JP2017192381A - 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子 - Google Patents

変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子 Download PDF

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Abstract

【課題】 遺伝子組換えアルカリホスファターゼを動物細胞で高発現することが可能な遺伝子配列を提供する。【解決手段】 配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列からなる、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子を用いて、アミノ酸を発現させ、変異型アルカリホスファターゼを製造する。【選択図】 図7

Description

本発明は、遺伝子組換えアルカリホスファターゼを生産する方法に関する。
アルカリホスファターゼは、抗原抗体反応などの検出系にホースラディッシュパーオキシダーゼと並んでよく利用される酵素である。種々の動物から単離されたアルカリホスファターゼの中で、ウシ小腸由来の酵素が比活性が高いことから主に使用されていた。また天然型のアルカリホスファターゼには高活性型(CIPII)と中活性型(CIPI)が存在することが知られているが、高活性なアルカリホスファターゼは子牛小腸からしか精製することができず、安定供給は課題の一つであった。
近年遺伝子工学技術を用い、ピキア酵母で高活性遺伝子組換えALPを生産する方法やCHO細胞で発現する方法が報告されている(特許文献1)。ピキア酵母で産業上利用できる程度の発現量は得られているが、天然型と比べて糖鎖の構造が同じでないなどの課題がのこる。
ピキア酵母で高活性アルカリホスファターゼを発現した報告例では、アルカリホスファターゼの487番目のアスパラギン酸までを発現させている(特許文献1)。また、CHO細胞で発現させた報告例では480番目のアラニンまでを発現させている(特許文献2)。
特許第3657895号公報 特許第4295386号公報
天然型のアルカリホスファターゼ遺伝子の3’付近には、GPIアンカーをコードする配列が含まれている。つまり、天然型のアルカリホスファターゼ遺伝子全長を単純に遺伝子組み換え体として発現させた場合は、細胞膜上の膜たんぱく質として発現する。遺伝子組み換え体として発現させたアルカリホスファターゼを利用することを考えると、細胞から分泌発現させる方が、精製工程のことを考慮すると好ましい形態である。しかし、アルカリホスファターゼのどのアミノ酸をC末端にすれば、効率よい発現ができるかなどの情報はなかった。アルカリホスファターゼ遺伝子を短くしすぎると酵素活性が低下あるいは消失してしまい、長すぎるとGPIアンカー領域を含むようになるため、アルカリホスファターゼが細胞膜上に残り、発現量の低下につながることが予想される。さらに、遺伝子組み換えタンパク質を高発現させるためには、できるだけ短いタンパク質として発現させる方がホスト細胞へのストレスが少なく発現量は向上する可能性もある。天然型から精製してきたアルカリホスファターゼを解析するとC末端は480番目のアミノ酸と報告されているが、遺伝子組み換え体として発現させる場合、天然型と同一部位が最適部位ではない可能性があり、どこが最適部位なのかは不明であった。また、CIPIIの全長遺伝子
はクローニングされておらず、シグナルペプチドの遺伝子配列と480番目以降の遺伝子
配列は不明であった。
本発明の目的は、遺伝子組換えアルカリホスファターゼを動物細胞で高発現することが可能な遺伝子配列を提供することにある。
本発明者は上記課題について鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は以下のとおりである。
(1)変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
(2)変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
(3)変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸配列からなることを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼ。
(5)(1)〜(3)いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸を発現させる工程を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼの製造方法。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
変異型アルカリホスファターゼのアミノ酸配列1番目〜480番目までに相当する遺伝子配列は特許文献2に従い合成し、それ以降の遺伝子配列はBiochem.J.、290、503;(1993)に記載されているCIPIのアミノ酸配列481番目以降に相当する遺伝子配列に従い合成し、−19番目〜−1番目に相当するシグナルペプチドの配列もCIPIのシグナルペプチドのアミノ酸配列に相当する遺伝子配列に従い合成し、全533アミノ酸(CIPII−CIPI chimera protein)に相当する遺伝子(CIPII−CIPI chimera gene sequence)を合成した。この遺伝子を鋳型として、C末端からアミノ酸を一個ずつ短くしていったものを発現させ、470番目のアミノ酸残基まで短くした変異体を作製した。変異体遺伝子の作製は通常行われている遺伝子組換え技術を利用することができる。
上記各種変異体を遺伝子組み換えタンパク質として発現させるホスト・ベクター系や、その培養方法は特に限定されない。たとえば動物細胞用発現体として発現させるベクターとして、J.Biochem.、108、673;1990に示されるような発現ベクターを使い、CHO細胞をホストとして用いることができる。また、ホストとして使用する動物細胞は、COS細胞、ミエローマ細胞、HEK293細胞などを例示することができるが、それらに限定されるものではない。もちろん、付与される糖鎖の構造が天然型と異なっていたり、糖鎖欠損体であっても良い場合は、大腸菌や酵母、バチルスなどの細菌でも製造することは可能であり、無細胞タンパク質合成系で生産することも可能である。
組換えアルカリホスファターゼを生産するための培養方法も、それぞれのホスト・ベクター系で最適な方法で培養すればよく、培養時間、溶存酸素濃度、pHや各種培地成分をタンパク質の発現量が最適になるように調整することで生産することができる。
また遺伝子組換えアルカリホスファターゼを生産するホスト細胞の作り方も特に限定されず、通常使用されているホスト・ベクターの組み合わせで発現細胞を作製することができる。
[培養上清中の遺伝子組換えアルカリホスファターゼ量の測定]
培養上清中に発現した遺伝子組換えアルカリホスファターゼの定量系を構築した。2種類の抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3、APA03.2)を用い培養上清中のアルカリホスファターゼの検出を行った。今回は上記に示す2種類のモノクローナル抗体を使用したが、本抗体に限定されるものではなく、他のモノクローナル抗体やポリクローナル抗体を用いることも可能である。まず、APA05.3をELISAプレートに固定化し、スキムミルクでブロッキングした後、遺伝子組み換え体として発現したアルカリホスファターゼを含む培養上清を反応させた。この時に培養上清中の遺伝子組換えアルカリホスファターゼが固相の抗体に捕捉される。その後、ホースラディッシュパーオキシダーゼで標識したAPA03.2を反応させ、十分に洗浄後、固相に結合したHRP量を検出することで、培養上清中に存在していた遺伝子組換えアルカリホスファターゼの量を比較した。
[培養上清中の遺伝子組換えアルカリホスファターゼ活性の測定]
APA05.3をELISAプレートに固定化し、スキムミルクでブロッキングした後、遺伝子組み換え体として発現したアルカリホスファターゼを含む培養上清を反応させた。この時に培養上清中の遺伝子組換えアルカリホスファターゼが固相の抗体に捕捉される。その後十分に洗浄したのちに、アルカリホスファターゼの酵素活性を測定した。
[比活性の比較]
前述した方法で、培養上清中に存在するアルカリホスファターゼの量とアルカリホスファターゼの活性を測定することで、酵素の比活性を比較することができる。ここでは横軸にアルカリホスファターゼ(ALP)活性を、縦軸にALP量を取る(図1)。ALPの比活性が同じであれば、斜めのライン上にプロットされるが、比活性が向上しているのであれば斜めの線から右側にシフトし、比活性が低下しているのであれば、左にシフトすることとなる。
今回の培養上清を上記方法で評価した。なお、データーのばらつきを考慮して、それぞれ5点ずつ測定しプロットした(図2〜6)。その結果、各種変異体のデーターをプロットしたが、すべて同じ傾きの直線状に並んだことから、今回作製した変異型アルカリホスファターゼは、C末端の切断位置により比活性は変化しないことが示された。
[発現量の比較]
全514アミノ酸を発現したアルカリホスファターゼから、C末端をN末端側に向かって短くしてゆくに従い、培養上清中の活性が増加してゆく傾向にあることが分かった。発現量は、C末端のアミノ酸番号が514番目から477番目までは少しずつ増加してゆき、それ以上短くすると急激に発現量が低下することが分かった。培養上清中の活性がなくなる原因として考えられることは、タンパクとして発現しているが活性が無くなった場合と、タンパク質として発現すらしなくなる場合が考えられる。今回培養上清中の酵素活性が消失している培養上清を解析すると、培養上清中にアルカリホスファターゼ自体が存在していないことが明らかとなった。これらのことから、477アミノ酸より短くなるとタンパク質として発現できなくなることが分かった。遺伝子組換え体として動物細胞で発現させる場合は、477番目以上のアミノ酸が必要である。よって、1〜477番目のアミノ酸配列をコードする遺伝子配列、即ち配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目の遺伝子配列が、今回の変異体を作製するためには必須であり、更に配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目の遺伝子(アミノ酸配列1〜478番目に相当)又は58〜1494番目の遺伝子(アミノ酸配列1〜479番目に相当)であってもよい。また、上記配列(配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目の遺伝子配列、58〜1491番目の遺伝子配列、又は58〜1494番目の遺伝子配列)と相同性を有する相同遺伝子も使用することができる。ここで、相同性とは、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
本発明で示した配列を使用することで、高活性アルカリホスファターゼを効率よく生産することができる。
実施例5で行った比活性の変化を比較する原理図である。 実施例5で得られた結果のうち、10クローンの結果を示したグラフである。図中の数字は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示す。 実施例5で得られた結果のうち、12クローンの結果を示したグラフである。図中の数字は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示す。 実施例5で得られた結果のうち、10クローンの結果を示したグラフである。図中の数字は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示す。 実施例5で得られた結果のうち、9クローンの結果を示したグラフである。図中の数字は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示す。 実施例5で得られた結果のうち、10クローンの結果を示したグラフである。図中の数字は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示す。 実施例6で、各種変異体の発現量を比較した結果を示す図である。 実施例7で測定した活性を示す図である。 実施例8で得られた、Phenyl−5PWカラムにより分離されたクロマトグラムを示す図である。 実施例8で得られた、DEAE−5PWカラムにより分離されたクロマトグラムを示す図でさる。 実施例9で得られたSDS−PAGEの結果を示す図である。
[実施例1] キメラ遺伝子と各種変異体をコードする遺伝子の作製
特許文献2に示されたCIPIIの配列とBiochem.J.、290、503;(1993)に記載されているCIPIの配列から、CIPIIとCIPIのキメラタンパク質(CIPII−CIPI chimera protein、配列番号1)を設計し、それをコードする遺伝子(CIPII−CIPI chimera gene sequence、配列番号2)を合成した。配列番号1にはシグナルペプチドに相当する19アミノ酸(配列番号1の−19〜−1位)を含むため、分泌発現した際は配列番号1の1位のアミノ酸のLがタンパク質のN末端となる。つまり、分泌発現した際の480番目のアミノ酸であるAは、配列番号1では480番目のAとなり、そこまではCIPIIの配列であり、それより後の配列はCIPIの配列であり、全長514個のアミノ酸配列とした。なお、配列番号2のC末端は終止コドンを含んでいる。この配列を、J.Biochem.、108、673;1990の中で使用されているpECE−dhfrベクターに導入した。そのベクターをALPの全長を発現する発現ベクターとした(ALP−514)。
その後、ALP−514を鋳型として用い、KOD−PLUS−MutagenesisKit(東洋紡績社製)により、終止コドンの上流のアミノ酸を順次欠失させた変異体を作製した。それぞれの変異体の名前は(ALP−数字)で示し、発現したタンパク質のN末端のLを1とした時の、C末端のアミノ酸番号を記載した。
[実施例2]一過性発現による各種変異体の発現
定法により各種変異体がクローニングされたプラスミドを精製し、CHO−K1細胞にリポフェクトアミン2000(Invitrogen社製)を用い、取扱説明書に従い遺伝子を導入した。遺伝子を導入してから3日後に培養上清を回収し、以下の実験に使用した。なお実験のばらつきを考慮して、遺伝子導入は一つのプラスミドに対して同じ条件で5点行い、その後それぞれの培養上清を、実施例3と実施例4に示す方法で解析し、図2から6にプロットした。つまり、一つの変異体につき5点のデーターをプロットしている。
[実施例3]ELISAによる、培養上清中に発現したアルカリホスファターゼ量の比較
ウシ小腸より精製したアルカリホスファターゼを免疫抗原として、定法によりウシ小腸由来アルカリホスファターゼ認識抗体を単離した。それらの中から、ウシ小腸アルカリホスファターゼの異なるエピトープを認識し、サンドイッチアッセイが構築できる2種類の抗体(APA05.3、APA03.2)を使用した。固相化用緩衝液(12mM NaCO、38mM NaHCO、pH9.6)で、抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3)を1μg/mlとなるように希釈し、100マイクロリットルを96ウエルのELISAプレートに添加した。これを1時間室温でインキュベートし、APA05.3をELISAプレートに固相化した。該ELISAプレートを洗浄用緩衝液(20mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、150mM 塩化ナトリウム、0.1% Tween20)で3回洗浄した後、1%スキムミルクを含むPBSを添加し、1時間室温でインキュベートすることで該ELISAプレートをブロッキングした。その後、実施例2で作製した各種変異体が発現した培養上清を、0.1%スキムミルクを含むPBSで10倍希釈したものを添加し一時間反応させた。洗浄用緩衝液で洗浄後、HRP標識した抗アルカリホスファターゼ抗体(APA03.2)を1,000倍希釈したものを、1時間反応させた。HRP標識は、同仁化学社製のHRP標識試薬(LK−11)を説明書通りに使用した。室温で1時間反応させた後,該ELISAプレートを洗浄用緩衝液で3回洗浄し、SureBlue/TMB(セラケア ライフサイエンシーズ社製)を添加し、説明書通りに反応させ、該ELISAプレートの吸光度(450nm)をプレートリーダーで測定した。
[実施例4]ELISAによる、培養上清中に発現したアルカリホスファターゼ活性の比較
固相化用緩衝液(12mM NaCO、38mM NaHCO、pH9.6)で、抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3)を1μg/mlとなるように希釈し、100マイクロリットルを96ウエルのELISAプレートに添加した。これを1時間室温でインキュベートし、APA05.3をELISAプレートに固相化した。該ELISAプレートを洗浄用緩衝液(20mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、150mM 塩化ナトリウム、0.1% Tween20)で3回洗浄した後、1%スキムミルクを含むPBSを添加し、1時間室温でインキュベートすることで該ELISAプレートをブロッキングした。その後、実施例2で作製した各種変異体が発現した培養上清を、0.1%スキムミルクを含むPBSで10倍希釈したものを添加し一時間反応させた。
洗浄用緩衝液で洗浄後、4−MUP溶液(1M ジエタノールアミン、0.5mM 塩化マグネシウム、1mM 4−メチルウンベリフェリルりん酸(4−MUP))を添加し、30分間室温でインキュベートした。該ELISAプレートの蛍光強度(励起波長360nm、発光波長465nm)をプレートリーダーで測定した。
[実施例5]変異体の比活性の相関性
実施例3で得られた値を縦軸に、実施例4で得られた値を横軸にグラフ上にプロットした。たとえば図2では、10種類の変異体をそれぞれ5クローンずつ実施例3と4の方法で測定した結果をプロットしたものである。なお、実験日が変わると縦軸と横軸の値が多少変化し、傾きが変化するため図間の直接の比較はできない。そのため、それぞれのグラフ間で共通のクローンを複数測定することで、すべてのクローンでの相関性を考察した。
図2から図6に示すグラフで、ALP−511、ALP−509,ALP−506〜470のデーターをプロットしている。各種変異体の5点のプロットは、ほぼ同一の部分にプロットされていることから、実験誤差は少ないことがわかる。さらに、変異体間の関係も、それぞれのグラフで一直線上に並んでおり、相関性が高くプロットされていることから、各種変異体間の比活性の差はないと判断できた。
[実施例6]変異体の発現量の比較
すべての変異体のプラスミドを260nmの吸光度を測定することにより定量し、96ウエルプレートで生育した同数のCHO細胞に実施例2で示す方法で導入した。その後、実施例4に示す方法で、培養上清中の活性を測定した。その結果をまとめて図7に示した。なお複数のデーターがプロットされているクローンもある。横軸は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示し、縦軸は得られた蛍光強度を示す。このグラフから、アミノ酸番号514番目から477番目までは培養上清中のALP活性が増加してゆくが、476番目まで短くすると急激に活性が低下してしまい、更に短くするとほとんど活性が見られなくなってしまう事が明らかとなった。さらに、図4でも明らかなように、470番台前半のクローンは、発現量も低下していることが明らかとなった。つまり活性の低下は、酵素活性部位への影響ではなく、そもそもタンパク質として発現できていないことによることが明確となった。
[実施例7]
実施例4では、培養上清中に発現したアルカリホスファターゼの活性を、抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3)で捕捉して測定した。ここで使用した抗体のエピトープが、変異体を作製する際にアミノ酸を欠失させた領域ではない事の確認を行った。ALP−470、475、480、485、490の変異体遺伝子を、実施例2に示す方法でCHO−K1細胞に導入し、培養上清を回収した。培養上清を、実施例4に示す方法で活性を測定した結果を図8の右側に示した。このグラフは、抗アルカリホスファターゼ抗体で固相に捕捉したアルカリホスファターゼの活性を示している。
それとは別に、培養上清をPBSで10倍希釈した溶液10マイクロリットルを、4−MUP溶液(1M ジエタノールアミン、0.5mM 塩化マグネシウム、1mM 4−MUP)90マイクロリットルに添加し、30分間室温でインキュベートしたのちに、蛍光強度(励起波長360nm、発光波長465nm)をプレートリーダーで測定した結果を図8の左側に示した。このグラフは、培養上清中に発現したアルカリホスファターゼ活性を示している。
両グラフが同じような傾向を示していることから、抗アルカリホスファターゼの捕捉に使った抗体の認識部位は、変異導入部位にはないことが確認された。
[実施例8]変異体の精製
ALP−479の発現ベクターを常法によりラットミエローマYB2/0に導入し、安定生産クローンALP−479(YB2/0)を得た。その後本細胞を、内径150mmの細胞培養用ディッシュの10%子牛胎児血清(FBS)を含むE−RDF培地(極東製薬) 30mlに継代し10日間培養した。培養液を4℃、2500rpm、20分間遠心して細胞を除き、培養上清を回収した。
培養上清200mlに硫酸アンモニウムを55%飽和となるよう添加し、4℃で0.5時間放置、その後4℃、8000rpm、20分の遠心分離により、沈殿画分として硫安塩析物を得た。沈殿画分をPBSで溶解し、硫酸アンモニウム濃度を1Mとした後、Phenyl−5PWカラム(7.5mm×7.5cm、東ソー株式会社)を接続した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離した。Phenyl−5PWカラムカラムクロマトグラフィーは、1M硫酸アンモニウムを含むPBSを平衡化緩衝液とし、流速1ml/分の硫安濃度1Mから0Mまでの60分のリニアグラジエント溶出を行った。そのときのクロマトグラムを図9に示す。
各溶出フラクションを分取し、パラニトロフェニルフォスフェート(PNPP)を基質とする0.1Mグリシン緩衝液pH9.6におけるALPの活性測定を行った。それにより、ALPの溶出位置を確認、即ちALP活性があった範囲を図9中に下線で示した。
上記活性があった範囲からフラクション12〜15を回収し、Amicon Ultra−15(分画分子量30KDa、4℃ 5000rpm×10分)で遠心膜濃縮し、20mM Tris−HCl pH7.5緩衝液で平衡化させた。その後、同緩衝液で平衡化したDEAE−5PW(7.5mm×7.5cm、東ソー株式会社)に供給した後、塩化ナトリウム濃度を0Mから0.5Mまでの60分のリニアグラジエント溶出を行なった。1分ごとにフラクションを試験管に分取し、各溶出フラクションにつき280nmの吸光度(A280)とPNPP法による活性(A405)を測定した。結果を図10に示す。この結果得られた比活性(A405/A280)の高いフラクションに、高純度のALPが含まれる。前記比活性の高い、フラクションNo.17および18を回収し、該フラクションにアジ化ナトリウムを0.1%、MgCl2を1mM、ZnCl2を0.01mMとなるように添加した。タンパク質濃度は、1mg/mlのALPのA280の吸光度を0.76としたとき、0.8mg/mlであった。
[実施例9]精製した変異体の純度と比活性の確認
精製した変異体の純度を確認するために、常法に従いSDS−PAGEにより純度を確認した。SDS−PAGEのコントロールとして、市販の高活性ウシ小腸アルカリフォスファターゼALPI−13G(Lot 1706AA、Biozyme社)も同時に泳動した。この結果から、両者とも純度は98%以上と見積もれた(図11)。
両ALPの比活性をPNPP法にて比較したところ、A280をベースとした蛋白質量あたりの活性としてALPI−13Gの96%を示し、十分高い活性を有することが確認された。
Figure 2017192381

Claims (5)

  1. 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
    (A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
    (B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
  2. 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
    (A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
    (B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
  3. 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
    (A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
    (B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸配列からなることを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼ。
  5. 請求項1〜3いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸を発現させる工程を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼの製造方法。
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