JP2017192370A - 組換え細胞、並びに、イソ酪酸の生産方法 - Google Patents

組換え細胞、並びに、イソ酪酸の生産方法 Download PDF

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加奈 福西
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Abstract

【課題】メタノール等からイソ酪酸を生産することができる一連の技術を提供する。【解決手段】メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能な組換え細胞であって、外来遺伝子として、(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子、(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子、及び(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子、からなる群より選ばれた少なくとも1つの遺伝子を有し、当該遺伝子が発現し、イソ酪酸を生産可能である組換え細胞が提供される。外来遺伝子として、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子をさらに有する態様が好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、メタノール等からイソ酪酸を生産可能な組換え細胞、並びに、当該組換え細胞を用いるイソ酪酸の生産方法に関する。
イソ酪酸は汎用透明樹脂のモノマーであるメタクリル酸、メタクリル酸メチルの前駆体として期待されている他、乳化剤、潤滑剤として使用されている。しかしながら、その製造法は石油化学に依存するため、持続的な供給は保証されず、また現在のプロセスでは高価かつ、供給能力は限定的であることから、上記のような汎用ポリマーの前駆体としては実用化されていない。
イソ酪酸の生合成経路の例を図1に示す。イソ酪酸はピルビン酸を出発物質として生合成が可能である。詳細には、ピルビン酸を基質として、アセト乳酸合成酵素(acetolactate synthase; AlsS)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(ketol-acid reductoisomerase; IlvC)、及びジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(dihydroxy acid dehydratase; IlvD)の作用で、2−ケトイソ吉草酸(ケトバリン)が合成される。次に、2―ケト酸デカルボキシラーゼ(2-keto acid decarboxylase; KivD)の作用によって、2−ケトイソ吉草酸がイソブチルアルデヒドに変換される。そして、イソ酪酸合成酵素、具体的には、フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(phenylacetaldehyde dehydrogenase; FeaB)、アルデヒドデヒドロゲナーゼB(aldehyde dehydrogenase B; AldB)、スクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(succinate semialdehyde dehydrogenase; AldH)の作用によって、イソブチルアルデヒドがイソ酪酸に変換される。
また、植物資源等の再生可能資源からの化学品生産プロセスへの転換技術の開発と実用化が、着実に進んでいる。イソ酪酸に関しても、例えば、糖を原料とした組換え大腸菌による生産技術が知られている(特許文献1)。しかしながら、大腸菌のような従属栄養生物による物質生産は、増殖に必要な炭素源を糖類等の可溶性有機物に依存しており、これらを安価に大量に確保することは困難であり、生産量は限定的となる。また、このような可溶性有機原料を利用する物質生産は、食との競合も懸念される。
一方、C1化合物の中でも、メタノールは、天然ガス、及びバイオマスや都市ゴミ等の廃棄物から得られる一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素の混合ガスである合成ガス等から金属触媒反応によって安価に製造される。天然ガスは化石資源の中でも多量に存在し、かつCO2の発生量が比較的少ないことから、次世代エネルギー源として注目され、従来の石油から天然ガスへの移行が進んでいる。メタノールは、水に可溶であること等、取り扱いや貯蔵が容易である上、微生物培養の炭素源としても適している。さらにメタノールを発酵原料として利用する場合は、蒸留等によって高度に精製される必要はなく、水、硫黄分が含まれていても問題ない。
メチロトローフ(Methylotroph)とは、分子内にC−C結合を有さない炭素化合物、例えばメタン、メタノール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等を唯一の炭素源、エネルギー源として利用するC1化合物資化性微生物の総称名である。メサノトローフ(Methanotroph)、メタン酸化細菌、メタノール資化性細菌、メタノール資化性酵母、メタノール資化性微生物等と呼ばれる微生物は、全てメチロトローフに属するものである。
メチロトローフは、メタノールをホルムアルデヒドに変換後、ホルムアルデヒドをC−C結合を有する有機物に変換する反応を中心代謝とする。図2に示されるように、ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路(RuMP経路)、及びキシルロースモノリン酸経路(XuMP経路)が知られている。細菌に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ細菌)は、セリン回路又はRuMP経路を保有している。一方、酵母に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ酵母)は、XuMP経路を保有している。
また、メチロトローフ細菌は、メタノール要求性の違いから、偏性メチロトローフ(obligate methylotroph)と、他の炭素化合物も利用できる通性メチロトローフ(facultative methylotroph)とに分類される。
上記メチロトローフの化学品生産プロセスへの応用例としては、メタノールからのSCP(single cell protein)、生分解性プラスチック、アミノ酸等の生産技術が挙げられる。しかし、イソ酪酸等の、石油に由来する基幹化学品の製造に応用された例は見当たらない。前述のとおり、汎用高分子材料製品に利用されるモノマー化合物は現在全て石油に依存しているが、現在と同質の石油が永久に安価に供給される可能性は極めて低く、新たな効率的な代替プロセスの開発が急務である。なお、微生物による化学品生産のための炭素源を確保する目的で、セルロース、ヘミセルロース、及びリグニン等を含むハードバイオマスを糖化する技術も検討されているが、糖化のための酵素処理等が必要であり、コスト面で大きな問題がある。
なお、特許文献2には、組換え体によるメタノール等からイソプレンを生産する技術が開示されている。特許文献3には、組換え体によるメタノール等から1,4−ブタンジオールを生産する技術が開示されている。しかし、イソ酪酸についての記載はない。
特表2014−506466号公報 国際公開第2014/104202号 国際公開第2014/112627号
上記現状に鑑み、本発明は、メタノール等からイソ酪酸を生産するための一連の技術を提供することを目的とする。
本発明の1つの様相は、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能な組換え細胞であって、外来遺伝子として、(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子、(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子、及び(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子、からなる群より選ばれた少なくとも1つの遺伝子を有し、当該遺伝子が発現し、イソ酪酸を生産可能である組換え細胞である。
図1に示すように、イソ酪酸は、ピルビン酸からイソブチルアルデヒドを経由して生合成可能である。そして本様相の組換え細胞は、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能であり、外来遺伝子として、上記(i)〜(iii)で定義された少なくとも1つの遺伝子を有している。そのため本様相の組換え細胞では、宿主細胞に対して、上記(i)〜(iii)で定義された少なくとも1つの機能が付与又は増強されている。本様相の組換え細胞によれば、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を基礎として、メタノール等の炭素源から合成されたイソブチルアルデヒドを、「イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素」の作用によってイソ酪酸に変換することができる。
好ましくは、前記外来遺伝子として、少なくとも前記(iii)で定義された遺伝子を有する。
本様相の組換え細胞は、例えば、メチロトローフである宿主細胞に、(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子、を導入することにより得ることができる。
好ましくは、前記(iii)で定義された酵素が、フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼB、及びスクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼからなる群より選ばれた少なくとも1つのアルデヒドデヒドロゲナーゼ又はその機能的断片である。
アルデヒドデヒドロゲナーゼの「機能的断片」とは、アルデヒドデヒドロゲナーゼの部分配列を有するポリペプチドであって、アルデヒドデヒドロゲナーゼの活性を有するものを指す。
好ましくは、前記(iii)で定義された酵素が、下記(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b−1)、(b−2)、(b−3)、(c−1)、(c−2)、(c−3)のいずれかである。
(a−1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(a−2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(a−3)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(b−1)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b−2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(b−3)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(c−1)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c−2)配列番号3で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(c−3)配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
好ましくは、外来遺伝子として、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子をさらに有し、当該遺伝子が発現する。
本様相の組換え細胞は、外来遺伝子として、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子を有している。かかる構成により、イソ酪酸の前駆体であるイソブチルアルデヒドが効率よく供給され、イソ酪酸の合成能が向上する。
好ましくは、前記第2の酵素が、2―ケト酸デカルボキシラーゼ又はその機能的断片である。
2―ケト酸デカルボキシラーゼの「機能的断片」とは、2―ケト酸デカルボキシラーゼの部分配列を有するポリペプチドであって、2―ケト酸デカルボキシラーゼの活性を有するものを指す。
好ましくは、前記第2の酵素が、下記(d−1)、(d−2)、(d−3)のいずれかである。
(d−1)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(d−2)配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
(d−3)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
好ましくは、ホルムアルデヒドの固定化経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路、及びキシルロースモノリン酸経路からなる群より選ばれた少なくとも1つのC1炭素同化経路を有する。
好ましくは、組換え細胞が真核細胞である。
好ましくは、組換え細胞がPichia属、Hansenula属、又はCandida属に属するものである。
好ましくは、組換え細胞が細菌である。
好ましくは、組換え細胞がMethylacidphilum属、Methylosinus属、Methylocystis属、Methylobacterium属、Methylocella属、Methylococcus属、Methylomonas属、Methylobacter属、Methylobacillus属、Methylophilus属、Methylotenera属、Methylovorus属、Methylomicrobium属、Methylophaga属、Methylophilaceae属、又はMethyloversatilis属に属するものである。
好ましくは、前記外来遺伝子として、少なくとも前記(i)で定義された遺伝子を有する。
本様相の組換え細胞は、前記外来遺伝子として少なくとも上記(i)で定義された遺伝子を有するので、宿主細胞に対して、上記(i)で定義された機能が付与又は増強されている。かかる構成により、宿主細胞が非メチロトローフであっても、組換え細胞がメチロトローフとして機能することができる。
本様相の組換え細胞は、例えば、リブロースモノリン酸経路を有する非メチロトローフを宿主細胞として用い、当該宿主細胞に(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子を導入することにより得ることができる。なお、宿主細胞はメトロトローフであってもよい。
好ましくは、組換え細胞が真核細胞である。
好ましくは、組換え細胞がSaccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Aspergillus属、Yarrowia属、Trichoderma属Fusarium属、又はMucor属に属するものである。
好ましくは、組換え細胞が細菌である。
好ましくは、組換え細胞がEscherichia属、Pantoea属、Enterobacter属、Bacillus属、Listeria属、又はCorynebacterium属に属するものである。
好ましくは、組換え細胞がアーキアである。
好ましくは、前記外来遺伝子として、少なくとも前記(ii)で定義された遺伝子を有する。
本様相の組換え細胞は、前記外来遺伝子として少なくとも上記(ii)で定義された遺伝子を有するので、宿主細胞に対して、上記(ii)で定義された機能が付与又は増強されている。かかる構成により、宿主細胞が非メチロトローフであっても、組換え細胞がメチロトローフとして機能することができる。
本様相の組換え細胞は、例えば、非メチロトローフである宿主細胞に、(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子と、(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子と、(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子を導入することにより、得ることができる。なお、宿主細胞はメトロトローフであってもよい。
好ましくは、前記(i)で定義された遺伝子が、メタノールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子であり、前記(ii)で定義された遺伝子が、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子及び6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子である。
本発明の他の様相は、上記の組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からイソ酪酸を生産させる、イソ酪酸の生産方法である。
本様相はイソ酪酸の生産方法に係るものである。本様相では、上記の組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からイソ酪酸を生産させる。本様相によれば、メタノール等からイソ酪酸を生産することができる。
好ましくは、前記組換え細胞を、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として用いて培養し、その培養物からイソ酪酸を取得する。
本発明の組換え細胞によれば、メタノール等からイソ酪酸を生産することができる。
本発明のイソ酪酸の生産方法についても同様であり、メタノール等からイソ酪酸を生産することができる。
ピルビン酸からイソ酪酸に至る代謝経路を表す説明図である。 ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路を表す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明において「遺伝子」という用語は、全て「核酸」あるいは「DNA」という用語に置き換えることができる。
本発明の組換え細胞は、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能な組換え細胞であって、
外来遺伝子として、
(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子、
(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子、及び
(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子、
からなる群より選ばれた少なくとも1つの遺伝子を有し、当該遺伝子が発現し、イソ酪酸を生産可能なものである。外来遺伝子として上記(i)〜(iii)で定義された遺伝子を有することにより、上記(i)〜(iii)で定義された機能が宿主細胞に対して付与又は増強される。
また別の表現をすれば、本発明の組換え細胞は、メチロトローフとしての機能を備え、かつイソ酪酸を生産可能なものである。
本発明の組換え細胞は、例えば、メチロトローフ又は非メチロトローフである宿主細胞に、上記(i)〜(iii)の少なくとも1つの遺伝子が導入されてなる、上記C1化合物からイソ酪酸を生産可能な組換え細胞である。
上述したように、メチロトローフとは、分子内にC−C結合を有さない炭素化合物、例えばメタン、メタノール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等を唯一の炭素源、エネルギー源として利用するC1化合物資化性微生物を指す。一般にメチロトローフは、ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路、具体的には、メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能(経路)とホルムアルデヒド固定化能(ホルムアルデヒドの固定化経路)とを、本来的に保有している。
ホルムアルデヒドの固定化経路としては、図1に示すセリン経路、リブロースモノリン酸経路(RuMP経路)、キシルロースモノリン酸経路(XuMP経路)が挙げられる。一般に、メチロトローフは、ホルムアルデヒドを介した炭素同化代謝経路として、セリン経路、RuMP経路、又はXuMP経路を保有している。
ここで、各々のホルムアルデヒド固定化経路(図2)について説明する。
セリン経路によるホルムアルデヒド固定に重要な反応は、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(serine hydroxymethyltransferase)によるグリシンと5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸からのセリン生成反応である。5,10−メチレン−テトラヒドロ葉酸は、ホルムアルデヒドとテトラヒドロ葉酸の結合によって生じる。セリン経路では、1分子のホルムアルデヒドから1分子のアセチルCoAが直接生成する。
RuMP経路によるホルムアルデヒド固定に重要な反応は、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(3-hexulose-6-phosphate synthase、以下「HPS」と略記することがある)によるリブロース5リン酸(Ru5P)とホルムアルデヒドからのD−アラビノ3ヘキスロース6リン酸の生成反応と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(6-phosphate-3-hexuloisomerase、以下「PHI」と略記することがある)によるD−アラビノ3ヘキスロース6リン酸からのフルクトース6リン酸(F6P)の生成反応である。
本経路で生成するF6P等は解糖系へも供され、その後アセチルCoAや、グリセルアルデヒド3リン酸(G3P)及びピルビン酸を生成する。F6Pの場合、1分子あたり、2分子のG3Pに変換され、次いで2分子のピルビン酸を経て2分子のアセチルCoAが生成する。
XuMP経路によるホルムアルデヒド固定に重要な反応は、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(dihydroxyacetone synthase)によるキシルロース5リン酸(Xu5P)とホルムアルデヒドからのジヒドロキシアセトン(DHA)及びグリセルアルデヒド3リン酸(G3P)の生成反応である。本経路で生成したG3Pは解糖系にも供され、ピルビン酸とアセチルCoAに変換される。ジヒドロキシアセトンもリン酸化によって解糖系へ供され、G3P、ピルビン酸、及びアセチルCoAへと変換され得る。
本発明の組換え細胞は、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能である。
例えば、メタノールデヒドロゲナーゼやアルコールオキシダーゼを有する組換え細胞の場合には、メタノールをホルムアルデヒドに変換することができる。
また、メタノールデヒドロゲナーゼやアルコールオキシダーゼに加えてメタンモノオキシゲナーゼを有する組換え細胞の場合には、メタンをメタノールに変換し、続いてメタノールをホルムアルデヒドに変換することができる。
さらに、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを有する組換え細胞の場合には、ギ酸をホルムアルデヒドに変換することができる。
一般に、細菌に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ細菌)は、メタンモノオキシゲナーゼとメタノールデヒドロゲナーゼを有しているので、メタン又はメタノールからホルムアルデヒドを合成することができる。また、酵母に分類されるメチロトローフ(メチロトローフ酵母)は、アルコールオキシダーゼを有しているので、メタノールからホルムアルデヒドを合成することができる。また、メチロトローフはホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを有しており、ギ酸をホルムアルデヒドに変換することができる。
上記メタノールデヒドロゲナーゼには、グラム陰性細菌のメチロトローフに見出されるピロロキノリンキノン(PQQ: pyrroloquinoline quinone)依存型メタノールデヒドロゲナーゼ、グラム陽性細菌のメチロトローフに見出されるNAD(P)依存型メタノールデヒドロゲナーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼ、グラム陽性細菌のメチロトローフに見出されるDMNA(N,N'-dimethyl-4-nitrosoaniline)依存型メタノールオキシドリダクターゼ(Park H. et al., Microbiology 2010, 156, 463-471)が含まれ、酵母でのメタノールからホルムアルデヒドへの変換は、通常、酸素依存型であるアルコールオキシダーゼによって触媒される。
また、アミンオキシダーゼ(amine oxidase)やメチルアミンデヒドロゲナーゼ(methylamine dehydrogenase)を有する組換え細胞の場合には、メチルアミンをホルムアルデヒドに変換することができる。これらの酵素については、一部のメチロトローフやArthrobacter属細菌が有していることが知られている(Anthony C., The Biochemistry of Methylotroph, 1982, Academic Press Inc.)。
またホルムアミドをホルムアルデヒドに変換する酵素が、一部の微生物で見出されている(Anthony C., The Biochemistry of Methylotroph, 1982, Academic Press Inc.)。
そして、ホルムアルデヒドを経由してイソ酪酸を生産することができる。
本発明の組換え細胞における宿主細胞としては、例えば、メチロトローフを用いることができる。一般にメチロトローフは、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」と「ホルムアルデヒド固定化能」を有している。したがって、宿主細胞がメチロトローフの場合には、宿主細胞に、上記(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子を導入すればよい。
宿主細胞として用いられるメチロトローフの種類としては、特に限定はないが、例えば細菌や酵母に分類されるものを採用することができる。
メチロトローフ細菌としては、例えば、Methylacidphilum属、Methylosinus属、Methylocystis属、Methylobacterium属、Methylocella属、Methylococcus属、Methylomonas属、Methylobacter属、Methylobacillus属、Methylophilus属、Methylotenera属、Methylovorus属、Methylomicrobium属、Methylophaga属、Methylophilaceae属、Methyloversatilis属、Mycobacterium属、Arthrobacter属、Bacillus属、Beggiatoa属、Burkholderia属、Granulibacter属、Hyphomicrobium属、Pseudomonas属、Achromobactor属、Paracoccus属、Crenothrix属、Clonothrix属、Rhodobacter属、Rhodocyclaceae属、Silicibacter属、Thiomicrospira属、Verrucomicrobia属、などに属する細菌が挙げられる。
メチロトローフ酵母としては、例えば、Pichia属、Candida属、Saccharomyces属、Hansenula属、Torulopsis属、Kloeckera属、などに属する酵母が挙げられる。Pichia属酵母の例としては、P. haplophila、P. pastoris、P. trehalophila、P. lindnerii、などが挙げられる。Candida属酵母の例としては、C. parapsilosis、C. methanolica、C. boidinii、C. alcomigas、などが挙げられる。Saccharomyces属酵母の例としては、Saccharomyces metha-nonfoams、などが挙げられる。Hansenula属酵母の例としては、H. wickerhamii、H. capsulata、H. glucozyma、H. henricii、H. minuta、H. nonfermentans、H. philodendra、H. polymorpha、などが挙げられる。Torulopsis属酵母の例としては、T. methanolovescens、T. glabrata、T. nemodendra、T. pinus、T. methanofloat、T. enokii、T. menthanophiles、T. methanosorbosa、T. methanodomercqii、などが挙げられる。
宿主細胞として非メチロトローフを用いることもできる。この場合の宿主細胞と導入遺伝子の組み合わせとしては、例えば、以下の態様が挙げられる。本発明はいずれの態様も包含する。
1つの態様では、任意の宿主細胞に、(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子、(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子、及び(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子を導入する。
別の態様では、「ホルムアルデヒド固定化能」を有する宿主細胞に、上記(i)で定義された遺伝子と上記(iii)で定義された遺伝子を導入する。
また別の態様では、「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」を有する宿主細胞に、上記(ii)で定義された遺伝子と上記(iii)で定義された遺伝子を導入する。
また別の態様では、「イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素」を有する宿主細胞に、上記(i)で定義された遺伝子と上記(ii)で定義された遺伝子を導入する。
各態様について詳述すると、宿主細胞が非メチロトローフである場合には、メタノール等をホルムアルデヒドに変換する経路を有しているとは限らないので、少なくとも「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」を付与する必要がある。さらに、「メタンをメタノールに変換する機能」を付与することが好ましい。これらの機能付与は、例えば、上記した酵素をコードする遺伝子を宿主細胞に導入することにより、実現することができる。
例えば、メタノールをホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子として、メタノールデヒドロゲナーゼ(例えば、EC1.1.1.244, EC1.1.2.7)をコードする遺伝子やアルコールオキシダーゼ(例えばEC1.13.13)をコードする遺伝子を用いることができる。また、ギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子として、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(例えばEC1.2.1.46)をコードする遺伝子を用いることができる。さらに、メタンをメタノールに変換する機能を付与する遺伝子として、メタンモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子を用いることができる。
また、メタノール資化性を付与するプラスミドが知られている。例えば、Bacillus methanolicusのメタノール資化性は、メタノール代謝に関わる酵素群をコードするプラスミドに依存している(Brautaset T. et al., J. Bacteriology 2004, 186(5), 1229-1238)。このようなプラスミドを近縁の非メチロトローフに導入することで、メタノール資化能を付与することが可能である。さらには、このようなプラスミドを改変することで、様々な非メチロトローフにメタノール資化性を付与することも可能である。
上記のようにして非メチロトローフに対して「メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能」を付与し、さらに「ホルムアルデヒドの固定化能」を付与することにより、非メチロトローフをメチロトローフと同様に取り扱うことが可能となる。ホルムアルデヒド固定化能の付与は、例えば、上記したセリン経路、RuMP経路、又はXuMP経路で作用する酵素をコードする遺伝子を非メチロトローフに導入することにより、実現することができる。
ホルムアルデヒド固定化能としてRuMP経路を付与する場合について、さらに説明する。
RuMP経路の付与は、例えば、上記した3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(HPS;例えばEC4.1.2.43)遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(PHI;例えばEC5.3.1.27)遺伝子を導入することにより、実現することができる。すなわち、HPS/PHIによるホルムアルデヒド固定化反応の基質又は生成物である、リブロース5リン酸(Ru5P)とフルクトース6リン酸(F6P)は、ペントースリン酸経路、及びカルビン回路の代謝中間体として全ての生物に普遍的に存在する。したがって、HPS/PHIの導入により、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及び酵母等をはじめとする全ての生物にホルムアルデヒド固定化能を付与することが可能である。
元々RuMP経路を有している宿主細胞に、HPS遺伝子とPHI遺伝子を導入してもよい。これにより、RuMP経路によるホルムアルデヒド固定化能を増強することができる。例えば、枯草菌のように、元々RuMP経路もしくはこれと同質の経路を有する微生物に、例えばメタノールデヒドロゲナーゼ (例えば、EC1.1.1.244, EC1.1.2.7)等のアルコール脱水素酵素、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(HPS;例えばEC4.1.2.43)、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(PHI;例えばEC5.3.1.27)、等の酵素をコードする遺伝子を導入することで、メタノールをホルムアルデヒドに変換する機能(すなわちメタノール資化性)を付与すると共に、ホルムアルデヒド固定化能を増強することができる。
好ましい実施形態では、外来遺伝子として、メタノールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子と、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素(HPS)をコードする遺伝子と、6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼ(PHI)をコードする遺伝子とを有する。
なお、メチロトローフである宿主細胞に、HPS遺伝子とPHI遺伝子を導入してもよい。すなわち、セリン経路、RuMP経路、あるいはXuMP経路を有するメチロトローフへHPS/PHIを導入することで、RuMP経路によるホルムアルデヒド固定化能を増強することができる。その結果、組換え細胞のホルムアルデヒド耐性を高めることができ、結果的にメタノールやギ酸に対する耐性及び資化能を高めることが可能となる。これにより、組換え細胞の培養効率やイソ酪酸の生産効率を向上させることが可能となる。
一方、セリン経路によるホルムアルデヒド固定化能を付与する場合には、上記したセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(例えばEC2.1.2.1)遺伝子を用いることができる。例えば、非メチロトローフに、メタノールデヒドロゲナーゼ等のアルコール脱水素酵素遺伝子、5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-methylenetetrahydrofolate)(CH2=H4F) 合成酵素遺伝子、及びセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ (例えばEC2.1.2.1)遺伝子等を導入することで、メタノール資化性と、セリン経路によるホルムアルデヒド固定化能を付与することが可能となる。
非メチロトローフである宿主細胞の例として、真核細胞では、Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Aspergillus属、Yarrowia属、Trichoderma属Fusarium属、又はMucor属に属するものが挙げられる。
細菌では、Escherichia属、Pantoea属、Enterobacter属、Bacillus属、Listeria属、又はCorynebacterium属に属するものが挙げられる。
アーキアでは、Methanosarcina属、Methanococcus属、又はThermococcus属に属するものが挙げられる。
次に、上記(iii)で定義された酵素について説明する。
「イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素」としては、組換え細胞内でその酵素活性を発揮できるものであれば特に限定はない。
好ましい実施形態では、前記酵素が、フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(phenylacetaldehyde dehydrogenase; 以下「FeaB」と略記することがある)、アルデヒドデヒドロゲナーゼB(aldehyde dehydrogenase B; 以下「AldB」と略記することがある)、及びスクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(succinate semialdehyde dehydrogenase; 以下「AldH」と略記することがある)からなる群より選ばれた少なくとも1つのアルデヒドデヒドロゲナーゼ又はその機能的断片である。
上記フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(FeaB)としては、イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有するものであれば特に限定はない。例としては、大腸菌由来のフェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Gene ID: 945933)があり、その他の生物由来ではWP_000138640.1、WP_015964561.1、WP_028017554.1、WP_048284376.1、WP_034495388.1、CEL82223.1等がある。配列番号1に大腸菌由来フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Gene ID: 945933)のアミノ酸配列を示す。フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼはPadAと略記されることもある。
上記アルデヒドデヒドロゲナーゼB(AldB)としては、イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有するものであれば特に限定はない。例としては、大腸菌由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼB(Gene ID: 948104)があり、その他の生物由来ではWP_012135724.1、WP_059357124.1、WP_034499412.1、WP_002440728.1、WP_019844175.1、WP_021013956.1等がある。配列番号2に大腸菌由来アルデヒドデヒドロゲナーゼB(Gene ID: 948104)のアミノ酸配列を示す。
上記スクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AldH)としては、イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有するものであれば特に限定はない。例としては、大腸菌由来のスクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Gene ID: 947003)があり、その他の生物由来ではWP_039066006.1、WP_012904717.1、WP_045375437.1、WP_032719712.1、WP_034459267.1等がある。配列番号3に大腸菌由来スクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Gene ID: 947003)のアミノ酸配列を示す。
上記FeaB(PadA)、AldB、AldHの由来としては特に限定はされないが、原核生物由来のものが好ましい。
さらに、イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素には、以下のタンパク質が含まれる。
(a−1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(a−2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(a−3)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(b−1)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b−2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(b−3)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(c−1)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(c−2)配列番号3で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
(c−3)配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
なお、(a−3)、(b−3)、(c−3)におけるアミノ酸配列の相同性については、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
好ましい実施形態では、外来遺伝子として、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子をさらに有する。例えば、2―ケト酸デカルボキシラーゼ又はその機能的断片をコードする遺伝子をさらに有する。
「2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素」としては、組換え細胞内でその酵素活性を発揮できるものであれば特に限定はない。
好ましい実施形態では、前記第2の酵素が2―ケト酸デカルボキシラーゼ(2-keto acid decarboxylase; 以下「KivD」と略記することがある)又はその機能的断片である。
上記2―ケト酸デカルボキシラーゼ(KivD)としては、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有するものであれば特に限定はない。一例として、Lactococcus lactis由来のスクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼが挙げられる。配列番号4に当該Lactococcus lactis由来2―ケト酸デカルボキシラーゼ(GenBank: ADA65057.1)のアミノ酸配列を示す。
上記KivDの由来としては特に限定はされないが、原核生物由来のものが好ましい。
さらに、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素には、以下のタンパク質が含まれる。
(d−1)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(d−2)配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
(d−3)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
なお、(d−3)におけるアミノ酸配列の相同性については、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
本発明の組換え細胞においては、上記(i)で定義された遺伝子、上記(ii)で定義された遺伝子、上記(iii)で定義された遺伝子(FeaB、AldB、AldH等)、「2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子」(KivD等)に加えて、さらに他の遺伝子を外来遺伝子として有していてもよい。当該遺伝子の例としては、ピルビン酸から2−イソ吉草酸に至る合成経路に関与する酵素群である、アセト乳酸合成酵素(AlsS)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ(IlvC)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(IlvD)、をコードする各遺伝子が挙げられる(図1)。
本発明の組換え細胞は、イソ酪酸合成と競合する代謝系を下方制御されたものでもよい。例えば、図1に示されるように、組換え細胞が、イソブチルアルデヒドをイソブタノールに変換可能なアルコールデヒドロゲナーゼ活性等を有する場合、当該酵素の活性を下方制御することが好ましい。酵素活性の下方制御とは、酵素遺伝子の欠損・変異、転写抑制、翻訳抑制等により、細胞内における当該酵素の活性を転写又は翻訳レベルで減少(消失を含む)させる制御を指す。
宿主細胞に遺伝子を導入する方法としては特に限定はなく、宿主細胞の種類等によって適宜選択すればよい。例えば、宿主細胞に導入可能でかつ組み込まれた遺伝子を発現可能なベクターを用いることができる。
例えば、宿主細胞が細菌等の原核生物の場合には、当該ベクターとして、宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組み込みが可能で、挿入された上記遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有しているものを用いることができる。例えば、当該ベクターを用いて、プロモーター、リボソーム結合配列、上記遺伝子、および転写終結配列からなる一連の構成を宿主細胞内で構築することが好ましい。
例えば、メチロトローフ細菌の染色体への組み込み方法としては、リブロースモノリン酸経路を有するMethylobacillus flagellatusや、セリン経路を有するMethylobacterium extorquencsで、目的遺伝子の破壊操作によって例が示されている(Chistoserdova L. et al., Microbiology 2000, 146, 233-238; Chistoserdov AY., et al., J. Bacteriol 1994, 176, 4052-4065)。これらは環状DNAを用いたゲノムへの遺伝子導入法であるが、Methylophilus属細菌等では、直鎖状DNAを用いたゲノムへの遺伝子導入法も開発されている(特開2004−229662号公報)。一般に、宿主細胞による分解を受けにくい場合は、直鎖状DNAによるゲノム組換えの方が、環状DNAによるよりも効率的である。また通常、相同組換え法は、inverted-repeat sequence等のように、ゲノム上に多コピー存在する遺伝子を標的することが好ましい。また、ゲノムに多コピー導入する手法としては、相同組換え以外に、トランスポゾンに搭載する方法もある。メチロトローフ細菌へのプラスミドによる遺伝子導入法としては、例えば、広宿主域ベクターであるpAYC32 (Chistoserdov AY., et al., Plasmid 1986, 16, 161-167)、pRP301 (Lane M., et al., Arch. Microbiol. 1986, 144(1), 29-34)、pBBR1、pBHR1 (Antoine R. et al., Molecular Microbiology 1992, 6, 1785-1799)、pCM80 (Marx CJ. et al., Microbiology 2001, 147, 2065-2075)、等がある。
メチロトローフ酵母における遺伝子導入方法としては、主にPichia pastorisで確立されており、pPIC3.5K、pPIC6、pGAPZ、pFLD(インビトロジェン社)等のベクターが市販されている。
Bacillus属細菌への遺伝子導入にできる使用プラスミドとしては、Bacillus subtilisには、pMTLBS72 (Nquyen HD. Et al., Plasmid 2005, 54(3), 241-248)、pHT01(フナコシ社)、pHT43(フナコシ社)等が、Bacillus megateriumには、p3STOP1623hp (フナコシ社)、pSPYocHhp(フナコシ社)等が、Bacillus brevisには、pNI DNA(タカラバイオ社)等がある。
またベクターを用いて複数種の遺伝子を宿主細胞に導入する場合、各遺伝子を1つのベクターに組み込んでもよいし、別々のベクターに組み込んでもよい。さらに1つのベクターに複数の遺伝子を組み込む場合には、各遺伝子を共通のプロモーターの下で発現させてもよいし、別々のプロモーターの下で発現させてもよい。複数種の酵素を融合タンパク質の形で発現させるべく、複数種の遺伝子を連結させた融合遺伝子を導入してもよい。
複数種の遺伝子を導入する例としては、上記(i)〜(iii)で定義された2以上の遺伝子を導入する態様が挙げられる。さらに、これらに加えて「2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子」を導入する態様が挙げられる。さらに、ピルビン酸から2−イソ吉草酸に至る合成経路に関与する酵素群をコードする遺伝子(AlsS、IlvC、IlvD等)を導入する態様が挙げられる。
以上のようにメチロトローフ等で使用できる既知のベクターを示したが、プロモーター、ターミネーター等の転写制御、複製領域等に関わる領域を、目的に応じて改変することができる。改変方法としては各宿主細胞、もしくはその近縁種における天然の他の遺伝子配列に変更してもよく、また人工の遺伝子配列に変更してもよい。
また、以上の遺伝子導入による改変に加え、突然変異、ゲノムシャッフリング等の変異手法をも組み合わせることで、さらにイソ酪酸の生産性を向上させることが可能となる。
本発明のイソ酪酸の生産方法では、上記の組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からイソ酪酸を生産させる。
1つの好ましい実施形態では、上記の組換え細胞を、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として用いて培養し、その培養物からイソ酪酸を取得する。炭素原として用いるこれらのC1化合物については、1つのみを用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのC1化合物は、主たる炭素原として用いることが好ましく、唯一の炭素原であることがより好ましい。
なお、偏性メチロトローフの場合は、C1化合物を唯一の炭素源とする合成培地を用いることが基本であるが、これに酵母エキス、コーンスティープリカー、肉エキス等の天然培地やビタミン類を少量加えることによっても菌の増殖は促進される。通性メチロトローフである場合は、菌体増殖ステージでは糖質、脂質等のC1化合物以外の物質を炭素源としてもよく、イソ酪酸生産ステージで炭素源を上記C1化合物に変更すればよい。微生物の培養法としては、目的に応じて好気、微好気、もしくは嫌気条件で培養可能である。またバッチ培養、流加培養、連続培養のいずれの方法でもよい。
炭素源として例えばメタノールを用いる場合は、通常、細菌の場合は1.0%(v/v)濃度、酵母の場合は3.0%(v/v)濃度以下で用いるが、人為的にこれらに対する耐性を改良した場合は、それ以上の濃度でも培養可能である。
培養を行わずにイソ酪酸の生産を行うこともできる。すなわち、細胞分裂(細胞増殖)を伴うか否かにかかわらず、組換え細胞に前記したC1化合物を接触させて、イソ酪酸を生産させることができる。例えば、固定化した組換え細胞に前記したC1化合物を連続的に供給し、イソ酪酸を連続的に生産させることができる。
本様相においても、これらのC1化合物については、1つのみを用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
生産されたイソ酪酸は、細胞内に蓄積されるか、細胞外に放出される。例えば、細胞外に放出されたイソ酪酸を回収し、単離精製することにより、純化されたイソ酪酸を取得することができる。
培養液中に多量に存在するイソ酪酸は、そのまま等電点沈殿、イオン交換樹脂吸着等を行うことにより、高純度で回収可能である。イソ酪酸をメタクリル酸メチル(MMA)等の合成前駆体として使用する場合は、さらに電気透析法、イオン交換樹脂法等によって脱塩処理を行うことができる。
本発明は、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能な宿主細胞に、(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子、(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子、及び(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子からなる群より選ばれた少なくとも1つの遺伝子を導入し、当該遺伝子が発現してイソ酪酸を生産可能である組換え細胞を製造する組換え細胞の製造方法、を包含する。
以下、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)プラスミド構築
Lactococcus lactis由来の2−ケト酸デカルボキシラーゼKivDの推定アミノ酸配列(配列番号4)、及びEscherichia coli由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼFeaB(PadA)の推定アミノ酸配列(配列番号1)の情報をGenScript社に提供し、メチロトローフ細菌Methylobacterium extorquensのコドン使用頻度に最適化した、2−ケト酸デカルボキシラーゼ遺伝子とアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子との融合遺伝子(配列番号5)を人工合成により作製した。この際、2−ケト酸デカルボキシラーゼ遺伝子上流に制限酵素XbaI認識配列、ターミネーター下流に制限酵素BamHI認識配列を、それぞれ付加した。作製した人工合成遺伝子を含むプラスミドを制限酵素XbaIおよび制限酵素BamHIで消化し、得られたDNA断片をMethylobacterium用ベクターpCM80プラスミド(GenBank: AF327716.1)の制限酵素XbaIおよび制限酵素BamHI部位に連結して、プラスミドpKivD_PadA_Mexを作製した。
(2)Methylobacterium extorquensによるイソ酪酸生産
野生型メチロトローフ細菌Methylobacterium extorquensを、プラスミドpKivD_PadA_Mexで形質転換した。野生型株および得られた形質転換体(組換え細胞)を、125mMのメタノールを唯一の炭素源とする最小塩培地(A rapid and specific enrichment procedure for Hyphomicrobium spp.(Attwood M M et al. 1972))で培養した。培養液100mLを30℃で振とう培養した。培養液のOD600が2.0の時点で、培養液を遠心し、上清を回収した。0.22μmフィルターでろ過した培養上精を、GL-7400(GLサイエンス社)、及びAminex HPX 87Hカラム(Bio-Rad社)を用いた高速液体クロマトグラフィーに供し、イソ酪酸を定量した。移動相として、5mM H2SO4を流速0.6mL/分で用いた。カラム温度は35℃、検出温度は50℃とした。分析の結果、野生型メチロトローフ細菌Methylobacterium extorquensでは、イソ酪酸はほとんど検出されなかった。一方、形質転換体では、113mg/Lのイソ酪酸が検出された。

Claims (22)

  1. メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を唯一の炭素源として増殖可能な組換え細胞であって、
    外来遺伝子として、(i)メタノール及び/又はギ酸をホルムアルデヒドに変換する機能を付与する遺伝子、(ii)ホルムアルデヒド固定化能を付与する遺伝子、及び(iii)イソブチルアルデヒドをイソ酪酸に変換する作用を有する酵素をコードする遺伝子、からなる群より選ばれた少なくとも1つの遺伝子を有し、
    当該遺伝子が発現し、イソ酪酸を生産可能である組換え細胞。
  2. 前記外来遺伝子として、少なくとも前記(iii)で定義された遺伝子を有する、請求項1に記載の組換え細胞。
  3. 前記(iii)で定義された酵素が、フェニルアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼB、及びスクシネートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼからなる群より選ばれた少なくとも1つのアルデヒドデヒドロゲナーゼ又はその機能的断片である、請求項1又は2に記載の組換え細胞。
  4. 前記(iii)で定義された酵素が、下記(a−1)、(a−2)、(a−3)、(b−1)、(b−2)、(b−3)、(c−1)、(c−2)、(c−3)のいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の組換え細胞。
    (a−1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (a−2)配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
    (a−3)配列番号1で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
    (b−1)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b−2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
    (b−3)配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
    (c−1)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (c−2)配列番号3で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、
    (c−3)配列番号3で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
  5. 外来遺伝子として、2−ケトイソ吉草酸をイソブチルアルデヒドに変換する作用を有する第2の酵素をコードする遺伝子をさらに有し、当該遺伝子が発現する、請求項1〜4のいずれかに記載の組換え細胞。
  6. 前記第2の酵素が、2―ケト酸デカルボキシラーゼ又はその機能的断片である、請求項5に記載の組換え細胞。
  7. 前記第2の酵素が、下記(d−1)、(d−2)、(d−3)のいずれかである、請求項5又は6に記載の組換え細胞。
    (d−1)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (d−2)配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜20個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、
    (d−3)配列番号4で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を示すアミノ酸配列を有し、かつケト酸デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
  8. ホルムアルデヒドの固定化経路として、セリン経路、リブロースモノリン酸経路、及びキシルロースモノリン酸経路からなる群より選ばれた少なくとも1つのC1炭素同化経路を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の組換え細胞。
  9. 真核細胞である、請求項1〜8のいずれかに記載の組換え細胞。
  10. Pichia属、Hansenula属、又はCandida属に属するものである、請求項9に記載の組換え細胞。
  11. 細菌である、請求項1〜8のいずれかに記載の組換え細胞。
  12. Methylacidphilum属、Methylosinus属、Methylocystis属、Methylobacterium属、Methylocella属、Methylococcus属、Methylomonas属、Methylobacter属、Methylobacillus属、Methylophilus属、Methylotenera属、Methylovorus属、Methylomicrobium属、Methylophaga属、Methylophilaceae属、又はMethyloversatilis属に属するものである、請求項11に記載の組換え細胞。
  13. 前記外来遺伝子として、少なくとも前記(i)で定義された遺伝子を有する、請求項2〜8のいずれかに記載の組換え細胞。
  14. 真核細胞である、請求項13に記載の組換え細胞。
  15. Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属、Aspergillus属、Yarrowia属、Trichoderma属Fusarium属、又はMucor属に属するものである、請求項14に記載の組換え細胞。
  16. 細菌である、請求項13に記載の組換え細胞。
  17. Escherichia属、Pantoea属、Enterobacter属、Bacillus属、Listeria属、又はCorynebacterium属に属するものである、請求項16に記載の組換え細胞。
  18. アーキアである、請求項13に記載の組換え細胞。
  19. 前記外来遺伝子として、少なくとも前記(ii)で定義された遺伝子を有する、請求項13に記載の組換え細胞。
  20. 前記(i)で定義された遺伝子が、メタノールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子であり、
    前記(ii)で定義された遺伝子が、3−ヘキスロース6リン酸合成酵素をコードする遺伝子及び6−ホスホ−3−ヘキスロイソメラーゼをコードする遺伝子である、請求項1〜19に記載の組換え細胞。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の組換え細胞に、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を接触させ、当該組換え細胞に前記C1化合物からイソ酪酸を生産させる、イソ酪酸の生産方法。
  22. 前記組換え細胞を、メタン、メタノール、メチルアミン、ギ酸、ホルムアルデヒド、及びホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1つのC1化合物を炭素源として用いて培養し、その培養物からイソ酪酸を取得する、請求項21に記載のイソ酪酸の生産方法。
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