JP2017204751A - 無線通信装置及び無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】無線により通信する端末の個体差による通信エリアの大きさのばらつきを軽減する。
【解決手段】無線通信装置10は、無線通信機器である端末50との間で無線により通信を行う通信用アンテナ21と、通信用アンテナ21との無線による通信が可能な受信品質となる領域が制限されるように、通信用アンテナ21が使用する周波数帯の一部または全部を共有する周波数帯における干渉波を送信する干渉波送信用アンテナ31と、を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信装置及び無線通信システムに関する。
ミリ波等の周波数帯を用いて、近距離で短時間のうちに大容量のデータファイルの無線伝送を実施するタッチアンドゲットでは、ユーザーが端末装置(以下、「端末」ともいう。)を意図的に無線通信装置である基地局に近接させる動作をトリガーとして通信を開始させることが重要である。タッチアンドゲットを実現するには、基地局の周囲の通信エリアを、半径5cmないし10cm程度にすることが望ましい。
基地局周辺の通信エリアサイズは一定の大きさであることが重要である。そのために、送信電力、アンテナ利得とも小さな基地局を使用し、受信機が情報信号を復調できる伝送距離を短く抑えることで、タッチアンドゲット利用形態を実現することが考えられる。通常の自由空間電波伝搬の場合、受信信号レベルは伝送距離の2乗に比例して減衰する。しかし、たとえば、近傍界通信(Near-field communication,NFC)を利用し、受信信号レベルが伝送距離の4乗に比例して減衰する方式を利用すると、伝送距離を極めて短く抑えることが出来るため、NFCの利用が適しているものと思われる。
また、送受信機が軌道角運動量(Orbital angular momentum,OAM)モードを用いた伝送を利用する場合でも、伝送距離に対する急速な減衰特性を得ることができる。OAMモードの次数が±Lの場合、受信電力は伝送距離の2×L乗に比例して減衰する(例えば、非特許文献1参照)。よって、L=±2のOAMモードを用いた伝送を実施すれば、理論的には近傍界通信と同様のエリア構成が可能となる。
M. Andersson,et al.,"Orbital angular momentum modes do not increase the channel capacity in communication links",[online],2015年4月20日,New Journal of Physics,Volume17,2016年4月15日検索,インターネット,<URL:http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1367-2630/17/4/043040>
受信電力を小さく設定し、基地局周辺にできる通信エリアのサイズを決定する従来の方法は、受信機におけるSNR(Signal to Noise ratio)のみに依存する。しかし、端末ごとに受信感度にはばらつきがある。端末ごとに受信感度が異なり、ばらつきがある場合、通信エリアサイズにも大きなばらつきが想定される。
例えば、基地局および端末のRF(Radio Frequency,無線周波数) chainの利得のバラつきや、端末に装着されたカバー(例えば、スマートフォンに用いられるスマホカバー)によって、通信エリアの位置やサイズには大きなばらつきが想定される。特に、端末用アンテナは簡素な低コスト品の使用が想定されるため、アンテナ利得そのものにもばらつきが想定される。また、受信機の雑音指数の個体差による雑音フロアーのばらつきも原因として想定される。さらに、そもそも複数の装置製造者が端末をそれぞれ製造するので、使用部品や実装形態による利得の差は大きいものと想定される。これを規格化して製造誤差を低減する方法も考えられるが、コストの面で必ずしも現実的とは言えない。このようないくつかの要因が重畳され、結果的に端末の受信感度は個体差が大きくなる場合がおおいに想定される。
ここで、具体的な通信エリアサイズのばらつきに関して、その一例を示す。周波数60GHz(ギガヘルツ)の非接触伝送システムにおいて、基地局の送信電力レベルが0dBmであり、情報信号の復調に必要な受信電力レベルが−48dBmである場合、自由空間伝搬で概算すると、最大伝送距離は10cm(=伝搬損48dB)となる。送受信機のアンテナおよび無線周波数(RF)回路系における損失が3dB低下すれば、最大伝送距離は14cm(=伝搬損51dB)となる。
このように、基地局装置や端末装置のRF系利得のばらつきはわずか3dBあるだけで、所望利用形態実現のために本来一定であるべき最大伝送距離が1.4倍も変化することがわかる。これでは、ユーザーが端末を基地局に接近させる間に基地局装置からのビーコンを受信すること等により通信開始のトリガーを得られる端末位置は、端末により異なってしまう。そのため、通信開始通知音等によりユーザーが通信開始成功を確認できる位置が異なり、ユーザーによる使用感が大幅に損なわれる。また、通信開始後に実施されるデータ伝送に利用される時間にも大きなばらつきが生じ、通信終了までの時間がばらつく。そのため、改札機や入場ゲートに設置された基地局の場合、端末装置を持ったユーザーが基地局装置の前を通過する際に端末をタッチするような利用形態においては、端末を持ったユーザーの通過頻度、通過速度の安定化が困難となる。これは、設置場所における乗客・来客の混雑、混乱、トラブルを招く要因となる。
タッチアンドゲットのための通信エリアサイズは、移動通信等のセルに比べ非常に小さく、端末の受信感度のばらつきに対して敏感であるにもかかわらず、使用感を満足するためにはできる限り一定の通信エリアサイズを実現したいという要求がある。そのため上記課題の解決は、タッチアンドゲット実現のために極めて重要である。
なお、NFCを用いて伝送距離に対する急激な減衰特性を利用した方法を数cmの距離で実施するには、波長が十分に長い短波帯を用いる必要があるため、Gbit/sクラスの高速なデータ伝送レートを得るほどの周波数帯域を利用することはできない。また、OAMモードを利用した伝送は、送受信機のアンテナの中心軸が一致していなければ通常の自由空間伝搬損と同じように、伝送距離の2乗に比例した伝搬損失となる。そのため、0.5波長未満(60GHz帯なら2.5mm未満)の極めて正確な端末タッチ位置合わせをユーザーに要求する必要があり、実用の面で現実的ではない。
上記事情に鑑み、本発明は、無線により通信する端末の個体差による通信エリアの大きさのばらつきを軽減できる無線通信装置及び無線通信システムを提供することを目的としている。
本発明の一態様は、無線通信機器との間で無線により通信を行う通信用アンテナと、前記通信用アンテナとの無線による通信が可能な受信品質となる領域が制限されるように、前記通信用アンテナが使用する周波数帯の一部または全部を共有する周波数帯における干渉波を送信する干渉波送信用アンテナと、を具備する無線通信装置である。
本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナに対して前記無線通信機器が接近する方向に配置される、又は、複数の前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナを囲むように配置される。
本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記干渉波送信用アンテナの放射指向性は、180度以下の半値ビーム幅を持ち、前記干渉波送信用アンテナのビームの方向は、前記通信用アンテナのビーム中心線の方向に0度から90度までの間の角度で傾いている。
本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記干渉波送信用アンテナと前記無線通信機器との間に、透過損を持つシートが設けられる。
本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナから無線信号が送信されている時に干渉波を送信し、前記干渉波のレベルは、前記通信用アンテナから送信される無線信号の変調方式及び誤り訂正符号化に対して必要となるSINRの値に対応して決定される。
本発明の一態様は、上述したいずれかの無線通信装置と、無線通信機器とを有する無線通信システムであって、前記無線通信装置の前記通信用アンテナは情報フレームを送信し、前記無線通信機器は、前記情報フレームを受信し、受信した前記情報フレームの受信品質が所定以上である場合に、前記無線通信装置に接続要求を送信する。
本発明の一態様は、上述の無線通信システムであって、前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナから情報フレームが送信されているときに干渉波を送信し、前記無線通信機器は、情報フレームの受信品質が所定以上となった後に受信した情報フレームの受信品質が所定以下である場合に、前記無線通信装置に接続解除要求を送信する。
本発明により、無線により通信する端末の個体差による通信エリアの大きさのばらつきを軽減することが可能となる。
本発明の第1の実施形態による無線通信装置の構成を示す図である。 第2の実施形態による無線通信装置の構成を示す図である。 同実施形態による無線通信装置を使用した系における端末の受信レベルを示す概念図である。 同実施形態による無線通信装置を使用した系における端末のSINRの変化を示す図である。 同実施形態による無線通信装置から送信される基地局信号及び干渉波それぞれの受信レベルのシミュレーション結果を示す図である。 同実施形態の無線通信装置を使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である 第3の実施形態による無線通信装置が備えるアンテナの配置を示す図である。 第4の実施形態による無線通信装置が形成するエリアの概念図である。 同実施形態による他の無線通信装置が形成するエリアの概念図である。 同実施形態による無線通信装置から送信される基地局信号及び干渉波それぞれの受信レベルのシミュレーション結果を示す図である。 同実施形態による無線通信装置を使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。 第5の実施形態による無線通信装置を使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。 第6の実施形態による無線通信装置の構成を示す図である。 第7の実施形態による無線通信システムにおける動作シーケンスを説明する図である。 従来の無線通信装置の構成を示す図である。 従来の無線通信装置を用いた場合の端末における基地局信号の受信レベルを示す概念図である。 従来の無線通信装置を使用した系における端末のSINRの変化を示す図である。 従来の無線通信装置を使用した場合の基地局信号のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
以下に説明する実施形態の無線通信装置及び無線通信方法は、ミリ波等の周波数帯を用いて、近距離で短時間のうちに大容量のデータファイルの無線伝送を実施する「タッチアンドゲット」を行うときに、無線通信機器が無線通信装置と無線通信可能な通信エリアを制限する。
[第1実施形態]
図15は、従来の無線通信装置90の構成を示す図である。同図に示す無線通信装置90は、近距離通信用の無線通信基地局(以下、「基地局」と記載する。)20を備える。基地局20の通信用アンテナ21は、自装置以外の通信装置と無線により通信する。通信用アンテナ21により基地局20が通信する自装置以外の通信装置は、端末50(無線通信機器)である。通信用アンテナ21は、端末50に対して無線により信号の送信、又は、信号の送受信を行う。通信用アンテナ21の周囲には、基地局20から無線により送信される信号である基地局信号を一定のレベル以上で受信できるエリア(領域)である基地局信号エリアA1が形成される。言い換えると、基地局信号エリアA1は、基地局20から無線により送信される信号を、結果的に一定以上のSNRで受信できるエリアである。
タッチアンドゲットの動作を実現する際には、基地局20が通信用アンテナ21から無線送信する基地局信号の出力レベルを通常の無線LAN等に比べて小さくし、この基地局信号エリアA1のサイズを、通信用アンテナ21の周囲10cm程度に設計する。タッチアンドゲットを行う場合、端末50の動線は符号Dのようになる。すなわち、ユーザーは、端末50を持ち、基地局20に近づく。ユーザーは、持っている端末50を、基地局20が具備する通信用アンテナ21の周囲10cm程度の基地局信号エリアA1に近接させる。端末50が基地局信号エリアA1内に入ると、それがトリガーとなり、基地局20と端末50の無線通信が開始される。そして、ユーザーがさらに移動して端末50が基地局20の通信用アンテナ21から遠ざかり、基地局信号エリアA1の外へ出たときには接続を解除する。無線通信装置90は、このようにタッチアンドゲットの通信実施動作を実現する。これは、伝搬損が大きく、短距離に適しているが、利用可能な周波数帯域幅が広く大容量の通信に適した60GHz帯を利用した、データファイル伝送システムへの応用が有力である。
しかし、端末50として用いられる端末が複数ある場合、各端末50の感度等の違いにより、基地局信号エリアA1のサイズに違いが出てくる。端末50ごと、ユーザーごとに基地局信号エリアA1のサイズが違うと、ユーザーは端末50をどれぐらい基地局20に近づければよいかという感覚を明確に持つことができず、使用感、使用しやすさに大きく影響する。また、IC(Integrated Circuit)カード式自動改札機のように、次々にユーザーがタッチアンドゲットを実施するような利用形態においては、端末50ごと、ユーザーごとの基地局信号エリアA1のサイズの違いは、前のユーザーの端末50との接続が解除される前に、続くユーザーの端末50が接続を開始してしまうなど、スループットに悪影響を与えたり、想定しない接続が発生したりする要因になる。
図1は、本発明の第1の実施形態による無線通信装置10の構成を示す図である。無線通信装置10は、基地局20及び干渉波送信器30を備える。基地局20は、図15に示す無線通信装置90が備える基地局20と同様の構成であり、自装置以外の通信装置との無線通信に用いる信号を送受信する通信用アンテナ21を具備する。干渉波送信器30には、干渉波送信用アンテナ31が接続される。干渉波送信用アンテナ31は、干渉波を送信する。干渉波は、通信用アンテナ21が使用する周波数帯の一部または全部を共有する周波数帯の雑音や特定の信号である。干渉波送信用アンテナ31が送信する干渉波によって、干渉波を一定のレベル以上で受信できるエリア(領域)である干渉波エリアB1が形成される。基地局信号エリアA1と干渉波エリアB1とは、一部が重なっている。
ユーザーは、図15と同様に、端末50を、動線Dのように移動させながらタッチアンドゲットを行う。無線通信装置10では、基地局20の通信用アンテナ21に対して端末50が近接してくる方向に、干渉波送信用アンテナ31を設置する。つまり、端末50の動線Dにおいて端末50が基地局信号エリアA1に入る前に、干渉波エリアB1に入るように、干渉波送信用アンテナ31を設置する。
干渉波送信器30は、干渉波送信用アンテナ31から熱雑音レベルよりも高いレベルの干渉波が送信されるよう、干渉波のレベルを設定する。干渉波の信号内容は、白色雑音や帯域制限された白色雑音等を使用する。
上記によれば、端末50の感度が異なる場合でも、端末50が動線D上を移動する際に、端末50が干渉波エリアB1を抜けて通信用アンテナ21と通信可能となるときの端末50と通信用アンテナ21との距離をほぼ同じとすることができる。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態による無線通信装置10aの構成を示す図である。第1の実施形態の無線通信装置10は、基地局20の通信用アンテナ21に対して、端末50が近接してくる方向に干渉波送信用アンテナ31を設置している。本実施形態の無線通信装置10aには、通信用アンテナ21に対して、端末50が遠ざかる方向にも、干渉波送信用アンテナ31が設置される。以下では、i本目の干渉波送信用アンテナ31を、干渉波送信用アンテナ31−iと記載する。同図では、2本の干渉波送信用アンテナ31−1、31−2とも、干渉波送信器30に接続されている。
干渉波送信器30は、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2から熱雑音レベルよりも高いレベルの干渉波が送信されるよう、干渉波のレベルを設定する。干渉波の信号内容は、例えば、白色雑音や帯域制限された白色雑音等を使用する。
干渉波送信用アンテナ31−1は、第1の実施形態の無線通信装置10aが備える干渉波送信用アンテナ31と同様である。つまり、干渉波送信用アンテナ31−1は、基地局20の通信用アンテナ21に対して端末50が近接してくる方向に設置され、干渉波を送信する。干渉波送信用アンテナ31−2は、基地局20の通信用アンテナ21に対して端末50が遠ざかる方向に設置され、干渉波を送信する。
干渉波送信用アンテナ31−2が送信する干渉波によって、干渉波を一定のレベル以上で受信できるエリアである干渉波エリアB2が形成される。干渉波エリアB1と干渉波エリアB2とは重ならず、基地局信号エリアA1と干渉波エリアB1とは一部が重なっており、かつ、基地局信号エリアA1と干渉波エリアB2とは一部が重なっている。つまり、無線通信装置10aでは、端末50の動線Dにおいて、最初に干渉波エリアB1に入り、次に、端末50が基地局信号エリアA1に入り、最後に、干渉波エリアB2に入るように、通信用アンテナ21及び干渉波送信用アンテナ31−1、31−2を設置する。
なお、無線通信装置10aは、図2に示すように、1台の干渉波送信器30が干渉波送信用アンテナ31−1、31−2に干渉波を供給する構成でもよいし、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2がそれぞれ異なる干渉波送信器30に接続される構成でもよい。
ここで、本実施形態の効果を定性的、定量的に説明する。
図16は、図15に示す無線通信装置90を用いた場合の端末50における基地局信号の受信レベルを示す概念図である。横軸は、端末50の動線D上の位置を示す。端末50における基地局信号の受信レベルは、基地局20の通信用アンテナ21の近辺で最大となり、通信用アンテナ21から離れるほど、伝搬損の影響で受信レベルは小さくなる。
図17は、図15に示す無線通信装置90を使用した系における端末50のSINR(Signal to Interference and Noise Ratio:信号対干渉雑音比)を示す図である。SINRは、信号電力に対する干渉電力+雑音電力の比を示す。無線通信装置90は、干渉波を用いていないため、SINRは受信レベルに比例した値となる。しかし、端末50の受信感度により、SINRの値は異なる。2台の端末50を、端末50−1、端末50−2とする。端末50−1の受信感度は、端末50−2の受信感度に比べて低い。そのため、図17に示すように、端末50−1のSINRは、端末50−2のSINRに比べて小さい値となる。
無線通信方式においては、変調方式や符号化方式により一定の誤り率以下で変調信号を伝送するのに必要な閾値であるSINR(以下、「所要SINR」と記載する。)がある。図17に示す水平の点線Lは、この所要SINRを示す。端末50−1、端末50−2のSINRが所要SINRを上回るエリアは、端末50−1、端末50−2それぞれが基地局20と通信可能なエリアとなる。同図から明らかなように、端末50−1と端末50−2の通信エリアは大きさが違うことがわかる。
図3は、図2に示す系、つまり、本実施形態による無線通信装置10aを使用した系における端末50の受信レベルを示す概念図である。また、図4は、無線通信装置10aを使用した系における端末50のSINRの変化を示す図である。
図3に示すように、通信用アンテナ21の前後に干渉波送信用アンテナ31−1、31−2が配置されているため、通信用アンテナ21から離れるにつれて、通信用アンテナ21が送信する基地局信号の端末50における受信レベルが低下する。一方、通信用アンテナ21から離れ、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2に近づくにつれ、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2から送信される干渉波の端末50における受信レベルは増大する。そのため、通信用アンテナ21から離れるとSINRは急速に劣化する。基地局信号の受信レベルと干渉波の受信レベルのいずれもが雑音レベルより十分に高い場合には、SINRはほぼSIR(Signal to Interference power Ratio、信号対干渉電力比)に一致する。このため、図4に示すように、端末50−1におけるSINRと、端末50−2におけるSINRはほぼ一致する。
続いて、2次元面内での自由空間伝搬損の計算により、第2の実施形態の効果を定量的に示す。計算するエリアはXY平面であり、横軸をX軸、縦軸をY軸とする。座標の値の単位は、使用する無線周波数に対応する自由空間波長である。通信用アンテナ21が座標(X,Y)=(0,0)に、干渉波送信用アンテナ31−1が(0,10)に、干渉波送信用アンテナ31−2が(0,−10)に、それぞれ配置される。通信用アンテナ21、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2の3個のアンテナは全て指向性がない。すべてのアンテナから送信される信号(通信用アンテナ21からの基地局信号、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2からの干渉波)の時間平均電力は同一にしている。干渉波送信用アンテナ31−1と干渉波送信用アンテナ31−2からは、同じ振幅で同じ波形の干渉波が送信される。
図5は、無線通信装置10aから送信される基地局信号及び干渉波それぞれの受信レベルのシミュレーション結果を示す図である。
図5(a)は、基地局20の通信用アンテナ21から送信される基地局信号を、指向性の無いアンテナで受信したときの受信レベルの分布を示す。図5(b)は、干渉波送信用アンテナ31−1と干渉波送信用アンテナ31−2の両方から同時に送信される干渉波を、指向性の無いアンテナで受信したときの受信レベルの分布を示す。これらの受信レベルの単位はdBmである。
図18は、無線通信装置90を用いた場合の基地局信号のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。これは、無線通信装置10aが干渉波送信用アンテナ31−1、31−2から干渉波を送信しない場合の基地局信号のSINR分布のシミュレーション結果と同じである。なお、ここでは干渉波がないため、図18に示すSINRはSNRでもある。図18(a)、図18(b)は、感度が5dB違う端末50−1、端末50−2それぞれのSINRを示している。端末50−1、端末50−2とも、アンテナ指向性はない。端末50−1は、Noise level=−40dBであり、端末50−2は、Noise level=−45dBである。つまり、端末50−2は、端末50−1よりも感度が5dB高い(雑音レベルが5dB低い)。端末50が基地局20から送信される信号を復調可能なエリアである通信エリアを、SINRが20dBを超えるエリアとすると、図18(a)と図18(b)とでは、通信エリアのサイズは異なる。通信エリアは、図18(a)では狭く、図18(b)では広い。このように、端末50の通信エリアは端末50の感度に依存し、端末50の感度が高いほど通信エリアは広い。
図6は、本実施形態の無線通信装置10aを使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。図6(a)、図6(b)は、図18(a)、図18(b)と同様に、感度が5dB違う端末50−1、端末50−2それぞれのSINRを示している。端末50−1は、Noise level=−40dBであり、端末50−2は、Noise level=−45dBである。このように、図6(b)は、図6(a)より感度が5dB高い(雑音レベルが5dB低い)端末50のSINRを示している。図6(a)、図6(b)に示すように、本実施形態による無線通信装置10aを用いることにより、端末50の感度が異なる場合でも、通信エリアのサイズをほぼ同じ大きさにすることができる。
なお、図5(b)に示したように、同じ波形の干渉波が2か所から送信されていることから干渉縞があるため、エリアにも縞模様がみられるが、干渉波送信用アンテナ31の数を増やし、それら干渉波送信用アンテナ31の設置位置を干渉波送信用アンテナ31間の距離が半波長の整数倍にならないように設定することにより、または、干渉波の位相をそれぞれ異なる値にすることにより、干渉縞を崩して通信エリアをはっきり生成することができる。
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態による無線通信装置が備えるアンテナの配置を示す図である。同図に示すように、同実施形態による無線通信装置は、一つの面内において通信用アンテナ21を囲むように、複数の干渉波送信用アンテナ31を配置する。このようにアンテナを配置することにより、端末50が平面上のいずれの方向から到来する場合にも、通信エリアを作ることができる。干渉波送信用アンテナ31の数はいくつでもよく、また、同図では、干渉波送信用アンテナ31を円周上に配置しているが、円周上に配置しなくてもよい。また、3次元空間内に任意に配置してもよい。
[第4の実施形態]
図8は、無線通信装置10cが形成するエリアの概念図を示す。無線通信装置10cは、第2の実施形態の無線通信装置10aの通信用アンテナ21、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビーム幅を狭くし、アンテナ指向性を高くした構成である。通信用アンテナ21の放射指向性は、180度以下の半値ビーム幅を持ち、ビーム方向は正面である。同図は、無線通信装置10cの通信用アンテナ21、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2により形成される、基地局信号エリアA1、干渉波エリアB1、B2を示している。通信用アンテナ21の周りには、基地局20の信号を一定のレベル以上で受信できるエリアである基地局信号エリアA1が形成される。干渉波送信用アンテナ31−1が送信する干渉波によって、干渉波を一定のレベル以上で受信できるエリアである干渉波エリアB1が形成され、干渉波送信用アンテナ31−2が送信する干渉波によって、干渉波を一定のレベル以上で受信できるエリアである干渉波エリアB2が形成される。この場合、基地局信号エリアA1内の通信エリアA2において、端末50と通信用アンテナ21とが通信可能である。
図9は、本実施形態による無線通信装置10dが形成するエリアの概念図を示す。無線通信装置10dは、無線通信装置10cと同様の構成であるが、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビーム最大方向をそれぞれ内側に、つまり、通信用アンテナ21のほうに向けている。干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビームの方向は、通信用アンテナ21のビーム中心線の方向に0度を超え、かつ、90度未満の角度だけ傾いている。通信用アンテナ21の周りには、基地局20の信号を一定のレベル以上で受信できるエリアである基地局信号エリアA1が形成される。干渉波送信用アンテナ31−1が送信する干渉波によって、干渉波を一定のレベル以上で受信できるエリアである干渉波エリアB1が形成され、干渉波送信用アンテナ31−2が送信する干渉波によって、干渉波を一定のレベル以上で受信できるエリアである干渉波エリアB2が形成される。干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビーム幅が狭いことと、ビーム最大方向を傾けることにより、干渉波送信用アンテナ31の正面方向(x軸方向、図面右方向)に形成される通信エリアA2のサイズを制限することが可能になる。
図10は、本実施形態による無線通信装置10c、10dから送信される基地局信号及び干渉波それぞれの受信レベルのシミュレーション結果を示す図である。無線通信装置10c、10dの通信用アンテナ21、及び、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2は、半値幅25度のホーンアンテナである。同図は、図5と同様に、基地局信号と干渉波のレベル分布を計算した結果を示す。
図10(a)は、基地局20の通信用アンテナ21から送信される基地局信号を、指向性の無いアンテナで受信したときの受信レベルの分布を示す。図10(b)は、無線通信装置10cが備える、ビームを正面にむけた干渉波送信用アンテナ31−1、31−2の両方から同時に送信される干渉波を、指向性が無いアンテナで受信したときの受信レベルの分布を示す。図10(c)は、無線通信装置10dが備える、それぞれのビームを内側に向けた干渉波送信用アンテナ31−1、31−2の両方から同時に送信される干渉波を、指向性が無いアンテナで受信したときの受信レベルの分布を示す。ここでは、無線通信装置10dの干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビーム方向を、内側に30°傾けている。
図11は、無線通信装置10c、10dを使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。同図では、アンテナのビーム幅として、電力半値幅を25度としている。
図11(a)は、無線通信装置10cを用い、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビームを正面にむけた場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す。また、図11(b)は、無線通信装置10dを用い、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2それぞれのビームを内側に、すなわち、通信用アンテナ21側に向けた場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す。ここでは、無線通信装置10dの干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビーム方向を、内側に30°傾けている。
干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビームを正面方向に向けた場合と比較し、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2のビーム方向を内側に傾けた場合は通信用アンテナ21の正面方向に形成される通信エリアのサイズを短く制限することができ、また、x軸方向に対してSINRの低下は急速になる。このように、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2の指向性ビーム幅やビーム方向の傾き、干渉波の送信レベルにより、通信エリアのサイズを調整することが可能である。
このように、干渉波のビームをそれぞれ内側(通信用アンテナ21側)に向けることで、距離方向(図面右方向)のSINR制限が可能であり、指向性のない、又は低い干渉波送信用アンテナを利用する場合に比べて、エリア端でのSINRの低下が急峻になるため、より確実な通信エリア限定が可能となる。
[第5の実施形態]
本実施形態の無線通信装置10は、第4の実施形態の無線通信装置10dよりも干渉波送信用アンテナ31を2個多くした構成である。
図12は、干渉波送信用アンテナ31を複数有する本実施形態の無線通信装置を使用した場合のSINR分布のシミュレーション結果を示す図である。
図12(a)は、干渉波送信用アンテナ31を2個有する第4の実施形態の無線通信装置10dを用いた場合のSINR分布を示す。図12(b)は、干渉波送信用アンテナ31を4個有する本実施形態の無線通信装置を用いた場合のSINR分布を示す。図12(b)のSINR分布を得た無線通信装置は、通信用アンテナ21を座標(X,Y)=(0,0)に、干渉波送信用アンテナ31−1を(0,10)に、干渉波送信用アンテナ31−2を(0,−10)に、干渉波送信用アンテナ31−3を(0,9.5)に、干渉波送信用アンテナ31−4を(0,−9.5)にそれぞれ配置する。4個の干渉波送信用アンテナ31は内側に、すなわち、通信用アンテナ21側に向ける。
図12(b)に示すように、通信用アンテナ21の正面方向(x軸方向)に伸びている細い干渉縞による通信エリアがほとんど消えていることがわかる。つまり、干渉波送信用アンテナ31が2個の場合に比べて、4個の場合は、定在波による干渉縞が薄くなり、干渉波をキャンセリングさせることによりSINRが高くなってしまうエリア(X座標15波長前後)を低減することができる。このように、干渉波送信用アンテナ31を増設することで干渉縞を薄くすることができる。また、送信する干渉波の信号波形を調整することを実施しても、干渉縞を抑えることができる。
[第6の実施形態]
図13は、第6の実施形態による無線通信装置10eの構成を示す図である。例えば、無線通信装置10eは、通信用アンテナ21を備える基地局20と、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2を備える干渉波送信器30とを有する。タブレットPCのように端末50の筐体が大きい場合、無線通信装置10eの干渉波送信用アンテナ31−1、31−2から送信された干渉波は、端末50の筐体表面で反射し、干渉波送信用アンテナ31−1、31−2の表面との間で往復して反射することが想定される。反射波がある場合には、上記の実施形態において設計した通信エリアのサイズや形に多かれ少なかれ影響を与えるため、できる限り反射波を低減することが望ましい。そのため同図に示すように無線通信装置10eの通信用アンテナ21の正面に、電波透過損のあるシートである電波吸収シート40を張り、往復で反射する波を低減する構成が望ましい。この構成によれば、電波透過損が10dBの電波吸収シート40を使用した場合、基地局20から端末50に直接到達する波の受信レベルは、電波吸収シート40がない場合に比べて10dB低くなるが、基地局20と端末50の間を反射により1往復して端末に到達する波の受信レベルは30dB低減されるため、反射波の影響を1/100に低減することができる。このような原理により通信エリアを提供することが可能となる。
[第7の実施形態]
本実施形態では、上述した実施形態の無線通信装置を用いた無線通信システムにおける通信の開始及び終了の動作を説明する。以下では、図2に示す第2の実施形態の無線通信装置10aと端末50とを有する無線通信システムを例に説明する。
図14は、無線通信装置10aと端末50とを有する無線通信システムにおける動作シーケンスを説明する図である。同図を用いて、端末50が基地局20に近づき通信エリア内に入り、その後、端末50は基地局20から遠ざかり通信エリアの外に出るときの動作シーケンスを説明する。
基地局20は、一定のビーコン間隔で、通信用アンテナ21からビーコンを送信している。端末50は、基地局20の通信用アンテナ21が送信したビーコンを受信し、復調を試みる。端末50は、受信したビーコンを正常に復調することができた場合、通信エリア内にいると判断し、基地局20に対して接続要求コマンドを送信する。ビーコンは基地局20の通信用アンテナ21から送信されるが、ビーコンが送信されると同時に、干渉波送信用アンテナ31からは干渉波が送信される。そのため、ビーコンを送信するときには、上述の実施形態に示すような通信エリアが設定されている。なお、ビーコンの送信に使用する変調方式や誤り訂正符号化方式(MCS、Modulation and Coding Schemes)により、復調に必要な所要SINRは異なる。そこで、通信エリアのサイズを一定に保つために、無線通信装置10aは、干渉波送信用アンテナ31から送信する干渉波のレベルを、ビーコンに使用するMCSに合わせて調整する機能を有することがある。
まず、端末50が通信エリア外にいる場合、基地局20の通信用アンテナ21から送信されるビーコンは、端末50において復調レベルの閾値となる所要SINR以上で受信されないため、復調されない(ステップS105)。
端末50が基地局20の通信用アンテナ21に近づき、通信エリア内に入ると、通信用アンテナ21から送信されるビーコンは、端末50において所要SINR以上で受信される(ステップS110)。端末50は、この受信したビーコンを復調し、基地局20の通信エリア内に入ったことを認識する。端末50は、通信エリア内に入ったことを認識すると、基地局20に接続要求コマンドを送信する(ステップS115)。
基地局20は、接続要求コマンドを受信して復調し、接続応答コマンドを通信用アンテナ21から送信する(ステップS120)。これにより、基地局20と端末50の接続が確立され、基地局20の通信用アンテナ21からペイロード(上位層のデータ)の伝送が開始される(ステップS125)。ビーコンは以降も定期的に基地局20の通信用アンテナ21から送信される(ステップS130)。端末50は、通信用アンテナ21から定期的に送信されるビーコンを復調できる間は、基地局20の通信用アンテナ21から送信されるペイロードを受信する(ステップS135)。
端末50は、基地局20の通信用アンテナ21から送信されるビーコンを受信できなくなった時点で(ステップS140)、接続解除要求コマンドを送信する(ステップS145)。通信エリア外であっても、その時には干渉波送信器30の干渉波送信用アンテナ31は干渉波の送信をしていないので、基地局20は通信用アンテナ21を介して接続解除要求コマンドを受信できる。これにより通信は終了する。
上記の動作により、本実施形態の無線通信システムにおいては、端末50が基地局20に近づき通信エリア内に入ったときには基地局20と端末50は接続された状態となり、その後、端末50が基地局20から遠ざかり通信エリアの外に出たときには接続が解除された状態となる。換言すると、これはタッチアンドゲットの動作の実現である。
上記の動作において、干渉波送信器30は、基地局20からのビーコン送信時に干渉波を送信するような動作でなくてもよい。たとえば、基地局20から端末50に向かって送信される、ビーコンを含むすべての信号が送信されると同時に、干渉波送信器30は干渉波送信用アンテナ31から干渉波を送信するようにしてもよい。干渉波送信の際、干渉波送信用アンテナ31は、基地局20の通信用アンテナ21から送信される信号の変調方式と誤り訂正符号化(MCS、Modulation and coding schemes)に対して必要な所要SINRの値に対応したレベルの干渉波を送信する。例えば、無線通信装置に、所要SINRの値とレベルとを対応付けたテーブルを記憶させておく。そして、無線通信装置は、そのテーブルを参照して所要SINRの値に対応したレベルの値を取得する。あるいは、無線通信装置は、所要SINRの値に比例したレベルの値を決定する。
また、上記では、基地局20が情報フレームとしてビーコンを送信する例を示したが、ビーコン以外の情報フレームを使用してもよい。
[第8の実施形態]
第7の実施形態の無線通信システムにおいては、第1のユーザーの端末50−1が通信エリアの外に出てから、第1のユーザーの端末50−1に続いて第2のユーザーの端末50−2が通信エリアに入るよう、ユーザーの移動経路を制限しておく形態、つまり、自動改札機のようにユーザーが順次タッチアンドゲットによる通信を実施する形態が望ましい。こうした実施形態においては、各ユーザーが持つ端末50が同時に通信エリアに入らず、一人ずつ通信エリアに入るようにしておけば、基地局20に接続される端末50の数は同時に1台となる。これにより最大のスループットが実現される。本実施形態により通信エリアが限定されるので、第1のユーザーの端末50−1が通信エリアから遠ざかるとすぐに端末50と基地局20との接続が解除され、すぐに第2のユーザーの端末50−2との接続開始に向けた準備ができる。これにより、基地局20は、順次到来する端末50とのpoint-to-point通信を実施することができるため、基地局20にタッチした第2のユーザーはすぐに通信を開始することができる。
以上説明した実施形態によれば、無線通信装置は、干渉波の送信器を設け、基地局の信号用アンテナに対する干渉波送信用アンテナの配置(または、反射板やレンズ等の伝搬制御手段の配置)と、基地局の信号用アンテナからの基地局信号の送信位相に対する干渉波送信用アンテナからの干渉波の送信位相を適切に設定することにより、SINRが復調の閾値より高いエリアを形成する。
上述した実施形態によれば、無線通信装置は、無線通信機器との間で無線により通信を行う通信用アンテナと、通信用アンテナとの無線による通信が可能な受信品質となる領域が制限されるように、通信用アンテナが使用する周波数帯の一部または全部を共有する周波数帯の干渉波を送信する通信用アンテナとを具備する。通信用アンテナに対する干渉波送信用アンテナの配置と、通信用アンテナの無線の送信位相に対する干渉波送信用アンテナの無線の送信位相とは、SINRが周囲と比較して閾値よりも高い空間領域を形成するように設定される。
なお、干渉波送信用アンテナは、通信用アンテナに対して無線通信機器が接近する方向に配置される。あるいは、2以上の干渉波送信用アンテナが、通信用アンテナを囲むように配置されてもよい。なお、干渉波送信用アンテナが2つの場合、通信用アンテナを囲むよう配置するとは、2つの干渉波送信用アンテナが通信用アンテナを挟むように配置される場合を含む。
また、干渉波送信用アンテナの放射指向性は、180度以下の半値ビーム幅を持ち、干渉波送信用アンテナのビームの方向は、通信用アンテナのビーム中心線の方向に0度から90度までの間の角度で傾いていてもよい。このように、干渉波送信用アンテナのビームを狭くして内側に向けることにより、通信エリアの通信距離を制限することができる。
また、干渉波送信用アンテナと無線通信機器との間に、透過損を持つシートが設けられてもよい。このように、無線通信機器との間の干渉波の反射を低減するために、透過損が大きな電波吸収シートを通して干渉波を送信してもよい。
また、干渉波送信用アンテナは、通信用アンテナから無線信号が送信されている時に干渉波信号を送信してもよい。このとき干渉波送信用アンテナは、通信用アンテナから送信される無線信号の変調方式及び誤り訂正符号化が正常に行わるために必要な所要SINRの値に対応して決定されたレベルの干渉波を送信する。
また、上記の無線通信装置と、無線通信機器とを有する無線通信システムにおいて、無線通信装置の通信用アンテナは情報フレームを送信し、無線通信機器は、通信用アンテナが送信した情報フレームを受信し、受信した情報フレームの受信品質が所定以上となった場合に無線通信装置に接続要求を送信する。例えば、情報フレームはビーコンであり、無線通信機器は、通信用アンテナから受信したビーコンのSINRが所要SINR以上である場合に、無線通信装置に接続要求を送信する。
なお、干渉波送信用アンテナは、通信用アンテナが無線により情報フレームを送信しているときに干渉波信号を送信し、無線通信機器は、情報フレームの受信品質が所定以上となった後に受信した情報フレームの受信品質が所定以下である場合に、無線通信装置に接続解除要求を送信してもよい。つまり、無線通信機器は、例えば、情報フレームがビーコンである場合、ビーコンのSINRが所要SINR以上となった後に受信したビーコンの復調ができない場合に、接続解除要求を送信する。
以上説明した実施形態によれば、端末個体差による通信エリアの大きさのばらつきを解消し、タッチアンドゲットの使用感を確実に提供することができる。また、干渉波を送信するアンテナの配置や放射パターン、基地局信号のレベルと干渉波のレベルの比により任意の形状の通信エリアを作ることができるため、利用形態に合ったタッチアンドゲットの使用感を提供することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
近距離で短時間のうちに大容量のデータファイルの無線伝送を実施する無線通信システムに利用可能である。
10,10a,10b,10c,10d,10e,90…無線通信装置
20…基地局
21…通信用アンテナ
30…干渉波送信器
31…干渉波送信用アンテナ
50…端末

Claims (7)

  1. 無線通信機器との間で無線により通信を行う通信用アンテナと、
    前記通信用アンテナとの無線による通信が可能な受信品質となる領域が制限されるように、前記通信用アンテナが使用する周波数帯の一部または全部を共有する周波数帯における干渉波を送信する干渉波送信用アンテナと、
    を具備することを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナに対して前記無線通信機器が接近する方向に配置される、
    又は、
    複数の前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナを囲むように配置される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記干渉波送信用アンテナの放射指向性は、180度以下の半値ビーム幅を持ち、
    前記干渉波送信用アンテナのビームの方向は、前記通信用アンテナのビーム中心線の方向に0度から90度までの間の角度で傾いている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 前記干渉波送信用アンテナと前記無線通信機器との間に、透過損を持つシートが設けられる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  5. 前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナから無線信号が送信されている時に干渉波を送信し、
    前記干渉波のレベルは、前記通信用アンテナから送信される無線信号の変調方式及び誤り訂正符号化に対して必要となるSINRの値に対応して決定される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無線通信装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の無線通信装置と、無線通信機器とを有する無線通信システムであって、
    前記無線通信装置の前記通信用アンテナは情報フレームを送信し、
    前記無線通信機器は、前記情報フレームを受信し、受信した前記情報フレームの受信品質が所定以上である場合に、前記無線通信装置に接続要求を送信する、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  7. 前記干渉波送信用アンテナは、前記通信用アンテナから情報フレームが送信されているときに干渉波を送信し、
    前記無線通信機器は、情報フレームの受信品質が所定以上となった後に受信した情報フレームの受信品質が所定以下である場合に、前記無線通信装置に接続解除要求を送信する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
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