JP2017193541A - 関節リウマチを治療するための医薬組成物 - Google Patents

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安田 信之
Nobuyuki Yasuda
信之 安田
文利 田胡
Fumitoshi Tago
文利 田胡
馬場 裕子
Hiroko Baba
裕子 馬場
智久 仲野
Tomohisa Nakano
智久 仲野
雅彦 森
Masahiko Mori
雅彦 森
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、ヒト被験体への投与後に、関節リウマチに治療上有効な改善をもたらす、抗フラクタルカイン抗体を含む医薬組成物を提供することである。
【解決手段】 関節リウマチを治療するための医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、抗フラクタルカイン抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含んでおり、ヒトに対して、1回あたり少なくとも100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下反復投与されるように用いられることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗フラクタルカイン抗体を含む、関節リウマチを治療するための医薬組成物に関する。
フラクタルカイン(「FKN」とも称する)は、LPS、TNF−α、IL−1などの炎症刺激により血管内皮細胞の表面に発現する膜結合型ケモカインである。FKN受容体のCX3CR1を発現する細胞は、セレクチンまたはインテグリンの介在なしに膜結合型FKNと結合し、強力な細胞接着を引き起こす。また、膜結合型FKNからシェディングされた分泌型FKNは、CX3CR1を有するNK細胞、T細胞、単球に対して細胞遊走活性を示す。
FKNの発現は、炎症誘発性サイトカインによって血管内皮細胞の表面上で誘導される。関節リウマチ(「RA」とも称する)を有する患者において、FKNの発現上昇ならびにCX3CR1+細胞傷害性エフェクターリンパ球およびマクロファージの蓄積が報告されている。
これまでに、慢性関節リウマチのモデルとして知られるコラーゲン誘導ミューリン関節炎モデル(CIA)において、FKN阻害による治療効果が報告されている(非特許文献1)。CIAにおける結果は、抗フラクタルカイン抗体による、関節炎の臨床スコアの有意な低減、関節炎の発生率の有意な減少、さらに、滑膜中の炎症細胞および骨侵食の有意な減少を示している。また、FKNとCX3CR1との相互作用を阻害する抗フラクタルカイン抗体が、関節リウマチを含む炎症性疾患を治療し得ることが示唆されている(特許文献1)。このように、関節リウマチの治療において、FKNに結合し、その阻害できる抗体が、関節リウマチの治療に有効であることが示唆されている。
これまでに、本件出願人により、複数のマウス抗ヒトフラクタルカイン(hFKN)モノクローナル抗体(クローン1F3−1、3A5−2、1F3、1G1、2B2、3D5、3
H7、6D1、7F6、および5H7−6)が開示されており、特にクローン3A5−2は、hFKNに対する高い中和活性、結合親和性および種間交差反応性のために、ヒト化され、H3−2L4と命名されている(特許文献2、参照によりその全体が組み入れられる)。
J Immunol.2004;173:7010−7016
WO2006/046739 WO2011/052799
本発明の目的は、ヒト被験体への投与後に、関節リウマチにおける治療上有効な改善をもたらす、抗フラクタルカイン抗体(本明細書中、「抗FKN抗体」とも称する)を含む医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、関節リウマチにおける治療上有効な改善をもたらすように使用される、抗FKN抗体を含む医薬組成物を提供することである。
本発明は、以下の実施形態を包含するものである。
[1]関節リウマチを治療するための医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、抗フラクタルカイン抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含んでおり、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体であり、
前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり少なくとも100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が、皮下投与されるように用いられることを特徴とする、
前記医薬組成物。
[2][1]に記載の医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg〜400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、
前記医薬組成物。
[3][1]に記載の医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg、200mgまたは400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、
前記医薬組成物。
[4][1]に記載の医薬組成物であって、
ヒトに対して100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
平均Cmaxが10μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
平均AUC(0−336h)が2.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
平均AUC(0−t)が3.0×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
をもたらす、
前記医薬組成物。
[5][1]に記載の医薬組成物であって、
ヒトに対して200mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
平均Cmaxが27μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
平均AUC(0−336h)が7.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
平均AUC(0−t)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
をもたらす、
前記医薬組成物。
[6][1]に記載の医薬組成物であって、
ヒトに対して400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
平均Cmaxが43μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
平均AUC(0−336h)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
平均AUC(0−t)が2.7×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
をもたらす、
前記医薬組成物。
[7][1]に記載の医薬組成物であって、
1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で複数回皮下投与される、
前記医薬組成物。
[8][1]〜[7]に記載の医薬組成物であって、
前記抗フラクタルカイン抗体の平均トラフ濃度が10μg/mL以上となるように皮下投与される、
前記医薬組成物。
[9][1]〜[7]に記載の医薬組成物であって、
前記抗フラクタルカイン抗体の平均トラフ濃度が20μg/mL以上となるように皮下投与される、
前記医薬組成物。
[10]抗フラクタルカイン抗体を含有する関節リウマチ治療薬であって、
100mg〜400mgの抗フラクタルカイン抗体が、ヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で皮下投与されるように用いられることを特徴とし、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体である、
前記関節リウマチ治療薬。
本発明によれば、ヒト被験体への投与後に、関節リウマチにおける治療上有効な改善をもたらす、抗FKN抗体を含む医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は、関節リウマチに対する治療効果を発揮するのに有用な薬物動態パラメータをもたらすように使用することができる。
図1は、健常人における、抗体H3−2L4の皮下単回投与(それぞれ50mg、100mg、200mg、および400mgの用量)後の、血清中H3−2L4濃度の要約統計量(平均(+SD)血清中濃度−時間曲線)をリニアスケールで経時的に示す。 図2は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)時の、血清中H3−2L4濃度の要約統計量における経時的変化を示す。 図3は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群)時の、血清中H3−2L4濃度および血清中総FKN濃度における要約統計量の経時的変化を示す。 図4は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(200mg群)時の、血清中H3−2L4濃度および血清中総FKN濃度における要約統計量の経時的変化を示す。 図5は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、投与開始後12週の時点でのACR20、ACR50、ACR70(LOCF)を示す。 図6は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、投与開始後12週の時点でのACR20、ACR50、ACR70(NRI)を示す。 図7は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、12週にわたるACR70の推移を示す。 図8は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、12週にわたるDAS28−CRPの変化の推移を示す。 図9は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、投与前および投与開始後12週の時点での、DAS28−CRPの疾患活動性分類の割合の推移を示す。 図10は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、投与開始後12週の時点での、DAS28−ESRの疾患活動性分類のうち、寛解または低疾患活動性に達した被験者の割合を示す。 図11は、抗体H3−2L4の皮下複数回投与(100mg群、200mg群および400mg群)における、投与開始後12週の時点での、DAS28−ESRのEULAR response criteriaに基づく被験者の割合を示す。
1.発明の概要および定義
本発明は、関節リウマチにおける治療上有効な改善をもたらす医薬組成物に関する。
本発明の一実施形態において、「関節リウマチにおける治療上有効な改善」とは、当該分野で確立された、関節リウマチの評価基準に定められた項目またはパラメータの1つ以上において、治療上有効な改善を示すことを意味し得る。そのような項目またはパラメータとして、これに限定されるものではないが、ACR(American College of Rheumatology)20反応率、ACR50反応率、ACR70反応率、赤血球沈降速度(erythrocyte sedimentation rate:ESR)、高感度CRP(high sensitive C−reactive protein:hs−CRP)、HAQ(Health Assessment Questionnaire)、SDAI(simple disease activity index)、DAS28(Disease Activity Score 28 Joints;例えば、CRPを用いたDAS28−CRP、ESRを用いたDAS28−ESRなど)、CDAI(clinical disease activity index)、およびBoolean寛解率などを挙げることができる。
本発明の一実施形態において、関節リウマチにおける治療上有効な改善は、ESRに関して、ベースラインからの、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の減少を意味し得る。
本発明の一実施形態において、関節リウマチにおける治療上有効な改善は、hs−CRPに関して、ベースラインからの、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の減少を意味し得る。
本発明の一実施形態において、関節リウマチにおける治療上有効な改善は、DAS28のスコア自体またはDAS28に基づいて評価される重症度が、改善することを意味し得る。例えば、関節リウマチに治療上有効な改善は、DAS28−CRPまたはDAS28−ESRに基づく重症度評価において、重症が中等症に改善すること、中等症が軽症の評価に改善すること、軽症が寛解の評価に改善すること等を意味し得る。
本発明は、一態様において、ヒト被験体への単回投与または複数回投与後に、治療上有効な血中抗FKN抗体濃度をもたらす、関節リウマチを治療するための医薬組成物に関する。
本発明の一実施形態において、「治療上有効な血清中抗FKN抗体濃度」は、抗FKN抗体の、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上の血清中濃度である。また、本発明の別の実施形態において、「治療上有効な血清中抗FKN抗体濃度」は、抗FKN抗体の、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上の平均トラフ濃度である。好ましい実施形態では、「治療上有効な血清中抗FKN抗体濃度」は、抗FKN抗体の、10μg/mL以上または20μg/mL以上の平均トラフ濃度である。
本発明の好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の10μg/mL以上の血清中濃度をもたらすように製剤化される。本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の20μg/mL以上の血清中濃度をもたらすように製剤化される。
本発明は、別の態様において、ヒト被験体への単回投与または複数回投与後に、治療上有効な血清中抗FKN抗体濃度をもたらすように使用される、抗FKN抗体を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、特に制限されないが、典型的には、皮下投与用に調製された注射用製剤の形態であり得る。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上となるように使用される。好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、10μg/mL以上または20μg/mL以上となるように使用される。
本発明において、濃度−時間曲線の薬物動態特性、例えば最大実測血漿中濃度(Cmax)、Cmaxに達する時間(Tmax)、および血漿中濃度対時間曲線下の面積(AUC)は、薬物動態学分野で十分に確立されている統計学的手法によって調べられる。試験製剤と標準製剤における上記のような評価パラメータの母平均の比が0.80〜1.25であるとき、概して、生物学的に同等であるとみなされる。
本発明において、CmaxやAUCなどの薬物動態パラメータの平均値は、幾何平均、算術平均、中央値のいずれかの方法で算出することができる。本明細書中、平均Cmax、平均AUC、平均tFKN濃度および平均トラフ濃度は算術平均値で示し、tmaxは中央値で示す。対象とする平均値が本明細書と異なる方法で算出された場合であっても、本明細書の方法に従って算出した平均値が、特許請求の範囲に記載された数値範囲内となる場合には、当該平均値は本発明に係る特許請求の範囲に属するものであることが企図される。
本発明において、抗FKN抗体の投与量に関して「1回」または「1回あたり」とは、1投与あたりの抗FKN抗体の絶対量を指す。したがって、例えば「1回あたり200mg」と記載される場合には、200mgの抗FKN抗体を含む本発明の医薬組成物が1セット投与されてもよいし、100mgの抗FKN抗体を含む本発明の医薬組成物が同時に2セット投与されてもよい。
本発明において、抗FKN抗体の投与間隔に関して、例えば「1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔」とは、n回目(nは整数である)の投与からn+1回目の投与までの投与間隔が1週間から2週間であることを指し、n回目とn+1回目の投与間隔とn+1回目とn+2回目の投与間隔は異なっていてもよい。例えば、「1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔」には、1回目の投与から2回目の投与までの投与間隔が1週間であり、2回目の投与から3回目の投与までの投与間隔が2週間ある場合も当然に含まれる。
本明細書中、用語「ヒト」または「ヒト被験体」は、健常な成人男性、および典型的には、関節リウマチを発症している、または関節リウマチを生じさせうる任意の疾患もしくは障害の臨床徴候および症状を示す、任意のヒトを意味するものとする。本発明において、「ヒト」または「ヒト被験体」は、少なくとも1種類の抗リウマチ薬、または抗TNF製剤に対して、十分な治療効果が得られなかった、治療効果が持続しなかった、または不耐性であった、リウマチ病患者が好ましい。
用語「関節リウマチ」には、1987年ACR分類基準または2010年ACR/EULAR分類基準に従って診断され得る疾患状態のことをいう。関節リウマチの生理学的指標としては、関節リウマチにおいて特徴的であるが不変ではない、対称性の関節腫脹、受動運動時の疼痛などが挙げられる。本発明に記載の治療に対する候補は、症状を処置する際にメトトレキサート、または抗TNF製剤(アダリムマブ,インフリキシマブ,ゴリムマブ,セルトリズマブペゴルまたはエタネルセプト)が有効ではないか、または完全に有効でないという点において、メトトレキサートまたは抗TNF製剤に対して抵抗性であり得る。
2.抗FKN抗体
本発明において、抗FKN抗体に言及する場合、ヒト化抗ヒトフラクタルカイン抗体H3−2L4、またはこれと機能的に同等な抗体を指すものとする。本発明において、「機能的に同等な抗体」とは、抗体H3−2L4と、ヒトFKNに対する結合親和性、中和活性、交差反応性、血中における薬物動態の少なくともいずれか、または好ましくは全てが同等である抗体をいう。
本発明において、抗FKN抗体に言及する場合、その抗原結合性断片を含んでもよい。そのような抗原結合性断片は、抗FKN抗体の機能的、構造的断片であって、当該抗体がFKNに対する結合性を保持し、かつ、完全抗体と血中における薬物動態が有意に異ならないものであれば特に限定されない。抗体の抗原結合断片の例としては、限定はされないが、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、1本鎖(ScFv)、それらの変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および、抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他の修飾構造体等が挙げられる。
一実施形態において、本発明の抗FKN抗体は、以下のCDR配列を含む任意の抗体であり得る:
(a)配列番号15(NYYIH)のアミノ酸配列を含むCDR−H1;
(b)配列番号16(WIYPGDGSPKFNERFKG)のアミノ酸配列を含むCDR−H2;
(c)配列番号17(GPTDGDYFDY)のアミノ酸配列を含むCDR−H3;
(d)配列番号18(RASGNIHNFLA)のアミノ酸配列を含むCDR−L1;
(e)配列番号19(NEKTLAD)のアミノ酸配列を含むCDR−L2;および
(f)配列番号20(QQFWSTPYT)のアミノ酸配列を含むCDR−L3
別の実施形態において、抗FKN抗体は、抗体が重鎖および軽鎖を含み、前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号21(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSDDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)、配列番号22(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVRQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTRDKSTNTAYMELSSLRSDDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)、配列番号23(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVRQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTMTADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)、または配列番号24(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVRQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)のアミノ酸配列を含み、かつ、前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号25(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKFLVYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTQYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)、または配列番号26(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTQYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)のアミノ酸配列を含むものであり得る。
好ましい実施形態において、抗FKN抗体、抗体が重鎖および軽鎖を含み、前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)のアミノ酸配列を含み、かつ、前記抗体の軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)のアミノ酸配列を含むものであり得る。
特定の実施形態において、抗FKN抗体は、ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む抗体である。
特定の実施形態において、抗FKN抗体は、前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234Aおよび/またはG237Aの変異を含む抗体である。
本発明の特に好ましい実施形態において、抗FKN抗体は、配列番号11に示すアミノ酸配列(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK)からなる重鎖、および配列番号12に示すアミノ酸配列(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC)からなる軽鎖からなる、抗体H3−2L4である。
言うまでもなく、上記に例示した抗FKN抗体を、当該抗体の機能を保持させたまま、または当該抗体の機能を付加、向上させるために、適宜改変(例えば、抗体の修飾、または、抗体のアミノ酸配列の部分的な置換、付加、欠失)した抗体も、本発明の抗体に含まれる。より具体的には、抗体産生細胞により産生される抗体の不均一性を減少させるため、重鎖のカルボキシ末端(C末端)に位置するリシン(Lys)を遺伝子改変等の人為的方法によって欠失させた抗体も、本発明の範囲に含まれる。また、本発明の医薬組成物に含まれる抗FKN抗体は、必ずしも完全な均一性を有している必要はなく、本発明の医薬組成物が意図する機能を維持する限りにおいて、例えば、重鎖のカルボキシ末端(C末端)に位置するリシン(Lys)が欠失したものと欠失していないものとが混在していてもよい。
抗FKN抗体は、所望により、修飾してもよい。抗FKN抗体は、(a)例えばシートまたはヘリックスコンホメーション等の、修飾領域におけるアミノ酸配列の三次元的な構造;(b)標的部位での分子の電荷または疎水性の状態;または、(c)側鎖の容積の維持に対する修飾の効果、を変化させる修飾であってもよく、あるいはこれらの変化が明白に観察されないような修飾であってもよい。
抗FKN抗体の修飾は、例えば、構成するアミノ酸残基の置換、欠失、付加等によって達成してよい。
本明細書において、アミノ酸とは、その最も広い意味で用いられ、天然のアミノ酸、例えばセリン(Ser)、アスパラギン(Asn)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アラニン(Ala)、チロシン(Tyr)、グリシン(Gly)、リシン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、プロリン(Pro)のみならず、アミノ酸変異体および誘導体といった、非天然アミノ酸も含まれる。当業者であれば、この広い定義を考慮して、本明細書におけるアミノ酸として、例えばL−アミノ酸;D−アミノ酸;アミノ酸変異体、アミノ酸誘導体等の化学修飾されたアミノ酸;ノルロイシン、β−アラニン、オルニチン等、生体内でタンパク質の構成材料とならないアミノ酸;および当業者に公知のアミノ酸の特性を有する、化学的に合成された化合物等が挙げられることを当然に理解する。非天然アミノ酸の例としては、α−メチルアミノ酸(α−メチルアラニン等)、D−アミノ酸(D−アスパラギン酸、D−グルタミン酸等)、ヒスチジン様アミノ酸(2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジン、α−メチル−ヒスチジン等)、側鎖に余分なメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)および側鎖中のカルボン酸官能基アミノ酸がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸等)等が挙げられる。
天然に存在するアミノ酸残基は、例えば、一般的な側鎖特性に基づいて、次のグループに分類され得る:
(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
抗FKN抗体を構成するアミノ酸配列の非保存的置換は、これらのグループの1つに属するアミノ酸を他のグループに属するアミノ酸と交換することにより行ってもよい。より保存的な置換は、これらのグループの1つに属するアミノ酸を同一グループの他のアミノ酸と交換することにより行ってもよい。同様に、アミノ酸配列の欠失または置換を適宜行ってもよい。
3.医薬組成物および製剤
本発明の医薬組成物は、治療上有効量の抗FKN抗体を含んでいる。そのような抗FKN抗体の量は、本発明の医薬組成物の投与経路、投与間隔に応じて変化し得る。
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、50mg〜400mgの間、例えば100mg〜200mgの量で、抗FKN抗体を含むことができる。本発明の特定の実施形態において、本発明の製剤は、少なくとも50mg、少なくとも100mg、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも250mg、少なくとも300mg、少なくとも350mg、または少なくとも400mgの量で、抗FKN抗体を含むことができる。さらに別の実施形態において、本発明の製剤は、50mg、100mg、200mgまたは400mgの量で抗FKN抗体を含むことができる。
本発明の医薬組成物の投与剤形は特に制限されないが、典型的には、皮下投与用に調製された注射用製剤である。本発明の医薬組成物は、例えば、抗FKN抗体を、非限定的に注射用水、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水中に、薬学的に許容される賦形剤とともに、注射用製剤として調製することができる。本発明に使用される薬学的に許容される賦形剤には、非限定的に、安定化剤、界面活性剤、保存剤などが挙げられる。
本発明に使用される安定化剤は、例えば薬学的製剤における適切な添加剤または賦形剤として当局によって認められている炭水化物または糖類または糖、例えばスクロースである。安定化剤の濃度は、15から250mM、または150から250mM、または200mMである。製剤は二次安定剤を含んでもよい。
本発明に使用される薬学的に許容される界面活性剤の適切な例は、これに限定されるものではないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton−X)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体(Poloxamer,Pluronic)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。最も適切なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベート20(Tween20)およびポリソルベート80(Tween80)である。界面活性剤の濃度は、0.01から0.1%(w/v)、または0.01から0.08%(w/v)、または0.025から0.075%(w/v)、例えば0.05%(w/v)である。
本発明に使用される保存剤には、非限定的に、パラベン、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、フェノール、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、安息香酸、亜硫酸水素ナトリウム、プロピオン酸ナトリウムおよびその任意の組み合わせまたは混合物などを含む。
本発明に使用される緩衝剤の例は、これに限定されるものではないが、ヒスチジン、シトレート、ホスフェート、グリシン、アセテート、およびその任意の組み合わせまたは混合物などを含む。
本発明の製剤は、pHを制御するための緩衝剤またはpH調整剤を含んでもよい。一実施形態では、本発明の製剤は、4.0〜9.0の範囲、5.0〜9.0の範囲、5.0〜8.0の範囲、5.0〜7.5の範囲、5.5〜7.0の範囲、または5.5〜6.5の範囲のpHを有する。
本発明の製剤は、ヒト血液と等張でありうること、すなわち本発明の製剤はヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有することが当業者に理解される。そのような等張製剤は、一般に、250mOSm〜350mOSmの浸透圧を有する。等張性は例えば蒸気圧または製氷型浸透圧計を使用することによって測定することができる。本発明に使用される等張化剤には、非限定的に、サッカライド、塩およびアミノ酸などを含む。
前述の賦形剤のほか、皮下投与のための注射用製剤の製造のための代表的な賦形剤およびプロセスは当技術分野において公知であり、例えば、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,1985,Ansel,H.C.,Lea and Febiger,Philadelphia,Pa.;Remington’s Pharmaceutical Sciences,1995,Mack Publ.Co.,Easton,Pa.を参照することができる。該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる。
本発明の皮下投与用製剤は、例示的に、
ヒトに対して100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
平均Cmaxが10μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
平均AUC(0−336h)が2.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
平均AUC(0−t)が3.0×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
をもたらすように製剤化された皮下投与用製剤;
ヒトに対して200mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
平均Cmaxが27μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
平均AUC(0−336h)が7.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
平均AUC(0−t)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
をもたらすように製剤化された皮下投与用製剤;または
ヒトに対して400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
平均Cmaxが43μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
平均AUC(0−336h)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
平均AUC(0−t)が2.7×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
をもたらすように製剤化された皮下投与用製剤であり得る。
本発明の好ましい実施形態において、前記抗フラクタルカイン抗体は、配列番号11に示すアミノ酸配列(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK)からなる重鎖、および配列番号12に示すアミノ酸配列(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC)からなる軽鎖からなる、抗体H3−2L4である。
4.投与量、投与間隔および投与回数
本発明の医薬組成物は、関節リウマチに治療上有効な改善をもたらすような投与量でヒト被験体に投与される。したがって、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の血中濃度または平均トラフ濃度が、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上になるように投与される。好ましくは、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、10μg/mL以上、または20μg/mL以上になるように複数回投与される。
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり少なくとも100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が、皮下投与されるように用いられることを特徴とする。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg〜400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする。本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg、200mgまたは400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられる。本発明の好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり200mg〜400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられる。
本発明の医薬組成物の投与回数および投与間隔は、1回あたりに投与される抗FKN抗体の量、および投与経路等に応じて変化し得る。
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり少なくとも100mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から2ヵ月に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり少なくとも100mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から1ヵ月に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり少なくとも100mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり少なくとも100mgの抗FKN抗体が、2回の週1回投与後、隔週の投与間隔で皮下投与されるように用いられる。
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg〜400mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から2ヵ月に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg〜400mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から1ヵ月に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg〜400mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg〜400mgの抗FKN抗体が、2回の週1回投与後、隔週の投与間隔で皮下投与されるように用いられる。
本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg、200mg、または400mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から2ヵ月に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg、200mg、または400mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から1ヵ月に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg、200mg、または400mgの抗FKN抗体が、1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で、それを必要とするヒト被験体に複数回皮下投与されるように使用される。本発明の特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1回あたり100mg、200mg、または400mgの抗FKN抗体が、2回の週1回投与後、隔週の投与間隔で皮下投与されるように用いられる。
本発明の医薬組成物の投与回数は、関節リウマチに治療上有効な改善をもたらす限り特に制限されず、1回あたりに投与される抗FKN抗体の量、投与経路、および投与間隔に応じて変化し得る。
本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物は、1週間に1回から2ヵ月に1回までの投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1週間に1回から1ヵ月に1回までの投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明の特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、2回の週1回投与後、隔週の投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明の特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上になるように、1週間に1回から1ヵ月に1回までの投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上になるように、1週間に1回から1ヵ月に1回までの投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上になるように、1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の平均トラフ濃度が、5μg/mL以上、10μg/mL以上、15μg/mL以上、20μg/mL以上、25μg/mL以上、30μg/mL以上、35μg/mL以上、または40μg/mL以上になるように、2回の週1回投与後、隔週の投与間隔で、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回またはそれ以上の回数で皮下投与され得る。
以下、非限定的に、本発明の特定の態様を例示する。
一態様において、本発明は、関節リウマチを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、抗フラクタルカイン抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含んでおり、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体であり、
前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり少なくとも100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、医薬組成物である。
別の態様において、本発明は、関節リウマチを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、抗フラクタルカイン抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含んでおり、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体であり、
前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg〜400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、医薬組成物である。
さらに別の態様において、本発明は、関節リウマチを治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、抗フラクタルカイン抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含んでおり、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体であり、
前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg、200mg、または400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、医薬組成物である。
本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の10μg/mL以上の平均トラフ濃度をもたらすように、ヒトに対して、1週間に1回から2週間に1回の投与間隔で皮下反復投与される。好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の15μg/mL以上の平均トラフ濃度をもたらすように、ヒトに対して、1週間に1回から2週間に1回の投与間隔で皮下反復投与されるように用いられる。さらに好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、抗FKN抗体の20μg/mL以上の平均トラフ濃度をもたらすように、ヒトに対して、1週間に1回から2週間に1回の投与間隔で皮下反復投与される。
好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、以下の薬物動態学的パラメータのいずれか1つ、または2つ、または3つをもたらすように製剤化された、皮下投与用医薬組成物である:
平均Cmaxが10μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である;
平均AUC(0−336h)が2.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である;および、
平均AUC(0−t)が3.0×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である。
別の好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して200mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、以下の薬物動態学的パラメータのいずれか1つ、または2つ、または3つをもたらすように製剤化された、皮下投与用医薬組成物である:
平均Cmaxが27μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である;
平均AUC(0−336h)が7.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である;および、
平均AUC(0−t)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である。
さらに別の好ましい実施態様では、本発明の医薬組成物は、ヒトに対して400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、以下の薬物動態学的パラメータのいずれか1つ、または2つ、または3つをもたらすように製剤化された、皮下投与用医薬組成物である:
平均Cmaxが43μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である;
平均AUC(0−336h)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である;および、
平均AUC(0−t)が2.7×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値である。
好ましい実施態様では、前記医薬組成物は、100mg、200mgまたは400mgの前記抗フラクタルカイン抗体を含む、医薬組成物である。
好ましい実施態様では、前記医薬組成物は、1回あたり100mg、200mgまたは400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられる、医薬組成物である。
好ましい実施態様では、前記医薬組成物は、ヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で複数回皮下投与される、医薬組成物である。
好ましい実施態様では、前記医薬組成物は、前記抗フラクタルカイン抗体の平均トラフ濃度が10μg/mL以上となるように皮下投与される、医薬組成物である。
好ましい実施態様では、前記医薬組成物は、前記抗フラクタルカイン抗体の平均トラフ濃度が20μg/mL以上となるように皮下投与される、医薬組成物である。
別の態様において、本発明は、抗フラクタルカイン抗体を含有する関節リウマチ治療薬であって、
100mg〜400mgの抗フラクタルカイン抗体が、ヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で皮下投与されるように用いられることを特徴とし、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体である、
関節リウマチ治療薬である。
本発明の一実施態様では、抗フラクタルカイン抗体を含有する関節リウマチ治療薬であって、
100mg、200mg、または400mgの抗フラクタルカイン抗体が、ヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で皮下投与されるように用いられることを特徴とし、
前記抗フラクタルカイン抗体は:
その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体である、
関節リウマチ治療薬である。
好ましい実施形態では、前記抗フラクタルカイン抗体は、配列番号11に示すアミノ酸配列(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK)からなる重鎖、および配列番号12に示すアミノ酸配列(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC)からなる軽鎖からなる、抗体H3−2L4である。
本発明の一実施形態では、定常状態における平均血清中総FKN濃度が、60μg/mL以上、70μg/mL以上、80μg/mL以上、90μg/mL以上、100μg/mL以上、110μg/mL以上、120μg/mL以上、130μg/mL以上、140μg/mL以上、150μg/mL以上、または160μg/mL以上となるように皮下投与されることを特徴とする、前記抗フラクタルカイン抗体を含む、医薬組成物である。
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、100mgの前記抗フラクタルカイン抗体がヒトに対して複数回投与されたときに、定常状態における平均血清中総FKN濃度が70μg/mL〜100μg/mLである、皮下投与用医薬組成物である。
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、100mgの前記抗フラクタルカイン抗体がヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で皮下投与されるように用いられたときに、定常状態における平均血清中総FKN濃度が70μg/mL〜100μg/mLである、皮下投与用医薬組成物である。
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、200mgの前記抗フラクタルカイン抗体がヒトに対して複数回投与されたときに、定常状態における平均血清中総FKN濃度が160μg/mL〜190μg/mLである、皮下投与用医薬組成物である。
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、200mgの前記抗フラクタルカイン抗体がヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で皮下投与されるように用いられたときに、定常状態における平均血清中総FKN濃度が160μg/mL〜190μg/mLである、皮下投与用医薬組成物である。
本発明の一実施態様では、ヒトは、少なくとも1種類の抗リウマチ薬、または抗TNF製剤に対して十分な効果が得られなかった、効果が持続しなかった、もしくは不耐性であった、リウマチ病患者である。
技術的に矛盾しない限り、本明細書に記載の、あらゆる態様の任意の一または複数を、適宜組み合わせて、本発明を実施してよいことを当業者は理解する。さらに、技術的に矛盾しない限り、本明細書に記載の、好ましいまたは有利なあらゆる態様を、適宜組み合わせて、本発明を実施することが好ましいであろうことを当業者は理解する。
本明細書中に引用される文献は、参照により、それらのすべての開示が、明確に本明細書に援用されているとみなされるべきであって、当業者は、本明細書の文脈に従って、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、それらの文献における関連する開示内容を、本明細書の一部として援用して理解できる。
本明細書中に引用される文献は、本出願の出願日前の関連技術の開示のみを目的として提供され、本発明者らが、先行発明または任意の他の理由によって、かかる開示に先行する権利を持たないことを自認するものとして解釈されてはならない。これらの文献のすべての記述は、本出願人が入手可能であった情報に基づいており、これらの記述内容が正確であるという自認を何ら構成しない。
本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
本明細書において用いられる「を含む(comprise、include)」という用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記載された事項(部材、ステップ、要素または数字等)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素または数字等)が存在することを排除しない。「からなる(consist of)」という用語は、「からなる(consist of)」および/または「実質的に〜からなる(consist essentially of)」という用語で記載される態様を包含する。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書および関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、または、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
第1の、第2の等の用語が種々の要素を表現するために用いられるが、これらの要素はこれらの用語自身によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第1の要素を第2の要素と記し、同様に、第2の要素は第1の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
本明細書および特許請求の範囲において、成分含有量や数値範囲等を示すのに用いられる数値は、特に明示がない限り、用語「約」で修飾されているものと理解されるべきである。例えば、「10μg」とは、特に明示がない限り、「約10μg」を意味するものと理解され、その程度を、当業者は技術常識と本明細書の文意に従って、合理的に理解できることは当然である。
文脈上明白に他の意味を示す場合を除き、本明細書および請求の範囲で使用される場合、単数形で表される各態様は、技術的に矛盾しない限り、複数形であってもよいことが理解され、逆もまた真である。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。関連技術分野の当業者は、本発明の精神または範囲を変更させることなく、様々な改変、付加、欠失、置換等を伴って本発明を実施できる。
実施例において使用される略語は当業者に周知の慣用的な略語である。いくつかの略語を以下に示す:
AUC:area under the serum concentration-time curve
AUC(0-inf):area under the serum concentration-time curve from zero time extrap-olated to infinite time
AUC(0-t):area under the concentration-time curve from zero time to time of last quantifiable concentration
AUC(0-336h):area under the concentration-time curve from zero (predose) to fixed time-point 336 h (2 weeks) after the end of infusion
CDAI:clinical disease activity index
CL:total clearance
CL/F:apparent clearance
CRP:C-reactive protein
max:maximum serum concentration
DNCmax:dose-normalized Cmax
DNAUC:dose-normalized AUC
ELISA:enzyme-linked immunosorbent assay
FKN:fractalkine
IgG:immunoglobulin G
NONMEN:nonlinear mixed effect model
SAS:statistical analysis system
SDAI:simple disease activity index
1/2:serum elimination half-life
max:time to reach peak serum concentration
:volume of distribution
/F:apparent volume of distribution at terminal phase
実施例1:ヒト化抗ヒトフラクタルカイン抗体の調製
以下のヒトへの投与試験では、ヒト化抗ヒトフラクタルカイン抗体H3−2L4を用いた。ヒト化を含む、H3−2L4の作製は、WO2011/052799に記載されたように行った。実施例2以降に使用したH3−2L4は、下記1−1.および1−2.に記載の方法で調製した。
1−1.発現ベクター
ヒト化抗ヒトフラクタルカイン抗体(H3−2L4)の発現ベクターの作製は以下のように行った。
まず、ヒト化抗ヒトフラクタルカイン抗体(H3−2L4)の重鎖可変領域(H3−2)のアミノ酸配列(配列番号1)のN末端にシグナル配列(配列番号3)を付加し、2ヶ所の変異(V234AおよびG237A)を挿入したヒトIgG2の定常領域のアミノ酸配列(配列番号4)をC末端に付加した(配列番号5)。次に、ヒト化抗ヒトフラクタルカイン抗体(H3−2L4)の軽鎖可変領域(L4)のアミノ酸配列(配列番号2)のN末端にシグナル配列(配列番号6)を付加し、C末端に、ヒトIgκの定常領域のアミノ酸配列(配列番号7)を付加した(配列番号8)。これらのアミノ酸配列(配列番号5、8)をCHO細胞で発現させるために最適な遺伝子配列に変換し、遺伝子配列の5’末端に制限酵素HindIIIの認識配列とコザック配列を、3’末端に停止コドンと制限酵素EcoRIの認識配列をそれぞれ付加した配列を全合成した(配列番号9、10)。
なお、配列番号1〜10で特定される配列は、それぞれ以下のとおりであった。
重鎖可変領域(H3−2)のアミノ酸配列(配列番号1)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS
軽鎖可変領域(L4)のアミノ酸配列(配列番号2)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK
シグナル配列(配列番号3)
MEWSWVFLFFLSVTTGVHS
2ヶ所の変異(V234AおよびG237A)を挿入したヒトIgG2の定常領域のアミノ酸配列(配列番号4)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
(配列番号5)
MEWSWVFLFFLSVTTGVHSQVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
シグナル配列(配列番号6)
MSVPTQVLGLLLLWLTDARC
ヒトIgκの定常領域のアミノ酸配列(配列番号7)
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
(配列番号8)
MSVPTQVLGLLLLWLTDARCDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
(配列番号9)
AAGCTTGCCGCCACCATGGAATGGTCCTGGGTGTTCCTGTTCTTCCTGTCCGTGACCACCGGCGTGCACTCCCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCCGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCACCAACTACTACATCCACTGGGTGAAACAGGCCCCAGGACAGGGCCTGGAATGGATCGGCTGGATCTACCCCGGCGACGGCTCCCCCAAGTTCAACGAGCGGTTCAAGGGCCGGACCACCCTGACCGCCGACAAGTCCACCAACACCGCCTACATGCTGCTGTCCTCCCTGCGGAGCGAGGATACCGCCGTGTACTTCTGCGCCACCGGCCCTACCGACGGCGACTACTTCGACTACTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACCGTGTCCTCTGCCTCCACCAAGGGCCCCTCCGTGTTCCCTCTGGCCCCTTGCTCCCGGTCCACCTCTGAGTCTACCGCCGCTCTGGGCTGCCTGGTCAAAGACTACTTCCCCGAGCCTGTGACAGTGTCCTGGAACTCTGGCGCCCTGACCTCTGGAGTGCATACCTTCCCTGCCGTGCTGCAGTCATCCGGCCTGTACTCCCTGTCCTCCGTGGTGACAGTGCCCTCCTCCAACTTCGGCACCCAGACCTACACCTGTAACGTGGACCACAAGCCCTCCAACACCAAGGTGGACAAGACCGTGGAACGGAAGTGCTGCGTGGAATGCCCCCCCTGTCCTGCCCCTCCTGCCGCCGCTCCTTCCGTGTTTCTGTTCCCCCCAAAGCCCAAGGACACCCTGATGATCTCCCGGACCCCCGAAGTGACCTGCGTGGTGGTGGACGTGTCCCACGAGGACCCCGAGGTGCAGTTCAATTGGTACGTGGACGGCGTGGAAGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCCAGAGAGGAACAGTTCAACTCCACCTTCCGGGTGGTGTCCGTGCTGACCGTGGTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAAGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAGGGCCTGCCTGCCCCCATCGAAAAGACCATCAGCAAGACCAAGGGCCAGCCCCGCGAGCCCCAGGTGTACACACTGCCCCCCAGCCGGGAAGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAAGGCTTCTACCCCTCCGATATCGCCGTGGAATGGGAGTCCAACGGACAGCCCGAGAACAACTACAAGACCACCCCCCCCATGCTGGACTCCGACGGCTCATTCTTCCTGTACTCCAAGCTGACAGTGGACAAGTCCCGGTGGCAGCAGGGCAACGTGTTCTCCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGTCCCTGAGCCTGAGCCCCGGCAAGTGATGAATTC
(配列番号10)
AAGCTTGCCGCCACCATGTCCGTGCCCACCCAGGTGCTGGGCCTGCTGCTGCTGTGGCTGACCGACGCCAGATGCGACATCCAGATGACCCAGTCCCCCTCCAGCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGACAGAGTGACCATCACCTGTCGGGCCTCCGGCAACATCCACAACTTTCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGCTGATCTACAACGAAAAGACCCTGGCCGACGGCGTGCCCTCCAGATTCTCCGGCTCTGGCTCCGGCACCGACTACACCCTGACCATCTCCAGCCTGCAGCCCGAGGACTTCGCCACCTACTTTTGCCAGCAGTTCTGGTCCACCCCCTACACCTTCGGCGGAGGCACCAAGGTGGAAATCAAGCGGACCGTGGCCGCTCCCTCCGTGTTCATCTTCCCACCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGCCTGCTGAACAACTTCTACCCCCGCGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAATCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGCGAAGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCCGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGATGAATTC
全合成された重鎖をコードする遺伝子配列を、制限酵素HindIIIとEcoRIにて切り出し、pEE6.4ベクター(Lonza社)のHindIIIとEcoRIサイトに挿入した。全合成された軽鎖をコードする遺伝子配列を、制限酵素HindIIIとEcoRIにて切り出し、pEE12.4ベクター(Lonza社)のHindIIIとEcoRIサイトに挿入した。それぞれのベクターを制限酵素NotIとPvuIで切断し、重鎖と軽鎖を含むベクター断片同士をライゲーションして、発現ベクターを構築した。
1−2.抗体H3−2L4を発現する細胞株の構築および抗体H3−2L4の取得
作製した発現ベクターを、CD−CHO/6mM L−グルタミンの培地に馴化させたCHOK1SV細胞(Lonza社)にエレクトロポレーション法にて導入した。遺伝子導入後、CD−CHO/50uM MSXの培地にて、37℃/10%CO環境下でセレクションを行い、目的の抗体を発現する細胞を取得した。その後、細胞のクローニングを実施し、セルバンクを作製した。作製したセルバンクを蘇生・培養し、培養上清をクロマトグラフィーにて精製し、目的の抗体H3−2L4を取得した。
上記にしたがって取得された抗体H3−2L4は、それぞれ配列番号11および12で示すアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖を有するものであった。
H3−2L4の重鎖全長(配列番号11)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPAAAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
H3−2L4の軽鎖全長(配列番号12)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
また、抗体H3−2L4の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ以下のとおりであった。
H3−2L4の重鎖可変領域(配列番号13)
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS
H3−2L4の軽鎖可変領域(配列番号14)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK
また、抗体H3−2L4のCDR−H1〜CDR−H3、およびCDR−L1〜CDR−L3のアミノ酸配列は、以下のとおりであった:
H3−2L4のCDR−H1(配列番号15)
NYYIH
H3−2L4のCDR−H2(配列番号16)
WIYPGDGSPKFNERFKG
H3−2L4のCDR−H3(配列番号17)
GPTDGDYFDY
H3−2L4のCDR−L1(配列番号18)
RASGNIHNFLA
H3−2L4のCDR−L2(配列番号19)
NEKTLAD
H3−2L4のCDR−L3(配列番号20)
QQFWSTPYT
実施例2:単回投与試験
健康な成人男性を対象に、H3−2L4を単回皮下投与した際の安全性および忍容性、ならびに薬物動態を評価するための、臨床第1相試験を行った。
2−1.[治験デザイン]
本治験は、日本人健康成人男性を対象とし、H3−2L4を単回皮下投与した際の安全性および忍容性を評価することを主要な目的とした単施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単回投与用量漸増試験であった。本治験では32例の被験者を、4つのコホート(50、100、200、400mg群)に分け、各コホート8例の被験者のうち6例にH3−2L4を、2例にプラセボを単回皮下投与した。
本治験はスクリーニング期、観察入院期、投与入院期、およびフォローアップ期から構成された。
治験薬投与前28日〜2日以内にスクリーニング検査を、投与前日に観察入院期の検査を実施し、適格性を確認した。適格性が確認された被験者を、割付責任者が作成した割付表に基づき、無作為にH3−2L4またはプラセボ群に割り付けた。なお、各被験者の投与間隔は30分以上空けることとした。本治験は単回投与試験であり、被験者への投与は1回のみ、食事時間と関係なく行った。
投与後2週間は被験者を入院にて観察・調査し、その後、外来にて投与終了8週後まで観察・調査した。
コホート移行は、治験責任医師の判断にて行い、前コホートの最終被験者の投与終了後7日以上経過した後に、次コホートの投与を開始するものとした。
なお、本試験に使用した治験薬の種類および治験薬の処方は、下記のとおりであった。
2−2.[治験薬の投与]
H3−2L4またはプラセボを下記表3の通りに、上腕部または腹部に皮下投与した。第1コホート(50mg群)および第2コホート(100mg群)では、左右いずれかの上腕にそれぞれ0.5mL、1.0mLを皮下投与した。第3コホート(200mg群)では、左右それぞれの上腕に1.0mL(合計2.0mL)を皮下投与した。第4コホート(400mg群)では、左右それぞれの上腕および腹部の計4ヵ所に各1.0mL(合計4.0mL)を皮下投与した。
2−3.[血清中H3−2L4濃度の解析]
血清中H3−2L4濃度は、バリデートされた測定法を用いて測定した。具体的には、マイクロプレートに固相化されたヒトフラクタルカインに血清中H3−2L4を結合させ、ルテニウム標識された抗H3−2L4ウサギポリクローナル抗体を反応させた後、Sector Imager 6000 (Meso Scale Discovery社)にて電気化学発光量を測定することにより定量した。なお、血清中H3−2L4濃度測定のための採血は、下記表4に示す採血時期に行った。
2−4.[薬物動態解析]
薬物動態の解析は、血清中H3−2L4濃度データに基づき、1つ以上の薬物動態パラメータを算出することが可能なデータを有する被験者の集団(以下、薬物動態解析対象集団と称する)を用いて実施した。投与量別に規定時間ごとに血清中H3−2L4濃度の要約統計量を算出した。血清中H3−2L4濃度推移図を作成し、血清中H3−2L4濃度を用い、ノンコンパートメント解析により、Cmax、tmax、AUC(0−t)、AUC(0−inf)、t1/2、CL/FおよびV/Fを含む薬物動態パラメータを算出した。なお、解析は、SAS、WinNonlin、Pharsight Knowledgebase Server、Microsoft Excel、およびS−PLUSを用いて実施した。
上記にしたがって算出された結果を下記表5および図1に示す。なお、表中のtmax以外の各PKパラメータは、算術平均値で示し、括弧内の数値は標準偏差を示す。tmaxは中央値で示し、括弧内の数値は最小値および最大値を示す。また、表中のaはn=3を示す。
解析の結果、H3−2L4の単回皮下投与した際の薬物動態は、吸収相と2つの消失相(β相およびγ相)の3相性のプロファイルを示すと考えられた。単回皮下投与後、H3−2L4は緩除に吸収され、120〜156時間(中央値)でCmaxに到達した。Cmax到達後、高濃度では緩やかな消失相(β相)、低濃度ではより急峻な最終消失相(γ相)が観察された。γ相とβ相の境界点は10μg/mL付近と考えられた。50および100mg群では、2相性のプロファイルを示し、Cmaxに続いてγ相が出現していると考えられた。200および400mg群では最終消失相であるγ相を正確に評価するために必要な採血数が足らなかったため、γ相に依存した薬物動態パラメータを算出できなかった。t1/2、βはt1/2、γよりも長く、用量の増加に伴い延長した。H3−2L4は50〜400mgの用量範囲において非線形性の薬物動態を示した。
実施例3:複数回投与試験
関節リウマチ患者を対象に、H3−2L4を反復皮下投与した際の安全性および忍容性、薬物動態、関節リウマチに対する有効性を評価するための、臨床第1/2相試験を行った。
3−1.[治験デザイン]
本治験は、日本人関節リウマチ患者を対象とし、H3−2L4を12週間、反復皮下投与した際の安全性および忍容性を評価することを主要な目的とした多施設共同、非盲検、非対照、反復投与用量漸増(multiple ascending dose、MAD)試験であり、無作為化は行わなかった。本治験では、100mg投与群として12名、200mg投与群として15名を対象に、100mg投与群の安全性を確認後、200mg投与群に移行した。さらに、200mg投与群の全ての被験者の投与期の安全性評価が完了し、安全性に問題が無いことを確認後400mg投与群として10名を対象に試験を実施した。
本治験はスクリーニング期、観察期、投与期、継続投与期および追跡調査期から構成された。
治験薬投与開始前42日〜2日以内にスクリーニング検査を、治験薬初回投与前日または当日投与前に観察期の検査を実施し、適格性が確認された被験者にH3−2L4を投与した。
適格性の選択基準は、以下のとおりであった:
(1)20歳以上65歳未満であること;
(2)ACR分類基準または2010年ACR/EULAR分類基準を満たす関節リウマチ(RA)患者であること;
(3)スクリーニング開始時までに下記のいずれかまたは両方の治療を行い、スクリーニング期および観察期の評価で、圧痛関節数4ヵ所以上(68関節中)かつ腫脹関節数4ヵ所以上(66関節中)を認めること;
−メトトレキサート(MTX)による治療を3ヵ月以上行った患者。ただし、副作用により投与継続ができなかった患者は3ヵ月以上の治療歴は問わない。
−抗TNF製剤による治療を3ヵ月以上行った患者。ただし、抗TNF製剤による治療はアダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴルまたはエタネルセプトのうちいずれか1剤に限る(抗TNF製剤はバイオ後続品を含む)。
(4)過去に抗TNF製剤以外の生物学的製剤(トシリズマブ、アバタセプト等)または2剤以上の抗TNF製剤を投与されたことが無いこと;
(5)スクリーニング期に高感度CRP(hs−CRP)0.6mg/dL以上あるいは赤血球沈降速度(ESR)28mm/hr以上であること;および
(6)スクリーニング時の体重が30kg以上100kg以下の患者
投与期では、H3−2L4を0週、1週、2週、以降2週ごとに10週まで計7回投与した。7回目の投与終了2週後(12週時)の評価で、安全性に問題がなく、圧痛関節数および腫脹関節数の両方が観察期から20%以上改善し、かつ継続投与を希望する被験者は、さらに2週ごとに20回(40週間)同一用量にて投与を行った(継続投与期)。なお、400mg投与群の継続投与期については、治験責任医師又は治験分担医師の判断で200mg投与へ減量することができ、その後、400mg投与に戻すこともできることとした。
なお、本試験に使用した治験薬の種類および治療薬の処方は、下記のとおりであった。
3−2.[治験薬の投与]
H3−2L4を下記表8のとおりに上腕、腹部または大腿部に皮下投与した。100mg投与群では、左右上腕、左右腹部または左右大腿部のいずれか1ヵ所に1.0mLを皮下投与した。200mg投与群では、左右上腕、左右腹部または左右大腿部のいずれか2ヵ所に各1.0mL(合計2.0mL)を皮下投与した。400mg投与群では、左右上腕、左右腹部又は左右大腿部のいずれか4ヵ所に各1.0mL(合計4.0mL)を皮下投与した。なお、400mg投与群については、治験責任医師又は治験分担医師が適切に皮下投与できると判断した場合に限り、2ヵ所に各2.0mL(合計4.0mL)を皮下投与することができることとした。
治験薬投与は、当日予定する全ての調査(投与部位所見は除く)が終了した後に実施した。
7回目の投与終了2週後(12週時)の評価で、安全性に問題がなく、圧痛関節数および腫脹関節数の両方が観察期から20%以上改善し、かつ継続投与を希望する被験者はさらに2週ごとに20回(40週間)同一用量にて投与を行った。継続投与期に移行した被験者については初回投与後52週まで観察・調査した。治験薬投与は、当日予定する全ての調査(投与部位所見は除く)が終了した後に実施した。また、治験薬の投与間隔は7日以上(中6日以上)空けることとし、観察・調査日を変更した関係で投与間隔が7日未満となる場合は、治験薬の投与は休薬とし、観察・調査のみ実施した。
3−3.[薬物動態および薬力価]
バリデートされた測定法を用い、血清中H3−2L4濃度、血清中総FKN濃度を測定した。血清中H3−2L4濃度は、実施例2の2−4に記載の方法により測定した。血清中総FKN濃度は、WO2011/052799に記載された2種類の抗ヒトフラクタルカインモノクローナル抗体1F3および3A5−2で挟むサンドイッチELISA法により測定した。具体的には、血清中の総FKNをプレートに固相化した1F3で補足し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)で標識した3A5−2でサンドイッチし、さらにHRPの基質である3,3’,5,5’−tetramethylbenzidine(TMB)を反応させてその発色値をオートリーダー(Microplate reader Envision、パーキンエルマージャパン)で測定することにより、血清中総FKN濃度を定量した。
薬物動態の解析は、血清中H3−2L4濃度データに基づき、治験薬が投与され、評価可能な血清中EH3−2L4濃度データが1点以上ある被験者の集団(以下、薬物動態解析対象集団と称する)を用いて実施した。投与量別に規定時間ごとに血清中H3−2L4濃度の要約統計量を算出し、血清中H3−2L4濃度推移図を作成した。
3−3−1.[血清中H3−2L4濃度]
実施スケジュールに示す時期(投与開始日を起点(1日(0週)として(以下、同様)、投与前(1日)、8日、15±1日、29±3日、43±3日、57±3日、71±3日、および85±3日)に、血清中H3−2L4濃度測定のための採血を行った。なお、原則として、2週、4週または6週の投与5日後(±3日)のいずれか1ポイントにて血清中H3−2L4濃度測定のための採血を行った。
投与期(12週)にわたる、100mg投与群、200mg投与群および400mg投与群における、血清中H3−2L4濃度の要約統計量(算術平均値で示す。)は、図2に示される。
3−3−2.[血清中総FKN濃度]
実施スケジュールに示す採血時期(投与前(1日)、8日、15±1日、29±3日、43±3日、57±3日、71±3日、および85±3日)に、血清中総FKN濃度測定のための採血を行った。
投与期(12週)にわたる100mg投与群および200mg投与群における、血清中総FKN濃度の要約統計量(算術平均値で示す。)は、各投与群における、血清中H3−2L4濃度の要約統計量とともにそれぞれ図3および図4に示される。
3−4.[有効性]
有効性の解析は、治験薬が投与され,評価可能な治験薬投与後の有効性データが1点以上ある被験者の集団(最大の解析対象集団(FAS:Full Analysis Set)を用いて実施した。
関節リウマチに対する治験薬の有効性は、投与量別に各評価時期におけるACR20、ACR50、ACR70反応率およびその両側95%信頼区間を算出することにより評価した。ACRの各評価項目である圧痛・腫脹関節数、VAS(患者の疼痛評価、疾患活動性全般評価および医師の疾患活動性全般評価)を用いた評価、患者による身体機能評価(HAQ)およびhs−CRP・ESRの値、変化量および変化率について評価時期別の要約統計量を算出した。同様に、各評価時期におけるDAS28−ESR、DAS28−CRP、SDAI(simple disease activity index)、CDAI(clinical disease activity index)の値および変化量について、投与量ごとに要約統計量を算出した。併せて、各寛解基準(DAS28−ESR、DAS28−CRP、SDAI、CDAIおよびBoolean)による寛解率およびその両側95%信頼区間を算出した。
なお、解析はSASを用いて実施した。
3−4−1.[ACR20、ACR50、ACR70]
各投与群における、12週時のACR20、ACR50、ACR70の結果を図5(LOCF(Last Observation Carried Forward)による。)および図6(NRI(Non−Responder Imputation)による)に示す。12週時のACR20、ACR50、ACR70(LOCF)は、100mg投与群でそれぞれ75.0%、33.3%、8.3%、200mg投与群でそれぞれ80.0%、26.7%、20.0%、400mg投与群でそれぞれ70.0%、30.0%、20.0%であった。また、12週時のACR20、ACR50、ACR70(NRI)は、100mg投与群でそれぞれ75.0%、33.3%、8.3%、200mg投与群でそれぞれ66.7%、20.0%、13.3%、400mg投与群でそれぞれ60.0%、30.0%、20.0%であった。
また、各投与群における12週時までのACR70(LOCFによる。)の推移を図7に示す。図7に示されるように、200mg投与群および400mg投与群は、100mg投与群と比べて早期に改善効果が認められた。
3−4−2.[DAS28−CRP]
投与期(12週)にわたる、各投与群における、投与前(0週)からのDAS28−CRPの変化の推移(LOCFによる。)を図8に示す。
また、各投与群における、投与前(0週)および12週時のDAS28−CRPの疾患活動性分類の割合の推移を図9に示す。図9に示されるように、投与後12週時において、各投与群で改善傾向が認められた。また、各投与群の被験者の20%以上において寛解を達成した。
3−4−3.[DAS28−ESR]
各投与群における12週時のDAS28−ESR(NRI)の疾患活動性分類のうち寛解または低疾患活動性に達した被験者の割合を図10に示す。寛解または低疾患活動性に達した被験者の割合は、100mg投与群で16.7%(寛解は8.3%)、200mg投与群で26.7%(寛解は6.7%)、400mg投与群で40%(寛解は20%)であった。また、各投与群における12週時のDAS28−ESR(NRI)のEULAR response criteriaに基づく被験者の割合を図11に示す。12週時において、「good response」を達成した被験者は、100mg投与群、200mg投与群および400mg投与群において、それぞれ16.7%、20%および40%であった。これらの結果より、投与量の増加に伴って改善効果が高くなることが示された。
3−4−3.[SDAI,Boolean]
100mg投与群および200mg投与群における、12週時のSDAIの寛解率は、それぞれ16.7%および20.0%であった。
また、100mg投与群および200mg投与群における、12週時のBooleanの寛解率は、それぞれ8.3%および26.7%であった。
3−4−4.[赤血球沈降速度(ESR)、高感度CRP(hs−CRP)]
ESRは、実施スケジュールに示す時期(スクリーニング期、投与前(1日(0週)、15±1日、29±3日、57±3日、および85±3日)および中止時に測定した。また、継続投与期に移行した被験者はさらに4週ごとに52週時まで測定した。院内にて1時間値を測定し、測定結果は症例報告書に記載した。
hs−CRPは、血液生化学検査の一環として、実施スケジュールに示す時期(スクリーニング期、投与前(1日(0週))、2日、9日、15±1日、29±3日、57±3日、および85±3日)に測定した。
100mg投与群および200mg投与群の各被験者における、12週時の最低血清中H3−2L4濃度、12週時までの最低血清中H3−2L4濃度−時間曲線下面積、並びに各評価時期(投与前(0週)および12週時)におけるhs−CRP、ESR、およびこれらの変化率を下記表9および10に示す(表中の値は、SASによる解析は行っていない。)。
表中、hs−CRP変化率およびESR変化率が−0.2以下であったものは太字で示されている。また、12週での最低血清中H3−2L4濃度が測定限界値以下であったものは、空欄になっている。
表中、CRP変化率およびESR変化率が−0.2以下であるものは太字で示されている。また、被験者EE、IIおよびLLは、試験を途中で中止した。
上記結果において、投与前(0週)におけるhs−CRPの値が0.6mg/dL以上(本試験における適格性の選択基準値)である被験者に層別すると、12週での最低血清中H3−2L4濃度が約10μg/mL以上の被験者では、最低血清中H3−2L4濃度が高くなるほど、hs−CRPにおける改善傾向が認められた。実際、投与前(0週)におけるhs−CRPの値が0.6mg/dL以上であり、かつ、12週時における最低血清中H3−2L4濃度が測定できた、100mg投与群において、hs−CRPが20%以上改善しなかった被験者群の12週での最低血清中H3−2L4濃度の算術平均値が7.2μg/mLであった一方、hs−CRPの値が20%以上改善した被験者群の算術平均値は14.4μg/mLであった。同様に、200mg投与群において、hs−CRPの値が20%以上改善した被験者群の12週での最低血清中H3−2L4濃度の算術平均値は24.2μg/mLであった。上記結果および2週時以降に定常状態に達していたことを鑑みると、少なくとも10μg/mLの平均トラフ濃度をもたらすように、H3−2L4を含む医薬組成物が投与されることが必要であると考えられた。
3−4−5.[圧痛関節数および腫脹関節数の評価]
スクリーニング期、観察期、治験薬投与開始2週時、4週時、8週時、12週時および中止時に圧痛関節数および腫脹関節数を評価した。また、継続投与期に移行した被験者はさらに4週ごとに52週時まで評価した。原則として各実施医療機関における同一の治験担当医師が評価を実施した。
圧痛関節数は68関節を対象に関節を圧迫または可動して評価した。
12週時における圧痛関節数および腫脹関節数は、投与前(0週)の値に対して減少し、その減少値は、100mg投与群でそれぞれ8.8± 7.30 、5.3 ± 3.98、200mg投与群でそれぞれ8.7 ± 9.85 、6.6 ± 7.01、400mg投与群でそれぞれ10.4± 11.27 、 8.8 ± 8.30であった。
3−4−6.[Visual Analog Scale (VAS)を用いた評価]
観察期、治験薬投与開始2週時、4週時、8週時、12週時および中止時にVASを用いた評価を実施した。また、継続投与期に移行した被験者はさらに4週ごとに52週時まで評価した。原則として各実施医療機関における同一の治験担当医師が評価を実施した。
3−4−7.[Health Assessment Questionnair (HAQ)を用いた評価]
観察期,治験薬投与開始2週時、4週時、8週時、12週時および中止時にHAQを用いた評価を実施した。また、継続投与期に移行した被験者はさらに4週ごとに52週時まで評価した。
本臨床試験により、MTXまたはTNF阻害薬で効果不十分なリウマチ患者において、H3−2L4の安全性および忍容性は良好であることが示された。また、H3−2L4抗体を含む医薬組成物の臨床的有効性が確認され、特に1回あたり200mg以上の前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることで、顕著な改善効果を示した。

Claims (10)

  1. 関節リウマチを治療するための医薬組成物であって、
    前記医薬組成物は、抗フラクタルカイン抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含んでおり、
    前記抗フラクタルカイン抗体は:
    その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
    その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
    ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
    前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体であり、
    前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり少なくとも100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、
    前記医薬組成物。
  2. 請求項1に記載の医薬組成物であって、
    前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg〜400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、
    医薬組成物。
  3. 請求項1に記載の医薬組成物であって、
    前記医薬組成物は、ヒトに対して1回あたり100mg、200mgまたは400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が皮下投与されるように用いられることを特徴とする、
    医薬組成物。
  4. 請求項1に記載の医薬組成物であって、
    ヒトに対して100mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
    平均Cmaxが10μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
    平均AUC(0−336h)が2.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
    平均AUC(0−t)が3.0×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
    をもたらす、
    前記医薬組成物。
  5. 請求項1に記載の医薬組成物であって、
    ヒトに対して200mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
    平均Cmaxが27μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
    平均AUC(0−336h)が7.4×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
    平均AUC(0−t)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
    をもたらす、
    前記医薬組成物。
  6. 請求項1に記載の医薬組成物であって、
    ヒトに対して400mgの前記抗フラクタルカイン抗体が単回皮下投与されたときに、
    平均Cmaxが43μg/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、
    平均AUC(0−336h)が1.2×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値、または、
    平均AUC(0−t)が2.7×10μg・h/mLの80%〜125%の数値範囲内に含まれる値
    をもたらす、
    前記医薬組成物。
  7. 請求項1に記載の医薬組成物であって、
    1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で複数回皮下投与される、
    前記医薬組成物。
  8. 請求項1〜7に記載の医薬組成物であって、
    前記抗フラクタルカイン抗体の平均トラフ濃度が10μg/mL以上となるように皮下投与される、
    医薬組成物。
  9. 請求項1〜7に記載の医薬組成物であって、
    前記抗フラクタルカイン抗体の平均トラフ濃度が20μg/mL以上となるように皮下投与される、
    医薬組成物。
  10. 抗フラクタルカイン抗体を含有する関節リウマチ治療薬であって、
    100mg〜400mgの抗フラクタルカイン抗体が、ヒトに対して1週間に1回から2週間に1回までの投与間隔で皮下投与されるように用いられることを特徴とし、
    前記抗フラクタルカイン抗体は:
    その重鎖可変領域が、配列番号13(QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYIHWVKQAPGQGLEWIGWIYPGDGSPKFNERFKGRTTLTADKSTNTAYMLLSSLRSEDTAVYFCATGPTDGDYFDYWGQGTTVTVSS)に示すアミノ酸配列を含む;
    その軽鎖可変領域が、配列番号14(DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNFLAWYQQKPGKAPKLLIYNEKTLADGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYFCQQFWSTPYTFGGGTKVEIK)に示すアミノ酸配列を含む;
    ヒトIgG2アイソタイプの定常領域を含む;および
    前記ヒトIgG2アイソタイプの定常領域のFc領域がV234AおよびG237Aの変異を含む、抗体である、
    前記関節リウマチ治療薬。

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