JP2017191970A - 広帯域避雷器 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い通過帯域特性を保持しつつ良好な避雷特性を得る。
【解決手段】通過線路1中に短絡線路2との接続点を挟んで2個のスタブ31,32を配置し、その配置位置と、スタブ31,32の長さおよび外径を、短絡線路2の中心導体22の外径寸法に応じて、使用対象の無線周波数に対し通過線路1および短絡線路2のインピーダンスがいずれも50Ωとなるように設定したものである。
【選択図】図1
【解決手段】通過線路1中に短絡線路2との接続点を挟んで2個のスタブ31,32を配置し、その配置位置と、スタブ31,32の長さおよび外径を、短絡線路2の中心導体22の外径寸法に応じて、使用対象の無線周波数に対し通過線路1および短絡線路2のインピーダンスがいずれも50Ωとなるように設定したものである。
【選択図】図1
Description
この発明は、アンテナ装置等に使用される広帯域避雷器に関する。
移動通信システムの基地局等には、広いエリアをカバーするために一般に高利得のアンテナが使用される。中でもコーリニアアンテナは高利得かつ無指向性であり、上記の用途によく用いられる。この種のアンテナは、その性能が効果的に発揮されるように、山頂や高層ビルの屋上等、視界が開けている場所に設置されることが多い。このため避雷対策が必要不可欠である。
無線信号等の高周波信号を重畳する避雷器には、主に直流的に開放されている真空ギャップ方式を採用したものと、直流的に短絡されている短絡回路方式を採用したものがある。このうち、短絡回路方式を採用した避雷器は、重要な高周波信号を重畳する場合によく用いられる(例えば特許文献1を参照)。
ところが、短絡回路方式を採用した従来の避雷器は、使用する周波数帯域に合わせた1/4波長ショートスタブを挿入することにより避雷器を実現している。このため、高いインピーダンスを得ることが難しい。ショートスタブの通過帯域特性は、一般に、短絡線路が高いインピーダンスであるほど広帯域となる。反対に、良好な避雷特性を得るには、短絡線路の径を太くするなど、銅損が小さい構造を選ばなければならない。この点は、特に同軸線路等で構成する場合にあっては相反する要求となる。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、広い通過帯域特性を保持しつつ良好な避雷特性を得ることが可能な広帯域避雷器を提供することにある。
上記目的を達成するためにこの発明の第1の態様は、外部導体と中心導体との間に絶縁体を配置した同軸型をなし、複数の周波数を含む広帯域信号を通過させる通過線路と、外部導体と中心導体との間に絶縁体を配置した同軸型をなし、基端部が前記通過線路の途中に接続されると共に先端部が接地された短絡線路と、前記通過線路に挿入され、前記通過線路における前記広帯域信号の通過特性が予め設定された値となるように前記通過線路における挿入位置、長さおよび外径が設定されたスタブとを具備するものである。
この発明の第2の態様は、外部導体と中心導体との間に絶縁体を配置した同軸型をなし複数の周波数を含む広帯域信号を通過させる通過線路と、前記通過線路に挿入され前記通過線路における前記広帯域信号の通過特性が予め設定された値となるように前記通過線路における挿入位置、長さおよび外径が設定されたスタブと、外部導体と中心導体との間に絶縁体を配置した同軸型をなし基端部が前記スタブの途中に接続されると共に先端部が接地された短絡線路とを具備するものである。
この発明の第1および第2の態様によれば、通過線路にスタブが挿入され、このスタブの挿入位置、長さおよび外径が、上記通過線路を通過する広帯域信号に対する通過特性が予め設定された値となるように設定される。このため、通過線路を通過する広帯域信号に対する、電圧定在波比(Voltage Standing Wave Ratio:VSWR)特性、通過損失特性、群遅延特性等の電気的特性を損なうことなく、雷サージや静電気等の外来を効率良く接地端子に逃がすことが可能となる。
すなわちこの発明の各態様によれば、広い通過帯域特性を保持しつつ良好な避雷特性を得ることが可能な広帯域避雷器を提供することができる。
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態に係る広帯域避雷器の構成を示す縦断面図である。
本実施形態に係る広帯域避雷器は、使用対象となる周波数が2周波のアンテナ装置において使用されるもので、図示しないアンテナと無線機との間に配置される。広帯域避雷器は、通過線路1と、短絡線路2とを備え、短絡線路2はその基端部が上記通過線路1の中間点に接続され、先端部が接地板4に接続される。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態に係る広帯域避雷器の構成を示す縦断面図である。
本実施形態に係る広帯域避雷器は、使用対象となる周波数が2周波のアンテナ装置において使用されるもので、図示しないアンテナと無線機との間に配置される。広帯域避雷器は、通過線路1と、短絡線路2とを備え、短絡線路2はその基端部が上記通過線路1の中間点に接続され、先端部が接地板4に接続される。
通過線路1は同軸管からなり、外部導体11内に中心導体12を収容している。なお、外部導体11と中心導体12との間には絶縁材料(図示せず)が充填される。絶縁材料としては、例えば樹脂等の固体、空気等の気体、液体が用いられる。通過線路1は、上記使用対象となる2周波を含む広帯域信号を通過させる。短絡線路2も上記通過線路1と同じ同軸管からなり、外部導体21内に中心導体22を収容し、これらの外部導体21と中心導体22との間に絶縁材料を充填したものとなっている。上記通過線路1および短絡線路2には、外部導体11,21の内径および中心導体12,22の外径が同一値のものが使用される。
ところで、本実施形態に係る広帯域避雷器は、上記通過線路1の上記短絡線路2との接続点を挟んで対称となる位置にそれぞれスタブ31,32を配置している。スタブ31,32は、外径が通過線路1の中心導体12より大きくかつ外部導体11の内径より小さい円柱状の導体からなり、通過線路1の中心導体12に対し同軸に設けられる。
上記通過線路1に対する上記短絡線路2の接続点を基準とする上記スタブ31,32の配置位置と、スタブ31,32の長さおよび外径は、短絡線路2の中心導体22の外径寸法に応じて最適化される。すなわち、使用対象の無線周波数に対する上記通過線路1および短絡線路2のインピーダンスがいずれも50Ωを維持するように設定される。
例えば、いま使用対象の無線周波数を160MHz、350MHzの2周波とし、通過線路1および短絡線路2の外部導体11,21の内径および中心導体12,22の外径をそれぞれ19.94mm、8.66mmとすると共に、通過線路1および短絡線路2の全長をそれぞれ550mm、330mmとしたとする。この条件において、スタブ31,32の配置位置は、上記通過線路1に対する上記短絡線路2の接続点から100mm離れた位置に設定され、スタブ31,32の長さは42mmに、外径は14.62mmにそれぞれ設定される。この場合、スタブ31,32のインピーダンスは18.62Ωとなる。
このように構成された広帯域避雷器によれば、通過線路1中に短絡線路2との接続点を挟んで2個のスタブ31,32を配置し、その配置位置と、スタブ31,32の長さおよび外径を、短絡線路2の中心導体22の外径寸法に応じて、使用対象の無線周波数に対し通過線路1および短絡線路2のインピーダンスがいずれも50Ωとなるように設定したことによって、使用対象の無線周波数が2周波の場合に、両周波数に対し通過損失を低く抑えつつ良好な避雷特性を得ることができる。
図2は本実施形態に係る広帯域避雷器のVSWR特性を、また図3は通過損失特性をそれぞれ示したものである。これらの特性から明らかなように、使用対象の周波数である160MHz と350MHzにおいて、VSWRはいずれも1.05以下を維持し、また通過損失は0.1dB以下を維持する。
[第2の実施形態]
図4は、この発明の第2の実施形態に係る広帯域避雷器の構成を示す縦断面図である。
本実施形態に係る広帯域避雷器は、使用対象となる周波数が3周波のアンテナ装置において使用されるもので、第1の実施形態と同様に図示しないアンテナと無線機との間に配置される。本実施形態の広帯域避雷器は、通過線路5と、短絡線路6とを備える。
図4は、この発明の第2の実施形態に係る広帯域避雷器の構成を示す縦断面図である。
本実施形態に係る広帯域避雷器は、使用対象となる周波数が3周波のアンテナ装置において使用されるもので、第1の実施形態と同様に図示しないアンテナと無線機との間に配置される。本実施形態の広帯域避雷器は、通過線路5と、短絡線路6とを備える。
通過線路5は同軸管からなり、外部導体51内に中心導体52を収容し、これらの外部導体51と中心導体52との間に絶縁材料を充填したものとなっている。短絡線路6も、外部導体61内に中心導体62を収容し、これらの外部導体61と中心導体62との間に絶縁材料を充填したものとなっている。通過線路5および短絡線路6には、外部導体51,61の内径および中心導体52,62の外径がいずれも同一のものが用いられる。
ところで、上記通過線路5の中間部にはスタブ7が配設されている。スタブ7は、外径が通過線路5の中心導体52より大きくかつ外部導体51の内径より小さい円柱状の導体からなり、通過線路5の中心導体52に対し同軸に設けられる。短絡線路6は、基端部が上記スタブ7の長手方向の中心点に接続され、先端部が接地板8に接続される。すなわち、短絡線路6の中心導体62は、外径が自身の外径より大きいスタブ7に接続される。
上記スタブ7の上記短絡線路6との接続点を基準とする長さと外径寸法は、短絡線路6の中心導体62の外径寸法に応じて最適化される。すなわち、使用対象の無線周波数に対する上記通過線路5および短絡線路6のインピーダンスがいずれも50Ωを維持するように設定される。
例えば、いま使用対象の無線周波数を160MHz、250MHz、350MHzの3周波とし、通過線路5および短絡線路6の外部導体51,61の内径および中心導体52,62の外径をそれぞれ20.0mm、8.69mmとすると共に、短絡線路6の全長を298mmとしたとする。この条件において、スタブ7の長さは、短絡線路6との接続点を基準に左右にそれぞれ300mmとなるように設定され、かつ外径寸法は10.60mmに設定される。この場合、スタブ7の上記左右両方のインピーダンスはいずれも38.09Ωとなる。
以上のように構成された広帯域避雷器によれば、通過線路5中にスタブ7を配置して、その長手方向の中心点に短絡線路6を接続し、スタブ7の長さおよび外径を、短絡線路6の中心導体62の外径寸法に応じて、使用対象の無線周波数に対し通過線路5および短絡線路6のインピーダンスがいずれも50Ωとなるように設定したことによって、使用対象の無線周波数が3周波の場合においても、各周波数に対し通過損失を低く抑えつつ良好な避雷特性を得ることができる。
図5は本実施形態に係る広帯域避雷器のVSWR特性を示したものである。この特性から明らかなように、使用対象の周波数である160MHz、250MHz、350MHzのいずれにおいても、VSWRは1.05以下を維持する。
[その他の実施形態]
前記第1および第2の実施形態では、アンテナと無線機との間に配置される避雷器を例にとって説明したが、複数の電子機器間において本来の信号を通過させて静電気等の外来を接地板に流すための回路としても使用できる。
前記第1および第2の実施形態では、アンテナと無線機との間に配置される避雷器を例にとって説明したが、複数の電子機器間において本来の信号を通過させて静電気等の外来を接地板に流すための回路としても使用できる。
その他、通過線路および短絡線路の長さ、外部導体の外径および中心導体の外径、短絡線路の接続位置に対するスタブの配置位置と、長さおよび外径等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。プリント基板上のマイクロストリップラインや平衡2線路等、他の伝送線路へ一部または全部置き換えても実施可能である。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1,5…通過線路、11,51…外部導体、12,52…中心導体、2,6…短絡線路、21,61…外部導体、22,62…中心導体、31,32,7…スタブ、4,8…接地板。
Claims (2)
- 外部導体と中心導体との間に絶縁材料を配置した同軸型をなし、複数の周波数を含む広帯域信号を通過させる通過線路と、
外部導体と中心導体との間に絶縁材料を配置した同軸型をなし、基端部が前記通過線路の途中に接続されると共に先端部が接地された短絡線路と、
前記通過線路に挿入され、前記通過線路における前記広帯域信号の通過特性が予め設定された値となるように、前記通過線路における挿入位置、長さおよび外径が設定されたスタブと
を具備することを特徴とする広帯域避雷器。 - 外部導体と中心導体との間に絶縁材料を配置した同軸型をなし、複数の周波数を含む広帯域信号を通過させる通過線路と、
前記通過線路に挿入され、前記通過線路における前記広帯域信号の通過特性が予め設定された値となるように、前記通過線路における挿入位置、長さおよび外径が設定されたスタブと、
外部導体と中心導体との間に絶縁材料を配置した同軸型をなし、基端部が前記スタブの途中に接続されると共に先端部が接地された短絡線路と
を具備することを特徴とする広帯域避雷器。
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JP2019186636A (ja) * | 2018-04-04 | 2019-10-24 | 日本アンテナ株式会社 | 同軸避雷器 |
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