JP2017202977A - アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体及びその利用 - Google Patents

アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体及びその利用 Download PDF

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武 田平
信英 松本
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信英 松本
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Nobutaka Hattori
信孝 服部
武志 福原
Takeshi Fukuhara
武志 福原
原 英夫
Hideo Hara
英夫 原
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Abstract

【課題】従来のアミロイドプラーク除去による副作用を防ぐ、アミロイド蛋白質オリゴマー用のモノクローナル抗体の提供。
【解決手段】重鎖及び軽鎖の可変領域における超可変領域が、それぞれ特定の配列を有する、アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体。さらにアミロイドβ蛋白質オリゴマーの阻害剤として、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質を含む薬剤の投与と同時及び/又は投与後に、投与するように用いられる、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤としての利用方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミロイドβ蛋白質オリゴマーに対するモノクローナル抗体,アミロイドβ蛋白質オリゴマーの阻害剤,それを用いたアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は脳組織等への沈着に起因する疾患の予防及び/又は治療剤,及び当該疾患の予防及び/又は治療方法に関する。
アルツハイマーは、主に60歳以上の人に見られる、記憶障害の一種である。
このアルツハイマーについての研究の結果、アミロイドβ(以下、Aβと記載する。)蛋白質が、沈着防止機構の機能低下に伴って、脳組織へ沈着し、いわゆるアミロイドプラーク(老人斑)を形成する事が、この疾病に特徴的な病態であり、主な原因ではないかと考えられるようになって来た。
そこで、Aβ蛋白質に関連する免疫療法が、種々、研究・開発されているが、免疫療法には、抗原を外から人体に免疫し、免疫対象自身に抗体を作らせる、いわゆる能動免疫と、予め用意した抗体を人体に投与する、受動免疫があり、種々のものが臨床試験に進んでいる。
しかし、Aβ1-42の、in vitroにおける凝集阻害(予防)効果や、凝集溶解(治療)効果の他、in vivo でのAβ1-42凝集抑制・融解効果が確認され、一定の有用性は認められたbapineuzumab等のモノクローナル抗体も、治験においては、有意な認知症の改善効果が見られず、行き詰まっているのが現状である。
つまり、単にアミロイドプラークを無くしただけでは、アルツハイマーの完全な治療にはならないことが分って来たのである。
ところで、Aβ蛋白質とは、細胞膜上に存在するAβ前駆体蛋白質(APP)が、β及びγセクレターゼによって切断され、細胞外へと分泌される蛋白質であり、アミノ酸数の異なる、Aβ1-40及びAβ1-42の二種類の存在が知られている。
そして、上述のアミロイドプラークの、周辺部分にはAβ1-42からなる線維状のアミロイドが,中心部分にはAβ1-40からなる線維状のアミロイドが多く分布し、可溶性Aβオリゴマーはアミロイドプラークの周辺部分に多く分布していることも分かって来ている。
そこで本発明者等は、単に線維状のAβやAβ単体に対する親和性を有する抗体では無く、「脳組織に出来たアミロイドプラークを形成するAβ蛋白質」に対する親和性が強い、つまり組織アミロイドプラーク免疫反応性(Tissue Amyloid Plaque Immuno Reactivity)を有する抗体(以下、TAPIR抗体, 又は3.4A10等と記載する。)による予防又は治療剤を、既に提案している(特許文献1)。
このTAPIR抗体はアミロイドプラークの周辺部にあるアミロイドβをよく認識するところから、アミロイドβのオリゴマーを認識すると考えられ、実際マウスでは12量体のオリゴマーをよく認識した(特許文献1,非特許文献1)。
しかしながら、それより小さなオリゴマーに対する親和性は、確認されていない。
一方、本発明者等の研究によって、この度、組換アデノ随伴ウィルスベクターを用いたAβ経口ワクチン(以下、rAAV/Aβ1-43)による老齢サルのアミロイドプラーク除去実験の検証過程において、アミロイドプラークが減少する傍ら、Aβ蛋白質オリゴマー(特に二量体)の増加が見られる事,つまり、ワクチン治療等によって凝集体やプラークが分解された後、可溶化したAβ蛋白質の多くが、脳組織において、モノマーの状態では無く二量体等のオリゴマーとして存在していることが新たに判明した。
アルツハイマーの原因には、プラーク説と共に、オリゴマー自体が毒性の本体との説もあることから、本発明者等は、これまでのプラーク除去による治験の失敗の原因は、プラーク除去後に多く存在しているAβ蛋白質のオリゴマー(特に二量体)が原因では無いかということに思い至った。
一方、Aβのオリゴマーを認識する抗体はあまり知られてない。
Aβ蛋白質二量体に対する抗体が作成された例もあるが、これは、ジスルフィド結合等を用いて強制的に結合させた、生体内に存在する自然な状態の二量体とは、まったく異なる構造をとる合成ダイマーを抗原とするものであるため、作成された抗体もまた、生体内に存在する天然の二量体に対する結合力は、未知数である(非特許文献2)。
WO2009/104736号公報
Development and Characterization of a TAPIR-Like Mouse Monoclonal Antibody to Amyloid-β(Jun Wang et al., Journal of Alzheimer's disease vol. 14 2008, P.161-173) A Monoclonal Antibody Against Synthetic Aβ Dimer Assemblies Neutralizes Brain-Derived Synaptic Plasticity-Disrupting Aβ(Brian O'Nuallain et al., J Neurochem. 2011 October ; 119(1): 189−201.)
本発明者等は、上述の見解に立った上で鋭意研究を行った結果、TAPIR抗体が、意外にもAβ蛋白質のオリゴマーに対しても強い親和性を有することを見出し、これを、いわゆる後療法として従来の免疫療法等と組み合わせることによって、より効果的なアルツハイマー等の予防及び/又は治療が可能となるのでは無いかと思い至り、本発明に到達したものであって、その目的とするところは、Aβ蛋白質オリゴマー用のモノクローナル抗体,Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤,及びそれを、アミロイドプラークの分散・溶解治療薬と組み合わせた、脳組織等へのAβ蛋白質の沈着に起因する疾患の予防又は治療剤を提供することにある。
上述の目的は、下記第一の発明乃至第十六の発明によって達成される。
<第一の発明>
重鎖及び軽鎖の可変領域が、下記の超可変領域を有することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体(X)。
重鎖超可変領域1:配列番号1
重鎖超可変領域2:配列番号2
重鎖超可変領域3:配列番号3
軽鎖超可変領域1:配列番号4
軽鎖超可変領域2:配列番号5
軽鎖超可変領域3:配列番号6
<第二の発明>
重鎖可変領域が配列番号13,軽鎖可変領域が配列番号14で表されるものであることを特徴とする、第一の発明に記載のモノクローナル抗体(X)。
<第三の発明>
重鎖及び軽鎖が、下記の配列を有することを特徴とする、第一の発明又は第二の発明記載のモノクローナル抗体(X)。
重鎖:配列番号19
軽鎖:配列番号配列21
<第四の発明>
オリゴマーが、二量体であることを特徴とする、第一の発明乃至第三の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X)。
<第五の発明>
第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X)のアミノ酸配列のうち、1又は数個のアミノ酸配列が、欠失,置換,付加,削除,及び/又は挿入されており、かつ、下記(A)又は(B)の少なくともいずれかに対する親和性を有していることを特徴とする、アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体(X’)。
(A)アミロイドβ1-40蛋白質の二量体
(B)アミロイドβ1-42蛋白質の二量体
<第六の発明>
第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は第五の発明記載のモノクローナル抗体(X’)を有効成分として含有することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質オリゴマーの阻害剤。
<第七の発明>
下記第1剤の投与と同時及び/又は投与後に、投与するように用いられることを特徴とする、下記第2剤からなるアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤。
第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
第2剤:第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は第五の発明記載のモノクローナル抗体(X’),或いは第六の発明記載の阻害剤を含む薬剤
<第八の発明>
第1剤の投与と同時及び/又は、投与後、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間の経過後に、投与するように用いられることを特徴とする、第七の発明記載の予防及び/又は治療剤。
<第九の発明>
下記のタイミングで、投与するように用いられることを特徴とする、第七の発明又は第八の発明に記載の予防及び/又は治療剤。
第1剤の(Y)が、能動免疫用薬剤(Y−1)である場合には、第1剤の投与後10日乃至2週間経過後
第1剤の(Y)が、(Y−1)以外の物質である場合、第1剤の投与と同時及び/又は投与直後
<第十の発明>
下記第1剤と下記第2剤を組み合わせたことを特徴とする、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤。
第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
第2剤:第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は第五の発明記載のモノクローナル抗体(X’),或いは第六の発明記載の阻害剤を含む薬剤
<第十一の発明>
予防及び/又は治療の初期段階から後期段階にかけて、少なくとも2回以上、間歇的に投与するように用いられることを特徴とする、下記の第2剤からなる、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤。
第2剤:第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は第五の発明記載のモノクローナル抗体(X’),或いは第六の発明記載の阻害剤を含む薬剤
<第十二の発明>
初回投与後、少なくとも1回、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間間隔を空けて、投与するように用いられることを特徴とする、第十一の発明記載の予防及び/又は治療剤。
<第十三の発明>
第1剤の投与と同時及び/又は投与後に、第2剤を投与することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法。
第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
第2剤:第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は第五の発明記載のモノクローナル抗体(X’),或いは第六の発明記載の阻害剤を含む薬剤
<第十四の発明>
第1剤の投与と同時及び/又は、投与後、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間の経過後に、第2剤を投与することを特徴とする、第十三の発明記載の予防及び/又は治療方法。
<第十五の発明>
下記のタイミングで、第2剤を投与することを特徴とする、第十三の発明又は第十四の発明記載の予防及び/又は治療方法。
第1剤の(Y)が、能動免疫用薬剤(Y−1)である場合には、第1剤の投与後10日乃至2週間経過後
第1剤の(Y)が、(Y−1)以外の物質である場合、第1剤の投与と同時及び/又は投与直後
<第十六の発明>
予防及び/又は治療の初期段階から後期段階にかけて、少なくとも2回以上、間歇的に下記第2剤を投与することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法。
第2剤:第一の発明乃至第四の発明のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は第五の発明記載のモノクローナル抗体(X’),或いは第六の発明記載の阻害剤を含む薬剤
<第十七の発明>
初回投与後、少なくとも1回は、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間間隔を空けて、投与するように用いられることを特徴とする、第十六の発明記載の予防及び/又は治療方法。
本発明は、従来注目されていたアミロイドプラークの除去に留まらず、その後の療法としてAβオリゴマーの除去に焦点を当てた、画期的なものである。
即ち、本発明のAβ蛋白質オリゴマー用のモノクローナル抗体,Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤,及びそれを用いた脳組織等へのAβ蛋白質の沈着に起因する疾患に対する、予防及び/又は治療剤,或いは予防及び/又は治療方法によって、これまで壁に突き当たっていた、アミロイドプラークの除去によるアルツハイマー等のAβ蛋白質の沈着に起因する疾患の治療法の実用化に、新たな可能性を見いだすことができる。
Aβワクチンによるアミロイドプラーク除去試験の結果を示す図である。 Aβワクチンによるアミロイドプラーク除去治療後、TBS、あるいはSDS画分中の可溶性Aβが増加し、蟻酸(FA)画分中の不溶性Aβが減少していることを示す脳組織ELISA分析図である。 抗Aβ1-16抗体(6E10)によるウェスタン・ブロット分析による、TBS可溶性画分に多くのAβのオリゴマーが存在していることを示す図である。図の上の番号はサルの番号、丸はワクチン治療を受けたサルを示す。 本発明のモノクローナル抗体が、アミロイド蛋白質の二量体に対する強い親和性を有していることを示す、ウェスタン・ブロッティング分析の結果を示す図である。図の上の番号は図3に同じ。 本発明のモノクローナル抗体(X)が、アミロイドプラーク溶解後のTBS可溶性画分中の二量体に対して、強い親和性を有することを定量的に示す図である。 配列番号1〜6のCDRのアミノ酸配列及び、配列番号7〜12のCDRをコードする遺伝子の一例の配列を表す図である。 配列番号13のVH鎖及び配列番号14のVL鎖の、アミノ酸配列を表す図である。 配列番号15の、VH鎖をコードするポリヌクレオチド,及び配列番号16の、VL鎖をコードするポリヌクレオチドの配列を表す図である。 配列番号17のマウスモノクローナル抗体由来CH鎖及び配列番号18のマウスモノクローナル抗体由来CL鎖のアミノ酸配列を表す図である。 配列番号19の実施例1の抗体(3.4A10)H鎖のアミノ酸配列,及び配列番号20の実施例1の抗体(3.4A10)H鎖のポリヌクレオチド配列を表す図である。 配列番号21の実施例1の抗体(3.4A10)L鎖のアミノ酸配列,及び配列番号22の実施例1の抗体(3.4A10)L鎖のポリヌクレオチド配列を表す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[本発明のアミロイド蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体(X)]
本発明のアミロイドβ蛋白質オリゴマー用のモノクローナル抗体(X)とは、Aβ蛋白質オリゴマー,特に下記(A)又は(B)の様な二量体に対する親和性(結合能)を有している抗体であって、より具体的には、「Aβ蛋白質オリゴマー検出用モノクローナル抗体」,又は「Aβ蛋白質オリゴマー捕獲用モノクローナル抗体」,「Aβ蛋白質オリゴマー活性阻害用モノクローナル抗体」を意味する。
本発明で言う「オリゴマー」とは、およそ2〜10量体を意味し、中でも二量体が好ましいものとして挙げられる。
尚、下記(A)及び(B)は、水に可溶性のオリゴマーの一種であり、合成ダイマー等では無い、天然の二量体である。
(A)Aβ1-40蛋白質の二量体
(B)Aβ1-42蛋白質の二量体
(本発明のモノクローナル抗体の超可変領域)
本発明のモノクローナル抗体は、重鎖及び軽鎖の可変領域(以下「VH(領域又は鎖)や「VL(領域又は鎖)」と記載する。)が、下記の配列番号1〜6で表される、超可変領域(以下、「CDR」と記載する。)を有することを特徴とするものである。
重鎖超可変領域1(VH CDR1):配列番号1
重鎖超可変領域2(VH CDR2):配列番号2
重鎖超可変領域3(VH CDR3):配列番号3
軽鎖超可変領域1(VL CDR1):配列番号4
軽鎖超可変領域2(VL CDR2):配列番号5
軽鎖超可変領域3(VL CDR3):配列番号6
上記のCDRをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号7〜12で表されるようなものが挙げられるが、当然、これらに限られるものでは無い。
「VH CDR1」に対応する遺伝子:配列番号7
「VH CDR2」に対応する遺伝子:配列番号8
「VH CDR3」に対応する遺伝子:配列番号9
「VL CDR1」に対応する遺伝子:配列番号10
「VL CDR2」に対応する遺伝子:配列番号11
「VL CDR3」に対応する遺伝子:配列番号12
上記のCDRを有する可変領域として、例えば、下記の配列番号13,14で表されるようなものが、好ましいものとして挙げられる。
VH:配列番号13
VL:配列番号14
このようなVH鎖及びVL鎖をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、下記の配列番号15,16で表されるようなものが挙げられるが、当然、これらに限られるものでは無い。
VH:配列番号15
VL:配列番号16
上記の可変領域を有する重鎖及び軽鎖(全長)配列として、例えば、下記の配列番号19,21で表されるようなものが、好ましいものとして挙げられる。
H鎖:配列番号19
L鎖:配列番号配列21
このようなH鎖及びL鎖をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、下記の配列番号20,22で表されるようなものが挙げられるが、当然、これらに限られるものでは無い。
H鎖:配列番号20
L鎖:配列番号配列22
本発明において、ポリヌクレオチドとは、アデニン(A),グアニン(G)等のプリン塩基や、チミン(T),ウラシル(U),シトシン(C)等のピリミジン塩基やそれらの修飾塩基を構成要素として含むものであり、一本鎖又は二本鎖のDNA,一本鎖又は二本鎖のRNA,一本鎖DNAと一本鎖RNAからなるハイブリッド体,RNAとDNAが結合して一本鎖となったキメラ体をも含むものである。また、DNAには、cDNAも含まれる。
これらのCDR,VH鎖,及びVL鎖等をコードするポリヌクレオチドは、遺伝子工学による常法に基づき人工的にあるいは天然由来の遺伝子をもとに半人工的に合成することもできるが、マウス等の動物にヒトAβ1-42を免疫して得られた抗体産生細胞あるいはそれを用いたハイブリドーマから、cDNA等として取得することもできる。
尚、本発明で言う、モノクローナル抗体には、VH鎖及びVL鎖のみを含む、いわゆるファージ抗体も含まれる。
(本発明のモノクローナル抗体のCDR以外の配列)
本発明のモノクローナル抗体の、Aβオリゴマーとの親和性に関しては、モノクローナル抗体中のCDRのアミノ酸配列が重要であり、CDR以外の配列は、特に限定されるものでは無い。
CDR以外の配列とは、重鎖及び軽鎖それぞれにおける、可変領域中のCDR以外のフレームワーク領域(以下、FRと記載する。)及び、重鎖及び軽鎖それぞれの定常領域(以下、CH領域やCL領域等と記載する。)を意味する。
但し、これらのCDR以外のアミノ酸配列は、人体に投与した際に、抗体反応を引き起こさないようなものが好ましく、例えば、ヒトモノクローナル抗体由来のものや、マウスモノクローナル抗体由来のもの、そのキメラ型のもの等が挙げられ、中でも少なくとも一部がヒトモノクローナル抗体由来のものが好ましく、このようなものを使用して作られた場合、ヒト化モノクローナル抗体等と呼ばれる。
そして、このヒト化モノクローナル抗体の中でも、特に、CDR以外の全ての配列が、ヒトモノクローナル抗体由来のものを使用した、いわゆる完全ヒト化モノクローナル抗体が、人体に対する副作用が、より少ないと考えられるため、最も好ましい。
これらの、CDR以外の領域をコードする遺伝子としては、各種の具体的な配列やその改良方法等が文献に記載されており、また、実際の遺伝子が遺伝子バンク等にも預けられている。
また、公知の、CDR以外の領域を含む完全ヒト化プラスミドベクター等を用いることもできる。
(モノクローナル抗体の定常領域)
本発明のモノクローナル抗体に用いられる定常領域としては、Aβ蛋白質オリゴマーに対する親和性に影響のないものであれば良く、特に制限は無いが、例えばIgG2の他、ヒト型モノクローナル抗体として広く用いられているIgG1や、炎症を起こしにくいIgG4由来の定常領域等も用いることができる。
マウスモノクローナル抗体由来の定常領域としては、例えば、配列番号17(CH鎖),配列番号18(CL鎖)で表されるようなもの等が挙げられる。
この定常領域は、公知のIgG2bマウス定常領域配列(GenBank accession number: J00461)を元に、公知の文献等に基づき、ヒンジ領域配列を改変したものである。
具体的には、(L鎖全長のN末端から)869〜1033位の塩基は、下記の文献を参考に、改良した。
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76 (9), 4240-4244 (1979)
173〜464,781〜846,954〜1283,1396〜1822位の塩基は、下記の文献を参考に、改良した。
Science 206 (4424), 1299-1303 (1979)
113〜1931位の塩基は、下記の文献を参考に、改良した。
Science 206 (4424), 1303-1306 (1979)
41〜1874位の塩基は、下記の文献を参考に、改良した。
Nature 283 (5749), 786-789 (1980)
275〜322,1097〜1283,1396〜1436,1608〜1822位の塩基は、下記の文献を参考に、改良した。
Nucleic Acids Res. 8 (3), 453-466 (1980)
1〜1921位の塩基は、下記の文献を参考に、改良した。
Nature 296 (5859), 761-763 (1982)
また、ヒトモノクローナル抗体由来の定常領域としては、公知のヒトモノクローナル抗体の定常領域であれば良く、例えばハーセプチン(登録商標,中外製薬,東京,日本)その他の、既に市販されている、ヒト化抗体と同じ定常領域を用いることができる。
また、pMH-gpt(九州大学生体防御研究所 渡邉武教授所有)等のように、予めヒトモノクローナル抗体の定常領域が組み込まれたプラスミドベクターを用いれば、本発明で用いる、新規なVH鎖及びVL鎖に、ヒトモノクローナル抗体の定常領域を結合させて、ヒト化モノクローナル抗体を得ることができる。
(本発明のモノクローナル抗体(X)の製造方法)
本発明のモノクローナル抗体(X)は、本発明者等によって見出されたものであって、その製造方法の詳細は、特許文献1にも記載されているが、以下においても説明する。
本発明のモノクローナル抗体(X)は、遺伝子工学を用いた合成手法の常法に準じて、人工的に、あるいは天然界から抽出した配列も利用して、半人工的に合成するのが効率的ではあるが、後述するように、マウス等の動物に、ヒトAβ1-42を免疫した抗体から、スクリーニングすることも可能である。
以下、これらの方法について、更に詳細に説明する。
(I)人工的又は半人工的な、本発明のモノクローナル抗体の作製方法
本発明のモノクローナル抗体を人工的又は半人工的に製造するには、次のような方法が挙げられる。
(1)本発明のモノクローナル抗体の配列を組み込んだベクターの製造
(1)−a:CDRをコードするポリヌクレオチドを基本材料として製造する場合
例えば、配列番号7〜12のような、本発明で必要な配列番号1〜6のCDRをコードするポリヌクレオチドを用いる場合には、まず、CDR以外の、「FR」と「C領域」をコードするポリヌクレオチドを、予め適当な動物細胞用発現ベクターに組み込む。
このようなベクターは、複数市販されているので、それを用いても良い。
次に、CDRをコードするポリヌクレオチドを、それぞれが、ベクターが発現した際に、VH鎖CDR1,2,3及びVL鎖CDR1,2,3のあるべき位置に該当するように、ベクター上の適当な位置に、通常の遺伝子工学の手法を用いて組み込む。
尚、H鎖及びL鎖をコードする遺伝子は、同じベクター中に組み込んで発現させても良いし、別々のベクターに組み込んで発現させても良い。
(1)−b:VH鎖及びVL鎖をコードするポリヌクレオチドを基本材料として製造する場合
例えば、配列番号15,16のような、本発明で必要な配列番号13のVH鎖及び配列番号14のVL鎖をコードするポリヌクレオチドを用いる場合には、まず、「C領域」(CH鎖及びCL鎖)をコードするポリヌクレオチドを、予め適当な動物細胞用発現ベクターに組み込む。
次に、VH鎖及びVL鎖をコードするポリヌクレオチドを、それぞれが、ベクターが発現した際に、VH鎖及びVL鎖のあるべき位置に該当するように、ベクター上の適当な位置に、通常の遺伝子工学の手法を用いて組み込む。
上記で、先にベクターに組み込んでおく遺伝子は、CH鎖及びCL鎖では無く、VH鎖及びVL鎖であっても良いが、一般には、CH鎖及びCL鎖よりも、VH鎖及びVL鎖を変化させる要望が高いため、予めCH鎖やCL鎖を組み込んだベクターが数多く市販等されており、このようなベクターを利用するのが簡便である。
この場合も、H鎖及びL鎖をコードする遺伝子は、同じベクター中で発現させても良いし、別々に2つのベクターによって発現させても良い。
尚、上記(1)−a,(1)−bいずれの場合でも、モノクローナル抗体がファージ抗体の場合には、C領域は不要なので、VH領域とVL領域のみを含むベクターを準備すれば良い。
(2)ベクターの発現による、ヒト化モノクローナル抗体の産生
そして、当該1又は2つのベクターを、適当な発現用の動物細胞へ導入することによって、ヒト化モノクローナル抗体を発現させることができる。
尚、(1)で用いられる動物細胞用発現ベクターとしては、公知のものを利用することができ、例えば、以下のようなものが挙げられ、これらに限定されるものでは無い。
pAGE107[Cytotechnology, 3, 133 (1990)]
pAGE103[J. Biochem., 101, 1307 (1987)]
pHSG274[Gene, 27, 223 (1984)]
pKCR[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, 1527 (1981)]
pSG1βd2-4[Cytotechnology, 4, 173 (1990)]
(II)免疫による、本発明のモノクローナル抗体の製造方法
本発明のモノクローナル抗体は、上述のように、遺伝子工学による常法によって、効率的に製造することもできるが、もちろん、Aβ1-42等を用い、通常の免疫手法とスクリーニングとの組み合わせによって、製造することも可能である。
(1)適当な動物に免疫する。
(2)得られた免疫動物の、例えば脾臓細胞等から、Aβ1-42又はAβ1-42蛋白質のオリゴマー(例えば二量体)に対する親和性が高い抗体を産生する細胞株を選択する。
(3)選択した細胞株を、骨髄細胞等と細胞融合してハイブリドーマを作る。
(4)当該ハイブリドーマを、限界希釈及びELISA分析等によって、単クローン化する。
尚、単クローン化する際の、親和性の指標(被験抗体の結合対象)としては、上述の通り最初からAβ1-42蛋白質のオリゴマーを用いるのが直接的かつ確実であるが、本発明のアミロイド蛋白質オリゴマー用のモノクローナル抗体は、もともと、Aβ1-42蛋白質(単量体)を免疫して得られた抗体が、アミロイドβ1-42蛋白質の凝集体に結合するばかりでなく(特許文献1)、Aβのオリゴマーにも強い親和性を有することを見いだしたものであるから、多数の抗体の中から、効率良くクローニングするための方法としては、一旦、Aβ1-42(単量体)への親和性によって選択(第一段階スクリーニング)した後に、Aβ1-42蛋白質のオリゴマーに対する親和性を確認(第二段階スクリーニング)する方法もある。
[本発明のAβオリゴマー用モノクローナル抗体(X’)(Xの改変体)]
本発明のAβオリゴマー用モノクローナル抗体(X’)の、他の例は、上述したモノクローナル抗体(X)のアミノ酸配列のうち、1又は数個のアミノ酸配列が、欠失,置換,付加,削除,及び/又は挿入されており、かつ、下記(A)又は(B)の少なくともいずれかに対する親和性を有しているモノクローナル抗体である。
(A)Aβ1-40蛋白質の二量体
(B)Aβ1-42蛋白質の二量体
このモノクローナル抗体(X’)は、Aβ1-40蛋白質又はAβ1-42蛋白質の二量体の、少なくともいずれかに対する親和性を保持している限り、上記のモノクローナル抗体のアミノ酸配列のうち、いずれの箇所において、1又は数個のアミノ酸が、欠失,置換,付加,削除,及び/又は挿入されていても良い。
Aβ1-40蛋白質又はAβ1-42蛋白質の二量体に対する親和性を変更しない可能性が高い置換としては、1又は数個のアミノ酸残基の、当該アミノ酸と化学的性状または構造的に類似のアミノ酸への置換等が挙げられる。
このような、化学的性状または構造的に類似したアミノ酸の置換の例としては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、必ずしもこれに限定されない。
グリシン(Gly)→プロリン(Pro),アラニン(Ala),又はバリン(Val)
ロイシン(Leu)→イソロイシン(Ile)
グルタミン酸(Glu)→グルタミン(Gln)
アスパラギン酸(Asp)→アスパラギン(Asn)
システイン(Cys)→スレオニン(Thr)
スレオニン(Thr)→セリン(Ser)又はアラニン(Ala)
リジン(Lys)→アルギニン(Arg)
尚、上記改変体(X’)における、アミノ酸の欠失,置換,付加,削除,及び/又は挿入等の導入位置は、具体的には、少なくとも変異のうちの1箇所が、配列番号1〜6(CDR),配列番号13(VH鎖),あるいは配列番号14(VL鎖)の配列中に行われるものである。
なぜなら、全ての変異がそれ以外の位置に存在する変異体は、全て、第一の発明や第二の発明のモノクローナル抗体(X)の定義に含まれるからである。
つまり、本発明の一例である、配列番号19及び21からなるモノクローナル抗体(X)の、フレームワーク領域(FR)や定常領域のアミノ酸配列に、欠失,置換,付加,削除,及び/又は挿入等の変異を施したものは、(X’)では無く、(X)の一例として含まれ、その中では、定常領域への変異の導入が、Aβ1-40蛋白質又はAβ1-42蛋白質の二量体への親和性を変更しない可能性がより高く、上記の第一の発明や第二の発明のモノクローナル抗体同様に、アルツハイマー等の治療への使用が、十分可能と考えられるため好ましい。
これらの変異体は、遺伝子工学による常法によって、製造することができる。
[本発明のアミロイド蛋白質オリゴマーの阻害剤]
本発明のアミロイド蛋白質オリゴマーの阻害剤は、上記のモノクローナル抗体(X),又はモノクローナル抗体(X’)を有効成分として含有することを特徴とするものである。
本発明のアミロイド蛋白質オリゴマーの阻害剤中の、有効成分量や、用法,用量,剤形,第三成分,その他の詳細については、予防及び/又は治療剤の場合と共に、後述する。
本発明のAβ蛋白質オリゴマーの阻害剤は、後述する医薬用途のほか、研究・実験等に適した剤形や成分その他の態様で、実験試薬または実験キット用途に用いることができる。
生体内に存在する自然な構造のAβオリゴマー(特に二量体)に対する抗体は、従来殆ど知られていないため、本発明の(X)又は(X’)抗体を含むAβオリゴマーの阻害剤からなる実験試薬は、アルツハイマー病の予防・治療の研究において、大変重要な実験試薬となる。
[本発明のアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤(M1)]
本発明の、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤(M1)は、下記第1剤の投与と同時及び/又は投与後に、投与するように用いられることを特徴とする、下記第2剤からなるものであることを特徴とする。
第1剤:凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
第2剤:本発明のモノクローナル抗体(X),又は本発明のモノクローナル抗体(X’),或いは本発明の阻害剤を含む薬剤
(第2剤)
第2剤に用いられる、本発明のモノクローナル抗体(X),又は本発明のモノクローナル抗体(X’),或いは本発明のAβオリゴマーの阻害剤を含む薬剤については、上述の通りのものである。
第2剤の投与のタイミングは、第1剤の投与と同時及び/又は、投与後、凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間の経過後であることが好ましい。
具体的には、例えば、下記のタイミングで投与することが好ましい。
第1剤の(Y)が、下記の能動免疫用薬剤(Y−1)である場合には、10日乃至2週間経過後
第1剤の(Y)が、(Y−1)以外の物質である場合、第1剤の投与と同時又は投与直後
(第1剤)
第1剤としては、後述する「能動免疫用薬剤(Y−1)」や、「受動免疫用薬剤(Y−2)」の他、「低分子化合物(Y−3)」等が挙げられる。
尚、本発明のモノクローナル抗体(X)及び(X’)は、これまで試みられてきた免疫療法の行き詰まりを打破するために開発されたものであることから、第1剤に用いられる(Y)が、「能動免疫用薬剤(Y−1)」又は「受動免疫用薬剤(Y−2)」であることが好ましい。
特に、「能動免疫用薬剤(Y−1)」又は「受動免疫用薬剤(Y−2)」の中でも、実際にアミロイドプラークを形成しているAβ蛋白質(つまりAβ1-42)の凝集体を溶解する治療剤が、溶解したAβ蛋白質のオリゴマー化を阻止する(X)の効果を特に発揮し易いと考えられるため好ましい。
つまり、本発明者等が開発した、アミロイドプラークに対する親和性の強い3.4A10抗体が、(X)として用いるとともに、(Y)としても好ましく用いられる。
アミロイドプラークを形成しているAβ蛋白質の凝集体を溶解する治療剤としては、例えば、下記のようなものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることが出来る。
(能動免疫用薬剤:Y−1)
能動免疫用薬剤としては、種々のアミノ酸数のAβ蛋白質抗原,これらの蛋白質のDNA製剤等を含む薬剤等が挙げられる。
蛋白質抗原:
具体的には下記の様な公知の薬剤等が挙げられる。
抗原:Aβ1-42(名称:AN-1792 / Janssen, Pfizer)
抗原:Aβ1-7(名称:ACC001 / Janssen, Pfizer)
抗原:Aβ1-6(名称:CAD106 / Novartis)
抗原:Aβ1-14(名称:UB311 / United Biomedical)
抗原:Aβ1-6(名称:Affitope AD02 / Affiris, GlaxoSmithKline)
抗原:3-pyro Glu Aβ(名称:Affitope AD03 / Affiris, GlaxoSmithKline)
抗原:Aβ1-15(名称:ACI-24 / AC Immune, Roche, Genentech)
抗原:3-pyro Glu Aβ1-15(名称:v-950 / Merck)
抗原:Aβ1-12(名称:LUAF20513 / Lundbeck, Otsuka)
DNAワクチン:
具体的なDNAワクチンとしては、下記の様なものが挙げられる。
AβcDNA(筋肉注射用プラスミドワクチン)
rAAV/Aβ1-43 cDNA(経口用アデノ随伴ウイルスベクターワクチン)
Aβ42DNAワクチン(Bao-Xi Qua, Qun Xianga, Liping Lia, Stephen Albert Johnstonb, Linda S. Hynanc, and Roger N. Rosenberga: Aβ42 gene vaccine prevents Aβ42 deposition in brain of double transgenic mice. J Neurol Sci. 2007 September 15; 260(1-2): 204-213)
(受動免疫用薬剤:Y−2)
受動免疫用薬剤としては、例えば以下の様な公知の薬剤等が挙げられる。
Bapineuzumab(部分ヒト型化抗Aβペプチド抗体:エピトープ=AβN末端(1-5) / Wyeth, Phizer,J&J)
Solanezumab(部分ヒト型化Aβペプチド抗体:エピトープ=Aβ中央(13-28) / Eli Lilly)
Gantenerumab(完全ヒト型化抗Aβペプチド抗体:エピトープ=Aβ1-10, 19-26 / Roche/中外)
Aducanumab(完全ヒト型化抗Aβペプチド抗体 / Biogen)
Crenezumab(部分ヒト型化抗体 / AC Immune, Genentech)
BAN2401(部分ヒト型化抗体 / Eisai)
GSK-933776A(部分ヒト型化抗体:エピトープ=N末端 / GSK)
Ponezumab(部分ヒト型化抗体:エピトープ=C末端(33-40)/ Pfizer)
Gammmagard(ヒト血液製剤 / Baxter)
Octagam(ヒト血液製剤 / Octapharma)
Flebogamma(ヒト血液製剤 / Grifols
Privigen(ヒト血液製剤 / CSL Bhering)
3.4A10(抗Aβ1-42抗体(特許文献1,本発明におけるモノクローナル抗体(X))
(低分子化合物:Y−3)
低分子化合物としては、凝集阻害薬あるいは融解薬としての作用を有する、例えば下記の様な公知の化合物が挙げられる。
Tramiprosate:3-amino-1-propanesulfonic acid(商品名:Alzhemed TM / Neurochem, Inc.)
8-hydroxyquinoline(名称:PBT2 / Prana Biotechnology Limited)
scylloinositol(名称:AZD-103 / Elan Corporation, Speranza Therapeutics, Transition Therapeuticsm, Inc.)
[本発明のアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤(M2)]
本発明の、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤(M2)は、
下記第1剤と下記第2剤を組み合わせたことを特徴とするものである。
第1剤:凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
第2剤:本発明のモノクローナル抗体(X),又は本発明のモノクローナル抗体(X’),或いは本発明の阻害剤を含む薬剤
第1剤と第2剤は、上述の予防及び/又は治療剤(M1)のところで記載したものと同様のものである。
本発明の予防及び/又は治療剤(M2)は、例えば、一包装単位中に、空間的に分離して包装され、逐次投与するように定められた上記の第1剤,及び第2剤の、2種類の有効成分からなるキットの形態として提供することもできる。
[本発明のアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤(M3)]
本発明の、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤(M3)は、予防及び/又は治療の初期段階から後期段階にかけて、少なくとも2回以上、間歇的に投与するように用いられることを特徴とする、下記の第2剤からなるものである。
第2剤:本発明のモノクローナル抗体(X),又は本発明のモノクローナル抗体(X’),或いは本発明の阻害剤を含む薬剤
第2剤は、上述の予防及び/又は治療剤(M1)のところで記載したものと同様のものである。
尚、この予防及び/又は治療剤(M3)において用いられる薬剤を、第2剤と呼んでいるのは、他の予防及び/又は治療剤(M1),(M2)中の表現と統一するためであって、(M3)において、他に本発明で言うところの第1剤を必要とすると言う意味では無い。
但し、勿論、後述する「合剤」の使用は可能である。
なぜなら、(M3)は、(M1)や(M2)で言うところの第1剤の「凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤」として、第2剤と同じ「モノクローナル抗体(X),又はモノクローナル抗体(X’),或いはAβ蛋白質オリゴマーの阻害剤を含む薬剤」を用いる場合を意味しているからである。
間歇的な投与は、治療の初期段階から後期段階にかけて、まんべんなく、複数回行っても良く、例えば、IgG1, 2の半減期(約3週間)を考慮すれば、約6〜12週おきに、投与する方法等が挙げられる。
「(予防及び/又は治療の)初期段階」とは、プラーク除去段階を言い、具体的には、凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる段階を言う。
「(予防及び/又は治療の)後期段階」とは、オリゴマー除去段階を言い、Aβプラークの分散及び/又は溶解後、可溶化したAβ蛋白質が形成する、Aβオリゴマー(特に二量体)の活性を阻害する段階を言う。
但し、初回投与後、少なくとも1回は、凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間間隔(例えば、初回投与後、1週間)を空けて、投与することが好ましい。
尚、発病前の「予防」の場合には、下記のタイミングが特に好ましい。
例えば、プラークが少し出来た段階では、3〜6ヶ月おきの反復投与が好ましく、まだ発病していないものの、プラークがかなり出来ている段階では、“投与の一週間後に追加免疫を行う”という「2回投与」を1サイクルとして、これを4〜8週間毎に繰り返すのが好ましい。
尚、プラークが全く出来ていない時には、本発明の薬剤の投与の必要は無い。
尚、(M3)として用いる際の第2剤は、間歇的に投与する際に必要な分量毎に、別包とすることができるが、混包して、随時、必要量を使用しても構わない。
[本発明のアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法]
本発明のアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法は、
第1剤の投与と同時及び/又は投与後に、第2剤を投与することを特徴とするものである。
第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
第2剤:本発明のモノクローナル抗体(X),又は本発明のモノクローナル抗体(X’),或いは本発明の阻害剤を含む薬剤
第2剤の投与のタイミングは、第1剤の投与と同時及び/又は、投与後、凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間の経過後であることが好ましい。
具体的には、例えば、下記のタイミングで、第2剤を投与することが好ましい。
第1剤の(Y)が、能動免疫用薬剤(Y−1)である場合には、第1剤の投与後10日乃至2週間経過後
第1剤の(Y)が、(Y−1)以外の物質である場合、第1剤の投与と同時及び/又は投与直後
また、本発明のアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法の別の態様は、
予防及び/又は治療の初期段階から後期段階にかけて、少なくとも2回以上、間歇的に上記第2剤を投与することを特徴とするものである。
間歇的な投与のタイミングとしては、治療の初期段階から後期段階にかけて、まんべんなく、複数回行っても良く、例えば、IgG1, 2の半減期(約3週間)を考慮すれば、約6〜12週おきに、投与する方法等が挙げられる。
但し、初回投与後、少なくとも1回は、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間間隔(例えば、初回投与後、1週間)を空けて、投与することが好ましい。
尚、発病前の「予防」の場合には、下記のタイミングが特に好ましい。
例えば、プラークが少し出来た段階では、3〜6ヶ月おきの反復投与が好ましく、まだ発病していないものの、プラークがかなり出来ている段階では、“投与の一週間後に追加免疫を行う”という「2回投与」を1サイクルとして、これを4〜8週間毎に繰り返すのが好ましい。
尚、プラークが全く出来ていない時には、本発明の薬剤の投与の必要は無い。
[薬剤動態のモニタリング工程]
尚、本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や本発明の「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」の使用や、本発明の「予防及び/又は治療法」の実施においては、実験室内でのアミロイドプラークの溶解実験の後,或いは予防及び/又は治療における第1剤の投与の後(第2剤が第1剤を兼ねる場合には、第2剤の初回投与後)、実験に用いた試料液や、患者の骨髄液,血液等を用いたモニタリング工程を追加すること等により、プラーク分解後の、脳組織におけるAβ蛋白質オリゴマー(特に二量体)が増加し始める前,或いは増加し始めた直後を見極めた後に、第2剤を投与することもできる。
[有効成分の含有量]
本発明の、「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」,或いは「本発明の予防及び/又は治療方法」に用いられる第1剤や第2剤中の、有効成分である(X)又は(X’),或いは(Y)の含有量は、剤形によって様々であり、一概に限定できず、各種剤形化が可能な範囲で、投与量との関係で適宜選択すれば良いが、例えば液剤の場合、本発明の阻害剤や本発明の予防又は治療剤の第1剤又は第2剤の各剤中、各々好ましくは0.0001〜10(w/v%),より好ましくは0.001〜5(w/v%),特に注射剤の場合、好ましくは0.0002〜0.2(w/v%),より好ましくは0.001〜0.1(w/v%),固形剤の場合、好ましくは0.01〜50(w/w%),より好ましくは0.02〜20(w/w%)等として調製できるが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは無い。
[薬剤の投与量]
本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」,或いは「本発明の予防及び/又は治療方法」における、各薬剤の投与量は、投与経路,症状,年齢,体重,予防又は治療剤の形態等によって異なり、一概には言えないが、「阻害剤」や「予防及び/又は治療剤」中の、有効成分としての(X)又は(X’),或いは(Y)の量として、処置を必要としている対象体重1kg当たり、好ましくは0.005〜500mg,より好ましくは、0.1〜100mg,但し、成人に対して1日あたり、下限として好ましくは0.01mg(より好ましくは0.1mg),上限として、好ましくは20g(より好ましくは2000mg,更に好ましくは1000mg,特に好ましくは700mg)となるように、1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
尚、第2剤のみを用いる,つまり、第2剤が、第1剤の役割も兼ねる場合の「予防及び/又は治療剤」や「予防及び/又は治療方法」においては、複数回投与する第2剤の量は、各回とも同量としても構わないが、必ずしも同量でなくとも良い。
また、第1剤として、第2剤とは別の薬剤を用いる場合には、一般に、第1剤よりも、第2剤の方を多く投与することが好ましい。
[薬剤中の第三成分]
また、本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や、本発明の「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」又は「本発明の予防及び/又は治療方法」に用いられる第1剤及び第2剤には、その阻害効果や予防及び/又は治療効果を阻害しない範囲で、(X)又は(X’),或いは(Y)以外に、他の成分を含有させることができ、例えば、免疫増感剤(完全又は不完全アジュバント等)の他、薬学的に許容される担体として、有機系賦形剤及び無機系賦形剤等の賦形剤,滑沢剤,結合剤,崩壊剤,ヒトアルブミン等の安定(化)剤,矯味矯臭剤,希釈剤,界面活性剤,乳化剤,可溶化剤,吸収促進剤,保湿剤,吸着剤,充填剤,増量剤,付湿剤,防腐剤等の添加剤を用いて周知の方法で製剤化することができる。
更に、抗炎症剤として、CpGオリゴヌクレオチド,IL−4,IL−10などのサイトカインやそのcDNAなども挙げられる。
尚、第1剤や第2剤が、注射剤である場合には、一般に注射剤で用いられるものとして、溶解補助剤,緩衝剤,等張化剤,安定剤,保存剤,無痛化剤等を含有させることが好ましい。
更に、第1剤が、(Y−1:能動免疫用薬剤)である場合には、当該第1剤には、抗原物質のキャリア蛋白質,アジュバント,神経栄養因子(NTF)等を含有させることが好ましい。
キャリア蛋白質としては、KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)の他、BSA(牛血清アルブミン),OVA(卵白アルブミン),HSA(ヒト血清アルブミン)等のアルブミン,THY(Thyroglobulin)等が挙げられ、中でもKLHが、免疫抗原性が高い等の点で好ましい。
アジュバントとしては、QS21等のサポニン系化合物や、Alum(水酸化アルミニウム),水酸化ナトリウム,リン酸カルシウム,リン酸アルミニウム,ミョウバン,ペペス,カルボキシビニルピポリマー等が挙げられる。
(Y)が受動免疫用薬剤である場合の第1剤や、有効成分が(X)や(X’)等のモノクローナル抗体である第2剤の、第三成分としては、抗体医薬に一般に用いられている、抗体医薬補助成分等を含有させるのが好ましい。
[薬剤の投与経路]
本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」,或いは本発明の「予防及び/又は治療方法」に用いられる薬剤の、投与経路としては、経口投与,静注等の静脈投与,筋肉内投与, 経皮投与,経鼻投与,皮内投与,皮下投与,腹腔内投与,直腸内投与,粘膜投与、吸入等が挙げられるが、静注等の静脈投与が安全かつ血中濃度を一定に保つという点で好ましく、簡便かつ患者に対する負担が少ない点では、経口投与が好ましい。
尚、第1剤の場合には、筋肉注射,皮下注射,経口投与が好ましく、第2剤の場合には、静脈注射,皮下注射が好ましい。
[薬剤の投与形態(剤形)]
本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」,或いは本発明の「予防及び/又は治療方法」に用いられる薬剤の、剤形は、例えば錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,丸剤,トローチ,もしくはシロップ剤,注射剤等の形態が挙げられる。
尚、第1剤としては、種々のものが使用可能であるが、第2剤としては、注射剤が好ましい。
尚、本発明の「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」においては、第1剤と第2剤が、必ずしも同じ投与経路,投与形態である必要は無い。
[合剤]
本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」や「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」は、従来知られているアミロイド蛋白質の脳組織その他への沈着に起因する疾病の予防又は治療剤の有効成分との合剤としても良い。その有効成分としては、以下のもの等が例示される。
1.アセチルコリン分解酵素阻害薬:
塩酸ドネペジル(化学名:1−ベンジル−4−(5、6−ジメトキシインダノン−2−イル)メチルピペリジン,商品名「アリセプト」(登録商標),エーザイ(株),日本)
2.コリンエステラーゼ阻害薬:
リバスチグミン(アセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼの双方を阻害,エクセロン(登録商標),ノバルティス,日本)
3.神経栄養因子(ニューロトロフィン):
NGF(Nerve Growth Factor),BDNF(Brain-derived neurotrophic factor),NT-3(Neurotrophin-3),NT-4(Neurotrophin-4),CNTF(ciliary neurotrophic factor),GDNF(glial cell line-derived neurotrophic factor)
[対象疾患]
本発明の「Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤」,「予防及び/又は治療剤(M1)〜(M3)」の、予防及び/又は治療の対象となる疾患としては、アルツハイマーの他、アミロイドーシスや、パーキンソン病,レビー小体病,網膜変性症等が挙げられる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限られるものでは無い。
(実施例1)
下記の方法によって、本発明のAβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体を製造した。
下記は、主に、特許文献1の実施例等に記載の、TAPIR抗体の作製手法に準じて行った。
[免疫対象動物]
雌Balb/cマウスは中部科学資材(株)(名古屋,日本)から、アミロイド前駆体蛋白(AβPP)トランスジェニックマウスTg2576マウスはTaconic Farm (Germantown, New York)から購入した。マウスはプラスチックケージ内で飼育し、餌はCE2(日本クレア)を与え、水は自由に飲み、12時間サイクルの明暗光調節を行った。すべての動物実験は国立長寿医療センターの動物実験倫理委員会の承認を得て、実験動物ガイドラインに沿って行われた。
[免疫とハイブリドーマの樹立]
6-8週齢の雌Balb/cマウスを100μlの完全フロインドアジュバント(1mg/mlの結核死菌H37Ra(Difco, Detroit, USA)を含む)と100μlのリン酸緩衝液生理食塩水(PBS)に溶かした100μgのAβ1-42(商品コード「4349-v」,ペプチド研究所,大阪,日本)で、公知の方法(Nature 400 (1999), 173-177等)に従って免疫し、2週間後100μlの不完全フロインドアジュバントと100μlのPBSに溶かした100μgのAβ1-42で追加免疫した。
細胞融合をする1日前に、100μlのPBSに溶かした100μgのAβ1-42を腹腔内に注射し、3度目の免疫を行った。
最初の免疫から4週間後、無菌的に脾臓を取り出し、脾細胞と骨髄腫細胞株P3-X63-Ag8.653(理研バイオソースセンター CELL BANK,細胞番号RCB0146,理化学研究所,日本)を5:1の比で50%(w/v)ポリエチレングリコール(Hybri-Max(登録商標), 分子量1450, Sigma・Aldrich, Saint Louis, Missouri, USA)の存在下に融合させ、96穴プレート(Becton Dickinson, Franklin Lakes, New Jew Jersey)に100μl/ウェルずつ入れ、2×HAT(Hybri-Max(登録商標)) を含む培地100μlを2日後に加え選択した。
[ハイブリドーマの第一段階スクリーニングと抗体のアイソタイピング]
まず、組織に沈着していない遊離Aβ1-42との親和性を指標として、ハイブリドーマの、第一段階のスクリーニングを行った。
5匹のマウス由来の脾臓を用いた、5系統の細胞融合操作の後、最も増殖の良いウェルが10-25%の密度になった時、その培養上澄100μlをとって、ELISA法により陽性クローンのスクリーニングを行った。
96穴ELISAプレートを、4μg/mlのAβ1-42を溶かした55mMNaHCO3 (pH9.0)100μlで、4℃で一晩コーティングを行った。150mM NaCl, 0.05%Tween20を含む20mM Tris-塩酸pH7.4で2回洗浄後、1%ウシ血清アルブミンと2%正常ヤギ血清を加えたTBS-T溶液(ブロッキングバッファー)で、1時間室温でブロッキングを行った。
プレートをTBS-T(Tween 20 添加トリス緩衝液:pH7.4)で2回洗浄し、100μlのハイブリドーマ培養上澄と2時間室温で作用させた。
TBS-T(pH7.4)で4回洗浄後、100μlの2,000倍希釈ブロッキングバッファーにヤギ抗マウスIgG + IgM (H&L)(American Qualex, Sam Clemente, California)を加えたもので室温2時間インキュベートした。
その後、TBS-T(pH7.4)プレートを4回洗浄し、100μlのSureBlue Reserve (登録商標)TBM Microwell Peroxidase (KPL, Baltimore, Maryland)を加え、室温で30分間、暗状態で発色させた。
100μlのTMBストップ溶液(KPL)を加え、プレートを450nmの波長でマイクロプレートリーダー(Bio-Rad, Hercules, California)にかけた。
その結果、8つの陽性ハイブリドーマが得られた。
これを、1 細胞/well の限界希釈を2回以上行い単クローンとした。
細胞が少数でも増殖するように10%の牛胎児血清(ICN Biomedicals, Aurora, Ohio, USA)と10%のハイブリドーマクローニングファクター(Bio Veris, Gaithersburg, Maryland, USA)を培養液RPMI 1640(Gibco(登録商標), Invitrogen, Grand Island, New York, USA)に加えた。細胞は5%CO2インキュベーターで、37℃で培養した。
尚、抗体のアイソタイプを、マウスIgG アイソタイピングELISA キット(BD Bioscience, Pharmingen)を用いて調べたところ、8つの陽性ハイブリドーマから得られた抗体のうち、IgG2b型の抗体を分泌する一つの細胞株が得られた。尚、他はIgM であった。
この、IgG2b型の抗体を分泌する細胞株から得られた抗体を、以下、3.4A10と記載する。
[腹水産生と抗体精製]
3.4A10は、下記の様に、マウスの腹水中に産生させ、精製することによって得られた。
0.5mlのプリスタン(Sigma-Aldrich, Missouri, USA)を6-8週齢のBalb/cマウス腹腔に注射し、1週後ハイブリドーマを注射した。
ハイブリドーマ細胞はウシ胎児血清を除く為にPBSで2回洗浄後5×106細胞/ml PBSに調整した。その2mlをマウス腹腔に注射し、腹水がたまるのを2週間待った。
腹水がたまらない場合、もう一度ハイブリドーマ細胞を注射した。
腹水は16ゲージ注射針を用いて腹水が出なくなるかマウスが死亡するまで3日毎に採取した。腹水は1500×gで10分間、室温で遠沈した。上澄をとり、4℃に保存した。
モノクローナル抗体はAKTA FPLCシステム(Amercham Bioscience, Uppsala)を用いてAffi-Gel Protein AMAPS(登録商標)IIキット(Bio-Rad)を用いて精製した。
精製したモノクローナル抗体はPBSに対して透析を行った。4回の透析後0.22μmのフィルター(MILLEX(登録商標)-GV PVDF Syringe driven filter unit, Millipore, Cork)に通した。蛋白濃度はBCA(登録商標)protein assay kit (Pierce Biotechnology, Rockford, IL, USA)を用い、ウシガンマグロブリン(Pierce Biotechnology, Rockford, IL, USA)を標準として測定した。生体投与する為にはエンドトキシンをProteoSpin(登録商標)endotoxin removal kit(Norgen Biotek, Ontario, Canada)で除去した。
上記で得られた実施例1のTAPIR抗体(3.4A10)のアミノ酸配列及び遺伝子配列を、配列番号19〜22に示す。
配列番号19:3.4A10の完全重鎖アミノ酸配列
配列番号20:3.4A10の完全重鎖遺伝子配列
配列番号21:3.4A10の完全軽鎖アミノ酸配列
配列番号22:3.4A10の完全軽鎖遺伝子配列
尚、特許文献1の手法で得られるTAPIR抗体でもある実施例1の抗体は、下記試験例1によって、本発明のAβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体として利用できることが分かった。
試験例1)
(第1剤投与:プラーク溶解試験)
19歳〜24歳の、雌のカニクイザル(治療剤投与群とコントロール群の各群5匹)に対し、3カ月の間隔で2回、Aβ1-43 cDNAを用いた経口ワクチンrAAV/Aβ(Aβ組み換えアデノ随伴ウィルスベクター,以下、「Aβワクチン」と記載する。),又はrAAV/GFP(コントロール)を投与することで、アミロイドプラークの溶解治療試験を行った。
(プラーク溶解の確認方法)
最初の投与から6か月後安楽殺後、脳の各部(前頭葉(Frontal),頭頂葉(Parietal),頭頂側頭葉(Pariet-temporal),後頭葉(Occipital),小脳及び脳幹(Cerebellum, Brain stem))
を取り出し、スライスし半側脳は液体窒素で凍結し−70℃で保存した。他側は4%ホルマリン固定した。ホルマリン固定脳をパラフィンに包埋し厚さ5ミクロンの切片を作製した。脱パラフィンした後Aβ抗体4G8で免疫染色した。
(プラーク溶解確認結果)
上記染色の後、プラーク数を計測した結果を図1に示す。
尚、この図中の値は、rAAV/Aβ1-43(Aβワクチン)投与各群と、rAAV/GFP(コントロール)投与群の、それぞれ5匹の平均値を示す。
以下、図中における「Cont」とは、コントロール投与群を、「Aβワクチン」とは、rAAV/Aβ投与群を意味する。
また、図中の「**」は、p<0.01を示す。
当該試験の結果、アミロイドプラークは、Aβワクチンによって減少していることが判明した(図1)。
更に治療した脳組織(頭頂葉から新たに切り出したもの)のELISA分析によれば、ギ酸(FA)可溶性画分の線維性Aβは減少し、TBSあるいはSDS可溶性画分中の可溶性Aβが増加していることが判明した(図2)。
尚、分析は、断片特異的な抗体,すなわちAβ1-40又はAβ1-42のC末端に特異的な断片を認識する抗体を使用し、AβX-40,又はAβX-42を検出した。
尚、この図中の値は、rAAV/Aβ1-43(Aβワクチン)投与各群と、rAAV/GFP(コントロール)投与群の、それぞれ5匹の平均値を示す。
図中の「**」は、p<0.01を示す。
(可溶性Aβの分析)
また、Aβ1-16抗体(公知のモノクローナル抗体:6E10)によるウェスタン・ブロット分析によれば、TBS可溶性画分には、多くのAβのオリゴマーが存在していることが判った (図3)。
しかし、この抗体では、Aβ蛋白質の二量体は、検出できなかった。
図中、上部の○付きの数字で示したレーンがrAAV/Aβ1-43(Aβワクチン)投与例であり、その他の数字で示したレーンが、rAAV/GFP(コントロール)の投与例である。
(第2剤によるAβ蛋白質二量体の検出)
更に、6E10に代えて、上記実施例1で得られた本発明のモノクローナル抗体(X)である3.4A10抗体を用い、TBS画分に含まれるAβのオリゴマーのウェスタン・ブロット分析における検出を行った。結果を図4に示す。
図中、上部の○付きの数字で示したレーンが、rAAV/Aβ1-43(Aβワクチン)投与例であり、その他の数字で示したレーンが、rAAV/GFP(コントロール)の投与例である。
(投与結果)
その結果、本発明の3.4A10抗体(モノクローナル抗体(X))によって、Aβ蛋白質二量体を検出できていることが確認できた。
(考察)
このように、もともと特許文献1によって、アミロイドプラークに対する親和性を指標にスクリーニングして得られたTAPIR抗体である実施例1の抗体(X)は、驚くべきことに、プラーク溶解後のTBS可溶性画分中の、二量体に対しても、強い親和性を有することが判った(図4)。
また、検出されたバンドの強度を、デンシトメトリーにより、定量的に示した(図5)。
尚、この図中の値は、rAAV/Aβ1-43(Aβワクチン)投与各群と、rAAV/GFP(コントロール)投与群の、それぞれ5匹の平均値を示す。
この親和性の対象である二量体は、アミロイドプラークの周辺部位を構成するAβ1-42が可溶化し、更に二量体化したものが中心である可能性が高いが、アミロイドプラークの中心を構成するAβ1-40の二量体も含まれると考えられる。
従って、本発明のモノクローナル抗体(X)は、Aβ蛋白質オリゴマー(特に二量体)の阻害剤として、実験室内及び臨床現場で利用可能であるとともに、Aβワクチン等に代表される、「凝集及び/又は沈着したAβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤(第1剤)」の投与後の、いわば後療法に用いるための「第2剤」として、「Aβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤」となり得ることが判った。
また、(X)の一例である実施例1のモノクローナル抗体3.4A10は、特許文献1でも示された様に、第1剤のプラーク溶解用の、「受動免疫用薬剤(Y−2)」としても使用が可能であることは、特許文献1によって示されている。
つまり、本発明のモノクローナル抗体(X)は、第2剤が第1剤を兼ねる本発明の「予防及び/又は治療剤(M3)」の、有効成分とすることができる。
本発明は、Aβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体及びその利用に関し、具体的には、Aβ蛋白質オリゴマー用のモノクローナル抗体,及びそれを用いた、Aβ蛋白質オリゴマーの阻害剤,Aβ蛋白質の凝集及び/又は脳組織等へのAβ蛋白質の沈着に起因する疾患の予防及び/又は治療剤,或いは、当該疾患の予防及び/又は治療方法に関する。

Claims (17)

  1. 重鎖及び軽鎖の可変領域が、下記の超可変領域を有することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体(X)。
    重鎖超可変領域1:配列番号1
    重鎖超可変領域2:配列番号2
    重鎖超可変領域3:配列番号3
    軽鎖超可変領域1:配列番号4
    軽鎖超可変領域2:配列番号5
    軽鎖超可変領域3:配列番号6
  2. 重鎖可変領域が配列番号13,軽鎖可変領域が配列番号14で表されるものであることを特徴とする、請求項1記載のモノクローナル抗体(X)。
  3. 重鎖及び軽鎖が、下記の配列を有することを特徴とする、請求項1又は2記載のモノクローナル抗体(X)。
    重鎖:配列番号19
    軽鎖:配列番号配列21
  4. オリゴマーが、二量体であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X)。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X)のアミノ酸配列のうち、1又は数個のアミノ酸配列が、欠失,置換,付加,削除,及び/又は挿入されており、かつ、下記(A)又は(B)の少なくともいずれかに対する親和性を有していることを特徴とする、アミロイドβ蛋白質オリゴマー用モノクローナル抗体(X’)。
    (A)アミロイドβ1-40蛋白質の二量体
    (B)アミロイドβ1-42蛋白質の二量体
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は請求項5記載のモノクローナル抗体(X’)を有効成分として含有することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質オリゴマーの阻害剤。
  7. 下記第1剤の投与と同時及び/又は投与後に、投与するように用いられることを特徴とする、下記第2剤からなるアミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤。
    第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
    第2剤:請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は請求項5記載のモノクローナル抗体(X’),或いは請求項6記載の阻害剤を含む薬剤
  8. 第1剤の投与と同時及び/又は、投与後、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間の経過後に、投与するように用いられることを特徴とする、請求項7記載の予防及び/又は治療剤。
  9. 下記のタイミングで、投与するように用いられることを特徴とする、請求項7又は8に記載の予防及び/又は治療剤。
    第1剤の(Y)が、能動免疫用薬剤(Y−1)である場合には、第1剤の投与後10日乃至2週間経過後
    第1剤の(Y)が、(Y−1)以外の物質である場合、第1剤の投与と同時及び/又は投与直後
  10. 下記第1剤と下記第2剤を組み合わせたことを特徴とする、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤。
    第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
    第2剤:請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は請求項5記載のモノクローナル抗体(X’),或いは請求項6記載の阻害剤を含む薬剤
  11. 予防及び/又は治療の初期段階から後期段階にかけて、少なくとも2回以上、間歇的に投与するように用いられることを特徴とする、下記の第2剤からなる、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療剤。
    第2剤:請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は請求項5記載のモノクローナル抗体(X’),或いは請求項6記載の阻害剤を含む薬剤
  12. 初回投与後、少なくとも1回、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間間隔を空けて、投与するように用いられることを特徴とする、請求項11記載の予防及び/又は治療剤。
  13. 第1剤の投与と同時及び/又は投与後に、第2剤を投与することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法。
    第1剤:凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させる物質(Y)を含む薬剤
    第2剤:請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は請求項5記載のモノクローナル抗体(X’),或いは請求項6記載の阻害剤を含む薬剤
  14. 第1剤の投与と同時及び/又は、投与後、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間の経過後に、第2剤を投与することを特徴とする、請求項13記載の予防及び/又は治療方法。
  15. 下記のタイミングで、第2剤を投与することを特徴とする、請求項13又は14記載の予防及び/又は治療方法。
    第1剤の(Y)が、能動免疫用薬剤(Y−1)である場合には、第1剤の投与後10日乃至2週間経過後
    第1剤の(Y)が、(Y−1)以外の物質である場合、第1剤の投与と同時及び/又は投与直後
  16. 予防及び/又は治療の初期段階から後期段階にかけて、少なくとも2回以上、間歇的に下記第2剤を投与することを特徴とする、アミロイドβ蛋白質の凝集及び/又は沈着に起因する疾病の予防及び/又は治療方法。
    第2剤:請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体(X),又は請求項5記載のモノクローナル抗体(X’),或いは請求項6記載の阻害剤を含む薬剤
  17. 初回投与後、少なくとも1回は、凝集及び/又は沈着したアミロイドβ蛋白質を分散及び/又は溶解させるのに十分な時間間隔を空けて、投与するように用いられることを特徴とする、請求項16記載の予防及び/又は治療方法。
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