JP2017173131A - 電気伝導率によるセメントの凝結始発時間算出方法 - Google Patents

電気伝導率によるセメントの凝結始発時間算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熟練した技術と時間を要するJIS R 5201による凝結試験よりも、迅速で、簡便な操作による凝結始発時間の算出方法を提供する。【解決手段】 電気伝導率メータを用いてセメント懸濁溶液の電気伝導率を経時的に測定し、その結果からJIS R 5201で測定される凝結始発時間と同等の凝結始発時間を算出する。【選択図】図4

Description

本発明は、電気伝導率によるセメントの凝結始発時間算出方法に関する。
セメントの凝結試験は JIS R 5201 により測定方法が定められているが、凝結始発時間の測定には実際に凝結始発に達する時間(1〜3時間程度)が掛かり、また測定には熟練した技術が必要であるため、日常のセメント品質の工程管理で利用するのは難しい。
このような問題を解決する為、特許文献1にはセメントの粉末X線回折結果を、プロファイルフィッティング法により解析し、これから得られるクリンカー鉱物の結晶情報を基に、セメントの凝結時間の変化を迅速かつ精度良く予測する為の方法が記載されているが、高価なX線回折装置と専門的な知識が必要であり、また迅速ではあるが粉末X線回折測定時間を含め約1時間を要するといった問題もある。
また、セメント凝結のJIS R 5201 以外の試験方法については、非特許文献1によると、過去にセメントペーストの電気伝導率や抵抗の変化、セメント懸濁溶液の光の通過量の変化等から凝結を測定する方法が検討されたこともあるが、試験方法として確立されていない。
電気伝導率の応用に関する特許として、特許文献2にはコンクリートの電気伝導率が凝結の進行過程と深い関係があることを利用し、コンクリートの電気伝導率の変化から凝結の進行具合を把握することで、コンクリートの適切な打ち重ね管理を行う方法について開示されているが、あくまでコンクリートの凝結を連続的に把握する方法であり、水和初期の電気伝導率の変化から凝結時間を算出する方法について開示するものではなく、またそれを示唆するものではない。
電気伝導率の応用に関する資料として、非特許文献2〜4には、セメントペーストやモルタル及び懸濁溶液の電気伝導率が測定され、電気伝導率とセメントの水和過程との関係が示されているが、水和初期の電気伝導率からセメント凝結時間を算出する方法について開示するものではない。また、注目される電気伝導率の変化も数10分〜10数時間の長時間にわたるものであり、本発明のように30分程度の電気伝導率の変化に注目するものではない。
特開2005-214891号公報 特開2011-117235号公報
セメント化学概論(その4),コンクリート工学,Vol.22,No.2,p.50-55(1984) Hydration reactions in suspensions of C3A + C3S + CaSO4.2aq. in water, Cem Concr Res, Vol.4, No.4, p.581-589(1974) Electrical conductivity of cement pastes, Cem concr RES, Vol.12, No.1, p.115-120(1982.01) セメントペーストおよびモルタルの電気伝導度に関する一実験,日本建築学会大会学術講演梗概集,p.115-116(1994.09)
JIS R 5201による凝結試験より迅速で、熟練した技術を必要としない簡便な操作による凝結始発時間の算出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意検討した結果、セメント懸濁溶液の電気伝導率の時間経過に伴う変化と、JIS R 5201 により測定した凝結始発時間に相関関係があり、JIS R 5201による凝結試験では測定に1〜3時間必要なところ、約30分間の電気伝導率測定結果をもとに凝結始発時間を算出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、JIS R 5201により求められる凝結始発時間と同等の凝結始発時間を算出する方法であって、簡便な操作により迅速に凝結始発時間を算出する方法を提供する。詳しくは、セメント懸濁溶液の電気伝導率の経時的測定結果により得た因子の単相関式または、因子を変数として重回帰分析により得た式により、セメントの凝結始発時間を算出する方法を提供する。
(始発時間算出方法と電気伝導率測定結果のうちA〜D点の説明)
本発明は、図1に示すセメント懸濁溶液の電気伝導率の時間経過に伴う変化のうち、下記に記す原点OからA〜Dの変化点までの電気伝導率や時間、これら点を組み合わせて電気伝導率の変化を数値化した値と、JIS R 5201により測定したセメント凝結始発時間との間に相関関係があることを見出し、その関係により得た式や、これら値を因子として組み合わせて重回帰分析により得た式を用いることで、迅速かつ簡便なセメント凝結始発時間の算出を可能にしたものである。
原点O:セメントが水と接する点。
A点 :原点Oより上昇する電気伝導率が低下あるいは停滞といった変化を始める点。
B点 :C点より先であってA点から時間Xを経過した点。
C点 :電気伝導率の低下あるいは停滞といった変化が終わり再度上昇を始める点。
D点 :C点から時間Xを経過した点。
ここで、B点を定めるA点からの時間Xは10秒以上でB点がC点を越えない時間とし、D点を定めるC点からの時間Xは1分〜30分とする。
ここで、本発明における凝結始発時間を精度良く算出することができるA点及びC点の電気伝導率と経過時間は、典型的には次の通りである(図1参照)。
・A点の電気伝導率AY
好ましくは10〜3000mS/m 、より好ましくは50〜2000mS/m 、
更に好ましくは100〜1000mS/m 、最も好ましくは200〜350mS/m である。
・A点の経過時間AX
好ましくは10〜1500秒、より好ましくは10〜700秒、更に好ましくは20〜350秒、
最も好ましくは20〜100秒である。
・C点の電気伝導率CY
好ましくは10〜3000mS/m 、より好ましくは50〜2000mS/m 、
更に好ましくは100〜1000mS/m 、最も好ましくは200〜350mS/m である。
・C点の経過時間CX
好ましくは70秒〜1800秒であり、より好ましくは70〜1400秒であり、
更に好ましくは70〜1000秒であり、最も好ましくは100秒〜400秒である。
これら原点OからA〜Dの変化点までの電気伝導率や時間や、これら点を組み合わせて電気伝導率の変化を数値化した値(以下、因子とする)と、別途JIS R 5201に基づく凝結試験により測定されたセメント凝結始発時間との関係を予め相関式として求めておくことにより、凝結始発時間の測定が簡便になる。
前記の因子と凝結試験により測定されるセメント凝結始発時間との相関のメカニズムについては必ずしも明らかとは言えないが、以下のようなものと考える。
(凝結と水和過程及び電気伝導率変化の関係)
一般的に、セメントの凝結は、図2に示すように、セメント化合物(C3S、C2S、C3A、C4AF )のうち、C3Aのような間隙質とC3Sの水和生成物の合計量がある一定値に達する時間といわれており、これらセメント化合物の水和の進行に伴い、液相中のイオン濃度も変化することが知られている。
例えば、間隙質は水和によるエトリンガイト生成に伴い、液相中のSO4 2-を消費する。生成したエトリンガイトは間隙質表面を覆い、以後の水和反応を抑制するため、時間と共に水和物の生成量は少なくなり、液相中SO4 2-消費量も少なくなっていく。
一方、C3Sは水と接するとすぐに表面が水和物で覆われ、一時的に不活性となる誘導期を迎える。この誘導期の間も、表面にできた水和物の膜を通してC3Sから液相中にCa2+の放出が行われるため、液相中のCa2+は次第に増加し、このCa2+がある一定濃度に達すると誘導期が終了して水和が再び進み、その後は水和反応によりCa2+は消費される。この誘導期の終了する頃が凝結始発時間にあたるといわれている。
本実施形態における電気伝導率の測定結果は、その変化の様子や約30分という測定時間から、間隙質が水和抑制期を迎えたころ及びC3S誘導期の液相中イオン濃度の変化を示していると考えられる(図2参照)。
すなわち、図1のA点までの電気伝導率上昇は、接水直後のセメント中の水溶性成分( f.CaO、半水石膏、硫酸アルカリ等)やセメント化合物の溶出による液相中イオン濃度の増加によるものであり、A点からの電気伝導率の一時低下または停滞は、間隙質の水和が始まり、エトリンガイト生成に伴う液相中SO4 2-の消費によるものであり、C点における電気伝導率の一時低下または停滞の終了は、間隙相表面をエトリンガイトが覆い、反応が抑制されて液相中SO4 2-の消費量が少なくなるのに加え、C3S誘導期におけるCa2+増加によるものであり、C点以降の電気伝導率の再上昇は、C3S誘導期におけるCa2+増加によるものであると考えられる。ここでB点は、間隙質及びC3Sの水和活性の両方の影響を受けるC点に比べ、よりA点に近いことから、A〜C点間の電気伝導率変化の中で、より間隙質の影響を強く示し、またD点は誘導期終了後に訪れるであろう、C3S水和反応進行に伴うCa2+の消費による電気伝導率低下に至るまでの変化を示すと考えられる。
(因子の選定または組み合わせによる相関係数及び精度の向上)
上記のように、電気伝導率と凝結始発時間の関係は、ある特定の電気伝導率測定点にのみ相関を示すものではなく、各水和反応に対応する電気伝導率の変化との間に相関を示すものであるため、後述する実施例に示すように、電気伝導率の変化点における電気伝導率や時間といった因子のなかでも、間隙質及びC3S両方の水和に対応する因子や、電気伝導率の変化点を組み合わせることで間隙質及びC3S両方の水和に対応する電気伝導率の変化を示す因子を用いると、相関係数が0.80以上の好ましい相関を持った算出式(単相関)が得られることを見出した。さらに各因子のうち、両方の水和反応に対応する因子の組み合わせとし、重回帰分析により得た算出式が先述した単相関式と同等かそれ以上の相関を持った、より好ましい算出式(重相関)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、JIS R 5201による凝結試験に比べ、迅速で、習熟を必要としない簡便な操作により凝結始発時間を算出する方法を提供する。
本発明によれば、製造されたセメントについて、電気伝導率を測定して電気伝導率/経過時間グラフにおける各因子を求め、これを予め作成しておいた単相関による算出式又は好ましくは重相関による算出式に当てはめることにより、セメントの凝結始発時間を迅速、簡便に算出することができる。本発明の方法により、JIS R 5201による凝結試験による凝結始発時間と同等の凝結始発時間を迅速、簡便に算出することができる。
セメント懸濁溶液の電気伝導率の経時変化及び凝結始発時間と相関のある因子を求める為の変化点を示した模式図である。 凝結に及ぼす水和物の役割を示す模式図である。 C&Cエンサイクロペディア,セメント協会,pp.62-64(1999)抜粋 試料No.5、9、12の電気伝導率の経時変化および変化点A~D点を示すグラフである。 変化点を組み合わせ、電気伝導率の変化を数値化した因子の模式図
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に関わるセメントの凝結始発時間算出方法においては、まずセメント懸濁溶液の電気伝導率を測定する。
(対象となるセメント種類)
対象となるセメントの種類は特に限定されるものでなく、JIS R 5210(ポルトランドセメント)、JIS R 5211(高炉セメント)、JIS R 5212(シリカセメント)、JIS R 5213(フライアッシュセメント)およびEN197-1:2011記載のCEMI〜V(ポルトランドセメントおよび各種混合セメント)に記載のセメントが挙げられる。
(使用機器)
電気伝導率の測定にはHORIBA社製伝導率メータDS-51を用いるが、これに限定されるものではなく、多数市販されている類似の装置を使用すればよい。
(電気伝導率測定方法)
電気伝導率の測定は以下の手順で行う。
[電気伝導率の測定方法]
1.蒸留水500.0gをビーカーに入れ、電気伝導率メータの電極をセットし、マグネスティックスターラーで攪拌を始める。
2.攪拌したまま、蒸留水にセメント試料10.00gを投入し、10秒毎に図1に示すD点を得るまで電気伝導率を計測する。計測中も攪拌は続け、電気伝導率メータの電極は動かさずに計測を行う。計測は恒温室で行い、使用する機器や器具及び試料を一定温度とする。
(凝結始発時間算出式)
電気伝導率測定結果より求めた因子と凝結始発時間の関係から凝結始発時間算出式を導く。本発明で使用する因子には、以下の要素が含まれる。
AX:試験開始(原点O)からA点までの時間
CX:試験開始(原点O)からC点までの時間
CX‐AX:A点からC点までの時間
AY:A点における電気伝導率
BY:B点における電気伝導率
CY:C点における電気伝導率
DY:D点における電気伝導率
距離AC:電気伝導率/経過時間グラフにおけるA点とC点を結ぶ直線の長さ
距離OC:電気伝導率/経過時間グラフにおけるO点とC点を結ぶ直線の長さ
距離CD:電気伝導率/経過時間グラフにおけるC点とD点を結ぶ直線の長さ
|ΔAB|:電気伝導率/経過時間グラフにおけるA点とB点を結ぶ直線の傾きの絶対値
|ΔAC|:電気伝導率/経過時間グラフにおけるA点とC点を結ぶ直線の傾きの絶対値
|ΔCD|:電気伝導率/経過時間グラフにおけるC点とD点を結ぶ直線の傾きの絶対値
本発明によれば、熟練した技術を必要としない簡便な電気伝導率の測定により、表1に示す因子を求めて得た凝結始発時間算出式を用いて、誰にでも個人差無く、測定時間30分程度(場合によっては本実施例のように10分程度)と迅速に、セメント凝結始発時間の算出値を得ることができる。
以下、参考例及び実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(使用セメント)
表2に使用するセメント試料の化学成分及び物性の一部を示す。
(分析項目測定方法)
使用したセメント試料の化学成分は、JIS R 5202:「セメントの化学分析方法」に準じて化学成分を定量し、鉱物組成は下記ボーグ式により求めた。
C3S 量(質量%)= 4.07 × CaO (%) − 7.60 ×SiO2 (%) − 6.72 × Al2O3(%) − 1.43 × Fe2O3(%) − 2.85 × SO3 (%) ・・・[1]
C2S 量(質量%)= 2.87 × SiO2 (%) − 0.754 × C3S (%) ・・・[2]
C3A 量(質量%)= 2.65 × Al2O3 (%) − 1.69 × Fe2O3 (%) ・・・[3]
C4AF 量(質量%)= 3.04 × Fe2O3 (%) ・・・[4]
また、凝結及び粉末度はJIS R 5201:「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。
各実施例においては、電気伝導率の計測は恒温室(23℃)で行い、使用する機器や器具及び試料を一定温度とした。また試料に関わらず10分間の測定を行った。
表3−1、表3−2に電気伝導率の測定結果を、また、図3に結果の一部をグラフにして示す。

表3−1、表3−2及び図3に示すように、電気伝導率は、水にセメント試料を投入すると上昇を始め、ある時間が経過すると一時的な減少あるいは停滞といった変化(A点)が見られ、さらに時間が経過すると再度上昇を始めた(C点)。これら電気伝導率の測定結果より、凝結始発時間を算出するための因子を求める為に必要な電気伝導率の変化点A〜D点の電気伝導率及び経過時間データを表4に示す。ここで、本実施例においては、A点の60秒後をB点、C点の3分後をD点とした。
(因子)
先述したように、表4に示す電気伝導率の変化点における電気伝導率や経過時間といった因子のみが凝結始発時間との相関を示すものではなく、間隙質及びC3Sの水和反応に対応する電気伝導率の変化との間に相関を示すものと考えられるため、これら変化点を組み合わせて得られる距離や傾きといった電気伝導率の変化を数値化した因子についても、凝結始発時間との関係を求めた。この変化点を組み合わせ、電気伝導率の変化を数値化した因子の模式図を図4に示す。また、本実施例において凝結始発時間との関係を求めた因子と、各因子が示すと考えられる水和反応及び予想される凝結との関係を表5に示す。
(各因子データ)
表5に示した因子について、表4に示した各試料における電気伝導率変化点より求め、表6に示す。
(単相関による算出式)
表6に示す各因子と別途JIS R 5201の凝結試験により測定されたセメント凝結始発時間との関係(単相関)により得た凝結始発時間算出式の相関係数及び実測値と算出値の誤差範囲を表7に示す。
表7より、実施例1〜7に示すような電気伝導率測定結果のある一点の電気伝導率や時間といった単一要素の因子から得た算出式のなかでも、実施例7に示すような間隙質及びC3S両方の水和に関する因子や、実施例8〜11及び実施例14に示すような、間隙質及びC3S両方の水和反応に対応する時間や電気伝導率の変化を示す因子を用いることで、相関係数が0.8以上の好ましい相関をもった凝結始発時間算出式を得ることが出来た。
また、これら算出式の実測値と算出値の誤差範囲は、2014年ATILH共同試験(BSEN SEMI 52.5 R ,凝結始発時間平均値133分)における凝結始発時間の標準偏差の2倍(±30分)以内であるが、なかでも実施例7〜10及び実施例14で示した表中式(1)-1〜5の算出式では、相関係数0.80以上かつ実測値と算出値の誤差範囲±20分以内の好ましい相関及び精度を持つことが確認できた。
(重相関による算出式)
上記に示すように、電気伝導率の変化のうち、間隙質及びC3S両方の水和に関する因子から、好ましい相関及び精度をもつ凝結始発時間算出式が得られたが、表6に示した因子のみでは、間隙質及びC3Sの水和反応に対応する電気伝導率の変化を全て反映できるわけではない。そこでこれら因子を2つ以上組み合わせて重回帰分析を行い、電気伝導率の変化をより強く反映させた式を得ることで、相関及び精度の向上を目指した。
本実施例では、間隙質及びC3Sの水和反応に対応する電気伝導率の変化を反映させる因子の組み合わせとして、8つの組み合わせ(実施例15〜22)において、重回帰分析により得た凝結始発時間算出式と別途JIS R 5201の凝結試験により測定されたセメント凝結始発時間の実測値との相関係数及び実測値と算出値の誤差範囲を表8に示す。
表8より、実施例15〜22に示すような間隙質及びC3Sの水和反応に対応する電気伝導率の変化を反映させるように、因子を二点以上組み合わせ、重回帰分析により得た算出式を用いることで、先述した単相関式と同等またはそれ以上の相関係数を示し、実測値と算出値との誤差範囲についても±20分以内の算出式を得ることができた。
なかでも実施例15、17、18、22に示す因子の組み合わせにより得た式(2)、(4)、(5)、(9)の凝結始発時間算出式では、相関係数0.85以上かつ実測値と算出値の誤差範囲±15分以内のより好ましい相関及び精度を持つことが確認できた。
本発明において、凝結始発時間を算出するために使用する因子、及び、各因子を組み合わせて回帰分析により得た単相関算出式又は重相関算出式は、経験的に得られ、セメントの種類や生産工場、使用する電気伝導率メータにより個別に求められる。適宜使用する因子の組み合わせや各係数を変更することにより、算出の精度を確保するものである。またB点及びD点を決定するための時間X1及びX2についても上記と同様である。

Claims (12)

  1. 電気伝導率メータを用いてセメント懸濁溶液の電気伝導率を経時的に測定し、セメントの凝結始発時間を算出する方法。
  2. 前記電気伝導率測定結果より得た電気伝導率の時間経過に伴う変化のうち、セメントが水と接した点を原点Oとし、原点Oより上昇する電気伝導率が一時的な低下あるいは停滞といった変化を始める変曲点をA点、電気伝導率の一時的な低下あるいは停滞といった変化が終わり再度上昇を始める変曲点をC点、A点からC点に至る間であってA点から時間Xが経過した点をB点、C点から時間Xが経過した点をD点とし、原点OからA〜Dの変化点までの電気伝導率や時間、これら点を組み合わせて電気伝導率の変化を数値化した値を因子として、各因子とセメント凝結始発時間との間の関係より得た単相関による算出式、またはこれら因子を2つ以上組み合わせて変数として重回帰分析により得た重相関による算出式を用いて、凝結始発時間を算出する請求項1記載の方法。ここで、A点からB点までの時間Xは10秒以上であり、C点からD点までの時間Xは1分〜30分である。
  3. A点における電気伝導率AYが10〜3000mS/m 、原点OからA点までの時間AX が10〜1500秒であり、C点における電気伝導率CYが10〜3000mS/m 、原点OからC点までの時間CXが70〜1800秒である請求項2に記載の方法。
  4. 時間CX 、A点からC点までの時間[CX‐AX]、電気伝導率/経過時間グラフにおけるA点とC点を結ぶ直線の距離AC、電気伝導率/経過時間グラフにおけるO点とC点を結ぶ直線の距離OC、電気伝導率/経過時間グラフにおけるC点とD点を結ぶ直線の傾きの絶対値|ΔCD|の何れかの因子と凝結始発時間との関係より得られる単相関による算出式(1)を用いて凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間 = a × 因子 + b ・・・式(1)
    ここで、係数a及びbは、各因子と凝結始発時間との関係により決まる値である。
  5. 時間AX、電気伝導率/経過時間グラフにおけるA点とB点を結ぶ直線の傾きの絶対値|ΔAB|、時間CXを変数とし、重回帰分析により得られる重相関による算出式(2)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×AX)+(b×|ΔAB|)+(c×CX)+ d ・・・式(2)
    ここで、係数a〜dは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  6. 時間CX、傾きの絶対値|ΔCD|を変数とし、重回帰分析により得られる重相関による算出式(3)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×CX)+(b×|ΔCD|)+ c ・・・式(3)
    ここで、係数a〜cは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  7. 傾きの絶対値|ΔAB|、時間CX、傾きの絶対値|ΔCD|を変数とし、重回帰分析により得られる重相関による算出式(4)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×|ΔAB|)+(b×CX)+(c×|ΔCD|)+ d ・・・式(4)
    ここで、係数a〜dは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  8. 時間AX、傾きの絶対値|ΔAB|、時間CX、傾きの絶対値|ΔCD|を変数とし、重回帰分析により得られる重相関による算出式(5)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×AX)+(b×|ΔAB|)+(c×CX)+(d×|ΔCD|)+ e・・式(5)
    ここで、係数a〜eは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  9. 時間[CX-AX]、傾きの絶対値|ΔAC|および|ΔCD|の和[|ΔAC|+|ΔCD|]を変数とし、回帰分析により得られる重相関による算出式(6)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×[CX‐AX])+(b×[|ΔAC|+|ΔCD|])+ c ・・・式(6)
    ここで、係数a〜cは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  10. 距離AC、傾きの絶対値|ΔCD|を変数とし、回帰分析により得られる重相関による算出式(7)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×AC)+(b×|ΔCD|)+ c ・・・式(7)
    ここで、係数a〜cは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  11. 距離AC及び電気伝導率/経過時間グラフにおけるC点とD点を結ぶ直線の距離CDを変数とし、回帰分析により得られる重相関による算出式(8)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×AC)+(b×CD)+ c ・・・式(8)
    ここで、係数a〜cは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
  12. 距離AC、OC及びCDを変数とし、回帰分析により得られる重相関による算出式(9)より凝結始発時間を算出する請求項1〜3に記載の方法。
    凝結始発時間=(a×AC)+(b×OC)+(c×CD)+ d ・・・式(9)
    ここで、係数a〜dは、因子と凝結始発時間との間の重相関分析により決まる値である。
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