JP2017181286A - 試料積載プレート - Google Patents

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Abstract

【課題】MALDI法の質量分析に使用され、試料積載スポットにおける試料の視認性及び導電性の高い試料積載プレートの提供。【解決手段】試料積載スポットの外側は疎水性表面であり、試料積載スポットの内側は親水性表面であり、試料積載スポットの内側に形成された光学多層膜の一部の層もしくは全層を除去した構成とする。これにより、試料積載スポット外側と内側の導電性を確保しながら色にコントラストを持たせることができるため、質量分析において試料積載スポットにおける試料の視認性を高めることができ、適正な分析感度を得ることが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、試料を積載する試料積載プレートに関する。
病原菌や細菌を迅速かつ正確に診断することが可能な質量分析のイオン化法の一つとして、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI=Matrix Assisted Lazer Desorption/Ionization)法が知られている。
MALDI法は、レーザ光を吸収しにくい、またはレーザ光で損傷を受けやすい分析対象物(以下、試料と呼ぶ)を分析するために、レーザ光を吸収しやすくかつイオン化しやすい物質(マトリックス)に試料をあらかじめ混合しておき、これにレーザ光を照射することで試料をイオン化する方法である。
MALDI法による質量分析装置では、一般に、被分析物とマトリックスをあらかじめ混合し、溶媒により液状化したもの(以下試料と呼び、滴下時は液状であるが、それを乾燥し結晶化したものも試料と呼ぶ)試料を積載するターゲットプレートと呼ばれる金属製のプレート(以下、試料積載プレートと呼ぶ)を装置内に配置し、試料積載プレート上に積載した試料に対してレーザ光を所定時間照射して試料を脱離イオン化する。このとき、金属製の試料積載プレートには電圧が印加され、脱離イオン化した試料に電界が与えられることによって脱離イオン化した試料を加速用の電極に向けて飛行しやすくしている。
試料積載プレートは、試料を積載するための試料積載領域(以下、試料積載スポットと呼ぶ)を複数備えており、測定する複数の試料を所定の試料積載スポットに滴下させ乾燥化(結晶化)させた状態で質量分析装置内に配置し、試料積載プレートを移動させることにより複数の試料にレーザを照射するようになっている。
MALDI分析法ではこのような結晶が試料積載スポット内にできるだけ均一に堆積し、被分析物が適切に脱離イオン化し、また試料積載プレートに印加する電圧から試料に有効に電界が与えられ適切に加速することが重要であり、これらの分析技術に関する多くの提案がなされている。
試料積載スポットにおける試料の結晶化またはイオン化の改良に関して、例えば特許文献1に示す提案は、試料積載スポットは電気伝導性の表面を有する中央部分と疎水性のマスクからなるマージン(周囲)部分とを備えており、試料積載スポット上に滴下した試料はハロー効果により疎水性のマージン部分にリング状に結晶化し堆積するようにしている。マージン部分に形成された結晶リングにレーザ光を効率的に照射しイオン化を行うようにしている。
また、特許文献2に示す提案は、絶縁性を有する基板上に導電干渉層を設けて基板とは異なる色を呈するようにし、また表面に疎水膜を形成し、さらに試料積載スポットを形成する溝を設けて基板を露出し、滴下した試料を試料積載スポット内に留めて(以下、アンカー効果と呼ぶ)結晶化させイオン化を行うようにしている。
特表2006−525525号公報 WO2015/019861号公報
しかしながら、特許文献1に示す従来技術は、試料積載スポットのマージン部に形成される試料の結晶リングにレーザ光を照射して効率的な測定を行うようにしているものの、電気伝導性を有する中央部分に対してマージン部は絶縁膜であるため導電性が充分とは言えず堆積した結晶リングに対して試料積載プレートに印加する電圧から試料に対して有効に電界が与えられず試料がチャージアップし、適正なイオン化が妨げられるという問題がある。
また、特許文献2に示す従来技術は、試料積載スポットの外側と内側の境界に基板が露出する溝を形成することにより試料積載スポットの視認性を確保しているが、絶縁性の基板を用いているため、試料積載スポットの外側と内側の導通を確保するために膜を部分的に接続させる必要があるため、溝を断続的に形成する必要がある。試料積載スポットの外側と内側の膜の接続が不十分の場合は分析時のチャージアップを招く虞があり、分析感度の低下を招く虞がある。
本発明の目的は上記課題を解決し、上記課題を解決し、試料積載スポットの視認性と導通が良好な試料積載プレートを提供することである。
上記課題を達成するため、本発明の構成は以下の通りである。
MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートであって、試料積載スポットの外側周辺部は疎水性表面であり、試料積載スポットの内側領域であるアイランドは親水性表面であって、試料積載スポットの外側周辺部とアイランドの色が異なることを特徴とする。
外側周辺部と前記アイランドは異なる膜構成で形成されていることを特徴とする。
外側周辺部と前記アイランドに形成される膜構成のうち、少なくとも一つの金属膜が連続しており、導通していることを特徴とする。
基板はセラミックスによって構成されていることを特徴とする。
親水層は、基板上に形成した金属膜または、金属膜の上に形成した光学多層膜によって構成されていることを特徴とする。
これにより、試料は試料積載スポットに正確に滴下可能であるとともに、試料積載スポットの外側と内側の導通が確実に確保される
本発明によれば、試料積載スポットにおける試料の視認性が良く導電性に優れる試料積載プレートを提供することができる。
試料は試料積載スポットに正確に滴下可能であるとともに、滴下された試料は試料積載スポット内に確実に濡れ広がる。この結果質量分析において試料の視認性がよくかつ滴下する試料のアンカー効果の高く、試料積載スポットの外側と内側の導通が良好な試料積載プレートを提供することが可能となる。
また、基板に積層される第1の金属膜と光学多層膜によって任意の色を作ることができる。この結果、試料積載スポットの外側と内側の色の差を作り易く、積載する試料の視認性を高めることができ試料の滴下作業の効率が向上する。また、形成する試料積載スポットや各種マークなどを見やすくすることができるので試料の作業管理が容易になる。また、多様な色の試料積載プレートを作り色分けすることで試料の保管と管理が容易になる。さらに、MALDI法の質量分析において試料積載プレートの辺縁部を通して印加される電圧が第1の金属膜や光学多層膜中の金属膜により試料積載スポット内にある試料に確実に導電することができる。
本発明の実施例1における試料積載スポットのI−I‘断面図 本発明の実施例2における試料積載スポットのI−I‘断面図 本発明の試料積載プレートを示す平面図 本発明の試料積載プレートにおいて積層される第1の金属膜と光学多層膜の構成例を説明する図 光学多層膜の干渉による着色原理を模式的に説明する断面図 本発明における試料積載スポットに試料を積載した状態を説明する部分断面図 質量分析装置の動作を説明するための模式図 本発明の実施形態の試料積載プレートに係る製造方法を説明する工程図
以下、本発明の実施の形態を図1〜図8を用いて説明する。
試料積載プレートは、MALDI法による質量分析装置(後述する図7参照)に載置されるもので、試料積載スポットに試料を積載して質量を分析するために使用される。以下に示す発明を実施するための形態は、本発明の思想を具体化するための試料積載プレート及びその製造方法を例示するものであって、本発明は以下に説明する方法及び構成に特定するものではない。特に実施の形態に記載されている製造方法及び部材の形状、材質、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは本発明の範囲をそれのみに限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや形状、位置関係、形成する膜層については説明をわかりやすくするために誇張していることがある。
[実施形態の試料積載プレートの説明:図1〜図4]
はじめに、本発明に係る実施形態である試料積載プレートの構成について図3を用いて説明する。図3は、試料積載プレートを試料を積載する面側から見た平面図である。
試料積載プレート100の基板1は、絶縁性であって、外形約50mm×40mm程度の略長方形の平板であり、試料積載プレート100は、例えば、基板にAl(アルミナ)などの材料を用いて作ることができる。また、例えば位置決め用などとして下辺のように切り欠き部が設けられている。また、試料積載プレート100の平坦度は30μm以下の精度を有している。尚、外形形状、厚さ等は特に限定されるものではなく、質量分析装置の仕様に合うものであればよい。試料積載プレートは、平坦度を確保するため、ラッピング工程やポリシング工程による面仕上げを行ってもよい。
試料積載プレート100には略円形の試料積載スポット10が複数形成されている。本実施例では縦8個×横12個で合計96個設けられている。ここで試料積載スポット10の個数はこれに限定されず質量分析装置の仕様に合うように決められる。
尚、試料積載プレート100には各試料積載スポット10の位置を示す列アドレスマーク30(例えば1〜9、X〜Z)、行アドレスマーク40(例えばA〜H)及び試料積載プレートを管理するシリアルナンバー50、バーコード60などを形成することができる。これらのアドレスマーク、シリアルナンバー、バーコード等はこれに限定するものではなく必要に応じて追加、削除してもよい。ここで、アドレスマーク、シリアルナンバー、バーコードの形成方法としては特に限定はしないがレーザマーキングによる加工法が好適である。
次に試料積載スポット10の断面構成について2つの実施例を説明する。
図1は実施例1における試料積載スポット10の中心を通過する切断線I−I´における断面図である。平面的な位置関係がわかるように上部に試料積載スポットの拡大図を併記した。試料積載スポット10は、アイランド21で構成されており、その外側の周辺に外側周辺部22がある。アイランド21の表面は、親水性であり、外側周辺部22の表面は、疎水膜が形成された構造となっている。
ここで、基板1の片側表面には最初に第1の金属膜2Mが形成されている。次に、第1の金属膜2Mに積層して光学多層膜2Aが形成されている。光学多層膜2Aは、誘電体膜または第2の金属膜からなり膜の種類、層数は特に限定されず、例えば、2d、2c、2b、2aの順に形成されている。さらに光学多層膜の上に疎水膜12が形成される。第1の金属膜2Mや光学多層膜2Aは、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法により形成される。疎水膜12も同様に真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法により形成されるが、液体に浸漬させてゆっくりと引き上げて膜を形成するディップコーティング等の方法でも可能である。第1の金属膜2Mや光学多層膜の中になる金属膜が、アイランド21と外側周辺部22さらには、試料積載プレートの辺縁部20へ連続した膜となり、電気的に導電性を確保されている。
実施例1では、試料積載スポット10のアイランド21は、光学多層膜2Aを剥離して第1の金属膜であるNiが表出している。Niは、白色に近いグレー色であるので、光学多層膜2Aの濃紺色と色の差があるので試料積載スポットの視認性がよい。同時に、第1の金属膜は、アイランド21から外側周辺部22さらには、試料積載プレートの辺縁部20にまで連続して導通している。このことは、MALDI用の試料積載プレートとして重要な点である。
次に、試料積載プレート100の膜および基板断面構成について図4を用いて説明する。
図4は、試料積載プレート100の断面構成を示している。図4に示す断面構成は、基板1にAlを用いている。基板1に積層される第1の金属膜2Mは、材料にNiを使用し膜厚は約300nmである(1nm=0.000001mm)。次に光学多層膜2Aを構成する第1層目2dはAlを使用し膜厚は約80nmである。第2層目2cはTiを使用し膜厚は約10nmである。第3層目2bはSiOを使用し膜厚は90nmである。第4層目2aは、Tiを使用し膜厚は約10nmである。このような構成とすることによって可視光の波長領域において、試料積載プレート100の表面は濃紺色とすることができる。光学多層膜2Aの上には、C(炭素)、F(フッ素)、Si(シリコン)などで構成された疎水膜12が形成されているが、疎水膜12の膜厚は、例えば、2〜3nm程度と薄いので試料積載スポット10の内側表面の導電性や色への影響は少ない。
このように、基板1に積層形成する第1の金属膜と光学多層膜2Aとを好適に組合せることにより光学干渉を利用した任意の反射特性(着色)が得られる。尚、光学多層膜2Aは図4に示したように誘電体膜のみならず金属膜を混合してもよい。
親水性については、アイランド21の表面が第1の金属膜2Mであるので親水性であり、外側周辺部22が疎水膜12であり、試料をアイランド21に留めるようなアンカー効果を発揮できる構造となっている。
図2は実施例2における試料積載スポット10の中心を通過する切断線I−I´における断面図である。
実施例1との相違点は、実施例2では、試料積載スポット10のアイランド21は、光学多層膜2Aの一部である2a層と2b層を剥離して2c層が表出している点である。他の点は実施例1と同じ構成となっている。
実施例2では、アイランド21に露出する面は、光学多層膜の2c層と2d層および第1の金属膜により発現される濃紺色とは異なる色であるので、光学多層膜2Aの全層および第1の金属膜によって発現される濃紺色と色の差があるので試料積載スポットの視認性がよい。同時に、第1の金属膜および光学多層膜2A中の2c層は、アイランド21から外側周辺部22さらには、試料積載プレートの辺縁部20にまで連続して導通している。このことは、MALDI用の試料積載プレートとして重要な点であることは実施例1と同様である。
親水性については、アイランド21の表面が光学多層膜2Aの2c層であるので親水性であり、外側周辺部22が疎水膜12であり、試料をアイランド21に留めるようなアンカー効果を発揮できる構造となっている。
[試料積載プレートの着色及び視認性に関する説明:図5]
次に、試料積載プレートの着色に関して図5を用いて説明する。図5は、基板に光学多層膜形成した場合の光の干渉を説明する模式図である。
図5において、基板1は、説明のために、例えば、光学多層膜として誘電体膜2a、2b、2c、2dが積層形成されている。各層の材質(屈折率)、厚さ、層数を調整することによって任意の反射特性(着色)が得られるが、ここでは、模式的な図を用いて原理的な説明にとどめる。(一般的には屈折率の高い誘電体膜と低い屈折率の誘電体膜をペアとして1/4波長の厚みで交互に積層することによって光の干渉作用により各層の界面からの反射波が相加的に重なって高効率の反射機能を得られるとされている。)
空気層90から光学多層膜に入射する入射光Pは、まず空気と誘電体膜2aとの界面で反射波2aRが発生する。同様に各層の界面でそれぞれの反射波2bR、2cR、2dR、1Rが発生する。各界面からの反射が足し合わされて反射波Rとなる。反射波Rは、各層の材質(屈折率)、膜厚、膜層数を変えることで任意の反射特性(着色)を得られる。尚、誘電体膜に金属膜を混合することにより多様な反射特性を得られる。本実施例では中間層の2cと最上層の2aに金属膜を用いた構成としている。
この原理に基づいて図4に示したように具体的な膜質および膜厚を選定した結果、実施例1における試料積載プレート100の反射特性は、可視光の波長領域W(約380nm〜約780nm)では全体として反射率は低めであるが波長が小さい側すなわち濃紺系の光が多めに反射するピークを有し外側周辺部22の表面は濃紺色に着色して見える。
実施例1と実施例2において、アイランド21は、光学多層膜2Aの全部または一部が剥離されているため、濃紺色ではない色になり、外側周辺部22の濃紺色との色の差によりアイランド21の視認性がよい効果をもたらす。
[質量分析装置による分析動作の説明:図6、図7]
次に、試料の質量分析を行う動作について図6、図7を用いて説明する。ここでは主に試料積載プレート及び試料のイオン化に係る部分を説明し、他は原理的な説明にとどめ詳細は省略する。図6は、前述した試料積載プレート100に試料200を積載した状態を示し、図7は、質量分析装置300に試料200が積載された試料積載プレートを載置した状態を示す模式図である。
図6は、被分析物とマトリックスを混合し溶媒で液状化した試料200を試料積載スポットに滴下し溶媒を蒸発させ、乾燥化した状態を断面図にて示している。試料200は図示しない器具によって試料積載スポット10のアイランド21(図1、図2参照)に所定量が滴下される。滴下された試料200は重力及び表面張力によって放射状に広がろうとする。試料200は放射状に広がりながら外側周辺部22に到達する。アイランド21の表面は高い親水性であり、外側周辺部は、疎水性であるので、試料200は外側周辺部22上では、ほとんど濡れ広がることはなく、アイランド21に留まり保持される(アンカー効果)。
そして、分析される試料200の積載が終了した後、各試料200はその状態で乾燥化させる。このとき、試料積載プレート100上の試料積載スポット10は試料200をスポット内に留めるアンカー効果が高いので振動しても移動しにくく安定して滴下時の保持ができ作業を容易にすることができる。
次に、図7は、質量分析装置300の模式図を示し、試料200を積載した試料積載プレート100が質量分析装置300に載置され図示しない固定部によって固定されている。実際には、複数のスポットに積載された試料200は、X、Y方向に移動して各試料が所定の位置に停止できる機構になっているが、ここでは簡単のため、1つの試料積載スポットについて説明する。
図7に示す質量分析装置300は、左側に試料積載プレート100が載置され、図示しないクランプ部によって着脱可能に固定されている。また、図示しない電圧印加部から試料積載プレート100に導電できるようになっている。また、試料200にレーザ光220aを照射するレーザ光源220と、レーザ光の照射に伴って試料200から離脱しイオン化した被分析物(200a、200b、200c、)を加速するイオン加速部230と、イオンをトラップするイオントラップ部231と、イオンの飛行空間を形成し各イオンの質量分離を行う質量分離部232と、質量分離され到達した各イオンを時系列に検出するイオン検出部240とを備えている。
ここで、被分析物のイオンの極性は正(プラス電荷)であるものとする。質量分析が開始すると、レーザ光源220から測定対象の試料200にレーザ光220aが所定時間照射される。それと同時に図示しない電圧印加部からプラスの電圧V1が試料積載プレート100の第1の金属膜2Mに印加され、試料200に対しプラスの電圧が試料に有効に与えられる。同時に、イオントラップ部231の最初のグリッドにマイナスの電圧V2が印加される。実施例1では、第1の金属膜2Mに加えて、光学多層膜2A中の金属膜2cも導電性を示す。
このとき、試料200に含まれるマトリクスが被分析物を伴って気化し被分析物が脱離しイオン化される。そして、プラスの電圧V1が被分析物に与えられ、マイナスの電圧V2が与えられたイオントラップ部231に向けて下り勾配の電界が発生するため、脱離しイオン化した被分析物は、イオン加速部230ではイオントラップ部231に向けて加速される。このようにして、脱離しイオン化した被分析物は、イオントラップ部231から質量分離部(飛行空間)232へ送りこまれ、飛行する間に質量の違いにより分離され時間差がついて200c、200b、200aの順にイオン検出部へ到達する。そして、イオン検出部240にて検出されたデータは図示しない解析装置により解析され被分析物に関する質量分析が行われる。この結果、試料の同定が高速かつ高精度に行われる。
[実施形態の効果]
以上説明したように、本発明によれば、試料積載スポットにおける試料の視認性が良く導電性に優れる試料積載プレート及びその製造方法を提供することができる。
試料は試料積載スポットに正確に滴下可能であるとともに、滴下された試料は試料積載スポット内に確実に濡れ広がる。この結果質量分析において試料の視認性がよくかつ滴下する試料のアンカー効果の高く、試料積載スポットの外側と内側の導通が良好な試料積載プレートを提供することが可能となる。
また、基板に積層される第1の金属膜と光学多層膜によって任意の色を作ることができる。この結果、試料積載スポットの外側と内側の色の差を作り易く、積載する試料の視認性を高めることができ試料の滴下作業の効率が向上する。また、形成する試料積載スポットや各種マークなどを見やすくすることができるので試料の作業管理が容易になる。また、多様な色の試料積載プレートを作り色分けすることで試料の保管と管理が容易になる。さらに、MALDI法の質量分析において試料積載プレートの辺縁部を通して印加される電圧が第1の金属膜や光学多層膜中の金属膜により試料積載スポット内にある試料に確実に導電することができる。
尚、実施例では基板にセラミックスのAlを用いた例を説明したがこれに限定されず他のセラミックス材料、磁器とセラミックスの複合材料、ガラス、Si、プラスチックなどを用いてもよい。また、第1の金属膜2Mや光学多層膜2Aの金属膜としてNi、Ti、Alを用いた例を説明したがこれに限定されずクロム、金など他の金属を用いてもよい。また、誘電体膜の材料としてAl、SiO、TiOを用いた例を説明したがこれに限定されずMgO、MgF、ZrOなど他の誘電体材料を用いてもよい。
本実施の形態では、基板1の上に第1の金属膜2Mと光学多層膜2Aと疎水膜12を形成したが、ほかにたとえば基板1の表面に他の親水性膜等を形成してもよく、視認性等の効果を増大させることが期待される。
また、本実施例では、基板の片側表面にのみ、金属膜および光学多層膜を形成したが、膜形成の方法によっては、基板の両側表面に金属膜や光学多層膜を形成するほうが都合がよい場合もあり、基板の両側表面に金属膜および光学多層膜を形成してもよいし、試料を積載しない側の表面には、金属膜や光学多層膜のどちらか一方、さらには、平面的に部分的に形成しても構わない。
[試料積載プレート100の製造方法の説明:図8]
次に、本実施形態の試料積載プレート100の製造方法について、図8を用いて説明する。図8は、試料積載プレート100の製造方法を示す工程図である。
[製造方法の説明:図8]
図8において、試料積載プレート100の製造方法について310〜370の主要な工程を図示し説明する。尚、各工程において特定の記載がない限りそれぞれの工程に必要な一般的な例えば、移送、検査、洗浄、乾燥、アニール等の作業を行うことは当然のこととし、それらの説明は省略する。
[基板受け入れ工程:310]
まず、基板受け入れ工程310では、基板1の平面度及び表面粗さの検査を行い、所定の平坦度、表面粗さであることを確認する。
[基板表面加工工程(拡大図):320]
次に、基板表面加工工程320では、基板1にラッピング加工やポリッシング加工を施し、所定の基板厚や表面粗さ、平坦度に仕上げる。尚、本工程での主要な検査項目は基板の表面粗さ及び平坦度である。
[第1の金属膜形成工程(拡大図):330]
次に、第1の金属膜形成工程330では、第1の金属膜2Mを形成する。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法を用い、例えば、Niを厚さ300nmに形成する。このとき、できるだけ均一な膜とするために成膜粒子の照射方向は垂直方向が望ましい(破線矢印参照)。
[光学多層膜形成工程(拡大図):340]
次に、光学多層膜形成工程340では光学多層膜2Aを積層形成する。例えば、真空蒸着やスパッタリング等の成膜方法によって、図4にある2d層、2c層、2b層、2a層を順番に形成する。
[疎水膜形成工程:350]
次に、疎水膜形成工程350では、前工程で形成された光学多層膜2Aの表面に疎水膜12を積層形成する。例えば、真空蒸着等の成膜方法によって、例えば、C(炭素)またはF(フッ素)またはSi(シリコン)を含む撥水材またはそれらの複合された撥水材を、例えば、2nmの厚さに形成する。
[疎水膜除去工程:370]
最後に、疎水膜除去工程370では、試料積載スポット10のアイランド21に形成された疎水膜12を剥離する。例えば、プラズマエッチング等の加工方法により、試料積載スポット10の外側にはマスク15(詳しい説明は省略する)を形成し疎水膜12を剥離する。マスク15は、アイランド21を開口し、それ以外の外側周辺部22をプラズマから保護する働きがある。
以上説明した製造方法により、基板の表面に光学多層膜による所望の反射色を有する試料積載プレートの製造方法を提供することができる。また、試料の視認性がよくかつ滴下する試料のアンカー効果の高い試料積載プレートの製造方法を提供することができる。
以上、試料積載プレートの各種実施形態とその製造方法について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態と製造方法に限定されるものではなく、細部の構成、素材、数量において、本発明の思想を逸脱しない範囲で、任意に変更、追加、削除することができる。即ち、上述した試料積載プレート及び製造方法の特許請求の各請求項に記載した内容の範囲で変更や省略をすることができる。
1 基板
2A 光学多層膜
2M 第1の金属膜
10 試料積載スポット
12 疎水膜
15 マスク
20 試料積載プレートの辺縁部
21 (試料積載スポットの)アイランド
22 (試料積載スポットの)外側周辺部
30 列アドレスマーク
40 行アドレスマーク
50 シリアルナンバー
60 バーコード
100 試料積載プレート
200 試料
200a、200b、200c イオン化した被分析物
220 レーザ光源
220a レーザ光
230 イオン加速部
231 イオントラップ部
232 質量分離部(飛行空間)
240 イオン検出部
300 MALDI質量分析装置

Claims (5)

  1. MALDI法の質量分析に使用され、基板上に試料を積載する試料積載スポットを少なくとも一つ以上備える試料積載プレートであって、
    試料積載スポットの外側周辺部は疎水性表面であり、試料積載スポットの内側領域であるアイランドは親水性表面であって、試料積載スポットの外側周辺部とアイランドの色が異なることを特徴とする試料積載プレート。
  2. 前記外側周辺部と前記アイランドは、異なる膜構成で形成されることを特徴とする請求項1記載の試料積載プレート。
  3. 前記外側周辺部と前記アイランドがそれぞれ形成される膜構成のうち、少なくとも一つの金属膜が連続しており、導通していることを特徴とする請求項2に記載の試料積載プレート。
  4. 前記基板はセラミックスによって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料積載プレート。
  5. 前記親水層は、前記基板上に形成した金属膜または、前記金属膜の上に形成した 光学多層膜によって構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料積載プレート。
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