JP2017183439A - 光源制御方法および光源制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャプチャレンジからレーザ光の周波数が逸脱した場合でも正しい制御目標値へレーザ光の周波数を誘導すること。【解決手段】周波数の異なるレーザ光を出射するための発振周波数変更手段が設けられたレーザ素子と、光の波長に対して周期的な透過特性を有する波長フィルタと、前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度をモニタ値として検出する検出器と、を備えるレーザ光源を制御する光源制御方法であって、前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報とに基づいて、前記発振周波数変更手段に対する制御パラメータの制御を行う発振周波数制御処理を含むことを特徴とする光源制御方法。【選択図】図5
Description
本発明は、光源制御方法および光源制御装置に関する。
波長可変型レーザモジュールは、出力されるレーザ光の周波数を監視し、検知した周波数に基づいてレーザ素子の発振周波数を制御する機能を備えている。当該監視では、エタロンフィルタと呼ばれる波長に対する周期的な透過特性を有するフィルタが用いられるのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
エタロンフィルタを用いた波長可変型レーザモジュールでは、出力されるレーザ光がエタロンフィルタの周期的透過特性によって減衰される度合いを測定することによって、出力されているレーザ光の周波数を検知する。また、エタロンフィルタは、温度を変更することによって透過特性が波長方向にシフトするという特徴を有しており、エタロンフィルタの温度を変更することによって、波長可変型レーザモジュールにおける可変波長帯域の全てをカバーするようにレーザ素子の発振周波数を制御することが可能である。
ところで、エタロンフィルタを用いた光源制御方法では、目標の周波数へ制御パラメータを誘導することができずに、間違った周波数へ制御パラメータが誘導されてしまう、いわゆる誤ロックという現象が発生することがある。エタロンフィルタは周期的透過特性を有するので、当該周期に対応するキャプチャレンジと呼ばれる範囲から出力波長が逸脱してしまうと、目標の周波数へ制御パラメータを誘導することができなくなってしまうからである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、キャプチャレンジからレーザ光の周波数が逸脱した場合でも正しい制御目標値へレーザ光の周波数を誘導することができる光源制御方法および光源制御装置を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光源制御方法は、周波数の異なるレーザ光を出射するための発振周波数変更手段が設けられたレーザ素子と、光の波長に対して周期的な透過特性を有する波長フィルタと、前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度をモニタ値として検出する検出器と、を備えるレーザ光源を制御する光源制御方法であって、前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報とに基づいて、前記発振周波数変更手段に対する制御パラメータの制御を行う発振周波数制御処理を含むことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光源制御方法は、前記発振周波数制御処理は、前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記モニタ値と制御目標との差分とに基づいて、発振周波数制御開始時における前記レーザ素子から出力されるレーザ光の周波数を、前記波長フィルタの透過特性の周期に対応させて特定する制御開始エリア特定処理を含むことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光源制御方法は、前記発振周波数制御処理は、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報に基づいて、前記発振周波数制御開始時と現在との間における前記レーザ素子から出力されるレーザ光の周波数差を計算し、前記周波数差に基づいて、前記波長フィルタの透過特性の周期に対応した通常制御可能な範囲から逸脱したか否かを判定する逸脱判定処理をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光源制御方法は、前記検出器が検出するモニタ値は、前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度を、前記波長フィルタを透過しない前記レーザ光の強度で正規化したものであることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光源制御方法は、前記発振周波数変更手段は、前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータとして前記レーザ素子の温度を変更することによって前記レーザ素子の発振周波数を変更することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光源制御方法は、前記発振周波数変更手段は、前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータとして前記レーザ素子に注入する電流の強度を変更することによって前記レーザ素子の発振周波数を変更することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る光源制御装置は、周波数の異なるレーザ光を出射するための発振周波数変更手段が設けられたレーザ素子と、光の波長に対して周期的な透過特性を有する波長フィルタと、前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度をモニタ値として検出する検出器と、を備えるレーザ光源を制御する光源制御装置であって、前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報とに基づいて、前記発振周波数変更手段に対する制御パラメータの制御を行う発振周波数制御処理を実行するように構成された演算器を備えることを特徴とする。
本発明に係る光源制御方法および光源制御装置は、キャプチャレンジからレーザ光の周波数が逸脱した場合でも正しい制御目標値へレーザ光の周波数を誘導することができるという効果を奏する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る光源制御方法および光源制御装置を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各層の厚さや厚さの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(実施形態)
図1は、波長可変型レーザモジュールの構成例を模式的に示す図である。図1に示される波長可変型レーザモジュールは、本実施形態に係る光源制御方法を適用するのに好適な光源の構成を例示している。
図1は、波長可変型レーザモジュールの構成例を模式的に示す図である。図1に示される波長可変型レーザモジュールは、本実施形態に係る光源制御方法を適用するのに好適な光源の構成を例示している。
図1に示すように、波長可変型レーザモジュール100は、波長可変光源部200と光源制御装置300とを主要な構成要素として備えている。波長可変光源部200は、光源制御装置300からの制御に応じて所望の波長かつ出力のレーザ光を出力し、当該レーザ光を後段の装置に供給する。光源制御装置300は、例えばユーザーインターフェイスを備えた上位の制御装置と接続されており、当該上位の制御装置を介したユーザーからの指示に従って、波長可変光源部200を制御する。なお、波長可変型レーザモジュール100は、波長可変光源部200と光源制御装置300とを別体として備えることもできるが、光源制御装置300と波長可変光源部200とを同一の回路基板上に実装することも可能である。
図1に示すように、波長可変光源部200は、レーザ光源210と波長検知部220と光分岐器230とパワーモニタ240と光ファイバ260とを備えている。
レーザ光源210は、さらに詳しく、DFB−LD(Distributed Feedback Laser Diode:分布帰還型レーザダイオード)211と光導波路212と光合流器213とSOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)214とペルチェ素子215とレーザ温度モニタ素子216とを備えている。なおDFB−LD211と光導波路212と光合流器213とSOA214は、単一の半導体チップの上に形成することも可能である。
レーザ光源210は、それぞれ異なる波長のレーザ光を前端面から出射するストライプ形状の複数のDFB−LD211を備えている。各DFB−LD211は、温度を調整することによってその発振周波数を変更することができる。各DFB−LD211は、ペルチェ素子215の上に載置されており、ペルチェ素子215が発振周波数変更手段として機能するように構成されている。また、ペルチェ素子215の上にはレーザ温度モニタ素子216が設けられ、DFB−LD211の温度を発振周波数変更手段の監視情報として取得することが可能である。
DFB−LDは3nm〜4nm程度の範囲内で発振波長を変化させることができるので、各DFB−LD211の発振波長を3nm〜4nm程度の間隔でずらして各DFB−LD211の発振周波数を設計する。これにより、レーザ光源210は、複数のDFB−LD211のうち、所望のレーザ光の波長を得るのに適した1個のDFB−LD211を選択して駆動すると共にDFB−LD211の温度を制御することによって、単体のDFB−LDよりも広帯域な連続した波長帯域に亘ってレーザ光を出射することができる。
複数のDFB−LD211の何れかが出射したレーザ光は、光導波路212および光合流器213を経由することによって1つの光路に導かれ、SOA214によって増幅された後に、レーザ光源210から出射される。
光分岐器230は、レーザ光源210から出力されたレーザ光の大半を波長可変光源部200から出力するために光ファイバ260に結合する。同時に、レーザ光源210から出力されたレーザ光の一部をパワーモニタ240と波長検知部220とに分波して供給する。光ファイバ260は光分岐器230から入力されたレーザ光を出力し、図示しない後段の装置に供給する。
パワーモニタ240は、入力された光の強度に応じた電気信号を出力するフォトダイオードを利用した測定器である。したがって、パワーモニタ240から出力される電気信号を光ファイバ260から出力されるレーザ光の出力に換算することができる。
波長検知部220は、さらに詳しく、波長フィルタ221とペルチェ素子222とフィルタ温度モニタ素子223と波長モニタ250とを備えている。波長フィルタ221は、光の波長に対して周期的な透過特性を有し、例えばエタロンフィルタが用いられる。エタロンフィルタは、温度に依存してこの周期的な波長透過特性が波長方向にシフトするという性質を有している。図2は、エタロンフィルタが有する周期的な透過特性の例を示すグラフである。図2には、2つの温度Aおよび温度Bにおけるエタロンフィルタの透過率が示されている。
波長フィルタ221は、ペルチェ素子222の上に載置されており、ペルチェ素子222によって温度が変更可能に構成されている。また、ペルチェ素子222の上にはフィルタ温度モニタ素子223が設けられ、波長フィルタ221の温度を監視することが可能である。
光分岐器230によって分波されたレーザ光は、波長検知部220の波長フィルタ221を透過して、波長モニタ250に入射される。波長モニタ250は、パワーモニタ240と同様に、入力された光の強度に応じた電気信号を出力するフォトダイオードを利用した測定器である。したがって、波長モニタ250から出力される電気信号は、レーザ光源210から出力されたレーザ光の強度に波長フィルタ221の透過特性を乗じたものとなる。
先述のように、波長フィルタ221は、光の波長に対して周期的な透過特性を有する。そこで、レーザ光源210の強度が一定である場合、波長モニタ250から出力される電気信号(PD2)も光の波長に対して周期的な値となり、波長モニタ250から出力される電気信号(PD2)を監視すれば、レーザ光源210から出力されているレーザ光の波長および周波数が逆算できる。
ただし、本実施形態では、より正確な制御を実現するために、レーザ光源210の強度が一定であるという状況を仮定することなく、パワーモニタ240から出力される電気信号(PD1)との比(これをPD電流比という)を考え、レーザ光源210の強度を正規化する構成とする。すると、当該PD電流比(PD2/PD1)は、レーザ光源210の強度に依存せず、光の波長に対して周期的な値となる。
また、波長フィルタ221における周期的な波長透過特性は、波長フィルタ221の温度に依存して波長方向にシフトする。図3は、波長フィルタ221のある特定の温度におけるPD電流比の例を示すグラフである。
図3のグラフに示される曲線は、弁別曲線と呼ばれ、測定されるPD電流比と出力されているレーザ光の周波数との関係を示している。図3に示されるような弁別曲線を用いてPD電流比を監視すれば、レーザ光源210から出力されたレーザ光の周波数と制御目標周波数との間に誤差が生じた場合に、その誤差を検知することができる。
例えば、図3に示されるように、ロックポイント(LP)が制御目標周波数である場合、当該ロックポイントとPD電流比が同じ周波数である191.425THzから191.475THzまでがキャプチャレンジ(CR)と呼ばれる範囲であり、このキャプチャレンジ内であれば、通常の周波数制御方法にて、ロックポイントへレーザ光の周波数を誘導することができる。
具体的には、測定されるPD電流比がロックポイントにおけるPD電流比よりも低い場合、出力されるレーザ光の周波数を上昇させる方向へDFB−LD211の温度を制御し、一方、測定されるPD電流比がロックポイントにおけるPD電流比よりも高い場合、出力されるレーザ光の周波数を下降させる方向へDFB−LD211の温度を制御する。
なお、出力されるレーザ光の周波数がキャプチャレンジから逸脱すると、いわゆる誤ロックが発生する。例えば、図3における点Xのように周波数がキャプチャレンジ(CR)から逸脱した場合、測定されるPD電流比がロックポイントにおけるPD電流比よりも低いという測定から、出力されるレーザ光の周波数を上昇させる方向へDFB−LD211の温度を制御してしまう結果、出力されるレーザ光の周波数は、誤ったロックポイント(LP’)へ誘導されてしまう。
後に詳述するように、本実施形態に係る光源制御方法および光源制御装置は、このようなキャプチャレンジからレーザ光の周波数が逸脱した場合でも正しいロックポイントへレーザ光の周波数を誘導することが可能となる。
次に、光源制御装置300の構成について説明する。なお、図1に示す光源制御装置300の構成は、機能をブロックで表示したものであり、図示されるブロックが物理的に分離されていることを意味するものではない。
図1に示すように、光源制御装置300は、DFB−LD選択回路311と、DFB−LD電流制御回路312と、レーザ温度モニタ回路321と、レーザ温度制御回路322と、SOA制御回路330と、PD1電流モニタ回路341と、PD2電流モニタ回路342と、エタロン温度モニタ回路351と、エタロン温度制御回路352と、デジタル演算器360と、メモリ370とを備えている。
DFB−LD選択回路311は、デジタル演算器360からの指令に従い、複数のDFB−LD211のうち1つを選択するための回路である。具体的には、DFB−LD211に電流を供給するための回路のスイッチを切り替えることで実現することが可能である。DFB−LD電流制御回路312は、デジタル演算器360からの指令に従い、DFB−LD211に供給する電流を制御するための回路である。
レーザ温度モニタ回路321は、レーザ温度モニタ素子216の温度を検出することによりDFB−LD211の温度を特定し、DFB−LD211の温度のデータをデジタル信号としてデジタル演算器360へ送信する。一方、レーザ温度制御回路322は、デジタル演算器360から指示された温度にDFB−LD211がなるように、ペルチェ素子215に供給する電流を制御する。
SOA制御回路330は、デジタル演算器360からの指示に基づいて、SOA214に供給される駆動電流を制御し、SOA214の利得を調整する。
PD1電流モニタ回路341およびPD2電流モニタ回路342は、それぞれ、パワーモニタ240および波長モニタ250から出力された電流をデジタル信号に変換し、デジタル演算器360へ送信する。
エタロン温度モニタ回路351は、フィルタ温度モニタ素子223の温度を検出することにより波長フィルタ221の温度を特定し、波長フィルタ221の温度のデータをデジタル信号としてデジタル演算器360へ送信する。一方、エタロン温度制御回路352は、デジタル演算器360から指示された温度に波長フィルタ221がなるように、ペルチェ素子222に供給する電流を制御する。
メモリ370は、デジタル演算器360が制御パラメータを算出するために必要なデータ、および制御プログラムを各種記憶している。具体的には、周波数チャンネルごとにDFB−LD211の初期温度、波長フィルタ221の初期温度、DFB−LD211に供給する初期電流、制御目標値としてのPD電流比(=PD2/PD1)、および、波長フィルタ221の弁別曲線の情報などが記憶されている。
デジタル演算器360は、いわゆるCPUと呼ばれる演算装置である。デジタル演算器360は、レーザ温度モニタ回路321、PD1電流モニタ回路341、PD2電流モニタ回路342、および、エタロン温度モニタ回路351から受信した波長可変光源部200の状態のデータから適切な制御パラメータを算出し、DFB−LD選択回路311、DFB−LD電流制御回路312、レーザ温度制御回路322、SOA制御回路330、および、エタロン温度制御回路352に制御信号を送信する。
デジタル演算器360は、メモリ370に記憶された制御プログラムを実行するように構成されており、例えば、当該制御プログラムには、以下で説明する波長可変型レーザモジュール100の起動開始から発振周波数制御の開始までの処理と、発振周波数制御の処理と、制御開始エリア特定処理と、逸脱判定処理とが含まれている。
以下、上記光源制御装置300の構成例を用いて光源制御方法の説明を行う。ここでは、波長可変型レーザモジュール100の起動開始から発振周波数制御の開始までの処理(図4)と、発振周波数制御の処理(図5)と、制御開始エリア特定処理(図6)と、逸脱判定処理(図8)とに分けて説明を行う。
なお、既に説明したように、光源制御装置300のメモリ370には、周波数チャンネルごとのDFB−LD211の初期温度、波長フィルタ221の初期温度、DFB−LD211に供給する初期電流、制御目標値としてのPD電流比、および、波長フィルタ221の弁別曲線の情報などが記憶されている。
図4は、波長可変型レーザモジュールの起動開始から発振周波数制御の開始までの処理を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、ステップS11にて、光源制御装置300は、上位の制御装置を介したユーザーからの指示された周波数に従って、DFB−LD211および波長フィルタ221の温度の制御を開始する。
具体的には、光源制御装置300のデジタル演算器360が、メモリ370内に記憶されている周波数チャンネルごとのDFB−LD211の初期温度および波長フィルタ221の初期温度を参照し、レーザ温度制御回路322およびエタロン温度制御回路352への指令を介して、DFB−LD211および波長フィルタ221を初期温度へ制御する。同時に、光源制御装置300は、レーザ温度モニタ回路321およびエタロン温度モニタ回路351を介した、DFB−LD211および波長フィルタ221の温度の監視を開始する。
次に、ステップS12にて、光源制御装置300のDFB−LD選択回路311は、指示された周波数を発振することができるDFB−LD211を選択し、同時に、光源制御装置300のDFB−LD電流制御回路312が当該DFB−LD211へ一定電流の供給を開始する。
次に、ステップS13にて、光源制御装置300のSOA制御回路330は、SOA214に電流供給を開始する。そして、光源制御装置300のデジタル演算器360は、パワーモニタ240が検出したレーザ光源210の光出力を、PD1電流モニタ回路341を介して取得し、当該検出された光出力に基づいて、SOA214へ供給する電流を制御するフィードバック制御を開始する。
その後、ステップS14にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、レーザ光源210が出力する波長の制御、すなわち、DFB−LD選択回路311によって選択されたDFB−LD211の発振周波数の制御を開始する。ステップS14の発振周波数制御は、図5を参照しながら、別途詳細に説明する。
図5は、発振周波数制御の処理を示すフローチャートである。図5に示されるフローチャートは、図4におけるステップS14に対応している。図5に示すように、ステップS21にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、メモリ370に記憶されているロックポイントに対応した制御目標値としてPD電流比と波長フィルタ221の弁別曲線の形状情報とを取得する。
次に、ステップS22にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、制御開始エリアを特定する処理を行う。メモリ370内に記憶されているDFB−LD211の初期温度は、ロックポイントに対応した周波数のレーザ光を発振することを予定して設定されているが、必ずしも正確にロックポイントに対応した周波数を発振するものではない。そこで、制御開始時にDFB−LD211から出力されているレーザ光の周波数を、波長フィルタ221の弁別曲線に対応させて特定する必要がある。このステップS22における制御開始エリアの特定処理の詳細については、図6を参照しながら、別途説明する。
次に、ステップS23にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、PD1電流モニタ回路341およびPD2電流モニタ回路342を介して、パワーモニタ240および波長モニタ250が出力する電流を取得し、モニタPD電流比を計算する。
次に、ステップS24にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、モニタPD電流比と制御目標値としてのPD電流比との差分を計算する。さらに、ステップS25にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、モニタPD電流比の微分情報を計算する。
次に、ステップS26にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、発振周波数制御の過程においてレーザ光の周波数がキャプチャレンジから逸脱したか否の判定をする逸脱判定処理を行う。このステップS26における逸脱判定処理の詳細については、図8を参照しながら、別途説明する。
その後、ステップS27にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、上記処理結果に基づいて、モニタPD電流比と制御目標値としてのPD電流比との差分が0に近づくようなDFB−LD211に対する制御パラメータ(ここではDFB−LD211の温度)の出力を計算する。そして、ステップS28にて、光源制御装置300のレーザ温度制御回路322は、デジタル演算器360が計算したDFB−LD211の温度に従って、ペルチェ素子215への制御指令を出力し、DFB−LD211の温度を制御する。
そして、ステップS29にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、制御を終了するかの判定をし、制御の継続中は、ステップS23からステップS28までの処理を繰り返す(No)。
図6は、制御開始エリア特定処理を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図5におけるステップS22に対応している。図6に示すように、ステップS31にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、パワーモニタ240および波長モニタ250が出力する電流からモニタPD電流比を計算する。そして、ステップS32にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、モニタPD電流比と制御目標値としてのPD電流比との差分を計算する。
その後、ステップS33にて、光源制御装置300のレーザ温度制御回路322は、DFB−LD211の温度を双方向(温度の上下)に微小変化させるように、ペルチェ素子215の制御を行う。同時に、光源制御装置300のデジタル演算器360は、DFB−LD211の温度を双方向に変化した場合の2つのモニタPD電流比の微分情報を計算する。
ここで、ステップS34にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、計算された2つのモニタPD電流比の微分情報の符号が双方向で同一だったか否かを判定する。DFB−LD211の温度を上げたときと下げたときで、傾きが同一の符号だった場合は、発振周波数制御の開始エリアが波長フィルタ221の弁別曲線におけるボトムもしくはピーク付近であると考えられ、発振周波数制御の開始エリアを特定するためには不適当である。そこで、微分情報の符号が双方向で同一だった場合、DFB−LD211の温度を変化させた後の地点を改めて制御の開始点とみなして、ステップS32およびステップS33の処理を再び行う。
一方、微分情報の符号が双方向で同一でない場合、ステップS35にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、以下掲げる表1に従って、制御開始エリアを判定する。
表1は、DFB−LD211の温度の変化に対するモニタPD電流比の変化、および、モニタPD電流比の制御目標値との差分から制御開始エリアを特定する表である。図7は、表1に記載のエリア(1)〜(4)と波長フィルタ221の弁別曲線との対応関係を示す図である。
表1に示されるように、DFB−LD211の温度の変化に対するモニタPD電流比の変化の傾きの符号と、モニタPD電流比の制御目標値との差分の符号とによって、制御開始エリアは、波長フィルタ221の弁別曲線におけるキャプチャレンジ(CR)のエリア(1)〜(4)の何れかに定まる。なお、この処理で特定されたエリア(1)〜(4)は、後の逸脱判定における場合分けに用いられる。
図8は、逸脱判定処理を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図5におけるステップS26に対応している。図8に示すように、ステップS41にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、DFB−LD211から出力されているレーザ光の波長フィルタ221の弁別曲線における現在のエリアを判定する。
ステップS41における現在のエリアの判定処理は、図6におけるステップS35の判定処理と同様に、表1に記載の関係を用いて判定することができる。ただし、ステップS41における現在のエリアの判定処理は、図6におけるステップS35の判定処理と異なり、必ずしも波長フィルタ221の弁別曲線におけるキャプチャレンジ(CR)内とは限らない。したがって、図7に示されるように、エリア(1)〜(4)のうち何れかに特定できたとしても、キャプチャレンジ(CR)内の場合とキャプチャレンジ(CR)外の場合が存在することになる。
次に、ステップS42にて、光源制御装置300のレーザ温度モニタ回路321は、現在のDFB−LD211の温度を取得する。そして、光源制御装置300のデジタル演算器360は、DFB−LD211の現在の温度と制御開始時の温度との差を計算し、この温度差を周波数差に換算する。なお、当該換算には、DFB−LD211の温度と発振周波数との関係を用いることができる。
その後、ステップS43にて、光源制御装置300のデジタル演算器360は、開始時と現在とにおけるエリアに応じた判定式に基づいて、DFB−LD211から出力されているレーザ光の周波数がキャプチャレンジから逸脱しているか否かを判定する。以下に掲げる表2は、ステップS43における判定に用いるテーブルである。
ここでは、図9を参照しながら、制御開始エリアが(1)である場合の例を用いて表2の判定テーブルの意義を説明する。図9は、制御開始時と現在とにおけるエリアが共に(1)であるが逸脱が発生している例を示す図である。
図9に示すように、制御開始時と現在のエリアが共に(1)である場合、制御開始時と現在との周波数差が以下の関係にあれば、DFB−LD211から出力されているレーザ光の周波数がキャプチャレンジから逸脱していることを判定できる。
ΔFreq > F−(CR−/2) [範囲外条件]
ただし、ΔFreqは、ステップS42にて温度差から換算した周波数差であり、Fは、波長フィルタ221の弁別曲線の周期であり、CR−は、ロックポイントのPD電流比よりも弁別曲線が下回るキャプチャレンジの範囲であり、CR+は、ロックポイントのPD電流比よりも弁別曲線が上回るキャプチャレンジの範囲であり、これらのパラメータは波長フィルタ221の弁別曲線の情報としてメモリ370に記憶されている数値を用いる。なお、周期Fは、キャプチャレンジ(CR=(CR−)+(CR+))に一致する。
ΔFreq > F−(CR−/2) [範囲外条件]
ただし、ΔFreqは、ステップS42にて温度差から換算した周波数差であり、Fは、波長フィルタ221の弁別曲線の周期であり、CR−は、ロックポイントのPD電流比よりも弁別曲線が下回るキャプチャレンジの範囲であり、CR+は、ロックポイントのPD電流比よりも弁別曲線が上回るキャプチャレンジの範囲であり、これらのパラメータは波長フィルタ221の弁別曲線の情報としてメモリ370に記憶されている数値を用いる。なお、周期Fは、キャプチャレンジ(CR=(CR−)+(CR+))に一致する。
したがって、逆にすると、制御開始時と現在のエリアが共に(1)である場合、制御開始時と現在との周波数差が以下の関係にあれば、DFB−LD211から出力されているレーザ光の周波数がキャプチャレンジの範囲内であると判定できる。
ΔFreq ≦ F−(CR−/2) [範囲内条件]
ΔFreq ≦ F−(CR−/2) [範囲内条件]
一方、制御開始時のエリアが(1)であり、現在のエリアが(2)(3)(4)の場合、制御開始時と現在との周波数差が以下の条件で、DFB−LD211から出力されているレーザ光の周波数がキャプチャレンジから逸脱しているか否かを判定できる。
ΔFreq < 0 [範囲外条件]
ΔFreq ≧ 0 [範囲内条件]
ΔFreq < 0 [範囲外条件]
ΔFreq ≧ 0 [範囲内条件]
図示を用いた説明は省略するが、制御開始時のエリアが(2)(3)(4)の場合も、制御開始時のエリアが(1)である場合と同様の考察により、範囲外条件および範囲内条件を導くことができ、これをまとめたものが表2である。なお、表2に記載の判定条件はCR−を用いているが、CR−の代わりにCR+を用いた判定条件を用いることも可能である。
最終的に、ステップS44では、光源制御装置300のデジタル演算器360は、上記逸脱判定の結果に基づいて、DFB−LD211の発振周波数制御のための出力を計算する。具体的には、現在の出力周波数がキャプチャレンジの範囲内である場合、モニタPD電流比よりも制御目標PD電流比が大きければ、発振周波数が上昇するような制御パラメータの出力を計算し、モニタPD電流比よりも制御目標PD電流比が小さければ、発振周波数が下降するような制御パラメータの出力を計算する。一方、現在の出力周波数がキャプチャレンジから逸脱している場合、キャプチャレンジの範囲内の場合とは逆に、モニタPD電流比よりも制御目標PD電流比が大きければ、発振周波数が下降するような制御パラメータの出力を計算し、モニタPD電流比よりも制御目標PD電流比が小さければ、出力周波数が上昇するような制御パラメータの出力を計算する。
上記説明した一連の手順により、本実施形態に係る光源制御方法は、キャプチャレンジからレーザ光の周波数が逸脱した場合でも正しいロックポイントへレーザ光の周波数を誘導することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。例えば、以上説明した実施形態では、レーザ光源として、アレイ型の半導体レーザ素子を用いたが、合波器や半導体光増幅器を備えない構成やDBRレーザ素子(分布ブラッグ反射型半導体レーザ素子)による単一縦モード半導体レーザ素子とすることもできる。また、以上説明した実施形態では、周波数の異なるレーザ光を出射するための発振周波数変更手段としてレーザ素子の温度を変更するペルチェ素子を用いたが、発振周波数変更手段として注入する電流を制御する構成を採用することもできる。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
100 波長可変型レーザモジュール
200 波長可変光源部
210 レーザ光源
211 DFB−LD
212 光導波路
213 光合流器
214 SOA
215,222 ペルチェ素子
216 レーザ温度モニタ素子
220 波長検知部
221 波長フィルタ
223 フィルタ温度モニタ素子
230 光分岐器
240 パワーモニタ
250 波長モニタ
260 光ファイバ
300 光源制御装置
311 DFB−LD選択回路
312 DFB−LD電流制御回路
321 レーザ温度モニタ回路
322 レーザ温度制御回路
330 SOA制御回路
341 PD1電流モニタ回路
342 PD2電流モニタ回路
351 エタロン温度モニタ回路
352 エタロン温度制御回路
360 デジタル演算器
370 メモリ
200 波長可変光源部
210 レーザ光源
211 DFB−LD
212 光導波路
213 光合流器
214 SOA
215,222 ペルチェ素子
216 レーザ温度モニタ素子
220 波長検知部
221 波長フィルタ
223 フィルタ温度モニタ素子
230 光分岐器
240 パワーモニタ
250 波長モニタ
260 光ファイバ
300 光源制御装置
311 DFB−LD選択回路
312 DFB−LD電流制御回路
321 レーザ温度モニタ回路
322 レーザ温度制御回路
330 SOA制御回路
341 PD1電流モニタ回路
342 PD2電流モニタ回路
351 エタロン温度モニタ回路
352 エタロン温度制御回路
360 デジタル演算器
370 メモリ
Claims (7)
- 周波数の異なるレーザ光を出射するための発振周波数変更手段が設けられたレーザ素子と、
光の波長に対して周期的な透過特性を有する波長フィルタと、
前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度をモニタ値として検出する検出器と、
を備えるレーザ光源を制御する光源制御方法であって、
前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報とに基づいて、前記発振周波数変更手段に対する制御パラメータの制御を行う発振周波数制御処理を含む、
ことを特徴とする光源制御方法。 - 前記発振周波数制御処理は、前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記モニタ値と制御目標との差分とに基づいて、発振周波数制御開始時における前記レーザ素子から出力されるレーザ光の周波数を、前記波長フィルタの透過特性の周期に対応させて特定する制御開始エリア特定処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光源制御方法。 - 前記発振周波数制御処理は、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報に基づいて、前記発振周波数制御開始時と現在との間における前記レーザ素子から出力されるレーザ光の周波数差を計算し、前記周波数差に基づいて、前記波長フィルタの透過特性の周期に対応した通常制御可能な範囲から逸脱したか否かを判定する逸脱判定処理をさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の光源制御方法。 - 前記検出器が検出するモニタ値は、前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度を、前記波長フィルタを透過しない前記レーザ光の強度で正規化したものである、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光源制御方法。 - 前記発振周波数変更手段は、前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータとして前記レーザ素子の温度を変更することによって前記レーザ素子の発振周波数を変更することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光源制御方法。
- 前記発振周波数変更手段は、前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータとして前記レーザ素子に注入する電流の強度を変更することによって前記レーザ素子の発振周波数を変更することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光源制御方法。
- 周波数の異なるレーザ光を出射するための発振周波数変更手段が設けられたレーザ素子と、
光の波長に対して周期的な透過特性を有する波長フィルタと、
前記波長フィルタを透過した前記レーザ光の強度をモニタ値として検出する検出器と、
を備えるレーザ光源を制御する光源制御装置であって、
前記検出器によるモニタ値の微分情報と、前記発振周波数変更手段における前記レーザ素子の発振周波数に関連した制御パラメータに関する監視情報とに基づいて、前記発振周波数変更手段に対する制御パラメータの制御を行う発振周波数制御処理を実行するように構成された演算器を備える、
ことを特徴とする光源制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016067008A JP2017183439A (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 光源制御方法および光源制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016067008A JP2017183439A (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 光源制御方法および光源制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017183439A true JP2017183439A (ja) | 2017-10-05 |
Family
ID=60007537
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016067008A Pending JP2017183439A (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 光源制御方法および光源制御装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017183439A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001003349A1 (fr) * | 1999-07-01 | 2001-01-11 | Fujitsu Limited | Emetteur optique sur plusieurs longueurs d'ondes et procede de gestion des longueurs d'ondes de transmissions optiques |
JP2001251013A (ja) * | 2000-03-06 | 2001-09-14 | Fujitsu Ltd | 波長可変安定化レーザ |
US6291813B1 (en) * | 1999-06-07 | 2001-09-18 | Agere Systems Optoelectronics Guardian Corp. | Method and system for deriving a control signal for a frequency stabilized optical source |
JP2002232360A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-08-16 | Alcatel | 波長モニタのキャプチャレンジを拡大する方法およびそのための波長モニタおよびレーザシステム |
JP2005085815A (ja) * | 2003-09-04 | 2005-03-31 | Mitsubishi Electric Corp | 波長安定化装置 |
-
2016
- 2016-03-30 JP JP2016067008A patent/JP2017183439A/ja active Pending
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