JP2017193127A - 樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な方法で樹脂シートを製造することができ、得られる樹脂シートに反りがなく、その表面に欠損や割れ、凹凸がない樹脂シートの製造方法の提供。
【解決手段】硬化型組成物を使用し、下記工程1〜工程3を含む樹脂シートの製造方法。
工程1:少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰(以下、堰)から構成される成形型を使用し、1枚の基材と堰から構成される成形型の空間部に、組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか、又は、
2枚の基材と堰から構成される成形型の空間部に組成物を注入又は流し込む工程
工程2:成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射するか、又は成形型を加熱し、組成物を硬化させる工程
工程3:工程2で、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、誘電率の低下に応じて成形型を構成する2枚の基材の距離を近接するよう移動させる工程
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シートの製造方法に関し、従来ガラスが使用されているディスプレイ、建材分野及び自動車分野におけるガラスの代替用途に使用することができ、光学シートとして好ましく使用でき、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、又、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
近年、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーションシステムなどのモバイル機器に、タッチパネル一体型液晶表示装置又はタッチパネル一体型有機EL表示装置が多く適用されるようになっている。
従来、タッチパネルの透明導電性薄膜としては、ガラス上に酸化インジウムスズ(以下、ITO)の薄膜を形成した導電性ガラスがよく知られているが、基材がガラスであるために可撓性、加工性に劣り、用途によっては好ましくない場合には、可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量であるなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートシート(ガラス転移温度約120℃)を基材とした透明導電性シートが使用されている。
一方、タッチパネルの薄型軽量化、透過率の向上、部材のコストダウンに貢献する事が期待される点から、カバーガラスにITO等のタッチセンサを直接形成するカバー一体型タッチパネル、いわゆるOGS(One Glass Solution)が一部採用されている。しかしながら、OGSタイプはカバーガラスが割れてしまうとタッチパネルを操作できなくなることがネックとなっている。
そこで、耐衝撃性に優れるカバー樹脂に、ITO等のタッチセンサを直接形成する、いわゆるOPS(One Plastic Solution)が提案されている。しかしながら、従来のアクリル樹脂シートやポリカーネート樹脂シートでは、透明導電膜や金属電極形成プロセスでの耐熱性が不足するため、使用できない。
樹脂シートの耐熱性を向上させるために、架橋構造を有する反応型の硬化型組成物が提案されている。
例えば、特許文献1では、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレートと脂環構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを含む光硬化性組成物であって、硬化物のガラス転移温度200℃以上、曲げ弾性率が3.0GPa以上である樹脂シートが提案されている。
このような硬化後の弾性率が高い樹脂シートの力学的性質や光学的性質は、その組成はもちろんこと、硬化方法によっても影響を受ける。
一般的に、硬化物が高架橋度で高弾性率となる組成物を硬化する際、硬化の条件により、表面の凹凸、破損や反り等の形状不良、複屈折等により光学的性質の低下、力学的性質の不均質化等の問題が生じていた。
特に得られる樹脂シートの表面に凹凸が発生してしまうという外観不良の問題が顕著であった。
これらの問題を改善する方法として、活性エネルギー線硬化型組成物を2段階の活性エネルギー線照射により、樹脂シートを製造する方法が知られている。
例えば、特許文献2には、活性エネルギー線が透過する平面板と相対する平面板を有し、この2枚の板の間隔を一定に保持する手段を有する成形型に、光硬化性樹脂を注入し、硬化所要量の15%以下の活性エネルギー線を照射した後、残りの活性エネルギー線を照射する樹脂シートの製造方法が開示されている。
当該製造方法では、樹脂シートの表面のヒケを低下させ、表面の平滑性を向上させている。
又、特許文献3には、紫外線照射を、第1段階における紫外線照射の積算光量が0.1〜10J/cm2で、第2段階における紫外線照射の積算光量が1〜100J/cm2である樹脂シートの製造方法が開示されている。
しかしながら、前記した活性エネルギー線の照射条件を制御する方法によっては、外観不良や反りを起こすことなく、高弾性率の樹脂シートを得ることができなかった。又、活性エネルギー線照射を多段階とすると、活性エネルギー線射条件を変更するための設備が複雑になってしまう問題もあった。
特許文献4には、硬化収縮に伴う剥離跡を低減する目的で、成形型として、所定の間隔をおいて対面配置された上面板と下面板の間の周辺部に硬化性シーリング材からなるもの用いる製造方法が開示されている。
当該製造方法では、硬化性組成物の硬化時の体積収縮に追随するような硬化収縮率を示すシーリング材を使うことにより、表面からの硬化性組成物の剥離を防止し、表面剥離跡を低減させるものである。
しかしながら、当該製造方法は、シーリング材の成型工程が増加してしまうという問題を有するものであった。
特許文献5には、2枚の支持体の間に光硬化型組成物を配置した狭持体とし、支持体の片面又は両面より活性エネルギー線を照射して光硬化型組成物の硬化を30〜95%行う一次硬化工程と、狭持体のまま又は支持体の1枚を取り外し、移動させながら、片面又は両面より活性エネルギー線を照射して光硬化型組成物の硬化を行う製造方法が開示されている。
当該製造方法では、硬化時の応力を緩和することで硬化物の欠損や割れを防止し、応力ひずみの少ない樹脂シートを得ることができるとある。
しかしながら、当該製造方法は、光硬化型組成物が低粘度の場合には、低い硬化率では支持体を取り外すことが困難であり、又、未硬化の組成物による汚染も懸念される。さらに、光硬化型組成物は、空気中の酸素により硬化阻害を起こすものが多いが、支持体を取り外す際に酸素の影響を受け、支持体を取り外した面の硬度が低下することがあった。
特許文献6には、(1)2枚の基材の各表面に硬化型組成物を塗工し、それぞれに硬化型組成物層を形成する工程、(2)2枚の基材に設けられた硬化型組成物層同士を貼り合わせ接着させる工程、及び(3)2枚の基材間の硬化型成物層を硬化させる工程と有する製造方法が開示されている。
当該製造方法では、反りの無い樹脂シートを得ることができるとある。
しかしながら、当該製造方法は、2枚の基材に組成物と塗工する工程、さらには2枚の基材に形成された組成物層を貼りあわせる工程を必要とするため、操作が煩雑で、工程数が多くなってしまうという問題があった。
特許5057775号公報 特開平10−058465号公報 特開2014−113723号公報 特開2002−361656号公報 特許4053329号公報 特許5186556号公報
本発明らは、簡便な方法で樹脂シートを製造することができ、得られる樹脂シートに反りがなく、さらに樹脂シートの表面に欠損や割れがなく、さらに又凹凸がない樹脂シートの製造方法を見出すため、鋭意検討を行ったのである。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、組成物を含む成形型の誘電率を測定して組成物の硬化収縮の程度をモニターし、その結果に応じて成形型を構成する基材を移動させる製造方法が有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、硬化型組成物を使用し、下記工程1〜工程3を含む樹脂シートの製造方法に関する。
工程1:少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型を使用し、
1枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に、前記組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか、又は、
2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に前記組成物を注入又は流し込む工程
工程2:成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射するか、又は成形型を加熱し、前記組成物を硬化させる工程
工程3:前記工程2において、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、誘電率の低下に応じて成形型を構成する2枚の基材の距離を近接するよう移動させる工程
本発明においては、硬化型組成物を含む成形型について、硬化前の誘電率(以下、「P0」という)と完全に硬化させた後の誘電率(以下、「PF」という)を事前に測定しておき、工程3において測定された誘電率(以下、「P」という)が、下記式(1)で得られる規格化誘電率の値として80〜40となった時点で2枚の基材の距離を近接するよう移動させる製造方法が好ましい。
規格化誘電率=100−〔(P0−P)/(P0−PF)〕×100 ・・・・・(1)
柔軟性を有する堰としては、1mm当りの圧縮荷重が組成物硬化物の圧縮荷重以下であるものを使用することが好ましい。
又、誘電率を測定する周波数が200kHz〜30MHzが好ましい。
前記組成物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物(A)を含むものが好ましい。
(A)成分としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含むものが好ましく、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましく、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。
又、前記組成物としては、(B)光重合開始剤又は/及び(C)熱重合開始剤を含むものが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法によれば、簡便な方法で樹脂シートを製造することができ、硬化物の収縮に応じて成形型を構成する基材を移動させるため、得られる樹脂シートに反りがなく、さらに、得られる樹脂シートが基材から剥離してしまうことにより、樹脂シート表面に欠損や割れが生じたり、さらには凹凸が生じてしまうことがないため、均質な樹脂シートを得ることができる。
図1は、本発明により樹脂シートを製造する際に使用する成形型の1例を示す図である。 図2は、本発明により樹脂シートを製造する際に使用する成形型の1例を示す図である。 図3の(b)は、本発明の概念を示す図である。 図3の(c)は、本発明により樹脂シートを製造する際に使用する装置の1例を示す図である。
本願明は、硬化型組成物を使用し、下記工程1〜工程3を含む樹脂シートの製造方法に関する。
工程1:少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型を使用し、
1枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に、前記組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか、又は、
2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に前記組成物を注入又は流し込む工程
工程2:成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射するか、又は成形型を加熱し、前記組成物を硬化させる工程
工程3:前記工程2において、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、誘電率の低下に応じて成形型を構成する2枚の基材の距離を近接するよう移動させる工程
以下、硬化型組成物、及び樹脂シートの製造方法について説明する。
1.硬化型組成物
本発明の製造方法では、硬化型組成物を使用する。
硬化型組成物を構成する化合物としては、活性エネルギー線の照射又は加熱によりラジカル種、カチオン種及びアニオン種等の活性種を発生する化合物が挙げられる。
活性エネルギー線の照射又は加熱によりラジカル種を発生する化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物(A)〔以下、「(A)成分」という〕が挙げられる。
活性エネルギー線の照射又は加熱によりカチオン種を発生する化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射又は加熱によりアニオン種を発生する化合物としては、クロムアミンチオシアネート、白金アセチルアセトネート、ペンタカルボニル金属錯体、シッフ塩基、フェロセン、メタロセン及びアルキルアルミニウムポルフィリン等が挙げられる。
本発明においては、(A)成分を含む組成物が好ましい。
(A)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分としては、エチレン性不飽和基を1個有する化合物〔以下、「単官能不飽和化合物」という〕、及びエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物〔以下、「多官能不飽和化合物」という〕等が挙げられる。
以下、それぞれの化合物について具体的に説明する。
1−1.単官能不飽和化合物
単官能不飽和化合物としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、о−フェニルフェノールエチレンオキサイド付加物(1〜4モル付加物)(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールエチレンオキサイド付加物(1〜4モル付加物)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、о−フェニルフェニル(メタ)アクリレート及びp−クミルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能不飽和化合物としては、種々の官能基を有する化合物であっても良い。
カルボキシル基を有する化合物の例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸のマイケル付加型多量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する化合物の例としては、水酸基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基を有する化合物の例としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン及び(メタ)アクリルアミド系化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系化合物の具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアクリルアミド;
N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;並びに
(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
これら化合物の中でも、(メタ)アクリロイルモルホリン及びN−ビニルホルムアミドが好ましい。
カルバメート基を有する化合物の例としては、オキサゾリドン基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができ、その具体例としては、2−(2−オキソー3−オキサゾリジニル)エチルアクリレート等を挙げることができる。
イミド基を有する化合物の例としては、マレイミド基を有する化合物が挙げられる。マレイミド基を有する化合物としては、ヘキサヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヘキサヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。テトラヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレートの例としては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
1−2.多官能不飽和化合物
多官能不飽和化合物としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「2官能(メタ)アクリレート」という。以下、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を「○官能(メタ)アクリレート」と同様に表記する。〕としては、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の芳香族骨格を有する2官能(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(1−メチルブチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族骨格を有する2官能(メタ)アクリレート;
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びスピログリコールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有する2官能(メタ)アクリレート;
尚、上記においてアルキレンオキサイド付加物としては、エチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、上記以外にもウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレー及びポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
以下、これらの化合物について説明する。
1−2−1.ウレタン(メタ)アクリレート
多官能(メタ)アクリレートとしては、ウレタン結合を有し2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるウレタン(メタ)アクリレート〔以下、「(A1)成分」という〕が好ましい。
(A1)成分としては、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A1-1)成分」という〕、並びに有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A1-2)成分」という〕等が挙げられる。
以下、(A1-1)成分及び(A1-2)成分について説明する。
1)(A1-1)成分
(A1-1)成分は、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物である。
(A1-1)成分におけるポリオールとしては、ジオールが好ましい。
ジオールとしては、低分子量ジオール、ポリエステル骨格を有するジオール、ポリエーテル骨格を有するジオール及びポリカーボネート骨格を有するジオールが好ましい。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステル骨格を有するジオールとしては、前記低分子量ジオール又はポリカプロラクトンジオール等のジオール成分と、ジカルボン酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
ジカルボン酸又はその無水物としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及びビスフェノールA等のビスフェノールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、脂環式基を有しない脂肪族ポリイソシアネート(以下、単に「脂肪族ポリイソシアネート」という)、脂環式基を有する脂肪族ポリイソシアネート(以下、「脂環式ポリイソシアネート」という)、複素環を有するポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート3量体等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート及び1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明において、有機ポリイソシアネートとしては、硬化物の物理特性に優れ、黄変が少ないという点で脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有モノ(メタ)アクリレートが好ましい。
水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2)(A1-2)成分
(A1-2)成分は、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であり、ウレタンアダクトと称される化合物である。
(A)成分として、(A1-2)成分を使用することにより、架橋密度が高くなり、耐熱性が向上するため好ましい。
(A1-2)成分において、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物が挙げられる。
(A1-2)成分においては、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という)を使用することもできる。
(A1-2)成分としては、当該有機ポリイソシアネートと水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A1-2-1)成分」という〕を使用すると、架橋密度が高くなり、耐熱性、耐摩耗性及び耐擦傷性にも優れるものとなるため好ましい。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、種々の化合物が使用でき、具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、硬化膜が耐磨耗性と耐擦傷性に優れる点で、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を1個有する化合物が好ましく、具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、得られる硬化物の反りを防止できる点で、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
(A1-2-1)成分の製造において、原料の水酸基含有多官能(メタ)アクリレートは、通常、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートと水酸基を有しない多官能(メタ)アクリレートを含む混合物であるが、(A1-2-1)成分としては当該混合物を使用して製造されたものも使用することができる。
具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの混合物、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートの混合物、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物等が挙げられる。
(A1-2)成分の別の好ましい化合物としては、3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A1-2-2)成分」という〕が挙げられる。
(A1-2-2)成分における水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物と同様の化合物が挙げられる。
3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートの例としては、前記したヘキサメチレンジイソシアネート3量体及びイソホロンジイソシアネート3量体等を挙げることができる。
(A1-2-2)成分の好ましい例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体とヒドロキシブチルアクリレートの付加反応物等が挙げられる。
さらに、(A1-2)成分としては、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。当該化合物は、硬化物の適度な架橋密度によって剛性を維持すると同時に高い強靭性を有するものとなる。
当該化合物の例としては、前記した(A1-2-1)成分及び(A1-2-2)成分を挙げることができる。
3)(A1)成分の製造方法
(A1)成分は、(A1-1)成分においては、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの付加反応、(A1-2)成分においては、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの付加反応により製造される。
この付加反応は無触媒でも可能であるが、反応を効率的に進めるために、ジブチルスズジラウレート等の錫系触媒や、トリエチルアミン等のアミン系触媒等を添加しても良い。
1−2−2.ポリエステル(メタ)アクリレート
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、ポリエステルジオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。
ここで、ポリエステルジオールとしては、ジオールとジカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の低分子量ジオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ジカルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等のジカルボン酸、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
1−2−3.エポキシ(メタ)アクリレート
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物である。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
1−2−4.ポリエーテル(メタ)アクリレート
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)ジアクリレートがあり、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
1−2−5.総括
(A)成分としては、前記した化合物の1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
(A)成分としては、前記した化合物の中でも、硬化物の曲げ弾性率が高くなるという理由で、3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
(A)成分として3官能以上の(メタ)アクリレートを含む場合は、(A)成分の合計量中に20重量%以上含むことが好ましい。
又、単官能(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有する単官能(メタ)アクリレート、並びに2官能(メタ)アクリレートとしては、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びスピログリコールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有する2官能(メタ)アクリレートが好ましい。
1−3.硬化型組成物
組成物の粘度は目的に応じて適宜設定すれば良く、50〜10,000mPa・sが好ましい。
尚、本発明において粘度とは、E型粘度計を使用して25℃で測定した値を意味する。
本発明における組成物は、前記(A)成分を好ましく含むものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
その他成分としては、具体的には、光重合開始剤〔以下、「(B)成分」という〕、熱重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕、有機溶剤、可塑剤、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤、耐光性向上剤、並びに2個以上のメルカプト基を有する化合物等を挙げることができる。
又、前記以外にも、離型剤、フィラー及び溶解性重合体等を配合することができる。
離型剤は、得られる樹脂シートを基材からの離型を容易にする目的で配合する。離型剤としては、基材から離型でき、配合液および硬化物が濁らなければ、各種界面活性剤が使用できる。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸等のアニオン界面活性剤、アルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤、アルキルカルボキシベタイン等の両性界面活性剤さらには、フッ素やケイ素を含む界面活性剤等が挙げられる。
フィラーは、得られる樹脂シートの機械物性を向上させる目的で配合する。フィラーとしては、無機化合物及び有機化合物のいずれも使用できる。無機化合物としては、シリカ及びアルミナ等が挙げられる。有機化合物としては重合体を使用することができる。フィラーとしては、本発明の組成物から得られる樹脂シートが光学用途として使用される場合には、光学物性を低下させないものが好ましい。
溶解性重合体は、得られる樹脂シートの機械物性を向上させる目的で配合する。溶解性重合体とは、組成物に溶解する重合体を意味する。本発明では、組成物に溶解しない重合体をフィラーと称して区別する。
以下、(B)及び(C)成分について説明する。尚、後記する成分は、1種のみ使用しても良く、又2種以上を併用しても良い。
1−3−1.(B)成分
組成物として、活性エネルギー線硬化型組成物を使用する場合には、(B)成分(光重合開始剤)を配合したものを使用することが好ましい。
(B)成分は、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いた場合に配合する成分である。活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
(B)成分としては、活性エネルギー線の照射によりラジカル種を発生する化合物を使用する場合には、光ラジカル重合開始剤を使用し、活性エネルギー線の照射によりカチオン種を発生する化合物を使用する場合には、光カチオン重合開始剤を使用し、活性エネルギー線の照射によりアニオン種を発生する化合物を使用する場合には、光アニオン重合開始剤を使用する。
本発明においては、(A)成分を使用することが好ましく、この場合は光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチルー1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシー2−メチルー1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシー1−[4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノー2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、前記以外にも分子量が350以上の光重合開始剤を使用することも可能である。分子量350以上の光重合開始剤は、光照射後の分解物により得られる樹脂シートが着色を生じることがなく、さらに透明導電性フィルムの製造に使用する場合、分解物が透明導電体層の真空成膜時のアウトガスも発生しないため、短時間で高真空に到達することができ、導電体層の膜質が低下して低抵抗化しにくくなってしまうことを防止することができる。
光ラジカル重合開始剤としては、分子量が350以上で紫外線や可視光線等の光により重合開始する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、ヒドロキシケトンのポリマー等が挙げられ、例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。当該化合物は、(A)成分との相溶性に優れる点でも好ましい。
Figure 2017193127
式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは2〜5数を表す。
2はアルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン等が挙げられる。
当該化合物は市販されており、例えば、ESACURE KIP 150(Lamberti社製)が知られている。ESACURE KIP 150は、上記式(1)表される化合物において、R1は水素原子又はメチル基、R2はメチル基、nは2〜3数、かつ[(204.3×n+16.0)又は(204.3×n+30.1)]の分子量を有する化合物である。
前記以外の化合物としては、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸等を挙げることができる。
当該化合物は市販されており、イルガキュア754(BASF社製)が知られている。イルガキュア754は、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物である。
(B)成分の配合割合としては、(A)成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
(B)成分の配合割合を0.01重量%以上とすることにより、適量な紫外線又は可視光線量で組成物を硬化させることができ生産性を向上させることができ、一方10重量部以下とすることで、硬化物の耐候性や透明性に優れたものとすることができる。
1−3−2.(C)成分
組成物として熱硬化型組成物を使用する場合には、(C)成分(熱重合開始剤)を配合した組成物が好ましい。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ジラウロイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
(C)成分の使用割合としては、(A)成分の合計量100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
2.樹脂シートの製造方法
本発明は、硬化型組成物を使用し、下記工程1〜工程3を含む樹脂シートの製造方法に関する。
工程1:少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型を使用し、
1枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に、前記組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか、又は、
2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に前記組成物を注入又は流し込む工程
工程2:成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射するか、又は成形型を加熱し、前記組成物を硬化させる工程
工程3:前記工程2において、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、その結果に応じて2枚の基材の距離を近接するよう移動させる工程
以下、工程1〜工程3について説明する。
2−1.工程1
工程1は、少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型を使用し、
1枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に、前記組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか、又は、
2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に前記組成物を注入又は流し込む工程である。
2−1−1.成形型
本発明で使用する成形型は、少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰(以下、単に「堰」ともいう)から構成される。
以下、基材、柔軟性を有する堰及び具体例について説明する。
1)基材
基材としては、剥離可能な基材及び離型性を有しない基材(以下、「非離型性基材」という)のいずれも使用することができ、剥離可能な基材が好ましい。
剥離可能な基材としては、金属、ガラス、離型処理されたフィルム及び剥離性を有する表面未処理フィルム(以下、まとめて「離型材」という)等が挙げられる。
離型材としては、シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマーフィルム及び表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
本発明の組成物から得られる樹脂シートに対して、低いヘイズにしたり表面平滑性を付与するためには、剥離可能な基材として表面粗さ(中心線平均粗さ)Raが0.15μm以下の基材を使用することが好ましく、0.001〜0.100μmの基材がより好ましい。さらに、ヘイズとしては3.0%以下が好ましい。
当該基材の具体例としては、ガラス、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルムや表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
尚、本発明において表面粗さRaとは、フィルムの表面の凹凸を測定し、平均の粗さを計算したものを意味する。
非離型性基材としては、前記以外の各種プラスチックが挙げられ、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
組成物として、活性エネルギー線型組成物を使用する場合は、基材のいずれか又は両方が活性エネルギー線を透過する透明板を使用する必要がある。
透明板としては活性エネルギー線が透過すれば良く、材質は限定しないが、表面の平滑性、剛性、耐熱性、化学的安定性の面からガラスが好ましい。基材は、湾曲していてもよい。
2)堰
第1工程で使用する堰としては、成形型における2枚の基材を移動可能とするため、柔軟性を有する必要がある。
堰の柔軟性としては、使用する組成物に応じて適宜設定すれば良いが、1mm当りの圧縮荷重が組成物硬化物の圧縮荷重以下であるものが、成形型を構成する2枚の基材を容易に移動できるため好ましい。
本発明において圧縮荷重とは、圧縮試験装置で測定された値を意味する。
堰を形成するための材料としては、柔軟性を有する材料であれば種々の材料を使用することができ、ゴム等が挙げられる。
ゴムとしては、天然ゴム及び合成ゴムのいずれも使用することができる。合成ゴムの例としては、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルニトリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム及びポリ塩化ビニルゴム等を挙げることができる。
3)成形型の例
成形型の例として、図1及び図2を挙げ説明する。
図1の(a1-1)及び(a1-2)は、2枚の基材〔図1:(a1-1)の(1)及び(a1-2)の(1)’〕、2枚の離型性に優れる基材〔図1:(a1-1)の(2)及び(a1-2)の(2)’〕及び1枚の堰を設けるための基材〔図1:(a1-1)の(3)〕から構成される成形型の例である。
図2の(a2-1)及び(a2-2)は、2枚の基材〔図1:(a2-1)の(1)及び(a2-2)の(1)’〕、及び1枚の堰を設けるための基材〔図1:(a2-1)の(3)〕から構成される成形型の例である。
堰を設けるための基材〔図1:(a1-1)の(3)及び(a2-1)の(3)〕の形状としては、図1及び図2に示す通り、長方形状の基材の内部を長方形状に切り抜いた形状等が挙げられる。図1では長方形状の基材を例示しているが、長方形の4辺が丸みを帯びたり、チューブ状の基材を楕円状の曲げたもの等が挙げられる。
又、堰を設けるための基材としては、図1の(3)'に示す通り、上部に組成物を注入するための空孔部(3-a)を有する形状のものも使用することができる。
図1の(a1-1)及び(a1-2)の具体例としては、基材として2枚のガラス、2枚の離型処理されたフィルム及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型が挙げられる。
基材〔図1:(a1-1)の(1)〕の上に、離型処理されたフィルム〔図1:(a1-1)の(2)〕を重ね、その上に堰を設けるための基材〔図1:(a1-1)の(3)〕を重ね堰(スペーサー)とする。さらにその上に、離型処理されたフィルム〔図1:(a1-2)の(2)’〕を重ね、その上に基材〔図1:(a1-2)の(1)’〕を重ね成形型とする。
図2の(a2-1)及び(a2-2)の具体例としては、基材〔図2:(a2-1)の(1)及び(a2-2)の(1)’〕として、離型処理されたガラスや金属を使用する場合であり、硬化物の離型性に優れるため、図1の(a1-1)や(a1-2)における2枚の離型処理されたフィルムは不要である。
ガラスにおける離型処理とは、フッ素処理、シリコーン処理、リン酸エステル系離型剤、パラフィン系離型剤及び金属酸化膜処理等が挙げられる。
又、組成物の硬化物自体が離型性に優れる場合には、当該成形型として、離型処理されていないガラスを使用することもできる。組成物の硬化物自体が離型性に優れる例としては、組成物に離型剤を配合した例が挙げられる。
基材〔図1:(a2-1)の(1)〕の上に、堰を設けるための基材〔図1:(a2-1)の(3)〕を重ね堰(スペーサー)とし、その上に他方の基材〔図1:(a2-2)の(1)’〕を重ね成形型とする。
2−1−2.組成物の事前処理
本発明の組成物の注入又は流し込みに当たって、組成物としては、得られる樹脂シートを、異物の混入防止や空隙等の欠陥の発生を防止したり、光学物性の優れたものとするため、原料成分を撹拌・混合した後、精製したものを使用することが好ましい。
組成物の精製方法としては、組成物をろ過する方法が簡便であり好ましい。ろ過の方法としては、加圧ろ過等が挙げられる。
ろ過精度は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。ろ過精度は小さいほど好ましいが、小さすぎるとフィルターが目詰まりし易くなり、フィルターの交換頻度が増え生産性が低下するため、下限は0.1μmが好ましい。
樹脂シートの製造に当たっては、硬化物中に気泡を含むことを防止するため、各成分を配合した後に脱泡処理することが好ましい。
脱泡処理の方法としては、静置、真空減圧、遠心分離、サイクロン(自転・公転ミキサー)、気液分離膜、超音波、圧力振動及び多軸押出機による脱泡等が挙げられる。
2−1−3.注入又は流し込み
工程1では、前記した成形型を使用し、
1枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に、前記組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか(以下、「工程1−1」という)、又は、
2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に前記組成物を注入又は流し込む(以下、「工程1−2」という)工程である。
工程1−1について説明する。
前記で説明した図1の(a1-1)及び(a1-2)の場合、(a1-1)において、1枚の基材(1)、離型性に優れる基材(2)及び1枚の堰を設けるための基材(3)で成形型を作成し、堰を設けるための基材の空間部に組成物を注入又は流し込む。
その後、(a1-2)に示す通り、他の離型性に優れる基材(2)'及び他の基材(1)'を重ね合わせ成形型とする。
又、前記で説明した図2の(a2-1)及び(a2-2)の場合、(a2-1)において、1枚の基材(1)及び1枚の堰を設けるための基材(3)で成形型を作成し、堰を設けるための基材の空間部に組成物を注入又は流し込む。
その後、(a2-2)に示す通り、他の基材(1)'を重ね合わせ成形型とする。
工程1−2について説明する。
これは成形型として、前記で説明した図1の(a1-1)及び(a1-2)、図2の(a2-1)及び(a2-2)において、堰を形成するための基材として上部に組成物を注入するための空孔部(3-a)を有する堰(3)'を有する成形型を使用した場合である。
この場合は、図1の(a2-1)又は(a2-2)の成形型を形成しておき、その後空孔部(3-a)から組成物を注入又は流し込む。
成形型の空間部に組成物を注入する方法としては、組成物を注射器等の注入機器や注入装置に入れ注入する方法等が挙げられる。
空間部の高さが低い場合は、基材に組成物を塗工することもできる。この場合の塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、従来公知のバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
この場合の膜厚としては、後記する樹脂シートの目的とする膜厚に応じて適宜設定すれば良い。
特にガラス代替用途、好ましくはOPS用途に使用する場合、100μm〜5mmが好ましく、より好ましくは200μm〜3mmであり、特に好ましくは300μm〜2mmである。
2−2.工程2
工程2は、成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射するか、又は成形型を加熱し、前記組成物を硬化させる工程である。
以下、活性エネルギー線照射方法及び加熱方法について説明する。
1)活性エネルギー線照射方法
硬化型組成物として、活性エネルギー線硬化型組成物を使用する場合は、成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射する。
活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、可視光線及びX線等が挙げられるが、安価な装置を使用することができるため、可視光線及び紫外線が好ましい。
紫外線照射器は特に限定されるものではなく、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
この場合、硬化物のピーク温度を監視しながら、活性ネルギー線を照射することが好ましい。又、活性エネルギー線照射後に、加熱することもできる。この場合の加熱方法としては、後記方法に従えば良い。
2)加熱方法
硬化型組成物として、熱硬化型組成物を使用する場合は、成形型を加熱する。
加熱方法としては、成形型を、所望の温度に保たれている加熱装置に投入又は接触させることにより所望の温度及び時間で加熱する。
組成物として熱硬化型組成物を使用する場合の加熱方法としては、熱及びオイル等の熱媒浴に浸漬する方法、熱プレスを用いる方法、並びに温調式恒温槽内に保持する方法等が挙げられる。
加熱の温度としては、組成物の組成及び活性エネルギー線による硬化工程後の反応率により適宜設定されるが、着色や分解を防止できることから、250℃以下が好ましく、40〜250℃がより好ましく、50〜250℃がさらに好ましく、特に好ましくは60〜180℃である。
加熱時間は使用する組成物、及び目的とする樹脂シート等に応じて適宜設定すれば良く、3時間以上が挙げられる。加熱時間の上限は、経済性を考慮し24時間以下が好ましい。
又、目的に応じて加熱温度を変更することもできる。
2−3.工程3
工程3は、前記工程2において、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、誘電率の低下に応じて組成物の硬化収縮により生じた基材と硬化物との空間部を埋める目的で、成形型を構成する2枚の基材の距離を近接するよう移動させる工程である。
まず、工程3の概念について、図3の(b1)、(b2)及び(b3)に基づき説明する。
図3においては、成形型として(a2-2)を使用した例であり、成形型(a2-2)の断面図を示している。
図3において成形型(a2-2)は、2枚の基材(1)及び(1)'、並びに1枚の堰を設けるための基材(3)で構成され、空間部が組成物(4)で満たされている〔図3の(b1)〕。
その後、成形型に活性エネルギー線を照射するか又は加熱して組成物を硬化させる〔図3の(b2)〕。この場合、組成物の硬化収縮が発生し、基材と組成物の硬化物(4)'の間に空間部(S)が発生してしまう。
工程3は、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、組成物の硬化に従い誘電率が低下する性質を利用して、誘電率の低下の程度により組成物の硬化収縮の程度を確認し、前記した空間部(S)を埋めるように、成形型を構成する2枚の基材の距離を近接するよう移動させるものである〔図3の(b3)〕。
1)事前準備
工程3を実施するに当たっては、使用する組成物を含む成形型について、硬化前の誘電率(以下、「P0」という)及び完全に硬化させた後の誘電率(以下、「PF」という)を事前に測定しておくことが好ましい。これにより、組成物の硬化状態と誘電率の関係が明確になり、基材の移動を好ましく制御することができる。
又、使用する組成物を含む成形型により誘電率は異なるため、好ましくは、事前に測定した硬化前後の誘電率に基づき、硬化前の誘電率を100、硬化後の誘電率を0として規格化しておき、工程3において測定された誘電率(以下、「P」という)が、下記式(1)で得られる規格化誘電率の値として80以下となった段階で、好ましくは80〜40となった時点で、2枚の基材の距離が近接するよう移動を開始する方法が好ましい。
規格化誘電率=100−〔(P0−P)/(P0−PF)〕×100 ・・・・・(1)
又、堰を構成する基材の圧縮荷重を事前に測定しておくことが好ましい。
これにより、どの程度の誘電率において、どの程度の力を基材にかければ良いか制御が容易になる。
2枚の基材が近接するように移動させる距離としては、2枚の基材と組成物の硬化物の空間部を埋め、2枚の基材と組成物の硬化物とが密着するように基材を移動させる距離が好ましい。
2)誘電率の測定
工程3では、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定する。
本発明において誘電率とは、真空中の誘電率(ε0)に対する複素誘電率(ε*)の比を意味する。誘電率はJIS K6911に準じ平行板コンデンサ法で測定した値を意味する。
誘電率測定装置としては、CM−113N〔山本電機インスツルメント(株)〕等の誘電容量測定装置やAgilent社4294A等のインピーダンスアナライザ等が挙げられる。
誘電率を測定する周波数としては、200kHz〜30MHzが好ましい。当該周波数とすることにより、組成物の硬化状態を適切に測定することができる。
3)基材の移動
工程3は、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、誘電率の低下に応じて成形型を構成する2枚の基材の距離が近接するよう移動させる。
2枚の基材を移動させる方法としては、目的に応じて種々の手段を選択することができる。
成形型の2枚の基材を挟む装置を、一方又は両方に設置しておき、誘電率を測定結果に応じて、挟む装置の荷重を増加させる方法等が挙げられる。
当該方法は、実験室レベルであれば、誘電率を測定結果に応じて、2枚の基材を挟むクリップの数を増加させる方法等が挙げられる。
又、一方の基材に電磁石を配置し、他方の基材に電磁石と相対する面に磁石を配置し、誘電率の測定結果に応じて電磁石に電圧をかけることで磁力を発生させ、磁力により基材を移動させる方法等が挙げられる。
4)装置の具体例
次に、工程3を実施するための装置の1例について、移動手段として電磁石を使用した装置について図3の(c)に基づき説明する。
図3の(c)においては、成形型として(a2-2)を使用した例であり、成形型(a2-2)の断面図を示している。
成形型(a2-2)を構成する2枚の基材には、誘電率を測定するためのセンサー(6)が配置されている。センサー(6)は、誘電率測定装置(5)と接続されている。
又、成形型(a2-2)を構成する2枚の基材には、片面に2つの電磁石(8)が配置され、他方の面に電磁石(8)と相対するように2つの磁石(9)が配置されている。尚、図3の(c)では、装置を模式的に記載しているため電磁石(8)及び磁石(9)をそれぞれ2個配置しているが、磁石(8)及び磁石(9)の数は、目的に応じて2個以上配置しても良い。
2つの電磁石(8)及び誘電率測定装置(5)は、制御装置(7)と接続されている。
成形型に活性エネルギー線を照射するか又は加熱して組成物を硬化させると同時に、誘電率測定装置(5)により誘電率を測定する。誘電率の測定結果に応じて、制御装置(7)を使用して電磁石(8)に電圧をかけることにより電磁石(8)に磁力が発生し、相対する磁石(9)との磁力により2枚の基材が移動する。
3.樹脂シート物性
本発明で得られる樹脂シートとしては、物性として曲げ試験における弾性率が1GPa以上であるものが好ましい。
弾性率としては、2GPa以上が好ましく、より好ましくは3GPa以上である。
尚、本発明における曲げ試験における弾性率とは、支点間距離30mm、曲げ速度0.2mm/秒で行った曲げ試験において、歪み0.1%と1%の応力から計算した値を意味する。
さらに本発明で得られる樹脂シートとしては、物性として全光線透過率が90%以上であるものが好ましい。
全光線透過率としては、92%以上が好ましい。
尚、本発明における全光線透過率とは、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に規定される拡散成分を含む光線透過率を意味する。
組成物の硬化物のガラス転移温度(以下、「Tg」という)としては、0〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜230℃である。Tgを0℃以上とすることにより、得られる樹脂シートが剛性や耐熱性に優れるものとなり、250℃以下とすることにより、強靭性を保持することができる。
尚、本発明におけるTgとは、周波数1Hz、昇温温度2℃/分、引張モードで測定した動的粘弾性スペクトルにおける引張損失係数tanδが最大となるときの温度を意味する。
樹脂シートの膜厚としては、目的に応じて適宜設定すれば良い。
特にガラス代替用途、好ましくはOPS用途に使用する場合、100μm〜5mmが好ましく、より好ましくは200μm〜3mmであり、特に好ましくは300μm〜2mmである。
4.樹脂シートの用途
本発明の製造方法で得られる樹脂シートは、従来ガラスが使用され高曲げ弾性率が要求されるディスプレイ用途、建材分野及び自動車分野において使用でき、特に光学シートとして好ましく使用することができる。
本発明の組成物から形成される光学シートは、種々の光学用途に使用できるものである。より具体的には、偏光板の偏光子保護フィルム、プリズムシート用支持フィルム及び導光フィルム等の液晶表示装置やタッチパネル一体型液晶表示装置に使用されるシート、各種機能性フィルム(例えば、ハードコートシート、加飾シート、透明導電性シート)及び表面形状を付したシート(例えば、モスアイ型反射防止シートや太陽電池用テクスチャー構造付きシート)のベースシート、太陽電池等屋外用の耐光性(耐候性)シート、LED照明・有機EL照明用フィルム、フレキシブルエレクトロニクス用透明耐熱シート等の用途が挙げられる。
本発明の組成物から形成される光学シートは、耐熱性に優れるため、透明導電性シートの製造に好ましく使用することができる。この用途で使用する組成物としては、透明導電性体層の真空成膜時のアウトガス発生を抑制できる点で、有機溶剤を含まない無溶剤型組成物が好ましい。
さらに、本発明の光学シートは、厚膜であっても耐熱性に優れるうえ可撓性を有しかつ高強度であるため、OPS用の透明導電性シート基材として使用することもでき、この場合、膜厚が0.5mm以上1.5mm以下の光学シートをより好ましく使用することができる。
透明導電性シートの製造方法は、常法に従えば良い。
透明導電体層を形成する金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、チタン−ニオブ複合酸化物等が挙げられる。これらのうち、環境安定性や回路加工性の観点から、インジウム−スズ複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物が好ましい。
透明導電体層を形成する方法としては、常法に従えば良く、本発明の光学シートを使用して、前記金属酸化物を使用して真空成膜装置を使用してスパッタ法により形成する方法等が挙げられる。
より具体的には、前記金属酸化物をターゲット材料とし、脱水・脱ガスを行った後、排気して真空にし、光学シートを所定の温度とした後、スパッタ装置を使用して光学シート上に透明導電体層を形成する方法等が挙げられる。
1.実施例1、比較例1〜同3
1)組成物の製造
(A)成分として下記OT−1000の50重量部(以下、「部」という)、トリメチロールプロパントリアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスM−309〕の10部、1,6−ヘキサンジアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製ビスコート#230〕の40部及び(B)成分(光重合開始剤)として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(BASFジャパン(株)製ダロキュア1173)の0.05部を撹拌・混合し、得られた混合物を真空下に脱泡し、活性エネルギー線硬化型組成物を得た。
尚、真空下の脱泡の方法としては、密栓したベルジャー内に得られた混合物の入ったビーカーを入れ、真空減圧方式により10分間脱泡した。脱泡時の温度は室温、圧力は約0.1kPaとした。
・OT−1000:ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの付加反応物(「アダクト」という)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(「PETeA」という)の混合物〔62:38(重量比)〕、東亞合成(株)製アロニックスOT−1000
2)工程1
樹脂シートを製造するための成形型として、図1の(a2-2)示す成形型を使用した。
2枚のガラス板〔80mm×80mm、厚さ3mm〕、及び堰を形成する基材として塩化ビニル製チューブ〔(株)ハギテック製軟質塩化ビニルチューブ、内径1.0mmφ、外径1.6mmφ。以下、「塩ビチューブ」という。)を使用した。ガラスは、フッ素系コート剤〔サーフ工業(株)製MX031〕によりにより離型処理を行ったものを使用した。
ガラス板〔図2の(a2-1):(1)〕の上に、ガラス板の4辺を囲むように塩ビチューブを配置し〔図1の(a2-1):(3)〕を重ね堰(スペーサー)とし、この上にガラス板〔図1の(a2-2):(1)'〕を重ね成形型とした。
この状態における塩ビチューブの圧縮荷重を、インストロン製(株)製万能試験機5566Aを使用して測定した結果、厚みの変位1mm当りの圧縮荷重は1kNであった。
3)比較例1(誘電率の規格化、圧縮荷重の測定、工程2及び3)
成形型として、工程1で得られた組成物を含む成形型を、4つのクリップで挟んだものを使用した。硬化前の成形型における組成物層の厚みを測定した。
又、クリップの数により成形型に対してどの程度の荷重を負荷させているかを確認するため、成形型の厚み〔7mm:ガラス板3mm×2+塩ビチューブ1mm)に対して、クリップを4つ使用した場合、及びクリップを8つ使用した場合について、事前に引張試験により成形体の厚みである7mm開いた状態での荷重を測定した。その結果、クリップを4つ使用した場合は80N、及びクリップを8つ使用した場合は160Nであった。
(1)誘電率の規格化
使用した組成物を含む成形型により誘電率が異なるため、誘電率の規格化ため、硬化前の誘電率(P0)及び組成物が完全に硬化した反応率が飽和するUVコンベア20パス後の誘電率(PF)を測定した。
工程1で得られた組成物を含む成形型(a2-2)を使用し、2枚のガラス板に誘電率測定装置のセンサーを接続し、硬化前の誘電率(P0)を測定した。
誘電率測定装置としては、山本電機インスツルメント(株)製CM−113Nを使用し、200kHzでの誘電率を測定した。
硬化前の誘電率を測定した後、紫外線照射装置として、メタルハライドランプ(2009年式アイグラフィックス社製、80mWを用い、最大照度200mW/cm2(UV−A)、コンベア速度5m/minで、成形型を紫外線照射装置に合計20パスさせた。
尚、用いた組成物の飽和の反応率は約65%であった。反応率は以下の方法に従いIRから算出した。
◆反応率
C=C結合の消費率を、FT−IR−ATR法にて行った。1720cm-1のC=O伸縮振動の吸収を基準に、硬化前後での810cm-1のC=Cの変角振動の吸収の減少より算出した。
硬化物を含む成形型について、前記と同様の方法で完全硬化後の誘電率(PF)を測定した。
(2)圧縮荷重の測定
硬化後(20パス)の厚み変位1mm当りの圧縮荷重を、前記と同様の方法で測定した。
組成物を使用して前記と同様の条件で紫外線照射して組成物を硬化させた。
硬化後(C=C反応率65%以上)での厚み変位1mm当りの圧縮荷重は、15kN以上であった。
(3)評価
硬化後の成形型における硬化物層(樹脂シート)の厚みを測定した。
得られた樹脂シートについて、反りの有無を目視で観察した。又、樹脂シートの表面について、外観評価として、目視で凹凸の有無を観察し、以下の3水準で判定した。
○:凹凸なし
△:一部に凹凸あり
×:全面に凹凸がある
4)実施例1
成形型として、工程1で得られた組成物を含む成形型を、4つのクリップで挟んだものを使用した。硬化前の成形型における組成物層の厚みを測定した。
硬化前の成形型を使用し、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
前記と同様の方法で、成形型を紫外線照射装置に1回通過させ(1パス)、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
その後、成形型のクリップを8つに増加させ、圧縮荷重を前記と同様の方法で測定した。
前記と同様の方法で、成形型を紫外線照射装置に19回通過させ(合計20パス)、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
硬化後の成形型における硬化物層(樹脂シート)の厚みを測定した。得られた樹脂シートについて、上記と同様の方法で外観を評価した。
5)比較例2
成形型として、工程1で得られた組成物を含む成形型を、4つのクリップで挟んだものを使用した。硬化前の成形型における組成物層の厚みを測定した。
硬化前の成形型を使用し、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
前記と同様の方法で、成形型を紫外線照射装置に2回通過させ(2パス)、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
その後、成形型のクリップを8つに増加させ、圧縮荷重を前記と同様の方法で測定した。
前記と同様の方法で、成形型を紫外線照射装置に18回通過させ(合計20パス)、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
硬化後の成形型における硬化物層(樹脂シート)の厚みを測定した。得られた樹脂シートについて、上記と同様の方法で外観を評価した。
6)比較例3
成形型として、工程1で得られた組成物を含む成形型を、4つのクリップで挟んだものを使用した。硬化前の成形型における組成物層の厚みを測定した。
前記と同様の方法で、成形型を紫外線照射装置に4回通過させ(4パス)、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
その後、成形型のクリップを8つに増加させ、圧縮荷重を前記と同様の方法で測定した。
前記と同様の方法で、成形型を紫外線照射装置に16回通過させ(合計20パス)、前記と同様の方法で誘電率を測定した。
硬化後の成形型における硬化物層(樹脂シート)の厚みを測定した。得られた樹脂シートについて、上記と同様の方法で外観を評価した。
Figure 2017193127
実施例1、比較例1〜3の製造方法では、得られた樹脂シートに反りがないものであった。
実施例1の製造方法においては、成形型の状態で誘電率を測定し、規格化誘電率から組成物の硬化状態を把握し、規格化誘電率が80以下になったときに、その圧縮強度に応じた荷重をかける方法で成形型を構成する基材を移動させたが、硬化中に硬化物が基材のガラス界面から剥離することなく凹凸の無い樹脂シートを作成することができた。
一方、比較例1の製造方法では、組成物の硬化が進行しても成形型を構成する基材を全く移動させなかったが、得られる樹脂シートが全面に凹凸を有するものであった。
又、比較例2及び同3の製造方法では、規格化誘電率が40を超過した後に成形型を構成する基材を移動させたが、比較例2では、得られる樹脂シートが一部に凹凸を有するものであり、比較例3では、得られる樹脂シートが全面に凹凸を有するものであった。
本発明で得られる樹脂シートは、種々の用途に使用することができ、従来ガラスが使用されているディスプレイ、建材分野及び自動車分野におけるガラスの代替用途に使用することができる。本発明で得られる樹脂シートは、光学シートとして好ましく使用することができ、当該光学シートは、透明導電性シートの製造に好ましく使用することができ、タッチパネル用透明導電性シートの製造により好ましく使用することができる。

Claims (10)

  1. 硬化型組成物を使用し、下記工程1〜工程3を含む樹脂シートの製造方法。
    工程1:少なくとも2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型を使用し、
    1枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に、前記組成物を注入又は流し込み、他方の基材と重ね合わせるか、又は、
    2枚の基材と柔軟性を有する堰から構成される成形型の空間部に前記組成物を注入又は流し込む工程
    工程2:成形型におけるいずれかの基材側から活性エネルギー線を照射するか、又は成形型を加熱し、前記組成物を硬化させる工程
    工程3:前記工程2において、基材に設置された誘電率測定装置により誘電率を測定し、誘電率の低下に応じて成形型を構成する2枚の基材の距離を近接するよう移動させる工程
  2. 硬化型組成物を含む成形型について、硬化前の誘電率(以下、「P0」という)と完全に硬化させた後の誘電率(以下、「PF」という)を事前に測定しておき、工程3において測定された誘電率(以下、「P」という)が、下記式(1)で得られる規格化誘電率の値として80〜40となった時点で2枚の基材の距離を近接するよう移動させる請求項1記載の樹脂シートの製造方法。
    規格化誘電率=100−〔(P0−P)/(P0−PF)〕×100 ・・・・・(1)
  3. 柔軟性を有する堰が、1mm当りの圧縮荷重が組成物硬化物の圧縮荷重以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂シートの製造方法。
  4. 誘電率を測定する周波数が200kHz〜30MHzである請求項1〜請求項3に記載の樹脂シートの製造方法。
  5. 前記組成物が、エチレン性不飽和基を有する化合物(A)を含む請求項1〜請求項4記載のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  6. 前記組成物が(A)成分として2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む請求項5に記載の樹脂シートの製造方法。
  7. 前記組成物が(A)成分として3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む請求項6に記載の樹脂シートの製造方法。
  8. 前記3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である請求項7に記載の樹脂シートの製造方法。
  9. 前記組成物が(B)光重合開始剤を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  10. 前記組成物が(C)熱重合開始剤を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
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