1.遊技機の構造
実施形態のパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の上下方向及び左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての上下方向及び左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から遠のく方向として説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル(発射操作部)60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66、及び、音を出力するスピーカ67が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63が設けられている。
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、複数の盤ランプ(例えば左側盤ランプ813や右側盤ランプ823)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎが突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、演出画像を表示可能な演出表示装置(演出表示手段)7が設けられている。演出表示装置7は、後方の領域を前方から視認させることが可能な液晶表示装置(所謂透過液晶)である。なお、演出表示装置7の構成の詳細については後述する。演出表示装置7の表示画面(表示部)7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示(変動表示)に同期した装飾図柄(演出図柄の一例)8L,8C,8Rの可変表示(変動表示)を行う装飾図柄表示領域がある。なお、装飾図柄8L,8C,8Rを表示する演出を装飾図柄変動演出という。装飾図柄変動演出を「演出図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
装飾図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左装飾図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中装飾図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右装飾図柄8Rが表示される。装飾図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。演出表示装置7は、左、中、右の装飾図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図3参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で装飾図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で装飾図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、演出表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、装飾図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
演出表示装置7は、上記のような装飾図柄を用いた装飾図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面7aに表示する。なお装飾図柄変動演出では、数字等の装飾図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの装飾図柄以外の演出画像も表示される。
また演出表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像(第1特図保留に対応する演出保留画像9A及び第2特図保留に対応する演出保留画像9B)を表示する演出保留表示エリアがある。演出保留画像の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図3参照)にて表示される第1特図保留の記憶数や、第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
また演出表示装置7の表示画面7aの左上部には、3ケタの小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2を表示する補助表示領域7bがある。3ケタの小図柄5L,5C,5Rはそれぞれ、装飾図柄8L,8C,8Rよりも表示サイズの小さい図柄であり、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。この小図柄5L,5C,5Rは、装飾図柄8L,8C,8Rの変動に同期して変動される図柄である。つまり、小図柄5L,5C,5Rの変動開始のタイミングは装飾図柄8L,8C,8Rの変動開始のタイミングと同じであり、小図柄5L,5C,5Rの停止表示のタイミングは装飾図柄8L,8C,8Rの停止表示のタイミング(所謂揺れ表示等の仮停止表示ではなく確定的な停止表示のタイミング)と同じである。小図柄5L,5C,5Rは、装飾図柄8L,8C,8Rの非表示時(例えば所謂ブラックアウト時)などであっても表示される図柄であり、遊技者に対して図柄の変動中であるのか否かといった図柄変動状況を示すための図柄である。
また、このような機能をもつ図柄として、小図柄5L,5C,5Rの他に、第4図柄X1と第5図柄X2とがある。第4図柄X1の変動及び停止は、第1特別図柄の変動及び停止に同期してなされる。第5図柄X2の変動及び停止は、第2特別図柄の変動及び停止に同期してなされる。第4図柄X1及び第5図柄X2はそれぞれ、白色の菱形のハズレ図柄と黒色の菱形の当たり図柄とをとり、変動時にはこれらの図柄が交互に表示され、停止時にはこれらの図柄が抽選結果に応じた図柄で止まって表示される。なお、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2はいずれも、後述するサブ制御基板90等によって表示制御される演出図柄の一種である。また、補助表示領域7bの後方には、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2の視認性を確保するための補助ライト590が配されている。補助ライト590の詳細については後述する。
遊技領域3の中央付近であって演出表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。さらにセンター装飾体10の上部には、文字や図形等を表した装飾部材13が配されている。
遊技領域3における演出表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1入球口や、第1始動入賞口、固定入球口ともいう)20を備える第1始動入賞装置(第1入球手段や固定入球手段ともいう)19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
またセンター装飾体10の右下部には、第2始動口(第2入球口や、第2始動入賞口、可変入球口ともいう)21を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)22が設けられている。電チュー22を、可変入球手段や、第2入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、開閉部材(可動部材)23を備え、開閉部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。開閉部材23は、電チューソレノイド24(図18参照)により駆動される。開閉部材23が開状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チューは、開閉部材が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別入賞手段や第1特別可変入賞装置ともいう)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図18参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別入賞手段や第2特別可変入賞装置ともいう)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図18参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、図2(A),(B)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。
図2(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図2(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1状態(通過許容状態)にある。振分部材71が第1状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図2(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図2(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2状態(通過阻止状態)にある。振分部材71が第2状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置31には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
図1に戻り、センター装飾体10の右方であって電チュー22の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過口ともいう)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域3の下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路RW1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路RW2という。
第1流路RW1上には、第1始動口20と、アウト口16とが設けられている。遊技者は第1流路RW1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙うことができる。なお、第1流路RW1上にゲートは配されていない。よって、左打ちをしている場合に電チュー22が開放されることはない。
一方、第2流路RW2上には、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、アウト口16とが設けられている。遊技者は第2流路RW2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過や、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入賞を狙うことができる。
また図1に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図3に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、特図保留記憶部85(図18参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図18参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図18参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図3参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図18参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
2.裏ユニットの構成
次に、図4〜図10に基づいて裏ユニット200について説明する。裏ユニット200は、遊技盤2の裏面側(後面側)に配されている部材である。図4に示すように、裏ユニット200は、演出表示装置7と、裏側演出ユニット300とを備えている。演出表示装置7は、裏側演出ユニット300に対して前方から組み付けられている。裏ユニット200が遊技盤2に取り付けられている状態では、演出表示装置7の表示画面7aは、遊技盤2の中央の開口部2bから前方に臨むこととなる(図1参照)。
〈裏側演出ユニットの構成〉
図4及び図5に示すように、裏側演出ユニット300は、ベース部材310と、このベース部材310に対して取り付けられている固定演出部材600、装飾可動体(可動式の演出部材)15、及び補助ライト590(補助発光手段)を備えている。固定演出部材600は、キャッチャーミットを模した意匠のミット演出部610と、複数の発光部622を有する第1発光演出部620と、第1発光演出部620とは別の複数の発光部640,644,648を有する第2発光演出部630とを備えている。
図5に示すように、ミット演出部610は、上装飾体611、下装飾体612、及び左装飾体613からなり、全体としてキャッチャーミットを表わす演出部材である。上装飾体611、下装飾体612、及び左装飾体613のそれぞれは、キャッチャーミットがデザインされている意匠部611a,612a,及び613aを有し、これらの後方には複数のLED素子614(第1の固定部材LED614ともいう)が搭載されている(図6参照)。演出表示装置7の前方からミット演出部610を視認させる後述のミット透過演出(図13参照)の実行時には、演出制御用マイコン91(図19参照)はミット演出部610のLED素子614を所定の発光態様で発光させる。
第1発光演出部620は、ミット演出部610の周囲で発光して、ミット演出部610の近傍の見た目を派手にするものである。第1発光演出部620は、固定演出部材600の上下左右の周縁から中央に向かう光の軌跡を表わした複数の発光部622を備えている。各発光部622は、光拡散部(レンズ部)624と、光拡散部624に対して後方から光を入射させる複数のLED素子626(図6参照、第2の固定部材LED626ともいう)とを有している。光拡散部624は、透光性を有する部材からなり、その表面には凹凸が設けられている。光拡散部624は、後方から入射したLED素子626の光を様々な角度で前方に出射させる。LED素子626の発光時には第1発光演出部620の形状が遊技者にはっきりと認識される。後述するミット透過演出(図13参照)の実行時には、演出制御用マイコン91(図19参照)は第1発光演出部620のLED素子626を所定の発光態様で発光させる。
第2発光演出部630は、光が放射状に伸びる様を表した中央発光部640と、この中央発光部640に対して固定演出部材600の左端部602から伸びる光の軌跡を表した左側発光部644と、中央発光部640に対して固定演出部材600の右端部604から伸びる光の軌跡を表した右側発光部648とを備えている。中央発光部640、左側発光部644、及び右側発光部648の構成は、第1発光演出部620の各発光部622の構成と同様である。すなわち、光拡散部(レンズ部)652と、光拡散部652に対して後方から光を入射させる複数のLED素子656(図6参照、第3の固定部材LED656ともいう)とを有している。後述する特別発光演出(図17参照)の実行時には、演出制御用マイコン91(図19参照)は第2発光演出部630のLED素子656を所定の発光態様で発光させる。つまり、中央発光部640、左側発光部644、及び、右側発光部648を発光させる。これにより、固定演出部材600の左端部602から放たれた光と右端部604から放たれた光とが中央で激しく衝突する様が表される。
装飾可動体15は、パチンコ遊技機1のモチーフとなっているアニメの主人公キャラクタの顔の意匠面510aを前面側に有している。装飾可動体15は、ミット演出部610よりも前方に位置しており(図9参照)、ミット演出部610の下方側に位置する待機位置と、待機位置の上方にあたる位置であって、ミット演出部610の上装飾体611と下装飾体612の略中間の位置である動作位置との間で移動可能である。装飾可動体15は、ステッピングモータ等の電動モータ520(図9及び図19参照)によって駆動される。装飾可動体15の駆動機構としては例えばタイミングベルト等を用いた公知の駆動機構を採用することができる。
なお、動作位置を、重畳位置(前後方向において後述の液晶パネル760と重なる位置)ともいい、待機位置を、非重畳位置(前後方向における液晶パネル760との重なりが重畳位置よりも少ない位置)ともいう。また、ミット演出部610を含む固定演出部材600は、移動し得ない演出部材であるが、常に前後方向において液晶パネル760と後方で重なる位置にあることから、ミット演出部610や固定演出部材600も、重畳位置に位置し得る部材にあたるものとする。
図5及び図6に示すように、装飾可動体15において意匠面510aを有する顔部材510の後方には、複数のLED素子530(以下「可動体LED530」という)が搭載されている。動作位置に位置する装飾可動体15を演出表示装置7の前方から視認させる顔透過演出(図37参照)の実行時には、演出制御用マイコン91(図19参照)は装飾可動体15の可動体LED530を所定の発光態様で発光させる。
補助ライト590は、演出表示装置7のバックライト792(表示用LED790と導光板750からなる発光装置、図9参照)の消灯時であっても、表示画面7a上の補助表示領域7bの視認性を確保するための光を放つ発光装置である。補助ライト590は、裏側演出ユニット300における左上部に取り付けられている。この取付位置は、裏側演出ユニット300に演出表示装置7が組み付けられた状態において、演出表示装置7の補助表示領域7bの真裏となる位置である(図1参照)。
補助ライト590は、表面実装型の2つのLED素子594が実装されたLED基板592と(図6参照)、LED基板592の前方を覆う透光性を有するカバー部材596とを有している(図5参照)。LED素子594が放つ光はカバー部材596によって拡散されて補助表示領域7bを後方から照らす。このため、演出表示装置7のバックライト792の消灯時であっても補助ライト590(LED素子594)が発光されていれば、補助表示領域7bに表示される演出画像は遊技者にはっきりと視認される。
なお既に述べたように、本形態では補助表示領域7bには、装飾図柄8L,8C,8Rの変動演出と同期した3ケタの小図柄5L,5C,5Rの変動演出が表示される(図1参照)。また補助表示領域7bでは、第1特別図柄の変動表示及び停止表示と同期した第4図柄X1の変動表示及び停止表示、第2特別図柄の変動表示及び停止表示と同期した第5図柄X2の変動表示及び停止表示もなされる。従って本形態では、補助ライト590の発光によって小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2の視認性が確保されることとなる。
〈演出表示装置の構成〉
次に、図7〜図9に基づいて演出表示装置7の構成について説明する。本形態の演出表示装置7は、表示画面7aよりも後方を視認できる状態と、表示画面7aよりも後方を視認できない又は視認し難い状態とを切替え可能な透過液晶表示装置である。図7は、演出表示装置7の分解斜視図であり、図8は、演出表示装置7が備える上側発光基板711の実装面を示す図であり、図9は、裏ユニット200の左右方向のほぼ中間の位置における縦断面図である。演出表示装置7は、図7に示すように主に、フレーム枠700と、上側構造部710と、下側構造部720と、左側構造部730と、右側構造部740と、導光板750と、液晶パネル760(画像表示手段に相当)と、透過フィルム770(視認性切替手段)と、保護パネル780とを備えている。
フレーム枠700は、演出表示装置7の外郭を構成するものであり、上側に上面部701を有し、下側に下面部702を有し、左側に左面部703を有し、右側に右面部704を有し、前側に前面部705を有している。上面部701と下面部702とは、上下対称の形状になっていない。つまり上面部701は長方形状になっている。これに対して下面部702は、平面視で凹状になっていて、後方側に切り欠かれている切欠部分702aを有している。その理由については、後述する。左面部703と右面部704とは、左右対称の形状になっていて、それぞれ長方形状になっている。前面部705は矩形の枠状になっていて、中央の開口部にて液晶パネル760を前方に臨ませるようになっている。
このフレーム枠700は、金属のうち熱伝導率が比較的高いアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている。そのためフレーム枠700により、後述する各表示用LED714,724,734,744、又は各役物用LED715,735,745の点灯によって生じる熱を逃がし易くなっている。またフレーム枠700のうち左面部703及び右面部704には、多数の貫通孔703a,704aが形成されていて、下面部702にも多数の貫通孔(図示省略)が形成されている。これら貫通孔703a,704aにより、フレーム枠700よりも外側にある空気が後述する各ヒートシンク712,722,732,742に触れ易くなり、各ヒートシンク712,722,732,742の冷却性能を向上させることが可能である。
なおフレーム枠700の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金に限られるものではなく、例えば銅であっても良く、適宜変更可能である。また下面部702、左面部703、及び右面部704のうち何れかに貫通孔が形成されていたり、下面部702と左面部703と右面部704に加えて、上面部701にも貫通孔が形成されていたりする構成としても良い。
上側構造部710は、フレーム枠700の上面部701の内側(下面側)に組付けられるものである。この上側構造部710は、図7に示すように、上側発光基板711と、上側ヒートシンク712と、上側組付カバー713とを備えている。上側発光基板711の上方に上側ヒートシンク712を載置して、これら上側発光基板711及び上側ヒートシンク712に対して下方から上側組付カバー713を組付けることで、上側発光基板711と上側ヒートシンク712と上側組付カバー713とが一体化されている。
上側発光基板711は、図7及び図8に示すように、前端側の縁部に、左右方向に沿って多数のLED素子714(以下「上側表示用LED714」という)を実装している。各上側表示用LED714は、導光板750の周面のうちの上面に向かって、表示用の光を照射するものである。よってサブ制御部99(図19参照)は、上側表示用LED714の点灯及び消灯を制御することで、上側表示用LED714による表示用の光が導光板750の上面に供給される状態と、供給されない状態とを切替えることが可能である。
また上側発光基板711は、上側表示用LED714よりも後方に、左右方向に沿って多数のLED素子715(以下「上側役物用LED715」という)を実装している。上側役物用LED715は、下方に向かって照明用の光を照射して、ミット演出部610や装飾可動体15を照らすものである。よってサブ制御部99(図19参照)は、上側役物用LED715の点灯及び消灯を制御することで、ミット演出部610や装飾可動体15を上側役物用LED715による照明用の光で照らす状態と、照らさない状態とを切替えることが可能である。なお、上側組付カバー713には上側役物用LED715に対応する位置に開口部713aが設けられている。よって、上側役物用LED715が放つ光が上側組付カバー713内に籠ってしまうことはない。
上側ヒートシンク712は、上側表示用LED714又は上側役物用LED715の点灯によって生じる熱を逃がすためのものであり、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている。上側表示用LED714又は上側役物用LED715の点灯によって生じる熱は、上側ヒートシンク712及びフレーム枠700の上面部701に伝達して、上面部701の上方にある空気によって冷却されることになる。
下側構造部720は、フレーム枠700の下面部702の内側(上面側)に組付けられるものである。この下側構造部720は、図7に示すように、下側発光基板721と、下側ヒートシンク722と、下側組付カバー723とを備えている。下側ヒートシンク722の上方に下側発光基板721を載置して、これら下側発光基板721及び下側ヒートシンク722に対して上方から下側組付カバー723を組付けることで、下側発光基板721と下側ヒートシンク722と下側組付カバー723とが一体化されている。
ここで下側構造部720と上側構造部710とは、上下対称の形状になっていない。つまり、上側構造部710の上側発光基板711と上側ヒートシンク712と上側組付カバー713は、平面視で略長方形状になっている。これに対して、下側構造部720の下側発光基板721と下側ヒートシンク722と下側組付カバー723は、平面視で凹状になっていて、それぞれ後方側に、切り欠かれている切欠部分721a,722a,723aを有している。これら切欠部分721a,722a,723aの位置と、上述したフレーム枠700の下面部702の切欠部分702aの位置とは、左右方向及び前後方向に一致するようになっている。なお、切欠部分721a,722a,723a,702aによって形成される空間は、装飾可動体15の待機スペースを構成する(図9参照)。
下側発光基板721は、前端側の縁部に、左右方向に沿って多数のLED素子724(以下「下側表示用LED724」という)を実装している。各下側表示用LED724は、導光板750の周面のうちの下面に向かって、表示用の光を照射するものである。よってサブ制御部99(図19参照)は、下側表示用LED724の点灯及び消灯を制御することで、下側表示用LED724による表示用の光が導光板750の下面に供給される状態と、供給されない状態とを切替えることが可能である。なお上述したように、上側発光基板711には上側役物用LED715が実装されていたが、下側発光基板721には役物用LEDが実装されていない。これは、下側発光基板721の後方側に切欠部分721aが形成されていて、下側表示用LED724よりも後方に役物用LEDを実装するスペースが無いためである。
下側ヒートシンク722は、下側表示用LED724の点灯によって生じる熱を逃がすためのものであり、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている。下側表示用LED724の点灯によって生じる熱は、下側ヒートシンク722及びフレーム枠700の下面部702に伝達して、下面部702の下方にある空気によって冷却されることになる。
左側構造部730は、フレーム枠700の左面部703の内側(右面側)に組付けられるものである。この左側構造部730は、図7に示すように、左側発光基板731と、左側ヒートシンク732と、左側組付カバー733とを備えている。左側発光基板731の左方に左側ヒートシンク732を載置して、これら左側発光基板731及び左側ヒートシンク732に対して右方から左側組付カバー733を組付けることで、左側発光基板731と左側ヒートシンク732と左側組付カバー733とが一体化されている。
左側発光基板731は、前端側の縁部に、上下方向に沿って多数のLED素子734(以下「左側表示用LED734」という)を実装している。各左側表示用LED734は、導光板750の周面のうちの左面に向かって、表示用の光を照射するものである。よってサブ制御部99(図19参照)は、左側表示用LED734の点灯及び消灯を制御することで、左側表示用LED734による表示用の光が導光板750の左面に供給される状態と、供給されない状態とを切替えることが可能である。
また左側発光基板731は、左側表示用LED734よりも後方に、上下方向に沿って多数のLED素子735(以下「左側役物用LED735」という)を実装している。左側役物用LED735は、右方に向かって照明用の光を照射して、ミット演出部610や装飾可動体15を照らすものである。よってサブ制御部99(図19参照)は、左側役物用LED735の点灯及び消灯を制御することで、ミット演出部610や装飾可動体15を左側役物用LED735による照明用の光で照らす状態と、照らさない状態とを切替えることが可能である。なお、左側組付カバー733には左側役物用LED735に対応する位置に開口部733aが設けられている。よって、左側役物用LED735が放つ光が左側組付カバー733内に籠ってしまうことはない。
左側ヒートシンク732は、左側表示用LED734又は左側役物用LED735の点灯によって生じる熱を逃がすためのものであり、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている。左側ヒートシンク732には、冷却性能を向上させるために、左方に延びる複数のフィン(図示省略)が形成されている。左側表示用LED734又は左側役物用LED735の点灯によって生じる熱は、左側ヒートシンク732及びフレーム枠700の左面部703に伝達して、左面部703の左方にある空気によって冷却されることになる。
右側構造部740は、フレーム枠700の右面部704の内側(左面側)に組付けられるものである。この右側構造部740は、図7に示すように、右側発光基板741と、右側ヒートシンク742と、右側組付カバー743とを備えている。右側発光基板741には、上下方向に沿って多数のLED素子744(以下「右側表示用LED744」という)と、LED素子745(以下「右側役物用LED745」という)が実装されている。右側構造部740と左側構造部730の構造とは、左右対称で同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、右側組付カバー743には右側役物用LED745に対応する位置に開口部743aが設けられている。よって、右側役物用LED745が放つ光が右側組付カバー743内に籠ってしまうことはない。
なお各ヒートシンク712,722,732,742の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金に限られるものではなく、例えば銅であっても良く、適宜変更可能である。また以下では、上側表示用LED714と下側表示用LED724と左側表示用LED734と右側表示用LED744とをまとめて、「表示用LED790(図19参照)」と呼ぶことにする。また、上側役物用LED715と左側役物用LED735と右側役物用LED745とをまとめて、「役物用ライト791(図19参照)」と呼ぶことにする。表示用LED790は、表示用発光体に相当する。また、役物用ライト791は、演出部材用発光体に相当する。また、表示用LED790は、第1電気部品の一例であり、役物用ライト791は、第2電気部品の一例である。
なお図8に示すように、上側発光基板711には複数のコネクタ部716,717,718,719が設けられている。第1のコネクタ部716には、表示用LED790及び役物用ライト791に対するサブ駆動基板107(図19参照)からの駆動制御信号を伝送するケーブルが接続される。第2のコネクタ部717には、透過フィルム770に対するサブ駆動基板107(図19参照)からの駆動制御信号を伝送するケーブルが接続される。第3のコネクタ部718,718には、透過フィルム770の端子775,775(図7参照)が接続される。第4のコネクタ部719,719には、左側発光基板731又は右側発光基板741が接続される。なお、左側発光基板731及び右側発光基板741は下側発光基板721とも接続される。このように本形態では、各発光基板711,721,731,741が互いに電気的に接続されており、各基板の表示用LED790が同じ駆動制御信号に基づいて一斉に点灯したり、各基板の役物用ライト791が同じ駆動制御信号に基づいて一斉に点灯したりすることが可能となっている。
図7に示すように、導光板750は、光を透過可能な透過性を有する透明な合成樹脂板で構成されていて、長方形状である。この導光板750は、表示用LED790からの表示用の光を周面(上面、下面、左面、右面)を通して入射させる。そして、入射させた表示用の光を内部で反射させて、前面751から出射させる。なお導光板750の後面には、表示用の光を前方に向かって反射させるための凹凸状の粗面(図示省略)が形成されている。
図7及び図9に示すように、導光板750の前方には透過フィルム770が配されていて、透過フィルム770の前方には液晶パネル760が配されている。従って、表示用LED790が点灯すると、表示用の光が導光板750の前面751から面発光として出射される。そして導光板750の前面751から面発光された表示用の光を、透過フィルム770を介して液晶パネル760に供給可能となっている。以下では、表示用LED790と導光板750とをまとめて、「バックライト792(図19参照)」と呼ぶことにする。バックライト792を、発光手段ともいう。
液晶パネル760は、マトリックス状に配されている多数の画素を有し、各画素で透過率を制御する。これにより液晶パネル760は、バックライト792からの表示用の光を前方に透過させて、前面(表示画面7a)にて画像を視認させることが可能である。即ち、液晶パネル760の各画素に、バックライト792からの表示用の光が供給されると、表示画面7aに表示される画像を前方から視認できるようになっている。液晶パネル760は、長方形の薄板状になっていて、フレーム枠700の前面部705の後側に組付けられている。
透過フィルム770は、後方を視認可能な透過状態と、後方を視認不可能な不透過状態とに切替可能なものであり、図7に示すように、長方形の薄板状になっている。この透過フィルム770は、液晶パネル760と導光板750との間に配されている。
透過フィルム770は、透明電極が取り付けられた前後2枚のプラスチックフィルムの間に液晶分子が配されたものである。なお、透明電極の端子775は、上側発光基板711に接続されている(図7及び図8参照)。透過フィルム770は、電圧が印加されていない状態では、液晶分子の配列が不規則であるため、入射光を散乱させる。従ってこの状態では、乳白色に濁っており、後方を視認できない不透過状態(不透明状態、拡散状態)となる。また、電圧が印加されている状態では、液晶分子が入射光を散乱させずに透過させる向きに整列する。従ってこの状態では、透過フィルム770は、透明であり、後方を視認可能な透過状態(透明状態、非拡散状態)となる。なお、透過フィルムは、不透過状態において透過状態よりも後方の領域を視認し難くすることができるものであれば、不透過状態において後方の領域を完全に視認できなくするものでなくてもよい。
保護パネル780は、図7及び図9に示すように、導光板750の後側に組付けられていて、演出表示装置7の後方からの外力に対して導光板750、透過フィルム770、及び液晶パネル760を保護するものである。この保護パネル780は、光を透過可能な透過性を有する透明な合成樹脂板で構成されていて、長方形状になっている。
ここで図9に示すように、液晶パネル760と補助ライト590との前後方向の離隔距離L1は、液晶パネル760とミット演出部610との前後方向の離隔距離L2よりも小さい。また、離隔距離L1は、液晶パネル760と装飾可動体15との前後方向の離隔距離L3よりも小さい。なお、離隔距離L2は、離隔距離L3よりも大きく、離隔距離L3は、装飾可動体15が待機位置にあるときでも動作位置にあるときでも変わらない。このように本形態では、補助ライト590のLED素子594がミット演出部610のLED素子614や装飾可動体15の可動体LED530よりも液晶パネル760に近い位置に設けられている。従って、補助ライト590のLED素子594が放つ光は、ミット演出部610のLED素子614や装飾可動体15の可動体LED530が放つ光よりも、確実にその前方の領域(補助表示領域7b)を照らし、バックライト792の消灯時における補助表示領域7bの表示画像の視認性を高めることが可能である。
〈駆動信号出力回路〉
次に、上側発光基板711が備えている駆動信号出力回路SCについて図10に基づいて説明する。駆動信号出力回路SCは、サブ駆動基板107からのバックライト駆動制御信号(第1駆動制御信号に相当)及び役物用ライト駆動制御信号(第2駆動制御信号に相当)を入力信号として、バックライト792の点灯/消灯を切り替えるバックライト駆動信号(第1駆動信号に相当)、及び、役物用ライト791の点灯/消灯を切り替える役物用ライト駆動信号(第2駆動信号に相当)を出力する回路である。なお、図8では駆動信号出力回路SCの図示を省略している。
図10中の表に示すように、駆動信号出力回路SCは、サブ駆動基板107から表示用LED790(表示用LED714,724,734,744)を発光させるためのバックライト駆動制御信号として、「L」信号(下側基準電圧(例えば0.8V)よりも低い電圧(例えば0.5V)の信号)を受信し、且つ、サブ駆動基板107から役物用ライト791(役物用LED715,735,745)を発光させるための役物用ライト駆動制御信号として、「L」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「L」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「L」信号を出力する。表示用LED790は、駆動信号出力回路SCによって下側基準電圧よりも低い電圧のバックライト駆動信号が出力されているときには消灯状態(非発光状態)に制御される。また、役物用ライト791は、駆動信号出力回路SCによって下側基準電圧よりも低い電圧の役物用ライト駆動信号が出力されているときには消灯状態(非発光状態)に制御される。
また、駆動信号出力回路SCは、サブ駆動基板107からバックライト駆動制御信号として、「H」信号(上側基準電圧(例えば2.5V)よりも高い電圧(例えば3V)の信号)を受信し、且つ、サブ駆動基板107から役物用ライト駆動制御信号として、「L」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「H」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「L」信号を出力する。表示用LED790は、駆動信号出力回路SCによって上側基準電圧よりも高い電圧のバックライト駆動信号が出力されているときには点灯状態(発光状態)に制御される。
また、駆動信号出力回路SCは、サブ駆動基板107からバックライト駆動制御信号として「L」信号を受信し、且つ、役物用ライト駆動制御信号として「H」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「L」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「H」信号を出力する。役物用ライト791は、駆動信号出力回路SCによって上側基準電圧よりも高い電圧の役物用ライト駆動信号が出力されているときには点灯状態(発光状態)に制御される。
また、駆動信号出力回路SCは、サブ駆動基板107からバックライト駆動制御信号として「H」信号を受信し、且つ、役物用ライト駆動制御信号として「H」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「L」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「L」信号を出力する。この場合、表示用LED790及び役物用ライト791は共に、消灯状態(非発光状態)に制御される。このように本形態では、駆動信号出力回路SCは、表示用LED790と役物用ライト791とが共に点灯されないように動作する。本形態においてこのような回路を設けているのは、表示用LED790と役物用ライト791とが同時に点灯することによる過度な発熱を防止するためである。この意味で、駆動信号出力回路SCを保護回路ともいう。
具体的には、駆動信号出力回路SCは、図10に示すように、バックライト駆動制御信号を2回反転させた信号(第1のインバータ(INV1)及び第2のインバータ(INV2)を通った信号)と、役物用ライト駆動制御信号を1回反転させた信号(第3のインバータ(INV3)を通った信号)とを、第1のAND回路(AND1)の入力信号とし、AND1の出力信号をバックライト駆動信号としている。また、バックライト駆動制御信号を1回反転させた信号(第1のインバータ(INV1)を通った信号)と、役物用ライト駆動制御信号を2回反転させた信号(第3のインバータ(INV3)及び第4のインバータ(INV4)を通った信号)とを、第2のAND回路(AND2)の入力信号とし、AND2の出力信号を役物用ライト駆動信号としている。なお、駆動信号出力回路SCの各所(各電子素子の間等)には、複数の抵抗R1〜R5及びR11〜R15が接続されている。
このような回路によって、図10中の表に示す入力信号(駆動制御信号)と出力信号(駆動信号)との関係が実現される。この駆動信号出力回路SCによれば、バックライト駆動制御信号及び役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが共に「H」の場合には、INV1で反転して「L」となりINV2で反転して「H」となった「H」信号と、INV3で反転して「L」となった「L」信号とが、AND1に入力されるため、バックライト駆動信号は「L」となる。また、INV3で反転して「L」となりINV4で反転して「H」となった「H」信号と、INV1で反転して「L」となった「L」信号とが、AND2に入力されるため、役物用ライト駆動信号は「L」となる。かくして、駆動信号出力回路SCは、表示用LED790と役物用ライト791とを共に点灯させないように動作する。
なお、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「L」且つ役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「L」の場合には、INV1で反転して「H」となりINV2で反転して「L」となった「L」信号と、INV3で反転して「H」となった「H」信号とが、AND1に入力されるため、バックライト駆動信号の信号レベルは「L」となる。また、INV3で反転して「H」となりINV4で反転して「L」となった「L」信号と、INV1で反転して「H」となった「H」信号とが、AND2に入力されるため、役物用ライト駆動信号の信号レベルは「L」となる。かくして、駆動信号出力回路SCは、表示用LED790及び役物用ライト791を共に点灯させないように動作する。
また、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「H」且つ役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「L」の場合には、INV1で反転して「L」となりINV2で反転して「H」となった「H」信号と、INV3で反転して「H」となった「H」信号とが、AND1に入力されるため、バックライト駆動信号の信号レベルは「H」となる。また、INV3で反転して「H」となりINV4で反転して「L」となった「L」信号と、INV1で反転して「L」となった「L」信号とが、AND2に入力されるため、役物用ライト駆動信号は「L」の信号レベルとなる。かくして、駆動信号出力回路SCは、表示用LED790を点灯させて、役物用ライト791を点灯させないように動作する。
また、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「L」且つ役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「H」の場合には、INV1で反転して「H」となりINV2で反転して「L」となった「L」信号と、INV3で反転して「L」となった「L」信号とが、AND1に入力されるため、バックライト駆動信号の信号レベルは「L」となる。また、INV3で反転して「L」となりINV4で反転して「H」となった「H」信号と、INV1で反転して「H」となった「H」信号とが、AND2に入力されるため、役物用ライト駆動信号の信号レベルは「H」となる。かくして、駆動信号出力回路SCは、表示用LED790を点灯させず、役物用ライト791を点灯させるように動作する。
なお、駆動信号出力回路SCにおいて、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「H」で役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「L」である入力信号のパターン、及び、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「L」で役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「H」である入力信号のパターンは、非同時駆動パターンに相当する。また、駆動信号出力回路SCにおいて、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「H」で役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「H」である入力信号のパターンは、同時駆動パターンに相当する。
ちなみに本形態のパチンコ遊技機1は、図5及び図6に示すように、裏側演出ユニット300におけるベース部材310の左上部及び右上部にそれぞれ1つずつ冷却ファン698を備えている。冷却ファン698の動作は、サブ制御部99により制御される。演出表示装置7が裏側演出ユニット300に組み付けられている状態では、冷却ファン698は、フレーム枠700の内側であって、保護パネル780と固定演出部材600との間の空間に位置する。よって、その空間内の温度が、バックライト792や役物用ライト791、ミット演出部610のLED素子614、第1発光演出部620のLED素子626、第2発光演出部630のLED素子656、装飾可動体15の可動体LED530などの発光により異常に高くなるのを抑制することが可能となっている。このように本形態では、上述した駆動信号出力回路SC(保護回路)と、冷却ファン698とによって、演出表示装置7及び裏側演出ユニット300を用いた演出による過度な発熱の発生が防止されている。
〈ミット透過演出〉
以上のように構成された裏ユニット200を用いた演出例について次に説明する。図11は、演出表示装置7の液晶パネル760にて、SPリーチの変動演出(以下「SPリーチ演出」という、後述の変動演出パターンの一例)の画像が表示されているときの裏ユニット200の状態(以下「図11の状態」という)を示している。図11の状態において、サブ制御基板90及び画像制御基板100(図19参照)は、バックライト792(表示用LED790)を点灯させて(発光状態に制御して)、液晶パネル760の表示画面7aにSPリーチ演出の画像(主人公キャラクタの画像G1やその周囲のエフェクト画像G2等)、およびリーチ状態にある装飾図柄8L,8Rの画像を表示させている。なお、補助表示領域7bには、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2を表示させている。このときには、透過フィルム770を不透過状態(電圧が印加されておらず透過光を拡散させる状態、乳白色の状態)に制御し、役物用ライト791を消灯させている(非発光状態に制御している)。つまり、図11の状態は、バックライト792(表示用LED790)がON、透過フィルム770がOFF、役物用ライト791がOFFで、液晶パネル760に所定の演出画像が表示されている状態である。
この状態では、バックライト792を構成する表示用LED790が放つ光は、導光板750に周面から入射し、導光板750内で後面(反射面)に反射して、導光板750の前面751から前方に出射される。この出射光は、不透過状態の透過フィルム770を透過する際に拡散されて、液晶パネル760の後面の全域に入射される。このようにして、表示用LED790の光が液晶パネル760の後面の全域に略均一に供給される。よって、液晶パネル760の表示画面7aの全域が略均一に明るくなる。
またこの状態では、透過フィルム770が不透過状態(乳白色の状態)に制御されている。そのため、透過フィルム770の後方の領域BS(図9参照)を前方から視認することが困難となっている。すなわち、透過フィルム770の前方から、ミット演出部610などの演出用の役物を視認することが困難(ほぼ不可能)となっている。なお、役物用ライト791が消灯されていることも、ミット演出部610などの演出用の役物の視認性を低下させる要因となっている。従ってこの状態では、液晶パネル760の表示画面7aに表示されている画像の後方に、ミット演出部610などの演出用の役物が重なって見えてしまうこともなく、表示画像が遊技者にはっきりと視認されることとなる。
なお、本形態では補助ライト590は、バックライト792(表示用LED790)が消灯しているときにのみ点灯されるものとする。つまり図11の状態では、補助ライト590は消灯している。但しバックライト792が点灯しているため、補助表示領域7bに表示される小図柄5L,5C,5R等の視認性は十分に良好である。なお補助ライト590は、バックライト792が点灯しているか否かにかかわらず点灯されていてもよい。また本形態では、大当たり演出やデモ演出を行うときも、バックライト792、透過フィルム770、及び役物用ライト791は図11の状態と同じ状態に制御される。
図12(A)は、演出表示装置7の後方に配されたミット演出部610を、演出表示装置7の前方から視認させるときの裏ユニット200の状態(図12(A)の状態)を示している。図12(A)の状態において、サブ制御基板90及び画像制御基板100(図19参照)は、バックライト792(表示用LED790)を消灯させて(非発光状態に制御して)、液晶パネル760の表示画面7aの全域に白色のベタ画像(白色画像)を表示させている。白色のベタ画像の表示を白色表示という。そして、透過フィルム770を透過状態(電圧が印加されており透過光が拡散されない状態、透明の状態)に制御し、役物用ライト791を点灯させている(発光状態に制御している)。つまり、図12(A)の状態は、バックライト792(表示用LED790)がOFF、透過フィルム770がON、役物用ライト791がONで、液晶パネル760の表示画面7aに白色画像が表示されている状態である。
この状態では、透過フィルム770が透過状態にあるため、遊技者は演出表示装置7の前方からミット演出部610を視認することが可能である。また、役物用ライト791が点灯されているため、役物用ライト791からの光によりミット演出部610の視認性が高められている。そして、バックライト792が消灯しているため、液晶パネル760の表示画像の内容がそのままはっきりと遊技者に視認されることはなく(つまり白色画像として認識されることはなく)、白色表示中の液晶パネル760は光をよく通すため、遊技者には役物用ライト791に照らされたミット演出部610がはっきりと視認されることとなる。
なお、液晶パネル760の後方の視認性は、表示画像の明度が高い(濃度が薄い)ほど(言い換えれば明るい画像ほど)高く、明度が低い(濃度が濃い)ほど(つまり暗い画像ほど)低い。従って図12(B)に示すように、バックライト792、透過フィルム770、及び役物用ライト791の駆動状態を図12(A)の状態と変えることなく、液晶パネル760の表示画面7aの全域に灰色のベタ画像(灰色画像)を表示させた場合には、ミット演出部610の視認性は低下する。さらに図12(C)に示すように、液晶パネル760の表示画面7aの全域に黒色のベタ画像(黒色画像)を表示させた場合に至っては、ミット演出部610は表示画面7aの前方からほとんど視認することができなくなる。液晶パネル760の表示画像の明度が低いほど後方の領域の視認性が低くなることは、液晶パネル760の表示画像が無彩色でない場合、つまり有彩色である場合であっても同様である。なお、白色画像を透過画像や薄色画像とも呼び、黒色画像を不透過画像(透過困難画像)や濃色画像とも呼ぶこととする。
本形態のパチンコ遊技機1は、このような特性の演出表示装置7を利用して、図13に示すミット透過演出を実行する。図13に示す状態では、バックライト792、透過フィルム770、及び役物用ライト791の駆動状態は、図12(A)の状態と同じである。そして、液晶パネル760の表示画面7aには次の画像を表示させる。つまり、表示画面7aにおけるミット演出部610と前後方向で重なる領域を含む中央表示領域7c(演出表示領域)には、白色画像G4を表示させる。また、中央表示領域7cよりもセンター装飾体10に近い外側の周囲表示領域7d(副表示領域)には、赤、青、緑などの種々の色の線画像(カラーエフェクト画像G5)を表示させる。また、補助表示領域7b(周囲表示領域7dの一部)には、カラーエフェクト画像G5の前方に重ねて、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2を表示させる。
図13に示す状態では、中央表示領域7cに白色画像G4が表示されているため、この領域の後方に配されているミット演出部610が遊技者にはっきりと視認される。また、周囲表示領域7dにカラーエフェクト画像G5が表示されているため、この画像G5を表示しない場合よりもミット透過演出のインパクトが強められる。なお、バックライト792は消灯しているが役物用ライト791が点灯しているため、バックライト792の点灯時ほどではないにしろカラーエフェクト画像G5の視認性はある程度確保されている。
このミット透過演出においては、野球のボールを模ったボール役物800を表示画面7a(より詳細には中央表示領域7c)の前方の演出位置に移動させる。よって遊技者からは、演出位置にあるボール役物800とミット演出部610との組み合わせにより、キャッチャーミットでボールを捕えていることを表す演出として認識される。なお、ボール役物800は、センター装飾体10の装飾部材13の後方に隠れた原点位置と、図13に示す演出位置との間を上下方向に移動可能なものである。ボール役物800の駆動制御は演出制御用マイコン91(図19参照)によってなされる。ボール役物800の駆動機構としては、装飾可動体15と同様、タイミングベルトを用いた駆動機構など公知の駆動機構を適宜採用することができる。
このようなミット透過演出の実行時は、バックライト792が消灯しているが、補助ライト590が点灯されている。よって、補助表示領域7bに表示されている小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2の視認性は良好に保たれる。つまり、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2が変動表示されていることは、遊技者にはっきりと視認される。なお仮に、補助ライト590を搭載していない場合には、図14に示すように、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2の視認性が低下する。従って、小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2の各図柄が変動表示中なのか停止表示中なのか遊技者にはっきりと認識されないおそれがある。本形態のパチンコ遊技機1では、バックライト792の消灯時には補助ライト590が発光状態に制御されるため、このような不都合の発生が防止されている。
なおミット透過演出は、図11に示した主人公キャラクタがボールを投げる動画を表示した後に実行される。これにより、主人公キャラクタがライバル打者からストライクをとったことが表現される。この図11及び図13に示す一連の演出は、大当たり当選時の強SPリーチ(図23参照)に属する演出の一例である。図13に示す演出が実行されることで、遊技者には大当たり当選が報知される。ハズレ時に図11に示す演出が実行されるときには、図13に示すミット透過演出は実行されず、例えばライバル打者がホームランを打つ動画とともに「残念・・・」の文字画像が表示画面7aに表示される。これにより遊技者にはハズレの抽選結果が示される。
〈特別発光演出〉
次に、演出表示装置7を用いた別の演出例について、図15〜図17に基づいて説明する。本形態の遊技盤2は、無色透明の合成樹脂材料からなる透明遊技盤である。よって、遊技盤2に背面側から施された装飾を前面側から視認することが可能である。図15に示すように、本形態の遊技盤2には、主人公キャラクタの顔をデザインした第1装飾部810(第1補助演出部)と、ライバル打者の顔をデザインした第2装飾部820(第2補助演出部)とが設けられている。第1装飾部810は、遊技盤2の中央の開口部2bの左側に設けられており、第2装飾部820は、遊技盤2の中央の開口部2bの右側に設けられている。
より詳細には第1装飾部810は、主人公キャラクタの顔の印刷層を有する装飾シート811を遊技盤2の後面側(背面側)に配するとともに、主人公キャラクタの左目の箇所の後方に発光体(LED素子)813を配したものである。また、第2装飾部820は、ライバル打者の顔の印刷層を有する装飾シート821を遊技盤2の背面側に配するとともに、ライバル打者の右目の箇所の後方に発光体(LED素子)823を配したものである。第1装飾部810の発光体813を左側盤ランプ813といい、第2装飾部820の発光体823を右側盤ランプ823という。左側盤ランプ813および右側盤ランプ823の発光制御は演出制御用マイコン91(図19参照)によりなされる。なお装飾シート811,821を配するのに変えて、所望のデザインのシールを貼付したり、直接インキを塗装したりするなどの別の手法によって、第1装飾部や第2装飾部を構成してもよい。また、左側盤ランプ813を主人公キャラクタの両目の箇所の後方に配してもよく、右側盤ランプ823をライバル打者の両目の箇所の後方に配してもよい。
図15に示す状態では、バックライト792は点灯されており、透過フィルム770は透過状態に制御されている。なお、役物用ライト791は消灯している。このようにバックライト792が点灯していても、固定演出部材600(図5参照)における第2発光演出部630のLED素子656(図6参照)を発光させると、液晶パネル760の表示画像の内容にかかわらず、中央発光部640、左側発光部644、及び右側発光部648の各部の形状が認識される程度に、LED素子656の放つ光が遊技者に認識される。従って、図15に示すように、第1装飾部810の左側盤ランプ813と、第2装飾部820の右側盤ランプ823と、第2発光演出部630のLED素子656とを一斉に点灯させたり、順次点灯させたりすることによって、主人公キャラクタとライバル打者とが睨み合っている様を表現した発光演出を行うことが可能である。この発光演出を特別発光演出と称する。
このような特別発光演出においては、図16に示すように液晶パネル760の表示画面7aには、主人公キャラクタとライバル打者の視線が絡み合う様を表現した視線エフェクト画像G8が表示される。勿論、バックライト792が点灯しているため、この視線エフェクト画像G8ははっきりと遊技者に視認される。なお、視線エフェクト画像G8の表示位置は、第2発光演出部630の前方にあたる位置である。
かくして本形態では、図17に示すように、第2発光演出部630が放つ光と、液晶パネル760に表示された視線エフェクト画像G8とが一体となって遊技者に視認されるインパクトの強い演出が実現されることとなる。すなわち本形態では、第2発光演出部630が放つ光と、液晶パネル760に表示された視線エフェクト画像G8との組み合わせによって、主人公キャラクタとライバル打者の視線が激しくぶつかり合う様子を表す1つの意匠(視線の意匠LG)が構成されている。しかも第2発光演出部630の放つ光は、液晶パネル760の後方から放たれる光である。従って、単に表示画面7aに視線エフェクト画像G8を表示するだけの演出よりも奥行き感のある立体的な演出となり、遊技者に従来にはない新しさを感じさせることが可能である。
さらには、このような視線の意匠LGを挟むようにして第1装飾部810と第2装飾部820とが配されており、第1装飾部810の左側盤ランプ813と、第2装飾部820の右側盤ランプ823とが発光状態に制御される。従って、表示画面7aの範囲を左右方向に超えた大きな演出範囲を遊技者に意識させることとなり、単に第2発光演出部630が放つ光と液晶パネル760の表示画像との組み合わせの演出とするよりも、演出のインパクトをさらに強めることが可能となっている。すなわち、本形態における特別発光演出(図17参照)は、液晶パネル760の視線エフェクト画像G8と第2発光演出部630の発光とによる視線の意匠LGによって前後方向の奥行き感を醸し出しつつ、視線の意匠LGと第1装飾部810の左側盤ランプ813の発光と第2装飾部820の右側盤ランプ823の発光とによって左右方向の幅広感を醸し出したインパクトの強い演出となっている。
なお、視線の意匠LGを構成する第2発光演出部630のLED素子656は、前方から見て第1装飾部810と第2装飾部820との間の領域に点在している。詳細には、LED素子656の発光による発光点は、第1装飾部810の上部における特定の部位(最も上方に位置する部位)810aと、第2装飾部820の上部における特定の部位(最も上方に位置する部位)820aとを結ぶ第1の線分L11と、第1装飾部810の下部における特定の部位(最も下方に位置する部位)810bと、第2装飾部820の下部における特定の部位(最も下方に位置する部位)820bとを結ぶ第2の線分L12との間の領域DSに点在している。このことにより、第1装飾部810から第2装飾部820にかけての一定の演出領域(演出範囲)を遊技者に意識させることが可能となっている。
なお本形態では、特別発光演出は、強SPリーチ(図23)に属する演出において図11に示す動画が表示される前に行われる。図17では図示を省略したが、特別発光演出中も勿論、補助表示領域7bにおける小図柄5L,5C,5R等の表示はなされている。なお、特別発光演出の実行タイミングはこれに限られるものではなく、適宜変更可能である。
3.遊技機の電気的構成
次に図18及び図19に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図18及び図19に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、サブ駆動基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部99(駆動制御手段に相当)を構成する。なお、サブ制御部99は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(演出表示装置7、スピーカ67、枠ランプ66、左側盤ランプ813や右側盤ランプ823などの盤ランプ、補助ライト590、固定演出部材600、装飾可動体15、ボール役物800等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。つまりサブ制御部の構成は、実行予定の演出や遊技機の製造し易さ等に応じて適宜変更可能である。
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切り換えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
図18に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内に設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の開閉部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、特別図柄表示器41、普通図柄表示器42、特図保留表示器43、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図19に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、サブ駆動基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に演出表示装置7の制御を行わせる。
画像制御基板100は、画像表示等の制御のためのプログラム等を記憶したROM103、ワークメモリとして使用されるRAM104、及び、ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102を備えている。なお、ROM103には、演出表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。
画像制御基板100は、演出表示装置7における液晶パネル760の表示制御を行うとともに、サブ駆動基板107を介して演出表示装置7におけるバックライト792(表示用LED790)及び役物用ライト791の発光制御や、透過フィルム770の透過制御を行う。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して、枠ランプ66や盤ランプ813,823等のランプの点灯制御を行う。また、補助ライト590(LED素子594)や、固定演出部材600の各LED素子614,626,656、装飾可動体15の可動体LED530の点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプ(LED)の発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプ(LED)の発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して装飾可動体15の電動モータ520やボール役物800の駆動源の駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、装飾可動体15やボール役物800の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って装飾可動体15の電動モータ520やボール役物800の駆動源の駆動制御を行う。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ64aは、セレクトボタン(図示省略)が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタンが押されるとセレクトボタン検出スイッチ64aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。なお、セレクトボタンは、上ボタン、下ボタン、左ボタン、及び右ボタンの4つのボタンからなる十字キーであり、演出ボタン63に隣接して配されている。
4.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図20に示す通りである。図20に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。特定大当たりと通常大当たりである。特定大当たりを「Vロング大当たり」ともいい、通常大当たりを「Vショート大当たり」ともいう。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が容易に可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能又は困難な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な「Vロング大当たり」は、1Rから8Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから15Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大0.1秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は9Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。このVロング大当たりでは9Rから15Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。また、特図1の抽選によって「特定大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_特定図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な「Vロング大当たり」は、1Rから15Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。もちろん、16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。特図2の抽選によって「特定大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_特定図柄」が停止表示される。
これに対して、特図1の抽選にて当選可能な「Vショート大当たり」は、1Rから8Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから15Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大0.1秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第2大入賞口35を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。
このVショート大当たりにおける16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が極めて短く、第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2状態(図2(B)参照)から第1状態(図2(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。特図1の抽選によって「通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選にて当選可能な「Vショート大当たり」は、1Rから15Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、16R(最終ラウンド)では第2大入賞口35を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、この大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は15Rである。もちろん、16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過がほぼ不可能となっている。特図2の抽選によって「通常大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
但し、通常確率状態に制御された場合であっても、後述する時短状態には制御される。なお、この場合の時短回数は100回に設定される。時短回数とは、時短状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお、図20に示すように、特図1の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たり(特定大当たり)が50%、Vショート大当たり(通常大当たり)が50%となっている。これに対して、特図2の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たり(特定大当たり)が80%、Vショート大当たり(通常大当たり)が20%となっている。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(特図1の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(特図2の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図21(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す装飾図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の装飾図柄のうち変動表示されている装飾図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている装飾図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す装飾図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている装飾図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図21(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
5.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図22(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図23参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図22(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では4秒であるが、時短状態では1秒である(図22(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図24参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図24参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
6.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図25〜図30に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図25に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図21に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの周期初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図26に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図18参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。また、入力処理(S102)では、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図25の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図21に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述する始動口センサ検出処理(S104)を行い、続いて普通動作処理(S105)を行う。普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図22(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図24参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次に遊技制御用マイコン81は、後述する特別動作処理(S106)を行い、続いて特定領域センサ検出処理(S107)を行う。特定領域センサ検出処理(S107)では、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定し、それが所定のV有効期間におけるものであれば、VフラグをONにする。V有効期間は、後述する特別電動役物処理(図30参照)におけるステップS2206で設定される期間である。また、この特別電動役物処理における遊技状態設定処理(ステップS2221)では、VフラグがONであれば、確変フラグをONにする。これにより、大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に制御される。
次に遊技制御用マイコン81は、その他の処理(S108)を実行する。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S108)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002〜S004の処理が繰り返し実行され(図25参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[始動口センサ検出処理]図27に示すように、始動口センサ検出処理(S104)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S201でYES)、ゲート通過処理(S202)を行う。一方、遊技球がゲート28を通過していなければ(S201でNO)、ゲート通過処理(S202)をパスしてステップS203に進む。ゲート通過処理(S202)では、ゲートセンサ28aがONしていれば、すでに記憶されている普通図柄乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図21(B)参照)を取得し、普図保留記憶部86に格納する。
ステップS203では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S203)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S203でNO)にはステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S203でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S204)。そして、特図2保留球数が「4」に達している場合(S204でYES)には、ステップS209に進むが、特図2保留球数が「4」未満である場合には(S204でNO)、特図2保留球数に1を加算する(S205)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S206)を行う。特図2関係乱数取得処理(S206)では、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図21(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた第2特図保留記憶部85bの記憶領域に格納する。
続いて始動口センサ検出処理(S104)では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S209)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S209でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S210)。そして、特図1保留球数が「4」に達している場合(S210でYES)には、処理を終えるが、特図1保留球数が「4」未満である場合には(S210でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S211)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S212)を行う。特図1関係乱数取得処理(S212)では、特図2関係乱数取得処理(S206)と同様に、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図21(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた第1特図保留記憶部85aの記憶領域に格納する。
[特別動作処理]図28に示すように特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして、遊技制御用マイコン81は、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S1301でYES)、特別図柄待機処理(S1302)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S1301でNO、S1303でYES)、特別図柄変動中処理(S1304)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S1301,S1303で共にNO、S1305でYES)、特別図柄確定処理(S1306)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S1301,S1303,S1305の全てがNO)、特別電動役物処理(S1307)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
特別図柄待機処理(S1302)では、始動口センサ検出処理(図27参照)にて取得した大当たり乱数等の乱数値を所定の判定テーブル(図20、図22(A),(B),図23参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を報知するための特別図柄の変動表示を開始して、特別動作ステータスを「2」にセットする。特別図柄待機処理(S1302)については後に詳述する。
特別図柄変動中処理(S1304)では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過したら特別図柄を停止表示するとともに、変動停止コマンドを出力バッファにセットして、特別動作ステータスを「3」にセットする。
特別図柄確定処理(S1306)では、停止した特別図柄が大当たり図柄か否かを判定して、大当たり図柄であれば、特別電動役物処理を実行するために特別動作ステータスを「4」にセットする。このときに大当たりのオープニングコマンドを出力バッファにセットする。大当たり図柄でなければ、再び特別図柄待機処理を実行するために特別動作ステータスを「1」にセットする。なお、特別図柄確定処理(S1306)では、高確率状態の制御期間を管理するために、確変フラグがONであれば確変カウンタの値を1ディクリメントして「0」になれば確変フラグをOFFする。また、時短状態(つまりは高ベース状態)の制御期間を管理するために、時短フラグがONであれば時短カウンタの値を1ディクリメントして「0」になれば時短フラグをOFFする。また、特別動作ステータスを「4」にする際に、確変フラグや時短フラグがONであればOFFに戻す。つまり、大当たり遊技中は低確低ベース状態に制御される。
特別電動役物処理(S1307)では、当選した大当たりの種類に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図20参照)に従って第1大入賞口30及び第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。特別電動役物処理(S1307)については後に詳述する。
[特別図柄待機処理]図29に示すように、特別図柄待機処理(S1302)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1401)。特図2保留球数が「0」である場合(S1401でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1407)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1407でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、客待ちフラグがONか否かを判定し(S1415)、ONであれば本処理を終え、ONでなければ、客待ちコマンドを出力バッファにセットするとともに(S1416)、客待ちフラグをONにする(S1417)。
ステップS1401において特図2保留球数が「0」でない場合(S1401でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、特図2大当たり判定処理(S1402)及び特図2変動パターン選択処理(S1403)を行う。
特図2大当たり判定処理(S1402)では、大当たり乱数値を読み出して、現在の遊技状態に応じた大当たり判定テーブル(図22(A)参照)に基づいて、大当たりの当否判定を行う。大当たり判定の結果が大当たりであれば、当たり種別乱数値を読み出して、当たり種別判定テーブル(図20参照)に基づいて当たり種別を判定する。そして、当たり種別に応じた特図停止図柄データ(図20参照)をRAM84に設けた特図バッファにセットする。当否判定の結果が「ハズレ」であれば、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)を特図バッファにセットする。
特図2変動パターン選択処理(S1403)では、変動パターン乱数値を読み出して、特図変動パターン判定テーブル(図23参照)に基づいて変動パターンを選択する。なおこの処理では、上述した当否判定の結果が「ハズレ」であった場合には、リーチ乱数値を読み出してリーチ判定テーブル(図22(B)参照)に基づいて、リーチ有りハズレの変動パターンにするのか、リーチ無しハズレの変動パターンにするのかを決定する。
なお図23に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また、リーチになる場合にそのリーチがノーマルリーチとなるのかスーパーリーチ(SPリーチ)となるのかも決まる(図23の備考欄参照)。SPリーチとは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチであり、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)がノーマルリーチよりも高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、SPリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
また本形態では、SPリーチには、弱SPリーチA、弱SPリーチB、及び強SPリーチの3種類がある(図23の備考欄参照)。なお、SPリーチの種類としてこれら以外の種類を含んでいる構成としてもよい。上記の3種類のSPリーチは、互いに大当たり期待度が異なっている。具体的には、弱SPリーチA、弱SPリーチB、強SPリーチの順に大当たり期待度が高くなっていく。つまり本パチンコ遊技機1では、弱SPリーチA、弱SPリーチB、強SPリーチの順に大当たり期待度が高くなるように各種の変動パターンの振分率が設定されている。
図29に戻り、特図2変動パターン選択処理(S1403)に続いて遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1404)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1405)。このようにして、第2特図保留が保留された順に消化されるようにしている。
続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1406)を実行する。特図2変動開始処理(S1406)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1406)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1402)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1403)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。その後、遊技制御用マイコン81は、客待ちフラグがONか否かを判定し(S1413)、ONであれば客待ちフラグをOFFして(S1414)本処理を終え、ONでなければステップS1414を実行することなく本処理を終える。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1401でYES且つS1407でNO)、即ち、特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、特図1大当たり判定処理(S1408)及び特図1変動パターン選択処理(S1409)を行う。特図1大当たり判定処理(S1408)は、特図2大当たり判定処理(S1402)と同様の処理であるため説明を省略する。また、特図1変動パターン選択処理(S1409)は、特図2変動パターン選択処理(S1403)と同様の処理であるため説明を省略する。
次に遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1410)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1411)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。
続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1412)を実行する。特図1変動開始処理(S1412)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1412)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1408)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1409)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。その後、遊技制御用マイコン81は、客待ちフラグがONか否かを判定し(S1413)、ONであれば客待ちフラグをOFFして(S1414)本処理を終え、ONでなければステップS1414を実行することなく本処理を終える。
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1401でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選の方が、第1特図保留に基づく抽選よりも、遊技者にとって利益の大きい大当たり(Vロング大当たり)に当選しやすくなっている(図20参照)。
[特別電動役物処理]図30に示すように、特別電動役物処理(S1307)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2201)。大当たり終了フラグは、実行中の大当たり遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2201でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中か否か(すなわち大入賞装置の開放中か否か)を判定する(S2202)。開放中でなければ(S2202でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して初回のラウンド遊技における開放開始の時間に至ったか、又は、一旦閉鎖した大入賞口を再び開放させるまでのインターバル時間(閉鎖時間)が経過して開放開始の時間に至ったか否かを判定する(S2203)。
ステップS2203の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2203の判定結果がYESであれば、現在実行中の大当たり遊技がVロング大当たりとしての大当たり遊技か否かを判定する(S2204)。そして、Vロング大当たりでなければステップS2207に進むが、Vロング大当たりであれば、第2大入賞口35を開放させる第16ラウンドを開始するタイミングであるか否かを判定する(S2205)。第16ラウンドを開始するタイミングでなければ(S2205でNO)、そのままステップS2207に進む。これに対して、第16ラウンドを開始するタイミングであれば(S2205でYES)、V有効期間設定処理(S2206)を行う。
V有効期間設定処理(S2206)では、Vロング大当たりの第16ラウンドにおける第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するV有効期間に設定する。なお本形態ではこれ以外の期間(大当たり遊技を実行していないときも含む)を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するV無効期間に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONするということである。また、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONしないということである。なお、V有効期間に第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を含めているのは、第2大入賞口35の閉塞直前に第2大入賞口35へ遊技球が入賞することがあるのを考慮したものである。
すなわち本形態では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち高確率状態に制御されることのないようにしている。
ステップS2207では、大当たりの種類に応じた開放パターン(図20参照)に従って大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる。なお、振分部材71は、第16ラウンドのラウンド遊技の開始から常に一定の動作で動いている。Vロング大当たりの開放パターン(Vロング開放パターン)では、第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞した遊技球が余裕をもって特定領域39を通過できるように開閉部材37が開放される。これに対して、Vショート大当たりの開放パターン(Vショート開放パターン)では、第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞することがほぼできないように開閉部材37が開放される。また、Vショート開放パターンにおいては、仮に遊技球が第2大入賞口35に入賞できたとしても特定領域39を通過することができないように、振分部材71の動作に対する開閉部材37の開放タイミングが設定されている。
続くステップS2208では、ラウンド指定コマンド送信判定処理を行う。ラウンド指定コマンド送信判定処理(S2208)では、ステップS2207での大入賞口の開放が1回のラウンド遊技中での初めての開放か否かを判定し、そうであれば、実行中の大当たり遊技のラウンド数の情報を含むラウンド指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットする。なお本形態では、1回のラウンド遊技中に複数回の大入賞口の開放がなされることはない。そのため、このステップS2208では、必ずラウンド指定コマンドがセットされることとなる。
特別電動役物処理(図30)のステップS2202において、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中であれば(S2202でYES)、大入賞口の閉鎖条件が成立しているか否かを判定する(S2209)。本形態では、閉鎖条件は、そのラウンド遊技における大入賞口への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では1ラウンド当たり8個)に達したこと、又は、大入賞口を閉鎖させる時間に至ったこと(すなわち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図20参照)が経過したこと)のいずれかが満たされていることである。そして、大入賞口の閉鎖条件が成立していなければ(S2209でNO)、処理を終える。
これに対して、大入賞口の閉鎖条件が成立している場合(S2209でYES)には、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖(閉塞)する(S2210)。そして、ステップS2210の閉鎖によって1回のラウンド遊技が終了する場合には(S2211でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2212)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2213)。「0」でなければ(S2213でNO)、次のラウンド遊技を開始するためにそのまま処理を終える。なお、ラウンドカウンタは、ラウンド遊技の実行回数をカウントするためのカウンタであり、大当たり遊技の実行開始時に「16」にセットされるものとする。
一方ステップS2213でラウンドカウンタの値が「0」であれば(S2213でYES)、大当たり遊技を終了させる大当たり終了処理として、大当たりのエンディングコマンドをセットするとともに(S2214)、大当たりのエンディングを開始する(S2215)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2216)。
またステップS2201において大当たり終了フラグがONであれば(S2201でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2217)、エンディング時間が経過していなければ(S2217でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2217でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2218)、大当たりフラグをOFFし(S2219)、特別動作ステータスを「1」にセットする(S2220)。これにより、次回のメイン側タイマ割り込み処理において、特別動作処理(図28)として再び特別図柄待機処理(S1302)が実行されることになる。その後、遊技状態設定処理(S2221)を行って本処理を終える。
遊技状態設定処理(S2221)では、VフラグがONか否かを判定し、ONであれば確変フラグ及び時短フラグをONするとともに、VフラグをOFFする。そして、確変カウンタ及び時短カウンタに「160」をセットする。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が高確高ベース状態になる。一方、VフラグがONでなければ、時短フラグをONするとともに、時短カウンタに「100」をセットする。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が、低確高ベース状態になる。
7.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図31〜図36に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図31に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、RAM94の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、RAM94の初期化をせずにステップS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAM94内容が正常でない場合には(S4002でNO)、RAM94を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM94内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAM94を初期化しない。なお、RAM94を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS4001〜S4003は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数更新処理を実行する(S4005)。乱数更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い演出表示装置7を用いて各種の演出(装飾図柄変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、開放遊技演出、エンディング演出)、デモ演出等)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、サブ駆動基板107を介して各ランプ(LED)を発光させたり、装飾可動体15やボール役物800を動作させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)、および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)では、図32に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、ストローブ信号がONでなければ処理を終え、ONであれば主制御基板80の出力処理(S101)により送信されてきた各種のコマンドをRAM94に格納する(S4102)。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図33に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、画像演出等の演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ813,823、補助ライト590、固定演出部材600の各LED素子614,626,656、可動体LED530等を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S4304)で作成したランプデータをサブ駆動基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って各ランプ(LED)を所定の発光態様で発光させる。
次いで、駆動制御処理(S4203)を行う。駆動制御処理(S4203)では、画像演出等の演出に合うタイミングで装飾可動体15やボール役物800を動作させるべく、駆動データ(装飾可動体15の電動モータ520やボール役物800の駆動源の駆動のためのデータ)を作成したり、出力したりする。後述の10msタイマ割り込み処理における各処理でセットされる駆動データもこの処理で出力される。つまり、駆動データに従って、装飾可動体15やボール役物800を所定の動作態様で動作させる。
そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図34に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4301)を行う。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4302)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理(S4303)を行う。
その後、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4304)として、後述の受信コマンド解析処理(S4301)での演出選択結果に応じて、ランプデータ(各ランプ(LED)の点灯を制御するデータ)を作成したり、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力をしたりする。また、各種の演出決定用乱数を更新したりする。
[受信コマンド解析処理]図35に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば後述の変動演出開始処理(S4402)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば変動演出終了処理(S4404)を行う。変動演出終了処理(S4404)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4405)、受信していればオープニング演出選択処理(S4406)を行う。オープニング演出選択処理(S4406)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していればラウンド演出選択処理(S4408)を行う。ラウンド演出選択処理(S4408)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出(開放遊技演出)のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していればエンディング演出選択処理(S4410)を行う。エンディング演出選択処理(S4410)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、その他の処理(S4411)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、V通過を示すV通過コマンドに基づいてV通過報知を行う処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理を終える。
[変動演出開始処理]図36に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S4701)。変動開始コマンドには、変動パターン選択処理(ステップS1403又はS1409)でセットされた変動パターンの情報や、大当たり判定処理(ステップS1402又はS1408)でセットされた特図停止図柄データの情報が含まれている。なお、これらの情報を別々のコマンドで取得する構成としてもよい。また、ここで演出制御用マイコン91が取得した情報は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能なものとする。
次に演出制御用マイコン91は、変動演出パターンの選択を行う(S4702)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類(図23のP1等)に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。これにより、特別発光演出(図17参照)の実行の有無や、ミット透過演出(図13参照)の実行の有無、さらにはそれらの実行タイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、装飾図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、装飾図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。なお本形態では、強SPリーチの変動パターン(図23参照)が指定されているときに、特別発光演出(図17参照)やミット透過演出(図13参照)を伴う変動演出パターンが選択されることがある。
続いて演出制御用マイコン91は、変動演出において最終的に停止表示する装飾図柄(演出図柄)8L,8C,8Rの選択を行う(S4703)。具体的には、演出図柄決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した演出図柄決定用乱数を判定することにより、装飾図柄を選択する。これにより、最終的に停止表示される装飾図柄8L,8C,8Rの組み合わせ(例えば「777」等)が決定される。なおこの処理において、最終的に停止表示される小図柄5L,5C,5Rの組み合わせも決定される。
続いて演出制御用マイコン91は、予告演出の選択を行う(S4704)。具体的には、予告演出決定用乱数を取得するとともに、特別図柄の種類やリーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した予告演出決定用乱数を判定することにより、予告演出を選択する。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
そして、選択した変動演出パターン、演出図柄、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットして(S4705)、変動演出開始処理を終了する。ステップS4705でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、演出表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
ステップS4702において特別発光演出(図17参照)やミット透過演出(図13参照)を伴う変動演出パターンが選択されている場合には、画像制御基板100は、これらの演出を実行するべく、演出表示装置7の液晶パネル760、透過フィルム770、バックライト792、役物用ライト791を所定の演出実行プログラム(演出制御データ)に従って制御する。また、演出制御用マイコン91は、補助ライト590、固定演出部材600の各LED素子614,626,656、ボール役物800、盤ランプ813,823を所定の演出実行プログラム(演出制御データ)に従って制御する。かくして、特別発光演出(図17参照)やミット透過演出(図13参照)が実現されることとなる。
なお本形態のパチンコ遊技機1は、装飾可動体15(図5参照)を液晶パネル760と後方で重なる動作位置(重畳位置)に移動させて、液晶パネル760の前方から装飾可動体15を視認させる顔透過演出を実行可能である(図37(A)参照)。本形態では、この顔透過演出は、弱SPリーチBの変動パターン(図23参照)が選択されたときに実行されることがあるものとする。ステップS4702において顔透過演出を伴う変動演出パターンが選択された場合には、画像制御基板100は、顔透過演出を実行するべく、演出表示装置7の液晶パネル760、透過フィルム770、バックライト792(表示用LED790)、役物用ライト791を所定の演出実行プログラム(演出制御データ)に従って制御する。また、演出制御用マイコン91は、補助ライト590、装飾可動体15を所定の演出実行プログラム(演出制御データ)に従って制御する。
具体的には顔透過演出では、画像制御基板100は、表示画面7aの中央部(液晶パネル760における装飾可動体15の前方の表示領域、演出表示領域)に白色画像G14を表示させて、装飾可動体15を視認させる役物透過制御(図37(A)参照)と、表示画面7aの中央部に顔画像G16を表示させて、装飾可動体15を視認させない顔表示制御(図37(B)参照)とを、交互に切り替える。役物透過制御では、バックライト792(表示用LED790)を消灯させるとともに役物用ライト791を点灯させる(図37(A)中の表参照)。一方、顔表示制御では、バックライト792(表示用LED790)を点灯させるとともに役物用ライト791を消灯させる(図37(B)中の表参照)。なお、顔透過演出中は、顔画像G16の表示中であっても、常に透過フィルム770を透過状態に制御し続ける。つまり、画像制御基板100は顔透過演出において、図38のタイミングチャートに示すように透過フィルム770、バックライト792、役物用ライト791、及び液晶パネル760の各状態を制御する。
役物透過制御中(図37(A)参照)は、表示画面7aの前方から、その後方(詳細には白色画像G14の表示領域の後方)の装飾可動体15が視認可能となる。また、顔表示制御中(図37(B)参照)は、装飾可動体15はほぼ視認できなくなり、顔画像G16が視認可能となる。本形態では、顔透過演出において役物透過制御と顔表示制御とを交互に切り替える(図38参照)。切り替えの間隔は、例えば1フレーム毎である。なお本形態では、1秒間に30フレームの速度で画像を表示している。このような高速での役物透過制御と顔表示制御との切り替えによれば、遊技者は装飾可動体15と顔画像G16とを区別して認識し難い。そのため、装飾可動体15の表すモチーフ(主人公キャラクタの顔)を強調するエフェクト画像が装飾可動体15についているかのように遊技者に認識させることが可能となる。よって、単に装飾可動体15だけを視認させ続けるよりも、装飾可動体15の表すモチーフを強調して遊技者に認識させることが可能となる。なお図38(B)に示すバックライト792(表示用LED790)の発光態様は、バックライト792(表示用LED790)の駆動態様の一例であり、図38(C)に示す役物用ライト791の発光態様は、役物用ライト791の駆動態様の一例である。
なお本形態では、顔透過演出中は、液晶パネル760における装飾可動体15の前方の演出表示領域以外の表示領域(副表示領域)に、黒色画像G15を表示させる(図37(A)及び(B)参照)。この黒色画像G15の表示によりミット演出部610は遊技者から視認され難くなる。また顔透過演出の実行中は、演出制御用マイコン91によって補助ライト590が発光状態に制御される。そのため、補助表示領域7bにおいて黒色画像G15の手前に重ねて表示される小図柄5L,5C,5Rなどの演出画像(図示省略)の視認性は良好に保たれる。加えて顔透過演出の実行中は、演出制御用マイコン91によって可動体LED530が発光状態に制御される。よって、可動体LED530を発光させない場合に比べて、重畳位置にある装飾可動体15が液晶パネル760の前方からはっきりと視認されることとなる。
8.画像制御基板100のCPU102の動作
[画像制御基板タイマ割り込み処理]次に図39〜図41に基づいて画像制御基板100のCPU102の動作について、上述した顔透過演出の実行時の制御を中心に説明する。CPU102は、所定の割り込み周期で図39に示す画像制御基板タイマ割り込み処理を実行する。図39に示すように、画像制御基板タイマ割り込み処理では、CPU102は、後述するコマンド受信処理(S8001)及び顔透過演出処理(S8002)を行う。そして、画像出力制御処理(S8003)及びデータ送信制御処理(S8004)を行う。画像出力制御処理(S8003)では、コマンド受信処理(S8001)にてセットされた表示データに基づいて、ROM103から画像データを読み出して、表示画面7aに種々の画像を表示したり、バックライト点灯(消灯)データに基づいてバックライト792の点灯/消灯を切り替えたり、役物用ライト点灯(消灯)データに基づいて役物用ライト791の点灯/消灯を切り替えたり、透過フィルム制御データに基づいて透過フィルム770の透過状態/不透過状態を切り替えたりする。また、データ送信制御処理(S8004)では、表示画面7a上での画像表示演出に合わせて、スピーカ67から演出音を出力させたり、可動体LED530やミット演出部610のLED素子614などの各ランプ(LED)を点灯させたりするための指示データを演出制御用マイコン91に対して送信する。
[コマンド受信処理]図40に示すように、コマンド受信処理(S8001)ではまず、画像制御基板100のCPU102は、変動演出開始コマンドを受信したか否かを判定する(S8101)。受信していれば(S8101でYES)、変動演出の画像を表示画面7aに表示させるための表示データ(設定情報)をRAM104にセットする(S8102)。これにより、後述する画像出力制御処理(S8002)を経て、変動演出の画像が表示画面7aに表示されることとなる。
ステップS8102に続いて、画像制御基板100のCPU102は、受信した変動演出開始コマンドが示す変動演出パターンが、顔透過演出の実行を含む変動演出パターンであるか否かを判定する(S8103)。顔透過演出の実行を含む変動演出パターンである場合には、顔透過演出タイマに所定の値をセットして(S8104)、ステップS8105に進む。顔透過演出タイマは、顔透過演出の実行開始のタイミングを計るためのタイマである。
続いて画像制御基板100のCPU102は、その他の処理(S8105)を行う。その他の処理(S8105)では、変動演出開始コマンド以外のコマンド(例えば、オープニング演出開始コマンドやラウンド演出開始コマンド、エンディング演出開始コマンド)を受信していれば、その受信コマンドに基づく処理を行う。なお、ステップS8101やS8103の判定結果がNOである場合には、ステップS8105に進む。
[顔透過演出処理]図41に示すように、顔透過演出処理(S8002)ではまず、画像制御基板100のCPU102は、顔透過演出タイマの値が「0」よりも大きいか否かを判定する(S8201)。判定結果がNOであれば本処理を終える。これに対して、判定結果がYESであれば、顔透過演出タイマの値を「1」減算するとともに(S8202)、顔透過演出の開始タイミングであるか否かを判定する(S8203)。顔透過演出の開始タイミングであれば、透過フィルムを透過状態に制御するための透過フィルム制御データをセットして(S8204)、ステップS8205に進む。顔透過演出の開始タイミングでなければ、ステップS8204の処理を行わずにステップS8205に進む。
ステップS8205では、画像制御基板100のCPU102は、顔透過演出タイマの値に基づいて、顔透過演出における役物透過タイミングであるか否かを判定する。顔透過演出における役物透過タイミングであれば、表示画面7aに白色画像G14(図37(A)参照)を表示させるための表示データと、バックライト792を消灯させるためのバックライト消灯データと、役物用ライト791を点灯させるための役物用ライト点灯データと、をセットして(S8206)、ステップS8207に進む。顔透過演出における役物透過タイミングでなければ、ステップS8206の処理を行わずにステップS8207に進む。
ステップS8207では、画像制御基板100のCPU102は、顔透過演出タイマの値に基づいて、顔透過演出における顔表示タイミングであるか否かを判定する。顔透過演出における顔表示タイミングであれば、表示画面7aに顔画像G16(図37(B)参照)を表示させるための表示データと、バックライト792を点灯させるためのバックライト点灯データと、役物用ライト791を消灯させるための役物用ライト消灯データと、をセットして(S8208)、ステップS8209に進む。顔透過演出における顔透過タイミングでなければ、ステップS8208の処理を行わずにステップS8209に進む。
ステップS8209では、画像制御基板100のCPU102は、顔透過演出の終了タイミングか否かを判定する。判定結果がNOであれば本処理を終える。これに対して、判定結果がYESであれば、透過フィルム770を不透過状態に制御するための透過フィルム制御データをセットするとともに顔透過演出タイマをリセットする(S8210)。そして、その他の処理(S8211)を行って本処理を終える。その他の処理(S8211)では、例えば、顔透過演出に続けて表示する演出画像の表示データをセットする。
このような顔透過演出処理(S8002)において、バックライト消灯データと役物用ライト点灯データとがセットされた場合には、画像制御基板100はサブ駆動基板107を介して、「L」レベルのバックライト駆動制御信号と「H」レベルの役物用ライト駆動制御信号とを駆動信号出力回路SC(図10)に入力させる。これによりバックライト792は消灯し、役物用ライト791は点灯する。また、バックライト点灯データと役物用ライト消灯データとがセットされた場合には、画像制御基板100はサブ駆動基板107を介して、「H」レベルのバックライト駆動制御信号と「L」レベルの役物用ライト駆動制御信号とを駆動信号出力回路SC(図10)に入力させる。これによりバックライト792は点灯し、役物用ライト791は消灯する。なお画像制御基板100が、「H」レベルのバックライト駆動制御信号と「H」レベルの役物用ライト駆動制御信号とを駆動信号出力回路SCに入力させる処理を実行することはない。
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1は、図10中の表に示すように動作する駆動信号出力回路SCを備えている。よって、バックライト駆動制御信号や役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが電気的ノイズの発生等によって想定外の値に変化した場合であっても、表示用LED790と役物用ライト791とが同時に駆動することがない。従って、表示用LED790と役物用ライト791とが同時に駆動されることによる発熱量の増加を防止することが可能である。さらには、このような発熱量の増加や遊技機全体での消費電力の増加による電気部品の動作性能の低下や動作停止、故障を防止することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1は、顔透過演出(図37参照)やミット透過演出(図13参照)といった液晶パネル760の後方に演出部材(装飾可動体15やミット演出部610)を見せる演出を実行可能とすることで、遊技興趣を高めつつ、表示用LED790と役物用ライト791とが同時に発光することによる発熱量の増加を防止可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1は、後方を視認可能な透過状態と、後方を視認不可能な不透過状態とに切り替え可能な透過フィルム770を、液晶パネル760の後方に有している。そのため、透過フィルム770を不透過状態としておけば、液晶パネル760に表示される演出画像だけをはっきりと視認させることが可能であるとともに、透過フィルム770を透過状態とすることで、液晶パネル760の後方の装飾可動体15やミット演出部610を視認させることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、表示用LED790と役物用ライト791とが同一基板(上側発光基板711、左側発光基板731、右側発光基板741)上にある。そのため、表示用LED790と役物用ライト791とを同時に発光させてしまうとその基板が高温になるおそれが特に高い。しかしながら本パチンコ遊技機1では、駆動信号出力回路SC(図10参照)によって表示用LED790と役物用ライト791とが同時に発光するのが防止されている。よって、そのようなおそれを低減可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、駆動信号出力回路SCが、表示用LED790及び役物用ライト791と同じ、上側発光基板711に設けられている。よって、本形態の演出表示装置7を別の遊技盤に再利用する場合、つまり、別の遊技盤に搭載されている演出用の制御基板を利用して演出表示装置7を制御する場合に、駆動信号出力回路(保護回路)を新たに設ける手間を省くことが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、駆動信号出力回路SCに対して表示用LED790と役物用ライト791とを同時に駆動させるパターンで駆動制御信号が入力された場合(バックライト駆動制御信号:「H」、役物用ライト駆動制御信号:「H」)には、表示用LED790及び役物用ライト791の両方が駆動(発光)しない。従って、表示用LED790又は役物用ライト791のいずれか一方のみを駆動させる構成よりも、駆動制御信号の信号レベルが異常な値をとったことを周囲の人に認識させ易い。このことは、開発段階におけるバグの発見にも効果的であるし、ホールでの稼働中における故障の発見にも効果的である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、駆動信号出力回路SCは図10に示す回路構成となっている。よって、複数の論理積回路(第1のAND回路(AND1)と第2のAND回路(AND2))を含むデジタルICと、複数のNOT回路(第1のインバータ(INV1)、第2のインバータ(INV2)、第3のインバータ(INV3)、及び第4のインバータ(INV4))を含むデジタルICとがあれば、表示用LED790と役物用ライト791とを同時に駆動させない回路を構成可能である。従って、このような回路を設けることによる製造コストの増加を、多数のデジタルICを必要とする回路構成とする場合に比して低く抑えることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、図17に示した特別発光演出を実行可能である。この演出では、バックライト792が液晶パネル760に表示用の光を供給しているため液晶パネル760に表示される演出画像(視線エフェクト画像G8)を遊技者にはっきり視認させることが可能であるとともに、透過フィルム770を透過状態にしているため第2発光演出部630(LED素子656)が放つ光を液晶パネル760の前方からはっきり認識させることが可能である。よって、液晶パネル760における視線エフェクト画像G8の表示と、その後ろからの第2発光演出部630の発光とが同時に視認される新たな発光演出となり、この演出効果によって遊技興趣を高めることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、液晶パネル760における視線エフェクト画像G8の表示と第2発光演出部630(LED素子656)の発光とによって1つの意匠(視線の意匠LG)が形成される。そのため、各演出手段単体での演出よりも高い演出効果を発揮可能となり、遊技興趣を高めることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、特別発光演出(図17参照)は、液晶パネル760を透過して見える第2発光演出部630(LED素子656)が放つ光と、第2発光演出部630の左側に位置する第1装飾部810の左側盤ランプ813、及び、第2発光演出部630の右側に位置する第2装飾部820の右側盤ランプ823が放つ光とが協働するインパクトの強い発光演出となっている。従って、この演出効果により遊技興趣を一層高めることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、第2発光演出部630の発光点(LED素子656の発光による発光点)が、前方から見て第1装飾部810と第2装飾部820との間の領域(詳しくは図17中の線分L11と線分L12との間の領域DS)に点在している。そのため、第1装飾部810から第2装飾部820にかけての一定の演出領域(演出範囲)を遊技者に意識させることが可能となっている。よって、第2発光演出部630(LED素子656)が放つ光と、第1装飾部810の左側盤ランプ813及び第2装飾部820の右側盤ランプ823が放つ光との関連性を遊技者にしっかりと認識させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、ミット透過演出(図13参照)の実行時には補助ライト590によって補助表示領域7bに光が照射される。よって、中央表示領域7cの後方にてミット演出部610を見せるにあたってバックライト792が非発光状態に制御されていても、補助表示領域7bに表示される小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、第5図柄X2といった演出画像の視認性を良好に保つことが可能となっている。従って、特別図柄の変動表示中であるのか停止表示中であるのかを遊技者に確実に認識させることが可能となっている。なおこれは、顔透過演出においても同様である。
また本形態のパチンコ遊技機1では、補助ライト590がミット演出部610や装飾可動体15よりも前後方向において液晶パネル760に近い位置に配されている(図9参照)。従って、ミット演出部610に内蔵されているLED素子614の発光や、装飾可動体15に内蔵されている可動体LED530の発光よりも、補助ライト590のLED素子594の発光の方が、補助表示領域7bに光を漏らさずにあてることが可能である。よって、補助表示領域7bに表示される小図柄5L,5C,5Rなどの演出画像の視認性を確実に高めることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、ミット透過演出(図13参照)の実行時には役物用ライト791によってミット演出部610に光が照射される。そのため、ミット演出部610の視認性が高められ、ミット透過演出においてミット演出部610を確実に遊技者の目に留めさせることが可能となっている。なお、顔透過演出においては役物用ライト791の発光によって装飾可動体15の視認性が高められる。
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。
上記形態では、2つのAND回路(AND1とAND2)と4つのインバータ(INV1〜INV4)を用いて駆動信号出力回路SCを構成したが、駆動信号出力回路SCと同じ動作(図10中の表に示す動作)が可能であれば、回路構成は適宜変更可能である。例えば、図42に示す駆動信号出力回路SC2のように、バックライト駆動制御信号と、役物用ライト駆動制御信号を1回反転させた信号(インバータ(INV11)を通った信号)とを、AND回路(AND11)の入力信号とし、AND11の出力信号をバックライト駆動信号とする。また、バックライト駆動制御信号を1回反転させた信号(インバータ(INV12)を通った信号)と、役物用ライト駆動制御信号とを、AND回路(AND12)の入力信号とし、AND12の出力信号を役物用ライト駆動信号とする。なお、回路上の各所(各電子素子の間等)には、複数の抵抗R21〜R23及びR31〜R33が接続されている。このような駆動信号出力回路SC2によっても、図10中の表に示す動作が実現される。
また上記形態では、バックライト駆動制御信号が表示用LED790を点灯させる信号レベル「H」で、且つ、役物用ライト駆動制御信号が役物用ライト791を点灯させる信号レベル「H」である場合には、表示用LED790及び役物用ライト791の両方ともが消灯するように構成したが(図10参照)、駆動制御信号のレベルが異常な値をとっていることの発見のし易さを高める点を考慮しなければ、表示用LED790及び役物用ライト791の一方のみが点灯しない構成としてもよい。
具体的には例えば、図43に示す駆動信号出力回路SC3のように構成してもよい。駆動信号出力回路SC3は、図43に示すように、バックライト駆動制御信号を1回反転させた信号(インバータ(INV21)を通った信号)を、バックライト駆動信号としている。また、バックライト駆動制御信号と、役物用ライト駆動制御信号とを、AND回路(AND21)の入力信号とし、AND21の出力信号を役物用ライト駆動信号としている。なお、駆動信号出力回路SC3の各所(各電子素子の間等)には、複数の抵抗R41〜R43及びR51〜R53が接続されている。
この駆動信号出力回路SC3は、図43中の表に示すように、バックライト駆動制御信号として「H」信号を受信し、且つ、役物用ライト駆動制御信号として「L」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「L」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「L」信号を出力する。よって、表示用LED790及び役物用ライト791は共に、消灯状態(非発光状態)に制御される。
また、駆動信号出力回路SC3は、バックライト駆動制御信号として「L」信号を受信し、且つ、役物用ライト駆動制御信号として「L」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「H」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「L」信号を出力する。よって、表示用LED790だけが点灯状態(発光状態)に制御される。
また、駆動信号出力回路SC3は、バックライト駆動制御信号として「H」信号を受信し、且つ、役物用ライト駆動制御信号として「H」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「L」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「H」信号を出力する。よって、役物用ライト791だけが点灯状態(発光状態)に制御される。
また、駆動信号出力回路SC3は、バックライト駆動制御信号として「L」信号を受信し、且つ、役物用ライト駆動制御信号として「H」信号を受信している場合には、バックライト駆動信号として「H」信号を出力し、且つ、役物用ライト駆動信号として「L」信号を出力する。よって、表示用LED790及び役物用ライト791が共に、点灯状態(発光状態)に制御されることはなく、表示用LED790だけが点灯状態(発光状態)に制御される。
つまり、駆動信号出力回路SC3は、バックライト駆動制御信号(第1駆動制御信号)が表示用LED790(第1電気部品)を駆動させる信号レベル(「L」)で入力されるとともに、役物用ライト駆動制御信号(第2駆動制御信号)が役物用ライト791(第2電気部品)を駆動させる信号レベル(「H」)で入力されたときには、表示用LED790(第1電気部品)を駆動させる信号レベル(「H」)でバックライト駆動信号(第1駆動信号)を出力するとともに、役物用ライト791(第2電気部品)を駆動させない信号レベル(「L」)で役物用ライト駆動信号(第2駆動信号)を出力するものである。なお、両電気部品を駆動させる信号レベルで駆動制御信号が入力されたときには、役物用ライト791だけを点灯させるように構成してもよい。この場合、駆動信号出力回路SC3に対する入力信号をバックライト駆動制御信号と役物用ライト駆動制御信号とで逆にし、駆動信号出力回路SC3からの出力信号をバックライト駆動信号と役物用ライト駆動信号とで逆にすればよい。
なお図43に示す駆動信号出力回路SC3において、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「L」で役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「L」である入力信号のパターン、及び、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「H」で役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「H」である入力信号のパターンは、非同時駆動パターンに相当する。また、駆動信号出力回路SC3において、バックライト駆動制御信号の信号レベルが「L」で役物用ライト駆動制御信号の信号レベルが「H」である入力信号のパターンは、同時駆動パターンに相当する。
また上記形態では、表示用LED790と役物用ライト791とが同一基板(上側発光基板711、左側発光基板731、右側発光基板741)上に実装されている構成としたが(図8参照)、表示用LED790と役物用ライト791とが別基板に実装されている構成としてもよい。また、表示用LED790に対するバックライト駆動制御信号と、役物用ライト791に対する役物用ライト駆動制御信号とが共にサブ駆動基板107から駆動信号出力回路SCに入力される構成としたが、バックライト792に対する駆動制御信号と役物用ライト791に対する駆動制御信号が別基板から駆動信号出力回路SCに入力される構成としてもよい。また、駆動信号出力回路SCを上側発光基板711に設けたが、サブ駆動基板107などのサブ制御部99の構成部品に設けてもよい。
また上記形態では、駆動信号出力回路SCによって同時に駆動されない電気部品を表示用LED790(第1電気部品)と役物用ライト791(第2電気部品)とにしたが、第1電気部品及び第2電気部品の両方又は一方が、モータ、ソレノイド、又はセンサなどのLED以外の電気部品であってもよい。
また上記形態では、ミット透過演出(図13参照)においてミット演出部610の視認性を高めるために役物用ライト791を発光させたが、これを発光させなくてもよい。この場合、ミット演出部610に内蔵されているLED素子614は発光させた方がよい。LED素子614の発光によりミット演出部610の視認性が高まるからである。またこの場合、表示用LED790とミット演出部610におけるLED素子614とを同時に駆動させない回路として、図10に示す駆動信号出力回路SCを用いてもよい。この構成では、LED素子614が演出部材用発光体に相当することとなる。
また上記形態では、顔透過演出(図37参照)において動作位置(重畳位置)にある装飾可動体15の視認性を高めるために役物用ライト791を発光させたが、これを発光させなくてもよい。この場合、装飾可動体15に内蔵されている可動体LED530は発光させた方がよい。可動体LED530の発光により装飾可動体15の視認性が高まるからである。またこの場合、表示用LED790と装飾可動体15における可動体LED530とを同時に駆動させない回路として、図10に示す駆動信号出力回路SCを用いてもよい。この構成では、可動体LED530が演出部材用発光体に相当することとなる。
また上記形態では、画像表示手段として液晶パネル760を用いたが、画像表示手段は、透過性を有するもの(つまり後方を視認可能な状態をとり得るもの)であれば、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の他の表示デバイスでもよい。なお、ELディスプレイの種類としては公知のものを適宜選択できる。
また上記形態では、透過フィルム770を液晶パネル760とバックライト792(導光板750)との間の位置に設けたが、バックライト792と保護パネル780との間の位置に設けてもよい。また、これらの両方の位置に設けてもよい。なお、保護パネル780は設けなくてもよい。
また上記形態では、特別発光演出(図17参照)やミット透過演出(図13参照)、顔透過演出(図37参照)をSPリーチ演出の一部として行う構成としたが、各種の予告演出(所謂ステップアップ予告、セリフ予告、カットイン予告、先読み予告、操作予告(演出ボタン63などの操作部を遊技者に操作させる予告)など)や、大当たり演出、デモ演出等の他の演出として行う構成としてもよい。
また上記形態では、補助ライト590は、2つのLED素子594が発する光をカバー部材596によって拡散させる構成としたが、内蔵されるLED素子の数を多くしたり、カバー部材による拡散の程度を高くしたりするなどして、できる限りカバー部材の前面が均一に面発光するように構成することが望ましい。さらには、補助ライト590と液晶パネルとの離隔距離L1(図9参照)をできる限り小さくすることが望ましい。具体的には例えば、補助ライト590と保護パネル780とのクリアランスをゼロとしてもよい。また、補助ライトの前面の大きさは、補助表示領域と同程度であることが望ましい。
また上記形態では、補助ライト590のLED素子594は補助表示領域7bの真裏に配されていたが、補助表示領域7bに対してほぼ直角に光を入射させることができれば、補助ライトはLED素子が発する光を反射させて補助表示領域7bを照らすものでもよい。
また上記形態では、補助表示領域7bに小図柄5L,5C,5R、第4図柄X1、及び第5図柄X2を表示したが、補助表示領域7bに表示する演出画像は、これらの全てでなくてもよく、また、別の演出画像であってもよい。別の演出画像としては例えば、第1特図保留、第2特図保留、又は普図保留の記憶数を示す保留画像や、普通図柄に同期して変動表示及び停止表示がなされる普図演出図柄、大当たり期待度やリーチ期待度を示す予告演出としての予告画像(例えばミニキャラ画像)などが挙げられる。
さらには、液晶パネル760の表示画面7aを例えば同サイズに2分割して、一方の表示領域の少なくとも一部の表示領域(演出表示領域)には白色画像を表示してその後方に配された演出部材を視認させ、他方の表示領域(補助表示領域)には装飾図柄変動演出の画像(装飾図柄8L,8C,8Rや、SPリーチ演出としての動画像)、大当たり演出の画像といった遊技機における主な演出の画像や、デモ演出の画像を表示する構成としてもよい。この構成では、補助表示領域の範囲が上記形態よりも広範囲となるが、そのサイズに合わせた補助ライトを設けて発光させることで、液晶パネル760の後方の演出部材を視認させている間も、演出画像の表示による演出効果(興趣性)を大きく低下させることがない。よって、液晶パネル760の後方の演出部材を視認させる演出を、上記形態よりも長時間にわたって連続して、又は断続的に行うことが可能となる。勿論、表示画面7aの半分以上の表示領域を補助表示領域としてもよい。なお、補助表示領域を非透過表示領域ともいい、演出表示領域を透過表示領域ともいう。
またミット透過演出(図13参照)において、ミット演出部610を含む固定演出部材600の全部を遊技者にはっきりと視認させるようにしてもよい。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域をRAM84に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。