JP2017173372A - 構造色ディスプレイ(レンズ) - Google Patents

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和浩 山本
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Abstract

【課題】構造色を利用して表示した画像(特にその色彩)が観察者の観察角度によって変化するのを防止することができる構造色ディスプレイ及びそれを用いた画像表示物を提供する。【解決手段】本発明に係る画像表示装置10は、構造色によって画像が表示される画像表示装置であって、構造色を発現する領域である構造色発現領域Rを有する画像表示シート1と、構造色発現領域Rの画像表示側に設置され、画像表示側に位置する構造色発現領域Rの面S1に対して予め設定した角度で入射する入射光と、その入射光のうち構造色発現領域Rの一部で反射した反射光とを選択的に透過する入反射光制限部2と、を少なくとも備え、入反射光制限部2は、画像表示シート1の厚み方向に沿って入射する入射光を透過可能に配置した平凹レンズL1を含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、構造色ディスプレイ及びそれを用いた画像表示物に関する。
画像表示装置の技術分野では、構造色を利用して画像を表示するものが既に知られている。この種の画像表示装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。
特開2007−11112号公報 特開2009−139800号公報
構造色によって画像を表示する構造色ディスプレイの多くは、ブラッグの法則によって定められた波長の可視光を用いて所望の画像を表示するものである。このため、従来技術に係る構造色ディスプレイには、表示した画像(特にその色彩)が観察者の観察角度によって変化するといった課題がある。この点について、図29を参照しつつ簡単に説明する。なお、以降、「構造色ディスプレイ」を、単に「画像表示装置」とも表記する。
図29は、従来技術に係る画像表示装置における課題を説明するための模式図である。図29(a)及び図29(b)は、従来技術に係る画像表示装置20で表示した画像を、互いに異なる角度で観察した場合を模式的に示した図である。図29(a)及び図29(b)に示すように、観察者の観察角度が異なると、画像表示シート1中を進行する光の距離(つまり、光路長)が異なる。このため、干渉する光の波長が変化し、画像表示装置20で表示した画像の色彩(つまり、反射光の波長)が変化する。なお、図29において、「3a」は入射光を示し、「3b」は反射光(構造色)を示している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構造色を利用して表示した画像(特にその色彩)が観察者の観察角度によって変化するのを防止することができる構造色ディスプレイ及びそれを用いた画像表示物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、構造色によって画像が表示される構造色ディスプレイであって、前記構造色を発現する領域である構造色発現領域を有する画像表示シートと、前記構造色発現領域の前記画像の表示側に設置され、前記画像の表示側に位置する前記構造色発現領域の面に対して予め設定した角度で入射する入射光と、前記入射光のうち前記構造色発現領域の一部で反射した反射光とを選択的に透過する入反射光制限部と、を少なくとも備え、前記入反射光制限部は、前記画像表示シートの厚み方向に沿って入射する入射光を透過可能に配置したレンズを含むことを特徴とする構造色ディスプレイである。
本発明の一態様に係る構造色ディスプレイによれば、構造色を利用して表示した画像が観察者の観察角によって変化するのを防止することができる。なお、本発明の一態様でいう観察角とは、表示装置を見る者の観察角であり、「液晶ディスプレイにおける視野角」
とは別の概念である。
本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態に係る画像表示装置における構造色の発現機構を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態の変形例1に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例2に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例3に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例4に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例5に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例6に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例7に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例8に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例9に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例10に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例11に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第1実施形態の変形例12に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第2実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第2実施形態に係る画像表示装置におけるシート厚変化を説明するための模式図である。 本発明の第3実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第4実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第5実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明の第6実施形態に係る画像表示装置の構成を示す概念断面図である。 本発明のその他の変形例に係るレンズを示す概念断面図である。 本発明のその他の変形例に係るレンズを示す概念断面図である。 散乱光型の光源を備えた構造色測定装置の概要を示す図である。 スポット光型の光源を備えた構造色測定装置の概要を示す図である。 構造色測定に用いた光源のスペクトル分布を示す図である。 レファレンスとして用いた構造色プレートの構成の概要を示す図である。 測定に用いた構造色プレートの構成の概要を示す図である。 観察角の変化に伴う色度変化の軌跡を示すxy色度図である。 従来技術に係る画像表示装置における課題を説明するための模式図である。 コロイド結晶の構造色発現の原理を示す概略図である。 多層構造の構造色発現の原理を示す概略図である。
以下、本発明に係る各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面において、同一の構成で同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る画像表示装置10の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置10の構成を示す概念断面図である。図1に示すように、画像表示装置10は、構造色によって画像が表示される画像表示装置であって、構造色を発現する領域である構造色発現領域Rを有する画像表示シート1と、構造色発現領域Rの画像表示側に設置され、その画像表示側の面S1に対して予め設定した角度で入射する入射光と、入射光のうち構造色発現領域Rの一部で反射した反射光とを選択的に透過する入反射光制限部2と、を備えたものである。以下、上記部材のそれぞれについて説明する。
(画像表示シート1)
図1に示す画像表示シート1は、構造色を発現することができるシート状部材である。この画像表示シート1には、例えば、予め設定した屈折率を有する樹脂を用いて一体的に形成した薄膜や板、又は対向配置された2枚のシートの間に予め設定した屈折率を有する気体、液体、固体のいずれかを充填して形成した積層体を使用することができる。ここで、2枚のシートの間に充填する物質としては、例えば、印加した電圧に応じて体積が変化する電圧応答性高分子ゲルが挙げられる。
なお、画像表示シート1は、構造色を発現することができればよく、例えばその材質や形状を問わない。また、そのサイズも問わない。この画像表示シート1としては、例えば、ラメラ構造を有する樹脂膜、帯電性の有機ポリマー又は無機の球状粒子を泳動させて、所定の支持表面に縦及び横方向に規則的に整合させた構造体、表面にナノ構造を備えた金属構造体、表面に凸部及び凹部を形成された基板を用いて、ナノインプリント技術により該凸部及び凹部を複数の樹脂板にインプリントして複製し、前記複製した複数枚の樹脂板を貼り合わせた基板、電界に応じて体積変化が生じる刺激応答性高分子ゲルなどの膨張・収縮体と、膨張・収縮体中に配される周期構造体、構造色を発現する表示層と、当該表示層を透過する光を反射する反射界面とを有する球体及びマトリックス、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された積層体、可視光の波長の1/2波長の整数倍程度の周期間隔とされる規則的な微細構造を有した微細周期構造体等を挙げることができる。
画像表示シート1は、その一部に構造色を発現する領域(画像を表示する領域)である構造色発現領域Rを有している。この構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みは、構造色発現領域R全体に亘って略均一である。
なお、構造色発現領域Rは、そのサイズや形状、個数を問わない。
以下、構造色発現領域Rについて、より詳しく説明する。
構造色発現領域Rは、光の干渉の原理による構造色を発現する機能を有する構造色材料にて形成されていればその材質は問わない。その際、構造色材料の構造は、後述する(1)コロイド粒子を媒体中に分散させたコロイド結晶構造、(2)逆オパール構造、(3)多層構造、(4)ラメラ構造、(5)薄膜構造のいずれであってもよい。(1)のコロイド結晶構造には、コロイド粒子の分散媒にモノマー及び架橋剤を溶解し重合して形成される高分子ゲルが含まれる。高分子ゲルとして親水性ポリマーのゲル(ハイドロゲル)を好適に使用できる。また、(4)のラメラ構造には、ブロックポリマーのミクロ相分離組織により形成されるラメラ構造の他、(高分子)界面活性剤の自己凝集により形成される自己凝集型ラメラ構造が含まれる。
さらに上記構造色材料は、既に述べた外部刺激に応答する刺激応答性構造色材料であってもよい。
構造色材料の採用に際しては、後述する、構造色材料の構造に対応する式(3)又は式(5)を考慮して選択される。
刺激応答性構造色材料としては、例えば、電場、変形(歪・応力)、熱、電磁波(可視光、紫外線、エックス線を含む)、湿気・水分、磁気、pH変化、溶媒接触、その他の刺激に応答し、その体積又はブラッグ周期が変化する刺激応答性材料にて構成される構造色材料を好適に使用できる。
(入反射光制限部2)
図1に示すように、構造色発現領域Rの画像表示側の面S1上には、入反射光制限部2が配置されている。この入反射光制限部2は、画像表示シート1の厚み方向に沿って入射する入射光を透過可能に配置したレンズLを含んでいる。そして、そのレンズLとしては、例えば、平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凹凸レンズ、フレネル凸レンズ、フレネル凹レンズ、ルーネベルグレンズから選択される少なくとも一つを挙げることができる。なお、図1には、レンズLとして平凹レンズL1を含んだ入反射光制限部2が例示されている。また、後述する各実施形態において、レンズLは、その側面から入射する光を遮る機能を有するレンズフォルダーによって保持されているが、参照する図では、そのレンズフォルダーの記載を省略している。ここで、レンズフォルダーは、レンズそのものの効果を測定するためには、例えば、その内側が黒色であるレンズフォルダーが好ましい。
以下、この平凹レンズL1を含んだ入反射光制限部2を例に挙げて、構造色の発現機構等を説明する。
<構造色の発現機構>
まず、「構造色」について簡単に説明する。
構造色は物体の微細周期構造に起因する光の干渉による発色である。玉虫等の昆虫や、宝石のオパールなどの美麗な発色も構造色によるものである。近年、サブマイクロスケールの微細周期構造が形成された、構造色を呈する材料(以下、単に「構造色材料」とも称する。)が開発されている。上記微細周期構造のタイプは多岐にわたるが、代表的な構造としては、(1)コロイド粒子を媒体中に分散させたコロイド結晶構造(オパール構造)、(2)逆オパール構造、(3)多層構造、(4)ラメラ構造、が知られている。上記(1)〜(4)のいずれの構造においても、高屈折率相と低屈折率相が所定の周期にて配置された周期構造を有するのが特徴である。この他、シャボン玉に代表される(5)薄膜構造も多重反射に起因する光の干渉により構造色を発する。
最近では、外部から刺激を加えることにより上記周期構造の周期を可変制御できる構造色材料も開発されつつある。例えば、刺激として、電場、変形(歪・応力)、熱、湿気(水分)、磁気、pH変化、溶媒接触などが知られている(以下、刺激を加えることにより構造色の色相が変わる構造色材料を「刺激応答性構造色材料」とも称する。)。いずれもこれらの刺激により、周期構造の、(ブラッグ)周期又は屈折率が変わり、結果、視認される構造色が変わる性質を利用するものである。
次に、図2を参照しつつ、画像表示装置10の構造色の発現機構について簡単に説明する。
図2は、画像表示装置10における構造色の発現機構を説明するための模式図である。図2には、構造色発現領域Rを有する画像表示シート1と、構造色発現領域R上に配置された平凹レンズL1を含む入反射光制限部2とが示されている。ここで、平凹レンズL1は、その平面L1を画像表示シート1側に向けて配置されている。なお、図2には、画像表示シート1に入射する入射光3aと、画像表示シート1で反射した反射光3aとが模式的に示されている。
まず、図2に示した画像表示シート1に向けて光(例えば、太陽光等)が照射される。そして、その光は、平凹レンズL1を透過する際に屈折して構造色発現領域Rに入射される。そして、構造色発現領域Rに到達した入射光3aのうち一部は、面S1で反射する。また、この入射光3aのうち一部は、例えば面S2で反射する。このように異なる面(箇所)で反射した反射光3a同士が干渉することで構造色が発現する。発現した構造色は、平凹レンズL1を再度透過し屈折して観察者に観察(視認)される。つまり、色は変わらない。
以上のように、入反射光制限部2にレンズL(平凹レンズL1)を設けることによって、観察者の観察角度が変化した場合であっても、画像表示シート1中における光路長自体は変化しないので、発現する構造色の波長は変化しない。したがって、第1実施形態に係る画像表示装置10によれば、構造色を利用して表示した画像が観察者の観察角度によって変化するのを防止することができる。
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態では、入反射光制限部2に含まれるレンズLとして、平面L1を画像表示シート1側に向けて配置した平凹レンズL1を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、そのレンズLは、図3に示すように、凹面L2を画像表示シート1側に向けて配置した平凹レンズL2であってもよいし、図4に示すように、一方の凹面L3を画像表示シート1側に向けて配置した両凹レンズL3であってもよい。また、レンズLは、図5に示すように、平面L4を画像表示シート1側に向けて配置したフレネル凹レンズL4であってもよいし、図6に示すように、凹面L5を画像表示シート1側に向けて配置したフレネル凹レンズL5であってもよい。
また、レンズLは、図7に示すように、平凹レンズL1をその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称平凹レンズL6であってもよいし、図8に示すように、平凹レンズL2をその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称平凹レンズL7であってもよい。また、レンズLは、図9に示すように、両凹レンズL3をその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称両凹レンズL8であってもよい。また、レンズLは、図10に示すように、フレネル凹レンズL4をその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称フレネル凹レンズL9であってもよいし、図11に示すように、フレネル凹レンズL5をその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称フレネル凹レンズL10であってもよい。なお、レンズLが非対称平凹レンズL6、非対称平凹レンズL7、非対称両凹レンズL8、非対称フレネル凹レンズL9、非対称フレネル凹レンズL10である場合には、切断面L6〜L10がそれぞれ観察者の反対側又は光源の反対側を向くことが好ましい。なお、図7〜11では、観察者及び光源は各図面の左側に位置していると仮定している。
また、レンズLは、図12に示すように、平凸レンズをその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称平凸レンズL11であってもよいし、図13に示すように、フレネル凸レンズをその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称フレネル凸レンズL12であってもよい。なお、レンズLが非対称平凸レンズL11、非対称フレネル凸レンズL12である場合には、切断面L11、L12が観察者側又は光源側を向くことが好ましい。図12、13では、観察者及び光源は各図面の左側に位置していると仮定しているため、切断面L11、L12は図面左側を向いている。
また、レンズLは、図14に示すように、平凹レンズをその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称レンズ部分L131と、平凸レンズをその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称レンズ部分L132とを貼り合わせた形態の非対称レンズL13であってもよい。なお、非対称レンズL13は、凹面L13を画像表示シート1側に向けて配置されることが好ましい。また、非対称レンズL13では、その端面L13が観察者側又は光源側を向くことが好ましい。図14(a)では、観察者及び光源は各図面の左側に位置していると仮定しているため、端面L13は図面左側を向いている。図14(b)は、非対称レンズL13の斜視図である。
また、画像表示装置10において、レンズL1上に、前述した種々のレンズを重ねて配置することも可能である。また、画像表示装置10において、レンズL1の内部に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための粒子、空隙及び欠陥の少なくとも一つを備えることも可能である。また、画像表示装置10において、レンズL1の表面に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理を施すことも可能である。
<使用方法>
画像表示装置10では、入反射光制限部2に含まれるレンズLと構造色発現領域Rとが重なる領域がそれぞれ画素として機能する。このため、画像表示装置10では、各画素を予め設定した画像が表示されるように配列しておく。そして、この画像表示装置10を例えば屋外に設置する。これにより、太陽をその光源とすることができる。こうすることで、画像を表示するための電力を必要とせず、且つ、観察者の観察角度によって色彩等が変化しない画像を表示することができる。
なお、複数の構造色を用いて画像を表示する場合には、予め設定した領域における画像表示シート1の厚みを変化させればよい。こうすることで、画像表示シート1中における光路長が変化するので、構造色の色彩を変化させることができる。こうして、複数の色の構造色を用いて画像を表示させることができる。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る画像表示装置11の構成について説明する。図15は、本発明の第2実施形態に係る画像表示装置11の構成を示す概念断面図である。図15に示すように、画像表示装置11の構造は、上述の第1実施形態に係る画像表示装置10の構造と略同じであるが、構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みd1を調整するシート厚調整部4を備える点で画像表示装置10とは異なる。そこで、第2実施形態では、主として、このシート厚調整部4について説明し、その他の構成部材についての説明は省略する。なお、画像表示装置11において、レンズL1として、前述した種々のレンズLを用いることは可能である。また、レンズL1上に、前述した種々のレンズを重ねて配置することも可能である。また、レンズL1の表面に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理を施すことも可能である。
(シート厚調整部4)
図15に示すように、シート厚調整部4は、構造色発現領域Rを挟んで入反射光制限部2に含まれるレンズL1に対向する位置に配置されている。このシート厚調整部4には、例えば、画像表示シート1に接触する電極(図示せず)を含んだものを使用することができる。
なお、シート厚調整部4は、構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みd1を調整できるものであればよく、例えば、その手段を問わない。また、そのサイズも問わない。
例えば、シート厚調整部4は、刺激応答性構造色材料に刺激を加えてもよい。シート厚調整部4により加えられる刺激としては、例えば、電場、変形(歪・応力)、熱、光、磁場などである。シート厚調整部4は上記刺激により、構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みd1を調整できる。
<構造色の色彩変化機構>
以下、電極を含んだシート厚調整部4を用いて構造色の色彩を変化させる手段(機構)について、図16を参照しつつ説明する。図16は、第2実施形態に係る画像表示装置11におけるシート厚変化を説明するための模式図である。図16(a)は、画像表示シート1の厚みを変化させる前の状態(シート厚d1)を示し、図16(b)は、シート厚を変化させた後の状態(シート厚d2)を示している。また、図16(a)及び図16(b)に示した画像表示シート1は、印加した電圧に応じて体積が変化する電圧応答性高分子ゲルを含んだシートである。なお、電場付与のためのシート厚調整部4を構成する電極としては、構造色の視認の妨げとならないITO(Indium Tin Oxide)電極を使用することができる。
シート厚調整部4に含まれる電極は画像表示シート1に接触しており、その電極に電圧を印加すると、印加した電圧に応答して構造色発現領域Rにおける電圧応答性高分子ゲルの体積が減少又は増加する。このように、電圧応答性高分子ゲルの体積を減少又は増加させることで、構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みを調整する。図16(b)は、印加した電圧に応答して電圧応答性高分子ゲルの体積が増加し、シート厚が増加した様子を模式的に示している。なお、印加した電圧を解除すると、電圧応答性高分子ゲルの体積は電圧印可前の状態に戻るので、シート厚は図16(a)に示す状態へと戻る。
以上のようにして、画像表示シート1の厚みを変化させると、画像表示シート1中における光路長が変化する。こうして、干渉する光の波長を変化させることで、構造色の色彩を変化させることができる。
[第3実施形態]
以下、第3実施形態に係る画像表示装置12の構成について説明する。図17は、本発明の第3実施形態に係る画像表示装置12の構成を示す概念断面図である。図17に示すように、画像表示装置12の構造は、上述の第1実施形態に係る画像表示装置10の構造と略同じであるが、画像表示シート1が積層構造をしている点で画像表示装置10とは異なる。そこで、第3実施形態では、主として、この積層構造をした画像表示シート1について説明し、その他の構成部材についての説明は省略する。なお、画像表示装置12において、レンズL1として、前述した種々のレンズLを用いることは可能である。また、レンズL1上に、前述した種々のレンズを重ねて配置することも可能である。また、レンズL1の表面に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理を施すことも可能である。
(画像表示シート1)
図17に示す画像表示装置12に備わる画像表示シート1は、構造色を発現する構造色発現層1a〜1cが画像表示シート1の厚み方向に沿って積層した多層構造体である。そして、構造色発現領域Rにおける構造色発現層1a〜1cの各層の厚みは同じである。このように、画像表示シート1を多層構造体とすることで、構造色発現層1a〜1cの各層における界面で入射光を反射させることができる。複数の面で光が反射した場合には、干渉可能な波長領域が狭まるので、これにより発現する構造色の単色性を高めることができる。
構造色発現層1a〜1cの各層の厚みについては、構造色発現層1a〜1cのうちいずれか1層を基準層とした場合に、その基準層の厚みの整数倍となっていればよい。この場合であっても、発現する構造色の単色性を高めることができる。第3実施形態では、上述の基準層を構造色発現層1aとし、構造色発現層1b、1cの各層の厚みを構造色発現層1aの厚みの1倍としている。
また、構造色発現層1a〜1cの各層は、全て同じ材料で形成されている。こうすることで、画像表示装置12の製造コストが高騰するのを低減することができる。
なお、構造色発現層1a〜1cの各層の材質や形状を問わない。また、そのサイズも問わない。
また、構造色発現層1a〜1cの各層ごとの、屈折率nと厚みtとをかけた値は、各層で同じであってもよい。こうすることで、単色性を高めた構造色を発現させることができる。
また、構造色発現層1a〜1cの各層ごとの、下記式(1)により算出された屈折率nの値は、各層で同じであってもよい。こうすることで、単色性を高めた構造色を発現させることができる。
n=√(ε・μ/ε・μ) ・・・(1)
(なお、nは屈折率、εは材質の誘電率、μは材質の透磁率、εは真空の誘電率、μは真空の透磁率を、それぞれ示している。)
[第4実施形態]
以下、第4実施形態に係る画像表示装置13の構成について説明する。図18は、本発明の第4実施形態に係る画像表示装置13の構成を示す概念断面図である。図18に示すように、画像表示装置13の構造は、上述の第2実施形態に係る画像表示装置11を複数備えている点(つまり入反射光制限部2に含まれるレンズL1が、所謂レンズアレイ状に複数配置されている点)、と、画像表示シート1と入反射光制限部2に含まれるレンズL1との間に画素領域を区画する画素区画枠(以下、単に「フレーム」とも称する。)5が配置されている点で画像表示装置11とは異なる。また、複数のシート厚調整部4(4a〜4e)を備えている点でも画像表示装置11とは異なる。そこで、第4実施形態では、主として、このフレーム5と、シート厚調整部4a〜4eとについて説明し、その他の構成部材についての説明は省略する。なお、入反射光制限部2に含まれるレンズL1(L1a〜L1e)及び構造色発現領域R(Ra〜Re)については、その個数を問わない。また、画像表示装置13において、レンズL1として、前述した種々のレンズLを用いることは可能である。また、レンズL1上に、前述した種々のレンズを重ねて配置することも可能である。また、レンズL1の表面に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理を施すことも可能である。
(フレーム5)
図18に示すフレーム5は、画像表示シート1と入反射光制限部2に含まれるレンズL1との間に配置され、可視光を吸収するシート状部材である。このフレーム5は、構造色発現領域Ra〜Reのそれぞれを露出して画素領域を区画する開口部を備えている。
なお、フレーム5は、画素領域を区画する開口部を備えていればよく、例えば、その材質や形状を問わない。また、そのサイズも問わない。例えば、フレーム5は、電気的な絶縁性を有する絶縁膜で形成されていてもよいし、伸縮性等を有する材質(緩衝材等)で形成されていてもよい。また、このフレーム5は、必要に応じて配置されるものであり、本実施形態において必須の部材ではない。また、フレーム5に備わる開口部についても、その形状やサイズ、個数を問わない。また、フレーム5の色は、画素領域を明確に区画するために、例えば黒色である。
(シート厚調整部4a〜4e)
上述した第2実施形態に係る画像表示装置11は、図16に示すように、構造色発現領域Rのシート厚を1つのシート厚調整部4で調整している。これに対し、第4実施形態に係る画像表示装置13では、複数の構造色発現領域Ra〜Reのシート厚を、複数のシート厚調整部4a〜4eで調整している。より詳しくは、画像表示装置13に備わるシート厚調整部4a〜4eは、構造色発現領域Ra〜Reと重なるように配置されている。こうすることで、画素ごとにシート厚を調整することができ、例えば、赤色の構造色R、緑色の構造色G、青色の構造色Bを画素ごとに表示することができる。このため、解像度の高い画像を表示することができる。また、上記構成とすることで、1つの画素で、赤色の構造色R、緑色の構造色G、青色の構造色B、又は中間色を自在に表示することができる。
なお、画像表示装置11に備わるシート厚調整部4と、画像表示装置13に備わるシート厚調整部4a〜4eとは、設置位置及びサイズが異なるものの機能自体は同じである。
[第5実施形態]
以下、第5実施形態に係る画像表示装置14の構成について説明する。図19は、本発明の第5実施形態に係る画像表示装置14の構成を示す概念断面図である。図19に示すように、画像表示装置14の構造は、フレーム5が画像表示シート1内に埋め込まれるように配置されている以外は、上述の第4実施形態に係る画像表示装置13の構成と同じである。よって、ここでは、画像表示装置14の構造の詳細については省略する。なお、画像表示装置14において、レンズL1として、前述した種々のレンズLを用いることは可能である。また、レンズL1上に、前述した種々のレンズを重ねて配置することも可能である。また、レンズL1の表面に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理を施すことも可能である。
[第6実施形態]
以下、第6実施形態に係る画像表示装置15の構成について説明する。図20は、本発明の第6実施形態に係る画像表示装置15の構成を示す概念断面図である。図20に示すように、画像表示装置15の構造は、上述の第4実施形態に係る画像表示装置13の構造と略同じであるが、入反射光制限部2上に入射光の開口角を広げ、反射光を拡散させる光散乱シート9を備える点で画像表示装置13とは異なる。そこで、第6実施形態では、主として、この光散乱シート9について説明し、その他の構成部材についての説明は省略する。
(光散乱シート9)
図20に示す光散乱シート9は、入射光の開口角を広げ、反射光を拡散させて視野角を広げるためのシート状部材である。また、光散乱シート9は、入反射光制限部2の画像表示側を覆うように配置されている。こうすることで、観察者は、より広い角度で画像を観察することができる。
なお、光散乱シート9は、入射光の開口角を広げ、反射光を拡散させて視野角を広げることができればよく、例えばその材質や形状を問わない。また、そのサイズも問わない。
また、光散乱シート9は、上述のように、反射光を拡散させるものに限定されない。例えば、光散乱シート9は、入射光と反射光を共に拡散する機能を有するものであってもよい。その場合、光散乱シート9は、適度の拡散性を有しつつ、光透過率の高いものが好ましい。過度に光を拡散する場合には、視認できる構造色の輝度が低下する。入反射光を拡散する機能を有する光散乱シート9の材料としては、例えば、表面を粗面化したガラス板(すりガラス)、光散乱フィルム、光散乱シート、半透明フィルム、トレーシングペーパー、グラシン紙、パラフィン紙などが挙げられる。
なお、上記効果を同じ効果を得るために、光散乱シート9に代えて、レンズL(L1〜L10)の内部に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための粒子、空隙及び欠陥の少なくとも一つを設けてもよい。
また、上記効果を同じ効果を得るために、光散乱シート9に代えて、入反射光制限部2に含まれるレンズL(L1〜L10)の表面に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理を施してもよい。
(本実施形態の効果)
(1)画像表示装置10〜15は、構造色発現領域Rを有する画像表示シート1と、構造色発現領域Rの画像表示側に設置され、画像表示側に位置する面S1に対して予め設定した角度で入射する入射光3aと、入射光3aのうち構造色発現領域Rの一部で反射した反射光3aとを選択的に透過する入反射光制限部2と、を少なくとも備えている。そして、入反射光制限部2は、画像表示シート1の厚み方向に沿って入射する入射光3aを透過可能に配置したレンズL(L1〜13)を含んでいる。
このような構成であれば、入射光3aの入射角度と、反射光3aの反射角度とを予め設定した角度にすることができる。このため、観察者の観察角度が異なった場合であっても、画像表示シート1中の光路長は変化せず、干渉する光の波長も変化しない。これにより、画像表示装置10〜15で表示した構造色が変化するのを防止することができる。
また、このような構成であれば、入射光3aの光源を太陽光にすれば、画像を表示するための電力を必要としない。
また、本発明の一態様に係る構造色ディスプレイであれば、光源の位置、即ち光の入射角度が変化した場合であっても、構造色を利用して表示した画像が変化するのを防止することもできる。
また、本発明の一態様に係る構造色ディスプレイであれば、例えば、入射光が多重反射した光、つまり、入射光の一部が屋外に設置された外壁等により反射した光である場合でも、構造色を利用して表示した画像の輝度ムラを防止することもできる。
(2)画像表示装置10〜15は、入反射光制限部2に含まれるレンズL(L1〜L13)上に、別のレンズL(L1〜L13)を重ねて配置してもよい。
このような構成であれば、容易に視野角を広げることができる。なお、ここで言う「視野角」は、ディスプレイ装置の性能のひとつを表す「視野角」であり、ディスプレイ装置を見る者の「観察角」ではない。また、液晶ディスプレイでは、見る角度によって色が変わることはない。これに対し、構造色ディスプレイにおいては、見る角度によって色が変わる。つまり、液晶ディスプレイでいうところの「視野角」とは、表示画像が正しく見える範囲をいう。構造色ディスプレイでいうところの「視野角」とは、表示画像の色が正しく見える範囲も含む概念である。
(3)画像表示装置15は、構造色発現領域Rを挟み入反射光制限部2に対向する位置で、構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みを調整するシート厚調整部4を備えている。
このような構成であれば、構造色発現領域Rにおける画像表示シート1の厚みを自在に調整することができるので、発現する構造色の色彩を多様に変化させることができる。
(4)画像表示装置15のシート厚調整部4は、画像表示シート1に接触する電極を含み、画像表示シート1は、電圧に応じて体積が変化する電圧応答性高分子ゲルで形成されている。また、シート厚調整部4は、画像表示シート1を加熱可能な加熱部を含み、画像表示シート1は、熱に応じて体積が変化する熱応答性高分子ゲルで形成されている。また、シート厚調整部4は、画像表示シート1に光照射可能な光照射部を含み、画像表示シート1は、光に応じて体積が変化する光応答性高分子ゲルで形成されている。
このような構成であれば、シート厚調整部4に含まれる電極に電圧を印加することによって、画像表示シート1の厚みd1を自在に調整することができる。したがって、発現する構造色の色彩を多様に変化させることができるとともに、構造色の色彩を変化させる速度(応答速度)をより高めることができる。なお、画像表示シート1に対する加熱や光照射によっても、これと同様の作用効果を奏する。
(5)画像表示装置12の画像表示シート1は、構造色を発現する構造色発現層1a〜1cが画像表示シート1の厚み方向に沿って積層した多層構造体であり、構造色発現領域Rにおける構造色発現層1a〜1cの各層の厚みは、積層した構造色発現層1a〜1cのうちいずれか1層を基準層とした場合に、基準層の厚みの整数倍である。
このような構成であれば、単色性を高めた構造色を発現させることができる。
(6)画像表示装置10〜15の構造色発現層1a〜1cの各層ごとの、屈折率nと厚みtとをかけた値は、各層で同じであってもよい。
このような構成であれば、単色性を高めた構造色を発現させることができる。
(7)画像表示装置10〜15の構造色発現層1a〜1cの各層ごとの、下記式(2)により算出された屈折率nの値は、各層で同じであってもよい。
n=√(ε・μ/ε・μ) ・・・(2)
(なお、nは屈折率、εは材質の誘電率、μは材質の透磁率、εは真空の誘電率、μは真空の透磁率を、それぞれ示している。)
このような構成であれば、単色性を高めた構造色を発現させることができる。
(8)画像表示装置12の構造色発現層1a〜1cの各層は、全て同じ材料で形成されている。
このような構成であれば、低コストで単色性を高めた構造色を発現させることができる。
(9)画像表示装置15は、入反射光制限部2の画像表示側を覆うように配置された、入射光3a及び反射光3aを散乱させる光散乱シート9をさらに備えている。
このような構成であれば、入射光3a及び反射光3aを容易に散乱させることができるので、容易に色むら及び輝度むらを改善できる。
(10)画像表示装置10〜15は、入反射光制限部2に含まれるレンズL(L1〜L13)の内部に、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための粒子、空隙及び欠陥の少なくとも一つを備えてもよい。
このような構成であれば、入射光3a及び反射光3aを容易に散乱させることができるので、容易に色むら及び輝度むらを改善できる。
(11)画像表示装置10〜15は、入反射光制限部2に含まれるレンズL(L1〜L13)の表面は、入射光3a及び反射光3aの少なくとも一方を拡散させるための表面処理が施されていてもよい。
このような構成であれば、入射光3a及び反射光3aを容易に散乱させることができるので、容易に色むら及び輝度むらを改善できる。
(その他の変形例)
(1)上記実施形態では、画像表示シート1に接触する電極を含んだシート厚調整部4(4a〜4e)について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。シート厚調整部4(4a〜4e)は、構造色発現領域R(Ra〜Re)のシート厚を変化させることができればよい。例えば、シート厚調整部4(4a〜4e)はポンプ等を備えており、そのシート厚調整部4(4a〜4e)を用いて構造色発現領域R(Ra〜Re)をシート厚方向に加圧・減圧して、構造色発現領域R(Ra〜Re)のシート厚を変化させてもよい。この場合であっても、上述の効果を奏することができる。
また、シート厚調整部4(4a〜4e)は、例えば、光を照射することが可能な光照射装置や熱を加えることが可能な加熱装置であってもよい。この場合であっても、上述の効果を奏することができる。ここで、シート厚調整部4(4a〜4e)を光照射装置とした場合には、画像表示シート1は、例えば光応答性高分子ゲルで形成されていることが好ましい。また、シート厚調整部4(4a〜4e)を加熱装置とした場合には、画像表示シート1は、例えば温度応答性高分子ゲルで形成されていることが好ましい。
また、シート厚調整部4(4a〜4e)は、画像表示シート1に、例えば、曲げ・引っ張り・圧縮等の歪を付与可能な装置であってもよい。
(2)上記実施形態では、構造色発現層1a〜1cの3層で構成された画像表示シート1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像表示シートは、多層構造体であればよく、構造色発現層が2層積層した構造体であってもよいし、構造色発現層が4層以上積層した構造体であってもよい。この場合であっても、上述の効果を奏することができる。
(3)上記実施形態では、基準層を構造色発現層1aとした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基準層を構造色発現層1bとしてもよいし、構造色発現層1cとしてもよい。この場合であっても、上述の効果を奏することができる。
(4)上記実施形態では、構造色発現層1a〜1cの各層が全て同じ材料で形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、構造色発現層1a〜1cの各層が全て異なる材料で形成されていてもよい。この場合であっても、上述の効果を奏することができる。
(5)上記実施形態では、画像表示シート1と入反射光制限部2に含まれるレンズL(L1〜L13)との間、又は画像表示シート1内に埋め込まれるようにフレーム5を備えた場合について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。フレーム5を備えない場合であっても、上述の効果を奏することができる。また、フレーム5を備えないことで、構造色発現領域Ra〜Reをより広くすることができる。
(6)上記実施形態では、構造色を利用して画像を表示する画像表示装置について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明した画像表示装置を画像表示媒体に組み込み、それを画像表示物としてもよい。より詳しくは、上記実施形態で説明した画像表示装置を紙に組む込むことで、ポスターやカレンダーを作成することができる。
(7)上記実施形態では、入反射光制限部2に含まれるレンズLとして、平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凹凸レンズ、フレネル凸レンズ、フレネル凹レンズ、ルーネベルグレンズを例示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、図21に示すように、コンタクトレンズの形態に類似したレンズであってもよい。
(8)上記実施形態では、フレネル凹レンズL5をその中心で厚み方向に半分に切断した形状の非対称フレネル凹レンズL10を用いる場合について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、図22(a)に示すように、フレネル凹レンズを湾曲させて、レンズLとして使用してもよいし、図22(b)に示すように、フレネル凹レンズを折り曲げて、レンズLとして使用してもよい。
(9)上記実施形態では、レンズLを画像表示シート1に接触するように配置しているが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、レンズLと画像表示シート1との間に隙間を設けてもよい。
また、画像表示シート1に対するレンズLの位置を水平に前後左右に移動させてもよい。こうすることで、観察者が自身にとって最適な位置(最も効果の大きい位置)へ設定させることができる。
また、画像表示シート1に対するレンズLを水平ではなく斜めに設置させてもよい。こうすることで、観察者が自身にとって最適な角度(最も効果の大きい角度)へ設定させることができる。
(10)光源と発色部と観察者とがこの順で直線状に並ばないと、反射光は、観察者に視認されない。そこで、後述する凹レンズを収めた円筒鞘の内側を、光を散乱させる色(例えば、白色等)にすると、光が円筒鞘内部の壁面で散乱するので、この壁面はもうひとつの光源のようになり、発色部を発色させる。つまり、凹レンズを収めた円筒鞘の内側を、光を散乱させる色にすると、光源と発色部と観察者の位置関係の制限をなくす効果がある。
または、この凹レンズを収めた円筒鞘の内部に光を散乱させる色(例えば白色等)を有する小さな物体を配置すると、その物体の表面で光が散乱するので、その物体の表面はもうひとつの光源のようになり、発色部を発色させる。つまり、凹レンズを収めた円筒鞘の内部に光を散乱させる色を有する小さな物体を配置すると、光源と発色部と観察者の位置関係の制限をなくす効果がある。
<実験例>
ここでは、構造色を発現する物質を表示器の素子として利用した場合に浮上する課題について、凹レンズが解決する様子を、以下に実験例として示す。
<構造色測定装置の概要>
図23及び図24は、本実施形態に係る画像表示装置の効果の実証に用いた構造色測定装置30a及び構造色測定装置30bの構成をそれぞれ示す概略図である。この構造色測定装置30a及び構造色測定装置30b(以下、単に「装置30a」、「装置30b」とも称する。)は、主要部として、光源装置31(31a、31b)、色彩輝度計32、色彩輝度計32の受光角(観察角α)を調節するためのスライダー33、試験片設置台35、及び支持台34を備えている。ここで、図23に示された装置30aと、図24に示された装置30bとの構成上の違いは、光源装置31aと光源装置31bとの形状にあり、その他の部分については同じである。なお、この装置30a、30bは、暗室内に設置して使用される。
この装置30a、30bは、支持台34の上面が水平に保たれている。支持台34の上面には、試験片設置台35が設置されている。試験片設置台35の上面中央を起点として垂直に上方向へ伸ばした仮想線を「試験片設置台の中心線49」とする。
試験片設置台35には、方向指示マーク38が設けられている。方向指示マーク38は、装置30へ測定物を据え付ける試験片設置台35の方向を示すと同時に、これによって測定物に対する光源装置31a、31bの方向、及び、色彩輝度計32が移動する方向を正しく把握することを可能とする。
試験片設置台35の上面中央を起点として色彩輝度計32の中央を通る仮想線を「色彩輝度計の中心線47」とする。この中心線47は、色彩輝度計32の受光レンズの中央を通っている。
中心線49を基準とした中心線47の角度が観察角αである。
スライダー33は試験片設置台35の上面中央を中心とした円弧状となっており、色彩輝度計32は、スライダー33に沿いながら常に試験片設置台35へ向けられている。色彩輝度計32の観察角αは約20°〜約50°の範囲内で変化可能である。
中心線49、中心線47、及び後述する光源装置31a、31bの基準線48は、支持台34の上面と垂直に交わる同一平面上に存在する。
<散乱光型の光源装置31a>
図23に示す光源装置31aは、散乱光型の光源である。
光源装置31aは、箱311aと光散乱膜313とを備え、箱311aの中に高演色形蛍光管314を収納している。高演色形蛍光管314が発した光は、光散乱膜313を通り散乱光となって試験片設置台35へ届く。光散乱膜313は、白色上質紙を使用している。
光源装置31aの箱311aは、直方体形状をしている。これは、色彩輝度計32の観察角αが約20°〜約50°の範囲内で変化した場合であっても、光源装置31aが発した光が、試験片設置台35の上面に設置された測定物の上面を正反射して、色彩輝度計32へ届くようにするためである。
試験片設置台35の上面中央を起点として、高演色形蛍光管314と直交する仮想線を「光源装置の基準線48」とする。しかし、この基準線48は、上記した特長の光源であることを理由に、高演色形蛍光管314とは直交するが、光源装置31aの中央には位置しない。
中心線49を基準とした基準線48の角度が「光源装置の角度β」であり、この角度は20°に固定されている。
<スポット光型の光源装置31b>
図24に示す光源装置31bは、スポット光型の光源である。
光源装置31bは、箱311bと円筒形状の筒312とを備え、箱311bの中に高演色形蛍光管314を収納している。高演色形蛍光管314が発した光のうち、筒312を通り抜けた光、すなわち筒312の軸に対してほぼ平行な光316だけが試験片設置台35へ届く。
光源装置31bは、試験片設置台35の上面中央を起点として、光源装置31bの中央を通る仮想線を「光源装置の基準線48」とする。筒312の中心軸は、この基準線48と同一線上にある。
中心線49を基準とした基準線48の角度が「光源装置の角度β」であり、この角度は20°に固定されている。
光源装置31bを使用した場合、筒312を通り抜けた光は、ほぼ並行になっている光であるため、角度βは試験片設置台35の上面に設置された測定物に対する「入射角」ということになる。
<高演色形蛍光管314>
図25は、光源装置31a及び光源装置31bにそれぞれ使用されている高演色形蛍光管314が発する光を、分光放射輝度計(コニカミノルタ(株)製CS−2000A)によって実測したスペクトル分布である。
高演色形蛍光管314の仕様は以下のとおりである。
メーカー:三菱電機照明(株)
名称:高演色形演色性AAA昼白色蛍光管
型式:FL20S・N−EDL・NU
色温度:5000K (メーカー提供データシート値)
演色評価数(Ra):99(メーカー提供データシート値)
<色彩輝度計32>
色度(x,y)と輝度(Lv)の測定は、コニカミノルタ(株)製の2次元色彩輝度計(CA−2500)を使用した。各実験では、この色彩輝度計32によって測定物の上面の色度及び輝度の数値を得ている。これらの数値は、各測定場面において、色彩輝度計32が写し出した測定物の上面の映像の上における所望の位置を四角形で囲むことにより測定エリアを設定し、そのエリア内において色度の平均数値及び輝度の平均数値、輝度の最大数値を求めたものである。
<構造色プレート51>
図26に示す構造色プレート51は、この実験例において、凹レンズ42がもたらす効果を浮き出させる役割を果たす。構造色プレート51は、市販のノッチフィルターの裏面(片面)へ黒色塗装を施すことで作成した。
ノッチフィルターの仕様は以下のとおりである。
名称:ノッチフィルター(誘電体多層膜コート)
型番:NF−25C05−47−633
メーカー:シグマ光機(株)
特性:入射角度0°、カット波長633nm、半値幅47nm、透過帯波長475〜597nm及び669〜850nm、透過率平均90%
このノッチフィルターの特徴は、その光の入射角に応じた波長の光を正反射させ、その他の波長の光は透過させるものである。例えば、正面から入射した(入射角0°)光について述べると、波長633nmを中心とした波長領域の光(ピンク色に見える)を正面に向かって反射させ、それ以外の波長の光は背面へ通過させるというものである。また、もうひとつの特徴として、入射角が大きくなるほど、より短い波長の光を正反射させるというものがある。
そして、構造色プレート51は、このノッチフィルターの背面(片面)へ黒色塗装を施すことで作られているため、その光の入射角に応じた波長の光を正反射させ、その他の波長の光は背面に施された黒色塗装で吸収させるという機能を有している。
つまり、この構造色プレート51の正面から光を当てると、正反射の位置関係において、その表面はピンク色に眩しく輝いて見え、さらに、入射角や観察角を増すにつれて、その表面はピンク色からオレンジ色、黄色、黄緑色、緑色、青緑色、青色へと輝く色を変化させていく。また一方で、正反射の位置関係が成立しない場合、その表面は暗がりとなる。これらの特徴は構造色を発現する物質の一般的な特徴である。
<凹レンズ42>
図27に示す凹レンズ42は、この実験例における主役である。
先に述べた構造色プレート51の特徴は、構造色プレート51を表示器の素子として利用した場合、そのまま課題化してしまう。つまり、この場合、入射角や観察角に応じて色が変化してしまうことや、正反射の位置では眩しく輝く一方で正反射でない位置では暗がりであるという特徴が課題として浮上する。
ここにおいて、凹レンズ42は、これら課題を解決する「色度変化の抑止効果」「視野角の拡張効果」「定輝度効果」をもたらすのである。
(なお、ここで言う「視野角」は、ディスプレイ装置の性能のひとつを表す「視野角」であり、ディスプレイ装置を見る者の「観察角」ではない。)
この実験例では、凹レンズ42は裸のままでは使用せず、凹レンズ42を円筒鞘43の内部上側の位置へ留まるように収め、「円筒鞘へ収めた凹レンズ41」として使用した。
このように、凹レンズ42を円筒鞘43へ収めて使用する理由は、凹レンズ42の下に設置された構造色プレート51の上面と凹レンズ42との間に適度な距離を設け、より効果を高めるためである。
また、上記の如くに、構造色プレート51の上面と凹レンズ42との間に距離を設けると、横方向から光が入り測定に影響を及ぼすため、この影響を抑えるためにも円筒鞘43が必要になる。
円筒鞘43の内部壁面には黒色塗装が施されている。これは、円筒鞘43の内部壁面で反射した光による影響を抑えるためである。
凹レンズ42の仕様は以下のとおりである。
名称:球面両凹レンズ
型番:SLB−20B−25NM
メーカー:シグマ光機(株)
外径:直径20mm
焦点距離:−24.7mm
コバ厚:6mm
反射防止膜コート波長域:400〜700nm
[実験例1]
以下、構造色プレート51の上に置いた凹レンズ42による「色度変化の抑止効果」を知るための実験について説明する。
以下の実験は、図23の装置構成にて実施した。
では、最初に、図26に示すかたちで、構造色プレート51そのもので色度の変化を測定した。
準備として、支持台34の上には試験片設置台35を設置し、図26に示すように、試験片設置台35の上面中央に構造色プレート51を設置した。
上記の準備の後、図23に示す光源装置31a(散乱光型光源)から試験片設置台35に向け光を照射すると、構造色プレート51の全面は光源を映し特定の色で輝く。その構造色プレート51の上面中央を目標に色度(平均数値)及び輝度(平均数値)を測定した。
なお、この測定は、色彩輝度計32の観察角αを20°、30°、40°、50°に設定し、それぞれの観察角αで実施した。
では、次に、図27に示すかたちで、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で色度の変化を測定した。
準備として、支持台34の上に設置された試験片設置台35の上面中央には、図27に示すように、構造色プレート51を設置し、続けて、円筒鞘43へ収めた凹レンズ42を構造色プレート51の上面中央へ設置した。
上記の準備の後、光源装置31aから試験片設置台35に向け光を照射すると、凹レンズ42を通して構造色プレート51の上面は光源像を映し出し特定の色で輝く。その映し出された光源像の中央を目標に色度(平均数値)及び輝度(平均数値)を測定した。
なお、この測定は、色彩輝度計32の観察角αを20°、30°、40°、50°に設定し、それぞれの観察角αで実施した。
以下、測定結果である。表1は、図26に示すかたちで、構造色プレート51のみを測定して得た数値である。また、表2は、図27に示すかたちで、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定して得た数値である。図28は、表1及び表2の色度(x,y)の数値に基づき、観察角αの変化に伴う色度変化の軌跡をxy色度図へプロットしたものである。
ここにおいて、構造色プレート51のみを測定した場合と、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定した場合との結果を比較した。
図28のxy色度図を見ると、構造色プレート51のみを測定した場合は、観察角αの変化に伴う色度変化が激しく、色度変化を示す軌跡は大きく動いていることが確認できた。
これに対し、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定した場合には、色度変化は少なく、色度変化を示す軌跡はそれほど動いていないことが確認できた。
より詳しくは、構造色プレート51のみを測定した場合は、観察角αが20°の時は赤味掛かったピンク色、30°の時はピンクと黄色の中間色、40°の時は黄色、50°の時は黄緑色として見えた。これに対し、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定した場合には、20°から50°までが、ピンク色から赤味掛かったピンク色への変化として見えた。
以上の結果から、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置して測定した場合、凹レンズ42を通した構造色プレート51の上面には、観察角αを変化させても同じような色度で光源像が映り続けていることが確認できた。つまり、構造色プレート51の上に置いた凹レンズ42が「色度変化の抑止効果」をもたらしていることが明確に認められた。
[実験例2]
以下、構造色プレート51の上に置いた凹レンズ42による「視野角の拡張効果」及び「定輝度効果」を知るための実験について説明する。
以下の実験は、図24の装置構成にて実施した。
では、最初に、図26に示すかたちで、構造色プレート51そのもので視野角を測定した。
準備として、支持台34の上には試験片設置台35を設置し、図26に示すように、試験片設置台35の上面中央には構造色プレート51を設置した。
上記の準備の後、図24に示す光源装置31b(スポット型光源)から試験片設置台35に向け光を照射した。
この時、光源装置31bと色彩輝度計32の位置関係が構造色プレート51を通して正反射の関係である場合、構造色プレート51の全面には光源像が映し出される。これにより輝度はとても高くなる。これに対し、上記位置関係が正反射の関係でない場合、構造色プレート51の全面には暗室の暗がりが映し出される。これにより輝度はとても低くなる。
光源像が映し出されている場合には、構造色プレート51に映し出された光源像の中央を目標に、または、光源像が映し出されていない場合には、構造色プレート51の上面中央を目標に、輝度(最大数値)を測定した。
なお、この測定は、色彩輝度計32の観察角αを20°、25°、30°、40°に設定し、それぞれの観察角αで実施した。同時に、構造色プレート51の上面が、どの観察角αまで光源像を映しているかを観察した。
では、次に、図27に示すかたちで、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で視野角を測定した。
準備として、支持台34の上に設置された試験片設置台35の上面中央には、図27に示すように、構造色プレート51を設置し、続けて、円筒鞘43へ収めた凹レンズ42を構造色プレート51の上面中央へ設置した。
上記の準備の後、光源装置31bから試験片設置台35に向け光を照射すると、凹レンズ42を通して構造色プレート51の上面は光源像を小さく映し出して特定の色で輝く。その映し出された光源像の中央を目標に輝度(最大数値)を測定した。
なお、この測定は、色彩輝度計32の観察角αを20°、25°、30、40°に設定し、それぞれの観察角αで実施した。同時に、凹レンズ42を通した構造色プレート51の上面が、どの観察角αまで光源像を映し出しているかを観察した。
以下、測定結果である。表3は、図26に示すかたちで、構造色プレート51のみを測定して得た数値である。表4は、図27に示すかたちで、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定して得た数値である。
ここにおいて、構造色プレート51のみを測定した場合と、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定した場合との結果を比較した。
まずは、構造色プレート51のみを測定した場合の所見である。
図24の光源装置31bでは、観察角αが20°の時、光源装置31bと色彩輝度計32の位置関係が正反射となる。この場合、構造色プレート51の全面には光源像が映り込みとても眩しく、そこには暗がりが映った部分がなかった。
観察角αが25°の時は、光源装置31bと色彩輝度計32の位置関係は正反射から僅かに逸れている。この場合、構造色プレート51の上面の片側1/3には光源像が映り込み、その部分はとても眩しいが、光源像が映っていない他の部分はとても暗い。
さらに観察角αを増し、観察角αが30°の時と40°の時は、光源装置31bと色彩輝度計32の位置関係は正反射からは完全に逸れてしまい、構造色プレート51の上面には光源像がまったく映らず、構造色プレート51の全面はとても暗い。この観察角αに対する極端な輝度の変化の様子は、表3の数値にも表れている。
これに対し、下記は、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置した状態で測定した場合の所見である。
この場合、観察角αが20°から50°まで何れの角度においても、凹レンズ42を通した構造色プレート51の上面には、一貫して同じような形状で、光源像が小さくピンク色で輝いていた。特に、この様子は、観察角αが20°にあって、光源装置31bと色彩輝度計32の位置関係が正反射となった時においても同様であった。この観察角αに対する一定した輝度の様子は、表4の数値にも表れている。
以上の結果から、構造色プレート51の上面に凹レンズ42を設置して測定した場合、凹レンズ42を通した構造色プレート51の上面には、観察角αを変化させても一貫して同じような形状で光源像が映り込み、小さく輝いていることが確認できた。つまり、構造色プレート51の上に置いた凹レンズ42が「視野角の拡張効果」をもたらしていることが明確に認められた。
(なお、ここで言う「視野角」は、ディスプレイ装置の性能のひとつを表す「視野角」であり、ディスプレイ装置を見る者の「観察角」ではない。)
また、凹レンズ42を通した構造色プレート51の上面は、構造色プレート51のみを測定した場合において現われた極端な輝きの状態や、極端な暗がりの状態が現われず、正反射という位置関係を含めて観察角αを変化させても一定の輝度を保ちながら光源像が映っていた。つまり、構造色プレート51の上に置いた凹レンズ42が「定輝度効果」をもたらしていることが明確に認められた。
以下、参考として、コロイド結晶又は逆オパール構造の場合の構造色の観察角依存性と、多層構造又はラメラ構造の場合の構造色の観察角依存性とについて説明する。
<コロイド結晶又は逆オパール構造の場合の構造色の観察角依存性>
コロイド結晶又は逆オパール構造の場合の構造色の観察角依存性を、図29を参照しつつ説明する。
構造色の観察角依存性は、その構造色発現構造に基づき下記式(3)と式(5)とにより定量的に示される。この式(3)と式(5)との関係式は、観察者と構造色ディスプレイとの位置関係が同じであって、光源の位置が変化した場合にもあてはまる。
λpeak=2d[neff −sinθ]1/2 (3)
ここで、λpeak:反射率が最大となる波長
θ :観察角
:結晶面間の距離
eff :有効屈折率
である。
上記において、neffは、下記式(4)で算出される。
eff=(1−φ)n+φn (4)
ここで、n:マトリックス(分散媒、連続相)の屈折率
:コロイド粒子(分散相)の屈折率
φ :コロイド結晶に占めるコロイド粒子の体積分率
である。
<多層構造又はラメラ構造の場合の構造色の観察角依存性>
多層構造又はラメラ構造の場合の構造色の観察角依存性を、図30を参照しつつ説明する。
λpeak=2[d(n1 −sinθ)1/2+d(n −sinθ)1/2] (5)
ここで、d:第一の相の厚み
:第二の相の厚み
:第一の相の屈折率
:第二の相の屈折率
である。
式(3)と式(5)とにおいて、λpeakは反射率が最大となる波長であり、この波長に基づく色相が観察(観測、視認)される。上記式(3)と式(5)のいずれにおいても、視認される構造色は観察角(θ)に依存する。またこの事情は刺激応答性構造色材料においても同様である。
なお、ここでは限られた数の実施形態及び変形例を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
1・・・画像表示シート
1a〜1c・・・構造色発現層
2・・・入反射光制限部
3a・・・入射光、反射光(構造色)
4・・・シート厚調整部
4a〜4e・・・シート厚調整部
5・・・画素区画枠(フレーム)
9・・・光散乱シート
10〜15・・・画像表示装置
20・・・画像表示装置
30a、30b・・・構造色測定装置
31a、31b・・・光源装置
311a、311b・・・箱
312・・・筒
313・・・光散乱膜
314・・・高演色形蛍光管
315・・・標準反射板
316・・・ほぼ平行な光
32・・・色彩輝度計
33・・・スライダー
34・・・支持台
35・・・試験片設置台
36・・・粒子型構造色シート
38・・・方向指示マーク
41・・・円筒鞘へ収めた凹レンズ
42・・・凹レンズ
43・・・円筒鞘
47・・・色彩輝度計の中心線
48・・・光源装置の基準線
49・・・試験片設置台の中心線
51・・・構造色プレート
α・・・観察角
β・・・光源装置の角度
・・・多層構造構造色材料における第一の層の厚さ
・・・多層構造構造色材料における第二の層の厚さ
・・・刺激応答性コロイド結晶構造色材料における刺激付与前の結晶面間距離
・・・刺激応答性コロイド結晶構造色材料における刺激付与後の結晶面間距離
d1〜d2・・・シート厚
L1〜L13・・・レンズ
L1a〜L1e・・・レンズ
L1、L4・・・平面
L2、L3、L5、L11、L12、L13・・・曲面
L6〜L12・・・切断面
L131・・・非対称レンズ部分
L132・・・非対称レンズ部分
・・・多層構造構造色材料における第一の層の屈折率
・・・多層構造構造色材料における第二の層の屈折率
・・・コロイド結晶構造色材料における分散粒子(分散相)の屈折率
・・・コロイド結晶構造色材料における分散媒(連続相)の屈折率
R・・・構造色発現領域
Ra〜Re・・・構造色発現領域
S1・・・面(画像表示側の面)
S2・・・面(裏側の面)

Claims (13)

  1. 構造色によって画像が表示される構造色ディスプレイであって、
    前記構造色を発現する領域である構造色発現領域を有する画像表示シートと、
    前記構造色発現領域の前記画像の表示側に設置され、前記画像の表示側に位置する前記構造色発現領域の面に対して予め設定した角度で入射する入射光と、前記入射光のうち前記構造色発現領域の一部で反射した反射光とを選択的に透過する入反射光制限部と、を少なくとも備え、
    前記入反射光制限部は、前記画像表示シートの厚み方向に沿って入射する入射光を透過可能に配置したレンズを含むことを特徴とする構造色ディスプレイ。
  2. 前記レンズは、平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凹凸レンズ、フレネル凸レンズ、フレネル凹レンズ、ルーネベルグレンズから選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の構造色ディスプレイ。
  3. 前記レンズは、前記画像表示シート上に配置された第一のレンズと、前記第一のレンズ上に配置された第二のレンズとを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造色ディスプレイ。
  4. 前記画像は、複数のピクセルで形成され、
    前記入反射光制限部は、複数の前記レンズを含み、
    前記複数のピクセルのうち少なくとも一部のピクセル上には、前記ピクセルごとに前記レンズが配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイ。
  5. 前記構造色発現領域を挟み前記入反射光制限部に対向する位置で、前記構造色発現領域における前記画像表示シートの厚みを調整するシート厚調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイ。
  6. 前記シート厚調整部は、前記画像表示シートに接触する電極、前記画像表示シートを加熱可能な加熱部、前記画像表示シートに光照射可能な光照射部のいずれかを含み、
    前記画像表示シートは、前記電極に印加された電圧又は電界に応じて体積が変化する電圧応答性高分子ゲル、前記加熱部からの熱に応じて体積が変化する熱応答性高分子ゲル、前記光照射部からの光に応じて体積が変化する光応答性高分子ゲルのいずれかで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の構造色ディスプレイ。
  7. 前記画像表示シートは、前記構造色を発現する構造色発現層が前記画像表示シートの厚み方向に沿って積層した多層構造体であり、
    前記構造色発現領域における前記構造色発現層の各層の厚みは、積層した前記構造色発現層のうちいずれか1層を基準層とした場合に、前記基準層の厚みの整数倍であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイ。
  8. 前記構造色発現層の各層ごとの、屈折率nと厚みtとをかけた値は、各層で同じであることを特徴とする請求項7に記載の構造色ディスプレイ。
  9. 前記構造色発現層の各層ごとの、下記式(1)により算出された屈折率nの値は、各層で同じであることを特徴とする請求項7に記載の構造色ディスプレイ。
    n=√(ε・μ/ε・μ) ・・・(1)
    (なお、nは屈折率、εは材質の誘電率、μは材質の透磁率、εは真空の誘電率、μは真空の透磁率を、それぞれ示している。)
  10. 前記入反射光制限部の前記画像の表示側を覆うように配置された、前記入射光及び前記反射光を拡散させる少なくとも一枚の光散乱シートをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイ。
  11. 前記レンズの内部に、前記入射光及び前記反射光の少なくとも一方を拡散させるための粒子、空隙及び欠陥の少なくとも一つを備えたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイ。
  12. 前記レンズの表面は、前記入射光及び前記反射光の少なくとも一方を拡散させるための表面処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイ。
  13. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の構造色ディスプレイを備えたことを特徴とする画像表示物。
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