JP2017167063A - 漏洩位置検出方法、及び漏洩位置検出システム - Google Patents

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勝利 上野
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潤 霜村
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Shoichi Hirata
祥一 平田
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Abstract

【課題】土壌及び土中水分の影響を抑制し地中埋設管における流体の漏洩点の位置を精度よく検出する。【解決手段】地中に埋設され管軸方向に延設された長尺状の導電性部材20の一端20aに高周波信号を印加して、導電性部材の一端20aから他端20bに送信波swを伝播させる工程と、導電性部材の一端20a又はその近傍から、送信波swとその反射波rwとの合成波cwを所定の時間取得して受信信号の時間領域データを生成する工程と、受信信号の時間領域データと導電性部材20中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する工程と、受信信号の距離領域データに存在するピークの位置を検出する工程と、受信信号の距離領域データにおける一端20a又は他端20bに対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体LQの漏洩位置X1を特定する工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、漏洩位置検出方法、及び漏洩位置検出システムに関し、特に、閉回路レーダ装置を用いた地中埋設管の漏洩位置を検出する技術に関する。
近年、社会インフラの老朽化が社会問題化し、例えば、腐食が進んだ水道管が破裂する事故が頻発している。破裂に至らない場合でも、管路に生じた亀裂からの漏水により年間数億円規模の損失が自治体に生じたり、また、亀裂から管に地下水が流入することに伴ない地盤が空洞化し地表が突然陥没する事故が増加し問題となっている。
一般に、これらの現象は予兆として地盤中における含水比の急激な上昇を伴うことが知られており、突発事故や損失を効果的に防ぐために継続的に地盤内部の状態をモニタリングして、地中の含水比の変化や空洞の有無を精度よく検知する技術の確立が急務となっている。
これに対し、流体を輸送する地中埋設管の漏水を検知する技術として、例えば、漏洩点から管路等を通して伝播する漏水音や振動をセンサにより検知して、周波数分析により特定する相関法、静電容量型水分計を地中に挿入し誘電率の変化から漏水を検出する技術、あるいは、地表から地中に向けて電磁波を照射し反射波を計測して断層像から地中の空洞を検出する地中レーダ法等が提案されている(例えば、非特許文献1〜3)。
しかしながら、非特許文献1記載の相関法では騒音の影響により漏水音の正確な判定が難しい場合があり、非特許文献2記載の静電容量型水分計を用いた方法では、広域をモニタリングするためには多数の水分計を設置する必要があり、非特許文献3記載の地中レーダ法は、管路の状態を継続的に監視したり小規模な漏水の検出には適さないといった課題があった。
これに対し、漏洩した液体の浸潤により漏洩点付近での誘電率が変化することを利用して管路に沿って敷設したケーブルの一端からパルス信号を入射してその反射波によりパイプライン等管路の漏洩を監視する漏洩監視装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開昭58−33145号公報
フジ地中情報株式会社ホームページ、"漏水調査"、[online]、[平成28年2月2日検索]、インターネット<URL:http://www.fuji-si.co.jp/sindanrousui.html> 鳥取大学乾燥地研究センター、"土壌水分量の計測"、[online]、[平成28年2月2日検索]、インターネット<URL:http://www.geocities.jp/soil_water_mitchy11/Moisture_Mes.pdf> 株式会社 村尾地研ホームページ、"地中レーダー法による地中の空洞調査"、[online]、[平成28年2月2日検索]、インターネット<URL:http://www.muraochiken.co.jp/file_upload/100027/_main/100027_10.pdf>
しかしながら、特許文献1記載の技術は、大気中に置かれたパイプライン等を対象としたものであり、土壌及び土中水分の影響を受ける地中埋設管の漏洩点を測定する用途への利用は検討されていない。
本発明は、これまで確立されていなかった土壌及び土中水分の影響を抑制し流体の漏洩点の位置を精度よく検出することが可能な斬新な漏洩位置検出方法、及びその方法を実施する漏洩位置検出システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る漏洩位置検出方法は、流体を輸送する地中埋設管の漏洩位置検出方法であって、地中に埋設され管軸方向に延設された長尺状の導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させる工程と、前記導電性部材の前記一端又はその近傍から、前記送信波とその反射波との合成波を所定の時間取得して受信信号の時間領域データを生成する工程と、前記受信信号の時間領域データと前記導電性部材中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する工程と、前記受信信号の距離領域データに存在するピークの位置を検出する工程と、前記受信信号の距離領域データにおける前記一端又は前記他端に対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体の漏洩位置として特定する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る漏洩位置検出方法、及び漏洩位置検出システムによれば、土壌及び土中水分の影響を抑制し、漏洩点付近での誘電率変化検出における信号S/N比を改善することにより流体の漏洩点の位置を精度よく検出することができる。
実施の形態1に係る漏洩位置検出方法を利用した漏洩位置検出システム1000の構成を示す図である。 図1におけるA−A線で切った断面を示す断面図である。 (a)(b)は、導電性部材20中を伝播する送信波と反射波の概要を示す模式図である。 図1におけるY部の拡大図である。 電圧反射係数Γの複素位相検波信号の周波数領域データから時間領域データへの変換を示す模式図である。 実施の形態1に係る漏洩位置検出方法に係る検出の手順を示すフローチャートである。 図6におけるステップS130の手順の詳細を示すフローチャートである。 図7におけるステップS133の手順の詳細を示すフローチャートである。 実験1により取得したフィーダ線の一端から出力されるVSWRの波形の一例であり、(a)は被覆していないフィーダ線A、(b)はポリエチレンスリーブにより被覆したフィーダ線Bにおける測定結果である。 実験2により取得したフィーダ線の一端から出力されるVSWRの波形の一例であり、(a)は注水開始前、(b)は注水開始2分45秒経過後における測定結果である。 実験3に用いた実施例に係る漏洩位置検出システム1000の詳細を示す側断面図である。 図11におけるB−B線で切った断面を示す断面図である。 実施例に係る漏洩位置検出システム1000の長尺方向の寸法を示す図である。 (a)から(d)は、実験3により取得した受信信号の距離領域データに基づく波形の一例である。 図14(a)から(d)に示した受信信号の距離領域データの測定結果である。 (a)から(d)は、実験3により取得した受信信号の距離領域データと基準距離領域データとの相互相関係数を時間領域において示した結果である。 (a)から(c)は、実験3により取得した受信信号の距離領域データと基準距離領域データとの相互相関係数を時間領域において示した結果である。 実施の形態2に係る漏洩位置検出システム1001の構成を示す図である。 (a)から(f)は、漏洩位置検出システム1001を構成する地中管ユニットの形成工程を示す模式図である。 (a)から(d)は、漏洩位置検出システム1001を構成する地中管ユニットの形成工程を示す模式図である。 実施の形態2の変形例1に係る漏洩位置検出システム1001Aの構成を示す図である。 実施の形態2の変形例2に係る漏洩位置検出システム1001Bの構成を示す図である。 実施の形態2の変形例3に係る漏洩位置検出システム1001Cの構成を示す図である。 図23におけるC−C線で切った断面を示す断面図である。 (a)から(g)は、実施の形態3に係る漏洩位置検出システム1002を構成する地中管ユニットの形成工程を示す模式図である。 (a)から(g)は、それぞれ図25(a)から(g)におけるD−D線で切った断面を示す断面図である。
≪実施の形態1≫
<漏洩位置検出方法による検出システムの構成>
1.全体構成
実施の形態1に係る漏洩位置検出方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る漏洩位置検出方法を利用した漏洩位置検出システム1000の構成を示す図である。図2は、図1におけるA−A線で切った断面を示す断面図である。この漏洩位置検出方法は、地中に埋設された流体LQを輸送する管10に生じた漏洩点LP(Y部)の管軸方向の位置を検出するための方法である。
図1、図2に示すように、漏洩位置検出システム(以降、「検出システム」とする)1000は、漏洩位置の検出対象である流体LQを輸送する地中に埋設された管10と、管10に沿って延設された長尺状の導電性部材20、管10及び導電性部材20の周囲を被覆する遮液性被覆部材30、導電性部材20の始端20aに接続される整合器40、導電性部材20の終端20bに接続される終端器50、導電性部材20に整合器40を介して接続され導電性部材20との間で高周波信号の送受信を行う閉回路レーダ装置60、閉回路レーダ装置60に接続されデータ解析を行う検出部70を有する。
次に、検出システム1000に含まれる各構成について説明する。
2.各部構成
2.1 管10
管10は、本方法の検査対象物であり、主に地中に埋設して用いられる流体LQ輸送用の管である。管10には、上水道、下水道の管路、ガス管、産業用流体輸送管、各種流体輸送用パイプライン等に用いられる金属製管、樹脂製管、ヒューム管等を用いることができる。金属製管としては、例えば、鉄管、鋳鉄管、その他金属管、合金管、めっき鋼管、内面又は外面への樹脂塗装管等を利用することができ、樹脂製管としては、例えば、塩化ビニール管等の各種プラスチック管、強化プラスチック複合管等を利用することができる。本実施の形態では、亜鉛めっき鋼管を用いた。適用可能な管の径、及び長さには特段の制限はなく、例えば、管径において数ミリメートルから数メートル、管長において数メートルから数十メートルのものが利用可能である。
2.2 導電性部材20、整合器40、終端器50
導電性部材20は、管軸方向に延設された長尺状の金属部材であり、一方の端部から入射された高周波信号に基づき、部材内に送信波swとその反射波rwとを伝播させるための媒体である。導電性部材20は、管10の始端20aから終端20bまで管10の全長にわたり延設されていることが好ましい。
導電性部材20は、線材、索状部材、帯状の薄板材等を、管10の外表面に沿って延設することにより形成されている。索状部材として、平衡型の2線式のフィーダ線、単線、ツイスト線、シールド線、同軸線等を用いることができる。または、これらを管10の管壁内に埋め込んだ構成や、管10の管内部に管10の内表面又は外表面に印刷、めっき、蒸着等により導電性材料をパターンニングした構成としてもよい。
管10の表層が導電性である場合には、導電性部材20との間に絶縁性部材が介在していること必要である。他方、管10の表層が絶縁性である場合には、導電性部材20を管10の表層に接触させる構成としてもよい。本実施形態では、図2に示すように、導電性部材20を管10に敷設した構成としており、導電性部材20として樹脂材料で被覆された銅線からなるフィーダ線を用いる構成とした。これにより、重力により下方に蓄積される漏液の早期検出が容易となる。また、長尺方向の広い範囲にわたり容易に導電性部材20と管10外表面とを接触させることができる。また、導電性部材20を絶縁材料で被覆することにより、受信信号のS/N比を高め測定可能な導電性部材20の長さを増加できる。
管10に沿って導電性部材20を複数並設する場合には、一部を後述の閉回路レーダ装置60のアース入力に接続して接地電位とする構成としてもよい。これにより、受信信号の精度を向上することができる。
整合器40は、導電性部材20の入力端と閉回路レーダ装置60との出力端とのインピーダンスを整合させるためのインピーダンス変換器である、本実施の形態では、所定の変換機能を持つマッチングトランスを用いる構成とした。
終端器50は、終端でのインピーダンス変化を調整するためのものであり、本実施の形態では、電気的に開放(オープンエンド)とした。しかしながら、終端器50は、電気的に短絡させてもよい。
2.3 遮液性被覆部材30
遮液性被覆部材30は、図2に示すように、管10及び導電性部材20をひとまとめにして周囲を被覆し、管10及び導電性部材20が、土壌や土中水分と接触することを防止するための遮液性フィルム状部材である。ここで、管10又は導電性部材20の外表面と遮液性被覆部材30の内表面とは接触していてもよく、あるいは、間隙に空気等が介在していてもよい。遮液性被覆部材30には、例えば、樹脂、ゴム等からなる遮水性のシート又はスリーブ、チューブ等を用いることができる。本実施の形態では、ポリエチレンスリーブを用いる構成とした。
2.4 閉回路レーダ装置60
閉回路レーダ装置60は、導電性部材20の始端20aから終端20bに送信波swを伝播させるとともに、送信波swとその反射波rwとの合成波を取得して解析した受信信号を検出部70に出力するケーブル/アンテナアナライザーである。本実施の形態では、アンリツ株式会社製、ケーブル/アンテナアナライザー、サイトマスターS331Eを用いた。閉回路レーダ装置60は、送信部61、方向性結合器62及び検波部63を含む受信部64、変換部65を有する。次に、閉回路レーダ装置60を構成する各構成要素の概要について説明する。
送信部61は、導電性部材20の始端20aに方向性結合器62、整合器40を介して高周波信号を印加して、導電性部材20の始端20aから終端20bに送信波swを伝播させる。送信波swは、伝送線路(導電性部材20)上で特性インピーダンスの変化が生じた位置において全部又は一部が反射波rwとなり、反射波rwは整合器40に向けて伝播する。導電性部材20の始端20aから終端20bに向けて伝播する送信波swと、始端20aに向けて伝播する反射波rwとは合成され、定在波である合成波cwを形成する。合成波cw形成の詳細については後述する。
方向性結合器62は、送信部61から入射される送信波swを整合器40に出力し、整合器40から入射される合成波cwを、あるいは送信波swと反射波rwとに分離した後それらを、検波部63に出力する。
検波部63は、導電性部材20の始端20aから、送信波swと反射波rwとを所定の時間取得し、後述する電圧反射係数Γあるいは電圧定在波比VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)を算出して受信信号の時間領域データを生成する。このとき、合成波cwの受信は、導電性部材20の始端20aの電位と接地電位との電位差を経時的に測定することにより行う。
これにより、方向性結合器62及び検波部63を含む受信部64は、導電性部材20の一端20a又はその近傍から送信波swとその反射波rwとの合成波cwを所定の時間取得して、受信信号の時間領域データを生成することができる。
変換部65は、受信信号の時間領域データと、予めキャリブレーション実験等により既定されている導電性部材20中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換して検出部70に出力する。
閉回路レーダ装置60を構成する上述した各構成要素は、一個の回路部品とすることができるし、複数の回路部品の集合体にすることもできる。また、複数の構成要素を組合せて一個の回路部品とすることができるし、複数の回路部品の集合体にすることもできる。
2.5 検出部70
検出部70は、閉回路レーダ装置60から受信信号の距離領域データを入力し、受信信号の距離領域データに存在するピークの位置を検出する。本実施の形態では、検出部70は市販のパーソナルコンピュータ(PC)を用いる構成とした。
そして、受信信号の距離領域データ上に検出されたピークのうち、始端20a又は終端20bに対応する位置以外にピークが存在するとき、そのピークの位置を算出し、算出された位置を流体LQの漏洩点LPの位置X1として特定する。
以上で、検出システム1000の各構成について説明を終了する。
3.漏洩位置検出の原理について
3.1 電圧定在波比VSWR
図3(a)(b)は、導電性部材20中を伝播する送信波と反射波の概要を示す模式図である。閉回路レーダ装置60は、導電性部材20の始端20aから終端20bに送信波swを伝播させ、送信波swは、伝送線路(導電性部材20)上で特性インピーダンスの変化が生じた位置において反射が生じて反射波rwが発生し、反射波rwは始端20aに向けて伝播する。本実施の形態では、終端器50は電気的に開放されているので、伝送線路の特性インピーダンスは終端器50において∞となり、終端20bでの電圧反射係数Γは−1となるため送信波swは、終端20bにおいて全反射し、図3(a)に示すように反射波rw0が発生する。
導電性部材20の始端20aから終端20bに向けて伝播する送信波swと、終端20bにおいて全反射し始端20aに向けて伝播する反射波rw0とは伝送線路上で重なる。送信波swと反射波rw0とは、周波数が等しく進行方向が逆であるので、伝送線路には合成波cwとして節点(山、谷)位置が固定された定在波が観測される。
図3(a)に示すように、送信波swの振幅電圧(以後、「振幅」とする)をV1、X0に位置する終端20bにおける反射波rw0の振幅をV2としたとき、送信波swと反射波rw0の位相が等しいとき(同相)に、合成波cwの振幅は最大値(V1+V2)となり、送信波swと反射波rw0の位相が180度異なる(逆相)ときに、合成波cwの振幅は最小値(V1−V2)となる。
合成波cwの振幅は、送信波swと反射波rw0との位相差δにより変動する。送信波swと反射波rw0との位相差δは、波長と始端20aから終端20bの位置X0までの距離により変動し、位置X0に応じて、合成波cwの振幅は(V1+V2)と、(V1−V2)との間を変動する。同様に、図3(b)に示すように、送信波swと漏洩点LPでの反射波rw1との位相差δ1は、波長と始端20aから漏洩点LPの位置X1までの距離により変動し、漏洩点LPの距離X1に応じて反射波rw1の振幅V21は変動する。
反射波rwの振幅と送信波swの振幅との関係を示す電圧定在波比VSWR(以後、「VSWR」とする)は、式1により規定される。
Figure 2017167063
3.2 漏洩点LPの位置X1における特性インピーダンス、電圧反射係数Γの変化
図4は、図1におけるY部の拡大図である。管10の管壁に生じたクラックCLにより管内の流体LQが管外に流出し漏液LKとして、遮液性被覆部材30の内方に位置する領域30aにおける含水比は上昇する。物質の比誘電率εは、含水比の増加とともに上昇する。例えば、乾燥した空気の比誘電率εは1であるのに対し、水の比誘電率εは室温において約80となる。したがって、遮液性被覆部材30の内方領域30aにおける比誘電率εは、漏液の進行によって大きく上昇する。これにより、位置X1を境に導電性部材20周囲の環境の比誘電率εが変化する。
物質の特性インピーダンスと比誘電率εとの関係について説明する。電磁波の特性インピーダンスは誘電体における電場Eと磁場Hとの比となり、誘電体の比誘電率をε、透磁率をμとしたとき、漏液LKによる導電性部材20の負荷インピーダンスZ(Ω)は、式2により規定される。ここで、透磁率μが一定である場合、導電性部材20の負荷インピーダンスZは、導電性部材20が存在する環境の比誘電率εによって変化することがわかる。
Figure 2017167063
伝送線路である導電性部材20における特性インピーダンスをZ、漏液LKにより増加した負荷インピーダンスをZとしたとき、漏洩点LPの位置X1における電圧反射係数Γは、式3により規定される。
Figure 2017167063
さらに、負荷側のVSWRは、電圧反射係数Γを用いて式4により規定される。
Figure 2017167063
3.3 DTF(Distance to Fault)
DTF(Distance to Fault:障害位置検出)測定法により、基準点から漏洩点LPの位置X1までの距離を測定する。例えば、周波数領域反射率測定法(Frequency Domain Reflectometry:FDR法)を適用してDTF測定を行うことができる。具体的には、反射波rwの送信波swに対する位相差δが最大から最小の範囲に変化するように、周波数を複数段階に掃引して送信波swを送信し、それぞれの周波数において得られた合成波cwを取得し、管軸方向の漏洩点LPで生じる反射波rwを含む合成波cwの電圧反射係数Γと周波数との関係をあらわす受信信号の周波数領域(周波数ドメイン)データを求める。受信信号の周波数領域データの算出には、送信波swと同一の周波数をもつ正弦参照波信号と、正弦参照波信号の位相を90°シフトさせた余弦参照波信号とをそれぞれ合成波cwに乗じた後に、ローパスフィルタで高周波成分を除去することにより直交検波を行い、互いに複素共役の関係にある電圧反射係数Γの位相差情報を含む複素位相検波信号を生成することにより行う。
これを逆フーリエ変換により、複数の周波数に対応して位相が異なる複数の反射波から得られる応答時間を解析し、同一位置の漏洩点LPから反射波を示す応答時間を算出して電圧反射係数Γと反射波到達時間との関係をあらわす受信信号の時間領域(時間ドメイン)データを算出する。図5は、電圧反射係数Γの複素位相検波信号の周波数領域データから時間領域データへの変換を示す模式図である。
さらに、時間領域(時間ドメイン)データに導電性部材20中の伝播速度値を乗じて、電圧反射係数Γと反射波rwが反射された反射位置との関係をあらわす受信信号の距離領域(距離ドメイン)データに変換する。電圧反射係数ΓをVSWRに変換して、VSWRと反射波rwが反射された反射位置との関係をあらわす受信信号の距離領域(距離ドメイン)データを算出する。ここで、導電性部材20に用いる物質の比誘電率をε、光速度をC0としたとき、導電性部材20内の電磁波の伝播速度Cは式5により表される。
Figure 2017167063
これにより、比誘電率εが変化すると物質内の電磁波の伝播速度Cが変化し、特性インピーダンス変化があった位置X1以後における反射波rw到達時間から計算される距離が見かけ上変化することとなる。
なお、時間領域(時間ドメイン)データの算出において、図3(b)に示すように、送信波sw及び反射波rwが伝送線路である導電性部材20中を伝播するときのケーブルロス(dB/m)と、漏洩点LPの位置X1における送信波swの一部透過に起因するリターンロスLを算出して位置X1における反射波rw1の反射損失を考慮してもよい。これにより、X0に位置する終端20bにおける反射波rw0の振幅をV20、及びX1に位置する漏洩点LPにおける反射波rw1の振幅V21の測定精度を向上することができる。なお、位置X1において透過した送信波sw0は終端20bにて全反射して反射波rw0として始端20aに到達する。導電性部材20の電圧損失(V/m)は、導電性部材20に用いるケーブルにおいて既定されているか、又は予めキャリブレーション実験等により求めることができる、また、リターンロスは、導電性部材20における特性インピーダンスZ、漏液LKによる負荷インピーダンスZに対し、式6により算出することができる。
Figure 2017167063
また、時間領域反射率測定法(Time Domain Reflectometry:TDR法)を適用してDTF測定を行うことができる。その場合には、例えば、所定の周波数の高周波信号の単パルスを始端20aに印加して導電性部材20の始端20aから終端20bに送信波swを伝播させて、終端における反射波rw0が始端20aに至るまでの時間、高周波信号の反射波rwを取得して受信信号の時間領域データを生成する。また、送信波として単パルスを印加する替わりに、変調を施した連続波を印加し、相関処理により送信波に対する反射波を特定して送信波の往復時間を算出してもよい。これにより、閉回路レーダ装置60として高速A/D変換が可能なオシロスコープ等汎用的な測定手段を用いて、電圧反射係数Γ又はVSWRと反射波到達時間との関係をあらわす受信信号の時間領域データを生成することができる。
3.4 相互相関関数を用いたピーク検出
電圧反射係数Γ又はVSWRと反射位置との関係をあらわす距離領域データにおいて、反射位置は、電圧反射係数Γ又はVSWRのピークとして表され、始端20a及び終端20bの位置以外にピークが存在するとき、そのピークの位置を求めることにより漏洩点LPの位置X1を特定することができる。始端20a又は終端20bを示すピークは、測定開始前の初期状態において存在するため、合成波cwを経時的に複数回受信し、それぞれの受信から得られた受信信号の距離領域データ中に初期状態にないピークが検出されたときに、そのピークの示す位置において漏液が発生したものとし、その位置を漏洩点LPの位置として特定することができる。
そのため、ピーク位置の検出では、複数の受信信号の距離領域データ相互間の差異を算出し、それぞれの受信信号の距離領域データにおいて差異が極大となる位置を検出して、その位置をそれぞれの受信信号の距離領域データにおけるピークの位置とする処理方法を採る。
さらに、複数の受信信号の距離領域データ相互間の差異が極大となる位置を検出する際には、受信信号の距離領域データ相互間の相互相関係数を算出することにより行うことが好ましい。この場合、測定開始前の初期状態において取得した基準距離領域データと、経時的に生成した複数の受信信号の距離領域データそれぞれとの間の相互相関係数を算出し、各受信信号の距離領域データにおいて相互相関係数が極小となる位置を検出する方法を用いることができる。
相互相関係数Cfgは、初期状態において取得した基準受信信号の距離領域データをf(x)、一定時間経過後に取得した対象受信信号の距離領域データをg(x)、対象受信信号の距離領域と基準受信信号の距離領域とのずれを意味する変位をτ、距離領域におけるCfg算出対象の下限をl、Cfg算出対象区間をMとしたとき、式7により算出することができる。なお、VSWRと反射位置との関係をあらわす受信信号に基づきCfgを算出する場合には、受信信号の変動の分別を容易とするために、式7におけるf(x)をf(x)とf(x)の平均値との差分に、g(x)をg(x)とg(x)の平均値との差分にそれぞれ置き換えて受信信号を正負に振れるデータに変換した後、式7に適用してもよい。
Figure 2017167063
正規化された相関係数Rfgは、式8により算出することができる。
Figure 2017167063
以上で、漏洩位置検出の原理についての説明を終了する。
<漏洩位置検出方法に係る処理について>
1.全体フロー
次に、漏洩位置検出方法に係る検出処理について説明する。
本漏洩位置検出方法では、複数の異なる時刻において管10の状態を繰り返し観測して変化を検出する。また、複数の時刻から行う観測のうち、ある時刻から行う1回あたりの観測では、さらに、送信波swの周波数を複数段階掃引して高周波信号を印加し、複数回の送信波swの送信を行いそれぞれの送信に基づく合成波cwを受信する。図6は、実施の形態1に係る漏洩位置検出方法に係る検出処理を示すフローチャートである。
先ず、ステップS10では、導電性部材20である導電性索状部材中の電磁波の伝播速度Cを入力する。さらに、導電性索状部材中の伝播損失を考慮するときには、導電性部材20のケーブルロスを入力する。
次に、ステップS20では、送信部61は、送信波swの周波数を初期値に設定する。初期値として、高周波信号の範囲内において、例えば、数MHz〜数十MHzに設定することが好ましい。本実施の形態では、初期値として2MHzに設定する。
次に、送信部61は、導電性部材20の始端20aに設定された周波数の送信波パルスを印加して送信波swを送信し、導電性部材20の始端20aから終端20bに送信波swを伝播させる(ステップS30)。
次に、受信部64は、導電性部材20の始端20aから、送信波swと反射波rwとの合成波cwを所定の時間取得する(ステップS40)。所定の時間は、送信波swが始端20aから終端20bに到達し、その反射波rwが始端20aに到達するまでの時間以上であることが必要である。本実施の形態では、例えば、100msecとした。取得した合成波cwはA/D変換され、受信部64内にある記録媒体に保持される。
次に、送信波swの周波数が最大値であるか否かを判定する(ステップS50)。周波数の掃引範囲の上限値は、数100MHz〜数GHzの範囲から選択される。好ましくは、20〜2000MHz、より好ましくは、200〜500MHzであってもよい。本実施の形態では、200MHzとした。
送信波swの周波数が上限値以上でない場合(ステップS50の判定がNOの場合)には、送信波swの周波数を漸増させて(ステップS60)、ステップS30に戻り、漸増された周波数にて送信波swを伝播させる。送信波swの周波数が上限値以上である場合(ステップS50の判定がYESの場合)には、ステップS70に進む。この段階では、周波数の掃引範囲の下限値から上限値までの送信波swに基づく合成波cwが取得されている。
次に、ステップS70では、受信部64は、それぞれの周波数において得られた合成波cwから管軸方向の漏洩点LPで生じる反射波rwを含む合成波cwの電圧反射係数Γと周波数との関係をあらわす受信信号の周波数領域データを生成する。
これを逆フーリエ変換により、複数の周波数に対応して位相が異なる複数の反射波から得られる応答時間を解析して(ステップS80)、同一位置の漏洩点LPから反射波を示す応答時間を算出して電圧反射係数Γと反射波到達時間との関係をあらわす受信信号の時間領域データを生成し、記録媒体に保存する(ステップS90)。
さらに、時間領域データに導電性部材20中の伝播速度値を乗じて、電圧反射係数Γと反射波rwが反射された反射位置との関係、又はVSWRと反射波rwが反射された反射位置との関係をあらわす受信信号の距離領域データに変換し、記録媒体に保存する(ステップS100)。このとき、電圧反射係数Γと反射位置との関係をあらわす受信信号の距離領域データと、VSWRと反射位置との関係をあらわす受信信号の距離領域データとを算出して記録媒体に保存してもよい。
次に、異なる複数の時刻における測定が完了したか否かを判定し(ステップS110)、完了していない場合(ステップS110の判定がNOの場合)には、次の測定時刻まで待機した後(ステップS120)、ステップS20に戻り、次の測定時刻にて送信波swを伝播させる。完了している場合(ステップS110の判定がYESの場合)には、ステップS130に進む。この段階では、異なる複数の時刻における測定から得た受信信号の距離領域データが記録媒体に保存されている。
次に、ステップS130では、異なる複数の時刻における受信信号の時間領域データに基づいて漏洩点LPの位置X1を特定する。ステップS130における、漏洩点LPの位置X1の特定方法については後述する。
2.ステップS130における処理の詳細について
図7は、ステップS130の手順の詳細を示すフローチャートである。先ず、検出部70は、記録媒体から測定開始前の初期状態において取得した基準受信信号の距離領域データを読み出す(ステップS131)。
次に、検出部70は、経時的に生成され記録媒体に保存されている複数の受信信号の距離領域データから評価対象とすべき対象受信信号の距離領域データを選択し、読み出す(ステップS132)。
対象受信信号の距離領域データの基準受信信号の距離領域データとの相互相関係数を算出し、相互相関係数の距離領域データを記録媒体に保存する(ステップS133)。ステップS133における、相互相関係数の距離領域データの算出方法については後述する。
次に、相互相関係数が閾値以下である極小点を抽出し、漏洩点LPの位置X1に特定する(ステップS134)。他の受信信号の距離領域データについて評価するか否かを判定し(ステップS135)、評価する場合(ステップS135の判定がYESの場合)には、ステップS132に戻り、新たな対象受信信号の距離領域データを選択し読み出す。評価しない場合(ステップS135の判定がNOの場合)には、処理を終了する。
3.ステップS133における処理の詳細について
図8は、相互相関係数の距離領域データの算出手順を示すフローチャートである。本フローチャートは、変位τについてのループ、変数lについてのループからなる多重ループ構造になっている。変位τについてのループは、対象受信信号の距離領域と基準受信信号の距離領域とのずれを意味する変位τについて、変位τがとり得る様々な値に対するCfg、Rfgを算出するためのループである。変数lについてのループは、距離領域における位置のそれぞれについて、相関係数を算出するためのループである。
ステップS1331では、位置を示す変数lを0に初期化し、ステップS1332は、変位τをτminで初期化する。ステップS1333では、x+τが負である場合に備えて、x+τと1との最大値max(1、x+τ)をx+τに置き換える処理を行う。ステップS1334では、変位τについて、式7の積和演算を行い、f(x)と、g(x+τ)との相互相関値Cfgを算出する。ここで、ステップS1334におけるCfg算出対象となる区間Mは、対象受信信号の大きさに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、区間Mは波形のピークが1から数個程度含まれる範囲でよく、あるいは、例えば、対象受信信号の距離領域における位置の最大値lmaxが約1000であるとき、区間Mは100以上200以下としてもよい。
ステップS1335では式8に従い、相関値Cfgを正規化して、正規化された相関値Rfgを得る。ステップS1336では、τが最大値τmaxに達していなければ(ステップS1336の判定がNOの場合)変位τをインクリメントして(ステップS1337)、ステップS1333に戻る。τが最大値τmaxに達すると(ステップS1336の判定がYESの場合)ステップS1338に移行する。ステップS1338は、変位τのそれぞれの値についてのRfgのうち最大となるRfgmaxと、そのときの変位τとを抽出し、位置l+τにおける相関値Rfg(l)と変位τとを算出する。
ステップS1339では、変数lが最大値lmaxに達したかどうかを判定し、達していなければ(ステップS1339の判定がNOの場合)変数lをインクリメントして(ステップS1340)、ステップS1332に戻る。変数lが最大値lmaxに達すれば(ステップS1339の判定がYESの場合)、処理を終了する。
<評価試験>
1.遮液性被覆部材30の効果確認(実験1)
遮液性被覆部材30にて、導電性部材20を被覆することにより、土壌の水分の影響を抑制できるか否かを調べる実験を行った。
1.1 実験方法
地表に這わせた被覆していないフィーダ線およびポリエチレンスリーブにより被覆したフィーダ線について、TDR法を適用してDTF測定を行った。具体的には、両フィーダ線の始端から200MHzの高周波電圧の単パルスをそれぞれ印加し、オシロスコープによりフィーダ線の始端から出力される時間領域における電圧信号の波形を取得し距離領域に変換して観測した。
1.2 実験結果
(1)土壌水分の影響の抑制効果
図9は、実験1により取得したフィーダ線の一端から出力されるVSWRの波形の一例であり、(a)は被覆していないフィーダ線A、(b)はポリエチレンスリーブにより被覆したフィーダ線Bにおける測定結果である。
図9(a)(b)に示すように、VSWRは、フィーダ線Aでは1.5であるのに対しフィーダ線Bでは2.6であり、ポリエチレンスリーブによりフィーダ線を被覆することによりVSWRは約73%増加した。また、フィーダ線Bでは、フィーダ線Aに比べて始端から終端までの範囲で微小な波形の振幅が減少していることが確認できた。例えば、フィーダ線Aでは位置Wに約0.8のピークが存在するのに対し、フィーダ線Bでは位置Wにピークが存在していない。全体として、フィーダ線Bでは、フィーダ線Aに比べて、VSWRの信号S/N比が向上していることが確認できた。これにより、ポリエチレンスリーブにて、フィーダ線を被覆することにより、フィーダ線から出力される信号波形への土壌の水分の影響を抑制できることが確認された。
(2)見掛け上の距離の増加
観測された終端の位置は、フィーダ線Aでは位置X0が約8.6であるのに対し、フィーダ線Bでは位置X0は約6.4であり、フィーダ線Bでは、フィーダ線Aに比べて観測された始端から終端までの長さは約25%減少した。
これは、フィーダ線Aでは、土壌の水分の影響により、比誘電率εが増加して物質内の電磁波の伝播速度Cが低下し反射波の到達時間が増加したこと基づく。本実験では、反射波の到達時間から反射波の反射位置への変換の際に、比誘電率εの変化が考慮されない光速値C0を用いて計算を行っているので、図9(a)(b)において、フィーダ線Aでは、土壌の水分の影響による比誘電率εの増加が、算出される見掛け上の距離の増加としてあらわされる。この結果からも、フィーダ線を被覆することにより、フィーダ線の比誘電率εに対する土壌の水分の影響を抑制できることが確認できる。
2.漏液による見掛け上の距離の増加(実験2)
漏液による見掛け上の距離の増加を検出できるか否かを調べる実験を行った。
2.1 実験方法
ビニール管(直径20mm、長さ2m、長手方向中央にφ5mmの漏液孔開設)に沿ってフィーダ線を這わせた状態で延設し、ビニール管とフィーダ線とをポリエチレンスリーブにより被覆した実験装置を準備し、TDR法を適用してDTF測定を行った。具体的には、ビニール管の一端から注水を行い、フィーダ線の始端から高周波電圧の単パルスを印加し、オシロスコープによりフィーダ線の始端から出力される時間領域における電圧信号の波形を取得し距離領域に変換してその経時的な変化を観測した。
2.2 実験結果
図10は、実験2により取得したフィーダ線の一端から出力されるVSWRの波形の一例であり、(a)は注水開始前、(b)は注水開始2分45秒経過後における測定結果である。図10(a)(b)に示すように、観測されたフィーダ線終端の位置は、注水開始前では位置X0が約8.15mであるのに対し、注水開始2分45秒後では位置X0が約10.00mであり、注水開始後では開始前に比べて観測されたフィーダ線の始端から終端までの長さは約23%増加した。
これは、注水開始後では、漏液孔から漏れ出る水分の影響により、比誘電率εの増加に伴い電磁波の伝播速度Cが低下し反射波の到達時間が増加したことに基づく。本実験でも、漏液の影響による比誘電率εの増加が、算出される見掛け上の距離の増加としてあらわされる。これより、ビニール管とフィーダ線とをポリエチレンスリーブにより被覆した実験装置により、漏液による比誘電率εの変化に伴う見掛け上の距離の増加を検出できることが確認された。
3.検出システム1000の実施例による効果確認(実験3)
実施の形態1に係る検出システム1000の実施例による漏洩位置検出の効果確認試験を行った。
3.1 実験装置・材料
以下、実施例に係る実験装置について説明する。図11は、実験3に用いた実施例に係る検出システム1000の詳細を示す側断面図である。図12は、図11におけるB−B線で切った断面を示す断面図である。図13は、長尺方向の寸法を示す図である。
管10(亜鉛めっき鋼管:SGP)に沿って導電性部材20として導電性索状部材(フィーダ線)を敷設し、管10と導電性部材20とを遮液性被覆部材30(ポリエチレンスリーブ)により被覆した状態で、土被り20〜50mmで砂浜に埋設した構成の実施例を準備した。
実施例に係る実験装置の仕様を以下に示す。
・砂質土:砂質地盤(含水比:5.03%(JIS A 1203「土の含水比試験方法」)
・管10:亜鉛めっき鋼管(SGP、直径20mm、長さ20m)、ねじ込み式継手、1/2ソケット、90°エルボ、3/4バルブ、エア抜きバルブ、長手方向中央部に開設されたφ2mm漏液孔10bに止液ボルト10aを挿入
・導電性部材20:フィーダ線(大雄電線(株)製、S−320−1クリア、特性インピーダンス300Ω、中心導体:裸軟銅線φ0.29mm7本縒り合わせ×2本、絶縁体:発砲ポリエチレン(透明)、幅11.2mm、厚さ2,3mm、長さ22m、差込型ピン端子にて整合器40に接続)
・遮液性被覆部材30:給水管用ポリエチレンスリーブ(材質 低密度ポリエチレン、折径160mm、内径102mm、厚さ0.2mm)、SGP(直径20mm、長さ20m)の外側にポリエチレンスリーブ固定用粘着テープ及びゴムバンドにて管10に1mピッチで固定
・整合器40:マッチングトランス(75−300Ωインピーダンス変換器、MAT10F、マスプロ電工製)
・終端器50:フィーダ線末
・閉回路レーダ装置60:ケーブル/アンテナアナライザー(アンリツ(株)製 サイトマスター S331E)、ストップ周波数:200MHz
・その他:インピーダンス変換器66(50−75Ω、MA8994A)、同軸ケーブル25(Fプラグ、S−4C−FB規格、75Ω、長さ1.5m)、構成モジュール(ICN50B)(不図示)
3.2 実験方法
検出システム1000によりFDR法を適用してDTF測定を行った。具体的には、管10の水注入口から注水を行い、管10の長手方向中央部に位置する止液ボルト10aを外して漏液孔10bから漏液させた状態で、閉回路レーダ装置60(サイトマスター S331E)により、導電性部材20(フィーダ線)の始端から高周波電圧を周波数掃引して印加し、フィーダ線の始端から出力される電圧信号の波形の経時的変化を観測した。すなわち、各時点での観測では、閉回路レーダ装置60により、2〜200MHzを複数段階に均等分割して周波数掃引を行い導電性部材20の始端20aから終端20bに送信波swを伝播させ、始端20aから合成波cwを所定の時間取得して、それぞれの周波数における受信信号(電圧反射係数Γ)の周波数領域データを生成した。次に、複数の周波数に対応する受信信号(電圧反射係数Γ)の周波数領域データを逆フーリエ変換し、受信信号(電圧反射係数Γ)の時間領域データを生成した。さらに、導電性部材20中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号(電圧反射係数Γ又はVSWR)の距離領域データへの変換を行った。
さらに、複数の受信信号の距離領域データ相互間の相互相関係数を算出することにより距離領域データ相互間の差異が極大となる位置を検出して、距離領域データ中のVSWRのピーク位置を求めて、これを漏洩点LPの位置X1とした。具体的には、注水開始前に取得した基準距離領域データと、経時的に生成した複数の受信信号の距離領域データそれぞれとの間の相互相関係数を算出し、各距離領域データにおいて相互相関係数が極小となる位置を検出した。
3.3 実験結果
(1)見掛け上の距離の増加
実施例に係る実験結果について説明する。
図14(a)から(d)は、実験3により取得した受信信号の距離領域データに基づく波形の一例である。図15は、図14(a)から(d)に示した受信信号の距離領域データの測定結果であり、各マークの位置の基準点0からの距離、又はマークが距離方向に分割されている場合にはその最大値を示したものである。注水開始後、4分30秒まではVSWRの信号電圧の変化は認められなかった。図14(b)に示すように、注水開始後、5分後においてマーク5(Z部)において、信号電圧のピークの上昇が認められた。
注水開始後、5分後において算出される各マークの位置に変化は認められない。これに対し、30分後以後において算出される各マークの位置の基準点0からの距離は増加するとともに、一部のマークは距離方向に分割され、マークに相当する距離は時間経過とともに拡大することが観測された。例えば、マーク5の位置は注水開始5分後において約18.951mであり、注水開始時との差異は認められない。これに対し、注水開始60分後では位置約32.628mであり約72%の増加が認められた。また、図14(c)に示すように、注水開始30分後においてマーク5は分割されマーク5に相当する範囲は注水開始5分後に比べて拡大していることが認められた。この結果から、注水開始5分後以降において、漏液孔から漏れ出る流体、特に水分の影響により、比誘電率εの増加に伴い電磁波の伝播速度Cが低下して反射波rwの到達時間が増加し、その結果、算出される見掛け上の距離が増加したことが確認された。
(2)漏洩検出位置の特定
図16(a)(b)(c)(d)、図17(a)(b)(c)は、実験3により取得した受信信号の距離領域データと基準距離領域データとの相互相関係数を時間領域において示した結果であり、それぞれ、注水開始2分後、3分後、4分後、4分30秒後、5分後、5分30秒後、6分後における測定結果に基づく。
注水開始後、4分30秒後まではほとんど変化は認められないのに対し、5分後において見掛け上の位置20mを中心に相互相関係数が低下した領域が観測された。これは、見掛け上の位置20m付近において、漏液が発生していることを示す。
このように、受信信号を経時的に複数回受信し、それぞれの受信から得られた受信信号の距離領域データ中に初期状態にないピークを検出することにより、そのピークの示す位置において漏液が始まったことを早期に検出することができる。また、漏液初期の微小な信号波形の変化から漏洩点LPの位置X1を特定することができる。
土壌中における測定では、土及び土中水分の誘電率への影響により、漏洩点LP以外でも信号の反射が起こるため、漏洩点LPによる反射と識別する手段が必要となる。これに対し、上述したように、複数の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準距離領域データとの間の相互相関係数を算出してピーク位置を検出する。これにより、経時的な観測に基づき取得した複数の受信信号の距離領域データ相互間の差異を精度良く検出することができ、受信信号の距離領域データにおける微小なピークの出現を検出することができる。その結果、漏洩点LPによる反射と土及び土中水分の誘電率への影響によるノイズとを識別することができる。
また、管10とフィーダ線を遮液性被覆部材30(給水管用ポリエチレンスリーブ)にて被覆することにより、比誘電率εに対する土壌の水分の影響を抑制して、ピークとピーク位置の変化を検出できることが確認された。これにより、管路からの漏液が原因となって発生する高含水比部分からの反射波を選択的に検出できることが確認された。
(3)見掛け上の距離の増加の影響を抑制
土及び土中水分の誘電率への影響により、信号伝播速度が低下することにより、漏洩点LPの見掛けの距離が実際の距離よりも大きく示される傾向がある。これに対し、本方法では、複数の距離領域データ間の相互相関係数を用いてピーク位置を検出する方法を採ることにより、複数の距離領域データ間で算出される見掛け上の距離が異なる場合でも、その影響を抑制して、ピーク位置の変化に追従してピーク高さの変化を正確に検出できる。
<小 括>
以上、説明したように実施の形態1に係る流体LQを輸送する地中埋設管の漏洩位置検出方法は、地中に埋設され管軸方向に延設された長尺状の導電性部材20の一端20aに高周波信号を印加して、導電性部材20の一端20aから他端20bに送信波swを伝播させる工程と、導電性部材の一端20a又はその近傍から、送信波swとその反射波rwとの合成波cwを所定の時間取得して受信信号の時間領域データを生成する工程と、受信信号の時間領域データと導電性部材20中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する工程と、受信信号の距離領域データに存在するピークの位置を検出する工程と、受信信号の距離領域データにおける一端20a又は他端20bに対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体LQの漏洩位置X1を特定する工程とを含む構成を採る。さらに、管10は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている構成を採る。
係る構成により、土壌及び土中水分の影響を抑制し、管路からの漏液が原因となって発生する高含水比部分からの反射波を選択的に検出できる。そのため、漏洩点付近での誘電率変化検出における信号S/N比を改善することができ、流体LQの漏洩点の位置を精度よく検出することができる。
また、別の態様では、ピーク位置を検出する工程では、複数の受信信号の距離領域データ相互間の差異を算出し、それぞれの距離領域データにおいて差異が極大となる位置を検出して、当該位置をそれぞれの距離領域データにおけるピークの位置とする構成であってもよい。
係る構成により、経時的な観測に基づき、これまで観測されなかった距離領域データ上の位置に微小なピークが現われたことにより、漏液の予兆として地盤中における含水比の急激な上昇が生じたときや、漏液が発生したこととその位置を発生初期に検出することができる。その結果、突発事故を未然に防止できる。
さらに、ピーク位置を検出する工程では、複数の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準距離領域データとの間の相互相関係数を算出して、それぞれの距離領域データにおいて差異が極大となる位置を検出する構成であってもよい。
係る構成により、受信信号の距離領域データにおける微小なピークの出現を検出することができ、漏洩点による反射と土及び土中水分の誘電率への影響によるノイズとを識別することができる。また、漏液初期の微小な信号波形の変化から漏液の発生と流体LQの漏洩点の位置を早期に特定することができる。
さらに、信号伝播速度の低下にともなう、複数の距離領域データ間で算出される見掛け上の距離が異なる場合でも、ピーク位置の変化に追従してピーク高さの変化を検出することができ、距離領域データにおける見掛け上の距離の増加の影響を抑制できる。
≪実施の形態2≫
実施の形態1に係る漏洩位置検出方法を用いた検出システム1000では、図1に示したような、基本的な発明の構成について説明を行った。しかしながら、管10と導電性部材20との相対的な長さの関係、導電性部材20と閉回路レーダ装置60との接続方法等については、具体的な管路の構成に応じて適宜変更及び具体化することが好ましく、構成部材の内容、数や位置関係を変化させてもよい。
実施の形態2に係る検出システム1001は、実施の形態1に係る漏洩位置検出方法を、具体的な管路に適用した構成である点で実施の形態1と相違する。
以下、検出システム1001について説明する。
<構 成>
図18は、実施の形態2に係る検出システム1001の構成を示す図である。検出システム1001では、管1011、1012、1013(以後、要素を区別しないときは「管101n」とする(nは自然数))と、導電性部材2011、2012、2013(同じく「導電性部材201n」とする)と、遮液性被覆部材3011、3012、3013(同じく「遮液性被覆部材301n」とする)と、整合器4011、4012、4013(同じく「整合器401n」とする)と、終端器5011、5012、5013(同じく「終端器501n」とする)の長手方向における互いの位置関係が実施の形態1と相違するため、異なる内容についてのみ説明を行う。管101n、導電性部材201n、遮液性被覆部材301n、整合器401n、終端器501nに係る構成中、長手方向における互いの位置関係以外のものと、検出システム1001の他の構成要素については、検出システム1000と同じであり説明を省略する。
管101nは、複数の単位管101nAと101nBとが直列に接続され1本の管101nを構成し、管1011、1012、1013は、端部をマンホール1、2、3内に設けられた仕切弁8011、8012、8013とそれぞれ接続され、仕切弁を介して直列に管路を形成している。単位管101nAと101nBには、例えば、定尺サイズの鋼管を用いることができる。また、仕切弁の替りに消火栓を用いてもよい。
導電性部材201nは、線材、索状部材、短冊状の薄板材等を、管101nの外表面に沿って、管101nの全長にわたり延設されることにより形成されている。そのため、導電性部材201nは、管101nAと101nBとに跨って延設されている。
遮液性被覆部材301nは、管101n、導電性部材201n及び終端器501nをひとまとめにして周囲を被覆した状態で地中に埋設されており、管101n及び導電性部材201nが、土壌や土中水分と接触することを防止している。本実施の形態では、遮液性被覆部材301nは、複数の単位被覆部材301nAと301nBとが対向する端部をオーバーラップさせて直列に接続され1本の遮液性被覆部材301nを構成している。
導電性部材201nは、終端には終端器501nが接続されている。始端はマンホール内の空間に露出し整合器401nに接続されており、整合器401nは上方に位置するマンホール内に引き出され閉回路レーダ装置60(不図示)に接続可能に構成されている。これにより、例えば、マンホール1内にある整合器4011に閉回路レーダ装置60を接続して動作させることにより、管1011に対する漏洩位置検出を行うことができる。同様に、マンホール2内にある整合器4012に閉回路レーダ装置60を接続して、管1012に対する漏洩位置検出を行うことができる。
ここで、管101n、導電性部材201n、遮液性被覆部材301n、整合器401n、および終端器501nを含む地中管ユニット101Znが構成され、整合器401nに閉回路レーダ装置60を接続して検出システム1001を構築することにより漏洩位置検出の対象となる地中に埋設された配管の単位である。
このように、検出システム1001では、検査者が、マンホールを定期的に巡回して、各マンホール内にある地中管ユニット101Znの整合器401nに閉回路レーダ装置60を接続して検出システム1001を構成し、管路の漏洩位置検出を簡便に行うことができる。
<地中管ユニットの形成方法>
以下、検出システム1001を構成する地中管ユニットの形成方法について説明する。
図19(a)から(f)、及び図20(a)から(d)を用いて検出システム1001を構成する地中管ユニットの形成工程を例示する。
先ず、図19(a)に示すように、地中に掘られた溝内に存する既設管路に仕切弁801nまでが接続された状態において、仕切弁801nに対し既設管路の反対側に溝を掘り(図19(b))、単位管101nAを溝内に配置し(図19(c))、単位管101nAの仕切弁801n側の一端を仕切弁801nに接続する。 次に、一方の端部に整合器401nと、他方の端部に終端器501nとが接続された導電性部材201nを準備し、導電性部材201nを管101nの外表面に沿って延設する(図19(d))。このとき、導電性部材201nは、単位管101nAの仕切弁801n側の端部から他方の端部まで延設し、整合器401nは単位管101nAの端部から数メートル程度上方に引き出し仕切弁801nの上方に設置する。
次に、単位管101nAの仕切弁801nと反対側の端部からスリーブ状の単位被覆部材301nAを被せ、単位被覆部材301nにより単位管101nA、導電性部材201n及び終端器501nをまとめて被覆する(図19(e))。この状態では、仕切弁801n側の端部から上方に引き出された整合器401nは、単位被覆部材301nAから露出している。ここで、ゴムバンド等の固定部材により単位被覆部材301nを外方から押圧して単位被覆部材301nと導電性部材201nとの間に導電性部材201nを挟むように構成してもよい。あるいは、他の手段により導電性部材201nを単位管101nAに固定してもよい。
次に、仕切弁801n上方にマンホールが形成され、かつ、単位管101nAの仕切弁801nと反対側の端部(以後、「露出端部」とする)が露出するように、単位管101nAと、導電性部材201nと、単位被覆部材301nAとを地中に埋設する。このとき、整合器401nは導電性部材201nに電気信号を供給可能な状態でマンホール内に引き出されて、閉回路レーダ装置60(不図示)に接続可能に構成されている。さらに、単位管101nAの露出端部から離れる方向に所定長さだけ溝を掘り進む(図19(f))。
次に、図20(a)に示すように、単位管101nBの一端を単位管101nAの露出端部と接続して管101nを形成する。このとき、溝内に露出している導電性部材201nを単位管101nBの外表面に沿って延設し、終端器501nは単位管101nBの単位管101nAと反対側の端部(以後、「管ユニット終端部」とする)近傍に設置する。
次に、図20(b)に示すように、単位管101nBの管ユニット終端部からスリーブ状の単位被覆部材301nBを被せ、単位被覆部材301nBにより単位管101nB、導電性部材201n及び終端器501nをまとめて被覆する。これにより、複数の単位被覆部材301nAと301nBとが対向する端部をオーバーラップさせて直列に接続され1本の遮液性被覆部材301nを構成する。次に、単位管101nBの管ユニット終端部に仕切弁801n+1を接続し(図20(c))、上述した図19(a)から(e)と同様の工程により仕切弁801n+1以後の管路を形成したのち、図19(f)と同様の工程により、仕切弁801n+1上方にマンホールが形成されるように、単位管101nBと、導電性部材201nと、単位被覆部材301nBとを地中に埋設する(図20(d))。
以上の工程により、地中管ユニット101Znが完成する。
この地中管ユニット101Znに含まれる整合器401nに閉回路レーダ装置60を接続して検出システム1001を構築し、管101nに対する漏洩位置検出を行うことができる。
<小 括>
以上説明したように、実施の形態2に係る漏洩位置検出システム1001は、流体LQを輸送する地中埋設管の漏洩位置検出システムであって、地中に埋設された管101nと、管101nに沿って延設された長尺状の導電性部材201nと、導電性部材201nの一端に高周波信号を印加して、導電性部材201nの一端から他端に送信波を伝播させる送信部61と、導電性部材201nの一端又はその近傍から、送信波swとその反射波rwとの合成波cwを所定の時間取得し、受信信号の時間領域データを生成する受信部64と、受信信号の時間領域データと導電性部材201n中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する変換部65と、受信信号の距離領域データに存在するピーク位置を検出する検出部70とを備えた構成を採る。
ピーク位置検出による漏洩位置特定においては、送信部61は、高周波信号を異なる複数の時刻からそれぞれ印加し、受信部64は、受信信号を異なる複数の時刻からそれぞれ所定の時間取得し、それぞれの時刻に対応する受信信号に基づき受信信号の時間領域データを複数生成し、変換部65は、複数の受信信号の時間領域データを複数の受信信号の距離領域データにそれぞれ変換し、検出部70は、複数の受信信号の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準受信信号距離領域データとの間の相互相関係数を算出し、それぞれの受信信号距離領域データにおいて相互相関係数が極小となるピークの位置を検出し、それぞれの受信信号距離領域データにおいて一端又は他端に対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体LQの漏洩位置を特定する構成を採る。
係る構成により、土壌及び土中水分の影響を抑制し、漏洩点付近での誘電率変化検出における信号S/N比を改善して漏洩点の位置を精度よく検出することができる漏洩位置検出システムを構築できる。
また、本実施の形態に係る地中管ユニットの形成方法は、管101nを準備する工程と、地中に溝を掘る工程と、管101nを溝内に配する工程と、長尺状の導電性部材201nを管101nに沿って延設する工程と、管101n及び導電性部材201nとを、遮液性被覆部材301nにより導電性部材201nの一端を除いて覆う工程と、管101nと、導電性部材201nと、遮液性被覆部材301nとを、一端から導電性部材201nに電気信号を供給可能な状態で、地中に埋設する工程とを含む構成を採る。
係る構成により、本発明の漏洩位置検出方法に用いる地中管ユニットを新規に構築することができる。
<変形例1>
実施の形態2に係る検出システム1001では、上述のとおり、マンホール間に1単位の地中管ユニット101Zn(nは自然数、以下の説明では、nは1又は2)が配される構成とした。しかしながら、マンホール間に複数単位の地中管ユニット101Znが配される構成としてもよい。
図21は、実施の形態2の変形例1に係る検出システム1001Aの構成を示す図である。図21に示すように、検出システム1001Aでは、マンホール1と2の間に、直列に接続された2単位の地中管ユニット101Z1、101Z2が配される点で、検出システム1001と相違する。
以下、検出システム1001Aの構成について説明する。
管101nは、それぞれ複数の単位管101nAと101nBとが直列に接続され1個の管101nを構成し、さらに、管1011、1012は端部をつき合わせて直列に接続され、両側の端部をマンホール1、2内に設けられた仕切弁8011、8012にそれぞれ接続されて直列に管路を形成している。
導電性部材2011、2012は、それぞれ管1011、1012の外表面に沿って、管の全長にわたり延設されることにより形成されている。
導電性部材2011は、隣接する導電性部材2012と対向する側の端部に終端器5011が接続されている。他方の端部はマンホール内の空間に露出し整合器4011が接続されており、整合器4011は上方に位置するマンホール1に引き出され、マンホール1内に設置されている閉回路レーダ装置6011に接続されている。導電性部材2012は、隣接する導電性部材2011と対向する側の端部に終端器5012が接続されている。他方の端部はマンホール内の空間に露出し整合器4012が接続されており、整合器4012は上方に位置するマンホール2に引き出され、マンホール2内に設置されている閉回路レーダ装置6012に接続されている。これにより、マンホール1から、管1011に対する漏洩位置検出を行うとともに、マンホール2から、管1012に対する漏洩位置検出を行うことができる。
閉回路レーダ装置6011、6012には、図21に示すように、複数の整合器が接続される構成としてもよい。これにより、1台の閉回路レーダ装置により複数の整合器からの出力を選択して、マンホール1又は2の両側に位置する管に対する漏洩位置検出を選択的に行うことができる。
遮液性被覆部材3011は、管1011、導電性部材2011及び終端器5011をひとまとめにして被覆し、遮液性被覆部材3012は、管1012、導電性部材2012及び終端器5012をひとまとめにして被覆している。また、遮液性被覆部材301nは、複数の単位被覆部材301nA、301nBが近接する端部をオーバーラップさせた状態で直列に接続されて構成されている。さらに、長尺方向に隣接する遮液性被覆部材3011、3012は、対向する端部をオーバーラップさせた状態で互いに直列に接続されている。
以上、説明したように、検出システム1001Aでは、マンホール1と2の間に、直列に接続された2単位の地中管ユニット101Z1、地中管ユニット101Z2を配したことにより、マンホール間の距離が長い場合でも、地中管ユニット101Z1、101Z2の長さを所定以上に増加することなく検出システムを構築することができる。そのため、マンホール間隔が長い場合でも、漏洩位置検出における受信信号の信号S/N比の劣化を抑制することができる。また、マンホール内に閉回路レーダ装置6011が常設されているので、継続的に地中管ユニット101Znの状態をモニタリングし、閉回路レーダ装置6011内にデータを蓄積することができる。
<変形例2>
マンホール間に、さらに多くの単位の地中管ユニット101Yn(nは自然数、以下の説明では、nは1〜4)が配される構成としてもよい。図22は、実施の形態2の変形例2に係る検出システム1001Bの構成を示す図である。
図22に示すように、検出システム1001Bでは、マンホール1と2の間に、直列に接続された4単位の管ユニット101Y1〜4を備えた点に特徴がある。
以下、検出システム1001Bの構成について説明する。
管101nは、互いに端部をつき合せて直列に接続され、接合された両側の端部をマンホール1、2内に設けられた仕切弁8011、8012にそれぞれ接続されて直列に管路を形成している。
導電性部材201nは、それぞれ管101nの外表面に沿って、管101nの全長にわたって延設されている。
導電性部材201nは、マンホールから遠い側の端部にそれぞれ終端器501nが接続されている。マンホールに近い側の端部にそれぞれ整合器401Bnが接続され、整合器401Bnには同軸ケーブル251Bnが接続され、同軸ケーブル251Bnの先端251Banはマンホール内の空間まで引き出され、仕切弁801nの反対側に位置する管から同様に引き出された2本の同軸ケーブルとともに、4本の同軸ケーブルがマンホールに設置されている閉回路レーダ装置601Bnに接続されている。これにより、マンホール1から、管1011と管1012、及び仕切弁8011の図中左方に位置する2本の管のそれぞれに対する漏洩位置検出を選択的に行うとともに、マンホール2から、管1013と管1014、及び仕切弁8012の図中右方に位置する2本の管のそれぞれに対する漏洩位置検出を選択的に行うことができる。
遮液性被覆部材301nは、管101n、導電性部材201n、整合器401Bn及び終端器501nをひとまとめにして被覆している。また、長尺方向に隣接する遮液性被覆部材301nは、対向する端部をオーバーラップさせて直列に接続され地中に埋設されている。 以上、説明したように、検出システム1001Bでは、マンホール1と2の間に、直列に接続された4単位の管ユニット101Ynを配したことにより、マンホール間隔がさらに長い場合でも、地中管ユニット101Ynの長さを所定長さ以下とすることができ、漏洩位置検出における受信信号の信号S/N比の劣化を抑制できる。
また、マンホール間隔が長い場合でも、定尺サイズの鉄管を用いることができ安価に検出システムを構築できる。
また、マンホール間に、より一層多くの単位の地中管ユニット101Ynを配する場合でも、整合器401Bnにさらに長い同軸ケーブル251Bnを接続して先端251Banはマンホール内の空間まで引き出すだけで、検出システムの基本構造を変更することなく検出システム1001Bを容易に拡張することができる。
(地中管ユニットに用いる管サブユニットについて)
管101n、導電性部材201n、遮液性被覆部材301n、整合器401n、および終端器501nから構成される地中管ユニット101Zn中、導電性部材201n、整合器401n、および終端器501nからなる管サブユニット101Xnを構成することができる。管サブユニット101Xnは、線材、索状部材、帯状の薄板材等からなる導電性部材20を、管101nの外表面に沿って延設することにより構成してもよい。また、例えば、導電性部材201nを管101nの管壁内に埋め込んだり、導電性部材201nを管101nの内表面又は外表面に印刷、めっき、蒸着等により導電性材料をパターンニングして管サブユニット101Xnを構成してもよい。
また、導電性部材201nは管101nの一端から他端まで延設されており、一端および他端において、複数の管サブユニット101Xnを管軸方向に接続したとき隣接する管ユニット101Xn−1、101Xn+1の導電性部材201n−1、201n+1と電気的に接続可能な構成としてもよい。これにより、管サブユニット101Xnを接続することにより個々の管サブユニットの導電性部材201nが電気的に接続されるので、管サブユニット101Xnの接続数に応じて地中管ユニットの長さを変更可能な検査システムを構築できる。
また、管サブユニット101Xnの導電性部材201nの接続部分に選択的に絶縁部材を介在させる構成としてもよい。これにより、管サブユニット101Xnの接続数にかかわらず地中管ユニットの長さを固定できる。
<変形例3>
実施の形態2に係る検出システム1001では、上述のとおり、導電性部材20を管10の下方に敷設した構成とした。しかしながら、導電性部材201nを管101nの外周上において円周方向における異なる複数の位置に配置する構成としてもよい。図23は、実施の形態2の変形例3に係る検出システム1001Cの構成を示す図である。図24は、図23におけるC−C線で切った断面を示す断面図である。図23、図24に示すように、導電性部材211n、221n(nは1又は2)が、管101nを挟んで管軸方向に並設される。導電性部材211n、221nは、マンホールに近い側の端部はマンホール内の空間に露出しそれぞれ整合器411n、421nが接続されており、整合器411n、421nは上方に位置するマンホールに引き出されている。マンホールから、導電性部材211n、221nには択一的に高周波信号が入射して反射波を受信することができる。
これにより、管101nの円周上において何れかの位置に漏洩点LPがあるときに、円周上の漏洩点LPに近い導電性部材を用いて漏洩点LPからの反射波を高い信号S/N比にて受信し、漏洩位置検出の感度を向上することができる。
また、複数並設した導電性部材211n、221nの一部を閉回路レーダ装置60のアース入力に接続して接地電位とする構成としてもよい。受信信号の入力に用いる導電性部材と接地ラインとを近接させることにより、受信信号の精度を向上することができる。
≪実施の形態3≫
実施の形態2に係る検出システム1001では、図19に示したような、新規に地中管ユニットを形成する場合における地中管ユニットの形成方法ついて説明を行った。しかしながら、既設の地中管路を利用して検出システム1001を構築する構成としてもよい。
実施の形態3に係る検出システム1002は、既設の地中管路に改修を行うことで地中管ユニットを形成して検出システムを構築する点に特徴を有し、この点で実施の形態2と相違する。
以下、検出システム1002を構成するための地中管ユニットを既設の管路を改修して形成する方法について説明する。
<地中管ユニットの形成方法>
図25(a)から(g)を用いて検出システム1002を構成する地中管ユニットの形成工程を例示する。図26(a)から(g)は、それぞれ図25(a)から(g)におけるD−D線で切った断面を示す断面図である。
先ず、管102nが遮液性被覆部材302nに被覆され両端をマンホール下方に位置する仕切弁801nにそれぞれ接続されて地中に埋設されている状態(図25(a)、図26(a))において、土砂を取り除き地表から所定の深さまで溝を開設し、管102n及び遮液性被覆部材302nを露出させる(図25(b)、図26(b))。
次に、例えば、レーザー加工機等の装置や工具を用いて遮液性被覆部材302nの円周状の1点を長尺方向に沿って切断して(図25(c)、図26(c))、管102nを露出させる(図25(d)、図26(d))。
次に、一方の端部に整合器402nと、他方の端部に終端器502nとが接続された導電性部材202nを準備し、導電性部材202nを管102nの外表面に沿って管102nの一方の端部か他方の端部まで延設し(図25(e)、図26(e))、整合器402nは管102nの端部から数メートル程度外方に引き出す。このとき、導電性部材202nは管102nの上部に載置させてもよい。これにより、導電性部材202nを容易に管102nに延設することができる。
次に、遮液性被覆部材302nを、管102n、導電性部材202n及び終端器502nをまとめて被覆する(図25(f)、図26(f))。遮液性被覆部材302nの円周方向の一部を、さらに上部遮液性被覆部材352nにより被覆してもよい。上部遮液性被覆部材352nには、例えば、樹脂、ゴム等からなる遮液性のシート又はスリーブ、チューブ等を用いることができる。本実施の形態では、ポリエチレンシートを用いる構成とした。このとき、図26(f)に示したように、例えば、円周方向の一以上の箇所において遮液性被覆部材302nと上部遮液性被覆部材352nとを溶着WD(又は接着)してもよい。これにより、切断した遮液性被覆部材302nの円周方向の一部を接合するとともに、さらに上部遮液性被覆部材352nと円周方向の複数個所において接合させることで、既設の管路の遮液性被覆部材302nを切断した部位に修復を施して防水効果を向上させる。これより、遮液性を高めることができ、導電性部材202nと土中水分との接触をさらに抑制することができる。この状態では、端部から外方に引き出された整合器402nは、遮液性被覆部材301n、上部遮液性被覆部材352nから露出している。
次に、仕切弁の上方にあるマンホールを除いて、土砂により管102n、導電性部材202n、遮液性被覆部材302n、終端器502n及び必要な場合には上部遮液性被覆部材352nを埋設する(図25(g)、図26(g))。この状態では、整合器402nは、マンホール内に引き出されて、閉回路レーダ装置60(不図示)に接続可能に構成されている。
以上の工程により、地中に地中管ユニット102Znが完成する。
これにより、検査者が、マンホールを定期的に巡回して、この地中の地中管ユニット102Znに含まれる整合器402nに閉回路レーダ装置60を接続して検出システム1002を構築し、管102nに対する漏洩位置検出を簡便に行うことができる。
このように、検出システム1002では、既設の管路に改修を行うことで地中管ユニットを形成して、安価かつ迅速に検出システムを構築することができる。
<小 括>
以上説明したように、実施の形態3に係る地中管ユニットの形成方法は、地中に埋設された管102nの周囲の土砂を除去する工程と、長尺状の導電性部材202nを管に沿って延設する工程と、少なくとも管と対向する表面を除く導電性部材202nの表面を、遮液性被覆部材302nにより導電性部材202nの一端を除いて覆う工程と、管102nと、導電性部材202nと、遮液性被覆部材302nとを、導電性部材202nの一端から電気信号を供給可能な状態で、土砂により埋設する工程とを含む構成を採る。係る構成により、本発明の漏洩位置検出方法に用いる地中管ユニットを既設の地中管路を改修して構築することができ、漏液発生の可能性が高い老朽化した管路に対し本発明の漏洩位置検出方法を適用することができる。
≪その他の変形例≫
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)実施の形態では、水道管等の漏洩位置検出を例に示したが、本発明は流体として水以外の流体の漏洩位置検出にも適用可能であることは言うまでもない。例えば、上下水道の漏洩位置検出への適用の他、工場設備、プラント、ビル設備、冷暖房システム、エネルギー供給設備等に用いられる管路における水、気体を含む各種流体全般の漏洩位置検出にも適用することができる。
また、本発明に係る漏洩位置検出方法は、管の亀裂から管に地下水が流入することに伴う地盤の空洞化等、周辺地盤と含水比や比誘電率が大きく異なる地中の空洞や地盤の緩みなどの検出にも適用することができる。
(2)管10、導電性部材20、遮液性被覆部材30、整合器40、終端器50の各構成についても、実施の形態に記載した構成以外にも、適宜変更することができる。
例えば、導電性部材20は、管10の下に敷設する替りに、管10にらせん状に巻き付ける構成としてもよい。これにより、管10の下方を含む管の円周上の何れかの位置に漏洩点LPがある場合でも漏洩位置を検出することができる。
また、導電性部材20は、管10の始端20aから終端20bまで管10の全長にわたり延設されていることが好ましいとしたが、管10の長手方向の一部に延設し、その他の部分は同軸ケーブル25を用いて接続する構成としてもよい。周辺環境の影響により、主に漏液が発生しやすい範囲に導電性部材20を配置することにより導電性部材20を短縮できるので、受信信号の信号S/N比を向上して検出精度を高めることができる。
また、導電性部材20を複数並設して、一部の導電性部材20を閉回路レーダ装置60のアース入力に接続して接地電位とする構成としてもよい。受信信号の入力に用いる導電性部材と接地ラインとを近接させて、受信信号の精度を向上することができる。
また、導電性部材20は、管10、又は管10内部に存する流体LQである構成であってもよい。係る構成により、管、又は管内部に存在する流体LQを利用して送信波及び反射波を伝播させることができるので漏洩位置検出の対象範囲の拡大が容易となる。また、このとき、管10は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている構成であってもよい。係る構成により、管10、又は管10内部に存する流体LQを利用して導電性部材20とした構成において、土壌及び土中水分の影響を抑制することができる。
(3)実施の形態に係る検出システムは、管10、導電性部材20、遮液性被覆部材30、整合器40、終端器50、閉回路レーダ装置60、検出部70を有する構成としたが、同等の機能を有する構成であれば、実施の形態に記載した構成以外にも、適宜変更することができる。
例えば、実施の形態に係る閉回路レーダ装置60では、図1、図2で示すように、送信部61、方向性結合器62及び検波部63を含む受信部64、変換部65を有する構成としたが、同等の機能を有する構成であれば、実施の形態に記載した構成以外にも、適宜変更することができる。例えば、閉回路レーダ装置60に含まれる各構成の一部や、検出部70を備えない構成としてもよい。また、受信信号の距離領域データに存在するピーク位置を検出する検出部70、又はデータ格納部を、閉回路レーダ装置60に含めた構成としてもよい。
また、閉回路レーダ装置60に含まれる各構成は、一個の回路部品、複数の回路部品の集合体から構成されることを示したが、回路部品は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Aplication Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路により実現される構成であってもよい。あるいは、閉回路レーダ装置60の機能の一部又は全てを、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
また、上記実施の形態では、変換部65は、受信信号の時間領域データと、予めキャリブレーション実験等により既定されている導電性部材20中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する構成としている。しかしながら、距離領域データに変換する工程では、変換部65は、受信信号の時間領域データに管軸方向のそれぞれの位置における伝播速度値を乗じて加算することにより受信信号の距離領域データに変換する構成であってもよい。係る構成により、土壌の水分の影響による比誘電率εの増加に伴う信号伝播速度の低下を考慮して、信号伝播速度の補正値を用いて距離領域データに変換することにより、算出される受信信号の距離領域データにおける見掛け上の距離の増加を抑制することができる。
また、検出部70は、受信信号の距離領域データを保存するデータ格納部(不図示)を備えた構成であってもよい。データ格納部は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、磁気記憶装置等を用いることができる。また、データ格納部は、検出システム1000に外部からネットワーク等を介して接続された記憶装置であってもよい。
(4)実施の形態では、マンホール内にある整合器に閉回路レーダ装置60を接続して動作させることにより、管に対する漏洩位置検出を行うことができ、検査者が、マンホールを定期的に巡回して、各マンホール内にある整合器に閉回路レーダ装置60を接続して、管路の漏洩位置検出を簡便に行うことができる構成とした。しかしながら、各マンホール内にネットワーク等に接続された閉回路レーダ装置60を設置し、管に対する漏液の発生と漏洩位置とをネットワークを介して遠隔地から常時モニタリングする構成であってもよい。
(5)図1における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、実施の形態に係る漏洩位置検出方法を示すフローチャートは、工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、本発明は、漏洩位置検査方法を実施させるプログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。プログラムや信号を記録媒体に記録して移送することにより、プログラムを独立した他のコンピュータシステムにより実施する構成としてもよい、また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、各実施の形態に係る漏洩位置検出方法、及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。更に上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
≪まとめ≫
以上、説明したように、本実施の形態に係る漏洩位置検出方法は、流体を輸送する地中埋設管の漏洩位置検出方法であって、地中に埋設され管軸方向に延設された長尺状の導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させる工程と、前記導電性部材の前記一端又はその近傍から、前記送信波とその反射波との合成波を所定の時間取得して受信信号の時間領域データを生成する工程と、前記受信信号の時間領域データと前記導電性部材中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する工程と、前記受信信号の距離領域データに存在するピークの位置を検出する工程と、前記受信信号の距離領域データにおける前記一端又は前記他端に対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体の漏洩位置として特定する工程とを含むことを特徴とする。係る構成により、土壌及び土中水分の影響を抑制し、流体LQの漏洩点の位置を精度よく検出することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記導電性部材は、前記管を挟んで管軸方向に並設された1対の索状部材の何れか一方である構成であってもよい。係る構成により、管の円周上において何れかの位置に漏洩点があるときに、円周上の漏洩点に近い導電性部材を用いて漏洩点からの反射波を高い信号S/N比にて受信し、漏洩位置検出の感度を向上することができる。
また、複数並設した導電性部材の一部を閉回路レーダ装置のアース入力に接続して接地電位とする構成とすると、受信信号の入力に用いる導電性部材と接地ラインとを近接させることにより、受信信号の精度を向上することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記導電性部材は、前記管に敷設された索状部材である構成であってもよい。係る構成により、重力により下方に蓄積される漏液の検出が容易となり、また、長尺方法の広い範囲にわたり容易に導電性部材と管表面とを接触させることができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記管及び前記索状部材は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている構成であってもよい。係る構成により、土壌及び土中水分との接触を防いでその影響を抑制し、漏洩点付近での誘電率変化検出における信号S/N比を改善することができる。その結果、流体LQの漏洩点の位置を精度よく検出することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記導電性部材は、前記管、又は管内部に存する流体である構成であってもよい。係る構成により、管、又は管内部に存する流体を利用して送信波及び反射波を伝播させることができるので漏洩位置検出の対象範囲の拡大が容易となる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記管は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている構成であってもよい。係る構成により、管、又は管内部に存する流体を利用して導電性部材とした構成において、土壌及び土中水分の影響を抑制することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記送信波を伝播させる工程では、前記高周波信号を異なる複数の時刻からそれぞれ印加し、前記受信信号の時間領域データを生成する工程では、前記合成波を異なる複数の時刻からそれぞれ所定の時間取得し、それぞれの時刻に対応する前記合成波に基づき前記受信信号の時間領域データを複数生成し、前記受信信号の距離領域データに変換する工程では、複数の前記受信信号の時間領域データを複数の前記受信信号の距離領域データにそれぞれ変換し、前記ピーク位置を検出する工程では、複数の前記受信信号の距離領域データ相互間の差異を算出し、それぞれの前記受信信号の距離領域データにおいて差異が極大となる位置を検出して、当該位置をそれぞれの前記受信信号の距離領域データにおける前記ピークの位置とする構成であってもよい。
係る構成により、経時的な観測に基づき、これまで観測されなかった距離領域データ上の位置に微小なピークが現われたことにより、漏液の予兆として地盤中における含水比の急激な上昇が生じたときや、漏液が発生したこととその位置を発生初期に検出することができ、漏液初期の微小な信号波形の変化から流体LQの漏洩点の位置を早期に特定することができる。その結果、突発事故を未然に防止できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記ピーク位置を検出する工程では、複数の前記受信信号の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準距離領域データとの間の相互相関係数を算出し、それぞれの前記受信信号の距離領域データにおいて相互相関係数が極小となる位置を検出して、前記差異が極大となる位置を検出する構成であってもよい。
土壌中における測定では、土及び土中水分の誘電率への影響により、漏洩点以外でも信号の反射が起こるため、漏洩点による反射と識別する手段が必要となる。これに対し、上記した構成により、経時的な観測に基づき取得した複数の受信信号の距離領域データ相互間の差異を精度良く検出することができ、受信信号の距離領域データにおける微小なピークの出現を検出でき、漏洩点による反射と土及び土中水分の誘電率への影響によるノイズとを識別することができる。また、漏液初期の微小な信号波形の変化から漏液の発生と漏洩点の位置を早期に特定することができる。
さらに、信号伝播速度の低下にともなう距離領域データにおける見掛け上のピーク位置の変化に追従して、ピーク高さ変化を正確に検出することができ、距離領域データにおける見掛け上の距離の増加の影響を抑制できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記高周波信号の印加においては、周波数の異なる複数の高周波信号を順次印加し、前記時間領域データを生成する工程では、複数の高周波信号に基づく送信波とその反射波との合成波をそれぞれ所定の時間取得して得た受信信号の周波数領域データを、逆フーリエ変換により前記受信信号の時間領域データを生成する構成であってもよい。係る構成により、管軸方向の漏洩点で生じる反射波rwを含む合成波cwに基づき、電圧反射係数Γ又はVSWRと反射波到達時間との関係をあらわす受信信号の時間領域データを生成することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記高周波信号の印加においては、所定の周波数の高周波信号のパルスを前記一端に印加し、前記時間領域データを生成する工程では、前記高周波信号の前記他端における反射波が前記一端に至るまでの時間、前記反射波を受信して受信信号の時間領域データを生成する構成としてもよい。係る構成により、高速A/D変換が可能なオシロスコープ等の汎用的測定手段を用いて、電圧反射係数Γ又はVSWRと反射波到達時間との関係をあらわす受信信号の時間領域データを生成することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の構成において、前記距離領域データに変換する工程では、前記受信信号の時間領域データに管軸方向のそれぞれの位置における前記伝播速度値を乗じて加算することにより前記受信信号の距離領域データに変換する構成であってもよい。係る構成により、土壌の水分の影響による比誘電率εの増加に伴う算出される受信信号の距離領域データにおける見掛け上の距離の増加を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る検出システムは、流体を輸送する地中埋設管の検出システムであって、地中に埋設された管と、前記管に沿って延設された長尺状の導電性部材と、前記導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させる送信部と、前記導電性部材の前記一端又はその近傍から、前記送信波とその反射波との合成波を所定の時間取得し、受信信号の時間領域データを生成する受信部と、前記受信信号の時間領域データと前記導電性部材中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する変換部と、前記受信信号の距離領域データに存在するピーク位置を検出する検出部とを備え、前記送信部は、前記高周波信号を異なる複数の時刻からそれぞれ印加し、前記受信部は、前記合成波を異なる複数の時刻からそれぞれ所定の時間取得し、それぞれの時刻に対応する前記合成波に基づき受信信号の時間領域データを複数生成し、前記変換部は、複数の前記受信信号の時間領域データを複数の前記受信信号の距離領域データにそれぞれ変換し、前記検出部は、複数の前記受信信号の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準受信信号距離領域データとの間の相互相関係数を算出し、それぞれの前記受信信号距離領域データにおいて相互相関係数が極小となるピークの位置を検出し、それぞれの前記受信信号距離領域データにおいて前記一端又は前記他端に対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体の漏洩位置を特定する構成であってもよい。
係る構成により、受信信号の距離領域データにおける微小なピークの出現を検出でき、漏液初期の微小な信号波形の変化から漏液の発生と漏洩点の位置を早期に特定することができる検出システムを構築できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の漏洩位置検出システムの構成において、前記管及び前記導電性部材は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている構成であってもよい。係る構成により、土壌及び土中水分との接触を防いでその影響を抑制し、漏洩点付近での誘電率変化検出における信号S/N比を改善して流体LQの漏洩点の位置を精度よく検出することができる検出システムを構築できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の漏洩位置検出システムの構成において、前記導電性部材の一端が、マンホール内の空間に露出している構成であってもよい。係る構成により、マンホール内にある導電性部材の一端に閉回路レーダ装置60を接続して動作させることにより、管に対する漏洩位置検出を行うことができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の漏洩位置検出システムの構成において、前記送信部、前記受信部、及び前記変換部は、マンホール内の空間に配されている構成であってもよい。係る構成により、継続的に地中管ユニットの状態をモニタリングしてデータを蓄積することができる。
また、本実施の形態に係る地中管ユニットの形成方法は、地中管ユニットの形成方法であって、管を準備する工程と、地中に溝を掘る工程と、前記管を、前記溝内に配する工程と、長尺状の導電性部材を前記管に沿って延設する工程と、前記管及び前記導電性部材とを、遮液性被覆部材により前記導電性部材の一端を除いて覆う工程と、前記管と、前記導電性部材と、前記遮液性被覆部材とを、前記一端から前記導電性部材に電気信号を供給可能な状態で、地中に埋設する工程とを含む構成であってもよい。係る構成により、本発明の漏洩位置検出方法に用いる地中管ユニットを新規に構築することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の形成方法において、前記埋設する工程では、前記導電性部材が前記管の下方に位置するように埋設する構成であってもよい。係る構成により、容易に導電性部材を管に敷設することができ、重力により下方に蓄積される漏液の早期検出が容易となる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の形成方法において、前記管を溝内に配する工程は、前記管の一端を地中に存する管路に接続する工程を含む構成であってもよい。係る構成により、マンホール間隔が長い場合でも、定尺サイズの鉄管を用いることができ低コストにて検出システムを構築できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の形成方法において、前記埋設する工程では、前記導電性部材の一端が、マンホール内の空間に露出するように前記管と、前記導電性部材と、前記遮液性被覆部材とを埋設する構成であってもよい。係る構成により、検査者が、マンホールを定期的に巡回して、各マンホール内にある導電性部材の一端に閉回路レーダ装置60を接続して、管路の漏洩位置検出を簡便に行うことができる。
また、本実施の形態に係る地中管ユニットの形成方法は、地中管ユニットの形成方法であって、地中に埋設された管の周囲の土砂を除去する工程と、長尺状の導電性部材を前記管に沿って延設する工程と、少なくとも前記管と対向する表面を除く前記導電性部材の表面を、遮液性被覆部材により前記導電性部材の一端を除いて覆う工程と、前記管と、前記導電性部材と、前記遮液性被覆部材とを、前記導電性部材の一端から電気信号を供給可能な状態で、土砂により埋設する工程とを含む構成であってもよい。係る構成により、本発明の漏洩位置検出方法に用いる地中管ユニットを既設の地中管路を改修して構築することができる
また、本実施の形態に係る地中管ユニットの形成方法は、地中管ユニットの形成方法であって、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている管の周囲の土砂を除去する工程と、前記遮液性被覆部材を切断して前記管の表面を露出させる工程と、長尺状の導電性部材を前記管に沿って延設する工程と、少なくとも前記管と対向する表面を除く前記導電性部材の表面を、前記遮液性被覆部材により前記導電性部材の一端を除いて被覆する工程と、前記管と、前記導電性部材と、前記遮液性被覆部材とを、前記導電性部材の一端から電気信号を供給可能な状態で、土砂により埋設する工程とを含む構成であってもよい。係る構成により、本発明の漏洩位置検出方法に用いる地中管ユニットを遮液性被覆部材に覆われた既設の地中管路を改修して構築することができ、漏液発生の可能性が高い老朽化した管路に対し本発明の漏洩位置検出方法を適用することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の形成方法において、前記被覆する工程では、前記遮液性被覆部材を、上部遮液性被覆部材によりさらに被覆し、前記埋設する工程では、さらに、前記上部遮液性被覆部材を土砂により埋設する構成であってもよい。係る構成により、既存の管路の遮液性被覆部材を切断した部位に修復を施して防水効果を向上することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の形成方法において、前記埋設する工程では、前記導電性部材の一端が、マンホール内の空間に露出するように埋設する構成であってもよい。係る構成により、検査者が、マンホール内にある導電性部材の一端に閉回路レーダ装置60を接続して、管路の漏洩位置検出を簡便に行うことができる。
また、本実施の形態に係る管サブユニットは、流体を輸送する地中管ユニットに用いる管サブユニットであって、管と、前記管に沿って延設された長尺状の導電性部材とを備えたことを特徴とする。係る構成により、本発明の漏洩位置検出方法に用いる管サブユニットを提供できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の管サブユニットの構成において、前記導電性部材は前記管の一端から他端まで延設されており、前記一端および前記他端において、複数の管サブユニットを管軸方向に接続したとき隣接する管ユニットの導電性部材と電気的に接続可能に構成されている構成であってもよい。係る構成により、管サブユニット101Xnを接続することにより個々の管サブユニットの導電性部材201nが電気的に接続されるので、管サブユニット101Xnの接続数に応じて地中管ユニットの長さを変更可能な検査システムを構築できる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の管サブユニットの構成において、前記導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させて、前記一端又はその近傍から、前記送信波及びその反射波を含む受信信号を取得可能に構成された構成であってもよい。係る構成により、地中管ユニットを供試品として用いて漏洩点付近での誘電率変化を検出して、流体LQの漏洩点の位置を精度よく検出することができる。
また、別の態様では、上記何れかに記載の管サブユニットの構成において、前記導電性部材は、索状部材である構成であってもよい。係る構成により、管の一端から他端まで延設された導電性部材を容易に構成することができる。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
さらに、装置においては基板上に回路部品、リード線等の部材も存在するが、電気的配線、電気回路について当該技術分野における通常の知識に基づいて様々な態様を実施可能であり、本発明の説明として直接的には無関係のため、説明を省略している。なお、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
本発明にかかる漏洩位置検出方法、及び漏洩位置検出システムは、従来の漏洩位置検出方法の性能向上、特に信号S/N比向上として有用である。また本発明は水道管等の土木工事への適用のみならず、配管を用いた工場設備、プラント、ビル設備、冷暖房システム、エネルギー供給設備等の用途にも応用できる。また、本漏洩検査方法は、周辺地盤と含水比や比誘電率が大きく異なる地中の空洞や地盤の緩みなどの検出にも適用できる。
10、101n(nは自然数) 管
101nA、101nB 単位管
20、201n、211n、221n 導電性部材
25、251Bn 同軸ケーブル
30、301n、301nA、301nB 遮液性被覆部材
40、401n、401Bn、411n、421n 整合器
50、501n 終端器
60、601Bn 閉回路レーダ装置
61 送信部
62 方向性結合器
63 検波部
64 受信部
65 変換部
66 インピーダンス変換器
70 検出部
101Zn、101Yn、102Zn 地中管ユニット
101Xn 管サブユニット
801n 仕切弁
1000、1001、1001A、1001B、1001C、1002 漏洩検出システム

Claims (28)

  1. 流体を輸送する地中埋設管の漏洩位置検出方法であって、
    地中に埋設され管軸方向に延設された長尺状の導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させる工程と、
    前記導電性部材の前記一端又はその近傍から、前記送信波とその反射波との合成波を所定の時間取得して受信信号の時間領域データを生成する工程と、
    前記受信信号の時間領域データと前記導電性部材中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する工程と、
    前記受信信号の距離領域データに存在するピークの位置を検出する工程と、
    前記受信信号の距離領域データにおける前記一端又は前記他端に対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体の漏洩位置として特定する工程とを含む
    漏洩位置検出方法。
  2. 前記導電性部材は、前記管を挟んで管軸方向に並設された1対の索状部材の何れか一方である
    請求項1に記載の漏洩位置検出方法。
  3. 前記導電性部材は、前記管に敷設された索状部材である
    請求項1に記載の漏洩位置検出方法。
  4. 前記管及び前記索状部材は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている
    請求項2又は3に記載の漏洩位置検出方法。
  5. 前記導電性部材は、前記管、又は管内部に存する流体である
    請求項1に記載の漏洩位置検出方法。
  6. 前記管は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている
    請求項1又は5に記載の漏洩位置検出方法。
  7. 前記送信波を伝播させる工程では、前記高周波信号を異なる複数の時刻からそれぞれ印加し、
    前記受信信号の時間領域データを生成する工程では、前記合成波を異なる複数の時刻からそれぞれ所定の時間取得し、それぞれの時刻に対応する前記合成波に基づき前記受信信号の時間領域データを複数生成し、
    前記受信信号の距離領域データに変換する工程では、複数の前記受信信号の時間領域データを複数の前記受信信号の距離領域データにそれぞれ変換し、
    前記ピーク位置を検出する工程では、複数の前記受信信号の距離領域データ相互間の差異を算出し、それぞれの前記受信信号の距離領域データにおいて差異が極大となる位置を検出して、当該位置をそれぞれの前記受信信号の距離領域データにおける前記ピークの位置とする
    請求項1から6の何れか1項に記載の漏洩位置検出方法。
  8. 前記ピーク位置を検出する工程では、複数の前記受信信号の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準距離領域データとの間の相互相関係数を算出し、それぞれの前記受信信号の距離領域データにおいて相互相関係数が極小となる位置を検出して、前記差異が極大となる位置を検出する
    請求項7に記載の漏洩位置検出方法。
  9. 前記高周波信号の印加においては、周波数の異なる複数の高周波信号を順次印加し、
    前記時間領域データを生成する工程では、複数の高周波信号に基づく送信波とその反射波との合成波をそれぞれ所定の時間取得して得た受信信号の周波数領域データを、逆フーリエ変換により前記受信信号の時間領域データを生成する
    請求項1から8の何れか1項に記載の漏洩位置検出方法。
  10. 前記高周波信号の印加においては、所定の周波数の高周波信号のパルスを前記一端に印加し、
    前記時間領域データを生成する工程では、前記高周波信号の前記他端における反射波が前記一端に至るまでの時間、前記反射波を受信して受信信号の時間領域データを生成する
    請求項1から8の何れか1項に記載の漏洩位置検出方法。
  11. 前記距離領域データに変換する工程では、前記受信信号の時間領域データに管軸方向のそれぞれの位置における前記伝播速度値を乗じて加算することにより前記受信信号の距離領域データに変換する
    請求項1から10の何れか1項に記載の漏洩位置検出方法。
  12. 流体を輸送する地中埋設管の漏洩位置検出システムであって、
    地中に埋設された管と、
    前記管に沿って延設された長尺状の導電性部材と、
    前記導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させる送信部と、
    前記導電性部材の前記一端又はその近傍から、前記送信波とその反射波との合成波を所定の時間取得し、受信信号の時間領域データを生成する受信部と、
    前記受信信号の時間領域データと前記導電性部材中の伝播速度値とに基づき管軸方向の受信信号の距離領域データに変換する変換部と、
    前記受信信号の距離領域データに存在するピーク位置を検出する検出部とを備え、
    前記送信部は、前記高周波信号を異なる複数の時刻からそれぞれ印加し、
    前記受信部は、前記合成波を異なる複数の時刻からそれぞれ所定の時間取得し、それぞれの時刻に対応する前記合成波に基づき受信信号の時間領域データを複数生成し、
    前記変換部は、複数の前記受信信号の時間領域データを複数の前記受信信号の距離領域データにそれぞれ変換し、
    前記検出部は、複数の前記受信信号の距離領域データそれぞれにおいて、選択した一の基準受信信号距離領域データとの間の相互相関係数を算出し、それぞれの前記受信信号の距離領域データにおいて相互相関係数が極小となるピークの位置を検出し、それぞれの前記受信信号の距離領域データにおいて前記一端又は前記他端に対応する位置間にピークが存在するとき、当該ピークの位置を算出して流体の漏洩位置を特定する
    漏洩位置検出システム。
  13. 前記管及び前記導電性部材は、遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている
    請求項12に記載の漏洩位置検出システム。
  14. 前記導電性部材の一端が、マンホール内の空間に露出している
    請求項12又は13に記載の漏洩位置検出システム。
  15. 前記送信部、前記受信部、及び前記変換部は、マンホール内の空間に配されている
    請求項14に記載の漏洩位置検出システム。
  16. 前記送信部は、前記高周波信号の印加において、周波数の異なる複数の高周波信号を順次印加し、
    前記受信部は、複数の高周波信号に基づく送信波とその反射波との合成波をそれぞれ所定の時間取得して得た受信信号の周波数領域データを、逆フーリエ変換により前記受信信号の距離領域データを生成する
    請求項12から15の何れか1項に記載の漏洩位置検出システム。
  17. 地中管ユニットの形成方法であって、
    管を準備する工程と、
    地中に溝を掘る工程と、
    前記管を、前記溝内に配する工程と、
    長尺状の導電性部材を前記管に沿って延設する工程と、
    前記管及び前記導電性部材とを、遮液性被覆部材により前記導電性部材の一端を除いて覆う工程と、
    前記管と、前記導電性部材と、前記遮液性被覆部材とを、前記一端から前記導電性部材に電気信号を供給可能な状態で、地中に埋設する工程とを含む
    地中管ユニットの形成方法。
  18. 前記埋設する工程では、前記導電性部材が前記管の下方に位置するように
    埋設する
    請求項17に記載の地中管ユニットの形成方法。
  19. 前記管を溝内に配する工程は、前記管の一端を地中に存する管路に接続する工程を含む
    請求項17又は18に記載の地中管ユニットの形成方法。
  20. 前記埋設する工程では、前記導電性部材の一端が、マンホール内の空間に露出するように前記管と、前記導電性部材と、前記遮液性被覆部材とを埋設する
    請求項17から19の何れか1項に記載の地中管ユニットの形成方法。
  21. 地中管ユニットの形成方法であって、
    地中に埋設された管の周囲の土砂を除去する工程と、
    長尺状の導電性部材を前記管に沿って延設する工程と、
    少なくとも前記管と対向する表面を除く前記導電性部材の表面を、遮液性被覆部材により前記導電性部材の一端を除いて覆う工程と、
    前記管と前記導電性部材と前記遮液性被覆部材とを、前記導電性部材の一端から電気信号を供給可能な状態で、土砂により埋設する工程とを含む
    地中管ユニットの形成方法。
  22. 地中管ユニットの形成方法であって、
    遮液性被覆部材に覆われた状態で地中に埋設されている管の周囲の土砂を除去する工程と、
    前記遮液性被覆部材を切断して前記管の表面を露出させる工程と、
    長尺状の導電性部材を前記管に沿って延設する工程と、
    少なくとも前記管と対向する表面を除く前記導電性部材の表面を、前記遮液性被覆部材により前記導電性部材の一端を除いて被覆する工程と、
    前記管と前記導電性部材と前記遮液性被覆部材とを、前記導電性部材の一端から電気信号を供給可能な状態で、土砂により埋設する工程とを含む
    地中管ユニットの形成方法。
  23. 前記被覆する工程では、前記遮液性被覆部材を、上部遮液性被覆部材によりさらに被覆し、
    前記埋設する工程では、さらに、前記上部遮液性被覆部材を土砂により埋設する
    請求項22に記載の地中管ユニットの形成方法。
  24. 前記埋設する工程では、前記導電性部材の一端が、マンホール内の空間に露出するように埋設する
    請求項22から23の何れか1項に記載の地中管ユニットの形成方法。
  25. 流体を輸送する地中管ユニットに用いる管サブユニットであって、
    管と、
    前記管に沿って延設された長尺状の導電性部材とを備えた
    管サブユニット。
  26. 前記導電性部材は前記管の一端から他端まで延設されており、前記一端および前記他端において、複数の管サブユニットを管軸方向に接続したとき隣接する管ユニットの導電性部材と電気的に接続可能に構成されている
    請求項25に記載の管サブユニット。
  27. 前記導電性部材の一端に高周波信号を印加して、前記導電性部材の一端から他端に送信波を伝播させて、前記一端又はその近傍から、前記送信波及びその反射波を含む受信信号を取得可能に構成されている
    請求項25又は26に記載の管サブユニット。
  28. 前記導電性部材は、索状部材である
    請求項25から27の何れか1項に記載の管サブユニット。
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