JP2017195131A - 有機エレクトロルミネッセンス発光装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017195131A
JP2017195131A JP2016085789A JP2016085789A JP2017195131A JP 2017195131 A JP2017195131 A JP 2017195131A JP 2016085789 A JP2016085789 A JP 2016085789A JP 2016085789 A JP2016085789 A JP 2016085789A JP 2017195131 A JP2017195131 A JP 2017195131A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
organic
emitting device
light emitting
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2016085789A
Other languages
English (en)
Inventor
小島 茂
Shigeru Kojima
茂 小島
周作 金
Chu-Jak Kin
周作 金
黒木 孝彰
Takaaki Kuroki
孝彰 黒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2016085789A priority Critical patent/JP2017195131A/ja
Publication of JP2017195131A publication Critical patent/JP2017195131A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】信頼性と透明性とを向上させることが可能な有機EL発光装置を提供する。【解決手段】可撓性基材11と、可撓性基材11上に設けられた有機EL素子20と、有機EL素子20上に設けられた光学調整層31とを備える。さらに、可撓性基材11上において、有機EL素子20、及び、光学調整層31を封止する第1封止層13と、第1封止層13上に設けられた透明吸湿剤層32と、透明吸湿剤層32、及び、第1封止層13を封止する第2封止層15とを備える有機エレクトロルミネッセンス発光装置20を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、透明吸湿剤層を有する有機エレクトロルミネッセンス発光装置に係わる。
有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を備える有機EL発光装置は、平面発光を可能とする発光装置として既に実用化されている。さらに、有機EL発光装置の一形態として、ディスプレイ用途や、建物や自動車の窓等の用途において、透明有機EL発光装置が求められている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ボトムエミッションタイプの有機ELと比較し、透明有機ELは、不透明部材が使えないことから、新たに多くの課題が発生する。例えば、ダークスポットが発生しやすくなる。また、可とう性有機ELの場合は長期保存時に封止基板が剥がれやすくなる等の信頼性の問題が発生することがある。
このため、透明有機EL発光装置において、ダークスポットや膜剥がれ等の有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性を向上することが求められている。例えば、水分による有機EL素子の劣化を防ぐため、透明吸湿剤層を設けた、トップエミッション型の有機EL発光装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−184279号公報 特開2009−95824号公報
上述のように、透明有機EL発光装置においては、 信頼性の向上と、透明性の向上とが求められている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、信頼性と透明性とを向上させることが可能な有機EL発光装置を提供する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光装置は、可撓性基材と、可撓性基材上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、有機エレクトロルミネッセンス素子上に設けられた光学調整層とを備える。さらに、可撓性基材上において、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、光学調整層を封止する第1封止層と、第1封止層上に設けられた透明吸湿剤層と、透明吸湿剤層、及び、第1封止層を封止する第2封止層とを備える。
本発明によれば、信頼性と透明性とを向上させることが可能な有機EL発光装置を提供することができる。
第1実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第1実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第2実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第2実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第3実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第3実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第4実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第4実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第1実施形態)
2.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第2実施形態)
3.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第3実施形態)
4.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第4実施形態)
〈1.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第1実施形態)〉
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光装置(以下、有機EL発光装置)の具体的な実施の形態について説明する。図1及び図2に、本実施の形態の有機EL発光装置の概略構成図を示す。なお、図1及び図2に示す有機EL発光装置10は、JIS K 7375に規定される全光線透過率が30%以上の透明な有機EL発光装置である。図1及び図2は、有機EL発光装置10のそれぞれ異なる断面を示す図である。
図1及び図2に示す有機EL発光装置10は、ガスバリア層12が形成された可撓性基材11上に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子20を備える。有機EL素子20は、可撓性基材11上に形成された第1電極(透明電極)21、第1電極21上に形成された発光ユニット22、及び、発光ユニット22を第1電極21と挟持する第2電極23を備える。さらに、有機EL発光装置10は、有機EL素子20の第2電極23上に、第2電極23の上面と側面とを覆う光学調整層31を備える。さらに、有機EL発光装置10は、ガスバリア層12を有する可撓性基材11上において、有機EL素子20の側面及び光学調整層31の側面と上面とを覆う第1封止層13を備える。
また、有機EL発光装置10は、第1封止層13上に、透明吸湿剤層32を備える。そして、ガスバリア層12を有する可撓性基材11上において、第1封止層13の側面及び透明吸湿剤層32の側面と上面とが、接着剤層14によって覆われている。さらに、接着剤層14を介して第2封止層15を有する封止基板16が、可撓性基材11に貼り合わされている。この構成により、有機EL素子20、光学調整層31、第1封止層13、及び、透明吸湿剤層32が、ガスバリア層12を有する可撓性基材11、接着剤層14、及び、第2封止層15を有する封止基板16によって封止されている。
また、図2に示すように、有機EL発光装置10は、有機EL素子20の第1電極21又は第2電極23を、封止部の外部に引出すための外部接続用の電極を有する。
有機EL素子20の第1電極21には、外部接続用の電極として、発光部分に用いられている部分以外に、接着剤層14の外部に引出された給電用の取り出し部が、可撓性基材11上に設けられている。さらに、第1電極21が引出された方向と反対側に、第2電極23の外部接続用の電極として、接着剤層14の外部に引出された取り出し電極24が可撓性基材11上に設けられている。第2電極23は、発光ユニット22によって第1電極21と絶縁された状態で、可撓性基材11上に設けられた取り出し電極24に接続されている。さらに、図2に示すように、第2電極23の側面及び上面から、第2電極23と取り出し電極24との接合部分までが、光学調整層31によって覆われている。
有機EL発光装置10において、有機EL素子20、光学調整層31、透明吸湿剤層32、及び、第1封止層13は、可撓性基材11の一方の面(以下、可撓性基材11の表面上)に配置されている。具体的には、有機EL素子20、光学調整層31、透明吸湿剤層32、及び、第1封止層13は、は、可撓性基材11の表面上に配置され、有機EL素子20の周囲において可撓性基材11の表面の周縁部分が露出するように、可撓性基材11の縁辺よりも中央側に配置される。
また、有機EL素子20、光学調整層31、透明吸湿剤層32、及び、第1封止層13は、は、可撓性基材11のガスバリア層12が形成されている面上に配置されている。そして、有機EL素子20及び光学調整層31が、可撓性基材11のガスバリア層12上において、第1封止層13によって封止されている。具体的には、有機EL素子20及び光学調整層31は、光学調整層31の上面、及び、有機EL素子20及び光学調整層31の積層面側(側面)が、第1封止層13に覆われている。従って、有機EL素子20及び光学調整層31は、可撓性基材11のガスバリア層12と第1封止層13とによって、周囲が覆われている。
また、第1封止層13は、可撓性基材11の表面上において、有機EL素子20の周囲に露出する周縁部分上にも設けられ、第1封止層13の周囲においても可撓性基材11の表面の周縁部分が露出する。すなわち、有機EL素子20、光学調整層31、透明吸湿剤層32、及び、第1封止層13は、可撓性基材11の縁辺よりも中央側に配置されている。そして、この露出する周縁部分に、第1電極21及び第2電極23の外部接続用の電極として、第1電極21の取り出し部、及び、第2電極23の取り出し電極24が引出されている。
透明吸湿剤層32は、第1封止層13の上層に配置され、接着剤層14で覆われていれば、形状等は特に問わない。例えば、図1及び図2に示すように、透明吸湿剤層32と第1封止層13とが同じ形状であり、透明吸湿剤層32と第1封止層13との端縁が同じ位置となるように配置されていてもよい。また、透明吸湿剤層32は、第1封止層13よりも小さい面積であってもよく、有機EL素子20の発光ユニット22より大きい面積で形成されていてもよい。
また、透明吸湿剤層32は、第1封止層13上に直接形成されていてもよく、接着剤層等によって第1封止層13上に貼り合わされていてもよい。透明吸湿剤層32と第1封止層13との間に他の構成が設けられていても、第1封止層13の上方に透明吸湿剤層32が配置されていればよい。
有機EL発光装置10において、第1封止層13と透明吸湿剤層32とは、接着剤層14によって覆われている。接着剤層14は、透明吸湿剤層32の上面と、透明吸湿剤層32及び第1封止層13の側面とを覆い、且つ、可撓性基材11の表面上の第1封止層13の周囲に露出する周縁部分上に設けられている。接着剤層14は、撓性基材11の端部まで設けられ、可撓性基材11と接着剤層14とは、ほぼ同じ位置が端縁となっている。
また、有機EL発光装置10は、封止基板16に設けられた第2封止層15によって、上面側が封止されている。第2封止層15は、封止基板16の有機EL素子20側に配置され、接着剤層14によって、有機EL素子20等を挟持して可撓性基材11側に貼り合わされている。
接着剤層14は、透明吸湿剤層32の上面から第1封止層13の側面を覆い、さらに、可撓性基材11の表面上において、第1封止層13の周囲に露出するガスバリア層12の周縁部分上も覆うように設けられている。そして、可撓性基材11の端部まで接着剤層14が設けられ、可撓性基材11と接着剤層14は、ほぼ同じ位置が端縁となっている。なお、接着剤層14は、透明吸湿剤層32と第1封止層13とを覆っていればよく、可撓性基材11の周縁部分を全て覆っていなくてもよい。このため接着剤層14の周囲からガスバリア層12が露出していてもよい。
上述の構成の有機EL発光装置10では、ガスバリア層12を有する可撓性基材11と、接着剤層14と、第2封止層15を有する封止基板16とによって、有機EL素子20、光学調整層31、及び、透明吸湿剤層32が封止される。また、有機EL素子20と光学調整層31とは、第1封止層13によって封止されている。従って、有機EL発光装置10は、第1封止層13による封止と、ガスバリア層12及び第2封止層15による封止とで、2重に有機EL素子20を封止する構造を有している。
また、有機EL発光装置10において、第2電極23の直上に光学調整層31が設けられ、第1封止層13上に透明吸湿剤層32が設けられている。このため、有機EL発光装置10では、第1封止層13を介して、第2電極23、光学調整層31、及び、透明吸湿剤層32が積層された構成である。すなわち、有機EL発光装置10において、発光ユニット22から放出された光は、第2電極23を透過した後、光学調整層31を透過し、さらに、第1封止層13、透明吸湿剤層32を透過する構成である。
以下、上述の図1及び図2に示す有機EL発光装置10を構成する各構成要素の詳細について説明する。なお、以下の説明は、実施形態の有機EL発光装置を構成することが可能な構成要素の一例であり、他の構成を適用することも可能である。
[可撓性基材]
可撓性基材11は、高い光透過性を有していれば、特に制限はない。例えば樹脂基板、樹脂フィルム等が好適に挙げられるが、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
可撓性基材11として使用できる樹脂としては特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。また、可撓性基材は、未延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよい。
可撓性基材11は透明性が高いことが好ましい。透明性が高いとは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、80%以上であるとより好ましい。
[ガスバリア層]
可撓性基材11に設けられるガスバリア層12は、有機EL素子20の劣化をもたらす水分や酸素等素子の浸入を抑制する機能を有すればよい。ガスバリア層12は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.01g/(m・24h)以下のガスバリア性フィルム(ガスバリア膜等ともいう)であることが好ましい。さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・atm)以下であり、かつ水蒸気透過度が、1×10−5g/(m・24h)以下であることが好ましい。可撓性基材11に設けられるガスバリア層12については特に限定されず、上記のガスバリア性を実現できれば、公知のガスバリア層を適用することができる。
ガスバリア層12を形成する材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機材料を用いることができる。また、ガスバリア層12は、有機物の被膜、又は、無機物と有機物とのハイブリッド被膜から形成されていてもよい。ガスバリア層12の脆弱性を改良するために、無機材料からなる層と有機材料からなる層との積層構造を持たせる構成も好ましく適用することができる。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリア層12の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。ガスバリア層の形成には、特開2004−68143号公報に記載されている大気圧プラズマ重合法を用いることが特に好ましい。
[第1電極・第2電極]
第1電極21及び第2電極23は、有機EL発光装置10において電気を導通させるための導電性材料を含む層である。第1電極21及び第2電極23としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属薄膜や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO、IWZO、GZO、IGZO、ZTO、ZnO、TiO、VO、CuAlO、CuGaO、SrCu、RuO等の金属酸化物、TiN、ZrN、HfN、CuI、InN、GaN、LaB62等の無機化合物が挙げられる。第1電極21及び第2電極23には、これらの導電性材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
有機EL発光装置10においては、透明性と導電性との観点から、第1電極21に上述の金属酸化物を用い、IZO、IGO、IWZO、GZO、IGZO、ZnO、及び、ZTO、から選ばれる1種類以上を含むことが好ましい。
第1電極21及び第2電極23として、金属酸化物や無機化合物を用いる場合には、使用する材料の体積抵抗にもよるが、厚さを10nm以上500nm以下で形成することが好ましく、さらに100nm以上300nm以下が好ましい。膜厚が10nm未満では金属酸化物や無機化合物が連続膜とならず、所望の導電性が得られない。膜厚が500nmを超えると、屈曲による割れが発生する場合がある。
また、第2電極23には、銀を主成分とする金属薄膜を用いることが好ましい。銀を主成分とする金属としては、銀の含有比率が60at%(原子%)以上であることをいう。銀の含有比率は、導電性の観点から、好ましくは90at%以上であることが好ましく、より好ましくは95at%以上、さらに銀単体で構成されていることが好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、及び、モリブデン等が挙げられる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、第1電極21及び第2電極23の耐硫化性が高まるため好ましい。また、銀と金とが組み合わされると、耐塩(NaCl)性が高まるため好ましい。さらに、銀と銅とが組み合わされると、耐酸化性が高まるため好ましい。
第1電極21及び第2電極23として金属薄膜を用いる場合には、厚さが20nm以下であることが好ましく、5〜15nmの範囲内であることがより好ましい。金属薄膜の厚さを20nm以下とすることにより、金属薄膜による反射が生じ難くなる。さらに、金属薄膜の厚さが20nm以下であると、光学調整層による光学アドミッタンスが調整しやすく、光の反射の抑制が容易となる。金属薄膜の厚さは、エリプソメーターを用いた測定で求めることができる。
第1電極21及び第2電極23は、いずれの方法で作製された層でもよいが、真空蒸着法で形成された層であることが好ましい。真空蒸着法であれば、高温環境に可撓性基材11をさらすことがなく、平面性の高い第1電極21及び第2電極23を、極めて早く形成することができる。第1電極21及び第2電極23の作製に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。また、スパッタ法としては、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。
[外部接続用の電極]
有機EL発光装置10は、第1電極21及び第2電極23を封止部材の外部に引き出すために、発光部分に用いる第1電極21及び第2電極23とは別に、第1電極21の取り出し部や、第2電極の取り出し電極24等の外部接続用の電極を、給電用に有していてもよい。特に、第1電極21、第2電極23電極に金属薄膜を用いる場合には、外部接続用の電極を用いることが好ましい。
取り出し部や取り出し電極24としては、導電性材料を適宜用いることができる。例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属薄膜や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO、IWZO、GZO、IGZO、ZTO、ZnO、TiOx、VOx、CuAlO、CuGaO、SrCu、RuO等の金属酸化物、TiN、ZrN、HfN、CuI、InN、GaN、LaB等の無機化合物が挙げられる。さらに、耐湿性を持つという点から、Pt、Pd、Mo等の材料を用いるか、導電性金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、金属材料であればAlと、Moの積層体が好ましい。透明性の観点から、導電性金属酸化物を用いることがより好ましい。また、取り出し電極24においても、第1電極21及び第2電極23と同様の透明性を有することが好ましい。
[発光ユニット]
発光ユニット22は、少なくとも有機化合物を含む発光層を有して構成される発光体である。また、発光ユニット22は、発光層とともに、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される。発光ユニット22は、第1電極21と第2電極23とからなる一対の電極の間に挟持され、各電極から供給される正孔(ホール)と電子とが発光層内で再結合することで発光する。なお、有機EL素子20は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい。
有機EL素子20おいて、発光ユニット22の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、第1電極21がアノード(陽極)として機能し、第2電極23がカソード(陰極)として機能する場合、発光ユニット22は、第1電極21側から順に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層を積層した構成が例示される。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット22のうち、例えば、電子注入層は無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニット22は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである第2電極23も、必要に応じた積層構造であってもよい。
また、有機EL素子20は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット22を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光ユニット/中間コネクタ層/第2発光ユニット/中間コネクタ層/第3発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット、及び、第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。複数の発光ユニット22は、直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
中間コネクタ層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
[光学調整層]
光学調整層31は、第2電極23の上に設けられている。好ましくは,図1及び図2に示すように、光学調整層31が第2電極23に接して設けられる。光学調整層31は、有機EL素子20からの発光を、外部に取出すための層であり、且つ、有機EL発光装置10の透明性を高めるための層である。光学調整層31の成膜範囲としては、有機EL素子20の保存性の観点から、第1封止層13や封止基板16よりも狭い範囲とすることが好ましい。
光学調整層31は、第2電極23の上に配置することにより、上述の金属材料等によって形成された第2電極23の積層界面での反射や、第2電極23による吸収、及び、干渉を抑制し、第2電極23側からの発光光の取り出し効率を向上させることができる。また、第2電極23の上に配置することにより、有機EL発光装置10の透過光への第2電極23による吸収や干渉による透過率の低下や、透過光の色付きを抑制し、有機EL発光装置10の透明性を向上することが可能となる。
第2電極23の保存性の観点から、第2電極23の側面及び上面が、光学調整層31によって完全に覆われていることが好ましい。すなわち、第2電極23の発光ユニット22と接していない面が、全て光学調整層31によって完全に覆われていることが好ましい。このように、第2電極23の全面が光学調整層31によって覆われている場合にも、取り出し電極24と接続することで給電が可能となる。
光学調整層31は、光透過率を高めるという点から、屈折率が低いほうが好ましい。光学調整層31の屈折率は、1.7以下であり、1.6以下がより好ましく、1.4以下が最も好ましい。屈折率とは、25℃の環境下で測定した、波長550nmにおける屈折率の値とする。屈折率は、市販のエリプソメーターを用いて測定して求めることができる。
光学調整層31を構成する材料としては、上記屈折率の関係を満たす適当な屈折率が得られれば特に制限はなく、既存の化合物を利用できる。光学調整層31を構成する材料 としては、例えば、Al(屈折率1.6)、Ga(屈折率1.5)、SiO(屈折率1.5)、AlF(1.4)、CaF(1.2〜1.4)、CeF(1.6)、GdF(1.6)、LaF(1.59)、LiF(1.3)、MgF(1.4)、MgO(屈折率1.7)、NaF(1.3)等を用いることができる。
有機EL素子20の第2電極23上に、ダメージなく成膜できるという点から、真空成膜できる化合物が好ましい。特に、加熱蒸着やEB(電子銃)蒸着できる化合物が好ましい。また、有機EL素子20の発光ユニットに適用される材料等の種々の有機化合物やポリマー等を用いることもできる。また、光学調整層31は、保存後の光透過率が変化しにくいという点から、金属フッ化物であることが好ましい。
光学調整層31は、所望の光学特性を与えるために10nm以上の厚さで形成することが好ましい。また、有機EL発光装置10の全体の厚さを抑えることから、光学調整層31の厚さは、100nm以下であることが好ましい。
[第1封止層]
第1封止層13は、有機EL素子20への水蒸気の浸入を防止するために設けられる。なお、第1封止層13は、透明性が高くで絶縁性の高い無機化合物で構成することが好ましい。
第1封止層13の材料としては、有機EL素子の劣化をもたらす例えば水分や酸素等の侵入を抑制することが可能な無機材料を用いる。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の任意の材料を用いることができる。第1封止層13は、特性として、水蒸気透過度が約0.01g/[m・day・atm]以下、好ましくは水蒸気透過度が約0.0001g/[m・day・atm]以下、抵抗率が1×1012Ω・cm以上、光線透過率が可視光領域で約80%以上の、ガスバリア性、絶縁性及び透明性を有することが好ましい。
第1封止層13の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法等の手法を用いることができる。
第1封止層13の厚さは、条件に応じて適宜設定されるが、100〜1000nmが好ましい。100nmよりも薄すぎると、パーティクルなどによる第1封止層13のピンホールが発生しやすくなる。一方、第1封止層13の膜厚が1000nmよりも厚すぎると、生産効率の低下や、有機EL発光装置10の耐屈曲性が低下する。また、第1封止層13の膜厚が厚すぎると、第1封止層13の成膜が長期間に及ぶため、成膜時の蓄熱により可撓性基材11が変形する場合もある。なお、第1封止層13の厚さは、有機EL素子20上面(第2電極23上)に形成されている部分の層の厚さとする。有機EL素子20の側面には、有機EL素子20上面と同程度の厚さで第1封止層13が形成されていることが好ましい。
[透明吸湿剤層]
透明吸湿剤層32は、吸湿性化合物を含んで構成される。例えば、吸湿性化合物のみによる構成や、粒子状の吸湿性化合物や吸湿性化合物を含む粒子を、バインダー樹脂中に分散させた構成が挙げられる。また、透明吸湿剤層32としては、シート状の透明吸湿剤層32を用いることができる。支持体上にバインダー樹脂と吸湿性化合物とを含有する透明吸湿剤層32が形成されたシート状透明吸湿剤層を用いることもできる。
吸湿性化合物は、水分の吸着機能を有する化合物であれば特に限定することなく用いることができる。吸湿性化合物としは、化学的に水分を吸着することが可能であり、水分を吸着した後でも、固体状態を維持する化合物であることが好ましい。
透明吸湿剤層32に用いられる吸湿性化合物としては、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト、硫酸ガリウム、硫酸チタン、硫酸ニッケル等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられる。また、金属アルコキシドを用いることもできる。例えば、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドなどを用いることができる。また、多孔質の吸湿剤を用いることも出来る。たとえばナノポーラスシリカ及びゼオライトが挙げられる。上記ナノポーラスシリカやゼオライトは、構造中に孔を有し、この孔に水分子をトラップすることにより、吸湿作用を示す。また、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。また、吸湿性を有するシリカ粉末、モレキュラーシーブ粉末等も吸湿性化合物として用いることができる。
吸湿性化合物としては、アルカリ土類金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の酸化物、及び、無機多孔質材料から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。さらに、これらから選ばれる1種以上の吸湿性化合物を含む吸湿性粒子や、これらから選ばれる1種以上の吸湿性化合物の粒子を用いることが好ましい。透明吸湿剤層32に金属化合物や無機多孔質材料を用いる場合には透明性を確保するために、平均粒径が100nm以下で用いることが好ましい。
透明吸湿剤層32に適用されるバインダー樹脂としては、吸湿剤成分が水分吸着作用を阻害しないことが好ましく、気体透過性の高い材料を用いることが好ましい。バインダー樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアクリル系、ポリアクリロニトリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリカーボネーオ系、フッ素系等の高分子材料を挙げることできる。透明吸湿剤層32が吸湿性化合物とバインダー樹脂とからなる場合には、透明吸湿剤層32が、吸湿性化合物を95〜60質量%、バインダー樹脂を5〜40質量%含むことが好ましい。
また、透明吸湿剤層32を用いることで、有機EL素子10において、接着剤層14による封止基板16の接合力が高められる。これは、第1封止層13を構成する無機材料等に比べ、透明吸湿剤層32を構成する材料 は、接着剤層14との親和性が高く、透明吸湿剤層32との接合力が向上するためと考えられる。このように、透明吸湿剤層32と接着剤層14とが直に接するように有機EL発光装置10を構成することにより、接着剤層14による接合力を高めることができる。このため、可撓性基材11を用いた有機EL発光装置10においても、長期間経過後の接着剤層14の劣化等による、封止基板16の剥がれを抑制することができ、有機EL発光装置10の信頼性を向上させることができる。
[接着剤層]
接着剤層14は、第2封止層15を有する封止基板16を可撓性基材11側に固定するとともに、有機EL素子20や透明吸湿剤層32等を封止するためのシール剤として用いられる。有機EL発光装置10において、接着剤層14は可撓性基材11や封止基板16と同様に透明であることが好ましい。
接着剤層14としては、従来公知の有機EL素子の封止に用いられる樹脂を適用することができる。例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を用いることができる。また、接着剤層14としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を用いることができることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを用いることができることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いることができることができる。
接着剤層14の塗布は、市販のディスペンサーを用いてスクリーン印刷のように封止基板に印刷してもよい。なお、有機EL素子20の発光ユニット22を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着剤層14は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤層14中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
[封止基板]
封止基板16は、有機EL発光装置10において有機EL素子20を封止する第1封止層13を上方から覆うフィルム状の部材であって、接着剤層14によって可撓性基材11側に固定されている。また、封止基板16は、フィルム状に限られる板状等の形態であってもよい。
なお、上述の実施形態の有機EL発光装置10に用いられている可撓性基材11と封止基板16とは、それぞれ同じ構成が適用されていてもよく、それぞれ異なる構成が適用されていてもよい。但し、有機EL発光装置10においては、可撓性基材11と封止基板16とが共に透明性が高いことが好ましい。
[第2封止層]
封止基板16上に設けられる第2封止層15としては、上述の可撓性基材11に設けられるガスバリア層12と同様の構成を適用することができる。第2封止層15としては、上述のガスバリア層12と同様に、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.01g/(m・24h)以下のガスバリア性フィルム(ガスバリア膜等ともいう)であることが好ましい。さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・atm)以下であり、かつ水蒸気透過度が、1×10−5g/(m・24h)以下であることが好ましい。
[反射防止層]
図示していないが、可撓性基材11や封止基板16の外側には、反射防止層が設けられていることが好ましい。有機EL発光装置10の可撓性基材11及び封止基板16の外側、すなわち、有機EL発光装置10の最外層に反射防止層を有することにより、有機EL発光装置10の表面における反射を抑制することができ、有機EL発光装置10の透明性が向上する。
反射防止層としては、光学干渉を利用して反射光強度を低減させる光学フィルムや、モスアイ構造を有する光学フィルム等の反射防止(Anti-Reflection;AR)フィルムを用いることができる。なお、ここで言う反射防止フィルムには、ハードコート樹脂中に粒子を入れ、表面に形成した凹凸を利用した反射光の散乱と、ハードコート樹脂と粒子の屈折率の差による内部散乱を利用することで映り込みを防止する、AG(Anti−Glare)フィルムは含まれない。AGフィルムは、反射光の散乱によるコントラストの低下と、透過光の散乱による光透過率の低下という欠点を持つことから、本実施形態の透明な有機EL発光装置10への適用は好ましくない。
ARフィルムにおける光学干渉層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数及び層順等を考慮して積層されていることが好ましい。光学干渉層は、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層、又は、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と低屈折率層を組み合わせて構成されていることが好ましい。特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される光学干渉層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。また、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の光反射防止層も好ましく用いられる。
ARフィルムとしては、モスアイ構造を有する光学フィルムであることが好ましい。モスアイ(蛾の目)構造を有する光学フィルムとしては、例えば特開2015−52724等に記載の構成を適用することができる。モスアイ構造を有する光学フィルムは、基材表面に100〜数百nm程度の周期で、規則的に配列させた円錐状の微小突起を有する国勢である。モスアイ構造を有する光学フィルムは、連続的に屈折率が変化するような構造となるため、フレネル反射を防止することができる。モスアイ構造を有する光学フィルムは、例えば、アルミニウムの陽極酸化を応用する方法、イオンビーム加工、型押しプレス、ラビング他、様々な方法を用いて作製することができる。基材の材料は、形成するモスアイ構造の材料と屈折率が近いことが好ましく、PETやTACなどが用いられる。
〈2.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第2実施形態)〉
次に、有機EL発光装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の有機EL発光装置の構成を図3及び図4に示す。図3及び図4は、有機EL発光装置10Aのそれぞれ異なる断面を示す図である。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図3及び図4に示す有機EL発光装置10Aは、光学調整層31が、第1光学調整層31Aと第2光学調整層31Bとから構成されている。有機EL発光装置10Aは、光学調整層31が2層構成であることを除き、上述の図1及び図2に示す有機EL発光装置10と同様の構成である。このため、以下の説明では、光学調整層31以外の構成については説明を省略する。
有機EL発光装置10Aは、図3及び図4に示す第1光学調整層31Aと第2光学調整層31Bとのように、光学調整層31として複数の層を有する構成を適用することができる。光学調整層31としては、有機EL発光装置10Aの透明性や有機EL素子20からの光取り出し効率等の光学的な作用を有していれば、構成する層の数や層の種類等特に限定されない。特に、有機EL発光装置10Aの透明性を高めることができるように、光学調整層31の積層構成を設計することが好ましい。
図3及び図4に示す有機EL発光装置10Aでは、光学調整層31として、有機EL素子20の第2電極23上に設けられる第2光学調整層31Bと、光学調整層31の上面側に配置される第1光学調整層31Aとを有している。また、図3に示すように、第2電極23側に設けられる第2光学調整層31Bが、第2電極23の全面を覆う。そして、図4に示すように、第2電極23の側面及び上面から、第2電極23と取り出し電極24との接合部分までが、第2光学調整層31Bによって覆われている。
第1光学調整層31A及び第2光学調整層31Bは、有機EL発光装置10Aの透明性を向上させるため、及び、有機EL素子20からの光取り出し効率を向上させるため設けられている。光学調整層31にこれらの光学的な作用を持たせるためには、第1光学調整層31Aの屈折率を低くし、第2光学調整層31Bの屈折率を高くすることが好ましい。
具体的には、第1光学調整層31Aの屈折率を、1.7以下とすることが好ましい。さらに、第1光学調整層31Aの屈折率は、1.6以下が好ましく、1.4以下がより好ましい。そして、第2光学調整層31Bの屈折率を1.6以上とすることが好ましい。さらに第2光学調整層31Bの屈折率は2.0以上がより好ましく、2.3以上が最も好ましい。特に、光学調整層31において光取り出し効率を向上が向上させるために、積層された第1光学調整層31Aと第2光学調整層31Bとにおいて、第1光学調整層31Aよりも第2光学調整層31Bの屈折率が高いことが好ましい。
第1光学調整層31Aには、上述の第1実施形態の光学調整層と同様の材料、及び、製法を適用することができる。第2光学調整層31Bには、上述の第1実施形態の光学調整層と同様の製法を適用することもできる。また、第2光学調整層31Bを構成する材料 としては、例えば、Al(屈折率1.6)、CeF(1.6)、CeO(屈折率2.2)、GdF(1.6)、HfO(屈折率2.0)、ITO(インジウムスズ酸化物、屈折率2.1)、インジウム亜鉛酸化物(屈折率2.1)、MgO(屈折率1.7)、Nb(屈折率2.3)、Ta(屈折率2.2)、TiO(屈折率2.3〜2.5)、Y(屈折率1.9)、ZnO(屈折率2.1)、ZrO(屈折率2.1)等を用いることができる。第2光学調整層31Bには、上述の第1実施形態の光学調整層と同様の材料を適用することもできる。
また、第2光学調整層31Bは、5nm以下の厚さを有することが好ましい。これは、第2光学調整層31Bの厚さが小さい程、すなわち第1光学調整層31Aと第2電極23との距離が小さい程、有機EL発光装置10Aの光透過率が高くなるためである。また、成膜性の観点から、第2光学調整層31Bは、1nm以上の厚さを有することが好ましい。
第2電極23が金属薄膜である場合には、第2光学調整層31Bとして、第2電極23による反射や、表面プラズモン共鳴等を抑制することが可能な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、保存後の光透過率が変化しにくいという点から、硫黄原子を有する有機化合物(硫黄含有化合物)、及び、窒素原子を有する有機化合物(窒素含有化合物)が挙げられる。
第2光学調整層31Bに適用可能な窒素含有化合物の具体例としては、例えば、特開2015−060728号公報等に記載の窒素含有化合物を挙げることができる。
第2光学調整層31Bに適用可能な硫黄含有化合物の具体例としては、例えば、特開2015−060728号公報等に記載の硫黄含有化合物を挙げることができる。
〈3.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第3実施形態)〉
次に、有機EL発光装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態の有機EL発光装置の構成を図5及び図6に示す。図5及び図6は、有機EL発光装置10Bのそれぞれ異なる断面を示す図である。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図5及び図6に示す有機EL発光装置10Bは、第1封止層13と透明吸湿剤層32との間に、封止部材が設けられていることを除き、上述の図3及び図4に示す第2実施形態の有機EL発光装置10Aと同様の構成である。このため、以下の説明では、第1封止層13と透明吸湿剤層32、及び、この間に設けられる封止部材以外の構成については説明を省略する。
有機EL発光装置10Bは、第1封止層13上に、第2接着剤層34を介して、第3封止層35を有する第2封止基板36が設けられ、さらに、第2封止基板36上に透明吸湿剤層32が配置されている。第2封止基板36は、第3封止層35が形成されている面を第1封止層13側に向けて、第2接着剤層34によって第1封止層13上に貼り合わされている。
第2封止基板36は、上述の封止基板16(以下、第1封止基板16)と同様の構成を適用できる。第3封止層35は、第2封止層15と同様の構成を適用することができる。第2接着剤層34は、接着剤層14(以下、第1接着剤層14)と同様の構成を適用できる。
有機EL発光装置10Bにおいては、第3封止層35を有する第2封止基板36を配置することにより、有機EL素子20に対する封止性が高まる。特に、第1封止層13と透明吸湿剤層32との間に第3封止層35を配置することにより、透明吸湿剤層32から第1封止層13への水分の侵入を、第3封止層35で抑制することができる。このため、有機EL素子20に対する水分の影響が抑制され、有機EL発光装置10Bの信頼性が向上する。
上述の有機EL発光装置10Bのように、第1封止層13と透明吸湿剤層32との間に、他の層を設ける構成も可能である。第1封止層13と透明吸湿剤層32との間には、上述の第3封止層35や第2封止基板36等の封止部材だけでなく、この封止部材とともに他の層が設けられていてもよい。また、上述の封止部材を設けられずに、他の層のみが設けられていてもよい。第1封止層13と透明吸湿剤層32との間には、第2封止基板36や第2接着剤層34を設けずに、第3封止層35のみが設けられる構成であってもよい。
〈4.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(4実施形態)〉
次に、有機EL発光装置の第4実施形態について説明する。第4実施形態の有機EL発光装置の構成を図7及び図8に示す。図7及び図8は、有機EL発光装置10Cのそれぞれ異なる断面を示す図である。なお、以下の説明においては、上述の第1実施形態、第2実施形態、及び、第3実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図7及び図8に示す有機EL発光装置10Cは、上述の図5及び図6に示す有機EL発光装置10Bの構成とともに、第4封止層38を有する第2可撓性基材37を有する。有機EL発光装置10Cにおいて、第1可撓性基材11から透明吸湿剤層32までの積層構造は、上述の図5及び図6に示す第3実施形態の有機EL発光装置10Bと同様の構成である。図7及び図8に示す有機EL発光装置10Cは、第1接着剤層14C、第2封止層15及び第1封止基板16の構成が、図5及び図6に示す有機EL発光装置10Bにおける第1接着剤層14、第2封止層15及び第1封止基板16の構成と異なる。
図7に示す有機EL発光装置10Cは、可撓性基材11(以下、第1可撓性基材11)から、有機EL素子20、光学調整層31、第1封止層13、第2接着剤層34、第2封止基板36、透明吸湿剤層32までの構成が、第1接着剤層14C内に配置されている。さらに、第2可撓性基材37の第4封止層38と、第1可撓性基材11との間にも第1接着剤層14Cが設けられている。このため、第1可撓性基材11から透明吸湿剤層32までの積層構造は、全面が第1接着剤層14Cによって覆われている。
また、図8に示すように、有機EL素子20の第1電極21には、導電性接着剤25を介して、第1導電性部材26が接続されている。さらに、第2電極23の取り出し電極24には、導電性接着剤27を介して、第2導電性部材28が接続されている。有機EL発光装置10Cが、第1電極21又は第2電極23と電気的に接続する第1導電性部材26及び第2導電性部材28を有することにより、有機EL素子20の第1電極21及び第2電極23を、第1接着剤層14Cの外部に導出することができる。このように、可撓性基材11に引出された第1電極21及び取り出し電極24が、第1接着剤層14Cによって覆われている場合にも、第1導電性部材26及び第2導電性部材28を接続することで、有機EL素子20に給電が可能となる。
また、第2可撓性基材37は、第4封止層38を内側(第1可撓性基材11側)に向けて配置されている。そして、第2可撓性基材37と第1封止基板16とが、それぞれ第4封止層38と第2封止層15とを向き合わせて第1接着剤層14Cによって貼り合わされている。
第2可撓性基材37は、上述の第1可撓性基材11と同様の構成を適用できる。第4封止層38は、ガスバリア層12や第2封止層15と同様の構成を適用することができる。第1接着剤層14Cは、上述の図1及び図2に示す第1実施形態の第1接着剤層14と同様の構成を適用できる。
有機EL発光装置10Cにおいては、第4封止層38を有する第2可撓性基材37を配置することにより、有機EL素子20に対する封止性が高まる。特に、有機EL素子20の下面側(第1可撓性基材11側)においてガスバリア層12と第4封止層38とが積層されるため、有機EL素子20の下面側からの水分の侵入をさらに抑制することができる。従って、有機EL素子20に対する水分の影響が抑制されるため、有機EL発光装置10Cの信頼性が向上する。
また、有機EL発光装置10Cでは、第1可撓性基材11と、第4封止層38を有する第2可撓性基材37との間に、接着剤層14Cが設けられている。この構成は、例えば、第4封止層38上に接着剤層14Cを形成し、接着剤層14C及び第4封止層38を有する第2可撓性基材37を、第1可撓性基材11に貼り合せることで形成することができる。このように、第2可撓性基材37を接着剤層14Cで貼り合わせる工程によって有機EL発光装置10Cを作製することができるため、製造工程の複雑化を抑制することができる。
[導電性部材]
第1導電性部材26及び第2導電性部材28は、抵抗値が低く薄膜の部材であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、圧延銅箔、銀箔、金箔等の金属箔を加工したビニル被服導線等が挙げられる。金属箔を加工したビニル被服導線としては、ポリエチレンテレフタラート樹脂をラミネートしたアルミ箔、銅箔にポリイミド樹脂を貼り付けた銅張ポリイミドフィルム等が挙げられる。さらに、銅張ポリイミドフィルムにパターニングや切り抜き加工等をして駆動回路を実装したフレキシブルプリント基板(FPC)等を用いることができる。
[導電性接着剤]
導電性接着剤25としては、異方性導電性フィルム、及び、バインダー中に金属微粒子や、金属コートされた微粒子を含む導電性ペースト等の流動性材料を用いることができる。
金属微粒子としては、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、亜鉛、スズ、鉄等を有する微粒子が挙げられる。これらの金属は単体で用いられてもよいし、合金として用いてもよいし、化合物として用いてもよい。また、金属粒子をさらに金属メッキして用いてもよい。金属コートされた微粒子としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂、シリカ、ガラス、セラミック等が、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、亜鉛等の金属で被覆された微粒子が挙げられる。金属微粒子や金属コートされた微粒子の粒径は、5nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下がさらに好ましく、100nm以上10μm以下が最も好ましい。
異方性導電フィルムとしては、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス社製のACFや、日立化成製のANISOLM等が挙げられる。また、金属ペーストとして、藤倉化成製のドータイト、株式会社ニラコ社製の銀導電性接着剤、ヘンケルジャパン社製導電性Hysolダイアタッチ等が挙げられる。
実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈試料101の有機EL発光装置の作製〉
[ガスバリア層付き可撓性基材の準備]
可撓性基材として、両面を表面活性化処理した、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)を準備した。そして、この可撓性基材の一方の面に、下記の方法で有機帯電防止剤を含む帯電防止層を形成した。
(帯電防止層(有機帯電防止剤)の作製)
下記の方法に従って調整したコロイダルシリカ含有単量体を用いて、有機帯電防止剤(帯電防止ハードコート剤)を調整した。そして、この有機帯電防止剤を用いて帯電防止層を形成した。
(コロイダルシリカ含有単量体の調整)
溶媒として酢酸エチルを用いて分散したコロイダルシリカ(SiO成分30質量%、平均粒子径20nm、日産化学(株)製)130質量部に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)(分子量155、昭和電工(株)製)30質量部と、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫(DBTDL)0.1質量部を加えて、室温(25℃)で24時間撹拌した。撹拌後、赤外分光法によりイソシアネート基の反応の確認を行い、エバボレーターで溶媒である酢酸エチルを除去して、コロイダルシリカ含有単量体を得た。
(帯電防止ハードコート剤の調整)
上記で製造したコロイダルシリカ含有単量体(不揮発分:36質量%)の100質量部に、Li+/CF3SO3−のメチルエチルケトン溶液(不揮発分:50質量%、三光化学工業(株)製)の5質量部を混合して撹拌した。開始剤としては、Irgacure907(BASFジャパン社製)を1質量部加え、有機帯電防止剤である帯電防止ハードコート剤を調製した。
(帯電防止層の形成)
次に、可撓性基材上に、調製した有機帯電防止剤を硬化後の厚さが10μmとなる条件で、塗布及び乾燥した。この後、80W/cmの水銀灯を用い、300mJの条件で紫外線照射処理を行い、帯電防止層を形成した。
(下地層の作製)
次に、可撓性基材のもう一方の面に厚さ2μmの下地層を形成した。具体的には、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527(JSR社製)を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布した。塗膜を80℃で乾燥した後、大気下で高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量が0.5J/cmの紫外線を照射する硬化処理を施した。
(ガスバリア層の作製)
下地層を形成した可撓性基材を120mm×100mmの大きさで切り出し、下地層上に、ケイ素含有ポリマー改質層を、以下のようにして形成した。
無触媒のパーヒドロポリシラザンの20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)とを、4:1の割合で混合し、更に厚さの調整のためにジブチルエーテルで適宜希釈して、塗布液を調製した。
下地層上に調整した塗布液をダイコーターで乾燥後の厚さが100nmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。次に、乾燥した塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプ(エキシマランプ光強度:130mW/cm)を有する真空紫外線照射装置(試料の塗布層表面とエキシマランプ管面との最短距離が3mm)を用い、真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)2.5J/cmで真空紫外線照射処理を行った。この際、照射雰囲気は窒素で置換し、酸素濃度は0.1体積%とした。また、試料を設置するステージ温度を80℃とした。
続いて、厚さ300nmのケイ素化合物層をプラズマCVD法によりそれぞれ形成した。ケイ素化合物層の成膜条件は、以下のとおりである。
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン:HMDSO)の供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
さらに、プラズマCVD法によって作製したケイ素化合物層上に、ケイ素含有ポリマー改質層を上記と同様にして300nmの膜厚で作製した。
以上の方法により、ガスバリア層付き可撓性基材を作製した。
[第1電極(陽極)及び外部接続用の電極の作製]
市販のスパッタ装置に、In:ZnO(90質量%:10質量%)のターゲットを取り付け、以下の条件にて、厚さ250nmのIZOからなる第1電極(陽極)と、第1電極の外部接続用の電極と、第2電極の外部接続用の電極を形成した。なお、第1電極の取り出し部としては、第1電極から延長した形状に取出し部を作製した。また、第1電極と離れた位置で第2電極と接続可能な位置に、第2電極用の取り出し電極を作製した。
全圧:0.4MPa
アルゴン流量:99sccm
酸素流量:1sccm
出力:5W/cm
[発光ユニットの作製]
作製した第1電極上に、以下のようにして、発光ユニットを作製した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、それぞれ素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記化合物M−2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で第1電極上に蒸着し、厚さ40nmの正孔注入輸送層を形成した。
Figure 2017195131
次に、下記化合物BD−1及び下記化合物H−1を、化合物BD−1が5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
Figure 2017195131
次に、下記化合物GD−1、下記化合物RD−1及び下記化合物H−2を、化合物GD−1が17%、化合物RD−1が0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
Figure 2017195131
その後、下記化合物ET−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、厚さ30nmの電子輸送層を形成した。
Figure 2017195131
さらに、LiFを厚さ1.5nmにて電子注入層を形成した後に、アルミニウム0.6nmを蒸着した。
[第2電極(陰極)の作製]
続いて、発光ユニット上に、銀を蒸着速度0.3nm/秒で8nm蒸着し、第2電極(陰極)とした。
[光学調整層の作製]
第2電極上に、電子銃蒸着用のるつぼにセットしておいたフッ化マグネシウム(MgF)を、電子銃を用いて蒸着し、厚さ45nmの第1光学調整層を形成した。蒸着速度は、約1nm/secとした。
[第1封止層の作製]
以下の条件で、窒化ケイ素膜をデポアップ方式のプラズマCVD成膜装置によって成膜し、第1封止層を形成した。窒化ケイ素膜の膜厚は、300nmとした。
窒化ケイ素膜は、基材に対面するように設けられた電極と、この電極にプラズマ励起電力を供給する高周波電源と、基材を保持する保持部材に対してバイアス電力を供給するバイアス電源と、電極に向けてキャリアガスや原料ガスを供給するガス供給手段と、を備えたプラズマCVD成膜装置で成膜した。
成膜ガスは、シランガス(SiH)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)を用いた。これらのガスの供給量は、シランガスが100sccm、アンモニアガスが200sccm、窒素ガスが500sccm、水素ガスが500sccmとした。
また、成膜圧力は、50Paとした。
電極には、高周波電源から周波数13.5MHzで3000Wのプラズマ励起電力を供給した。さらに、保持部材には、バイアス電源から500Wのバイアス電力を供給した。
[第2封止層付き封止基板の貼り合せ]
(接着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂として「オパノールB50(BASF製、Mw:34万)」100質量部、ポリブテン樹脂として「日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)」30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤として「TINUVIN765(BASF・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)」0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として「IRGANOX1010(BASF・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)」0.5質量部、及び、環状オレフィン系重合体として「Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)」50質量部を、トルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の接着剤組成物を調製した。
(封止基板の作製)
上述の方法で作製したガスバリア層付き可撓性基材と同じものを用意し、このガスバリア層付き可撓性基材を第2封止層付き封止基板とした。次に、調製した上記接着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される接着剤層の厚さが20μmとなるように封止基板の第2封止層(ガスバリア層)側となる表面に塗工し、120℃で2分間乾燥させて接着剤層を形成した。次に、形成した接着剤層に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止基板を作製した。
上述の方法で作製した封止基板を、窒素雰囲気下24時間以上放置した。
放置後、剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターで有機発光素子の第2電極を覆う形でラミネートした。更に、120℃で30分加熱し封止し、有機EL発光装置101を作製した。
〈試料102の有機EL発光装置の作製〉
MgFの替わりに下記の方法で有機化合物Aを用いて厚さ45nmの光学調整層を作製した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料102の有機EL発光装置を作製した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、下記の有機化合物Aを充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。真空度1×10−4Paまで減圧した後、有機化合物Aの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で第2電極上に蒸着し、厚さ45nmの光学調整層を作製した。
Figure 2017195131
〈試料103の有機EL発光装置の作製〉
第1封止層上に下記の方法で透明吸湿剤層を作製し、この透明吸湿剤層上から第2封止層付き封止基板を貼り付けた以外は、上述の試料101と同様の方法で試料103の有機EL発光装置を作製した。すなわち、試料103の有機EL発光装置は、発光ユニット上において「第2電極/第1光学調整層/第1封止層/透明吸湿剤層」の順に積層され、有機EL素子とともに、第1光学調整層が第1封止層によって覆われ、第1封止層上に透明吸湿剤層を備える構成である。
[透明吸湿剤層(金属アルコキシド)の作製]
アルコキシアルミニウムを含む乾燥剤として、OleDry−L3(双葉電子社製)を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)上に膜厚10μmで塗布及び乾燥し、透明吸湿剤層付きの基板を作製した。そして、この透明吸湿剤層付きの基板を、透明吸湿剤層が第1封止層側となるように張り合わせた。
〈試料104の有機EL発光装置の作製〉
第1光学調整層上に、上述の試料103と同様の方法で透明吸湿剤層を形成した後、上述の試料101と同様の方法で第1封止層を作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料104の有機EL発光装置を作製した。
〈試料105の有機EL発光装置の作製〉
第2電極上に、上述の試料103と同様の方法で透明吸湿剤層を形成した後、上述の試料101と同様の方法で第1光学調整層を作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料105の有機EL発光装置を作製した。
〈試料106の有機EL発光装置の作製〉
第1光学調整層の作製にCaFを用いた以外は、上述の試料103と同様の方法で試料106の有機EL発光装置を作製した。
〈試料107の有機EL発光装置の作製〉
上記有機化合物Aを用いて上述の試料102と同様の方法で第1光学調整層を作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料107の有機EL発光装置を作製した。
〈試料108の有機EL発光装置の作製〉
透明吸湿剤層を、下記の方法で形成した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料108の有機EL発光装置を作製した。
[透明吸湿剤層(BaO)の作製]
酸化バリウムBaO(平均粒径は、50〜80nm)100質量と、エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン9質量と、無水エタノール400質量部とを混合し、分散させた。ここに、エポキシアクリレート(EXS74−16、東亜合成株式会社製)2700質量部を加え、塗布液とした。さらに、この塗布液を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)上に膜厚10μmで塗布及び乾燥し、透明吸湿剤層付基板を作製した。そして、この透明吸湿剤層付基板を、透明吸湿剤層側が有機EL層側となるように、第1封止層上に貼り合せた。
〈試料109の有機EL発光装置の作製〉
透明吸湿剤層を、上述の試料108と同様の方法で形成した以外は、上述の試料107と同様の方法で試料109の有機EL発光装置を作製した。
〈試料110の有機EL発光装置の作製〉
下記の方法で、第2電極上に第2光学調整層を作製し、この第2光学調整層上に第1光学調整層を作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料110の有機EL発光装置を作製した。
[第2光学調整層(TPD)の作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、下記のTPD(トリフェニルジアミン)を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。真空度1×10−4Paまで減圧した後、TPDの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で第2電極上に蒸着し、厚さ45nmの第2光学調整層を作製した。
Figure 2017195131
〈試料111の有機EL発光装置の作製〉
第2光学調整層を上述の試料110と同様の方法で形成した以外は、上述の試料108と同様の方法で試料111の有機EL発光装置を作製した。
〈試料112の有機EL発光装置の作製〉
下記の方法で、第2電極上に第2光学調整層を作製し、この第2光学調整層上に第1光学調整層を作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料112の有機EL発光装置を作製した。
[第2光学調整層(窒素化合物)の作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、下記の窒素化合物を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。真空度1×10−4Paまで減圧した後、窒素化合物の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で第2電極上に蒸着し、厚さ45nmの第2光学調整層を作製した。
Figure 2017195131
〈試料113の有機EL発光装置の作製〉
第2光学調整層を上述の試料112と同様の方法で形成した以外は、上述の試料108と同様の方法で試料113の有機EL発光装置を作製した。
〈試料114の有機EL発光装置の作製〉
下記の方法で、第2電極上に第2光学調整層を作製し、この第2光学調整層上に第1光学調整層を作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で試料114の有機EL発光装置を作製した。
[第2光学調整層(酸化ニオブ)の作製]
第2電極上に、電子銃蒸着用のるつぼにセットしておいた酸化ニオブ(NbO)を、電子銃を用いて蒸着し、厚さ45nmの第2光学調整層を形成した。蒸着速度は、約1nm/secとした。
〈試料115の有機EL発光装置の作製〉
第2光学調整層を上述の試料114と同様の方法で形成した以外は、上述の試料108と同様の方法で試料115の有機EL発光装置を作製した。
下記表1に、上述の試料101〜115の有機EL発光装置における、発光ユニット上から接着剤層までの積層構成を示す。
Figure 2017195131
〈評価方法〉
作製した試料101〜115の有機EL発光装置に対し、下記の評価を行なった。
作製した各有機EL発光装置の全光線透過率(%)を、日本電色工業株式会社製NDH7000を用いて、JIS K 7361準拠して測定した。各有機EL発光装置の評価は、試料101の有機EL発光装置の透過率を100とする相対値によって評価した。
[保存後の発光面積の残存率・透過率変化・発光均一性]
作製した各有機EL発光装置について、市販のデジタルマイクロスコープを用いて発光画像を記録し、発光面積を測定した。次に、各有機EL発光装置を、60℃90%の環境で200時間保管した後に、同様に全光線透過率と、発光画像、発光面積を測定した。そして、保管前後での有機EL発光装置の全光線透過率の変化、及び、発光面積の残存率を求めた。
また、記録した発光画像を目視で比較し、保存後の有機EL発光装置の発光均一性を以下の基準で評価した。
A:発光の均一性に変化が見られない
B:わずかにムラの発生などが見られるが実用上影響ない
C:ややムラの発生があるが、実用上影響がない
D:ムラの発生が大きく、実用上大きく影響がある。
[保存後の密着性]
各有機EL発光装置を、60℃90%の環境で200時間保管した後に、直径100mmの円筒に、可撓性基材を内側にして巻きつけ、元に戻し、可撓性基材を外側にして巻きつけた。巻きつけの動作を、内側10回、外側10回繰り返したのち、可撓性基材と、封止基板の剥がれを確認した。
A:剥がれは見られない
B:発光にかからない周囲部に剥がれが見られた
C:発光部にも剥がれが見られた
D:完全に剥離した
上記試料101〜115の有機EL発光装置の主要な構成、透過率、及び、保存後の透過率変化、発光面積の残存率、発光均一性、密着性の評価結果を表2に示す。
Figure 2017195131
表2に示すように、透明吸湿剤層を有していない試料101、試料102は、保存後の発光面積の残存率、透過率の変化、及び、発光均一性が、透明吸湿剤層を有する他の試料よりも低い。
さらに、透明吸湿剤層が第1封止層内に配置されている試料104、試料105は、第1封止層上に透明吸湿剤層が配置されている試料103、試料106〜115よりも、保存後の発光面積の残存率、透過率の変化、及び、発光均一性が、低下している。この結果から、有機EL発光装置において、第1封止層の外部に透明吸湿剤層を設けることにより、有機EL発光装置の信頼性が向上することがわかる。
第2電極の直上に光学調整層が配置されていない試料105は、第2電極の直上に光学調整層が配置されている試料103、試料104に比べて透過率が僅かに低い。これは、第2電極の直上に光学調整層が配置されることにより、金属薄膜によって形成された第2電極の吸収や干渉による透過率の低下を抑制できたためと考えられる。従って、第2電極の直上に光学調整層を配置することにより、有機EL発光装置の透明性を向上させることができる。
さらに、透明吸湿剤層を有していない試料101、試料102や、吸湿剤層と接着剤層とが接していない試料104、試料105は、吸湿剤層と接着剤層とが直に接している他の試料に比べて、密着性の評価が低い。この結果から、接着剤層を、第1封止層を構成する無機材料よりも、吸湿剤層に貼り合わせた方が、接着剤層の接合力が向上し、封止基板の剥離が抑制されることがわかる。従って、吸湿剤層と接着剤層とが直に接している構成とすることにより、有機EL発光装置の信頼性が向上する。
同じ層構成を有し、光学調整層及び透明吸湿剤層を構成する材料が異なる試料103、試料106〜109では、いずれも同等の結果が得られている。このため、光学調整層及び透明吸湿剤層には、種々の材料を適用することができる。
また、第2光学調整層を有する試料110〜115は、第2光学調整層を有していない試料101〜109に比べて、透過率が良好である。従って、第2電極の直上に金属薄膜を安定化させる窒素化合物や屈折率の高い酸化ニオブ等を設けることにより、有機EL発光装置の透明性が向上する。
〈試料201の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料103の有機EL発光装置において、透明吸湿剤層上に、下記の方法で第2接着剤層、第3封止層、及び、第2封止基板を形成し、試料201の有機EL発光装置を作製した。
[第3封止層付き第2封止基板の貼り合せ]
上述の試料101において作製したガスバリア層付き可撓性基材を準備し、これを第3封止層付き第2封止基板とした。そして、試料101において調整した接着剤組成物を用いて、乾燥後の厚さが20μmとなるように第3封止層側に塗工し、120℃で2分間乾燥させて第2接着剤層を形成した。以下、上述の試料101における第2封止層付き封止基板の貼り合せと同様の方法で、透明吸湿剤層上に第3封止層付き第2封止基板を貼り合せた。さらに、上述の試料101と同様に、第2封止基板上から接着剤層を用いて第2封止層付き封止基板を貼り合せて有機EL発光装置を封止した。
〈試料202の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料108の有機EL発光装置において、上述の試料201と同様の方法で、第2接着剤層、第3封止層、及び、第2封止基板を形成し、試料202の有機EL発光装置を作製した。
〈試料203の有機EL発光装置の作製〉
第4封止層を有する第2可撓性基材を準備し、上述の試料201の有機EL発光装置の可撓性基材側に、接着剤層を用いて第4封止層側を貼り合せて、試料203の有機EL発光装置を作製した。なお、第4封止層を有する第2可撓性基材及び接着剤層は、上述の試料101のガスバリア層付き可撓性基材及び接着剤層と同じものを用いた。
〈試料204の有機EL発光装置の作製〉
第4封止層を有する第2可撓性基材を準備し、上述の試料202の有機EL発光装置の可撓性基材側に、接着剤層を用いて第4封止層側を貼り合せて、試料204の有機EL発光装置を作製した。なお、第4封止層を有する第2可撓性基材及び接着剤層は、上述の試料101のガスバリア層付き可撓性基材及び接着剤層と同じものを用いた。
〈試料205の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料110の有機EL発光装置において、透明吸湿剤層上に、上述の試料201と同様の方法で第2接着剤層、第3封止層、及び、第2封止基板を形成し、試料205の有機EL発光装置を作製した。
〈試料206の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料111の有機EL発光装置において、透明吸湿剤層上に、上述の試料202と同様の方法で第2接着剤層、第3封止層、及び、第2封止基板を形成し、試料206の有機EL発光装置を作製した。
〈試料207の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料110の有機EL発光装置に、上述の試料203と同様の方法で第4封止層を有する第2可撓性基材を貼り合せ、試料207の有機EL発光装置を作製した。
〈試料208の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料111の有機EL発光装置に、上述の試料204と同様の方法で第4封止層を有する第2可撓性基材を貼り合せ、試料208の有機EL発光装置を作製した。
〈試料209の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料112の有機EL発光装置において、透明吸湿剤層上に、上述の試料201と同様の方法で第2接着剤層、第3封止層、及び、第2封止基板を形成し、試料209の有機EL発光装置を作製した。
〈試料210の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料113の有機EL発光装置において、透明吸湿剤層上に、上述の試料202と同様の方法で第2接着剤層、第3封止層、及び、第2封止基板を形成し、試料210の有機EL発光装置を作製した。
〈試料211の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料112の有機EL発光装置に、上述の試料203と同様の方法で第4封止層を有する第2可撓性基材を貼り合せ、試料211の有機EL発光装置を作製した。
〈試料212の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料113の有機EL発光装置に、上述の試料204と同様の方法で第4封止層を有する第2可撓性基材を貼り合せ、試料212の有機EL発光装置を作製した。
下記表3に、上述の試料201〜212の有機EL発光装置における主要な積層構成を示す。また、下記表4に、作製した試料201〜212の有機EL発光装置の主要な構成、及び、各有機EL発光装置に対して行なった、上述の実施例1と同様の評価の結果を示す。
Figure 2017195131
Figure 2017195131
表4に示すように、第3封止層を有する第2封止基板を備える試料201〜212の有機EL発光装置では、上述の実施例1の各試料比べて、保存後の評価が良好である。なかでも、第4封止層を有する第2可撓性基材を備える試料203,204,207,208,211,212は、第2可撓性基材を備えない試料201,202,205,206,209,210に比べて、保存後の発光面積の残存率が良好である。また、第2光学調整層を有する試料205〜212は、第2光学調整層を有していない試料201〜104に比べて、透過率が良好である。従って、第3封止層や第4封止層を有する構成においても、第2光学調整層を設けることにより、有機EL発光装置の透明性が向上する。
保存後の発光均一性は、第2可撓性基材を備えない試料201,202,205,206,209,210の方が、第2可撓性基材を備える試料203,204,207,208,211,212よりも、良好である。この結果から、有機EL素子を封止する封止層や基板の数が増える程、発光面積の残存率が高くなるものの、有機EL発光装置の積層数が増えるため、透過率が低下しやすくなると考えられる。
〈試料301の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料211の有機EL発光装置において、第2可撓性基材の裏面側(第4封止層と反対側)に、感圧接着層の両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名HJ−9150W)を用い、反射防止フィルムとして積層塗布型ARフィルム(東レ(株)製、商品名ルミクリア)を張り合わせて、試料301の有機EL発光装置を作製した。
〈試料302の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料212の有機EL発光装置において、第2可撓性基材の裏面側(第4封止層と反対側)に、感圧接着層の両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名HJ−9150W)を用い、反射防止フィルムとして積層塗布型ARフィルム(東レ(株)製、商品名ルミクリア)を張り合わせて、試料302の有機EL発光装置を作製した。
〈試料303の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料211の有機EL発光装置において、第2可撓性基材の裏面側(第4封止層と反対側)に、感圧接着層の両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名HJ−9150W)を用い、反射防止フィルムとしてモスアイ構造のARフィルム(三菱レイヨン(株)製 商品名モスマイトTM)を張り合わせて、試料303の有機EL発光装置を作製した。
〈試料304の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料212の有機EL発光装置において、第2可撓性基材の裏面側(第4封止層と反対側)に、感圧接着層の両面粘着テープ(日東電工(株)製、商品名HJ−9150W)を用い、反射防止フィルムとしてモスアイ構造のARフィルム(三菱レイヨン(株)製 商品名モスマイトTM)を張り合わせて、試料304の有機EL発光装置を作製した
下記表5に、上述の試料301〜304の有機EL発光装置における主要な積層構成を示す。また、下記表6に、作製した試料301〜304の有機EL発光装置の主要な構成、及び、各有機EL発光装置に対して行なった、上述の実施例1と同様の評価の結果を示す。
Figure 2017195131
Figure 2017195131
表6に示すように、有機EL発光装置には、反射防止フィルム等の光学部材を適用することも可能である。反射防止フィルム等の光学部材を適用することにより、有機EL発光装置の透過率が向上する。このような光学部材の適用は、有機EL発光装置のいずれの面であっても効果を有すると考えられ、有機EL発光装置の一方の面、又は、両面に光学部材を適用することにより、有機EL発光装置の透過率や光取り出し効率を高めることができると考えられる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,10A,10B,10C 有機EL発光装置、11 可撓性基材(第1可撓性基材)、12 ガスバリア層、13 第1封止層、14,14C 接着剤層(第1接着剤層)、15 第2封止層、16 封止基板(第1封止基板)、20 有機EL素子、21 第1電極、22 発光ユニット、23 第2電極、30 透明導電部材、31 光学調整層、31A 第1光学調整層、31B 第2光学調整層、32 透明吸湿剤層、34 第2接着剤層、35 第3封止層、36 第2封止基板、37 第2可撓性基材、38 第4封止層

Claims (9)

  1. 可撓性基材と、
    前記可撓性基材上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子上に設けられた光学調整層と、
    前記可撓性基材上において、前記有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、前記光学調整層を封止する第1封止層と、
    前記第1封止層上に設けられた透明吸湿剤層と、
    前記透明吸湿剤層、及び、前記第1封止層を封止する第2封止層と、を備える
    有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  2. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、可撓性基材上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた発光ユニットと、前記発光ユニット上に設けられた第2電極とからなり、前記光学調整層が、前記第2電極に接して形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  3. 前記第2電極が金属薄膜である請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  4. 前記光学調整層として、波長550nmにおける屈折率が1.7以下の層を含む請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  5. 前記光学調整層として、前記第2電極と接する層に、波長550nmにおける屈折率が1.6以上の層を有する請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  6. 前記第1封止層と前記透明吸湿剤層との間に、第3封止層を備える請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  7. 第4封止層を備え、前記可撓性基材が前記第4封止層上に設けられ、前記第2封止層と前記第4封止層とによって、前記可撓性基材、前記第1封止層、及び、前記透明吸湿剤層が封止される請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  8. 前記第2電極の側面及び上面が、前記光学調整層によって完全に覆われている請求項2 に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  9. 前記第2封止層が、接着剤層によって前記吸湿剤層上に貼り合わされている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
JP2016085789A 2016-04-22 2016-04-22 有機エレクトロルミネッセンス発光装置 Withdrawn JP2017195131A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016085789A JP2017195131A (ja) 2016-04-22 2016-04-22 有機エレクトロルミネッセンス発光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016085789A JP2017195131A (ja) 2016-04-22 2016-04-22 有機エレクトロルミネッセンス発光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017195131A true JP2017195131A (ja) 2017-10-26

Family

ID=60156505

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016085789A Withdrawn JP2017195131A (ja) 2016-04-22 2016-04-22 有機エレクトロルミネッセンス発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017195131A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7515665B2 (ja) 2019-05-07 2024-07-12 キヤノン株式会社 有機デバイス、表示装置、撮像装置、照明装置および移動体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7515665B2 (ja) 2019-05-07 2024-07-12 キヤノン株式会社 有機デバイス、表示装置、撮像装置、照明装置および移動体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006228519A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP6003892B2 (ja) 面状発光体
WO2011114882A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンスパネル及び有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法
JP6597619B2 (ja) 透明電極、透明電極の製造方法、及び、電子デバイス
JP2008273211A (ja) 透明ガスバリア性部材及びこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
US20170100926A1 (en) Method of manufacturing electronic device and composite film
WO2016009958A1 (ja) 有機電界発光素子
WO2016031877A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6648752B2 (ja) 封止構造体
JP6489016B2 (ja) 電子デバイスおよびその製造方法
US20140070186A1 (en) Organic light emitting diode display and manufacturing method thereof
WO2013051358A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、面状発光体、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2010055894A (ja) 発光素子用封止フィルム
JP2016051569A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2017077684A (ja) ガスバリアフィルム、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子
US20190150235A1 (en) Organic electroluminescent light emitting device
JP6201807B2 (ja) 有機発光素子の製造方法及び有機発光素子
JP2017195131A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス発光装置
JP2018098134A (ja) 光透過型有機エレクトロルミネッセンスパネルおよび有機エレクトロルミネッセンス光源装置
WO2011105141A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP6303835B2 (ja) 電子デバイス
WO2012113177A1 (zh) 用薄膜密封的有机发光二极管及其制造方法
JP7105252B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2018097943A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス発光装置
JP2021073673A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス発光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181225

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20190510