JP2017191696A - イオントラップの設計方法及びイオントラップ質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】イオンの捕捉効率を高めつつイオンアイソレーションの分解能を高くして良好なMSnスペクトルの取得を可能とする。【解決手段】3次元四重極型イオントラップ1において、四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上で、且つ十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように、リング電極10、エンドキャップ電極11、12の形状及び配置を、四重極電場のみが形成される理想状態からずらす。四重極電場に八重極電場を重畳し、さらに八重極電場とは逆極性である十二重極電場を重畳すると、共鳴曲線のピークシフトが相殺され、高周波、低周波共に急峻なエッジを持つピークが得られる。こうした条件を満たすイオントラップは、高いイオン捕捉効率と高いイオンアイソレーション分解能とを達成可能である。【選択図】図1
Description
本発明は、高周波電場の作用によってイオンを捕捉するイオントラップを設計する方法、及び、該イオントラップを備えるイオントラップ質量分析装置に関する。
イオントラップは質量分析装置において、高周波電場の作用によりイオンを捕捉して閉じ込めたり、特定の質量電荷比m/z又は質量電荷比範囲を持つイオンを選別したり、さらにはそうして選別したイオンを衝突誘起解離(CID)等により開裂させたりするために用いられる。
図13(a)は典型的なイオントラップである3次元四重極型イオントラップの基本的な構成を示す断面図である。このイオントラップ1は、内面がr軸を中心とした回転1葉双曲面形状である1個のリング電極10と、このリング電極10を挟んで対向して配置された内面がz軸を中心とした回転2葉双曲面形状である一対のエンドキャップ電極11、12とから成る。一般に、リング電極10とエンドキャップ電極11、12とで囲まれる空間にイオンを捕捉する際には、リング電極10に高電圧の高周波電圧VcosΩtが印加される。
なお、3次元四重極型のイオントラップ以外に、互いに平行に配置された4本のロッド状電極とその両端外側に配置された一対の電極とから成るリニア型のイオントラップも知られている。本明細書では便宜上、「3次元四重極型イオントラップ」を例に挙げ、これを単に「イオントラップ」と称して説明を進めるが、後述するように、本発明はリニア型イオントラップにも適用可能である。
イオントラップ1の内部に形成される高周波電場や、その電場によって捕捉され得るイオンの質量電荷比などについては、従来より詳しい理論的な解析がなされている(非特許文献1など参照)。
理想的な或いは理論的なイオントラップでは、上述したようにリング電極10、エンドキャップ電極11、12共に内面は回転双曲面状であり、リング電極10の内接半径r0と、イオントラップ1の中心点とエンドキャップ電極11、12の頂部との間の距離z0とは次の(1)式の関係となる。
r0 2=2z0 2 …(1)
また、図13(a)に示すように、リング電極10の内面の双曲面とエンドキャップ電極11、12の内面の双曲面との漸近線は共通である(一致している)。
理想的な或いは理論的なイオントラップでは、上述したようにリング電極10、エンドキャップ電極11、12共に内面は回転双曲面状であり、リング電極10の内接半径r0と、イオントラップ1の中心点とエンドキャップ電極11、12の頂部との間の距離z0とは次の(1)式の関係となる。
r0 2=2z0 2 …(1)
また、図13(a)に示すように、リング電極10の内面の双曲面とエンドキャップ電極11、12の内面の双曲面との漸近線は共通である(一致している)。
上述したように、イオントラップを構成する各電極の形状や配置が理論通りである場合には、イオントラップ内に形成される高周波電場は四重極電場のみである。これに対し、従来、イオントラップの中心点とエンドキャップ電極11、12の頂部との間の距離z0を大きくするように該電極11、12を互いに離間させるようにz軸に沿ってにずらしたり(図13(b)中の白抜き矢印参照)、或いは、電極10、11、12の回転双曲面が漸近する直線の傾きを変えたりする等、イオントラップを理論形状から意図的に歪ませるようにした構成が採られることが多い(特許文献1〜3、非特許文献1など参照)。このようにイオントラップの形状や配置を理想状態からずらすと、四重極電場だけでなく四重極よりも次数の高い多重極電場(以下、四重極よりも大きい次数のものを「多重極」という)が発生する。
例えば四重極電場に八重極電場が加わると、四重極電場のみである場合に比べて、イオントラップにイオンを捕捉している状態でイオントラップに印加する電圧を走査した際に或る電圧においてイオントラップからのイオンの排出が急速に行われるようになる。この現象を利用することで、イオントラップ質量分析装置における質量分解能を向上させることができる。また、八重極電場によってイオントラップ内でのイオンの捕捉効率を向上させることができ、それによって検出感度を改善することもできる。こうした効果を得るために、従来市販されているイオントラップは少なからず上記のような多重極電場を利用した構成となっている。
ワン(Y.Wang)ほか1名、「ザ・ノン-リニア・イオン・トラップ.パート3.マルチポール・コンポーネンツ・イン・スリー・タイプス・オブ・プラクティカル・イオン・トラップ(The non-linear ion trap. Part3. Multipole components in three types of practical ion trap)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリー・アンド・イオン・プロセシング(International Journal of Mass Spectrometry and Ion Processes)、Vol.132、1994年、pp.155-172
ランダウ(L.D.Landau)ほか1名、「メカニクス(Mechanics)」、パーガモン・プレス(Pergamon Press)、1969年
イオントラップ質量分析装置においてMSn分析(nは2以上の整数)を行う場合、目的試料由来のイオンをイオントラップ内に捕捉したあと、ターゲットとする質量電荷比以外の不要なイオンをイオントラップ内から排出するプリカーサ選択操作を行い、そのあとに、イオントラップ内に残したターゲットとする質量電荷比のイオン(プリカーサイオン)を衝突誘起解離(CID)等により解離させる必要がある。プリカーサ選択操作としては、ターゲットとする質量電荷比に対応する周波数にノッチを持つ広帯域の周波数スペクトルを有する信号、いわゆるFNF(=Filtered Noise Field)信号をエンドキャップ電極に印加する手法がよく用いられている。
上述したようにイオントラップの電極形状や配置を意図的に歪ませて多重極電場を生成するとイオン捕捉効率は向上するものの、理想状態からのずれが或る程度以上大きくなると、イオン捕捉効率は向上してもプリカーサ選択の際のイオンアイソレーションの分解能が低下するという問題がある。イオンアイソレーションの分解能が低下すると、ターゲットとするイオン以外の不所望のイオン由来のプロダクトイオンピークがMSnスペクトルに現れることになり、MSnスペクトルの品質の低下に繋がる。こうした制約から、従来、MSn分析を行うイオントラップ質量分析装置の場合、イオントラップの電極形状や配置の理想状態からのずれは経験的に定められた適当な範囲に抑えられていた。即ち、従来のイオントラップ質量分析装置では、イオンアイソレーションの分解能を高くしつつイオン捕捉効率もできるだけ高くするという設計上の最適化は必ずしもなされていなかった。それ故に、実際には、イオンアイソレーションの分解能又はイオン捕捉効率のいずれかが犠牲になっていた。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、イオンアイソレーションの高い分解能を確保しつつイオン捕捉効率も高めることで、質の高いMSnスペクトルを作成することができるとともに検出感度を向上させることができるイオントラップの設計方法、及び該方法で設計されたイオントラップを用いたイオントラップ質量分析装置を提供することである。
高周波電場によってイオントラップに捕捉されているイオンに対するイオンアイソレーションの分解能は、その高周波電場におけるイオンの強制的な振動周波数とイオンの振動振幅との関係を表す共鳴曲線の形状に対応する。よく知られているように、イオントラップにより形成される高周波電場が四重極電場のみである場合、つまり理想状態である場合、共鳴曲線の形状は典型的には図5(a)に示すように左右対称の山形のピークになる。これに対し、特許文献4にも記載されているように、四重極電場に八重極電場が加わると共鳴曲線の形状は例えば図5(b)に示すように非対称になり、低周波側又は高周波側のピークのスロープが急峻になる。このような急峻なスロープは共鳴状態が鋭いことを意味しており、共鳴分解能つまりはイオンアイソレーションの分解能も高くなる。
ただし、特許文献4に記載の例でもそうであるように、ピークの一方の側のスロープが急峻になると他方の側のスロープは逆になだらかになるため、イオントラップ内に特定の質量電荷比又は質量電荷比範囲のイオンを選択的に残したい場合、上記スロープがなだらかである側、つまりは低質量電荷比側又は高質量電荷比側の一方の分解能は悪くなり、所望の質量電荷比又は質量電荷比範囲よりも広い範囲のイオンがイオントラップ内に残ってしまうことになる。
これに対し、本発明者は、イオントラップの電極の形状や配置を様々に変えたときの多重極電場の強さと共鳴曲線とをシミュレーション計算により求めた結果、四重極電場に重畳される八重極電場にさらに次数の高い十二重極電場が重畳され、その八重極電場と十二重極電場の極性が逆極性であって四重極電場に対する八重極電場と十二重極電場の強さの比率が同程度で且つ所定の条件を満たす場合に、共鳴曲線の両側のスロープがいずれも比較的急峻になることを見いだした。換言すれば、四重極電場に重畳される八重極電場と十二重極電場の強さが所定の条件を満たすように電極の形状や配置が理想状態からずれた状態であれば、イオンの捕捉効率を高く保ちつつ、イオンアイソレーションの分解能を高くすることができるということができる。本発明はそうした知見に基づいてなされたものである。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明に係るイオントラップの設計方法は、3以上の電極にそれぞれ印加される電圧によって、それら電極で囲まれる空間に四重極電場及びそれよりも次数の高い多重極電場を形成して該空間にイオンを捕捉するとともに、捕捉されているイオンの中で特定の質量電荷比を持つ又は特定の質量電荷比範囲に含まれるイオンを残して他のイオンを排除するイオンアイソレーション操作を実行するためのイオントラップを設計するイオントラップ設計方法であって、
四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上であり、且つ十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように前記3以上の電極の形状と配置とを定めるようにしたことを特徴としている。
四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上であり、且つ十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように前記3以上の電極の形状と配置とを定めるようにしたことを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された本発明に係るイオントラップ質量分析装置は、試料由来のイオンを生成するイオン源と、3以上の電極から成り、それら電極にそれぞれ印加される電圧によってそれら電極で囲まれる空間に四重極電場及びそれよりも次数の高い多重極電場を形成して該空間にイオンを捕捉するイオントラップと、該イオントラップから排出されたイオンを検出するイオン検出部と、を具備し、前記イオントラップにイオンを捕捉したあと該イオンの中で特定の質量電荷比を持つ又は特定の質量電荷比範囲に含まれるイオンを残して他のイオンを排除するイオンアイソレーション操作を実行するイオントラップ質量分析装置において、
前記イオントラップは、四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上であり、且つ該十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように前記3以上の電極の形状と配置とを定められてなることを特徴としている。
前記イオントラップは、四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上であり、且つ該十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように前記3以上の電極の形状と配置とを定められてなることを特徴としている。
本発明に係るイオントラップは、3次元四重極型のイオントラップ又はリニア型のイオントラップである。3次元四重極型のイオントラップの場合、上記3以上の電極は、1個のリング電極と、互いに対向して配置された2個のエンドキャップ電極である。一方、リニア型のイオントラップの場合、上記3以上の電極は、中心軸を取り囲むように互いに平行に配置された4本のロッド状電極である。
例えば本発明に係るイオントラップが3次元四重極型のイオントラップである場合、既に述べたように、リング電極とエンドキャップ電極の理想的な形状及び配置はよく知られれている。上述したように四重極電場に八重極電場及び十二重極電場が加わるようにするには、例えば、各電極の形状を理想状態に維持したままリング電極の内径を理想状態よりも縮小する、各電極の形状を理想状態に維持したまま一対のエンドキャップ電極を共に(つまりは対称に)中心点に近づける、或いは、一対のエンドキャップ電極の回転軸に直交する所定の面よりも頂部側の内面形状を双曲面でなく円錐形状に変更する、等の手法が考えられる。
本発明に係るイオントラップの設計方法及びイオントラップ質量分析装置によれば、高いイオン捕捉効率を維持しつつ、例えばプリカーサイオン選択のためのイオンアイソレーションの分解能を高めることができる。それによって、目的とする質量電荷比を持つ純度の高いイオンをイオントラップ内に残すことができ、目的とするイオン由来の良好な品質のMSnスペクトルを得ることができる。また、高い検出感度を実現することができる。
本発明に係るイオントラップの設計方法及び該方法により設計されたイオントラップを用いたイオントラップ質量分析装置の一実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例のイオントラップ質量分析装置の概略構成図である。
本実施例のイオントラップ質量分析装置は、図示しない真空チャンバの内部に、目的試料をイオン化するイオン源2と、3次元四重極型であるイオントラップ1と、イオントラップ1から排出されたイオンを検出するイオン検出器3と、を備える。
イオントラップ1は、1個のリング電極10と、これを挟むように対向して配置された、入口側エンドキャップ電極11及び出口側エンドキャップ電極12と、からなり、これら3個の電極10、11、12で囲まれた空間がイオン捕捉領域となる。入口側エンドキャップ電極11の略中央にはイオン入射孔11aが穿設され、イオン源2から出射したイオンはイオン入射孔11aを通過してイオントラップ1内に導入される。一方、出口側エンドキャップ電極12の略中央にはイオン出射孔12aが穿設され、イオン検出器3はこのイオン出射孔12aの外側に配置され、イオン出射孔12aを通して排出されたイオンを検出する。
イオントラップ1は、1個のリング電極10と、これを挟むように対向して配置された、入口側エンドキャップ電極11及び出口側エンドキャップ電極12と、からなり、これら3個の電極10、11、12で囲まれた空間がイオン捕捉領域となる。入口側エンドキャップ電極11の略中央にはイオン入射孔11aが穿設され、イオン源2から出射したイオンはイオン入射孔11aを通過してイオントラップ1内に導入される。一方、出口側エンドキャップ電極12の略中央にはイオン出射孔12aが穿設され、イオン検出器3はこのイオン出射孔12aの外側に配置され、イオン出射孔12aを通して排出されたイオンを検出する。
電源部4はイオントラップ1を構成する各電極10、11、12にそれぞれ所定の正弦波電圧を印加するものである。具体的には、電源部4は捕捉領域にイオンを捕捉するためにリング電極10にVcosΩtの正弦波電圧を印加する。その周波数Ωは捕捉するイオンの質量電荷比範囲に応じて調整される。一方、電源部4は、捕捉領域に捕捉されているイオンのうちの不要なイオンを排除するため又は捕捉されているイオンをイオン出射孔12aを通して排出し検出するために、両エンドキャップ電極11、12にそれぞれ逆極性の高周波電圧±VeccosΩectを印加する。このエンドキャップ電極11、12への印加電圧の周波数Ωecをイオンの振動周波数と合致させることで該イオンを共振させ、イオンのアイソレーションや排出を行うことができる。
上述したように理想的なイオントラップでは、リング電極10、エンドキャップ電極11、12共に内面は回転双曲面状であり、リング電極10の内接半径r0とイオントラップ1の中心点とエンドキャップ電極11、12の頂部との間の距離z0は上記(1)式を満たす。
図1に示したイオントラップ1において、軸対称場においてイオン光軸(この例ではz軸)を含む面内での電位分布φは一般に以下の(2)式で表現することができる。
φ(ρ,θ)=VΣAn(ρ/z0)nPn(cosθ) …(2)
ここでΣはn=0から∞までの総和である。また、ρは原点(イオントラップ1の中心点)から観測点までの距離でありρ=√(r2+z2)、θは原点を中心とした観測点のz軸からの角度、Vは印加電圧、Anは多重極電場係数であって、A2は四重極(quadrupole)、A3は六重極(hexapole)、A4は八重極(octapole)、A5は十重極(decapole)、A6は十二重極(dodecapole)などと称される。電極10、11、12の形状や配置がr軸及びz軸の周りに軸対称である場合には、nが奇数である項は存在せず、nが偶数である項のみとなる。距離z0は規格化定数として用いられる。また、Pnはルジャンドル多項式(Legendre polynomial)である。
図1に示したイオントラップ1において、軸対称場においてイオン光軸(この例ではz軸)を含む面内での電位分布φは一般に以下の(2)式で表現することができる。
φ(ρ,θ)=VΣAn(ρ/z0)nPn(cosθ) …(2)
ここでΣはn=0から∞までの総和である。また、ρは原点(イオントラップ1の中心点)から観測点までの距離でありρ=√(r2+z2)、θは原点を中心とした観測点のz軸からの角度、Vは印加電圧、Anは多重極電場係数であって、A2は四重極(quadrupole)、A3は六重極(hexapole)、A4は八重極(octapole)、A5は十重極(decapole)、A6は十二重極(dodecapole)などと称される。電極10、11、12の形状や配置がr軸及びz軸の周りに軸対称である場合には、nが奇数である項は存在せず、nが偶数である項のみとなる。距離z0は規格化定数として用いられる。また、Pnはルジャンドル多項式(Legendre polynomial)である。
原理的に、イオントラップ1において支配的であるのは四重極場であり、四重極場の電位分布は次の(3)式で表現される。
φ=(V/z0 2)A2(2z2−r2) …(3)
理想状態のイオントラップでは形成される電場はこの四重極場のみとなるが、電極の形状や配置を理想状態からずらすと高次の多重極電場が発生する。なお、ここでは、電極10、11、12の形状や配置がr軸及びz軸の周りに軸対称であることは維持し、奇数の高次項は考えない。八重極電場の電位分布は次の(4)式で表現される。
φ=VA4{(8z4−24z2r2+3r4)/8z0 4} …(4)
また十二重極電場の電位分布は次の(5)式で表現される。
φ=VA6{(16z6−120z4r2+90z2r4−5r6)/16z0 6} …(5)
φ=(V/z0 2)A2(2z2−r2) …(3)
理想状態のイオントラップでは形成される電場はこの四重極場のみとなるが、電極の形状や配置を理想状態からずらすと高次の多重極電場が発生する。なお、ここでは、電極10、11、12の形状や配置がr軸及びz軸の周りに軸対称であることは維持し、奇数の高次項は考えない。八重極電場の電位分布は次の(4)式で表現される。
φ=VA4{(8z4−24z2r2+3r4)/8z0 4} …(4)
また十二重極電場の電位分布は次の(5)式で表現される。
φ=VA6{(16z6−120z4r2+90z2r4−5r6)/16z0 6} …(5)
いま四重極電場に八重極電場が重畳して存在する場合について考える。その場合のイオントラップ1内での電位分布は次の(6)式のようになる。
φ=(V/z0 2)A2(2z2−r2)+(V/8z0 4)A4(8z4−24z2r2+3r4) …(6)
この場合、イオンの閉じ込めポテンシャルφeffは次の(7)式で表される。
φeff=(eEz2)/(4mΩ2)={(qA2 2V)/(4z0 2)}z2+{(qA2A4V)/(z0 4)}z4 …(7)
このポテンシャルによってイオンが振動しながら捕捉されているとすると、その運動方程式は次の(8)式で表される。
z+{(eqA2 2V)/(2z0 2)}z=−{(4eqA2A4V)/(z0 4)}z3 …(8)
φ=(V/z0 2)A2(2z2−r2)+(V/8z0 4)A4(8z4−24z2r2+3r4) …(6)
この場合、イオンの閉じ込めポテンシャルφeffは次の(7)式で表される。
φeff=(eEz2)/(4mΩ2)={(qA2 2V)/(4z0 2)}z2+{(qA2A4V)/(z0 4)}z4 …(7)
このポテンシャルによってイオンが振動しながら捕捉されているとすると、その運動方程式は次の(8)式で表される。
z+{(eqA2 2V)/(2z0 2)}z=−{(4eqA2A4V)/(z0 4)}z3 …(8)
(8)式の右辺にはz3の項が存在する。これはダフィング(Duffing)方程式と呼ばれる非線形振動の方程式であり、その解はよく知られている。このような方程式に基づく振動に強制振動電場による強制的振動を加えた場合、強制振動周波数に対する振動振幅をプロットした共鳴曲線は図5(c)に示すようになる場合があることが知られている(非特許文献2など参照)。共鳴曲線が図5(c)に示す形状であると、例えば周波数が小さくなる方向(図で横軸に沿って左方向)に変化するに伴いスロープfに従って振幅は増加し、点dの位置で振幅は急激に点bに変化する。逆に、周波数が大きくなる方向に変化する場合には、その変化に伴いスロープaに従って振幅は増加し、点cの位置で振幅は急激に点cに変化する。このような不連続な変化が後述する跳躍現象である。
図5に示す共鳴曲線において、共振周波数の偏移Δωは次の(9)式で表される。
Δω=(A4/A2){P2/(z0 2)}ω0 …(9)
ここで、Pは振動の振幅値である。(9)式は、振幅Pがz0であるとき、共振周波数はA4/A2の比でシフトすることを意味する。
Δω=(A4/A2){P2/(z0 2)}ω0 …(9)
ここで、Pは振動の振幅値である。(9)式は、振幅Pがz0であるとき、共振周波数はA4/A2の比でシフトすることを意味する。
図2は、四重極電場に対し強さの比率が2%である八重極電場が重畳されるような共振周波数の信号をエンドキャップ電極11、12間に与えたときの、イオンの振幅(縦軸)と振動周波数(横軸)との関係をシミュレーションした結果を示す図である。図2によれば、振幅が増大するに伴って、共振周波数は2%シフトするという結果が得られた。
十二重極、十六重極、二十重極、と高次の多重極電場がそれぞれ重畳されるような共振周波数の信号をエンドキャップ電極11、12間に与えたときの、イオンの振幅と振動周波数との関係をシミュレーションした結果を図4に示す。四重極電場に対する多重極電場の強さの比率は+2%又は−2%である。図4を見ると、高次になるほど、振幅がより大きいところで共振周波数の偏移が始まることが分かる。また、重畳される電場の正負の符号が逆になると、共振周波数が低くなる方向に偏移することも分かる。
次に、四重極電場に対し強さの比率が4%である八重極電場と強さの比率が−2%である十二重極電場とが重畳されるような共振周波数の信号をエンドキャップ電極11、12間に与えたときの、イオンの振幅と振動周波数との関係をシミュレーションした結果を図3に示す。図3から、振幅が小さい間は図2と同様の八重極電場の影響が支配的であって共振周波数が高くなる方向(つまりは右方)に偏移するが、振幅が或る程度以上大きくなると、十二重極電場の影響によって共振周波数が減少する方向(つまりは左方)に転じていることが分かる。この挙動を図3中に太点線の矢印で示している。
上述したように非線形振動では図5(c)に示した跳躍現象があることが知られている。四重極電場に対し強さの比率が2%である八重極電場が重畳された条件の下で共鳴曲線を計算してみると、図6(b)に示したようになる。図6(b)から分かるように、高周波側ではピークのスロープはほぼ鉛直状に延びる急峻なものとなる。これは上述した跳躍現象によるものと推測できる。従来のイオントラップを質量分離器として使用する場合、この高周波側の急峻なスロープによってイオントラップからのイオン排出が急速に行われ、質量分解能が向上する効果がある。図6(a)は四重極電場のみの場合における共鳴曲線であるが、それと比較すると図6(b)ではピークトップの振動振幅が抑えられていることが分かる。これはイオンの閉じ込め能力が増していることを意味し、イオンの捕捉効率の向上に繋がる。
その一方、図6(b)に示した共鳴曲線ではピークの低周波側のスロープは図6(a)に示した共鳴曲線のスロープに比べてもかなり緩やかである。これが低周波側におけるイオンアイソレーション分解能の低下をもたらす。即ち、イオンの捕捉効率を高く保ったまま、イオンアイソレーションの分解能を低周波側、高周波側ともに高くするには、共鳴曲線のピークのピークトップの振動振幅が抑えられたまま、低周波側、高周波側ともにスロープができるだけ急峻であるような共鳴曲線とすればよい。
上述したように、四重極電場に八重極電場を重畳させただけでは共鳴曲線のピークの高周波側のスロープは急峻になるものの低周波側のスロープはなだらかになる。これに対し、図3の結果から、四重極電場に八重極電場を重畳し、さらに八重極電場とは逆極性である十二重極電場を重畳すると、共鳴曲線のピークシフトが相殺されことが予想される。
上述したように、四重極電場に八重極電場を重畳させただけでは共鳴曲線のピークの高周波側のスロープは急峻になるものの低周波側のスロープはなだらかになる。これに対し、図3の結果から、四重極電場に八重極電場を重畳し、さらに八重極電場とは逆極性である十二重極電場を重畳すると、共鳴曲線のピークシフトが相殺されことが予想される。
四重極電場に重畳される多重極電場の比率を増加させる方法としては、主として次の三つの方法が考えられる。
(1)図7に示すように、イオントラップ1のリング電極10の形状を理想状態に保ったまま、内接半径r0を小さくする。例えば理想状態での内接半径r0が10mmである場合、これを7mmにすると、A4/A2(四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率)が4%、A6/A2(四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率)が−2.3%である多重極電場を生成することができる。
(2)図8に示すように、両エンドキャップ電極11、12のz軸周りの表面形状を、z軸上の所定の位置にあるz軸に直交する平面より頂部側で略円錐状にする。このようにエンドキャップ電極11、12の形状を理想状態からずらすことで、A4/A2が正である八重極電場と、A6/A2が負である十二重極電場とを四重極電場に重畳することができる。
(3)図9に示すように、両エンドキャップ電極11、12の形状を理想状態に保ったまま、それぞれ同距離だけ内側にシフトさせる。これにより、十二重極電場を或る程度保ったまま八重極電場を減少させることができる。
(1)図7に示すように、イオントラップ1のリング電極10の形状を理想状態に保ったまま、内接半径r0を小さくする。例えば理想状態での内接半径r0が10mmである場合、これを7mmにすると、A4/A2(四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率)が4%、A6/A2(四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率)が−2.3%である多重極電場を生成することができる。
(2)図8に示すように、両エンドキャップ電極11、12のz軸周りの表面形状を、z軸上の所定の位置にあるz軸に直交する平面より頂部側で略円錐状にする。このようにエンドキャップ電極11、12の形状を理想状態からずらすことで、A4/A2が正である八重極電場と、A6/A2が負である十二重極電場とを四重極電場に重畳することができる。
(3)図9に示すように、両エンドキャップ電極11、12の形状を理想状態に保ったまま、それぞれ同距離だけ内側にシフトさせる。これにより、十二重極電場を或る程度保ったまま八重極電場を減少させることができる。
上記のような電極形状や配置による多重極電場の強さの変化とそれによる共鳴曲線の変化をシミュレーションにより確認した。シミュレーションでは、次のA〜Fの6種類のモデルのイオントラップを想定した。いずれも、リング電極10についてはその形状を保ちつつその内接半径r0を理想状態である10mmから7mmに縮小している。また、エンドキャップ電極11、12の中央に穿設したイオン入射孔11a及び出射孔12aの開口径は1.4mmである。
[A]:両エンドキャップ電極11、12をそれぞれ内接半径4mmの位置から内側に張り出す部分を円錐形状に変更したもの。
[B]:両エンドキャップ電極11、12をそれぞれ内接半径1.25mmの位置から内側に張り出す部分を円錐形状に変更したもの。
[C]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.1mmシフトさせたもの。
[D]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.2mmシフトさせたもの。
[E]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.5mmシフトさせたもの。
[F]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.6mmシフトさせたもの。
[A]:両エンドキャップ電極11、12をそれぞれ内接半径4mmの位置から内側に張り出す部分を円錐形状に変更したもの。
[B]:両エンドキャップ電極11、12をそれぞれ内接半径1.25mmの位置から内側に張り出す部分を円錐形状に変更したもの。
[C]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.1mmシフトさせたもの。
[D]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.2mmシフトさせたもの。
[E]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.5mmシフトさせたもの。
[F]:両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.6mmシフトさせたもの。
上記6種類のイオントラップについて、四重極電場成分、八重極電場成分、及び十二重極電場成分を計算し、四重極電場成分の強さに対する八重極電場成分の強さ及び十二重極電場成分の強さの比率を計算した結果を図10に示す。また、それら6種類のイオントラップについて共鳴曲線を描いた結果を図11に示す。図10から明らかであるように、[A]から[F]まで順に、四重極電場に対する八重極電場の比率(A4/A2)が減少し、相対的に十二重極電場成分が増加していることが分かる。
八重極電場成分と十二重極電場成分とを比べたときに八重極電場成分が支配的である場合には、共鳴曲線のピークは図11に示すように非対称性が強い。そして、八重極電場成分が減少し十二重極電場成分が相対的に増加するに伴い共鳴曲線のピークは対称形に近づくことが分かる。これが、十二重極電場による、共鳴曲線のピークシフトの相殺の効果であると推測できる。
図11(d)に示した共鳴曲線では、ピークトップを挟む左右のスロープが共にほぼ垂直に切り立った形状となっており、高周波側のみならず低周波側でも跳躍現象が生じていることが推定される。これは、高周波側では八重極電場成分による跳躍現象が、低周波側では図12に示すような十二重極電場成分による跳躍現象が起こるためであると考えられる。このように正負の極性が逆であって同程度の大きさの八重極電場成分と十二重極電場成分との共存によって、高低両方の周波数サイドに垂直に近いスロープが出現すると、イオンのアイソレーション性能は高くなる。しかもピークトップの振動振幅は抑えられているので、高いイオン捕捉効率も実現できる。
一方、図11(f)に示した共鳴曲線では、八重極電場成分が減少しすぎるために、ピークの高周波側のエッジの丸みがやや大きくなっていることが分かる。この状態では、高周波側のイオンのアイソレーション性能が低下する傾向になる。このように、共鳴曲線におけるピークにおいて高周波側、低周波側共に略垂直に切り立ったエッジ状のスロープが得られるような八重極電場成分と十二重極電場成分との比率の条件はかなり限られることが分かる。
具体的には、上記結果からみると、上記条件を満たすのは、四重極電場成分に対する八重極電場成分の比率(A4/A2)と四重極電場成分に対する十二重極電場成分の比率(A6/A2)の絶対値が共に0.02以上であり、且つ十二重極電場成分に対する八重極電場成分の比率(A4/A6)の絶対値が0.6〜1.4の範囲にある場合である。上記6種類のモデルでこれに該当するのはC〜Fである。即ち、リング電極10についてはその形状を保ちつつその内接半径r0を理想状態である10mmから7mmに縮小し、且つ、両エンドキャップ電極11、12の位置をそれぞれ理想状態から内側に0.1〜0.6mmの範囲でシフトさせたものである。こうした構成であれば、高いイオン捕捉効率を保ちつつ十分に高いイオンアイソレーション分解能を達成することができる。
なお、上記実施例では、イオントラップとして3次元四重極型イオントラップを用いたが、同様の原理でイオンの捕捉を実行可能であるリニア型のイオントラップにも本発明を適用して、上述した効果を奏することは明らかである。
1…イオントラップ
10…リング電極
11、12…エンドキャップ電極
11a…イオン入射孔
12a…イオン出射孔
2…イオン源
3…イオン検出器
4…電源部
10…リング電極
11、12…エンドキャップ電極
11a…イオン入射孔
12a…イオン出射孔
2…イオン源
3…イオン検出器
4…電源部
Claims (3)
- 3以上の電極にそれぞれ印加される電圧によって、それら電極で囲まれる空間に四重極電場及びそれよりも次数の高い多重極電場を形成して該空間にイオンを捕捉するとともに、捕捉されているイオンの中で特定の質量電荷比を持つ又は特定の質量電荷比範囲に含まれるイオンを残して他のイオンを排除するイオンアイソレーション操作を実行するためのイオントラップを設計するイオントラップ設計方法であって、
四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上であり、且つ十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように前記3以上の電極の形状と配置とを定めるようにしたことを特徴とするイオントラップ設計方法。 - 請求項1に記載のイオントラップの設計方法であって、
前記イオントラップは、1個のリング電極と、互いに対向して配置された2個のエンドキャップ電極とから成る3次元四重極型イオントラップであり、該イオントラップ内に四重極電場のみが形成される理想状態から、前記リング電極の内接半径を縮小するとともに、前記2個のエンドキャップ電極をそれぞれ中心点に近づく方向にずらすことにより、は重極電場及び十二重極電場を四重極電場に重畳させて生成するようにしたことを特徴とするイオントラップ設計方法。 - 試料由来のイオンを生成するイオン源と、3以上の電極から成り、それら電極にそれぞれ印加される電圧によってそれら電極で囲まれる空間に四重極電場及びそれよりも次数の高い多重極電場を形成して該空間にイオンを捕捉するイオントラップと、該イオントラップから排出されたイオンを検出するイオン検出部と、を具備し、前記イオントラップにイオンを捕捉したあと該イオンの中で特定の質量電荷比を持つ又は特定の質量電荷比範囲に含まれるイオンを残して他のイオンを排除するイオンアイソレーション操作を実行するイオントラップ質量分析装置において、
前記イオントラップは、四重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率及び該四重極電場の強さに対する十二重極電場の強さの比率の極性が互いに異なるとともにその絶対値がそれぞれ0.02以上であり、且つ該十二重極電場の強さに対する八重極電場の強さの比率の絶対値が0.6〜1.4の範囲に収まるように前記3以上の電極の形状と配置とを定められてなることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
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