以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
〔第1の実施形態〕
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、パチンコホール島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作の前後で特定の演出(たとえば、遊技者参加型演出)に変化をもたらす際に利用される「枠演出用ボタン13(演出用操作手段)」が設けられている。この枠演出用ボタン13は、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されて操作可能(入力受付可能)となり、その内蔵ランプ点灯時(入力受付期間中)に押下することにより演出に変化をもたらすことができるようになっている。なお、演出用操作手段としては、たとえば、ボタン式、ジョグダイヤル式、非接触型センサを利用したタッチセンサ式、液晶表示装置を利用したタッチパネル式などが挙げられるが、いずれの場合にも遊技者による操作が行われた場合に演出に何らかの変化を与える(操作の前後で演出に変化をもたらす)ために利用できるものであれば特に制限されない。また、上記演出用操作手段について、その種類や設置個数も特に制限されない。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図6参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を奏する装飾ランプ45(フルカラーLED)が複数設けられている。
(1−1.遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする部材(流路振分手段)であり、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ネジなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、その適所に、光演出効果を奏するフルカラーLED内蔵の飾り用ランプが複数設けられている。
また遊技盤3の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する複数の可動体役物が配設されている。本実施形態ではセンター飾り48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物:80)が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物90)が配設されている。詳細は後述するが、これら可動体役物は、当り遊技中や図柄変動表示ゲーム中などにおいて所定の動作態様で動作可能に構成されている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1特別図柄始動口)と下始動口35(第2特別図柄始動口)に対応させて横に並べて構成される第1特別図柄表示装置38a(第1特別図柄表示手段)と第2特別図柄表示装置38b(第2特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、演出画像とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39では、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また各種機能表示部には、図示はしていないが、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)が配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)の状態報知という、表示機能を有する保留・時短複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。また各種機能表示部には、複数個のLEDからなるラウンド数表示装置(ラウンド報知用LED)が配設されている。このラウンド数表示装置は、大当り(「大当り」の詳細は後述する)に係る規定ラウンド数を報知する「規定ラウンド数報知手段」として機能し、たとえば、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、その規定ラウンド数が報知されるようになっている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図6参照)が形成されている。
第1特別図柄始動口である上始動口34は、これに遊技球が入った場合、第1特別図柄表示装置38aにおいて第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)が変動表示動作を開始すこととなる入賞口、つまり始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、これに遊技球が入った場合、第2特別図柄表示装置38bにおいて第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)が変動表示動作を開始すこととなる入賞口、つまり始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41(下始動口35)の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図6参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図6参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39における普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図6参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良いし、両流下経路のそれぞれに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には右大入賞口50に入球した遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(図6参照、図5のSW1)が形成されている。この右大入賞口50(第2の大入賞口)の開閉は、パチンコ遊技機1の奥行き方向を軸方向として回転する羽根部材によって開閉するように構成してもよい。下大入賞口40(第1の大入賞口)の開閉についても同様である。
右大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより右大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には右大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を右大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
右大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は右大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)および第1の特別変動入賞装置42(下大入賞口40)の方向に導かれる。このとき、下始動口35または下大入賞口40が入賞可能状態(開状態)であれば、これらの入賞口に遊技球が入賞しうる。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて右大入賞口50が開いている状態(右大入賞口開状態)であれば、遊技球が右大入賞口50内に導かれる。
(1−2.遊動領域:図3〜図5)
図3に示すように、右大入賞口50(第2の大入賞口)内には、遊技球を遊動領域59へと導く誘導路56が開口されている。換言すれば、この遊動領域59は、その入口が右大入賞口50の開放扉52bにより開閉される。
遊動領域59は、誘導路56から分岐した2つの遊技球ルートを有して構成される。1つは、入球した遊技球をそのまま排出樋へ導く第1誘導路56aであり、他の1つは、入球した遊技球をSPアーム役物58を通してV抽選役物60へと導く第2誘導路56bである。誘導路56の下部は第1誘導路56aと第2誘導路56bの分岐点へと続く合流点となっており、この合流点には、遊技球を1個だけ受領する断面U字形の受領部(ラッチ部)を有する第1振分け用のラッチ部材65が、その断面U字形の受領面を上向きと横向きとに90度切り替え可能に配設されている。この切替制御は図示してないラッチソレノイド(図55のラッチソレノイドの欄を参照)によって行われる。ラッチソレノイドが5500msだけONされている間、図5(a)(c)に示すように、ラッチ部材65は受領面が上向きの作用位置に切り替わり、入賞球を1個受領する。2個目以降の入賞球は逃がし路56fから第1誘導路56a、第4誘導路56dを経て、遊動領域59外へ排出される。そして、所定時間5500msが経過すると、ラッチソレノイドがOFFし、第1振分け部材65は受領面が左向きの非作用位置に戻り、受領していた1球を遊動領域59内へ取り込む。
遊動領域59内において、上記合流点より少し下流側に第1誘導路56aと第2誘導路56bの分岐点が位置しており、この分岐点には、Vチャンスルート(SPルート)とスルールート(ハズレルート)とを所定の時間間隔パターンで交互に切り替える動作を所定時間長さだけ行う中振分け部材57が設けられ、この中振分け部材57によって、入賞球は第1誘導路56aと第2誘導路56bのいずれかに振り分けられる。
この実施形態の場合、中振分け部材57は、一段分岐ソレノイド(図55の中振分けソレノイドの欄を参照)により駆動されて第1誘導路56aに対して挿抜可能に設けられており、抜出位置にある場合(図3参照)は第1誘導路56aが開かれて、スルールート(ハズレルート)が形成される。また、挿入位置にある場合(図5参照)は第1誘導路56aが閉じられて、遊技球を第2誘導路56bへ導くVチャンスルート(SPルート)が形成される。スルールートは第1誘導路56aからそのまま排出樋に至る経路であり(図5(b)に移動する遊技球を点線で示す)、Vチャンスルート(SPルート)は第2誘導路56bのSPアーム役物58を経てV抽選役物60に至る経路(図5(b)に矢印で示す)である。この分岐点でのルート切替制御には、動作1と、動作2の2パターンがある。「動作1」は、右大入賞口50が開放すると行われ、動作時間の短い短時間動作(ON動作120ms、OFF動作60msを交互に3060ms間繰り返す)のものであり、この動作1中に右大入賞口50へ入賞すると動作2が行われる。「動作2」は動作時間の短い長時間動作(ON動作176ms、OFF動作224msを交互に30000ms間繰り返す)のものである。つまり、この「動作2」の制御は、右大入賞口50への入賞が確認されたことを契機に(センサSW1からONである情報を受信したことを契機に)開始される。したがって、右大入賞口50に入賞するタイミングは開放開始時に対してランダム(不定)であるため、「動作2」が開始されるタイミングについても、開放開始時に対してランダムである。
ラッチソレノイドと一段分岐ソレノイドとの動作制御により、右大入賞口50に入賞した遊技球は、ランダムに第1誘導路56aと第2誘導路56bのいずれかに振り分けられ、第2誘導路56b(Vチャンスルート)への振り分けを意図的に狙うことは困難になっている。ランダムに振り分けられる理由は、次の通りである。ラッチソレノイドの動作制御が5500msの規定時間でONからOFFに切り替えられて合流点から遊技球が送り出された際に、一段分岐ソレノイドの動作2が開放開始時に対してランダムで開始されていることから、中振分け部材57の位置が抜出位置にあることもあれば、挿入位置にあることもあるためである。
SPアーム役物58は、遊技機の奥行き方向手前側に位置し、誘導樋として構成した上アーム58aと、遊技機の奥行き方向奥側に位置し誘導樋として構成した下アーム58bとを有し、上アーム58aの下端と下アーム58bの端部とを「ヘ」の字状に折り曲げ可能に連結樋で連結した構成を有する。SPアーム役物58が直線的な姿態をとる通常状態下では、上アーム58aの下端、つまり上アーム58aと下アーム58bの連結部に貯留部58cが形成されるように構成されている。ここで上アーム58aと下アーム58bは透明部材により構成され、遊技者から、上アーム58aの下端の貯留部58cに位置する遊技球が、あたかも下アーム58bの上端部に位置するように見える。これは可動体役物の動作と関連させて、遊技球が下アーム58bの上端から下端にかけて流れ出る様を、あたかも花型役物90から球が放出されたように見せる演出に利用することができることを意味する。
そして、「ヘ」の字状に折り曲げた状態に移行すると、貯留部58cの位置が、そこに貯留されている遊技球とともに上昇して花型役物90に近づく(図5(c))。この上昇位置にある貯留部58cにおいて上アーム58aから下アーム58bへ抜ける遊技球通路が開口して、貯留部58cにある遊技球が上アーム58aから下アーム58bへ流下し、V抽選役物60へ導かれる。このとき、遊技球があたかも花型役物90から放出されたように見えることになる。このSPアーム役物58は、中振分け部材57およびV抽選役物60とともに遊動領域59を構成する主たる要素となっている。なお、停留部58aは、電磁石を用い、電磁石により吸着させた場合をもって停留部が形成される構成にすることもできる。
このようにSPアーム役物58は、Vチャンスルートに入った遊技球を貯留部58cにて停留または貯留させ、所定の停留時間が経過するのを待ってから釈放する。このように構成することは、釈放タイミングを同じにして、つまりV抽選役物60へ到達するまでの時間値を同じにすることになり、不正行為を防止するのに役立つと共に、その停留時間内に「遊技球が現在Vチャンスルートにある旨の演出」を現出可能にするのに役立つものである。
V抽選役物60は、Y字形通路として形成した往復式回転体役物61と、その下側に位置し、中央にV領域(特定領域)63を、その両側に非V領域(非特定領域)62を有する通路体とで構成されている。図4中に矢印で示唆するように、往復式回転体役物61は振子式に往復回動(ゆっくりとした揺動運動)をする(図4(a)〜(c))。そのY字形通路の先端が、中央の特定領域63の上に位置するときに(図4(a)、図5(d))、タイミング良くY字形通路から遊技球が流下すると、V領域(特定領域)63に遊技球が入る構造となっている。
特定領域63を通過した入賞球(図5(d)に実線で示す)は、第3誘導路56cへ導かれてV入賞扱いされ、また非特定領域62を通過した入賞球は(図5(d)に破線で示す)、第4誘導路56dへ導かれて非V入賞扱いされる。なお、遊技球がV領域63を通過しても賞球の払い出しはないが、所定の賞球数を払い出してもよい。
上記各誘導路56、56b、56c、56dには、ここを通過する遊技球を検出するため、それぞれ光電式のセンサSW1〜SW4が設けられている。ただし、センサSW1は、右大入賞口センサ52aを別表記したものである。なお本実施形態の場合、センサSW3を誘導路56cに設けているが、左往復式回転体役物61が中央位置に来たときにY字形通路から流出する遊技球を検出するセンサ、または特定領域63を通過する遊技球を検出するセンサとして、誘導路56c以外の場所に設けてもよい。また、逃し路56fを通過した遊技球をスルールートへと導き、センサSW4を通過させてから排出させる構成として、特定領域63を経た遊技球を除く全遊技球が排出されたことを監視しているが、図3に示すように、逃し路56fに設けたセンサSW5を利用し、センサSW3〜SW5の全体で、排出完了を監視するようにしても良い。
本実施形態では、右大入賞口50に入賞した遊技球が、中振分け部材57およびV領域(特定領域)63で振分けられて、全体としてV入賞する確率は約6.7分の1となるように設定されている。また小当り遊技中にV領域(特定領域)63を遊技球が通過すると、V入賞となって、複数ラウンドからなる「V当り遊技」が開始される。したがって、小当りから大当りに移行して大量の賞球を獲得可能である。
(1−3.右打ち有利の構成)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が第2の特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって右大入賞口50が閉状態であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、下大入賞口40、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、右大入賞口50、下大入賞口40、および右側の1つの一般入賞口43がある。
なお、下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。
また上始動口34については、概ね左流下経路3bまたは左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
また下大入賞口40については左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし右大入賞口50については右流下経路3cのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、下大入賞口40、右大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞右センサ42a、右大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図6参照)から払い出されるようになっている。具体的には、図53に示すように、上始動口34は3個、下始動口35は1個、大入賞口40は3個、右大入賞口50は15個、左上側の一般入賞口43のうち左上、左中の一般入賞口は7個、左下および右下の入賞口は5個が払い出される。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
(1−4.可動体役物)
また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する複数の可動体役物が配設されている。本例ではセンターケース48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物90)が配設されている。また第3の可動体役物(回転灯83および発光装置を納めた半透明の球状の可動体73)が枠演出ボタン13内に揺動および回転可能に一体的に組み込まれている。詳細は後述するが、枠演出ボタン13は、この内蔵する可動体73の静止時の向き(遊技者から見える面の位置)によって、通常ボタン13A(第1演出ボタン)または回転灯ボタン87(第2演出ボタン:ラッキーパト)として機能し、可動体73が前方に回転している状態にある場合には爽快ボタン70(第3演出ボタン:ローリングボタン)として機能するようになっている。
(1−4−1.第1の可動体役物80)
第1の可動体役物は、ローマ文字「I」から「XII」の数字が付されて12の数字セクターに区画された数字表示部からなる時計盤部(数字表示部)81と、この時計盤部81上を回動し、必要に応じて時分を示すことができる短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として時計型役物80として構成されている。時計盤部81は、短針が示すセクター区画場所(ローマ文字「I」から「XII」の数字セクター)毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター自体がフルカラーLEDで構成されていて、それらのローマ文字「I」から「XII」を付した数字セクターが個々に独立して異なった色で発光できる構成となっている。
この時計型役物80は、大当りまたはハズレの場合に、所定の条件下で作動する「主役物」として働くものである。時計型役物80の時計針82がぐるぐる高速で回り、時計盤部81の数字セクターが所定の「色と個数」で発色し、遊技者に対し当り当選期待度を示す働きをする。たとえば、時計盤部(数字表示部)81における数字セクターのLEDの発光色が、白色(通常色)、青色、黄色、緑色、赤色、デンジャー柄(D柄)の順に遊技者に対する当り当選期待度が高まるように構成する。「デンジャー柄(D柄)」とは、地の黄色に黒のストライプ模様を施したもの、または、更にその黒のストライプ帯内にDANGERの文字を配してなるものの総称である。
なお、ここでは、図柄変動表示動作が停止するまでの間、時計型役物80の時計針82が回り続ける構成としているが、図柄変動表示動作の途中で時計針82が停止するように構成して、その停止した時計針82の短針が指す数字セクターの数字で、または当該数字と発色する数字セクターの色とで当り当選期待度を示すようにしても良い。また時計盤部(数字表示部)81における数字セクターのLEDの発光色が、虹色(プレミアム色)に発光した場合は大当りが確定するように構成することができる。
(1−4−2.第2の可動体役物90)
第2の可動体役物90は、花心A1の周りに複数枚の花弁からなる花冠A2を配し、花心A1および花冠A2を上下方向に移動(落下移動)、および左右方向に移動(横移動)可能に構成した第1可動体91と、その花冠A2の外側周囲に位置するように萼B1を茎部B2の先端に取り付け、萼B1および茎部B2を左右方向に移動(突出移動)可能に構成した第2可動体92とから構成される。この実施形態の場合、第1可動体91と第2可動体92は互いに独立に動作可能であり、液晶画面の片側近く(右側方)に両者の合体位置が来るように配置される。
動作態様に関して記述すると、第1可動体91は、通常は液晶画面に対して図2の実線位置(後述する合体位置)よりも「上方」のホームポジション(原位置)に位置し、また第2可動体92は、通常は液晶画面に対して図2の実線位置よりも「右方」のホームポジション(原位置)に位置する。そして、第1可動体91は単独に上方の原位置から液晶画面右上の図2の実線位置に花冠A2が来るように移動(落下)でき、また、第2可動体92は単独に右方のホームポジション(原位置)から液晶画面右上の図2の実線位置に萼B1が来るように移動(突出移動)できる。第1可動体91の落下運動と第2可動体92の突出運動とが同時に生起して、それぞれが図2の実線位置(合体位置)まで移動した場合、ここで花冠A2と萼B1が重なり合って合体し、花心A1の周りに花冠A2を配し、更にその外側周囲に萼B1を配して花被を二重にした「花型部」を形作る。この意味で、第2の可動体役物90は「花型役物」とも称される。さらに、第1可動体91と第2可動体92とが合体した後、花心A1、花冠A2および萼B1が合体状態で左方に移動し、図2の破線位置(発展位置)で一時待機してから実線位置まで戻るように移動もできる。
この花型役物90は、大当りまたはハズレの場合に、所定の条件下で作動する「副役物」として働くものである。第1可動体91と第2可動体92が合体した場合、第1可動体91(花心A1および花冠A2)が第2可動体92の茎部B2の先端部において回転すると共に、半透明の花心A1、花冠A2および萼B1が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色する。また、特別な条件下では、花心A1、花冠A2および萼B1が合体位置と発展位置との間を移動する。これらの作用により遊技者に対する当り当選期待度を高める。なお、図柄変動表示動作が停止(図柄変動表示ゲームが終了)すると、花型役物90は図2に実線で示す演出位置(合体位置)から原点位置に戻る。
この実施形態の場合、第1可動体91は単独に上方の原位置から図2の実線位置(合体位置)に落下移動と合体位置から図2の破線位置(発展位置)に横移動とができ、第2可動体92は単独に右方のホームポジション(原位置)から図2の実線位置(合体位置)に突出移動でき、第2可動体92の一部(萼B1)は単独に図2の実線位置(合体位置)から図2の破線位置(発展位置)に横移動できるとした。しかし第1可動体91と第2可動体92は液晶画面領域に出現または突出し、そこで合体するように構成してもよい。このように構成した場合の動作としては、第1可動体91と第2可動体92が、通常は液晶画面内の縁または液晶画面外の脇に定めた原位置(図示せず)で静止している。しかし、大当り入賞球またはハズレ入賞球が発生し、上記所定の条件が成立すると、第1可動体91は上方から下方に落下移動し、また第2可動体92は右方向から液晶画面に近寄った位置または液晶画面の一部を覆う演出位置(図2に実線で示す位置)まで突出移動して来て、両者が合体することになる。この合体動作は、特に大当りの当選期待感(当選期待度)を煽る可動体演出の一態様であり、当選期待度が高い予告演出(たとえば、後述のSPリーチ演出中など)ほど、高確率で現出されうる。斯様な可動体役物の動作態様により、インパクトのある演出効果が発揮される。
(1−4−3.第3の可動体役物73:図2)
枠演出ボタン13は、図2に概略を示すように、受け皿ユニット8と表面が一体をなすように構成された透明枠71内に、比較的大きな表面積を持つ透明な押圧ボタン型筒体72を上下動可能に組み込み、この押圧ボタン型筒体72内またはその下方(以下、単に押圧ボタン型筒体72内と略す。)において、第3の可動体役物としての可動体73をローリング可能につまり回転可能かつ複数方向に揺動可能に組み込んだ構造となっている。
可動体73(第3の可動体役物)は、押圧ボタン型筒体72内に配置され、遊技者から見て横軸を中心に回転可能かつ左右方向に揺動できるように装置した半透明の球状の空枠と、この空枠内に納めた回転灯83および発光装置から構成されている。押圧ボタン型筒体72を押したとき、またはその前後の所定のタイミングにおいて、可動体73がローリング動作(回転および揺動運動)し、その動作の様を空枠内部または周囲から有色光で照明して、遊技者が外部から視認できる構造となっている。
上記構造の枠演出ボタン13は、その操作時の可動体73の動作態様が「通常静止中」、「回転灯待機中」、「ローリング動作中」のいずれにあるかの違いにより、「通常ボタン13A(第1演出ボタン)」、「回転灯ボタン87(第2演出ボタン:ラッキーパト)」、「爽快ボタン70(第3演出ボタン:ローリングボタン)」として使い分けされる。
ここに「通常静止中」とは、静止状態にある可動体73の回転角度位置が0度で、回転灯83の発光状体(包囲体88の頂面)が押圧ボタン型筒体72を通して上から見ない位置(遊技者から隠た位置)に在る状態をいい、この状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、枠演出ボタン13は、通常ボタン13A(第1演出ボタン)として働く。本明細書中で「通常ボタン13A」と記した場合、この「通常静止中」に操作する場合の枠演出ボタン13を指す。
また「回転灯待機中」とは、静止状態にある可動体73の回転角度位置が、上記の通常静止中の位置(0度)から手前に90度回転した位置(90度)に切り替わり、回転灯83の発光状体(包囲体88の頂面)が押圧ボタン型筒体72を通して上から見える位置(遊技者から見える位置)に在る状態をいい、この状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、枠演出ボタン13は、回転灯ボタン87(第2演出ボタン)として働く。回転灯ボタン87(第2演出ボタン)として働く場合、回転灯83が押圧ボタン型筒体72を通して上から見えるので、操作することを催促することができるとともに、たとえば操作した瞬間に回転灯83が作動する様を押圧ボタン型筒体72を通して視認することができる。したがって、一発告知的な予告演出を現出させるのに適し、非常に緊迫した瞬間を現出させることができる。なお「回転灯待機中」の期間を経過すると、可動体73は奥側に90度回転して、「通常静止中」の位置(0度)に戻る。
また「ローリング動作中」とは、可動体73が前方に回転し続けている状態をいい、つまり図2に示すように横軸を回転中心軸として可動体73が回転している状態をいい、この可動体73が回転している状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、枠演出ボタン13は、爽快ボタン70(第3演出ボタン)として働く。爽快ボタン70として働く場合、球状の可動体73がローリング動作(高速回転)する様が、透明枠71および押圧ボタン型筒体72を通して外部から見えることから、遊技者はこのローリングボタン70を操作したとき、通常ボタン13Aや回転灯ボタン87を押したときとは異なる、非常に満足の行く快感を得ることができる。なお「ローリング動作中」の期間を経過すると、可動体73は静止して「通常静止中」の位置に戻る。
図2の下部に、上記のように使い分けされる3種のボタン機能のうち、回転灯ボタン87(ラッキーパト)と、爽快ボタン70(ローリングボタン)の機能部分を分けて示す。ここでは理解を容易にするために、回転灯ボタン87(ラッキーパト)専用のスイッチ89や、爽快ボタン70(ローリングボタン)専用のスイッチ74が存在するものの如く描いているが、実際には1のスイッチが使い分けされるだけである。
回転灯ボタン87(ラッキーパト)は、赤色半透明の包囲体88中に、光源としてのランプ(またはLED)84と、このランプ84からの光を反射させる反射体としての反射鏡85とを備えた回転灯83からなり、反射鏡85を回転させることで、光源から発光された光の進行方向を変化させるように構成されている。この第3の可動体役物73は、大当りに係る図柄変動表示ゲーム(特別図柄変動表示動作)中に大当り確定予告(いわゆる一発告知)をなす演出手段として作用する。一発告知をなす場合は、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング(たとえば、図柄変動開始時、リーチ演出や疑似連などの所定の予告演出の所定のタイミング中など)で告知音(確定音)が発生されるとともに、その発生(告知音発生)から所定の演出時間にわたって回転灯83が作動される、または、告知音が発生されないが、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで回転灯83が所定の演出時間にわたって作動される。たとえば、告知音をとともに、特別図柄変動表示動作の変動開始から変動停止までの長い変動期間中わたって回転灯83が作動する演出態様や、告知音の発生とともに、または告知音を伴わずに回転灯83のランプ84が点灯し一閃する演出態様などがある。すなわち、一発告知演出中は、回転灯83のランプ84が所定の演出時間幅で点灯され続けると共に、ステッピングモータ86により反射鏡85が回転され続ける。これにより遊技者は、図柄変動表示ゲームの結果が液晶表示装置36に表示される前に、大当りに当選したことを衝撃的に知ることができる。
また、図2の左側図では、回転灯83が押しボタン式の回転灯ボタン87として作用する場合の回転灯スイッチ89を有するものとして描かれており、所定のタイミングで回転灯83の包囲体88を押圧操作すると、回転灯スイッチ89がONし、当り告知音が発生して回転灯83が作動する構成となっている。しかし、実際には、回転灯83は図2の右側図の空枠(可動体73の殻部分)内に納められているため、回転灯83の操作部として機能するのは包囲体88ではなく押圧ボタン型筒体72であり、この押圧ボタン型筒体72を「回転灯待機中」に押圧操作することでスイッチ74がオンし、回転灯スイッチ89がONしたのと同じ結果となって回転灯83が作動する。「通常静止中」に作用する通常ボタン13Aは、必ずしも全ての演出手段が作動するとは限らない使用頻度の高い演出ボタンである。これに対し、この回転灯ボタン87は一発告知用である。このため回転灯ボタン87が選択される割合は高くないが、通常ボタンよりも大きな演出効果、たとえば回転灯83の点滅動作と音響を発生させるなど、より多くの演出手段を一斉に作動させて、「特定の大当り(たとえば、時短回数95付与の大当り1)であること」を図柄変動の初期段階で確定報知するための演出ボタンとして利用される。
爽快ボタン70として機能する場合は、図2の右側図に概略を示すように、可動体73が押圧ボタン型筒体72内で高速に連続回転する「ローリング動作中」となり、その動作する様を内部または周囲から有色光で照明し、この様子を遊技者が押圧ボタン型筒体72を通して外部から視認できる状態が現出する。この状態の出現を前提として爽快ボタン70が操作されるため、大当り時に爽快ボタン70を操作したときには、その操作後に発生する大当り時の演出との相乗効果より、非常に大きな快感を遊技者に与えることができる。
<2.制御装置:図6>
次に図6を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図6は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御部(主制御基板)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出手段に対する演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御基板、液晶制御基板)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源制御基板(図示せず)と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図6において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
CPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。またCPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタを備えている。
ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、所定の抽選(たとえば、特別図柄に係る変動パターン抽選)に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路、カウンタ回路なども備えている。上記カウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(乱数の大きさ:65536)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42aと、右大入賞口50への入賞を検出する右大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、不正検出センサ99とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、図5で示したセンサSW1〜SW4の検出信号も入力されている。そこで主制御部20において、センサSW1に次いでセンサSW2がONした場合は、遊技球がVチャンスルートに行ったと判断される。また、センサSW2に次いでセンサSW3がONした場合は、V領域(特定領域)63を通過したと判断される。またセンサSW2に次いでセンサSW4がONした場合は、Vチャンスルートに行ったがV入賞しなかったと判断される。また、センサSW1に次いでセンサSW4がONした場合は、Vチャンスルートに行かずにスルールートに行ったと判断される。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド42cと、右大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、第1特別図柄表示装置38aと第2特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39が接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置(図示せず)が接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、ラウンド数表示装置が接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続され、主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。上記のホールコンピュータHCは、主制御部20から送られてくる情報に基づき、パチンコホールの遊技機の稼働状況を管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に送信可能となっている。このような主制御部20からの演出制御コマンドは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するため、一方向通信により演出制御部24に送信される。
(2−2.払出制御部29)
払出制御基板(払出制御部)29は、払出制御CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技球の払い出し制御手順を記述した制御プログラムを格納した払出制御ROMと、ワークエリアが形成される払出制御RAMとを搭載していて、1チップマイクロコンピュータを構成している。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。
払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ(球受け皿(本実施形態では、上受け皿9)における遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ(本実施形態では、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する検出センサ)と、遊技球払出装置19とが接続されている。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ72と、払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ73とが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ74が設けられており、払出制御基板29は、払出モータ74を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29は、上記の満杯検出センサ、前扉開放センサ、補給切れ検出センサ、または球計数センサからの検出信号に基づいて、主制御部20に対し、前枠2・前面操作パネル7の開閉状態信号、満杯検出信号、補給切れ信号、払出不足エラー信号、賞球計数信号等の払出状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か(たとえば、賞球の払い出しの不具合(払出エラー)、上受け皿9が遊技球で満杯状態であるか否かを監視している。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
(2−3.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、演出の抽選に利用される演出抽選用乱数の乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や時計型役物の数字表示部80や遊技機に配設された演出用の各種LED(演出用LED:図示せず)の発光制御、時計針97や花型役物98の可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な枠演出ボタン13が接続され、演出制御部24は、枠演出ボタン13からの操作検出信号を受信可能となっている。
また演出制御部24は、光演出や音演出を行うために、装飾ランプ45や数字表示部80や適所に配設されたLEDなどを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、および各種役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)を動作させるための可動体役物モータ97a、98aに対する駆動制御部(モータ駆動回路:図示せず)などを備えている。演出制御部24は、これら制御部に対し、演出手段に係る制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、時計針97に対する位置検出スイッチ97bと、花型役物98に対する位置検出スイッチ98bとが接続され、演出制御部24はこれらからの検出信号を受信可能となっている。演出制御部24は、各位置検出スイッチ97b、98bからの検出信号に基づき、可動体役物の原点位置(初期位置)から現在の位置を把握し、可動体役物の動作を実行制御し、また可動体役物の動作の不具合(正常動作か否か(たとえば、動作後、原点位置に正しく戻っているか否かなど))を監視する。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図6)を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」や「小当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」や「小当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りまたは小当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」または「小当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
(大当り遊技)
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、第1の特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図6参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が開閉されるか、または、第2の特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図6参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、28.5秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、8個(下大入賞口40)、4個(右大入賞口50))に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。なお、下大入賞口40、右大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
(小当り遊技)
また、「小当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「小当り」の図柄態様が導出表示された後、第2の特別変動入賞装置52が備える右大入賞口ソレノイド52c(図6参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(小当り遊技)が発生する。この小当り遊技では、右大入賞口50の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、1.6秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大される。なお、右大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、開放時間のみに基づくものであっても良いし、入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
また、この小当り遊技中に、右大入賞口50内に設けられた経路(図5参照)を遊技球が通過する際、遊技球がV領域(特定領域)を通過したときは、この小当り遊技の終了後にV当り遊技が実行される。一方、V領域(特定領域)を通過することなく小当り遊技が終了したときは、V当り遊技は実行されない。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当り(当選)種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信している。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(後述のリーチ演出や疑似連演出など)の発生を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果情報に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえばリーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(たとえば、リーチ変動パターン、疑似連(後述の疑似連演出)有りリーチ変動パターンなど)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(たとえば、通常変動パターン、疑似連有り通常変動パターンなど)などが含まれる。また各変動パターンに関する変動時間については、基本的には、リーチ変動パターンは、大当り当選期待感を煽るような演出を指定する変動パターンであるため、その演出時間との関係上、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39に変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39の表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図6参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.04秒または4.5秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、1回)行われるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下始動口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下始動口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
(3−1−3.作動保留球)
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
一方、本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、下始動口35に入賞が発生したとしても、すなわち下始動口センサ35aからの検出信号の入力があったとしても、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)は成立しない。したがって、上記作動保留球も保留記憶されないようになっている。
また本実施形態では、特別図柄1、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。一方、特別図柄2に関する作動保留球についてはRAM203に保留記憶しないようになっている。なお、特別図柄1、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、特別図柄2についても作動保留球を有してもよく(RAM203に保留記憶してもよく)、各図柄の最大保留記憶数が異なっていても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を4個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の最大保留記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が、遊技者とり相対的に利益が高い大当り種別が得られることから、たとえば特別図柄1側の最大保留記憶数を2個、特別図柄2側の最大保留記憶数をそれよりも多い4個に設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、7秒から0.5秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.04秒から4.5秒に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。本実施形態では、可動翼片47の開閉回数は開放延長機能の作動と非作動とに関係なく1回であるが、開放延長機能が作動中の場合2回に延長してもよい。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄時短機能および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「時短状態」と称する。また、特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称し、「通常状態」と略称する。また大当り中は大入賞口が開閉される大当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら2つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄時短機能)に着目した場合、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。なお、電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。
本実施形態の場合、「内部遊技状態(図46のYJの欄参照)」に通常遊技状態および時短状態が含まれ、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態(換言すれば、演出の決定に関する遊技状態)に着目した場合の「遊技状態(変動パターン選択モード)」の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い種類の変動パターン選択モードが設けられている(図46のTcodeの欄参照)。
(3−3.遊技状態の遷移:図7)
次に、図7を用いて、上記遊技状態の遷移について説明する。図7に示すように、本実施形態では、「通常遊技状態」または「時短状態」にて遊技が制御される。
「通常遊技状態」は、電チューサポート機能が付与されない通常の遊技状態(電サポ無し状態)である。「通常遊技状態」は、具体的には、普通図柄の変動時間が相対的に長い時間(たとえば7秒)に設定され、かつ下始動口35を開放するとの補助当り抽選結果が出た場合の下始動口35の開放時間が相対的に短い時間(たとえば0.04秒×1回)に設定される遊技状態である(図49、図50)。
「時短状態」は電チューサポート機能が付与される遊技状態、正確には時短機能および開放延長機能が付与される遊技状態であり、「時短状態」とも略称される。この「時短状態」は、具体的には、普通図柄の変動時間が相対的に短い時間(たとえば0.5秒)に設定され、かつ下始動口35を開放するとの補助当り抽選結果が出された場合の下始動口35の開放時間が相対的に長い時間(たとえば4.5秒×1回)に設定される遊技状態である(図49、図50)。
(3−3−1.通常遊技状態→当り遊技)
「通常遊技状態」は「電サポ無し状態」であるため、下始動口35への入賞は困難である。そのため遊技者は、通常遊技状態では、左打ちにより、上始動口34への入賞を狙い、特別図柄変動表示ゲーム1での当選(大当りまたは小当り)を目指し遊技を進行させていく。そして、上始動口34へ入賞すると、特別図柄1の当り抽選が行われる。この特別図柄1での当り抽選の抽選確率は、図37(イ)に示すように、「大当り」が選択される確率も「小当り」が選択される確率も同じで、約229分の1である。
特別図柄1の当り抽選に当選して(図7中のラインL1)、第1特別図柄表示装置38aに当選図柄(大当り図柄または小当り図柄)が停止表示されると、その当選種別に応じた当り遊技(大当り遊技または小当り遊技)が実行される。この当り遊技では、右大入賞口50を開放してから所定時間(たとえば1600ms)が経過するまで右大入賞口50を開放した状態を維持した後に右大入賞口50を閉鎖する開放扉52bの動作が、規定回数(たとえば大当りの場合は16回、小当りの場合は1回)実行される。この右大入賞口50は図3に示すように遊動領域59への入口となっている。このため、小当りが発生することで、右大入賞口50(遊動領域59)への遊技球の進入が可能になる。
(3−3−2.大当り遊技→時短状態または通常遊技状態)
図7中のラインL1において、特別図柄変動表示ゲーム1の結果が「大当り」である場合、大当り遊技が実行される。この大当り遊技では、まず右大入賞口50(第2の大入賞口)について、右大入賞口50を開放してから所定時間(たとえば1600ms)が経過するまで右大入賞口50を開放した状態を維持した後に右大入賞口50を閉鎖する開放扉52bの動作(初回ラウンド遊技)が実行される。次いで下大入賞口40(第1の大入賞口)に移り、下大入賞口40を開放してから所定時間(たとえば28500ms)が経過するまで下大入賞口40を開放した状態を維持した後に下大入賞口40を閉鎖する開放扉42bの動作(長開放ラウンド遊技)が規定回数(たとえば15回中の前半の5回)実行される。次いで、下大入賞口40を開放してから所定時間(たとえば60ms)が経過するまで下大入賞口40を開放した状態を維持した後に下大入賞口40を閉鎖する開放扉42bの動作(短開放ラウンド遊技)が規定回数(たとえば15回中の後半の10回)実行される。したがって、この例の場合、初回ラウンド遊技1回、長開放ラウンド遊技5回、短開放ラウンド遊技10回で、計16回のラウンド遊技が、大当り遊技として行われる。
大当り遊技が終了すると、遊技状態の移行先として、当選した大当りの種別に基づき、大当りと判定されたもののうちの61%が「時短状態」に移行し(図7中のラインL2)、残りの39%は「通常遊技状態」のまま継続する(図7中のラインL3)。つまり、特図1大当りの場合(イレギュラーのケースを除き通常遊技状態時での大当り)は、そのうちの61%が時短付き(時短回数N:3、4、5、95)の大当りであって時短状態に移行し、また残りの39%が時短無し(時短回数N:0)の大当りであり、元の通常遊技状態を継続する。ここでイレギュラーでの特図1大当りとは、右打ちが有利である時短状態時において、本来は左打ち時に生起すべき特図1大当りが発生してしまった希なケースである。
(3−3−3.小当り遊技→V入賞→V当り遊技→時短遊技状態、または小当り遊技→V入賞せず)
図7の「特図1小当り」のブロック(囲み枠)において、特別図柄変動表示ゲーム1の結果が「小当り」である場合、「小当り遊技」が実行される。この「小当り遊技」では、右大入賞口50(第2の大入賞口)について、右大入賞口50を開放してから所定時間(たとえば1600ms)が経過するまで右大入賞口50を開放した状態を維持した後に右大入賞口50を閉鎖する開放扉52bの動作が、規定回数(たとえば1回)実行される。この右大入賞口50は図3に示すように遊動領域59への入口となっている。このため、小当りが発生すると、右大入賞口50から遊動領域59へ遊技球が進入するチャンスが生まれる。
図7中のラインL4は、小当り遊技中に、右大入賞口50から遊動領域59へ遊技球が進入し、当該遊技球がV抽選役物60の特定領域63(V領域)を通過した場合、つまり「V入賞」した場合を示す。これにより、V入賞による大当り(以下、「V当り」と称する)が発生し、「V当り遊技」が実行される。「V当り遊技」は、特別図柄変動表示ゲーム1で大当りした場合の大当り遊技と同様のラウンド遊技を行うものであり、特図1側の小当り種別(小当り1〜小当り6)に対応させて、複数のV当り遊技種別が定められている。上記「V当り」とは、条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りである。したがって、V当りは大当り種別の一つとして同列に扱うことができる。
V当り遊技が終了すると、小当りの種類に基づいて遊技状態が遷移する。本実施形態では、小当りと判定されたもののうちの50%が「時短状態」に移行し(図7中のラインL6)、残りの50%が「通常遊技状態」のまま継続する(図7中のラインL7)。つまり、特図1小当りの場合(イレギュラーのケースを除き通常遊技状態時での小当り)、V当りしても、そのV当りの50%が時短付き(時短回数N:100)の大当りであり、残りの50%が時短無し(時短回数N:0)の大当りであって、V当りと判定されたもののうちの1/2しか時短状態に移行しない。この点で、後述する特図2小当り(イレギュラーの場合を除き時短状態時での小当り)の場合と異なる。ここでイレギュラーでの特図1小当りとは、右打ちが有利である時短状態時において、本来は左打ち時に生起すべき特図1小当りが発生してしまった希なケースである。
一方、図7中にラインL5で示したように、小当り遊技中にV入賞しなかった場合は、遊技状態の遷移として「通常遊技状態」がそのまま継続する。
(3−3−4.時短回数)
時短状態は時短機能および開放延長機能が付加された遊技状態である。この時短状態の継続を管理する情報として「時短回数」が使用される。この時短回数は、時短状態に移行する際に時短回数を監視する所定のカウンタ(図7の時短回数監視カウンタ)にセットされ、残り時短回数は、このカウンタにより監視される。当該カウンタには、当り遊技(小当り遊技または大当り遊技)の実行回数(当り当選回数、普通図柄の変動回数、普電開放遊技の実行回数、補助当り当選回数でもよい)をカウントする特電回数カウンタと、図柄変動表示ゲームの実行回数(本実施形態の場合、特別図柄1および特別図柄2の合計変動回数)をカウントする特図時短回数カウンタとが設けられており、当り遊技後(特別図柄の変動終了が終了したとき、当り遊技を開始するときでもよい)に時短回数を指定する値がこれらカウンタにセットされる(図38および図39の時短回数の欄参照)。具体的には、時短状態において、当り遊技が一回実行される度に特電回数カウンタが1減算され、または図柄変動表示ゲームが1ゲーム消化される度に特図時短回数カウンタが1減算され、いずれか一方のカウンタがゼロになったときは、通常遊技状態に戻される。
図7において、特図1大当りから大当り遊技後に61%の割合で時短状態に移行する場合(ラインL2のルート)、または特図1小当りからV当り遊技後に50%の割合で時短状態に移行する場合(ラインL6のルート)、時短回数Nとして所定回数の値がセットされる。この「時短状態」移行時にセットされる時短回数Nは、当選時の大当りや小当りの種類(図47、図48参照)に基づいており、所定回数値がセットされる。本実施形態では「大当り」の場合、0回、3回、4回、5回、95回のいずれかの値がセットされ(図47)、「小当り」の場合、0回または95回のいずれかの値が時短回数監視カウンタにセットされる(図48)。そして、この時短回数Nは、特別図柄変動表示ゲームが1回行わるか、特別電動役物が1回作動(当り遊技が実行)することで1減算される。現在の時短回数Nは時短回数監視カウンタ(時短回数監視手段)により監視され、残り時短回数が0になると「通常遊技状態」に移行される(図7のラインL8)。
(3−3−5.時短状態下での当り)
時短状態は電サポ有り状態であるため、下始動口35(第2特別図柄始動口)へ容易に入賞する。そのため時短状態中は、下始動口35への入賞を狙い、特別図柄変動表示ゲーム2での当選(大当りまたは小当り)を目指し、遊技を進行させていく。そして、下始動口35へ入賞し、第2特別図柄での当り抽選に当選すると(図7のラインL10、L11)、その当選種別に応じた大当り遊技または小当り遊技が開始される。
すなわち、特別図柄変動表示ゲーム2の結果が「特図2大当り」である場合、つまり第2特別図柄表示装置38bに大当り図柄の何れかが停止表示された場合には(図7のラインL10)、特図2大当りによる「大当り遊技」が行われる。この大当り遊技が終了すると(図7のラインL12)、遊技状態は再度「時短状態」に移行し、「通常遊技状態」に戻ることはない。この「時短状態」に移行する際に、大当りの種類に基づいて、新たな時短回数Nとして所定の時短回数値がセット(再付与)される。本実施形態の場合、この再付与される時短回数Nは3回、4回、5回、95回のいずれかの値であり、特図1大当りの大当り遊技から時短状態に移行する際に付与される特図1大当り系の時短回数Nの場合と異なり、時短回数「0回」(時短無し)が付与されるケースは含まれていない。したがって、時短状態にて大当りした場合は、特図2大当り系の時短回数Nとして、必ず3回以上の時短回数が付くのが特徴である。
また特別図柄変動表示ゲーム2の結果が「小当り(特図2小当り)」である場合、つまり第2特別図柄表示装置38bに小当り図柄の何れかが停止表示された場合(図7のラインL11)、「小当り遊技」が実行される。遊技状態の遷移は、小当り遊技中にV入賞するか否かで、時短状態が「継続」となるか、それとも「終了」となるかに別れる。小当り遊技中にV入賞した場合は(図7のラインL14)、V入賞による「V当り」が発生して「V当り遊技」が実行され、V当り遊技が終了すると、時短状態に戻り(図7のラインL16)、時短状態が「継続」する。
V当り遊技が終了して時短状態に戻る際には(図7のラインL16)、小当りの種類に基づいて、新たな時短回数Nとして「時短回数」がセット(再付与)される。本実施形態の場合、この再付与される「時短回数」は3回、4回、5回、95回のいずれかであり、特図1小当りのV当り遊技から時短状態に移行する際に付与される特図1小当り系の「時短回数」の場合と異なり、時短回数「0回」が付与されるケースは含まれていない。したがって、時短状態にて小当りからV当りした場合は、特図2V当り系の「時短回数」として、必ず3回以上の時短回数が付くのが特徴である。
一方、時短状態時における小当り遊技中にV入賞しなかった場合(図7のラインL15)、時短回数Nが1減算され、残り時短回数が残っていれば「時短状態」は継続し、残り時短回数が0になると、「通常遊技状態」に移行される。
ここで時短状態時における特別図柄2に対する大当り抽選の抽選確率については、図37(ロ)に示すように、「大当り」が選択される確率が約229分の1であるのに対し(図7のラインL10)、「小当り」が選択される確率は約229分の228である(図7のラインL11)。つまり、ほぼ毎回「小当り」に当選し、まれに「大当り」に当選する。そして、この小当りの小当り遊技中に右大入賞口50に遊技球が入賞した場合、その遊技球が特定領域63を通過してV入賞する確率は約6.7分の1である。したがって「小当り」した場合であっても、時短回数が多く設定されている小当りであれば、その時短回数分だけ時短状態を継続することができ、時短回数が多いほどV入賞(V当り)するチャンスが高くなる。たとえば時短95回が設定されている小当りに当選したとすると、時短回数95回がV入賞確率約6.7分の1の分母をはるかに上回っているため、時短回数95回が消化される間にV入賞することがほぼ確定的となる。これに対し、時短回数が少ない小当り、たとえば時短回数3〜5回が設定された小当りに当選した場合には、その少ない時短回数で運良くV入賞させることが必要であり、もしV入賞させることができなければ時短状態は終了することとなる。
このように、本実施形態では、通常遊技状態時に小当りからV入賞した場合、V当り遊技を実行し、V当りの1/2を時短状態に移行させるが、その際にV入賞確率は約6.7分の1の分母を上回る時短回数95回を付与するので、再度小当りからV入賞してV当りが連荘する可能性が大である。しかし、その後の時短状態においては、V当りすると3〜5回または95回の時短が付くので、連荘する可能性の高い時短回数の多い時短が付くV当りであることを願いつつV入賞を狙う遊技を行うことになる。したがって、連荘する大きな期待を持ちつつも、V当りせずに時短が終了してしまうかも知れないという緊張感をもってV入賞を狙う、というおもしろい遊技性を作り出している。
<4.当りについて:図38、図39>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。本実施形態における当りには、当り図柄が停止表示することによる当り(1種当り:特図1または特図2での抽選に当選したことによる大当りおよび小当り)と、小当り遊技中にV入賞することによる当り(2種当り:V当り)とがある。
(4−1.1種当りの種別:図38、図39)
図38(イ)は、特別図柄1(特図1)側について、通常遊技状態時および時短状態時(時短状態時)に当選した大当りの種別、つまり特別図柄1が停止表示することによる大当り(1種当り)の種別と、その当り種別に対応して定められる大当り遊技終了後の移行先遊技状態と、時短回数を示した「特図1側大当り種別移行先遊技状態表」である。同様に、図38(ロ)は、特別図柄2(特図2)側についての「特図2側大当り種別移行先遊技状態表」である。図39(イ)は、特別図柄1(特図1)側について、通常遊技状態時および時短状態時(時短状態時)に当選した小当りの種別、つまり特別図柄1が停止表示することによる小当り(1種当り)の種別と、その当り種別に対応して定められる小当り遊技終了後の移行先遊技状態と、時短回数を示した「特図1側小当り種別移行先遊技状態表」である。同様に、図39(ロ)は、特別図柄2(特図2)側についての「特図2側小当り種別移行先遊技状態表」である。
図38(イ)の左側の「通常遊技状態時の当選」欄は、通常遊技状態時(左打ち有利時)に特図1の図柄遊技で大当りに当選した場合を示しており、通常起こりうるケースである。図38(イ)の右側の「時短状態時の当選」欄は、通常遊技状態に少なくとも1つの作動保留球を有した状態で大当り遊技またはV当り遊技となり、その当り遊技後に時短状態に設定された際に保留されていた作動保留球が大当りに当選した場合を示しており、普通に正しい遊技方法で遊技しているとまれに起こりうるイレギュラーなケースである。または時短状態時(右打ち有利時)に上始動口(第1特別図柄始動口)に入賞してしまい、特図1の図柄遊技で大当りに当選したような場合を示しており、普通には起こり得ないまれなイレギュラーなケースである。
図38(ロ)も同様であり、左側の「通常遊技状態時の当選」欄は、通常遊技状態時(左打ち有利時)に下始動口(第2特別図柄始動口)に入賞してしまい、特図1の図柄遊技で大当りに当選したような場合を示しており、普通には起こり得ないまれなイレギュラーなケースである。また図38(ロ)の右側の「時短状態時の当選」欄は、時短状態時(右打ち有利時)に特図2の図柄遊技で大当りに当選した場合(通常起こりうるケース)を示している。図39は小当りを扱っている点が異なっているだけで、図39(イ)(ロ)の左欄と右欄の関係は、図38(イ)(ロ)の左欄と右欄の関係と同じである。
本実施形態における1種当りの種別には、図38、図39に示すように、「大当り1〜大当り17」と「小当り1〜小当り14」がある。これらの当りは全て16ラウンド遊技のものとして規定されるが、大入賞口の開放動作に関し、16Rの一部のラウンドを長開放動作とし他の一部のラウンドを短開放動作とすることにより、実質的に4R、5R、10R、15R等の出玉の異なる大当り種別が作られている。小当りした場合にV入賞して発生するV当り遊技についても同じである。
(4−1−1.1種当り種別)
特図1側の1種当り抽選対象には、大当り種別として「大当り1〜大当り10」があり、小当り種別として「小当り1〜小当り6」がある(図38(イ)、図39(イ))。また特図2側の大当り抽選対象には、大当り種別として「大当り11〜大当り17」があり、小当り種別として「小当り7〜小当り14」がある(図38(ロ)、図39(ロ))。
これら当りのうち、「大当り1〜大当り17」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り1〜小当り14」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。小当り遊技中にV入賞した場合の「V当り」は、条件装置の作動契機となる当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、単なる「ハズレ」とは異なる。
(4−1−2.大当り時の移行先遊技状態:図38(イ)(ロ))
図38(イ)の左欄は、通常遊技状態時に特図1で大当りに当選した場合の移行先遊技状態を示しており、大当りの種別に応じて「時短状態」または「通常遊技状態」のいずれに移行するかを定めている(図7のL2、L3参照)。大当り1〜大当り10のうち、「大当り1」、「大当り2」、「大当り5」および「大当り7〜大当り10」は、大当り遊技終了後の遊技状態が「時短状態」に移行するもので(図7のL2)、「時短大当り」に属するものとして区分される。残りの「大当り3」、「大当り4」および「大当り6」は、大当り遊技終了後の遊技状態が「通常遊技状態」に移行するもので(図7のL3)、「非時短大当り(通常大当り)」に属するものとして区分される。図38(イ)の右欄は、時短状態時に特図1で大当りになった場合(イレギュラー)の移行先遊技状態を示しており、「大当り1〜大当り10」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、時短状態に移行させる「時短大当り」に属する大当りである。
図38(ロ)の左欄は、通常遊技状態時に特図2で大当りに当選した場合(イレギュラー)の移行先遊技状態を示しており、「大当り11」〜「大当り17」は、大当り遊技終了後の遊技状態を「通常遊技状態」に移行させるもので、「非時短大当り(通常大当り)」に属する。また図38(ロ)の右欄は、時短状態」時に特図2で大当りになった場合の移行先遊技状態を示しており(図7のL12)、「大当り11」〜「大当り17」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、時短状態に移行させる「時短大当り」に属する大当りである。
(4−1−3.小当り時の移行先遊技状態:図39(イ)(ロ))
図39(イ)の左欄は、小当りに当選し、小当り遊技中にV入賞した場合の移行先遊技状態を示しており(図7のL4参照)、小当りの種別に応じて、V当り遊技後の移行先遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」のいずれに移行するかを定めている。小当り1〜小当り6のうち、「小当り1」、「小当り2」、および「小当り5」は、V当り遊技終了後の遊技状態が「時短状態」に移行するもので(図7のL6)、「時短小当り」に属する小当りである。残りの「小当り3」、「小当り4」および「小当り6」は、V当り遊技終了後の遊技状態が「通常遊技状態」に移行するもので(図7のL6)、「非時短小当り(通常小当り)」に属する小当りである。図39(イ)の右欄は、時短状態時に特図1で小当りになった場合(イレギュラー)の移行先遊技状態を示しており、「小当り1〜小当り6」は、V当り遊技終了後の遊技状態を時短状態に移行させる「時短小当り」に属する大当りである。
図39(ロ)の左欄は、通常遊技状態時に特図2で小当りに当選した場合(イレギュラー)の移行先遊技状態を示しており、「小当り7〜小当り14」は、V当り遊技終了後の遊技状態を通常遊技状態に移行させる「非時短小当り(通常小当り)」に属する小当りである。また図39(ロ)の右欄は、時短状態時にV当りになった場合を示しており(図7のL16)、「小当り7〜小当り14」は、V当り遊技終了後の遊技状態を通常遊技状態に移行させる「非時短小当り(通常小当り)」に属する小当りである。
また図39には示されていないが、小当り遊技中にV入賞しなかった場合は(図7のL15)、当選時の遊技状態を継続させる当り種別となっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
小当り遊技中にV入賞すると、小当り遊技終了後にV当り遊技が開始されるが、そのV当り遊技は、小当り1〜小当り14についてそれぞれ予め定められた「V当り遊技」が開始さるように対応付けがなされている。そこで、特図1側の「小当り1」〜「小当り6」に対応して実行されるV当り遊技を、それぞれ「V当り1」〜「V当り6」と称する。また、特図2側の「小当り7」〜「小当り14」に対応して実行されるV当り遊技を、それぞれ「V当り7」〜「V当り14」と称する。そして、これら「V当り1」〜「V当り14」の全体を「V当り」と総称する。
なお本実施形態では、全ての小当り種別は「右大入賞口50(第2の大入賞口)」を開放させる小当り遊技を実行するようになっている。また、全ての大当り種別は、1R目に「右大入賞口50(第2の大入賞口)」を開放し、そのあとのラウンド数目以降(2R目〜)は「下大入賞口40(第1の大入賞口)」を開放させるラウンド遊技を実行するようになっている。しかし本発明はこれに限られない。たとえば、ラウンド数に応じて「右大入賞口50」または「下大入賞口40」のいずれかを開放する特殊な大当り種別を含んでいても良い。
(4−2.当り時の遊技経過:図57、図58)
次に、大当りまたは小当りに当選した場合の遊技経過について説明する。図57は、大当り(1種当り)系の遊技経過について示す図であり、図58は、小当り(2種当り)系の遊技経過について示す図である。
(4−2−1.大当り(1種当り)系の遊技経過:図57)
図57において、時刻t1は特別図柄1または特別図柄2の当り抽選で大当りに当選した時点を示す。大当りに当選した特別図柄の変動表示が終了すると(時刻t2)、大当り図柄が図柄確定時間(500ms)にわたり表示され(時刻t2〜t3)、その後に、大当り開始インターバルを経て「大当り遊技」が開始される。この大当り遊技は、全て16ラウンドからなるラウンド遊技で構成され、1ラウンド目は右大入賞口50(第2の大入賞口)が開放されるラウンド遊技、2〜16ラウンド目は下大入賞口40(第1の大入賞口)が開放されるラウンド遊技となっている。
下大入賞口40が開放される各ラウンド遊技については、大当りの種類に基づいて、どのラウンド区間を「短開放遊技」とするか「長開放遊技」とするのかが異なっている。「短開放遊技」は、下大入賞口40の最大開放時間が60msに設定されるラウンド遊技であり、「長開放遊技」は、下大入賞口40の最大開放時間が28500msに設定されるラウンド遊技である。この「28500ms」は下大入賞口40に入賞させることが可能な時間幅であり、「60ms」は下大入賞口40に入賞させることが非常に困難な時間幅である。このため「短開放遊技」中では賞球の獲得を期待することはできず、賞球を獲得可能である「長開放遊技」が実行される区間でのラウンド数が、実質的なラウンド数(以下、「実質ラウンド数」と称する)となる。
大当り遊技が開始される際には、1ラウンド目の右大入賞口50の開放前に、所定時間の開始インターバル(時刻t3〜t4)が設けられる。開始インターバル時間については、図47(大当り時における大入賞口開閉設定テーブル)の「オープニング」欄に左と右に分けて示すように、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」または「時短状態」のいずれであるかにより、異ならせている。すなわち、大当り1〜大当り10のうちで1R目の開放時間が小当りの場合と同じで1600msと長い「大当り5」と「大当り6」を除き、他の「大当り1〜5」および「大当り7〜10」については、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」である場合は開始インターバル時間として「11440ms」が設定され、当選時の遊技状態が「時短状態」である場合は開始インターバル時間として「14440ms」が設定される。また、「大当り5」と「大当り6」については、開始インターバル時間として、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」であれば「21000ms」が設定され、「時短状態」であれば「500ms」が設定される。1R目の開放時間が1600msと長く、右大入賞口50の開放中に入賞する可能性があるので、オープニング時にも長めの演出を現出させるためである。これらの開始インターバル時間を使って、大当り遊技が開始されることを報知するためのオープニング演出が行われる。
右大入賞口50の開放時間1600msという値は、小当りの場合にV入賞する可能性のある時間幅である。「大当り5」と「大当り6」の場合においても、1R目の開放時間を1600msという長い値に設定されているのは、この小当りの場合の開放時間1600msと同じにすることで、大当りの場合でもV入賞遊技があり得るようにみせることが可能になってくるからである。大当り開始インターバル時間について、「大当り5および大当り6」の場合を他の「大当り1〜5、大当り7〜10」の場合と異なり、21000msまたは500msとしているのも、同じ理由からである。すなわち、大当り5、6については、小当り5、6(図48)の場合と同じ開始インターバル時間(21000ms、500ms)、右大入賞口開放時間(1600ms)が設定される。これは大当りの場合における1R目の遊技内容を、小当りの場合の遊技内容と区別できないようにして、大当りの場合であっても「V入賞するかもしれない」という緊張感を遊技者に与え、かつ、演出上からも「大当りしたのか小当りしたのか」を1ラウンドが終了するまでは判らないように報知時期を時間的に後にずらし、その緊張感が長く持続するようにするものである。この詳細については後述する。
開始インターバル時間が終了すると(時刻t4)、1ラウンド目の右大入賞口50が開放される。右大入賞口50の最大開放時間は、大当りの種類に基づいて異なっている。図47の「1R(右大入賞口)役物抽選」項目内の「開放」の欄に示すように、大当り5および大当り6については、小当りの場合と同じ1600msという比較的長い時間が設定され、その他の大当り1〜大当り4、大当り7〜大当り17については、60msという比較的短い時間が設定される。したがって、大当り種別が大当り1〜大当り4、大当り7〜大当り17の場合は、1ラウンド目に右大入賞口50に入賞することがほぼないが、大当り5および大当り6の場合には、1ラウンド目に、小当りの場合と同様に右大入賞口50に入賞する可能性がある。
また、右大入賞口50が開放されると入賞球の計数のため、右大入賞口50内に設けられているセンサSW1(右大入賞口センサ52a)からの検出信号が有効(受付許可)に設定される。このセンサSW1が有効とされる期間は、右大入賞口50が開放されている間(時刻t4〜t5)と、その後、右大入賞口50から全ての遊技球が排出されるまでの残存球排出時間(時刻t5〜t6)との和である。また時刻t4で遊動領域59の関連役物(中振分け板57、SPアーム役物58a)が作動を開始し、時刻t4〜t6までに右大入賞口50に入賞したことが検出された場合は時刻tdまでの期間にわたり動作を継続し、また時刻t6までに右大入賞口50に入賞したことが検出されなかった場合は、残存球排出時間が終了した時点(時刻t6)まで動作を継続する(図59参照)。往復式回転体役物61は常時、一定の回転角度範囲内(たとえば90度の範囲内)で往復回転(回動)し続けている。この遊動領域59の作用に関連して、時刻t4で、センサSW2〜センサSW4からの検出信号も有効(受付許可)に設定され、時刻t6までに右大入賞口に入賞があれば(入賞球がセンサSW1で検出されれば)、時刻tdでセンサSW3またはセンサSW4がONすると無効の設定に戻され、時刻t6までに右大入賞口50に入賞が無ければ(センサSW1で入賞球が検出されなければ)時刻t6で無効の設定に戻される。なお、これら以外の時間にセンサSW1〜SW4が遊技球を検出したとしても、その検出は無効とされ、エラー報知が実行され、ゴト行為に対する対策がなされている。
1ラウンド目のラウンド遊技では、右大入賞口50が上記の最大開放時間だけ開放されて閉鎖される(時刻t4〜t5)。この右大入賞口50が開放されてから閉鎖されるまでの時間内(時刻t4〜t5)または残存球排出時間が終了するまでの時間内(時刻t4〜時刻t6)に、遊技球が図5のVチャンスルートに入ってSPアーム役物58(貯留部58c)で停留した場合(時刻ta)、遊技球は所定の時間経過後に貯留部58cから釈放されてV抽選役物60に入る。そしてV抽選役物60の特定領域63または非特定領域62を通過する。特定領域63を通過した場合はセンサSW3がONし、非特定領域62を通過した場合はセンサSW4がONする。特定領域63または非特定領域62のいずれを遊技球が通過した場合も、センサSW2がOFFから所定時間後にセンサSW3またはSW4がONすることになり(時刻td)、この時点で特定領域63を通過したか(V入賞したか)または非特定領域62を通過したか(V入賞しなかったVハズレか)が確定する。ただし、小当り経由の場合と異なり、大当り(第1種当り)の場合は条件装置が既に働いているので、特定領域63を通過したからといって特にV当りという作用が起こるわけではない。センサSW3がONする時点が、小当り経由の場合と同じ時刻tdになるというだけである。
他方、遊技球が図5のスルールートに入った場合、センサSW4により検出される(時刻tc、td)。
上記のように、1R目のラウンド遊技は、右大入賞口50の開放(時刻t4〜時刻t5)が終了ことで終了となる。したがってV抽選系を考慮しないのであれば、つまり入賞なしの場合は右大入賞口50が閉鎖した時点(時刻t5)から1ラウンド終了INTが開始される。ただし、最大開放時間経過前であっても右大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(4個)に達した場合は、右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定のラウンド間インターバル時間が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、右大入賞口50の最大開放時間が経過した場合か、または右大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された右大入賞口50が閉鎖され、ラウンド間インターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の下大入賞口40が開放されるラウンド遊技においても同様)。
ラウンド遊技間における「ラウンド間インターバル時間」は大入賞口が閉じている間の時間幅であり、「残存球排出時間」(時刻t5〜t6)と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」(時刻td〜t7または時刻t5〜te)とからなる。「残存球排出時間」は、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が、大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。この残存球排出時間として、図47の「1R(右大入賞口)役物抽選」項目内の「残排出」」の欄に示すように、1480msの時間が設定される。
ただし、1ラウンド目の右大入賞口50が開放するラウンド遊技については、この1480msの残存球排出時間が経過したとしてもまだVチャンスルートの誘導路中に遊技球が存在している可能性があるので、その全ての遊技球の排出が確認されるまで待ち、次のラウンド(開放前インターバル時間)に移行することはしない(図57中7段目の1ラウンド終了INT「入賞あり」欄における時刻td)。全ての遊技球が右大入賞口50から排出されたことの確認は、センサSW1により検出されてカウントされた入賞数と、センサSW3またはSW4により検出されてカウントされた排出数とが同一になったことで確認できる。
大当りの場合は、既に条件装置が働いているので、右大入賞口50に入賞したか否かに関わらず、2ラウンド目に移行することが確定している。そこで、右大入賞口50に1球も遊技球が入賞しなかった場合(同図57の7′段目「ラウンド終了INT」“入賞なし”欄)、右大入賞口50が閉鎖されると(時刻t5)、「ラウンド終了INT」つまり次のラウンドのための「開放前インターバル」に移行する。また、右大入賞口50に入賞した遊技球がスルールートを経た場合(時刻t6までにSW4がONした場合)も、1480msの残存球排出時間が経過すると(時刻t6)、ラウンド終了INTつまり次のラウンドのための開放前インターバル時間に移行する。
2ラウンド目のラウンド遊技に前置される「開放前インターバル時間」としては、図47の「「1R(右大入賞口)役物抽選」項目内の「INT」」の欄に示すように、20msまたは62500msの時間が設定される。この開放前インターバル時間中に下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aが遊技球を検出した場合も、残存球排出期間の場合と同様に、その遊技球は不正行為による不正入賞とみなされ、所定のエラー処理(不正入賞によるエラー処理)が行われる。
そして、開放前インターバル時間が経過すると、Vチャンスルーとを経た場合は時刻t7で、また入賞しなかった場合は時刻teで2ラウンド目のラウンド遊技が開始される。2ラウンド目からは下大入賞口40が開放される。下大入賞口40の最大開放時間は、大当りの種類に基づいて異なっており、図47の「2R〜16(下大入賞口)長開放時」項目内の「開放」」の欄に示すように、長開放遊技時については、28500msの時間が設定される。また、図47の「2R〜16(下大入賞口)短開放時」項目内の「開放」」の欄に示すように、短開放遊技時については、60msの時間が設定される。具体的に、大当り1、大当り2、大当り5、大当り7〜大当り10については、2〜6ラウンド目が長開放遊技、7〜16ラウンド目が短開放遊技である。また、大当り3、大当り4、大当り6については、2〜11ラウンド目が長開放遊技、12〜16ラウンド目が短開放遊技である。また、大当り11、大当り12については、全ての2〜16ラウンド目が長開放遊技である。また、大当り13〜大当り17については、2〜5ラウンド目が長開放遊技、6〜16ラウンド目が短開放遊技である。長開放遊技のラウンド数が多いほど相対的に高い利益が付与される大当り遊技となる。
大当り遊技が進行し、16ラウンド目において下大入賞口40が閉鎖されて、全ての16ラウンド分のラウンド遊技が終了すると、終了インターバル時間を経て大当り遊技が終了することとなる。この「終了インターバル時間」は、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。図47の「エンディング」欄に示すように、終了インターバル時間については、当選時の遊技状態(通常遊技状態または時短状態)や大当り種類に基づいて所定の時間が設定される。特図1での大当りの場合は1420ms〜3220msが設定される。また、通常状態時における特図2での大当りの場合(イレギュラー)は18020msか100msが設定され、時短状態時における特図2での大当りの場合は、11020msか100msが設定される。
(4−2−2.小当り(2種当り)系の遊技経過:図58)
次に、図58を用いて小当り(2種当り)系の遊技経過について説明する。なお、大当り(1種当り)系の遊技経過(図57)と同じ内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図58を参照して、特別図柄1または特別図柄2の大当り抽選で小当りに当選した場合(時刻t1)、特別図柄の変動表示が終了すると(時刻t2)、小当り図柄が図柄確定時間(500ms)にわたり表示され(時刻t2〜t3)、その後に小当り遊技に入る。
小当り遊技が開始されると、右大入賞口50の開放前に、所定時間の開始インターバル(図中3段目の大当り開始INTの欄:時刻t3〜t4)が設けられる。開始インターバル時間については、当選時の遊技状態が通常遊技状態であれば17000msまたは21000msの時間が設定され、時短状態であれば500msの時間が設定される(図48の「小当り時における大入賞口開閉設定テーブル」における「オープニング」欄を参照)。
開始インターバル時間が終了すると(時刻t4)、右大入賞口50が開放される(図58中4段目の1ラウンド開始の欄)。右大入賞口50の最大開放時間は、図48の「役物抽選(右大入賞口)」項目内の「開放」欄に示すように、小当り種別に拘わらず同じ1600msの時間が設定される。この「1600ms」という時間は、当該時間内に遊技球が右大入賞口50に入賞するが、その入賞した遊技球数が最大入賞数(4個)に達することがない時間幅である。このため、実際には、入賞球数により規制されるのではなく時間により規制され、右大入賞口50の最大開放時間「1600ms」が経過することで、小当り遊技が終了する。この小当り遊技中において行われる右大入賞口50の開閉動作(1600ms開放)に対し、特図1大当り5、6の大当り遊技中において行われる開閉動作(1600ms開放)が実質的に同一の動作態様となるように制御され、外見上どちらの開放動作であるかが判別できないようになっている。
右大入賞口50について上記の最大開放時間が経過すると、右大入賞口50が閉鎖され(時刻t5)、残存球排出時間として、図48の「役物抽選(右大入賞口)」項目内の「残排出」欄に示すように、残存球排出時間の1480msが設定される(時刻t5)。この1480msが経過し(時刻t6)、センサSW1〜SW4により右大入賞口50内の全ての遊技球の排出が確認されると(時刻td)、小当り遊技は終了する。
この時刻tdまでには、右大入賞口50に入賞した遊技球が、遊動領域59内のV領域(特定領域)63を通過してV入賞するか、V領域(特定領域)63を通過することなく非V領域(非特定領域)62を通過してハズレとなるか、というV役物抽選の結果に基づき、次のような設定が行われる。
V抽選役物60の特定領域63を遊技球が通過した場合、つまりV役物抽選の結果がV入賞であった場合は、右大入賞口50内の遊技球が全て排出したことが確認されると(時刻td)、時刻td〜時刻t7の開放前インターバル時間(図58中7段目の1ラウンド終了INTの欄)を挟んで、2ラウンド目(V当りの1ラウンド目)のラウンド遊技に移行されるようになっている(時刻t7)。この開放前インターバル時間として、図48の「役物抽選(右大入賞口)」項目内の“INT”」の欄に示すように、小当りの種類に基づき、15000msまたは21000msの時間が設定される。なお、ここで開放前インターバル時間と称しているのは、時刻tdでV入賞して大当りが発生すると考えているからであり、時刻t7までが1R目のラウンド遊技であると考えた場合には、1ラウンド終了INTとしても表現することもできる。
一方、V抽選役物60の非特定領域(ハズレ領域)を遊技球が通過した場合、つまり役物抽選でV入賞しなかった場合(図58中9段目“7′”の小当り終了INTの「V入賞せず」欄)、右大入賞口50(遊動領域59)内の全遊技球の排出が確認されると(時刻td)、終了インターバル時間を経て小当り遊技が終了することとなる(時刻tg)。
また、右大入賞口50の開放中に遊技球が入賞しなかった場合(図58中10段目“6′”の小当り終了INTの「入賞なし」欄)、右大入賞口50の閉鎖が確認されると(時刻t5)、終了インターバル時間を経て(時刻tf)、小当り遊技が終了することとなる。
「V入賞せず」の場合や、「入賞なし」の場合の終了インターバル時間については、図48の「エンディング」の欄に示すように、終了インターバル時間については、当選時の遊技状態(通常遊技状態または時短状態)や小当り種類に基づいて、5000ms〜34500msの時間が設定される。
しかし、遊技状態が時短状態である場合において、右大入賞口50に入賞しなかったときに、長いエンディング時間を設けておくのでは間延びするので、高速に時短状態を消化させる上では好ましくない。そこで、この場合の終了インターバル時間(エンディング時間)(時刻t5〜tf)については、ゼロまたはほぼゼロ(数ms)に設定しても良い(図58中10段目“6′”の小当り終了INTの「入賞なし」欄の破線)。このように小当り遊技の遊技時間を短くすることで、次の小当り遊技までの時間を短縮することができ、遊技の消化スピードが速まり、遊技がスピーディーに進行するため、ストレスなく遊技を楽しむことができる。すなわち、抽選手段の結果が第2当り(小当り)である場合において、第2当りが通常遊技状態における当りであり、かつ、可変入賞手段(特別変動入賞装置、右大入賞口)に遊技球が入球しなかった場合、可変入賞手段を所定の開閉動作パターンで動作させた後、第1所定時間(図58のt5〜tf)の経過を待って次の遊技を開始させ、前記第2当りが特典遊技(時短状態)における当りであり、かつ、可変入賞手段に遊技球が入球しなかった場合、可変入賞手段を所定の開閉動作パターンで動作させた後、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間(図58のt5〜tf=0、またはt5〜t6未満、またはt5〜tf未満)の経過を待って次の遊技を開始させることができる。
一方、遊技状態が通常遊技状態において右大入賞口50に入賞しなかった場合は、終了インターバル時間(エンディング時間)として所定の時間(時刻t5〜tf)を設けることで、エンディング演出を実行することができ、次回の当り(大当りまたは小当り)を目指して遊技者に再挑戦を促すことができる。
(4−2−3.外部情報端子出力:図60)
図60を参照して外部情報端子の出力について説明する。図60(ロ)は大当り5、6に当選した際に外部情報端子に当り信号が出力される場合を示し、また図60(イ)は小当りしてV入賞を経て大当りした際に外部情報端子にV当り信号が出力される場合を示している。ここで外部情報端子は、図56に示すように、情報端子1〜10までが備わっているが、このうちの特に情報端子5(大当り)を指す。
通常、大当り図柄が停止表示することによる「大当り」に当選した場合、遊技者が打球を発射するかしないかに関わらず、外部情報端子から送られた大当り信号を受けて当該遊技機の島設備側に設けられたデータ表示器の大当り報知ランプが自動的に点灯し、大当り回数表示が1加算されるなどの報知が行われる。この大当りを報知するために外部情報端子に大当り信号が出力されるタイミングは、一般には「大当り図柄が停止表示された時点」とされる。これに対し、特図1で小当りに当選し、V入賞を経て「V当り」になる場合、外部情報端子に大当り信号が出力されるタイミングは、小当り当選時から遅れた「V入賞時」になる。つまり遊技台の島設備側に設けられたデータ表示器の「大当り報知ランプが点灯するタイミング」や「大当り回数が1加算されるタイミング」に違い(時間差)が生じる。
このため図柄の変動表示が停止した時に遊技台の大当り報知ランプが点灯すれば「大当り」であり、これより遅れた時点で点灯すれば「V当り」であるということで、「大当り」と「V当り」のいずれに当選したのかが、V抽選の結果が出る前に遊技者に判ってしまうことになる。このことは、図柄変動停止時に遊技台の大当り報知ランプが点灯して「大当り」と判った時点で、その後に行われるV入賞抽選が遊技者にとって無意味なものになることを意味しており、遊技者が打出を止め、V入賞するか否かの演出を冷めた気持ちで眺める、といった事態に発展する。よって「Vを狙え」といったV入賞演出を現出させる意義も薄れる。
ここで「大当り」と「V当り」とについて、同じ演出を現出させて、「大当り」と「V当り」のいずれに入賞したのかが、V抽選の結果が出るまで遊技者に判らないように構成することができれば、V抽選遊技に係る興趣を高めることができる。そこで本実施形態では、「大当り」と「V当り」との大当り報知タイミング(外端報知タイミング)を近づけるため、「大当り」の大当り報知タイミングを遅らせて、2ラウンド目の開始タイミングにする。
このように構成すると、「大当り」の当り報知タイミングが、「V当り」の当り報知タイミングである「V入賞時」にまで遅らされる結果、「大当り」と「V当り」とについて、ほぼ同じ時期に、データ表示器において、当り報知ランプの点灯や、当り表示回数の1加算表示が起こることになる。よって「大当り」と「V当り」のいずれになったことが、遊技者に判らなくなることから、V抽選役物60に関して「Vを狙え」といった演出において遊技者はV入賞して欲しいと緊張しながら遊技を行うことになり、V抽選機構およびV抽選演出の存在が有意義のものとなる。
また「大当り」であっても、2ラウンド目が開始するタイミングまでの区間を、小当りの場合と同じ演出を伴う「見せかけの小当り」として扱うこと、つまりV入賞抽選結果が出るまでは「大当り」であることを隠しておくことができ、V入賞抽選機構およびV入賞演出を無意味なものにしないようにすることができる。よってV入賞抽選機構およびV入賞演出の存在意義を最大限まで高めることができる。
ただし、厳密には、「大当り」と「V当り」の大当り報知タイミングとの間に時間的な差が残る。すなわち「大当り」では2ラウンド目の開始タイミングで大当りを報知し、「V当り」では1ラウンド目の途中であるV入賞タイミングで大当りを報知することから、大当り報知ランプの点灯時期に若干のずれが生まれる。しかし、この点灯時期の違いは視覚上認識し難いコンマ何秒かの差にすぎないため、遊技者がその差を認識することはまず不可能であり、V入賞攻略などに利用される恐れはない。よって大当りとV当りの報知タイミングは、大当りとV当りとでほぼ同時的なものとして扱うことができる。
(V当りの場合)
具体的に「V当り」の場合から説明する。図60(イ)は小当りしてV入賞し、V当りした場合を扱っている。
図60(イ)において、特別図柄1の当り抽選で小当りに当選し、小当り図柄が停止表示された場合、図柄確定時間(500ms)の経過後に大当り遊技が開始され(時刻t3)、小当り演出が発生する。本実施形態の場合、外部情報端子に出力する信号は大当り報知信号だけであり、小当りが発生しても、外部情報端子に小当り報知信号は出力されない。
1ラウンド目の右大入賞口50の開放(V当りすることを前提にしているため1ラウンド目に相当する)に先立ち、1ラウンド目の開始インターバル時間(時刻t3〜t4)として、小当り用の21000msが設定される(図48の「オープニング」欄を参照)。
この開始インターバル時間が終了すると(時刻t4)、右大入賞口50が開放される。小当りの場合、右大入賞口50の最大開放時間は1600msであり(図48参照)、右大入賞口50に入賞する可能性がある時間幅となっている。この右大入賞口50が開放されている間および残存球排出時間が経過するまでの間、第1センサ(右大入賞口センサ52a)SW1が有効になる。また図59に示すように、右大入賞口50が開放された時点(時刻t4)から、図5のSPアーム役物58および抽選役物60が作動を開始する。そして、遊技球が右大入賞口50に入賞し(時刻ta)、Vチャンスルートに入ってセンサSW2がON(時刻tb)してから、時刻tdで、センサSW3がON(V入賞)するかセンサSW4がON(ハズレ)するまで、各役物が動作を継続する。
右大入賞口50が開放されている期間(時刻t4〜t5)内に、遊技球が右大入賞口50内に入り、1個目がVチャンスルートの貯留部58cで停留すると、SW2がONする(時刻tb)。それ以降に入った遊技球はスルールートに流下する。その後、所定の停留時間経過後に(時刻tc)、SPアーム役物58の貯留部58cが図5の突出位置から後退位置に移動し、貯留部58cで停留していた遊技球が貯留部58cから釈放されて(SW2=OFF)、V抽選役物60に向かう。
V抽選役物60に入った遊技球は、V抽選役物60の特定領域63または非特定領域62を通過し、特定領域63を通過した場合はセンサSW3がONし、非特定領域62を通過した場合はセンサSW4がONする。ここではV入賞することを前提としているため、遊技球は特定領域63を通過して、センサSW3がONすることになる(時刻td)。この時点で特定領域63を通過したこと(V入賞したこと)が主制御部20側で把握され、外部情報端子にV当り信号が出力される(時刻td)。時刻tdから終了インターバルが開始され、所定の終了インターバル時間62500msが経過すると(時刻t7)、下大入賞口40が開放されて、次の2R目のラウンド遊技が開始される。
(大当りの場合)
次に「大当り」の場合について説明する。図60(ロ)は「大当り」として「大当り5、6」に当選した場合を扱っている。その理由は、図47に示すように、「大当り5、6」は1Rの右大入賞口開放時間が1600msであり、これは図48に示す小当り時における右大入賞口開放時間1600msと同じであって、大当りを「見せかけ小当り」として扱える前提が成り立つからである。なお他の「大当り1〜4」や「大当り7〜10」はこの前提条件を満たさない。
図60(ロ)において、特別図柄1の大当り抽選で大当り5、6に当選して大当り図柄が停止表示された場合、図柄確定時間(500ms)の経過後に大当り遊技が開始される(時刻t3)。そして、大当りであることを隠匿するため、小当りした場合の小当り演出と同じ演出が発生される。この時点ではまだ外部情報端子に大当り報知信号は出力されない。
1ラウンド目の右大入賞口50の開放に先立ち、大当り5、6の場合の開始インターバル時間(時刻t3〜t4)として、小当りの場合と同じ21000msが設定される(図47、図48の「オープニング」欄を参照)。また演出についても、大当り5、6の場合のオープニング演出として、小当りの場合と同じオープニング演出が発生される。
開始インターバル時間が終了すると(時刻t4)、1ラウンド目の右大入賞口50が開放される。右大入賞口50の最大開放時間は、小当りの場合と同じ1600msであり、右大入賞口50に入賞する可能性がある時間幅となっている。この右大入賞口50が開放されている間および残存球排出時間が経過するまでの間、第1センサ(右大入賞口センサ52a)SW1が有効になる。また右大入賞口50が開放された時点(時刻t4)から、図5のSPアーム役物58および抽選役物60が作動を開始し、遊技球がVチャンスルートに入った場合は、SW1がONし(時刻ta)、その後は、時刻tdでSW3がON(V入賞)するかSW4がON(ハズレ)するまで、各役物が動作を継続する。
右大入賞口50が開放されている期間(時刻t4〜t5)内に、遊技球が右大入賞口50内に入り、1個目がVチャンスルートの貯留部58cで停留すると、SW2がONする(時刻tb)。それ以降に入った遊技球はスルールートに流下する。その後、所定の停留時間経過後に(時刻tc)、貯留部58cが図5の突出位置から後退位置に移動し、貯留部58cで停留していた遊技球が貯留部58cから釈放されて(SW2=OFF)、V抽選役物60に向かう。
V抽選役物60に入った遊技球は、V抽選役物60の特定領域63または非特定領域62を通過し、特定領域63を通過した場合はセンサSW3がONし、非特定領域62を通過した場合はセンサSW4がONする。ここでは大当り5、6の場合を扱っているので、既に条件装置が作動している。したがって、特定領域63と非特定領域のどちらを通過した場合も、最終的に大当り報知がなれることが確定しているものの、「見せかけ小当り」の遊技性を実現させるため、ここではまだ大当り報知がなされない。
特定領域63または非特定領域62のいずれを遊技球が通過した場合も、時刻tcでSW2=OFFしてから所定時間後にセンサSW3またはSW4がONする。図60では時刻tcとtdを同じ位置に示してあるが、時刻tc〜tdには、SW2=OFFしてから所定時間後にセンサSW3またはSW4がONするまでの時間差がある。ここでは大当り5、6の場合を扱っているので、遊技球は特定領域63を通過しセンサSW3がONする(時刻td)。この時点で特定領域63を通過したこと(V入賞したこと)が主制御部20側で把握される。ただし、大当り(第1種当り)の場合は条件装置が既に働いているので、特定領域63を通過したからといって特にV当りという作用が起こるわけではない。センサSW3がONする時点が、小当り経由の場合と同じ時刻tdになるというだけである。
右大入賞口50の最大開放時間が経過するか、または右大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数に達すると、開放された右大入賞口50が閉鎖され、この間に入球した遊技球はすべて時刻tdまでに排出される。この1R目のラウンド遊技が終了すると、時刻tdから終了インターバルが開始され、所定の終了インターバル時間62500msが経過すると(時刻t7)、下大入賞口40が開放されて、次の2R目のラウンド遊技が開始される。次の2R目のラウンド遊技が開始されると同時、つまり図柄変動が開始されるのと同時に、外部情報端子に大当り信号が出力される(時刻t7)。
上記したように、「大当り」と「V当り」とでは、ともに、開始インターバル時間が同じ21000ms、1Rの右大入賞口開放時間が同じ1600ms、1個目がVチャンスルートに入って貯留部58cで停留している時間(SW2=ONからSW2=OFF)も同じであって、両者間に違いがない。また大当りの当り報知タイミングについては、「大当り」の場合が2ラウンドの図柄変動開始時であり、「V当り」の場合が「V入賞時」であって、両者がほとんど同じ時期である。このため、遊技者から見て、遊技台の当り報知ランプが点灯するタイミングや大当り回数が1加算されるタイミングに、違いは認識されない。また、この間に現出される演出も同じであるから、演出上から、V入賞前に既に大当りであるのか小当りであるのかを知ることもできない。よって、V抽選役物60を用いたV入賞遊技と演出を十分に堪能してもらうことができる。
(変形例)
上記実施形態では、次のように構成した。所定の開閉パターンにより、特定領域(V領域)に遊技球を通過させ易くするための開状態と、当該特定領域に遊技球を通過させることを困難または当該特定領域に遊技球を通過させることを不可能にするための閉状態とに制御可能に構成された可変入賞手段(第2の特別変動入賞装置52)と、当りに関する抽選を実行する抽選手段(当り抽選)と、前記抽選手段により当りが抽選された場合、前記可変入賞手段における前記開状態を発生させる当り遊技を実行制御する特別遊技制御手段(図19のS505〜S509)と、前記特定領域を通過する遊技球を検出する特定領域検出手段(SW3)と、外部に遊技に関する情報を出力可能な出力手段(図11のS063)と、を備える遊技機であって、前記抽選手段により抽選される当りには、第1当り(大当り)と第2当り(小当り)とが含まれ、前記特別遊技制御手段は、前記抽選手段により前記第1当り(大当り)が抽選された場合、少なくとも第1開閉パターンを含む開閉パターンで前記可変入賞手段を制御する第1当り遊技(大当り遊技)を実行する第1当り遊技制御手段と(図47の大当り5,6時の1R目の開放、図60の大当りの場合)、前記抽選手段により前記第2当り(小当り)が抽選された場合、少なくとも前記第1開閉パターンと同一または近似する開閉パターンを含む開閉パターンで前記可変入賞手段を制御する第2当り遊技(小当り遊技)を実行する第2当り遊技制御手段と(図48の小当り時の開放、図60の小当りの場合)、前記第2当り遊技中において、前記特定領域検出手段により遊技球が検出された場合、少なくとも第2開閉パターンを含む開閉パターンで前記可変入賞手段を制御する第3の当り遊技(V当り遊技)を実行する第3の当り遊技制御手段と、を備え、前記出力手段は、前記第1当り遊技が実行制御される場合において、前記第1開閉パターンが実行された後に成立する所定の出力条件を満たすまでは前記第1当り遊技に関する情報を出力せず、当該所定の出力条件を満たした場合には前記第1当り遊技に関する情報を出力し(図60の大当りの場合の時刻t7)、前記第2当り遊技が実行制御される場合において、当該第2当り遊技に関する情報を出力せず、前記特定領域検出手段により遊技球が検出された場合に前記第3当り遊技に関する情報を出力する(図60の小当りの場合の時刻tc)。
しかし、前記出力手段は、前記第2の当り遊技が実行制御される場合において、当該第2の当り遊技に関する情報を、次のように出力する構成とすることもできる。すなわち、遊技に関する演出表示が可能な表示手段(液晶表示装置36)と、前記表示手段において演出表示を表示制御する表示制御手段(演出制御部24)と、をさらに備え、前記表示制御手段は、前記第1当り遊技が実行制御される場合において、前記第1当り遊技に関する情報を出力するタイミングと異なるタイミングで前記第1当りである旨を示す第1当り演出を表示し、前記第3当り遊技が実行制御される場合において、前記第3当り遊技に関する情報を出力するタイミングと略同時期に前記第3当りである旨を示す第2当り演出を表示する。要するに、第3当り(小当り→V当り)の場合はV入賞をきっかけに、外端出力を行うと共に大当り演出も行う。そして第1当り(もともと大当り)の場合は、外端出力を2R目開始時に行い、大当り演出は1R目の所定秒数経過時に行うようにしても良い。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態:図38、図39)
次に上記の各当り遊技後に移行される移行先遊技状態について説明する。図38(イ)は特別図柄1で大当りした場合の移行先遊技状態を示し、同図(ロ)は特別図柄2で大当りした場合の移行先遊技状態を示している。また、図39(イ)は特別図柄1で小当りし、その小当り遊技中にV入賞してV当りした場合の移行先遊技状態を示し、同図(ロ)は特別図柄2で小当りし、その小当り遊技中にV入賞してV当りした場合の移行先遊技状態を示している。なお、小当り遊技中にV入賞しなかった場合は、その小当り遊技後に遊技状態は移行しない。
移行先遊技状態の「時短状態」は、時短状態に移行後、既に説明したように、図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄1および特別図柄2の合計変動回数)が所定の上限回数実行されるまで(第1の時短終了条件)、または、時短状態に移行後、当り遊技が所定の上限回数(特電回数)実行されるまで(第2の時短終了条件)継続される。時短状態は、この第1の時短終了条件および第2の時短終了条件のいずれか一方の条件をみたすと終了され、通常遊技状態に移行される。これら終了条件となる変動回数と特電回数とについては、図38〜図39に示すように、大当り種別および小当り種別に応じて異なる。
1回以上の回数の「時短回数」を設定する場合、「特図変動回数」は「特電回数」よりも最大保留記憶数以上の値、具体的に5回程度多い値に設定されている。この理由について、以下に述べる。
(i)まず前提条件として、大当り抽選は特図2よりも特図1が優先して実行される。このため、時短状態に移行された場合に、特図1の作動保留球が存在していたときは、まずその特図1の作動保留球が全て消化されてしまった後からでないと、特図2の大当り抽選が受けられない。
(ii)ここで「特図変動回数」のみを扱った構成(「特電回数」はなし)を考え、特図変動回数を、たとえば4回に設定したとすると、作動保留球数の有る者(遊技者A)とない者(遊技者B)とで下記のような不公平が生ずる。
(a)遊技者A(保留球4個有り)の場合、時短状態に移行した場合でも、特図1の作動保留球4個が全て消化されてからでないと、つまり変動回数4回が経過してからでないと、特図2の小当り抽選が受けられない。特図変動回数は4回に設定されているが、この4回が、上記の特図1の変動回数4回(保留球4個分の変動)として使われてしまう。特図1の小当り抽選確率は1/299なので、多くの場合はハズレとなり、小当りからV入賞するチャンスを一度も得ないで通常遊技状態へ戻ってしまう。
(b)これに対し、遊技者B(保留球なし)の場合、作動保留球数がゼロであるので、1回目の図柄変動から特図2の図柄変動となる。特図変動回数は4回に設定されているので、この4回が、すべて特図2の図柄変動となる。特図2の小当り当選確率は298/299なので、設定された特図変動回数の4回がすべて小当りからV入賞するチャンスとなる。つまり、最大4回にわたり、小当り中にV入賞するか否かの挑戦を行うことができる。
(iii)そこで、かかる不公平をなくすために、「特図変動回数」の他に「特電回数」も扱った構成とする。そして、たとえば特電回数として3回を設定し、特図変動回数として特電回数よりも1回多い数である4回を設定したとすると、次のようになる。
(a)遊技者A(保留球4個有り)の場合は、時短状態に移行したときでも、特図1の作動保留球4個が全て消化されてからでないと、つまり特電回数である3回より1回多い変動回数4回が経過してからでないと、特図2の小当り抽選が受けられない。
特図変動回数は4回に設定されているので、この4回分の図柄変動が、上記の特図1の図柄変動4回にて行使されることになる。したがって、上記(ii)と同様に、特図1が4回連続してハズレとなると、通常遊技状態へ戻ってしまうため、特図2の小当り抽選が受けられない。
(b)これに対し、遊技者B(保留球なし)の場合、作動保留球数がゼロであるので、1回目の図柄変動から特図2の図柄変動となる。そして、3回連続して小当り中にV入賞しなかった場合、残りの特電回数は0回となり、通常遊技状態へ戻ってしまう。したがって、最大3回にわたり、小当り中にV入賞するか否かの挑戦を行うことができる。
(c)また、特電回数3回、特図変動回数6回(特電回数より3回多い数)に設定したとすると、遊技者A(保留球4個有り)の場合は、特図1の4回の図柄変動の後、特図2の図柄変動が2回行われると、残りの特図変動回数は0回となり、通常遊技状態へ戻ってしまうため、最大2回にわたり、小当り中にV入賞するか否かの挑戦を行うことができる。これに対し、遊技者B(保留球なし)の場合、最大3回にわたり、小当り中にV入賞するか否かの挑戦を行うことができる。
(iv)このように、「特図変動回数」の他に「特電回数」を設定する場合において、「特図変動回数」の値を特電回数より多い数であって作動保留球数の最大値を下回る数、具体的には4回未満の値を設定しておくと、作動保留球数の有る者(遊技者A)とない者(遊技者B)とで不公平が生ずることになる。
(v)そこで特図変動回数として、作動保留球数より変動する可能性のある最大限の幅である4回(もしくは5回)を特電回数の値に追加する設定にしておくと、作動保留球4個が全て消化された後も、さらに特電回数の値が残っていることになる。その残っている特電回数分だけ行使されるため、保留球が4個有る場合も、特図2による図柄変動が確保されることになる。
なお、設定される特電回数は、本実施形態の場合、特別図柄1の作動記憶球が特別図柄2よりも優先的に消化されることと、特別図柄2の作動記憶球が無いこととによる遊技性に基づいて、最大保留記憶数の4個以上に設定されているが、これらの遊技性が異なっている場合、設定される特電回数は適宜変更可能である。たとえば、特別図柄2の作動記憶球が有り(最大4個)、その特別図柄2の作動記憶球を特別図柄1よりも優先的に消化する場合、特電回数を最大保留記憶数よりも少なく設定してもよい。
以下、これらの「特電回数」と「変動回数」とを総称して「時短回数」とし、下記の文章において「時短回数を3〜5回に設定する」と称する場合、「特電回数を3〜5回、変動回数を8〜10回」に設定すること、正確には、「特電回数3回、変動回数8回」、「特電回数4回、変動回数9回」、「特電回数5回、変動回数10回」に設定することを意味する。また、「時短回数を95回に設定する」と称する場合は、「特電回数95回、変動回数100回」に設定することを意味する。
(変形例)
本実施形態では、変動回数および特電回数の双方を終了条件(時短状態から通常遊技状態への移行条件)としたが、変動回数および特電回数の少なくともいずれか一方を終了条件としてもよい。
(4−3−1.特別図柄1に関する大当り遊技終了後の遊技状態:図38(イ))
特別図柄1で大当りした場合の大当り遊技終了後は、図38(イ)に示すように、大当り種別と大当り当選時の遊技状態とにより、「時短状態」に移行されるか、それとも「通常遊技状態」に移行されるかが異なっている。また、「時短状態」に移行される場合も、大当りの種類により、設定される「時短回数(特電回数、変動回数)」が異なっている。具体的には次のとおりである。
(1)大当り1&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り1」の場合において、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」(図38左側欄)であったときは、大当り遊技終了後に「時短状態」に移行し、時短回数に95回(特電回数95回、変動回数100回)が設定される。大当り2、大当り5、大当り10でかつ当選時が通常遊技状態の場合も同様である。
(2)大当り3&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り3」の場合において、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」であったときは、大当り遊技終了後に「通常遊技状態」に移行される。大当り4、大当り6でかつ当選時が通常遊技状態の場合も同様である。
(3)大当り7&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り7」の場合において、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」であったときは、大当り遊技終了後に「時短状態」に移行し、時短回数に3回(特電回数3回、変動回数8回)が設定される。
(4)大当り8&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り8」の場合において、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」であったときは、大当り遊技終了後に「時短状態」に移行し、時短回数に4回(特電回数4回、変動回数9回)が設定される。
(5)大当り9&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り9」の場合において、当選時の遊技状態が「通常遊技状態」であったときは、大当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数に5回(特電回数5回、変動回数10回)が設定される。
(6)大当り1&当選時が時短状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り1」の場合において、当選時の遊技状態が「時短状態」(図38右側欄)であったときは、大当り遊技終了後に「時短状態」に移行し、時短回数に95回(特電回数95回、変動回数100回)が設定される。大当り3、大当り5〜大当り10&当選時が時短状態の場合も同様である。
(7)大当り2&当選時が時短状態の場合、つまり、大当り種別が「大当り2」の場合において、当選時の遊技状態が「時短状態」(図38右側欄)であったときは、大当り遊技終了後に「時短状態」に移行し、時短回数に3回(特電回数3回、変動回数8回)が設定される。大当り4かつ当選時が時短状態(図38右側欄)の場合も同様である。
(4−3−2.特別図柄2に関する大当り遊技終了後の遊技状態:図38(ロ))
特別図柄2で大当りした場合の大当り遊技終了後は、図38(ロ)に示すように、大当り当選時の遊技状態により、「時短状態」に移行されるか、それとも「通常遊技状態」に移行されるかが異なっている。また、「時短状態」に移行される場合、大当りの種類により、設定される「時短回数(「特電回数」、「変動回数」)」が異なっている。具体的には次のとおりである。
(1)大当り11&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、大当り種別が大当り11の場合において、当選時の遊技状態が通常遊技状態であったときは、大当り遊技終了後に通常遊技状態に移行する。その他の全ての大当り12〜大当り17&当選時が通常遊技状態の場合も同様である。
(2)大当り11&当選時が時短状態の場合、つまり、大当り種別が大当り11の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、大当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を95回(特電回数95回、変動回数100回)に設定する。大当り12、大当り17&当選時が時短状態の場合も同様である。
(3)大当り13&当選時が時短状態の場合、つまり、大当り種別が大当り13の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、大当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を3回(特電回数3回、変動回数8回)に設定する。大当り14&当選時が時短状態の場合も同様である。
(4)大当り15&当選時が時短状態の場合、つまり、大当り種別が大当り15の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、大当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を4回(特電回数4回、変動回数9回)に設定する。
(5)大当り16&当選時が時短状態の場合、つまり、大当り種別が大当り16の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、大当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を5回(特電回数5回、変動回数10回)に設定する。
上記(1)に示すように、遊技状態が通常遊技状態である際に、特別図柄2に関する大当り抽選で大当りに当選したとしても、遊技状態は「時短状態」に移行されることはない。また特別図柄2については抽選確率が1/299の大当り抽選で大当りに当選したとしても時短状態に移行しないことから、遊技者の有利にならず、同一の抽選確率で特別図柄1に関する大当り抽選で大当りになると69%が時短状態に移行するため、通常遊技状態ではこの特別図柄1に関する大当り抽選で大当りを狙うことが推奨される。
(4−3−3.特別図柄1に関する小当り遊技終了後の遊技状態:図39(イ))
特別図柄1で小当りした場合の小当り遊技終了後は、小当り遊技中にV入賞するか否かにより、遊技状態が移行するか、それとも継続するかが決まっている。小当り遊技中にV入賞しなかった場合は、小当り遊技終了後の遊技状態は、そのまま継続される。ただし、時短状態時において時短回数が残り0回になると(規定回数に到達すると)、時短状態が終了し、通常遊技状態に移行される。一方、小当り遊技中にV入賞した場合、図39(イ)に示すように、小当り種別と小当り当選時の遊技状態とにより、「時短状態」に移行されるか、それとも「通常遊技状態」に移行されるかが異なっている。また、「時短状態」に移行される場合、小当りの種類により、設定される「時短回数(「特電回数」、「変動回数」)」が異なっている。具体的には次のとおりである。
(1)小当り1&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、小当り種別が小当り1の場合において、当選時の遊技状態が通常遊技状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を95回(特電回数95回、変動回数100回)に設定する。小当り2、小当り5&当選時が通常遊技状態の場合も同様である。
(2)小当り3&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、小当り種別が小当り3の場合において、当選時の遊技状態が通常遊技状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に通常遊技状態に移行する。小当り4、小当り6&当選時が通常遊技状態の場合も同様である。
(3)小当り1&当選時が時短状態の場合、つまり、小当り種別が小当り1の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を95回(特電回数95回、変動回数100回)に設定する。小当り3、小当り5、小当り6&当選時が時短状態の場合も同様である。
(4)小当り2&当選時が時短状態の場合、つまり、小当り種別が小当り2の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を3回(特電回数3回、変動回数8回)に設定する。小当り4&当選時が時短状態の場合も同様である。
(4−3−4.特別図柄2に関する小当り遊技終了後の遊技状態:図39(ロ))
特別図柄2で小当りした場合の小当り遊技終了後は、上記特別図柄1の場合と同様に小当り遊技中にV入賞しなかった場合は、小当り遊技終了後の遊技状態は、そのまま継続される。一方、小当り遊技中にV入賞した場合、図39(ロ)に示すように、小当り当選時の遊技状態により、「時短状態」に移行されるか、それとも「通常遊技状態」に移行されるかが異なっている。また、「時短状態」に移行される場合、小当りの種類により、設定される「時短回数(「特電回数」、「変動回数」)」が異なっている。具体的には次のとおりである。
(1)小当り7&当選時が通常遊技状態の場合、つまり、小当り種別が小当り7の場合において、当選時の遊技状態が通常遊技状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に通常遊技状態に移行する。その他の全ての小当り8〜小当り14&当選時が通常遊技状態の場合も同様である。
(2)小当り7&当選時が時短状態の場合、つまり、小当り種別が小当り7の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を95回(特電回数95回、変動回数100回)に設定する。小当り8、小当り14&当選時が時短状態の場合も同様である。
(3)小当り9&当選時が時短状態の場合、つまり、小当り種別が小当り9の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を3回(特電回数3回、変動回数8回)に設定する。小当り10、小当り11&当選時が時短状態の場合も同様である。
(4)小当り12&当選時が時短状態の場合、つまり、小当り種別が小当り12の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を4回(特電回数4回、変動回数9回)に設定する。
(5)小当り13&当選時が時短状態の場合、つまり、小当り種別が小当り13の場合において、当選時の遊技状態が時短状態であったときは、小当り遊技中にV入賞したことにより行われるV当り遊技終了後に時短状態に移行し、時短回数を5回(特電回数5回、変動回数10回)に設定する。
上記(1)に示すように、遊技状態が通常遊技状態である際に、特別図柄2に関する大当り抽選で小当りに当選し、小当り遊技中にV入賞したとしても、遊技状態は「時短状態」に移行されることはない。ここで、特別図柄2について小当りに当選する大当り抽選の抽選確率は298/299となっており、ほぼ必ず小当りに当選する。しかしながら、通常遊技状態の場合、特別図柄2に関する下始動口35の開放時間は40msとなっており、まず入賞することはないため特別図柄2の大当り抽選が実行されることはない。したがって、通常遊技状態では、下始動口35に入賞させるのが困難であり、たとえ小当りに当選したとしても、小当り遊技中にV入賞するかどうかわからず、さらにV入賞したとしてもV当り遊技後に時短状態に移行することはないことから、遊技者の有利にならず、通常遊技状態では特別図柄1に関する大当り抽選で大当りまたは小当りを狙うことが推奨される。
(4−3−5.まとめ)
上記のように本実施形態では、特図1側において遊技状態を時短状態に移行させるための手段として、大当りと同じ確率1/299で小当り遊技を発生させ、その50%の割合で時短状態に移行させる。また、特図2側においては、その時短状態を継続させるための手段として、当り確率1/299で大当りを発生させ、また当り確率298/299で小当りを発生させる。つまり特図2側では、ほぼ100%の割合で小当りまたは大当りを発生させる。遊技者においては、特図1側において移行させた時短状態が特図2側で継続されることから、特図1側において時短状態に移行させる遊技性と、発生した時短状態が特図2側で継続される遊技性とを楽しむことができる。
さらに、時短状態に移行する際に、時短回数について、短期間で時短状態が終了する可能性のある3〜5回という回数に設定したり、時短状態中にV入賞して大当りになる可能性がほぼ100%である95回という回数に設定したりしている。これにより、時短状態に移行し、それが短期間で終了する可能性のある時短状態であったならば、その限定された回数に行われる小当り中にV入賞するか否かに関し、抽選役物における球の動きに遊技者は一喜一憂することができる。一方、長期間にわたり時短状態が続く状況であったならば、次回V当りがほぼ確定しているため、遊技者は安心して遊技を楽しみつつ、V入賞して大当りになった際に、連続して95回の時短回数が設定されてほしいという期待感を寄せて遊技を楽しむことができる。このように、時短状態移行時に様々な時短回数が設定される小当りや大当りを設ける遊技性と、限られた時短回数の中でV入賞するか否かを抽選役物で見せる遊技性とを楽しむことができる。
(4−4.イレギュラーな当りに対して付与する利益)
イレギュラーな当りは、次の2ケースにおいて発生する当りである(図7中には示していない)。第1のケースは、右打ちが正しい遊技状況である時短状態中に特別図柄1に関する大当り抽選が行われ、本来は通常遊技状態中に生起すべき特図1大当りまたは特図1小当りが発生してしまった希なケース(図38(イ)右欄および図39(イ)右欄)である。第2のケースは、左打ちが正しい遊技状況である通常遊技状態中に特別図柄2に関する大当り抽選が行われ、本来は時短状態中に生起すべき特図2大当りまたは特図2小当りが発生してしまった希なケース(図38(ロ)の左欄および図39(イ)左欄)である。前者は、特図1で大当りして時短状態へ移行した際に、既に特図1の作動保留球が溜まっていて、その作動保留球が大当り保留であったために、時短状態中に特図1で大当りした状況が生まれた、という場合や、時短状態中に発射操作ハンドル15を操作ミスしてしまい、遊技球の打ち出しの強さ(ストローク長)が足りずに左打ち状態になり、上入賞口34に入賞して、時短状態中に特図1で大当りしたという状況が生まれた場合など、正しい遊技をしている状態下で発生するものである。これに対し、後者は、発射操作ハンドル15の操作ミスや、特図2小当りが有利の認識を有している者が、左打ちが正しい遊技状況下であえて右打ちをして利益を得ようと故意にした場合が考えられる。ここで、発射操作ハンドル15の操作ミスで遊技球の打ち出し方向(左打ち、右打ち)を間違えた場合、遊技球の正しい打ち出し方向を報知するようになっている。したがって、後者については、発射操作ハンドル15の操作ミスで発生したと考えるよりも、遊技者が不当に利益を得ようとして正しい遊技の仕方とは言い難い遊技状態下で故意に発生させたものと考えられる。
一方、イレギュラーでない標準的な当り、つまりノーマルな当りは、次の2ケースである。1つは、左打ちが有利な通常遊技状態時に上始動口34(第1特別図柄始動口)に入賞して特図1大当りまたは特図1小当りが発生するケース(図38(イ)左欄および図39(イ)左欄)であり、他の1つは、右打ちが有利である時短状態時に下始動口35(第2特別図柄始動口)に入賞して特図2大当りまたは特図2小当りが発生するケース(図38(ロ)右欄および図39(イ)右欄))である。
そこで、これら4つを図72に示すように区分して扱う。まず、通常遊技状態時におけるノーマルな特図1大当りまたは特図1小当りを「第1象限I」での当り(図38(イ)左欄および図39(イ)左欄)、時短状態時におけるイレギュラーな特図1大当りまたは特図1小当りを「第2象限II」での当り(図38(イ)右欄および図39(イ)右欄)、通常遊技状態時におけるイレギュラーな特図2大当りまたは特図2小当りを「第3象限III」での当り(図38(ロ)の左欄および図39(イ)左欄)、そして時短状態時におけるノーマルな特図2大当りまたは特図2小当りを「第4象限IV」での当りとする(図38(ロ)の右欄および図39(イ)右欄)。
ここで遊技者に付与する利益として、第2象限での当り(イレギュラー)の利益を第1象限での当り(ノーマル)の利益と同じにしたと仮定する。第1象限での大当り(ノーマル)および第2象限での大当り(イレギュラー)は共に当り確率が1/299と稀な当りである。第1象限での大当りには特典付与の時短回数がゼロ(時短付与せず)のものが含まれる。そうすると、第2象限での大当りは当り確率が1/299と稀な当りであるのにも拘わらず、第1象限での当りには時短回数ゼロ(時短付与せず)のものが含まれているため、第2象限における時短回数ゼロの大当りに当選したときには、大当りしても時短状態に移行しないため、時短状態から通常遊技状態に戻ってしまう。これでは遊技者に不利益感を与え、遊技に対する興趣を損なうことになる。そこで、特図1と特図2との大当りの確率を同じにする(小当りの確率は異なっていてもよい)という規則上の要請を満たしつつ、第2象限での当り(イレギュラー)の利益を、第1象限での当り(ノーマル)の利益よりも遊技者に有利に設定することが望まれる。
さらに、第2象限での当り(イレギュラー)の利益を第1象限での当り(ノーマル)の利益よりも遊技者に有利に設定したケースでは、その付与する利益が大きすぎて、第4象限での当り(ノーマル)による利益よりも大きくなってしまっては、1種2種遊技機が有するV入賞してV当りするという本来の遊技性を損なうことになる。よって、この観点からは、第2象限での当り(イレギュラー)の利益を第4象限での当り(ノーマル)による利益より小さくすることが望まれる。すなわち、第2象限での当り(イレギュラー)の利益については、
第1象限での当り(ノーマル)<第2象限での当り(イレギュラー)≦第4象限での当り(ノーマル)
の関係におくのである。
第2象限での当り(イレギュラー)の利益を他の第1象限、第3象限、第4象限での利益と比較可能にするためには、比較する前提条件を同じにした上で行う必要がある。何故なら、図38および図39に示す当り種別に対応して付与される時短回数や、図40および図41に示す大当り抽選における当り種別の振分け値などから分かるように、第1象限〜第4象限には、各象限ごとに時短回数の異なる複数種類の当りが異なる数で含まれ、かつその当り判定値の範囲(当り種別の振分け値)」も異なっており、また実質的なラウンド数(出玉数)も異なっているからである。
そこで、各象限内のすべての当りについて時短状態に設定される平均的な比率(以下、「時短付与率」とする)と、各象限内のすべての当りについて付与される平均的な時短回数(以下、「平均時短回数」とする)とに着目する。
(4−4−1.時短付与率として与える利益:図73)
「時短付与率」は、当り抽選において時短状態が付与される当り種別の選択される確率である。当りには、大当りと小当りとがあるので、まずは大当りに当選した場合と小当りに当選した場合の時短付与率を「第1象限I」〜「第4象限IV」についてそれぞれ算出する。そして、算出した大当りと小当りについての時短付与率の平均値を求め、その求めた平均値を各象限の当りについての時短付与率とする。
図73は、この時短付与率を「第1象限I」〜「第4象限IV」ごとに見やすく表示したものである。「第1象限I」〜「第4象限IV」に属するか否かの区別を、図表中に「I」〜「IV」の文字を付加することで表している。
図73に示すように、当り種別が「大当り」の場合の時短付与率は、「第1象限I」で61%、「第2象限II」で100%、「第3象限III」で0%、「第4象限IV」で100%となっている。また、当り種別が「小当り」の場合の時短付与率は、「第1象限I」で50%、「第2象限II」で100%、「第3象限III」で0%、「第4象限IV」で100%となる。
その結果、当りの時短付与率は、図73の各象限の「時短付与率」の右側の欄に示すように、「第1象限I」で55.5%、「第2象限II」で100%、「第3象限III」で0%、「第4象限IV」で100%となる。したがって、各象限の当りの時短付与率の大小関係は、次のようになる。
第3象限の当り(イレギュラー):0%<第1象限の当り(ノーマル):55.5%<第2象限の当り(イレギュラー):100%=第4象限の当り(ノーマル):100%
このように「時短付与率」を、「第1象限」<「第2象限」という大小関係にすれば、通常遊技状態で1/299の確率で運よく特別図柄1で大当りに当選し、かつ55.5%の確率で時短状態に移行された場合、または通常遊技状態で1/299の確率で運よく特別図柄1で小当りに当選し、小当り遊技中にV入賞し、かつ50%の確率で時短状態に移行された場合、その時短状態において1/299の確率で特別図柄1がイレギュラーな当りに当選をしたとしても、「第2象限」での当りは時短付与率が100%であることから、すぐに通常状態に戻ってしまうことはない。
たとえば、通常遊技状態時において、特別図柄1の大当り抽選(1/299)で大当りまたは小当りに当選することを目標にして遊技を進行させているときに、遊技者は変動時間が比較的長いリーチ演出中において特別図柄1の作動保留球を上限個数まで貯留することができる。そして、そのリーチ演出の結果が大当りになり(小当り時はV入賞し)、大当り遊技後に時短状態に移行された際に、作動保留球が上限個数まで貯留されていることがある。このような場合、作動保留球による大当り抽選でイレギュラーな当りになったとしても、「第1象限」の当りの時短付与率55.5%ではなく、「第2象限」の当りの時短付与率100%が適用されるため、通常状態に戻ってしまうことはない。したがって、「第2象限」のイレギュラーな当りになったとしても、遊技者に不利益感を与えることなく、さらに遊技に対する興趣を損なうこともなくなる。
また、遊技者に付与する利益としての時短付与率については、「第2象限」=「第4象限」という大小関係にある。そうすると、遊技状態が時短状態に移行し、1/299の確率で特別図柄1がイレギュラーな当選をした場合の時短付与率と、特別図柄2が当りに当選した場合(298/299の確率で小当り当選しV入賞した場合)の時短付与率とが同一であるため、1種2種遊技機が有するV入賞して大当りしという本来の遊技性を損なうということにはならない。たとえば、大当り遊技後に時短状態に移行された際に、特別図柄1の作動保留球が上限個数まで貯留されていたとしても、それらの作動保留球による大当り抽選でイレギュラーな当りになったとしても、ノーマルである「第4象限」の当りの時短付与率と同一の「第2象限」の当りの時短付与率が適用される。
「第2象限」の当りと「第3象限」の当りとはイレギュラーな当りであるが、「第2象限」の当りの時短付与率は100%であるのに対し、「第3象限」の当りの時短付与率は0%となっている。この「第3象限」の当りのうち小当りの当選確率については298/299であり、特別図柄2が変動するとほぼこの小当りに当選する。この特図2小当りが有利の認識を有している者が、左打ちが正しい遊技状況下であえて右打ちをして利益を得ようとした場合、つまり正しい方法で遊技をしていない場合、その遊技者に付与する特典である時短付与率を0%としているため、特典ではなくペナルティーを付与する意味合いを持っている。
このように、遊技者に付与する特典のうち時短付与率については、「第3象限」<「第1象限」<「第2象限」=「第4象限」という大小関係を有している。これにより、本来の遊技性を損なうことなく、正しい遊技方法で遊技をして「第2象限」のイレギュラーな当りになったとしても、遊技者に不利益感を与えず、遊技に対する興趣を向上させることができる。
(変形例)
なお、時短付与率について、「第1象限」<「第2象限」=「第4象限」という大小関係としているが、これ以外の関係に定めることもできる。「第1象限」(たとえば、55.5%)<「第2象限」(たとえば、90%)<「第4象限」(たとえば、100%)という大小関係にしてもよい。このような大小関係では、第2象限での当りによる利益を相対的に中程度にしているため、1種2種遊技機が有するV入賞して大当りするという本来の遊技性を強調することができる。
他にも、「第1象限」(たとえば、55.5%)<「第4象限」(たとえば、90%)<「第2象限」:100%という大小関係にしてもよい。このような大小関係では、第4象限での当りは通常遊技状態に戻る当りが含まれるのに対し、第2象限での当りは通常遊技状態に戻らない当りであるため、時短状態中は大当り遊技後に通常遊技状態に戻るかもしれないというドキドキ感を抱きつつ、時短付与確定のイレギュラー当りになればいいなという願望も抱きつつ遊技を楽しむことができ、上記とは別の遊技性をもった遊技機を提供することができる。また、「第2象限」(たとえば、60%)<「第4象限」(たとえば、70%)<「第1象限」(たとえば、80%)という大小関係にしてもよい。このような大小関係では、「第1象限」と「第4象限」との時短付与率の大小関係を上記の関係と逆転させることで、通常遊技状態からは時短状態に移行し易く、時短状態では大当り遊技終了後に時短状態が継続し難い、というさらに別の遊技性をもった遊技機を提供することができる。このような遊技機では、通常遊技状態におけるマンネリ化を解消することができ、時短状態時において連続して実行されるV入賞するか否かという遊技を多くの遊技者に楽しんでもらうことができる。
(4−4−2.平均時短回数として与える利益:図74)
次いで、上記の「平均時短回数」について説明する。
「平均時短回数」は、大当り抽選において選択した当り種別毎に付与される時短回数N(N=0、3、4、5、95回)の平均値である。上記「時短付与率」と同様に、まずは大当りに当選した場合と小当りに当選した場合の平均時短回数を「第1象限I」〜「第4象限IV」についてそれぞれ算出する。そして、算出した大当りと小当りについての平均時短回数の平均値を求め、その求めた平均値を各象限の当りについての平均時短回数とする。
図74は、この平均時短回数を「第1象限I」〜「第4象限IV」ごとに見やすく表示したものである。図74に示すように、当り種別が「大当り」の場合の平均時短回数は、「第1象限I」で約43回、「第2象限II」で49回、「第3象限III」で0回、「第4象限IV」で約58回となっている。また、当り種別が「小当り」の場合の平均時短回数は、「第1象限I」で約48回、「第2象限II」で49回、「第3象限III」で0回、「第4象限IV」で約58回となる。
その結果、当りの平均時短回数は、図74の各象限の「平均時短回数」の右側の欄に示すように、「第1象限I」で約45回、「第2象限II」で49回、「第3象限III」で0回、「第4象限IV」で58回となる。したがって、各象限の当りの平均時短回数の大小関係は、次のようになる。
第3象限の当り(イレギュラー):0回<第1象限の当り(ノーマル):約45回<第2象限の当り(イレギュラー):49回<第4象限の当り(ノーマル):約58回
このように、各象限の当りの「平均時短回数」についても、上記「時短付与率」の場合と同様に、「第1象限」<「第2象限」という大小関係をみたしており、「第2象限」のイレギュラーな当りになったとしても、遊技者に不利益感を与えることなく、さらに遊技に対する興趣を損なうこともなくなる。また、「第1象限」<「第2象限」<「第4象限」という大小関係を満たしており、第2象限での当りによる利益を相対的に中程度にしているため、1種2種遊技機が有するV入賞して大当りするという本来の遊技性を強調することができる。また、「第3象限」の平均時短回数を0回とすることで、正しい方法で遊技をしていない場合、その遊技者には特典ではなくペナルティーが付与される。
なお、「平均時短回数」についても「第3象限」<「第1象限」<「第2象限」<「第4象限」という大小関係としているが、これ以外の関係に定めることもできる。上記「時短付与率」の場合と同様に、「平均時短回数」について、「第1象限」<「第2象限」=「第4象限」という大小関係、「第1象限」<「第4象限」<「第2象限」という大小関係、「第2象限」<「第4象限」<「第1象限」という大小関係にしてもよく、これらの大小関係によりそれぞれ上記と同様の効果が得られる。
(4−4−3.平均出球数として与える利益:図75)
各象限の当りについての平均的な獲得可能な賞球数(以下、「平均出球数」とする)に着目して、遊技者に与える利益を把握することもできる。これについて以下に説明する。
「平均出球数」は、大当り抽選において選択した当り種別毎に設定される実質ラウンド数(図40、図41)と1ラウンド当りに獲得可能な賞球数(たとえば、100球)とを掛け合わせたものである。上記と同様に、大当りに当選した場合と小当りに当選した場合の平均出球数を「第1象限I」〜「第4象限IV」についてそれぞれ算出し、算出した大当りと小当りについての平均出球数の平均値を各象限の当りについての平均出球数とする。ここでは、本実施形態における実質ラウンド数(図40、図41)ではなく、仮にイレギュラー当りである「第2象限、第3象限」の当りに設定される実質ラウンド数と、ノーマル当りである「第1象限、第3象限」の実質ラウンド数とが、異なっている場合について説明する。
図75は、この平均出球数を「第1象限I」〜「第4象限IV」ごとに見やすく表示したものである。図75に示すように、当り種別が「大当り」の場合の平均ラウンド数(図表中の「平均R数」)と平均出球数とは、「第1象限I」で6.95回と695球、「第2象限II」で8.95回と895球、「第3象限III」で0回と0球、「第4象限IV」で9.5回と950球となっている。また、当り種別が「小当り」の場合の平均時短回数は、「第1象限I」で7.5回と750球、「第2象限II」で9.5回と950球、「第3象限III」で0回と0球、「第4象限IV」で9.5回と950球となる。ここで、「第3象限III」について、2R〜16Rの全てを上記短開放遊技(下大入賞口40の最大開放時間が60msである遊技)とした場合に、実質ラウンド数が0回となる。
その結果、当りの平均出球数は、図75の各象限の「平均出球数」の右側の欄に示すように、「第1象限I」で722.5球、「第2象限II」で922.5球、「第3象限III」で0球、「第4象限IV」で950球となる。したがって、各象限の当りの平均出球数の大小関係は、次のようになる。
第3象限の当り(イレギュラー):0球<第1象限の当り(ノーマル):722.5球<第2象限の当り(イレギュラー):922.5球<第4象限の当り(ノーマル):950球
このように、各象限の当りの「平均出球数」についても、上記「時短付与率」や「平均時短回数」の場合と同様に、「第1象限」<「第2象限」という大小関係をみたせば、「第2象限」のイレギュラーな当りになったとしても、遊技者に不利益感を与えることなく、さらに遊技に対する興趣を損なうこともなくなる。また、「第1象限」<「第2象限」<「第4象限」という大小関係を満たせば、第2象限での当りによる利益を相対的に中程度にしているため、1種2種遊技機が有するV入賞して大当りするという本来の遊技性を強調することができる。また、「第3象限」の平均出球数を0球とすることで、正しい方法で遊技をしていない場合、その遊技者には特典ではなくペナルティーが付与される。
なお、「平均出球数」についても「第3象限」<「第1象限」<「第2象限」<「第4象限」という大小関係としているが、これ以外の関係に定めることもできる。上記「時短付与率」や「平均時短回数」の場合と同様に、「平均出球数」について、「第1象限」<「第2象限」=「第4象限」という大小関係、「第1象限」<「第4象限」<「第2象限」という大小関係、「第2象限」<「第4象限」<「第1象限」という大小関係にしてもよく、これらの大小関係によりそれぞれ上記と同様の効果が得られる。
(4−4−4.その他の特典について)
このように、本実施形態では、大当り抽選で当選したことに対する遊技者に付与する特典には、時短状態の付与(時短回数の付与)、実質ラウンド数分の賞球が含まれ、これらの特典について、各象限の当りについて大小関係を設定することで、遊技者の利益に差異を出している。上記では、「時短付与率」、「平均時短回数」、「平均出球数」に注目し、各象限の当り間で大小関係を設定していたが、注目するものはこれらに限らない。たとえば、時短付与率と平均出球数とを組み合わせた「特別特典率」に注目しても良い。すなわち、この「特別特典率」についても、各象限の当りについての大小関係を設定することで、遊技者に不利益感を与えずに遊技に対する興趣を向上させたり(たとえば、「第1象限」<「第2象限」<「第4象限」とした場合)、別の遊技性をもった遊技機を提供することができたりする(たとえば、「第1象限」<「第4象限」<「第2象限」、または「第2象限」<「第4象限」<「第1象限」とした場合)。また、上記「時短付与率」は、移行後の時短状態中に大当り遊技が行われずに残り時短回数が0になり終了する可能性のある当り(たとえば、時短回数3〜5回の当り)を含む数値であったが、上記の「特別特典率」の場合と同様に、時短状態中に大当り遊技がほぼ100%期待される時短回数が付与される当り(たとえば、時短回数95回の当り)であることを条件とした「特別な時短付与率」に注目して、処理しても良い。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。上記演出モードには、具体的には、遊技状態が「通常遊技状態」の場合には「通常演出モード」、「時短状態」の場合には「時短演出モード」、「当り遊技状態」の場合には「当り遊技演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする「特定の演出制御コマンド(本実施形態では、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、時短終了コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(「大当り開始インターバルコマンド(大当り開始コマンド)」や「大当り終了インターバルコマンド(大当り終了コマンド)」や「小当り開始インターバルコマンド(小当り開始コマンド)」や「大入賞口入賞コマンド1、2」、「Vチャンスコマンド」、「V入賞コマンド」、「排出コマンド」、「ラウンド終了コマンド」、「右大入賞口閉鎖コマンド」)などの、主制御部側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドが該当する)」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。具体的には、上記の特定の演出制御コマンドにより、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン選択モードを把握し、主制御部20側と整合性を保つ形で、これを管理可能に構成されている。
(5−1−1.各演出モード下の演出について)
演出モードには「通常演出モード」と「時短演出モード」とがあり、「通常演出モード」では、特別図柄1に関する装飾図柄が大当りや小当りを示す組み合わせで停止表示するか否かの変動表示演出や、当りに当選した場合の時短回数を示唆する演出などが、下記の予告演出を利用して実行される。また、「時短演出モード」では、特別図柄2の変動表示が残り何回実行できるか、つまり特別図柄2に関する小当り遊技が何回実行できるかを示す「残りの時短回数を示唆する演出」などが実行される。
この「通常演出モード」には、さらに遊技状況に応じて複数の演出モードが含まれ、具体的に、「通常モード」、「再挑戦モード」、「瞑想モード」がある。「再挑戦モード」は、大当り遊技終了後に通常遊技状態に移行した場合、時短状態が終了して通常遊技状態に移行した場合、またはV当り遊技終了後に通常遊技状態に移行した場合に、所定の変動回数だけ実行される演出モードである。また、「瞑想モード」は、通常遊技状態に小当りに当選し、その小当り遊技中にV入賞せず、小当り遊技終了後から所定の変動回数だけ実行される演出モードである。これら「再挑戦モード」や「瞑想モード」にて規定回数の特別図柄の変動表示が実行されると、「通常モード」に演出モードは切り替えられる。「再挑戦モード」や「瞑想モード」を実行することで、当り遊技や時短状態での遊技の楽しかった余韻を遊技者に付与することができる。
同様に、「時短演出モード」についても、遊技状況に応じて複数の演出モードが含まれ、具体的に、「RUSHモード」、「引き戻しモード」がある。「RUSHモード」は、大当り遊技終了後の時短状態移行時に時短回数が95回に設定された場合に実行される「時短演出モード」の1つである。また、「引き戻しモード」は、大当り遊技終了後の時短状態移行時に時短回数が95回に設定される場合に実行される演出モードである。設定される時短回数により「時短演出モード」を分けることで、次のような遊技状況であることを演出で表現することができる。「RUSHモード」については、時短回数が95回であり、小当り遊技中にV入賞する確率は約1/7であることから、小当り遊技中にV入賞してV当り遊技により大量の賞球を獲得でき、さらに次回も時短状態に移行するという安心できる遊技状況を演出で表現できる。また、「引き戻しモード」については、時短回数が3〜5回あることから、3〜5回の小当り遊技中にV入賞しない可能性もあり、そうするとV当り遊技による大量の賞球を獲得できず、時短状態が終了してしまうという危機的な遊技状況を演出で表現できる。
また、「当り遊技演出モード」のうちの1つである「小当り遊技演出モード」では、小当り遊技中に右大入賞口50内の分岐路を通過する遊技球がV入賞するか否かを煽る演出などが実行される。また、「当り遊技演出モード」のうちの他の1つである「大当り遊技演出モード」や「V当り遊技演出モード」では、当り遊技終了後に時短状態に移行するか否かを煽る演出や、時短回数が何回になるかを煽る演出などが実行される。
「通常演出モード」、「時短演出モード」、「当り遊技演出モード」という各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、本実施形態では、バックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景画像演出が現出されるようになっている。しかし上記のように背景画像演出を各演出モードに応じて変化させるものに限らず、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆することもできる。
上記の演出モードの演出およびその演出等の組み合わせは、自由な組み合わせの演出シナリオとして形成し、この演出シナリオを多数用意して、その多数の演出シナリオの中から必要に応じて選択的に使用する構成とすることができる。たとえば当り当選時には、「通常演出モード」と「小当り遊技演出モード」と「V当り遊技演出モード」の演出が現出するように、または「通常演出モード」と「小当り遊技演出モード」の演出が現出するように複数の演出を組み合わせて、所望する一連の演出が実行されるシナリオを構築することができる。
(5−2.予告演出)
次に、「通常演出モード」での予告演出について説明する。演出制御部24は、上述した演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な予告演出を、上述した演出モード下で現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。本実施形態の予告演出現出制御手段は、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(たとえば当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、特別停止図柄種別情報(当り種別に関する情報)、特別図柄の変動時間情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されている。
斯様な予告演出態様には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれる。これらの演出態様は、基本的には、複数の予告演出が重複的に発生してゲーム内容を盛り上げるようになっており、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(以下、「大当り当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感(当り当選期待感)を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものは、「リーチ演出」の他、たとえば「疑似連演出」や「先読み予告演出」などがある。
(5−2−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、所謂「リーチ状態」を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様)をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を導出表示するような演出態様をいう。このリーチ演出は、大当り当選期待度(大当りである可能性がある旨)を予告(示唆)するものであり、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態を伴うリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ状態(‘ノーマルリーチ(Nリーチ)’)を伴うリーチ演出が出現した場合に比べて、大当り当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を‘スーパーリーチ(SPリーチ)’という。このSPリーチの多くは、大当り期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。またSPリーチには、大当り当選期待度が異なる複数種類のSPリーチ(弱SPリーチ種別(たとえば、弱SPリーチ1〜5(番号が大きいほど期待度が高い)、弱SPリーチ種別よりも当選期待度が高まる「強SPリーチ種別(たとえば、強SPリーチ1〜3)」)が含まれる。
(5−2−2.疑似連演出)
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態(見た目上、停止表示したかのように装う変動停止動作)とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回(本実施形態では、最大4回)繰り返すことにより、見た目上、一セットとする変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する変動表示態様をいう。この点、複数回の変動表示動作に跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。
この疑似変動を行う場合には、たとえば、仮リーチ状態(仮停止状態前にリーチ状態の可能性がある旨を示唆したり、リーチ図柄が停止するかの如く装ったりする変動表示状態)を形成しながら、一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を行ったり、あるいは、通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性がある旨を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませた図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を行ったりすることができる。斯様な「疑似連」は、主として、疑似連回数が多くなるほど大当り当選期待度が高まるようにその発生率(疑似連回数に応じた疑似連の発生確率)が定められており、特に、リーチ演出の発生可能性を示唆する(リーチ演出を期待させる)予告演出として利用され(本実施形態の場合、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生されうる)、疑似連回数が多くなるほど当り当選期待度が高い、つまり、当り当選期待度が相対的に高いSPリーチ種別の発生が期待できるようになっている。なお上記疑似変動が終了した後に展開される変動表示動作を「本変動」とも称し、たとえばリーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ状態が形成されてリーチ演出が現出され、最終的なゲーム結果が導出表示される。
(5−2−3.先読み予告演出)
また演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、当りの当選可能性がある旨(当り当選期待度)を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図13のステップS317〜S318(乱数判定処理〜特別停止図柄データ作成処理)、図15のステップS409(特別電動役物作動判定用乱数判定処理)〜S410(特別停止図柄作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図13のS319(始動口入賞時乱数判定処理)参照)。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由する「リーチ変動パターン」となるのか、それともリーチ状態を経由しない「通常変動パターン」となるのかについて事前に判定される。なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、リーチの有無や疑似連の有無・その回数などの情報だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターン判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
詳しくは、上記先読み判定結果の情報(少なくとも先読み当り判定結果情報(当落結果を先読み判定した情報)を含む「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され、当該保留加算コマンドを演出制御部24が受信すると、そのコマンドに含まれる先読み判定結果の内容に基づく先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。この保留加算コマンドは2バイトで構成され、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト側のデータと、先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データとから構成される(図8参照)。したがって、保留加算コマンドには、作動保留球情報と、先読み変動パターン情報とが含まれる。ただし演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合に必ずしも先読み予告演出を現出させるわけではなく、先読み予告演出の実行可否を抽選により決定し、先読み予告演出実行可と決定した場合には、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させるようになっている。
なお作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「SPリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明する。このケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が、「強SPリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「強SPリーチ」種別である旨、具体的には、「強SPリーチ」という同系統の変動パターン(強SPリーチ1〜3)を纏めて分類した「強SPリーチ種別」である旨を指定することができる。このケースに係る先読み予告演出では、先読みされた「強SPリーチ種別」に関連した演出態様が現出されることになる。したがって先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、大当り当選期待度が高い煽り演出(本ケースでは、強SPリーチ種別)が発生する可能性が高いか低いかといった情報、換言すれば、大当りの当選可能性が高いか低いかといった情報であり、このような情報を作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
(5−2−3−1.先読み予告演出態様:図8)
次に図8を参照しながら、先読み予告演出態様について説明する。図8は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における先読み予告演出の説明に供する説明図である。
図8を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76が設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。特別図柄2側の作動保留球は、時短状態時において特別図柄の変動表示が開始可能な状況で下始動口35に入賞した際に発生するものであり、また特別図柄2側の最大保留記憶数は0個であるため特別図柄の変動表示中に下始動口35に入賞したとしても作動保留球は記憶されない。したがって、特別図柄2側の作動保留球数を表示するための保留表示領域は設けられていない。また、特別図柄1側の保留表示領域76は、「通常演出モード」だけで表示され、「時短演出モード」では表示されない。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、保留表示領域76には最大4個の保留表示が可能となっている。具体的には、保留表示領域76において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選に係る作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球となる(たとえば、図8のハッチングを施した保留表示部b2が該当する)。なお本実施形態では、先読み予告抽選実行条件として、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ変動パターン種別がないことを条件とする。これは、連続的に発生している先読み予告演出の途中に他のリーチ演出が介在して、本来の先読み予告演出が寸断され、その演出効果が希薄になってしまうのを回避するためである。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の青色から、予告表示の黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、大当り当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。この保留色は、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が、大当り当選期待度の高い保留色が高確率で選択されるようになっている。なお「保留表示変化系」の先読み予告演出態様としては、上述のように保留色を変化させることに限らず、特殊なキャラクタを模したアイコンなどに変化するようにしても良い。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時に現出されることから「入賞時変化系」の先読み予告演出と称される。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。この連続予告演出は複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行される点で、疑似連のように、1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にする。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全てまたは一部の図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像(図示の稲妻を模した予告画像)を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、各図柄変動表示ゲームにおいて、先読み専用の異なる予告画像であっても良い。
なお、先読み予告演出の実行形態を次のような形態とすることができる。たとえば(イ)入賞時変化系(保留表示変化系)だけを実行する、(ロ)変動開始時変化系(画像表示変化系)だけを実行する、(ハ)入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を実行する、といった種々の実行形態とすることができる。本実施形態では、この(イ)〜(ハ)の形態を実行可能に構成されている。具体的には、先読み予告抽選により、入賞時変化系の先読み予告演出と変動開始時変化系の先読み予告演出とが、それぞれ独立して抽選され、上記(イ)〜(ハ)のいずれの先読み予告演出を実行するか、それとも先読み予告演出自体を実行しないかが決定されるようになっている。つまり、入賞時変化系と変動開始時変化系との少なくとも一方の先読み予告演出が現出可能(入賞時変化系と変動開始時変化系とがそれぞれ独立して現出可能)に構成されている。
したがって、「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らず、またその逆に、「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らない。また、入賞時変化系(保留表示変化系)」の先読み予告演出と「変動開始時変化系(画像表示変化系)」の先読み予告演出とが同時に発生することもある。なお、上記(イ)〜(ハ)のいずれの実行形態をも現出可能に構成しなくても良く、先読み予告演出時は、入賞時変化系(保留表示変化系)のみを実行したり、(画像表示変化系)のみを実行したり、入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を必ず実行する、といった入賞時変化系と変動開始時変化系のそれぞれの先読み予告演出が非独立的に現出されるような構成であっても良く、どのような実行形態とするかは、適宜決定することができる。なお、上記先読み予告演出を他の演出手段により現出させても良く、たとえば、可動体役物を先読み専用の動作パターンで動作させて、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って先読み演出として現出可能に構成しても良い。
次に図9を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下、「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。なお同図(1)は、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたものを示している(結果は「ハズレ」とする)。
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目(最も古い作動保留球)であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、「変動開始時変化系」の先読み予告演出として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(たとえば、稲妻を模した稲妻画像表示による稲妻演出:専用予告画像)を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様となる。
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機(その作動保留球の消化とともに)に終了される。また変動開始時変化系の専用予告画像(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了される。なお同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を示したものである。このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、今回の図柄変動表示ゲーム中に、大当り当選期待度が相対的に高まる煽り演出(疑似連やリーチ演出(SPリーチ))が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、大当りへの期待感はより一層高まることになる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生可能に構成されている。これにより、演出のバリエーションを豊富なものとすることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
(5−2−4.当り時の演出:図61〜図63)
次に、「通常演出モード」や「時短演出モード」において当りに当選した際の、当り時の演出について、図61〜図63を参照しながら説明する。図61は、「通常演出モード」での演出が実行されている通常遊技状態で当りに当選し、大当り遊技後に時短回数が95回の時短状態に移行して「時短演出モード」が開始されるまでの演出フローを説明する図である。図62は、「時短演出モード」の1つである「バトルモード」における演出内容の設定について説明する図である。図63は、時短回数が95回に設定されて開始される「時短演出モード」中における、当り時の演出フローについて説明する図である。
(5−2−4−1.「通常演出モード」→「RUSHモード」:図61)
まず、図61を参照して、通常遊技状態の「通常演出モード」から大当り遊技後に時短回数が95回の時短状態に移行し、「時短演出モード」の1つである「RUSHモード」に遷移していくには、次の(1)〜(4)の4つのルートがある。「RUSHモード」は、時短状態に移行する際に、時短回数が95回に設定される際に実行される演出モードである。なお、当り種別により、進むルートは次のように決まっている。
大当り1、2、5、10の場合、(1)「特別図柄1大当り7図柄揃い」ブロックからスタートするルート、(2)「特別図柄1大当り7以外図柄揃い」のブロックからスタートするルート、(3)「特別図柄1大当り図柄揃いなし」のブロックからスタートするルートが選択される。
大当り3、4、6の場合、(2)「特別図柄1大当り7以外図柄揃い」のブロックからスタートするルートが選択される。
大当り7〜9の場合、(3)「特別図柄1大当り図柄揃いなし」のブロックからスタートするルートが選択される。
小当り1〜6の場合、(4)「特別図柄1小当り7以外図柄揃い」のブロックからスタートするルートが選択される。
なお、図61に示すルートは、各当りで演出が進行する代表的な例のルートであり、これらのルートに限定されるわけではなく、さらに分岐して演出が別のルートで進行することができる。
(1)「特別図柄1大当り7図柄揃い」から始まる演出ルート
図61の「特別図柄1大当り7図柄揃い」のブロックにおいて、特別図柄1に関する大当り種別が95回の時短回数に設定される時短状態に移行する大当りであった場合(主に大当り1、2、5、10の場合、その他の大当り種別が含まれていてもよい)、装飾図柄が「777」という7が揃った組合せで停止表示する。
この7図柄揃いでの装飾図柄の停止表示の後、大当り遊技が開始されると、大当り遊技特有の「SPボーナス」演出が実行される(図中の「SPボーナス」のブロック)。また、大当り遊技中には、「RUSHモード」中の演出内容を決定するモード選択演出が実行される(図中の「モード選択」のブロック)。このモード選択演出では、主人公と敵キャラクタが戦う「バトルモード」と、主人公が様々なゲームに挑戦する「学園モード」とのうち、いずれかを遊技者に選択させる。そして、大当り遊技が終了すると、遊技状態は時短状態に移行され、遊技者が選択した演出モードで遊技が進行していく。この「学園モード」と「バトルモード」についての詳細は後述する。
(2)「特別図柄1大当り7以外図柄揃い」から始まる演出ルート
図61の「特別図柄1大当り7以外図柄揃い」のブロックにおいて、特別図柄1に関する大当り種別が95回の時短回数に設定される時短状態に移行する大当りであった場合、または通常遊技状態に移行する大当りであった場合(主に大当り1〜6、10の場合、その他の大当り種別が含まれていてもよい)、装飾図柄が「111」というように7以外の数字が揃った組合せで停止表示する。なお、大当り1、2、5、10の場合、この「特別図柄1大当り7以外図柄揃い」のルートの他に、上記「特別図柄1大当り7図柄揃い」のルートや、下記「特別図柄1大当り図柄揃いなし」のルートのいずれかが選択される。
この7以外図柄揃いでの装飾図柄の停止表示の後、大当り遊技が開始されると、大当り遊技特有の「決戦ボーナス」演出が実行される。「決戦ボーナス」演出では、まず大当り遊技開始後の開始インターバル時間を利用して、主人公とボスキャラ1とが対峙する演出が実行される(図中の「決戦ボーナスVSボスキャラ1開始INT」のブロック)。
次いで、大当り遊技のラウンド遊技が進行し、途中でボスキャラ1が主人公を先制して攻撃する演出が実行される(図中の「決戦ボーナスVSボスキャラ1敵先制」のブロック)。そして、大当り種別が95回の時短回数に設定される時短状態に移行する大当りであった場合、大当り遊技の終盤において、主人公がボスキャラ1に反撃し勝利する演出が実行される(図中の「結果」のブロックから「勝利」に進むルート)。その後の大当り遊技中において、(1)のルートの場合と同様に、「RUSHモード」の演出内容を決定するモード選択演出が実行される(図中の「モード選択」のブロック)。そして、大当り遊技が終了すると、遊技状態は時短状態に移行され、遊技者が選択した演出モードで遊技が進行していく。
一方、大当り種別が通常遊技状態に移行する大当りであった場合、大当り遊技の終盤において、主人公がボスキャラ1に敗北する演出が実行される(図中の「結果」のブロックから「敗北」に進むルート)。その後の大当り遊技中において、遊技状態は時短状態に移行しなかったことを報知する演出が実行され、大当り遊技が終了すると、「再挑戦モード」の演出モードで遊技が進行していく(図中の「通常遊技状態再挑戦モードへ」のブロック)。
(3)「特別図柄1大当り図柄揃いなし」から始まる演出ルート
図61の「特別図柄1大当り図柄揃いなし」のブロックにおいて、特別図柄1に関する大当り種別が時短回数に関係なく時短状態に移行する大当りであった場合(大当り1、2、5、7〜10の場合)、装飾図柄の数字の組合せがバラバラな形態で停止表示する(たとえば、「315」という組合せ)。
この図柄揃いなしでの装飾図柄の停止表示の後、大当り遊技が開始されると、大当り遊技特有の「決戦ボーナス」演出が実行される(図中の「決戦ボーナス」のブロック)。そして、大当り遊技が終了すると、遊技状態は時短状態に移行される。この「決戦ボーナス」演出では、ボスキャラ2が登場する演出が実行される。そして、時短状態に移行すると登場したボスキャラ2と主人公との対決が行われる(図中の「VSボスキャラ2」のブロック)。
時短状態において小当りに当選し、小当り遊技中にV入賞すると、主人公の攻撃がボスキャラ2にヒットし(図中の「消化」のブロックから「攻撃HIT」に進むルート)、V当り遊技が開始される。V当り遊技では、主人公とボスキャラ2との対決が引き続き行われる「決戦ボーナス」演出が実行される(図中の「決戦ボーナス(VSボスキャラ2)」。
次いで、V当り遊技のラウンド遊技が進行していき、当選時の小当り種別が95回の時短回数に設定される時短状態に移行する小当りであった場合、V当り遊技の終盤において、主人公がボスキャラ2に勝利する演出が実行される(図中の「勝利」に進むルート)。その後の大当り遊技中において、(1)や(2)のルートの場合と同様に、「RUSHモード」の演出内容を決定するモード選択演出が実行される(図中の「モード選択」のブロック)。そして、大当り遊技が終了すると、遊技状態は時短状態に移行され、遊技者が選択した演出モードで遊技が進行していく。また、「バトルモード」選択時に「ボスキャラ2」を倒しているため、「第2ルート」をスタートとして、図62に示すように、「バトルモード」中の演出では主人公は順に敵キャラクタの対戦としていくようになる。
また、V当り遊技のラウンド遊技が進行していき、当選時の小当り種別が3〜5回の時短回数に設定される時短状態に移行する小当りであった場合、V当り遊技の終盤において、主人公がボスキャラ2に敗北する演出が実行される(図中の「敗北」に進むルート)。その後、大当り遊技が終了すると、遊技状態は再度時短回数が3〜5回の時短状態に移行され、「VSボスキャラ2」のブロックに戻される。
一方、時短状態において小当りに何度も当選するがその小当り遊技中にV入賞しない状況が続き、時短回数が0回になる最後の小当り遊技中においてもV入賞しなかった場合、主人公の攻撃がボスキャラ2にヒットすることなく、ボスキャラ2が去っていく演出が実行される(図中の「消化」のブロックから「攻撃HITできず」に進むルート)。そして、小当り遊技が終了する際に、遊技状態は時短状態に移行しなかったことを報知する演出が実行され、小当り遊技が終了すると、「再挑戦モード」の演出モードで遊技が進行していく(図中の「通常遊技状態再挑戦モードへ」のブロック)。
(4)「特別図柄1小当り7以外図柄揃い」から始まる演出ルート
図61の「特別図柄1小当り7以外図柄揃い」のブロックにおいて、特別図柄1に関する当りが小当りであった場合(小当り1〜6の場合)、上記(2)と同様に装飾図柄が「111」というように7以外の数字が揃った組合せで停止表示する。
この7以外図柄揃いでの装飾図柄の停止表示の後、小当り遊技が開始されると、小当り遊技特有の「決戦ボーナス」演出が実行される。「決戦ボーナス」演出では、(2)と同様に、まず小当り遊技開始後の開始インターバル時間を利用して、主人公とボスキャラ2とが対峙する演出が実行される(図中の「決戦ボーナスVSボスキャラ2開始INT」のブロック)。
次いで、小当り遊技中にV入賞すると、大当り遊技になり、その大当り遊技の途中でボスキャラ2が主人公を先制して攻撃する演出が実行される(図中の「決戦ボーナスVSボスキャラ2敵先制」のブロック)。そして、小当り種別が95回の時短回数に設定される時短状態に移行する小当りであった場合、V当り遊技の終盤において、主人公がボスキャラ2に反撃し勝利する演出が実行される(図中の「結果」のブロックから「勝利」に進むルート)。その後のV当り遊技中において、(1)〜(3)のルートの場合と同様に、「RUSHモード」の演出内容を決定するモード選択演出が実行される(図中の「モード選択」のブロック)。そして、大当り遊技が終了すると、遊技状態は時短状態に移行され、遊技者が選択した演出モードで遊技が進行していく。
一方、V入賞後のV当り遊技中に、当選時の小当り種別が通常遊技状態に移行する小当りであった場合、主人公がボスキャラ2に敗北する演出が実行される(図中の「結果」のブロックから「敗北」に進むルート)。その後のV当り遊技中において、遊技状態は時短状態に移行しなかったことを報知する演出が実行され、V当り遊技が終了すると、「再挑戦モード」の演出モードで遊技が進行していく(図中の「通常遊技状態再挑戦モードへ」のブロック)。
(5−2−4−2.「RUSHモード」中:図63)
次いで、図63を参照して、「時短演出モード」の1つである「RUSHモード」中における演出の遷移について説明する。「RUSHモード」は「バトルモード」と「学園モード」とからなり、上記のように大当り遊技中に遊技者によりいずれかのモードが選択され、時短状態中はそのモードに対応した演出が実行される。「バトルモード」中の演出フローについて説明した後、「学園モード」中の演出フローについて説明する。
(バトルモード)
図61のモード選択演出で遊技者が「バトルモード」を選択した場合、図62に示すように、「第1ルート」をスタートとして、主人公キャラクタ(主人公キャラ)は敵キャラクタ(敵キャラ)と対戦していくバトル演出が現出される。具体的には、時短状態中における初回の当り時は「敵キャラ1」と対戦する。このとき、勝利条件を満たした場合(時短回数95回を付与する大当りまたはV当り:図63参照)には「敵キャラ2」と対戦し、時短状態中に当りに当選し勝利条件を満たす度に、「敵キャラ3」、「敵キャラ4」、「敵キャラ5」、「ボスキャラ2」と対戦する、というように、複数種類の敵キャラクタと順次対戦していく。そして「ボスキャラ2」に勝利すると、再度「敵キャラ1」〜「敵キャラ5」と順次対戦していくが、敵キャラ5の後は「ボスキャラ2」とは異なる敵キャラの「ボスキャラ1」と対戦する。そして、「ボスキャラ1」に勝利すると、再度「敵キャラ1〜5、ボスキャラ2」と対戦する、といったように、敵キャラがループ状に出現するバトル演出が展開される。また、上記した「決戦ボーナス」に係る「バトルモード」選択時に、「ボスキャラ2」を倒しているような場合、「第2ルート」をスタートとして、図62に示すように、主人公は様々な敵キャラクタと対戦としていく。
上述したように「バトルモード」では、主人公キャラクタと敵キャラクタとが対戦し、勝利したり敗北したりして演出が進んでいく。時短状態では、下始動口35に入賞すると特別図柄2の大当り抽選が行われ、ほぼ小当りに当選するため、小当り遊技中にV入賞するか否かで遊技が分岐し、それに対応して演出で敵キャラクタに勝利するか否かが決定する。そして、小当り遊技中にV入賞すると、V当り遊技が開始され、V当り遊技後に再度時短状態に移行されるが、このとき時短回数も設定され、この時短回数が95回であるのか、それとも3〜5回であるのかにより、演出についても左右される。以下、具体的に説明する。
通常遊技状態の「通常演出モード」から時短状態の「バトルモード」に遷移する場合は、時短回数が95回に設定されるときであり、小当り遊技中にV入賞する確率は約1/7であることから、次回のV当りがほぼ確定している状況である。「バトルモード」の演出フローについて、この次回の大当りがほぼ確定している遊技状況をスタートとして説明する。
次いで、V当り遊技の途中で特定条件として、主人公が先制攻撃するか否かで演出フローが分かれる(図中の「特定」のブロック)。そして、小当り種別が時短回数95回付与する小当りであった場合、主人公が先制攻撃して敵キャラクタを撃破し(図中の「特定」のブロックから「達成」に進むルート)、勝利を祝う「スペシャルラウンド」演出が実行される(図中の「スペシャルラウンド」のブロック)。その後、V当り遊技が進行して終盤に差し掛かると、次の敵キャラクタが登場する演出が実行され(図中の「次の敵キャラ登場」のブロック)、V当り遊技が終了して時短回数が95回の時短状態に移行し、「バトルモード」が継続して実行される(図中の「次回確定のバトルモード中当り」に戻るルート)。
一方、図中の「特定」のブロックにおいて、小当り種別に関係なく、主人公が先制攻撃したが敵キャラクタを撃破できなかった場合(図中の「特定」のブロックから「未達成」に進むルート)、「バトルボーナス」演出が継続して実行される。その後、V当り遊技が進行すると、敵キャラクタから攻撃がされる演出が実行される(図中の「結果」のブロック)。この攻撃の結果、小当り種別が時短回数95回付与する小当りであった場合、主人公が敵キャラクタの攻撃を躱して反撃し、敵キャラクタに撃破すると(図中の「結果」のブロックから「勝利」に進むルート)、勝利を祝う「ムービーラウンド」演出が実行される(図中の「ムービーラウンド」のブロック)。その後、V当り遊技が進行して終盤に差し掛かると、次の敵キャラクタが登場する演出が実行され(図中の「次の敵キャラ登場」のブロック)、V当り遊技が終了して時短回数が95回の時短状態に移行し、「バトルモード」が継続して実行される(図中の「次回確定のバトルモード中当り」に戻るルート)。
また、図中の「結果」のブロックにおいて、小当り種別が時短回数3回、4回、または5回を付与する小当りであった場合、主人公が敵キャラクタの攻撃を受けて敗北し(図中の「結果」のブロックから「敗北」に進むルート)、V当り遊技が進行して終盤において、今回のバトルが終了することを示す演出が実行される(図中の「バトルボーナス終了INT」のブロック)。その後、V当り遊技が終了して時短回数が3〜5回の時短状態に移行し、「バトルモード」が継続して実行される(図中の「バトルモード中当り」に戻るルート)。
時短回数が3〜5回の時短状態に移行した場合、時短回数95回の場合と同様に「バトルモード」の演出が実行されるが、時短回数分の小当り遊技中にV入賞するか否か、つまり時短状態(バトルモード)が終了するまでにV入賞するか否かで演出モードが変化する。見事にV入賞すると(図中の「消化」のブロックから「達成」に進むルート)、「バトルボーナス」が実行される(図中の「バトルボーナス開始INT」のブロック)。一方、時短回数分の小当り遊技中にV入賞しなかった場合(図中の「消化」のブロックから「未達成」に進むルート)、時短状態が終了し、遊技状態は通常遊技状態に移行される。それに伴い、「バトルモード」は終了し演出モードは「再挑戦モード」に遷移する。
このように、「バトルモード」が継続するか否かは、時短状態が終了するまでに小当り遊技中にV入賞するか否かにかかっている。ここで、この「バトルモード」では、遊技者に現在残っている「時短回数」を正確に報知する残時短回数演出が実行されるようになっている。具体的には、残りの時短回数が75回であれば、液晶画面の一部領域において、「あと75回」という残りの時短回数を表示する残時短回数演出を実行している。この残時短回数演出により、遊技者は残りの時短回数を正確に認識することができ、それによりあと何回小当り遊技が実行可能であるのかについても正確に認識することができる。これにより、時短状態移行時において、残り時短回数が「95回」からスタートする際には、安心して「バトルモード」を楽しむことができ、一方残り時短回数が「5回」からスタートする際には、限られた回数の中でV入賞への希望を抱きながら「バトルモード」を楽しむことができる。
(残時短回数0の場合)
また「バトルモード」では、今回の小当り当選に起因して残り時短回数が0回に達することとなる場合(たとえば、特電回数が、小当り当選回数でカウントされる場合か、または小当り遊技実行回数でカウントされる場合(小当り遊技開始時または小当り遊技終了時に特電回数を減算するケース))、今回の小当り遊技でV入賞しなければ時短状態が終了する旨を報知する特殊な演出が現出される。この残り時短回数0回に係る小当り遊技である場合、小当り遊技のオープニング時間について、残り時短回数が有限回数である場合の通常時間よりも長時間に設定され、上記特殊演出を含む特別演出シナリオが現出されるようになっている(下記の「学園モード」でも同様)。上記特殊な演出では、ボスキャラ1、2とは別の特別なキャラクタ(強ボスキャラ)が登場し、これと対戦する演出内容となっている。このように、特別な当り中演出シナリオを実行することで、時短状態最後となりうる小当り遊技に注目させることができ、遊技者に時短状態が終了するかもしれないという緊張感を煽ることができる。晴れてV入賞した場合には、残り時短回数が有限回数であるときのV入賞時の演出とは異なるV入賞時の演出(特別V入賞演出)を現出させる。なお、残り時短回数が0回に達する場合に限定されず、残り時短回数が所定回数(たとえば、残り時短回数1回や2回など)となるケースで、上記特殊演出(強ボスキャラ)を現出させてもよい。また残り時短回数が2回、1回、および0回のそれぞれに対応した強ボスキャラ(たとえば、強ボスキャラ1〜3の三羽烏キャラ)を現出させてもよい。このように、残り時短回数が少なくなるに従いキャラクタを変化させることで、緊張感を長時間(複数回の小当り遊技期間)にわたり抱かせることができる。なお、上記残り時短回数0回や残り回数が少ない回数の場合に、特図2の変動表示の変動時間を通常よりも長時間の変動パターンを選択するように構成してもよい。この場合、小当り遊技中だけでなく、図柄変動表示ゲーム中も緊張感を長時間抱かせることができる。
(学園モード)
次いで、「学園モード」の演出フローについて、時短回数が95回の時短状態に移行し、次回のV当りがほぼ確定している遊技状況をスタートとして説明する。
図63の「次回学園モード中当り」のブロックにおいて、次回の大当りがほぼ確定している遊技状況である「学園モード」中に、小当りに当選すると、小当り遊技が開始され、その小当り遊技中にV入賞すると、「萌ボーナス」演出が実行される。「萌ボーナス」演出では、まずV入賞後のインターバル時間を利用して、主人公がヒロインキャラクタとじゃんけんする演出が実行される(図中の「萌ボーナス開始INT」のブロック)。じゃんけんする演出以外にも、様々なゲームで女性キャラクタと対戦する演出が用意されている。
次いで、V当り遊技の途中で特定条件として、主人公がじゃんけんに勝利するか否かで演出フローが分かれる(図中の「特定」のブロック)。そして、小当り種別が95回の時短回数に設定される時短状態に移行する小当りであった場合、主人公がじゃんけんに勝利し(図中の「特定」のブロックから「達成」に進むルート)、勝利を祝う「スペシャルラウンド」演出が実行される(図中の「スペシャルラウンド」のブロック)。その後、V当り遊技が進行して終盤に差し掛かると、ヒロインキャラクタの主人公に対する好感度が上昇する演出が実行され(図中の「つなぎ演出」のブロック)、V当り遊技が終了して時短回数が95回の時短状態に移行し、「学園モード」が継続して実行される(図中の「次回確定の学園モード中当り」に戻るルート)。主人公に対する好感度が一定の値を超えると、スペシャルラウンド演出で特別な演出が用意されており、遊技者はこの特別な演出を鑑賞することを目指して「学園モード」を楽しむことができるようになっている。
一方、図中の「特定」のブロックにおいて、小当り種別に関係なく、じゃんけんの結果があいこであった場合(図中の「特定」のブロックから「未達成」に進むルート)、「萌ボーナス」演出が継続して実行される。その後、V当り遊技が進行すると、再度主人公とヒロインキャラクタとのじゃんけん演出が実行される(図中の「結果」のブロック)。このじゃんけんの結果、小当り種別が時短回数95回を付与する小当りであった場合、主人公がじゃんけんに勝利すると(図中の「結果」のブロックから「成功」に進むルート)、勝利を祝う「ムービーラウンド」演出が実行される(図中の「ムービーラウンド」のブロック)。その後、上記「つなぎ演出」が実行され(図中の「つなぎ演出」のブロック)、V当り遊技が終了して時短回数が95回の時短状態に移行し、「学園モード」が継続して実行される(図中の「次回確定の学園モード中当り」に戻るルート)。
また、図中の「結果」のブロックにおいて、小当り種別が時短回数3回、4回、または5回を付与する小当りであった場合、主人公がじゃんけんに敗北し(図中の「結果」のブロックから「失敗」に進むルート)、V当り遊技が進行して終盤において、ヒロインキャラクタに再戦を誓う演出が実行される(図中の「萌ボーナス終了INT」のブロック)。その後、V当り遊技が終了して時短回数が3〜5回の時短状態に移行し、「学園モード」が継続して実行される(図中の「学園モード中当り」に戻るルート)。
時短回数が3〜5回の時短状態に移行した場合、時短回数95回の場合と同様に「学園モード」の演出が実行されるが、時短回数分の小当り遊技中にV入賞するか否かで、つまり時短状態(学園モード)が終了するまでにV入賞するか否かで演出フローが変化する。見事にV入賞すると(図中の「消化」のブロックから「達成」に進むルート)、「萌ボーナス」が実行される(図中の「萌ボーナス開始INT」のブロック)。一方、時短回数分の小当り遊技中にV入賞しなかった場合(図中の「消化」のブロックから「未達成」に進むルート)、時短状態が終了し、遊技状態は通常遊技状態に移行される。それに伴い、「学園モード」は終了し演出モードは「再挑戦モード」に遷移する。
このように、「学園モード」が継続するか否かは、時短状態が終了するまでに小当り遊技中にV入賞するか否かにかかっている。ここで、この「学園モード」では、遊技者に現在残っている「時短回数」についての虚偽を混ぜて報知する偽残時短回数演出が実行されるようになっている。
具体的には、残りの時短回数が75回であれば、画面の一部領域において、「あと25回」といった偽の残りの時短回数を表示する偽残時短回数演出を実行している。表示する時短回数については、実際の時短回数よりも少ない回数が表示されるようになっており、この「学園モード」中に表示回数が増減するようになっている。表示回数が増加する演出について、95回の時短回数が設定される「つなぎ演出」において、「あと25回」という表示から「あと70回」という表示に増加する演出が実行される。また、表示回数が減少する演出については、3〜5回の時短回数が設定される「萌ボーナス終了INT」において、「あと25回」という表示から「あと3回」という表示に表示回数が減少する演出が実行される。他にも、表示されている表示回数が「あと0回」になり、今回の小当り遊技でV入賞せずに終了する際に、残りの時短回数に基づいて表示回数が「あと0回」から「あと20回」に増加する演出が実行される。この偽残時短回数演出により、遊技者は残りの時短回数をあいまいにだが認識することができる。これにより、遊技者は表示される残りの時短回数を気にしながら遊技を楽しむことができる。
他にも、画面内に1つの正しい残り時短回数と、少なくとも1つ以上の偽の残り時短回数が表示(たとえば、「あと5回」(偽)、「あと20回」(正)、「あと30回」(偽))し、どれが正しい残り時短回数なのかが分かり難く、虚偽を混ぜて残り時短回数を報知する偽残時短回数演出を実行してもよい。この場合、各残り時短回数の文字の色や背景色を異ならせ(たとえば、「あと5回(青色文字+青色背景)」(偽)、「あと20回(赤色文字+赤色背景)」、「あと30回(緑色文字+緑色背景)」(偽))、正しい残り時短回数の信頼度が異なるようにしてもよい。このような偽残時短回数演出を実行することで、早く時短状態が終了するかもしれないという緊張感を遊技者に抱かせることができる。
(残時短回数が0の場合)
また、「学園モード」では、上記「バトルモード」と同様に、残り時短回数が0回に達する場合、今回の小当り遊技でV入賞しなければ時短状態が終了する旨を報知する特殊な演出が現出される。ただし、「学園モード」では、画面に表示する残り時短回数には虚偽が混ぜられているが、正しい残り時短回数(内部的にカウントされている残り時短回数)が0回に達する場合にのみ、上記特殊演出を含む特別演出シナリオが現出されるようになっている。たとえば、特別な演出シナリオの演出内容として、残り時短回数がある場合には出現することの無い「特別ヒロインキャラクタ」が登場する演出内容となっている。
(その他の演出モード)
なお、演出モードについては、正確な残り時短回数が表示される「バトルモード」や虚偽の残り時短回数が表示される「学園モード」に限らず、残り時短回数に関する情報が表示されない第3演出モードがあってもよい。第3演出モードでは、いつ時短状態が終了するのかという緊張感を常に遊技者に抱かせることができる。また、この第3演出モードについては、所定の条件をクリアしたことを契機として、たとえばV当り遊技が所定回数(10回)連続して実行されたことを契機として、遊技者による選択操作で(または、強制的に)第3演出モードに変更するようにすることができる(他の「バトルモード」、「学園モード」も選択可能)。また、同様な条件をクリアしたことを契機とし、「バトルモード」を虚偽の残り時短回数が表示される演出モードとしたり、「学園モード」を正確な残り時短回数が表示される演出モードとしたりしてもよく、演出の幅が広がり、時短状態における遊技興趣を向上させることができる。
<6.大当り(時短回数5回)の場合の時短煽り演出と時短回数:図64>
図38(イ)から分かるように、大当り遊技後に通常遊技状態から時短状態に移行する大当り種別には、「大当り1、2、5、10(時短回数95回)」、「大当り7(時短回数3回)」、「大当り8(時短回数4回)」、「大当り9(時短回数5回)」がある。
通常、遊技者には、大当りに当選した場合に、時短回数3回、4回、5回、95回のいずれが特典として付いて来る大当り種別(時短付き大当り)で当選したのか、という内容までは報知されない。その理由は、あらかじめ時短回数が遊技者に分かってしまうと、時短状態における遊技者の興趣を妨げると考えられるからである。かかる考え方に基づき、特典付与された時短回数が3回、4回、5回、95回のいずれであるのかを報知する時期を、実際に時短状態に入って、所定の時短回数(3回、4回、5回)が消化された時点とすること、つまり時短状態がさらに続くかどうかの境界回数目に至ったときとすることが行われる。
たとえば、大当り遊技終了後、時短回数3回目が消化された後も時短状態が終了せずに継続すれば、当該大当りにより特典付与された時短回数は4回以上であることが確定し、時短回数4回目が消化されたときに時短状態が終了しなければ、当該大当りの特典付与された時短回数は5回以上であることが確定し、時短回数5回目が消化されたときに時短状態が終了しなければ、当該大当りに特典付与された時短回数は95回であることが確定する。そこで、この事象を以って時短回数を報知する。
しかし、この事象を遊技者の立場から見ると、付与された時短回数が消化されたとき、急に時短状態が終了することになる感を否めない。この唐突に時短状態が終わると感ずる分だけ、時短状態の継続に期待する遊技者の落胆度合いが大きくなる。そこで、本実施形態では、時短状態が唐突に終わったと感ずる落胆度合い(唐突感;がっかり感)を減ずるべく、大当りに係る図柄変動表示ゲーム中に、今回当選した大当りにより付与されることとなる時短回数を前もって知らしめる「予知演出(時短回数予知演出)」を現出させる。そして、この予知演出中で、当該大当りで既に獲得しているが遊技者には知らされていない時短回数について、演出上の得点(ポイント)として時短回数をより多く獲得して貯めるように煽る演出を現出させる。
図64は、図38(イ)に示す特図1側の大当り種別「大当り1〜大当り10」のうち、「大当り9(時短回数5回)」に大当りした場合を例にして、その図柄変動表示中において行われる「より多くの時短回数を獲得するように煽る演出(煽り演出)」と、当り遊技後に実際に行われる「時短回数」との関係を説明するための図である。なお、時短状態下での小当り確率は298/299であるので、特別図柄2が1回の変動表示動作をするたびに、つまりほぼ毎回、小当りが発生する。従来の1種タイプでは単なる「持ち球の現状維持」程度であった時短が、本実施形態のような1種2種混合タイプにおいては、大当りとなる期待度を左右するまでになっている。より詳しくは、従来は時短回数が1種類(例えば100回)であっても複数種類(例えば0回、50回、100回)であっても、上述の通りせいぜい持ち球の現状維持が図れる期間が長いか短いかだけであったものが、1種2種混合タイプでは時短回数が1回違うだけでも大当りとなる期待度が異なるため、遊技者の関心は大きくなる。
図64において、時刻t1は、通常遊技状態下で「大当り9」に当選し、特図1の図柄変動表示が開始された時点を示している。この特図1の図柄変動表示中は時刻t1から時刻t2まで続く。この特図1の図柄変動表示中(t1〜t2)における時刻taより、リーチ演出として上記予知演出が発生し、時刻t2まで続く。
図65の(A)「大当り9(時短回数5回)の場合とハズレの場合の演出例」の「通常遊技状態」の欄において、(a)は上記のリーチが発生した時点(図64の時刻ta)を示し、(b)〜(g)はリーチ演出として実行される特定演出表示(予知演出)の構成例を示す。この例の場合、予知演出は前半演出(b)〜(d)と後半演出(e)〜(i)とに分かれている。
前半演出は、時短回数に応じた数字3、4、5、95を付与した球をクレーンにより掴む演出(b)と、掴んだ球をクレーンで貯留ボックスまで運ぶ演出(c)と、掴んだ球を釈放して受領ボックスに入れる演出(d)とで構成される。演出(b)においては、数字「3」、「4」、「5」、「95」を付与した数字球がこの順序で横方向に並んでおり、演出ボタンを連打して、クレーンをできるだけ数の多い数字球の所まで移動させる遊技内容としている。演出(c)では、演出ボタンを連打した結果、数字「5」のところまでクレーンが移動し、その数字球を掴んで吊り上げた状態でクレーンが受領ボックスまで運ぶことを遊技内容としている。演出(d)では、球を吊り上げたクレーンを受領ボックス上方にてゆらゆらと揺らしながら待機させ、演出ボタンを押すことでクレーンに一挙動の釈放動作をさせるという「一撃の釈放動作」をさせる。この前半演出(b)〜(d)では、できるだけ時短回数の多い球を掴んで受領ボックスに入れること、つまり時短回数を溜めるように遊技者に促す煽り演出として作用することになる。
後半演出は、演出(e)〜(g)、(h)〜(i)で構成される。演出(d)において一撃釈放動作に成功すれば、演出(e)に示すように、クレーンに把持されていた球が受領ボックス内に落下して予知演出はチャレンジ成功となり、獲得した時短回数がメッセージにて表示される。ここでは「大当り9(時短回数5回)」に当選した場合を扱っているので、演出(f)に示すように、「チャレンジ5回ゲット」というメッセージが表示される。そして特別図柄1の図柄が大当り9を特定する図柄で停止し、演出(g)に示すように、大当り報知として液晶画面に装飾図柄が規定の組合せ「357」が表示される。また、一撃釈放動作に失敗した場合は、演出(h)に示すように、クレーンに把持されていた球が受領ボックス外に落下して、予知演出はチャレンジ失敗となり、獲得した時短回数についての表示はなされずに、演出(i)に示すように、ハズレ報知としてたとえば液晶画面に「212」が表示される。
このようにして当り変動動作中に予知演出を現出させ、これより後の当り遊技後において特典付与される時短回数を、あらかじめ遊技者に知らしめる。すなわち、複数種類の当りを対象に抽選を行う抽選手段(図11の特別図柄管理処理、図15)と、遊技に関する演出表示が可能な表示手段(液晶表示装置36)と、前記表示手段において演出表示を表示制御する表示制御手段(演出制御部24)と、前記当りの種類に応じた当り遊技を実行制御する当り遊技制御手段(特別電動役物管理処理:図11のS060、図19)と、前記当り遊技が終了した後、所定条件が成立するまで、通常遊技よりも有利な特典遊技を実行制御可能な特典遊技制御手段(V入賞時設定処理:図25のS645、大当り終了処理:図27のS593)と、を備えた遊技機において、前記複数種類の当りには、少なくとも第1当り(大当り7、8、9、10のいずれか、たとえば大当り9、図65A)と第2当り(上記第1当り以外の大当り:たとえば大当り7、図65B)とを含ませ、
前記特典遊技制御手段は、前記当りの種類が第1当り(大当り9)である場合、第1当り遊技が実行された後、前記所定条件として第1所定条件(時短5回)が成立するまで特典遊技を実行制御し、前記当りの種類が第2当り(大当り7)である場合、第2当り遊技が実行された後、前記所定条件として第2所定条件(3回)が成立するまで特典遊技を実行制御し、前記表示制御手段は、前記当りの種類が第1当りである場合と前記当りの種類が第2当りである場合とのいずれにおいても、特定演出表示(予知演出)が可能であり、
前記特定演出表示は、少なくとも第1区間(図65A、図65Bの(b)〜(d))と第2区間(図65A、図65Bの(e)〜(i))とから構成され、前記第1区間は、前記当りの種類が第1当りである場合と前記当りの種類が第2当りである場合とのいずれにおいても、互いに同一または類似する共通表示態様(前半演出(b)〜(d))で構成され、前記第2区間は、前記当りの種類が第1当り(大当り9)である場合は前記第1所定条件(時短5回)を示す内容を含む第1表示態様(後半演出(e)〜(g)、(h)〜(i))で構成され、前記当りの種類が第2当り(大当り7)である場合は前記第2所定条件(3回)を示す内容を含む第2表示態様で構成される、ようにする。そして、前記特定演出表示は、前記第1当り遊技または前記第2当り遊技が実行された後の前記特典遊技中(図65A、図65Bの時短状態移行後)も、前記第1当り遊技または前記第2当り遊技を開始する前の演出内容を引き継いだ演出表示(図65A、図65Bの(k)、(l))を行う第3区間を有する、ようにする。
図64に戻り、特図1で「大当り9」に当選した際の図柄変動表示動作が終了すると(時刻t2)、大当り遊技が行われ(時刻t2〜t11)、その後、時刻t11より、遊技状態が時短状態に設定される。
図65Aに示す「(A)時短回数煽り演出例(大当り9(時短回数5回)の場合)」において、「(j)大当り遊技状態」は上記の大当り遊技中に実行される当り中演出の構成例を示す。大当り9の場合、1ラウンド目では右大入賞口50の開放時間が短いため(60ms)、2ラウンド目〜6ラウンド目(実質ラウンド数5)で多くの賞球が獲得可能で、これらのラウンドで大当り特有の演出が実行されるようになっている。たとえば、上記でゲットしたチャレンジ回数(5回)に対する意気込みを主人公キャラクタが叫ぶ演出が現出されるようになっている。ここで、大当り遊技の時間(時刻t2〜t11)については、実質ラウンド数を少なく設定(たとえば、ゼロ、1Rに設定)することで、短時間(たとえば、25〜40秒程度)で終了するようにしてもよい。この理由は、上記でゲットしたチャレンジ回数の5回に対応する演出がこの大当り遊技中の演出で間延びしてしまうからであり、実質ラウンド数を少なくし、大当り遊技を即座に終了させることで、演出の流れをよくすることができる。
図64に戻り、時刻t11より、遊技状態が時短状態に設定されると、特図2での図柄変動表示が開始される。ここで、特別図柄2について小当りに当選する当り抽選確率は298/299であり、ほぼ毎回の図柄変動表示動作について小当りに当選する。したがって、時刻t11〜t14にかけて、特図2での図柄変動表示が計5回行われ、その都度、小当りが発生する。つまり、特図2の図柄変動表示動作の終了と同時に小当りが発生し、小当り遊技が計5回行われる。この5回の小当り遊技のいずれかにおいてV入賞すると、大当りに昇格しV当り遊技が開始されるが、5回の小当り遊技のいずれにおいてもV入賞しなければ、時短状態は終了し、遊技状態は通常遊技状態に設定される。
図65の(A)「大当り9(時短回数5回)の場合とハズレの場合の演出例」の「時短状態」の欄において、(k)は時短状態に突入した時点(図64の時刻t11)を示し、(l)は小当り遊技が実行される度に実行される演出の構成例を示し、(m)〜(o)は小当り遊技中にV入賞した場合に実行される演出の構成例を示し、(p)〜(q)は5回目の小当り遊技においてV入賞しなかった場合に実行される演出の構成例を示す。
時短状態に設定されて、遊技が進行すると、リーチ中にゲットした球に対応した回数を上限にしたチャレンジゲームが開始されるメッセージが表示される。ここでは、演出(k)に示すように、「チャレンジゲームスタート残り5回」というメッセージが表示される。そして、演出(l)においては、特別図柄2について小当りに当選すると、小当り遊技が実行される度に、数字「5」、「4」、「3」、「2」、「1」とカウントダウンして残りの時短回数を遊技者に報知するとともに、毎回異なるチャレンジゲームを実行する演出内容としている。
小当り遊技中にV入賞した場合の演出は、演出(m)〜(o)で構成される。演出(m)においては、V入賞したことを遊技者に報知するために画面内に大きく「V」という文字を表示する演出内容としている。演出(n)においては、チャレンジゲームにおいて成功した喜びを表現する演出内容(たとえば、旭日旗を振る演出内容)としている。そして、大当り昇格し、2R目以降の演出が実行されることとなる(演出(o))。
一方、5回の小当り遊技中にV入賞しなかった場合の演出は、演出(p)〜(q)で構成される。演出(p)においては、最後のチャレンジゲームにおいて失敗したことを遊技者に報知するために画面内に「Lose」という文字を表示する演出内容としている。演出(q)においては、時短状態が終了し、遊技状態が通常遊技状態に設定されて、その通常遊技状態に対応する背景画像に変更する演出内容としている。
いま、上記のように演出(k)、(l)が実行されず、遊技者が3、4、5回または95回の時短回数が特典付与されることを知っていないものとすると、通常ならば予知演出を現出させないので、遊技者はこれらの時短回数のつなぎ目ないし境界目の時短回数に達した際に、これらの3、4、5回を超えたかどうかが重要な関心事となり、5回を超えて95回の時短回数が確定することを願うことになる。また、これとは逆に、3回目、4回目また5回目で時短状態が終了してしまった場合は、時短状態が突然に終わってしまったという唐突感を持つことになる。この例では、大当り(時短回数5回)に当選して場合を扱っているので、図64の時刻t12、t13、t14で、この事象に遭遇することになる。
しかし、本実施形態では、このような時短状態(時刻t11〜t14)に入る前の図柄変動表示動作(時刻t1〜t2)において、予知演出を現出させ、ここで時短回数が特典付与されるか否か、また特典付与される場合は、何回の時短回数が特典付与されるのかについて、あらかじめ遊技者に報知している。このため、時短状態が唐突に終わると感ずる度合い(唐突感;がっかり感)を減ずることができる。また、この予知演出はまだ遊技者には知らされていない時短回数について、より多い数字を付した球(時短回数)を獲得するように煽る演出であるので、遊技者に、時短回数獲得について興味のある遊技性を付与することができる。
上記演出例は時短回数が5回の大当り9の場合について説明したが、その他の時短回数3、4、95回に対応する大当り7、8、10の場合についても同様の流れで演出を進行させることができる。ここでは、時短回数3回の大当り7の場合について説明する。
大当り抽選において大当り7に当選し、特別図柄1の変動が開始されると、リーチが発生するまで演出(a)が実行される(時刻taまで)。この演出(a)については、上記大当り9の場合と同一または類似する演出内容であってもよいし、異なる演出内容であってもよい。
その後、リーチ演出として予知演出が実行されるが、今回の大当り7については時短回数が3回であり、上記大当り9の時短回数5回と異なるため、この予知演出(演出(b)〜(演出(f))の構成は、演出内容が共通である共通演出と、演出内容が異なる非共通演出とに分かれている。したがって、その他の大当り種別(大当り8、10)についても同様な関係にあり、それぞれ予知演出は共通演出と非共通演出とから構成されている。また、予知演出の演出時間については、大当り種別(大当り7〜10)に関係なく、同一な時間に設定されており、ここでは共通演出が行われる区間を第1区間とし、非共通演出が行われる区間を第2区間とする。
予知演出の共通演出は、上記演出(b)が対応し、時短回数3回の大当り7の場合においても、数字「3」、「4」、「5」、「95」を付与した数字球がこの順序で横方向に並んでおり、演出ボタンを連打して、クレーンをできるだけ数の多い数字球の所まで移動させる遊技内容としている。このように、第1区間で実行される予知演出の共通演出では、大当り種別に関係なく同一または類似した演出内容となっている。
予知演出の非共通演出は、上記演出(c)〜(f)が対応し、時短回数3回の大当り7の場合、演出(c)では、演出ボタンを連打した結果、数字「3」のところまでクレーンが移動し、その数字球を掴んで吊り上げた状態でクレーンが受領ボックスまで運ぶことを遊技内容としている。演出(d)では、数字「3」の数字球を吊り上げたクレーンを受領ボックス上方にてゆらゆらと揺らしながら待機させ、「一撃の釈放動作」をさせる。演出(e)では、クレーンに把持されていた数字「3」の数字球が受領ボックス内に落下して予知演出はチャレンジ成功となる。演出(f)では、「チャレンジ3回ゲット」というメッセージが表示される。このように、第2区間で行われる予知演出の非共通演出では、時短回数3回の大当り7の場合、時短回数の3回に対応した演出内容となっており、時短回数5回の大当り9の場合とでは演出内容が異なっている。したがって、その他の時短回数4回の大当り8の場合は、時短回数4回に対応した演出内容となり、時短回数95回の大当り10の場合は、時短回数95回に対応した演出内容となる。このように、第2区間で実行される予知演出の非共通演出では、大当り種別に関係のあるそれぞれ異なる演出内容となっている。
また、特別図柄1の図柄が大当り7を特定する図柄で停止した場合、上記大当り9の場合と同様に、演出(g)として、大当り報知として液晶画面に装飾図柄が規定の組合せ「357」が表示される。したがって、この演出(g)については、大当り種別に関係なく同一または類似した演出内容としてもよく、異なる演出内容でもよい(時短回数95回の場合は、「777」であってもよい)。
その後、大当り遊技中が開始されると、大当り9の場合と同一または類似した演出内容の当り中演出が実行される。
次いで、大当り遊技が終了し、時短状態に設定されると、リーチ中にゲットした球に対応した回数を上限にしたチャレンジゲームが開始されるメッセージ「チャレンジゲームスタート残り3回」が表示される。そして、演出(l)においては、特別図柄2についての小当り遊技が実行される度に、数字「3」、「2」、「1」とカウントダウンして残りの時短回数を遊技者に報知するとともに、毎回異なるチャレンジゲームを実行する演出内容としている。そして、V入賞した場合は上記大当り9の場合と同じ演出(m)、(o)が実行され、3回の小当り遊技中にV入賞しなかった場合についても大当り9の場合と同じ演出(p)、(q)が実行される。
したがって、時短状態中を第3区間とすると、この第3区間における演出内容は、リーチ中に実行された時短回数に関する予知演出の演出内容を引き継ぎ、時短状態設定時は何回の時短回数が特典付与されたのか、そして遊技が進行するに従い、現在の残りの時短回数が何回であるのか、を遊技者に報知する演出内容となっている。したがって、時短状態が唐突に終わると感ずる度合い(唐突感;がっかり感)を減ずることができる。
<7.当り遊技中における演出シナリオ>
次に、通常遊技状態時において特別図柄1の大当り抽選で大当りまたは小当りに当選した場合に行われる当り遊技中の演出について説明する。
第1種系の遊技機の場合、「V当り」というものが存在しないため、大入賞口への入賞がなくとも、今回の当りに対応した当り遊技が実行され、その当り遊技に対応した演出(当り中演出)が現出される。つまり、第1種系の遊技機の場合には、V領域(特定領域63)や非V領域(非特定領域62)に至るまでのルート(遊動領域59内における遊技球の移動経路)やV入賞の有無により、当り遊技態様やその当り遊技中の演出を変化させる必要がなく、今回の当り種別に対応した1つの演出シナリオ、たとえば、「オープニング演出、ラウンド中演出、エンディング演出等を含む一連の演出シナリオ」を決定し、これを当り遊技の進行に従い、該当する上記各演出を順次現出させていくだけでよく、当り遊技の途中で演出シナリオの切り替えを必要しないものであり、基本的には、時間の経過によって演出が切り替わって行く「時間管理型シナリオ」となっている。
一方、第2種系の遊技機の場合、V入賞の有無により、当り遊技態様が大きく変化する。詳述するに、小当りに当選し、小当り遊技が発生した場合には、右大入賞口50への入賞の有無やV抽選役物60によってV入賞の有無が定まるため、小当り遊技開始時点では、「V当り」が発生するのか、それとも単なる「小当り遊技」で終わるのかが定かではない。また本実施形態のように、遊動領域59内における遊技球の移動ルートが複数ルートある場合には、各ルートに応じて、V入賞の有無が決まるまで時間に長短が発生しうる。したがって、遊技球がどのようなルートを通りV入賞または非V入賞となるかをも考慮して、V入賞の有無に応じた適切な当り中演出を現出させることが必要となる。しかし第2種系の遊技機の場合、上述した「時間管理型のシナリオ」としてしまうと、当り遊技態様の変化に対応した適切な演出を現出することができず、当り遊技の進行と当り中演出との間に不整合が生じてしまう。
そこで本実施形態では、当り中演出として、当りの種類、V領域等に至るまでの各ルート(全通過ルート)およびV入賞の有無のそれぞれに対応した全ての演出シナリオをあらかじめ用意しておき、そのうちから、どのようなルートを経てV入賞またはVハズレとなるのかを考慮した演出シナリオを抽出可能に構成し、適切な当り中演出を現出させることができるようになっている。具体的には、当り遊技を開始する際に、現出可能性のある全ての演出シナリオパターンを用意してこれを一束的に扱い、次いで、遊技球が通過経路のセンサSW1〜SW4等で検出された場合、その都度、それまでのシナリオ束のうちから該当しないケースのシナリオが含まれているか否かを判断し、該当しないケースのシナリオが含まれている場合には、そのシナリオを選択候補から除外(排除)して、結果として当該センサ検出時点で適合するケースのシナリオを残す。これを繰り返して、最後のセンサ検出時点(SW3またはSW4)での分岐点(判断箇所)でも適合する1つのケースに対応するシナリオのみを残す。この選択対象となる当り中演出シナリオ(選択対象シナリオ)は、上記第1種系の遊技機で用意される「時間管理型シナリオ」とは異なる「非時間管理型シナリオ」である。この非時間管理型シナリオは、少なくともV抽選区間(小当り遊技の場合はV入賞の有無が決定されるまで、大当り遊技の場合は1R目の当り遊技)に係る演出シナリオであり、V当りしたケースでは、その後(2R目以降)の当り中演出までもが、この非時間管理型シナリオにより規定されうる。
図67〜図69Aは、非時間管理型シナリオとして構築された当り遊技中の演出シナリオと、これに従い当り遊技中において実行される演出の流れを示す概略図である。図67〜図68に大当り遊技の場合を示し、図69Aに小当り遊技の場合を示す。ここで説明する「大当り遊技」は、通常遊技状態下の大当り当選による大当り遊技(1R〜16R)であり、「小当り遊技」は、通常遊技状態下の小当り当選による小当り遊技であり、時短状態下で当選した場合については、重複記載を避けるために省略する。なお、大当りまたは小当りによる連荘を重ねる場合の演出については別の図(図62、図63)を用いて後述する。
本実施形態においては、まず演出制御部24側において、当り遊技開始を契機に(大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドを受信した場合)、今回当選した当り種別に対応した当り中演出シナリオとして、現出可能性のある全ての演出シナリオが選択設定される。この当り中演出シナリオは、右大入賞口50の入賞の有無(SW1)および/または遊動領域59内の誘導路(本実施形態の場合、各誘導路56、56b、56c、56d)を通過する遊技球を検出するための少なくとも1つのセンサ(本実施形態の場合、センサSW1〜SW4)により遊技球が検出されることで、前後に連なる演出種の繋ぎ目(演出シナリオの節目)が生ずるように、つまり演出種の切り替えが生ずるように、当り遊技の進行に伴い現出すべき演出種(区間用演出種)を、センサSW1〜SW4の検出結果に従い順次に配列したものである。たとえば、図67の大当り5、6による大当り遊技が開始した場合、SW1のセンサがONするまでの区間(図67の区間A:OP(t3)〜ta、t5)、SW1のセンサONから次のSW2またはSW4のセンサがONするまでの区間(図67の区間B:ta〜tb、ta〜td)、SW2のセンサONから次のSW3またはSW4のセンサがONするまでの区間(図67の区間C:tb〜tc、tb〜td)、SW3のセンサONからラウンド間インターバル時間終了時までの区間(図67の区間D:tc〜t7)、SW1のセンサがONせず(右大入賞口50に入賞せず)、ラウンド間インターバル時間が終了するまでの区間(図67の区間E:t5〜te)、SW4のセンサONからラウンド間インターバル時間が終了するまでの区間(図67の区間F、G:td〜t7)、ラウンド間インターバル時間終了時(1R目終了時)から2R目以降の遊技区間(図67の区間H1、H2、H3など:t7〜ED)、といった各区間で現出すべき区間用演出種(区間独特の演出態様)が設けられている。なお、センサSW1〜SW4がONした場合は、主制御部20側から、SW1〜SW4のそれぞれに対応した「大入賞口入賞コマンド2」、「Vチャンスコマンド」、「V入賞コマンド」、「排出コマンド」が送信され、演出制御部24側では、これらコマンドを受信することにより、いずれのセンサSWがONしたのかを把握することができる。
(7−1.当り遊技中の演出シナリオ:図67〜図69A)
図67〜図68は、大当り遊技中の演出シナリオと、この演出シナリオに従って実行される大当り遊技中の演出種の推移とを示したもの、図69Aは、小当り遊技中の演出シナリオと、この演出シナリオに従って実行される大当り遊技中の演出種の推移とを示したものである。
(7−1−1.大当り遊技中の演出シナリオ:図67、図68)
まず図67および図68参照して、大当り遊技中の演出シナリオについて説明する。図67および図68に示すように、大当り遊技中の演出シナリオは、大当り種別とV役物内の各ルートとに対して、1つの演出シナリオが定まる関係になっている。「定まる関係になっている」と表現したのは、扱っているのが非時間管理型シナリオであることを考慮したものである。図67の例では、大当り5、6に係る大当り遊技中演出シナリオとして、各ルートに対応した複数のシナリオパターン(以下、単に「パターン」とも略称する)1〜4が、図68の例では、大当り5、6以外に係る大当り遊技中演出シナリオとして、パターン5〜8が用意されており、パターン1〜8の各々には複数の演出種A〜Gの少なくとも1つの演出種が、それらが縦続接続的に繋がる形で、つまり時間軸上で現出する順位が定まる形で前後して含まれている。ただし、演出種A〜Gに関し、一の演出種から他の演出種に切り替わる時点はあらかじめ定まっていない。演出種A〜Gは時間管理型シナリオではなく非時間管理型シナリオの構成要素として存在するからである。これら演出種A〜Gは、右大入賞口50への入賞の有無やセンサSW1〜SW4の検出タイミングを、遊技進行に適合するシナリオであるか否かの判断契機とし、その判断結果として適合するシナリオにおいて現出することとなる演出である(図69A、図69Bの小当り遊技中演出についても同様)。
演出種A〜Gには、これに属する演出として、図71に示すように、1または複数種類演出(具体的演出)が用意されている。演出種に属する具体的演出が複数種類設けられている場合は、各演出を順次にまたは重複的に現出させる。また、特定の具体的演出には、複数種類の具体的演出が設けられている場合がある。たとえば、図71(イ)に示すように、演出種Aの「索敵演出」には、その演出内容が異なる演出A1〜A3の三種類の演出が用意されている。この場合、複数種類の具体的演出のうちからいずれかを選択的に決定する(詳細は後述する)。なお本実施形態の場合、演出種A〜Gは、前後の演出種の相互間で内容の異なる演出(たとえば、前後の演出種の相互間でストーリー性を有するような物語風演出)が現出されるように別異な内容のものとしている(図69A、図69Bの小当り遊技中演出に係る演出種についても同様)。
(大当り遊技中演出シナリオパターン1)
図67において、「パターン1」の大当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が、大当り遊技の開始から「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」→「演出種D」→「演出種H1」と縦続的に繋がって現出されるようにしたシナリオである。
「演出種A」は、大当り遊技が開始した時点、つまり大当り抽選に当選して、オープニング演出用の演出時間幅の「開始インターバル(OP)」が開始した時点(時刻t3)から、右大入賞口50に入賞してセンサSW1がONとなる時点(時刻ta)までの区間か、または、右大入賞口50に入賞せずセンサSW1がONしなかったために右大入賞口50が閉鎖してしまった時点(時刻t5)までの区間(以下、両区間を合わせて「区間A」と称する)で現出する演出種を表している。
「演出種B」は、右大入賞口50に入賞してSW1がONとなった時点(時刻ta)から、遊技球がVチャンスルート(SPルート)に入ってセンサSW2で検出される時点(時刻tb)までの区間か、または、Vチャンスルートに入らずにスルールート(ハズレルート)に入って遊技球がセンサSW4で検出される時点(時刻td)までの区間(以下、両区間を合わせて「区間B」と称する)で現出する演出種を表している。
「演出種C」は、Vチャンスルートに入った遊技球がセンサSW2で検出された時点(時刻tb)から、特定領域63(V領域)に入ってV入賞したことがセンサSW3で検出される時点(時刻tc)までの区間か、または、非特定領域62(非V入賞領域)に入ってV入賞しなかったことがセンサSW4で検出される時点(時刻td)までの区間(以下、両者の区間を合わせて「区間C」と称する)で現出する演出種を表している。
「演出種D」は、遊技球が特定領域63に入ってV入賞したことがセンサSW3で検出された時点(時刻tc)から、1ラウンド終了インターバルが終了する時点(時刻t7)までの区間(以下、「区間D」と称する)で現出する演出種を表している。「演出種H1」は、これに続いて下大入賞口40にて行われる2ラウンド目以降の当り遊技に対する演出種である。
(大当り遊技中演出シナリオパターン2)
「パターン2」の大当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」→「演出種G」→「演出種H2」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオである。「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」の内容については既に説明したところと同じである。
「演出種G」は、非特定領域62に入ってV入賞しなかったことがセンサSW4で検出された時点(時刻td)から、1ラウンド終了インターバルが終了する時点(時刻t7)までの区間(以下、「区間G」と称する)で現出する演出種を表している。「演出種H2」は、演出種Gに続いて下大入賞口40にて行われる2ラウンド目以降の当り遊技に対応して現出される演出種である。大当りの場合、V入賞しない場合であっても、ラウンド間インターバルが終了すると(時刻t7)、下大入賞口40が開放されるラウンド遊技(2R〜16R)が実行されることになる(時刻t7〜時刻ED)。この点、後述のパターン3、4、6〜8についても同様である。
(大当り遊技中演出シナリオパターン3)
「パターン3」の大当り遊技中演出シナリオは、右大入賞口50に入賞したが、遊技球がVチャンスルートには行かずにスルールートを通過する場合の演出シナリオであり、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種B」→「演出種F」→「演出種H3」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオである。「演出種A」→「演出種B」については既に説明したところと同じである。
「演出種F」は、遊技球が非特定領域62に入ってV入賞しなかったことがセンサSW4で検出された時点(時刻td)から、1ラウンド終了インターバルが終了する時点(時刻t7)までの区間(以下、「区間F」と称する)で現出する演出種を表している。この区間Fは時刻td〜t7の期間を対象としているという点で区間Gと同じあるが、縦続接続の順位を異にしているため、区間Fの演出種Fは、区間Gの演出種Gとは内容が異なっている。「演出種H3」は、この演出種Fに続いて下大入賞口40にて行われる2ラウンド目以降の当り遊技に対応して現出される演出種である。
(大当り遊技中演出シナリオパターン4)
「パターン4」の大当り遊技中演出シナリオは、右大入賞口50に入賞しなかった場合の演出シナリオであり、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種E」→「演出種H3」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオである。「演出種A」については既に説明したところと同じである。
「演出種E」は、右大入賞口50に入賞せずセンサSW1がONしなかったために右大入賞口50が閉鎖してしまった時点(時刻t5)から、1ラウンド終了インターバルが終了する時点(時刻te)までの区間(以下、「区間E」と称する)で現出する演出種を表している。「演出種H3」は、この演出種Eに続いて行われる2ラウンド目以降の当り遊技に対する演出種であり、図67の例の場合、パターン3の場合と同じ演出が現出する演出種となっている。大当りの場合、入賞がないまま右大入賞口50が閉鎖された場合であっても、1ラウンド後のラウンド間インターバルが終了すると(時刻te)、下大入賞口40が開放されるラウンド遊技(2R〜16R)が実行される(時刻te〜時刻ED)。
(大当り遊技中演出シナリオパターン5)
「パターン5」の大当り遊技中演出シナリオは、「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」→「演出種H4」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオであり、「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」の内容については既に説明したところと同じである。ただしこのパターン5の場合、上記パターン1のV入賞時に現出される「演出種D」は、演出時間の関係上、これを除く演出シナリオとなっている(図68の備考欄参照)。「演出種H4」は、演出種Cに続いて行われる2ラウンド目以降の当り遊技に対する演出種であり、パターン1の「演出種D」に属する具体的演出(敵艦命中演出)は、この演出種H4に含まれる。
(大当り遊技中演出シナリオパターン6)
「パターン6」の大当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」→「演出種H5」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオであり、「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」の内容については既に説明したところと同じである。ただしこのパターン6の場合、上記パターン2のV入賞時に現出される「演出種G」は、演出時間の関係上、これを除く演出シナリオとなっている。「演出種H5」は、演出種Cに続いて行われる2ラウンド目以降の当り遊技に対する演出種であり、パターン2の「演出種G」に属する具体的演出(自艦被弾演出)は、この演出種H5に含まれる。
(大当り遊技中演出シナリオパターン7)
「パターン7」の大当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種B」→「演出種H6」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオであり、「演出種A」→「演出種B」の内容については既に説明したところと同じである。ただしこのパターン7の場合、上記パターン3の非V入賞時に現出される「演出種F」は、演出時間の関係上、これを除く演出シナリオとなっている。「演出種H6」は、演出種Bに続いて行われる2ラウンド以降の当り遊技に対する演出種であり、パターン3の「演出種F」に属する具体的演出(敵艦発見演出)は、この演出種H5に含まれる。
(大当り遊技中演出シナリオパターン8)
「パターン8」の大当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種H6」と縦続的に繋がって現出するようにした大当り遊技中演出シナリオであり、「演出種A」の内容については既に説明したところと同じである。ただし、このパターン8の場合、上記パターン4の非V入賞時に現出される「演出種E」を除く演出シナリオとなっている。本例のパターン8の場合、「演出種H6」は、パターン7で説明した「演出種H6」である。
(7−1−2.小当り遊技中の演出シナリオ:図69A)
次に図69Aを参照して、小当り遊技中の演出シナリオについて説明する。この図69Aの例では、小当り遊技中演出シナリオとして、各ルートに対応した複数のパターン9〜12が用意されており、パターン9〜12の各々には複数の演出種A〜Dおよび演出種X〜Zの少なくとも一つが、それらが縦続的に接続される形で含まれている。これらの演出種のうち、演出種A〜Dは、大当り遊技中演出シナリオ(図67、図68)のパターン1〜9に含まれるものと同じである。
(小当り遊技中演出シナリオパターン9)
図69Aにおいて、「パターン9」の小当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が、大当り遊技の開始から「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」→「演出種D」と縦続的に繋がって現出し、下大入賞口40が開放する際には「演出種H1」の演出種が現出するようにした小当り遊技中演出シナリオである。この「パターン9」は、大当り遊技中演出シナリオのパターン1と同じである。したがって、少なくともV入賞するまでは、演出上、当り遊技が秘匿されるようになっている。本実施形態の場合、V入賞した場合は、大当りの場合は図67のパターン1の演出種Dの敵艦命中演出が、小当りの場合は図69Aのパターン9の演出種Dの敵艦命中演出が現出される。しかし大当りの場合の演出種Dと小当りの場合の演出種Dとは、敵艦命中演出を現出する点では同じであるが、本実施形態では2種類の敵艦命中演出を用意しており、大当りの場合は、大当りであることを報知する「ロングバージョンの敵艦命中演出(時刻tc〜t7(62.5s):図66A参照)」、小当りの場合は、V当りであることを報知する「ショートバージョンの敵艦命中演出時刻tc〜ti(21s):図66A参照」となっている。
(小当り遊技中演出シナリオパターン10)
「パターン10」の小当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」→「演出種Z」と縦続的に繋がって現出するようにした小当り遊技中演出シナリオである。「演出種A」→「演出種B」→「演出種C」の内容については既に説明したところと同じである。
「演出種Z」は、非特定領域62に入ってV入賞しなかったことがセンサSW4で検出された時点(時刻td)から、小当り遊技のエンディング時間が終了する時点(時刻th)までの区間(以下、「区間Z」と称する)で現出する演出種を表しており、「演出種Z」は当該区間Zに対応するシナリオ(部分シナリオ)の構成要素となっている。「パターン10」は、大当り遊技中演出シナリオのパターン2と同じような構成であるが、小当り遊技中にV入賞しなかったケースに対応したシナリオであるため、2R目のラウンド遊技に対する演出種が存在しない。この点、大当り遊技中演出シナリオのパターン2(図67)と異なっている。
(小当り遊技中演出シナリオパターン11)
「パターン11」の小当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種B」→「演出種Y」と縦続的に繋がって現出するようにした小当り遊技中演出シナリオである。「演出種A」→「演出種B」の内容については既に説明したところと同じである。
「演出種Y」は、遊技球が非特定領域62に入ってV入賞しなかったことがセンサSW4で検出された時点(時刻td)から、小当り遊技のエンディング時間が終了する時点(時刻th)までの区間(以下、「区間Y」と称する)で現出する演出種を表しており、「演出種Y」は当該区間Yに対応するシナリオ(部分シナリオ)の構成要素となっている。この区間Yは時刻td〜thの期間を対象としているという点で区間Zと同じあるが、縦続接続の順位を異にしているため、区間Yの演出種Yは、区間Zの演出種Zとは内容が異なっている。この「パターン11」は、大当り遊技中演出シナリオのパターン3と同じような構成であるが、小当り遊技中にV入賞しなかったケースに対応したシナリオであるため、2R目のラウンド遊技に対する演出種が存在しない。この点、大当り遊技中演出シナリオのパターン3(図67)と異なっている。
(小当り遊技中演出シナリオパターン12)
「パターン12」の小当り遊技中演出シナリオは、これに含まれる演出種が「演出種A」→「演出種X」と縦続的に繋がって現出するようにした小当り遊技中演出シナリオである。「演出種A」については既に説明したところと同じである。「演出種X」は、右大入賞口50に入賞せずセンサSW1がONしなかったために右大入賞口50が閉鎖してしまった時点(時刻t5)から、小当り遊技のエンディング時間が終了する時点(時刻tf)までの区間(以下、「区間X」と称する)で現出する演出種を表しており、「演出種X」は当該区間Xに対応するシナリオ(部分シナリオ)の構成要素となっている。「パターン12」は、大当り遊技中演出シナリオのパターン4と同じような構成であるが、小当り遊技中にV入賞しなかったケースに対応したシナリオであるため、2R目のラウンド遊技に対する演出種が存在しない。この点、大当り遊技中演出シナリオのパターン4(図67)と異なっている。
(7−3.当り遊技中の演出シナリオの決定)
上記のように、大当り遊技中演出シナリオおよび小当り遊技中演出シナリオに係るシナリオパターン1〜12は、各演出種の1以上を縦続接続的に繋げることで、遊動領域59における遊技球の挙動に伴う遊技の進行に対応した1つの演出シナリオが構築されるようになっている。つまり、各パターン1〜12は、演出種A〜G、X〜Zの出現する順序については定まっているが、演出種の切り替わりタイミングについては、センサSWがONした時点等に関わるもので、最初からは定まっていない。本実施形態の場合、当り遊技中における右大入賞口50への入賞の有無や、Vチャンス(SP)ルートまたはハズレルートを通過したか否かや、V入賞の有無などの事象が発生したことがセンサSWにより把握されたことに応答して演出種が切り替わる時点が明らかになるとともに、現出させるべき演出種が定まる。このとき、次回の演出種として現出させるべきでない演出種を持つ不適合なシナリオパターンを排除し、適合するシナリオパターンだけを残す。これを繰り返すことにより演出種が現出する演出ストーリー(たとえば、演出相互間で関連性(ストーリー性等)を有する物語風演出)が歩進的に逐次進行して行き、最終的に、現出すべき当り中演出シナリオが1つに定まる(演出シナリオ進展型の当り中演出)。このように、当り遊技が開始された時点では、どのようなシナリオパターンが現出させるかは定まっておらず、当り遊技開始後における遊技球の挙動に応じて現出すべき当り中演出シナリオ(少なくともV入賞の有無が定まるまでの当り中演出シナリオ)が1つに定まることになる。
(7−3−1.シナリオ分岐について)
図67〜図69Aに示すa〜cは、一のシナリオパターンについて見た場合には、演出種A〜Gの1以上が縦続接続的に繋がる接続部分である。またa〜cは、パターン1〜12の相互の関係から見た場合には、各パターン1〜12のうちで演出進行に適合するシナリオを残し、適合しないシナリオパターンを除去(排斥)してゆく判断箇所でもある。本実施形態の場合、この判断箇所をa〜cの3つとしている。この判断箇所について、代表的に図67を参照して説明する。
図67において、大当り遊技中の当り中演出シナリオとして「パターン1」が最終的に選択されて残るケースを例にして説明する。大当り遊技が開始した時点では、シナリオパターン1〜4の全てが「選択対象シナリオ」として、RAMの所定領域に一時的に記憶保持され、これらに共通する「演出種A」に属する演出が実行される。その後、判断箇所aに至る。この判断箇所aは、右大入賞口50に入賞したか否か、つまりセンサSW1がONしたかが判明する箇所である。センサSW1がON(右大入賞口50に入賞)した場合は、これに適合する「シナリオパターン1、2、3」が残され、右大入賞口50に入賞しなかったケースの「シナリオパターン4」は不適合なものとして、現在選択中シナリオの記憶データから除去される。よって「シナリオパターン1〜3」が現在選択中シナリオとして記憶保持され、「演出種B」に属する演出が実行される。その後、判断箇所bに至る。
判断箇所bは、Vチャンスルートを通過してセンサSW2がONしたか、それともスルールートを通過してセンサSW4がONしたかが判明する箇所である。センサSW2がON(Vチャンスルートを通過)した場合は、これに適合する「シナリオパターン1、2」が残され、右大入賞口50に入賞しなかったケースの「シナリオパターン3」は不適合なものとして、現在選択中シナリオの記憶データから除去される。よって「シナリオパターン1〜2」が現在選択中シナリオとして記憶保持され、「演出種C」に属する演出が実行される。その後、判断箇所cに至る。
判断箇所cは、V入賞してセンサSW3がONしたか、それともV入賞せずにセンサSW4がONしたかが判明する箇所である。センサSW3がON(V入賞)した場合は、これに適合する「シナリオパターン1」が残され、V入賞しなかったケースの「シナリオパターン2」は不適合なものとして、現在選択中シナリオの記憶データから除去される。よって「シナリオパターン1」が現在選択中シナリオとして記憶保持され、「演出種D」に属する演出が実行される。その後、その後下大入賞口が開放されて「演出種H1」が実行される。
他のシナリオパターン2〜12についても同様である。右大入賞口50への入賞に対する有効入賞期間(センサSW1検出有効期間)、遊技球をセンサSW1〜SW4が検出する時点a〜cを演出種が切り替わる節目として、次回に現出すべき演出種が含まれている適合するシナリオであるか否かを判断し、この判断箇所a〜bで現出させることが不適当な演出を含むシナリオパターンが除外され、複数のパターンのうちから、当り遊技の進行に伴い現出すべき演出を含むシナリオパターンだけが残されて行く。判断箇所cを抜けたときに、最終的に適合する適切なシナリオパターンだけが残り、これが、今回の当り遊技についての当り中演出シナリオとして定まることになる。
<8.当り遊技中における演出>
次に、上記シナリオパターンに従って現出される当り中演出(演出シナリオ)について説明する。ここでは、自艦(主人公キャラクタ)と敵艦(敵キャラクタ)とが海戦を繰り広げる艦隊戦を模した「艦隊戦演出(バトル演出)」を採用した例について説明する。
(8−1.演出種A〜G、X〜Zに含まれる演出:図67〜図71)
次に図67〜図71を参照して、演出種A〜G、X〜Zに含まれる演出内容(具体的演出)について簡単に説明し、その演出の内容については、「9−1.具体例」にて後述する。
(8−1−1.演出種A〜Dについて)
本実施形態の場合、「演出種A」として、「遊技方法報知演出」と「索敵演出」の2つが用意されている。このうち「遊技方法報知演出」は、大当り遊技または小当り遊技の区間A内において最初に現出される演出であり、「索敵演出」は「遊技方法報知演出」に次いでまたは重複的に現出される演出である。「索敵演出」には、これに属する演出として、「演出A1(自艦が戦艦)」、「演出A2(自艦が巡洋艦)」、「演出A3(自艦が駆逐艦)」の3種類があり、抽選により、これらのうちのいずれか1つが選択されて現出される。その選択割合は図71(イ)の「演出種A抽選テーブル」に示す通りである。
また「演出種B」として「電探捕捉演出」が用意されており、これに属する演出として、「演出B1(捕捉艦影が近距離)」、「演出B2(捕捉艦影が中距離)」、「演出B3(捕捉艦影が遠距離)」の3種類があり、抽選により、これらのうちのいずれか1つが選択されて現出される。その選択割合は図71(ロ)の「演出種B抽選テーブル」に示す通りである。
また「演出種C」として「対峙演出」が用意されており、これに属する演出として、「演出C1(敵艦が駆逐艦)」、「演出C2(敵艦が巡洋艦)」、「演出C3(敵艦が戦艦)」、「演出C4(敵艦が航空母艦(空母))」の4種類があり、抽選により、これらのうちのいずれか1つが選択されて現出される。その選択割合は図71(ハ)の「演出C抽選テーブル」に示す通りである。
また「演出種D」として「敵艦命中演出」が用意されている。この「敵艦命中演出」は、V入賞後(遊技球が特定領域63を通過後)の区間Dにおける「演出種D」の演出として、抽選によらずに確定的に表示されるものである。
(8−1−2.演出種E、演出種F、演出種X、演出種Yについて)
次に、大当り遊技の当り中演出シナリオに係る「演出種E」および「演出種F」と、小当り遊技の当り中演出シナリオに係る「演出種X」および「演出種Y」とについて説明する。
大当り遊技に係る「演出種E」および「演出種F」には、「敵影消滅演出」と「疑似終了演出」と「敵艦発見演出」の3つが用意されており、区間E、Fにおいて、次々と現出される演出となっている。しかし、小当り遊技に係る「演出種X」および「演出種Y」は、このうちの「敵影消滅演出」の他、「終了演出」だけが用いられる(図69A参照)。
本実施形態では、大当り遊技に係る「疑似終了演出」と小当り遊技に係る「終了演出」とが同一または類似の演出態様となっており(後述の演出種G、Zも同様)、演出種Eは演出種Xのように装い、演出種Fは演出種Yのように装うことを可能にしている。つまり「演出種E」および「演出種F」の「敵影消滅演出」と「疑似終了演出」とは、見せかけの小当り遊技の当り中演出として、V役物抽選60により非V入賞(ハズレ)になったが如く装う演出(当り遊技秘匿演出)として働く。小当り遊技に係る「演出種X」および「演出種Y」の場合、非V入賞であれば、「終了演出」が終了して小当り遊技(当り中演出)が終了されることになる(図69A参照)。しかし、大当り遊技に係る「演出種E」および「演出種F」の場合には、「疑似終了演出」の後に、大当りであることを報知する復活演出として「敵艦発見演出(復活演出)」が現出され、大当りであったことが報知されるようになっている。この復活演出は、遊技者に有益となる旨を示す情報を報知するものであり、上記敵艦発見演出の他、後述の雷撃機登場演出がある。
このように「演出種E」および「演出種F」により、少なくともV入賞の有無が定まるまで当り遊技種別を秘匿し、大当り遊技の場合には見せかけの小当り遊技を作りだすことができる。その結果、遊技者に現在の当り遊技が如何なるものであるかを推測する楽しみを与えることができる。逆に、小当り遊技の観点から見れば、演出種X、Y、Zの演出内容により、少なくともV入賞の有無が定まるまで当り遊技種別を秘匿し、見せかけの大当り遊技を作り出することができる。
また上記「敵艦発見演出」には、これに属する演出として、「演出種E」および「演出種X」の場合は「演出E1(敵艦が駆逐艦)」、「演出E2(敵艦が巡洋艦)」、「演出E3(敵艦が戦艦)」の3種類があり、「演出種F」および「演出種Y」も同様に、「演出F1(敵艦が駆逐艦)」、「演出F2(敵艦が巡洋艦)」、「演出F3(敵艦が戦艦)」の3種類があり、抽選により、これらのうちのいずれか1つが選択されて現出される。その選択割合は図71(ニ)の「演出種E抽選テーブル」および同図(ホ)の「演出種F抽選テーブル」に示す通りである。
(8−1−3.演出種G、演出種Zについて)
次に、大当り遊技の当り中演出シナリオに係る「演出種G」と、小当り遊技の当り中演出シナリオの「演出種Z」とについて説明する。
大当り遊技に係る「演出種G」には、「自艦被弾演出」と「疑似終了演出」と「雷撃機登場演出」の3つが用意されている。これらは、上述した演出種Eや演出種Fと同じように、大当り遊技で、V役物抽選60により非V入賞(ハズレ)になったが如く装う区間Gにおいて、次々と現出される演出となっている。この「自艦被弾演出」と「疑似終了演出」は、V役物抽選60により非V入賞(ハズレ)になったが如く装う演出として働き、「雷撃機登場演出」は大当りであることを報知する「復活演出」として働く。小当り遊技に係る「演出種Z」は、「演出種G」の「敵影消滅演出」の他、「終了演出」だけが用いられる(図69A参照)。このように、演出種Gの演出内容は、上記演出種Eや演出種Fと同じく、当り遊技を秘匿し、見せかけの小当り遊技を作りだす演出として働く。
このように、大当り5、6の場合に現出されうる演出種E、F、Gの「疑似終了演出」は、小当り5、6で現出されうる演出種Zの「終了演出」と同一の演出態様となっており、演出種E、F、Gは、V役物抽選60により非V入賞(ハズレ)になったが如く装う他、小当り5、6による小当り遊技中であるが如く装う演出となっている。
(8−1−4.演出種H1〜H6について)
次に、演出種H1〜H6について説明する。「演出種H1〜H6」は、2ラウンド目以降に現出される演出であり、ここでは「決着演出」が用意されている。「決着演出」は、演出種H1〜H6に属する演出として時間管理型シナリオに従って展開される演出となっている。(図67〜図69A参照)。
上記「決着演出」には、図70の演出種H1〜H6の欄に示すように、敵艦轟沈演出を含む決着演出(W)、敵艦生存演出を含む決着演出(L)、敵艦轟沈演出および新敵艦発見演出を含む決着演出(N)といった複数種類の決着演出が設けられている。これらのうち、いずれの決着演出を現出するかは、当り種別に応じた決着演出が選択されるようになっている。換言すれば、「時短状態に移行(設定)される当り種別あるか否か」および/または「付与される時短回数」に応じて、演出内容の異なる決着演出が選択されるようになっている。
たとえば、演出種H1の場合、大当り5、小当り1、2、5(各時短回数95回付与)であれば、決着演出の内容が「敵艦轟沈演出(W)」となっており、大当り6、小当り3、4、6(時短回数0回(時短無し))であれば「敵艦生存演出(L)」となっている(図70の演出種H1の欄参照)。また、たとえば、演出種H4の場合、大当り1〜2(時短回数95回付与)であれば、決着演出の内容が「敵艦轟沈演出(W)」となっており、大当り3〜4(時短回数0回(時短無し)であれば「敵艦生存演出(L)」となっており、大当り7〜10(時短回数3、4、5、95回)であれば「敵艦轟沈演出および新敵艦登場演出(N)」となっている(図70の演出種H4の欄参照)。演出種H2、H3、H5、H6についても同様に、当り種別に応じた決着演出が選択される。上記「敵艦生存演出」については、たとえば、敵艦に攻撃が命中したが軽微な損傷しか与えられず、敵艦が生存している様を表現した演出内容となっており、上記「敵艦轟沈演出および新敵艦発見演出」については、敵艦を轟沈させたが、その後に新たな敵艦が登場する様を表現した演出内容となっている。
なお図70の演出種H4〜H6の欄中には、決着演出と一緒に、演出種D〜Fに属する他の演出(敵艦命中演出、自艦被弾演出、または敵艦発見演出)も示されているが、これは、演出種H4〜H6が現出される大当り種別(大当り5、6以外)は、ラウンド間インターバル時間が非常に短い当り種別であることから(図47、図68参照)、演出種D〜Fの演出を2ラウンド目以降の当り中演出にて現出させることとしたものである。演出種H4〜H6では、当り種別に対応した「敵艦命中演出、自艦被弾演出、敵艦発見演出」のいずれかが現出された後、「決着演出W、L、N」のいずれかが現出される、という、時間管理型シナリオに従って展開される演出となっている。
<9.具体例:大当り5の場合>
具体的に、大当り5に当選した場合を例にして、大当り遊技中に実行される当り中演出について説明する。大当り5に当選した場合、「当り遊技中演出シナリオ」全体のうちから、「大当り5」に向けて用意された「当り遊技中演出シナリオパターン1〜4」が当り中演出に係る選択対象シナリオとなる。このとき、演出種に属する具体的演出が複数種類ある場合、その具体的演出が図71に示す各抽選テーブルにより決定され、具体的演出を含めたシナリオパターンが初期の選択対象シナリオとして設定される。たとえば、パターン1を例にとれば、パターン1の演出シナリオを構成する演出種A、B、C、D、H1であるので、これらのうち演出種A、B、Cについて、演出種AにA1(自艦の艦種が戦艦)、演出種BにB1(近距離)、演出種CにC1(敵艦の艦種が駆逐艦)が抽選された場合、演出種A1、B1、C1、D、H1がパターン1に係る初期の選択対象シナリオとして設定される(他のパターンについても同様)。なお、「当り遊技中演出シナリオ」を選択するタイミングについて、本実施形態では当り遊技開始時(契機)としている。具体的には、演出制御部24が大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドを受信した場合、今回の当り種別に対応した選択対象シナリオを決定する。しかしこれに限定されず、大当り抽選が実行されてから大当り遊技が開始されるまでの所定のタイミング、たとえば、図柄変動表示ゲーム開始時(変動パターン指定コマンドを受信したとき)、図柄変動表示ゲーム終了時(変動停止コマンドを受信したとき)などとすることができる。また、図柄変動表示ゲーム開始を契機とする場合は、図柄変動表示ゲーム中の演出と、今回の当り種別に対応する当り中演出とを含めた演出シナリオを選択し、それぞれの演出開始タイミングの到来に基づいて、各種の演出を現出させることができる。また、具体的演出の抽選は、判断箇所a〜cでシナリオパターン1〜3を残すと判断された際に、抽選して選択可能に構成してもよい。
大当り5による大当り遊技は、大入賞口の開閉に関し、次の(I)〜(V)の過程を経て行われる。(I)21秒間のオープニング(オープニングインターバル(OP))、(II)1ラウンド目のラウンド遊技として長時間(1.6秒間)の右大入賞口50の開放、(III)全遊技球の排出後の長時間(62.5秒間)のインターバル(INT)、(IV)2〜6ラウンド目のラウンド遊技として、長時間(28.5秒)の下大入賞口40の開放と、7〜16ラウンド目のラウンド遊技として短時間の下大入賞口40の開放、(V)1.42秒のエンディング(終了インターバル)。以下では、この大当り遊技のうち、特に「オープニング」から「エンディング」までの過程で実行される演出を、図67、図70、および図71を参照しながら、時系列的に説明する。
(9−1.シナリオパターン1について)
まず、パターン1が実行される場合の演出種の推移について説明する。パターン1が実行される場合の演出は、非時間管理のシナリオに従う部分を主とし、これに追加的に時間管理型のシナリオに従う部分を加えたものとなる。この非時間管理のシナリオに従う部分が演出種の推移である。パターン1の場合、センサSW1、SW2、SW3が順次ONとなることで区間A〜H1が形成され、区間毎に演出種A、B、C、D、H1が配列される。つまり演出種A、B、C、D、H1が各センサSWの応答や所定の時間経過に基づき順に切り替わって行く。
(9−1−1.区間Aで現出する演出種Aの演出)
大当り5に対応する大当り遊技が開始されると、オープニングインターバル(OP)の開始と共に「演出種A」が開始される(図67の時刻t3)。区間Aにおける演出種Aの演出には、「遊技方法報知演出」と「索敵演出」の2種類があり、この順序で現出される。
すなわち、演出種Aでは、まず、大当り遊技開始後のオープニング時間(図66Aの時刻t3〜t4)において、当り遊技中の遊技の仕方を報知する「遊技方法報知演出」が実行される。本例では、通常遊技状態中に大当り5に当選したケースを扱っているので、ここでの遊技方法報知演出は、遊技方法が左打ちから右打ちに変化したこと、そして右打ちをして右大入賞口50に入賞させることを遊技者に報知する演出となっている。
次いで、オープニング時間(図67の時刻t3)から所定時間を経過すると(たとえば、図66Aの時刻t4:右大入賞口開放時刻)、自艦(主人公キャラクタ)が敵艦(敵キャラクタ)を撃破すべく、まずは電波探信儀を使用して敵艦を索敵する内容を表現した「索敵演出」が実行される。
この「索敵演出」については、演出内容が異なる演出A1〜演出A3の3種類の演出が用意されている。これらの演出A1〜演出A3は、大当り遊技中の艦隊戦演出(バトル演出)を通じて現出する自艦の艦種を示しており、演出A1は「戦艦」、演出A2は「巡洋艦」、演出A3は「駆逐艦」となっている。これらの艦種は、大当り遊技終了後に時短状態に移行設定される期待度(以下、「時短移行期待度」と称す)を表しており、自艦の艦種が「戦艦」であれば、時短移行期待度が最も高いことを示し、「巡洋艦」であれば、その期待度は中程度であり、「駆逐艦」であればその期待度が最も低いことを示す。これら3種類の艦種の中から1つを選択する抽選は、図70の(イ)に示す演出種A抽選テーブルを用いて行われ、当り種別に基づいて予め設定されている艦種毎の選択率に基づき決定される。
(演出種A抽選テーブル:図70(イ))
本例では、今回の当り種別として「大当り5」であるケースを扱っているため、図70(イ)の「大当り5」欄が参照される。大当り5の場合、演出A1(自艦が戦艦)が選択される確率は60%、演出A2(自艦が巡洋艦)が選択される確率は25%、演出A3(自艦が駆逐艦)が選択される確率は15%となっており、時短移行期待度が最も高い「演出A1(自艦が戦艦)」が選択され易くなっている。これに対し、たとえば、大当り種別が「大当り6」の場合、大当り遊技終了後に「通常遊技状態」に移行されることから、演出A1(自艦が戦艦)が選択される確率は15%、演出A2(自艦が巡洋艦)が選択される確率は25%、演出A3(自艦が駆逐艦)が選択される確率は60%というように、時短移行期待度が最も低い演出A3(駆逐艦)が選択され易くなっている。なお、時短回数が最大の95回を付与する大当り種別以外の時短回数を付与する「大当り7〜9(時短状態の移行契機となる特定の大当り種別)」については、時短回数が多い大当り種別ほど、巡洋艦の選択率が高くなるように設定されている。本実施形態の場合、時短回数3回付与の大当り7は50%、時短回数4回付与の大当り8は60%、時短回数5回付与の大当り9は70%で選択される。
(9−1−2.区間Bで現出する演出種Bの演出)
オープニング時間が終了すると、右大入賞口50が開放される(図66Aの時刻t4)。この右大入賞口50が開放している間にセンサSW1がONとなると(図67の時刻ta)、「演出種A」が終了し、判定箇所aにおいて右大入賞口50への入賞有り判定がなされる。ここで不適合なシナリオパターン4は排除され、パターン1〜3が残される。換言すれば、演出種Aの「索敵演出」中にセンサSW1がONとなると、演出シナリオの進展条件が成立し、「演出種A」の「索敵演出」が終了するとともに、パターン1〜3に共通の演出種である「演出種B」の「電探捕捉演出」が実行される。この演出種Bの「電探捕捉演出」は、演出種A(索敵演出)の内容に関連する演出内容となっており、演出種Aと演出種Bとの間では、その演出内容が相互に関連性を有するストーリー性のある演出となっている。
(演出種Bの電探捕捉演出)
演出種Bの「電探捕捉演出」については、演出B1〜演出B3の3種類の演出が用意されている。これらの演出B1〜演出B3は、電波探信儀で捕捉された敵影までの距離が相互に異なる演出内容となっている。電波探信儀が表示する敵影の距離には、近距離、中距離、遠距離の3種類があり、距離に反比例して対象となる艦影の大きさを示唆しており、これらの距離の大小が、時短移行期待度に対応している。具体的には、敵影までの距離が「近距離」であれば、敵艦が戦闘能力低の駆逐艦の可能性が高く(自艦の勝利可能性が高くなる)時短移行期待度が最も高いことを示し、「中距離」であれば、敵艦が戦闘能力中の巡洋艦である可能性が高く、その期待度は中程度であり、「遠距離」であれば敵艦が戦闘能力高の戦艦である可能性が高く(自艦の勝利可能性が低くなる)、その期待度が最も低いことを示す。これら3種類の距離の中から1つを選択する抽選は、図71の(ロ)に示す演出種B抽選テーブルを用いて行われ、当り種別に基づいて予め設定されている距離毎の選択比率に基づき実行される。
(演出種B抽選テーブル:図71(ロ))
今回の大当り種別は大当り5であるため、図70(ロ)の「大当り5」欄が参照される。大当り5の場合、演出B1(近距離)が選択される確率は55%、演出B2(中距離)が選択される確率は25%、演出B3(遠距離)が選択される確率は20%となっており、時短移行期待度が最も高い演出B1(近距離)が選択され易くなっている。これに対し、たとえば、大当り種別が「大当り6」の場合、大当り遊技終了後に「通常遊技状態」に移行されることから、演出B1(近距離)が選択される確率は25%、演出B2(中距離)が選択される確率は25%、演出B3(遠距離)が選択される確率は50%というように、時短移行期待度が最も低い演出B3(遠距離)が選択され易くなっている。なお、大当り7〜9については、図70(イ)の上記「索敵演出」の場合と同様に、時短回数が多い大当り種別ほど巡洋艦の選択率が高くなるように設定されている。
(9−1−3.区間Cで現出する演出種Cの演出)
演出種Bの「電探捕捉演出」中に、センサSW2がONとなると(時刻tb)、Vチャンスルート通過と判定され、演出種Bの「電探捕捉演出」が終了し、判断箇所bでの判断においてシナリオパターン1〜3のうちのパターン1、2だけが残す処理が実行され、次の演出として、パターン1〜2の「演出種C」の「対峙演出」が実行されることになる。一方、「電探捕捉演出」中に、SW4がONとなると(時刻td)、スルールート通過と判定され、演出種Bの「電探捕捉演出」が終了し、判断箇所bでの判断において、シナリオパターン1〜3のうちのパターン3だけを残す処理が実行され、後述の「演出種F」の「敵影消滅演出」が実行される。
本実施形態の「電探捕捉演出」では、敵影を見つけて、その敵影の艦隊が出現するか否かの演出が実行され、後続の「演出種C」または「演出種F」において、その結果に対する演出が実行されるようになっている。つまり、演出種Cまたは演出種Fは、演出種B(電探捕捉演出)の内容に関連する演出内容となっている。したがって、演出種Bと、演出種Cまたは演出種Fとの間では、その演出内容について、相互に関連性を有する演出となっており、演出種A→演出種B→演出種Cまたは演出種Fまでの一連のシナリオは、ストーリー性のある演出シナリオとなる。
(演出種Cの対峙演出)
演出種Bの「電探捕捉演出」中にセンサSW2がONすると、Vチャンスルート通過と判定され、「演出種C」の「対峙演出」が実行される。この演出種Cの「対峙演出」では、演出種Bの電探捕捉演出で捕捉した敵影が自艦の前に出現し対峙し、自艦と敵艦とによる海戦が繰り広げられる。
上記演出種Cの「対峙演出」には、演出C1〜演出C4の4種類が用意されており、これら演出C1〜演出C4は、敵艦の艦種(艦艇の種類)が相互に異なる演出内容となっている。すなわち敵艦の艦種には、「戦艦」、「巡洋艦」、「駆逐艦」、「空母」の4種類があり、各艦種は、時短移行期待度に対応している。敵艦の艦種が「駆逐艦」であれば、時短移行期待度が高いことを示し、「巡洋艦」であれば、その期待度は中程度であり、「戦艦」であればその期待度が最も低いことを示している。また、敵艦の艦種が「空母」は、であれば、時短移行期待度100%、つまり時短状態移行が確定的な「時短当確」を示すプレミアムキャラクタとなっている。また「空母」が選択されるのは、時短回数が最大の95回付与される大当り(大当り5、大当り10)となっている。これら4種類の艦種の中から1つを選択する抽選、つまり演出C1〜演出C4の中から1つを選択する抽選は、図71の(ハ)に示す演出種C抽選テーブルを用いて行われ、大当り種別に基づいて予め設定されている艦種毎の選択比率に基づき実行される。
(演出種C抽選テーブル:図71(ハ))
今回の大当り種別は大当り5であるため、演出C1(駆逐艦)が選択される確率は57%、演出C2(巡洋艦)が選択される確率は25%、演出C3(戦艦)が選択される確率は15%、演出C4(空母)が選択される確率は3%となっている。したがって、大当り5の場合、大当り遊技終了後に時短回数95回の時短状態に設定されることから、時短移行期待度が最も高い演出C1(駆逐艦)が選択され易くなっている。なお、たとえば、大当り種別が大当り6の場合、大当り遊技終了後に通常遊技状態に設定されることから、演出C1(駆逐艦)が選択される確率は15%、演出C2(巡洋艦)が選択される確率は25%、演出C3(戦艦)が選択される確率は60%、演出C4(空母)が選択される確率は0%というように、時短移行期待度が最も低い演出C3(戦艦)が選択され易くなっている
(9−1−4.区間Dで現出する演出種Dの演出)
演出種Cの「対峙演出」中に、センサSW3がONとなると(時刻tc)、V入賞したとの判定(SW3通過判定)がなされ、演出種Cの「対峙演出」が終了するとともに、判断箇所cにおいてシナリオパターン1だけが残され、「演出種D」の「敵艦命中演出」が実行される(時刻tc〜時刻t7)。一方、「対峙演出」中に、SW4がONとなると(時刻td)、非V入賞判定がなされ、「対峙演出」が終了するとともに、後述の「演出種G」の「自艦被弾演出」が実行される(時刻td〜時刻t7)。なお、「演出種D」または「演出種G」は、右大入賞口50内の全ての遊技球の排出後に開始されるラウンド間インターバル時間を利用して現出される。
このように「対峙演出」では、発見した敵艦と対峙し、その敵艦との海戦が繰り広げられる様を表現した演出が実行される。そして、後続の「演出種D」または「演出種G」において、敵艦に攻撃を命中させることができたか、それとも敵艦の攻撃が自艦に命中させられてしまったかの演出が実行され、その海戦結果に対する演出が実行されるようになっている。つまり、演出種Dまたは演出種Gは、演出種C(対峙演出)の内容に関連する演出内容となっている。したがって、演出種Dまたは演出種Gと、演出種Cとの間では、その演出内容について、相互に関連性を有する演出となっており、演出種A→演出種B→演出C→演出種Dまたは演出種Gまでの一連のシナリオは、ストーリー性のある演出シナリオとなっている。
(演出種Dの敵艦命中演出)
次に、演出種Dの「敵艦命中演出」について、具体的に説明する。演出種Dでは、演出種Cの対峙演出の内容に関連した演出として、V入賞を報知する「V」の文字画像を画面に表示する「V表示演出」を現出し、V入賞したことを遊技者に報知する(たとえば、図66B(f)のV表示演出)。その後、自艦の艦種(演出種Aの索敵演出の演出内容)と敵艦の艦種(演出種Cの対峙演出の演出内容)に応じた砲撃戦・水雷戦などが展開される様子が流れ、自艦の攻撃が敵艦に命中する様を表現した「敵艦命中演出」が実行される。なお本実施形態の場合、演出種Dの「敵艦命中演出」における「V表示演出」は、「V当り」を獲得した(V入賞した)、という遊技者に有益となる旨を示す情報を報知するものであり、大当り遊技である場合と小当り遊技である場合とのいずれにおいても現出されうる演出となっている。ただし後述の演出種H4の敵艦命中演出においては、下大入賞口が開放される2ラウンド目以降の演出種である関係上、「V表示演出」を表示する必要性に乏しいため、これを現出させないようになっている。
(9−1−5.演出種H1の演出)
ラウンド間インターバルが終了すると(時刻t7)、下大入賞口40が開放されるラウンド遊技が2R〜16Rにわたり行われる。
(演出種H1の決着演出)
この下大入賞口40が開放される2R目のラウンド遊技が開始されると(時刻t7)、演出種Dが終了し、次の演出種H1の「決着演出」が実行される。この演出種H1の「決着演出」は、大当り遊技が終了するまで、つまり16Rのラウンド遊技が終了して、終了インターバルのエンディング時間が終了する時点まで実行される。
今回の大当り種別は大当り5であるため、この演出種H1の「決着演出」では、演出種Dの敵艦命中演出において敵艦に攻撃が命中した結果演出に関する演出が現出される。ここでは、自艦の攻撃が敵艦に命中した結果、敵艦が轟沈する様子を表現した「敵艦轟沈演出」と、戦闘員が生気溌溂と大空にはためく旭日旗を見上げながら皇国の勝利を祝う様子「祝福演出」などを含む演出内容となっている。また、この「決着演出」では、大当り遊技終了後に「時短回数95回」の時短状態に移行設定されることを報知するとともに、その時短状態における演出モードを選択させる演出も行われる。具体的には、上記の「バトルモード」にするか「学園モード」にするのかを選択させる演出が行われる。このように、演出種H1は、演出種D(敵艦命中演出)の内容に関連する演出内容となっており、本実施形態の場合、「演出種A→演出種B→演出C→演出種D→演出種H1」の一連のシナリオを以って、パターン1のストーリーが完結することになる。なお上述の「演出種H1」の他、演出種H2〜H6は、2ラウンド目以降の当り中演出であり、またその後に判断箇所が存在しない時間管理型シナリオであることを考慮し、パターン1〜パターン9(図68、図69AA)において演出種H1〜H6を除く少なくとも2ラウンド目開始前まで演出シナリオ(たとえば、パターン1であれば「演出種A→演出種B→演出C→演出種D」)で1つの意味を持つストーリーが完結するように構成してもよい。
(9−2.シナリオパターン2について)
次に、他のパターン2〜4の演出について、まずはパターン2の演出から説明する。
パターン2では、演出種A(遊技方法報知演出、索敵演出)→演出種B(電探捕捉演出)→演出種C(対峙演出)→演出種G(自艦被弾演出、疑似終了演出、雷撃機登場演出)→演出H2(決着演出)というように、縦続的に繋がって現出し、ストーリーが進行する。パターン2の演出種A〜演出種Cまでは、上記パターン1の場合と同じであり、異なるのは、区間Gで現出される演出種G以降とこれに続く演出種H2とが含まれている点である。
V入賞しないままスイッチSW4がONになった場合(時刻td)、演出種Cが終了し、判断箇所cにおいて、シナリオパターン1,2のうちのシナリオパターン2のみを残す処理が実行され、次の演出として「演出種G」が実行される。「演出種G」では、敵艦の攻撃が自艦に命中してしまう「自艦被弾演出」、V入賞しなかったことを報知する「疑似終了演出」、味方雷撃機群が登場して敵艦を雷撃する「雷撃機登場演出」がこの順序で現出される(時刻td〜時刻t7)。「演出種G」が終了すると、演出種G(雷撃機登場演出)に関連した「演出種H2」が現出される(時刻t7)。この演出種H2では、演出種Gの「雷撃機登場演出」において、雷撃機群が敵艦に航空魚雷を発射して敵艦に攻撃が命中した結果、敵艦が轟沈する様子を表現した「敵艦轟沈演出」を含む祝福演出が実行される(時刻t7〜ED)。
(9−3.シナリオパターン3について)
パターン3では、演出種A(遊技方法報知演出、索敵演出)→演出種B(電探捕捉演出)→演出種F(敵影消滅演出、疑似終了演出、敵艦発見演出)→演出種H3(決着演出)というように、演出が縦続的に繋がって現出し、ストーリーが進行する。パターン3の演出種A〜演出種Bまでは、上記パターン1、2の場合と同じであり、異なるのは、演出種Bに続いて演出種Fが現出し、これに演出種H3が続く点である。
(演出種Fの敵影消滅演出、疑似終了演出、敵艦発見演出)
演出種Bの「電探捕捉演出」中に、センサSW4がONとなった場合(時刻td)、演出種Bが終了し、判断箇所bにおいて、スルールート通過と判定されるため、シナリオパターン1〜3のうちのパターン3だけを残す処理が実行され、次の演出として「演出種F」が実行される。この「演出種F」として、敵影を見失う「敵影消滅演出」、V入賞しなかったことを報知する「疑似終了演出」、敵艦を再度発見する「敵艦発見演出」が、この順序で現出される(時刻td〜時刻t7)。「演出種F」が終了すると、この演出種F(敵艦発見演出)に関連した「演出種H3」が現出される。この演出種H3では、演出種Fの「敵艦発見演出」により発見した敵艦を、自艦の急襲攻撃により敵艦に攻撃が命中した結果、敵艦が轟沈する様子を表現した「敵艦轟沈演出」を含む祝福演出が実行される(時刻t7〜ED)。
(9−4.シナリオパターン4について)
パターン4では、演出種A(遊技方法報知演出、索敵演出)→演出種E(敵影消滅演出、疑似終了演出、敵艦発見演出)→演出種H(決着演出)というように、演出が縦続的に繋がって現出し、ストーリーが進行する。パターン4の演出種Aまでは、上記パターン1、2、3の場合と同じであり、異なるのは、演出種Aに続いて演出種Eが現出し、これに演出種H3が続く点である。
(演出種Eの敵影消滅演出、疑似終了演出、敵艦発見演出)
演出種Aの「索敵演出」中に、センサSW1がONとならずに右大入賞口50が閉鎖すると、判断箇所aにおいて、入賞無しとの判定がなされて、シナリオパターン1〜4のうちのパターン4だけを残す処理が実行され、次の演出として「演出種E」が実行される。この演出種Eは、演出種Eと同様の「敵影消滅演出」、「疑似終了演出」、「敵艦発見演出」が、この順序で現出される(時刻td〜時刻t7)。「演出種E」が終了すると、上記「演出種H3」が現出される(時刻t7〜ED)。
(まとめ)
このように、当り遊技が開始されると、まず初期段階の演出種Aの「索敵演出」が実行される。そして、センサSW1の検出結果(判断箇所a)に応じて演出シナリオを進展させ、「索敵演出」対する演出結果として、演出種Bの「電探捕捉演出」または演出種Eの「艦影消滅演出、疑似終了演出、敵艦発見演出」が実行される。また演出種Bの電探捕捉演出では、センサSW2の検出結果(判断箇所b)に応じて演出シナリオを進展させ、Vチャンスルートに入ったときは演出種Cにシナリオを進展させ「対峙演出」が実行され、Vチャンスルートではなくスルールートに入ったときは、演出種Fにシナリオを進展させ「艦影消滅演出、疑似終了演出、敵艦発見演出」が実行される。また、演出種Cの「対峙演出」では、センサSW3の検出結果(判断箇所c)に応じて、V入賞であれば演出種Dにシナリオを進展させの「敵艦命中演出」が実行され、非V入賞であれば演出種Gにシナリオを進展させ「自艦被弾演出、疑似終了演出、敵艦発見演出」が実行される。そして、演出種D、E、E、またはGの演出を終えると、その演出種に対応して、最終段階の演出種H1、H2、またはH3の「決着演出」が実行される。
以上のように本実施形態では、初期の複数種類の選択対象シナリオを決定した後、右大入賞口50や遊動領域59に形成されたセンサSW1〜4の検出結果に応じて、初期の演出シナリオが取捨選択されていき、最終的には1つの演出シナリオが選択される。具体的には、初期の演出シナリオの演出内容がセンサSW1〜4の検出結果に応じて、最終段階の演出内容に向けて進展していき、結果的に、一つのストーリーを持つ演出シナリオが完成するようになっている。これにより、遊動領域59内のように遊技球が通過しうるルートが複数種類ある場合やV抽選役物がある場合であっても、遊技球の挙動に適した当り中演出を現出させることができる。
(時短状態下の当りについて)
また以上では、通常遊技状態下で当選した当りによる当り遊技中の演出について説明したが、時短状態下で当選した当りによる当り遊技中の演出についても、オープニング時間や右大入賞口50の開放動作時間やセンサSW通過時のインターバル時間などを考慮した複数種類の演出種を設け、図67〜図71で説明した演出シナリオ進展型の当り中演出と同様の構成とすることができる。
たとえば、時短状態下で大当りに当選した場合のオープニング時間や右大入賞口50の開放動作時間やセンサSW通過時のインターバル時間は、通常遊技状態下で大当り1〜4、7〜10に当選した場合と同様であるため(図47の特図2の大当り11〜17、特図1の大当り1〜4、大当り7〜10の欄参照)、図68に示す演出シナリオと同様な構成とすることができる。
本実施形態では、時短状態下で小当りに当選した場合、通常遊技状態下で小当りに当選した場合のオープニング時間(図48のオープニングの欄参照)や、右大入賞口50に入賞しなかった場合の終了インターバル時間(エンディング時間)が異なるため、図69Aに示す演出シナリオのうちの演出種Aと演出種Xの演出内容が次のように異なる。
図69Bを参照して、「パターン13〜15」の演出種Aでは、遊技方法報知演出が現出されず、索敵演出だけが現出される。遊技方法報知演出が含まれないのは、時短状態中の場合、既に遊技者が右打ちをしている状態であると考えられるため、遊技方法報知演出をあえて現出させる必要性に乏しいからである。
また、図69Bにおいて「パターン16」は、演出種Aだけで構成される演出シナリオとなっている。これは、既に説明したように、時短状態中の小当り遊技中において、右大入賞口50に入賞しなかった場合は、遊技の消化速度を速める等を目的として、終了インターバル時間(エンディング時間)をゼロまたは数ms(略ゼロ)とし、エンディング演出を実行しない構成としており、演出種Aの「索敵演出」で小当り遊技中の演出が終了させるようになっている。したがって、「パターン16」の時短状態時の小当り遊技中演出シナリオには、図69Aに示す「パターン12」演出種Xは含まれない構成(現出させない構成)となっている。
下記に好ましい実施形態について記載しておく。
(1)複数種類の当りを対象に抽選を行う抽選手段(図11の特別図柄管理処理、図15)と、
遊技に関する演出表示が可能な表示手段(液晶表示装置36)と、
前記表示手段において演出表示を表示制御する表示制御手段(演出制御部24)と、
所定の開閉動作パターンで開閉動作が可能な可変入賞手段(第1の特別変動入賞装置42、第2の特別変動入賞装置52)と、
前記可変入賞手段に入球した遊技球を所定の検出位置にて検出する検出手段(SW1〜SW4)と、
前記当りの種類に応じた動作パターンで前記可変入賞手段を開閉して当り遊技を実行制御する当り遊技制御手段(主制御部20、図11のS60(特別電動役物管理処理))と、
前記当り遊技が終了した後、所定条件が成立するまで(時短回数が消化されるまで)、通常遊技(通常遊技状態)よりも有利な特典遊技(時短状態:図38、図39、図42、図43)を実行制御可能な特典遊技制御手段と、を備えた遊技機であって、
前記特典遊技制御手段は、
前記当りの種類が第1当り(大当り)である場合、第1当り遊技(大当り遊技)が実行された後、前記所定条件として第1所定条件(時短回数消化)が成立するまで特典遊技(時短状態)を実行制御し、
前記第1所定条件は、前記当りの種類が第2当り(小当り)となる回数が所定回数に達することを含み(たとえば特電回数が、小当り当選回数でカウントされる場合や、小当り遊技実行回数でカウントされる場合(小当り遊技開始時または小当り遊技終了時に特電回数を減算する場合など))、
前記当り遊技制御手段は、
前記当りの種類が第2当りである場合、前記当り遊技として第2当り遊技(小当り遊技)を実行し、
前記表示制御手段は、
前記特典遊技(時短状態)において前記当りの種類が第2当り(小当り)である場合、前記第2当り遊技中に所定の演出シナリオを選択して(たとえば図34(c)のRAM1〜4)表示制御可能であり、
前記検出手段(SW1〜SW4)により遊技球が検出された場合、前記演出シナリオの演出内容を進展させる、
ことを特徴する遊技機。
(2)前記特典遊技において、
今回の第2当り(小当り)が前記所定回数に達することとなる当りではない場合(今回の小当り当選に起因して時短回数が0回(時短回数終了)とはならない場合)、前記表示制御手段によって選択される演出シナリオの中に、最終的に前記特典遊技が終了することを報知する演出シナリオは含まれず(たとえば図34(c)のRAM1〜4に記憶されたシナリオに該当しない)、
今回の第2当りが前記所定回数に達することとなる当りである場合(今回の小当り当選に起因して時短回数が0回(時短回数終了)となる場合)、前記表示制御手段によって選択される演出シナリオの中に、最終的に前記特典遊技が継続することを報知する演出シナリオは含まれないが、最終的に当り遊技(V当りまたはV当り遊技)となることを報知する演出シナリオ(たとえば図34(c)のRAM1に記憶されたシナリオ)は含まれる、
ことを特徴とする上記(1)に記載の遊技機。
(3)今回の当りが第2当り(小当り)である場合において、その第2当りが前記通常遊技(通常遊技状態)における当りであり、かつ、前記可変入賞手段に遊技球が入球しなかった場合、前記可変入賞手段を所定の開閉動作パターンで動作させた後、第1所定時間(図58のt5〜tf)の経過を待って次の遊技を開始させ、
前記第2当りが前記特典遊技における当りであり、かつ、前記可変入賞手段に遊技球が入球しなかった場合、前記可変入賞手段を所定の開閉動作パターンで動作させた後、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間(図58のt5〜tf=0、またはt5〜t6未満、またはt5〜tf未満)の経過を待って次の遊技を開始させる、
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の遊技機。
<10.特定の小当り種別当選時と特定の大当り種別当選時とに関する共通煽り演出:図66A、図66B>
本実施形態の弾球遊技機は、特別図柄の当り抽選で大当りに当選した場合、V抽選の有無に拘わらず大当りが確定しているため、V抽選遊技に興味を示さなくなることが危惧される。そこで、本実施形態では、大当り遊技中と小当り遊技中のいずれの場合においても、特定演出表示(図66B)が現出可能であり、この特定演出表示が、少なくとも第1区間(図66Bの(a)〜(d))と第2区間(図66Bの(e)〜(h))から構成されるようにする。そして、第1区間については、大当りである場合と小当りである場合のいずれにおいても、互いに同一または類似する共通表示態様(図66Bの(a)〜(d))で構成され、第2区間は、当りの種類が大当りである場合は、遊技者に有益となる旨を示す情報(大当りである旨)を含む第1表示態様(図66Bの(g)復活演出)で構成され、当りの種類が小当りである場合は、遊技球が特定領域(V領域)を通過した場合は、遊技者に有益となる旨を示す情報(V当りである旨)を含む第2表示態様(図66Bの(f)V入賞演出)で構成され、遊技球が特定領域を通過しなかった場合は第1情報を含まない第3表示態様(図66Bの(e)非V入賞(終了表示)→(h)次変動開始)で構成されるようにする。より詳しくは、大当りが抽選された場合に選択されうる第1の特定変動パターンに関連する演出と、小当りが抽選された場合に選択されうる第2の特定変動パターに関連する演出とが同一の演出態様となるように定め、大当り遊技において可変入賞手段に遊技球が入球した場合、当該遊技球が非特定領域を通過するまでの間は特殊演出(図66Bの(a)〜(d))を現出させ、当該遊技球が非特定領域を通過した場合には非特定領域通過演出を現出させ、小当り遊技において可変入賞手段に遊技球が入球した場合、当該遊技球が非特定領域を通過するまでの間は前記特殊演出(図66Bの(a)〜(d))を現出させ、非特定領域を遊技球が通過した場合には前記非特定領域通過演出を現出させ、前記非特定領域通過演出を現出した後に、V当りである旨を報知する当選演出を現出する。
図66A、図66Bは、通常遊技中に特定の大当りまたは特定の小当りに当選した場合の演出の説明に供する説明図である。本実施形態では、大当り5と小当り5、大当り6と小当り6などの当り同士に関し、当り遊技態様に共通性(図47、図48参照)があることに着目し、これらの当りが当選した場合、当選時の図柄変動表示ゲームおよびその後の当り遊技の一部の区間において、共通する演出態様(共通煽り演出:(図66Bの(a)〜(d)))を現出させる。これにより、いずれの当りが当選したのかを遊技者から秘匿可能な構成とし、当選種別に関する期待感や緊張感を煽り、遊技興趣を向上させることができるようになっている。以下に、上記共通煽り演出について詳述する。なお、以下では「大当り5または小当り5」が当選した場合に現出される演出について説明し、「大当り6または小当り6」に当選した場合については、重複記載を避けるために適宜省略する。
(10−1.大当り5または小当り5の当選時に係る図柄変動表示ゲーム中の共通煽り演出について)
まず図66Aおよび図66Bを参照して、大当り5または小当り5に当選したときの図柄変動表示ゲーム中に現出される演出(変動中共通煽り演出)について説明する。
図66Aにおいて、(a)時刻t1は変動表示を開始した時点を示し、(b)時刻t1〜t2は変動表示中を示し、(c)時刻t2〜t3は、確定表示中(500ms)を示している。図66Bの(a)〜(c)は、この(a)〜(c)で述べた、時刻t1〜t2の区間、t2〜t3の区間に対応して現出される演出の概要を例示したものである。図66Bの例では、(a)〜(c)の区間において、装飾図柄の変動表示態様、現出される予告演出(たとえば、図66Bの(b)のキャラクタによる予告演出、リーチ演出(不図示)など)、最終的に停止させる装飾図柄の組合せ(ここでは、図66Bの(c)の「357」の停止目)、そのときの背景演出などを、同一としている。これにより、今回の図柄変動表示ゲームにおいて、演出上、大当り5または小当り5のいずれに当選したのかが秘匿(完全秘匿状態)されることとなる。
(10−2.大当り5または小当り5の当選時に係る当り遊技中の共通煽り演出について)
次に図66Aおよび図66Bを参照して、大当り5または小当り5に当選したときの当り中演出(当り中共通煽り演出)について説明する。
大当り5または小当り5に当選し、装飾図柄が「357」の組み合わせで停止すると(図66B(c))、当り遊技(大当りの場合は1R目のラウンド遊技、小当りの場合は小当り遊技)が開始される。既に説明したように、当り遊技が開始されると、まず開始インターバル(時刻t3〜t4:21000ms(通常遊技状態中)、500ms(時短状態中))を置いて、右大入賞口50が開放される。「大当り5」または「小当り5」の場合、この右大入賞口50の最大開放時間は1600msであり、右大入賞口50に入賞する可能性が十分にある開放時間幅となっている。
ここで、大当りの場合には、右大入賞口50への入賞の有無、V入賞の有無によらず、大当り遊技が実行される。小当りの場合には、右大入賞口50に入賞しなかった場合、上記最大開放時間1600msの後に右大入賞口50が閉鎖され(時刻t4〜t5)、エンディング時間経過(図69Aの時刻t5〜tf、図66Aの「7’のエンディング」の欄の34.5s)とともに小当り遊技が終了する。しかし、右大入賞口50に入賞した場合には(時刻ta)、遊動領域59内のSPアーム役物58や抽選役物60等の役物によりV入賞するか否かが定まり(時刻tcまたは時刻td)、V入賞した場合には、大当り遊技態様と同じ遊技態様のV当り遊技が実行され(時刻ti)、V入賞しなかった場合には、エンディング時間経過(図69Aの時刻td〜th、図66Aの「7’のエンディング」の欄の34.5s)とともに小当り遊技が終了する。このように小当りの場合、右大入賞口50へ入賞しなかったケース、またはV入賞しなかったケースにおいては、大当りの場合と当り遊技態様が大きく変化する。したがって、これらのケースを考慮して、大当り5と小当り5とで共通の当り中演出(当り中共通煽り演出)を現出させることで、大当り5であるか小当り5であるかを遊技者から秘匿することができる。
図66Bの例では、右大入賞口50に入賞したケースを示している。図示の(d)には「当り遊技開始」と表記しているが、正確には、当り遊技開始(時刻t3)からV入賞するか否かが定まるまで(時刻tcまたは時刻td)の区間における演出を示したものであり、少なくとも当該区間において現出される演出が大当り5と小当り5とで共通する演出となっている。これによりV入賞するか否かが定まるまで共通煽り演出が現出され、少なくともV入賞の有無が決定されるまでは大当り5であるか小当り5であるかを秘匿して、内部的には大当り5による当り遊技であった場合には、小当り5による当り遊技であるが如く装うことを可能にし、逆に、内部的には小当り5による当り遊技であった場合には、大当り5による当り遊技であるが如く装うことを可能にすることができる。しかし、V入賞の有無が決定された後は、小当り5であったか大当り5であったかが判明する演出が現出されるようになっている。
(非V入賞の場合)
図66Bの(e)(g)(h)は、非V入賞時の演出を示したものであり、(e)→(g)のルートは、大当り5の場合の演出を、(e)→(h)のルートは、小当り5の場合の演出を示したものである。小当り5の場合、非V入賞後(時刻td)、エンディング演出として、図69Aのパターン10の演出種Z(自艦被弾演出+終了演出:時刻td〜th(34.5s))または図69Aのパターン11の演出種Y(敵影消滅演出+終了演出:時刻td〜th(34.5s))が現出される。図66B(e)は、小当り遊技の終了を告げる終了演出の一例として、小当り遊技開始直前に表示されていた同一または類似の演出内容、つまり同図(c)の「所定の背景演出+停止目‘357’」を表示し、今回の小当り遊技が終了を告げる演出内容を例示したものである。そして、作動保留球がある場合は、次回の図柄変動表示ゲームが開始されることになる(図66B(h))。
しかし、大当り5の場合、上述した小当り5のケースとは異なり、次のような演出が展開される。
非V入賞後(時刻td)、ラウンド間インターバル中の演出として、図67のパターン2の演出種G(自艦被弾演出+疑似終了演出+雷撃機登場演出(復活演出):時刻td〜t7(62.5s))または図67のパターン3の演出種F(敵影消滅演出+疑似終了演出+敵艦発見演出(復活演出):時刻td〜t7(62.5s))が現出され、その後、2ラウンド目以降の大当り遊技が実行される。図66B(e)の例は、疑似終了演出として、大当り遊技開始直前に確定表示された停止目「357」が表示され、その後、復活演出として、雷撃機登場演出が現出される(図66B(g))。つまり、非V入賞の場合、大当り時のパターン2の復活演出が現出される前(図66A時刻thに相当)の演出内容と小当り時のパターン10の演出内容とが同一のものとなっており、また大当り時のパターン3の復活演出が現出される前(図66A時刻thに相当)の演出内容と小当り時のパターン11の演出内容とが同一のものとなっている。このように、大当り5の非V入賞の場合、時刻thに相当する34.5sまでは小当り5の場合と同じ演出を実行し、その後の時刻th〜t7の28秒間を使って復活演出を現出させ、それまで小当りのように装っていた演出結果を否定する。つまり、大当りである場合に、当り中共通煽り演出により、先に小当りの場合であると見せかけておき(見せかけの小当り遊技)、その後の復活演出により大当りであることを告げて、小当り→大当りの順に、遊技者を煽る演出を現出させる。これにより、遊技者が「V当りが獲得できなかった」という落胆した状態から「実は大当りであった」という安心感を与えるとともに、遊技に対する興趣を高揚させることができる。
(V入賞した場合)
図66Bの(f)は、V入賞時の演出を示したものである。V入賞した場合は、その演出として、大当りの場合は図67のパターン1の演出種D(敵艦命中演出:時刻tc〜t7)、小当りの場合は図69のパターン9の演出種D(敵艦命中演出:時刻tc〜ti)が現出される。また既に説明したように、大当りの場合の演出種Dと小当りの場合の演出種Dとは、敵艦命中演出を現出する点では同じであるが、大当りの場合は、大当りであることを報知する「ロングバージョンの敵艦命中演出(62.5s)」、小当りの場合は、V当りであることを報知する「ショートバージョンの敵艦命中演出(21s)」となっている。図66B(f)の例では、敵艦命中演出におけるV入賞時の演出として、旭日旗の画像に「V」の文字を表示した「V表示演出」を示したものである。ここで、旭日旗の表示演出とともに、当り種別に関する情報を報知する演出を現出させてもよく、たとえば大当りの場合には「V777」、小当りの場合には「V357」というように、装飾図柄の組合せを併せて表示してもよい。「敵艦命中演出」の終了後は(時刻t7または時刻ti)、演出種H1の「決着演出」が実行される。
なお、図示はしていないが、右大入賞口50に入賞しなかった場合について、大当りの場合は、図67のパターン4の演出種E(敵影消滅演出+疑似終了演出+敵艦発見演出(復活演出):時刻t5〜te(62.5s))が現出され、その後、2ラウンド目以降の大当り遊技が実行される。小当りの場合は、図69のパターン12の演出種X(敵影消滅演出+終了演出:時刻t5〜tf(34.5s))が現出され、小当り遊技が終了し、作動保留球がある場合は、次回の図柄変動表示ゲームが開始されることになる(図66B(h))。大当りの場合については、復活演出が現出されることで、上述した非V入賞時と同様に、遊技者が「V当りが獲得できなかった」という落胆した状態から「実は大当りであった」という安心感を与えるとともに、遊技に対する興趣を高揚させることができる。
(変形例)
上記実施形態では、複数種類の当りを対象に抽選を行う抽選手段(図11の特別図柄管理処理、図15)と、遊技に関する演出表示が可能な表示手段(液晶表示装置36)と、前記表示手段において演出表示を表示制御する表示制御手段(演出制御部24)と、所定の開閉動作パターンにより、開閉可能に構成された可変入賞手段(第1の特別変動入賞装置42、第2の特別変動入賞装置52)と、前記可変入賞手段に入球した遊技球が通過可能に構成された特定領域(63)と、前記抽選手段により抽選結果が当りの場合に、前記可変入賞手段を所定の動作パターンで開閉させる当り遊技を実行制御する当り遊技制御手段(特別電動役物管理処理:図11のS060、図19)と、前記当り遊技が終了した後、所定条件が成立するまで、通常遊技よりも有利な特典遊技を実行制御可能な特典遊技制御手段(V入賞時設定処理:図25のS645、大当り終了処理:図27のS593)と、を備えた遊技機であって、
前記複数種類の当りには、少なくとも第1当り(大当り)と第2当り(小当り)とが含まれ、前記当り遊技制御手段は、前記抽選手段により前記第1当りが抽選された場合(図43の大当り5,6時の1R目の開放、図56の大当りの場合)、第1当り遊技を実行する第1当り遊技制御手段と、前記抽選手段により前記第2当りが抽選された場合(図44の小当り時の開放、図56の小当りの場合)、第2当り遊技を実行する第2当り遊技制御手段と、前記第2当り遊技中において前記特定領域を遊技球が通過した場合、第3当り遊技(V当り遊技)を実行する第3当り遊技制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1当り遊技中と前記第2当り遊技中とのいずれの場合においても、特定演出表示(図66B)が可能であり、前記特定演出表示は、少なくとも第1区間(図66Bの(a)〜(d))と第2区間(図66Bの(e)〜(h))とから構成され、前記第1区間は、前記当りの種類が前記第1当りである場合と前記第2当りである場合とのいずれにおいても、互いに同一または類似する共通表示態様(図66Bの(a)〜(d))で構成され、前記第2区間は、前記当りの種類が前記第1当りである場合、遊技者に有益となる旨を示す情報(当りである旨)を含む第1表示態様(図66Bの(g)復活演出)で構成され、前記当りの種類が前記第2当りである場合において、遊技球が前記特定領域を通過した場合には前記情報を含む第2表示態様(図66Bの(f)V入賞演出)で構成され、遊技球が前記特定領域を通過しなかった場合には前記情報を含まない第3表示態様(図66Bの(e)非V入賞(終了表示)→(h)次変動開始)で構成される、ものとした。そして前記抽選手段の抽選結果が当りである場合、当り情報を外部に送信可能な送信手段を備え、前記送信手段は、前記当りの種類が第2当りの場合、遊技球が前記特定領域を通過したタイミング(図60のtc)で当り情報を送信し、前記当りの種類が第1当りの場合、遊技球が前記特定領域を通過したか否かにかかわらず所定のタイミング(図60のt7)で当り情報を送信する、ものとした。
しかし、前記表示制御手段は、前記第1当り遊技中における前記第1表示態様と、前記第2当り遊技中における前記第2表示態様とを、前記送信手段が当り情報を外部に送信するタイミングと略同時に表示開始する、構成としても良い。
<主制御部側の処理:図10〜図29>
次に図10〜図29を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図10)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図11)とを含んで構成される。
<11.主制御側メイン処理:図10>
図10は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図示しない電源制御基板によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図10に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が‘YES’となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。なお、RAMクリアが実行されると遊技状態が初期化され、内部遊技状態は通常遊技状態、変動パターン振分指定番号(Tcode)))は通常状態を指定する00Hとなる。また演出制御部24が上記RAMクリア表示コマンドを受けると、RAMクリアされた旨を報知する初期化報知演出を、上記RAMクリア報知タイマ(30秒)が経過するまで実行し、RAMクリア後の初期状態の演出モードとして、演出モードを通常状態下の通常演出モードに設定するようになっている。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ、などが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH(‘**H’は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行う(ステップS015)。また遊技復旧処理では、バックアップ情報から遊技復旧のための所定の情報を取得し(電源遮断時における、特図1・特図2作動保留球数や変動パターン振分指定番号(Tcode)や内部遊技状態情報など)、その情報を含ませた各種の演出制御コマンド(電源復帰用コマンド)を演出制御部24に送信する。これにより演出制御部24に電源遮断時の遊技進行状態を知らせて、遊技復旧時には、電源遮断時の演出状態に復帰させる。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<12.主制御側タイマ割込処理:図11>
次に図11を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図11は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図11において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において遊技球を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。なお上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、下大入賞口40用の大入賞口入賞カウンタ、右大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。
またこの入力管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、入賞検出スイッチからの検出情報が入賞を許容すべき期間中に入賞したか否かに基づいて、不正入賞があったか否かを監視している。たとえば、可動翼片47が作動中でないにもかかわらず下始動口センサ35aが遊技球を検出したり、大当り遊技中(大入賞口有効入賞期間内)でないにもかかわらず、大入賞口センサ42aまたは52aが遊技球を検出したりした場合は、これを不正入賞とみなし、その旨を外部に報知するべく、後述のエラー管理処理(ステップS055)において、所定のエラー処理が実行されるようになっている。上記不正入賞に関するエラーとしては、たとえば、大入賞口不正入賞エラーや下大入賞口不正入賞エラーが該当する。なお不正入賞を検出した場合には、その検出情報を無効とし、賞球の払い出しを無効扱いとすることができる。これにより、不正入賞による賞球を有効に防止することができる。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、遊技動作状態の異常を監視し、動作異常(エラー)が発生した場合には、エラー処理を行う。なお、エラーには、多くのエラー種別があるので、ここでは、エラー種別に応じたエラー処理が行われる。エラー処理としては、たとえば、所定の遊技動作(たとえば、遊技球の払い出し動作や遊技球の発射動作など)を停止状態としたり、エラー報知動作を実行させるべく、エラー種別に対応したエラーコマンドを演出制御部24に送信したりする。
上記エラー管理処理では、上記した下始動口35や大入賞口40、50を対象とした不正入賞に関するエラー報知処理の他、不正検出センサ99(磁気センサ、電波センサ、または振動センサ)からの検出情報に基づいて不正行為を検出し、そのエラー(磁気センサエラー、電波センサエラー、振動センサエラー)を対象としたエラー処理(エラー解除条件が満たされた場合、現在発生中のエラーを解除するためのエラー解除処理(たとえば、上記エラー解除コマンド送信)を含む)が実行される。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。なお、エラー中であっても入賞球が検出された場合、払出制御コマンドが払出制御基板29に送信される。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。なお普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41aに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41aに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。なお普通電動役物管理処理は、補助当り制御手段として機能する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図12にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図22にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を現出させるための処理を行う。ここでの右打ち指示情報は、たとえば、液晶表示装置36に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示)、スピーカ46から右打ちを促す効果音(たとえば、「右打ちしてね」の音声)を発生させたりする。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるケースで、電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが挙げられる。このような場合、この右打ち報知情報管理処理において、上記発射位置誘導演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射位置誘導演出を現出制御する構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39特別図柄表示装置38a、38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図12のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。上記動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨、入賞情報(始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)、特定のエラー発生情報(たとえば、ゴト行為を対象とする、大入賞口不正入賞エラー、磁気・振動・電波エラーなど)などの各種情報が含まれる。なおゴト行為に関する特定のエラー発生情報を遊技機外部に送信することにより、パチンコホールの監視システムやパチンコホール店員に対しゴト行為が発生した旨を効果的に知らせることができる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47や開放扉52bが所定のパターンで動作し、下始動口35や右大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(13.特別図柄管理処理:図12)
次に、図11中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図12は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。なお、特図1始動口チェック処理と、特図2始動口チェック処理の詳細は図13〜図14で後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」、「変動中(02H)」、「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306:図15)、特別図柄変動中処理(ステップS307:図17)、および特別図柄確認時間中処理(ステップS308:図18A〜図18B)の詳細は、後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図11のLED管理処理(ステップS062)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図11のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−1.特図1始動口チェック処理:図13)
まず、特図1始動口チェック処理(図12のステップS301)について説明する。図13は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。なお後述の特図2始動口チェック処理(図12のステップS302)も特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した各種乱数の記憶処理、および入賞時コマンドの作成処理などが行われる。
図13において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS320の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数および変動パターン用乱数は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。
他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数カウンタ)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ34aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。CPU201は、このカウント値を大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納し、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず(ステップS315の処理により保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなる)、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、‘電サポ有り状態’を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が時短状態中である場合に、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ有り状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄1側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
時短状態においては、特別図柄2による図柄変動表示ゲームで遊技が進行していく。また、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(開放延長機能が作動する)」となるため、遊技者が普通図柄始動口37へ入賞させるように発射位置を狙い定めた場合(右流下経路3cを遊技球が通過するように狙いを定めた場合)、特別図柄変動表示ゲーム2が頻繁に実行するものと推定される。これに対し、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態(開放延長機能が未作動となる)」となり、また本実施形態では、遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっており、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合には、特に不利益をもたらす、という遊技性となっている。このため、電サポ有り状態中に遊技者が左流下経路3b側を遊技球が通過するように発射位置を定めることはないものと推定され、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、そのような発生率の低い特図1作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
そこで本実施形態では、上記のような問題点に鑑み、特図1側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を、遊技状態に応じて切り替え制御可能に構成されている。詳しくは、主制御部20は、第1の先読み判定手段(たとえば、特図1側の先読み判定処理:後述の図13のS317〜S323に相当する)による先読み判定を禁止する「第1の先読み禁止状態(たとえば、電サポ有り状態中の場合)」を、所定の条件(たとえば、現在の内部遊技状態、または電サポ状態の有無)に基づき切替制御する‘先読み禁止状態制御手段’としての機能部を備えている。
再びステップS316の説明に戻り、特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S319)は行わずに、ステップS320の処理に進む。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、ステップS317の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS317)。この乱数判定処理は、この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球(ここでは、特図1側)に係る「当落抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み当落判定)’を行う。
ステップS317の乱数判定処理に入ると、まずRAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、特図1用当り乱数判定テーブルを取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(大当り、小当り、およびハズレの別の判定)、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図15のS409参照)」の抽選結果(変動開始時の当落抽選結果)を先読み判定する。
(T−1.当り乱数判定テーブル:図37)
上記当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る「特図1用当り乱数判定テーブル(図37(イ))」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「特図2用当り乱数判定テーブル(図37(ロ))」とが含まれる。
これらの当り乱数判定テーブルには、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当り(判定値:10001〜10219)、小当り(判定値:20001〜20219)、またはハズレ(判定値:0〜10000、10220〜20000、20220〜65535)のいずれかが決定されるようになっている。本実施形態の特別図柄変動表示ゲーム1に係る大当り当選確率は、約1/299で大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、同一の約1/299となっており、それ以外はハズレとなっている。つまり、特別図柄変動表示ゲーム1に係る大当りと小当りとの当選確率は同一である。
この当落抽選(先読み当落判定)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH(大当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態)」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH(小当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態)」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)’となる。
なお特別図柄変動表示ゲーム2による当落抽選(後述の特図2始動口チェック処理中のステップS337(図14参照))では、別途設けた上記「特図2用当り乱数判定テーブル」を利用した抽選が行われる。本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルにおいては、大当り当選の判定領域は同じ(10001〜10219)であるが、小当り当選となる判定領域をそれ以外(0〜10000、10220〜65535)と定めている。したがって、特別図柄変動表示ゲーム2に係る大当り当選確率は、約1/299で大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、約298/299となっており、ハズレとなることはない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りと小当りだけが当落抽選対象とされ、抽選結果はほぼ小当りとなる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、ハズレを当落抽選対象として定めても良い(たとえば、ハズレとなる判定領域を65534〜65535と定めても良い)。
上記したステップS317の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS318)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「図柄抽選」を事前に判定する‘先読み判定(先読み図柄判定:(当り(当選)種別の先読み判定))’を行う。
ステップS318の特別停止図柄データ作成処理に入ると、まずステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果を取得し、この当落抽選結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じた図柄テーブル(後述の大当り図柄テーブル:図40(イ)(ロ)、小当り図柄テーブル:図41(ハ)(ニ)、またはハズレ図柄テーブル:図示せず)を選択する。そして、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別停止図柄作成処理(後述の図15のS410参照)」の抽選結果(変動開始時の図柄抽選結果)を先読み判定する。
(T−2.図柄テーブル:図40、図41)
図40(イ)、(ロ)と図41(イ)、(ロ)に、上記の各図柄テーブルを示す。図40(イ)は、特図1用大当り図柄テーブルを示し、図40(ロ)は、特図2用大当り図柄テーブルを示し、図41(イ)は、特図1用小当り図柄テーブルを示し、図41(ロ)は、特図2用小当り図柄テーブルを示している。各図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:1000)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、本実施形態の場合、大当り1〜大当り17、小当り1〜小当り14、ハズレ(ハズレが複数種類ある場合は、そのハズレ種別:たとえば、ハズレA〜C)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図15のステップS411の遊技状態移行準備処理、ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図9の特別電動役物管理処理(ステップS060))において利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の「停止図柄種」を特定する際に利用される。
(T−2−1.大当り図柄テーブル:図40(イ)、(ロ))
本実施形態の大当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「大当り図柄テーブル1(図40(イ))」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「大当り図柄テーブル2(図40(ロ))」とが含まれる。各大当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。
上記大当り図柄テーブル1(図40(イ))では、特別図柄1に関する大当り種別毎に対応する特別図柄判定用乱数値の判定値の範囲と、全体の振分け値(振分け値、図柄選択率(図柄抽選確率))との関係が示されており、以下のとおりである。また、大当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が次のように決定されるようになっている。
(1)大当り種別:「大当り1」、判定値:0〜116、振分け値:117/1000、特別図柄判定データ:01H、特別停止図柄番号:01H
(2)大当り種別:「大当り2」、判定値:117〜340、振分け値:224/1000、特別図柄判定データ:02H、特別停止図柄番号:02H
(3)大当り種別:「大当り3」、判定値:341〜415、振分け値:75/1000、特別図柄判定データ:03H、特別停止図柄番号:03H
(4)大当り種別:「大当り4」、判定値:416〜691、振分け値:276/1000、特別図柄判定データ:04H、特別停止図柄番号:04H
(5)大当り種別:「大当り5」、判定値:692〜730、振分け値:39/1000、特別図柄判定データ:05H、特別停止図柄番号:05H
(6)大当り種別:「大当り6」、判定値:731〜769、振分け値:39/1000、特別図柄判定データ:06H、特別停止図柄番号:06H
(7)大当り種別:「大当り7」、判定値:770〜849、振分け値:80/1000、特別図柄判定データ:07H、特別停止図柄番号:07H
(8)大当り種別:「大当り8」、判定値:850〜909、振分け値:60/1000、特別図柄判定データ:08H、特別停止図柄番号:08H
(9)大当り種別:「大当り9」、判定値:910〜929、振分け値:20/1000、特別図柄判定データ:09H、特別停止図柄番号:09H
(10)大当り種別:「大当り10」、判定値:930〜999、振分け値:70/1000、特別図柄判定データ:0AH、特別停止図柄番号:0AH
また上記大当り図柄テーブル2(図40(ロ))では、特別図柄2に関する大当り種別毎に対応する特別図柄判定用乱数値の判定値の範囲と、全体の振分け値(振分け値、図柄選択率(図柄抽選確率))との関係が示されており、以下のとおりである。また、同様に、大当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が次のように決定されるようになっている。
(11)大当り種別:「大当り11」、判定値:0〜249、振分け値:250/1000、特別図柄判定データ:11H、特別停止図柄番号:11H
(12)大当り種別:「大当り12」、判定値:250〜499、振分け値:250/1000、特別図柄判定データ:12H、特別停止図柄番号:12H
(13)大当り種別:「大当り13」、判定値:500〜579、振分け値:80/1000、特別図柄判定データ:13H、特別停止図柄番号:13H
(14)大当り種別:「大当り14」、判定値:580〜659、振分け値:80/1000、特別図柄判定データ:14H、特別停止図柄番号:14H
(15)大当り種別:「大当り15」、判定値:660〜819、振分け値:160/1000、特別図柄判定データ:15H、特別停止図柄番号:15H
(16)大当り種別:「大当り16」、判定値:820〜909、振分け値:90/1000、特別図柄判定データ:16H、特別停止図柄番号:16H
(17)大当り種別:「大当り17」、判定値:910〜999、振分け値:90/1000、特別図柄判定データ:17H、特別停止図柄番号:17H
(T−2−2.小当り図柄テーブル:図41(イ)、(ロ))
本実施形態の小当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「小当り図柄テーブル1(図41(イ))」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「小当り図柄テーブル2(図41(ロ))」とが含まれる。各小当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、小当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の小当りのうちからいずれか一つの小当りが決定されるようになっている。
上記小当り図柄テーブル1(図41(イ))では、特別図柄1に関する小当り種別毎に対応する特別図柄判定用乱数値の判定値の範囲と、全体の振分け値(振分け値、図柄選択率(図柄抽選確率))との関係が示されており、以下のとおりである。また、小当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が次のように決定されるようになっている。
(1)小当り種別:「小当り1」、判定値:0〜224、振分け値:225/1000、特別図柄判定データ:21H、特別停止図柄番号:21H
(2)小当り種別:「小当り2」、判定値:225〜474、振分け値:250/1000、特別図柄判定データ:22H、特別停止図柄番号:22H
(3)小当り種別:「小当り3」、判定値:475〜699、振分け値:225/1000、特別図柄判定データ:23H、特別停止図柄番号:23H
(4)小当り種別:「小当り4」、判定値:700〜949、振分け値:250/1000、特別図柄判定データ:24H、特別停止図柄番号:24H
(5)小当り種別:「小当り5」、判定値:950〜974、振分け値:25/1000、特別図柄判定データ:25H、特別停止図柄番号:25H
(6)小当り種別:「小当り6」、判定値:975〜999、振分け値:25/1000、特別図柄判定データ:26H、特別停止図柄番号:26H
また、上記小当り図柄テーブル2(図41(ロ))では、特別図柄2に関する小当り種別毎に対応する特別図柄判定用乱数値の判定値の範囲と、全体の振分け値(振分け値、図柄選択率(図柄抽選確率))との関係が示されており、以下のとおりである。また、小当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が次のように決定されるようになっている。
(7)小当り種別:「小当り7」、判定値:0〜249、振分け値:250/1000、特別図柄判定データ:31H、特別停止図柄番号:31H
(8)小当り種別:「小当り8」、判定値:250〜499、振分け値:250/1000、特別図柄判定データ:32H、特別停止図柄番号:32H
(9)小当り種別:「小当り9」、判定値:500〜559、振分け値:60/1000、特別図柄判定データ:33H、特別停止図柄番号:33H
(10)小当り種別:「小当り10」、判定値:560〜609、振分け値:50/1000、特別図柄判定データ:34H、特別停止図柄番号:34H
(11)小当り種別:「小当り11」、判定値:610〜659、振分け値:50/1000、特別図柄判定データ:35H、特別停止図柄番号:35H
(12)小当り種別:「小当り12」、判定値:660〜819、振分け値:160/1000、特別図柄判定データ:36H、特別停止図柄番号:36H
(13)小当り種別:「小当り13」、判定値:820〜909、振分け値:90/1000、特別図柄判定データ:37H、特別停止図柄番号:37H
(14)小当り種別:「小当り14」、判定値:910〜999、振分け値:90/1000、特別図柄判定データ:38H、特別停止図柄番号:38H
(T−2−3.ハズレ図柄テーブル)
本実施形態のハズレ図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「ハズレ図柄テーブル1」のみが含まれる。
上記ハズレ図柄テーブル1は、上記の大当り図柄テーブルや小当りテーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、ハズレ種別(たとえば、ハズレA、ハズレBのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。本実施形態では、ハズレAの当選確率よりもハズレBの当選確率の方が低く定められており、たとえば、ハズレAが当選した場合よりもハズレBが当選した場合の方が、SPリーチが選択される割合が高まるようになっている。
なお、特別図柄変動表示ゲーム2に係る当選結果にはハズレがないが、もしハズレを含ませた場合、ハズレ図柄テーブルには特図2用の「ハズレ図柄テーブル2」も含まれる。この場合、ハズレ図柄テーブル1とハズレ図柄テーブル2とは、ハズレA〜Bの当選に係る判定値が異なっていてもよく、特別図柄判定用乱数値が同じ値であっても、ハズレ図柄テーブル1が参照される場合と、ハズレ図柄テーブル2が参照される場合とでは、当選となるハズレ種別が異なる場合がある。
上記したステップS318の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理も、上記乱数判定処理(ステップS317)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)と同じく、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する‘先読み判定(先読み変動パターン判定’を行う。
上記始動口入賞時乱数判定処理に入ると、ステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果と、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理で得られた‘図柄抽選’結果と、ステップS314の処理で取得された‘変動パターン用乱数’とを利用し、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターン、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図15のS412参照)」の結果(変動開始時の変動パターン内容)を先読み判定する。そして、その先読み判定結果に基づいて、後述の「保留加算コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータ(EVENT)により、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)の内容が指定される。なおステップS317の乱数判定処理〜ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理が‘先読み当り判定’に係る処理となる。
ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、特別図柄1に関する入賞があったことを特定する「入賞時コマンド」を作成し(ステップS320A)、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターンを指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される「保留加算コマンド」を作成する(ステップS320)。これら「入賞時コマンド」と「保留加算コマンド」とはRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS321)。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図14のステップS302の特図2始動口チェック処理を行う。
上記保留加算コマンドは、2バイトの制御データで構成される。具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE)の「BXH(たとえば、B6H〜B9Hは、特別図柄1の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応し、BBHは特別図柄2の作動保留球数1個に対応する)」)と、ステップS316の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT)の「XXH(XXはコマンドごとに対応する数値)」で、先読み変動パターンの内容に対応する)とから構成される(図8参照)。したがって、この保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS315〜S317)において得られた先読み判定結果情報、具体的には、先読み変動パターンを特定しうる情報が含まれる。ただし、下位バイト((EVENT))値が特定の値(たとえば、「01H」)の場合は、先読み禁止が指定される。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、その抽選結果により実行可と決定された場合(先読み予告抽選に当選した場合)、図柄変動表示ゲームの開始と共に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合、先読み予告演出を現出させるか否かにかかわらず、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。
(8−2.特図2始動口チェック処理:図14)
次、特図2始動口チェック処理(図12のステップS302)について説明する。図14は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
上記特図2始動口チェック処理は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、先に述べた特図1始動口チェック処理の流れと同じように、各種乱数の記憶処理、入賞時コマンドの作成処理などの処理が行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。なお、特別図柄1に関しては作動保留球が設けられているのに対し、特別図柄2については設けられていないため、作動保留球に関する処理については、特図1始動口チェック処理とは異なり、この特図2始動口チェック処理内にはない。
図14において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞検出がなかった場合は(ステップS331:NO)、何もしないで特図2始動口チェック処理を抜ける。しかし下始動口35の入賞を検出した場合は(ステップS331:YES)、特別図柄動作ステータスが待機中(00H)であるか否か判定する(ステップS332)。特別図柄動作ステータスが待機中(00H)ではない場合は、特別図柄変動表示ゲームが実行中である場合(02H〜04H)や、待機中(01H)ではあるが、特別図柄1の作動保留球に対する特別図柄変動表示ゲーム1が実行される可能性がある場合(01H)を示している。
特別図柄動作ステータスが00H(待機中)ではない場合(ステップS332:NO)、ステップS340Aに進む。一方、特別図柄動作ステータスが00H(待機中)である場合(ステップS332:YES)、当り遊技中であるか否かを判定する(ステップS333)。当り遊技中であるか否かの判定は、小当り中フラグと条件装置作動フラグに基づいて判定する。当り遊技中である場合は、小当り中フラグが5AH、または条件装置作動フラグが5AHとなっており、当り遊技中ではない場合は、小当り中フラグと条件装置作動フラグとが00Hとなっている。
当り遊技中である場合(ステップS333:YES)、ステップS340Aに進む。一方、当り遊技中ではない場合(ステップS333:NO)、特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)の乱数カウンタの現在値を取得し、それぞれRAM203の判定用乱数記憶エリアに格納する(ステップS334)。
次いで、特別図柄2に関する入賞があったことを特定する「入賞時コマンド」を作成し(ステップS340A)、作成した入賞時コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS341)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
(8−3.特別図柄変動開始処理:図15)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図15は、図12の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図15において、CPU201は、まず特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。
一方、特図1作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES)、特図2に関する乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)が判定用乱数記憶エリアに格納されたか否かを判定し(ステップS401)、格納された場合には(ステップS401:YES)は、ステップS407の処理に進み、今回の変動表示に供する変動開始時の処理(ステップS407〜S416)を行う。
このステップS401とS402の処理により、特図1と特図2とのどちらを優先的に変動表示動作に供するかの「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特別図柄変動表示ゲーム2よりも特別図柄変動表示ゲーム1を優先的に実行させる「優先変動手段」として機能する。したがって、特図1作動保留球の作動保留球数がゼロではない限り、特別図柄変動表示ゲーム1が実行され、特別図柄変動表示ゲーム2は実行されない。
なお、特図1作動保留球の作動保留球数がゼロであり、かつ特図2に関する乱数が格納されていない場合(ステップS401:YES、かつステップS402:NO)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
ステップS417の判定処理を通過したとき、つまり上記「作動保留球なし」の状態となったとき、このときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO:後述の図18Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。このように、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替えて、演出制御コマンドを送信して特別図柄変動開始処理を抜ける理由は、次の通りである。
作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。そこで、上記「作動保留球なし」の状態となった場合に、デモ表示コマンドを1回送信して、これにより、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を抜けるようになっている。
演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NO)、今回の変動表示を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行っていく。なお、以下に説明する後半のステップS407〜S416の処理については、上記のステップS401の判定で‘NO’であった場合は特図1を対象とした処理、上記のステップS402の判定で‘YES’であった場合は特図2を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために、特に必要が無い限り、特別図柄1側を対象とした処理なのか、特別図柄2側を対象とする処理なのかという区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報が含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS405)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS406)。このステップS405〜S406の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ‘n−1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS405)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS406)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS406の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS407)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特電回数カウンタおよび特図時短回数カウンタ)(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数(特電回数、特図時短回数)がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握することができ、たとえば、演出手段を利用し、残り時短回数情報を報知させることができる。なお、「残り時短回数コマンド」は、特電回数カウンタの情報を含む「残り特電回数コマンド」と特図時短回数カウンタの情報を含む「残り特図時短回数コマンド」とを含んでいてもよく、個々に情報を処理することができる。
次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「乱数判定処理(図13のステップS319)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、乱数判定処理(図13のステップS319)と実施的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の変動表示側に対応する当り乱数判定テーブルを取得する。この当り乱数判定テーブルは、乱数判定処理(図13のステップS317)で利用される「当り乱数判定テーブル」と同じである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく、大当り、小当り、およびハズレの別の当落抽選を行う。
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」となり、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は‘ハズレ’となる。
ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において‘先読み判定’処理の一つである「特別停止図柄データ処理(図13のステップS318)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の判定’における「図柄抽選」を行う。特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、特別停止図柄データ処理(図13のステップS318)と同じであるので、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データとステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果(上記大当り判定フラグと小当り判定フラグ)と、を取得し、これらに基づき、今回の変動表示側に対応する図柄テーブルとして、大当り図柄テーブル1、2、小当り図柄テーブル1、2、ハズレ図柄テーブル1、2のいずれかを選択する。この図柄テーブルは、特別停止図柄データ処理(図13のステップS318)で利用した図柄テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと、特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行い、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当りの種類)を決定する。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。この遊技状態移行準備処理の詳細は図16にて後述する。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、および変動パターン用乱数などを利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターンを抽選により決定する。そして、その変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターンの内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、特別図柄の変動パターンを決定するといった点において‘先読み判定’処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理および保留加算コマンドに関する作成処理(図13のステップS319、S320)と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン、つまり変動開始時の変動パターンが決定される。
ここではまず、変動パターン用乱数値を取得し、次いで、大当り抽選結果(当落抽選、図柄抽選)に基づき、図示しない「当り変動パターン振分テーブル」または「ハズレ変動パターン振分テーブル」を取得する。そして、この変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値とを利用した変動パターン抽選により、特別図柄の変動パターンを決定する。
(T−3.変動パターン振分テーブル)
上記変動パターン振分テーブルには、当り(大当りまたは小当り)に当選した場合に選択される「当り用変動パターン振分テーブル」と、ハズレに当選した場合に選択される「ハズレ用変動パターン振分テーブル」とが含まれる。
各変動パターン振分テーブルには、特別図柄に関する変動パターンが、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数)、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、大当り抽選結果(特別停止図柄作成処理(ステップS410)の図柄抽選結果)、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められており、変動パターン用乱数による抽選により、複数種類の変動パターンのうちからいずれかの変動パターンが選択されるようになっている。
また変動パターンの決定に伴い、その変動パターンに対応した「変動時間決定テーブル」も決定される。この「変動時間決定テーブル」には、変動時間(図柄変動表示動作時間)が定められており、上記決定された変動パターンに対応した変動時間決定テーブルを参照することにより、今回の変動パターンの変動時間が定まることになる。なお、この変動時間は、特別図柄変動表示ゲームと同調して実行される装飾図柄変動表示ゲームの遊技時間(装飾図柄の変動表示時間(演出時間))となる。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、主に、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無、リーチ演出種別(Nリーチ種別やSPリーチ種別)、疑似連の有無、疑似連回数などの指定情報)が含むことができる。CPU201は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。演出制御部24は、変動パターン指定コマンドを受信すると、これに含まれる変動パターン情報に基づいて、今回の図柄変動表示ゲーム中の演出を現出制御する。なお変動パターン指定コマンドに図柄抽選結果情報を含ませても良い。
再び図15の説明に戻り、ステップ412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。この装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって「装飾図柄指定コマンド」には、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。たとえば、上位バイト(MODE)側には、変動側の特別図柄が特図1の場合は「BBH」、特図2の場合は「BCH」が設定され、下位バイト(EVENT)側には、当選種別に対応したEVNET値(当り種別またはハズレ種別を特定可能な値、たとえば、大当り1〜10の場合は「01H」〜「0AH」、大当り11〜17の場合は「11H」〜「17H」、小当り1〜6の場合は「21H」〜「26H」、小当り7〜14の場合は「31H」〜「38H」、ハズレの場合は「51H」など)が設定される。この装飾図柄指定コマンドには当選種別情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図12の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、図11の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(8−3−1.遊技状態移行準備処理:図16)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図16は、図15の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS431:≠5AH)、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図42(イ)、(ロ)参照)を取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(図45参照)を取得し(ステップS433)、この遊技状態移行テーブルに定められたデータを後述の各種バッファに格納する(ステップS434:状態バッファ設定処理)。これらバッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図19のステップS509)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。ステップS434の処理を終えると、遊技状態移行準備処理を抜けて、特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。なお、この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理が行われ、小当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理は、後述の電動役物管理処理中の小当り処理(図19のステップS504参照)で行われるようになっている。
(T−4−1.大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図42(イ)、(ロ))
図42(イ)、(ロ)に、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。図42(イ)は、遊技状態判定番号(YJ)が通常遊技状態を示す番号である際に取得される大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルであり、図42(ロ)は、遊技状態判定番号(YJ)が時短状態を示す番号である際に取得される大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルである。ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、内部遊技状態を識別するためのデータである。図46の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は「通常遊技状態(電サポ無し状態)」を、「02H」の場合は「時短状態(電サポ有り状態)」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
図42(イ)では、通常遊技状態(YJ:00H)の場合について、大当り種別(当選種別)(大当り1〜17)に基づいて、遊技状態移行テーブル(JTTBL−1〜4、8)が以下のように設定されている。
(1)大当り1、2、5、10:JTTBL−1
(2)大当り7:JTTBL−2
(3)大当り8:JTTBL−3
(4)大当り9:JTTBL−4
(5)大当り3、4、6、11〜17:JTTBL−8
このように、通常遊技状態時における大当り種別と遊技状態移行テーブルとの関係は、大当り遊技後に設定される時短回数との関係にも対応している。時短回数が95回の場合はJTTBL−1、時短回数が3〜5回の場合はJTTBL−2〜4、時短回数が設定されない(0回)の場合はJTTBL−8に対応している。
また図42(ロ)では、時短状態(YJ:02H)の場合について、大当り種別(当選種別)(大当り1〜17)に基づいて、遊技状態移行テーブル(JTTBL−1、5〜7)が以下のように設定されている。
(1)大当り1、3、5〜12、17:JTTBL−1
(2)大当り2、4、13、14:JTTBL−5
(3)大当り15:JTTBL−6
(4)大当り16:JTTBL−7
このように、時短状態時における大当り種別と遊技状態移行テーブルとの関係は、大当り遊技後に設定される時短回数との関係にも対応している。時短回数が95回の場合はJTTBL−1、時短回数が3〜5回の場合はJTTBL−5〜7に対応している。
(T−5.遊技状態移行テーブル:図45)
図45に、上述の遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブルには、大当りやV当り(小当り遊技中にV入賞して開始される大当り)の場合に選択されうる遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−8」と、小当りの場合に選択されうる小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−9」とが含まれる。
これら遊技状態移行テーブルには、当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するための複数種類データ群が定められている。具体的には、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特電回数カウンタバッファ、特図時短回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。なお、下記では、特電回数カウンタバッファと特図時短回数カウンタバッファとを総称して「特別図柄時短回数カウンタバッファ」ということがある。これらのバッファに格納された値は、必要なタイミングで読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域に設定される。この各バッファに各遊技状態移行テーブルにより指定される各種データが格納されると、当り遊技終了後の遊技状態が定まることになる。
本実施形態に係る大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−8」は、それぞれ順に、時短状態(95回)、時短状態(3回)、時短状態(4回)、時短状態(5回)、時短状態(3回)、時短状態(4回)、時短状態(5回)、通常遊技状態に移行させるための遊技状態移行テーブルである。また、このテーブルに基づき移行された時短状態が終了して通常遊技状態に移行された場合、またはこのテーブルに基づき通常遊技状態に移行された場合、CZが継続して実行されうる以下に、上述の各種バッファの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特電回数カウンタバッファ)
「特電回数カウンタバッファ」は、特電回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特電回数カウンタ」は、
当り遊技(小当り遊技または大当り遊技)の実行回数(当り当選回数でもよい)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図18BのステップS481参照)。
(特図時短回数カウンタバッファ)
「特図時短回数カウンタバッファ」は、特図時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特図時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図18BのステップS481参照)。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、遊技状態を特定するための遊技状態データである。変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定され、所定の変更条件(遊技状態移行条件)に基づいて変更される(特別図柄確認時間中処理(図18B)のステップS481、S486、S490、遊技状態移行準備処理(図15のS411、図16のS434、特別電動役物管理処理(図19)など参照)。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態の特別図柄変動回数カウンタには、遊技状態移行規定回数としてCZ継続回数が設定され、このカウンタはCZ継続回数を管理する管理手段として機能する。
(8−4.特別図柄変動中処理:図17)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図17は、図12の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図12のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図11のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−5.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図18Aおよび図18B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図18Aおよび図18Bは、図12の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図18Aおよび図18Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(図23のステップS453参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特電回数カウンタ、特図時短回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常状態指定)を格納し、遊技状態報知LED(図示せず)の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特図時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特図時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特図時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特図時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特図時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特図時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS487の処理に進む。
減算後の特図時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この時短終了コマンドは、今回の図柄変動表示ゲーム終了時に送信されるので、演出制御部24は、次ゲームから‘電サポ無し状態’となる旨を次ゲームが開始前に把握することができる。
なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、時短状態から通常状態に移行する場合であるので、演出制御部24が上記「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、あるいはその事前に「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替える。また‘電サポ無し状態’における発射位置として、左流下経路3bを狙う旨を指示する「発射位置誘導演出(左打ち報知演出)」を現出させるための演出制御処理を行う。これにより今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードに移行させることができる。
次いでステップS487の処理に進むと、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(本実施形態では、CZ継続回数)がゼロであるか否かを判定する。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、遊技状態の移行設定処理を行う(ステップS490:変動パターン振分指定番号設定処理)。ここでは、CZ継続回数が終了した後の遊技状態の移行設定処理を行う。本実施形態では、CZ終了時の遊技状態が通常遊技状態か時短状態かに応じて、移行先の遊技状態が異なるようになっている。ここでは、まず遊技状態判定番号(YJ)を取得し、現在の内部遊技状態が通常状態(遊技状態判定番号(YJ)=00H)であるか、時短状態(遊技状態判定番号(YJ)=02H)であるかを判定する。現在の内部遊技状態が通常遊技状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)を通常状態を指定する「00H」に設定し、現在の内部遊技状態が時短状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が時短状態を指定する「03H」に設定する(図46参照)。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常遊技状態」または「時短状態」における特別図柄の変動パターンが選択される。このステップS490処理は、所定の条件の成立に基づき、変動パターンの選択条件(変動パターン選択モード)を切替制御するための変動パターン選択条件切替手段として働く。
次いで、演出制御コマンドとして、移行先の遊技状態情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームで「CZ」が終了し、次ゲームから「通常遊技状態」または「時短状態」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次回の図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)または「時短演出モード」用の背景画像に切り替え制御し、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
なお本実施形態では、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送信される前に、上述の遊技状態指定コマンドが送信されるようになっている。このため演出制御部24は、このような遊技状態指定コマンドを受信した場合、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前段階で、現在の演出モード用の演出(たとえば、一の背景表示)から、他の演出モード用の演出(たとえば、他の背景表示)に切り替えることができる。つまり、次回の図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前に、他の演出モードに関連する演出を現出させる、換言すれば、次回の図柄変動表示ゲームに先立って、他の演出モードに関連する演出を現出させることができるようになっている。これにより遊技者は、今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードを前もって把握することができるという利点がある。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図12のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図11のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(9.特別電動役物管理処理:図19)
次に、図11中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図19は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置(大入賞口の開閉制御)の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図11のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、図20〜図29を参照しながら、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り処理(ステップS504)について詳細に説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
まず、大当り開始処理(図19のステップS505)について説明する。図20は、大当り開始処理の詳細を示すフローチャートである。
(9−1.大当り開始処理:図20)
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合は、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
図20において、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な大当り開始時の設定処理を行う(ステップS511:大当り開始時の設定処理)。ここでは、大当り開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。
連続回数カウンタ(ラウンド数)に記憶される値は、特別図柄が大当りを示す図柄で停止表示したことを契機とする大当りであるのか、それとも小当り遊技中のV入賞を契機とするV当りであるのかで異なっている。前者である場合(特図大当り時の場合)、現在のラウンド数が1R目を示す「01H」が記憶され、後者である場合(V当り時の場合)、現在のラウンド数が2R目を示す「02H」が記憶される。V当り時の場合は、1R目のラウンド遊技が小当り遊技に相当している。
次いで、大当り開始設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS512)、その大当り開始設定テーブルを参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、最大ラウンド数(規定ラウンド数)、ラウンド表示LED番号をそれぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに開始インターバル時間を格納する(ステップS513:特別図柄判定データ別設定処理)。
(T−6.大当り開始設定テーブル)
上記大当り開始設定テーブルには、大当り種別を識別する「特別図柄判定データ」と、「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED番号」とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED」が決定されるようになっている。ここで「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後(図23のステップS453の、図26AのステップS471参照)、第1の特別変動入賞装置42または第2の特別変動入賞装置52が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。また「ラウンド表示LED番号」とは、ラウンド数表示装置39b(ラウンド表示LED:規定ラウンド数報知手段)の報知態様を指定するデータで、今回の大当り遊技の最大ラウンド数(規定ラウンド数)を指定する。CPU201は、ラウンド表示LED番号に応じて、ラウンド表示LEDの報知態様を変化させる。
具体的に、大当り時における「開始インターバル時間」については、図47の「オープニング」の欄に示すように、大当り種別と当選時の遊技状態(YJ)とに基づいて次のように設定される。
(1)通常遊技状態時における大当り1〜4、7〜17の場合:11440ms
(2)通常遊技状態時における大当り5、6の場合:21000ms
(3)時短状態時における大当り1〜4、7〜17の場合:11440ms
(4)時短状態時における大当り5、6の場合:500ms
また、「最大ラウンド数」については、図47の「ラウンド数/実質ラウンド数」の欄に示すように、全ての大当り種別で、16ラウンドに設定される。「実質ラウンド数」は、下大入賞口40が長時間にわたり開放され、実質的に賞球が獲得可能であるラウンド数を示している。
また、V当り時(V入賞フラグがONであるとき)において、「開始インターバル時間」については設けられておらず、0msが設定され、「最大ラウンド数」については大当り時と同様に小当り種別によらず16ラウンドが設定される。
上記ステップS513の処理を終えると、演出制御コマンドとして、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS514)。なお「大当り開始コマンド」には、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、ラウンド演出(ラウンド開始演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出)、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
以上により、この大当り開始処理を抜けると、図11のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−2.特別電動役物作動開始処理:図21)
次に、特別電動役物作動開始処理(図19のステップS506)について説明する。図21は、特別電動役物作動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図21において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS521)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、図27のステップS513で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、1R目終了以降でこのステップS521を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の図26のステップS575で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS521:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンドの場合は、開始インターバル時間)が経過したならば(ステップS521:YES)、大入賞口開放開始動作に伴い、演出制御コマンドとして、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS522)。この「大入賞口開放コマンド(ラウンド開始コマンド)」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。
次いで、大入賞口動作時間設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS523)、大入賞口開放動作時間設定処理を行う(ステップS524)。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大入賞口開放動作時間設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。
(T−7.大入賞口動作時間設定テーブル)
上記大入賞口動作時間設定テーブルには、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開放動作時間が定められており、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間が決定されるようになっている。
具体的に、大当り時における「大入賞口開放動作時間」については、図47の「「1R(右大入賞口)役物抽選」項目内の「開放」」、「「2R〜16R(下大入賞口)長開放時」項目内の「開放」」、および「「2R〜16R(下大入賞口)短開放時」項目内の「開放」」の欄に示すように、当選種別に基づいて次のように設定される。
(1)大当り1、2、7〜10の場合:60ms(1R目)、28500ms(2〜6R目)、60ms(7〜16R目)
(2)大当り3、4の場合:60ms(1R目)、28500ms(2〜11R目)、60ms(12〜16R目)
(3)大当り5の場合:1600ms(1R目)、28500ms(2〜6R目)、60ms(7〜16R目)
(4)大当り6の場合:1600ms(1R目)、28500ms(2〜11R目)、60ms(12〜16R目)
(5)大当り11、12の場合:60ms(1R目)、28500ms(2〜16R目)
(6)大当り13〜17の場合:60ms(1R目)、28500ms(2〜5R目)、60ms(6〜16R目)
また、V当り時において、「大入賞口開放動作時間」については、図48の「2R〜16R(下大入賞口)長開放時内の開放」、および「2R〜16R(下大入賞口)長開放時内の開放」の項目の欄に示すように、当選種別に基づいて次のように設定される。なお、1R目に相当する小当り時の開放動作時間については、小当り処理内(ステップS504)で設定される。
(1)小当り1、2、5,6の場合:28500ms(2〜6R目)、60ms(7〜16R目)
(2)大当り3、4の場合:28500ms(2〜11R目)、60ms(12〜16R目)
(3)大当り7、8の場合:28500ms(2〜16R目)
(4)大当り9〜14の場合:28500ms(2〜5R目)、60ms(6〜16R目)
次いで、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS525)。上記「大入賞口入賞数カウンタ」とは、RAM203に設けられ、下大入賞口40または右大入賞口50の入賞球数を計数するためのカウンタである。
次いで、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS526)。この大入賞口開閉動作設定処理では、大入賞口ソレノイド42cまたは大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データを作成し、設定処理を行う。このデータにより、下大入賞口40または右大入賞口50の開閉動作パターンが指定される。またここでは、開閉制御される特別変動入賞装置が作動中か否かを指定するための「特別電動役物N作動フラグ(N=1、2)」が設定される。
上記「特別電動役物1作動フラグ」とは、第1の特別変動入賞装置42が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、第1の特別変動入賞装置42が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、第1の特別変動入賞装置42が未作動中である旨を示す。また「特別電動役物2作動フラグ」とは、第2の特別変動入賞装置52が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、第2の特別変動入賞装置52が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、第2の特別変動入賞装置52が未作動中である旨を示す。なお、ラウンド遊技間において当該フラグがON状態(=5AH)となる期間、つまり特別変動入賞装置が作動中とされる期間は、大入賞口が開放してからその大入賞口が閉鎖された後、残存球排出時間(1980ms)が経過するまでの期間となっている。他方、ラウンド遊技間において当該フラグがOFF状態(=00H)となる期間、つまり特別変動入賞装置が未作動中とされる期間は、上述の残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでのインターバル時間(20ms)中の期間となっている。なお、特別電動役物N作動フラグがOFF状態(=00H)の期間中に大入賞口に入賞が発生した場合は、不正入賞とみなし、所定のエラー処理(大入賞口不正入賞エラー)が実行されるようになっている。
ステップS526の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)(ステップS527)。
以上により、この特別電動役物作動開始処理を抜けると、図11のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3.特別電動役物作動中処理:図22)
次に、特別電動役物作動中処理(図19のステップS507)について説明する。図22は、特別電動役物作動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図22において、CPU201は、まず大入賞口最大入賞数確認処理を行う(ステップS551)。この大入賞口最大入賞数確認処理では、主に、今回の大当り遊技に係る大入賞口の入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認する。なお、大入賞口最大入賞数確認処理の詳細は、図23にて後述する。
ステップS551の大入賞口最大入賞数確認処理を終えると、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS552)。ここでの大入賞口開閉動作設定処理は、図21の特別電動役物作動開始処理中の大入賞口開閉動作設定処理(ステップS526)の仕方と同じであるため、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
次いで、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS553)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記大入賞口開放動作時間が設定されているので、ステップS533の判定処理では、大入賞口動作時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS553:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(大入賞口開放動作時間経過)になったならば(ステップS553:YES)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS554)。この「ラウンド終了コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド遊技間のインターバル時間中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の各種設定処理を行う(ステップS555)。ここでは、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1480ms)を格納する。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される残存球排出時間がすべて同じ時間幅(1480ms)として説明しているが、本発明はこれに限られない。上記残存球排出時間は、大入賞口の閉鎖後の大入賞口内の残存球を排出するための余裕時間として定めたものであることから、大入賞口の内部構造(たとえば、右大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまでの最大経路長など)を考慮して、右大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまで(または大入賞口内から遊技球が外部に排出されるまで)に要する最大時間を見込んだ時間幅が設定される。しかし、1回の大当り遊技において、ラウンド数に応じてラウンド遊技が複数種類の動作態様に制御される場合や、ラウンド数に応じて異なる大入賞口が開閉制御される場合にあっては、それぞれの動作態様に着目して異なる残存球排出時間が設定されるように構成しても良い。たとえば、短開放時間に係るラウンド遊技中は大入賞口への入賞率が相対的に低い点に着目し、開閉扉42b、52bによる遊技球の玉噛み頻度や大入賞口内において多数の遊技球による混雑が予想されないことから、長開放時間に係るラウンド遊技中よりも相対的に短い時間幅の残存球排出時間としても良い。
以上により、この特別電動役物作動中処理を抜けると、図11のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3−1.大入賞口入賞数確認処理:図23)
次に、大入賞口入賞数確認処理(図22のステップS551)について説明する。図23は、大入賞口入賞数確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図23において、CPU201は、まず特別電動役物2作動フラグの状態を判定し(ステップS561)。この特別電動役物2作動フラグがOFF状態(=00H)の場合、次いで特別電動役物1作動フラグの状態を判定する(ステップS562)。上記特別電動役物2作動フラグと特別電動役物1作動フラグのいずれもがOFF状態(=00H)の場合(ステップS561:≠5AH、かつステップS562:≠5AH)、つまり、第1の特別変動入賞装置42が作動中でもなく、第2の特別変動入賞装置52が作動中でもない場合、何もしないでこの大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。なお、大当り遊技中における「第1の特別変動入賞装置42が作動中でもなく、第2の特別変動入賞装置52が作動中でもない場合」とは、開放前インターバル時間中の場合である。
上記特別電動役物2作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS561:=5AH)、右大入賞口入賞数確認処理(ステップS568)を実行する。この右大入賞口入賞数確認処理については、図24を参照し後述する。
上記特別電動役物1作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS562:=5AH)、下大入賞口40において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS563)。下大入賞口40への入賞(入賞球)は、下大入賞口センサ42aにより検出される。下大入賞口40において入賞(入賞球)を検出しない場合(ステップS563:NO)、何もせずにそのまま何もしないで大入賞口入賞数確認処理を抜ける。
下大入賞口40において入賞を検出した場合(ステップS563:YES)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS564)。この通常用入賞コマンド送信処理では、下大入賞口40に入賞したことを指定する通常用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド1」を送信する。この通常用大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、通常用大入賞口入賞コマンドに対応した入賞演出処理を行う。
なお、大入賞口入賞コマンド1のコマンドを送信するかの決定については、下大入賞口センサ42aの検出情報に基づき決定することができる。具体的には、下大入賞口センサ42aによる検出があった場合には‘大入賞口入賞コマンド1’を送信することができる。また特別電動役物作動フラグの設定状態に基づき、いずれの通常用大入賞口入賞コマンドを送信するかを決定することができる。具体的には、特別電動役物1作動フラグがON状態(=5AH)の場合には、第1の特別変動入賞装置42が作動中であるので‘大入賞口入賞コマンド1’を送信する。
この大入賞口最大入賞数確認処理中では、下大入賞口40への入賞数が最大入賞数に達するまで、入賞ごとに、各大入賞口に対応した「通常用大入賞口入賞コマンド」が送信されることになる(‘ステップS563:YES〜S566:NO’の処理ルート)。なお、オーバー入賞は、最大入賞数を超えたときの入賞となるので、オーバー入賞とはならない最大入賞数に達するまでの入賞球を監視対象とする大入賞口入賞数確認処理での監視対象となる入賞球ではない。
通常用入賞コマンド送信処理を終えると、入賞を検出した下大入賞口40に対応する下大入賞口入賞カウンタを1加算する(ステップS565:大入賞口入賞カウンタ加算処理)。
次いで、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS566a)。判定結果が「作動中(02H)」である場合(ステップS566a:=作動中(02H))、上記加算後の右大入賞口入賞カウンタが最大入賞数(たとえば、9個)に達したか否かを判定する(ステップS566b)。最大入賞数に達した場合には(ステップS566b:YES)、特別図柄役物動作タイマ(大入賞口動作時間)をクリアし(ステップS567)、大入賞口入賞数確認処理を抜ける。
一方、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」ではない場合(ステップS566a:≠作動中(02H))や、最大入賞数に達していない場合(ステップS566b:NO)、何もしないで大入賞口入賞数確認処理を抜ける。
以上により、この大入賞口入賞数確認処理を抜けると、図22のステップS552の大入賞口開閉動作設定処理に進む。
(9−3−2.右大入賞口入賞数確認処理:図24)
次に、右大入賞口最大入賞数確認処理(図23のステップS568)について説明する。図24は、右大入賞口入賞数確認処理の詳細を示すフローチャートである。
図24において、CPU201は、まず右大入賞口50において入賞(入賞球)を検出したか否かを、センサSW1により検出したか否かで判定する(ステップS621)。センサSW1による検出がなかった場合(ステップS621:NO)、ステップS627を実行する。
センサSW1による検出があった場合(ステップS621:YES)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS622)。この通常用入賞コマンド送信処理では、右大入賞口50に入賞したことを指定する通常用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド2」を送信する。この通常用大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、通常用大入賞口入賞コマンドに対応した入賞演出処理を行う。
通常用入賞コマンド送信処理を終えると、入賞を検出した右大入賞口50に対応する右大入賞口入賞カウンタを1加算する(ステップS623:カウンタ加算処理)。また、この処理では、右大入賞口排出確認カウンタを1加算する。この「右大入賞口排出確認カウンタ」は、RAM203に設けられ、右大入賞口50内に滞在している遊技球数を計数するためのカウンタである。
次いで、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS624)。判定結果が「作動中(02H)」である場合(ステップS624:YES)、上記加算後の右大入賞口入賞カウンタが最大入賞数(たとえば、4個)に達したか否かを判定する(ステップS625)。最大入賞数に達した場合には(ステップS625:YES)、特別図柄役物動作タイマをクリアする(ステップS626)。
一方、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」ではない場合(ステップS624:NO)、また最大入賞数に達していない場合には(ステップS625:NO)、ステップS627を実行する。
ステップS627では、センサSW2による検出があったか否かを判定する。センサSW2による検出がなかった場合(ステップS627:NO)、ステップS629を実行する。
一方、センサSW2による検出があった場合(ステップS627:YES)、Vチャンス用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS628)。このVチャンス用入賞コマンド送信処理では、コマンドとして「Vチャンスコマンド」を送信する。このコマンドにより、演出制御部24は、右大入賞口50内を流下する遊技球がV領域を通過する可能性がある演出を実行する演出処理を行う。
ステップS629では、センサSW3による検出があったか否かを判定する。センサSW3による検出がなかった場合(ステップS629:NO)、ステップS633を実行する。
一方、センサSW3による検出があった場合(ステップS629:YES)、つまり遊技球がV領域を通過した場合、V入賞用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS630)。このV入賞用入賞コマンド送信処理では、コマンドとして「V入賞コマンド」を送信する。このコマンドにより、演出制御部24は、右大入賞口50内を流下する遊技球がV領域を通過したことを報知する演出を実行する演出処理を行う。
次いで、右大入賞口排出確認カウンタを1減算し(ステップS631)、V入賞時設定処理を実行する(ステップS632)。このV入賞時設定処理の詳細は図25にて後述する。
ステップS633では、センサSW4(またはセンサSW5)による検出があったか否かを判定する。センサSW4による検出がなかった場合(ステップS633:NO)、何もしないで右大入賞口入賞数確認処理を抜ける。一方、センサSW4による検出があった場合(ステップS633:YES)、つまり右大入賞口50に入賞した遊技球がV領域を通過しなかった場合、排出用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS634)。この排出用入賞コマンド送信処理では、コマンドとして「排出コマンド」を送信する。このコマンドにより、演出制御部24は、右大入賞口50内を流下する遊技球がV領域を通過せずに排出されたことを報知する演出を実行する演出処理を行う。
次いで、右大入賞口排出確認カウンタを1減算する(ステップS6345。右大入賞口50に入賞した遊技球が排出される場合、V入賞した場合はセンサSW3に検出され、V入賞しなかった場合はセンサSW4に検出される。したがって、右大入賞口50に入賞した遊技球が全て排出された場合、ステップS631またはステップS635のいずれかの処理において、右大入賞口排出確認カウンタは0となる。この右大入賞口排出確認カウンタが0となったことを契機に、インターバル時間の設定が行われる。
(9−3−3.V入賞時設定処理:図25)
次に、V入賞時設定処理(図24のステップS632)について説明する。図25は、V入賞時設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図25において、CPU201は、まず条件装置作動フラグの状態がOFF状態(=00H)(≠5AH)であるか否かを判定する(ステップS641)。条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS641:NO)、この場合は、大当り遊技中であるので、何もしないでこのV入賞時設定処理を抜ける。
一方、条件装置作動フラグがOFF状態(≠5AH)の場合(ステップS641:YES)、フラグ設定処理を行う(ステップS642)。このフラグ設定処理では、条件装置作動フラグをON状態(=5AH)に設定し、V入賞フラグをON状態(=5AH)に設定する。この「V入賞フラグ」は、小当り遊技中にV入賞したことを特定するフラグであり、大当り遊技中の処理において、V入賞して大当りになったのか否かを特定するために用いられるフラグである。また、この「V入賞フラグ」は、小当り遊技開始時にOFF状態(=00H)に設定されるものである。
次いで、V入賞時小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図43(イ)、(ロ)参照)を取得する(ステップS643)。取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(図45参照)を取得し(ステップ644)、この遊技状態移行テーブルに定められたデータを後述の各種バッファに格納する(ステップS645:状態バッファ設定処理)。これらバッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図19のステップS509)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。なお、この遊技状態移行準備処理では、小当り遊技中にV入賞した場合の遊技状態の移行に関する設定処理が行われ、小当り遊技中にV入賞しなかった場合の遊技状態の移行に関する設定処理は、後述の小当り終了処理(図29のステップS616参照)で行われるようになっている。
(T−4−2.V入賞時小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図43(イ)、(ロ))
図43(イ)、(ロ)に、V入賞した際に取得される小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。図43(イ)は、遊技状態判定番号(YJ)が通常遊技状態を示す番号であり、V入賞した際に取得される小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルであり、図43(ロ)は、遊技状態判定番号(YJ)が時短状態を示す番号であり、V入賞した際に取得される小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルである。
図43(イ)では、V入賞時であり、通常遊技状態(YJ:00H)の場合について、小当り種別(当選種別)(小当り1〜14)に基づいて、遊技状態移行テーブル(JTTBL−1、8)が以下のように設定されている。
(1)小当り1、2、5:JTTBL−1
(2)小当り3、4、6〜14:JTTBL−8
このように、V入賞時であり、通常遊技状態時における小当り種別と遊技状態移行テーブルとの関係は、V当り遊技後に設定される時短回数との関係にも対応している。時短回数が95回の場合はJTTBL−1、時短回数が設定されない(0回)の場合はJTTBL−8に対応している。
また図43(ロ)では、V入賞時であり、時短状態(YJ:02H)の場合について、小当り種別(当選種別)(小当り1〜14)に基づいて、遊技状態移行テーブル(JTTBL−1、5〜7)が以下のように設定されている。
(1)小当り1、3、5〜8、14:JTTBL−1
(2)小当り2、4、10、11:JTTBL−5
(3)小当り12:JTTBL−6
(4)小当り13:JTTBL−7
このように、V入賞時であり、時短状態時における小当り種別と遊技状態移行テーブルとの関係は、V当り遊技後に設定される時短回数との関係にも対応している。時短回数が95回の場合はJTTBL−1、時短回数が3〜5回の場合はJTTBL−5〜7に対応している。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理:図26)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(図19のステップS508)について説明する。図26は、特別電動役物作動継続判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図26において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS570)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖移行後に設定される残存球排出時間が設定されているので(図22のステップS555参照)、ステップS570の判定処理では、残存球排出時間が経過したか否かが判定されることになる。
特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合(ステップS570:NO)、残存球排出時間内の大入賞口の入賞球を確認するための「大入賞口入賞数確認処理」を行う(ステップS581)。この大入賞口入賞数確認処理は図23にて説明した処理である。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば(ステップS570:YES)、右大入賞口排出確認カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS571)。右大入賞口排出確認カウンタがゼロである場合(ステップS571:YES)、つまり右大入賞口50内に遊技球が残されていない場合、次にステップS572を実行する。一方、右大入賞口排出確認カウンタがゼロではない場合(ステップS571:NO)、つまり右大入賞口50内に遊技球が残されている場合、残存球排出時間内の大入賞口の入賞球を確認するための「大入賞口入賞数確認処理」を行う(ステップS581)。なお、このステップS571の処理は、右大入賞口50に関するカウンタを判定する処理であるため、下大入賞口40の開閉が行われていた場合、この処理はスキップし、次のS572を実行する。
次いで、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数の最大ラウンド数(16ラウンド)に達したか否かを判定する(ステップS572)。
最大ラウンド数に達していない場合には(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続時の処理として、後述のステップS573〜S576の処理(ラウンド継続処理)を行う。しかし最大ラウンド数に達した場合には(ステップS572:YES)、ラウンド遊技継続終了時の処理として、ステップS577〜S580の処理(ラウンド継続終了処理)を行う。
(ラウンド継続処理:ステップS573〜S576)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達していない場合(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続処理として、ステップS573〜S576の処理ルートを行う。
まずステップS573の処理では、今回のラウンド遊技が終了したことにより、連続回数カウンタに1加算(+1)する(ステップS573)。
次いで、特別電動役物終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS574)、この特別電動役物終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS575)。
(T−8.特別電動役物終了インターバル設定テーブル)
上記特別電動役物終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データ(大当り種別)と連続回数カウンタとに関連付けられた開放前インターバル時間が定められている。具体的には、特別図柄判定データと連続回数カウンタの現在値(ステップS573の加算処理後の連続回数カウンタ値:次のラウンド数)とに応じた開放前インターバル時間が決定されるようになっている。
なお本実施形態では、図47の「「1R(右大入賞口)役物抽選」項目内の「INT」」、「「2R〜16R(下大入賞口)長開放時」項目内の「INT」」、および「「2R〜16R(下大入賞口)短開放時」項目内の「INT」」の各欄に示すように、各ラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間は、基本的に同じ20msとなっているが、大当り5,6に関する1ラウンド目の終了インターバル時間(2ラウンド目の開放前インターバル時間)だけは、62500msとなっている。
開放前インターバル時間中は、後述のステップS576の処理において、特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、開放前インターバル時間内は、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間(大当り中不正入賞監視期間)となる。上記開放前インターバル時間に特に制限はないが、残存球排出時間(本実施形態では、1480ms)を含めたラウンド遊技間のインターバル時間として設ける以上、その時間を極端に長い時間、たとえば、数秒程度にしてしまうと、ラウンド遊技間の待ち時間が増加し、遊技者が煩わしく感じてしまう。特に実質ラウンド数が15Rの大当り遊技では、ラウンド遊技間の待ち時間の合計が数十秒〜1分近くも要することになり好ましくない。
そこで本実施形態の開放前インターバル時間は、20msという短時間に設定されている。これは、遊技球が実際に入賞口に入球して入賞検出スイッチのON信号が出力された場合、その出力時間(信号継続期間)は、入賞球の転動時間に長短があるものの最長で20ms程度であることを考慮したものである。ゴト行為(たとえば、大入賞口に対してプラスチック板やピアノ線を用いて過剰入賞狙うゴト行為(セルゴト)や、不正行為者が不正器具(不正電波発信機や磁石など)を用いてスイッチを誤作動させて過剰入賞を狙うゴト行為など)による不正な連続入賞があった際には、大入賞口センサ42a、52aからのON信号が頻繁に出力されることが予想される。したがって、開放前インターバル時間を適正なON信号の信号継続期間である20ms程度に定めても、ラウンド遊技間の不正入賞を監視には問題がないものと考えられる。
再び図26の説明に戻り、ステップS575の処理を終えると、ラウンド継続時の各種設定処理を行う(ステップS576)。ここでは、今回のラウンド遊技が終了して次回のラウンド遊技を開始させるため設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。
以上のステップS573〜S576(ラウンド継続処理)を終えると、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図12のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(ラウンド継続終了処理:ステップS577〜S580)
一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合(ステップS572:YES)、ラウンド継続終了処理として、ステップS577〜S580の処理ルートを行う。
まずステップS577の処理では、役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS577)、この役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS578)。
(T−9.役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル)
上記役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データと終了インターバル時間とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて終了インターバル時間が決定されるようになっている。この「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。なお終了インターバル時間中は、後述のステップS579の処理において特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、終了インターバル時間内は、開放前インターバル時間内と同じく、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間となる。
具体的に、大当り時における「終了インターバル時間」については、図47の「エンディング」の欄に示すように、当選種別と当選時の遊技状態(YJ)とに基づいて次のように設定される。
(1)通常遊技状態時における大当り1、2、5、7〜10の場合:2420ms
(2)通常遊技状態時における大当り3、4、6の場合:3220ms
(3)通常遊技状態時における大当り11、12の場合:18020ms
(4)通常遊技状態時における大当り13〜17の場合:100m
(5)時短状態時における大当り1、2、5、7〜10の場合:1420ms
(6)時短状態時における大当り3、4、6の場合:3220ms
(7)時短状態時における大当り11、12の場合:11020ms
(8)時短状態時における大当り13〜17の場合:100m
また、V当り時において、「終了インターバル時間」については、図48の「エンディング」の欄に示すように、当選種別と当選時の遊技状態(YJ)とに基づいて次のように設定される。
(1)通常遊技状態時における小当り1、2、5の場合:2420ms
(2)通常遊技状態時における小当り3、4、6の場合:3220ms
(3)通常遊技状態時における小当り7、8の場合:18020ms
(4)通常遊技状態時における小当り9〜14の場合:100m
(5)時短状態時における小当り1、2、5の場合:1420ms
(6)時短状態時における小当り3、4、6の場合:3220ms
(7)時短状態時における小当り7、8の場合:11020ms
(8)時短状態時における大当り9〜14の場合:100m
ステップS578の処理を終えると、ラウンド終了時の各種設定処理を行う(ステップS579)。ここでは、最大ラウンド到達時の設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。
次いで、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS580)。この「大当り終了コマンド」には、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態(内部遊技状態を含む)を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この「大当り終了コマンド」は、エンディング演出の開始を指示する役割の他、大当り遊技終了後の遊技状態を特定しうることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担っている。演出制御部24は、大当り終了コマンドに含まれる情報に基づき、演出モードを決定することで、上記大当り終了後の遊技状態と、その遊技状態に係る演出モードとの整合性を取ることができるようになっている。
なお、上述の大当り当選時の遊技状態を特定可能な情報には、変動パターン振分指定番号(Tcode)に関する情報、または変動パターン振分指定番号に関する情報と内部遊技状態とに関する情報を含むことができる。また、大当り終了コマンドは、単一のコマンドであっても良いし、複数のコマンドであっても良い。複数のコマンドとする場合には、たとえば、一の大当り終了コマンドに今回の大当り種別を特定可能とする情報を含ませ、他の大当り終了コマンドにその大当り当選時の遊技状態を特定可能とする情報が含ませて、これらのコマンドを同時あるいは順次に必要なタイミングで演出制御部24に送信することができる。本実施形態では、演出制御コマンドに複数種類の情報を含ませて演出制御部24に送信する場合、それら情報を単一の演出制御コマンドに含ませて演出制御部24に送信する構成としても良いし、一の情報を含む演出制御コマンドと、他の情報を含む演出制御コマンドとに分けて、上述の単一の演出制御コマンドが有する役割を複数の演出制御コマンドに分担させる形態で演出制御部24に送信する構成としても良い。
以上により、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けると、図11のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−5.大当り終了処理:図27)
次に、大当り終了処理(図19のステップS509)について説明する。図27は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図27において、CPU201は、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、ステップS591の判定処理では、終了インターバル時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、大当り終了時の各種設定の一環として、遊技状態移行準備処理(図15のステップS411)で設定した各移行状態バッファの値を、図示の各状態フラグやカウンタなどに格納する(ステップS592)。これにより、大当り遊技後の遊技状態が指定される。
続いて、大当り終了時の各種設定処理を行う(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、図示のフラグやバッファなどをゼロクリアする(00Hを格納)。そして特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
なお、特別図柄判定データについては、大当り遊技後、図柄変動表示ゲームが開始されるまで特別図柄表示装置に確定表示させておくために利用されるので、クリア対象とはなっていない。特別図柄判定データは、今回の大当り遊技が終了した後に特別図柄変動開始処理中の特別図柄作成処理(図15のステップS410)が行われた際、新たな特別図柄判定データがRAM203(特別図柄判定データ記憶領域)に上書きされるようになっているため問題はない。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行い(ステップS594)。本実施形態では、遊技状態報知LEDにより特図時短状態であるか否かを報知させるため、遊技状態報知情報更新処理において、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)であるか、OFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合には、遊技状態報知LEDを点灯させるデータとして、特図時短状態を指定する所定の遊技状態報知LED出力番号を格納する。
以上により、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図11のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<小当り遊技制御処理:図28、図29>
次に、図28、図29を参照して、小当り遊技制御処理について説明する。
(9−6.小当り処理:図28)
まず、小当り処理(図19のステップS504)について説明する。図28は、小当り処理の詳細を示すフローチャートである。
図28において、CPU201は、まず特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」、または「継続判定中(03H)」であるか否かを判定する(ステップS601)。
特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」かつ「継続判定中(03H)」でない場合には(ステップS601:≠02Hかつ≠03H)、ステップS603の判定処理に進み、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」または「継続判定中(03H)」である場合には(ステップS601:=02Hまたは=03H)、右大入賞口入賞数確認処理を行った後(ステップS602)、ステップS603の判定処理に進む。このステップS602の右大入賞口入賞数確認処理は、図24の右大入賞口入賞数確認処理と同じ処理の仕方であるので、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
ステップS603の処理に進むと、特別図柄役物動作タイマがゼロか否かを判定する(ステップS603)。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS603:NO)、ステップS606の判定処理に進む。特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS603:YES)、小当り中コマンド送信処理を行う(ステップS604)。この小当り中コマンド送信処理では、特別電動役物動作ステータスに応じた演出制御コマンドを演出制御部24に送信する。具体的には、特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)の場合には、小当り遊技中のOP演出開始を指示する「小当り開始コマンド」を、継続判定中(03H)の場合には、小当り中のED演出開始を指示する「小当り終了コマンド」を送信する。また、作動中(02H)の場合には、つまり右大入賞口50が閉鎖した場合には、その旨を指示する「右大入賞口閉鎖コマンド」を送信する。これら以外であれば、何も送信せずに処理を抜ける。
ステップS604の小当り中コマンド送信処理を終えると、特別電動役物動作ステータス別処理に入る(ステップS605)。ここでは、特別電動役物動作ステータスに応じた処理が行われる。この特別電動役物動作ステータス別処理についての詳細は、図29にて後述する。
ステップS605の特別電動役物動作ステータス別処理を終えると、特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」であるか否かを判定する(ステップS606)。
特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」でない場合には(ステップS606:≠02H)、何もしないでこの小当り処理を抜ける。
特別電動役物動作ステータスが「作動中(02H)」である場合には(ステップS606:=02H)、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS607)。この大入賞口開閉動作設定処理では、小当り開閉動作設定テーブルを取得するとともに、特別図柄役物動作タイマを取得し、続いて、ソレノイド設定処理を行う。このソレノイド設定処理は、図21の特別電動役物作動開始処理における大入賞口開閉動作設定処理(ステップS524)におけるソレノイドの設定処理と同様に、後述の小当り開閉動作設定テーブルに基づき大入賞口(右大入賞口50)の開閉動作が制御される。
また、この大入賞口開閉動作設定処理では、右大入賞口内の特定領域の通過に係る各種役物についても、対応するテーブルに基づき制御される。
(T−10.小当り開閉動作設定テーブル)
上記小当り開閉動作設定テーブルには、小当り遊技に係る大入賞口の開放パターンを指定するために必要なデータ群が定められており、特別図柄判定データ(小当り種別)に応じた開放パターンが決定されるようになっている。
具体的に、「開放パターン」は、小当り種別によらずに、下記の「大入賞口作動時間(1600ms)」において、右大入賞口50を最初から最後まで1回開放するというパターンである。
また、右大入賞口内の特定領域の通過に係る各種役物の制御については、図54、図55に示すように規定されている。
上記ステップS607の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、小当り処理を抜けて、図12のステップS61の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−7.特別電動役物動作ステータス別処理:図29)
次に、特別電動役物動作ステータス別処理(図28のステップS605)について説明する。図29は、特別電動役物動作ステータス別処理の詳細を示すフローチャートである。
図29において、CPU201は、まず特別電動役物動作ステータス分岐処理(ステップS611)において、特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)〜終了処理中(04H)のいずれであるかに応じて処理を分岐させる。特別電動役物動作ステータスが開始処理中(00H)の場合は小当り開始処理(ステップS612)を、作動開始処理中(01H)の場合は小当り特別電動役物作動開始処理(ステップS613)を、作動中(03H)の場合は小当り特別電動役物作動中処理(ステップS614)を、継続判定中(04H)の場合は小当り継続判定処理(ステップS615)を、終了処理中(04H)の場合は小当り終了処理(S616)を行う。
(9−7−1.小当り開始処理:ステップS612)
小当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」となっている。したがって、特別電動役物動作ステータス別処理において、CPU201は、まず、ステップS612の小当り処理を開始する。この小当り開始処理では、特別図柄役物動作タイマに「作動前インターバル時間」を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。
上記「作動前インターバル時間」とは、図17のステップS453の確定表示時間が経過して小当りが確定した後、実際に第2の特別変動入賞装置52の動作が開始するまでのインターバル区間であって、OP(オープニング)演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。
具体的に、小当り時における「作動前インターバル時間」については、図48の「オープニング」の欄に示すように、小当り種別と当選時の遊技状態(YJ)とに基づいて次のように設定される。
(1)通常遊技状態時における小当り1〜4、7〜14の場合:17000ms
(2)通常遊技状態時における小当り5、6の場合:21000ms
(3)時短状態時における小当り1〜14の場合:500ms
(9−7−2.小当り特別電動役物作動開始処理:ステップS613)
上記作動前インターバル時間が経過して(図28のステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「作動開始処理中(01H)」であることから、CPU201は、ステップS613の小当り特別電動役物作動開始処理を行う。この小当り特別電動役物作動開始処理では、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納し(ゼロクリアする)、特別図柄役物動作タイマに大入賞口作動時間を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)。なお、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり大入賞口作動時間が経過、あるいは最大入賞数に達して特別図柄役物動作タイマがクリアされるまでは(図28のステップS602、ステップS603:NO)、ステップS607(図28)の処理が行われ、右大入賞口50が開放制御される。
具体的に、小当り時における「大入賞口作動時間」については、図48の「「役物抽選(右大入賞口)の項目内の「開放」」の欄に示すように、小当り種別によらずに、1600msに設定される。
(9−7−3.小当り特別電動役物作動中処理:ステップS614)
上記大入賞口作動時間が経過、または最大入賞数に到達して、特別図柄役物動作タイマがゼロになり(ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「作動開始処理中(02H)」であることから、CPU201は、ステップS614の小当り特別電動役物作動中処理を行う。この小当り特別電動役物作動中処理では、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1480ms)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)。
(9−7−4.小当り継続判定処理:ステップS615)
上記残存球排出時間が経過し、かつ右大入賞口50内から全ての遊技球が排出されて、特別図柄役物動作タイマがゼロになり(図28のステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「継続判定中(03H)」であることから、CPU201は、ステップS615の小当り継続判定処理を行う。この小当り継続判定処理では、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別図柄役物動作タイマに「小当り終了インターバル時間」を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。
ここで上記「小当り終了インターバル時間」とは、右大入賞口50が閉鎖して残存球排出時間が経過した後のインターバル時間でありが、小当り遊技中にV入賞したか否かで時間幅は異なっている。V入賞した場合、小当り遊技終了後にV当り遊技の2ラウンド目が開始されるため、この「小当り終了インターバル時間」は、「ラウンド開始前インターバル時間」に相当し、次のように設定される。また、V入賞しなかった場合、小当り遊技が終了するまでインターバル区間であって、ED演出が行われる区間を定めた時間幅を指し、次のように設定される。
具体的に、小当り時における「小当り終了インターバル時間」については、V入賞した場合、図48の「「役物抽選(右大入賞口)」項目内の「INT」」の欄に示すように、小当り種別に基づいて次のように設定される。
(1)小当り1〜4、7〜14の場合:15000ms
(2)小当り5、6の場合:21000ms
また具体的に、小当り時における「小当り終了インターバル時間」については、V入賞しなかった場合、図48の「エンディング」の欄に示すように、小当り種別と当選時の遊技状態(YJ)とに基づいて次のように設定される。
(1)通常遊技状態時における小当り1〜4、7〜14の場合:9000ms
(2)通常遊技状態時における小当り5、6の場合:34500ms
(3)時短状態時における小当り1〜14の場合:5000ms
(9−7−5.小当り終了処理:ステップS616)
上記小当り終了インターバル時間が経過して、特別図柄役物動作タイマがゼロになり(図28ステップS603:YES)、特別電動役物動作ステータス別処理に入った場合、特別電動役物動作ステータスが「終了処理中(04H)」であることから、CPU201は、ステップS616の小当り終了処理を行う。この小当り終了処理では、小当り終了時の各種設定処理として、小当り中フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
また、この小当り終了処理では、小当り遊技中にV入賞しなかった場合のみ、特電回数カウンタ1減算し、小当り時遊技状態移行準備処理が行われる。そして、小当り時遊技状態移行準備処理が終了すると、小当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。
(9−8.小当り時遊技状態移行準備処理)
次に、上述の小当り時遊技状態移行準備処理について説明する。
小当り時遊技状態移行準備処理では、小当り遊技後の遊技状態を指定すべく、小当り遊技後の遊技状態を指定するための設定処理を行う。具体的には、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図44)を取得する。そして、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、当選時の遊技状態と小当り種別(特別図柄判定データ)とに基づき、遊技状態移行テーブル「JTTBL−9」を取得するか否かを決定する。取得した場合には、この遊技状態移行テーブル(JTTBL−9)を参照して、該当するデータをRAM203の所定領域(変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタ)に格納する。遊技状態移行テーブル「JTTBL−9」が取得された場合に移行されるのは、変動パターン選択モードとしての遊技状態の移行(変動パターン振分指定番号(Tcode)の変更)が行われるだけであり、遊技状態移行テーブル「JTTBL−9」が取得されなかった場合は、その移行も行われないことを示している。
ここで、小当り遊技後(非V入賞時)に内部遊技状態が時短状態へ移行することはないが、特電回数カウンタを1減算した結果ゼロとなった場合、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行うことで、通常遊技状態への移行が行われる。なお、この時短終了時の設定処理は、上記図18BのステップS481と同様であるため説明は省略する。そして、時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する。これらの特電回数カウンタに関する一連の処理(減算処理、時短終了時の設定処理、コマンド送信処理)は、この小当り終了処理中に限定することなく、小当り遊技の開始を契機に実行したり、小当り図柄が停止したことを契機に実行したりしてもよく、小当り遊技中に時短終了コマンドに基づいて、時短状態終了に伴う演出を実行することができる。
(T−4−3.非V入賞時小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図44(イ)、(ロ))
図44(イ)、(ロ)に、V入賞しなかった際に取得される小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。図44(イ)は、遊技状態判定番号(YJ)が通常遊技状態を示す番号であり、V入賞しなかった際に取得される小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルであり、図44(ロ)は、遊技状態判定番号(YJ)が時短状態を示す番号であり、V入賞しなかった際に取得される小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルである。
図44(イ)では、非V入賞時であり、通常遊技状態(YJ:00H)の場合について、小当り種別(当選種別)(小当り1〜14)に基づいて、遊技状態移行テーブル(JTTBL−9)が設定されるか否かが、以下のようになっている。
(1)小当り1〜4:JTTBL−9
(2)小当り5〜14:テーブル設定されず
このように、非V入賞時であり、通常遊技状態時における小当り種別と遊技状態移行テーブルとの関係は、特別図柄1の一部の小当りについて、JTTBL−9が設定され、特別図柄2の小当りについては遊技状態移行テーブルが設定されないようになっている。
また図44(ロ)では、非V入賞時であり、時短状態(YJ:02H)の場合について、小当り種別(当選種別)に関係なく遊技状態移行テーブルは設定されないようになっている。
(T−11.非V入賞時小当り用遊技状態移行テーブル:図45)
図45を参照して、非V入賞時小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−9」について説明する。この小当り用遊技状態移行テーブルには、小当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するためのデータとして、変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタに格納するためのデータが定められている。これらデータ値が変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタが格納されると、小当り遊技終了後の遊技状態が特定される。ここで上記「JTTBL−9」には、変動パターン振分指定番号バッファおよび特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するためのデータだけが定められているので、小当りに当選しても内部遊技状態の移行はなく、変動パターン選択モードとしての遊技状態の移行(変動パターン振分指定番号(Tcode)の変更)が行われるだけとなる。具体的に、変動パターン振分指定番号バッファには09Hが格納され、特別図柄変動回数カウンタバッファには10回が格納される。
<演出制御部側の処理:図30〜図36>
次に、図30〜図36を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図30)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図32)とを含んで構成される。
<16.演出制御側メイン処理:図30>
図30は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図30に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図32のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、変動停止コマンド、当り遊技中に送信される各種のコマンドなど(たとえば、大当り開始コマンド、通常用大入賞口入賞コマンド(大入賞口入賞コマンド1、2)など)が含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、上記演出シナリオは、必要に応じて異なる演出シナリオに書き換えられる(たとえば、枠演出ボタン13の操作検出に基づいて、操作時用のパーツ演出を組み込む場合がある)。この場合、変更した演出シナリオデータを上記シナリオ設定領域に再設定して、変更した演出シナリオデータに基づいて演出を現出させる。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図32のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aの駆動制御用データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図32のステップS094)で利用される。
次いで、音源LSIなどの誤作動を監視するノイズ対策管理処理を行う(ステップS078)。誤作動によりプログラムが暴走状態となった場合は、ウォッチドッグタイマがタイムアップし、CPUが自動的にリセットされて上記暴走状態から復帰する。これにより、メインループ処理を終了して、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
(17.コマンド受信割込処理:図31)
次に図31を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図31は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図32)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図30に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(18.演出制御側タイマ割込処理:図32)
次に図32を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図32は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図32において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図30の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて可動体役物モータ97aまたは可動体役物モータ98aに制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物の時計針97、花型役物98)による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<19.受信コマンド解析処理の内容:図33〜図36>
図33〜図36は受信コマンド解析処理(図23のステップS073)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示したものである。以下、小当り遊技中、V当り遊技の2ラウンド目、または大当り遊技の1、2ラウンド目において主制御部20から送信されるコマンドを受信した場合についてそれぞれ説明する。
(当り中演出処理:図33)
図33は、当り遊技に関するコマンドを受信した場合の処理を示すフローチャートである。ここでは、当り遊技に関するコマンドのうち次のコマンドを用いて処理が行われる。大当り遊技開始時(図20ステップS514)に送られる「大当り開始コマンド」、小当り開始時(図28ステップS604)に送られる「小当り開始コマンド」、大当り遊技中の右大入賞口50の最終開放が終了した場合(図22ステップS554)に送られる「ラウンド終了コマンド」、または小当り遊技中の右大入賞口50の最終開放が終了した場合(図28ステップS604)に送られる「右大入賞口閉鎖コマンド」、センサSW1〜4がONとなった場合(図24ステップS622、S628、S630、S634)にそれぞれ送られる「大入賞口入賞コマンド2」、「Vチャンスコマンド」、「V入賞コマンド」、「排出コマンド」、2R開始時(図21ステップS522)に送られる2R目の「大入賞口開放コマンド」が、以下のように用いられて行く。
図33において、演出制御部24(CPU241)は、当り開始コマンド(大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンド)を受信した場合(ステップS910:YES)、準備処理(ステップS912)を実行する。一方、当り開始コマンドを受信しなかった場合(ステップS910:NO)、つまりその他の当り遊技に関するコマンドを受信した場合、次いで当り中演出切り替え処理(ステップS914)を実行する。
ステップS912の準備処理では、まず当り開始コマンドの内容を解析して、その内容である今回の当り種別を取得し、次いで全ての当り中演出に関するデータが記録されている当り中演出テーブル選択テーブル(図示せず)を参照し、当り種別に対応する当り中演出シナリオのデータをRAM243に格納する。ここで、上記で図67〜図69Aを用いて説明したように、当り中演出シナリオにはパターン1〜4が含まれ、各パターン1〜4には複数の演出種(演出種A〜Z)が含まれており、各パターンに含まれる演出種は縦続的に繋がっている。そこで、データを格納するRAM243の構造について、パターン別に格納するためにパターン数に対応してRAM243を4つのRAM1〜4に区分し、縦続的に繋がる演出種を個別に格納するために各RAM1〜4を第1領域〜第5領域と複数個に区分する構造となっている(図34の演出種選択テーブルA〜D)。したがって、当り中演出シナリオに含まれる各演出種は、RAM243に個別に格納するようになっている。具体的なRAM243への格納について、以下の3例について図34の演出種選択テーブルA〜Cを用いて説明する。なお、図示に示す演出順フラグは、演出種の縦続的な繋がりを示すものであり、この演出順フラグの番号に対応する領域に格納される演出種が実行される演出として設定されるようになっており、詳細については後述する。
(演出種選択テーブルA:図34(A))
図34(A)の演出種選択テーブルAは、当り種別が大当り5、6の場合にRAM243に格納される当り中演出シナリオ(図67)のデータを示すものである。RAM1には、当り中演出シナリオのパターン1が格納され、RAM1の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出C、演出D、演出H1が格納される。RAM2には、当り中演出シナリオのパターン2が格納され、RAM2の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出C、演出G、演出H2が格納される。RAM3には、当り中演出シナリオのパターン3が格納され、RAM3の第1領域〜第4領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出F、演出H3が格納される。RAM4には、当り中演出シナリオのパターン4が格納され、RAM4の第1領域〜第3領域にはそれぞれ演出A、演出E、演出H3が格納される。
(演出種選択テーブルB:図34(B))
図34(B)の演出種選択テーブルBは、当り種別が大当り1〜4、7〜10の場合にRAM243に格納される当り中演出シナリオ(図68)のデータを示すものである。RAM1には、当り中演出シナリオのパターン1が格納され、RAM1の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出C、なし、演出H4が格納される。第4領域には演出種が格納されないが、演出実行時に新たな演出が設定されないだけであり、実際は前回の演出種の演出が継続して実行される(以下、RAM2〜4についても同様)。RAM2には、当り中演出シナリオのパターン2が格納され、RAM2の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出C、なし、演出H5が格納される。RAM3には、当り中演出シナリオのパターン3が格納され、RAM3の第1領域〜第4領域にはそれぞれ演出A、演出B、なし、演出H6が格納される。RAM4には、当り中演出シナリオのパターン4が格納され、RAM4の第1領域〜第3領域にはそれぞれ演出A、なし、演出H6が格納される。
(演出種選択テーブルC:図34(C))
図34(C)の演出種選択テーブルCは、当り種別が小当り1〜6の場合(通常遊技状態中の小当り種別の場合)にRAM243に格納される当り中演出シナリオ(図69A)のデータを示すものである。RAM1には、当り中演出シナリオのパターン1が格納され、RAM1の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出C、演出D、演出H1が格納される。RAM2には、当り中演出シナリオのパターン2が格納され、RAM2の第1領域〜第4領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出C、演出Zが格納される。RAM3には、当り中演出シナリオのパターン3が格納され、RAM3の第1領域〜第3領域にはそれぞれ演出A、演出B、演出Yが格納される。RAM4には、当り中演出シナリオのパターン4が格納され、RAM4の第1領域、第2領域にはそれぞれ演出A、演出Xが格納される。
(演出種選択テーブルD:図34(D))
図34(D)の演出種選択テーブルDは、当り種別が小当り7〜14の場合(時短状態中の小当り種別の場合)にRAM243に格納される当り中演出シナリオ(図69B)のデータを示すものである。格納されるデータは、上記演出種テーブルCの場合とRAM4だけが異なり、そのRAM4には、当り中演出シナリオのパターン4が格納され、RAM4の第1領域、第2領域にはそれぞれ演出A、なしが格納される。
このように、RAM243に当り種別に対応する当り演出シナリオのデータを格納すると、ついで、パターンフラグ1〜4をON状態(=5AH)に設定し、演出順フラグをゼロ(=00H)に設定する。パターンフラグ1〜4は、それぞれRAM243に格納したデータについて、当り演出シナリオのいずれのパターンに対するデータを選択するかを判定するために使用するフラグである。また、演出順フラグは、RAM243に格納したデータについて、当り演出シナリオのパターンの何番目の演出種に対するデータを選択するかを判定するために使用するフラグである。
ここで、図71を参照して上記で説明したように、演出A(ただし、時短状態中の演出Aは除く)は、演出内容(自艦の艦種)が異なる3種類の演出A1〜A3の中からいずれか1つが抽選により選択される(図70の演出種Aの索敵演出)。他の演出B、C、E、Fについても同様に、複数種類の演出の中からいずれか1つが選択される(図70の演出種B、C、Eの敵艦発見演出、Fの敵艦発見演出)。これら演出A〜C、E、Fの抽選は、RAM243に格納する処理の前に実行される。そして、抽選により決定された演出がRAM243に格納されるようになっている。たとえば、大当り5の場合、演出抽選により演出A1、演出B2、演出C3、演出E1、演出F2が選択されたとすると、RAM243に格納される当り中演出シナリオのデータは次のようになっている。RAM1の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A1、演出B2、演出C3、演出D、演出H1が格納される。RAM2の第1領域〜第5領域にはそれぞれ演出A1、演出B2、演出C3、演出G、演出H2が格納される。RAM3の第1領域〜第4領域にはそれぞれ演出A1、演出B2、演出F2、演出H3が格納される。RAM4の第1領域〜第3領域にはそれぞれ演出A1、演出E1、演出H3が格納される。他にも、演出H1〜H3について、演出内容(敵艦轟沈演出または敵艦生存演出)が異なる2種類の演出が存在するが、大当り種別に対応した演出内容の演出H1〜H3が選択されるようになっており(図70の演出種H1〜H3)、これらの選択された演出がRAM243に格納されるようになっている。また、演出E、F、Gについても、大当り種別に対応した演出内容(演出時間が長いシナリオまたは短いシナリオ)が異なる2種類の演出が含まれており、大当り種別に対応した演出内容の演出が選択され(図70の演出種E〜G)、243に格納されるようになっている。
次いで、当り中演出切り替え処理(ステップS914)を実行することで、RAM243の中から、取得する当り遊技に関するコマンドに対応する演出種を選択し、最後に、演出シナリオデータ設定処理(ステップS916)を実行することで、選択した演出種を設定することで、その演出種に含まれる演出が現出される。当り中演出切り替え処理と演出シナリオデータ設定処理とについて、それぞれ具体的に説明する。
(当り中演出切り替え処理:図35)
図35は、図33中の当り中演出切り替え処理を示すフローチャートである。この当り中演出切り替え処理では、取得した当り遊技に関するコマンドに対応する、パターンフラグ1〜4と演出順フラグとを設定する処理が行われる。
図35において、演出制御部24は、当り開始コマンド(大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンド)が取得されたか否かを判定する(ステップS930)。取得された場合(ステップS930:YES)、次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。この処理の前までは演出順フラグがゼロ(00H)であったため、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは01Hとなる。
一方、当り開始コマンドが取得されていない場合(ステップS930:NO)、次いでSW1コマンドが取得され、かつ演出順フラグが01Hであるか否かを判定する(ステップS932)。この条件を満たす場合(ステップS932:YES)、次いでステップS933を実行し、パターンフラグ4をOFF状態(=00H)に設定する。したがって、パターンフラグ4以外のパターンフラグ1〜3がON状態として残る。次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、パターンフラグ1〜3について、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは02Hとなる。
一方、ステップS932の条件を満たしていない場合(ステップS932:NO)、次いで閉鎖に関するコマンドが取得され、かつパターンフラグ4がON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS934)。ここでは、閉鎖に関するコマンドは、大当り遊技中に取得される「ラウンド終了コマンド」または小当り遊技中に取得される「右大入賞口閉鎖コマンド」を示している。この条件を満たす場合(ステップS934:YES)、次いでステップS935を実行し、パターンフラグ1〜3をOFF状態(=00H)に設定する。したがって、パターンフラグ4のみがON状態として残る。次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、パターンフラグ4について、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは02Hとなる。
一方、ステップS934の条件を満たしていない場合(ステップS934:NO)、次いでSW2コマンドが取得されたか否かを判定する(ステップS936)。この条件を満たす場合(ステップS936:YES)、次いでステップS937を実行し、パターンフラグ3をOFF状態(=00H)に設定する。したがって、パターンフラグ1、2がON状態として残る。次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、パターンフラグ1,2について、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは03Hとなる。
一方、ステップS936の条件を満たしていない場合(ステップS936:NO)、次いでSW3コマンドが取得されたか否かを判定する(ステップS938)。この条件を満たす場合(ステップS938:YES)、次いでステップS939を実行し、パターンフラグ2をOFF状態(=00H)に設定する。したがって、パターンフラグ1がON状態として残る。次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、パターンフラグ1について、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは04Hとなる。
一方、ステップS938の条件を満たしていない場合(ステップS938:NO)、次いでSW4コマンドが取得され、かつパターンフラグ3がON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS940)。この条件を満たす場合(ステップS940:YES)、次いでステップS941を実行し、パターンフラグ1、2をOFF状態(=00H)に設定する。したがって、パターンフラグ3のみがON状態として残る。次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、パターンフラグ3について、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは03Hとなる。
一方、ステップS940の条件を満たしていない場合(ステップS940:NO)、次いでSW4コマンドが取得され、かつパターンフラグ2がON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS942)。この条件を満たす場合(ステップS942:YES)、次いでステップS943を実行し、パターンフラグ1をOFF状態(=00H)に設定する。したがって、パターンフラグ2のみがON状態として残る。次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、パターンフラグ2について、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは04Hとなる。
一方、ステップS942の条件を満たしていない場合(ステップS942:NO)、次いで2R目の大入賞口開放コマンドが取得されたか否かを判定する(ステップS944)。この条件を満たす場合(ステップS944:YES)、次いでステップS950を実行し、演出順フラグを1加算する。したがって、全てのパターンフラグについて、今回のステップS950の実行により、演出順フラグは1加算され、パターンフラグ1については05Hとなり、パターンフラグ2については05Hとなり、パターンフラグ3については04Hとなり、パターンフラグ4については03Hとなる。
なお、小当り遊技においてV入賞しなかった場合は、この2R目の大入賞口開放コマンドは送信されないため(ステップS944:NO)、何もしないで当り中演出切り替え処理を抜ける。
(演出シナリオデータ設定処理:図36)
図36は、図33中の演出シナリオデータ設定処理を示すフローチャートである。この演出シナリオデータ設定処理では、当り中演出切り替え処理(図35)において設定されたパターンフラグ1〜4の値と演出順フラグの値とに基づき、当り中演出処理(図33)においてRAM243に格納された演出種を選択し、その選択種を設定する処理が行われる。
図36において、演出制御部24(CPU241)は、パターンフラグ1がON状態(=5AH)であるか否かを判定する(ステップS970)。パターンフラグ1がON状態である場合(ステップS970:YES)、次いでステップS971を実行し、RAM1に格納されている演出種の中から、演出順フラグに対応した番号の演出種を選択し設定する。演出順フラグは01H〜05Hのいずれかが設定されているため、その値に対応する番号の領域(第1領域〜第5領域)に格納されている演出種が選択され設定される。
一方、パターンフラグ1がOFF状態である場合(ステップS970:NO)、次いでパターンフラグ2がON状態であるか否かを判定する(ステップS972)。パターンフラグ2がON状態である場合(ステップS972:YES)、次いでステップS973を実行し、RAM2に格納されている演出種の中から、演出順フラグに対応した番号の演出種を選択し設定する。演出順フラグは01H〜05Hのいずれかが設定されているため、その値に対応する番号の領域(第1領域〜第5領域)に格納されている演出種が選択され設定される。
一方、パターンフラグ2がOFF状態である場合(ステップS972:NO)、次いでパターンフラグ3がON状態であるか否かを判定する(ステップS974)。パターンフラグ3がON状態である場合(ステップS974:YES)、次いでステップS975を実行し、RAM3に格納されている演出種の中から、演出順フラグに対応した番号の演出種を選択し設定する。演出順フラグは01H〜04Hのいずれかが設定されているため、その値に対応する番号の領域(第1領域〜第4領域)に格納されている演出種が選択され設定される。
一方、パターンフラグ4がOFF状態である場合(ステップS974:NO)、次いでステップS977を実行し、RAM4に格納されている演出種の中から、演出順フラグに対応した番号の演出種を選択し設定する。演出順フラグは01H〜03Hのいずれかが設定されているため、その値に対応する番号の領域(第1領域〜第3領域)に格納されている演出種が選択され設定される。
このように、当り中演出処理(図33)においてRAM243に当り種別に対応した当り中演出シナリオデータを格納し、当り中演出切り替え処理(図35)において現出する演出種を選択するためにパターンフラグや演出順フラグを設定し、演出シナリオデータ設定処理(図36)において格納したRAM243の中からフラグに対応した演出種を選択することで、今回の当り遊技中にどのような内容の演出を現出させていくかが定まる。これにより、演出制御部24は、当り中演出テーブルに基づく当り中演出を展開し、当り遊技開始に伴い「演出A」を現出させ、以後、SW1〜SW4の検出、右大入賞口50の閉鎖、2R目の開始などを契機に対応する演出種を現出させる。なお、上記では通常遊技状態に当選した場合の当り種別のみについて説明したが、時短状態に当選した場合にも、この当り中演出処理、当り中演出切り替え処理、演出シナリオデータ設定処理と同じ処理の仕方である。
<20.振動ゴト対策>
(振動センサの感度変更)
一般に、パチンコ遊技機は、遊技領域内を流下する遊技球が入賞口に入ることにより賞球が払い出され、あるいは特定領域に入球することにより大当りする、などの遊技性を有する。このため遊技機台に対し、叩き(いわゆるドツキ)や揺らし等の振動を与えて遊技球の動きに影響を与え、人為的に入賞または大当りさせるという不正行為が行われ易い。パチンコ遊技機だけでなくアレンジボール遊技機や雀球遊技機などでも同様である。そこで、従来、かかる不正行為を防止すべく、遊技機台に一定感度の振動センサを取り付けることが行われている(特開2010−075630号公報)。
しかし、パチンコ遊技機に加えられる振動の強さは、設置されるホール毎に異なる。遊技機台を乱暴に扱う者が多く集うホールでは、不正な意図のない行為として比較的強い振動が与えられ、遊技機台を丁寧に扱う穏やかな者が多く集うホールでは不正な意図のない行為として比較的弱い振動が与えられる。このため、遊技機における振動センサの感度を一定の検出レベル値に固定して出荷するだけでは、適切な不正防止の振動検出ができない状況が生まれる。また、同じホールであっても月日が経過すれば客層が変わるので、そのような状況変化にも対応できないことになる。そこで、本実施形態では、ホール毎の客層の違いや同一ホールでの客層の変化に応じて、ホール側で振動センサの感度を適正値に変更することのできる構成にする。
(一の振動センサを使い分ける)
ホール側で振動センサの感度を適正値に変更し得る構成とする場合、その適正値は、叩き(いわゆるドツキ)などの周期の短い振動を捉えることができるように設定すること、つまり検出レベルを高感度の値(たとえば4ms)に設定することが必要になる。しかし、このように検出レベルを高感度の値(たとえば4ms)に設定すると、敏感になりすぎて、それ以外の「揺らし」などの比較的長い周期の揺れ(たとえば1000ms)を検出するのには、不適当なものになってしまう。
そこで、本実施形態では、特定領域に遊技球が入球する誘導区間にわたるまたはその前後をも含む最重要監視区間をドツキが発生し易い第1期間とし、それ以外の監視区間を揺らしが行われる第2期間として区別し、第1期間ではドツキに対応し得る高感度の振動センサとして機能させ、第2期間では揺らしに対応し得る低感度の振動センサとして機能させる。
(2つのセンサを使用する理由)
上記のように、1つの振動センサを使用している場合でも、その感度レベルを適切な値に変更することにより、叩きと揺らしの2種類の振動を検出することが可能になる。しかし、「叩き」と「揺らし」とでは、報知する不正行為の性格に大きな違いある。すなわち、「叩き(ドツキ)」は特定領域に遊技球が入球する可能性のある最重要監視区間で発生すると考えられ、直ちに遊技を停止させるべきものである。これに対し「揺らし」は遊技球がまだ特定領域から少し遠い所に存在するときに行われると考えられ、遊技を停止させる程のものではないと考えられるからである。
そこで、同じ1つの振動センサで叩きと揺らしを明確に区別して捉えることができたとしても、それは叩きと揺らしが共に検出し得る同じ場所に振動センサを取り付け、該振動センサから得た出力波形を評価した結果であり、適切な場所、たとえば特定領域に遊技球が入球する可能性のある最重要監視区間に取り付けた振動センサから得た出力波形を評価したものではない。したがって、遊技を停止させるに十分な根拠をもった評価結果とは言い難い。
よって、本実施形態では、特定領域(V領域)63に遊技球が入球することに影響する誘導区間(遊動領域59)を最重要監視区間として扱い、この遊動領域59に、当該区間専用のものとして第1振動センサを取り付ける。また、それ以外の区間をも監視範囲に置き、そこでの揺らしをも監視対象とする汎用的なセンサとして第2振動センサを取り付ける。そして、両振動センサから検出出力を別々に得る。このように構成にしておくと、第1振動センサからの検出出力に基づいて叩き信号が検出されれば、最重要監視区間で叩き(ドツキ)が行われたことが明らかであるから、特定領域63に遊技球が入球するように叩きが行われたと判断する合理的な根拠が得られたことになる。よって、遊技の進行を停止させる(遊技停止処理)という強硬手段を採用して、不正行為に対する強い阻止意思を示すことができる。
<21.ダブル振動センサによる振動ゴト対策>
本実施形態においては、遊技盤3の背面側に、遊技機本体(遊技盤3)に発生する振動を検出する第1振動センサ101と、第2振動センサ102が配置されている。第1振動センサ101と第2振動センサ102は、第2の特別変動入賞装置52の近傍の位置に形成され、パチンコ遊技機1に外部から物理的な衝撃が加えられた場合、その衝撃によってパチンコ遊技機1に発生する振動を検出するものであり、振動検出手段として機能する。第1振動センサ101および第2振動センサ102は、それぞれ圧電型加速度センサからなるが、その他の接触型振動センサ、たとえば動電型加速度センサ、ストレインゲージ型加速度センサ、動電型速度センサなどを使用することもできる。
(21−1.第1振動センサによる振動ゴト対策)
第1振動センサ101は主制御部20に接続され、最重要監視区間(遊動領域59)で叩き(ドツキ)が行われたこと検知するために使用される。具体的には、第1振動センサ101は、例えば、第2の特別変動入賞装置52の内部に入球した遊技球を特定領域(V領域)63へ誘導させることを目的として、遊技球の動きやラッチ部材65〜中振分け部材57の動きや往復式回転体役物61の動きを見計らってパチンコ遊技機1に衝撃が加えられるときに発生する異常な振動(不正な振動)を検出するためのものである。本実施例の場合、最も効果的な場所として、SPアーム役物58の付近もしくはその下方に配設される。検出した振動は、その大きさに比例した長さの電気信号に変換され、主制御部20に送信される。
第1振動センサ101は、次のような単発衝撃入力時間(ms)と出力保持時間(ms)の入出力特性を有する。すなわち、瞬間衝撃入力時間が3ms以上のとき出力信号の継続時間が200ms以上、瞬間衝撃入力時間が3ms以下のとき出力信号の継続時間が200ms未満、という性能を有する。そこで、この200msが異常か否かを判断する境界として使用する。したがって、異常検知判断として、46msや196msなどの継続時間の短い出力信号の場合は、振動異常検知(エラー検知)として扱わず、継続時間が200ms以上の出力信号の場合に、振動異常検知(エラー検知)として扱う。
第1振動センサ101は主制御部20に接続されており、主制御部20では4msごとの割込み制御がなされるため、第1振動センサ101では4ms周期で振動の変化を取得することができる。この第1振動センサ101による振動検知は、図79(イ)に区間Bとして示すように、右大入賞口50の開放された時点から、入賞された遊技球が排出される時点までか、または入賞なしの場合は残存球排出時間が経過する時点までの間か、そのいずれの期間において行われる。第1振動センサ101により200ms以上の振動が検知された場合、主制御部20は叩き(ドツキ)が行われたと判断して、セキュリティ通報および遊技停止を行う。また、演出制御部24側に情報を送ってエラー音の発生、LEDによる報知を行う。
図74は、第1振動センサ101を用いた主制御側不正振動監視処理を示したものである。主制御部20は第1振動センサ101が接続されたIOポートの前回のデータAを取得する(ステップS621)。これは、既に前回の割込み時において取得していた検出データAをロードすることで行う。そして同IOポートの今回の割込み時のデータBを取得する(ステップS622)。得られた4ms毎のデータA、Bを比較し(ステップS623)、一致しなければなにもしないでこの処理を抜ける。一致していれば、検知信号がHレベル(またはLレベル)にあるので、振動が検知されたとして扱ってよいか否かの判断を行う(ステップS624)。Lレベルが続いているときは(ステップS624:NO)、振動であると判断できないので、振動検知回数をゼロにリセットして(ステップS628)、この処理を抜ける。検知信号がHレベルで続いていれば(ステップS624:YES)、ステップS625に進み、振動検知回数を1加算して(ステップS625)、振動検知回数が閾値Nを超えたか否かを判断する(ステップS626)。
振動検知回数が閾値Nを超えていなければ、この処理を一度抜けて、再びこの処理に入り、ステップS621〜S625を経て、振動検知回数を1加算した後、振動検知回数が閾値Nを超えたか否かを判断する(ステップS626)。閾値N(50回)に達した場合、叩きが行われたと判断できる200msに達したので、ステップS627の振動検知エラー処理に進み、エラーコマンドの送信を行うとともに、遊技停止処理を行う。遊技停止処理ではセキュリティ報知、遊技停止を行うエラーコマンドを受けた演出制御部24では、エラー音を発生し、LEDでエラーを報知する。この振動検知エラー処理は、電源がオフ(電断)されるまで続く。
本実施形態に係る弾球遊技機のような第2種的弾球遊技機において、不正を目的とした衝撃がパチンコ遊技機1に加えられた場合、この衝撃によって発生した振動が特定領域(V領域)63への入球確率(遊技球が入球する確率)に直接影響を及ぼしてしまう。このため、第1振動センサ101は、上記不正を目的とした衝撃を精度良く検出するため、第2の特別変動入賞装置52または特定領域(V領域)63の近傍の位置に形成することが好ましい。なお、第1振動センサ101が形成される位置は特に限定されず、上記のような不正を目的とする衝撃や振動を検出することが可能な位置であれば、パチンコ遊技機1の任意の位置(例えば、上受け皿ユニット8、上受け皿9、下受け皿、遊技盤3の表面側(遊技部品も含む)や裏面側)に形成しても良い。また、第1振動センサ101は1つに限らず、複数個形成しても良い。
(21−2.第2振動センサによる振動ゴト対策)
第2振動センサ102は、2種類の監視領域を持つ。すなわち、特定領域(V領域)63に遊技球が入球するように誘導する誘導区間(最重要監視区間)を含む遊動領域59を第1監視対象領域とし、それ以外の領域を第2監視対象領域とする振動センサである。この第2振動センサ102は、振動を検知した後、最短1ms以下で出力が変化する性能を有する。第2振動センサ102は演出制御部24に接続されており、演出制御部24は1ms毎に割込み制御を行うので、第2振動センサ102から1ms周期で振動の変化を取得することができる。演出制御部24は、この第2振動センサ102からの出力信号に基づいて、遊技機台が揺らされた場合の振動を検出する。
その際、第2振動センサ102の感度が、適切な振動検知レベルに切り替えられる。つまり、第1監視対象領域での振動検出に関しては高感度(4ms〜72ms)に設定され、第2監視対象領域に関しては低感度(1000ms)に設定される。
詳述すると、この第2振動センサ102による第1監視対象領域に対する振動検知は、図79(ロ)に「役物遊技中」の区間Bとして示すように、右大入賞口50の開放された時点から、入賞された遊技球が排出される時点までか、または入賞なしの場合は残存球排出時間が経過する時点までの間か、そのいずれの期間において行われる。第2振動センサ102により4ms〜72ms程度の小振動が継続的にまたは断続的に検知された場合、遊技球を特定領域へ導こうとする揺れが検出されたと判断して、エラー音の発生、LEDによる報知を行う。このエラー音の発生、LEDによる報知は通常は30秒で解除される。ここでは、第1振動センサにより叩き振動を検出した場合と異なり、セキュリティ通報および遊技停止は行なわない。小刻みの揺らしにより遊技球を特定領域63へ導こうとする場合は、叩きにより遊技球を特定領域63へ導こうとする場合に比べ、結果がそれほど深刻ではないと考えられることや、不正行為によることが確定的なものではないことなどの理由からである。
第2振動センサ102による第2監視対象領域に対する低感度(1000ms)の振動検知は、上記役物遊技中の「区間B以外の期間」について、つまり図79(ロ)に区間A、Cとして示す期間において行われる。具体的には、客待ち状態から出発して、右大入賞口50が開放されて入賞するまで、つまり役物遊技中になるまでの区間A(客待ち、変動中、開始インターバル、右大入賞口50の開放される時点まで)の期間と、役物遊技中の区間Aが終了した時点(入賞された遊技球が排出された時点か、または入賞なしで残存球排出時間が経過した時点)から後の期間である区間C(図79に示す例では、1R目のインターバル期間、2R〜16Rのラウンド遊技期間、終了インターバル期間、客待ち状態となる間)において行われる。第2振動センサ102により1000ms程度の振動が検知された場合、遊技球を特定領域へ導こうとする揺れが検出されたと判断して、エラー音の発生、LEDによる報知を行う。このエラー音の発生、LEDによる報知は通常は30秒で解除される。ここでも、第1振動センサにより叩き振動を検出した場合と異なり、セキュリティ通報および遊技停止は行なわない。区間Bでの振動検知の場合と同じ理由からである。本実施形態の場合、第1監視対象領域とする範囲を、特定領域に遊技球が入球する誘導区間にわたる範囲としているが、その前後をも含んだ所定の区間を第1監視対象領域とすることもでき、その場合は、それ以外の遊技球が流下する区間が第2監視対象領域となる。
(21−3.振動センサ感度の切り替え設定)
上記のように図79の区間Aでは低感度(1000ms)の振動検知が行われ、区間Bでは高感度(4ms〜72ms)の振動検知が行われ、区間Cでは低感度(1000ms)の振動検知が行われる。このうち、区間Bでの振動検知においては、第2振動センサの感度について、その検知レベルがホール側の手操作により、多段に変更可能になっている。
本実施形態の場合、図80に示すように、ホール側で設定できるホール設定機能として「ホール設定機能1」〜「ホール設定機能5」を有し、この機能により、振動センサの検知レベルを「振動センサLV5」〜「振動センサLV1」の5段階に切り替え可能となっている。「振動センサLV5」は最も感度が高く、振動センサ信号を4ms間連続受信した場合にエラー音およびエラーLED点灯をする。以下同様に、振動センサLV4、LV3、LV2、LV1は、振動センサ信号を20ms間、36ms間、50ms間、72ms間、それぞれ連続受信した場合にエラー音およびエラーLED点灯をする。なお振動センサLV3がデフォルト値になっており、検出レベルの変更をしない場合は、振動センサLV3が維持される。
図81は、上記の振動センサ感度の切り替え設定の仕方を一覧表にしたものである。この一覧表は、たとえば、ホール設定としてホール設定機能2により、振動センサLV4に設定する場合、振動センサLV5の状態で左ボタンを押下するか、振動センサLV3の状態で右ボタンを押下するか、のいずれかにより、設定することができることを表している。
ホール設定機能を利用して振動センサ感度の切替設定をする場合には、図82に示すように、液晶画面に画像とメッセージにて設定方法が示唆される。この感度レベル設定方法を具体的に説明すると、次のようになる。
(感度レベル設定方法)
(i)電源を投入すると、液晶画面に装飾図柄「2・3・7」が表示される。
(ii)裏側の演出基板に設けられているボタンを1回押す。これにより液晶画面に、図82に示す振動センサ感度レベル設定画面が表示される。図中、5個の四角枠の並びは、設定レベルメータであり、塗りつぶしの四角の数により設定中の振動センサの設定検出レベルを表している。
(iii)図82に示すように、振動センサ感度レベル設定画面には、操作をすべき枠ボタンとして「左ボタン」の画像b1、「右ボタン」の画像b2、「センターボタン」の画像b3と、当該画像のボタンが担う役割(図示せず)とが表示される。たとえば、「左ボタン」の役割として「感度レベル低方向」が、「右ボタン」の役割として「感度レベル高方向」が、「センターボタン」の役割として「設定画面を閉じる」が、といったメッセージが表示される。
そこで、設定画面を表示した状態で枠十字ボタンの左右ボタンで感度レベルの変更を行う。左右ボタンでは、左ボタンを押圧操作することで感度レベル低方向への設定変更ができ、右ボタンを押圧操作することで感度レベル高方向への設定変更ができる。この変更操作の後、枠センターボタンを押すと設定画面が閉じて設定がなされる。
(第2振動センサによる不正振動監視処理:図77、図78)
図77は、図32の不正振動監視処理(ステップS097)で行われるセンサ感度変更設定処理を、図78は振動エラー判定処理を示したものである。図77において、演出制御部24は、センサSW1コマンドが受信されたか否かを判断する。このセンサSW1コマンドは、右大入賞口50に入賞した場合に主制御部から送信されてくるコマンドである。このセンサSW1コマンドを受信した場合は、図79の役物遊技中(区間B)の始まりが到来したことが分かる。しかし、センサSW1コマンドが受信されるまでの間は(ステップS721:NO)、図79の区間Aにあるので、ステップS724に進み、何もしないで、つまり感度設定処理(ステップS723)または基本感度設定処理(ステップS726)も実行せずに、このフローを抜ける。
図78において、演出制御部24は、感度設定処理または基本感度設定処理が行われたか否かを判断する。いずれもまだ実行されていないので、ステップS822に進む。
演出制御部24は第2振動センサ101が接続されたIOポートの前回のデータAを取得する(ステップS822)。これは、既に前回の割込み時において取得していた検出データAをロードすることで行う。そして同IOポートの今回の割込み時のデータBを取得する(ステップS823)。得られた1ms毎のデータA、Bを比較し(ステップS824)、一致しなければなにもしないでこの処理を抜ける。一致していれば、検知信号がHレベル(またはLレベル)にあるので、振動が検知されたとして扱ってよいか否かの判断を行う(ステップS825)。Lレベルが続いているときは(ステップS825:NO)、振動であると判断できないので、振動検知回数をゼロにリセットして(ステップS829)、この処理を抜ける。検知信号がHレベルで続いていれば(ステップS825:YES)、ステップS826に進み、振動検知回数を1加算して(ステップS826)、振動検知回数が閾値Kを超えたか否かを判断する(ステップS827)。
振動検知回数が閾値Kを超えていなければ、この処理を一度抜けて、再びこの処理に入り、ステップS822〜S826を経て、振動検知回数を1加算した後、振動検知回数が閾値Kを超えたか否かを判断する(ステップS827)。閾値K(1000回)に達した場合、揺れが生じたと判断できる長さ1000msに達したので、ステップS828の振動検知エラー処理に進み、エラー音を発生し、LEDでエラーを報知する。この振動検知エラー処理は、約30秒間続く。
図77に戻り、やがて図79の役物遊技中(区間B)の始まりが到来するとセンサSW1コマンドが受信される。ステップS721の判断はYESとなり、ステップS722に進んで、区間BフラグがONに設定されるとともに、感度設定処理がなされる(ステップS723)。この感度設定処理では、第2振動センサ102の感度を、低感度(1000ms)から高感度(ホール設定にて設定された値、たとえば振動センサLV4の20ms)に設定変更する。その後、ステップS724を経て、センサ感度変更設定処理を抜ける。
図78のステップS820の判断は、感度設定処理が実行されている(区間BフラグがON)のでYESとなる。つまり図79の区間Aを終えて、区間Bの始まりが到来したことになる。そこで、ステップS821に進み、振動検知回数の閾値Kに、ホール側が設定した設定感度に対応する値(たとえば振動センサLV4の20msに対応する20回)が設定される。
演出制御部24は区間Aで行ったのと同様の処理(ステップ)を行う。すなわち演出制御部24は第2振動センサ101が接続されたIOポートの前回のデータAを取得する(ステップS822)。これは、既に前回の割込み時において取得していた検出データAをロードすることで行う。そして同IOポートの今回の割込み時のデータBを取得する(ステップS823)。得られた1ms毎のデータA、Bを比較し(ステップS824)、一致しなければなにもしないでこの処理を抜ける。一致していれば、検知信号がHレベル(またはLレベル)にあるので、振動が検知されたとして扱ってよいか否かの判断を行う(ステップS825)。Lレベルが続いているときは(ステップS825:NO)、振動であると判断できないので、振動検知回数をゼロにリセットして(ステップS829)、この処理を抜ける。検知信号がHレベルで続いていれば(ステップS825:YES)、ステップS826に進み、振動検知回数を1加算して(ステップS826)、振動検知回数が閾値K(たとえば振動センサLV4の20ms)を超えたか否かを判断する(ステップS827)。
振動検知回数が閾値Kを超えていなければ、この処理を一度抜けて、再びこの処理に入り、ステップS822〜S826を経て、振動検知回数を1加算した後、振動検知回数が閾値Kを超えたか否かを判断する(ステップS827)。閾値K(たとえば振動センサLV4の20msに対応する20回)に達した場合、揺れが生じたと判断できる長さ(振動センサLV4の20ms)に達したので、ステップS828の振動検知エラー処理に進み、エラー音を発生し、LEDでエラーを報知する。この振動検知エラー処理は、約30秒間続く。
上記の振動監視を行っているうちに、図79の役物遊技中の区間Bが終了すると、つまり排出待ち時間が経過すると、図77のステップS724の判断がYESとなり、ステップS725で期間BフラグがOFFに戻され、基本感度設定処理が実行される(ステップS726)。この基本感度設定処理では、第2振動センサの感度を低感度(1000ms)に戻す処理を行う。これにより図79の区間Bが終了し、区間Cに移る。
図78において、ステップS820の判断は、基本感度設定処理が実行されている(区間BフラグがOFF)のでNOとなる。つまり図79の区間Bを終えて、区間Cの始まりが到来したことになる。そこで、ステップS821に進み、振動検知回数の閾値Kに、基本設定感度に対応する値(1000msに対応する1000回)が設定される。以下、期間Aのときと同じ振動エラー判定処理により、第2振動センサによる振動監視が行われる。
上記のように、図78の振動エラー判定処理を期間A、B、Cに対して共通に使用して、簡潔にエラー判定することができる。なお、上記実施形態では、役物遊技中の区間Bを、入賞時点から開始する期間として捉えたが、大当りが開始する時点から開始する期間として捉えて、処理することもできる。
本実施形態に係る弾球遊技機のように、特定領域(V領域)63または非特定領域(ハズレ領域)62に遊技球を誘導するための可動式役物が複数個形成されている場合、通常、特定領域(V領域)63までの到達経路が複数形成されている。第2の特別変動入賞装置52の内部に入球した遊技球は、各ラッチ部材65〜中振分け部材57によって選択された前記到達経路に沿って誘導され、特定領域(V領域)63または非特定領域(ハズレ領域)62に入球していく。この種の弾球遊技機の場合、遊技に興奮した遊技者やゴト師(不正目的で利益を得る行為(ゴト行為)を行う者)が複数回に分けて断続的に小さな衝撃〜大きな衝撃を遊技機に加え、特定領域(V領域)までの到達経路が有利になるように遊技球の動きに変化を与える場合(いわゆる、「ドツキゴト行為」が該当する)が想定される。そこで、本実施形態では、フローに示してないが、第2振動センサ102によって所定レベル以上の振動が第1の所定時間(1000ms)継続して検出され、その後、第2振動センサ102によって当該所定レベル以上の振動が検出された場合、両者の繋がりを怪しむ場面であるので、特定領域(V領域)63へ遊技球を入球させるために、遊技者が故意に、強弱のある揺らしを遊技機台に与えた振動であると判断できるようにしている。
上記不正な振動の検出は、右大入賞口検出スイッチSW1(図3参照)によって遊技球が検出されたことを契機として開始させ、当該遊技球が特定領域(V領域)53のセンサSW3または非特定領域(ハズレ領域)62のセンサSW4に検出され、第2の特別変動入賞装置52の外部へ遊技球が総て排出されたことを確認してから終了させることが好ましい。このようにする理由は、ゴト師がパチンコ遊技機1に衝撃を加えるのは、通常、第2の特別変動入賞装置52に遊技球が入球している間である。したがって、第2の特別変動入賞装置52に遊技球が入球している間、不正な振動の検出を行うことによって、ゴト行為の意図が無い振動を誤って検出してしまうということを最小限に抑えることができるようになる。なお、不正な振動の検出開始時期および終了時期は、上記のような時期に限らず、後述する第1特別図柄始動口または第2特別図柄始動口への遊技球の入球を契機として開始させ、所定時間を経過した後、終了させても良く、目的に応じて種々の態様に変更することができる。
不正防止についての好ましい実施形態についてまとめると次のようになる。
(1)遊技球の入球を可能とする開状態と遊技球の入球を困難または不可能とする閉状態とに変換可能な開閉部材を備えた可変入賞装置を有し、前記可変入賞装置の内部に形成された特定領域に遊技球が入球したことを条件として、遊技者に対して有利な利益状態を発生させるように構成された遊技機であって、前記弾球遊技機が外部から加えられた振動を検出する振動検出手段(第2の振動センサ:サブ側のゆらし検出センサ)と、前記振動検出手段によって検出された振動に基づき、不正な振動(一定レベルの振動)であるか否かを判定する不正振動判定手段と(図78の振動エラー判定処理)、前記不正振動判定手段によって前記不正な振動であると判定された場合、不正行為が行われているとみなして、その旨を外部に報知する不正報知手段と(図78のステップS828)、を有し、前記不正振動判定手段は、前記振動検出手段によって所定レベル(感度低)以上の振動が第1の所定時間(1000ms)継続して検出された場合に、前記不正な振動であると判定する第1の不正判定機能と、前記所定レベル以上の振動ではあるが前記第1の不正判定機能によっては不正と判定されない時間幅の短い振動が第2の所定時間(4、20、36、50、72ms)継続してまたは断続して検出された場合に、前記不正な振動であると判定する第2の不正判定機能と、を有し、前記第2の不正判定機能に関し、前記振動検出手段の振動検知感度が手操作により複数段階の検出レベル(4、20、36、50、72ms)に切り替え可能である遊技機。
(2)前記第2の不正判定機能は、前記特定領域に遊技球が入球する誘導区間にわたりまたはその前後をも含んだ所定の区間については、それ以外の遊技球が流下する区間におけるよりも前記振動検出手段の振動検知感度を高感度に設定する処理(図77のセンサ感度変更設定処理)を含む、上記(1)記載の遊技機。
また次のように構成するとよい。第1条件を満たす振動(所定レベル以上の振動)と、第2条件(所定レベル未満の振動)を満たす振動を検出可能な振動検出手段(第1振動センサ101、第2振動センサ102)と、前記振動検出手段が振動を検出した場合に、その旨を報知可能な振動報知手段(主制御部20側において遊技停止、ランプ点灯、音響発生、エラーコマンド送信;副制御部24側においてランプ点灯、音響発生)と、を備えた遊技機であって、前記第1条件と前記第2条件とが、互いに異なる条件である構成とする。一形態としては、前記振動検出手段が1つの検出手段であり、前記第1条件を満たした場合に第1異常と判定する第1異常判定手段と、前記第2条件を満たした場合に第2異常と判定する第2異常判定手段と、を有する構成がある。また他の形態としては、前記振動検出手段として、前記第1条件を満たす振動を検出する第1検出手段(第1振動センサ101)と、前記第2条件を満たす振動を検出する第2検出手段(第2振動センサ102)と、を有し、前記第1検出手段と前記第2検出手段とを異なる位置に配置する形態がある。前記第1条件は、前記振動検出手段によって所定レベル以上の振動が検出されることとし、前記第2条件は、前記振動検出手段によって前記所定レベル未満の振動が所定時間継続してまたは断続して検出される構成とする形態とすることができる。また、操作手段を備え、この操作手段を操作することにより、前記第1条件(所定レベル以上の振動検出)と前記第2条件(所定レベル未満の振動検出)の少なくともいずれか一方の条件を変更可能な構成とすることもできるし、また、前記操作手段を操作することにより、前記第1条件(所定レベル以上の振動検出)と前記第2条件(所定レベル未満の振動検出)の少なくともいずれか一方の条件を無効とすることが可能な構成とすることができる。