JP2017173586A - 膜鳴楽器用シェル - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化を図りつつ、音質を向上することができる膜鳴楽器用シェルの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の膜鳴楽器用シェルは、複数の単板が積層された円筒状の膜鳴楽器用シェルであって、各単板の木理が前記膜鳴楽器用シェルの周方向又は中心軸方向に配向しており、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きい。当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板によって最内面及び最外面が構成されているとよい。当該膜鳴楽器用シェルは、複数の単位合板が積層されてなり、この単位合板が、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との積層体であるとよい。前記単位合板において、木理が周方向に配向する単板の厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の厚さより大きいとよい。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の膜鳴楽器用シェルは、複数の単板が積層された円筒状の膜鳴楽器用シェルであって、各単板の木理が前記膜鳴楽器用シェルの周方向又は中心軸方向に配向しており、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きい。当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板によって最内面及び最外面が構成されているとよい。当該膜鳴楽器用シェルは、複数の単位合板が積層されてなり、この単位合板が、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との積層体であるとよい。前記単位合板において、木理が周方向に配向する単板の厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の厚さより大きいとよい。
【選択図】図2
Description
本発明は、膜鳴楽器用シェルに関する。
筒状のシェル及びこのシェルの開口を塞ぐヘッド膜を有する膜鳴楽器が広く用いられている。この膜鳴楽器は、シェルの開口を塞ぐようにヘッド膜が張られており、このヘッド膜を外部から振動(膜鳴)させることで音を発生するよう構成されている。
この膜鳴楽器用シェルは、一般に木材又は金属を用いて形成されるが、音質や軽量化等の点から木材が好まれる場合がある。特に、マーチング演奏に用いられる膜鳴楽器用シェルは、長時間の演奏に支障を来さないよう軽量化の促進に対する要請が強く、木材を用いて形成されることが好まれている。
このような木材を用いた膜鳴楽器用シェルとしては、例えば比較的厚さの大きい1枚の単板を円筒状に曲げたものが使用されている。しかしながら、厚さの大きい単板はそれ自体高価である上、円筒状に曲げるためには専用の設備が必要となり、シェルの製造コストが高くなる。また、厚さの大きい単板は、円筒状に形成後に変形し易く、この形状の変形に起因して音質が低下し易い。
このような点から、今日では比較的厚さの小さい複数の単板と炭素繊維強化樹脂製シートとを積層してシェルを形成することが提案されている(特開昭60−98490号公報参照)。しかしながら、このような炭素繊維強化樹脂製シートを用いたシェルは、木材本来の音質を発し難いという不都合がある。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、軽量化を図りつつ、音質を向上することができる膜鳴楽器用シェルを提供することにある。
前記課題を解決するためになされた本発明は、複数の単板が積層された円筒状の膜鳴楽器用シェルであって、各単板の木理が前記膜鳴楽器用シェルの周方向又は中心軸方向に配向しており、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きい膜鳴楽器用シェルである。
当該膜鳴楽器用シェルは、複数の単板が積層されて形成されているので、軽量化を図ることができる。また、当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きいので形状安定化を向上することができる。つまり、木理が中心軸方向に配向する単板には周方向に縮まろうとする力が働き易いのに対し、木理が周方向に配向する単板は周方向に殆ど変形しないため、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さを大きくすることで形状安定性を向上することができる。当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板の合計厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の合計厚さよりも大きいことで真円度を高め歪みを抑制することができるので、音質を向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板によって最内面及び最外面が構成されているとよい。木理が周方向に配向する単板は径方向に加えられる外力や内部応力に対する強度が高いので、木理が周方向に配向する単板によって最内面及び最外面が構成されることによって、内外方向に加わる力に対する強度を共に効果的に高めることができる。そのため、内外方向に加わる力に起因する変形を抑え、真円度をさらに高めて音質をさらに向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェルは、複数の単位合板が積層されてなり、この単位合板が、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との積層体であるとよい。このように、複数の単位合板が積層されてなり、この単位合板が、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との積層体であることによって、各単位合板毎の形状安定性を高めることで当該膜鳴楽器用シェルの形状安定化をさらに向上することができる。
前記単位合板において、木理が周方向に配向する単板の厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の厚さより大きいとよい。このように、前記単位合板において、木理が周方向に配向する単板の厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の厚さより大きいことによって、各単位合板毎に真円度を高めることができるので、音質をさらに向上することができる。
前記単位合板において、木理が中心軸方向に配向する単板が厚さ方向の中心側に位置しているとよい。このように、前記単位合板において、木理が中心軸方向に配向する単板が厚さ方向の中心側に位置していることによって、内外方向に加わる力に対する強度を共に効果的に高めることができるので、内外方向に加わる力に起因する変形を抑え、真円度をさらに高めて音質をさらに向上することができる。
厚さ方向の中心を基準とした場合、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との配設順が対称であるとよい。このように、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との配設順が厚さ方向の中心を基準として対称であることによって、形状安定性をさらに高め、音質をさらに向上することができる。
以上説明したように、本発明の膜鳴楽器用シェルは、軽量化を図りつつ、音質を向上することができる。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[第一実施形態]
<膜鳴楽器>
図1に、本発明の一実施形態に係る膜鳴楽器用シェル1を備える膜鳴楽器を示す。図1の膜鳴楽器は、例えばマーチング演奏に用いられるドラムである。図1の膜鳴楽器は、本発明に係る当該膜鳴楽器用シェル1と、当該膜鳴楽器用シェル1の一対の開口を塞ぐ一対のヘッド膜2とを備える。一対のヘッド膜2は、当該膜鳴楽器用シェル1の一対の開口を塞ぐように張設されている。一対のヘッド膜2の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば合成樹脂、皮革等が挙げられる。
<膜鳴楽器>
図1に、本発明の一実施形態に係る膜鳴楽器用シェル1を備える膜鳴楽器を示す。図1の膜鳴楽器は、例えばマーチング演奏に用いられるドラムである。図1の膜鳴楽器は、本発明に係る当該膜鳴楽器用シェル1と、当該膜鳴楽器用シェル1の一対の開口を塞ぐ一対のヘッド膜2とを備える。一対のヘッド膜2は、当該膜鳴楽器用シェル1の一対の開口を塞ぐように張設されている。一対のヘッド膜2の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば合成樹脂、皮革等が挙げられる。
<膜鳴楽器用シェル>
当該膜鳴楽器用シェル1は、図1及び図2(a)に示すように、円筒状に形成されている。また、当該膜鳴楽器用シェル1は、図2(b)に示すように、複数の第一単板11a及び複数の第二単板11bが積層された積層体である。当該膜鳴楽器用シェル1は、複数の第一単板11a、複数の第二単板11b、並びに複数の第一単板11a及び複数の第二単板11bを接着する接着剤層(図示省略)以外の層を有しない。第一単板11a及び第二単板11bの材質としては、特に限定されるものではなく、例えば樺、スプルース、カエデ、ナラ、メランティ、タモ、ポプラ、ブビンガ、マホガニー、けやき、カポール、ブナ等の木材が挙げられる。複数の第一単板11a及び複数の第二単板11bは、同一の材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
当該膜鳴楽器用シェル1は、図1及び図2(a)に示すように、円筒状に形成されている。また、当該膜鳴楽器用シェル1は、図2(b)に示すように、複数の第一単板11a及び複数の第二単板11bが積層された積層体である。当該膜鳴楽器用シェル1は、複数の第一単板11a、複数の第二単板11b、並びに複数の第一単板11a及び複数の第二単板11bを接着する接着剤層(図示省略)以外の層を有しない。第一単板11a及び第二単板11bの材質としては、特に限定されるものではなく、例えば樺、スプルース、カエデ、ナラ、メランティ、タモ、ポプラ、ブビンガ、マホガニー、けやき、カポール、ブナ等の木材が挙げられる。複数の第一単板11a及び複数の第二単板11bは、同一の材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
当該膜鳴楽器用シェル1は、厚さが略均一に形成されている。当該膜鳴楽器用シェル1の平均厚さの下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。一方、当該膜鳴楽器用シェル1の平均厚さの上限としては、15mmが好ましく、12mmがより好ましい。当該膜鳴楽器用シェル1の平均厚さが前記下限に満たないと、強度が不十分となるおそれがある。逆に、当該膜鳴楽器用シェル1の平均厚さが前記上限を超えると、重さが大きくなり、当該膜鳴楽器用シェル1を備える膜鳴楽器を長時間使用することが困難になるおそれがある。
当該膜鳴楽器用シェル1は、第一単板11a及び第二単板11bの木理がそれぞれ当該膜鳴楽器用シェル1の周方向又は中心軸方向に配向している。具体的には、当該膜鳴楽器用シェル1は、図3に示すように、第一単板11aの木理が周方向に配向し、第二単板11bの木理が中心軸方向に配向している。
また、当該膜鳴楽器用シェル1は、図2(b)に示すように、複数の単位合板12が積層されてなり、この単位合板12が、第一単板11aと第二単板11bとの積層体である。つまり、1枚の第一単板11a及び1枚の第二単板11bは、他の単板を介さず直接積層されることで単位合板12を形成しており、当該膜鳴楽器用シェル1は、この複数の単位合板12が積層されて構成されている。当該膜鳴楽器用シェル1は、このように1枚の第一単板11a及び1枚の第二単板11bが積層された単位合板12の積層体として構成されることによって、形状安定化を向上することができる。つまり、木理が中心軸方向に配向する単板には周方向に縮まろうとする力が働き易いのに対し、木理が周方向に配向する単板は周方向に殆ど変形しないため、各単位合板が木理が周方向に配向する単板を有することで、単位合板毎の形状安定性を高め、当該膜鳴楽器用シェル1の形状安定性を向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェル1は、第一単板11aの合計厚さが、第二単板11bの合計厚さよりも大きい。具体的には、当該膜鳴楽器用シェル1は、各単位合板12において、第一単板11aの厚さが第二単板11bの厚さより大きい。当該膜鳴楽器用シェル1は、第一単板11aの合計厚さが第二単板11bの合計厚さよりも大きいことによって、周方向に縮まろうとする力が作用することを抑えることができるので、真円度を高め歪みを抑制することができる。特に、当該膜鳴楽器用シェル1は、各単位合板12において第一単板11aの厚さが第二単板11bの厚さより大きいことによって、各単位合板12毎に真円度を高めることができるので、音質をさらに向上することができる。
第一単板11aの平均厚さL1の下限としては、0.5mmが好ましく、0.8mmがより好ましい。一方、第一単板11aの平均厚さL1の上限としては、2.5mmが好ましく、2.2mmがより好ましい。第一単板11aの平均厚さL1が前記下限に満たないと、真円度及び径方向に加えられる外力や内部応力に対する強度を十分に高められないおそれがある。また、第一単板11aの平均厚さL1が前記下限に満たないと、当該膜鳴楽器用シェル1における第一単板11aの枚数が多くなり過ぎて製造工程が煩雑になると共に、第一単板11aを接着する接着剤の量が増加して不要に重くなるおそれがある。逆に、第一単板11aの平均厚さL1が前記上限を超えると、当該膜鳴楽器用シェル1の製造が困難となると共に、当該膜鳴楽器用シェル1を製造する際に特別の装置が必要となり製造コストが増加するおそれがある。
第二単板11bの平均厚さL2の下限としては、0.3mmが好ましく、0.4mmがより好ましい。一方、第二単板11bの平均厚さL2の上限としては、1.5mmが好ましく、1.2mmがより好ましい。第二単板11bの平均厚さL2が前記下限に満たないと、中心軸方向に加えられる力に対する強度が十分に高まらないおそれがある。また、第二単板11bの平均厚さL2が前記下限に満たないと、第二単板11bの取扱性が低下するおそれがある。逆に、第二単板11bの平均厚さL2が前記上限を超えると、当該膜鳴楽器用シェル1の周方向に縮まろうとする力が強く働き過ぎて、当該膜鳴楽器用シェル1の形状安定性が低下するおそれがある。
第一単板11aの平均厚さL1に対する第二単板11bの平均厚さL2の厚さ比(L2/L1)の下限としては、0.1が好ましく、0.3がより好ましく、0.4がさらに好ましい。一方、前記厚さ比(L2/L1)の上限としては、0.9が好ましく、0.7がより好ましく、0.6がさらに好ましい。また特に、前記厚さ比(L2/L1)としては、0.5が最も好ましい。前記厚さ比(L2/L1)が前記下限に満たないと、各単位合板12を円筒状に丸め難くなり、当該膜鳴楽器用シェル1の製造が困難になるおそれがある。逆に、前記厚さ比(L2/L1)が前記上限を超えると、真円度及び径方向に加えられる外力や内部応力に対する強度を十分に高められないおそれがある。
複数の第一単板11aの平均合計厚さに対する複数の第二単板11bの平均合計厚さの比の下限としては、0.1が好ましく、0.3がより好ましく、0.4がさらに好ましい。一方、前記厚さ比の上限としては、0.9が好ましく、0.7がより好ましく、0.6がさらに好ましい。また特に、前記厚さ比としては、0.5が最も好ましい。前記厚さ比が前記下限に満たないと、当該膜鳴楽器用シェル1の製造が困難になるおそれがある。逆に、前記厚さ比が前記上限を超えると、真円度及び径方向に加えられる外力や内部応力に対する強度を十分に高められないおそれがある。
当該膜鳴楽器用シェル1は、4枚の単位合板12の積層体として構成されている。また、当該膜鳴楽器用シェル1にあっては、径方向内側に配設される2枚の単位合板12は、第一単板11aが径方向内側に位置しており、径方向外側に配設される2枚の単位合板12は、第一単板11aが径方向外側に位置している。これにより、当該膜鳴楽器用シェル1は、第一単板11aによって最内面及び最外面が構成されている。当該膜鳴楽器用シェル1は、このように第一単板11aによって最内面及び最外面が構成されていることにより、内外方向に加わる力に対する強度を共に効果的に高めることができる。そのため、当該膜鳴楽器用シェル1は、内外方向に加わる力に起因する変形を抑え、真円度をさらに高めて音質をさらに向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェル1は、各単位合板12において、第二単板11bが厚さ方向の中心側に位置している。当該膜鳴楽器用シェル1は、第一単板11aが当該膜鳴楽器用シェル1の厚さ方向の中心から離れた位置に配設される方が内外方向に加わる力に対する強度を高め易い。そのため、当該膜鳴楽器用シェル1は、各単位合板12において第二単板11bが厚さ方向の中心側に位置していることによって、内外方向に加わる力に対する強度を共に効果的に高めることができるので、内外方向に加わる力に起因する変形を抑え、真円度をさらに高めて音質をさらに向上することができる。
また、当該膜鳴楽器用シェル1は、厚さ方向の中心を基準とした場合、第一単板11aと第二単板11bとの配設順が対称である。具体的には、当該膜鳴楽器用シェル1は、一対の第二単板11bが厚さ方向の中心に配設され、この一対の第二単板11bから径方向の内側及び外側に第一単板11a及び第二単板11bがこの順で相互に配設されている。当該膜鳴楽器用シェル1は、このように第一単板11aと第二単板11bとの配設順が厚さ方向の中心を基準として対称であることによって、形状安定性をさらに高め、音質をさらに向上することができる。つまり、当該膜鳴楽器用シェル1は、周方向に殆ど変形しない第一単板11aが厚さ方向の中心から離れた位置に対称に配設されることによって形状安定性をさらに高め、音質をさらに向上することができる。
<製造方法>
次に、図4〜図6を参照して、当該膜鳴楽器用シェル1の製造方法を説明する。当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、単位合板12を形成する工程(単位合板形成工程)と、複数の単位合板12を重ね合わせる工程(重ね合わせ工程)と、重ね合わせた複数の単位合板12を貼り合せる工程(貼り合せ工程)とを備える。
次に、図4〜図6を参照して、当該膜鳴楽器用シェル1の製造方法を説明する。当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、単位合板12を形成する工程(単位合板形成工程)と、複数の単位合板12を重ね合わせる工程(重ね合わせ工程)と、重ね合わせた複数の単位合板12を貼り合せる工程(貼り合せ工程)とを備える。
(単位合板形成工程)
前記単位合板形成工程では、図4(a)に示すように、木理が直交する第一単板11a及び第二単板11bを積層することで単位合板12を形成する。前記単位合板形成工程では、第一単板11a及び第二単板11bを接着剤で貼り合せることで単位合板12を形成する。この単位合板形成工程で形成される単位合板12は、図4(b)に示すように、第一単板11aの木理が長手方向と平行な平面視平行四辺形状とされることが好ましい。第一単板11a及び第二単板11bを接着する接着剤としては、例えばユリア系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ビニルウレタン系接着剤、メラミン系接着剤等が挙げられる。
前記単位合板形成工程では、図4(a)に示すように、木理が直交する第一単板11a及び第二単板11bを積層することで単位合板12を形成する。前記単位合板形成工程では、第一単板11a及び第二単板11bを接着剤で貼り合せることで単位合板12を形成する。この単位合板形成工程で形成される単位合板12は、図4(b)に示すように、第一単板11aの木理が長手方向と平行な平面視平行四辺形状とされることが好ましい。第一単板11a及び第二単板11bを接着する接着剤としては、例えばユリア系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、ビニルウレタン系接着剤、メラミン系接着剤等が挙げられる。
前記接着剤の塗布量の下限としては、100g/m2が好ましく、150g/m2がより好ましい。一方、前記接着剤の塗布量の上限としては、400g/m2が好ましく、350g/m2がより好ましい。前記接着剤の塗布量が前記下限に満たないと、第一単板11a及び第二単板11bが剥がれ易くなるおそれがある。逆に、前記接着剤の塗布量が前記上限を超えると、当該膜鳴楽器用シェル1の重さが不要に大きくなると共に、音質が低下するおそれがある。
(重ね合わせ工程)
前記重ね合わせ工程は、図5に示す外型21を用いて行う。外型21は、内部に中空部21aを有する円筒状に形成されており、中空部21aを画定する内周面が成形面を構成している。前記重ね合わせ工程では、まず当該膜鳴楽器用シェル1において最も径方向外側に配設される単位合板12を第一単板11aの木理が周方向に配向するように円筒状に丸めた上、外型21の中空部21aに挿入する。
前記重ね合わせ工程は、図5に示す外型21を用いて行う。外型21は、内部に中空部21aを有する円筒状に形成されており、中空部21aを画定する内周面が成形面を構成している。前記重ね合わせ工程では、まず当該膜鳴楽器用シェル1において最も径方向外側に配設される単位合板12を第一単板11aの木理が周方向に配向するように円筒状に丸めた上、外型21の中空部21aに挿入する。
次に、前記重ね合わせ工程では、この挿入した単位合板12の内周面に接着剤を塗布する。この接着剤としては、前述の単位合板12の貼り合せに用いた接着剤と同様の接着剤を用いることができる。この接着剤の塗布量の下限としては、80g/m2が好ましく、100g/m2がより好ましい。一方、この接着剤の塗布量の上限としては、400g/m2が好ましく、350g/m2がより好ましい。接着剤の塗布量が前記下限に満たないと、この単位合板12とこの単位合板に重ねられる他の単位合板12との接着力が不十分となるおそれがある。逆に、接着剤の塗布量が前記上限を超えると、当該膜鳴楽器用シェル1の重さが不要に大きくなると共に、音質が低下するおそれがある。なお、前記重ね合わせ工程では、単位合板12を外型21の中空部21aに挿入した後にこの単位合板12の内周面に接着剤を塗布することが好ましいが、単位合板12を外型21の中空部21aに挿入する前に接着剤を塗布してもよい。
続いて、前記重ね合わせ工程では、他の単位合板12を用意し、この単位合板12の前記外型21の中空部21aに挿入された単位合板12との積層面に接着剤を塗布する。この接着剤としては、外型21の中空部21aに挿入された前述の単位合板12に塗布した接着剤と同様の接着剤を用いることができる。また、この接着剤の塗布量としては、前述の単位合板12の内周面に塗布した接着剤の塗布量と同様とすることができる。
さらに、前記重ね合わせ工程では、接着剤の塗布面が外側となるように前記他の単位合板12を円筒状に丸めた上、中空部21aに挿入された単位合板12の内周面に重ね合わせる。
前記重ね合わせ工程では、このように円筒状に丸められた複数の単位合板12を外型21の内周面側に順次重ね合わせていく。但し、この重ね合わせ工程では、最内面を構成する単板の内周面には接着剤を塗布しない。当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、この重ね合わせ工程によって、当該膜鳴楽器用シェル1の全体の厚さを所望の厚さに調整する。当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、各単位合板12が比較的丸め易い厚さに調整されることで、複数の単位合板12を外型21の内周面側に容易かつ確実に重ね合わせることができる。
(貼り合せ工程)
前記貼り合わせ工程では、図6に示す内型22を用いて行う。内型22は、円柱状又は円筒状のコア部23と、このコア部23の軸方向の両端から径方向外側に連接される円盤状の一対のフランジ部24と、この一対のフランジ部24の外周縁から連続して設けられ、ゴム等の弾性材料から形成される円筒状の被膜25とを有する。内型22は、コア部23、一対のフランジ部24及び被膜25によって画定される空気室26を有する。空気室26は、図示しない配管によって空気供給源に接続されている。内型22は、空気供給源から空気室26に圧縮空気を供給することで被膜25が径方向外側に膨張するように構成されている。
前記貼り合わせ工程では、図6に示す内型22を用いて行う。内型22は、円柱状又は円筒状のコア部23と、このコア部23の軸方向の両端から径方向外側に連接される円盤状の一対のフランジ部24と、この一対のフランジ部24の外周縁から連続して設けられ、ゴム等の弾性材料から形成される円筒状の被膜25とを有する。内型22は、コア部23、一対のフランジ部24及び被膜25によって画定される空気室26を有する。空気室26は、図示しない配管によって空気供給源に接続されている。内型22は、空気供給源から空気室26に圧縮空気を供給することで被膜25が径方向外側に膨張するように構成されている。
前記貼り合せ工程では、まず前記重ね合わせ工程で重ね合わせた複数の単位合板12の内周面側に内型22を挿入し、外型21及び内型22間に複数の単位合板12を挟み込む。次に、前記貼り合せ工程では、外型21の外周に図示しないヒーターを取り付けて、外型21と共に複数の単位合板12を加熱しつつ、内型22の空気室26に圧縮空気を供給して被膜25を膨張させる。この被膜25の膨張により、複数の単位合板12が外型21の内周面に均等に押圧され、複数の単位合板12が外型21の内周面及び内型22の外周面に対応した形状に加工される。また同時に、ヒーターからの熱によって複数の単位合板12の重ね合わせ面に塗布された接着剤が硬化する。これにより、当該膜鳴楽器用シェル1が所望の形状に形成される。前記貼り合せ工程における圧締圧力としては、例えば0.1MPa以上1MPa以下とすることができる。また、前記加熱温度としては、例えば70℃以上120℃以下とすることができる。さらに、前記加熱時間としては、例えば10分以上100分以下とすることができる。
なお、当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、前記貼り合せ工程の後に、複数の単位合板12の中心軸方向の両側のはみ出した部分を切断する工程(切断工程)をさらに備えていてもよい。また、当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、前記貼り合せ工程の後に、外周面及び/又は内周面に塗装を施す工程(塗装工程)をさらに備えていてもよい。
<利点>
当該膜鳴楽器用シェル1は、複数の単板(第一単板11a及び第二単板11b)が積層されて形成されているので、軽量化を図ることができる。また、当該膜鳴楽器用シェル1は、木理が周方向に配向する第一単板11aの合計厚さが木理が中心軸方向に配向する第二単板11bの合計厚さよりも大きいので形状安定化を向上することができる。当該膜鳴楽器用シェル1は、木理が周方向に配向する第一単板11aの合計厚さが木理が中心軸方向に配向する第二単板11bの合計厚さよりも大きいことで真円度を高め歪みを抑制することができるので、音質を向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェル1は、複数の単板(第一単板11a及び第二単板11b)が積層されて形成されているので、軽量化を図ることができる。また、当該膜鳴楽器用シェル1は、木理が周方向に配向する第一単板11aの合計厚さが木理が中心軸方向に配向する第二単板11bの合計厚さよりも大きいので形状安定化を向上することができる。当該膜鳴楽器用シェル1は、木理が周方向に配向する第一単板11aの合計厚さが木理が中心軸方向に配向する第二単板11bの合計厚さよりも大きいことで真円度を高め歪みを抑制することができるので、音質を向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェルの製造方法は、軽量化を図りつつ、音質を向上することができる当該膜鳴楽器用シェル1を容易かつ確実に製造することができる。
[第二実施形態]
<膜鳴楽器用シェル>
図7の膜鳴楽器用シェル31は、図2の膜鳴楽器用シェル1に代えて膜鳴楽器に備えられる。当該膜鳴楽器用シェル31は、3枚の単位合板12の積層体として構成されている。各単位合板12は、図2の単位合板12と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
<膜鳴楽器用シェル>
図7の膜鳴楽器用シェル31は、図2の膜鳴楽器用シェル1に代えて膜鳴楽器に備えられる。当該膜鳴楽器用シェル31は、3枚の単位合板12の積層体として構成されている。各単位合板12は、図2の単位合板12と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
当該膜鳴楽器用シェル31にあっては、径方向の最も内側に配設される単位合板12は、木理が周方向に配向する第一単板11aが径方向内側に位置しており、それ以外の2枚の単位合板12は、木理が周方向に配向する第一単板11aが径方向外側に位置している。これにより、当該膜鳴楽器用シェル31は、木理が周方向に配向する第一単板11aによって最内面及び最外面が構成されている。
<利点>
当該膜鳴楽器用シェル31は、前述の当該膜鳴楽器用シェル1と同様、軽量化を図りつつ、音質を向上することができる。さらに、当該膜鳴楽器用シェル31は、積層される単位合板12の枚数を少なくすることで、第一単板11a及び第二単板11b間を接着する接着剤の全体量を低減することができるので、接着剤に基づく音質の低下や重さの増加を抑えることができる。
当該膜鳴楽器用シェル31は、前述の当該膜鳴楽器用シェル1と同様、軽量化を図りつつ、音質を向上することができる。さらに、当該膜鳴楽器用シェル31は、積層される単位合板12の枚数を少なくすることで、第一単板11a及び第二単板11b間を接着する接着剤の全体量を低減することができるので、接着剤に基づく音質の低下や重さの増加を抑えることができる。
[その他の実施形態]
なお、本発明に係る膜鳴楽器用シェルは、前記態様の他、種々の変更、改変を施した態様で実施することができる。例えば当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板及び木理が中心軸方向に配向する単板が各1枚ずつ備えられている限り、これらの単板は必ずも2枚以上用いられていなくてもよい。また、木理が周方向に配向する単板の枚数及び木理が中心軸方向に配向する単板の枚数は必ずしも等しくなくてもよい。さらに、当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板及び木理が中心軸方向に配向する単板のみの組合せによって構成されることが好ましいが、木理がこれらの方向以外に配向する他の単板を備えていてもよい。
なお、本発明に係る膜鳴楽器用シェルは、前記態様の他、種々の変更、改変を施した態様で実施することができる。例えば当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板及び木理が中心軸方向に配向する単板が各1枚ずつ備えられている限り、これらの単板は必ずも2枚以上用いられていなくてもよい。また、木理が周方向に配向する単板の枚数及び木理が中心軸方向に配向する単板の枚数は必ずしも等しくなくてもよい。さらに、当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板及び木理が中心軸方向に配向する単板のみの組合せによって構成されることが好ましいが、木理がこれらの方向以外に配向する他の単板を備えていてもよい。
当該膜鳴楽器用シェルは、木理が中心軸方向に配向する単板によって最内面及び/又は最外面が構成されていてもよい。
当該膜鳴楽器用シェルは、必ずしも複数の単位合板の積層体として構成される必要はなく、複数の単板が順次積層されて構成されていてもよい。また、当該膜鳴楽器用シェルは、1又は複数の単位合板と、1又は複数の単板とを組み合わせて構成されてもよい。
当該膜鳴楽器用シェルは、効果的に強度を向上する点からは、木理が周方向に配向する複数の単板の厚さがそれぞれ同じであり、木理が中心軸方向に配向する複数の単板の厚さがそれぞれ同じであることが好ましいが、これらの単板の厚さはそれぞれ異なっていてもよい。また、当該膜鳴楽器用シェルは、各単位合板において、木理が周方向に配向する単板の厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の厚さより大きい必要はなく、例えば木理が中心軸方向に配向する単板の厚さが木理が周方向に配向する単板の厚さよりも大きい単位合板を含んていてもよい。
当該膜鳴楽器用シェルを構成する単板の枚数は特に限定されるものではない。但し、接着剤の量を抑え、接着剤に基づく音質の低下や重さの増加を抑える点からは、単板の枚数の上限としては、12枚が好ましく、10枚がより好ましい。一方、単板の枚数の下限としては、製造容易性及び製造後の形状安定性を高める点から、4枚が好ましく、6枚がより好ましい。
当該膜鳴楽器用シェルは、各単位合板において、木理が中心軸方向に配向する単板が厚さ方向の内側に位置していなくてもよい。当該膜鳴楽器用シェルは、木理が中心軸方向に配向する単板が厚さ方向の内側に位置していない場合でも、木理が周方向に配向する単板の合計厚さを大きくすることで、音質を向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェルは、前述の第二実施形態で示したように、厚さ方向の中心を基準とした場合、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との配設順が対称でなくてもよい。当該膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との配設順が対称でない場合でも、木理が周方向に配向する単板の合計厚さを大きくすることで、音質を向上することができる。
当該膜鳴楽器用シェルは、各種ドラム、タンバリン、コンガ、ボンゴ、和太鼓等の種々の膜鳴楽器に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
メープルから構成され、木理が周方向に配向する厚さ1mmの単板(「第一単板」ともいう)、及びメープルから構成され、木理が中心軸方向に配向する厚さ0.5mmの単板(「第二単板」ともいう)の積層体からなる単位合板を図5の外型21の中空部21aに挿入した。なお、この単位合板は、第一単板の表面にユリア系接着剤を塗布量350g/m2で塗布し、この塗布面に第二単板を重ね合わせた上、接着剤を硬化することで製造した。
メープルから構成され、木理が周方向に配向する厚さ1mmの単板(「第一単板」ともいう)、及びメープルから構成され、木理が中心軸方向に配向する厚さ0.5mmの単板(「第二単板」ともいう)の積層体からなる単位合板を図5の外型21の中空部21aに挿入した。なお、この単位合板は、第一単板の表面にユリア系接着剤を塗布量350g/m2で塗布し、この塗布面に第二単板を重ね合わせた上、接着剤を硬化することで製造した。
次に、中空部21aに挿入した単位合板の内周面にユリア系接着剤を塗布量350g/m2で塗布した。さらに、前記と同様の構成を有する単位合板を製造し、この単位合板の外周面に前記同様の接着剤を前記同様の塗布量で塗布した上、この単位合板を外型の中空部21aに挿入した。この工程を繰り返し行い、外型21の内周面に4枚の単位合板を第一単板、第二単板、第一単板、第二単板、第二単板、第一単板、第二単板、第一単板の順で重ね合わせた。なお、最内面を構成する第一単板の内周面には接着剤は塗布していない。
次に、外型21の内周面に重ね合わされた4枚の単位合板の内周面側に、図6の内型22を挿入した。続いて、外型21の外周にヒーターを取り付けて、外型21と共に4枚の単位合板を加熱しつつ、内型22の空気室26に圧縮空気を供給して被膜25を膨張させた。さらに、接着剤が硬化した後に、4枚の単位合板の積層体を外型21及び内型22から取り出して実施例1の膜鳴楽器用シェルを得た。
[比較例1]
第一単板及び第二単板の厚さを共に1mmとした以外は実施例1と同様にして単位合板を製造した。次に、複数の単位合板を実施例1と同様に接着剤を塗布しつつ、順次図5の外型21の中空部21aに挿入することで、外型21の内周面に3枚の単位合板を第一単板、第二単板、第一単板、第二単板、第二単板、第一単板の順で重ね合わせた。続いて、外型21の内周面に重ね合わされた3枚の単位合板の内周面側に図6の内型22を挿入し、実施例1と同様に加熱しつつ、内型22の空気室26に圧縮空気を供給して被膜25を膨張させた。さらに、接着剤が硬化した後に、3枚の単位合板の積層体を外型21及び内型22から取り出して比較例1の膜鳴楽器用シェルを得た。
第一単板及び第二単板の厚さを共に1mmとした以外は実施例1と同様にして単位合板を製造した。次に、複数の単位合板を実施例1と同様に接着剤を塗布しつつ、順次図5の外型21の中空部21aに挿入することで、外型21の内周面に3枚の単位合板を第一単板、第二単板、第一単板、第二単板、第二単板、第一単板の順で重ね合わせた。続いて、外型21の内周面に重ね合わされた3枚の単位合板の内周面側に図6の内型22を挿入し、実施例1と同様に加熱しつつ、内型22の空気室26に圧縮空気を供給して被膜25を膨張させた。さらに、接着剤が硬化した後に、3枚の単位合板の積層体を外型21及び内型22から取り出して比較例1の膜鳴楽器用シェルを得た。
[比較例2]
第一単板の厚さを0.5mmとし、第二単板の厚さを1mmとした以外は実施例1と同様にして比較例2の膜鳴楽器用シェルを得た。
第一単板の厚さを0.5mmとし、第二単板の厚さを1mmとした以外は実施例1と同様にして比較例2の膜鳴楽器用シェルを得た。
<周波数特性>
実施例1及び比較例1,2の膜鳴楽器用シェルの外周に加速度ピックアップ(株式会社富士セラミックス製の「S04SG」)を貼り、中心軸が水平方向となるように指で内周面を下方から支持した状態でバスドラム用ビーターによって外周面を水平方向に対し斜め上方45°の角度から加振した。この加振によるシェル周波数を表1に示す。
実施例1及び比較例1,2の膜鳴楽器用シェルの外周に加速度ピックアップ(株式会社富士セラミックス製の「S04SG」)を貼り、中心軸が水平方向となるように指で内周面を下方から支持した状態でバスドラム用ビーターによって外周面を水平方向に対し斜め上方45°の角度から加振した。この加振によるシェル周波数を表1に示す。
<減衰率>
実施例1及び比較例1,2の膜鳴楽器用シェルの外周に加速度ピックアップ(株式会社富士セラミックス製の「S04SG」)を貼り、中心軸が水平方向となるように指で内周面を下方から支持した状態でバスドラム用ビーターによって外周面を水平方向に対し斜め上方45°の角度から加振した。この加振による1次振動モードでの対数減衰率を表1に示す。
実施例1及び比較例1,2の膜鳴楽器用シェルの外周に加速度ピックアップ(株式会社富士セラミックス製の「S04SG」)を貼り、中心軸が水平方向となるように指で内周面を下方から支持した状態でバスドラム用ビーターによって外周面を水平方向に対し斜め上方45°の角度から加振した。この加振による1次振動モードでの対数減衰率を表1に示す。
[評価結果]
表1に示すように、実施例1の膜鳴楽器用シェルは、比較例1,2の膜鳴楽器用シェルに比べて共振周波数が上昇することで、明るく音抜けのよい音を出し易いことが分かる。また、実施例1の膜鳴楽器用シェルは、比較例1,2の膜鳴楽器用シェルに比べて減衰率が低く抑えられており、鳴りのよい音を大音量で出し易いことが分かる。実施例1の膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きいので、形状安定性が高められ、真円度が向上したことで、シェル周波数が上昇し、対数減衰率が低下した結果、比較例1,2の膜鳴楽器用シェルに比べて音質が向上されたと考えられる。
表1に示すように、実施例1の膜鳴楽器用シェルは、比較例1,2の膜鳴楽器用シェルに比べて共振周波数が上昇することで、明るく音抜けのよい音を出し易いことが分かる。また、実施例1の膜鳴楽器用シェルは、比較例1,2の膜鳴楽器用シェルに比べて減衰率が低く抑えられており、鳴りのよい音を大音量で出し易いことが分かる。実施例1の膜鳴楽器用シェルは、木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きいので、形状安定性が高められ、真円度が向上したことで、シェル周波数が上昇し、対数減衰率が低下した結果、比較例1,2の膜鳴楽器用シェルに比べて音質が向上されたと考えられる。
以上説明したように、本発明の膜鳴楽器用シェルは、軽量化を図りつつ、音質を向上することができるので、マーチング演奏用の膜鳴楽器用シェル等として適している。
1,31 膜鳴楽器用シェル
2 ヘッド膜
11a 第一単板
11b 第二単板
12 単位合板
21 外型
21a 中空部
22 内型
23 コア部
24 フランジ部
25 被膜
26 空気室
2 ヘッド膜
11a 第一単板
11b 第二単板
12 単位合板
21 外型
21a 中空部
22 内型
23 コア部
24 フランジ部
25 被膜
26 空気室
Claims (6)
- 複数の単板が積層された円筒状の膜鳴楽器用シェルであって、
各単板の木理が前記膜鳴楽器用シェルの周方向又は中心軸方向に配向しており、
木理が周方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さが、木理が中心軸方向に配向する1又は複数の単板の合計厚さよりも大きい膜鳴楽器用シェル。 - 木理が周方向に配向する単板によって最内面及び最外面が構成されている請求項1に記載の膜鳴楽器用シェル。
- 複数の単位合板が積層されてなり、この単位合板が、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との積層体である請求項1又は請求項2に記載の膜鳴楽器用シェル。
- 前記単位合板において、木理が周方向に配向する単板の厚さが木理が中心軸方向に配向する単板の厚さより大きい請求項3に記載の膜鳴楽器用シェル。
- 前記単位合板において、木理が中心軸方向に配向する単板が厚さ方向の中心側に位置している請求項3又は請求項4に記載の膜鳴楽器用シェル。
- 厚さ方向の中心を基準とした場合、木理が周方向に配向する単板と木理が中心軸方向に配向する単板との配設順が対称である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の膜鳴楽器用シェル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016059842A JP2017173586A (ja) | 2016-03-24 | 2016-03-24 | 膜鳴楽器用シェル |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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-
2016
- 2016-03-24 JP JP2016059842A patent/JP2017173586A/ja active Pending
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