JP2017212117A - リチウムイオン二次電池用正極 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電特性、容量のバランスに優れ、かつ寿命の長い電池を作製することができるリチウムイオン電池用正極の提供。【解決手段】ニッケル含有比率が異なる少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物と、リチウム・マンガン系複合酸化物とを含むリチウムイオン二次電池用正極活物質を、正極集電体12に配置した、リチウムイオン二次電池用正極。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質電池、特にリチウムイオン二次電池に使用する正極に関する。
非水電解質電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車等を含む自動車用電池として実用化されている。このような車載電源用電池としてリチウムイオン二次電池が使用されている。リチウムイオン二次電池は、出力特性、エネルギー密度、容量、寿命、高温安定性等の種々の特性を併せ持つことが要求されている。
特に、リチウムイオン源となる正極材料は、安定してリチウムイオンを挿脱することができる材料の探索が常に行われている。電池の放電特性、容量、および安全性を維持するために、これらの性能のバランスが良好な正極材料の開発が望まれている。
大電流での充放電の反復に耐え、常温および高温での電池の長寿命化を図るべく、遷移金属との結合力が強いマンガンスピネル系酸化物とリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物との混合物を正極活物質として使用することが提案されている(特許文献1)。
特開2007−317639号
リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を正極活物質として用いると、高容量電池を得ることができる。一方、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は電池の充放電時に膨張収縮するため、充放電を繰り返すと、正極に亀裂が入る等の不都合が発生しうる。そこで充放電時に結晶構造が変化しないマンガンスピネル系酸化物を混合すると、充放電による正極の劣化を抑制することができる。しかし、スピネルマンガン系酸化物は、エネルギー密度がやや低いため、電池の高容量化を図る上では、これを多量に混合することには難がある。
そこで本発明は、放電特性、容量のバランスに優れ、かつ寿命の長い電池を作製することができるリチウムイオン電池用正極を提供することを目的とする。
本発明の実施形態におけるリチウムイオン二次電池用正極は、ニッケル含有比率が異なる少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物と、リチウム・マンガン系複合酸化物とを含むリチウムイオン二次電池用正極活物質を、正極集電体に配置した、リチウムイオン二次電池用正極である。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、充放電による膨張および収縮が起こりにくく、寿命が長い。また本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、高容量で放電特性に優れるため、性能の高いリチウムイオン二次電池を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態のリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池表す模式断面図である。
本発明の実施形態を以下に説明する。リチウムイオン二次電池とは、正極と、負極と、セパレータと、電解液と、を含む発電要素を、外装体内部に含むリチウムイオン二次電池である。ここで正極とは、正極活物質と、バインダと、必要な場合導電助剤との混合物を金属箔等の正極集電体に塗布または圧延および乾燥して正極活物質層を形成した薄板状あるいはシート状の電池部材である。負極とは、負極活物質と、バインダと、必要な場合導電助剤との混合物を負極集電体に塗布して負極活物質層を形成した薄板状あるいはシート状の電池部材である。セパレータとは、正極と負極とを隔離して負極・正極間のリチウムイオンの伝導性を確保するための膜状の電池部材である。電解液とは、イオン性物質を溶媒に溶解させた電気伝導性のある溶液のことであり、本実施形態においては特に非水電解液を用いることができる。正極と負極とセパレータと電解液とを含む発電要素とは、電池の主構成部材の一単位であり、通常、正極と負極とがセパレータを介して重ねられて(積層されて)、この積層物が電解液に浸漬されている。
リチウムイオン二次電池は、外装体の内部に該発電要素が含まれて成り、好ましくは、発電要素は該外装体内部に封止されている。封止されているとは、発電要素が外気に触れないように、後述する外装体材料により包まれていることを意味する。外装体は、発電要素をその内部に封止することが可能な筐体か、あるいは柔軟な材料から構成される袋形状のものである。リチウムイオン二次電池は、コイン型電池、ラミネート型電池、巻回型電池など、種々の形態であってよい。
実施形態のリチウムイオン二次電池において正極とは、正極活物質と、バインダと、必要な場合導電助剤との混合物を金属箔等の正極集電体に塗布または圧延および乾燥して正極活物質層を形成した薄板状あるいはシート状の電池部材である。好ましくは、正極は、正極活物質、バインダおよび場合により導電助剤の混合物をアルミニウム箔などの金属箔からなる正極集電体に塗布または圧延し、乾燥して得た正極活物質層を有している。正極活物質層は、ニッケル含有比率が異なる少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物と、リチウム・マンガン系複合酸化物とを含む。ここでリチウム・ニッケル系複合酸化物とは、一般式LiNiMe(1−y)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される、少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x≦1.2であり、yは1.0未満の正の数である。)で表される、リチウムとニッケルとを含有する遷移金属複合酸化物のことである。たとえば、MeがCo(コバルト)とAl(アルミニウム)であるリチウム・ニッケル系複合酸化物や、MeがCo(コバルト)とMn(マンガン)であるリチウム・ニッケル系複合酸化物を正極活物質の成分として用いることができる。
また、リチウム・マンガン系複合酸化物は、たとえばジグザグ層状構造のマンガン酸リチウム(LiMnO)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)等を挙げることができる。リチウム・マンガン系複合酸化物を併用することで、より安価に正極を作製することができる。特に、過充電状態での結晶構造の安定度の点で優れるスピネル型のマンガン酸リチウム(LiMn)を用いることが好ましい。LiMn中のMn(マンガン)は、3価および4価のものが存在する。これらのうち電池反応の酸化還元に寄与するマンガンは、3価のものである。この3価のマンガンの一部を他元素で置換することにより、結晶構造を安定化することができる。3価のマンガンの一部と置換できる元素としては,Li、Mg、B、Al、V、Cr、Fe、Co、Ni、Wおよびこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
ここでニッケル含有比率とは、リチウム・ニッケル系複合酸化物中に含まれているニッケル(Ni)およびその他の金属(Me)の総含量に占めるニッケルの含有割合である。実施形態で用いる一般式LiNiMe(1−y)のリチウム・ニッケル系複合酸化物では、ニッケルの含有比率はyで表される。yは1.0未満の正の数であり、Meの含有比率は(1.0―y)であるから、たとえば、「LiNi0.4Me0.6」と「LiNi0.5Me0.5」とは、「ニッケル含有比率の異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物」であると云える。そしてLiNi0.4Me0.6とLiNi0.5Me0.5とでは、LiNi0.5Me0.5の方が、「ニッケル含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物」である。すなわち、正極活物質が、ニッケル含有比率が異なる以下の2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物:Lix1Niy1Me(1-.0−y1)およびLix2Niy2Me(1.0−y2)を含んでいる場合、両者のニッケル含有比率y1とy2との値がy1>y2の関係を有する場合、ニッケル含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物はLix1Niy1Me(1.0−y1)である。
正極活物質中にニッケル含有比率が異なる少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物を用いると、電池の充放電中における正極活物質の膨張・収縮を抑制しつつ、電池の高容量化を図ることができる。電池充電時に正極活物質中のリチウム・ニッケル系複合酸化物からリチウムイオンが脱離すると、残った金属イオン同士が反発して結晶構造全体が膨張する現象が見られるが、この現象は、価数変化可能なニッケルの含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物で顕著に生じる。電池の高容量化を図るには、できるだけニッケル含有比率の高いリチウム・ニッケル系複合酸化物を用いることが有利であると云えるが、一方、ニッケル含有比率の高いリチウム・ニッケル系複合酸化物は電池充放電時の膨張収縮も顕著に生じるため、それだけ正極活物質層の割れ等も生じやすくなる。本実施形態では、ニッケル含有比率が異なる少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物を混合して正極活物質として用いることにより、正極活物質の膨張・収縮を抑制することができる。実施形態において、少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物が、異なるニッケル含有比率を有することが重要である。たとえば、ニッケル含有比率が等しく粒径が異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の組み合わせは、本明細書でいう2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物にはあたらない。なお、明細書中で用いることがある「ニッケル含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物」「ニッケル含有比率が低いリチウム・ニッケル系複合酸化物」なる語句中の「高い」「低い」の語は、相対的なものであって、絶対的なものではない。すなわち、正極活物質がニッケル含有比率の異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物を含む場合に、この両者を比較して、ニッケル含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物の方を「ニッケル含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物」、ニッケル含有比率が低いリチウム・ニッケル系複合酸化物の方を「ニッケル含有比率が低いリチウム・ニッケル系複合酸化物」と呼ぶものとする。「ニッケル含有比率が高いリチウム・ニッケル系複合酸化物」のニッケル含有比率が、具体的な数値以上である、ということを意図していないことに注意されたい。
好ましくは、正極活物質は、リチウム・マンガン系複合酸化物と、一般式Lix1Niy1Me(1.0−y1)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x1≦1.2であり、y1は1.0未満の正の数である。)で表されるリチウム・ニッケル系複合酸化物および一般式Lix2Niy2Me(1.0−y2)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x2≦1.2であり、y2は1.0未満の正の数である。)で表される2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物と、を含む。ここでy1の値はy2の値よりも大きい。そして、正極活物質におけるこれら3成分の混合比率は、リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)、リチウム・マンガン系複合酸化物、リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix2Niy2Me(1.0−y2)の順に高い、つまり、Lix1Niy1Me(1.0−y1)の混合比率>リチウム・マンガン系複合酸化物の混合比率>Lix2Niy2Me(1.0−y2)の混合比率の順であることが非常に好ましい。このような成分混合比率とすることで、電池充電時の正極活物質の膨張・収縮現象を効果的に抑制することができる。特にリチウム・マンガン系複合酸化物の混合比率は、多くしすぎない方がよい。リチウム・マンガン系複合酸化物を多く配合しすぎると容量の低下を招くほか、高温下で電解液中へのマンガンの溶出が起こるおそれがあり、電池の使用に伴い放電特性が急速に低下する場合があるからである。
一方、全ての実施形態においてリチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)のニッケル含有比率y1は、0.5、0.6または0.8であることが好ましい。すなわち、ニッケルと他の金属との総含量に占めるニッケルの含有比率は50%、60%または80%であるとよい。このようなリチウム・ニッケル系複合酸化物を用いると、電池の容量を向上させることができる。
特にリチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)のニッケル含有比率y1は0.5であることが非常に好ましい。さらに、上記の3成分を含有する正極活物質において、一般式Lix2Niy2Me(1.0−y2)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x2≦1.2であり、y2は1.0未満の正の数である。)で表されるリチウム・ニッケル系複合酸化物のy2の値が0.5以下であることが好ましい。このようなリチウム・ニッケル系複合酸化物を用いることで、電池充電時の正極活物質の膨張・収縮現象を効果的に抑制することができる。
ニッケル含有比率が異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物およびリチウム・マンガン系複合酸化物は、それぞれ粒子形状をしていることが好ましい。リチウム・マンガン系複合酸化物の平均粒径が、2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の平均粒径よりも大きいことが特に好ましい。平均粒径が相対的に大きいリチウム・マンガン系複合酸化物を用いることで、電池充放電時におけるリチウム・ニッケル系複合酸化物の膨張・収縮現象を緩和することができる。先に述べたとおり、リチウム・マンガン系複合酸化物を用いると、高温下でマンガンが溶出することがあり、電池の使用に伴い電池の放電特性の低下を招きうる。ここでリチウム・マンガン系複合酸化物の平均粒径を相対的に大きくして比表面積を小さくすれば、リチウム・マンガン系複合酸化物が電解液に接触する面積が減少する。こうしてリチウム・マンガン系複合酸化物の不都合を最小化しつつ、2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の膨張・収縮現象を緩和する特性を発揮させることができる。ここでリチウム・マンガン系複合酸化物の平均粒径は、5〜20μmであり、好ましくは10〜20μmであり、さらに好ましくは10〜15μmである。2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の各々の平均粒径は2〜20μmであるとよく、好ましくは2〜12μmであり、さらに好ましくは2〜7μmであるとよい。なお、異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)とLix2Niy2Me(1.0−y2)(但しy1>y2である。)のうち、Lix1Niy1Me(1.0−y1)の平均粒径が、リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix2Niy2Me(1.0−y2)の平均粒径よりも大きいことが好ましい。ニッケル含有比率が大きいリチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)の膨張・収縮現象を、より平均粒径の小さい、ニッケル含有比率が低いリチウム・ニッケル系複合酸化物Lix2Niy2Me(1.0−y2)が緩和することができる。このとき、Lix1Niy1Me(1.0−y1)の平均粒径は4〜12μmであると好ましく、さらに2〜5μmであると好ましい。またLix2Niy2Me(1.0−y2)の平均粒径は2〜12μmであると好ましく、さらに4〜7μmであると好ましい。なお本願では平均粒径はD50で求めている。
さらに、リチウム・マンガン系複合酸化物の平均粒径に対する、ニッケル含有比率が異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の平均粒径の比が、共に0.2〜0.4であることが好ましい。リチウム・マンガン系複合酸化物は、2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の膨張・収縮現象を緩和するが、これらの平均粒径を適切に調整することにより、より効果的に膨張・収縮現象を緩和することができる。
全ての実施形態において、リチウム・ニッケル系複合酸化物は、一般式LiNiCoMn(1.0−y−z)で表される層状結晶構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を正極活物質として含むことが好ましい。ここで、一般式中のxは1.0≦x≦1.2であり、yおよびzはy+z<1.0を満たす正の数である。この一般式を有するリチウム・ニッケル系複合酸化物は、すなわちリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(以下、「NCM」と称することがある。)である。NCMは、電池の高容量化を図るために好適に用いられるリチウム・ニッケル系複合酸化物である。たとえば、一般式LiNiCoMn(1.0−y−z)において、x=1、y=0.4、z=0.3の複合酸化物を「NCM433」と称し、x=1、y=0.5、z=0.2の複合酸化物を「NCM523」と称する。NCM433とNCM523は、「ニッケル含有比率が異なる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物」に相当し、これらのうちでは、NCM523が「ニッケル含有比率の高いリチウム・ニッケル系複合酸化物」となる。
正極活物質層は、場合により用いられる導電助剤を含む。導電助剤として、カーボンナノファイバー等のカーボン繊維、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛、メゾポーラスカーボン、フラーレン類、カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。その他、正極活物質層には増粘剤、分散剤、安定剤等の、電極形成のために一般的に用いられる電極添加剤を適宜使用することができる。
正極活物質層は、バインダを含む。バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリピロール類等の導電性ポリマー、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ブタジエンラバー(BR)、クロロプレンラバー(CR)、イソプレンラバー(IR)、アクリロニトリルブタジエンラバー(NBR)等の合成ゴム、あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン等の多糖類を用いることができる。
実施形態において正極活物質層は、上記の正極活物質、バインダ、および導電助剤を溶媒(N−メチルピロリドン(NMP)、水等)に適切な割合で混合してスラリーを形成し、これを金属箔(アルミニウム箔等)からなる正極集電体に塗布または圧延し、加熱して溶媒を蒸発させることにより形成することができる。
実施形態のリチウムイオン二次電池用正極と共に用いられ、リチウムイオン二次電池を構成する負極とは、負極活物質と、バインダと、必要な場合導電助剤との混合物を金属箔等の負極集電体に塗布または圧延および乾燥して負極活物質層を形成した薄板状あるいはシート状の電池部材または金属箔単体のいずれかである。
負極活物質と、バインダと、必要な場合導電助剤との混合物を負極集電体に塗布または圧延および乾燥して負極活物質層を形成した負極を用いる場合、負極活物質として、炭素材料を用いることが好ましい。ここで炭素材料は、黒鉛を含む。特に負極活物質層に黒鉛が含まれると、電池の残容量(SOC)が低いときにも電池の出力を向上させることができるというメリットがある。黒鉛は、六方晶系六角板状結晶の炭素材料であり、石墨、グラファイト等と称されることがある。黒鉛は粒子の形態であることが好ましい。
黒鉛には、天然黒鉛と人造黒鉛がある。天然黒鉛は安価に大量に入手することができ、構造が安定し耐久性に優れている。人造黒鉛とは人工的に生産された黒鉛のことであり、純度が高い(同素体などの不純物がほとんど含まれていない)ため電気抵抗が小さい。実施形態における炭素材料として、天然黒鉛、人造黒鉛とも好適に用いることができる。非晶質炭素による被覆を有する天然黒鉛、あるいは非晶質炭素による被覆を有する人造黒鉛を用いることもできる。
なお非晶質炭素とは、部分的に黒鉛に類似するような構造を有していてもよい、微結晶がランダムにネットワークした構造をとった、全体として非晶質である炭素材料のことである。非晶質炭素として、カーボンブラック、コークス、活性炭、カーボンファイバー、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン等が挙げられる。非晶質炭素による被覆を有する天然黒鉛粒子、または非晶質炭素による被覆を有する人造黒鉛を負極活物質の炭素材料として用いると、電解液の分解が抑制され、負極の耐久性が向上する。
人造黒鉛を用いる場合、層間距離d値(d002)が0.337nm以上のものであることが好ましい。人造黒鉛の結晶の構造は、一般的に天然黒鉛よりも薄い。人造黒鉛をリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いる場合は、リチウムイオンが挿入可能な層間距離を有していることが条件となる。リチウムイオンの挿脱が可能な層間距離はd値(d002)で見積もることができ、d値が0.337nm以上であれば問題なくリチウムイオンの挿脱が行われる。
負極活物質層に含まれるバインダは、負極活物質である炭素材料の粒子同士や、負極活物質層と金属箔とを接着する役割を果たす。たとえばPVDFをバインダとして用いると、水ではなくN−メチルピロリドン(NMP)を溶剤として使用することができるので、残留水分に起因するガスの発生を防ぐことができる。特に負極活物質層全体の重量を基準としてバインダの含有量が4〜7重量%であることが好ましい。バインダの含有量を当該範囲とすると、負極材料の結着力を確保し、かつ負極の抵抗を低く保つことができる。バインダとして、PVDFのほか、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリピロール類等の導電性ポリマーのほか、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ブタジエンラバー(BR)、クロロプレンラバー(CR)、イソプレンラバー(IR)、アクリロニトリルブタジエンラバー(NBR)等の合成ゴム、あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン等の多糖類等の水溶性バインダを用いることもできる。
負極活物質層には場合により導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤として、カーボンナノファイバー等のカーボン繊維、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、メゾポーラスカーボン、フラーレン類、カーボンナノチューブ等の炭素材料が挙げられる。その他、負極活物質層には増粘剤、分散剤、安定剤等の、電極形成のために一般的に用いられる電極添加剤を適宜使用することができる。
負極活物質層は、負極活物質である炭素材料、バインダ、および導電助剤を溶媒(N−メチルピロリドン(NMP)、水等)に適切な割合で混合してスラリーを形成し、これを金属箔(銅箔等)からなる負極集電体に塗布または圧延し、加熱して溶媒を蒸発させることにより形成することができる。
負極として金属箔単体を用いる場合は、リチウム箔を用いることが好ましい。
実施形態のリチウムイオン二次電池用正極と共に用いられ、リチウムイオン二次電池を構成するセパレータとは、正極と負極とを隔離して負極・正極間のリチウムイオンの伝導性を確保するための膜状の電池部材である。セパレータは、オレフィン系樹脂層から構成される。オレフィン系樹脂層は、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセンなどのα−オレフィンを重合または共重合させたポリオレフィンから構成される層である。実施形態において、電池温度上昇時に閉塞される空孔を有する構造、すなわち多孔質あるいは微多孔質のポリオレフィンから構成される層であることが好ましい。オレフィン系樹脂層がこのような構造を有していることにより、万一電池温度が上昇しても、セパレータが閉塞して(シャットダウンして)、イオン流を寸断することができる。シャットダウン効果を発揮するためには、多孔質のポリエチレン膜を用いることが非常に好ましい。セパレータは、場合により耐熱性微粒子層を有していてよい。この際、電池の異常発熱を防止するために設けられた耐熱性微粒子層は、耐熱温度が150℃以上の耐熱性を有し、電気化学反応に安定な無機微粒子から構成される。このような無機微粒子として、シリカ、アルミナ(α−アルミナ、β−アルミナ、θ−アルミナ)、酸化鉄、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウムなどの無機酸化物;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、スピネル、マイカ、ムライトなどの鉱物を挙げることができる。このように、耐熱性樹脂層を有するセラミックセパレータを用いることもできる。
実施形態のリチウムイオン二次電池用正極と共に用いられ、リチウムイオン二次電池を構成する電解液とは、イオン性物質を溶媒に溶解させた電気伝導性のある溶液のことである。特に非水電解液を用いることができる。正極と負極とセパレータと電解液とを含む発電要素とは、電池の主構成部材の一単位であり、通常、正極と負極とがセパレータを介して積層されて、この積層物が電解液に浸漬されている。
電解液は、非水電解液であって、ジメチルカーボネート(以下「DMC」と称する。)、ジエチルカーボネート(以下「DEC」と称する。)、エチルメチルカーボネート(以下「EMC」と称する。)、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−t−プロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジ−イソブチルカーボネート、またはジ−t−ブチルカーボネート等の鎖状カーボネートと、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(以下「EC」と称する。)等の環状カーボネートとを含む混合物であることが好ましい。電解液は、このようなカーボネート混合物に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)等のリチウム塩を溶解させたものである。
電解液は、環状カーボネートであるPCおよび/またはECと、鎖状カーボネートであるDMCおよび/またはEMCとを適宜組み合わせて含むことが好ましい。PCは、凝固点が低い溶媒であり、電池の低温時の出力の向上のために用いられる。ただしPCは負極として用いられる黒鉛との相性がやや低いことが知られている。ECは極性が高く誘電率が高い溶媒であり、リチウムイオン二次電池用電解液の構成成分として用いられる。ただしECは融点(凝固点)が高く、室温で固体であるため、これを混合溶媒にしても、低温下では凝固および析出するおそれがある。DMCは拡散係数が大きく粘度が低い溶媒である。ただしDMCは融点(凝固点)が高いため、電解液が低温下で凝固するおそれがある。EMCもDMCと同様拡散係数が大きく粘度が低い溶媒である。このように、電解液の構成成分はそれぞれに異なる特性を有しており、たとえば電池の低温時の出力を向上させるためにはこれらのバランスを考慮することが重要である。環状カーボネートと鎖状カーボネートとの含有割合を調整することにより、常温での粘度が低く、低温下においても性能を失わない電解液を得ることができる。
電解液は、このほか、添加剤として環状カーボネート化合物を含んでいてもよい。添加剤として用いられる環状カーボネートとしてビニレンカーボネート(以下「VC」と称する。)が挙げられる。また、添加剤としてハロゲンを有する環状カーボネート化合物を用いてもよい。これらの環状カーボネートも、電池の充放電過程において正極ならびに負極の保護被膜を形成する化合物である。特に、上記のジスルホン酸化合物またはジスルホン酸エステル化合物のような硫黄を含む化合物による、リチウム・ニッケル系複合酸化物を含有する正極活物質への攻撃を防ぐことができる化合物である。ハロゲンを有する環状カーボネート化合物として、フルオロエチレンカーボネート(以下「FEC」と称する。)、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、トリクロロエチレンカーボネート等を挙げることができる。ハロゲンを有し不飽和結合を有する環状カーボネート化合物であるフルオロエチレンカーボネートは特に好ましく用いられる。
また、電解液は、添加剤としてジスルホン酸化合物をさらに含んでいてもよい。ジスルホン酸化合物とは、一分子内にスルホ基を2つ有する化合物であり、スルホ基が金属イオンと共に塩を形成したジスルホン酸塩化合物、あるいはスルホ基がエステルを形成したジスルホン酸エステル化合物を包含する。ジスルホン酸化合物のスルホ基の1つまたは2つは、金属イオンと共に塩を形成していてもよく、アニオンの状態であってもよい。ジスルホン酸化合物の例として、メタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4−ブタンジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸、およびこれらの塩(メタンジスルホン酸リチウム、1,3−エタンジスルホン酸リチウム等)、およびこれらのアニオン(メタンジスルホン酸アニオン、1,3−エタンジスルホン酸アニオン等)が挙げられる。またジスルホン酸化合物としてはジスルホン酸エステル化合物が挙げられ、メタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、1,4−ブタンジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、またはビフェニルジスルホン酸のアルキルジエステルまたはアリールジエステル等の鎖状ジスルホン酸エステル;ならびにメチレンメタンジスルホン酸エステル、エチレンメタンジスルホン酸エステル、プロピレンメタンジスルホン酸エステル等の環状ジスルホン酸エステルが好ましく用いられる。メチレンメタンジスルホン酸エステル(以下「MMDS」と称する。)は特に好ましく用いられる。
実施形態のリチウムイオン二次電池用正極と共に用いられ、リチウムイオン二次電池を構成する外装体は、金属材料で作製された筐体であることができる。あるいは外装体は、ナイロン層、ポリエチレンテレフタレート層等コーティング層と、金属基材と、酸変性ポリプロピレン層と、ポリプロピレン層とが積層された積層体から構成された袋形状のものでもよい。ここで外装体の材料として用いられる金属材料は、アルミニウム、ニッケル、鉄、銅、ステンレス、スズ等であるとよい。また積層体を構成する金属基材は、電池の外装フィルムとして好適に使われる基材、好ましくは金属箔であり、たとえばアルミニウム、ニッケル、鉄、銅、ステンレス、スズの箔である。外装体は、外装体内部の非水電解液を封止する機能を有する。金属製の筐体である外装体内部に正極、負極、セパレータおよび電解液から構成される発電要素を封止することができる。あるいは積層体を折り曲げて折り曲げ部以外の三辺を熱融着するか、2枚の積層体を重ねて四辺を熱融着するかして外装体を形成し、この内部に、正極、負極、セパレータおよび電解液から構成される発電要素を封止する。
積層体を構成する酸変性ポリプロピレン層における「酸変性ポリプロピレン」とは、グラフト反応により酸を導入したポリプロピレンを意味するが、本明細書ではプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、ポリプロピレン・ブテン共重合体等の、共重合成分としてプロピレンが導入されている共重合体に酸を導入したものも「酸変性ポリプロピレン」と称することとする。グラフト反応により導入する酸として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等を挙げることができる。無水マレイン酸を導入した無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、および無水マレイン酸変性ポリプロピレン・ブテン共重合体は、代表的な「酸変性ポリプロピレン」である。酸変性ポリプロピレンは、金属基材と、後述するポリプロピレン層とを接着する機能を有する。
積層体を構成するポリプロピレン層における「ポリプロピレン」とは、本明細書では、プロピレンの単独重合体のほか、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、ポリプロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・4−メチルペンテン-1共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体等、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体をすべて包含し、これらの混合物であってもよいものとする。ポリプロピレン層は積層体に柔軟性を与える役割を果たす。ポリプロピレン層には潤滑剤が含まれていることが好ましい。潤滑剤は、ポリプロピレン層を形成する際の成形容易性をもたらす。潤滑剤として、18以上の炭素原子を含む高級脂肪酸アミドを用いることが好ましい。18以上の炭素原子を含む高級脂肪酸アミドの例は、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等である。
ここで、実施形態の正極活物質を用いて作製したリチウムイオン二次電池の構成例を、図面を用いて説明する。図1はリチウムイオン二次電池の断面図の一例を表す。リチウムイオン二次電池10は、主な構成要素として、負極集電体11、負極活物質層13、セパレータ17、正極集電体12、正極活物質層15を含む。図1では、負極集電体11の両面に負極活物質層13が設けられ、正極集電体12の両面に正極活物質層15が設けられているが、各々の集電体の片面上のみに活物質層を形成することもできる。負極集電体11、正極集電体12、負極活物質層13、正極活物質層15、及びセパレータ17が一つの電池の構成単位、すなわち発電要素である(図中、単電池19)。セパレータ17は、耐熱性微粒子層と、オレフィン系樹脂膜とから構成されていてよい(いずれも図示せず)。このような単電池19を、セパレータ17を介して複数積層する。各負極集電体11から延びる延出部を負極リード25上に一括して接合し、各正極集電体12から延びる延出部を正極リード27上に一括して接合してある。なお正極リードとしてアルミニウム板、負極リードとして銅板が好ましく用いられ、場合により他の金属(たとえばニッケル、スズ、はんだ)または高分子材料による部分コーティングを有していてもよい。正極リードおよび負極リードはそれぞれ正極および負極に溶接される。このように複数の単電池を積層してできた電池は、溶接された負極リード25および正極リード27を外側に引き出す形で、外装体29により包装される。図1では、外装体29として積層体(ラミネート)を用いている。外装体29の内部には電解液31が注入されている。外装体29は、2枚の積層体を重ね合わせ、周縁部を熱融着した形状をしている。なお図1では、負極リード25と正極リード27は、外装体29の対向する辺にそれぞれ設けられている(「両タブ型」という。)が、負極リード25と正極リード27とを外装体29の一の辺に設ける(すなわち負極リード25と正極リード27とを外装体29の一の辺から外側に引き出す。「片タブ型」という。)こともまた可能である。
実施形態にかかるリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池は、高容量で、かつ放電特性に優れる。電池充放電時の正極の膨張・収縮現象が抑制されているため、正極寿命が長く、よって電池自体の寿命も長い。このようなリチウムイオン二次電池は、特に車両積載用電池、あるいは定置型電池として都合よく用いられる。
<正極の作製>
正極活物質として、リチウム・ニッケル系複合酸化物(LNO)、スピネル型リチウム・マンガン複合酸化物(LMO)およびリチウム・ニッケル・アルミニウム複合酸化物(NCA)を用意した。表1に記載するように配合した正極活物質混合物と、導電助剤としてBET比表面積62m/gのカーボンブラック(CB)(TIMCAL製、SC65)と、バインダ樹脂としてPVDF(クレハ製、#7200)とを、固形分質量比で正極活物質:CB:PVDFが96:3:3の割合となるように混合し、溶媒であるNMPに添加した。さらに、この混合物に有機系水分捕捉剤として無水シュウ酸(分子量90)を、上記混合物からNMPを除いた固形分100質量部に対して0.03質量部添加した上で遊星方式の分散混合を30分間実施することで、これらの材料を均一に分散させてスラリーを作製した。得られたスラリーを、正極集電体となる厚み20μmのアルミニウム箔上に乾燥後重量が片面あたり16.0±0.3mg/cmとなるように塗布した。次いで、125℃にて10分間、電極を加熱し、NMPを蒸発させることにより正極活物質層を形成した。さらに、正極を3.5N/cmでプレスして、正極集電体の片面上に正極活物質層を塗布した正極を作製した。
<負極>
負極として金属リチウムを用いた。リチウム金属に対する各正極の電位を確認するためである。
<セパレータ>
ポリプロピレンからなる厚さ20μmのセパレータを使用した。
<電解液>
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)を、25:5:70(体積比)で混合した混合非水溶媒に電解質塩としての六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度が0.9mol/Lとなるように溶解させ、次いで、添加剤としてMMDSを1.2重量%となるように溶解させた。これらの非水混合溶媒を電解液として各々用いた。
<リチウムイオン二次電池の作製>
リ電池正極および負極を直径1.2mmに打ち抜いた。ポリプロピレン多孔質セパレータの両面に上記負極板と正極板とを両活物質層がセパレータを隔てて重なるように配置したものをコインセル部材(宝仙、CR2320)に入れた。ここに電解液20μLを入れ、コイン電池蓋を閉め、周囲を封止してコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、チウムイオン二次電池の作製は、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で行った。
<放電特性および電池容量>
初回充放電は、雰囲気温度25℃で、0.01C電流にて、上限電圧4.3Vまで定電流定電圧(CC−CV)充電を行った。その後、3.0Vまで0.1C電流での定電流放電を行った。この充放電を2回行い、2回目の放電により求められる放電容量(電池電圧3.0Vまで0.1Cで放電したときの放電電気量)をコインセルの容量とした。次いで雰囲気温度25℃で、0.01C電流にて、上限電圧4.3Vまで定電流定電圧(CC−CV)充電を行った後、0℃で3.0Vまで5C放電(すなわち低温下での急速放電)を行った。このときの放電容量を急速放電容量とし、([急速放電容量]/[コインセル容量])×100を各コインセルの放電特性とした。また、比較例1(LNO1およびLNO2が共にNCA523である実験例)の放電特性値を100としたときの各コインセルの放電特性相対値を求めた。
各コインセルの実験結果を表1に示す。なお、表中、LNOはリチウム・ニッケル系複合酸化物を表し、LMOはリチウム・マンガン系複合酸化物を表す。また実施例3に使用した正極活物質であるNCAは、一般式Lix1Niy1Me(1.0−y1)のMeがコバルト(Co)およびアルミニウム(Al)である、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)である。
Figure 2017212117
ニッケル含有比率のことなる2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物を含む正極活物質は、急速放電特性が良好である。特にNCM433とNCM523およびLMOの組み合わせは放電特性に優れている(実施例1、2)。
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例は本発明の実施形態の一例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を特定の実施形態あるいは具体的構成に限定する趣旨ではない。
1 リチウムイオン二次電池用負極
101 負極集電体
102 負極活物質
103 導電助剤
104バインダ
10 リチウムイオン二次電池
11 負極集電体
12 正極集電体
13 負極活物質層
15 正極活物質層
17 セパレータ
25 負極リード
27 正極リード
29 外装体
31 電解液

Claims (11)

  1. ニッケル含有比率が異なる少なくとも2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物と、リチウム・マンガン系複合酸化物とを含むリチウムイオン二次電池用正極活物質を、正極集電体に配置した、リチウムイオン二次電池用正極。
  2. 該リチウム・ニッケル系複合酸化物が、一般式LiNiMe(1.0−y)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x≦1.2であり、yは1.0未満の正の数である。)で表されるリチウム・ニッケル系複合酸化物である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 該正極活物質が、一般式Lix1Niy1Me(10−y1)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x1≦1.2であり、y1は1.0未満の正の数である。)で表されるリチウム・ニッケル系複合酸化物、および一般式Lix2Niy2Me(1.0−y2)(ここでMeは、Al、Mn、Na、Fe、Co、Cr、Cu、Zn、Ca、K、Mg、およびPbからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属であり、1.0≦x2≦1.2であり、y2は1.0未満の正の数である。)で表されるリチウム・ニッケル系複合酸化物の、2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物を含み、ここでy1の値はy2の値よりも大きく、
    該正極活物質成分の混合比率が、該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)、該リチウム・マンガン系複合酸化物、該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix2Niy2Me(1.0−y2)の順に高い、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix2Niy2Me(1.0−y2)のニッケル含有比率y2の値が0.5以下である、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 該リチウム・マンガン系複合酸化物の平均粒径が、該2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の平均粒径よりも大きい、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)のニッケル含有比率y1の値が、0.5、0.6または0.8である、請求項3〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)の平均粒径が、該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix2Niy2Me(1.0−y2)の平均粒径よりも大きい、請求項3〜6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  8. 該リチウム・ニッケル系複合酸化物Lix1Niy1Me(1.0−y1)のニッケル含有比率y1の値が0.5である、請求項3〜7のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  9. 該リチウム・マンガン系複合酸化物の平均粒径に対する、該2種のリチウム・ニッケル系複合酸化物の平均粒径の比が、0.2〜0.4である、請求項1〜8のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  10. 該リチウム・ニッケル系複合酸化物が、一般式LiNiCoMn(1.0−y−z)(ここで、1.0≦x≦1.2、および、yおよびzはy+z<1.0を満たす正の数である。)で表されるリチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物である、請求項1〜9のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極と、
    負極と、
    セパレータと、
    電解液と、
    を含む発電要素を、外装体内部に含むリチウムイオン二次電池。
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