JP2017207595A - 仮想空間を提供する方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドマウントディスプレイにて動画コンテンツを再生する際に広告等の他のコンテンツを表示しても、ユーザの没入感に与える影響が少ない方法を提供する。【解決手段】仮想空間に適合させて再生するための動画コンテンツの初期方向を特定するステップと、初期方向の水平方向における向きとHMDのロール方向の水平方向における向きとが一致するように仮想空間に前記動画コンテンツを適合させて再生するステップと、初期方向の後方側に、第1のサブコンテンツを表示するステップと、HMDの向きおよび傾きのうち少なくとも一方に応じて視野を更新するステップと、を含む。【選択図】図11

Description

本開示は仮想空間を提供する方法、プログラム及び記録媒体に関する。
特許文献1には、ヘッドマウントディスプレイを用いてコンテンツを視聴するシステムが記載されている。
特許文献2には、仮想空間に看板及び掲示板等のオブジェクトを表示する方法が記載されている。
特開2013−258614号公報 特開2003−248844号公報
ヘッドマウントディスプレイにて動画コンテンツを視聴するユーザは、据え置き型のテレビ等で動画コンテンツを視聴するユーザに比べて、より深く動画コンテンツの内容に没入する。そこで、ヘッドマウントディスプレイにて動画コンテンツを再生する際に広告を表示できれば、高い広告効果が期待できる。しかし、ユーザの視界に入り易い位置に広告が表示されると仮想空間への没入感が損なわれる虞がある。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッドマウントディスプレイにて動画コンテンツを再生する際に広告等の他のコンテンツを表示しても、ユーザの没入感に与える影響が少ない、広告等のコンテンツを表示する方法を提供する。
上記の課題を解決するために、本開示に係る仮想空間を提供する方法は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を装着したユーザに仮想空間を提供する方法であって、前記仮想空間に適合させて再生するための動画コンテンツの初期方向を特定するステップと、前記初期方向の水平方向における向きと前記HMDのロール方向の水平方向における向きとが一致するように前記仮想空間に前記動画コンテンツを適合させて再生するステップと、前記初期方向の後方側に、第1のサブコンテンツを表示するステップと、前記HMDの向きおよび傾きのうち少なくとも一方に応じて視野を更新するステップと、を含む。
本開示によって、ヘッドマウントディスプレイにて動画コンテンツを再生する際に広告等の他のコンテンツを表示しても、ユーザの没入感に与える影響が少ないという効果を奏する。
HMDシステムの構成を示す図である。 制御回路部のハード構成を示す図である。 HMDに設定される視野座標系を例示する図である。 ユーザに提供される仮想空間の概要を説明する図である。 視界領域の断面を示す図である。 ユーザの視線方向を決定する方法を例示する図である。 制御回路部の機能的構成を示すブロック図である。 HMDシステムが仮想空間をユーザに提供する処理の流れを示すシーケンス図である。 HMDシステムが、仮想空間内のプラットフォームを通じてユーザが選択した動画コンテンツを仮想空間において再生する処理の流れを示すシーケンス図である。 仮想空間内のプラットフォームを通じた動画コンテンツの選択および再生を説明する図である。 視界画像生成部が合成コンテンツを再生することによって表示する視野画像の一例を示す図である。 制御回路部が動画コンテンツと広告コンテンツとを合成する処理の流れを示すフロー図である。 格子と広告コンテンツの位置との関係を説明するための模式図である。 制御回路部が視線情報を収集する処理の流れを示す図である。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る仮想空間を提供する方法、および、プログラムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本発明に含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。
(HMDシステム100の構成)
図1は、HMDシステム100の構成を示す図である。この図に示すように、HMDシステム100は、HMD110、HMDセンサ120、制御回路部200、およびコントローラ300を備えている。
HMD110は、ユーザの頭部に装着される。HMD110は、非透過型の表示装置であるディスプレイ112、センサ114、および注視センサ130を備えている。HMD110は、右目用画像および左目用画像をディスプレイ112にそれぞれ表示することにより、ユーザの両目の視差に基づきユーザに立体的に視認される3次元画像を、ユーザに視認させる。これにより仮想空間をユーザに提供する。ディスプレイ112がユーザの眼前に配置されているので、ユーザは、ディスプレイ112に表示される画像を通じて仮想空間に没入できる。仮想空間は、背景、ならびにユーザが操作可能な各種のオブジェクトおよびメニュー画像等を含み得る。
ディスプレイ112は、右目用画像を表示する右目用サブディスプレイと、左目用画像を表示する左目用サブディスプレイとを含んでもよい。または、ディスプレイ112は、右目用画像および左目用画像を共通の画面に表示する1つの表示装置であってもよい。このような表示装置として、たとえば、表示画像が一方の目にしか認識できないようにするシャッターを高速に切り替えることにより、右目用画像および左目用画像を独立して交互に表示する表示装置が挙げられる。
(制御回路部200のハード構成)
図2は、制御回路部200のハード構成を示す図である。制御回路部200は、HMD110に仮想空間を提供させるためのコンピュータである。図2に示すように、制御回路部200は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力インターフェース、および通信インターフェースを備えている。これらは、データ伝送路としてのバスを通じて、制御回路部200内において互いに接続されている。
プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、またはGPU(Graphics Processing Unit)等を含んで構成され、制御回路部200およびHMDシステム100全体の動作を制御する。
メモリは、主記憶として機能する。メモリには、プロセッサによって処理されるプログラムおよび制御用データ(演算パラメータなど)が記憶される。メモリは、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等を含んで構成され得る。
ストレージは、補助記憶として機能する。ストレージには、HMDシステム100全体の動作を制御するためのプログラム、各種のシミュレーションプログラム、ユーザ認証プログラム、および、仮想空間を規定するための各種のデータ(画像およびオブジェクト等)が格納されている。さらには、各種のデータを管理するためのテーブルを含むデータベースがストレージに構築されていてもよい。ストレージは、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等を含んで構成され得る。
入出力インターフェースは、USB(Universal Serial Bus)端子、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子等の各種の有線接続端子、および、無線接続のための各種の処理回路を含んで構成されている。入出力インターフェースは、HMD110と、HMDセンサ120を含む各種のセンサと、コントローラ300とを互いに接続する。
通信インターフェースは、ネットワークNWを介して外部装置と通信するための各種の有線接続端子、および、無線接続のための各種の処理回路を含んで構成される。通信インターフェースは、LAN(Local Area Network)またはインターネットを介して通信するための各種の通信規格およびプロトコルに適合するように、構成されている。
制御回路部200は、ストレージに格納された所定のアプリケーションプログラムをメモリにロードして実行することによって、ユーザに仮想空間を提供する。プログラムの実行時に、メモリおよびストレージには、仮想空間内に配置される各種のオブジェクトを操作したり、各種のメニュー画像等を表示および制御したりするための各種のプログラムが格納される。
制御回路部200は、HMD110に搭載されていてもよいし、されていなくてもよい。すなわち制御回路部200は、HMD110から独立した別のハードウェア(たとえば、パーソナルコンピュータ、またはネットワークを通じてHMD110と通信可能なサーバ装置)であってもよい。制御回路部200は、複数のハードウェアの協働によって1または複数の機能が実装される形態の装置であってもよい。または、制御回路部200が有する全機能のうち一部の機能のみがHMD110に実装され、残りの機能が別のハードウェアに実装されていてもよい。
HMDシステム100を構成するHMD110等の各要素には、予め、グローバル座標系(基準座標系、xyz座標系)が設定されている。このグローバル座標系は、現実空間における、鉛直方向、鉛直方向と直交する横方向、ならびに、鉛直方向および横方向の双方と直交する前後方向にそれぞれ平行な、3つの基準方向(軸)を有する。本実施形態では、グローバル座標系は視点座標系の一種であるため、グローバル座標系における横方向、鉛直方向(上下方向)、および前後方向を、それぞれx軸、y軸、z軸とする。具体的には、グローバル座標系のx軸は現実空間の横方向に平行であり、y軸は現実空間の鉛直方向に平行であり、z軸は現実空間の前後方向に平行である。
HMDセンサ120は、HMD110の動きを検出するためのポジション・トラッキング機能を有する。HMDセンサ120は、この機能によって、現実空間内におけるHMD110の位置および傾きを検出する。この検出を実現するために、HMD110は、図示しない複数の光源を備えている。各光源は、たとえば赤外線を発するLEDである。HMDセンサ120は、たとえば赤外線センサを含んで構成される。HMDセンサ120は、HMD110の光源から照射された赤外線を、赤外線センサによって検出することによって、HMD110の検出点を検出する。さらに、HMD110の検出点の検出値に基づき、ユーザの動きに応じたHMD110の現実空間内における位置および傾きを検出する。HMDセンサ120は、検出値の経時的変化に基づき、HMD110の位置および傾きの時間変化を決定することができる。
HMDセンサ120は、光学カメラを含んで構成されてもよい。この場合、HMDセンサ120は、光学カメラによって得られたHMD110の画像情報に基づき、HMD110の位置および傾きを検出する。
HMDセンサ120の代わりに、HMD110が、センサ114を用いて自身の位置および傾きを検出してもよい。この場合、センサ114は、たとえば角速度センサ、地磁気センサ、加速度センサ、またはジャイロセンサであればよい。HMD110は、これらのうち少なくとも1つを用いる。センサ114が角速度センサである場合、センサ114は、HMD110の動きに応じて、HMD110の現実空間における3軸回りの角速度を経時的に検出する。HMD110は、角速度の検出値に基づき、HMD110の3軸回りの角度の時間的変化を決定し、さらに、角度の時間的変化に基づきHMD110の傾きを検出することができる。
HMD110がセンサ114による検出値に基づきHMD110の位置および傾きを自ら検出する場合、HMDシステム100にHMDセンサ120は不要である。逆に、HMD110から離れた位置に配置されるHMDセンサ120がHMD110の位置および傾きを検出する場合、HMD110にセンサ114は不要である。
上述したように、グローバル座標系は現実空間の座標系と平行である。そのため、HMDセンサ120によって検出されたHMD110の各傾きは、グローバル座標系におけるHMD110の3軸周りの各傾きに相当する。HMDセンサ120は、グローバル座標系におけるHMDセンサ120の傾きの検出値に基づき、uvw視野座標系をHMD110に設定する。HMD110に設定されるuvw視野座標系は、HMD110を装着したユーザが物体を見る際の視点座標系に対応する。
(uwv視野座標系)
図3は、HMD110に設定されるuwv視野座標系を例示する図である。HMDセンサ120は、HMD110の起動時に、グローバル座標系におけるHMD110の位置および傾きを検出する。そして、傾きの検出値に基づく3次元のuvw視野座標系を、HMD110に設定する。図3に示すように、HMDセンサ120は、HMD110を装着したユーザの頭部を中心(原点)とした3次元のuvw視野座標系を、HMD110に設定する。具体的には、グローバル座標系を規定する横方向、鉛直方向、および前後方向(x軸、y軸、z軸)を、グローバル座標系内においてHMD110の各軸周りの傾きだけ各軸周りにそれぞれ傾けることによって得られる新たな3つの方向を、HMD110におけるuvw視野座標系のピッチ方向(u軸)、ヨー方向(v軸)、およびロール方向(w軸)として設定する。
図3に示すように、HMDセンサ120は、HMD110を装着したユーザが直立しかつ正面を視認している場合、グローバル座標系に平行なuvw視野座標系をHMD110に設定する。この場合、グローバル座標系の横方向(x軸)、鉛直方向(y軸)、および前後方向(z軸)が、そのまま、HMD110におけるuvw視野座標系のピッチ方向(u軸)、ヨー方向(v軸)、およびロール方向(w軸)に一致する。
HMDセンサ120は、HMD110にuvw視野座標系を設定した後、HMD110の動きに応じて、現在設定中のuvw視野座標系におけるHMD110の傾き(傾きの変化量)を検出することができる。この場合、HMDセンサ120は、HMD110の傾きとして、現在設定中のuvw視野座標系におけるHMD110のピッチ角(θu)、ヨー角(θv)、およびロール角(θw)をそれぞれ検出する。ピッチ角(θu)は、uvw視野座標系におけるピッチ方向周りのHMD110の傾き角度である。ヨー角(θv)は、uvw視野座標系におけるヨー方向周りのHMD110の傾き角度である。ロール角(θw)は、uvw視野座標系におけるロール方向周りのHMD110の傾き角度である。
HMDセンサ120は、HMD110の傾きの検出値に基づき、動いた後のHMD110におけるuvw視野座標系を、新たにHMD110に設定する。HMD110と、HMD110のuvw視野座標系との関係は、HMD110の位置および傾きによらず常に一定である。HMD110の位置および傾きが変わると、それの変化に連動して、グローバル座標系におけるHMD110のuvw視野座標系の位置および傾きが同様に変化する。
HMDセンサ120は、赤外線センサによって取得される赤外線の光強度および複数の検出点間の相対位置関係(検出点間の距離等)に基づき、HMD110の現実空間内における位置を、HMDセンサ120に対する相対位置として特定してもよい。また、特定した相対位置に基づき、現実空間内(グローバル座標系)におけるHMD110のuvw視野座標系の原点を決定してもよい。また、HMDセンサ120は、複数の検出点間の相対位置関係に基づきHMD110の現実空間内における傾きを検出し、さらに、その検出値に基づき現実空間内(グローバル座標系)におけるHMD110のuvw視野座標系の向きを決定してもよい。
(仮想空間2の概要)
図4は、ユーザに提供される仮想空間2の概要を説明する図である。この図に示すように、仮想空間2は、中心21の360°方向全体を覆う全天球状の構造を有する。図4には、仮想空間2の全体のうち上半分の天球のみを例示する。仮想空間2には、略正方形または略長方形の複数のメッシュが関連付けられている。仮想空間2における各メッシュの位置は、仮想空間2に規定される空間座標系(XYZ座標系)における座標として、予め規定されている。制御回路部200は、仮想空間2に展開可能なコンテンツ(静止画、動画等)を構成する各部分画像を、仮想空間2における対応する各メッシュに対応付けることによって、ユーザによって視認可能な仮想空間画像22が展開される仮想空間2をユーザに提供する。
仮想空間2には、中心21を原点とするXYZ空間座標系が規定されている。XYZ座標系は、たとえばグローバル座標系に平行である。XYZ座標系は視点座標系の一種であるため、XYZ座標系における横方向、鉛直方向(上下方向)、および前後方向を、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。すなわち、XYZ座標系のX軸(横方向)がグローバル座標系のx軸と平行であり、XYZ座標系のY軸(上下方向)がグローバル座標系のy軸と平行であり、XYZ座標系のZ軸(前後方向)がグローバル座標系のz軸と平行である。
HMD110の起動時(初期状態)において、仮想空間2の中心21に仮想カメラ1が配置されている。仮想カメラ1は、現実空間内におけるHMD110の動きに連動して、仮想空間2内において同様に動く。これにより、現実空間内におけるHMD110の位置および向きの変化が、仮想空間2内において同様に再現される。
仮想カメラ1には、HMD110と同様にuvw視野座標系が規定される。仮想空間2内における仮想カメラ1のuvw視野座標系は、現実空間(グローバル座標系)内におけるHMD110のuvw視野座標系に変動するように規定されている。したがって、HMD110の傾きが変化すると、それに連動して仮想カメラ1の傾きも変化する。仮想カメラ1は、HMD110を装着したユーザの現実空間における移動に連動して、仮想空間2において移動することもできる。
仮想空間2における仮想カメラ1の位置および傾きに応じて、仮想空間2における仮想カメラ1の向きが決まる。これにより、仮想空間2に展開される仮想空間画像22をユーザが視認する際の基準となる視線(基準視線5)が決まる。制御回路部200は、基準視線5に基づき、仮想空間2における視界領域23を決定する。視界領域23は、仮想空間2のうち、HMD110を装着したユーザの視界に対応する領域である。
図5は、視界領域23の断面を示す図である。図5の(a)に、仮想空間2において視界領域23をX方向から見たYZ断面を示す。図5の(b)に、仮想空間2において視界領域23をY方向から見たXZ断面を示す。視界領域23は、基準視線5と仮想空間2のYZ断面とによって定義される範囲である第1領域24(図5の(a)参照)と、基準視線5と仮想空間2のXZ断面とによって定義される範囲である第2領域25(図5の(b)参照)とを有する。制御回路部200は、仮想空間2における基準視線5を中心として極角αを含む範囲を、第1領域24として設定する。また、仮想空間2における基準視線5を中心とした方位角βを含む範囲を、第2領域25として設定する。
HMDシステム100は、仮想空間画像22のうち視界領域23に重畳する部分である視界画像26をHMD110のディスプレイ112に表示させることによって、ユーザに仮想空間2を提供する。ユーザがHMD110を動かせば、それに連動して仮想カメラ1も動き、その結果、仮想空間2における視界領域23の位置が変化する。これによりディスプレイ112に表示される視界画像26が、仮想空間画像22のうち、仮想空間2においてユーザが向いた箇所(=視界領域23)に重畳する画像に更新される。したがってユーザは、仮想空間2における所望の箇所を視認することができる。
ユーザは、HMD110を装着している間、現実世界を目にすることなく、仮想空間2に展開される仮想空間画像22のみを視認する。そのためHMDシステム100は、仮想空間2への高い没入感をユーザに与えることができる。
制御回路部200は、HMD110を装着したユーザの現実空間における移動に連動して、仮想カメラ1を仮想空間2内において移動させてもよい。この場合、制御回路部200は、仮想カメラ1の仮想空間2内における位置および向きに基づき、仮想空間2のうちHMD110のディスプレイ112に投影されることによってユーザが視認する視界領域23を特定する。
仮想カメラ1は、右眼用画像を提供する右眼用仮想カメラと、左眼用画像を提供する左眼用仮想カメラとを含むことが好ましい。さらに、2つの仮想カメラには、ユーザが3次元の仮想空間2を認識できるように適切な視差が設定されていることが好ましい。本実施形態では、このような2つの仮想カメラのロール方向が合成されることによって生成されるロール方向(w)がHMD110のロール方向(w)に適合されるような仮想カメラ1のみを、代表して図示および説明するものとする。
(視線方向の検出)
注視センサ130は、ユーザの右目および左目の視線が向けられる方向(視線方向)を検出するアイトラッキング機能を有する。注視センサ130として、アイトラッキング機能を有する公知のセンサを採用することができる。注視センサ130は、右目用センサおよび左目用センサを備えていることが好ましい。注視センサ130は、たとえば、ユーザの右目および左目に赤外光を照射すると共に、照射光に対する角膜および虹彩からの反射光を受光することによって、各眼球の回転角を検出するセンサでもよい。注視センサ130は、検出した各回転角に基づき、ユーザの視線方向を検知することができる。
注視センサ130によって検出されるユーザの視線方向は、ユーザが物体を視認する際の視点座標系における方向である。上述したように、HMD110のuvw視野座標系は、ユーザがディスプレイ112を視認する際の視点座標系に等しい。また、仮想カメラ1のuvw視野座標系は、HMD110のuvw視野座標系に連動している。したがってHMDシステム100では、注視センサ130によって検出されたユーザの視線方向を、仮想カメラ1のuvw視野座標系におけるユーザの視線方向と見なすことができる。
図6は、ユーザの視線方向を決定する方法を例示する図である。この図に示すように、注視センサ130は、ユーザUの右目および左目の視線を検出する。ユーザUが近くを見ている場合、注視センサ130は、ユーザUの視線R1およびL1を検出する。ユーザが遠くを見ている場合、注視センサ130は、ユーザの視線R1およびL1よりも、HMD110のロール方向(w)とのなす角が小さい視線R2およびL2を特定する。注視センサ130は、検出値を制御回路部200に送信する。
制御回路部200は、視線の検出値として視線R1およびL1を受信した場合、両者の交点である注視点N1を特定する。一方、視線R2およびL2を受信した場合も、両者の交点である注視点N1(不図示)を特定する。制御回路部200は、特定した注視点N1に基づき、ユーザUの視線方向N0を検出する。制御回路部200は、たとえば、ユーザUの右目Rと左目Lとを結ぶ直線の中点と、注視点N1とを通る直線の伸びる方向を、視線方向N0として検出する。視線方向N0は、ユーザUが両目により実際に視線を向けている方向である。視線方向N0はまた、視界領域23に対してユーザUが実際に視線を向けている方向でもある。
HMDシステム100は、HMDシステム100を構成するいずれかの要素に、マイクおよびスピーカを備えていてもよい。これにより、ユーザは仮想空間2内に対して、音声による指示を与えることができる。また、仮想空間内の仮想テレビにテレビ番組の放送を受信するために、HMDシステム100はいずれかの要素にテレビジョン受像機を含んでいてもよい。また、ユーザが取得した電子メール等を表示させるための、通信機能等を含んでいてもよい。
(コントローラ300)
コントローラ300は、ユーザの操作に基づく各種の指令を制御回路部200に対して送信ことができるデバイスである。コントローラ300は、有線または無線通信が可能な携帯端末であり得る。コントローラ300は、たとえば、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ゲーム用コンソール、汎用のPC(Personal Computer)等であればよい。コントローラ300は、タッチパネルを備えるデバイスであることが好ましく、互いにバス接続されたプロセッサ、メモリ、ストレージ、通信部、表示部と入力部が一体として構成されたタッチパネル、を備える任意の端末が採用され得る。ユーザは、コントローラ300のタッチパネルに対し、タップ、スワイプ、およびホールドを含む各種のタッチ動作を入力することによって、仮想空間2に配置される各種のオブジェクトおよびUI(User Interface)に対して影響を及ぼすことができる。
(制御回路部200の機能的構成)
図7は、制御回路部200の機能的構成を示すブロック図である。制御回路部200は、HMDセンサ120、注視センサ130、およびコントローラ300から受信した各種のデータを用いることによって、ユーザに提供される仮想空間2を制御すると共に、HMD110のディスプレイ112への画像表示を制御する。図7に示すように、制御回路部200は、検出部210、表示制御部220、仮想空間制御部230、記憶部240、および通信部250を備えている。制御回路部200は、図2に示す各ハードウェアの協働によって、検出部210、表示制御部220、仮想空間制御部230、記憶部240、および通信部250として機能する。検出部210、表示制御部220、および仮想空間制御部230は、主としてプロセッサおよびメモリの協働によってその機能が実現され得る。記憶部240は、主としてメモリおよびストレージの協働によってその機能が実現され得る。通信部250は、主としてプロセッサおよび通信インターフェースの協働によってその機能が実現され得る。
検出部210は、制御回路部200に接続される各種のセンサ(HMDセンサ120等)から検出値を受信する。また、必要に応じて、受信した検出値を用いた所定の処理を実行する。検出部210は、HMD検出部211、視線検出部212、および操作受付部213を備えている。HMD検出部211は、HMD110およびHMDセンサ120から検出値をそれぞれ受信する。視線検出部212は、注視センサ130から検出値を受信する。操作受付部213は、コントローラ300に対するユーザの操作に応じて送信された指令を受信することによって、当該操作を受け付ける。
表示制御部220は、HMD110のディスプレイ112への画像表示を制御する。表示制御部220は、仮想カメラ制御部221、視界領域決定部222、および視界画像生成部223を備えている。仮想カメラ制御部221は、仮想空間2内に仮想カメラ1を配置すると共に、仮想空間2内における仮想カメラ1の挙動を制御する。視界領域決定部222は、視界領域23を決定する。視界画像生成部223は、決定された視界領域23に基づき、ディスプレイ112に表示される視界画像26を生成する。
仮想空間制御部230は、ユーザに提供される仮想空間2を制御する。仮想空間制御部230は、仮想空間規定部231、視線管理部232、コンテンツ特定部233、およびコンテンツ管理部234を備えている。仮想空間規定部231は、ユーザに提供される仮想空間2を表す仮想空間データを生成することによって、HMDシステム100における仮想空間2を規定する。視線管理部232は、仮想空間2におけるユーザの視線を管理する。コンテンツ特定部233は、仮想空間2における再生対象のコンテンツを特定する。コンテンツ管理部234は、動画コンテンツに広告コンテンツを合成する。また、コンテンツ管理部234は仮想空間2において再生しているコンテンツの時間的位置を認識して、広告が表示されている時間か否かの判断を行なう。
記憶部240は、制御回路部200が仮想空間2をユーザに提供するために用いる各種のデータを格納している。記憶部240は、雛形格納部241およびコンテンツ格納部242を備えている。雛形格納部241は、各種の雛形データを格納している。コンテンツ格納部242は、各種のコンテンツを格納している。
雛形データは、仮想空間2の雛形を表すデータである。雛形データは、仮想空間2の空間構造を規定する空間構造データを有する。空間構造データは、たとえば、中心21を中心とする360°の全天球の空間構造を規定するデータである。雛形データは、仮想空間2のXYZ座標系を規定するデータをさらに有する。雛形データは、天球を構成する各メッシュのXYZ座標系における位置を特定する座標データをさらに有する。また、雛形データは、仮想空間2内にオブジェクトを配置可能であるか否かを示すフラグをさらに有する。
コンテンツは、仮想空間2において再生可能なコンテンツである。コンテンツの例として、たとえば、プラットフォームコンテンツおよび視聴用コンテンツが挙げられる。
プラットフォームコンテンツは、ユーザが視聴したい視聴用コンテンツを仮想空間2においてユーザに選択させるための環境(プラットフォーム)に関するコンテンツである。このプラットフォームコンテンツが仮想空間2において再生されることによって、コンテンツ選択用のプラットフォームがユーザに提供される。プラットフォームコンテンツは、背景画像、および、オブジェクトを規定するデータを少なくとも有する。
視聴用コンテンツは、たとえば静止画コンテンツまたは動画コンテンツである。静止画コンテンツは、背景画像を有する。動画コンテンツは、各フレームの画像(静止画)を少なくとも有する。動画コンテンツは、さらに音声データを有してもよい。
動画コンテンツは、たとえば、全天球カメラによって生成されるコンテンツである。全天球カメラは、当該カメラのレンズを中心とした現実空間の全方向を一度に撮影することによって、全方向の画像を一度に生成することができるカメラである。全天球カメラによって得られる動画コンテンツを構成する各画像は歪んでいるが、動画コンテンツが仮想空間2において再生されるとき、各画像の歪みは、HMD110のディスプレイ112を構成するレンズによってキャンセルされることによって解消される。したがって動画コンテンツの再生時、ユーザは仮想空間2内において歪みのない自然な画像を視認することができる。
各コンテンツには、HMD110の初期状態(起動時)にユーザに見せる画像を向いた初期方向が、予め規定されている。全天球カメラによって生成される動画コンテンツに規定される初期方向は、通常、動画コンテンツの撮影に用いた全天球カメラに規定される所定の撮影方向に一致する。なお、この初期方向を、撮影方向とは異なる方向に変更してもよい。具体的には、全天球カメラによる撮影後、得られた動画コンテンツを適宜編集することによって、撮影方向からずれた方向を初期方向として動画コンテンツに規定してもよい。
通信部250は、ネットワークNWを介して外部機器400(たとえばサーバ)との間でデータを送受信する。
(仮想空間2の提供処理)
図8は、HMDシステム100が仮想空間2をユーザに提供する処理の流れを示すシーケンス図である。仮想空間2は、基本的に、HMD110および制御回路部200の協働によってユーザに提供される。図8に示す処理が開始されると、まず、S1において、仮想空間規定部231が、ユーザに提供される仮想空間2を表す仮想空間データを生成することによって、仮想空間2を規定する。生成の手順は次の通りである。まず仮想空間規定部231は、仮想空間2の雛形データを雛形格納部241から取得することによって、仮想空間2の原型を定義する。仮想空間規定部231は、さらに、仮想空間2において再生されるコンテンツを、コンテンツ格納部242から取得する。仮想空間規定部231は、取得した雛形データに、取得したコンテンツを適合することによって、仮想空間2を規定する仮想空間データを生成する。仮想空間規定部231は、仮想空間データにおいて、仮想空間2の天球を構成する各メッシュの管理データに、コンテンツに含まれる背景画像を構成する各部分画像を適宜関連付ける。仮想空間規定部231は、コンテンツに規定される初期方向を仮想空間2のXYZ座標系におけるZ方向に合致させるように、各部分画像と各メッシュとを関連付けることが好ましい。
仮想空間規定部231は、さらに、必要に応じて、コンテンツに含まれる各オブジェクトの管理データを、仮想空間データに追加する。その際、各管理データに、対応するオブジェクトが仮想空間2において配置される位置を表す座標を、設定する。これにより各オブジェクトが、仮想空間2における当該座標の位置にそれぞれ配置される。
その後、ユーザによってHMD110が起動されると、S2において、HMDセンサ120が、HMD110の初期状態における位置および傾きを検出して、S3において、検出値を制御回路部200に出力する。HMD検出部211は、この検出値を受信する。この後、S4において、仮想カメラ制御部221は、仮想空間2において仮想カメラ1を初期化する。
初期化の手順は次の通りである。まず仮想カメラ制御部221は、仮想空間2内における初期位置(図4における中心21等)に、仮想カメラ1を配置する。次に、仮想空間2における仮想カメラ1の向きを設定する。その際、仮想カメラ制御部221は、HMDセンサ120からの検出値に基づき初期状態のHMD110のuvw視野座標系を特定すると共に、HMD110のuvw視野座標系に一致するuvw視野座標系を仮想カメラ1に設定することによって、仮想カメラ1の向きを設定すればよい。仮想カメラ制御部221は、仮想カメラ1にuvw視野座標系を設定する際、仮想カメラ1のロール方向(w軸)をXYZ座標系のZ方向(Z軸)に適合させる。具体的には、仮想カメラ制御部221は、仮想カメラ1のロール方向をXZ平面に投影して得られる方向を、XYZ座標系のZ方向に一致させると共に、XZ平面に対する仮想カメラ1のロール方向の傾きを、水平面に対するHMD110のロール方向の傾きに一致させる。このような適合処理によって、初期状態の仮想カメラ2のロール方向がコンテンツの初期方向に適合されるので、コンテンツの再生開始後におけるユーザが最初に向く水平方向の向きを、コンテンツの初期方向に一致させることができる。
仮想カメラ1の初期化処理が終わると、視界領域決定部222は、仮想カメラ1のuvw視野座標系に基づき、仮想空間2における視界領域23を決定する。具体的には、仮想カメラ1のuvw視野座標系のロール方向(w軸)をユーザの基準視線5として特定し、この基準視線5に基づき視界領域23を決定する。S5において、視界画像生成部223は、仮想空間データを処理することによって、仮想空間2に展開される仮想空間画像22の全体のうち、仮想空間2における視界領域23に投影される部分に相当する視界画像26を生成(レンダリング)する。S6において、視界画像生成部223は、生成した視界画像26を初期視界画像としてHMD110に出力する。S7において、HMD110は、受信した初期視界画像をディスプレイ112に表示する。これによりユーザは初期視界画像を視認する。
その後、S8において、HMDセンサ120が、HMD110の現在の位置および傾きを検出して、S9において、これらの検出値を制御回路部200に出力する。HMD検出部211は、各検出値を受信する。仮想カメラ制御部221は、HMD110の位置および傾きの検出値に基づき、HMD110における現在のuvw視野座標系を特定する。さらに、S10において、仮想カメラ制御部221は、XYZ座標系におけるuvw視野座標系のロール方向(w軸)を、HMD110の視界方向として特定する。
本実施形態では、S11において、仮想カメラ制御部221が、特定したHMD110の視界方向を、仮想空間2におけるユーザの基準視線5として特定する。S12において、仮想カメラ制御部221は、特定した基準視線5に基づき、仮想カメラ1を制御する。仮想カメラ制御部221は、基準視線5の位置(起点)および方向が仮想カメラ1の初期状態と同一であれば、仮想カメラ1の位置および方向をそのまま維持する。一方、基準視線5の位置(起点)および/または方向が、仮想カメラ1の初期状態から変化していれば、仮想空間2内における仮想カメラ1の位置および/または傾きを、変化後の基準視線5に応じた位置および/または傾きに変更する。また、制御後の仮想カメラ1に対してuvw視野座標系を再設定する。
S13において、視界領域決定部222は、特定した基準視線5に基づき、仮想空間2における視界領域23を決定する。その後、S14において、視界画像生成部223は、仮想空間データを処理することによって、仮想空間2に展開される仮想空間画像22の全体のうち、仮想空間2における視界領域23に投影(重畳)される部分である視界画像26を生成(レンダリング)する。S15において、視界画像生成部223は、生成した視界画像26を更新用の視界画像としてHMD110に出力する。S16において、HMD110は、受信した視界画像26をディスプレイ112に表示することによって、視界画像26を更新する。これにより、ユーザがHMD110を動かせば、それに連動して視界画像26が更新される。
(プラットフォームの提供およびコンテンツの再生処理)
本実施形態では、HMDシステム100は、仮想空間2においてユーザが視聴したいコンテンツを仮想空間2においてユーザに選択するための環境(プラットフォーム)を、ユーザに提供する。ユーザが、仮想空間2に展開されるプラットフォームを通じて、視聴したいコンテンツを選択すれば、制御回路部200は、選択されたコンテンツの仮想空間2における再生を開始する。以下に、プラットフォームの提供およびコンテンツの再生処理の詳細について、説明する。
図9は、HMDシステム100が、仮想空間2内のプラットフォームを通じてユーザが選択した動画コンテンツを仮想空間2において再生する処理の流れを示すシーケンス図である。図10は、仮想空間2内のプラットフォームを通じた動画コンテンツの選択および再生を説明する図である。図9に示す処理が開始されると、まず、S21において、仮想空間規定部231が、プラットフォーム提供用の仮想空間2を表す仮想空間データを生成することによって、プラットフォーム提供用の仮想空間2を規定する。生成の手順は次の通りである。まず仮想空間規定部231は、プラットフォームに対応した仮想空間2の雛形データを、雛形格納部241から取得する。ここでは、オブジェクトが使用可能な雛形データが取得される。
仮想空間規定部231は、さらに、仮想空間2において提供されるプラットフォームに関するプラットフォームコンテンツを、コンテンツ格納部242から取得する。仮想空間規定部231は、取得した雛形データに、取得したプラットフォームコンテンツを適合することによって、プラットフォームを提供するための仮想空間2を規定する仮想空間データを生成する。仮想空間規定部231は、仮想空間データにおいて、仮想空間2の天球を構成する各メッシュの管理データに、プラットフォームコンテンツに含まれる背景画像を構成する各部分画像を適宜関連付ける。
仮想空間規定部231は、さらに、プラットフォームコンテンツに含まれる各オブジェクトの管理データを、仮想空間データに追加する。これにより各オブジェクトが、プラットフォームを提供する仮想空間2における所定の位置にそれぞれ配置される。仮想空間規定部231は、次に、コンテンツ格納部242に格納される一定数の視聴用コンテンツ(ここでは動画コンテンツ)の概要画像(サムネイル)を、それぞれ取得する。仮想空間規定部231は、取得した各サムネイルを、仮想空間データ内のいずれかのオブジェクトの管理データに関連付ける。これにより、仮想空間2に配置される各オブジェクトに、サムネイルが関連付けられる。以下では、説明の便宜のために、仮想空間2に配置される、サムネイルが関連付けられたオブジェクトのことを、単にサムネイルと表記する場合がある。
対応するサムネイルがオブジェクトに関連付けられた各視聴用コンテンツは、ユーザが仮想空間2において再生させるために選択可能な動画コンテンツの候補(候補動画コンテンツ)である。ユーザは、サムネイルの選択を通じて、対応する候補動画コンテンツを選択することができる。制御回路部200は、プラットフォームにおいてユーザによって選択された候補動画コンテンツを、仮想空間2において再生させる動画コンテンツとして特定する。
図10の(a)に、プラットフォーム提供用の仮想空間2の一例を示す。この図には、4つのサムネイルSN1〜SN4が配置される、プラットフォーム提供用の仮想空間2を示す。これらのサムネイルSN1〜SN4は、いずれも、対応する動画コンテンツの概要画像(サムネイル)が関連付けられたオブジェクトである。
図10の(a)に示す仮想空間2を表す仮想空間データの生成後、S22において、視界画像生成部223は、ユーザの基準視線5に基づき視界画像26を生成する。この生成方法は図8を参照して説明した方法と同一である。ここでは、プラットフォームに対応した視界画像26が生成される。図10の(a)では、サムネイルSN1〜N4のうち、ユーザの基準視線5によって規定される視界領域23の内部に、サムネイルSN1およびSN2が配置されている。一方、サムネイルSN3およびSN4は、視界領域23の外部に配置されている。そのため視界画像生成部223は、サムネイルSN1およびSN2を含む視界画像26を生成する。
S23において、視界画像生成部223は、生成した視界画像26をHMD110に出力する。S24においてHMD110は、受信した視界画像26をディスプレイ112に表示する。ユーザは、プラットフォームの視界画像26を視認する。サムネイルが関連付けられたオブジェクトが視界画像26に含まれる場合、視界画像26の表示時、当該オブジェクトに関連付けられたサムネイルがディスプレイ112に表示される。これによりユーザは、サムネイルを含む視界画像26を視認する。図10の(b)に、プラットフォームの視界画像26の一例を示す。この図に示す視界画像26は、サムネイルSN1およびN2を含むので、ユーザは、仮想空間2において、サムネイルSN1およびSN2を視認する。
図9には示さないが、この後、ユーザがHMD110を動かせば、その動きに連動して視界画像26が更新される。たとえば、ユーザがHMD110を動かすことによって、視界領域23の位置が、サムネイルSN1およびSN3を含む位置に変化すれば、サムネイルSN1およびSN3を含む視界画像26がディスプレイ112に表示される。したがってユーザは、HMD110を適宜動かすことによって、視聴したい動画コンテンツのサムネイルを、自身の視界のうちに収めることができる。
プラットフォームの視界画像26が表示された後、S25において、注視センサ130は、ユーザの右目の視線および左目の視線をそれぞれ検出し、S26において、各検出値を制御回路部200に送信する。視線検出部212が、この検出値を受信する。S27において、視線検出部212は、受信した検出値を用いて、仮想カメラ1のuvw視野座標系におけるユーザの視線方向N0を特定する。
S28において、視線管理部232は、視線方向N0と、視界領域23に含まれる各サムネイルとに基づき、視界画像26に含まれる特定のサムネイルに規定時間以上ユーザの視線が当たったか否かを判定する。より詳細には、視線管理部232は、視界領域23における視線方向N0が交わる点が、視界領域23に含まれる特定のサムネイルの表示範囲(配置範囲)に含まれているか否かを判定する。この判定結果がYESであれば、視界画像26に含まれる特定のサムネイルに視線が当たったと判定し、NOであれば、視線は特定のサムネイルに当たっていないと判定する。
S28がNoの場合、図9の処理はS25の直前に戻る。この後、S28がYESになるまで、S25〜S28の処理が繰り返される。一方、S28がYESの場合、S29において、コンテンツ特定部233は、規定時間以上視線が当たったと判定されたサムネイルに対応するコンテンツを特定する。たとえば、ユーザがサムネイルSN1に規定時間以上視線を当てれば、サムネイルSN1に対応するコンテンツとして、サムネイルSN1の管理データに関連付けられる動画コンテンツを特定する。
この後、S30において、仮想空間規定部231は、特定された動画コンテンツを再生するための仮想空間データを生成することによって、動画コンテンツ再生用の仮想空間2を規定する。生成の手順は次の通りである。まず仮想空間規定部231は、動画コンテンツに対応した仮想空間2の雛形データを、雛形格納部241から取得する。
仮想空間規定部231は、コンテンツ特定部233によって特定された動画コンテンツを、コンテンツ格納部242から取得する。仮想空間規定部231は、取得した雛形データに、取得した動画コンテンツを適合することによって、動画コンテンツ再生用の仮想空間2を規定する仮想空間データを生成する。仮想空間規定部231は、仮想空間データにおいて、仮想空間2の天球を構成する各メッシュの管理データに、動画コンテンツに含まれる最初のフレームの画像を構成する各部分画像を適宜関連付ける。
ここで生成される仮想空間データによって規定される仮想空間2においては、オブジェクトを配置することが想定されていない。さらに、動画コンテンツには、オブジェクトを規定する管理データが含まれない。そのためS30において、仮想空間規定部231は、オブジェクトの管理データを含まない仮想空間データを生成する。
動画コンテンツ再生用の仮想空間2を表す仮想空間データの生成後、S31において、視界画像生成部223は、ユーザの基準視線5に基づき視界画像26を生成する。この生成方法は図8を参照して説明した方法と同一である。ここでは、動画コンテンツの視界画像26が生成される。S32において、視界画像生成部223は、生成した視界画像26をHMD110に出力する。S33においてHMD110は、受信した視界画像26をディスプレイ112に表示することによって、視界画像26を更新する。これにより仮想空間2における動画コンテンツの再生が開始され、ユーザは動画コンテンツの視界画像26を視認する。
図9には示さないが、この後、ユーザがHMD110を動かせば、その動きに連動して視界画像26が更新される。したがってユーザは、HMD110を適宜動かすことによって、動画コンテンツを構成する各フレームの全天球画像における所望の位置の部分画像(視界画像26)を、視認することができる。
図10の(c)に、動画コンテンツの視界画像26の一例を示す。この図に示す視界画像26は、ユーザによって選択されたサムネイルSN1に対応する動画コンテンツの視界画像26である。このように、ユーザが、図10の(b)に示すプラットフォームの視界画像26を視認中にサムネイルSN1を視線によって選択すると、ディスプレイ112に表示されるプラットフォームの視界画像26が、図10の(c)に示す動画コンテンツの視界画像26に更新される。すなわちユーザは、仮想空間2において視線移動によってサムネイルSN1を選択することによって、これに対応した動画コンテンツを仮想空間2において視聴することができる。
以上のように、ユーザは、仮想空間2において視聴したい動画コンテンツを、仮想空間2における動画コンテンツ選択用のプラットフォームを通じて選択することができる。したがってユーザは、HMD110を装着する前に、制御回路部200に接続される他の一般的なディスプレイを現実空間において視認しながら、仮想空間2において視聴したい動画コンテンツを選択する必要がない。これにより、仮想空間2に対するユーザの没入感をより一層高めることができる。
また、制御回路部200は、動画コンテンツの再生中にユーザが所定の操作をHMDシステム100に対して(たとえばコントローラ300を通じて)行えば、動画コンテンツが再生される仮想空間2をユーザに提供することを終了し、それから再び、動画コンテンツ選択用のプラットフォームが展開される仮想空間2をユーザに提供する。これによりユーザは、他のサムネイルを選択することによって、他の動画コンテンツを仮想空間2において視聴することができる。ユーザは、視聴したい動画コンテンツを切り替える際にHMD110を外す必要がないので、仮想空間2に対するユーザの没入感をより一層高めることができる。
(広告コンテンツの表示)
動画コンテンツの表示域の一部に広告コンテンツを表示する方法の一形態について図11及び12を参照して説明する。本実施形態では、制御回路部200が動画コンテンツの表示域の内、初期方向に対して後方の表示域に広告コンテンツを表示する。本明細書において表示域とは、動画コンテンツの時間的位置および空間的位置を少なくとも含む情報によって規定される。動画コンテンツを再生すると規定時間ごとに既定のフレームが連続して表示される。時間的位置とは表示するフレームがどのフレームであるかを示す情報ともいえる。また、空間的位置は一つのフレーム中の場所を示す。また、本実施形態において、視線管理部232等の制御回路部200の処理で用いるユーザの視る方向を示す情報は、視線方向N0の方向を示す情報であってもよく、視界方向を示す情報であってもよい。
図11は、広告コンテンツSC1(第1サブコンテンツ)を表示する視野画像と、広告コンテンツSC1に視線を誘導するための広告コンテンツSC2(第2サブコンテンツ)を表示する視野画像と、仮想空間2内の位置との関係を説明するための図である。視野画像v1は、動画コンテンツの再生中に生成される仮想空間画像22の一部である。また、視野画像v1は、仮想空間2においてユーザが前方を向いているときの基準視線に基づいて表示される視野画像の一部である。ここで「前方」とは、初期方向を基準として水平方向におけるプラス方向(−90°以上、+90°以下)であればよく、例えば初期方向の近辺であることが好ましい。また、「後方」とは初期方向を基準として水平方向におけるマイナス方向(90°より大きく180°以下、−90°より小さく−180°以上の範囲)である。
視界画像生成部223は、視野画像v1内の鏡m1に、広告コンテンツSC1中の本棚の一部を表示する(第2のサブコンテンツ表示ステップ)。この本棚の一部の画像は、前方側を向いて動画コンテンツを視聴するユーザから見て後方側に位置する広告コンテンツSC1に視線を誘導するための広告コンテンツSC2である。広告コンテンツSC2は、初期方向に対する後方側にも注目すべきコンテンツが存在していることをユーザに知らせるためコンテンツである。動画コンテンツが再生されている間、ユーザは初期方向に近い前方側を主として視聴する傾向が有る。そのため、制御回路部200が初期方向に対して後方側に広告コンテンツを表示すれば、ユーザの没入感を損なわない。しかし、後方側はユーザに見られ難いので、広告効果が低いという課題がある。そこで、本実施形態では、後方側の広告コンテンツSC1のみならず、ユーザの視線を誘導する広告コンテンツSC2を表示する。これにより、ユーザの視線を後方側に誘導することができ、ユーザに広告コンテンツSC1を閲覧させることができる。よって、本実施形態は、ユーザの没入感を損ねずに、後方側に表示される広告効果を高めることができる。
広告コンテンツSC1が常時再生される形態では無い場合には、視界画像生成部223は、仮に視野が後方であれば広告コンテンツSC1が表示されている時間的位置で、広告コンテンツSC2を表示することが好ましい。すなわち、広告コンテンツSC2は、広告コンテンツSC1の空間的位置および時間的位置に基づいて、鏡m1に表示させることが好ましい。広告コンテンツSC1が表示されるタイミングと広告コンテンツSC2とが表示されるタイミングを連動させることにより、効果的に広告コンテンツSC1にユーザの視線を誘導することができる。
また、広告コンテンツSC2の表示方法は、本実施形態のように鏡に広告コンテンツSC1の一部を表示する形態には限定されない。仮想空間画像22の前方側に、後方側のコンテンツの一部を不自然でないように反映させることができるものであればよい。例えば、仮想空間画像22の前方側に何らかの反射面を有する画像が表示されるのであれば、その部分に広告コンテンツSC1の少なくとも一部示す画像を表示させることが好ましい。従って、動画コンテンツに登場する人物が窓を開ける際に、窓に広告コンテンツSC1の一部を描画して、あたかも窓に後方の広告コンテンツSC1の一部が映っているように描画してもよい。視界画像生成部223は、広告コンテンツSC2を常時表示してもよく、既定の時間的位置のみ表示してもよい。例えば、視界画像生成部223は、動画コンテンツ内の主人公が鏡を覗き込んでいるとき、または、窓にかかるカーテンを開けたときなどに広告コンテンツSC2を表示してもよい。また、本実施形態では視線誘導のためのコンテンツとして静止画を用いる場合について説明するが、動画であってもよく、音声であってもよい。
視界画像生成部223は、ユーザが後方を向いたことを認識すると、視野画像v2を表示する。すなわち、視界画像生成部223は、HMD110の向きに基づいて視界画像を更新することで、視野画像v2を生成する。視野画像v2は動画コンテンツの再生中に生成される仮想空間画像22の一部である。また、視野画像v2は仮想空間2においてユーザが後方を向いているときの基準視線に基づいて表示される視野画像の一部である。視野画像v2には広告コンテンツSC1が含まれる。広告コンテンツSC1は、広告画像p1、p2および広告用背景画像b1を含んでいる。広告用背景画像b1が、後述のつなぎ目領域Sを隠している。広告画像p1およびp2は広告用背景画像b1上に表示される。このように、初期方向を基準として後方側に広告コンテンツSC1を含む仮想空間画像22を生成することでユーザの没入感を損なうことなく広告を視聴させる機会を提供できる。なお、広告コンテンツSC1は動画であっても静止画であってもよい。
つなぎ目領域Sとは、複数の画像のつなぎ目のうち、画像間の不整合が生じるつなぎ目が集合する場所である。本実施形態では、つなぎ目領域Sを初期方向のマイナス方向(後方)側に位置させる。本実施形態では、動画コンテンツは全天球カメラによって撮影されたものである。全天球カメラで撮影したコンテンツのように天球状、または、半球等の球の一部に適合するように画像を表示する場合、分離した画像をつないで画像を生成することがある。分離した画像としては、複数の画像に分離したもの、および、一つの画像の一部が分離したものであり得る。この場合、画像のつなぎ目のうち、画像間の不整合が生じるつなぎ目においては、画像が歪んだり、画像が途切れて何も表示されない空間が生じたりすることがある。そのような場所に広告コンテンツを合成することで、広告を表示させるのみならず、ユーザの没入感を損なう画像を隠すことができる。つまり、本実施形態ではつなぎ目領域Sの上に広告コンテンツSC1が重ねられることでつなぎ目領域Sが隠されている。従って、ユーザは歪んだ画像または何も表示されていない空間を視認することがないので、ユーザの没入感を損ねない。
図12は制御回路部200が動画コンテンツと、広告コンテンツSC1と、広告コンテンツSC2とを合成する処理の流れを示すフロー図である。まず、S201において、通信部250が動画コンテンツを受信する。通信部250が動画コンテンツを取得するタイミングは特に限定されないが、例えば、ユーザがコントローラ300を用いて行なった動画コンテンツの取得を指示する操作を、操作受付部213が受け付けることによって、動画コンテンツを取得してもよい。また、既定の時間に、記憶部240に格納されていないコンテンツが外部機器400に格納されているか否かを、通信部250が外部機器400を参照することによって判断し、未格納の動画コンテンツを自動的に取得してもよい。
通信部250は、動画コンテンツを取得すると記憶部240に格納する。コンテンツ管理部234は、記憶部240に新たな動画コンテンツが格納されたことを認識する。次に、S202において、コンテンツ管理部234は視線誘導枠情報(枠情報)を動画コンテンツから取得する(第2のサブコンテンツ枠情報取得ステップ)。視線誘導枠情報とは、広告コンテンツSC2の表示域を含むシーンの時間的位置、および、当該表示域の空間的位置を示す情報を含むである。動画コンテンツの作成者は、コンテンツを作成する際に、視線誘導枠情報をコンテンツに関連付ける。動画コンテンツの作成者は、動画コンテンツにおいて表示される映像の中で、例えば上述の鏡のように、広告コンテンツSC2を表示しても不自然ではない箇所を特定しておくことができる。よって、ユーザの没入感を損ねずに視線誘導するための画像を表示することができる。
S203において、コンテンツ管理部234は動画コンテンツと、広告コンテンツSC1および広告コンテンツSC2とを合成する。上述の通り、広告コンテンツSC1を合成する空間的位置は、動画コンテンツを合成する画像のつなぎ目領域Sに位置する。このような位置は、初期方向とは真反対に位置することが多い。ユーザの没入感を損なわないように、初期方向から最も遠い位置にするからである。従って、コンテンツ管理部234は、画像のつなぎ目領域Sがどこかを動画コンテンツ毎に認識することなく、初期方向を認識することで、当該方向の真反対の位置に広告コンテンツSC1が重なるように合成すればよい。なお、このような形態に限定されず、コンテンツ管理部234は、動画コンテンツを解析して、つなぎ目領域Sがどこかを認識したうえで広告コンテンツSC1を合成してもよい。
また、コンテンツ管理部234は、広告用背景画像b1と動画コンテンツの仮想空間画像22とが連続性を有するように合成する。コンテンツ管理部234は、広告用画像b1中の壁、床を仮想空間画像22のつなぎ目領域S付近の壁、床と連続するように合成する。広告画像p1、p2は広告の内容を示す画像である。広告用背景画像b1は、広告の内容を表示しても自然な表示となるように、本棚、ポスター立てを含んでいる。コンテンツ管理部234は、広告画像p1、p2を本棚中の棚、ポスター立て上に合成する。これにより、広告画像p1、p2は、あたかも本棚中に元から存在する物、または、ポスター自体のように表示されるため、ユーザの没入感を損なわない。
また、コンテンツ管理部234は視線誘導枠情報に基づいて、規定の空間的位置および時間的位置に広告コンテンツSC2を合成する。
動画コンテンツに広告コンテンツSC1、SC2を合成する方法は特に限定されないが、例えば、動画コンテンツのフレームの画像に広告コンテンツ等の画像を貼り付ける処理を行なう。また、当該画像の大きさおよび形状を適宜調整してもよい。例えば、当該画像を貼り付ける対象である本棚、鏡等の対象物が遠方に見えるものであれば、各画像の大きさを小さくしたり、当該対象物が斜めから見えるものであれば、各画像の形状を台形状に処理したりしてもよい。
コンテンツ管理部234は、コンテンツの合成が終わると、コンテンツ格納部242に合成後の動画コンテンツを格納する。コンテンツ格納部242に格納されている動画コンテンツをユーザが選択して再生する手順については上述の通りである。
以上のように、本実施形態では予め動画コンテンツと広告コンテンツSC1および広告コンテンツSC2とを合成してコンテンツ格納部242に格納しておく形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、視界画像生成部223が、動画コンテンツをHMD110に表示させるときに、既定の表示域に広告コンテンツSC1および広告コンテンツSC2を重畳して表示するように視界画像を生成することによって合成コンテンツを合成してもよい。
また、本実施形態では、HMDシステム100が合成コンテンツを合成する形態について説明したが、サーバ等の外部機器400が合成したものをHMDシステム100が取得してもよい。また、外部機器400が広告用背景画像に相当する画像でつなぎ目領域Sを隠す処理をしておき、HMDシステム100が広告画像を広告用背景画像上に合成する処理を行なってもよい。
<視線情報収集>
次に、動画コンテンツに合成する広告コンテンツSC1の位置と、視線情報収集区画FEとの関係について説明する。図13は格子と広告コンテンツの位置との関係を説明する模式図である。制御回路部200が動画コンテンツを再生するときに生成する仮想空間データには格子Gが関連付けられている。より詳細には仮想空間データの一部である雛形データに格子Gが関連付けられている。
視線情報収集区画FEは、格子Gによって形成される区画のうちの一つであり、仮想空間2を構成する天球面の内の規定の箇所に設定されている。視線情報収集区画FEには、ユーザの視線(視界方向または視線方向N0)が視線情報収集区画FEと交わっているか否かを判定する機能が割り当てられている。より具体的には視線情報収集区画FEは仮想空間データを生成するための雛形データに関連付けられている。当該雛形データを用いて仮想空間データを生成することで、仮想空間2中に視線情報収集区画FEが設定される。仮にゲーム等のようにオブジェクトを配置することで仮想空間を提供する場合、オブジェクトに視線情報を収集する機能を持たせればよいため、当該オブジェクトに注目されたか否かを示す情報を収集することは容易である。しかし、オブジェクトを用いない動画コンテンツの場合には、視線の情報を収集することは困難である。しかし、本実施形態のように規定の区画に視線情報を収集するための機能を持たせることで、視線の情報を収集することが可能となる。
また、つなぎ目領域Sに視線情報収集区画FEが重複するように雛形データを作成しておき、複数の動画コンテンツにおいて、当該雛形データを用いて仮想空間データを作成してもよい。動画コンテンツ毎に視線情報収集区画の位置を変更する必要が無いため、動画コンテンツが増えても広告に対する視線情報の収集を効率的に行うことができる。オブジェクトを使用しないか、又は、使用するとしても限られた数となるコンテンツにおいても、効率的に多くの動画コンテンツにて広告に対する注目を示す情報を収集することが容易となる。
次に、視線情報を収集する処理の流れを説明する。図14は視線情報を収集する処理の流れを示す図である。まず、最初に動画コンテンツの再生が開始されると、S301において、コンテンツ管理部234は広告が表示される時間か否かを判断する。具体的には、コンテンツ管理部234は広告枠情報のうち時間的位置を示す情報を参照し、コンテンツ管理部234が再生している動画コンテンツの時間的位置と照合して、判断する。S301においてNOの場合、広告を表示する時間でない場合には、広告枠情報に含まれる時間的位置と、再生している動画コンテンツの時間的位置との照合を続ける。
S301においてYESの場合、S302において、視線管理部232は、視線方向N0が広告コンテンツSC1を表示している箇所に対応する視線情報収集区画FEと交わっているか否かを判定する。S302においてNOの場合、視線方向N0が当該視線情報収集区画FEと交わっているか否かの判定を続ける。S302においてYESの場合、S303において視線方向N0が当該視線情報収集区画FEと交わっている時間を計測する。計測が終わると、視線管理部232は、計測した時間と、どの時間的位置から計測を開始したかを示す情報と、計測対象がどの視線情報収集区画FEであったかを示す情報とを互いに関連付けて視線情報を作成する。さらに、視線管理部232は、視線情報に視線情報収集区画FEにどの広告コンテンツSC1を合成したかを示す情報も関連付ける。なお、視線情報収集区画FEにどの広告コンテンツSC1を合成したかを示す情報は、上述したS203における動画コンテンツと広告コンテンツSC1との合成を行なった後の任意のタイミングで、通信部250が外部機器400に送信しておいてもよい。
S304において、通信部250は視線情報を外部機器400に送信する。外部機器400の管理者は、視線情報に基づいて、どの広告にどれくらいの時間、視線が向けられたかを把握することができる。また、動画コンテンツの内容に応じて、ユーザが広告に対して持った興味の度合いを評価することができる。例えば、ユーザが広告を見たシーンが、動画コンテンツにおける山場のシーン、および、盛り上がっているシーン等であれば、ユーザが当該広告に高い興味を示したと評価できる。また、例えば、ユーザが広告を見たシーンが、動画コンテンツにおける山場ではないシーン、および、盛り上がっていないシーン等であればユーザが当該広告に示した興味は高くないと評価できる。動画コンテンツ内の時間的位置と、山場であるか否か等のシーンの状況を示す情報とを関連付けておいてもよい。上述のユーザの興味の解析が容易となる。以上のように、本実施形態によれば、ヘッドマウントディスプレイにて再生する動画コンテンツ中の広告の効果を効率的に把握することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御回路部200の制御ブロック(検出部210、表示制御部220、仮想空間制御部230、記憶部240、および通信部250)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、制御ブロックは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔付記事項〕
本発明の一側面に係る内容を列記すると以下の通りである。
(項目1)ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を装着したユーザに仮想空間を提供する方法であって、前記仮想空間に適合させて再生するための動画コンテンツの初期方向を特定するステップと、前記初期方向の水平方向における向きと前記HMDのロール方向の水平方向における向きとが一致するように前記仮想空間に前記動画コンテンツを適合させて再生するステップと、前記初期方向の後方側に、第1のサブコンテンツを表示するステップと、前記HMDの向きおよび傾きのうち少なくとも一方に応じて視野を更新するステップと、を含む方法。ヘッドマウントディスプレイにて動画コンテンツを再生する際に広告等の他のコンテンツを表示しても、ユーザの没入感に与える影響が少ない。
(項目2)前記初期方向の前方側に、第2のサブコンテンツをさらに表示するステップを含む、項目1の仮想空間を提供する方法。この方法によれば、第2のサブコンテンツとして、第1のサブコンテンツにユーザの視線を誘導する内容のものを表示することができる。よって、広告効果を高めることができる。
(項目3)前記第2のサブコンテンツは、前記第1のサブコンテンツの少なくとも一部を示す画像である項目2の方法。この方法によれば、効果的に第1のサブコンテンツにユーザの視線を誘導することができる。よって、広告効果を高めることができる。
(項目4)前記動画コンテンツには、前記第2のサブコンテンツを表示するための空間的位置及び時間的位置を含む枠情報が関連付けられており、前記枠情報を取得するステップをさらに含み、前記枠情報に基づいて、前記第2のサブコンテンツを表示する、項目2又は3の方法。動画コンテンツの作成者は、動画コンテンツにおいて表示される映像の中で第2のサブコンテンツを表示しても不自然ではない箇所を特定しておくことができるので、ユーザの没入感を損ねずに広告に視線誘導するためのコンテンツを表示することができる。
(項目5)前記第1のサブコンテンツは広告コンテンツであり、前記第2のサブコンテンツは前記動画コンテンツに登場する反射面に投影される画像である、項目4の方法。この方法によれば、ユーザの没入感を損ねることなく、効果的に第1のサブコンテンツにユーザの視線を誘導することができる。よって、広告効果を高めることができる。
(項目6)前記動画コンテンツを構成するフレームは、互いに異なる方向を向く複数の撮像素子によって撮影された画像であって、少なくとも一部が分離している画像をつなぎ合せて生成されており、前記視野更新ステップでは、前記第1のサブコンテンツを、前記画像のつなぎ目に重畳させて表示する、項目1〜5の方法。つなぎ目は画像が歪んでいたり表示されていなかったりする虞があるが、そのような場所を広告等の第1のサブコンテンツで隠すことができるのでユーザの没入感を損ねない。
(項目7)項目1〜6の方法の各ステップを、コンピュータに実行させるプログラム。
(項目8)項目7のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
1 仮想カメラ、2 仮想空間、5 基準視線、21 中心、22 仮想空間画像、23 視界領域、24 第1領域、25 第2領域、26 視界画像、100 HMDシステム、110 HMD、112 ディスプレイ、114 センサ、120 HMDセンサ、130 注視センサ、200 制御回路部、210 検出部、211 HMD検出部、212 視線検出部、213 操作受付部、220 表示制御部、221 仮想カメラ制御部、222 視界領域決定部、223 視界画像生成部、230 仮想空間制御部、231 仮想空間規定部、232 視線管理部、233 コンテンツ特定部、234 コンテンツ管理部、240 記憶部、241 雛形格納部、242 コンテンツ格納部、250 通信部、300 コントローラ、400 外部機器、FE 視線情報収集区画、G 格子、N0 視線方向、N1 注視点、SC1、SC2 広告コンテンツ、v1、v2 視野画像

Claims (8)

  1. ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を装着したユーザに仮想空間を提供する方法であって、
    前記仮想空間に適合させて再生するための動画コンテンツの初期方向を特定するステップと、
    前記初期方向の水平方向における向きと前記HMDのロール方向の水平方向における向きとが一致するように前記仮想空間に前記動画コンテンツを適合させて再生するステップと、
    前記初期方向の後方側に、第1のサブコンテンツを表示するステップと、
    前記HMDの向きおよび傾きのうち少なくとも一方に応じて視野を更新するステップと、を含む方法。
  2. 前記初期方向の前方側に、第2のサブコンテンツをさらに表示するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2のサブコンテンツは、前記第1のサブコンテンツの少なくとも一部を示す画像である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記動画コンテンツには、前記第2のサブコンテンツを表示するための空間的位置及び時間的位置を含む枠情報が関連付けられており、
    前記枠情報を取得するステップをさらに含み、
    前記枠情報に基づいて、前記第2のサブコンテンツを表示する、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記第1のサブコンテンツは広告コンテンツであり、前記第2のサブコンテンツは前記動画コンテンツに登場する反射面に投影される画像である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記動画コンテンツを構成するフレームは、互いに異なる方向を向く複数の撮像素子によって撮影された画像であって、少なくとも一部が分離している画像をつなぎ合せて生成されており、
    前記視野更新ステップでは、前記第1のサブコンテンツを、前記画像のつなぎ目に重畳させて表示する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の方法の各ステップを、コンピュータに実行させるプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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