JP2017168956A - 車内通信システム - Google Patents

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和慶 脇田
Kazuyoshi Wakita
和慶 脇田
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Abstract

【課題】各車両の車載ユニットのバリエーションに適した車内ネットワークを柔軟かつ低コストに構築すること。
【解決手段】ゲートウェイ装置1は、初期状態においてBus2およびBus3それぞれに接続されるユニットの状態を参照し、Bus2およびBus3をCPUを介さずに通信可能に接続するバス間接続モードとするか、Bus2およびBus3を通信不可能とし、Bus2およびBus3の各ユニットが個別にCPUと接続されるバス間非接続モードとするかを切り替える。また、ゲートウェイ装置1は、CPUからの信号と、各ユニットが接続される各バスからの信号との衝突を回避する信号衝突回避手段を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、車内通信システムに関する。
自動車の電子化により、車両に搭載されるユニット(ECU:Electric Control Unit)の数や種類は増加しつつある。よって、そのユニットを接続するためのバスの数も増加し、それらのバス間を接続する中継装置としての車載ゲートウェイ装置も車内に設置される。
特許文献1には、情報系または制御系または安全系などのネットワークごとの特性を考慮したルーティング機能の自動設定を行う車載ゲートウェイ装置が記載されている。
特許文献2には、通信フレームの転送先を定義したルーティングマップに登録された経路情報を参照し、その経路情報に基づいて通信フレームの転送制御を行う車載ゲートウェイ装置が記載されている。
特許第5017231号明細書 特開2014−146997号公報
車内の各バス上に接続されるユニットの種類や数の組み合わせは、車両のランク(軽、小、中、大)や販売オプションなどにより様々である。そのため、車載ゲートウェイ装置や各バスなどで構成される車内ネットワークをそれらのユニットの組み合わせごとに設計することは、多くのコストを要する。
ここでの設計コストとは、単に各ユニットをどの位置に配置すればよいかという物理空間の制約だけでなく、CAN(Controller Area Network)などの規格などで決定される、同一バス上に接続されるユニット数の上限や、通信媒体におけるデータ通信量の制約などを総合的に考慮する必要があるからである。
よって、個々の車両ごとのユニット構成によって、転送MAPを切り替えたり実装される通信ドライバを切り替えたりすることは、管理を煩雑化し、開発工数を増加させてしまう。かといって、高級車が最も多くのユニットを備えるような最大ユニット構成を前提にした車内ネットワークを、ユニット数が少ない小型車両にそのまま適用してしまうと、使用されることのない無駄なバスに給電をすることになり、無駄な消費電力を消費してしまう。つまり、個々の車両に最適化した車内ネットワークを構築する必要がある。その一方で、設計にある程度の汎用性を持たせて車種間での設計共用により開発コストや部品コストを削減することも重要となる。
そこで、本発明は、各車両の車載ユニットのバリエーションに適した車内ネットワークを柔軟かつ低コストに構築することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る車内通信システムは、
各バスにそれぞれ接続される各ユニットの信号を中継するCPUと、自身の装置内部の信号路を切り替えるスイッチ回路とを有するゲートウェイ装置を介して、複数のバスが接続されて構成され、
前記CPUからの信号と、前記各ユニットが接続される各バスからの信号との衝突を回避する信号衝突回避手段を有しており、
前記CPUが、所定の計測期間において各バスに接続されるユニットからの信号を受信し、それらの受信した信号を元に前記ゲートウェイ装置の内部の通信路を特定するためのモードを決定して、その決定したモードへと前記スイッチ回路を切り替える旨の制御を実行し、
前記決定するモードのうちの1つは、各バス間を前記CPUを介さずに通信可能に接続するとともに、接続されたバス群と前記CPUとを通信可能とするバス間接続モードであり、
前記決定するモードのうちの他の1つは、各バスと前記CPUとの間で個別に通信可能とし、かつ、各バス間を前記CPUを介さずに通信不可能とするバス間非接続モードであることを特徴とする。
これにより、各車両に接続される車載ユニットのバリエーションに適したモード(バス間接続モード、バス間非接続モード)が選択されるので、車内ネットワークを柔軟かつ低コストに構築することができる。
本発明は、前記CPUが、モードを決定する工程において、前記計測期間に受信した信号の送信元である各バスのユニットの台数の総和が所定台数を超えるときには前記バス間非接続モードとする一方、前記総和が所定台数を超えないときには前記バス間接続モードとすることを特徴とする。
これにより、各車両に接続される車載ユニットの台数に適したモードが選択される。
本発明は、前記CPUが、モードを決定する工程において、
前記計測期間に信号を受信せず、所定のバスに接続されたユニットが存在しないときには、前記バス間非接続モードとするとともに、所定のバスと前記CPUとの接続機構の電源をオフにし、
前記計測期間に信号を受信し、信号の送信元である所定のバスのユニットの台数が所定台数を超えないときには前記バス間接続モードとし、
前記計測期間に信号を受信し、信号の送信元である所定のバスのユニットの台数が所定台数を超えるときには前記バス間非接続モードとすることを特徴とする。
これにより、例えば、所定のバスを使用しない小型車、所定のバスを少し使用する中型車、所定のバスを多く使用する大型車と、それぞれの車両規模に適したモードが選択される。
本発明は、前記CPUが、前記車内通信システムのバスのうちのBus2への送信線に接続される端子であるTxC2と、前記Bus2からの受信線に接続される端子であるRxC2と、前記車内通信システムのバスのうちのBus3への送信線に接続される端子であるTxC3と、前記Bus3からの受信線に接続される端子であるRxC3とを有し、
前記Bus2との接続インタフェースが、前記TxC2の送信線に接続される端子であるTxD2と、前記RxC2の受信線に接続される端子であるRxD2とを有し、
前記Bus3との接続インタフェースが、前記TxC3の送信線に接続される端子であるTxD3と、前記RxC3の受信線に接続される端子であるRxD3とを有し、
前記ゲートウェイ装置が、さらに、
前記TxC3と前記RxD2とを入力として、それらの論理和を前記TxD3に出力する第1論理和演算手段と、
前記RxD2と前記RxD3とを入力として、それらの論理和を前記RxC3に出力する第2論理和演算手段と、
前記RxD3と前記TxC3とを入力として、それらの論理和を前記TxD2に出力する第3論理和演算手段と、
前記バス間接続モードでは前記第3論理和演算手段の出力線と前記TxD2の線とを接続し、前記バス間非接続モードでは前記TxC2の線と前記TxD2の線とを接続する前記スイッチ回路のうちの第1スイッチと、
前記バス間接続モードでは前記第1論理和演算手段の入力線と前記RxD2の線とを接続し、前記バス間非接続モードでは前記RxC2の線と前記RxD2の線とを接続する前記スイッチ回路のうちの第2スイッチとを有することを特徴とする。
これにより、OR回路などの論理和演算手段という簡易かつ低コストな手段を用いて、選択されたモードを実現できる。
本発明は、各バスにそれぞれ接続される各ユニットの信号を中継するCPUと、自身の装置内部の信号路を切り替えるスイッチ回路とを有するゲートウェイ装置を介して、複数のバスが接続されて構成される車内通信システムであって、
前記CPUからの信号と、前記各ユニットが接続される各バスからの信号との衝突を回避する信号衝突回避手段を有しており、
前記ゲートウェイ装置が、自身の内部の通信路を特定するためのモードの指定手段から入力されたモードへと前記スイッチ回路を切り替え、
前記入力されるモードのうちの1つは、各バス間を前記CPUを介さずに直接接続するとともに、接続されたバス群と前記CPUとを通信可能とするバス間接続モードであり、
前記入力されるモードのうちの他の1つは、各バスと前記CPUとの間で個別に通信可能とし、かつ、各バス間を前記CPUを介さずに通信不可能とするバス間非接続モードであることを特徴とする。
これにより、人間が指定手段でモードを指定することで、モードの自動判定のための計測期間を省略することができる。
本発明によれば、各車両の車載ユニットのバリエーションに適した車内ネットワークを柔軟かつ低コストに構築することができる。
本発明の実施形態に係る車内通信システムの構成図である。 本発明の実施形態に係るゲートウェイ装置のバス間接続モードにおける構成図である。 本発明の実施形態に係るゲートウェイ装置のバス間非接続モードにおける構成図である。 本発明の実施形態に係るゲートウェイ装置の2モード設定処理(バス間接続モード、バス間非接続モード)を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るゲートウェイ装置の3モード設定処理(小型車モード、中型車モード、大型車モード)を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、車内通信システムの構成図である。車内通信システムは、複数のバス(Bus1、Bus2、Bus3)がゲートウェイ装置1を介して接続される。なお、本実施形態ではゲートウェイ装置1という名称を用いているが、複数のバスを接続する装置であれば、スイッチング装置などの別名となる任意の通信装置を用いてもよい。
Bus1は、車両の基本的な制御(走る・曲がる・止まる)に必要となる各種ユニットが接続される基幹Busである。図1のBus1には、FI−ECU(Fuel Injection - Electric Control Unit)などのUNIT−Aと、TCU(Transmission Control Unit)などのUNIT−Bと、FIU(Fuel Injection Unit)などのUNIT−Cとが接続されている。さらに、Bus1には、変速UNIT、ブレーキ制御UNIT、操舵UNITなどの各種ユニットが接続されていてもよい。
Bus2は、Bus1の車両制御を拡張するための拡張Busである。図1のBus2には、メータ制御装置であるUNIT−Dと、パワーウィンドウ制御装置であるUNIT−Eとが接続されている。さらに、Bus2には、衝突防止などの機能を有するクルーズ装置や、自動運転向け装置(ADAS:Advanced Driver Assistance System)とその周辺機器(カメラ、レーダー機器など)などの各種ユニットが接続されていてもよい。
Bus3は、Bus1やBus2のような車両制御に限定されず、車内の搭乗者に快適なサービスを提供するための拡張Busである。図1のBus3には、ナビゲーション装置であるUNIT−Fと、シートヒータ制御装置であるUNIT−Gとが接続されている。さらに、Bus3には、テレマティクス機器などの各種ユニットが接続されていてもよい。
なお、各バス(Bus1、Bus2、Bus3)に接続されるユニットの種別や個数は、車種のグレードなどにより様々である。例えば、ADASなどの高度な処理を行うユニットは、大型車の上位車種だけに搭載される。よって、ゲートウェイ装置1は、各バスに接続されるユニットの形態に応じて、各バスとの接続形態(以下「モード」とする)を最適化する。
そのため、ゲートウェイ装置1は、制御部を有するCPUと、バスごとのインタフェースとして個別に接続される送受信回路である通信ドライバ(DR1、DR2、DR3)とに加え、CPUと各ドライバとの間のモードを切り替えるためのSW(スイッチ)を有する。
CPU(制御部)は、拡張バスであるBus2とBus3とで、それぞれのユニット接続状態に基づいて決定したモードを、切替部であるSW(スイッチ)に指示する。これにより、例えば、以下のいずれかのモードへと切り替えることができる。または、CPUがモードを自動設定する代わりに、ゲートウェイ装置1の指定手段(モードボタンなど)を介して人間が手動でモードを指定してもよい。
[バス間非接続モード]:SWは接続101を有効にし、接続102を無効にすることで、Bus2とBus3とを接続しないモードである。CPUは、「CPU→接続101→SW→DR2」の経路でBus2の各ユニットとの通信を行い、「CPU→接続103→DR3」の経路でBus3の各ユニットとの通信を行う。
つまり、接続101からアクセスされるBus2と、接続103からアクセスされるBus3とが、CPUからは別々のバスとして認識されている。この場合、Bus2の信号とBus3の信号とは混線しない。
[バス間接続モード]:SWは接続101を無効にし、接続102を有効にすることで、Bus2とBus3とを接続するモードである。CPUは、「CPU→接続103→(DR3を経由または非経由)→接続102→SW→DR2」の経路でBus2の各ユニットとの通信を行い、「CPU→接続103→DR3」の経路でBus3の各ユニットとの通信を行う。
つまり、Bus2のユニットもBus3のユニットも、CPUからは1つの接続口(接続103)からアクセス可能であるので、あたかもBus2とBus3とが仮想的に1つのバスで接続されているように認識させることができる。
図2は、ゲートウェイ装置1のバス間接続モードにおける構成図である。
ゲートウェイ装置1は、図1で示した各構成要素(CPU、DR1、DR2、DR3)に加え、図1の各接続(符号101〜104)を具体化したOR(論理和)回路(OR1、OR2、OR3)と、図1のSWを具体化したSW1、SW2とを有する。
CPUは、DR1と接続するための端子C1(TxC1、RxC1)と、DR2と接続するための端子C2(TxC2、RxC2)と、DR3と接続するための端子C3(TxC3、RxC3)と、SW1,2と接続するための端子SWCとを有する。なお、端子の「Tx」とはCPUから見た送信用の回線を示し、端子の「Rx」とはCPUから見た受信用の回線を示す。
DR2は、CPU(端子C2)と直接接続するための端子D2(TxD2、RxD2)を有する。
DR3は、CPU(端子C3)と直接接続するための端子D3(TxD3、RxD3)を有する。
端子D2−D3間は、SW1,2を介して間接的に接続される。
OR1は、TxC3とRxD2とを入力として、それらの入力信号の論理和をTxD3に出力する。
OR2は、RxD2とRxD3とを入力として、それらの入力信号の論理和をRxC3に出力する。
OR3は、RxD3とTxC3とを入力として、それらの入力信号の論理和をTxD2に出力する。
なお、OR1〜OR3は、論理和演算手段のうちのOR回路として実現してもよいし、他の回路により論理和演算手段を実現してもよい。
バス間接続モードにおいて、CPUは、端子SWCを介して、以下のようにSW1、SW2を設定するための切替信号を送信する。
SW1は、左側の端子(OR3の出力)と右側の端子(TxD2)とを接続するが、上側の端子(TxC2)の信号を非接続とする。
SW2は、左側の端子(OR1の入力)と右側の端子(RxD2)とを接続するが、上側の端子(RxC2)の信号を非接続とする。
これにより、DR2→DR3の経路(DR2→RxD2→SW2→OR1→TxD3→DR3)と、DR3→DR2の経路(DR3→RxD3→OR3→SW1→TxD2→DR2)とが開通されることで、図1のバス間接続モードとなる。また、端子C2がSW1,SW2で遮断されることで、図1の接続101は無効となる。
なお、Bus2とBus3とをOR回路でそのまま接続してしまうと、各バスに接続される各ユニットからの信号がOR回路で合流するときに、混線してしまう恐れがある。そこで、車内通信システム(ゲートウェイ装置1)は、以下に示すような信号衝突回避手段を有することが望ましい。
この信号衝突回避手段とは、CPUから送信される信号と、各バスから送信される信号との信号の衝突を回避する手段である。例えば、同時刻にUNIT−Dからの「1001」信号と、UNIT−Fからの「1100」信号とが送信されたとする。ここでもし、信号衝突回避手段が動作しないと、論理和演算手段により出力される信号は、「1101」となり、UNIT−Dから送信された信号でも、UNIT−Fから送信された信号でもない、混線した無意味な信号が出力されることとなる。
本実施例にて作動する信号衝突回避手段は、例えば、車載ネットワークの規格の1つであるCAN(Controller Area Network)における調停機能である。CANにおける調停機能が、信号衝突回避手段として作動する場合には、UNIT−DおよびUNIT−Fは、それぞれの信号のビット列を先頭から順次比較し、数値の小さい方を優勢として決定する通信調停を行うことにより、次のように通信の衝突を回避する。
すなわち、上記のケースにおいて、信号の第1ビットは共に「1」であるが、第2ビットは、UNIT−Dの方が「0」(優勢)で、UNIT−Fの方が「1」であるから、この時点でUNIT−Dの方に通信データの送信権が与えられ、UNIT−Fは送信を待機する。その結果、論理和演算手段の入力端子には、UNIT−Dからの信号「1001」のみが入力されることとなり、論理和演算手段の出力端子からは、論理和演算結果としてビット列情報「1001」、すなわちUNIT−D送信するものと同一のビット列が出力される。このように、一例としてのCANにおける調停機能が信号衝突回避手段として動作すれば、通信データ同士の衝突が回避されるためデータ破壊が生じることはない。
なお、信号衝突回避手段は、CANにおける調停機能に限らず様々な方法によって具現できる。例えば、UNIT−DとUNIT−Fとのデータ送信時刻が重なることがないように、もとから送信権を時間ごと各ユニットに割り振っておく方式(タイムスロット方式)にUNIT−DとUNIT−Fとを準拠させておくことや、互いに送信タイミングが重なった場合には、いずれも送信をそれぞれ定めたランダム時間の間待機するようにし、そのランダム時間の経過後に送信を再開するといった方式にUNIT−DとUNIT−Fとを準拠させておくことも、信号衝突回避手段となり得る。
図3は、ゲートウェイ装置1のバス間非接続モードにおける構成図である。図2との違いは、SW1,SW2内部の接続である。
バス間非接続モードにおいて、CPUは、端子SWCを介して、以下のようにSW1、SW2を設定するための切替信号を送信する。
SW1は、上側の端子(TxC2)と右側の端子(TxD2)とを接続するが、左側の端子(OR3の出力)の信号を非接続とする。
SW2は、上側の端子(RxC2)と右側の端子(RxD2)とを接続するが、左側の端子(OR1の入力)の信号を非接続とする。
これにより、DR2→CPUの経路(DR2→RxD2→SW2→RxC2→CPU)と、CPU→DR2の経路(CPU→TxC2→SW1→TxD2→DR2)とが開通されることで(図1の接続101)、図1のバス間非接続モードとなる。一方、DR2、DR3間の信号はSW1,SW2で遮断されることで、図1の接続102は無効となる。
図4は、ゲートウェイ装置1の2モード設定処理(バス間接続モード、バス間非接続モード)を示すフローチャートである。
S11として、ゲートウェイ装置1は、所定契機における装置内部の状態を、以下のような初期状態に設定する。
・CPUとDR2とを接続するようにスイッチを設定し(図中の「SW=CPU-DR2」)、図3の[バス間非接続モード]とする。
・端子C2をオンにする(図中の「C2=ON」)。なお、端子をオンにするとは、その端子で接続される回線からの送受信ができるように、給電など通信可能な状態にすることである。
・端子C3をオンにする(図中の「C3=ON」)。
ここで、S11の所定契機とは、例えば、車両の電源投入時(イグニッション・オン)でもよいし、車両の通常操作とは別のメンテナンス用の特別な操作(車内から見づらい場所にある保守ボタンの押下など)により受け付けてもよい。この所定契機は、例えば、工場生産工程で生産者が行ってもよいし、販売店のディラーが行ってもよいし、購入した運転者が行ってもよい。さらに、所定契機は1回でもよいし、工場で実行した後に販売店で再度実行するなど複数回でもよい。
S12として、ゲートウェイ装置1は、各Bus(Bus2,Bus3)から各ユニットの送信情報を受信する。この送信情報とは予めユニットを示す識別情報でもよいし、例えば、送信フレームに付加される識別情報(ID)を使用して転送MAPより接続されるユニットを認識してもよい。
S21として、ゲートウェイ装置1は、S12で受信した送信情報から、各Bus(Bus2,Bus3)に接続されるユニットの台数の和が所定台数より多いか否かを判定する。S21でYesならS22に進み、NoならS23に進む。
S22として、ゲートウェイ装置1は、S11のバス間非接続モードを維持する。これにより、Bus2のユニットの通信と、Bus3のユニットの通信とが別々の経路でCPUに届くので、調停機能の待ち頻度を下げ、各バスのスループットを向上することができる。
S23として、ゲートウェイ装置1は、S11のバス間非接続モードからバス間接続モードへと切り替える。
・DR2とDR3とを接続するようにスイッチを設定し(図中の「SW=DR2-DR3」)、図2の[バス間接続モード]とする。
・端子C2をオフにする(図中の「C2=OFF」)。
・端子C3をオンにする(図中の「C3=ON」)。
これにより、CPUからは1つの接続口で複数のバスのデータを送受信できる。
以上、図4を参照して、バス間非接続モードまたはバス間接続モードに設定されるまでの処理を説明した。一方、S21の判定処理のYes/Noを逆にし、接続ユニットの台数が多いときにはバス間接続モードに設定し、接続ユニットの台数が少ないときにはバス間非接続モードに設定してもよい。
図5は、ゲートウェイ装置1の3モード設定処理(小型車モード、中型車モード、大型車モード)を示すフローチャートである。以下、図4との差分に着目して説明する。
まず、S21の判定処理の代わりにS21bおよびS21cが実行される。
S21bとして、ゲートウェイ装置1は、S12でBus3から送信情報を受信したユニットが存在するか(換言すると、端子C3からデータを受信したか)否かを判定する。S21bでYesならS21cに進み、NoならS24に進む。
S24として、ゲートウェイ装置1は、S11のバス間非接続モードから小型車モードへと切り替える。小型車モードとは、バス間非接続モードやS22bの大型車モードと同様にCPUとDR2とを接続する。一方、CPUは、ユニットが接続されていないBus3との間の端子C3の電源をオフにし、Bus3との間の送受信回路をディセーブルにして車両ネットワークへの侵入口を遮断することで、省電力化が実現できる。なお、「小型車モード」という名称は、軽自動車などの接続されるユニットが少ない車両の場合、Bus1,2だけでユニットの接続が済んでしまうことによる。
一方、S24の小型車モードでは、Bus1とBus2とはオン(有効)であり、それらの各ユニットの送信フレームは、予め登録された転送MAPに基づき転送される。
S21cとして、ゲートウェイ装置1は、S24で受信したBus3からのユニットの台数が所定台数より多いか否かを判定する。この判定処理の他の具体例として、例えば、S11の初期状態から開始した計測期間において受信したフレーム総数やフレームデータ量の総和が、1つのバスの許容量の範囲を超えたときに、受信が多い(S21c,Yes)と判定してもよい。S21cでYesならS22bに進み、NoならS23bに進む。
S22bとして、ゲートウェイ装置1は、S11のバス間非接続モードをそのまま大型車モードとして維持する。端子C2、C3はともに有効であり、Bus2,Bus3のユニットのデータは個別にCPUとの間で送受信される。例えば、大型車両の最上位グレードでは多くのユニットが接続されるので、図4のS22で説明したように、バス間非接続モードが適している。
S23bとして、ゲートウェイ装置1は、S11のバス間非接続モードから中型車モードへと切り替える。この中型車モードとは、S23のバス間接続モードと同じであり、2つのバスが論理的に1本のバスとしてCPUに認識される。
このような中型車モードや大型車モードでは、Bus1とBus2に加えて、Bus3もオン(有効)であり、それらの各ユニットの送信フレームは、予め登録された転送MAPに基づき転送される。
以上、図4の2モード設定処理と、図5の3モード設定処理とについて、それぞれ説明した。前記の説明では、CPUはモードを設定するときには、スイッチ回路を介して装置内部の通信路を設定することとしたが、その通信路の設定処理に加えて、各モードに適したゲートウェイ装置1の内部制御を行ってもよい。例えば、接続されるユニットの台数が多い順に大型車モード、中型車モード、小型車モードであるが、この順序に従って、CPUのクロック周波数を変更して消費電力を大きくしてもよい。これにより、少数のフレームだけ処理すればよい小型車モードでは、その処理に要する処理能力を超える電力を節約することができる。
さらに、大型車には非対応であるが、小型車と中型車とにだけ対応させる簡易的な構成も考えられる。その簡易的な構成では、図2のバス間接続モードを動作させてBus2とBus3とを接続することで、Bus3に接続されるユニットが0台(小型車)のときでも、Bus3に接続されるユニットが少数台(中型車)のときでも、CPUとバスとの間の通信が可能となる。
一方、Bus3に多数のユニットが接続されることを予め考慮しなくてよいため、バス間非接続モードを動作させなくてもよくなる。つまり、簡易的な構成では、図2のSW1の代わりにそのSW1の左側の端子(OR3の出力)と右側の端子(TxD2)とを直接接続し、図2のSW2の代わりにその左側の端子(OR1の入力)と右側の端子(RxD2)とを直接接続すればよい。
以上説明した本実施形態の車内通信システムでは、複数のユニットを搭載する車両にて、車両の装備仕様や搭載されるユニットの状態に応じて接続バスを切替可能な車載通信網装置を提供する。つまり、車両の仕様により設置されたりされなかったりするユニットがあったとしても、その仕様ごとに構成を変えることなく単一の構成によって複数バス間の中継が可能である。
そのため、ゲートウェイ装置1のCPUは、拡張バスの結合形態(バス間接続モード)と分割形態(バス間非接続モード)とを自動的に切り替えることで、車載ユニットの処理時の消費電流を低減すると共に、部品の共通化によるコストダウンを促進できる。
さらに、小型車モードでは使用しない端子C3の電源をオフにすることで、車載ネットワークの不正な侵入経路となる拡張バスをハード的にディセーブルする事で機密性を高めることができる。一方、受信した経路情報などによって転送MAPを自動更新するだけでは、接続先のバス構成まで最適化されておらず、余分な電力を浪費してしまうこともある。
また、ゲートウェイ装置1は、図2,図3に示すようにOR回路でバス間の信号を通過可能とするとともに、ユニットが有する調停機能により信号間の衝突を回避することで、車内ネットワークの構成を複雑化することなく、簡便に複数バス間の通信を可能とする。
1 ゲートウェイ装置
101〜104 接続構成

Claims (5)

  1. 各バスにそれぞれ接続される各ユニットの信号を中継するCPUと、自身の装置内部の信号路を切り替えるスイッチ回路とを有するゲートウェイ装置を介して、複数のバスが接続されて構成される車内通信システムであって、
    前記CPUからの信号と、前記各ユニットが接続される各バスからの信号との衝突を回避する信号衝突回避手段を有しており、
    前記CPUは、所定の計測期間において各バスに接続されるユニットからの信号を受信し、それらの受信した信号を元に前記ゲートウェイ装置の内部の通信路を特定するためのモードを決定して、その決定したモードへと前記スイッチ回路を切り替える旨の制御を実行し、
    前記決定するモードのうちの1つは、各バス間を前記CPUを介さずに直接接続するとともに、接続されたバス群と前記CPUとを通信可能とするバス間接続モードであり、
    前記決定するモードのうちの他の1つは、各バスと前記CPUとの間で個別に通信可能とし、かつ、各バス間を前記CPUを介さずに通信不可能とするバス間非接続モードであることを特徴とする
    車内通信システム。
  2. 前記CPUは、前記モードを決定する工程において、前記計測期間に受信した信号の送信元である各バスのユニットの台数の総和が所定台数を超えるときには前記バス間非接続モードとする一方、前記総和が所定台数を超えないときには前記バス間接続モードとすることを特徴とする
    請求項1に記載の車内通信システム。
  3. 前記CPUは、モードを決定する工程において、
    前記計測期間に信号を受信せず、所定のバスに接続されたユニットが存在しないときには、前記バス間非接続モードとするとともに、前記所定のバスと前記CPUとの接続機構の電源をオフにし、
    前記計測期間に信号を受信し、信号の送信元である所定のバスのユニットの台数が所定台数を超えないときには前記バス間接続モードとし、
    前記計測期間に信号を受信し、信号の送信元である所定のバスのユニットの台数が所定台数を超えるときには前記バス間非接続モードとすることを特徴とする
    請求項1に記載の車内通信システム。
  4. 前記CPUは、前記車内通信システムのバスのうちのBus2への送信線に接続される端子であるTxC2と、前記Bus2からの受信線に接続される端子であるRxC2と、前記車内通信システムのバスのうちのBus3への送信線に接続される端子であるTxC3と、前記Bus3からの受信線に接続される端子であるRxC3とを有し、
    前記Bus2との接続インタフェースは、前記TxC2の送信線に接続される端子であるTxD2と、前記RxC2の受信線に接続される端子であるRxD2とを有し、
    前記Bus3との接続インタフェースは、前記TxC3の送信線に接続される端子であるTxD3と、前記RxC3の受信線に接続される端子であるRxD3とを有し、
    前記ゲートウェイ装置は、さらに、
    前記TxC3と前記RxD2とを入力として、それらの論理和を前記TxD3に出力する第1論理和演算手段と、
    前記RxD2と前記RxD3とを入力として、それらの論理和を前記RxC3に出力する第2論理和演算手段と、
    前記RxD3と前記TxC3とを入力として、それらの論理和を前記TxD2に出力する第3論理和演算手段と、
    前記バス間接続モードでは前記第3論理和演算手段の出力線と前記TxD2の線とを接続し、前記バス間非接続モードでは前記TxC2の線と前記TxD2の線とを接続する前記スイッチ回路のうちの第1スイッチと、
    前記バス間接続モードでは前記第1論理和演算手段の入力線と前記RxD2の線とを接続し、前記バス間非接続モードでは前記RxC2の線と前記RxD2の線とを接続する前記スイッチ回路のうちの第2スイッチとを有することを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車内通信システム。
  5. 各バスにそれぞれ接続される各ユニットの信号を中継するCPUと、自身の装置内部の信号路を切り替えるスイッチ回路とを有するゲートウェイ装置を介して、複数のバスが接続されて構成される車内通信システムであって、
    前記CPUからの信号と、前記各ユニットが接続される各バスからの信号との衝突を回避する信号衝突回避手段を有しており、
    前記ゲートウェイ装置は、自身の内部の通信路を特定するためのモードの指定手段から入力されたモードへと前記スイッチ回路を切り替え、
    前記入力されるモードのうちの1つは、各バス間を前記CPUを介さずに直接接続するとともに、接続されたバス群と前記CPUとを通信可能とするバス間接続モードであり、
    前記入力されるモードのうちの他の1つは、各バスと前記CPUとの間で個別に通信可能とし、かつ、各バス間を前記CPUを介さずに通信不可能とするバス間非接続モードであることを特徴とする
    車内通信システム。
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