以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
〔第1の実施形態〕
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
まず図1を参照して、パチンコ遊技機1の正面側の構成について説明する。図1に示すパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、パチンコホール島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、遊技者が操作可能に構成され、その操作の前後で特定の演出(たとえば、遊技者参加型演出)に変化をもたらす際に利用され、第1演出ボタン(通常ボタン)、第2演出ボタン(回転灯ボタン)、第3演出ボタン(ローリングボタン)として活躍する「枠演出ボタン13(演出用操作手段)」が設けられている。この枠演出ボタン13は、たとえば、特定の演出が発生したときに、所定の入力受付期間中に内蔵ランプが点灯されまたは液晶画面に演出ボタン画像が表示されることで操作可能(入力受付可能)となり、その操作可能期間中(入力受付期間中)に押下することにより演出に変化をもたらすための「演出用操作手段」として働く。この演出用操作手段としては、たとえば、ボタン式、ジョグダイヤル式、非接触型センサを利用したタッチセンサ式、液晶表示装置を利用したタッチパネル式などが挙げられるが、いずれの場合にも遊技者による操作が行われた場合に演出に何らかの変化を与える(操作の前後で演出に変化をもたらす)ために利用できるものであれば特に制限されない。また、上記演出用操作手段について、その種類や設置個数も特に制限されない。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を奏するスピーカ46が設けられている。また、ガラス扉6の適所には、光の装飾により光演出効果を奏する装飾ランプ45(フルカラーLED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。図2に示す遊技盤3は、略正方形状の木製合板または樹脂板を主体として構成されている。この遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3aとなっており、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、たとえば3つ(左、中、右)の表示エリア(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄(左表示エリア対応)、中図柄(中表示エリア対応)、右図柄(右表示エリア対応))の変動表示および停止表示が可能である液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り48が設けられている。センター飾り48は、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする部材(流路振分手段)であり、センター飾り48の存在によって遊技領域3a内の上部両側(左側と右側)に遊技球の流路が形成されるように、遊技領域3aのほぼ中央部に配置されている。ただし、この実施形態の場合、センター飾り48は少し右側に膨出した形となっている。
センター飾り48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、かつ固定ネジなどにより遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えている。鎧枠部48bは、その略全体が前面装着板48aから前側に突出しており、その内側、すなわち液晶表示装置36側への遊技球の侵入を阻止するようになっている。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間には遊技球が通過可能な遊動領域が形成され、右側へも遊技球が案内されるようになっている。発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、この鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。このようなセンター飾り48は、遊技球の落下方向を変換する遊技球落下方向変換部材(落下方向変換手段)として働く。
なお図示していないが、センター飾り48には、液晶表示装置36の前側下部に、鎧枠部48bの左側部に設けられた入球口(図示せず)から入球した遊技球を左右方向に自由に転動させて、左右方向中央の落下口(始動口案内路)またはその左右両側から落下させるステージが設けられている。またセンター飾り48には、適所に、その動作態様により視覚的演出効果を奏する可動体役物(後述の時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73など)が設けられている。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。上記の特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作)により特別図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。なお上記の液晶表示装置36は、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、予告演出(たとえば、演出画像表示)とともに装飾図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている(これらの図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する)。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣りに、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下単に「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。この普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作(たとえば、シーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで当否が判明する)により普通図柄変動表示ゲームが実行されるようになっている。また、この普通図柄表示装置39aに隣接して3個のLED(第1〜第3ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39bが設けられている。このラウンド数表示装置39bは、大当り(「大当り」の詳細は後述する)に係る規定ラウンド数を報知する「規定ラウンド報知手段」として機能し、たとえば、3つのLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、その規定ラウンド数が報知されるようになっている。
センター飾り48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口開閉手段(始動口を開放または拡大可能にする手段)を有しない入賞率固定型の入賞装置として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入賞容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入賞困難または入賞不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な入賞率変動型の入賞装置として構成されており、具体的には、第2の特別図柄始動口である下始動口35を、開放または拡大可能にする左右一対の可動翼片(可動部材)47を備える、いわゆる「電動チューリップ型」の入賞装置として構成されている。普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
普通変動入賞装置41(下始動口35)の下方には、開放扉42bにより下大入賞口40(第1の大入賞口)を開放または拡大可能に構成した特別変動入賞装置42(第1の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には遊技球を検出する下大入賞口センサ42a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37が設けられている。この普通図柄始動口37(第3の始動手段)は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていない。しかし本発明はこれに限らず、左流下経路3bのみに形成しても良いし、両流下経路のそれぞれに形成しても良い。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50(第2の大入賞口)を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(第2の特別変動入賞装置)が設けられており、その内部には右大入賞口50に入球した遊技球を検出する右大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
右大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより右大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には右大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を右大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
右大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、当該遊技球の流下方向は右大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより右大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに図示しない所定配列の遊技くぎにより、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)および特別変動入賞装置42(下大入賞口40)の方向に導かれる。このとき、下始動口35または下大入賞口40が入賞可能状態(開状態)であれば、これらの入賞口に遊技球が入賞しうる。他方、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて右大入賞口50が開いている状態(右大入賞口開状態)であれば、遊技球が右大入賞口50内に導かれる。
なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって右大入賞口50が閉状態であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされるようになっている。
上記した入賞手段が左右の流下経路のいずれに属するか、つまり左流下経路3bまたは右流下経路3cのいずれを流下する遊技球が入賞可能であるかについて分類すると、左流下経路3bに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、下大入賞口40、および左側の3つの一般入賞口43があり、右流下経路3cに属する入賞手段には、上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、右大入賞口50、下大入賞口40、および右側の1つの一般入賞口43がある。
なお、下始動口35は、可動翼片47が開いた状態(始動口開状態)であれば、左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし、下始動口35の可動翼片47は、遊技領域3aの右側に位置する普通図柄始動口37に遊技球の通過(入賞)がその作動条件となっているので、実質的には右流下経路3cにのみに属するといえる。
また上始動口34については、概ね左流下経路3bまたは左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球については、入賞が困難または不可能となっている。すなわち、遊技領域3a内の遊技くぎやその他の遊技部品の配置は、左流下経路3bを流下して来た遊技球(センター飾り48のステージを経た遊技球を含む)について、これを上始動口34へ誘導し得るが、右流下経路3cを流下してきた遊技球については、これを上始動口34へ誘導困難または誘導しない、という誘導路を形成するように配設されている。
また下大入賞口40については左流下経路3bおよび右流下経路3cの双方に属し、左右のいずれの流下経路からも入賞が可能となっている。しかし右大入賞口50については左流下経路3bのみに属し、右流下経路3cからの遊技球だけが入賞可能となっている。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、下大入賞口40、右大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、遊技領域3aに設けられた各種入賞口のうち、普通図柄始動口37以外の入賞口への入賞があった場合には、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数(たとえば、上始動口34または下始動口35は3個、大入賞口40は13個、一般入賞口43は10個)が遊技球払出装置19(図3参照)から払い出されるようになっている。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<可動体役物> 通常ボタン、爽快ボタン、
また遊技盤の領域内には遊技球の流下を妨害しない位置に、視覚的演出効果を奏する複数の可動体役物が配設されている。本例ではセンターケース48内の右上側、つまり右流下経路3cを通る遊技球の流下を妨害しない位置に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物90)が配設されている。また第3の可動体役物(回転灯62および発光装置を納めた半透明の球状の可動体73)が枠演出ボタン13内に揺動および回転可能に一体的に組み込まれている。詳細は後述するが、枠演出ボタン13は、この内蔵する可動体73の静止時の向き(遊技者から見える面の位置)によって、通常ボタン13A(第1演出ボタン)または回転灯ボタン66(第2演出ボタン:ラッキーパト)として機能し、可動体73が前方に回転している状態にある場合には爽快ボタン70(第3演出ボタン:ローリングボタン)として機能するようになっている。
(第1の可動体役物80)
第1の可動体役物は、ローマ文字「I」から「XII」の数字が付されて12の数字セクターに区画された数字表示部からなる時計盤部(数字表示部)81と、この時計盤部81上を回動し、必要に応じて時分を示すことができる短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として時計型役物80として構成されている。時計盤部81は、短針が示すセクター区画場所(ローマ文字「I」から「XII」の数字セクター)毎に裏側又は内部にフルカラーLEDを有し、または数字セクター自体がフルカラーLEDで構成されていて、それらのローマ文字「I」から「XII」を付した数字セクターが個々に独立して異なった色で発光できる構成となっている。
この時計型役物80は、大当りまたはハズレの場合に、所定の条件下で作動する「主役物」として働くものである。時計型役物80の時計針82がぐるぐる高速で回り、時計盤部81の数字セクターが所定の「色と個数」で発色し、遊技者に対し当り当選期待度を示す働きをする。たとえば、時計盤部(数字表示部)81における数字セクターのLEDの発光色が、白色(通常色)、青色、黄色、緑色、赤色の順に遊技者に対する当り当選期待度が高まるように構成する。
なお、ここでは、図柄変動表示動作が停止するまでの間、時計型役物80の時計針82が回り続ける構成としているが、図柄変動表示動作の途中で時計針82が停止するように構成して、その停止した時計針82の短針が指す数字セクターの数字で、または当該数字と発色する数字セクターの色とで当り当選期待度を示すようにしても良い。また時計盤部(数字表示部)81における数字セクターのLEDの発光色が、虹色(プレミアム色)に発光した場合は大当りが確定するように構成することができる。
(第2の可動体役物90)
第2の可動体役物90は、花心A1の周りに複数枚の花弁からなる花冠A2を配し、花心A1および花冠A2を上下方向に移動(落下移動)、および左右方向に移動(横移動)可能に構成した第1可動体91と、その花冠A2の外側周囲に位置するように萼B1を茎部B2の先端に取り付け、萼B1および茎部B2を左右方向に移動(突出移動)可能に構成した第2可動体92とから構成される。この実施形態の場合、第1可動体91と第2可動体92は互いに独立に動作可能であり、液晶画面の片側近く(右側方)に両者の合体位置が来るように配置される。
動作態様に関して記述すると、第1可動体91は、通常は液晶画面に対して図2の実線位置(後述する合体位置)よりも「上方」のホームポジション(原位置)に位置し、また第2可動体92は、通常は液晶画面に対して図2の実線位置よりも「右方」のホームポジション(原位置)に位置する。そして、第1可動体91は単独に上方の原位置から液晶画面右上の図2の実線位置に花冠A2が来るように移動(落下)でき、また、第2可動体92は単独に右方のホームポジション(原位置)から液晶画面右上の図2の実線位置に萼B1が来るように移動(突出移動)できる。第1可動体91の落下運動と第2可動体92の突出運動とが同時に生起して、それぞれが図2の実線位置(合体位置)まで移動した場合、ここで花冠A2と萼B1が重なり合って合体し、花心A1の周りに花冠A2を配し、更にその外側周囲に萼B1を配して花被を二重にした「花型部」を形作る。この意味で、第2の可動体役物90は「花型役物」とも称される。さらに、第1可動体91と第2可動体92とが合体した後、花心A1、花冠A2および萼B1が合体状態で左方に移動し、図2の破線位置(発展位置)で一時待機してから実線位置まで戻るように移動もできる。
この花型役物90は、大当りまたはハズレの場合に、所定の条件下で作動する「副役物」として働くものである。第1可動体91と第2可動体92が合体した場合、第1可動体91(花心A1および花冠A2)が第2可動体92の茎部B2の先端部において回転すると共に、半透明の花心A1、花冠A2および萼B1が後方からランプやフルカラーLEDにより照らされて美しく光色する。また、特別な条件下では、花心A1、花冠A2および萼B1が合体位置と発展位置との間を移動する。これらの作用により遊技者に対する当り当選期待度を高める。なお、図柄変動表示動作が停止(図柄変動表示ゲームが終了)すると、花型役物90は図2に実線で示す演出位置(合体位置)から原点位置に戻る。
この実施形態の場合、第1可動体91は単独に上方の原位置から図2の実線位置(合体位置)に落下移動と合体位置から図2の破線位置(発展位置)に横移動とができ、第2可動体92は単独に右方のホームポジション(原位置)から図2の実線位置(合体位置)に突出移動でき、第2可動体92の一部(萼B1)は単独に図2の実線位置(合体位置)から図2の破線位置(発展位置)に横移動できるとした。しかし第1可動体91と第2可動体92は液晶画面領域に出現または突出し、そこで合体するように構成してもよい。このように構成した場合の動作としては、第1可動体91と第2可動体92が、通常は液晶画面内の縁または液晶画面外の脇に定めた原位置(図示せず)で静止している。しかし、大当りに係る入賞またはハズレに係る入賞が発生し、上記所定の条件が成立すると、第1可動体91は上方から下方に落下移動し、また第2可動体92は右方向から液晶画面に近寄った位置または液晶画面の一部を覆う演出位置(図2に実線で示す位置)まで突出移動して来て、両者が合体することになる。この合体動作は、特に大当りの当選期待感(当選期待度)を煽る可動体演出の一態様であり、当選期待度が高い予告演出(たとえば、後述のSPリーチ演出中など)ほど、高確率で現出されうる。斯様な可動体役物の動作態様により、インパクトのある演出効果が発揮される。
(第3の可動体役物73:図2)
枠演出ボタン13は、図2に概略を示すように、受け皿ユニット8と表面が一体をなすように構成された透明枠71内に、比較的大きな表面積を持つ透明な押圧ボタン型筒体72を上下動可能に組み込み、この押圧ボタン型筒体72内またはその下方(以下、単に押圧ボタン型筒体72内と略す。)において、第3の可動体役物としての可動体73をローリング可能につまり回転可能かつ複数方向に揺動可能に組み込んだ構造となっている。
可動体73(第3の可動体役物)は、押圧ボタン型筒体72内に配置され、遊技者から見て横軸を中心に回転可能かつ左右方向に揺動できるように装置した半透明の球状の空枠と、この空枠内に納めた回転灯62および発光装置から構成されている。押圧ボタン型筒体72を押したとき、またはその前後の所定のタイミングにおいて、可動体73がローリング動作(回転および揺動運動)し、その動作の様を空枠内部または周囲から有色光で照明して、遊技者が外部から視認できる構造となっている。
上記構造の枠演出ボタン13は、その操作時の可動体73の動作態様が「通常静止中」、「回転灯待機中」、「ローリング動作中」のいずれにあるかの違いにより、「通常ボタン13A(第1演出ボタン)」、「回転灯ボタン66(第2演出ボタン:ラッキーパト)」、「爽快ボタン70(第3演出ボタン:ローリングボタン)」として使い分けされる。
ここに「通常静止中」とは、静止状態にある可動体73の回転角度位置が0度で、回転灯62の発光状体(包囲体64の頂面)が押圧ボタン型筒体72を通して上から見ない位置(遊技者から隠た位置)に在る状態をいい、この状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、枠演出ボタン13は、通常ボタン13A(第1演出ボタン)として働く。本明細書中で「通常ボタン13A」と記した場合、この「通常静止中」に操作する場合の枠演出ボタン13を指す。
また「回転灯待機中」とは、静止状態にある可動体73の回転角度位置が、上記の通常静止中の位置(0度)から手前に90度回転した位置(90度)に切り替わり、回転灯62の発光状体(包囲体64の頂面)が押圧ボタン型筒体72を通して上から見える位置(遊技者から見える位置)に在る状態をいい、この状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、枠演出ボタン13は、回転灯ボタン66(第2演出ボタン)として働く。回転灯ボタン66(第2演出ボタン)として働く場合、回転灯62が押圧ボタン型筒体72を通して上から見えるので、操作することを催促することができるとともに、たとえば操作した瞬間に回転灯62が作動する様を押圧ボタン型筒体72を通して視認することができる。したがって、一発告知的な予告演出を現出させるのに適し、非常に緊迫した瞬間を現出させることができる。なお「回転灯待機中」の期間を経過すると、可動体73は奥側に90度回転して、「通常静止中」の位置(0度)に戻る。
また「ローリング動作中」とは、可動体73が前方に回転し続けている状態をいい、つまり図2に示すように横軸を回転中心軸として可動体73が回転している状態をいい、この可動体73が回転している状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、枠演出ボタン13は、爽快ボタン70(第3演出ボタン)として働く。爽快ボタン70として働く場合、球状の可動体73がローリング動作(高速回転)する様が、透明枠71および押圧ボタン型筒体72を通して外部から見えることから、遊技者はこのローリングボタン70を操作したとき、通常ボタン13Aや回転灯ボタン66を押したときとは異なる、非常に満足の行く快感を得ることができる。なお「ローリング動作中」の期間を経過すると、可動体73は静止して「通常静止中」の位置に戻る。
図2の下部に、上記のように使い分けされる3種のボタン機能のうち、回転灯ボタン66(ラッキーパト)と、爽快ボタン70(ローリングボタン)の機能部分を分けて示す。ここでは理解を容易にするために、回転灯ボタン66(ラッキーパト)専用のスイッチ65や、爽快ボタン70(ローリングボタン)専用のスイッチ74が存在するものの如く描いているが、実際には1のスイッチが使い分けされるだけである。
回転灯ボタン66(ラッキーパト)は、赤色半透明の包囲体64中に、光源としてのランプ(またはLED)62aと、このランプ62aからの光を反射させる反射体としての反射鏡62bとを備えた回転灯62からなり、反射鏡62bを回転させることで、光源から発光された光の進行方向を変化させるように構成されている。この第3の可動体役物73は、大当りに係る図柄変動表示ゲーム(特別図柄変動表示動作)中に大当り確定予告(いわゆる一発告知)をなす演出手段として作用する。一発告知をなす場合は、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミング(たとえば、図柄変動開始時、リーチ演出や疑似連などの所定の予告演出の所定のタイミング中など)で告知音(確定音)が発生されるとともに、その発生(告知音発生)から所定の演出時間にわたって回転灯63が作動される、または、告知音が発生されないが、図柄変動表示ゲーム中の所定のタイミングで回転灯63が所定の演出時間にわたって作動される。たとえば、告知音をとともに、特別図柄変動表示動作の変動開始から変動停止までの長い変動期間中わたって回転灯63が作動する演出態様や、告知音の発生とともに、または告知音を伴わずに回転灯63が作動ランプ62aが点灯が一閃する演出態様などがある。すなわち、一発告知演出中は、回転灯62のランプ62aが所定の演出時間幅で点灯され続けると共に、ステッピングモータ62cにより反射鏡62bが回転され続ける。これにより遊技者は、図柄変動表示ゲームの結果が液晶表示装置36に表示される前に、大当りに当選したことを衝撃的に知ることができる。
また、図2の左側図では、回転灯62が押しボタン式の回転灯ボタン66として作用する場合の回転灯スイッチ65を有するものとして描かれており、所定のタイミングで回転灯62の包囲体64を押圧操作すると、回転灯スイッチ65がONし、当り告知音が発生して回転灯62が作動する構成となっている。しかし、実際には、回転灯62は図2の右側図の空枠(可動体73の殻部分)内に納められているため、回転灯62の操作部として機能するのは包囲体64ではなく押圧ボタン型筒体72であり、この押圧ボタン型筒体72を「回転灯待機中」に押圧操作することでスイッチ74がオンし、回転灯スイッチ65がONしたのと同じ結果となって回転灯62が作動する。「通常静止中」に作用する通常ボタン13Aは、必ずしも全ての演出手段が作動するとは限らない使用頻度の高い演出ボタンである。これに対し、この回転灯ボタン66は一発告知用である。このため回転灯ボタン66が選択される割合は高くないが、通常ボタンよりも大きな演出効果、たとえば回転灯62の点滅動作と音響を発生させるなど、より多くの演出手段を一斉に作動させて、「16R確変大当りであること」を図柄変動の初期段階で確定報知するための演出ボタン(本明細書では「ラッキーパトボタン」とも称する。)として利用される。
爽快ボタン70として機能する場合は、図2の右側図に概略を示すように、可動体73が押圧ボタン型筒体72内で高速に連続回転する「ローリング動作中」となり、その動作する様を内部または周囲から有色光で照明し、この様子を遊技者が押圧ボタン型筒体72を通して外部から視認できる状態が現出する。この状態の出現を前提として爽快ボタン70が操作されるため、大当り時に爽快ボタン70を操作したときには、その操作後に発生する大当り時の演出との相乗効果より、非常に大きな快感を遊技者に与えることができる。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係るパチンコ遊技機1の制御装置は、遊技動作制御を統括的に司る主制御部(主制御基板)20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出動作制御(演出手段に対する演出現出制御)を統括的に司る演出制御部(演出制御基板、液晶制御基板)24と、賞球の払い出し制御を行う払出制御基板29と、外部電源(図示せず)から遊技機に必要な電源を生成し供給する電源制御基板(図示せず)と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM202(主制御ROM)と、RAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
CPU201は、Z80(ザイログ社製またはこれの相当品)のCPUである。Z80は、データバスが8ビット、アドレスバスが16ビットのCPUであるが、広いメモリ空間を必要とせず、その上、高速処理や複雑な数値演算処理も必要としないパチンコ機の制御には最適である。またCPU201は、処理を実行するのに必要なデータの読み書きが行われる複数種類のレジスタを備えている。
ROM202は、遊技動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(主制御側記憶手段)として機能し、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM203は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、遊技進行の際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、所定の抽選(たとえば、特別図柄に係る変動パターン抽選)に利用される乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC(Counter Timer Circuit)、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を発揮する割込コントローラ回路、カウンタ回路なども備えている。上記カウンタ回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(乱数の大きさ:65536)として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。
主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口センサ34aと、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、下大入賞口40への入賞を検出する下大入賞口センサ42aと、右大入賞口50への入賞を検出する右大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、不正検出センサ99とが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。
(不正検出センサ99)
ここで不正検出センサ99は、パチンコ遊技機1に対する不正行為(ゴト行為)を検出する振動センサ、磁気センサ、電波センサなどのセンサの総称である。上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどは、有接触式または無接触式の遊技球に反応するスイッチから構成され、遊技球を検知することを直接の目的としているが、振動センサ、磁気センサ、電波センサは振動、磁気、電波を捉えることを直接の目的とし、遊技球を検知することを直接の目的としていない。そこで、振動センサ、磁気センサ、電波センサなどを特に「不正検出センサ」と称して他のセンサから区分して取り扱うことにしたものである。
上記振動センサは、パチンコ遊技機1に対し与えられた振動状態(不正振動)を検出可能に取り付けられ、また上記磁気センサはたとえば、遊技盤3の所定領域に磁石などを近づけたときの磁場の変化を検出可能に取り付けられる。また上記電波センサは、パチンコ遊技機1に対して照射された電波(不正電波)を検出可能に取り付けられる。主制御部20は、斯様な不正検出センサ99からの検出情報に基づき、遊技機に異常が生じたか否かを判定するので、異常判定手段として機能する。
これらの不正検出センサを用いて、どのような状態を不正行為であると判断するかについては、機種や遊技性に応じて適宜定められる。
たとえば次のような不正行為の形態が考慮される。振動に関する不正行為(所謂「ドツキゴト」)としては、遊技機に対して外部から振動を与えて、特定の入賞口または入賞領域(利益状態に影響を及ぼす入賞口や入賞領域)に遊技球を誘導し強制的に入賞(通過)させるようにする不正行為が挙げられる。
また磁石(磁力)に関する不正行為(所謂「磁石ゴト」)としては、磁石を利用して、特定の入賞口または入賞領域に遊技球を入賞(通過)させるように遊技球を誘導したり、ゲージ配列を利用して複数個の遊技球の固まり(所謂「ブドウ」状態)を作り、特定の入賞口または入賞領域に遊技球の入賞(通過)を容易にしたり、遊技電子部品などを誤作動させたりするなどの不正行為が挙げられる。
また電波に関する不正行為(所謂「電波ゴト」)としては、遊技機に不正電波を照射して、センサ・スイッチ類を誤作動させて賞球を不正に得たり、遊技動作に誤作動を与えて強制的に大当りを直撃させたりするなどの不正行為が挙げられる。
上記のような不正行為があったか否かの判別は、振動センサにより不正行為を判定する場合、振動センサが検出した振動が基準値以上の振動であるか否かや、所定レベル以上の振動が所定時間継続して検出されたか否かを基準にして、ドツキゴトなどの不正行為があったか否かを判定する。また、所定レベル以上の振動ではあるが、不正と判定されない時間幅の短い振動が、振動センサにより上記所定時間を超える時間内に断続的に検出され、その検出された累積回数が所定値に達した場合には、振動をガラス面に局所的に与え、その局所部分を移動させて遊技球を入賞孔に誘導するような不正行為があったと判定する。
また磁気センサにより不正行為を判定する場合も同様であり、磁気センサが所定の磁場の変化状態を検出した場合(たとえば、磁場の大きさが所定の基準値を超えることが検出された場合)、またはその変化状態が所定時間継続して検出された場合、磁石による不正行為があったと判定する。
また電波センサにより不正行為を判定する場合については、特定の周波数または特定の周波数帯域の電波を検出した場合、不正電波による不正行為があったと判定する。また誤検出を防止するために、その検出回数が所定回数以上(たとえば、2回以上)検出された場合、またはその検出時間が所定時間継続して検出された場合に、不正電波による不正行為があったと判定する。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、下大入賞口40の開放扉42bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド42cと、右大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続されており、主制御部20はこれらに制御信号を送って適宜開閉制御する。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと特別図柄表示装置38bとが接続されており、主制御部20は、これらに制御信号を送って特別図柄を適宜表示制御する。
また主制御部20には、複合表示装置(図示せず)が接続され、主制御部20は、これに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。ここで複合表示装置は、特別図柄1の作動保留球数の表示、特別図柄2の作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)および高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置である。また主制御部20には、ラウンド数表示装置が接続され、主制御部20は、大当りによる規定ラウンド数を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
(枠用外部集中端子基板21)
また主制御部20には、枠用外部集中端子基板21が接続されている。主制御部20は、遊技進行に関する情報(たとえば、大当り当選情報や賞球数情報や図柄変動表示ゲーム実行回数情報など)を、この枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信可能となっている。ホールコンピュータHCは、主制御部20から送られてくる情報に基づき、パチンコホールの遊技機の稼働状況を管理する管理コンピュータであり、遊技機外部に配設されている。
(払出制御基板(払出制御部)29)
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、この払出制御基板29には、発射装置32を制御する発射制御基板(発射制御部)28と、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19とが接続されている。主制御部20は、この払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能になっている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報やエラーに関する情報などを含む種々の演出制御コマンドを、演出制御部24に送信する送信機能部を有する。この送信機能部は、演出制御コマンドを一方向通信により主制御部20から演出制御部24に送信する構成となっており、これにより外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることが防止されている。
払出制御基板(払出制御部)29は、払出制御CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技球の払い出し制御手順を記述した制御プログラムを格納した払出制御ROMと、ワークエリアが形成される払出制御RAMとを搭載していて、1チップマイクロコンピュータを構成している。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への払出状態信号の送信などである。
払出制御基板29には、上受け皿9が遊技球で満杯状態を検出する満杯検出センサ60(球受け皿(本実施形態では、上受け皿9)における遊技球の貯留状態を検出する検出センサ)と、前扉開放センサ61(本実施形態では、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する検出センサ)と、遊技球払出装置19とが接続されている。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aと、払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bとが設けられており、払出制御基板29は、これらの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29は、上記の満杯検出センサ60、前扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、または球計数センサ19bからの検出信号に基づいて、主制御部20に対し、前枠2・前面操作パネル7の開閉状態信号、満杯検出信号、補給切れ信号、払出不足エラー信号、賞球計数信号等の払出状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、この払出状態信号に基づき、遊技球払出装置19が正常に機能しているか否か(たとえば、賞球の払い出しの不具合(払出エラー)、上受け皿9が遊技球で満杯状態であるか否かを監視している。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、発射制御基板28に対し発射制御信号を送信可能になっている。発射制御基板28は、上記発射制御信号に基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイド(図示せず)への通電を制御し、発射操作ハンドル15の操作による遊技球発射動作を実現している。
(2−3.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、ROM242(演出制御ROM)と、RAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音源IC、CTC、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備える割込みコントローラ回路、ハードウェア的に乱数を生成するためのカウンタ回路などが設けられている。ROM242は、演出動作制御に係る遊技データを記憶する記憶手段(演出制御側記憶手段)として機能し、演出制御手順が記述された演出制御プログラムの他、演出動作制御に必要な種々のデータが格納されている。またRAM243は、ワークエリアやバッファメモリとして機能し、演出を現出する際に必要なデータが処理状態に応じて格納され利用される。またRAM203は、演出の抽選に利用される演出抽選用乱数の乱数カウンタとして機能し、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段として働く。
この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、装飾ランプ45や各種LED(演出用LED:図示せず)の発光制御、可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体役物による可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45や時計型役物80の時計盤部(数字表示部)81や各種LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、各種の可動体役物(時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73など)を動作させるための可動体役物モータ80c、91c、92c、62c、73cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。ここで、可動体役物モータ80cは時計型役物80を構成する時計針82の駆動用、可動体役物モータ91c、92cは花型役物90を構成する可動体91、92の駆動用、可動体役物モータ62cは回転灯62を構成する反射鏡62bの駆動用、可動体役物モータ73cはローリングボタン70を構成する可動体73の駆動用である。演出制御部24は、これらの駆動制御部に対し、演出手段に関する制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、時計針82に対する位置検出センサ82aと、花型役物90の第1可動体91、第2可動体92に対する位置検出センサ91a、92aとが接続され、演出制御部24はこれらからの検出信号を受信可能となっている。演出制御部24は、各位置検出センサ82a、91a、92aからの検出信号に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御し、また可動体役物の動作の不具合(正常動作か否か(たとえば、動作後、原点位置に正しく戻っているか否かなど))を監視する。可動体役物が、液晶画面内に重なった動作途中位置で止まってしまったとなどの不具合が発生した場合は、演出制御部はサブエラーが発生したとして、そのエラー報知を光、音、画像のいずれか、またはこれら複数種類の組合せによる演出で行うことになる。
また演出制御部24には、遊技者が操作可能な第1、第2演出ボタンのスイッチ、つまり枠演出ボタン13のスイッチおよび回転灯スイッチ65が接続され、演出制御部24は、これらの演出ボタン13A、66からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種演出手段を制御する。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やLEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示、予告演出など)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。上記の光、音、画像の組合せによるエラー報知演出は、上記の正常動作時の演出用に用意された装飾ランプ45やLED、スピーカ46、液晶表示装置を利用して、デモ画面表示モード時に行うことになる。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いたパチンコ遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3−1.図柄変動表示ゲーム)
(3−1−1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態のパチンコ遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出表示されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜上、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」とを単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」とを単に「特別図柄変動表示ゲーム」と称する。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして、特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」である場合(大当り抽選結果が「大当り」である場合)、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了し、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了して、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置42が備える下大入賞口ソレノイド42c(図3参照)が作動して開放扉42bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより下大入賞口40が開閉されるか、または、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定の動作パターンで開閉動作を行い、これにより右大入賞口50が開閉され、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口への入賞球)が所定個数(最大入賞数:役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数:たとえば、9個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満した場合に大入賞口が閉鎖される、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。なお、下大入賞口40、右大入賞口50が閉鎖される条件はこれに限らず、大入賞口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、大入賞口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
上記大当り遊技が開始すると、最初に大当りが開始された旨を報知するオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当りが終了される旨を報知するエンディング演出が行われ、これにより大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング演出、ラウンド遊技、およびエンディング演出の各遊技期間から構成される。ただし、大入賞口閉状態であるオープニング演出期間とエンディング演出期間とを除いたラウンド遊技実行期間を、大当り遊技期間と捉えても良い。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する’当落抽選(当否種別抽選)’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する’図柄抽選(当り(当選)種別抽選)‘とを含む大当り抽選を行い、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄の情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信している。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(後述のリーチ状態を経由するリーチ演出や、疑似変動表示動作を伴う疑似連演出など)の発生を指定する情報を含むことができる。詳述するに、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果情報に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえばリーチ演出の発生を指定するリーチ演出指定用の変動パターン(たとえば、リーチ変動パターン、疑似連(後述の疑似連演出)有りリーチ変動パターンなど)、リーチ演出の発生を指定しない非リーチ演出指定用の変動パターン(たとえば、通常変動パターン、疑似連有り通常変動パターンなど)などが含まれる。また各変動パターンに関する変動時間については、基本的には、リーチ変動パターンは、大当り当選期待感を煽るような演出を指定する変動パターンであるため、その演出時間との関係上、通常変動パターンよりも変動時間が長く定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)を決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い装飾図柄を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームを実行させる。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45やLEDなどの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3−1−2.普通図柄変動表示ゲーム)
またパチンコ遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39aが全て点灯状態、または「○」と「×」を表現するLEDのうち「○」側のLEDが点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常遊技状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。なお、下始動口35が閉鎖される条件はこれに限らず、下始動口の開放時間のみに基づくものであっても良いし、下始動口に入賞した遊技球数のみに基づくものであっても良い。
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中などに、上始動口34または下始動口35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されず、各図柄の最大保留記憶数が異なっていても良い(たとえば、特別図柄1側の最大保留記憶数を4個、特別図柄2側の最大保留記憶数を2個、普通図柄側の最大保留記憶数を6個など)。また特別図柄1および特別図柄2に関し、大当り抽選により得られる利益が相対的に高くなる図柄側の最大保留記憶数を多く設定しても良い。本実施形態では、特別図柄2に係る大当り抽選が、遊技者とり相対的に利益が高い大当り種別が得られることから、たとえば特別図柄1側の最大保留記憶数を2個、特別図柄2側の最大保留記憶数をそれよりも多い4個に設定しても良い。
(3−2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動(以下、「確変」と略す)機能」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当りの抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、399分の1)から高確率(たとえば、39.9分の1)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「高確率状態」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。したがって、遊技者が期待する遊技状態は、この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態であるといえる。なお、特別図柄確変機能の作動開始条件およびその作動終了条件の詳細については、追って説明する。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動させて、通常遊技状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄確変機能の作動開始条件は、後述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
また本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の平均時間(特別図柄の平均変動時間))を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、特別図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示されるまでの平均的な時間(普通図柄の平均変動時間))を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、10秒から1秒に短縮される)、通常遊技状態よりも単位時間当りの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。なお本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄の変動時間が作動保留球数の違いにより短縮される場合があるが、この場合は、普通図柄時短状態が発生しているわけではなく、他の制御処理によるものである。また本実施形態のパチンコ遊技機1では、普通図柄時短機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間およびその開放回数の少なくともいずれか一方)を延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。この開放延長状態は、いわゆる「電チューサポート状態」と称される。上記開放延長機能が作動中の遊技状態(開放延長状態)下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、開放延長機能の作動開始条件は、上述の特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっており、その作動終了条件も当該特別図柄時短機能の作動終了条件と同じ条件となっている。したがって、開放延長状態中は、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も作用するため、可動翼片47の作動率が著しく向上した遊技状態が発生する。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。ここで本実施形態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動開始条件は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件としているので、各機能が同じ契機にて動作することになる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態を「潜伏確変状態(潜確または潜確状態)」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常遊技状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常遊技状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常遊技状態と同じ遊技状態下に置かれる。
(3−2−1.高ベース遊技状態)
本実施形態では、上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動開始条件と同じ条件となっているので、これら3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高まる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」となる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか一方が作動する場合の遊技状態とは異なる。
他方、特別図柄に関する機能(特別図柄確変機能と特別図柄時短機能)を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には大当り抽選確率が通常遊技状態より高まる「高確率状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には、特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも早い「特別図柄時短状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる上記「高ベース遊技状態」とは区別される。
また本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、少なくとも開放延長機能が付与された電チューサポート状態を「高ベース遊技状態」として扱う。電チューサポート状態下では、普通変動入賞装置41の可動翼片47の作動率(開放時間や開放回数)が向上して下始動口35への入賞率が高まり、単位時間当りの入賞頻度が上昇することから、電チューサポート状態でない場合(低ベース遊技状態)と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になる。この電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常遊技状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。なお、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」と称する。
ここで本実施形態では、上述の通常遊技状態、潜確状態、時短状態、確変状態などの内部遊技状態に関連した多様な演出を実現するために、一の内部遊技状態をさらに分類して管理している。たとえば上記「通常遊技状態(低確・電サポ無し)」には、「通常状態」および「CHANCE ZONE状態(以下「CZ」と略す)」といった複数種類の通常遊技状態が含まれ、それぞれ異なる遊技状態として管理している。
これにより、大当り抽選確率や電サポの有無などの決定に関する各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況、すなわち「内部遊技状態」に着目した場合に、同じ「通常遊技状態」でありながらも、特別図柄の変動パターンに関しては、「通常状態」と「CZ(内部遊技状態が通常遊技状態のCZ:CZ(通常))」という各遊技状態(変動パターン選択モード(後述の変動パターン振分指定番号(Tcode):図32参照)に対応した1または複数種類の変動パターンのうちから目的の変動パターンを選択することができるようになっている。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「通常状態」と「CZ」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。またこれに起因して、演出制御部24側においては、「通常状態」と「CZ」という各遊技状態に対応した演出モードを設け、これら演出モード下における演出を発生させることができるようになっている(演出モードの詳細については後述する)。なお本実施形態では、「潜確状態」についても、「潜確状態」と「CZ(内部遊技状態が潜確状態のCZ:CZ(潜確))」という複数種類の遊技状態(変動パターン選択モード)を設け、それぞれ異なる遊技状態として管理している。
本実施形態の場合、「内部遊技状態」には通常遊技状態、潜確状態、時短状態、および確変状態が含まれ、特別図柄の変動パターンの決定に関する遊技状態(換言すれば、演出の決定に関する遊技状態)に着目した場合の「遊技状態(変動パターン選択モード)」の種類には、内部遊技状態の種類よりも多い、通常状態、CZ(通常)、潜確状態、CZ(潜確)、時短状態、および確変状態が含まれる。このように、大当り抽選確率や電サポの有無に着目した「内部遊技状態」と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した「遊技状態(変動パターン選択モード)」とを異なるものとして管理することにより、同一の内部遊技状態下であっても、変動パターン選択モードに対応した特別図柄の変動パターンを選択することができるので、図柄変動表示ゲームの変動時間(ゲーム消化時間)や演出に大きな変化をもたらすことができる。なお説明の便宜上、本明細書中では特に必要のない限り、上記内部遊技状態と、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に着目した場合の遊技状態(変動パターン選択モード)とを区別せずに、単に「遊技状態」と称する場合がある。
<4.当りについて>
次に、本実施形態に係るパチンコ遊技機の「当り」について説明する。
(4−1.当り種別)
本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、複数種類の当りを対象に大当り抽選(当り抽選)を行うようになっている。この当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当りA、B」、および「小当り(小当りA、小当りB)」などの複数種類の当りが含まれる。
これら当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当りA、B」は条件装置の作動契機となる「大当り」種別に属する当りであり、「小当り」は条件装置の作動契機とならない「非大当り」種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動がラウンド遊技を行うための役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合に作動するものをいう。上記「大当り」種別に属する当りや、「非大当り」種別に属する当り(小当り)は、いずれも大入賞口の開閉動作を伴う特別遊技状態(当り遊技)への移行契機(発生契機)となる当りである。したがって、「非大当り」種別に属する当りは、単なる「ハズレ」とは異なる。
上記‘大当り’種別に属する当りのうち、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、および「2R短開放潜確大当り」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、確変状態または潜確状態)に移行させる「確変大当り」に属する大当り種別となっている。また「12R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りA、B」は、その大当り遊技終了後の遊技状態を、少なくとも低確率状態を伴う遊技状態(本実施形態では、通常遊技状態または時短状態)に移行させる「非確変大当り」に属する大当り種別となっている。また小当りA〜Bは、当選時の遊技状態を継続させる当り種別となっている。なお「小当り」は‘非大当り’種別に属する当りではあるが、説明の便宜上、特に必要がない限り上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱うことにする。
また上記の当り種別のうち、特図1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選対象の当り種別には、「12R長開放確変大当り」、「12R長開放非確変大当り」、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「2R短開放非確変大当り」、および「小当りA〜B」が含まれる(図30参照)。また特図2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選対象の当り種別には、「16R長開放確変大当り」、「12R長開放確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りB」が含まれる(図30参照)。
なお本実施形態では、特図1側に係る当り種別は「下大入賞口40」を開放させる当り遊技を実行し、上記特図2側に係る当り種別の場合は「右大入賞口50」を開放させる当り遊技を実行するようになっているが本発明はこれに限られない。たとえば、特図1側に当り種別に「右大入賞口50」を開放させる当り遊技を実行する当り種別を含んでいても良いし、特図2側の当り種別に「下大入賞口40」を開放させる当り遊技を実行する当り種別を含んでいても良い。また、ラウンド数に応じて「右大入賞口50」または「下大入賞口40」のいずれかを開放する特殊な当り種別を含んでいても良い。たとえば、16R系の大当り種別の場合を例にとれば、1R目〜所定のラウンド数目(たとえば、8R目)までは下大入賞口40を開放し、その後のラウンド数目以降(たとえば、9R目〜16R目)は右大入賞口50を開放する、といった大当り遊技を実行させることができる。
(4−2.当り遊技)
次に、上記した各当りによる当り遊技について説明する。
(4−2−1.16R長開放確変大当りによる当り遊技)
16R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「16R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を16ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における右大入賞口50の最大開放時間が「長開放時間」の '29.8秒'に設定される。ここで「長開放時間」とは、その時間内に大入賞口への入賞数が上記最大入賞数(たとえば、9個)に達する可能性がある(最大入賞数に達する可能性が十分ある)時間幅として定めたものである。なお、最大開放時間が上記「長開放時間」に設定される開閉パターンを「長開放パターン」と称する。
ラウンド遊技が開始されて右大入賞口50が開放された後、上記の最大開放時間が経過した場合は右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、規定ラウンド数の16ラウンドに達していなければ、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。ただし、最大開放時間経過前であっても右大入賞口50に入賞した遊技球数(入賞球数)が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合は、右大入賞口50が閉鎖されて今回のラウンド遊技が終了し、所定時間(ラウンド間インターバル時間)が経過した後、次のラウンド遊技に移行される。つまり、大入賞口の最大開放時間が経過した場合か、または大入賞口に入賞した遊技球数が最大入賞数に達した場合かのいずれか一方の条件を満たすと、開放された大入賞口が閉鎖され、所定のインターバル時間を挟んで、次のラウンド遊技に移行されるようになっている(後述の「12R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、「2R短開放潜確大当り」、「12R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当りA、B」も同様)。
なお、ラウンド遊技間における上記「ラウンド間インターバル時間」は、「残存球排出時間」と、この残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでの「開放前インターバル時間」とからなる。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口の閉鎖後における大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間(たとえば、1980ms)を指し、その時間幅として、大入賞口が閉鎖される直前に入賞した遊技球が大入賞口内部に形成された入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52a)を通過するまでに要する十分な時間が確保されている。また「開放前インターバル時間」とは、上述の残存球排出時間が経過して大入賞口内の残存球が排出されたものとみなされた後、次のラウンド遊技における大入賞口が開放されるまでのインターバル区間を定めた時間幅(たとえば、20ms)を指す。この開放前インターバル時間中に下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aが遊技球を検出しても、その遊技球は不正行為による不正入賞とみなし、所定のエラー処理(不正入賞によるエラー処理)を行うようになっている。本実施形態では、残存球排出時間経過後の上記開放前インターバル時間を設けることで、より厳格に、不正入賞を監視することができるようになっている。
(4−2−2.12R長開放確変大当りによる当り遊技)
12R長開放確変大当りによる当り遊技(以下、「12R確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする以外は、上述した16R確変大当り遊技の内容と基本的には同じある。したがって、この12R確変大当り遊技は、上記16R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技となる(本実施形態では、4ラウンド分の賞球数差がある)。なお本実施形態の場合、既に説明したように、特図1側の12R確変大当り遊技の場合は「下大入賞口40」が開放される当り遊技が実行され、特図2側の12R確変大当り遊技の場合は「右大入賞口50」が開放される当り遊技が実行される。
(4−2−3.12R長開放非確変大当りによる当り遊技)
12R長開放非確変大当りによる当り遊技(以下、「12R非確変大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を12ラウンドとする大当りであるが、ラウンド数に応じて大当り遊技態様が異なる。具体的には、大当り遊技が実行される期間において、1ラウンド目から特定のラウンド数目までの前半区間(前半部)と、その次のラウンド数目以降から最終ラウンド目まで後半区間(後半部)とで当り遊技動作態様が異なる。
詳しくは、規定ラウンド数(最大ラウンド数)である12R(ラウンド)のうち、前半部の10R目までは大入賞口の最大開放時間は長開放時間の '29.8秒'に設定される。一方、後半部の11R目以降は大入賞口の最大開放時間は短開放時間の '0.1秒'に設定される。この「短開放時間」とは、上記長開放時間とは異なり、大入賞口への入賞自体を困難とする時間幅として定めたものである。なお特に必要のない限り、最大開放時間が上記「短開放時間」に設定される開閉パターンを「短開放パターン」と称する。ただし、最大開放時間が上記「長開放時間」よりも短時間に設定される開閉パターンも「短開放パターン」と称する場合がある。
本実施形態では、遊技球落下方向変換部材、または発射装置の性能(たとえば単位時間あたりの遊技球の連射速度性能)あるいは大入賞口の形成位置などにより、上記「短開放時間」内に大入賞口閉鎖条件の一つである「最大入賞数」に達することが困難または不可能となるようになっている。上記12R非確変大当り遊技では、最大開放時間が長開放時間に設定される前半部の10R目までの賞球(利益)を獲得できるにとどまる。
したがって上記「12R非確変大当り遊技」の場合、前半部(1R目〜10R目まで)については「12R確変大当り遊技」と外観上に現れる機械的な遊技動作(下大入賞口40の開閉動作パターン)が同一(実質的同一でも良い)の当り遊技動作態様となるが、後半部(11R目以降)は、それとは異なる当り遊技動作態様(短開放パターン)となっている。そして、12R非確変大当り遊技は、12R確変大当り遊技よりも相対的に低い利益が付与される大当り遊技とされる(本実施形態では、3ラウンド分の賞球数差が生じうる)。
(4−2−3.2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当りA、Bによる当り遊技)
2R短開放潜確大当りによる当り遊技(以下、「2R潜確大当り遊技」と称する)と、2R短開放非確変大当り(2R短開放非確変大当りA、B)による当り遊技(以下、「2R通常大当り遊技」と称する)は、規定ラウンド数を2ラウンドとする大当りであり、本実施形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口(下大入賞口40または右大入賞口50)の最大開放時間は「短開放時間」の0.1秒に設定される。したがって、2R潜確大当り遊技または2R短開放非確変大当りでは、大入賞口が短開放時間(0.1秒)しか開放されずに、そのラウンド遊技数も2ラウンド分と少ないことから、実質的には賞球が殆ど得られない大当り遊技となっている(正確には、大入賞口への入賞も発生する可能性はあるが、各ラウンド遊技の大入賞口の最大開放時間が短開放時間に設定される関係上、その可能性は低くなり、実質的に、賞球が殆ど得られない)。
また特図1側の当り種別の2R潜確大当り遊技中の当り中演出(当り遊技中に現出される演出)は、特図1側の当り種別の2R短開放非確変大当りA中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、この2R短開放潜確大当りによる当り中演出を含む当り遊技に係る動作は、2R短開放非確変大当りAに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、2R短開放非確変大当りAに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
以上のように本実施形態では、大当りの種類に応じて、大当り遊技中の賞球数、換言すれば、遊技者が獲得し得る遊技球数(獲得賞球数)が異なるように構成されている。なお、2R潜確大当り遊技や2R短開放非確変大当りでは、最大開放時間を上記短開放時間に設定すると説明したが本発明はこれに限られない。たとえば、大入賞口への入賞がある程度許容されるように、16R確変大当り遊技や12R確変大当り遊技などと同じ長開放時間を設定しても良いし、上記最大入賞数に達することは困難または不可能であるが、大入賞口への入賞球数をある程度確保できるような開放時間(長開放時間よりも短く、短開放時間よりも長い中間的な開放時間:たとえば、5秒)に設定しても良い。また、当りによる賞球数(特賞数:T1Y)を異ならせるために、大当りの種類に応じて、上記最大入賞数をそれぞれ異なる個数に設定しても良い。
(4−2−4.小当り(小当りA、B)による当り遊技)
小当りA、Bによる当り遊技(以下、「小当り遊技」と称する)では、それぞれ大入賞口の開放が2回行われ、1回あたりの大入賞口の最大開放時間が2R潜確大当り遊技の最大開放時間に相当する0.1秒に設定され、1回目の大入賞口の閉鎖後、2回目の大入賞口開放までのインターバル時間が2R潜確大当り遊技や2R通常大当り遊技のラウンド間インターバル時間と同じ時間幅が設定される。また小当り遊技における大入賞口50の閉鎖条件に関しては、大入賞口50の最大開閉動作時間(大入賞口50の開放を2回分実行するための開閉動作時間)が経過した場合か、または大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数(たとえば、9個)に達した場合かのいずれか一方の条件が満たされた場合となっている。本実施形態の場合、上記最大開閉動作時間内に、大入賞口50に入賞した遊技球数が最大入賞数に達することがないため、実際には、大入賞口50の最大開閉動作時間が経過した後、具体的には、大入賞口の一連の開閉動作が実行された後、小当り遊技が終了されることになる。つまり、この小当り遊技中において外見から捉えた大入賞口50の開閉動作が、上記2R潜確大当り遊技や2R通常大当り遊技のものと実質的に同一の動作態様で制御されるようになっている。なお、小当りA、Bは特図1側の大当り抽選対象であるので、小当り遊技の際には、下大入賞口40が開閉制御される。
この「小当り」は「条件装置」の作動契機とはならない当り種別であることから、「大当り」のようなラウンド遊技は実行されない。しかし2R潜確大当り遊技と実質的に同一の動作態様で大入賞口を開閉制御することにより、疑似的なラウンド遊技を実現させて、見た目上、あたかも2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りに当選したかの如く装うことを可能にしている。
また本実施形態の場合、小当りA、Bは特図1側の大当り抽選対象であるので、小当り遊技中の当り中演出は、2R潜確大当り遊技または2R通常大当り遊技A中の当り中演出と実質的同一(同一または酷似)の演出が現出されるようになっている。つまり、当り中演出を含む小当り遊技に係る動作は、2R短開放潜確大当りまたは2R短開放非確変大当りAに係る遊技動作と実質的に同一挙動を示し、遊技者側から見て、どちらの当り遊技が実行されているかの識別が困難または不可能とされる。これにより、小当りに当選した場合であっても、高確率状態への移行契機となる「2R短開放潜確大当り」への当選期待感を遊技者に与えることができるようになっている。また、高確率状態中であれば、2R短開放非確変大当りAに当選による低確率状態への転落の緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。
(4−3.当り遊技終了後の遊技状態)
次に図4を参照して、上記の各当り遊技後に移行される遊技状態について説明する。図4は、各当り遊技後に移行する遊技状態の説明に供する説明図である。図示の各遊技状態は、内部遊技状態ではなく、変動パターン選択モードに着目した遊技状態を示してある。
(4−3−1.16R、12R、5R確変大当り遊技終了後の遊技状態)
16R、12R、または5R確変大当り遊技終了後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「確変状態」に移行される。この「確変状態」となった場合には、次回大当りが確定するまで(「大当りが確定」するまでとは、特別図柄が大当りを示す表示態様で停止表示され、大当り遊技の発生が確定した場合や、大当りに当選した場合であっても良い。以下同様)確変状態を継続するようになっている。
なお、次回大当りが確定するまでではなく、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動表示動作回数(以下、「特別図柄の変動回数」と略す)が所定回数(特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数)):たとえば70回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで確変状態が継続され、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該確変状態が終了して、次ゲームから「通常状態(内部遊技状態は、通常遊技状態)」に移行されるように構成しても良い。この場合、所謂「回数切りの確変機」となる。
(4−3−2.5R、12R非確変大当り遊技終了後の遊技状態)
5R、12R非確変大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態にかかわらず「時短状態」に移行される。この「時短状態」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば、60回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまで当該時短状態が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該時短状態が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている。
(4−3−3.2R潜確大当り遊技終了後の遊技状態)
2R潜確大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(潜確)」に、潜確状態であった場合は「潜確状態」に、時短状態または確変状態であった場合には「確変状態」に移行されるようになっている。なお、当選時の遊技状態が潜確状態であった場合、潜確状態ではなく、確変状態に移行させても良い。
本実施形態では、当選時の遊技状態が「CZ」の場合、内部遊技状態に応じて次のような移行制御がなされる。当選時における遊技状態が、内部遊技状態が通常遊技状態である「CZ(通常)」であった場合には、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」に移行され、内部遊技状態が潜確状態の「CZ(潜確)」であった場合には「潜確状態」に移行される。なお、内部遊技状態が潜確状態下の「CZ(潜確)」は、内部遊技状態が通常遊技状態下の「CZ(通常)」と同じ遊技状態(変動パターン選択モード)として管理されるが、その実体は、内部遊技状態が '潜確状態'の「CZ」である。
2R潜確大当り遊技終了後の「CZ(潜確)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば4回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りするまで当該「CZ(潜確)」が継続し、その所定回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ(潜確)」が終了して、次ゲームから「潜確状態」に移行され、潜確状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている。なお図中では、「CZ(4回:潜確)」と表記している。なお詳細は後述するが、本実施形態では、2R潜確大当り遊技終了後、潜確状態への移行期待感を与えるため、後述の小当り遊技後による遊技状態と関連して、2R短開放潜確大当りによる「CZ」の継続回数を、2R短開放非確変大当りまたは小当りによるものよりも多い継続回数に設定してある。
(4−3−4.2R通常大当り遊技終了後の遊技状態)
2R通常大当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」であった場合には「CZ(通常)」に、潜確状態、時短状態、または確変状態であった場合には「通常状態」に移行されるようになっている。また当選時の遊技状態が「CZ」であった場合には「CZ(通常)」に移行される。
また2R通常大当り遊技終了後の「CZ(通常)」となった場合には、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が所定回数(たとえば3回)終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ(通常)」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了して、次ゲームから「通常状態」に移行され、当該通常状態である旨を演出上から、遊技者に明らかにするようになっている。ただし、2R短開放非確変大当りにより設定されるCZの継続回数は、2R短開放確変大当りにより設定される回数(4回)よりも少ない回数(3回)が設定されるようになっている。
本実施形態では、2R潜確大当り遊技と2R通常大当り遊技とを同一または実質的同一の当り遊技動作態様とし、これら当り遊技終了後の遊技状態は、内部遊技状態が異なるものの、変動パターンの決定(演出の決定)に関しては同じ遊技状態(変動パターン選択モード)として管理される「CZ」に移行されうるようになっている。したがって、当り遊技中だけでなく、その当り遊技後の所定の遊技期間中においては(本実施形態の場合は、少なくとも3回)、どちらの当りに当選したのかを遊技者側に悟られないようにしている。これにより、高確率状態への期待感・緊張感を与えることができるようになっている。
(4−4.小当り遊技終了後の遊技状態)
小当り遊技後に関しては、その小当り当選時の内部遊技状態がそのまま継続され、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。したがって、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。この点、内部遊技状態の移行制御が行われうる「大当り」とは性質を異にする。
ただし本実施形態では、小当り当選に起因した'内部遊技状態 'の移行制御は行わない一方、特別図柄の変動パターンの決定(演出の決定)に関する'遊技状態(変動パターン選択モード(変動パターン振分指定番号(Tcode))) 'の移行制御は行うようになっている。このような移行形態を利用し、たとえば、小当り遊技後の遊技状態と2R潜確大当り遊技後の遊技状態とを同じ遊技状態に移行させた場合には、双方で同じ演出をなす演出モードに滞在させ、小当り遊技後であっても、2R潜確大当り遊技後と同じ演出モード下による演出を発生させることが可能になる。これにより、演出上からは、2R短開放潜確大当りに当選して「潜確状態」に移行したかも知れない、という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができるようになっている。以下、図4を参照しながら、小当りA、Bに当選した場合における各小当り遊技終了後の遊技状態について詳細に説明する。
ここで上記「変動パターン振分指定番号(Tcode)」とは、'変動パターン選択モード 'として機能し、現在の遊技状態を識別するデータである。「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、主に特別図柄の変動パターンを選択する際に利用され(後述の図12のステップS412(特別図柄変動パターン作成処理)参照)、 '変動パターン選択モード'として働く。図32の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が「00H」の場合は「通常(通常状態)」を示し、「01H」の場合は「確変状態(確変)」を示し、「02H」の場合は「潜確状態」を示し、「03H」の場合は「時短状態(時短)」を示し、「06H」はCZを示す。この変動パターン振分指定番号(Tcode)は、遊技状態に変化があった場合に変更されるようになっている。したがって、変動パターン振分指定番号(Tcode)は上記のような遊技状態を識別する点で、後述の遊技状態判定番号(YJ)のように内部遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(4−4−1.小当りAに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りAによる小当り遊技後は、図示のように、その当り当選時の遊技状態に応じて、移行先の遊技状態が異なる。具体的には、当選時の遊技状態が「通常状態」か、または「CZ」であった場合には「CZ」に移行され、他の遊技状態(潜確状態、時短状態、または確変状態)の場合には遊技状態の移行はなく、その当選時の遊技状態が継続されるようになっている。
上記小当りAに関し、当選時の遊技状態が「通常状態」である場合に「CZ」に移行されるときは、そのCZが継続される回数(以下、「CZ継続回数」と称する)として、所定回数(たとえば、2回)が設定される。小当りA当選により「CZ」に移行された場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数が設定されたCZ継続回数が終了するまでの間か、またはその回数内で大当りが確定するまで当該「CZ」が継続し、その回数内で大当りが確定することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには当該「CZ」が終了する。なお、この「CZ」が終了したときの遊技状態が「CZ(潜確)」であった場合には、次ゲームから「潜確状態」に移行され、「CZ(通常)」であった場合には、次ゲームから「通常状態」に移行されるようになっている(後述の小当りBについても同様)。
(4−4−2.小当りBに当選した場合の小当り遊技終了後の遊技状態)
小当りBによる小当り遊技後は、上述の小当りAの場合と同様の移行制御が行われる(図4の小当りBの欄参照)。ただし、小当りBにより設定されるCZの継続回数は、小当りA(2回)よりも多い回数(たとえば3回)が設定される。
上記「CZ」は、2R潜確大当り遊技終了後にも移行しうる遊技状態である。このため、2R短開放潜確大当り当選、または小当りAまたは小当りBの当選に起因して「CZ」に移行された場合、「CZ」に対応した演出をなす演出モード(CZ演出モード)に滞在することになり、演出上において、内部遊技状態が「潜確状態」であるか否か、つまり大当り当選確率状態が高確率状態であるか低確率状態であるか否かが秘匿される。本実施形態では、通常遊技状態と潜確状態とで内部的な機能である特別図柄確変機能の作動状態に違いはあるものの、外観上に現れる機械的な遊技動作状態が同じ状態となることに着目し(双方ともに '電サポ無し状態')、遊技者側に演出上からもどのような遊技状態であるかを察知されないようにすることで、高確率状態の期待感を遊技者に与えることができるようになっている。
また本実施形態では、上記CZ継続回数に関し、「2R短開放潜確大当り」に当選した場合にはCZ継続回数 '4回'が設定され、これにより変動回数4回限定のCZ(CZ4回)に移行されることになる。そして、このCZが終了した後は(ただし、CZ中、大当りまたは小当りに当選することなくCZが4回終了した場合)、遊技状態がCZから潜確状態に移行される。つまり、演出モードに関しては、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とするCZ演出モード(秘匿演出モード)から、遊技状態を確定的に報知する演出モードに移行される。したがって、「CZ」が4回継続した場合には「潜伏状態」が明白になる。これに関連して、大当り抽選確率状態の変動が行われない小当りAまたは小当りBのいずれかに当選した場合、その当選した小当りに応じて、2R短開放潜確大当りによる4回よりも少ないCZ継続回数(2回〜3回)が設定されるようになっている。これにより、CZ中のゲームが消化される度に、「潜伏状態」が確定的となる4回に達するかもしれないという緊張感を遊技者に与えることができるようになっている。これにより、CZ中のゲームが消化される度に、大当り抽選確率状態が高確率状態である期待感が増し、遊技者に高揚感を与えることができるようになっている。
(4−5.CZ中の当り当選について)
なお本実施形態では、「CZ」中に2R短開放非確変潜確大当り、または小当りA、Bのいずれかに当選した場合、新たなCZ継続回数として、その当選した当りに応じたCZ継続回数が再設定されるようになっている。これにより、2R短開放潜確大当りに当選した場合のCZ継続回数4回以上の状況下を作り出すことができる。たとえば、小当りBに当選してCZ(CZ:3回)に移行し、そのCZ中3回目に小当りBに再度当選した場合、小当りB当選によりCZ継続回数3回が再設定され、CZ期間が「CZ期間3回+再設定された3回」の最大6回まで延長される。つまりCZが4回継続されたとしても必ずしも潜確状態下であることが明白とはならず、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。
勿論、「CZ」が4回継続した場合には潜確状態下であることが明白となるように構成しても良い。たとえば、通常状態中に小当りに当選に起因して「CZ(通常)」に移行した後、当該「CZ(通常)」中に滞在している限りは、2R短開放非確変潜確大当り、小当りA、および小当りBのいずれかに再当選したとしても、当該「CZ(通常)」の継続回数が最大3回を超えないよう構成することができる。また「CZ(潜確)」中に、2R短開放非確変潜確大当り、小当りA、および小当りBのいずれかに当選した場合、その当り種別に対応したCZ継続回数を新たに設定しない構成とすることができる。これにより、「CZ」が4回継続すれば潜確状態下であることが明白となる、といった遊技性を作り出すことができる。
なおCZ継続回数4回未満で、潜確状態が明らかになる状況下を作り出すこともできる。たとえば、CZ中に2R短開放潜確大当りに当選し、「CZ(潜確)」移行後の1回目に小当りAに当選した場合、小当りA当選によるCZ継続回数 '2回'が再設定されると、CZ期間が「CZ(潜確)」移行後1回+小当りA当選により再設定された2回」となり、本来の '4回'よりも少ない'3回 'に短縮される。そして、このCZ期間が終了した後は、遊技状態がCZから潜確状態に移行され、後述の演出モードに関しては、潜確状態を確定的に報知する「潜確演出モード」に移行させることができる。これにより、CZが4回継続しなくとも潜確状態が明白となりうるため、意外性に富んだ遊技性を作り出すことができる。なお既に説明したように、2R短開放潜確大当りに当選した場合において、その当選時の遊技状態が「CZ(潜確)」である場合には、その当り遊技後は潜確状態に移行されるので、演出モードに関しては、秘匿演出モードが終了され、潜確演出モードに格上げ移行されることになる。この場合もCZ継続回数4回未満で潜確状態が明らかになりうる。
本実施形態の「CZ」は、CZ継続回数を4回(最大作動保留球数分)としている。このように「CZ」を短期間で終了させる理由は、高確率状態の期待感を煽るといった演出上の関係から、長期間、遊技状態を秘匿しておくとのは遊技者にとって煩わしいからである。そこで本実施形態では、CZ継続回数を最大作動保留球数以下に止め、「短期決着型の演出モード(短期間で遊技状態が判明する演出モード)」となるようにしている。
(4−6.CZ中の変動パターンについて)
なお本実施形態において、「通常状態」や「時短状態」などは、作動保留球数に応じて異なる変動時間を定めた変動パターンが選択されうるようになっている。しかし、CZ中に選択されうるハズレ変動パターンは、作動保留球数にかかわらず、単一のハズレ変動パターン(CZ用ハズレ変動)が選択されるようになっている。つまり、CZ中に選択されるハズレ変動パターンが作動保留球数によらず、同一の変動時間の変動パターンが選択される。これにより、CZ中において「ハズレ」である場合は、図柄変動時間が同じ時間幅、つまり同じ演出時間幅が確保されるようになっている。なお、当りの場合は、当りを報知する関係上、ハズレ変動パターンよりも長時間の変動時間を持つ当り変動パターン(CZ用当り変動)が選択されるようになっている。上述のように、CZ中に選択されるハズレ変動パターンを、作動保留球数によらず同一の変動時間とする理由は次の通りである。
一般的に電サポ無し状態であっても、作動保留球数は比較的短時間で変化しうるものであり(一般的な弾球遊技機では、1回の図柄変動表示ゲーム中に、作動保留球数が1〜3個程度増加するものが多い)、これを利用して作動保留球数に応じた変動パターンを選択させるようにすれば、毎回の図柄変動表示ゲームごとに、演出時間(図柄変動表示ゲームの実行時間)に変化をもたらすことができ、多彩な演出を発生させることが可能である。このような遊技状態として、「通常状態」や「時短状態」などがある。
しかし、作動保留球数に応じて図柄変動表示ゲームの演出時間が異なるようにしてしまうと、今回の図柄変動表示ゲームの演出時間と次回の図柄変動表示ゲームの演出時間とが異なる可能性が高く、短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して複数回の図柄変動表示ゲームに跨って、密接な関連性を持つ演出(たとえば、ストーリー仕立ての物語風の演出)を連続的に展開させていくのが困難になる。たとえば、CZ演出モード下において、関連性を有した複数話のストーリー演出を含む物語風の演出を現出させる場合、すべてのストーリー演出の演出時間が同一であれば、これを連続的に展開させていくのは容易であるが(演出制御部24側の演出の選択処理が容易になり演出制御負担が軽減される)、作動保留球数に応じて演出時間が変化してしまうと、ストーリーを展開する関係上、各ストーリー演出それぞれに対し、作動保留球数0〜3個に対応した多くの演出を設けなくてならず、さらに演出時間が異なる演出同士、関連性を有した表現とする必要があり、演出パターンの種類が増加し、演出制御部24側における演出選択処理に係る演出制御負担が増大してしまう。
また上記のような物語風の演出を現出させる場合、先読み予告演出を利用することも考えられるが、先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、現存する作動保留記憶数がその都度異なり、上述と同じく短期間で図柄変動表示ゲームの演出時間が頻繁に変化して密接な関連性を持つ演出を連続的に展開させていくのが困難になると考えられる。また先読み予告演出は現存する作動保留球数を対象とする連続予告演出であるので、先読み予告演出の開始タイミングによっては、先読み予告演出の実行回数が毎回異なる可能性が高い。このため、本実施形態のように、CZ演出モードの継続回数が長く続くほど潜確状態の期待感を高まるようにしたり、CZ演出モードが所定回数継続した場合に潜確演出モードに移行させて潜確状態下である旨を確定的に報知したりする、といったことはできない。特にCZ演出モードは、大当り抽選確率を秘匿しうる演出をなす演出モードとして働くため、このような演出モードの下で、高確率状態の期待感を煽るような物語風の演出を展開可能とすることは、遊技の面白みを向上させる上で極めて有効である。なお上記の「物語風の演出」は、たとえば、敵と対峙しながら戦いを繰り広げるような「戦闘(バトル)演出」や、昔話しや童話の内容を展開していくような「筋書き(ストーリー)演出」、図柄変動表示ゲームの実行ごとに遊技者に所定の指令を与える遊技者参加型の「指令(ミッション)演出」など、特定の期間中(CZ中)に展開されうる演出同士に何らかの関係性を有した表現がなされるものであれば特に限定されない。
そこで本実施形態では、演出時間の長短が発生してしまうことを極力抑えるべく、作動保留球数に関係なく、変動時間が同一の変動パターンが選択されるような特定の遊技状態(CZ)を設け、その特定の遊技状態が継続しうる変動回数を当選種別(2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当り、小当りA、小当りB)に応じて固定的なものとし、上記物語風演出の展開を容易なものとして、演出制御負担を軽減することができるようにしている。
また本実施形態では、既に説明したように、CZ継続回数に応じて潜確状態移行への期待感を高めることができるようになっている。そして、その上限回数を最大保留記憶数の同じ値の4回に定めてある。その理由は、次の通りである。
第1に、CZ演出モードのような秘匿演出モードを長期間(たとえば、数十ゲーム間)継続させるようにした場合、遊技者は潜確状態(高確率状態)でないこと確信できるまで(たとえば、秘匿演出モードが終了し、通常状態が確定的となる通常演出モードに移行するなど)、ゲーム数を長期間消化せざるをえない状況に置かれてしまい、遊技者にとり不利なゲーム展開となる。特に近年では、秘匿演出モードが長期間継続するような遊技機を敬遠する遊技者も多く、このため、秘匿演出モードの継続回数を比較的短いゲーム数に定めて、上記「短期決着型の演出モード」とすることが好ましいと考えられる。
第2に、CZ演出モードのような秘匿演出モードの継続回数を定めるに際し、秘匿演出モード下でなす演出を、後述の「先読み予告演出」のような連続予告演出とすることが、遊技の面白みを向上させる上で効果的である。つまり秘匿演出モード下でなす演出が、あたかも先読み予告演出が如く装わせることが好ましいといえる。この点について説明すれば、次の通りである。
先読み予告演出は、現存する作動保留球を対象とする連続予告演出であるので、その実行回数は、最大保留記憶数(4回)までが限界である。この点に着目し、遊技者に対して、CZ演出モード下でなす演出が、恰も先読み予告演出が如く装わせるため、CZ継続回数を最大保留記憶数の4回の範囲内に定めている。これは、多くの遊技者が作動保留球数を報知する保留表示を注視しながら遊技に興じている訳ではなく、通常、保留表示よりも大きく見やすい位置に表示される予告演出を注視しながら遊技に興じている点、また上述したように、作動保留球数が1回の図柄変動表示ゲーム中の期間であっても1個〜3個程度増加し、作動保留球数が短期間で変化しうる(たとえば、CZ突入時に作動保留球が1個であっても次ゲーム開始時点で作動保留球数が2〜4個に増加し可能性が高い)点などの理由からである。本実施形態では、CZ継続回数を最大保留記憶数の範囲内にとどめることで、CZ演出モード下でなす演出を、先読み予告演出(連続予告演出)の如く装わせ、疑似的な連続予告演出とすることができる。
<5.演出について>
(5−1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、遊技状態に関連する演出を現出させるための複数種類の演出モードが設けられており、その演出モード間を行き来可能に構成されている。上記演出モードには、具体的には、遊技状態が「通常遊技状態」の場合には「通常演出モード」、「CZ」の場合には「CZ演出モード」、「潜確状態」の場合には「潜確演出モード」、「時短状態」の場合には「時短演出モード」といった、「確変状態」の場合には「確変演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「CZ」である、「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」とは、同一の遊技状態として管理され、「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」中の場合は、演出モードが同じ「CZ(CHANCE ZONE)演出モード」下に置かれる。これにより、演出上からは、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)が秘匿状態とされるようになっている。上記「CZ演出モード」は、大当り抽選確率状態を演出上から秘匿状態とする「秘匿演出モード」としての役割を果たす。斯様な「秘匿演出モード」は、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす演出モードとして働く。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態(内部遊技状態を含む)を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする「特定の演出制御コマンド(本実施形態では、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、遊技状態指定コマンド、時短終了コマンド、当り中に送信される所定のコマンド(「大当り開始インターバルコマンド(大当り開始コマンド)」や「大当り終了インターバルコマンド(大当り終了コマンド)」)などの、主制御部側で管理される遊技状態に関する情報を含む演出制御コマンドが該当する)」に基づいて、主制御部20側で管理される遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有する。具体的には、上記の特定の演出制御コマンドにより、主制御部20側で管理される内部遊技状態および変動パターン選択モードを把握し、主制御部20側と整合性を保つ形で、これを管理可能に構成されている。
(5−1−1.各演出モード下の演出について)
各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、たとえば、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示が、それぞれ異なる背景画像演出が現出されるようになっている。また背景画像演出を各演出モードに応じて変化させるものに限らず、各演出モードに対応した異なる絵柄の装飾図柄を利用したり、音演出や光演出などを変化させたりすることにより各演出モードを示唆することもできる。
なお本実施形態の「CZ(通常)」と「CZ(潜確)」に対応する「CZ演出モード」は、内部遊技状態が潜確状態(高確率状態)であるか通常遊技状態(低確率状態)であるかにかかわらず、同じ演出モードであると説明したが、本発明はこれに限られない。内部遊技状態に応じた、潜確状態(高確率状態)下における「本物のCZ演出モード(第1の秘匿演出モード)」と、通常遊技状態(低確率状態)下における「ガセのCZ演出モード(第2の秘匿演出モード)」とを設け、これら演出モードに移行制御可能に構成しても良い。この場合、「本物のCZ演出モード」と「ガセのCZ演出モード」とで、特定の演出(たとえば、特定のキャラクタ画像)の出現率を異ならせることにより、遊技者に対して、いずれの演出モードに滞在しているかの推測要素を与えることができる。
(5−2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、上述した演出モード下において、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(たとえば当落抽選結果、リーチ演出の有無、および特別図柄の変動時間など)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な予告演出を、上述した演出モード下で現出制御する機能部(予告演出現出制御手段)を備える。本実施形態の予告演出現出制御手段は、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドに含まれる情報(たとえば当落抽選結果情報、リーチ演出の有無、特別停止図柄種別情報(当り種別に関する情報)、特別図柄の変動時間情報など)に基づき、様々な予告演出を現出制御可能に構成されている。
斯様な予告演出態様には、「リーチ演出(リーチ変動パターンに係る演出態様)」に代表される予告演出の他、これらの演出に付随して、または単独的に発生するものが含まれる。これらの演出態様は、基本的には、複数の予告演出が重複的に発生してゲーム内容を盛り上げるようになっており、当り種別に当選したか否かの信頼度または期待度(以下、「大当り当選期待度」と称する)を示唆(予告)し、遊技者の当り種別への当選期待感(当り当選期待感)を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものは、「リーチ演出」の他、たとえば「疑似連演出」や「先読み予告演出」などがある。
(5−2−1.リーチ演出)
上記「リーチ演出」とは、所謂「リーチ状態」を伴う演出態様(リーチ状態を伴う変動表示態様)をいい、具体的には、リーチ状態を経由して最終結果を導出表示するような演出態様をいう。このリーチ演出は、大当り当選期待度(大当りである可能性がある旨)を予告(示唆)するものであり、大当り当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、特定のリーチ状態を伴うリーチ演出が出現した場合、通常のリーチ状態( 'ノーマルリーチ(Nリーチ)')を伴うリーチ演出が出現した場合に比べて、大当り当選期待度が相対的に高まるものがある。このような特定のリーチ状態を伴うリーチ演出を 'スーパーリーチ(SPリーチ)'という。このSPリーチの多くは、大当り期待感を煽るべく、Nリーチによりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。またSPリーチには、大当り当選期待度が異なる複数種類のSPリーチを含むことができる。たとえば、「弱SPリーチ」および弱SPリーチ種別よりも当選期待度が高まる「強SPリー別」などである。また、弱SPリーチ種別や強SPリーチ種別には、たとえば、弱SPリーチ1〜5(番号が大きいほど期待度が高い)や、強SPリーチ1〜3などのように複数種類の弱SPリーチ、複数種類の強SPリーチを含んでも良い。
(5−2−2.疑似連演出)
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(疑似変動)を伴う演出態様をいい、「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態(見た目上、停止表示したかのように装う変動停止動作)とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回(本実施形態では、最大4回)繰り返すことにより、見た目上、一セットとする変動表示動作が複数回実行されているかのように表現する変動表示態様をいう。この点、複数回の変動表示動作に跨って展開されるような後述の「先読み予告演出(連続予告演出)」とは異なる。
この疑似変動を行う場合には、たとえば、仮リーチ状態(仮停止状態前にリーチ状態の可能性がある旨を示唆したり、リーチ図柄が停止するかの如く装ったりする変動表示状態)を形成しながら、一旦ハズレとなる図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を行ったり、あるいは、通常の装飾図柄に替えて特殊な装飾図柄(疑似連の発生可能性がある旨を示唆する特殊な装飾図柄(疑似連発動チャンス図柄))を含ませた図柄の組合せで仮停止状態としてから再変動表示動作を行ったりすることができる。斯様な「疑似連」は、主として、疑似連回数が多くなるほど大当り当選期待度が高まるようにその発生率(疑似連回数に応じた疑似連の発生確率)が定められており、特に、リーチ演出の発生可能性を示唆する(リーチ演出を期待させる)予告演出として利用され(本実施形態の場合、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生されうる)、疑似連回数が多くなるほど当り当選期待度が高い、つまり、当り当選期待度が相対的に高いSPリーチ種別の発生が期待できるようになっている。なお上記疑似変動が終了した後に展開される変動表示動作を「本変動」とも称し、たとえばリーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ状態が形成されてリーチ演出が現出され、最終的なゲーム結果が導出表示される。
(5−2−3.先読み予告演出)
また演出には、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、大当りの当選可能性がある旨(大当り当選期待度)を事前に報知する先読み予告演出がある。この先読み予告演出については、まず主制御部20において、作動保留球が発生した場合(始動条件が成立した場合)、当該作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)に供される前に、当該作動保留球に係る大当り抽選結果を事前に判定する「先読み当り判定」が行われる(図10のステップS319〜S320、図11のS339〜S340(乱数判定処理〜特別停止図柄データ作成処理)、図12のステップS409(特別電動役物作動判定用乱数判定処理)〜S410(特別停止図柄作成処理)参照)。
さらに上記「先読み当り判定」結果を利用して、将来、その作動保留球が図柄変動表示ゲームの実行に供された際の特別図柄の変動パターンを事前に判定する「先読み変動パターン判定」が行われる(図10のS323、図11のS343(始動口入賞時乱数判定処理)参照)。この事前に判定される特別図柄の変動パターンを「先読み変動パターン」と称する。この先読み変動パターン判定では、たとえば、どのようなリーチ状態を経由する「リーチ変動パターン」となるのか(たとえば、どのようなリーチ演出(たとえば、Nリーチ、弱SPリーチ、強SPリーチ)などを現出するリーチ変動パターンであるのか)、それともリーチ状態を経由しない「通常変動パターン」となるのかについて事前に判定される。なお上記先読み変動パターンは、少なくとも当落抽選結果を利用して判定されるため、演出制御部24側に送信される先読み変動パターン情報には、リーチの有無や疑似連の有無・その回数などの情報だけでなく、変動開始時の変動パターンが、大当り(小当りを含む)当選時の「当り変動パターン」であるか、ハズレ当選時の「ハズレ変動パターン」であるかの情報も含まれる。この先読み変動パターンの情報が主制御部20から演出制御部24に送信されると、演出制御部24において先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。このように、先読み当り判定を経て先読み変動パターン判定する一連の処理を「先読み判定」と称する。
詳しくは、上記先読み判定結果の情報(少なくとも先読み当り判定結果情報(当落結果を先読み判定した情報)を含む「保留加算コマンド」が主制御部20から演出制御部24に送信され、当該保留加算コマンドを演出制御部24が受信すると、そのコマンドに含まれる先読み判定結果の内容に基づく先読み予告演出に関する演出制御処理が行われる。この保留加算コマンドは2バイトで構成され、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト側のデータと、先読み変動パターンの内容を特定可能とする下位バイト側データとから構成される(図5参照)。したがって、保留加算コマンドには、作動保留球情報と、先読み変動パターン情報とが含まれる。ただし演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合に必ずしも先読み予告演出を現出させるわけではなく、先読み予告演出の実行可否を抽選により決定し、先読み予告演出実行可と決定した場合には、作動保留球の発生したタイミングで、または先に行われる図柄変動表示ゲームの開始と同時に、あるいはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とした先読み予告演出を現出させるようになっている。
なお作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が実際に変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、上記変動開始時の変動パターンが「SPリーチ1」を指定する変動パターンであるケースを代表的に説明する。このケースでは、先読み変動パターンにより指定される内容が、「強SPリーチ1」というリーチ演出の種類そのものではなく、その骨子である「強SPリーチ」種別である旨、具体的には、「強SPリーチ」という同系統の変動パターン(強SPリーチ1〜3)を纏めて分類した「強SPリーチ種別」である旨を指定することができる。このケースに係る先読み予告演出では、先読みされた「強SPリーチ種別」に関連した演出態様が現出されることになる。したがって先読み予告演出により報知される主な情報は、将来的に実行される図柄変動表示ゲームに関し、大当り当選期待度が高い煽り演出(本ケースでは、強SPリーチ種別)が発生する可能性が高いか低いかといった情報、換言すれば、大当りの当選可能性が高いか低いかといった情報であり、このような情報を作動保留球が消化される前段階において事前に遊技者に報知することにより、今回の図柄変動表示ゲームだけでなく、将来的に実行される図柄変動表示ゲームにも遊技者の関心を向けさせて、遊技の面白みを向上させている。
(先読み予告演出態様:図5)
次に図5を参照しながら、先読み予告演出態様について説明する。図5は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における先読み予告演出の説明に供する説明図である。
図5を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1では、液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特別図柄1側の作動保留球数を表示する保留表示領域76と特別図柄2側の作動保留球数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関しては、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77には最大4個の保留表示が可能となっている。具体的には、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1〜d1(特別図柄1側に対応)、a2〜d2(特別図柄2側に対応)が設けられている。これらの保留表示部a1〜d1、a2〜d2は、通常は、先読み判定する際に存在する作動保留球数と同数、たとえば3個だけ、その表示態様が作動状態(点灯状態)に切り替える。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働く。しかし、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1〜d1、a2〜d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段として働く。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる上記保留加算コマンドを受けた場合、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行う。この先読み予告抽選に当選に係る作動保留球が先読み予告演出の対象となった作動保留球となる(たとえば、図5のハッチングを施した保留表示部b2が該当する)。なお本実施形態では、先読み予告抽選実行条件として、現存する作動保留球に係る先読み変動パターンの中に、リーチ変動パターン種別がないことを条件とする。これは、連続的に発生している先読み予告演出の途中に他のリーチ演出が介在して、本来の先読み予告演出が寸断され、その演出効果が希薄になってしまうのを回避するためである。上記先読み予告抽選による当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっており、先読み予告演出が発生するか否かにより、大当りへの当選期待度が示される。
先読み予告抽選に当選した場合には、上記保留表示部a1〜d1、a2〜d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示の青色から、予告表示の黄色、緑色、赤色、または虹色などの特殊な保留色に変化するといった「保留表示変化系」の先読み予告演出が行われる。ここで、保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、虹色の表示は、この色の順に、大当り当選期待度が高いことを意味しており、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコンとなっている。この保留色は、先読み変動パターンの内容に基づいて抽選により決定される。具体的には、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また大当り当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が、大当り当選期待度の高い保留色が高確率で選択されるようになっている。なお「保留表示変化系」の先読み予告演出態様としては、上述のように保留色を変化させることに限らず、特殊なキャラクタを模したアイコンなどに変化するようにしても良い。このような「保留表示変化系」の先読み予告演出は、作動保留球発生時に現出されることから「入賞時変化系」の先読み予告演出と称される。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行され(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御が行われるが、上記した通常と異なる保留表示態様は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。この点、上記の保留表示変化系(入賞時変化系)の先読み予告演出は、複数回の図柄変動表示ゲーム(複数回の図柄変動表示動作)に跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。この連続予告演出は複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行される点で、疑似連のように、1回の図柄変動動作中に行われる予告演出とは異なる。
また本実施形態では、上述の「入賞時変化系」の先読み予告演出とは異なり、図柄変動表示ゲームが開始したことを契機としてなされる「変動開始時変化系」の先読み予告演出を現出可能となっている。この「変動開始時変化系」の先読み予告演出とは、たとえば、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像を表示させ、これを複数回の図柄変動表示ゲームに跨って実行し連続表示させるといった「画像表示変化系」の先読み予告演出である。すなわち、「変動開始時変化系」の先読み予告演出は、一の図柄変動表示ゲーム中に始動口に遊技球が入賞して始動条件が成立した場合、その始動条件成立に係る図柄変動表示ゲームを実行する権利を一旦保留記憶するとともに、先読み予告演出を行うか否かに関し先読み予告抽選を行い、この先読み予告抽選に当選した場合には、その時点で現存する全てまたは一部の保留記憶について、それらの図柄変動表示ゲームを何らかの関連性を有した表現にする。たとえば、記憶順にみて最も古い作動保留球から先読み予告対象の作動保留球までの現存する作動保留球に係る全てまたは一部の図柄変動表示ゲームにおいて、液晶表示装置36の画面に先読み専用の予告画像(図示の稲妻を模した予告画像)を表示させる。この点、「変動開始時変化系」の先読み予告演出も「入賞時変化系」の先読み予告演出と同じく、複数回の特別図柄変動表示ゲームに跨って専用の予告演出を現出させるといった「連続予告演出」の一態様であるといえる。なお、各図柄変動表示ゲームにおいて、先読み専用の異なる予告画像であっても良い。
なお、先読み予告演出の実行形態を次のような形態とすることができる。たとえば(イ)入賞時変化系(保留表示変化系)だけを実行する、(ロ)変動開始時変化系(画像表示変化系)だけを実行する、(ハ)入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を実行する、といった種々の実行形態とすることができる。本実施形態では、この(イ)〜(ハ)の形態を実行可能に構成されている。具体的には、先読み予告抽選により、入賞時変化系の先読み予告演出と変動開始時変化系の先読み予告演出とが、それぞれ独立して抽選され、上記(イ)〜(ハ)のいずれの先読み予告演出を実行するか、それとも先読み予告演出自体を実行しないかが決定されるようになっている。つまり、入賞時変化系と変動開始時変化系との少なくとも一方の先読み予告演出が現出可能(入賞時変化系と変動開始時変化系とがそれぞれ独立して現出可能)に構成されている。
したがって、「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らず、またその逆に、「変動開始時変化系」の先読み予告演出が出現した場合であっても、必ずしも「入賞時変化系」の先読み予告演出が出現するとは限らない。また、入賞時変化系(保留表示変化系)」の先読み予告演出と「変動開始時変化系(画像表示変化系)」の先読み予告演出とが同時に発生することもある。なお、上記(イ)〜(ハ)のいずれの実行形態をも現出可能に構成しなくても良く、先読み予告演出時は、入賞時変化系(保留表示変化系)のみを実行したり、(画像表示変化系)のみを実行したり、入賞時変化系と変動開始時変化系の双方を必ず実行する、といった入賞時変化系と変動開始時変化系のそれぞれの先読み予告演出が非独立的に現出されるような構成であっても良く、どのような実行形態とするかは、適宜決定することができる。なお、上記先読み予告演出を他の演出手段により現出させても良く、たとえば、可動体役物を先読み専用の動作パターンで動作させて、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って先読み演出として現出可能に構成しても良い。
次に図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1が織り成す先読み予告演出態様について説明する。
図中(1)は、図柄変動表示ゲーム中(図示の「↓」は装飾図柄が変動表示中であることを示している)に上始動口34に入賞して特別図柄1側の作動保留球数が3個になったとし、その3個目のうち、第2番目に変動開始動作が実行される作動保留球が先読み予告演出の対象(ここでは、入賞時変化系の先読み予告抽選と変動開始時変化系の先読み予告抽選とに重複当選)となったケースを示している。またここでは、先に保留されていた第1番目と後に保留された第3番目の作動保留球については、先読み予告抽選非当選の作動保留球であったとする。
演出制御部24は、同図(1)示すように、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を通常とは異なる先読み専用の保留表示(以下、「専用保留表示」と称する)に変化させる。このとき、先読み予告の対象ではない第1番目および第3番目の作動保留球に対応する保留表示は、通常の保留表示(以下、「通常保留表示」と称する)のまま維持される。図示では、先読み予告の対象となった第2番目の作動保留球の保留表示を、通常保留表示(白丸(○)印)から専用保留表示(ハッチング付き丸印)に表示態様が変化した場合を示している。これにより、遊技者に対して先読み予告演出が開始された旨が報知される。なお同図(1)は、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して、装飾図柄が「246」で停止表示されたものを示している(結果は「ハズレ」とする)。
遊技進行は同図(2)に移り、主制御部20は、上記第1番目(最も古い作動保留球)であった特別図柄1側の作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化(1つ消化)し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、作動保留球が1つ消化された状態を示す保留表示態様とし、当該第1番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、「変動開始時変化系」の先読み予告演出として、液晶表示装置36の画面内に先読み予告演出用の背景画像(たとえば、稲妻を模した稲妻画像表示による稲妻演出:専用予告画像)を表示させる。これにより、液晶表示装置36の画面は、同図(2)に示すような表示態様となる。
そして遊技進行は同図(3)に移り、現在実行中であった図柄変動表示ゲームが終了して装飾図柄が「351」で停止表示されたとする(結果は「ハズレ」とする)。
続いて遊技進行は同図(4)に移り、主制御部20は、上記第2番目であった作動保留球、つまり先読み予告演出の対象となった作動保留球に基づく特別図柄変動表示ゲームを開始してその作動保留球を消化し、演出制御部24は、その特別図柄変動表示ゲームの開始とともに、各作動保留球に対応する保留表示態様をそれぞれ左へシフトさせ、当該第2番目であった作動保留球に基づく装飾図柄変動表示ゲームを開始させる。このとき、入賞時変化系の「専用保留表示」は上記シフト時に画面から消え、今回の図柄変動表示ゲームの開始を契機(その作動保留球の消化とともに)に終了される。また変動開始時変化系の専用予告画像(ここでは稲妻演出)も今回の図柄変動表示ゲーム中の発生を最後に終了される。なお同図(4)は、図柄変動表示ゲーム開始直後の液晶表示装置36の画面表示を示したものである。このようにして、一連の先読み予告演出が終了したことになる。その後、今回の図柄変動表示ゲーム中に、大当り当選期待度が相対的に高まる煽り演出(疑似連やリーチ演出(SPリーチ))が発生すれば、先読み予告演出の内容と相まって、大当りへの期待感はより一層高まることになる。
このように本実施形態のパチンコ遊技機1では、連続予告演出の一態様として、上記のような先読み予告演出を発生可能に構成されている。これにより、演出のバリエーションを豊富なものとすることができるので、遊技の面白みを向上させることができる。
(5−3.演出手段)
パチンコ遊技機1による各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段、スピーカ46などの音響発生装置、液晶表示装置36などの演出表示装置、操作者の体に振動を伝える加振装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物などは、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。また、枠演出ボタン13(手操作手段)の操作を、特定の期間(たとえば、大当りへの当選期待度が相対的に高い煽り演出中の所定の操作有効期間)操作不能状態(たとえば、枠演出ボタン13の押下できないようにする)、または操作困難状態(たとえば、枠演出ボタン13の押下し難くする)に置く特殊演出手段を設けても良いし、手操作手段に対して振動を与える加振装置を設けても良い。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、可動体役物として、上記の第1の可動体役物(時計型役物80)、第2の可動体役物(花型役物90)、第3の可動体役物(回転灯62)を搭載している。ローリングボタン70は、押圧ボタン型筒体72内またはその下方に、可動体73を回転可能かつローリング可能に組み込んだ構造となっているので、第3の可動体役物としても機能する。この第3の可動体役物は、特に、図柄変動表示ゲーム中における大当り確定予告(一発告知)をなす演出手段として機能する。この一発告知は、当り変動パターンが大当りに係る当り変動パターンの場合に現出され、小当りに係る当り変動パターンの場合には現出されない。本実施形態の場合、大当り種別のうち、利益状態が相対的に高い大当りほど、その現出率が高くなるように定められている。具体的には、12R長開放非確変大当りよりも12R長開放確変大当りの方が、高い確率で一発告知が発生しうる。ただし、大当り種別のうち、2R短開放大当りに属する大当りについては、他の大当りよりも相対的に利益状態が低い(獲得球数が期待できない)点から一発告知を発生させないようになっている。ただし、2R短開放潜確大当りの場合は、少なくとも高確率状態を伴う遊技状態(ここでは、潜確状態)に移行契機となる大当り種別である点から、一発告知を発生させても良い。他方、2R短開放非確変大当りの場合には確変状態から時短状態に転落移行契機となる点などから、一発告知を発生させないことが好ましい。
上記図柄遊技が行われず所定の時間が経過した場合は、デモ画面が現出する。
(5−4.デモ画面)
デモ画面は、通常、一定時間(たとえば60秒)以上にわたって図柄遊技が行われていない状態において、パチンコ遊技機1における遊技の進行の説明やその紹介(デモンストレーション)のための演出表示である。このデモ画面が表示されている期間中、デモンストレーション用の画像表示演出に加え、可動体役物をデモ画面用の動作パターンで動作させる演出を実行することもできる。たとえば、デモ画面用の動作パターンでは、花型役物90が原点位置から合体位置を経由して発展位置までの間を往復移動したり、時計針82が回転したりする動作演出が実行される。
(5−5.エラーとエラー報知について)
(エラーについて)
エラー(種別)は、主制御部20によりその発生が把握されるメインエラーと、演出制御部24によりその発生が把握されるサブエラーの2種類に大別される。したがって、主制御部20が判断主体つまり異常判定手段となる場合と、演出制御部24が判断主体つまり異常判定手段となる場合とがある。主制御部20が異常判定手段として働く場合は、主制御部20に接続されている様々なセンサ(不正検出センサ99、位置検出センサ82a、91a、92aなど)からの検出情報を受けたときである。主制御部20によりエラーが発生したと判定されたときは、主制御部20からエラーコマンドが送られ、演出制御部24はこのエラーコマンドに従ってエラー報知手段を制御してエラー報知を行う。このエラー報知は、エラー報知用に特に用意された専用のもの用いても良いが、本実施形態では、演出用に設けられているLEDと装飾ランプ45、スピーカ46、液晶表示装置36を制御することでエラー報知を実行する。
演出制御部24が判断主体となる場合についての詳細は後述するが、演出制御部24は判断主体となるエラー(サブエラー)とは、たとえば、演出手段に関する異常(可動体役物の動作異常など)がある。演出制御部24は、このような演出制御部24側が直接的に検出するエラーについて、主制御部20側のエラーコマンドを受信することなく、演出制御部24側が独自でエラーが生じたか否かを判断可能な構成となっている。
(メインエラーとエラー報知について)
主制御部20は、メインエラーが発生したか否かを、各種の検出情報をあらかじめ定められた所定のエラー判定条件に照らし合わせることで判断する。すなわち、不正検出センサ99(振動センサ、磁気センサ、電波センサを含む各種センサ)からの検出情報や、払出制御基板29からの「状態信号」の指定情報が、エラーの種類に応じてあらかじめ定められた判別基準値を超えるか否かで、不正や状態異常のエラーが主制御部20側で発生したか否かを判断する。ここで払出制御基板29からの「状態信号」は、払出制御基板29が、上記満杯検出センサ60、前扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、または球計数センサ19bなどからの検出信号に基づき、払出動作状態や上受け皿9の満杯状態などの状態に関する情報を、主制御部20に対してコマンドまたは検出信号の形で送出する信号である。そして、主制御部20は、不正や状態異常のエラーが発生したと判断すると、演出制御部24にそのようなメインエラーが発生したことを知らせるべく「メインエラーコマンド」を送信する。このメインエラーコマンドは、不正や状態異常の種類を特定可能なエラー情報を含んでいる。
演出制御部24は、主制御部20からのメインエラーコマンドを受信すると、受信したメインエラーコマンドに含まれる情報に基づき、演出手段であるLED、装飾ランプ45やスピーカ46や液晶表示装置36を制御して、演出の一態様として、エラーが発生した旨を報知する「エラー報知演出」を現出させる。このエラー報知演出の特徴的なところは、上記演出手段の一つである装飾ランプ45を所定のパターンで発光する光演出(以下、必要に応じて「エラー用光演出」と称する)と、演出手段の一つであるスピーカ46から警告音や音声を出力する音演出(以下、必要に応じて「エラー用音演出」と称する)と、液晶表示装置36に警告文を表示する画像表示演出(以下、必要に応じて「エラー用画像表示演出」と称する)のうち、1または2種類以上、あるいは全種類の演出を組合せた演出により行われることである。したがって、これら光、音、画像という相互に報知態様の異なる組合せからなるエラー報知演出が、発生したエラーの種類に対応して実行される。
(サブエラーとエラー報知について)
演出制御部24は、演出制御部24が判断主体となるサブエラーが発生したか否かの判断を、演出制御部24に接続されたスイッチ類からの検出情報に基づいて行う。すなわち、各可動体役物(時計型役物80、花型役物90)に対する位置検出センサ82a、91a、92aからの検出情報や、演出(音、光、画像表示)を現出するための装置(音源IC(音声出力回路)、RTC機能部(Real Time Clock機能部)を含む演出装置)からの出力情報が、エラーの種類に応じてあらかじめ定められた判別基準値を超えるか否かで、不正や状態異常のエラーが主制御部20側で発生したか否かを判断する。そして、演出制御部24は、不正や状態異常が発生したと判断すると、サブエラーの種類を特定し、そのサブエラーの種類に基づき、演出手段であるLED、装飾ランプ45やスピーカ46や液晶表示装置36を制御してエラー報知演出を現出させる。このエラー報知演出も上記メインエラーに対するエラー報知演出と同様に、エラー用光演出とエラー用音演出とエラー用画像表示演出を組合せた演出により行われる。
(具体的なエラーについて)
次に、メインエラーとサブエラーとに属するエラーの報知態様について、図33の表を用いて詳細に説明する。
図33を参照して、図示のエラー報知優先順位は、主制御部20から演出制御部24に送信されるエラーコマンドについての優先順位ではなく、主制御部20が判断主体となるメインエラーと演出制御部24が判断主体となるサブエラーとを含めたエラーについての優先順位のことである。また、全てのエラーに対して一つずつ異なるエラー報知優先順位を規定するテーブルが、主制御部20の主制御ROM202と演出制御部24の演出制御ROM242とにそれぞれ同一内容で記憶されている。図33に示すように、エラー報知優先順位が飛んでいる番号があるが、これは本実施形態とは異なる遊技性を有する別タイプのパチンコ遊技機について発生するエラーに対するエラー報知優先順位を除いたからである。別タイプのパチンコ遊技機1についてのエラーは別の実施形態として具体的に後述する。
(1.メインエラーに属するエラーとその報知)
メインエラーに属するエラーには、RAM(RWM)クリアエラー、大入賞口不正入賞エラー、磁気エラー、電波エラー、扉開放エラー、球詰りエラー、補給切れエラー、払出不足エラーなどがある。また、メインエラーの発生の有無に関し、主制御部20に接続されている上記不正検出センサ99(振動センサ、磁気センサ、電波センサを含む各種センサ)については、当該不正検出センサ99からの検出情報に基づいて、また払出制御基板29から主制御部20に対して送信されてくる「状態信号」に基づいて、メインエラー種別に応じて定められた所定のエラー判定条件の下(詳細は後述する)、エラーの発生の有無を判断する。「状態信号」は、払出制御基板29が、上記満杯検出センサ60、前扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、または球計数センサ19bなどからの検出信号に基づき、払出動作状態や上受け皿9の満杯状態などに関する情報を、主制御部20に対して送信する制御コマンドまたは検出信号である。
(1−1)RAMクリアエラー(エラー報知優先順位1)
RAMクリアエラーは、遊技機内部に形成された「RAMクリアスイッチ」を操作することにより、RAM203の記憶内容を全て消去した場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。このRAMクリアは、RAMクリアスイッチを操作することにより、RAM203の記憶内容を全て消去する行為であり、RAMクリアエラーは、RAMクリアする必要がないときにRAMクリアされて発生するエラーである。
本実施形態のパチンコ遊技機1において、主制御部20は、大当り抽選に用いる大当り判定用乱数を、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aから遊技球の検出信号が入力された際に取得している。この大当り判定用乱数は、乱数生成回路から取得されるようになっており、基本的にランダムな数値であるため、遊技者が大当り抽選で大当りに該当する大当り判定用乱数を狙い撃ちして取得するのは無理である。しかしながら、たとえば、乱数生成回路に不正回路を取り付けた状態で、主制御部20をリセットするという不正操作を行うことで、大当り判定用乱数を不正に取得することができる。このような不正行為を防止するため、本実施形態のパチンコ遊技機1では、主制御部20をリセットするためにRAMクリアスイッチが操作された場合、この操作を不正行為とみなし、エラー報知がなされるようになっている。
すなわち、上記のRAMクリアが実行された場合、RAMクリアスイッチを監視する主制御部20から、メインエラーコマンドとしてRAMクリアコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、RAMクリアエラーに対応したエラー報知を開始し、コマンド受信後30秒が経過すると、このエラー報知を終了する。なお、主制御部20から演出制御部24に対してエラー報知を終了するための解除コマンドは送信されない。
また主制御部20は、演出制御部24に対してだけでなく、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに対してもエラー情報を送信する。具体的には、エラーコマンドの他に、RAMクリアが実行されたことを指定するエラー情報を、RAMクリア発生時から30秒が経過するまで、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信している。このため、ホールコンピュータHCを介して、RAMクリアエラーが発生していることをパチンコホール店員は認識することもできる。
(RAMクリアエラーのエラー報知態様)
RAMクリアエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46からRAMクリア用警告音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36において、液晶画面をデフォルト画面(デモ画面)に設定するとともに装飾図柄を「731」の組合せで停止表示する態様で行われる。
(1−2)大入賞口不正入賞エラー(エラー報知優先順位2)
大入賞口不正入賞エラーは、大入賞口(下大入賞口40、右大入賞口50)の入賞に対して異常入賞(不正入賞)を検出した場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。この大入賞口不正入賞エラーは、大入賞口に対してプラスチック板やピアノ線を用いて強制的に開放し、入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a)が強制的に連続オン状態とされ、過剰入賞狙うゴト行為(セルゴト)を防止するために設けられたエラーである。大入賞口への入賞時期が「当り遊技中である場合」と「当り遊技中でない場合」とがあり、それぞれにおいて大入賞口への入賞(大入賞口センサによる遊技球の検出)を不正行為に基づく不正入賞とみなすか否かが、以下のように分かれる。
(1−2−1.当り遊技中でない場合における大入賞口不正入賞エラー)
大入賞口不正入賞エラーの一つに、当り遊技中でないのに大入賞口への入賞がある場合に発生されるエラーがある。たとえば、「当り遊技中でない場合、つまり特別変動入賞装置が未作動時(後述の特別電動役物作動フラグがOFF(≠5AH)状態)の場合」においては、入賞検出スイッチが遊技球を検出した場合、これを不正行為に基づく不正入賞が発生したとみなし、エラー報知が発せられる大入賞口不正入賞エラーである。
(1−2−2.当り遊技中である場合における大入賞口不正入賞エラー)
また、「当り遊技中である場合、つまり特別変動入賞装置が作動時(後述の特別電動役物作動フラグがON(=5AH)状態)の場合」においては、当り遊技の種類に対応して開放される大入賞口の種類ではない入賞検出スイッチが遊技球を検出した場合、これを不正行為に基づく不正入賞が発生したとみなし、大入賞口不正入賞エラーのエラー報知が発せられる。具体的には、特図1側の「12R確変大当り遊技」において右大入賞口50が開放されていないのに右大入賞口センサ52aが遊技球を検出した場合や、「16R確変大当り遊技」において下大入賞口40が開放されていないのに下大入賞口センサ42aが遊技球を検出した場合、不正入賞が発生したとみなされる。
また、当り遊技中に大入賞口が開放されている期間に想定されている入賞個数を超えて入賞検出スイッチが遊技球を検出した場合も同様に、これを不正行為に基づく不正入賞が発生したとみなし、大入賞口不正入賞エラーのエラー報知が発せられる。具体的には、「小当り遊技」、「2R短開放潜確大当り遊技」、「2R短開放非確変大当り遊技」のような大入賞口が短開放時間(0.1秒)しか開放しない当り遊技の場合、不正判別レベルを2個と定め、当該当り遊技中に入賞が2個あった場合、不正入賞が発生したとみなされる。
また、大入賞口に遊技球が入賞し、大入賞口が開放されてからの入賞数が最大入賞数(たとえば、9個)に達したことにより大入賞口閉鎖条件が満たされた後、想定されている入賞個数を超えて入賞検出スイッチが遊技球を検出した場合も同様に、これを不正行為に基づく不正入賞が発生したとみなし、大入賞口不正入賞エラーのエラー報知が発せられる。この最大入賞数に達することとなる遊技球が大入賞口に入球したが、その遊技球が入賞検出スイッチに検出されるまでの間、またはその遊技球が入賞検出スイッチに検出されて大入賞口の閉鎖直前に、大入賞口内に、偶々、遊技球が入球することがあり、オーバー入賞が発生することがある。このオーバー入賞が許容できる範囲内を超えて想定し得ない回数発生した場合、不正入賞とみなされる。具体的に、下大入賞口40の場合を例にして説明すると、下大入賞口40の場合は、下大入賞口40が正常に動作しているならば、概ね2個程度のオーバー入賞があっても、それは偶発的なものであるとして許容している。つまり下大入賞口40に通常発生し得るオーバー入賞数は2個程度であるとして許容入賞限界を定めている。そこで、1ラウンド中のオーバー入賞数が許容限界個数(2個)よりも過度に多い個数(たとえば、4個)を「不正判別レベル」として定め、この不正判別レベル以上のオーバー入賞数が検出された場合、これを不正行為に基づく不正入賞とみなして、エラー報知をするようになっている。また右大入賞口50の場合は下大入賞口40よりもオーバー入賞が発生し易いように設計されており、概ね3個程度のオーバー入賞数が偶発的に発生するものとし、オーバー入賞する許容限界個数を3個としている。そこで1ラウンド中のオーバー入賞数が許容限界個数(3個)よりも過度に多い個数(たとえば、5個)を不正判別レベルとして定め、この不正判別レベル以上のオーバー入賞数が検出された場合、これを不正行為に基づく不正入賞とみなして、エラー報知するようになっている。オーバー入賞の発生は、遊技盤面の遊技部材の配置構成(たとえば、入賞口やセンター飾りなどの配設位置、ゲージ構成(遊技くぎの配列)など)や、大入賞口の構造形態(たとえば、入賞検出スイッチまでの経路長)や、開放パターン(たとえば、最大開放時間の長短)にもよるが、設計上、想定外の特賞数が発生してしまうことを防止するために、一般的には、その発生率が抑えられており、オーバー入賞が簡単には発生しないようになっている。
大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、入賞検出スイッチ(下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a)を監視する主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして大入賞口不正入賞エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。たとえば、当り遊技中に、パチンコホール店員によりパチンコ遊技機1のメイン電源が落とされると、大入賞口不正入賞エラーが解除されるようになっている。この場合、電源復帰後に当り遊技が再度開始される。
(大入賞口不正入賞エラーのエラー報知態様)
大入賞口不正入賞エラーが発生したことに基づくエラー報知は、光演出、音演出、画像表示演出の組合せたエラー報知演出によって行われる。この場合の光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われる。音演出は、スピーカ46から不正入賞警告音を発する態様で行われる。画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー19 大入賞口入賞異常 係員をお呼び下さい」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(1−3)磁気センサエラー(エラー報知優先順位7)
磁気センサエラーは、上記磁気センサにより異常検出された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。この磁気センサエラーは、主に「磁石ゴト」行為を防止するために設けられたエラーであり、磁気センサにより磁気異常が検出された場合、これをエラーとして報知する。
磁気センサエラーが発生した場合、磁気センサを監視する主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして磁気センサエラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、磁気センサエラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、磁気センサによる磁気異常の検出がなくなってから30秒後に主制御部20から送信されるようになっている。このように30秒後にエラー報知を終了させるのは、磁石ゴト行為が終了した後であっても磁気センサエラー報知を継続させることで、エラー報知を発見してやってきたパチンコホール店員に磁石ゴト行為が実行されていたことを認識させるためである。したがって、パチンコホール店員の監視の目が厳しくなり、磁石ゴト行為を含め様々なゴト行為を実行させ難くすることができる。
(磁気センサエラーのエラー報知態様)
磁気センサエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46から磁気センサエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー15 磁気センサエラー」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(1−4)電波センサエラー(エラー報知優先順位8)
電波センサエラーは、上記電波センサにより不正電波が検出された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。この電波センサエラーは、主に「電波ゴト」行為を防止するために設けられたエラーであり、電波センサにより不正電波が検出された場合、これをエラーとして報知する。
電波センサエラーが発生した場合、電波センサを監視する主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして電波センサエラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、電波センサエラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、電波センサによる不正電波の検出がなくなってから30秒後に主制御部20から送信されるようになっている。このように30秒後にエラー報知を終了させるのは、電波ゴト行為が終了した後であっても電波センサエラー報知を継続させることで、エラー報知を発見してやってきたパチンコホール店員に電波ゴト行為が実行されていたことを認識させるためである。したがって、パチンコホール店員の監視の目が厳しくなり、電波ゴト行為を含め様々なゴト行為を実行させ難くすることができる。
(電波センサエラーのエラー報知態様)
電波センサエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46から電波センサエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー14 電波センサエラー」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(1−5)振動センサエラー(エラー報知優先順位9)
振動センサエラーは、上記振動センサにより不正振動が検出された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。この振動センサエラーは、主に「ドツキゴト」行為を防止するために設けられたエラーであり、振動センサにより不正振動が検出された場合、これをエラーとして報知する。
振動センサエラーが発生した場合、振動センサを監視する主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして振動センサエラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、振動センサエラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、振動センサによる不正振動の検出がなくなってから30秒後に主制御部20から送信されるようになっている。このように30秒後にエラー報知を終了させるのは、ドツキゴト行為が終了した後であっても振動センサエラー報知を継続させることで、エラー報知を発見してやってきたパチンコホール店員にドツキゴト行為が実行されていたことを認識させるためである。したがって、パチンコホール店員の監視の目が厳しくなり、ドツキゴト行為を含め様々なゴト行為を実行させ難くすることができる。
(振動センサエラーのエラー報知態様)
振動センサエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46から振動センサエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー16 振動センサエラー」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(1−6)一般入賞口不正入賞エラー(エラー報知優先順位10)
一般入賞口不正入賞エラーは、一般入賞口センサ43aが一定時間(たとえば、2秒)ON状態を検出した場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。一般入賞口不正入賞エラーは、たとえば、一般入賞口43における玉詰まりによる不正な恩恵を防止するために設けられたエラーであり、一般入賞口センサ43aが遊技球の検出信号を出力し続けた場合、これをエラーとして報知することとしている。一般入賞口不正入賞エラーは、一般入賞口43内部の玉詰まりが原因であることが多いため、基本的には、パチンコホール店員によりその原因が解消される。
一般入賞口不正入賞エラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして一般入賞口不正入賞エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、一般入賞口不正入賞エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、一般入賞口センサ43aによる最後の検出から30秒後に主制御部20から送信されるようになっている。このように30秒後にエラー報知を終了させるのは、一般入賞口43内部の玉詰まりが解消された後であっても一般入賞口不正入賞エラー報知を継続させることで、エラー報知を発見してやってきたパチンコホール店員に球詰りが発生していたことを認識させるためである。したがって、この一般入賞口不正入賞エラーが何度も発生した場合、球詰りし易いパチンコ遊技機1としてパチンコホールやメーカーによりメンテナンスされる。
(一般入賞口不正入賞エラーのエラー報知態様)
一般入賞口不正入賞エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46から振動センサエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー13 一般入賞口不正入賞エラー」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(1−7)扉開放エラー(エラー報知優先順位12)
扉開放エラーは、前扉開放センサ61により前枠2またはガラス扉6の開放が検出された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。この扉開放エラーは、前枠2またはガラス扉6を開放し、遊技球を入賞口(始動口34、35、大入賞口40、50、一般入賞口43)に入賞させる等の不正行為を防止するために設けられたエラーであり、前扉開放センサ61により開放行為が検出された場合、これをエラーとして報知する。
扉開放エラーの発生の有無については、前扉開放センサ61が接続されている払出制御基板29から主制御部20に前扉開放センサ61の状態を示す「状態信号」が送信され、その「状態信号」に基づいて主制御部20が扉開放エラーの発生の有無を判断する。扉開放エラーが発生した場合、主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして扉開放エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、扉開放エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、前扉開放センサ61により前枠2およびガラス扉6が閉鎖されたことが確認された際に主制御部20から送信されるようになっている。ただし、エラー解除コマンド受信後、演出制御部24は、30秒間延長してエラー報知用の光演出(たとえば、800msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる演出)を実行してもよく、エラー用光演出を30秒継続させることで、エラー報知を発見してやってきたパチンコホール店員に何らかのエラーが発生していたことを認識させ、パチンコホール店員の監視を厳しくすることができ不正行為を抑制させることができる。
(扉開放エラーのエラー報知態様)
扉開放エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46から「扉が開いています」という音声を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー01 扉が開いています」という警告文を表示する態様にて行われる。
(1−8)払出制御基板エラー(エラー報知優先順位13)
払出制御基板エラーは、主制御部20と払出制御基板29との送受信が行えなくなったことが検知された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。上記のように、主制御部20は払出制御基板29に対し、払い出しに関する制御コマンドを送信可能となっており、払出制御基板29は主制御部20に対し、払い出し動作状態に関する情報を送信可能となっている。これらの送受信エラー、具体的にはシリアル通信エラーが主制御部20により検知された場合、これをエラーとして報知する。この払出制御基板エラーは、主制御部20や払出制御基板29、送受信するための部品、または主制御部20と払出制御基板29とを接続する通信ケーブルなどの遊技部品に不具合により生じたエラーである。したがって、それらの遊技部品の交換が必要となる。
払出制御基板エラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして払出制御基板エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、払出制御基板エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、パチンコ遊技機1の電源がOFFにされるまで終了されない。また、主制御部20からエラー解除コマンドは送信されない。この払出制御基板エラーの原因となった遊技部品を交換し、パチンコ遊技機1を再起動させることで払出制御基板エラーが解消される。
(払出制御基板エラーのエラー報知態様)
払出制御基板エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の音演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出が優先されるようになっている。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー04 払出制御基板エラー」という警告文を表示する態様にて行われる。
(1−9)主基板エラー(エラー報知優先順位14)
主基板エラーは、主制御部20の乱数生成回路に異常が確認された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。上記のように、乱数生成回路は、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成する装置であり、生成された乱数は、所定のタイミングで内部抽選用乱数値として取得され大当り抽選に利用されている。この乱数生成回路に異常が検知された場合、これをエラーとして報知する。
この主基板エラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして主基板エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、主基板エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、パチンコ遊技機1の電源がOFFにされるまで終了されない。また、主基板エラーは、主制御部20からエラー解除コマンドは送信されないようになっている。このため、主基板エラーを解消するためには、専ら、主制御基板20を新品のものと交換することで解消されうる。
(主基板エラーのエラー報知態様)
主基板エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の音演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出が優先されるようになっている。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー11 主基板エラー」という警告文を表示する態様にて行われる。
(1−10)断線検知エラー(エラー報知優先順位15)
断線検知エラーは、基板同士又は基板と各種センサを接続する配線(ハーネス)が断線またはショートしたときに検知された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。たとえば、主制御部20(主基板)と払出制御基板29との配線が断線したり、主制御部20と上始動口センサ34aとの配線が断線したりすると、信号の送信や受信ができなくなるため、断線やショートが検知された場合、これをエラーとして報知する。
断線検知エラーが発生した場合、主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして断線検知エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、断線検知エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、ハーネスを交換するなどして断線やショートが解除されたこと(正常な送信や受信)が確認された際に主制御部20から送信されるようになっている。
(断線検知エラーのエラー報知態様)
断線検知エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の音演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出が優先されるようになっている。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー12 スイッチが断線しています。」という警告文を表示する態様にて行われる。
(1−11)払出不足エラー(エラー報知優先順位16)
払出不足エラーは、球計数センサ19bにより遊技球払出装置19からの賞球数の払い出しに異常(払い出し不足)が検出された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。払出モータ19cにより払出動作を球計数センサ19bが遊技球を検出しなかった場合に、払出モータ19cを再度作動させて不足分の遊技球を払い出す動作を所定回数(たとえば、3回)行い、それでも払い出すべき数の遊技球が球計数センサ19bにより検出されなかった場合、これをエラーとして報知する。払出不足エラーが発生すると払出モータ19cの可動が停止される。
払出不足エラーの発生の有無については、球計数センサ19bが接続されている遊技球払出装置19を経由し払出制御基板29に検出信号が送信され、その払出制御基板29から主制御部20に検出信号に基づいた払い出された遊技球数を示す「状態信号」が送信され、その「状態信号」に基づいて主制御部20が払出不足エラーの発生の有無を判断する。払出不足エラーが発生した場合、主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして払出不足エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、払出不足エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、パチンコホール店員により、球詰りなどの問題が解消された後、遊技球払出装置19の備えるエラー解除スイッチ(図示せず)が押された際に主制御部20から送信されるようになっている。
(払出不足エラーのエラー報知態様)
払出不足エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の音演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出が優先されるようになっている。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー03 遊技球が払い出せません。係員をお呼び下さい。」という警告文を表示する態様にて行われる。
(1−12)補給切れエラー(エラー報知優先順位20)
補給切れエラーは、補給切れ検出センサ19aにより遊技球払出装置19から賞球を払い出せなくなったことが検出された場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。図示はしていないが、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の背面には、パチンコホール側島設備の遊技球補給装置から供給される遊技球を貯留する '遊技球貯留タンク'が形成されている。この遊技球貯留タンクから遊技球を案内するタンクレールに接続して、遊技球払出装置19が設けられている。遊技球補給装置から遊技球貯留タンクに供給されるべき遊技球が、球詰りなどの原因によりその補給が停滞して、遊技球貯留タンク内の遊技球が不足したときに補給切れエラーが発生する。遊技球貯留タンク内の遊技球が不足すると遊技球払出装置19から賞球を払い出せなくなるため、補給切れ検出センサ19aにより遊技球の供給不足が検出された場合、これをエラーとして報知する。
補給切れエラーの発生の有無については、補給切れ検出センサ19aが接続されている遊技球払出装置19を経由し払出制御基板29に検出信号が送信され、その払出制御基板29から主制御部20に検出信号に基づいた遊技球貯留タンク内の状態を示す「状態信号」が送信され、その「状態信号」に基づいて主制御部20が補給切れエラーの発生の有無を判断する。補給切れエラーが発生した場合、主制御部20から、当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして補給切れエラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、補給切れエラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、補給切れ検出センサ19aにより遊技球貯留タンク内の遊技球が補給されたことが確認された際に主制御部20から送信されるようになっている。
(補給切れエラーのエラー報知態様)
補給切れエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の音演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出が優先されるようになっている。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー02 遊技球が不足しています。係員をお呼び下さい。」という警告文を表示する態様にて行われる。
(1−13)右・左打ち警告報知(エラー報知優先順位21)
右・左打ち警告報知は、遊技者によって打ち出された遊技球の流下する遊技領域が遊技進行上好ましくない場合に、その旨が警告される報知である。この右・左打ち警報報知は、パチンコ遊技機1や遊技進行に対して特に害を与えるものではないが、遊技者に対して損をさせることになることから、メインエラーの一種と位置付けられている。たとえば、大当り遊技終了後に遊技状態が「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態に変化すると、遊技盤の右側の遊技領域に設けられている普通図柄始動口37に入球させるべく遊技球を打ち出す(いわゆる、「右打ち」)遊技を行う状態となる。この右打ち状態中に盤面の左側にある検出スイッチが遊技球を検出すると、打ち出し方向を指示しなければ遊技者の持ち球が著しく消費する場合があるので、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を実行することとしている。
(右・左打ち警告報知のエラー報知態様)
右・左打ち警告報知のエラー報知(右打ち報知演出)としては、液晶表示装置36の液晶画面に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり、「右打ちせよ」の表示がなされたりし、スピーカ46からは固有の音声(右打ち指示音)として「右打ちしてね」の音声が発せられる。
(1−14)球詰りエラー(エラー報知優先順位22)
球詰りエラーは、遊技球を貯留する上受け皿9が満タン状態となった場合に発生するエラーであり、メインエラーの一つである。この球詰りエラーは、満杯検出センサ60により検出される。上受け皿9がある程度遊技球で満たされると遊技球払出装置19から賞球を払い出せなくなるため、上受け皿9の遊技球の貯留量が満杯検出センサ60により満タン状態であると判定された場合、これをエラーとして報知する。球詰りエラーが所定時間継続すると、発射制御基板28が発射装置32による発射動作を停止させるようになっている。
球詰りエラーの発生の有無については、満杯検出センサ60が接続されている払出制御基板29から主制御部20に満杯検出センサ60の状態を示す「状態信号」が送信され、その「状態信号」に基づいて主制御部20が球詰りエラーの発生の有無を判断する。球詰りエラーが発生した場合、主制御部20から当該エラーに対応したメインエラーコマンドとして球詰りエラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、球詰りエラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、満杯検出センサ60により満タン状態が解消されたことが確認された際に主制御部20から送信されるようになっている。具体的には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14を遊技者自身が操作することにより、上受け皿9に貯留された遊技球が下部のドル箱に移動するので、満タン状態を解消することができる。つまり、球詰りエラーは、上記(1−1)〜(1−12)のエラーとは異なり、遊技者自身が自力解除可能なエラーとなっている。
(球詰りエラーのエラー報知態様)
球詰りエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の光演出は行われず、遊技中に現出されている装飾ランプ45による光演出が優先されるようになっている。音演出は、スピーカ46から「球を抜いてください」という音声を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「球を抜いてください」という警告文を表示する態様にて行われる。
(2.サブエラー種別に属するエラーとその報知)
サブエラーに属するエラーには、可動体役物エラー、音源ICエラー、演出基板エラーなどがある。また、サブエラーの発生の有無に関し、演出制御部24に接続されている上記位置検出センサ82a、91a、92aについては、当該位置検出センサ82a、91a、92aからの検出情報に基づいて、音演出を現出するための音源IC(音声出力回路)については、当該音源ICからの出力情報に基づいて、画像表示演出に関するRTC回路(Real Time Clock回路)については、当該RTC回路からの出力情報に基づいて、サブエラーに応じて定められた所定のエラー判定条件の下(詳細は後述する)、エラーの発生の有無を判断する。
(2−1)可動体役物エラー(エラー報知優先順位17)
可動体役物エラーは、上記位置検出センサ82a、91a、92aにより異常検出された場合に発生するエラーであり、サブエラーの一つである。この可動体役物エラーは、可動体役物(時計型役物80、花型役物90)による演出シナリオに対応していない動作(たとえば、原点位置ではない場所からの突然動作や、演出シナリオにはない動作)を防止するために設けられたエラーであり、動作に不具合(たとえば、動作後、液晶画面内に重なる動作途中位置で止まってしまった不具合や、原点位置に正しく戻っているか否かなど)が検出された場合、これをエラーとして報知する。
一般に、演出制御部24側においては、複数の可動体役物の原点位置を把握するため、各可動体役物(可動側)に対して機体側(静止側)に1または複数個の位置検出センサ82a、91a、92aが設けられ、この位置検出センサ82a、91a、92aからの出力信号が演出制御部24に入力されている。また、演出制御部24側においては、可動体役物を駆動する駆動モータ(各可動大役物ごとに設けてある)の回転角度を検出するため、駆動モータを構成するステッピングモータの回転軸またはこれと同期して回転する回転軸にエンコーダが取り付けられており、そのエンコーダの出力信号が演出制御部24に入力されている。
そこで、演出制御部24は、各位置検出センサ82a、91a、92aおよびエンコーダからの出力信号に基づき、これを、サブエラーの種類に応じてあらかじめ定められた所定のエラー判定条件に照らして、サブエラーが発生したか否かを判断する。具体的には、原点位置検出用の各位置検出センサ82a、91a、92aおよび現在位置検出用のエンコーダからの出力信号に基づき、原点位置以外の現在位置での停止時間が所定時間を超えたか否かを割込みタイミングごとに逐次判断し、所定時間を超えて一箇所に停留している場合を異常と判断する。そして、演出制御部24は、サブエラーが発生したと判断すると、演出手段を制御して、発生したエラーの種類に対応した所定のエラー報知演出態様でエラー報知演出を行う。
可動体役物エラーが発生した場合、位置検出センサ82a、91a、92aから原点位置に時計型役物80や花型役物90が位置していない信号が演出制御部24に出力され、この信号に基づき演出制御部24は可動体役物エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、可動体役物エラーの原因が取り除かれるまで行われるようになっている。また、エラー報知から所定の時間(たとえば、30秒)が経過するとエラー報知を終了させてもよい。
(可動体役物エラーのエラー報知態様)
可動体役物エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われ、音演出は、スピーカ46から可動体役物エラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー21 可動体役物エラー」という警告文を表示する態様にて行われる。本実施形態の場合、可動体役物の種類やエラー内容(たとえば、異常動作個所や異常内容)に応じて警告文を異なるものとし、少なくとも、どのような可動体役物にエラーが生じているのかを特定可能な情報を表示するようになっており、具体的には、エラーが生じている可動体役物種別(時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73など)と、そのエラー内容が特定可能な表示となっている。なお、エラーの内容表示については、エラー内容を文字情報で直接的に表示しても良いし(たとえば、文字情報として「原点位置に戻っていません。係員をお呼び下さい」を表示する)、エラー内容と対応付けられている識別情報(特定の識別子、識別IDなど)を表示しても良い(たとえば、時計型役物80の時計針82が原点位置に正常に戻っていない場合は、「HH1」など)。
本実施形態では、エラー報知対象の可動体役物に関し、「エラー21 時計型役物エラー」、「エラー22 花型役物エラー」というように可動体役物の種類の名称を示したり、「エラー23 花型役物エラーA」(たとえば、花型役物90の内側の花弁の異常)、「エラー24 花型役物エラーB」(たとえば、花型役物90の外側の花弁の異常)というようにその可動体役物の可動部を特定可能とする情報を表示したりして、エラー対象である可動体役物の種類および/またはその可動体役物の可動部を特定可能とする情報を表示し、以って、画像表示演出による可動体役物に係るエラー報知を実行する。具体例としては、図33に示すように、「エラー21 第1の可動体役物エラー(たとえば、時計型役物80に異常が生じていることを示す)」、「エラー22 第2の可動体役物エラーA(たとえば、花型役物90に異常が生じていることを示す)」、「エラー23 第1の可動体役物エラーB(たとえば、花型役物90の内側の花弁に異常が生じていることを示す)」、「エラー24 第1の可動体役物エラーB(たとえば、花型役物90の外側の花弁に異常が生じていることを示す)」などの表示態様である。
(2−2)音源ICエラー(エラー報知優先順位18)
音源ICエラーは、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSIや音源IC)について異常が検出された場合に発生するエラーであり、サブエラーの一つである。音響制御部から演出制御部24に出力される信号に基づき、音響制御部の異常が検知された場合、これをエラーとして報知する。この音源ICエラーが発生した場合、音響制御部の交換が必要となることがある。
音源ICエラーが発生した場合、音響制御部から異常を知らせる信号が演出制御部24に出力されたことに基づき、または音響制御部から演出制御部24に何ら信号が出力されないことに基づき、演出制御部24は音源ICエラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、所定の時間(たとえば、30秒)が経過すると終了する。
(音源ICエラーのエラー報知態様)
音源ICエラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。音源ICに異常があることから、エラー用の音演出は行われない。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー41 音源ICエラー」という警告文を表示する態様にて行われる。
(2−3)演出基板エラー(エラー報知優先順位19)
演出基板エラーは、実際の日時や時刻に対応して演出を実行するためのRTC回路(Real Time Clock回路)について異常が検出された場合に発生するエラーであり、サブエラーの一つである。RTC回路は演出制御部24に設けられており、RTC回路から演出制御部24に出力される信号に基づき、RTC回路に異常が検知された場合、これをエラーとして報知する。この演出基板エラーが発生した場合、演出制御部24の交換が必要となることがある。
演出基板エラーが発生した場合、RTC回路から異常を知らせる信号が演出制御部24に出力されたことに基づき、またはRTC回路から演出制御部24に何ら信号が出力されないことに基づき、演出制御部24は演出基板エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、所定の時間(たとえば、30秒)が経過すると終了する。
(演出基板エラーのエラー報知態様)
演出基板エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、画像表示演出の組合せにより行われる。エラー用の音演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出が優先されるようになっている。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅させる態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラーXX 演出基板エラー」という警告文を表示する態様にて行われる。
(エラーが重複して発生している場合のエラー報知)
次に、異なる種類のエラーが重複して発生した場合に、演出制御部24により実行されるエラー報知(エラー報知演出)について説明する。
異なる種類のエラーが重複して発生した場合には少なくとも下記の2つの点が問題となる。第1の問題点に関し、ここでは、エラー報知を、画像表示演出、音演出、光演出の組合せによるエラー報知演出にて実行することを考える。この場合、画像表示演出、音演出、光演出は相互に異なる特質(a)(b)(c)を有する。(a)画像表示演出により、エラー報知を「警告文を液晶表示装置36の画面に全て表示する」という形で行う場合には、画面内に多数行にわたり文字によるエラーメッセージ(警告文)を表示することができる。したがって、複数種類のエラーが重複して発生しても、これを画面内に表示することに、技術的にあまり困難を伴わない。しかし、画像表示演出の場合は、文字によるメッセージ内容を読み取らなければならないため、肉眼で識別できる距離まで表示画面に接近する必要がある、という特質を持つ。一方、音演出や光演出については、画像表示演出とは本質的に異なる点がある。すなわち、(b)音演出の場合は、途中に障壁があっても伝達して耳に届くが、音演出と音演出とが重なったときは、いわゆるマスキング効果によって、音量の大きい方が支配的となり音量の小さい方が打ち消されて聞こえ難くなる、という特質をもつ。(c)また、光演出の場合は、LEDやランプが同色の光で重なって発光した場合にはその判別が難しく、また点滅周期が異なったものが重なった場合もその差を判別し難い、という特質を持つ。
これらの違いを考慮すると、エラーには液晶表示装置36で報知するだけでは不十分な性格のエラーもあり、たとえば、扉開放エラーの場合には、その重要度から考えて、直ぐに周囲に光や音響で報知することが、単に画面表示によるだけの場合よりも、より良い方法と考えられる。他方、音響や光などで報知する場合には、同時に発すると識別し難くなるという特質上、エラー処理を迅速に解決することができない問題がある。
第2の問題点に関し、演出制御部24がエラーコマンドを受信した際に、すでにほかのエラーコマンドに基づくエラー報知を実行中である場合がある。これに対処するための方法としては、エラーコマンド間に優先順位を付け、受信エラーコマンドが実行中エラーコマンドよりも優先順位が高い場合にのみ、受信エラーコマンドに基づくエラー報知を行うことが考えられ、これにすれば、優先順位の高いエラーコマンドが発生した場合、他のエラーに優先してエラー報知をすることができる。しかし、主制御部20から送信されるエラーコマンド間に優先順位を付けることを前提としているため、主制御部20から送信されるエラーコマンドに基づくエラー報知と、演出制御部24により制御される可動体役物が異常を起こしたことに基づくエラー報知とが重複した場合については、対処することができないという問題がある。
そこで本実施形態では、異なる種類のエラーが重複的に発生した場合には、遊技者やパチンコホール店員に認識しやすいエラー報知を実行可能な構成としている。また本実施形態では、エラー報知の優先順位をエラーコマンド間だけ、すなわち主制御部20で判断されたエラー間だけに設けずに、演出制御部24で判断されたエラーに対しても優先順位を適用し、判断主体によるエラーの区別をなくしてエラー報知を実行可能な構成としている。
このようなエラー報知を実行するため、本実施形態は、以下の構成を採用している。
遊技機に関するエラーが発生したか否かを判定するエラー判定手段と、
前記エラー判定手段によりエラーが発生したと判定された場合、所定の演出手段を利用してエラー報知を実行制御するエラー報知制御手段と、を備える遊技機において、
前記演出手段には、音演出を実行する音演出手段(スピーカ46)と、光演出を実行する光演出手段(装飾ランプ45、演出用LED等)と、画像表示演出を実行する画像表示手段(液晶表示装置36)とを含む複数種類の演出手段が含まれ、
前記エラーには、前記エラー報知制御手段により、前記音演出手段による音演出、前記光演出手段による光演出、および前記画像表示手段による画像表示演出を利用したエラー報知が実行される複数種類のエラー(たとえば、可動体役物エラー、扉開放エラー等)が含まれ、
前記エラー報知制御手段は、
前記複数種類のエラーのうちいずれかが単独発生している場合、その発生中のエラーに対応するエラー報知を実行制御する単独エラー報知制御手段と、
前記複数種類のエラーのうち少なくとも2種類のエラーが重複発生している場合、その発生中の各エラーに予め対応付けられているエラー報知優先順位を判定するエラー報知優先順位判定手段と、
前記エラー報知優先順位判定手段により判定された前記エラー報知優先順位に基づき、
前記重複発生中の各エラーを対象とするエラー報知を実行制御する優先エラー報知制御手段と、を含み、
前記優先エラー報知制御手段は、
前記音演出および前記光演出を利用したエラー報知については、前記重複発生中の各エラーのうち前記エラー報知優先順位が相対的に高いエラーに対応するエラー報知を優先して実行し、
前記画像表示演出を利用したエラー報知については、前記重複発生中の各エラーを特定可能なエラー情報を前記画像表示手段に表示するように構成された遊技機。
以下、本実施形態に係るエラー報知態様について具体的に説明する。
(エラー報知形態一覧、可動体役物と液晶画面の関係:図35)
一般にエラーとして取り扱われる可能性のあるエラーの種類について、その報知形態を一覧にして示したものが図35である。本実施形態では、図35の一覧の中の第2の可動体役物エラーA(本実施形態では「可動体役物エラー」としている)と扉開放エラーとを選んで用いた関係となっている。また、図35は、液晶表示装置36の液晶画面に対して可動体役物が取り得る位置関係について示したものである。たとえば、本実施形態では、花型役物90を液晶画面の右側領域Yに設置した例になっており、したがって、この領域以外の上側領域Xや左側領域Zにその他の可動体役物を設置することができる。また、本実施形態では、花型役物90の内側の花被部分を液晶画面の上側領域Zにおいて所定の動作パターンで左右に動作させる制御が行われる例となっており、したがって、その他の可動体役物を所定領域において所定の動作パターンで動作させる制御が行われてもよい。
次に、扉開放エラーと可動体役物エラーとが発生した場合の実施形態について説明する。ここで注目すべき点の第1は、扉開放エラーは主制御部20が判断主体となるメインエラーであり、可動体役物エラーは演出制御部24が判断主体となるサブエラーである点である。したがって、扉開放エラーは、そのメインエラーコマンドが演出制御部24に送信されてきたことに基づいてエラー報知が行われるのに対し、可動体役物エラーは、可動体役物の原点位置についての位置検出センサ82a、91a、92aからの出力信号や現在位置についてのエンコーダからの出力信号が演出制御部24に入力されることに基づいてエラー報知がなされる、という点で両者に相違がある。
また注目すべき点の第2は、本実施形態においては、この扉開放エラーのエラー報知と可動体役物エラーのエラー報知との間に優劣が付けられており、扉開放エラーのエラー報知の方が可動体役物エラーのエラー報知よりも、エラー報知優先順位が高く定められている点である。これは、扉開放エラーはゴト行為に基づいて発生した場合を含むが、可動体役物エラーの場合はそのようなゴト行為と直接的な関係を持たないため、両者を比較すると、可動体役物エラーよりも扉開放エラーの方が遊技進行や遊技機に対する被害の深刻度が高い、つまり「報知優先順位が高い」と考えられるためである。このようにエラー報知間で優先順位を定めれば、エラーコマンド間に優先順位を定めた場合の制約(主制御部20が判断主体となるエラーしか比較できないという制約)が外れて、演出制御部が扱うエラーまでも比較対象にすることができる。
図36〜図38は、エラーが重複した場合の処理方法の説明に供する図である。図36中の(A)は、可動体役物エラーと扉開放エラーとがそれぞれ単独で発生した場合を例示した図であり、同図(B)は、可動体役物エラーと扉開放エラーとが重複して発生した場合を例示した図である。また図37は、エラーが発生していない正常時の報知態様と、可動体役物エラーが単独で発生した場合の報知態様とを示す図、図38は、可動体役物エラーが単独で発生した場合の報知態様と、可動体役物エラーと扉開放エラーとが重複して発生した場合の報知態様とを示した図である。なお、各図において、実線の矢印(図中の「→」)の長さは、説明の便宜上、エラー報知期間の時間的長さを誇張して示したものである。
まず図36(A)(B)のケースは、時刻t0において可動体役物エラーの発生が演出制御部24により検出されて可動体役物エラー報知がなされ、このエラー報知が時刻t1まで継続するケースを示している。このような状況が生まれる遊技環境としては、次のようなケースがある。
図37を参照して、たとえば、演出制御部24が、当選期待度が相対的に高い変動パターン指定コマンド(たとえば、SPリーチ(弱SPリーチや強SPリーチ)を指定するリーチ変動パターンを指定)を受信したことに基づき、第2の可動体役物である花型役物90が原点位置p0(花型役物90が液晶画面外または液晶画面内の一部を覆っている状態となる位置)から作動して、図37(A)に示す作用位置p1に移動し、その後、原点位置p0に戻るという一連の動作が花型役物90の正常な演出運動動作であるとする。本例では、この花型役物90の動作は、当選期待度を煽るための可動体演出であるとする。
図37(A)では、花型役物90が作用位置p1にあり、かつ装飾ランプ45が点灯し、スピーカ46から演出音「♪」が発生されている様子を示している。ところが、その後、何らかの異常(機械的な拘束、検出スイッチ系の動作不良、プログラム処理の異常など)で物理的に動きが止まり、花型役物90が上記演出運動動作の途中で、つまり原点位置p0以外の一箇所p2で動かなくなって停留した状態となることがある。このような事態に陥ると、可動体役物エラーが発生し(ここでは、可動体役物エラーが単独発生状態)、花型役物90はその作用位置p2で静止したままになるが、SPリーチ変動に関する演出(SPリーチ演出、装飾図柄表示部Rにおける装飾図柄によるリーチ演出)や、保留表示領域76、77における保留表示や、遊技の進行はそのまま継続されるようになっている。このとき花型役物90は、図37(B)に示すように液晶表示装置36の液晶画面を部分的に覆った位置p2で静止したままになる。可動体役物エラーは、このような遊技環境ないし演出場面で起こりうる。なお、装飾図柄の変動表示については、SPリーチ演出の発生の際にそのリーチ演出を強調するため、通常の表示位置(図5参照)から図示の装飾図柄表示部Rの表示位置に縮小表示(退避表示)されるようになっている。また、可動体役物については、既に説明したように、デモ画面用の動作パターンで花型役物90が動作したり、時計針82が動作したりすることもあるし、パチンコ遊技機1の電源投入時の役物動作チェック用の動作パターンで動作することもある。したがって、必ずしも図柄変動表示ゲーム中に限り発生するエラーではない。
ここで可動体役物エラーが発生した場合(可動体役物が演出運動動作の途中で停留してしまった場合)、通常の表示位置(たとえば、画面の上段)で表示すると、警告文が隠されてしまう場合がある。そこで本実施形態では、図37(B)に示すように、警告文を表示する位置を可動体役物が演出動作をする上で、可動体役物により警告文が隠れてしまう表示位置または表示領域ではなく、隠れない表示位置または表示領域(たとえば、液晶画面の中央部)に警告文を表示するというエラー用画像表示演出が実行されるようになっている。
本実施形態において、図36(B)の時刻t0において、可動体役物エラーが発生すると、そのことに基づいて、液晶画面内には、図38(A)に示すように「エラー21 可動体役物エラー」といった警告文E1が表示され、スピーカ46から発生される音が演出音「♪(正常動作中の演出音)」から警告音「P(エラー用演出音)」に変わり、装飾ランプ45が演出時とは別の警告発光色(斜線で示す)、たとえば、全ての装飾ランプ45が200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅する演出に変化することになる。この可動体役物エラーの継続期間は、上記異常が解除されるまでつまり花型役物90が停止した原因が取り除かれるまで続くことになる。図36(B)の時刻t1は、この異常が解除された時点を示している。
この可動体役物エラーは、パチンコホール店員により次のような経緯で異常解除される。まず、パチンコ遊技機1から離れた場所にいたパチンコホール店員は、時刻t0から開始されていたエラー報知の音演出や光演出に気が付くと、そのパチンコ遊技機1に向かい、液晶表示装置36の液晶画面に表示されている警告文E1(エラー用画像表示演出)を見て、現在、可動体役物エラーが発生していることを確認する。そして、パチンコホール店員により可動体役物エラーの原因が取り除かれることで、可動体役物エラーが解除される。可動体役物エラーの異常解除には、原因を取り除くとともに、パチンコ遊技機1の再起動が必要となることもある。
パチンコホール店員や遊技者が画像表示演出で確認する警告文E1は、液晶表示装置36の液晶画面の中央部に表示される。このように液晶画面の中央部に表示する理由は、液晶画面の中央部ではなく上部に表示すると警告文E1が花型役物90に隠される恐れがあるからであり、花型役物90に邪魔されずにどのような種類のエラーが発生しているのかを認識し易くするためである。したがって、演出制御部24は、花型役物90の静止位置や動作範囲を考慮して、警告文E1を表示する位置を決定している。このような花型役物90の位置に基づく警告文の表示方法を含め、エラー報知の画像表示演出の表示方法については、下記で具体的に説明する。
(可動体役物エラー中の扉開放エラーの発生:図36(B)の時刻ty)
図36(B)の例では、時刻t0において可動体役物エラーが発生した後、その可動体役物エラーが継続している期間t0〜t1中の時刻tyにおいて、扉開放エラーが時刻tyで発生した場合を想定している。この扉開放エラーは、パチンコホール店員が業務上必要に応じて前枠2またはガラス扉6を開放することで発生したり、また不正行為により開放されて発生したりするものであり、開放状態に置かれる期間はそれほど長くないものと思われる。したがって、扉開放エラーの継続期間は、可動体役物エラーの場合に比べ比較的短く(たとえば、図36(A)の時刻t0〜tx参照)、時刻tzまでが、開放されている前枠2またはガラス扉6が閉められるまでの期間となる。本実施形態では、可動体役物エラーの原因を取り除くべく、パチンコホール店員により前枠2またはガラス扉6が開放されることで、扉開放エラーが発生した場合を想定している。
図36(B)は、かかる前提の下に、時刻t0において、可動体役物エラーが発生した後、その可動体役物エラーが継続している期間t0〜t1中の時刻tyにおいて、扉開放エラー報知が発生した場合を、つまり、時刻ty〜t1の間で可動体役物エラーと扉開放エラーとが重なり合う場合を示している。
演出制御部24においては、異なる種類のエラーが相互に重なり合った場合に、まず、いずれを優先して報知すべきかに関する「エラー報知優先順位(図34のエラー報知優先順位参照)」を定めたエラー報知優先順位テーブルを備えている。そこで演出制御部24は、可動体役物エラーと扉開放エラーとを比較した結果、可動体役物エラーよりも扉開放エラーの方が、エラー報知優先順位が高いと判断する。このエラー報知優先順位で表現し直すと、図36(B)では、時刻t0において、エラー報知優先順位が低い可動体役物エラー報知が発生した後、その可動体役物エラー報知が継続している期間t0〜t1中の時刻tyにおいて、エラー報知優先順位の高い扉開放エラー報知が発生する例となっている。つまり、時刻ty〜t1中の時刻ty〜tzの間で可動体役物エラーと扉開放エラーとが重なり合うことになる。そこで演出制御部24は、このエラー報知優先順位にしたがって、エラー報知優先順位が高い扉開放エラー報知の方を優先することにし、次のように重複時のエラー報知処理をする。
(異なる種類のエラーが重複発生するときのエラー報知処理)
重複時のエラー報知に関し、画像表示演出については、可動体役物エラー報知と扉開放エラー報知との双方の警告文を、液晶表示装置36の同一画面内に画像表示する。本例では、図38(B)に示すように、可動体役物エラー報知の警告文E1として「エラー21 可動体役物エラー」を、また扉開放エラー報知の警告文E2として「エラー01 扉が開いています」を画像表示する。ここでは、液晶画面上に、エラー報知優先順位が高い扉開放エラーの警告文E1が最上段に表示され、その次に、エラー報知優先順位が低い可動体役物エラーの警告文E2が表示される例を示してある。これにより、現在発生中のエラーが、可動体役物エラーと扉開放エラーとであることが特定される。図36(B)の(c)画像表示演出の欄において、時刻ty〜tzの区間で、可動体役物エラーも扉開放エラーも共に実線で示されているのは、両者が共に画像表示される報知態様によってなされることを意味する。
また、エラー用の画像表示演出以外に液晶表示装置36で行われている演出について、
SPリーチ演出がそのまま継続して実行されるが、装飾図柄表示部Rにおける装飾図柄の変動表示や保留表示領域76、77における保留表示は、図38(B)に示すように、非表示したり、または表示優先度が低い表示としてエラー用画像表示演出によりも背面側に表示したりすることができる。
本実施形態の場合、図37(B)や図38(A)に示すように、エラー報知優先順位が相対的に低いエラーである可動体役物エラーが発生した場合、装飾図柄表示部Rにおける装飾図柄の変動表示や保留表示領域76、77における保留表示は、図38(B)に示すように、非表示とはしない。しかし、エラー報知優先順位が上位(たとえば、1番〜12番)のエラーが発生した場合、エラーを解除せずに放置すると甚大な被害が予想されるとして遊技者の注目を警告文に集めるために、図38(B)に示すように、装飾図柄表示部Rにおける装飾図柄の変動表示が非表示等となるようにしている。このように、エラー報知優先順位が相対的に高いエラーが発生した場合、遊技に関連する演出を実行する特定の表示領域を、上述のような非表示等とすることにより、画面内に表示される警告文が強調されて、認識し易くし、深刻度の高いエラーが発生していることを遊技者やパチンコホール店員に対し、効果的に報知することができる。
また音演出については、図36(B)の(b)音演出の欄において、時刻tyで、可動体役物エラーの音演出から、扉開放エラーの音演出に切り替わる。つまり、図38(A)に示す可動体役物エラーの警告音「P」から、それよりもエラー報知優先度の高い扉開放エラーの警告音メッセージ「扉が開いています」に切り替わる。
また光演出については、図36(B)の(a)光演出の欄において、時刻tyで、可動体役物エラーの光演出から、それよりもエラー報知優先度の高い扉開放エラーの光演出に切り替わる。つまり、装飾ランプ45が、図38(A)に示す可動体役物エラーの警告発光色(斜線で示す)(たとえば、全ての装飾ランプ45が200msのON/OFF繰返し間隔で白色点滅する演出)から図38(B)に示す扉開放エラーの警告発光色(ダブル斜線で示す)(たとえば、全ての装飾ランプ45が200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅)に切り替わる。
したがって、花型役物90が図38(A)に示すように液晶表示装置36の液晶画面の一部を覆って異常停止しているときに、扉開放エラーが発生した場合には、エラー報知優先順位の関係により、音演出と光演出とについては扉開放エラーに対応したエラー報知態様が実行され(たとえば、「扉が開いています」のメッセージが発声され、光演出として装飾ランプ45が扉開放エラーに対応する警告発光色で発光または点滅を行う)、可動体役物エラーのエラー報知に替えて扉開放エラーを優先発生させる。一方、画像表示演出については、双方のエラーを特定可能な情報(たとえば、図38(B)に示す「エラー01 扉が開いています」、「エラー21 可動体役物エラー」の警告文E1、E2)が表示される。
このように本実施形態では、扉開放エラーが、発生する複数種類のエラーのうちでパチンコ遊技機1に対する深刻度が相対的に高いものとして位置づけられるため、その識別を優先的なものにするべく、視覚と聴覚の点から可能にしている。したがって、異なる種類のエラーが重複して発生した場合であっても、エラー報知優先順位に基づくエラー報知態様により、複数種類のエラーを容易に識別することができるようになり、深刻度が相対的に高いエラーを容易に識別することできるようになる。また、深刻度が高いエラーから順に迅速に対処することができ、正常時の遊技動作に復帰させることも容易になる。
(エラー重複解消時のエラー報知処理)
図36(B)において、時刻tzで前枠2またはガラス扉6が閉じられると、扉開放エラーは消失する。このとき、可動体役物エラーを報知すべき全体の期間(時刻t0〜t1)は、図示していない報知期間管理カウンタによって管理され、まだ終了していないので、時刻tzで扉開放エラーが消失すると同時に、可動体役物エラーの報知が再開され、図38(A)の状態に戻る。このことは、可動体役物エラーの原因が解除されるまでエラー報知がなされることを意味し、可動体役物エラーの原因を探る上で重要なヒントとなる。詳述するに、第1のエラーに対応するエラー報知(第1のエラー報知)の実行中に、それよりもエラー報知優先順位の高い第2のエラーが発生した場合、現在実行中の第1のエラー報知を完全に中止してしまい、当該第2のエラーに係るエラー報知(第2のエラー報知)を優先実行するという構成では、第2のエラーが解除されたが、未だ第1のエラーが解除されていないケースでは、再び第1のエラーのエラー報知が実行されない。そうすると、第1のエラーが解除されていないにもかかわらず、これを知る術が無くなってしまうという問題がある。しかし本実施形態の場合、第1のエラーが解消されていなければ、当該第1のエラーのエラー報知が継続して実行される。したがって、全てのエラーが解消されない限り、未解除のエラーを対象としたエラー報知が実行されるため、エラー報知優先順位を問わず、未解除のエラーが報知することができる。
なお上記のケースでは、可動体役物エラーの発生中に、それよりもエラー報知優先順位が高い扉開放エラーが発生したケースについて説明した。しかし逆のパターンとして、図39および図40に示すように、扉開放エラーが発生中に、それよりもエラー報知優先順位が低い可動体役物エラーが発生する場合も有り得る。図39は上記逆パターンの一例を示したものであり、図40はそのエラー報知態様を示す図である。ここでは、時刻ty〜時刻tz間で扉開放エラーが発生し、時刻t0〜時刻t1で可動体役物エラーが発生したケースを示している。つまり、時刻ty〜t1中の時刻t0〜tzの間で可動体役物エラーと扉開放エラーとが重なり合うケースである。この場合も同様に、時刻ty〜t0の扉開放エラーが単独発生中は、扉開放エラーを対象としたエラー報知が実行され(図40(A))、時刻t0〜tzにおける可動体役物エラーと扉開放エラーとが重複発生中は、音演出と光演出とについては、エラー報知優先順位が高い扉開放エラーに対応したエラー報知態様が実行され、画像表示演出については、双方のエラーを特定可能な情報が表示される(図40(B))。そして、扉開放エラー解除となった時刻tzに扉開放エラーが終了し、時刻tz以降は、エラー未解除の可動体役物エラーを対象としたエラー報知が実行され、可動体役物エラーのエラーが解除される時刻t0までそのエラー報知が継続される(図39(c))。
以上のように、本実施形態では、「可動体役物エラー」と、それよりもエラー報知優先順位が高い「扉開放エラー」とが重複して発生した場合、画像表示演出によるエラー報知については、発生中のエラーを特定可能な警告文を表示させるが(ここでは、可動体役物エラーの発生と扉開放エラーの発生とが特定可能な識別情報を表示させる)、音演出と光演出については、エラー報知優先順位の高い「扉開放エラー」に対応するエラー報知を優先して実行し、可動体役物エラーに対する音演出と光演出とを中断、または実行中のエラー報知用の演出シナリオをマスクする。これにより、エラー報知に関し、音演出と光演出とについては扉解放エラーに対応するものが、画像表示演出については、扉解放エラーと可動体役物エラーとが発生中である旨を特定可能な情報が報知されることになる。
ところで、主制御部20から送信するエラーコマンドに優先順位を設けてエラー処理を実行する構成とすることができるが、この場合、メインエラーに対してのみ優先順位が設定されており、サブエラーに対しては優先順位が設けられていないため、サブエラーの報知が有効的に実行されないという問題が生じうる。しかし、本実施形態の場合、主制御部20から演出制御部24に送信されるエラーコマンドに対して優先順位を設けるだけでなく、メインエラーに属するエラーとサブエラーに属するエラーとを含む全てのエラーに対して優先順位を設けている。これにより、エラーコマンドに対応したエラー報知、すなわちメインエラーに属するエラーに対応したエラー報知のみが実行されたり、エラーコマンドに対応していないエラー報知、すなわちサブエラーに属するエラーに対応したエラー報知が実行されなかったりする問題は発生しない。したがって、サブエラーを含めた全てのエラーに対するエラー報知を実行することができる。
なお上記では、可動体役物エラーと扉開放エラーとを例にとって説明したが、他のエラー間においても、上記と同様の処理を適用することができる。たとえば、本実施形態のパチンコ遊技機1に規定されている上記の種々のエラー((1−1)RAMクリアエラー〜(1−14)球詰りエラー、(2−1)可動体役物エラー〜(2−3)演出基板エラー)や、図35に示した一般に取り扱われる可能性のあるエラーに対して、同図に示すようにエラー報知優先順位を予め設定することで、エラー間のエラー報知優先順位に基づいて遊技に関して最も深刻度の高いエラーをエラー用音演出、エラー光演出で報知し、その他のエラーを含め全てのエラーをエラー用画像表示演出で報知することができる。
また上記では、可動体役物エラー(エラー報知順位17番)と扉開放エラー(エラー報知順位12番)との2つのエラーが発生した場合を例にとって説明したが、これら2つのエラーが発生している際に、他のエラーが発生し続けた場合にも、エラー報知優先順位に基づくエラー報知が実行される。たとえば、可動体役物エラーと扉開放エラーの2つのエラーの発生中に、さらに、球詰りエラー(エラー報知順位22番)が発生して、3つのエラーが重複発生した場合には、これら3つのエラーのうち、エラー報知優先順位が最も高い扉開放エラーのエラー報知が、他の2つのエラー報知よりも優先して実行されることになる。すなわち、音演出と光演出については扉開放エラー報知が優先して実行され、画像表示演出については、可動体役物エラーの警告文と、扉開放エラーの警告文と、球詰りエラーの警告文の3種類の警告文が表示される。この状態で(3つのエラー発生中)、さらに、扉開放エラーよりもエラー報知優先順位の高い「大入賞口不正入賞エラー」が発生した場合は、大入賞口不正入賞エラー報知が優先して実行される。すなわち、音演出と光演出については大入賞口不正入賞エラー報知が優先して実行され、画像表示演出については、動体役物エラーの警告文と、扉開放エラーの警告文と、球詰りエラーの警告文の3種類の警告文と、大入賞口不正入賞エラーの警告文とが表示される。
<主制御部側の処理:図7〜図23>
次に図7〜図23を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、主に、所定のメイン処理(主制御側メイン処理:図7)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図8)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図7>
図7は、主制御部20側のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理が開始されるのは、停電状態からの復旧時のように初期化スイッチ(図示せず)が操作されることなく電源がON状態になる場合と、初期化スイッチがON操作されて電源がON状態になる場合とがある。いずれの場合でも、パチンコ遊技機1に電源が投入されると、図示しない電源制御基板によって各制御基板に電圧が供給され、主制御部20(CPU201)が図7に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、CPU201は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。たとえば、最初に自らを割込み禁止状態に設定すると共に、所定の割込みモード(割込みモード2)に設定し、またマイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値を初期設定する。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号であるRAMクリア信号の状態(ON、OFF)を判定する(ステップ012)。ここでRAMクリア信号とは、RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、パチンコ店の店員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
ここでは、RAMクリア信号がON状態であったと仮定すると、ステップS012の判定結果が 'YES'となり、RAMの全領域がゼロクリアされる(ステップS016)。したがって、電源遮断時にセットされたバックアップフラグの値は、他のチェックサム値などと共にゼロとなる。
次に、RAM領域がゼロクリアされたことを報知するための「RAMクリア表示コマンド」を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS017)。そして、RAMクリア報知タイマに、RAMクリアされた旨を報知するための時間として、たとえば、30秒を格納する(ステップS018)。なお、RAMクリアが実行されると遊技状態が初期化され、内部遊技状態は通常遊技状態、変動パターン振分指定番号(Tcode)))は通常状態を指定する00Hとなる。また演出制御部24が上記RAMクリア表示コマンドを受けると、RAMクリアされた旨を報知する初期化報知演出を、上記RAMクリア報知タイマ(30秒)が経過するまで実行し、RAMクリア後の初期状態の演出モードとして、演出モードを通常状態下の通常演出モードに設定するようになっている。
次に、タイマ割込み動作を起動する割込み信号を出力するCTCを初期設定して(ステップS019)、CPUを割込み許可状態に設定する。
その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。この各種乱数更新処理(ステップS021)では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している大当り抽選に係る乱数(図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数)や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数))の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数を更新する。
本実施形態のRAM203には大当り抽選に係る図柄抽選、補助当り抽選、または変動パターン抽選などに利用される各種の乱数カウンタとして、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、特別図柄判定用乱数カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタ、補助当り判定用乱数カウンタ、変動パターン用乱数カウンタ、などが設けられている。これらのカウンタは、ソフトウェア的に乱数を生成する乱数生成手段としての役割を果たす。ステップS021の各種乱数更新処理では、上述の特別図柄判定用乱数カウンタや補助当り判定用乱数カウンタの初期値を生成する2つの初期値生成用カウンタ、変動パターン用乱数カウンタなどを更新して、上記各種のソフト乱数を生成する。たとえば、変動パターン用乱数カウンタとして取り得る数値範囲が0〜238とすると、RAM203の変動パターン用乱数の値を生成するためのカウント値記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元のカウント値記憶領域に格納する。このとき、取得した値に1を加算した結果が239であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に格納する。他の初期値生成用乱数カウンタも同様に更新する。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理を繰り返し実行するようになっている。
ステップS012の判定処理に戻って説明を続けると、停電状態からの復旧時には、初期化スイッチ(RAMクリア信号)はOFF状態である(ステップS012:YES)。そこで、このような場合、ステップS012の判定処理に続き、バックアップフラグ値を判定する(ステップS013)。なお、バックアップフラグは、電源遮断時にON状態(バックアップフラグ=5AH( '**H'は任意の16進数の意)に設定され、電源復帰後の最初のタイマ割込み処理の処理でOFF状態(バックアップフラグ=00H)にリセットされるよう構成されている。
したがって、電源投入時や停電状態からの復旧時である場合には、通常では、バックアップフラグがON状態のはずである。ただし、何らかの理由で電源遮断までに所定の処理が完了しなかったような場合には、バックアップフラグはリセット(OFF)状態になる。したがって、バックアップフラグがOFF状態となる場合には(ステップS013:NO)、ステップS016の処理に移行させて遊技機の動作を初期状態に戻す。
一方、バックアップフラグがON状態であれば(ステップS013:YES)、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行する。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。そして、チェックサム値が算出されたら、この演算結果を、RAM203のSUM番地の記憶値と比較をする(ステップS014)。上記SUM番地には、電源遮断時に、同じチェックサム演算によるチェックサム値が記憶されている。そして、記憶された演算結果は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持されている。したがって、本来は、ステップS014の判定によって両者が一致するはずである。
しかし、電源遮断時にチェックサム演算が実行できなかった場合や、実行できても、その後、メイン処理のチェックサム演算の実行時までの間に、ワーク領域のデータが破損している場合もあり、このような場合にはステップS014の判定結果は不一致となる。判定結果の不一致によりデータ破損が検出された場合には(ステップS014:NO)、ステップS016の処理に進みRAMクリア処理を実行し、遊技機の動作状態を初期状態に戻す。一方、チェックサム演算によるチェックサム値と、SUM番地の記憶値とが一致する場合には(ステップS014:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を行う(ステップS015)。また遊技復旧処理では、バックアップ情報から遊技復旧のための所定の情報を取得し(電源遮断時における、特図1・特図2作動保留球数や変動パターン振分指定番号(Tcode)や内部遊技状態情報など)、その情報を含ませた各種の演出制御コマンド(電源復帰用コマンド)を演出制御部24に送信する。これにより演出制御部24に電源遮断時の遊技進行状態を知らせて、遊技復旧時には、電源遮断時の演出状態に復帰させる。
ステップS015の遊技復旧処理を終えると、ステップS019の処理に進み、CTCを初期設定してCPUを割込み許可状態に設定し、その後は、割込みが発生するまで割込禁止状態と割込許可状態とを繰り返すとともに、その間に、上述した各種乱数更新処理を実行する(ステップS020〜S022)。
<7.主制御側タイマ割込処理:図8>
次に図8を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図8は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。以下では説明の便宜上、CPU201がRAMやROMなどのメインメモリを読み書きする際のアドレス値(そのアドレスに記述されているデータ類を含む)やプログラム上の演算処理により得られた結果情報などを、CPU内蔵のレジスタ内に読み込んだり取り込んだりするなどの処理を「取得」と称し、またCPU201がRAMのワーク領域にアクセスして、所定のデータを記憶させることを「格納」と称する場合がある。
図8において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後、まず電源制御基板からの電源の供給状態を監視する電源異常チェック処理を行う(ステップS051)。この電源異常チェック処理では、主に、電源が正常に供給されているかを監視する。ここでは、たとえば、電断が生じるなどの異常が発生した場合、電源復帰時に支障なく遊技を復帰できるように、電断時における所定の遊技情報をRAMに格納するバックアップ処理などが行われる。
次いで、遊技動作制御に用いられるタイマを管理するタイマ管理処理を行う(ステップS052)。パチンコ遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマ(たとえば、後述の特別図柄役物動作タイマなど)のタイマ値はここで管理(更新)される。
次いで、入力管理処理を行う(ステップS053)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を入賞カウンタに格納する。ここでの各種センサによる検出情報とは、たとえば、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、下大入賞口センサ42a、右大入賞口センサ52a、一般入賞口センサ43aなどの入賞検出スイッチから出力されるスイッチ信号のON/OFF情報(入賞検出情報)である。これにより、各入賞口において遊技球を検出(入賞が発生)したか否かが割込みごとに監視される。なお上記「入賞カウンタ」とは、各々の入賞口ごとに対応して設けられ、入賞した遊技球数(入賞球数)を計数するカウンタである。本実施形態では、RAM203の所定領域に、上始動口34用の上始動口入賞カウンタ、下始動口35用の下始動口入賞カウンタ、普通図柄始動口37用の普通図柄始動口入賞カウンタ、下大入賞口40用の大入賞口入賞カウンタ、右大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ、一般入賞口43用の一般入賞口用の入賞カウンタなどが設けられている。
またこの入力管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、入賞検出スイッチからの検出情報が入賞を許容すべき期間中に入賞したか否かに基づいて、不正入賞があったか否かを監視している。たとえば、可動翼片47が作動中でないにもかかわらず下始動口センサ35aが遊技球を検出したり、大当り遊技中(大入賞口有効入賞期間内)でないにもかかわらず、大入賞口センサ42aまたは52aが遊技球を検出したりした場合は、これを不正入賞とみなし、その旨を外部に報知するべく、後述のエラー管理処理(ステップS055)において、所定のエラー処理が実行されるようになっている。上記不正入賞に関するエラーとしては、たとえば、図33の大入賞口不正入賞エラーや下大入賞口不正入賞エラーが該当する。なお不正入賞を検出した場合には、その検出情報を無効とし、賞球の払い出しを無効扱いとすることができる。これにより、不正入賞による賞球を有効に防止することができる。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新するタイマ割込内乱数管理処理を行う(ステップS054)。この定期乱数更新処理では、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値を変更する処理を行う。たとえば、特別図柄判定用乱数カウンタの値を所定範囲で更新(+1加算)し、特別図柄判定用乱数カウンタが1周するごとに、特別図柄判定用乱数カウンタ初期値の生成用カウンタの値を読み出し、その生成用カウンタの値を特別図柄判定用乱数カウンタに格納する。これにより、特別図柄判定用乱数カウンタのスタート値が上記の生成用カウンタの値に応じて変更されるので、更新周期は一定でありながらも特別図柄判定用乱数カウンタのカウント値はランダムになる。
次いで、遊技動作状態の異常の有無を監視するエラー管理処理を行う(ステップS055)。このエラー管理処理は、遊技機に異常が生じたか否かを判定する異常判定手段としても機能し、遊技動作状態の異常を監視し、動作異常(メインエラー)が発生した場合には、エラー処理を行う。エラー種別に応じたエラー処理が行われる。エラー処理としては、たとえば、所定の遊技動作(たとえば、遊技球の払い出し動作や遊技球の発射動作など)を停止状態としたり、エラー報知動作を実行させるべく、エラー種別に対応したメインエラーコマンドを演出制御部24に送信したりする。
また、エラー管理処理では、上記した下始動口35や大入賞口40、50を対象とした不正入賞に関するエラー報知処理の他、不正検出センサ99(磁気センサ、電波センサ、または振動センサ)からの検出情報や払出制御基板29からの状態信号(開閉状態信号、満杯検出信号、補給切れ信号、払出不足エラー信号、賞球計数信号など)に基づいて不正行為を検出し、そのメインエラー(磁気センサエラー、電波センサエラー、振動センサエラー、扉開放エラー、球詰りエラー、補給切れエラー、払出不足エラーなど)を対象としたエラー処理(エラー解除条件が満たされた場合、現在発生中のエラーを解除するためのエラー解除処理(たとえば、上記エラー解除コマンド送信)を含む)が実行される。
次いで、賞球管理処理を行う(ステップS056)。この賞球管理処理では、上記入力管理処理で格納したデータを把握して、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞があった場合は、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板(払出制御部)29に送信する。この払出制御コマンドを受信した払出制御基板29は、遊技球払出装置19を制御し、指定された賞球数の払い出し動作を行わせる。これにより、それぞれの入賞口に対応した賞球数(入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの所定の賞球数×入賞カウンタの値分の賞球数)が払い出されるようになっている。なお、エラー中であっても入賞球が検出された場合、払出制御コマンドが払出制御基板29に送信される。
次いで、普通図柄管理処理を行う(ステップS057)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したり、所定時間毎に点滅を繰り返す普通図柄のデータ(普通図柄変動中のLED点滅表示用データ)を作成し、普通図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(普通図柄停止表示中のLED点滅表示用データ)を作成したりする。なお普通図柄管理処理は、補助遊技抽選手段、普通図柄の変動表示動作を制御する普通図柄表示手段(普通図柄表示制御手段)として機能する。
次いで、普通電動役物管理処理を行う(ステップS058)。この普通電動役物管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS057)の補助当り抽選の抽選結果に基づき、普電開放遊技発生に必要な普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用の励磁信号の生成およびそのデータ(ソレノイド制御データ)の設定を行う。ここで設定されたデータに基づき、後述のソレノイド管理処理にて、励磁信号が普通電動役物ソレノイド41cに対して出力され、これにより可動翼片47の動作が制御される。なお普通電動役物管理処理は、補助当り制御手段として機能する。
次いで、特別図柄管理処理を行う(ステップS059)。この特別図柄管理処理(大当り判定手段)では、主に、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選を行い、その抽選結果に基づいて、特別図柄の変動パターン(先読み変動パターン、変動開始時の変動パターン)や特別停止図柄などを決定する。なお、特別図柄管理処理の詳細は図9にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を行う(ステップS060)。この特別電動役物管理処理では、主に、大当り抽選結果が「大当り」または「小当り」であった場合、その当りに対応した当り遊技を実行制御するために必要な設定処理を行う。なお、特別電動役物管理処理の詳細は図22にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を行う(ステップS061)。この右打ち報知情報管理処理では、「電サポ有り状態」の高ベース遊技状態が生起する遊技状態である場合、右打ち指示情報(右流下経路3cを狙う旨を指示する情報(普通図柄始動口37に入賞を促す指示情報))を報せる「発射位置誘導演出(右打ち報知演出)」を現出させるための処理を行う。ここでの右打ち指示情報は、たとえば、液晶表示装置36に「右打ち」を遊技者に促す画像を表示したり(たとえば、「右打ちせよ」の文字表示)、スピーカ46から右打ちを促す効果音(たとえば、「右打ちしてね」の音声)を発生させたりする。この右打ち情報が報知されるケースとしては、電サポ有り状態下において遊技者が誤って発射位置を左流下経路3b側に狙いを定めていると推定されるケースで、電サポ有り状態下において、上始動口34に入賞が発生した場合や、所定時間経過しても普通図柄始動口37へ入賞が発生しない場合などが挙げられる。このような場合、この右打ち報知情報管理処理において、上記発射位置誘導演出の開始を指示する「右打ち指示コマンド」が演出制御部24に送信され、このコマンドを受けて、演出制御部24が上記発射位置誘導演出を現出制御する構成となっている。
次いで、LED管理処理を行う(ステップS062)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39aや特別図柄表示装置38a,38bに対して表示データを出力する。これにより、普通図柄や特別図柄の変動表示および停止表示が行われる。なおステップS057の普通図柄管理処理で作成された普通図柄の表示データや、ステップS059の特別図柄管理処理中の特別図柄表示データ更新処理(後述の図9のステップS309)で作成される特別図柄の表示データは、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を行う(ステップS063)。この外部端子管理処理では、枠用外部集中端子基板21を通して、パチンコ遊技機1の動作状態情報をホールコンピュータHCや島ランプなどの外部装置に対して出力する。動作状態情報には、大当り遊技が発生した旨(条件装置が作動した旨)、小当り遊技が発生した旨、図柄変動表示ゲームが実行された旨、入賞情報(始動口や大入賞口に入賞した旨や賞球数情報)、特定のエラー発生情報(たとえば、ゴト行為を対象とする、大入賞口不正入賞エラー、磁気・振動・電波エラーなど)などの各種情報が含まれる。なおゴト行為に関する特定のエラー発生情報を遊技機外部に送信することにより、パチンコホールの監視システムやパチンコホール店員に対しゴト行為が発生した旨を効果的に知らせることができる。
次いで、ソレノイド管理処理を行う(ステップS064)。このソレノイド管理処理では、ステップS058の普通電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく普通電動役物ソレノイド41cに対する励磁信号の出力処理、ステップS060の特別電動役物管理処理で作成されたソレノイド制御データに基づく大入賞口ソレノイド52cに対する励磁信号の出力処理を行う。これにより、可動翼片47や開放扉52bが所定のパターンで動作し、下始動口35や右大入賞口50が開閉される。
以上のステップS051〜ステップS064の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させて(レジスタ復帰処理)、割込み許可状態に設定する(ステップS065)。これにより、タイマ割込処理を終了して、割込み前の上記主制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を行う。
(8.特別図柄管理処理:図9)
次に、図8中の特別図柄管理処理(ステップS059)について説明する。図9は、ステップS059の特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図9において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する特図1始動口チェック処理を行い(ステップS301)、次いで、特別図柄2側(下始動口35側)に関する特図2始動口チェック処理を行う(ステップS302)。なお、特図1始動口チェック処理と、特図2始動口チェック処理の詳細は図10〜図11で後述する。
ステップS301〜S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H〜03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を行う(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306〜S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない(特別図柄表示装置の特別図柄の表示状態は、小当り後または大当り後に確定表示されたままの状態が保持されている)。なお「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別図柄動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する処理を実行する。
具体的には、特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」である場合には、特別図柄変動開始処理(ステップS306)を、「変動中(02H)」である場合には、特別図柄変動中処理(ステップS307)を、「確認中(03H)」である場合には、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)を実行する。ここで上述の「待機中」とは、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を示し、「変動中」とは特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を示し、上記「確認中」とは特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を示す。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお上記の特別図柄変動開始処理(ステップS306:図12)、特別図柄変動中処理(ステップS307:図14)、および特別図柄確認時間中処理(ステップS308:図15A〜図15B)の詳細は、後述する。
上記ステップS306〜S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間(たとえば0.5秒)毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(特別図柄変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(特別図柄停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図8のLED管理処理(ステップS62)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。これにより特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−1.特図1始動口チェック処理:図10)
まず、特図1始動口チェック処理(図9のステップS301)について説明する。図10は、上記のステップS301の特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム1を実行させるための開始前処理として、上始動口34の入賞発生に起因した特図1側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などが行われる。なお後述の特図2始動口チェック処理(図10のステップS302)も特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理(特図2側の入賞時処理)として、下始動口35の入賞発生に起因した特図2側の作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、および保留加算コマンドの作成処理などが行われ、次に述べる特図1始動口チェック処理と実質的に同一の処理内容となっている。
図10において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特別図柄1の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特別図柄1に係る作動保留球(以下、「特図1作動保留球」と称する)の数が最大保留記憶数(ここでは、上限4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
上始動口34の入賞を検出したが特図1作動保留球数が4以上である場合(ステップS312:YES)、後述のステップS320の処理に進み、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値をRAM203の保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア〜保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている(保留記憶順番は、保留1記憶エリア、保留2記憶エリア、・・・、保留n−1記憶エリア、保留n記憶エリアの順に格納されるようになっている)。
なお上記各種乱数のうち、特別図柄判定用乱数および変動パターン用乱数は、それぞれに対応したソフトウェア的に乱数を生成する乱数カウンタから抽出される。これら乱数カウンタの乱数値は、RAM203に設けられた各々に対応したカウント値記憶領域において、間欠的に生じる割込み処理と割込み処理の間に実行されるメイン処理において乱数的に更新されているので、その値がそのまま取得されるようになっている。
他方、大当り判定用乱数値は、ハードウェア的に乱数を生成する乱数生成回路(大当り判定用乱数カウンタ)から抽出される。この乱数生成回路は、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aから遊技球の検出信号が入力されると、このタイミングにおけるカウント値をラッチして、そのカウント値がマイクロコンピュータに入力されるようになっている。CPU201は、このカウント値を大当り判定用乱数値として、RAM203の保留記憶エリアと別個に設けられたRAM203の大当り判定用乱数値用の記憶領域(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納し、必要なタイミングで、その特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファに格納された大当り判定用乱数値を読み出し利用する。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「01H」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず(ステップS315の処理により保留加算コマンドが先読み禁止を指定するものとなる)、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS316:YESの処理ルート参照)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、 '電サポ有り状態'を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が確変状態中である場合に、特別図柄1側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ有り状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄1側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
第1の理由としては、'電サポ有り状態 '下に置かれた場合は、下始動口35への入賞率が通常遊技状態よりも著しく向上し得る「高ベース遊技状態(可動翼片47の作動率向上状態:補助当りの当選確率が256分の255となり、開放延長機能が作動する)」となるため、遊技者が普通図柄始動口37へ入賞させるように発射位置を狙い定めた場合(右流下経路3cを遊技球が通過するように狙いを定めた場合)、特別図柄2に係る作動保留球数(以下、「特図2作動保留球」と称する)が頻繁に発生するものと推定される。これに対し、電サポ無し状態下に置かれた場合は、可動翼片47の作動率が低い「低ベース遊技状態(補助当りの当選確率が256分の1となり、開放延長機能が未作動となる)」となり、また本実施形態では、遊技くぎなどの落下方向変換部材に起因して、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっており、遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合には、特に不利益をもたらす、という遊技性となっている。このため、電サポ有り状態中に遊技者が左流下経路3b側を遊技球が通過するように発射位置を定めることはないものと推定され、特図1作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、そのような発生率の低い特図1作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
また第2の理由としては、技術介入性の問題がある。技術介入性の問題が生じる例としては、現在、特図1作動保留球を対象とした何らかの先読み予告演出(特に、大当り当選期待度が高い先読み予告演出)だけが発生した場合、遊技者がこれを認識すれば、特図2作動保留球を途切れないようにして優先変動側である特別図柄変動表示ゲーム2を継続的に実行させることで、特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選の恩恵を最大限受けながらゲームを進行させていくことができてしまう。本実施形態では、特別図柄1側の図柄抽選を受けるよりも特別図柄2側の図柄抽選を受けた方が、利益の高い「12R長開放確変大当り」や「16R長開放確変大当り」が高確率で当選するようになっている(詳細は後述する)。このため、特別図柄1側(特別図柄変動表示ゲーム1側)の大当り抽選を受けるよりも特別図柄2側(特別図柄変動表示ゲーム2側)の大当り抽選を受ける方が、遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。これを利用し、特図1作動保留球の大当り当確が判明している場合には、電サポ有り状態が終了するまで特別図柄2側の大当り抽選の恩恵を最大限受けた後、その当選に係る特図1作動保留球を消化させて容易に大当りを得る、といった技術介入性の問題が生じ、遊技者間の不平等を招来する。
そこで本実施形態では、上記のような問題点に鑑み、特図1側と特図2側の先読み判定を禁止する区間(先読み禁止状態)を、遊技状態に応じて切り替え制御可能に構成されている。詳しくは、主制御部20は、第1の先読み判定手段(たとえば、特図1側の先読み判定処理:後述の図10のS317〜S323に相当する)による先読み判定を禁止して第2の先読み判定手段(たとえば、特図2側の先読み判定処理:後述の図11のS337〜S343に相当する)による先読み判定を許容する「第1の先読み禁止状態(たとえば、電サポ有り状態中の場合)」と、第2の先読み判定手段による先読み判定を禁止し、第1の先読み判定手段による先読み判定を許容する「第2の先読み禁止状態(たとえば、電サポ無し状態中の場合)」とを、所定の条件(たとえば、現在の内部遊技状態、または電サポ状態の有無)に基づき切替制御する '先読み禁止状態制御手段'としての機能部を備えている。
再びステップS316の説明に戻り、特図1先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317〜S324)は行わずに、ステップS320の処理に進む。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS316:NO)、ステップS317の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS317)。この乱数判定処理は、この乱数判定処理は、 '先読み判定'処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球(ここでは、特図1側)に係る「当落抽選」を事前に判定する '先読み判定(先読み当落判定)'を行う。
ステップS317の乱数判定処理に入ると、まずRAM203(特別電動役物作動判定用乱数ラッチバッファ)に格納された大当り判定用乱数値を取得し、次いで、特図1用当り乱数判定テーブルを取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(大当り、小当り、およびハズレの別の判定)、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(後述の図12のS409参照)」の抽選結果(変動開始時の当落抽選結果)を先読み判定する。
(T−1.当り乱数判定テーブル)
上記当り乱数判定テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る「特図1用当り乱数判定テーブル(図示せず)」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「特図2用当り乱数判定テーブル(図示せず)」とが含まれる。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)と低確率状態(低確))別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、大当り、小当り、またはハズレのいずれかが決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合(大当り判定用乱数値が同じ値)であっても、現在の大当り抽選確率状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」といったように当落種別が異なる場合がある。本実施形態の大当り当選確率は、低確率状態では約1/397で、高確率状態ではそれよりも10倍程度上昇した約1/39.7で大当りに当選するようになっており、小当りの当選確率は、大当り抽選確率状態にかかわらず、約1/200となっている。つまり、小当りの当選確率は大当り抽選確率状態にかかわらず一定であり、この点、大当り抽選確率状態により当選確率が変動する上記の大当りと性格を異にする。
この当落抽選(先読み当落判定)により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH(大当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選(大当り判定フラグがOFF状態)」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH(小当り判定フラグがON状態)」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選(小当り判定フラグがOFF状態)」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は 'ハズレ(大当り判定フラグおよび小当り判定フラグがOFF状態)'となる。
なお特別図柄変動表示ゲーム2による当落抽選(後述の特図2始動口チェック処理中のステップS337(図11参照))では、別途設けた上記「特図2用当り乱数判定テーブル」を利用した抽選が行われる。本実施形態の特図2用当り乱数判定テーブルにおいては、大当り当選の判定領域は同じ(大当りの当選確率は同じ)であるが、小当り当選となる判定値自体を定めていない。すなわち、特別図柄変動表示ゲーム1では、大当り、小当り、およびハズレが当落抽選対象とされるが、特別図柄変動表示ゲーム2では、大当りとハズレだけが当落抽選対象とされる。勿論、特図2用当り乱数判定テーブルについても、小当りを当落抽選対象として定めても良い。
上記したステップS317の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS318)。この特別停止図柄データ作成処理は、 '先読み判定'処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「図柄抽選」を事前に判定する '先読み判定(先読み図柄判定:(当り(当選)種別の先読み判定))'を行う。
ステップS318の特別停止図柄データ作成処理に入ると、まずステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果を取得し、この当落抽選結果(大当り、小当り、ハズレの別)に応じた図柄テーブル(後述の大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、またはハズレ図柄テーブル:図示せず)を選択する。そして、ステップS314で取得した特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別停止図柄作成処理(後述の図11のS410参照)」の抽選結果(変動開始時の図柄抽選結果)を先読み判定する。
(T−2.図柄テーブル)
上記の各図柄テーブルには、「特別図柄判定用乱数値(特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)」と、当選種別を決定するための判定領域(判定値)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
上記「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、本実施形態の場合、2R短開放潜確大当り、2R短開放非確変大当りA、2R短開放非確変大当りB、5R長開放確変大当り、5R長開放非確変大当り、12R長開放確変大当り、12R長開放非確変大当り、16R長開放確変大当り、小当りA〜B、ハズレ(ハズレが複数種類ある場合は、そのハズレ種別:たとえば、ハズレA〜C)のいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図12のステップS411の遊技状態移行準備処理、ステップS412の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図6の特別電動役物管理処理(ステップS060))において利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の「停止図柄種」を特定する際に利用される。
(T−2−1.大当り図柄テーブル)
本実施形態の大当り図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「大当り図柄テーブル1」と特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「大当り図柄テーブル2」とが含まれる。各大当り図柄テーブルには、特別図柄判定用乱数値と、大当り種別を決定するための判定値とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、複数種類の大当りのうちからいずれか一つの大当りが決定されるようになっている。
上記大当り図柄テーブル1では、たとえば、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜9の範囲に属する場合には「2R短開放潜確大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):10/200)、判定値20〜29の範囲に属する場合は「2R短開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率(図柄抽選確率):10/200)、判定値80〜149の範囲に属する場合は「5R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:70/200)、判定値150〜159の範囲に属する場合は「5R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:20/200)、判定値160〜189の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:30/200)、判定値190〜199の範囲に属する場合には「12R長開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:10/200)、大当り種別が所定の図柄選択率で決定され、これに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。
また上記大当り図柄テーブル2は、上述の大当り図柄テーブル1と基本的な構成は同じであるが、大当り図柄テーブル1と次の点が異なる。大当り図柄テーブル2では、大当り図柄テーブル1と比較し、特定の大当りの図柄選択率(図柄抽選確率)が異なる。具体的には、特別図柄判定用乱数値が判定値0〜39の範囲に属する場合には「2R短開放非確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値41〜80の範囲に属する場合には「12R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:40/200)、判定値80〜199の範囲に属する場合には「16R長開放確変大当り」当選となり(図柄選択率:120/200)、「5R長開放確変大当り」、「5R長開放非確変大当り」、および「2R短開放非確変大当り」が当選となる判定値が存在しない構成となっている。つまり、大当り図柄テーブル1による図柄抽選よりも大当り図柄テーブル2による図柄抽選の方が相対的に高い利益の大当りの種類が選択される確率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。特に、電サポ有り状態下では、下始動口35側の入賞確率が飛躍的に向上して特別図柄変動表示ゲーム2の実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、図柄抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態とされる。
(T−2−2.小当り図柄テーブル)
本実施形態の小当り図柄テーブルは、特別図柄変動表示ゲーム1と特別図柄変動表示ゲーム2とで兼用され、上記の大当り図柄テーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、小当り種別(小当りA〜Bのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。なお小当りA〜Cの図柄選択率は、自由に設定することができるが、図柄選択確率の関係が「小当りA≦(または<)小当りB」の関係であることが好ましい。その理由は、次の通りである。小当りAが最もCZ継続回数が少ない2回に設定され、CZ期間が最も短くなることから、たとえCZに移行しても潜確状態への緊張感がすぐに終ってしまい、CZ中の面白みに欠ける。このため、小当りAを相対的に高い図柄選択率とするよりも、潜確状態が確定しうるCZ継続回数4回に近い回数が設定される小当りBの図柄選択率を高める方が、潜確状態への緊張感を持続させ、CZ中の面白みを向上させる上で効果的だからである。
(T−2−3.ハズレ図柄テーブル)
本実施形態のハズレ図柄テーブルには、特別図柄変動表示ゲーム1に係る特図1用の「ハズレ図柄テーブル1」と、特別図柄変動表示ゲーム2に係る特図2用の「ハズレ図柄テーブル2」とが含まれる。
上記ハズレ図柄テーブル1、2は、上記の大当り図柄テーブルや小当りテーブルの構成と同じように、特別図柄判定用乱数値がいずれかの判定領域(判定値)に属するか否かにより、ハズレ種別(たとえば、ハズレA、ハズレBのいずれか)が所定の図柄選択率で決定され、またこれに対応する特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が決定されるようになっている。なお、ハズレ図柄テーブル1とハズレ図柄テーブル2とは、ハズレA〜Bの当選に係る判定値が異なっており、したがって特別図柄判定用乱数値が同じ値であっても、ハズレ図柄テーブル1が参照される場合と、ハズレ図柄テーブル2が参照される場合とでは、当選となるハズレ種別が異なる場合がある。本実施形態では、ハズレAの当選確率よりもハズレBの当選確率の方が低く定められており、たとえば、ハズレAが当選した場合よりもハズレBが当選した場合の方が、SPリーチが選択される割合が高まるようになっている。
上記したステップS318の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理も、上記乱数判定処理(ステップS317)や特別停止図柄データ作成処理(ステップS318)と同じく、 '先読み判定'処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球に係る「変動開始時の変動パターン」を事前に判定する '先読み判定(先読み変動パターン判定'を行う。
上記始動口入賞時乱数判定処理に入ると、ステップS317の乱数判定処理で得られた当落抽選結果と、ステップS318の特別停止図柄データ作成処理で得られた '図柄抽選'結果と、ステップS314の処理で取得された '変動パターン用乱数'とを利用し、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターン、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図12のS412参照)」の結果(変動開始時の変動パターン内容)を先読み判定する。そして、その先読み判定結果に基づいて、後述の「保留加算コマンド」の作成に利用される入賞コマンドデータ(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成処理を行う。この始動口入賞時乱数判定処理において決定される入賞コマンドデータ(EVENT)により、先読み変動パターン(保留球数情報は除く)の内容が指定される。なおステップS317の乱数判定処理〜ステップS319の始動口入賞時乱数判定処理が '先読み当り判定'に係る処理となる。
ステップS323の始動口入賞時乱数判定処理を終えると、先読み判定時の作動保留球数を指定する上位バイト(MODE)側の入賞コマンドデータと、先読み変動パターンを指定する下位バイト(EVENT)側の入賞コマンドデータとから構成される「保留加算コマンド」を作成し(ステップS320)、これをRAM203に格納することなく、演出制御部24に送信する(ステップS326)。これにより、特図1始動口チェック処理を抜けて、続いて図11のステップS302の特図2始動口チェック処理を行う。
上記保留加算コマンドは、2バイトの制御データで構成される。具体的には、作動保留球数と特別図柄種別(特別図柄1および特別図柄2)とに応じて作成される上位バイト(1バイト目(MODE)の「BXH(たとえば、B6H〜B9Hは、特別図柄1の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応し、BBH〜BEHは特別図柄2の作動保留球数1〜4個にそれぞれ対応する)」)と、ステップS316の始動口入賞時乱数判定処理で作成される下位バイト(2バイト目(EVENT)の「XXH(XXはコマンドごとに対応する数値)」で、先読み変動パターンの内容に対応する)とから構成される(図5参照)。したがって、この保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS315〜S317)において得られた先読み判定結果情報、具体的には、先読み変動パターンを特定しうる情報が含まれる。ただし、下位バイト((EVENT))値が特定の値(たとえば、「01H」)の場合は、先読み禁止が指定される。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報に基づく先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、その抽選結果により実行可と決定された場合(先読み予告抽選に当選した場合)、図柄変動表示ゲームの開始と共に、またはそのゲーム中の所定のタイミングで、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出を現出させる。また演出制御部24は、保留加算コマンドを受けた場合、先読み予告演出を現出させるか否かにかかわらず、始動口に入賞があった旨を報知する「入賞演出」を現出させることができる。
なお、作動保留球数が4以上の場合に新たな入賞があった場合にもオーバーフロー(overflow)入賞時の保留加算コマンド(以下、「OF保留加算コマンド」と略す)が作成され、演出制御部24に送信されるようになっている。
上記「OF保留加算コマンド」は、オーバーフローの作動保留球であるため、先読み判定には利用されずに、専ら上述の「入賞演出」に利用されるが、以下のような演出を現出させるように構成することができる。
たとえば、演出制御部24が上記OF保留加算コマンドを受信した場合において、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時保留内予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、保留加算コマンドを受信した場合、これに含まれる先読み判定情報を記憶する先読み判定情報記憶手段と、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の作動保留球の中に「大当り(小当りを含んでも良い)」となるものが存在している場合、大当りの可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)保留内予告演出手段と、を含むことができる。
また、現在実行中の図柄変動表示ゲームの結果が「大当り(小当りを含んでいても良い)」である場合、その旨を報知する予告演出(OF入賞時変動中予告演出)を現出可能に構成しても良い。この場合、演出制御部24は、OF保留加算コマンドを受信した場合、現在の図柄変動に係るゲーム結果が「大当り(小当りを含んでも良い)」の可能性がある旨を報知する(所定の報知抽選により報知するか否かを決定しても良い)変動中予告演出手段を含むことができる。
斯様なOF保留加算コマンドによる予告演出は、オーバーフロー入賞の発生を契機に現出されるオーバー入賞演出に準ずるものであるが、未だ最終結果が導出されていない図柄変動表示ゲームの結果を先読み的に報知するという点で、先読み予告演出と同じ役割を果たす。
(8−2.特図2始動口チェック処理:図11)
次、特図2始動口チェック処理(図9のステップS302)について説明する。図11は、特図2始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
上記特図2始動口チェック処理は、特図1始動口チェック処理と同じく、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、ここでは、特別図柄変動表示ゲーム2を実行させるための開始前処理として、先に述べた特図1始動口チェック処理の流れと同じように、作動保留球数の加算処理、各種乱数の記憶処理、保留加算コマンドの作成処理などの処理が行われる。以下、上記特図1始動口チェック処理(ステップS301)と同じ処理内容については、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
図11において、CPU201は、まず下始動口35において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS331)。
下始動口35の入賞検出がなかった場合は(ステップS331:NO)、何もしないで特図2始動口チェック処理を抜ける。しかし下始動口35の入賞を検出した場合は(ステップS331:YES)、特別図柄2の作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS332)。
特図2作動保留球数が4以上である場合(ステップS332:YES)、ステップS340に進む。一方、特図2作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図2作動保留球数を1加算(+1)し(ステップS333)、ステップS334の処理に進む。
ステップS334の処理に進むと、今回発生した特図2作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム2に利用される各種乱数(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、および変動パターン用乱数)の乱数カウンタの現在値を取得し、それぞれRAM203の保留記憶エリアに格納する(ステップS334)。この処理は、図10のステップS314の処理の仕方と同じである。この特図2作動保留球は、特別図柄2の変動表示動作に供されるまで、最大保留記憶数を所定の上限値として、始動条件の成立順に保留記憶される。
次いで、入賞コマンドデータとして、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(下位バイト「01H」)を取得し(ステップS335)、「特図2先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS336)。上記「特図2先読み禁止条件」とは、特図2作動保留球を対象とした先読み判定を禁止するための条件である。
上記特図2先読み禁止条件が成立している場合(ステップS336:YES)、今回の特図2作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、これにより、先読み予告演出も実行されないことになる(ステップS336:YESの処理ルート)。本実施形態では、現在の遊技状態に基づき、先読み禁止か否かを判定するようになっている。具体的には、 '電サポ無し状態を伴う遊技状態'を伴う遊技状態中である場合、つまり内部遊技状態が、通常遊技状態中または潜確状態中である場合は、特別図柄2側の先読み判定を禁止する。このように、電サポ無し状態を伴う遊技状態中である場合に特別図柄2側の先読み判定を禁止する理由は、次の通りである。
「通常遊技状態」または「潜確状態」であるならば、'電サポ無し状態 '下に置かれ、下始動口35の入賞率が著しく低下する。また既に説明したように、本実施形態では、上記電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めた場合、左流下経路3bを遊技球が通過するように狙いを定めた場合よりも上始動口34の入賞率が著しく低下してしまう、といった遊技者にとって不利益をもたらす遊技性となっている。このため、電サポ無し状態中に遊技者が普通図柄始動口37側に発射位置を狙い定めることはないものと推定される。したがって、電サポ無し状態中においては、特図2作動保留球を対象とした先読み予告演出を発生させる必要性に乏しく、また発生率の低い特図2作動保留球を対象として先読み判定を一々行うようにすると、制御負担が増大してしまうといった問題が生じるからである。
なお本実施形態では、遊技状態に応じて、特別図柄1側の先読み禁止区間(先読み禁止状態の期間)と特別図柄2側の先読み禁止区間とを切り替え可能に構成されているが、本発明はこれに限られない。たとえば、遊技状態に応じて、特別図柄1側および特別図柄2側のいずれか一方の先読み判定は一切実行しないという構成としても良い。またCZ中は、これに対応する専用のCZ演出モード下でなされる演出により高確率状態の期待感を煽るようになっており、またCZ期間も比較的短期間であるため、CZ中は、先読み判定を先読み禁止区間とし、先読み予告演出を現出させないように構成することが好ましい。
再びステップS336の説明に戻り、特図2先読み禁止条件が成立している場合には(ステップS336:YES)、ステップS340の処理に進む。しかし特図2先読み禁止条件が成立していない場合には(ステップS336:NO)、ステップS337の処理に進み、乱数判定処理を行う(ステップS337)。この乱数判定処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み当落判定」が行われる。また処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS317の乱数判定処理と実質的に同じである。
ステップS337の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を行う(ステップS338)。この特別停止図柄データ作成処理では、特別図柄変動表示ゲーム2に係る「先読み図柄判定」が行われる。また処理の仕方は、図10の特図1始動口チェック処理中のステップS318の特別停止図柄データ作成処理と実質的に同じである。
次いで、特図1始動口チェック処理中と同様の始動口入賞時乱数判定処理を行い(ステップS339)、入賞コマンドデータと作動保留球数に基づき、保留加算コマンドを作成し(ステップS340)、作成した保留加算コマンドを演出制御部24に送信して(ステップS341)、特図2始動口チェック処理を抜ける。
(8−3.特別図柄変動開始処理:図12)
次に、特別図柄変動開始処理(ステップS305)について説明する。図12は、図9の特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図12において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした変動開始時の処理(ステップS403〜S416)を行う。
一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、ステップS403の処理に進み、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S416)を行う。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。ステップS401とS402の処理は、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させる「優先変動手段」として機能する。
本実施形態では、上記優先変動手段により、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球が優先的に消化される、つまり特別図柄変動表示ゲーム1よりも特別図柄変動表示ゲーム2の方が優先的に実行されるようになっている。より詳しくは、特別図柄1または特別図柄2が停止表示されたことを条件に、上記第1の保留記憶エリア(第1の保留記憶手段(特別図柄1側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄1に関する保留データ(第1の保留記憶:特図1作動保留球)が記憶されており上記第2の保留記憶エリア(第2の保留記憶手段(特別図柄2側の作動保留球に係る保留記憶エリア))に特別図柄2に関する第2の保留データ(第2の保留記憶:特図2作動保留球)が記憶されていない場合には、当該第1の保留データのうちの最も先に記憶された保留データに基づく第1の特別図柄の変動表示を開始させる一方、当該第2の保留記憶エリアに当該第2の保留データが記憶されている場合には、その第1の保留記憶エリアに上記第1の保留データが記憶されているか否かにかかわらず、当該第2の保留データのうち最も先に記憶された保留データに基づく当該第2の特別図柄の変動表示を開始させるようになっている。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合であり、この状態に突入したことを演出制御部24側に知らせて、液晶表示装置36に対し、客待ち待機用のデモ画面表示に切り替え制御させる。そこで、「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
ステップS417の判定処理を通過したとき、つまり上記「作動保留球なし」の状態となったとき、このときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO:後述の図21Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(特別図柄動作ステータスに00Hを格納:ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、デモ画面を表示させるための「デモ表示コマンド」を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。このように、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替えて、演出制御コマンドを送信して特別図柄変動開始処理を抜ける理由は、次の通りである。
作動保留球数がゼロの場合に条件なしにデモ表示コマンドを送信すると、特図作動保留球数がゼロである間は4msの周期でデモ表示コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。そこで、上記「作動保留球なし」の状態となった場合に、デモ表示コマンドを1回送信して、これにより、既にデモ表示コマンドが送信済みである場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を抜けるようになっている。
演出制御部24は、上記デモ表示コマンドを受けてから所定時間経過しても、何ら図柄変動表示ゲームに係る演出制御コマンド(たとえば、保留加算コマンド)を受けない場合、変動表示動作が一定時間行われない状態(客待ち待機状態)が発生したとみなして、液晶表示装置36において、遊技待機状態中を報知する「デモ画面表示」を行うこととしている。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合は(ステップS401:NOまたはS402:NO)、今回の変動表示に供する作動保留球を対象とした特別図柄の変動開始に係る処理(ステップS403〜S417)を行っていく。なお、以下に説明するステップS403〜S417の処理については、上記のステップS401の判定で 'NO'であった場合は特図2作動保留球を対象とした処理、上記のステップS402の判定で 'NO'であった場合は特図1作動保留球を対象とした処理となるが、処理の仕方は同じであるため、重複記載を避けるために、特に必要が無い限り、特別図柄1側の作動保留球を対象とした処理なのか、特別図柄2側の作動保留球を対象とする処理なのかという区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、作動保留球数を1減算し(今回の変動表示動作に供する特別図柄側に係る作動保留球数−1:ステップS403)、減算後の作動保留球数情報が含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、たとえば、特別図柄1が変動開始側であるならば「00H」を、特別図柄2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406〜S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データ(大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、
および変動パターン用乱数)を読み出し、RAM203の判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリア(保留2記憶エリア、保留3記憶エリア、保留4記憶エリア)に格納されている保留データを、それぞれ 'n−1'に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアする(ステップS407)。つまり、保留1記憶エリアの保留データを判定用乱数記憶エリアにシフトするとともに、保留2記憶エリア以降の保留データを1つずつ下位側の番号(保留2記憶エリア→保留1記憶エリア、保留3記憶エリア→保留2記憶エリア、保留4記憶エリア→保留3記憶エリア)にそれぞれシフトして上書きし、保留4記憶エリアに空き領域を設ける(新たな作動保留球が発生しない場合は、ステップS407の処理を行うごとに空き領域が順次シフトされていくので、全作動保留球消化時には、全保留記憶エリアが空き領域となる)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、残り時短回数コマンド送信処理を行う(ステップS408)。ここでは、後述の特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタ)がゼロであるか否かを判定し、残りの時短回数がある場合は、その残り時短回数情報を含む「残り時短回数コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS408)。この「残り時短回数コマンド」により、演出制御部24側は、残りの時短回数を把握することができ、たとえば、演出手段を利用し、残り時短回数情報を報知させることができる。
次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を行う(ステップS409)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理は、「当落抽選」を行うといった点において '先読み判定'処理の一つである「乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした '変動開始時の判定'における「当落抽選」を行う。なお特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、乱数判定処理(図10のステップS319、図11のステップS339)と実施的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の変動表示側に対応する当り乱数判定テーブルを取得する。この当り乱数判定テーブルは、乱数判定処理(図10のステップS317、図11のステップS337)で利用される「当り乱数判定テーブル」と同じである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく、大当り、小当り、およびハズレの別の当落抽選を行う。
この当落抽選により、「大当り」当選となった場合には大当り判定フラグが「5AH」に設定され、それ以外の判定値に属する場合には「大当り非当選」となる。また「小当り」当選となった場合には小当り判定フラグが「5AH」となり、それ以外の判定値に属する場合には「小当り非当選」となる。したがって大当り判定用乱数値が、大当り判定フラグ「00H」、かつ小当り判定「00H」となる判定値に属する場合、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかったことになり、今回の当落判定結果は 'ハズレ'となる。
ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄作成処理を行う(ステップS410)。この特別停止図柄作成処理では、ステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行う。なお特別停止図柄作成処理は、「図柄抽選」を行うといった点において '先読み判定'処理の一つである「特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)」と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした '変動開始時の判定'における「図柄抽選」を行う。特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)と同じであるので、重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データとステップS409の特別電役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果(上記大当り判定フラグと小当り判定フラグ)と、を取得し、これらに基づき、今回の変動表示側に対応する図柄テーブルとして、大当り図柄テーブル1、2、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブル1、2のいずれかを選択する。この図柄テーブルは、特別停止図柄データ処理(図10のステップS318、図11のステップS338)で利用した図柄テーブルと同じものである。次いで、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと、特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を行い、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る当選種別(当りの種類)を決定する。
ステップS410の特別停止図柄作成処理を終えると、次いで、遊技状態移行準備処理を行う(ステップS411)。この遊技状態移行準備処理では、遊技状態を移行させるための設定として、大当り遊技後の遊技状態を指定するために必要な設定処理を行う。この遊技状態移行準備処理の詳細は図13にて後述する。
ステップS411の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を行う(ステップS412)。この特別図柄変動パターン作成処理では、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、特別電動役物作動判定用乱数判定処理で得られた当落抽選結果、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果、および変動パターン用乱数などを利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターンを抽選により決定する。そして、その変動パターンの内容を演出制御部24側に知らせるべく、演出制御コマンドとして、その変動パターンの内容を特定可能な変動パターン情報を含む「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。なお、特別図柄変動パターン作成処理は、特別図柄の変動パターンを決定するといった点において '先読み判定'処理の一つである始動口入賞時乱数判定処理および保留加算コマンドに関する作成処理(図10のステップS319〜S320、図11のステップS339〜S340)と同じような働きをする処理であるが、ここでは、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした特別図柄の変動パターン、つまり変動開始時の変動パターンが決定される。
ここではまず、変動パターン用乱数値を取得し、次いで、大当り抽選結果(当落抽選、図柄抽選)に基づき、図示しない「当り変動パターン振分テーブル」または「ハズレ変動パターン振分テーブル」を取得する。そして、この変動パターン振分テーブルと変動パターン用乱数値とを利用した変動パターン抽選により、特別図柄の変動パターンを決定する。
(T−3.変動パターン振分テーブル)
上記変動パターン振分テーブルには、当り(大当りまたは小当り)に当選した場合に選択される「当り用変動パターン振分テーブル」と、ハズレに当選した場合に選択される「ハズレ用変動パターン振分テーブル」とが含まれる。
各変動パターン振分テーブルには、特別図柄に関する変動パターンが、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、残りの作動保留球数)、変動パターン振分指定番号(Tcode)(現在の遊技状態)、大当り抽選結果(特別停止図柄作成処理(ステップS410)の図柄抽選結果)、および変動パターン用乱数値に関連付けて定められており、変動パターン用乱数による抽選により、複数種類の変動パターンのうちからいずれかの変動パターンが選択されるようになっている。
また変動パターンの決定に伴い、その変動パターンに対応した「変動時間決定テーブル」も決定される。この「変動時間決定テーブル」には、変動時間(図柄変動表示動作時間)が定められており、上記決定された変動パターンに対応した変動時間決定テーブルを参照することにより、今回の変動パターンの変動時間が定まることになる。なお、この変動時間は、特別図柄変動表示ゲームと同調して実行される装飾図柄変動表示ゲームの遊技時間(装飾図柄の変動表示時間(演出時間))となる。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、主に、当り・ハズレの別の当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態種別、変動時間、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無、リーチ演出種別(Nリーチ種別やSPリーチ種別)、疑似連の有無、疑似連回数などの指定情報)が含むことができる。CPU201は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24側へと送信する。演出制御部24は、変動パターン指定コマンドを受信すると、これに含まれる変動パターン情報に基づいて、今回の図柄変動表示ゲーム中の演出を現出制御する。なお変動パターン指定コマンドに図柄抽選結果情報を含ませても良い。
なお本実施形態では、2R短開放潜確大当り当選、2R短開放非確変大当り当選、小当りA、B当選時の当り変動パターンについては、同じ当り変動パターンが選択されるようになっている。これは、2R系の大当り当選した場合と小当り系に当選した場合とで、同じ変動パターンが選択されるようにし、演出上、いずれの当りに当選したかを不明確にさせることが好ましいからである。
再び図11の説明に戻り、ステップ412の特別図柄変動パターン作成処理を終えると、次いで、変動表示中である旨を指定する特別図柄N変動中フラグ(N=1、2)に5AH(ON状態)を格納する(ステップS413)。上記「特別図柄N変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらの特別図柄が変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。なお、特別図柄1変動中フラグ(N=1)は特別図柄1側に対応し、特別図柄2変動中フラグ(N=2)は特別図柄2側に対応する。
次いで、ステップS410の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に基づき、装飾図柄指定コマンドを作成し(ステップS414)、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。この装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を指定する下位バイト(EVNET)の2バイトで構成される。したがって「装飾図柄指定コマンド」には、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。たとえば、上位バイト(MODE)側には、変動側の特別図柄が特図1の場合は「BBH」、特図2の場合は「BCH」が設定され、下位バイト(EVENT)側には、当選種別に対応したEVNET値(当り種別またはハズレ種別を特定可能な値:たとえば、2R短開放潜確大当りの場合は「01H」、2R短開放非確変大当りの場合は「02H」、5R長開放確変大当りの場合は「03H」、5R長開放非確変大当りの場合は「04H」、12R長開放非確変大当りの場合は「05H」、12R長開放確変大当りは「06H」、16R長開放確変大当りは「07H」、小当りA〜Bの場合は「08H」〜「09H」など)が設定される。この装飾図柄指定コマンドには当選種別情報が含まれることから、演出制御部24側において、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せを決定する際に利用される。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図9の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS059)を抜けて、図8の特別電動役物管理処理(ステップS060)に進む。
(8−3−1.遊技状態移行準備処理:図13)
次に、上記の遊技状態移行準備処理(ステップS411)について説明する。図13は、図12の遊技状態移行準備処理の詳細を示すフローチャートである。
図13において、CPU201は、まず大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS431)。大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS431:≠5AH)、何もしないで遊技状態移行準備処理を抜ける。
大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS431:=5AH)、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図30(イ)参照)を取得する(ステップS432)。
次いで、取得した遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、遊技状態判定番号(YJ)と大当り種別(特別図柄判定データ)とに応じた遊技状態移行テーブル(図31参照)を取得し(ステップS433)、この遊技状態移行テーブルに定められたデータを後述の各種バッファに格納する(ステップS434:状態バッファ設定処理)。これらバッファに格納された値は、後述する特別電動役物管理処理中の大当り終了処理(図16のステップS509)で読み出され、RAM203の所定の記憶領域(各々のバッファに対応したフラグ記憶領域やカウンタ記憶領域)に格納される。ステップS434の処理を終えると、遊技状態移行準備処理を抜けて、図15の特別図柄変動パターン作成処理(ステップS412)に進む。なお、この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理が行われ、小当りに当選した場合の遊技状態の移行に関する設定処理は、後述の電動役物管理処理中の小当り処理(図16のステップS504参照)で行われるようになっている。
(T−4.大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図30(イ))
図30(イ)に、大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の大当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、遊技状態判定番号(YJ)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは大当り種別)とに関連付けられた複数種類の遊技状態移行テーブルが定められており、具体的には、遊技状態判定番号(YJ)と特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル((大当り用の遊技状態移行テーブル)が選択されるようになっている。
ここで「遊技状態判定番号(YJ)」とは、内部遊技状態を識別するためのデータである。図32の変動パターン振分指定番号表を参照して説明すれば、遊技状態判定番号(YJ)が「00H」の場合は「通常遊技状態(電サポ無し状態、低確)」を、「01H」の場合は「潜確状態(電サポ無し状態、高確)」を、「02H」の場合は「時短状態(電サポ有り状態、低確)」を、「03H」の場合は「確変状態(電サポ有り状態、高確率)」をそれぞれ示す。したがって、遊技状態判定番号(YJ)は上記のような内部遊技状態を識別する点で、変動パターン振分指定番号(Tcode)のように遊技状態そのものを識別するデータとは異なる。
(T−5.遊技状態移行テーブル:図31)
図31に、上述の遊技状態移行テーブルを示す。本実施形態の遊技状態移行テーブルには、大当りの場合に選択されうる大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−7」と、小当りの場合に選択されうる小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」とが含まれる。
これら遊技状態移行テーブルには、当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するための複数種類データ群が定められている。具体的には、普電役物開放延長移行状態バッファ、普通図柄時短移行状態バッファ、普通図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短状態移行状態バッファ、特別図柄確変移行状態バッファ、特別図柄時短回数カウンタバッファ、特別図柄確変回数カウンタバッファ、変動パターン振分指定番号バッファ、および特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するための各種のデータが定められている。これらのバッファに格納された値は、必要なタイミングで読み出され、RAM203に設けられた所定のフラグ記憶領域や所定のカウンタ記憶領域に設定される。この各バッファに各遊技状態移行テーブルにより指定される各種データが格納されると、当り遊技終了後の遊技状態が定まることになる。
本実施形態に係る大当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−1」〜「JTTBL−7」は、それぞれ順に、確変状態、潜確状態、時短状態(60回)、時短状態(100回)、通常状態、CZ(潜確)、CZ(通常)に移行させるための遊技状態移行テーブルである。また小当り用遊技状態移行テーブルの「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」はそれぞれ 'CZ'に移行させるための遊技状態移行テーブルである。ただし、CZ移行に関する「JTTBL−6」〜「JTTBL−9」については、「JTTBL−6」はCZ継続回数4回とするCZ(潜確:4回)に、「JTTBL−7」はCZ継続回数3回とするCZ(通常:3回)に、「JTTBL−8」はCZ継続回数2回とするCZ(2回)に、「JTTBL−9」はCZ継続回数3回とするCZ(3回)に移行させる遊技状態移行テーブルとなっている。以下に、上述の各種バッファの役割について説明する。
(普電役物開放延長移行状態バッファ)
「普電役物開放延長移行状態バッファ」は、普電役物開放延長状態フラグの設定を行うために利用される。「普電役物開放延長状態フラグ」とは、開放延長機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には開放延長機能作動中の「電サポ有り状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には開放延長機能非作動の「電サポ無し状態」である旨を示す。
(普通図柄時短移行状態バッファ)
「普通図柄時短移行状態バッファ」は、普通図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄時短状態フラグ」とは、普通図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄時短機能作動中の「普通図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄短機能非作動の「普通図柄非時短状態」である旨を示す。
(普通図柄確変移行状態バッファ)
「普通図柄確変移行状態バッファ」は、普通図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「普通図柄確変状態フラグ」とは、補助当り抽選確率状態、つまり普通図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には普通図柄確変機能作動中の「補助当り確変状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には普通図柄確変機能非作動の「補助当り低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短状態移行状態バッファ)
「特別図柄時短状態移行状態バッファ」は、特別図柄時短状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄時短状態フラグ」とは、特別図柄時短機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄時短機能作動中の「特別図柄時短状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄時短機能非作動の「特別図柄非時短状態」である旨を示す。
(特別図柄確変移行状態バッファ)
「特別図柄確変移行状態バッファ」は、特別図柄確変状態フラグの設定を行うために利用される。「特別図柄確変状態フラグ」とは、特別図柄確変機能の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄確変機能作動中の「高確率状態」である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄確変機能非作動の「低確率状態」である旨を示す。
(特別図柄時短回数カウンタバッファ)
「特別図柄時短回数カウンタバッファ」は、特別図柄時短回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄時短回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄時短機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「特別図柄時短状態」が終了するまでの残り回数を計数するためのカウンタである。なお本実施形態では、特別図柄時短状態の終了に伴い、電サポ有り状態である高ベース遊技状態も終了されるようになっている(図15BのステップS481参照)。
(特別図柄確変回数カウンタバッファ)
「特別図柄確変回数カウンタバッファ」は、特別図柄確変回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄確変回数カウンタ」とは、特別図柄の変動回数(特別変動表示ゲームの実行回数)により「特別図柄確変機能」の作動が終了するまでの残り回数、つまり「高確率状態」が終了するまでの残り回数(残りST回数)を計数するためのカウンタである。
(変動パターン振分指定番号バッファ)
「変動パターン振分指定番号バッファ」は、変動パターン振分指定番号(Tcode)の設定を行うために利用される。この「変動パターン振分指定番号(Tcode)」は、遊技状態を特定するための遊技状態データである。変動パターン振分指定番号(Tcode)は、RAM203の変動パターン振分指定番号格納領域に設定され、所定の変更条件(遊技状態移行条件)に基づいて変更される(特別図柄確認時間中処理(図15B)のステップS481、S486、S490、遊技状態移行準備処理(図12のS411、図13のS434、特別電動役物管理処理(図16)など参照)。
(特別図柄変動回数カウンタバッファ)
「特別図柄変動回数カウンタバッファ」は、特別図柄変動回数カウンタの設定を行うために利用される。上記「特別図柄変動回数カウンタ」とは、遊技状態移行条件となる特別図柄の変動回数(以下、「遊技状態移行規定回数」と称する)を計数するためのカウンタである。本実施形態の特別図柄変動回数カウンタには、遊技状態移行規定回数としてCZ継続回数が設定され、このカウンタはCZ継続回数を管理する管理手段として機能する。
(8−4.特別図柄変動中処理:図14)
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。図14は、図9の特別図柄変動中処理(ステップS307)の詳細を示すフローチャートである。
図14において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否か、つまり特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS451)。特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合は(ステップS451:NO)、未だ特別図柄の変動時間が経過していない、つまり特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS451:YES)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS452)。この変動停止コマンドにより、演出制御部24は、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、現在変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了することになる。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、RAM203の特別図柄確定タイマに、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)を格納し、特別図柄役物動作タイマに確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグに00H(OFF状態)を格納し(ステップS453)、この特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部集中端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
ステップS453の処理を終えると、この特別図柄変動中処理を抜けて、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(8−5.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図15Aおよび図15B)
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図15Aおよび図15Bは、図9の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図15Aおよび図15Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(図20のステップS453参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態判定番号(YJ)をRAM203の遊技状態判定領域に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、大当り図柄停止時の各種設定処理(大当り遊技の開始前処理)として、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、条件装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、さらに、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、特別図柄確変状態フラグ、特別図柄時短回数カウンタ、特別図柄確変回数カウンタ、および特別図柄変動回数カウンタの各々に00H(OFF状態)を格納し、変動パターン振分指定番号(Tcode)に00H(通常状態指定)を格納し、遊技状態報知LED(図示せず)の点灯・消灯を指定する遊技状態報知LED出力番号に00Hを格納して、この特別図柄確認時間中処理を抜ける。上記「遊技状態報知LED」とは、現在の遊技状態情報を報知する状態報知手段である。本実施形態の遊技状態報知LED(状態報知手段)は、特別図柄時短状態であるか否かを報知するために利用される。CPU201は、遊技状態報知LED出力番号に応じて、遊技状態報知LED(状態報知手段)の報知態様を変化させる。たとえば、上記遊技状態報知LED出力番号が「00H」の場合、現在、特別図柄時短状態ではない旨が(遊技状態報知LED:消灯状態(非特別図柄時短状態報知)、「01H」の場合には、現在、特別図柄時短状態である旨が報知される(遊技状態報知LED:点灯状態(特別図柄時短状態報知)。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、ステップS478の処理に進む。小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(特別図柄時短状態の残り回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、何もしないでステップS483の処理に進む。
特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、および特別図柄時短状態フラグの各々に00H(OFF状態)を、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより次ゲームから、電サポ無し状態下に置かれることになる。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、演出制御コマンドとして、特別図柄時短状態が終了した旨を示す(電サポ無し状態移行情報)「時短終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS482)。この時短終了コマンドは、今回の図柄変動表示ゲーム終了時に送信されるので、演出制御部24は、次ゲームから '電サポ無し状態'となる旨を次ゲームが開始前に把握することができる。
なお本実施形態では、電サポ有り状態から電サポ無し状態に移行する場合は、時短状態または確変状態から通常状態に移行する場合であるので、演出制御部24が上記「時短終了コマンド」を受けると、たとえば、次に行われる装飾図柄変動表示ゲームを開始する際、あるいはその事前に「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)に切り替える。また '電サポ無し状態'における発射位置として、左流下経路3bを狙う旨を指示する「発射位置誘導演出(左打ち報知演出)」を現出させるための演出制御処理を行う。これにより今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードに移行させることができる。
次いでステップS483の処理に進むと、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。なお本実施形態では、確変状態である場合、次回大当りまで当該確変状態が継続するようになっているが(ST回数=無限)、一日中遊技をしていても、時間的に確変状態が終了することがない回数(たとえば、10000回)が設定されていても良い。この場合、実質的に、次回大当りまで当該確変状態が継続することと同じになる。以下では説明の便宜のために、特別図柄確変回数カウンタに「10000回」が設定されているものとして説明する。
特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS488の処理に進む。
特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST規定回数(70回)に達していないので、何もせずにステップS487の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数がST規定回数(ここでは10000回としている)に達したとして、確変終了時の設定処理を行う(ステップS486)。ここでは、潜確状態終了または確変状態終了に伴う通常遊技状態への移行設定処理として、普電役物開放延長状態フラグ、普通図柄時短状態フラグ、普通図柄確変状態フラグ、特別図柄時短状態フラグ、および特別図柄確変状態フラグの各々に00H(OFF状態)を格納し、また変動パターン振分指定番号(Tcode)に00Hを、遊技状態報知LED出力番号に00H(非特別図柄時短状態指定)を格納する。これにより、次ゲームから、大当り抽選確率が高確率状態から低確率状態下に置かれることになる。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、ステップS487の処理に進み、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(本実施形態では、CZ継続回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS487)。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS487:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS487:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS488)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS489)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS489:NO)、遊技状態移行規定回数に達していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、特別図柄の変動回数が遊技状態移行規定回数に達したとして、遊技状態の移行設定処理を行う(ステップS490:変動パターン振分指定番号設定処理)。ここでは、CZ継続回数が終了した後の遊技状態の移行設定処理を行う。本実施形態では、CZ終了時の大当り抽選確率状態が低確率状態か高確率状態かに応じて、移行先の遊技状態が異なるようになっている。ここでは、まず遊技状態判定番号(YJ)を取得し、現在の内部遊技状態が通常状態(遊技状態判定番号(YJ)=00H)であるか、潜確状態(遊技状態判定番号(YJ)=01H)であるかを判定する。現在の内部遊技状態が通常状態、つまり低確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)を通常状態を指定する「00H」に設定し、現在の内部遊技状態が潜確状態、つまり高確率状態であるならば、変動パターン振分指定番号(Tcode)が潜確状態を指定する「02H」に設定する。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」または「潜確状態」における特別図柄の変動パターンが選択される。このステップS490処理は、所定の条件の成立に基づき、変動パターンの選択条件(変動パターン選択モード)を切替制御するための変動パターン選択条件切替手段として働く。
次いで、演出制御コマンドとして、移行先の遊技状態情報を含む「遊技状態指定コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS491)。この「遊技状態指定コマンド」により演出制御部24は、今回の図柄変動表示ゲームで「CZ」が終了し、次ゲームから「通常状態」または「潜確状態」となる旨を把握する。これにより、演出制御部24は、次回の図柄変動表示ゲームを開始する際、「通常演出モード」用の背景画像(背景演出)または「潜確演出モード」用の背景画像に切り替え制御し、当該演出モード下での演出制御処理を行う。
なお本実施形態では、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送信される前に、上述の遊技状態指定コマンドが送信されるようになっている。このため演出制御部24は、このような遊技状態指定コマンドを受信した場合、次に行われる図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前段階で、現在の演出モード用の演出(たとえば、一の背景表示)から、他の演出モード用の演出(たとえば、他の背景表示)に切り替えることができる。つまり、次回の図柄変動表示ゲームに係る変動パターン指定コマンドが送られてくる前に、他の演出モードに関連する演出を現出させる、換言すれば、次回の図柄変動表示ゲームに先立って、他の演出モードに関連する演出を現出させることができるようになっている。これにより遊技者は、今回の図柄変動表示ゲームが終了したときに作動保留球が存在しない場合(次回の図柄変動表示ゲームが開始されない場合)であっても、次回の図柄変動表示ゲームに係る演出モードを前もって把握することができるという利点がある。
以上により、この特別図柄確認時間中処理を抜けると、図9のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行った後、特別図柄管理処理を抜けて、図8のステップS060の特別電動役物管理処理に進む。
(9.特別電動役物管理処理:図16)
次に、図8中の特別電動役物管理処理(ステップS060)について説明する。図16は、ステップS060の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図16において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS501:=5AH)、小当り遊技に係る特別変動入賞装置(大入賞口の開閉制御)の一連の動作を制御するための小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H〜04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置42、52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM203の特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値に応じた処理を呼び出して実行させる。具体的には、特別電動役物動作ステータスが「開始処理中(00H)」の場合には、大当り開始処理(ステップS505)を、「作動開始処理中(01H)」の場合には、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)を、作動中(02H)」の場合には、特別電動役物作動中処理(ステップS507)を、「継続判定中(03H)」の場合には、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)を、「終了処理中(04H)」の場合には、大当り終了処理(ステップS509)を呼び出して実行させる。これらの処理により大当り遊技に係る特別変動入賞装置52の動作が制御される。ここで、上述の「開始処理中(00H)」とは、大当り遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動開始処理中(01H)」とはラウンド遊技開始前の待機状態である旨を示し、「作動中(02H)」とはラウンド遊技が実行中である旨を示し、「継続判定中(03H)」とは次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を示し、「大当り終了処理中(04H)」とは大当り遊技終了時の終了処理中である旨を示す。上記ステップS505〜S509のいずれかの処理を終えると、特別電動役物管理処理を抜けて、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
以下に、図17〜図23を参照しながら、大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)と、小当り処理(ステップS504)について詳細に説明する。
<大当り遊技制御処理(ステップS505〜S509)>
まず、大当り開始処理(図16のステップS505)について説明する。図17は、大当り開始処理の詳細を示すフローチャートである。
(9−1.大当り開始処理:図17)
大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが初期ステータス値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合は、まず最初に、この大当り開始処理が行われるようになっている。
図17において、CPU201は、まず、大当り遊技を開始する際に必要な大当り開始時の設定処理を行う(ステップS511:大当り開始時の設定処理)。ここでは、大当り開始時の設定処理として、役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、連続回数カウンタに01Hを格納する。上記「役物連続作動装置作動フラグ」とは、役物連続作動装置の作動状態を指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には役物連続作動装置作動中(ラウンド遊技継続可)である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には役物連続作動装置非作動(ラウンド遊技継続不可)である旨を示す。また「連続回数カウンタ」とは、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するためのカウンタであり、現在のラウンド数はここに記憶される。ここでの連続回数カウンタは「01H」であるので、現在のラウンド数は1R目を示す。
次いで、大当り開始設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS512)、その大当り開始設定テーブルを参照して、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、最大ラウンド数(規定ラウンド数)、ラウンド表示LED番号をそれぞれに対応するRAM203の記憶領域に格納し、また特別図柄役物動作タイマに開始インターバル時間を格納する(ステップS513:特別図柄判定データ別設定処理)。
(T−6.大当り開始設定テーブル)
上記大当り開始設定テーブルには、大当り種別を識別する「特別図柄判定データ」と、「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED番号」とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて「最大ラウンド数、開始インターバル時間、およびラウンド表示LED」が決定されるようになっている。ここで「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後(図20のステップS453の、図21AのステップS471参照)、特別変動入賞装置40または特別変動入賞装置50が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出が行われる区間を定めた時間幅(1回目のラウンド遊技が行われる前の初回演出時間)を指す。また「ラウンド表示LED番号」とは、ラウンド数表示装置39b(ラウンド表示LED:規定ラウンド数報知手段)の報知態様を指定するデータで、今回の大当り遊技の最大ラウンド数(規定ラウンド数)を指定する。CPU201は、ラウンド表示LED番号に応じて、ラウンド表示LEDの報知態様を変化させる。
上記ステップS513の処理を終えると、演出制御コマンドとして、オープニング演出の開始を指示する「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS514)。なお「大当り開始コマンド」には、今回の大当り種別情報と大当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、ラウンド演出(ラウンド開始演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出)、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
以上により、この大当り開始処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−2.特別電動役物作動開始処理:図18)
次に、特別電動役物作動開始処理(図22のステップS506)について説明する。図18は、特別電動役物作動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS521)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「ラウンド遊技開始前のインターバル時間」が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、図23のステップS513で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、1R目終了以降でこのステップS521を通過するときは、「開放前インターバル時間(後述の図21のステップS575で設定されるインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS521:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(初回のラウンドの場合は、開始インターバル時間)が経過したならば(ステップS521:YES)、大入賞口開放開始動作に伴い、演出制御コマンドとして、「大入賞口開放コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS522)。この「大入賞口開放コマンド(ラウンド開始コマンド)」は、ラウンド遊技開始情報(ラウンド演出の開始指示情報)や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24側において、ラウンド数に対応するラウンド演出を現出させる際に利用される。
次いで、大入賞口動作時間設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS523)、大入賞口開放動作時間設定処理を行う(ステップS524)。この大入賞口開放動作時間設定処理では、大入賞口開放動作時間設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間を特別図柄役物動作タイマに格納する。
(T−7.大入賞口動作時間設定テーブル)
上記大入賞口動作時間設定テーブルには、特別図柄判定データと現在のラウンド数とに関連付けられた大入賞口開放動作時間が定められており、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた大入賞口開放動作時間が決定されるようになっている。大入賞口開放動作時間は、たとえば、12R長開放確変大当りや16R長開放確変大当りの場合には、初期値として長開放時間に相当する29800msが、2R短開放潜確大当りや2R短開放非確変大当りの場合には、初期値として短開放時間に相当する100msが設定される。
次いで、大入賞口入賞数カウンタに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS525)。上記「大入賞口入賞数カウンタ」とは、RAM203に設けられ、下大入賞口40または右大入賞口50の入賞球数を計数するためのカウンタである。
次いで、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS526)。この大入賞口開閉動作設定処理では、大入賞口ソレノイド42cまたは大入賞口ソレノイド52c用のソレノイド制御データを作成し、設定処理を行う。このデータにより、下大入賞口40または右大入賞口50の開閉動作パターンが指定される。またここでは、開閉制御される特別変動入賞装置が作動中か否かを指定するための「特別電動役物N作動フラグ(N=1、2)」が設定される。
上記「特別電動役物1作動フラグ」とは、特別変動入賞装置42が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置42が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置42が未作動中である旨を示す。また「特別電動役物2作動フラグ」とは、特別変動入賞装置52が作動中か否かを判定するために利用されるフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には、特別変動入賞装置52が作動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には、特別変動入賞装置52が未作動中である旨を示す。なお、ラウンド遊技間において当該フラグがON状態(=5AH)となる期間、つまり特別変動入賞装置が作動中とされる期間は、大入賞口が開放してからその大入賞口が閉鎖された後、残存球排出時間(1980ms)が経過するまでの期間となっている。他方、ラウンド遊技間において当該フラグがOFF状態(=00H)となる期間、つまり特別変動入賞装置が未作動中とされる期間は、上述の残存球排出時間が経過してから次のラウンド遊技が開始されるまでのインターバル時間(20ms)中の期間となっている。なお、特別電動役物N作動フラグがOFF状態(=00H)の期間中に大入賞口に入賞が発生した場合は、不正入賞とみなし、所定のエラー処理(大入賞口不正入賞エラー)が実行されるようになっている。
ステップS526の大入賞口開閉動作設定処理を終えると、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)(ステップS527)。
以上により、この特別電動役物作動開始処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3.特別電動役物作動中処理:図19)
次に、特別電動役物作動中処理(図22のステップS507)について説明する。図19は、特別電動役物作動中処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず大入賞口最大入賞数確認処理を行う(ステップS551)。この大入賞口最大入賞数確認処理では、主に、今回の大当り遊技に係る大入賞口の入賞球数をカウントし、その入賞球数が最大入賞数に達したか否かを確認する。なお、大入賞口最大入賞数確認処理の詳細は、図20にて後述する。
ステップS551の大入賞口最大入賞数確認処理を終えると、大入賞口開閉動作設定処理を行う(ステップS552)。ここでの大入賞口開閉動作設定処理は、図18の特別電動役物作動開始処理中の大入賞口開閉動作設定処理(ステップS526)の仕方と同じであるため、重複記載を避けるため詳細な説明は省略する。
次いで、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS553)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記大入賞口開放動作時間が設定されているので、ステップS533の判定処理では、大入賞口動作時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS553:NO)、何もしないでこの特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(大入賞口開放動作時間経過)になったならば(ステップS553:YES)、今回のラウンド遊技における大入賞口が閉鎖されたとして、「ラウンド終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS554)。この「ラウンド終了コマンド」は、演出制御部24側において、ラウンド遊技間のインターバル時間中における「ラウンド終了演出」を現出する際に利用される。
次いで、ラウンド遊技が終了した際の各種設定処理を行う(ステップS555)。ここでは、ラウンド遊技終了時の各種設定処理として、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(たとえば、1980ms)を格納する。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される残存球排出時間がすべて同じ時間幅(1980ms)として説明しているが、本発明はこれに限られない。上記残存球排出時間は、大入賞口の閉鎖後の大入賞口内の残存球を排出するための余裕時間として定めたものであることから、大入賞口の内部構造(たとえば、右大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまでの最大経路長など)を考慮して、右大入賞口センサ52aが遊技球を検出するまで(または大入賞口内から遊技球が外部に排出されるまで)に要する最大時間を見込んだ時間幅が設定される。しかし、1回の大当り遊技において、ラウンド数に応じてラウンド遊技が複数種類の動作態様に制御される場合や、ラウンド数に応じて異なる大入賞口が開閉制御される場合にあっては、それぞれの動作態様に着目して異なる残存球排出時間が設定されるように構成しても良い。たとえば、短開放時間に係るラウンド遊技中は大入賞口への入賞率が相対的に低い点に着目し、開放扉42b、52bによる遊技球の玉噛み頻度や大入賞口内において多数の遊技球による混雑が予想されないことから、長開放時間に係るラウンド遊技中よりも相対的に短い時間幅の残存球排出時間としても良い。
以上により、この特別電動役物作動中処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−3−1.大入賞口最大入賞数確認処理:図20)
次に、大入賞口最大入賞数確認処理(図27のステップS551)について説明する。図20は、大入賞口開閉動作設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPU201は、まず特別電動役物1作動フラグの状態と特別電動役物2作動フラグの状態とを順次判定する(ステップS561、S562)。上記特別電動役物1作動フラグと特別電動役物2作動フラグのいずれもがOFF状態(=00H)の場合(ステップS561:≠5AH、かつステップS562:≠5AH)、つまり、特別変動入賞装置42が作動中でもなく、特別変動入賞装置52が作動中でもない場合、何もしないでこの大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。なお、大当り遊技中における「特別変動入賞装置42が作動中でもなく、特別変動入賞装置52が作動中でもない場合」とは、開放前インターバル時間中の場合である。
上記特別電動役物1作動フラグおよび特別電動役物2作動フラグのいずれかがON状態(=5AH)の場合(ステップS561:=5AH、またはステップS561:≠5AH、かつステップS562:=5AH)、大入賞口において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS563)。大入賞口への入賞(入賞球)は、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aにより検出される。大入賞口において入賞(入賞球)を検出しない場合(ステップS563:NO)、何もせずにそのまま何もしないで大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。
大入賞口において入賞を検出した場合(ステップS563:YES)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS564)。この通常用入賞コマンド送信処理では、下大入賞口40において入賞を検出した場合には、下大入賞口40に入賞したことを指定する通常用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド1」を送信する。他方、右大入賞口50において入賞を検出した場合には、右大入賞口50に入賞したことを指定する通常用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド2」を送信する。この通常用大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、通常用大入賞口入賞コマンドに対応した入賞演出処理を行う。
なお、大入賞口入賞コマンド1、2のいずれのコマンドを送信するかの決定については、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aの検出情報に基づき決定することができる。具体的には、下大入賞口センサ42aによる検出があった場合には '大入賞口入賞コマンド1'を送信し、右大入賞口センサ52aによる検出があった場合には '大入賞口入賞コマンド2'を送信することができる。また特別電動役物作動フラグの設定状態に基づき、いずれの通常用大入賞口入賞コマンドを送信するかを決定することができる。具体的には、特別電動役物1作動フラグがON状態(=5AH)の場合には、特別変動入賞装置42が作動中であるので '大入賞口入賞コマンド1'を送信し、特別電動役物2作動フラグがON状態(=5AH)の場合には、特別変動入賞装置52が作動中であるので '大入賞口入賞コマンド2'を送信する。
この大入賞口最大入賞数確認処理中では、大入賞口への入賞数が最大入賞数に達するまで、入賞ごとに、各大入賞口に対応した「通常用大入賞口入賞コマンド」が送信されることになる( 'ステップS563:YES〜S566:NO'の処理ルート)。なお、オーバー入賞は、最大入賞数を超えたときの入賞となるので、オーバー入賞とはならない最大入賞数に達するまでの入賞球を監視対象とする大入賞口最大入賞数確認処理での監視対象となる入賞球ではない。オーバー入賞球については、大入賞口が閉鎖状態に移行後に実行される、後述の「特別電動役物作動継続判定処理(図21)」中のステップS581の「大入賞口オーバー入賞数確認処理」において監視されるようになっている。
通常用入賞コマンド送信処理を終えると、入賞を検出した大入賞口に対応する大入賞口入賞カウンタを1加算する(ステップS565:大入賞口入賞カウンタ加算処理)。ここでは、下大入賞口40において入賞を検出した場合には下大入賞口入賞カウンタに1加算し、右大入賞口50において入賞を検出した場合には右大入賞口入賞カウンタに1加算する。
上記加算後の大入賞口入賞カウンタが最大入賞数(たとえば、9個)に達したか否かを判定する(ステップS566)。最大入賞数に達した場合には(ステップS566:YES)、特別図柄役物動作タイマをクリアし(ステップS567)、大入賞口最大入賞数確認処理を抜け、最大入賞数に達していない場合には(ステップS566:NO)、何もしないで大入賞口最大入賞数確認処理を抜ける。
以上により、この大入賞口最大入賞数確認処理を抜けると、図19のステップS552の大入賞口開閉動作設定処理に進む。
(9−4.特別電動役物作動継続判定処理:図21)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(図16のステップS508)について説明する。図21は、特別電動役物作動継続判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図21において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS571)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖移行後に設定される残存球排出時間が設定されているので(図19のステップS555参照)、ステップS571の判定処理では、残存球排出時間が経過したか否かが判定されることになる。
特別図柄役物動作タイマがゼロでない場合(ステップS571:NO)、残存球排出時間内の大入賞口の入賞球を確認するための「大入賞口オーバー入賞数確認処理」を行う(ステップS581)。この大入賞口オーバー入賞数確認処理についての詳細は、図22にて後述する。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば(ステップS571:YES)、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数の最大ラウンド数に達したか否かを判定する(ステップS572)。
最大ラウンド数に達していない場合には(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続時の処理として、後述のステップS573〜S576の処理(ラウンド継続処理)を行う。しかし最大ラウンド数に達した場合には(ステップS572:YES)、ラウンド遊技継続終了時の処理として、ステップS577〜S580の処理(ラウンド継続終了処理)を行う。
(ラウンド継続処理:ステップS573〜S576)
現在のラウンド数が最大ラウンド数に達していない場合(ステップS572:NO)、ラウンド遊技継続処理として、ステップS573〜S576の処理ルートを行う。
まずステップS573の処理では、今回のラウンド遊技が終了したことにより、連続回数カウンタに1加算(+1)する(ステップS573)。
次いで、特別電動役物終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS574)、この特別電動役物終了インターバル設定テーブルを参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS575)。
(T−8.特別電動役物終了インターバル設定テーブル)
上記特別電動役物終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データ(大当り種別)と連続回数カウンタとに関連付けられた開放前インターバル時間が定められている。具体的には、特別図柄判定データと連続回数カウンタの現在値(ステップS573の加算処理後の連続回数カウンタ値:次のラウンド数)とに応じた開放前インターバル時間が決定されるようになっている。
なお本実施形態では、各ラウンド遊技後に設定される開放前インターバル時間がすべて同じ時間幅(20ms)となっているが、本発明はこれに限られない。
開放前インターバル時間中は、後述のステップS576の処理において、特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、開放前インターバル時間内は、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間(大当り中不正入賞監視期間)となる。上記開放前インターバル時間に特に制限はないが、残存球排出時間(本実施形態では、1980ms)を含めたラウンド遊技間のインターバル時間として設ける以上、その時間を極端に長い時間、たとえば、数秒程度にしてしまうと、ラウンド遊技間の待ち時間が増加し、遊技者が煩わしく感じてしまう。特に最大ラウンド数が15Rの大当り遊技では、ラウンド遊技間の待ち時間の合計が数十秒〜1分近くも要することになり好ましくない。
そこで本実施形態の開放前インターバル時間は、20msという短時間に設定されている。これは、遊技球が実際に入賞口に入球して入賞検出スイッチのON信号が出力された場合、その出力時間(信号継続期間)は、入賞球の転動時間に長短があるものの最長で20ms程度であることを考慮したものである。ゴト行為(たとえば、大入賞口に対してプラスチック板やピアノ線を用いて過剰入賞狙うゴト行為(セルゴト)や、不正行為者が不正器具(不正電波発信機や磁石など)を用いてスイッチを誤作動させて過剰入賞を狙うゴト行為など)による不正な連続入賞があった際には、大入賞口センサ42a、52aからのON信号が頻繁に出力されることが予想される。したがって、開放前インターバル時間を適正なON信号の信号継続期間である20ms程度に定めても、ラウンド遊技間の不正入賞を監視には問題がないものと考えられる。好ましくは、それよりも長時間である場合の方が不正行為を検出し易くなると考えられるが、ラウンド遊技間の待ち時間を踏まえれば、開放前インターバル時間は、約20ms〜数百ms程度の範囲で定めることが適切であると考えられる。ただし、大入賞口の形態(内部構造など)に応じて、残存球排出時間を比較的短時間としても良い場合がある。この場合は、「残存球排出時間≦開放前インターバル時間」としても良い。たとえば、ラウンド遊技間のインターバル時間を2000msと定める場合、「残存球排出時間を1000ms、開放前インターバル時間を1000ms」としたり、「残存球排出時間を500ms、開放前インターバル時間を1500ms」としたりしても良い。
再び図21の説明に戻り、ステップS575の処理を終えると、ラウンド継続時の各種設定処理を行う(ステップS576)。ここでは、今回のラウンド遊技が終了して次回のラウンド遊技を開始させるため設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。
以上のステップS573〜S576(ラウンド継続処理)を終えると、特別電動役物作動継続判定処理を抜けて、図9のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(ラウンド継続終了処理:ステップS577〜S580)
一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合(ステップS572:YES)、ラウンド継続終了処理として、ステップS577〜S580の処理ルートを行う。
まずステップS577の処理では、役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を取得し(ステップS577)、この役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル(図示せず)を参照して、特別図柄判定データと加算後の連続回数カウンタとに応じた「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納する(ステップS578)。
(T−9.役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブル)
上記役物連続作動装置作動終了インターバル設定テーブルには、特別図柄判定データと終了インターバル時間とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて終了インターバル時間が決定されるようになっている。この「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出が行われる区間を定めた時間幅を指す。なお終了インターバル時間中は、後述のステップS579の処理において特別電動役物作動フラグがOFF状態(=00H)に設定される。したがって、終了インターバル時間内は、開放前インターバル時間内と同じく、大入賞口への入賞を無効とする大入賞口入賞無効期間となる。
ステップS578の処理を終えると、ラウンド終了時の各種設定処理を行う(ステップS579)。ここでは、最大ラウンド到達時の設定処理として、特別電動役物作動フラグに00H(OFF状態)を格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。
次いで、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS580)。この「大当り終了コマンド」には、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態(内部遊技状態を含む)を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この「大当り終了コマンド」は、エンディング演出の開始を指示する役割の他、大当り遊技終了後の遊技状態を特定しうることから、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担っている。演出制御部24は、大当り終了コマンドに含まれる情報に基づき、演出モードを決定することで、上記大当り終了後の遊技状態と、その遊技状態に係る演出モードとの整合性を取ることができるようになっている。
なお、上述の大当り当選時の遊技状態を特定可能な情報には、変動パターン振分指定番号(Tcode)に関する情報、または変動パターン振分指定番号に関する情報と内部遊技状態とに関する情報を含むことができる。また、大当り終了コマンドは、単一のコマンドであっても良いし、複数のコマンドであっても良い。複数のコマンドとする場合には、たとえば、一の大当り終了コマンドに今回の大当り種別を特定可能とする情報を含ませ、他の大当り終了コマンドにその大当り当選時の遊技状態を特定可能とする情報が含ませて、これらのコマンドを同時あるいは順次に必要なタイミングで演出制御部24に送信することができる。本実施形態では、演出制御コマンドに複数種類の情報を含ませて演出制御部24に送信する場合、それら情報を単一の演出制御コマンドに含ませて演出制御部24に送信する構成としても良いし、一の情報を含む演出制御コマンドと、他の情報を含む演出制御コマンドとに分けて、上述の単一の演出制御コマンドが有する役割を複数の演出制御コマンドに分担させる形態で演出制御部24に送信する構成としても良い。
以上により、この特別電動役物作動継続判定処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
(9−4−1.大入賞口オーバー入賞数確認処理:図22)
次に、大入賞口オーバー入賞数確認処理(図21のステップS581)について説明する。図22は、大入賞口オーバー入賞数確認処理の詳細を示すフローチャートである。なお、大入賞口オーバー入賞数確認処理は大入賞口最大入賞数確認処理(図19のステップS551、図20)と類似する処理であるので、重複記載を避けるために、大入賞口最大入賞数確認処理と同じ処理内容については、適宜省略しながら説明する。
図22において、CPU201は、まず特別電動役物1作動フラグの状態と特別電動役物2作動フラグの状態とを順次判定する(ステップS591、S592)。上記特別電動役物1作動フラグと特別電動役物2作動フラグのいずれもがOFF状態(=00H)の場合(ステップS591:≠5AH、かつステップS592:≠5AH)、何もしないでこの大入賞口オーバー入賞数確認処理を抜ける。
上記特別電動役物1作動フラグおよび特別電動役物2作動フラグのいずれかがON状態(=5AH)の場合(ステップS591:=5AH、またはステップS591:≠5AH、かつステップS592:=5AH)、大入賞口において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS593)。大入賞口において入賞(入賞球)を検出しない場合(ステップS593:NO)、何もせずにそのまま何もしないで、大入賞口オーバー入賞数確認処理を抜ける。
大入賞口において入賞を検出した場合(ステップS593:YES)、大入賞口入賞カウンタを確認し、カウンタ値が最大入賞数を超えているか否かを判定する(ステップS594)。ここでは、各大入賞口別のカウンタ(下大入賞口40用の大入賞口入賞カウンタと右大入賞口50用の大入賞口入賞カウンタ)をそれぞれ確認して、最大入賞数を超えているか否かを判定する。なお大当り種別のうち、ラウンド数に応じて複数種類の大入賞口を開放制御する大当り遊技を実行させる大当り種別(特殊当り種別)がある場合(たとえば、1〜7R目までは下大入賞口40を開放制御し、8R目〜16R目は右大入賞口50を開放制御する、といった大当り遊技を実行させる大当り種別)制御負担の軽減のために、本実施形態のように、単に各大入賞口カウンタをそれぞれ確認する、といった簡単な構成とすることが好ましい。
大入賞口入賞カウンタが最大入賞数を超えていない場合(ステップS594:NO)、通常用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS595)。この通常用入賞コマンド送信処理が実行される場合とは、今回のラウンド遊技において、入賞球が最大入賞数に達することなく、大入賞口開放動作時間が経過して大入賞口が閉鎖状態に移行された場合である。なお、ここでの通常用入賞コマンド送信処理は、図20のステップS564の処理と同じ処理内容となっている。
一方、大入賞口入賞カウンタが最大入賞数を超えている場合(ステップS594:YES)、つまり、今回検出された入賞球がオーバー入賞球である場合、オーバー入賞用入賞コマンド送信処理を行う(ステップS597)。
このオーバー入賞用入賞コマンド送信処理では、オーバー入賞球を対象とした「OV入賞用大入賞口入賞コマンド」を送信する。ここでは、下大入賞口40においてオーバー入賞球を検出した場合には、下大入賞口40にオーバー入賞が発生した旨を指定するOV入賞用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド3」を送信する。他方、右大入賞口50において入賞を検出した場合には、右大入賞口50にオーバー入賞が発生した旨を指定するOV入賞用大入賞口入賞コマンドとして「大入賞口入賞コマンド4」を送信する。このOV入賞用大入賞口入賞コマンドにより、演出制御部24は、OV入賞用大入賞口入賞コマンドに対応したオーバー入賞演出処理を行う。
なお、大入賞口入賞コマンド3、4のいずれのコマンドを送信するかの決定については、既に説明した、通常用大入賞口入賞コマンド1、2の送信処理と同じように、下大入賞口センサ42aまたは右大入賞口センサ52aの検出情報に基づき、または特別電動役物作動フラグの設定状態に基づき決定することができる。
この大入賞口オーバー入賞数確認処理中では、オーバー入賞があるごとに、各大入賞口に対応した「OV入賞用大入賞口入賞コマンド」が送信されることになる。演出制御部24側では、OV入賞用大入賞口入賞コマンドによりオーバー入賞が発生した旨を把握し、OV入賞用大入賞口入賞コマンドが送られてくる回数をカウントすることにより、オーバー入賞累積数を把握している。このオーバー入賞累積数は、既に説明したように、時計型役物(数字表示部80(数字セクター80a)、時計針97)により報知されるようになっている。
上記ステップS595の通常用入賞コマンド送信処理、またはステップS597のオーバー入賞用入賞コマンド送信処理を終えると、入賞を検出した大入賞口に対応する大入賞口入賞カウンタを1加算して(ステップS596:大入賞口入賞カウンタ加算処理)、大入賞口オーバー入賞数確認処理を抜ける。
以上により、このオーバー入賞数確認処理を抜けると、そのまま特別電動役物継続判定処理(S509)を抜けて、特別図柄役物動作タイマがゼロになるまで、つまり残存球排出時間が経過するまで(図21のステップS571:NO)、大入賞口オーバー入賞数確認処理を繰り返す。これにより、大入賞口有効入賞期間内におけるオーバー入賞球が監視される。
(9−5.大当り終了処理:図23)
次に、大当り終了処理(図16のステップS509)について説明する。図23は、大当り終了処理の詳細を示すフローチャートである。
図23において、CPU201は、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS591)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、ステップS591の判定処理では、終了インターバル時間が経過したか否かが判定されることになる。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS591:NO)、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば(ステップS591:YES)、大当り終了時の各種設定の一環として、遊技状態移行準備処理(図15のステップS411)で設定した各移行状態バッファの値を、図示の各状態フラグやカウンタなどに格納する(ステップS592)。これにより、大当り遊技後の遊技状態が指定される。
続いて、大当り終了時の各種設定処理を行う(ステップS593)。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータとして、図示のフラグやバッファなどをゼロクリアする(00Hを格納)。そして特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
なお、特別図柄判定データについては、大当り遊技後、図柄変動表示ゲームが開始されるまで特別図柄表示装置に確定表示させておくために利用されるので、クリア対象とはなっていない。特別図柄判定データは、今回の大当り遊技が終了した後に特別図柄変動開始処理中の特別図柄作成処理(図12のステップS410)が行われた際、新たな特別図柄判定データがRAM203(特別図柄判定データ記憶領域)に上書きされるようになっているため問題はない。
次いで、遊技状態報知情報を更新する遊技状態報知情報更新処理を行い(ステップS594)。本実施形態では、遊技状態報知LEDにより特図時短状態であるか否かを報知させるため、遊技状態報知情報更新処理において、特別図柄時短状態フラグがON状態(=5AH)であるか、OFF状態(≠5AH)かを確認し、ON状態の場合には、遊技状態報知LEDを点灯させるデータとして、特図時短状態を指定する所定の遊技状態報知LED出力番号を格納する。
以上により、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了したことになる。この大当り終了処理を抜けると、図8のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<小当り遊技制御処理>
(9−6.小当り処理)
次に、小当り処理(ステップS504)について説明する。
小当り遊技では、大当り遊技のような「ラウンド遊技」が実行されない。したがって、ここでは、既に説明したように、小当り遊技中の動作態様が「2R潜確大当り遊技」や「2R通常大当り遊技A」や「2R通常大当り遊技B」(以下、「2R系大当り遊技」と略す)の動作態様と実質的同一となるように、大入賞口の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。なお本実施形態では、小当りは特図1側の大当り抽選対象であるので、ここでは、下大入賞口40の開閉動作パターンを制御するための処理が行われる。
この小当り処理に入ると、まず小当り遊技における「開始インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに設定し、オープニング演出の開始を指示する「小当り開始コマンド」を演出制御部24に送信する。なお「小当り開始コマンド」には、今回の小当り種別情報と小当り当選時の遊技状態情報とが含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技中に展開される一連の当り演出態様(オープニング演出、疑似ラウンド演出、エンディング演出などを含む一連の当り中演出シナリオ)を決定する際に利用される。
開始インターバル経過したならば、次いで、後述の小当り遊技後の遊技状態を指定する「小当り時遊技状態移行準備処理」を行い、続いて、下大入賞口40の開閉動作が「2R系大当り遊技」と同一または酷似する動作態様となるように、下大入賞口ソレノイド42cを制御するためのソレノイド用制御データを設定する。これにより、下大入賞口40が2R系大当り遊技の如く開放動作し、小当り遊技中の疑似的なラウンド遊技が実行される。なお小当り遊技中における下大入賞口40への最大入賞数は大当りによるものと同じ(たとえば、9個)となっており、当該最大入賞数に達すると、下大入賞口40が閉鎖状態に移行される。ただし、小当り遊技は大当り遊技のようなラウンド遊技が実行されないため、上記最大入賞数に達した場合、上記疑似的なラウンド遊技自体が終了されることになる。
なお小当り遊技中において下大入賞口40への入賞があった場合には、大当り遊技の場合と同じく、最大入賞数に達するまでは、入賞ごとに小当り用の「通常用大入賞口入賞コマンド(たとえば、大入賞口入賞コマンド5)」が送信され、オーバー入賞が発生した場合は小当り用の「OV用大入賞口入賞コマンド(たとえば、大入賞口入賞コマンド6)」が送信される。
したがって、小当り遊技中におけるオーバー入賞の発生は、小当り遊技中全体を通じて最大入賞数を超えたときに発生することになる。ただし本実施形態の小当り遊技では、下大入賞口40が短開放パターンで開閉されるので、オーバー入賞の発生は不可能となっており、OV用大入賞口入賞コマンドの送信自体を制限する構成となっているが、本発明はこれに限られない。たとえば、遊技性によっては、小当り遊技中の動作態様を2R系大当り遊技の動作態様と異なるものとしても差し支えない場合がある。この場合、疑似的なラウンド遊技において、下大入賞口40を長開放パターンで開閉動作させて、小当り遊技においてオーバー入賞を発生可能な構成とし、オーバー入賞が発生した場合にはOV用大入賞口入賞コマンドを送信して、所定のオーバー入賞演出(たとえば、小当り用のオーバー入賞演出)を現出させる構成としても良い。
また複数種類の小当りを設けた場合、一の小当り遊技(たとえば、小当りAによる小当り遊技)では、大入賞口を短開放パターンで開閉動作させ、他の小当り遊技(たとえば、小当りBによる小当り遊技)では、大入賞口を長開放パターンで開閉動作させ、当該他の小当り遊技においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出可能に構成しても良い。また、一の小当り遊技と他の小当り遊技の双方ともに、大入賞口を長開放パターンで開閉動作させ、いずれの小当り遊技中においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出可能に構成しても良い。また、一の小当り遊技と他の小当り遊技の双方ともに、大入賞口を長開放パターンで開閉動作させ、他の小当り遊技中においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出させず、他の小当り遊技中においてオーバー入賞が発生した場合、オーバー入賞演出を現出可能に構成しても良い。上述のような構成では、小当り遊技中もオーバー入賞演出を現出させることができるので、小当り遊技の面白みを向上させることができる。
再び小当り処理の説明に戻り、小当り遊技に係る下大入賞口40の一連の開閉動作が終了したならば、エンディング演出の開始を指示する「小当り終了コマンド」を、演出制御部24に送信する。この「小当り終了コマンド」には、今回の小当り種別とその小当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24側において、小当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。したがって、この小当り終了コマンドは、エンディング演出の開始指示の役割の他に、遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドとしての役割も担い、大当り遊技に係る「大当り終了コマンド」と同じ働きをする演出制御コマンドである。
(9−6−1.小当り時遊技状態移行準備処理)
次に、上述の小当り時遊技状態移行準備処理について説明する。
小当り時遊技状態移行準備処理では、小当り遊技後の遊技状態を指定すべく、小当り遊技後の遊技状態を指定するための設定処理を行う。具体的には、まず変動パターン振分指定番号(Tcode)を取得し、次いで小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル(図30(ロ))を取得する。そして、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを参照して、現在の変動パターン振分指定番号と小当り種別(特別図柄判定データ)とに基づき、遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかを取得し、この遊技状態移行テーブルを参照して、該当するデータをRAM203の所定領域(変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタ)に格納する。これにより、小当り遊技後の遊技状態が指定されるようになっている。
(T−10.小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブル:図30(ロ))
図30(ロ)に、小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルを示す。本実施形態の小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルには、変動パターン振分指定番号(Tcode)と当選種別(特別図柄判定データ:ここでは、小当り種別)とに関連付けられた複数種類の小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」と「JTTBL−9」とが定められており、具体的には、変動パターン振分指定番号(Tcode)と、小当り種別を識別する特別図柄判定データとに基づき、複数種類の遊技状態移行テーブルのうちからいずれかの遊技状態移行テーブル(小当り用の遊技状態移行テーブル)が決定されるようになっている。
(T−11.小当り用遊技状態移行テーブル:図31(ロ))
図31(ロ)を参照して、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」について説明する。これらの小当り用遊技状態移行テーブルには、小当り遊技後に移行すべき遊技状態を指定するためのデータとして、変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタに格納するためのデータが定められている。これらデータ値が変動パターン振分指定番号格納領域および特別図柄変動回数カウンタが格納されると、小当り遊技終了後の遊技状態が特定される。ここで上記「JTTBL−8」〜「JTTBL−9」には、変動パターン振分指定番号バッファおよび特別図柄変動回数カウンタバッファに格納するためのデータだけが定められているので、小当りに当選しても内部遊技状態の移行はなく、変動パターン選択モードとしての遊技状態の移行(変動パターン振分指定番号(Tcode)の変更)が行われるだけとなる。
なお、上記小当り用遊技状態移行テーブル選択テーブルでは、小当り当選時の遊技状態が通常状態(変動パターン振分指定番号00H)である場合か、またはCZ(変動パターン振分指定番号06H)である場合に限り、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかが選択されるようになっている。すなわち、遊技状態が、確変状態(変動パターン振分指定番号01H)、潜確状態(変動パターン振分指定番号02H)、時短状態(変動パターン振分指定番号03H)の場合には遊技状態の移行はなく、その小当り当選時の遊技状態が継続され、CZ中に小当り当選の場合は、再度、小当り用遊技状態移行テーブル「JTTBL−8」または「JTTBL−9」のいずれかが選択されて、その小当り種別に応じてCZ継続回数が再設定されることになる(図31(ロ)参照)。
以上の小当り処理を抜けると、図6のステップS061の右打ち報知情報管理処理に進む。
<演出制御部側の処理:図24〜図26>
次に、図24〜図26を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図24)と、定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図26)とを含んで構成される。
<11.演出制御側メイン処理:図24>
図24は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図24に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS071)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
ステップS071の初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごとにステップS073〜S078のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS079の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS072の処理において、CPU241は、メインループ更新周期用カウンタ値を参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期が到来したか否かを判定する(ステップS072)。上記メインループ更新周期用カウンタは、後述の演出制御側タイマ割込処理中のメインループ更新処理(図26のステップS096)で更新されるカウンタである。なお本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっている。このメインループ更新周期が到来するまでは(ステップS072:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS079:各種演出用ソフト乱数更新処理)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS072:YES)、CPU241は、受信コマンド解析処理を行う(ステップS073)。この受信コマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出制御処理を行う。この演出制御コマンドの中には、既に説明した、保留加算コマンド、保留減算コマンド、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンド、変動停止コマンド、各エラーに対応したエラーコマンド(メインエラーコマンド)、各エラーに対応したエラー解除コマンドなどが含まれる。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、上記演出シナリオは、必要に応じて異なる演出シナリオに書き換えられる(たとえば、枠演出ボタン13の操作検出に基づいて、操作時用のパーツ演出を組み込む場合がある)。この場合、変更した演出シナリオデータを上記シナリオ設定領域に再設定して、変更した演出シナリオデータに基づいて演出を現出させる。
ステップS073の受信コマンド解析処理を終えると、シナリオ更新処理を行う(ステップS074)。このシナリオ更新処理では、演出パターンの実行に必要なタイマの内容を更新する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、演出手段に現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)や演出役物制御データ更新処理(ステップS077)などに関する演出処理においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLEDデータ更新処理(ステップS075)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物制御データ更新処理(ステップ077)で作成される。
次いで、LEDデータ更新処理を行う(ステップS075)。このLEDデータ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ部45やLEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、RAM243の指定領域に格納する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出LED管理処理(図26のステップS095)で利用される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS076)。このサウンド出力処理では、ステップS074のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音響制御部(音源LSI)を通じてスピーカ46から効果音を出力させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、演出役物制御データ更新処理を行う(ステップS077)。この演出役物制御データ更新処理では、上記演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物モータ80c、91c、92c、62c、73cの駆動制御用データを作成する。ここで作成されたデータは、後述するタイマ割込処理中の演出役物動作管理処理(図26のステップS094)で利用される。
次いで、エラー報知に関するエラー報知管理処理を行う(ステップS078)。このエラー報知管理処理では、実行中のエラー報知演出の管理を行う。エラー報知演出には、主制御部20が判断主体となる上記メインエラーに関するエラー報知演出と、演出制御部24が判断主体となる上記サブエラーに関するエラー報知演出とがあるが、双方のエラー報知演出がこのエラー報知管理処理で管理される。また、このエラー報知管理処理では、演出制御部24に接続されたスイッチ類(音源IC、位置検出センサ82a、91a、92a、RTC機能部)からの検出情報に基づいて上記サブエラー(音源ICエラー、可動体役物エラー、演出基板エラー)が発生したか否かが判断される。サブエラーが発生したと判断された場合、発生したサブエラーに関するエラー報知演出が開始される。
また、エラー報知演出の管理では、実行中のエラー報知演出の終了条件である規定時間(たとえば、30秒)が経過した場合、そのエラー報知演出を終了させる処理が行われる。ただし、このエラー報知管理処理でエラー報知演出が終了されるエラーは一部の種類のエラーであって、他の種類のエラーについては、パチンコ遊技機1の電源がOFFにされるまでエラー報知演出が継続されたり、メインエラーに対応したエラー解除コマンドの受信時に終了されたりするものがある。エラー報知管理処理(ステップS078)の詳細は、図29にて後述する。
(12.コマンド受信割込処理:図25)
次に図25を参照して、コマンド受信割込処理について説明する。図25は、演出制御側のコマンド受信割込処理を示すフローチャートである。このコマンド受信割り込み処理は、主制御部20から演出制御コマンドを受信した場合、後述する演出制御側タイマ割込処理(図26)よりも優先的に実行される。
まず演出制御部24(CPU241)は、図24に示すメイン処理実行中に主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させて(ステップS081)、受信した演出制御コマンドをRAM243のコマンド受信バッファに格納し(ステップS082)、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS083)。これにより、コマンド受信割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御部側メイン処理に戻り、次の上記ストローブ信号に基づく割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。このように、主制御部20から送られてくる各種演出制御コマンドを受けた場合、このコマンド受信割込処理が実行されて、演出制御コマンドを受信した時点で、そのコマンドがコマンド受信バッファに格納される。
(13.演出制御側タイマ割込処理:図26)
次に図26を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図26は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、一定時間(1ms程度)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図26において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS091)、演出ボタン入力管理処理を行う(ステップS092)。この演出ボタン入力管理処理では、枠演出ボタン13からの操作(ON操作)検出信号の入力の有無を監視し、当該操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この情報は、上記ボタン予告演出に利用される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS093)。この液晶コマンド送信処理では、図24の演出制御側メイン処理中のシナリオ更新処理(ステップS074)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信して、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、演出役物動作管理を行う(ステップS094)。この演出役物動作管理では、演出役物制御データ更新処理(ステップS077)で作成された可動体役物用のモータ制御データに基づき、駆動制御部を通じて、可動体役物モータ80c、91c、92c、62c、73cに制御信号を出力する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73)による視覚的演出が実現される。
次いで、演出LED管理を行う(ステップS095)。この演出LED管理では、LEDデータ更新処理(ステップS075)で作成されたLEDデータに基づき、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
次いで、メインループ更新周期を管理するメインループ更新処理を行う(ステップS096)。このメインループ更新処理では、メインループ更新周期用カウンタを割込みごとに更新する(メインループ更新周期用カウンタ+1)。メインループ更新周期用カウンタは、たとえばインクリメント処理によって16の倍数の範囲(たとえば、0〜31)を循環するカウンタである。
以上のステップS091〜ステップS096の処理を終えた後、退避していたレジスタの内容を復帰させる(ステップS097)。これにより、このタイマ割込処理を終了して、割込み前の上記演出制御側メイン処理に戻り、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を行う。
<受信コマンド解析処理の内容:図27、図28>
図27、図28は、受信コマンド解析処理(図20のステップS073)で実行される処理のうち、本発明と関連性の深いものを示したものである。以下、エラーコマンドを受信した場合と、エラー解除コマンドを受信した場合についてそれぞれ説明する。
<エラーコマンドの受信処理:図27>
まず図27を参照して、演出制御部24がエラーコマンド(メインエラーコマンド)を受信した場合に実行する受信コマンド解析処理について詳細に説明する。
図27は、主制御部20側でメインエラーが発生した際に、主制御部20から演出制御部24に送信されたメインエラーコマンドが受信された場合に行われる受信コマンド解析処理の一つであるエラーコマンド受信処理を示すフローチャート図である。このメインエラーコマンドは、図8の主制御側タイマ割込処理のエラー管理処理(ステップS055)で送信される演出制御コマンドである。
図27において、演出制御部24(CPU241)は、メインエラーコマンドを受信した場合、まずエラー種別確認処理を実行する(ステップS701)。このエラー種別確認処理では、まず受信したメインエラーコマンドを解析し、そのコマンドに含まれるエラー種別情報(メインエラー情報)を取得し、メインエラーの種類を取得する。メインエラーには、図33や後述の図34に示すように、磁気センサエラー、電波センサエラー、振動センサエラー、扉開放エラー、球詰りエラー、補給切れエラー、払出不足エラーなどがある。
またエラー種別確認処では、取得したエラー種別に対応したエラーフラグを設定する。本実施形態では、RAM243に、エラー種別とエラー報知優先順位とに関連付けられた複数のエラーフラグ設定領域が設けられており、当該エラーフラグ設定領域におけるフラグの設定状態に基づいて、現在発生中のエラーの種類とエラー報知優先順位とを識別(特定)可能な構成となっている。エラーフラグ設定領域について、図33および後述の図34に示す全エラー25種類のエラー種別を監視可能な遊技機を例にとり説明すれば、全エラー25種類のそれぞれ対応したエラーフラグ設定領域1〜25番を設け(エラー報知優先順位1〜N番目のエラーに対応したエラーフラグ設定領域1〜Nを設ける)、エラーが発生した場合、そのエラーに対応したエラーフラグ設定領域のフラグ値をON状態(5AH)に設定し、エラーが解除された場合にはOFF状態(00H)に設定し、現在、どのようなエラーフラグ設定領域に、どのようなフラグ値が設定されているかを判断することにより、現在発生中のエラーの種類とエラー報知優先順位とを識別する。
たとえば、可動体役物エラーが単独発生したケースを例にとり説明すれば、可動体役物エラーの発生に伴い、可動体役物エラーに対応するフラグ(エラー報知優先順位17番のフラグ設定領域のフラグ)がON状態に設定される。このケースでは、可動体役物エラーに対応するフラグだけがON状態となっており、他のエラーのフラグがOFF状態となっているので、演出制御部24(サブCPU241)は、エラー報知優先順位17番の可動体役物エラーが単独発生中である、ということを識別することができる。なお、サブエラーに係るエラーフラグについては、後述の図29のエラー報知管理処理中のステップS722の処理で設定される。
また、この可動体役物エラーの単独発生中に扉開放エラーが新たに発生したケースを例にとれば、先行して発生中の可動体役物エラーに対応するフラグがON状態であり、この状態で、新たに発生した扉開放エラーに対応するフラグ(エラー報知優先順位12番のフラグ設定領域のフラグ)のフラグがON状態に設定されることになる。これにより、現在、エラー報知優先順位17番の可動体役物エラーと、エラー報知優先順位12番の扉開放エラーとが重複発生中である、ということを識別することができる。このエラーフラグは、エラー種別に対応して定められたエラー解除条件の成立に基づき、そのエラーに対応したエラーフラグがクリアされる。このフラグクリア処理は、後述の図28のステップS713、S718、図29のステップS734の処理で行われる。
演出制御部24は、上記のようなエラーフラグを管理し、現在発生中のエラー(メインエラーおよびサブエラー)の種類(エラー種別)とそのエラー報知優先順位を識別する機能部(サブ側エラー管理手段)を備え、現在発生中のエラーが如何なるエラーであるのかを監視・把握している。なお、サブ側エラー管理手段は、現在発生中のエラーの種類とそのエラー報知優先順位を判定可能な手段であれば、その構成に特に制限はない。たとえば、現在発生中のエラー種別を判定する第1の手段と、エラー報知優先順位を判定する第2の手段とを含んだ構成とすることができる。
(エラー判定データ管理形態)
エラー種別を上記のようなエラーフラグで管理するのではなく、次のような判定データ(以下、「エラー判定データ」と称する)を利用して、現在発生中のエラーの種類とエラー報知優先順位とを特定可能な構成にしても良い(以下、この構成を「エラー判定データ管理形態」と称する)。
上記エラー判定データは、エラーの種類とエラー報知優先順位とを特定(識別)するためのデータであり、たとえば、パチンコ遊技機1が、図33および後述の図34に示す全エラー25種類のエラー種別を監視可能な遊技機を例にとり説明すれば、図示の全エラー25種類に対し、エラー報知優先順位とエラー種別とに関連したデータ値を持つ。具体的には、エラー報知優先順位が高い順に「01H」〜「19H」が割り当てられている。具体的には、「01H」〜「19H」のうち、一番大きい値の「19H(エラー報知優先順位1番目)」はエラー報知優先順位最上位のRAMクリアエラー、その次に大きい値である「18H(エラー報知優先順位2番目)」は大入賞口不正入賞エラー、以下同様にして、「17H(エラー報知優先順位3番目)」は磁気センサエラー2、「16H(エラー報知優先順位4番目)」は電波センサエラー2、・・・、「0EH(エラー報知優先順位12番目)」は扉開放エラー、・・・、「09H(エラー報知優先順位17番目)」は可動体役物エラー、・・・、「02H(エラー報知優先順位24番目)」は確変領域センサエラー2、最も小さい値の「01H(エラー報知優先順位最下位の25番目)」は非確変V入賞エラーである旨を示す。このような判定データを利用して、演出制御部24側において、エラー種別とそのエラー報知優先順位とが識別可能となっている。
エラー判定データ管理形態では、演出制御部24がメインエラーコマンドを受信した場合、ステップS701の処理において、取得したエラー種別に対応したエラー判定データが設定される。エラー判定データは、RAM243のエラー判定データ管理領域に設定され、演出制御部24側において、現在発生中のエラーの種類等を特定するために利用される。
複数種類のエラーが発生している場合は、それぞれのエラーに対応したエラー判定データ値が設定され管理される。たとえば、可動体役物エラー(エラー判定データ=09H)が単独発生中に、扉開放エラー(エラー判定データ=0EH)が新たに発生したケースでは、先に発生した可動体役物エラーを指定するエラー判定データ「09H」に加え、扉開放エラーを指定する判定データ「0EH」が新たに設定され、これら2つのデータ値に基づき、現在、可動体役物エラーと扉開放エラーとが発生中(重複発生中)であることが特定可能となっている。またエラー判定データは、エラー種別に対応して定められた所定のエラー解除条件の成立に基づき、そのエラーに対応したエラー判定データがクリアされる。たとえば、可動体役物エラーと扉開放エラーとが重複発生中において、可動体役物エラーの解除条件が成立した場合、エラー判定データ「09H」がクリアされ、残りのエラー判定データは「0EH」だけが設定されている状態となる。なお、このクリア処理は、後述の図28のステップS713、S718、図29のステップS734の処理で行えばよい。また、サブエラーに係るエラー判定データについては、後述の図29のエラー報知管理処理中のステップS722の処理で設定すればよい。
演出制御部24は、上記のようなエラー判定データを管理し、現在発生中のエラー(メインエラーおよびサブエラー)の種類(エラー種別)とそのエラー報知優先順位を識別する機能部(サブ側エラー管理手段)を備えることができる。この点、既に説明したエラーフラグ管理形態と同じである。
また上記エラー判定データは、現在発生中のエラー種別とエラー報知優先順位とを特定可能なデータであれば、その構成は特に制限されない。また、エラー判定データは、現在発生中のエラー種別を特定可能な第1のデータと、現在発生中のエラーのエラー報知優先順位を特定可能な第2のデータとで構成されていてもよい。
再び図27の説明に戻り、次いで、複数種類のエラーが重複発生中であるか否かを判断する(ステップS702)。エラーが重複発生中ではない場合(ステップS702:NO)、つまり、今回発生したエラー(メインエラー)が単独発生である場合、エラー報知演出シナリオ作成処理を実行する(ステップS703)。このエラー報知演出シナリオ作成処理では、ステップS701の処理で取得したメインエラー種別に対応する「単独発生用のエラー報知演出」の演出シナリオを作成し設定する。これにより、エラーに対応した単独発生用のエラー報知演出が実現される。
なお、エラー用画像表示演出(重複発生時用のエラー報知演出(後述のステップS707の処理参照)も含む)は、通常の表示位置(たとえば、画面の上段)で表示すると、警告文が隠されるケースがある場合等は、警告文を表示する位置を通常の表示位置ではなく、隠されない特定の表示位置(たとえば、画面の中段や下段)に警告文を表示するという画像表示演出用の演出シナリオを作成する。また、発生中のエラーのエラー報知優先順位が上位(たとえば、1番〜12番)である場合は、遊技者の注目を警告文に集めるために、装飾図柄や保留表示領域77、76を縮小したり、退避表示したり、非表示したりする等の演出シナリオが作成され設定される。このエラー報知演出用の演出シナリオに基づくエラー報知(エラー報知演出)は、既に説明したように、各エラーそれぞれに対応したエラー解除条件の成立に基づき終了される(後述の図28のステップS717)。ただし、異なるエラーが重複発生した場合はエラー報知優先順位に基づき、当該報知順位が相対的に低いエラー報知が終了される(後述の図28のステップS712〜S716、図29のステップS725〜S728)。
一方、エラー重複発生中(他のエラー報知演出が実行中)である場合(ステップS702:YES)、重複発生用のエラー報知演出(重複時のエラー用音演出、エラー用光演出、エラー用画像表示演出)の演出シナリオを作成・設定するための処理を行う(ステップS705〜ステップS707)。以下のステップS705〜ステップS707の処理の説明では、説明の便宜のために、重複発生中のエラーの例として、可動体役物エラーが先行して発生しており、その可動体役物エラー中に、扉開放エラーが発生した場合(今回受信したメインエラーコマンドが扉開放エラーを指定するコマンドであったケース)について説明する。
ステップS705のエラー報知優先順位判定処理では、エラーフラグに基づき、現在ON状態の各エラーフラグを比較判定し、エラー報知優先順位が相対的に高いエラーを抽出する。本例では、エラー報知優先順位17番の可動体役物エラーと、エラー報知優先順位12番の扉開放エラーのうち、いずれのエラーのエラー報知優先順位が高いのかが判定される。ここでは、12番の扉開放エラーが、現在発生中のエラーの中で一番報知順位が高いエラーと判定されることになる。この判定結果は、RAM243のエラー報知優先順位判定領域に設定される。なお、判定対象のエラーがM種類(2≦M)存在する場合、全エラーM種類のうち、エラー報知優先順位が一番高いエラーは、いずれのエラーであるかどうかが判定される。
次いで、エラー重複用音光演出シナリオ作成処理を実行する(ステップS706)。このエラー重複用音光演出シナリオ作成処理では、ステップS705の処理で、エラー報知優先順位が一番高いと判定されたエラーに対応した、エラー用音演出シナリオと、エラー用光演出シナリオとを作成し設定する。本例では、ステップS705の処理で判定された扉開放エラーに対応したエラー用音演出シナリオとして「扉開放警告音」を発するための演出シナリオが、エラー用光演出シナリオとして「赤色全点滅」の発光させるための演出シナリオとが作成され設定される(図33の扉開放エラーの欄参照)。
次いで、エラー重複用画像表示演出シナリオ作成処理を実行する(ステップS707)。このエラー重複用画像表示演出シナリオ作成処理では、エラーフラグの値がON状態に設定されているすべてのエラーを特定可能な情報を報知するための画像表示演出、たとえば、すべてのエラーの警告文を画面上に表示するためのエラー用画像表示演出を作成し設定する。本例では、可動体役物エラーと扉開放エラーとが重複発生状態であるので、たとえば、図38(B)に示すような、各エラーの警告文(可動体役物エラーと扉開放エラーとを対象とした警告文)の表示するためのエラー用画像表示演出の演出シナリオが作成される。これにより、図38(A)に示すような可動体役物エラーが単独発生しているときのエラー用画像表示演出から、図38(B)に示すような重複発生中のエラー用画像表示演出に切り替わることになる。上記ステップS706〜S707の処理により、すべてのエラーに対応した重複発生用のエラー報知演出が実現される。
今回の例では、扉開放エラーと可動体役物エラーとが重複発生している場合を例にして説明したが、3種類以上のエラーが重複発生している場合についても上記と同様の処理を適用することができる。
<エラー解除コマンドの受信処理:図28>
次いで図28を参照して、エラー解除コマンドを受信した場合の受信コマンド解析処理について詳細に説明する。なお、上記エラーコマンド受信処理中に実行される処理と実質的に同じ処理(ステップS715〜ステップS717)の内容については重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
図28は、主制御部20側で発生していたメインエラーが解消され、主制御部20からのエラー解除コマンドを演出制御部24が受信した場合に実行されるエラー解除コマンド受信処理を示すフローチャート図である。エラー解除コマンドは、図8の主制御側タイマ割込処理のエラー管理処理(ステップS055)において、主制御部20が送信する演出制御コマンドの一つである。
図28において、演出制御部24(CPU241)は、エラー解除コマンドを受信した場合、まずエラー重複発生中(エラー報知演出が実行中)であるか否かを判断する(ステップS711)。
エラー重複発生中でない場合(ステップS711:NO)、単独発生中のエラー報知演出を終了させるために必要な処理を実行し(ステップS717)、解除対象のエラーフラグをクリアして(ステップS718)、エラー解除コマンド受信処理を抜ける。これにより、エラー解除対象となったエラー報知が終了される。
一方、エラー重複発生中である場合(ステップS711:YES)、現在、重複発生中の重複発生用エラー報知演出(重複時のエラー用音演出、エラー用光演出、エラー用画像表示演出)について、解除対象のエラーが発生したことによる新たな演出シナリオの作成・設定するための処理を行う(ステップS712〜ステップS716)。以下のステップSS712〜ステップS716の処理の説明では、説明の便宜のために、重複発生中のエラーの例として、球詰りエラー(メインエラー、エラー報知優先順位22番)と可動体役物エラー(サブエラー、エラー報知優先順位17番)と扉開放エラー(メインエラー、エラー報知優先順位12番)とが重複発生中において、扉開放エラーが解消され、これに対応するエラー解除コマンドを受信した場合(今回受信したエラー解除コマンドが扉開放エラーを指定するコマンドであったケース)について説明する。
ステップS712の処理では、解除対象エラー種別確認処理を実行する(ステップS712)。この解除対象エラー種別確認処理では、受信したエラー解除コマンドを解析し、そのコマンドに含まれる情報を取得して、解除対象のメインエラー情報を取得する。
次いで、解除対象となった扉開放エラーのエラーフラグをクリア(OFF状態)する(ステップS713)。これにより、扉開放エラーが解消されたことになり、残余エラーは、球詰りエラーと可動体役物エラーとだけとなる。
次いで、エラー報知優先順位判定処理を実行する(ステップS714)。このエラー報知優先順位判定処理では、残余エラーフラグに基づき、エラー報知優先順位を判定する。本例では、エラー報知優先順位22番の球詰りエラーと、エラー報知優先順位17番の可動体役物エラーとのうち、いずれのエラーのエラー報知優先順位が高いのかが判定され、ここでは、17番の可動体役物エラーが、現在発生中のエラーの中で一番報知順位が高いエラーと判定されることになる。
次いで、エラー解除時用音光演出シナリオ作成処理を実行する(ステップS715)。このエラー解除時用音光演出シナリオ作成処理は、ステップS715の処理で、エラー報知優先順位が一番高いと判定されたエラーに対応した、エラー用音演出シナリオと、エラー用光演出シナリオとを作成し設定する。本例では、ステップS715の処理で判定された可動体役物エラーに対応したエラー用音演出シナリオとして「可動体役物異常警告音」を発するための演出シナリオが、エラー用光演出シナリオとして「白色全点滅」の発光させるための演出シナリオとが作成され設定される(図33の可動体役物エラーの欄参照)。これにより、音演出と光演出とについて、扉開放エラーに対応したエラー報知から、可動体役物エラーに対応したエラー報知が新たに実行されることになる。
次いで、エラー解除時用画像表示演出シナリオ作成処理を実行する(ステップS716)。このエラー解除時用画像表示演出シナリオ作成処理では、図27中のステップS707の処理と同じように、エラーフラグの値がON状態に設定されているすべてのエラーを特定可能な情報を報知するための画像表示演出を作成し設定する。本例では、扉開放エラーが解除され、球詰りエラーと可動体役物エラーとが重複発生状態であるので、球詰りエラーと可動体役物エラーを対象とした警告文の表示するためのエラー用画像表示演出の演出シナリオが作成される。上記ステップS712〜ステップS716の処理により、残りのエラーに対応した重複発生用のエラー報知演出が実現される。
<エラー報知管理処理:図29>
次に、図24中のエラー報知管理処理(ステップS078)について説明する。図29は、ステップS078のエラー報知管理処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図27のエラーコマンド受信処理、または図28のエラー解除コマンド受信処理で説明した処理内容と同じ処理については重複記載を避けるために、適宜省略して説明する。
図29において、演出制御部24は、まずサブエラーが発生したか否かを判断する(ステップS721)。サブエラーには、音源ICエラー、可動体役物エラー、演出基板エラーがあり、これらのエラーが発生したか否かは、演出制御部24に接続されたスイッチ類の音源IC、位置検出センサ82a、91a、92a、RTC機能部からの検出情報に基づいて判断される。サブエラーが発生していないと判断された場合(ステップS721:NO)、次いで、ステップS731を実行する。
一方、サブエラーが発生したと判断された場合(ステップS721:YES)、発生したサブエラーに対応するエラーフラグをON状態に設定する(ステップS722)。たとえば、花型役物90に原点位置まで戻らない異常が発生し、演出制御部24により可動体役物エラーが発生したと判断された場合には、可動体役物エラー(エラー報知優先順位17)に対応付けられているエラーフラグ設定領域のフラグ値がON状態(5AH)に設定される。
次いで、エラーが重複発生中であるか否かを判断する(ステップS723)。エラーが重複発生中ではない場合(ステップS723:NO)、ステップS722の処理でON設定されたエラーフラグに対応するエラー報知用の演出シナリオを作成し設定する(ステップS724)。この処理の内容は、図27中のステップS703の処理と同じ処理内容である。ステップS724の処理を終えると、後述のステップS728の判定処理に進む。
一方、エラー重複発生中である場合(ステップS723:YES)、重複発生用のエラー報知演出(重複時のエラー用音演出、エラー用光演出、エラー用画像表示演出)の演出シナリオを作成・設定するための処理を行う(ステップS725〜S727)。なおステップS725〜S727の処理は、図27中のステップS705〜S707の処理と実質的に同じ処理内容であるので、重複記載を避けるためにその説明は省略する。
次いで、ステップS728の処理に進み、現在発生中のサブエラーについて、エラー解除条件が成立したか否かを判断する(ステップS728)。解除条件が成立していない場合(ステップS728:NO)、何もせずにエラー報知管理処理を抜ける。一方、解除条件が成立した場合(ステップS728:YES)、解除対象となったサブエラーのエラー報知を終了させるために必要な設定処理を行い(ステップS729)、エラー報知管理処理を抜ける。
〔第2の実施形態〕
上記第1の実施形態の場合、エラーが発生すると音演出、光演出、画像表示演出を組合せてエラー報知演出として報知していた。これらの演出で使用される演出手段は、音演出についてはスピーカ46、光演出については装飾ランプ45、画像表示演出については液晶表示装置36であった。このうち、装飾図柄変動表示ゲームにおいて実行される通常の光演出では、装飾ランプ45以外にも、盤面に設けられた各種ランプ、時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73、枠演出ボタン13といった可動体役物の内部に設けられているランプ、発射操作ハンドル15の内部に設けられているランプなどが使用されている。以下、装飾ランプ45以外のランプのうち可動体役物や発射操作ハンドル15の内部に設けられているランプを「特別ランプ」と称し、この特別ランプを使用した光演出(第2の実施形態)について説明する。
エラーが発生していない場合、これらの特別ランプは、主に、当選期待度が高まるSPリーチ演出や当り変動に係る予告演出の一つとして当り当選期待度が高いことを報知する高期待度予告演出を現出する際に使用され、特に第3の可動体役物73の回転灯62は、大当り確定予告演出中(一発告知演出中)のみで使用される。そうすると、エラーが発生した際に、これら特別ランプがエラー用光演出に利用されてしまうと、遊技者は「当り当選期待度が高いのでは?」と誤認混同する恐れがある。また、特に、エラー用光演出において、第3の可動体役物73の回転灯62が間違って発光してしまうと、遊技者は「このゲームは、大当り確定だ!」などのように、大当りが確定したと誤認混同する恐れがある。しかし、遊技機に対する被害の深刻度が高いエラーについては、当該エラーの発生を外部に対して効果的に報知する必要がある。そこで本実施形態では、エラーが発生した場合、特別ランプについては、エラー報知優先順位に基づき、次のような演出を実行制御して、上記問題点を解決するようになっている。なお、本例では、特別ランプを使用する演出を「ランプ予告演出」と称する。
(RAMクリアエラー発生時の特別ランプによる光演出について)
上述した深刻度が高いエラーとして、RAMクリアエラー(エラー報知優先順位1番)が発生した場合をついて説明する。
このRAMクリアエラーが発生する際の遊技状況は、パチンコ遊技機1がリセットされ遊技が進行していない遊技準備状況となっており、直ぐに図柄変動表示ゲームが開始されるような状況でもない。したがって、当り当選期待度が高いことや大当りが確定したことを、遊技者は誤認することがない。しかし、RAMクリアは、不正行為の対象とされうるものであり、RAMクリアにより生じるRAMクリアエラーは、遊技機に対する被害の深刻度が最も高いエラーとして警戒すべきエラーである。
そこで本実施形態では、RAMクリアエラーが発生した場合、これを外部に効果的に報知するために、第3の可動体役物73の回転灯62を含め特別ランプを所定の態様で発光させる光演出を実行させる。RAMクリアエラーは、遊技機内部のRAMクリアスイッチ操作により発生するものであるため、上述した遊技者の誤認混同の問題点よりも、不正行為が行われる点を問題視し、後述のRAMクリアエラー以外のエラー発生時のように、特別ランプを消灯させたままにしておくのではなく、所定の態様で発光させる光演出(特殊光演出)を実行させる(図33のRAMクリアエラー光演出の「白色全点灯」参照)。これにより、特別ランプによるエラー用の光演出が実行されると、RAMクリアエラーが発生していることを目立たせて、パチンコ遊技機に対する深刻度が相対的に最も高いものであるという認識を視覚の点から可能にしている。
(RAMクリアエラー以外のエラー発生時の特別ランプによる光演出について)
次に、RAMクリアエラー以外のエラーが発生した場合について説明する。
RAMクリアエラー以外のエラーが発生する際の遊技状況は、主に、遊技可能状態、たとえば、図柄変動表示ゲーム中(特別/装飾/普通図柄変動表示ゲーム中)、大当り遊技中、始動口34、35への入賞待ちのデモ画面中など種々の状況が考えられる。特にデモ画面中は、図柄変動表示ゲームが非実行中であるが、遊技者が遊技を開始すれば、始動口34、35に遊技球が入賞して、図柄変動表示ゲームが開始される状況にある。
したがって、このような遊技可能状態下においてエラーが発生した場合、特別ランプを使用したエラー用光演出を実行してしまうと、図柄変動表示ゲーム中であれば、当り当選期待度が高くないにもかかわらず当り当選期待度が高い、または大当り確定でないにもかかわらず大当り確定である「一発告知」が発生したと遊技者を誤認させてしまう恐れがある。またデモ画面中であったとしても、遊技者が遊技を開始すれば、図柄変動表示ゲームが開始される状況にあることから、100%遊技者が誤認を生じないとは言えない状況下にある。
そこで本実施形態では、RAMクリアエラー以外のエラー(ここでは、エラー報知優先順位が2番以降のエラー:図33参照)が発生した場合、ランプ予告演出の実行を制限するようになっている。たとえば、エラー中の特別ランプが光演出と音演出とから構成される場合は、特別ランプを消灯状態とし(消灯させ続ける)、音演出を実行しない(無音)ようにする(エラー中の特別ランプが光演出だけで構成される場合は、特別ランプを消灯状態とする)、といったエラー用の光演出を実行させる。これについて、図柄変動表示ゲーム中に係る演出シナリオに特別ランプを利用したランプ予告演出が含まれている場合を例にとり説明すれば、次のようにランプ予告演出の実行が制限される。
ランプ予告演出が発生する前にエラーが発生した場合、そのエラーが解除されるまでランプ予告演出の実行を制限する。すなわち、演出シナリオの進行し、ランプ予告演出を実行すべきタイミングが到来してもエラーが解除されていなければ、ランプ予告演出が実行されず、特別ランプは消灯したままとなる。ここで、エラーの解除タイミングによっては、演出シナリオ上、ランプ予告演出実行期間中のタイミングとなる場合がある。このようなケースでは、エラーが解除された後に、本来の演出シナリオを実行して、ランプ予告演出を発生させてもよいが、エラーが解除された後に、本来の演出シナリオを実行してしまうと、突然、ランプ予告演出が発生したかのような演出(具体的には、ランプ予告演出演出シナリオの途中からランプ予告演出が開始された状況)となり、かえって遊技者の混乱を招くと考えられる。したがって、ランプ予告演出が発生する前にエラーが発生した場合においてランプ予告演出実行期間中にエラーの解除されたときには、ランプ予告演出自体を制限してしまうことが好ましい。
他方、ランプ予告演出を実行すべきタイミングが到来する前にエラーが解除されていれば、既にエラー要因は解消し、ランプ予告演出の実行を制限する必要性はないので、本来の演出シナリオに基づき、ランプ予告演出を実行させる。
なお、ランプ予告演出実行中にエラーが発生した場合、エラー発生に伴い、ランプ予告演出の実行を直ちに終了させてもよい。しかし、ランプ予告演出実行中であるにもかかわらず、突然、ランプ予告演出終了してしまうと、かえって遊技者の混乱を招く恐れもあるたとえば、一発告知が突然終了して、大当りが消滅したかのような錯覚を与える可能性がありうる。このような事情を考慮し、ランプ予告演出実行中である場合にエラーが生じても、実行中のランプ予告演出そのまま継続してもよい。
これにより、エラー中は特別ランプによる光演出が制限されるため、上述した遊技者が誤認するといった問題は生じない。
ただし、エラーが発生しても遊技続行可能なエラー種別の場合、たとえば、「球詰りエラー(エラー報知優先順位最下位の22番)」や「右・左打ち警告報知(エラー報知優先順位21番)」など、遊技者が自力解除可能なエラーなどの深刻度が低いエラーの場合にも一律に特別ランプによる光演出を制限してしまうのは、遊技進行上、好ましくない。したがって、斯様なエラー中である場合は、ランプ予告演出は制限しなくてもよい。この場合、エラーをエラー報知優先順位に基づき次のように区分して、このエラー区分に応じて、ランプ予告演出を制限するか否かを決定可能な構成としてもよい。
〔第3の実施形態〕
上記第1の実施形態では、エラー用画像表示演出において、花型役物90が動作して液晶表示装置36の画面の一部を隠す際に、エラーに対する警告文を画面上段から画面中段に移動して表示していた。このように警告文を移動して表示する理由は、警告文が花型役物90により隠れないようにするためである。しかし、警告文が移動先でも可動体役物により隠されないようにするという関係を保ちつつ、警告文がいろんな位置に移動するのでは、視点が移動するため、現在どのようなエラーが発生しているのかが認識し難くなる。
そこで、本実施形態では、警告文の位置を移動させずに、可動体役物の位置を移動させるようにする。具体的には詳述するが、設定されている動作パターン(演出シナリオ)に基づき可動体役物が移動する場合に、警告文が隠されないように可動体役物の動作パターンを変更し、強制的に可動体役物を移動させる構成とする。このようにすると警告文が隠されなくなるので、警告文が読めるようになり、現在どのようなエラーが発生しているのかを認識することができるようになる。
ここで第1可動体91と第2可動体92は、主に、SPリーチ演出や当り変動に係る予告演出の一つとして当り当選期待度が高いことを報知する高期待度予告演出を現出する際には、次のようにその位置が移動する。すなわち、第1可動体91は液晶画面より上方の原位置から「液晶画面外または液晶画面内の上部位置」(図2の実線位置:合体位置)まで落下運動し、また、第2可動体92は液晶画面より右方の原位置から「液晶画面外または液晶画面内の側部位置」(図2の実線位置:合体位置)まで突出移動し、そこで第1可動体91と第2可動体92が合体して「花型部」を形作る。その後、第1可動体91と第2可動体92は合体状態で合体位置からさらに液晶画面内に深く進んだ最深位置(図2の破線位置:作用位置)に移動し、その作用位置で一時待機する。その後、第1可動体91と第2可動体92は、合体状態で上記の合体位置(図2の実線位置)に戻り、さらにそれぞれ単独に原位置まで戻る。そこで、上記の位置移動に関し、原点位置から合体位置までの区間を第1行程、合体位置から作用位置までの区間を第2行程、作用位置から合体位置までの区間を第3行程、合体位置から原位置までの区間を第4行程として、全体を4つの行程に分けて考える。これを可動体役物を移動させる演出シナリオに対応させると、第1行程は可動体役物の演出シナリオの第1演出シナリオ(第1ステップ)、第2行程は第2演出シナリオ(第2ステップ)、第3行程は第3演出シナリオ(第3ステップ)、第4行程は第4演出シナリオ(第4ステップ)に対応する。
図41はこれを図にしたものであり、原位置p0から出発し合体位置pgに進むまでの第1行程、それから作用位置(最深位置)P1に進むまでの第2行程、それから合体位置pgに戻るまでの第3行程、それから原位置p0に戻るまでの第4行程があり、これらを順に経ることで役物動作の1サイクル(単位動作)が完結し、これをあらかじめ定められた1または複数サイクル行うことで、可動体役物の一の演出動作が終了する。なお、これらの行程のうちのどこ行程に居るかは、可動体役物を駆動するパルスモータに同期したエンコーダから把握される。
ここで「原位置p0」と「合体位置pg」の間、つまり第1行程と第4行程の区間は、液晶画面内に表示される警告文に可動体役物(第1可動体と第2可動体の合体役物)が重ならない区間となっている。また、「合体位置pg」と「作用位置P1」の間、つまり第2行程と第3行程の区間では、その途中位置P2を境に、警告文に可動体役物(第1可動体と第2可動体)が重なるか否かが定まる。すなわち、この途中位置P2より原位置P0側の区間A(Pg−P2区間)と区間D(P2−Pg区間)では、警告文に可動体役物が重ならず、途中位置P2より最深部置P1側の区間B(P2−P1区間)と区間C(P1−P2区間)では警告文に可動体役物が重なる関係となる。
そこで第1行程または第4行程の区間に可動体役物が位置している場合、または合体位置pgと途中位置P2との間の区間AまたはDに可動体役物が位置している場合において、可動体役物エラー以外のエラーが発生したときは、その可動体役物の「現在位置」から可動体役物を「原位置p0」に引き戻す移動制御をすれば、可動体役物は区間B、Cに行くことがない、つまり可動体役物が警告文の表示領域上に移動して重なることがないので、警告文は可動体役物によって覆われなくなる。
また第2行程の途中の途中位置p2と作用位置P1との間、または第3行程の途中の途中位置p2と作用位置P1との間に可動体役物が位置している場合において、つまり可動体役物が警告文の表示領域上に重なることとなる位置に居る場合おいて、可動体役物エラー以外のエラーが発生したときは、可動体役物を、その現在位置から原位置P0に引き戻す移動制御をするか、またはその現在位置から一旦作用位置P1に進ませてから原位置P0に引き戻す移動制御をする。このようにすれば、少なくとも区間A、Dまたは第1行程、第4行程の区間に可動体役物が移動した時点で、可動体役物が警告文の表示領域上から去ったことになるので、この時点より警告文は可動体役物で覆われてしまうことがない。
以下、大入賞口不正入賞エラーが次の7つのタイミング、すなわち(0)区間Aの前、(1)区間A中、(2)区間B中、(3)作用位置中、(4)区間C中、(5)区間D中、(6)図柄変動表示ゲーム前で発生した場合について説明する。
(0).可動体役物の区間Aの動作前にエラーが発生する場合
花型役物90が区間Aの動作前に大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、つまり、図41の合体位置pgにあるときに大入賞口不正入賞エラーの警告文Eが表示された場合は、花型役物90の動作パターン(演出シナリオ)を次のように変更する。
動作パターンとして、変更前は区間A、B、C、Dを順に実行する動作内容(演出内容)であったものを、変更後は、区間Aの次に区間Dを実行するという動作内容の動作パターンに変更する。すなわち、花型役物90を合体位置pgから途中位置p2まで移動させた後に、途中位置p2から合体位置pgに戻すという動作内容に変更する。これにより、花型役物90は途中位置p2を超えて移動しないので、大入賞口不正入賞エラーに対する警告文Eが花型役物90により隠されることはなくなる。なお、この場合、変更後の動作パターンとして、区間Aの動作を実行せずに、合体位置pgに滞在し続けるという動作内容としてもよい。
(1)可動体役物が区間Aで動作中にエラーが発生する場合
花型役物90が区間Aの動作中に、大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、つまり、図41の原点位置p0から途中位置p2に向かい花型役物90が移動しているときに、大入賞口不正入賞エラーの警告文Eが表示された場合、花型役物90の動作パターン(演出シナリオ)は次のように変更される。変更前の動作パターンが、このまま区間Aの動作を実行し続け、区間Aの動作を終えると、区間B〜区間Dの動作を順に実行する動作内容(演出内容)であったものを、変更後の動作パターンとして、このまま区間Aの動作を実行し続け、区間Aの動作を終えると、次に区間Dの動作を実行するという動作内容とする。すなわち、花型役物90を合体位置pgから途中位置p2まで移動させた後に、途中位置p2から合体位置pgに戻すという動作内容に変更する。これにより、花型役物90は途中位置p2を超えて移動しないので、大入賞口不正入賞エラーに対する警告文Eが花型役物90により隠されることはなくなる。なお、この場合、変更後の動作パターンとして、区間Aの動作を中断し、その中断した位置から合体位置pgに戻すという動作内容に変更してもよい。
(2)可動体役物が区間Bで動作中にエラーが発生する場合
花型役物90が区間Bの動作中に、大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、つまり、図41の途中位置p2から作用位置p1に向かい花型役物90が移動しているときに、大入賞口不正入賞エラーの警告文Eが表示された場合、花型役物90の動作パターン(演出シナリオ)は次のように変更される。
変更前の動作パターンに従った場合、このまま区間Bの動作を実行し続け、区間Bの動作を終えると、区間C〜区間Dの動作を順に実行する動作内容(演出内容)である。これを、変更後の動作パターンとして、区間Bの動作を途中で中断し、その中断した位置から途中位置p2に戻り、区間Dの動作を実行するという動作内容とする。すなわち、花型役物90を直ちに途中位置p2まで戻した後に、さらに途中位置p2から合体位置pgに戻すという動作内容のものに変更する。花型役物90は途中位置p2を超えて移動するため、その間、警告文Eが花型役物90により隠される状況が生まれるが、区間Bの途中から戻しているため、隠されている時間を短縮することができる。このとき、途中位置p2まで戻す際に、花型役物90を区間Bや区間Cで移動する通常のスピードよりも高速で、または可能な限りの早いスピードで戻す構成とすることで、警告文Eが隠れる時間をさらに短縮することができる。
(3)可動体役物が作用位置p1に停留中にエラーが発生する場合
花型役物90が区間Xの動作中に、大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、つまり、図41の作用位置p1に花型役物90が滞在しているときに、大入賞口不正入賞エラーの警告文Eが表示された場合、花型役物90の動作パターン(演出シナリオ)は次のように変更される。上記(2)と同様に、変更後の動作パターンとして、区間Xの動作を途中で中断し、花型役物90を直ちに途中位置p2まで戻した後に、さらに途中位置p2から合体位置pgに戻すという動作内容とする。これにより、上記(2)と同様に、警告文Eが花型役物90により隠される時間を短縮することができ、花型役物90を可能な限りの早いスピードで戻すことで、警告文Eが隠れる時間をさらに短縮することができる。
(4)可動体役物の区間C動作中にエラーが発生する場合
花型役物90が区間Cの動作中に、大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、つまり、図41の作用位置p1から途中位置p2に向かいに花型役物90が移動しているときに、大入賞口不正入賞エラーの警告文Eが表示された場合、花型役物90の動作パターン(演出シナリオ)は次のように変更される。変更後の動作パターンとして、区間Cの動作を途中で中断し、通常の区間Cの動作時のスピードよりも早く花型役物90を直ちに途中位置p2まで戻した後に、さらに途中位置p2から合体位置pgに戻すという動作内容とする。これにより、上記(2)と同様に、警告文Eが花型役物90により隠される時間を短縮することができ、警告文Eが隠れる時間をさらに短縮することができる。ただし、花型役物90を速いスピードに変更できない場合は、動作パターンを変更することなく、区間Cと区間Dの動作を実行し続けても良い。
(5)可動体役物の区間D動作中にエラーが発生する場合
花型役物90が区間Dの動作中に、大入賞口不正入賞エラーが発生した場合、つまり、図41の途中位置p2から合体位置pgに向かいに花型役物90が移動しているときに、大入賞口不正入賞エラーの警告文Eが表示された場合、花型役物90の動作パターン(演出シナリオ)は変更されない。変更しなり理由は、大入賞口不正入賞エラー発生以降に花型役物90は途中位置p2を超えて移動しないので、大入賞口不正入賞エラーに対する警告文Eが花型役物90により隠されることはなくなるからである。ただし、これ以降(大入賞口不正入賞エラー発生時以降)に、この図柄変動表示中において、可動体役物が区間A〜区間Dの動作を実行するという内容の別の第2動作パターンが設定されている場合、上記(0)の場合と同様に、その動作パターンを区間Aの動作の次に、区間Dの動作を実行するという動作内容に変更する必要がある。これは、次の第2動作パターンが実行される際に、未だに大入賞口不正入賞エラーが解消されずに残っている恐れがあるからである。この第2動作パターンの変更は、上記(0)〜(4)の場合にも適用される。
(6)図柄変動表示ゲーム前にエラーが発生する場合(エラー発生中に図柄変動表示ゲームが開始される場合)
大入賞口不正入賞エラーは、図柄変動表示ゲーム開始された後に発生する場合(上記(1)〜(5))の他、図柄変動表示ゲームが開始される前に発生する場合がある。
このようなケースで問題となるのは、花型役物90が動作パターンにしたがって移動する際に、未だに大入賞口不正入賞エラーが解消されずに残っている場合、つまり警告文が画面に表示されたままになっている場合であり、可動体役物が移動して警告文が覆われてしまうことになることである。
図柄変動表示ゲームの開始時には、装飾図柄や予告演出など全ての演出の演出内容が決定され、予告演出などに対応して可動体役物の演出内容も決定されるので、花型役物90の動作パターンも、この図柄変動表示ゲームの開始時に決定されなければならない。よって、このケースにおいても、花型役物90の動作パターンの決定づけは、上記(0)の場合と同様に、図柄変動表示ゲームの開始時において、「区間Aの動作の次に区間Dの動作を実行する」という動作内容に決定する。
上記のように、図柄変動表示ゲーム中にエラーが発生した場合、警告文が隠されてしまうような可動体役物の動作について、その可動体役物の移動ルートを短く変更し、または同一ルートを高速で移動させることを行うことで、可動体役物が警告文を隠している時間を短縮することができる。これにより、可動体役物が警告文を隠す状況が回避されるので、現在どのようなエラーが発生しているのかを遊技者やパチンコホール店員が認識し易くなる。
また、図柄変動表示ゲームが開始される前にエラーが発生していたとしても、可動体役物の移動範囲を警告文が隠れない範囲に制限されるので、その警告文を隠さなくすることができる。これにより、現在どのようなエラーが発生しているのかを遊技者やパチンコホール店員は確実に認識することができる。
また本実施形態の場合、可動体役物の動作パターンを変更して、可動体役物を強制的に戻す動作内容にする制御は、磁気センサエラーや扉開放エラーといったエラー報知優先順位の上位(たとえば、1番〜12番)のエラーに対してのみ実行し、それ以外の球詰まりエラー(遊技続行可能なエラー)などに対しては適用しなくてもよい。その理由は、エラー報知優先順位の下位(13番以降)のエラーの場合、遊技続行可能にもかかわらず、予告演出に合わせて実行される可動体役物の動作を中止すると、遊技者の遊技興趣の低下を招く恐れがあるからである。
また、上記では画面に表示される警告文を隠す恐れのある花型役物90を例にして説明したが、本実勢形態は、警告文を隠す恐れのある可動体役物のみに限定するものではなく、その他の時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73、枠演出ボタン13といった可動体役物を含めてもよい。具体的には、それらの可動体役物の動作パターン(演出シナリオ)を、強制的に原点位置まで戻したり、原点位置で停止させたりする動作内容(演出内容)に変更したりしてもよい。また、一般に、確変中や時短中において、可動体役物は、原点位置に滞在するのではなく、常に液晶表示装置36に被っている特別位置に滞在することがある。このような場合、エラー報知優先順位の上位(たとえば、1番〜12番)のエラーが発生した場合、そのエラーが報知されている間、可動体役物を特別位置から原点位置に戻してもよい。また、可動体役物自体にエラー(可動体役物が第1ポジション(たとえば原位置)から移動を開始して、可動体役物が所定時間内に第2ポジション(例えば作用位置)に到達するはずであるのに、所定時間経過しても第2ポジションの検出スイッチがONしないケース)が生起した時は、役物が動かないとしてもよい。上記のような場合、通常の可動体役物とは異なる動作をさせることにより、エラーが発生していることをいち早く認識させることができる。
〔第4の実施形態〕
次に、重複してエラーが発生した場合に、その報知演出のパワーの大小関係に基づくマスキング作用を利用して、エラー報知優先順位の高い方のエラー報知をなす場合(第4の実施形態)について、図42を用いて説明する。上記第1の実施形態との違いは、エラー報知の音演出や光演出について、エラー報知優先順位の高いエラー単独で実行されるか否かにある。上記第1の実施形態では、音演出および光演出がエラー報知優先順位の最も高い一つのエラー報知を実行するのに対し、本実施形態では、音演出および/または光演出が発生している複数のエラー報知を実行している。
図42に示すように、エラー報知優先順位の低い可動体役物エラーとエラー報知優先順位の高い扉開放エラーとが重複して発生している場合、マスキング作用を利用して、扉開放エラー報知演出としての「扉が開いています」というメッセージ音声のパワーを大きく、可動体役物エラー報知演出としての「P〜」という警告音のパワーを小さくして実行する。
また、光演出についても同様に、扉開放エラー報知演出としての赤色点滅の明るさのパワーを大きく、可動体役物エラー報知演出としての白色点滅の明るさのパワーを小さくして実行する。
このように、エラー報知演出での発生させるパワーに相違を付けつつ、上記第1の実施形態と同様に、重複してエラーが発生した場合でも、適正にエラー報知を行うことができる。また、エラー報知優先順位の高い方のエラーのエラー報知のパワーをエラー報知優先順位の低い方のエラーのエラー報知のパワーよりも大きくすることで、その高い方のエラーを目立たせることができ、パチンコ遊技機に対する深刻度が相対的に高いものであるという認識を視覚と聴覚の点から可能にしている。
なお、異なる種類のエラーが3種類以上発生した場合、エラー報知優先順位の高い順に音演出や光演出のパワーに相違を付けてもよく、エラー報知優先順位の高い上位2種類(または3種類)のエラーだけに限定して、演出のパワーに相違を付けてもよい。このような場合においても、エラー報知優先順位の高い方のエラーを目立たせることができるとともに、複数種類のエラーが発生していることを視覚と聴覚の点から可能にしている。
〔第5の実施形態〕
上記第1の実施形態では、エラー用画像表示演出について、液晶表示装置36の画面内に警告文を表示する際に、表示サイズや表示色については特に考慮していなかった。本発明はこれを考慮して、警告文の表示サイズや表示色をエラー報知優先順位に基づき異ならせる表示態様とする。以下、これについて詳細に説明する。
(変形例1:エラー報知優先順位に基づく警告文の表示サイズ、表示色について)
たとえば、変形例1のエラー用画像表示演出の表示態様は、エラー報知優先順位に基づき、警告文の表示サイズを異ならせて表示する表示態様となっている。具体的には、エラー報知優先順位の高いものから順に、「磁気センサエラー(順位:7)」、「扉開放エラー(順位:12)」、「球詰まりエラー(順位:22)」が発生している場合を想定する。この場合、「エラー15 磁気センサエラー」という警告文を最も大きい文字サイズ(たとえば、2cm程度)で表示し、「エラー01 扉が開いています」という警告文を中程度の文字サイズ(たとえば、1.5cm程度)で表示し、「球を抜いてください」という警告文を最も小さい文字サイズ(たとえば、1cm程度)で表示する。このようにエラーに対する警告文がエラー報知優先順位に基づき異なる大きさで表示されるため、複数のエラーが表示されている場合、遊技者やパチンコホール店員がエラー種別を認識しやすくなり、そのエラーに対して早急な対処もすることができる。また、エラー報知優先順位はパチンコ遊技機1や遊技進行に対する被害の深刻度を想定して設定されているため、表示されている文字の大きさの順に対処することで甚大な被害を軽減することができる。
また、エラーに対応した警告文の表示サイズに限らず、表示色についても同様に、エラー報知優先順位に基づき異ならせてもよい。具体的に、上記と同様に、エラー報知優先順位の高いものから順に、「磁気センサエラー」、「扉開放エラー」、「球詰まりエラー」が発生している場合を想定する。この場合、「エラー15 磁気センサエラー」という警告文を赤色で表示し、「エラー01 扉が開いています」という警告文を青色で表示し、「球を抜いてください」という警告文を白色で表示する。このようにエラーに対する警告文がエラー報知優先順位に基づき異なる表示色で表示されるため、複数のエラーが表示されている場合、遊技者やパチンコホール店員がエラー種別を認識しやすくなり、そのエラーに対して早急な対処もすることができる。また、エラー報知優先順位はパチンコ遊技機1や遊技進行に対する被害の深刻度を想定して設定されているため、表示されている表示色の順に対処することで甚大な被害を軽減することができる。
また、警告文の表示態様について、上記の表示サイズや表示色に限定せず、文字のフォント、文字の透明度、文字の太さ、下線の有無、枠の有無、警告文の背景色(背景画像)、警告文の点滅表示などについてもエラー報知優先順位に基づいて異ならせる表示態様であってもよい。さらに、これらの表示態様を組合せ、単独発生時または重複発生時のエラーに対する警告文を表示してもよい。
(変形例2:エラー報知優先順位に基づく警告文の表示順序について)
変形例1では、警告文の表示サイズや表示色などをエラー報知優先順位に基づき異ならせる表示態様とした。この変形例2は、複数の警告文の表示順序をエラー報知優先順位に基づき入れ替える表示態様とするものである。
たとえば、変形例2のエラー用画像表示演出の表示態様では、エラー報知優先順位の高いエラーに対応した警告文から順に、上から並べて表示する態様となっている。具体的には、エラー報知優先順位の高いものから順に、「磁気センサエラー(順位:7)」、「扉開放エラー(順位:12)」、「球詰まりエラー(順位:22)」が発生している場合を想定する。この場合、画面の上部から順に、「エラー15 磁気センサエラー」、「エラー01 扉が開いています」、「球を抜いてください」という警告文を表示する。
このようにエラーに対する警告文がエラー報知優先順位に基づき順に表示されるため、複数のエラーが表示されている場合、遊技者やパチンコホール店員がエラー種別を認識しやすくなり、そのエラーに対して早急な対処もすることができる。また、エラー報知優先順位はパチンコ遊技機1や遊技進行に対する被害の深刻度を想定して設定されているため、表示されている順に対処することで甚大な被害を軽減することができる。
また、本発明は全てのエラーに対応した警告文を液晶表示装置36の画面内に表示するとしていたが、たとえば異なる種類のエラーが7個以上重複発生し、全てのエラーに対する警告文を画面内に表示しきれなくなった場合、エラー報知優先順位の高いエラーから順に所定個数だけ(たとえば、5個程度)警告文を表示してもよい。そして、表示されているエラーが解消されると、その解除対象エラーの警告文を消去するとともに、表示されていない残余エラーの中からエラー報知優先順位の高いエラーの警告文を順次表示してもよい。これにより、表示されている順に対処することで甚大な被害を軽減することができる。
(変形例3:警告文の表示位置と装飾図柄変動表示演出やリーチ演出とについて)
変形例1、2では、警告文の表示位置について特に考慮していない例について説明したが、変形例3は、警告文の表示位置を、エラー報知優先順位および実行中の演出に基づき設定する表示態様とするものである。以下これについて説明する。
たとえば、変形例3のエラー用画像表示演出の表示態様では、現在実行中の演出、すなわち装飾図柄の変動表示演出やリーチ演出などを考慮して、エラー報知優先順位に基づきエラーに対する警告文の表示位置を設定する態様となっている。
エラー報知優先順位の高い「大入賞口不正入賞エラー」や「磁気センサエラー」などが発生している場合、装飾図柄やリーチ演出に被るように画面の中段位置において、「エラー19 大入賞口入賞異常 係員をお呼び下さい」や「エラー15 磁気センサエラー」という警告文を表示する。一方、エラー報知優先順位の低い「補給切れエラー」や「球詰まりエラー」などが発生している場合、装飾図柄に被らないように、またはリーチ演出の邪魔にならないように画面上部や下部において、「エラー02 球が不足しています 係員をお呼び下さい」や「球を抜いてください」という警告文を表示する。
これにより、エラー報知優先順位の高いエラーについては、遊技者が注目する装飾図柄やリーチ演出に被った状態でエラーに対する警告文が表示され、遊技の進行に重大な異常が発生していることを即座に遊技者に認識させることができる。また、エラー報知優先順位の低いエラーについては、警告文が装飾図柄やリーチ演出の邪魔にならないように表示されているため、遊技者に対する遊技興趣の低下を抑制することができる。
また、エラーに対する警告文の表示位置について、液晶表示装置36の画面端(上端、下端、左端、右端)からある程度の空間を設けて(たとえば、3〜5文字分程度)表示している。このように警告文を表示する理由は、可動体役物が動作した際に、可動体役物により警告文が隠されないようにするためである。また、パチンコ遊技機は機種毎(タイプ毎)に盤面のデザインが変更されるため、液晶表示装置36の画面は、可動体役物の配置位置によって画面端部が常時覆われていたり、可動体役物が原点位置近辺でガタガタ動作した際に画面の一部が隠されたりすることがある。これに対応するために、パチンコ遊技機毎に警告文の表示位置を調整するのは困難であることから、予め液晶表示装置36の画面端(上端、下端、左端、右端)からある程度の空間を設けて(たとえば、3〜5文字分程度)警告文を表示することで、パチンコ遊技機の互換性を向上させることができる。
他にも、エラーに対する警告文の表示位置について、警告文の先頭の文字を揃えて表示することで、複数の警告文が表示されている場合、それらを見やすくすることができる。しかしながら、複数の警告文を揃えて表示する通常の表示態様に限定せず、エラー報知優先順位に基づき表示位置を異ならせる態様としてもよい。たとえば、エラー報知優先順位の高いエラーに対する警告文については、画面の中心(上段、中段、下段でもよく、中段が好ましい)に表示することができる。一方、エラー報知優先順位の低いエラーに対する警告文については、画面の左端や右端など様々な位置に表示することができ、上記装飾図柄やリーチ演出を考慮し、他の演出に被らないように表示することができる。これにより、エラー報知優先順位の高いエラーについては、遊技者が注目する画面の中央位置でエラーに対する警告文が表示され、遊技の進行に重大な異常が発生していることを即座に遊技者に認識させることができる。また、エラー報知優先順位の低いエラーについては、警告文がその他の演出の邪魔にならないように表示されているため、遊技者に対する遊技興趣の低下を抑制することができる。
なお、この変形例3の表示態様では、装飾図柄に対して警告文を被せて表示したり、装飾図柄の上部や下部に被せずに表示したりする態様であったが、エラー報知優先順位の高いエラーについては、装飾図柄の大きさを小さく変更して、表示されている警告文に被らないように表示する態様でもよい。たとえば、スーパーリーチ中において装飾図柄の大きさは小さく変更され、さらに装飾図柄の表示位置は画面の端部に表示されるが、エラー報知優先順位の高いエラーが発生した場合も同様に、警告文を目立たせるために装飾図柄を画面端部に小さく表示してもよい。この場合、演出制御部24は、エラーコマンドの受信時(サブエラーの発生時)において、エラー用画面表示演出のシナリオを作成設定するだけではなく、装飾図柄に関する演出シナリオを画面端部に小さく表示する内容の演出シナリオに変更設定する処理を実行する。また、エラー解除時には、演出制御部24は、エラー用画像表示演出を終了するシナリオを作成設定するだけではなく、装飾図柄に関する演出シナリオを通常の表示演出内容の演出シナリオに変更設定する処理を実行する。
(警告文の表示位置と保留表示領域76、77とについて)
ここで、作動保留球が表示される保留表示領域76、77について、エラーに対する警告文はこの保留表示領域76、77に表示されないようになっている。これにより、エラー用画像表示演出が実行されたとしても、保留表示領域76、77に表示される作動保留球が隠されず、遊技者は現在表示されている作動保留球の個数を確認することができる。ただし、エラー報知優先順位が高いエラーが発生した場合、保留表示領域76、77の作動保留球は非表示に設定される。この場合、演出制御部24は、エラーコマンドの受信時(サブエラーの発生時)において、エラー用画面表示演出のシナリオを作成設定するだけではなく、作動保留球に関する演出シナリオを非表示とする内容の演出シナリオに変更設定する処理を実行する。また、作動保留球に関する先読み予告演出などの演出シナリオが設定されていた場合、演出制御部24はその演出シナリオについても先読み予告演出を実行しない内容を変更し設定する処理を実行する。そして、エラー解除時において、演出制御部24は、エラー用画像表示演出を終了するシナリオを作成設定するだけではなく、作動保留球に関する演出シナリオを通常の表示演出内容の演出シナリオに変更設定する処理を実行する。
(警告文の表示位置と第4図柄表示領域とについて)
また、一般的に、特別図柄(特別図柄1、特別図柄2)の変動表示に同期して第4図柄(特別図柄1用の第4図柄、特別図柄2用の第4図柄)を表示する第4図柄領域が液晶表示装置36の画面内に設けられている。この第4図柄は、特別図柄の変動中に常に一定の動作で表示され、画面上から消えたり遮蔽物(役物など)で遮蔽されたりすることはないため、常に視認することができる図柄である。したがって、エラー用画像表示演出は、この第4図柄が表示される第4図柄領域に被らないように、実行されるようになっている。
(変形例4:警告文の表示位置と大当り中演出とについて)
変形例3では、警告文の表示位置を、エラー報知優先順位および大当り中以外の演出に基づき設定する表示態様を説明したが、変形例4は、警告文の表示位置を、エラー報知優先順位および大当り中の演出に基づき設定する表示態様とするものである。以下これについて説明する。
たとえば、変形例4のエラー用画像表示演出の表示態様では、大当り中に実行される演出を考慮して、エラー報知優先順位に基づきエラーに対する警告文の表示位置を設定する態様となっている。大当り中の演出には、たとえば、現在のラウンド数を表示するラウンド数演出、大当り中に獲得した賞球数を表示する獲得賞球数演出、1ラウンド中の入球数を表示する入球数演出、オーバー入賞に関するオーバー入賞演出、大当り遊技終了後に確変状態に移行するか否かを判定する判定演出などがある。
本変形例では、エラー報知優先順位の高い「大入賞口不正入賞エラー」や「磁気センサエラー」の場合、上記大当り中の演出に関係なく画面中央において、「エラー19 大入賞口入賞異常 係員をお呼び下さい」や「エラー15 磁気センサエラー」という警告文を表示する。一方、エラー報知優先順位の低い「補給切れエラー」や「球詰まりエラー」の場合、ラウンド数演出、獲得賞球数演出、入球数演出、オーバー入賞演出に被らないように、または判定演出の邪魔にならないように画面上部や下部において、「エラー02 球が不足しています 係員をお呼び下さい」や「球を抜いてください」という警告文を小さく表示する。
このように警告文を表示ために、演出制御部24は、エラーコマンドを受信したり、サブエラーの発生を判断したりすると、エラー用画像表示演出のシナリオを作成設定するために、まずそのエラーのエラー報知優先順位を確認するとともに、大当り中であるか否かを判定する処理を行う。そして、大当り中であると判定した場合、演出制御部24は、エラー報知優先順位が所定の順位(たとえば、13番)よりも高ければ、画面中央に警告文を表示する内容の演出シナリオを作成設定し、一方エラー報知優先順位が所定の順位以下であれば、画面の下段などの大当り中演出の邪魔にならない位置に警告文を表示する内容の演出シナリオを作成設定する処理を行う。
これにより、エラー報知優先順位の高いエラーについては、遊技者が注目する大当り中の演出に被った状態でエラーに対する警告文が表示され、遊技の進行に重大な異常が発生していることを即座に遊技者に認識させることができる。また、エラー報知優先順位の低いエラーについては、警告文が大当り中の演出の邪魔にならないように表示されているため、遊技者に対する遊技興趣の低下を抑制することができる。
(変形例5:メインエラーとサブエラーとの警告文の表示位置について)
変形例1〜4では、警告文がメインエラーに対するものであるのか、それともサブエラーに対するものであるのかについては特に考慮していなかった。変形例5はこれを考慮して、警告文の表示位置をメインエラーであるのか、それともサブエラーであるのかに基づき設定する表示態様とするものである。以下これについて説明する。
たとえば、変形例5のエラー用画像表示演出の表示態様では、主制御部20が判断主体となるメインエラーを画面の上段位置に表示し、演出制御部24が判断主体となるサブエラーを画面の下段位置に表示する態様となっている。このように、メインエラーとサブエラーとの表示位置を分けることで、遊技者やパチンコホール店員がエラー種別を認識しやすくすることができる。
(電源立ち上げ時の表示文について)
ここで、エラーに対する警告文ではないが、パチンコ遊技機1の電源をONにして立ち上げた際に表示される「POWER ON」や「Please wait」といった表示文は画面の中段位置に表示する態様となっている。また、パチンコ遊技機1が停電から復帰した際に表示される「停電から復帰しました 遊技を再開してください」といった表示文についても画面の中段位置に表示する態様となっている。これらの表示文とエラーに対する警告文とを区別するために、表示文については警告文よりも先頭の文字をずらして表示することで、それぞれを区別することができる。
(変形例6:複数の液晶表示装置を用いた警告文の表示について)
変形例1〜5では、1つの液晶表示装置に警告文を表示する例について説明したが、変形例6は、複数の液晶表示装置を利用して警告文を表示する表示態様とするものである。以下これについて説明する。
上記第1の実施形態のパチンコ遊技機1には1つの液晶表示装置36が使用されているが、パチンコ遊技機1には複数の液晶表示装置を使用することができる。たとえば、複数の液晶表示装置を使用した場合として、装飾図柄の変動表示演出やリーチ演出などの遊技者に常に注目してもらいたいメインとなる演出を表示するメイン液晶表示装置と、会話演出や作動保留球に関する演出などの遊技者に一時的に注目してもらいたいサブとなる演出を表示するサブ液晶表示装置とに区別した場合を想定する。
このように2つのメイン液晶表示装置とサブ液晶表示装置とを使用したパチンコ遊技機において、複数のエラーに対する警告文を表示する場合、メイン液晶表示装置では、発生している全てのエラーの警告文を表示するのに対し、サブ液晶表示装置では、エラー報知優先順位が最も高いエラーの警告文のみを表示してもよい。他にも、メイン液晶表示装置では、エラー報知優先順位が所定の順位(たとえば、13番)よりも高いエラーを表示し、サブ液晶表示装置では、エラー報知優先順位が所定の順位(たとえば、13番)よりも低いエラーを表示してもよい。このように、エラーを表示する液晶表示装置を使い分けることで、エラー報知優先順位が高いエラーを強調して報知することができる。
〔第6の実施形態〕
上記第1の実施形態では、当り種別に応じていずれかの大入賞口が開閉制御され、同じ機能を持つ大入賞口について説明した。しかし本発明はこれに限らず、次のような確変判定装置付パチンコ遊技機(以下、確変判定装置付遊技機と略す)にも適用可能である。以下、これについて説明する。
(確変判定装置付遊技機について)
確変判定装置付遊技機は、遊技球が大当り遊技中に特別大入賞口(Vアタッカー)内に形成された特定領域(Vゾーン)を通過することで、遊技者に確変状態へ移行する権利を付与する(特許文献1(特開2013−13586号公報:段落0067、0074、図11))。特別大入賞口(Vアタッカー)に入賞した遊技球は、特別大入賞口内に設けられた振分装置により振り分けられ、特定領域(Vゾーン)に設けられた特定領域検出スイッチにより検出されるか、または非特定領域に設けられた非特定領域検出スイッチにより検出され、最終的に排出検出スイッチにより検出されて特別大入賞口から排出される。特定領域検出スイッチからの検出信号が主制御部20に入力されると、主制御部20により大当り遊技終了後に確変状態が付与される。この振分装置の振り分け制御は、特定の大当り遊技中の特定のラウンド中だけ特定領域を長時間開放(たとえば、10秒程度開放)し、それ以外のラウンド中においては特定領域を閉鎖(非特定領域を開放)または短時間開放(たとえば、0.1秒程度開放)するように制御される。特定の大当りは、大当り遊技中に特別大入賞口を長時間わたり開放する大当りであり、この大当り終了後に確変状態に移行する権利を付与されうる大当りである。反対に、特定の大当りではない大当り(通常の大当り)は、大当り遊技中に特別大入賞口を長時間わたり開放しない大当りであり、この大当り終了後に確変状態に移行することはほぼない(0%ではなく、移行する可能性がわずかにある)大当りである。
このような構成のもとでは、不正に確変状態を獲得するために、不正行為や特定領域検出スイッチを誤作動させて検出信号を出力させることが考えられる。たとえば、振分装置を無理やり動作させて(セル板や針金を使用して特定領域を開放するように振分装置を動かし)不正に特定領域へ遊技球を通過させたり(いわゆるセルゴト、針金ゴト)、磁石を使用して不正に特定領域へ遊技球を通過させたり(いわゆる磁石ゴト)、電波発生装置を使用して特定領域検出スイッチを誤作動させたり(いわゆる電波ゴト)である。このようなゴト行為が行われると、最終的に大量の賞球を不正に獲得することにつながるため、これらのゴト行為に対するエラー種別(詳細は後述する)は優先的にエラー報知が必要とされる。
(確変判定装置付遊技機における具体的なエラーとエラー報知について)
次に、確変判定装置付遊技機における、メインエラーとサブエラーに属するエラーの詳細について図34の表を用いて説明する。図34のエラー報知優先順位は、上記第1の実施形態と同様に、主制御部20から演出制御部24に送信されるエラーコマンドについての優先順位ではなく、主制御部20が判断主体となるメインエラーと演出制御部24が判断主体となるサブエラーとを含めたエラーについての優先順位のことである。図34に示すように、エラー報知優先順位の番号が飛んでいるが、これは上記第1の実施形態のパチンコ遊技機1について発生するエラーに対するエラー報知優先順位を除いたからである。
(1)磁気センサエラー2(エラー報知優先順位3)
磁気センサエラー2は、振分装置用磁気センサにより異常検出された場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。振分装置用磁気センサは、「磁石ゴト」による特別大入賞口内の特定領域への不正な遊技球の通過を検出するため、特定領域や振分装置周辺の磁気を検出可能な位置に設けられるセンサである。また振分装置用磁気センサは、上記磁気センサとして使用してもよいし、磁気センサとは別に新たに設けてもよい。この磁気センサエラー2は、大当り中の「磁石ゴト」行為を防止するために設けられたエラーであり、大当り中に振分装置用磁気センサにより磁気異常が検出された場合、これをエラーとして報知する。具体的には、大当り中において、振分装置用磁気センサが1秒間にわたり磁気異常を検出した場合に、この磁気センサエラー2が発生したとして、これをエラーとして報知する。大当り中以外において、振分装置用磁気センサが異常磁気を検出した場合は、上記磁気センサエラー(エラー報知優先順位7)が発生したとして、これをエラーとして報知する。
磁気センサエラー2が発生した場合、振分装置用磁気センサを監視する主制御部20から、磁気センサエラー2に対応したメインエラーコマンドとして磁気センサエラー2コマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、磁気センサエラー2に対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、電源をOFFにするまで継続して行われる(エラー解除コマンドは送信されない)。なお確変判定装置付遊技機のメイン電源はパチンコホール店員により操作され、パチンコホール店員により電源が遮断されると、磁気センサエラー2が解除されるようになっている(後述の電波センサエラー2についても同様)。この場合、電源復帰後に大当り遊技が再度開始される。
(磁気センサエラー2のエラー報知態様)
磁気センサエラー2に基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われる。音演出は、スピーカ46から磁気センサエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー18 磁気センサエラー2 係員をお呼び下さい」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(2)電波センサエラー2(エラー報知優先順位4)
電波センサエラー2は、振分装置用電波センサにより異常検出された場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。振分装置用電波センサは、「電波ゴト」による特別大入賞口内の特定領域検出スイッチの誤作動を検出するため、特定領域周辺の不正電波を検出可能な位置に設けられるセンサである。また振分装置用電波センサは、上記電波センサとして使用してもよいし、電波センサとは別に新たに設けてもよい。この電波センサエラー2は、大当り中の「電波ゴト」行為を防止するために設けられたエラーであり、大当り中に振分装置用電波センサにより不正電波が検出された場合、これをエラーとして報知する。具体的には、大当り中において、振分装置用電波センサが不正電波を検出した場合に、この電波センサエラー2が発生したとして、これをエラーとして報知する。大当り中以外において、振分装置用電波センサが不正電波を検出した場合は、上記電波センサエラー(エラー報知優先順位8)が発生したとして、これをエラーとして報知する。
電波センサエラー2が発生した場合、振分装置用電波センサを監視する主制御部20から、電波センサエラー2に対応したメインエラーコマンドとして電波センサエラー2コマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、電波センサエラー2に対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、電源をOFFにするまで継続して行われる(エラー解除コマンドは送信されない)。なお確変判定装置付遊技機のメイン電源はパチンコホール店員により操作され、パチンコホール店員により電源が遮断されると、電波センサエラー2が解除されるようになっている。この場合、電源復帰後に大当り遊技が再度開始される。
(電波センサエラー2のエラー報知態様)
電波センサエラー2に基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われる。音演出は、スピーカ46から電波センサエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー17 電波センサエラー2 係員をお呼び下さい」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(3)確変領域センサエラー1(エラー報知優先順位5)
確変領域センサエラー1は、当り遊技中ではない際(特別電動役物が未作動である際)に、上記特定領域検出スイッチにより異常検出された場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。この確変領域センサエラー1は、当り遊技中でない際に、「電波ゴト」行為を防止するため、電波発信機などにより特定領域検出スイッチが誤作動した場合、これをエラーとして報知する。他にも、「セルゴト」や「針金ゴト」行為を防止するため、当り遊技中でない際に、特別大入賞口内の特定領域を遊技球が通過して特定領域検出スイッチが作動した場合にも、これをエラーとして報知する。
確変領域センサエラー1が発生した場合、特定領域検出スイッチを監視する主制御部20から、確変領域センサエラー1に対応したメインエラーコマンドとして確変領域センサエラー1コマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、確変領域センサエラー1に対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、特定領域検出スイッチによる異常検出がなくなってから30秒後に主制御部20から送信されるようになっている。このように30秒後にエラー報知を終了させるのは、ゴト行為(「電波ゴト」、「セルゴト」、「針金ゴト」など)が終了した後であっても確変領域センサエラー1の報知を継続させることで、エラー報知を発見してやってきたパチンコホール店員にゴト行為が実行されていたことを認識させるためである。したがって、パチンコホール店員の監視の目が厳しくなり、様々なゴト行為を実行させ難くすることができる。
(確変領域センサエラー1のエラー報知態様)
確変領域センサエラー1に基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われる。音演出は、スピーカ46から確変領域センサエラー1のエラー音を発する態様で行われる。一方、画像表示演出は行われないようになっている。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
ここで、画像表示演出を行わない理由は次の通りである。当り遊技中ではない際に特定領域検出スイッチを作動させるには、不正に特別大入賞口内の特定領域に遊技球を通過させるために、まず特定領域を閉鎖状態にしている振分装置を不正に操作(「セルゴト」、「針金ゴト」などによる不正行為)して特定領域を開放状態にする必要がある。つまり、当り遊技中ではない際に振分装置を不正に操作すると、この確変領域センサエラー1よりも先に下記の振分装置エラー1に基づくエラー報知が行われる。したがって、振分装置エラー1と確変領域センサエラー1とは密接に関連するエラー(有機的関連性のあるエラー)といえる。そこで本実施形態では、エラー用画像表示演出として、エラー報知優先順位によらず、先行する振分装置エラー1を報知する画像表示演出を行い、確変領域センサエラー1についてはあえて画像表示演出によるエラー報知はせずに、音演出と光演出だけでエラー報知を行う。このように有機的関連性のあるエラー同士が重複発生する場合においては、時系列的に先に発生しうるエラーを対象としたエラー用画像表示演出だけを行い、全てのエラーを対象としたエラー用画像表示演出は行わないようにすることで、画像表示による情報量が無暗に増大するのを防止し、エラー報知の確認を容易なものとし、また制御負担の軽減に寄与することができる。なお確変領域センサエラー1については、主制御部20からホールコンピュータHCにエラー情報を送信されるので、エラー用画像表示演出をしなくても特に問題はない。
(4)振分装置エラー1(エラー報知優先順位6)
振分装置エラー1は、大当り遊技中ではない際に(条件装置が未作動時)、振分装置に配設された振分装置用位置検出センサにより異常検出された場合(振分装置が非特定領域へ振り分ける基準位置にない場合)にエラー報知が発せられるエラーであり、サブエラーの一つである。振分装置エラー1は、「セルゴト」や「針金ゴト」行為を防止するため、大当り遊技中でない際に、振分装置用位置検出センサから演出制御部24に出力される振分装置の位置状態を表す信号が基準位置ではないことを示した場合、これをエラーとして報知する。具体的には、大当り遊技中ではない際に、振分装置用位置検出センサが0.2秒間程度にわたり確変領域を開放する位置に振分装置が変位したことを検出した場合に、この振分装置エラー1が発生したとして、これをエラーとして報知する。他にも、大当り遊技中ではない際に、振分装置用位置検出センサが3秒間中に確変領域を開放する位置に振分装置が3回程度変位したことを検出した場合に、この振分装置エラー1が発生したとして、これをエラーとして報知する。なお、当り遊技中以外に振分装置が作動するのは、電源投入時におけるテスト動作時のみである。したがって、テスト動作時以外のタイミングで、振分装置エラー1のエラー報知がなされると、それは不正行為によるものとみなすようにしている。
振分装置エラー1が発生した場合、振分装置用位置検出センサから異常を知らせる信号が演出制御部24に出力されたことに基づき、演出制御部24は振分装置エラー1に対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、電源をOFFにするまで継続して行われる。なお確変判定装置付遊技機のメイン電源はパチンコホール店員により操作され、パチンコホール店員により電源が遮断されると、振分装置エラー1が解除されるようになっている。
(振分装置エラー1のエラー報知態様)
振分装置エラー1に基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われる。音演出は、スピーカ46から振分装置エラー1のエラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー40 振分装置エラー 係員をお呼び下さい」という警告文を表示する態様にて行われる。
(5)排出不正エラー(エラー報知優先順位11)
排出不正エラーは、大当り遊技中において、特定領域検出スイッチと非特定領域検出スイッチとがそれぞれON状態を検出した合計数と、排出検出スイッチがON状態を検出した数とが一定時間(たとえば、2秒)以上にわたり異なった場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。排出不正エラーは、たとえば、特別大入賞口における球詰まりによる不正な恩恵を防止するために設けられたエラーであり、特別大入賞口内の検出スイッチが遊技球の入球個数と排出個数が異なる信号を出力し続けた場合、これをエラーとして報知することとしている。排出不正エラーは、特別大入賞口内部の球詰まりが原因であることが多いため、基本的には、パチンコホール店員によりその原因が解消される。
排出不正エラーが発生した場合、主制御部20から排出不正エラーに対応したメインエラーコマンドとして排出不正エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、排出不正エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、エラー解除コマンドが演出制御部24に受信されるまで行われ、そのエラー解除コマンドは、特定領域検出スイッチと非特定領域検出スイッチとがそれぞれON状態を検出した合計数と、排出検出スイッチがON状態を検出した数とが同一になった際に(特別大入賞口への入球数=特別大入賞口からの排出個数)、主制御部20から送信されるようになっている。ここで、大当り遊技中にこの排出不正エラーが発生すると、エラー解除コマンドを送信するまで次のラウンドに移行することはない。
(排出不正エラーのエラー報知態様)
排出不正エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出、音演出、画像表示演出の組合せにより行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行われる。音演出は、スピーカ46から排出不正エラー音を発する態様で行われる。また画像表示演出は、液晶表示装置36の液晶画面に「エラー20 大入賞口排出不正エラー 係員をお呼びください」という警告文を表示する態様にて行われる。また、このエラー情報は、枠用外部集中端子基板21を介してホールコンピュータHCに送信される。
(6)振分装置エラー2(エラー報知優先順位23)
振分装置エラー2は、大当り遊技(条件装置作動)が開始されてから特定のラウンド(たとえば、2ラウンド目)が開始されるまでの間に、振分装置に配設された振分装置用位置検出センサにより異常が検出された場合(振分装置が特定領域へ振り分ける開放位置に変位しない場合)にエラー報知が発せられるエラーであり、サブエラーの一つである。振分装置エラー2は、球詰まりや異物による振分装置の動作の妨害を防止するため、大当り遊技が開始されてから特定ラウンドになるまで、振分装置用位置検出センサから演出制御部24に出力される振分装置の位置状態を表す信号が、振分装置が開放位置に変位しないことを示した場合、これをエラーとして報知する。
ここで、振分装置に関するエラーとしては、エラー報知優先順位6の上記振分装置エラー1があり、この振分装置エラー2のエラー報知優先順位は23に規定され、振分装置に関する同種のエラーであっても遊技状態が当り遊技中であるか否かに応じて別のエラー種別とし、その優先順位を異ならせている。優先順位については、上記振分装置エラー1は当り遊技中以外で発生するエラーであり、不正行為で発生するエラーであるため優先順位を高くし、振分装置エラー2は当り遊技中に正常な遊技方法で遊技している際に発生するエラーであるため優先順位を低くしている。
振分装置エラー2が発生した場合、振分装置用位置検出センサから異常を知らせる信号が演出制御部24に出力されたことに基づき、演出制御部24は振分装置エラー2に対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、電源をOFFにするまで継続して行われる。なお確変判定装置付遊技機のメイン電源はパチンコホール店員により操作され、パチンコホール店員により電源が遮断されると、振分装置エラー2が解除されるようになっている。この場合、電源復帰後に大当り遊技が再度開始される。
(振分装置エラー2のエラー報知態様)
振分装置エラー2に基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出により行われる。光演出は、装飾ランプ45以外の特別なランプ(たとえば、遊技機正面右側のスピーカ46の周囲に配置されるランプ:図示せず)を赤色点灯させる態様で行われる。また音演出や画像表示演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46による音演出や液晶表示装置36による画像表示演出が優先されるようになっており、遊技者に伝わるような直接的な警告は行わず、主にパチンコホール店員が認識可能な方法で振分装置エラー2のエラー報知が行われるようになっている。このように、振分装置エラー2に基づくエラー報知は光演出だけが行われる理由は、この振分装置エラー2が、不正行為が原因で発せられるエラーではなく、パチンコ遊技機1の不具合により発せられるエラーだからである。
(7)確変領域センサエラー2(エラー報知優先順位24)
確変領域センサエラー2は、大当り遊技中(条件装置の作動時)の確変領域検出スイッチ無効期間に、上記特定領域検出スイッチにより異常検出された場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。確変領域検出スイッチ無効期間は、振分装置が確変領域を閉鎖している期間(確変領域開放後の一定期間(確変領域に入球した遊技球を排出するための時間、たとえば1〜2秒程度)は除く期間)であり、確変領域スイッチがON信号を出力したとしても主制御部20がその信号を無効とする期間である。この確変領域センサエラー2は、その確変領域スイッチ無効期間において、たとえば「電波ゴト」や「セルゴト」や「針金ゴト」行為を防止するため、これらのゴト行為により特定領域検出スイッチが誤作動した場合、これをエラーとして報知する。
確変領域センサエラー2が発生した場合、特定領域検出スイッチを監視する主制御部20から、確変領域センサエラー2に対応したメインエラーコマンドとして確変領域センサエラー2コマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、確変領域センサエラー2に対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、演出制御部24により所定の解除条件が確認されるまで行われる。たとえば、演出制御部24がパチンコ遊技機1の再起動を確認した場合、次の大当り遊技が開始されたことによる大当り開始コマンドを演出制御部24が受信した場合、確変状態(または、時短状態)が終了したことによる時短終了コマンドを演出制御部24が受信した場合、このエラー報知が終了する。
(確変領域センサエラー2のエラー報知態様)
確変領域センサエラー2に基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出により行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行わる。また音演出や画像表示演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46や液晶表示装置36による音演出や画像表示演出が優先されるようになっている。特定領域検出スイッチ無効期間中に仮に特定領域を遊技球が通過したとしても、主制御部20は特定領域検出スイッチによるON信号を無効にしているので、大当り遊技終了後に確変状態が付与されることはない。そのため、不正に確変状態の恩恵を受けているわけではないので、確変領域センサエラー2ではエラー用の音演出や画像表示演出という目立った演出を実行せず、遊技者に直接的な警告は行わないようになっている。
(8)非確変V入賞エラー(エラー報知優先順位25)
非確変V入賞エラーは、上記通常の大当り遊技中に、上記特定領域検出スイッチにより異常検出された場合にエラー報知が発せられるエラーであり、メインエラーの一つである。この非確変V入賞エラーは、通常の大当り遊技中において、「電波ゴト」行為を防止するため、電波発信機などにより特定領域検出スイッチが誤作動した場合、これをエラーとして報知する。他にも、「セルゴト」や「針金ゴト」行為を防止するため、その確変領域スイッチ無効期間に、特別大入賞口内の特定領域を遊技球が通過して特定領域検出スイッチが作動した場合にも、これをエラーとして報知する。
非確変V入賞エラーが発生した場合、特定領域検出スイッチを監視する主制御部20から、非確変V入賞エラーに対応したメインエラーコマンドとして非確変V入賞エラーコマンドが演出制御部24に対して送信される。演出制御部24側では、このコマンドを受信した場合、非確変V入賞エラーに対応したエラー報知を開始する。このエラー報知は、演出制御部24により所定の解除条件が確認されるまで行われる。たとえば、演出制御部24がパチンコ遊技機1の再起動を確認した場合、次の大当り遊技が開始されたことによる大当り開始コマンドを演出制御部24が受信した場合、確変状態(または、時短状態)が終了したことによる時短終了コマンドを演出制御部24が受信した場合、エラー報知が終了する。
(非確変V入賞エラーのエラー報知態様)
非確変V入賞エラーに基づくエラー報知は、そのエラー用の光演出により行われる。光演出は、装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で赤色点滅させる態様で行わる。また音演出や画像表示演出は行われず、遊技中に現出されているスピーカ46や液晶表示装置36による音演出や画像表示演出が優先されるようになっている。このように、エラー用の音演出や画像表示演出という目立った演出を実行しない理由は、通常の大当り遊技中では特別大入賞口内の特定領域は短時間ではあるが開放され、ゴト行為などをせず正しい遊技方法で遊技をしていたとしても、運よく特定領域を通過する可能性があり、この非確変V入賞エラーが発生してしまい、これをエラーとして報知したくないからである。しかしながら、不正行為の可能性があることから、目立たない光演出を実行することで、パチンコホール店員には注意を促すことができる。
〔第7の実施形態〕
上記第1の実施形態については、エラー重複発生時において、エラー報知優先順位の高いエラーに対応した音演出および/または光演出が実行される形態について説明した。しかし、エラー重複発生時において、エラー報知優先順位によらず、エラー重複時専用の特別な音演出や光演出を実行するように構成してもよい。以下、これについて詳細に説明する。
複数種類のエラーの中には、エラーが単独発生した際に、そのエラーに対応するエラー用の音演出や光演出の両方またはいずれか一方が実行されないように規定されているエラーがある。たとえば、払出制御基板エラーや主基板エラーなどはエラー用音演出が実行されず、右・左打ち警告報知や球詰まりエラーなどはエラー用光演出が実行されない。このようなエラーがエラー報知優先順位の最も高いエラーとして発生し、他の種類のエラーがエラー報知優先順位の相対的に低いエラーとして重複発生している場合、上記第1の実施形態では、エラー報知演出においてエラー用音演出またはエラー用光演出が演出制御部24により実行されない。このため、エラーが重複発生しているにもかかわらず、人間の知覚のうち視覚または聴覚に訴えることができず、重複して発生しているエラーが遊技者やパチンコホール店員に気付かれ難くなり、複数のエラーを解消するのに通常よりも時間を要する恐れがある。
そこで本実施形態では、エラー重複発生時において、実行されないエラー用音演出または光演出の代わりに、エラー重複時専用の特別な音演出や光演出を実行する。たとえば、エラー用光演出を実行しない球詰まりエラーがエラー重複発生時においてエラー報知優先順位の高いエラーとなった場合、エラー用の音演出については球詰まりエラーに対応した音演出(たとえば、「球を抜いてください」の音声)を実行するのに対し、エラー用の光演出についてはエラー重複時専用の光演出として、たとえば装飾ランプ45を200msのON/OFF繰返し間隔で緑色点滅させる演出を実行する。また、エラー用音演出を実行しない払出制御基板エラーがエラー重複発生時においてエラー報知優先順位の高いエラーとなった場合、エラー用光演出については払出制御基板エラーに対応した光演出を実行するのに対し、エラー用音演出についてはエラー重複時専用の音演出として、たとえば「エラーが重複して発生しています」といった音演出を実行する。
このように、基本的には、第1の実施形態と同様に、エラー重複発生時において、エラー報知優先順位の最も高いエラーに対応した音演出と光演出とを実行するが、そのエラーに対応した音演出または光演出が規定されていない場合、実行しない音演出または光演出の代わりにエラー重複時専用の特別なエラー用音演出またはエラー重複時専用の特別なエラー用光演出を実行する。これにより、パチンコホール店員は、画像表示演出を見て初めてエラーが重複していることを認識する前に、エラーが重複して発生していることを認識することができる。なお、エラー重複発生時には、第1の実施形態と異なり、エラー用の音演出と光演出とについては、エラー報知優先順位に関係なく、エラー重複時専用の音演出および光演出を実行してもよい。これにより、エラーが重複して発生していることを遊技者やパチンコホール店員に認識させやすくすることができる。
以上に説明した各実施形態では、遊技媒体として遊技球を利用したパチンコ遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。たとえば、遊技メダルまたは遊技球を利用可能な回胴式遊技機であっても良いし、電磁気的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの)を利用した遊技媒体を利用した遊技機であっても良い。また実物の遊技メダルや実物の遊技球ではなく、電磁気的記録を利用した遊技媒体を用いる遊技機として、たとえば、所謂「封入式遊技機」の構成とすることも可能である。また以上に説明した各実施形態では、その構成により、遊技動作制御負担を軽減しうる、または制御負担を軽減しつつ演出の自由度を阻害せずに演出のバリエーションを豊富化しうる、あるいは演出を多彩なものとしうる、という効果を奏することができる。