リードフレームの先端部(第1のリードフレームの一端部)
45 第2のリードフレームの一端部
46 外装樹脂
48 第1の封止部
50 第2の封止部
52 境界部
54 第1のリードフレームの他端部
56 第2のリードフレームの他端部
58 陰極端子部
60 陽極端子部
61 凹凸部
62 凸部
64、66 凹部
68 穴部
70 開口部
72 隙間
74 閉塞部材
76 充填部材
78 コンデンサ素子と第2の封止部との間の撥水剤層
80 撥水剤層の露出部
t2 凹部と陰極端子部との間の間隔、凹部と陽極端子部との間の間隔
t3 第1のリードフレームの他端部と凸部の一方の角部との間の間隔、第2のリードフレームの他端部と凸部の他方の角部との間の間隔、
L1 凸部の接線方向の長さ
L2 第1のリードフレームの他端と第2のリードフレームの他端との間の間隔

Claims (6)

  1. 誘電体酸化皮膜層を有する弁作用金属からなる陽極基体の一方の端部側を陽極部とし、前記陽極部に接して前記陽極基体上に所定幅の絶縁層を設けて絶縁部とし、他方の端部側の前記誘電体酸化皮膜層上に、固体電解質層と導電体層を順次積層して陰極部としたコンデンサ素子を含み、
    前記コンデンサ素子の前記陰極部を第1のリードフレームに接合し、前記コンデンサ素子の前記陽極部を第2のリードフレームに接合し、前記第1のリードフレームおよび前記第2のリードフレームの一部が露出するように、前記コンデンサ素子全体を外装樹脂で封止してなる固体電解コンデンサであって、
    前記外装樹脂は、前記コンデンサ素子と外部とを連通させる穴部を具備し、前記穴部は、前記第1のリードフレームおよび前記第2のリードフレームの両方またはいずれか一方が前記外装樹脂の外部に引き出され、前記穴部の開口面の法線方向に見て、前記穴部をカバーする態様となっていることを特徴とする、固体電解コンデンサ。
  2. 前記穴部の開口部は、撥水材料で形成された閉塞部材により閉塞されていることを特徴とする、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記穴部には、撥水材料で形成された充填部材が充填されていることを特徴とする、請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記コンデンサ素子と前記外装樹脂との間に配設され、撥水材料で形成される撥水剤層を含み、前記撥水剤層は、前記穴部に露出されていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記撥水材料は、シリコンを含むことを特徴とする、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記外装樹脂は、前記外装樹脂の表面に凸部と凹部とが隣接して形成される凹凸部を含み、前記穴部は、前記凹部に露出していることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
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