JP2017177142A - アルミニウム合金材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性の向上を図ることができるアルミニウム合金材の製造方法を提供すること。【解決手段】アルミニウム合金鋳塊(アルミニウム合金材)1の製造方法は、第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220に粉末状断熱材が付着した状態、かつ、第1ロール21及び第2ロール22を定常状態よりも低速で回転させた状態で、鋳造を開始する。鋳造開始後、第1ロール21の第1最遠位置B1の表面温度T1が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に第1ロール21の冷却を開始し、第2ロール22の第2最遠位置B2の表面温度T2が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に第2ロール22の冷却を開始する。第1ロール21及び第2ロール22の冷却開始から定常状態まで、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2が100℃未満とならないように第1ロール21及び第2ロール22の冷却を制御する。【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金材の製造方法に関する。
従来、アルミニウム合金材の製造方法として、一対のロールを用いた双ロール式連続鋳造法が知られている。双ロール式連続鋳造法では、例えば、水冷可能な一対のロール間へ溶湯を供給する事前準備として、一対のロールの鋳造方向側に溶湯が漏れないように、一対のロール間にダミー部材を配置する。そして、一対のロールを定常状態よりも低速で回転させた状態で、一対のロール間への溶湯の供給を開始する(いわゆるハードスタート)。ここで、定常状態とは、要求される製品の品質、特性等を確保した上で、生産性が高く、製造条件が安定した状態を示す。
溶湯を一対のロール間に供給すると、溶湯が一対のロールによって冷却され、溶湯の凝固が開始される。一対のロール間に供給された溶湯の凝固が完了すると、一対のロールの回転に合わせてアルミニウム合金材(鋳造板)が一対のロールの鋳造方向側(溶湯供給側とは反対側)に現れる。その後、溶湯の供給を継続し、供給する溶湯の温度を低下させたり、一対のロールの周速度(回転速度)を高速化させたりして、製造条件を最適な範囲に徐々に合わせて行き、定常状態に移行する。これにより、アルミニウム合金材を連続的に鋳造する。
ところで、一対のロール間に供給され、一対のロールによって急激に冷却される溶湯は、一対のロールとの接触が均一でない場合がある。この場合、一対のロールの幅方向において、溶湯の凝固部と未凝固部とが生じる。溶湯の凝固部分は、一対のロールの回転によって一対のロール間から排出されると同時にダミー部材を押し出す。このとき、一対のロール間からダミー部材が押し出されることにより、一対のロールとダミー部材との間に隙間が形成され、溶湯の未凝固部から溶湯の漏れ(いわゆる湯漏れ)が生じ、生産性の低下を招いてしまう。
また、溶湯の一対のロールからの抜熱が大きすぎると、一対のロールによる溶湯の最適な冷却がなされず、一対のロール間に供給された溶湯がすぐに凝固してしまう。そのため、連続鋳造が困難となり、生産性の低下を招いてしまう。一方で、溶湯がロールを構成する素材に直接接触すると、凝固した溶湯の固着(いわゆる焼き付き)が生じる。そのため、連続鋳造が困難となり、生産性の低下を招いてしまう。
このようなことから、アルミニウム合金材の生産性の向上を図るため、溶湯の供給前後における一対のロールの表面温度、溶湯に接触する一対のロールの表面状態等について検討がなされている。例えば、特許文献1には、加熱ヒータ、燃料ガス等によって外部から一対のロールの表面を加熱する方法が開示されている。また、特許文献2には、一対のロールを冷却するための冷却媒体として温水を用いる方法が開示されている。また、特許文献3、4には、一対のロールの表面に耐熱被覆剤(離型剤)である黒鉛溶液を塗布し、一対のロールの表面における焼き付きを抑制する方法が開示されている。また、特許文献5には、炭素質ガスを燃焼させることによって一対のロールの表面に煤を塗布し、一対のロールの表面における焼き付きを抑制する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1、2に開示された方法では、大掛かりな設備が必要となり、また鋳造開始作業ごとのエネルギーコストが高い。そのため、生産性の向上を容易に図ることができない。
また、特許文献3、4に開示された方法では、主成分として黒鉛粒子を含有する黒鉛溶液をスプレーノズルによって一対のロールの表面に微細噴霧する。鋳造開始後の製造条件が安定した定常状態においては、溶湯からの入熱によって一対のロールの表面温度が高くなる。そのため、黒鉛溶液を噴霧した直後に液滴中の水が蒸発することにより、黒鉛粒子が一対のロールの表面に容易かつ均一に付着する。ところが、鋳造開始時点ではロールの表面温度が低いため、一対のロールの表面に黒鉛粒子を容易かつ均一に付着させることが困難となり、焼き付きの抑制及び生産性の向上を十分に図ることができない。
また、特許文献5に開示された方法では、一対のロールに炎を直接接触させるため、局所的な断熱材濃化部及び高温部が生じ、一対のロールの表面における断熱材の付着量が安定せず、一対のロールの表面温度も不均一となる。これにより、焼き付きの抑制及び生産性の向上を十分に図ることができない。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、生産性の向上を図ることができるアルミニウム合金材の製造方法を提供する。
本発明の一の態様は、所定の間隔を設けて対向配置された第1ロール及び第2ロールを用いて、アルミニウム合金材を連続的に鋳造するアルミニウム合金材の製造方法であって、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に粉末状断熱材が付着した状態、かつ、第1ロール及び第2ロールを定常状態よりも低速で回転させた状態で、アルミニウム合金からなる溶湯を第1ロールと第2ロールとの間に供給してアルミニウム合金材の鋳造を開始する。アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、第1ロールの表面において、第2ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第1最遠位置の表面温度T1が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第1ロールの冷却を開始し、アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、第2ロールの表面において、第1ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第2最遠位置の表面温度T2が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第2ロールの冷却を開始する。そして、少なくとも第1ロールの冷却を開始してから定常状態まで、第1ロールの表面温度T1が100℃未満とならないように、第1ロールの冷却を制御し、少なくとも第2ロールの冷却を開始してから定常状態まで、第2ロールの表面温度T2が100℃未満とならないように、第2ロールの冷却を制御する。
上記アルミニウム合金材の製造方法では、鋳造開始時における溶湯の第1ロール及び第2ロールからの抜熱量を制御する。具体的には、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に粉末状断熱材が付着した状態、かつ、第1ロール及び第2ロールを定常状態よりも低速で回転させた状態で、アルミニウム合金材の鋳造を開始する。
そのため、粉末状断熱材によって溶湯と第1ロール及び第2ロールとの濡れ性が低下し、溶湯と第1ロール及び第2ロールとの間の熱伝達が低減され、鋳造開始時における溶湯の第1ロール及び第2ロールからの急激かつ部分的な抜熱を抑制できる。すなわち、粉末状断熱材による溶湯の冷却緩和効果が得られる。これにより、鋳造開始時における焼き付き、湯漏れ等の発生を抑制でき、生産性を向上させることができる。
また、上記アルミニウム合金材の製造方法では、鋳造開始後(例えば鋳造開始から定常状態まで)の抜熱量の変化率を制御する。具体的には、鋳造開始後、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第1ロール及び第2ロールの冷却をそれぞれ開始する。さらに、少なくとも冷却開始から定常状態まで、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2が100℃未満とならないように、第1ロール及び第2ロールの冷却をそれぞれ制御する。
そのため、鋳造開始後における溶湯の第1ロール及び第2ロールからの急激かつ部分的な抜熱を抑制できると共に、鋳造開始後における溶湯の第1ロール及び第2ロールからの抜熱量の変化率を緩やかにすることができる。これにより、安定した連続鋳造が可能となり、生産性を向上させることができる。また、鋳造開始から定常状態までに必要な時間を短縮できる。すなわち、製品規格から外れる非定常部が短くなり、製品歩留りが高くなる。
上記アルミニウム合金材の製造方法において、アルミニウム合金材の鋳造開始時に、第1ロールの表面及び第2ロールの表面における粉末状断熱材の平均付着量が0.1〜100mg/cm2であってもよい。
また、第1ロールの表面及び第2ロールの表面における表面粗度Raが0.1〜2.0μmであってもよい。
また、粉末状断熱材は、少なくとも珪酸塩鉱物を含有していてもよい。
また、粉末状断熱材は、少なくとも珪酸塩鉱物を含有していてもよい。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
<アルミニウム合金材の製造方法>
上記アルミニウム合金材の製造方法は、所定の間隔を設けて対向配置された第1ロール及び第2ロールを用いて、アルミニウム合金材を連続的に鋳造する。すなわち、第1ロールと第2ロールとの間にアルミニウム合金からなる溶湯を供給し、第1ロール及び第2ロールを回転させながらアルミニウム合金材を連続的に鋳造する双ロール式連続鋳造法に用いられる。また、アルミニウム合金の合金系は特に限定されず、各種のアルミニウム合金を用いることができる。
上記アルミニウム合金材の製造方法は、所定の間隔を設けて対向配置された第1ロール及び第2ロールを用いて、アルミニウム合金材を連続的に鋳造する。すなわち、第1ロールと第2ロールとの間にアルミニウム合金からなる溶湯を供給し、第1ロール及び第2ロールを回転させながらアルミニウム合金材を連続的に鋳造する双ロール式連続鋳造法に用いられる。また、アルミニウム合金の合金系は特に限定されず、各種のアルミニウム合金を用いることができる。
<鋳造開始条件>
上記アルミニウム合金材の製造方法では、上述したとおり、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に粉末状断熱材が付着した状態、かつ、第1ロール及び第2ロールを定常状態よりも低速で回転させた状態で、アルミニウム合金からなる溶湯を第1ロールと第2ロールとの間に供給してアルミニウム合金材の鋳造を開始する。ここで、定常状態とは、鋳造するアルミニウム合金材の品質、特性等を確保した上で、生産性が高く、製造条件が安定した状態を示す。
上記アルミニウム合金材の製造方法では、上述したとおり、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に粉末状断熱材が付着した状態、かつ、第1ロール及び第2ロールを定常状態よりも低速で回転させた状態で、アルミニウム合金からなる溶湯を第1ロールと第2ロールとの間に供給してアルミニウム合金材の鋳造を開始する。ここで、定常状態とは、鋳造するアルミニウム合金材の品質、特性等を確保した上で、生産性が高く、製造条件が安定した状態を示す。
上記粉末状断熱材としては、例えば、タルク、ゼオライト等の珪酸塩鉱物、ボロンナイトライド等の窒化物、アルミナ、シリカ等の金属酸化物等を用いることができる。粉末状断熱材としては、断熱性、可視性等の観点から、タルクを用いることが好ましい。
上記粉末状断熱材のサイズとしては、第1ロールの表面及び第2ロールの表面への付着性の観点から、例えば、平均粒子径が5.0〜50μmであることが好ましい。粉末状断熱材の平均粒子径が5.0μm未満の場合には、粉末状断熱材の材料コストが高くなるおそれがある。一方、粉末状断熱材の平均粒子径が50μmを超える場合には、粉末状断熱材が第1ロールの表面及び第2ロールの表面において堆積すると、塊となって滑り落ちるため、第1ロールの表面及び第2ロールの表面への粉末状断熱材の付着性が低下するおそれがある。
上記粉末状断熱材を第1ロールの表面及び第2ロールの表面に付着させる方法としては、第1ロール及び第2ロールを回転させた状態で、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に、粉末状断熱材を圧縮空気により吹き付ける方法を用いることが好ましい。この場合には、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に、粉末状断熱材を均一に付着させることができ、上述した粉末状断熱材による溶湯の冷却緩和効果をさらに向上させることができる。なお、粉末状断熱材の付着方法としては、上記以外の方法を用いてもよい。
また、アルミニウム合金材の鋳造開始時に、第1ロールの表面及び第2ロールの表面における粉末状断熱材の平均付着量が0.1〜100mg/cm2であることが好ましい。この場合には、上述した粉末状断熱材による溶湯の冷却緩和効果を十分に得ることができる。
アルミニウム合金材の鋳造開始時に、第1ロールの表面及び第2ロールの表面の少なくとも一方における粉末状断熱材の平均付着量が0.1mg/cm2未満の場合には、上述した粉末状断熱材による溶湯の冷却緩和効果が十分に得られないおそれがある。一方、アルミニウム合金材の鋳造開始時に、第1ロールの表面及び第2ロールの表面の少なくとも一方における粉末状断熱材の平均付着量が100mg/cm2を超える場合には、上述した粉末状断熱材による溶湯の冷却緩和効果のさらなる向上を見込めず、製造コストの観点から不利となるおそれがある。
また、第1ロールの表面及び第2ロールの表面における表面粗度Raが0.1〜2.0μmであることが好ましい。この場合には、第1ロールの表面及び第2ロールの表面への粉末状断熱材の付着性を高めることができる。
第1ロールの表面及び第2ロールの表面の少なくとも一方における表面粗度Raが0.1μm未満の場合には、第1ロールの表面及び第2ロールの表面の少なくとも一方において粉末状断熱材が滑ってしまい、粉末状断熱材を付着させることが困難となるおそれがある。一方、第1ロールの表面及び第2ロールの表面の少なくとも一方における表面粗度Raが2.0μmを超える場合には、第1ロール及び第2ロールによって鋳造されるアルミニウム合金材の表面性状が悪化するおそれがある。
なお、アルミニウム合金材の鋳造開始から定常状態まで(以下、鋳造初期という)は、第1ロールの表面及び第2ロールの表面に付着させる断熱材として、上述した粉末断熱材による溶湯の冷却緩和効果を十分に得るために粉末状断熱材を用いることが好ましい。一方、製造条件が安定した定常状態においては、粉末状断熱材以外の断熱材を用いてもよい。生産性及び付着性の観点から、主成分として黒鉛粒子を含有する黒鉛溶液を用いることが好ましい。
また、定常状態において断熱材の種類を切り替える場合には、鋳造初期に用いた粉末状断熱材を除去する必要がある。粉末状断熱材は、鋳造開始後、アルミニウム合金材に付着しながら、第1ロールの表面及び第2ロールの表面から自然と除去されていくが、ブロア、ブラシ等を用いることによって、より短時間で除去することができる。これにより、断熱材の種類の切り替えを迅速に行い、生産性を向上させることができる。
ここで、鋳造開始時における第1ロール及び第2ロールの周速度(回転速度)は、定常状態における第1ロール及び第2ロールの周速度よりも低速とするが、溶湯のアルミニウム合金組成、溶湯温度等に応じて適宜調整すればよい。第1ロール及び第2ロールの外径が例えば400〜1200mmである場合、鋳造開始時における第1ロール及び第2ロールの周速度は、0.40〜0.80m/分が適当である。
<冷却開始条件>
上記アルミニウム合金材の製造方法では、上述したとおり、アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、第1ロールの表面において、第2ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第1最遠位置の表面温度T1が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第1ロールの冷却を開始する。また、アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、第2ロールの表面において、第1ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第2最遠位置の表面温度T2が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第2ロールの冷却を開始する。
上記アルミニウム合金材の製造方法では、上述したとおり、アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、第1ロールの表面において、第2ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第1最遠位置の表面温度T1が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第1ロールの冷却を開始する。また、アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、第2ロールの表面において、第1ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第2最遠位置の表面温度T2が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、第2ロールの冷却を開始する。
第1ロールの冷却開始時における第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの冷却開始時における第2ロールの上記表面温度T2の少なくとも一方が100℃未満の場合には、鋳造開始後における溶湯の第1ロール及び第2ロールの少なくとも一方からの抜熱量の変化率が大きくなり、かつ部分的な抜熱により部分的に凝固部と未凝固部とが発生し、湯漏れが生じる。
第1ロールの冷却開始時における第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの冷却開始時における第2ロールの上記表面温度T2の少なくとも一方が300℃を超える場合には、焼き付きが生じて連続鋳造が困難となったり、溶湯の凝固不足によって湯漏れが生じたりする。
第1ロール及び第2ロールの冷却方法としては、第1ロールの表面及び第2ロールの表面を直接又は間接的に冷却することができれば、どのような冷却方法を用いてもよい。例えば、冷却水等の冷却媒体による冷却方法等、従来公知の各種冷却方法を用いることができる。ただし、冷却水等の冷却媒体を用いる場合には、第1ロールの表面及び第2ロールの表面ではなく、溶湯と接触しないように、例えば、第1ロールの内部及び第2ロールの内部からの冷却が好ましい。
<冷却制御条件>
上記アルミニウム合金材の製造方法では、上述したとおり、少なくとも第1ロールの冷却を開始してから定常状態まで、第1ロールの上記表面温度T1が100℃未満とならないように、第1ロールの冷却を制御する。また、少なくとも第2ロールの冷却を開始してから定常状態まで、第2ロールの上記表面温度T2が100℃未満とならないように、第2ロールの冷却を制御する。
上記アルミニウム合金材の製造方法では、上述したとおり、少なくとも第1ロールの冷却を開始してから定常状態まで、第1ロールの上記表面温度T1が100℃未満とならないように、第1ロールの冷却を制御する。また、少なくとも第2ロールの冷却を開始してから定常状態まで、第2ロールの上記表面温度T2が100℃未満とならないように、第2ロールの冷却を制御する。
少なくとも第1ロール及び第2ロールの冷却開始から定常状態までにおいて、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2の少なくとも一方が100℃未満となる場合には、冷却開始から定常状態までにおける溶湯の第1ロール及び第2ロールの少なくとも一方からの抜熱量の変化率が大きくなるため、鋳造されたアルミニウム合金材に割れが発生し、定常状態が得られない。
少なくとも第1ロール及び第2ロールの冷却開始から定常状態までにおいて、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2の少なくとも一方が高くなりすぎると、焼き付きが生じて連続鋳造が困難となったり、溶湯の凝固不足によって湯漏れが生じたりするおそれがある。これらの問題の発生を抑制するため、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2が100℃以上300℃以下となるように、第1ロール及び第2ロールの冷却をそれぞれ制御することが好ましい。
第1ロール及び第2ロールの冷却制御方法としては、第1ロール及び第2ロールの冷却を制御することができれば、どのような冷却制御方法を用いてもよい。例えば、制御装置による冷却制御方法等、従来公知の各種冷却制御方法を用いることができる。
<その他>
上記アルミニウム合金材の製造方法は、上述したとおり、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2を制御することにより、焼き付き、湯漏れ等の発生を抑制でき、生産性を向上させることができる。一方で、第1ロール及び第2ロールの外径が大きくなるにしたがって、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2の制御の難易度が向上する。よって、第1ロールの外径及び第2ロールの外径は、400〜1200mmであることが好ましい。
上記アルミニウム合金材の製造方法は、上述したとおり、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2を制御することにより、焼き付き、湯漏れ等の発生を抑制でき、生産性を向上させることができる。一方で、第1ロール及び第2ロールの外径が大きくなるにしたがって、第1ロールの上記表面温度T1及び第2ロールの上記表面温度T2の制御の難易度が向上する。よって、第1ロールの外径及び第2ロールの外径は、400〜1200mmであることが好ましい。
第1ロールの外径及び第2ロールの外径は同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、第1ロールの外径及び第2ロールの外径が同じ(同径)とは、外径の値が大きい方を基準として外径差が10%以下の場合を含む。
また、第1ロールの外径及び第2ロールの外径が同じ場合、第1ロールの上記表面温度T1と第2ロールの上記表面温度T2とは同じような温度変化(温度推移)を示す。したがって、例えば、上記鋳造開始条件において、第1ロールの上記表面温度T1が100℃以上の温度に到達した時に、第2ロールの上記表面温度T2も100℃以上の温度に到達したとして、第1ロールの冷却を開始すると共に第2ロールの冷却を開始してもよい。また、上記冷却制御条件において、第1ロールの上記表面温度T1が100℃未満とならないように、第1ロールの冷却を制御すると共に、第2ロールの上記表面温度T2が100℃未満とならないように、第1ロールと同様の冷却制御を第2ロールについても行うようにしてもよい。
以下、本発明の実施例を比較例と対比しながら説明し、本発明の効果を実証する。以下に示す実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
ここでは、一対のロールを備えた横型の双ロール式連続鋳造装置を用いて、表1に示す製造条件で、厚さ6mm、幅300mmの板状のアルミニウム合金鋳塊(アルミニウム合金材)を水平方向に連続的に鋳造し、各試料(実施例1〜13、比較例1〜6)について評価を行った。なお、アルミニウム合金としては、3000系アルミニウム合金の1つである3003合金を用いた。
<双ロール式連続鋳造装置の構成>
図1に示すように、双ロール式連続鋳造装置2は、アルミニウム合金鋳塊1を鋳造するための第1ロール21及び第2ロール22を備えている。第1ロール21及び第2ロール22は、円柱状に形成されている。第1ロール21の外径R1及び第2ロール22の外径R2は同じであり、共に485mmである。第1ロール21及び第2ロール22は、所定の間隔を設けて対向配置されている。第1ロール21の表面(外周面)210と第2ロール22の表面(外周面)220との最小間隔であるロールギャップt(後述する第1最小間隔位置A1と第2最小間隔位置A2との間の距離)は6mmである。
図1に示すように、双ロール式連続鋳造装置2は、アルミニウム合金鋳塊1を鋳造するための第1ロール21及び第2ロール22を備えている。第1ロール21及び第2ロール22は、円柱状に形成されている。第1ロール21の外径R1及び第2ロール22の外径R2は同じであり、共に485mmである。第1ロール21及び第2ロール22は、所定の間隔を設けて対向配置されている。第1ロール21の表面(外周面)210と第2ロール22の表面(外周面)220との最小間隔であるロールギャップt(後述する第1最小間隔位置A1と第2最小間隔位置A2との間の距離)は6mmである。
第1ロール21の内部及び第2ロールの内部には、それぞれ冷却水を流通させる流路(図示略)が設けられている。各流路に流通させる冷却水の量を調整することにより、第1ロール21及び第2ロール22の冷却(具体的には、第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220の温度)を制御することができる。
双ロール式連続鋳造装置2は、溶解したアルミニウム合金からなる溶湯10を保持するタンディッシュ23を備えている。タンディッシュ23には、溶湯10を第1ロール21と第2ロール22との間に供給するためのチップ24が設けられている。チップ24は、第1ロール21と第2ロール22に対して、溶湯10の供給側に配置されている。チップ24の先端は、第1ロール21と第2ロール22との間に向かって開口している。
<アルミニウム合金鋳塊の鋳造>
図2(A)に示すように、第1ロール21及び第2ロール22に対して、第1ロール21及び第2ロール22の幅方向に沿って線接触するように、平板状のダミー部材25を配置した。ダミー部材25は、第1ロール21と第2ロール22に対して、鋳造方向X側(溶湯10の供給側とは反対側)に配置した。これにより、第1ロール21、第2ロール22、チップ24、ダミー部材25によって囲まれた溶湯供給領域30を形成した。
図2(A)に示すように、第1ロール21及び第2ロール22に対して、第1ロール21及び第2ロール22の幅方向に沿って線接触するように、平板状のダミー部材25を配置した。ダミー部材25は、第1ロール21と第2ロール22に対して、鋳造方向X側(溶湯10の供給側とは反対側)に配置した。これにより、第1ロール21、第2ロール22、チップ24、ダミー部材25によって囲まれた溶湯供給領域30を形成した。
次いで、図2(B)に示すように、溶解したアルミニウム合金からなる溶湯10を溶湯温度740℃の状態でタンディッシュ23に移した。そして、タンディッシュ23に保持された溶湯10を溶湯温度740℃に維持した状態でチップ24から溶湯供給領域30に供給(注湯)し、アルミニウム合金鋳塊1の鋳造を開始した。
「鋳造開始条件」は表1に示すとおりである。
鋳造開始条件の「溶湯温度」は、タンディッシュ23からチップ24を介して溶湯供給領域30に供給する溶湯10の温度である。
鋳造開始条件の「溶湯温度」は、タンディッシュ23からチップ24を介して溶湯供給領域30に供給する溶湯10の温度である。
鋳造開始条件の「ロール周速度」は、第1ロール21及び第2ロール22の周速度(回転速度)であり、どちらも同じ周速度となるように制御した。
鋳造開始条件の「ロール表面温度」は、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2あり、どちらも同じ値に設定した。
鋳造開始条件の「ロール表面温度」は、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2あり、どちらも同じ値に設定した。
なお、第1ロール21の表面温度T1は、第1ロール21の表面210において、第2ロール22との最小間隔位置である第1最小間隔位置A1(図1)から最も遠い位置である第1最遠位置B1(図1)の表面温度である。第1最小間隔位置A1と第1最遠位置B1とは、第1ロール21の表面210において径方向に対向する位置である。第2ロールの表面温度T2は、第2ロール22の表面220において、第1ロール21との最小間隔位置である第2最小間隔位置A2(図1)から最も遠い位置である第2最遠位置B2(図1)の表面温度である。第2最小間隔位置A2と第2最遠位置B2とは、第2ロール22の表面220において径方向に対向する位置である。
第1ロール21の表面温度T1は、第1ロール21の幅方向中央部の表面温度を非接触式の温度センサにより連続的に測定した。第2ロールの表面温度T2は、第1ロール21と第2ロール22とが同径であるため、第1ロール21の表面温度T1の測定値をそのまま第2ロール22の表面温度T2として用いた。
鋳造開始条件の「ロール表面粗度」は、第1ロール21の表面210の表面粗度Ra及び第2ロール22の表面220の表面粗度Raであり、どちらも同じ値となるように調整した。第1ロール21の表面210の表面粗度Ra及び第2ロール22の表面220の表面粗度Raは、非接触式の表面粗さ計により測定した。
鋳造開始条件の「断熱材の種類」は、第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220に付着させる断熱材の種類である。実施例1、3〜13、比較例3〜6では、平均粒子径が45μmである球形状又は円盤状のタルク粉末(粉末状断熱材)を散粉器により吹き付けて付着させた。実施例2では、平均粒子径が45μmである球形状又は円盤状の黒鉛粉末(粉末状断熱材)を散粉器により吹き付けて付着させた。比較例2では、平均粒子径が45μmである球形状又は円盤状の黒鉛粉末を含有する黒鉛溶液を噴霧器により噴き付けて付着させた。なお、比較例1では、第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220に断熱材を付着させなかった。
鋳造開始条件の「断熱材付着量」は、第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220への断熱材の単位面積当たりの付着量であり、どちらも同じ値となるように調整した。断熱材付着量は、散粉器の噴出ノズル口から第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220までの総噴き付け量と第1ロール21の表面210及び第2ロール22の表面220への付着量とを予め算出しておき、噴き付け前後の断熱材の減少量から算出した。
次いで、図2(C)に示すように、溶湯供給領域30に供給された溶湯10は、第1ロール21及び第2ロール22によって冷却され、ダミー部材25と共にアルミニウム合金鋳塊1として第1ロール21及び第2ロール22によって鋳造方向Xに押し出される。これにより、アルミニウム合金鋳塊1を連続的に鋳造した。
ここで、アルミニウム合金鋳塊1の鋳造を開始した後、第1ロール21の表面温度T1が所定の温度に到達した時に、第2ロール22の表面温度T2も所定の温度に到達したとして、第1ロール21及び第2ロール22の冷却を開始した。すなわち、第1ロール21内部の流路及び第2ロール22内部の流路にそれぞれ冷却水を流し始めた。
また、冷却開始から定常状態までは、第1ロール21の表面温度T1が所定の温度近傍となるように、第1ロール21内部の流路に流す冷却水の量を制御した。また、第2ロール22の表面温度T2が所定の温度近傍となるように、第2ロール22内部の流路に流す冷却水の量を第1ロール21と同様に制御した。なお、比較例1、2では、第1ロール21及び第2ロール22の冷却を行わなかった。
「冷却開始条件」は表1に示すとおりである。
冷却開始条件の「ロール表面温度」は、冷却開始時(冷却水を流し始める時)の第1ロール21の表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2であり、どちらも同じ値に設定した。
冷却開始条件の「ロール表面温度」は、冷却開始時(冷却水を流し始める時)の第1ロール21の表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2であり、どちらも同じ値に設定した。
冷却開始から定常状態までの「冷却制御条件」は表1に示すとおりである。
冷却制御条件の「ロール表面温度」は、冷却開始から定常状態までにおける、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2の設定温度であり、どちらも同じ値に設定した。冷却開始から定常状態までは、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2が設定温度近傍となるように、第1ロール21及び第2ロール22の冷却を制御した。
冷却制御条件の「ロール表面温度」は、冷却開始から定常状態までにおける、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2の設定温度であり、どちらも同じ値に設定した。冷却開始から定常状態までは、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2が設定温度近傍となるように、第1ロール21及び第2ロール22の冷却を制御した。
次いで、鋳造開始から所定時間経過後、タンディッシュ23内の溶湯10の溶湯温度を所定の温度、第1ロール21及び第2ロール22の周速度を所定の周速度(ここでは0.75m/分に設定)とし、定常状態に移行した。
定常状態における「定常条件」は表1に示すとおりである。
定常条件の「溶湯温度」は、タンディッシュ23からチップ24を介して供給する溶湯10の温度である。
定常条件の「溶湯温度」は、タンディッシュ23からチップ24を介して供給する溶湯10の温度である。
定常条件の「ロール周速度」は、第1ロール21及び第2ロール22の周速度(回転速度)であり、どちらも同じ周速度となるように制御した。
定常条件の「ロール表面温度」は、定常状態における、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2の設定温度であり、どちらも同じ値に設定した。定常状態では、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2が設定温度近傍となるように、第1ロール21及び第2ロール22の冷却を制御した。
定常条件の「ロール表面温度」は、定常状態における、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2の設定温度であり、どちらも同じ値に設定した。定常状態では、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2が設定温度近傍となるように、第1ロール21及び第2ロール22の冷却を制御した。
<評価方法>
鋳造されたアルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態を目視にて観察した。アルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態の評価は、アルミニウム合金鋳塊の先端部の表面性状が良好、つまりアルミニウム合金鋳塊の先端部の表面に未凝固部、割れ、湯漏れ等の発生が確認されなかった場合には合格「○」、アルミニウム合金鋳塊の先端部の表面に未凝固部、割れ、湯漏れ等の発生が確認された場合には不合格「×」とした。また、製造条件によって溶湯の供給が阻害されたり、湯漏れが発生したりした場合にも不合格「×」とした。
鋳造されたアルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態を目視にて観察した。アルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態の評価は、アルミニウム合金鋳塊の先端部の表面性状が良好、つまりアルミニウム合金鋳塊の先端部の表面に未凝固部、割れ、湯漏れ等の発生が確認されなかった場合には合格「○」、アルミニウム合金鋳塊の先端部の表面に未凝固部、割れ、湯漏れ等の発生が確認された場合には不合格「×」とした。また、製造条件によって溶湯の供給が阻害されたり、湯漏れが発生したりした場合にも不合格「×」とした。
さらに、アルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態の評価において、表面性状が良好であり、合格「○」であったものについては、鋳造開始から定常状態までの所要時間を計測した。鋳造開始から定常状態までの所要時間については、特に好ましい範囲があるわけではないが、短いほど生産性は高い。
表1に、実施例1〜14及び比較例1〜7の評価結果を示す。
実施例1〜14は、アルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態の評価結果がすべて合格「○」であり、品質の高いアルミニウム合金鋳塊を生産性良く鋳造することができた。
実施例1〜14は、アルミニウム合金鋳塊の先端部の凝固状態の評価結果がすべて合格「○」であり、品質の高いアルミニウム合金鋳塊を生産性良く鋳造することができた。
比較例1は、鋳造開始時の第1ロールの表面及び第2ロールの表面に断熱材が付着されていないため、溶湯供給領域に溶湯が充満せず、第1ロール及び第2ロールからの急激かつ部分的な抜熱により、鋳造開始直後に湯漏れが発生した。
比較例2は、鋳造開始前の断熱材に粉末状断熱材でなく、断熱性の低い黒鉛溶液を用いたため、第1ロールの表面及び第2ロールの表面の断熱が不均一となり、部分的な凝固が開始されて、溶湯供給領域に溶湯が充満せず、第1ロール及び第2ロールからの急激かつ部分的な抜熱により、鋳造開始直後に湯漏れが発生した。
比較例3は、湯漏れが発生することなく鋳造を開始できたが、冷却開始時(冷却水を流し始めた時)の第1ロールの表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2が低かったため、鋳造開始時から定常状態までにおける、第1ロール及び第2ロールからの抜熱量が急激に変化し、定常状態を得られなかった。
比較例4は、湯漏れが発生することなく鋳造を開始できたが、冷却開始時(冷却水を流し始めた時)の第1ロールの表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2が高かったため、鋳造開始後に第1ロール及び第2ロールに焼き付きが生じ、定常状態を得られなかった。
比較例5は、湯漏れが発生することなく鋳造を開始できたが、冷却開始時(冷却水を流し始めた時)の第1ロールの表面温度T1及び第2ロールの表面温度T2が極めて高かったため、鋳造開始後に溶湯が凝固せず、湯漏れが発生した。
比較例6は、鋳造開始時の第1ロール及び第2ロールの周速度が定常状態の設定周速度(0.75m/分)に比べて速すぎたため、溶湯が凝固せず、鋳造開始直後に湯漏れが発生した。
比較例7は、湯漏れが発生することなく鋳造を開始できたが、冷却開始から定常状態までにおける、第1ロール21の表面温度T1及び第2ロール22の表面温度T2の設定温度が低かったため、第1ロール及び第2ロールからの急激かつ部分的な抜熱により、冷却開始直後に湯漏れが発生した。
1…アルミニウム合金鋳塊(アルミニウム合金材)、10…溶湯、21…第1ロール、22…第2ロール、210…表面(第1ロールの表面)、220…表面(第2ロールの表面)、A1…第1最小間隔位置(最小間隔位置)、A2…第2最小間隔位置(最小間隔位置)、B1…第1最遠位置、B2…第2最遠位置
Claims (4)
- 所定の間隔を設けて対向配置された第1ロール及び第2ロールを用いて、アルミニウム合金材を連続的に鋳造するアルミニウム合金材の製造方法であって、
前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面に粉末状断熱材が付着した状態、かつ、前記第1ロール及び前記第2ロールを定常状態よりも低速で回転させた状態で、アルミニウム合金からなる溶湯を前記第1ロールと前記第2ロールとの間に供給して前記アルミニウム合金材の鋳造を開始し、
前記アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、前記第1ロールの表面において、前記第2ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第1最遠位置の表面温度T1が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、前記第1ロールの冷却を開始し、
前記アルミニウム合金材の鋳造を開始した後、前記第2ロールの表面において、前記第1ロールとの最小間隔位置から最も遠い位置である第2最遠位置の表面温度T2が100℃以上300℃以下の温度に到達した時に、前記第2ロールの冷却を開始し、
少なくとも前記第1ロールの冷却を開始してから定常状態まで、前記第1ロールの前記表面温度T1が100℃未満とならないように、前記第1ロールの冷却を制御し、
少なくとも前記第2ロールの冷却を開始してから定常状態まで、前記第2ロールの前記表面温度T2が100℃未満とならないように、前記第2ロールの冷却を制御する、アルミニウム合金材の製造方法。 - 前記アルミニウム合金材の鋳造開始時に、前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面における前記粉末状断熱材の平均付着量が0.1〜100mg/cm2である、請求項1に記載のアルミニウム合金材の製造方法。
- 前記第1ロールの表面及び前記第2ロールの表面における表面粗度Raが0.1〜2.0μmである、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金材の製造方法。
- 前記粉末状断熱材は、少なくとも珪酸塩鉱物を含有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材の製造方法。
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CN111761036A (zh) * | 2020-07-08 | 2020-10-13 | 甘肃东兴铝业有限公司 | 一种汽车用6×××系铝合金板的铸轧方法 |
EP4274694B1 (de) * | 2021-01-05 | 2024-07-03 | Speira GmbH | Trennmittelfreier aluminiumbandguss |
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