JP2017192381A - 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子 - Google Patents
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はクローニングされておらず、シグナルペプチドの遺伝子配列と480番目以降の遺伝子
配列は不明であった。
(1)変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
(2)変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
(3)変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸配列からなることを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼ。
(5)(1)〜(3)いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸を発現させる工程を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼの製造方法。
培養上清中に発現した遺伝子組換えアルカリホスファターゼの定量系を構築した。2種類の抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3、APA03.2)を用い培養上清中のアルカリホスファターゼの検出を行った。今回は上記に示す2種類のモノクローナル抗体を使用したが、本抗体に限定されるものではなく、他のモノクローナル抗体やポリクローナル抗体を用いることも可能である。まず、APA05.3をELISAプレートに固定化し、スキムミルクでブロッキングした後、遺伝子組み換え体として発現したアルカリホスファターゼを含む培養上清を反応させた。この時に培養上清中の遺伝子組換えアルカリホスファターゼが固相の抗体に捕捉される。その後、ホースラディッシュパーオキシダーゼで標識したAPA03.2を反応させ、十分に洗浄後、固相に結合したHRP量を検出することで、培養上清中に存在していた遺伝子組換えアルカリホスファターゼの量を比較した。
APA05.3をELISAプレートに固定化し、スキムミルクでブロッキングした後、遺伝子組み換え体として発現したアルカリホスファターゼを含む培養上清を反応させた。この時に培養上清中の遺伝子組換えアルカリホスファターゼが固相の抗体に捕捉される。その後十分に洗浄したのちに、アルカリホスファターゼの酵素活性を測定した。
前述した方法で、培養上清中に存在するアルカリホスファターゼの量とアルカリホスファターゼの活性を測定することで、酵素の比活性を比較することができる。ここでは横軸にアルカリホスファターゼ(ALP)活性を、縦軸にALP量を取る(図1)。ALPの比活性が同じであれば、斜めのライン上にプロットされるが、比活性が向上しているのであれば斜めの線から右側にシフトし、比活性が低下しているのであれば、左にシフトすることとなる。
全514アミノ酸を発現したアルカリホスファターゼから、C末端をN末端側に向かって短くしてゆくに従い、培養上清中の活性が増加してゆく傾向にあることが分かった。発現量は、C末端のアミノ酸番号が514番目から477番目までは少しずつ増加してゆき、それ以上短くすると急激に発現量が低下することが分かった。培養上清中の活性がなくなる原因として考えられることは、タンパクとして発現しているが活性が無くなった場合と、タンパク質として発現すらしなくなる場合が考えられる。今回培養上清中の酵素活性が消失している培養上清を解析すると、培養上清中にアルカリホスファターゼ自体が存在していないことが明らかとなった。これらのことから、477アミノ酸より短くなるとタンパク質として発現できなくなることが分かった。遺伝子組換え体として動物細胞で発現させる場合は、477番目以上のアミノ酸が必要である。よって、1〜477番目のアミノ酸配列をコードする遺伝子配列、即ち配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目の遺伝子配列が、今回の変異体を作製するためには必須であり、更に配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目の遺伝子(アミノ酸配列1〜478番目に相当)又は58〜1494番目の遺伝子(アミノ酸配列1〜479番目に相当)であってもよい。また、上記配列(配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目の遺伝子配列、58〜1491番目の遺伝子配列、又は58〜1494番目の遺伝子配列)と相同性を有する相同遺伝子も使用することができる。ここで、相同性とは、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
特許文献2に示されたCIPIIの配列とBiochem.J.、290、503;(1993)に記載されているCIPIの配列から、CIPIIとCIPIのキメラタンパク質(CIPII−CIPI chimera protein、配列番号1)を設計し、それをコードする遺伝子(CIPII−CIPI chimera gene sequence、配列番号2)を合成した。配列番号1にはシグナルペプチドに相当する19アミノ酸(配列番号1の−19〜−1位)を含むため、分泌発現した際は配列番号1の1位のアミノ酸のLがタンパク質のN末端となる。つまり、分泌発現した際の480番目のアミノ酸であるAは、配列番号1では480番目のAとなり、そこまではCIPIIの配列であり、それより後の配列はCIPIの配列であり、全長514個のアミノ酸配列とした。なお、配列番号2のC末端は終止コドンを含んでいる。この配列を、J.Biochem.、108、673;1990の中で使用されているpECE−dhfrベクターに導入した。そのベクターをALPの全長を発現する発現ベクターとした(ALP−514)。
定法により各種変異体がクローニングされたプラスミドを精製し、CHO−K1細胞にリポフェクトアミン2000(Invitrogen社製)を用い、取扱説明書に従い遺伝子を導入した。遺伝子を導入してから3日後に培養上清を回収し、以下の実験に使用した。なお実験のばらつきを考慮して、遺伝子導入は一つのプラスミドに対して同じ条件で5点行い、その後それぞれの培養上清を、実施例3と実施例4に示す方法で解析し、図2から6にプロットした。つまり、一つの変異体につき5点のデーターをプロットしている。
ウシ小腸より精製したアルカリホスファターゼを免疫抗原として、定法によりウシ小腸由来アルカリホスファターゼ認識抗体を単離した。それらの中から、ウシ小腸アルカリホスファターゼの異なるエピトープを認識し、サンドイッチアッセイが構築できる2種類の抗体(APA05.3、APA03.2)を使用した。固相化用緩衝液(12mM Na2CO3、38mM NaHCO3、pH9.6)で、抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3)を1μg/mlとなるように希釈し、100マイクロリットルを96ウエルのELISAプレートに添加した。これを1時間室温でインキュベートし、APA05.3をELISAプレートに固相化した。該ELISAプレートを洗浄用緩衝液(20mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、150mM 塩化ナトリウム、0.1% Tween20)で3回洗浄した後、1%スキムミルクを含むPBSを添加し、1時間室温でインキュベートすることで該ELISAプレートをブロッキングした。その後、実施例2で作製した各種変異体が発現した培養上清を、0.1%スキムミルクを含むPBSで10倍希釈したものを添加し一時間反応させた。洗浄用緩衝液で洗浄後、HRP標識した抗アルカリホスファターゼ抗体(APA03.2)を1,000倍希釈したものを、1時間反応させた。HRP標識は、同仁化学社製のHRP標識試薬(LK−11)を説明書通りに使用した。室温で1時間反応させた後,該ELISAプレートを洗浄用緩衝液で3回洗浄し、SureBlue/TMB(セラケア ライフサイエンシーズ社製)を添加し、説明書通りに反応させ、該ELISAプレートの吸光度(450nm)をプレートリーダーで測定した。
固相化用緩衝液(12mM Na2CO3、38mM NaHCO3、pH9.6)で、抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3)を1μg/mlとなるように希釈し、100マイクロリットルを96ウエルのELISAプレートに添加した。これを1時間室温でインキュベートし、APA05.3をELISAプレートに固相化した。該ELISAプレートを洗浄用緩衝液(20mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、150mM 塩化ナトリウム、0.1% Tween20)で3回洗浄した後、1%スキムミルクを含むPBSを添加し、1時間室温でインキュベートすることで該ELISAプレートをブロッキングした。その後、実施例2で作製した各種変異体が発現した培養上清を、0.1%スキムミルクを含むPBSで10倍希釈したものを添加し一時間反応させた。
実施例3で得られた値を縦軸に、実施例4で得られた値を横軸にグラフ上にプロットした。たとえば図2では、10種類の変異体をそれぞれ5クローンずつ実施例3と4の方法で測定した結果をプロットしたものである。なお、実験日が変わると縦軸と横軸の値が多少変化し、傾きが変化するため図間の直接の比較はできない。そのため、それぞれのグラフ間で共通のクローンを複数測定することで、すべてのクローンでの相関性を考察した。
すべての変異体のプラスミドを260nmの吸光度を測定することにより定量し、96ウエルプレートで生育した同数のCHO細胞に実施例2で示す方法で導入した。その後、実施例4に示す方法で、培養上清中の活性を測定した。その結果をまとめて図7に示した。なお複数のデーターがプロットされているクローンもある。横軸は、変異体のC末端のアミノ酸番号を示し、縦軸は得られた蛍光強度を示す。このグラフから、アミノ酸番号514番目から477番目までは培養上清中のALP活性が増加してゆくが、476番目まで短くすると急激に活性が低下してしまい、更に短くするとほとんど活性が見られなくなってしまう事が明らかとなった。さらに、図4でも明らかなように、470番台前半のクローンは、発現量も低下していることが明らかとなった。つまり活性の低下は、酵素活性部位への影響ではなく、そもそもタンパク質として発現できていないことによることが明確となった。
実施例4では、培養上清中に発現したアルカリホスファターゼの活性を、抗アルカリホスファターゼ抗体(APA05.3)で捕捉して測定した。ここで使用した抗体のエピトープが、変異体を作製する際にアミノ酸を欠失させた領域ではない事の確認を行った。ALP−470、475、480、485、490の変異体遺伝子を、実施例2に示す方法でCHO−K1細胞に導入し、培養上清を回収した。培養上清を、実施例4に示す方法で活性を測定した結果を図8の右側に示した。このグラフは、抗アルカリホスファターゼ抗体で固相に捕捉したアルカリホスファターゼの活性を示している。
[実施例8]変異体の精製
ALP−479の発現ベクターを常法によりラットミエローマYB2/0に導入し、安定生産クローンALP−479(YB2/0)を得た。その後本細胞を、内径150mmの細胞培養用ディッシュの10%子牛胎児血清(FBS)を含むE−RDF培地(極東製薬) 30mlに継代し10日間培養した。培養液を4℃、2500rpm、20分間遠心して細胞を除き、培養上清を回収した。
[実施例9]精製した変異体の純度と比活性の確認
精製した変異体の純度を確認するために、常法に従いSDS−PAGEにより純度を確認した。SDS−PAGEのコントロールとして、市販の高活性ウシ小腸アルカリフォスファターゼALPI−13G(Lot 1706AA、Biozyme社)も同時に泳動した。この結果から、両者とも純度は98%以上と見積もれた(図11)。
Claims (5)
- 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1488番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。 - 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1491番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。 - 変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子であって、下記(A)又は(B)から選択される、遺伝子:
(A)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、
(B)配列番号2に記載の遺伝子配列の58〜1494番目に記載の遺伝子配列と80%以上の相同性を有する、変異型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子。 - 請求項1〜3いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸配列からなることを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼ。
- 請求項1〜3いずれかに記載の遺伝子がコードするアミノ酸を発現させる工程を含むことを特徴とする、変異型アルカリホスファターゼの製造方法。
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