JP2017205510A - 足底感覚刺激装置 - Google Patents

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敏明 田中
Toshiaki Tanaka
敏明 田中
明哉 中島
Akiya Nakajima
明哉 中島
大介 森
Daisuke Mori
大介 森
忠司 吉田
Tadashi Yoshida
忠司 吉田
隆弘 宮田
Takahiro Miyata
隆弘 宮田
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YOSHIDA TSUKASA KK
Ishikawa Prefecture
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Ishikawa Prefecture
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Abstract

【課題】バランス能力に重大な影響を及ぼす足底感覚を刺激することでバランス能力の衰えを改善することができ、それによって高齢者、さらには障害者や患者の転倒予防を行うことができる足底感覚刺激装置を提供する。【解決手段】足底感覚刺激装置は、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位および踵部位のうちの少なくとも一箇所に対応する部分に、予め設けられ、または、足底が乗って圧力が加わったときに現れるように構成された高さが0.5mm以上1.5mm以下の少なくとも一つの突出部を有する。突出部の最小幅は0.3mm以上5mm以下である。足底感覚刺激装置は、インソール、靴下、足袋などである。【選択図】図2

Description

この発明は、足底感覚刺激装置に関し、特に、インソール、靴下、足袋などとして用いて足底を刺激することにより高齢者などの転倒防止に適用して好適なものである。
高齢化社会の到来により、転倒によって寝たきりになる高齢者が増加している。転倒原因としては、加齢に伴い、筋力などの運動機能が衰えるだけでなく、足裏の感覚機能が低下し、バランス能力が衰退することも大きな要因である。すなわち、立位バランスを維持するためには、視覚、前庭覚だけでなく、体性感覚として足裏での床面、路面との接触する感覚、つまり触圧覚からの情報が重要である。このため、足底の触圧覚が低下すると、不安定もしくは滑りやすい床、路面状況を判断できず、足趾筋力、下肢体幹筋力をうまく使用できずにバランスを崩す場合が多々生じる。
そこで、バランス能力に大きな影響を与える足裏の感覚機能を回復・向上させ、転倒を予防する高齢者用装具が求められている。
現在、転倒予防用ソックスが市販されているが、これは、つま先を上げることでつまづき難くするなど、運動機能の衰えをカバーするものである(非特許文献1参照。)。
[平成28年2月3日検索]、インターネット〈URL:http://kutsushita.co.jp/products/detail.php?product _id=5〉
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上述の従来の転倒予防用ソックスでは、バランス能力の衰えを改善することは困難である。このため、高齢者の転倒予防効果は極めて限られたものに過ぎないと考えられる。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、バランス能力に重大な影響を及ぼす足底感覚を刺激することでバランス能力の衰えを改善することができ、それによって高齢者、さらには障害者や患者の転倒予防を行うことができる足底感覚刺激装置を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位および踵部位のうちの少なくとも一箇所に対応する部分に、予め設けられ、または、足底が乗って圧力が加わったときに現れるように構成された高さが0.5mm以上1.5mm以下の少なくとも一つの突出部を有することを特徴とする足底感覚刺激装置である。
この足底感覚刺激装置において、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位は、具体的には、第1中足骨と第1基節骨との関節部位、第1基節骨と第1末節骨との関節部位、第2中足骨と第2基節骨との関節部位、第2基節骨と第2中節骨との関節部位、第2中節骨と第2末節骨との関節部位、第3中足骨と第3基節骨との関節部位、第3基節骨と第3中節骨との関節部位、第3中節骨と第3末節骨との関節部位、第4中足骨と第4基節骨との関節部位、第4基節骨と第4中節骨との関節部位、第4中節骨と第4末節骨との関節部位、第5中足骨と第5基節骨との関節部位、第5基節骨と第5中節骨との関節部位、第5中節骨と第5末節骨との関節部位である。これらの関節部位の一つを単独に刺激してもよいし、二つ以上を同時に刺激してもよい。二つ以上の関節部位を同時に刺激する場合、足底の縦軸方向(踵から足指先までの方向)(長軸方向ともいう)の刺激部位は、第1中足骨と第1基節骨との関節部位および第1基節骨と第1末節骨との関節部位、第2中足骨と第2基節骨との関節部位、第2基節骨と第2中節骨との関節部位および第2中節骨と第2末節骨との関節部位のうちの二つ以上、第3中足骨と第3基節骨との関節部位、第3基節骨と第3中節骨との関節部位および第3中節骨と第3末節骨との関節部位のうちの二つ以上、第4中足骨と第4基節骨との関節部位、第4基節骨と第4中節骨との関節部位および第4中節骨と第4末節骨との関節部位のうちの二つ以上、第5中足骨と第5基節骨との関節部位、第5基節骨と第5中節骨との関節部位および第5中節骨と第5末節骨との関節部位のうちの二つ以上である。刺激部位としては、これらの関節部位のほか、足底の横軸方向(親指から小指までの横方向)の刺激部位(各足趾をまたぐ部位)もある。具体的には、第1中足骨から第2中足骨にかけての部位、第1末節骨から第2基節骨にかけての部位、第2中足骨から第3中足骨にかけての部位、第2基節骨から第3基節骨にかけての部位、第2中節骨から第3節骨にかけての部位、第2末節骨から第3末節骨にかけての部位、第3中足骨から第4中足骨にかけての部位、第3基節骨から第4基節骨にかけての部位、第3中節骨から第4中節骨にかけての部位、第3末節骨から第4末節骨にかけての部位、第4中足骨から第5中足骨にかけての部位、第4基節骨から第5基節骨にかけての部位、第4中節骨から第5中節骨にかけての部位、第4末節骨から第5末節骨にかけての部位である。縦軸方向と横軸方向との中間の斜め方向に刺激を行ってもよい。例えば、一つの指の基節骨から隣の指の中節骨にかけての部位である。これらの関節部位あるいはその他の刺激部位を刺激することにより、母趾球および小趾球を含めた足趾筋群および足関節周囲筋群を刺激することができ、それによって足底感覚を効果的に刺激することができる。また、踵部は、体重を支える重要な部位であるが、立位時に床と接する足底における踵部位での感覚は、体重の約25%を支える上で重要な感覚であり、例えば、後方への重心移動を踵部位で感じ、後方への転倒回避のため体重心を前方へ移動させる。また、前方へ過剰な荷重をかけると前足部(足趾、母趾球、小趾球など)でその荷重を感じ、足関節や体幹の運動を行うことで体幹を後方へ戻す。このように、立位バランスにおける重心移動における足底感覚の重要性がある。図1にこれらの関節部位および踵部位を示す。
この足底感覚刺激装置において、突出部の高さは0.5mm以上1.5mm以下、好適には0.8mm以上1.2mm以下であるが、このようにすることにより、使用者が痛みを殆ど感じることなく、足底感覚を効果的に刺激することができ、バランス感覚を向上させることができる。突出部の高さは、0.5mm以上1.5mm以下の範囲内で、突出部を構成する材料などに応じて適宜決められる。突出部のパターン形状および断面形状や突出部の高さ以外の各部の大きさは、突出部を構成する材料などに応じて適宜決められる。例えば、突出部の最小幅は、使用者が痛みを殆ど感じることなく、関節部位および踵部位を効果的に刺激する観点より適宜選ばれるが、好適には、0.3mm以上5mm以下である。また、突出部のパターン形状は、特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、具体例を挙げると、関節部位および踵部位と同程度の大きさの円形、楕円形、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形など)などの形状、線状の突出部が同心円状または同心楕円状に複数設けられた形状、線状の突出部が格子状に設けられた形状、線状の突出部が互いに平行に複数設けられた形状、ドット状の突出部がマトリックス状に設けられた形状、さらにはこれらの形状を2種類以上組み合わせた形状などである。突出部のパターン形状は、これらの中でも、線状の突出部が同心円状または同心楕円状に複数設けられた形状、さらにはこれらの2種類の形状を組み合わせた形状が好適である。刺激部位は、例えば直径1mm以上の大きさであり、好適には2箇所以上とする。突出部の間隔(一つの突出部と直ぐ隣の突出部との間の隙間の幅)、言い換えると、一つの刺激部位と直ぐ隣の刺激部位との間隔は、好適には、関節部位および踵部位をそれぞれ二つ以上の突出部により刺激することができるように選ばれ、具体的には、例えば、1mm以上に選ばれる。こうすることで、皮膚上の2点(互いに異なる点として認識することができる程度に離れている必要がある)を同時に刺激した際に、その間のある特定の部位にあたかも新たな刺激(刺激像)があるように感じるファントムセンセーション(Fantom Sensation)が可能となり、高次知覚を実現することができ、ひいては足底感覚を有効に刺激することができる。
この足底感覚刺激装置は、足底感覚をより効果的に刺激する観点より、好適には、少なくとも一つの関節部位および踵部位に対応する部分に突出部を有する。
突出部は、例えば、合成ゴム、合成樹脂、天然樹脂、天然繊維、合成繊維、金属、合金、セラミックス、磁石、ガラス、鉱物および石膏からなる群より選ばれた少なくとも一種の材料からなる。すなわち、突出部は、これらの材料のうちの一種類の材料のみからなることもあるし、これらの材料のうちの二種類以上の材料を組み合わせた複合材料からなるものであってもよい。突出部は、これらの材料を加工することによって容易に形成することができる。合成ゴムは、例えば、クロロプレンゴム(CR)、エチレン・酢酸ビニルゴム(EVA)などである。合成樹脂は、例えば、プラスチック、シリコーンなどである。天然樹脂は、例えば、ラテックス、天然ゴムなどである。天然繊維は、例えば、ウール、綿、シルク(絹)などである。合成繊維は、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなどである。例えば、天然繊維または合成繊維を単独または複合して使用し、製織、製編または不織布の製造方法によりテキスタイル材料を加工することにより突出部を形成することができる。取り分け、好適には、突起の材料としては、耐久性に優れる点とインソールを作製する時に加工しやすく機能性を発揮するものとして、天然繊維および合成繊維と合成樹脂とを組み合わせて突起を形成する材料を用いる。具体的には、ナイロンおよびポリエステルとポリウレタンとを組み合わせた平状編物生地にRTV(room temperature vulcanization) 型シリコーンゴムを含浸させながら突起を形成する。金属は、例えば、チタン、ニッケル、アルミニウム、鉄、金、銀、銅などである。合金は、例えば、これらの金属のうちの二種類以上からなる。
突出部が、足底が乗って圧力が加わったときに現れるように構成される場合の具体例を挙げると、次の通りである。すなわち、突出部が、突出部を構成する材料より柔らかい材料により形成された変形層に隣接して設けられる場合、突出部が上記の変形層に埋設される場合、突出部が上記の変形層に覆われる場合、空気層もしくは上記の変形層を構成する材料より柔らかい材料により形成された中間層を介して変形層に覆われる場合であり、これらの場合、足底が乗って圧力が加わったときに上記の変形層が圧縮されて変形することにより突出部が現れる。あるいは、足底感覚刺激装置は、中空部を有する変形層を有し、足底が乗って圧力が加わったときに上記の変形層が圧縮されて変形することによりこの変形層に突出部が現れるようにしてもよい。
足底感覚刺激装置は、具体的には、例えば、インソール(中敷)、靴下(ソックス)、足袋、足部用サポーター、ストッキングなどである。インソールでは、使用時に足底が乗る面に突出部が設けられ、あるいは、突出部が現れるようにする。靴下または足袋では、使用時に履いた時に足底が乗る底面に突出部が設けられ、あるいは、突出部が現れるようにする。足部用サポーターでは、サポーターを足に取り付けた時に足底に接触する部分に突出部が設けられ、あるいは、突出部が現れるようにする。ストッキングでは、使用時に履いた時に足底が乗る底面に突出部が設けられ、あるいは、突出部が現れるようにする。
この発明によれば、上記の突出部により足底感覚を刺激することでバランス能力の衰えを改善することができ、それによって高齢者などの転倒予防を行うことができる。
足底の関節部位および踵部位を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す平面図および側面図である。 この発明の第1の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを靴の中に敷いた状態で靴を履いた状態を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す平面図である。 この発明の第3の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第4の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第6の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第6の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第7の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第7の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第8の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第9の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第9の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第10の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第10の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第11の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第11の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第12の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第12の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第13の実施の形態による足底感覚刺激用インソールを示す断面図である。 この発明の第13の実施の形態による足底感覚刺激用インソールに足部が乗って圧力が加わった状態を示す断面図である。 この発明の第14の実施の形態による足底感覚刺激用足袋を示す斜視図である。 この発明の第15の実施の形態による足底感覚刺激用靴下を示す斜視図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1に用いた高さ1mmの突出部を有する4種類の試料を示す図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1に用いた高さ2mmの突出部を有する4種類の試料を示す図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1に用いた比較試料を示す図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1においてバランス能力の評価方法を説明するための図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において動的バランスの評価の方法を説明するための略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において得られた内観報告の結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において得られた静的バランス評価の結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において得られた静的バランス評価の結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において得られた静的バランス評価の結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において得られた静的バランス評価の結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価1において得られた動的バランス評価の結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において足底感覚刺激装置の物性評価に用いた高さ1mmの同心真円型突出部を有するインソールCを示す図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において足底感覚刺激装置の物性評価に用いた高さ1mmの同心楕円型突出部を有するインソールDを示す図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において足底感覚刺激装置の物性評価に用いたインソールCおよびインソールDの突出部の形成方法を説明するための略線図である。 図38に示すインソールCにおける同心真円型突出部の中心位置の測定結果を示す略線図である。 図39に示すインソールDにおける同心楕円型突出部の中心位置の測定結果を示す略線図である。 図38に示すインソールCにおける同心真円型突出部の断面形状の測定結果を示す略線図である。 図39に示すインソールDにおける同心楕円型突出部の断面形状の測定結果を示す略線図である。 図38に示すインソールCおよび図39に示すインソールDに荷重をかけた時の状態を観察する実験に用いた荷重印加装置および構造体を示す図面代用写真である。 図45に示す構造体に30kgfの荷重をかけた時のインソールCおよびインソールDの状態を観察した結果を示す略線図である。 図45に示す構造体に60kgfの荷重をかけた時のインソールCおよびインソールDの状態を観察した結果を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において足底の振動感覚検査に用いた振動感覚検査装置を示す図面代用写真である。 図48に示す振動感覚検査装置を用いて足部評価を行っている様子を示す図面代用写真である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において評価対象となった10名の被験者の平均筋力データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られた初回および2回目の平均CS−30データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られた初回および2回目の平均片足立ち維持時間を示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において足底感覚検査により得られた被験者の平均2点識別覚データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られた初回および2回目の前後左右重心動揺振幅偏差値平均データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られた初回および2回目の重心動揺矩形面積平均データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られたインソールCおよびインソールDの2回目の前後左右重心動揺振幅偏差値平均データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られたインソールCおよびインソールDの2回目の重心動揺矩形面積平均データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られた初回および2回目のクロステスト(前後左右)平均データを示す略線図である。 この発明による足底感覚刺激装置の基礎的評価2において得られたインソールCおよびインソールDの2回目のクロステスト(前後左右)平均データを示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。
〈1.第1の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
第1の実施の形態による足底感覚刺激用インソールについて説明する。
図2はこの足底感覚刺激用インソールを示す。図2Aは平面図、図2Bは図2Aに示す左足用の足底感覚刺激用インソールの側面図である。
図2AおよびBに示すように、この足底感覚刺激用インソールは、足底とほぼ同一の外形を有するシート状の本体11と、この本体11の上面(使用時に足底が乗る面)に設けられた突出部12〜15を有する。突出部12〜15は、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位のいずれかと、踵部位とに対応する部分に設けられている。図2Aでは、突出部12は第1基節骨と第1末節骨との関節部位に対応する部分に設けられ、突出部13は第5基節骨と第5中節骨との関節部位に対応する部分に設けられ、突出部14は第1中足骨と第1基節骨との関節部位に対応する部分に設けられている。この例では、突出部12〜14は関節部位と同程度の大きさの半球状の形状を有し、突出部15は踵部位のほぼ最下端を中心とする部位と同程度の大きさの半球状の形状を有するが、これに限定されるものではない。突出部12〜15の高さは0.5mm以上1.5mm以下、直径は0.3mm以上5mm以下に選ばれる。突出部12〜15は、例えば、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択された材料により形成される。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
図3に示すように、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わり、それによって突出部12〜15の先端部により足部31の足底32の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧される。使用者が靴20を履いて歩行することにより、突出部12〜15の先端部により足底32のこれらの部位が繰り返し押圧される。その結果、これらの関節部位および踵部位が刺激され、その刺激が大脳皮質の感覚野に伝達される。これらの関節部位を刺激することにより、母趾球および小趾球を含めた足趾筋群および足関節周囲筋群を刺激することができ、それによって足底感覚を効果的に刺激することができる。また、踵部を刺激することによっても足底感覚を効果的に刺激することができ、体の重心移動を円滑に行うことができる。
以上のように、この第1の実施の形態による足底感覚刺激用インソールによれば、本体11の、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位のいずれかと踵部位とに対応する部分に突出部12〜15が設けられているため、使用者がこの足底感覚刺激用インソールを靴の内部の底面に敷いて靴を履くことにより、使用者がバランス能力が衰えている高齢者などであっても、バランス能力の衰えを改善することができ、それによって歩行中の転倒を効果的に防止することができる。
〈2.第2の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
第2の実施の形態による足底感覚刺激用インソールについて説明する。
図4はこの足底感覚刺激用インソールを示す。
図4に示すように、この足底感覚刺激用インソールは、本体11の上面に同心の楕円状の線状のパターン形状を有する突出部16、17が設けられていることが、第1の実施の形態と異なる。突出部16は、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位のいずれかに対応する部分を通るように設けられている。突出部17は、足底の踵部位に対応する部分に設けられている。突出部16、17の高さは0.5mm以上1.5mm以下、幅は0.3mm以上5mm以下に選ばれる。また、突出部16、17は、例えば、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択された材料により形成される。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
足底感覚刺激用インソールの使用方法は第1の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈3.第3の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
第3の実施の形態による足底感覚刺激用インソールについて説明する。この足底感覚刺激用インソールは、足底が乗って圧力が加わったときに突出部が現れるように構成されたものである。
図5はこの足底感覚刺激用インソールを示す。
図5に示すように、この足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、それぞれ断面が四角形(例えば、長方形または正方形)の硬材41と軟材42とが、この上面に平行な方向に互いに隣接して交互に設けられている。これらの硬材41および軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。硬材41は使用時に突出部となるので、硬材41のパターン形状は突出部に必要な形状に選ばれる。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図6に示すように、硬材41は殆ど変形しないが、軟材42は圧縮されて大きく窪む。その結果、硬材41が突出部として現れる。そして、この硬材41からなる突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈4.第4の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
第4の実施の形態による足底感覚刺激用インソールは、硬材41の硬さが、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに少し変形するが、軟材42に比べると変形量が小さくなるように選ばれていることが、第3の実施の形態と異なる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図7に示すように、硬材41は圧縮されて少し変形し、軟材42は圧縮されて大きく窪む。その結果、硬材41が突出部として現れる。そして、この硬材41からなる突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈5.第5の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図8に示すように、第5の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、軟材42が層状に設けられ、この軟材42に断面が円形の硬材41が埋設(あるいは内蔵)されている。この場合、硬材41の下端は軟材42の下面とほぼ一致している。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図9に示すように、硬材41は殆ど変形しないが、軟材42は圧縮されて大きく窪む。その結果、硬材41の部分の軟材42の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈6.第6の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図10に示すように、第6の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、軟材42が層状に設けられ、この軟材42に断面が円形の硬材41が埋設(あるいは内蔵)されている。この場合、硬材41は軟材42の中に完全に埋設されている。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図11に示すように、硬材41は殆ど変形しないが、軟材42は圧縮されて大きく窪む。また、硬材41の下端は足底感覚刺激用インソールの本体の上面に接していて上下方向の位置が固定されている。その結果、硬材41の部分の軟材42の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈7.第7の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図12に示すように、第7の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、平坦部とこの平坦部上に設けられた断面が台形の突出部とからなる硬材41が設けられ、この硬材41の上に軟材42が重なって設けられている。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図13に示すように、硬材41は殆ど変形しないが、軟材42は圧縮されて大きく窪む。その結果、硬材41の突出部の部分の軟材42の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈8.第8の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
第8の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、平坦部とこの平坦部上に設けられた断面が台形の突出部とからなる硬材41が設けられ、この硬材41の上に軟材42が重なって設けられている。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。この場合、軟材42は、例えば繊維の編地のように間隙を内包する構造を有し、力が加わるとその間隙が軟材42を貫通するようになっている。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図14に示すように、硬材41は殆ど変形しないが、軟材42は圧縮されて横方向に伸びることにより上下を貫通する間隙が形成され、この間隙を通って硬材41の突出部が外部に現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第8の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈9.第9の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図15に示すように、第9の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、平坦部とこの平坦部上に設けられた断面が半円形の突出部とからなる硬材41が設けられ、この硬材41の上に中空または最柔軟材からなる中間層43を介して軟材42が重なって設けられている。中間層43が中空部からなる場合、軟材42は、例えば、インソール外周部において硬材41と固定される。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、この最柔軟材は、軟材42より硬さが小さく、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するようになっている。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、その材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図16に示すように、軟材42が押圧され、それに伴い中間層43が圧縮され、最終的に軟材42が硬材41の形状に倣うように変形する。その結果、硬材41の突出部の部分の軟材42の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第9の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈10.第10の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図17に示すように、この足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、軟材42が層状に設けられ、この軟材42の上部に断面が四角形(例えば、長方形または正方形)の硬材41が埋め込まれている。これらの硬材41および軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。硬材41の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに殆ど変形しないように選ばれる。一方、軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。これらの硬材41および軟材42の材料としては、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図18に示すように、硬材41は下方に移動するが殆ど変形しないのに対し、軟材42は圧縮されて大きく窪む。その結果、硬材41が突出部として現れる。そして、この硬材41からなる突出部により足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第10の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈11.第11の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図19に示すように、第11の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、軟材42が層状に設けられ、この軟材42に断面が円形の、中空または最柔軟材からなる中間層43が形成され、あるいは、埋設(あるいは内蔵)されている。この場合、中間層43の下端は軟材42の下面とほぼ一致している。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。軟材42の材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、その材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図20に示すように、軟材42が押圧され、それに伴い中間層43が圧縮されて潰れる。その結果、互いに隣接する一対の中間層43の間の部分の軟材42の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第11の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈12.第12の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図21に示すように、第12の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、軟材42が層状に設けられ、この軟材42に断面が円形の、中空または最柔軟材からなる中間層43が埋設(あるいは内蔵)されている。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。軟材42の材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、この最柔軟材は、軟材42より硬さが小さく、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するようになっている。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、その材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図22に示すように、軟材42が押圧され、それに伴い中間層43が圧縮されて潰れる。その結果、互いに隣接する一対の中間層43の間の部分の軟材42の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第12の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈13.第13の実施の形態〉
[足底感覚刺激用インソール]
図23に示すように、第13の実施の形態による足底感覚刺激用インソールにおいては、図示省略したシート状の本体の上面に、下方に突出した断面形状が台形の複数の突出部が上部で平坦部で連結されて一体となった軟材42が設けられている。軟材42の突出部と突出部との間には断面形状が逆台形の、中空または最柔軟材からなる中間層43が設けられている。軟材42の表面は、本体の上面とほぼ平行なほぼ同一平面上にある。軟材42の硬さは、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するように選ばれる。軟材42の材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、この最柔軟材は、軟材42より硬さが小さく、使用時にこの足底感覚刺激用インソールに使用者の足底が乗ったときに容易に変形するようになっている。また、中間層43を最柔軟材により構成する場合、その材料は、既に挙げた各種の材料の中から適宜選択することができる。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用インソールの使用方法]
第1の実施の形態と同様に、靴20の内部の底面にこの足底感覚刺激用インソールを敷き、使用者が靴20を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用インソールに荷重が加わると、図24に示すように、軟材42が押圧され、中間層43の部分の、軟材42の平坦部が大きく窪む。その結果、軟材42の突出部の部分の表面が突出し、突出部が現れる。そして、この突出部が第1の実施の形態における突出部12〜15と同様に働き、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第13の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈14.第14の実施の形態〉
[足底感覚刺激用足袋]
第14の実施の形態による足底感覚刺激用足袋について説明する。
図25はこの足底感覚刺激用足袋を示す。
図25に示すように、この足底感覚刺激用足袋は、内部の底面に、第1または第2の実施の形態の足底感覚刺激用インソールと同様な突出部12〜15が設けられ、あるいは、第3〜第13の実施の形態のいずれかの足底感覚刺激用インソールと同様に、使用時に突出部が現れるように構成されている。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用足袋の使用方法]
使用者がこの足底感覚刺激用足袋を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用足袋の内部の底面に荷重が加わると、第1〜第13の実施の形態と同様にして、突出部12〜15または荷重が加わることにより現れる突出部により、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第14の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈15.第15の実施の形態〉
[足底感覚刺激用靴下]
第15の実施の形態による足底感覚刺激用靴下について説明する。
図26はこの足底感覚刺激用靴下を示す。
図26に示すように、この足底感覚刺激用靴下は、内部の底面に、第1または第2の実施の形態の足底感覚刺激用インソールと同様な突出部12〜15が設けられ、あるいは、第3〜第13の実施の形態のいずれかの足底感覚刺激用インソールと同様に、使用時に突出部が現れるように構成されている。上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の実施の形態に関連して説明したことが成立する。
[足底感覚刺激用靴下の使用方法]
使用者がこの足底感覚刺激用靴下を履く。このとき、使用者の体重により足底感覚刺激用靴下の内部の底面に荷重が加わると、第1〜第13の実施の形態と同様にして、突出部12〜15または荷重が加わることにより現れる突出部により、足底の上記の関節部位および踵部位に相当する部位が押圧され、足底感覚が刺激される。
第15の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈足底感覚刺激装置の基礎的評価1〉
足底感覚刺激装置の基礎的評価を行った結果について説明する。
[被験者]
被験者は高齢者5名(男性4名、女性1名)であり、平均年齢は67.6歳、平均身長は166.1cm、平均体重は57.5kgである。利き手、利き足とも全員右である。過去1年間での転倒歴は全員無しである。
[試料]
合計8種類の足底感覚刺激用シートを作製した。図27A〜Dは高さ1mmの突出部を有する足底感覚刺激用シート、図28A〜Dは高さ2mmの突出部を有する足底感覚刺激用シートを示す。突出部はシリコーンにより形成されたものである。図27Aおよび図28Aに示す足底感覚刺激用シートの突出部は、天面水平格子のパターン形状を有する。図27Bおよび図28Bに示す足底感覚刺激用シートの突出部は、天面水平平行のパターン形状を有する。図27Cおよび図28Cに示す足底感覚刺激用シートの突出部は、天面水平丸型のパターン形状を有する。図27Dおよび図28Dに示す足底感覚刺激用シートの突出部は、マトリックス状に設けられた天面水平ドットのパターン形状を有する。図27Aに示す足底感覚刺激用シートを試料A−1、図27Bに示す足底感覚刺激用シートを試料A−2、図27Cに示す足底感覚刺激用シートを試料A−3、図27Dに示す足底感覚刺激用シートを試料A−4、図28Aに示す足底感覚刺激用シートを試料B−1、図28Bに示す足底感覚刺激用シートを試料B−2、図28Cに示す足底感覚刺激用シートを試料B−3、図28Dに示す足底感覚刺激用シートを試料B−4とする。これらの試料A−1、A−2、A−3、A−4、B−1、B−2、B−3およびB−4のいずれも、突出部の幅(試料A−4およびB−4ではドットの直径)は1mm、突出部の間隔(一つの突出部と直ぐ隣の突出部との間の隙間の幅)は8mm、シートの大きさは150mm×150mmである。
[比較試料]
比較試料として、図29に示すように、市販されているインソールを用いた。このインソールは、転倒防止を目的とするものではなく、足裏のかかと、母指球、小指球の3点の支点を高くすることにより、偏ってかかっていた力をバランスよく分散することで、足裏の痛みを軽減し、快適な歩行を促すことを目的とするものである。図29に示すように、このインソールには、前部の左右および後部の中央に大きな突起パターンが設けられ、その突起パターンに半球状の小さな突起が多数設けられている。小さな突起の高さは約0.3mm、頂点の縦・横間隔は約2.2mmと約3.6mmである。このインソールをインソールAとする。
[評価方法]
(内観報告)
試料A−1〜A−4、B−1〜B−4およびインソールAのそれぞれの上に被験者が立位姿勢で立ち、その時の足裏での感覚としての痛みに関する内観報告を大変痛い、痛い、少し痛い、痛くない、の4段階で調査した。試料A−1〜A−4、B−1〜B−4およびインソールAに乗らず、裸足で立った状態での内観報告も調査した。
(重心動揺計による静的・動的バランス能力評価)
静的・動的バランス能力評価を行うときの様子を図30に示す。
静的バランス能力評価として、被験者を試料A−1〜A−4、B−1〜B−4およびインソールAを介して、あるいは裸足で重心動揺計上に立たせ、1.5m先の目印を見て開眼で30秒間、その姿勢を維持してもらった状態で、重心動揺評価項目である面積値(外形面積および実効値面積)、総軌跡長、重心動揺平均速度および振幅標準偏差(前後左右)を測定した。
動的バランス能力評価として、被験者を試料A−1〜A−4、B−1〜B−4およびインソールAを介して、あるいは裸足で重心動揺計上に立たせ、立位を保持しつつ、最大限、前後左右に身体を傾けるクロステストを20〜30秒間実施した(図31A参照。)。最大限身体を傾けたときの圧中心軌跡(COP)を記録する。図31Bに動的COPの一例を示し、(1)は前方、(2)は後方、(3)は右方、(4)は左方にそれぞれ身体を最大限傾けたときのCOPである。
静的・動的バランス能力の評価結果の統計学的分析としては、群内および群間比較に関してパラメトリック検定を実施し、分析した。なお、有意水準は5%とした。
[評価結果]
(内観報告)
内観報告の調査結果を図32に示す。図32に示すように、突出部の高さが2mmで天面水平平行、天面水平丸型、天面水平ドット状の突出部を有する試料B−2〜B−4では少し痛いという報告を得たが、それ以外の試料A−1〜A−4、B−1およびインソールAでは全て痛みは生じなかった。
(静的バランス評価の結果)
静的バランス評価の結果を図33〜図36に示す。図33は外形面積および実効値面積、図34は総軌跡長、図35は重心動揺平均速度、図36は振幅標準偏差(前後左右)の測定結果である。図33〜図36に示すように、突出部の高さが1mmで天面水平丸型状の突出部を有する試料A−3を使用したときの立位が安定していた。
(動的バランス評価の結果)
動的バランス評価の結果を図37に示す。図37に示すように、試料A−1〜A−4、B−1〜B−4およびインソールAの間で統計的有意差は認められなかったが、突出部の高さが1mmの試料A−1〜A−4が動的バランス能力を高めている傾向があった。
〈足底感覚刺激装置の基礎的評価2〉
足底感覚刺激装置の基礎的評価1で得られた知見に基づき、改めて足底感覚刺激装置の基礎的評価を行った。その結果について説明する。
[試料]
図38に示す高さ1mmの真円型同心円状の突出部を有する足底感覚刺激用インソールと、図39に示す高さ1mmの同心楕円状の突出部を有する足底感覚刺激用インソールとを作製した。図38に示すように、真円型同心円状の突出部は、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位に左右2箇所、踵部位に1箇所形成した。図39に示すように、同心楕円状の突出部は、足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位に上下2箇所、踵部位に1箇所形成した。図38に示す足底感覚刺激用インソールをインソールC、図39に示す足底感覚刺激用インソールをインソールDとする。インソールCは、突出部の幅は1mm、突出部の間隔(一つの突出部と直ぐ隣の突出部との間の隙間の幅)は8mmである。インソールDは、突出部の幅は1mm、突出部の間隔(一つの突出部と直ぐ隣の突出部との間の隙間の幅)は楕円の短軸方向は6mm、長軸方向は10mmである。
インソールCおよびDは次のようにして作製した。突出部の材料については、耐久性に優れる点と、インソールを作製する時に加工しやすく機能性を発揮する点とを考慮して、天然繊維および合成繊維と合成樹脂とを組み合わせた生地に突出部を形成する材料を用いた。具体的には、図40A〜Dに示す方法によりインソールCおよびDを作製した。すなわち、図40Aに示すように、形成すべき突出部のパターンに応じた溝101aを有する金型101を用意する。次に、図40Bに示すように、金型101の溝101aにRTV型シリコーンゴム102を流し入れる。次に、図40Cに示すように、ナイロンおよびポリエステルとポリウレタンとを組み合わせた平状編物生地103を金型101上に載せ、溝101aの内部のRTV型シリコーンゴム102と接触させることにより、平状編物生地103にRTV型シリコーンゴム102を含浸させる。次に、平状編物生地103およびRTV型シリコーンゴム102を乾燥させた後、図40Dに示すように、これらの平状編物生地103およびRTV型シリコーンゴム102を金型101から取り外す。この後、この平状編物生地103を所定の形状に裁断する。こうして、RTV型シリコーンゴム102からなる突出部を有するインソールCおよびDを作製した。
[インソールCおよびインソールDの物性評価]
1.突出部の配置の評価(突出部の配置測定)
非接触三次元測定機(株式会社ニコン製NEXIV VMH300N)を使用し、図38に示すインソールCの同心円状の突出部の位置関係を調べた。同心円状の突出部の中心の位置の測定結果を図41に示す。インソールCは全てサイズ27cmのインソールを元に、サイズ23cmのものは真中で切断し4cm縮めて、25cmのものはつま先と踵の部分を1cmずつ短くすることで作製した。図41の点間の距離(左右の平均値)および角度(左右の平均値)の測定結果をそれぞれ表1および表2に示す。
図39に示すインソールDの同心楕円状の突出部の位置関係を調べた。同心楕円状の突出部の中心の位置の測定結果を図42に示す。インソールDは全てサイズ27cmのインソールを元に、サイズ23cmのものは真中で切断し4cm縮めて、25cmのものは真中で切断し2cm縮めることで作製した。図42中に、同心楕円状の突出部の中心の点間の距離(左右の平均値)の測定結果を示す。
2.突出部の形状評価(突出部の形状測定)
共焦点顕微鏡(株式会社キーエンス製VK−X210(顕微鏡部)VK−X200(制御部))を用いてインソールCおよびDの突出部の断面形状の確認を行った。その結果をそれぞれ図43および図44に示す。図43および図44に示す結果から測定した突出部の高さおよび幅を表3に示す。表3に示すように、生地表面からの突出部の高さはインソールCおよびDとも906μm、突出部上部の幅はインソールCでは937μm、インソールDでは929μmであった。
3.荷重をかけた時のインソールCおよびDの観察
図45の右の拡大図に示すように、インソールCまたはインソールDの上下を硬度20(JIS K 6253 デュロメータ タイプA)、厚さ6mmのシリコーン樹脂板で挟み、その上に厚さ10mmのアクリル板を載せ、荷重30kgf、60kgfの負荷をかけた際のインソールCまたはインソールDの状態を観察した。その結果を図46および図47に示す。図46および図47から分かるように、いずれのサイズのインソールCまたはインソールDとも、負荷がかかった状態でも、突出部は足裏の感覚に刺激を与える刺激材として十分な形状を保っている。
[バランス能力向上や転倒予防効果についての評価]
1.目的
インソールCおよびインソールDによる高齢者の立位バランスへの影響を分析した。さらに、インソールCおよびインソールDの経時的使用による身体機能への影響も検討した。
2.方法
2−1 被験者身体機能データ
対象は、日常生活活動が自立している高齢者総数24名とした。参加高齢者24名の平均年齢は75歳であった。なお、被験者の身体機能データとして握力、下肢膝伸展力、CS−30、片足立位維持時間を評価した。ここで、下肢膝伸展力については、座位にて膝を伸ばす際、計測機器を用いてその膝伸展力を計測する。立位バランスに重要な膝伸展筋群の筋力を計測する。CS−30(30-sec Chair stand test )は30秒間椅子立ち上がりの回数を計測するテストである。膝伸展力に相関が高いデータであり、簡便であることから転倒予防における検査・訓練に用いられる頻度の高い重要なテストである。片足立位はここでは30秒間以内の立位維持時間を計測する。バランス検査の1指標である。
2−2 足部振動感覚評価
インソールCまたはインソールDを継続的に使用した高齢者に関して振動感覚検査および2点識別感覚検査を実施した。
2−2−1 振動感覚検査
振動感覚は足部の前足部および踵を中心に検査を実施する。振動子6個を足底用振動板上に置き、1クール16通りの振動刺激を与える。足底用振動板の足底用振動子の配置を図48に示す。振動パターンは0点刺激、1点刺激、2点刺激の3種類とし、これらをランダムに加える。被験者は刺激された部位が「1か所」、「2か所」および「0か所」の3つのうちから回答するように求められる。図49に示すように、検査は座位で行い、試行回数は2クールで計30回の刺激を与える。30回の正答率で評価する。なお、計測は裸足での振動評価を行い、インソールCまたはインソールDを使用した2ヶ月後に再評価を実施する。
2−2−2 2点識別覚
本検査は複合感覚の検査であり、本検査以外には皮膚書字覚、立体認知、2点同時刺激識別感覚などがあり、高度な感覚である。空間分解能として加齢を反映するとされている2点識別覚は立位でのバランス能力と関連が深いことが報告されている。検査方法は、コンパスなどで同時に2点を刺激した時、2点として知覚できる最小の距離を評価値(単位cm)とする。評価部位は第1足趾、踵とした。
2−3 重心計による立位バランス評価
インソールCおよびインソールDを用いて重心計による立位バランス評価を行った。被験者は裸足で重心計上に立ち(条件(a))、(1)前方1.5m先を見て開眼で30秒その姿勢を維持する、(2)前後左右へ身体を傾ける(クロステスト)を20−30秒実施する。条件(a)の1条件で(1)(2)を実施し、経時的変化を分析するため初回評価と初回から2ヶ月半後の再評価(2回目)を実施検討した。なお、インソールCおよびインソールDの使用に関しては週3回以上、1回10分以上の使用を高齢者に依頼した。
分析内容としては、まず、立位をした時にそれぞれのインソール上で立った時の内観報告(大変痛い、痛い、少し痛い、痛くない、の4段階)を調査した。立位時の重心データ分析項目としては、静的バランス評価として、重心計上に立位し30秒間計測した。重心計による重心動揺評価項目である面積値(矩形面積)、重心動揺振幅標準偏差値(前後、左右)を分析した。動的バランス評価としてはクロステスト(前傾、後傾、右傾、左傾)を分析した。本テストは足の位置を変えず直立を維持しながら前後左右へと体を最大限傾け保持した重心位置の最大値を計測した(図30参照)。
以上の2−1、2−2および2−3に関してインソールCおよびインソールDの経時的効果検証として、初回評価後、平均9週後の再評価(2回目)を実施した。
2−4 統計学的分析
統計分析は、初回および2回目の評価に参加した10名(5名はインソールCを使用、残りの5名はインソールDを使用)に対して行った。インソールCまたはインソールDの使用前後の変化を分析するために、全被験者の初回評価、2回目評価時の片足立位、静的バランステスト(前後・左右の最大動揺距離および動揺面積)、動的バランステスト(クロステスト)に対してパラメトリック検定(対応有り)を実施した。また、CS−30(30秒椅子立ち上がりテスト)、感覚検査(母指、踵)に対してノンパラメトリック検定(Wilcoxon順位和検定)を実施した。次に、使用したインソールCまたはインソールDによる効果の検証のために、インソールC使用群およびインソールD使用群の2回目評価データ(静的バランステスト、動的バランステスト)に対し、パラメトリック検定(2要因t検定)を実施した。なお、有意水準は全て5%で実施した。
3.結果
3−1 被験者身体機能データ
図50〜図52に示すように、初回は、握力平均は22.8kgf、膝伸展力は21.7kgf、CS−30は平均15.8回、平均片足立ち維持時間は19.5秒であった。また、再評価(2回目)は、握力平均は19.9kgf、膝伸展力は17.9kgf、CS−30は平均19.4回、平均片足立ち維持時間は21.0秒であった。CS−30は初回と2回目とで有意差が認められた。
3−2 足底感覚検査
足底振動感覚検査に関しては、初回の検査で母趾部位での正答率は67%、踵部位では25%であった。再評価(2回目)もほぼ同様となった。
図53に示すように、足底2点識別覚に関しては、初回は母趾で1.8cm、踵で1.8cmであった。再評価(2回目)では、母趾で2.0cm、踵で1.7cmであった。
3−3 重心計による立位バランス評価
3−3−1 静的バランス
図54に示すように、初回は、重心動揺に関して、前後の重心動揺振幅標準偏差値は平均4.8mm、左右は1.9mmであった。図55に示すように、重心動揺面積値(矩形面積)は9.2mm2 であった。図54に示すように、再評価(2回目)は、前後の重心動揺振幅標準偏差値は平均3.8mm、左右は3.0mmであった。図55に示すように、再評価(2回目)は、重心動揺面積値は11.5mm2 であった。なお、左右の重心動揺振幅標準偏差値は2回目が初回に比べ有意に大となった。
インソールDを使用した高齢者の初回は、重心動揺に関して、前後の重心動揺振幅標準偏差値は平均4.2mm、左右は5.4mmであった。重心動揺面積値は7.0mm2 であった。図56に示すように、再評価(2回目)は、前後の重心動揺振幅標準偏差値は平均4.2mm、左右は2.8mmであった。図57に示すように、再評価(2回目)は、重心動揺面積値は12.6mm2 であった。
インソールCを使用した高齢者の初回は、重心動揺に関して、前後の重心動揺振幅標準偏差値は平均5.4mm、左右は2.0mmであった。重心動揺面積値は11.4mm2 であった。図56に示すように、再評価(2回目)は、前後の重心動揺振幅標準偏差値は平均3.4mm、左右は3.2mmであった。図57に示すように、再評価(2回目)は、重心動揺面積値は10.4mm2 であった。
3−3−2 動的バランス(クロステスト)
本テスト数値単位は4方向の各傾斜角度で表した。図58に示すように、初回は、前傾は4.9度、後傾は7.4度、左傾は6.6度、右傾は3.4度であった。同じく図58に示すように、再評価(2回目)は、前傾は5.3度、後傾は8.1度、左傾は7.7度、右傾は6.0度であった。
インソールDの初回の前傾は5.4度、後傾は4.5度、左傾は5.4度、右傾は3.4度であった。図59に示すように、再評価(2回目)は、前傾は5.3度、後傾は5.9度、左傾は6.7度、右傾は5.8度であった。
インソールCの初回の前傾は4.6度、後傾は10.3度、左傾は7.9度、右傾は3.3度であった。図59に示すように、再評価(2回目)は、前傾は5.4度、後傾は10.4度、左傾は8.7度、右傾は6.2度であった。なお、前傾において、インソールDがインソールCに比べ有意に大となった。
インソールCまたはインソールD使用時の内観報告として、感覚刺激用突出部パターンに関してほぼ8割以上は痛みが無く、ちょうど良い刺激であるとの回答であった。痛みのある箇所は母趾近辺が多かった。また、座位から立位への立ち上がり動作が楽になった、立位や歩行で安定感が増したという報告もあった。概ね、インソールCおよびインソールDは好評であり今後も使用したいという意見であった。
4.考察
身体機能データに関して、握力、膝伸展力に関しては初回と再評価とで大きな相違は認められなかった。CS−30に関してはインソール使用前後の検定で有意差を認めた。片足立位持続時間に関して有意差は認めないが、約1.2倍改善傾向を認めた。CS−30は椅坐位から立ち上がりまでのバランス能力、立位維持能力、下肢筋全体の筋力の改善を示していることから、インソールCおよびインソールDの効果が認められた。
足底感覚検査に関して、振動感覚検査は差を認めなかった。2点識別覚検査では、有意差は認められないが、母趾で約1.1倍、踵で約1.3倍改善傾向を示した。
静的バランス評価では、インソールCおよびインソールDの使用前後での検定では、前後動揺重心動揺振幅偏差値に関して有意差を認め、1.2倍改善した。動的バランス(クロステスト)では平均最大前傾変位に関して1.1倍改善した。平均最大後傾変位で約1.1倍改善傾向を示した。平均最大左傾変位約1.2倍改善傾向を示した。平均最大右傾変位約1.8倍改善傾向を示した。静的バランスでは左右動揺が大となったが前後方向には改善傾向が認められた。また、動的バランスでは前後左右の4方向とも改善傾向を認めた。
インソールC(円型)とインソールD(楕円型)との使用後の比較において、CS−30においてインソールDがインソールCに比べ約1.2倍良好なデータ値であった。片足立位においてはインソールDおよびインソールCとも同じ値となった。バランス評価値ではほぼ有意差は認めないが、静的なバランスデータである前後重心動揺振幅偏差値においてインソールCがインソールDに比べ約1.2倍良好なデータを示した。動揺面積値においてインソールCがインソールDに比べ約1.2倍良好なデータ値であった。また、動的バランスでは唯一、前傾においてインソールDがインソールCに比べ有意に大となった。後傾への最大変位でインソールCがインソールDに比べ約1.7倍良好なデータを示し、左傾への最大変位でインソールCがインソールDに比べ約1.3倍良好なデータを示し、右傾への最大変位でもインソールCがインソールDに比べ約1.1倍良好なデータを示した。2点識別覚においては母趾ではインソールDがlインソールCに比べ約1.5倍良好なデータを示し、踵部位でインソールCがインソールDに比べ約1.1倍良好なデータを示した。インソールDとインソールCとの比較分析においてどちらが有意に優れているというデータには至らなかった。
インソール使用時の内観報告として、感覚刺激用突出部パターンに関してほぼ8割以上は痛みが無かった。
以上の結果より、インソールCまたはインソールDの使用前後において参加高齢者の下肢筋力、踵の2点識別覚、静的・動的バランス能力に改善傾向を示した。また、インソールCとインソールDとの2種類の相違に関してどちらが有意に優れているというデータには至らなかった。
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、構成、形状、配置、材料、方法などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成、形状、配置、材料、方法などを用いてもよい。
11…本体、12〜15…突出部、20…靴、31…足部、32…足底、41…硬材、42…軟材、43…中間層

Claims (8)

  1. 足底の第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位および踵部位のうちの少なくとも一箇所に対応する部分に、予め設けられ、または、足底が乗って圧力が加わったときに現れるように構成された高さが0.5mm以上1.5mm以下の少なくとも一つの突出部を有することを特徴とする足底感覚刺激装置。
  2. 上記突出部の最小幅は0.3mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の足底感覚刺激装置。
  3. 上記突出部は同心円状または同心楕円状に複数設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の足底感覚刺激装置。
  4. 上記同心円状または同心楕円状に複数設けられた上記突出部は、上記第1〜第5中足骨頭から足趾尖までの関節部位に2箇所、上記踵部位に1箇所設けられていることを特徴とする請求項3記載の足底感覚刺激装置。
  5. 上記突出部は、合成ゴム、合成樹脂、天然樹脂、天然繊維、合成繊維、金属、合金、セラミックス、磁石、ガラス、鉱物および石膏からなる群より選ばれた少なくとも一種の材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の足底感覚刺激装置。
  6. 上記突出部は、上記突出部を構成する材料より柔らかい材料により形成された変形層に隣接して設けられ、または、上記変形層に埋設され、または、上記変形層に覆われ、または、空気層もしくは上記変形層を構成する材料より柔らかい材料により形成された中間層を介して上記変形層に覆われ、足底が乗って、あるいは、上記皮膚が接触して圧力が加わったときに上記変形層が圧縮されて変形することにより現れることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の足底感覚刺激装置。
  7. 中空部を有する変形層を有し、足底が乗って、あるいは、上記皮膚が接触して圧力が加わったときに上記変形層が圧縮されて変形することにより上記変形層に上記突出部が現れることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の足底感覚刺激装置。
  8. 上記足底感覚刺激装置はインソール、靴下または足袋であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の足底感覚刺激装置。
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