以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、超音波診断装置の信号処理回路の全体構成を示す図である。本実施形態に係る超音波診断装置では、一例として、Bモード画像にフロー画像たる血流画像を重畳させたカラードプラ画像を表示する態様を示す。
超音波診断装置は、超音波探触子1、送信部2、受信部3、走査部4、B信号生成部5、フロー信号生成部6、画像処理部7、表示部8を含んで構成される。
超音波探触子1は、送信部2で発生された電圧パルスを超音波ビームに変換して被検体内へ送信し、被検体内で反射した超音波エコーを受信して電気信号に変換し受信部3へ出力する。超音波探触子1は、例えば、マトリクス状に配設された複数の振動子(圧電素子)と、当該複数の振動子の駆動状態のオンオフを個別に又はブロック単位(以下、「チャンネル」と言う)で切替制御するためのチャンネル切替部(セレクタ)を含んで構成される。尚、ここでは、超音波探触子1は、リニア型のものを一例として示すが、コンベックス型やセクタ型でもよく、又、その駆動方式も電子走査に限らず、機械走査によるものであってもよいのは勿論である。
送信部2は、超音波探触子1に対して駆動信号たる電圧パルスを送出する送信回路である。送信部2は、例えば、高周波パルス発振器、パルス設定部等を含んで構成される。高周波パルス発振器で生成した電圧パルスを、パルス設定部で設定した電圧振幅、パルス幅、タイミングに調整して超音波探触子1のチャンネルごとに送出する。
送信部2は、超音波探触子1の複数のチャンネルそれぞれにパルス設定部を有しており、複数のチャンネルごとに電圧パルスの電圧振幅、パルス幅、タイミングを設定可能になっている。例えば、送信部2は、複数のチャンネルに対して適切な遅延時間を設定することによって目標とする深度を変更したり、B画像生成時とフロー画像生成時とで異なるパルス波形を発生させることも可能となっている(例えば、B画像生成時には1波の電圧パルス、フロー画像生成時には4波の電圧パルスを送出する)。
受信部3は、超音波探触子1で生成された超音波エコーに係る受信信号を受信処理する超音波受信回路である。受信部3は、チャンネルごとのプリアンプと、チャンネルごとのADコンバータと、受信ビームフォーマとを含んで構成される。プリアンプは、微弱な受信信号を増幅する。ADコンバータは、増幅された受信信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換する。受信ビームフォーマは、各チャンネルの受信信号(デジタル信号)を整相加算することで複数チャンネルの信号を1つにまとめて、B信号生成部5又はフロー信号生成部6に出力する。この出力信号を、以下、「受信エコー信号」と称する。
走査部4は、超音波探触子1、送信部2、受信部3を制御する。走査部4は、超音波探触子1に設けられたチャンネル切替部を制御して、複数のチャンネルのうち、駆動対象のチャンネルを切替制御する。そして、走査部4は、複数のチャンネルを順に駆動(走査)することによって、走査方向に沿った順序で、被検体内部に対して超音波ビームを送信する。そうすることで、走査部4は、B信号生成部5及びフロー信号生成部6に走査方向と深度方向に沿った二次元データを生成させる。
尚、信号処理回路には、上記の他に、超音波探触子1との信号系統を切り替える送受信切替部(図示せず)と、受信部3から受信エコー信号を送信する先を切り替える処理系統切替部(図示せず)とが設けられている。そして、走査部4は、送受信切替部を切替制御することによって、送信部2から超音波探触子1に電圧パルスを送出するときと、超音波探触子1で生成される受信信号を受信部3に送出するときとで、信号系統を切替制御する。又、走査部4は、処理系統切替部を切替制御することによって、B画像を生成するときには、受信部3からの受信エコー信号をB信号生成部5に送出させ、フロー画像を生成するときには、受信部3からの受信エコー信号をフロー信号生成部6に送出させる。
但し、当該構成は、一例であって、信号処理回路の送受信切替部や処理系統切替部を必ずしも設ける必要がないのは勿論である。例えば、B信号生成部5及びフロー信号生成部6は、同じ受信エコー信号からB信号とフロー信号を生成してもよい。その場合、後述するB画像とフロー画像とを同期して生成することが可能となる。
B信号生成部5は、受信部3から受信エコー信号を取得して、B信号を生成する。B信号とは、深度方向(超音波ビームの送信方向)における超音波エコーの信号強度(Intensity)の時間的変化を示す信号である。B信号生成部5は、超音波探触子1が深度方向に向けてパルス状の超音波ビームを送信した際に、その後に検出される超音波エコーを検出して、B信号を生成する。そして、B信号生成部5は、超音波探触子1からの超音波ビームが走査されるに応じて、各走査位置でのB信号をラインメモリに順次蓄積し、フレーム単位となる二次元データを生成する。
B信号生成部5は、例えば、包絡線検波回路、ダイナミックフィルタ、対数圧縮回路を含んで構成される。包絡線検波回路は、受信エコー信号を包絡線検波して、信号強度を検出する。対数圧縮回路は、包絡線検波回路で検出された受信エコー信号の信号強度に対して対数圧縮を行う。ダイナミックフィルタは、深度に応じて周波数特性を変化させたバンドパスフィルタであって、受信エコー信号に含まれるノイズ成分を除去する。
フロー信号生成部6は、受信部3から受信エコー信号を取得し、フロー信号を生成する。フロー信号とは、血流や動きのある体組織からの超音波エコーを周波数解析して生成される信号であって、それらの速度(Velocity)、パワー(Power)、速度の分散値(Turbulence)を表すものである。フロー信号生成部6は、例えば、連続して送信した超音波パルスの、同じ深さ位置からの超音波エコーを検出し、当該連続する超音波エコーの位相差から血流の速度、パワー、分散を算出する。フロー信号生成部6は、B信号生成部5と同様に、超音波探触子1が超音波ビームを走査するに応じて、各走査位置でのフロー信号をラインメモリに順次蓄積し、フレーム単位となる二次元データを生成する。
フロー信号生成部6は、例えば、MTIフィルタ、直交検波回路、自己相関演算部を含んで構成される。MTI(Moving Target Indication)フィルタは、受信エコー信号から、静止した組織からのクラッタ成分(組織からの超音波エコー)を除去する処理を行う低域除去フィルタである。直交検波回路は、受信エコー信号に対して、送信超音波と同相の参照信号及び送信超音波とπ/2だけ位相の異なる参照信号をミキシングして、直交検波信号を生成する(以下、「IQ信号」と言う)。自己相関演算部は、連続して送信した超音波パルスの、同じ深さ位置からの超音波エコーのIQ信号に基づいて、自己相関演算によってフロー信号(速度、パワー、分散)を抽出する。尚、自己相関演算は、n番目のIQ信号とn+1番目のIQ信号の位相差を算出して、血流の速度等を算出する周波数解析方法である。
但し、フロー信号生成部6は、ドプラシフトした受信エコー信号のIQ信号を高速フーリエ解析することによって、直接、血流情報(速度、パワー、分散)を抽出したりしてもよいのは勿論である。
画像処理部7には、画像データを構成するためのフレーム単位のB信号とフロー信号が、それぞれ、B信号生成部5とフロー信号生成部6とから入力される。画像処理部7は、入力されたB信号に基づいてB画像を生成するとともに、入力されたフロー信号に基づいて、フロー画像を生成し、これらを画像合成して、カラードプラ画像として表示部8に出力する(詳細は、後述する)。
ここで、フレーム単位のB信号とフロー信号とは、1枚の画像を構築する上で必要な1つのまとまった信号の単位を意味する。但し、当該B信号とフロー信号は、1枚の画像の中の一部領域についての信号であってもよい。例えば、フロー画像は、B画像中の指定した関心領域(Region of Interest)にのみ重畳させるものであってもよい。
又、B信号生成部5及びフロー信号生成部6から画像処理部7に入力されるB信号及びフロー信号は、DSC(Digital Scan Converter)を介して座標変換処理をされたり、データ補間処理をされたものであってもよい。但し、本実施形態に係る画像処理部7においては、従来技術のように、画素ごとに、フロー信号に係るフロー画像を採用するか、B信号に係るB画像を採用するかの判定をするフィルタ処理は行われない。つまり、信号強度が弱い信号は、弱い信号のままで、後述する画像合成が行われることになる。
表示部8は、画像処理部7から出力されたカラードプラ画像を表示するモニターである。
尚、B信号生成部5、フロー信号生成部6、画像処理部7は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)で構成されたデジタル演算回路によって実現される。そして、これらの各構成は、バッファメモリを備え、各演算処理の過程における中間データや、各演算処理で生成されるフレーム単位の二次元データは、当該バッファメモリに格納されるものとする。
(画像処理部の詳細)
以下、図2〜図5を参照して、本実施形態に係る画像処理部7(画像処理装置に相当)の詳細について説明する。
図2は、画像処理部7の信号処理フローの一例を示す図である。図3は、画像処理部7の各構成における信号変換を説明するための図である。図3では、理解を容易にするために、信号変換のための関数をマップとして簡略化して表している。具体的には、図3中の各マップは、それぞれ、図3AはB画像生成部71のカラーマップ、図3BはB主張度決定部72の主張度マップ、図3CはB画像重み決定部73の重み関数のマップ、図3Dはフロー画像生成部74のカラーマップ、図3Eはフロー主張度決定部75の主張度マップ、図3Fはフロー画像重み決定部76の重み関数のマップを表している。尚、それぞれのマップは、白色が強いほど数値が大きいことを示している。図4は、本実施形態に係るフロー画像生成部74の詳細なカラーマップの一例を示す図である。図5は、本実施形態に係る画像処理の概略を示す図である。
画像処理部7は、B画像生成部71(第1の画像生成部)、B主張度決定部72(第1の主張度決定部)、B画像重み決定部73(第1の重み決定部)、フロー画像生成部74(第2の画像生成部)、フロー主張度決定部75(第2の主張度決定部)、フロー画像重み決定部76(第2の重み決定部)、及び画像合成部77を含んで構成される。
ここでは、一例として、図5に示すように、B画像生成部71で生成されるB画像(第1の画像データ、図5A)と、フロー画像生成部74で生成されるフロー画像(第2の画像データ、図5B)と、を画像合成部77で画像合成(図5C)する態様を示す。その際、画像合成部77は、B主張度決定部72、B画像重み決定部73、フロー主張度決定部75、フロー画像重み決定部76を経て、画素領域ごとに決定されたB画像の重み係数wB及びフロー画像の重み係数wFに基づいて、画像合成を行う。尚、「画素領域」とは、一画素の領域、又は複数の画素で一区画を形成する領域を意味する。
尚、画像合成した際、重み係数が大きい画像の方が、より鮮明に表示されることになる。但し、本実施形態に係る画像合成処理は、B画像の重み係数wB及びフロー画像の重み係数wFの合計値が一定になるように規制することなく、画素ごとの重みを決定している。言い換えると、B画像の重み係数wB及びフロー画像の重み係数wFは、合計値が100%になるように調整されることなく決定される。そうすることで、画像合成部77は、信号強度が小さい信号を弱い画像として生成する(詳細は、図7を参照して後述)。
B画像生成部71は、フレーム単位のB信号が入力され、各画素領域に対応するB信号を画素値IBに変換することにより、B画像を生成する。B画像生成部71は、図3Aに示すように、B信号の信号強度を画素値IBに変換する関数(B画像用カラーマップ)に基づいて設定された情報、例えばLUT(Lookup table)や数式を参照して、B画像を生成するデータ生成部である。B画像生成部71は、例えば、B信号の信号強度が大きいほど、グレースケールの輝度値が大きくなるように、B信号を画素値IBに変換する。尚、B画像の画素値IBは、RGB成分に関する色空間ベクトルであり、例えば、RGB成分それぞれについて256階調で表された値である。グレースケールの輝度値が大きい状態とは、例えば、RGB成分が大きい状態で表される。
フロー画像生成部74は、フレーム単位のフロー信号が入力され、各画素領域に対応するフロー信号を画素値IFに変換することにより、フロー画像を生成する。フロー画像生成部74は、図3Dに示すように、フロー信号を画素値IFに変換する関数(フロー画像用カラーマップ)に基づいて設定された情報、例えばLUTや数式を参照して、フロー画像を生成するデータ生成部である。ここでは、フロー画像生成部74は、速度(Velocity)とパワー(Power)の2成分のフロー信号によって、画素値を決定するものとする。尚、フロー画像の画素値IFは、B画像と同様に、例えば、RGB成分に関する色空間ベクトルであり、RGB成分それぞれについて256階調で表された値である。
尚、フロー画像用カラーマップは、より詳細には、図4に示すように、超音波振動子1に向かってくる速度の方向はR成分の輝度値が大きくなって赤色で表され(D)、反対に、超音波振動子1から遠ざかる方向はB成分の輝度値が大きくなって青色で表されるように設定されている(B)。尚、図4に示す横軸の速度成分は、グラフ中央の位置が速度0を表し、グラフ中央から左側が遠ざかる方向の速度、グラフ中央から右側が向かってくる方向の速度を表している。又、フロー画像用カラーマップは、パワーが大きいほど、RGBすべての成分の輝度値が大きくなるように設定されている(B)(D)。他方、パワーが小さい場合には、バックグラウンドのノイズ成分である可能性が高いため、RGB成分の輝度値の比率が略12:10:5の茶色となるように設定されている(A)(E)。又、速度が小さい場合には、血流以外の対象物からくる不要なドプラ信号によるモーションアーチファクトである可能性が高いため、同様に、RGB成分の輝度値の比率が略12:10:5の茶色となるように設定されている(C)。
B主張度決定部72は、フレーム単位のB信号が入力され、各画素領域に対応するB信号に基づいて、各画素領域に対応する主張度aBを決定する(以下、「B主張度aB」と言う)。そして、B主張度決定部72は、B信号をB主張度aBに変換することによって、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76において、B信号とフロー信号とを比較しうるように正規化する。このとき、B主張度決定部72は、B画像とフロー画像とを画像合成した後に、各画素領域でB画像の特徴が表れるように、フレーム単位のB主張度aBを決定する。言い換えると、B主張度aBは、B画像の画素値IBに応じた値にもなっている。
B主張度決定部72は、B信号の信号強度とB主張度aBとを対応付ける関数に基づいて設定された情報、例えばLUTや数式を参照して、B信号の二次元データからB主張度aBの二次元データを生成するデータ生成部である。B主張度決定部72が、B信号をB主張度aBに変換する際の関数の一例を図3Bに示している。B主張度決定部72は、ここでは、B信号の信号強度(Intensity)が大きくなるに応じてB主張度aBが大きい値として決定する。
フロー主張度決定部75は、フレーム単位のフロー信号が入力され、B主張度決定部72と同様に、各画素領域に対応するフロー信号に基づいて、各画素領域に対応する主張度aFを決定する(以下、「フロー主張度aF」と言う)。そして、フロー主張度決定部75は、フロー信号の速度、パワー、分散をフロー主張度aFに変換することによって、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76において、B信号とフロー信号とを比較しうるように正規化する。フロー主張度決定部75は、B画像とフロー画像とを画像合成した後に、各画素領域でフロー画像の特徴が表れるようにフレーム単位のフロー主張度aFを決定する。言い換えると、フロー主張度aFは、フロー画像の画素値IFに応じた値にもなっている。
フロー主張度決定部75は、フロー信号の速度及びパワーとフロー主張度aFとを対応付ける関数に基づいて設定された情報、例えばLUTや数式を参照して、フロー信号の二次元データからフロー主張度aFの二次元データを生成するデータ生成部である。フロー主張度決定部75が、フロー信号をフロー主張度aFに変換する際の関数の一例を図3Eに示している。フロー主張度決定部75は、ここでは、フロー信号の速度やパワーが大きくなるに応じて、フロー主張度aFを大きい値に決定する。尚、B主張度決定部72及び/又はフロー主張度決定部75は、B信号又はフロー信号から主張度を決定する際、線形関数を用いてもよいが、非線形関数を用いるのがより好適である。例えば、ガンマカーブを用いることで、より適切な主張度を決定することができる。
B主張度aB、フロー主張度aFは、ここでは、各画素領域に対応するスカラー値とする。B主張度aB、フロー主張度aFは、画素領域ごとに決定されるため、画素領域ごとに異なる値をとり得る状態となっている。そして、上記したとおり、B信号の信号強度、フロー信号の速度、パワーが大きいほど、当該B主張度aB及びフロー主張度aFは大きい値に決定され、対応する画像の重み係数wB、wFも大きくなる。但し、B主張度aB、フロー主張度aFは、複数次元のベクトルとしてもよい。そうすることで、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76にて、重み係数wB、wFを決定する際に、フロー信号の多元的な情報をより扱いやすくすることができる。
B画像重み決定部73には、B主張度決定部72からフレーム単位のB主張度aBが入力され、フロー主張度決定部75からフレーム単位のフロー主張度aFが入力されている。そして、B画像重み決定部73は、対応する各画素領域のB主張度aB及びフロー主張度aFに基づいて、B画像に対する重み係数wBを画素ごとに決定する(以下、「B画像重み係数wB」と言う)。つまり、B画像重み決定部73は、B画像のB主張度aBとフロー画像のフロー主張度aFの両方を考慮して、視認性がよくなるように、画像合成の際のB画像重み係数wBを決定する。B画像重み決定部73は、例えば、B主張度aB及びフロー主張度aFからB画像重み係数wBを算出する関数に基づいて設定された情報、例えばLUTや数式を参照して、B主張度aB及びフロー主張度aFの二次元データからB画像重み係数wBの二次元データを生成するデータ生成部である。
B画像重み決定部73は、例えば、図3Cに示すように、フロー主張度aFが大きい場合にはB画像重み係数wBが小さい値となり、フロー主張度aFが小さい場合にはB画像重み係数wBが大きい値となるようにB画像重み係数wBを算出する(図7を参照して後述する)。
フロー画像重み決定部76には、B画像重み決定部73と同様に、B主張度決定部72からフレーム単位のB主張度aBが入力され、フロー主張度決定部75からフレーム単位のフロー主張度aFが入力されている。そして、フロー画像重み決定部76は、フレーム単位のB主張度aBとフレーム単位のフロー主張度aFが入力され、対応する各画素領域のB主張度aB及びフロー主張度aFに基づいて、フロー画像に対する重み係数wFを画素ごとに決定する(以下、「フロー画像重み係数wF」と言う)。つまり、フロー画像重み決定部76は、B画像のB主張度aBとフロー画像のフロー主張度aFの両方を考慮して、視認性がよくなるように、画像合成の際のフロー画像重み係数wFを決定する。フロー画像重み決定部76は、例えば、B主張度aB及びフロー主張度aFからフロー画像重み係数wFを算出する関数に基づいて設定された情報、例えばLUTや数式を参照して、B主張度aB及びフロー主張度aFの二次元データからフロー画像重み係数wFの二次元データを生成するデータ生成部である。
フロー画像重み決定部76は、例えば、図3Fに示すように、B主張度aBがフロー主張度aFよりも大きい場合、フロー画像重み係数wFが小さい値となるように決定し、B主張度aBがフロー主張度aFよりも小さい場合、フロー画像重み係数wFが大きい値となるように決定する(図7を参照して後述する)。尚、B画像重み決定部73、フロー画像重み決定部76は、B主張度aB、フロー主張度aFから重み係数を決定する際、線形関数を用いてもよいが、非線形関数を用いるのがより好適である。例えば、ガンマカーブを用いることで、より適切な重み係数を決定することができる。
尚、B画像重み決定部73とフロー画像重み決定部76は、B主張度aBとフロー主張度aFを用いて、B画像重み係数wB、フロー画像重み係数wFを決定する二入力二出力の一個の重み決定部で構成してもよい。
B画像重み係数wB、フロー画像重み係数wFは、それぞれ、B画像の画素値IB、フロー画像の画素値IFを画像合成する際の重みである。ここでは、それぞれ、B画像の画素値IBに乗算する0≦wB≦1のスカラー値、フロー画像の画素値IFに乗算する0≦wF≦1のスカラー値とする。つまり、ここでは、画像重み係数wB、フロー画像重み係数wFを適切に調整することによって、B画像とフロー画像のコントラストを適切に調整し、視認性を向上させる。但し、当該B画像に対する重み、フロー画像に対する重みは、色空間ベクトルの各成分それぞれについて異なる重みを設定可能なベクトルとしてもよい。そうすることで、血流の色を特に視認しやすくしたりすることができる。
画像合成部77には、B画像生成部71からB画像、フロー画像生成部74からフロー画像が入力されている。又、画像合成部77には、B画像重み決定部73から画素ごとに設定されたB画像重み係数wB、フロー画像重み決定部76から画素ごとに設定されたフロー画像重み係数wFが入力されている。そして、画像合成部77は、対応する画素領域のB画像重み係数wBに基づいて、画素ごとにB画像の画素値IBを反映させる度合いを決定するとともに、対応する画素領域のフロー画像重み係数wFに基づいて、画素ごとにフロー画像の画素値IFを反映させる度合いを決定して、画像合成を行う。
画像合成部77は、例えば、以下の式(1)を用いて、画像合成した際の画素ごとの画素値Ioutを決定することができる。
Iout=IB・wB+IF・wF ・・・式(1)
(但し、Iout、IB、IFはRGB成分の色空間ベクトル、wB、wFはベクトルに対する係数を表す)
以上のようにして、画像合成部77は、B画像とフロー画像とを画像合成する。そして、表示部8は、画像合成部77に求められた画素ごとの画素値Ioutに基づいて、画像を表示することになる。尚、表示部8の前段に、DSCを設けて、このようにして生成された画像信号に対して座標変換処理をしたり、データ補間処理をしてもよいのは勿論である。
尚、ここでは、画像処理部7は、B画像を静止画として生成してバッファメモリに格納し、フロー画像を動画として生成して血流の動きにあわせて逐次変化させるものとする。但し、上記したとおり、B画像とフロー画像とをともに動画として生成するべく、B信号生成部5及びフロー信号生成部6は、同じ受信エコー信号からB信号とフロー信号を生成してもよい。
(具体例)
以下、図6〜図8を参照して、本実施形態に係る画像処理部7によって生成される画像の具体例について説明する。
図6は、B画像重み係数wBとフロー画像重み係数wFに応じた画像合成の結果の違いを説明する図である。図6は、B画像とフロー画像を画像合成する際の重み係数wB、wFを画像の中で一様に設定した場合の態様を示している。
図6に示すように、画像の中で一様にB画像重み係数wBとフロー画像重み係数wFを決定してしまうと、例えば、B画像重み係数wBを大きくした場合(図6中の点線で囲むA領域)には、B画像は鮮明に表現されるものの、RGB成分すべてが大きくなるため、フロー画像の血流の色が薄れてしまう。特に、フロー画像の中で細い血管等を表す弱い色の領域は、B画像に埋もれて消失してしまう。一方、画像の中で一様に、フロー画像重み係数wFをB画像重み係数wBよりも大きく設定した場合(図6中の一点鎖線で囲むB領域)、フロー画像は鮮明に表現されるものの、フロー画像が薄い領域であるにも関わらず、B画像も不鮮明になってしまう。つまり、画像の中で一様にB画像重み係数wBとフロー画像重み係数wFを決定した場合には、色表現したいすべての態様を鮮明に表すことはできない。加えて、画像合成をする際には、一方の画像の画素値によっては、他方の画像の影響を小さくした方がよい場合もある。
図7は、本実施形態に係る重み係数wB、wFの決定方法の一例を説明する図である。本実施形態では、上記の問題点に鑑みて、両者の画像の色に応じた主張度aB、aFを考慮して、画素ごとに両者の重み係数wB、wFを決定している。
図7A、図7Bは、それぞれ、図5AのB画像、図5Bのフロー画像であり、説明の便宜として、B信号の信号強度及びフロー信号の速度、パワーの違いに応じた領域分けを行っている。ここでは、B主張度aBは、B画像の画素値IBに応じた値となっており、B主張度aBが大きい状態とは、B信号の信号強度が大きく、B画像のグレースケールの輝度値も大きい状態とする。又、同様に、フロー主張度aFは、フロー画像の画素値IFに応じた値となっており、フロー主張度aFが大きい状態とは、フロー信号の速度、パワーが大きく、フロー画像のR成分又はB成分の輝度値も大きい状態とする。具体的には、R1領域は、B主張度aBが大きく、フロー主張度aFが小さい領域を表し、R2領域は、B主張度aBとフロー主張度aFがともに大きい領域を表し、R3領域は、B主張度aBとフロー主張度aFがともに小さい領域を表し、R4領域は、B主張度aBが小さく、フロー主張度aFが大きい領域を表している。
図7C、図7Dは、それぞれ、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76の関数をカラーマップとして表したものである。領域R1、R2、R3、R4は、それぞれ、図7A、図7Bの領域R1、R2、R3、R4のB主張度aBとフロー主張度aFの関係に対応する。ここでは、B画像重み係数wB、フロー画像重み係数wFは、それぞれ、0≦wB≦1のスカラー値、0≦wF≦1のスカラー値として、白色が強いほど数値が大きいことを示している。
図7C、図7Dから把握できるように、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76は、B主張度aBとフロー主張度aFとに基づいて、B画像とフロー画像とが互いに視認しやすくなるように、画素ごとのB画像重み係数wB及びフロー画像重み係数wFを決定する。具体的には、B主張度aBが大きく、フロー主張度aFが小さい場合には(R1領域)、B画像の色を強く反映させるべく、B画像重み係数wBが中間値よりも大きくなり、フロー画像重み係数wFが中間値よりも小さくなるように決定する。又、B主張度aBとフロー主張度aFがともに大きい場合には(R2領域)、フロー画像の色を強く反映させるべく、フロー画像重み係数wFが中間値よりも大きくなり、B画像重み係数wFが中間値よりも小さくなるように決定する。又、フロー主張度aFが大きく、B主張度aBが小さい場合には(R4領域)、フロー画像の色を強く反映させるべく、フロー画像重み係数wFが中間値よりも大きくなるとともに、B画像重み係数wBが中間値よりも小さくなるように決定する。又、B主張度aBとフロー主張度aFがともに小さい場合には(R3領域)、フロー画像とB画像どちらの色も暗くならないように、フロー画像重み係数wF及びB画像重み係数wBがともに中間値よりも大きくなるように決定する。このようにして決定された重み係数wB、wFを用いて、上記式(1)によって、図7Eのように画像合成がなされる。
言い換えると、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76は、一般的な画像合成であるアルファブレンド処理のように、B画像重み係数wBとフロー画像重み係数wFの合計値が100%となるような調整を行わず、B画像重み係数wBとフロー画像重み係数wFの合計が100%未満又は100%以上の状態を許容する。すなわち、画像合成する際、ある画素領域(第1の画素領域)と他の画素領域(第2の画素領域)とで、B画像重み係数wBとフロー画像重み係数wFの合計値が、互いに異なる状態を許容する。その上で、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76は、B信号の信号強度とフロー信号の速度、パワーとが互いに視認しやすくなるように、画素ごとのB画像重み係数wB及びフロー画像重み係数wFを決定する。そうすることで、信号強度が小さい信号を弱い画像として表示することが可能となる。特に、R3領域のように、細い血管等の血流を示すフロー画像は、B画像に埋もれてしまう場合があるが、このような事態を抑制することができる。
尚、当該演算方法を用いると、画像合成後の画像データにおいて、RGB成分のいずれかが、上限値を超える場合もある。具体的には、RGB成分のいずれかにおいて、256階調のうち255の値を超える場合もある。このような場合には、当該成分については上限値である255とすればよい。
図8Aは、本実施形態に係る画像処理部7によって生成したカラードプラ画像の他の一例を示す図である。図8Bは、比較例として、従来技術(特許文献1)に係る方法を用いて生成したカラードプラ画像を示す図である。図8A、図8Bは、いずれも、同一の測定条件で、同一の甲状腺を撮像して生成されたカラードプラ画像である。尚、甲状腺は、直径が数百μm程度の細い血管である。
図8Aでは、図8Bと比較して、弱い血流が弱く見えていることを視認することができる。そして、図8Aでは、このように弱い血流が途切れたりすることなく、安定した状態で定位置に確認することができる。一方、図8Bでは、フロー画像とB画像の一方のみを表示されるように、閾値でカットオフする処理を施しているため、B画像とフロー画像の境界部分が過度に強い色で表示されている。そして、図8Bでは、フロー信号が弱くなると、B画像のみが表示されてフロー画像の色が消失するため、撮像している際に、この弱い血流が途切れたり、定位置に表示されなかったりする。
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置によれば、B主張度決定部72及びフロー主張度決定部75が、それぞれ、B信号及びフロー信号に基づいて、B画像及びフロー画像それぞれに対応した画素ごとの主張度aB、aFを決定する構成を有する。これによって、B信号とフロー信号を比較可能に正規化し、B画像とフロー画像を合成した後の画像に、それぞれの画像をどの程度反映させるかを画素ごとに決定することができる。
そして、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76が、重み係数の合計値が一定になるように規制をすることなく、B主張度aBとフロー主張度aFに基づいて、画素ごとのB画像の重み係数wB及びフロー画像の重み係数wFを決定する。これによって、B信号の信号強度とフロー信号の速度、パワー、分散とが互いに視認しやすくなるように、画像合成の際のそれぞれの画像の寄与度を画素ごとに決定することができる。そして、画像合成部77は、このようにして決定された重み係数wB、wFに基づいて、B画像とフロー画像を画素ごとに重み付け合成するため、B画像上でフロー画像を自然に、且つ、滑らかに表現することができる。
つまり、本実施形態に係る画像合成によって、細い血管のようにフロー信号の速度、パワーが小さい場合には、かかる状態を視認できるように表示することが可能となり、弱い血流のつながりを自然に表示でき、立体感を表現することができる。その結果、時間的に変化していくカラードプラ画像においても、この弱い血流を途切れさせたりすることなく、安定した状態で定位置に表示することができる。
又、本実施形態に係るB主張度決定部72及びフロー主張度決定部75は、それぞれ、画素値に変換される前の、B信号及びフロー信号(速度、パワー、分散)に基づいて、B画像の重み係数wB及びフロー画像の重み係数wFを決定する構成となっている。そのため、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76は、B信号及びフロー信号の持つ多元的な情報を用いて、重み係数wB、wFを決定することが可能である。言い換えると、画素値に変換することによって、フロー信号に含まれる速度、パワー、分散等の多元的情報が消失してしまうことを抑制できる。例えば、血管壁等のように超音波エコーが強い範囲には血流が存在しない可能性が高いという特性を利用して、フロー信号の持つ速度、分散、パワーに係る信号強度が一定値以下で、B信号の持つ信号強度が一定値以上の場合には、フロー画像の重み係数wFが小さくなるようにする処理も可能である。
(変形例1)
次に、図9を参照して、変形例1に係る画像処理装置(画像処理部7a)について説明する。図9は、変形例1に係る画像処理部7aの信号処理フローの一例を示す図である。本実施形態に係る画像処理部7aは、B主張度決定部72aの構成の点で、上記実施形態と相違する。尚、上記実施形態と共通する構成については、説明を省略する(以下、他の実施形態についても同様)。
本実施形態に係るB主張度決定部72aには、B信号に代えて、B信号生成部5で、受信エコー信号に係る信号強度を対数圧縮、フィルタリング処理等をする前の信号(ここでは、説明の便宜として、「B1信号」と言う)が入力されている。そして、B主張度決定部72aは、当該B1信号に基づいて、B主張度aBを決定している。
受信エコー信号に係る信号強度は、対数圧縮、フィルタリング処理等する過程で、受信エコー信号に含まれる多元的な情報が過度に消失してしまうおそれがある。この点、本実施形態に係るB主張度決定部72aは、B1信号を用いてB主張度aBを決定することで、より高精度にノイズ成分等を検出し、その後の、B画像重み決定部73、フロー画像重み決定部76における処理に活かすことができる。
尚、ここでは、B主張度決定部72aがB1信号を用いる態様を説明したが、フロー主張度決定部75aに入力されるフロー信号についても、同様に、フィルタリング処理等がなされる前の信号を用いてもよいのは勿論である。
(変形例2)
次に、図10を参照して、変形例2に係る画像処理装置(画像処理部7b)について説明する。図10は、変形例2に係る画像処理部7bの信号処理フローの一例を示す図である。変形例2に係る画像処理部7bは、主張度決定部75bの構成の点で、上記実施形態と相違する。
主張度決定部75bには、フレーム単位のフロー信号(二次元データ)が入力されて、各画素領域に対応するフロー信号に基づいて、画素ごとのフロー主張度aF及びB主張度aBが決定される。具体的には、主張度決定部75bは、例えば、上記実施形態と同様に、フロー主張度aFを決定し、そのフロー主張度aFを反転させた値として、B主張度aBを決定する。この場合、例えば、フロー主張度aFを0≦aF≦1のスカラー値として決定し、aB=1−aFのスカラー値と決定すればよい。つまり、本実施形態に係る主張度決定部75bは、B信号を参照することなく、B主張度aBを決定する構成となっている。
そして、B画像重み決定部73、フロー画像重み決定部76は、それぞれ、上記実施形態と同様に、フロー主張度aF及びB主張度aBに基づいて、B画像重み係数wB、フロー画像重み係数wFを決定する。
このように、フロー主張度aFを考慮してB主張度aBを適宜決定すれば、B信号を参照しないでも、カラー表示が視認しにくくなることは、防止できる。例えば、フロー主張度aFが一定値以上の場合には、B主張度aBを中間値よりも小さい値に決定する。このようにすることで、上記実施形態と比較して、B画像の視認性は悪化するものの、部品点数を削減したり、処理負荷を軽減したりすることができる。
(変形例3)
次に、変形例3に係る画像処理装置(画像処理部7)について説明する。変形例3に係る画像処理部7cは、画像合成部77cの構成の点で、上記実施形態と相違する。
この変形例3に係る画像合成部77cは、以下の式(2)を用いて、画像合成した際の画素ごとの画素値(色空間ベクトル)Ioutを決定する。
Iout=IB+wB+IF+wF ・・・式(2)
(但し、Iout、IB、IF、wB、wFは、それぞれ、RGB成分の色空間ベクトルを表す)
ここでは、B画像重み係数wB及びフロー画像重み係数wFは、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76によって、色空間ベクトルとして決定されているものとする。言い換えると、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76は、色空間ベクトルの各成分の輝度を明るく又は暗く調整することによって、B信号の信号強度とフロー信号の速度、パワー、分散とが互いに視認しやすくなるようにする。
尚、上記では、画像合成部77cが画素値(色空間ベクトル)Ioutを決定する際の算出方法として、加減算のみを示したが、乗算と加減算の組み合わせとしてもよいのは勿論である。この場合、乗算が一方のコントラストを調整する処理に相当し、加減算が一方の色空間ベクトルの各成分の輝度を明るく又は暗く調整する処理に相当する。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、種々に変形態様が考えられる。
上記実施形態では、カラードプラ画像の一例として、Bモード画像にフロー画像として血流画像を重畳させる態様を示したが、フロー画像は、血流画像に限らず、組織ドプラ画像、エラストグラフィ画像等に任意の画像であってもよいのは勿論である。又、本実施形態に係る画像処理装置は、カラードプラ画像以外の用途にも適用することができる。言い換えると、複数の又は一のセンサから異なる2つの信号(第1の検出信号、第2の検出信号)の二次元データを取得して、当該二次元データに基づいて生成された2つの画像データを画像合成する用途に対しては、上記実施形態と同様に、用いることができる。
又、上記実施形態では、B主張度決定部72、フロー主張度決定部75の一例として、それぞれ、B画像を生成する前のB信号、フロー画像を生成する前のフロー信号に基づいて、B主張度及びフロー主張度を決定する態様を示した。しかし、これに代えて、B主張度決定部72は、B画像の画素ごとの画素値IBに基づいて、画素ごとのB主張度aBをする構成としてもよいし、同様に、フロー主張度決定部75は、フロー画像の画素ごとの画素値IFに基づいて、画素ごとのフロー主張度aFを決定する構成にしてもよい。
又、上記実施形態では、画像処理部7の一例として、B主張度決定部72及びフロー主張度決定部75、並びに、B画像重み決定部73及びフロー画像重み決定部76を設け、パラレルに信号処理する態様を示した。しかし、かかる信号処理は、必ずしもパラレルに行う必要はなく、シングルスレッドとしてB信号とフロー信号とを順に信号処理する態様としてもよい。
又、上記実施形態では、B信号生成部5、フロー信号生成部6、画像処理部7の一例として、DSPで構成されたデジタル演算回路を示したが、これらの構成は、一部又は全部が乗算器、加算器、絶対値演算器等のハードウェア回路によって実現されてもよいし、CPU(Central Processing Unit)がプログラムに従って演算処理することによって実現されてもよい。又、これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。又、走査部4は、CPUがプログラムに従って処理を実行することで実現することができるが、走査部4も、同様に、タイミング発生回路等を用いてハードウェア回路のみによって構成してもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
第1及び第2の画像データそれぞれの各画素領域に対応する主張度aB、aFを決定する主張度決定部72、75と、前記第1及び第2の画像データそれぞれの各画素領域に対応する主張度aB、aFに基づいて、第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みwB、wFを決定する重み決定部73、76と、前記第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みwB、wFに基づいて、第1及び第2の画像データを重み付け合成する画像合成部77と、を備える画像処理装置を開示する。この画像処理装置によれば、第1及び第2の画像データの画素値等に応じて、それぞれの重みを決定し、第1及び第2の画像データが互いに視認しやすいように、画像合成することができる。
又、この画像処理装置は、センサで検出された、第1及び第2の画像データを生成する第1及び第2の検出信号それぞれの二次元データに基づいて、前記第1及び第2の画像データそれぞれの各画素領域に対応する主張度aB、aFを決定するものであってもよい。この画像処理装置によれば、第1及び第2の画像データを生成する第1及び第2の検出信号に応じて、第1及び第2の画像データが互いに視認しやすいように、画像合成することができる。
又、前記重み決定部73、76は、前記各画素領域は第1の画素領域及び第2の画素領域を含み、前記第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みwB、wFを決定する際、当該第1の画像データに対する重みwBと当該第2の画像データに対する重みwFの合計値が、前記第1の画素領域と前記第2の画素領域とで互いに異なるものであってもよい。この画像処理装置によれば、第1及び第2の画像データの画素値等に応じて、それぞれの重みを決定し、第1及び第2の画像データが互いに視認しやすいように、画像合成することができる。
又、この画像処理装置は、超音波診断装置に用いられ、第1の画像データは、Bモード画像データとして生成され、第2の画像データは、カラーフロー画像データとして生成されるものであってもよい。この画像処理装置によれば、細い血管のようにフロー信号の信号強度が小さい場合には、かかる状態を視認できるように表示することが可能となり、弱い血流のつながりを自然に表示でき、立体感を表現することができる。
又、前記主張度決定部72、75は、超音波受信器3で検出された受信信号に係るB信号に基づいて前記第1の画像データの各画素領域に対応する主張度aB、aFを決定し、超音波受信器3で検出された受信信号に係るフロー信号に基づいて前記第2の画像データの各画素領域に対応する主張度を決定するものであってもよい。この画像処理装置によれば、B信号とフロー信号を比較可能に正規化し、B画像とフロー画像を合成した後の画像に、それぞれの画像をどの程度反映させるかを画素ごとに決定することができる。
又、前記超音波受信器で検出された受信信号に係るフロー信号は、速度、パワー、分散のうち少なくとも2つを含むものであってもよい。この画像処理装置によれば、フロー信号の多元的情報を消失することなく扱える主張度決定部の構成をより活かすことができる。
又、この画像処理装置において、前記画像合成部77は、前記第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みwB、wFに基づく、第1及び第2の画像データそれぞれの画素領域ごとの画素値に対する乗算処理を含むものであってもよい。この画像処理装置によれば、それぞれの重みに基づいて、第1及び第2の画像データのコントラストを適切に調整することができる。
又、前記画像合成部77は、前記第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みwB、wFに基づく、第1及び第2の画像データそれぞれの画素領域ごとの画素値に対する加減算処理を含むものであってもよい。この画像処理装置によれば、それぞれの重みに基づいて、第1及び第2の画像データの色空間ベクトルの各成分の輝度を適切に調整することができる。
又、前記主張度決定部72、75は、非線形関数に基づいて、前記第1及び第2の画像データそれぞれの各画素領域に対応する主張度aB、aFを決定するものであってもよい。この画像処理装置によれば、より適切な主張度を決定することができる。
又、前記重み決定部73、76は、非線形関数に基づいて、前記第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みwB、wFを決定するものであってもよい。この画像処理装置によれば、より適切な重みを決定することができる。
又、コンピュータに、第1及び第2の画像データそれぞれの各画素領域に対応する主張度を決定する処理と、前記第1及び第2の画像データそれぞれの各画素領域に対応する主張度に基づいて、第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みを決定する処理と、前記第1及び第2の画像データそれぞれに対する画素領域ごとの重みに基づいて、第1及び第2の画像データを重み付け合成する処理と、を実行させる画像処理プログラムを開示する。