JP2017185443A - 静的破砕方法および静的破砕方法で用いる破砕工具 - Google Patents

静的破砕方法および静的破砕方法で用いる破砕工具 Download PDF

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昭男 神島
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Abstract

【課題】被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填し、前記破砕剤を膨張させて前記被破砕物を破砕する静的破砕技術において、破砕態様を制御しながら優れた効率で被破砕物を破砕する。【解決手段】押圧部材を被破砕物に形成された削孔に挿入する第1工程と、押圧部材、削孔の内壁面および削孔の底面で囲まれた空間に膨脹性を有する破砕剤を充填する第2工程と、空間に充填された破砕剤が膨張して押圧部材を削孔の内壁面に向けて押圧する前に空間を蓋部材で塞ぐ第3工程と、を備え、第1工程は、被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された長尺体を複数本、削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて削孔に挿入し、複数の長尺体の集合体を押圧部材として準備する工程を含み、第3工程は、蓋部材の削孔側端部を押圧部材の反削孔側端部に係合させて空間を塞ぐ係合工程を含んでいる。【選択図】図2

Description

この発明は、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填し、前記破砕剤を膨張させて前記被破砕物を破砕する静的破砕方法および静的破砕方法で用いる破砕工具に関するものである。
岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物を破砕する方法として、セメント等の膨張材を破砕剤として用いることが提案されている。例えば特許文献1では、破砕対象物に穿孔を設け、当該穿孔に対し、穿孔内に底板を配置し、ボルトなどで底板に結合された連結用具を穿孔外に立設している。この連結用具の上部には、天板がプッシュナットなどにより連結されている。そして、穿孔内部のうち天板と底板とで挟まれた空間に膨張性破砕剤が充填される。ここでは、破砕剤の膨張圧力が穿孔の上方開口を介して漏れるのを天板により抑え、穿孔の開口部付近にも破砕剤の膨張圧力を効果的に付与することで、破砕対象物の表面側のクラック発生が早くなり結果的に破砕時間が短縮される。
特開2006−102638号公報
特許文献1に記載の静的破砕方法では、穿孔の内壁面全体に破砕剤が接触しており、この状態で膨張することで破砕剤の膨張圧力を内壁面に作用させて被破砕物の破砕を実行する。しかしながら、破砕剤の膨張圧力は穿孔の内壁面に対して等方的に作用するため、被破砕物の破砕は必ずしも効率的であるとは言えない。また、被破砕物に付与されるクラックの位置や方向はランダムであり、被破砕物の静的破砕態様を制御することは事実上不可能であり、施工性の面で改良の余地があった。
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填し、前記破砕剤を膨張させて前記被破砕物を破砕する静的破砕技術において、破砕態様を制御しながら優れた効率で被破砕物を破砕することを目的とする。
本発明の第1態様は、静的破砕方法であって、押圧部材を被破砕物に形成された削孔に挿入する第1工程と、押圧部材、削孔の内壁面および削孔の底面で囲まれた空間に膨脹性を有する破砕剤を充填する第2工程と、空間に充填された破砕剤が膨張して押圧部材を削孔の内壁面に向けて押圧する前に空間を蓋部材で塞ぐ第3工程と、を備え、第1工程は、被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された長尺体を複数本、削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて削孔に挿入し、複数の長尺体の集合体を押圧部材として準備する工程を含み、第3工程は、蓋部材の削孔側端部を押圧部材の反削孔側端部に係合させて空間を塞ぐ係合工程を含むことを特徴としている。
また、本発明の第2態様は、静的破砕方法であって、押圧部材を被破砕物に形成された削孔に挿入する第1工程と、押圧部材、削孔の内壁面および削孔の底面で囲まれた空間に膨脹性を有する破砕剤を充填する第2工程と、空間に充填された破砕剤が膨張して押圧部材を削孔の内壁面に向けて押圧する前に空間を蓋部材で塞ぐ第3工程と、を備え、第1工程は、押圧部材として、被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された第1の長尺体を複数本、削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて削孔に挿入可能な第1の集合体と、削孔形成方向および第1幅方向と直交する第2幅方向において第1の集合体から離間させて空間を形成しながら被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された第2の長尺体を複数本、第2幅方向に集めて削孔に挿入可能な第2の集合体と、を準備する工程を含むことを特徴としている。
また、本発明の第3態様は、被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填して被破砕物を破砕する静的破砕方法に用いる破砕工具であって、削孔に挿入可能な押圧部材と、押圧部材の反削孔側端部に係合可能な削孔側端部を有する蓋部材とを備え、押圧部材は、被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された複数本の長尺体を削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて削孔に挿入されることで、複数の長尺体の集合体、削孔の内壁面および削孔の底面で囲まれた空間を形成し、蓋部材の削孔側端部が押圧部材の反削孔側端部に係合して空間を塞いで空間に充填される破砕剤を空間に閉じ込めることを特徴としている。
さらに、本発明の第4態様は、被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填して被破砕物を破砕する静的破砕方法に用いる破砕工具であって、削孔に挿入可能な押圧部材と、押圧部材の反削孔側端部に係合可能な削孔側端部を有する蓋部材とを備え、押圧部材は、被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された第1の長尺体を複数本、削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて削孔に挿入可能な第1の集合体と、削孔形成方向および第1幅方向と直交する第2幅方向において第1の集合体から離間しながら被破砕物に対して削孔が形成される削孔形成方向に延設された第2の長尺体を複数本、第2幅方向に集めて削孔に挿入可能な第2の集合体と、を有し、第1の集合体および第2の集合体は、第1幅方向および第2幅方向において互いに対向しながら削孔内で離間配置されることで、第1の集合体、第2の集合体、削孔の内壁面および削孔の底面で囲まれた空間を形成し、蓋部材の削孔側端部が押圧部材の反削孔側端部に係合して空間を塞いで空間に充填される破砕剤を空間に閉じ込めることを特徴としている。
以上のように構成された発明では、被破砕物に形成された削孔に対し、複数の長尺体が幅方向に集めて挿入された集合体が押圧部材として挿入されることで押圧部材、削孔の内壁面および削孔の底面で囲まれた空間が形成される。そして、膨張性を有する破砕剤が当該空間に充填される。ここで、破砕剤が膨張する前に空間が蓋部材で塞がれる。このため、膨張する破砕剤の削孔からの漏洩を防止しながら破砕剤の膨張力の多くが押圧部材の側面のうち空間に対向する面に与えられ、押圧部材は削孔の内壁面側に押圧する。このように破砕剤の膨張力が押圧部材を介して削孔の内壁面に集中的に与えられ、優れた破砕効率が得られる。また、押圧部材により削孔の内壁面を押圧する方向とほぼ直交する方向の亀裂が被破砕物に導入され、破砕態様を制御することができる。しかも、押圧部材を削孔内に配置して破砕剤の導入空間を狭めた状態で静的破砕処理を実行しているため、破砕剤の使用量を抑制することができ施工コストの低減を図ることができる。
本発明にかかる静的破砕方法の第1実施形態に用いられる破砕工具の一例を示す図である。 図1に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。 図1に示す破砕工具を複数個用いて被破砕物を広範囲にわたって破砕する静的破砕方法を示す模式図である。 本発明にかかる静的破砕方法の第2実施形態を模式的に示す図である。 図3に示す静的破砕方法に適用可能な破砕工具の他の例を示す図である。 図5に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。 図3に示す静的破砕方法に適用可能な破砕工具の別の例を示す図である。 図7に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。 図3に示す静的破砕方法に適用可能な破砕工具のさらに別の例を示す図である。 図9に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。
本発明にかかる静的破砕方法の技術的特徴は、3つの工程(a)〜(c)、
(a)押圧部材を被破砕物に形成された削孔に挿入する第1工程と、
(b)前記押圧部材、前記削孔の内壁面および前記削孔の底面で囲まれた空間に膨脹性を有する破砕剤を充填する第2工程と、
(c)前記空間に充填された前記破砕剤が膨張して前記押圧部材を前記削孔の内壁面に向けて押圧する前に前記空間を蓋部材で塞ぐ第3工程と、
を有することであり、これによって、削孔内での破砕剤の膨脹により発生する力、つまり膨脹力の多くを押圧部材に与えて削孔の内壁面側に押圧して破砕態様を制御しながら優れた効率で被破砕物を破砕することが可能となっている。以下、前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された長尺体を複数本、前記削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて前記削孔に挿入し、前記複数の長尺体の集合体を押圧部材として用いた第1実施形態について図1および図2を参照しつつ説明する。
図1は、本発明にかかる静的破砕方法の第1実施形態に用いられる破砕工具の一例を示す図であり、破砕工具を構成する部品相互を分離した状態を示している。また、図2は図1に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。この第1実施形態にかかる静的破砕方法は、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物1に形成された削孔2に破砕工具9の押圧部材91をセットすることで、押圧部材91、削孔2の内壁面および削孔2の底面で囲まれた空間5を形成し(第1工程)、次に削孔内に膨脹性を有する破砕剤4を空間5に充填し(第2工程)、削孔2内の破砕剤4が膨張する前に破砕工具9の蓋部材33で上記空間5を塞いだ(第3工程)後、破砕剤4の膨張によって被破砕物1を破砕する方法である。以下、上記破砕工具9の構成を説明した後で、静的破砕方法の第1実施形態について詳述する。なお、本明細書では、削孔2を形成する方向、つまり削孔形成方向を「Z方向」とし、削孔形成方向Zと直交する方向を「X方向」および「Y方向」と定義する。
この破砕工具9は、押圧部材91と蓋部材92で構成されている。これらのうち押圧部材91は、複数(本実施形態では4本)の円柱状の鋼棒911〜914で有している。各鋼棒911〜914は削孔形成方向Zに延設されている。そして、これらのうち鋼棒911〜913は、削孔2の(−X)方向側で内周面と側面が接触するように挿入されるとともに、残りの鋼棒914が鋼棒911〜913の側面と接触するように挿入される。これによって、4本の鋼棒911〜914が削孔2の(−X)方向側に集まり、削孔2の(−X)方向側の内部空間を占めるように集合体が形成される。当該集合体は上方からの平面視で略半円状に配置され、(−X)方向側が削孔2の内壁面に倣った形状を有する一方、(+X)方向側では平面に近似した形状となっている。また、削孔2の(+X)方向側で略半円柱状の空間5が形成される。したがって、後述するように空間5に投入された破砕剤4が膨張すると、その膨張力が(+X)方向側から集合体に与えられ、集合体が(−X)方向に移動し、削孔2の内壁面を押圧する。このように上記集合体が押圧部材91として機能する。なお、図1では、各鋼棒911〜914を独立して削孔2に挿入しているが、その挿入態様はこれに限定されるものではなく、任意であり、例えば予め4本を束ねて一括しても挿入してもよい。
破砕工具9の蓋部材92は、削孔2の平面サイズと同じあるいはそれよりも広い平面サイズを有して削孔2の開口を上方より塞ぐことが可能な蓋部位921と、蓋部位921の下面から削孔側、つまり(+Z)方向に延設された係合部位922を有している。係合部位922は略半円柱形状を有しており、(−X)方向側の側面が押圧部材91の(+X)方向側の反削孔側端部、つまり(−Z)方向側端部と係合自在となっている。したがって、図2(c)および(d)に示すように、係合部位922が押圧部材91の(−Z)方向側端部と係合した状態で、蓋部材92が(+Z)方向に押し込まれると、削孔2を上方から封止可能となっている。このように蓋部材92の係合部位922が本発明の「削孔側端部」の一例に相当しており、上記のように係合させる処理が本発明の「係合工程」の一例に相当する。
次に、上記のように構成された破砕工具9を用いて被破砕物1を破砕する方法について図2を参照しつつ詳述する。まず、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物1に対して(+Z)方向に削孔2を形成する。これに続いて、図2(a)に示すように、押圧部材91を構成する鋼棒911〜914を削孔2の(−X)方向側に集めて挿入する。これによって、削孔2の(−X)方向側の内部空間を占めるように押圧部材91がセットされるとともに削孔2の(+X)方向側に空間5が形成される。
それに続いて、図2(b)中の破線に示すように、空間5に破砕剤4を流し込んだ後、当該破砕剤4が膨張する前に、図2(c)に示すように、蓋部材92の係合部位922を上記空間5の(−Z)方向側端部に挿入して蓋部材92によって空間5を封止する。破砕剤4としては、例えばSマイト(住友大阪セメント株式会社の商品名)やブライスター(太平洋マテリアル株式会社の商品名)やHPロックトーン(河合石灰興業株式会社の商品名)などの静的破砕剤を用いることができる。
そして、時間経過に伴って破砕剤4が膨張し、図2(d)の実線矢印で示すように破砕剤4の膨張力が押圧部材91に対して(−X)方向に加わる。それによって押圧部材91が図2(d)の白抜き矢印で示すように削孔2の内壁面をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に押圧する。このため、被破砕物1の削孔2の周囲部分では、Y方向に延びる亀裂7が発生して被破砕物1が破砕される。
以上のように、第1実施形態によれば、膨張する破砕剤4の削孔2からの漏洩を防止しながら破砕剤4の膨張力の多くが押圧部材91の側面のうち空間5に対向する面に与えられ、押圧部材91は削孔2の内壁面側に押圧する。このように破砕剤4の膨張力が押圧部材91を介して削孔2の内壁面に集中的に与えられ、優れた破砕効率が得られる。また、押圧部材91により削孔2の内壁面を押圧する方向Xとほぼ直交する方向Yの亀裂7が被破砕物1に導入され、破砕態様を制御することができる。しかも、押圧部材91を削孔2内に配置して破砕剤4の導入空間5を狭めた状態で静的破砕処理を実行しているため、破砕剤4の使用量を抑制することができ施工コストの低減を図ることができる。
図3は図1に示す破砕工具を複数個用いて被破砕物を広範囲にわたって破砕する静的破砕方法を示す模式図である。なお、同図中の(a)〜(g)はそれぞれ時刻t1〜t7での削孔形成状況、破砕工具の設置状況および破砕状況を示している。また、この破砕方法では、図1に示す破砕工具9を用いた静的破砕方法と、リッパーによるリッピング除去方法とを組み合わせている。なお、ここでは段階的な静的破砕を行うために、複数の破砕工具9を3つのグループに分けて使用することから、本明細書では、時刻t2、t3、t4に設置する破砕工具9をそれぞれ「破砕工具9A」、「破砕工具9B」および「破砕工具9C」と称する。
まず時刻t1では、図3(a)に示すように、被破砕物1のうち自由面に近接する位置で複数の削孔2を自由面に沿って並設する。そして、図3(b)に示すように、次の時刻t2で、上記複数の削孔2に対して破砕工具9Aを設置するとともに、その設置作業と並行して破砕工具9Aに対して反自由面側(同図における右手側)で新たなに複数の削孔2を追加形成する。なお、破砕工具9Aの設置は、鋼棒911〜914が削孔2の自由面側(同図の左手側)に集めて挿入されて亀裂7が自由面と平行に発生するように行われる。この点に関しては、その他の破砕工具9B、9Cについて同様である。
時間経過に伴い、図3(c)に示すように、破砕工具9Aの周囲で亀裂7が発生する。そして、時刻t3で、破砕工具9Aの反自由面側に既に形成された複数の削孔2に対して破砕工具9Bを設置するとともに、その設置作業と並行して破砕工具9Bに対して反自由面側で新たなに複数の削孔2を追加形成する。
さらに時間経過すると、図3(d)に示すように、破砕工具9Aによる亀裂7はさらに隣の破砕工具9Aに向けて大きくなるとともに、破砕工具9Bの周囲でも亀裂7が発生する。そして、時刻t4で、破砕工具9Bの反自由面側に既に形成された複数の削孔2に対して破砕工具9Cを設置する。さらに、時間経過に伴って、図3(e)、(f)に示すように、破砕工具9A、9B、9Cにより発生した亀裂7が大きくなり、被破砕物1では自由面から広範囲にわたって亀裂7が入る。その後で、図3(g)に示すように、被破砕物1のうち亀裂7が導入された領域をリッパー(図示省略)によりリッピング除去する。これによって自由面が広がる、つまり被破砕物1の破砕除去が進行する。
以上のように、破砕態様を制御することができる破砕工具9(9A、9B、9C)を時間差を設けて設置することで被破砕物1を自由面側から順番に静的破砕することができ、広範囲な静的破砕作業を効率的に行うことができる。
上記したように、図1および図2に示す実施形態では(−X)方向が本発明の「第1幅方向」の一例に相当し、図3に示す実施形態では自由面に沿った方向Yと直交する方向Xのうち自由面側に向かう方向(−X)が本発明の「第1幅方向」の一例に相当している。また、上記実施形態では、鋼棒911〜914が本発明の「長尺体」の一例に相当している。
ところで、第1実施形態では図1に示す破砕工具9を用いて破砕処理を実行しているが、別の破砕工具を用いて破砕処理を行ってもよい(第2実施形態)。以下、図4を参照しつつ本発明の第2実施形態について説明する。
図4は本発明にかかる静的破砕方法の第2実施形態を模式的に示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、押圧部材が2つ設けられた破砕工具9を用いている点であり、その他の構成は基本的に同一である。
第2実施形態で使用される破砕工具9は、2つの押圧部材93、94と、蓋部材95とを有している。押圧部材93、94はいずれも押圧部材91と同一構成を有している。つまり、押圧部材93は、4本の円柱状の鋼棒931〜934で有している。各鋼棒931〜934は削孔形成方向Zに延設されている。そして、これらのうち鋼棒931〜933は、削孔2の(−X)方向側で内周面と側面が接触するように挿入されるとともに、残りの鋼棒934が鋼棒931〜933の側面と接触するように挿入される。これによって、4本の鋼棒931〜934が削孔2の(−X)方向側に集まり、削孔2の(−X)方向側の内部空間を占めるように第1の集合体が形成される。当該第1の集合体は上方からの平面視で削孔2の約1/3の領域に配置され、(−X)方向側が削孔2の内壁面に倣った形状を有する。
また、押圧部材94は、4本の円柱状の鋼棒941〜944で有している。各鋼棒941〜944は削孔形成方向Zに延設されている。そして、これらのうち鋼棒941〜943は、削孔2の(+X)方向側で内周面と側面が接触するように挿入されるとともに、残りの鋼棒944が鋼棒941〜943の側面と接触するように挿入される。これによって、4本の鋼棒941〜944が削孔2の(+X)方向側に集まり、削孔2の(+X)方向側の内部空間を占めるように第2の集合体が形成される。当該第2の集合体は上方からの平面視で削孔2の約1/3の領域に配置され、(+X)方向側が削孔2の内壁面に倣った形状を有する。
破砕工具9の蓋部材95は、削孔2の平面サイズと同じあるいはそれよりも広い平面サイズを有して削孔2の開口を上方より塞ぐことが可能な蓋部位951と、蓋部位951の下面から削孔側、つまり(+Z)方向に延設された係合部位952を有している。係合部位952は略オーバル形状を有しており、(−X)方向側の側面が押圧部材93の(+X)方向側の反削孔側端部と係合自在であるとともに、(+X)方向側の側面が押圧部材94の(−X)方向側の反削孔側端部と係合自在となっている。したがって、図4(c)および(d)に示すように、係合部位952が押圧部材93、94の(−Z)方向側端部と係合した状態で、蓋部材95が(+Z)方向に押し込まれると、削孔2を上方から封止可能となっている。
次に、上記のように構成された破砕工具9を用いて被破砕物1を破砕する方法について図4を参照しつつ詳述する。まず、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物1に対して(+Z)方向に削孔2を形成する。これに続いて、図4(a)に示すように、押圧部材93を構成する鋼棒931〜934を削孔2の(−X)方向側に集めて挿入するとともに、押圧部材94を構成する鋼棒941〜944を押圧部材93から離間させながら削孔2の(+X)方向側に集めて挿入する。これによって、X方向において中央部において空間5が形成される。
それに続いて、図4(b)中の破線に示すように、空間5に破砕剤4を流し込んだ後、当該破砕剤4が膨張する前に、図4(c)に示すように、蓋部材95の係合部位952を上記空間5の(−Z)方向側端部に挿入して蓋部材95によって空間5を封止する。そして、時間経過に伴って破砕剤4が膨張し、図4(d)の実線矢印で示すように破砕剤4の膨張力が押圧部材93に対して(−X)方向に加わるとともに押圧部材94に対して(+X)方向に加わる。それによって押圧部材91が図4(d)の白抜き矢印で示すように削孔2の内壁面をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に押圧する。このため、被破砕物1の削孔2の周囲部分では、Y方向に延びる亀裂7が発生して被破砕物1が破砕される。
このように第2実施形態においては、鋼棒931〜934が本発明の「第1の長尺体」の一例に相当し、これらを集めた集合体が本発明の「第1の集合体」の一例に相当している。また、鋼棒941〜944が本発明の「第2の長尺体」の一例に相当し、これらを集めた集合体が本発明の「第2の集合体」の一例に相当している。また、(−X)方向および(+X)方向がそれぞれ本発明の「第1幅方向」および「第2幅方向」の一例に相当している。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では4本の鋼棒を集めた集合体を押圧部材としているが、鋼棒の個数についてはこれに限定されない。また、上記実施形態では、円柱状の鋼棒を本発明の「長尺体」として用いているが、長尺体の形状、大きさや材質などについてはこれに限定されるものではない。例えば鋼材の代わりに木材や竹などを用いてもよい。また、断面形状が円環形状、楕円形状や半円形状などであってもよい。
また、図3に示す静的破砕方法においては、図1に示す破砕工具9を用いているが、破砕工具の構成はこれに限定されるものではなく、例えば図4に示す破砕工具9を用いてもよい。また、以下に説明する破砕工具を用いてもよい。
図5は、図3に示す静的破砕方法に適用可能な破砕工具の他の例を示す図であり、同図(a)は破砕工具を構成する部品相互を分離した状態を示し、同図(b)は上記部品を相互に係合させた状態を示している。また、図6は図5に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。
この破砕工具3は一対の押圧部材31、32を有している。押圧部材31はZ方向に延設された略半円柱形状の金属部材で構成されており、(−X)方向側が湾曲側面311となっており、削孔2の内壁面を押圧自在となっている。一方、(+X)方向側の面には、段差部が形成されており、その段差部よりも反削孔側、つまり(−Z)方向側に傾斜面312が形成されている。また、段差部よりも削孔側、つまり(+Z)方向側に面法線方向が(+X)方向に延びる平面313がZ方向に延設されている。この平面313が本発明の「第1の受圧平面」に相当しており、破砕剤4の膨張力を受けて押圧部材31が(−X)方向に移動し、それによって湾曲側面311が削孔2の内壁面を押圧する押圧面として機能する。
また、押圧部材32は基本的に押圧部材31と同一構成を有している。つまり、押圧部材32はZ方向に延設された略半円柱形状の金属部材で構成されており、(+X)方向側が湾曲側面321となっており、削孔2の内壁面を押圧自在となっている。一方、(−X)方向側の面には、段差部が形成されており、その段差部よりも反削孔側、つまり(−Z)方向側に傾斜面322が形成されている。また、段差部よりも削孔側、つまり(+Z)方向側に面法線方向が(−X)方向に延びる平面323がZ方向に延設されている。この平面323が本発明の「第2の受圧平面」に相当しており、破砕剤4の膨張力を受けて押圧部材32が(+X)方向に移動し、それによって湾曲側面321が削孔2の内壁面を押圧する押圧面として機能する。なお、このように構成された一対の押圧部材31、32は、第1受圧平面313および第2受圧平面323を互いに対向させた状態で削孔2に挿入可能となっている。
破砕工具3の蓋部材33は、削孔2の平面サイズと同じあるいはそれよりも広い平面サイズを有して削孔2の開口を上方より塞ぐことが可能な蓋部位331と、蓋部位331の下面から削孔側、つまり(+Z)方向に延設された楔部位332と、楔部位332の下面に固着された平板部位333とを有している。平板部位333のY方向幅は削孔2の内径よりも狭い一方、X方向幅は、楔部位332の下方端部のX方向幅よりも若干広く、X方向の両側にショルダー部が形成され、押圧部材31、32の段差部と係合可能となっている。また、楔部位332は下方端部から上方端部に向けてX方向幅が広がる形状を有しており、(−X)方向側の側面が押圧部材31の傾斜面312を摺動自在で、かつ(+X)方向側の側面が押圧部材32の傾斜面322を摺動自在となっている。したがって、図5(b)および図6(b)(c)に示すように、楔部位332が押圧部材31、32の傾斜面312、322と係合した状態で、蓋部材33が(+Z)方向に押し込まれると、楔部位332が傾斜面312、322上を摺動して押圧部材31、32をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に移動させて削孔2の内壁面に押し付けることが可能となっている。なお、図5では、一対の押圧部材31、32の間に蓋部材33の楔部位332および平板部位333を(−Y)方向側から挿脱するように構成しているが、蓋部材33の楔部位332および平板部位333を一対の押圧部材31、32で挟み込むようにして一対の押圧部材31、32と蓋部材33とを係合させてもよい。
次に、上記のように構成された破砕工具3を用いて被破砕物1を破砕する方法について図6を参照しつつ詳述する。まず、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物1に対して(+Z)方向に削孔2を形成する。これに続いて、図6(a)に示すように、第1受圧平面313および第2受圧平面323を互いに対向させた状態で一対の押圧部材31、32の間に蓋部材33を(−Y)方向側から挿入して一体化させて破砕工具3を準備するとともに、当該破砕工具3を削孔2に挿入する。これによって、第1受圧平面313および第2受圧平面323に挟まれた空間5が削孔2の中心部に設けられ、当該空間5の(−X)方向側および(+X)方向側に押圧部材31、32がそれぞれ位置する。なお、この段階で図6(a)に示すように、押圧部材31、32の湾曲側面を削孔2の内壁面の近傍まで移動させておくのが望ましく、これによって空間5のX方向間隔が広げられ、次の破砕剤4の流込作業が容易となる。
次に、図6(b)中の破線に示すように、蓋部材33のY方向側より空間5に向けて流し込む。そして、空間5に破砕剤4が充填されると、破砕剤4が膨張する前に、図6(c)に示すように、蓋部位331に対して(+Z)方向に荷重を加え、蓋部材33を(+Z)方向に押下げる。このとき、楔部位332が押圧部材31、32の傾斜面312、322上を摺動して押圧部材31、32をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に移動させて削孔2の内壁面に押し付ける。これによって、押圧部材31、32の湾曲側面311、321が削孔2の内壁面と密着するとともに、空間5が蓋部位331によって上方、つまり(−Z)方向側から覆われて塞がれる。また、楔部位332および平板部位333が空間5に進入してくるのに伴い、破砕剤4の一部が押圧部材31、32と蓋部材33との隙間領域に押し遣られて当該隙間領域が破砕剤で満たされる。
そして、時間経過とともに破砕剤4は膨張しながら硬化するが、多くの破砕剤4では、破砕剤4全体が均一、かつ同時に膨張して硬化するわけではなく、押圧部材31、32や削孔2の内壁面と接触している部分や狭小な隙間領域に充填された部分が先に硬化する。このため、破砕剤4の充填から比較的早い段階で押圧部材31、32と蓋部材33との隙間領域が破砕剤4により塞がれ、蓋部位331により削孔2の開口を塞いでいることと相俟って削孔2から破砕剤4が漏れるのを防止する。そして、破砕剤4の漏れを防止しながら破砕剤4の膨脹が進行するのにしたがって図6(d)の実線矢印で示すように破砕剤4の膨張力が第1受圧平面313および第2受圧平面323にそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に加わり、それによって押圧部材31、32が図6(d)の白抜き矢印で示すように削孔2の内壁面をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に押圧する。このため、被破砕物1の削孔2の周囲部分では、Y方向に延びる亀裂7が発生して被破砕物1が破砕される。
以上のように、削孔2内に押圧部材31、32を挿入し、互いに対向した第1受圧平面313および第2受圧平面323により形成された空間5に膨張性を有する破砕剤4を充填して静的破砕を行っている。このため、破砕剤4の膨張力が押圧部材31、32を介して削孔2の内壁面に集中的に与えられ、その結果、亀裂の方向をコントロールする、つまり破砕態様を制御しながら優れた破砕効率で被破砕物1を破砕することができる。しかも、押圧部材31、32を削孔2内に配置した状態で静的破砕処理を実行しているため、破砕剤4の使用量を抑制することができ施工コストの低減を図ることができる。
図7は、図3に示す静的破砕方法に適用可能な破砕工具の別の例を示す図である。また、図8は図7に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。この破砕工具3が図5の破砕工具3と異なる点は、図5と異なる構成の楔部材34が空間5を塞ぐための「蓋部材」として用いられている点と、一対の押圧部材31、32に対する楔部材(蓋部材)34の係合タイミングが破砕剤4の充填後である点とであり、その他の構成は基本的に図5に示す破砕工具3と共通している。したがって、以下においては相違点を中心に説明し、同一構成については同一または相当符号を付して説明を省略する。
ここで蓋部材として機能する楔部材34は、図5に示す楔部位332と同様に下方端部から上方端部に向けてX方向幅が広がる形状を有しており、(−X)方向側の側面が押圧部材31の傾斜面312を摺動自在で、かつ(+X)方向側の側面が押圧部材32の傾斜面322を摺動自在となっている。ただし、図7に示す破砕工具3では、楔部材34のY方向幅は削孔2のそれとほぼ同一であり、次に説明するように一対の押圧部材31、32に対して楔部材34を係合させると、楔部材34の下方端部で空間5に入り込むとともに楔部材34のY方向側端面が削孔2の内壁面と密着して空間5を塞いで、膨張した破砕剤4が削孔2から漏れ出るのを効果的に防止する。
次に、上記のように構成された破砕工具3を用いて被破砕物1を破砕する方法について図8を参照しつつ詳述する。まず、図6と同様に、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物1に対して(+Z)方向に削孔2を形成する。これに続いて、図8(a)に示すように、第1受圧平面313および第2受圧平面323を互いに対向させた状態で一対の押圧部材31、32を削孔2に挿入する。ここで、図7に示す破砕工具3においても、押圧部材31、32の湾曲側面を削孔2の内壁面の近傍まで移動させておくのが望ましく、これによって空間5のX方向間隔が広げられ、次の破砕剤4の流込作業が容易となる。
それに続いて、図8(b)中の破線に示すように、空間5に破砕剤4を流し込んだ後、当該破砕剤4が膨張する前に、図8(c)に示すように、一対の押圧部材31、32の(−Z)側端部の間に楔部材34の下方端部、つまり(+Z)側端部を挿入する。また、楔部材34に対して(+Z)方向に荷重を加え、楔部材34を(+Z)方向に押下げる。このとき、楔部材34の下方端部が押圧部材31、32の傾斜面312、322上を摺動して押圧部材31、32をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に移動させて削孔2の内壁面に押し付ける。これによって、押圧部材31、32の湾曲側面311、321が削孔2の内壁面と密着するとともに、空間5が楔部材34で塞がれる。
この破砕工具3においても、押圧部材31、32、削孔2の内壁面および楔部材34が互いに接触している部分の破砕剤4が先に硬化する。このため、破砕剤4の充填から比較的早い段階で押圧部材31、32と楔部材34との間で破砕剤4により塞がれ、削孔2から破砕剤4が漏れるのを防止しながら図8(d)の実線矢印で示すように破砕剤4の膨張力が第1受圧平面313および第2受圧平面323にそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に加わる。それによって押圧部材31、32が図6(d)の白抜き矢印で示すように削孔2の内壁面をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に押圧する。このため、被破砕物1の削孔2の周囲部分では、Y方向に延びる亀裂7が発生して被破砕物1が破砕される。
以上のように、削孔2内に挿入された押圧部材31、32の受圧平面313、323の間の空間5に膨張性を有する破砕剤4を充填して静的破砕を行っているため、破砕剤4の膨張力が押圧部材31、32を介して削孔2の内壁面に集中的に与えられ、その結果、少ない破砕剤で破砕態様を制御しながら優れた破砕効率で被破砕物1を破砕することができる。なお、破砕工具3においては、「押圧部材」の個数は「2」に限定されるものではなく、例えば図9および図10に示すように、最小個数、つまり「1」の押圧部材および蓋部材とで破砕を行うように構成してもよい。
図9は、図3に示す静的破砕方法に適用可能な破砕工具のさらに別の例を示す図である。また、図10は図9に示す破砕工具および静的破砕剤を用いて被破砕物を破砕する静的破砕方法を模式的に示す図である。この静的破砕方法が図6に示す静的破砕方法と大きく相違する点は押圧部材の個数である。ここでは、破砕工具3は押圧部材35と蓋部材36で構成されている。押圧部材35はZ方向に延設された略半円柱形状の金属部材で構成されており、(−X)方向側が湾曲側面351となっており、削孔2の内壁面を押圧自在となっている。一方、(+X)方向側では反削孔側端部を除き受圧平面352となっており、破砕剤4の膨張力を受けて押圧部材35が(−X)方向に移動し、それによって湾曲側面351が削孔2の内壁面を押圧する押圧面として機能する。なお、受圧平面352の反削孔側部分は傾斜面353となっており、次に説明する蓋部材36に対して摺接自在となっている。
破砕工具3の蓋部材36は、削孔2の平面サイズと同じあるいはそれよりも広い平面サイズを有して削孔2の開口を上方より塞ぐことが可能な蓋部位361と、蓋部位361の下面から削孔側、つまり(+Z)方向に延設された楔部位362を有している。楔部位362は下方端部から上方端部に向けてX方向幅が広がる形状を有しており、(−X)方向側の側面が押圧部材35の傾斜面353を摺動自在となっている。したがって、図9(c)に示すように、楔部位362が押圧部材35の傾斜面353と係合した状態で、蓋部材36が(+Z)方向に押し込まれると、楔部位362が傾斜面353上を摺動して押圧部材35を(−X)方向に移動させて削孔2の内壁面に押し付けることが可能となっている。
次に、上記のように構成された破砕工具3を用いて被破砕物1を破砕する方法について図10を参照しつつ詳述する。まず、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物1に対して(+Z)方向に削孔2を形成する。これに続いて、図10(a)に示すように、押圧部材35を削孔2に挿入する。これによって受圧平面352、削孔2の内壁面および削孔2の底面で囲まれた空間5が形成される。ここでも、押圧部材35の湾曲側面351を削孔2の内壁面の近傍まで移動させておくのが望ましく、これによって空間5のX方向間隔が広げられ、次の破砕剤4の流込作業が容易となる。
それに続いて、図10(b)中の破線に示すように、空間5に破砕剤4を流し込んだ後、当該破砕剤4が膨張する前に、図10(c)に示すように、押圧部材35の(−Z)側端部の間に楔部材36の下方端部、つまり(+Z)側端部を挿入する。また、楔部材36に対して(+Z)方向に荷重を加え、楔部材36を(+Z)方向に押下げる。このとき、楔部材36の下方端部が押圧部材35の傾斜面353上を摺動して押圧部材35を(−X)方向に移動させて削孔2の内壁面に押し付ける。これによって、押圧部材35の湾曲側面351が削孔2の内壁面と密着するとともに、空間5が楔部材36で塞がれる。
この静的破砕方法においても、押圧部材35、削孔2の内壁面および楔部材36が互いに接触している部分の破砕剤4が先に硬化する。このため、破砕剤4の充填から比較的早い段階で押圧部材35と楔部材36との間で破砕剤4により塞がれ、削孔2から破砕剤4が漏れるのを防止しながら図10(d)の実線矢印で示すように破砕剤4の膨張力が第1受圧平面352に(−X)方向に加わる。それによって押圧部材35が図10(d)の白抜き矢印で示すように削孔2の内壁面をそれぞれ(−X)方向および(+X)方向に押圧する。このため、被破砕物1の削孔2の周囲部分では、Y方向に延びる亀裂7が発生して被破砕物1が破砕される。
以上のように、削孔2内に挿入された押圧部材35の受圧平面352の間の空間5に膨張性を有する破砕剤4を充填して静的破砕を行っているため、破砕剤4の膨張力が押圧部材35を介して削孔2の内壁面に集中的に与えられ、その結果、少ない破砕剤で破砕態様を制御しながら優れた破砕効率で被破砕物1を破砕することができる。
この発明は、岩盤、コンクリート構造物や岩石などの被破砕物を静的破砕剤によって破砕する静的破砕技術全般に適用することができる。
1…被破砕物
2…削孔
4…(静的)破砕剤
5…空間
7…亀裂
9…破砕工具
91…押圧部材
92、95…蓋部材
93…押圧部材(第1の集合体)
94…押圧部材(第2の集合体)

Claims (4)

  1. 押圧部材を被破砕物に形成された削孔に挿入する第1工程と、
    前記押圧部材、前記削孔の内壁面および前記削孔の底面で囲まれた空間に膨脹性を有する破砕剤を充填する第2工程と、
    前記空間に充填された前記破砕剤が膨張して前記押圧部材を前記削孔の内壁面に向けて押圧する前に前記空間を蓋部材で塞ぐ第3工程と、を備え、
    前記第1工程は、前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された長尺体を複数本、前記削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて前記削孔に挿入し、前記複数の長尺体の集合体を前記押圧部材として準備する工程を含み、
    前記第3工程は、前記蓋部材の削孔側端部を前記押圧部材の反削孔側端部に係合させて前記空間を塞ぐ係合工程を含むことを特徴とする静的破砕方法。
  2. 押圧部材を被破砕物に形成された削孔に挿入する第1工程と、
    前記押圧部材、前記削孔の内壁面および前記削孔の底面で囲まれた空間に膨脹性を有する破砕剤を充填する第2工程と、
    前記空間に充填された前記破砕剤が膨張して前記押圧部材を前記削孔の内壁面に向けて押圧する前に前記空間を蓋部材で塞ぐ第3工程と、を備え、
    前記第1工程は、前記押圧部材として、
    前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された第1の長尺体を複数本、前記削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて前記削孔に挿入可能な第1の集合体と、
    前記削孔形成方向および前記第1幅方向と直交する第2幅方向において前記第1の集合体から離間させて前記空間を形成しながら前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された第2の長尺体を複数本、前記第2幅方向に集めて前記削孔に挿入可能な第2の集合体と、
    を準備する工程を含むことを特徴とする静的破砕方法。
  3. 被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填して前記被破砕物を破砕する静的破砕方法に用いる破砕工具であって、
    前記削孔に挿入可能な押圧部材と、
    前記押圧部材の反削孔側端部に係合可能な削孔側端部を有する蓋部材とを備え、
    前記押圧部材は、前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された複数本の長尺体を前記削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて前記削孔に挿入されることで、前記複数の長尺体の集合体、前記削孔の内壁面および前記削孔の底面で囲まれた空間を形成し、
    前記蓋部材の前記削孔側端部が前記押圧部材の反削孔側端部に係合して前記空間を塞いで前記空間に充填される前記破砕剤を前記空間に閉じ込めることを特徴とする破砕工具。
  4. 被破砕物に形成された削孔に膨張性を有する破砕剤を充填して前記被破砕物を破砕する静的破砕方法に用いる破砕工具であって、
    前記削孔に挿入可能な押圧部材と、
    前記押圧部材の反削孔側端部に係合可能な削孔側端部を有する蓋部材とを備え、
    前記押圧部材は、
    前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された第1の長尺体を複数本、前記削孔形成方向と直交する第1幅方向に集めて前記削孔に挿入可能な第1の集合体と、
    前記削孔形成方向および前記第1幅方向と直交する第2幅方向において前記第1の集合体から離間しながら前記被破砕物に対して前記削孔が形成される削孔形成方向に延設された第2の長尺体を複数本、前記第2幅方向に集めて前記削孔に挿入可能な第2の集合体と、を有し、
    前記第1の集合体および前記第2の集合体は、前記第1幅方向および前記第2幅方向において互いに対向しながら前記削孔内で離間配置されることで、前記第1の集合体、前記第2の集合体、前記削孔の内壁面および前記削孔の底面で囲まれた空間を形成し、
    前記蓋部材の前記削孔側端部が前記押圧部材の反削孔側端部に係合して前記空間を塞いで前記空間に充填される前記破砕剤を前記空間に閉じ込めることを特徴とする破砕工具。
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